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1965-02-26 第48回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十六日(金曜日)    午前十時十三分開議  出席分科員    主査 植木庚子郎君       井出一太郎君    稲葉  修君       川崎 秀二君    八木 徹雄君       有馬 輝武君    石橋 政嗣君       辻原 弘市君    野原  覺君       細谷 治嘉君    兼務 吉村 吉雄君 兼務 大原  亨君    兼務 安宅 常彦君 兼務 川俣 清音君    兼務 永井勝次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 愛知 揆一君         国 務 大 臣 増原 恵吉君  出席政府委員         総理府総務長官 臼井 莊一君         総理府事務官         (恩給局長)  増子 正宏君         宮内庁次長   瓜生 順良君         総理府事務官         (営内庁長官房         皇室経済主管) 並木 四郎君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  山口 一夫君         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  小熊  清君         科学技術政務次         官       纈纈 彌三君         総理府技官         (科学技術庁計         画局長)    梅澤 邦臣君         総理府事務官         (科学技術庁振         興局長)    江上 龍彦君         厚生事務官         (援護局長)  鈴村 信吾君  分科員外出席者         衆議院事務総長 久保田義麿君         衆議院参事         (庶務部長)  大久保 孟君         参議院参事         (警務部長)  二見 次夫君         国立国会図書館         副館長     岡部 史郎君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局監察         官)      石田  勝君         検     事         (民事局第四課         長)      味村  治君         検     事         (刑事局刑事課         長)      伊藤 栄樹君         大蔵事務官         (主計官)   小口 芳彦君         大蔵事務官         (国有財産局総         務課長)    宇佐美 勝君         文部事務官         (大学学術局審         議官)     岡野  澄君         文部事務官         (大学学術局審         議官)     村山 松雄君         厚生事務官         (年金局年金課         長)      曽根田郁夫君         厚生事務官         (援護局庶務課         長)      八木 哲夫君         厚生事務官         (援護局援護課         長)      木暮 保成君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      亀田喜美治君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    岡田 覚夫君         農林事務官         (林野庁林政部         長)      筒井 敬一君         農 林 技 官         (林野庁業務部         長)      若林 正武君         建設事務官         (住宅局総務課         長)      石川 邦夫君         建 設 技 官         (住宅局住宅建         設課長)    後藤 典夫君         自治事務官         (行政局振興課         長)      森   清君         会計検査院事務         官       保川  遜君     ――――――――――――― 二月二十六日  分科員野原覺君及び石橋政嗣君委員辞任につき、  その補欠として細谷治嘉君及び小林進君が委員  長の指名分科員に選任された。 同日  分科員細谷治嘉君及び小林進委員辞任につ  き、その補欠として有馬輝武君及び石橋政嗣君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員有馬脚武委員辞任につき、その補欠と  して野原覺君が委員長指名分科員に選任さ  れた。 同日  第二分科員吉村脊椎君、第三分科員大原享君、  第四分科員川俣清音君、永井勝次郎君及び第五  分科員安宅常彦君が本分科兼務となつた。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十年度一般会計予算皇室費国会、  内閣及び総理府(防衛庁及び経済企画庁を除  く)所管      ――――◇―――――
  2. 植木庚子郎

    ○植木主査 これより予算委員会第一分科会を附会いたします。昭和四十年度一般会計予算中、皇室費国会及び内閣所管を議題とし、質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。川俣清音君。
  3. 川俣清音

    川俣分科員 私は、きょう、主として、国会予算に関して、衆議院事務総長お尋ねをいたしたいと思います。  事務総長御存じだと思いますが、あえて衆議院厚生施設とは見かねるようでございますが、実質上厚生施設でございまする医務室がございます。たびたび私指摘をいたしておるわけてすけれども一体衆議院議員でどのくらいが、医務室を利用しておりまするか、お知らせを願いたいと存じます。
  4. 久保田義麿

    久保田事務総長 お答えいたします。昨年で大体一万一千七百九十八人、今年度は非常にふえてまいりまして、一万三千六百九十五人、こういうことでございます。
  5. 川俣清音

    川俣分科員 いま説明のありましたように、大体毎日四十人前後、それに職員も利用せざるを得ない状態でありますことは御存じだと存じますが、この点どうでしょう。
  6. 久保田義麿

    久保田事務総長 医務室関係につきまして、先生方の御使用になっております医務室と、衆議院職員の使います診療所というものを分けてはおるのでございますが、緊急その他の場に、先生方に御迷惑をかけない範囲内で使用しているという実情でございます。
  7. 川俣清音

    川俣分科員 職員がこれを利用するから悪いという意味お尋ねをしておるのではないのです。診療所は、御承知のように時間で限られております。国会医務室は、どこかの委員会がやっておる限り、開いておるわけです。したがって、国会審議がおくれたりいたしまして、急にかぜをひくとか、いろんな病気が生じた場合は、医務室を使わざるを得ない状態にありますことは、御存じのとおりなんです。ですから、私は、別にこれを使って悪いなんというのじゃなくて、ただ、議員も、また職員もこれを利用しておるのだという御認識があるかどうかという点をお尋ねしたので、誤解しないでください。職員が使っておるのをけしからぬとか、あるいは議員診療に妨げがあるとかいう意味お尋ねしておるのじゃないのです。これほど活用しておるのだという御認識があるかどうかという点です。
  8. 久保田義麿

    久保田事務総長 いま川俣先生お話のとおりでございまして、この医務室診療所ともにフルに活用しており、まして、なおかつまだ手狭なくらいの状況でございまして、川俣先生おっしゃられたとおりでございます。
  9. 川俣清音

    川俣分科員 そこで、今度は具体的にお尋ねをいたします。  毎年分科会でやかましく改善を迫りまして、最近はよほどよくなってきていることは認めざるを得ないと思います。昨年ごろまでは、普通の医者でありますと、注射の針は、大体十五人か二十人注射いたしますると、先が摩耗して痛くなるものですから、普通の民間の医者でも長くは使用しないのに、針の補給の手当てがなかったために、医務室は、大体議員は比較的年齢層が高いのに、それに注射するに古い針を使っておるということがいままであったわけです。現にあった。それは、針の本数を数えて人数で割ってみればわかるわけです。そういうことは、今度針を充実したために、なくなった。いまはあまり痛くなくなったんです。これは非常に改善されたと思います。  それから、とかく薬が切れがちだった。私、あなただから言いますけれども、前のある幹部のごときは、調べてごらんなさい、家族の薬まで持っていったんです。持っていって悪いというのじゃないのですよ。それならば、議員のために補給しておくのがあたりまえなんです。前のある幹部家族の者に持っていったからといって、けしからぬなんて言うのじゃなくして、薬が不足がちだということは、事務総長ならば、わかっていなければならぬはずです。家族の分まで持っていかないでもよさそうなものじゃないか。もし持っていったら、補給しておくべきだと思うのです。全然そういう考慮なしに使われておるということは、これは議員生命を預かる事務総長として怠慢じゃないかと私は思うのです。この点どうお思いになりますか。
  10. 久保田義麿

    久保田事務総長 お答えいたします。  薬品その他のものが非常に十分でなかったということは、私宅調べまして、そのとおりでございました。先生の御指摘のとおりでございまして、まことに申しわけないことと思っております。現在もまだ十分とはいえませんが、医務室関係の必要なものはこちらとして十分に考えるからどしどし申し入れてくるように、こういうことで幾らか改善をされておりますが、まだ十分でございませんので、その点につきましてもさらに十分注意したい、こう考えております。
  11. 川俣清音

    川俣分科員 年々改善されておることは認めますけれども、これは国会予算からいけば、雑費になっておるようですね。雑費というといろいろな支出面がありますために、つい雑費予算が、不足をして、生命を預かる、あるいは健康を預かっておる医務室のほうに回らないという結果が出てくるのじゃないかと思うのです。事務総長、出そうと思ったって、予算がなければ出せないでしょう。雑費の中に入れていることが問題だと私は思うのです。ことに今度の国会でも、予算委員会などは日曜もやってほしいという要請自民党から出ておるわけです。これは自民党から出ておるのじゃなくて、おそらく政府から出ているのだと思うのです。私どもは、夜おそくまで予算審議などすべきじゃない、そう思いますけれども、そういう強い要請があるわけです。そうすると、健康管理の上から医務室を利用せざるを得なくなってくるのですよ。おそくまでやれやれと言うのなら、やはり健康管理のことについても万端遺漏ないようにしておいていただかなければならないのじゃないかと思うのです。これは必ずしも事務総長の問題じゃない、議長の問題だと思うのです。もう夜間委員会は開かせないという態度なら、これでもいいです。夜間もなおやらなければならない情勢ならば、それに対応するような施設を講じておかなければならぬ。雑費処理をするなんという考え方は誤っていると思いませんか。夜おそくなったやつは雑費処理するなんということでありますならば、私どもおそくなる審議には応じられないということになると思うのですが、応じないほうがいいのか、あるいはこれを今後改善するのか、どちらかでなければならぬと思うのです。私どもは、今後の予算委員会運営の上からも、専務総長にはっきりこの点を聞いておきたい。あるいは、夜間おそくなることは、諸般の準備の上から国会運営上好ましくないという御意見が承れれば、それでもなおけっこうなんです。本来からいけば、おそくなるなんということは好ましいことじゃないのですけれども要請があってやむを得ない、しかし、それに即応するような対策がないということになると、これは拒否せざるを得ないと思うのです。どちらをとるべきでしょうか、事務総長ひとつお教えを願いたいと思うのです。
  12. 久保田義麿

    久保田事務総長 国会審議につきましては、諸先生方のほうでおきめをいただきまして、私ども事務局といたしましては、それに対応してあらゆる準備その他万端を整えるのが私たちの義務でございますし、当然の責務でもございますので、ただいまの医務室関係の問題につきましても、夜間審議が行なわれるというようなことをも予想して、どんなときにも対応してそれに応ずるだけの準備を私たちがしておらなければならないものと考えております。  ただいまの雑費というお話でございましたが、実はこれは雑費というのでなくて、庁費という中に――衆議院というところはいろいろな予定できないことも多々ございますのと、庁費という中にいろいろなものがございまして、医務室関係費用につきましても、決してこれはそのことによって軽んじているわけでございません。御不自由をかけるようなことは絶対いたさせない、こういうつもりでやっております。金額を限定しますと、かえって流用ができなくて、先生方の御希望にも沿えないというようなこともありますので、ほかの緊急でないものを押えまして、人命上のことでございますので、そのほうを最優先ということで処理をさせております。どうかひとつ御了承願いたいと思います。
  13. 川俣清音

    川俣分科員 庁費の中の雑費のようですが、庁費自体雑費みたいなものであり、そのうちのまた雑費扱いをされておって、健康管理については遺憾なきを期しますなんて言ったって、予算上そういう措置がされておらないのじゃないでしょうか。議員健康管理の上から、あるいは職員健康管理の上から――職員といいましても、普通の公務員と違って、時間の期限がない勤務なんです。衛視をはじめ、エレベーターにしても、いまだんだん申し上げていきますけれども医務室看護婦にしても、時間の期限がないんですね。委員会が開かれている間は、御承知のように、医務室を開いているというかっこうです。看護婦がいなければならぬ。たまたま医者がいなくても看護婦で処置できるだけのことをしている。また重要な委員会のときなどは医者をも拘束しているわけですね。それでいながら、その費用雑費処理するというような考え方ではならないのではないかと思うのです。ほんとう健康管理をしてやるのだという熱意があるならば、やはり一定の、予算をとり、予備費を用意して、それで国会審議に対応する体制ができていなければならないはずだと思う。これは私が行ってみましても、警務課人たちでも、診療所が閉鎖しておって、おそくまで審議を、やると、やはり来ておられますよ。もっともだと思うんです。だれもおそくまでいたいというつもりでやっているわけではないでしょう。しかも警務課人たちに、これはあとでだんだんあれしますけれども、たいした超勤手当ても与えないで、国会要請だということで無理に定着させているわけでしょう。その健康管理は当然考えなければならぬはずだと思う。そうすれば、そこに十分な医薬品なり設備なりを完備しておいて、その労に報いなければならぬと思うのです。もちろん、薬全部をそろえろというわけではない。議員のごときは、特別な薬は個人負担をしておりまするから、日常必要なもの、緊急必要なものだけはやはり用意しておかなければならないと思う。これは職員健康管理の上からいっても、議員健康管理の上からいっても、そんなおそくなれば医者を呼ぶというわけにもいかないのですから、やはり万端整えておかなければならないと思う。そうでなければ、もうおそくまで審議をしない、こういうことをきめるなら、これも一つの方法だと思いますよ。それを、おそくまでやらなければならぬ、おまえの健康は知らないというようなことではならないのではないかと思うのです。  そこで、会計検査院と、それから大蔵省主計官においで願っているはずですが、特に大蔵省主計官にお願いしなければならぬのですが、大蔵省では、特に今度の予算委員会などについても、暫定予算になると大蔵省は非常に苦境におちいるものですから、無理しても夜おそくまでやる、二十八日などは日曜でもやってくれという要請大蔵省全体からきている。大蔵省というか、政府ということになりましょうか、主として大蔵省からきている。こんなおそくまで、あるいは日曜までやる。あるいはきょうあたり、あすになりますか、おそらく分科会は十一時、十二時までやらなければならない様子です。これはだれも好きこのんでやっておるのではない。政府要請からして無理に努力をしておるのです。おそくなったら健康管理に悪いということはもう十分御承知のとおりです。こういう面の予算だけは考えていっていただかなければ、ただ、早く審議をしてくれと言ったって、これは無理じゃないですか。主計官どうお考えになっておりますか。そこまで考えないで査定をしておられまするか、そういうことを考慮して査定しておられますか、この点はっきりしていただきたいと思います。
  14. 小口芳彦

    小口説明員 おっしゃいますように、国会審議特殊性からそういうふうな勤務上の特殊性が出てくる、そういう点につきましては、やはりおっしゃるような面では十分に考えていかなくてはいかぬというふうに考えております。来年度予算におきましても、特に薬代とか、そういうふうな面におきまして新しく経費を増額いたして、そういうふうな措置についても十分に考えた、そういうふうなつもりでおりますが、今後とも事務局のほうともいろいろ相談いたしまして、その面につきましては極力充実をしていきたいというように考えております。
  15. 川俣清音

    川俣分科員 事務総長、いまお聞きのとおりなんです。大蔵省は、査定にあたっても、そういうような感覚で査定に当たっているという。これはほんとうかどうかわかりませんけれども、そういう言質を与えたわけですね。そうすると、雑費だなんて――雑費だからこそ削られるおそれがあると思うのです。これは諸費節約のおりから、雑費はなるべく削ろうという予算の態勢をとっておるようですから、雑費だというと削られるのじゃないかと私は憂えるのです。やはり議員及び職員健康管理の上から必要だということが明確になるならば、これは大蔵省といえども削れないと思うのです。これを削れば、自分の身を削ると同じようなものですからね。もしこれを削るなら、あしたあたり分科会は夜はお断わり、こういうことになる。それはちっとも差しつかえない。断わるのが普通なんです。夜までやらせるということのほうが異常なんです。しかし、異常なことを強行するからには、異常な処置をとってもらわなければならぬだろう、こう私は思うのです。これはほんとうですよ、夜おそくまでやるのはみんなから非常な文句が出て、処理するのに弱っておるんですよ。理事はほんとうに参っておるのです。  しかも医務室に行きましても――今度は医務室の具体的な問題を聞きますが、看護婦などに超勤手当を払っているかというと、払っていないのです。払っているのは何かというと、一カ月平均と申しますか、ワク内で、それだけやっている。どんなにおそくなったからといっても特別じゃないのです。いわゆるほんとう意味超勤手当じゃないのです。給料が安いから毎月超勤を出して生活をカバーしてやっているという程度のものだ。そういうやり方でしょう。どうですか。
  16. 久保田義麿

    久保田事務総長 仰せのとおり、職員超勤手当てが十分できてないのをまことに私も気の毒に思います。何とか十分な手当てをして、そして国会審議に差しつかえないように、また職員の健康が維持できるようにと、目下日夜非常に苦心をいたしておりますが、なおこの点につきましても私できるだけの努力をしていきたいと思います。
  17. 川俣清音

    川俣分科員 事務総長が末端までなかなか口が届かないということは十分承知の上であなたにお尋ねしておるのです。しかしながら、こういう問題については、担当の者がもっとあなたに率直に伝えて、国会の議事が支障のないようにつとめる、私はそうあってしかるべきじゃないかと思う。一々これはあなたが目が届かないことは、私はそのとおりわかります。だから、あなたが悪いということでなくて、あなたの指導力と申しますか、統括力が不十分でないかという点だけは、これはあなたに責めを負わせなければならぬじゃないかと思う。一体国会職員はどこに欠陥があるかといえば、なるべく上の人にはよく思われようとするような考えで、実態を知らして国会運営において支障のないようにしようなんという考え方でないのですね。これが一番の欠陥だと私は思うのです。何とかうまく上のほうへ伝えておいて、うまくいっているのだというようなことを伝えて、不十分な点は隠そうとする点が多いと思う。そういうのは、やはり統率力がないと申しますか、指導力がない欠陥じゃないかと私は思うのです。私、超勤のことをみんなに聞いて歩いても、川俣さん、委員会でやられるのだったらといって、みんな秘密にするのです。秘密にしてこれは済ませるかといえば、済ませられない問題です。  たとえば、きのうは医者に会って聞いたのです。それは国会先生方がおそくなって、私もいなければならぬと思っておりますけれども、そういう場合には車ぐらい出していただけると、おそくなることはいとわないでやりますけれども、おそくなると、終わったというと、もうそれっぱなしだというんですね。それで、おそくなるとこの付近はタクシーも拾えないというのです。われわれはおそくなることはいとわない、しかし、そういうおそくなってタクシーのないようなときには、医者を送るぐらいのことはしてもらいたいものだと、これは率直な願いです。では事務局に車がないかといえば、あるのですよ。しかも事務総長はじめ議長などは、かなり多分な超勤をつけた運転手を持っておる。私はそういうことであまりボロをここでいま出そうとするのじゃないのですけれども、去年調べたところによると、議長運転手事務総長運転手がなぜこんな大きい超勤費用を持っているのかとふしぎに思うぐらいです。私どもはどうなるか。超勤自己負担です。議員負担になっておる。御承知のとおりでしょう。各党に削り当てている超勤費用というのは一定額でしょう。一カ月二十六時間ですか二十八時間ですか、それ以上は議員負担なんです。それはそれでもいいですよ。しかし、それほど健康管理に必要で医者を置くならば、これはやはり医者の送り迎えというまでいかないにしても、それほどまでにしないにしても、おそくなった場合、十時になった、あるいは八時過ぎた、九時過ぎたというような場合には送るぐらいなことをしなければ、だんだんいい医者がいなくなるのじゃないか。全く時間が不定だし、おそくなった場合にはタクシーも拾えない、これでは十分な健康管理をしておるということは言えないのじないでしょうか。  一体超勤費用をどういうところに使っておられるか、これは私も大体調べておりまするけれども会計検査院は各官庁に対してはなかなかきびしく会計検査をしておられるようですが、国会に対しては非常に遠慮しておられるのじゃないかと思うのですが、国会予算を、精細にお調べになったことがございますか、それで何にも指摘するような事項がなかったのかどうか。今日まで会計検査報告の中に指摘事項国会一つもありません。この点どうなんですか。国会だからということで遠慮されておるのか、あるいは、あっても、国会はうるさいから、ということで遠慮しておられるのか、この点はっきりしないのです。
  18. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 国会検査はほかの検査に比べて遠慮しているのではないかというお話でございますが、われわれ決してそういうつもりは毛頭ございません。私いまの所管になりましてまだ一年数カ月でございますが、過去におきまして、指摘した事実はございます。それはたしか参議院かどこかの経理につきまして検査報告に掲げた事実はございます。
  19. 川俣清音

    川俣分科員 たしか物品納入についてあったという記憶はいたしまするけれども国会の本体の運営上に起こる検査については非常に遠慮がちであると思います。いままであったのは物品納入についてだけなんです。こういう点で、事務総長、特別扱いされて――特別扱いしていない、こういう答弁ですけれども、何となく特別扱いをしておるのです。それだけ国会の権威というものを認めておられるのだと思うのです。それならそれだけの処置を講じていなければならぬはずだと思うのです。特別扱いされているからということで、それに乗って、十分な処置をしないということは、やはり許されないことじゃないかと思うのです。それだけ権威を認めているなら、やはりそれだけの体制を整えていなければならないと思うのですが、事務総長どうでしょうか。
  20. 久保田義麿

    久保田事務総長 会計検査は毎年ここも行なわれておりますし、私のほうといたしましても、私自身の口が届くところも十分ではございませんので、できるだけ検査のときに全貌を詳細に検査していただくということは、これは人間にあやまちがあってもいきませんし、特に国会においてそういうことがあってはいけないので、検査院のほうにも積極的に私のほうからもすべてを出しまして検査をしていただいております。また、国会の権威におもねって、われわれが油断をしたり、また増長するようなことがあってはいけない、これは事務局全体に十分に浸透させておるつもりでございます。今後ともなお十分その点については注意させます。
  21. 植木庚子郎

    ○植木主査 川俣君に申し上げますが、おおむね持ち時間が満了いたしましたから、あと簡単にもう一間くらいで御終了願います。
  22. 川俣清音

    川俣分科員 もう一点、専務総長、これも実はいやなことなんですよ。けれども、これは言わざるを得ないと思いますが、事務総長をはじめとして国会幹部クラスはまだ外車をお使いになっておるようですね。外国産の自動車をお使いになっておるようですね。大体議員のほうは国産愛用で国産車になっておりますが、ガソリンの非常に消費量の大きい外国産の自動車をお使いになっている。これはかなり古いもののようですけれども、古ければ古いほどガソリンの消費量が多くなってくる。そこで民間でも国産車を使ってきておりますのは、ガソリンの消費量がばく大な経費がかかりますために、みな改善されてきている。国会だけはどうして事務総長はじめ部長クラスが旧態依然としてガソリンの消費量の多い外国産の車をお使いになっていなければならぬのですか。古いからとおっしゃるが、古いほどガソリンの消費量が大きい。ガソリンの消費量が大きければ、議員に対するガソリンの割り当てもまた総体からいって減ってくるわけです。これはどうしてお使いにならなければならないのですか、この理由をひとつお聞きしたいのです。私は会計検査院がこういうところも見ているはずだと思っていたが、こんなところを指摘しないところを見ると、遠慮しているのではないかと申し上げたのです。検査院がわからぬのに、われわれの目には見えるのですよ。それを検査院がわからない、見なかったなんというのはおかしいですよ。そんな検査院がどこにあるのです。だれしもわかることが、検査院がわからない、指摘するようなことがなかったなんて――まあこれは会計検査院に言うより、事務総長の責任でしょうから……。
  23. 久保田義麿

    久保田事務総長 いま事務局のほうで使っています外車というのは二台でございまして、あとは国産車でございますが、これは年々大蔵省に交渉いたしまして、国産車に切りかえる自動車の交換をやるわけでございますが、今年度ですべて外車はなくなると思います。外車も大きいのはできるだけみんなかえるようにいたしております。ただいま二台残っておりますので、二台を使っておりますが、これも今年限りでかわりますので、ガソリンを非常にたくさん食う外車をまだ二台持っているというのはまことに申しわけないと思いますけれども、今年度切りかえますので、どうかひとつ御了承をお願いいたします。
  24. 川俣清音

    川俣分科員 これで終わりますが、各官庁ともほとんど外車はやめて国産車に切りかえておる。国会だけが特権のように外車を持っている印象を与えがちでございます。これは非常に悪い評判になることもあると思います。外車だから必ずしもいいんだという考え方で非難しているんじゃないのです。かなり古い外車でありますから、幾らかおんぼろに近いようなものでありますから、これに乗っておるのはけしからぬというのじゃなしに、先ほど申し上げたように、ガソリンの規制も、一般政党のほうのガソリンの規制はきびしくしておりながら、こういう外車を依然として使っておるというようなことについては、これは議員にも相当な負担をかけているということになると思うのです。そう言わないとこれは説明にならないから、あえてそう言うのですけれども、これは大蔵省あたりの理解が足りなければ、いまここで理解をさせなければならぬと思うのですが、大蔵省自体がいまもうほとんど外車を持っていないのですから、衆議院でも外車をやめるということについて、その予算措置についてしぶることは私はないと思うのです。予算査定の上にしぶるようなことがあったのですか。
  25. 久保田義麿

    久保田事務総長 従来各官庁との振り合いの関係上、自動車の交換差金の問題について私のほうも強硬に大蔵省とも交渉しまして、昨年は三十台でございましたか、ことしは少し少なくて十三台でございますけれども、これを今年度と来年度で大蔵省のほうも考えようというところまできております。
  26. 川俣清音

    川俣分科員 主計官どうですか。
  27. 小口芳彦

    小口説明員 国会の自動車につきましては、ただいま説明がございましたように、四十年度は交換差金として十三台ということになっております。これは自動車の年式から自動的にきまってまいりますので、この台数はいかんともしがたいわけでございますけれども、それでは少ないということもございまして、庁費でなお四台買ったらどうかということで、その予算を計上しております。国会の自動車につきましては、そういうふうな交換差金の点その他いろいろ問題がございますので、私どもといたしましても、ただいまお話がありましたように、来年度と再来年度にわたって十分に検討したいというふうに考えております。
  28. 川俣清音

    川俣分科員 政府が国産車愛用のスローガンを出して、各官庁とも国産車にかえ、しかもガソリンの消費量の多い外車をやめてしまった大蔵省でも一台もないはずです。私が調べてみたら、一台かあるそうですが、しかし、これはほとんど使っていないという話です。みずから使っていなくて、国会だけは外車を依然として置かせるということは、これも査定上手落ちだと私は思います。しかも評判が悪い。いま申し上げたように、ほかの方面のガソリンを制約する結果になる。国会全体の活動の上からいえば好ましくないのです。国会の機能というのは国会の活動をいうのであって、その機能を果たせないようなことであるならば、決していい査定だとは言いかねると思いますが、そういう意味において、あえて主計官を出したのは、一体事務当局が怠慢なのか、熱意がないのか、査定が十分でないのかという問題だと思って、あえてあなたにもおいでを願ったわけです。どっちかの責任だと思います。私はいまここですぐには、時間がないから、判定しかねます。どっちかが責任のがれをしているんだというふうに判断せざるを得ません。どちらであるかということは、事務当局と大蔵省で話し合っていただきたい。どっちかなんですよ。どっちかであることは間違いない。一体どっちなんだ、どっちに責任があるのだということをひとつ相談してやってほしい、こう思います。私の質問はこれで終わります。
  29. 植木庚子郎

    ○植木主査 大原亨君。
  30. 大原亨

    大原分科員 簡潔に質問いたしますから、簡単明瞭に御答弁いただきたい。第二議員会館ができつつあるわけですが、これは一体いつごろできますか。
  31. 久保田義麿

    久保田事務総長 お答えいたします。九月一ぱいということになっております。その間できるだけ早く竣工するようにということで、第一議員会館よりも二カ月工期を短縮しまして、九月の末ごろになろうかと思います。
  32. 大原亨

    大原分科員 もっと早くできぬですか。
  33. 久保田義麿

    久保田事務総長 これは建設省にもやかましく言うのでございますが、建築技術上そこが精一ぱいだと向こうは言っておりなして、事実一生懸命にはやっておるようでございます。
  34. 大原亨

    大原分科員 それでは、いままで同僚、先輩の委員から、いろいろと国会職員勤務条件の改善その他につきまして質問があったわけですが、私も、国会が最高の議決機関としてそれにふさわしい職場、こういうものが確立されることが必要ではないかと思う。ですから、国会における職員の勤労条件を改憲をすることは、事務総長はもちろんですが、やはり国会議員の全部の責任ではないか。言うなれば国会の主人公みたいなものですから、国会の全部の責任であって、そのことは、たとえ小さいことであっても、これを放任しておくということはいけない。そういう点で常に留意をしてその改善につとめる、あるいは矛盾の是正につとめる、こういうことが私は必要であると思うのであります。したがって、先般の野原委員の質問にもあったと思うのですが、国会のそういう勤労条件を解決する能力というものは、国会自体が、他の官庁とは違った意味で独自のそういう解決の能力を――当事者能力というか、私はそれを持っていると思うわけです。その理由も私はそこにあると思うのですが、そういう当事者能力を含めて、そういう勤労条件を自主的に改修をする能力、権限を国会事務総長は持っておると思いますが、いかがですか。
  35. 久保田義麿

    久保田事務総長 国会は、予算上その他の点におきまして独立的なことになっておりますので、相当の強い権限はあるわけでございます。ただ、財政上の制約を受けますために、大蔵省と交渉をしなければならない。あるいは、もう一点、あまりにも全体の公務員と極端に離れてもいけない、その点の権衡というものを考えていかなければならない、こういうふうに考えております。
  36. 大原亨

    大原分科員 当事者としての権限や能力を持っている、こういうことですが、いろいろな制約がある、こういうこともまた事実だと思うのですが、しかし、やはり事務総長が十分の理解と熱意を持ってやらなければ、いろいろなひずみが出てくると思います。たとえば、野原委員の質問を聞いてもそうですが、いろいろと実態を私聞いてみますと、言うなれば現業的な最底辺で働いて大切な仕事をやっているわけですが、用務員や運転手にいたしましても、十年勤続で四十歳の、言うなれば壮年、働き盛りの人が二万二、三千円、昇給間差も非常に狭い。これは生活保護以下じゃないですか。大体四十歳前後を考えてみましても、こういうことで大切な物品管理やあるいは国会のそういう職場の条件をつくっていく、そういうことに働いてもらうということは、われわれ国会議員としましても、こんなことをほうっておいてよいのだろうか、事務総上長は何をしているのだろうか、こう思うわけであります。それからもう一つお答えいただきたい点は、たとえば運転手にいたしましても、これは行政職の二表であると思うのですが、いまは一般では運転手の給料は非常に高くなっているわけです。一般のハイヤー、タクシーなどにいたしましても、大体東京でしたらそれ以上と思うのですが、全国的にも、五万円です。二種免許ですか、営業免許を持っていまして相当熟練した人は、それ以上みな取っているわけです。そういう点で、対社会的にそういう状況であるのに、本意ではなくとも、チップに依存したり、そうしなければならぬしというふうなことで、国会運転手が安心して働けない。対社会的にもいろいろな悩みや問題を持つ。将来についても希望が持てない。せっかくの年金その他を期待しても、基礎となる月給が少ない。そういうふうなことでは、非常に大切な国会議員の行動や身の安全を、こういう交通戦争の時代に仕事をしながら守っていくということもできないのではないか。私は、行政職二の表の改善について、前者の質問と同じように、これは二つの点で申し上げましたけれども、この俸給表は改めなければ、ほっておいては、これは国会の機能――一番大切なそういう底辺の仕事というものが抜けてきたり、いろいろな問題が起きてくるのではないか。こういう点についての改善の方針、考え方をひとつ明らかにしてもらいたい。
  37. 久保田義麿

    久保田事務総長 お答えいたします。第一点の用人の関係でございますが、この点につきましては、先生の御指摘のとおり、非常に給与が低いということでございますが、昨年、今年にかけまして、一号ずつぐらい初任給は高くとってもいいというようなことにかっております。そのためにまた、前に野原先生にもお答えいたしたのでございますが、中だるみといういものが出てまいります。そういった大きなものがありますので、これは一挙に解決するといたしますと一斉昇給ということにもなりますので、最も悪いと申しますか、極端なところから順次これを改善していきたい。  それから、行二の自動車の運転手につきましては、いま先生がおっしゃいました上に、私のほうの運転というのは、議員さんの秘書的な用務までも行うようなことでございまして、行二に置いておくこと自体まことに不つり合いだと私は考えまして、このほうの行一への移行ということを真剣に私は考えておりますが、まことにことしも力が足りませんで、ほんのわずかの解決しかできませんで遺憾に思っております。なお、これは十分に力を尽くしていきたい、このように考えております。
  38. 大原亨

    大原分科員 これは事務総長が急がれるので、大蔵省主計官にあとでお尋ねしますが、大蔵省その他各官庁では、大臣や次官、局長、課長などが車に乗る場合には、私ども聞いている話では、もちろん当該組合や職場においてそれぞれ改善について日常不断の努力を積み重ねておるようですが、それと一緒に、そういう役職員の人が乗るのですから、いろいろな点で操作しながら内容の事実上の改善をやっておるようです。だが、その点、国会の場合は、入れかわり立ちかわり乗るということもあるし、いろいろな関係で、国会議員はわがままな点もあるでしょうが、この運転手さんの立場などを考えてみますと、社会的に見てみましても、常識をはずれていると思うのです。そういうことは、私は、やはり国会議員の活動にも影響する問題ですし、職場に対する愛着をなくしたら、こんなものは仕事にならぬ。だから、この点は重ねて、この改善については強く私は要望いたしておきます。これは、またあとで、関連いたしまして、主計官のほうにもお尋ねします。次に、いままで質問がなかった点で、議院警察職、いわゆる衛視の問題です。衛視の問題も、国会の警備、職員の護衛その他いろいろあるでしょう。それでこれはやはり特殊な国会としての職務を遂行する上において非常に大切な一つの仕事であります。これについていままでの質問者が触れておりませんから、私はそこを重点に質問いたします。最近、第一議員会館が建ったりその他で、衛視の欠員があるというふうなことを聞くし、募集いたしましても、なかなか人が集まってこない。一体どういう募集のしかたをしているのだろうか。そういうことと一緒に、私は平生からその事情を聞いておりまして、いろいろと頭の中にあったわけであります。最近のそういう欠員の状況、募集のしかた、応募状況、充足状況、こういう問題につきましてお答えいただきたい。
  39. 久保田義麿

    久保田事務総長 いま衛視の常員のほうの欠員は二、三名じゃなかろうかと思いますが、臨時がまだ三十名くらい欠員じゃないかと思いますので、これにつきましては、新聞にも出しましたし、それから関東、東京付近の地方事務所等にも依頼をいたし、またこちらからも職員が出向きまして、募集いたしまして、いま四十三名の応募者がございまして、近く三月の八日ごろに試験を行なって、充足したい、このようにいまやっております。
  40. 大原亨

    大原分科員 私は昨年、一昨年以来の衛視の欠員状況等をいろいろ調べてみました、相当長く恒常的に続いておって、いま臨時の衛視について三十名くらい欠員があって、それを募集中だ、こういうお話です。だれでもいいというわけにはいかぬでしょう。いろいろと苦労してやっておられるということは聞いておりますが、いままで衛視のそういう慢性的なというか、そういう定員確保ができない原因、こういうものは一体どこにあるんですか。
  41. 久保田義麿

    久保田事務総長 お答えいたします。これは一般的に高等学校卒業程度の方の社会的な需要が非常に多くて、衛視に対する給与の点もありましょうし、魅力が欠けていたのじゃなかろうか、あるいはまた私のほうにも募集のしかたに不足があったんじゃないか、かように考えております。
  42. 大原亨

    大原分科員 私は、国会職員が、そういうふうに非常に大切な仕事をしておる人が、なかなか募集できないというふうなことは、これは事務総長以下の努力が足りないと思うのです。私どもにも責任があると思うけれども努力が足りないと思うのです。それで、その一つの基準は何かというと、就職したときの初任給その他が他に比較いたしまして安い、こういうことが一つあると思うのです。それから、しんぼうしてつとめた場合に、将来努力して希望が持てるかどうか、こういう点で給与体系その他で問題があるのではないか。大体問題をしぼれば、私は二つであると思うのです。そこで、お尋ねしたいのですが、たとえば同じ大学卒の場合に衛視に就任した場合と事務系に就任した場合、それから、高卒の場合で用務員に就職した場合と衛視に就職した場合、これは大体どのくらいの差があるのですか。
  43. 大久保孟

    ○大久保参事 お答えいたします。衛視の初任給の点でございますが、大学卒で衛視に採用される場合は四等級の四号、暫定を含めまして一万八千四百五十円でございます。高校卒の場合は四の一、暫定を含めまして一万六千五百七十円でございます。事務系統でございますと、大学を卒業しまして事務のほうに入りますと、暫定を含めまして一万九千五百円、高校卒の場合には八の二でございますから、一万五千百二十円になっております。  用務員につきましては、経験年数を一応見まして、資格その他の要件をうちのほうでは現実には見ておりません。最高のリミットといいますか、限度でとっております。具体的に申しますと、行二の五の十二でとっております。暫定を含めまして約一万九千九百円でございます。
  44. 大原亨

    大原分科員 まあ断定を含める含めないの問題はあるのですが、衛視の場合は、大学卒の場合は一般事務よりも大体千円ぐらい安いわけですね。それから、衛視と用務員を一校卒で比べてみると、体系自体も違うけれども、大体三千円以上違うわけですね。やはり職場ですからね。そういう点は、月給によって自分の仕事の軽重を考えるということは必ずしも当たらないけれども、しかし、このことも非常に大きな職場を明朗にする条件です。だから私は、そういう点は不断に――一般公務員に準じてつくった俸給表であろうと思うのですけれども、国でも、自治体、各行も、みなそれぞれできるだけの努力をしておるわけです。不合理を解決しておるわけであります。不合理を是正することを積み上げていっておるわけであります。私は、そういうことで、衛視という点に焦点を合わせてみますと、きわめて衛視さんの特撮は不均衡だと思うのです。だから、初任給だけの問題に限っていうと、衛視の初任給は直ちにこれを直すべきじゃないか、是正すべきではないか。これはいかがですか。
  45. 大久保孟

    ○大久保参事 お答えいたします。  衛視の初任給が低いということでございますが、衛視も一応国家公務員の警備の職というものにランクといいますかし、準じましてつくっております。その面で広い意味の国家公務員のワクに入っておりますので、極端な差と申しますか、そういう点が非常にむずかしい点がございます。  ただ、この点につきましては、昨年以来、議院警察職俸給表自体の根本的な検討には入っております。昨年のベース改定の場合に、国会のほうの衛視、議院警察職は、現在は国家公務員の公安職に準じておりますが、――この前のベース改定の場合に、単なるべース改定じゃなしに、一応公安職とは若干改善するという意味におきまして、大蔵省側の理解を得まして、上のほうでございますが、若干その点はいい意味改善されております。ただそれで全部終わったわけでございませんで、全般的な問題につきまして、現在いろいろな資料その他を集めまして、初任給の問題も含めまして検討している段階でございます。ただ、これは衆議院だけでなかなかできないことで、国会全体として、参議院とも協力していただいていま基本的な問題を検討している段階でございます。
  46. 大原亨

    大原分科員 きょうは参議院からも御出席いただいておるわけですが、参議院参議院でそれぞれ自主的にお考えになるという立場もあるわけですが、しかし、やっぱり問題点だけは共通の理解の上に立って、十分連絡をとって私はやってもらいたい。その点がそごがあってはいけない、そういうふうに私は思うわけです。そこで、主計官お尋ねしますが、私が事務総長に質問をいたしましたときにも申し上げましたが、一つは、用務員で十年間つとめて四十歳の人が二万二、三千円であるというふうな、生活保護以下、そういう給与というものは、やはり国会職員だけでなしに、一般の職員の常識から考えても、これはあり得べきとではないのではないか。  それから、衛視の初任給の問題を考えた際に、私が先ほど指摘いたしましたように、初任給の問題を含めて、いまは初任給だけに限定してもよろしいが、その問題の処理にあたって大蔵省は――やはり各省庁でも努力をしているわけです。昇給同差を縮めたり、俸給表の使い方その他で人事院と連絡をとって事実上やっておるわけです。どんどん改善しているわけです。ここのほうは公式的に俸給表を、若干の是正はあるようですけれども、適用しているということで、うんと差が開いていると思うのであります。だから初任給の問題は、私は衛視の問題について指摘いたしましたが、大蔵省もその点については十分理解をしてこの話し合いを進める、これが促進できるようにすべきではないか。主計官の答弁を……。
  47. 小口芳彦

    小口説明員 ただいまの御指摘の問題につきましては、国会の内部で、おっしゃるような問題につきまして具体的にどういうふうな問題があるかという点につきましては、予算折衝の過程を通じまて私どもも十分にお話を伺っていなかった点でございますけれども、いろいろおっしゃるような問題もあるというふうに考えますし、今後とも衆議院の事務当局のほうで十分に検討していただきまして、それから私どももそのような案に基づきまして検討を加えるということは十分に考えていきたいと思っております。
  48. 大原亨

    大原分科員 大蔵省からもそういう御答弁ですが、そうすると庶務部長、もうこれは、私がいままでの経過を調べてみますと、相当長い間の懸案です。参議院関係その他あるようですけれども、長い間の懸案ですよ。だから、そういう問題は早く解決をして、そうして用務員などにいたしましても、運転手にいたしましても、衛視にいたしましても、やはり国会としては非常に大切な仕事ですから、上とか下とかいうことでなしに、それにふさわしい待遇をして生活を保障するということは、庶務部長事務総長がやらなければ、おっても何の値打らもないですよ。議員におべんちゃらだけではだめですよ。だから、このことはほんとうに検討してそうして実行する、こういうふうに態度をきめると一緒に、その目安を大体つけてもらいたい。もう具体案はできているのでしょう。具体案ができておって、それをどうして解決するかということでしょう。できているのでしょう。
  49. 大久保孟

    ○大久保参事 お答えいたします。  昨年度、当時一応のわがほうの案をつくりまして参議院に送っております。もちろん現在ベース改定がございますから、当時の案そのままではいま具体的な案になりませんが、その当時つくりまして送っております。ただ、現在参議院との間で調整がつかない段階になっております。この問題につきましては、現在いろいろ資料を集めまして検討している段階でございます。  なお、衛視の方並びに用務員の方につきましては、現在一応のワクの中におきまして、用務員につきましては、おそらく先生の御指摘の点につきましては、全般的な問題ではなしに個別的な問題も含まれていると思いまして、これは運用の面におきまして現実に解決してまいりたいと存じております。  その他の問題につきましても、一応のワクはございますが、四十年度におきましても定数その他の面で大蔵省側の理解を得まして、四十年度実行の段階におきまして、なるべく頭打ちといいますか、中だるみと申しますか、そういう面を現実的な問題として解決していきたいと考えております。
  50. 大原亨

    大原分科員 それで、この初任給の問題と俸給表の問題で、頭打ち、中だるみ、こういうものが調べてみますとありまして、十年間つとめた人と十五年間つとめた人を比較してみると、面目くらいしか差がない。子供がようやくできて、一番生活費が要り盛りのときにです。こういうふうにいろいろ調べてみますと、たとえば十年間つとめた衛視と十五年間つとめた衛視の給与が百円くらいしか差がない。この初任給の是正その他のことが反映して全体としてバランスがとれていない。そういうふうな頭打ちや中だるみの問題があって、俸給表の問題は運営上では限界にきていると思うのです。私がいろいろ聞いてみますと。その点も含めて、この全面的な改定をやはりやるべきではないですか。衛視ということに私は焦点を合わせて質問いたしますけれども、いかがですか。
  51. 大久保孟

    ○大久保参事 お答え申し上げます。  衛視の問題その他を含めまして給料表が限界にきているということは、もちろん国会だけではなしに、全般の問題にも及ぶことと思います。  わがほうとしましては、先ほども申しましたとおり、衛視の問題、議院警察職俸給表の問題につきましては、現在いろいろ資料を集めておる段階であります。ただ、やはり国家公務員のワクというものに入っておりますものですから、そのワク内でどう改善するかということになりますと、具体的ないろいろな資料をつくりませんと、実際の実行、実現というのはむずかしい点もございますので、昨年度とりあえずベース改定に伴いまして若干の是非をしたという段階で、なお今後基本的な問題につきまして十分努力していきたいと存じております。
  52. 大原亨

    大原分科員 今お話があったわけですが、衛視はどういう職務であるか。こういう国会職員全体が非常に不規則な、国会活動に伴ういろいろな無理な点があると思います。平常的な仕事もあるけれども、そういう突発的な臨時的な仕事もあって、国会の会期は非常に長くて、不規則ですね。夜やったり、記録の作成からその他、たいへんだと思うのです。なかなかそのことは大蔵省やその他に知られていないと思う。その中で衛視の立場を考えてみると、いま御答弁の中で、営造物を警備している各省庁の警備員に準じた俸給表を頭に置いて考えた、こう言われておる。そういう警備ということを言うわれた。  もう一つ、調べた資料では、警視庁の巡査、部長その他、そういう俸給表、それぞれ等級が分かれている給与と比較してみますと、初任給が安いばかりでなしに、上のほうへいきましたならば、四等級にいたしましても、衛視のほうは五万二千円であるのに、巡査部長のほうは、巡査から巡査部長にずっと進むようになっておりますけれども、六万三千円というふうになっていて、途中の中だるみもうんと違うわけです。二万円くらい違う。これは警察と同じじゃない。警察とも違うのです。国会の警備と一緒に、議員の身辺保護や、その他いろいろな国会の機能を発揮させるような警備の仕事をやるわけでしょう。やはり政治の中においても、仕事としては私は重要な仕事だと思うのです。やはり自覚と誇りというか、将来に希望を持って働いてもらいたい、働くべきだ。そういうことについて、もう少し積極的な熱意を示すべきではないか。そういう点についてすみやかに専務当局としても資料を整備して、大蔵省との間においても十分議論をして、そして参議院との間においても十分その関係を緊密にして、それぞれの自主性を尊重しながら熱意を持って問題を解決する。事務総長以下がそういう気持ちにならないと、当事者がやらなければ、ほうっておいて、いざやろうと思えば、たくさん予算が要りますということで大蔵省からぺしゃんこになるということでは、責任を果たしたというわけにいかぬと私は思うのです。その点についてもう一回、もう少し確信のある御答弁をいただきたい。
  53. 大久保孟

    ○大久保参事 ただいま先生のおっしゃいましたとおり、今後この問題につきましては熱意を持って努力をしていきたいと存じております。
  54. 大原亨

    大原分科員 生活の問題の中で、住宅の問題、これはたいへんです。東京都営住宅の問題で、読売新聞の社会面のトップに書いてありますけれども、その中にも載っているのです。つまり四畳半で一畳について一千五百円から二千円くらいの割合で、一万円以上の家賃を払っておるたくさんの人がおるわけです。ものすごいものです。  私はやはり、国会職員の住宅についても十分努力すべきだと思うのです。この点はどうなんですか。
  55. 大久保孟

    ○大久保参事 お答えいたします。  職員の住宅につきましては、従来から努力を続けております。一般の官庁と比較いたしまして、決して少ない段階ではないと存じております。  ただ、現在の国家公務員宿舎は、国家公務員宿舎法できめられておりまして、大蔵省のほうでつくりまして、それを各省に割り当てる。そういう意味におきまして、われわれはその割り当てをとるという方向に現在努力しております。本年度その他の割り当てにつきましては、あとで数字を申し上げたいと思います。
  56. 大原亨

    大原分科員 きょうは建設省にも、大蔵省の管財にも御出席いただいておるのですが、生ず最初に、建設省は、これはあらためて建設の分科会でやりますので簡単にお答えいただきたいと思うのですが、いわゆる住宅政策の中で一世帯一住宅というスローガーンが自民党から出されまして、あれは選挙用でしたから最近は消えてしまったわけですが、政府政策住宅の基本方針、その中の公営住宅、都道府県公営住宅の入居者に対する政府の方針は、どういう方針ですか。
  57. 石川邦夫

    ○石川説明員 お答えいたします。  公営住宅は、御承知のように、低額所得者に対する低家賃住宅ということになっておりまして、入居資格につきましては、一定の控除をいたしました後の月収が二万円、または三万六千円と、二種類ございますが、そういうふうに制限されておるわけでございます。そういう低頭所得者のためにつくられるものでございますので、公営住宅につきましては、そういう範囲内で公正な選考、抽せんの上、これを選んでおるというのが実情でございます。
  58. 大原亨

    大原分科員 この需要供給の関係の実態についてはあらためて質問いたします。きょうはたくさん同僚の質問がありますから、これははしょります。大蔵省は、公務員住宅については、政府政策住宅の一つとして統計にあげておるわけです。統計を見ますと、政府政策住宅の中で、公営住宅、公務員住宅、三公社五現業住宅というのを幾らつくって、この一世帯一住宅計画なんというものがあるわけです。私はおかしいと思うんだが、公務員住宅は、大体どういう方針で公務員住宅に入れているんですか。たとえばいま申し上げたように、四十歳で十年間つとめて二万二、三千円というふうな、そういう用務員や行政二表の人がたくさんおるわけです。そんな人こそ住宅が必要なわけです。だから、政府政策の公務員住宅は、どういう基準で入れておるのですか。
  59. 宇佐美勝

    ○宇佐美(勝)説明員 お答え申し上げます。公務員宿舎は、御承知のように、公務員宿舎法の初めに書いてありますように、公務の遂行上必要な住宅を供給するということになっております。それで、一般の住宅需要と多少公務員宿舎の場合に違うと考えられます点は、たとえば転勤ということがございます。こういう転勤なんかになりますと、かなり上級の職員がひんぱんに動くというようなこともございまして、必ずしも下級の方が優先的に入るということにはなっておりません。ただ、この辺は、公務員宿舎の建設戸数等とにらみ合わせまして、最近におきましては、中、下級職員にも相当の力を入れて配分しているような次第でございます。
  60. 大原亨

    大原分科員 一般の公営住宅では低所得階層を対象として国が住宅をつくるという方針です。もちろん一定の職務を執行する上において、住宅、電話その他の設備、位置等で、ある程度官庁との関係考えなければならぬという職種もあるんだが、官庁の住宅は政府政策住宅でありながら、上のほうから入っていくわけだ。上のほうから上のほうから入っていって、一番必要な人の住宅がないということです。一般下級公務員の住宅はない。そうすれば、実際上生活はできない。いつまで働いても、衛視でも、用務員を見てみましても、俸給は上がりはせぬ。住宅はない。安定していない。そういうことでは、安心をして自分の職務を遂行するということはできない。私はそう思う。住宅についても、私は大蔵省の管財その他政府全体にも要望いたしますが、やはりそういう点においては十分公平に、統一的にこの政策が行なわれるように、これは特に強く要望しておきます。庶務部長、それについて見解を……。
  61. 大久保孟

    ○大久保参事 お答えいたします。いま職員の宿舎全般につきましてたいへん御配慮いただきまして、感謝しております。特にいま出ました衛視の宿舎につきましては、特に独身衛視の宿舎につきまして、ここ一、二年前から当局側としましてはかなり努力を払いまして、現在上馬に衛視の独身寮をつくりまして、そこに入ってもらっております。ただ、職員全般の宿舎の決定につきましては、先ほどお話がありましたとおり、一応職務の段階でやっておる現状でございます。ただ、現在におきましては、五等級または六等級の線まで、具体的にはそういう方にまで宿舎に入っていただく状態にはなっております。今後ともなるべくそういう点につきまして配慮していきたいと考えております。
  62. 大原亨

    大原分科員 最後に、いま準備をし検討をされているという――相当長い期間ですから、そういう検討されているという衛視の待遇改善についての資料、参考資料、原案でよろしいから、資料を私の手元まで、あとで出していただきたい。それで、すみやかにこれが実現できるように重ねて私は強く要望しておきます。それから、参議院の御出席をいただいたのですが、参議院の自主性もあることですが、十分参議院側もお聞きいただいて、そしてそれぞれ自主的な立場において、緊密な連携をとって善処されるように、私のほうから特に参議院のほうへもお願いをいたしておきたい、こう思いますので、そういう要望を付しまして私の質問を終わりたいと思います。
  63. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、野原覺君。  野原覺君の質疑に入る前に、国立国会図書館岡部副館長から発言を求められておりますので、これを許します。岡部副館長。
  64. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 去る二十二日の当分科会におきまして、野原先生からお尋ねがございまして、国立国会図書館においては未整理の本がどれくらいあるかということでございましたので、二十六万とお答えいたしました。その際重ねて先生から、二十六万のうち受け入れてない本がどれくらいあるかというおれがございましたので、私は受け入れてない本が二十万あるということを申し上げたつもりでございますが、あとから気がついてみますと、受け入れている本が二十万あるというようにお答えいたしておりましたので、その点をつつしんで訂正させていただきたいと思います。重ねて申し上げますと、受け入れていない本が二十万冊あるということでございます。
  65. 野原覺

    野原(覺)分科員 私は、先般二十二日に国会図書館の質問は一応終わっていたのでございますが、ただいま岡部副館長から先般の私に対する答弁と違う数字が示されました。私は、実は受け入れてない本が二十万、そういうことでありましたから、それを前提に私の速記も載っておるわけです。それでは、残りの六万が受け入れた本だな、こうきておりますので、これはどうしても速記のていさいをなしませんし、私の質問の論点もあなたの御答弁を上台にして進めてきておる関係上、若干私のほうでも訂正をしていかなければならぬ、そういう事態になってきたことをはなはだ私は残念に思うのであります。そこで、お尋ねをしますが、数字の上では答弁の訂正がございましたが、私に対する答弁の中で、内容についても御訂正願わなければならぬ点が二、三あるのではないかと思うのでございますが、これはいかがですか。
  66. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 ただいまのところ、先日のお尋ねにつきまして内容の点について訂正申し上げるような点は心当たりございませんですが、御指摘いただければ幸いと存じます。
  67. 野原覺

    野原(覺)分科員 それでは、どうしてもやはり質問を続けていかなければ明確にはならぬようであります。お茶の水文庫というのがあります。これは六万冊ですね。ところが、お茶の水文庫の六万冊とアメリカのミシガン大学から洋書を資料として三万二千冊国会図書館に寄贈しておる、国会図書館が受け入れておるのでございますが、これはどうなっておりますか。
  68. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 いま御指摘の二つの点は、この二十万の中には入っておりませんことを最初に申し上げます。それから、いまお尋ねのお茶の水文庫というものの性格でございますが、これは日販という取り次ぎ店がございまして、日販が戦後各出版社が出版した本を一部ずつ寄贈を受けまして、日販において戦後の出版物の文庫をつくろうという計画で数年ためておいたものだそうでございます。それを、やはり営利会社でございますから、こういう大量の本の処置に因りまして、この際これを国会図書館で利用するならば利用してもらいたい、もっとも他に用途があるならば、国会図書館と相談して、あるいは国会図書館のほうで適当に処分してもらってもいい、いわば条件つきでもらったような本でございます。したがいまして、これはすでに国会図書館において納本あるいは準納本として入っておりますものと全く重複いたしております。しかし、せっかくの御好意でございますし、国会図書館に入ったものでその後消耗したものもございますし、あるいはもっと余部のほしいものもございますので、その中から、私が覚えておりすのでは三千五、六百冊は国会図書館でいただきまして、これは受け入れて整理いたしました。その他につきましては、国会図書館としては不要の本でございますので、いまのところ上野の書庫に置いてあります。これは他の公共図書館であるとか、あるいはいろいろ戦後の本がほしい機関がございます。刑務所の図書館であるとか、あるいは私立の図書館であるとか、そういうところに寄贈いたしたいというつもりで、上野の書庫に並べてございますので、これは本館の蔵書とするつもりはございません。それからもう一つ、ミシガン大学から寄贈されている雑誌のことについてお尋ねがございました。これは実は、ミシガン大学が購入いたしましたいろいろな雑誌につきまして、ミシガン大学がこれをマイクロフィルムでとりまして、その際雑誌というものを全部ばらしますから、ばらしたものをそのまま整理しないで送ってまいっております。したがいまして、それはもう冊数というものではございません。全部こわれておりますから。ただ、雑誌の種類は九百三十種くらいになっておると申しております。それは六一年以来先方からボール箱で送ってきたままで、これにつきましてはすでにその大部分が当館の科学技術資料と重複いたしておりますし、ミシガン大学で不要になって、本来廃棄すべきものをもらうというのもおかしい話でございますから、もうそれは要らないといって答えてあります。ただ、これも別に廃棄するつもりもございませんので、ほかの図書館に図書館間協力の一環として利用できるものがあれば差し上げたいと思っております。それからまた、その中心で必要なものがあれば私どももまた保存したいと思っておりますが、これは別個の扱いをするつもりでございますので、その点を申し上げておきます。
  69. 野原覺

    野原(覺)分科員 お茶の水文庫は日販から寄贈されたもの、三千五百冊が整理をされて。これは整理をされておりますね。
  70. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 ございます。
  71. 野原覺

    野原(覺)分科員 そういたしますと、六万冊ですからね、六万から三千五百を引いた残りの五万六千五百冊、これは上野の図書館に眠っておるわけですか。
  72. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 寄贈を受けました六万冊につきましては、先ほど申し上げました趣旨でございますから、児童図書関係につきましては沖繩のほうから希望がございますので、沖繩のほうに約二万冊くらいすでに贈っておると思います。その残余が上野の書庫にございます。眠っている申しますか、とにかく上野の書庫に置きまして、今後の活用を待っている状態であります。
  73. 野原覺

    野原(覺)分科員 今後の活用を待っておると、言いますけれども、これは事実上眠っておる。これはカードもできていなければ、整理もされていない…。
  74. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 仰せのとおりでございます。
  75. 野原覺

    野原(覺)分科員 そういたしますと、私そこら辺が非常に問題だと思うのです。私の調査では、昭和二十七年から昭和三十七年まで約十年間の六万点、これは日販としては自分が扱いに因ったといえばそれまでですけれども国立国会図書館にこれを贈って、一般の人に利用してもらいたいという非常な好意で寄贈された本でありますから、これはあなたのほうが専門家が入って三千五百点を選抜したかどうか知りません。この選抜のしかたにも、館議の持ち方にも私は多分に問題があると思うのです。せっかく寄贈されたものを、二万沖繩に贈ったとすれば、残りの五万は依然として上野の書庫の中に眠っておる。ほこりをかぶって眠っておる。これはだれも利用できない状態に今日置かれてある。こういうことは私、はなはだ遺憾に思うのです。これは国会図書館で利用できない、こう判断できたら、地方の図書館にこれを国会から寄贈するなり、あるいは沖繩は日本の文献を非常にほしがっておりますし、あるいは日本の公私立の大学等にこれを贈るなり、今日小中学校では、御承知のように法律で図書館が設けられておる。図書館法というものがあるわけです。いなかに参りますと、本がなくて困っておるのですから、これはひとつすみやかに館議を開いて私は活用していただきたい。そうすると、寄贈された日販としても非常な喜びであります。また、私はそういう点について若干図書館の運営の面に遺憾な点があるのではないかと思って、この種の問題をやかましくお尋ねをしておるわけです。これはぜひひとつすみやかに御対処願いたいと思いますが、いかがですか。   〔主査退席、八木(徹)主査代理着席〕
  76. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 ただいま野原先生から非常に適切な御意見がございまして、全く仰せのとおりでございます。私どもも、日販から六万冊をいただいたわけです。日販が苦労して集めたものをいただきましたから、図書館界のために、あるいは社会全体のために非常に役に立つように使いたいと存じております。したがいまして、まず優先的には当館が必要なものを取り出しまして、これを整理して利用に供しておりますが、それ以外のものもすみやかに、いま先生が仰せのように、各方面においてこの本をほしがっておりますから、有効に使うようにいたしたい。先ほどもその趣旨で申し上げた次第でございます。全く先生の御趣旨のとおりでございますから、さっそく実行に移したいと思います。
  77. 野原覺

    野原(覺)分科員 その他、未整理、未受け入れ合計二十六万冊、これは日測、概測ですか、これについても私はすみやかな処理が望ましい。予算が足らなければ、予算を要求したらいいと思います。これは当然要求すべきです。図書館も、予算がないために人が雇えない。人を雇えば月に二万円出さなければいけない。この前もあなたのほうからお話がございましたように、十何万点のものが入ってくる、これだけの整理で一ぱいだ。現在入ってくるものの整理で一ぱいですから、すでに書庫に眠らされておるものの整理には手がつかない。これなどは、やはり図書館長なり副館長が十分留意をされて、どんどん予算を要求すべきだ。地方に贈るものは贈るし、国会図書館で活用できるものはそうするというように、館議を開いて、専門家が皆さんおそろいですから、十分な検討をされた上で、二十六万冊についてもすみやかな御処理を私は要望したいと思います。
  78. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 ただいま先生からお尋ねがございましたが、全くそのとおりでございまして、私どもも平素から、ここ数年来、未整理本の解消ということにできるだけの努力をいたしてまいりまして、現存においてもそれについての計画を持っております。これは非常にこまかくなりますが、しかし、この前の二十二日のお尋ねの際に、明年の予算分科会までに十分な計画を出すようにということで、私もそれをお約束いたしましたので、明年までに御満足のいくようなりっぱな計画を出すことにいたしまして、きょうは現在のところ申し上げることは御遠慮申し上げたいと思いますが、なおお尋ねございますれば、現在私が考えております計画について申し上げてもよろしゅうございます。
  79. 野原覺

    野原(覺)分科員 時間の関係もございますから、これはひとつ図書館側を信頼して御努力願う。本日はこの程度にしたいと思うのです。先般二十二日に、上野の乙部の図書の整理について私はお尋ねをした。これは整理をされておるという御答弁でした。これもそのように速記に載っておるのですが、カードは閲覧できる状態になっておりますか。
  80. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 この前申し上げましたとおり、上野の図書の百万部のうち、と申しますか、それを初めから整理いたすにあたりまして、甲部の図書、乙部の図書として整理していたことは事実でございます。ところが、長い戦時中にあたりまして、上野の図書を疎開したり、あるいはまたこれを戻したりするにあたりまして、何と申しましても甲部を優先いたしましたから、乙部というものは第二次的にじゃま扱いされ、したがって、乙部として整理されておりましたものがだんだん排架も乱れまして、相当な混乱状態になっております。したがいまして、いま乙部というものがすぐそのまま閲覧に供するという状態にはございません。しかし、かねてこの問題については努力いたしておりますので、乙部のうちの値打ちのあるものにつきまして、約一万冊でございますが、これはすでに書庫の二層にすっかり整理してやってあります。それから、残りのものにつきましては、書庫不足の関係で現在十層に整理してありますので、乙部のものはもちろん古いものでございますから、こういうものを調べたいという篤志家に、特殊の研究家にはお見せできるように何とかなっておりますが、一般的に閲覧に供するという状態にはございませんので、これもあわせて整理し直さなければならない部数に属しております。
  81. 野原覺

    野原(覺)分科員 私が本日の質問の当初申し上げたのはこの点です。内容についても若干訂正してもらわなければならぬ。上野の乙部の図書は整理されておるという御答弁が二十二日はなされた。ところが、ただいまの御答弁によりますと、ごく一部のものは整理されているけれども、カードあるいはその他、やはりまだ書庫の中で乱雑に放置されておる書物もある。こういうことでございますから、これは私はあなたのあげ足をとって、いまここでとやかく言おうとは思いませんけれども、先ほど来、私が申しておりますように、どうかひとつ図書の整理、受け入れですね、これはすみやかにやっていただくように。私は、図書館というのは予算要求その他が非常に遠慮ぎみじゃないと思います。これは議院運営委員会の中に図書館小委員会もあるから、二十六万冊の未整理がございます。それからお茶の水文庫六万点などもきておりますけれども、いま金がなくて困っております。自分たちはこういう方針を持っております。ということを積極的に国会に出されたらいいのですよ。これをあなた方はしない。しないでもって、こそくな、状態のままで今日図書館が通常されておるということは、せっかくあのりっぱな白亜の殿堂をつくっておるのに、何年たっても依然として中身は充実しないじゃないかこういう国民の批判が出てまいるわけでありますから、これはひとつ十分御配慮願いたい。次に、先般私、夜間の高等学校の卒業生について御質問しました。これはごくわずかの数でありましたけれども、小さいことのようですが、副館長としては、せっかくのお尋ねでもあることだから考慮するということでございましたが、これは御考慮願いたい。その考慮されるにあたって、私ここで、一言申し上げておきたいことは、行一にするためには必ず試験が要るのだというあなたの御見解は、私はこれは不要だと思うのです。現に衆議院で、参議院で、あるいは図書館の一部でも、行二の者が行一に上がるのに、試験を受けないで横すべりで上がっておる者が何人かあるわけです。衆議院でもやっております。参議院でもやっております。いままで国会につとめながら勉学の志厚く、夜間の高等学校に通って卒業した。そしたら今度は、お前らは試験だ、これに及第しなければ行一にして、やらないという。これから国会でやっていきたい。国会の仕事をしていただきながら、高等学校もやっと終わったのです。そういう若い者に対しては、よほど素行がよくないとか、人間としてできていないというのは別ですけれども、これらの諸君にはあたたかい気持ちで対処してやるべきではないか。これは御答弁は要りません。御考慮いただくということでありますから、ぜひひとつ考えてもらいたい。それから、お聞きいたしますと、あなたの職員組合と館の理事者の間がどうもしっくりいかないように私は聞いております。これはどちらに責任があるかは、私ども軽々には申し上げるわけにはいかないと思いますけれども、これはひとつ理事者側として――本日は理事者であるあなた方に質問しておるから、私、申し上げておきますが、やはり組合にも反省をしてもらわなければならない点があるかもしれませんけれども、組合が要求を出して交渉する場合には、単にこれは管理運営事項だからだめだ、そういうことでなしに、進んでやはり話し合いに応じてやる。組合の意見も聞いてやる。聞きますと、六百何十名がつくっておる組合です。そういう態度が私は管理者の側にもあってしかるべきではないか、あるべきではないかと思うのです。この前、不正問題が起こった。使い込み事件が起こった。あのことが組合で問題になって、交渉にまいりますと、それらはお前らの口出しをすべきことではないのだ。いまだにやはり六百五十名の組合には、正式に館長以下管理者としての決意が示されていないやに聞くわけです。これは私きわめて遺憾だと思います。管理運営事項かどうかは議論の余地がありますが、たとえば管理運営事項だということに客観的に認められましても、図書館の中に起こった使い込み不正事件ですから、これはまず何といっても、組合のほうからこれが持ち出されて、どうするかというようなことになれば、いやこうするのだと、進んで皆さんのほうからお話し合いをすべきです。そういうことをすることが、組合と管理者との間が円滑にいくことではないかと思うのです。この辺に対する副館長の所信承っておきたい。
  82. 岡部史郎

    ○岡部国立国会図書館副館長 私が管理の責任の一端をにないましてから、平素考えておりますことは、組合が代表する職員全体の意思をできるだけ館の行政に反映していきたいという念願でおりまして、私は就任以来全職員とできるだけ会う努力もいたしておりますし、また定期的にできるだけ職員の意思を組合を通じて吸い取りたいということで、毎週一時間あるいは二時間以上、総務部長以下副部長、人事課長、会計課長が列席いたしまして、組合の幹部と定期的な交渉を欠かさずやっておりまして、そこでいろいろな問題が出る。毎週毎週でございますから、館のあらゆる問題を取り上げて、それを翌日の館議におきまして総務部長から報告を受けまして、組合からこういうような問題が出たということを全幹部、全部局長に報告いたしまして、毎週毎週その問題について処理をしておる。そんなことは形式じゃないかとおっしゃられるかと思いますけれども、そういう形式を通じましてやっておりますし、また、私は組合の諸君にも交渉に当たりますし、それから、組合員であろうと組合員でなかろうと、問題があるならいつでも私のところに話しにきてくれないか、私が会うということを言っております。しかし、もちろん私の至らない点、いろいろ誤解も不信もあろうかと思いますが、私どもの気持ちといたしましては、決して組合をないがしろにするようなことはございません。しかしいろいろ組合と当局との間に不信感があるというようなお尋ねは、私どもまことにざんきにたえませんので、御意向を体しまして今後ともつとめてまいりたいと思っております。御了承いただきたいと思います。
  83. 野原覺

    野原(覺)分科員 図書館は以上で終わります。次に、皇室関係お尋ねしたいと思います。予算審議でございますから、従来皇室関係予算についてはあまりたいした発言もなかったのでありますけれども、私は大半な点と思われる二、三の問題をお尋ねしてまいりたいと思うのです。新宮殿が昭和三十五年の六月から工事に着手をされております。これは年度ごとに予算が計上されていくようでございますが、総額をどのくらいに見積もっておられますか承りたい。
  84. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この新宿殿の予算の総額につきましては、三十九年に最初の予算を立てます際に一応見ましたのが約九十二億でございますが、しかしながら、さらにいろいろ設計などを進めてまいりますると、やはり手直しをしなければいかない点がございます。また、物価も幾らか上がっておりますので、この最後の金額につきましては、幾らかそれよりもふえることになりはしないかというふうに考えております。
  85. 野原覺

    野原(覺)分科員 そういたしますと、百億をこすこともあり得るわけですね。そこで、これの完成はいつでございますか。
  86. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この宮殿の完成は、最初工事にかかります際は四十一年度一ぱい。暦でいいますと四十二年の三月一ぱいというつもりで進めましたが、約一年やってみますると、実際の工事の進みぐあいから考え、いろいろ研究しておりますると、やはり四十二度年に少しかかるかと思います。大体四十二年の夏ごろには完成することになると思っております。
  87. 野原覺

    野原(覺)分科員 この新宿殿が完成いたしますと、宮内庁の職員の人的構成あるいは職務上の職制の構成、こういうものが変わるのでございましょうか。職員の増員その他は何か計画がございますか。
  88. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 新しい宮殿ができますと、現在の仮宮殿に比較いたしましてずっと広いもので、いろいろの施設も完備してまいります。したがって、これを管理する要員というものが現在よりはずっとよけい要るわけであります。その人員がどれくらい要るかというようなことも現在いろいろ研究をいたしておりますが、しかし他面、宮殿の造営のための職員というほうが、完成いたしますると要らなくなりますので、定員の上ではあまりふやさなくてもよろしいかと思っております。
  89. 野原覺

    野原(覺)分科員 定員を調べてみましたが、現在千二百二十二名、特別職が二十八名、一般職が千百九十四名、このように私の調査ではあがってきておるわけです。そこで、一般職の職員の給与でございますが、これはもとより一般職でございますから、国家公務員の給与に準じて行なわれていようかと思いますが、この辺はいかがですか。
  90. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 一般職の関係は、普通の一般職国家公務員と同様でございます。したがって、給与も、人事院勧告に基づきまして政府のきめましたそういう給与できまっておるわけでございます。
  91. 野原覺

    野原(覺)分科員 新宮殿の造営のための費用は、先ほど申されましたように当初の見積もり九十二億、その金額はふえることはあっても下がらないということです。ところが、国民の一般からの寄付金、これは集めたというよりも、むしろ進んで国民の皆さんが新宮殿造営のために寄付を申し出て寄付されておる。その金額は現在どれだけございますか。
  92. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この寄付をされました金額は、合計で現在のところ約五千万円になっております。   〔八木(徹)主査代理退席、主査着席〕
  93. 野原覺

    野原(覺)分科員 現在のところ五千万円ですが、これからも寄付はどんどんふえてまいると思うのです。この金は私は、大蔵省に受け継いで、そうしてあなたのほうで使うということになるのではなかろうかと思いますが、これはどうなっていますか。
  94. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この寄付金は一応国庫のほうへ入りますので、大蔵省のほうで受け入れます。しかしこれは特別に寄付金として入ったことを記録に明記しておりますので、この金額はこの宮殿の造営のために充てる寄付でございまするから、宮殿の造営の関係のうちの何らかの部分にこれを充てよう。たとえば装飾などの部分に充てよう。それで、その金額の総額にもよりますので、来年度ぐらいには大体充てる見込みをきめたいと思っております。
  95. 野原覺

    野原(覺)分科員 しかし、宮殿の装飾をも含めた九十二億円ではございませんか。国から宮殿をつくるためには予算額の総額が入ってくる。装飾とかあるいは家具調度といったようなものはその予算には計上しておりませんか、いかがですか。
  96. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この装飾も家具調度も全体の予算のワクに入ってくるわけであります。この寄付を使います場合も、やはり一応予算を通していくわけで、ですから、その五千万円の現在の金額そのものを使う場合には、やはり予算面のほうへ入ってくるわけですから、全体の予算の中へ入るわけであります。
  97. 野原覺

    野原(覺)分科員 これは申し上げるまでもないことでございますが、やはり宮内庁としては、国民のせっかくの寄付でございますから、その使途については、国民のそういった真心をひとつ十分生かすように配慮をしていただきたい。このことをひとつ私は希望しておきたいと思います。そこで、次にお尋ねしたいことは、皇室の経済についてであります。御承知のように、皇室経済法というのがあります。この皇室経済法に基づいて予算に計上する皇室の費用は、内廷費、宮廷費、皇族費の三つに分かれております。昭和四十年度の予算を見てみますと、内廷費は六千八百万円になっております。この内廷費は、同じく皇室経済法に基づきまして、四条でございますが、「内廷費は、天皇並びに皇后、太皇太后、皇太后、皇太子、皇太子妃、皇太孫、皇太孫妃及び内廷にあるその他の皇族の日常の費用その他内廷諸費に充てるものとし、別に法律で定める定額を、毎年支出するものとする。」その定額がいまのところは六千八百万円、こういうことになっておりまして、現在は太皇太后や皇太后はいらっしゃいませんから、天皇、皇后、皇太子、それから皇太子妃、それから皇太孫、五名の方が六千八百万円の給付を受けておる、こういうことになろうかと思うのです。ところがこの内廷費の使い道でございますが、これは実際問題として、天皇のお手元金だ、皇室のお手元金だとは申しましても、天皇なり皇后なり、そういうお方々が経理をされるわけではなかろうと思う。六千八百万円の使途、経理、そういうものは、これはどこでだれがなさっておるのか、お聞きしたいと思います。
  98. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この内廷費につきましての経理でございまするが、いまお読みになりました皇室経済法のその次の項に、「内廷費として支出されるものは、御手元金となるものとし、宮内庁の経理に属する公金としない。」こうありますので、これは公金でございませんので、宮内庁という役所としては、経理をいたしておりません。しかし陛下が直接なさるということは実際問題としてむずかしいので、そこで実際は宮内庁の会計のほうの職員が、内廷のほうのお手伝いをするという意味で、内廷の職員を兼ねるような形で、その経理のお手伝いをしでおるということであります。
  99. 野原覺

    野原(覺)分科員 この六千八百万円は、たとえばその一年内に六千八百万円は要らなかった、余ったという場合に、剰余金として国庫に還付されるべき性質のものではなかろうと私は思う。したがって、お金が余った、こういう場合にはどういうように処分をされるのでございましょう。
  100. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 余りました場合には、普通の私経済と同じく、これを銀行預金されるとか、あるいは証券を買ってたくわえておかれるということであります。
  101. 野原覺

    野原(覺)分科員 そういたしますと、これは天皇名義の預金、天皇名義の株券所有、こういうことになるわけですか。
  102. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 実際の場合の手続は、そういう仕事をする職員は、内廷会計主管という名前をつけております。その内廷会計主管の名前で貯金をしたり、証券を持っておるわけです。銀行なり証券のほうの関係では、これは内廷のものだということがはっきりわかるようになっております。
  103. 野原覺

    野原(覺)分科員 この内廷会計主管というのは、皇室の使用人ではございません。これは先ほどのあなたの答弁にありましたように、宮内庁の職員ですね。そうすると、この内廷会計主管の預金あるいは株の売買ですか、そういうことはどなたが監督するのですか。内廷会計主管の上にいて監督するものはだれですか。天皇、皇后が、ニチボーの株を買ってこいとか、そういうことを指示するわけですか、どうなっているのですか。
  104. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 内廷会計主管という資格においては、これは宮内庁の職員ではないわけで、内廷のほうのお手伝いをしておる、主管を兼ねておるかっこうになるわけでございますが、それを運営するにつきましては、経済顧問がございまして、その経済顧問にいろいろ相談をし、あるいはそういう方の監督も受けながらやっておるわけであります。
  105. 野原覺

    野原(覺)分科員 経済顧問というのは何人、それで現在どなたでしょうか。
  106. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この経済顧問は、実は現在のところでは経団連の会長さんがやっておられますけれども、その前は加藤武男さんですね。またその実際の仕事をされる方として、銀行のほうの関係の人がその下のことをまたやっておられるということであります。しかしながら、なおもう一つつけ加えまするが、内廷のことにつきましても、宮内庁長官もやはり、宮内庁法に当然よるものでありませんが、皇室の国家事務ではなくても、やはりそういう内廷の事務についてもお手伝いをする立場にあるのだということが、最初宮内庁法がきまった際の説明にもありまして、したがって、実際は会計主管という名前ですけれども、その上にまた長官の監督もあるわけであります。
  107. 野原覺

    野原(覺)分科員 長官が監督して、経済顧問の意見を聞いて株を売ったり買ったり、あるいは土地も売ったり買ったりかどうか知りませんが、それから預金をしたり、そうやるようですが、この経済顧問というのはどなたが任命するのですか。
  108. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この関係は、やはり天皇陛下が委嘱されるというかっこうになると思います。
  109. 野原覺

    野原(覺)分科員 しかしながら、天皇陛下が一億の国民の中から物色しているというわけにもいきませんから、天皇陛下をお助けしておる方の進言によって委嘱される、こういうことになるわけですか。
  110. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 やはりいまおっしゃるように、実際は官内庁長官がいろいろお手伝いして、おりますから、そういう方が助言をしてきまることになると思います。
  111. 野原覺

    野原(覺)分科員 そうすると、六千八百万円のお金が、毎年これは赤字を出すということはなかろうと思いますが、しかし場合によっては、皇太子が御結婚をなさいました、そういうような不時の入り用の金、これはもちろん皇太子の御結婚費用などはお手元金から出るのでございましょうね。出るとすれば、そういう場合には赤字が出ること心ある、そういうことがございましたか。
  112. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 皇太子殿下の御結婚あるいは常陸宮様の御結婚、そういう場合に公のいろいろな儀式、公の御披露の意味の宮中饗宴等の経費は、これは国の経費で宮廷費に組まれまするが、そのほか、ごくお内輪の関係の経費、あるいは身の回りのいろいろなものを整えられるというような私的な関係の経費などは内廷費でまかなっておられます。したがって、そういう特別にたくさんの金額の要る場合には、その年だけを見ますると、六千八百万円では足らないというようなこともあったわけでありますが、しかし先ほど申しましたように、そういう特別のことのない場合には、不時に備えて貯金をなさっておりますので、そういう場合には、そのたくわえられた中から出しておられるということで、全体として赤字になったことはございません。
  113. 野原覺

    野原(覺)分科員 宮内庁から私どもときどきお招きをいただきまして園遊会に出席することがございますが、あの種の経費はどこから支出されますか。
  114. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 園遊会などは天皇陛下が公的になさる活動ということで、この予算面でいきますると宮廷費の中に招宴費というのが二千二百三十六万二千円ありますが、そういう中から出るわけであります。
  115. 野原覺

    野原(覺)分科員 外国から大統領やそれから総理大臣や、いわゆる国賓といわれるお方々が参りますと、よく宮中で宴会がございます。レセプションが持たれます。ああいう経費はどこから出ますか。
  116. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 これも公的な経費でありまするので、国費の宮廷費から出ますが、これは儀典関係費というところから出ておるわけであります。
  117. 野原覺

    野原(覺)分科員 時間の関係もございますから簡潔に終わりたいと思いますが、天皇陛下が、つまり皇室が使用人として使っておられる方、それは何名おられますか。
  118. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 特に内廷で使用人として使っておられる方は、現在二十五名であります。
  119. 野原覺

    野原(覺)分科員 そのお仕事、その二十五名の方が受け持たれておるお仕事及び職名、そういうものをおわかりでしたらお知らせ願いたい。
  120. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この内廷職員のうちで一番おもなのは掌典関係、つまり宮中三殿のお祭りを扱う掌典長とか掌典、内掌典、そのまた補助をするというような掌典関係の方、それから生物学御研究所で生物学の御研究をなさっておりますが、この関係のお手伝いをする人とか、それから特に下のほうの女中さんのようなことをやっておられる方の一部ということでございます。
  121. 野原覺

    野原(覺)分科員 そうすると、この方々の人件費はお手元金から出されるわけでございますか。
  122. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 さようでございます。
  123. 野原覺

    野原(覺)分科員 そのお手元金から給付されるこの人々の給料と申しますか、その額はどのようになっておりますか。
  124. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 これは普通の公務員の基準を参考にしてそれぞれ給与がきまっておりまして、昨年は千五十万であります。
  125. 野原覺

    野原(覺)分科員 これはもちろん公務員の給与に準じておりますね。それより低いということは万なかろうかと思いますが、よろしゅうございますか。
  126. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 そのとおりであります。
  127. 野原覺

    野原(覺)分科員 退職金とか年金とか、あるいは共済組合関係のそういった社会保障的なもの、たとえば健康保険、それはどうなっておりますか。
  128. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 退職金の関係はやはり公務員に準じて出されるように、やはりこの内廷費の中で準備をされておるわけでありまするが、いわゆる恩給といいますか、年金といいますか、そういう点については現在のところまだ確立されておりません。それから共済組合、健康保険の関係でありますが、これは一般の国家公務員でありませんので、宮内庁の共済組合の中へは入れないものですから、一般の健康保険組合に入っていただくようにして、その掛け金半分は内廷費から出されているというようなことであります。
  129. 野原覺

    野原(覺)分科員 皇室に勤務するということは、この人々にとっては大きな感激でもありますから、たとえ年金がなくてもかまわぬといえばそれまでですけれども、やはりこういった年金については、これは宮内庁の長官のほうでお考えいただく必要があるのではないか。それから社会保障的なものにつきましても、健康保険は国民健康保険だ、これは非常な不利であります。一般の市民が加入しておる国民健康保険的なものに入っておるということであると非常に、不利でございますから、そういう点についても、これは何らかやはり考えてやる必要がありはしないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  130. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 内廷職員の年金の関係、あるいは病気をされた場合の健康保険の関係が国家公務員の場合よりも不利になっているというのが現在の実情でございますが、この問題はどうすべきかということをわれわれも十分考えていかなくてはいかぬと思うのですけれども、いままでのところは名案がないままになってきておるわけでありますが、しかし陛下が直接内廷の職員としてお使いになった方に対しては、あとまでも困らないようにというあたたかいお気持ちをお持ちになっております。そのお気持らを体して、まあ公務員と同じような形でなくとも、何らか他の形でそのお気持らが生かされるようにまたお手伝いをしていきたいと思っております。  年金の関係について、年金制度ということについては、これも厚生年金のほうの手続をとっておりますが、なお、おやめになった方の実情なども、そうたくさんじゃございませんので、やはり皇室ではいろいろお考えにはなっておりまして、まあ法律的な権利ということでなく、別の意味でいろいろお考えになっている面もあるように察しております。
  131. 野原覺

    野原(覺)分科員 以上で終わります。
  132. 植木庚子郎

    ○植木主査 川俣清音君。
  133. 川俣清音

    川俣分科員 短い時間でお尋ねをしたいと思うのですが、いま一般庶民の間におきましては、物価高のために生計を維持するに非常に困難なのでべースアップ等の要請が熾烈に起こっておること御承知のとおりでございますが、皇族方におかれても身分を堅持する上からもなかなか御苦心になっておるだろうし、苦慮されておるのじゃないかと思いますが、いまの待遇で不足を感じておられないであろうかどうか。いろいろ節約をしておられることだと存じますが、この点はどうでございましょうか。
  134. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この内廷費、皇族費の関係のことかと思うのですが、皇族費の関係はやはりいままでのところはどうも低くて御無理があるのではないかというので、四十年度からは増額していただこうというので、皇室経済法施行法の改正案も国会に出ておるわけであります。それから内廷費の関係については昨年と同じくなっておりますけれども、しかしこれは昨年の秋、常陸宮様が宮塚を創立されまして内廷からお出になりましたので、その関係の要った経費が幾らか要らなくなりました。そういうところを考えますと、物価の値上がり、それから人件費の値上がりなどで増額をする分は大体カバーができるということで、昨年どおりになっておりますが、まあ根本においては皇室の方々は質素を旨とすべきであるというふうになさっておりまして、今度の予算でお願いしております金額で不自由なくなされることと思っております。
  135. 川俣清音

    川俣分科員 私はなぜこういう点をお尋ねをするかというと、皇族の方々であまり好ましくないと思われるような会社といいますか、そういうところに名誉会長というような形で御就任になっておられるようです。公共団体でありまするとか、慈善団体については従来の例もあると思うのですが、いま紛争が起きておりまする山形県の、元はこれは興行師であったわけですが、興行師の前はかなりいわくつきの人だとされておりますが、それが興行界から足を洗って、一歩前進して観光会社をつくっておるようですが、ほんとうかどうかわかりませんが、その名誉会長になっておられるやに承るわけでございます。しかもその観光会社の者が宮さまをかついでおるということで、県庁や、あるいは官庁などに対して、それを振り回して事業を営もうとしておるやに聞き及ぶわけです。興行会社などにはあまり御関係にならないほうが好ましいのでないかと思いますが、いかがお考えになっておりますか。あまり生活が苦しいために何でもおやりになっておるのかどうか存じませんが、あるいは巧みに利用されておるということになるのかは存じませんが、そういう点ではいかようにお考えになっておりますか、ひとつ承りたい、こう思うのです。
  136. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 現存、皇族の方でそういうような観光会社の名誉会長をされているというような方はないと思っております。何かの役員になられる場合にはお届けがあるわけですけれども、普通は公共的な協会とか、そういうところの総裁とか名誉会長とかになられるので、観光会社、そういうところの役につかれることはいままでもなかったと思うのです。ただ、あるいは現在の皇族の方でなくて、前の皇族の方で、皇籍を離れられた方に、何かそういうようなことがうわさに出ているんじゃないだろうかということを、ちょっと憂慮するわけであります。
  137. 川俣清音

    川俣分科員 そうじゃないようでございますが、私いまここでお名前をあげることは、国会の場所でございまするので控えたいと存じます。本人が詐称しておるのかもしれません。この点は明らかでございませんけれども、ことさらこれを宣伝して自分の事業に有利に使おうというがごときは、これはよほど戒心をされないといけないのじゃないか、これは宮さまに戒心を求めても無理でございまして、宮内庁等が十分御相談になってしかるべきじゃないかと思いますが、この点いかがですか。
  138. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 現在の皇族の方ではそういうことはないと確信いたしておりますが、なお、いまお尋ねのことについては調べてみまするが、時によりますと、過去にあった例で、いろいろお名前をかってに利用しているというようなことがあって、非常に迷惑されたこともありますので、そのことじゃなかろうかと想像いたします。
  139. 川俣清音

    川俣分科員 ここでお名前を申し上げません。及ぼす影響が非常に大きいと思いますので控えますけれども、後ほど参考までに非公式に申し上げたいと思いますが、これは非常にいま紛争を起こしておるところを所有しておられるといいますか、そういうところに関係しておられますだけに、警察なども非常に遠慮がち、あるいは検察庁なども遠慮がち、各官庁とも非常に遠慮がちなようでございまして、こういうことは芳しくないというふうに私は判断をいたしますので、十分お調べ願いたいと存ずる次第であります。
  140. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 おっしゃるとおり、そういうことは芳しくありませんし、実際問題としてそういうことはないと思うのでございます。なお調べてみますが、たぶんこれはかってに、何かそういう利用的なことを言っておられる方があるのじゃないだろうかと想像いたします。
  141. 植木庚子郎

    ○植木主査 以上をもちまして、皇室費国会及び内閣所管に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  142. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、本日午後の審査予定になっております。防衛庁及び経済企画庁を除く総理府所管をこれより直ちに議題とし、質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  143. 細谷治嘉

    細谷分科員 私は、科学技術の問題で特に計画性が欠けておるのではないか、基礎的な、グルンドの研究が足らない、こういう観点から少し質問をしてみたいと思うのです。大臣がまだ見えておりませんので、若干順序を変えて質問をいたしたいと思います。昨年科学技術白書というものが出ておるわけでありますが、ここ十年間ぐらい、年率二割程度伸びてまいっておったのであります。主としてこれは施設関係費用でありまして、ある意味ではようやく研究の基礎ができ上がった。そういうやさきに、昨年の暮れあたりに発表された三十八年度の科学研究の実績、三十九年度の予算なり、あるいは今年度の予算を見ますと、そういう基礎のしでもっとやはりやらなければならぬ科学研究という問題が、逆に予算等の面から見て伸び率としては退歩している、そういうことが言えるのではないかと思うのですが、これについてどうお考えなのか、まずお尋ねいたします。
  144. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 お答えいたします。民間の関係では、三十七年度をもとにしまして、おっしゃるとおり総合研究関係費用は下がっております。その中で、それまでに基礎研究の分野につきましては漸増しておりまして、大体昭和三十七年度くらいまでに民間の全部の約一四%くらいが基礎研究に回っております。その後確かに研究費は下がっておりますが、設備ができ上がりまして実際の研究をいたします研究機材その他の関係の豊川というものは、人件費その他を抜きまして二〇%くらいかかりますが、これはあまり下がっておりません。したがいまして、基礎研究分野のほうといたしますと、研究はストップせずに何とか進んでいるのではないかという観察がうかがわれます。
  145. 細谷治嘉

    細谷分科員 研究はストップせずに進んでおるということでありますが、せっかく施設をつくってストップするなどということではたいへんであって、この白書の冒頭に大臣も書いておるように、開放経済体制の中においてやっていくためには、ストップどころではなくて、もっと伸ばさなければならぬのだ、こういうことが冒頭に書かれてあるわけです。白書も言っておりますように、また三十八年の実績等を見ましても、国民所得に対する日本の科学技術の研究費は、フランスやイタリアを抜いておる、こういう、ある意味で自画自賛という形で書かれてあります。ところが研究者一人当たりの研究費、あるいは国民一人当たりが負担する研究費というものを見てみましても、これはフランスやイタリアなどと比べると格段の差があるわけです。ですから、ただ単に、国民所得から見た比率はずいぶん上なんだ、こういうことを白書は言っておりますけれども、研究者一人当たりなり、あるいは国民一人当たりの負担等を見ますと、やはり問題にならない段階にある、私はそう思うのです。そういう点で、いまストップしないようにということでありますけれども、私はこういうことではどうにもならないのじゃないかという気がいたしますので、ひとつ重ねてお尋ねいたしたいと思います。
  146. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、フランス等と比率でいきますと同じ程度と白書に書いてありますが、実際の金額でいきますと、円で計算いたしますと向こうは二倍くらいになるのじゃないかと思います。しかしわれわれのほうのこの十年の伸び方ということから考えまして、確かに総額は少なく、研究のほうはあれでございますが、先ほどおっしゃいましたように漸増という程度で、伸び率は確か悪うございますが、努力して何とか伸びておる、何とかしておりますという現状だというように御解釈いただきたいと思います。
  147. 細谷治嘉

    細谷分科員 善意に解釈してもきわめて貧弱だという事実は、白書自体が証明しておるのです。そこで、さらに日本全体の一人当たりの研究者の研究費というものを洗ってみますと、大学等の研究費というのは、日本全体の総平均というものと比べますと、きわめて低いのです。しかも会社等の研究費と比べますと、一人当たりの研究費が四割程度にしかならない。これはきわめて貧弱だ。こういうことでは開放経済体制に耐え得るかどうか、私はきわめて憂慮いたしておるわけです。こういうことですから、基礎研究というものを強く要望されておる国の機関あるいは大学等へは、一人当たりの研究者の研究費というものをもっと増大してやらなければ、とてもやっていけないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、大臣いかがお考えですか。
  148. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ちょっとおくれましてまことに失礼いたしました。この研究費の問題につきましては、いろいろ御指摘のとおり、私も非常に足りないということを痛感しておるものの一人でございます。ただ、弁解がましくお感じかと思いますけれども、西欧諸国等の研究費というものの中には、たとえば国防に直接結びついたものが一般の科学技術研究費の中に相当盛り込まれているような関係もあって、わが国のように純粋に平和利用に徹するというカテゴリーで比較してみると、もう少し実態がわかるかとも思っておりますが、これについては的確な具体的な、まだ比較できるような研究は進んでおらないわけであります。いま一つは、これも年来指摘されておるところでございますが、民間の科学技術に対する研究費あるいは投資というようなものが、日本の場合においてはかなり最近進んでおるわけでございまして、これらについては、たとえば税法上の取り扱いその他についても不十分ながらいろいろなくふうが生まれておる。それから民間の企業の創意ということからいって、開放経済に入って公正な競争に耐え得るといいますか、競争に応じ得るようにという民間側の意欲というものは、日本の場合におきましても相当高まっている。しかしそれだからといって、政府予算やあるいは債務負担行為等において減額しておるというようなことの弁解にはもちろんならないわけでございますが、そういう事実がありますことは、外国との比較の上においても一つの要素になり得るのではなかろう一かと感じます。それから大学の学術研究費の問題でございますが、これはたまたま私が両方兼務いたしておりますような関係もございまして、特に大学の学術研究についてもグルンドの基礎的な研究については一そう進めなければならない。同時に科学技術庁との連携を十分とってやってまいりたい、かように考えまして、四十年度の予算におきましても、大学あるいは大学の付置研究所においての学術研究費というようなものは、乏しい中ではありますけれども、相当に重点を置いて増額することにつとめておるというような状況でございます。しかし、くどいようでございますが、先ほど来御指摘のように、とにかく日本としてはこういう面の力の入れ方が足りなかったということは、率直に認めざるを得ないところでございます。
  149. 細谷治嘉

    細谷分科員 ちょうど大臣は文部と科学技術庁を兼務されておりますので、若干関連するわけですが、三十七年度を見ますと、大学の研究者一人当たり百三十万円、しかしこれは白書も言っておりますように四九%、半分は人件費なんです。そうしますと、純研究費というのは人件費のことについてはあとでまた若干お尋ねしたいと思いますが、半分の六十五万円程度しかないということである。民間会社ですと、三百二十七万円使っております。グルンドの問題を担当していただかなければならぬ大学の研究費がこういう状態です。主要な、国の基礎的な研究についての費用、この白書の中にも書いてございますけれども、アメリカなりあるいは西ドイツ等と比べますと、これも全く格段の差があるわけです。開放体制に入った今日この段階においては、もっとやはりこういう面、グルンドの問題を担当すべき大学の研究機関、そういうものに対する予算、研究費というのは十分につけてやることが、長い目で見た国の得策ではないか、こういうふうに私は思うのです。技術貿易という面を見ましても、日本の科学技術の現状というのが如実に白書の中でも書かれてあります。たとえばアメリカでありますと、技術貿易においても相当大きなプラス、黒字になっております。フランスなりイギリスなり、あるいは西欧の諸国を見ましても、これはやはり技術貿易においても、若干の赤字があったにしても、かなりバランスのとれたものになっております。ところが日本の場合になってまいりますと、おそらく技術の輸入と輸出というものを比べますと、技術の輸出というのは一%か二%にしか当たらない。しかもその内容をさらに分析してみますと、日本の輸出というのは、日本よりも科学水準の低いところに対する輸出であって、西欧の場合は、お互いにやりとりはしておるけれども、大体において高水準の国と国との間の技術の交換、こういう形になっております。国際収支の問題、こういう面から見ましても、ここに日本の根本的な科学研究の弱点があるのではないかと思うのでありますが、これをどう克服するのか、予算の問題と関連して、ひとつ大臣の御方針を承っておきたいと思うのです。
  150. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これも全く御指摘のとおりでございます。技術導入と技術輸出の関係を見てまいりますと、傾向としては、最近いい傾向になっておるようでございます。たとえば三十五年以来技術導入はふえておりますけれども、ここ五カ年ぐらいの間に二割ぐらいの増加、これに対して技術輸出のほうは六割程度の増加を示しておる、これが現状なのであります。しかし、いまも御指摘がございましたように、たとえば外国の例を見てみますと、アメリカのごときはその比率が九二〇%、輸出のほうが圧倒的に多いわけでございます。それからフランス、ドイツあたりでも三〇%ないし五〇%という程度になっておる。ところがわが国の場合は、この輸出と輸入の比率が、わずかに四・一%にすぎない。先ほど申しましたように、傾向としては漸次技術輸出のほうがかなりな伸びを示してはおりますけれども、輸入と輸出を比較してみますと、外国とは比較にならない程度である。こういうのが現状で、非常に残念な状況でございます。やはりこれに対する対策は、即効薬もございませんので、じみちに研究員自体に対する待遇の改善、それから研究費の増額、さらには民間のほうにおきましても一段とくふうをこらしていかなければならない。これを期待せざるを得ない。民間のほうにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、実は三十九年度あたりにはちょっと減るといいますか、頭打ちのかっこうになっておりまして、これは最近十数年間の民間のほうの異常な努力、技術革新というものがちょっと一段落したということを示しておるのではなかろうかと思いますけれども、それだけにこれから将来に備えまして、民間のほうももっとこれをエンカレッジするような施策を講じなければならない。先ほど申しましたようないろいろの奨励方策というものを、税の面その他においてもまだくふうの余地が相当あるのではないか、こういう点にできるだけの努力を払っていかなければならないと考えるわけであります。
  151. 細谷治嘉

    細谷分科員 日本の技術輸出が年率では伸びておるんだ、それはそのとおりなんです。十億が十五億になれば、五割の伸びなんです。ところが百億が百五十億ということは、これはなかなかむずかしい。非常に基礎が低いのですから、一が二になれば一〇〇%ということになるので、これだけではやはり納得できる事態ではないと私は思うのです。  さらに、御指摘のように、三十八年度以降民間の研究費というのはかなり落ちておるのですが、それまでの経緯を見ましても、電気機械、化学工業、輸送、繊維、鉄鋼、日本全体の研究費の六割五分を占めておる民間の研究費の九割五分というのが、この五つの部門で占められておる。内容はどうかといいますと、これは基礎的な部分に関係なしに、外国から導入した技術というのをトレースして、それを何とか動かすように、あるいは製品をつくるようにするという、改良といってもおこまがしいような内容の研究、こういうことなんです。こういうところに大きな問題があり、私は国策として今日の科学技術の現状を憂慮して、もっと抜本的な対策を講ずる必要があるのではないかという気が非常に強くいたすわけです。  時間がありませんので、こういうような問題に関連してお尋ねいたしたい点は、今度の国会の冒頭の代表質問においても若干触れられた点でありますけれども、日本の頭脳といわれる若い学者が、日本の大学や研究所をやめて外国に行っております。非常に優秀な、将来を嘱望された人が行っております。そういうのは最近どういう動向になっておるのか、具体的にお聞かせいただきたいと思う。
  152. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この問題につきましては、私どももたいへん心配しておる点でございますがこのほど科学技術庁と文部省と共同いたしまして、科学技術関係研究者の海外渡航の調査をやってみました。その調査によりますと、昭和三十四年度から三十八年度までに、六カ月以上の期間にわたって海外渡航をして研究いたしました人たちの数は、総計で四千七百名程度でございます。そのうち国立、公立の研究機関の関係者が七百三十名、民間企業がこれとほぼ同数、それから大学等が三千二百六十名でございます。そして、それらの研究者の大部分、約八割でございますが、八割は二年未満で帰国いたしております。海外に就職した者は全体の約三%でございまして、国公立の研究機関及び民間の関係者が十五名、大学関係が約百三十名、これらの人たちが海外に就職をして、そこに職を求めたということになるわけでございます。やはりこうした状況を見ますると、――私は実はこれよりも相当多いのではないかと思いながらこの調査をしてみたわけでございますが、私が予想いたしましたよりは少なかったので安心した――と言うと語弊がございますけれども、この程度であったかと思ったわけでございますが、それにしても、研究者が国内において十分研究ができますように、研究者の処遇の改善や研究環境を整備するということをあらためて痛感いたしたような次第であります。
  153. 細谷治嘉

    細谷分科員 いま大臣が数字を言われたわけでありますが、海外に就職した研究者、日本の大学なり研究所をやめて正式に就職していった若い頭脳、これは数学なり、物理なり、あるいは工学系が相当多い、あるいは生物、農、医、薬、こういう関係の人が多いので、三十四年から三十八年くらいまで百五十名近い人が就職していっているのですけれども、これはわずか三%という問題でないと私は思うのです。海外に就職した人は、やはり研究者――おそらく自然科学関係で十三万とかあるいは十五万くらいおるかもしれませんけれども、その中の超一流の若い頭脳、だからこそ、やはり外国、主としてアメリカ等でありましょうが、行っているのではないかと思うのです。したがって、ただ単にパーセントで、あるいは人数が百五十名程度だということでは済まされない問題だと思うのです。アメリカが原子力を解放したわけですけれども、主力としてやったのは、アインシュタイン、あるいはイタリアから追放されたエンリコ・フェルミ、こういう人でありまして、そういう人の頭脳こそが、今後の日本の科学技術の開拓といいますか、革新にとって欠くべからざる頭脳がこの百五十名の中にあったのではないかと私は思うのです。  そこで、そういう人たちがどうして行くかということを考えてみますと、いろいろな原因があるでありましょうけれども、第一にはやはり研究費の不足、先ほど申し上げたように、ただわずかに百三十万くらいの、人件費も含めての研究費ではできないのだという問題がありましょう。あるいはやはり学閥の問題がありましょう。古ぼけた――古ぼけたと言うと失礼でありますけれども、かたくなな頭脳で若い頭脳を押えつけて指導される、研究のワクをはめられるということに不満を持って外国に就職した人もあろうと思うのですが、非常に大きな原因は、私は、やはり学者に対する待遇、処遇がきわめて悪いということにあるのではないかと思うのです。せんだって私は美濃部さんの「日本人のくらし」という本を読んでおったのでありますけれども、美濃部達吉という人が三十くらいで東京大学の教授になったときの明治三十七年の収入というのが、二十三万一千円あったというのです。いまの金に直しますと二十三万一千円になる。ところが、停年前のむすこさんのほうは、もう大学の停年前だけれども手取り七万円しかないというのです。こういうように学者に対する待遇がなっておらぬ、こういうところが若い頭脳が外国に逃避していく大きな原因でないかと思うのですが、この点についていかがお考えですか。
  154. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私も美濃部さんのお書きになったものも読みまして、うたた感慨にふけったわけでありますが、これはただ単に大学の教授の俸給だけの問題ではとらえられないので、やはり公務員全体の給与体系の問題かと思いますが、しかし、ともかく研究者の待遇というものにつきましては特段の配慮をしなければならぬ。昨年八月の人事院の給与勧告、これは政府がそのまま受け取っておるわけでございますが、研究職等についての、たとえば初任給などに相当の配慮を加えた、あるいは中だるみ是正とでも申しましょうか、中堅の方々にできるだけ俸給表の上でも配慮を加え、あるいはその他いろいろの面におきましても配慮が加えられつつあることは、たいへん傾向としてけっこうなことだと思いますが、さらに私の立場といたしましては、これは佐藤総理も非常に熱心でございますが、研究者の待遇、特に国公立の大学の教授、それから国立試験所の研究職、こういう人たちに、何らか斬新な、新しい給与体系をつくることはできないだろうかということで、なかなかこれはむずかしい問題でございますけれども、特にそういったような方々を優遇する措置については真剣に現在も勉強中でございます。  それからもう一つ、ちょっと横道に入りますが、私先般も、ある中国人で、ずっと引き続きアメリカで研究しておられる、きわめて若い、世界第一級の頭脳といわれる人にもお目にかかりましたが、待遇の問題も、もちろん、これはアメリカに学者が集まる上においての非常な魅力である、同時に、しかし学術研究というようなことを、さっきちょっとお触れになりましたが、伸び伸びできるような環境がまた別の意味で非常に必要なことだと思う、こういうふうな点について、日本の科学技術の進展のためにも、日本の環境に合うようないい方法をお考えになったらどうかというような示唆を受けまして、非常に感銘を深くしたわけでありますが、そういう面につきましては、ひとついろいろの御意見を積極的に私どもにもお漏らしいただきまして、大いに御鞭撻をいただいて、国民的な背景のもとにこういった面を大いに伸ばしていきたいものだ。これは気持ちの問題でありまして、具体案をまだここに御説明する段に至らないことを非常に残念に思いますけれども、意欲としてはそういう気持ちを持っておりますことを申し上げておく次第でございます。
  155. 細谷治嘉

    細谷分科員 時間がありませんので、基礎的な研究についての私の希望でございますけれども、この本にも書いてございますように、今日のエレクトロニクスという問題も、量子力学の発達が今日のエレクトロニクスの時代をもたらしたのだということを指摘しております。この本にも書いてありますが、日本は戦争中十年か十五年の科学の遊歩あるいは技術上の空白があった、こういうことが書いてございます。たいていの人はそういうことを言います。私は、なぜ空白が起こったかというところに問題点があろうと思います。なぜ空白が起こったかといいますと、日本人は外国からくるレポートを読んで、まねをしてただ品物をつくるという小手先のことで終始しておった、戦争でばったりと科学研究のレポートがこなくなったので、新しい製品も生まれてこなかった、こういうことだと思う。外国のほうでは、あの戦争のまつ最中にアメリカではやはり原子力の解放をしております。ドイツですらもV2号というものをつくっております。そういうことからいいますと、やはり科学の基礎的な環境、基礎的な研究というものがあったために、外国からのレポートがこなくなっても、やはり技術的な、あるいは製品上の進歩があった、こういうことが反省されなければならぬ。空白が起こったのは、これは戦争のためでなくて、自分たちの科学研究に対する姿勢が完全にさか立ちしておった、基礎的なものが欠除しておった、こういうことに帰すると思わなければならぬ。したがって、いまにして、そういう空白が起こった原因、せっかくここまで十年間営々として築き上げてきた施設――フランスのキューリーは、日本人のように施設からつくってその中で内容をつくり上げようということでなくて、バラックの中で、ラジウムを発見したのです。そしてラジウムがもとになって、内容がもとになってラジウム研究所という大きな建物が建った、こういう例もあるわけですから、もっと基礎的なものにほんとうに姿勢を正して取り組む必要があるのじゃないか。幸いに、科学技術庁長官であり、文部大臣である大臣、基礎的な研究こそが必要だということを白書自体も指摘しておるのでありますから、これについてひとつ積極的に取り組んでいただきたい。これをもう民間の機関にまかせることはできません。何といっても、やはり大学等を中心として国がそういう基礎的なものに取り組まなければならぬ。そうすれば、若い頭脳は、若干の生活上の苦痛は忍んでも、研究という興味に一生をささげることができるのではないかと私は思います。これはひとつぜひお願いしたいと思います。もう一つ、私は、日本の科学研究にあたっての無計画さという問題が反省されなければならぬのではないかと思うのです。そこでお尋ねしたいのでありますが、けさの新聞を見ますと、こういうことが書いてある。「使用ずみの核燃料原研構内にたまりっ放し、廃棄できぬ借り物、再処理協定できるまで」こういう記事が出ております。この危険なものが再処理協定ができない、こういうことをやっているところに、やはり無計画さというものが露呈されておるのではないかと私は思うのです。昨日のある新聞の社説に、「原子力委員会を改組せよ」こういう社説が出ております。それを読んでみますと、基本政策が要望されるのだ、原子力発電所ができたと自慢しておるけれども、それは根のない切り花の移植じゃないか、こういうことを指摘しております。そういうことはどうして起こったかといいますと、やはり原子力委員会等の運営と機構あるいは人事の配置にあるのだ、こういうことがいわれております。これに対して、昨日大臣は、原子力委員会等の運営強化をはかるのだ、こういう一つの構想を出されております。この構想では、きょうの新聞、きのうの社説なり大臣の構想等を読んでみまして、やはりこんなことではいかぬのだという、無計画さというものが露呈しているのじゃないかと思うのですが、こういう問題についての大臣のお考えをひとつ率直にお聞きしたいと思うのです。
  156. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず第一に、使用済み燃料の再処理の問題でございますが、これは詳しくは、時間の関係もございますから、省略いたしますが、政府としては、かねて基本的な方針を持って、科学技術庁としての成案を持っておるわけでございますが、進行に従いまして財政的な処理その他さらに前向きに確定をしたい事項もございますので、現に財政当局その他と十分に打ち合わせを遂げつつあるわけでございまして、これについての方針は基本的には確立しておると申し上げてよろしいかと思います。それから原子力委員会の問題でございますが、率直に申しまして、いろいろと内外の関係の方々からも積極的な建設的な御意見をかねがね承っております。また私もさように考えましたので、ちょうど人事の交代の時期でもございますが、本日参議院でも正式に御承認をいただいて発令をいたしました人事に私としては非常な期待を持っておるわけでございます。それから運営等につきましても、たとえば原子力産業会議でございますか、産業計画会議等からも積極的な御意見をいただいておりますが、たとえば原子力委員長は専任にしてやったほうがいいのではないかというような御意見をも含めて、いろいろの建設的な御意見を承っております。ただ、そこまで触れてまいりますと、政党政治と申しますか、このやり方の根本に触れるようなこともございますので、これはこれとして研究の課題といたしておきまして、しかるべき有力な達識の方に委員長代理をお願いいたしまして、実際上自主的に伸び伸びと大所高所から原子力政策について立案指導をしていただくように運営をいたしていただきたいということで、この点はすでに話はまとまっておるわけでございます。一ぺんにたいへんな展開もできかねるかと思いますが、いまおあげになりました社説その他で指摘されておりますような点は、こういう運営によって相当解決していけるのではなかろうか、また、ぜひそういうふうにありたいという意欲をもって対処いたしておるわけでございます。
  157. 細谷治嘉

    細谷分科員 これについてもあまり時間がありませんから、触れませんけれども、最後に、私は、今日の科学研究という問題を見ますと、やはり相当大きな費用と、それから研究者の協力体制というものが絶対必要だろうと思うのです。ところが、どうもやはり官庁の縦割りといいますか、あるいは各機関のなわ張り争いといいますか、そういうものが遺憾ながら出てまいっております。競争するというのは、現在ある一切の知識というものをまとめ上げて、そういう中からさらにお互いが競争し合うということならばよろしいのでありますけれども、最初からなわ張り争いで対立的な競争をやっていくということでは、どうも大きな壁は突き破れないのではないか。その具体的な例は今度の予算にもあらわれておるのです。たとえば発射ミサイルの問題にも具体的にあらわれておるじゃないかと思うのです。たとえば、東京大学の糸川研究室でかなり長い間これを研究しております。ところが、予算を見ますと、また科学技術庁も別個にこの発射計画をお持ちだ、こういうことでございます。さらには防衛庁のほうもそういう発射ミサイルをやっていこう、こういうことのようでございます。それでは、今日までやられたそういう研究というものを各人が十分消化した上でのそういう体制かというと、必ずしもそうは言えない。競争することはけっこうでありますけれども、なわ張り争いからの対立的な競争ということでは、今日の科学研究の重要な課題をになうことはできないのではないかと私は思うのです。いろいろこういう問題についてもお聞きしたいのですが、時間もございませんから、この問題について大臣どうお考えになっておるか、今後どういうふうにこれを進めていこうとお考えなのか。私は発射ミサイルを例として申し上げたのですが、科学研究全般の姿勢の問題としてひとつお尋ねしたいと思うのであります。
  158. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ロケットの問題につきましては、私もずいぶん考えまして、すでに相当の前進を期待できるような情勢につくり上げつつあると申し上げていいのではないかと思います。と申しますのは、予算の立て方は、なるほど、東大に二十億とか、あるいは科学技術庁関係で六億とかいうふうに分かれてはおりますが、まず大事なことは、何と申しましても、私どもはしろうとでございますが、オーガナイズしていくということが非常に必要である、それからジョイントスタディということがどうしても必要ではなかろうかと、しろうとなりに考えまして、まずひとつ人的な連携を緊密にするということから、東大の所長の高木教授に政府のほうの宇宙開発推進本部長を併任していただきまして、それから専門家のいわゆるジョイントスタディもそれを軸にして行なっていく。ただ、東大は東大として、かねがね計画せられている計画をずっと進めていかなければなりませんし、またそれを期待しているわけでございます。また一方、科学技術庁では、たとえば燃料の関係でも、液体燃料を使ったほうが、また別の目的のために、平和利用として有効ではないかという研究もかねがねしておりますが、双方の専門家の具体的なプロジェクトについてお互いによく知り合っておる、そうして知恵を供給し合うということが、まず取り上げるべき最初のステップでないだろうか、こう考えまして、そういう点はすでに発足をいたしたわけであります。  それからもう一つは、別の問題になりますけれども、そのように、いわゆる臨調、臨時行政制度調査会、これが科学技術行政についての非常に示唆に富んだ答申をしていただいております。その中で問題になりますのは、大学の学問の自由ということを尊重しなければならないと私は考えるわけでございますが、その点をどういうふうに調整するかという問題はさらに検討を要しますし、また、原子力委員会のあり方、その他若干の点について、この臨調の御答申にはにわかに同意しかねるところもございますけれども、大体の考え方、方向としては非常に示唆に富んでおるわけで、これを実践の行政の面に制度的にも反映することをできるだけ早い機会にやりたいと考えております。  将来の問題としては、これも私の持論でありますが、なかなか実現できないことでありますが、特定の科学技術の研究費というようなものについては、できるならばどこかが一本で担当し計上し、それから年度制等についても、単年度制の例外をこういうものについてはつくることが適当ではなかろうか、こういうような点については、これは、総理直轄の諮問機関でございますけれども、科学技術会議、それからそれの専門委員会、こういうところを中心にして研究を進めていただいております。さらに、長期の展望が必要であるということについても御同感なんでございまして、これらにつきましては、長期計画をここ数カ月のうちに科学技術会議を中心にして策定する、と同時に、科学技術の振興のための基本法というようなものも、できるだけ早く成案を得たい、こういうふうな考え方でおることをあわせて申し上げたいと思います。
  159. 細谷治嘉

    細谷分科員 終わります。
  160. 植木庚子郎

    ○植木主査 吉村吉雄君。
  161. 吉村吉雄

    吉村分科員 私は、きょう、遺家族の援護法の適用の問題と恩給法の適用の問題について質問をしたいと思うのです。  実は私の知っておることが間違いであればたいへん幸せなんですけれども、非常に驚かせられたことを聞いたわけです。と申し上げますのは、旧軍人に対して、戦争によって戦死をしたという公報を受けて、したがって、遺家族に対しては公務扶助料というものが支給になっておる。ところが、この戦死をしたということが誤りであって、その後、生存が確認をされたという場合については、いままで支給したところの公務扶助料というものは返還をしてもらわなければならない、まあこういうことだそうでございますけれども、そういうばかな話はないだろうと思って、私もいろいろ調査をいたしましたが、恩給局の回答によりますと、それは返還をしてもらうんです。こういうことでございます。実はたいへん驚きましたので、その他の関係の法律等を調べましたけれども、ますます疑問を大きくしてまいりましたので、公の機会に、事実そうなのかどうか、これをまずお伺いをしておきたいと思うのです。
  162. 増子正宏

    ○増子政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、結論を簡単に申し上げますと、ただいまお述べになりましたとおりでございます。すなわち、公務扶助料が支給せられておりました本人が生きているということが判明いたしますれば、その遺族に対して扶助料を支給すべき事由が存しなかったということになりますので、いわゆる法律上の事由なくして給付したものということになりますので、これは返還せしめるというのが、恩給法のたてまえになっておるわけでございます。
  163. 吉村吉雄

    吉村分科員 それでは、次にお尋ねしますけれども、戦争という、ああいう特殊な混乱をした状態が続いておりましたので、戦死の公報を出して、その後、それは誤りであって、生存が確認をされたという事例は、一体どのくらいあって、しかも局長が答弁されました趣旨に従って返還をされた件数、こういうものもあわせてお尋ねをしておきたいと思うのです。
  164. 増子正宏

    ○増子政府委員 御質問の件数でございますが、現在手元にその資料を持っておりますので、いずれ調査をいたしましてから申し上げたいと存じます。
  165. 吉村吉雄

    吉村分科員 これは調べればすぐわかるでしょうから、できるだけ早い機会に、そう数があるはずはないのですから、私の質問時間中に調べて回答してください。  次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法、これに基づいて遺族年金とかあるいは弔慰金とかいうものが支給されておりますけれども、この戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づいて適用されておる遺家族の中で、いま私が申し上げたような、すなわち、なくなったというふうに国が認定をしたにもかかわらず、それが誤りであった、そしてこれを取り消したという件数は一体何件くらいありますか。これは援護局のほうでわかませんか。
  166. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 お答えいたします。  これも実ははっきりした数字をちょっと把握しておりませんですが、きわめてわずかであるというふうに考えております。
  167. 吉村吉雄

    吉村分科員 この遺族等援護法によりますと、第三十二条の三に、いま私が申し上げたような事例、すなわら、死亡の認定をしておった軍人軍属がその後生存が確認をされたという場合には、それまでに支給をしたところの遺族年金あるいは弔慰金というものは返還させないことができるというふうに書いてあります。このように書いてあるのですけれども、これは現在もそのまま生きておりますか。
  168. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 お答えいたします。  ただいまの規定は、昨年の改正によりまして三十二条の四という条文に繰り下がっておりますが、その条文はただいまも生きております。
  169. 吉村吉雄

    吉村分科員 総務長官にお尋ねしますけれども、遺族援護法と恩給法に基づくところの公務扶助料、これは本来は同じ性格のものであったと思います。ただ、立法の経緯から見まして、遺族等援護法が昭和二十七年に制定され、それによって、軍人軍属にしてこの法律の適用をするというふうに裁定を受けた方々が、昭和二十八年以降旧軍人に対しては公務扶助料というものが支給されるようになった、こういう経緯をたどっておるというふうに私は理解をします。そういたしますると、遺族等援護法に基づけば、このすでに支給になったところの弔慰金あるいは遺族年金等は返還しなくてもいい、こういうふうに書いてありますけれども、その後移った恩給法上の公務扶助料については返還させるというのが法の解釈だ、こういうふうになってまいりますと、これはたいへん大きな食い違いを見せているというふうに私は思うのです。遺族等援護法の適用者については返さなくてもいいんだ、恩給法の適用者は返さなければならないのだ、これが同じ一つの国で、しかもまた軍人軍属という同じような状態の中で、一体どういうような考え方でこれは違った扱い方をしなければならないのですか。
  170. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 ただいまの恩給法上のたてまえと援護法上のたてまえとどう違うかというお話でございますが、御承知のように、恩給法は古くからございまして、戦後一時これが停止をされておりましたが、今次大戦におきましては、戦死者にいたしましても、また負傷者、戦病者にいたしましても、非常に数が多いということで、恩給法によって全部そういう犠牲者を救い得るということの完ぺきを期し得ない部面があるわけでございまして、一つはそれの補完的といいますか、補うという意味において、援護法というものによりましてそういう犠牲者に対する援護の実をあげたいということからそういうことになったわけでございまして、いずれも、国家のために尽くされた犠牲者に対してこれに報いるという意味においては同じかと思いますけれども、その法がつくられた時期等からも考え合わせますると、多少そこにニュアンスといいますか、恩給法と援護法とは多少違う。ただいま御質問の点につきましても、そういう意味でやはり援護法のほうはこまかい配慮をしたとも解せられるのであります。そこで、援護法ではあるのだから、恩給法上も、一応戦没者と認定されて恩給を受け取った分については、返さぬで済むようにしてしかるべきではないかという御意見かと思うのでありますが、この点につきましては、慎重にひとつ検討いたしませんと、にわかにそうするということを申し上げるわけにいかないわけであります。これはもっとも厚生省のほうの担当でございますが、そのかわり、恩給につきましては御返還を願いますけれども、その間生存していて、いわゆる未帰還者といいますか、その方ということになりまするので、留守家族手当等がその方にはまた別途支給されるのでございまして、額の点においては必ずしも一致するわけではないのでありますが、そういうことになるわけであります。
  171. 吉村吉雄

    吉村分科員 いまの長官の答弁は、どうも私の質問に対する答弁にならないと思うのです。私の申し上げておるのは、恩給法が改正をされる以前は、遺族等援護法によって旧軍人の遺家族に対する援護がなされておったわけです。その後恩給法が改正になって以降は、遺族年金というものを支給されておった遺族については、公務扶助料に名称が改められて支給されるようになったはずです。だとしますと、遺族等援護法のもとでは、すでに支給された弔慰金あるいは遺族年金というものは返還しなくてもよろしい、こういっていながら、同じ事案の延長であるところの恩給法については返還しろということは、大体理屈が一致をしないのではないか、こういうことについての見解を求めたわけです。どうですか。
  172. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 お答え申し上げます。太平洋戦争後、GHQの命令によりまして、旧来ありました軍人恩給法が一応停止された。そこで、独立もし、また、その犠牲者に対して何らかのことをしなくちゃならぬということはもとよりでございますので、そこで、恩給が復活する前に、援護法でその犠牲者に対して救済の方法を講じた、こういうのが援護法であるというふうに承知しております。さらに、それから独立もいたしましたので、以前の旧軍人恩給の一部が復活した、こういうことで、やはり昔からあった恩給法がそこで復活をいたしましたので、援護法とはそこに多少の相違が出てきた、こう考えるのでございまして、まあ性格しからいいましても、全然同じというわけにもいかぬ過去の歴史がある、こう考えます。
  173. 吉村吉雄

    吉村分科員 それは答弁になっていないと思うのですよ。私は、問題のあるところは、政府のほうで問題点として将来検討をしてもらわなければならないという立場で質問をしておるのです。現在でもすでに遺族等援護法というものがあってその適用を受けている遺家族もおるわけですよ。片方には恩給法の適用を受けておる遺家族もおる。二つの法律はありますけれども、片方については、大体軍人軍属で戦傷病というものが原因をしてなくなった人、こういう遺家族に対する援護なんです。片方は軍人として戦地に出て戦死をされた、こういう方々に対するところの国の援護法です。そういう性格からしますならば、その扱い方、適用のされ方というものは、どちらかというならば恩給法上のほうが手厚いというのがむしろ常識だというふうに思うのですよ。それならばあるいは納得されるかもしれない。もっと理論的に言えば、同じように適用をしていくというのが本来の筋でありましょう。ところが、同じ日本の国の法律の中で、同じように軍の関係として働いた者の遺家族に対する扱い方が、異なった扱い方をするということを法律が規定していることは問題ではないかということを私は申し上げているのです。これは問題ではないのですか。
  174. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 お答え申し上げます。ただいま申し上げましたように、恩給法のほうが長い間の古い歴史がありまして、そういう関係で従前からそうなっておりますので、そこで、いまお話しのような、一応死亡者と認定された人が、事実はそうでなくて戻ってきたという場合は、法理的に恩給を支給する根拠がなくなったということで、お渡ししてある恩給もお返しを願う、しかし、一方、援護法におきましては、そういう点について返さぬでもよろしい場合もある、こういうことがあるわけでございまして、だからそれを返さぬでもよろしいように恩給においてもしたほうがいいじゃないかという点につきましては、これはただいまそういうふうにすべきであるというような御意見のようにも伺いますので、私のほうでもひとつよく検討はしてみたいと思いますが、ただ、いまお話しのように、一度渡して、それをまた返してもらって、そのかわりに留守家族手当等でまは別に支給する、こういうことも実際上はなかなか事務が繁雑でもありますので、そういう事務的な繁雑を防ぐという意味から申しますと、むしろ渡したものについてはそのままでよろしい。そのかわり、留守家族手当等はその分についてはお渡しできない、こういうふうにするほうがあるいは簡便かもしれませんが、ただ、現在の法律がそうなっておりますので、この点については私がただいまそういうふうにするということは申し上げかねますが、ひとつよく検討してみたい、こう考えております。
  175. 吉村吉雄

    吉村分科員 長官、留守家族手当の場合は、現地に行ってその消息が不印になっておって、それで残っておる家族が困るという場合に支給する手当の法律ですよ。だから、それはそれで別な単独法になっているはずですから、混同しないでいただきたいのです。とにかく検討するという回答ですけれども、戦死をしましたという公報が入った家族というものはどういうふうに精神的な打撃を受けるかということは、私が申し上げるまでもないと思うのです。えらい打撃だと思うのですよ。国がそれを認定して戦死公報を出した、ところが、あれは間違いでした、今度は生きているそうです。殺してみたり生かしてみたり、かってなことを政府がやって、その間に国として支給した金は返せというようなそういう酷なやり方をとっておる国はないと私は思うのです。そんなばかなことをやっているというところに問題がある。そういう意味では遺族等援護法のほうがよほどそれらの点を考慮しながらやってきたというふうに私は思います。そういう法律があとでできたのならばいいと私は言うのですよ。すでにそういうあたたかい配慮をした法律が前にあったにもかかわらず、恩給法に移行する場合はそれを全然考慮しない、こんなばかな話があるということを私は申し上げておるのです。ですから、これは検討するというような問題よりも、同じようにやっていくということでなくてはならないと思うのです。長官どうですか。とにかく、あなたの息子さん戦死しましたよという公報が入ったときに、それは五十万、百万にかえられない精神的な打撃だと私は思うんですよ。そういうことによって長い間苦労をしてきて、その慰謝の一端として国が支給した金を、今度は、生きておったからおまえ返せといったって、実際に生活の困難な方々はすでに使ってしまって、返しようがないじゃないですか。そういうことをやることが、はたして国の旧軍人に対するところのあたたかい思いやりであるのかどうかということについては、私が言うまでもないと思うのです。しかも私が問題にするのは、同じような事例に二つの異なった法律を適用せしめようとするところに根本的な間違いがあるでしょうと言うのです。これはないですか。これは改める以外に方法はないと思うのです。検討するという問題ではないと思うのです。いままで遺族年金をもらっておった人が、今度は公務扶助料にかわるのですよ。ここからここまでの分は返さなくてもいい、ここからここまでの分は返せという、そんなばかな話はないでしょう。ありますか。
  176. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 お説のように、家族が戦死の報を受けるということは、非常にこれは精神的に打撃であることは事実でございます。したがいまして、戦死の公報を出すという場合には、相当慎重にやるわけでございましょうが、しかし、それでもたまたま生存している場合もまれにはあることもあろうかと存じます。また、長年にわたって消息不明であるというようなことで、何とかこれを決着をつけないと家族のほうでむしろ困る。一般の場合でも、行方不明が長くなっていると失跡宣告というようなこともやる場合もありますので、そこで御遺族の方が御了承していただければ、これを戦死と認定してその通知を出す、こういうこともあったわけであります。したがいまして、そのいずれがどれだけの数かということは私は承知いたしておりませんが、必ずしも、政府なら政府のほうの調査が不十分で戦死の公報を出した、それが違っていた、こういうことばかりもないかと思うのでありますが、いずれにいたしましても、いまのお話にございましたが、一応恩給法はもう古くからありまして、ただ一時これが停止されていた、それが独立後恩給法が一部復活した、ただ、恩給法が復活する前に、遺家族の問題についてはできるだけすみやかに援護の方法を講じなければいかぬというので援護法をつくり、また今日におきましても、恩給法で援護の手の伸びない方面に対しては援護法でできるだけ十分にする、こういうことからこの二つの法律がございますので、そこで、恩給法につきましては以前からそういう法のたてまえになっていた、こういうことでございまして、これは立法を改めればそれでよろしいわけでございますが、現在の法律がそうなっておりますので、これを改めるについてはやはり一応検討を十分いたしませんと、これをどうということをこの場においてにわかに御返事申し上げかねる、こういうことでお答え申し上げておるわけであります。
  177. 吉村吉雄

    吉村分科員 長官、私の質問時間は制限をされておるので、あまりよけいなことを言ってもらわれると、それだけ時間を食うのです。長い間行くえ不明になっておって、そしてその人についての残った家族が困るということについては、家族の承諾を得てそれで死亡なら死亡という認定をするということについては、判然いままでの援護法の中でもそういう措置をとってきたわけですから、私の言っておるのは別な問題です。とにかく、そういう家族との相談とかなんとかいうことでなしに、国が戦死と認定をした、公報で家族に知らせたという事例なんですから、いま長官が言ったような例とはだいぶ違う例だというふうに考えてもらわなければ困る。そして、戦死の公報を出しておいて、あとになってから、生きておったそうだから、いままで支給した金は間違ってくれておったのだから、金を返せ、そういうような法律がいま現にある。ところが、同じような性格の法律であるところの遺族等援護法については、返さなくてもよろしいと書いてある。しかも、この二つの法律はあるけれども、適用される事案というものは、大体同じようなものが適用されておるのです。遺族年金を支給されておったのが、昭和二十八年以降は公務扶助料に変わっただけなんです。ですから、同じ事案について、ある部分までは返しなさい、ある部分からは返さなくてもいい、こういうふうになります。立法の時期的な関係をいえばですね。しかし、立法の精神からいえばこれは間違いでありましょうと私は言っておる。そうじゃありませんか。
  178. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 お答え申し上げます。これは解釈によっていろいろそういう御解釈も成り立つかと思うのでありますが、長い間いま申し上げたようなやり方でやっておりますので、したがって、これをもし変えるとすると、いま申し上げたように援護法との関係もありまして、今度は未帰還者のほうの留守家族手当、こういうものもとめる、こういうようなほうにも関係が出てまいりますので、そこで、そういう問題を検討いたしませんと、それをそういうふうに変える、こういうことはいまのところお答え申し上げかねる、こういうことであります。
  179. 植木庚子郎

    ○植木主査 吉村君に申し上げますが、本会議開会の時間も迫りましたので、簡潔にお願いいたします。
  180. 増子正宏

    ○増子政府委員 先ほどお尋ねいただきました件につきましてお答え申し上げます。公務扶助料を支給しておりました件につきまして、その後生存が判明したことによりまして、支給を取り消し返還を命じた件数でございますが、戦後いままでのところこれは正確な数字ではございません、いま大急ぎで調べたところでございますが、大体十件程度ございます。大体年に二、三件程度ということでございますが、今後この件数がこういった割合でふえるかどうか、それは事情は違うのじゃなかろうかと思いますが、そういう状況でございます。それからなお、ただいままでの御質問で総務長官からお答え申し上げた点でございますが、恩給法と援護法の関係が、現在、この返還をせしめるかどうかということにつきましては、確かに明文的に違った扱いになっておるわけでございます。この点はいずれが正しいか正しくないか、あるいは妥当であるかという点につきましては、いろいろの御見解があり得るかと思うのでございます。現実的にいたしますと、恩給法のほうでは、確かに法律上事由のない支給でございますので、取り消しまして返還せしめるというのがたてまえでございますけれども、それで全部申し分のない状態であるという考え方に立っているわけではなくて、さらに、いろいろな措置によりまして、それにかわるべきといいますか、それに代外するような措置があり得るならば、それはそれでよろしいんじゃないかという考え方一つあったと思います。その点について申し上げますと、先ほど来総務長官から申し上げておりますように、海外にあってすでに戦死したと思っておった人が、なお海外が生きていたことが判明したというような場合には、大体においてその時分までは未帰還者ということになり、従来なくなったと思って遺族だと考えておられた両親等は、実は留守家族であったということに、当初にさかのぼってなるわけでございます。そういう意味で留守家族援護法が働いてくるということで、そのほうから一定処理がなされるならば、公務扶助料としては返還をせしめても、本人に必ずしも不当な不利にならないという状態があるわけでございます。大方の場合はそういうふうに処理されてまいったということでございます。したがいまして、現実の処理の問題としましては、援護法にいたしましても恩給法にいたしましても、そう違った結果といいますか、そういうことではなかったように思うわけでございます。しかし、いずれにしましても、先年の御趣旨のように、援護法と恩給法が明らかに形式的に違ったたてまえをとっておるのはおかしいじゃないか、それをやはり同じような形式で考えるべきじゃないかという御意見、これは御意見として私どもも十分理解できるわけでございます。今後の問題としまして実は御検討申し上げるということになるわけでございますけれども、こういった件数が今後非常にふえてくるということはもちろん考えられない事態でございます。したがいまして、法律の改正ということよりも、何らかの措置によってこれを今日でも是正なりあるいは善後措置ができるならば、それも一つの方法かと思うわけでございます。そういう意味におきまして、ひとつ私ども研究課題といたしたいというように考えておるわけでございます。
  181. 吉村吉雄

    吉村分科員 なおいままでの答弁では納得できない部分が私としてはあります。いま一つどうしても聞いておかなければならないことがあったのですけれども、本会議の時間なそうでございます。やむを得ませんので、私の質問は一時保留にしておきます。
  182. 植木庚子郎

    ○植木主査 午前の会議はこの程度にとどめます。午後は、本会議散会後直ちに再開し、質疑を続行することととし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時五十八分休憩      ――――◇―――――     午後三時五十五分開議
  183. 植木庚子郎

    ○植木主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁及び経済企画庁を除く総理府所管について質疑を続行いたします。吉村吉雄君。
  184. 吉村吉雄

    吉村分科員 お話の途中で中断したものですから、前からやったほうが都合がいいのですけれども、時間の関係もありますから、前のことはお聞きでしょうから申し上げませんが、先ほど恩給局長の答弁によりますと、将来検討しますというお話でございましたが、それまでの過程といえども、たとえばなくなったと思った人が生存をしておったということであれば、それは留守家族に対する援護法、留守家族手当、こういうものによってカバーできる、そういう措置もありますという答弁がございました。その答弁の趣旨は、恩給法上はそのような場合返さなければならないけれども、実質的には返さないような措置をとり得るというように理解をしてよろしいわけですか。
  185. 増子正宏

    ○増子政府委員 先ほど申し上げました点でございますが、公務扶助料として返還していただかなければならないわけでございますけれども、そのかわりといいますか、それに応対応した関係で留守家族手当というものが出ることになりますれば、実質的にはそれとの相殺的な措置ができるんじゃないか、そういう意味でまるまる公務扶助料を返すということはなくて済む。ある場合には返還すべき公務扶助料とほとんど同額程度の留守家族手当が別途支給される、こういう関係がありますので、そういう点をいわば相殺いたしますと、実質的にいままで遺族あるいは新たに留守家族となった方々についての何といいますか損得というか、そういう関係はなしに処置できるのではないか、そういう場合があることを申し上げたわけであります。
  186. 吉村吉雄

    吉村分科員 それではお尋ねしますけれども、先ほどこのような事例は約十件くらいだというお話がございました。私は十件以上あろうかと思いますけれども、その数字については多く触れません。とにかくそういう事例があったことは事実だと思うのです。それらの事例に対しては、実際にすでに支給した公務扶助料というものは返還をさせたのですか。
  187. 増子正宏

    ○増子政府委員 先ほど申し上げましたのは、いわゆる取り消しをいたしまして返還を命じた件数でございます。
  188. 吉村吉雄

    吉村分科員 これは非常に重大だと私は思うのです。それで先ほども申し上げましたけれども、遺家族等援護法の適用を受ける人たちについては、返還をさせなくてもよろしいという条項を適用して返還をさせていない。ところが軍人恩給法の適用を受けていろ人たらに対しては、お前さんのむすこさんは戦死しましたという公報を出しておいて、それで遺家族に公務扶助料を支給しておって、今度は生きておりましたからいままで支給した金は返してもらわなければならない。そこまではいいと思うのですけれども、あとはいろいろな法規の解釈なりあるいは援護法の解釈等を援用していけば返さなくても済むと私は思うし、またそうあるべきが正しい配慮ではないかというふうに思いますけれども、実際に返還をさせておるということになれば、これほど残酷な扱い方はないと私は思うのです。自分のむすこが死んだか死なないかということは、国の戦死の公報によって知ったということだけでありまして、それを知らされただけでも五十万や百万は国が補償する、びっくり料に値するくらいのことはあると私は思うのです。そういうことをやっておきながら、今度は生きておったからいままで支給した金は返してもらわなければならない、それが法律解釈だから実際に返してもらった、こういうふうになってくると、これは血も涙もない扱い方と言わなければならないと思うのです。これは数は確かに少ないかもしれません。しかし問題はそういう扱い方、国の方針というところに大きな問題がひそんでおると私は思うのです。そういう人たちがだれかに話をする、あるいは近所の人たちとの話題になるということによって、国の扱い方に対するところの国民の批判というものはきわめて大きい、こういうふうに言わざるを得ないと私は思います。さらに加えて、片方の遺家族等援護法の適用を受ける家族については返還しなくたっていいのだというふうになっているとすれば、一つの国で同じような問題に対して、一方と一方では違った扱い方をしているということになろうと思いますので、この点私はきわめて大きな問題だというふうに考えます。今後検討するとするならば、当然一つの方向に合わせて検討するだろうと思いますし、あるいは返還しなくてもよろしいという方向で検討されるだろうと私は期待いたします。いたしますけれども、すでに支給した人たちに対して返還させたということであったとするならば、遺家族等援護法の適用を受けた方々は返還をしなくて済んだということになるわけですよ。この点は非常に問題が重大であると私は考えますので、ひとつ政府のほうでそれらの点について、将来のことはともかくとして、いままでの問題についても国の責任として、それらについては援護法的な同じような扱い方をしていくという態度が必要だというふうに考えますが、長官これはどうでしょう。
  189. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 お答え申し上げます。  法律に従ってそういうことをやってきたのでありますから、すでにその法律に従って処置したことをどうというわけにはまいらないものと考えます。
  190. 吉村吉雄

    吉村分科員 時間が制限されておりますから、私はこれ以上の追及はやめたいと思います。  しかし、先ほど来申し上げておりますように、遺族年金を支給されておった方々は、昭和二十八年以降は公務扶助料に変わったのですけれども、そうしますといまの法解釈でいけば、遺族年金等については返還しなくたっていい、それから公務扶助料の段階になった二十八年以降については返還しろ、しかもその二つの法律の適用を受ける人は同一人なんですよ。そういうことがあっていいのかどうかという問題になります。このことは法律の解釈上、立法のあり方から見て、私はきわめて問題が大きいというふうに考えるわけです。しかしすでに返還させたというのでありますから、そういうことについては遺族援護法の精神に基づいたところの今後の恩給法の改正という方向にいくか、あるいは法の運用解釈をそのように統一されるものというふうに私は期待をするのですけれども、いままでの問題についても当然何らかの温情のある配慮、あるいは国の当然の責任としての配慮をした扱いにすべきだというふうに私は考えるのですが、どうしてもそれはできないということですか。これは法律の適用の問題として矛盾もあるし問題もある。しかもその適用を受けた方々は、きわめて気の毒だというふうに私は思います。何回も申し上げますけれども、とにかく戦死の公報を受けたというのは、それだけで五十万や百万あるいは五両方に匹敵するような精神的打撃を受けておるのですよ。そして公務扶助料というものを支給しておいて、今度は生きておったからそのものは返せなんということが日本の国の法律であるということは、私はとんでもない問題だと思うのです。それだけならいいのですけれども、一方の同じような事項に適用せしめようとするところの遺族援護法については、返さなくてもいいのだという条項が残っておる。こんなばかな話は私はないと思う。時間が制限されておりますからこれ以上は申し上げませんけれども、そのこと自体についてあなた方は矛盾と考えないのですか。それだけの答えをきょうのところは得ておきたいと私は思うのです。
  191. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 同じく戦争犠牲者に対する恩給と援護でございますから、両方平仄のそろっているほうがよろしいといえばよろしいかと思いますが、ただ、いまもお答え申し上げましたように、そういう例は今日まできわめてまれでございましたので、いままではあまりそういうことの問題がなかったわけでございます。ただ援護法については、当初なかったその条項を入れたということは、こうやって論議のあるような問題がおそらくあったので、援護法のほうはそう変えたかと思うのであります。ただ援護法と恩給法とは別個の法律でありますので、そこで恩給法についてはそういうあれがなかったので、別に訂正もしなかったと思うのですが、この点につきましては、将来どうするかということについてひとつ十分検討してみたいと思っております。
  192. 吉村吉雄

    吉村分科員 その検討するという答えは何回も聞いたのです。私がいま最終的に聞いたのは、同じ日本の国の法律で、戦争行為によって犠牲者になったその遺家族に対して、遺家族等援護法によっては一たんなくなったからということで遺族年金を支給する。それが生存しておった場合には返還しなくたっていいという規定を設けてあるのですよ。同じような扱い方をするところの恩給法においては、支給した金は、生きておった場合には返してもらうのだという解釈をしておるのですよ。これでは一つの国の出す法律としては矛盾を来たしていませんかということを私は言っているのです。経過についてはあるいはこれから検討するという話は再三聞いておりますからいいですよ。  長官、いまあなたは、これは数少ない事例ですからというお話でございました。数は少ないかもしれないけれども、こういうことの適用を受ける人たちの心理的な影響、それが拡大したところの影響というものは私は非常に大きいと思う。ですからこの点については私は大きな矛盾だと思う。しかも恩給法は遺族援護法よりもあとからできたのですから、したがってそういう条項があるとするならば、当然それは恩給法の中に新たに起こすかあるいはそういう適用解釈の統一をしておくか、こういうふうにしなければ、まちまちの形になって今日のような状態になるということを指摘申し上げておるわけです。法のもとに国民は平等であるという立場から見ましても、この点はたいへん大きな問題であると私は考える。私は大きな矛盾だと考える。もっと言い方を変えれば、これは一方は厚生省が扱う、一方は総理府が扱う、こういうことによって起こった矛盾だというふうにも言い得ると思うのです。しかし政府は一体でございますから、そういう点は同じような扱い方をしていく方向に統一をされるべきでありましょうし、いままでの事例についても、援護法の適用を受けたものは返さなくてよくて、恩給法の適用を受けたものは返したのだ、そういうことを放置するあり方は、私はたいへんな問題だと思うので、いままでの問題も含めて、今後のことについて検討する、こういう方向でなくては、本質的な問題の解決にならないと思うのですけれども、どうですか。
  193. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 さっきお答え申し上げましたように、法律に従って過去において処置した問題にまで遡及することはなかなか困難かと思います。ただ将来そういうことが起こり得ることを予想するならば、これは一応検討いたしてみたいと思います。
  194. 吉村吉雄

    吉村分科員 はなはだ冷酷無比な答弁で非常に残念です。しかし、この問題は、私はいずれ機会をあらためて、そういう間違ったところのやり方については、それらの該当しておる遺家族の方々、あるいは家族の方々、そういう人たちの立場に立ってあくまでもこれは追及をしていきたい、こういうように思います。戦争中には国の命令によって戦地に引っぱり出されて、そうして公報で、おまえは、死んだんだとか、今度は生きておるんだ、その間にくれた金は返せ、そんなばかなことをやって、しかもそれをどうにもしようがない、こういうようなことを言っておるのでは、お話にも何にもならぬと思いますから、機会をあらためて私はあくまでもこれは追及をしていきたい、こういうふうに思います。  次に、これは前からの懸案の問題でございますけれども、懸案というよりも私が問題を提起したことでございますけれども、旧軍人にして七年以下の下士官、兵の方々については、これは現在のところ何らの恩恵といいますか、それもないわけです。ただ国家公務員、地方公務員、公共企業体職員、こういうところにおる旧軍人の方々は、それぞれの共済組合法の適用を受けて、旧軍人期間というのを組合員期間として計算をされるということになっておるわけです。これは御存じのとおりだと思います。そこで、このことを私はたいへん不公平ではないかというふうに考えて、昨年のこの委員会で、一つの問題提起をやっておきました。当時の野田総務長官は、これは十分検討するということを言っておったのですけれども、私が提起をした問題は、戦争前は、公務員なり地方公務員なり、あるいは公共企業体の職員でなくては、年金とか恩給というものはもらえないということが当然視されておった。しかし、戦後国民皆年金ということになったのだから、そういう事柄については、たとえば公務員であろうとあるいは民間の会社で働いておる人であろうと、あるいは農民であろうと、全部いずれかの年金制度の中に入っている、こういう状態に変わったのであるから、旧軍人にして七年以下の方々についても、共済組合に適用されると同じように、この期間というものを、たとえば田尻年金の期間に通算をさせるとか、あるいは厚生年金の期間に通算をさせるとか、こういうことが必要ではないかということを私は申し上げておったわけです。このことについて、総務長官から、面接に私のほうの担当ではないというお話が当初ございました。きょうもまたそういうお話があろうかと思います。ただ私が旧軍人の七年以下の問題としてとらえるのは、長官も御存じのように、旧軍人恩給法によれば、三年以上の軍歴経験者というものは一時恩給の対象になっておった関係で、現在でも軍人恩給連盟というのですか、そこからはいま七年以上になっておるこの一時恩給というものを、三年以上に直してもらいたい、旧軍人恩給法並みにしてもらいたいという要求があるはずです。しかし、かりにそれが実現をしたとしても、本質的な問題の解決にならない、三年以下の人をどうするかという問題に発展をするであろう。だとするならば、先ほど申し上げましたように、年金制度の中でこのことを解決したほうがいいのではないかということを、厚生省の担当の局長あるいは旧軍人問題を扱っておる――扱っておるというふうに言うのが妥当かどうかわかりませんけれども、均衡をはかるという意味から、これは総理府考えていい問題ではないか、こういうふうに考えて、去年のこの委員会で提起をしておいたのですが、十分検討するというお話がございました。その検討の結果をきょうはお聞きをしておきたいと思うのです。
  195. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 その後私ども聞き及ぶ範囲内では、いろいろ研究、検討はいたしたようでありますけれども、お説明のように軍人恩給の面で直すということになりますと、一つは、これはおもに財政上の理由も大きくありますし、それでなくとも旧軍人恩給は非常に額が大きくなってきておりますので、必ずしもそれでも十分でない。こういうことで戦没者の遺族、あるいはまた戦傷病者、あるいは老齢者、さらに長期に勤務せられた方、こういう方面に優先をいたしまして、お若い方にはがまんを願うというようなたてまえでやってきておるわけでございます。ただ、昭和三十六年から、御承知のように、戦務加算といいますか、それが新しく加りましたので、七年未満の方でも相当数が年金恩給の対象なってきておりますが、これを国民年金のほうにということになりますと、これは私のほうの担当でなくて、やはり厚生省の領分でございますから、厚生省のほうで御研究をいただいたことと存じますので、必要があればそちらのほうからひとつお聞き及びを願いたいと存じます。
  196. 植木庚子郎

    ○植木主査 吉村君に申し上げますが、だいぶん時間が超過になりましたから、なるべく簡潔にお願いします。
  197. 吉村吉雄

    吉村分科員 わかりました。厚生省のほうからも答弁を得たいと思うのですけれども、はしょっていく意味で申し上げますが、私がこの問題を提起しているのは、皆年金のもとにおける問題の処理のしかたとして一つは提示をしておる。一つは、旧軍人の団体である軍人恩給連盟のほうから、三年以上の軍歴者についてはという問題提起がなされておる。こういうことを聞いておりますから、どちらにしましても後者の場合には本質的な解決にはならぬだろう、こういうふうに考えて主張をしてきたわけですけれども、いまの長官の答弁からいたしますと、この旧軍人の三年以上の人たちについて一時恩給の制度を復活さぜるというようなことはきわめて困難である、こういうふうな答弁と理解をしてよろしいですか。
  198. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 現在のところ私のほうはそのように考えております。
  199. 吉村吉雄

    吉村分科員 そういうふうになってまいりますとなおさらということになるわけです。厚生省の年金局長お見えになっておりませんけれども、年金課長、あなたは去年の委員会で、ここにおいでになって、私の質問に対して十分検討をするということを言って帰った方です。私が一番問題にしておるのは、官尊民卑のものの考え方が今日社会保障制度の中にもあるということを問題にするのです。旧軍人の七年以下の人たちをどうしろという問題よりも、いま私が申し上げたような官尊民卑の考え方というものを何とか打破しなければならない。御存じのように、国民年金の加入者というものは非常に多くが農民なんです。それから一般自営業者です。それから民間の会社、工場に働いておる人、こういう人たちについては、同じ七年以下の人といえども、その所得保障制度の中にその期間というものは何らの措置をされていないのです。官公庁だけがその措置をしているのです。したがって、社会保障制度の上から見て、これはきわめて差別的な扱いになっているといわざるを得ないと思うのです。ですから、皆年金の状態になった今日のもとにおいては、そういうようなことのないように、不均衡のないように処置をしていくという態度をもって臨んでいく必要があるのではないか。したがって、そういう立場に立って検討をするということでございましたけれども、厚生省と総理府のほうでいろいろ相談をされてどういうふうになっているのか、現在の作業の状況はどうなのか、あるいは今後の見通し等は一体どうなのか、これをお伺いをしておきたいと思うのです。
  200. 曽根田郁夫

    ○曽根田説明員 お答えいたします。昨年先生の御質問に対して年金制度の通算問題については、いずれにしてもできるだけ積極的に前向きの姿勢で考えたいと申し上げたのでありますけれども、しからば具体的な作業がどこまで進んでおるかという点になりますと、実は率直に言いまして、私どもの立場からいたしましても、この問題は単に旧令共済あるいは軍人関係だけに具体的に問題をしぼるというわけにもまいらない問題がございます。これは端的に、言いますと、現在の通算制度というものが昭和三十六年の四月以降の期間を一応対象にしておる、その問題を些末的にどう考えるか、それからまた、それぞれの制度が発足する以前の期間をどういうふうに見るか、そういう問題にも関連いたしてまいりますので、特定の分野の問題だけを具体的にどうこうというわけにはなかなかまいりませんので、先生指摘意味においては、あまり具体的な作業は進んでおりません。ただ一つだけ、今度この国会に提案いたしました厚生年金の改正の中に、最小限度当面最も緊急を要すると考えられる旧令共済組合の方々で、その後厚生年金に入っておる人でいずれの場合にも年金に結びつかないような人について、厚生年金だけの特例として、その期間通算を行なうという特例措置も講じておりまして、これはそういう意味でいろいろ問題のある点でございますけれども、一応そういう踏み切り方をいたしました。その後これに類似したような問題がいろいろとまた出てくると思うのですけれども、逐次積極的な方向で考えていきたい、そういうふうに考えております。
  201. 吉村吉雄

    吉村分科員 どうも時間がございませんから、これ以上話を進めてみてもしようがないと思うが、ただ私が申し上げたことはよくおわかりだと思います。農民なるがゆえに官庁の人たちと差別待遇を受ける、こういうようなことがいまだに残っておる。これではやはりうまくないと思いますから、そういう点を解消していくような心がまえで検討を続ける、そういうような方向がきまれば、あとは財源的な問題だけになってくると思うのです。したがって、財源上の問題は、一般の国民がこういった問題をいろいろわかってくれば、当然そうあるべきだ、みんな平等であるべきだということになれば、そう摩擦なく実現ができると思うのです。政治はそういう姿勢が必要だと思うのです。農民なるがゆえにとか、あるいは民間の会社、工場につとめているがゆえに、官公庁の人たちより差別扱いを受けるのが当然だというようなものの考え方が残っておったのではいけないと思う。あるいはまた厚生行政、所得保障制度のあり方から見て、そういう封建的な残津をそのまま制度のしに残しておくということも誤りだと思います。したがって、特にこの点はまだ十分の検討は進んでいないというお話でございますけれども、厚生年金保険法の中にちょっぴりこういうような芽が出たということも、私は承知しております。私の希望するのは、もっと抜本的な立場からやってもらいたいと思いますけれども、その芽を伸ばして、そして私が申し上げているようなことについて、近い将来に実現をする方向でひとつ御検討を願っておきたいと思うのです。それから先ほどの恩給法上の問題と援護法上の問題については、恩給局長が、現在の法律がそうなっているからやむを得ない立場に立って答弁をされていることは、私はその立場は了承をします。しかしその適用を受ける国民の立場からすれば、とうてい納得できる問題でない、こういうこともおわかりになるだろうと思いますから、そういうような点については、同じような問題について異なった法の適用を受ける、それによってまたえらい損失をこうむる、これをそのまま残すことのないような法の改正あるいは解釈の統一、こういうようなことを十分配慮をしながらやっていただきたい。これは数の問題では私はないと思う。やはり立法上の問題だというように考えますので、特に重視をして申し上げておるわけでございます。そのことを最後に強く要望をいたしまして、私の質疑を終わります。
  202. 植木庚子郎

    ○植木主査 安宅常彦君。
  203. 安宅常彦

    安宅分科員 私は、行政管理庁の所管の問題ですが、国の行政監察の問題についてちょっとお伺いしたいことがあるのであります。行政監察をやっておる場合に、重要事項報告であるとか、その上のいろいろな段階――末端の監察局から本庁に対して、監察の結果いろいろな事件があると認定された場合に報告をする、その報告に基づいて、いろいろな処断をするというか、処置をする。こういう種類について三つばかりあったような気がするのですが、どういう種類のものがあるか、ちょっとお伺いしたい。
  204. 山口一夫

    ○山口政府委員 お答えいたします。行政管理庁の業務といたしましては、監察につきましては、中央計画と称しておりますが、中央において計画をいたしまして、通常全国の管区監察局並びに各府県にございます行政監察局を動員いたしまして実施いたします中央計画と、そのほか各管区監察局あるいは地方監察局限りにおきまして実施いたします地方監察と申しておりますが、地方限りの監察、この二つが監察としては通常実施している形でございます。
  205. 安宅常彦

    安宅分科員 あなたのほうの山形の監察局というのですか、そこでは、この前ちょっと私あなたに聞いたことがあると思うのでありますが、昭和三十八年の十二月十四日に、行政に関する重要事項報告書というものを出しておるはずであります。それは御存じなわけでありますね。そしてその重要事項報告というものは、何か部内同士の報告であって、これに対して、その報告に基づいて本庁が何らかの措置をとるとかなんとかいうものではないというような答弁が前にあったような気がするのでありますが、そのとおりなんでありましょうか。
  206. 山口一夫

    ○山口政府委員 先ほど御答弁いたしました中央監察あるいは地方監察を実施してまいります上に、行政管理庁といたしましては、絶えず全国各地の行政上の動きにつきまして把握しておく必要があるわけであります。したがって各地方に起こりました行政上の問題で、特に重要と認められますものにつきましては、地方あるいは管区の監察局から中央に対しまして、ただいまおっしゃいました重要事項報告という形で随時報告を受けております。この報告を検討いたしまして、特にそのうち必要と認める問題、あるいは全国共通にあるような大きな問題等につきましては、将来の監察を実施いたします場合の検討の材料にいたしております。
  207. 安宅常彦

    安宅分科員 実は昭和三十八年十二月十四日に、あなたのほうに山形の行政監察局から出した報告書というものは、山形市の北部開発商会というところと、山形交通株式会社という会社が、山形県と宮城県の境にある蔵王山頂付近にリフトをつくる問題について、両者が競願をした形になり、そのいきさつについて行政指導上誤りがある。あるいはまた、その行政のしかたそのものに誤りがある。こういう報告を中心とした報告書でありますが、今日この問題がたいへん大きな問題になって、ちょうどおととい山形営林署庶務課長石田何がしという人が逮捕をされて、その以前に法務省の職員、山形の法務局でありますかの法人係長、それからやめられた前の法人係長二人、それから営林署関係では庶務課長だけではなくて前の管理官でありますか、それから担当区の主任、こういう人がそれぞれ任意出頭あるいは逮捕され、留置をされたこともあるわけであります。こういう問題に発展をしたのでありますが、私は去年のちょうど予算分科会の当時、そういうことになるのではないか、非常に重要な問題だから、この問題については何らかの措置をすべきである、こういう主張をしたのでありますが、あなたのほうでは、両方とも何かいきさつはあったけれども、許可になっておるからこの問題についてはこれ以上たいしたことはないと思うという意味考えから、それ以上の措置はとらないつもりだ、こういうような答弁があったのであります。しかし、現実にそういうふうに問題が発展をしておりまして、そのために山形県と宮城県の県の境が移動した、移動しないというので大騒ぎをしております。こういう問題にまで発展をした以上、山形の行政監察局はあなたのほうにその後の報告、したがって何らかの行政監察の措置をするための指揮を求めるのが行政監察当局の当然の措置だと思うのでありますが、そういう報告はきておりますか。また、きた場合にはどういう措置をしますか。あるいは全然きておりませんか。この問題についてひとつ御答弁を賜わりたいと思うのであります。
  208. 山口一夫

    ○山口政府委員 その件につきましては重要報告として本庁に報告をしてまいります前に実はもう一つ過程があるのでございまして、山形行政監察局におきまして、当時二つの会社の一方から苦情相談という形でお話があったのでございます。この苦情相談と申しますのは、先ほど申しました中央監察、地方監察のほかに、行政管理庁設置法に基づく業務といたしまして、監察ではございませんが、行政上の問題について民間で苦情があった場合に、その苦情を承って民間と役所の間のいざこざのあっせんをするという業務でございます。この業務の一環としてのお申し出があったのでございますが、その件につきましては昨年も御答弁いたしたかと思うのでありますけれども、お申し出のありましたすぐあとで、このことが新聞等を通じまして外部にかなり広く知られ、また、その結果かと思うのでございますが、当時希望しておられました免許、認可等の事務がそれをきっかけにして一応進行したというような事態がございまして、お申し出になりました会社においても苦情を取り下げるということになりまして、その結果を重要事項として本庁に報告してまいったのであります。したがって、報告は受けましたが、事件そのものは、苦情相談の事件といたしましてはすでに解決をしたものというふうに当方では考えていたのであります。さらにその後この議場における御質問の中に、その事件が苦情相談の問題とは別に、裁判上の問題として別途検察庁のほうに手続がとられておるということを承りましたので、事件そのものの処理につきましてはすでにそのような措置がとられました以上、行政監察局といたしましてはむしろそちらの調査なりあるいは検察当局の取り調べに譲りまして、その推移を見守るという態度をとっていたのであります。それらの経過につきまして、昨年の九月でございましたか、行政監察局から、あらためてその後の経過として、特に行政監察局としては別段の措置はとっておりませんが、その後こういう状態であるという報告は引き続き受けております。
  209. 安宅常彦

    安宅分科員 前の報告並びに昨年九月の報告ですね。この中に、この問題に関して金品が動いておるという内容を含んだ報告だというふうに私は理解しておるのですが、そういう項目があったというふうに理解してよろしゅうございますか。
  210. 山口一夫

    ○山口政府委員 報告の内容は……
  211. 安宅常彦

    安宅分科員 時間を損するから内容は一々言わぬで、端的に言ってください。
  212. 山口一夫

    ○山口政府委員 いま御発言の中でちょっと聞き漏らした点がございますので、あるいは重ねてお尋ねいただきたいかと思いますが、報告の内容は、その後こうなっておる、特に検察庁のほうからこの事件の捜査について協力してもらいたいというお申し出がございまして、それについては協力することにした、さらに協力の一環といたしまして必要な書類の提出を求められたのでございますが、これも検察当局から正規の権限に基づいて要求があったものでございますので、山形といたしましては中央の承認を得てそれを提出したのであります。その経過を昨年の九月こちらに報告してまいりました。
  213. 安宅常彦

    安宅分科員 金品が動いた。そういう報告が、両者の報告のうちにはそういう趣旨の文章が書いてある、こういうふうに私は理解しておるがそのとおりか。
  214. 山口一夫

    ○山口政府委員 地方からの報告は、ただ検察当局に対して計数を提出したということだけで、その後の動きの内容、特に金品の授受等の問題につきましては全然触れておりません。
  215. 安宅常彦

    安宅分科員 それは事実でしょうか。私はそういうふうに聞いておりません。それでこの問題はあなたのほうであまりお隠しにならないほうが将来のためにいいのですが、大体検察当局が動いたから――検察庁に手続がとられたとあなたは言いましたが、検察庁に、手続をとった者はだれもおりません。警察も手続をとっておりません。検察庁みずから動いたのであります。よろしゅうございますか。ここに問題がある。こういう許認可の事務、そういうものは行政の分野であります。それからこの問題で一番大きな基本的な問題になっておるのは、そこが山形県の土地であるか宮城県の土地であるかという、県の境の問題があります。これは自治省に毛関係があるでしょうし、リフトそのものを許可する運輸省の権限の問題もあります。それから国有林を貸与する、あるいは下付する、こういう農林省の権限にも属する問題があります。すべてこれは行政的な措置でありまして、行政と検察当局などのいうそういう動きというものはまるきり次元の違ったものであります。でありますから、そういう手が行政の分野に及ばないようにするのが国家公務員たるあなた方の任務ではありませんか。行政部門を担当しておる国家公務員の任務ではありませんか。そしてその報告を、去年の予算分科会では、あなたのほうの長官でしたかあなたでしたかちょっと忘れましたが、重要報告書を出します。こういうふうに答弁をしておるのですが、私のところにきたのは要旨だけであります。その報告書を検察庁には成規の手続で出しておる。そうなればこれは議会側にも出してもらわなければ困る。要旨だけでは困るのです。報告書全文並びに昨年九月の報告も提出してもらいたい。これは主査、ぜひそういうふうに措置をしていただきたいと思うのです。どうですか、主査
  216. 植木庚子郎

    ○植木主査 山口局長に尋ねますが、お渡しできますか。
  217. 山口一夫

    ○山口政府委員 検察庁から要求がありまして提出いたしましたものは、国会で問題になって、国会委員会のほうに、提出した書類を出してもらいたいということで、こちらに出しましたものを向こうに提出したのでございまして、内容は同じでございます。
  218. 安宅常彦

    安宅分科員 昨年九月の報告も、それではあわせて提出できますか。
  219. 山口一夫

    ○山口政府委員 九月に山形地方局から当方に参りました報告、これは内容は先ほど申したのと同じでございますが、委員会から御要求がございますれば、写しを提出いたしたいと思います。
  220. 安宅常彦

    安宅分科員 ただいまそういう答弁がありますから、昨年九月の報告書を提出されるよう、あなたからひとつお手配を願いたいと思います。
  221. 植木庚子郎

    ○植木主査 わかりました。
  222. 安宅常彦

    安宅分科員 それでは、どうも林野庁の特別会計というものはまことにずさんな点があまりに多過ぎるのではないか。国有林の払い下げ等、いろいろ今日問題になっております。したがって、この問題について、林野庁の方どなたか来ておられるようでありますが、二つばかり伺いたいのであります。  あなたのほうの専用の電話線がありますね。ところがその電話線が事業所が廃止られたり担当区がなくなったりするために、その通信線が必要でなくなった。こういう場合に、これは当然、林野庁の予算に、電話線の架設の予算並びに撤収の予算というものは組まれておると思うのでありますが、どういうふうになっておりますか。
  223. 筒井敬一

    ○筒井説明員 お答えいたします。  それぞれの事業所と担当区との間の電話線の開設あるいは撤去、こういうのは予算で組んで処置するというのがたてまえになっております。
  224. 安宅常彦

    安宅分科員 これはたてまえという話でありますが、これは電電公社でもどこでも同じでありますが、電話を架設するときは架設の国原予算が当然つく。それから撤収する場合も当然撤収の予算がついているはずであります。林野庁はたてまえであって、つかない場合もあるのでありますか。どうですか。
  225. 筒井敬一

    ○筒井説明員 私が申し上げましたのは、設置の場合と撤去の場合とを両方込みにして申し上げましたわけでありますが、設置の場合、架設の場合は予算でやることになっております。撤去の場合には、場合によりましては撤去費をもって撤去する場合もございますし、またその現地において処理するということもあるわけでございます。
  226. 安宅常彦

    安宅分科員 現地において処理するというのはどういう方法がありますか。一種類だけでありますか。
  227. 筒井敬一

    ○筒井説明員 現地において処理する方法といたしましては、撤去するという形でございますが、国有財走法でも認められております撤去の方法もあります。そういう形で、現時点におけるその場におきますところの所有者なりあるいは関係者等の承諾を得て撤去の処置をとる、こういうことが国有財産法上も認められておるわけでございます。
  228. 安宅常彦

    安宅分科員 どういう意味か、ちょっと私はわからぬのでありますが、当然予算はついておると思うのですね。そんな財政の組み方はないと思う。今年度の予算はついていない場合もあるのでありますか、撤去の場合の予算というのは、国家予算の中の、あなたのほうの林野庁の予算の中には全然含まれてないというような予算が組まれておるのでありますか。きょうは予算分科会ですから、私はそれを重ねて聞いておくのであります一が、どうですか。組まれていないのはおかしいじゃないですか。
  229. 筒井敬一

    ○筒井説明員 お答えします。財産処理費といたしまして組まれております。
  230. 安宅常彦

    安宅分科員 それで、あなたのほうではいわゆる現場放棄というやり方をやっておられるのですね。通信線の現場放棄。この現場放棄のためにたいへんなことが起きているのです。山形県の新庄営林署管内で電話の柱並びに線を現場放棄した。現場放棄をしたところが、私が聞いていたら、説明としては、その柱は農民にくれることになっておりますと、そういう農民の承諾瀞を取ってあります。こう言うのです。その承諾件を見たら、くれるという承諾帯じゃないのですね。私らのほうでは以後使用しなくなったから、電柱があなたのたんぼに建っておる補償を今後何月何日以降交付いたしませんという、電柱が建っているがゆえにたんぼを一使った補償金を今後支払わないぞという約束だけの判こを取ってあるのです。そうしますと、その電話の柱と線というものはどこのものだかわからなくなるわけですね。かりに百歩譲って、それが農民に下付されたものだ、払い下げられたものだといっても、柱はいいでしょう。ずっと柱ごとに伝わっている電線はだれのものになるかわからないでしょう。柱と柱の間か、たんぼのあぜ道を中心としてぱつんと切って、右はAという農民に、左のほうはBという農民に払い下げるなんということはありませんね。大きな川が流れている。川と川の端っぽに電柱がある。その間を走っている電線は、その河川が国の管理の河川ならば、国に下付したのか、県に下付したのか、それもわからない。そういう状態。そのためにその電線がたれ下がってしまって、いつの間にか切れて、そこを更北電力の高圧線が通っている。そのために、それにぴったとくっついておったものですから、たれ下がった線の端っぽが川の中にぶら下がっていたわけです。そんなことを知らないものだから、そこで子供が水泳しておったらびりびりときて二人死んでおるのです。そしてその補償は、営林署に行っても、それはすでにわれわれの国有財産ではないから、現場放棄したものであるから責任は負えません。東北電力では、私のほうではちゃんと保守をやっていたつもりですが、少しは手抜かりがあったでしょう、わけのわからぬ線がくっついておったのですから。申しわけありませんけれども、私のほうではきちっとしておったのでありますから、責任は林野庁にあるはずでありますというので、子供が死んだのに何らの補償が出ていないのです。二年も過ぎております。それでその農民は二人とも民事訴訟を起こしておる。そうしたら営林署からは、なるべくそういうことをしないでくれというのでいろいろな、悪く言えば圧力といいますか、かかっておるのです。こういうのは、現場放棄した場合には、それはだれの責任になるのですか、どうですか。
  231. 筒井敬一

    ○筒井説明員 お答えいたします。  現場放棄の場合は、今度の特に新庄の場合におきましても、現地におきますところの利用者、所有者と申しますか、土地所有者の利用価値もあるというようなことも考慮し、また当方でも撤去に対しまする経費等考えました場合において、それよりもむしろそういうような利用価値もあるし、土地利用者、土地所有者のことも考慮いたしましてそして撤去をする、こういう形もあるわけでございます。したがいまして、撤去の関係で申しますならば、それによって一応法律的には国のものではないという形になるわけでございまして、(安宅分科員「だれのものです」と呼ぶ)それはその土地所有者の処理にまかしていいものであると考えておるわけでございます。
  232. 安宅常彦

    安宅分科員 土地所有者に払い下げますという文書も出ておりません。かりに出ておったとして毛、それでは柱はなるほどそういうへ理屈もつくかもしれぬけれども、柱間を走っている電線は、どこからどこまでがだれに、どこからどこまでがだれにという配分をしているのか。川のまん中を走っている線はだれに払い下げたのか、それはどうです。
  233. 筒井敬一

    ○筒井説明員 電線の問題の、その所有と申しますか、配分と申しますのは、まずこれは普通常識的に考えるべきものだと思うのでありますけれども一つの方法としますれば、いま先牛のおっしゃった所有地の上を、大体その人に渡すというやり方もありましょうし、またその所有者ごとの間において半分に分けるという方法毛あると思うのでございますが、これは一つの常識的な考え方というふうに考えられます。
  234. 安宅常彦

    安宅分科員 川のまん中はどこだ。
  235. 筒井敬一

    ○筒井説明員 川のまん中のやつも、これはどこに所有するかということも、それは電線でございますから、つながっておるわけでありますから、それは、先ほど申しましたように、下の土地所有者によって分けるという方法もございましょう。また、その電柱の建っておる所有者で話し合って、半分にするとか三分の二にするとかいうような方法もあるのではないかと思います。
  236. 安宅常彦

    安宅分科員 そんな答弁じゃだめだよ。あなた新庄の営林署管内で起きたものはという前提に立って答弁しておるようですから、こまかくなりますが、新庄の場合には、はっきり言いますが、何のたれべえ、安宅常彦あるいはあんたというふうに指名して、そして払い下げますという書類は出てないのです。今後補償料を支払いませんというものに判こだけ押させているのです。いいですか。そうした場合にだれのものです。だれも所有者はない。百姓だって、めんどうくさいから、そんなもの補償料払わないと言われただけだから、ああ今度払わないんだな、払わないくせになぜおれのところのたんぼに柱建てておくんだとむかっ腹立てておるか知らぬけれども、どこのものだかわからないのが建っておるのです。三分の二はなんといったって、相談してやれといったって、農業協同組合に払い下げるというんだったら、それはやっぱり農業協同組合の役員が、たろべえには半分とか、ごろべえには三分の一とか、大きな川のまん中のやつは、これは県になるか私は知りませんが、これは県に針金十間ぐらい払い下げたって、県だってこれはめんどうな話で、そういうことも書いてないんです。書いてない。もし書いてあったとしても、その川のまん中の子供を死なせた線はだれの所有物かと私は聞いている。そういうことをやった場合には、当然あなた方の責任になるのではないか。責任になるかならないかだけ答弁してください。
  237. 筒井敬一

    ○筒井説明員 ただいまのお話は、先ほどお話がありましたように、現在東京地方裁判所で、国と、なくなった方の両親との間で、訴訟をいたしております。いま先生がおっしゃる問題は、現在まさに訴訟の係争中の問題点になっておるわけでございます。私どもも、法律的にはこれはいろいろ問題があると思いますが、道義的にと申しますかにつきましては、これは非常に申しわけないことであった、こういうように考えておるわけでございます。
  238. 安宅常彦

    安宅分科員 こういう撤去の財産処理費として当然予算に組まれているのでありますから、あなたのほうは、国原予算として議会が審議して、そうして当然予算としてつけたものを、義務を履行しないで撤去しなかったということになるわけですね。そういうことは今後しないということを、あなたここで言ってもらわなければ困ります。それは人が死ぬ場合もあるでしょうし、そのために何かひっからまかっていろんな事故が起きる、こういうことは当然あると思うのでありますが、こういう現場放棄などというまことに人命を無視したみたいなことは、今後はしないということをあなたここで言明してもらいたい。  それから、私が言ったように、法律上、その新庄営林署管内の問題は訴訟が起きておりますが、農民からは、補償料を今後払いませんという書きつけに判こを押させただけ、つまりあなたに払い下げをいたしますという件数はない。こういう場合には、その国有財産というものはだれのものになっているかということだけはっきりここで答弁してください。  この二つ。これは新庄に限っておりません。一般論です。払い下げます。安宅常彦に払い下げますといった場合には、そうですが、ありがとうございますと、こっちが判こを押したら私のものになります。しかし、今後補償料を払いませんという書類しか私がもらってない場合には、私のものではないと私は思いますが、そのとおりであるかないかだけをここで答弁してください。
  239. 筒井敬一

    ○筒井説明員 第一点の、人命にかかわるような問題、あるいは工作物等につきまして、今後撤去というような方法で現場で放棄するというようなことはいたさないようにいたしたいと思います。  それから第二点の問題でございますが、これは新庄の場合に例をとりますと、これは実は……(安宅分科員「例はとらないで、払い下げるということがない場合はだれのものかというのだ」と呼ぶ)今度の場合におきましては、現地の土地所有者から、請書におきまして、異議がない、こういうことと、利用料を取らない、こういう二点の承諾書をちょうだいしておるわけです。(安宅分科員「そんなことはありません、私は書類を署長と会って見てきたのだから」と呼ぶ)それは事実問題でありますから、ここで私どもどうこういうことはございませんけれども、私どもが持っております請書には、廃棄について異議がないということと、その使用料については請求しない、この二点が書いてあります。
  240. 安宅常彦

    安宅分科員 私もそのことに時間をとろうと思わないのだから、これははっきり言ってくださいよ。請書という、いまあなた言明したとおりに、廃棄に異存がないということ、したがって補償料は受け取らないということ、これだけに判こを押しているのです。それらの判こを押した人のものになるという請書はない。いいですか。そういうことなんですよ。そうしたら、だれの財産かというのです。営林署は廃棄したわ、土地の人はもらってないわ、そうしたら宙ぶらりん、幽霊の電線が張ってあるということになる。そんなことは今後しないとあなたが、言うから、私は安心いたしましたがね。これはあなたがいま説明したとおり、新庄の例だってそうなんです。廃棄に異存はない、それから補償料は払わない、わかりましたと判こを押したのです。したがって、それはおまえさんのものだという主観的な解釈をあなたがしたのにすぎない。そういうことになった場合の国有財産の処理というものは、そういう主観的な解釈というものは、財政法上あるいは国有財産に関するすべての法律の節何条によってあなたはそういう解釈をするのか、私はここではっきり聞いてみたいと思う。
  241. 筒井敬一

    ○筒井説明員 法的な根拠としましては、国有財産法第五条によりましてやっておるわけでございますし、同町に、国有財産法施行細則第八条によりまして撤去の処置をとっております。
  242. 安宅常彦

    安宅分科員 きょうは分科会ですからね。そういうことをしない、予算がついておるのにあんなでたらめなことをしない、こう言っただけでもうこの予算分科会の任務を終わっておる。したがって、私はそれ以上きょうはつかない。しかしあなたの解釈はとんでもない解釈です。そうでしょう。あなた自体がそういうことを言っておるのです。A、B、C、D、十本だったら十本の柱というものは、あなたに交付するとは書いてない。請書を取っておるのは、廃棄するということを了承してもらいたいということと、したがって補償料は今後払おないぞということを了承してもらいたい、これだけの請書しか取ってないのですよ。そうしたら、だれのものだかわからない。それで人が死んでもおれは責任がない、こんなばかな話はありません。絶対ありません。この問題については、あとで私らのほうで別な機会に処置をいたします。  それで、そういううなことを林野庁というものはやっておるということで、私は非常に疑義を持っておったところが、いま行政監察局長が、言ったように、両者の競願の問題にからんで、あなたの部下がたくさん逮捕されておる。この問題については報告がきておると思うのでありますが、なぜ逮捕されたか。公文書偽造、私文書偽造並びに行使、こういうことで営林署の庶務課長がおととい逮捕されております。こういうことになりますと、非常に問題が重要でありますが、このリフトを許可しないがために、林班界をかってに移動させた。私は三十八年の五月ごろ、私の当時私設秘書がわりに使っておった橋本という男をあなたのほうに派遣して、蔵王山頂付近の、林野庁にある林班界の、原図というものをもらっているのです。ところが山形営林署で県側に示し、林班界はこのとおりになっているから、したがって県境もこのとおりであるのがほんとうではないかという意味に、言ったそのときの地図とは、たいへん違っておるのでありますが、そういう林班境を測量した結果変わったというときには林野庁の許可を得なければならない、認定を得なければならない。林野庁はそれを国有財産の審議会でございますか、大蔵省関係になりますか何かにこれは国有財産法によって報告して、学識経験者などで構成、するそういうところで審判をして、そして最終的にきまると私は理解しておるのでありますが、山形営林署では頑強にこれが正しい林班界である、背からの林班界である、こういうふうに最初主張しておったために問題がこじれたのであります。それが昭和三十八年六月中に測量されておる。しかもリフトを許可してもらいたいという申請があった場合には、その営林署長は、これは山形県の側ではなくて宮城県の側になっているからということを測量変えしないうちから、許可申請を出したものに発給をしておるのであります。そうするとこれは国家公務員としてたいへんあるまじき行為をしておった、こういうことになると思うのでありますが、まず一つ質問は、林野庁にある原図といま山形営林署が主張している林磁界の原図とは違いがあるのかないのか、違いがあるとすればあなたのほうではこれに対する措置をどういうふうにしたか、これをまずお伺いしたいのであります。
  243. 若林正武

    ○若林説明員 お答え申し上げます。  境界の保全の問題につきましては、これは林野庁でなくて営林局長の権限になっております。したがいまして報告その他はまいっておりません。
  244. 安宅常彦

    安宅分科員 いろいろ問題があって、庶務深長が逮捕されたという報告もありませんか。
  245. 若林正武

    ○若林説明員 庶務課長が逮捕された件につきましては、一昨日報告を受けております。
  246. 安宅常彦

    安宅分科員 そうすればその土地にある担当区の主任をしておった者が逮捕される、監理官が逮捕される、こういうときにも報告があったと思うのでありますが、県境の問題で私は聞いているのではない、林班界を変更したときの話を聞いておる。林班界をこのとおり変更しました、測量変えしました、この結果こうなりましたという報告はありますか。それからそれにからんでこういういろんな逮捕者が出ておるということの報告がありますか。その点をお聞きします。
  247. 若林正武

    ○若林説明員 お答え申し上げます。  今回秋田営林局におきまして検測を実施いたしましたのは、北都開発から申請の出ておりますリフト敷地が山形営林署及び白石営林署向暑にまたがるというふうなことで、境界が不明瞭であるというふうな問題もございまして検測をいたしたのであります。これはあくまでも明治三十七年に当時の宮城大林区署が測量いたしました測量成果というのがございまして、これをもとにいたしまして現地にその測量成果の再現をやったというのにすぎないのでございます。それによりまして、したがいまして林班界を動かすというふうなことにはなっておらないのでございます。
  248. 安宅常彦

    安宅分科員 あなたのほうに報告では林班界を動かしていないという報告だそうでありますが、検察庁は二十四号の標識並びに二十八号の前の標識を確認しております。新たな標識が立てられたということを検察庁は認めている。私自身が昭和三十八年の十月に行っております。あそこは工コーラインという新しい道路がつくられた。それでエコーラインのここからは山形県でここからは宮城県だ、こういうふうに標識が立っておったのでありますが、あなたのほうで林班界を動かしたとたんにその標識が抜けて別なところ、二十五メートルばかり移動しているのであります。これは非常に重要なことだと思って、去年の予算分科会で私は、それはおかしいじゃないかと言った。ところが同じような答弁であったわけですが、いまあなたの部下が検察の、手にかかってもまだ林班界を動かしたということを認めないのでありますか、どうなんですか。
  249. 若林正武

    ○若林説明員 これは林班界を動かしたということではないのでございまして、先ほども申し上げましてたいへんくどいお答え。でございすが、測量成果そのものを現地に再現をやったということでございます。ただ、いまお話のございました境界標の移動の問題につきましては、検測をやりました結果、二十八号の標柱といものの位置が、従前のが若干今回の検測をやりました点と異なっておったということで二十八号の石標を動かしたという事実はございます。
  250. 安宅常彦

    安宅分科員 二十四号の標識というのはもとのまま立っております。そうして林班界は別なところを今度新しく測量した結果通っております。そうしますと動かしたか動かさないかは別として、測量の成果がそうなった、したがって林班界は動いたということになる、動かしたかどうかは別として違ったということになる。林班界がこのように前のやっと違っておったという場合には、これは当然林野庁の承認を求めなければ、営林署限りでかってにそれを処置することはできない、こういうふうになっていると思うのですが、あなたのほうに、そういうふうにしてもらいたい、こういうのがほんとうですという報告がきて、あなたのほうで決裁をしておるかどうか、承認をしておるかどうか、それをお聞きしたい。
  251. 若林正武

    ○若林説明員 さような報告はまいっておりません。
  252. 安宅常彦

    安宅分科員 では自治省の振興課長さんでありますか、これは行政局長を呼んだので、振興課長の権限じゃないと思うので困るのですが、あなたは自治省のお役人でありますから、常識的にこれは国定公園、いろいろな問題のときに問題になると思うので知っていると思うのですが、県境が主体になって林班界が大体きまる、林班界が動いたたびに県境が動くということはあり得ない、これは当然のことだと私は思うのであります。そのとおりでありますか。そうしてその場合に山形県の当局が山形県の議会に対して、林班界と同じだというふうに答弁をしたりして問題になっておる。これに対してあなたのほうで調査なりされたのか、あるいは事情を聞いたのか。その場合に山形県の主張する、議会で主張したそういう言い方というものは、自治省としてそれは正しいものと承認をしておるかどうか。それをあわせてお伺いをいたします。
  253. 森清

    ○森説明員 お答えいたします。いま県境と申されましたが、法律的に申しますと市町村の境界であろうと思います。市町村の境界につきましては、従前の境界の例によっておる、たとえばそれが具体的にどこを走っておるかということについて現実に物理的に確定されたところもありますし、あるいはそれが現実には確定されておらぬ、抽象的にはそこに境があるという場合もあるわけでございます。紛争が起こりますともちろんそれを具体的に確定していかなければならない。確定されるときには、いま言われたような林班界であるとかあるいはその他の古い地図であるとか、従前のものでございますからそういうものを確認する一つの手段としてそういうものを用いることがございます。
  254. 安宅常彦

    安宅分科員 これは上山市が市当局も議会も一致していま林班界が宮城県側であるというふうに主張しておるんですね。宮城側の白石営林署管轄である、こういうふうに今度言い直した。その部分は古来上山の管轄であって、村道その他を建設したこともあり、予算もつけたことがある、隣の七ケ宿村もそのとおりだと異議を申しはさんだこともない、こういうふうになっておるのでありますが、そういうときに山形県が議会で答弁したのはそれと違う結果になっておるのですがね、そういう報告は聞いておりませんか。
  255. 森清

    ○森説明員 お答えいたします。法律的には市町村の境界について争論があります場合、一定の手続に従って自治大臣がその責任を持つ場合がございますが、ただいま具体の問題になっておりますことはそういう事情があり、個別にそういう情報を私持っておりますが、それが法律的な問題として提示されておりません。したがって職権を持ってあるいはその他自治省の責任において調査をするということはいたしておりません。
  256. 安宅常彦

    安宅分科員 こういうふうに検察当局が中に入ったり、いろいろ問題があって県議会でもめてみたり、上山市議会でもめてみたりしているときには、あなたのほうで積極的に調査をする、そして確定をする、こういうふうにするのが当然だと思いますが、どうですか。
  257. 森清

    ○森説明員 市町村境界の問題についていろいろ争論のある場合がございます。しかしその争論について、その調整の責任といいますのはお互いの市町村でございます。それについて、そういう争いがひいては白洲運営上に非常に大きな争いになっているというふうな場合については、私のほうもできる限り、それが円満に解決するように事実上の示唆をいたしております。この件につきましても、事実上早く円満に解決するようにいまお話を聞いておりますと、最近の事態の動きについては、実は私も存じておりませんが、昨年十月、十一月ごろの動きまでは事実上報告を受けておりまして、そういうことについては円満に解決するようにということは口頭で申し上げております。
  258. 安宅常彦

    安宅分科員 行政監察局長に、私は要請を含めて質問いたしますが、あなたのほうで出した三十八年の十二月二十四日の報告書ですね、これによりますとこう書いてあるのです。これは林野庁の諸君も聞いてもらいたいのでありますが、「蔵王連峰刈田岳周辺の県境は国土地理院、五万分の一地図にある如く上山市清水から刈田岳山頂に至る登山道に沿って設けられている。この県境について従来何ら紛争もなく、大正十年旧中川村はこの登山道を村道に認定、昭和二十九年、上山市との合併により市道に認定、昭和三十五年、山形県は県道として認定し、これを管理している。」こういうふうになっているのです。その次に重要なことは、「秋山営林局保管林班図によれば、山形、白石、両署境界は県境と喰い違い登山道より約三十メートル山形県内に入っていることが、リフト敷貸付にからんで確認された。林班図がつくられた当時(明治三十七年六月)の林班境は県境と一致していた筈であるから現在の県境は誤りであると山形営林署は主張している。」たいへん僭越な主張を山形営林署はしているのです。よろしゅうございますか。あなたのほうで林班界をはかってみたところが、 明治三十七年のやつよりも違ったことになっているから、したがって県境そのものが誤りであると山形営林署は主張しているということを、あなたの、監察局長の部下が本庁に報告しておるのであります。そのとおりですね。  そうしますと、ここでたいへん大きな問題になってくるのでありますが、そういうことについて報告を受けただけで――林野庁、よく聞いてください。ここの次からたいへんなんです。よく聞いてくださいよ。わからなかったらあとから打ち合わせてくださいよ。そういうことを営林署が主張しておる。けしからぬではないかということをあなたは林野庁に当然申し入れるべきだと思うのです。県境は間違っておるなどということを一営林署長が主張しているという報告があなたのところにきているのでありますから、――自治省も聞いてくださいよ。あなたの管轄圏ですからね。私は山形県の出身の代議士ですから、何か伊達六十二万石からわが最上藩は侵略をされたみたいな気持らなわけだ、ほんとうの話。そんなことは冗談といたしましても、重要なことです。ところがこのリフトそのものを許可する運輸省陸運局は、宮城県の白石営林署の管轄圏にあるはずの地域に施設するリフトを新潟陸運局が許可しておるのであります。これは当然仙台の陸運局の権限である。これはたいへんなことではありませんか。こういうことなんですよ。山形県の新聞は大体ずっと毎日です。これだったらもうNHKの赤穂浪士よりまだおもしろい。たいへんなものです。この日は各新聞みな売れるのです。この山形交通株式会社と相当の関係がある、重役も出しておるという某新聞社だけは全然書かないのです。だからその新聞は売れなくなったという評判まである。こういう暗い影、黒い霧がいま蔵王の山頂には立ち込めている。そういう状態なんです。それで各新聞の論調は、全部その当時、県界があるいは林班界があやふやであったとするならば、片一方の会社には許可し片一方の会社には許可しない理由にして、そうして県界をこっちに動かしたりおかしいじゃないか、山形交通株式会社というものの申請をしたリフトは宮城県側だから仙台陸運局があっさり許可したのだ、北都商会というものが山形県に申請を出したのは、これは宮城県に属するものだ思うから許可しないということを盛んに県が主張しているうちに――ほんとうにはっきりしなかったとあなたは言っているのです。測量してみてはじめてわかったというんでからね。そういうときに陸運局そのものは山形県側と認めて許可している。山形県側と認めなければ、これは当然仙台陸運局の管轄でございますというので、新潟陸運局これをはねるはずだ。はねていない、許可しております。何だかんだ理屈を県や営林署がごてごて言っておりましたが、陸運局は当然のことだといって許可している。こういうことが当時起きておった。したがってこれに関する報告書には別紙がついておって、林野庁等の措置としてはまことに不親切で不当であるという意味報告がきておる。しからば自治省に対して県界は一体どうなっているのか、それから運輸省に対してなぜ宮城県側と思われるところに新潟陸運局は許可したのか、それからなぜ林班界というものがそういうふうに動いたのか、これはまことにけしからぬことではないかということを、行政監察局が何らか運輸省なり農林省、特に林野庁、自治省等に対して協議をするなり、あるいはそれ相当の示唆を与えるなりしておったならば、こういう問題は起きなかったと思います。それをやらないために今度はこんがらかって、これは必ずうしろに何かがあると検察当局が動いたのです。あなたはさっき手続きをとられたと言ったが、そうじゃない、検察局みずからが動きました。そうしてたくさんの国家公務員が逮捕されておる。特に法の番人である法務省関係の山形法務局の法人係長、登記をやっておる男が、前任者と現任者と二人も逮捕されております。そこの会社と別な会社でありますが、これは前に秋田営林局長をやった男が社長の観光会社、この者に特にいろいろな仕事を山形営林署がさせるために、その会社の払い込み株数を変えたり、それからその会社が前から仕事をやっておったように見せかけるための擬装登記をしているのです。そしてばれそうになったら、その登記を今度写しをその会社に出しておきながら原本をまたもう一回偽造して、もとに戻しておるのです。そういうことをしておる。これは明らかに贈収賄、汚職、こういうようなにおいがするということを検察庁がかぎつけるのは当然であります。こういう問題になっておるときに、行政監察局はその後何らの措置もとらないということは職務怠慢ではないか、監察局長どうですか。
  259. 山口一夫

    ○山口政府委員 昨年資料の御要求がありました当時、とりあえず御要求当時の時点における状況につきまして中間の材料を御提出申し上げ、さらにその後最終の報告を取りまとめまして御提出申し上げたのでありますが、中間報告と最終報告の間におきまして、自治省、厚生省、運輸省、林野庁等の関係当局に対しまして照会をいたしまして、当時明らかになっておりました事態につきましては最終の御報告の中に盛り込んで、資料を作成いたしまして提出をいたしました。
  260. 安宅常彦

    安宅分科員 各省と協議をしなかったのですか。
  261. 山口一夫

    ○山口政府委員 照会をいたしましてその結果向こうから回答を受けまして、その回答を中心にいたしましてこちらの最終報告をまとめまして、それを御報告申し上げたのであります。
  262. 安宅常彦

    安宅分科員 行政監察当局として県の境が動いたり、営林署の管轄が動いたり、陸運局が許可するときに、ほかの陸運局の管轄だと思われるところに、林野庁が主張するものが正しければ、許可権を行使したり、まことに複雑怪奇なことが行なわれているということは、行政監察当局としては報告を受けて知っているわけでありますから、そういうことではいかぬではないか、これを明らかにすべきだという何らかの示唆なり、そういうことはやつだかと聞いているのです。
  263. 山口一夫

    ○山口政府委員 たまたま問題が県境に起こりましたために、管轄の関係その他でいろいろ複雑な問題が起こっております。ただこの問題に関連いたしました刑事事件的なものにつきましては、すでに司直の取り調べが始まっておりますので、それにつきましてはそちらの判断を待つということにいたしたのであります。  なお問題の根本は、市町村界がはっきりしないということでございます。この点につきましては、自治省に御照会をいたしましたのでありますが、すでに現地において関係の町村が協力しながら、市町村界の認定をしつつあるということでございます。市町村界につきましては、地方自治法の定めるところによりまして、先ほど自治省から御答弁ございましたように、従来の例によるということがございますから、問題は従来の例がどういうことになっているかという認定の問題であって、したがってその間に行政管理庁として裁定とか、決定とかいう措置に出るべき問題ではないと思っております。ただその両市町村間における認定の問題が、その後順調に進んでおるということでございますので、問題はその結末がつきますれば、おのずからすべて解決に向かうのではないかというふうに考えておりまして、その決定を、認定をただいま待っておるところでございます。
  264. 安宅常彦

    安宅分科員 あなたは市町村の境、県の境、県だけはごたごた言っているけれども、宮城県側の七ケ宿村と上山市というのは、何も県境でもめていないのです。もとのままを承認しているのです。両方とも。初めから順調に進んでいるのですよ、これが一つ。よろしゅうございますか。林班界だけが昭和三十八年六月ころから出てきたのです。それが一つ。それを新潟陸運局が山形県に属するものとして許可をしているということ、これが一つ、こういうことであります。しかも山形営林署というところが林班界を測量してみたらこうなったんだから、県境そのものも昔から間違っておったんだ。いまの林班界でやったことが正しいはずだということを主張している。あなたはそういう報告を受けているのですから、この問題は何も問題はない。林班界が移動されたということについては、私は非常に問題があるので、これはきょう時間がありませんから、こんなところでわあわあ言っているわけにいきません。したがってこれは決算委員会で徹底的に追及します。もっとたくさんの資料を私は持っております。  ただ最後に言っておきたいことは、林野庁の方に言っておきたいのでありますが、山形営林署長は元秋田営林局長をやった水野金一郎という人が社長の林友観光という会社に、特別の株券を増してみたり、それから設立の時期をごまかしてみたり何かして国有地を貸したりしておる。その中に、これは予算分科会だから言うのでありますが、あまりでたらめに使っては困ると思うのです。そういう慣例があるかどうかわかりませんが、山形営林署で国有財産として作業小屋を建てた。作業小屋という目的で建てたものを職員の宿泊所にして、その宿泊所を林友観光という会社にその運営をまかせているのですね。しかも利益的なことをやってはいけないことになっているのに、この林友観光が中で売店まで開いている。そういうことを平気で行なわせる。さっき言ったように電柱はどこに払い下げたかわからない、こういうようなのは一般会計だったら徹底的に糾弾を受けるところなのに、林があまり多過ぎるのかどうか知らないけれども、林野庁の財政、予算の使い方はまことにでたらめなやり方だ。こういうことが現実に刑事問題になっていま明らかになっているのですが、こういう問題は予算分科会だから私、言うのですが、そういう報告はあなたのほうで、いいか悪いかは別として、報告を受けているかいないかだけ聞いて私やめます。どうですか。  それから、そういうことが実際行なわれているかどうかということと、林野庁の本庁にある林班界の原図を昭和三十八年中に、五月ころだと思います。私、きょうその書類を忘れてきたのですが、そのときの原図というものを私持っております。その写しですね。それと現存の山形営林署が主張している林班界とは当然違います。したがって山形営林署はただ主張しているだけであって、あなたのほうに、認定のしかたも何も申請を出していませんから、現在の林野庁の原図というものが正しいのか、林班界が正しいのだ、その線が正しいのだというふうに、あなたのほうでは確認せざるを得ないと思いますが、それほどうなんですか。本庁にあるものが現在の段階においては正しいのだ、こういうふうになると思うのですが、そのとおりかどうか、この二つだけ聞いておきます。
  265. 若林正武

    ○若林説明員 お答え申し上げます。  第一点につきましては報告はまいっておりません。それから財産の貸付その他につきましては、一定の制限以上のものにつきましては別でございますが、これは局長権限になっております。  それから第二点の問題につきましては、林野庁のほうには原図がまいっておりません。ただし経営計画の編成をいたしましたときに、経営計画の付属図面といたしまして、これはたしか昭和三十五年だと記憶いたしておりますが、そのものの図面はまいっております。
  266. 安宅常彦

    安宅分科員 あなたのほうの原図と、それは経営なんかをやったものとかやっていないものとかは別ですが、あなたのほうに今日備えつけてある原図が正しい。なぜかならば、それの変更を求める申請も何もきていないとあなたが答弁したから。山形営林署が主張するものと比べてみたらたいへん違いますから、いま本庁にある原図が法手続上、正しい、こういうふうに理解していいでしょうね、こういうふうに念を押しているのです。
  267. 若林正武

    ○若林説明員 原図の写しが林野庁にまいっているのでございます。したがいまして原図そのものは局にあります。
  268. 安宅常彦

    安宅分科員 わかりました。どうもあなたは逃げていかぬが、林野庁では原図の写しがきているが、その原図を変更せざるを得ない、そういうときには当然林野庁の承認を要するというふうになっているはずですね。あなたのほうで承認していないでしょう、報告も何もきていないですから。だから林野庁における原図が正しいのじゃないか。正しいか正しくないかは別として、あなたのほうにあるのは、秋田営林局からきている原図は二つはないはずです。昭和三十五年でも何でもいいですよ。その後測量し直して、これが正しいのだという報告はまだきていない、こういうことだけは確認していいですね。
  269. 若林正武

    ○若林説明員 お話のとおりでございます。
  270. 安宅常彦

    安宅分科員 わかりました。資料を間違いなく出してもらうように、行政監察局……。
  271. 植木庚子郎

    ○植木主査 永井勝次郎君。
  272. 永井勝次郎

    ○永井分科員 北海道の総合開発計画についてお尋ねをいたしたいと思います。  北海道の第二期総合開発計画は、三十八年度に始まって、今年で三年目を迎えているわけであります。当初計画の内容と、三年を経過した今日とでは、だいぶ計画から離れてきておる、計画の内容と違ったものになってきておる。そういう点で改定を要すべき段階に来ているのではないか、再検討の段階にあるのではないか、こう思うわけでありますが、この点についてどのようにお考えでありますか。
  273. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 よく内容を御承知のことでございまするが、四十年で第三年に入るわけでございます。若干の数字の見通し、ことに政府の道路、港湾、治山治水等の五カ年計画等にからんで、見通しの数字と若干異なる面が出てくるものがある、あるいは人口の増加の見積もり等に変化がある、というようなことは御承知のとおりございまするが、まだ始めまして三年という現在の経過で、計画の大きい、といいまするか、全体としての見通しとしては、これを変更をするというふうな必要がないと考えられますので、二期計、画の弾力的な運営ということでいくことが適当ではないかというふうに現在のところは考えておるわけございます。
  274. 永井勝次郎

    ○永井分科員 北海道の総合開発は独立して計画遂行がされておるわけではなくて、国の所得倍増計画に合わせた北海道のになうべき任務の一環としてこの計画が樹立され、推進されておる、こうしてこの計画が樹立され、推進されておる、こういうふうに考えるわけであります。国の所得倍増計画は、中期計画に内容が改められて、重点がだいぶ変わってきておる。その基本が変わってきたのでありますから、それに合わせて改定をする必要が起こってきておるのではないか、これが一点。  もう一つは、長官からいまお話のありましたとおり、人口問題をはじめ、生産の問題あるいは産業構造の変革の実態、こういったものは当初の計画とはだいぶ変わったものになってきておるのであります。  そういうような点から、一つは外からする国のの計画の変更、一つは計画遂行の過程における内部の事情の変化、実績の変化、こういう二つの面から変革を要するのではないか、変革というよりは再検討を要する段階にあるのではないか、こう私は思うわけでありますが、重ねてお伺いをいたします。
  275. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 御指摘のとおりでございます。しかし、国の倍増計画、あるいはこれに見合いました中期計画にいたしましても、北海道でただいま持っております第二期計画の目的、北海道における社会、経済における近代化に資するための計画的な先行投資という、血では、ねらいはまだ変わってはいないという段階でございますので、若干の数字の動きは弾力的運営ということで考えることがまだ適出であろう、二期計画そのものに変更を加える必要があるかはさらにしばらく検討の上で考えていいのではないか、いまの段階では、方向に変化を生ずるということではないので、弾力的運営という形で数字を若干手直しをするということでよろしいのではないか、というふうにまだ考えておる段階でございます。
  276. 永井勝次郎

    ○永井分科員 それでは、少しく内容にわたって検討させていただきたいと思います。  長官も触れましたが、人口の問題です。人口は、経過を見ますと、自然増だけが計算される。社会増というのはほとんど計算に乗ってこない。三年にしてこれほどの違いがあるのですが、さらに今後はこのシェーレが大きく拡大するのではないか、こう思うわけであります。  そしてまた、道内の中でこれを見ましても、人口の増加している地域というのは、札幌、旭川、釧路、苫小牧、室蘭、こうした都市であり、その周辺である。そして農山村地帯、漁村地帯、こういうところは地帯として減ってきておる。道内においてもこういう人口の移動と変化ができてきておる。こういう一つの問題は、道内においても人口の移動が起こり始まっているのだ。それから、対外的に見ても、北海道の人口の移動というものが大きく動き出してきているのだ。こういうふうに把握すべきだと思うのですが、この点はいかがですか。
  277. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 人口の点はまさに御指摘のとおりで、御承知のように、昭和四十五年には目標は五百八十六万ということに推定を立てておるわけでございます。そういう目標に達するであろうというような、いま人口増加はないわけでございます。しかし、日本の他の部分と比べまして、ふえ方は少ないが、若干ずつは北海道全体としてはふえておるという形はいまとっておるわけでございます。しかし、一応二期計画に見込みました人口の増というものは、おそらく計画どおりに人口がふえる。したがって、そうした意味の労働人口等の入手には予定どおりのものがあるまいという見通しは、残念ながら立てなければならぬと思います。しかし、全体としては、ごくわずかながらも人口はふえておる。そうして、仰せのように、道内においても札幌等に集中をして、いわゆる農村漁村方面は人口がやはり減っておるという、内地全体の一つの型はあらわしておる。したがいまして、これは五カ年計画遂行の上の人口動態としては、若干変わった見通しを持つものしてこれを手直しをして考えていかなければならないということになると考えております。
  278. 永井勝次郎

    ○永井分科員 御承知のとおり、人口の移動が始まっておる。そうしていま長官は量の面、人口の数の面から検討されているわけでありますが、私はそういう平面的な見方ではなくて、もう一枚掘り下げて、人口の移動の質的なものを摘出していかなければいけない、こう思うのです。  北海道における人口移動の質的な変化は、中学卒業生あるいは高校卒業生、こうい若年労務の関係、あるいは若い層がどんどん道外に出かける、あるいは去る。あるいは道内の都市に集中する。そうして北海道、農村には中帯年層が残る。あるいは年寄りと婦人が残る。こういう、人口の数の問題より、質の問題の構造的な変化というものは重視していかなければならない。今後の北海道の開発計画の原動力となる分野でありますので、この点は重視しなければならない。これが今後の産業構造に大きな影響を、持ってくる、構造的な変化を与えてくる、こういうファクターだ、とこう思うのです。  その意味において、人口の質的な変化をどのように評価され、そうしてどのように対応されようとしておるのか、伺いたいと思います。
  279. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 仰せのように、その点は日本全体の非常に心配をすべき人口の流れであろうと思います。北海道もやはり中学卒等の若い働き手が比較的道外に出るという傾向はあるわけでございます。  この点は、しかし、一面において、道内における新産都市の着実な目的達成等により、こうした若い働き手が道内に希望する職場を持つことができるようにするということ、またそれが働いてくれることが新産業都市の目的を達するという、両方、国となり果となるわけでございます。そういう点を考えて、二期計画の遂行、その成果を得るように努力をしていかなければならぬと思います。  この点は、しかし、仰せのようにたいへんむずかしい問題で、十分にその動きの実態に即した施策をとっていかなければならないというふうに考えるわけでございます。
  280. 永井勝次郎

    ○永井分科員 次には、出産における構造的な変革の傾向を見ていかなければならないと思うのです。  農業の面ですが、農業は昨年大凶作を経験した。この凶作を再び北海道にもたらさないようにというような意気込みで、長官も現地を視察されましたでしょうし、国としてもいろいろこの施策を進めてきておりますが、そういう一つの当局の指導なり、当局の願望と、現地で動いておるこの経営の実勢との間には非常な開きができてきておる、とこう思うのです。  たとえば、北海道における水田、水稲耕作、この水稲耕作はできるだけ伸ばさない、凶作の原因になるからというのでこれを縮めようとしておるのですが、実際の状態はどうかといえば、三十五年度に水稲耕作は二十一万六千ヘクタールであったものが、三十八年には二十三万八千ヘクタール、三十九年にはこれが二十四万ヘクタールをこえる、こういうような状態です。しかも、去年の凶作の経験を経ながら、去年の秋からさらにこの水田づくりというものが農村に非常に広く行なわれています。ことに山村のような、畑作としても十分でないというようなところがどんどん水田に変わっておる。こういうふうに、この計画では水田はできるだけ伸ばさないのだという計画のところが、逆にどんどん水田のほうが伸びていっている。この伸びていっているのには、国の農業政策が米に片寄っておる、あるいは共済制度がある、一粒もとれなくても、米をつくった場合は一万二、三千から四、五千円の収人保証がある。畑の場合は、豊作であっても一万円前後だ。こういうそろばんの関係から、一つもとれなくても共済補償を目当てにして水田がふえる。こういう形でどんどん水田がふえてきているわけです。そうして、畑は、これからどんどん伸ばさなければならぬ、寒地農業の確立で伸ばさなければならぬという北海道において、畑作はどんどん減っている。三十五年が七十三万九千ヘクタール、これが一、一十八年には七十一万九千ヘクタール、三十九年にはさらにこれが減って、水田は大体一〇%の増、畑は三%の減、こういうような逆な方向に動いておるのであります。また、畑作の関係については、寒地の適作としてうんと伸ばさなければならないというビートが、三十五年は四万六千ヘクタールであったものが、三十八年は四万四千ヘクタールと逆に減っている。こういうことは、政策にもよるが、農業構造のいろいろな、酪農業のいろいろなものを含みますけれども、時間がありませんからこまかい検討は省略いたしますけれども、そういう方向に、主要な第一次産業としての農業が構造的な変革を起こしておる。これをどういうふうに評価されているか。長官の側と、農林省から見えておればその関係から、これらの問題について評価を伺いたいと思います。
  281. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 水田、畑等の推移は、御指摘のとおりでございます。考えてみまするに、水田のほうは、仰せのとおりで、共済関係その他、農業政策として、農政関係で内地における長い歴史が背景にあって、相当に行き届いておる。しかし、だからこれをそのほうはやめてしまおうというわけにはなかなかいかぬので、及ばない畑のほうにそういう施策を充実をして、そのほうを引き上げるというふうに努力をすべきものかと思うわけでございます。畑地のほうはだんだんと減っておる、水田のほうは、徐々ではあるが着実に伸びている。しかし、水田が伸びていることは、いま多目的。ダムなどでさらに水田が開発されようという傾向のところも多うございますが、これは必ずしも水田になって、不適地といえるところではないのでございます。問題は、畑地の土地改良その他に力を入れ、農政上の共済制度その他について、たいへんむつかしいにしても努力をずるということであろうかと思うわけでございます。ただ、御承知であろうと思いますが、付言しますると、草地の開発の関係で耕草地、畑地と草地を合わせたものは大体横ばい、若干ながら増加をしておるという形は示しておるわけでございます。北海道においては、どうしても草地、畑地に将来の農業の力をさらに注入をしていく必要があるというふうに考えまして、その点は御指摘のとおり、十分これは努力を尽くしていきたいと考えます。
  282. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 御質問の点でございますが、生産関係の農政局のほうから参っておりませんので、私食糧庁の関係でございまして、カンシャ糖の関係を担当しているものでございます。したがいまして、的確なお返事ができるかどうかわからぬわけでございますが、一応ビートについて申し上げますと、ビートの単位当たりの収量が低い、労働が集約的である、土地条件の整備が必ずしも十分できていないというようなこともありまして、伸びが最近は停滞をいたしておるわけでございます。しかし、昨年の冷害等にかんがみましても、ビートが非常によかったという事情もありまして、今後ビートは相当伸びてまいるのではないかというふうに考えております。国のほうにおきましても、生産振興対策につきましては、特別措置法に基づきまして十分努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  283. 永井勝次郎

    ○永井分科員 長官御承知のように、選択拡大の成長部門として酪農が重視されておる北海道における酪農は、一戸の農家が一、二頭の牛を飼うというような副業的な経営はもうほとんど卒業して、主産地において、は大体農家の三分の一、三軒に一軒は牛を本格的に飼っておる。多頭飼育で最低五頭、七、八頭から十頭というような方向にどんどん充実されていっております。それで、管理その他も十分にできている。そういう地帯では獣医さんがめしが食っていけなくなったというほどに、管理がよく行き届いてきた。そういうふうになりまと、今度はそれ以上どういうふうに伸ばすかということになると、経営面積と考えあわせて頭打ちになってきておる。いまの時点においては大体そろばんがとれるとしても、これは最低限界はありましても、最高の限界というものはない。多ければ多いほど、だんだんにいろんな経済環境の進むにつれて、生産単位というものの規模を拡大していかなければならないわけですが経営面積は拡大のしようがない。これは大きな一つの施策がなされなければならい。そういう頭打ちの問題にもこれはなっておるわけであります。農業の分野にばかり時間をかけておるわけにはいきませんが、この問題だって、いま当面しておる第二期総合開発計画の中では十分に草地の問題は、いろいろありましょうけれども、検討しなければならない問題であろう、こう思います。それから、一つは林業の関係であります。林業の関係については、若林業務部長からお答えをいただきたいのであります。国有林で五つの営業局を持っておるというのは北海道だけであります。また道有林その他、相当の面積を持っておる。言ってみれば、わが国における林産地帯である。これほどの重要な地帯でありながら、現状はどうかといえば、需要量は一〇%くらいずつどんどん増していっておる。そうしてパルプその他などは設備を非常に拡大していっておる。生産はどうかというと、逆に毎年九%ずつ減っていっておる。これだってずいぶん無理をした斫伐をしておるのではないかと思うのですが、頭打ちをしておる。そうして奥地林分の開発のためには林道をつくらなければいけない、あるいはもっと開発しますためには機械化をしていかなければならない、大きな投資が必要だ、というようなことで、需要供給の関係は、だんだんシェーレが拡大していく方向にある、こう思うのです。さらに、本年度の関係からいたしましても、例年針葉樹については、年度間におきましては六カ月くらいの在庫を持っておるのが普通でありますが、現在は〇・七カ月分の在庫よりない、非常な逼迫状態である。でありますから、結局外材に依存する。外材の北洋材、アラスカ材、こういうものへの依存度というものはますます拡大してきております。こういうふうに、生産地帯である北海道の林業というものが、国内、道内の生産に期待できないで、外材を輸入しなければならない。木材は山から切り出すの、ではなくて、海を渡ってくる。こういうふうに構造的な変革が出てきておる。そうして、製材工場等は、工場の立地条件が、山ではなくて海岸だ、こういうふうに変わってきておるわけであります。  これらの体制に対して、林野庁ではどうこの現状を評価するか。北海道の開発の上からいって、外材の輸入はもっとどんどんふえるのではないか。そうして、これからは、地元における製材工場その他の加工場は非常な力で整理段階に入るのではないか。いろいろ農山村におけるそうした面の構造変革というのは、相当現状に対しては大きな打撃を与える条件が出てくるのではないか、こう思うのでありますが、これらについて伺いたいと思います。
  284. 若林正武

    ○若林説明員 お答えいたします。ただいま永井先生からお話のございましたとおり、北海道におきましては、特に国有林の昭和二十九年に発生いたしました風倒木の影響等もございまして、伐採最が逐年減少過程を現在たどっておるという状況にございます。  しかしながら、先生も御承知のように、国有林といたしましては、長期的な展望といたしましては、やはり何と申しましても、木材を持続的に、しかもより多量のものを安定的に供給をしていくというふうな使命が一つあろうかと思うのであります。かつまた、短期的には、木材の需給動向というものに即応いたしまして、やはり弾力的な供給ということも考えてまいらなければならないというふうに思っておるのでございます。  そこで、さしあたっての問題といたしましては、現在林野庁といたしまして、北海道五局で研究、検討させておるのでございます。と申しますのは、先先も御承知のように、北海道におきましては、風倒木の整理は一応終わっておるのでありますが、やはり年々過熟林分が非常に多いということからいたしまして、枯損木等の発生というものもある量になっておるわけでございます。したがいまして、従来こういったものが、林道施設なりあるいはその他の経済条件によりまして搬出の対象にならなかったというふうな地域が、その後の経済情勢の変化あるいは林道が伸びたというふうなことによりまして、だいぶ伐採の対象にも考え得るような地域が出てまいっでおるのでございます。そういったような地域に対しましては、そういったものをただ枯損させるということは、資源の有効利用というような面から見ましてもたいへんな不得策でございますので、これを積極的に活用いたしてまいりたいというふうな考えで現在進めておるのであります。  一方、長期的に見てまいりますと、確かに需要に対しまして、相当期間の間は供給というものが必ずしもこれについていけないというふうな実情にございます。そういったものにつきましては、当然外材その他によりまして補完をしていくというふうな措置をとらざるを得ないと思うのでございます。そういったような観点からいたしますると、先生の御指摘のように、港湾を主体といたしました外材を対象にした製材工場というようなものも、やはりその整備をはかっていく必要があろうかと思うのでございます。それと同時に、山地市場と申しますか、そういう地帯にあります工場、これも風倒の整理が終わりました関係もございまして、非常に工場は多いというふうなものも、地域によりましてはあるようでございます。そういった地域につきましては、業界の要望等もございますし、これを適正配置にもっていくというふうな線で、林野庁といたしましても御協力を申し上げたいというふうに考えておるような次第でございます。
  285. 永井勝次郎

    ○永井分科員 農業や林業はこういう状態。それならば、北海道の総合開発第二期計画の主要な目標である重化学工業、苫小牧の工業港を中心としたこれにいたしましても、工場誘致、工場誘致ということを強く強調しておりますけれども、どれだけの工場が誘致されたか。誘致される前に、帝国製麻をはじめとして、在来あった工場が整理されている。製材工場その他木材加工場関係が整理されている。こういう状態になっておることは事実でありましょう。石炭産業の停滞の状態も、御承知のとおりであります。地下資源の開発の現状も、このとおりである。重化学工業における現状は計画と反して、それほどの期待が現状においては持てない。要するに、外から何かこう天から降ってくるように引っぱってきて、ばんと煙の出る工場を持とうというような方向では、なかなか利益のないところには来ませんし、逡巡するということはわかるわけでありますし、地理的にも偏在している北海道で、立地条件がいいという業種というのはもう限られてきた。そういうように見込みがないとすれば、私はやはり今後における北海道の重化学工業は、一つの大きな柱が立ったならば、あとは道内において、道内の人と資本と技術と――まあ技術なんかは導入してもいいですが、そういう中で大地に足のはえた、根のはえた一つの自力的な、自力でやっていくんだという気がまえの体制に切りかえていかなければ、そういう関係は、いつ来るかわからない重化学工業の誘致運動にうき身をやつしてもだめではないか、こういうふうに考えるのですが、重化学工業の現状と工場誘致、北海道の現状から見て、長官の所見を伺いたいと思います。
  286. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 北海道における二期計画の工業関係が全く思うにまかせぬ残念な状態であることは、御指摘のとおりでございます。重化学工業で大きい柱を立てたいと、従来皆で考えておりました。鉄鋼コンビナートであるとか、石油コンビナートであるとかいうものがなかなかうまく来そうな見通しが立ちにくいわけでございます。御承知のとおりでございます。しかしやはり全体としての工業の発展というものには、なお望みを嘱さざるを得ぬわけでございまして、道央新産業地帯というものを中心にしまして、近い将来に来るあてのないあまり大きいコンビナートに執着するということは、これは考え直さなければならぬと思いますが、道央新産業都市地帯を中心にして、やはり何らかの工業を誘致する。そのために先行投資を可能な範囲においていたしまして、条件を改善をしていくということはやらざるを得ぬと思うのでございます。また一方御指摘のように、農業、林業の関係も着実な形においてその比灘性をふやし、血清を増加させるということは、もとよりこれをしっかりやらなければなりません。重化学工業関係、いわゆる工業関係においての生産の増加、生産性の向上も、やはりこれはおっしゃるようにじみちな地場の力と、努力と工夫をしっかり中心にしたものとして、まあ努力をして改善をして、何といっても利潤を追って動いてくる企業の導入でございます。そういう点をさらに一そう努力し、くふうをしていく。先行投資による条件の整備は、ひとつ十分に努力を続けてまいりたい、かように考えるわけでございます。
  287. 永井勝次郎

    ○永井分科員 産業開発関係の大まかな点検をいたしましても、私はいまの計画のねらっておるところを、もう一度北海道という大地に立って考え直す段階に来ているのではないかと思う。たとえば農業の面にいたしましても、単に畑作振興あるいは酪農振興、こういうことを言いましても、開放経済の中における競争力を強化していくというためには、今後北海道の農業というものは思い切った転換をしなければならぬのではないか。たとえば酪農をやる、あるいは畑作をやる、大豆にしろ、麦にしろ、あるいはトウモロコシにしろ、雑豆、こういったもの、あるいは酪農の乳製品、水稲をある程度セーブして転換しなければならないというようなものは、すべてこれは国際競争のの中で競争していかなければならない。国内だけで保護されるものではなくて、国際競争場裏でこれは競争していかなければならぬ。そういうところに転換していくというためには、五町歩単位であるとか七町歩単位だというような、農業基本法にあるような自立経営農家を育成するんだというような一つ考え方では、もうだめなんじゃないか。もっと大規模な近代化をするためには大きなトラクターを入れなければならない。トラクターを一つ入れるとすれば、トラクターの機能を十分に出せる規模はどれくらいかといえば、八十ヘクタール内外である。それだけの機械を入れて七ヘクタールや十ヘクタールの農業経営をやっていますから、機械の金利と機械の償却に食われて、機械を買ったためにかえって転落しなければならぬ、こういう繰り返しをやっている。だからもっと大きな規模の農業経営に転換をしていかなければならない。そうしますためには、自立経営農家ではなくて、共同経営の構造的変革がどうしても指向されなければならない。こういう方向へ思い切った転換をやらなければ、北海道は農村からもどんどん出てしまいます。それから、従来北海道の農業というのは原料に指向しておった。農産物のあるところに農産物加工業が起こる。木材のあるところに木材加工業が起こる。水産物のあるところに水産加工業が起こる。そういう原料に指向していた北海道の工業というものが、それぞれ資源が枯渇してしまって、期待するような原料がなくなった。それならば本州のように過剰な労力のあるところに工場が指向できるかといえば、若年労働はもうどんどん外へ出て行ってしまって、北海道には女と年寄りばかりが残っている。こういうような衰退した人口構成になってしまっていますから、北海道は少々の注射では回復できない慢性的な重症症状におちいってしまう、こう思うのであります。でありますから、三十八年に計画を立てた。そして三年経過した。まだ始まったばかりではあるが、そういうことにこだわっている必要はないと思うのです。そうして、一つの北海道のこれからの青写真というものは、ちゃんとある程度科学的な分析をし、いまの情勢の中で検討しますならば、私はしっかりしたものが出てくると思う。しっかりしたものが出てきますと、それに合わせて先行投資としての道路の問題、河川の問題、港湾の問題、こういった開発庁のいまやっておられるいろいろな問題にいたしましても、おのずからそこに性格が変わってこなければならないし、大きな変わり方はないにしても、模様が変わってこなければならない。先行投資としての役割りは私はもっともっと道路や何かの点でやってこなければならない、こう思うのです。そういうものの詰めをちっともしないで、ただ夢のようなばく然とした工場誘致でいこうとする。工場誘致は政治力でやるのだ、経済で問題を解決しないで政治力でやるのだ、こんなことでは問題にならないと思うのですが、いかがですか。
  288. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 まことにごもっともでございます。しかし、第二期計画も企業誘致を政治力で夢のようにやるという考え方で立案されたものではないと私は思うのでありますが、見方がたいへん甘かったというそしりはあるかと思うのでございます。農業の関係でも御指摘のとおりで、私もしろうとでございまするが、床丹パイロットファーム等を見てまいりまして、十七、八町歩を与えておっても、もういまや不足である。大体三十ヘクタール内外のものにしなければならぬということで、土地の配分についての内々の見当をつけておるというふうなこともあるわけでございます。そういう点は、御指摘のとおり、相当に思い切った計画を単位規模において考え直す面が十分あると思います。そしてこれは開放経済のたてまえでやる。しかしなお若干の間は、農業については、やはり相当の保護政策というものはとっていかないというと、ある意味においては相当有利な北海道農業といえども育っていかないと思いまするので、将来は開放経済の中におけるたくましい成長ということを根本に、計画の基礎に置きまするが、当分はなお相当の保護政策、対外的な保護政策ということも考えていかざるを得ないだろうと思います。しかし、全体としてそういう点を十分考え直すべきときで、二期計画を考え直さなければならないのではないかという御指摘は、その筋においては十分了承をいたします。この点はしっかり勉強をしていくつもりでございまするが、現在の二期計画の立て方、計画を立てて大筋の組みがまえをつけて三年目に入ろうとしておる現段階で、またこの計画を変更して閣議決定をとり直すという、そういう手続的な時期にまだ至っていないという意味を申し上げたわけであります。十分計画としては御指摘のような点を考えて研究を続けていきたい、かように考えます。
  289. 永井勝次郎

    ○永井分科員 産業の面、道路や何か公共投資の関係はもう少しお聞きしたいと思いますが、特に北海道は社会開発としての教育の問題、文化の問題、厚生施設の問題、住宅の問題、こういう問題が非常におくれているわけです。  時間がありませんから次に移ってお聞きいたしますが、北見に国立の短期大学があるわけです。これは単独の短期大学としては全国でただ一つの例のように思うのですが、この短期大半の四年制昇格について、いろいろ地元で運動しているわけですが、開発庁もこれを支持して、いろいろ推進していただいているわけですが、この大学の扱い、今後の見通し、そういうものについて伺いたいと思います。
  290. 村山松雄

    ○村山説明員 北見の工業短期大学を四年制の工業大学にしてほしいという御要望は、佐山学長等から承っております。文部省といたしましては、現在のところまだ結論を出しておりません。と申しますのは、四年制の大学の新設ということは、新制大学が発足以来、神戸の商船大学、それから来年度の予算で宮城の教育大学をつくることを予定しておりますが、十数年間に二件しかございませんので、事柄自体がたいへん重要な問題で慎重に検討をいたさなければなりませんので、まだ結論が出ていないわけでございます。検討の要素といたしましては、大学をつくります場合には、やはり当事者の御希望ということが一つの要素でございまして、その点につきましては問題がないわけでございますが、そのほかにも、たとえば卒業生に対する需要はどうであろうかとか、それから入学志願者の見通しはどうであろうか、それからさらに大学をつくります場合には文部省としましては予算措置、法的措置はもちろんでございますが、そのほかに大学設置審議会におきまして、教員組織、学科課程、施設、設備等の審査をすることになっておりまして、その審査に合格する見通しがないとなかなか踏み切れない問題でございます。それら諸般の点を慎重に検討いたしまして結論を出したい、かように考えております。
  291. 永井勝次郎

    ○永井分科員 文部省としては志願者がどうであろう、卒業生がそこに定着するかどうか、需要がそこの地元にあるかどうか、地元になくて広く入学志願者を集めて、卒業者は全国に散ってしまうというならば、僻陬の北見などに大学を置いておく必要はないのだ、もっと適当なところに置いておいたらいいのだ、あるいは教授陣容の整備その他の問題、それはいろいろ問題があると思います。しかし大学でありますから何も地域にこだわる必要はない。地域にあればなおけっこうですけれども、そういうものは結びつかないからだめなんだということにはならない。これこそ先行投資として、文化的な、教育的な諸施設をもっと熱意を持ってやるべきです。北海道の開拓の当初において、札幌農学校というのが革深い札幌にできた。あのときに地元に卒業生がどれだけ需要があるか、そんなしゃくし定木なことを言っていたら、これはもうできっこはないわけです。そういうものを押し切って、そして人材を養成し、そして全国にも散るでしょうけれども、そこで育った卒業生たちが有為な指導者としてそこに定着した、そして開発の第一線についているというととろに、だんだん積み重なった実績が、東北を乗り越えて北海道のほうが文化的に進んでいる、あるいはいろいろな産業の面に積極性を持っているというようなことは、そういう歴史的な発展の過程の中から私は生まれてきているのだと思う。ただ現状だけを見て、そこの評価だけで、そしてこういう条件、こういう条件がなければだめだ、そういうただの短見ではいけない、私はこう思うのです。あえてお尋ねをいたしますが、国立の短期大学は一つだけなんです。しかも大学の本学があってそこに付設された短期大学ということなら、これまたいろいろな運用の面もございましょうけれども、全くそういうものは、親がなくてぽつんと一つ二年の短期大学ができて、それで国立としての教育の責任を負えるかどうか、私は問題である、こう思うのですが、もっと教育に対して良心的な展望をもって措置するという立場において、真剣に考えるお考えがあるかどうか、ひとつあなただけに――あなたの個人的な見解を聞くのでなくて、文部省としての教育的な所見を聞いておきたいと思います。
  292. 村山松雄

    ○村山説明員 国立の短期大学は現在正確に申しますと六校ございます。ただ一つだけではないわけでございます。この六校の沿革を申し上げますと、工業に関するものが五つでありまして、一つが昨年度設置いたしました東京にございます図書館短期大学でございます。図書館短期大学は別としまして、五つの工業短期大学について申し上げますと、これは昭和三十五年ごろから逐次設置されたものでありまして、当時中堅技術者の育成のために特別の短期大学をつくる必要があるということで、北見をはじめといたしまして、宇都宮、長岡、宇部、久留米等に設置いたしました現在では、そのうちで北見を除きますと、いずれも転換が確定いたしております。宇都宮は宇都宮大学の工学部になりました。それ以外の長岡、宇部、久留米等は府等専門学校に転換が決定いたしております。北見だけが短期大学のままで、転換等の方針がきまらないままで今に及んでおるわけでありまして、大学としては、先ほど申し上げましたように、四年制の工業大学に昇格することを御希望されております。この希望に沿いまして四年制の工業大学にするかどうかにつきましては、先ほど申し上げましたようないろいろな要素を検討しなければならぬわけでございますが、そういうことにつきまして、なかなかむずかしいからやりたくないんだというようなぐあいには考え、ておりませんので、成立の可能性を含めまして慎重に検討いたしておる次第でございます。
  293. 植木庚子郎

    ○植木主査 有馬輝武君より関連質疑の要望があります。これを許します。有馬輝武君。
  294. 有馬輝武

    有馬分科員 ただいま永井委員の質問に対して答弁があった中で、一つ気になることがありますので、関連質問をいたしたいと存じます。  と申しますのは、宮城学芸大の件について一つの例として触れられたのでありますが、この点については地元の意向その他の事情を参酌して検討を加えて結論を出すというような意味での御答弁だったと思いますが、それに間違いがないかどうか、これをお伺いしておきたいと思います。
  295. 村山松雄

    ○村山説明員 四十年度に予定しております宮城教育大学の設置につきましては、これは現在は東北大学の教育学部の中の義務教育学校教員の養成課程という形で行なっておりますものを分離独立せしめまして、宮城教育大学という単科大学をつくるということになっております。この件を踏み切りますには、まず地元宮城県の教育界から非常に強い御要望がありまして、それをやや受けた形で、現在その課程を持っております東北大学において慎重に検討した結果、分離独立に踏み切ることが当該大学の将来の拡充整備のためにも、それから宮城県下における義務教育教員の確保のためにもプラスであるという判断をいたしまして、そのような御意見を文部省に寄せられました結果、設置に踏み切った次第でございます。
  296. 有馬輝武

    有馬分科員 その設置に踏み切ったということでありますので、この点については、私、関連質問でありまするから、国立学校特別会計法の一部を改正する法律案に関連いたしましていずれ明らかにしたいと存じますが、いまの御答弁のような、設置に踏み切った理由ではないのでありまして、その点ちゃんと準備をしておいていただくように要請をいたしまして、私の関連質問を終わります。
  297. 永井勝次郎

    ○永井分科員 次は道路の問題です。本年度の予算は、全国の伸び率は一二・四%、北海道の場合は一五%、たいへん成果があがっておるように思われるのでありますが、北海道の場合、道路は内地府県のように遺産がないわけです。でありますから、道路の密度なり普及率なり改良率、こういうものを比較いたしますと、これはもう非常なおくれになっておる。でありますから、北海道としては内地並みに追いつき追い越すということで、もう少し投資を強めてまいりませんければ、格差の拡大はますますひどくなっていくのではないか、こういうふうに思います。さらに、国道に関連して道道の問題であるとか、農道であるとか、市町村道であるとか、林道であるとか、こうした関連の道路の関係については、もう非常に不足の状態で、たとえば一地域に酪農業を振興する、こういうことになれば、まず道路をつくってからでなければ酪農はやれない。先行投資どころではなくて、いつでも道路はおくれてあとから追っかけていく、こういう事情であります。そうして、地方団体がこれを行ないました場合には、それなりの財政的な負担能力の問題もある。おのずから限界がありますことは、長官、説明の要がなく、地方で御経験があることでありますから十分におわかりであります。ことに北海道は非常に広い地域を持っておりますために、道路の問題は地方だけの負担にとてもまかしてはおけないいろいろな条件があろうと思います。ところが中央のほうでは、どうしても補助率をだんだん内地並みに画していく。せっかくかつて北海道が獲律した既得権というものはどんどんくずされてきておる。こういうことは非常にこれからの道路の整備の上にいろんな問題を投げておると思うのですが、まずこれらについて、今後取っ組んでいかれる点、いまおやりになっている点でどういう点を伸ばしていく、どういう点が悪いから直していかなければならぬ――北海道の場合、長官の更迭が非常に激しくて、ほんとうに落ちついていろんな問題をやっていただくという期間がない、そういうところにも一つ欠陥があるわけでありますが、これは行政一貫の責任において、人がかわってもやはり引き継ぎ事項でそれをどんどん伸ばしていく、こういう態度でやっていただきたいと思う。道路の問題、港湾の問題、河川の問題を含めて、公共投資、先行投資、もっとがんばってやっていただかなければならぬという点について決意を伺いたいと思うのです。
  298. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 北海道における道路、港湾、治山治水等、先行投資についての御質問というよりも、たいへんありがたい御要望と承りました。特に道路については、申すまでもなく、北海道を、特に開発庁を置いて先行投資をしっかりやって経済基盤をつくろう、それによって北海道を経済的に大いに開発をして、国全体の開発に費そうというためには、道路をどうしてもよくしなければいかぬ、御指摘のとおりでございます。したがって、四兆一千億の全国のシェアについては一生懸命に努力いたしまして、御支援もいただいて、本四十年度における予算がきまったわけでございます。もとより十分とはいえませんが、まずまずの成果はあったと思うのでございます。道路は旧来の一級、二級国道のみならず、御指摘の道道、市町村道等が特に具体的に考えまして大事でございます。草地開発、酪農振興をやりましても、道路がなければ、肝心の冬季、しぼった乳を全然移送することができないという致命的な問題でもあるわけでございますから、道路は、従来持っております北海道の特例というものは絶対にくずすことのないように、さらに一そう全国の中における北海道のシェアを大きくするためにこれは十分の努力をし、また、御支援もお願いをいたしたいというふうに考えるわけでございます。本年のところは、この道路、海湾、治山治水等で北海道特例をはずされたものはございません。新産業都市における財政関係の特例においても、一方における北海道の従来の特例というものはこれを存置するということでやってもらっておるわけでございます。公共投資、特に道路の面においては、何と申しましても内地に比べて劣った密度、普及率、改良率でありまするから、一そうこの点には力を入れまして、また具体的には、財源負担に関する北海道特例は十分にこれを存置してもらいまして、一そうの改良整備をはかっていきたい、かように考えるわけでございます。
  299. 永井勝次郎

    ○永井分科員 いま日本全体が大きな変革過程にあると思います。この変革過程に、北海道が桃源の夢を結んで、そうして目先の手直しだけで――この第二期計画だって、三年くらい前からいろいろ作業をやって、ようやく三十八年くらいから出発した。三十八年の出発するときには、背景には三年くらい前の構想なりあるいは数字なり、そういうものでやつでいるので、もうだいぶおくれている、私はこう思うのです。いまの非常な激動期で変革しているこの中で、対応する条件というものはないと思うのです。ずいぶんおくれてしまつ、ていると思うのです。いろいろな計画の性格や構造的な変革に対応させていくという政策において非常なおくれを持っておる。だから、恥も外聞もこれは要らないわけです。道民がいま非常に努力をしている、それがむだ骨にならないように、それからまた、北海道のこれからの開発というものが、若いにない手の青年たちによってどんどん推進されなければならないのに、その若い青年たちが本州に逃げてしまって、年寄りと女だけがあとに残る、こういうような人口移動というものは私たらは見ておられないわけでありまして、どうかそういう意味において思い切った変革をし、そうしてその変わり方に対応させ、さらにそれよりも一歩先んじて北海道が新しいビジョンを持ち、フロンティア精神を持って進むことのできるような指導力をひとつこの計画の中から出していただきたいことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
  300. 植木庚子郎

    ○植木主査 本日の会議はこの程度にとどめ、明二十七日は午前十時より開会し、残余の質疑を続行いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時三十四分散会