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滝井分科員 まず第一に、中学、高等学校のほうからの問題ですが、御存じのとおり、現在学校と公共職業安定所とのコンビで職業紹介をやる。しかし、公共職業安定所だけでやるものは中学校が八〇%、非常に多いように見えるけれども、こういう点についても、これは学校が無
関係ではないはずです。すでに御存じのとおり、典型的に
一つあらわれたのは、労働
大臣の足元の秋田であらわれてきたですね。秋田の職業安定所が検察庁から摘発をされた姿が出てきている。これが私はいまの
日本の縮図だと思うのです。たまたま秋田にあらわれましたけれども、いまのこの非常な新しい働き手の不足、あるいは技術労働者の不足ということにつけ入って、職業安定所というものが非常に権限を持ってきたわけです。ここに何らかのコネクションを求めなければ新しい働き手というものを企業が獲得することができないという状態が、中学校と高等学校の働き手、これを獲得するために出てきている。企業が自分の運命を切り開くためには、優秀の人材を集めなければならない。いま
日本の中小企業が倒れようとしているのは、働き手が来ないというのが
一つの大きな原因にもなっているわけです。そうしますと、今後の職業安定所のあり方というものをどうするかということは、われわれが文教行政の面からも十分これは配慮しておかなければならぬ問題です。
いま
一つは、それならば、一体職業安定所の片棒をだれがかついでいるかというと、学校の古手の校長先生がかついでいる。これは校長先生は自分のおった学校に顔がきけるわけです。そこで何々会社の駐在員にその古手の校長先生がなる、こういう形が出てきたわけです。かつて教科書の問題でいろいろ指弾を受けました。しかし、いまや今度は人間の問題でこういう問題が起こってきているわけです。この問題は、新しい人間像とかなんとかいう前に、まず私たちは文教行政の中で学校当局が十分これは戒心をしておかなければならぬ
問題点になってきたわけです。そこで、これは職業安定行政と文教行政というものがほんとうに密接な連携をとって、そして新しい人生に向かって
希望を持って卒業していく
学生諸君、生徒諸君に対して、やはりよほど注意をした指導をやらなければならぬ。そのためには、求人にやってくる会社に対しても、よほど連絡をとり、懇談をやってやらなければならぬ。そのためには、いま福田
局長から御
答弁がありました、現在、学校で紹介して就職をする、職業安定所で就職をやる、親戚、知人の紹介でいく、それから中学、高等学校に指導主事を置いている、さらにアフターケアのために、就職した先その他についても絶えず連絡を密にしておるということを言われましたけれども、中学校は、会社が来て、そして自分のところに何人ほしいとかいうことを、職業安定所なりあるいは指導主事のところに申し出てきて、正式に最終的には職業安定所を通ずることになるかもしれませんが、やるにしても、そういう活動をやる時期というものはやはり全国的にきちっときめておかなければならぬと思うのです。私が調べたところによると、中学校では、求人をやるのは一月一日、それから高等学校では十一月一日、
大学では十月一日となっておるようなことを書いている文書があるのです。しかし、こんなものはひとつも守られていない。そこで、ここらを一体どうするかということです。これがもしはっきりしないと、学校
教育というものはむちゃくちゃになってしまう。六・三・三・四の学校体制というものが——これは
教育の半ばすでに就職がきまるということになると、人間は学問に身が入らなくなる、学校
教育に身が入らなくなる、これはわれわれも経験がある。これは杉江さんのほうになりますが、
大学でこれが最も顕著に最近あらわれてきた。そして
大学は、さいぜん
川崎さんの
質問にも
文部大臣が答えておりましたが、そうどんどん安っぽい私学をつくるわけにはまいらぬ、これは何としても
大学の質を落としたくないからだということを言われたが、まさに私は卓見だと思う。ところが現実は、各
事業会社がどんどん
大学に押し寄せてきて、そして優秀な人材を採っていく、いゆわるスカウトしていく姿というものは、もはや工科のごときは三年から始まっておる。法文科系であってももう春から始まっていますよ。四年の春にはもう優秀な
学生はきまってしまう、こういう形です。そうしますと、六・三・三・四の、一番専門
教育をやらなければならぬ後期の二年における四年目というのはブランクになってしまう。一番専門
教育をやらなければならぬところがブランクになる可能性がある。
学生は就職活動をやらなければならぬ。いいところをとらなければならぬ。あるいは二つも三つもとった優秀な
学生は、どこへ行こうかと悩みに明け暮れなければならぬ、こういう姿です。このことは、もうちょっとそれをさかのぼっていってみますとどういうことになるかというと、いまの
日本における、これはお母さんばかりでなくて、おやじもみんなそういう気持ちがあるのですが、みんな一流
大学にいこうといろ熱意がある。一流高校にいこうという気持ちをみんな持っておるわけです。そこで、その一流にいこうという気持ちが、まず一流幼稚園になるし、一流中学になるし、名門高校になるし、そして東京
大学になる、こういう形になっておるわけでしょう。企業の側も人材をそれだけ選択する機関を持たないわけです。そこで、一流
大学ならばまず十分優秀な人材を選択して集めてくれておるから、もはやそこに弓矢を向けて的を射さえすれば、安心の人材が採れるという安易な気持ちになってきておるわけです。したがって、いまの企業というものは、そういう形でエスカレーター式に一流の幼稚園から一流の
大学まで出てきた者を一流の会社が採る。採れば、その形態はどういう形になっておるかというと、終身雇用、年功序列の賃金体系だ。だから、それはウナギ登りに出世街道をいくことになる、こういう形になっておるわけです。したがって、いまの就職競争というものは、まず優秀な者を採らなければならぬから、他の会社に負けないように早くスカウトする以外にないわけです。もはや入学試験のときから就職のコースというものはきまる、こういう形がますますこれを激化している。しかも優秀な学校にそれが殺到しているわけでしよう。私何か読んでおったら、近代社会においては、エリート的な地位につく者は大体全人口の六%そこそこだ。昔は
日本では
大学を卒業するのは三%か四%しがなかった。
大学を卒業しなくてもエリートの地位につく者は少なくとも二%か三%あった。ところが、さいぜんの御説明ではないけれども、
大学に高等学校を卒業した者の三割六分もいくということになりますと、この三割六分の中からエリ−トに選ばれる人が六%か七%だとすると、たいへんな競争になるわけです。だから優秀なところにいっておかないと出世街道をいけぬという、きわめて立身出世主義的な、利己的な形が出てくる。
そこで、やはりこういう形で就職戦線のためにあるいは労働力が不足し、技術者が不足しておるということのために、
日本の
教育がいまや非常に乱されようとしておる。今日もしこの問題について
文部省なり内閣として断固たる処置をとらないならば、
日本の
教育というものは、四十二年以降になったらたいへんな状態が起こってくる。私は、今日、ころばぬ先のつえとしてそれを要望しなければならぬと思うのです。そこで、一体こういう問題について
文部省なり
文部大臣としてはどう処置していくのか、これをひとつこの際明らかにして、そして
大臣も佐藤内閣の実力者ですから、
愛知さんは実力者ですから、やはり日経連なりあるいは商工会議所の首脳を集めて、これをえりを正してけじめをきちっとさせなければいかぬと思うのです。そうでないとたいへんなことになると思うのです。
それから、労働省は職安行政というものをきちっと自粛して、その職安行政の中で、人を紹介することの中からわいろを取ったり何かしないように、きちっと労働力の配置というものを
考えなければいかぬ。いま新しく卒業していく人のおそらく六割は、太平洋ベルト地帯のこの中にみな就職していますよ。調べてみると、太平洋ベルト地帯の中に六割六分程度就職しています。こういう状態ですから、その地区からはもう殺到して学校に優秀な人材を選考にくるわけです。こういう点ではやはり職業安定行政というものは今後えりを正さなければいかぬ。そうして学校と唇歯輔車の
関係になって、それぞれやはりみんなが満足いくような形で就職をさしてあげる、こういう形を、やはりこれは就職の統制ではなくて、十分自主的な、職業の自由という
憲法に保障された精神を守りながら、そういう方向にみんなの気持らを向けていく形をつくらなければいかぬと思うのです。
きょう労働
大臣が来ておりませんが、内閣を代表して、一体
愛知さんは今後この問題をどう処理していくのか、ひとつ御
答弁願いたい。