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1965-02-22 第48回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和四十年二月十九日(金曜日)委員 会において設置することに決した。 二月二十日  本分科員委員長指名で次の通り選任され  た。       井出一太郎君    稲葉  修君       植木庚子郎君    小川 半次君       川崎 秀二君    中曽根康弘君       八木 徹雄君    石橋 政嗣君       辻原 弘市君    野原  覺君 同日  植木庚子郎君が委員長指名主査に選任され  た。 ————————————————————— 昭和四十年二月二十二日(月曜日)    午前十時三十三分開議  出席分科員    主査 植木庚子郎君       井出一太郎君    稲葉  修君       川崎 秀二君    中曽根康弘君       八木 徹雄君    野原  覺君  出席国務大臣         法 務 大 臣 高橋  等君         文 部 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         総理府総務長官 臼井 莊一君         総理府事務官         (宮内庁長官官         房皇室経済主         管)      並木 四郎君         科学技術政務次         官       纐纈 彌三君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 宮地  茂君  分科員外出席者         衆議院事務総長 久保田義麿君         衆議院参事         (庶務部長)  大久保 孟君         参議院参事         (管理部会計課         長)      中野 信義君         裁判官弾劾裁判         所参事         (事務局長)  隈井  亨君         裁判官訴追委員         会参事         (事務局長)  福島 尚武君         国立国会図書館         副館長     岡部 史郎君         最高裁判所事務         総長      関根 小郷君         宮内庁長官   宇佐美 毅君         大蔵事務官         (主計官)   小口 芳彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十年度一般会計予算皇室費国会、裁  判所内閣総理府防衛庁及び経済企画庁を  除く)、法務省及び文部省所管  昭和四十年度特別会計予算文部省所管      ————◇—————
  2. 植木庚子郎

    ○植木主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  私が本分科会主査をつとめることになりましたので、よろしく御協力をお願い申し上げます。  本分科会は、皇室費国会裁判所内閣総理府防衛庁及び経済企画庁を除く)、法務省及び文部省所管並びに他の分科会所管以外の事項について審査を行なうことになっております。  本分科会審査日程は、一応分科員各位のお手元にお配りいたしてありますとおりでございます。  なお、質疑の希望の方は多数にのぼる見込みでありますので、質疑時間は、本務員は一時間、兼務員もしくは交代で分科員になった方は三十分程度を目標としていただきたいと存じます。また、質疑をなさる方は、政府委員などの御要求をあらかじめ御通告をお願いいたします。  それでは、昭和四十年度一般会計予算中、皇室費国会裁判所内閣防衛庁及び経済企画庁を除く総理府法務省及び文部省所管昭和四十年度特別会計予算文部省所管を議題といたします。  順次関係当局より説明を求めます。  まず、皇室費説明を求めます。並木皇室経済主管
  3. 並木四郎

    並木政府委員 昭和四十年度皇室費歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。  本歳出予算に計上いたしました金額は、三十九億一千七百四十五万三千円でありまして、その内訳は、内廷費六千八百万円、宮廷費三十八億一千七十万三千円、皇族費三千八百七十五万円であります。これを前年度予算に比較いたしますと、十五億七千八百八十五万七千円の増加となっております。  そのおもなものについて、事項別に申し述べますと、内廷費は、皇室経済法第四条の規定に基づき同法施行法第七条に規定する定額を計上いたしましたもので、前年度と同額となっております。  次に、宮廷費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上いたしたものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費一億五千四百四十四万六千円、前年度より本体工事に着手いたしました宮殿の新営及びこれに関連する施設等に必要な経費三十二億七千九万九千円、皇居東側地区整備に必要な経費七千五百二十九万五千円、その他皇室用財産管理等に必要な経費三億一千八十六万三千円でありまして、前年度に比較いたしますと、約十五億六千三百万円の増加となっております。  なお、宮殿の新営につきましては、別に国庫債務負担行為といたしまして三十八億一千四百二十五万五千円を計上いたしており、ます。  次に、皇族費は、皇室経済法第六条の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上いたすことになっておりますが、前年度より一千五百八十万円の増加となっております。  これは、定額改定を予定いたしておりまして、独立の生計を営まない親王、その妃及び内親王のうち成年に達した者に対する年額による皇族費の額を実情に沿うように改めるとともに、年額算定の基礎となる定額五百十万円を、本年度から六百二十万円に増額改定することによるものであります。  これに伴う改正法律案は、今次国会に提出いたし、御審議願うことになっております。  以上をもちまして、昭和四十年度皇室費歳出予算概要説明を終わります。  よろしく御審議あらんことをお願いいたします。     —————————————
  4. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、衆議院予算説明を求めます。大久保庶務部長
  5. 大久保孟

    大久保参事 昭和四十年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和四十年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は七十億九千四十三万四千円でありまして、これを前年度予算額六十二億七千九百四十四万九千円に比較いたしますと、八億千九十八万五千円の増加となっております。  次に、この要求額を各事項について御説明申し上げます。  まず第一に、国会運営に必要な経費といたしまして五十六億六千九百四十六万五千円を計上いたしております。これは議員関係の諸経費及び事務局法制局所掌事務を処理するため必要な経費でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、三億九千八百七十六万三千円の増加となっております。  第二は、衆議院営繕工事に必要な経費といたしまして十四億千三百九十六万九千円を計上いたしております。これは議員会館の第二号館新営及びその関連施設並びに議員宿舎建設等に必要な経費でございます。  第三は、国会予備金に必要な経費として前年度と同額の七百万円を計上いたしております。  以上、簡単でございますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。     —————————————
  6. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、参議院予算説明を求めます。中野会計課長
  7. 中野信義

    中野参議院参事 昭和四十年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は、三十九億四千四百四十九万円でありまして、これを前年度予算額四十五億五千九十三万九千円に比較いたしますと、六億六百四十四万九千円の減少となっております。  次に、この要求のおもな事項について御説明申し上げます。  まず第一に、国会運営に必要な経費として三十五億一千七百四十七万一千円を計上いたしております。これは議員に関する諸経費及び事務局法制局所掌当務を処理するため必要な経費であります。前年度予算額に比較いたしますと、三千五百十五万九千円の増加となっております。  第二に、参議院営繕工事に必要な経費として四億二千二百一万九千円を計上いたしております。これは前年度に引き続く議員会館の新営及びこれに関連する施設工事等に必要な経費であります。前年度予算額に比較いたしますと、九億四千百六十万八千円の減少となっておりますが、これは主として議員会館新営費の減少によるものであります。  第三に、国会予備金に必要な経費といたしまして前年度と同額の五百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、参議院関係概要でございます。     —————————————
  8. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、国立国会図書館予算説明を求めます。岡部館長
  9. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 昭和四十年度国会所管国立国会図書館予定経費要求について御説明申し上げます。  まず、昭和四十年度予定経費要求総額は、十億六千四百四万七千円でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、一億二千九十九万六千円の増加と相なっております。  次に、要求額のおもなものについて御説例申し上げます。  第一に、国立国会図書館維持管理に必要な経費といたしまして、七億九千七百五十四万二千円を計上いたしております。これは、人件費及び一般事務処理庁舎維持等に要する経費でございます。  第二に、業務運営に必要な経費といたしまして、二億二千二百二十六万円を計上いたしております。これは、図書館資料を購入するための経費一億四千四百九万円をはじめ、立法調査業務図書館資料の収集・整理利用日録・書誌の作成写真複製業務印刷カード作成図書館間協力業務科学技術関係資料整備等に要する経費でございます。  第三に、営繕工事に必要な経費として、四千四百二十四が五千円を計上いたしております。これは、国立国会図書館庁舎第二期工事に必要な基本設計委託費及び現在の庁舎冷房設備に必要とする経費でございます。  以上、はなはだ簡単な説明でございますが、よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     —————————————
  10. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、裁判官訴追委員会予算説明を求めます、福島事務局長
  11. 福島尚武

    福島裁判官訴追委員会参事 裁判官訴追委員会予算につきまして御説明申し上げます。  裁判官訴追委員会における昭和四十年度歳出予定経費要求額は、一千五百七十四万三千円でありまして、これを前年度予算額一千二百二十一万三千円に比較いたしますと、三百五十三万円の増加となっております。  この経費は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうちおもなものは、職員俸給等増加によるものであります。  何とぞよろしく御審議いただきたいと存じます。     —————————————
  12. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、裁判官弾劾裁判所予算説明を求めます。隈井事務局長
  13. 隈井亨

    隈井裁判官弾劾裁判所参事 昭和四十年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和四十年度国会所管裁判官弾劾裁判所歳出予算要求額は、一千六百八十八万一千円でありまして、これを前年度予算額一千三百九十八万一千円に比較いたしますと、二百九十万円の増加となっております。  これは人件費等給与改定に基づく自然増加によるものでございますが、この要求額事項別に御説明申し上げますと、  まず、裁判官弾劾裁判所運営に必要な経費といたしまして、一千六百三十万九千円を計上しております。これは当所の運営に必要な裁判長職務雑費裁判員調査旅費並びに事務局人件費事務費等でございます。  次に、裁判に必要な経費といたしまして、五十七万二千円を計上いたしております。これは、裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に必要な旅費庁費等でございます。  以上、簡単でありますが、概略の説明を終わります。  よろしく御審査のほど一をお願い申し上げます。     —————————————
  14. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、裁判所所管説明を求めます。関根最高裁判所事務総長
  15. 関根小郷

    関根最高裁判所長官代理者 昭和四十年度裁判所所管予定経費要求額について御説明申し上げます。  第一に、昭和四十年度裁判所所管予定経費要求額総額は、二百七十八億二千七百三十万三千円でありまして、これを前年度予算額二百四十八億九千九十八万八千円に比較いたしますと、差し引き二十九億三千六百三十一万五千円の増加になっております。  この増加額内訳を大別して申し上げますと、人件費二十二億一千七百四十八万二千円、庁費三億一千三百八十三万七千円、営繕費三億二百二十二万円、裁判費七千二百六十五万七千円、その他司法行政事務を行なうために必要な旅費等三千十一万九千円であります。  次に、昭和四十年度予定経費要求額のうちおもな事項について、御説明申し上げます。  まず、一といたしまして臨時司法制度調査会意見実現経費でございますが、昭和三十七年九月内閣に設置されました臨時司法制度調査会が、わが国司法制度につきまして二年間にわたり根本的に認否審議の結果、裁判所運営にとりまして緊急に必要な具体策を含む意見を決定いたしました。この意見中に示された具体策を実現するに直接必要な経費といたしまして簡易裁判所判の十六人の増員に、要する人件費一千四百三十一万四千円、裁判官がいわゆる宅調にたよることなく研究事務処理をなし得るよう研究施設としての裁判官室充実維持をはかるための裁判官研究庁費一億七千九百八十万円、裁判事務処理に要する能率器具自動車等整備経費八千百七十四万八千円、裁判所配賦改善に要する調査旅費赴任旅費移転費等九百二十二万七千円、司法研修所運営諮問委員会の設置に要する委員不当等十二万九千円、合計三億八千五百二十一万八千円が計上いたされました。  第二といたしまして借地借家法改正に伴い必要な経費でございますが、借地借家法改正により借地借衣に関する紛争を特別の知識経験を有する鑑定委員会の関与の下に特別の手続で調整解決する制度が設けられますので、この改正に伴い必要な会同旅費として九十三万八千円が計上されました。  第三に、営繕に必要な経費といたしまして、裁判所庁舎継続工事二十七庁舎新規工事十五庁舎の新営工事費二十二億六千九百五十九万五千円、その他、法廷の増築、庁舎補修等施設整備費三億六千万円、庁舎新営に伴います敷地買収のための不動産購入費二千万円、営繕事務費四千五百八十五万円、合計二十五億九千五百四十四万五千円が計上されました。  第四といたしまして、裁判に必要な経費でございますが、これは裁判に直接必要な経費でありまして、国選弁護人報酬証人調停委員等日当その他裁判に直接必要な旅費庁費等十九億一千八百七十万八千円が計上されました。  第五といたしまして、国選弁護人調停委員等待遇改善に必要な経費といたしまして、国選弁護人調停委員等活動は国民の権利保護の適正に深甚な影響を持つもので、これらの活動を形式的なものにいたさないため待遇改善する経費として国選弁護人報酬を一五%増額するに必要な経費三千六十二万五千円、調停委員等日当を現行八百円から九百円に十月一日から増額いたしますに必要な経費三千四百八十六万七千円、合計六千五百四十九万二千円が計上されました。  最後に第六として、第二回アジア司法会議開催に要する経費といたしまして、アジア諸国の最局裁判所長官司法制度の運用並びに改善について討論し、あわせて相互の理解と親善を深めますため第二回アジア司法会議を東京において開催するに必要な経費八百八十八万五千円が計上されました。  以上が昭和四十年度裁判所所管予定経費要求額大要でございます。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。     —————————————
  16. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、内閣及び総理府所管説明を求めます。臼井総務長官
  17. 臼井莊一

    臼井政府委員 御説明に入る前に、資料についてちょっとお断わり申し上げたいと思います。  実は例年ですと、第一分科会防衛庁が入っておりましたので、説明件にはそれを加えてございますが、第二分科会防衛庁が入るということになりましたので、それが削除してございませんが、いずれいま整理をいたしまして、整理をいたしたものを後刻お届けいたします。  それでは、昭和四十年度における内閣及び総理府所管歳出予算案について、その概要を御説明いたします。  内閣所管昭和四十年度における歳出予算要求額は、二十億五百十八万九千円でありまして、これを前年度歳出予算額十七億五千五百七十六万八千円に比較いたしますと、三億四千九百四十二万一千円の増額となっております。  内閣所管歳出予算に計上いたしましたものは、内閣官房内閣法制局、人事院及び国防会議事務執行に必要な経費であります。  次に、総理府所管昭和四十年度における歳出予算要求額は、六千三百十三億百八十八万七千円でありまして、これを前年度歳出予算額五千七百五十二億六千五百二十九万四千円に比較いたしますと、五百六十億三千六百五十九万三千円の増額となっております。  総理府所管歳出予算に計上いたしましたものは、総理本府のほかに公正取引委員会国家公安委員会土地調整委員会及び首都圏整備委員会の四つの委員会と、宮内庁行政管理庁北海道開発庁、防衛庁経済企画庁及び科学技術庁の六庁の外局に関するものでありますが、このうち、防衛庁に関する歳出予算計上額三千十三億八千六百八十万二千円、経済企画庁に関する歳用予算計上額二百二十億四千八百七十万六千円につきましては、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外のおもなる経費について、以下予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、総町本府一般行政等に必要な経費三十八億三千二百五十九万六千円、文官等に対する恩給支給に必要な経費百九十五億七千五百六十二万六千円、旧軍人遺族等に対する恩給支給に必要な経費一千三百五十五億七千八十九万二千円、昭和四十年国勢調査に必要な経費二十二億八千十四万九千円、沖縄援助等に必要な経費三十億四十一万四千円、警察行政に必要な経費二百五十二億二千三百四十万三千円、行政管理庁に必要な経費三十億三千五十四万円、北海道開発産業に必要な経費九百四十四億三千百十三万五千円、科学技術庁に必要な経費百六十二億一千十八万六千円等であります。  次に、その概要を御説明いたしますと、総理本一般財政等に必要な経費は、政府施策に関する広報活動積極的推進、農地被買収者等に対する給付金支給及び決定の事務生存者及び戦没者等の叙勲、青少年対策推進在外財算問題調査等のための経費でありまして、前年度に比較して八億六千八百三十九万二千円の増額となっております。  文官等に対する恩給支給に必要な経費は、恩給法等に基づいて退職した文官等に対して年金及び恩給支給し、また国会議員互助年金法に基づいて退職した国会議員に対して互助年金支給するための経費でありまして、昭和四十年度におきましては、新たに昭和四十年十月から実施することとして、恩給年額改定のための経費を計上しておりますが、新規裁定及び失権等に伴う増減がありますために、前年度に比較して五億四千三百五十六万九千円の減額となっております。  旧軍人遺族等に対する恩給支給に必要な経費は、恩給法等に基づいて旧軍人及び遺族等に対して恩給支給するための経費であり、昭和四十年度におきましては、新たに昭和四十年十月から実施することとして、恩給年額改定、旧軍人抑留加算実施のための経費等を計上しておりますが、新規裁定失権等に伴う増減がありますために、前年度に比較して六十五億六千百二十三万六千円の増額となっております。  昭和四十年国勢調査に必要な経費は、五年目ごと実施されている国勢調査で、昭和四十年十月一日午前零時現在において調査を行なうための経費でありまして、前年度に比較して二十一億七千二百十六万八千円の増額となっております。  沖縄援助等に必要な経費は、沖縄における農林漁業資金土地改良事業、護岸、漁港等施設整備土地調査等産業開発関係その他社会的福祉医療文教技術関係援助南方同胞援護会に対する補助等のための経費であり、医療文教等援助経費につきましては、その執行にあたって必要に応じそれぞれ関係各行所管に移しかえて使用されるものでありまして、前年度に比較して九億八千十四万二千円の増額となっております。  警察行政に必要な経費は、警察庁及びその附属機関並びに地方機関経費及び都道府県警察補助のための経費でありまして、前年度に比較して二十五億一千六百十二万八千円の増額となっております。  行政管理庁に必要な経費は、行政管理庁及びその附属機関並びに地方機関経費及び都道府県に配置されている統計専任職員費でありまして、前年度に比較して一億一千六百七十一万二千円の増額となっております。  北海道開発事業に必要な経費は、北海道における土地改良農用地開発漁港、住宅、林道及び造林事業等経費と、治山、道路整備及び港湾整備事業等経費に充てるための財源の各特別会計への繰り入れ金等であり、事業費については、その執行にあたって必要に応じそれぞれ関係各省所管に移しかえて使用されるものでありまして、前年度に比較して百三十七億四千五百九十七万五千円の増額となっております。  科学技術庁に必要な経費は、原子力平和利用促進宇宙開発推進科学技術重要総合研究推進試験研究機関整備充実等のための経費でありますが、試験研究費につきましては、その執行にあたって必要に応じてそれぞれ関係各省所管に移しかえて使用されるものでありまして、前年度に比較して十五億七千十三万四千円の増額となっております。  なお、総理府所管におきましては、他に国庫債務負担行為十八億九千百五十七万五千七百七十四円を計上いたしております。そのおもなものは、科学技術庁におきまして、日本原子力研究所出資原子燃料公社出資核燃料物質購入等国立機関原子力試験研究施設整備及び航空宇宙研究施設整備について十七億三千百九万四千円であります。  以上をもちまして、昭和四十年度内閣及び総理府所管歳出予算計上額説明を終わります。  なお、詳細につきましては、御質問に応じまして関係政府委員からお答えいたすことにいたします。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。     —————————————
  18. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、科学技術庁予算補足説明を求めます。纐纈政務次官
  19. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 ただいま総理府長官から科学技術庁予算についての大綱を説明されましたので、私は補足説明として多少つけ加えさしていただきたいと思います。  まず、昭和四十年度一般会計予算要求額のうち総理府所管として計上いたしましたのは、歳出予算額百六十二億一千十八万六千円、国庫債務負担行為額十七億三千百九万四千円でありますが、このほかに、大蔵省所管として計上いたしましたものが、歳出予算額二十二億六千万円、国庫債務負担行為額五千六百万円でありますので、これを合計いたしますと、歳出予算額百八十四億七千十八万六千円、国庫債務負担行為額十七億八千七百九万四千円となり、これを昭和三十九年度の歳出予算額百六十六億百五万二千円、国庫債務負担行為額九十九億四百七十二万二千円に比較いたしますと、歳出予算額十八億六千九百十三万四千円の増額国庫債務負担行為額八十一億一千七百六十二万八千円の減額となっております。  次に、予算要求額のうちおもなるものについてその大要を御説明申し上げます。  第一に、科学技術庁一般行政費科学技術会議原子力委員会等各種審議会運営費及び資源の総合的利用方策調査等に必要な経費をはじめとし、科学技術君の資質向上のための経費発明実施化促進をはかるための助成費科学技術試験研究に対する助成費日本科学技術情報センターの業務に必要な経費等及び特別研究促進調整費として、歳出予算額十八億百十二万五千円を計上いたしました。これは昭和三十九年度予算額に対し二億五千四百七十五万六千円の増額となっております。  第二に、原子力に関する研究開発利用推進をはかるため、日本原子力研究所及び原子燃料公社の施設等を整備するための経費、日本原子力船開発事業団の原子力第一船建造等に必要な経費並びに国立機関、民間企業等の行なう原子力平和利用試験研究に必要な研究費、助成費等のほか、放射能対策のための調査研究に必要な経費を含めまして、歳出予算額百六億五千八百五十三万円、国庫債務負担行為額十二億九千百九万四千円を計上いたしました。これを昭和三十九年度算額に比較いたしますると、歳出予算額十二億六千五百五万二千円の増額国庫債務負担行為額七十一億五千八十三万三千円の減額となっております。  第三に、所管試験研究機関等につきましては、航空宇宙技術研究所、金属材料技術研究所、放射線医学総合研究所及び国立防災科学技術センターの施設等の整備に必要な経費のほか、昨年発足いたしました宇宙開発推進本部におけるロケット等の開発に必要なる経費を含めまして、歳出予算額三十七億五千五十三万一千円、国庫債務負担行為額三億四千万円を計上いたしました。これを昭和三十九年度予算額に比較いたしますると、歳出予算額五千三十二万六千円、国庫債務負担行為額六千四百八十四万五千円の増額となっております。  以上申し述べましたもののほか、大蔵省所管に計上いたしました新技術開発事業団及び理化学研究所の事業運営費に充てるための必要な経費といたしまして、歳出予算額二十二億六千万円、国庫債務負担行為額五千六百万円がございます。これは昭和三十九年度予算額に比較しまして、歳出予算額二億九千九百万円の増額国庫債務負担行為額六億八千百十四万円の減額となっております。  最後に、原子力損害を賠償することによりまして生ずる原子力事業者の損失を国が補償するため、原子力事業者と補償契約を締結することのできる金額の限度額を八億円に予定いたしております。  以上、簡単でありますが、昭和四十年度科学技術庁関係予算案について、その概略の補足説明を申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  20. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、法務省所管予算説明を求めます。高橋法務大臣。
  21. 高橋等

    ○高橋(等)国務大臣 昭和四十年度法務省所管予算の内容につきまして、大要を御説明申し上げます。  昭和四十年度の予定経費要求額は、五百四十三億三千六百三十四万三千円であります。このほかに官庁営繕費として建設省所管予算中に一億八千九百十一万二千円が計上されております。前年度当初予算額四百九十四億一千二百九十万四千円に比して、法務省所管分は四十九億二千三百四十三万九千円の増額となっております。なお、前年度の補正後予算額に比して三十三億九千五百十万七千円の増額となっております。  増額分の内訳を大別して御説明いたしますと、第一に、人件費関係の四十九億五千四百九十九万一千円であります。これは、昨年実施されました公務員給与ベースの改定等に伴う増額分及び昇給等原資としての職員俸給等増額分がおもなものでありますが、そのほかに、検事、法務事務官等百三十五名の増員に伴う所要人件費が含まれております。  第二に、一般事務費としての八億七千二百六十七万四千円であります。これは、事務量の増加に伴い増額されたもののほか、積算単価の是正及び職員の執務環境または矯正関係収容者の処遇等の改善に伴う増額分等でありますが、そのおもな事項について申し上げますと、  治安対策の充実の一環としまして、暴力、公安検察、交通事犯取り締まりの強化をはかるための検察体制の拡充強化経費、矯正収容者の衆情を安定させるための処遇改善経費、不法出入国者取り締まりのための違反調査経費及び破壊活動調査機能の充実のための団体調査経費等増額分として二億九千九百八万二千円があります。  国民の権利保全対策としまして、登記事務の適正迅速化をはかるための事務処理改善経費、基本的人権擁護の伸長をはかるための人権侵犯事件調査経費増額分として六千四百三十五万四千円があります。  非行青少年対策としまして、青少年検察、少年院の教化活動、少年鑑別、保護観察、少年非行予防対策の研究等の充実強化をはかるための経費増額分として一億五千二十四万三千円があります。  臨時司法制度調査会答申対策の一環といたしまして、司法制度、検察組織等の調査研究経費、検察官の執務環境の是正をはかるための経費増額分として五千三百六十八万二千円があります。  第三に、営繕施設費でありますが、九億四百二十二万六千円の減額となっております。これは、法務局等施設の新営費等、三億三千百六十七万五千円が増額となっておりますが、刑務所施設取得費の対象庁の変更に伴いまして、前年度に比して十二億三千五百九十万一千円が減額となったことに基因するものであります。  なお、建設省所管計上の官庁営繕費につきましては、一億二千二百十一万六千円が増額されております。  次に、昭和四十年度新たに予算に計上された事項経費について申し上げますと、  第一に、来年度は、外国人登録法に基づく在日外国人の登録証明書の大量切りかえを行なう年度にあたりますので、これに要する経費として八千八百四十一万六千円が計上されております。  第二に、本年六月に実施を予定されている参議院議員の選挙の公正を期するため、適正な検察を行なう必要がもりますので、これに要する経費として六千百十四万一千円が計上されております。  次に、増員百三十五名の内容といたしましては、治安対策の一環として、暴力事犯検察を強力に実施するための検事五名。公判審理を迅速化するための検事正名。登記事件の増加に対処して、その事務処理を円滑適正化するため、事務官八十名。非行青少年対策の一環として、青森、帯広少年院を開設するため、教官二十九名、技官等十一名、計四十名。羽田入国管理事務所における出入国者の増加に対処して、その出入国審査業務の処理を適正、迅速化するため、入国審査官五名となっておりますが、検事十名につきましては検察事務官の欠員より振りかえ、また、教官等二十七名は欠員より充当することになっておりますので、来年度の定数増員は九十八名となっております。  次に、おもな事項経費について、概略を御説明申し上げます。  第一に、外国人登録法に基づき、在日外国人の登録及び指紋採取の事務を処理するために要する経費として、一億三千七百九十二万五千円。第二に、法務局、地方法務局等において登記、台帳、供託、戸籍等の事務を処理するために要する経費として、七億九千三百十万六千円。第三に、検察庁において処理する一般刑事事件その他各種の犯罪事件の直接検察活動に要する経費として、六億三千七百二十一万三千円。第四に、拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院の昭和四十年度一旦平均収容予定人員合計七万五千四百三十人の衣食、医療及び就労等に要する経費として、六十一億三千三百八十二万八千円。第五に、犯罪者防更生法、更生緊急保護法及び執行猶予者保護観察法に基づき、刑余者及び執行猶予者を補導監督し、これを更正させるための補導援護に要する経費として、八億一千二十六万五千円。第六に、出入国管理令に基づき、出入国者の審査並びに在日外国人の在留資格の審査事務を処理し、また不法入国者の退去を強制される者の護送、収容、送還に必要な衣食、医療等に要する経費として、八千三百二十一万円。第七に、公安調査庁において処理する破壊活動防止のための調査活動等に要する経費として、八億九千四百八十八万八千円。第八に、法務局、検察庁等の庁舎及び刑務所、少年院等の収容施設の新営、整備に要する経費として、三十二億八千九百六十五万四千円が、それぞれ前年度に引き続き計上されております。  以上が、法務告所管歳出予算予定経費要求大要であります。  最後に、当省主管歳入予算について、一言御説明申し上げます。  昭和四十年度法務省主管歳入予算額は、二百十八億一千九百四十五万一千円でありまして、前年度予算額百九十四億一千九百九十一万二千円に比して二十三億九千九百五十三万九千円の増額となっております。これは、過去の実績等を基礎として算出したものでありまして、増額となったおもなものは、罰金及び科料と刑務作業収入であります。  以上、法務省所管昭和四十年度予算について、その概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。     —————————————
  22. 植木庚子郎

    ○植木主査 次に、文部省所管予算説明を求めます。愛知文部大臣。
  23. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 昭和四十年度の文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、文部省所管一般会計予算額は四千四百六十九億八千八百五十一万八千円、国立学校特別会計予算額は千六百七十五億八千九百七十万五千円となっており、その純計は、四千八百億千七百九十五万円であります。  この純計額を前年度当初予算額と比較いたしますと、およそ六百四十九億円の増額になりますので、その増加率は、十五・六%になるわけであります。  この増加卒は決して十分とは申せませんが、一般会計予算総額増加率を考えますと、文教予算に重点が置かれていることは明らかであろうかと存じます。また、内容的にも従来とかく見のがされがちでありました面につきまして、できる限りきめのこまかい配慮を加えたつもりであります。  以下、昭和四十年度の予算案におきまして、特に重点として取り上げました施策について御説明申し上げます。  まず、第一は、初等中等教育の改善充実であります。  前年度に引き続きまして、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数を改善し、施設設備の整備を進めることといたしましたほか、さらに教科書の無償給付を推進し、学校給食の充実をはかる等の施策を進めることといたしておりますが、要保護、準要保護児童生徒に対する就学援助、僻地教育及び特殊教育の振興につきましても特に留意し、教育の機会均等の趣旨に沿うようにつとめました。  そのうち、まず、学級編制及び教職員定数の充足につきましては、学級編制の基準を原則として小中学校いずれも最高四十八人に改めるとともに、標準法に基づいて教職員定数の充実をはかり、また、特殊学級担当教員及び充て指導主事の増員などを行なっております。次に、給与改善につきましては、給与改定、管理職手当の引き上げ等を行なうことといたしましたほか、僻地にすぐれた教員を配置するため、僻地勤務教員の優遇策について特例に考慮いたしております。  次に、公立文教施設につきましては、既定計画の線に沿ってその整備を進めることとし、小中学校の校舎及び屋内運動場の整備、危険校舎の改築、学校統合に伴う校舎等の整備を行なうために、公立文教施設整備費二百八億円を計上いたしました。そのうち、危険校舎、統合校舎等の事業量、建築単価及び構造比率の改善につきましては、それぞれ、実情に即して配慮を加えております。  次に、父兄負担の軽減をはかる趣旨から、小規模学校の教材の充実を含めて教材費の増額をはかりましたほか、国公私立学校を通じて、小学校及び特殊教育諸学校の小学部の第一学年から第六学年までの児童に、全教科書を国の負担において無償給与することにいたしております。  また、学校給食につきましては、小麦粉について従来の補助を継続いたしますとともに、ミルク給食につきましては、酪農振興の見地から、国内産牛乳の大幅な使用増加を前提として、所要の補助金を計上いたしました。  さらに、学校給食の施設設備につきましては、完全給食の実施を目途として、従来に引き続き単独校の計画的整備をはかるとともに、最近特に要望の強い共同調理場の整備費について大幅な増額を行なっておりますほか、新たになま牛乳の殺菌設備の補助を行ない、また、栄養職員の設置につきましても補助対象人員の増加をはかっております。  このほか、関係市町村のかねての要望にこたえて、小中学校の遠距離通学者に通学費を支給する市町村に対し、新たに補助金を交付する道を開いて、義務教育の円滑な実施をはかることといたしております。次に、僻地教育の振興につきましては、まず、僻地に勤務する教員の人事交流の円滑化に資するため、僻地勤務教員の優遇措置を講ずるとともに、教員住宅の建設について一そうの充実をはかり、また、僻地に勤務する教員の子弟の教育のために、新たに甲等学校の寄宿舎建設に対する補助を行なうことにいたしました。さらに、僻地の教育環境の整備につきましては、引き続き、スクールバス、ボート、視聴覚教育設備、僻地集会室等について補助を継続いたしますとともに、小中学校の寄宿舎の建設費及び運営費に対する補助金の増額を行なうなど、総合的、かつ重点的に施策を推進することといたしております。  次に、特殊教育につきましては、養護学校及び特殊学級の計画的な普及と就学奨励費の内容の充実をはかるために必要な経費を計上いたしますとともに、職業教育の一そうの充実を期するため、特殊学級の設備及び特殊教育諸学校の技術、家庭科の設備の充実について補助金を増額いたしております。  また、要保護、準要保護児童生徒の就学援助につきましては、それぞれの品目について補助単価の改定を行ない、その内容の充実につとめております。  このほか、前年度に引き続き、道徳教育及び生徒指導の充実強化をはかるために必要な諸経費を計上し、また、教職員の研究活動推進するため、各種教育研究団体の助成を強化するとともに、都道府県に総合的な研修センターを設置するために必要な補助を行なうことといたしました。  また、幼児教育の重要性にかんがみ、多くの父兄の要望にこたえて、幼稚園の普及整備のために必要な施設、設備の補助を増額計上いたしております。  第二は、大学教育の拡充であります。  国立学校特別会計予算につきましては、前年度の当初予算額と比較して二百八十一億円の増額を行ない、約千六百七十六億円を計上いたし、ました。その歳入予定額は、一般会計からの繰り入れ千三百四十五億円、借入金三十五億円、付属病院収入二百十七億円、授業料及び入学検定料三十七億円、学校財産処分収入十七億円、その他雑収入二十一億円であります。歳出予定額内訳は、国立学校運営費千三百十九億円、施設整備費三百五十二億円などであります。  まず国立大学の拡充整備につきましては、公立一農科大学の国立移管を含む八学部の開設、三十五学科の新設及び拡充を行ない、特に多年の懸案でありました文理学部の改組を、まず四大学について実施することといたしております。  また、教員養成制度改善につきましては、制度全般についてなお検討を進めておりますが、さしあたり教員養成大学、学部の入学定員の改定、養護教諭養成所及び必要な養成課程の新設、宮城教育大学の創設などの措置をとることといたしております。  このほか、前年度に引き続き、中堅技術者の育成のため七工業高等専門学校を新設する計画であります。  以上の結果、大学及び短期大学の学化定員の増加は、合計約三千四百人となっております。  さらに、教官当たり積算校費、学生当たり積算校費、設備費等のいわば基準的な経費につきましてその増額をはかりますとともに、新制大学における大学院修士課程の拡充についても特段の配慮をいたしております。  次に、施設の整備につきましては、財政投融資資金及び不用財産の処分収入を財源の一部に含めまして予算額の大幅な増額をはかり、一段と施設整備の促進をはかることといたしておりますが、特に土地の取得のために財政投融資資金を利用いたしましたことは新しい構想であり、今後の成果を期待いたしたいと存じます。なお、施設整備のために、後年度分について四十五億五千万円の国庫債務負担行為を行なうことができることといたしております。  次に、育英奨学につきましては、大学院奨学生及び教育特別奨学生の増員を中心として、引き続き事業の拡充をはかるとともに、日本育英会につきまして奨学会の返還業務の促進に要する経費増額し、約八十九億円を計上いたしております。  第三は、私学振興の拡大であります。  私立学校の振興は、文教政策の今後の重要な課題でありますが、昭和四十年度の予算案におきましては、特に重点としてこれを取り上げ、格段の努力をいたしたところであります。まず、私立学校振興会に対する政府出資金及び財政投融資資金からの融資につきまして、合わせて百十億円と、これを前年度の二倍に拡大し、私学全般の施設の改善充実をはかることといたしております。  次に、私立大学等理科特別助成費及び私立大学研究設備助成費につきましては、合わせて五億円増の約三十億円を計上し、科学技術教育の振興にも資するとともに、新たに私学の教職員の研修センターに対する建設費の補助を計上する等の施策を講じており、ます。  第四は、学術研究及び科学技術教育の振興であります。  わが国の学問及び科学技術の水準を高め、ひいては国民生活の向上に寄与するため、学術研究及び科学技術教育の振興につきましては、かねてから努力を続けてまいっているところであります。明年度におきましては、まず、学術研究について、重要基礎研究促進をはかるために、科学研究費の増額を行ないましたほか、原子力、防災科学、宇宙科学等の研究のために必要な経費を計上し、また、電子工学研究所の新設、海洋研究所、宇宙航空研究所等の整備をはかることといたしました。  さらに、国際的な学術研究協力体制を強化するため、引き続き日米科学研究協力事業等について所要の経費を計上するとともに、南極地域観測事業の再開に必要な経費を計上いたしております。  次に、初等中等教育の分野におきましては、中央産業教育審議会の答申の趣旨に従い、産業教育関係の施設設備の改善充実をはかるとともに、自営者養成のための農業高等学校の寄宿舎、実習施設等を整備することにいたしました。  なお、科学技術者の養成につきましては、昭和四十年度におきましても引き続き理工系学生及び工業品等学校生徒の増募を行なうため、大学、高等専門学校及び工業高等学校の充実整備をはかっておりますが、国立学校関係につきましては、先ほど述べました学部、学科の増設等により約二千五百人の理工系学化の増募を行なうことといたしております。  第五は、青少年の健全育成と社会教育の振興であります。  働きながら学ぶ青少年の教育問題は、学校教育及び社会教育の両面にわたって深く意を用いるべきところであると存じます。  まず、学校教育の面におきましては、引き続き定時制高等学校の施設設備の整備、定時制及び通信教育手当の支給、通信教育用学習書の給与等に必要な経費を計上いたしましたほか、夜間定時制高等学校につきまして、夜食費補助金及び運動場照明施設整備興補助金を増額計上いたしております。  また、社会教育の面におきましては、勤労青少年に学習及び訓練の機会を与えるため、国立第四青年の家を新設いたしますとともに、引き続き公立青年の家の整備を進めることとし、さらに青年学級及び勤労青年学校の内評の充実をはかり、また、中学校卒業後直ちに就職する青少年のために研修を行なう経費も新たに計上いたしました。  次に、社会教育は、広く国民の資質の向上に大きな役割を果たしており、その普及振興は、学校教育の充実とともにきわめて大切なことであります。このため、まず公民館、図書館、博物館等の施設、設備の整備を一そう推進するとともに、家庭教育、婦人教育あるいは同和教育等の振興のために必要な諸経費を計上いたしておりますが、同町に、すぐれた社会教育指導著の養成は社会教育振興のため最も必要なことと存じますので、新たに国立社会教育研修所の設置に関する経費を計上いたしました。  次に、体育の普及奨励につきましては、広く国民一般に対し体育を普及奨励するため、水泳プールの整備に必要な経費を大幅に増額いたしますとともに、体育館、運動場のほか、新たに公立高等学校の柔剣道場を整備するための補助金を計上いたしております。  また、スポーツ活動の指導者養成、スポーツ教室及びスポーツテストの普及、スポーツ団体の助成等について必要な経費増額いたしましたほか、相次ぐ登山事故の防止のためすぐれた指導者を養成する必要を考え、新たに国立の登山センターを設置するための準備を進めることといたしました。また、オリンピック東京大会を記念いたしまして、選手村あとの施設を活用してオリンピック記念青少年総合センターを設立するための経費一億二千万円を計上いたしております。  第六は、芸術文化の振興であります。  芸術文化の質的向上をはかるとともに、すぐれた芸術を広く国民に普及いたしますことは、国民生活の文化的向上をはかる上にきわめて必要なことであります。このため、近代文学館その他の芸術関係団体の助成を強化し、芸術祭の開催等を行なうことといたしておりますほか、歌舞伎、文楽等のすぐれたわが国の伝統芸術の保存と振興をはかるため国立劇場の建設を進め、さらには、東洋美術の公開展示のための東洋館の建設を行なう等、関係予算の大幅な増額を行なっております。  次に、文化財保存事業につきましては、保存修理事業を拡充し、防災施設の整備をはかる等その充実について努力を重ねておりますが、特に最近、国土開発の急送な進展に伴って、史跡、埋蔵文化財等の保護対策の強化が痛感されておりますので、平城宮趾の買い上げ、発掘調在の促進をはじめ、その他の史跡につきましても、その公有化、環境の整備等をはかるため必要な経費増額計上いたしました。  第七は、国際文化の交流であります。  国際文化交流関係予算につきましては、まず、アジア文部大臣会議をはじめ、教育、学術、文化、スポーツ等各種の国際会議への積極的な参加及びわが国で開催される国際会議に対する援助を積極的に行なうことなどによりまして、国際機関、団体等との協力提携をいよいよ密にするとともに、文化協定締結国等との学者、研究者、学生の交換、学術の共同研究、芸術、文化財の交流、スポーツを通じての国際交歓などをさらに推進し、また国際文化団体への助成を強化いたしたいと考えております。  次に、各国の要望にこたえて、留学生の受け入れ体制、特に日本語教育体制の整備についてくふうを重ねますとともに、新たにアジア、アフリカの学生を主として受け入れるためユネスコ国際大学院コースを開設することにいたしました。なお、最近海外勤務者が激増しつつあり、その子弟の教育が切実な問題となっておりますおりから、その教育対策につきましては、これを一段と積極的に推進することといたしました。  以上のほか、産炭地域における教育につきましては、放置できない実情がありますので、就学援助費、給食費等について援助を強化するため、一般の予算措置のほかに特別の配慮を加えております。  そのほか、沖縄の教育に対する協力援助費につきましては、これを大幅に増額して別途総理府所管として計上いたしております。  以上、文部省所官予算案につきましてその概要を御説明申し上げた次第でございますが、何とぞ十分御審議の上、御賛同をお願いいたします。
  24. 植木庚子郎

    ○植木主査 以上をもちまして、本分科会所管予算説明は全部終了いたしました。  午後は一時から、再開し、皇室費国会及び内閣所管について質疑を行なうことといたします。  この際、暫時休憩いたします。     午前十一時三十九分休憩      ————◇—————     午後一時十一分開議
  25. 八木徹雄

    八木(徹)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  主査は午後柳川がございますので、私がその指名により主査の職務を行ないます。  昭和四十年度予算中、皇室費国会及び内閣所管について質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。川崎秀二君。
  26. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 総務長官御出席でありますので、総務長官に御質問をいたしたいと思っております。  昨年の秋ごろから、オリンピック大会後にわが国が行なうべき国際、国原的行庫Tとしては、まず考えられるのは、昭和四十五年の方国博覧会、これは大阪府を中心にして、近畿各県が共同してやろうという意欲は持っておるけれども、はたして開催され得るかどうかは、国際的な関係できまることであります。毎年そのような行事が行なわれるわけではありませんが、たまたま昨年の秋ごろからいわれておることは、昭和四十二年十月は明治の世を開いたときから百年に該当する。したがって明治百年祭あるいはもう少し前向きの意味を持たして、近代国原になって得年、近代国家誕生百年あるいは近代国家百年という意味で、明治のあの時代に維新の大業を樹立するに至った経緯を国民に知らせ、封建国家から近代国家へ脱皮前進したるわが国の文明進度の様相を国民全般に知らしめて、ここに民族精神を苛める、こういう企画両を起こしたらどうかということが、二、三の有識者の中にいわれてまいったのであります。たまたま自民党の文教部会あるいは内閣部会におきまして、予算の最終段階で、何がしかの予算をもって総理府のもとにその調査研究をしたらどうか、もとよりこれはあとで御質問をいたしますが、一応民間が主体となって、政府もまたこれに協力するという形が望ましいとは思いますが、政府としては、そういう構想に対してどうお考えになっておるか、承りたいと思います。
  27. 臼井莊一

    臼井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま川崎先生御質問のとおり、昭和四十二年がちょうど東京へ遷都せられて百年になるということで、その機会に記念の式典をやったらいかがか、こういうような意見もぼつぼつ出ているやに伺っております。事実いまお説のとおり、わが国がこのように近代国家になったほんとうの基礎をつくった一番初めは、東京に遷都、そして明治四十五年間のこの期間というものが実に今日の基礎をなした重要な時期でございますので、したがいまして、日本の国民としてそれを機会に、過去を回想して、さらに将来への構想企図を雄大にするという、そういう御意見はもっともかと思うのでございます。ただしかし、現在の段階におきましては、政府においてこの記念式典を行なうというような計画はまだございませんで、その点はいま申し上げたようなわけで、計画は現在のところない、こういうふうに申し上げるよりかいたし方ないと思います。
  28. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 記念式典はないけれども、何かそういうような構想で民間が進めるならば、これに協力するという意思はむろんあるから多少の予算でも総務、長官のもとで捻出をする余裕になっていると私は思っておるのですが、この点あらためてお尋ねをします。
  29. 臼井莊一

    臼井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御意見のとおり、これが民間から燃え上がる意欲によってそういう式典を行なおうじゃないか、こういうように盛り上がることは、これは非常にけっこうなことだ、かように考えております。したがいまして、そういう民間において有力な企画ができて、そうして百年祭を行なう、こういう計画でもできました暁におきましては、政府においても何らかの考慮を払って、また予算的な措置等において毛考慮する場合もある、かように考える次第でございます。
  30. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 それで一つ進んだわけでありますが、実は、このことについては、二、三の有識者の発言もあり、また少し片寄った思想の方面からも民間的な動きがあるように聞いております。しかし、なるべくならば、国民全般の行事としてこれを盛りしげたいということで、実は党の三木幹事長にも、あるいは社会党の成田書記長にも先般来お話をいたしまして、筋としての御賛同は得ておるわけであります。そこで、これをやる場合には、やはり国民的な組織ということが必要でありましょうし、政府がバックアップをする、あるいは協力をするということであるならば、やはりオリンピック大会のように——もちろんあのような大規模のものではございませんが、組織体をつくる必要がある。最初は政界、財界、言論界、労働界、文化界等の有識代表者をもって準備委員会を組織したいというふうに私個人は考えておるのであります。その後に政府がこれに協力をするという形になってくれば、当然そこには準備委員会から組織委員会というものにかわって、過去二千六百年の式典をやったときもそうでございましたが、今度のオリンピック大会のような国民的な支持を得てやるのでなければ意味がないというふうに、私は組織の方法として考えておるのであります。こういうような組織ができ上がった場合には、政府は全面的に協力する意思があるかどうか、さらに承っておきます。
  31. 臼井莊一

    臼井政府委員 いま御質問の問題でございますが、ただいま申し上げましたように、この問題につきましては、いま申し上げましたような理由で、日本の国民としてはだれしも重大な関心を持ち得る問題でございまするので、したがいまして、民間においてそういう組織や計画があり、そしてまた政府もこれに参加するのが適当である、こう認めた際におきましては、政府といたしましてもできる限りのお手伝いをすることは、過去の事例に見ましてもあり得ることだ、かように考えております。
  32. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 だんだん御協力を得てやれるようなお話を承りまして、ありがたく思っております。  そこで、しかし何をやるのだ。これはなかなかその準備会なり組織委員会なりが発足をしてからでなければ内容のことについていろいろせんさくするのもどうかと思いますが、しかし、このことだけは言えるのではないかと私は思うのです。  それは、明治維新の大業というものは、あの旧弊を打破して、封建制度を止揚して、そこに新しい立憲政体をつくろうということも一つの考え方であったし、封建政体の打破だけにとどまっておったものもあります。そして、明治の世代になって、明治二十三年に五ヶ条の御誓文、国会の開設ということに及んでモダンステートができたという経過を振り返って考えてみますと、そこに集約できるのは、各藩の藩上のうち有力な者ことごとく青年であった。倒幕しこうして維新というものを完成したものは、全く白面の青年であります。永井柳太郎氏の演説の文句の中に、明澄維新の大業は青年で完成をされた、時に西郷隆盛は三十九歳、大久保利通は三十何歳、桂小五郎が三十有歳、伊藤俊輔に至っては三十九歳の足軽であった、という演説を私は記憶しておるのですが、それだけではなしに、実際青年というものは立ち上がって、特に坂本竜馬、中岡慎太郎などはその途中に志半ばにして暗殺をされた。近ごろNHKのテレビなどでも、青年というものの大きな劇を帯いて、そして民心を鼓舞をしておるわけですが、それが非常にいい着想ではないかというふうに思うのです。  そこで、ただ回顧し振り返るということだけでは意味がない。前進していく日本の姿をその中にとらえ、わが国の理想図というものを描いていくためには、明治維新の青年による大業を回想するとともに、世界の青年に呼びかけて、将来の世界平和建設のために血の通った交流をすることが必要だ、こう私は考えるので、そこで、その行事の一つに世界青年学生祭というものを日本が創始をしてやってみたらどうか。これは必ずしも日本が創始とは言えません。たとえば、ソ連が革命何年の記念であったか、いまから六、七年前に、世界青年友好祭というものをやった。これは何が共産党の宣伝みたいなようなもりでもあったけれども、実際に行ってみると、そうではなしに、世界の青年に呼びかけて、多くの青年にソ連を見させたということも一つのお手本だ思うのです。あるいは近来トルコでも何百年祭かをやっております。   〔八木(徹)主査代理退席、主査着席〕 そのときの企画は、大体ばらばらではあるけれども、世界の青年学生祭的なものをやっているのですから、これが一つの非常な興味のある課題になりはしないかというふうに考えて、オリンピック大会は国際市民としての教養を高める機会であったが、明治百年、近代国家誕生祭は、百年祭は、青少年の民族的意識を興隆して、しかもそれと並行して世界平和を求めていくという形が理想的ではないかというふうに私自身は考えておるのです。たとえば、政治経済に関する討論をやるとか、あるいは将来の国連組織のあり方であるとか、あるいは大きく理想を求めて世界連邦への到達点を模索するとかというような問題もありましょう。あるいは演劇、音楽、映画、舞踊等のコンクール、民族芸術の交歓をする。さらには、実は一九六七年には日本体育協会あるいはスポーツ関係では、学生オリンピックともいうべきユニバーシアードを招致したい。これはなかなか競争相手もあって、五分五分の勢いで日本とフランスがいま争っておる。ですから、そのきめ手のためにも、こういう企画があれば一石二鳥ではないかとさえ考えられるのであって、政府は、青少年の気分を高揚するためにも、こいう企画を盛り込んでの明治百年祭というものをやったらどうか。そのほかにも、歴史博覧会というようなものも考えなければならぬ。新しい時代であるから、科学技術の粋を集めての未来の世界と宇宙というような展覧会をやったらどうか。いろいろな企画はあるのですが、しかし、青年の年である、ことに世界の青年との交流の年であるというような意味で、明後年これを打ち出すならば、国民も相当に共鳴をして、そうして明治百年の記念祭が単なる懐古趣味に終わるのではなく、前進する日本の象徴として、長く青史にとどまるのではないかというような考えをいたしておるのですが、そういう構想に関連して、総務長官の所見を承れればまことに幸甚であります。
  33. 臼井莊一

    臼井政府委員 ただいま御質問並びに御意見のとおり、明治の大業が若き当時の青年志士の手によってできたということは、これを現代の青年にも大いに考えてみてもらいたい点だということはごもっともだと考えます。そして、先刻来お話しのように、現在の日本が今日、ことにオリンピックを機会に、世界から非常に注目をされ、ことにまた東南アジア、アフリカ等々開発の多少おくれている国から見ますと、日本がまことに驚異の眼をもって見られ、それらの国々が一つの手本ともしたい、こういう考えでございます。日本の現在の青年も、やはりこれからは一そう世界的な視野に立って、将来の日本、世界の平和というものも考えていかなくちゃならぬわけでございますので、したがって、いわゆる古きをたずねて新しきを知るという意味において、過去の歴史を十分研究をして、そしてひとつ青年の今後の考え方を雄大にするという、そういう御趣旨は私どもも十分了解し得るところでございまして、したがいまして、そういう記念祭がかりに行なわれるとするならば、それを機会に、それらの国々からもひとつおいでを願って日本の実情を見ていただき、また日本の青年諸君とも交流をする、日本の青年諸君はそれによって世界的な考え方にさらに進んでもらうという、そういう意味においての百年祭がかりに行なわれるとするならば、いろいろの計画があって、その機会に大いに青年を振起せしむる一つの機会ということも考えられるかと考えるのであります。
  34. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 明治百年祭の問題は、その他にも申し上げたいことがあるのであります。それは、オリンピック大会のように東京あるいはその周辺だけでやるというのじゃなしに、中央組織のほか、まあ全国を北海道、東北、東海、近畿、四国、中国、九州、北陸等の各ブロックに分けてやはり盛大なものを行なって、国民全般に浸透せしめる、講演会及び展覧会等の企画なども並行していったらいいように思うております。しかし、これはいずれ御賛成を得ました民間から盛り上がったらば対応するということでございまして、近々に民間の各位等に呼びかけて組織化に前進いたしたいと思いますので、これ以上はここでは申し上げないことにいたします。  多少将来の政治問題になると思いますが、総理府では青少年局を設置したいということであったのが、閣議の間で文部大臣と有力なる閣僚との問に異論が起こり、そして党がきめた青少年局の設置というものがお流れになった。はなはだ臼井総務長官としては面目を維持することに困ったのではないかと御同情申し上げておるのですが、あれは将来もう一ぺん——これは考え方としては私はあとで申し述べるつもりですが、やる気ですか。
  35. 臼井莊一

    臼井政府委員 総理府に青少年局を設置するという案につきましては、すでに昨年の通常国会にもその法案が提出されました。これは一つは、当時臨時行政調査会におきましてまだ結論が出ておりませんで、ただ中間報告としては、青少年行政が各省に広くわたっていることであり、これを総合調整して、そして強く総合調整、企画、立案をするということが政府として必要だ、それには、総理府そのものが総合調整するというのが使命であるから、総理府に置くことがよかろうという、そういう趣旨のもとに法案が提出されたのです。  ただ、いま申し上げましたように、臨調の中間報告では、まあそれがよかろう、こういうことでございましたが、最終段階の答申におきましては、必ずしも青少年局を設けないでも、調整官というものを置いたらそれで機能が果たせるではないか、従来のいわゆる行政のあり方の局というようなものは、はたして総理府に置くまでの必要があるかどうか、適当であるかどうかというところに一つの疑問みたいなものを投げかけてあったのでございます。ただ、調整官というのは、名の示すとおり調整官ですが、世間的にはあまり人口に膾灸していないというか、なれておりませんから、それで、やはり政治的に考えるならば、局というものができたほうが力強く推進するというようなふうに世間にも映るであろう、こういうことで、本年度も総理府としては一応そういう案で進んだのでございます。まあ閣議のことについては、私からあまり申し上げることは適当でないかと思いますから、御遠慮申し上げますが、それは事実政府の内部におきましても、いま申し上げたように青少年局を置くことについての意見がございました。そこで、ただ調整官を置くとなると、これは臨調の答申のように、現在の総理府というものを総理庁また内閣府というような、そういう構想のもとにおいての調整官でないと、これはひとり青少年問題ばかりでございません。したがって、この点については、行政改革本部が臨調の答申のあれをいろいろ進めていくわけなんですが、その行政改革本部においても、実ははっきりした結論が出ておりませんで、大体八月ごろまでにはその結論も出るだろう。こういうようなこと等々のために、もともと私のほうの役所は総合調整が役でございますから、あまり自分自身の庁に関することのみを主張するということばかりでよいとも必ずしも考えませんので、そこで本年度において——本年度というのは四十年度でございますが、四十年度においては一応この案は見送らざるを得なかった、こういうことでございます。
  36. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 自分のほうは調整すべき立場にあるので、したがって強く推さなかった、こういうことでありますが、私は非常に残念だと思うのです。青少年問題の重要性が戦後いよいよ高まってきておる。非行少年の問題一つ取り上げても、その善導すべき方策は、総理府のもとで総合調整をすべきことが非常に多い。海外に青少年を派遣するという問題もそうでしょう。これは文部省のワク外に一般の勤労青年もあるし、そういうような諸問題を取り上げただけでも、今日の総理府の機構だけでは手に負えないことがあると思う。諸外国の最近における実例を見ると、西ドイツなどは、戦後のドイツ民族の興隆は青少年の奮起に待つ以外にないというので、総合対策をつくるために青少年省を起こしているほどであります。フランスは、ドゴール大統領になってから直接の管理としてこれを推進している。アメリカでも最近非常に考え方が変わってきて、アメリカはああいう国ですから、青少年問題はそれぞれの州、それぞれの家庭において善導してもらうということで、青年団体すら統一しない、あるいは統制しない。それはいいことだと思うのですね、デモクラシーの本質ですから。けれども、どうもそれだけでは足りないのではないかということから、ケネディ以来青少年問題に対するいろいろな部をつくって、そうして青少年の指導に誤りなきを期しているわけですから、これはむしろあなたが進言して、総理みずからがやる。総理はしばしば、青少年団体を集めたところでは、青少年局ぐらい当然のことだ、将来は青少年省ぐらいまでつくってやらなければいかぬぐらいのえらいことを言っておいて、しりすぼみになっていくということは非常に残念なわけであって、どうかそういう気がまえで邁進してもらいたいと思うのであります。  それから、これはいまの問題に関連して非常にこまかいことですけれども、近ごろ非常に学生の渡航熱というのが盛んなんです。われわれが最近調べてみると、慶応大学の学生諸君が三月の初めごろ立ってヨーロッパ旅行へ百七十五人も行く。慶応という学校は、この間ああいうストライキまでするに至った学校ではあるけれども、しかしやはり何といっても富裕なんでしょう。幼稚舎でも十六人ほど去年はアメリカへ行ったのですから、大学生が百七十五人組んで外遊するということも、ドルが許可された今日としては考えられることです。しかし、これがどんどん蔓延する、早稲田も行くし同志社も行くとか計画を聞いている。行くのは自由です。むしろ奨励してもいいですけれども、海外へ行く青少年の団体旅行に非常に格差がある。ボーイスカウトが行けば自分らだけの費用でやらされる。あるいは総理府が選んでやるやつはまるがかえだ。まるがかえで、それじゃ帰ってきて効果を発揮しているかというと、帰ってきただけで、単なる視察旅行をしておる。だからあなたのところでも、今度は練り直して、帰ってきてからもっと青少年団体の中に入って活動力を発揮して、海外と日本との比較あるいは日本の欠点あるいは日本の長所というものをしっかりつかんで民衆に訴えていく、そしてよりよき日本をつくるというような指導的活動をその青少年がやらないで、ただ金だけ出してやって、まるがかえで出したはいいが、あとは何も活動をしない、そういうのでは意味がないんですね。ぼくら、稲葉さんも昔から努力をしてもらって関係しておる日独青少年交歓というのがあって、これは定期的にドイツとの間にやっておる。視察や漫遊ならば、議員とか都会議員とか、これはだいぶいろいろな批判も浴びておるけれども、年寄りがすればいいと思う。実際問題、青少年が行くなら、もっと海外の青少年団体と交流する、向こうの家庭へ入り込むというような行き方をすることが一番いいと思うのです。私は、内閣総理府があれだけの金を出してやるならば、もっと主要各国との定期交歓をやったほうがお互いが仲よくなって、そして両国の親善にも非常に役立つのじゃないか、各国との親善に役立つのじゃないかというふうに思うのですが、あなたはどう思いますか。
  37. 臼井莊一

    臼井政府委員 ただいま、先刻の青少年局でございますが、青少年局が四十年度は見送られましても、中央青少年問題協議会が総合調整のより一そう機能を発揮するべく努力をいたしておりまして、その中央青少年問題協議会のほうで、年間青年百名ばかりを海外に出しておりますが、帰ってまいりましてからのそれらの人の活動ということは、これは実際重要でございまして、この点については、どうも見るところ必ずしも十分な効果をあげていない面があるのじゃないか、こういうことも考えまして、いまお話もございましたが、中央青少年問題協議会で先般これを練り直しまして、ただ親善視察ということばかりじゃなく、もっと各国のことを深く掘り下げて体験をし、そうして帰ってきてからも、いろいろ社会的にも十分活動して、効果があがるようにしなくちゃいかぬということで、まず人選の面におきましても、青少年局のほうで責任を持って、最終段階においてはそれに適した方々を人選したい、そしてまた行く面につきましても、今度は新興国の多いアフリカなども加えるとともに、あまりまんべんなく方々を歩くというのではなく、むしろ一、二カ国を、班も従来十一名、十二名くらいだったのをもう少し少なくして、そうして効果があがるようにしたいということで、青少年局におきましてもただいまの御意見のようなことを十分考慮して、今後四十年度においては臨みたい。  なお、後段の御意見につきましては、私ども機会がありましたら中央青少年問題協議会のほうにも申しまして、いろいろの点において相談したい、こう考えております。
  38. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 今度の問題は三つにまたがっておりますので、まず国会事務総長に伺いまして、それから臼井さんに——臼井さん、もう一問で終わりですから、それをお聞き願ってから…。  旧赤坂離宮ですが、あれは国会が持っておるのだが、将来どうするつもりですか。
  39. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 お答えいたします。  赤坂離宮はいま衆議院所管いたしておりまして、この間までオリンピック組織委員会にお貸しいたしておりましたが、これからどうするかという問題につきまして、せっかく明治時代の建築としては文化財ともいうべき非常にとうとい建物でございますので、最近非常に議員外交もやかましいおりでもありますので、迎賓館として使用したらいいのではないか、あるいはその他の方法によりまして、あの建物が完全に保存されていくような形をとったらいいのじゃないかという、いろいろ御議論もございますが、いまどうするかにつきまして議院運営委員会のほうで御検討願っておる次第でございます。まだ結論は得ておりません。
  40. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 議運のほうでもいろいろ考えておるとは思います。しかし、よく赤坂離宮の問題が出るのは、予算分科会で一、二の人がずっと連続して、同じ人でなしに発言しているように思う。それらを見ると、やはりみんなあれは迎賓館にしよう、つまりいつかイギリスのグロスター公殿下かどなたかおいでになったときに、あれはもともといまのバッキンガムに似せてつくった関係もあって、非常に環境は迎賓館としていいのじゃないか、今日までのところオリンピック組織委員会とか、あるいは国立国会図書館が完成されるまでのことに使われておったのだが、できればやはり迎賓館として、そしてそれの続きの大宮御所の活用ということもやはり考えたらいいじゃないかということが筋だろうと思うのです。きのうも国会関係者にお伺いしてみると、何か特殊な博物館にしたいというような意見国会内部ではあるというふうに聞いておる。われわれもいまどうこうというわけじゃないけれども、筋としてはやはり迎賓館にするのが、国民がすなおに納得し得るのではないか、こういうふうに考えるのです。迎賓館になると、やはり結果的には内閣所管することになるですね。その点、臼井さんどうですか、内閣としてはどういうことを期待しているというか、いま衆議院が持っておるのだから、話はありませんか。
  41. 臼井莊一

    臼井政府委員 この赤坂離宮の件につきましては、昭和三十八年五月七日の迎賓館の建設についての閣議決定がございまして、これによりますと、「国賓及びこれに準ずる待遇を要する者を接遇するための施設として、国の施設として迎賓館を建設することとして、」ということで、「次のように措置をすることとする。一、迎賓館は、その位置を赤坂御用地の西南隅とし、昭和三十九年度から建設実施の準備を始めることとする。二、迎賓館の規模及び設計については、内閣官房において関係省庁と密接に連絡の上早急に検討することとする。三、迎賓館の管理運営については、関係省庁と密接に連絡をして内閣官房において処理することとする。」こういう閣議決定がなされておりまして、その後一については種々検討を加えた結果、「その位置を赤坂御用地の西南隅」というのを、旧赤坂離宮を改修してこれに充てることが最も適当であるという結論に達したのでありますが、旧赤坂離宮は土地、建物とも現在衆議院の行政財産になっておりますので、これを迎賓館に供するためには、内閣に財産の所管がえを受ける必要がありますので、衆議院との間に話し合いがつき次第、「迎賓館に旧赤坂離宮を充てること」の閣議決定を行なう予定にいたしております。いずれにいたしましてもそういうことになっておりまして、それで昭和三十九年度の予算に改修費として一億円が計上せられておりますが、これが所管がえが終わらずに今日に至っておりますために、現在改修工事に着手することが不可能でございまして、近い将来にこの話し合いが成立したとしても、本年度においては残余期間において当初計画の改修の実施ができませんので、これは技術的にも間に合いません。そこで調査工事施行のための所要経費一千万円だけ残して、九千万円は不用額に計上したという、こういうことになっておるわけであります。
  42. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 よくわかりました。そうするとだいぶ事情が判明しまして、やはり内閣としてはそれを期待して推進しておるということですが、いま目黒ですね、この間うちまであった迎賓館、あそこは朝香宮のあとで、なかなかいいところです。けれども、あの行く道程は、必ずしも迎賓館へ行く道としてふさわしいとは私は考えない。最近聞いた話ですが、アデナウアー首相が東京へ来て、そうして国会で歓迎を受けた帰りかその前の日か知らぬけれども、帰り道に、東京というところはひどいところだな、バタやと同じだなという形容詞、ドイツ語で何と、言ったか知りませんが、バタヤ部落の連続だ。いまなるほどあそこも溜池から青山向こうをずっと広げていますが、あれからずっと行くとそのとおりです。全く東京というのは中心地だけがちょっとかっこうがいいだけだということに相なるのであって、迎賓館の場所としては、各国の元首あるいはそれにかわる者が来られて、馬車で参内されるにしても非常に遠いし、また沿道がよくない。それからしても迎賓館としての構想、環境は全く赤坂離宮はこれに適しておるというふうに思うのです。そういう意味で、ぜひ来年度あたりから思い切って衆議院もそういう世論が高まれば相呼応して手放してもらって、そうして内閣において、皇居の新設とともに、迎賓館として赤坂離宮を使用される方向へ進めてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。両方から伺っておきたい。
  43. 臼井莊一

    臼井政府委員 閣議の決定はいま申し上げたとおりでございますが、ただこれはいま衆議院所管になっておりますから、そこで衆議院側と話し合ってこれを内閣のほうに所管がえをしてもらわないとこれの実行ができない、こういうことでございますので、今後この問題につきましては、国会のほうとひとつよく話し合っていかなければならぬ、こう考えております。
  44. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 お答えいたします。  内閣所管がえするかどうかの問題も含めまして、いま議運で検討願っておるわけでございますけれども、まだ国会としても有意義に使用すべきでないかという意見が非常に強うございます。いまここで内閣に移すということを私から御返事できないと思いますから、御了承願いたいと思います。
  45. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 これは最後の答弁をいただこうとは思っておりませんでしたのでけっこうでございます。  赤坂離宮の話が出たついでですから、宮内庁長官に伺いますが、赤坂離宮と隣接する大宮御所は、皇室のほうで持っておられるそうでございますね。——それであれは毎年庭園の手入れ、そういうものにはどのぐらい計上されておるのですか。
  46. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 貞明皇后御生存中は大宮さまで、大宮御所と申し上げておりましたが、崩御の後、その後あの地帯全部を一応赤坂御用地と事務的には申しております。その中には皇太子殿下の御殿と秩父宮妃殿下の御殿がございます。その他宮内庁の職員あるいは皇宮警察の職員の官舎等が若干ございます。それで、あれはもちろん全部が国有財産でございます。しかし皇室用財産として宮内庁が管理をいたしておるわけでございます。だいぶ戦後、ことに大宮さま崩御の後荒れておりましたが、たしか昭和三十四年ごろに両院の大蔵委員会が視察されまして、この名園をほっておいてはいけないということで、予算のときに付帯的な決議がございまして、自来三十四年からたしか三十七年まで四カ年にわたりまして四千万いただきまして、あの池の付近を整備いたしまして、それで御承知のとおり、終戦後の宮中の園遊会は、いま新宮殿をつくりつつございますもとの皇居あとの広庭でいたしておりましたが、工事が始まりまして、ほかに適当な土地がございませんので、最近はあの池の周囲でもって園遊会が行なわれておるわけでございます。全体といたしましては、大体年間三百万円ぐらいの管理費を使っていると記憶いたしておりますが、ときには勤労奉仕の人も見えて手伝っていただいているときがございます。
  47. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 私も実は赤坂御用地というものを拝見したのは昨年およばれしたときだけでありまして、外から見て広大な地域であり、環境は非常に静寂だということだけでよく知らなかったわけです。けれども、中へ入ってみて、相当樹齢の長いのもあるし、またずっと見ておると六十年、七十年あるいは八十年、つまり明治のときにあそこを園遊会あるいはそういうものに使おうという企画のもとに、多少西洋庭園の形式も取り入れてだれかが考えたものじゃないかというふうに思うのですが、これはどうですか。というのは、ほかにも質問したいものですから、もう時間もございませんのでなにしますが、あれは河野国務大臣であったか、功労者だけが千人や二千人見るのには全くもったいない、思い切って一万人ぐらい春、秋園遊会に招待したいという意見があった。われわれは賛成です。功労者並びにそれに準ずる人々、藍授褒章、黄授褒章、その他の功労章をもらった人、それと同時に国民一般にもある期間、たとえば季節のよい五月あるいは十月というようなときには開放して、そのかわり枝を折ってもらっては困るから、社会道徳の普及も大切であろうけれども、そういう形にしたらばどうかということを思ったのですが、そのときに考えたのは、あそこを国際的な庭園として外人の訪問客にも許可があれば見せるというような仕組みにしていったならば、東京における一つの名所にもなると同時に、意義が深いんじゃないかということを考えておるわけです。そういうようなことについて、あなたのほうは受け入れるほうであって、意見をそう強く申される立場ではないかもしれないけれども、そういうことができたらばよいのではないかということに対してはお答えいただけると思うので、お考えを承っておきたいと思います。
  48. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 あそこの赤坂御用地の池の周辺というのは、御承知と存じますが、昔のたしか紀州家の日本の庭園でございまして、それを保持していく。最近いろいろ外で工事が始まりまして、水がなくなってしまったわけでございますが、これをやはり国会の決議でお金をいただいて、すっかりそこを直して、いまはちゃんと水をたたえて、おかげさまで園遊会もできるようになったわけでございます。日本的な庭園だと私は思います。ただ赤坂離宮は外国の宮殿の様式をとっておりまして、あの前庭あるいは裏の庭園のところは西洋式で、そのつなぎ目が非常に低くなっております。あそこで園遊会をいたしますについても、赤坂離宮のあそこいら辺がどうなるかということは非常に影響があるところで、先ほど御質問にもございましたとおり、大事なところであると私どもも考えております。先ほど総務長官からお答えございましたが、非常に国賓が見えまして、これだけ見えておって国の迎賓館がない国は少ないだろうと思います。そういうことで、一昨年でございましたか、閣議でつくられることだけはきまりましたが、場所について初めの案が青山の赤坂御所の一町目のかど辺ということでございましたが、なお検討しようということになって、そしていまの赤坂離宮はどうだろうか。しかし、これはいま国会の御所管になっておりますので、私の記憶では、まだ正式な閣議決定もはっきりしていないのじゃないかと思いますが、政府としては一応そういう希望を持っておると思います。  いずれにいたしましても、そういう場合に、あの日本の庭園をりっぱに保存して、国賓にも見ていただきたいと思いますし、それから園遊会も、ただいままでは年に一回約二千人を招待いたしておりましたが、明年度の予算で御審議を願っておりますが、これも内容をよくし、それから春秋二回ということに人数をふやしていただきまして、合わせまして四千人、あの池のまわりは広いようでございますが、非常に細い通路でつながっておりますので、そういう可能な人数を計算いたしまして、来年から春秋二回、ああいうときに両陛下、皇族方がそういった民間の功労者等と親しくお話しなさる機会をつくるということは非常に大事なことと考えて、来年度、四十年度の予算でいま御審議を願っておるわけでございます。  それから一般に開放することは、実はいままでそういうことで特にまだ考えておらなかったのが事実でございます。今後、大ぜい入れますとすぐ庭が悪くなる点もございますし、よく検討いたしたいと存じます。
  49. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 もうこれ以上の御答弁はいただかなくてけっこうですが、私の意見を付き添えて申し上げれば、私が国際庭園にしろと申し上げたのは赤坂離宮の裏につながるところでございまして、その辺のところはわれわれも、どこまでが赤坂離宮であるか、大宮御所であるかわからなかったものでありますので、あれは紀州家からの長い日本的庭園の部分と国際的庭園の部分とがありまして、和洋双方を一挙にして見られるというところですから、その意味合いも含めて私は赤坂離宮を迎賓館にあくまでもしたい。せっかく閣議の決定もあれば、国会の議運の方々も国民的見地また国際的見地から考えられて、そういう方向で明年ぐらいからは踏み切ってもらいたいというのが私どもの論旨であります。それで私の皇室関係の質問は終わります。  国会図書館の方にちょっとだけ伺いまして終わりたいと思うのですが、国会図書館の民間の利用度というものはどういうものであるか、あるいは、せっかく国会図書館ができたのですが、われわれ若干利用さしてもらっておるけれども、人員は一体どのくらい利用しておるものか。これは前も国会の閲覧室の問題が非常に出ましたので、よそからあんまり言われない前にわれわれから先に質問しておこう。それによっては大いに考えなければならぬのではないか。  それから、一ぺんに聞いてしまいますが、議員の先頭に立つ総理大臣並びに各閣僚の図書館の利用率というのはどういうことになっておるか。忙しいから国会図書館を利用する機会も少ないかもしれぬけれども、一年に一回ぐらいは利用してもらいたい。大臣になる前には大いに利用する者でないと、予算予算会に入って、野党からきゅうきゅう言われてひとつも答弁できないというような基礎学の不足を暴露することになるので、佐藤内閣の閣僚はこの一年間に利用したかどうか、ひとつ言ってみてください。
  50. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 申し上げるまでもなく、国立国会図書館は、第一に国会議員の国政審議に奉仕する任務を持っております。国会議員の方々の御利用率と申しますものは、大体におきまして衆参両院合わせまして四割、衆議院が四割三分、参議院が四割一分ということで非常に利用率が、しかも逐年高くなっております。  それから閣僚の方でどの程度か。もちろん議員さんは非常にたくさん御利用なすっておられるわけでありますが、閣僚の方々で利用される方も非常に多うございます。つい最近におきましては、佐藤総理が一件レファレンスを求められたということがございます。それからまた、国立国会図書館は各省からも御利用いただいておりまして、内閣、大蔵省、文部省、労働省、各省にわたっております。  それからまた、民間の利用につきましては、現在座席は八百三十余でございますが、一日の閲覧席の利用者は大体七百人でございます。  しかし、いまの図書館の利用形態は、図書館に来まして、座席にすわって閲覧するというだけではなしに、複写、レファレンスのほうが多うございまして、ことに複写によって資料を求めるということが非常に多うございまして、これは年間におきましては、大体マイクロフィルムあるいは、ゼロックスが多うございますが、合わせ、ますと二百六十万点——二百六十万ページあるいは二百六十万コマと申してもよろしいかと思いますが、そういうように非常に多量の複写、それからまた、議員さんのレファレンス、電話、文書による御照会のレファレンスというのが年間に四千四百件くらい、それから民間におきましても二万四、五千件は年間にございます。
  51. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 議員利用率が多くなっているというのは非常にけっこうでございますが、きょうはあなたに最初に通告しておったので、なるべく議員におこられないように答弁しようと思って——佐藤総理が何のレファレンスをしたのか、前の池田総理の速記録を調べてくれといった程度のことではないかと思いますけれども、それはいいにしても、行ってみますと、実際に利用している者は少ないように思うのです。ところが、学年あるいは勤労青年等があれを利用するのには非常に窮屈な手続もあるというようなことも聞いておるし、なるべくそういうものは緩和して、そして行列をつくることのないように、国会図書館としての権威と規模を利用してもらいたいというのがきょうの賛同の要旨です。  今後どういう点で国会図書館は他の図書館と違った味を出していくか、それからとういう施策をやりたいと考えておるという点を明らかにしてもらって、それで私の質問は終わります。
  52. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 先生も御承知のとおり、わが国の図書館は、外国の図書館と違いまして、ほとんど大部分が学生、生徒の勉強部屋になっております。ただ国立国会図書館だけは、その点にかんがみまして、入場年齢を二十歳に引き上げております。ただし、大学生だけは入れるという形になっております。それによりまして、現在の利用状況を申しますと、学生が五割以上になっております。そのほかは公務員、教員、会社員、自由職業等で残りの率を占めておりますので、これは他の国内の図番館に比べますと一つの特色になっております。外国の図書館の一般の方々の利用度に比べますと、その点、まだ学生が占める率が高いというのが特色でございます。  それから、国立国会図書館の将来の方向はどうかとの仰せでございますが、何せ悲しいことには、国立国会図書館はちょうど第一期工事が終わったばかりでございまして、施設におきましても半分しか利用できておりません。一応完成いたしますと一万五千坪でございますが、まだ八千坪しかできておりません。それから書庫も半分しか利用できない状態でございますので、これを予定どおり第二期工事をなるべく早く完成させるということが当面の目標でございますが、何と申しましても、国立国会図書館は普通の公共図書館とは違いまして、調査専門の図書館、国会議員も、それから各省の職員も、それから一般民間の会社、研究所の職員にも十分お役に立つように、なくてならない図書館にしたいということが私どもの希望でございます。
  53. 植木庚子郎

    ○植木主査 町原覚君。
  54. 野原覺

    野原(覺)分科員 私は、主として国会関係した問題、国立国会図書館と衆参両院に関連した問題を取り上げてお尋ねをしたいと思うのであります。  まず、 国会図書館では、綱紀の粛正の問題であります。非常に綱紀が紊糺をしておる。そこで、マスコミによりますと、二月十日の日本経済、それから同じく東京タイムズ、三月一日号の週刊文春、このマスコミが図書館の使い込み事件なるものを取り上げて報道をいたしておるのであります。一体これらの新聞雑誌等に掲載された使い込み事件なるものは事実であったのかなかったのか、これは国会を通じて責任のある御答弁を私どもいただきたいと思うのであります。
  55. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 綱紀の粛正につきましては、私どもといたしまして十分留意いたしておるつもりでございますが、ただいま野原先生から御指摘の事件があったことは事実でございます。  その内容につきまして簡単に申し上げますと、当館の退職した職員の退職金を、本人の父親の委任状を持ってきたその退職職員の属する課長が届けるというものですから、これに届けさせたところが、先方に届けるのがきわめておくれたというのが一つの事件でございます。これはいかなる事情があったにせよ、非常にけしからぬことでございます。  それから第二には、国立国会図書館科学技術資料整備審議会というのがございまして、科学技術に関する一流の方々を委員にお願いしておるのでございますが、その方々に差し上げる謝金を、やはりその所管している同一の課長が各委員に届けるのを一、二カ月おくれたという事件がございます。  もう一つは、政治資料として買い求める文書につきまして、やはりこれも本人が所管しておりまして、その代金を先方に届けるというものでありますから、会計のほうから本人に渡しましたところが、その支払いがこれも数カ月おくれていたということがわかりました。  そのために館の信用を失墜することが大きかったものでございますから、本人も非常に責任を感じまして、私どもといたしましても、綱紀粛正の意味を含めまして、昨年十二月本人を退職させたという事実がございます。
  56. 野原覺

    野原(覺)分科員 ただいまの御答弁を聞いておりますと、事実であったとお認めになりながら、何かしら軽く、何事もなかったかのようにつくろわれるような印象を私は受けるのであります、綱紀の粛正というのは、文字どおり粛正であります。そういうゆるやかななまぬるいやり方では、また次に図書館の中にこの種に類した事柄が起きないとは断言できない。私がこれらのマスコミから知ったことは、大体はただいまの御答弁に尽きておりますが、一昨年、昭和三十八年十一月、I氏の父親からの頼みで——I氏というのは、アメリカに留学のためおやめになられた。そこで、その課長におとうさんが頼みに来て、退職金をお願いした。その金額は四十七万円。ところが、昨年の二月に、同じくI氏に渡さなければならない金が七万七千円、合計五十四万七千円をこの課長が使い込んだ、これはお届けするのがおくれたと申しますけれども、一昨年の十一月と昨年の二月に使い込んで、一年たっても何の返事もないものだから、このI氏の実弟が図書館に来られた。どうなったんですか、おかしいじゃありませんかと、総務部に訴え出たわけです。そこで初めて事が明るみに出まして、十二月五日付でこの課長は退職しております。これはどういうわけですか、退職とお述べになりましたが、依願退職で、図書館はこの課長には退職金を渡しておる。私はこれは非常に重要なことじゃないかと思うのです。しかもこの課長は、相当枢要な地位にあった課長で、図書館の館長、副館長、幹部の皆さんからは最も嘱望されておった課長である。第二の事件というのはこれはただいまもお述べになりましたように、科学技術関係資料整備審議会の委員に渡すべき謝礼金、この委員は、おことばにもありましたように、東大の茅教授をはじめ、日本のすぐれた科学技術関係委員関係しておりますが、この方々に渡す金のうち六万円を昭和三十九年の二月に使い込んでおります。それから第三点は、政治資料と簡単に述べられましたが、元総理大臣齋藤實海軍大将の奥さまが、なくなった主人の写真、パンフレット、新聞の切り抜き、あるいは書簡、こういうものを何らか日本の歴史に役立てることができるならばというので、図書館に持ってきた。この奥さまにお礼の金を渡さなければならぬといって三十万円を支払わせ、それを使い込んでおるのであります。これが昭和三十九年の三月、科学技術関係の使い込みと同じ月日になっておる。  特に私がここで問題にしたいのは、齋藤元総理大臣の奥さまが何とか政治資料にといって持ち込んできたそのものを、礼金といって三十万円自分のふところにねじ込む、こういうのが図書館の枢要な課長であった、しかも私が特に問題にしていかねばならぬと考えたのは、この課長が、普通の者であれば、退職後図書館には出入りしないはずですが、どういうものか、これだけのことをしたのに、あなたのほうは依願退職になさった。出入りしないはずなのに、特別閲覧証を持って図書館に遊びにくる。私はこの人の良心を疑わざるを得ない。遊びにきてどういうことを言っておるか、これも私どもが聞いたところでありますが、おれだけが使ったんじゃない、いまにおれは真相を明らかにしてやる、こういうことを放言される。よろしいですか。図書館の幹部の皆さんは——この人は、綱紀粛正の立場からいえば、ほんとうは懲戒免職なんですからね。それを懲戒免職にしないで依願退職にした。家族のこともあるから、本人の将来のこともあるからというので、非常にやわらかい処分にされておりますけれども、そのことと、この御本人が再三図書館にやってきては、これは自分だけの問題ではない、やがて真相をおれは明らかにする、こういうことを言われておるということのようでありますが、これはいかがですか。
  57. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 この問題につきまして諸先生に非常に疑惑の念をお抱きになられるようなことがあったことは、私どもとしましてまことに残念で、申しわけなく思っております。実はこのような簡単な、相手に当然渡さなければならない金を、相手に直ちに渡さないで使ってしまうというようなことは、一体どういうことなのか、私ども非常に不審に思いまして調べてみたのでございますが、率直に申し上げますと、実はこの男は、学習院を出て、東大の国史科を昭和二十三年に卒業いたしましてずっと図書館につとめておりまして、非常に優秀な職員だといって人望が厚かった者でございます。三十八年の四月一日に課長になったばかりの男であります。その年にこの事件を起こしましたので、ざっくばらんに私はここで申し上げますが、どうしてこんなばかげた、けしからぬことをしたのかということを聞いてみたのであります。そういたしますと、実はこの男は雅楽関係の家元のようなもので、家に伝わる雅楽関係資料につきまして相当りっぱなものを持っていたのでございます。ところが、姉が長い間非常にむずかしい病気をしまして、保険のきかない病院に入院させまして相当金がかかったので、その代金といたしまして、ただいま申しました家に伝わる資料を、これは有名な資料なんだそうでございますが、二百万円で天理図書館に売るということにして、すでにその当時仮契約もできていて、それですぐその病院に支払いをする予定だったのだそうでございます。ところが、その一部を持っておりました親戚の者が、いや、どうかその二、三点だけはぜひ残して置いてもらいたいということになりまして、話がこわれました。天理図書館といたしましても、二、三点重要なものがはずれれば、二百万円で買うわけにはいかないということになりまして、そこでその金策がくずれてしまった。結局すぐ右から左にいくものでございませんでので、相当な時間がかかりまして、朝倉屋という古書店に八十万円くらいで売ったのだそうでございます。その間の金策のためにそういうようなことをいたしたわけです。いたしたことは、いま申し上げましたような事情がどうあれ、非常にけしからぬことでございます。しかし、本人も非常に前非を悔いまして、公務員としてあるまじき行為をし、図書館にも迷惑をかけたから、いかなる処分本甘んじて受けるということでございましたが、従来の実績、それから本人の将来のことを考えまして、依願退職にしたわけでありまして、本人がいまお述べのようなことを申したはずは私はないと確信いたしておる次第でございます。しかし、いずれにしろ、まことに申しわけないことでありますので、今後そういうことのないように、私ども一そう気をつけてまいりたいと存じます。
  58. 野原覺

    野原(覺)分科員 着服した金は、合計いたしますと、齋藤元総理大臣の三十万円、それから茅さんほかに渡す金六万円、もう一つは五十四万七千円の退職金の使い込み、計九十余万円になります。この使い道については、いま御答弁がございましたが、間違いありませんか。あなたは責任を持って、そのことに使った、こう信ずべき確証を持っておりますか。
  59. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 私が本人に会いまして、本人から直接詳しく、本人が悔悟の色を浮かべて率直に申しますので、私はそれを全面的に信用いたしております。  それからなお、先ほど、退職後図書館に来ているということでございますが、これも本人の話によりますと、自分は、やめたあと、いろいろな出版社から調査ものを頼まれていま生計を立てているので、それを調べるために図書館を利用せざるを得ないのだということを申しておりました。
  60. 野原覺

    野原(覺)分科員 非常に御本人を信用される善良なあなたの御性格に敬意を表します。私は、問題は、そういった使い道というものが、本人の言われたことだけをうのみにしていいのかどうかということ、それから、これから気をつけていかれるとおっしゃいますが、これから気をつけていかれるならば、私は、あなたの部下と申しますか、図書館の職員諸君にまずこの実情というものを進んで明らかにする責任が館当局の幹部におありではないかと思うのです。これは明らかにされましたか。
  61. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 ただいまの件につきましては、本人につきまして聞きましたほか、いろいろ部内の職員につきまして、この使い方が他の者に関係あるかどうかということにつきましてももちろん調査いたしましたが、その点につきましては全然ございませんでした。それから、この事件は非常に遺憾なことでございますので、私どもといたしましては今後特に戒めなければならないわけでございますので、こういう事態があったことを館議の席において申しまして、たとえば人間というものはあやまちをおかすかもしれないのだから、あやまちをおかさないようなやり方で仕事をやらせるべきである。たとえは科学技術の謝金につきまして、十五人の委員の方々のところへ一万円足らずの金を幹部が持ってお礼に上がるということも、非常に丁重なことだけれども、それはいまの時代だから郵便で会計のほうから直接送るというようなことにしてはどうか、とにかくもっと事務的にきちんとやるべきだということを戒め合った次第でございます。
  62. 野原覺

    野原(覺)分科員 私が申しますのは、図書館のなさったことは非常に形式的なんです。というのは、図書館の職員組合の代表が、この問題について、実態を明らかにしてもらいたいと、いろいろあなたのほうに尋ねておる。そうしたところが、館当局は、いやこれは運営管理に属することだから、組合に発言権はないと拒否をしておる。これは非常に形式的なやり方に過ぎると私は思うのです。職員組合にいろいろ御批判がありましょうとも、数百名の者が一つの団体をつくっておる。六百三十名か六百五十名、それが、これはたいへんな事件だからというので、一体この金はどう使ったのか、それからどういうわけでこういうような不始末をしでかしたのに依願退職にして退職金まで渡さなければならぬのか、これは明らかにしてもらわなければ困る、尋ねるのは当然じゃありませんか。それを、これは運営管理だといってお断わりになるというこのやり方では、私は綱紀の粛正はおぼつかないと思う。進んで館長が、副館長が、幹部の皆さんが、この事態はこうなんだということを明らかにする中で館員諸君の自覚を促していくという、そういう取り組みがなければならぬのに、この人は気の毒だからというので、懲戒免にしないで、就職のあっせんもしておるやに聞くわけです。そうすると次から次と職員の中では疑惑を生むじゃありませんか。おかしいじゃないか、われわれにはぴしぴしやりながら、なぜ、ああいうことをしたのに、ゆるやかにしなければならぬのかという疑惑を生む。こういうやり方では、館長以下職員の皆さんが一体となってこの大事な国立国会図書館業務運営に当たることは不可能だと思う。ほんとうにそこは腹を割らなければいけませんよ。たとえ管理運営事項であろうとあるまいと、この種の問題を聞かれたならば、進んでこれを世間に明らかにしていかなければならない。問題が起こったのは昨年の十一月ですね。ところが、今日までマスコミのどれをあけても、進んで国民の前に明らかにしていらっしゃらない。私は、明らかにしておれば、この種の問題をここで取り上げるのはやめたいと思ったのです。明らかじゃない。ただ、なさったことのいけないことが報道されておるだけですね。この点についての御所見を承っておきたいと思う。
  63. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 まことに仰せの点ごもっともでございまして、私どもも十分そのように気をつけたいと思っております。  なお、マスコミにつきましては、そのつど、私どもに照会がありました際においては、できるだけ事情を率直に述べております。  それからこの事件につきましては、館の綱紀粛正に関する問題でございますから、まず第一に館議にかけまして、いろいろ職制を通じまして徹底いたした次第でございますが、そのほかにも、私どものほうは毎週一回総務部長が職員組合と定例の交渉を一時間ないし一時間持っておりますので、その際に何回も出て、何回も詳しく話したことでございます。したがいまして、このことの事情は十分徹底しているものと私存じております。
  64. 野原覺

    野原(覺)分科員 これはどういうところの行き違いかわかりませんが、組合では、管理運営事項だといって拒否されておる、こういうことを私は聞きました。あなたのほうは徹底しておるということです。これは私は再度組合の諸君を呼んで、いずれまた、もう一日国会の問題を取り上げる機会がございますから、お尋ねしなければならぬかもわかりません。  そこで、次にお伺いしたいのは、昭和三十五年の七月からこのかた、アメリカ科学財団、略称NSF、この科学財団から資金の寄贈を受けて、英語版の新誌記事索引——自然科学編ですね——を作成してきたとのことでございますが、この作業は昭和三十五年の八月から始まって、一昨年昭和三十八年の七月をもってアメリカのNSFからの寄贈が打ち切られまして刊行は中止になった、こう聞くのですが、この経緯についてひとつ簡単に要領よく御説明願いたい。
  65. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 英文雑誌記事の索引の出版につきましていまお尋ねがございましたが、そのいきさつを簡単に申し上げますと、昭和三十四年の八月に科学財団の係官が国立国会図書館を訪問いたしまして、日米科学技術協力の一つの手段として何か協力するものがないかというようなお申し出がございましたので、私どもといたしましては、いま国立国会図書館から人文科学、社会科学及び自然科学の雑誌記事の月刊索引を出している、したがいまして、その雑誌記事の索引が英文化されまして外国にでも行きますれば、一そう日本の学者の業績が外国の学者の目に触れることになって、両国の文化の交流のために非常に望ましいことではないかということを申したのでございます。それに対しまして先方は非常に乗り気になりまして、それではその雑誌記事索引の英文版を出すようにしてもらえないか、自分のほうからは印刷費、人件費一切受け持つからということでございました。それに基づきまして、翌年の三十五年、先方の会計年度である三十五年の八月からこれが始まりまして、ただいまにおきましてはその第四年目に当たっているわけであります。第四年目と申しますのは、昨年の七月で終わる第四年目でございます。ところが、昨年から、先方といたしましては、実はこの英文雑誌記事、非常にいいものではあるけれども、これは自然科学の全分野を含んでいるものである。ところが、このごろは各分野ごとの要求があるし、また各分野ごとの記事索引が多くなってきておるので、全部を含んだものはどうしても各専門家にとって第二義的になる、せいぜい図書館に役に立つ、図書館が喜ぶ程度のものであるから、今後は、四十年以降はこれを打ち切りたいと申し出てまいりました。私が昨年このNSEを訪問いたしました場合においても、そういうようなことのほかに、アメリカとしても経費節減の趣旨もあってというようなことを言っておりました。非常に残念ながら第四年目でこれを打ち切りたい、こう申しますので、私どもも四十年度から——四十年度と申しますか、昨年の七月でこれを打ち切るということにいたしましたが、ただ最終号七月号はまだ延び延びになっておりまして、と申しますのは、これに十人の職員を使っておりますので、その身の振り方を考えなければなりませんし、だんだんこの人を減らしていったので、そしてことに八月、九月以降は当館の職員だけでやっておりますのでおくれましたが、今月の末あるいは三月の初めには最終号が出まして、決算ができるような状態になります。
  66. 野原覺

    野原(覺)分科員 そういたしますと、三十五年の八月から昨年の七月まで、つまり四年度間にアメリカのこの財団から寄贈を受けたドルの高はどれだけになっていますか。日本円でけっこうです。
  67. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 ラウンドナンバーで申し上げますと、約二千八百万円であります。
  68. 野原覺

    野原(覺)分科員 二千八百万円は——これは大蔵省にお尋ねします。主計官お見えですね。この種の金は国の予算の上ではどういうことになるのですか。
  69. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 私から申し上げます。この種の金は、国立国会図書館法の第二十六条によりまして、歳出歳入外現金といたしまして館長が管理する。したがって、予算の中には入りません。ただし、会計検査院の検査を受け、受ける際に両院の議院運営委員会の御承認を得ております。
  70. 野原覺

    野原(覺)分科員 そういうことのようでございますが、そこで、ことしの一月二十日に参議院の議院運営委員会図書館小委員会、この席上において、館長か副館長かこれはわかりませんが、責任者が参りまして報告をしたその数字を申し上げますと、昨年度、昭和三十八年の八月から三十九年の七月まで、これの受け入れ額は七百三十三万円、使用額は七百三十三万円、残額がゼロ、こういうふうに御説明があっておるようですが、間違いありませんか。
  71. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 参議院の図書館小委員会において館長及び私からこの経過について申し上げましたが、三十八年、すなわち第三年度の決算はすでにできておりますので、それについて申し上げ、さらに最終年度、第四年度、すなわち、いま申し上げました昨年の七月に終わる分につきましてはまだ決算ができておりませんが、大体の数字として前年度とたいして変わりがない、大体こんな状態になるというようなことを申し上げた次第でございます。
  72. 野原覺

    野原(覺)分科員 私が申し上げました七百三十三万円の受け入れ額、それから七百三十三万円の使用額、これは第三年度でございますかね。
  73. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 詳しく申し上げますと、第三年度の決算は七百五十三万四千二百十五円になっております。
  74. 野原覺

    野原(覺)分科員 参議院では、七百三十三万、差し引き、ゼロと申ておるのじゃございませんか。そういうことはありませんでしたか。
  75. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 私の記憶では、まだ決算ができておりませんから、今後最終号ができたあと決算を御報告申し上げますと申し上げたわけでありまして、したがいまして、その当時におきまして差し引きゼロということは考えられません。従来のものが差し引きゼロになっているということでございます。
  76. 野原覺

    野原(覺)分科員 昭和三十八年度版の国立国会図神館の年報が出ておりますね。この収支計算書によりますと、昨年昭和三十九年の三月末現在の残高は幾らになっていますか。
  77. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 御承知のとおり、アメリカのへ会計年度は八月に始まって七月に終わりますし、日本のは四月から三月でございますので、三月ですとちょうど中途はんぱで、そのときときの数字が——中途の数字は私は存じませんが、年報に出ておりましたら、いま調べて申し上げます。
  78. 野原覺

    野原(覺)分科員 これは昨年三月末現在の残高は約四百万だ。ところが、その後千三百八十六ドルの寄贈があって、つまり四十九万円入金をしておる。そうなると、四百五十万円になる。そういたしますと、これが年報に載っておる数字。これはあなたのほうであとで調べてもらったらわかる。ところが、その前年度は一年間に七百五十三万円使った。あなたの御答弁を私取り上げたといたしまして——ぼくは七百三十三万じゃないかと聞いたのだけれども、七百五十三万だという。十二カ月で七百五十三万使ったのに、今度は三十九年の四月から七月まで四カ月に金を四百五十万使わなければならぬということになりますと、これはちょっとそろばんが合わないのです。つまり、昨年の四月から七月までは急に人件費が要ったのか、何が要ったのか。そうでしょう、十二カ月で七百五十万、それが今度は四カ月で四百五十万だということになれば、これはあまりにも——金がとこに行ったのか、私どもとしては四カ月分の支出としては不当に多いのではないかという疑問を持つわけです。金額の上ではたいしたことじゃありませんけれどもね。
  79. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 これは年度の途中の数字でございますから、いろいろ支払いの都合でそういう数字が出たのだろうと思います。私いまはっきりいたしませんけれども、大体七百万円のうち、人件費が三百万円足らず、印刷費が四百万円前後ですか、そういうような見当をいたしておりますので、人件費はそう動きませんし、印刷費もそう動きません。ただ、その支払いの期日につきましては、印刷費の支払いが押せ押せでおくれておりますから、そういうような数字が出たのだろうと私は想像いたしますが、どっちみち、最終年度におきましては、総額としては先方から来ました七百三十万前後のものになっているつもりでおります。
  80. 野原覺

    野原(覺)分科員 時間の関係がありますから、この点は至急にここ一両日の間に資料の御提出を願いたい。その資料は、人件費と申されますが、たとえば、何人使って単価は幾ら、それから賞与は幾らやったかという——あなたは、一年間に人件費が三百万円要る、そういうような説明参議院でもしておるようですから、そのデータ、並びにこの二千数百万円の科学財団からの寄贈された金、これは国の予算には計上されておりませんけれども、議運その他で審議することになっておるようですが、それに関係した資料、これら一切を至急に出してくださるように主査にお願いしておきます。  そこで大蔵省にお尋ねをいたしますが、このアメリカの科学財団からの寄贈だけでは不足だというので、図番館は大蔵省に三十八年度、三十九年度の二カ年にわたって国庫負担の金を要求しておるはずです。主計官、これは幾らになっておりますか。
  81. 小口芳彦

    ○小口説明員 ただいまお尋ねの金額は、庁費の中に印刷製本費という分がございまして、その中に含まれておりますけれども、三十七年度二百三十万円、三十八年度二百八十四万円、三十九年度二百九十五万円という金額になっております。
  82. 野原覺

    野原(覺)分科員 図書館にお尋ねしますが、四十年度はこれはなぜ要求しなかったのですか。
  83. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 四十年度はもうやめることになりましたので、全然要求いたしません。先ほど申し上げましたとおり、この英文雑誌記事索引の刊行は三十九年七月号で打ち切りましたので、したがって全然要求いたしません。
  84. 野原覺

    野原(覺)分科員 そういたしますと、ただいま大蔵省から説明のあった二百万円あるいは二百数十万円という三年間にわたるこの金は、これはNSFから寄贈された本の索引をつくる金、その金として向こうから寄贈される金だけでは足らないという見込みなので大蔵省に要求をした、そうして私が以上申し上げた金額が決定をされた。そうなりますと、その金は、科学財団からのその索引に使いましたか。使っていますか。
  85. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 ただいまお尋ねの金のいきさつは、こういうことになっております。すなわち、三十三年の八月から始まる第一年度につきましては、全額先方の金で印刷いたしました。ところで、職員の人件費、それから印刷費もだんだんかさみますし、これを刊行する上におきまして全額アメリカ科学財団の援助を受けるというのもどうかということで、私どもといたしましては、大蔵省にお願いいたしまして、それの印刷費を相当額こちらでも負担したいということで、第二年度におきましては二百三十万円を得まして、以後引き続き二百八十四万、二百九十五万、こうもらっておるわけでございます。ただ、この金額につきましては、先方にも連絡いたしまして、総額たとえば九百万かかるといたしますと、そのうち二百三十万円はこちらで負担するから、あと七百万円いただけばいい、こういうことにしてこの金額がついた次第でございますけれども、ただ、その後の実施におきまして、職員が、俸給を上げる予定だったところが、その職員がやめて、前と同じ俸給で採用することができたとか、いろいろな事情がございまして、私どももまた節約につとめましたので、大体先方の金で間に合う、したがって、この印刷費は、款内についております。その他の印刷費と一緒に当館の科学技術関係の書誌類その他の印刷に使ったというのが実情でございます。
  86. 野原覺

    野原(覺)分科員 そういたしますと、三年間にわたって七百万から八百万円の金をNSFの索引整理に便乗して大蔵省に要求してもらった、その金は索引整理には使っていない、これは明らかになった。他に流用している。これは使い込んだわけではないけれども、有効に使ったにしても、他に流用している。こういうやり方は、私は財政法上非常に問題があると思いますよ。この索引に使うんだといって金をもらっておきながら、それに使わないで、三年間分がまるまる他に流用されておるということになりますと、これは大蔵省としては問題が起こってくるのじゃございませんか。この点はどう考えますか。
  87. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 印刷費の立て方といたしまして、当館は何百種といういろいろな印刷をやっておりまして、そしてこの印刷物については幾ら、この印刷物については幾らというようなことについてもらっておりますが、それは単価、部数その他の関係におきまして種々雑多でございます。したがいまして、たとえばレファレンスについての予算が五十万円で、しかも八十万円かかったとか、そういうようなたぐいのことがございますので、この目の細目に当たります印刷費につきましてはそれぞれ彼此流用するということは、慣例としてやっておるように承知しております。ただ、最後の三十九年度についております二百九十五万円につきましては、これは日本の年度からいうと四月、五月、六月、七月と四カ月分にしか、本来の目的に使うとしても当たらないわけで、したがって八カ月分は余るわけであります。この余るものを使っては悪いと思いまして、この点については大蔵省に連絡いたしまして、了承を得ていると聞いております。
  88. 野原覺

    野原(覺)分科員 口はどうでもいいと言えば言えるかもしれませんが、しかしながら、NSFの索引をつくるのだといって三年間金をもらっておった。それが使われていない。一年にも使われていない、二年にも使われていないで流用されている。四十年度は要求していないというのは、四十年度はこの索引の整理を打ち切ったからだという。これはやはり私は問題があると思いますが、この点は置いておきましょう。時間がありませんから急ぎます。  次は、図書館の問題で、図書館の中には、蔵に未整理の図書がたくさんある。これもマスコミが何回となく報道しておるのです。どのくらいあるのですか。
  89. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 図書館に未整理の図書がたくさんあることは非常に大きな問題でございますが、その数量につきまして私がいま概数で申し上げますと、二十五、六万冊はあると思っております。
  90. 野原覺

    野原(覺)分科員 その二十五、六万冊は、御答弁ございましたように、あなたがあるいは図書館の館員の皆さんが計算をしたわけじゃない。概数であります。だから、ある人に言わせれば、いやそうじゃない、四十万あるという。東京の上野図書館にあった乙部——これは、上野図書館で甲、乙、丙に分けて、乙部というのは、図書館に本の納入された当時、これはたいした価値はない、こう断定された本をいうようでありますが、私も専門家でありませんからはっきりしないけれども、とにかく、乙部と認定されたものだけで二百六十万冊上野だけであった。こうなりますと三十万や四十万あるのじゃないか、私はこう考えておるのですが、この未整理の本数十万冊がそのままほこりをかぶって蔵に眠っているということは、これはたいへんなことだ。しかも聞くところによれば、受け入れの手続さえ終わっていない本があるやに聞く。受け入れの手続が終わっていないということは、国の財産になっていないということです。かってに盗まれてもそれは差しつかえない本なんだ。一体受け入れの手続の終わっていない本はどのくらいだと認定しますか。
  91. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 ただいま申し上げました二十六万のうち、二十万が受け入れが終わっております。
  92. 野原覺

    野原(覺)分科員 そうなると、その残りの六万は受け入れが終わってないということですが、とにかく問題は、未受け入れ、未整理、これに対する対策です。これは立てておられますか。立てておるとすれば、どういう方策で今後臨まれますか。
  93. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 ただいま申し上げましたとおり、未受け入れ、未整理合わせまして二十数万という非常に大きな数量になっておるわけでございます。   〔主査退席、八木(徹)主査代理着席〕 しかも図書館にとりまして、未受け入れ、未整理があるということは、これは図書館に入った本が死んでいるということで、非常にゆゆしい問題でございます。したがいまして、この未受け入れ、未整理を解消するということは、これは図書館の当局として最大の目標を貫いておるところでございます。ただ、御承知のとおり、毎年当図書館には約十万件くらいの資料が入ってくるわけでございまして、現在におきましてはこの毎日入ってくる本を処理するので手一ぱいで、したがって、未受け入れ、未整理のものの解消が容易でない、しかもこれにはいろいろ深い事情がございまして、根本的には、整理の能力を向上させるということ、それから整理方法を改善するということ、そういうことによって能率を上げませんと、毎年十万入り、なお二十万以上もあるものを整理することはできないわけであります。ところが、整理というものは、一口に申しまして簡単でございませんので、いままでの考え方によりますと、一冊の本を整理するということは、和書で四十五分、洋書で一時間二十分もかかる。そういたしますと、職員が一日に処理するというのが僅々数冊でございます。こういう状態をひとつ改めなければならぬ。そのために目録法の整備改善にもつとめ、人員の充実、それから能率の向上にもつとめなければならぬ。そこで、数年前から業務改善調査会を設けまして、この未受け入れ、未整理の解消という問題にずっと取っ組んでいる次第でございまして、だんだん成績が上がってまいっております。資料によってお目にかけてもよろしいかと思いますが、昭和二十三年ころにはまだ年間二万三千くらいしか整理能力がなかった。ところが、それが逐次増加いたしまして、昨年、一昨年においては六万六、七千までのぼってまいりますので、今後も一そうこの能率の向上につとめたいと考えております。
  94. 野原覺

    野原(覺)分科員 これは決して簡単な問題じゃない。あなたもお認めになったように、図書館としては二十数万冊、あなたの御答弁をほんとうの数だとしても二十六、七万冊、これが死蔵されておるわけですね。そうして、私がマスコミからとったこの報道によりますと、たとえば尾崎紅葉の「参宮日誌」の初版本、これが未整理の中に入っておる。北原白秋の「邪宗門」の初版本、あるいはレーニンのにいさんであるアレクサンドル・ウリャーノフ、これの公判記録、それから与謝野晶子さんの「みだれ髪」の初版本、あるいはまた、勝海舟が初めて使ったオランダ語辞典、これはずっと読みしげたら切りがありませんが、こういうものが死蔵されておる。今日たくさんの人々がこの種の本の意義というものに——これはやはり早く域から出して、シミを払って、整理番号をつけてお出しになるということで私どもは活用されるんじゃないか。ところが、ただいまの御答弁を聞いても——一体どのくらいの予算があればその二十六万冊の未整理は片がつくと踏んでおられますか。
  95. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 非常にいろいろ御意見をいただいてありがたく存じますが、特に乙部図再につきまして申し上げておきたいと思いますが、乙部図書は、上野時代におきましては、御承知のとおり甲、乙、丙の三つに分けまして、甲は成規の登録をする、乙部は大体つまらぬ本、あまり閲覧に出す必要のない本ということで区別しておりましたが、これも約三十万部あったということになっております。それで、この甲、乙の区別と申しますのは明治五年以来のことでありまして、明治五年の書類を見ましても、甲の閲覧料は月五十銭、乙部は二十五銭というように区別しておりますので、この乙部というのは、乙部の整理をした——未整理本ではございません、乙部の簡易整理でございます。そういうように、図書館に入ってまいります本を全部同じ整理方法をしないで、上野図書館時代は甲、乙、丙と分けてやった。それから現在の国立国会図書館ではA、B、C、Dの四種数にいたしましてやっております。これはどこの図書館でも同じようなやり方でございまいす。したがって、乙部は乙部として整理していた。そこで、乙部の中では、これは明治、大正、昭和の初めにおいては、比較的価値のないものとして簡易整理をいたしましたが、中にはいいものがあることは事実でございますので、そのうちから、とりあえず一万部は、おもなものは取り出しております。あと大部分はもう重複本その他で、いいものはないと考えておりますが、これは特別な措置を講じまして、なるべく早くやろうと思っております。ただ、いま先生御指摘のものは、たいていどうも何かの誤解でございまして、乙部にあったと称するのは——たとえばロシア語、オランダ語というのは乙部ではない。これは上野の図書館で整理しないでおいた本でございまして、いわゆる乙部ではございません。それから一時、文芸ものはこれは乙部でよろしいということで、文芸ものが入ったことがございましたが、いま御指摘のものはすべて乙部には、調べさせましたところ、私の記憶では、ございません。尾崎紅葉の云々というのでありますが、あれは泉鏡花のもので甲に入っておりますし、与謝野晶子の「みだれ髪」も甲に入れております。それから、ロシア語はみないま言った未整理になっておりまして、そういうことでだいぶ事情が違うかと思っておりますけれども、とにかく、乙部の中も至急整理し、一そう利用できるようにしなければならぬと思っております。
  96. 野原覺

    野原(覺)分科員 乙部であろうと何であろうと、未整理のことが問題なんです。私はこれはあとであなたに差し上げてもいいのですが、NHK、産経、それから東京タイムズ、その他の週刊誌が書いたのをずっと拾ってみたのです。そうして表をつくってみますと、未整理本として指摘されているのがたくさんありますよ。これはどこから出たデータをこれらの新聞雑誌が拾ったのか知りませんが、初版本というものは、中身は同じでも、愛書家にとりましては非常な値打ちがありますからね。ぜひ一ぺん見てみたい、そのときの活字に触れてみたい、こういうことがありますからね、これは至急に整理しなくちゃいけない。  それから、あなたは力を入れるというが、予算はどうなる。
  97. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 整理につきましては、これは幾ら予算をとりましても一挙にできるものではございません。整理という高級な図書館技術というものは……。
  98. 野原覺

    野原(覺)分科員 どのくらいあればできるかという見通しです。
  99. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 その整理計画を立てておりますが、いま立てております整理計画においては、七、八年、現在の体制においては、これを解消していくのに、いろいろな方策を講じて七、八年かかるのではないか……。
  100. 野原覺

    野原(覺)分科員 何人の司書で……。
  101. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 現在整理部に八十三名職員がおります。そのうち、この整理にもっぱら取りかかっておるのが四十五名でございます。それから収書部に七十五名おります。合わせまして国立国会図書館の人間は八百八人おりますから、私は、この緊急の、あるいはこういう大事なものにつきましては、この八百八名の全勢力を特別に動員するということが一番大事なことと考えております。
  102. 野原覺

    野原(覺)分科員 八百八名おるか知りませんが、その人はほかに仕事を持っているでしょう。あなたはそれを緊急に動員すると言いますけれども、それじゃふだんは何をしているかということが問題になりますよ。だからして、これを整理するには一体何人の司書でどのくらいの経費が要るのか、年度計画を立てて大蔵省に要求して、根本的に死蔵本をたくさんの国民の皆さん方の前に出すような計画を立てないといけませんよ。立っちゃいないじゃないですか。いま答弁を私じっと聞いておりましても、何年度はどうするんだということは立てていないでしょう。本年度あなたのほうは超勤百二十万を要求しておる。かりに五十人としますと、一人平均二万円の司書賃金として月に百万円、それが一年に千二百万円、人件費だけで……。いいですか、かりに十年かかるとすれば一億二千万円だ。しかしながらいまあなたの言うことを取り上げて、八百八人の何制かをこの仕事に振り向けるといたしましても、それにはやはり残業手当も出さなくちゃいかぬだろう、こういった緻密な計画をお立てになられて、死蔵本がやはり一日も早く図書館の書だなに光を放つように私はしてもらいたいと思うのです。私の言うこと間違っていますか。いかがです。
  103. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 ただいま先生の仰せのとおりでございます。その方針に従いまして努力いたしたいと思います。
  104. 野原覺

    野原(覺)分科員 これはぜひやってもらいたい。来年は、私が国会におり、あなたが図書館におられる限り、ひとつこの約束を守って、この数十分の未整理死蔵本を年度計画でどう整理するかということをわれわれ国会議員の前に出せるように、——私はことし要求したいのですけれども、とても無理のようですから、来年はきちっとしたそのものが出せて、昭和四十一年度の予算要求にはやはり第一年度分が要求をされて、国立国会図書館がますます充実していくような方途をとってくださるように、これは要請いたしておきます。  図書館の職員の待遇の問題、それから国会職員の問題、久保田事務総長にも本日はお越しいただいておるわけですけれども、本日の私の質問時間が一時間であります。もう一日ございますから、これは主査とよく相談をして私はそのときにお願いしたいと思います。
  105. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 ただいまの仰せに従いまして、翌年はまた申し上げたいと思います。
  106. 野原覺

    野原(覺)分科員 それでは国会職員の待遇の問題を二、三お尋ねいたします。  まず、衆議院の久保田事務総長にお尋ねいたしますが、国会職員は特別職になっておりますね。ほかの行政官庁の職員は一般職、これはどういうわけでこういう区別がなされておるんでしょうか。
  107. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 お答えいたします。  国会職員は政府の職員とは別個に体系をとりまして、国会の職員は国会で任命もし、監督もする、こういう職員を政府からの監督を受けないでここ独自でやろう、こういうことで特別職になっております。
  108. 野原覺

    野原(覺)分科員 そうすると、都道府県の職員は政府とは別個に任命されておりますが、これは特別職とは言わない、一般職です。そこでもう少し本質的なお考え方を私はお聞きしたい。、やはり国会職員の業務の特殊性が特別職というものを規定してきたのじゃありませんか、いかがですか。
  109. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 その点も当然あると思います。
  110. 野原覺

    野原(覺)分科員 いや、その点が私は重大だと思う。これは昭和二十三年に国会職員は一たん一般職に移されましたが、その後再び特別職になっている。昭和二十三年というのは、国会が任命しておったのですよ。そのときは一般職、こうなっておる。同じ国会が任命するのにその後特別職になっておるのですから、この点は本町的な理由があるわけです。これは事務総長ともあろうお方が、そういう本質的な点についてはやはりしっかり把握していただかないといけませんね。これは、国会の主人公は国会議員でしょう。一般官庁におきましては、上司の命令を法令に基づいて忠実にやったらいいのです。ところが、国会職員はなかなかむずかしいですね。上司の命令、あなただけの命令を忠実にということだけでもいけない面がある、それは業態からいって……。そういうこともひとつ考えていただかなければならぬと思います。  そこで私が第一にお聞きしたいのは、まず労働条件です。私は高輪の議員宿舎にお世話になっておりますが、見ておりますと、あそこにつとめておる若い職員に、君、宿直は何日目にするのかと言うと、三日に一回きます、こう言う。結婚しても三日に一回です。そこで私は気の毒なことだな、御苦労なことだな、こう思いながら調査をしましたら、三日に一度の宿直をする者が三十一人、四日に一度の宿直をする者が六十五人、五日目に宿直がくるのが百七十一人であります。これは実に気の毒であります。こういうことは一般官庁にないです。  それから運転手の勤務もどうかと見てみますと、これは議員でありますから、いろいろ深夜にわたることが多い。それから朝早く行動しなければならぬことも多い。一般官庁でございますと、出勤は九時です、あるいは高級官僚は十時です。しかし、議員はそういうわけにいきません。真夜中、それから早朝の行動をしなければならぬ、それにつれて運転手は勤務しなければならぬ。それから国会の開会中は、超過勤務なんというのはもう毎日ですよ。一般官庁じゃそんなにあるわけない。大蔵省が予算編成のときくらいだ。あとの官庁は五時になればさっさと帰りますよ。幹部では四時から碁を打っておる人もあるだろう。国会職員はそんなことできますか、できやしない。会館は会館で、院内は院内で非常に忙しい。速記者の諸君に私尋ねてみましたら、国会開会中はもう連日の勤務でございますから、国会が終わると、病気もしないのに一貫目はやせます。こういうことでございます。こういうように国会職員の皆さんの労働条件というものは、他の官庁とは違うのです。ここら辺のことが、昭和二十三年、一般職であったのだけれども特別職にするときに国会で議論をされて変わった。昭和二十三年といえば、事務総長おられたはずですよ。ここら辺の本質的なものが考えられて、これは特別職にしようじゃないかということでございますから、私は労働条件にしても賃金にしても、他の一般職とは異なった配慮をやはり国会職員の場合にはして何ら差しつかえない、大蔵省にびくびくする必要はない。国会の職員ですから、内閣から独立した職員だから、しかも特殊な労働条件、勤務の実態に置かれておる職員でございますから、私は思い切ったことをやったらいい。こういう勤務の実態に即するような待遇その他の問題を考えたらいいと思うのです。総長もお考えだと思います。これはひとつ御決意なり御所信をお聞きしたいと思います。   〔八木(徹)主査代理退席、主査着席〕
  111. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 たいへん国会職員に御理解のあるおことばを、いただきましてほんとうにありがたく存じます。仰せのとおり、国会職員の勤務というのは非常に不特定であり、また時間も不規則でありまして、一般にこれに類する職というものはまずないと言っていいと私も考えております。しかもこの国会職員は、四百六十七名というたいへんお忙しい先生方の、しかも審議にお役に立つようにという意味から心を配っておりまして、その心労の度合いも普通ではございません。そういう意味からも、政府から離し、一番よくわかっている国会自体で任命をし、監督をしていくのがいい、こういうことになったわけでございまして、ただ給与の面その他につきまして、財政関係で大蔵省の拘束を受けておりますが、私といたしまても、この千七百名の職員がほんとうに働きやすい環境のもとに、りっぱに働かなければ国会審議のお役に立てない、こういう観点に立ちましてあらゆる努力をいたしまして、職員の待遇問題その他の環境の整備ということに取っ組んでいきたい、こう思っております。よろしく御協力のほどをお願いいたします。
  112. 野原覺

    野原(覺)分科員 これは専務総長、昨年も私はこの種の問題をこの第一分科会でお尋ねをしまして、前の専務総長の山崎さんが、あなたがただいま御答弁されたような同じ内容のことを申されておる。私が当時質問したのは、この行一と行二の給与表に分かれておる、行二というのは、国会職員の場合には自動車の運転手、電話の交換手、それから用務員、こういう人々、だから、こういう人々は行二の表の適用を受けておる。この際、これらの人々の給与問題を解決するためにこれを撤廃する意思はないか、こう尋ねたのです。そうしたら、行二表は望ましくないということでした。山崎事務総長は望ましくない、できたら行一表にしたいのだ、だから私は望ましくない行二表をなくするために努力してみましょう、こういうことであったのです。ところが、その後じっと見ておりますと、一向に行二表はなくなっていない。これは私だけじゃない、わが党の横路委員もこの質問をしたわけです。自動車運転手などは特に気の毒なことなんです。一万何千円ですよ。三十近い人が二万円ぐらいしかもらってないのだ。今日そんな労働者が食っていけますか。もちろんそれは、党に配属された運転手は国会議員が一時間乗れば百円のチップをやるから、あるいはそういうことをお気の毒にも生活の足しにしなければならぬかもわからない。私はこれではほんとうに仕事はできてないと思うのです。ほんとうに、国権の最高機関だといっておきながら、職員の待遇は実によくない。私は時間がかかるから具体的な数字は申し上げませんが、おそらく久保田事務総長も行二表は好ましくないとおっしゃるに違いないと思います。しかしながら、好ましくないのだけれども、政府の他の行政官庁とのつり合いがある、大蔵省がぐずぐず文句を、言う、こういうことのようですね。いつでもこういうことのようです。時間の関係で私はこの答弁は求めませんけれども、国会職員は特別職なんですよ。しかも国会内閣から独立しておるのです、大蔵省なんか相手にする必要はないですよ。国会予算内閣に出すのですよ。何でそんなものを大蔵省なんかに——国会ともあろうものが、大蔵省にぺこぺこして金をもらう必要がありますか。国会が議長のもとで、そのもとにおける議運の委員会で、国会職員は特別職なんだ、こうやるのだということにもしかりに議論が統一すれば、事務総長は堂々とやったらいい。あなたはその仕事を推進するお役目なんです。決意があるかどうかお聞きしておきたい。
  113. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 行二の撤廃につきましては、私も前総長同様、早急に撤廃すべきものである、こういうふうに考えておりまして、今年もその方向に向かって進んだわけでございますが、国家公務員とのつり合いその他によりまして、昨年程度の振りかえしか得られませんで、まことに遺憾に存ずる次第であります。いま、国会でやれるのだから国会でやったらどうだという御意見でございましたが、ただこれは財政上のこともございましょうし、また、やはり事を話し合いで解決していったほうがいいと私考えておりますので、何とかしてわかっていただけるようにこれからも努力をいたしまして、撤廃に向かって邁進したい、こう思っております。
  114. 野原覺

    野原(覺)分科員 行二の撤廃については、儀運に案を出されたことはございますか。
  115. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 庶務小委員会におきましても、これは撤廃をするようにしたいということはお答えいたしております。
  116. 野原覺

    野原(覺)分科員 庶務小委員会でその話が与野党できまり、きまれば議運は通過をする。議運を通過をすれば、議長はこれに裁決をする。事務総長はそれの推進者である。できないというのはおかしいじゃないですか。どこに隘路があるのか。大蔵省の官僚が、あるいは大蔵大臣が何と言おうとも、必要だと思えばぼくはやってやったらいいと思う。これは一般職にしたってそうなんです。この行二表というのは非常に問題のある表なんです。松浦運輸大臣が労働大臣のときに、この給与表が出た。私は給与表について当時質問した。当時の政府は全く答弁ができなくて困り切った表が行二表なんです。人事院がこの表をつくってきたわけです。だから人事院にも、当時は浅井総裁であったと思いますが、問第のある表ですからいろいろ私どもは追及したわけです。一般職の場合には、大蔵省がああいう鼻息でございますから、なかなか手がつかない。しかし国会の場合には、私はできると思うのです。これはひとつ久保田さんの事務総長就任の職員に対するプレゼントとして、ほんとうに職員をして欣喜雀躍、一生懸命仕事をさせるためにも、思い切った久保田事務総長のそういう手腕力量に期待していきたい、このように思うのです。  そこで次にお聞きしたいことは、衆議院参議院国会図書館、この職員の待遇は、同じ国会職員でありながら違うのです。これは去年も問題にしたのですが、今年私がここで出す例は、衆議院参議院の守衛は行一、図書館の監視は行二です。院内の守衛と図書館の監視は、どこが違うのか。職務内容は少しも違わない。ところが衆参は行一で、図書館にいけば行二だ。この区別を理論的に御説明できますか。  それから、衆議院のエレベーターを操作しておるあの少年少女の若い諸君は行二です。参議院にいけば、同じ学歴で同じ年の子供がエレベーターをやっておりますが、参議院は行一ですよ。行一といえば昇給間差がとても大きいのでしょう。どうしてこんなことになるのか。衆議院のエレベーターは行二で、参議院一のエレベーターは行一です。それが間違っておれば訂正願いたいと思いますが、事務総長いかがですか。
  117. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 その点につきまして、衆議院のエレベーターが行二で参議院が行一であるということは最近承知いたしまして、どういうことかという関係を、私のほうだけのことでございますが調査しましたところ、一応エレベーターは行二の職になるのだということになっている。しかし、参議院が行一であるならこちらもできないわけはないだろうということで聞いてみましたが、私のほうは行一の定数をフルに使っております関係上、やむを得ず行二ということに現在はなっております。
  118. 野原覺

    野原(覺)分科員 これは行一にしなさいよ。参議院待遇よくて、衆議院待遇が悪いというのはおかしいですよ。エレベーターの上がったり下がったりする昇降率は、どっちが高いですか。これは事務総長、あなた方が職員組合から攻撃されるはずですよ。それは怠慢ですよ。  それから図書館だってそうだ。私は先ほど図書館に、不愉快であったかもわかりませんが、いろいろお尋ねしたのです。しかしながら、図書館をよくしたいという考えでいろいろ申し上げたのですが、図書館の監視は行二ですよ。衆参は行一です。こういうことは、調べてみればほかにもあると思う。議員の部屋の調度にしても、いろいろあると思う。なぜ国会が一体となってできないのか。衆議院も独立機関、参議院も独立機関、図書館も独立機関だ、こういう考え方のようでございますけれども、国会ですから、職員の場合は国会職員なんです。独立機関のようであって、そうじゃない。ですからひとつこの点は早急に考えてくださるように、私はお願いしたいと思う。  そこで次に速記です。ここにはお二人の男子の方が見えておりますが、事務総長、最近男子の志願者が少なくなってきたということを聞きますが、そういう傾向が出ておるのですか。
  119. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 最近、ここ三、四年でございますか、男子がだんだん減ってまいりまして、女子の志望者の約一割程度くらいに減っております。
  120. 野原覺

    野原(覺)分科員 その原因はどこにあると思うか。それから対策、たとえば深夜国会ということになれば、女子の速記の方はやはり御無理です。国会というところは、いつどういう事態が起こらないとも限らない。私は女子が不要とは申しません。女子にも適したお仕事であるには違いない。女子Tも入ってただくことはもとより望ましいに違いないけれども、男子の速記者というものには、男子だけにできる部面がまた起こってきょうかと思う。原因はどこにあるのか。それから、その原因に対する対策はどうお立てになろうとあなたは考えておるか承りたい。
  121. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 この対策につきましては、私も苦慮いたしておりますが、一つには速記そのものに対する魅力というものが幾らか減ってきたのではないか。なおまた、大学というものへの進学はいたしますが、速記の二年半の修業というものはまことに難行苦行でございまして、その上にやや天才的な素質も必要とするために、そういった苦労をいとう傾向にあるのじゃなかろうか。あるいはまた給与の面において、その難行苦行に相当しないと考えている向きもあろうかとも思います。そこでいま、どういうふうにして男子の速記者を養成していくか、実は確たる対策もまだ立て程ない状態でございます。これから十分その点を考慮して考えていきたい、こう思っております。
  122. 野原覺

    野原(覺)分科員 確たる対策がまだ立っていないようですが、それでは速記志願者の男子が少ないことに対する対策は全く立たぬわけでございまして、困ったことだと思う。これはぜひ立ててもらいたい。  そこで、私の所感を申し上げておきます。速記の養成所に入ってからの手当がやはり少ない。これは考えてやるべきです。このごろは若い諸君の労働力が非常に要請されておりますから、どこに行っても引っぱりだこです。だからして、それに対抗するためにも、在所研究生の手当を増額してやるということはやはり大事です。手当、待遇の問題がやはり一番影響が大きい。それからここにやってきましても——東京におる子供だけが速記者になるのではない。全国の者がやはり速記にひとつのあこがれを持っておりますよ、国会の速記ということになれば。だからこれらの人々に対する寮、宿舎等の施設について特に考えてやるということもいいでしょう。速記者を募集する広告に、必ず寮はある、研究所のときの手当はこれだけなんだといったら、これだけで来ますよ。やってみなさい。そういうことをやはりやってもらわなければならぬ思う。  国会職員が、大半を出て、君はどこにつとめているのだと、いなかへ帰ると聞かれる。私は衆議院です、こう答える。じゃひとつ、衆議院に行っておるからお嫁さんをもらってもらおうということで、ある結婚話が進んだ。そうしたら、いなかからやってきたお嫁さんのお父さんが、衆議院をたずねたけれども一向に姿がみえない。どこだといったら宿舎の玄関番をしておる。何だということになってお気の毒にもこの結婚がだめになったという、泣くに泣けない話を私は聞かされたのです。やはり国会職員は、宿舎であろうと本院であろうと、国会に働いておるのだ、国権の最高機関がおれの職場なんだという誇りと喜びを持たせるためにも、私は事務総長待遇の問題をぜひひとつ考えてほしいのです。  時間の関係があるからずっと申し上げますが、速記監督というのがありますね。お聞きしますと、この速記監督は数名が行政職の二等級になっておるだけで、二十五年以上の者が速記監督に同じ勤務年数でありながら定数のワクのかげんかどうか知りませんが、うんと下回って位置づけられておる。こういうことはやはり私はいけないことだと思うのです。速記監督というものをたくさんつくるわけにいかぬでしょう。だから何名かつくるのはよろしい。これは職制としてやむを得ない。しかしながら、給与の面では、同じにまじめにやっても、やはりそのワクがあるからその中に入れないならば、せめて給与ぐらいは下回ることがないように大いに考えて、やるという措置をとってもらわなければならぬかと私は思う。このことは去年の分科会で問題にしました。当時の事務総長庶務部長は全く同感の意を表しておったのですけれども、一向その後前進していないように思うのです。これはひとつ事務総長ぜひ考えてください。いかがですか。
  123. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 速記監督の問題でございますが、いま速記監督は速記職一等給でございますが、いま一等級がたいへん詰まっておりまして、そのうちいわゆる行政職一の課長と同じところの表を使っているのが八名ございます。そのあと、先が詰まっております関係上、非常にたくさんの方がうしろからつかえてまいりまして、これは何とか解決しなければならぬと思いますが、なかなか行一のほうに持っていくのにも困難な事情がありました。そこで、この固ベース改定のときに、何とかまず速記監督のところの待遇を変えなければならないということで、相当速記監督のところは従来のベース比率よりも上回って改定をいたした次第でございます。
  124. 野原覺

    野原(覺)分科員 それは総長ぜひしとつ考えてあげてくださいよ。速記はだんだん減っていきよるのですから、相当これはやはり一つの対策として取り上げないとだめですよ。もう予算分科会で同じことをしゃべらさないようにしてもらわないと困る。  それから行二職員の問題で、私はここでお聞きいたしますが、ここに表があるのです。用務員、行二職長が十六年勤続して幾ら俸給をもらっておるかというと、二万六千八百円です。十六年勤務した人の一カ月の俸給です。この人は妻もあれば、子供も、五人あります。何にもほかに収入が入ってくる道がない。用務員ですよ。それからその次、勤続十四年の人が二万三千六百円、勤続十一年の人が二万二千四百円、勤続四年の人が二万二千三百円です。私はこういうことがあるから行二を撤廃しろと言ったのですが、さて撤廃せられないいまの時点においてどういう問題が起こってくるかと申しますと、勤続四年の者が二万二千三百円、勤続十一年の者が二万二千四百円、勤続四年の者と勤続十一年の者は、勤務年限で七年間の開きがある。ところが、俸給は百円しか違わない。総長、御承知ですか。
  125. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 最近用務員の初任給を非常に急激に引き上げてまいりました結果、いま野原先生のおっしゃいしまたような、いわゆる中だるみと申しますか、勤務年数が多いにもかかわらず、その給与が大差がないということになっております傾向はございます。その中だるみ是正の問題も非常にむずかしい点がございますのは、ほとんど全県を改定しなければならないような状態になりますので、その点につきましては、最もひどいところから徐々に解決していきたい、いまのところかように考えておる次第でございます。
  126. 野原覺

    野原(覺)分科員 年功序列賃金というものも、賃金の形態でいろいろ議論がありますが、しかしながら、一応日本の官公庁に勤務する職員の給与は年功序列になっております。これが常識、これが原則になっておる。七年間も違うのに百円しか違わないなんて、これは気分的にも承服できますか。四年の者は初任給をうんと上げた。上げないととても希望者がない。最近採る者は初任給がうんと高くなっている。ところが、昔の者は依然としてほうっておかれる。計算してみると、ほんとうは八千円の開きがなければならぬ。毎年一号俸ずつ上がるとすれば、この四年の者と十一年の者の開きは八千円なければならぬ。四年と十四年の者の附きは一万円なければならぬ。ところが、四年と十四年、十年間の違いで本俸の開きがわずかに千三百円です。ところが、総長、幹部の人はどうですか。課長以上、係長以上、そういう人々にこんな開きにしてみなさい。たいへんでしょう。何万円の開きがあるはずです。事務総長と次長の開きはどうですか。次長と課長の開きはどうですか。下で黙々として働く者にはこういう不親切なやり方を考えておるところに問題があると思う。今日の管理職の人々がこれは考えてやらなければならぬと思うのです。これは組合がやかましく言うはずです。はなはだ不愉快だ。とてもこれは勤労意欲がわかない。これはぜひひとつお考えを願いたいと思うのであります。行二職員は撤廃するとともに、こういった中だるみの是正を私はやはりすみやかにやってもらわなければならぬと思う。そのやり方はあると思う。これはいろいろ職員組合側の意未も聞いて千職員組合といえば、給与の高い人もおれば低い人もおるわけですから、非常識な意見を出すわけはない。だから組合側の意見も聞いて対策をとられることが、私はきわめて望ましいと思います。その上ですみやかに議運に出して、こういった緊急に是正しなければならぬ問題は是正をする。参議院との違いは直す。それから中だるみは直す。抜本的な問題は、それはいますぐやれといってもできないでしょう。来年ぐらいには必ずやる、こういう決意をもって総長が事に当たっていただくことによって、国会の、衆議院の職員諸君が奮起して、仕事に精魂を打ち込むのじゃないかと思うのです。総長の御所信を承っておきたい。
  127. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 野原先化の職員に対するあたたかいおことば、非常に感謝にたえません。私も力の及ぶ限りそういった面の解決に真剣に取り組んでまいりたい、こういうつもりでございます。
  128. 野原覺

    野原(覺)分科員 これで終わりますが、最後に国会図書館の副館長にお尋ねします。  国会図書館の待遇問題で、これはぜひ副館長に考えていただかなければならぬのは、お聞きいたしますと、何でも夜間の定時制高等学校を卒業する者を行一にするにあたっては試験をする、こういう方針のように私は聞くのです。それで、いま図書館につとめて、いろいろ図書館の仕事をしながら、夜間の高等学校に通って卒業する者が何でも十三人おる。この者が、やはりつとめた古巣でございますから、図書館に勤務したい。ところが、おまえ行一になるのなら試験を受けろ、こういうことのようでございますが、これは副館長さん、考えていただけませんか。若くして十五、六歳ごろから図書館に勤務してせっせと勉強して、また図計館に残ってやるんだということであれば、夜間の定時制高校を卒業したらすぐ行一に切りかえてやるというあたたかい配慮が、十三名に対していただけないかどうか、これはひとついい御答弁をお聞かせください。
  129. 岡部史郎

    岡部国立国会図書館館長 ただいま図書館の全職員は、試験以外に採用しないことになっております。上級職、中級職、初級職、それぞれ試験によって職員を採用しております。したがいまして、それ以外に行二の事務補佐といたしまして、まあ大体昔の給仕に当たるような仕事をさせますために、夜間高校在学中の職員を数名採用いたしておりますが、そのうちで毎年二、三名ずつ両校を卒業することになっております。これらの者を採用いたします際には、君らが夜間高校を出て行一の職員として司書なり参事なりになりたいならば、毎年やっている初級試験を受けて合格しなければなれないんだという話をしておるのであります。ところで毎年三、四名夜間高校を卒業いたしますので、これらの者を図書館でやります初級職試験と同じに受けさせまして、昨年までは合格させております。昨年まではみな受けさせております。ことし、たしか三名ございました。三名の職員が何か試験を受けたくないという話でございますから、私は、すでに締め切りが終わったのにかかわらず、試験の前日まで、何とかして試験を受けさせてやいりたと思いまして、あらゆる方面に話をいたし、それぞれの属しておる部局長にも試験を受けるように大いに説得させたのでございます。土曜日の夕方まで残っておりました。それでもこれらの者は、ある者は自分は大学に行くからとか、自分は受けたくないとかいうことで、とうとう受けなかったといとのがことしの実情でございます。ところで、先ほど申しましたとおり、一切の職員は試験採用によってやるというのが原則でございますので、行二で入ったからこれを試験なしに行一に移すということは、これはもぐりになる。そういたしますと、そのほか高校卒で製本をやっているのもあります。機械をやっているのもあります。それから、電話もございます。行一、行二がいいか悪いかということは別問題で、行二がある以上は、行二は試験なしで採るものですから、試験なしで行二で採って行一へ試験なしで入るということはいかぬことだと、人事院もその方針でございますし、私どももその方針でおります。したがいまして、これは何らかの方法で試験しなければ、行二から行一に移るということは制度を根本的にこわすことになる。情においてしのびませんが、そうでなければならぬと思っております。しかしせっかく一年なり二年なり昼間働きまして、夜間高校に通っていて、将来図書館に入りたいという子供たちでございますから、特別な取り扱いをいたしてやりたいとは考えております。どっちみち、試験なしで移すということは、これは制度としてはできない。しかし先生の御意向もございますから、何とか十分考えてみたいと思っております。
  130. 野原覺

    野原(覺)分科員 これで終わりますが、最後に職員組合との問題で一つだけお尋ねします。  国家公務員法がILOに関連して若干手直しされる、そういう方向をたどるでございましょうが、国会職員法についてもそれとの見合いで考えていらっしゃるのかどうか、これは事務総長に承っておきたいと思います。
  131. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 国家公務員法の改正が行なわれますれば、それに準じまして国会職員法も改正しなければならない点が出てまいると考えておりますが、まだ国家公務員法の改正がどのような結末になるのかはっきりいたしませんので、まだ検討をいたしておりません。国家公務員法の改正に従いまして検討していきたい、こう考えております。
  132. 野原覺

    野原(覺)分科員 これで終わりますが、そこで最後に、要望だけいたしておきます。  特別職であるという本質的な理由、それからやはり職員組合という一つの集団があれば、これの意見もひとつ十分聞いた上の立案というものをなさって、議運等でこれは論議をされるでございましょうが、そういう手続を踏まれるように私は要望しておきたい。  以下、で終わります。
  133. 植木庚子郎

    ○植木主査 中曽根康弘君。
  134. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 たいへんおそくなって恐縮ですが、私は、伊勢神宮の式年遷宮の経費に関して政府当局に御質問いたしたいと思います。  伊勢神宮の式年遷宮は、延喜式に基づいてすでに千二百数十年続いておりまして、今回行なわれますのは六十回目であるといわれております。戦国時代には、二十年という期間が延ばされたり、いろんな経緯はありましたが、徳川時代以降はほとんど安定してずっと続けられてきたのであります。そして昭和二十四年の終戦直後の年に該当しておったのでありますが、終戦という未曽有の事件によってこれが延期されて、昭和二十八年にこれが行なわれました。そしてことしから八年目に今度の六十回目の式年遷宮が行なわれるわけであります。  この式年遷宮という行事は、世界の文明史上においてもまれな、驚嘆に値する事実でありますし、また、神明造りの皇大神宮の建物自体も非常に文化史的にも価値あるものであり、われわれ民族の非常な誇りであるとも考えられております。また、このような儀式というものが千数百年にわたって現存してきていること自体も、わが国民族、文化の誇りであるだろうと思うのであります。  最近、共産圏の国々におきましても、自由主義世界におきましても、その国の文化や伝統を保存するということが非常に強く行なわれております。国際社会の交流が激しくなり、ジェット機や、あるいは国際テレビ中継などのようなものが行なわれれば行なわれるだけ、民族固有の価値というものが尊敬され、尊重されるという時代に入ってきて、日本も、いままでややもすれば忘れられておったこのような文明史上の、あるいは伝統の上から見た価値あるものを保存するということは、世界の文明に対するわが民族の責任でもあると思うのであります。  ところが、この式年遷宮の経費が約二十五億円ぐらいかかるといわれておるのでありますが、なかなかこれが、拠出がむずかしい問題になっておる。  そこで、まず法制局長官に承りたいのでありますが、式年遷宮の経費というものを国費で出すことはできないか、もしかりに出し得るとすれば、どういう名目で出すことができるか、この二点についてまず承りたいと思います。
  135. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの問題は、憲法の規定からいいますれば、むろん申し上げるまでもなく、憲法八十九条の規定に関連がございます。その憲法八十九条の規定によりますと、公金は、宗教上の組織もしくは団体に支出することができないというふうに、いわゆる政教分離の観点から、きわめて厳密なる規定を置いておることは御承知のとおりでございます。  ところで、ただいま御指摘のものでございますが、われわれ、実は宗教が何であるかということにつきましては、何と申しましても専門外でございますが、しかし、一般的に伊勢神宮のただいま御指摘の行事というものが、宗教的色彩がないというふうに感じ切るにはなかなか困難を伴うように思います。そういう観点からいいますと、ただいまの八十九条からいいますと、そのものにそのまま直接に国費を支出するということは大いに疑問があるのではないかというふうに考える次第でございます。  ただ、いまもお話がございましたように、しからば何にもできないのか、何かくふうはないかということになりますと、これはずいぶん古い法制局意見でございますが、昭和二十五年の三月の法務府の意見、いまのいわゆる法制意見でございますが、当時、桃山時代の建築様式を備えた仏閣に対して、文化財保存の見地から、これは地方公共団体でございましたが、地方公共団体が公金を支出して保存につとめることができるかというようなたぐいの照会がございました。それに対して、当時の法制当局といたしましては、これを、文化財保護の見地から、出すことは何も憲法に違反しないという結論を出しております。  ところで、そういう観点から、現在の文化財保護法がそういうことができることになっておるかどうか、これはまた別問題でございますが、憲法八十九条に関する限りは、ただいま申し上げたような結論でございます。
  136. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 宮中の賢所の経費はたしか内廷費で出ておりますが、賢所の延長としての皇大神宮というものを考えることはできませんか。賢所の経費、あのお供物の費用とかあるいは掌典の給与とか、そういうものが内廷費で出ておるならば、本体は皇大神宮であって、賢所は官中におけるその分所と申しますか、そういう性格を持っているだろうといわれておるのでありますが、その延長として考えることはできないのでありますか。
  137. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 お答え申し上げます。  実は文化財保護の観点からしますことをいま申し上げましたのは、ちょうどたまたま法制局にそういう事例がありましたから申し上げたのでありますが、確かにいまおっしゃいますような問題点も実はあると思います。  天皇あるいは皇室の御行動として、宗教関係につきましては、皇室の私的な御信仰の問題、こういうものは、むしろ信教の自由として、それは特に国法において規制しているものと見る必要はごうもございませんし、現在賢所につきましてたしか内廷費が出ていると思いますが、そういうふうに皇室の御信仰の問題としては内廷費から出すということが考えられる傘地はあると思います。  ただ、内廷費の支出につきましては、内廷費が現在の皇室経済法によりまして、御承知のとおりに、「皇族の日常の費用その他内廷諸費に充てる」ということになっておりますので、式年造営の経費をこれに計上するということは、現行規定の文言から、いま御指摘もありましたようにだいぶ額も多いようでございますので、それがそのまま当てはまるかどうか、その中に計上するにふさわしいと見られるかどうか、これは現行法の問題でございますが、その辺に多少問題があるように思います。
  138. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 皇室経済法第四条によりますと、いまおっしゃった内廷費は、天皇その他列記してある「皇族の日常の費用その他内廷諸費に充てるものとし、別に法律で定める定額を、毎年支出するものとする。  内廷費として支出されたものは、御手元金となるものとし、岩内庁の経理に属する公金としない。」こういう条文があるので、なるほど現実的にすぐ適用することは多少むずかしいような気もいたします。つまり、皇室の「日常の費用その他内廷諸費」それから「定額」云々ということばがひっかかるように思うのです。  しからば、この点を改正すれば、法律の支障はなくなりますか。いかがですか。
  139. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 法制局としてぎりぎり一ぱいの法律論を申し上げるとすれば、私どもは、何と申しましても現行憲法というものに抵触するかしないか、これが最大の問題でございますが、そういう意味から申しまして、皇室の私的な信仰の問題として考えられる限りは、憲法との問題は生じない。そういう意味において、現在の皇室経済法と申しますよりは、一般的には、現在の法律をできる範囲で改正しておくという余地は、これは絶対ないということはないと思います。
  140. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 伊勢神宮にある御神体の鏡は、一体どういう性格を持っておるものですか。
  141. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 これは法制局からお答えするのがはたして適当かどうかと思いますが、私どもが知る限りにおきましては、皇祖が皇孫にお伝えになった神鏡をお祭りしてあるというふうに承知しております。  なお、そのほかいろいろうかがい知っていることはございますけれども、これはむしろ私から申し上げるよりも、ほかの政府委員から申し上げたほうがいいかと思いますので、私はこの限りにいたしておきます。
  142. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 宮内庁長官に伺いますが、この式年遷宮の経費というものは、どういうふうに支出されたら宮内庁当局としては望ましいか。  第二に、皇大神宮の御神体の御鏡(みかがみ)はどういう性格を持っているものとして考えるか。  この二点をお答え願います。
  143. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 お答えいたします。  伊勢神宮の式年遷宮につきまして、ただいま御質問の最初にお述べになりましたような、長いわが国の歴史から考えますると、過去におきましては、やはり朝廷あるいは時の政府と申しますか、幕府と申しますか、いわゆる公的な立場におきまする経費において式年遷宮が行なわれてきたということは、お述べになりましたとおりでございます。ただ、ときに、戦国時代のような場合におきまして、やはり時の国情からいたしまして、先ほどもお述べになりましたように、百三十年もの長い間、式年遷宮が行なわれないというようなこともございましたが、その戦国時代の末期におきまして、たとえば慶光院清順という、これは尼の方でございますが、それを非常に嘆かれて、朝廷のお許しを得て、各方面の寄進を仰いでこれを行なったということがあるように伺っておるわけでございます。  それを除きましては大体そういうことでございまして、前回は、昭和四年から二十年の昭和二十四年が式年遷宮でございましたが、昭和二十年、終戦直後に、これを延期されるということになったように記憶いたします。それが二十八年に行なわれたのでございますが、このときは、国のほうですでに材木等を購入いたしておりましたので、それを神宮に渡して、神宮で一般から浄財を、約七億と伺っておりますが、募財をして、昭和二十八年の遷宮が行なわれたわけでございます。それは戦後の特殊な、そういうような事情でございました。  古来の歴史のことを考えますれば、やはり関係者といたしましては、そういった朝廷なり公の経費をもってやりたいという歴史的念願が起こってくるのも千長い歴史、ことに民族の精神的な中心としての意味もございまして、起こってくるのは、これは無理もないことだと思います。  しかしながら、新憲法のもとに、先ほど法制局長官の仰せになりましたように、現在においては伊勢神宮が宗教法人として立っております。そういう関係がございまして、憲法上の解釈からなかなか困難な模様がございます。われわれといたしましても、こういう点について神宮司庁当局とも何度か話しておりますし、あるいは文部省、法制局のほうとも御連絡をしたこともあるわけで、検討はいたしておるわけでございます。  前回のときにも、陛下は御心配になりまして、内廷の用を節して若干の内廷費をお出しになったことがございます。しかし、先ほどお述べになりましたような二十五億とかあるいは三十億というような経費がとうてい出るわけもございません。そういうことで、将来どうなるにいたしましても、四十八年に行なわれますれば、皇室としても、内廷の日常経費のうちから用を節してお出しになることは想像されると思いますが、これは、いまのような大金に対しこれをカバーするというような意味合いにはとうていならないだろうと思います。まあ憲法八十九条の問題、あるいは文化財の問題として考える以外に、内廷費からほどうかという御質問もあったわけでございますが、これが日常の経費というような点から申しまして、また、政教分離という憲法の原則の問題がございますから、特に巨額な経費内廷費に臨時に組むというような間第につきましては、法制局長も言われましたような点で相当考えなければならぬ点もあるのではないかというふうに思います。私どもといたしましては、当初に申し上げたような、昔のような形式がとれるならば、歴史を顧みてすべて古儀にのっとるという面から考えましても、できればけっこうだと思いますが、いまの憲法でむずかしいとすれば、どういう方法があるかということで、部内においても、関係者と検討している道中でございまして、いまここでこうしたらできるだろうというようなことは、いま申し上げました以外にはまだ結論を得ていないわけでございます。
  144. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 いまの神官の御鏡の問題。
  145. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 失礼いたしました。  これは数年前でございますが、衆議院の濱地文平議員からの伊勢の神宮に奉斎されている御鏡の取り扱いに関する質問に対する答弁書が、前内閣、池田内閣のときに提出されております。この要旨は、過去の言い伝えによりまして、垂仁天皇のころに伊勢の五十鈴川の川上に祭祀せしめられたという根本的な沿革が伝わっておりますので、これを朝廷から祭らしめたという考え方から、また同時に、「皇室経済法第七条の規定にいう「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」として、皇居内に奉安されている形代の宝鏡とともにその御本体である伊勢の神鏡も皇位とともに伝わるもの」という見解を述べております。そうして、この所有問題について議論がございまするけれども、そういう沿革にかんがみまして、「神宮にその所有権があると解し得ないことは明らかである」という趣旨のことを答弁書に申されておるわけでございます。したがって、神宮がかってに処分できるものではないということでございます。   そういうふうに考えておりまして、広い意味の三種の神器として祭らしめられたという過去の歴史から見て、これはやはり神宮の所有のものでない、あくまでも天皇の皇位とともにあるものという解釈を、その当時から答弁書として提出になっているわけでございます。
  146. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 そうしますと、あの御鏡というものは皇室の私物ですか、それとも、象徴という国家の機関であられる天皇の承継の場合に引き継がれるものであるがゆえに、あれは国家の公物になるのですか。どういう性格を持つことになりますか。
  147. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 お答えいたします。  これはたとえば現在の天皇陛下の私物という考えよりも、天皇といういわゆる皇位に伴って代々伝わるべきもの、皇室経済法もこれは私物という考えでなくて、あくまで天皇の、何と申しますか、公的地位の皇位に伴うものというふうに考えておるわけでございます。
  148. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 いまの考え方で、法制局長官、間違いないですか。
  149. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 ただいまのお考えでいいと思いますが、若干補足をさせていただきたいと思います。  それは、これも御承知のことと思いますが、皇室経済法の七条に例の「由緒ある物」という規定がございますが、この御鏡は、やはりこの「由緒ある物」に入るべきものであると考えるわけでございます。したがって、ここに「皇位とともに伝わるべき」というふうにありますように、その点については民法の特例というようなこともいえますが、しかし、皇室経済法が「由緒ある物」として特に「皇位とともに伝わるべき」ものとしておりますのには、やはりそこに公的な評価が加わっているということはいえると思います。そういうものを加味しまして、ただいま長官の仰せられましたようなふうに御理解いただければけっこうだと思います。
  150. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 そうしますと、そういうような由緒あるものを奉安しておる営造物ということにもなりますが、そういう象徴たる国家の機関である天皇が皇位を継承されるときに承継さるべき公物的な性格を持っておるものを安置しているということから見ると、これは普通の単なる宗教法で人ない、別の性格がここに人ってきておると考えられるのです。  そういう性格を特に重視して、宗教法人とは考えない別の面をここでつくり出して、そこに対して補助金なりその他によって営造を行なわせるということはできないものですか。
  151. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 一般的な考え方にいたしまして、その八咫の鏡にせよ、ほかのものにせよ、そういうものを宗教的なものと別個に考える余地があれば、その限りにおいてはむろん話は別になると思います。  ただ、現在の姿がそうでありますように、その八咫の鏡を奉安するということを中心として、そこに宗教的な団体がある、そしてその宗教的な団体の活動として何事かが行なわれる、そういうものに対して国費が出るということになりますと、やはり憲法八十九条の上から見ますと、現行憲法の存在を前提とする限りは、なかなかそこがいいというふうに解釈するのが非常にむずかしいように思うわけでございます。
  152. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 しからば、文化財保護という観点からかりに国費を支出するということになると、どういう種類の文化財に該当することになりますか、法制局長官の意見を承りたい。
  153. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 これは、文化財といたしまして文化財保護法によって補助金を交付する対象としては、いろいろなものがあることは御存じのとおりでありますが、そのどれに当たるかということを私どものほうで確言的に申し上げるわけにはまいりませんけれども、何か一番近いものはどれだろうかというふうに見てまいりますと、これは、文部当局、所管省と十分に連絡をして申し上げるわけではございませんが、私の直観としては、やはり重要民俗資料とか、あるいは史跡というようなあたりが現行法ではなるのではないかと思います。しかし、先ほどから申しておりますように、私どもが一番関心を持ちますのは、何としても憲法の規定との関係を気にするわけでございますので、現在適格なものが当たらなければ、また適格なものをつくるということも考えられるだろうと思いますが、しかし、それはよけいなことでございまして、ただいまのお尋ねは、現行法の上ではどれに当たるかといえば、一番近いのは史跡とかあるいは重要文化資料とか、重安民俗資料とか、その辺じゃないかという感じがいたします。
  154. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 文化財保護法第二条を読んでみるというと、いまおっしゃった民俗資料というところは、「衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗習慣及びこれに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件でわが国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの」こう書いてあります。  この文章を読んでみるというと、単に家屋という物件だけではなくして、年中行平等に関する風俗慣習、そうして「国民生活の推移の理解のため欠くことのできない」ということから見て、伝統的にずっと続いている行事全体をひっくるめて民俗資料と解する。その中に営造物である家屋も入ってくる、そういうふうに解せられると思うのでありますが、そういう行事全体、歴史的につながっている行事全体、歴史的経過を含めて一つのものとして扱う、こういう解釈は成り立つものですか、どうですか。法制局長官並びに文化財保護関係意見を承りたいと思います。
  155. 宮地茂

    ○宮地政府委員 文化財のほうでの、一応のいまの御質問に対してのお答えを申し上げます。  この御指摘のありました文化財保護法二条の三号に民俗資料の定義がなされております。これは私どもの解釈によりますと、行事をやります場合に、いわゆる有形の行事に使ういろいろなものがございます。有形のものがございますと同時に、無形の、行事そのものは人間が行事を演ずるわけですけれども、一応それは無形の文化的なものというふうに考えられます。したがいまして、定義のところでは、行事といいました場合、有形無形のそういうものが合体となった一体のものが行事であろう。  ところが、これを指定いたします場合、文化財保護法の五十六条の十でございますが、「有形の民俗資料のうち特に重要なものを重要民俗資料に指定することができる。」というふうにありまして、この場合は、有形無形のものが一体となって行印になるわけですが、指定は形のある、有形のものを指定するというふうになっておる、このように解釈いたしております。
  156. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 史跡というのは、ここにあるように跡という字が書いてあるのであって、これは平城官の跡とか、あるいは珍しい橋であるとか、そういうような意味で跡というものがあるのであって、こう時間的に継続しているその行事自体というものは入らないように思うのです。  ところが、かりに文化財保護という考えを持ってくるとすると、式年遷宮というものは伝統的に続いている行事自体が一体となって取り扱わるべきものである、そう私は思うのであります。現に第六十回の式年遷宮の行事を見ても、御柚山祭とか、山口祭とか、木を切り始める式とか、木をひく式とか、あるいは造営を始める手斧始と呼ばれる祭儀とか、いろいろな行事がつながっているようなことになって、それ自体がやはりこの保護の対象になるべきものである。そう考えるので、何ものかの跡というような意味における性格は非常に少ないと思うのですが、その点はいかがですか。
  157. 宮地茂

    ○宮地政府委員 お尋ねの件でございますが、これも文化財保護法二条の四号の史跡の定義を読んでみますと、いまおっしゃいますようないわゆる遺跡で、「わが国にとって歴史上又は学術上価値の高いもの」だといったようなことが書いてございます。私ども、この史跡と考えます場合、そこの史跡の中でいろいろな無形な行事的なものが行なわれましても、史跡と考えますのは、有形の物そのものを従来から該当するというふうに考えております。したがいまして、たとえば法隆寺の境内であるとか、あるいは東大寺の境内、これは一応史跡に指定されております。その場合に、法隆寺の建物、東大寺の建物、こういうものは史跡指定地域内にある史跡を構成する重要な一つの構成物であるというふうに考えております。しかし、その法隆寺の建物を建てる場合、東大寺の建物を修理する場合、いろいろな無形の付帯的な行事がございますが、その場合、私どもは、そういう付帯的な無形の行事そのものには着目しませんで、史跡としては建物を修理する、その建物は物であるという点で、史跡の一部分として物そのものをつかまえております。
  158. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 総務長官に伺いますが、いまお聞きのように、式年遷宮の問題は、非常に大事な、民族的な文化の、われわれ民族が誇りともすべきような行事であると思うのです。昔、戦国時代に百年ばかり行なわれなかったというのは、これはああいう時代であったからやむを得ぬと思うけれども、今日、日本は経済的にも非常に復興して、オリンピックを誇り、経済成長を誇っておるというときに、戦国時代皇室が式微して何にもできなかった、そういう時代と同じように式年遷宮ができないということは、今日生きている日本人として、まことに先祖や子孫に対して申しわけない問題だろうと思うのです。それで、この事柄の性格からすれば、やはりこれは手数百年続けてきた民族的行事として、国が主体になってやるべきものである、私はそう思うのであります。  ことし正月、佐藤総理は伊勢参宮をされて、そのときの新聞話者会見で出た記事を拝見すると、何か非常にむずかしいのでできにくいような印象のことばを述べておられる。しかし、私は、国民の一人として、政府当局はあらゆる知恵をしぼって、日本政府の名誉にかけてもできるだけ実現するように努力すべきものと思うのです。それが国民の総意であると私は思うのです。こういう民族的文化の成果を伝えるということについては、これは社会党といえども、民社党といえども、あるいは共産党といえども共鳴すべきものであると思うのです。ソ連や中共における民族的文化の取り扱いを考えれば、みな共鳴するものだろうと思うのです。  そういう観点から、一体この式年遷宮というものについて政府はいかに取り扱う考えであるか、政府の考えを承りたいと思う。
  159. 臼井莊一

    臼井政府委員 お答え申し上げます。  伊勢神官も現在やはり宗教法人による神社のたてまえをとっているようでございますので、したがいまして、憲法八十九条でございますか、国の費用をもって支弁するということは、現在の状態においてはむずかしいかと考えております。
  160. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 総務長官は居眠りをしておったので、いままでのわれわれの応答を聞いてなかったらしいけれども、国の費用の支出は必ずしも困難でないことがいまここで明らかにされておるのです。それは、文化財保護という観点からも考えられるし、あるいは皇室経済法改正すればできないことはないという法制局長官の答弁であります。この事実を政府はどういうふうにお取り扱いになりますか。
  161. 臼井莊一

    臼井政府委員 私どもの従来承知しているところでは、いまお答え申し上げたようなわけでございますが、文化財保護の立場でいえば、これは文部大臣がお答えするのが適当だと思いますが、これにつきましても、古い歴史のある神官でございますから、史跡の保存というようなたてまえから、境内地等についてはできないことではないとも考えまするが、ただ、建物等につきますと、式年建築といいますか、そういう方式の形はあれでございますが、一応二十年ごとに建物を改めるという点からいくと、やはり建物そのものを文化財ということに指定することが何かむずかしいふうにも聞いておりますので、詳細の点についてはやはり当の責任者のほうからお聞きいただくことが適当かと考えております。
  162. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 いま責任者の文化財保護委員会の事務局長から聞けば、あなたの答弁と違うことを言っておられるのです。できないということは必ずしも言っていない。文化財保護法第二条の第三号か第四号というもので考えられるということも言っておられます。これはどういうふうにして答弁が食い違うのですか。どっちが間違いですか。
  163. 臼井莊一

    臼井政府委員 文化財保護委員会のほうでそうお答えになっておられるとすれば、文化財保護委員会のほうが担当者でございますから、そのほうが正しいかと考えます。
  164. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 この皇大神宮の式年遷宮は、これから八年目に、四十八年に行なわれることになっておりますが、すでに神宮当局から陛下のところに、いかがいたしましょうという伺いがあって、そうして陛下のほうからは、ともかくかかりなさいというので、神官当局はその準備を始めておる。そうして、延喜式による諸行事がここにあるわけです。  いまここに予定しているのを読んでみても、昭和四十年五月には山口祭、木本祭、つまり神路山、高倉山のふもとにおいて行なわれる行事がある。四十年六月には、御柚始祭、木曽国有林において御用林の伐採が正式に始められる。四十一年正月には御柚始際、つまり御用材を神域内にひき入れる行事、以下云々と、連綿として八年間にわたってこういう行事が続けられるわけです。  その経費は一体どこから出すのか。政府はそろそろ自分の態度をきめて、大所高所から国民にも訴え、あるいは関係方面の了解も求めて結末をつけなくてはならぬ段階になっておると思う。そういう点からすると、いままでの政府の扱いは、やや怠慢のきらいがないとはいえない。神宮当局は非常に心配しておるし、われわれのほうにもそういういろいろな声が聞こえてきているわけです。われわれとしては、この日本の経済が繁栄しておるときに、国家が何ら関係なしに神宮だけにこういうような大事な仕事をまかしておくべき問題ではないと思うのです。そういう観点から、でき得べくんばこういう問題は国民全般の共鳴のもとにやるのが望ましい。つまり、具体的にいえば、自民党、社会党、民社党が了解して、みんなで共鳴して喜んでやるというような形に持っていくのが政府のあるべき姿であると思うのです。そういうところに早く政府が気がついてもらって、そして各党の中にそういうような考えを話し合うようなチャンスがなければならぬ。これは元来自民党がやるよりも、政府がイニシアをとるべきものであります。そして自民党と各党とがいろいろそれによって話し合いを始めて、共通の線をつくっていくのが望ましい態度であると思う。正月にすでに佐藤総理の談話が新聞にも出ておって、国民はまだあまり気がつかぬけれども、問題の所在を知ったら相当な関心が出てくるだろうと思うのです。そういう意味において、政府はこの問題をどういうふうに政治的に取り扱っていくつもりか、この考え方をお聞きしたいと思います。
  165. 臼井莊一

    臼井政府委員 この問題につきましては、事柄が重大でございますから千官房長官が一応内閣では担当かと思いますけれども、憲法上の解釈等も従来いろいろ論議のある事柄でございますので、現在のところ政府がこれをイニシアチブをとって、進んでこうしたいという計画も聞いておりませんでございます。この点は、十分研究をさらに進めないというと、この際にわかにこういう方針だということを私から申し上げるのは不適当かと考えますので、御遠慮申し上げたいと思います。
  166. 中曽根康弘

    ○中曽根分科員 時間がきましたから、私は質問をやめますが、ともかく五月にはそういういま申し上げたような山口祭とか木本祭というような行事が始められるのであって、そうおろそかにすべき問題ではありません。至急政府当局において、これをどう取り扱うか。つまり、必ずしも政府が自分でやれという意味ではない。政治的取り扱いの方法をまずつくらなくちゃならぬと思う。その政治的取り扱いの方法というものは、内閣の中枢部において相談をしてきめるべきものだと思うのです。そういう措置を至急とられるように希望いたします。  時間がきましたから、これで私の質問を終わりにいたします。
  167. 植木庚子郎

    ○植木主査 本日の質疑はこの程度にとどめます。  明二十三日は、午前十時より開会し、文部省所管について質疑を行ないます。本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十三分散会