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1965-02-19 第48回国会 衆議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十七日(水)委員長指名で次の 通り小委員及び小委員長を選任した。  防衛図上研究問題等に関する予算小委員       荒舩清十郎君    江崎 真澄君       大平 正芳君    川崎 秀二君       小坂善太郎君    重政 誠之君       西村 直己君    松野 頼三君       石橋 政嗣君    岡田 春夫君       高田 富之君    中井徳次郎君       永末 英一防衛図上研究問題等に関する予算小委員長                 松野 頼三君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十年二月十九日(金曜日)    午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 青木  正君    理事 赤澤 正道君 理事 稻葉  修君    理事 小川 半次君 理事 二階堂 進君    理事 古川 丈吉君 理事 加藤 清二君    理事 川俣 清音君 理事 辻原 弘市君    理事 今澄  勇君       相川 勝六君    荒木萬壽夫君       荒舩清十郎君    井出一太郎君       井村 重雄君    今松 治郎君       植木庚子郎君    上林山榮吉君       仮谷 忠男君    川崎 秀二君       重政 誠之君    正示啓次郎君       登坂重次郎君    中野 四郎君       灘尾 弘吉君    西村 直己君       野田 卯一君    松野 頼三君       水田三喜男君    八木 徹雄君       石田 宥全君    石橋 政嗣君       大原  亨君    岡本 隆一君       神近 市子君    高田 富之君       中井徳次郎君    中澤 茂一君       永井勝次郎君    野原  覺君       八木 一男君    山花 秀雄君       横路 節雄君    竹本 孫一君       永末 英一君    加藤  進君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         厚 生 大 臣 神田  博君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  櫻内 義雄君         運 輸 大 臣 松浦周太郎君         労 働 大 臣 石田 博英君         建 設 大 臣 小山 長規君         国 務 大 臣 高橋  衛君         国 務 大 臣 吉武 恵市君  出席政府委員         内閣官房長官 橋本登美三郎君         内閣法制局長官 高辻 正巳君         総理府総務長官 臼井 莊一君         総理府事務官         (社会保障制度         審議会事務局         長)      河角 泰助君         警  視  長         (警察庁交通局         長事務代理)  鈴木 光一君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    高島 節男君         外務事務官         (アメリカ局         長)      安川  壯君         外務事務官         (欧亜局長)  法眼 晋作君         外務事務官         (条約局長)  藤崎 萬里君         外務事務官         (国際連合局         長)      星  文七君         大蔵事務官         (主計局長)  佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  泉 美之松君         大蔵事務官         (証券局長)  松井 直行君         大蔵事務官         (国有財産局         長)      江守堅太郎君         厚生事務官         (社会局長)  牛丸 義留君         厚生事務官         (保険局長)  小山進次郎君         厚生事務官         (年金局長)  山本 正淑君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      久宗  高君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         農林事務官         (園芸局長)  林田悠紀夫君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君         通商産業事務官         (重工業局長) 川出 千速君         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君         労働事務官         (労政局長)  三治 重信君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      村上 茂利君         労働事務官         (職業安定局         長)      有馬 元治君         建設事務官         (大臣官房長) 鶴海良一郎君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         建設事務官         (都市局長)  鮎川 幸雄君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建 設 技 官         (住宅局長)  尚   明君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         専  門  員 大沢  実君     ――――――――――――― 二月十九日  委員田中織之進君、野原覺君、山花秀雄君及び  佐々木良作辞任につき、その補欠として八木  一男君、神近市子君、岡本隆一君及び竹本孫一  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員岡本隆一君及び八木一男辞任につき、そ  の補欠として山花秀雄君及び片島港君が議長の  指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  分科会設置に関する件  昭和四十年度一般会計予算  昭和四十年度特別会計予算  昭和四十年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 青木正

    青木委員長 これより会議を開きます。  昭和四十年度一般会計予算昭和四十年度特別会計予算昭和四十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を続行いたします。  八木一男君。
  3. 八木一男

    八木(一)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、当面する医療費の問題、あるいはまた社会保険の改定の問題、その他社会保障一般を中心に政府に対して質問をいたしたいと思いまするが、その問題の政府ほんとう態度をただすためには、内閣総理大臣の御出席をいただかなければ、ほんとう質問ができないわけでございます。したがって、委員長から内閣総理大臣に即時出席されるように要求をしていただきたいと思いますが、委員長のお答えを伺いたい。
  4. 青木正

    青木委員長 ただいま八木一男君から総理大臣出席の御要求でありますが、官房長官から承りますと、総理渉外事項でちょっと出席いたしかねる趣でありますので、適当な機会に総理に対する御質疑をお願いすることとして、総理大臣以外に対する質疑をお願い申し上げます。
  5. 八木一男

    八木(一)委員 官房長官のほうから伺いたいのですが、総理はどのような用事でいま出席ができないか、内容を明らかにしてもらいたい。
  6. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 総理大臣渉外関係でかねてから約束をいたしておりまして、それらの人と面会の約束を前からいたしておりますから、まことに恐縮でありますが、きょうは出席しかねることを御了承願いたいと思います。
  7. 八木一男

    八木(一)委員 もっとはっきりしていただきたいと思うのです。渉外関係とは、だれだれのどういう渉外関係だと、もっとはっきりしていただきたいと思う。それから、何時から何時までそのことでいないのか、官房長官答弁を求めます。
  8. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 まことに恐縮でありますが、人と人との関係でもあり、時間の関係もありますので、具体的に何時から何時までという答弁もいたしかねることを、ひとつお許しを願いたいと思います。
  9. 八木一男

    八木(一)委員 だれと会うのか言ってください。官房長官はあいまいなことを言わないで、ほんとうに大事なことなら私は一般質問を遠慮しますけれども、だれとどういうあれで何時から何時まで会うか、それをはっきり言ってください。  委員長から総理とか官房長官に厳重に注意をしていただきたいと思う。前から私は総理大臣出席要求をしております。総括質問一般質問というようなことを簡単に分けておるけれども国会法のどこの規定にもそういう分け方はない。それを私が要求しておるときに、出てくるのはあたりまえだし、出てこないならば、ほんとうに私が納得できるような重要な用事で、どこかの大統領が来られて何時から何時まで会うというような理由をはっきり明示されるならば納得をいたします。ところが、大番頭である官房長官が、だれと会っておるかわからない、何時から何時まで会っておるかわからない、総理の用件を知らないようなことではいけない。官房長官資格はない。総理も、そういうことをはっきり官房長官に伝えないような総理では、内閣を統御していく資格はない。総理大臣には委員長からこう言っていただきたい、国会の本会議はもちろんですが、各委員会については、要求があったら自分から飛び込んでこなければいけない。要求がなくても、大きな問題があれば、各省大臣以外に総理大臣として決意を表明しなければならないことがある。みずから出てくるのがあたりまえだ。出てこないのがあたりまえのような考えでおるような総理大臣は、国政を運行する資格はない。予算委員長から厳重にしかってください。いますぐしかりつけて、すぐかけ足でここに来るように命令してください。
  10. 青木正

    青木委員長 わかりました。八木委員のお申し出の点は総理大臣並びに官房長官に厳重御連絡申し上げておきます。どうぞ総理以外の国務大臣に対する質疑をお願いいたします。
  11. 八木一男

    八木(一)委員 総理が来るまでに、時間の関係がありますから質問に移ります。それについては、厚生大臣大蔵大臣しか見えておらない。要求大臣がこれだけなまけておる。これについても厳重にしかっていただきたいと思います。  それから、厚生大臣大蔵大臣が見えておるけれども、いろいろなことをまとめて総理大臣に、いない間のことを連絡し報告するのは官房長官の任務である。官房長官は、今後の質疑応答の中で言ったことを責任を持って総理大臣に伝え、対処させるためのことを完全になさるかどうか、それを伺っておきたいと思います。
  12. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 両大臣に対する質疑応答につきましては、これを明確に記しまして連絡をとり、総理大臣に報告をいたすことにいたします。
  13. 八木一男

    八木(一)委員 それでは、まず高辻法制局長官に伺いたいと思います。  その前に、総理出席されてからやりますから、ずっと続くわけですから、急いで連絡してください。委員長総理出席してから総理質問しますから、急いでください。
  14. 青木正

    青木委員長 いま連絡に行っておりますから……。
  15. 八木一男

    八木(一)委員 法制局長官には法律条文について伺いたいと思うわけであります。健康保険法第二十四条ノ二の問題と、それから、もう一つは、社会保障制度審議会設置法第二条第二項、この解釈について伺いたいと思います。
  16. 高辻正巳

    高辻政府委員 健康保険法及び社会保障制度審議会設置法のいま御指摘の規定には、それぞれ、内閣総理大臣なり関係大臣が特定の事項に関して立案等をするときには、あらかじめ審議会意見を求めなければならない、あるいは諮問するものとするというふうにございます。諮問するというのも、むろん、意見を聞くという中身は、そういうことでございますから、そういう事項につきましては、関係者ないしは一般学識者、そういう方々の御意見を聞いて案をつくろう、行政上の措置を講ずるについてその方々の御意見を聞いて、これを参考として立案の方面に反映させていこう、こういう趣旨であると思います。
  17. 八木一男

    八木(一)委員 厚生大臣に伺います。  厚生大臣は、この健康保険法第二十四条ノ二及び社会保障制度審議会設置法第二条第二項について違反を犯しておられますが、それについて認識をしておられますか。
  18. 神田博

    神田国務大臣 お答えいたします。  別に違反をしておるとは考えておりません。
  19. 八木一男

    八木(一)委員 厚生大臣は、昨年大蔵大臣とのメモで、大原さんの質問にありましたようなメモで明らかなように、厚生大臣の所管である健康保険法あるいはまた日雇い労働者健康保険法あるいは船員保険法内容について、その内容を変える方針を十一月の二十日に確定をされました。また、大蔵大臣はそれに基づいて予算を組まれた。この両法には、あらかじめ諮問をしなければならないということがはっきり載っている。それについて違反でないと思われますか。
  20. 神田博

    神田国務大臣 いまお述べになりましたようなことは、政府部内の、われわれ自民党の中も加えた内輪の申し合わせでございまして、これを公にするという場合には諮問をする、こういう手続を踏んでおりますので、別に違反をしておらない、心がまえをきめた、こういうふうに考えております。
  21. 八木一男

    八木(一)委員 自民党内部できめられたかもしれないけれども大蔵大臣厚生大臣という政府国務大臣がそれに署名をしておられる。ですから、自民党内部でなくて、政府がこれに関与をしていられるわけです。その裏づけで予算大蔵大臣が組んでおられる。これは明らかに政府が関与しておりますね。
  22. 神田博

    神田国務大臣 そういう予算措置をしようという一応のめどを御相談して約束した、こういうふうに考えております。したがいまして、いま例示された社会保険審議会なり社会保障制度審議会諮問をする、いわゆる法案を出すという前の段階手続をして、いま審議をお願いしております。その審議が済みましたら、答申をちょうだいして、そして、これを内閣のいわゆる閣議にかけて立法事項をきめたい、こういうふうに考えております。
  23. 八木一男

    八木(一)委員 いま法案を出す前におかけをして、それで、その諮問をいただいたら、立法提出準備を完了して閣議にかけて出される、だから、法律違反じゃないと言われるわけですか。もう一回伺っておきます。
  24. 神田博

    神田国務大臣 政府最終意思決定は、私先ほど申し上げたようなことを、いま八木さんもお述べになったとおりでございまして、そういう前の考え方を申し合わせた、こういうことでございますから、法律違反とは考えておらぬ、こういう意味でございます。
  25. 八木一男

    八木(一)委員 健康保険法改正案、あるいは日雇労働者健康保険法改正案船員保険法改正案を出す、それについての、そういう改正案を出す立法行為について、まあぎりぎりだけれども、その前に諮問をしたということを言っておられるわけですね。もう一回……。
  26. 神田博

    神田国務大臣 政府意思決定をする前に諮問をいたしております。諮問答申をちょうだいすれば、そこで、それを尊重して政府意思決定をしたい。いわゆる閣議にかけて、そのときに政府意思決定をするわけでございまして、その前のは、いろいろの準備をした、こういうふうに考えております。
  27. 八木一男

  28. 神田博

    神田国務大臣 提出をも含めまして、政府態度をきめる、こういうことだと思います。
  29. 八木一男

    八木(一)委員 そこで、明らかになりましたのは、厚生大臣は、この条文の中での立法の問題についてあらかじめはかったということを言っておられるわけです。ここに明らかに「企画」という文句があるのです。あらかじめ企画についてはからなければならないということについては、明らかに両法律違反であります。それについてどう思いますか。
  30. 神田博

    神田国務大臣 諮問をするしかたには、私はいろいろあるのじゃなかろうかと思います。いま八木さんのお述べになりましたように、どうしたらいいかというような包括的な諮問のしかたもあろうかと思います。同時にまた、私どもの考えております、いま行なっております諮問のしかたがある、こういうふうに考えておりまして、そのいずれも違法にあらず、こういうふうに考えております。
  31. 八木一男

    八木(一)委員 諮問のしかたについて伺っているのじゃないのです。諮問の時期について伺っている。この両方条文をはっきり読みますと、第二十四条ノ二、「厚生大臣ハ社会保険庁長官ハ政府管掌スル健康保険事業運営ニ関スル事項ニシテ企画立法ハ実施大綱ニ関スルモノハ予メ社会保険審議会ニ諮問スルモノトス」、立法より企画が先に入っているのですよ。その次に、社会保障制度審議会設置法の第二条第二項は、「内閣総理大臣及び関係大臣は、社会保障に関する企画立法又は運営大綱に関しては、あらかじめ、審議会意見を求めなければならない。」と書いてある。その両方条文をどう解釈しても、あなた方、立法のほうについても、あらかじめの規定違反をしていますね。その問題は、政府がごちゃごちゃ言っておられますから……。いま前の問題について、企画についてあらかじめはからなければならないという条文には明らかに違反をしておる。一国の国務大臣がそのような法律違反をしている責任はどうされるか、厚生大臣の御答弁をお願いいたします。
  32. 神田博

    神田国務大臣 私ども違反をしてないというたてまえでございまして、その辺が見解の相違じゃないかと思っております。
  33. 八木一男

    八木(一)委員 法制局長官にいまのことの御見解を伺いたいと思います。
  34. 高辻正巳

    高辻政府委員 確かに、おっしゃいますように、健康保健法の二十四条ノニには、「企画立法ハ実施大綱二関スルモノハ予メ社会保険審議会ニ諮問スルモノトス」とございます。ところで、これは先ほども申し上げましたように、要は、この政府管掌健康保険事業運営について、終局的にと申しますか、先ほど申し上げましたような趣旨意見を聞こうというわけでございまして、この文字をそのままにとられまして仰せのとおりになりますと、企画でも諮問しなければいけないし、立法でも諮問しなければいけないし、さらに実施大綱――これは法でございますから、実施大綱の面も持つわけでございますが、それについても諮問しなければならぬということになりますが、しかし、法はそういうことを一々すべての段階において同一の事項について諮問することを要求しているものとは、これは合理的に解してそうは見てないのではないかというふうに私どもは思います。要するに、企画立法の二段階諮問を強制しているというふうには思わない。むろん、たとえば企画でもって、あらゆる法律の、いろいろな部面にわたる法律についてどういうふうにするか、あらかじめ計画を設定してやるというような場合には、あるいは企画諮問するということもできましょう。しかし、一つ法律としての体系について、その中身についてどうしようかという場合には、これは立法大綱諮問することで問題の処理の手順に差しつかえない場合には、立法とは別に企画もやる、あるいは実施大綱についてもやるというようなことは法は期待しているのではない、要求しているのではないというふうに考えるわけでございます。
  35. 八木一男

    八木(一)委員 法制局長官法律の番人でありますから、政府側都合厚生大臣都合法律解釈してはいけない。文字どおり解釈をしなければ、法制局長官としては責任を持ったことにならないと思う。あらかじめ企画についてはからなければならないと社会保障制度審議会設置法に書いてある。こちらは、「諮問スルモノトス」と書いてある。文言はいささか違いますが、内容は同じものだ。企画についてあらかじめはからなければならないということについて、そのような内容を確定してから、政府側方針をきめてからそういうものを諮問するとするならば、あらかじめ企画についてはからなければならない、「諮問スルモノトス」という条文に明らかに違反だと思うわけでございますが、それについて、もう一回伺いたいと思います。
  36. 高辻正巳

    高辻政府委員 まことに、仰せのとおりに、法律についての解釈というものをむやみやたらに都合のいいように解釈することは、私どもとしては最もそれを忌みきらうところでございまして、法制局としては、そういう点がないように平素から特に気をつけているつもりでございますが、ただいまのお話があります点につきましては、とにかく、立法の問題は、そこには企画というものがどうしても中身に入っておるわけです。したがって、先ほど例を申し上げましたような、企画企画として取り上げて御意見を聞くというようなことが必要な場合もありましょう。そういう場合には、むろん企画として御意見を聞くというのが至当だと思いますが、今度のように、立法として御意見を聞くということで実は十分に御意見が聞けるわけだものですから、そこで、そういう場合には、企画でもやる、立法でもやる、あるいは実施大綱でもやるというふうに三段がまえでやることは、法がそれを強要しているというふうに考えるのはいささか合理的ではないのじゃないかというような気がいたします。そこで、確かに、仰せのとおりに、文字づらから申しますと、企画もございますし、立法もございますし、実施大綱もございますけれども、法の合理的な解釈といたしましては、立法段階でそれを諮問すればいいのじゃないか、いままでにもそういう例は多々あるのではないかというふうに思うわけでございます。
  37. 八木一男

    八木(一)委員 法制局長官、はっきり聞いて答弁をしていただきたい。あなたは私の聞いている以外のことをかってに答弁をしている。企画立法運営大綱、そういうものを一緒に諮問してもいいのじゃないか、そんなことは私は聞いてない。そういうよけいなことを言うのじゃなくて、「あらかじめ」ということについてどのような解釈をするかということを聞いている。
  38. 高辻正巳

    高辻政府委員 先ほど申し上げましたように、法の二十四条ノ二の解釈としては、立法段階で御諮問を申し上げれば法の予期している要件は充足するであろう。それで、その立法については、むろんあらかじめであることは当然法が要求しているところでもございますし、ただいまあらかじめ諮問していると見てよろしいと思います。
  39. 八木一男

    八木(一)委員 あなたは、法律家として、この「あらかじめ」ということばが「企画」にかからないという解釈を示すのですか。そんなものは、日本じゅう法律家のだれにも通りませんよ。そんなものは、内閣法制局長官、通りませんよ。法律条文解釈を言っているのです。政治的の立場についてあなた方に質問しているのじゃない。「あらかじめ」という文言は、この法律解釈上「企画」ということばにかからないのか、かかるのか、言ってください。
  40. 高辻正巳

    高辻政府委員 そういう御質問であれば、言うまでもなく、「企画」に「あらかじめ」はかかっております。
  41. 八木一男

    八木(一)委員 いま明らかになりましたように、「あらかじめ」は「企画」にかかっている。これはあたりまえな話です。最初からそう言わなければならぬ。しかも、企画が一番最初にあるのですよ。企画立法運営大綱実施大綱、二つの法律で最後のところが文句が違いますけれども企画が一番最初にある。したがって、企画についてあらかじめはからなければならないということが、この両法律の一番重点です。それについて法制局長官……。
  42. 高辻正巳

    高辻政府委員 企画につきましても、立法につきましても、実施大綱につきましても、その「あらかじめ」はみんなかかっているということは、仰せのとおりでございます。私先ほど申し上げましたのは、それを否定する趣旨ではなくて、その特定の事項について、企画段階でも諮問しなければいかぬ、立法段階でもしなければいかぬ、実施大綱についてもしなければいかぬということではなくて、法が要求しておりますのは、それぞれの事態に応じて、とにかく、全部はずすことはむろん許されませんが、立法段階で御諮問をして意見をお聞きするということが事の処理として適切であるということであれば、つまり立法段階でありますから、それは私は、立法段階で御意見を聞くのが一番中身ははっきりいたしますし、それが適当だろうと思うのでありますが、そういうところでやれば、あらかじめ立法については御意見を聞くということの法の要請は満たしているのではないかというふうに考えるわけでございます。
  43. 八木一男

    八木(一)委員 立法についてあらかじめはからなかったということ、これも、そういう事実があります。それについては、後ほど厚生大臣なり、また法制局長官と詰めますけれども、その前に、明らかなのは、企画についてあらかじめはからなかったことだけは明らかだ。これを法律の――政治論は抜きにしてください。法律条文で言えば、あらかじめ企画についてはからなければ、社会保障制度審議会設置法第二条第二項、健康保険法第二十四条ノ二に違反をしていると解釈するのが、法制上の当然の解釈であろうと思いますが、それについての法制局長官の……。
  44. 高辻正巳

    高辻政府委員 とにかく、立法をします場合には、まず企画がございます。これは、要綱をつくるとかいうようなことがございます。そういう意味で、立法の要綱の段階でやらなければいけない、あるいは立法についてやらなければいけないと、両方要求している趣旨ではなかろうということを申し上げましたが、先ほど厚生大臣がお話しのように、厚生大臣があらかじめ御相談になったというのは、実は私そばで伺っておりまして、健康保険法の二十四条ノ二でいう企画であるのかどうか。その辺は、さっき厚生大臣から仰せになりましたようにお受け取りを願いたいと思います。
  45. 八木一男

    八木(一)委員 もう一回だけ聞いておきます。「あらかじめ」という条文は「企画」にかかる。したがって、法律をそのまま解釈すれば、政府企画をする前にあらかじめはからなかったならば、この法律のあらかじめ企画についてはからなければならないという条文にはっきりと違反をする。条文解釈はそうなければいけないと思う。それがあたりまえだと思う。それについての法制局長官文字どおりの解釈を伺いたい。
  46. 高辻正巳

    高辻政府委員 私は、立法段階立法という経過があります場合についての、特別の場合のお話を先ほど来申し上げておりますが、事を企画だけに限定して申しますれば、仰せのとおりに、あらかじめ諮問をするということになります。
  47. 八木一男

    八木(一)委員 立法段階の問題は後ほど申し上げますが、厚生大臣企画についてあらかじめはからなかったことについては、明らかにあなたは違反をしているわけです。一国の国務大臣法律違反をしたことの責任はどうとられますか。企画については、あらかじめ諮問をしなければならない。社会保障制度審議会設置法では、「内閣総理大臣及び関係大臣は、社会保障に関する企画立案又は運営大綱に関しては、あらかじめ、審議会意見を求めなければならない。」と書いてあるわけです。はっきり聞いてください。それから、健康保険法の第二十四条ノ二には、「厚生大臣ハ社会保険庁長官ハ政府管掌スル健康保険事業運営ニ関スル事項ニシテ企画立法ハ実施大綱ニ関スルモノハ予メ社会保険審議会ニ諮問スルモノトス」というふうに書いてあります。それで、「あらかじめ」は明らかに「企画」にかかるという法制局長官答弁がありました。あなたは、健康保険法内容を田中大蔵大臣と一緒にきめて、それからずいぶんだって、立法準備の直前に諮問をされたわけです。この立法直前に諮問をされたことについても、これは、実際上第二段の、立法の前に諮問をしなければならないことに違反をいたしておりますが、一番はっきりしていることは、企画についてあらかじめ諮問をしなかったことは明らかです。その点については、厚生大臣は字が読めれば、法律が読めれば、あなたが法律違反をしたということは明らかにわかるわけです。したがって、一国の国務大臣法律違反をしたその責任をどうとられるか。
  48. 神田博

    神田国務大臣 大蔵大臣や三役といろいろお約束したことは、これは、先ほど来申し上げているように、内輪のことでございまして、それがどうこう――これは、御批評は御随意でございますけれども、私どもはあくまで内輪の申し合わせだと考えております。それから、いまの「あらかじめ」ということであるが、法律違反じゃないかということは、先ほど来お答え申し上げましたように、遺憾ながら八木さんとは見解を異にいたしておりまして、いまあらかじめ御諮問をしている、こういうことに考えております。
  49. 八木一男

    八木(一)委員 では、厚生大臣企画ということばはどういう意味ですか、伺いたいと思う。あなたはその意味をかってに解釈して法律違反じゃないと言っていらっしゃるのでしょうから、あなたの見解をはっきり聞きたい。企画ということばは、日本語でどういうような意味を示しておるか。
  50. 神田博

    神田国務大臣 お答えいたします。  企画とは、字に書いたとおり、いろいろ計画することが企画でございます。しかし、それに基づいて、土台はやはり法律でございますから、いま一緒に同時に諮問をしている、こういうふうに考えております。前例もあることでございまして、その前例に従っている、こういうことでございます。
  51. 八木一男

    八木(一)委員 文字どおり、計画をすることなんでしょう、あなたの言ったとおり。これは、あなたの計画じゃないですか。健康保険について赤字が出てくる、あなた方はその運営をきめなければならないから、薬価の一部負担を取ろう、あるいはその当時においては方式がきまっていなかったけれども、保険料の値上げをしょう、いまの総報酬制ということ、これは計画じゃないのですか。はっきり答えてください。
  52. 神田博

    神田国務大臣 計画を最終的にまとめて、そうして諮問をしている、こういう段階でございます。
  53. 八木一男

    八木(一)委員 計画を最終的にまとめて、そのことについてすでに本予算案ができているのですよ。その計画に従って田中大蔵大臣予算を組んでおる。まだきまっていないならば、本予算は撤回なさい。田中大蔵大臣、どうです。いますぐ予算案を撤回しますか。きまってから出し直しますか。大蔵大臣の御答弁を願います。
  54. 田中角榮

    ○田中国務大臣 私がお答えすることかどうかわかりませんが、いずれにしましても、政府部内において施策の方向に対して申し合わせをするということは、ままあることであります。これは、党三役の立ち会いで、関係大臣が中に入って、こうあるべきだという方向に対しての申し合わせをすることはございます。しかし、法律的に最終的に効力を発生することは、立法にかかるものは立法段階を経てございますし、また、行政権に属するものであっても、政令その他の制限があるわけでありますから、最終的に効力を発生するものを、われわれが申し合わせたことが法律的に拘束するものではないということでありますから、この申し合わせが違法であるとかいう考えは成り立たないと考えます。  それから、企画立案立法ということに対して、企画にかけてのあらかじめということも、これは、いろいろな法律がありますが、行政権を規定している法律には、また仕事ができるような条文もあるわけでありますから、それといまの健康保険法に基づく条文と調和をはかって法が運用せられるということであります。でありますから、いまあなたが非常に厳密に、企画立法とか、企画を分けて御論議をしておられますが、やはり、企画立案立法、こういう内閣の最終的な結論が出る前に諮問をするということが、法律が要請しておるあらかじめということに該当するものだと思うのでありまして、われわれが協議を行ない、予算をそのような方向で組んで、国会審議をしていただき、国会の議決に基づいて効力が発生しておることは、法律違反ではないという考えであります。
  55. 八木一男

    八木(一)委員 大蔵大臣、本予算案を撤回なさいますかどうか、それだけはっきり……。
  56. 田中角榮

    ○田中国務大臣 これは、撤回できるものではないのであります。国会の議決によって効力が発生しておるものでございまして、これからさかのぼってその国会の議決を変更するという権限は内閣にはないわけでありますから、おやりになるならば皆さんがおやりになる。いわゆる立法府の権限の問題でありまして、私たちがこれを撤回するとかしないとかいう問題ではありません。
  57. 八木一男

    八木(一)委員 それは、議決によります。その場合には、本予算案を撤回したいからということを申し出られるのは、提出した人がそういうことをはかられるもとをつくられるべきだと思う。その問題はいいです。とにかく撤回はいまのところできる情勢にないというようなことだろうと思う。  そうなりますと、まあ計画はきまっているわけですね。予算案はきまっているわけですね。そういうふうにしたいという政府計画はきまっているわけです。ですから、厚生大臣の言われるような、これから何とかということではなしに、政府側のいまの計画はきまっておるわけです。したがって、企画をきめる前にあらかじめ諮問するということには違反をするわけだ。田中大蔵大臣が幾ら首を横に振っても、それは字句は変わらないですから。あらかじめ企画について諮問しなければならないという法律条文企画はあなたの予算案によってはっきりきめられて出しておる。これをどういじくるかは国会できめるわけですが、あなた方の企画ははっきりきまっておるわけです。そこで、厚生大臣企画はきまっておるのにあらかじめ諮問しなかったから、あなたは明らかにこの法律違反をしておる。その責任はどうされますか。
  58. 神田博

    神田国務大臣 先ほど来お答え申し上げておるとおり、八木さんと見解を異にいたしておりまして、私のほうでは違反をしておらないと、こういうふうに考えております。法律の命ずるとおりにやっておりまして、違反はしておらぬ、こういうふうに考えておりますから、したがって、責任を感じておりません。
  59. 青木正

    青木委員長 大原亨君より関連質疑の申し出があります。八木一男君の持ち時間の範囲内においてこれを認めます。大原亨君。
  60. 大原亨

    大原委員 神田厚生大臣答弁はおかしいのです。田中大蔵大臣答弁と違うのです。それから、この間指摘したことをあなたは聞いてないのです。私は、二つの点だけ審議を後退させないために申し上げておくのですが、あなたのいまの答弁は、党内での決定ですと、こういう答弁をしておる。内輪の決定ですと、こういうふうに言っておる。しかし、大蔵大臣は、横路質問に対しまして、二月一日に、政府と党との間においてきめましたと、こういうことを言っておるのです。あのメモにつきましてきめましたと、こういうふうに横路質問にに対しまして答弁いたしております。そこで予算との関係が出てくることが一つです。  それだけでなしに、一月一日の医療費の九・五%引き上げに伴うて、保険財政と被保険者に直接影響する、四月一日を待たないでも影響する、四月一日の保険法改正とも直結する、普通の一般財政とは違うそういう問題が現実に起きておるのです。保険財政と被保険者に物的に影響を及ぼすことが起きておる。そのあとで一月三十日に社会保険審議会諮問しておる。法制局長官一般論で議論をしておるけれども、そういうことは、健康保険法という具体的な法律に基づくと、あなたは内輪の決定だと言っておるけれども、いいかげんなことで、あなたは法律を何も知らないのだ。いいかげんな答弁をしておるのだ。そのあなたの答弁は、いままでの審議過程を無視するものである。いいかげんに法律違反をしないということを答弁すればよろしいのかどうか。そんなことはない。法制局長官が言ったのは一般的な問題だ。ただ、あなたは、内輪の決定ですと、いかにも、そういう諮問機関に対しましては、中央医療協と社会保険審議会は表裏一体だから、その関係を尊重するようなことを言っておるけれども、現実に尊重しないで事態は進んでおるじゃないか。そういうあなたの答弁は、内輪の決定ですといって何でもないようなことを言っておるが、何でもなかったことが問題になっておるのじゃないか。大蔵大臣答弁とあなたの答弁は違う。厚生大臣、どうですか。
  61. 神田博

    神田国務大臣 お答えいたします。  私の答弁大蔵大臣答弁とは、私は違っておると思っておりません。医療費の値上げは中央医療協議会に御諮問いたしまして、そのそれぞれの意向がわかりまして、そして適法に処置したことでございます。  それから、いまの健康保険法の改正の問題は、御承知のように、社会保険審議会社会保障制度審議会にいま諮問をしておるという段階でございまして、これは、それぞれ法律の根拠に従ってやっておる、こういうことでございます。そして、その諮問の時期等に関しまして法律違反じゃないかというお話でございましたが、そういうふうには考えておりません、こういうことでございます。
  62. 大原亨

    大原委員 時間がなんですから、関連質問ですから申し上げておきますが、職権告示のことをまたあなたは言っておるけれども、職権告示は答申ではないのだから、答申ではないということはあなたは認めたのだから、だから、あの法律の二十四条ノ二といま御指摘になった二条の問題とは、考えてみると、その問題について抵触することは明らかなんです。職権告示が問題なんです。公益委員の報告だけでやったことが問題なんです。  そこで、問題は、法制局長官との議論になるわけだけれども、私は時間がかかるから申し上げぬけれども、問題は、支払い側が土俵の上に上がってくる意思があるかないかということなんだ。それが法律論争になるのだ。その点はあとで議論になると思うから私は申し上げぬけれども、あなたの答弁は全部いいかげんなんだ。あなたの答弁はいいかげんなんです。法律論の一般論は、これは法制局長官がやるけれども、現実の法律の適用はあなたがやるのです。国務大臣でもあり行政長官でもあるあなたがやるのです。あなたがそういう法律の筋道を、ルールを全く知らないから、無視してやるから、全くこういうような混乱を起こしておる。あなたは内輪の決定だというふうなことを言っているが、これは内輪の決定じゃないのた。現実に一月一日から医療費値上げは保険財政と被保険者に物的な被害を与えておる。そうして四月一日へ直結しておる。そういう既成事実をつくっておいて、次から次へ諮問機関にやるから、こういう混乱になっておるのであって、しかも、職権告示というようなことは許せない。そのことは違法である。私はそのことだけを指摘しておきます。
  63. 八木一男

    八木(一)委員 厚生大臣、あなたは違反じゃないと言うけれども、そんなことは通りませんよ。人のほっぺたをなぐって、それで調べられた、なぐったのになぐりませんと言って、通るものじゃない。これは日本語の条文ですから、あらかじめ企画について諮問しなければならないということは、明らかにあるわけです。企画についてはあなたは諮問をしていない。立法についてもあらかじめ諮問していないけれども、一番はっきりするのはこの点なんです。法制局長官は、それは一緒にしたらいいと、よけいなことを言った。企画のときに、立法大綱運営実施大綱も一緒に「あらかじめ」の条文違反しないでするのならば、それは一緒にやってもかまいません。「あらかじめ」という項目に対して明らかに違反をしておる。それを違反をしていませんと、悪いことをして悪いことをしませんと言っても、通らない。あなたは一つも反省がないわけです。  したがって、委員長要求をしますが、国務大臣が明らかに法律違反をしている。その問題について、その国務大臣は、違反をしているのにしてないとしらを切る。そういう場合には、われわれの質問は当然内閣総理大臣にそれをしなければならない。直ちに佐藤内閣総理大臣に来ていただきたいと思う。
  64. 青木正

    青木委員長 先ほど、御要求がありましたので、総理大臣に御連絡申し上げました。なお現在も連絡をいたしております。しかしながら、八木君の持ち時間中には出席できかねる模様でありますので、総理大臣に対する質疑は他の機会にお願いすることといたしまして、質疑の継続をお願いいたします。
  65. 八木一男

    八木(一)委員 どういう理由で出席できないのですか。
  66. 青木正

    青木委員長 先ほど申し上げましたごとく、渉外事項につきまして他に外出しておりまして、連絡申し上げたのでありますが、八木委員質疑の持ち時間中には出席できぬ模様でありますので、他日適当な機会に総理に対する質疑をお願いすることとして……。
  67. 八木一男

    八木(一)委員 どこに行っておられるかわかりませんか。官房長官、どこに行っておられるかわかりませんか。
  68. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 内閣総理大臣渉外事項につきましては、慣例上申し上げられないことになっておりますので、御了承願います。
  69. 八木一男

    八木(一)委員 慣例上なんということが国会で通りますか。そう思っておられるのですか、橋本君は。かってな慣例じゃないですか。いやなときには出てこない、好きなときには出てくる、そんなものが国会で通るのですか。どこの条文、どこの規定で出てこないという、根拠規定を示してください。いま慣例とおっしゃったから、慣例でしょう。そんな慣例は国会では通用しません。おまけに、どこへ行っているか、何しに行っているかが官房長官は把握ができない。いまここにすわっていられたけれども、すぐ調べるように言ったわけです。そんなことで内閣の大番頭がつとまりますか。総理大臣に対して捜索願いを出しなさい。  委員長、時間が経過しますから、いまもたもたして延びた分は時間を延ばしてください。それから、総理大臣は、この関連がありますから、必ずいまから努力をして、この間に大急ぎでかけつけるように。物理的に総理大臣が気絶でもして来られないときはしかたがありませんが、そのときには、必ず予算委員会に時間を設けて続きをさせていただく、それを委員長、お約束を願いたい。
  70. 青木正

    青木委員長 引き続き連絡はいたしますが、はたして持ち時間中に出席できるかいなかはわかりませんので、質疑を御継続願います。なお、総理に対する質疑につきましては、他の適当な機会にお願いすることとして、総理大臣以外に対する質疑を御継続願います。
  71. 八木一男

    八木(一)委員 時間中に来られるように、なお委員長のほうの厳重な指令をお願いいたします。
  72. 青木正

    青木委員長 承知いたしました。
  73. 八木一男

    八木(一)委員 要請じゃないですよ。出てこなければけしからぬということを言うように。委員長はおこっておるということを通じて、かけ足で出てくるように。出てくださいと言ったってだめです。出てこいといって総理大臣に命令してください。そういうことであります。  厚生大臣は、あなたは明らかに法律違反をしておられる。国務大臣として法律違反をしておられることについて、どのような責任をとられるか。いまあなた、この問題についてはぼやけておられるから、すぐ決断はつかないでしょうけれども、しっかり決断をするように。この質問の最後に聞きますから、しっかり決断をしてください。  そこで、申し上げておくことは、法律違反なんです。法律違反をやめようとすれば、その企画についてあなた方はあらかじめ諮問をしなかった、それが法律違反であるから、法律違反をしまいと思ったら、そのあやまちをためようと思ったら、その企画自体をやめることです。企画をやめれば、法律違反責任は半分くらい解けるでしょう。企画をやめること。田中大蔵大臣と何とかかんとか言った企画政府と与党できまったという企画、それをやめることです。それについては、あなた一人じゃいかないことがあるでしょう。田中さんも聞いておられるわけです。田中さんが企画をやめることに賛成できなければ、田中さんも法律違反の片棒をかついだということになる。総理大臣が聞かなければ、総理大臣法律違反の片棒をかつぐ。これはたいへんな問題です。いまの企画をやめることです。企画をあらかじめ諮問しなかったということ、それについてどう思われますか。
  74. 神田博

    神田国務大臣 いまの八木委員のお尋ねでございますが、法律違反をしているということにつきましては、先ほど来しばしば申し上げますように、そういうふうな解釈をいたしておりません。しかも、ずっと前例も数々ございまして、そういう扱いでやっている。こういうことでございますから、この点は、ひとつ担当政府委員小山保険局長からその法律内容をお聞き願いたいと思います。そのあとでいたします。
  75. 八木一男

    八木(一)委員 いろいろ政府委員の説明で、前にも前例があるとかへったくれとかということを言いたい、言わせたいということだろうと思うのです。そこで、よく考えていただいて、考え直さなければいけないと思う。なぜこの問題がこういうふうに重大になったかというと、いままで立法のときに直前に出した例はあります。直前に出した例はないことはない。ないことはないけれども、それは、社会保障制度とか健康保険制度とか、そういう問題の本筋を変えようというような内容のものではなかったわけです。大きないままでの企画社会保障制度審議会社会保険審議会で大きくこういうふうに前進しろと、いう前の答申、勧告がある。その方針に従ったものであったわけです。したがって、その場合には、企画については前に聞いてあるからという解釈も、無理にすればできないことはないかもしれないけれども、今度は、その大筋を逆に曲げる内容なんです。ですから、小山君が何と言おうとも、それは前例にはならない。そういう点で、あなたは小山君に聞いて、法律違反でありません、前例がありますというようなことで心をなぐさめておられるでしょうけれども、それで法律違反をしません、していませんと言っていられるのですけれども、そういうことは通りませんから。あなた自体法律違反をなさっているのです。その罪をのがれようとすれば、免れようとすれば、その法律違反のもとになった企画をやめること、それによって救われるわけです。あなたは厚生大臣として、いま社会保険関係三法の改悪案の企画をしていられる。それをあらかじめはからなかった。その法律違反の罪を免れようとすれば、その企画をやめれば情状酌量になりましょう。その問題について執行猶予になりましょう。それをやらないで、法律違反じゃないといってしらを切っても、そういうものは通らない。そういうことをよくお考えになって、総理大臣が来て、あなたの閣僚が法律違反をしている、どうしてしているかという問題の前に、あなたとしては、法律違反をしたくないからこのように企画をやめますというような態度を表明し、それを実現するように努力をされるという必要があろうと思う。そういうことを十分お考えなさい。
  76. 神田博

    神田国務大臣 お答えいたします。  いろいろの御発言でございますが、私は、健康保険をよくしたい、守るために改正案の御審議をお願いしているのでございまして、いま八木委員の言われたように、そういうようなふうに考えておりません。御承知のように、一昨年度以来、三十八年度以来政府管掌その他の保険組合におきまして相当の赤字が出てまいっております。しかも、相当というか、膨大な赤字でございます。それを、前向きに健康保険を守るために、ひとつ制度を守っていきたい、こういうことでございまして、非常な決意で処理をした、こういうことでございます。決して健康保険法を――それは、あるいは一歩後退三歩前進ということもいわれておりますが、ともかく画期的にここにひとつふんばらないと労働者の健康というものは守れない、こういうことで考えましてやったので、八本さんとは考えが少し違っておりますが、私の考えておることはそういうことでございますので、しかも、法律違反だ、法律違反だとおっしゃるが、私は、法律違反ではない、こういう政府委員の補佐委員の進達も聞いておりまして、そうしてやっておるのでございます。
  77. 八木一男

    八木(一)委員 そこであなたは一生懸命やったと言われている。ちっとも一生懸命じゃないです。めちゃめちゃに内容が後退するような企画をしておられる。そのような間違った考え方で企画をするということがあってはならない。したがって、あらかじめこういう審議会諮問をしなければならないという規定がある。そのためにあるわけです。あなたが間違った企画をする。田中大蔵大臣みたいな、とんでもないような企画をする。そういうようなことがあって政府大綱が間違ってはいけないから、そういうことについて学識経験者なり、あるいはまた社会保険審議会関係者が十分にあらかじめ審議をする、それで、あなた方がそういう間違いの企画をしないように、あらかじめはかるということになっておる。そのためにあるのです。あなたがどれだけ自信がおありになるか知らないけれども社会保障の問題について、社会保険の問題について、日本中で一番の権威者だと思っておられるのですか。そうじゃないでしょう。社会保障制度審議会社会保険審議会で、あなたの三倍も五倍も百倍も勉強している人がいるのです。そういう人が大ぜいいるのです。そういう人がいろいろ審議をして、間違いないことを期するために「あらかじめ」という条文がある。それを、半年か厚生省を扱ったといって、これが一番いいと思って大間違いの企画をする。あらかじめはからない。それがいけない。そこに条文の精神があるのです。あなたみたいな間違いをおかさないように、ちゃんとあるのです。それをあなたが違反をしているわけです。そういうことです。  それでは、まだいろいろなことがありますから、この問題は続けてやりますけれども総理大臣がお見えになるまで、法律違反の問題を一応打ち切りにしまして、ほかの問題に移りたいと思います。  まず神田厚生大臣に伺いたいのですが、神田厚生大臣は、本年度、四十年度の予算をつくることにおいて、第一次の要求案、それについて、前年度予算の三割増しでとどめてもらいたいというようなことを主計局長か何かが提案をして、田中さんがそういうことを提案して閣議できまったらしいけれども、そのときに黙っておられたのかどうか、そのときになぜそのことについて賛成をしたか、それを伺いたいと思います。
  78. 神田博

    神田国務大臣 四十年度の予算編成方針閣議に議題となりまして、いまお尋ねがございましたように、今年度は三十九年度の三割増というような要求にしてもらいたいという担当大蔵大臣からの御要望があったことは事実でございます。そのとき、閣議内容を申し上げていいかどうかわかりませんが、私はじめ他の閣僚からも、三割では困るといういろいろ意見を述べたことも事実でございます。しかし、最終的には、財源も今年度は非常に枯渇している、それから、三十九年度まで伸びてきているのだから、しかも、予算の実績はいつもそんな大幅に伸びた例がないのだということでございまして、全体として三割くらいにとめようじゃないか、こういうようなことに落ちついたことも事実でございます。
  79. 八木一男

    八木(一)委員 私は、前の厚生大臣も、その前の厚生大臣も、その前の厚生大臣にも、社会労働委員会での質問でその問題について質問をし、その大臣が次の厚生大臣に必ず申し送りをするように言いました。大臣が忙しくて忘れる人がいるから、企画室にはこれを必ず申し送りをするように厳重に言っております。速記録に残っております。そこで、前の五割の制限のときも、それはよろしくないと申し上げた。その意味はおわかりですか。大蔵大臣はかってなことを言います、そういうことを。自分のほうの作業が楽だからだろうけれども、田中角榮さんは、ほかの点について勉強しているかもしれないけれども、そのことについては実になまけていると思います。大なまけです。大体、第一次要求というのは、各省のことについて各省大臣責任を持って、こういうことをしなければならない、そういうものを全部出したらいいのです。財政のワクにおさめなければならないから、大蔵大臣はこれを査定をしなければならないし、各大臣と折衝をしなければならない。それはもちろんわかります。第一次で五割とか三割というふうに並べることは、これは、主計局のほうは計算が楽でしょう。しかし、そういうことではほんとうに政治が生きてこない。予算支出の金が生きてこない。おのずから、予算を使う中においても、現時点においてどういうことが一番大事であるかということについては、緩急の順序がある。最初から第一次査定でワクをはめておくならば、いま現時点で一番力を入れなければならないもの、それほど急がなくてもいい問題、あるいはとめていい問題、あるいはわれわれの主張で言えば減額をしていいような省の問題、そういう問題も一律になるわけです。もちろん、そこで、これは大事だからと主張はされるでしょう。しかし、最初にワクをはめられたら、それ以上は絶対に出られない。そういうことについて、いまの時点として一番大事な社会保障を預かっておられる厚生大臣、しかも、大事な政策として一番予算を使う内容を扱っておられる厚生大臣、そのときに、そのような閣議決定にいささかの抵抗をしても、それをきめさせるというようなことでは、ほんとう社会保障なりそういうものを担当する資格はない。しかも、私は五割じゃいけないということ一を言い、前の厚生大臣は、そのとおりだと言い、それを申し送ると言っている。あなたの時代になって、それを三割のワクにはめられた。そのようなことで厚生行政が、社会保障行政が持てると思いますか。
  80. 神田博

    神田国務大臣 たいへんおしかりをいただいて恐縮しております。いまの予算の問題でございますが、幾らたくさん要求したからいいという、これは要求することはけっこうでございますが、歩どまりが一番大事だということは、私が申し上げるまでもないと思います。今年度の、いわゆる四十年度の当初予算は、総予算としては前年度の伸びと比べまして一二・四%でございますが、厚生予算のほうは約二〇くらいになっておりまして、決して私はいいとは思っておりません。いわゆる三割まで全額ほしかったのでございますが、これはいろいろの都合でそうならなかたっことは遺憾でございます。とにかくそういうような事情でございまして、八木さんから非常な激励でございますから、今後ひとつ大いに努力いたしたい、将来のこともございますし。こう考えております。
  81. 八木一男

    八木(一)委員 激励じゃないのです。しかっておるんですよ。前には激励したけれども、それは全然激励にはこたえない。  大蔵大臣に伺いたいと思います。大蔵大臣は、ずっと前の大蔵大臣もそうであったかもしれないけれども、最近ずっと長いこと大蔵省を預かっておられて、そこで、予算要求を全部五割増にとどめてくれと提案した。それは大蔵大臣のほうは楽でしょう。五割にとどめてから査定すれば作業は楽だ。しかし、最初第一次のときに五割ときめる、そのうちに三割ときめる、そういうことになったら、問題によっては、三割や五割以上予算をつぎ込んで重点的に急速にやらなければならない問題が出てきたときに、それがとまるではありませんか。三割基本的に要求をしたときに、あなたは、それは三割では足らない、七割にしようというようなことをなさいますか。なさらないと思うのです。そこで、あなたのほうは、それはどっちみちきまるところはきまります。しかし、最初からこういうようにならすということは、予算の使い方について、現時点でどこに重点がある、どれが急速に必要である、どれに金がかかるということの、全体的にほんとうに大事なアクセントを出すことを平らにしてしまうことになると思う。大蔵省の主計局は楽です。田中さんは楽だけれども、国の政治というものはそういうものではない。緊急なものがある。より大事なものがある。それについて金がたくさん要るものがある。それよりもやや第二義的でいい問題がある。そこで、アクセントを最初から出して、でこぼこがあって、それからそのでこぼこの総計があなたの妥当だと思われる予算の総計に入るようにしなければならぬ。初めからならしておけば、それは楽だ。そのでこぼこをとめておいてならせば楽だけれども、それならば、各省を預かっておられる方々ほんとう意見が反映しない。したがって、これだけのでこぼこが、ややでこぼこが残っても、ほんとうのでこぼこは残らないということになろうと思う。あなたのいまのやり方は妥当ではないと思う。今後こういうことは変えていかなければならない、一律に五割にとどめてくれというのではなしに。それについての田中大蔵大臣の御意見を伺いたい。
  82. 田中角榮

    ○田中国務大臣 少し誤解があるようでございます。五〇%で概算要求をとどめる、今年度は三〇%ということにしましたが、これは非常にいいことなんです。やめちゃいかぬことなんです。これは全く逆にお考えでございます。これはどういうことかといいますと、予算は対前年度比一二・四%でも多いと、こういうことを言われております。しかし、限られた予算の中でも重点的に投資をするためには、重点的に予算配分をするためには、合理化できるところは合理化をして、そして高い山をつくっていく、こういうことをする以外にないわけであります。いままでは、五割制限、三割制限というものがないときには、要求は全部出しておって、大蔵省と最終の段階において話を進めるときにきめればいい、こういう考えでありました。こういう場合には非常に合理的じゃないのです。大蔵省も相当勉強はしておりますが、やはり各省の仕事は各省大臣が一番内容をよく知っておるわけでありますから、その取捨選択は各省大臣がやることが一番好ましいのであります。五〇%制限とか三〇%制限をつくったのは、大蔵省の予算査定が楽になるからじゃないのです。これは全然逆で、その主管大臣が概算要求段階においてすでに合理化をなすべきものは合理化をする。そして大きく要求するものは大きくする。その各省大臣の自主性ということを十分守っていくためにこそ、五〇%、三〇%のラインをつくったわけであります。三〇%ということは、厚生省予算にしたら、厚生省予算の全体の三〇%でございますから、これ以上になろうはずはないのであります。三〇%以内で、限られたものの中でうんと必要なところにはよけいにする、そのかわりに要らないものは整理をして、そして大蔵省へ持ってくるということは、合理的であることは言うをまたない。いままでは、ある意味では、われわれはやりたいんだけれども、大蔵省がなかなか言うことを聞かぬで、こういう考え方は合理的な予算の積み重ね方式ではありません。ですから、三〇%の中でも、いま問題になっております医療保険に対する国庫補助額を見ていただけばよくわかるのです。これに対する総額千二百三十億円、対三十九年度当初予算比は、三百九十七億円でありまして、割合にしては四八%もふやしておるのです。こういうことが予算編成の妙であります。ですから、こういうことをよく御理解なさらないで、ということになると、ほんとうにうまい予算は組めないということでありますから、将来もこういう制度を続けてまいりたいと思います。
  83. 八木一男

    八木(一)委員 それは、三割ということの中でしょう。あなたの大蔵省は非常に残念ながら――あなたは思い上がらないようにしていただきたいけれども、財政というものが全部を支配しますから、閣僚の中で大きな地位を占めておる大蔵省にあんまりがんがん言うと、ほかのことでいじわるをされるからということで、ほかの省は大蔵省に弱いのです。あなたはそうじゃないかもしれないけれども、局長対局長になるとまた弱いのです。そういうことですから、あなたとしては、そういうふうに自分の方針がいいなんということを頭から信じ切って反省をしないということじゃなしに、人の話をよく聞いて、反省をすべきところは反省をしていただきたいと思うのです、言い切らないで。  そこで、この三割ということの中で、厚生省としては、そういうことがきまっちゃった。そうしたら、もっとこれも大事だ、ことしからやらなければならないことが五割をこしても、そこであきらめなければならないことが起こるわけです。これは、厚生大臣が腰弱で、それからほかの局長連も腰弱だから、それではいけないので――何も厚生省とは言いませんよ。農林省が必要なこともあれば、運輸省が必要なこともあります。どこの省でも、一番大事だ、どうしてもことしすぐやらなければならない、金がたくさん要る、大蔵省に要求をしなければならないというときに――これは、時点によって違います。交通のほうが非常に大事なこともあります。そのときに三割のほうにいってしまえば、そこで十分やらなければならないことをそこ自体で泣き泣き詰めなければならない。泣き泣き詰めてもらえば大蔵大臣は作業が楽でしょう。中におさめる。しかし、内閣全体としては、総体的にどこの省のどの問題が一番重大ですぐやらなければならないか、思い切ってほかを犠牲にしても、そこに金をつぎ込まなければならないという姿勢があるはずです。そこを三割、五割というところでとめてしまうので、それでほんとうの国政の大事な点のアクセントが出てこない。あなたとしては、それは楽でしょう。いままでやってきたから、それは悪いとは言いたくないでしょう。首を振るでしょう。しかし、政治家は反省をしなければいけない。あなたのそういうことのために、ほんとうの各省の大事な問題が至急に対処できないというような問題が起ころうと思う。  運輸大臣は少しお休みのようでございますが、たとえば、交通安全についてどういうことを処置しなければ人の命がだんだん交通事故で失われる、ことしたくさん予算をつぎ込んでおけば、このような貴重な人命が失われるのが助かるという問題、そういう問題にも関係があるわけです。そういう問題を、あなたの事務的な処理が、主計局長の事務的な処理が楽だからといって、三割、五割というワクをかけることは、ほんとうの政治家のすることではない。大蔵省だけを預かっている事務閣僚だったらそれでいいけれども国務大臣としてはそういう考え方ではいけない。そういうことについて大蔵大臣と私の見解は違うらしいけれども、私の見解どおりになったとおっしゃっていただくのなら、いま返事を伺います。しかし、そうでなければ、この問題は内閣総理大臣に聞かなければわかりません。したがって、内閣総理大臣にすぐ出席をしていただきたいと思う。
  84. 田中角榮

    ○田中国務大臣 内閣総理大臣の問題ではなく、これは大蔵大臣の問題でございます。八月三十一日までに、政令に基づきまして、大蔵大臣内閣総理大臣及び各省各庁の長は予算要求をしなければならない、こういう制度でございますから、これは私の分野でございます。
  85. 八木一男

    八木(一)委員 そうじゃないのです。閣議できめたから内閣総理大臣の問題なんだ。あなたは原案を出しただけなんです。
  86. 田中角榮

    ○田中国務大臣 これは、各省各庁の長から要求をされました概算要求に対して、大蔵大臣は対案をつくり、閣議に付議しなければならない。こういうことでございまして、閣議に付議するまでは大蔵大臣の所管でございます。内閣総理大臣及び各省各庁の長は、大蔵大臣予算の概算要求をしなければならない。大蔵大臣は、これに対して対案をつくり、閣議に付議をしなければならないということでございまして、閣議に付議をするその瞬間までは、財政法に基づいて大蔵大臣の所管でございます。でございますので、対案をつくる過程において三〇%制限を閣議に要請をするということも、私の責任でございます。
  87. 八木一男

    八木(一)委員 大蔵大臣の言うとおりです。言うとおりですけれども、その閣議を主宰するのは総理大臣です。ですから、そういうような間違ったやり方を大蔵大臣が提議をされる、その間違ったやり方を決定された主宰は内閣総理大臣。したがって、総理大臣に反省を求めて、大蔵大臣が何と言ってきようとも、そういうような決定はさせないかどうかということについては総理大臣に伺わなければならない。各省大臣は、あなたのそのような実質的な権力で、ずっと非常に泣いておられる。そういうようなことではいけない。国政は、ほんとうに大事なところに大事な金を重点的につぎ込むということです。大蔵大臣の形式的なやり方、大蔵大臣だけがやりいいやり方によってブレーキがかかるということでは、ほんとうの国政の運行はできない。そのことについて内閣総理大臣質問をいたしますので、いまおいでになればいいし、おいでになれなければ他日質問のできるようにしていただきたいと思う。――大蔵大臣、すぐに帰ってきてくださいよ。関係がありますからね。  次に、厚生大臣に伺います。大蔵大臣に先に伺っておかなければなりませんが、この前、わが党の大原委員質問に対して、社会保障制度審議会社会保険審議会両方答申がなければ、いまの健康保険三案の改悪の問題ですね、それは進めませんという答弁で、それで、その答申については十分に尊重いたしますということを総理大臣並びに厚生大臣が何回も繰り返して御答弁になったわけでございます。もう一回確認をしたいと思います。
  88. 神田博

    神田国務大臣 いま八木委員からお述べになりましたとおりに考えております。
  89. 八木一男

    八木(一)委員 いま総理大臣がおられないので、非常にこれは不便なんです。この点についても総理大臣に来ていただきたい。しかし、総理大臣がおられませんから、そこにおられる閣僚連全部にちょっと伺っておきたいのですが、総理大臣が両審議会答申について十分に尊重するということを、みずからアクセントをつけて言われた。それから両審議会答申が出なければ暴走はしないということを言われたことについて、厚生大臣はいまお約束になりましたけれども、同じ国務大臣として内閣全体が責任を持たなければなりませんから、特に労働者に関係の深い石田労働大臣、あるいはまた松浦運輸大臣、それから企画長官おられますね。――国務大臣は一とおり、その点について御答弁を願いたいと思います。
  90. 石田博英

    石田国務大臣 私の直接の所管ではございませんけれども、ただいま御議論の対象になっておりまする問題は、勤労者の生活にも深い関係がある懸案であります。したがって、そういう側からの代表も出席して十分意見の述べられる機会である社会保障制度審議会社会保障審議会答申政府として十分に尊重するという総理大臣答弁は、内閣全体の意向であると考えております。
  91. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 お答えいたします。  ただいまの問題に対しましては、前向きの姿勢で十分善処いたしたいと思っております。
  92. 八木一男

    八木(一)委員 運輸大臣内閣総理大臣社会保障制度審議会社会保険審議会答申について十分に尊重をする。それからもう一つは、両審議会答申が出ない間に、それを国会に上程するというような暴走はしないということをはっきり言われたわけです。みずから言われたのです。そのとおりにあなたも閣僚として責任を持つか、いま言ったようなあいまいなことでは困る。そのことについてはっきり答えてください。
  93. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 総理仰せになりましたように、尊重いたしたいと思います。
  94. 高橋衛

    ○高橋(衛)国務大臣 総理の御趣旨のとおりいたします。
  95. 八木一男

    八木(一)委員 そこで、厚生大臣に伺いたいのですが、これは、問題は厚生大臣の所管事項についての諮問です。特に厚生大臣に伺いたいのですが、いままでそのような審議会答申が十分に尊重されておらない。十分どころか、ほとんど尊重されてないことがある。だから、十分に尊重するということについては、今度完全にはっきりやるということにならなければいけないと思うのです。この点について総理大臣質問しなければならないのですが、それについてほんとうの覚悟を持っておられるか、ひとつお伺いしたいと思います。
  96. 神田博

    神田国務大臣 十分尊重してまいりたい、こう思っております。
  97. 八木一男

    八木(一)委員 この二月の初めに、厚生省としては国民年金法の改正案社会保障制度審議会諮問をされました。その答申が出ました。いまその原案どおり政府のほうは立法手続をされました。その経過と内容全部を御存じですか。
  98. 神田博

    神田国務大臣 答申のございましたことも承知いたしております。いま国会に御審議をお願いしておるとおりでございまして、十分善処してまいりたい、こう思っております。尊重してまいりたいと思っております。
  99. 八木一男

    八木(一)委員 十分に尊重してないですよ。厚生大臣、こっちを見たらいいでしょう、聞いておるときは。こっちから言ってあげますよ。いままで全く尊重してないですよ。ですから、今度総理大臣から確認をもらった問題でこういうことがあったならば、これはとんでもないことになりますから、覚悟をきめて聞いてください。国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案という問題がございます。これは去年も改正案を出されました。そこで、その答申はいろいろ書いてございますが、「国民年金制度の根本的な改正について何等の提案がないことは遺憾であり、また制度全般について改善すべき点は多々あるが、以下の点について至急検討実施すべきものと考える。」これは昨年の答申です。そこで、年金額の引き上げ、福祉年金の所得制限の緩和並びに所得水準上昇に伴うスライドの実施、老齢福祉年金の開始年齢の引き下げ、夫婦受給制限の撤廃または緩和及び障害(福祉)年金に関するなど扶養加算の新設、障害等級の適用範囲の拡大ということを「至急検討実施すべきもの」ということになっておる。ところが今度の改正案で、各福祉年金の引き上げを二百円にすることは出てきました。だけれども、あとのことは一つもやってないわけです。  そこで、今度はまたその答申を出したわけです。今度二月の八日に出た答申は、「今回の諮問案は、昭和三十九年二月七日付の本審議会答申趣旨からすれば極めて不満足なもの」であるということを書いて、やむを得ず了承すると書いてあります。なおここに、「なお、国民年金制度の根本的改正についてなんらの提案がないことは極めて遺憾であり、特に以下の点についてはただちに実施すべきであると考える。」「ただちに」と書いてある。この前は「至急検討実施すべきものと考える。」と書いております。ところが、あまり厚生省はなまけていますから、今度は「ただちに実施すべきであると考える。」と書いてある。そこで、先ほどと同じようなことが書いてある。それを「ただちに実施すべき」という「ただちに」というのは、法律的にはことし出すときにやらなければいけない。可及的すみやかとか、至急という文句じゃない。これも「ただちに実施すべきであると考える。」とはっきり書いてある。検討というような文句は書いてない、善処というような文句も書いてない、直ちに実施しろということが書いてある。ところがあなたは、この問題の制度審議会、保険審議会答申を尊重する、尊重するという答弁をしている時期において、その当時のその時点におけるこれも尊重してない。あなたは尊重しましたか。努力をしましたか。それについてお伺いしておきたい。
  100. 神田博

    神田国務大臣 いま引用されたような答申のあったことはおっしゃるとおりでございます。これにつきましては、十分いま検討しておるという段階でございます。善処したいということで検討している、こういうことであります。
  101. 八木一男

    八木(一)委員 国民健康保険法改正案はまだ提出になっておりませんか。年金局長にちょっと伺います。
  102. 山本正淑

    山本(正)政府委員 国民年金保険法の改正は提出いたしております。
  103. 八木一男

    八木(一)委員 厚生大臣、こういうことですよ。もう提出しているのですよ。ところが、「ただちに実施すべき」ものの内容は何も入ってない。これで尊重したといえるのですか。これから努力するなんということはあとの祭りじゃないですか。厚生大臣、この答申厚生大臣神田博あてに出ているのですよ。年金局長山本正淑あてには出てないのですよ。
  104. 神田博

    神田国務大臣 いまの問題は、御承知のように予算の伴う問題でございますので、その点十分尊重すべくいま検討を加えている、こういう段階でございます。
  105. 八木一男

    八木(一)委員 局長に聞かないとあなたはわからない。あなたは一つも努力してない証拠です。少なくともこういうものは、社会保障制度審議会の大内さんの名前であなたあてに来ている。特に社会保障制度審議会社会保険審議会答申を尊重するかどうかという問題が大問題になったあとで来ている。読んでもいないのですか。提出されたかどうかも知らない。そんなことでほんとうに尊重するといえるのですか。いまこの両審議会答申を十分に尊重するかいなかが、非常な大問題を解決するかいなかの一つの大きな要点になっている。そこで、同じ時期にこういうことを書いてきた。それについてあなたは内容もはっきり知らない。それについて努力もまだしてない。してないままで原案のまま出してしまった。そんなことで世の中が信用すると思いますか。内容を御存じですか。内容を御存じないでしょう。教えてあげます。その中の今度のものは、「福祉年金の所得制限の緩和」――もう見なくてもいい、こっちで教えてあげますから。「福祉年金の所得制限の緩和(特に配偶者所得制限の撤廃)」というものがある。これは前から各審議会でいっていますし、衆参の社会労働委員会の附帯決議には何回もついているわけです。気の毒な老人のときに、自分の所得がある程度以上あったら支給がありません。また世帯の所得がある程度以上あったら支給がありません。これは非常に不十分だと思います。不十分だと思いますが、それ以上におかしなものは、配偶者所得制限ということがあって、おじいさんが、むすこがなくなって嫁もなくなった、ばあさんと二人だ、しかたがないから腰が痛いのを一生懸命働いておる、そして何がしかの収入があったときに、七十以上のその貧しいおばあさんに福祉年金が来ないというようなとんでもない制限がついている。こんなものはどんなことがあっても、大蔵大臣がどんな無理解なことを言っても、取っ組み合いをするような勢いで通さなければいかぬものです。あなたは一つも努力してないから、そういうことがぴんと来ない。こういう問題について去年出したけれども尊重してない、ことしもしてないから、しびれを切らして「ただちに」という文言が入った。制度審議会答申ほんとうに尊重するなら、直ちにそれを変える、原案を変えてこれを入れることをしなければならない。田中角榮君はなかなかのくせ者で、あなたの言うことをすぐ聞きません。しかし、それを説得する努力をあなたは一つもしておられない。出すまで一つも努力を払ってない。そういうことで厚生大臣答申を尊重すると言っても、世の中は承知するものじゃない。十分に尊重するということについては、ほんとうに腹をきめて尊重しなければならない。あなたがほんとうに腹をきめてない証拠がここにある。腹をきめて尊重しなければなりません。腹をきめるのは何か。その十分に尊重をする前に、さっき言ったように、法律案の問題、それを撤回をする、あの原案を撤回をすることが第一だ。白紙で内容について諮問をする。その場合にいろんな審議をされて答申が出るでしょう。そのとおりにやるためには、あなたはほんとうに全部の力を傾注しなければいけないと思う。大蔵大臣が首を横に振ったら――これは表現でありますよ。なぐり合いをしろ。とにかく死にもの狂いで、切り合いをするような調子でやらなきゃいかぬ。別に切り合いをせよとは言わないけれども、そのくらいの勢いでやらなければならない。それで負けたら切腹をするような勢いがやらなければならない。総理大臣がそれで言うことを聞かないようであれば、総理大臣と切り合いをやる。どうしてもできなければ、私は法律案を作成し、問題をほんとうに逆行させるような間違ったことをいたしました、それを直すために全力をあげた、しかしながら佐藤総理大臣は、田中大蔵大臣はそれに対して聞こうとしない、したがって、私は私の責任をとるけれども、問題は、佐藤総理大臣と田中大蔵大臣が悪いのだ、世論をあげてこの二人を追及しなければならないということを天下に声明をして、辞表をたたきつけて、自民党の統制委員会にかかろうともそういうことをやる、そのような勢いでやらなければほんとう答申を十分に尊重するということにならない。そのような覚悟をはっきりとここで明確に示せるかどうか。示せなければ、あなたは口先で言っても世の中は信用しませんよ、関係者は信用しませんよ、問題が軌道に乗りませんよ。そのくらいの覚悟ははっきりここで提示ができるか、はっきり明確にできるかどうか、腹をきめて御答弁を願いたいと思う。
  106. 神田博

    神田国務大臣 八木委員からいろいろ例をあげてのお尋ねでございますが、私は、いつもそういうような気持ちで検討しておるつもりでございます。
  107. 青木正

    青木委員長 八木委員に申し上げますが、持ち時間がまいっておりますが、先ほどのお話もありますので、特に十分間延長いたします。
  108. 八木一男

    八木(一)委員 大体厚生大臣、腹のきめ方だ。いまからほんとうに腹をきめられたら、私はあなた方は当然責任をとらなければならないと思うけれども責任をとるにしても、その間違った償いを半分くらいして、それからとられるほうがいいと思いますから、わずかな時間、あなたが腹を切るような勢いで努力をすることをわれわれは待っているわけです。そこであなたが責任をとられれば、間違いは半分だけ償った、政治家としての国民に対する責任は半分だけ果たされたことになる。それですから、ほんとうに決死の覚悟でやらなければならないと思う。  そこで、前から覚悟が少ない点について少し申し上げておきたいと思う。この前三十二年に健康保険法改正案というものがあなたが閣僚のとき、あなたが厚生省を預っておられるときに出された。その前にも小林さんという人が厚生大臣、その前は川崎さんでしたね。川崎さんの時代からいろいろ出ておりましたが、少なくとも神田厚生大臣のときに、昭和三十二年にこの前の健康保険法改正案というものが通った。そこで通った法律では、国庫負担を三十億出すということになりましたね。そのときの赤字は幾らであったか、覚えておいでになりますか。
  109. 神田博

    神田国務大臣 お答えいたします。たしか百億足らずだ思っておりました。
  110. 八木一男

    八木(一)委員 うそを言うもんじゃありません。自分のいるときに厚生省が、三十二年の予算要求のときに赤字はこれだけありますからといって要求をされたのは五十四億円です。その前の年に六十何億円、小林さんのときに。その前の年に七十億円、そしてすでに審議中には四十億円台に下がった。法律がまとまるときには赤字はほとんどなくなっておった、そういうこと。そのときに赤字が、たとえば五十億にしますか、一番最後にはほとんどなくなっておったでしょう。そのときでも三十億の予算要求されたのです、厚生省は。そうなればみずから考えてごらんなさい、赤字の六割か七割くらいの国庫負担をその当時とられたわけでしょう。最初予算を査定されたけれども予算がいかに少ないものであるかというのはわかりますよ、六百五十九億円の政府管掌の赤字だということを言っていられる。しかし、あの当時は八百二十億円と言っていられた。その七割にしてごらんなさい。政府管掌だけで少なくとも五、六百億の要求はされなければならない。一番最低ですよ、三十億というのは。この前、七年前にきまったときには、きまった案なんだから、その前にはもっと要求をしておられたんだ。ですから、どんなに少なくても三法関係でこれではわれわれ承知しませんよ。あなたがこの佐藤内閣の閣僚としては、少なくとも七、八百億くらいのものは政府管掌だけで要求をしなければならぬ。その他のものについても、全部合わして千三百六十億と、言われるこの医療費の値上げとこの前の赤字、そういうものを国民に負担をかけないために、全部負担をかけないような処置をしなければならない。そこであなたは、あなたの前のベースでいっても少なくとも七、八百億くらいは政府管掌要求をしなければならなかった。ところがあなたの要求は今度は百億だ。それを三十億に削られた、とんでもないことになった。いろんな経過がありますけれども、その一番の大きな原因はそういうあなたの弱腰にある、へっぴり腰にある。その問題はさっきの五割、三割の問題にも関係があるわけです。前から注意をしておるのに、なぜそのときに強くがんばらないか。どんなに閣議でそういうことを提議されても、厚生省は断じて承知はできない、社会保障はこれから大きく前進をしなければならない非常に当面の急の政策である。しかも、ほかの政策と違って一番国費を必要とする政策である。そういうことにそういうブレーキをかけられては困る。閣議で決定をされるなら責任は持てない、とそこで辞表をたたきつけるべきだ。便々と大臣の席にいたいために、そこで簡単に承知をする。その中で予算をしぼって要求をする、そのスズメの涙ほどのものをまた削減される。そういうようなことをあなたがしてこられた。したがって、今後の問題にさっき誓ったように命がけでやられるとするならば、そのような、前のような弱腰は全然払拭をしなければいかぬ。少なくともこういう関係について、これは、共済関係がありますから、ほかの省の大臣、松浦さんとも関係があるんですよ。全部に関係がありますけれども政府管掌については、あなたが要求されたものを戻すようなことではだめだ。少なくとも厚生省だけでそのマルを一つつけた十倍くらいのものを解決のために考えなければならない。そのくらいの考え方でやらなければ、いまのんべんだらりと、尊重します、何とか軌道に乗せてくださいということで、あなたは不信任を食ってできないけれども官房長官総理大臣を通じてやっているかもしれないけれども、どんなに表向き軌道に乗りかかっても、その問題をほんとうに解決する、少なくともあなたが千億以上のものをあなたの省自体でとる、そのくらいの覚悟で当たらなければこの問題は解決をしない。覚悟をきめておいていただきたいと思う。はっきり覚悟をきめて、ほんとうに命がけでやられるかどうか、ほかのよけいな改革は必要はありません。それについて伺っておきたいと思います。
  111. 神田博

    神田国務大臣 いろいろの御意見でございますが、重大な決心でやるつもりでおります。
  112. 八木一男

    八木(一)委員 そこで、さっき申し上げましたように、法律案の問題を直すためには、企画についてあなた方がかってにきめたものをかけておられるから、あらかじめということに違反しておる、法律案の責任は、あなたや内閣がとらなければいけないと思う。しかし、責任責任として、その間違ったことを改めるためには、いまあなた方が企画をしたもの、立法準備もしていますが、企画だか立法だかいろんなことを言いますが、企画をしたもの、これを白紙に戻して、社会保障制度審議会なり社会保険審議会にその問題についての討議をお願いをする、これが一番大事な態度だろうと思う。それをなさるかどうか。
  113. 神田博

    神田国務大臣 いま御審議願っておるわけでございまして、それぞれ審議会は自主性を持っておりますから、審議会のほうの御意見を十分聞きまして、そうして答申を尊重したい、こういう考えでございます。
  114. 八木一男

    八木(一)委員 審議会にその責任を転嫁しちゃいけませんよ。あなたはあらかじめ諮問することを、計画をきめちゃってやっているから、その計画をやめれば罪が軽くなる。法律違反の問題で言っているのです。審議会にそういうことを転嫁しないで白紙に戻して、いま出したものを戻しまして、そうして、あらかじめ政府がきめた企画じゃなしに、今度全然白紙に戻して、その企画について聞くという態度が必要だろうと思う。それについてもう一回伺いたいと思います。
  115. 神田博

    神田国務大臣 これは、これは、先ほど来申し上げておりますように、八木委員と私どものほうで見解の相違がございますものですから、われわれとしては、法律違反ではない、正規の手続を踏んでいる、こういうふうなたてまえでございますものですから、差しかえてというようなことよりも、審議会の自主性に待って、十分御論議していただいて、そして、ひとつその答申を尊重していきたい、こういうことに変わりないのでございます。
  116. 八木一男

    八木(一)委員 何回言ったらわかるのですか。先ほどから、企画というものについては、あなたは法律違反をしておられるということははっきりしておる。あなただけが違反をしていないというだけなんです。調べられている者が違反をしていないということはだめです。企画については違反をしているんだ。それを、違反している事実を、違反をしたということを改めるためには、その企画というものを消滅をさせる必要がある。そうなれば、あらかじめ諮問しなかったということも法律違反にならないということになる。あなたが、幾ら言ってもわからないから、あなたより上位にある内閣総理大臣にその問題を聞きます。ですから、またその問題について、委員長総理大臣出席要求いたします。  それから、その次にもう一つ厚生大臣は、昭和三十七年の八月に社会保障制度審議会答申と勧告が出てきたことを御承知だと思います。その答申と勧告に試算表がついていたことを御存じですか。試算表、この十年計画をやるためには、あの時点においてどのような計算になるかという貴重な試算表がついていることを御承知ですか。御承知かどうか、はっきり伺いたい。
  117. 神田博

    神田国務大臣 承知いたしております。
  118. 青木正

    青木委員長 八木委員に申し上げますが、延長した時間も参りましたので……。
  119. 八木一男

    八木(一)委員 あと簡潔に……。  大蔵大臣が五分後に帰ってこられるというのは――その後二十分ほどたって帰ってこられない。これは、大蔵大臣関係がある。だから、大蔵大臣が帰ってから続けて、それでやめます。大蔵省の大臣以外の者、だれかおられますか……。
  120. 青木正

    青木委員長 大蔵大臣、参りました。  八木委員に申し上げます。延長した時間も超過しましたので、大蔵大臣に対する質疑で最後にお願いいたします。
  121. 八木一男

    八木(一)委員 大蔵大臣昭和三十七年の八月に社会保障制度審議会の――これは表題が長いから簡単に言いますけれども答申と勧告が出た。そこに試算表が出ていることを、大蔵大臣は御存じですか。
  122. 田中角榮

    ○田中国務大臣 私は、いまさだかには覚えておりません。
  123. 八木一男

    八木(一)委員 御存じでないんですね。
  124. 田中角榮

    ○田中国務大臣 私は承知しておりませんが、事務当局等によく聞いてみます。
  125. 八木一男

    八木(一)委員 総務長官、その試算表について御存じですか。
  126. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 お答えいたします。  これは、ひとり社会保障制度ばかりではございませんけれども審議会から答申総理大臣あてに参りました際には、これをさらに各省、たとえば社会保障に一番関係のある厚生省、あるいはまた予算等にも関係がございます場合にはこれは大蔵省にと、こういうことで、それぞれ事務的にそれを送付してあるはずでございます。ただいま御質問のありました一覧表につきましては、私はまだその点をよく確かめておりませんが、場合によったら確かめて後刻申し上げます。
  127. 青木正

    青木委員長 時間が参っておりますので……。
  128. 八木一男

    八木(一)委員 これが区切りがついたらやめますが、官房長官はどこに行ったのですか。どうしたのですか、官房長官は、総理大臣のかわりにいろいろなものを聞いて、全部報告をするという約束をした、そんな者がなまけていたら審議ができませんよ。官房長官を呼んでください。
  129. 青木正

    青木委員長 少々お待ち願います。
  130. 八木一男

    八木(一)委員 それでは、その間に大蔵大臣に……。  大蔵大臣、この前の原委員質問、その前の横路委員加藤委員質問のときに、社会保障制度審議会、あるいは社会保険審議会、あるいはまた中医協の問題もありましたが、そのような審議会答申について十分に尊重するということを、総理大臣みずからこの本委員会において言われたわけです。それから社会保障制度審議会社会保険審議会両方答申を得なければ、予定されている健康保険法等の改悪三法案、それを強行突破をしないということを言われたわけです。それについて、当然佐藤内閣の閣僚として田中大蔵大臣は、総理大臣の言うとおり十分に尊重されると思いますが、はっきりとひとつ御答弁を願いたいと思います。加薬は要りません。総理大臣の言うとおり十分に尊重するやいなや、簡単に御答弁願いたい。
  131. 田中角榮

    ○田中国務大臣 国民が納得する御答申をいただければ、十分尊重いたしたいと思います。
  132. 八木一男

    八木(一)委員 国民が納得いく御答申は出るでしょう。あなたが、国民が納得しないというようなことをかってに思っちゃいけない。やはりそういう権威者が一生懸命やったことは、大体国民が納得するものと思わなければならぬ。よけいな加薬は要らないと言ったら、まあしかし加薬なしに答えてくれた。  官房長官が来ませんが……。
  133. 青木正

    青木委員長 官房長官、見えました。
  134. 八木一男

    八木(一)委員 早く来てください。すぐすわりなさい。官房長官、なまけてほかに行ったらいけません。ここのことを全部総理大臣に報告すると言って、いなくて報告ができますか。実際、あなたはなまけた官房長官ですよ。  それからその次に、官房長官昭和三十七年八月の社会保障制度審議会答申勧告について、それについて総理大臣が読んでおられるかどうか、そこについていた試算表を読んでおられるかどうかおわかりですか、伺っておきたいと思います。
  135. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 まことに恐縮ですが、まだ読んでおりませんので……。
  136. 八木一男

    八木(一)委員 総理大臣です。あなたじゃない。総理大臣がお読みになったかどうか、御存じないかどうか。
  137. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 それは、まだ総理大臣に聞いておりませんので……。
  138. 青木正

    青木委員長 八木一男君、時間が超過いたしましたので……。
  139. 八木一男

    八木(一)委員 はい、もうこれで……。  いまはっきりわかりましたように、厚生大臣だけはそのことがあることを知っている。これは、この前小林厚生大臣が知らなかった。知らなかったから、けしからぬ、次の厚生大臣に必ず申し送りをしろ、企画室にも必ず責任を持って申し送りをしろと言ったから、わずかに厚生大臣は覚えておられた。ところが、大蔵大臣も知らない。官房長官も、総理大臣が知っているかどうかわからぬ。総務長官も知らない。答申を受けた事務官庁は総理府です。何にも知らないわけだ。社会保障制度審議会答申を尊重するというようなことを言う総理や佐藤内閣やその閣僚たちが、わずかに厚生大臣があることを知っているだけで、あとは知らない。そういうことで社会保障制度審議会答申を尊重するなんと言っても、世の中は信用しません。この審議会は、ここにあるように、三年間かかっている。総理大臣から諮問があって、それに答えている。三年間かかっておる。総会が十六回、全員の委員会が三十一回、各種の分科会が数十回、百数十回で、私はそこの委員でありますから全部出ております。一番短くて三時間、長くて十時間かかっている。熱心な審議です。そこには大内先生をはじめあらゆる権威者がおられる。また、各省の次官もみんないるわけだ。自民党の、与党の熱心な方々もおられる、各団体の方もおられる。そこで、とにかく延べ何百時間やっておるわけです。その問題についても、ほとんど十分読んでいられないと思うけれども、まあ読んでおられる方もあるかもしれません。そこに試算表がついておる。この試算表も、所得倍増計画によって試算をしましたから、その後国民所得の名目的な価値が変わってくる、物価が変わってくるから、この試算表をそのまま使うのは危険だ。危険ですけれども、それを計数を修正して十分参考に供すべきものです。そのままではありませんよ。もちろんそれをふやさなければならない。そこで、この試算表によると、昭和四十五年に国費の社会保障費が一兆二千五百億、一兆二千五百億を少なくとも最低限度として出さなければならない。この諮問自体が、昭和三十六年の時点における西欧諸国の社会保障の水準に日本の社会保障が十年おくれているために、最低これだけ要るという数字が出ているわけです。しかし、これは貨幣価値の変動については入っておりません。また所得倍増計画がその後変なめちゃくちゃな放漫なことになって、名目的にいろいろな金額がふえております。ですから、その当時と違いますから、このまま使うことは危険です。これをもっと金額をふやさなければならないけれども、その修正をしなくても、昭和四十五年に一兆二千五百億というものが最低の最低として必要であるということになる。それを大蔵大臣が読んでおられたならば、社会保障予算の大部分を要求しなければならない厚生省に対して、三割でとどめておけなんということは言えたはずではない。これは、幾何級数でいくか算術級数でいくか、どっちかの考え方があるでしょう。算術級数でいっても、あるいはまた幾何級数でいっても、どっちの計算にしてもこれは物価変動の修正を入れなければならないでしょう。入れない最低の数字としても、本年度は七、八千億の予算をつけなければ、この計画どおりにならない。田中さんは読んでいられない。非常に聡明で熱心だという田中さんは読んでおられない。ほかの閣僚は一つも聞かない……。
  140. 青木正

    青木委員長 簡潔にお願いいたします。
  141. 八木一男

    八木(一)委員 もちろんこの試算表を読んでおられない。この試算表というものがどこにいっているかわからない。去年厚生大臣の小林さんに聞いたら、知らないと言うから、とんでもないではないかということを言ったならば、そこで初めてあることを知って、企画室に行って初めて読んだ。
  142. 青木正

    青木委員長 八木君、簡潔にお願いいたします。時間が参っておりますから、簡潔にお願いいたします。八木君、結論をお急ぎください。
  143. 八木一男

    八木(一)委員 そういうことです。内閣は、こういうような内閣諮問機関で三年間学者が一生懸命やって、答申をして計数まで出したものについて、ほとんどの者が知らない。この書類のあることも知らない、そういうような無責任内閣、いまの佐藤内閣でなくて池田内閣からそうだ。佐藤内閣もその引き継ぎをしていなければ、その責任は免れない。こういうことをしている者が――総理大臣はいないから、残念ながら彼がこれを読んでいないかどうか、持っていないかどうかはいまわかりませんけれども、このまわりの人たちの言うことを聞けば、持っていないことはほとんど明らかだ。そういうことですから、そういうような態度社会保障制度審議会答申社会保険審議会答申を尊重しますと言っても、国民は承知をしない。いまの非常に問題になっている問題を、国民が納得するように、社会保険の赤字を、あるいは医療費の値上げ分を国民負担にかけないで、そして一部負担のような医療保障の後退をさせないで問題を解決するということが、当然各審議会答申のときは出てくるでありましょう。そのときに、財政がどうだ、田中君がどうだというようなことでその十分な尊重がされなかったならば、国民は承知をしません。内閣はぶっ倒れるもとになります。もしあなた方がほんとうに国政を担当する気持ちであれば、ほんとうの意味で尊重しなければならないし、またほんとうの意味で尊重する態度を明確にしなければ、軌道に乗りません。時間がないから申し上げませんけれども、厚生省のほうでこの二月の六日に愛知県庁に対して、いまあなた方が考えているけしからぬ原案に沿うていろいろな改正が行なわれるだろう、したがって、組合管掌の健康保険についてもそのような準備をしろという指令をやっている。愛知県庁は、それをまた健康保険組合に、薬価の一部負担についてやることになるから、そういうことで進めろというよなう指令を流している。総理大臣厚生大臣がそういうことをやっているときに、事務局がその答申が出てこないのに、とんでもない改悪案が決定するものとしてそういうような指令を流している。そういうようなことでほんとうに世の中が承知すると思いますか。
  144. 青木正

    青木委員長 八木君、時間が参りました。結論をお願いいたします。
  145. 八木一男

    八木(一)委員 わかりました。総理大臣自体も、厚生大臣大蔵大臣もこのようにほんとうの覚悟を示していない。だから、みんなほんとうの覚悟をして、各審議会答申を完全に文字どおり尊重するという決意を聞かなければ、世の中が動かないと思います。そういうことについて、閣僚である田中さん、神田さん、石田さん、松浦さん、企画長官、そういう方々は、この空気を官房長官とともに伝えられて、総理大臣ほんとうの決心をして、この問題が国民には負担にならずに、医療保障の後退にならずに解決する、そのためには内閣が異常な決心をする、田中さんが異常な、腹を切る決心をして金を出してくることが必要であるということをぜひ確認をして、総理大臣に伝え、そのような努力をされることを要求をしたいと思います。このことについて、厚生大臣の明確な答弁を伺っておきたいと思います。
  146. 神田博

    神田国務大臣 いろいろお述べになりましたが、御意見は十分尊重したいと思っております。
  147. 青木正

    青木委員長 これにて八木一男君の質疑は終了いたしました。  午後は本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十九分休憩      ――――◇―――――    午後三時三十六分開議
  148. 青木正

    青木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十年度総予算について質疑を続行いたします。  岡本隆一君。
  149. 岡本隆一

    岡本委員 昨年の通常国会におきまして、地価安定施策の強化に関する決議というものを行ないましたが、当時公共用地の取得その他をめぐりまして、とにかく土地収用法を強化しないと困る、こういうふうな政府からの提案がございました。しかしながら、今日のように地価がどんどん上がってまいりますと、公共用地に快く土地を提供したものは、結局はばかをみるようになる。その周辺の地価がどんどん上がっていく。たとえば道路の場合なんかそういうことでございますが、あるいは住宅の宅地造成の場合でもそうでございますが、そういうふうなことであってはならないというところから、地価安定施策の強化に関する決議を衆議院で上程して、それが可決されるならば、土地収用法の強化に消極的ながら協力しよう。こういうことで、私どもは地価安定施策の強化に関する決議を強く要望したのであります。幸い自民党のほうでも、民社党のほうでも賛成していただきまして、三党共同提案でもって地価安定施策の強化に関するところの決議が行なわれました。  その内容とするところは、とにかく今日のこの住宅の土地の値上がりというものは、国民の住生活を脅かすだけでなしに、公共事業等の施行を妨げ、あるいはまた国民経済の安定すら脅かしてきておる。だから、一日も早く地価の安定をやらなければいかぬ。そのためには、農地との調整をはかりながら、土地利用計画を策定し、あわせて地価の公示制度を行なう、さらにまた土地の有効利用を行なえるように、たとえば空閑地税その他の税制措置をもあわせて考えていく、こういうふうな内容のものでございました。  ところが、その後の政府の歩みを見ておりますと、衆議院での議決はどこ吹く風、何かゆらりのたりというふうな感じが地価対策に対しては私どもには感じられますので、企画庁ではその後そういう問題についてどのように取り組んでおられるか、長官からお伺いいたしたいと思います。
  150. 高橋衛

    ○高橋(衛)国務大臣 昨年の五月二十九日に衆議院の本会議において、ただいま御指摘のような三党共同提案による地価安定施策の強化に関する決議というのが行なわれた次第でございます。したがって、政府といたしましては、この決議の趣旨に即しまして、また、ただいま御指摘のように、住宅問題は今日非常に大切な問題になっておりまして、予算面その他におきましても非常な力をこれに注いでおる次第でございますが、これが一番困難な問題となっておるのが、やはり地価の問題、宅地の取得の問題に相なっておる次第でもございますし、そういうふうな点から、これらの件について鋭意検討を進めてまいっておる次第でございます。一月二十二日に、政府は物価対策についての十項目を決定いたした次第でございますが、この際におきましても、地価の問題を特に一項目取り上げまして、地価安定に対するところの抜本的な対策を検討する機構を整備するという趣旨閣議決定をいたしておる次第でございます。行く行くは主要閣僚間におけるところの一つの機構をつくりたい、かように考えておりまするが、それにいたしましても、事務ベースにおけるところのある程度の煮詰まった案ができませんと、これが具体的に進み出すことになかなか困難な面がございますので、ただいま事務レベルにおけるところの案の作成を鋭意急いでおるような次第でございます。その当時御指摘になりました点は、土地利用計画の策定の問題であるとか、地価公示制度の問題、または一つの試案として空閑地税等のことも御指摘があったのでございますが、いずれも土地に関するところの公共性と、それから私有財産の私権との調整の問題等非常に重大な権利、義務の関係を含んでおりますような関係もございまして、ただいま慎重にこれが準備を進めておるという段階でございます。
  151. 岡本隆一

    岡本委員 地価の問題は、たとえば昭和三十年から三十七、八年ごろの間に十倍にも達しておる。だから年々倍になっているというふうな非常に飛躍的な値上がり方をしている。だから、一年ためらっておれば、ゆっくり落ちついておれば、それだけ問題の解決が困難になってくる。いわば、これはもう焦眉の問題であると私どもは思っておる。したがって、そのときの決議案の中にも、衆議院はこの地価問題には深い憂慮を表明するというような文字が使われておるくらいなんです。したがって、この問題は単にわれわれだけの問題でなしに、国会で論議している以上に、国民の間では非常に大きな問題として強くひしひしと肌に感じられている問題でございますが、一体それではどういうふうな機構を考えておられるのか。今日では宅地審議会がございます。これは建設大臣諮問機関でございます。そしてある程度の成果をあげてまいっております。しかしながら、問題は、単なる建設省だけの内部の問題としては地価問題はあまりにも大きい問題で、解決いたしません。これは、当然総理大臣諮問機関として、同時にまた強力な機関として、いわば内閣をあげて地価の安定にぶちあたっていく。こういうふうな施策を立てられなければならないと思うのでございますが、そういう強力な総理大臣諮問機関としての審議会をつくり、同時にまた、ただいま仰せのように政府部内にも地価安定対策のための閣僚の懇談会をつくるとか、あるいは何らかの機構をつくっていただきまして、たとえばここ三年とか、五年とかいうふうな短期の間に結論をつくり、その結論に従って施策を強力に推し進めていく。こういうことをやらなければ、私は地価問題はなかなか解決しないと思うのでございますが、企画長官、いかがお考えでございますか。
  152. 高橋衛

    ○高橋(衛)国務大臣 御指摘のとおり、先ほどもお答え申し上げましたが、地価の問題は非常に重要な問題で、しかも非常に困難な問題でございます。実は地価の問題を解決しようといたしますると、御指摘のように、建設省だけでは片づかない面が相当ございます。しかしながら、どうしても建設省が一番中心になってこれを進推しなければいかぬという問題であろうかと、かように考えますので、建設省においていろいろ具体的な検討を行なっていただきまして、そうして、各省の関係もそれぞれ調整をして、何とかすみやかにこれを前向きに進めていくという考え方で、特に物価対策の一環として今年の一月に閣議決定をいたしましたことは先ほど申し上げましたとおりでございます。そういうふうな意気込みをもってこれから当たりたい、かように考えておる次第でございます。
  153. 岡本隆一

    岡本委員 そこで、従来政府のとってこられたところの地価対策、その足取りをわれわれ検討してみなければならないと思うのでございますが、政府のいままでの考え方でございますと、とにかく需給にアンバランスがあるのだ、だから、その需給のアンバランスをこわせばいいのだ、とにかく地価対策は土地の供給量をふやせばいいのだ、需要が多いのだから、供給さえふやせばいいのだ。こういうふうな形でもって、一番の大きな柱としては大量の宅地造成、こういう方針を打ち立てておられました。また、昨年この予算委員会で河野さんと議論いたしましたときも、とにかく道路をどんどんつくっていく、道路をつくれば住宅に適するような土地が幾らでもつくれるのだ、だから、そういう方針でもって、とにかく宅地にできるような土地さえどんどんつくっていけばそれでいいのじゃないか、こういうふうに、特に宅地造成ということが一番大きな柱となり、同時にまた、一方で首都圏整備とか、近畿圏整備とか、そういうふうな考え方の中に盛り込まれておるところの人口及び産業の疎開、こういうようなことを考えて、この二本の柱が地価対策の中心であったと思うのです。しかしながら、これだけではどうにもならないというふうな段階になっておるのが今日の姿であると思うのでございますが、企画庁では、そういうふうな反省の上に立って、これから後の方針を立てていこうとしておられますのか、あるいはまた従来の方針を推し進めていけばいいのだ、こういうふうなお考えなのか、その辺のところを承りたいと思います。
  154. 高橋衛

    ○高橋(衛)国務大臣 御指摘のように地価の高騰する原因は、一つは東京、大阪等のいわゆる過密都市におけるところの人口、産業、文化の急増というものが土地に対する需要を非常に喚起いたしまして、その局地的な土地の非常な高騰が全国的に広がっておるという問題がございます。したがって、政府がかねてから新産都市建設法とか、工特法とか、また低開発地域開発法とかという法律によりまして、おくれた地域の開発に非常な力を入れるということと同時に、過密都市の産業、人口の集中をできるだけ抑制していくという方策、これがどうしても基本的に必要になってくると存じます。同時に、いわゆる売り惜しみとか投機とかいうものが、一時的な現象ではございましょうが、これが地価の騰貴に相当大きな影響を与えておるということも、これまた否定し得ざるところの事実であろうかと存じます。そういうところから、先ほどもお答え申し上げましたが、どうしても私権と公共の福祉との調整の問題をこの際ある程度取り上げていかなければ、この地価の問題についての抜本的な解決という方向にはなかなか困難ではなかろうか、そういうふうな考え方のもとに今後地価の問題を取り上げていきたい、かように考えておる次第でございます。
  155. 岡本隆一

    岡本委員 三十五年に行なわれました内閣の調査を見てみましても、土地を買った人のうち、すぐ建てるという人が五一%、それから五年以内に建てるのだというのが一九%、残りの三〇%はいつ建てるかわからない、こういうふうな返事をしておる模様でございます。したがって、とにかく土地を買った人の約半分がさしあたり有効利用する目的で買っておる。あとの半分というものは、これはとにかく上がるところもあるからいまのうちに買っておこう、あるいはまた、買っておいたらもうかるだろう、こういうふうな投機的な傾向があるわけです。いままでの政府方針は、需給のアンバランスだけを考えておられましたが、この投機的な需要というものに対して、私どもは強い規制をやらなければ地価の安定はできないということがまず第一でございますが、それと一緒に流通機構の不備の問題、また土地利用計画というものが今日ほとんどなきにひとしい。だから、そういう土地利用計画がないということ、さらにまた、土地の有効利用をさせるような方法が講じられていないということ、この二つが今日地価対策が全くない、地価対策不在といわれておる基本的な問題であろうと思うのでございますが、それでは、この土地利用区分の確立ということについて、政府はどういうふうな考え方を持っておられますか、お伺いしたいと思います。
  156. 小山長規

    小山国務大臣 お答えいたします。いまお話がありましたように、土地問題、地価問題を根本的にやろうといたしまして、一月ほど前に宅地審議会の諸先生方と、形式ばったことでなしに、お互いの考えをひとつ述べ合ってくれないかということで、私も五時間ばかり一緒に話を聞いておったわけです。いろいろな提案がありましたが、中にはとてもできそうにもないものもありますし、中には思い切ってやればやれないことはないような気もするというような提案がいろいろありまして、いまそれを整理いたしております。そこで、その中で考えましたことは、どのような案を進めるにしても、これ以上の案を進めようとすると、どうしても土地利用の問題にぶつかってくる。土地の利用区分の問題にぶつかってくる。そうしますと、土地利用の区分をするのにいまの法制ではまずいことは、これは岡本さん御存じのとおりでありますが、未利用地なら未利用地と規定する場合に、その未利用地とは一体何だ、どこの区域の何丁目何番地のどういう土地が未利用地なのか、農地との関係はどうだというような問題にだんだん入っていきますと、その法制は非常なむずかしい法制になるだろう。しかし、むずかしい法制になるけれども、この未利用問題という土地の利用区分問題に足を突っ込んでいかないと、土地の問題の根本解決はまず第一歩でつまづくんだという認識のもとに、土地利用計画を一体どういうふうに打ち立てていったらいいだろうかということで、さらに学者先生方の御意見をいま伺っておる最中なのであります。したがって、まだ結論が出ません。
  157. 岡本隆一

    岡本委員 しかしながら、土地利用区分というものはすでに諸外国ではやっているんです。ドイツでもやっておりますし、イタリアでもやっておりますし、またイギリスでもやっております。諸外国ですでに相当古くから行なわれておることが、どうして日本で行なわれないのか、私はその理解に苦しむんです。そして、またドイツでもイタリアでも、なるほど市街地の土地は上がっております。しかしながら、日本に見られるような住宅難はすでになくなってきておる。戦後でないといわれながらも、もはや戦後でないということばが使われてから十年になります。昭和三十年からです。しかもなおこのような住宅難。土地問題というものは声が大きくなる一方です。したがって、思案をしておる時期でなしに、諸外国でやっておるような、その中のいろいろな方法のいいところをとって持ってくれば、もう何どきでも移しかえることができる程度にまでそういうふうな制度というものがすでにでき上がっておると思うのです。だから、要は政府の決断一つであると思うのです。諸般の方面にいろいろな影響があるから政府が踏み切れないのであって、ほんとうにやる気になれば、もうとっくにやれていることであろうと思うのです。  そこで、私は、まず農林大臣にお伺いいたしたいと思うのでございますが、このごろ耕されないところの農地というものが非常にふえてまいっております。どんどん国土が改良されていく。そうすると工場が進出してきて、たとえていえば、静岡県あたり、私ども東海道をいつも往復するのでございますが。沿線のたんぼの中に宮殿にもまがうようなりっぱな建築物、工場がどんどんできてきておる。そうすると、地価がそれにつれてどんどん上がっていく。いままで一反三十万くらいの土地が百五十万、二百万するようになってきておる。そういうふうになってまいりますと、結局農業の荒廃が起こってまいります。その地域ではもう経営規模を拡大することができなくなってまいります。ところが、小さい規模の農業というものは、もう倒れていくよりしかたがない。近くに工場ができるから、お弁当持って通うようになる。だから勢いたんぼはじいちゃん、かあちゃんにまかせておくというふうなことにななって、都市近郊の農村だけでなしに、純農村といわれる地帯にまで農業の荒廃が広がっていっております。そういうふうな農業の荒廃に対して、一体農林省はどういう措置を講じようとされるか。これは何から出た統計か存じませんが、拾ってきたというと語弊があるが、この統計に書いてあるのは、三十五年から三十七年の三年の間に十五万五千の農民が離農しておる。そして土地を売った人は四一%、よそに貸しておる人が二三・六%、もう耕さずに放置してあるというのが三五・二%ある。そうすると、離農した農民の三割五分の土地が放置されたままになっておる。こういうふうになってまいりますと、これは、農業問題としても土地問題というものはゆゆしい問題であると思うのございますが、農林大臣は、これに対してどういう措置を講じていこうとされますか、お伺いいたしたい。
  158. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 実態はいま御指摘のとおりでございます。そこで、都市近郊と、都市から相当離れておるところ等につきましては、土地問題の解決等についてもおのずから異なった方法があると思います。都会地を離れた純農村の方面におきましては、いま考えておる農地管理事業団、こういうものによりまして経営規模の拡大等に持っていこうという考え方を持っております。都市近郊におきましては、いまのように経営規模の拡大とか、そういうことよりも、いま土地を荒廃に帰して財産的に所有しておって、これを売る機会をねらっておるということで、農業生産を非常に怠っておるのがいまお話のようなところでございます。ここは大体第二種兼業が非常に多くて、農業の収入が副業的な形になっておると思います。しかし、ここ等におきましては、やはり集約的な農業、最近の技術によりまして、あるいは花とかくだもののとか、あるいはビニールによる栽培とか、こういうものによって狭い土地でも有効に使うようなことに指導いたしております。しかし、そういう指導にも乗らない人もございます。でございますので、今度の予算等におきましても、都市近郊の農業等を中心として、大型機械等を入れて、そして二種兼業の人々を含めて、協業といいますか、共同耕作の方向へ持っていって土地の荒廃を防ぐ、こういうような方途も考えております。なお、さらにどういうあり方が最も適当であるかというようなことにつきまして、新産都市近辺とか、都市近郊の農家のあり方等につきましては、学識経験者等を集めて、そのあり方を一そうよく持っていくということの検討なども進めておる次第でございます。
  159. 岡本隆一

    岡本委員 農林大臣は、古くにも農林大臣をおやりになって、私よりもずっと詳しい専門家ですが、しろうとの私がいまあなたのおっしゃるようなことを承っても、お返事になっておらないと思うのです。第一、純農村地帯で反百万も百五十万にもなった土地を買って、どうして経営規模の拡大がやれるでしょう。農業というものは、そんなに甘っちょろいものじゃないです。  それでは伺いますが、一体農地の生産可能な、採算がとれるところの価格の限界額というものは幾らですか。たんぼで幾ら、畑で幾らですか。幾らで買えば農業をやって採算がとれるのですか。
  160. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 純農村地帯で百万もするようなところはありません。いま大体二、三十万でございますが、こういうところにおいて土地の経営を拡大するというようなことは可能でございます。御承知のように、一年に六万町歩ぐらい移動しておりますから、その移動を拡大の方向へ向けていくということは可能でございます。  それから、いまお尋ねの、土地が幾らならば採算がとれる農業をやっていけるかということにつきましては、いろいろ土地によって違うと思いますが、私、正確にいま計算を持っておりませんが、もしあれなら技術的に事務当局から答弁させます。
  161. 岡本隆一

    岡本委員 純農村地帯といえども、たと、えていえば、朝日新聞から昨年か「土地改革のあり方」という書物が出ておりまして、土地問題について相当よく検討しておられますが、この書物の中に出ておったのを見ましても、とにかく静岡県あたりでも、国道の近くでどんどん工場が進出しているあたりに参りますと、もう反百万や百五十万しているような土地はざらだ。そういたしますと、静岡県というところは、御承知のように、静岡県から愛知県にかけては非常に豊かな耕地です。ああいうところがそういうふうに地価がどんどん上がっていきますと、あそこらでもすでに農業の経営というものは、採算のとれる価格というものは大体田で四十五万、畑で二十五万から三十万というふうなことを書いてあるのを見ましたが、とにかくそういうふうな価格からははるかに三倍も五倍も上がってしまっておるというふうなところで、とても土地を新たに買って農業の経営規模を拡大していくということはできない相談です。だから、そのためには、農業の経営規模を拡大さして、日本の農業経営を安定させるのには、何よりもまず地価の安定が第一だ、こういうことになってくるわけなんです。だから、地価の安定の問題というものは、地価を抑制するということは、単に住宅問題だけでなしに、これは工業の問題でもございます。これは農業の問題でもございます。農業の経営規模を拡大さして安定した農業というものを日本につくり上げていくのには、地価を押えなければいかぬ。抑えるどころか、下げなければいけません。工場の施設に対するところの大きな土地の投資額というものを考えたら、コストを下げるためにはどうしても地価を下げなければいかぬ。あらゆる面で地価というものが非常に大き問題になってきているわけです。だから、農林省としても、この土地の利用区分というものを確立して、農地は農地として確保する。農地には、建物は農業用の建物以外は一切建てさせない、こういうふうな強い方針を打ち出していただかなければ、農地の価格を押えるということは不可能だと思うのでございますが、農林大臣の御所見を承りたい。
  162. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 いまのお説はごもっともでございます。農地の拡大の話をいたしましたが、農地の拡大は都市近郊では無理だと思います。また希望もいたしません。それからまた、そういうことをするといたしましても、あるいは農業の共同化を進めるというような点にいたしましても、土地の価格が上がるということは、農業の採算が悪くなるということでございまするし、いまのいろいろな政策を行なう上においてもまずいことです。でありますので、お話のように、土地の利用区分をきめまして、総合的にやっていくことが一番望ましい。さしあたりは首都圏整備圏内とか、そういう地域開発区分におきまして、各省庁等とも協議いたしまして、利用区分をつくっていく。そうして、農業用地は農業用地として確保していく、こういうことは必要でございます。幸いに農地転換の許可という制度もございますから、そういう区分に従って、農地として存置すべきものは転換をさせないようにする、こういう方針は堅持していきたい、こう思っております。
  163. 岡本隆一

    岡本委員 純農村では、いまのような考えをどんどん進めていただくと一緒に、私は、都市周辺の農地については少し考え方を変えていただかなければならないのではないか。とにかく都市周辺では、今日すでに道路はできておる、水道もそこにできている、あるいはいろいろな環境整備の施設もできてきた。住宅地としてすでにそれだけの条件を十分に備えておる土地が、家も建てられず、耕されもせず、草がぼうぼうとはえたまま放置されているというところがずいぶんあります。そしてまた、そういうふうな農地を持っている人たちは、すでに働く意欲を持っておりません。一部分の土地はいい値に売って、それでアパートでも建てて、今日ではそういう意味では気楽な家主さんというふうなことになってしまった。つらい農業なんかによってわずかの収入を得よう、そういうような意欲を全く失ってきてしまっておる。だから、都市周辺の農家で今日まだ耕している人は、農林大臣から表彰されてもいいような人であって、むしろそういう人はどんどんなくなっててきている。だから、そういうような都市周辺の農地については、それを有効に利用する。こういうふうな考え方で、農地法の適用を除外するか、あるいは転用をもっと簡単にできるようにしなければいけないと思うのです。  また、私どもの知っているなにでは、都市周辺では農業委員、ことに農業委員会のボスが土地の転用をめぐって、何かごあいさつを持っていかぬと、転用許可をしないというふうなことから、農業委員のボスが大成金になるというふうな傾向もできてきている。だから農地法というものは、なるほどおっしゃるように純農村では非常に役に立っております。せっかく農地法で農地改革が行なわれて、その成果を維持するために大きな役に立っておりますが、都市周辺では、これは一つの土地の有効利用に対するところの障害になってきていると私は思うのでございますけれども、農林大臣の御所見を承りたいと思うのです。
  164. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、土地利用の区分に従って、その利用の最も効果的なことをねらうのが土地政策としては全般的に見た見方だと思います。そういう意味におきまして、去年法律が出ました新住宅建設法ですか、こういうものなどによりまして、住宅地と指定されたものにつきましては農地の転用なども緩和するといいますか、弾力的に扱うということにもしております。そういうことでございますので、利用区分に従っては御趣旨のような線に沿うております。なお、農業委員会などが転用についてあまり好ましからないことなどをしている向きも聞いておりますので、これは、そういうことがないように私どもも厳重に指導して通牒も出しておる次第でございます。
  165. 岡本隆一

    岡本委員 非常にけっこうな御意見を承りまして、意を強ういたします。  そこでお伺いしますが、今国会企画庁から新市街地開発法――建設省から出るのですか、――が出るということを承っております。これは非常に広い範囲の土地に対してばっさり網をかけていく、そこへ区画整理をやって市街地を造成して、地主に対しては三分の一程度を還元譲渡する、こういうふうな制度の模様でございます。そこで、これは農林省とは非常に深い密接な関係がございます。とにかく相当広い範囲、たとえば一町、一町五反というふうな農地を持っていた人がその地域の中におると仮定します。そうすると、ばっさりそれが全部網にかかって収用される、売らなければならぬ。そうして返してもらうのが三分の一になる。一町持っておる人であれば三反半ほどが返ってくる、こういうことになってまいります。そうすると、その農家はもはや営農を続けていくことができない。だから離農しなければなりません。また、さらに営農を続けていきたければ他に農地を求めていって住居を変えなければならぬ、こういうふうなことになってまいりまして、そこにいる農家にとっては、これはダムで土地が収用されるのと全く同じこと、あるいはダムの場合には補償費で相当離農資金がもらえますが、この場合には、もとの価格相当のものを返すということでございますから、たとえていえば、一町持っておったと仮定いたしまして、反三十万なら三百万相当の土地がもらえる。それが少し公共投資で上がったところで、四、五百万程度のものが手に入るだけで離農していかなければならぬ。こういうことになってくるので、これは農家にとってたいへんな問題であると思いますが、農林大臣、この点について、この法律について御相談も受けておられるであろうと思いますし、農家にとって重要な問題でございますが、いかがお考えでございますか。
  166. 小山長規

    小山国務大臣 ただいま農林大臣に御質問でありましたけれども、実はいまお話の法律案は私のほうで原案をつくりまして、各省と問題点を詰め合わせておる最中であります。いまおっしゃったような問題が起こりますので、この場合には離農補償ということを当然考えなければならないということで、そういう準備でいたしておるわけであります。
  167. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 この考え方は、農業でいいますと、ちょうど耕地整理をやりまして、区画整理して換地処分をするときに、金銭で清算をするとか、あるいは土地で清算をするとか、そして土地で清算をする場合には還元譲渡を受ける、地域は少なくても譲渡を受けるというような考え方で、考え方としては私は地価の抑制もし、いい考え方だと思います。しかし、いまお話のように、農業に対する影響は相当あります。でありますので、新市街地開発地区の指定と農業との調整、それから農地の評価基準、こういう問題、それからいま建設大臣が話されました離農の補償、農民の生活再建措置、こういういろいろな問題を含んでおりますので、これが法案化される場合には十分こういう点について検討を加えていきたい、こういうふうに考えております。
  168. 岡本隆一

    岡本委員 相当どころか、これはその地域に住んでおる農民にとっては致命的な問題です。もうあげて生活を――ダムの補償でとられると同じような問題です。だから、もう少し具体的にお答え願わぬと、離農資金のことも考えておる、生活再建措置のことも考えておる。ただ考えておるというようなことでは、これは法案審議の過程の中でももちろん議論しなければならぬと思いますが、こういうような重要な問題は、土地問題の一環として、一つのこれが土地政策の国の一環だとしてこの法案が打ち出されてくる限り、国は一体そういう場合におけるところのその地域の住民の生活保障をどのようにめんどう見ていくという心がまえを持っておるかということについて、この機会に明確にしておいていただきたいと私は思うのでございます。これは、もちろん農林大臣の所管の問題でございますが、しかし、企画庁が中心になってそんな問題をもあわせて考えていかなければ、これは進まないと私は思うのでございますが、企画長官と農林大臣とからお考えを承りたいと思います。
  169. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 新市街地に指定される場所等によりまして、いろいろ問題の緩急、重い軽いの点があろうと思います。いまの離農の対策、あるいはでき得るならばそれにかわるべき農地を用意して、その農地に移るというような対策も講じなくちゃならぬと思います。そういうことでございますので、現実にこれが法律化する場合には、そういうあらゆる場合を検討して、そして万遺漏なきを期したい、こう考えております。
  170. 高橋衛

    ○高橋(衛)国務大臣 問題の根本は、土地利用区分をするということは、結局その利用の方途を制限するということになる次第でございまして、これは、建設省はもちろん中心でございますが、農林省、通産省その他各省に関連する問題でございまして、これは、やはり国政全般から総合的にこの問題を取り上げなければいかぬ、かように考えておる次第でございます。したがって、ただいま御指摘のような、各方面に非常にむずかしい問題が数多く伏在しておりますので、そういうふうな問題を一つ一つ検討して調整していきたい、かように考えておる次第でございます。
  171. 岡本隆一

    岡本委員 この問題は、憲法の所有権の問題とも関係があると思うのです。憲法では、公共の目的には適当な補償のもとで土地を国は使うことができるということになっておりますが、この公共の目的にということば解釈のしかたがいま非常に大きな転換をしつつある時期だと思うのです。いままでの公共の目的にということは、これは道路であるとか、港湾であるとか、あるいは直接公共施設、あるいはまた鉄道であるとか、そういうふうな非常に多くの人たちの利便に供する施設とか、そういうふうな場合に公共の目的にということばが使われ、それによって土地の収用が行なわれておったわけです。ところが今度の場合は、前の新住宅市街地開発法ですか、あのときから変わってまいったわけでございますが、とにかく個人の住宅に供される土地だ、しかし、そういう住宅用地をつくる場合に、ある程度不特定多数の人、少数の不特定といいますか、不特定少数といいますか、ある程度の人たちの集団の、しかしながら、公的な機関がやるところの事業に対しても土地が収用できるというふうな考え方に変わってきておるわけです。だから、個人の宅地を造成する、そういうふうなことのために最終的には土地の収用もできるし、先買いもできるしというふうなことになって、これは、日本のいまの土地の所有権が絶対的なものから相対的なものにもう現実に移ってきておるということをはっきり政府態度を示されたことだ、このことは私は一つの進歩だと思っております。だから、私どももこういう解釈がだんだん――憲法の自衛隊の拡大解釈、ああいうふうな解釈ではなしに、こういうふうな進歩的な解釈には私どもも賛成ではございますが、しかし、そういう拡大解釈が行なわれる限り、やはり土地基本法といいますか、土地というものについての概念、土地の所有権についての概念というものを、この際やはり国としてははっきりさしておかなければならぬのではないか。土地の所有権というものはあるのだ、上から下まで自分のものなんだ、そういうふうな民法のたてまえなんです。そういう民法のたてまえの中から、なおかつ、こういうふうな公共の用にということばがだんだん拡大解釈されて、その土地の所有権というものはこれは相対的なものだというふうに変わっていく過程の中では、やはり私どもは土地基本法というふうなものをつくって、土地は国民全体のものだ、その土地の有効利用を所有者はゆだねられているのだ、所有権というものは有効利用をする義務を負うているのだ、持っているのだ、しかし同時に、それは有効に使わなければいけないのだというところに義務を負うているというふうなことを、私はこの際明確にする必要があると思うのでありますが、これはどなたにお尋ねすればいいのですか。やはり企画長官にお尋ねをすべき問題ではないのでしょうか。
  172. 高橋衛

    ○高橋(衛)国務大臣 憲法にいう公共の福祉という観念は、私は必ずしも固定的なものじゃなしに、ただいま御指摘のように、時代の進歩とともに、内容において漸次変遷があってきたことでもあり、またそれでいいのじゃないか、かように考えております。しかしながら、ただいま御提案でございますか、土地基本法というような法律を考えたらどうかというような御趣旨でございますが、これは、非常に重大な問題でございます。私どもも十分検討いたしたいと存じますが、ただいまその中でお述べになりました、土地は国民全体のものだという考え方のもとにということになりますと、これは新憲法を根本から変える問題になりますので、その辺は、ただ単に社会の進展とともに公共の福祉という観念が内容的にある程度変わっていくという事柄においてものを把握するならばこれまた別問題でございますが、そういうふうな前提のもとにこの問題を考えることはいかがか、かように考える次第でございます。
  173. 岡本隆一

    岡本委員 しかし、土地利用区分を明確にするということは、土地の所有権に大きな制約を加えるということになりますね。そしてまた、それについてある程度の義務が課せられるということにもなると思いますが、そのようにお考えになりませんか。
  174. 高橋衛

    ○高橋(衛)国務大臣 先般公布された、いわゆる住宅地について不特定多数の人に対する宅地の供給だという意味で、土地収用法の適用をある程度するようになったのでございますが、そういうふうな個々の問題について、公共の福祉としてここまでは認むべきだというような点はあろうかと思いますが、全部土地を利用区分をして、それを完全に、これはこうでなければいかぬというように制限をすることは、これは、今日の時代において相当検討を要する問題ではなかろうか、こういうように考えます。
  175. 岡本隆一

    岡本委員 さっき農林大臣は、土地の利用区分をやって、それでもって農地の確保をするということには賛成だ、こういうふうに言われました。それでは建設大臣にお尋ねいたしますが、市街地周辺のすでに住宅地として十分公共投資が行なわれておる、そういうふうな地域について、それを有効利用させるような方途を講じる。そのためには、片一方では都市の地域を二つに分けて、まず第一には、都市の周辺部では、これは市街化地域といいますか、もう住宅地として市街化していくべきだ、あるいはそれを工場地としてどんどん有効利用していくべきだ、そういうふうな地域として指定して、そこではもはやその中に点々として遊んでおる農地、草をはやしているような農地の存在を許さない一方、はっきり区分して、それから道路一つ隔てた、あるいは川一筋隔てたら、これから先はもう農業用に使われるべき土地だ、こういうふうに区分をして、そこは農地として残しておく。それでもって地価の安定をはかっていく。こういうふうな形の土地の利用区分というものが行なわれなければ、公共投資もむだになってまいりますし、それだけでなしに、地価の安定もはかれない。だから宅地審議会でもそういうふうな答申をしております。土地の利用区分をやれ、そうして非市街化地域と市街化整備地域ですか、とに分けて、それでもって土地利用区分を確立していけ、そういう方向に進めということを、宅地審議会答申しているんです。だから、そういうふうな審議会答申をどう受けとめておられますか、それらのことに御賛成なのかどうか承りたい。
  176. 小山長規

    小山国務大臣 土地の利用区分をやることについては、私も積極的に賛成でありまして、そこで、具体的にはこれは法律でつくらなければならぬわけですから、法律化する場合には一体どういう問題点とどういう問題点をとらえておけばいいか、そして、それはどういうふうに処置していけばいいだろうか、これは、私は就任以来実は審議会の学者先生にもお願いしまして、いまその方向がようやく出始めた。非常に問題点が多いのであります。これは、あなたが御承知のとおり問題点が非常に多い。そこでこの土地利用区分はぜひやらなければならぬし、またやることによって初めて地価の問題に取っ組むことができるわけですから、そこで、これはぜひやらなければなりませんが、やるにしても、先ほど申し上げましたようないろいろな問題がある。そこで、この問題点を整理しますると、事は建設省だけでなしに、農林省の問題が出てまいります、通産省の問題が出てまいります。運輸省の問題が出てまいります。そこで、こういう問題がありますからということで、これを内閣の議に上げて、そして、政府としてそれじゃこれをひとつ断行しようという決心をしてもらおう。そして、その決心のもとにこれを具体化していこうという考え方で、いま進めているわけなのでございます。
  177. 岡本隆一

    岡本委員 農林大臣も賛成、建設大臣も賛成、まあこの土地利用区分について大きな密接な関係のある所管大臣はこの二人だろうと思うのです。もちろん通産大臣その他の方にも関係はございますけれども、一番大きな関係のあるのは建設、農林、その二人の大臣が賛成だと言っていられるのですから、どうですか、企画庁は、それでもなお土地利用区分を確立していくということについてためらうべき理由がありますか。
  178. 高橋衛

    ○高橋(衛)国務大臣 御承知のとおり、都市計画法等におきましては、それぞれ土地利用区分を、非常にゆるい状態ではございますけれどもやっておりまするし、また今後漸次そういうふうな方向に向かうことについては、私はそうあるべきだ、かように考える次第でございます。ただ、先ほど申し上げましたのは、ちゅうちょするという意味じゃなしに、土地は国民のものであるという考え方のもとにというおことばがございましたので、そういう考え方のもとだと行き過ぎじゃないか、かように申し上げたわけでございます。
  179. 岡本隆一

    岡本委員 法律的にそれを明記するということになれば、それはまあ自民党さん方にはいろいろ御異論もあろうと思うのです。しかし、ものの考え方としては、土地はその人に絶対的な所有権があるのだという考え方ではもういかない。そういうふうな意味で申し上げているので、まあ大体同じような考え方、共通点があると思うのですが、そこで、そういうふうな土地利用区分をやりますと、相当施策としては地価安定をおやりになるのに楽になってくるわけです。利用区分なしにはやれないのです。だから、土地の利用区分をやって、はっきりとした、これは住宅地である、これは農地であるということになってきますと、そこに空閑地という問題が出てくるわけです。この決議案の中にも、前にも空閑地税という文字にあらわすことについて一部異論がございました。しかしながら、私はどうしてもこれは空閑地税もしくは土地増価税というふうな形ではっきり打ち出してもらいたいということを強く主張して、空閑地税ということばをこの決議案の中に織り込んでもらったのでございますが、とにかく土地利用区分をはっきりさせて、そして、そこでもって有効利用しておらないものは空閑地、これは簡単に理解できるわけなんですね。だから、そういうふうな空閑地については課税をする。そのことによって、売り惜しみをしておるとか、あるいは値上がりを待っておるとかいうふうな、あるいは値上がりを待つために買うとか、いわゆる思惑買いであるとか、売り惜しみを防止することができる、こう思うのでございますが、大蔵大臣は去年の委員会で、どうもそういうことは賛成でないような御意向のように承ったのでございますが、いまもお考えはそのようでしょうか。
  180. 田中角榮

    ○田中国務大臣 学者の間において土地増価税及び空閑地税を創設せよという意見のあることは承知いたしておりますが、私も本件に対して相当研究しましたが、実際問題としてこれを行なうことは非常にむずかしいということでございます。同時に、私はあまり賛成でありません。しかし、賛成でなくとも、土地の地価対策をするために有効であるならば積極的に検討していいと思いますが、事実空閑地税を取りますと、税の上から考えてみて、特別に税を取ると、必ず売買価格が引き上げられるということになります。そういうことだけではなく、これは現行の建築基準法その他と非常に競合するのです。現在でも古い時代からの建築基準法――いま非常に変わりまして、容積制限等になりましたが、東京や大阪などは、一方において宅地が少ない、宅地を造成しなければならないと同時に、できるだけ過密化を防ぐためには、児童公園とか緑地とか美観地区とか、そういう空地を一定制限以上に設けなければならない、こういうことになっております。特に建築基準法の規定は、容積制限になりましても、建築面積と土地面積の間には、建蔽率を非常にやかましく法律でいっております。これは、採光、通風というだけではなく、人間が住むための環境整備というためにどうしても守らなければならない条件があるわけであります。でありますから、空閑地税をつくるということは、よりよい環境をつくるという現在の基準法の精神とは、全く相反するということになるわけであります。でありますから、空閑地税というものは、私たちも研究しまして、空閑地税ということをほんとうにやろうとする場合、いまのように個人的な二十坪の土地に対しても五割の十坪の建物をつくることを許しておる、こういう態勢において空閑地税というものは、これは非常にむずかしい、こういう結論になります。ですから、空閑地税ということをほんとうに研究されるならば、相当制限をする。いわゆる指定地区内において住宅を建てる場合には、何階以上とか、都市の立体化を中心として当然四階以上とか五階以上とかいうことになるわけでありますが、そのかわりに、建蔽率というものはいまよりももっと大きく空地を要請する、こういうことでありまして、空閑地税というものを簡単に考えてこれに踏み出すということになると、さなきだに混乱しておる過密都市はより混乱する、こういうことであります。ですから、法律で立体的な条件――これはイタリアや西ドイツでもってこういう問題にぶつかって、問題としては空間に伸びる、いわゆる四階以上のものでなければいかぬ、こういう制限と基準がなくては、空閑地税というのは、やれないのであります。私も、専門的に本件に対しては相当検討いたした結果であります。
  181. 岡本隆一

    岡本委員 空閑と空間がかちおうてややこしいですが、空間の利用をやるということについては、後ほどまた議論したいと思いますが、空閑地税についての空閑地ということばの定義について、見解に相違があるようです。なるほど容積制限をやれば、ある面積に対してうんと高く積めば、周囲に空地ができますし、住環境、あるいは通風、採光その他よくなりますね。そういうような意味において、周辺の土地に空地を残す、つくるということ、これはやらなければなりません。また、公園であるとか緑地もつくらなければなりません。そういうことは、都市計画としてどんどんやっていかなければならないのです。ところが、そういう都市計画を阻害しつつ自分の所有だといってがんばって、たとえば電車のターミナルがございます、駅前にちょっと離れたところからずっと家が並んでおるが、駅前だけはまだもう昔のままにネギやダイコンが植えてあるというふうなところが間々あるわけです。そしてまた、至るところ住宅はできてきておる。しかも、たとえていえば、よく例にあがることですが、公団の団地ができる。団地は駅から相当距離が離れておる。それまでの間は路道がきちんと整備されておるが、周辺は全部農地のままだ。そうして市街地化が阻害されている。だから、空閑地というふうな考え方は、土地の利用区分を明らかにして、市街地化をするというところは、ここは市街地化をするということをきめる。市街化すべきことをきめられた場合には、そこは有効利用しなければいけない。だから、いまおっしゃるように、適当な都市計画をつくり、その計画に従ったところの町づくりをしていく。その町づくりに応じないで、値上がりを待って何年でも遊ばしておく、あるいは買っておいてそれを有効利用しない、そういうふうなものをわれわれは空閑地として定義づけようというのです。だから、そういうふうな土地の思惑買いや売り惜しみをするような人たちに対しては、やはり有効利用に協力させるような方法を税制の面でとるべきでないか、こういうふうな考え方を言っておるわけであります。だから、そういう意味では、あなたの御意見は少し飛躍しているように思うのです。
  182. 田中角榮

    ○田中国務大臣 空閑地税の問題は、いまからもう十数年前に、都市の立体化、都市計画法等を審議しましたときに、超党派で検討した問題であります。私も検討いたしました。そうして空閑地税のごときものをつくるとしたならば、これは都市計画法を非常に厳密なものにして、相当土地に対する私権を制限するということが確立せられない以上、空閑地税は非常にむずかしいのであります。ですから、その当時、与党、野党を問わず建設委員会で検討しました結果は、当時議員立法で制定せられた耐火建築促進法に基づきまして、一定の地域内――いわゆる区分指定をするわけでありますが、その指定地域内において立体的な住宅が建てられる、そうして、住居の用に供するものが二分の一以上とか、そういう法律で指定する制限地区の中にそういうものをつくるときには、隣接地域を三分の一とか五分の一とかは収用できる、こういう立案をしたのでありますが、憲法上の私権制限の問題がございまして、これは削除になって、今日に至って平面都市という世界に類のない東京や大阪ができているわけであります。ですから、立体的に都市の再開発を行なうということを前提にして、私権が相当程度制限をされることが現代の社会通念の上で正しいのだという考え方を先行させないと、地価対策としての空閑地税というようなものはなかなか成り立たないということであります。  もう一つ、私たちが検討しました問題に土地増価税がありますが、土地増加税というものは、道路ができた、それから駅ができた、こういうことで、いままでたんぼであったものが、駅ができたから、非常に利用度が高くなったので、これに対して一定の税率で税金を取るということでありますが、これは、中小企業がそのままそこに住んでおれば、売った場合には非常に高い利益を得ますが、売らない場合には依然として利益は生まないのであります。ですから、農地が現在売買をせられた場合は、売買利得に税金はかかりますが、現状のままでもって農耕をやっておる場合には、幾ら売った場合に高く売れるとしても税金は払えない状態にあります。  もう一つ、この土地増価税と空閑地税のような思想を推し進めてまいりますと、今度新幹線が通った、非常にやかましい。やかましいために補償を要求する、こういう反対の税法上の理屈が生まれるわけであります。そうすると、もう当然景色代みたいなものはあたりまえだ、こういうことになるので、これは税理論から考えてみましても、非常にむずかしい問題が内在しておるということは事実であります。
  183. 岡本隆一

    岡本委員 私権の制限をやる必要がある、これは前提条件として話しているわけです。土地利用区分を確立せよということは、私権の制限をやれということなんです。その私権の制限を前提条件として、それだけでも地価抑制のある程度の効果はございますよ。しかしながら、それだけでは売り惜しみや思惑買いというものを抑制することはできない。少なくも多くの人たちが、国民全体が地価問題で悩んでおるときに、私は、やはりそういうふうな売り惜しみあるいは思惑買いというものを規制するような強力な措置をやらなければいけないと思う。だから、大臣のおっしゃるところの私権の制限は、土地利用区分の確立によってきちんと先にやる。その上に立ってそれを一そう推進するためには、そういう税制措置が必要だということ、このことは何も日本だけでやれというていることじゃないのです。すでにドイツでは、御承知のように空閑地税をやっております。またイタリアでは、土地増価税をやっておる。イギリスでも、都市計画でもって土地利用区分をきちんと確立してやっておるから、地価の値上がりというようなものは、日本ほどは大きな問題になっておらない。だから、そういう意味において、世界一地価が高くなってきておる。この世界一高くなってきておる地価を、大臣はそれではそのまま野放しにしておいていいとおっしゃるのか。また、いまそれにかわるところの有効な方法を大臣は何かお持ち合わせになるのか、それを承りたい。
  184. 田中角榮

    ○田中国務大臣 土地増価税や空閑地税にだけしぼって少し研究し過ぎておるような気がいたします。これは東京や大阪というような、特に東京ですが、ロンドン八百五十万の都市の何倍かの非常な平面都市であります。なぜ一体こういうことになったか。日本人というものは、もう平面都市ということを前提にして考えて、道路のないたんぼに敷地をつくってうちを建てる。うちをつくってから水道を引き込む、道路をつける、ガスをやる。同じことを毎度毎度繰り返しておるのでありますが、パリのようなところはどうして一体合理的か、またアメリカのニューヨークのような、マンハッタンのようなああいう狭いところがどうしてうまくいっているかというと、地下構造物ができておらないところには、うちを建てても、国や市はこれらの問題に対して責任を持たない。こういう原則が確立されているのであります。ですから、パリにおいても、千七百キロに及ぶ地下道の上にのみビルが建てられるということでありますから、何百年たってもパリの都市は二倍に平面的にならないのであります。日本は、全くどこへでもとにかくうちをつくり、山の上にでも何でもつくって、そこへガスを引かなければいかぬ、水道を引かなければいかぬというところに大きな問題がありまして、いまの日本の、東京を基準にして考えますときには、これをロンドンやパリと同じような状態に制限をするとしたならば、十分の一にも二十分の一にもなるのであります。ですから、高層建築というものにいかに転換をしていくかという施策を進めるのが先であります。でありますから、われわれも私権制限の問題を検討しましたが、これは簡単にはいかないのです。工業地域の問題、商業地域の問題、住居地域の問題、こういう問題をやったときに、新しい憲法との問題で議論が存在するのであります。そういう意味で、結局都市改造をするには、私権の制限をするということは一つの理屈でありますが、それよりも国が税金を安くするというような措置をとることによって立体化が進むならば、地価対策になるのであります。ですから、昭和三十八年に私たちがやりましたものは、四階以上の建物であって住居の用に供するものに対しては、固定資産税及び不動産取得税の減免を行なったわけであります。こういうことだけでなく、イタリアや西ドイツにおいては、固定資産税を二十五年間まけるとか、こういう極端な政策をやっております。しかし、日本は地方財政の関係上、固定資産税というものが有力な財源であるということで、地方財政の確保という面から反対があって、都市開発が行なわれないという事実は、これは認めなければなりません。ですから、土地増価税とか空閑地税ということが日本の現在の都市の状態に当てはまるかどうかということを考えるときには、これは率直に言って、日本の大都市は――いなかは別でありますが、大都市は都市改造をして過密化を防いで、少なくとも現在よりも三分の一ないし二分の一の空閑地をつくるという政策をやらなければならぬほど稠密化されておるという事実を、十分理解すべきであります。
  185. 岡本隆一

    岡本委員 都市を高層化することが、土地問題の解決のかぎのように大臣はおっしゃいます。しかしながら、住宅や建物の高層化ということには非常に大きな隘路があるということを、大臣は忘れていらっしゃると思う。それは、日本の土地所有の零細化です。至るところを見てみなさい。一筆百坪持っているなんという土地は、大きいのです。五十坪、六十坪ですよ。この家並み一帯どこへ行っても――それは大臣の住んでいられるような邸宅街ならいざ知らず、一般の町並みに行ってごらんなさい。このごろはみな一筆三十坪、四十坪というような土地が売り出されておる。また事実、下町一帯は全部非常に小さい土地の零細所有です。その零細所有しておる人たちに対して、それじゃ一つになりなさい、そしてそれを立体化しなさい。それで二階でも三階でもだんだん上に上がってやりなさい、こういうふうなことを言っても、なかなか簡単にいかないのが今日の現状です。そういう日本の土地所有が零細化されておるという現実の上に立ってものを考えていかなければ――それじゃ、そんなものが簡単にばっばっと、土地収用法で取り上げて家を建てかえるのだ、高層化するのだといって、すぐそんなことが大臣がおっしゃるように今日簡単に進みますか。私は、都市の高層化ということには、大臣のなにには原則的には賛成なんです。しかしながら、二つの方法をあわせて行なわなければだめだということを私は言っておるのでありまして、しかも、たとえて言えば、杉並区であるとか練馬のあたりに行ってごらんなさい。いまだに畑のままで放置されておる土地がたくさんある。そういうふうなところを先に高層化したらいい。そういうところの広い空地へ高層の建物を先に建てていけばいいじゃないですか。そういう空閑地を利用して高層なものをどんどん建てていく、それでもって平面利用を防げばいいのであって、既存の建物をすぐ高層化するのだ、それによって土地問題は解決するのだ、こんな簡単なものではないですよ。だから、そういうふうな練馬、杉並、青梅街道や水道道路の両側には、一歩奥へ入ればまだうんと空地があります。ああいうふうなところを空閑地税を課することによって放出させる。そしてそこを、あとから問題を出していきますが、公団であるとかその他の公的な機関がどんどん買って、そこを高層化していく、そういうふうな方針をとらなければ、私は土地問題は解決しない、こういうふうに申し上げておるんです。しかし、この問題は平行線です。あなたに話しても首を横にばかり振っておられるから平行線ですが、これは、今度佐藤内閣の改造のときにやめてもらわなければならぬ。大蔵大臣にいつまでもおられてはね。
  186. 田中角榮

    ○田中国務大臣 私も、土地の問題に対して空閑地税というものができるならば、もうとっくにやっております。事実できないのです。これをやった場合に、もしもいたくない人間がバラックを建てた場合はどうしますか。事実ほとんどバラックが建つのです。(「認定すればいいじゃないか」と呼ぶ者あり)そういうことは、社会主義政策的な統制を考えれば別でありますが、そんなことは現在の憲法のたてまえでできないのです。ですから、これは実際問題として、こういう税が課せられる場合には、必ず取引価格は上がります。ですから、いまの税法のたてまえは逆な方向にいっているのです。実際いままでは、不動産の売買に対しては特例を認めておったわけでありますが、今度は、もうけるために買って三年以内に売り払って利益を得た者に対しては、特例を認めない、こういう税法の改正をやっておるわけでありますから、いまのようなことを考えると、私は率直に言って――過密都市の改造をやった例は一体どこにあるか、あります。ロンドンが、八百五十万のうち十年間の歳月をかけて百五十万の人口を移動せしめたニュータウン法があるのです。ニュータウン法とはどうなっているか。この法律は、公益は私益に優先すると書いてあります。ですから、過密化を排除するためにやる場合には、換地権から一切のものを公団の総裁にやれるようになっておる。こういういわゆる私権制限というものが――潜在人口を入れて、千万、千二百万というような、こういう世界に例のない、地球上に例のない東京の改造を考えるときには、私は空閑地税を取るならば、都市改造税を取るべきであります。これは理論上正しいことです。ですから、都市計画税とあわせて都市改造税というものがどういうふうにして取れるのか。それによって過大都市がどのように立体化されてわれわれの環境が整備されるかということは、現に研究が進められておるわけであります。どう考えても、私は、私の考える私のものさしにおいては空閑地税は取れません。
  187. 岡本隆一

    岡本委員 これは、非常に捕捉の困難な料理飲食税なんかでも取っているのです、今日の徴税技術では、土地なんてものは、目の前にだれの目からも見えるのです。遊ばしていれば、遊ばしているということがわかるのです。いまおっしゃったように、バラックを建てる――何ぼバラックを建てましても、そんなバラックの中に人間はそう長時日毎日寝起きできないです。また、その中に寝起きするほどしんぼう強いのなら、別にいい家を持っていて毎日そこで寝起きするほどしんぼう強いのなら、しんぼうのしっこをしたらいいじゃないですか。だから、幾らでもそれは捕捉できるし、同時にまた、そういうようなものを査定する委員会をつくればいいのです。地域住民をまぜた委員会をつくって、そういうふうななにをきちんと捕捉すれば、空閑地であるかないかの認定ぐらいは、簡単にできるのです。とにかく料理飲食税が取れるぐらいのものが、どうして捕捉できないか。そんなことは理屈にすぎないのです。やる気がないからおっしゃるのであって、これはもう少しやはり――別に大蔵大臣一人でおきめになるのじゃないですから、これは、企画長官や建設大臣あるいはその他のなにに検討してもらわなければならないと思うのですが、これは私はまじめに取り組んでもらいたいと思うのです。企画長官、どうですか。あなたの御意見を聞いておりませんが、いかがですか。大蔵大臣がぐっとああいうことを言うたら、あとは何とも申せません、こういうことになりますか。
  188. 高橋衛

    ○高橋(衛)国務大臣 空閑地税については、まだ十分な検討をいたしておりませんが、非常に困難な問題であるということは、ただいま大蔵大臣からお答え申し上げましたとおりである、かように考えます。
  189. 岡本隆一

    岡本委員 企画庁として、それじゃ私が冒頭に申しました地価問題は、何年計画で解決するつもりか。とにかく少なくとも二、三年うちには方針を打ち出してそれを強力に進めなければ、方針をきめただけじゃ地価は安定しないのですよ。方針をきめたら、その方針をどんどん進めることによって、こまを動かすことによって数年後に安定してくるのです。だから、それでは検討していただいて、一体何年を目途にきちんとしたところの地価対策を打ち出してもらえるのか、これを明確にひとつ出していただきたい。
  190. 高橋衛

    ○高橋(衛)国務大臣 先ほどお答え申し上げましたとおり、昨年の衆議院の本会議におけるところの御決議の趣旨を尊重いたしまして、政府としては鋭意検討を進めておる次第でございます。したがって、決してこれはなおざりにしている問題じゃなしに、とにかく今年の一月の閣議決定においても、正式にこれを取り上げたということでございます。したがって、いつまでにどうという確たるスケジュールは、非常にむずかしい問題でございますから、いたしかねるかと思いますが、しかし、ほんとうに前向きに一生懸命やっているということだけは、ひとつ御了承願いたいと思います。
  191. 岡本隆一

    岡本委員 これはもう平行線でございますが、すでにこれは諸外国で、ドイツでは空閑地税、またイタリアでは土地増価税、それによってすでに地価の安定に成功しておる。そういう成功しておる例にならって、日本にも何らかのそういうふうな税措置をもって思惑買いやあるいはまた売り惜しみを規制するような方法を講じよ、こういうふうに私は主張しておるのに、政府のほうには全然誠意がございません。私は、そういうことになってくると、勘ぐりたくなってくるのです。なるほど地価の値下がりが起こりますと、土地をどんどん吐き出してくる。そうして法的な措置がどんどん行なわれて地価の値上がりがとまってくると、これは、金融上あるいは経済界に相当な影響を及ぼしてまいります。いまの土地会社、不動産会社を考えてごらんなさい。金を借っては土地を買う。その土地担保に金を借っていく。全度はまたそれでもって土地を買うというふうにして、自転車操業のように、雪だるまのようにして土地を買い占めていっておるのです。ひとつ土地の値上がりがストップしましたら、利息が払えなくなります。また土地が値下がりになれば、今度は元金も払えなくなります。これは、日本の金融界にも相当な影響がある。だから、この問題は困難な問題であるということは、私も考えております。しかしながら、その困難を乗り越えてやらなければならないところに、今日の地価問題の重要さがあるということなんです。国民がとにかく一生かかって家を立てようという、その自分の家を持ちたいとする夢すらいま打ち砕かれておるのが、今日の地価問題です。そのような国民の切実な要求に全然こたえようとなさらない。私は、今日の大蔵大臣答弁を聞き、企画長官答弁を聞いて、あまりに地価問題に対するところの情熱のなさにあきれ果てるほかしかたがありません。私は、次の機会に一度総理にこの問題についての総理の所信を聞かなければ、承知できないと思うのですよ。委員長総理が呼べませんか。こんな重要な問題です。日本の地価問題ほど重要な問題は、今日ありません。総理を呼んでください。私は総理の来られるまで待ちます。(「時間がないよ」と呼ぶ者あり)時間みたいなもの、何ぼかかったっでいいじゃないか。私は、あまりにも誠意がない。答弁に誠音曲がない。
  192. 小山長規

    小山国務大臣 いまだんだんのお話を伺っておりますと、いまの土地増価税とか、空閑地税というところに問題でまいりましたが、問題は、岡本さんのおっしゃるのは、土地の利用区分をつくってそうして、土地の地価を安定する政策をとれ、これが私は本論だと思うのです。そこで、いまの空閑地税、私は未利用地推進税という名にしたらいいだろうと思うのでありますが、そういう趣旨だと思うのでありますが、そういうものをやるためには、先ほども何度も申しましたように、利用区分が必要である。利用区分をした上で、その税金を取ることが地価安定に役立つか役立たぬかということは、これはまた別個の問題だと思います。その上で役立つならば研究しなければならぬし、役立たぬとなればまた別の方法を考えなければなりませんし、問題は、やはり地価の安定対策をどうすればいいかということなんだと思うのでありまして、それは、先ほど申しましたように、私も就任以来熱心に研究をして、いまそのおおよその答えがだんだんいろいろな形で出ておりますから、それを整理しつつある段階であると先ほど申し上げたわけであります。これは、岡本さん自身も御承知のように……。   〔発言する者あり〕
  193. 青木正

    青木委員長 静粛に願います。
  194. 小山長規

    小山国務大臣 むずかしい問題であるからいままで時間がかかっておるのでありまして、ですから、ここで心機一転しまして……。   〔発言する者あり〕
  195. 青木正

    青木委員長 お静かに願います。
  196. 小山長規

    小山国務大臣 この問題に真剣に取り組んでいこうじゃないかというかまえをしておるということだけは、御了承願いたいと思います。
  197. 岡本隆一

    岡本委員 地価の安定には、供給の増加のほかに、どうしても思惑買いを規制する以外に、今日の日本の現状としては地価の安定の道はありません。だから、この問題につきましては、私ももう一度謙虚に勉強し直します。しかしながら、政府のほうももっと掘り下げて、謙虚な気持ちでもってこの問題と取り組んで、ほんとうに、とにかくこう土地が上がっては困るというところの国民の強い要望にこたえていただくようにお願いしておきたいと思います。  それから、まだ五、六分ありますから……。次に、住宅問題でございますが、私は大臣がいま言われた土地の立体的な利用、これに大いに賛成なのです。だから、これについては私はもっと強力に、地価の安定施策と一緒に施策を進めていただきたいと思うのです。今日のような平面的な利用というものはむだが非常に多いと思うのです。  第一番に、私はそういう意味で一つの案は、いま住宅の団地が非常に都心から離れて遠いところへつくられていっております。これについては自治大臣にもお尋ねしたいと思っておったのですが、もう時間がございませんのでその意を得ませんけれども、とにかく無計画に団地を千葉であるとか埼玉であるとか、そんなところへどんどんつくられていって、そういうところの知事さんは迷惑しごくだ、こう言ってきておる。同時にまた通勤する人たちも、非常なラッシュの中で一時間、二時間通勤に時間を使わなければならぬ。これはもうエネルギーの面でも、あるいはその他の経済的な面でも非常な損失です。だから職場へ歩いて通える団地づくり、こういうふうな考え方で、これからの住宅政策を進めてもらいたい。そういうことになってまいりますと、いまおっしゃるとおりの立体化ということになってくる。たとえばこれから工場が郊外へできます。工場団地をつくります。そうすると、工場団地は工場団地として独立させてつくることはよくないと私は思うのです。工場団地の中へは、しぼりのように、かのこのようにといいますか、間々へ住宅地をはさんでもいいのではないか。そこへ立体化したところの住宅地をつくる。工場団地なんかをつくりますと、それとは別に、離れたところへ住宅地をつくって通わせる、相当の距離を置いて通わせるというようなことが今日の団地づくりの形でございますけれども、私は今後やはり――今日の工場というものは、公害を出すようなことはしてはいけない。ばい煙であるとか騒音であるとか、いやなにおいであるとか、そういうようなものを出さないような工場づくりをしなければなりません。そういう職場づくりができましたら、その近くに歩いて通えるような団地をつくってやる。しかも、それを立体化したものをつくる。その地域は土地が安いからといって平面的な団地づくりをしないで、比較的土地の安いところでも立体化した団地をつくっていく。だから、そういうふうな財政措置をこれから後大蔵省としては考えていただくべきではないかと思うのでございますが、大臣の御所見を承っておきたい。
  198. 田中角榮

    ○田中国務大臣 非常に示唆に富まれた発言であります。いままでは確かに学校というと学校だけの予算を組む、また工場というと工場だけの予算を組む、そういうところに、環境が整備されない、あとから直すので倍も三倍も費用がかかるということになっておるわけでありますから、ワンセットでものを考えるということは必要であります。私が先ほど申し上げたニュータウンという法律は、これはもう教会から病院から、すべての社会的な必要の施設は、ワンセットで移動したというところに成功の原因があるわけであります。  それから、いま団地が無制限にということであります。確かにこの問題は大きな問題であります。いま神奈川県平塚近くにつくった団地は、団地はつくったけれども、何方という通勤人口に対して、東京に運んだり、東京から帰す交通網が整備をされておらない、こういう問題であります。団地はできたが水は来ない、道路はないと同じことであります。ですから、こういう問題にやはり深刻に取り組んで、私は、ロンドンやニューヨークの何十倍もある平面的に発達した東京都の都心部を、より立体的に都市改造を進める、こういうところに公団などが力を入れるということになれば、いまよりもより合理的な都市改造ができると考えます。ただそのときに問題は、税を取るというだけではなく――いまの法律でも、二十坪以内の小さいものはうちが建てられないことになっておりますが、実際建っております。また防火地区内において、耐火建築でなければいかぬと言いながら、やむを得ず仮設建築ということで期限づきで建ったものが、二十年も三十年もそのまま人が住んでおる。こういうように土地が細分化されておるところに問題があるのでありまして、やはり指定地区内においては何十世帯、何百世帯、何階以上という基準を置いて、しかも分割された小規模の土地は、これに収用できるというような社会的な要請を満たす制度をつくるということが加味されるならば、私は東京や大阪の地価対策という狭い問題だけではなく、環境の一大整備が行なわれるということを考えております。
  199. 岡本隆一

    岡本委員 大蔵大臣の地価対策の一面としての都市の立体化ということには、私も賛成でございます。そういう面について私も幾つかのプランを持っておりまして、きょうも持ってきてこれから議論しようと思っいたのですが、時間がございませんから、非常に残念でございますが、しかしながら、私はやはり税制の面で、空閑地を持っておる人に土地を有効利用してもらうような施策を講じていくということも重要な問題であると思いますので、ひとつ前向きの姿勢で御検討を願うようにきょうはお願いいたしておきたいと思います。  これをもって終わります。
  200. 青木正

    青木委員長 これにて岡本隆一君の質疑を終了いたしました。  次に正示啓次郎君。
  201. 正示啓次郎

    ○正示委員 閣僚諸公にはたいへん御迷惑でございますが、自民党といたしまして一般的な問題を六時までお願いしたいと思います。よろしくお願いします。  すでに本会議あるいはまたこの委員会におきましていろいろ論議が尽くされましたが、私はきょうの質問の焦点を、この予算審議、すなわち国政の全般にわたる審議を最も建設的に有意義にしていくには、一体どういう姿勢をもってわれわれ政党人が取り組んでいくべきであるか、こういう見地から、ひとつしばらく閣僚の先生方とともに考えてみたい、こういうことでお願いをしたいと思うのであります。ただいま官房長官がちょっと御不快のようでございますので、大蔵大臣にひとつ官房長官のかわりもお願いするかもしれませんから、よろしくお願いいたします。(「格下げだな」と呼ぶ者あり)いや官房長官への格下げではないので、たいへんこれは重要な意味でございますが、申し上げるまでもなく、本年はいわゆる日本の成年式の年、あるいはまた大蔵大臣の表現によれば、四十代の働き盛り、こういうことであります。われわれ政党人も、いわばおとなになって国政を審議すべき時代が来た、あげ足とりやあらさがしに終始するような予算審議というものは、これは大いにわれわれとしては反省をしなければならぬ、こういう見地から、私は非常に注目すべき世論をひとつここに申し上げてみたいと思うのであります。これは、去る二月五日のある新聞の夕刊に出ておりますが、予算委員会運営はセミナー方式ではどうであろうというふうなことを書いております。私は、これは非常に示唆に富んでおると思うのでありまして、このいままでの予算委員会審議におきまして、もちろんいろいろと有益な点もございましたが、もっとおとなの議論をやっていくようなことにわれわれとしては心がけなければならぬじゃないか。私は、昨年野党の先生方と一緒にオリンピックを見たのでありますが、あの見たときの気持ちというものは、われわれは忘れてはいかぬのじゃないか。オリンピックをアジアにおいて日本が初めてこれを主催し、非常な成果をもって行なわれたのでありまするが、このオリンピック開催のとき、われわれは日の丸が掲げられ、あるいは君が代が歌われたときに、民族としての自覚を再認識した、こういうことを私は強く感じるのでありまして、これがオリンピックから得た一番大きな教訓ではなかったか、かように思います。そういうときに、国会は、やはりひとつこういう民族としての国家的利益を中心としてこれから審議を進めるというふうなことが非常に大事ではないのか。そういう意味におきまして、いま私が引例いたしましたこの予算委員会運営も、ひとつお互いにあげ足取りや、あらさがしということではなくて、いかにすれば国家的利益を増進し、民族としての繁栄をはかっていけるかという見地において、与党も野党もやっていかなければならぬ。こういうふうな世論というものは、われわれは大いにそれを参考にしなければならぬと思うのであります。  そこで、私は大蔵大臣にひとつお尋ねをいたしますが、先般、いわゆる三矢研究を契機といたしまして、ここに一つの小委員会予算委員会に設けられたようでございます。この活躍に大いに期待をいたすのでありますが、今日日本が、外交に自主性を持たなければならぬ。これは佐藤総理も常に言っておられることである。しかし、外交に自主性を持つためには、私は防衛を忘れた外交の自主性というふうなものは空理空論ではないか、こう思うのであります。そこで、今回小委員会が設けられるような機会におきまして、ひとつ与党も野党も超党派的に、国家的、国民的見地において、防衛問題を主とする委員会をひとつ国会につくるべきではないか、こういうふうなことを私は考えておるのであります。要するに、超党派的に考えるべき幾つかの問題点をこれからあげていきますが、その第一にいま申し上げたような考えを持っております。  三矢研究には、いろいろとなすべき点がございましょう。これについて予算委員会としてなすべき点がございましょうが、しかし一方におきましては、自衛隊が災害出動し、東京の水飢饉の給水に出動し、国民からあれだけ喜ばれた自衛隊、そういう自衛隊をわれわれは憲法上いわゆる日陰者の扱いにしておるじゃないか、それで一体いいのか、こういう問題も私は超党派的に大いに研究に値すると思うのでありますが、ひとつ大蔵大臣総理大臣のつもりでお答えをいただきたい。
  202. 田中角榮

    ○田中国務大臣 御発言は傾聴いたしましたが、ここで私が述べるにはあまりにも大きい問題のようであります。しかし、国会審議は、この審議を通じまして政府が国民に対して政治の姿を申し上げる場でございますし、また皆さんも、国民側から政府を叱吃勉励し、よりよき政治を築く場でありますので、お互い真摯な態度で国政が論議せられておりますことに対しては心から喜んでおります。また、国会に対して、委員会を特に防衛等に対して設けたほうがいいという問題の御提起がございましたが、これは、国会の問題でございます。長い間このような議論がありますことも私も承知をいたしております。しかし、一面においては、この各省別の委員会ということは、どうもつながりがあまり密接になり過ぎるということで、ある時期に農林、水産委員会一つにしたり、また社会労働が二つであったものを一つにしたりでございますが、私はいまの内閣委員会の仕事は非常に膨大でありまして、まあより政府の施策やまた政治のあり方を検討いたしていただくためには、国会が防衛委員会といいますか、いまの内閣委員会の職務分掌を幾つかに分けられるということはあってもいいことだと思います。しかし、これは国会の問題でありますので、政府がこれをおつくりくださいというような問題でなく、与党である自由民主党、社会党、民社党の皆さん、そういう方々がよりよい国政の討議を行なうためにどうあるべきかという過程において御検討、御決定いただくものだと思います。
  203. 正示啓次郎

    ○正示委員 実は与党、野党が超党派的に努力をした成果というものも、決して少なくはないと私は思っております。先ほど岡本委員がおあげになりました昨年の地価安定施策の強化に関する決議、これは実は私が趣旨弁明をいたしまして、岡本先生が社会党を代表して賛成演説をなすった。これなんかまさに内政における超党派的努力の実った一つの例であります。また外交におきましては、核実験の部分的停止条約を昨年御承知のように批准をいたしました。この点については、さきに第四十七回国会で佐藤総理また椎名外務大臣が、それぞれこの部分的核実験停止条約について所信を表明し、中共はすべからくこの条約に参加して、新しい核実験を行なうようなことをやめてほしい。いま中共の第二回の実験は近いといわれておりますが、佐藤総理と椎名外務大臣は、そのことを痛切に訴えたのであります。また当時は、社会党の皆さんもわれわれと一緒に、われわれは放射能をかぶることはごめんだ、中共よ、核実験をやめてくれ、これは、与党、野党を通じてのきわめて深刻な日本国民としての要望が国会を満たしたのであります。その結果、日本共産党は分裂をしました。歴史的事実であります。しかるに、今日中共は、再び核実験をしようとするがごときニュースが流れてくることをわれわれはあらためて遺懇とするのであります。これはぜひともひとつ超党派の日本国民の悲願をあらわすように、私は野党の先生方ともどもに訴えたい、こう思うのであります。  そこで、そういう過去の成果を踏んまえて、われわれとしては、これからもいま申しい上げたような防衛の問題、そしてこの内閣の直面している最も重要な問題であるといわれておるところの消費者物価定安の問題、こういう問題にも私は超党派に取り組まなければならぬ。これも政府がただ単にやっていないとかやっておるとかということでなくて、私はこの消費者物価の安定という問題は、これはあらゆる角度から総合的に解決をしなければならぬ問題でございまするから、さきに本会議において、私どもの先輩の福田赳夫議員が、いわゆる国民総ぐるみでこの消費者物価の安定に取り組んでいかなければならぬということを大いに訴えられたのでありますが、私も心から共鳴をし、同感の意を禁じ得なかったのであります。  そこで、私はさきに防衛に関する委員会ということを申し上げたが、経済安定、安定成長ということがやはり絶対の要件であるということは、もはやこれは通説だと思う。そこで、いま岡本委員がるる述べられた地価安定も、まさにその一つなのである。物価を安定させる。地価を安定させる。経済を安定成長に持っていく。これは私はりっぱに国会一つ委員会を設置する値打ちのある問題ではないか、こう思う。経済安定を与党と野党が胸襟を開いて語るということ。ヒヤリング式に、またセミナー式にこういう問題に取り組んで、建設的な提案を、施策を練っていくということが必要なのでありまして、この点について、物価安定ができない、内閣はそれをやっていないというふうな批判ばかりが私は国会の職責ではないと思うのであります。そこで、与党のわれわれとしてもそう思うのでありまするが、野党の方々も、たびたびこの委員会におきまして物価をストップせい、物価をストップせい、こうおっしゃる。しからば賃金はどうですか。物価ストップと賃金ストップとはうらはらではございませんか。そこで私は、これはどうしてもやはり経済安定、物価安定に関する委員会を設けるべきだと思うのでありますが、安定成長の本家本元であられる経済企画長官高橋国務大臣は、どういうふうにお考えでございますか。ひとつ御意見をお伺いいたします。
  204. 高橋衛

    ○高橋(衛)国務大臣 先ほど田中大蔵大臣からお答え申し上げましたとおり、委員会の問題は国会の問題でございますから、政府の立場としては申し上げることを遠慮さしていただきますが、物価の安定が今日政治の非常に大きな問題であり、これがわれわれほんとうに腰を据えて取っ組んでいかなければならぬ問題であるという点については、ただいま正示さんのお話しのとおりでございます。しこうして、ただいま物価を安定すると同時に賃金の問題を取り上げられましたが、物価を安定し、しかも、なおかつ経済の成長の程度に応じて賃金が上昇するということが、これが結局――経済の成長というものは国民の福祉の増進、われわれの生活内容の充実という目的でございますから、その点について、もちろん物価の安定と賃金との問題は無関係ではございません。相当緊密な重要な関係を持っておることは御承知のとおりでございますが、安定しながら、なおかつわれわれの生活の向上がなし得るという状態に持っていくことがわれわれの理想じゃないか、かように考えておる次第でございます。
  205. 正示啓次郎

    ○正示委員 長官お急ぎのようですから、長官の分を先に進めさしていただきますが、要するに、いま申し上げたような委員会を設けまして、私はどういうことをやるかという点につきましては、先般国会討論会を伺っておりますると、たしか社会党からは横路先生、その他出ておられまして、長野県のリンゴが産地では幾らであるが東京へ来ると幾らになる、こういうことで一体いいのだろうか、あるいは管理価格、いわゆる野党の方のお呼びになる管理価格を分析いたしまして、もっと近代化、合理化によってこのコストダウンをすれば、物価の引き下げもできればあるいはまた消費者に対するサービスもできるのじゃないか、こういう議論を盛んにやっておられる。私はわが意を得たりと思ったのであります。そこで野党の社会党の方々には、これはもうぜひ賃金の面におきまして、いわゆる大企業の組織労働者の賃金をどのくらい上げれば中小企業にはどうはね返るか、農林水産物資にはどうなるか、こういうことを総合的に討議するところの委員会、そしてまた与党といたしましては、これに対しまして株式の配当はどうするか、あるいは会社の利益金の保留はどうするか、こういう企業政策、いわば経営者と労働者と、そして国民大衆が資本家であるところの、このいわゆる主権者である国民の立場、消費者の立場、こういうあらゆる角度から私はこの物価問題というものを総合的に検討するところの委員会、そして野党は野党の立場、与党は与党の立場においてここで討議をいたしまして、こういう消費者物価安定問題、経済安定問題に取り組んでいくという姿勢こそは、おとなになった国会の当然やるべきことだと私は思うのであります。したがって、国務大臣高橋さんは、やはりそういう熱意を傾けて、国会に対してもかくあるべきであるというふうな、私は政府としても希望あるいは期待を持たれることは当然だと思うのでございますが、そういう点について、いままでの物価問題に取り組まれた長官としての所見を伺いたいのであります。
  206. 高橋衛

    ○高橋(衛)国務大臣 昨年の秋に英国で労働党内閣ができまして後、ただいま御指摘のような物価の問題、または国の経済全体の安定的な成長の問題というものは、どうしても政府並びに労働者、使用者、三者一体となってこれに協力していくというのでなければ達成できないというふうな観点から、熱心な話し合いが持たれまして、昨年の暮れの十二月の十六日でございますか、共同声明が発表されましたことは御承知のとおりであろうと思います。私どもとしてはまことにうらやましい状況でなかろうか、かように感じておる次第でございます。物価の問題は、もちろん私ども政府責任を回避するという趣旨ではございませんが、とにかく政府も労使も国民も、全部が一体となってこれと取っ組むという姿勢ができなければ、なかなか根本的な解決はむずかしいという点は、ただいま御指摘のとおりでございます。そういう意味におきまして、少なくともそういうふうな空気が国民の間にだんだん出てくるということがぜひ望ましい、そういうふうな観点から、実は就任当初、いわゆる所得政策というものについてぜひ政府としても検討していきたいということを新聞に載せたことがございますが、それはそういうふうな考え方が国民の間に一般的になって、そして相互に協力する態勢がだんだんできてくるということがぜひ必要であるというふうな観点から、そういうことを考えておる次第でございます。
  207. 正示啓次郎

    ○正示委員 物価問題は、私が申し上げるまでもなく、きわめてじみちな努力、これが実ってはじめて解決できる問題であり、ただ単に公共料金の一年ストップというふうなこと、私はそういう何といいますか、非常にはなやかな簡単なやり方で解決する問題でないことは、あらためて申し上げるまでもないと思います。特に消費物価問題におきましては、いわゆる食料品とか、その他の日常の生活に必要な物資こそが、一番大きな関心事であることはあらためて申し上げるまでもないのでありますが、そうしたじみちな着実な努力の積み上げという意味におきまして、すでにこの国会でも論議されましたが、私はひとつ農林大臣にその点を確認いたしたいのでありますが、たとえば食料品総合小売市場管理会法案、こういうのは、私はすみやかにこの成立を期すべきじゃないか、こういうふうにも考えます。また先般野党の方から本委員会でお話しになりました芝浦屠場の中央市場化、こういうことも、私はどうしてもやらなければならぬことじゃないか、こういうふうに思うのでありますが、この点について赤城農林大臣のお考えを伺います。
  208. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 総合小売り市場の問題でございますが、この問題は、御承知のように前々国会ですか、衆議院を通過しまして参議院に継続審議になっておる問題でございます。一番流通経費のよけいにかかっている小売りを合理化していく、これが必要だろうと思いまして、そのモデル施設を二十カ所ばかりつくろうということでございます。小売り商の商権を侵害するんじゃないかというような心配をしておる向きがございますけれども、小売り商がこういうふうになってほしい、こういうモデルをつくるのでございますから、私は小売り商のためにもいいことだと思います。ほかの小売り商が、そういう利益を受けないということでございますならば、これにつきましては、資金の融通、あるいはそれがいいということでどんどんやるということになるならば、国としても補助も出していく、そういうことをして合理化し、小売り商の繁栄にもなる、こういうのでございますから、すみやかに私はこれが通過することを期待しております。  それから芝浦屠場の問題でございます。これは、この委員会におきましても申し上げたのでございますが、非常に進んでおります。芝浦屠場を食肉中央卸売り市場化するということ、せり売りを原則としてふところ手で取引をするというようなことをやめさせること、市場の卸売り人は一社とすること、七十数社ございますが一社とすること、市場施設をできるだけ整備すること、こういう方針に基づきまして、東京都も昨年十二月十七日に芝浦の中央市場化をはかるために市場化に伴う必要資金の融通措置を、総額十五億円出すということをきめました。それから既存の卸売り業者に参加の意思をただしましたところ、ことしの一月二十日までに全員参加の意思表示があったのでございます。そういうことで、東京都が中心となって具体的検討を逐次進めておりますので、近く卸売り会社の発起人会が設立されることになっております。政府におきましても、市場化に伴う施設整備につきましては重点的かつ優先的に助成する考えでありますので、その取引の健全化についても十分指導監督して、公明な市場の早期開設を期していきたい、こういう段階でございます。
  209. 正示啓次郎

    ○正示委員 農林大臣もいろいろ御苦心をしていらっしゃるのでありますが、そういう問題は、やはり私はスタンディング・コミティー、常に行政府がやっておることをわれわれ国会が謙虚に聞いて、むずかしいところを国会が乗り出していって、東京都のいわゆるボス政治というふうなことがよくいわれておりますが、そういうところをひとつ政治力で打解するように国会も協力する。与党も野党も、国民生活の根本に触れるこういう問題について協力するという態度が、私はおとなの国会のやるべきことだと実は考えまして、先ほどのようなことを申し上げたのでありますから、どうかひとつ野党、また与党の先生方にもこの点を御参考にしていただきたい、かように思うのであります。  なお、物価問題で若干労働大臣にあとからお伺いいたしますが、あまり大臣をここにスティック申し上げるのは非常に恐縮でありますから、農林大臣にもう一問申し上げて、農林大臣にお帰りいただきたいと思いますが、山村振興、奥地山村の振興問題、これは私は、きょうも本会議における社会党の御質問にもございましたけれども、非常に大きな問題だと思う。社会開発と佐藤内閣の言っておられる問題、あるいはまた、いわゆる高度成長に伴うひみず是正と言っておる問題の中に、地域格差の解消の問題が大きく含まれておるのでありますが、その中で、私は山村振興問題が大きく位置を占めておると存じます。そこで、この問題について、われわれ自民党の中でも、山村振興特別設置法案、そういうものを寄り寄り練っておりますが、これはぜひひとつその精神を体して農林省のほうでも御協力いただかないと、ほんとうに健全な、先ほど申した民族の意識の再発見をしたオリンピックというものから日本民族は大きく世界にこれから伸びていくわけでありますが、そういう精神をほんとうに体得した新しいゼネレーションというものはやはり山村から出てくる、こう申し上げても過言でない。それほど山村というものは大事なものだと思うのでありますが、その山村に対する施策がやはりいままでは非常に不十分だ、こう思うのであります。林野行政その他僻地のいろいろの問題について特に関係の深い、またその方面に御造詣の深い赤城農林大臣に、ひとつ山村振興についての構想を伺っておきたいと思います。
  210. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 私は、佐藤内閣で社会開発ということを唱えておりますが、私なりに社会開発を定義しまするならば、恵まれざる人と恵まれざる地域、こういうものをよくしていくということにあろうかと、こう思うのでございます。そういう点から考えますると、山村というものは、非常に恵まれざる人々がおり、恵まれざる地域だ、こういうことでございますので、山村の開発というのは、ひずみ是正という点から言いましても非常に必要また大切なことと思います。現在といたしましては、農業の改善事業等によりまして、山村に適した弾力的な農業改善をやっていこうということも考えております。あるいはまた、林業基本法が昨年できまして、林業構造改善というようなことにも手をつけることになっておりますので、もちろん、林道の開設とかあるいは林業の振興のために構造改善に着手するということになりますならば、山村にも相当力を入れることに相なろうと思いますけれども、しかし、さらに山村の環境をよくする必要がありますので、総合的に、いまお話しのように山村振興の法律化というものが必要だろうと思います。予算におきましては、山村問題の調査費というものを計上しておりますが、さらにこれを立法化していく、これは、議員立法にいたしますか、あるいは各方面に関係しておりますので経済企画庁のほうで検討していくか、こういう段階でございますが、どうしても法律も必要である、その法律の裏づけをもって山村を振興していくということが大切である、こう考えております。
  211. 正示啓次郎

    ○正示委員 赤城農林大臣にもう一度。農業構造改善事業をいま非常に強力に進めておりまして、この前この委員会でも問題になりましたが、私は、山村につきましては、いまの農林省のパターンでは非常に実情に合わぬ面が多いと思うのであります。すなわち、ちょっとこれは変なたとえ話ですが、都会ならば、お医者さんは、内科だ、産婦人科だ、小児科だ、外科だ、これでいいわけであります。農林省の構造改善事業はどうもそういう傾向になっておるのであります。ところが、山の中に行きますと、お医者は、おれは内科だと言っても通らないのであります。私のおやじも医者だったのですが、歯医者もやらされる、産婆のかわりもやらされれば、外科もやる、内科もやる、小児科もやる、これが山村の医者の実情です。そこで、山村では、その山村の実情に合った構造改善事業ということは、単に果樹だ、いや牧畜だというわけにはいかぬのであります。林業も果樹も畜産も、何もかも取り入れて、その僻地の山村に適合したものをやってやらなければならぬ、こういうところが私は実情だと思うのでありまして、そういう意味からも、現在のこの国会でつくっております立法に大きく例外的な検討を加えないと、とてもとても山村の振興ということは言うべくして行なわれないのが実情ではないか。これは、私が申し上げるまでもなく農林大臣よく御承知だと思いますが、構造改善事業というものを推進していく立場から言って、しかも山村の重要性を先ほど言ったように御認識になっておる立場から言って、どうしても山村にアプライできる、適用できる施策というものをやっていかなければならぬということを私は痛切に感じておるのですが、その点についてもう一言お答えをいただきたい。
  212. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 構造改善の事業がとかく画一的だ、こういう批判が多いのであります。これにつきましては、弾力的に進めるようにしておりますが、さらに一そう山村につきましては、いまお話しのような事情が特にございますので、非常に弾力的に山村の事情に即したような形で構造改善を進めていきたい、こう考えております。
  213. 正示啓次郎

    ○正示委員 今年は予算に調査費も計上されたことでありますから、一そうの御調査をお願いして、実情に合った施策を講ぜられるよう期待をして、次に物価問題をもうちょっと伺いたいと思います。  御承知のように、今度の佐藤内閣の使命とするところはいわゆる高度成長政策によって起こってきた構造的な変化、これに対応する経済対策を進めることだと思います。そこで、造構的変化とは何であるか。静かに考えてみますると、一番大きな問題は人手不足である。国際収支が非常に危機だと言っておりますが、私は、むしろ人手不足ということが大きな質的な変化ではなかったかと思うのであります。かつては、いわゆる人手が非常に余っておりまして、特に農山村は過剰労働者、潜在失業者を大きくかかえておる。こういう経済的な構造を持っておった日本経済が、ここに人手不足経済へ移行した。これが一番大きな特色であり、構造の変化であろうと申し上げていいと思うのでありますが、こういう面から物価問題に取り組んでいく必要があるのではなかろうか。これはひとつ石田労働大臣にお願いをしたいのでありますが、この問題を解決せずして、やはり物価安定問題は言うべくして実現できないのではないか。先ほど申し上げましたが、賃金問題と簡単に言いますと野党の方々を非常に刺激するのでありますが、そうではない。人間がとうとくなったのだ。人間尊重ではなくて、人間の値打ちが上がってきたのだ。だから、その上がってきた人間の価値に対して経済というものをどう適応させていくかという経済問題、これが人間尊重に当然ならざるを得ないのだというところに着眼いたしまして、これから超党派的にこの問題に取り組んでいかなければならないのではないか、こういうふうに私は考えるのであります。  そこで、石田労働大臣にひとつお伺いいたしますが、盛んに春闘、春闘と言われておるわけです。私は与党のわれわれとしても大いに反省をしなければならない点があると思いますが、労働問題といえば治安問題であるというような考え方は、これはアウト・オブ・デートであります。しかしながら、春闘と言うこともどうでございましょう。バトル、ファイト、こういうことは、どうもおとなの国会であまり使うことばではないのじゃなかろうか。これは、マスコミのほうでも春闘というふうなことをいつまでも言っておられることは、平和国家日本においてどうでございましょうかと実は申し上げたいのであります。そこで、労働大臣一つお伺いいたしますが、物価安定の見地から言って、このいま展開されようとしておるいわゆる春闘――しかし、これは、春闘などということばを使わなくても、現にILOの問題について大いに労使話し合うべきであると外人から指摘されたのは恥ずかしい。実に恥ずかしい。だから、大いにおとなになって、経営者も労働者も大いに話し合い、政府国会もまた高い次元に立ってそういう話し合いを大いに促進するようにすべきである、こう思うのであります。  そこで、労働大臣にお伺いをいたしますが、いわゆる春闘の今度の特徴というものは一体どこにあるか。いろいろとマスコミにも取り上げられているのでありますが、いわゆる不況ムード、不況ムードと言っておりますが、実は、相当日本の企業を防衛しなければならぬような情勢で、労働者も経営者も国民大衆も、経済を破綻してしまったのでは、これは何にもなりません。土俵があって初めて相撲は取れるのであります。相撲にたとえて春闘を言うのは私はいやでございますけれども、とにかく、土俵をなくしてしまったのでは、何とも話にならない。ところが、そういう企業を破壊するような労働争議が相当行なわれてきた。また、今日の中小企業倒産問題を一つ取り上げてみましても、これはやはり中小企業の金詰まりということもございますけれども、その中に労働対策というものが全然なかった。いままで労働問題なんか全然知らなかった小さな町工場のおやじさんが、労働組合によって何かやられると、一たまりもなく手をあげてしまうというふうな例も多いのではないかと思うのであります。そこで、これはいろいろと問題をはらんでおるのでありますが、そういうことと消費者物価の問題とは実に切っても切れない関連を持っております。今回のこの賃上げ問題が、いま一方においては総評が非常に高い姿勢をとっておる。一方においては、経営者はきわめて低い姿勢をとっておる。低い姿勢と高い姿勢で向かい合っておるところのこの相撲を、行司は石田名労働大臣であるわけでありますが、この労使の姿がどういうふうにあるべきだと労働大臣はお考えになっていますか。すなわち、経済の安定成長、物価の安定ということを前提にすれば、一体どういう態度をとるべきだと労働大臣はお考えになっておられるか。この点をひとつお伺いしたいと思います。
  214. 石田博英

    石田国務大臣 ほんとうに平和的な環境をつくって、そして、その中からわれわれの安心した豊かな社会をつくり上げてまいりますためには、われわれが日常使うことばから注意しなければならないと思うことは同感でございます。適当なことばがあれば、そういう適当なことばを使ってもらいたいものだと考えております。ただ、現在この春季に賃金の問題を中心といたしまして発生しつつある労使関係の紛争にあたっては、先ほど行司ということばを使われましたけれども、労働大臣は行司的な立場にございません。これは、いわば土俵管理者でありまして、そうして、法律の中で定められたその土俵の中で労使が自主的な話し合いによって良識で解決せられることが望ましいことだと考えている次第であります。  それから、もう一つは、労働力不足基調に移った、これがわが国の経済の一つの大きな危険であるという御説でありますが、確かに技術労働、あるいは若年労働においては不足基調がございます。だが、日本経済全体の中における労働力の問題を考えますときに、はたして西欧に見られるような労働力不足の状態にいまあるかどうか。一方においては、東京、名古屋、大阪などのような地域では、求職者より求人が各年齢層を通じて上回っていることは事実でありますが、他方面、九州などにおきましては、まだ殺到率は五・一くらいを示しております。若年労働は確かに不足を来たしておりますが、中高年齢層になりますと、なお労働力は余っていると申しますか、就職の機会がはなはだ恵まれないのであります。しかも、なお若年労働がほんとうに不足だ不足だと言いながら、たとえばデパートなどで見ますと、玄関にただいらっしゃいませと言うだけの若い労働力が依然として使われている。エレベーターの前にもいる。エスカレーターの上と下には、お足元に御注意などと言う若い労働力がいる。そういう状態を考えてみますときに、私は、はたしてほんとうにいま不足であるかどうかということはたいへん疑問があると思う。現在必要なことは、そういう矛盾点を処理していくということが必要なのであって、西欧のような不足基調にはない。表現は少し大げさかもしれませんけれども、ある意味においては過剰の中の不足だ、しかし、確かに基調は変わってきております。ところが、基調は変わってきているのに、労働力が過剰であり、特に若年労働が多かった時代と同じ考え方で労務管理を考え、労働経済を考えているところに、私はいまの状態をより悪くしている原因があるのだと思うのでございます。そういう点について、たとえば、若年労働を用いなくても済むところには、中高年齢層の就職の機会を促進するように努力をいたしてまいりたいと思っておるのであります。  それから、賃金の物価に及ぼす影響でございますが、経済の成長、すなわち生産性の向上に伴って、勤労者の賃金がそれに伴ってその範囲内で上昇することはきわめて望ましいことであります。しかしながら、すべての産業において同一の条件のもとにあるというわけにはまいりません。たとえば、産業間におきましては、石油精製業におきます労務比率は二・三%くらいでありますが、道路運送業になりますと四〇%をこえるのであります。したがって、生産性の向上によって賃金の上昇を消化し得られる産業と、それが非常に困難な産業とがございます。また、中小企業のかつての低賃金、いま規模別格差の縮小の過程をたどっておるのであります。これは、労働行政としては喜ばしいことだと考えておるのであります。そして、その縮小の過程をたどっておりますときに、その賃金負担に耐えかねた分が物価、料金に移っていることは事実でございますが、それを解消するためには、その中小企業の生産性を上昇する、賃金格差に耐えられるように生産性を上昇する部面に施策の重点を向けるべきであって、格差が縮められてきつつあるという現象を否定すべきではない、こう私は考えている次第でございます。したがって、生産性の上昇に伴って賃金が上がってまいりますと、ある程度、料金、あるいは労務比率の高い産業の生産品の価格というものに影響を与えてまいります。それを最小限にとどめるような努力はむろん必要でごごいますが、それは、先ほど申しました格差の縮小という面におきましては、生産性の上昇に努力をしていくべきものだと存じております。  さらに、賃金の問題等を取り扱う場合におきましては、企業の防衛という観点からこれを考慮する必要はむろんございますが、その企業の防衛は何のために企業防衛をするかといえば、その企業に働いている人々に豊かさを与えるために企業を防衛するのでありますから、その双方がその良識の上に立って善処されることを期待いたしておる次第でございます。
  215. 正示啓次郎

    ○正示委員 労働大臣に、御迷惑でしょうが、ちょっとあとからもう一問お願いいたしまして、大蔵大臣がどうしてもお帰りにならなければならぬというのでございますから、大蔵大臣に先に、二問一緒にお願いします。  この委員会で、われわれ与党と野党との間で、これはやはり超党派で大いに研究していくべき問題であると思うにかかわりませず、非常に食い違っておるのは税制問題であります。これは、時間がありませんから簡単に申し上げますが、私は敗戦後の日本が、アメリカの占領政策が中心になって、そしてその税制がやはりアメリカ式にいわゆる直接税中心に組み立てられた、これは大きな不幸だったと思う、率直に。実は、私は当時その関係でありまして、欧米各国を回りましたが、ヨーロッパの先進国で、特にドイツ、フランス、イタリア等で、日本はどうしてアメリカのまねをなさるのだということを強く指摘されたことがある。そこで、社会党の皆さんは、どうも直接税でないと、いわゆる大衆に対して非常にこれは大衆課税だ、いわゆる逆累進で大衆を収奪するものだ、こういう議論が非常にあるのでございます。それは、確かに間接税ですと、所得税のような累進課税はできませんから、そういう点がありますが、しかし、アダム・スミスの時代のような観念でいまも同じように考えておられるところに間違いがあるのじゃないか。(「冗談言っちゃいけない」と呼ぶ者あり)そこで、静かにお聞き願いたいのですが、所得というものは、マルクスやアダム・スミスやマルサスの理論をそのまま信じておるところに、私はいわゆる革新政党として反省を要する問題があるんじゃないかと思うのでありまして、われわれは、われわれの負担のほんとうの公平さというものは、所得を得てその所得をどう使うか、使い方によって税の負担を違えていいじゃないか。そして、そういう議論からいきますると、いわゆる社会開発、経済開発、再生産、そういうものにわれわれの所得をいかにコントリビュートするか、これに着目して、税の負担というものが変わってきて当然じゃないか。郵便貯金はそうじゃありませんか。郵便貯金は免税されておる。これは、貯金をするからであります。どういう階層が貯金したって郵便貯金は免税であります。その郵便貯金を免税にしておる思想は一体何か。これは、社会の再生産に寄与する、そういうものに対してわれわれは税をかけなくてもいいという、これは百万円を今度限度にすることになるのでありますが、そういう思想がちゃんとここに打ち立てられておるではないか。しかるに、郵便貯金のほうはよろしい。ところが銀行預金にくると目くじらを立てる。株の配当になると、もってのほかである、こう言う。そこに私は観念の混同があると思うのであります。そこで、どうしてもわれわれは資本の蓄積をやっていかなければならぬ。消費をする者に対しては税をかけて、この消費をカーブする必要がある。そういう意味において、間接税というものを広くかける、そうして直接税を思い切って減税する、しかも、その減税されたところによって所得の余裕のある者はこれを貯蓄させる、貯蓄は優遇する、利子配当、そういうものに対して優遇をして、国民経済のパイを大きく大きくしていって、賃金も上げる、配当もふやす、物価も下げる、こういうふうに持っていくということが、私は、経済発展の常識ではないかと、かように思うのが第一点。この点について大蔵大臣の所見を伺いたい。私は、ここに各国の間接税と直接税の比率を持ってきておりますが、これは、大臣はもうよく御承知ですから申し上げません。  それから、もう一つ。歳計剰余金、これを国債償還に毎年二分の一ずつ充てておったのでございますが、本年はそれを二年間にかけて五分の一というふうに下げられた。この点も野党の諸君と非常に見解を異にしておりますから、私はここで一応考え方についてコンファームしておきたいのですが、きょうたまたまの本会議において治山治水の五カ年計画について建設大臣から趣旨説明があった。私は、歳計剰余金が出る根本は、もちろん、景況あるいは経済の発展ということによって歳入がふえるという点もあります。しかし、経済が発展し歳入がふえても、一方において大災害が来たらどうなるか。これはたちまちにしてそのよって生じたる歳入を食ってしまうのであります。そこで、災害に備えなければならぬ。しかも、災害は忘れたころにやってくる。だから、私は、こういう剰余金を国債償還に繰り入れるというようなことは、もう今日日本の国債のアウトスタンディングから言えば、こんなことは必要ではないというか、必要は非常に少ないのでございますから、その繰り入れ現象が起こったならば、この繰り入れ現象によって生じた余裕財源は治山治水の財源に優先充当してはどうかと考えるのですが、こういうふうな考え方を大蔵大臣はどういうように考えられるか。この二点についてお考えを伺いたい。
  216. 田中角榮

    ○田中国務大臣 まず第一点目の税制の問題でありますが、私も大体あなたと同じ考え方を持っております。これは、直接税中心で、直接税にウエートを置かれてまいりました。確かにアメリカ式の税制だと考えております。しかし、いままでこの税制が寄与したことを考えますと、いままでは非常によかったと思います。それは、なぜかといいますと、これは大蔵省的な考えを率直にまる出しで申し上げますと、直接税中心主義でありましたので、非常に財源確保は容易だった。超健全均衡、超均衡というか、いわゆる対前年度比二四%、二四・三%もふやしたときでも、その財源の九五%は当該年度における税収である、こういう非常に世界に例のないような超健全政策をとられたのは、この制度のためであります。ですから、私は、戦後のたくましい成長の陰にはこういう税制があずかって力があったと思います。同時に、国民側から見ますと、これは申告納税の制度ではございますが、個人の秘密、そういうものは守れないことでございます。プライバシーを侵すということも、いまの制度ではこれは当然であります。同時に、国民所得は非常に高くなった現在、いまの制度のままですと、納税人口がふえると同時に徴税人口がふえていくということは、これはやむを得ないことであります。間接税でもって酒税及びたばこ等の税金を収納いたしておりますが、直接税にウエートを置いている場合と徴税人口は一体どうかといったら、これはもう比ぶべくもないのであります。いずれにしましても、毎年毎年、そういう意味で、直接税中心でありますから、納税人口がふえるためにどうしても徴税機構が追いつかないということだけでも、減税はしなければならない。でありますから、アメリカが一回二回減税をやるのがたいへんだといわれておるにもかかわらず、現在十一、二年間で単純累計で一兆二千億ぐらい、この八〇%以上は所得税の減税であります。これをいまのベースで計算しますと、約十兆円ということにもなるわけであります。ですから、私は、いままでは功罪いずれもありますが、政府が今日まで健全財政をとれてきたという税制に対しては、私評価をすべきだと思いますが、現在物価問題一つをとらえましても、物価に寄与しているのは何かというと、国民消費が一番大きいわけであります。そのほかに財貨サービスが第二に数えられております。財貨サービスの問題に対しては、だんだんと小さくし、一般会計においては約三年間で総額三千億も縮小しておるわけであります。同時に、一般会計はうんと縮まっておりますが。地方財政は大きくなっております。ちょっと申し上げますと、一般会計は三兆六千五百億であります。それから地方財政は三兆六千百億であります。ところが、内容を見ますと、地方財政は一般会計のちょうど倍であります。一般会計の三兆六千五百億の中には七千億余の交付税がございます。九千億余の国庫支出金がございます。この一兆七千五百億を引きますと、一般会計の総額は一兆九千億余であります。こういうところをずっと数字を追っていきますと、やはり、物価に対して国民消費が非常に寄与しておりながらも、まあこの程度で済んできましたものは、直接税で税金が確実に収納されておったというところにバランスがとれたのではないかとさえ考えられるわけであります。しかし、私は、これからのことを考えますと、フランスは御承知のとおり七五%以上八〇%に近い間接税を取っておりますが、税はやはり多く消費をした者がよけい払う、酒を一本飲んだ人と三本飲んだ人ということになれば、三本飲んだ人は当然税をよけい払う……。ただ、大衆課税という議論でこの問題が押えられてきたのと、もう一つは、非常に時期の悪いときに取引高税で失敗をしましたので、あつものにこりてなますを吹いておるということは、私はやはり考えてみるべきだと思っております。私も二年数カ月大蔵省に在職しておりますが、私は、現在のものを是認して、現在のものに対してまじめな税の執行を行なうと同時に、非常にスピーディーに事態は動いておるのでありますから、わが国の現状に徴して最も合理的であり最も新しい方法は何かということを考えますと、やはり、間接税にウエートを置くということを、イデオロギーではなく、もう一ぺん考えるべきときだというふうに考えておるわけであります。間接税といえば、たばこや酒だけであって、これを倍にするわけにはいかぬ、こういう極端な議論をすぐ言いますが、私は、応益負担ということで、やはり消費をする者が税金を納めるということを考えていけば、調和点は十分見出し得るというふうに考えております。しかし、これは戦後二十年に近い税制の歴史がございますので、国民各位の理解を得て、前向きというよりも、新しい日本の実情に合うような立場で、やはり税制そのものも、確固不動のものだという考え方だけではなく、より合理的な道を選んでいくべきだと考えます。  それから、第二の問題でありますが、これはあなたももう五分の一にすることはいいというお考えでありますから、まあしいて申し上げませんが、ただ、誤解があると悪いので申し上げますと、いままで少し超健全過ぎた。一般会計で負担する国債残額があるなしにかかわらず二分の一ずつは積んでおくのだ、こういうことは、インベントリーと同じような思想で、積んだものは使わないということであったわけでございます。戦前の最高は、一般会計で負担する国債総額を繰り入れ額の比率は二・九幾らだと思いますが、このままでやりますと八・三九という非常に高い率になるわけであります。一面においては社会保障等もっともっと金を出さなければならぬと言いならば、現在の法律の陰に隠れて大蔵省は超健全の名において積み立てておるということになると、これは問題があります。ですから、乏しい財源の中でできるだけ減税も行なったわけでありますし、財源の効率的な運用という意味で五分の一に暫定的にいたしたわけであります。あなたは、それを一歩進めまして、治山治水の特定財源にというお考えでございますが、そういう議論のあることも承知いたしております。私たちも、治水特別会計をつくりましたときには、こういうものを使えばあるじゃないかということを主張した側でございます。しかし、今度の措置はこの財源と無関係で行なったわけでございます。こういう財源をどうするか、また、治水治山の特別会計の特定財源にすべきかどうかという問題は、新しい問題として検討すべき問題だと思います。
  217. 正示啓次郎

    ○正示委員 労働大臣はたいへんお忙しいようですから、労働大臣に最後にもう一問お願いいたします。  先ほどのお話のように、これは、私も時間があれば詳しく申し上げたいのですが、時間がありませんので簡単に申し上げますが、要するに、まだまだ日本では労力をぜいたくに使っておるということは、おっしゃるとおりです。そこで、消費者物価ですが、たとえば床屋に行く。さっき私は医者のことを申し上げましたが、日本の床屋は、いわゆるどんぶり勘定。こういうところに過剰労働時代のまだ遺風が残っておると思うのです。そこで、たとえば、さっき百貨店の女子労働者のことを言われましたが、非常に使い方にむだが多い。消費者物価の問題は、やはり労力を尊重する、人間を尊重する、労力が大事なものだという考え方からいかないと解決しない。そこで、これは厚生大臣のほうの所管ですが、労働賃金という意味において労働大臣にお答えを願いたいのですが、一つは、たとえば床屋のサービスのようなものも、ヘアカット、いわゆる髪を刈る、顔をそる、洗うというようなことを、それぞれ分けて、それに対する労働対価を定めるというふうな考え方が、労働を大事にするという意味から必要じゃないか、こういうことも考える。  それから、いろいろなことを一度に尋ねて恐縮ですが、先ほどのいわゆる春闘についてお答えがありましたが、どうも、賃金というものについて、労働の価値というものと労働の生産性というふうなものとにらみ合わせて賃金をきめるという考え方が非常に足りないのじゃないか。たとえば、いままでの賃上げ闘争では公労協を真正面に立ててわっしょわっしょやらせた。こういうことでは非常にいけないので、やはり、はっきりと民間の労働組合というものがあって、企業の業績がどうなっておるか、そうして、それに対して生産性はどうなっておるか、賃金をどうすべきか、こういう考え方で、ほんとうに冷静に経営者と労働者が話し合う、こういうくふうが絶対に必要だ。春闘についてどうお考えになるかというお答えがなかったのでありますが、そういうことを私は考えておるのです。この点についてお答えをいただいて、労働大臣にお帰りいただきたいと思います。
  218. 石田博英

    石田国務大臣 労働力を有効に管理し、そして有効に活用するということがいまの時代には一番大切なことだということについては、全く同感でございます。しかし、それには、もう少し消費者がそれを理解してくれることがやはり必要ではないだろうか。私は、いま御指摘の、床屋さんが西欧やアメリカのようにヘアカットとか、ひげそりとかなんとかに分けてやったらどうか、こういうことは、私自身が行く床屋に言うのですが、私が行きます床屋はそうなっております。一般にこれを普及することは、なかなか消費者のほうは承知しない。だから、これはやはり消費者教育も兼ねてやらなければならない。先ほど申しました、現在の時点においては確かに過剰の中の不足ということが言えるように思いますが、だんだんと労働力の純増というものが減少してまいります。現在大体百七、八十万の純増が見られるのでありますが、昭和五十五年になると八十三万くらいに相なります。そのときには経済もより以上成長し、雇用も増大しておりまして、そういう時代を考えて、いまのうちから貴重な人の力というものを大切にするということが必要であり、それについては行政指導につとめたいと思っております。  それから、春季闘争についての考え方でありますが、先ほどお答えしたつもりでございます。というのは、これは、経済問題を中心といたします労使関係の紛争というものは、労使の自主的な話し合いによってきめていただくのがたてまえである。それのきめ方にあたっては、経済の環境、企業の実情、そういうものを勘案して良識によって話し合いを進めてもらう、つかなかった場合においても、でき得る限り争議手段等に訴えないで、労働委員会等の活用によって処理していただくということが望ましいことだと考える次第であります。賃金は、むろん生産性との関連において決定せらるべきものであります。しかしながら、公務員の場合は、そういうことが直接的に計算ができませんから、民間の一般的な同種同規模の賃金に見合って、人事院の勧告に従ってやっているというのが実情であります。今回は官公労関係を先頭に立ててというような傾向にはないように判断をいたしておる次第であります。
  219. 正示啓次郎

    ○正示委員 だいぶ時間もたちましたので、委員方々にも御迷惑ですから、急いであとやります。  建設大臣、長い間お待たせをいたしました。先ほど地価問題で何もやっていないじゃないかというお話がありましたが、そうじゃないので、たとえば宅地問題につきまして、すでに計画局では今度は宅地部をつくるというようなことも、この前建設大臣から御言明がありました。その他、いわゆる密集市街地を開発する場合にはいわゆる還元譲渡制を考えるとか、いろいろなことをやっておられると思いますが、この地価問題について、これもやはり私はじみちな施策をやる以外にないと思います。先ほどどうも何もやっていないじゃないかというふうなことで岡本委員質問は終わったようでありますから残念でありますが、その点をやっていただきたい。  それから、先ほど農林大臣に尋ねたと同じ趣旨でございますが、道路の整備について小山建設大臣は新しい構想で地域格差の解消をやろうと考えておられるようであります。いわゆる地域的な配慮を十分に加えたいと言っておられるのですが、どういうことを考えておるか。  この二点をお答えいただきまして、建設大臣に御退席をいただきます。
  220. 小山長規

    小山国務大臣 地価問題は、先ほどからたびたび出ておりますように、非常に複雑な原因がからみ合っております。そこで、原因がわからないでただ地価問題を論じておったところでしかたがないのであります。御承知のように、需要・供給できまる、こう言われておるのでありますが、需要は一体どこから出ておるかといえば、これは、経済が急速に拡大していく、こういうことから需要が拡大しているのでありますから、したがって、需要の鎮静ということをまず考えなければならぬ。これは、いまの経済安定政策の基本であろうと思いますが、需要の鎮静がまず一方において必要である。一方においては供給の増大をはからなければならぬ。そこで、住宅公団の予算とか、あるいは金融公庫の予算とかいうものを逐次ふやしまして、宅地を造成して宅地の供給をふやしておる。こういうふうに需要と供給の面をやっておる。一方において、区画整理をやりましたり、あるいは宅地造成をやります一面において、流通の問題を考えなければならぬ。そこで、鑑定士制度をつくっていっておる。また、公示制度をやろうとしていま準備をいたしております。ところが、それでもなおかつ片づかぬ問題があります。片づかぬ問題が先ほど岡本先生が言われた問題でありまして、その片づかぬ問題にメスを当ててみると、これは、とどのつまるところは土地利用区分ができておらぬということになってくる。そこで、その土地利用区分をやらない限りは地価問題の根本解決にならないというところの認識を得ましたから、この問題に真剣に取り組んでおります。ところが、簡単に土地利用区分と一口に言いますけれども、中に踏み込んで研究してみますと、ありとあらゆる議論が出てまいります。そのありとあらゆる議論をいま宅地審議会でやってもらっておる。それを整理して、さて現在の憲法のもとにおいて可能な範囲は一体どこであろうかということをいま模索し、そしてそれを整理をして何とかして早急にこの解決を求めたい、こういうことでいまやっている最中であることを先ほど申し上げたわけであります。  次に、道路の問題でありますが、道路については、私もたびたびあちらこちらで言っておりますように、従来、道路の整備についても、いわゆる先進地と後進地の差があります。この差は一体どこから出てきたのかというその原因をきわめれば、自動車台数がどうとか、人口がどうとかいうところに基準が置かれている。そこで、四十年度の予算の配分にあたっては、この基準を若干変えてやる必要はないか、そして、整備率のおそいところに予算の配分が多いような方法はないのかということをいま検討を命じて、何とかこれもその方向に持っていきたい、こう考えておるところであります。
  221. 正示啓次郎

    ○正示委員 道路予算の配分はぜひとも地域格差解消に向くようにやっていただきたいということを強く要望いたします。  次に、自治大臣、国家公安委員長に一言お伺い申し上げます。  今日、佐藤内閣で大きく取り上げられた人間尊重の趣旨からの政策に、いわゆる交通事故の絶滅、これは新年に佐藤総理がたしかおっしゃったと思うのでございますが、非常に大事なことでありまして、いろいろ各般の施策が必要だと思いますが、私は、その中で特に物価問題と同じに国民総ぐるみで交通事故というものは防がなければならぬのじゃないか。実は、いま建設大臣が言われたように、道路はだんだんよくなっていく。私の郷里あたりでも、大阪からどんどんマイカー族がやってくる。そうしますると、いままで純朴ないなかの運転手さんになれておったいなかの者が、都会の運転手さんになれてないために、このくらいのところならだいじょうぶだろうと道を横切っておるとひかれて死んでしまう。道路がよくなって事故死がふえる。非常な悲劇であります。そこで、国民総ぐるみの交通事故絶滅運動の一環といたしまして、警察官をふやすことも必要でございますし、罰則を強化することも必要でございましょうが、どうしても、日本人の一つの悪いくせかもしれませんが、おまわりさんのいないところでそっと悪いことをする、運転手は交番の前だけはおとなしそうに走って、交番がなくなるとむちゃをやる、そういう運転手に対して国民がみなで監視の目を光らせなければならぬと思います。これをモニター制と言っておるのであります。モニター制についていろいろ議論はありますが、その技術的なことはひとつ専門家にまかせますが、国民総ぐるみで、乱暴な運転手をなくするという意味において、モニター制度についてぜひこれを実現する方向で私は考えていただきたいと思うのですが、吉武大臣はどういうふうにお考えでございますか、お伺いいたします。
  222. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 交通事故が相当多くて犠牲者がだんだんふえておることは、はなはだ遺憾がございます、昨年はいままでにない最高の記録を示しまして、死んだ人が一万三千三百、負傷者四十万という最高記録を出し、総理から年頭の初閣議にこの点について特に留意するようにという御発言もあったようでございます。これをなくする方法といたしましては、いまおっしゃいましたように、一警察官だけの取り締まりではとうていこれを絶滅することはできませんので、お話のように、国民の総ぐるみ運動が必要かと思います。それにつきまして、いま御指摘になりましたモニター制ということも、これはぜひ考えていくべきことだ、かように存ずるわけでございます。なお、この問題に関係いたしまして現在も交通事故撲滅の総ぐるみ大会というようなものが毎年行なわれておるのでありますが、近く総理議長といたしまして交通事故防止の国民会議を開く予定になっております。なお、これに関連いたしまして、各府県でも知事を中心にいたしまして地方の国民会議を開いて、一般の国民の協力を得て撲滅をしたい、かように存じている次第でございます。
  223. 正示啓次郎

    ○正示委員 あとのほうははしょってまいりますが、運輸大臣に伺いますが、あとから通産大臣にお願いしようと思っておりますいわゆる国際収支の問題。先ほど労働力不足の問題をやったのですが、この国際収支を均衡さすという意味から言って、いわゆる貿易外の支払いを減らすということが非常に大事な点であります。最近は、数字は省略いたしますが、航空機による旅行者が非常にふえております。ところが、諸外国に比べまして、いわゆる国内機、日航機を利用する者が比較的少ないのであります。この点について、私は、これは国産奨励と同じ趣旨から、海外旅行者はもっと日航機を利用すべきだと思いますが、この点についての運輸大臣のお考えを伺います。
  224. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 お答え申し上げます。  御指摘の点は、国際収支均衡の上に重要な点でございます。特に、貿易外収支といたしまして、船と飛行機が一番大きな問題でありますが、船のほうは、本年は四億八千万ドルくらいの赤字にはなりますけれども、船については日本に長い沿革があり、また、造船事業については世界の四割を占めておるというような世界第一の造船力を持っておる背景があるのでありますから、これはまあ年数がたてば回復すると思います。飛行機においては非常に沿革がない、しかも国際航空路に制限が多いということでございまして、いろいろな手を打っております。たとえば、三十六年十月には、事務次官会議におきまして、優先的に政府関係職員並びに政府関係者が外国に行く場合には日本の日航機に乗れという決議をいたしておりますし、また、昨年の九月には、優秀国産品の認識運動の一環といたしまして、日本の海外渡航者に対しまして国産機を利用するようにということを閣議決定をいたしました。また、一般人に対しましても、海外渡航者に対しまして、日航機を利用しようということを宣伝いたしておりますが、先ほど申し上げましたように、日航機の航空路というものが非常に狭いのです。アメリカはいまのところサンフランシスコ、ロスアンゼルス、シアトルまでしか行かれません。ニューヨーク、及び大西洋を渡って世界一周飛行の要求をいたしておりますが、これはなかなかいま通らないというところであります。が、私は、開放経済をやる以上は、どうしてもこの問題は、日本の外貨獲得並びに日本の貿易を盛んならしめるためには、世界至るところ、世界をまたにかけて商売ができるというのには、やはり航空路を獲得しなければならぬ、これが今後の経済外交の第一である、かように考えまして、全力をあげて御期待に沿いたいと思っております。
  225. 正示啓次郎

    ○正示委員 大いにがんばっていただきます。  最後に、通産大臣、おそくまで恐縮でございました。中期経済計画におきまして、いわゆる経常収支の均衡がこれからの国際収支についての一つの目標になっております。四十年度は基礎的収支の均衡ということでございますか、非常に輸出振興が焦眉の重大問題であります。そこで、いろいろ聞きたいのですが、時間がございませんから、ただ一つ、今日の通産省の一番大きな仕事は、輸出振興すなわち貿易、中小企業の近代化と振興、この二つがあるのです。通産大臣、おやりになってどうですか、輸出振興ということと、中小企業の近代化という二つの仕事を一人じゃたいへんじゃございませんか。各国ともいわゆるセールスマン大臣がおるわけです。そこで、貿易省と中小企業省をおつくりになったほうがいいという実感を持っておられるのじゃないかと私は思うのですが、その点を伺って、私の質問を終わります。
  226. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 正示委員もいろいろおっしゃりたいところがあろうかと思います。私はそのおっしゃる気持ちは十分わかります。しかし、現状におきまして、そういう行政機構の改革を考えておりますと、これがまた障害になりますので、御承知のように、中小企業行政は産業全般の中に含まれておる、また貿易行政もそうだと思いますので、現状におきましては、私が全責任を負いまして通商産業省で大いにやりたいと、かように存じます。
  227. 正示啓次郎

    ○正示委員 どうもありがとうございました。
  228. 青木正

    青木委員長 これにて正示啓次郎君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  229. 青木正

    青木委員長 この際、分科会の件についておはかりいたします。  理事会の協議によりまして、昭和四十年度総予算審査のため五個の分科会を設置することとし、また、分科会の区分は、第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、内閣総理府(防衛庁及び経済企画庁を除く)、法務省及び文部省所管並びに他の分科会の所管以外の事項、第二分科会は、会計検査院、防衛庁、外務省及び大蔵省所管、第三分科会は、厚生省、労働省及び自治省所管、第四分科会は、経済企画庁、農林省及び通商産業省所管、第五分科会は、運輸省、郵政省及び建設省所管といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 青木正

    青木委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。  次に、ただいまの分科員の配置及び主査の選定等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 青木正

    青木委員長 御異議なしと認め、追って委員長において指名いたします。  なお、委員の異動に伴う補欠委員の分科会所属、分科員の辞任及びその補欠選任等につきましては委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  232. 青木正

    青木委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。  なお、この機会におはかりいたしますが、分科会の審査において、最高裁判所当局から出席発言の要求がありました場合はこれを承認することとし、その取り扱いは委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 青木正

    青木委員長 御異議なしと認めさように取り計らいます。     ―――――――――――――
  234. 青木正

    青木委員長 この際おはかりいたしたいと存じますが、本委員会に設置されております防衛図上研究問題等に関する予算小委員会の小委員辞任委員の異動等に伴う小委員補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  235. 青木正

    青木委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。  明二十日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十五分散会