運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-05-17 第48回国会 衆議院 本会議 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十七日(月曜日)     —————————————   昭和四十年五月十七日     午後二時 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件  米価審議会委員任命につき国会法第三十九条但   書の規定により議決を求めるの件  ベトナム問題等についての総理大臣発言に関   する緊急質問高田富之提出)  ベトナム問題等に関する緊急質問春日一幸君   提出)  千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百   十一年六月二日にワシントンで、千九百二十   五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年   六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年   十月三十一日にリスボンで改正された工業所   有権の保護に関する千八百八十三年三月二十   日のパリ条約締結について承認を求めるの   件(参議院送付)  千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百   二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十   四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十   八年十月三十一日にリスボンで改正された虚   偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止   に関する千八百九十一年四月十四日のマドリ   ッド協定締結について承認を求めるの件(   参議院送付)  労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案内閣   提出)  砂糖の価格安定等に関する法律案内閣提出)  沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法の一   部を改正する法律案内閣提出)  総合エネルギー調査会設置法案内閣提出)    午後二時六分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ————◇—————  米価審議会委員任命につき国会法第三十九条   但書規定により議決を求めるの件
  3. 船田中

    議長船田中君) おはかりいたします。  内閣から、米価審議会委員に本院議員丹羽兵助君、同根本龍太郎君、同湯山勇君、参議院議員白井勇君、同森八三一君、同渡辺勘吉君を任命するため、国会法第三十九条但書規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ————◇—————  ベトナム問題等についての総理大臣発言に   関する緊急質問高田富之提出
  5. 海部俊樹

    海部俊樹君 緊急質問許可に関する緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、高田富之提出ベトナム問題等についての総理大臣発言に関する緊急質問、及び春日一幸提出ベトナム問題等に関する緊急質問を順次許可されんことを望みます。
  6. 船田中

    議長船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。  まず、高田富之提出ベトナム問題等についての総理大臣発言に関する緊急質問を許可いたします。高田富之君。   〔高田富之登壇
  8. 高田富之

    高田富之君 私は、日本社会党を代表して、ベトナム問題に関する総理の御発言関連して、当面のアジア情勢について政府の所信をただしたいと思うのであります。(拍手)  佐藤総理は、去る五月七日、自民党青年部大会に臨まれて行なった演説の中で、先ごろ、東大名誉教授大内兵衛ら学者代表首相に要請したベトナム問題についての要望書に反駁を加えて次のように述べたと報ぜられているのであります。「学者グループ米国北爆ばかり非難している。米国北爆にはそれなり理由があり、爆撃されるほうにも責任がある。北は米国帝国主義ときめつけているが、米国は北からの浸透がなくなれば爆撃をやめるといっているではないか。われわれが最もおそるべきものは赤色帝国主義である。それは全世界を赤化しなければやまないものだからだ。中共日本工業力と結べば世界支配毛可能であり、すでに日本の三割五分、つまり共産党と社会党左派は赤化している、との見方をしている中共の首脳さえあると聞く。赤色帝国主義とはあくまで対決していかねばならない。」もし、このようなことを事実言われたとすれば、いやしくも日本首相ともあろう人のことばとは思われない、その低俗、愚劣さにただただ驚き入るのほかはないのであります。(拍手一言で申せば、これは全く理性的判断を失い、アメリカ中共敵対政策に卑屈にも迎合していることを、遺憾なく露呈しているものというべきであります。(拍手)  また、同じ演説の他の個所では、首相は、「先に来日したロッジ米特使は、ハノイ爆撃したり北ベトナムの一部を占領するようなことはしないと約束した。」と、こう述べたのでありますが、ところが、これがさっそく米国務省当局によって否定され、政府をあわてさせたのであります。これは、米国のやっている戦争見通し方針について、いかに日本政府がつんぼさじきに置かれているかを暴露していると思うのであります。(拍手)  さて、アメリカベトナム侵略は、十七度線を越えて北へ北へと延び、そのやり方も、軍事施設の破壊からナパーム弾ガス兵器による焦土作戦に移行し、ベトナム民衆を虐殺し、農作物、植物を焼き払い、ベトナムの自然の姿さえ変えるほどに、残虐きわまる攻撃を逐次拡大させてきたのであります。  かかるアメリカ残虐行為は、いま再び世界をおそるべき戦争の深淵に臨ませているのであります。かくて、全世界の人々の憂慮と不安は、次第に憤激と怒りに変わり、同盟国たるNATO諸国でさえも終始冷淡であり、SEATOもまた何の機能も果たしていないありさまでありまして、まさに全世界的の良識と世論に全く背を向けているのであります。(拍手)  このような状況下に、日本政府は、終始ベトナムにおけるアメリカ行動支持を与えてきたのみでなく、全世界世論が一斉に激しい非難を浴びせたガス兵器使用についてさえ、ただの一言の抗議すら発しようともしなかったのであります。日本のこの追随と支持が、アメリカアジアにおける冒険にとってどれほど重要な意味を持っているか、われわれ日本人の想像以上のものがあるでありましょう。日本はすでに、戦争拡大加担者として恥ずべき重大な役割りを演じているといわなければなりません。(拍手)  首相外相も、今日まで口をそろえて、「北からの浸透があるから」というアメリカ口実をそのままただオウム返しにして、北爆を弁護してまいりました。一体、あなた方には、事態を冷静に判断しようとするまじめさが全くないのではないかと疑わざるを得ないのであります。(拍手)  ベトナム問題解決についてのこれまでの唯一の国際協定ジュネーブ協定であります。ところが、アメリカは、SEATOの結成、ゴ・ジンジエム政権へのてこ入れと政治的反対派に対する弾圧、ばく大な武器と資金の投入、軍事同盟締結軍事顧問団の派遣、統一選挙ボイコット等々、アメリカが一貫してジュネーブ協定を破ってきたことは、何人の目にも明らかであります。(拍手)  さらにまた、先般、政府特使として現地をつぶさに視察してこられました松本俊一氏も言明しているとおり、「ベトコンなるものは、 ベトナム内部において発生して、非常に激しい民族運動中核体をなしている。」、「北爆によってベトコンを弱めるということは、これまた非常な難事である。」と、こう述べて、政府特使すら南ベトナム民族解放運動であることを認めているではありませんか。(拍手)  このような事実に対して故意に目を閉ざし、耳をおおうて、「北からの浸透」だとか「共産主義者間接侵略」だとかというアメリカ特製きまり文句オオム返しに騒ぎ立てることが、一体どんな意味を持っていると政府考えておるのでありますか。  ベトナムでのアメリカ戦争目的について、マクナマラ長官がはっきり言明しているではありませんか。「問題は、ただ単に南ベトナムの自由と独立を防衛することではなくて、アジアにおける共産主義の膨脹に対してわれわれが戦うかどうかということだ。」こう言っておるとおり、アメリカ戦争の目標は、すでにアジア全域における反共、反中国戦いに拡大されているのであります。総理は、赤色帝国主義との戦いということばを用いて、アメリカにのみ追随することによって、アジア民族解放運動にまつ正面から決戦をいどもうとしておるのでありますか。(拍手)  このような情勢下に、中共では第二回目の核実験が行なわれましたが、これを口実に、アメリカがかねて用意した極東における核兵器を一斉に使用する危険がきわめて高いと思うのでありますが、アメリカ核兵器使用に断固として反対し、これに一切協力、加担しないことを明らかにせられたいのであります。(拍手)  ところが、政府は、実際には、在日米軍基地施設の自由な使用を許し、武器、弾薬、兵員の輸送その他積極的に戦争に参加、協力しているのであります。これは、アジアの平和を脅かしているのみならず、戦火がやがてわが国に及ぶ危険性をはらんでいるのであります。  この点についても、政府は、「国内の基地から直接ベトナム出動しているのではない。」と弁明しておるのでありますが、たとえ沖縄を経由しての出動といえども、当然事前協議対象とし、米軍出動を拒否すべきであります。さもなければ、安保条約事前協議制度は、われわれ国民を瞞着する全くのざる法ではありませんか。(拍手外相のお考えを承りたいのであります。  極東における戦争わが国への波及の危険という点では、特に日韓会談危険性を強調せざるを得ないのであります。何ゆえなら、韓国においても、現にベトナムと全く同様の事態が進行しているのでありまして、つい先日もクーデター計画が発覚し、現在民衆の反政府運動は日増しに高まりつつあります。朴政権政治的基盤は、韓国民衆の中には全くなくて、アメリカの手中にあるのであります。それゆえにこそ、朝鮮民衆意思を踏みにじって、南ベトナムに派兵して、アジア人同士戦争を行なおうとしているのであります。日韓会談がこらした政権相手に進められていること自体、危険きわまりないものといわざるを得ないのであります。(拍手)  先般国会で暴露されました三矢研究によれば、現在ベトナムで起こったのと共通の原因で、朝鮮半島に第二次戦乱が勃発することを想定しているのであります。しかも、その際、わが国自衛隊は、公然これに参戦し、海外派兵も行なわれ、核兵器も持ち込まれる、そして中ソ両国介入となり、わが国土に戦火の波及することが、当然の成り行きとして想定されておるのであります。この三矢研究が単なる仮想の問題ではなくして、やがて現実に転化させることを、日韓会談ベトナム侵略への協力によって、政府みずから準備しているではありませんか。(拍手首相並びに防衛庁長官のお考えを承りたいのであります。  二度と再び戦争はしたくない、これが日本国民すべての偽らざる気持ちであります。そのためには、絶対平和主義に立脚するわが国憲法の本義を、いまこそ不動の信念をもって発揚し、その実現にあらゆる努力を傾けるべきときであると信ずるのであります。  最後に、要約して政府に対する御要望を申し上げ、これに対する御所見を承って私の質問を終わります。  第一に、ベトナムにおけるアメリカ侵略を終わらせるため、政府としてなし得るあらゆる行動をすみやかにとっていただきたいのであります。  第二に、アメリカベトナム戦争に対しての一切の協力を直ちにやめていただきたいのであります。  第三に、日韓会談の即時打ち切り、そして最後に、来たるべき第二回AA会議出席基本的態度として、アメリカベトナム侵略反対し、アジア・アフリカの民族運動に対する支持協力平和共存実現への積極的な姿勢を確立して臨むことを要請するものであります。  以上に対しまして明確なる御答弁をお願いして、質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  9. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  わが国態度は、しばしば申し上げましたとおり、自由を守り、平和に徹する、これはよく、もう耳にタコのできるほど覚えていらっしゃることだと思いますが、私どもはその考え方で進んでおります。したがいまして、今回のベトナム問題につきましても、どこまでも平和を維持する、そういう立場でわれわれも主張をいたしておるわけでございます。したがいまして、今日アメリカ無条件話し合いに応ずる、こういうことについても、これに好感を持って、これを進めておるような次第であります。また、しばしば申し上げておりますように、アメリカ自身は、ハノイ爆撃したり、あるいは北ベトナムを占領するような考え方はないということをしばしば申しております。もしも北ベトナムからの侵略がないならば、間接侵略がないならば、北ベトナム爆撃しない、かようにも申しておるのであります。私はこれを端的に説明をし、同時にまた、アメリカ帝国主義という非難があるが、われわれのおそるべきものは、むしろ、それではなくて、赤色帝国主義こそ、われわれが非常に警戒すべきものではないか、かように実は申しておるのであります。(拍手)  次に、中国が第二次の核爆発に成功した、これに対しましても、わが党は、また、私ども考え方は、いかなる国の核爆発に対しましてもこれに反対である、これは即時やめるべきである、民族の平和のためにこれはぜひとも守っていただきたい。中共に対しましても、核爆発をしないように、重ねて今回も情報文化局長から声明をしたはずでございます。私どもは、はっきり申し上げますが、核兵器使用、これには、いかなる国が使用するにいたしましても、絶対に反対である、このことをはっきり申し上げておきます。(拍手)  最後に、いろいろの御要望が出ましたが、これは要するに高田君の御要望であります。その御意見は御意見として伺っておきますが、私どもはあらゆる機会平和運動を展開するつもりでおりますので、ただいま高田君の御主張の御要望とその根拠は別にいたしておりますが、今回のAA会議におきましても、十原則を尊重し、同時にまた、平和運動を確立することについて、これは他の国に劣らない努力をするつもりでございます。この機会にはっきり申し上げておきます。(拍手)   〔国務大臣椎名悦三郎登壇
  10. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 日本から作戦行動を直接起こすといなとを問わず、これは戦争介入であるという御意見でございました。すべて、ある国から戦力、物資の移動が行なわれ、その移動が行なわれた後に直接戦争に発進した場合に、間接のそのある国が戦争介入しておる、戦争協力するということであれば、これは非常に広範な解釈になりまして、何が戦争であるかわからぬようなことになるのであります。われわれは、日本施設を直接利用して、そこから作戦行動を直接行ならということでない限りは、これはいわゆる安保条約のたてまえからいいまして、事前協議対象にならない、しかして、それが決して戦争に直接介入するゆえんでない、かような解釈をとっておる次第であります。  なお、ジュネーブ協定の違反はアメリカじゃないかというのでありますが、協定を破ったのはむしろ北越である、これはすでに定説になっておる次第であります。(拍手)   〔国務大臣小泉純也君登壇
  11. 小泉純也

    国務大臣小泉純也君) 高田議員にお答え申し上げます。  三矢図上研究が現在の南ベトナム情勢と何らかの関連があるのではないかというお尋ねでございまするが、御承知のとおり、三矢図上研究は、昭和三十八年度におけるわが陸、海、空、三自衛隊幕僚監部図上における作戦研究炉ございまして、何らベトナム情勢とは関連がございません。  なおまた、海外派兵について御言及相なりましたが、わが自衛隊としてさようなことを検討したこともなく、また、海外派兵というようなことは毛頭考えておらないことを御理解をいただきたいのでございます。(拍手)     —————————————  ベトナム問題等に関する緊急質問春日一幸   君提出
  12. 船田中

    議長船田中君) 次に、春日一幸提出ベトナム問題等に関する緊急質問を許可いたします。春日一幸君。   〔春日一幸登壇
  13. 春日一幸

    春日一幸君 私は、民社党を代表して、先日行なわれたベトナム戦争に関する佐藤総理発言について、その疑義をただすとともに、去る十五日サイゴンの米当局の発したる北爆一時休止言明を契機として、ようやくにして大きく転回せんとするベトナム情勢に対し、佐藤内閣の対策、方針はどのようなものであるのか、以下、当面する重要事項について、佐藤総理所見をただしたいと存じます。(拍手)  周知のごとく、ベトナム紛争はいつしか果て知らぬどろ沼戦争の様相を呈し、ここ百日間にわたり、米軍北ベトナム爆撃は、日々深刻かつ激烈に行なわれ、ためにアジア世界の平和はまさに重大な危局にさらされておるのであります。アジアに位置し、平和憲法を国是とするわが国が、本日までこれを対岸の火災視し、漫然として傍観していたことは、まことに異様なことと申さなければ相なりません。(拍手わが国に、みずからアジア指導国としての自負あらば、また、自由陣営一員たるの自覚あらば、当然東西のかけ橋としての使命感に燃えて、アジアの安定と世界の平和のため最善の努力を尽くすべきことは当然のことであると思うのであります。  いまや、ベトナム戦争を終息せしむべしとの国際世論世界のすみずみにまでみなぎり渡り、わけて、去る十五日、ワシントンにおいては、平和を求める全米知識人の辛らつなるベトナム政策批判が行なわれ、学者、学生千五百人の大集会が行なわれたとの趣であります。ここに米当局北爆一時停止方針を打ち出したことは、まことに画期的な意義を有するものでありまし、ベトナム戦争解決に独特の地位に立つわが国は、断じてこの機会をのがしては相なりません。すなわち、佐藤内閣が堅持するという自主外交アジア外交の真髄を発揮するのは、まさにこのときであると思うのであります。  私は、かかる認識の上に立って、以下、ベトナム戦争終結のためのわが国外交の進路を内外に向かって明らかにするために、次の諸点について佐藤総理の真意をただしたいと存じます。  質問の第一は、佐藤ロッジ会談の真相と、自民党青年部の大会における総理ベトナム戦争見通しに関する発言内容についてであります。  佐藤総理は、去る五月七日、自民党青年部第四回臨時全国大会の席上において、ベトナム戦争に論及され、「さきに来日したロッジ米特使は、私に対し、ハノイを爆撃したり、北ベトナムの一部を占領するようなことは絶対しないと約束した。」と述べられました。しこうして、これに対し米国務省当局は、この言明佐藤ロッジ会談に関する米国覚え書きとは完全に一致していないものであると反駁し、かつその確認を拒否したことがあわせて新聞に報道されました。  私はこの問題の実体を正確に知りたいと思います。もしそれ、これが新聞報道のごとくんば、いまや国際問題の焦点とも目すべきベトナム戦争における米国方針について、佐藤総理ロッジ米特使の説明をゆがめ、もしくは誤ってこれを日本国民に伝えられたというのでありましょうか。まことに国際問題に関する一国の総理言明が、その相手国からあたかも不実の事柄であるかのごとくに扱われたということは、国の権威にかかる重大問題であるばかりでなく、このことは、また、現に行なわれているベトナム戦争の動向に対し、世界の判断をことさらに惑わしめるものでありますから、この佐藤言明に関する日米間の応酬は、断じてあいまいに看過せらるべきものではないと思うのであります。したがいまして、総理はみずから言明されたところと、そのいわゆる覚え書きとを厳然と照合されて、この際、日本国政府の権威のためにも、かつまた、米国ベトナム戦争における今後の方針をわれらが正確に把握するためにも、その内容を正確にここにお示しを願いたいと思うのであります。また、かかる重要問題について日米間にこのような不可解な論議のもつれを発生せしめたその事情は何か、総理よりあわせて率直なる御釈明を願いたいと思うのであります。  質問の第二は、ベトナム戦争に対する総理の御認識と、そのアジア外交における佐藤内閣姿勢についてただしたいと思います。  佐藤首相は、同じく自民党青年部第四回臨時全国大会の席上、さらに、「米国北爆にはそれなり理由があり、爆撃されるほらにも責任がある。」と演説されて、米国北爆支持するかのごとき方針を表明いたされました。これは、平和憲法を国是とするわが国首相発言としては、きわめて重大であります。総理は、しかるべき理由がありさえすれば戦争侵略は行なってもよいと考えておられるのでありましょうか。  去る十五日、ワシントンにおけるベトナム政策批判全米学者集会において、シカゴ大学モーゲンソー教授は、「ベトナム戦争の本質は外国の侵略ではなく、南ベトナム内部崩壊であり、北部の共産主義者がこれを利用しているにすぎない。また、この戦争南ベトナム国民から支持されてはいない。政府はこれらの事実を無視しておる。したがって北爆も成功するとは思われない。」と、自国の政府態度方針を手きびしく論難、糾弾しておるのであります。  総理は、わが国憲法第九条の精神に照らし、ベトナムにおける米国戦争行為をどのように認識されておるのでありましょうか。  また、佐藤首相は、組閣以来自主外交を強調し、特にアジア外交を重視すると述べられてまいりました。もとよりこれは当然のことであります。しかしながら、この佐藤総理北爆支持言明は、自主外交アジア外交にまっ向正反対の逆コースを示すものでありまして、これはあまりにも明白なアメリカ一辺倒追従外交であり、そこには自主外交の片りんだもうかがうことはできません。わけて、ベトナムに対しては、わが国が地理的に、歴史的に、民族的に独特の立場に立つものであることをおもんみるならば、かくのごとく一方的にアメリカの側に立って言動することは、いたずらに国際間のひんしゅくを買うばかりでありまして、問題の解決にはいささかも貢献するものではないと思うのであります。  われわれはアジア民族でありますから、常にアジア国民の信頼を確保せなければなりません。外交自主性なく、かくのごとくにして常に米国に従属するならば、やがてはその存在を軽視されて、ついにはアジアの孤児になり果てましょう。いまこそ、わが国自主外交アジア外交の本領に立ち返るのときであると思うのであります。この際、ベトナム戦争に対する佐藤総理認識と、ベトナム戦争解決のための政府の決意について、あらためてその信念のほどを明らかにいたされたいと存じます。  質問の第三は、ベトナム戦争解決について佐藤内閣具体的方策は何であるか、これをお伺いいたします。  ベトナム戦争のその根底にあるものは、米国中共との角逐にあることは明らかであります。すなわち、中共北ベトナムベトコンに対する指導と軍事援助の強化に対し、米国北爆強化を中心とする武力介入を行なうことによって、戦場は次第に拡大してまいったのであります。したがって、ここにベトナム問題を解決するためには、交戦の当事国双方は、単に相手国の一方的軍事行動の停止を求めるだけではなくして、この際は、無条件国際会議のテーブルに着いて、まず事態解決をはかるための場所を持つべきでありましょう。いまこそ、わが国当事国並び関係国に対し、無条件話し合いの呼びかけを行なうべきときでありまして、情勢はようやくにして煮詰まってきたと見るべきであります。すなわち、この無条件話し合い主張は、四月八日のジョンソン大統領ボルチモア演説においてその意思が明確に表明され、また、四月十八日のソ連・北ベトナム共同声明において話し合い可能性を含蓄する態度が示されたのでありまするが、ここに去る五月十五日米当局による北爆一時休止言明が行なわれた現在、もはやわが国はその呼びかけを行なうことをいっときもためらっては相なりません。ベトナム戦争解決をはかるために、わが国アジア指導国としての使命感に徹するならば、いまこそ、わが国が、全面和平へのイニシアをとり、強く国際世論に訴えて、この手段を尽くすべきであると思うが、佐藤総理の御見解はいかがでありますか。この際、重ねて真剣なる御決意を促したいと存じます。  質問の第四は、ベトナム問題解決の精神的支柱とも目すべきベトナム国民民族民主主義について、総理所見を伺いたいと存じます。  ベトナム戦争の平和的解決のために最も肝要なことは、アジア諸国におけるほうはいたる民族民主主義の本質を関係国が直視し、洞察し、理解し、尊重することにあると思うのであります。アジア諸国における民族民主主義は、米国の自由主義とも、中国共産主義とも、その本質と動向を異にするものであると見るべきでありましょう。アジア諸国は、多年欧米の植民地として隷属を強制され、その人権も民族自主性も、長きにわたって全く圧殺されてきたのであります。さればこそ、アジア民族の政治的、経済的独立の願望は熾烈なものでありまして、今日、アメリカをはじめ西欧諸国が、これらの民族感情を正当に理解し、これに共感することは、容易なことではないと思われるのであります。わが国がここに地理的に、民族的に東西のかけ橋たらんとするならば、わが外交の論点は、このアジア国民民族民主主義に関する切実なる願望について特に関係諸国の蒙を開き、公正なる認識を求めるところにその重点を置くべきであると思うが、佐藤総理のこの点に対する御見解をお示し願いたいと存じます。  質問の第五は、ベトナムの真の独立とその安全保障に関する総理の見解について伺います。  ベトナム戦争の平和的解決のために特に肝要なことは、南ベトナムの政情を正確に把握することであります。一国の政治において最も必須不可欠な要件は、政権と民心との融合にありと思うのであります。もしそれ、政権が民心から離反するならば、その政権の価値と意義はむなしく、その政権の生命は遠からずして失われるものであります。民心の離反した政権が権力や武力をもってその統治を強行するならば、それはみずから転覆の災いの度合いをそれだけ大きくするだけであります。  ここに、南ベトナムの自主独立を確保するためには、真に民意を反映した政府の実現をはかることが前提とならなければなりません。そのためには、外部のいかなる勢力の介入をも遮断排除して、南ベトナム自身の民意を反映した民主民族政権が樹立されるべきであると思うのであります。しこうして、米国中共等の諸国は、これに対して、一九五四年のジュネーブ協定の精神に基づき国際会議を開いて保障を与えるとともに、さらに国連を中心とした有効適切なる安全保障の措置が具体的に講ぜられるべきであると思うのであります。  佐藤総理は、これらの点を強調して、国際世論を喚起とその指導に挺身すべきものと考えるが、これに関する総理の所信をお述べ願いたいと存じます。  以上、ベトナム戦争に関し、わが国が当面する重要なる諸点について質問いたしました。  いまやベトナム戦争は、米国北爆一時休止言明を基礎にして、和戦両様のかまえにあり、まさに、アジア戦争と平和の分かれ道に立たされていると思うのであります。もしそれ、この機会をむなしくすることによって平和への道が閉ざされるがごときことになるならば、その後のベトナム戦争の展望は、思うだにりつ然たるものがあるのであります。  従来の米軍北爆は、ベトコンヘの軍需物資の補給基地を破壊するためのものといわれてまいりました。このことは、北ベトナムやその背後にある中共等に対して、わが国米軍基地に同様の攻撃を加うるの口実を与えることにならないとはだれが保証し得まし、ようか。このようにして、わが国民の生命は、ときに戦火の前面にきらされるおそれなしとはしないのであります。  事態はまことに重大であります。ここに、平和を希求し、戦争の恐怖を身をもって痛感する大多数の国民の願望にこたえられて、総理が猛省とともに一大決意をもって奮起されんことを、しこうして適切なる対策を直ちに実行されんことを衷心より切望し、これに対する総理の御決意の表明を求めまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  14. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  先ほどもお答にいたしましたように、わが国並びに政府態度は、どこまでも自由を守り平和に徹する、−この考え方に変わりはございません。この立場に立ちまして、いろいろその行動をはっきりいたしたいと思います。そのうちで、ただいまのお尋ねにあるいは前後するかわかりませんが、まず、ロッジ特使との話を一番先に申し上げまして、この話からその他のものを演繹してまいりたいと思います。  御承知のように、ロッジ特使が参りました。このロッジ特使が私に話をしたのは、経済問題を主に話をいたしました。しかし、私は、経済問題を取り上げるようなベトナムの事情でない、今日のこの紛争について、これが平静に帰して、しかる後に経済問題を話することが適当なように思うという話から話を進めてまいりますと、しかし、特使自身が、自分は軍事的な話はあまりその権限等を持っておらないけれどもということで前置きして話をしたのが、いわゆるハノイ爆撃、あるいは北ベトナムの一部を占領するというようなことはないといいう強実は印象を私は受けたのであります。したがいまして、私が約束をした、こういうような表現がされておりますが、これは正しくありません。どこまでも、話をいたしましたその際に、ロッジ特使は、この段階においては、ハノイ爆撃したり、あるいは北ベトナムの一部を占領するというようなことはないという強い印象を私に与えたということが事実でございます。  そこで、なおお尋ねにありましたように、ロッジ特使と私との間には別に覚え書きはございません。これはどこまでも話し合いでございまして、覚え書きは残しておりません。  また、日米間にたいへん意見の食い違いがある、意見がそごしているのではないかというお尋ねがございますが、ただいま申し上げるような実情でございますので、日米間にはこれという食い違いがあるわけではございません。この点も明確にいたしておきたいと思います。  問題は、南ベトナムに対してただいまアメリカ自身がこれを援助し、同時に北ベトナム爆撃しておりましたが、これは一体どういうことか。これは申すまでもなく、南ベトナムの独立、その自由、これを南ベトナム政府が確保したい、こういう意味でいろいろ努力をした、しかし、どうも北からの侵略があり、また北からの援助がある、これを排除したいということで、アメリカ自身もこの南ベトナム政府の要請にこたえて爆撃をしておるような実情でございます。しかしながら、この北爆をいたしましたアメリカ自身が、すでに御承知のように無条件話し合いというものを提案しておりますし、この数日は爆撃をやめた、そのようなことも新聞で報道しております。  確かに、春日さんも御指摘のとおり、今回はこの時期において、私どもは平和を望む、こういう立場において何らかの処置をすべきその好個のチャンスじゃないか、こういう御指摘でございますが、私もそのとおりだと思います。私は、こういう意味におきまして、あらゆる面で国際的な世論を喚起するような努力を続けてまいるつもりでございます。お説にもありましたように、十分現地における民心の動向を把握し、そうして民族の独立、これを念願しておるベトナムの住民の期待にもこたえる、こういう意味で、他の国がその独立を尊重し、どこまでも干渉しない、そのことが最も大事なことではないか、かように思いまして、現状認識に正確を期する、こういう態度でただいまこの問題に対処しておる次第でございます。  私は、こういう意味から、今日までもあらゆる機会に、たとえばゴードンウオーカーが出てきた、あるいはロッジ氏、その他エドガール・フォール等々とも会談をいたしまして、わが国のかねての主張を明確にし、そうして国際世論が正確にこの問題に取り組み、そうして真剣にこの問題の解決への努力をされるようにあらゆる努力をしたつもりでございます。(拍手)   〔国務大臣椎名悦三郎登壇
  15. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 総理大臣からのお答えでほとんど尽きておると思います。  民族民主主義のお話がございましたが、南ベトナム国民のすべてが民族主義者であると思うのであります。必ずしもベトコンだけが民族主義者ではない。ある意味においては民族主義者であっても、いわゆる民族民主主義者じゃない。民主的に民族主義を高揚するという行き方でないことは、このベトコンはいささか足りない点があるのではないか、かように存じます。それからまた、ベトコンに投じない者でも熱心ないわゆる民族主義者がおるのでありまして、民族主義者の団体であるとかないとかということはこの際問題ではない。要するに、暴力をふるってそうして無事の人民を脅迫して、力をもって政治的な野望を達しようとするのが、それがいかぬのであります。それが問題である。  それから、南越の政情をよく正視して、民意を反映した政権を確立して、国際的に国家の安全を保障すべきであるという御説に対しては、総理大臣はお答えはありませんでしたが、御説に全く賛成であると考えます。私もこの御説には敬意を表するものであります。(拍手)      ————◇—————  千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九   百十一年六月二日にワシントンで、千九百   エ十五年十一月六日にヘーグで、千九百三   十四年六月二日にロンドンで、及び千九百   五十八年十月三十一日にリスボンで改正さ   れた工業所有権の保護に関する千八百八十   一二年三月二十日のパリ条約締結について   承認を求めるの件(参議院送付)  千九百十一年六月二日にワシントンで、千九   百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百   三十四年六月二日にロンドンで、及び千九   百五十八年十月三十一日にリスボンで改正   された虚偽の又は誤認を生じさせる原産地   表示の防止に関する千八百九十一年四月十   四日のマドリッド協定締結について承認   を求めるの件(参議院送付
  16. 海部俊樹

    海部俊樹君 議案上程に関する緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、参議院送付、千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約締結について承認を求めるの件、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関する千人百九十一年四月十四日のマドリッド協定締結について承認を求めるの件、右両件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  17. 船田中

    議長船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。  千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月三日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約締結について承認を求めるの件、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関する千人百九十一年四月十四日のマドリッド協定締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
  19. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。外務委員長安藤覺君。     —————————————   〔報告書は会議録追録に掲載〕     —————————————   〔安藤覺君登壇
  20. 安藤覺

    ○安藤覺君 ただいま議題となりました二案件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  工業所有権の国際的保護につきましては、一八八三年に作成されたパリ条約があり、また、貨物の原産地虚偽表示の防止につきましても、一八九一年に作成されたマドリッド協定があり、いずれも数回にわたり改正されて現在に至っておりますが、戦後、工業技術の交流及び貨物の流通が盛んとなり、これに伴い、国際的保護制度を一そう完全なものにするため、所要の改正をする必要が生じ、その結果、一九五八年リスボンで開催された外交会議において本条約及び本協定が採択されたのであります。  工業所有権の保護条約は、締約国により工業所有権保護同盟が形成されること、同盟国国民は、工業所有権の保護に関し、他のすべての同盟国において内国民待遇を受けられること、特許または商標登録の出願者は、他の同盟国において出願する場合、一定期間の優先権を与えられること等を規定しております。  原産地虚偽表示の防止協定は、その規制範囲を、原産地の虚偽表示のみならず、誤認を生じさせる表示にまで拡大し、虚偽または誤認を生じさせる表示をした生産物は、各締約国において、差し押えるかまたは輸入禁止をすることができること等を規定しております。  この二案件は、参議院において承認され、三月三十一日本委員会に付託されましたので、政府から提案理由説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。  かくて、五月十七日、本二案件についての質疑を終了し、討論を省略して採決を行ないましたところ、本二案件は多数をもって承認すべきものと議決いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  21. 船田中

    議長船田中君) 両件を一括して採決いたします。  両件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  22. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、両件は委員長報告のとおり承認するに決しました。      ————◇—————  労働者災害補償保険法の一部を改正する法律   案(内閣提出
  23. 海部俊樹

    海部俊樹君 議案上程に関する緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  24. 船田中

    議長船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。  労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  26. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。社会労働委員長松澤雄藏君。     —————————————   〔報告書は会議録追録に掲載〕     —————————————   〔松澤雄藏君登壇
  27. 松澤雄藏

    ○松澤雄藏君 ただいま議題となりました労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における社会経済情勢にかんがみまして、労働者の業務災害に対する補償の充実をはかるため、その給付内容を改善するほか、保険制度の全般にわたり所要の整備を行なうものでありまして、そのおもなる内容は次のとおりであります。  まず、強制適用事業の範囲につきましては、従来のもののほか、労働基準法適用事業のうち、政令で定めるものを加えることとし、また、特別加入の制度を設け、中小規模事業主及び一人親方、すなわち自営業者や農民等及びそれらの事業に従事する同居の親族等の業務災害について、労働者に準じて労災保険法を適用し同様の給付をすることといたしたものであります。  保険給付関係について申し上げますと、保険給付の額の算定基礎として、給付基礎日額を用いることとし、その額は労働基準法の規定による平均賃金に相当することを原則としております。  療養補償給付は、従来、千円未満の小額の療養費は労災保険から支給されなかったのでありますが、今回、その全額を療養補償費として支給することに改めたのであります。  次に、休業補償給付は、従来、八日目から支給したのでありますが、これを休業開始後第四日目から支給することとし、障害補償給付は、障害等級第一級から第七級までのものを年金、第八級以下のものを一時金として支給することに改めたのであります。  また、遺族補償給付は、生計維持関係にある遺族に対し、給付基礎年額の最低三〇%から最高五〇%までの年金を原則とし、年金を受けるべき遺族がいない場合は、給付基礎日額の四百日分の一時金を支給すること。葬祭料は定額制に改め、通常葬祭に要する費用を考慮して労働大臣が定める金額とすることにしたものであります。  長期傷病補償給付は、労働者の傷病が療養開始後三年を経過してもなおらない場合に、療養補償給付及び休業補償給付にかえて行なうこととし、その内容は、すべて療養または療養の費用及び年金としたのであります。  次に、同一の事由により厚生年金保険法の規定による障害年金または遺族年金の給付を受けることができる者に対する保険給付の額については、所要の調整を行ない、併給することとしたのであります。  本案は、四月九日本委員会に付託され、本日、質疑を終了し、採決の結果、本案は修正議決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  28. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  29. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案(内   閣提出)  砂糖の価格安定等に関する法律案内閣提出)  沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の   一部を改正する法律案内閣提出
  30. 海部俊樹

    海部俊樹君 議案上程に関する緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案、砂糖の価格安定等に関する法律案、沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案、右三案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  31. 船田中

    議長船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案、砂糖の価格安定等に関する法律案、沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
  33. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事仮谷忠男君。     —————————————   〔報告書は会議録追録に掲載〕     —————————————   〔仮谷忠男君登壇
  34. 仮谷忠男

    ○仮谷忠男君 ただいま議題となりました三法案に対する農林水産委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。  まず、内閣提出加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案について申し上げます。  最近における酪農事情の推移と今後における牛乳及び乳製品の需要の動向に対処して、生乳の合理的な価格形成と牛乳及び乳製品の価格の安定をはかることにより、酪農及びその関連産業の健全な発達を促進するため、当分の間、畜産振興事業団に生乳生産者団体を通ずる加工原料乳にかかる生産者補給金の交付及び輸入乳製品の調整に関する業務並びに乳製品の買い入れ、売り渡し等の業務を行なわせることとするものであります。  本案は、四月七日政府から提案理由とその補足説明を聴取し、四月二十六日以降数回にわたり質疑を行ない、五月十五日質疑を終了、次いで、五月十七日、自民、社会、民社三党共同により、都道府県知事の指定を受けた生乳生産者団体の行なう生乳販売等の委託機関について、全国の区域を地区とする農業協同組合連合会その他の者とする等二点の修正を加え、結局、本案は多数をもって修正すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対しては、生乳の共販体制を強化推進するため、全国段階の生乳生産者団体の整備及びその育成につとめること等四項目の附帯決議が付されました。  次に、内閣提出、砂糖の価格安定等に関する法律案について申し上げます。  本案は、輸入糖の価格調整その他砂糖の価格の異常な変助を防止するための措置、並びに国内産糖及び国内産ブドウ糖の価格を支持するのに必要な措置を定めることにより砂糖の価格の安定をはかり、農業所得の確保と国民生活の安定に寄与することを目的といたしているのであります。  本案は、四月二十七日に政府から提案理由説明を聴取し、五月十一日以降数回にわたり質疑を行ない、五月十五日質疑を終了し、五月十七日、自由民主党から、目標生産費については甘味資源審議会にはかって決定すべき旨の修正案が提出され、日本共産党反対討論の後、多数をもって修正すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対しては、てん菜等の最低生産者価格については、生産費と適正なる所得が確保されるよう配慮すべきこと等九項目の附帯決議が付されましたことを申し添えます。  最後に、内閣提出、沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、砂糖の価格安定等に関する法律案の国内産糖に準じ、糖価安定事業団の買い入れ及び売り戻しが行なわれるようにしようとするものであります。  本案は、砂糖の価格安定等に関する法律案と一括して審議を進めてまいったものであり、五月十五日質疑を終了し、五月十七日採決いたしましたところ、多数をもって原案どおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告を終わります。(拍手
  35. 船田中

    議長船田中君) これより採決に入ります。  まず、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案につき採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  36. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。  次に、砂糖の価格安定等に関する法律案につき採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  37. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。  次に、沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  38. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  総合エネルギー調査会設置法案内閣提出
  39. 海部俊樹

    海部俊樹君 議案上程に関する緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出総合エネルギー調査会設置法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  40. 船田中

    議長船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。  総合エネルギー調査会設置法案を議題といたします。
  42. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。商工委員長内田常雄君。     —————————————   〔報告書は会議録追録に掲載〕     —————————————   〔内田常雄君登壇
  43. 内田常雄

    ○内田常雄君 ただいま議題となりました総合エネルギー調査会設置法案について、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  総合エネルギー政策の確立は、近年におけるエネルギー事情の急激な変化に伴い、焦眉の急務であるにもかかわらず、従来、わが国のエネルギー政策は、各エネルギー産業の個別的な対策に重点が置かれ、総合エネルギー政策の観点からは必ずしも十分な体制とは言われないものがあります。  この見地において、本院においても、第四十六回国会において総合エネルギー政策に関する決議が行なわれたのでありますが、本案は、この決議に基づき提出されたものでありまして、そのおもなる内容は、第一に、通商産業省の附属機関として、委員二十人以内で組織する総合エネルギー調査会を設置すること、第二に、総合エネルギー調査会は、通商産業大臣の諮問に応じ、エネルギーの安定的、合理的な供給の確保に関する総合的かつ長期的な施策に関する重要事項を調査審議すること等であります。  本案は、去る三月三日本委員会に付託され、三舟十二日通商産業大臣より提案理由説明を聴取し、本日、質疑を終了、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告いたします。(拍手)     —————————————
  44. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  45. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  46. 船田中

    議長船田中君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時九分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         通商産業大臣  櫻内 義雄君         労 働 大 臣 石田 博英君         国 務 大 臣 小泉 純也君  出席政府委員         農林政務次官  舘林三喜男君      ————◇—————