運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-03-03 第48回国会 衆議院 本会議 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三日(水曜日)     ————————————— 議事日程 第十一号  昭和四十年三月三日    午後二時開議  第一 航空機工業振興法の一部を改正する法律   案(内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  昭和四十年度一般会計予算  昭和四十年度特別会計予算  昭和四十年度政府関係機関予算    午後十時二分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ————◇—————  昭和四十年度一般会計予算  昭和四十年度特別会計予算  昭和四十年度政府関係機関予算
  3. 海部俊樹

    海部俊樹君 議事日程追加緊急動議を提出いたします。  この際、昭和四十年度一般会計予算昭和四十年度特別会計予算昭和四十年度政府関係機関予算、右三件を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  4. 船田中

    議長船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  昭和四十年度一般会計予算昭和四十年度特別会計予算昭和四十年度政府関係機関予算、右三件を一括して議題といたします。     —————————————  昭和四十年度一般会計予算  昭和四十年度特別会計予算  昭和四十年度政府関係機関予算   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  6. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。予算委員長青木正君   〔青木正登壇
  7. 青木正

    青木正君 ただいま議題となりました昭和四十年度一般会計予算昭和四十年度特別会計予算、及び昭和四十年度政府関係機関予算、以上三案につきまして、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。  本予算三案は、去る一月二十二日予算委員会に付託され、二月一日からほとんど連日にわたり審議を続け、その間、二日間の公聴会を開き、また、五分科会を設けて、六日間ずつ審議を行ない、特に、防衛図上研究問題等に関しましては、小委員会を設けて、審議の慎重を期し、本三月三日討論採決をいたしたものであります。  予算規模につきましては、さきに本会議において大蔵大臣から説明がありましたので、説明を省略させていただきまして、予算委員会における質疑の概要について申し上げます。  まず、財政規模に関しましては、「四十年度年算は、経済成長率を上回る増加率を示し、財投計画を合わせて五兆三千億円にのぼっているが、財政硬直化により、ますます膨張の道をたどり、インフレーションに突入するのではないか。行政機構簡素化等により不要不急経費を削減すべきではないか。なお、財政の急激な膨張により、近い将来、公債発行は必至となるのではないか。」との質疑に対しまして、「四十年度予算は、前年度比一二・四%増で、三十六年度から三十九年度までの増加率を下回り、健全均衡の線を守っているから、これが景気刺激の要因となってインフレーションを招来するものとは考えない。行政機構改革については、将来真剣に取り組む。なお、公債発行中期経済計画期間中は行なわない。」との答弁がありました。  次に、物価問題に関しましては、「中期経済計画においては、三十九年度以降、五年度間の消費者物価上昇率年率二・五%としているが、当初の二年度において、すでに一〇%に近い上昇が貝込まれる状況から見て、この率を維持する確信があるのか。また、四十年度消費者物価上昇率を四・五%に押える自信があるのか。公共料金値上げをさらに一年程度延長してはどうか。」との質疑に対しまして、「中期経済計画は、国際収支均衡し、消費者物価年率二・五%の上昇にとどまるよう各種経済活動を調整し、この基本的条件を達成するため必要な経済政策を策定したもので、消費者物価については、この目標を達成するようあらゆる努力を傾注する。四十年度においては、経済成長率実質七・五%にとどめる前提消費者物価四・五%の上昇を見込んでいるもので、年初に十項目にわたる物価対策を決定し、これを着実に実行することによって、ぜひこの程度に押えていきたい。また、公共料金抑制根本姿勢は変えていない。」との答弁がありました。  次に、税制に関しましては、「四十年度減税は、総理の就任前の言明の三分の一にも足りないではないか。利子所得分離課税継続配当所程の源泉選択制度確定申告不要制度の新設は、一部の高額資産所得者を著しく優遇するものではないか。また、さき農耕用ガソリン税減免を考慮するとの言明があったのに、その措置がとられていないではないか。」との質疑に対しまして、一三千億減税は、一年で行なう意味ではなく、今後も減税を続けていく。国際競争に勝つためには、資本力の培養と貯蓄の増強が最も必要であって、分離課税制度は、これを実現するために必要やむを得ない措置である。農耕用ガソリン税減免については、十分検討したが、技術上困難であるとの結論に達したので、別途、農道等整備費五十億円を計上することによって措置した。その後、さらに検討したが、政府としては結論は同じである。」との答弁がありました。次に、医療保障に関しましては、「政府は、医療費九・五%引き上げ職権告示を行なったが、これは中央社会保険医療協議会民主的運営を吸ったばかりでなく、健康保険法等規定に違反するものではないか。また、政府・与党は、昨年十一月薬剤費の一部患者負担保険料引き上げ改定の方針を内定し、これに基づいて予算編成し、社会保険審議会等に諮問しているが、これは医療保障制度の大きな後退であるばかりでなく、健康保険法等規定に違反するものではないか。なお、各種社会保険はすべて赤字となっているが、これに対して国庫補助及び借入金措置を講ずる意思があるか。」との質疑に対しまして、「医療費配分については、昨年末、中央医療協議会に諮問したが、各側の意見を事実上承知することができ、公益委員を代表する会長の報告によってこれを確認したので、緊急是正として行政措置をしたもので、法律違反とは考えない。また、薬剤費の一部患者負担及び保険料引き上げ改定は、健保財政を健全化して、保険制度を強固にしていく上から必要と認め、現在社会保険審議会等に諮問しているもので、政府の考えを強制しようとする意思はなく、答申を受けてから政府最終的意思を決定するもので、協議会審議会制度及びその答申趣旨を尊重することは当然のことである。なお、各種社会保険に対しては、その運営に支障がないように借入金あっせん等措置につとめる。また、国庫負担については、財政難のおりではあるが、財政の許す限り極力努力したい。」との答弁がありました。  次に、防衛問題に関しましては、「第三次防衛計画においては、師団編成をどうするのか、三十八年の防衛図上研究は、自衛官が政治を支配しようとするものであって、きわめて重大な問題である。これに対し、政府はいかに処置するか。」との質疑に対しまして、「第三次防衛計画は、今後検討する。指摘の図上研究が行なわれたとすれば、仮想の問題としても、きわめて重大であるから、十分調査して善処したい。」との答弁がありました。なお、この問題に関しては、さきに申し上げましたとおり、当予算委員会内に小委員会を設けて調査することといたし、現在調査継続中であります。  以上申し上げました諸点のほか、質疑は、外交、内政各般にわたり、きわめて熱心に行なわれましたが、その詳細は会議録をごらん願うことといたしまして、報告を省略させていただきます。(拍手)  本日、質疑終了後、日本社会党及び民主社会党から、本予算三案の編成替えを求める動議が提出され、趣旨弁明がありましたが、後刻本会議で述べられると存じますので、説明を省略させていただきます。  かくて、予算三案及び両党の動議を一括して討論に付し、採決の結果、両党の動議は否決され、予算三案は政府原案のとおり可決された次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  8. 船田中

    議長船田中君) 昭和四十年度一般会計予算外二件に対しては、川俣清音君外十四名から、三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。
  9. 船田中

    議長船田中君) この際、その趣旨弁明を許します。辻原弘市君。   〔辻原弘市君登壇
  10. 辻原弘市

    辻原弘市君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十年度一般会計予算昭和四十年度特別会計予算、及び昭和四十年度政府関係機関予算につき、撤回のうえ編成替えを求めるの動議提案理由及びその内容の概略を御説明申し上げます。(拍手)  まず最初に申し上げなければならぬことは、昭和四十年度政府予算は、日本経済の当面する局面が、いかに困難なものであり、また、それに対処する自民党政府政策が、いかに矛盾と欺瞞に満ちたものであるかを天下に明らかにしたものであります。(拍手)  日本経済の現状は、まさにい深刻な事態に直面いたしております。すなわち、自民党政府高度経済成長政策は、アメリカからの外資借り入れ国民への重税賦課財政投融資を通ずる国民零細資金の動員、及び日銀の通貨増発による資金巨大産業設備投資に集中することによって進められてきたことは御承知のとおりであります。とりわけ、昨年来のわが国経済は、深刻な構造的矛盾を露呈し、中小企業倒産は激増の一途をたどり、毎月戦後記録を更新するという危機的情勢に投げ出されており、他方政府物価刺激政策によって、消費者物価は急速に上昇しているのであります。このような実態の中で、国民の生活不安はかつてなく高まっております。  いま、政府国民に対してとるべき政策課題は、何よりも高度成長政策が生み出した諸矛盾と真剣に取り組み、消費者物価の安定と引き下げ、大企業中小企業農業と他産業、都市と農村などの格差と不均衡是正し、さらに、公害、交通事故等から国民を守り、犯罪、非行の原因を取り除くための諸施策全力をあげることであります。  しかるに、佐藤内閣は、この課題と正面から取り組むことを怠って、人間尊重社会開発ということばの魔術で問題の焦点を置きかえ、所得倍増にかわるキャッチフレーズの転換で、国民をごまかそうとしていることは明らかであります。(拍手昭和四十年度予算編成にあたり、経済実態国民要望に目をおおい、財源難口実として消費者米価を大幅に引き上げ医療費引き上げに要する財源をすべて国民負担に転嫁し、経営難におちいった地方公営企業赤字補てん策を放棄して、物価安定どころか、逆に物価値上げを刺激し、火に油を注いでいるのであります。(拍手)また、国民の切実な要望である教科書無償配付所得税減税切り詰め、さらには、昨年の予算委員会公約をした農業用ガソリン税の免税についても、これを税法上何ら実行せられておらないのであります。しかも、その反面、F104戦闘機継続生産には惜しげもなく予算支出し、また利子配当等資産所得には、利子所得分離課税の存続、配当所得源泉選択制採用等により、手厚い特別減免措置を講じているのであります。(拍手)さらに、財政投融資においては、公募債借入金ワクを激増し、将来に向かってインフレ促進危機を一そう増大させているのであります。  以上申し上げましたことは、まさに日本経済財政実態であって、このような性格を持つ予算をこのまま成立させることは、国民の断じて容認できないところであります。(拍手)したがって、わが党は、当面最も緊要な諸項目について、次の要綱に基づき、重点的に昭和四十年度予算案組み替えを行なうことを主張するものであります。(拍手)  まず、歳入面についてであります。  第一に、利子配当租税特別措置を廃止することであります。  これまで政府は、資本蓄積貯蓄奨励の美名に隠れて、大企業資産所得者本位偏向減税である租税特別措置を実施してまいりました。特に利子及び配当所得に対する軽課措置はその典型的なものであります。これらの租税特別措置による減収額は、昭和四十年度、平年度ベースで二千百億円以上に見積もられているのであります。これらは租税負担の公平を著しく阻害するばかりでなく、負担応能の原則に立った税の総合累進構造を弱め、税体系を混乱させるものであります。(拍手)  われわれは、この方向に反対するとともに、大企業者ないし資産所得者本位に設けられた偏向減税である租税特別措置は、全面的にこれを改廃するとの原則に立って、昭和四十年度は、特に利子配当に対する軽課措置は、少額貯蓄非課税制度を除き、全面的にこれを廃止し、総合累進課税とするものであります。(拍手)また、配当源泉選択制度は認めないことといたしております。これにより、歳入は約八百二十五億円増額となります。  他方、これらの財源は、物価高の中で実質増税に苦しんでいる勤労者課税軽減に振り向けることとし、所得税課税最低限を標準五人世帯につき、少なくとも当初大蔵省の予定した年収六十万円にまで引き上げることにより、約八百二十五億円所得税減税を行なうことといたしております。  第二に、農業用ガソリン税を廃止することといたしております。  農業用ガソリン税は、第四十六回国会における政府公約であり、これを昭和四十年度予算に取り上げないことは、単に公約違反にとどまらず、国会軽視もはなはだしいといわねばなりません。(拍手)この意味において、四十年度歳入計画揮発油税及び地方道路税のうち、農業用ガソリン税百三十一億円は、これを削除するのが当然であります。なお、これによる歳入欠陥自然増収によって十分まかない得るものと確信いたします。  次に、歳出面についてであります。  第一に、歳出予算のうちで不当不要な支出反動的経費は、思い切ってこれを削減すべきであります。  すなわち、警察庁、防衛庁、防衛施設庁、公安調査庁等経費のうち、特に反動的、軍事的性格項目を八百二十五億円削除するものであります。そして、その分は財源難口実民主的経費切り詰めや、国民生活へのしわ寄せをやめ、医療費に対する措置水道料金値上げ抑制教官費増額に振り向けるべきであります。(拍手)  第二は、医療費に対して次の措置をとるべきであります。  不当な厚生大臣職権による医療費値上げ巨額にのぼり、しかも、政府は、これを国民負担に転嫁しようといたしておるのであります。佐藤内閣が、口に人間尊重を唱えながら、人間無視政策を強行することは、断じて許されません。(拍手医療費問題は、第一に、医療保険に対する国庫負担最低二割の制度化、二つには、医療技術尊重の適正な社会保険診療報酬支払い体系の確立、三つには、医薬品価格引き下げ及び薬価基準適正化、四つには、各種医療保険商水準における統合等制度抜本的改革措置を四十一年度より講ずることにより、医療保障制度の正常な運営をはかるべきであります。これを前提として、当面四十年度予算においては、次の措置を講ずべきであると考えるものであります。  すなわち、その第一点は、薬代の患者負担及び保険料値上げ、総報酬制採用を行なうべきでは断じてないということであります。この意味から、政府は、健保三法の改悪を取りやめ、保険財政赤字に対しては二割の国庫負担を実施し、不足する分については、各社会保険会計に対する政府資金の貸し付けを行ない、さらに医薬品価格引き下げによる医療費支出の節減によってこれに処すべきであります。現在、四千億円にのぼる膨大な薬剤費広告代会社利益、乱造、乱売を規制することにより、薬剤費支出の一割を削減することはきわめて容易であると信ずるのであります。(拍手)  第二点は、医療保険に対する国庫負担増額すべきであります。政府管掌健康保険及び船員保険につきましては、医療費一割相当分二百五十六億円を、日雇い労働者健康保険については、医療給付費三割相当分八十五億円を、組合健康保険及び共済組合短期給付分につきましては、医療給付費の一部六十億円を、国民健康保険につきましては、医療給付費一割相当分二百八十二億円を、それぞれ国庫負担増額を行なうことが絶対必要であります。(拍手)  第三に、水道料金値上げ抑制するよう主張いたしております。  これまでの物価値上がり実態を考えますとき、政府公共料金値上げ政策が常にそのてことなってきたことは否定できません。政府は、少なくともここ二、三年は、いかなる理由にかかわらず、公共料金引き上げを一切認めるべきではありません。そのため、特に、水道をはじめとする地方公営企業経営改善のために、政府資金を原資とする永久公債による設備資金の調達、独立採算制の改廃、公営企業債償還期限大幅延長利子引き下げ等抜本的措置をとるとともに、当面四十年度予算において、次の措置をとることが必要であります。  その一つは、三十九、四十年度における料金値上げ抑制措置に協力した地方公営企業に対し、減収補てんとして、約百二十億円の臨時特別交付金を交付すること、その二は、三十八年度までの累積赤字六十八億円に対し、政府資金により借りかえ措置をとることであります。  第四に、義務教育教科書無償配付を拡大することであります。  かねて、政府は、本年度義務教育教科書無償配付中学一年までと約束していたのであります。しかるに、予算編成過程において、この要求は削られ、結局小学校六年生までがかろうじて無償の対象となったにすぎないのであります。(拍手)わが党は、憲法第二十六条の義務教育無償原則に立って、従来より一貫して、その即時全面実施要求してまいったのであります。本年度は、政府は少なくとも中学一年までの無償実現を果たすべきであり、それに要する経費は、わずかに二十二億円にすぎません。  以上、各般にわたって申し上げました諸点をわが党の組み替えの骨子といたしまして、昭和四十年度予算撤回編成替え要求する日本社会党動議趣旨を申し上げたのであります。  これらはわが国憲法の精神から申しまして、当然の要求であり、また最低要求であり、今日、わが党のみならず、国民はこの程度のものは必ず何党といえども実施してくれるであろうという最低要求を提示いたしたのであります。(拍手)  何とぞ満場の諸君の御賛同を切にお願い申し上げまして、提案趣旨説明を終わる次第であります。(拍手)     —————————————
  11. 船田中

    議長船田中君) これより、予算三件に対する討論と、動議に対する討論とを一括して行ないます。順次これを許します。西村直己君。   〔西村直己登壇
  12. 西村直己

    西村直己君 ただいま議題となりました予算案件につき、私は、自由民主党を代表し、政府原案賛成社会党組み替え案反対の意を表明するものであります。(拍手)  いまや、わが国は、激しい国際競争に対処しつつ、先進国の一員として、国際的寄与を果たさなければならないとともに、国内的には、安定成長のもと、各種のひずみ是正全力を傾注してまいらなければなりません。  昭和四十年度政府予算原案は、かかるわが国が置かれたる社会経済の背景を十分認識しつつ、当面する困難なる諸問題解決のための適切なる諸施策を具体的に裏づけたものであります。政府原案は、比較的乏しい財源にもかかわらず、よく健全均衡財政を堅持し、しかも、ただ単に経済のひずみの是正にとどまらず、より総合的、より商い次元に立ちまして、経済安定成長社会開発との調和をはかり、より豊かな社会を建設せんとする意欲にあふれたる、近来まれに見る、くふうをこらされたる、りっぱな予算であると思い、私は衷心より賛意を表する次第であります。(拍手)  なお、この際、問題となりました防衛庁図上演習に関する論議について、一言簡単に触れます。  元来、防衛庁任務国土防衛にあり、シビル・コントロールのもと常に訓練、研究が行なわるべきは理の当然であります。今回、━━━━━なる文書に基づき、(発言する者多し)あたかもシビル・コントロールを逸脱し、クーデター計画に近きものが存在するがごとく論じ、いたずらに国民に誤解と不安を与えたることは、まことに遺憾であります。  もちろん、わが党といたしましても、自衛隊実態を冷静に研究し、さらにわが国国防のより正しきあり方について、今後前向きに検討、推進されることは、衷心より望むものであります。また、自衛隊においても、今後、法令の命ずるところに従い、規律を順守し、ますます士気をあげ、その任務に精励されることを、この機会に強く要望するものであります。  次に、社会党組み替え案であります。  祖税特別措置の廃止を主張せられておりますが、この特別措置が廃止せられますならば、企業の体質の改善国際競争力育成強化が阻害され、ひいては、わが国産業経済進展に逆行することは、火を見るより明らかであり、われわれのとらさるところであります。  さらに、その歳入において、農林漁業用ガソリン税減免を強く主張されておりますが、技術上、きわめて困難にして、かつ、冗費と混乱を招きやすいガソリン税末端減免をはかるよりも、一般会計から別ワクとして五十億にのぼる巨額農道林道等改良費を補助することこそ、はるかに農林漁業近代化と農政の進展に役立ち、全国農林漁業生産家に対するあたたかい積極的施策と信ずるものであります。  その第三は、例により防衛関係予算等を削って各種社会保険等歳出に充てんとする点であります。しかしながら、最小限度国土自衛措置さえもこれを放てきし、その経費をただ機械的に各方面の歳出に充てるということは、いつもいわれる例に変わらざる財政措置として、私どもはあえてこれを論ずるに足らない措置であると考えるのであります。  最後に、医療保険については、確かに、わが党は、いろいろ問題のあることは存じておりますが、われわれとしては、政府並びに党の調査会検討を経た上で根本的解決をはかりたい所存であり、当面する保険料改定については、目下社会保険審議会に諮問中であり、わが党はその答申を待ち、かつもこれを尊重しつつ、適正妥当なる改正を推進し、国民の御期待に沿う所存であります。  以上述べました理由により、私は、政府原案賛成社会党組み替え案反対の意を表して、討論を終わります。(拍手)   〔発言する者多し〕
  13. 船田中

    議長船田中君) 西村直己君から発言の申し出かありますので、これを許します。西村直己君。   〔西村直己登壇
  14. 西村直己

    西村直己君 ただいまの私の発言中、━━━━━とありますのは、取り消しをいたします。
  15. 船田中

    議長船田中君) 中井徳次郎君。   〔中井徳次郎登壇
  16. 中井徳次郎

    中井徳次郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府原案反対し、わが党の組み替え案賛成討論を行なわんとするものであります。(拍手)  昭和四十年度予算課題は、高度成長政策によって拡大された経済的、社会的の矛盾をどう是正していくかということであります。また、一般国民は、社会開発人間尊重を表看板とする佐藤内閣が、社会のひずみをどう是正するかを注目していたのであります。しかしながら、はなはだ残念、かつ、当然のことではありまするが、この国民期待は裏切られ、この予算によっては、矛盾は縮小するどころか、逆に拡大されることは、いよいよ明らかとなってまいりました。(拍手)  高度成長政策は、生産上昇し、経済成長すれば、それに伴って一般所得も向上するかのごとき幻想を振りまいたのでありまするが、冷厳な経済の法則は、そのような旨い期待を完全に打ち砕いたのであります。  すなわち、非常なテンポの生産の拡大、経済の発展にもかかわらず、成長を遂げたのは一部の大企業のみでありまして、弱小企業と大企業との格差はますます拡大するばかりであります。したがって、昨今のように一たび金融引き締め等措置がとられますると、基盤の弱い中小企業倒産が相次いで起こりまして、その趨勢は、ことしに入ってもちっとも衰えず、二月は実に五百二十件と、昨年十二月に次ぐ数字を記録しているのであります。もちろんこれらの倒産の最大の犠牲者は、働く人たちであります。(拍手)賃金の遅配、欠配のあげくの果てに街頭にほうり出されているのは、この弱小企業に働いておりまする労働者であります。  次に、おくれた産業部門である農業は、ますます取り残されております。都市と農村との地域格差所得格差は、はなはだしくなる一方であります。農業だけで生計を維持し得ない大部分の農民は、膨大な産業予備軍を構成し、離農あるいは出かせぎが激増いたしております。特に、百万をこえると推定される農民の出かせぎは、それ自体農村の生活を破壊する最も過酷な現象である上に、本人たちは、労働者としての法律上の保護をほとんど受け得ない最も下級の労働者として、旧態依然たる資本家の搾取と収奪に甘んじている状態でありまして、これこそ高度成長をささえる現代の残酷物語といわねばならぬと思うのであります。(拍手)  さらに、大企業その他の比較的に所得の高い労働者といえども、絶えずその生活は物価騰貴に脅かされております。しかも、昨今は、不況である、会社の利益が減った、賃金の上昇がインフレのもとであるというような独善的な見解によりまして、わずかな賃金の上昇さえ抑制される傾向にあるのであります。  消費者物価の高騰は、消費者米価引き上げをはじめ、生鮮食料品その他の生活必需品の上昇率が高いため、逆比例的に低所得者の家計ほど影響が大きくなっております。したがって、低所得階層は、所得のアンバランス拡大と物価騰貴によめまして困窮度が倍加しているといえましょう。  このように高度成長は、経済面において種々のひずみ、摩擦の増大と並んで、社会生活の面においても貧富の差の拡大をもたらしておるのであります。すなわち、一方における膨大な資本の蓄積及びそれに伴う一部富裕者の富の蓄積と、他方における都市と農村での大衆の貧困の蓄積、これが高度成長の帰結といわねばなりません。もしも、佐藤内閣が本腰を入れてひずみの是正社会開発人間尊重の政治に取り組もうというのならば、こういう現実を直視して、その基本的理解の上に立って施策を講ずるのでなければ成果をあげ得ないことは言うまでもないのであります。  しかるに、政府は、依然として安易な認識の上に立っているのか、見て見ぬふりをしているのか、とにかく、上と下との所得格差が縮小しているというような白書を出してみたり、所得が平均して何%上がって、物価上昇が何%であるから、実質所得はどうこうであるというような統計数字で満足しておるのであります。しかし、金持ちと貧乏人の所得の平均数字を求めてみても、所得のアンバランスの拡大、生活の苦しさの増大が、ちっとも把握できません。(拍手)しかも、新しく中期経済計画においては、従来の倍増計画の数字をちょっといじくっただけで、基本的には相変わらず同じ線を進もうといたしておるのであります。ここに問題があるのであります。このような不徹底な認識からは、決してひずみ是正の方策が生まれようはずはありません。それは、結果においてごまかしに終わり、逆にひずみの拡大に寄与することとなるのは当然でありまして、私は、以下、これらの事実を四十年度予算に即して明らかにしていきたいと思います。(拍手)  まず第一の問題は、減税の問題であります。  およそ、税の問題ほど、政策の階級的性格を露骨にあらわすものはないといわれております。(拍手政府は、一般会計で、初年度八百十二億円、平年度千百五十一億円の減税を行なおうとしております。これは、数字的には税制調査会減税答申を若干上回っているようではありまするが、内容的には答申と全く違っておるのであります。そうして、国民大衆の利益に反し、一部の富裕階級の利益に奉仕する内容であります。(拍手)われわれとしては、大体税制調査会答申そのものが、初めから政府側の受け入れを考慮した、非常に妥協的なものにすぎないので、その内容には大いに不満なのでありまするけれども、その答申のささやかな大衆減税さえ、さらに値引きをされておるのであります。(拍手)すなわち、基礎控除の二万円引き上げは修正されました。あるいは、二百万円以下の所得階層に適用される税率の緩和措置のごときは、全く無視されておるのであります。(拍手他方、これに引きかえまして、配当所得に対しては、答申になかったような源泉選択制度を創設し、あるいは、確定申告不要限度を答申以上に引き上げるなど、必要以上の保護措置を講じております。この結果、勤労者配当所得者との間の納税のアンバランスがどのように拡大されるかにつきましては、すでに予算委員会において、堀委員をはじめ各委員から、何回か指摘されましたので、ここに繰り返すのは避けたいのでありまするけれども、この施策を是認するただ一つの大義名分は、資本市場の育成ということであるらしい。しかしながら、株価というものが、個々の会社のみならず、一国の資本主義経済全体の収益予想に対する評価を端的にあらわすものでありまする以上、このようなこそくな手段は何の役にも立たぬ。ダウ平均は少しも上がってはおりません。結局は、今回の税制改正は、物価高にあえぐ大多数の国民の利益を守らずに、一部の階級を不当に優遇し、所得格差を拡大し、勤労者に勤労意欲を失わせる最悪のものであると断定せざるを得ないのであります。(拍手)  われわれは、このような税制改正に反対し、基本的には、大企業ないしは大所得者を優遇する租税特別措置は、これを全面的に廃止することを原則とする立場に立っておるのであります。  減税の次に問題になりまするのは、いわゆる社会開発であります。  政府の言う社会開発は、概念それ自体がはなはだばく然としております。言う人によりまして、それぞれ内容も範囲も違っているようでございます。特に総理の施政方針演説では、社会開発の中に、農業が入り、中小企業近代化が入り、さらには、治山治水、港湾、道路等の公共投資まで全部含まれておるのであります。これでは、社会開発を重視したとかなんとかいっても、一向にその内容がつかめませんし、結局はことばだけに終わってしまいまして、一種のごまかしであるといわざるを得ないのであります。(拍手)現に、われわれの見解によれば、社会保障制度の確立こそ刻下の急務であると思われるのでありまするけれども、この予算では、医療保障を中心にして社会保障制度は大幅に後退いたしております。(拍手)すなわち、各種医療保険赤字一千億円を、ほとんど一方的に被保険者の負担増加によって切り抜けようとしておるのであります。このような暴挙は、支払い者側の反撃によりまして、当初の計画どおりには実施できなくなりつつありまするが、いずれにいたしましても、さき医療費値上げ職権告示の不手ぎわに続いて、こういう社会保障の基礎をゆるがすようなことでは、社会開発の看板を掲げる資格は全然ないと断定せざるを得ないのであります。(拍手)  これに対しまして、わが党の組み替え案は、四十一年度以降は抜本的な改革を講ずることにいたしまして、さしあたり、当面、薬代の患者負担保険料値上げ、総報酬制採用等は取りやめまして、各種医療保険に対する国庫負担増額しようというのでありまして、私といたしましては全面的に賛成をいたしたいのであります。(拍手)  次に、政府は、社会開発の一環として、生活環境施設の整備、特に住宅対策などに力を入れたことを強調しております。もちろん、政府施策の住宅戸数をふやしたり、庶民が持ち家をつくりやすくするように何らかの措置を講ずること自体は、われわれも反対する必要はありません。しかし、何といっても、住宅対策のガンは土地の値段であります。地価であります。そうして、歴代内閣の無策と一部富裕階級の財産隠匿の手段に使われました結果、地価が諸外国に類を見ないほど値上がりしていること、また、数年来の公共投資の増大も地価上昇に寄与しておりますることは非常に多いのであります。こういう条件をよく認識して、手おくれながらこの面の対策に着手すべきであると思います。(拍手)この面の対策に着手しないのでありまするならば、住宅その他の社会施設の整備などといいましても、それはむだ金をどぶに捨てるようなものであるといわねばなりません。(拍手)  社会開発に続いて問題になりまするのは、この予算は、インフレを促進し、一そうの物価騰貴々呼び起こすという点であります。  政府は、物価騰貴が高度成長政策から出たものであること、大企業設備投資生産増大に伴う資金を日銀の信用膨張によってまかなうというインフレ政策が、物価の高騰を呼び起こしたものであるという点に関する正しい認識を持っていないようであります。それゆえ、予算編成は従来どおり安易な態度をもって貫かれております。一般会計予算にしても、既定の経費はそのままにして、真剣にそれにメスを入れるというようなことはいたしませず、ただその上に新しい経費を上積みしているので、総額は膨張するのはあたりまえであります。また、弾力性は全然ありません。  しかし、特にインフレとの関連で重視すべきものは財政投融資であります。財政投融資計画は、前年度比二〇・九%増と、一般会計に比べて大幅な増加であります。問題はいろいろあるが、特に民間資金による公募債借入金が、前年度の二千五百億円に比べて三千二百六十億円と、実に七百六十億円の増加をいたしております。しかもこのはかに、隠れた財政投融資ともいうべき縁故債の先行があります。私の計算によると、国鉄、電電、地方債等を合わせた縁故債の発行総額は、前年度の八百八十一億円から、四十年度は一挙に千九百六十億円と、実に千百億円近く増加しておるのであります。このようなインフレ要因がある上に、さらに政府は前年度剰余金の国債償還率を引き下げました。これは将来の公債発行の準備であります。また、消極的なインフレ要因であります。将来にわたってまことに重大な点であることを私はここに指摘いたしておきたいと思います。(拍手)こういうやり方では、いよいよインフレの促進は必至ではありませんか。しかも、公共料金に対する政府の態度は、さき消費者米価引き上げ医療費引き上げ、あるいはバス料金など、基本的には引き上げるという態度をしょっちゅうもって今日までまいっておる。また、地方公営企業赤字に対しても救済策を講じないのでありまするから、東京、大阪の二大都市を先頭に、水道等の料金の値上げは次々に起こりつつあるのでありまして、こういう政府の態度は、物価の値上がりに拍車をかけるものといわざるを得ません。(拍手)  われわれは、政府のインフレ的財政金融政策の転換を要求し、物価値上がり抑制の一助として、地方公営企業の料金抑制のために、臨時特別交付金支出する案を提案するものであります。  なお、予算膨張、弾力性の喪失と関連して一言申し上げますると、既定の経費、既定の業務、機構等は全くそのままにいたしまして、新しく公団、事業団、特殊法人を次から次に乱設いたしておるという事実であります。(拍手)これらがすべてほとんど自民党びいきの独占人事に終始いたしておりまして、国民の監視が届きにくいところから、官庁的非能率的な業務運営を拡大する結果をもたらしておるのであります。臨時行政調査会答申のうち、官僚機構の拡張に都合のよい部分だけを採用しようとする政府のやり方は不当であります。われわれは、こういう新しい機構の乱設に対し重大な警告を発したいと存ずるのであります。  最後に、予算に関連して述べねばならない重要な問題は、国内で貧富の対立が激しくなるにつれまして、その原因である社会的不均衡を縮小し、この摩擦を緩和しようとせずに、力によりまして大衆を取り締まろうという、旧憲法時代の考え方なりやり方が台頭し、あるいは依然として強力に残っておるとさえ言うてもよいと思います。これは警戒をしなければなりません。組閣わずかに四カ月の佐藤内閣がそういう道をたどっているとは、いま直ちに私は断定したくない。しかし、佐藤首相の登場は、一部の人たちにそういう期待をもって迎えられておることは事実であります。事実、危険な徴候がないわけではありません。しかも、重大なことは、国外での緊張増大、すなわち、日本の場合なら、ベトナム、中国、朝鮮などにおける情勢が急変して国内に危機感が起こる場合には、それを契機として、極端な民族主義、あまりに偏狭な国家主義が横行するきざしが見えてきたのであります。  特にわれわれが最もおそれておりまするのは、国内で最大最強の力を持りている自衛隊の動きであります。さき予算委員会審議において、三矢事件を通じて、自衛隊が、日常、明らかに新憲法に反し、旧憲法十一条にありまするところの、天皇は陸海軍を統帥するとか、十二条の、天皇は陸海軍の編制や常備兵額を定めるとかいう、いわゆる旧統帥権の思想をそのまま踏襲した、ほんとうに思い上がった危険な研究が行なわれているということが暴露されたのであります。(拍手)このことは、われわれのみならず、一般国民に非常に大きなショックを与えました。このような事実に直面いたしましては、私は、党派を離れて、国会の名において、その事実を徹底的に究明し、災いを未然につみ取るという厳粛な態度こそ最も必要だと思うのであります。(拍手)しかるに、これに対する今日の政府の態度は、私は糾弾されていいと思います。(拍手)  以上申し上げましたような諸点に関しまして、政府は責任のある処理を明確にせずに、ここに、こそこそと逃げるがごとく四十年度予算を通過させようとしておるのであります。私は断じて容認するわけにはいかない。わが党は、今後とも、国会の内外を通じて、政府予算の悪質かつずさんな本質を徹底的に批判糾弾することを宣言しまして、私の反対討論を終わる次第であります。(拍手
  17. 船田中

    議長船田中君) 中村時雄君。   〔中村時雄君登壇
  18. 中村時雄

    ○中村時雄君 私は、民主社会党を代表して、脚府提出の昭和四十年度予算三案について、反対の意向を表明するものであります。  まず、私がどうしても納得がいかないのは、政府予算編成の態度についての政治的無責任と不用意さであります。まことに討論の冒頭から失礼ではありますが、今回の予算案ほど、審議の過程で満身創痍になった例もきわめてまれなのであります。佐藤総理みずから、前内閣所得倍増政策を人間不在の政治ときめつけ、佐藤内閣ができたならば、三千億円の減税と、強力な物価政策を実施すると公約されたにかかわらず、予算案に盛られた減税規模はわずか八百億円にすぎず、所得税の免税点引き上げは物価の上昇幅に及んでおらないのであります。さらに、肝心の物価政策に至っては、米価、医療費各種公共料金など全面的にコスト主義で割り切って、消費者負担増額、すなわち、値上げが当然であるとの方針をもって臨んでおるようにさえ見受けられるのであります。(拍手)このほか、医療費九・五%引き上げ厚生大臣職権告示農林漁業用ガソリン税の問題、三矢事件、さらに、内政、外交にわたる総理と各閣僚の答弁の食い違いの続出など、個々の問題について、ごれほど準備不足、勉強不足の内閣も珍しいといわざるを得ないのであります。(拍手)  私は、このような無責任な、不用意な予算編成を断じて認めることはできないのであります。  この立場に立って、私が政府案に反対する第一の理由は、政府予算編成の基本条件に重要欠陥が潜在しているからであります。  わが国経済は、いまや過当競争と過剰生産が慢性化し、金融はこれに見合って過度に膨張し、金融資本が産業資本を支配し、大企業もまた借金経営で過剰生産を続け、減価償却、支払い利子の重圧にあえいでいるという特質的な経営体質に固まってしまった観があるのであります。  また、反面、不況に悩む中小企業の保護施策の対象は、上中層の中小企業に重点がしぼられております。すなわち、中小企業の八割を占める零細企業対策には、いまだ何らなすべくもなく、将来切り捨て論に結びつく可能性すら見出されるのであります。  また、成長産業への労働力供給源となり、みずからは低い生産性に苦しんでいる農林漁業者に対しては、経営近代化の方向だけを示して、肝心の価格政策、流通機構や離農者受け入れの問題等、特に労働の生産性を高める意欲をふるい起こさせるに十分な根本策を実行しようとしておらないのであります。  この意味で、佐藤政策は、本質的には、前内閣所得倍増政策の欠陥を無反省に踏襲したという一言に尽きるのではないでしょうか。(拍手)  次に、政府案欠陥の第二の問題点は、政府は、財源不足だから十分な施策ができないと言いのがれをしておりますが、いまや、既定経費の増大に伴い、何びとが政権を担当しても、財源不足による予算編成難は今後避けられなくなったということであります。  政府歳出予算は、前年度に比べて四千二十六億円の増額となっておりますが、そのうち約三千五百八十億円は、既定経費のいわゆる当然増が占めて、差し引き、新規政策に充て得る財源は、わずか五百億円程度しか残っておりません。ところが、佐藤内閣は、このような財政構造の変化を漫然と見送って、このわずかなワク内において新規政策項目だけをたくさん並べたために、総花式予算編成とならざるを得なくなったのであります。これでは、国民の目前の問題として期待するひずみ是正や、国民生活向上に必要なる十分な予算を計上することは、絶対に不可能であります。この問題の解決には、国と地方を通ずる財政編成について、行政のなわ張り争いを排し、大胆な重点主義をもって臨み、税制改正により超過利得のある部面からその財源確保をはかるべきときであります。  私は、政府の怠惰にして事なかれ主義の予算編成は、次年度以降のわが国財政に甚大なる悪影響を及ぼすものと深く憂慮をいたす次第であります。(拍手)  私が政府案に反対する第三の理由は、予算編成前提条件となる物価安定について、政府施策があまりにも不十分かつ無力だからであります。  総理は、就任早々、強力な物価抑制策を講ずると公約したが、その実施したものは、消費者米価値上げを皮切りに、公共料金値上げストップの解除でありました。  現在、物価政策として緊急に必要なことは、通貨価値堅持のたてまえに立って、特に三十五年以降池田内閣高度経済成長を基点として、年々大きくなっておりますところの大手銀行のオーバーローン、日銀の信用創造をいかに調整するかにあるのであります。また、最近重要産業の大手メーカーの間に設備投資調整懇談会が盛んに開かれておりますけれども、独禁法を無視したこのような大企業間のなれ合い協定に設備投資調整をまかしておいてよいのかどうか、とのような金融と産業のあり方にメスを入れる点にこそ、通貨膨張の行き過ぎ是正、すなわち、物価高の根本的な抑制対策があるはずでありますが、政府の物価政策は、これらについて全く触れようとしておりません。したがって、明年度は、減税も、生活保護費基準額の引き上げも、かつまた、公務員のベースアップも、単に、物価引き上げに対してあとから追いかける事後的な、物価手当的な意味しか持ち得ないのみか、今後もこのような管理通貨の政策をとらざるを得ないことになるのでありましょう。  この意味において、今回の政府案は、予算増額と物価高の悪循環の矛盾をみずから深めた自縄自縛予算といわざるを得ないのであります。  私は、以上列挙してきた政府反対の論拠につき、これをいかに具体的に解決すべきかを、本日予算委員会に提出したわが党組み替え動議に基づいて、簡単に政府に以下勧告を申し上げます。  第一に、税制改正としては、所得税、物品税、酒税等にわたり、初年度二千五百億円、平年度約三千億円の大衆減税を断行するよう提案いたします。なぜなれば、政府所得税減税は、五人世帯の給与所得者で免税点が平年度で約五十六万四千円になります。しかるに、大蔵省調査によれば、三十九年度現在で五人世帯年間五十六万円の家計支出では赤字であることを明らかにしておりますが、政府は明年度の物価上昇を約四・五%と推定しておりますので、政府みずから、今回の減税の範囲では、勤労者世帯はすべて赤字となること々宣言しているにひとしいのであります。  私は、国の中核となる勤労国民実質所得の安定と向上を確保する見地に立って、所得税減税は、給与所得者五人世帯で免税点を年収七十二万円までに引き上げることを政府要望している次第であります。  このほか、税制改正として、たばこ消費税率を百分の三十に引き上げて地方自主財源を補強すること、さらに、大企業向けの恩恵として固定してしまっている租税特別措置を大幅に改廃することであります。租税特別措置とは、税の負担の公平化という原則から見れば、特定の経済的、政策的目的であって、当然期限を切って行なわるべき筋甘いのものであります。もし、このまま固定さすならば、企業格差はますます大きくなるでありましょう。これを大幅に改廃するとともに、中小企業向けの近代化促進、かつまた、勤労性個人事業保護のための減免税特例を期限を切って新設して、課税の公平を徹底すべきでありましょう。(拍手)次に、歳出予算編成は、きわめて多岐にわたりますので、特に物価抑制対策費について申し述べたいと思います。第一の問題点は、九・五%の医療費引き上げ問題であります。この問題につきましては、すでに、政府側と支払い側七団体との間に、二月十七にある程度の了解事項が約束され、厚生大臣の小法なる職権告示は、事実上空文化されることになりました。しかし、本件について私が黙視し得ないのは、政府は、右手で所得税減税は八百億円を計上したとしても、左手では、約九百五十億円にのぼる国民医療費負担を重加し、所得税減税の恩恵を上回らしめている事実であります。(拍手)この意味で、私は、本年一月にさかのぼって、健保の家族、国保の被保険者全体にわたって、医原給付を七割に引き上げるよう提案いたします。次に、水道、バス、電車等の地方公営企業の料金引き上げを回避するために当面の緊急措置として、政府引き受けの特別地方債の発行を許すべきであります。  また、生産者にとっても、消費者にとっても、価格は不安定で、供給の安定性がない生鮮野菜類の大量貯蔵を思い切って助成すべきであります。  このように、国の財政は、なすべき新規施策が山積しているにかかわらず、財政財源難で硬直しがちであります。その結果、政府は、これを成り行きにまかせているのが現状であります。これに対して、私どもは、明年度予算編成こそが、財政機能を強化するよう勇断を下すべきときと判断をし、以上強く要望する次第であります。  いまこそ、佐藤総理は、勇断を持って、派閥や池田前内閣にこだわりなく、総理前の佐藤氏に返り、自己の信念に基づいて行動すべき時期でありましよう。  私は、以上申し述べましたように、全般の佐藤内閣予算編成には最大級の遺憾の意を表し、反対の意向を明らかにする次第であります。  また、社会党組み替え動議に対しては、野党として同一の点も多々ありますが、全体を貫く基本的立場において見解を異にするものでありまして、遺憾ながらこれに賛成することはできません。将来、一日も早く基本的立場の一致することを望んで、私の討論を終わる次第であります。(拍手
  19. 船田中

    議長船田中君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、川俣清音君外十四名提出、昭和四十年度一般会計予算外二件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。  川俣清音君外十四名提出の動議賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  20. 船田中

    議長船田中君) 起立少数。よって、川俣清音君外十四名提出の動議は否決されました。  次に、昭和四十年度一般会計予算外二件を一括して採決いたします。  この採決は記名投票をもって行ないます。三件の委員長報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。   〔議場閉鎖〕
  21. 船田中

    議長船田中君) 氏名点呼を命じます。   〔参事氏名を点呼〕   〔各員投票〕
  22. 船田中

    議長船田中君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。——開鎖。   〔議場開鎖〕
  23. 船田中

    議長船田中君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  24. 船田中

    議長船田中君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数 四百二十九   可とする者(白票)      二百六十五   〔拍手〕   否とする者(青票)       百六十四   〔拍手
  25. 船田中

    議長船田中君) 右の結果、昭和四十年度一般会計予算外二件は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)     —————————————  昭和四十年度一般会計予算外二件案を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名       相川 勝六君    逢澤  寛君       愛知 揆一君    青木  正君       赤城 宗徳君    赤澤 正道君       秋田 大助君    天野 公義君       天野 光晴君    綾部健太郎君       荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君       有田 喜一君    安藤  覺君       井出一太郎君    井原 岸高君       井村 重雄君    伊東 正義君       伊東 隆治君    伊能繁次郎君       岩動 道行君    池田 清志君       石井光次郎君    石田 博英君       一萬田尚登君    稻葉  修君       稻村佐近四郎君    今松 治郎君       宇都宮徳馬君    宇野 宗佑君       上村千一郎君    植木庚子郎君       臼井 莊一君    内田 常雄君       浦野 幸男君    江崎 真澄君       小笠 公韶君    小川 半次君       小川 平二君    小沢 辰男君       小澤佐重喜君    小渕 恵三君       大石 八治君    大石 武一君       大泉 寛三君    大久保武雄君       大倉 三郎君    大竹 太郎君       大坪 保雄君    大西 正男君       大野  明君    大橋 武夫君       大平 正芳君    岡崎 英城君       奥野 誠亮君    押谷 富三君       加藤 精三君    加藤 高藏君       加藤常太郎君    賀屋 興宣君       鍛冶 良作君    海部 俊樹君       金子 一平君    金丸  信君       上林山榮吉君    神田  博君       亀岡 高夫君    亀山 孝一君       鴨田 宗一君    唐澤 俊樹君       仮谷 忠男君    川崎 秀二君       川島正次郎君    川野 芳滿君       菅野和太郎君    木部 佳昭君       木村 剛輔君    木村 武雄君       木村武千代君    木村 俊夫君       菊池 義郎君    吉川 久衛君       清瀬 一郎君    久野 忠治君       久保田円次君    草野一郎平君       鯨岡 兵輔君    熊谷 義雄君       倉成  正君    藏内 修治君       黒金 泰美君    小泉 純也君       小枝 一雄君    小金 義照君       小坂善太郎君    小島 徹三君       小平 久雄君    小宮山重四郎君       小山 長規君    小山 省二君       河野 一郎君    河本 敏夫君       纐纈 彌三君    佐伯 宗義君       佐々木秀世君    佐々木義武君       佐藤 榮作君    佐藤 孝行君       佐藤洋之助君    齋藤 邦吉君       坂田 英一君    坂田 道太君       坂村 吉正君    櫻内 義雄君       笹山茂太郎君    四宮 久吉君       志賀健次郎君    始関 伊平君       椎熊 三郎君    椎名悦三郎君       重政 誠之君    篠田 弘作君       澁谷 直藏君    島村 一郎君       正示啓次郎君    白浜 仁吉君       進藤 一馬君    周東 英雄君       壽原 正一君    鈴木 善幸君       砂田 重民君    瀬戸山三男君       關谷 勝利君    園田  直君       田川 誠一君    田口長治郎君       田澤 吉郎君    田中伊三次君       田中 榮一君    田中 角榮君       田中 正巳君    田中 六助君       田邉 國男君    田村  元君       高瀬  傳君    高橋清一郎君       高橋 禎一君    高橋  等君       高見 三郎君    竹内 黎一君       竹下  登君    竹山祐太郎君       武市 恭信君    舘林三喜男君       谷垣 專一君    谷川 和穗君       千葉 三郎君    地崎宇三郎君       塚田  徹君    塚原 俊郎君       辻  寛一君    綱島 正興君       坪川 信三君    渡海元三郎君       登坂重次郎君    徳安 實藏君       床次 徳二君    内藤  隆君       中垣 國男君    中川 一郎君       中川 俊思君    中島 茂喜君       中曽根康弘君    中野 四郎君       中村 梅吉君    中村 幸八君       中村 寅太君    中村庸一郎君       中山 榮一君    永田 亮一君       灘尾 弘吉君    二階堂 進君       丹羽喬四郎君    丹羽 兵助君       西岡 武夫君    西村 英一君       西村 直己君    根本龍太郎君       野田 卯一君    野田 武夫君       野原 正勝君    野見山清造君       野呂 恭一君    馬場 元治君       橋本登美三郎君    橋本龍太郎君       長谷川四郎君    長谷川 峻君       服部 安司君    濱田 幸雄君       濱野 清吾君    早川  崇君       原 健三郎君    原田  憲君       廣瀬 正雄君    福井  勇君       福田 繁芳君    福田 赳夫君       福田 篤泰君    福田  一君       福永 一臣君    福永 健司君       藤井 勝志君    藤枝 泉介君       藤尾 正行君    藤田 義光君       藤本 孝雄君    藤山愛一郎君       古井 喜實君    古川 丈吉君       保科善四郎君    坊  秀男君       星島 二郎君    細田 吉藏君       堀内 一雄君    堀川 恭平君       本名  武君    前田 正男君       増田甲子七君    松浦周太郎君       松澤 雄藏君    松田竹千代君       松田 鐵藏君    松野 頼三君       松村 謙三君    松山千惠子君       三池  信君    三木 武夫君       三原 朝雄君    水田三喜男君       湊  徹郎君    南好  雄君       村上  勇君    村山 達雄君       毛利 松平君    粟山  秀君       森   清君    森下 國雄君       森下 元晴君    森田重次郎君       森山 欽司君    八木 徹雄君       山崎  巖君    山田 彌一君       山手 滿男君    山中 貞則君       山村新治郎君    山本 勝市君       山本 幸雄君    吉田 重延君       和爾俊二郎君    早稻田柳右エ門君       渡辺 栄一君    渡辺美智雄君       亘  四郎君  否とする議員の氏名       赤路 友藏君    赤松  勇君       茜ケ久保重光君    秋山 徳雄君       足鹿  覺君    有馬 輝武君       淡谷 悠藏君    安宅 常彦君       井伊 誠一君    井岡 大治君       井谷 正吉君    井手 以誠君       伊藤よし子君    石田 宥全君       石野 久男君    石橋 政嗣君       板川 正吾君    稻村 隆一君       卜部 政巳君    江田 三郎君       小川 三男君    大出  俊君       大柴 滋夫君    大原  亨君       大村 邦夫君    岡  良一君       岡本 隆一君    落合 寛茂君       加賀田 進君    加藤 清二君       片島  港君    勝澤 芳雄君       勝間田清一君    角屋堅次郎君       金丸 徳重君    神近 市子君       川崎 寛治君    川俣 清音君       川村 継義君    河野  正君       久保 三郎君    久保田鶴松君       栗原 俊夫君    栗林 三郎君       黒田 寿男君    小林  進君       小松  幹君    兒玉 末男君       五島 虎雄君    河野  密君       佐々木更三君    佐藤觀次郎君       佐野 憲治君    坂本 泰良君       阪上安太郎君    桜井 茂尚君       沢田 政治君    重盛 壽治君       實川 清之君    島上善五郎君       島口重次郎君    下平 正一君       東海林 稔君    鈴木茂三郎君       田口 誠治君    田中 武夫君       田原 春次君    多賀谷真稔君       高田 富之君    高橋 重信君       滝井 義高君    楯 兼次郎君       只松 祐治君    千葉 七郎君       辻原 弘市君    戸叶 里子君       堂森 芳夫君    泊谷 裕夫君       中井徳次郎君    中澤 茂一君       中嶋 英夫君    中村 重光君       中村 高一君    永井勝次郎君       楢崎弥之助君    成田 知巳君       二宮 武夫君    西村 関一君       野口 忠夫君    野原  覺君       野間千代三君    芳賀  貢君       長谷川正三君    畑   和君       華山 親義君    原   茂君       原   彪君    日野 吉夫君       肥田 次郎君    平岡忠次郎君       平林  剛君    藤田 高敏君       帆足  計君    細迫 兼光君       細谷 治嘉君    堀  昌雄君       前田榮之助君    松井 政吉君       松井  誠君    松浦 定義君       松平 忠久君    松本 七郎君       三木 喜夫君    武藤 山治君       村山 喜一君    森  義視君       森本  靖君    八木 一男君       八木  昇君    矢尾喜三郎君       安井 吉典君    柳田 秀一君       山内  広君    山口シヅエ君       山口丈太郎君    山崎 始男君       山田 長司君    山田 耻目君       山中 吾郎君    山中日露史君       山花 秀雄君    山本 幸一君       湯山  勇君    米内山義一郎君       横路 節雄君    横山 利秋君       吉村 吉雄君    和田 博雄君       麻生 良方君    伊藤卯四郎君       稲富 稜人君    今澄  勇君       受田 新吉君    内海  清君       春日 一幸君    栗山 礼行君       小平  忠君    佐々木良作君       鈴木  一君    竹本 孫一君       竹谷源太郎君    玉置 一徳君       中村 時雄君    永末 英一君       西村 榮一君    本島百合子君       山下 榮二君    吉田 賢一君       加藤  進君    川上 貫一君       谷口善太郎君    林  百郎君       志賀 義雄君    田中織之進君      ————◇—————
  26. 船田中

    議長船田中君) 本日は、これにて散会いたします。    午後十一時三十三分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 高橋  等君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         文 部 大 臣 愛知 揆一君         厚 生 大 臣 神田  博君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  櫻内 義雄君         運 輸 大 臣 松浦周太郎君         郵 政 大 臣 徳安 實藏君         労 働 大 臣 石田 博英君         建 設 大 臣 小山 長規君         自 治 大 臣 吉武 恵市君         国 務 大 臣 小泉 純也君         国 務 大 臣 河野 一郎君         国 務 大 臣 高橋  衛君         国 務 大 臣 増原 恵吉君  出席政府委員         内閣官房長官 橋本登美三郎君         総理府総務長官 臼井 莊一君      ————◇—————