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1965-06-01 第48回国会 衆議院 法務委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年六月一日(火曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 濱田 幸雄君    理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君    理事 草野一郎平君 理事 小島 徹三君    理事 坂本 泰良君 理事 細迫 兼光君    理事 横山 利秋君       唐澤 俊樹君    木村武千代君       四宮 久吉君    中垣 國男君       濱野 清吾君    井伊 誠一君       神近 市子君    野原  覺君       田中織之進君    長谷川正三君  出席政府委員         法務政務次官  大坪 保雄君         検     事         (刑事局長)  津田  實君         法務事務官         (人権擁護局         長)      鈴木信次郎君         文部事務官         (管理局長)  齋藤  正君         労働事務官         (婦人少年局         長)      谷野 せつ君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         保安課長)   雨森 和雄君         検     事         (刑事局刑事課         長)      伊藤 榮樹君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 六月一日  委員山本幸一辞任につき、その補欠として野  原覺君が議長指名委員に選任された。 同日  委員野原覺辞任につき、その補欠として山本  幸一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政検察行政及び人権擁護に関する件      ————◇—————
  2. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより会議を開きます。  法務行政及び検察行政並びに人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。坂本泰良君。
  3. 坂本泰良

    坂本委員 吹原関係で若干お聞きしたいのですが、お茶の出がらしみたいになるかもわかりませんが、しかし、法務委員会として、法律的にも、政治的にもぜひ確かめておきたい、こういう関係から若干御質問いたしたいと思います。  それは、昨夜予算委員会におきまして傍聴したのでありますが、横路委員質問の際に、高橋法務大臣発言について質問がありました。それに対しては総理大臣から、そういう発言をするというのはどうかというような答弁があったようで、それでおさまったのですが、ここでひとつお聞きしておきたいのは、この高橋法務大臣発言によりますと、この発言は、事務次官刑事局長からの報告のもとに自分がやったのである、こういうような発言であったわけです。そういたしますと、次官並びに刑事局長からの報告は、その政治的の関係は全然ないという、あらゆる東京地検において捜査をした結果を報告されて、そうしてその高橋法務大臣発言になったと、こういうふうに考えられるのですが、その点については、病中の高橋大臣に対しては詳細報告をしてあるかどうか、どの程度報告をしてあるかどうか、その点をまずお聞きしたい。
  4. 津田實

    津田政府委員 吹原関係事件につきましては、まず最初から申しますれば、関係者告訴、それから告訴後の捜査の概況、それから逮捕に関する要求起訴事実、もちろんこれは吹原のみでなく、森脇に関するものも含んでおりますが、そういうものについて随時大臣報告をいたしております。
  5. 坂本泰良

    坂本委員 そういたしますと、黒金念書が七枚ですか、出ておる。そのうちの二枚は、これは偽造でない、黒金氏の家族の人ですか、お手伝いさんですか、この人がとりに行って、そうして受け扱ったものである。したがって黒金氏も承知しておるものである、こういうふうに言われておりまするが、その点いかがですか。
  6. 津田實

    津田政府委員 黒金念書関係につきましては、すでに三菱銀行関係の分につきましては、私文書偽造行使、つまり吹原森脇が共謀して念書偽造して行使したという事実は判明しておりまして、これは起訴されております。その他の念書につきましては、目下捜査中であります。どの事件と申すわけにはまいりませんが、捜査中でありますので、その事件内容につきましては私も詳細承知いたしておりません。したがいまして、いまのお尋ねについてはお答えできないわけであります。
  7. 坂本泰良

    坂本委員 そうしますと、あなたたち大臣に対してどの程度報告をされたんですか、それをお聞きしたい。
  8. 津田實

    津田政府委員 先ほども申し上げましたように、それぞれ処分あるいは処理ポイントポイントにつきましては、もちろん報告をいたしておりますし、その間におきまして随時報告をいたしておりますが、具体的にどういう点を報告したということは、これは捜査内容に触れる問題でありますので、ここで申し上げることを差し控えたいと思います。
  9. 坂本泰良

    坂本委員 しかし、法務大臣は重要なる発言をしているわけです。その発言基礎になったことを捜査関係で言えない、そういうことになれば、これは一方的にただ発表しただけであって、その発表がはたして真実なりやどうなりや、はたして大臣発言しているような状態でやっておろかどうか、その真偽の点がさっぱりわからぬと思うのです。少なくとも大臣たる者がその結論を出す以上は、その結論に対するポイントの、ことに黒金念書の問題、印鑑証明の問題なんかは重要なポイントであるから、その点に対するどういう報告があって、どういう報告に基づいて関係がないという発言をしたかということにならなければできないと思うのです。それを、ただ捜査関係というので言わないところに、国民は、検察庁というものは何でもできるんじゃないか、権力身持っておれば何でもできるんじゃないか、巷間いわれておるように、政治的に大いに関係があるけれども、ないように捜査を持っていく、そうして高橋大臣がこういうような発表をするなら、矛の方向に向かって政治関係のない捜査しかしたがったら、これは公平なる検察庁捜査ではないと思う。したがいまして、これを理由づけるためにも、一番重要な点、巷間政界関係のあるような、政治家との関係について保証書とか、それから念書とか——念書には印鑑証明がついているのだ。全く関係があるように見られておる。それを高橋大臣が全然関係がない、こういう発表をしたわけです。その発表をする以上は、そういう重要な問題については、国民が疑問にしている点については、これはこうなっているんだから政治関係がないんだ、政治的に関係がないんだ、こうならなければならないと思うのですが、その点いかがですか。
  10. 大坪保雄

    大坪政府委員 ちょっと私から一言だけお答え申し上げたいと思います。これはもう坂本先生も十分御承知のとおり、官庁機構というものは、事務的に大臣報告すべき事柄は、それぞれ局長なり課長なりの立場報告いたしております。私は、おそらく刑事局長は、私自身は詳細に知りませんけれども検察庁取り調べの経過なり内容なりについて大臣報告すべきものであると判断したものは全部報告していると思います。それをどこの点をとり、どこの点を捨てるかということは、これは大臣判断でございます。大臣が、この当委員会でもそうであったかと思いますけれども、答弁しているのを私も聞きましたが、これは私の判断で、検察庁取り調べ内容を間接的に聞いて、そしてそれに基づいて私が判断をして、こういうことを申しましたと言っておるのでございますから、どの点をおまえは報告したか、どの点を報告しなかったかというようなことを事務当局に追及なされても、これはいささか酷ではなかろうかというように考えるわけでございます。おそらくは、もう検察庁からの報告で、刑事局長判断によって報告すべしと思う事柄はすべて報告しているものと御了承いただきたいと私は考えます。  なおまた、検察庁は、大臣が何か指示をすれば、その主張や主役を曲げて政治的な問題は別にたな上げしておいて処置するというような疑いを持っての御意見でございますけれども、私は現在の日本の検察官というものはそういうものではない、これは厳然として職務を執行いたしておる、かように信じております。この点はお信じくださっていいのではないかというように思います。どうか事務当局への追及も、事務当局立場——これはもう坂本先生十分御了得のことでありますから、御了察の上よろしくお願い申し上げたいと存じます。
  11. 坂本泰良

    坂本委員 私も検察庁に対する信頼感並びに広範な事務について厳正公平にやっておられることは了承しております。さらに重要な事件は、破廉恥罪にせよ、政治的犯罪にせよ、あるいはこのごろこれも乱用されておると思っておりますが、公安与件関係についても、これは検察官僚としての、また法に基づいて捜査をしておる、そして重要なことの報告をしておる、その点について私は全般的に決して否定するものじゃありません。おおよそ大部分の点は私も法曹の一人として信頼をいたしております。ただ、このごろ労働事件その他の公安事件についての検察権の行き過ぎとか、いろいろ捜査の困難な状態関係から、悪く言えばでっち上げという問題が非常に起きて、裁判で無罪になるような事件が出てくる、こういう点に対しては遺憾に感じております。  ただ、この吹原産業事件だけについては、これは昨年の総裁選挙前後から起きた問題であり、それに関連しておる方は政界でも相当有名で、地位のある方であります。その方が前科数犯、取り調べ十数回に及ぶ吹原のことを全然知らなかった。その吹原産業株主として参加し、秘書の一名はその取締役になっておる。こういう関係のあることでありますから、新聞に出ておること全部を信頼するわけじゃありませんが、しかしながら、少なくとも大臣がこのような発表をする以上は、やはり中心は二つか三つしかないでしょう。その点についての疑惑は、こうであるから関係はないのだというのでなければ、私自身も、国民自体も納得しないと思うのです。刑事局長事務次官報告によって発表したものである、それじゃ主要な点はどういう報告に基づいて発表したかと聞けば、捜査関係で言えない。それではないことでもあるようなふうにかえって疑惑が出てくると思う。われわれ国政調査権で、この法務委員会でこの点をいろいろとお聞きするのは、やはりわれわれは国民代表でありますから、その代表に対して少なくとも納得のいくだけの発表はしてもらいたい。発表はこうしたのだ、その基礎事務次官刑事局長報告に基づいたのだ、それじゃ主要なところはどの報告にどういうことになっておるか、一例をあげれば、あの黒金念書の問題、黒金氏の印鑑証明の問題、保証書問題新聞なんかではあの保証書が出て、黒金氏と吹原と連名で判をついたのが出ておる。それはどういうわけで黒金氏とは関係がない、そこはその主要な一つ二つは言わなければ、その結論は納得できないと思うのです。私はそういう意味でお聞きしておるのです。どうですか。
  12. 津田實

    津田政府委員 黒金念書の問題につきましては、今回の三菱銀行関係に、私文書偽造行使という罪によりまして、吹原及び森脇起訴いたしております。したがいまして、その面で偽造があったことは明らかであります。そのほか黒金関係文書があることは新聞でも報道しております。あることも事実であります。しかし、その個個の文書につきましては目下捜査中でありますけれども、現段階で申し上げられることは、昨日の予算委員会でも申し上げましたように、黒金氏またはその夫人から、吹原黒金氏の判を預かっておったという事実があります。その預かっておった理由は、家屋及び電話加入権名義書きかえの必要上預かったということでありますが、その印を使用した疑いが非常に濃厚であります。そういう点は現在までにわかっておる事実であります。それから私ども大臣報告いたしましたのは、先ほど申し上げましたように、処分あるいは処理ポイントポイントについては当然でありますし、その間にも随時報告をいたしておりますが、具体的にどういう報告をしたかということは、捜査関係上申し上げることを差し控えたい。しかしながら検察庁自身は、とにかく起訴をするあるいは逮捕をするという処置をいたすことによりまして、その態度外部にあらわしておるわけであります。したがいまして、そのことによって、それまでの事実についてのある程度判断ができた、あるいは起訴については、検察官としてはその犯罪事実確実という判断をしたということは、検察庁判断をいたしておるわけであります。しかしながら、それ以外のこと、たとえば政界とどうとかいうような問題につきましては、検察庁は本来その職務権限判断すべき事項ではございません。したがいまして、その判断外部に公にするということは、検察庁自体としては通常の形においては形式上はあり得ないことです。ただ、しかしながら、検察庁におきまして起訴いたしました場合に、いろいろの関係新聞等質問を受けました場合に、ある程度のこと、ことに明らかになったことについては、これを外部に自然にわかるようにするという態度をとることはございます。私ども検察庁自身判断というものは一々聞いておりません。また見込みということにつきましても一々聞いておりません。私どもは集まってきたいろいろな報告によりまして、自分自身としてはある程度判断をいたしますけれども、その判断について上司に報告することは、する場合もあるし、しない場合もあります。本件についてどういう報告をしたかは申し上げられませんけれども、そういうわけでありますので、私ども判断が直ちにあらわれたものというふうにお考え願うことは、場合場合によって違うと思います。本件につきましては、少なくとも私からあるいは事務次官から報告いたしましたことにつきまして、大臣判断して発言されたものと私は考えております。現に私はそうであると確信しております。
  13. 坂本泰良

    坂本委員 それでは一つ聞きたいのは、先日当委員会刑事局長は、吹原に対する起訴状を朗読された。その起訴状によりますと、自由民主党政治資金があるからそれを預託するというので、三菱銀行に対してそういう要求をしたから、三菱銀行はその三十億の自民党の金が預託されるということで、預託されていないのにかかわらず三十億円の通知預金証書を発行した、かいつまんで申しますとそうだと思うのですが、その点については、大臣に対してどういう報告になっておりますか。
  14. 津田實

    津田政府委員 ただいまのお尋ねのとおりで、起訴事実に関しましては先般申し上げましたとおり、吹原吹原の会社の事業資金に窮した結果、自由民主党本部資金約三十億円を預金してやるという口実のもとに、昨年の十月十六日、十七日の二回にわたりまして長原支店長稲野佐一郎らに対しまして、自由民主党資金を直ちに預け入れる旨を通告をし、通知預金証書を準備させるというようなことをいたして、通知預金証書を騙取した、こういうことになっております。したがいまして、その基礎的な事実の存否ということは、非常に本件の重大なポイントになる。その点につきましては、検察庁におきまして十分捜査をいたしました結果、さような背景的の事実は全然ないということを確信いたしましたがゆえに、この事実を起訴したわけであります。したがいまして、そういうことについてはもちろん報告をいたしております。
  15. 坂本泰良

    坂本委員 そこで問題は、この吹原産業には黒金氏も大平氏も大株主であり、前尾氏は四百株を持っておる、こういう時の内閣との密接な関係がある。抽象的に申しますと、そうなると思うのです。だから、吹原自民党資金三十億円を預金する、こう言ったことについて、三菱銀行たるものが直ちにその預金証書を出すわけはないのです。その預金証書を出すについて、三菱銀行の単なる支店長だけの権限でこれはできない。少なくとも本店の、まあ風評になると思いますが、われわれが聞くところによると、当時の宇佐美総裁、それから常務のあれと、この間参考人に出ました検査部長、この三人は知らないわけはないんだ。また、それに報告せずに支店長が出したとかりに言っているならば、上のほうに波及しないように支店長が全部罪をかぶってやっているんじゃないかというのが、これは私はともかくとして、国民全部の疑惑ではなかろうかと思うのです。そういう点について捜査した点をやはり報告しておられますか。
  16. 津田實

    津田政府委員 本件関係、ことに常識的に考えまして、ただいまの支店長本人自身発案によるものか、他の示唆等によるものかというような点は、本件情状については大きな影響のある問題だと思います。したがいまして、それらの点については詳しく捜査をされていると思いますが、私は具体的にどういうふうな結果になっているかということはいま承知いたしておりません。したがいまして、そのことについては別に報告をいたすということにはなっていないわけであります。
  17. 坂本泰良

    坂本委員 私は単なる情状じゃないと思うのです。かりに吹原単独の行為として、この三十億の預金証書を出されるについて、自由民主党資金三十億を預金するというその犯意の中に一これは共犯になるでしょうが、その犯意があるいは三菱銀行の上その他も知ってやったものであるかどうか。現在は森脇吹原の二人の共犯になっておる。しかし、われわれの疑問とするところは、この二人だけの犯意じゃない。この犯意をやるのにはやはり政界の大ものが入っておらなければ、こういう犯意も起きないだろうし、また実際金が入ってないのに預金証書も出していないと思うのです。そういう点について、私は地検では捜査を進められていると思う。また進められていなければ、事務次官とか刑事局長はその点について疑問を持って聞くか聞かないか、よくその報告を確かめた上で大臣報告しなければならぬと思う。もしそのような報告をしていないとすれば、これは事務次官刑事局長としては重大な責任ではなかろうかと思うのです。その点いかがですか。
  18. 津田實

    津田政府委員 ただいま申し上げましたように、ただいまのお尋ねでありますが、それは要するに本件公訴事実は先般申し上げたとおりでありまして、この詐欺については吹原森脇の共謀であるということに検察庁判断いたして起訴いたした。したがいまして、ただいまお尋ねのように三菱銀行詐欺をされることを承知しておったということであれば、これは詐欺罪は成立しないわけであります。したがいまして、検察庁はそれはそうでないと判断したというふうに見ざるを得ません。起訴をいたしておりますから。したがって、それは当然否定されておる。したがってその面は、もちろん捜査の対象になっていたが否定されていたというふうに判断すべきであると思う。ただ個々事件につきましては、法務省といたしましては、一々捜査内容に触れて、これは犯罪が成立するのであろうか、しないであろうかということを一々検察庁には問い合わせということはいたしません。これは一々さような問い合わせをいたすことは、検察権行使影響を与えるおそれがありますので、それはいたしておりません。検察庁からは事実の報告を受けておりますが、取り調べたかどうかというような点についてこちらが質問することも一それはありますけれども、おおよその場合におきましては、検察庁捜査報告を納得できるものについては何もこちらは質問をしないという態度をとる。これが検察権のある程度の独立を確保するゆえんでありまして、個々捜査内容につきまして法務大臣のスタッフである私どもが口をいれることは、検察権行使に非常に影響を与えることになりますから、それはやっておりません。
  19. 坂本泰良

    坂本委員 私は、政界の大ものが、また自民党政界の大もの関係していなければ、いかに詐欺師吹原といえども自民党から資金三十億円の預金があるというようなことを、三菱銀行支店長にただおいそれと——何も関係がないというならば、そういうこともないと思うのです。また考え出すこともないと思うのです。やはり政界の大ものの方が、また自民党を牛耳るような方々が関連をしておるから、自民党資金三十億を預金する、こういうことに表面から考えてもなる。そこで私たちが疑問を持つのは、それは詐欺師吹原発案もあっただろうけれども、逆に政界の大ものから、こんなふうにしたらどうだというようなことで、共犯関係はないかということを疑問に持ちますから、この高橋発言は、そのような疑問について絶対そういうことはないのだという確信で発言されたということになれば、やはり事務次官刑事局長からその点についての報告がなければ、これは大臣発言として出るわけはない。こういうふうに強く推測するものだから、重ねてお伺いするわけです。
  20. 大坪保雄

    大坪政府委員 坂本さんは、吹原が希代の詐欺師であって、うそ吹原であるということをあまり御信じになっていないのではなかろうかという感じがいたします。自民党資金三十億を預金することにしてあるからと言った、それがいかにもまことしやかなる話のように御了解になっているのではなかろうかと私は想像いたします。自民党には、私どもの知る限りにおいては、とても三十億という金などありっこなかったと思います。現存もおそらくない。自民党国民協会からの献金によってその日暮らしをしているような実情であるのであって、それをぬけぬけと三十億の自民党資金を預けるということを言ったということが、政界関係がなかったということを裏づけするものだと私は思うのです。そういうことを信ずるということが詐欺にかかった証拠であるわけであります。自民党が五十億でも百億でも資金を持っている。そのうちの三十億をおれたち黒金なら黒金と話し合いの上でおまえのほうに預けると言うたということであれば、これは疑ったかもしれませんが、自民党にはとうていそういう金がなかったわけです。なかったのをぬけぬけと三十億自民党資金を預けると言ったということは、まずこれ、すなわち詐欺の手段に使っておったわけでありますから、私はその点は実に明瞭であろうと思うのでございます。その点はどうぞひとつ誤解のないようにお願いを申し上げたい。
  21. 横山利秋

    横山委員 関連して。大坪さんがそうおっしゃるので私もそうだと思う。刑事局長に、私しろうとですからお伺いしたいのですが、起訴状自由民主党の三十億円云々を書くという心理、いまお坪さんのおっしゃったようなことを私も最初考える。そんな三十億円預けると言ったってだれも信用しないであろうと思う、しろうとならば。しかし、それを起訴状の中へ書くということですね。吹原はありそうなことをいろんなことを言った。その起訴状書き起訴一つ理由とするに足るそれだけのことがあったのではあるまいか。だから麗々しく自由民主党三十億円とそこにお書きになったのではあるまいかと思う。これは推理でございますけれども先ほども話が出たんですから、それなりに長原支店長が思考するに足るバックがあった。というのは黒金念書一つ出てくる。それからもう一つ黒金さんが国民協会を設立された功労者であるということが出てくる。それから実印である。あなたは先ほどもおっしゃったのだけれども土地売買をするに足る実印の必要な時期は何月であったか。これはあなた御存じのはずですね。実印を貸して黒金念書をつくった時期と、土地売買するために印鑑を必要とした時期とは明らかに違うのですよ。私はそういうふうに判断する。だから土地売買に必要でない時期に印鑑が渡された。そうしてその実印が使用されている。だから、すべての黒金念書印鑑というもの土地売買に必要な時期に渡されているのではないのです。そういう判断は当然出てくるわけです。したがって長原支店長に、吹原氏が言う三十億円の金というのはある程度信博するに足る事情で説明をされた。したがって長原支店長がそれにだまされたというか、いま大坪さんの話でも、とても思考しがたいのだが、それがもっともらしく聞こえた。したがって、それが詐欺というか、そういうことになっていく可能性を持っている。だからこそ起訴状の中に自民党三十億円ということばが出てくるのではあるまいか。そうでなければ、そういうバックが、いろんなものがなければ、起訴状に書くこと自身も、検察陣は書かなかったであろうと私は推理する。どうですか、その辺は。
  22. 津田實

    津田政府委員 この起訴状には、先ほど一部読み上げましたとおりでありますが、通知預金証書を受け取る際は、本日午後には日銀小切手か預金小切手か現金で三十億円を預金するが、とりあえず北海道拓殖銀行築地支店あての自己振り出しの小切手で通知預金証書を交付されたい、こういうことを言っておる。しかしながら、先ほど申し上げました自由民主党本部資の金三十億円云々というようなことば全部合わせまして本件詐欺が成立しておるわけでございます。ところが、先ほど来お話しの黒金関係印鑑の問題は、先ほど申し上げましたように目下捜査中であります。それによりますると、印鑑はなるほど渡したというときもありますし、あるいは白紙に押捺して渡したというような事実も一部あるようであります。したがいまして、どれがどういう形において偽造されておるかということは目下捜査中でありまし一で、まだ解明されておりません状態であります。したがいまして本件につきまして、この起訴状に書いてありますような事実を長原支店長らが誤信して通知預金証書を交付したというのが本件詐欺罪ポイントであるというふうに私は考えます。
  23. 横山利秋

    横山委員 ですから大坪さん、あなたが言っておるのは間違いなんですよ。自由民主党の三十億円ということは、いま聞けば荒唐無稽だとだれでも思う。けれども吹原がそれを言い、長原支店長がそれに対してだまされただけの信慢性がそのときにはあったということ、それを裏づけるような背景があるということ、(「弁舌さわやかにやったんだ」と呼ぶ者あり)弁舌の問題じゃない、内容の問題だ。印鑑の問題でも、いま刑事局長がおっしゃるように土地売買のためにのみ印鑑は渡されたのではない。また偽造されたものは一枚であって、他は偽造されたものではない。で、あなたがおっしゃるように白紙で渡したのか何で渡したのか、土地売買以外の状況において渡されて使用されておるということが一つ明白な問題であります。関連でありますからこれでやめますけれども大坪さんのおっしゃるように全く荒唐無稽の話であるならば、起訴状の中に自由民主党三十億円が出てこない。こんなばかばかしいことであるならば起訴状に書くこと自身が間違いである。しかし、間違わないそれだけの客観的条件なり客観的背景があるからこそ起訴状の中に書いてある。私はこう考えております。大坪さん、あなたのは間違いですよ。
  24. 大坪保雄

    大坪政府委員 横山さんから間違い間違いと言われましたから、あえて御抗弁申し上げる気はないのでございますけれども先ほど不正常な御発言にもありましたように、おそらく吹原という希代の詐欺漢の弁舌さわやかなる詐術におちいったものと私は見ております。また、三菱銀行長原支店長政界の事情に暗くて、自民党という天下の大政党であるから三十億くらいの金はいつでもふところに持っておるであろうと誤認をしたかもしれない。しかし、実際はそうではないのであります。内情を知っておる者からすればそういうことはあり得ない。それらのことを詐欺漢でありますから、これは人を欺罔する手だて、手段はいかなることでも講ずる。むしろ人の意表に出るようなことを言ったほうが信頼をかち得るということになるわけでありますから、それらのことをおそらくは弁舌さわやかに述べて、そうして宗全に欺罔されたろうと私は考えております。私の言うのは間違いである、うそであるということではないと私は確信いたしております。
  25. 濱田幸雄

    濱田委員長 ちょっと御報告を申し上げますが、いま高橋法務大臣から連絡がありました。高橋法務大臣は、きょう熱が出ておるのを押して閣議に出席したのでありますが、からだの調子がどうも思わしくないのでまた病院に戻ったのでございます。それで委員長並びに野原先生その他の方方に御了解を願いたいという申し出でございますから、御報告申し上げます。
  26. 坂本泰良

    坂本委員 高橋発言については一点だけで終わろうと思いますが、ただ、私がここに一番疑問に思いますのは、ことさらに高橋大臣発表されたのは、やはり参議院選を控えての問題もあると思いますけれども、こういう発言をしたのは、指揮権の発動みたようなことになりはしないかということで、夕べの予算委員会でも、総理大臣——速記録はどうなっておるかはっきりしませんが、私が傍聴した感じでは、こういう発言をしたのは遺憾であったという意味の発言があって、終わっておるわけであります。  そこで、私がきょうさらにここにお聞きしましたのは、それだけでなくて、犯罪の実質について私は非常に疑問を持っておるわけなんです。と申しますのは、この自民党資金三十億円を三菱銀行長原支店ですかに預金をする、それを言うただけで、希代の詐欺漢だから三菱銀行支店長がごまかされたんだろう、だまされたんだろうというのが政務次官のいまのお話ですが、私は、三菱銀行支店長だけの問題でない、そう支店長がだまされる本のではない。これはいま日銀総裁に池田内閣の推薦でなっておられる宇佐美氏が頭取だった。そのような関係で、ただバックだけの問題じゃない、やはりこの詐欺犯意の中に加わる政界の大ものがいるんじゃないかという疑問が大いにあるわけなんです。それを、あえてこういう発言をしたのじゃないかと思う。こういう発言をしておいて、今後の地検捜査をずうっとそっちばかりに集約して、ほかのことはうっちゃらかす。これは、われわれが過去刑事事件を弁護しまして、往々経験したこともあるわけであります。それで、この指揮権の発動と同じようなことになるじゃないかというのは、その意味なんです。だから、そっちの政界関係は、もう高橋発言もあるし、またあとで問題にします渡部検事正の談話もありますから、国民は、そっちのほうに——もうこれで終えて、そうして重大なるこの吹原事件犯罪捜査は、吹原森脇というほうに一方的に偏してやられるおそれがある、それを非常に心配しております。しかしながら、東京地検の特捜部は、私はまだ信頼をいたしております。いかに高橋発言があろうと、渡部検事正の発言があろうと、これは公平な捜査を進めて発表する事態がありましょう。しかし、それはもう参議院選挙には間に合いません。そういうような選挙が行なわれるから日本の政界が腐敗をする。こういうのは慨嘆にたえたいことであります。願わくは高橋発言、渡部検事正発言にこだわらず、ほんとうの刑事の捜査を進めてもらいたいと思うのであります。  そういう点を要望しまして、次は、昨日森脇その他の起訴に際しまして、新聞にも出ておりますが、渡部東京地検検事正が異例の発言をしておる。まずお聞きしますが、近江絹糸事件もそうでしたが、この事件も、捜査中であるといって、国政調査のところでほんとうのキイポイントになる——世間でもいわれておるし、また、われわれ議員もその見地に立っていろいろお聞きしますけれども、言われない。ことに近江絹糸の事件なんかは不起訴処分に付して、その不起訴処分に付する根拠となった重要な事実をあげて、その点についての捜査をしたかどうかを聞いても、それは言えないといって言わない。そういうような検察庁の方針で、どうして東京地検の検事正がこういう発言をしたか。それは従来の刑事局長、その他が、捜査段階においてその発表をせずにおる、せられない方針とは逆じゃないか、その点どうですか。
  27. 津田實

    津田政府委員 私どもが国政調査に対しまして御協力を申し上げることは、当然でありますが、検察権の将来の行使に悪影響を及ぼすような事柄につきましては、申し上げることを差し控えてまいったわけであります。したがいまして、何びとをいつ取り調べたとか、あるいは具体的にどういう事実があらわれてきておるとかというようなことにつきましては、これは申し上げることを差し控えるたてまえをとっております。しかしながら、これは国政調査の場でもそうでありますが、一般に検察権の行使の結果について、やはりある程度のことは、世間あるいは国政調査の段階において明らかにする必要がある場合は当然出てまいります。全部がこれは捜査の秘密であるとして公表しないというわけにもまいらないということは、これは従来からの例でもありますので、その意味におきまして、捜査のあるポイントに達した場合に、ある程度のことを部外に自然にわかるようにする、あるいは国会の国政調査に対してお答え申し上げるというようなことは、いままでずっとやってきたわけであります。昨晩検事正がいかなる談話を申しましたか、私は詳細を承知いたしておりませんが、あるいは新聞記者の質問に答え、あるいはその他の方法によって、そのときまでに明らかになったことについて差しつかえない範囲のことを申したということはあると思います。
  28. 坂本泰良

    坂本委員 刑事局長は、近江絹糸の事件については、大阪の地検の検事が上京して河野大臣を調べたかどうかというようなことを聞いて、調べたか調べぬかだけでもいいと言ったけれども捜査の秘密の関係で言えないといって言わなかったのですが、これは速記録を見ても明らかであります。そういうことは、例をあげればまだほかにもたくさんありますが、時間がありませんからあれしますが、そういうことをわれわれが体験した上からこの検事正の談話を見ますと、これは読売新聞のけさの記事なんですが、「さる四月以来いわゆる吹原産業事件について捜査をしてきたが本日の東郷、木村らに対する特別背任、森脇に対する私文書偽造、同行使、詐欺、恐かつ未遂事件などの捜査を終わり、起訴した。なおこの事件に関連して、流布されていた元内閣官房長官黒金泰美名義の政治資金に関する念書について次のような事実がわかった。1三菱銀行告訴による三十億円の通知預金証書詐欺事件ならびに大和銀行の特別背任事件について、動機、政治資金調達の有無、資金の流れを究明した結果、森脇吹原の間には、約三年前から金銭貸借が行なわれていた。しかし高金利のため雪だるま式に債務がふえ、森脇吹原に対する最終的債権三十億円の大部分は、元本と高額な利子のつもったもので、現実に吹原が他の用途に使用できる余裕はなかった。自民党総裁選の際に、森脇らが資金を出している事実は全く認められず、この資金の調達、預金を口実に金融操作をしていたことが、明らかになった。さらに、森脇に対する債務の返済に困った吹原は、森脇と共謀して、三菱銀行に対する通知預金証書詐欺、恐かつ未遂事件まで犯すにいたったものである。黒金念書は、吹原森脇らと共謀、偽造したうえ、恐かつや、融資を得る手段につかったものである。」こういうような具体的の事実をあげて発表しているわけです。ですから、こういう程度ものは、やはり国政調査においても、ひとつこれはその事実を明らかにすべきものであって、従来のようなノーコメントでやるべきではない。こういうふうに考えますが、刑事局長はどうお考えですか。
  29. 津田實

    津田政府委員 国政調査につきましては、従来も申し上げておったことは事実であります。ただ、具体的にどういう人をいつ取り調べたかというような点について、あるいは取り調べ内容いかんということにつきましては、従来から申し上げていない例でございまして、本件につきましても、昨日予算委員会におきまして、大平氏あるいは前尾氏を取り調べたかどうかという御質問がありましたが、その点についてはお答えいたしておりませんことは従来のとおりであります。  そこで、ただいまお読み上げになりました新聞記事にほぼ該当するような事項につきましては、私は昨日報告を受けております。でありまするから、そのとおり地検判断しておるものと承知いたしております。
  30. 坂本泰良

    坂本委員 そこで、この談話によって、ほかの面を見ますと、「黒金念書偽造」「吹原事件の霧晴れる」こういうような大きい見出しを書き内容をよく見ますと、まだそんな新聞の見出しのような霧が晴れることも今後の捜査ではないと、われわれ専門的には見ておりますけれども、しかしながら、政界とは全然関係がないというようなことを総括には言っておる。具体的に見ますと、やはりさっき読み上げましたように、三菱銀行の通知預金関係から、それから森脇吹原関係から、相当具体的に検事正は語っておるわけですね。これを見ますと、政界関係のことについては関係がないと言って、吹原森脇との点については、公平に見て、こいつらがやったんだということを非常に強調しておるわけです。これを私たち第三者から見て、発表も非常に不公平じゃないか、こう思うわけだし、なお、こういうような内容を検事正が発表するくらいなら、いろいろとこの委員会委員質問に対しても、やはりこれくらいの程度ならもっと私は一この次はいままでの速記録を抜き書きして来ようと思うのですが、もっと親切に国政調査には一その個人の名誉とか、捜査上差しつかえるような点は、これは限度をわれわれも知っておりますが、ことに近江絹糸の問題なんかは、こういうことだけでもどうですかと言っても、捜査の秘密で言えない。大臣刑事局長の言うことを聞くから、ばかの一つ覚えというので議論もしましたけれども、それはそれくらいの高橋大臣ですよ。捜査の点については、それはこの国政調査も協力するのです。正しいことのために協力する。それは困る人もあるいは出てくるかもわかりませんけれども、それは公平にしなければならない。その意味において、その捜査の点等については限度を明らかにして、そうしてもう少し親切に説明してもらうお考えがあるかどうか、これをちょっとお聞きしてから次の質問に移ります。
  31. 津田實

    津田政府委員 国政調査に対しましては、できるだけ御協力申し上げる意味で内容を明らかにする態度にはもちろん変わりはございません。ただ、個々事件取り調べの進行の段階、あるいは終了後におきましても、将来の検察権の運用に支障のあることは申し上げられない、こういう態度は従来とも変わりませんし、これは山田長司議員の質問主意書に対する内閣の答弁にも明らかになっておることでございますので、それによってその限度であるということを御承知おき願いたいと思うのであります。
  32. 坂本泰良

    坂本委員 不幸にして、佐藤総理大臣の山田長司氏に対する答弁に対してはいろいろ疑問がある。司法権と検察権についていろいろ疑問があってただしたいと思っておりますが、今国会はこれで終わりますから、いずれ休会中にでも委員長にお願いして聞きたいと思います。  そこで時間もありませんから、ここで一つ私が聞きたいのは、昨夜も横路委員が聞いておった事実ですが、吹原は、「四月二十三日逮捕される直前に東京銀座の松屋デパート−古屋竜次郎店長—から一枚百万円の純金製大判十枚、計一千万円を買い、代金を払っていない事実をつかんだ。このほか」これからが大事です。「四、五年前から「贈り物にする」と同デパートから宝石、貴金属類など数千万円を買っており、ことに事件が表面化するまでの一年間に集中していることなどから、これら高価な品物を何に使ったのか新たな疑惑を呼んでいる。」「松屋デパートの話によると、吹原が純金製の大判を買ったのは三月下旬と逮捕直前の四月中旬の二回。それぞれ五枚ずつ、計十枚で代金一千万円は未払いになっている、吹原は四、五年前から同デパートの「お得意口座」にはいり「贈り物にするから」と宝石、貴金属類、高級呉服類を買っており、これまでの買入れ代金は数千万円になるが大判」一枚百万円の大判「大判をのぞいては代金は月末に払っていたという。」大詐欺師がこういう高額なものを買ってその代金を払っておる。まあ一般的に想像すれば、詐欺した金でこれを買っておるのですよ。そしてこれは自分が持っているわけではなくて、政界方面にも贈っておる。「ことに三菱銀行から二十億円の通知預金証書を詐取した昨年十月から事件が表面化した四月中旬までに、集中的に八百万円のダイヤの指輪、七十万円の純金製徳利セット「百数十万円の有名画家の絵など約二十点千数百万円にのぼる買い物をしているので地検は、犯行を容易にするために贈ったか、事件になることを恐れてもみ消しに使ったのではないかとみて捜査している。同デパートの「お得意口座」にある某政界有力者夫人に対してその代金の一部を吹原が支払っていた形跡もあり、疑惑を呼んでいる。」こういうことがいわれているのです。これはわれわれ、もちろん権力も技能的なものもありませんから、なかなか検察庁のように調査はできないのです。できないけれども、われわれが調べた範囲内においても、この新聞に出ておる範囲は明らかになっておる。ですから検事正が、政界とは全然関係がないと発表しているが、この点についての調べはどうなっているか。だれにやったんだ、少なくとも名前ぐらいはわかっているのでしょう。それを明らかにしてもらいたい。
  33. 津田實

    津田政府委員 吹原個人をめぐります金銭その他の収支につきましては、現在これを逐一捜査中であります。したがいまして、いまお尋ねのような点があるかどうかは私は承知いたしませんが、当然その捜査の対象になっておるわけです。したがって、その面におきまして、また犯罪事件の端緒を得れば、当然措置するものと見ておりますが、現在においてはそれは捜査中であるというふうに申し上げるわけです。
  34. 坂本泰良

    坂本委員 捜査中であるから発表できないと言うのでしょう。言えないと言うのでしょう。また捜査中と言うのでしょう。それじゃなぜ検事正のこういう結論的な発表をやるのですか。その点いかがですか。
  35. 津田實

    津田政府委員 先ほどお読み上げになりました事項につきましても、三十億円の通知預金証書詐欺事件、それから大和銀行関係事件について判断すると、自民党総裁選挙資金には関係がない、こういうふうに検事正は言っておるものと思います。したがいまして、その件に関する限りは、そういう判断地検がいたしておるわけです。しかしながら、その他の、いまの大判がどうであるかというようなことについては、何ら説明もいたしておりません。
  36. 坂本泰良

    坂本委員 特定のことは言わぬというのでしょうが、しかし地検の検事正の談話の発表は、いま具体的に読みました、総括的に考えれば政界には関係なくこれをやっている。それからほかの新聞にも黒金念書偽造であった、吹原事件の霧は晴れる、これが一般に及ぼす影響をどう考えるのですか。  そこで私は、いろいろなことを聞く時間もありませんから、お聞きしたいのはこの買いものですね。松屋のほかにもまだ高島屋その他にもあるらしい。しかし、ここに書いてあるように、松屋デパートのお得意口座にある某政界有力者夫人に対してその代金の一部を吹原が支払っていた形跡もある。こういう形跡を調べないのですか。吹原が大詐欺師だから詐欺をやったというのでしょう。かりに大詐欺師であっても、自民党の三十億の金を預金するから通知預金証書を出してくれというので、われわれは三菱銀行の上でも知っておると思うのですが、預金証書を出した。少なくとも六カ月間ほったらかしてあったのですが、その当時は総裁とかその他はかりに知らないといたしましても、一カ月以内ぐらいには私は知っておると思うのです。それを六カ月も放てきしておる。そうして森脇から請求されたからというので告発したのだ、こっちは関係ないと言っておる。そこに三菱銀行吹原も某政界の有力者も一体となってこの三十億円の詐欺をやろうという共犯ではないだろうかという疑惑が出てくるわけでしょう。だから少なくともこれは地検捜査すると書いてあるから、そのような捜査をしたかどうか、その点いかがですか。
  37. 津田實

    津田政府委員 先ほど申し上げましたように、吹原関係の金銭その他の出入りにつきましては一切ただいままで捜査しております。したがいまして、お尋ねのような事実がありとすれば、もちろんその捜査の対象になっております。いま申し上げましたように、吹原関係の全部の金銭の出入りを洗っているということが現在の状態でありますので、その点は当然さような事実がありとすれば捜査の対象にしているということを申し上げたのであります。私自身は、いまどういう捜査をしておって、いまの松屋関係がどうなっておるかということは知りません。
  38. 坂本泰良

    坂本委員 それならば、なぜ地検の渡部検事正はこういう発表をしたのですか。全部捜査が終わらずに発表したというのは、十日から告示になるところの参議院選挙に対する大きな関係のある一方の政党に対するところのジェスチャーと言われても過言ではなかろうと思う。高橋大臣発言もそうでしたが、この純然たる行政権といわれ、また、検察権の独立公平ということを標傍される東京地検の検事正が、どうしてこういう政治的な発表をしたか、その点いかがですか。
  39. 津田實

    津田政府委員 先ほども申し上げましたように、本件三菱銀行告訴にかかる三十億円の通知預金証書詐欺事件、それから大和銀行関係の特別背任事件、その関係におきまして背後に金銭の動きがあったとしても、それは総裁選挙資金には全然関係がない、したがって資金を出しておるという事実は認められないということを検事正が述べておるわけであります。一切のことについて政界人と何らかの金の出入りがあったか、いまの大判の出入りがあったかということについて何も申しておりません。
  40. 坂本泰良

    坂本委員 主張されるような検察権の独立、公平があるなら、こういう点から足がついて、吹原詐欺の問題について、吹原森脇の二人だけでなくバックがある。バックというのはただ普通のバックではないのですよ。共犯的な関係がありはせぬかという疑問を非常に持つのです。ですから、ひとつ今後は国政調査権について——時間がありませんからこれでやめますけれども、それは秘密だ、それは秘密だとやらずに——もちろんわれわれは三権分立を前提としておる。しかしながら、国政調査について、公平なる刑事事件その他についてやりたいという場合に、隠せば隠すほど疑問が出てくるし、それは、これを言ったならば犯人が逃げるとか特別な場合はありましょう。限界はわれわれも心得ておる。その点はぜひひとつ今後の問題として御答弁を願いたいと思う。  さらにこの談話の問題は、これは局長は、いま三十億のいわゆる自民党政治資金のことについては関係ない、それを検事正は言っただけだとおっしゃるけれども、私はそうでなくて、それと同時に、いま吹原事件としてここに重大な問題が起きておる、これに一連の関係があるのではなかろうかと大いに疑問を持つわけです。ですから、検察当局のほんとうに不覊独立、公正なる捜査を期待いたしまして、私の質問を打ち切ります。
  41. 野原覺

    野原(覺)委員 私はいまの坂本委員質問に関連してお尋ねいたしますが、いまの政府委員の答弁によりますと、吹原弘宣の金銭の出入りにつきましては目下捜査中だ、こういうことです。これは坂本委員が指摘しましたように、捜査中のことにかかわらず、政界との関係がない、吹原の金銭の出入りが、政治家との間に出入りがあったとすれば、これは事は重大だと思う。その点は捜査中だ、その捜査中にもかかわらず、政界との関係がないのだ、こういう印象を与えるようなこの談話というものは、われわれ断じて承服できない。  そこでお尋ねしたいことは、この捜査中の件に関して、つまり目下調べの段階、この調べの段階が発展してまいりますというと、政界との関係がないと否定できないこともあり得る、私はこう思う。これは常識だと思う。いかがでございますか。
  42. 津田實

    津田政府委員 吹原に対しましては、他に告訴の事実もあります。それから告訴の事実に関係がなくても、ただいま申し上げましたように、吹原を中心とした金銭の出入りというものは、いま克明に捜査を遂げておる。したがいまして、将来のことは何とも申し上げかねる次第であります。
  43. 野原覺

    野原(覺)委員 したがって政界との関係がないなどとはいま断言はできない。これはきのう予算委員会横路委員高橋法務大臣のこの発言に対して追及いたしました。法務大臣も、政界との関係はないのだ、けさの新聞発表による渡部検事正の談話によっても、政界との関係は白なんだ、こういう印象を与えるがごとき談話を出しておることは、これは断じて許せないです。吹原の問題の一切の捜査が完了したならば、この断定を下してもいいだろう。しかし、われわれの疑点を質問いたしますと、捜査中だ、捜査中だと言う。きのうは念書について質問したら、これは捜査中と言う。すべてのもの捜査中だと言う。それからいま坂本委員が松屋デパートの金銭の出入りの問題について質問すると、これも捜査中。こういうもの捜査してまいりますと、政界との関係もあり得るじゃありませんか。政界との関係はないと断定できないじゃありませんか。これは明確にしてください。法務当局は政界との関係はないとはまだ断定してないのだ、いかがですか。この点明確にしてもらわなければ、これは公正なる検察庁立場からも許せないと思うのです。いかがですか。
  44. 津田實

    津田政府委員 先ほど来申し上げましたように、この三十億円の通知領金証書の詐欺及び大和銀行関係の特別背任、この関係の背後に資金が動いたとしても、それは総裁選挙に関連して吹原森脇等がその方面に資金を出したという事実は認められないということを検事正が述べておるものと私は存じておるわけです。したがいまして、検事正が、全然政界関係がないという発言をいたしたことは私はないと信じております。また、先ほど来申し上げましたように、吹原関係の金銭の出入りについては捜査中でありますし、また、そのほか吹原に対する告訴事実もあるわけです。したがいまして、今後の問題はどういうことになるか全く私はわかりませんし、また検察庁でも今後の見通しを述べておるわけではありません。
  45. 野原覺

    野原(覺)委員 もう一点。そういたしますと、高橋法務大臣がきょうは見えておりませんからきわめて残念でありますが、政界との関係がないというあの談話は、きわめて軽率、不謹慎きわまるものだと思うのだが、いかがですか。
  46. 津田實

    津田政府委員 先ほど申し上げましたように、私は、いままで捜査の経過につきましては、処分あるいは処理のあるつどそのポイントについては報告いたしますし、その間、随時事実関係についても、必要な点については報告をいたしております。それによりまして高橋大臣がさように判断をされたということは、前回も当委員会で申し上げておることを承知いたしておりますが、私は、われわれの報告を聞いて大臣が御自身として判断されたことであるというふうに考えております。
  47. 野原覺

    野原(覺)委員 高橋法務大臣判断を聞いておるのじゃない。どのような判断をしようとも個人の判断は自由、このくらいなことは私は知っております。しかしながら、あなたがただいま言ったような、政界との関係が白だとは検察当局はまだ断定していない。にもかかわらず、高橋法務大臣は、政界との関係はないと、こう言い切っておりますよ。きのう予算委員会でもその答弁を横路君にいたしております。これはこの事件捜査していく上から見てきわめて重大なことだと思う。責任ある法務大臣が、いかに同僚であるとはいえ、私的な感情でもってこのようにごまかすということは許せないことだと私どもは考えておるのです。だからして、どのような判断を下すにしても、そういった検察庁捜査を妨げるがごときそういう発言をすることは許せないことじゃありませんか。やってもいいのですか、そういう発言をしても。あなたはどう考えますか、それは。
  48. 大坪保雄

    大坪政府委員 野原さんのだんだんのお話でございますけれども事務当局は、先ほどあなたがおいでにならなかったときかと思いますが、吹原産業の例の事件については、おそらく検察庁からの報告で知り得た限りのもの大臣報告しておると私は存じます。それらの報告基礎として大臣がみずからの判断を下して、そしてみずからの判断新聞記者に語ったのでございますから、それが不見識であるかどうかということを事務当局にあまり御追及くださることは、これはいかがなものであろうか。これは大臣がいろいろの報告基礎としてみずから判断したことでございます。そこはひとつ御了承を願わなければならぬと思います。
  49. 野原覺

    野原(覺)委員 これはあなたは政務次官ですから、大臣の弁護役でございましょうから、そういうことをおっしゃるのだろうと思うが、私は、事務当局というものは最も法に忠実、厳正でなければならぬと思うのですよ。だから尋ねておる。大臣というもの政治家がなるのです。政治家というもの政治発言をして間違うことがある。だから間違いは間違いと言ったらいいのだ。政務次官、何といってもこれは軽率ですよ。判断を下すならば、自分判断は頭の中にとどめておいたらいい。これを談話で出すことは何ということですか。何といっても軽率だ、不見識だ。いま私が尋ねた、政界との関係は白だと断定して談話を出すことは不謹慎じゃありませんか。私は、これ以上質問をしても答弁しないと思うから、高橋法務大臣の来たときにして、これで終わりますが、不謹慎ですよ。事実を事実として認めることのできないような事務当局じゃ困りますよ。そういうことでは、あなたは刑事局長として大臣の忠実な補佐をしておるとはいえないじゃないか。  以上申し上げておきます。
  50. 濱田幸雄

    濱田委員長 神近市子君。
  51. 神近市子

    ○神近委員 私は、最近中国電力がオペレーターとキーパンチャーと、その補助員を二十五歳で定年にするという決定をした。その問題について、どうもこれは婦人の労働権、同一労働、同一賃金あるいは同一待遇、こういう問題についての違反であろうと思いますので、この点で少しお尋ねしたいと思います。  いま労働基準局長にこれは人権に関する問題でございますからおいで願ったのですけれど、局長が出張で御不在、次長は人事異動でごたごたとしているので出られないというような問題ですから、婦人少年局長が御存じではないかと思いますので、基準局についてのこともちょっとお尋ねしてみようと思うのです。  三十九年の九月に基準局からこの問題についての答申というのが出ているはずでございますけれども、それはキーパンチャーと、それからオペレーターとその補助員についての答申のようですけれど、その点どういうような基準であったのか御存じないでしょうか。同じ省内で、婦人の労働に関係の深いことですから、御存じではないかと思うのです。
  52. 谷野せつ

    ○谷野政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、最近キーパンチャーにつきまして、事務機械化が進行いたしますとともに、このような職種につく婦人がふえておりますし、かたがたこの婦人たちの職業的な苦痛度がいろいろに訴えられておるようでございますので、労働基準局におきまして、中央労働基準審議会におはかり申し上げまして、このキーパンチャーの職業的な疾患の防止の観点から、作業場の条件並びに作業環境についてどのように改善をしたらよろしいかという点をおはかりを申し上げていたわけでございます。最近に至りましてその結論が出たわけでございまして、つまり作業のスピード、一時間の間にキーパンチャーがタッチをいたしますタッチの数を規制いたします。それから作業環境につきましても、常温とか照明とかその場所の広さとか、あるいはまたそのキーパンチャーに対する適当な休憩時間を与え、しかもその休憩の場所を適切に整えるようにという作業環境の指導方針、それから健康診断を実施して、キーパンチャーが職業的な疾患に冒される前にこれを予防していくようにという、こういう意味で健康診断を実施をする。このようなことが必要であるというような具体的な基準を設定いたしまして、基準局長名をもちまして全国の労働基準局長に通達をいたしまして、この方針に基づいて事業場を監督するように、並びにこの方針で事業場の設備状態、労働条件の指導をするということに手をつけておるのでございます。
  53. 神近市子

    ○神近委員 そうすると、実働時間は五時間、それからそのあとに体操と休憩時間、そういうのは割合はどういうふうになっていますか。これはキーパンチャーの雑誌で見たんですけれど、労働時間は純粋には五時間というふうになっていますか。
  54. 谷野せつ

    ○谷野政府委員 たいへん恐縮でございますが、そのキーパンチャーの従事いたします労働時間の厳格な基準につきまして、今日、私持ってまいるのを忘れまして恐縮でございますが、普通の労働時間よりも短く規制をするような方針であることは確かでございます。
  55. 神近市子

    ○神近委員 それは大体五時間、それから休憩時間と体操の時間というのが、おっしゃった運動時間に当たると思うのですけれども、これが非常に短いらしいのですよ。それで休憩時間の場所が不適当で、行き来に時間がかかるというので十分な休憩がとれないというような不満がずいぶん出ておりましたけれども、それは基準局長がおいでにならないから次の機会にいたしますけれども、たとえば二十五歳を定年にして退職金にプラス一五%、それから職種はキーパンチャーとオペレーターとその補助員に限るというふうなことで、実施は四十年の四月からということになっておりますが、ですから、これは私どもは労働基準法の第三条に違反すると思うのです。このことで、婦人少年局長として婦人の労働を守っておあげになる立場から、この決定があったときに抗議をなさるとか、あるいは基準法の違反であるというようなことをあなたのほうから基準局に抗議をなさったか、再考を求めたというふうなことがあるのですか。
  56. 谷野せつ

    ○谷野政府委員 婦人の働く機会につきましては、男女機会均等の趣旨をもちまして私どもは仕事を進めているのでございますが、この中国電力の特別な職種についで二十五歳定年を実施しましたことにつきましては、そのことにつきまして地方の室長から報告がありまして、私どもといたしましては、その機会均等の趣旨に反するという考え方に立ちまして、できる限りこのような低い定年制の実施につきましては、これが外へ広がらないように、また可能ならば、将来の機会において、もしも労働協約あるいは就業規則その他について、そのようなことを労使の間の取りきめとして相談をされるような場合には、できる限りそれを趣旨として、労働基準法の男女同一労働、同一賃金の趣旨からいたしても適当ではないという意味をもちまして、基準局にもその趣旨に賛成をしていただきまして、過般の労働基準局長会議のときには、今後このようなことは労働基準法の趣旨からしても好ましくないので、できるだけその職場の相談を受けましたような場合に、的確な指導をしてほしいという申し入れをいたしたのでございます。
  57. 神近市子

    ○神近委員 そのくらいでは、私は非常に力が弱いと思うのです。これは第一には男女同権の憲法に違反していること。それから第二には職種別による定年制が次々にふえていくおそれがあるということ。だんだんといま雇用者側ではなるべく早くやめてもらって、そして賃金の安い若年労働を使いたいというような気風が出ているときに、これをくずすということは、私は次々にそういうようなことが出るというので、それは私厳重に御抗議になるべきで、この基準局の決定あるいは許可、そういうものを出さないように阻止なさるべきだったと思うのです。第三には、二十五歳定年というようなことが行なわれると、それ以上の年の人たちはその職場にいづらくなるのです。そうでしょう。それから第四番目には、働けるだけ働かして、そしておっぽり出そうというような使用者側の隠された意図がある。それが実行しやすくなる。これは問題はたいへん小さいようですけれども、いろいろすでに中国電力だけでなく、北陸、四国、それから東北あたりでもこれが出ているのです。それで私は、この問題は婦人少年局、婦人の労働権を守る立場においでになる方たちが大きに問題としてお取り上げにならなければならなかったのじゃないかというふうに考えるのです。それなら中国電力はもうからなくて困ってこういうことをしたのかといえば、そうじゃないのですよ。中国電力は日本の電力の中でも大きにもうかっているほうなのです。それが進んでこういうことをしたということが私どもは問題と考えるのですけれども、その点で婦人少年局はどういうように今後問題を考えようとなさっていらっしゃるか。ここでそうだったかなという程度のお考えなのか、それともこれが発表されたときにその影響をお考えになったかどうかということを承りたい。
  58. 谷野せつ

    ○谷野政府委員 先ほど申し上げましたように、働く機会の、年齢によります男女差がつけられるということにつきましては、私どもといたしましては、男女機会均等の見地から何とかして今後においてこれを是正していく方向に努力をいたしたいと思っております。ただ問題は、私ども、労働基準法の違反として基準局がこれを扱うことができないわけでございまして、違反を成立させるという問題ではないわけでございます。したがいまして、基準局においてやっていただく限度におきましては、その事業場の就業規則などを届け出になります場合、あるいはその前の段階において基準局に協力をしていただくことが主になると思うのでございますが、婦人少年局といたしましては、これを法律上の問題として扱うのではなくて、もっと具体的な問題として、このような差別がどのようなところから出てくるのか、あるいはまたこの差別に対して法律上の制限以外に何かこれを是正していくことができるかどうか、ことに労働者の方々から訴えられましたような場合には、極力あらゆる力を尽くして事業場に反省を求めることにいたしております。  なおまた、婦人少年局におきましては、特にこの男女の定年制の差別につきまして、基本的な問題を社会に考えていただきますために、この問題に対する研究会議を実施いたしまして、専門家の方々の御意見並びに使用者もあるいはまた労働者側の意見も伺いながら、考え方の是正、並びにそのような事情がどうして起こってくるか、今後においてどのような手を通してどのように是正していったらいいかというような点について、皆さまにおはかりをいたしまして、その方針に従って今後進みたいと思っておりますし^さらに婦人少年局の啓発活動を通しまして、広く男女の経済的な機会に対する機会均等という立場から、働く婦人の福祉運動その他におきまして十分社会の理解を、特に労使の側の御理解でそれを援助していただく、社会通念の是正ということに努力をいたしていきたいと思っております。
  59. 神近市子

    ○神近委員 男女同権、同一労働同一賃金、あるいは生理休暇についての問題、これはILO百号、それから日本の憲法にもはっきり書いてある。ところが、これはあなたがどういうわけでこういう問題が起こるかということがよくわからないというふうにおっしゃるのですけれども、これは戦前にだんだん返りつつあるというようなところから生まれてきていると考えるのです。そうすれば、婦人少年局というような役所は、婦人の権利を守るためにあるようなものですから、その点では相当ファイトを持っておやりにならないと、男の局長がたくさんいられるところ、そういうところにおいでになって、別に局長がファイトが足りないというようなことを申し上げるのじゃないのですけれども、まごまごしてはいられないというような立場においでになるのではないかと思うのです。  ですから、私はひとつその点を、憲法に対し、またILO百号に対してもはっきりとうたってあるところがあるのですから、その点でこの問題を、たとえば二十五歳でキーパンチャーができないというような場合には、ほかの職種が幾らでもあるのですから、そこへ移すというようなことを勧告なさるべきだったと思うのです。その点で、ひとつぜひ考慮していただきたいというふうに考えて、お覚悟のほどを承りたい。
  60. 谷野せつ

    ○谷野政府委員 このような働く機会につきます男女の差別的な事柄と申しますのは、やはり社会的な考え方並びに経済上の問題が影響しているわけでございますが、最近は特に若い労働力も不足をしている時代でございますし、特に中年の人たちが職場に出て有効な労働力として働くということが絶対必要な事情になってきていると思いますので、このような若年の定年制をしくというようなことは、今日の社会的な事情から申しましても非常に考え方において矛盾があるわけでございまして、基本的なこともとにかくといたしまして、きびしい経済原則がありますと同時に、社会的な通念並びに労使の間の婦人労働に対する従来の考え方というものが相当強く影響していると思うのでございます。したがいまして、そのような観点から、婦人の使い方というものに対する従来の考え方を改めて、この時代において新たな観点に立って労務管理をしていく、あるいは婦人労働者自身も働くことに対する考え方をしっかりとしていくような方向において、私ども婦人少年局は仕事を進めさしていただきたいと思っております。
  61. 神近市子

    ○神近委員 私はそこにちょっと危険を感じるのです。今日のとおっしゃるけれど、今日は労使関係はいい風潮ではないのです。ILOの八十七号の批准ができましたけれど、そのほかに労使の問題がからんできているということは御存じのとおりであります。こういうようなことが起こったということは、戦前的な考え方がやや生まれてきつつあるということで、婦人なんかという感じ方があるのです。私がこの休会中に、婦人の人権に関する問題として、一度ぜひ委員会を開いていただきたいと思うことは、私のところに、いま現に起こっているところの生理休暇の問題についての投書が来ているのです。それは、きょうは時間がないとおっしゃるから、私は持ち出すまいと思って、またほかの場合を考えているのですけれど、生理休暇の問題だってそうなんです。人類の再生産というものは女だけがし上って男の人たちはのほほんとして、そしてちっとも責任が自分たちはないような顔をしていらっしゃるというところに、私は納得がいかないのです。それなら婦人がみんな子孫の生産をボイコットしたら一体どうなりますか。そういうことはちょっと広く考えていただかなくちゃならないと私考えているので、また他日その問題では考えていただこうと思うのですけれど、一応生理休暇というもの、それから子供をかかえて労働する婦人についての保護が、ILOなんかにはちゃんとはっきりと書いてある。それなのに、いま、たいがい二十五歳定年なら結婚するだろうからというようなことでしょう。何も職場をかえてほかの仕事に回せば何でもないはずなんです。それを特殊の非常に疲れる骨の折れる仕事、それでもう消耗したからというので、ぽんと嫁にでも行けというようなことでやるというところに私は何とも、それを黙って見ている労働省とか、あるいは……(「組合を呼び出して聞け」と呼ぶ者あり)それは特殊の事情があるのです。組合が二つあって、第一組合と第二組合があって、第一組合はこれを了承したという特殊の事情があるのです。それで、その問題はまた労働の問題となると思うのですけれど、ともかくもきょうは基準局長がおいでにならないから婦人局長ばかりに当たるようですけれど、よほどこれは考えていただかなくちゃならないこと、そして子供をかかえた婦人が労働ができるというような状態を私どもは想像しているのです。そうしなければ、今日のようなあまり望ましくないような思想が生まれてきているという原因も、そこらの考え方にあると私は考えているわけです。  それで、もう一度私がお尋ねしたいことは、こういうことは人権擁護局というもののあり方に——たとえばラジオ商殺し事件という有名な事件があります。あれをそっくり取材した「証人の椅子」という映画ができております。私は裁判の現実を、弁護士さん方やその他の方々のように現実に知らないものですから、あれだけで一あれと、もう一つほかの映画があります。たしか「日本列島」だったと思うのです。映画ばかり見ているようですけれど、そうじゃありません。いろいろ勉強することがあって見に行ったのですから。映画はなかなか見られないのですけれど、それを見ますと、人権擁護局長と検事さんとのやりとりというものは実に言語道断のものだと思うのです。それで私は次官にお尋ねしたいと思うのですけれども、一体あれでいいものか。人権擁護局というものは何のためにつくられているのか。人権を守るためにつくられているのではないか。それなのにもう検事から何か一そのときの俳優は、どういう筋書きであったのか、検事に非常に反抗するところ、自分の権利を言い立てるところがあるようですけれど、ここで人権擁護局長に何代かの方々にしばしばおいでになっていただいてお話を伺っていると、自分たちのそれだけの使命感というのか、あるいは自分たちがやらなくちゃならない問題というのを、はっきりとそれをもって戦う、私はその点で非常に弱いと思うのです。国民の人権を守ろうという意欲が非常に薄いと思うのです。ですから、あれは法務省のらち外に持っていって批判的な立場に置くか、もうちょつと立場を違ったところに持っていくかというようなことでなければ、法務省の、たとえば自分たちの法務省の中の問題、いま吹原産業の問題なんか出ておりますけれど、何かそのときの官庁に都合のよい、迎合するような態度が見えることがあるのです。ですから、あれはもっと批判すべき立場に置いて、そして法務行政の健康な遂行というような立場に置くべきだと私は考えているのですけれど、第一に、次官は、こういう批判に対して、そういうことは絶対にだめだとお考えになるのか。人権擁護局と検察審査会、この二つは、そう言っちゃ悪いけれど、法務省の中にある民主主義を守る部署じゃありませんか。それが現実にはあってなきがごときに扱われているということは、法務行政というものが無批判でやっていかれているということになると思うのですけれど、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  62. 大坪保雄

    大坪政府委員 神近先生のただいまのお話でございますが、先ほどお述べになりました二つの映画は、私は実は不幸にしてと申しますか、不勉強にして見ておりませんので、その映画を基礎として、検察官として人権擁護関係の職員とのやりとりとか、弁護士とのやりとり等を存じませんので、あるいは的確なお答えにならないかと存じますが、そこはひとつ御了承くださいまして、やがて何とかひまをつくって私も勉強いたしたいと思います。  ただ先ほどお述べになりました人権擁護局の職員は現在の法務省のらち外に、もっと批判的な行動のできるような立場に置いたほうがいいのではないかという御意見でございます。これはさように感ぜられる場合もあろうかと存じます。でございますけれども、行政機構でございますと、法務省の部局が最も批判的な立場にあるわけでございまして、これ以上批判的な立場のとれる行政機構、行政官庁はないわけでございます。ただしかし、ただいま神近先生のお話を伺っております間に、私どもも非常に反省をいたさなければならぬと考えますことは、人権擁護という大切な仕事をなす上について、その部局の人の力があるいは弱くないか、あるいはその部局の官署の力が弱くないかということは感ぜられます。それは実は法務省内におきましても、人権擁護局は陣容もまことに貧弱でございますし、地方のその職責をあずかっている人たちの陣容もきわめて貧弱でございます。そういう点は私たちは反省をいたしまして、今後この点は強化いたさなければならぬのじゃなかろうかというようにただいま強く感じておるところでございます。ただ批判的立場ということにいたしますると、日本の現在の行政機構におきましては、法務省の一部局に置くことが最も批判的立場のとれることであろうというように考えております。  なお、検察審査会の問題、これもお話のとおりでございますが、これは実は法務省と申しますより裁判所の所掌事項になっておるわけでございます。これらのことももっと活用されますれば、検察官の行動に対しての批判的立場ものとしての効果がよりあがるのではなかろうかと存ずるわけでございます。この点はなお最高裁のほうとも相談をいたすことにいたしまして、検討を加えていきたいと思っております。
  63. 神近市子

    ○神近委員 次官のいまの御答弁は、私はとてもありがたいと思うのです。人権擁護局が非常に劣勢だといまお話しになったと思うけれど、これは何か人権擁護局発言するとかあるいは実動するとかいうふうな場合があると、すぐに転任させられるのですよ。これはラジオ商殺し事件の場合もそうであるし、もっとほかの場合にもそうである。ちょっと批評的な、あるいはこれはこうしなくちゃいかぬというふうなことを進言すると、すぐによそに転任させられる。そういうふうなことが堂々と行なわれてだれも問題にしないわけなんです。それはそこらに幾らでも例が出ていると思うのです。  私はほかにもちょっと問題を持っていたんですけれども、きょうは時間がないからやめましたけれども法務行政をほとんど無批判におやりになっていて、文句があればすぐに首をちょん切られるとか——あるいは、私はもう一つ問題を持っているのですけれども、なかなかここでやれないのでほかの場所で私は法務行政の批判をします。  それからもう一つ、裁判のよしあし。私はいろんなものをこの間から読ませられて読んでおりますと、占領中の裁判というものに非常に不明朗な場所があるのです。いろんな問題がいま起きていますけれども、そういうようなことを考えると、法務省の一部にそういうような黒い影がかつてあったのか、それがいまもあるのかというようなことをいま疑問に考えているのですけれども、そういう意味で私は、どうも人権擁護局と検察審査会というものはもっと強力に育成なさることを考えていただかなければ、国民の自由と人権とは守られ得ないと考えるので、私は次官の御返答には満足いたしましたから、人権擁護局で、この婦人労働の問題がいま展開されているけれども、たとえば二十五歳定年、あるいは憲法に違反する、あるいはILO条約にも違反するという現状をどういうふうに考えていらっしゃるか、それを鈴木人権擁護局長に承りたいと思います。
  64. 大坪保雄

    大坪政府委員 ただいま神近先生のお話の中に、何か人権擁護局の職員がちゃんと正義心に基ついてやろうとすると、すぐ転任を命ぜられたり首をちょん切られたりするという御発言がございました。これはまことに弁解がましくなりますけれども、そういうことのためにことさらに圧力をかけて転任をさせるというようなことは、法務省の人事行政にはないものと私は確信をいたしております。その点はひとつ法務省の人事行政の名誉のために私は弁解さしていただきたいと思いますが、しかし、そういう印象をお受けになったことがあるということでございますと、私ども大いに反省をして将来注意をいたさなければならぬと存じます。  なお、また先ほどちょっとおあげになりました何かそういう具体的例を御承知でございますれば、委員会等でお話し下さるのもけっこうでございますけれども大臣なり政務次官なり、常にだれかおるわけで、ございますから、そういうところにひとつ御注意を下されば、たいへんありがたいと存じます。
  65. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 神近先生から人権擁護一般についていろいろ御指摘があり、すでに政務次官からお答えがあったと思いまして、この点につきまして私から特につけ加えることはないかと存じますが、終戦後大体現在の人権擁護局の創設以来、直接あるいは間接にこの仕事に関係いたしております私の体験によりますと、人権擁護の仕事をあまり熱心にやり過ぎて他の部局との間に摩擦を起こし、それが原因となって転任あるいは首を切られたというふうな実例は全然知らないのでございます。先ほど御指摘の、映画の中にそういうことがあるというお話でございますが、映画になりますと、いろいろフィクションがございまして、それをもって現在の人権擁護局は非常に力が弱いという結論に到達することは疑問であります。  それから第二点といたしまして、なるほど現在の人権擁護局は法務省という行政庁の一部局でございます。行政庁なんだからこれは当然内閣総理大臣の指揮命令を受ける、それでは公正な判断ができないではないかという御疑問、これは一応はごもっともであるというふうにも考えられますが、しかし問題は、これだけをとって考えるのは決して正確な結論が出ることはない。やはり日本の制度全般を考えて、その上で人権擁護局をどうしたらいいかということを考えるべきではなかろうかと考えるわけであります。御承知のように、近代国家として三権分立の制度をとっておりまして、裁判所は特に戦後日本国憲法におきましては、完全に政府から独立し、その身分も保障され、りっぱな法律家としての資格のある裁判官が民事、刑事のみならず一般行政事件まで担当しておるのであります。そのほかに政府の全然指揮監督を受けない判断機関を置く必要があるかどうか、これはやはり国家行政の問題にも関係いたしますが、人権擁護の最後のとりでは最高裁判所を頂点とする裁判制度であろうと私は考えるのであります。むしろ私は人権擁護局としては、最後のとりででなくて最初のとりで、現在、戦後の各種法令の整備によりまして国民の人権は尊重されております。また人権擁護ということは決して人権擁護局の専売特許ではないのでありまして、政府機関はすべて人権を擁護するために活動しておると言っても差しつかえなかろうと思うのであります。こういう状況下におきまして、これら法令によってその人権を擁護されるたてまえになっておりながら、実際には擁護されない人がたくさんあるわけでありまして、そういう方々を直接御本人の申告により、あるいは各種の情報によりまして問題として取り上げて、そしてこれらの手続にのせてあげるという点に人権擁護局の仕事の重点があるのではなかろうかと思うわけであります。立法論としては、もちろん行政委員会とするという御議論もおありであろうと思います。しかし戦後の、特に最高裁判所が政府から完全に独立したという関係上、法務に関する行政事務を他の戸籍等の行政事務とともに当時設置されました法務総裁の担当事務となって以来今日に至っておるのでありますが、人権擁護の第一線事務もやはり同様に法務総裁、現在の法務大臣の管掌下に置くというのが現在としてはいいのではないかと思っておるわけであります。  それから特に御指摘のございました婦人の若年定年制の問題でございますが、私どもが現在までに得た情報によりますと、東北電力では二十歳、北陸電力では二十一歳、中国電力のオペレーターにつきましては二十五歳、四国電力のオペレーターでは同じく二十五歳を定年としておるというふうに聞いております。これが憲法十四条の男女平等の原則に違反するのではないかという御指摘でございますが、これはやはり憲法十四条との関係では若干問題があろうかと思います。しかしキーパンチャー、オペレーター、タイピスト等のように、職種によりましては、その能力に男女によって相違がある、年齢的な限界もあると思われますので、職種上の能力などという点から、男女間で違った待遇の生ずることもこれはやむを得ない場合があろうかと思います。したがいまして、労働基準法その他個々の法条に触れない場合でありましても、それが社会通念上著しく不当な差別であるという場合には、これはやはり問題になろうかと考えるのであります。現在この具体的事案につきましては、調査をしてみなければお答えはできないわけでございますが、一般的に申しますと、そのように考えておる次第でございます。
  66. 神近市子

    ○神近委員 もうあとの質問があるからやめようと思っていたのですけれども、おっしゃるところにちょっと疑問があるので、もう一度お尋ねしますけれども、その映画で私が見たというようなことを申し上げたのですけれど、これはほとんど事実に即したものを一その前にいろいろ文書を見ていて、ちょっと強く働いたために広島に転勤させられるということが起こって、非常に調査や何かがぐあいが悪くなっているということがあったのです。それで、ほかにもそういう事例を私たくさん持っているのですけれども、いま急にきょうの質問に出たものですから、ちょっと出ていないのですけれども、あなたが自分たちは初歩的な人権擁護立場にいる、最後は最高裁だというふうなことをおっしゃるのですけれど、最高裁にいきましても、この間のまだ問題になっている丸正事件だとか、あるいは平沢の事件だとかいうようなことが、一〇〇%それが人権の擁護に熱心になっているかというふうなことは、私どもちょっと批判的なものを感じます。それであなたが初歩的な、自分たちは手をつけるだけだというふうなことをおっしゃって、それから結局予算の関係でというようなことがいま出たようでしたけれども、法務関係の予算というものは、この間予算の問題のときに横山委員からずいぶん、もっと予算を取れというふうなことがあっていたのですけれども、私はその点は非常に同感であります。次官、よく聞いていただきたい。いいときで予算の一%が法務関係ですね。今年は一%以下ですよ。それで検察官が足りないとか、あるいは何が足りないとか、擁護局の人員整備ができないとか言われるが、これだけ人権を守り、公平な裁判をしようというような意図を持っていらっしゃるなら、なぜもっと予算を要求なさらないか。なかなか取れないでしょうけれど、それは国民の人権を守り、国民に公平な裁判をしようというなら、私、その点ではそんなに大蔵省がこれに反対する理由はないと思う。ファイトが足りない。自分たちの使命に対する責任感が足りないから、一%以下というような予算を取って満足して、いや検事が足りない、判事が足りない、希望者が少ない。いま、私の手元にきておりますが、検察庁に進言する何とかいうので、この間なくなった二十五年検事をつとめていた人の給料が十万円、与えられた住宅が四畳と六畳。これが二十五年の法務官としての仕事に対する報酬だということで、これはあんまりひどいじゃないかというパンフレットがきております。私はそういう意味からも、もっと法務関係を充実して、そうして国民信頼にこたえるものになければならないというふうに感ずるものですけれど、次官はどういうふうにその点はお考えですか。これから大いに予算をたくさん——そろそろ来年度の予算要求の時期でありますから、ひとつみんな考えていただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
  67. 大坪保雄

    大坪政府委員 神近先生の御激励に感謝いたします。私ども従来努力の足りなかった点もあるのではなかろうかと存じます。熱情においては負けないつもりでございますけれども、努力があるいは足りていなかったかもしれない。今後は御激励にこたえるように法務省全体として、検察官たると一般要員たるとを問わず、安心して職責に邁進できるようにしていきたい、またいたさなければならない、かように考えております。
  68. 神近市子

    ○神近委員 最後に希望を一つ。この問題はきょう急に出てきたので、私も準備不足というところもありますが、労働省婦人少年局で御調査の資料がまだたくさん来ております。年々婦人の労働が排除されていく傾向があります。その責任をどういうふうに考えるべきか。いま私のところに要請が来ているのは、生理休暇を有償で与えなければならないのにカットされている。そういうふうな問題もありますので、国会の休会中に一度その問題についてぜひ委員会を開いて、参考人を呼んで、そうしていろいろ婦人少年局と関連して実態を調査していただきたい。この希望を申し上げて、私の質問を終わります。
  69. 濱田幸雄

    濱田委員長 これから休憩に入ります。    午後零時五十九分休憩      ————◇—————    午後二時二十二分開議
  70. 濱田幸雄

    濱田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。横山利秋君。
  71. 横山利秋

    横山委員 実は御存じかと思いますが、この国会が始まります前後から、古物商並びに古籍商等等の団体並びに関係者から非常な陳情がございまして、本委員会といたしましても、その請願を採択いたしたわけではありますが、しかし、国会の終了に際しまして一応その問題について政府の所信をただしておきたいと思います。改正刑法準備草案の第三百六十六条において「盗品等の運搬・保管・取得・周旋」の項があり、「盗品その他財産に対する罪によって得た物を運搬し、保管し、有償もしくは無償で取得し、又はその処分の周旋をした者は、七年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」二項、「前項の罪を犯した者が、常習者であるときは、一年以上十年以下の懲役に処する。」第三百六十七条、「過失による保管・取得・周旋」として、「営業に関し、過失により情を知らないで、盗品その他財産に対する罪によって得た物を保管し、有償で取得し、又はその処分の周旋をした者は、三十万円以下の罰金に処する。」、三百六十八条は親族関係でありますが、これを省略いたしまして、この二点につきまして関係者から非常な反対の陳情があるわけであります。  そこで私は、法務省はこの草案の立案者ではないのでありますけれども、この法案の意味というものをまず聞いておきたいのでありますが、御存じの限りお答えいただきたい。  まず三百六十六条では「盗品その他財産に対する罪によって得た物を運搬し、保管し、」とありますが、ここにいう運搬、保管というのは、三百六十七条に基づく「過失により情を知らないで、」という意味が書いてないのであります。いずれにしても運搬し、保管した者は、過失であろうとなかろうと三百六十六条に該当するという趣旨でありますか。
  72. 津田實

    津田政府委員 改正刑法準備草案の三百六十六条は、主として現行法の二百五十六条に当たるものであります。若干、構成要件は変わっておりますが、主として現行法の二百五十六条、いわゆる賦物収受、故買等に当たるものであります。したがいまして、この三百六十六条に関します限りは特に規定がありませんので、過失犯を処罰する趣日はもちろん含んでおりません。
  73. 横山利秋

    横山委員 そうすると、三百六十六条は、盗品ないしはその他財産に対する罪によって得た物であるということを承知した者に対する罪ですか。
  74. 津田實

    津田政府委員 そのとおりであります。
  75. 横山利秋

    横山委員 三百六十七条の問題であります。「過失により情を知らないで」という意味は、きわめて単純に何も知らないという意味でありますか。
  76. 津田實

    津田政府委員 その「盗品その他財産に対する罪によって得た物」であるということに対する認識を欠いておる、すなわちそれは知らないということでありますが、その知らないことに過失があるものについてということでございます。
  77. 横山利秋

    横山委員 知らないということについて過失がある、つまりそのことは古物営業法の十六条ですか、ないしは質屋営業法でも同じ項目がありますが、十六条で確認及び申告をする。つまり「古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受ようとするときは、命令の定める方法により、その相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認しなければならない。不正品の疑がある場合においては、直ちに警察官にその旨を申告しなければならない。」そういう十六条のことをやらなかったという過失であるか。ここのところが非常に関係者の反発を得ておるところでありますが、実際問題としては何を言おうとしておるのか、三百六十七条が私にはよくわからないのであります。できるならば事例をあげて説明を願いたい。
  78. 津田實

    津田政府委員 三百六十七条の趣旨は、御承知のとおり、これは目下法制審議会で検討することになっておりますが、まだ検討はいたしておりませんので、現在私どもの申し上げますのは、改正刑法準備草案三百六十七条の一応の解釈という意味で申し上げるわけであります。ここにおきましては「営業に関し、」とありますので、まず営業に関しないことには関係はない。ですから営業者でない人もしくは営業者の従業員でない人には関係はない。そこで「営業に関し、過失により情を知らないで、」というのは、営業者であれ、営業者の従業員であれ、そういう通常の状態において注意をすればわかったであろう情というものを、その注意を怠ったためにわからなかったということによって、盗品その他の物を保管するに至った、こういうことを処罰しようという趣旨であります。もとより古物営業法の十六条の確認行為ということをやればそういうことがない場合が多いでしょうけれども、確認行為を形式的にやったから、それだけでこの過失を免れるかというと、必ずしもそうは言えないと思うのです。また確認行為をやらなかった場合においても、あるいは過失がない場合もあり得るかもわかりません。そういう意味におきまして、直接この古物営業法十六条の確認行為とは関係がないわけでありますけれども、確認行為を通常の形でやっておって、ほかに特段の事情がなければおそらく過失は免れるという意味であろうと思うのであります。
  79. 横山利秋

    横山委員 さっぱりわからない。あなたはわかっているつもりだろうと思うけれども、そういう説明をたとえば古本屋さんや質屋さんに話をしたって、おそらくあなたも自分の言ったことを相手が納得してくれるだろうと思わなと思うのです。あなたの答弁はあちらこちら抜け道が一ぱいですね。十六条の確認行為をやったから過失がないとは言えない、十六条の確認行為とは一応関係がないものと言える、十六条をやらなかったからといって過失があるとも言えない。それでは一体何かということになる。どういう場合にこの三百六十七条の罪になるか。その具体的事例をひとつ、これはもちろん遠慮なく言うのですが、あなたの判断でよろしいから一ぺん聞かしていただきたい。
  80. 津田實

    津田政府委員 たとえて申しますと、古物営業法十六条の確認行為をやりまして、相手方の住所、氏名、職業、年齢は確認された。しかし、その物が盗んできたことはほかの事情からはっきりしておるということであれば、当然これはなります。これはむしろ三百六十六条のほうになるわけです。ところが、その物が、そういうようなことをやった物であるというときをもし注意すればわかったであろうというときは、この三百六十七条になるということであります。
  81. 横山利秋

    横山委員 この十六条によって住所、氏名、年齢を確かめた、その場合に不正品の疑いがある場合は直ちに警察官にその旨を言わなければならないが、この古物営業法並びに質屋営業法による法律上の必要事項を確めて、自分は間違いないと思った。けれども他の方面から、あなたの言うように、それは盗品であることがわかった。その場合において三百六十七条は発動されるのですか、されないのですか。
  82. 津田實

    津田政府委員 他の方面から盗品であることがわかっておれば、むしろ三百六十七条の問題でなく三百六十六条のほうになるわけです。いかに相手方の住所、氏名、職業、年齢が確認されておっても、盗品であれば三百六十六条になります。
  83. 横山利秋

    横山委員 三百六十六条にどうしてなるのですか。保管になるのですか。どうして三百六十六条にその場合該当しますか。
  84. 津田實

    津田政府委員 もちろんそれはその品物を買い受けたとか、その品物を質にとったという場合のことでありまして、ただその品物を見せてもらったというだけではもちろん犯罪にも何にもなりません。
  85. 横山利秋

    横山委員 あなたの先ほどの答弁によれば、明らかに盗品その他の物であるということを承知して買った場合に三百六十六条だ、こういう話だっ  た。いまこの質問の答弁は、これが盗品であるとは知らなかった、けれどもほかの事情で盗品である  ことがわかった、その場合にまたあなたは三百六十六条へ返ってきたわけですね。おかしいじゃありませんか。
  86. 津田實

    津田政府委員 それはそういうふうに御理解になるとおかしいのでありますが、三百六十七条というのは、先ほど申し上げました古物営業法の十六条で相手方の住所、氏名等必要事項は確認した。しかしながら、確認した行為だけでは済まないのであって、その物が、身分はわかっておるけれども、盗品であるということがわかったというときにはまさに三百六十六条になるということを申し上げたわけです。あとからという意味じゃございません。もちろん質にとったりあるいはそれを保管したりする際のことであります。
  87. 横山利秋

    横山委員 それならわかりました。  そこでこの三百六十七条で、過失により情を知らないで、要するに何にも知らなかったけれども、そういうものを保管し、有償で取得した、つまり古本屋や古物商が、何も知らなかったけれども買った。けれども、おまえはもう少し注意すれば盗品であることがわかったかもしれないという罪に問われる、こういうわけですね。
  88. 津田實

    津田政府委員 そうであります。
  89. 横山利秋

    横山委員 そこで、どうしてそういう三百六十七条をつくらなければならない必要があるかという問題になるのですが、警察庁からおいでになっていますから、現在もこの古物営業並びに質屋営業法の運用によって三百六十七条の必要性があるかないかという現状について聞かしてもらいたい。
  90. 雨森和雄

    ○雨森説明員 警察庁といたしましては、この改正刑法準備草案の問題につきましては、近く法制審議会が開かれて審議をされるということでございますので、そこでいろいろ意見が出てから、正式に意見を整えて申し上げたいというふうに考えております。現在の状況といたしましては、やはり現行法第十六条にありますような確認の義務というようなものもございますので、その運用からいたしまして、こうした確認の義務が必要であるというようには考えております。
  91. 横山利秋

    横山委員 非常に慎重な答弁をしていらっしゃるので、それでは実情がわからないですな。私があなたにこういう聞き方をしたらいいのですか。三百六十七条に対する意見を聞こうとは思わない。しかし、現在の古物商なりあるいは質屋なりの法の運用はこれではいかぬのかどうか、何か善しさわりがあるのかどうかという点について、現実の事情をひとつ参考に聞かしてもらいたい。
  92. 雨森和雄

    ○雨森説明員 少しこまかいことを申し上げますが、窃盗の年間発生数が平均約百万件、検挙された事件につきまして賦物の処分の状況を調べてみますと、犯人の手から第三者の手に渡って処分されておるものが約三〇%、そのうち約半数九万件でございますが、これが質屋、古物商の手に渡っておる。こういうふうな状況が出ております。これに基づいていろいろ検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  93. 横山利秋

    横山委員 その実情だから、古物商なりあるいは古籍商に対して注意義務を厳重に課する。そして注意義務を怠ったと思う者に対しては、三百六十七条で、おまえは知らぬと言うけれども、現実に盗品を買った以上はおまえに責任がある、こういうことをやろうというわけですね。この場合、その古籍商なりあるいは古物商が三百六十七条を適用されない、盗品その他財産に対する罪によって得た物を保管し、有償で取得し、またはその処分の周旋をしても三百六十七条には該当しないという場合はどういう場合であるか。ちょっとしろうと目に見ますと、何も知らぬでもいかぬというふうに見えるのです。そして非常に反撃が起こっているのです。この三百六十七条に該当しないという場合は、それはどういう場合であるか、念のために聞きたいと思います。
  94. 津田實

    津田政府委員 先ほども申し上げましたように、営業者でありますとか、その営業者の従業員が営業に関しましてある品物を質どりをした、あるいは古物を買い入れたという場合、その場合に、それは盗品その他ここに該当するに当たらないとか当たるということを知らなかったというようなことが情を知らないということであります。ところが、知らなかったということだけでは済まないのであって、過失によって知らなかった場合はこれに該当する、こういうことであります。過失によりましてというのは、その営業者が払うべき注意義務を怠ったために、よく注意すればそれは盗品であるというのはわかったはずである。にもかかわらず、うっかりしておったかどうか、何かほかの事情によってそれを盗品であることが発見できなかった。そのために知らずに買ったという場合にはこれに当たる、こういうわけであります。  たとえて申しますと、顕著な例になるかもしれませんが、古物商あるいは質屋に分不相応の新品をたくさんかつぎ込んだというようなことを考えますと、それが盗品であるということは、そのこと自体からはわからない、それは相当疑うべきものではないかというようなことが考えられる。その場合に、何ら疑いませんでしたということだけでは済まないということが言い得ると思うのです。ここの古物営業法十六条に、不正品の疑いがある場合においては直ちに警察官に申告しろ、少なくとも不正の疑いが生ずる場合があるということは、この古物営業法に規定しております以上、古物営業としての業態として日常あり得ることだという意味で、これをわざわざ規定してあるわけであります。少なくとも不正の疑いがあるということになれば、そこには不正であったということを確認できなくても、過失があることはもう当然になるのじゃないかということが考えられると思います。
  95. 横山利秋

    横山委員 この過失については、われわれは先般の自動車事故等の業務上過失の問題でずいぶん議論をしたのです。いま議論の焦点になりますのは、要するに、その古物商なりあるいは古籍商に過失があったかどうかという判断は結局は警察官がするわけですね、本人から申告しないのだから。警察官が判断をして、おまえに過失があったと認める。だから過失がないというならばその証拠をあげろ、おそらくこういうことになるわけですね。そうすると、その古物商なり古籍商に挙証責任がある。おまえは不注意をした、一方的にきめつけられる。不注意でないというならば過失をしなかったという証拠をあげろ。証拠をあげて、その証拠は警察官が納得しなければだめだ、こういうことになる。もしそうだとすれば、これはさっきの神近さんの御質問じゃないけれども、基本的な人権に関する問題ではないか。それで古本屋なりあるいは古物屋さんが、物を売りに来た人間をまずとにかく一応疑ってかからなければいかぬということになるわけですね。大体これならば盗品じゃなかろう、これは盗品であるかどうかということを疑ってかからなければならぬ。そうだとするならば、一々、あなたはどこでこれをお求めになりましたということを聞けということになるわけですね。これはまたそこで商売をやっている者に、相手がまずどろぼうだと疑ってかかれという結果に、この草案は強要していくわけではあるまいが、これが刑法本文に取り入れられた場合には、法は警察官を、それから古物商並びに古籍商をそういうふうにしむける。売りに来た人は大体盗品を持ってくるものだとまず判断をしてかからなければいかぬという方向に問題をしむけるものではないかという気がするわけですが、その点はどう思いますか。
  96. 津田實

    津田政府委員 ただいまのお話の無過失を容疑者側、つまり古物商側に立証させるということはございません。過失の存在につきましては、これは捜査当局か立証し、あるいは公訴提起の場合は検察官が立証するということになるわけであります。ですからその点は、容疑者側が無過失を立証しなければならぬということにはもちろんなりません。したがいまして、この規定そのものが直ちに営業者に非常に酷になるというふうには私は考えておりません。ただ、古物商なり質屋の業態として、先ほど警察当局から申しましたように、盗品の相当数の部分がこれらの営業者の手に入るということになります。そうなりますと、盗品の追及が非常に困難になる。そういうことを考えますと、古物営業者あるいは質屋営業者というものは、そういうものに対しての盗品の追及ということを容易にするために協力する義務はやはりあると思うのです。その意味におきまして、その義務の限界をどこにめ求るかということでありますが、少なくとも過失があるならば困るではないかというのがこの三百六十七条の趣旨だと思うのであります。
  97. 横山利秋

    横山委員 しかしながら、古物営業法並びに質屋営業法においては、古物商の許可、認可の制限、それから無許可営業の禁止、他人名義の営業の禁止、行商及び露店の許可、確認及び申告、帳簿、それから品触れ、盗品及び遺失物の回復等にわたって全く厳重な規定が設けられておる。この規定を運用することによっても、現在どうしても、あなたの言うような問題が処理できないのであろうか。私は必ずしもそうは思わないのでありますが、この境を越えて過失であっても罰する、つまり十分注意をしなかったという意味において、過失でもおまえは罪に問われるというのはいささか酷ではなかろうか。本来、過失を罰する例外規定は重要な法益において真にやむを得ざるものに限られるべきである。刑法は、犯意なき行為は罰せずという原則は、今日も大きな筋金になっておるわけであります。盗品の行き先を何とかして見出したいという気持ちはわからないではないのでありますが、この社会的な、公共的なものと必ずしも言い得ない財産罪の一つである贓物罪にまで過失を繰り広げるということはいささか逸脱したものの考え方ではないかと思われるが、いかがですか。
  98. 津田實

    津田政府委員 元来、贓物罪を処罰するゆえんのものは、むしろ贓物罪を処罰しなければ窃盗あるいはその他の財産罪が容易になる、要するに根源は贓物罪にあるとまでいわれている考え方もあるわであります。しだがいまして、窃盗罪と臓物罪の関係というのは非常に密接なわけであります。そこで贓物の処分が容易であるがゆえに窃盗は助長されるというような因果関係が常にあるわけであります。その場合に贓物罪については、ここにありますように、故意の贓物罪は厳重に処断することはもちろん当然でありまして、現行法においてもそれをやっておるわけであります。ところが、営業者についての過失の贓物罪はもちろんこの草案に初めて設けられたということになるわけでありますが、かつての仮案におきましても、重大なる過失による贓物罪というものはやはり置いておったことがあるわけであります。そういう仮案の影響を受けましておそらくこの改正準備草案に設けられたものと私は考えておるのでありますが、そういう意味におきまして、盗犯を容易にするという点を、どういうふうにして、どこで防ぐかという問題になると思います。古物営業者あるいは質屋営業者だから酷になるという考え方ももちろんあり得ると思いますが、一面、窃盗罪等の財産罪をできるだけ容易に起こさないようにするというためには、明らかにこの三百六十七条というものはプラスになる。だから、そこでどういう立法政策をとるかという問題に帰着するのであって、三百六十七条自体が絶対だめな規定ということには私はならぬと思います。要は、その立法政策をどこに置くかという問題であろうというふうに考えております。
  99. 横山利秋

    横山委員 大坪さん、ここに古籍商の陳情書があります。これは本委員会で採択したものだと思いますが、こういうことが書いてある。「本を売る人には、ただ換金だけを目的とする人ばかりでなく、不用になった本を必要とする人にまわそうという気持で売る人もおります。本屋はその点を常に客に呼びかけて売却をすすめております。そういう人達の人格を無視して、盗人ではないか、盗品ではないかと疑って、色々の質問をする事は、本屋の立場から到底出来る事ではありません。現在命ぜられている、住所、氏名、職業、年令の証明書による確認でさえ、不快に思う客もおります。(警察官が氏名誤解で心ない調査をして迷惑を蒙った客の実例もあります)。それ以上問いただされれば、本を売る気にならなくなるでしょう。又質問の仕方如何によっては、侮辱罪と言われるかもしれません。」「起訴以前、盗品を買ったという事実だけで、私達はどんな目にあうでしょうか。故買しか罰せられない現在でも、捜査官は、古本売買の実情を知らずに、とんでもない誤解で、例えば定価より甚だしく安く買ったという様な事で、出頭を命じ一晩留置する事があります。故買の立証を得る為に二十日も留置された例もあります。故置の立証が困難であるから過失をも罰し得るとなったら、盗品を置ったという事実があれば、過失の有無の調べを後にして留置取調べを受ける様になるであろうことは明らかに予想されます。総ての捜査官が良識があって、業者の事情をよく察して下さるとは言いきれません。職権濫用は絶無ではありません。私達は裁判以前の、官憲によって受ける苦痛や損害、不名誉は従来何等償なわれておらず、弱い者程泣かされているのが実情であります。刑法改正後は常にこの脅威の下に営業をしなければなりません。」これは非常にわかりやすく書いてある。しかもこの陳情に対して、いまの警察庁の実例や、あるいは刑事局長の話を聞いていても、この陳情に対してなかなかすなおにこういうわけだそうですよという説得力がないような気が私はするわけです。現在のこの二つの法律を運用することによって、これはできないことではなかろうと思う。これが十分運用されないゆえに、知らないでも盗品を買ったら原則として罪になるのだというきめつけ方が非常な反発を呼ぶということはけだし想像に余りあると思う。あなたはどうお考えです。
  100. 大坪保雄

    大坪政府委員 贓物故買というものが現実の社会に存在いたしておりまするし、そのことについてはただいま刑事局長がお答え申し上げましたように、それを完全に不問に付しておくということであれば、窃盗を非常に容易にしてしまうわけでありますから、その辺の関係をかれこれ勘案して刑法草案というものの中に織り込もうとしたものであろうと存じます。ただしかし、刑法草案は草案でございまして、まだ具体的に国会に御審議をお願いするという段にまでなっておりません。したがって、私も十分勉強もいたしておりませんから、その故買について過失の有無を犯罪として取り扱っていいかどうかということについての非常に詳しい論議はなかなかただいまのところできがたい気持ちでございます。
  101. 横山利秋

    横山委員 これを称して答弁にならない答弁というのですが、そういう答弁をなさるところを見ると、ちょっとぼくの説に同感である、津田君の言うことに賛成しなければいかぬから、まあまあ中間的であってというふうに考えられるわけです。  それで刑事局長にお伺いするのですが、これからこの刑法草案はどういう機構、どういう審議を経て国会に上程されるのですか、その見通しをひとつお聞かせを願いたい。
  102. 津田實

    津田政府委員 刑法の改正の要否につきましては、昨年五月法務大臣から法制審議会に諮問がありまして、これが法制審議会において刑事法特別部会を設けまして審議中であります。特別部会におきましては五つの小委員会を設けておりまして、その五つの小委員会一つにこの刑法のこの部分がかかっておりまして、小委員会で検討されているわけであります。しかしながら、小委員会では条文の順序等に従っておりますので、まだこの部分は審議に入っておらないようであります。そこで全体の計画としたしましては、本年の夏ごろまでに一応第一読会を終わりまして、本年秋から第二読会に入り、逐次案をまとめていくということになるわけでございますが、昭和三十八年の五月の諮問のときには、法務大臣から約三年くらいの間に成果を得るようにという希望がつけられております。三年と申しますのは来年五月になるわけでありますけれども、目下のところでは、来年の五月に成案が得られるとはちょっと進行状態から考えられませんが、少なくとも来年中には成案を得て、成案を得ました上、今度は国会で御審議ということに相なろうと思います。来年末の通常国会以後の問題になるというふうに考えております。
  103. 横山利秋

    横山委員 この間の刑法改正のように、この問題だけが単独法案として出てくる可能性があるのですかないのですか。
  104. 津田實

    津田政府委員 この問題を単独法案として特に刑法の一部改正として提案するということはいま考えられておりません。
  105. 横山利秋

    横山委員 最後に要望しておきたいのでありますが、私ども与野党すべてのところへこの陳情がきておるのであります。私も法務委員の一人として、陳情があれば、妥当であるかどうかという点についていろいろ私どもなりに考えてみるのですが、何としても、知らないでも買ったら罪になるぞ、端的にいえばそういう言い方になる、この草案は。津田さんの言うように、過失であるかどうかの立証はこちらでやるのだとおっしゃるけれども、しかし、それは別な立場でいえば一方的におまえは過失したのだ、過失だったのだ、不注意だといって一方的に押しつけられる危険性を持つわけであります。この草案の三百六十七条は、私ども公正に考えましても、この陳情に対して、草案が考えているのももっともな点があるという根拠がきわめて薄弱だ。どろぼうを捕える、盗品の行き先を見つけたいという熱意はわからないではないけれども、それによって人権がじゅうりんされ、そして警察官の職権乱用になるおそれがきわめて強い。まずそれが私ども先入主とならざるを得ないのであります。くれぐれも本法案の草案の審議並びに立法過程においては大分そのことのないように配意されたいと思うのでありますが、大坪政務次官の識見豊かなるところをお聞かせを願って私の質問を終わりたいと思います。
  106. 大坪保雄

    大坪政府委員 先ほど刑事局長もお答えいたしましたように、法制審議会において毎日のごとく熱心に検討いたしております。その段階においては・ただいまお述べになりましたような意見も出てまいりまし上うし、また横山さんのお手元に来たような陳情等も参りましょう。それらのことを十分検討してまいることと思います。しかし、せっかくの御注意でございますから、横山さんの御配慮の点はどうぞ御心配のないようにいきますように法務省としても注意をしてまいりたい、かように考えます。
  107. 濱田幸雄

    濱田委員長 野原覺君。
  108. 野原覺

    野原(覺)委員 私は、前の文部次官でございました内藤誉三郎君のことについて、実は二月九日の予算委員会で幾多の問題点がございましたので質問をいたしたのであります。ところが二月九日の時点におきましては、法務当局は私の指摘いたしました事例については、まだ的確に調査をしていないからということでございましたので、当日私は予算委員長に、予算委員会の終了するまでに私の指摘いたしました事実調査について、間違っておるか間違っていないか、法務当局の所見をもあわせて御報告を願いたい、このことが予算委員長の承認するところとなりまして、予算委員会の終了いたしました三月三日に高橋法務大臣発言を求めて、次のように言われておるのであります。「先般野原委員から内藤誉三郎君の行動につきまして、いろいろと御質問がありました。その内容につきまして直ちに調査に着手をいたしました。まだ現在調査中でございまして、最終的の報告がまいって、おりません。」云々、二月九日から二十数日たった三月三日現在に至っては調査に着手をした、最終的の報告はまだできる段階ではないということでございましたから、私は一応それでは最終的の報告ができたならば、ぜひこれをやっていただきたいということで終わっておるのであります。  ところで本日をもってこの国会も終わりますので、まことに法務委員の皆さんに御迷惑であったかと思いますけれども、やはりこの国会において取り上げた問題でもございますから、私はここで的確に決着をつけておきたい考えもございまして、特に皆さん方にお願いをしてここに質問に立ったような次第であります。  そこで、私が内藤譽三郎君の問題についてどういうことを予算委員会で指摘いたしましてお尋ねしたかと申しますと、まず第一点は、昭和三十九年の六月に文部次官をおやめになられましてから、直ちに私学振興会の常任監事に就職をされたのであります。私学振興会というのは特殊法人であります。この特殊法人の常任監事に彼は就職をした。ところが、常任監事に就職した彼の勤務状況というものはきわめてよろしくない。これが一つ。この点については、実は文部大臣の所見をただしたのであります。  第二点は、私学振興会の常任監事になった内藤譽三郎君が、すでに文部次官をやめたときから全国区の参議院に立候補することを声明いたしておりまして、昨年の九月十八日伊豆の長岡温泉の伊豆ホテルで教科書発行合同契約会議というのが持たれまして、その会議には全国の教科書の特約業者、有力な発行業者、特約業者は私が数を指摘いたしました社長五十八名、それから有力な発行業者は社長が十四名。この有力な教科書販売関係の実力を持った人たちが、この伊豆ホテルに集まりました席に内藤君が参りまして、立候補の宣言をした、あいさつをいたしたのであります。そうして彼がその立候補のあいさつの中で、もし私が当選いたしますならば、この教科書の特約業者に対しては、業界の安定と教科書供給手数料の値上げをしてやりましょう。教科書が無償供与になりまして、漸次手数料が減っていく傾向にあるわけである。だから私が当選したら供給手数料の値上げをしてやりましょう。同時に発行業者に対してはこういうことを公約した。定価の引き上げを考えましょう、物価は上がるのでございますから、教科書の定価については引き上げなければならぬと思うから、私はそのために努力をいたします。こういうことを彼は伊豆長岡の温泉に参りまして、そこではかなり財的にも力のある諸君でありますから、かなりな散財もあったようでありますが、そういうようなことを彼が言った。私はこのことは実は非常に重大なことだと考えたのであります。私が一内藤個人の問題をどうしてここまで追及するかと申しますと、彼は文部次官であったのです。文部省はえ抜きの官僚なんですが、初中局長をいたしておりますときに、この教科書の特約業者も発行業者も、彼の監督のもとにあったのです。しかも監督のもとにあったこれらの諸君を集めて、立候補のあいさつをして、そして利益誘導的な発言をするということは、これは確かに公職選挙法上も問題があるのではないか、これが一つ。  もう一点は、文教の府にありながら、文教の実力者といわれました内藤君が、かつては教員の勤務状況をもっとよくしなければならぬというので、教育界の反対を押し切って勤評を強行いたしました。同時にまた道徳教育——道徳教育は私ども反対ではございませんけれども、昔の修身科を復活するがごとき、そういう道徳教育の押しつけを推進してきた人物。それからまた、教育は政治に中立でなければならぬといって、教員の政治的中立というあの法律を十年前に企画し、推進したところの人物が内藤君であります。このような内藤君でございますから、彼が選挙に立つならば、およそ私は清廉潔白な選挙運動がなされるものと期待し、教育界は、すべての者がそのように見えておったのでございますけれども、彼のなすことをやること、私はこれから一々具体的に事例を指摘してお尋ねしてまいりますが、なっていないのであります。したがって私は、この高級官僚が次官をやめて、そしてこれらの特殊法人の役員になる。そしてしかも役員になって常任監事の勤務状況というものはきわめてよろしくない。この点はすでに文部大臣もお認めになられまして、きょうは文部大臣の出席を要求いたしましたが、大臣不在でございまして、管理局長に来ていただいておりますが、三月三日に愛知文部大臣は、私に対して、これは速記録に載っておりますが、勤務状況はよくありません。御指摘のとおりであります。だから私は注意いたしました。こういうことを言っておる。勤評を強行した人物がかくのごとき状態政治活動の中立をやかましく言った者が、おのれの選挙になるとかくのごときけしからぬことをやっておる。こういうことでございまして、私はこれはひとつ徹底的に追及しなければ政治はよくならない。綱紀の粛正はできない。綱紀の粛正とは何も政治家だけの粛正ではない。高級官僚も粛正しなければ、ほんとうの意味の粛正にならぬではないか。綱紀粛正の府は法務省である。だから私は法務当局の見解をただしましたら、先ほど申し上げましたような経過で、目下調査中だからしばらく待ってくれということなんです。  そこで私はお尋ねをいたします。まず刑事局長お尋ねをいたしますが、昨年九月十八日に教科書発行合同契約会議があって、ここに内藤譽三郎君が出席した事実があるかないか。私が質問してから今日まで四カ月経過いたしておりますから、いままで調査中とは私は本日は言わせないつもりであります。もしいまだに調査中であるならば、三月三日の法務大臣の答弁は私を愚弄するものである。予算委員会を愚弄し、国会を愚弄するものでありますから、私はそのようなごまかしの答弁は本日はないだろうと確信をいたします。そこで、このような事実があったかなかったか。先ほど申しました伊豆長岡温泉の一件はいかがでございますか、御報告を願いたい。
  109. 津田實

    津田政府委員 先般予算委員会で御質問のあったことはもちろん承知いたしておりますし、その御質問によりまして、御質問内容につきましては全国の担当のところにそれぞれ照会をいたしております。しかしながら、御承知のとおり検察庁といたしましては、事件として捜査の端緒を得て、これを刑事事件として取り上げておりますものにつきましては、もちろんその捜査をいたし、その進展によっていろいろの処分がきまるわけでございます。しかしながら、まだ事件として捜査するに至らないが、調査をする、内偵をするというようなものもございます。本件につきましては、予算委員会での御質問もございましたので調査をいたしておりますが、事件としてこれを検察庁が取り上げるというような端緒は何も出ていない、こういうわけでございます。したがいまして、その段階の事柄につきまして、その内容に触れて申し上げることは差し控えさしていただきたいと思うのであります。
  110. 野原覺

    野原(覺)委員 およそただいまのような答弁を私はされるのではないかと実は予感がしないでもなかったのであります。というのは、内藤誉三郎君が与党の候補者であります。だからして、あなたがいまのような答弁をなさりますというと、私がただいま申し上げましたように、国民は与党の候補者だから調べないのか、こういうことになるでしょう。私は事実を指摘して、予算委員会の速記に残っておる九月十八日にこの種の会合があって、内藤君が出席したかどうか、その事実はいかがでしょう。
  111. 津田實

    津田政府委員 その事実につきましては、いま私どものところでははっきりわかっておりません。
  112. 野原覺

    野原(覺)委員 わかっていないというのはどういうわけです。私は昨日法務省の連絡の方にこの問題を取り上げるという通告をいたしておりますが、あなたのほうにはその通告はいっておりませんか。高橋法務大臣調査中と言ったのです。だからして、あなたのほうは内藤君のことならばそのくらいの事実は調査をされておると思います。それとも、きょうはこれで国会が終わるから、これで逃げ切ろうというような魂胆でもあれば別ですが、どういうわけで御答弁なさらないのですか。事実はどうですか。
  113. 津田實

    津田政府委員 事実につきまして、私はもちろんいまその事実は承知いたしておりません。しかしながら、一般的に申しますと、検察庁がどの事実を知っており、どの事実を確認したかどうかという点につきましては、要するにこれは捜査着手という問題ではまだございません。調査を着手すべきものかどうかという点についても、まだ検察庁として態度はきまらないという状態でありますので、その際に、その事実の内容についてどうであったか、こうであったかということを申し上げることは、将来の捜査影響する事柄でございますので、この際は差し控えさしていただきたいと思います。しかし、現実にただいまのお尋ねの点につきましては私は承知いたしておりませんし、検察庁からは何らの報告を受けておりません。
  114. 野原覺

    野原(覺)委員 昨日私が質問を通告したのでございますから、私の通告に基づいてあなたのほうは検察庁問い合わせるべきではございませんか。それが国会審議に忠実な点ではないですか。そのことは法務政務次官いかがです。検察庁にも問い合わせにならないということは、国会の質問というものを軽視することになりますよ。政務次官の御見解はいかがですか、伺っておきたい。
  115. 大坪保雄

    大坪政府委員 ただいま野原さんのお述べになりました事項は、予算委員会で論議されたようでございますが、当時私はおそらくは法務委員会等で多忙であったかと思いますが、報告も聞いておりませんし、実はただいまが初耳でございます。しかし、どういうことできょうの法務委員会質問なさるという御通告であったのか、あるいは非常に具体的なものでなかったがために、そこまでの調査が行き届いていなかったのではなかろうかというように、いま刑事局長の答弁を聞いて私は想像いたしておるようなことでございます。あるいは検察庁として、当時内藤君がその会合に出席したかどうかという程度は、あるいは調べておるかもしれませんけれども、そのことが選挙違反になるかならぬかということの判断について、あるいはなると考えたのか、ならないと思って捜査調査程度で打ち切っておるのか、疑わしいと思うのでございますが、野原さんからどういう通告でございましたか、内藤君の退官後の行動について質問するというような抽象的なことであったら、あるいはそこまでの調査はやり遂げなかったのではないかというようにいま私はそう想像いたしております。しかし、国会の国政調査につきましては、先ほど刑事局長もたびたび申しておりますように、検察の犯罪捜査のいわゆる秘密保持の限界に触れない限り極力御協力申し上げるようにいたさなければならぬというように考えるわけでございます。
  116. 野原覺

    野原(覺)委員 実は私は、このことのためにそれほど時間はかからないと思って質問に立ったのでございますが、国政審議に対する刑事局長のこのような態度について、私は実は驚きにたえないのです。だから私は徹底的にこの問題は究明してまいりたいと思う。これは委員長も経過はお聞きのとおり。そこで私は大坪さんに申し上げますが、私が質問を通告いたしましたのは、二月九日の予算委員会質問をしたこと、三月三日に高橋法務大臣が私に答弁をしたこと、その件についてお尋ねをする。高橋さんが三月三日に調査中、まだ三月三日の段階では報告が来ていないから待ってくれ、こういうことであったから、私はその報告を聞きたい、だから具体的に尋ねているわけです。同時に第二点として、私は法務当局の判断お尋ねしようとは思っていない。いまあなたがお聞きのように、このような事実があり冒したかと聞いている。判断というものは事実を調査されて、検察庁が、公職選挙法に該当するものなりや、あるいは刑法の収賄罪に該当するものなりや、これはその判断がそのときになされることでございますから、私はその判断までいまお尋ねしておるのではございません。ところが、私が具体的にそのような通告をしておるにもかかわらず、刑事局長は答弁をなさらないのです。だからして、私は刑事局長に、政務次官お聞きのように、あなたは私が通告した質問事項について、検察庁問い合わせるべきじゃございませんか、そのことを申し上げておるわけなんです。検察庁に問い合わされたのか問い合わさないのか、刑事局長いかがですか。あなたはきょうはこれで握りつぶして黙って逃げ込もうという考えでここに出てきたのか、どうなのか。一体国政審議をあなたは何と考えているのですか、どうなんです。
  117. 津田實

    津田政府委員 先般の予算委員会お尋ねの件につきましては、検察庁へ照会をしております。しかしながら、まだそれについての情報は得ておりませんことは、先ほど申し上げたとおりであります。しかしながら、検察庁といたしましては、事件関係ある事項についてはもちろん調査をいたしますが、その事件関係あるかどうかという判断は、むしろ検察庁がすることで、すなわち、この事件関係がない事項で、個人の行動に関係する事項を御報告しろということをおっしゃっても、できない場合もあるということを御了承願いたいと思います。
  118. 野原覺

    野原(覺)委員 検察庁に照会されたというが、いつ照会をしました。ついでですからお尋ねします。
  119. 津田實

    津田政府委員 その当時でありますが、その当時照会をいたしまして、その後情報を得れば通報するようにというふうに示したわけです。あなたがほっておけば、検察庁は仕事が忙しいから、個人のことでもありますし、なかなか通でありますが、その後情報を送ってまいりません。したがって、情報を得てないものというふうに私どもは承知いたしております。
  120. 野原覺

    野原(覺)委員 その当時とは三月三日ですね。私はきょう質問することをきのう通告し報しませんよ。しかし、これが国会で問題になるのだ。あなたのほうが督促をすれば、事実の有無ぐらいは、私は回答されると思う。あるいは検察庁がそれでも回答しなければ、話はおのずから別です。あなたの責任ではない。検察庁捜査の都合によって回答はなかったとして、私も了解をいたしまし上う。なぜあなたはきのう検察庁に照会しないのか。きのうの時点で照会すべきじゃありませんか。私はきょう質問するということをあなたに通告したじゃありませんか。これでもあなたは国政審議を尊重しているといえますか。
  121. 津田實

    津田政府委員 先般御質問の事実は、ある数にのぼっておったと思うのであります。したがいまして、法務省といたしましては、その当時もちろん照会いたしました。それに対して随時報告するように命じてございます。したがいまして、今日まで報告を得られなければ、情報を得てないというふうに判断するよりいたしかたございません。一々お尋ねの際照会をするということも必要でありますけれども検察庁といたしましては、法務省の照会する事項はちゃんととめておりまして、必ずそのつどいたしておるわけであります。そういう意味におきまして、私はこの問題の全般についての状況は承知いたしておりますが、いまの個個の静岡管内の問題につきましては、情報を得ておりません。
  122. 野原覺

    野原(覺)委員 あなたがいま御答弁になったように、実は伊豆長岡温泉の件だけではない。そのほか数項ある。なかなかあなたは御記憶なさっておられる。そのとおりです。  昨年の十一月二十一日、大阪府の農林会館における彼の言動、これは大阪の特約業者、取り次ぎ、小売り店、それから発行業者、それから大阪に支社を持つ教科書の出版会社、これらの諸君を集めて同じことをまたそこで話をした。教科書の定価値上げと供給手数料の引き上げを約束したらしいのです。  それから十一月下旬になりますと、四国に入りまして、愛媛県の松山において、また同じことをやったんだ。ところで四国から九州における彼の言動は、東京書籍の四国担当課長待遇の長棟という者を連れて回った。それから九州においては、長崎で東京書籍九州支社の中島課長を連れて、ここでは県の教育委員会、市の教育委員会、校長会を集めて一席ぶっておる。  そして、私は最後に次のことを指摘したい。この東京書籍の寮が文京区駒込林町三十五番地にある。この寮を昨年の十二月二十日に、教科書出版に尽くした功績があると書籍会社が考えたかどうか知りませんけれども、内藤誉三郎君に提供した。これはその後、聞くところによれば、私が予算委員会で指摘してからろうばいしたのかどうか知りませんけれども、これは賃貸借契約ということできょうは文部省は答弁する腹がまえのように私は考える。しかしながら、提供している東京書籍といえば、彼が初中局長時代、文部次官時代に監督をした教科書会社なんです。教科書会社は全国にたくさんあるわけです。そのうちの特殊の会社の課長だけを連れて全国を練り歩き、私学振興会の常任監事として月給十五万円をもらっておりながら、そこには月に数回しか出ない。愛知文部大臣は私に、まことに申しわけないと答弁しております。だから私は注意する、こういうことをやって、特殊な教科書会社と結託して選挙運動をする。私は、これは選挙の前でございますから、特定の個人の名をあげることは、選挙妨害その他のおそれもありまするから、触れたくはありませんけれども、あまりにも悪質なその言動を私は許すわけにはいかないのです。彼が初中局長であったとき、その前会計課長であったとき、文部次官であったとき、彼の言動を知る私としては許すことができない。だから、問題点があるならば、あるといって取り締まらなければならぬ法務当局としては、本人に警告を発するなり、何らかの処置をとるべきでありますけれども、何らの処置もとらないではありませんか。全くこれは何をしているか、私は検事正にここに来てもらうわけにはいかない、検察庁にここに来てもらうわけにはいかない。これらの検察庁態度というものを総括して国会において代弁できるもの刑事局長法務大臣である。そこであなたに私はお尋ねをしておる。それで高橋法務大臣が三月三日に調査をしますと約束しているんですから、その約束に基づいて調査したことは何ですか。まずそれを聞きましょう。
  123. 津田實

    津田政府委員 御指摘の点につきまして調査をいたしたことにつきまして、関係検察庁から報告は受けております。その内容について個別に申し上げるということになれば、お尋ねをいただければ申し上げたいと思います。
  124. 野原覺

    野原(覺)委員 個別に申し上げても、あなたから一つ一つこれは報告を受けておりませんでは困ますから、あなたのほうでわかっておる点があれば、御発表願いたい。
  125. 津田實

    津田政府委員 具体的にお尋ねをいただきませんと、全般につきまして、この内藤氏の分についてどういうことがあったかということ、私どもが把握しているかということを申し上げることは、将来の捜査をいたします場合には非常に影響があるわけでございます。その意味におきまして、具体的にお尋ねをいただきました事項について申し上げるというふうにいたしたいと思います。
  126. 野原覺

    野原(覺)委員 私は何も私の言っていることに固執はいたしませんが、私はすでに二月九日に言っているんですよ。それに基づいて三月三日にあなたのほうの大臣が私に調査して報告すると言っておる。わかっておるはずです。私が二月九日に指摘した事実について答弁しなさい。
  127. 津田實

    津田政府委員 具体的に会合の事実等についてお尋ねでございましたと思いますが、いま一々私どもは記憶いたしておりませんので、そのことにつきましてお尋ねをいただければ申し上げます。
  128. 野原覺

    野原(覺)委員 それでは尋ねましょう。伊豆長岡温泉の件はいかがですか。
  129. 津田實

    津田政府委員 先ほど申し上げましたように、この事実につきましては情報を得ておりません。
  130. 野原覺

    野原(覺)委員 これは情報を得ていないということは、故意に検察庁があなたのほうに報告をしないのか、それともあなたのほうがその報告を握りつぶしておるのか、いずれかです。きょうは私は法務大臣が来ていないのは非常に残念に思う。私はこの問題は参議院選挙が終わってからでも、綱紀粛正の問題として取り上げていきます。これはすでに問題は解決したといって葬り去るわけにはいかない。  そこで次に、昨年十一月二十一日、大阪府の農林会館における件はいかがですか。
  131. 津田實

    津田政府委員 昨年の十一月二十一日、農林会館五階の講堂で開催されました全国教科書供給協会大阪府分会初総会に出席をした。そこで講演をしたという事実は把握しております。
  132. 野原覺

    野原(覺)委員 そこでは講演だけでございましたか。何か業者なり、取り次ぎ、小売店、発行業者、それから大阪に支社を持つ教科書の出版会社の代表、これらの諸君に何かあいさつをしておる事実はあがっておりませんか。
  133. 津田實

    津田政府委員 大阪府下の教科書特約店であります株式会社大阪府教科書供給所、大阪教科書用図書協同組合、株式会社大阪教科書特約所の代表者並びに右三特約店傘下の取り次ぎ店の責任者等の会合している席で講演をしたという事実はわかっております。その程度であります。
  134. 野原覺

    野原(覺)委員 私は質問によってそれを指摘しておるのですね。具体的には、教科書の定価を値上げいたします、当選の暁は。それから供給手数料を引き上げてやりましょう。私が指摘しておる以上は、私の指摘が事実なりやいなやということを当然調査すべきです。あなたのほうは調査を約束したんだから、私の指摘に基づいて法務大臣調査を約束したんだ。調査しなかったのですか。したけれどもわからないのですか。これはどっちですか。もし調査をしたら、どういう調査をしたのか。調査をすると約束した以上は、これはあなたは答弁の義務がありますよ。一体どういう調査ですか。
  135. 津田實

    津田政府委員 調査はいたしております。したがいまして、犯罪の端緒を得て、捜査に移すべきものは当然いたすはずでありますが、犯罪捜査はいまいたしておりません。しかしながら、内偵の結果、どういう事実をつかんだかということを申し上げることは、将来の捜査をした場合に影響がありますから、それは差し控えさしていただきたいと思います。
  136. 野原覺

    野原(覺)委員 まあ将来の捜査影響があるから言えない、それはいつもおきまりの文句ですよ。法務委員会に来て、国政審議としてわれわれが尋ねることは、たとえば吹原産業でも同じで、皆将来の捜査ということが都合が悪いところは逃げる。  十一月下旬松山において東京書籍の四国担当の課長待遇ですか、これを件って県の教育委員会、松山市の教育委員会、校長会の幹部、県の教育研究所の職員を集めて一席ぶった。これはどうです。
  137. 津田實

    津田政府委員 昨年の十一月二十八日、内藤氏が松山に来て教科書販売店者の会合に出席したということは情報を得ておりますが、何者が同伴しておったかという点については不明であります。
  138. 野原覺

    野原(覺)委員 肝心なことはみな不明じゃありませんか。私の質問に基づいて調査をすると言った。松山における行動は、この東京書籍の課長待遇を連れて歩いたというところに問題があるということを私は指摘をしたわけですよ。刑事局長、あなたも責任のある方だから、うっかりここでしゃべったらたいへんだというので、警戒なさる必要はないと思う。もっと率直に御答弁いただかないと、法務行政の審議はできません。私が取り上げておるのは、これは法務行政でしょう。あなたがことさらに都合の悪いことは取り調べないということであれば、その行政審査というものは全くできないです。そういう意味で、言いたくないですけれども、あなたは国会を愚弄していると言うのだ。これは率直に言ってください。いかがですか、言えませんか。課長待遇の長棟と私は名をあげている。こんなものは東京書籍に行って調べたらわかるじゃありませんか。この長棟さんは松山におるのですよ。私が指摘した以上は、行って聞いたらどうです。何でもないことじゃありませんか。一体日本の検察庁、法務省は、政務次官、国会で指摘したことを調査して報告できないのですか、あなたのほうはどうなんです、とんでもない、これはそうじゃありませんか。一体どうですか。
  139. 津田實

    津田政府委員 私どもは国会の国政審議につきまして尊重いたしまして、これに御協力申し上げることは午前中の当委員会でも申し上げたとおりでありまして、その点は何ら変わっておりません。しかしながら、検察庁取り調べる、という範囲は、おのずから犯罪捜査に限られておるわけであります。犯罪捜査でないことを検察庁取り調べる、あるいは何らかの機構を通じて取り調べるということは、これは越権であります。したがいまして、そういうことはやらないわけであります。そこで国会において御質問があり、調査をいたすことにいたしておりますものにつきましても、おのずから限界がございます。そこで本件につきまして調査いたしました結果、先ほど申し上げたようなことになるわけでありますが、しかしながら、それ以上の点について、捜査の端緒的なものを得ておるかどうかという点については、私はいま承知いたしませんけれども、かりにそうであるといたしましても、それはそういう端緒を得ておるからということをここに申し上げることは、将来その事件について捜査することに大きな障害になるわけであります。したがいまして、その点は申し上げられないことを御了承願いたいと思います。
  140. 野原覺

    野原(覺)委員 そういたしますと、何ですか、これも犯罪捜査影響があるから申し上げられないということですか。私は、犯罪疑いがあるじゃないか、こういう特殊な、実は特定の会社の課長を連れて、特殊法人の役員、振興会法十六条によって公務員に準ずる者とされておる。しかもかつて自分が監督した教科書会社の役員を連れて教育委員会なんかを練り歩いておることは、これは刑法上の収賄罪の疑いとか、あるいは独禁法ですね。教科書は、これは指定されておりますからね。犯占禁止法の違反の疑いを受けるじゃないかというので、私は予算委員会で取り上げたのです。だから、その疑いありといって名前を指摘したら、法務大臣調査をします。それをあなたは言わないのだ。全くもって解せぬじゃありませんか。だから犯罪捜査上都合が悪いから、調査をしたのだけれどもそれは言えない。こう言うなら、これは私も理解しますよ。しかし、調査をすると国会で答弁しながら、その調査をしていないとすれば、私はこれは大きな問題だと思います。あるいは今度の臨時国会では、高橋さんは法務大臣ではないかもしれませんけれども、その場合、高橋さんの責任は法務大臣でないから追及することは困難かもわかりませんけれども、私は法務当局の責任は追及しますよ。高橋個人はかわっても、法務省は残っておるはずだ。これはどうですか、長棟氏については調べなかったわけですか、いかがです。
  141. 津田實

    津田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、検察庁調査範囲と申しますのは、将来の捜査のための内偵の必要の限度以外に出ることはできません。したがいまして、その内偵の範囲において把握したことにつきましては、これは将来の捜査をする場合に影響がありますから、申し上げられないわけであります。したがいまして、内偵をどの程度までしたかということを明らかにすることは、明らかに将来の捜査影響がありますから、それは申し上げることを差し控えたいわけであります。
  142. 野原覺

    野原(覺)委員 すなおにお答えになったらいいですよ。私もあなた個人にやかまして言っているんじゃない。私は国会議員として、実は国政審議に対するあなた方の態度について解せないものがあるから、あるいは私のことばにとげがあるかもわかりませんけれども、追及しておるわけです。  それでは次いで九州に渡って、長崎における行動、これはどうなっておりますか。東京書籍の九州支社の中島という課長を連れて、これまた県の教育委員会、市の教育委員会、校長会を集めて云云というやつです。
  143. 津田實

    津田政府委員 本年の二月三日長崎市興善町の某会館におきまして、これは会館の名前は不明でありますが、道徳教育研究会、地方開発事務所の関係者二百五十名に対し道徳教育のあり方等について講演をしたという事実があります。それからそのほか昨年の十一月十九日、長崎市の長崎相互銀行会議室において、県立高校PTA関係者約百名に対し道徳教育のあり方について講演をしたという事実がございます。
  144. 野原覺

    野原(覺)委員 これも実は前と同じことで、あなたのほうでは言えないでしょう。そうすると何一つ肝心なことは実は答弁を私にはしないということですね。きょうは時間の関係もあって同僚の皆さん方にたいへん御迷惑でございますから、私は簡単に終わりますが、齋藤管理局長がお見えでございますから、実は関連して二、三お尋ねをして終わります。  文部大臣は私学振興会の監督権を持っておる。文部大臣が常任監事を任命することになっておる。二月九日当時、昨年の六月以降の勤務状況はきわめてよくないと言ったら、愛知文部大臣は、これを調査した結果その点を認めて、私から注意をしたという答弁を予算委員会でしたわけです。その愛知文部大臣が私に答弁をいたしました三月三日以降五月三十一日まで一きのうおやめになられたそうですが、五月三十一日までの勤務状況はいかがでございましたか。これは良心的に答えてください。
  145. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 私実は五月の資料を一つ持っておりすが、五月は全期間を通じて十七日出勤をいたしておるということであります。
  146. 野原覺

    野原(覺)委員 十七日といえば、これは一日おきに出ておるということですね。ほとんど一日おきだ。私の調査によると、その後もよくない。向こうの所員の話を聞きますと、所員がおこっております。文部次官だといって頭の上に乗っかって、常任監事だといって十五万円も月給をもらって一体何をしているのですか、国会は何でこれを問題にしてくれないのですかと向こうの所員が私どもに言うわけです。一週間に一回か二回しか顔を見ないこともあります。高級な向こうの課長か部長でございますか、名は申し上げませんが、まあよいときで一日おき、半日でさっさと帰ります。昨年の十一月から十二月に、向こうに三台自動車がありますが、ほとんど一台の自動車を乗り回して、非常に所員が困ったので、向こうの労働組合か岡田理事長に抗議した。岡田理事長も困って、私から注意をしますからということであったが、その後もあらたまった形跡はない。しかし、いずれにしても昨日おやめになっているわけです。いやしくも予算委員会で文部大臣が私の指摘したことを認めて、厳重に監督すると言ったら、なぜ三月三日以降だけでも厳重に監督して勤務をよくしないか。高級官僚が逃げ込むところの組織を今日どんどんつくっておる。大蔵省でも文部省でも運輸省でも、そこに逃げ込んで、そしてそこの役員になりますと、高給を取って実に勤務状況はよくない。私はそういう点からも、これは官僚のあり方として非常に問題があると思うのです。きょうは愛知文部大臣がここに見えておりませんから、局長のあなたに言っても、あなたはかって内藤君の監督を受けた方でございますから、これ以上私はあなたには申し上げない。  そこで、私はこれで終わりますが、刑事局長に申し上げておきたいことは、私の調査によれば、私学振興会の役員は公務員に準ずるものでございますから、かりに教科書会社から利益の供与を受けた事実があれば涜職罪になると思うが、この点はいかがでしょう、刑事局長
  147. 津田實

    津田政府委員 私立学校振興会法第十六条によりますと、「振興会の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」ということになっております。したがいまして、職務に関しましてわいろを収受いたしましたら、もちろん収賄罪になります。
  148. 野原覺

    野原(覺)委員 そこで次でございますが、職務に関するわいろの点までは私はきょうは申し上げるつももりありませんし、この点はもっと的確な証拠を集めなければ云々すべきではございません。しかしながら、巷間教科書会社という大きな大資本家でございまして、いろいろ取りざたされております。私は、この点は内藤君自身としても注意しなければならぬことではないかと思う。文京区の林町の邸宅にしても、これは賃貸借かどうかわかりませんけれども、かつて監督した特定の会社から自宅の提供を受ける。家賃をどれだけ払っておるか知りませんけれども、私はそういうことはすべきではないと思う。これは道義的にも文教の最高の権力の地位にあった者のなすべきことではないと思う。そのことが今日教科書の問題を通じてどれだけやかましく騒がれておりますか。あるいは内藤君が、おれは家賃を払っておるから問題はないと言われるかもしれない。しれないけれども、しかし、それは通らないのです。だから、こういう点も文部当局としては厳重に注意してもらいたい。  そこで、私はきょうは法務大臣もいないし文部大臣もおりませんから、この辺で質問は終わりますけれども、国会でこれらの綱紀粛正の問題を取り上げた場合における法務当局のとるべき態度としては、はなはだ解しがたいものがあるという感じがする。いずれまた次の臨時国会で、これらの問題はたくさんあるわけでございますから、なお私は、取り上げていくことを前もって申し上げておきます。  以上で終わります。
  149. 濱野清吾

    ○濱野委員長 本日の議事はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十八分散会