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1965-03-12 第48回国会 衆議院 法務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十二日(金曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 加藤 精三君    理事 大竹 太郎君 理事 小金 義照君    理事 小島 徹三君 理事 田村 良平君    理事 坂本 泰良君 理事 細迫 兼光君    理事 横山 利秋君       中垣 國男君    濱野 清吾君       藤枝 泉介君    森下 元晴君       山手 滿男君    長谷川正三君       志賀 義雄君    田中織之進君  出席国務大臣         法 務 大 臣 高橋  等君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         法務政務次官  大坪 保雄君         検     事         (刑事局長)  津田  實君         公安調査庁長官 吉河 光貞君  委員外出席者         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政及び検察行政に関する件      ————◇—————
  2. 加藤精三

    加藤委員長 これより会議を開きます。  法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 本委員会は昨年、いわゆる新暴力法というものを非常な慎重審議の結果通過をし、その法律は成立をいたしたのでありますが、自来数カ月をけみしまして、警察当局並びに法務関係のところにおきましては、暴力団に対する検挙相当の進展を見せておりますことはわれわれとしてもまことに喜ばしいことだと思っております。当時私どもが、この法律改正がいろいろと危惧される点があるとしてあえて反対をしたわけでありますが、しかし、その危惧される点は別なところにあって、もしそれ当局現行法をもってしても暴力団に対する熱情と努力さえあるならば効果を生ずることができるであろう、問題は一致団結して社会悪と戦う熱意と努力の問題である、その意味では激励をいたしたところであります。最近における暴力団検挙状況について、まず概括的に伺いたいのであります。
  4. 日原正雄

    日原政府委員 昨年、暴力行為等処罰に関する法律改正案も通りまして、警察といたしましても、昨年一月の暴力取り締まり対策要綱に基づいて強力な施策を進めまして、特に重点的に首領幹部等組織中枢部にある主要構成員検挙不法資金活動の徹底的な取り締まり拳銃等兇器押収強化、あるいは対立抗争事件早期鎮圧というようなところに重点を置いて推進してまいりました結果、昨年におきまして暴力団犯罪検挙件数は七万三千件、人員で五万八千人を検挙いたしております。これは昭和三十八年に比較いたしますと、件数で一割二分、人員で一割五分の増加になっております。
  5. 横山利秋

    横山委員 量と質の問題があると思うのでありますが、その質的な相違はどんなところにありますか。
  6. 日原正雄

    日原政府委員 質的な相違と申しますと、一つは先ほど申しました首領幹部等組織中枢部にある主要構成員検挙状況でございますが、これが昨年におきまして全検挙人員中の約九%を占めております。それが一昨年までの検挙状況から申しますと、首領幹部検挙状況は全検挙人員中の約七%ということでございますので、首領幹部級取り締まりが二%ふえておるという数字が出ております。  なお暴力団犯罪罪種別の面から申しますと、罪種別検挙人員がふえておりますのは、一つ賭博でございます。これは首領幹部級のいわゆる頂上作戦とも関連を有するわけでありますが、非現行賭博検挙ということを強力に進めました結果、賭博犯罪検挙人員相当にふえておる。あと暴力行為等処罰に関する法律違反、それから恐喝、暴行、傷害というような罪種別のところが増加をいたしております。
  7. 横山利秋

    横山委員 暴力団と称されるものについて、本委員会は昨年いろいろと議論をしたわけでありますが、現在暴力団とあなた方が推定をしておるものの全国の団体の数及び構成員、並びにそれに伴って最近紙上を騒がせております解散をしたといわれる数、それらをお示し願いたい。
  8. 日原正雄

    日原政府委員 本年一月現在における構成人員団体数は現在集計中でございますが、概数四千五百団体、十七万人でございます。これらはちょっとまだ端数がつくかと思います。  それから解散状況でございますが、三十九年中に取り締まり影響を受けて解散または壊滅した暴力団は三百九十九団体、そのうち正式に組織解散したものが五十七団体でございます。
  9. 横山利秋

    横山委員 その解散擬装解散であるかいないかといろいろと取りざたされておるのでありますが、解散されたと称される三百九十九団体ですか、それらについての解散状況について特筆すべきことがあるかどうか。
  10. 日原正雄

    日原政府委員 解散いたしました団体につきましては、私どももその後の推移について十分に現在視察中でございます。これは各種の団体によって非常にまちまちでございます。現在のところ、解散をいたしまして、組長はもちろんのこと、組員もそれぞれ正業につくべく一応の努力をしておるというのもございますし、また、解散はしたが、組長だけは正業についておるが、組員の中には他の暴力団に走ったり、新しい組織結成動きをしている者もございます。それぞれの団体によってまちまちでございますが、私ども解散後も十分注視を行なっていくつもりでございます。
  11. 横山利秋

    横山委員 公安調査庁に伺いますが、公安調査庁暴力団に対する調査はしているのですか。
  12. 吉河光貞

    吉河政府委員 公安調査庁右翼団体調査はいたしておりますが、いわゆる暴力団それ自体の調査はいたしておりません。
  13. 横山利秋

    横山委員 右翼暴力団との結びつきは紙一重といわれているのですが、公安調査庁の現在の右翼、左翼ということについての限定は、必ずしも私は感心していないのであります。右翼暴力団との結びつきは昨年も強く指摘したのですが、その点はどうお考えですか。
  14. 吉河光貞

    吉河政府委員 一昨年ごろからばく徒テキヤ等任侠団体、いわゆる組織暴力団体政治結社を名乗りまして、反共を標榜している右翼団体擬装するというような動きが見えてまいりました。特にそれは政治資金規正法の届け出という面にもあらわれております。第二は、任侠団体の綱領、規約、宣言、声明等右翼団体類似のものを掲げるものが若干あらわれておる。第三は、いわゆる右翼団体幹部任侠団体にいろいろ顧問その他の名前で入りまして、影響を与えているというような点もあらわれておる次第でございます。
  15. 横山利秋

    横山委員 その現象面として、そういうような政治団体に進出をして擬装をしようとしておるということについて、公安調査庁並び警察庁はどういうような措置をなさっているのですか。
  16. 吉河光貞

    吉河政府委員 こういう動向につきましては十分警戒し、注意しておる次第でございます。
  17. 日原正雄

    日原政府委員 私ども組織暴力団対策として、暴力取締対策委員会というものをつくりまして、本庁も府県も、刑事、警備、保安合同取り締まり本部でもって絶えず連絡をしながら仕事を進めてまいっております。
  18. 横山利秋

    横山委員 最近各方面で、地方自治体及び公共団体施設を貸与する、しない、そしてそれについて地方自治体警察指摘を受けて、あわてて取り消すというような事態が続出をしておるわけでありますが、この点について警察庁としては、暴力団体に貸してはかぬということについて、事前に、これこれの団体暴力団であると推定をしておるという内報を、それぞれの地方自治体なり関係団体にしておるのですか。
  19. 日原正雄

    日原政府委員 公共施設管理者とはそのつど連絡をしておる場合もあります。また、申し出がありますときには、それぞれの実情というものをお話をしておる場合もございます。
  20. 横山利秋

    横山委員 何が暴力団でもるかという推定については、必ずしも客観性がないと判断をしておるわけであります。本委員会も、昨年暴力団とは何ぞやということについて若干の議論をしたことがあるのですが、私、新聞を見まして、あとから警察が、あれは暴力団だ、なぜ貸したんだということの中には、地方自治体として当然承知しておらなければならない団体もあると同時に、中には、なるほどそう言われてみたらそうであったかという場合もあるわけであります。したがって、そういう場合にはその地方自治体としても、それならなぜ早く言ってくれなかったかというと同時に、暴力団について公表できるものは公表しておいてほしい、それだったらああいう間違いも不ていさいなこともしないという声が非常に強いのであります。その点はどうお考えですか。
  21. 日原正雄

    日原政府委員 お話のとおりでございます。暴力団と知らなかったということで許可をされる場合もあろうかと思います。そういう意味では、今後ともますます緊密な連絡をとっていかなければならないと思いますが、お話の、あらかじめこれこれのものというふうに言えるかどうかという問題でございますが、これは御存じのとおり、暴力団は、常習的に、あるいは継続的に暴力的な不法行為を行なうおそれがある団体ということで、警察自分執務資料として名簿をつくっておるわけでございまして、決してそれらの団体がみずから暴力団であると名のっていないものでありましても、そこに入ってまいります。また暴力団として何か登録されたようなものがあるわけでもございませんので、その点非常に判断がしにくいわけでございますが、そうかといって警察のほうでも、執務参考として持っております資料を全部お示しすることもどうか。これらの資料につきましては、その程度の問題もあるわけでございまするし、過去のいろいろな事例から見て、暴力的な不法行為を行なうおそれがある、こう認定するわけでございまするので、いままでのところでは、これを公表するたてまえをとっていないわけでございます。ただ従来のショウその他につきましては、たとえば去年そういうもののあっせんで実際はやったけれども、しかし、ショウの入口の前ではっぴを着た姿の者がたくさんおったとか、あるいは暴力団の花輪がたくさん飾られておったとか、あるいはその他不法行為があった、こういうものは明らかにその次の段階において暴力団として認定できると思うのでありますが、お話のとおり、いろいろその限界ということになってまいりますと、はたして暴力団と見るべきかどうかというようなこともあると思います。私どものほうの立場としては、こういう団体は過去においてこうこうこういうような事件を起こしておる、これははっきり申し上げられると思うのであります。そういうようなことで十分緊密な連絡をとりながらやってまいっておるという状況でございます。
  22. 横山利秋

    横山委員 これは私は納得できないのであります。地方自治体及び担当者の肩を持つわけではない。しかしながら、一たんあなたのほうからなぜ貸したのだということになると、あなた方だけがたいへん立場がよくて、地方自治体及び担当者立場は全くない。あたかも暴力団と結託しておるかのごとき印象社会に与えておるわけであります。しかし、一たんそういうことになれば、あなたのほうから御注意があれば、まずまず問答無用キャンセルをするわけであります。キャンセルをして地方自治体が腹を立てておるわけです。それならそうでなぜ初めから言うてくれぬか。あなたのほうは言いたくないというのでありますが、そこで言ってしまうわけであります。それから暴力団としてのらく印社会的に押されるという結果になる。したがって、言いたくないと言いながら、結局人に言って傷つけてしまっているのでありますから、これだけ暴力団に対して社会的な雰囲気、世論があるときには、前もってあなたのほうとして、これこれの団体はまず暴力団考える、これこれについては構成員暴力団の要素が何%あるから注意をいたしておる、必要最小限度こういうようなランクをつけるなりして社会的に出すべき段階がもう来ておるのではないか。芸能人についてもそういうことが言い得るのであります。芸能人のような興行的に弱い人たちにとって、自分たちがみずから関係を持つことを拒否するということは、言うべくしてなかなか行ないがたいのであります。もしそれ、あなたのほうがあくまでこの暴力団資金源を断ち、暴力団地方公共団体結びつきを断ちたいというのであれば、この機会暴力団についての公表をすべき段階がもう来ておるのではないか、こう私は考えますが、御判断をお伺いしたい。
  23. 日原正雄

    日原政府委員 お話の御趣旨はよくわかりましたので、芸能関係なりあるいは公共施設からの御要請があれば、参考になるような事項をお知らせするということにいたしたいと思います。
  24. 横山利秋

    横山委員 私の言っているのは、御要請があればではない。もっと言うならば、国会要請があると言うておるのです。私どもがそれを公表することを要請をしておる、こういう立場です。
  25. 日原正雄

    日原政府委員 公表することにつきましては、もう少し検討さしていただきたいと思います。
  26. 横山利秋

    横山委員 もう少し検討するというのはどういう意味でありますか。警察公表することによって、暴力団から、なぜおまえ暴力団というのかというて攻撃を受けるのがこわいというのですか。それとも自分のところの資料は不十分きわまるものであるというのですか。少なくとも公共団体に対して、おまえのところは何で貸すんだ、芸能人に、おまえらなぜああいうものと関係しているんだというふうに、これからの新聞、テレビを見るたびに、芸能人がそこでしかられる、また地方公共団体がチョンボしたということが列挙されることなんですよ。そういうことについて、あなたのほうでもう少し親切に、もう少し勇気を持って出すべきときではないか。要求があったらやってやるではいけませんよ。
  27. 日原正雄

    日原政府委員 実は暴力団というものをどういうふうに認定するかという点に問題がかかってぐるわけでございます。暴力的不法行為を行なうおそれのある団体ということでございますので、認定の基準は何かということが法律その他ではっきりしてまいるならば何も問題ないわけでございますが、そういう点がないがために、従来は、暴力団の一々のあれは警察が持っておりましても、公表しないたてまえをとってきたわけでございます。そういう意味で今後検討してみたいということを申し上げたわけでございます。
  28. 横山利秋

    横山委員 そうであるとするならば、何をもって地方公共団体に、おまえのところはあんな者に貸したんだ、こう言えるんですか。言う以上は、地方公共団体なりその他の団体及び個人に対して、あたかも暴力団と結託したかのごとき印象を与えることについての責任を、あなた方は何をもって指摘をしておるのでしょう。そうだとするならば、その勇気なりそれがあるならば、なぜいまそれができないのか、こう私は言っておるんです。私の言うことはわかるでしょう。
  29. 日原正雄

    日原政府委員 私ども公共施設管理者の方々に御連絡いたしておりますのは、それぞれの過去の事例等から見て、いわば暴力団と認定した根拠になりますか、過去の具体的な事実、こうこうこういう事実ということで御連絡をいたしておるわけでございます。ただ団名前、それだけでもってお話ししておるわけではございません。
  30. 横山利秋

    横山委員 しかし委員長、いま聞いておられておわかりになると思うのですけれども、結局警察は、いまのお話を聞いてみると、自分責任は持ちたくない、地方公共団体なり芸能人責任を持たせるというやり方なんですね。地方公共団体なり芸能人は、警察から指摘を受けた、こういう言い方をどうしてもするわけです。しかし警察に突き詰めれば、おれは指摘したつもりはない、あの団体は大体こういうことだよと言うて、おれがとめたんじゃないよと言いたいんです。卑怯ですよ。だから私は、最初の間は、地方公共団体ともあろうものが何でそんなところへ貸すんだろうかな、この時世に何たることかなと思っておった。ところが、いつまでたってもそれがちっとも絶えない。絶えないということは、地方公共団体なり芸能人がそうかと思っても、十分にそういう指摘を受ける団体とは知らないということなんですね。これは一体だれが責任を持つのか。貸す、貸さぬ、この団体には貸すべきでないということは、地方公共団体にはわからない。警察事前にもっと責任を持てと言うのです。そして妙なチョンボを起こすな、起こさせるな、担当者なり理事者なりが暴力団と結託しているかのごときうわさを立てられるのを未然に防止しろ、こう言うのです。そのために警察庁責任を持てと言っておる。向こうは責任は持たぬと言っておる。委員長どう思いますか。委員長からもひとつ御注意を促してもらいたい。
  31. 加藤精三

    加藤委員長 横山委員に申し上げますが、そういう問題は非常にむずかしい問題でございまして、私も過去において五、六年市長をやっておりまして、いろいろそういう問題にもぶつかったことがありますけれども、非常なむずかしい問題でございますので、いま政府委員のほうでもいろいろ調査研究しようと言うておられるわけでございます。横山委員がおっしゃいますように、府県市町村等公共施設営造物施設許可の権限を警察責任にするということは、民主主義の戦後の地方行政の理念から見て、これは明らかに間違いの考え方です。サゼスチョンの入れ方の経路の問題ですから、実際の地方行政になりますと、非常に微妙な問題でございます。ですから、そこをいま政府委員が慎重に研究しようということでございますので、御了承をいただけ得ないでしょうか。
  32. 横山利秋

    横山委員 委員長は少し誤解をしてみえるようですが、公共施設を貸すというのは理事者責任である。けれども社会的に暴力団に貸すべきでないというのは天の声、地の声、人の声ですから、問題はないわけです。ですから理事者としても暴力団に貸したくないということははっきりしている。しかし、何が暴力団であるかについての指摘警察から受けるか受けないかについての判断の基礎をよう持たぬわけです。だから事前に、そういうものはいつもいつも指摘をしておるくらいだったら、なぜ初めから公表しないか、こう言っておるのです。
  33. 加藤精三

    加藤委員長 横山委員の御趣旨はよくわかります。
  34. 横山利秋

    横山委員 それをためらっておるのはどういうわけだ、なぜためらっておるのか。自分責任を持ちたくないのか、こう言っておるのです。
  35. 加藤精三

    加藤委員長 横山委員に申し上げますが、政府委員としても責任のがれでそういう答弁をしておるのではなさそうでございまして、十分調査研究した上で、また再びお答えするときもあろうかと思います。横山委員、何とか御了承願えないでしょうか。
  36. 横山利秋

    横山委員 いや、しません。
  37. 田中織之進

    田中(織)委員 関連して。この問題は、昨年の国会暴力行為等処罰に関する法律審議のときにも、ただいま横山委員が質問申し上げておるような点について、警察庁並び法務省との間で相当問答を重ねた問題なのであります。したがって、暴力団定義の問題について、私の記憶では、この通常国会のほとんど全期間を通じて、この法案審議の過程においても明確なものが私は出ておらないと思うのです。しかし、最近特に警察庁頂上作戦等暴力団取り締まり強化に出ておることに対して、国民の各方面からの協力もあるので、この際、やはりこの種の事犯に対処する全国民的な協力をさらに得るという意味においても、私は非常に重要な時期にきておるのではないかと思う。この問題については、従来の警察庁態度刑事局長答弁では出ておらないと思いますし、その点から見て、やはり今後の取り締まりを進める上にも関係のあるという、その意味におけるデリケートな問題もあるということが理解できるのではないかと思うのです。しかしこの際、これは政府当局国会の、特にこの委員会との間で、これらの問題については明確な定義の問題と、あるいは警察庁並び法務省等暴力団として五千数百団体という数まであげられておるわけですが、そういうようなものについてのリストを出してもらいたいということも前々から要求をしておりますので、この点については、むしろこの場の問題ではなくて、この前にも暴力問題に関する法務委員会としての小委員会というようなものも設けたらどうかという点が、与野党の間から持ち上がった経緯もございますので、横山委員が質問を申し上げておる点については、この際法務委員会政府関係当局との間で、もっと打ち割ったところの話し合いをして、この点を明確にするという機会を持ったらどうか、こういうように思います。これはもちろん横山委員の御意見も聞いていただかなければなりませんけれども、これをさらに前進させる点につきましては、ひとつ委員長のほうで理事会等をお持ちいただきまして、それから特に警察庁法務省関係局長等にもぜひその理事会には出ていただいて、どこまで明確にできるかという点について御相談していただいて、国民の前にこの実態を明らかにするということのほうが、私は親切だし、また国民協力を得られることになるのではないかと思いますので、そういうようなお取り計らいを委員長にお願いしたいと思います。
  38. 加藤精三

    加藤委員長 申し上げます。ただいま横山委員よりも、また田中委員よりも御発言がありまして、その御発言趣旨については、十分政府全体としてもいろいろ大事な研究を要する点もあろうかと思いますが、法務委員会理事会を開会いたしました際におきまして、とくと理事会でも研究いたしたい、こう思っております。
  39. 横山利秋

    横山委員 法務委員会態度としては、委員長の仰せられるとおりでけっこうです。しかし、政府側にやはり強く申し上げておかなければならぬのですが、いままでは——私も去年公表を迫ったと記憶していますが、あのときには、なるほど事情ある程度もっともな点もないではないというふうに考えたわけであります。考えた理由というのは、まだまだ私ども立場、野党の立場というものが、本法案について非常に危惧を持っておった。そして警察のねらうところについて非常に心配をしておった。こういう条件があり、社会世論としても、今日までの警察努力を大いに多として、協力態勢というものはいま整っておるのですが、その当時は必ずしもまだそうではなかった。こういう点からいって、今日の状況からいって、先ほど私が一、二の例を示しましたように、公表せずして、そしてその担当者諸君なりあるいは芸能人諸君に対して、非常に忌まわしい影響誤解を与えるような結果になりつつある。したがって、この際は暴力団団体公表すべきだ。しかしながら、公表方法については、それはいろいろくふうがあるであろう。あなた方の立場もあるであろうから、公表方法については、先ほど私が一、二の例をあげましたように、まるっきり暴力団と天下晴れてらく印を押すもの、それからそういう疑いのあるもの、構成員犯罪を犯した者がたくさんあるもの等々の、ランクつけ方にはいろいろあるであろう。そのランクつけ方についてはくふうをなさるがいいであろう。そういうことによって少なくとも公表をするべき段階であろう。こう言っておるのでありますから、日原さんも、諸般の事情考えて十分に善処なさるべきだ、警察庁は善処をするべきだ、こういう判断をしておるのでありますから、われわれの委員会の意のあるところを考えつつ御答弁を願いたい。
  40. 日原正雄

    日原政府委員 なるほどお話のようにいろいろなランクがあるわけでございます。そのランクをどういうふうに見るかという問題もあるわけでございます。私どものほうとして、過去のいろいろ構成員としてやった事項、組としてやった事項、会社としてやった事項、いろいろ過去の事例資料は幾らでもお出しできると思う。ただ、いわゆる暴力団ということになりますると、暴力的不法行為を行なうおそれのあるという、将来のことを考えて入れておりますので、暴力団というものは一体どういうものをいうのか、それはだれが認定するのかという問題が残ってくるわけでございます。そこら辺のところを解決いたしませんと公表しにくいという問題がございまして、今日まで公表しなかったわけでございます。そういうような基準なり、認定するものなりきまってまいりますれば、私どもとしては資料は出し得ると考えております。
  41. 横山利秋

    横山委員 くどいようでありますが、論理的な矛盾がある。それは、現にあなた方はいま地方公共団体に、あの団体に貸すべきでないということを注意しておる。注意しておるとするならば、それの基準があるはずだ。その基準がいまきまってないというのは、これはおかしいのであって、この際慎重なことばでもいいが、どういう団体については貸すべきでないということを地方公共団体に申し入れているか、それを一ぺん聞かしてもらいましょう。
  42. 日原正雄

    日原政府委員 あらゆる角度から見て、非常に暴力団としてはっきりしておるものもございますが、そうでない、いろいろな段階があろうと思います。私どもは、もちろん公共施設を貸すことの許可権限はないわけ、また指導権限もないわけでございます。ただ私どもとして、従来の経緯から見て、警察としてはこういうふうに見ておる。これは現在警察で名簿を持っておるわけでございますから、警察として見ておるということは言えると思います。  それからもう一つ、過去のそれぞれの事例について、この会社なり団体があっせんした場合には、こういう現象が起きた、あるいはこういう不法行為があった。このショーに関連して、その団体あるいは団体構成員が従来こういうことをやっておると、過去の例をお話しする。こういう形で公共施設管理者連絡をとっておるわけでございます。
  43. 横山利秋

    横山委員 意を尽くしませんけれども、先ほど委員長お話もございまして、一回理事会でひとつ十分に相談いたしたいと思います。  法務省に伺いますが、昨年成立いたしましたいわゆる新暴力法の適用状況をひとつ……。
  44. 津田實

    ○津田政府委員 昨年七月、暴力行為等処罰法の改正法が施行されまして以来、昨年末までの半年間におきまして、検察庁でこの改正法によりまして処理をいたした暴力団構成員人員は三百三十六人でありました。そのうち公判請求をしたものは二百九十六人にのぼっております。起訴は十一人であります。その他は家庭裁判所の送致等になっております。  なお、ただいま申し上げましたのは暴力団構成員人員でございますが、その期間に、やはり同じく改正法を適用いたしまして処理した総人員は七百十八人でありまして、うち公判請求したものは六百九人、起訴が二十七、その他が家庭裁判所送致ということになっております。
  45. 横山利秋

    横山委員 こういう検挙し、公判請求し云々の中における年少者の区別はわかっていますか。
  46. 津田實

    ○津田政府委員 ただいまその年齢別の人数は手元に資料がございませんし、これは個々の事件について調査いたしませんと、ちょっと数字が出かねると思っております。
  47. 横山利秋

    横山委員 それまで日東さんのほうに、そういうような暴力団検挙いたしました数、そのうちの年少者の状況についてわかっておるところがあったら聞かしてもらいたい。
  48. 日原正雄

    日原政府委員 ただいま手元にあります年齢別の資料は、昨年の一月から十月までの統計でございますが、これで申しますと、年齢別に申しますと、十四年以上十六年未満、これが一・八%、十六から十八までが六・四%、十八から二十歳までが九・四%、二十から二十五までが三四・五%、二十五以上は省略いたしますが、そういうような状況でございます。
  49. 横山利秋

    横山委員 年少者の犯罪というものが非常にふえておるわけでありますが、この年少者に対することにつきましては、本委員会もしばしば取り上げたのでありますが、政務次官にお伺いしたいのでありますが、少年法の改正ということについて昨年も指摘をして、いろいろ議論をしたわけでありますが、最高裁並びに法務省の間における年少者の法律改正についてどういうことになっておりますか。
  50. 大坪保雄

    ○大坪政府委員 少年法の改正につきましては、従来当委員会においてもいろいろ御論議をいただいておりますし、法務省といたしましても、現状で足りるとは考えませんで、特に最近の少年の非行あるいは犯罪行為の敢行というものが年々増加してまいっておりますし、年齢もむしろ低下する傾向を持っておりますし、集団行動による罪質の悪質なるものの敢行等ございますしいたしますから、それらの点を勘案いたしまして、何とか改正をして、これの防除に役立つようにいたしたいというので協議を続けてまいっております。まいっておりますが、まだ現在法律案として国会の御審議を願うという段階まではまいっておりません。
  51. 横山利秋

    横山委員 私どもは、少年法の改正に必ずしも賛成ではないのでありますが、最高裁と法務省との間に意見の相違があるというのは、どういう点で見解の相違があるわけですか。
  52. 津田實

    ○津田政府委員 よく新聞なんかに、法務省と最高裁判所と、少年法の改正をめぐりまして意見の対立があるというふうなことが報道されておりますが、私どもその局にある者といたしましては、必ずしも意見の対立があるというふうには考えておらないわけでございます。しかしながら、世論を見てまいりますと、少年につきましては現在日本では二十歳を年齢の限度といたしておりますが、年齢を引き下げるべきじゃないかという意見がかなり強いわけでございます。その意見に対しましては、私どももまだ最終的に結論は出しておりませんけれども、年齢引き下げについてはやはり世論のおもむくところが正当であるというふうに考えるわけでございます。しかしながら一方、これはいわゆる現在の十八ないし十九というようなものに対して刑事責任を中心とする責任を負わせるということになるわけであります。したがいまして、その面におきましては保護主義は一歩後退するということになるわけであります。ところが、裁判所方面あるいは有力な学者のうちには、世界の趨勢は保護主義を拡張すべきであって、むしろ少年の年齢は引き上げるべきであるという意見がかなり強いわけであります。まあ裁判所は、さしあたって引き上げるべきだという主張ではございませんけれども、少なくとも年齢を引き下げることはとんでもないという考え方が強いわけであります。そこで私どもといたしましては、その年齢を引き下げることの効果が、現在問題になっておる少年問題の解決にどれだけ役立つかという問題について、研究を重ねるということが一つの大きな問題になってまいります。それと同時に、現在法務省で一応考えてみました案といたしまして、青年層をとらえて特別の裁判所を設けるといういわゆる青年裁判所構想、すなわち十八歳以上二十三歳くらいまでを青年層といたしまして、これにつきましては刑事処分と保護処分とをあわせ適用する、あわせと申しますか、その適応性に応じて刑事処分を行ない、あるいは保護処分を行なう。現在二十歳以上は成人でございますので、これは保護処分は行なっておりませんわけでございますが、それを二十三歳までは保護処分も行ない得るということを考えてはどうかというような、これは外国にも若干の立法例がありますが、ということも一つ研究の対象にいたしておるわけでございます。その理由は、要するに二十歳と申しましても、個人によりまして心身の成長度に非常に差がありますので、そういう意味におきまして、二十三歳くらいまでの者については保護処分も適用してよろしい、しかしながら、心身ともに発達している者については、十八以上の者であっても直接の刑事処分を負わしてもいいのではないかという考え方に出ておるわけであります。かれこれそういうような問題につきましていろいろ検討をいたしているわけでございますが、少なくとも裁判所方面におきましては、年齢引き下げには非常な強い反対を示しているというのが現状でございます。
  53. 横山利秋

    横山委員 もう一度警察庁に戻りますが、いわゆる頂上作戦というものの意味はわかるわけでありますが、方法としてはどういうことなのか、ばく徒の最高幹部に問題を集中するということの意味はわかりますが、頂上作戦というものの真の意味並びに方法について一ぺん説明をしてもらいたい。
  54. 日原正雄

    日原政府委員 一昨年までの取り締まり状況から見て、小もの暴力的な不法行為だけやったのではいわゆる暴力団というものがなかなか根絶できない。そうかといって、もちろんこれらの軽い末端の者のやる暴力的不法行為もやらなければなりませんが、それだけではいけない。首領幹部級という者に対して打撃を与えることが必要だということから、もちろん、われわれも犯罪が構成しなければ検挙できないわけでございますが、末端の者ばかりでなしに、これらの者にも相当な重点を指向してやってまいろうということが、いわゆる頂上作戦といわれるものでございます。
  55. 横山利秋

    横山委員 その資金源を断てということは、もう累次の機会に言うているわけでありますが、この資金源についてどういう方法をもって警察庁としては断とうとしているのか。
  56. 日原正雄

    日原政府委員 暴力団組織の存立基盤としての不法資金活動に対する取り締まりがぜひ必要であるということで、これはいろいろな面から考えられるわけでございますが、恐喝、詐欺、賭博犯罪、こういう知能暴力犯罪、こういうものをできるだけ検挙しなければならぬ。それから興行あるいは会社経営等、従来表から見ますと一応合法資金源と目されています分野についても、その間に潜在する不法な部分を摘発をいたしまして、そうして積極的に関係の法令を適用する。あるいは著作権法違反とか、あるいは税法違反とかいうような特異な検挙事例も最近は見られるようになっておりますが、そういうような形で、不法資金活動に対する取り締まりをやっております。
  57. 横山利秋

    横山委員 ちょっとはっきりしないのですけれども、先般も私大蔵委員会で取り上げたのですが、最近一、二の新聞に出ておりますが、暴力団検挙する、資金がある、獲得をしている。裏を返せば、それは所得がある。所得のあるところには課税をされるのが当然だ。そうして国税庁と警察庁との協力関係やいかん。国税庁にはそういうことはわからない。警察検挙して、資金を獲得をし、そこに所得を持っている。とするならば、警察庁はその点について国税庁とどういう連絡関係を持っておるのであるかという点については、積極的に警察当局が納得をする義務がこの人間はあるということを教えるということは、一般論としてはどうかと思われるのですが、暴力団の制圧という意味においては、これは考えるべき点があろうとして指摘をしたのですが、その後の状況はどうですか。
  58. 日原正雄

    日原政府委員 暴力団の資金活動というものは、必ずしも全般的に私どもでも把握できておるものではございません。ただ、いろいろな内偵により、あるいは他の犯罪検挙活動に伴って資金源がはっきりする場合が多いわけでございます。このような場合について、もちろん徴税の問題は税務当局の問題でございますので、私どものほうとしては、検挙面を通じてはっきりいたしましたものを資料として税務当局連絡するというような方法をとっておるわけでございます。
  59. 横山利秋

    横山委員 その実績はあがっておるか、警察からの連絡によって国税庁の徴税業績は進んでおるかどうか、どう思いますか。
  60. 日原正雄

    日原政府委員 私どものほうではっきり把握いたしまして連絡いたすわけでございますが、徴税面におきましても、また徴税面のいろいろな資料も必要である、あるいはその他の考え方からいたしまして、必ずしも全般的にはっきり徴税できておるとは申し上げられない状況でございます。今後の問題になろうかと思います。ただ一、二、従来の事例におきましても、税務当局の徴税がなされまして、資金活動に対する強い態度が打ち出されております。
  61. 横山利秋

    横山委員 密造酒については、これは非常に全国的な問題であり、累次の検挙の実例もあり、警察と国税庁との協力関係もわりあいスムーズなんです。しかし、事、暴力団に関する徴税のあり方についてはあまり進展をしていない。善良なる中小企業者なり、あるいはその他の納税者に対する非常に周密をきわめたいまの徴税行政に比べますと、これだけ暴力団に対する世論がわき立っておるときに、徴税面について警察との連絡が円滑にいっていないというふうに考えられるのは、まことに遺憾なのであります。税務職員の話を聞いてみますと、ぼくらの立場にもなってくれ、こう言うのであります。どういうことかといいますと、税務職員が暴力団のところに行って、お宅の悪いことをした所得はどんなふうですか、と言ったとたんに、どういう反撃があるか、精神的にも肉体的にもどういう反撃があるか、自分たち立場考えてくれ、こう言うわけであります。したがいまして、これはもしその必要性あり、確たるその証拠があるとするならば、全面的に警察協力をしなければ推進ができないではないか。密造酒の場合にはまさに急襲でございますから、これは警察協力もある意味においてはやりやすいのでありますが、一般の暴力団に対する徴税というものは、ただ数字を教えたよ、おまえの責任だよということだけで、あとあなた方が、国税庁あまりやっておらぬじゃないかと言われるだけでは実効があがらないと私は考えておるのであります。その点についてどうなんですか。
  62. 日原正雄

    日原政府委員 私どものほうとしては、積極的にむしろ税務署に連絡をしていくというくらいの気がまえで下部に徹底いたしておるわけでございます。ただ問題としては、私どもの出しました資料だけでは徴税ができないという徴税技術上の問題もあるやに聞いております。またお話のように、実際に徴収する場合に違法行為を行なうおそれがあるということでありますならば、私どものほうでその面において保護その他の御協力は申し上げるというつもりでおります。現実に静岡、広島等で相当な課税がなされておる事例はございます。ただ、全般的な形で申しますと、まだまだ事例としては強化されていいのではないかと考えております。
  63. 横山利秋

    横山委員 これは警察要求するのが必ずしも妥当だとは思いませんから、政府側にお伺いしたいのでありますが、要するに暴力団を退治いたしますためには、社会的な世論協力が非常に必要であるという点は何人も疑いをいれないところであります。世論は今日の警察当局努力を非常に多として、一つあがるたびに何となく快哉を叫んでおるという状況にあるのですが、しかし、その警察努力の中にも、先ほど公表しろと迫ったような、やはり善良な犠牲者も出ておる。したがって、もっともっと世論協力を求めるためには、政府としても暴力団退治について一歩前進をしなければならぬ。単に警察にまかせておくわけにはいかぬのではないかと思うわけなんです。その意味において、たとえば、いま話が出ております演劇人と興行、興行と暴力団はまさに切っても切れないような状況にあるわけであります。最近、幸いなことに演劇界におきまして暴力団と縁を断とうというような声が出ております。まことに喜びにたえないわけでありますが、ただあの人々に声をあげさせるだけで、それなら一人一人は一体どうして断っていくのかということになりますと、これは言うべくしてなかなか困難な問題が生活的にもつきまとっていくのではないかと思います。今日暴力団資金源となっております経営者団体か事なかれ主義で寄付をする問題、あるいは興行界、あるいは料理飲食店関係、あるいはパチンコ等々、暴力団に被害を受け、ないしは無意識のうちに協力しているような諸団体に対して協力を求める方法政府としても真剣に考えて、それをもって警察陣の仕事の裏打ちをすべきではないかと考えるのであります。それは警察がなさるよりも、政府側としてなさるべきだと思いますが、この点について政府側、大坪さんはいかがでございますか。
  64. 大坪保雄

    ○大坪政府委員 横山先生のただいまのお話は私ども全く御同感でございます。幸いにただいまおあげになりましたように、従来暴力団との関係が断ち切れなかったと見られておりました芸能界等においても、敢然と立ち上がる方々もおできになったし、また地方公共団体等の営造物その他の施設の貸与を峻拒されるような公共団体当局者も出てまいりましたし、それらに大きく刺激を与える先般の広島の中国新聞のごとき新聞、報道機関等がこれまた敢然と立って声援を送るというようなことでございまして、これらは世論を巻き起こすことに非常に大きく役に立っておられるわけでございます。警察あるいは検察当局が敢然として社会の平穏を保ち、公共の安全性を期するために政治を行なうためには、それだけ世論のバックアップが必要であるわけでございます。あればあるだけ正義が高められるわけでございます。したがいまして、私ども当局におります者といたしまして、何とかして積極的に、一そう世論の喚起ができるように、善良なる国民が全部暴力団に対抗する気がまえを持って立ち上がっていかれるようにいたす道があればと思うわけでありますけれども政府がこの際、あるいは新聞等に対して、あるいは国民に直接呼びかけるというようなことについては、その方法等にいろいろ検討をすべきものもあろうかと存じますし、これは何としましても、国民の中に国民世論としてわき上がってくるということに持っていくように、そしてそれを決してどこかでチェックするとかということのないように、これを激励するようにしていくということのほうが現段階においては適切ではなかろうか、そういうように考えておるような次第でございます。もちろん、この暴力団の完全なる掃討のためには、政府はあげて各機関と協力してやるということに方針は定めておるわけでございます。ただ、いま申し上げますように、この際政府のそれぞれの機関が表に立って国民に呼びかけるということについては、その方法等についてさらに検討いたしたい、こう思っているようなことでございます。
  65. 横山利秋

    横山委員 私が印したいのは、とにかく法律が通ったからというわけでもないけれども警察努力というものはかなりの成果をあげておると思う。しかしながら、それにはやはり限界がくる。たとえば指摘いたしましたように、公表となるとちゅうちょする。それから人員についても限界がある。予算についても限界がある。それから国税庁が協力したらもっとうまくいくのだけれども、国税庁がちゅうちょする。そういう今日の警察の持っておる暴力団退治の問題には限界がある。限界を少し広げてやるというような必要がいまあると私は思うわけです。だから、警察公表を渋るならば、より高い次元において政府公表させる。そして諸官庁にも暴力団退治については協力をさせるように命ずる等々、このいまの状況をもってするならば、警察だけで、その限られた人数と予算だけでやっているのであって、他の協力体制というものは必ずしもその努力に匹敵するような状況ではなかろうと思うわけです。したがってこの警察の限界から一歩進んで、非常にこの条件の成熟しておるときには、さらに進めて打つべき手がありはしないか、こういう意味なんです。その点について、警察庁としていまの私の意見を聞いておられたと思うのですが、暴力団退治をさらに推進いたしますための希望があったなら、伺いたい。
  66. 日原正雄

    日原政府委員 暴力団退治をさらに今後推進していくための希望でございますが、これは何と申しましても、国民各階層の御協力がなければならぬ。先ほど警察責任のがれというようなお話がございましたが、決して私どもそういう気持ちは持っておりませんので、私どもの力のある限りではやるという決意で立ち上がっておるわけであります。ただしかし、私どもの力にもお話のとおり限界がございます。各国民各階層が立ち上がっていただく。それに対して私ども、もちろん保護その他の協力は十分いたしてまいるつもりでございます。と同時に、もう一つお話のように正業転換の問題があるわけでございます。これも私どもの力ではなかなかむずかしいわけであります。まして、こういうような生活になれた者の正業、社会のほうではたしてそれを受け入れてくれるかどうかというようないろいろな問題があるわけでございますので、そういう面につきましても、関係の行政機関が一致して正業転換への方法を講じていただくということも必要であろうかと考えております。さしあたりこの二点を大きな方向としては希望をいたしておるわけでございます。
  67. 横山利秋

    横山委員 吉河さんにもう一つお伺いしたいのですが、右翼暴力団というものとは、どうしても密接不可分になると私は考えております。それからもう一つ、いま日韓交渉が非常に進みつつある。かたがた国内の経済的な非常な激動の時期にある。こういうときにおきまして、再び三たび右翼が暴力をもって事をしようとする客観的情勢があるのではないかという心配を私はいたしておるわけであります。その点について、最近の右翼が、当面いたします政治、経済の情勢についてどういうような行動をし準備をしておるのか、その危険性はないのか、その点はどうですか。
  68. 吉河光貞

    吉河政府委員 現在右翼団体の関心事はやはり昭和四十五年の安保再改定時をめぐりまして、これは共産主義革命の危機であるというように考えまして、これを阻止するために昭和維新の断行をしなければならぬというようなことを論議しておりますし、団体の中には、実力組織といたしまして、行動隊の訓練をするようなものもあるように見かけられる次第でございまして、これに関連しまして、昭和四十三年は明治維新百年祭に当たるというようなことから、この明治維新百年祭を期しまして何らかの動きに出るのではないかというようなおそれもございますので、厳重に警戒しておる次第でございます。
  69. 横山利秋

    横山委員 私は、このような内外の情勢から考えますと、そういう心配を非常に濃厚にしておるわけでありますが、右翼の今日の動向からいって、重ねてこういう危険を心配しておりますが、いまちょっとこっちで話をしておって聞き漏らしましたけれども、最近の右翼の傾向について、もう少し端的にあなた方が感じられておる特徴点をもう一度お伺いをいたしたい。
  70. 吉河光貞

    吉河政府委員 私ども調査の対象としております右翼団体は、御案内のように非常に強い反共的な立場をとりまして、それに基づきまして非常に言動に過激な面がある、政治性の非常に強い団体を取り上げております。最近内外の情勢に刺激されまして、特に昨年あたりにおきましては、李ライン問題につきまして、日韓両国政府に反省を求めるというような目的から、国民同志会の一部の者が駐日韓国代表部を爆破するというような計画をいたしまして、これが三重県の桑名で検挙せられた。さらにその団体につきまして、私ども近畿並びに三重県にわたりまして、調査を続けておるような次第でございます。また、ただいま申しましたとおり、安保再改定をめぐりまして、共産主義革命の危機到来を心配いたしまして、昭和維新の断行を云々するような言動も若干高まっております。  さらに、この右翼団体の最近の傾向といたしましては、非常に社会経験に乏しい、精神的にも未熟な青少年を団体構成員に獲得いたしまして、これを教育訓練する。こういうような連中が突拍子もない矯激な運動に走る危険性もございますので、団体内部の動向というようなことにつきましては厳重に警戒しておる次第でございます。
  71. 加藤精三

    加藤委員長 志賀義雄君。関連質問でございます。
  72. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ただいま横山委員から最近の暴力団のことについて質問がございましたが、昨年当法務委員会で関西地方及び名古屋方面調査したことがあるのでございますが、そのときに特に力を入れたのは神戸の暴力団のことでございます。当時小委員長であった三田村君が私に語ったところによると、神戸地方検察庁の検事正に、万一のことがあれば自分が骨を拾うつもりであるからこの問題は十分やってほしい、こういうふうに申しておりました。検察庁のほうでは、それについてどういう方針をまずとっておられますか、刑事局長に伺いたい。
  73. 津田實

    ○津田政府委員 ただいまの神戸の点のお尋ねでございますが、もちろん御指摘があった点について、当該検察庁あるいは検事正において御趣旨に沿うよう十分努力いたしておると私は信じておりますが、その具体的な内容については私は存じておりません。しかしながら、本年二月に最高検察庁の主催で全国主要地の暴力関係の捜査打ち合わせ会議を開きまして、主要点約七項目にわたって結論を出して、それによって今後さらに厳重に行なうということをきめております。そのことを申し上げれば、それを体することによって神戸におきます問題もやはりその一環として行なわれるものというふうに考えております。その内容を申し上げますと、これは多岐にわたっておりますけれども、まず暴力団資金源を枯渇させるために多角的な検挙を行なう。それから幹部責任の追及には峻厳な態度をもって臨む。それから拳銃等の密輸その他危険性のあるものの不法所持については厳罰方針をとる。それから暴力団の系列化、広域化に対処して各検察庁相互間の連絡を強化して一体となって迅速的確な検挙をする。構成員の公判における審理については、身柄等の点について裁判所に要請をし、情状の立証については積極的につとめて不当な保釈等の防止をする。それからあと付随いたしまして、関係少年の更生についてはいろいろな配慮をする。あるいは暴力団を脱退して正業についた者については格別な配慮をし、脱退者のリンチ等については厳重な処分をする。そういうことをこの際励行するということにいたしておりますので、その一環として神戸においてももちろんやっておるわけでございます。
  74. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ただいま検察官会議でお取りきめになったことのお話がございましたので、きょうは法務委員で出席されない方もありますから、委員長のほうからいまお話しのあったことを文書にして法務委員のほうにお配りいただくように御連絡いただきたいと思います。刑事局長、よろしゅうございますか。
  75. 加藤精三

    加藤委員長 ただいまの点、前例もあることですから、次の理事会で御相談します。
  76. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それから最近神戸の手配師のことが問題になっております。神戸の暴力団が港湾荷役労働者を一手に握っている、こういうことがあります。これが問題になりましたところ、兵庫県警察本部長の談話として、これは生業であるからむやみに禁止することはできないというような談話が大阪朝日新聞その他の関西版に載っておりましたが、そういうことは警察庁の方針でございますか、それを一点伺いたいと思います。
  77. 日原正雄

    日原政府委員 港湾関係の事業に介入する暴力団取り締まりにつきましては、港湾に寄生する暴力的な団体が沖仲仕等の労務者を相手にするけんか、たかり、あるいは賭博、こういうものを行なう、あるいは仲間同士で集団的な暴力行為を行なう、こういうような暴力的不法行為をなすことが多いわけでございますので、その検挙の徹底につとめる。それから、こういう団体や不法な団体の所属の業者が、一般の業者、従業員に対して不当な圧力を加える、こういうような不法行為があればこれもきびしく追及して検挙を行なっていく。それから港湾等の機関あるいは業者等の間で暴力追放のための活動を行なうような場合には、十分関係者の保護とか、その他緊密な連絡をとって協力していく。検挙面につきましてはそういう体制でおるわけでございます。要するに、お話がありましたような、たとえ生業としておる場合でも、それに付随して不法行為を行なっておる場合、あるいは生業を仮装しておる場合、不法行為、不法資金源があれば全力を尽くしてこれを取り締まっていくという体制でおるわけでございます。
  78. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 事実を調べてみますと、二割ないし最高四割くらいはピンはねをしておるのが大体いまの状況であります。生業というふうに警察が逃げ道をつくられますと、そういう労働関係の職安法で禁止されておることが事実上じゅうりんされてしまうのです。そういう点について十分お考えになれば、兵庫県警本部でそういう発言をされることは不用意だと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  79. 日原正雄

    日原政府委員 新聞の談話は多少真意と食い違いがあるようでございまして、先ほど申しましたような意味で、生業を仮装いたしておりましても、お話のとおり職業安定法違反その他の不法な行為があれば十分取り締まるという体制で私どももおりますし、現地もそういうつもりでおるわけでございます。多少新聞の談話がそういう内容に受け取られるような書き方になっておりますが、それは決して真意でなくて、むしろ生業と申しますか、それを仮装する、あるいはその間を縫って行なわれる不法行為というものを十分摘発していきたいという体制でおるわけでございます。
  80. 加藤精三

    加藤委員長 関連質問でございますから、これ一回にしてください。
  81. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それで最近全日本港湾労働組合の組合長の兼田富太郎君が新聞に談話を発表していることは皆さん御承知でございましょう。やはり手配師のことを問題にしております。そうしますと、労働組合を組織することの妨害にもなるし、あるいはその正当な活動もこれによって制約されることになりますので、労働組合がその方面組織活動をする場合に、自分の生業の範囲がどうのこうのということになりますと、非常に不祥事件が起こりがちでありますから、そういう点についても十分注意をして、もしあなたが神戸県警本部で発表された意見が正しく伝わっていないと言われるなら、やはりこれを当法務委員会に、どういう談話であったかということをお知らせ願いたいと思います。委員長のほうへこれを希望して、私の関連質問をきょうは終わっておきます。
  82. 加藤精三

    加藤委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。  次会は、来たる十六日午前十時より理事会、十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時一分散会