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1965-02-23 第48回国会 衆議院 法務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十三日(火曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 加藤 精三君    理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君    理事 小金 義照君 理事 小島 徹三君    理事 田村 良平君 理事 細迫 兼光君    理事 横山 利秋君       唐澤 俊樹君    四宮 久吉君       砂田 重民君    地崎宇三郎君       中垣 國男君    西岡 武夫君       濱野 清吾君    渡辺 栄一君       長谷川正三君    玉置 一徳君       志賀 義雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 高橋  等君  出席政府委員         検     事         (大臣官房司法         法制調査部長) 鹽野 宜慶君  委員外出席者         判     事         (最高裁判所事         務総局総務局         長)      寺田 治郎君         判     事         (最高裁判所事         務総局人事局         長)      守田  直君         判     事         (最高裁判所事         務総局民事局         長)      菅野 啓藏君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 二月二十二日  委員片島港君、神近市子君及び長谷川正三君辞  任につき、その補欠として中澤茂一君、高田富  之君及び中井徳次郎君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員高田富之君、中井徳次郎君及び中澤茂一君  辞任につき、その補欠として神近市子君、長谷  川正三君及び片島港君が議長指名委員に選  任された。 同月二十三日  委員賀屋興宣君、羽田武嗣郎君、早川崇君、前  尾繁三郎君、片島港君及び西村榮一辞任につ  き、その補欠として西岡武夫君、渡辺栄一君、  砂田重民君、地崎宇三郎君、田中織之進君及び  玉置一徳君が議長指名委員に選任された。 同日  委員砂田重民君、地崎宇三郎君、西岡武夫君、  渡辺栄一君及び玉置一徳辞任につき、その補  欠として早川崇君、前尾繁三郎君、賀屋興宣  君、羽田武嗣郎君及び西村榮一君が議長指名  で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二号)  訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第六四号)      ————◇—————
  2. 加藤精三

    加藤委員長 これより会議を開きます。  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案議題といたします。  これに対する質疑は去る十八日終了いたしております。  これより討論に入る順序でありますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  3. 加藤精三

    加藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  4. 加藤精三

    加藤委員長 本案に対し自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議について提出者趣旨弁明を求めます。横山利秋君。
  5. 横山利秋

    横山委員 まず附帯決議の案を朗読いたします。    裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議  裁判所関係定員欠員等充員の実状は、裁判の適正なる審理及び迅速化の上に於て不充分と認められる。その主たる原因は、裁判所予算不足にあるものと思考する。  よって政府は、裁判官その他の裁判所職員の増員と充員、その待遇改善並びにこれに伴う諸施設の整備をはかるために、将来必要な予算的措置について格段の努力と工夫をすることを強く要望する。  右決議する。  若干御説明を申し上げたいと思います。  本文は与野党の一致した集成でありますが、この附帯決議審議するに際しまして、強く指摘をされましたことは、この文章でも不十分なくらい、今日の裁判の遅延、充員不足等については全くわれわれとしては遺憾な状況であると意見が出ておったわけであります。この職員定員法審議に際しまして各委員から述べられました諸点につきまして、特に政府並びに最高裁におきましては十分に今後の姿勢から、努力から、あらゆる点で十全を尽くされることを要望してやみません。これは一に私ども要望であり、今日の日本における司法制度の欠陥を補うものでありますから、重ねて附帯決議の尊重並びに実施に万全を期せられるように強く要望をする次第であります。
  6. 加藤精三

    加藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 加藤精三

    加藤委員長 起立総員。よって、本動議は可決されました。  ただいま可決されました附帯決議について政府の所信を求めます。高橋法務大臣
  8. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 ただいまの決議につきましては、政府におきましても御趣旨に沿いまして十分なる努力をいたして、その実現を期したいと考えております。     —————————————
  9. 加藤精三

    加藤委員長 次におはかりいたします。  ただいま可決せられました本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 加藤精三

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  11. 加藤精三

    加藤委員長 次に、訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案議題といたします。  この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  理事会の申し合わせによりまして、ただいま審査中の本法律案について参考人出頭を求め、その意見を聴取することとし、日時、人選等委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 加藤精三

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  質疑の通告がありますので、これを許します。上村千一郎君。
  13. 上村千一郎

    上村委員 訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問をいたしたいと思います。  今回の改正は、訴訟費用等臨時措置法規定による執達吏手数料及び書記料増額する点と、一般公務員に準じまして執行吏の受ける恩給年額増額しようとする点にあり、この点につきましては、私としましてきわめて時宜に適したものだと思うわけでございます。と申しますのは、三十八回国会の当委員会におきまして改正審議されたことがございます。その際に、三党共同提案によりますところの附帯決議がされた。その中で手数料増額ということがうたってあります。その際に私が質問に立ち、また附帯決議の点に触れた立場にあったものかと記憶いたしておりますが、執行吏仕事というものは、民事事件といたしましていわば最終の成果と申しますか、法的な効果を実現する最終段階であります。いかに名判決が行なわれましても、その執行が適正でない場合におきましては、真に国民権利というものは保護されない。してみますれば非常に重要な点である。しかしながら、いわば法の実現最終過程にある場合、実情としましてははなはだ困難な、また人情的な点におきましても非常に苦しい立場執行吏が置かれるという場合も多い。こういう点から考えますと、執行吏に対するところの処遇というものにつきましては、十分なる考えをいたさなければならないという趣旨質問をいたしたかと思います。この処遇改善一つ手段といたしまして、手数料増額というようなことが考えられる。これはきわめて時宜に適したものだ、こういうふうに私は思っておるのでございます。が、その際に、その手数料増額というだけでなくて、執行制度根本的改善要望するというようなこともまた附帯決議の中に入っておるわけであります。現在の執行制度というものにつきましては相当いろいろと論議される点もあるし、改善を要すべき点も多々あるというふうに思われるのでございます。そういう意味執行制度の根本的な改善というものについて御検討を賜わりたい、そうして国民の期待に沿うような執行制度の完全を期したいというような考え方で附帯決議がなされておるというふうに記憶をいたしております。  それで、まず本件の手数料あるいは書記料増額あるいは恩給関係年額増額というような問題に入るに先立ちまして、執行制度改善についてその後どのような御検討がされ、またどのような程度までその検討が進んでおるかということにつきましてお尋ねをいたしておきたいと思います。
  14. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 お答え申し上げます。執行吏制度につきましては、長年の懸案といたしまして、本委員会におきましてもたびたびの御要望がございます。また法務省におきましても、その必要性を痛感いたしております。少し古い話ですが、昭和二十九年に法制審議会に対しまして、執行吏制度改善する必要があるとすればその要項を示されたいという大臣としての諮問を発しまして、法制審議会強制執行制度部会審議を行ないました。結局、現行の執行吏制度を廃して、有給の国家公務員である執行官制度に改めることが適当であるという基本方針について意見が一致をいたした。それについてさらに細部にわたる検討を行ないますために、一部の委員と幹事で組織しておる強制執行制度改正準備会というものを開きまして、これは現在も熱心に検討を続けてまいっておるのでございますが、何ぶんにも法制上、運用上の問題がきわめて広範多岐にわたりまして、いまだに作業を進めておる状況でございます。できるだけ早急に結論を得たいと考えておりますが、なかなか問題が多くて、実はまとめるのに苦慮いたしておるというのが真の実情でございます。なお、この法制上、運用上の問題がきわめて多い、どういう点が多いのかというような点につきましては、政府委員からこの機会に御説明をいたしておきたいと思います。
  15. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 ただいま法務大臣から御答弁のございましたとおり、執行吏制度の問題につきましては相当前から政府におきまして検討を重ねておるところでございますが、法制上、運用上いろいろむずかしい問題が含まれておりますので、現在なお引き続き検討中という段階でございます。  現在問題になっております要点の二、三を御説明申し上げますと、その点の一つは、執行吏純粋国家公務員である執行官というふうな制度に切りかえます場合に、その執行官地位、格づけとか任用というものをどういうふうに規定していったらいいかということが一つの問題でございます。それからさらに、こういうふうな執行官制度というものをつくりました場合に、その執行官に付与する権限をどの程度のものにするか、さらにまたそういう執行官制度のできました場合に、その組織とか監督関係というものをどういうふうに構成していくか、さらにはまた執行官の処分に対する不服申し立て方法をどうするかというふうないろいろのむずかしい問題がございますので、これらの諸点について現在検討中でございます。さらにまたこういうふうな執行官制度をつくりあげますと、これに伴いまして執行手続法の面にも手当てをいたさなければならない問題が生じてくると思われますので、あわせてそれらの面も現在検討中でございます。
  16. 上村千一郎

    上村委員 執行吏制度につきましては問題点も非常に多いし、御苦心のほどよくわかりまするが、それかといいましても、現在この執行制度につきましては非常に注視の的になっておる重要な問題の一つかと思うのであります。それで、これを検討検討であまり長引いてもこれまたいかがかと存ずるわけでございまして、どのくらいの時期におきましてこの一応の決が出てくるのか、このお見通しにつきましてお尋ねをいたしておきたいと思います。
  17. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 委員会でいままでも同趣旨の御質問をいただきまして、そのたびに検討中であるというお答えを重ねてまいりました。その点私ども努力の至らないことをまことに申しわけないと存じております。ただ、この問題は、ただいまのお話にもございましたように、長年の制度を一挙に純粋国家公務員に切りかえるということになりますと、非常に大きな問題でございますので、先ほど大臣の申し上げましたように、なお若干の日数を要するというふうにお答え申し上げたいと思います。  なお、新しく出てまいりました問題といたしまして、昨年臨時司法制度調査会司法制度に関する種々の意見を提出したわけでございますが、その中に御承知のとおり、簡易裁判所事物管轄を拡張することが相当だという意見が出ているわけでございます。はたしてどの程度まで簡易裁判所事物管轄を拡張するのが相当かということにつきましては非常にむずかしい問題がございます。これは民事につきましても、刑事につきましても、いろいろな問題がございますので、その点につきましてただいま慎重に検討中でございますが、その問題と関連いたしまして、強制執行関係をどこの裁判所で担当するのが相当かという問題が一つ新しくあらわれてきたわけでございます。そこで事物管轄の拡張の問題にからめまして、この執行関係の問題もあわせて検討する必要が出てまいりましたので、そういう新しく出てきた問題についてもただいま検討いたしている次第でございます。  それから、さらにいよいよこういうふうな新しい制度を採用するということになりますと、はたして制度全部純粋国家公務員に切りかえるという場合に、全国的にどれほどの公務員の数が必要であるかということが非常に重要な問題として浮んでくるわけであります。御承知のとおり、現在は執行吏の数は約三百三十名でございます。これを純粋国家公務員の手で強制執行すべてをまかなうという場合に、これがどの程度事務量がありまして、どの程度職員数で完全に円滑にまかなうことができるかという問題につきましても、あわせて検討している次第でございまして、昨年九月ごろから最高裁判所と協力いたしまして、執行吏の実際の事務量というようなものを実態調査いたしまして、そういう資料に基づきまして、切りかえの場合の準備措置というようなこともあわせて現在検討している次第でございます。
  18. 上村千一郎

    上村委員 いまの段階におきまして、いつごろと明白にちょっとお答えができぬようでございますが、いろいろ重要な諸問題を含んでおりますから、無理もないとも思いますが、当委員会ではたびたびこの問題が取り上げられておるわけでございますので、ひとつできるだけ早い時期にお考えをまとめられまして、これが処置を遂行されることを御要望申し上げたいと思うわけでございます。  次に、この執行吏執行等手続規則第十四条によりますと、「執行吏は、執行行為をするにつき必要があるときは、適当と認める者を使用することができる。」といういわゆる補助者制度を設けております。この補助者を使っておる実際の状態というものにつきまして、ひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  19. 菅野啓藏

    菅野最高裁判所長官代理者 ただいまの点についてお答え申し上げます。  執行吏執行等手続規則十四条によりますと、執行吏執行を行ないます際に、たとえば明け渡し執行というような点になりますと、補助者を用いませんでその執行を行なうということはたいへん困難を伴うことでございます。そこで、実情といたしまして、いわゆる執行屋と称せられている人が、この執行の際に人夫などを連れてまいりまして、執行をやっておるという実情がございます。これは、本来ならば執行吏手数料規則にありまする夫役の人夫を使ってやるのが成規方法かと思われますけれども執行吏がそういう人を直接に雇うということがなかなか困難、と申しますのは、明け渡しとか家を取りこわすいわゆる収去の執行でございますが、普通のしろうとの人夫がなかなかおいそれとそういう仕事をやりたがらない、そういうことがございますので、そういうものを専門とするいわゆる執行屋というものが半ば職業的にできておる。そういう人たちが、そういう際にとかく世間の誤解を招いておるという事実は存じておりまするけれども、先ほど来申しましたように、そういう執行の場面において人夫をなかなか雇いにくいという実情から、そういう人たちが実際に職業的にできておるという面があるのでございます。
  20. 上村千一郎

    上村委員 私がなぜこの点を質問したかということです。と申しますのは、執行吏執行等手続規則第十四条によりますると、執行吏が「適当と認める者を使用することができる。」という規定になっている。ところが、現実においては、いま御答弁のように執行吏のほうでやるのでなくて、債権者のほうにまかせておく、こういう実情です。だから、執行吏自己責任のもとに補助者を選定してやったのではないから、実際上は振り回されておる。厳正な執行をやっていく際におきまして、いわばいろいろな分子がそこに介入してくるところがある。こういう点はもっと執行吏処遇なり権限なりを拡大させて、いろいろと執行実情におきましてとかくの批判を受けるような状態のないようにしなければならぬ。規則はできておりましても、実情がそれに伴っていないというのは、結局処遇の問題とかあるいはその実情の問題につきまして、もっと執行吏が十分その責任のもとに動けるような体制を早くつくっておく必要があるのではないか、こういう意味質問をしたわけでございますが、どういうお考えか、ひとつあらためてお尋ねしておきたい。
  21. 菅野啓藏

    菅野最高裁判所長官代理者 本来ならば、この執行というものは国家機関でもって全部完成できる体制にすべきであろうと思うのであります。したがいまして、執行吏は、人夫などを雇わなくても自分の補助者としてそういう機関があれば最もいい方法であろうかと思うのでありますけれども、そこまでは無理だといたしましても、執行吏手数料が上がればそういう執行に適当な人たちを集めるという手段をとることがいまよりも容易になろうかと思うのでありまして、そういう点では執行吏手数料などをいまよりももう少し上げるということも考えられまするけれども、しかし、何と申しましても手数料というものは当事者にはね返ってくる金でありまして、私どもは、一方において執行を完全にするために、あるいは国の予算で完全な執行補助者というものを準備できるような体制にしたい。しかし、それが無理であるとしても、執行吏手数料というものをもっと大幅に上げたいというふうにも考えるわけでございまするけれども、ただいま申しましたように、その手数料というものはまた当事者にはね返ってくる問題でもあるという点を考えますると、まあ不完全ではございまするけれども執行吏制度というもの、執行制度というものを根本的に改善した後においては、そういう職業的な人夫のような人が出入りする執行というものを根本的にやめてしまいたい、こう思いまするけれども、ただいま申しました現状のもとにおいては、ある程度こういう人がおるということはやむを得ないのではないか、かように思っております。
  22. 上村千一郎

    上村委員 やむを得ないというようなおことばになっておりますけれども、これはよくこの点の実情承知されないと、いかなる名判決が下っても国民権利が十分に確保されない。要するに画龍点睛を欠くという実情になるのであるから、私は相当御注意されて、そうしていま御検討されておるのだから、真剣にそういう実情に取っ組んでいくことを希望しておきたいと思います。  次に執行吏代理制度というものがある。それは現在どのくらいおるのか、そうしてそれの資格それから選任方法待遇というようなものにつきまして、簡単でけっこうでございますからお答えを賜わりたいと思います。
  23. 菅野啓藏

    菅野最高裁判所長官代理者 まず執行吏代理任用資格という点についてお答え申し上げます。執達吏規則第十一条に定められたところによりますると、任用資格執行吏登用試験に及第した者、あるいは執行吏職務修習者であって三ヵ月以上その職務を修習した者、あるいは裁判所書記官登用試験に及第した者、あるいは区裁判所、地方裁判所において臨時執行吏職務を行なうに適当と認めた者、というものが任用資格でございまするが、実情といたしまして、この第四の裁判所が適当と認めた者という者が多くその職務に携わっているのでございます。  そこで執行吏代理というものの法律上の地位と申しまするか、執行法上の地位というものについて申し上げますると、執行吏代理執行吏自己責任において使っておる者でございまして、執行吏代理行為というものはすなわち執行法執行吏行為にほかならないのでありまして、そのやりましたところは執行吏行為とみなされるわけであります。かような執行吏の人数は本年の一月一日現在におきまして二百七十三名、約執行吏と同数ですが、これをやや下回った数だけおります。この執行吏代理がどういう処遇を受けておるかという点について申し上げますると、執達吏規則第十七条によりまして、執行吏代理執行吏手数料規則に定められた手数料の十分の三以上の額を受けるということになっておりまするが、これはこの執行吏代理を使っておりまする執行吏執行吏代理との間の契約関係と申しまするか、そういうことで規則上の最低のきめは十分の三でありますが、それ以上どのぐらいになるかということは、全国で各執行吏役場実情によって非常にまちまちであります。したがって、執行吏代理現実にどの程度の月々の収入があるかという実情については、これが全国的にまちまちであるというふうに申し上げるよりしかたがないかと思っております。  以上をもちまして、ただいまの御質問お答えといたします。
  24. 上村千一郎

    上村委員 執行吏代理による行為、これは執行史行為と見なされる。そうしますと、執行吏代理による損害の賠償責任は、国家賠償法適用を受けるのかどうか、この点をひとつお尋ねしておきます。
  25. 菅野啓藏

    菅野最高裁判所長官代理者 執行吏代理行為執行吏行為と見なされまするので、国家賠償法適用を受けて、執行吏代理による違法行為につきましては、国はその賠償責任を負わなければならないことになっております。
  26. 上村千一郎

    上村委員 私のお尋ねすることにつきましては、法的な処理ですから、時間もありますから簡単に結論だけひとつおっしゃっていただきますればいいかと思います。  私がなぜこういう点を質問するかといいますと、執行吏代理というものを執行吏が使っている。そして相当大きな責任を持っている。そうしますと、執行吏代理処遇というものにつきましては、結局執行吏責任を持っていくものかどうか。要するに執行吏執行吏代理処遇なりをしていく、そうすると、よほど執行吏処遇というものをよくしないと、私はその所期の目的を達し得ないのじゃないかというふうに思うわけで質問をしておるわけです。それで、この執行吏代理処遇というものは、いまの御答弁によりますと、各地まちまちであるということは、結論的にいえば各執行吏がその責任を持っておると思うのです。そうすると、よほど執行吏処遇というものをよくしておかないと、執行吏代理というもののいわば良質な人を雇い入れるということがなかなかむずかしくなってくるのではないか。こういう意味から考えて、現実の場合、各執行吏執行吏代理を置いておる。そして自己責任のもとにそれを雇っておる。そうしなければ要するに執行事件処理が円滑にはかられていないという実情にある。こういうことを考慮しながら、一体今回の執行吏処遇手数料なりあるいは書記料なりの値上げというものをやったのであるかどうか、この点をお尋ねしておきます。
  27. 菅野啓藏

    菅野最高裁判所長官代理者 執行吏代理責任というものは、すなわち執行吏責任である。これは国の賠償責任になるのでありますから、執行吏代理職務上の責任というものは重大であるということはお説のとおりでありますが、執行吏代理がどういう執行に使われておるかという実情を見ますと、これはおもに送達等の仕事でありまして、むずかしい困難な、執行吏のなす執行行為をなす場合は、これはないわけではございませんけれども、比較的少ないのでございます。したがいまして、執行吏代理が国家賠償責任を負わなければならないというような、いわゆる国家賠償事件になったというような事件も、二十九年以来数件にすぎないのでございまして、いまの御質問で御心配になりましたような点は、もしそういう事態がたびたび起こるということになりますれば、われわれとしても真剣に——いまでも真剣でないというわけではございませんけれども、より真剣に考えなければならない事態になるのではないかと思います。
  28. 上村千一郎

    上村委員 執行吏代理権限はどの範囲なんです。
  29. 菅野啓藏

    菅野最高裁判所長官代理者 それは執行吏と同じです。
  30. 上村千一郎

    上村委員 そうすると、執行吏代理というものの権限執行吏と同じ権限だ。いま現実には送達だけだ。けれども、どんなことでもできるでしょう、執行吏権限までは。執行吏権限というものは送達だけじゃない。送達というものは事務的な問題ですが、その他のある程度自己判断をして責任のもとに遂行していくというものがあるのです。それができるという範囲、それが執行吏代理であります。だから、ぼくはそういうことをも考慮して執行吏代理処遇考えていっておるのかどうか。現実執行吏代理は送達だけやっておるのだから、裏返して見れば、たいした人でなくても執行吏代理がつとまるというようなふうに聞き取れるけれども、実際は執行吏代理というものは執行吏と同じ権限を持っておる。その権限がやれるということになるけれども、ちょっと私は変なような、お答えになっておるのか、なっておらないのかわからないからお尋ねするのであります。
  31. 菅野啓藏

    菅野最高裁判所長官代理者 執行吏代理は、先ほど申しましたとおり、執行吏と同じ権限を持ち得るものであります。現実におきまして執行吏が、これを自分の代理といたしまして執行権限を委任する場合におきましては、その範囲を限定していくことができるわけであります。したがって、非常に大きな権限を与えるというような執行吏代理執行吏が使うというような場合には、これは気をつけて人を雇うのではないか、こう思うのであります。
  32. 上村千一郎

    上村委員 どうも、いまここでいろいろこのことで時間を費やそうとは思いませんけれども執行吏代理に相当な重要な権限を与えるならば——どの程度にするかはそのときの委任できまる、こうおっしゃるけれども、その委任をするのは執行吏がするのでしょう。執行吏代理というものに委任をする場合には、国の方針として送達事務しか委任ができぬとかいうふうにするのじゃないでしょう。その執行吏がきめるわけだ。だから、執行吏自己権限の範囲まできめ得るわけです。そうすると、相当大きな重要な立場執行吏代理がなる。その代理は良質な者を選ぶということにもなってくるんだから、そうすると、その処遇の問題が執行吏にある以上は、執行吏代理処遇というものも相当大幅に考えていないと、結局、執行状態において有為な人材を吸収するわけにはいかないのではなかろうか。だから、そういう御配慮をされて、そして今回の処遇改善がなされておるのかどうかということだけをお尋ねをしたわけでございますけれども、どうも堂々めぐりのようでございますので、この程度にしておきます。  次に、最近——といってもだいぶ前ですが、執行吏の合同役場制度というものができてきた。これはどういういきさつでできてきたか、どういう必要があって合同役場というものができてきたのか、現状はどうかということを簡単にお尋ねをいたしたい。
  33. 菅野啓藏

    菅野最高裁判所長官代理者 執行吏役場の合同の問題につきましては、これは明治時代から論議がなされておったのでございます。合同役場がよいか、個人の役場がよいかという点につきましては、これは合同役場の利点もあるし、それから個人役場の利点もある。と申しますのは、合同役場ならば、役場の経費というようなものが合同をやることによって節約できるという面がございますし、それから個人個人がばらばらに執行をするということによって執行が二重になるというような危険性もなくなるわけです。個人役場の利点と申しますれば、何と申しましても、やはりお互いの競争によって執行の能率を上げていくというような面があるわけでございます。しかし、この利害得失について、明治以来、大正時代を通じていろいろ議論があったところでございますけれども、結局において、やはり合同役場の利点が認められまして、昭和二十八年の執行吏事務処理規則によりまして、なるべく合同役場をつくれということにしたわけでございます。今日の実情から申しますと、大都市はもちろん、中小都市におきましても、大体において合同役場の制度がとられておる。ただ、しかしながら、合同役場と申しましても、その形態はそのニュアンスがいろいろあるようでありまして、全く収支を共同にして、完全なとはいきませんけれども執行吏が合同役場の俸給制度みたいになっておって、多少それに歩合を加味するというような比較的完全な合同役場、たとえば東京の執行吏役場のごときものと、それから大阪では、これは事務所が共通である、受付手続は共通であるというような点では共同役場でありますけれども、その手数料の収入は個人個人が別会計というような、合同役場の形をとりながらも、その実態はやや個人役場に近いというようなニュアンスの違いはあるようでございます。
  34. 上村千一郎

    上村委員 私が質問をする問題点はたくさんあるのでございますけれども、できるだけ要点を限って質問をしていく、これは法案の審議に関連して質問しておるのでございます。なぜこういう点を質問するかといいますと、合同役場というものができてくる過程は、結局、執行吏処遇というものがなかなか十分でない。だから、その処遇が不十分なために、みんな相寄って何とかこれを切り抜けるために合同役場というものが発達していったのかどうか、あるいはそうでなくて、執行というものがむしろ合同役場のほうが適正にいく意味において発達していったのかどうか、こういうことをお尋ねをしておるわけでございます。この点につきまして簡単でけっこうでございます、どういうお考えか。あるいは合同役場というものは将来奨励していくという御趣旨かどうかということにつきましてお答えを賜わりたい。
  35. 菅野啓藏

    菅野最高裁判所長官代理者 合同役場を奨励していく立場でございますが、そのおもな理由は、やはり過当競争による不当執行が行なわれることを避けたいというところがおもなねらいでございます。
  36. 上村千一郎

    上村委員 次に、執行吏手数料の改定、恩給の改定というふうな、御提案になっておりますところの法案の点につきましてお尋ねをしていきたいと思います。  今回の改正によりまして、執行吏の収入は全体として三割五分増加した。それが三割五分というふうに出ておるのはどういう意味か、その増加率を三割五分とした理由、この点につきまして簡単にお答えを賜わりたい。
  37. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 今回の執行吏手数料増額率は三割五分というふうに申し上げてございますが、御承知のとおり、今回の増額の割合は各執行行為ごとに一律ではないのでございまして、先般お手元に法律案の参考資料を差し上げてございますが、その中の一一ページに一覧表を入れてございまして、これをごらんになりますと、現行額と改正の額が対照してございます。その各執行行為手数料増額率というのは同じでないのでございます。そこで、この同じでない執行行為ごとの手数料のアップ率、増額率というものを見ます場合に、これを全体を算術平均したのでは正確に出ないのでございまして、各執行手数料ごとに、現実に起こる執行行為の回数を加算いたしまして、掛け算いたしまして、そのトータルを見て計算する以外にはないのでございます。  そこで、この法案を組み上げます段取りにおきまして、昭和三十八年の推定の執行行為数というものを各種の執行行為ごとに算出いたしまして、それを基礎にいたしまして、今回の増額した分を各執行行為ごとに掛け合わせてみますと、現行よりも総体として三割五分の増額率になる、こういうことでございます。  それから三割五分増額いたしました理由は、御承知のとおり、この手数料につきましては昭和三十八年に一度増額をいたしているわけでございます。そのときの増額は、三十七年までの経済事情の変動というものを見て、そのときに手当をしておりますので、今回は、三十七年以降本年までの経済情勢の変動というものを考えて、こういうような増額率を定めたのでございます。主として今回は、勤労者の実収入の増額状況が、これは推計でございますが、大体四十年までに三六、七%ぐらいになるのではなかろうか、そういうような状況が見られましたので、ほぼそれに合わせるというような趣旨で三割五分ということを頭に置いて手数料増額率を算出いたした次第でございます。
  38. 上村千一郎

    上村委員 私がいま質問の増加率三割五分というのは、いまの御答弁のような趣旨お尋ねをしておるわけでございます。特に動産や不動産の引き渡しの執行手数料を従来の四倍とした理由はどういうわけか、この点をお尋ねいたします。
  39. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 今回の手数料増額率の中で一番率の高いのは、ただいま御指摘の動産、不動産の引き渡しの問題でございます。ところが、この種類の強制執行につきましては、社会的あるいは経済的な情勢の変化に基づきまして、執行について非常に手数がかかるというのが現実の姿でございます。たとえてみますと、不動産の引き渡し等につきましては、最近の住宅事情等から、その執行について相当な困難、トラブルが起こることが多いのでございまして、そういうふうな手数の繁雑さというものも加味いたしたわけでございます。また、動産につきましても、工場、機械とか、あるいはまた自動車とか、関係者の利害に非常に影響するところの大きい動産の引き渡し執行というようなものがございますので、やはりなかなかその執行には手数がかかるというのが実情でございまして、従来からこの引き渡しについての手数料は少し低過ぎるんじゃないか、もう少し特段の配慮が必要だというふうにいわれておりましたので、今回の改定で、従来の基本手数料が二百五十円であったものを一挙に千円というふうに引き上げた次第でございます。
  40. 上村千一郎

    上村委員 次に、現在の執行吏手数料収入は大体どんなような概況になっておるか、お尋ねしておきます。
  41. 菅野啓藏

    菅野最高裁判所長官代理者 法務省から資料として差し上げておると思いまするが、その資料の七に、昭和二年以降三十八年度までの収入の表を差し上げてございます。これによりますと、三十八年度におきましては、一人平均が年間百二十八万五千円幾らということになっておるのでございますが、これは純収入ではございませんで、いわゆる手数料と立てかえ金収入、この全額を計上いたしましてさようなことになっておるのでございまするが、実際といたしましては、執行吏といたしまして、立てかえ金はもとより役場の維持費というような経費を差し引かなければなりませんので、実収入といたしましては、この約半額ぐらいが実収入であるという状況でございます。
  42. 上村千一郎

    上村委員 その実収入の場合、経費と差し引く——執行吏代理の報酬はこの経費の中に入るのか入らないのか、お尋いたします。
  43. 菅野啓藏

    菅野最高裁判所長官代理者 それは入っております。
  44. 上村千一郎

    上村委員 そういう意味で私は先ほど質問をしておったのです。だから先ほどの質問につきましては、私は十分なお答えになっていないと思うけれども、要は、いまの執行吏手数料収入についての概況をお尋ねした。そうすると昭和三十八年度ですか、一人当たり年間百二十八万円になる。しかし、その中には立てかえ金も含んでおる、手数料に立てかえ金を含んだ総額だ、けれども経費は差し引いてない、経費を差し引くとこの半額だろう。この経費の中に重要な権限を持つところの執行吏代理の報酬までその中に含まれるとするならば、これは執行吏処遇については相当考えなければならぬじゃないか、そういう含みのもとに先ほど質問をしておったわけです。そうしたところが、どうもピントが合わないのか、御答弁がそれておる。どうかその点をよく御検討されて、今後の執行制度について、あるいは執行吏処遇について、十分なる実情の把握とともに御検討されることを希望しておくわけです。  それでは、現在の執行吏の人数につきましては、先ほどの御答弁で三百三十名くらいとおっしゃっておられますから、その年齢構成はどうなっておるのか、それから毎年退職する者、新たに任命される者はどの程度あるのか、補充はうまくいく見通しであるかどうか、その点につきましてお答えを賜わりたいと思います。
  45. 菅野啓藏

    菅野最高裁判所長官代理者 まず年齢構成についてお答えいたします。  昭和四十年一月一日現在において、先ほど申しましたように執行吏の数は三百三十五名でありますが、このうち百八十三名、約五五%でございますが、六十歳をこえておる。五十歳から六十歳までの間の者が三三%、五十歳以下は四十一名で一二%、かなり高齢な者が執行吏の職にあるということが申されようかと思います。  この任用状況から申しますると、昭和二年から十一年までは十年間平均六百三名もおったのでございますが、終戦後である昭和二十三年末には、これは御承知のように戦争中は執行というような事件も非常に少なかった関係もございましょうが、百九十三名に激減いたしました。その後逐次増加いたしまして、昭和三十五年末には三百五十四名、しかしながら、三十六年以降若干の減少を示しまして、ただいまは三百三十五名というようなことになっておりまして、執行吏の新任というものは毎年十名ずつ、退職は十五名前後というようなことで、逐年減っておるというのが現状でございます。
  46. 上村千一郎

    上村委員 ここに執行制度の非常に大きな問題点を含んでおる。というのは、執行の件数はふえている。しかも事件の内容というものは複雑化してくる、執行吏は減少してくる傾向にある、しかも執行という問題がある意味におきましては非常にむずかしいとともに、場合によれば人にいやがられるというような職場であることもあり、こういう諸般の実情にあって、なおかつ法の最終的な権利実現という重要性を持っておる執行制度ということに相なりますと、これはよほど執行制度そのものについての根本施策というものを検討しなければならぬとともに、先ほど私が申し上げましたように、その処遇という問題につきましてはよほど考えなくてはならぬ、こういうふうに思うわけであります。今回の、いわば手数料あるいは書記料増額、あるいは恩給年額増額というものでこと足れりとお思いになられるか、この点につきまして簡単にお考えを承りたい。
  47. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 ただいま仰せのとおり、執行吏に対する処遇につきましては、その仕事が非常に重要なものでありますだけに慎重に配慮をいたさなければならないと存じております。今回の手数料増額は、執行吏手数料執行吏についての給与的な性格を持っているという面に着目いたしまして、一般の勤労者の収入の増額と見合って三割五分上げる、こういう措置をいたしたわけでございます。執行吏手数料制度全体を根本的に検討いたしますと、はたしてこういう手数料でいいものかどうかということには、なお根本的な問題が残っているわけでございます。  執行吏恩給につきましても同じでございまして、執行吏恩給は御承知のとおり一般の公務員恩給とは違った体系をなしておりまして、だいぶその取り扱いについて種々の相違があるわけでございます。この点につきましても、なお執行吏処遇という面から根本的な検討を要するものが多々あると存ずるわけでございます。先ほど申し上げましたように、法制審議会を中心といたしまして執行吏制度につきまして根本的な検討を重ねておりますので、この案が次第に固まってまいります際に、これらの問題もあわせて検討いたしたいと考えている次第でございます。
  48. 上村千一郎

    上村委員 そういう御認識のもとに今回の増額がなされておるということでございますれば、私どもは了承する点が多いわけでございます。どうかいまのような認識のもとに一刻も早く十分なる御検討を賜わりたい、こう思うわけでございます。次に、執行吏の年収が国庫補助基準額に達しない者は毎年どのくらいあるのか、お尋ねしておきます。
  49. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 執行吏の現在員は先ほど申しましたとおり三百三十五名でございますが、その中で手数料収入が国庫補助基準額に達しないという者は、昭和三十八年度におきまして十三名、大体毎年十名前後という状況にあるようでございます。
  50. 上村千一郎

    上村委員 その氏名とか場所ということはいかがかと思いますので、いまの十名は一体都会地にあるのかいなかにあるのか、大体そういう意味におきましてお答えを賜わりたい。
  51. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 大体かなりへんぴないなかが多いわけでございます。
  52. 上村千一郎

    上村委員 執行吏恩給年限に達しないで退職した場合、公務員のような退職一時金の制度があるのかどうか、お尋ねしておきたい。
  53. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 退職一時金のような制度執行吏にはございません。
  54. 上村千一郎

    上村委員 現在執行吏のうちで恩給を受けておる者はどのくらいあるのか。
  55. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 ちょっとお尋ね趣旨が明確にわかりませんでしたが……。
  56. 上村千一郎

    上村委員 私がいうのは、一般恩給を受けておられる方が執行吏に何名あるか、こういう趣旨でございます。
  57. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 ただいま本省のほうに資料がございませんで、最高裁判所のほうにも手元に資料がないそうでございますから、追って調査いたします。
  58. 上村千一郎

    上村委員 資料の点でございますので、明確に質問をもう一回しておきましょう。裁判所書記官等から執行吏となり、退職した者についての普通恩給執行吏恩給との関係はどうなるのか、そういうような質問意味におきまして、一般恩給を受けておる者は一体どのくらいになるのか、こういう意味でございます。  そして、この恩給改定の関係におきまして、改定に伴う予算はどのくらいの金額になっておりますか、お尋ねしておきます。
  59. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 改定によります恩給増額は、総計十四万円程度でございます。
  60. 上村千一郎

    上村委員 予算措置は総額どのくらい計上されておるかという意味お尋ねしておきます。
  61. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 執行吏恩給についての総額の予算は、ただいま資料を持っておりませんが、今回の増額による分は十四万円程度でございます。
  62. 上村千一郎

    上村委員 一人ですね。
  63. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 全体でございます。
  64. 上村千一郎

    上村委員 私は、大体これをもって私の質問を終わりたいと思いまするが、最後に少し御要望申し上げておきたいと思います。  ただいま要点に限りまして御質問を申し上げた。その私が質問を申し上げておる今回の態度というものは、いまのような質問を申し上げておる諸点につきまして非常に問題点があるのであって、それは、執行吏制度の基本的な改革を検討する時期にもう立ち至っておるのではないか、そうして当面処遇という問題につきましては、今回におきまして改定はされておりまするけれども、はなはだ不十分ではなかろうか、こういう点でございますので、どうかできるだけ早い機会に執行制度につきまして基本的な御構想を発表されるようにまで、ひとつ急いでいただきたい。なおかつ、今後も執行吏処遇改善につきまして格段の御配慮を賜わるのが至当であろうという意味でございます。どうかその点につきまして熱心なる御討議を進めていただきたいということを希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  65. 加藤精三

    加藤委員長 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  次会は公報をもってお知らせすることといたし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十六分散会