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1965-02-18 第48回国会 衆議院 法務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十八日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 加藤 精三君    理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君    理事 小金 義照君 理事 小島 徹三君    理事 田村 良平君 理事 坂本 泰良君    理事 細迫 兼光君 理事 横山 利秋君       四宮 久吉君    中垣 國男君       早川  崇君    藤枝 泉介君       神近 市子君    長谷川正三君       志賀 義雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 高橋  等君  出席政府委員         法務政務次官  大坪 保雄君         検     事         (大臣官房司法         法制調査部長) 鹽野 宜慶君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   小口 芳彦君         判     事         (最高裁判所事         務総長)    関根 小郷君         判     事         (最高裁判所事         務総局総務局         長)      寺田 治郎君         判     事         (最高裁判所事         務総局人事局         長)      守田  直君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 本日の会議に付した案件  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二号)      ————◇—————
  2. 加藤精三

    加藤委員長 これより会議を開きます。  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案については、先ほどの理事会の決定によりまして、来週火曜日に採決することとし、なお、本日の質疑が終了しない場合は、十九日これを続行することになりました。諸君の御了承を願っておきます。  質疑の通告がありますので、これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 定員法につきまして、前回に引き続いて質問いたしたいのですが、私、いろいろと政府側資料を拝見をしまして、さらに具体的な問題を拾い上げてみますと、裁判所機構維持要求も、四百五十一名がゼロであったということについて、まことに疑義を抱いておるのであります。こまかいことを申しますと、たとえば、自動車を十台おふやしになったそうですが、運転手定員が一人もふえてないということなんかも——こんなこまかい問題を取り上げるのもいかがかと思うのですけれども、四百五十一名というのがゼロであった場合に、ほんとうに困らないのかという一環として、まずお伺いをいたしたいと思います。
  4. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 ただいま横山委員から質問のありました点まことにごもっともでございまして、四百五十一名を要求しておるにかかわらず、最終結論がゼロになっておる。これは最初の要求がおかしいのか、あるいは最後結論がおかしいのか、どちらかおかしいのじゃないかという御疑問をお持ちになりますこと、きわめてもっともで、私どもとしても、そういうふうな形でおっしゃられますと、非常にお答えに苦しむような面もあるわけでございますが、これはいろいろこまかい点一々について、また御質疑があれば申し上げたいと思いますが、さしあたりいまお尋ねのございました自動車運転手の件でございますが、自動車運転手は、当初要求いたしましたのが九十名ばかりでございまして、これは裁判所としては、自動車を九十台ばかりふやしていただきたいということでお願いいたしましたのとパラレルになるわけでございますが、いろいろ折衝いたしました結果、さしあたり四十年度においては、自動車を十台だけふやしていただく、いうことで話し合いがついたわけでございます。そういうことで、当初の要求の数をそのまま維持する必要はむろんなくなったわけでございますが、問題は、十台ふやしていただきました運転手をどうするかという点に帰するわけでございます。その点は、いまお手持ちの表からまいりまして、一番下につづってあります「裁判官以外の裁判所職員定員・現在員等」という表がございますが、欠員のことでは、前々からいつもおしかりを受けておるわけでございますが、裁判官ばかりではなしに、一般職のほうにもある程度欠員があるわけでございますので、この欠員の充員によりまして、いまお尋ね自動車定員は運行に支障がない、やってまいれる、こういう見通しがつきましたので、この要求のほうは撤回いたしたと申しますか、これで差しつかえなくやっていける、こういう結論になったわけでございます。
  5. 横山利秋

    横山委員 そういうことを一々聞いていくと非常に時間がかかるのですけれども、要するに四百五十一名の機構維持に必要なと信ずるもの要求したところが、一人もいれられなかった。そこで、何とかやりくりして機構維持はできると、こういうことになるわけですか。
  6. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 結論といたしましてはお話のとおりでございます。
  7. 横山利秋

    横山委員 そんなことなら何で要求をするのか。結論的にゼロでもいいんですということを、えることと、四百五十一名がどうしても要ると、いうことの間に、えらい次元の相違があると思われるんだが、ていさいのいい話をなさっているんですか、どうなんですか。
  8. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 重々ごもっともお話でございまして、こういう形で出てまいりますと、私どもも全くそういうふうな形になっておることを認めざるを得ないわけでございますが、ただ、これは内訳的に申しますと、あまりこまかいことを申し上げてもいかがかと存じますが、ごく大まかに申し上げまして、たとえば、先ほど申し上げました、自動車を九十台要求したので、自動車運転手を九十人要求した。ところが、自動車は十台しか入らないので、少なくとも運転手は十人で、あとの八十人は要求しなくてもいいという形で、増員要求そのもの必要性を失った面もあるわけでございます。それから、従来の庁舎のたとえば電話交換手というようなものにつきまして、一台について何人が相当かということもいろいろむずかしい問題でございまして、たとえば一台についてはどうしても二人は要る。しかし、それなら二台のときに四人が要る、三台のときに六人と、そういう倍数で要るかどうかということになりますと、やはり問題があるわけでございます。理想的に申せば、私どもの立場としては、座席数に二を掛けたものがほしいという気持ちを持って要求するわけでございますけれども、しかしながら、これはやはり何といっても税金を使って人員をふやしていただくわけでございますから、そういう財政的見地その他いろいろ考えまして、何とかそれでやりくりできる限度はしんぼうしていこうということに落ちついて、予算要求をするときは、もし国家財政が許すならば、裁判所としてはここまでやっていただきたいということで一つの理想的な姿を描きまして要求いたしますが、その結果、いろいろその予算編成過程において、国家財政規模、その他もわかってまいりますれば、これはやはり今年度はこの程度でしんぼうせざるを得ないのではないかということで、結局従来の欠員を補充させていただくということによって何とか運営ができるのではないか、かような結論になったわけでございます。
  9. 横山利秋

    横山委員 自分自身で自問自答をなさって、この程度でいいと言ったって、たとえば四百五十一人要求して百人か二百人だったら、この程度というのはわかるけれども、ゼロになってこの程度でがまんしよう、こんな無責任な話はぼくは許されぬと思う。  それからこの間お伺いしました代行制廃止についての資料を求めておったのですが、それはどこにありますか。
  10. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 いまの資料の二枚目にあります「書記官(補)予算定員年度別増減表」、これでございます。
  11. 横山利秋

    横山委員 ちょっと説明してください。
  12. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 まず年度区分として、昭和三十七年度は、定員増減というのは、三十二名書記官定員が増になりました。それから組みかえといたしまして、事務官の中から書記官資格を有しておる者四百五十四名、それから書記官補から四百八十名、合計九百三十四名を書記官に組みかえ、その結果、定員昭和三十六年度は三千四百二名だったのが四千三百六十八名になりまして、書記官補のほうは四百八十名書記官のほうへ入りますので、千三百九十九名になります。次は、昭和三十八年度、定員といたしまして新たに五十五名増員になりました。さらにその組みかえといたしまして、事務官の中から五百六十一名、書記官補の中から五百五名、合計千六十六名書記官が増になりました。その結果、定員が五千四百八十九名になったわけであります。その経過を通じまして五百五名書記官補が減りましたので、八百九十四名に書記官補定員がなったわけでございます。次に、昭和三十九年度は、書記官の数は四十八名増になりました。それから書記官補から六百九十四人を書記官に組みかえました。その結果、書記官定員が六千二百三十一名になりまして、書記官補あと定員が二百名となったわけでございます。そういう数字をあらわしておるわけでございます。  そこでこの三年間に、いわゆる書記官の増は百三十五名の増で、組みかえによりまして二千六百九十四名増になりました。その反面、書記官補のほうは千六百七十九名ほど減になりまして、みんなそれが書記官のほうへと振りかわっていったわけでありまして、ただいま二百名、これが書記官研修所養成部で残っておる数字でございます。この結果、代行は、書記官補書記官事務を行なっておる者は、これでなくなる計算になります。
  13. 横山利秋

    横山委員 この代行制ということについて少し議論したいのですが、代行制とは一体どういうものであって、給与その他についての条件はどういうものなんですか。
  14. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 書記官定員が十分でなかった当時におきまして、書記官事務を遂行するために、書記官補の中から一定の経験を有しておる者につきまして書記官事務を行なわせておった者であります。これを称しまして代行書記官といっておるわけであります。この根拠は裁判所法附則に定めてあるわけでございます。  それから給与は、代行書記官になりますと四%の調整があるわけでございます。書記官になりますと、それが二八%の調整になります。私どもといたしましては、代行書記官をできるだけ早く書記官にしたいという考えのもとに、書記官補から書記官へと切りかえまして、代行制廃止をして、全部に一六%の調整を行ない穫るようにやったわけであります。あらましそういうことであります。
  15. 横山利秋

    横山委員 この代行制というのは、ぼくはあまり聞いたことはないが、法務省だけですか。ほかにもありますか。
  16. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 代行制は最高裁判所限りで申しますと、このほかにありますが、その他の法務省あるいは各省にそういう代行制があるかというのは、私、承知しておりません。
  17. 横山利秋

    横山委員 法務省は知りませんか。
  18. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 法務省関係には裁判所書記官のような代行制はございません。ほかの省のことは、私はよく存じません。
  19. 横山利秋

    横山委員 私は代行制ということを本委員会で初めて聞くのですけれども、他の各省にはないのではないかと思うのです。いまあなたのお話を聞きますと、四%ないし二八%、その職をやったために補償をするけれども仕事としては代行をしておっても法律に基づく責任は一〇〇%負うことになりますか。
  20. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 責任は大体似てはおりますけれども書記官のほうが権限が広いわけでございます。
  21. 横山利秋

    横山委員 権限は広いが代行書記官としての仕事は、責任制だけ議論いたしますと、普通の書記官よりも責任を負わなくてもいいことになっておるのですか。独立した仕事をするのですか。
  22. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 責任の実質は同じでございますが、責任をとる範囲が狭いわけであります。(「どこが狭いか」と呼ぶ者あり)それは御承知のように裁判所法の六十条でございましたか、書記官仕事が定められております。そのうち書記官につきましては、裁判判例、その他法令の調査、その他の補助事務をやりますが、そういう範囲におきまして非常に高度の法律専門職要求されておりますので、その関係におきまして責任範囲が広いということになります。
  23. 横山利秋

    横山委員 常識的にものを言ってはいかぬですよ。法律的にものを聞いておるのです。法律上普通の書記官代行書記官との責任度合いの違いがあるかを聞いておるのです。  二番目には、実際問題として代行書記官書記官補助だけやっておるのか、独立して仕事をしておるのか、実際上の問題が第二番目の質問で在ります。
  24. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 まず、後段から御説明を申し上げますと、代行書記官といわれる某のは独立して仕事をしておるわけでございます。でありますから、先ほども申し上げましたように、その責任をとる度合い範囲の問題は違いはありますが、質は同じであるということを申し上げたのであります。
  25. 横山利秋

    横山委員 そうすると、法律上の責任は、普通の書記官代行書記官は同じである。しかも代行書記官は独立して仕事しておるとすれば、名前が変わるだけで、実際は変わりないではないかという感じがするのです。それを補償するのに四%の給与補償をする、四%というのは何の四%ですか。
  26. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 自己の報酬月額の四%でございます。
  27. 横山利秋

    横山委員 まことにけったいな制度が最高裁にはあるものだと思いますね。独立して仕事をさせる、責任度合い法律上同じである、しかし本人基本給に四%かけたものだけめんどうを見てやるというのは、公務員としての各給与制度に非常な混乱を持たせるものだと思う。本来代行という能力があるとしたところで、能力がある、責任が持てる、独立した仕事がやらせられるとしたならば、これは本職に起用すべきであって、代行させるということは、銭がないからとか、あるいは定員がないからとかなんとかという、あなたのほうのてまえがってなやり方のような気がしてならぬのです。順次これを直しておるというなら、それはけっこうでありますけれども、そうすると、きょう現在、代行制は何職に何人ぐらいずつあるのですか。
  28. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 代行制度は現在ございません。ただ、いわゆる書記官補が二百名ほど残っておるにすぎません。この二百人の書記官補というのは、書記官研修所養成部に入所せしめまして、そうしてそこで書記官養成をしておる。その二百名だけが残っておるだけでございます。
  29. 横山利秋

    横山委員 何か聞くと、調査官速記官代行制が存置されておるというのですが、うそですか。
  30. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 調査官には、代行調査官というのが百名ほどございます。それから速記官には、いまのところ三十名程度、もう現在はないと思いますが、とにかく六カ月間ほど——速記官養成部を出まして、そして二ヶ月ほど速記官補にいたしまして、そして四カ月ほど代行を命じまして習熟させた上、速記官に任命しておりますので、現在のところ速記官補というのはございません。家庭裁判所調査官補だけは、そのうち百名程度代行調査官をいたしております。
  31. 横山利秋

    横山委員 あなたのことばはあいまいだね。どうもはっきりしない。書記官だけだと言うかと思うと、今度は、調査官は百名ぐらいある。それから速記官は自動的になるのだから暫定的なものだ、ことばがはっきりしないのですね。時間がかかってかなわぬ。それに一体この代行制をなくすという基本方針は確立しておるのですかどうなのか。自動的にやるやつについても疑問があるけれども、しかし速記官補をある時期、二カ月なり三カ月なりやって自動的に上がっていくというなら恕すべき点があるけれども、恒常的にこの代行制を置くということは、私は適当ではないと思うのです。その基本方針はどうなんです。
  32. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 書記官補につきましては、ただいま代行制を三年計画で順次切りかえまして廃止し得る状況になりました。現在代行書記官補はございません。  それから家庭裁判所調査官、以下調査官と申しますが、この調査官補につきましては百人ほど代行調査官というものがございます。これはなぜかと申しますと、調査官というのは御承知のように家庭裁判所に配置されまして、いわゆる社会学心理学、あるいは精神病理学、そういった高度の専門科学に関する素養を必要とするのが家庭裁判所調査官でございます。そこで、これを補充するためには、国家公務員試験上級職甲と同程度採用試験をいたしまして、そして大学におきますその専門科目を修めた者を採用して、それが職務遂行にあたりましては、その職務も非常に責任が重うございますので、応用能力養成するためにある程度期間調査官補としてやらせる、そしてそれが相当習熟してまいりますと調査官仕事を行なわせる。そうしてこれをさらに調査官研修所に入所いたさせまして養成いたしまして、調査官にしていく。こういう方向をとっておるわけでございます。この調査官というのはかような職でございますので、裁判所の内部におけるところのその他の職と交流とかいうようなことができないわけでございますので、やはりそういった面から養成していくほかしかたがないわけであります。その過程におきまして、いわゆる代行調査官という期時があるわけでございます。
  33. 横山利秋

    横山委員 私は、裁判所定員職名がよくわからないから、どうもあなたと食い違っているが、この一番最後の表ですね。たとえば家裁調査官補を例に出しますと、定員二百十二名、現在員二百十名、欠員二名となっておりますが、あなたの言う代行制というのは、この家裁調査官補のことを言っておるのですか。
  34. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 そのとおりでございます。
  35. 横山利秋

    横山委員 それなら何で百名と言うのです。二百十二名になっているのですが、あなたの言うのはきょう現在のことを言うのですか。
  36. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。大体上級職甲試験で採用いたします。そして大体一年六カ月ぐらいたちますと代行資格を付与しております。そして在職三年ぐらいになりますと、家庭裁判所研修所に入所せしめておるわけでございます。
  37. 横山利秋

    横山委員 そうではない、二百十二名と習いてあるのに、いま百名の調査官補である代行制があるというのは、どういう数字の間違いかと言っているのです。
  38. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 ここに代行調査官と書いてございません。その代行調査官というのは、家裁調査官補の現在員二百十名の中のうち百名ぐらいがそれに該当するということでございます。
  39. 横山利秋

    横山委員 だから私は、家裁調査官補のことが代行制をそのままずばりさすのかと言ったら、あなたはそうだとおっしゃる。あなたはここの行政職一の中における各職名は、代行調査官というのは、行政職一の中に明記しておる定員には、そういう代行制というのは一人も定員としてはないということなんですね。この行政職一の中における本委員会に提出せられたものの中には、代行制のような職名も、定員も一人もない、あなたの限りでやっておるのだ、こういうわけですね。
  40. 加藤精三

    加藤委員長 ちょっとお待ちください。横山委員に申し上げますが、どうも横山委員の御質問書記官補代行制の問題から発展して代行制度そのもの質問をしていらっしゃるので、守田人事局長代行制度そのもの説明をしておられるのでありまして、調査官補速記官補説明をしておられるのでないわけであります。人事局長のその答弁は無理のないことだと思うのですが……。
  41. 横山利秋

    横山委員 私の質問が、委員長わかっているのですか。
  42. 加藤精三

    加藤委員長 わかっております。
  43. 横山利秋

    横山委員 答弁のほうはどうなんですか。
  44. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 ただいまおっしゃったとおりでございます。
  45. 横山利秋

    横山委員 わかりました。それでは要するにこれはこのままであるが、この行政職一、本委員会に提出されたものには代行制の内訳は含まない。代行制については将来これを廃止するという方向で進んでおる、こういうふうにはっきり理解してよろしいのですね。
  46. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 書記官補につきましては、ただいま仰せられたとおりでございます。それから調査官補で、しかも代行制のついておるものにつきましては、これは検討はいたしておりますが、はたして代行制をすぐ廃止していいかどうかという問題につきましては、調査官研修所養成におけるところの養成程度という問題との関連がありまして、検討中でございます。それから速記官補代行の件につきましては、これは速記官自体にいろいろ問題を含んでおりますので、これは全体的にいま検討をいたしておりますので、そういう方面から検討の結果、あるいはそういう形になるかもわからないと思います。
  47. 横山利秋

    横山委員 私は、代行制というのは、各省各庁の給与制度その他からいって、あなたのほうが必要欠くべからざる措置としてなさったものではないと判断できる。要するに、定員がふえない、予算がとれない、したがって、本来この職をやらなければならぬけれども、昇格をさせなければならぬけれども予算定員もないから、わずかの見せ金で本人を喜ばしてそれだけの仕事をさせる。四%くらいの銭を出して一〇〇%の仕事をさせる、そういうひきょうなやり方だと私は考える。端的にいえばそういうことですよ。こういうような制度が許されてはいかぬと私は思う。こういう制度は堂々と、行政職一に定められておる的確な職に起用すべきであって、そういうここに書いてある職以外に適当におやりになるということは人事乱用になる。本人のためにもよくない。責任は一〇〇%とれ、銭は四%しかやらぬ、こういうことは不適当きわまることであると思う。私、あなたとやり合っているのじゃない。判断を大臣に一ぺん聞いてみたい。どう思いますか、大臣仕事は一〇〇%やらせる、名前代行制給与は四%しかやらぬ、こういうやり方はきわめて不適当な、人事権乱用だと私は思う。
  48. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 裁判所のいろんな都合配置転換とかなんとかいうことでやったのでしょうと思いますが、お説のとおり、そうしたことは筋を通したほうがいいように私は考えます。裁判所の所管のことで、私のほうからとやかくくちばしをいれられません。
  49. 横山利秋

    横山委員 客観的に大臣に伺ったわけですが、委員長も同様だと思われるでしょう。私も労働運動をやっておって、給与を担当もしておりまして、いささか職階制をやったこともあるのですが、こういう制度がいま漸減方向だとおっしゃるのですけれども一つか二つはなくすかどうかわからないとおっしゃるから、よけいに私は強く言っておきたいのですが、役所の都合仕事だけは一〇〇%やる、名前はちょっと見せかけの名前をやる、給与は四%しかやらぬ。それでも労働者は弱いから、少しでも金になればやる気になる、人より名前がちょっと上がればやる気になるという人間の弱点を利用して、そういうやり方をするということは適当ではない、こう私は考えます。よろしいか。これはもう改善をしてもらいたい、なくしてもらいたいと強く希望いたします。
  50. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 基本大臣からお話のとおりでございますから、刑に異議を申し立てる気は毛頭ないのでありますが、もしかってほうだいなことをやっているような誤解を受けておるとすれば、やはり裁判所制度を担当しておる者として、一応釈明だけはしておきたいのですが、むろん将来の問題は、先ほど来大臣のおっしゃったそのとおりであります。結局、これは定員法では別に書記官補はどうとかいう——予算上そういうふうな形で入っているわけでございまして、裁判所職員定員法そのものでは、裁判所職員何名ということで入っておるわけであります。したがって、書記官補がどうとか、代行がどうとかいうことは法律の上で出ておるわけではありません。  それから裁判所法附則ではっきりと、先ほど来人事局長から御説明申し上げました代行制について、当分の間調査官補調査官職務を行なわせることができる、あるいは速記官補速記官職務を行なわせることができるという規定はあるわけでありまして、そういうことをちょっと念のために——決して違法なことをやっておるのではないということを申し上げたかったのであります。
  51. 横山利秋

    横山委員 そういう法律はおやめになったほうがよろしい。それは全然そういう制度があってならぬという議論をするわけでは私もないわけです。たとえば列車輸送の場合におきましても、緊急やむを得ざるときには、一定の条件に合う人を車掌にすることができるわけです。けれども、これはあくまで緊急の場合です。いまお読みになった法律は、裁判所が、そういう緊急な条件にあると私は思われません。ですから、法律はやめたほうがよろしいし、改正したほうがよろしい。しかし、かりにいまある法律を認めても、あなたがお読みになってちょっとことばは濁ったけれども、当分の間とそこに書いてあったでしょう。当分の間と読むときにはちょっとことばは小さかったような気がする。当分の間になっていないでしょう。恒常的にやっておるじゃありませんか。これは法律乱用だと私は思う。もっと端的にいえば、違法的解釈をいたしておる、こういうことを私は言いたい。まだ文句がありますか、ありませんか。——それでは御納得なさったと思います。  その次は独立裁判所仕事がすべて書記事務であるのに、これを全部事務官がやっておるという苦情を聞いておるのですが、この点はどうですか。
  52. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 そういうことはないというふうに私は考えております。どんなに小規模の簡易裁判所におきましても、書記官は二名くらい配置されております。中規模になりますと、三名ないし五名くらい配置されておりますので、事務官だけがやっておるというようなことはないわけであります。
  53. 横山利秋

    横山委員 これは一ぺん適当な機会に現地調査を私はひとつしてみたい。すべて書記事務だけれども、ほとんど全部が事務官がやっておるのだというのだが、あなたは、事務官がそういう書記事務をやっておる事実はない、こうおっしゃるのですね。
  54. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 事務官書記官仕事をやっておることは絶対ない、そういう意味で申し上げるのではなくて、簡易裁判所の裁判事務仕事はすべて事務官がやっておる、そういうふうにおっしゃったことに対しての答えでございます。  簡易裁判所事務は、庶務課長というのがございますが、司法行政事務というのは、小さな簡易裁判所では非常に少ないのでございまして、書記官が庶務課長を兼ねて、そして仕事をやっているわけであります。だから、反面から見ますと、事務官事務官資格書記官仕事をしておるのではなくして、書記官資格でやっておるわけでございます。ただ表面上そう見受けられるにすぎないのだろうというふうに考えます。
  55. 横山利秋

    横山委員 うまいこと逃げられたような気がしますけれども、しかしこれは一ぺん現実に、私、適当な機会に当たってみたいと思います。  寺田さんにお伺いしますが、これは守田さんかどうか知らぬけれども、少なくとも千二百七十五名を要求をされて、十六名という結論をどうしても私納得できないのです。本委員会にこういうような資料を御提供なさったのですから、堂々とおやりになったと思うのですけれども、これに基づいて予算要求を大蔵省になさった、こういうわけでございますね。
  56. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 予てのとおりでございます。
  57. 横山利秋

    横山委員 最終的に千二百七十五名を、やむを得ぬといって納得されたのは閣議決定前ですか。
  58. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 閣議決定の直前であったと記憶いたしております。
  59. 横山利秋

    横山委員 ここに「裁判所所管昭和四〇年度概算要求重点」の資料を私もちょうだいしておるわけでありますが、これは当初要求と見てよろしいのですか。
  60. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 当初要求であると思います。私、ちょっとその書面をよく拝見しませんとあれでございますが、たぶんそうであると思います。
  61. 横山利秋

    横山委員 「昭和三七年九月内閣に設置された臨時司法制度調査会は、わが国司法制度について」云々「以下の事項に重点をおいて予算要求をなすものである。」「第一、臨時司法制度調査会意見実現」云々。そうですね。  それでお伺いをしたいのですが、これらの要希は財政法の何条に基づいて要求をされたわけですか。
  62. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 財政法の十七条の一項でございます。
  63. 横山利秋

    横山委員 財政法十七条一項「衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官及び会計検査院長は、毎会計年度、その所掌に係る歳入、歳出、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為の見積に関する書類を作製し、これを内閣における予算の統合調整に供するため、内閣に送付しなければならない。」これですね。
  64. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 そうでございます。それがもとになるのでございます。
  65. 横山利秋

    横山委員 それがこれでございますか。
  66. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 さようでございます。
  67. 横山利秋

    横山委員 この十七条一項による千二百七十五名を含む要求がこれであるとするならば、いささか尋ねたいと思うのでありますが、その十七条一項によって提出をいたしたものについて、十八冬二項に「内閣は、前項の決定をしようとするときは、国会、裁判所及び会計検査院に係る歳出の概算については、予め衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官及び会計検査院長に対しその決定に関し意見を求めなければならない。」意見は求められましたか。
  68. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 意見を求められております。求められるというよりも、終始折衝をいたしてまいっておるわけでございます。
  69. 横山利秋

    横山委員 意見を求められて、法律に基づいてどういう態度をとりましたか。
  70. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 結局において、いま国会で御審議をいただいておりますあの予算案のような形でいいという結論に達したわけでございます。
  71. 横山利秋

    横山委員 いいという結論に達したということについて、私は最高裁の立場をこの際明確にしてほしいと思うのであります。いいという立場、十六名でやむを得ないという立場をとったその最高裁の見解というのは一体どういうものであろうか。御存じのように、十九条では、「内閣は、国会、裁判所及び会計検査院の歳出見積を減額した場合においては、国会、裁判所又は会計検査院の送付に係る歳出見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記するとともに、国会が、国会、裁判所又は会計検査院に係る歳出額を修正する場合における必要な財源についても明記しなければならない。」とされておる。  いまあなたはここで、本委員会に堂々とこの千二百七十五名の人員要求をしたという事実、四十年度概算要求ではこれだけのことをしたという事実、それを言いながら、しかしながらやむを得ないという判断をしたという矛盾したことをおっしゃっていらっしゃる。普通の委員会ならば、それはそれでよろしい。よろしいが、最高裁というものについての憲法上、財政法上の特権を付与してあるわけですね。この特権の付与については堂々たる立場をとらなければいかぬ。もしそれ、あなたが千二百七十五名では多過ぎるけれども、これだけはどうしても必要不可欠、最高裁の運営上必要であり、この予算では不十分だ、かく信ずるならば、十八条によって意見を求められたら、なぜ十九条についての内閣の措置を要求しないのか、この点はいかがです。
  72. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 まことに御指摘のとおりでございまして、裁判所として、定員にいたしましても、その他の予算にいたしましても、内閣でおきめになるところよりも、もっとどうしても要るということになれば、いわゆる二重予算制度があるわけでありまして、そういう方法を当然とることになるわけでございますが、私どもといたしましては、当初一応こういうブランを立てたわけでございますが、いろいろ諸般の状況を考えて、裁判所としても内閣の案のとおりでけっこうだということで了承したわけでございます。したがいまして、その点で内閣と最終的には意見の食い違いがなかったということになるわけでございますので、それでそういう処置をとらなかった、かようなことになるわけでございます。
  73. 横山利秋

    横山委員 ほかの省ならそれでも私は了とし得る。けれども、最高裁判所財政法上、さらにさかのぼれば憲法上において確立してある権限、そうして最高裁としての権威を財政的にもあるいは法律的にも確立してある権利の行使というものをあなたのほうがためらう、ないしはあいまいにするということは、最高裁運営上きわめて問題ではないかと私は言いたいのです。  私は、このことを言い出しますために、過去の経緯についていささか調べてみました。最高裁の予算状況が年々歳々どういう状況に予算規模からなっておるかということも調べてみました。そうすると、要するに、それは最高裁の独立不覊の精神なりあるいは財政法上における権利の行使ということにきわめて憶病であり、きわめて怠惰であり、きわめて逡巡をしておって、職責をつとめておらぬ、そういう判断をせざるを得ないのです。もしそれ、この運用を完全にされるならば——完全にしたところで、財政法で許しておるのですから、ここへ二つの予算が出、二つの意見が出て、われわれがそれを審判をすることが国会議員の任務なんですから、なぜそれをしないのか。いまあなたが、いやそうではありません、十六名で内閣と意見の一致をいたしましたというならば、もう少し、いままでの御答弁については遠慮してもらわなければいかぬ。それを、十六名で納得はいたしましたものの、実は、実はという零囲気なんです。これはどうしたってそう思われる。ほかの省なら私はそうも言わぬ4だからそれはあいまいなことじゃなくして、右か左を最高裁としては選ぶべきだ。十六名では納得したけれども、実は、実はという雰囲気が横溢しておる。そういうことによって国会議員に次の機会にひとつ努力をしてもらおう——それは、あなたは思ってないかもしれぬが、われわれがそう受け取るのです。われわれもそうしたいと思うからよけい受け取る九もしれない。けれども、それでは最高裁としての職責がつとまらぬではないか。もしもこの財政法上における特権といいますか、私は特権というよりも、あたりまえのことだと思うのですけれども、腹をくくったならば腹をくくったようなものの言い方がなければならぬ。しかしながら、ほんとうにそうではない。ここ数年間における最高裁の予算状況について、まことに遺憾千万だとすれば、なぜ行政法上の十七条、十八条、十九条についての最高裁の主張を堂々としないのか、そういう点について最高裁は裁判官会議か、しかるべき会議をなさいましたか。
  74. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 まことにごもっともお話でございまして、ほんとうにそういう問題になってまいりますと、実は、私どもとしても、終始毎年の予算の最終段階で、いわば非常に苦慮——ということばが当たるかどうかわかりませんが、真剣に検討するわけでございます。つまり、先ほど来お話しの最高裁判所の特権と申しますか、いわゆるそういう権限を行使して、そして内閣と違う意見を出しまして国会の御判断を仰いだほうがいいのか、それとも、やはりこの際は大局的見地に立って、内閣と同調して、その程度予算で何とかしてやっていくというほうがいいのかということは、真剣に悩みもし、またあらゆる機会に、裁判官会議はもとよりでございますが、事務総局会議その他で慎重に検討いたすわけでございます。これは私どもの、全くそういう財政とかということを離れた立場からすれば、これはかなり自由奔放な意見も出し得るわけでございますが、しかし、何と申しましても裁判所国家の機関の一つであることは間違いないことでございますし、そしてそれが、こういうことばは使っていいかどうかわかりませんが、やはり税金でまかなわれているものである。つまり国家財政の一翼として司法の経費が計上されるものである。こういうことを考えますと、やはり大蔵省のほうでいろいろプランをお立てになりますこともまことにもっともな点もあるわけでございます。そういう点をいろいろ勘案いたしまして、そして最後まで、これは毎年法務委員の方々にも非常にバックアップしていただきまして、いろいろ話し合いをいたしまして、そして少しでも私どもの主張も通るようにし、しかし、そうかといって財政にあまり無理をかけないようにということで最後をまとめてまいるということになるわけでございます。いよいよ最後の段階でいわゆる二重予算的なものに踏み切るかどうかということを慎重に検討いたしまして、しかしこの際はこれでやっていくほうがいいんじゃないかという結論に達しておるものでございますから、いままでそういうことを国会で御審議いただいたということがあまりないということになるわけでございますが、ただ、ことしの場合は、これはあるいは言いわけがましくなるかもしれませんけれども裁判所の総予算額というものが、昨年度は国家の総予算額に対して〇・七三六%であったのが〇・七六一%というふうに、裁判所としてはある程度伸びておるわけでございます。そういう点も総合的に勘案いたしまして、定員の点ではまことに不十分な点もあったわけでございますが、裁判所予算全体からいたしますれば、四十年度としてはこの程度であろうかということに了承した、こういうことになるわけでございまして、今後とも御指摘の趣旨は十分体しまして、真剣に努力してまいりたい、かように考えるわけであります。
  75. 横山利秋

    横山委員 これほど裁判の渋滞が問題になり、これほど裁判官定員を補わない状態になり、また、各職におきましてもこれほど欠員があって埋められないという状況であり、まさに最高裁判所はその機態を全うしておるかどうかと、かなえの軽重を問われていると私は思うのです。そのときに、今日までこの財政法が定まって以来の経過を見ますと、一回もこれが運用されてない。これは伝家の宝刀であるから抜いたらしまいだ。これを抜かずに利用するということが大事なことであるけれども、しかし、結局一回も抜かないと刀はさびてしまいます。いまこの財政法十七条、十八条、十九条が現に存在しておるということすら、おそらくはだれも知らないのじゃないですか。大蔵省とあなた方の話でも、あなた方が、それでは今回ほこれを発動いたしますぞということをすらためらっておる雰囲気があるのではないか。そういうことだとすれば、伝家の宝刀は結局さび刀で役に立たぬ。しかも、そういう宝刀を抜かなければならない条件はいまあるじゃないか。なぜやらないんだ。最高裁の人たちがいいかげんにこたつの中でぬくもって、ぬるま湯にひたって、まあこれでもかぜは引かんでいいわ、ふろから出たらどてらを着てじっと小さくなっていろという気持ちがあるのじゃないか。最高裁に人がないのですか。一ぺん政府と激突をして当然の条文の発動をするという気が出ないのですか。いまの予算で多少ふえたからといって、それでいいとあなた方は思っておっても、ほんとうにみんなが思っておると思いますか。裁判所で働いておる裁判官以下給仕に至るまでが、いまの裁判所に働く人々なり裁判所の運営が世間の期待にこたえているとだれが思っておると思いますか。だめですよ。大臣、どうですか。私の言うことはよくおわかりでございますね。一ぺん大臣の御意見を伺いたい。
  76. 加藤精三

    加藤委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  77. 加藤精三

    加藤委員長 速記を始めてください。
  78. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 裁判所予算が大蔵省と一致しない場合に、裁判所といたしまして財政法上の立場から独自の予算を国会に提出する権限がある。これは私よく存じております。政府といたしましては、なるべくそういうことが起こらないように、円満に予算が話し合いがつくように希望をいたすのでございます。筋はそういうことができるということで、あと裁判所の判断にまかす以外にない、私はそう考えます。
  79. 横山利秋

    横山委員 大臣としては、そうすると政府側の代表で十七条、十八条、十九条をよって立つ内閣の一員としていまお答えになったわけですね。最高裁のこの問題について、私は寺田さん並びに守田さんの御答弁では十分に核心をついてないと思う。それはいま委員長がはしなくもお考えになったとおりでございます。私は、この問題につきましては、一ぺん最高裁の最高責任者の意向をただしたいと思う。それで、法律上は、最高裁長官は私どもがお願いをすべきところではないわけですね。けれども、最高裁長官は、自分が希望すればここへおいでになって、最高裁についてのいろいろなことについて、たしか御意見を自発的におっしゃることができることになっていますね。一回——ども要求いたしません。私が要望いたしますのは、本委員会においては事務総長に出席を要求して、私の質問もまだこまかいことがいろいろございますけれども、一番この予算及び人員のきめになりますこの十七条、十八条、十九条に対する所信を伺うには、失礼ですが寺田さん、守田さんでは事務当局でございますから、一ぱい一ぱいのものの考えができませんし、私が申し上げても、やはりくつを隔てて足をかくような気がいたしますので、私が要求いたしますのは事務総長でございます。しかし、私の真意をおくみ取りくだされば、最高裁長官が一回国会に自発的においでになりまして、最高裁運営に関しての所感をお話し願うようなことが望ましいと思うのでありますが、いかがでございましょう。
  80. 加藤精三

    加藤委員長 横山委員のお申し出の件につきましては、理事会においてとくと御相談いたしたいと思います。
  81. 横山利秋

    横山委員 それでは、いまの私の要望につきまして理事会を開いて善処してくださいますね。
  82. 加藤精三

    加藤委員長 善処ということはわからないけれども理事会にかけるということです。
  83. 横山利秋

    横山委員 寺田さんのお話だけでは私は満足しない。あなたは最高裁の最高意思決定の一人かもしれないけれども、最高責任者じゃないから、失礼な話だが、あなたの言っておることが最高裁の全き意思だと私は見られない。それではくつの裏から足をかくようなものだという私の気持ちは、寺田さんおわかりでありますか。私が寺田さんに聞きたいのは、この十七条、十八条、十九条の運営の最高裁の真意というものを聞きたい、こう言っておるのです。寺田さんは総務局長限りにおいて御答弁になったので、いま最高裁のすべてを代表して私の言うことに間違いはないとおっしゃれるのですか。私はもしそういうことをおっしゃれるとすれば、少しいかがかと思う。予算の十七条、十八条、十九条の運用、発動の条件、時期、判断はいかにあるべきかということを聞いているのですよ。
  84. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 私どもがここへ出てまいりまして、国会議員の方の御質疑に対しまして答えさせていただいておりますのは、最高裁判所長官の代理者として、いわば最高裁判所を代表して出てまいっておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、所管の範囲におきましては最高裁判所の意のあるところを一〇〇%お答えをしておるつもりでございます。ただ何と申しましても、一局長にすぎませんので、おまえの言うことではだめだとおっしゃられれば、私どもとしてはまことにどうも頭を下げる以外にないわけでございますけれども、ただしかし、具体的な点でまだこういう点はどうかということでございますれば、私どもとしては、できる限り私ども責任において、これは完全に最高裁判所からいわば全権委任を受けてまいっておるつもりでございますので、十分御理解をいただくように今後とも御説明させていただきたい、かように考えるわけでございます。もしお差しつかえございませんでしたら、引き続き私に答えさせていただければ幸いかと考えるわけでございます。
  85. 横山利秋

    横山委員 あなたの善良な官吏としての立場においては了といたします。しかしあなたも、自分の職責の範囲内において、こうおっしゃる。そうでしょう。職責は総務局長としての範囲なんで、十七条、十八条、十九条の発動についての決意、その時期、条件はどうあるべきかという点については、残念ながらあなたの職責の範囲外ではあるまいか。あなたはその意思決定に参画なさるけれども、最終的意思決定は最高裁長官ないしは事務総長ではあるまいか、こういうことなんです。
  86. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 これは少し理屈めいたことを申し上げましてまことに恐縮でございますが、裁判所は御承知のとおり、司法行政も合議体でやっておるわけでございまして、最高裁判所長官がきめるということではなくして、最高裁判所裁判官会議法律的にはおきめいただくわけでございます。しかしながら、これを補佐するものとして事務総局というものがございまして、事務総長がその最高責任者であることは、これは先ほど来お話しのとおりでございます。したがいまして、その事務総局で考えましたことを裁判官会議でお取り上げになる場合もあれば、こういうふうに改めろということを御指示になる場合も観念的にはあり得るわけでございます。そういうことでございまして、その事務総局の意思決定には常に私なり守田局長なりその他の局長がすべて参画して、そうしてその経過を完全に承知いたしておるつもりでございます。したがいまして、最高裁判所の意の存するところは私どもとしてお伝えできるという確信を持っておるわけでございます。
  87. 横山利秋

    横山委員 あまり押し問答するのもいかがかと思いますが、しかしあなたもいま御説明なさったように、だから私は最終意思決定の一員であり、代表者である最高裁長官が望ましいと言っているのです。しかしながら、それは私ども要求し得る限界外であるから、少なくとも事務当局の最高責任者に運営の条件、時期、判断、そういうものについてお伺いをいたしたいのだ、こう言っておるのでありますから、委員長、ひとつよしなに理事会で善処されんことを要望いたします。ほかのこまかい問題になりますと問題がずれますから、これで一応理事会を開いていただくことを望みます。
  88. 加藤精三

    加藤委員長 暫時休憩いたします。  理事会を開会いたします。    午前十一時三十八分休憩      ————◇—————    午前十一時四十八分開議
  89. 加藤精三

    加藤委員長 ただいまより会議を再開いたします。横山利秋君。
  90. 横山利秋

    横山委員 事務総長のいらっしゃるまでに、少しただしておきたいと思いますが、ここ数年の予算要求とその予算額とのパーセントでもおわかりになったらちょっと聞かしていただきたい。
  91. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 三十七年度におきましては、裁判所予算額は百八十六億余りでございまして、比率は〇・七六八%でございます。それから、三十八年度におきましては二百十一億でございまして、比率は〇・七四二でございます。それから、三十九年度におきましては二百二十九億でございまして、比率は〇・七三六でございます。それから、四十年度におきましては二百七十八億でございまして、比率は〇・七六一でございます。
  92. 横山利秋

    横山委員 私の承知をいたしましたことは、十七条、十八条、十九条に関して一回も発動がなかったわけでございますが、過去においてこの発動が最高裁内部で真剣に議論されたことがあるかないか、御存じありませんか。
  93. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 私、ただいまちょっと資料を持っておりませんので、やや不正確ではあると存じますが、昭和二十六、七年ごろに一度具体的にそのところまでいって、最終的には話がついておるようでございますが、ほぼそれに近い形までいったことがあるように承知いたしております。
  94. 横山利秋

    横山委員 昭和二十六、七年ごろといいますと、戦後から、戦争に負けましてこの最高裁の制度が新たに確立をして、それから二十六、七年ごろは一応政府の財政制度その他が固まりかけてきたころではないかというふうに想像されるのですが、二十六、七年以前の総予算に占める比率等はおわかりになりますまいか。
  95. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 やや不正確であるかと存じますが、昭和二十三、四年当時は、比率としては〇・三ないし四程度のことが多かったかと存じます。その後また伸びましたこともございますし、それからまたへっこんだこともあるようでございます。高いときは〇・八を少し上回ったこともあるように承知いたしております。
  96. 横山利秋

    横山委員 この二十六、七年ごろ、私もそういうことが議論されたという話をちょっと聞いたことがありますが、どういう理由であったか知りませんか。
  97. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 記憶で申し上げますので、あるいは不正確かとは存じますが、そのようなことが問題になりましたのは営繕の問題であったように記憶いたしております。
  98. 横山利秋

    横山委員 事務総長、急においで願ってまことに恐縮なんですが、あるいは少しお聞きになったかもしれぬが、念のために申し上げますと、私ども法務委員として、毎年毎年裁判所の現状について、裁判の遅延、人員の不足、欠員の状況、の期待等に比較いたしますと、非常に不十分であるという気持ちを持っておったわけであります。今回定員法の改正に際しまして、千二百七十五名の増員要求をなさったところ、十六名しか得られなかったという結論についてずっとただしてきたのでありますが、要するに、御答弁としては、十六名でもやむを得なかったという御説明に終始をしています。私どもとしては、四十年度の予算要求三百十五億に対して二百七十八億の決定があった、それらをすべてつぶさに調査をしてみますと、最高裁の能度、最高裁の予算要求における意思決定というものについていささか不満である。おそらくや御答弁をなさるすべての皆さんはもとより、現場で働いておられる裁判官並びに下部職員に至るまで、今日の裁判所予算裁判所の業務の不十分なことについて私は同感ではなかろうかと思う。もしそれが、私の承知しておるところによりまするならば、なぜ財政法の十七条、十八条、十九条による二重予算要求ができないのであるかということをただしておるわけです。それにつきまして、寺田さんも、いや政府側と意思が一致をしたのであるから、これは発動はしなかったとおっしゃる。しかし、ほんとうにそうなのかということが私の言いたいところなんです。いま承りますと、この年々の予算は〇・七六、七四、七三、七六という数字をとって、いつでもパーセントの十分な向上がされておらないとするならば、裁判所の現状がほんとにいかぬとするならば、なぜ一体裁判所財政法における当然の権利であり、当然の措置である措置をとらないのであるか。もしも、これが現に法律で明記をされていることについて何の配慮も行なわないとするならば、この法律は死んでいる。時として、この法律について存在を強調し、そうして法律を発動するという決意がなくんば百年河清を待つようものだ。最高裁は何をしているのだというふうに私は言っているわけです。それにつきましては、寺田さんからいろいろ御説明は承りましたけれども、やはりその御職責の分野での御答弁だと思いますので、恐縮ではありますけれども務総長においでを願ったのです。  本委員会は、最高裁長官に御出席を求めることができません。私はかつても、一回、われわれの要求ではないけれども、年に一回は長官みずから御出席なさって、最高裁の運営その他についてつぶさにわれわれにお聞かせ願えることがあったほうが望ましいとお願いしたことがございます。それはわれわれの非公式なお願いであるけれども、一向お聞き届けにならないようであります。したがって、私はこれ以上は言いませんけれども、長官もこの間のことについては、国会と最高裁は立場が違うけれども、ひとつ御勘案を願いたい。われわれがこれほど最高裁のことについていろいろ議論をし、心配をしているのであるから、長官としてもこの辺のことは一回御勘案を願いたい。これが要望の第一であります。  その次は、あなたに、やむを得ずと言っては恐縮でありますが、お伺いをしたいのは、十七条、十八条、十九条と現在の予算状況について考えるところはないのかという点をただしたいのです。
  99. 関根小郷

    ○関根最高裁判所長官代理者 ただいま横山委員からのお話を承りまして、むしろ最高裁判所側に立っての非常に御同情ある御意見だと思います。いまお話の中の、財政法に基づきまする予算原案提出権、いわゆる二重予算と申されておりますその権能を、最高裁判所はどう使うのか、あるいは使う意思はないのかというようなお問いでございました。実はわれわれ毎年八月までに来年度の予算を組みまして、検討いたしまして、いまお話がございましたように、人員も千名以上要求いたていた次第でございますけれども、その後の諸般の事情をいろいろ考えまして、結局のところは十六名に落ちついたわけでございますけれども、その間、財政法の二重予算、いわゆる原案提出権のことを考えていないのかということ、これは十分考えておりました。そうして、予算の重点事項が幾つかございまして、その重点事項をだんだんしぼってまいりまする段階において、もし大蔵省を含めましての内閣側におきまして、最高裁判所予算要求に対しまして、われわれの最後の段階を、どうしてもそこまで達しないと、あるいはそれを下回るような意見でありますれば、これはどうしても財政法を発動せざるを得ないという段階がしばしばございました。ただ、最後に至りまして、そこまでいかなくても内閣側の意見とわれわれの意見と一致する段階になりましたので、、このたびの予算要求につきましては、財政法の原案提出権はいたさなかったわけでございます。過去におきましても、財政法の発動をしようかという段階がたびたびございましたけれども、結局のところは、いま総務局長からお答えがあったかと思いますけれども、一回営繕の関係でございまして、その後はございませんが、われわれは終始財政法に基づきまする最高裁判所側の権限行使のことについては、常々頭の中に入れて予算要求をいたしておるわけでございます。
  100. 横山利秋

    横山委員 私も大蔵委員を兼務いたしておりまして、各省予算にある程度目を通しておるわけでありますが、裁判所所管の四十年度概算要求重点事項並びにその結果を拝見をいたしまして、たとえば六十二万五千円というような数字だとか百万円台の数字が列挙されておるのであります。何というみみっちい話だろうか。これが重点事項として百万円だ、六十二万円だという重点事項の要求については、まことにさびしい気がするわけであります。いままでの予算要求について旧套を墨守して、きのうかくてありけり、きょうかくてありなんという立場において要求がなされ、そうして去年もこういう結果であったから、数字はふえたからことしはいいという判断が、おそらく事務当局の中の中心をなしているのではあるまいかと思う。最高裁の現状、裁判所の現状が、最近における著名な判決事件を含めて国民世論に浮き彫りにされておるわけです。それでおって、浮き彫りにされておりながら、裁判にかかってみずからの憲法、法律に示された権利を守るについて非常に国民は憶病なんであります。なぜか。裁判にかかると数年かかると、こう言っている。したがいまして、国民の権益というものは、また国の権益についてでもそうでありますけれども、裁判はその機能を完全に果たしていない。弁護士にかかるにしても、非常に時間がかかるから、金がかかるから、裁判になるとむずかしくてわからないからということで、結局多くの国民が裁判所に係属することについて敬遠している。したがって、憲法、法律に基づく裁判所の機能というものは国民のために十分生きていない。それにもかかわりませず、あなた方は、去年の予算に比べて多少はふえたからとか、多少要求が通ったからということで、安易な気持ちになってもらっては困ると私は思う。私の言いたいのは、この重点事項を見ましても痛感するのでありますが、ここ一番ひとつ最高裁の全機能が国民の期待にこたえて全うし得る立場を根本的に議論をしてもらって、それをもって財政法十七条、十八条、十九条を運用するという腹がきまらなければ、去年こうであったから、ことし少しふえたからといったのでは、この財政法の条文は死文になります。そこを言いたいのであります。   〔委員長退席、上村委員長代理着席〕 そこのところが寺田さんや守田さんにはまだ十分おわかりになっていないのではあるまいか。自分たちの要求したものが多少通ったからということでは、私は国民の期待にこたえておらぬ。もっと根本的な、裁判制度はいかにあるべきか、国民の期待にこたえるにはいかにあるべきかという立場で、一ぺん予算要求があって、それによって財政法を発動するという、そういう条件をみずからおつくりになること、そういう時期をみずからお選びになること、そういうことが必要だと思って、特に来ていただいたのです。いかがでございますか。
  101. 関根小郷

    ○関根最高裁判所長官代理者 いま横山委員お話、まことにごもっともでございまして、できる限りそういった御趣旨に、われわれ微力でございますけれども、沿いたいと思います。
  102. 横山利秋

    横山委員 もうこれで私は簡にして、私の言いたいことを言ったつもりでございます。したがいまして、あとは、どういうふうに最高裁が今後腹をおきめになるかによって、事実をもって証明されんことを私は望みたいのです。  それから最後に、先ほど事務総長にお願いをいたしました、本委員会がお願いをするということでは当を得ませんから、われわれの気持ちがこういうことであるということを、長官にお伝えを願いまして、適当な機会に善処をされることを要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。
  103. 上村千一郎

    ○上村委員長代理 暫時休憩をいたします。    午後零時六分休憩      ————◇—————    午後零時八分開議
  104. 上村千一郎

    ○上村委員長代理 再開をいたします。  この際おはかりいたします。本案に対する質疑は、これにて終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 上村千一郎

    ○上村委員長代理 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終局いたしました。  本日の議事はこの程度にとどめます。  次会は明十九日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時八分散会