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1965-05-07 第48回国会 衆議院 文教委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月七日(金曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 渡海元三郎君    理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君    理事 南  好雄君 理事 八木 徹雄君    理事 二宮 武夫君 理事 三木 喜夫君    理事 山中 吾郎君       大石 八治君    木村 武雄君       中村庸一郎君    橋本龍太郎君       松田竹千代君    足鹿  覺君       川崎 寛治君    高橋 重信君       長谷川正三君    前田榮之助君       鈴木  一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         文部政務次官  押谷 富三君         文部事務官         (大臣官房長) 西田  剛君         文部事務官         (体育局長)  前田 充明君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 宮地  茂君         農林政務次官  舘林三喜男君  委員外出席者         文部事務官         (体育局学校給         食課長)    吉田 寿雄君         厚生事務官         (大臣官房審議         官)      伊部 英男君         厚生技官         (環境衛生局乳         肉衛生課長)  恩田  博君         農林事務官         (畜産局参事         官)      吉岡  茂君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 四月二十六日  委員大石八治君、谷川和穗君、辻寛一君、橋本  龍太郎君及び松山千惠子辞任につき、その補  欠として福田赳夫君、大橋武夫君、原田憲君、  松田鐵藏君及び前尾繁三郎君が議長指名で委  員に選任された。 同日  委員松田鐵藏辞任につき、その補欠として橋  本龍太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員大橋武夫君、福田赳夫君、前尾繁三郎君及  び長谷川正三辞任につき、その補欠として谷  川和穗君、大石八治君、松山千惠子君及び石田  宥全君議長指名委員に選任された。 同日  委員石田宥全君辞任につき、その補欠として長  谷川正三君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十三日  日本育英会法の一部を改正する法律案内閣提  出第八三号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 渡海元三郎

    ○渡海委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。長谷川正三君。
  3. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 だいぶ前から質問通告を申し上げて、宮地局長にはそのたびにから振りでたいへん御迷惑をかけました。ようやくきょう機会を得ましたので、具体的なことを局長のほうに伺い、あとで総括的なことは大臣がお見えになってから質問したいと思います。  第一は、昨年やはりこの委員会で私が御質問を申し上げた都下国分寺市の国分寺遺跡の問題でございますが、御承知のようにこの問題は史跡に指定されている地域が、いつの間にか業者によって転売、転売されて、そこに建て売り住宅等が建ち、すでに人が住み始めておる。一体この事態をどうするのかということに端を発して質問を申し上げ、文化財保護委員会としましても直ちに調査を進め、また直接管理責任を負っている国分寺、当時は町であったわけですが、町当局に厳重な注意を促し、責任者処分というようなことまで発展をしたように記憶しておりますし、その後発掘調査等についても特段の御配慮を願ったように存じておりますが、この問題についてその後の経過をぜひひとつ機会を見て伺いたいと思っておりましたけれども機会がありませんでした。  まずこの点について史跡のところに建ってしまった住宅についてはどういう処置をされたか。それからその後も聞くところによると、土地会社による整地が行なわれている、あるいは市自体水道等工事でそこを掘り返したということも聞いておりますし、それらをどういうふうに処置されておるか。それから今後の調査発掘あるいはその保護、こういうことについて、昨年御質問した以降にとられた措置と、さらに今後どういう措置をとられるような御方針でいるかという問題、それについての予算面はどういうふうになっておるか、将来これは国で直接買い上げるということはできないにしても、国で援助をして、東京都あたりに買い上げをさせて、地方自治体は財政力も非常に微力ですが、市も応分の協力をして、できればそこを公園化するというような御方針も伺っておったわけでありますが、その後その進展はどうなっておるか、こういう点についてお尋ねを申し上げます。
  4. 宮地茂

    宮地政府委員 お尋ね武蔵国分寺あとの問題でございますが、先ほどおっしゃいましたように、当該土地業者によります不法建築がなされ、また、事情を知らない一部の人々が、その不法建築建物を購入して住宅にして住んでおる。また、町——現在市になっておりますが、その町自身道路をつくり水道を通したといったような、許可を得ないで現状変更をやった遺憾な事例がございました。それにつきましては、先般お答え申し上げたところでございますが、その後の措置についてどのようになっておるかというお尋ねでございます。  不法建築をいたしました業者、また、許可を受けないで新たに整地をしておった業者、これに対しましては、さっそく違法であることを伝え、その後建築なり整地は進んでおりません、ストップしたままになっております。ところで、不法に建てられた建物の中に入っておる人々、これは土地業者からすでに住宅を購入いたしております。この人々は、情を知らないでやったように見受けられます。ある程度情を知っておった人も何名かはいるかも知れませんが、要するに、情にうとい一版市民が高い金を出して買った建物、これを即座に立ちのいてしまえとか取りこわすといったようなことはいかがであろうか。むしろ、この国分寺三体についてどのような保存をしていくべきか、その保存についての全体計画を立てまして、しかる後に、立ちのきとかいったような、一般市民に対する部分的な措置考えられるべきであって、いま直ちに、全体計画を立てないで、建てられた建物の取りこわし、住んでおる人の追っ払いというようなことは、慎むべきである、そういう考え立ちまして、調査もいたしましたし、また、この全体の保存計画についてどのようにするか、町当局とも相談をいたしました。ところが、町といたしましては、自分自身水道をつくったり道路をつくったり無断でやりまして、また、私のほうも厳重に注意いたしましてある程度処分もしたようでございますが、そういう責任感からでございましょうか、事件が起こった直後におきましては、問題の西院地区だけについて、十年計画ぐらいでございましたか、買収計画を立てて持ってまいりました。それで私のほうも、そのたびにやらすのも一つの方法ですが、ただ、西院だけではぐあいが悪いわけでありまして、西院以上に東のほうがもっと広い地域でもございますので、それらについてどうするのか。これは、町の財政力がそこまで及ばないからとうていできないというような返事でございました。しかし、それにしても、西院だけでも、買収計画を立てたのだから、それを遂行するようにということも促しましたが、言を左右にいたしまして、町では買収が進みませんでした。そこで、東京都の教育委員会、また、教育委員会だけでは財政力も弱いので、むしろ知事部局公園緑地担当部局、こことも十分相談する必要がある、このように考えまして、昨年、全体計画を立て、しかる後、第一年度として一部の買収でもやるようにいろいろ相談いたしましたが、三十九年度は買収に至りませんでした。そこで、いま目下協議が進んでおりますが、東京都といたしましても、ここを都市計画公園地のような形でやりたいという気持ちは、担当者にはございますが、しかし最終的に知事部局としてそのように踏み切るまでにはまだ至っておりません。したがって、私のほうといたしましては、ここを知事部局のほうで買収計画を立て、国もそれに応じてできれば半分ぐらいの補助金を出して、地域が広うございますから、年次計画を立てて、少なくとも、四十年度に入りましたが、今年度中には全体計画を固め、まず第一年度として買収なり補助金交付なりをやっていきたい、このように考えております。それと合わせまして、不法建物が建てられましたりしたところ、あるいはいまストップさしております整地をやりかかっておるところ、これらの措置も、その公園緑地にするという計画の一環として考えたい、このように考えております。
  5. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 大体私が前回質問いたしました以降の経過についてわかりましたが、具体的に国が昨年から本年にかけてその後調査を進めたとおっしゃいますが、発掘調査等にどの程度補助金額的にしておるか、それをちょっと伺いたい。
  6. 宮地茂

    宮地政府委員 昨年度は百十万円の経費発掘調査いたしました。その半額、五十五万円を国が補助いたしました。四十年度計画といたしましては、三百万円で調査いたしたい。その半額、百五十万円を国が補助する、そういう計画でございます。
  7. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 そうしますと、ことしの計画の三百万円のうち、百五十万円国が補助して、あと百五十万円は都と市とで負担することになりますか。
  8. 宮地茂

    宮地政府委員 さようでございます。国が百五十万円、都が百万円、市が五十万円、合わせて三百万円でございます。
  9. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 せっかくりっぱな御方針も立っておるようでありますし、いまもお話が出ましたが、現在進んでおる首都圏整備の構想からいっても、あすこは近郊地帯——前にはいわゆるグリーンベルトといったようなことを言っておりましたが、近郊地帯というところに含まれるところで、いわゆる工場等を建てたりするような地帯ではなくて、緑を極力残す、そういう地帯にもなっておると思いますので、いま申された御方針をひとつさらに積極かつ時間的にもできるだけ、長びけば長びくほどやはりいろいろな形でくずれるおそれもありますから、御推進をいただきたいというふうに思います。その点要望いたしまして、国分寺の件につきましては一応以上で質問を終わります。  次に、これも昨年私がたしか秋であったと思いますが、質問申し上げて急遽御処置をいただいたところでございますが、いわゆる町田市の鶴川地区住宅公団宅地造成されるということになりまして、道路公団はもうすでに包蔵の経験もありますので、埋蔵文化等調査保護について一つのルールというようなものもだんだんできておるけれども住宅公団とはまだ正式のそういう取りきめがないということの結果、事前調査指導はほとんどゼロに近い形ですでに宅地造成が始まり、その中で埋蔵文化というものが発見され、学者等が騒ぎ出すというようなことがあったと思うのでありますが、これにつきましても文化財保護委員会として直接関係者現地におもむいて御調査もいただき、応急の処置をとっていただいたと思いますが、その点についてどの程度予算を支出されてどのような措置をとられたか。特に私が指摘申し上げたJ地区、そこは典型的な古代住居というものが残っておるので、できればそのまま残したい。ところが宅地造成計画からいうとそこはどうしても掘りくずさなければならないということになっておって、これは非常に惜しいということから、そこのところを何とか若干計画変更をしても保存するようにぜひしてほしいということを御要望申し上げたと思います。そこ後この地帯についてはすでに仕事が終わっておるようでありますけれども、その状況についてできるだけ詳しく御報告をいただきたいと思います。
  10. 宮地茂

    宮地政府委員 ただいま御質問町田鶴川団地の建設に伴いまして、当該地区縄文時代から古墳時代にかけての遺物包蔵地等が一部こわされていた。もちろん国の史跡等に指定されていない土地でございますが、この問題につきましても長谷川委員から御質問もございまして、前回答弁いたしたところでございますが、調査費百三十九万七千円をかけまして一応の調査をいたしました。この調査をいたします場合には、東京都の文化財専門委員をしておられます大学教授の方が責任者になられまして、一応その方々で見積もられた金額調査をいたしたわけでございます。ところが調査の過程におきまして、ただいま御指摘のありましたようなJ地区と申しますか、縄文中期住居址三十幾つかが馬蹄型に密集しておる場所が発見されたというようなことから、もう少し調査期間を延ばし調査費を増額して調査をしたいという問題。それとできれば——できればではございません。できる限りこの土地をこわさないで保存したらという二つの問題が起こったわけでございます。それで調査につきましては当初の予算経費以外にさらに百五十万円を出しまして、としては遺憾のない学術的調査を実施いたしました。百五十万円の内訳は、町田市と公団と国とであわせまして百五十万円でございます。  それからそのJ地区縄文中期住居址三十余りが馬蹄型に密集しておる、そこの場所をそのままで保存するという点につきましては、私どももできる限りそのようにいたしたいという考えのもとに、公団とも数回にわたって折衝をいたしましたし、また係官も現地に参りまして公団の方と折衝いたしました。ところが当初そこは調査に当たられた責任者大学教授の方との話の場合も、そういう場所を残すといったような事前のはっきりした話し合いがなされていなかった。一カ月くらいの調査をして、あとはもう整地をしても大体いいんだといったようなふうに公団のほうでは受け取っておられたといったようなことから、その他の場所工事が相当進捗いたしておりました。したがいましてその三十数個の住居址が発見された場所とその周辺の進捗しておった工事との関係から、どうしてもそこを残すということは土地区画整理事業に重大な支障を来たして、とうてい困難で、残すということはむずかしいということであります。そこで私のほうといたしましては、国としてそこを現に指定していない場所でございまして、それで絶対に残すとすれば、国としてぜひ指定するに値する土地であるかどうかというようなことも専門家方々意見を徴しまして、その結果国がどうしても史跡に指定をして保存をするというところまでの結論学者先生方意見が到達いたしませんでした。そこでやむを得ませんので、今後は事前十分話し合いをしてこういう工事を進めるということにして、今回は学術研究支障のない調査を行なって記録保存をするということで満足せざるを得ないという結論になりました。  なおこれを境に、先ほども指摘になりましたが、道路公団と同じように住宅公団との間でも国と公団との間で十分な覚え書きのような取りきめを取りかわしたらということでございますが、これは今回のことがきっかけになりまして公団側も了承いたしております。したがいまして近く成文化されるものと思っております。
  11. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 経過についてよくわかりましたが、結局J地区記録保存ということで取りこわしてしまったということですね。この学者先生と相談されたというのは、発掘に当たられた学者ですか、それとも文化財保護委員をなさっている方々ですか。
  12. 宮地茂

    宮地政府委員 発掘に当たられた先生の名前は一応遠慮さしていただきたいと思いますが、発掘に当たられた責任者大学教授の方並びにそれ以外の私のほうの文化財専門審議会史跡関係先生方とも御相談いたしました。
  13. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 それでは次に、いまの鶴川地区の問題でも申し上げたとおり、たいへん惜しいところを、計画がすでに立っておったということで計画変更をすることが困難だということで、結局取りこわしたわけでありますけれども、その一番の根本原因事前調査費が全然なかった。したがって、そういう工事にかかってからあるということがわかって、発掘調査費は組んでいただいたわけでありますけれども、その前に事前調査というものを専門家がやれば、当然地表をずっと見ていっただけで、この辺にはどういう遺跡があるというようなことの見当がほぼつくわけでありますけれども、その点に非常に欠陥があったということなので、今後十分そういうところに気をつけるということがいまの御答弁にもありましたけれども、それに関連しまして、これも昨年私はこの鶴川問題に関連して御質問も申し上げたところでありますが、いわゆるいま三多摩ニュータウン計画というものが立てられ、町田市の一部、それから稲城町、多摩町、八王子の柚木地区ですかにかけて、膨大な三十万の人口の都市が出現するというような大きな計画が進んでおるように伺っております。またこの地帯が歴史的に非常に古代から人類が生息したと申しますか、人間の生活しいい場所であったと見えまして、考古学者等意見を聞きますと、非常に豊富に各時代のそうした遺跡が埋蔵されたおる地帯である、こういうふうに言われておりますので、この計画推進にあたっては、ぜひひとつ事前調査の万全を期していただいて、貴重なものがむざんに破壊されることがないように、都市計画を進める中でそういうものが巧みに生かされて、あるいはそこが公園化して保存される、大きな住宅ができ、いこいの場所になるというような形と両々あわせて、りっぱな計画としてそれが推進されるように強く御要望申し上げるところでありますが、これらについて今日まだ大きい具体的な前進はないように存じますけれども、どの程度まで進んでおるのか、またこれに対してどういうような方針あるいは年次計画等文化財保護立場から持たれておられるのか、そういう点をひとつ伺いたいと思います。
  14. 宮地茂

    宮地政府委員 ただいまニュータウン計画につきましては、これも長谷川先生から前回質問がございましたが、この土地につきましては、私どものほうで昭和三十七年度に東京教育委員会に行なわせてつくらせました埋蔵文化財包蔵地を記帳しております遺跡台帳、これによりますと約五十カ所の縄文時代の集落のあと古墳、横穴といった遺跡があるように台帳にはしるされております。しかしもう少し分布調査を詳細にやるようにという、これも先生の御意見でもございましたが、私のほうもそのように考えまして、昨年暮れからことしの初めにかけまして、三回にわたりまして私どものほうの職員、専門人々東京都の人々等分布調査を行ないました。その結果約百カ所の遺跡があるということが明らかになりました。したがいまして、まだここはいわゆる団地造成が具体的に進捗いたしておりません。土地買収が進んでおるのであって、整地等はまだ進んでおりません。したがいまして、鶴川団地の轍を踏まないようにと考えまして、私どものほうといたしましては東京都とも相談いたしまして、団地造成にあたってはやはり団地自身としても緑地があったほうがよろしゅうございますし、できれば現在の丘陵遺跡のある丘陵がそのまま残されるほうがいいのではないかというような考えで折衝いたしました。大体その点は了解してもらっております。そこで、今後八月ごろまでにもう少し詳細な分布調査並びに遺構の規模、性格といったようなものを究明するための事前調査をやりたいと考えております。つきましては、国としてもこれに補助金を出しまして——その前に事前調査に二通りございますが、こわすから調査をするという事前調査と、それからこわすとかこわさないの前にどの程度に分布され、どのように保存すべきかという事前調査がございますが、その事前調査をいたしたいと思っております。したがいまして、東京都のほうでも東京都の教育委員会それから知事部局住宅局首都整備局日本住宅公団、こういったような関係者の間で連絡協議会もつくってもらっております。それでこの点につきましては、百カ所の遺跡全部を残すということは、とてもその必要もないでございましょうし、また無理な問題でございますので、分布調査をいたしまして、どことどこというふうにしぼりまして、これにつきましては鶴川団地のようなことのないように、十分保存ができるものと確信いたしております。
  15. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 前回質問申し上げたとときに御要望申し上げたことを取り上げていただいて、事前調査に非常に力を入れられているという御答弁でたいへん心強く存じます。特にまた関係各団体の協議会もできておる、またことしの八月までにさらに詳しい事前分布調査等をなさるということでありますが、全体としてはどの程度予算考え、そのうち国としてはどの程度補助をする方針であるか、その点をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  16. 宮地茂

    宮地政府委員 これは東京都のほうで連絡協議会も持ち、直接には東京都の教育委員会でその予算計画も立ててもらうようにお願いいたしております。したがいまして、はっきりした金額はまだ申し上げかねますが、大ざっぱに言いまして、これはいわゆる発掘調査ではございませんで、分布調査でございますから、大体百万円くらい、その半分くらいを国が補助するので足りるのではないかというふうに考えております。
  17. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 分布調査については概算百万円くらいでいいのじゃないか、そのうち五十万を国が出せばいいのじゃないかということですが、そこで私はぜひそれを強力に進めていただくとともに、もちろんすべての遺跡を全部残したら住宅もできなくなってしまいますから当然それは記録にとどめたり、あるいは発掘して発掘物保存したり、あるいは一番典型的なところはそのまま公園化して残したり、こういうことになろうかと思います。  そこで特に私は要望しておきたいのは、事前分布調査はそれほどでもないかもしれませんが、発掘調査に至りますと、これは現状において非常に関係学者あるいはその学者のつとめている大学学生、あるいは町の考古学篤志家、特に小中学校の先生高等学校先生、こういったような方々が協力して調査を担当しておられますが、それが実に献身的、奉仕的にやっておるのであって、もう日当もほとんどありませんし、旅費ももちろん満足に出ない。手弁当であるという状態であったり、泊まるにしても木賃宿以下でほとど野宿に近いようなところに泊まって、しかも若い食い盛り大学生がほんとうにすき腹をかかえてやっとやっているような状況現状だろうと思います。したがいまして発掘調査に入るような場合に、十分それらについて、ぜいたくな予算を組めとは申しませんけれども、少なくともそういう学問を愛する学者篤志家学生の献身的な犠牲をただ甘んじて受けているというような姿勢は、これはやはり改善をされなければならないのではないか、こういうふうに思いますので、そういう点につきましてもひとつ十分実情を把握されまして、十分といかないまでも、まあまあという程度の手だて、手当が行き届くようにぜひひとつ御配慮をいただきたいということが一点と、もう一つは、こういう大きなニュータウンのような大規模なものの場合に、いよいよ発掘調査をするその人手というようなものが、いまその専門職業家がいるわけでもありませんし、まあそれは学者なりそういう考古学などをやっている学生なりが参加するわけでございますけれども全国大学にすべてそういう学部があるというわけでもありませんし、まあ東京の場合は比較的そういう人員も得られると思いますけれども全国的な文化財保護立場から、今日全国の国土の開発が進んでおる中では、綿密な計画を早く立てて、そうして幸いこの三多摩ニュータウンはそう簡単にはできない、大規模なものですからちょうどいいと思うのですが、なるべく早目に計画を立てて、一ぺんにハチの巣をつついたようにあっちもこっちも調査するといっても、第一調査をする人間がいないわけです。ですから十分そういう点は計画されまして、手だて、手当を十分にひとつ施していただきたいということと、計画を十分長期の見通しに立って、粗雑な調査で終わってしまうということが極力避けられるように——東京の場合などは私が御質問申し上げると、すぐ翌日調査官も行かれる、またそこを大学生が発掘するといっても人が得られる。しかし日本全国を見渡しますと、そういういまの状態はずいぶん私はひどいと思うけれども、これでもまだ文化財保護立場からいえば、東京の場合などは好条件にあるわけです。ですから全国の地方のことなどを考えますと思い半ばに過ぐると思います。これはもう非常に寒心にたえないような感じもしてならないのでございますので、そういう点につきましてもぜひひとつ計画的に発掘調査等も進めなければならないと思いますから、御計画をいただきたいということを強く御要望を申し上げたいと思います。  時間がありませんのでもう一点だけ具体的な問題を伺いますが、これは千葉県千葉市の加曾利貝塚の問題であります。ここはやはり貝塚としては世界的にと申しますか、非常に大規模な典型的な遺跡であるというふうに聞いております。専門的なことは私はわかりませんが、千葉市がこれに対して約一億二百万円ですか、一つの市としては非常に思い切った費用をかけてその土地を買い上げて、史跡公園にしておるようであります。ところが現在それはその史跡の大体半分の地区であって、残り半分はすでに会社が買って、会社の所有になり、将来そこへ工場が建つのですかどうですか、一応しかし調査をしておる。所有は会社のものになっておって、いずれそこはこわされてしまうのではないか、こういうふうに伺っておるのでありますけれども、この点について文化財保護委員会としてはどういうふうにお考えになりどういう御方針でおられるのか、その点を承りたいと思います。
  18. 宮地茂

    宮地政府委員 千葉市に所在いたしております加曾利貝塚、これは約三万坪程度地域にわたるものでございますが、この保存につきましては、ただいま長谷川先生から御指摘もございましたように、その北の半分は千葉市が購入をして、ここを史跡公園にして保存いたしております。南半分は東洋プレハブという会社が購入いたしております。そこで昨年から、とりあえず会社が購入して工場用地にいたしております南半分の学術調査学者先生方に御依頼して、現在発掘調査中でございます。ところが学者先生方は、大体大学のほうで本業を持っておられますので、夏休みとか冬休みといった休暇を利用して発掘をされる。そういうことで発掘がなかなか思うように進捗いたしておりませんが、最初の計画では、ことしの八月までに一万五千坪余り、二万坪近の南半分の加曾利貝塚の地域の全面発掘をするという計画でございました。ところがいま申しましたようなことで、まだことしの八月までに全面発掘が完了する様子は見えません。ところで一方におきまして、学者先生の間では、全面発掘をしたのでは極端に言えば全部こわれるわけです。住居址等が出てきますが、要するに現在そのままで貝塚がある。それを全面発掘、幾ら学術調査といえども全面発掘すれば一応極端にいえばこわれることになる。そこでこれ以上発掘調査すべきでない、そのまま保存すべきであるということを非常に強く主張される先生がいらっしゃいます。また一方にはそうではない、これは学術の進歩のためにも全面発掘をやるべきであるというふうに、非常に強く主張される先生方もおられます。そこで学者先生方で、これは大事なんだから保存したいというお気持ちは一致しているのですが、発掘調査をすべきかここでやめるべきか十分な結論が出ておりません。それにもう一つ夏休み、冬休み等を利用して調査をなさいますので、計画が全面発掘ではなくて一部発掘でもこれが思うように進捗いたしません。そこで現在当局の問題といたしましては、最初ことしの八月ごろまでに全面発掘が終わる、それ以後は会社が工場を建てるという、それは少なくとも当面の問題としてやめてもらいたいということで、私のほうも一応県市を督促いたしまして会社とも話し合いさせましたが、一応今年度じゅうぐらいは直接会社がその場所に手を触れるというようなことはしないという話は大体了解されております。しかしこの南半分を重要だから北と同じように購入せよという問題、そういう要望もあるのでございますが、もともとこれは全面的に会社が工場用地として購入しようとしたものでございます。それを大事だからということで、南と北に、めがね状と申しますか、二つの丸い形になっておりますので、一応北を保存すれば南は学術調査をして、工場建設をさしてもいいではなかろうかというような前提で進みました。万一、非常に重要な遺跡構が見つかったときには、もう一度検討しょうというようなことで進んだ経緯もございます。それが一点です。それと、会社といたしましてはこの加曾利貝塚の地域以外に非常に広く地域を購入いたしております。それで、加曾利貝塚の調査をしたあと、あるいは未調査あと、そこへ直接建物を建てることは当分しない。まあ、製品を置く置き場ぐらいにするということでございますので、購入するしないは別として、保存という点につきましては、地下の遺構を直接こわすといったようなことにはならない。そのようないろんな問題がございますので、関係者とも十分に協議し、また、学者先生方の統一見解もお聞きして、これの将来の保存措置に当たりたいというふうに考えております。現在まで遺構が出ましたし、あるいは骨角器、貝製品、上製品、こういったようなものが出ておりますが、これは千葉市と明治大学にりっぱに保存されております。それと北側の千葉市が史跡公園にして保存しようという個所、ここは、一部発掘もいたしますし、そして住居址等の遺構はそのままそこへ修学旅行に来る小中学校の生徒に見えるように、教育的な配慮は十分北半分でなさるわけでございます。ですから、南半分につきましても、北のそういう措置もあわせて検討していきたいというふうに考えております。
  19. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 まあ、十分御配慮はなさっていらっしゃるのを伺って、やや安心いたしましたけれども、ただ、会社側としても、そこを、工場用地として買っているところが使えないということであると、これは経済の法則からいっても、何とかしてそれを使うようにしたいと考えるのは当然じゃないか。遊ばせておくわけにはいかない。まあ置き場程度という、いま話しですけれども、したがって、何とかそこにに工場を建てさしてもらいたいというのが会社自体の強い要求になるのは当然だろうと思うわけです。私は実情を、詳しいことはまだよく存じませんけれども、かりにもそういう会社則の早くここを使いたいという運動に屈して安易にそこが——まあいろいろ発掘そのものに学者の間に意見があって、そう簡単に発掘すべきでない、これは、発掘技術の進歩というような問題もおそらくそこにはからまっていると思う。そういう点から、軽々にいまの段階で発掘すべきでないという意見もあって、ともかくここはある程度何といいますか、学問の対象としても未知数のものを含んでいるといいますか、未開拓のものを含んでいるというところであるとすれば、相当慎重に扱っていただく必要があると思うのであります。まあ、そういう社会側としてのもっともな要求でありましょうとも、そういうものに簡単に屈することのないように適切な御処置を今後もしていただきたい、こういうことを要望申しあげて、この件についての質問を打ち切ります。  最後に、大臣お見えでありますので、これは大臣にお伺いしたいのでありますが、すでに文教委員会におきましても、あるいは先般の予算委員会等でも、各党の方々から文化財保護ないし風致保存の問題について質問がなされておりますけれども、三月の中旬から下旬にかけての新聞各紙が、あるいは社説に取り上げあるいは報道しているところによりますと、たとえば京都にあのタワーができた問題、奈良の県庁ができた問題、あるいは鎌倉におきまして八幡宮の裏のほうがすっかり掘りくずされて住宅になってしまって、せっかくの鎌倉の歴史的な風土というものがいまや風前のともしびのような状態にある。ただ、もうかればよい主義の宅地造成等の犠牲になろうとしている。こういったようなことが指摘されており、新聞等にも取り上らげれておりますが、そういう中で、自民党の有志の議員の方々の御意向で党として検討をされ、党として成案を得ているように報道されております歴史的風土保存法案要綱、自民党案の内容というようなものもかなり詳細なものが報道されておるのでありますが、現在報道されている内容は、とりあえず京都、奈良、鎌倉の三つの市について、従来の文化財保護のやり方は、特定の文化財を指定して保護するということで、いわゆる天然保護であります。ところが、それでは非常に不十分であって、そのまわりの風致全体がこわされればその天然としての文化財保護を指定してもその価値を十分に保存することにならない。また、国民の文化的遺産としても一つの地区全体を保存するということが必要である、こういうようなことが強く言われてきておりますし、私どもこれはまことに同感であり、適切な着想であり、ぜひこれはものにしなくてはならないものではないか。しかも三市ということではなく、もっと全国的なものにまで発展させるべきではないかというふうに感ずるわけでありますが、これにつきまして大臣から、政府としてどのようにお考えになり、今後どうなさる御方針であるか。また、この法律案はまだ具体的にはなっておりませんけれども、どの程度まで準備が進んでいるのか、あるいは文化財保護委員会としてもこれはどういうような検討をなさっておるのか。これは総理府に何か機関をつくってそこが扱うというような構想でもあるようでありますけれども、それらについてのお考えを、現段階においてどうなっておるのか、ひとつできるだけ詳細にお答えをいただきたいと思います。
  20. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 長谷川委員のただいまの御意見は私も非常に同感でございます。実はいまもお話がございましたように、有志議員の間で古都における歴史的風土の保存に関する法律案といったようなものを適当とするという議が行なわれておりますことは事実でございます。この史跡等の文化財の保護は歴史上、学術上もきわめて価値の高いものでありますけれども、一部小範囲の地域に限られているということはただいま御指摘のとおりでございます。そこで、文化財指定地外の相当広い地域にわたって環境なりあるいは自然的な景観等の保全をするということが必要ではなかろうか。そうだとすると、現在の文化財保護法だけでは十分でございませんので、このような現状からいいまして、一部議員の方々の間で先ほど申しましたような法律案の立案が進んでおりますことは、私どもとしても適当なお考えであると考えておるわけでございます。ただ、私どもの伺っておりますところでは、十分にまだその考え方が固まっておりませんので、中には京都、奈良、鎌倉といったような特定のところを中心にして、その周辺というような取り上げ方をしたほうがいいのではないかという御意見、あるいはもっと広範に、先ほど申しましたように、古都における歴史的風土というと、古都の範囲が広くなる。そのほうがむしろいいのじゃなかろうかというようなことで、いろいろ検討が進められておるわけであります。いまさら申すまでもないことでありますが、文化財保護法自体が議員立法で、与野党の御提案で成立しているものでございますから、この種のものについては、これから議員の間のお話し合いが、いま御指摘のように、いまのところは自民党の中の一部の有志議員で取り上げられておりますが、もう少し考え方を固めながら、社会党、民社党にも御相談申し上げて、与野党一致の提案ということになるのが、私は望ましいのではないかと思っておるわけであります。  しかし、政府といたしましても、先ほど来申しますように、この考え方には賛成なのでございますから、場合によりましては、政府の提案ということも考えられないでもないのじゃなかろうか。文化財保護法の沿革、制定の経緯等にかんがみて、いずれがよろしいかという方法論についても、あわせて早急にひとつ検討いたしたい、かように考えておるわけでございまして、御趣旨についてはまことにごもっともと考えております。
  21. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 以上で、私の質問を終わります。
  22. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 関連でいたしたいと思いますが、地域保護をしなければ、文化財の保護ができないという点は、確かに私ども前から考えておるのですが、文化財が集中しておる地域は、文化財そのものを対象にしないで、その地域全体を保護しなければ保護できない。飲食店ができたり、それから観光の中から非常に退廃的なムードが出てくるわけでありますから、私は、文化財保護公園でもつくったらどうかというようなことも、いつか提案をしたこともあるわけです。それはいいのですが、自民党のほうで出しておる風土の保護、風土というのはどういうことなのか。私はどうもわからないのです。そうすると、文化財というものを保護するのではなくて、何か風上ということばを持ってくると、またあいまいもことして、一体何が目的なのだか、その風土の中にあらゆるものが入ってくるのじゃないか。非常に政治的な表現のように思うので、実は疑問を持っておったわけです。いま長谷川委員がそういう質問をされたので、もしそういう関係で文部大臣がタッチされておられるならば、説明をしておいていただきたいと思います。
  23. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 実は私も非常に大きな関心を持っておるのでございますけれども、申しわけになって恐縮なんでありますけれども、自民党の一部議員の諸君が考えられております法案の考え方を、私自身十分にまだ検討したり、立案者の方々と御相談する機会が忙しくてございませんのですが、この国会が一段落いたしましたら、ひとつ積極的に従来の文化財を——おそらく委員会としましても、いろいろ困った事例にたくさん遭遇していると思うのでありますが、その経験等も委員会のほうからも御説明を申し上げ、そしていい案をつくっていただきたい、かように考えておるわけでございままして、ただいま風土がどういう意味を持つのか、どういう範囲であるかというようなことについて、的確にまだ私お答えをするだけの用意をいたしておりません。
  24. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 結論の出たあとで論議をして、修正なんというとむずかしいから、それ以前に、党内で論議をされるときには、文部大臣が一番責任者なのですから、吟味に参加してもらいたいということは、古都という古い都に限定しておるわけです。しかしそうではなくて、たとえば岩手でいえば平泉というふうな文化財の集中したところ、それは古都ではなくて、いろいろと文化財の集中したところ、だからどこか古い都に限定しておるところに疑問が出るし、今度は風土というと、ちょっと限定されないような表現があるので、おそらくそれが出てくると、異議が出てくるのじゃないかと思うので、御検討を願いたいと思います。  この機会に、議員立法というようなことでお話しになったので、議員のほうから、この議員立法の関係で改正をするのがたてまえである、あるいはそういうふうな慣行もいいと思うのですが、この機会にお聞きしておきたいのは、私は前に一、二回問題としたことがあるのですけれども文化財保護委員会はだれが責任者かというと、閣議——内閣を構成をしているだれでもない、特定合議機関である。ある意味においては文化財に対する保護の責任が分散されておって、実際はだれが責任者だという論議をすると、あいまいもことして、結局うやむやになっておる。おそらく文化財保護委員会を独立行政機関のようにしたのは、何か政治的に文化財というものがまげられているのではないかという危惧から出たのじゃないかと思うのです。考えてみると、これほど権力に関係ない行政はないので、分離するということは公安委員会と違うと思うのです。ところが公安委員会の権力に関係のあるものは、逆に国務大臣を、一党の領袖を委員長にしておる。文化財だけは全然文部大臣はタッチしていない。これは逆な現象であって、政党的なものから曲がってきた行政機構じゃないかと逆に考えている。そこで少なくとも文化財保護委員長は国務大臣をもって充てるというふうな改正の中で、民族文化の保護という責任を明らかにして、これは国務大臣が兼務をするか文部大臣が兼務をするか私はわからぬが、そういうふうな形の中であらためて検討するという必要があるのじゃないかと思うのですが、これは大臣の私見でけっこうですが、行政機構に対するお考えをお聞きしておきたいと思う。
  25. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 どうもこの問題はなかなかむずかしい問題であるのでございまして、ただいま山中委員のお説も一つ考え方であると私も思います。  ただ、私としては、率直に申し上げますと、文化財保護法が与野党一致の議員の御提案でなされておる。そうしてその御趣旨というものもまた私なりに理解できるものでありますから、かりに法案を政府が責任を持って御提案をいたします場合におきましても、事前に完全な与野党のお話し合いをもとにいたしまして、それをどういう提案の形式にするかということに運んでいけばいいのではないか、私はかように考えております。その際に、文化財保護委員会のあり方ということもいろいろと御討議いただくことが適当でなかろうか。  私といたしましては、私見を申し上げますれば、確かに私も実は山中委員のようなお考えも心の中にはちょっぴりは持っておるわけでございますけれども、これは行政組織全般にも関連する問題でございましょうし、いま申しましたように、お考えの基本というものは今日においても尊重していかなければならない部面も多くあるのではなかろうか。それから文化財保護委員会現状は、御承知のように、その道の達識の方が非常に御熱心にやっていただいておりますし、それから委員長以下の仕事の運営ぶりも、現状においては私は十分これで最初からの御趣旨に沿ってやっておられるものと思いますので、委員会に対して私がこうあってほしいというようなことは持っておりません。むしろそれこそ委員会が伸び伸びともっと実力が発揮できるように環境をつくってあげることが必要である。それから予算の問題等もその中の大きな要素になると思います。それから、これは御承知のように、文化財保護委員会の事務局長が、実際上の運営としては、文部省の内局と同様の機能と申しますか、運営をしておりますので、それらの点についても現在実行上には私は支障はないと考えております。むしろいまお話がございました政治的責任の問題というような点からこれを取り上げて、いかにすべきであるかという角度からいろいろと考えてまいるということも場合によっては必要か、かような程度考えておるわけでございます。
  26. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 これは私見だけの話で一々論議はいたしませんが、非常に疑問が残っておることは、事務局長責任者ではないのです。ところが委員長委員は政府委員にいつも任命されていないわけです。文部大臣は責任がないと答えられる。前の荒木さんのときもそうです。そういう関係で事務局長が実権を握っておるというのは事実上の問題ですが、しかし行政合議機関として、国会に対して責任ある答弁をすべき委員長は政府委員に任命されたためしがない。だから次には少なくとも委員長は政府委員にしておくわけではないか、それをまだ少しもやらぬのですよ。やらなければならないのに……。そういう矛盾が残っておるわけです。だから質問なんというのは言いっぱなしみたいなもので、一つ一つのケースについてこれを何とかしょうというだけなんで、根本的に少しも発展がない、そういう経過を持っておるわけですから申し上げておきたいと思うのです。  これで終わりますが、次に一つだけ皮肉のようになりますけれども大臣に申し上げておきたいことがある。これは議員立法だから議員立法で改正すべきであるという国会尊重の御精神が発表されたのですが、義務教育国庫負担法もあれは議員立法なんです。そして限度政令で実質上骨抜きにしているのを政府から出してきて閣議できめる。両党で苦心惨たんをして、議員立法であるから議員の中でこそ意見をまとめてやるべきだという筋を通してきたのに、議員立法ですからずいぶんあらゆる複雑な中であれはできたはずで、そして衆議院、参議院の修正、修正を重ねてやってきたことは御存じだと思うのですが、それを一方的に、しかも法律改正の形でなくて政令の形において実質上法律の精神を窒息せしめるような改正をされておるということは、覚えておいていただきたいと思うのです。会期末でこの議員立法そのものについて理事会で論議しなければならぬと思うのですが、そういう一つの逆な行き方も現実にあるのですから、これだけ申し添えておきたいと思うのです。
  27. 渡海元三郎

    ○渡海委員長 足鹿覺君。
  28. 足鹿覺

    足鹿委員 私は学校におけるなま乳給食の問題について、文部大臣はじめ厚生、農林関係当局に  若干お尋ね申し上げたいと思います。御承知のように、政府は国民の要求にこたえて悪名高い輸入脱脂粉乳——以下脱粉給食と言いますが一を漸減させ、学校生乳給食——以下生乳給食と申し上げます——を増加させております。しかるところ昭和四十五年までにこれを完全に生乳給食に切りかえるという方針を過般農林大臣が明らかにされ、文部大臣もこれに同意をされておられるのであります。そこで文部、農林両省は年間継続的な生乳給食を進めることを目的とした「学校給食用牛乳供給事業の実施について」という三十九年八月三十一日付の通達及び「学校給食用牛乳供給事業の実施要網」等を発表しておられます。その内容については私あまり触れませんが、一応こういう方針を貫かれておるわけでありますから、五カ年間で完全に切りかえられるとお考えになっておると思います。またそうする方針であると理解しておりますが、基本的な実施方針と年次別の実施計画がございましたならばこれをお示しを願いたい。書類等がありましたならば御提出を願いたいし、それが本日この場で間に合わなければ口頭でけっこうでありますので、明らかにしていただきたいと思います。
  29. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 国産なま牛乳をできるだけすみやかに学童給食に全面的に推し広げたいというのは私個人といたしましてもかねがねの念願でございまして、四十年度におきましても約七十万石をこれに充てることにいたしたわけでありますが、四十五年度に三百五十万石ということをわれわれの念頭としたターゲットとして考えておるわけでございます。実は四十五年度を三百五十万石という目標を掲げておるわけでございますけれども、四十一年度に幾ら、あるいは四十三年度に幾らという計画までは実はまだつくっておりませんわけで、たとえば率直にいえば本年度も私は少なくとも八十万石は突破したいと思ったのでありますが、いろいろ補助に関連する予算その他からいって、そこまでは行き切れませんでしたので、ただいまのところは四十五年度の目標に向かって四十一年度においてもできるだけ多く供給いたしたい、かように考えておるわけでございまして、まだ的確な各年次ごとの計画を政府として持つには至っておらないわけでございます。
  30. 足鹿覺

    足鹿委員 年次別の実施計画が困難なことは、私は承知しております。あとで申し上げますが、酪農情勢がなかなか許さない。しかし一応四十五年を目標に牛乳給食を完全実施するという公約をされ、文部、農林両省で国会の場で明確にされた。その内容が年次別のこまかいものでなくとも、実施の基礎となる数字くらいもなくしてただ架空の御答弁をなさったとは私は思わない。農林次官もおいでになっておりますし、統一見解をはっきりしてもらいたい。ないなんということになると、無責任きわまることになる。そういうことを言っておるからいつまでたってもこの問題は解決しない。ですから年次別のものがいま手元にないならば、どういう手段方法によってその年次別計画を、実施方針を立てるか、その方針なり具体的な措置というものを明らかにされる必要があろうと思うのです。
  31. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 農林省といたしましては先般来酪農振興法の改正案を提出いたしておりまして、その中で学校給食につきましては農林大臣が文部大臣と協議いたしまして、今後の学校給食についての年次計画を出すという法律案になっておりますことは御承知のとおりであります。したがいましてこの法律案が制定可決いたされますと、今後五年間にわたりまして第三年度はどうするか、あるいは第四年度はどうするか。もちろん初年度、二年度きまっておりますから、二年以降をどうするかということを、農林省としては文部省と協議の上決定するわけでございます。したがって確定的な案というものはまだ発表する段階になっておりませんが、しかしいま文部大臣もおっしゃいましたように昭和四十五年度には三百五十万石の学校給食を行なうというような決定はいたしておるわけでございますので、その間の年次の案といたしましては法律が決定いたしましてから確定するわけでございますが、一応農林省として先般農林水産委員会に材料として出しましたのは次のとおりでございます。  昭和四十年は御承知のとおり七十万石でございますが、四十一年度は百万石、四十二年度が百三十五万石、四十三年度が百八十五万石、四十四年度が二百五十五万石、四十五年度が三百五十万石。これは全く内部の、農林省の事務的な案を参考までに、先ほど申し上げましたように農林水産委員会に提出したわけでありますが、この点につきましては重ねて申し上げますように、文部省とも相談しなくちゃいけませんし、あるいは今後の酪農事情等も考えまして、これについて若干の変更はあるかもわからないということを御了承いただきたいと思います。
  32. 足鹿覺

    足鹿委員 そういう一応の作業のめどをつくっておられる程度では私は満足いたしかねますが、ないとおっしゃるならばあえてこれは申し上げません。ただ私どもの気持ちなり、酪農民、あるいは父兄の気持ちから言いますならば、五カ年では長過ぎる。むしろ三年くらいでやってほしい、こういう気持ちがあることをよく御認識になり、早く作業を急がれ、それに伴う必要な措置を、以下私が指摘をいたしたいと思いますが、早急に講じられんことをこの際申し上げておきます。  そこで政府の意図はそういう意図でありますが、一例を申し上げますと、四十年度の七十万石の消化の見通しも、現状でいくならばある地域では消化します、ある地域で消化をしない。全体を通じてどういうことになるとお考えになっておるか、この点をひとつ伺っておきたいと思います。一例を申し上げますと、鳥取の生乳給食の問題でございますが、牛乳学校給食推進対策会議というものがあって、酪農団体、生産者、処理業者、PTA、それらの代表がこの間鳩首協議をした。それは千七百八十一、二五トンのワクをもらいながら千二百七十一トンしか消化の見通しがつかない。結局五百十トンのワクが宙に浮いてしまっておるという実情なんです。昨年は百四校実施しておったのがことしは七十五校に減ってきておるのであります。人数の面でも著しく減ってきておるのであります。こういう実情は私の県の特殊事情であるかどうか。全国的に見ていま大臣は八十万石くらいはやりたかった、こういう熱意のほどをお示しになりましたが、実情は私が指摘したような実情が随所におきておると思いますが、完全消化の見通しがあるかどうか。
  33. 前田充明

    前田政府委員 鳥取の実例をおあげになりました。私ちょうど鳥取の課長を呼びまして様子を聞いたときにおりませんでしたが、課長がおりましたから、課長があとで具体的に申し上げてもよろしいかと思いますが、私は鳥取の場合のようなことが随所に起きておるというようなことは実は考えておりませんで、むしろ生乳のほうが足りないような場合が多いのではないかと思っております。と申しますのは、従来こまかい数字での所要量と割当量というものの対照はいたしておりませんが、大きく分けて大体やはり需要量のほうが、供給量よりもオーバーしている場合が多いのでございます。かような点から考えまして、いまお話のございましたような実例が随所にあるというふうには私どもとしては見ておらないのでございます。
  34. 足鹿覺

    足鹿委員 七十万石を完全消化の見通しがあるかどうかということを聞いておるのです。
  35. 前田充明

    前田政府委員 まだこれからの問題でございますので、私一人で七十万石は完全に消化しますということを申し上げることは不可能なわけでございますが、私どもとしては七十万石の割当に対して、できる限りこれを消化するというつもりでおります。
  36. 足鹿覺

    足鹿委員 農林省はこの七十万石の完全消化の見通しがありますか。私はどうしてこういう事情が起きるかということはこれから申し上げます。
  37. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 完全消化の見通しがあるという御質問でございますが、実は農林省としては初めてさような意見を聞いたわけであります。いま各県から七十万石の配分につきましては、これでは配分が足りないという非常に強い要求ばかりでございまして、さようなことで、私は当然完全配給できると思っております。いまのような御指摘の鳥取の例は、私は特別な例だと思っておりますが、そんなところにつきましても、多分文部省、農林省としましては一学期の終わりに調整するそうでございます。そういたしますと、完全配給ということはできると思います。もちろん将来五年後におきまして、小中学校、あるいは夜間制の高等学校すべてに給食をする場合に、三百五十万石がすべて完全給食できるかどうかということにつきましては、相当私は疑問があろうかと思いますけれども、少なくとも今日の段階におきましてはそのようなことはないと思っております。
  38. 足鹿覺

    足鹿委員 ぜひそうでありたいと私も念願いたしておるのですが、これからいろいろな事態が起きてくることを予想いたしまして、具体的に文部大臣に伺いたいのは、生乳給食を阻害しておる条件についてです。大体二つあると思うのです。阻害要因として第一は、脱粉給食に関係すること。第二は生乳給食の単価等の供給条件、大体二つに大別できると思う。そこで私の知るところでは、脱粉給食の問題が一つ出てくると思うのです。子供はいやがり父兄からはきらわれる。酪農民からは反対をされておる。こういう脱粉給食がいまだになかなか生乳に切りかえられないということについて、いろいろ考えてみますと、文部省自体が脱粉給食の需給計画の策定を誤っておるのではないか。誤るというと語弊がありますが、適当でない策定をしておられるのではないか。なるほど漸次全国的に減っておりますが、要するに需給計画が上から少し過大に押しつけられておることが一つの大きな原因ではないか、そういうふうに私は思うのです。そこで脱粉給食の需給計画というものを、先ほど生乳の給食の計画の大綱が示されたわけですが、これはなかなかむずかしい条件があるから、こまかいことはいま言えないということですから、それはそれとしておきまして、脱粉給食の需給計画というものは資料があるはずです。それはどうなっておりますか。
  39. 前田充明

    前田政府委員 脱粉の使用計画というものは、ただいまの農林省の計画が従来までなかったわけでございますので、私どもとしては脱粉のほうも必然的に毎年についてはないわけでございます。私ども計画いたしておりますのは、学校給食をやる以上はミルクを飲ませる、そういうのが基本計画でございまして、そのミルクを全体として飲むうちで生乳を飲む量がきまってくれば、その残りの量が脱粉になる、そういう考え方でございます。学校給食全体としては、給食をする限りはミルクを飲む、そしてそのうち生乳がどれだけふえてくるかによって脱粉がどれだけ減ってくる、そういう勘定で私どもとしては計画を立てておるわけでございます。
  40. 足鹿覺

    足鹿委員 そういう御答弁は遺憾に思いますね。私も子供じゃありませんよ。それは相互関係があることはあたりまえのことなんです。だからそれをどういうふうに需給計画を立てておられるかということを聞いておるのですよ。念のために申し上げておきますと、三十八年度に脱粉は八万五千トン、これを一〇〇としますと、三十九年が七六・四七%の六万五千トン、四十年が五万二千七百七十五トンの六二・〇八%、これに見合う生乳としては三十八年度が二十九万石、三十九年度が四十万石、四十年度が七十万石、こういうふうにちゃんといままで過去の実績が出ておるのです。だから、この切りかえが遅々として進まないのは、あとで触れますが、混合乳の方式を暗に奨励をされておると思われるような態度をとられたり、いろいろなことをされるからだんだん切りかえがむずかしくなるんじゃないか。生乳に切りかえるという国の大方針がきまった以上は、混合乳の方式などというものは奨励すべきものではありません。そうでしょう。だがしかし、一挙にはなかなかいかない、だから需給計画というものがあるはずだ、どういうふうな見通しによってだんだんとこれを生乳に切りかえていくのだ、そうした場合には最終的には脱粉給食というものはどういうふうになるのだという、相関関係に基づいた計画はあるはずなんです。それがないなどということは私は納得ができません。当然御提出になってしかるべきものだと思う。それをあなたたちは、いままでの実績もちゃんと持っているのですよ。脱粉の給食は不評であるから、これからどういうふうにしてこれを削って生乳に切りかえていくか。学校給食会の始末は文部大臣あとで伺いますよ。だからそんなことは心配しないでいい。あなたは事務的な説明ですから、大臣にかわって御答弁になってしかるべきでしょう。
  41. 前田充明

    前田政府委員 私ども考え方といたしましては、本格的に生乳に切りかえるという方式については四十万石のときに始まったわけでございまして、二十九万石当時におきましては、これは途中から本格的に行くべきであるという考え方に持ってまいったわけですが、当初計画のときには残乳の処理というようなたてまえでございました。それで今年度の四十万石が本格的には初めての、一つ計画的に農林省から供給を受けたわけでございます。農林省から四十万石受けましたときに、今年度四十年度において七十万石ということは、その当時は年度途中から八十万石ということの話が出てまいったわけでございますが、終局において七十万石、こういうことで、十万石の減量があったわけでございます。そういう意味で、脱脂粉乳についてはその残りということは非常にいけないのだというお話がいまございましたが、生乳のほうを現在としては中心に、そちらの伸びを中心にして考えるものでございますから、脱脂粉乳はただその残りを使用するということ以上に——非常にいけないというお話でございますけれども、それ以上ちょっと、私は脱脂粉乳は四十二年度幾ら、四十三年度幾らということをはっきり計画を申し上げることは、現状では不可能な状態でございます。
  42. 足鹿覺

    足鹿委員 需給計画はないのですか。あまり余分なことはなくてもいいのですが、脱紛の需給計画そのものはないのですか。
  43. 前田充明

    前田政府委員 これは繰り返して申し上げるわけでございますが、給食を四十六年度全部完全に実施する、そういうたてまえでございまして、それは年次的には一応四十一年度から、いままでの計画では等分配当をいたしまして、そして残りの現在給食をやっておらない学校に全部行き渡らせる、そういう計画で進めております。
  44. 足鹿覺

    足鹿委員 だから、その計画を出していただきたいというのです。資料として要求いたします。
  45. 前田充明

    前田政府委員 ただいま農林省から次官がお答えになりました、生乳が四十五年度まで漸次伸びるということになりますれば、それに応じまして残りの分についての脱脂粉乳の需要計画というものは出せます。しかし、現在までまだ出しておりませんので、これは追って御報告は申し上げられると思います。
  46. 足鹿覺

    足鹿委員 脱脂粉乳にしろ、生乳にしろ、供給条件が変わりつつあるのです。だから、あなた方はこの際こういう機会に、過去の実績また供給条件の変化というものを考えて、それに基づいた一つの需給の計画というものを持たれる必要がある。そのことを申し上げておるので、だから、これから具体的に申し上げますが、脱粉の輸入価格についてですが、昨年の六月からポンド当たり二十六円が三十二円に値上げになっておると聞いておりますが、それは事実であるか。正確な供給単価は幾らでありますか。供給単価が値上げされて、父兄負担が増高することになる。そしてまた、最近アメリカのCCC脱粉が商業ベースへ値上げをされると聞いております。幾らくらい値上げをされる見通しであるか。この見通しをはつぎりさせていただきたい。だんだん安い脱粉という看板はくずれてきておる。そういう条件のもとにいつまでもそういう高い脱粉を飲ませる必要はないので、これはあなた方主務官庁としては漸次少なくしていくような指導をして、そして生乳をもってかえていくということについて、農林省にひとつうんと牛乳をつくってくれというふうなかまえと計画がなければ、事態は解決されないはずですよ。いまの体育局長の御答弁はまことにどうも抽象的な御答弁で、そういうことでは納得ができません。供給条件が著しく変わってくるわけです。ですから、たとえば方法としては、こういう単価が値上げをしても、なお脱粉を希望するのかしないのかというようなアンケートをとっていくとか、いろいろもっとやれば、あなた方は行政にたんのうな熟練者でありますから、やり得るのです。それを現状のままに放任をして、一つの達観資料でものを判断されるということは、生乳への切りかえはかけ声であっても、中身が伴わないじゃないかということを言っておるのですが、それはともかくとして、大臣も時間を急いでおられるようですから、供給単価、つまり去年六月上がった場合の供給単価、それから今後アメリカのCCCが商業ベースの値上げを要求してきているというが、その見通しはどうか。その場合は幾らに脱粉の単価が上がって、学校給食にどういうふうに値上がりが影響するか、その見通しを正確に言ってください。
  47. 前田充明

    前田政府委員 輸入単価でございますが、三十八年度はポンド当たり五セントでございます。三十九年度は六セントでございます。一セント値上がりをいたしました。それから四十年度についてはまだ最終的には決定をいたしておりませんが、四十年度は大体八セント程度で押える予定で考えております。しかし、大体それでいきそうな様子でございますが、これは最終的でございませんので、明確に決定的にお答えいたしかねるような状況でございます。
  48. 足鹿覺

    足鹿委員 三十八年度の五セントが六セントになり、そして四十年度は八セント、それはあなた方の希望的観測であって、大体日本にはアメリカのCCCは定着をした。そこで今度はよそのほうへ安いCCCのものを向けて、日本には商業べースで持ってくるのではないかと私どもは聞いておるのです。そういうことであれば一枚看板はくずれてきておるのでございますから、あっさりこの際、先ほど言いましたように、五年を待たずして、三年でも、なるべく最短距離で生乳へ切りかえていく。そのための総合対策が必要ではないかということを私は申し上げておるのでございます。  そこで、こまかいことを言うようでございますが、この調子でいきますと、日本学校給食会の行なっておる各都道府県給食会へのルートを通じての手数料といいますか、一合当たり五銭とか七銭とか取っておると聞いておりますが、単価がだんだんこういうふうに上がってきますと、そして数量も減ってくるということになりますと、勢い父兄負担に肩がわりをしないというと維持が困難になりはしないかと思うのです。しかし、手数料を、むしろ国が絶対必要な機関だというならば、法律によって認められたわけですから、国が肩がわりするということも考えられましょうし、ふやすということは私はよろしくないと思うのです。要するに日本学校給食会というものの経理が非常にむずかしくなってくると思うのです。そのむずかしくなった分を、さなきだに評判の悪い脱粉給食を父兄の負担に転嫁するということは許されないと思うのです。とすると、文部大臣は、こういう情勢で、見通しも大体私が言った見通しだということになれば、一体学校給食会というものをどう始末される御所存でありますか。私は一挙にこれをやめてしまえとか、どうなってもいいというような乱暴なことを言っているのじゃないのです。先年、ずっと前にずいぶんこの問題を追及したことがございました。事実言うならば、これはトンネル的な機能しか持っておらないと思うのです。しかし都道府県の教育委員会、いろいろな関係があって、単純に割り切れないという実情も私は全然没却しておりません。ですから、一体この始末をどうされるかということをあわせて考えていかれないと、それが一つの要因になって、現状を維持したい、そうしなければ会の運営がつかぬ、経営が成り立たないということで、それが歯どめの役割りを演ずるようなことがあってはならぬ、かように思うから、必要なものであるならば国がちゃんと御処理になる方針を示されないと、またこれが生乳への切りかえの一つの歯どめになる、かように私は思うのです。その辺、文部大臣としての御所見はいかがでありますか。
  49. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほど来の御意見は私はごもっともだと考えております。というのは、従来はとにかく脱脂粉乳が給食に充てるのに安いということがお話しのように一枚看板になっておりましたが、これからの見通し、はたして完全な商業べースでくるかどうかは、向こうのことでございますからさだかに見通しをはっきり申し上げることはできないと思いますけれども、現に五セントが六セントになり八セントになろうとしている、こういう現状から申しましても、私は脱脂粉乳というものはなるべく使わないようにしたい、これが基本方針であります。それについては、実はあまりざっくばらんに申し上げ過ぎるかもしれませんけれども、学校給食に充てるなま牛乳の数量を多くしてもらうことが何よりも必要なことではないか、かように考えまして、その足らざるところを足らざる期間だけは脱脂粉乳で補わざるを得ない、こういうふうなものの考え方でいきたいと思っておるわけであります。それからなおもう一つは、学校給食それ自体も、現在完全給食を全国で行なわれておるわけではございませんので、このほうの需要というものもずっと広がっていくわけであります。それを勘考しながらなるべくすみやかにミルクは全部なま牛乳で供給に充てたい、これが何よりも必要なことであると考えております。したがって私は、こまかいことはともかくといたしまして、学校給食会が経理上困難になる、あるいは学校給食会をどうしなければならぬということがあるから、それを歯どめにして脱脂粉乳の量をある程度増していかなければならぬという考え方はとるべきでないと考えております。したがって、国策の基本として、幸いになま牛乳がどんどんふえてまいるようになりますれば、おのずから業務も縮小するわけでございましょうし、あるいはまた経理上もそれなりに困難になろうと思いますが、これはやむを得ないことだと思うのでございまして、これについては適時適切な別な対策を立てていかなければならない。それからもう一つ考え方は、そうだからといって父兄負担を多くする、父兄負担にこれをかぶせていくということはやはり考え方としてとるべきでない。しかしものには順序がございますから、一挙にそういったような考え方で全部一〇〇%実現できるとは考えませんが、これは今後の事態の進捗に伴いまして適時適切な処置を講じてまいりたい、かように考えております。
  50. 足鹿覺

    足鹿委員 大臣の政治的な一つ方針を明らかにされましたので、学校給食会そのものの中身その他について追及するのがきょうの質問の趣旨じゃありませんから、その推移を見た上でまた必要があればやることにいたします。  脱粉と生乳の混入方式の問題ですが、ここに——これは大臣にお示ししてもいいのですが、私の地方の新聞に載った混合方式の試飲会の記事と写真がありますが、さっき言いましたように、鳥取県では五百トンも乳が余るというので、混入を奨励しておる。鳥取の南中学校の生徒に黙って混入したものを飲ませておる。混合割合は生乳四〇%、脱粉六〇%の割合で、〇・一八リットル当たり二円五十八銭であった、こういうことです。そして、黙って飲ませた生徒たちにあとで聞いてみたら、脱脂粉乳よりはうまいという者、やはりまずいとつぶやく者など、それぞれ首をかしげながら配られたアンケート用紙に書き込んでいた、こういって載せておる。まことにこれはうまいことを書いておるのですが、とにかくこういう事情なんです。そこで、私ども全国を歩くわけなんで、いろいろなことを聞いてくるのです。それが全部事実であるかどうかは確める余地があると思いますけれども、これは鳥取とは違って、福岡だとか鹿児島方面へ行ってみますというと、国の補助対象になるには混入方式でないといかぬというふうに教育委員会が言っておるので混入をやっているのだ、こういう声を聞いております。これは事実だとするとゆゆしきことでありますが、その理由として、生乳給食の割り当て量は少ない。——だから鳥取の場合とは逆なんですね。したがって、その脱粉の混入率が多くなる。あるいは、国のほうの方針が、週に三日以上の生乳給食が不可能な場合は、国の補助対象にならぬと言っておるというのです。そのために生乳給食では乳が足りないから、混入方式を勢い奨励する結果になってくる。一体農林省はそういう指導をしておられるのか、ここでちょっと確めておきたいと思うのです。また、文部省は、そういう指導は違法行為だとお考えになって、そういったところには誤解のないように処置されなければならぬかと思うのです。まあ先生方の勤務評定に使われておるという話も聞きました。が、その真偽は別としまして、とにかく脱粉給食か、あるいは混入給食かということがやはり中心になっておる、こういうわけであります。で、これは一体どういうふうにお考えになりますか。農林省は三日以上でないと補助はほんとうに出さぬという指導をしておるのですか。その辺がちょっと混乱があるように思うのです。はっきりさせていただきたいと思います。
  51. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 三日以上しないと補助を出さない、そういう指導のあれはいたしておりません。ただ、混合乳の形態につきましては、先ほども政務次官が申し上げましたように、なるべく早く全部国内産のなま牛乳に置きかえたい、そういう方針で進んでおるわけでありますが、生乳全体の量ともにらみ合わせて慎重にやっていきたい。そういう関係で現在、混合乳形態が相当程度あるということは、先ほど先生おっしゃいましたとおりかと思っております。
  52. 足鹿覺

    足鹿委員 三月以上しないと補助の対象にしないということ。
  53. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 先ほど申し上げましたように、そういうような指導はいたしておりません。
  54. 足鹿覺

    足鹿委員 文部省はどうです。
  55. 前田充明

    前田政府委員 いま、生乳を三日以上やらなければ補助の対象にならないというのは私も初めて伺ったくらいでありまして、ちょっと考えられないのでありますが……。
  56. 足鹿覺

    足鹿委員 はっきりいたしましたので、この委員会の速記録等を地方へ送って、そういう事態を私どもとしても講じますが、誤解を生じやすいような指導は避けられて、簡明率直に地方に、そういうことのないように、あらためて方針を流しておいてほしいと思います。ぜひ大臣、そういう点を御考慮おきを願いたい。  そこで、お急ぎのようでありますので、生乳の学校給食の促進対策について、文部、農林、厚生当局にお尋ねしておきたいと思うのです。  生乳の学校給食の供給条件でありますが、高度経済成長政策下の日本農業は、農畜産物の価格の不安定と値下がりで、特にこの酪農に関係のある購入飼料が値上がりをいたしまして、酪農経営は非常に困っておるのです。労力費も上がった、飼料も上がった、すべてのものが上がっておるさなかに、昭和二十九年には三〇%の乳価の値下げが行なわれておるし、三十三年には一五%値下げが行なわれ、その結果、ここにも資料もございますが、全国四十一万戸の酪農民の赤字が百億円をこえておる。これと反対に、明治、森永、雪印の大手三社の純利益というものは二倍以上にふくれ上がって、二十億円に飛躍しておることが資料によって明らかになっておるのであります。これとは逆の酪農の実情というものを、文部大臣にひとつこの際じかに、これは中央の資料でもありません、私の県にある農林省の出先機関の統計事務所の資料でありますから申し上げますと、農林省鳥取統計調査事務所発表の三十九年度の酪農の生産費は、乳牛一頭当たり一万九千二百六十円の赤字になっておる。しかも県下の乳価は、五十九円から七十円三十一銭まで六段階にも分かれておるのです。そういったことが原因になりまして、非常に農家は困っておるのです。したがって、屠殺がだんだんとふえてきておるのです。それで、これを日当の面から計算をしてみますと、乳牛の頭数規模別粗収益というものを申し上げますと、一日で二百四十二円です。現在の農林省の統計によりますと、平均飼養頭数が三・一頭です。そうしますと、二百四十二円の三・一頭では、一日当たりの労賃千円には違く及ばぬ。ですから、どうしてもこれは四頭以上飼わねば千円の日当につかぬというのが実情でございます。したがって、いま申しましたような赤字が出るということになる。ですから、大規模な酪農に切りかえていくに越したことはありませんが、なかなかそう思うようにならぬ。ところが、一方、農業の雇用労賃指数というものを鳥取県の場合調べてみますと、三十五年を基準とした場合に一九五で、ちょっと倍です。農業パリティ指数からいきますと一五二、約一。五倍です。生産者の生産乳価では幾ら上がったかといいますと、二二九です。こういうアンバランスのために、だんだん酪農に熱意を失っておる。これは農林当局もよく御存じのはずであります。ところが、去年の六月市乳の値上げを行なった。ところが、ふしぎなことに、生産者には三五%、メーカー、小売業者に六五%もやって、わが国ではその値上げ分が逆になった。生産者に六五、メーカー、小売り業者に三五ならわかりますが、逆になっておるのです。これは農林省の責任でありまして、私ども農林委員会でもきびしく追及したところでありますが、イタリアの事例は、政府の資料にも載っておりますが、イタリアは六一が生産者手取り、三九が加工業者、スウェーデンの場合も六五が生産者で三五がメーカーの手取りになっておる。日本は逆なんです。ですから乳をしぼればしぼるほど赤字が出るという状態であります。(「しぼるほどしぼられる」と呼ぶ者あり)そういうことなんです。乳をしぼったつもりでおったらしぼられたということになります。どうしても手取り八十円単価というものは農民の最少限度の要求ですよ。私は理想論を言ってここで議論しようと思っておらぬのですが、少なくとも八十円というものはやらなければいかぬと思うのです。そこで、こういう酪農事情の中にあって必要な学校給食用の生乳をいかにして優先確保するかということが、ここで初めて問題になってくると思うのです。  そこでいわゆる優先供給確保をはかるための体制は一体どうしたらいいかということになってきますと、少なくとも補助単価の五十銭のことしの値上げ分は農民にやっていけば一番——でも焼け石に水でありますけれども、若干のきき目はあると私は思うのです。それもなしに学校給食に持っていこうとしましても、実際においては給食用の生乳一合当たりの手取り価格は六円九十五銭です。一般の飲用乳の卸売り価格は十円四十銭が十一円五十銭になっておるのです。ですからこれではとても——あなた方が学校給食を生乳に切りかえるという気持ちを持っておられ、政策を推進される気持ちはわかりますが、それを進めるためのいま述べたような優先確保の諸条件というものを整備されなければ、これは架空のことに終わってしまうのではないかと思うのです。これは少し乱暴な御質問で、農林大臣と大蔵大臣、文部大臣並べておいてお聞きしたいのが本意でありますが、要するに去年の六月からまたその値上げが行なわれ、メーカーは有利な立場に立っており、酪農民は不利な立場に立っておりますが、要するに学校給食用の供給価格というものを市乳価格にスライドさせるか、あるいは国の補助金をもっと大幅に引き上げるか、何らかの措置をとられないとむずかしいことがはっきりしておると私は思うのです。こまかいことを申し上げて恐縮でありますが、具体的にいいますと、本年度の供給単価は何ぼと見ておられるか。そして今後この供給単価というものをどういうふうに策定をして生乳給食への切りかえを促進していこうとしておられるか。この際あまり事務的な答弁ではなしに——でもけっこうですが、大臣のお気持ちなりそういったものをこの際、農林政務次官もおいでになっておりますし、両大臣からひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  57. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私はきょう最初に申し上げましたように、私は文部省の立場というのではなくて、学校給食に国産なま牛乳をできるだけ多く配給といいますか、供給するようにしたいものであるということはかねがねの私の念願でございます。それはいわば一石二鳥で、あるいは一石三鳥といっていいのかもしれませんが、学童になまの牛乳を給食として飲ませる。それから脱脂粉乳の輸入は削減する方向に向かう。同時に、いま市乳単価にスライドをしたらどうかというようなお話もございまましたが、私はそれよりも前に、いまお話がございましたが、乳をしぼる農民に値上がり分は均てんさせなければならない、中間搾取をいわば排除していきたいというところに、私は、国として学童給食をやり、そこにしぼられた乳が入ってくるということは、そういったような意味からいっても、農民のためになる酪農政策の一助にもなろうか、かような考え方でおるわけでございますが、そういったような点になりますと、これは農林省のほうのお考えやあるいは大蔵省のお考えというものと十分にもっともっと話を詰めていかなければならないと思いますが、私は最初に申し上げましたような考え方でこの問題を推し進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  58. 足鹿覺

    足鹿委員 とにかく供給条件を学校給食については優先的に措置するということをお考えにならなければ、これは絵にかいたもちに終わる。ぜひそういう方針で農林、文部両当局が大蔵省と協議をされて、将来そういう対策をできるだけすみやかに講ずるのだという御言明があれば私も非常にけっこうだと思うのですが、舘林さんいかがですか。
  59. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 学校給食用の牛乳の供給価格につきましては、考え方としてはかようだと思うのです。まず第一に父兄の負担はなるたけ増さないこと。また他の一面から生産者の庭先価格というものはできるだけふやしたい。そうすると、結局一面におきましては国庫の補助というものをやはり前進的にふやすということが一番大事だと思うのです。と同時に、国庫の補助をことしも五十銭ふやしたわけでございますが、かような国庫の補助の増額分は必ず生産者そのものに直接帰属するようにすべきである。これが一番大事であると思っております。かような意味でこれからも指導したいと思っております。ただ具体的には、各県におきましては供給価格の決定につきまして、酪農会議とそれから教育長さん、そんな方々の協議できまるわけであります。指導の方針としてはいま申しましたようなかっこうでいきたいと思っております。
  60. 足鹿覺

    足鹿委員 体育局長に数字を伺っておきますか、本年度の供給単価についてはどういうふうに考えておられますか。
  61. 前田充明

    前田政府委員 私どもは供給単価は、大蔵省の予算単価でございますが、牛乳一合国庫の補助が五円、父兄負担が五円三十銭、合わせて十円三十銭が牛乳の価格、そういうふうに考えております。
  62. 足鹿覺

    足鹿委員 文部大臣もお急ぎのようでありますので、少しはしょって進みまして、事務的な答弁あとで伺うことにします。  父兄負担を軽減して生乳給食を推進した実例を、当委員会と文部省当局が一体となってひとつ調査をしたらどうですか。ひとつ提案をしておきますが、長野県の須坂小学校では、かん送方式、牛乳かんそのもので送る、農民が直接学校に持ち込んでおる。これをパステライザー、簡易処理機で処理をして給食をしておるわけです。この場合、農民の学校持ち込みの価格は一合当たり七円四十銭、国が四円五十銭——これは三十九年度ですよ。県費補助を長野県は五十銭出しております。私の県は三十銭ですが、十五銭ぐらいのところもありますが、これはやはり、渡海委員長は自治方面でも権威者でありますが、地方公共団体が出した額は自治省が基準財政需要額に見込んで交付税かあるいは特別交付税で見ていくということをやれば父兄負担は軽くて、ある程度生乳給食が農民の手取りをふやして進むと私は考えております。現在のようにばらばらで、長野の五十銭が最高で、最低は十銭か十五銭、全然ないところが大部分です。こんなことでは国と地方公共団体が一体となって生乳給食を進めることはできないと私は思う。そこでやはり農民の自主的な創意と相協力していく意味におきまして言っておるわけですが、いま須坂小学校では父兄負担が生乳で去年まで二円四十銭で済んでおる。そうすると、今度のCCCによる値上がりの二円五十銭を予想されますが、そうしたら混乳よりも脱脂粉乳給食よりも、こういうやり方でやれば安く飲まさせる。農民も喜ぶし、父兄も喜ぶし、もちろん子供のためにはいい、文句はないはずなんです。また栃木県の那須郡の南那須村におきましては、村費千二百万円をかけまして給食センターを設置しておる。農協には牛乳簡易処理施設が設けられておる。この場合の父兄負担は二円から二円七十銭で、ことしの四月から実施しようとしておると聞いております。混乳が三割混入にすると、四円二十二銭くらいになる。それが二円五十銭内外で飲めるということになりますならばこれは非常にけっこうなことではないかと思う。私の県の船岡町というところでも生産者が八円、国が四円五十銭、県が三十銭、町が七十銭、びん代一円で、父兄負担は二円五十銭でやっております。これも農民のかん送持ち込みです。ですから当委員会としてほんとうにこの問題を進めようとするならば、これは委員長も文部省当局もよく打ち合わせをされまして、そしてそういった優良な事例の行なわれておるところをみずから調査をして、そしてこれならいけるという一つ方針を出して、そして学校給食を本格的に進める一助にするということもあながちむだではないと思うのです。委員長においても御善処を願っておきたいと思います。  そこでいま一つこの農民との直結方式を進める上において厚生省との関係が出てくるわけでありますが、食品衛生法の改正をやるという御意思はございませんか。これは私がかつてよほど前の予算委員会、その後の荒木文部大臣等にも——予算委員会で厚生大臣、文部大臣、農林大臣に伺って、食品衛生法の改正をやると言っておられますが、実際はおやりになっておらぬ。やはり旧態依然として透明な一合びんに牛乳を詰めて飲ませるということになっている。ですから都道府県の衛生課がやかましく言いますと、これは畜産課はやりたくてもやれない。やはり法そのものが生きておるわけですから。ここに私は数次にわたるあなた方がお出しになった共同通牒というものを持っております。たくさんあります。簡易でいいというふうにあります。ありますけれども、これはほんの一部に限られておる。なぜならば、法律そのものが生きておりますから、農なりあるいは、農協、酪協等が学校へ連絡をしていま述べたような優秀な設備を持っておるところでやろうといたしましてもなかなか進まない大きな隘路の一つであると思うのです。  そこで厚生省に伺いますが、昭和二十九年二月八日、三十年一月十八日、三十年三月三十一日、三十四年十一月十七日、それから三十九年八月三十一日付等のいろいろな通達が出ております。特に農山村における牛乳処理施設というふうに限定された通牒であり、そうして都道府県知事の承認を得て初めてこういう方式がやれるということになっておるのです。ですからどうしても法律そのものを改正しなければ、通達を幾らあなた方がお出しになっても、この簡易処理の問題の解決はつかないと見ておるのです。これは公約でもあります、いままで何べんも。速記録が必要ならばお見せいたしますが、もうここらあたりで——学校給食について村において生産者が行なう場合一番困るのは、大都市へどうして搬入し、どうしてやるかということについては、少なくとももっと衆知をしぼらなければならぬと思います。むずかしい問題もありますが、少なくとも生産地においては山間地であろうと僻地であろうと平たん地であろうとこれをやらせていく、そういういわゆる法改正を行なわなければこの問題は解決しないと見ておるのですが、この点文部大臣なり厚生省の御所信なり今後の対策をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  63. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 牛乳の学校給食につきましては、いろいろの面から非常に示唆のある御提案をいただきましてたいへん感謝をいたします。先ほどもお話が出ておりますように、実は昨年度あたりからわれわれの考え方というものもようやく意欲的に軌道に乗ってまいったつもりでありまして、それにつきましては予算の問題、あるいは法律の問題もございましょう、あるいは技術的な問題もございましょう。いまお話がございましたように、ひとつ衆知を集めてわれわれの考え方というものが適切にすみやかに軌道に乗るように、この上とも大いに努力をいたしたいと思います。  法律の改正につきましては、直接には厚生省の関係になりますので、厚生省のほうともこの機会にまた私どもも十分研究させていただいて、必要な法制の整備等についても関係の当局にお願いをいたすようにいたしたいと思います。
  64. 伊部英男

    ○伊部説明員 ただいま足鹿先生から御質問のございました牛乳のいろいろな規格基準は政令、省令で定めてあるわけでございます。この規格基準に対しましてただいまお話がございましたような通牒が出ておりまして集団飲用、特に農山漁村等におきます場合におきましては特例の指導をいたすように通牒を出しておるわけでございます。そこでそのような指導を徹底をいたしますとともに、ただいま文部大臣からお話がございましたように省令等の面におきましてもなお検討させていただきたい、かように思っております。
  65. 足鹿覺

    足鹿委員 もうすでに前にこれは公約になっておるのですよ。あなた方は公衆衛生の立場から間違いのないことを期しておられる気持ちはわかりますけれども、検討の段階ではないですよ。それをはっきり御自覚になっておやりにならなければ、たとえばこの通牒は昭和三十四年の十一月十七日に出た公衆衛生局長と畜産局長の連合通牒で知事あてに出たものです。「農山村における牛乳処理施設について」というものの最後に記としてどういうようなことが書いてあるかといえば、「他から搬入が困難な僻すうの地等で施設の完備を急速に望み得ない事情がある地域においては、衛生上支障がない範囲内においてできる限りこの例外規定を活用して簡易な牛乳処理施設の設置を推進されたい。」という程度のことでありまして、こんな通牒を何べん知事あてに出されましても私は効果が薄いと思うが、その後一体——私は大都市に持ってくることについてはもっと検討の余地があると思うのです。しかしいま言いましたように、地方においては僻陬の地であろうと、平地であろうと、山間の地であろうと、やろうと思えばできるのですよ。それをあなた方がむしろ手かせ足かせでいろんなことを言っておる。公衆衛生を守るということは大事なことですけれども、私はそれをとやかく言うわけではないのですが、いいかげんにして早く踏み切らないと、あなた方が学校給食を阻害しておる、こういう結果が出ますよ。だからきょうは厚生大臣にぜひおいでを願ってこの問題についてはっきりとした言質を私はとろうと思っていたのですが、御都合が悪いそうですが、少なくとも担当局長としては、歴代の厚生大臣が数次にわたって言明をしておられるそのことに対して、こういうふうにしたい、その程度の御所信は明らかにされても私はいいのではないか、私が述べたあれ以後に何か新しい措置をとっておられますか。
  66. 伊部英男

    ○伊部説明員 農山村地帯におきましては、牛乳の処理施設を、つとめて地方の実情に応じた設置容易なものとするように指導をいたしておるわけでございます。ただし殺菌方法及び冷却につきましては、やはり食品衛生法に基づく規格基準に従っていただきたい、かように思っておるわけでございます。
  67. 足鹿覺

    足鹿委員 それを改正するようにあなた方が御努力になる責任と必要があるのではないかということを私は言っておるのです。僻陬の地だけに限定したのでは問題は解決しない。私はいままで何回となくこのことは言っているのですよ。文部省も厚生省だけにこれを依存しないで、自主的にそういうふうにやってもらわなければやれない。農林省もそういうふうにやっていくように努力なさるべき筋だろうと思のです。何のために三省協議会をつくったんですか、伺いますが、牛乳の消費拡大のために村田畜産局長時代に三省協議会が発足した。私の追及質問によって、どうにもしようがないというので消費拡大の協議会ができたけれども、生産者代表を入れておらぬということが問題になって改組して、そしてこの予算を有効に使用して消費を拡大することをやろうということになって、同時に三省協議会をつくって私どもがいままでずっと取り上げてきたようなことを詰めて、これを解決するのだということで、これは当時の速記録を取り寄せてごらんなさい、はっきりしていますよ。それを三、四年もたっておるのに何ら具体化しておらぬということは非常に遺憾です。当局の怠慢と言っても差しつかえないと思います。なぜそれができないのですか。簡易処理施設といえども、かん送で持ち込んで、そして処理をすれば何ら差しつかえないですよ。はっきりしている。
  68. 伊部英男

    ○伊部説明員 三省協議会は、ただいま先生指摘のとおりのものだと思います。したがいまして厚生省といたしましては、学校におきましてかような衛生上の点で遺憾のない処理がやれるならばそれでよろしい、かように考えておる次第であります。
  69. 足鹿覺

    足鹿委員 そういうふうに考えておられても、法そのものの改正をなされなければ——都道府県に行ってごらんなさい。みんな衛生課がその法をたてにとって、それは露骨には言いませんけれども暗にセーブするのです。それを邪推をすれば、数限りなく発展をしていくのですが、私はそういうことを言いたくありません。それが何者の利益によってがんこにそういうことがまだ日本の国内において行なわれておるか、そこを考えてみた場合に、あなた方もふに落ちないことが一、二あるでしょう。あなた方の責任ではありませんが、一つの大きな壁があるのです。どこの世界でも、ヨーロッパ各国でもアメリカでもごらんなさい。みんなリットルびんじゃないですか。各家庭においてもそうです。いわんや集団飲用をするところにおいてはかん送で持ち込んで、そこでいわゆる殺菌をし、そしてちゃんとした冷蔵庫に入れるような設備をすれば何が危険ですか。どこの家庭でも低温殺菌をしたものをそのまま飲む人はないでしょう。冷蔵庫から出してそれをあたため砂糖を入れて年寄りや子供に飲ませるようにしていますよ。それをいわゆる占領軍の指導したあの戦後の状態のまま法の改正をしないというところに、生産者と学校給食とがほんとうに結びつかない原因がある。農業団体に熱意があってもなかなかそれが進まない、こういうことになっておる。隘路は、通達を何十べん出されてもいまだに解決しておらないのですから、通達ではなしに、法改正に踏み切るべく努力をしてもらいたい。これを私は言っておるのですよ。ですから私が指摘した三十四年十一月十七日以降にどういう方針を示されたか。僻地ではなしに、平地であろうとどこであろうと、——都市はひとつこれから検討を要すると思っておりますので、そう簡単にはいかないと思っておりますが、しかし生産地帯においては、何もそんなにちゅうちょすることはありません。なぜできないのですか。それがやれない理由を聞きましょう。
  70. 恩田博

    ○恩田説明員 だいぶ足鹿先生からおしかりがございましたが、アメリカとかヨーロッパその他の国の実例のお話がございましたが、わが国の牛は健康が非常に悪うございまして、大体三〇%ぐらいが乳房炎にかかっておるといわれております。それから屠場で検査をいたしますと、三〇%くらいが人畜共通の病気にかかっておるのであります。そういう関係で、農家でしぼった牛乳で直ちに飲めるのもありますが、十頭の中で四頭くらいはそうじゃないのがあるのであります。そこで消毒だけは完全にしてもらいたいということを三省協議会の席でも申し上げて了承を得まして、殺菌装置だけはひとつ三省共同で設置するように努力しようという話になったのであります。  一応日本の乳牛の健康状態の内容を若干申し上げまして説明にかえたわけでありますが、この乳房炎の原因は、かつて「雪印」が事故を起こしました八雲の粉ミルク事件がそれであります。それから結核ですが、牛の結核そのものはだいぶ減ってまいりましたが、欧州その他の国の農家でしぼった牛乳を見てみますと、しぼって間もなくの牛乳の中におります菌は大体十万くらいが普通のようであります。これは国によって違いますが、日本は四百万と規定しておりますが、この四百万に合うのが現状においては半分にも満たないということで、農家でしぼります牛乳が少なくとも欧米並みに、コンマが一つ落ちる程度に何とかこれを格上げしなければならないということで精一ぱいの努力をいたしておるのであります。それやこれや先生方が要求されます方向に持っていきます前の段階として、なかなか多難な仕事がございますので、御期待に沿い得ないことはまことに申しわけないと考えております。
  71. 足鹿覺

    足鹿委員 農林省はいまの答弁でいいのですか。それではこれから農林委員会でこの問題をやりましょう。乳房炎のせいでできないといういまの理由ですが、乳房炎の牛からしぼった乳であるということがどうして一々わかりますか。農林省はそれに同意したと言われますが、ほんとうですか。一体乳房炎であるかどうかということを、あなた方は一々牛を検査して知っておりますか。現在はタンクローリーによって福島から東京まででも送っておるという段階じゃないですか。何を言っておるのですか。そんなしろうとだましのことを言ってもごまかされませんよ。消毒とは一体何を目的にしてやるのですか。乳房炎のある牛からしぼった乳が子供のために悪い、こういう論理ですが、おそれ入ったものですな。農林省はそれでいいのですか。
  72. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 乳房炎の話は私先ほどから聞いておったわけでございますが、私も正直に申し上げまして、そのほうの専門家でございませんので、実情をよく調査いたしたいと思います。そうして、後ほど御返答いたしたいと思います。
  73. 足鹿覺

    足鹿委員 恩田さんですか、少しあなたは委員会をなめちゃいけませんよ。そういう答弁でこの食品衛生法の改正がしぼられているなんということは、これは納得できません。いまの言質は重大な言質ですよ。じゃあなた方は一々日本国じゅうの牛を検査して乳房炎検査をやっておりますか。そういうことを言えば、もうほとんど乳房炎にかかっておると言わんばかりの御答弁です。都会の人は低温殺菌をしたものを飲んでおるから害はない。——では明治なら明治の工場まて、あるいは協乳なら協乳の工場まで運ぶ間はどうするのですか。みんなかん送になって入ってくるんですよ。第一、低温殺菌といえども、一応高温にしてそれを急激に冷却するだけのことですよ。何も低温殺菌は特別のものではありません。何を言っているんですか。乳房災の牛があるから子供に悪い、そんなばかなこと——委員長、わけのわからぬこういう答弁をして一時を糊塗されるような態度はよろしくないと思うのです。また厚生大臣にも御出席願ってこの法改正の問題は一歩前進の形をとらなければならぬと思うのです。いまの恩田さんの御答弁では私は絶対承服できません。農林省といえどももっといまの答弁を検討され、三省協議会で了解を得たという——三省協議会は消費拡大のため設けられた。そうして特に私どもが追及をした結果、この学校給食の問題も含めてやる。こういうことになってきたと思うのですよ。それを旧態依然とした考えを持っておられることは私どもは納得ができません。慎重に検討すると農林省がおっしゃいますから、これ以上農林省には申し上げませんが、文部省はこの点もっと自分たちの立場に立って、学校給食に生乳給食を推進する立場に立ってどう御判断になりますか、もっと自主性ある立場を御説明願いたい。
  74. 前田充明

    前田政府委員 三省協議会の結果なかなかむずかしいということはいま厚生省からお話しになったのですが、私どもとしては生産地の牛乳を少しでも安くしなくちゃ困る、そうしなければ生産地から一ぺん下へおりてまた生産地へ返ってくる、いかにしても児童と申しますか、父兄負担は減っていかない。そこで考えましたのがいまお話しのとおりの高温殺菌という問題で、ことしは大蔵省との折衝ではともかく試験的にということで、各ブロックの生産地に一つずつ、十カ所だけは、一応学校に生乳殺菌機を備え付けるという予算を組みまして、これからやる予定を立てておるわけでございますが、いまお話しのようにそういう問題でもし子供に影響があればたいへんなことになりますので、一応試験的という考え方で思っておりますが、しかし私ども考えは、将来の問題としてさらに検討いたしたいのでございますが、こういう殺菌の責任を学校自体で負うということは一体いかがなものであろうか、むしろその村なり何なりの農業協同組合あたりの専門的な立場でおやりくださるほうがあるいはいいのではないだろうか。私どもとしては幾分試験的な気持ちがございまして、学校でやるよりは農協のほうがいいかもしれない、そこが問題点だと思っております。しかし、ことしはほかに方法がなかったのですから、文部省としてはとりあえず学校に一応そういうシステムをとる実験を——実験というとはなはだ失礼な言い方ですが、一応やってみたい、かようなのが私どもとしては先生のおっしゃる三省協議会の結果から出てきた一つの対策なのでございます。
  75. 足鹿覺

    足鹿委員 あなたの答弁としてはやや無理だから、一応先を急ぐから申し上げますが、とにかく三省間でこの問題についてはさらに検討して対処する、こういう両政務次官からの御言明があればこの問題はこの程度で先へいきますが、どうですか。いまの恩田さんの答弁などは私は絶対に承服できません。
  76. 押谷富三

    ○押谷政府委員 きわめて重要な問題でありますから、足鹿委員の御意見のごとく、重ねて三省協議会の議に付しまして大いに検討をして、御意思に沿うような方向に進めたいと存じております。
  77. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 農林省といたしましても、学校給食を通じまして自給圏の拡大をはかることはもとより希望するところでございますから、いま文部政務次官もお話しになりましたように、ぜひ責任を持って善処いたしたいと思っております。
  78. 足鹿覺

    足鹿委員 委員長、済みませんが、もう二、三問お許し願いたいと思います。それでは三省協議会で対処するということでありますから、きょうのところはこれで一応先へ進みます。  生乳給食の受け入れ体制の問題ですが、文部省は施設助成として三十八年五億八千万、三十九年には僻地校分として三百校分二千万、相当な予算を計上しておられます。これは脱粉給食であります。しかるに生乳給食の完全実施化に関しては、今回農林省が提案されました酪振法の一部政正の問題に依存するだけでありまして、先ほど来計画の策定、年次計画の公表等についてもこれからやるんだ、いまはわからぬという情けない状態でありますが、とにかく給食法制定以来十一年を経過しておる。したがって、もっと受け入れ体制の整備ということに政策の方向は一本大きな柱を立てられる必要があると私は思います。ところがことし見たところによりますと、生乳給食に関しましては施設費補助として十校分、わずか百万円の補助が計上してあるにすぎません。そうすると、勢い脱粉のための施設補助にまだ中心が置かれておって、そうして生乳給食の点については非常に軽視しておられるというふうに私どもはこの予算面から見ると考えざるを得ない。その点についてもっと生乳給食の受け入れ体制を整備される必要があると思いますが、文部大臣にひとつこの点を伺っておきたい。  それからその具体的な問題でございますが、御承知のとおり冷蔵庫等の設置がぜひ必要でございます。特に学校給食の場合は十二時から一時までの間に何千本のものを一度に持ち込んで、そうして児童や学童に飲ませなければならぬ。ですから、どうしても配送費というものが増加することがあると思う。これを未然に防止していくためにはどうするかというと、かん送して持ち込んだものを——付近の農協等から持ち込めば一番いいわけですが、学校でやられる場合は、冷蔵庫を設置すれば、二千本入りのキャビネットであります場合は移動式で十五万円くらいでできると私は専門家意見を徴しておるのであります。ということになりますと、これはやり方によっては十分可能だと思うのです。かん送のまま持ち込んだものを熱気消毒をして、それをキャビネットに保管をしておいて、児童に時間がくれば一斉に飲ませる、こういうふうにすれば——いわゆるびん送のまま持ち込む、しかも一斉に飲ませるというためには、一つのトラックが何回も往復するわけにまいらぬから、一斉に運転すればそれだけ配送費が高くつくというものでしょう。ですからそういう点については、もう少しあなた方が対案を練られる必要があると思う。そうして少なくともことしのような百万円というような情けないことでないように対処されなければならぬと思いますが、いかがですか。
  79. 前田充明

    前田政府委員 学校で生乳殺菌をする場合は、先生のおっしゃるとおり私どもも思いますし、それからそうでなくて牛乳を取り扱う以上は、冷蔵庫のあることが最も必要なことであることは私も全く同感に思っております。したがいまして実は予算要求としては、いわゆるセンターにおいては考えたのでございますが、学校まで実はまだ及んでおりません。生乳の受け入れ態勢として学校に冷蔵庫を置くことも今後検討いたしたいと思うのでございますが、何と申しましても物品で、ことに腐るものを学校に長く置かれるということは、学校の校長さんの責任がそれだけ増すわけなんでございます。したがいまして私どもとしては、なるべく学校に物が置かれる時間が少ないほうがいいという考え方なんでございます。  そこで、そうしますと一体受け入れ態勢を強化することでいくべきものなのか、持ってくる人のところがそういう方式を——いまびん送にすれば非常に輸送賃が高くなるというお話もございますが、ともかく私ども結論がまだないのでございますが、学校の責任なり負担なりというものをできるだけ軽くしてあげたいというのが私どもの気持ちなんです。しかもそれを安くということでございますので、非常に矛盾ではございますが、その辺については、これは生産者と申しますか、あるいはメーカーと申しますか、そういう人たちとよほど話をすると申しますか、かけ合わないとなかなか問題が解決しない。そこが私どもの難点でございますが、先生のおっしゃるとおり、もっと研究をいたさなければならなぬということは考えますので、十分検討さしていただきたいと思います。
  80. 足鹿覺

    足鹿委員 要するにこの受け入れ態勢というものが、学校がやるにいたしましても、その地域における学給がやるにいたしましても、いずれでもそれは同じであります。要するに冷蔵施設等があり、それに対して国が熱意を持って奨励するからには、何らかの予算措置等においても援助してやる、あるいは都道府県や市町村がやった場合には、それについては地方公共団体のほうでもめんどうを見る。こういうことが総合化されない限り、三百五十万石を四十六年に実施するなどといっても、私はそれはなかなかむずかしいことだと思います。農林省はそういった点について、農林省自体が所管しておるこの酪農民のいわゆる手取り価格をふやして、一石二鳥ないし一石三鳥の成果をあげるような対策自体を、農林省としてもお考えになる必要が私はあろうかと思いますが、この点いかがでしょうか。
  81. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 学校給食につきまして、生産者団体が積極的に学校に廉価な牛乳を供給する、そして父兄負担の問題も、生産者の価格の問題も同時に合理的に解決されるということは非常に喜ばしいことだと思っております。そういう意味で、特に三十九年からは学校給食を計画的に行なうというような方向になりました今日、文部省とも相談いたしまして、施設の問題につきましても検討いたしてまいりたいと思っております。  ただ四十五年度におきましては、一件でざいまごすが、地方の競馬のほうからもひとつ出すというようなことを予定しているものもあるわけでございます。
  82. 足鹿覺

    足鹿委員 この点は重要でありますので、十分御推進を願いたいと思います。  時間もだいぶ経過しましたので、二、三一括してお尋ねをしますので、当局のほうもそのつもりで正確に御答弁を願いたいと思います。  これは私の県だけかと思いますが、この間聞いたところによりますと、夜間高校の生徒に、教育委員会としてはなま乳まで飲ませたいという計画を持っておるそうですのに、畜産事業団が補助金を出すことを認めないというような話をしておりましたが、どうですか。
  83. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 夜間高校に補助金を出さないというのは初耳でございまして、そういうような指導はいたしておりません。
  84. 足鹿覺

    足鹿委員 夜間高校の分も対象になるわけですか。
  85. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 対象になるわけであります。
  86. 足鹿覺

    足鹿委員 次に幼稚園等の生乳給食の対象はどうなりますか。
  87. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 ただいまのところ幼稚園は対象として実施しておりません。
  88. 足鹿覺

    足鹿委員 将来はどうしますか。
  89. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 先ほど申し上げました三百五十万石の数字の中には一応入れてはおりません。その問題も含めて研究いたしたいと思っておるところであります。
  90. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは最後にお尋ねをいたしますが、生乳給食の法制化の問題についてであります。今回の酪振法の一部改正は、若干の農林省の熱意の一端を示すものとして私どもは修正可決に踏み切ったわけであります。しかしこのような酪振法の一部改正をもってしては、学校教育の一つの大きな柱ともいうべきこの問題は解決しないと私は思うのです。そこで完全な独立立法を制定する必要があると思いますが、私どもはこの点について、学校給食の用に供する牛乳の供給等に関する特別措置法案及び学校給食法の一部改正案をちゃんと提案をして、そうして私どもの具体的な方針を示しておるのです。ですからわれわれはただ架空の議論をもってあそんでおるのではなくして、責任ある態度を持って今日に至っておるということを御認識願っておきたいと思いますが、これは引き続き継続審議になっておりまして、一ぺんこの提案者を当委員会に呼んで、そうして少なくともそこにすわってもらって審議をしてもらいたいと思うのです。先ほど山中委員からもお話がありましたが、議員立法はたとえ与党であれ野党であれ、立法府の立場から出しておるものでありますから、これだけ大きな問題になっておる学校給食の問題について、小なくとも私どもが出しておるものがいいのか悪いのか、どこに欠陥があるのか、与党の諸君が、欠陥があるならば大いに追及をして、そうしてこれはよかろうということになれば、私ども修正が必要となれば修正にも応じますが、少なくとも酪振法の一部改正をもってして今日のこの情勢を切り抜けるということは私はできないと思います。対大蔵省の予算関係の面からいいましても、私は困難性があると思います。そういう点で生乳の学校給食についての独立立法を政府としては取り上げて検討し、できる限り早く提案をされる御意思はあるかないか。先ほどからしばしば申し上げておりますように、これは脱粉の見通しの上からいいましても事態は急迫しておると思います。その点について文部省なり農林省の統一の見解がありましたら伺っておきたいと思います。  それからいま一つ厚生省に申し上げておきますが、私の調べたところによりますと、先刻来のあの通達の問題ですが、生乳給食の実施にあたって都道府県衛生課が法規をたてに介入がましいことを方々でやっておる。これをそういうことのないように、三省協議会結論については共同通達等を出して、法改正が早急に実現される間対処される御意思があるかどうかということを、両政務次官がおいでになりますから、これもあわせて御答弁を、先ほどの体育局長答弁で悪いというわけではありませんが、これは政策上の問題でありますから、両政務次官から御答弁をわずらわしておきたいと思います。
  91. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 酪農振興の立場から学校給食が重大なことは申すまでもありません。ただこれを直ちに単独の法律として制定するかどうかということにつきましては、政策論の立場からいろいろ意見があるところでございまするが、今日農林省といたしましては、先般御審議願っておりました酪農振興法の改正ということで、今日の段階におきましては少なくとも事足りる、かような考えでいま進んでおるわけでございます。
  92. 押谷富三

    ○押谷政府委員 ただいま舘林農林政務次官からお答えがございました。これも重要な問題でありますが、ここには議員提案等の関係もありまするので、舘林政務次官のおことばのごとく、ただいまはそういう意見はございませんが、しかし十分研究をいたしたいと存じております。
  93. 足鹿覺

    足鹿委員 もう一問で私の質問は終わりますが、ここで議論をしていく気持ちはありませんので委員長に最後に申し上げておきます。先ほど述べましたように、生乳給食において成果をあげておる事例は数々あります。当委員会としてはこれを超党派の立場現地調査をして、そしてこの問題を急速に具体化する、同時に私どもが提案をしておるものについても審議を進めていただきたい。そういたしますならば事態は明らかになると思います。ただここで論議をしておりましてもらちがあきません。文部省も農林省も厚生省も立ち会って、そして優秀な事例を現地で見て、そして問題の一歩前進のきっかけをつくるべきだと思います。私はこれを提案をして、与野党の区別なくひとつ委員長として早急に善処されんことをお願いを申し上げまして、私の質問をきょうは終わります。
  94. 渡海元三郎

    ○渡海委員長 別途理事会でよく協議の上、善処さしていただきたいと存じます。御了承をお願いいたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十四分散会