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1965-02-24 第48回国会 衆議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十四日(水曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 渡海元三郎君    理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君    理事 坂田 道太君 理事 南  好雄君    理事 八木 徹雄君 理事 二宮 武夫君    理事 三木 喜夫君       木村 武雄君    熊谷 義雄君       床次 徳二君    中村庸一郎君       橋本龍太郎君    松山千惠子君       高橋 重信君    長谷川正三君       前田榮之助君    鈴木  一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         文部政務次官  押谷 富三君         文部事務官         (大臣官房長) 西田  剛君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君         文部事務官         (体育局長)  前田 充明君  委員外出席者         専  門  員 田中  彰君     ───────────── 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 渡海元三郎

    渡海委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。鈴木一君。
  3. 鈴木一

    鈴木(一)委員 主として大臣にお伺いしたいと思います。  この前の所信表明を拝聴いたしまして、大臣文教行政に対する心がまえを拝聴したわけでございますが、その中で、現在日本国家にとっても相当重要な案件であります、また本国会としてもそろそろ結末をつけなければならないILO八十七号条約批准につきまして全然触れておらないわけでございますが、これは長い経過もございましたし、非常にデリケートな問題でございますので、あるいはそういう一つの含みがあってお触れにならなかったのかと思うわけでございます。この八十七号条約は、私から申し上げるまでもなく、国連の世界人権宣言と肩を並べる近代社会の大きな鉄則とされておる条約であるわけでございます。したがって、いろいろ事情がありましても、この段階におきましては、この国会でぜひこれは批准をしなければならないと私たちはかたく信じ、そういう方針で今日までわが党としてきておるわけでございますが、これに対する大臣のお考えを承りたいと思います。
  4. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まずILO八十七号条約について、私の所信の中に触れておりませんでしたのは、他意があるわけではございませんで、総理大臣所信等にも明らかにされておりますように、またただいまお示しがございましたように、私どもとしても八十七号条約批准ということは一日もすみやかに批准の運びになりたい、またやらせていただきたいという気持ちでおるわけでございます。したがって、これは当然のことと思いましたので、あえて触れなかったわけでございます。
  5. 鈴木一

    鈴木(一)委員 私から申し上げるまでもなく、これは昭和三十三年以来の懸案事項であるわけでございます。全逓の提訴から始まりまして、ILO日本に対して十五回の批准を勧告しておるわけでございます。また日本政府早期批准するということをILOに対して十三回公言しておりながら、今日まで未解決のままにきておるわけでございます。結局最後には、この間のドライヤー調査団の派遣ということになったと思うわけでございますが、この調査団が一月二十三日に政府並びに労働組合あての提言の中で、この条約早期批准ILOの中において自本に工業先進国としての地位にふさわしい影響を与えるためにも望ましいのだ、こういうことまで言っておるわけでございます。このことばは、私非常にデリケートな、意味深長なことばだと解釈しておるわけでございますが、このままでいけば、あるいはILO常任理事国としての地位日本は失うかもしれない、そういったようなことも解釈できるわけですね。と同時に、貿易というような日本経済に大きな影響のある問題に対しても相当の不利益を免れない、そういったような感じもするわけでございます。私としては、いまの日本実情を見た場合、やはり貿易相当振興して、それに依存しながら国力を高めていく以外にない、これは私、日本経済の宿命だろうと思っております。ですから、そういうものに対してまで、批准をしないために大きな影響を受けるということは、国家的にも大きな——文部省、一日教組とか、そういうような問題ではなくて、国民的な相当関心事でなければならないというふうに私は考えておるわけでございますが、最近のILOの問題の推移を見ますと、文部省日教組の問題にしぼられておるというような感じがするわけでございます。それほどいまの文部省立場が重要な段階に来ておると私思うわけでございますが、いままで文部省としては、日教組けしからないから会わないのだという方針を堅持せられて今日まで来られたと私思うわけでございます。それは長い一つの過程においては、けしからぬから会わないということも私は一つ方法だと思います。態度だと思います。しかし、会わないという方針は、この次に会うための、あるいはまた問題を解決するための有力なる手段、方法として考えられるならば、私はそういう会わないという時期もあってもいいと思いますけれども、いつまでも会わないんだというような考えは、かえって双方立場を極分化していって、抜き差しならないところまでいってしまうのではないかという感じもするわけでございます。会わないという政策ならば、だれでもできると思うのです。ばかでもできると私は思うのですよ。やはり相手が気に食わなくても会って、もし相手の悪い点があったならば、もっと高い立場からその悪い点を指摘しながら、みずからのペースに巻き込むくらいの高い立場に立って文教政策をやってもらわなければならないと思うわけでございますが、どうも会わないというふうな方針だけで今日まで来た。これがやはりILO条約批准を妨げてきた大きな原因ではないかというふうな感じがするわけでございます。文部大臣は就任直後は、問題解決のために日教組に会ってもいいというふうな考えも持っておられたやに聞いておるわけでございますが、やはり荒木文相以来の前からの方針を最近では堅持されておるようにも聞くわけでありますが、その間のことについて詳しくひとつ承りたいと思います。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほども申しましたように、総理大臣施政演説にもはっきりいたしておりますように、国民経済的な観点に立って労使双方の不信というようなことを調和していきたいというような趣旨が総理大臣施政演説にも出ているわけでございます。国民経済的な観点に立ってということを施政演説でも強調している次第であります。その考え方は、ドライヤー委員会委員長が先般日本に参りまして、離日にあたりまして提案した一つの文書、ただいま御指摘がございましたが、日本国際経済一員として発展していくために、八十七号条約批准が非常に望ましいことである。これは私は、考え方として非常に通ずるところがある。かように考えておりますので、政府全体としては誠意を尽くして八十七号条約批准を一日もすみやかに行なわれることを期待している。かような背景にあると考えるわけでございます。  そこでその次の文部省日教組の問題に及んで申し上げたいと思いますけれども、これはいろいろの観点から考えていかなければならないと思いますが、まず第一に私の考えといたしましては、教職員組合の問題というものは、基本的に民間の労使関係、あるいは公企業体等労働者との関係ということと、根本的には質の違う要素相当あるのではないかというふうに私は認識しておるわけであります。もちろん勤務条件、あるいは給与といったようなことについてはオーバーラップしているところももちろんございます。しかし事は教育という基本的な問題に深く関連を持っているものでありますから、他の労使関係とは異なりまして、たとえば国民経済的の観点とか、あるいは国際経済社会一員としてというようなこととはまた別の大きな要素を持っているものだ。私はこういうふうな基本的な認識に立っているわけでございます。  そこで、それならば日教組との間をどうするかということでございますが、そういう基本的な認識と、もう一つの問題は、現在の日本における制度、あるいはその制度に基づくいろいろのやり方というものが、また別に存在しておるわけでありまして、たとえばこれを勤務条件ということに限定して考えてみた場合におきましても、終戦後において教職員、その大部分が地方公務員であって、そしてそれが義務教育関係に裏表になっているわけです。たとえば人事権にいたしましても、地方当局との間の人事関係であります。また給与決定権というものも地方当局にある。したがって話し合いということになりましても、これは現行制度でも認められておりまするし、また政府提案しておりまする八十七号条約関連する法律案として望ましいと考え提案いたしておりますものの中でも、地方当局地方公務員であるところの教職員との間には話し合いがもちろんできることになっております。そういう点から申しますと、文部大臣としては当事者であるところの人事権を具体的に持っていない。給与決定権を持っていない。そういうふうな制度から申しましても、いわゆる中央交渉といったような団体交渉というものの当事者ではあり得ない。またそういうことが終戦後の教育制度として望ましい。教育民主化、また地方自治尊重ということからいって、その制度が望ましい。その望ましい制度の中において適切に処理をする方法というものは現にあるし、また、ただいま関連法案として提案いたしておりますものの中にもそれは認められておる。こういう角度から申しましても、今度基本的な問題と離れて見ても、文部大臣あるいは文部省というものが直接の当事者ではない。したがって中央交渉というものもあり得ないものである。かように私は考えざるを得ないと思うのであります。そういったようなことがございまするので、いわゆる中央交渉というようなものは、日教組が主張されておるような角度からは、私は取り上げていくことはできない。そこに意見の対立、食い違いというものがあるということを申し上げざるを得ないわけであります。  そうしてさらにその次の問題としては、そういうことをも十分わきまえられて、日教組というものが今後前向きに問題を処理していくという立場をとられるならば格別でありますが、そこに従来からのいろいろの経緯がある。その従来のいろいろの経緯あるいは文部省側から見てのそういったようなかっこう経緯や体験を通して、現在の段階においてそういったような制度的や法律的な問題を離れても、会うというようなことが望ましいことではないという考え方を従来もとり、また現在私もとらざるを得ない。こういう状況でありますことが現在の状態であるわけであります。  それから今度はまたもとへ戻りまして、ドライヤー委員会はああいうふうな提案をしておる。そうしてそういったような具体的なと言いますか、個別的な問題を離れて、ひとついろいろの意味で友好的なと言いますか、雰囲気をやわらげていくという意味から言って、政府使用者労働者とこの三者の間において一般的な問題について、とにかく話し合うことも問題全体の解決スタートとして望ましいこととして示唆されております。これに対しましては、文部省だけの問題ではもちろんございません。政府全体としてその提案を誠実に受け入れて、それの実行に入ろうというわけでいろいろと話し合いというところまではまだいっておらないかもしれませんけれども、いろいろの動きがございますことは御承知のとおりでございます。そういう動きを十分静観し、そうして私がいま申しましたような文部省あるいは文部大臣としての立場というものを一方に踏まえながら、今後適切な行動をとっていきたい、こういうふうなことが率直に申しまして現在の置かれておる立場であり、また私ども考え方である、こういうような状態であります。
  7. 鈴木一

    鈴木(一)委員 ただいま概略を伺ったわけでありますが、教員立場あるいはまたその教員がつくっておる組合というものは、単なる公共企業体労働者とは違うのだ、そういう点は私も同感であります。月給取りである限り、労働者というふうな範疇からもとらえることもできると思いますけれども、同時にやはり教育というふうなもっと大きな使命を持った一つ専門職だというふうに私も考え、その点は同感でございます。しかし現在の文教政策——形式上は地方と国と分かれており、また教員地方の職員であるという身分にはなっておりますけれども文教政策基本になるものは、ほとんど全部文部省から源を発しておるということが言えると思うのですね。企画、立案、一切のことは文部省がやっておる。これを受けて実際教育をしておるのは教員であるということだと私は思うわけです。ですから、これはたとえば少し悪いかもしれませんけれども、大きな建築あるいはまた土木工事をやる場合に、設計のほうは文部省がやっておるが、実際の施工は、教育委員会とかいろいろなものがありますけれども、実際の施工担当者学校の先生、教員だと私、思うわけでございます。ですから、設計する者と施工する者とが呼吸が合わないというようなことではりっぱな仕事はできないと私は思うのですね。ですから、中央交渉権というふうな法律上の根拠があるとかないとか、あるいはまた地方公務員であって自分たち任命権者でないからこれと会う必要はないのだというふうな考えでは問題は解決しないと私は思うのです。やはり両方とも大きな国の文教施策のにない手であるのだということから、お互い意見を交換し、意思疎通をはかっていくということによってこの問題は解決し得る問題だと私思っておりますが、法律にないから会わないのだ、したがって会えるような法律をつくれというようなことは、確かに行きがかり上そうなるかもしれませんけれども、これはあまりにも法律万能主義であって、ものごと本質をとらまえていないと私は思うのです。ですから、まず法律があったのじゃなくて、まず最初に人間関係があったのだ、企画、立案する文部省と、それからそれを実行する教員と、そういう一つ法律以前に人間関係があったのだ、こういうふうな考えに立てば、そこにILO条約批准の最大の障害である日教組文部省の問題も解決糸口が出てくるのではないかというふうに私は感じておるわけでございます。あまりにも法律にとらわれ過ぎるということはかえってものごと本質を見失ってしまうのではないかというふうな感じが私はするわけでございます。いま大臣は、情勢の推移を静観する、その中で、文部省立場を踏まえながら進んでいきたいというふうなお話でございますが、それは一時は静観してもいい時期があったと思いますけれども、やはりここまでくれば、先ほどからも私が申し上げました国民的な立場から、国家的な利益という立場から、静観ではなしに、進んで隘路を打開するために、文部大臣ははっきりした立場をとって進まなければならない時期にきているのじゃないかというふうな感じが私はするわけでございますが、重ねてその点をお伺いしたいと思います。
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 鈴木委員のお考え、また示唆のある御発言に対しましては敬意をもって拝聴をいたしておるわけでございます。私も法律万能というような考え方は持っているわけではございませんけれども、そこにやはりその法律以前というか、従来からのいろいろのいきさつあるいは従来から堅持しておるところの日教組側態度というものも、同時にそこにも問題があると私は思いますので、そういう点を十分に考慮していかなければならないと思うのであります。それから、たとえば先ほど設計というお話がございました。これもごもっともだと思いますが、たとえば勤務条件等関連する問題としても標準法があるとかあるいは国庫負担法があるとかいうようなことはもちろん前提としてあるわけでございますが、こういうふうな問題は、文部省としては国会を通して、こういった立法その他の場において論議がかわされるべきものであって、一つ団体との間に、そういった問題に触れた対等の交渉というようなことはあり得ないことである。これは法律以前の一つの筋の問題であり、また議会主義というような問題にも触れてくる大きな問題ではなかろうかと私は思います。したがって、日教組の側においてはどういうことをいままで主張してきたかということにもこれは関連して、お考えをいただかなければならぬと思います。そこに非常にむずかしい問題があるのではないか。いわゆる中央交渉として主張されていることは、こういった種類の問題を含めて、団体交渉あるいは団体協約前提にし、あるいはさらにはもっと基本的な考え方があるのではないかと私は見ておるわけであります。そういうことはこういう点に触れてまいりますから、これも法律的というおしかりを受けるかもしれませんが、いろいろの問題について意見のある方、あるいは不平不満のある方が、憲法に保障されている規定に基づいて陳情をされる、あるいは意見請願をされるというようなことならば、私は、問題はまた別に解決ができると思うのであります。  実はお尋ね以外になりますけれども、たとえば学校給食の問題のあり方をどうしてほしい、あるいは高校全入運動というようなものも一面にあるわけでございますが、そういったようなことについていろいろと御心配の向きから陳情といいますか、話を聞いてくれという申し出は盛んにございますが、そういう場合には、私も時間の許す限り一般的な御意見、御陳情は伺うことにつとめておるようなわけであります。そういうふうな態度で現に私はおるつもりでございますが、いま申しましたような、私のほうから申しましても、率直に言えば法律以前の問題が日教組側にもある、こういうことを指摘しておきたいと思います。
  9. 鈴木一

    鈴木(一)委員 もちろん日教組文部省が、普通の労働組合のような形で団体協約を結んで、そこが何もかも一切文教政策をやっていくのだというふうなことは私も考えておりません。やはり日本憲法のたてまえ上、国会がすべてそういうものを議すべきものだと私は思っております。しかしその国会までくる前の段階として、日教組なりあるいはまたその他のそういう団体があったら、そこと、現場意見というものを文部省は十分聞いて、そして取り上げるものは取り上げて、そうしてそれを国会に出してきめていくというふうにするのが当然だと私思います。ですからその点については、大臣とはそう意見が違っているとは思いませんが、しかし日教組としても、組合員のすべてがそういうことを希望しているわけでもないと私思います。また日教組幹部も、実際いま中央交渉権のことを強く申し入ればしておるけれども、それが入れられなければ、このILO批准には反対なんだ、これを流してもいいのだという考えではないと私は思っております。一応いままでの行きがかり上、そういうふうな問題の提示はしているかもしれませんけれども、ここで文部省政府側としては陳情請願というふうな形に受け取りたいかもしれませんけれども、そうはっきりレッテルを張らなくても、とにかくお互い意見疎通をいままでやっておったわけですね。前の松田さんのときまではいろいろ会われておったわけですから、ああいうふうな形で、双方意思疎通の場が開かれれば、日教組としてはそれで満足ではないかもしれませんけれどもILO条約批准に対して決して反対するものではないというふうにわれわれは考えておるわけでございますが、お茶を飲む程度の会合だとか陳情だとか、請願ならば受けてもいいのだというふうな少し法律にこだわり過ぎた、立場にこだわり過ぎたやり方だろうと思うのですけれども、そういうふうな狭くものごと考えないで、先ほど私が申し上げましたように、まずとにかく教育企画立案する者とそれを実際に行なう者とが会ってみるのだというような形で問題の処理はできるのじゃないか、そういうふうな道が開かれれば、それを一つ——ドライヤーの勧告がありますように、起点として日本の新しい労使関係出発点としてというふうなことになり、この問題の解決はさして私は困難ではないと思っておるわけであります。もちろんこれはたとえば日教組倫理綱領その他も私も拝見しましたけれども、これは一つ考え方であるかもしれませんけれども、われわれが知っておる現場の教師にそれを聞いてみると、いやそういうものがあったのかというふうな程度の人も多いし、また同時に自分たちは決してそれに賛成しているわけじゃない。これは日本労働組合一つの欠陥だと思うのですが、上のほうできまったものはいろいろ討論はあってもそのまますっときまってしまう。下のほうからお互いが十分討論しあってそうしてものごとをきめていくというふうなことは、市民社会を経験しない日本人にとってはなかなかやりにくいことだと私は思うのです。したがって倫理綱領のような考え方教員のすべての人がおるのだというふうに即断することも私は間違いじゃないかと思うのです。そこにやはり問題の解決糸口をつかめない、かたくなな考えがそこから出てくるのじゃないかと思うのですが、何しろこれは国家的な大きな問題でもあり、国際信用にもかかわる問題でありますから、あまり何といいますか、筋を通すというがために、法律にこだわり過ぎて解決糸口をこの機会に失うようなことがあっては私非常に困ると思うので、重ねて大臣の所見を承りたいと思います。
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ドライヤー委員会のその提案におきましても、いわゆる日教組文部大臣中央交渉というようなことには全然触れていないということは、やはり問題の本質上公正な第三者というか、調停機関としてよくわきまえられた結果ではなかろうかと私想像しているわけでございます。そしてドライヤー提案というものを、先ほど申しましたように尊重というよりはそのまま受け入れまして、そうしてそれを全般的な日本の労使問題の解決の第一歩、スタートにしたい、こういう気持ちで私も内閣の一員として誠意を尽くしてやってまいりたいと考えております。それから日教組組合全員倫理綱領基本綱領としていないのではないか、あるいは全体の気持ちがいわゆる日教組役職員によって主張されているのとは違うのではないか、あるいはさらに進んで日教組幹部諸君も、世間で言われているように中央交渉ができなければ批准に反対せざるを得ないと言っておるのが言い過ぎで、戦略的に言っているのではないかというようないろいろの御指摘に対しましては、私もそういう見方もあろうかなと思いますけれども、特にこの全体の組合員人たちが決してそう思っていないであろうことも、私も期待いたしたいのでありますけれども、やはり組合との間の問題を律する場合におきましては、そのあかしが私としては必要である。それが日教組側においても実際のほんとうの考え方がそうなんだというのならばそういう考え方がこういうふうな大事な問題のときでありますから、これもまた過去のいきさつとかあるいはいわゆる小乗的な組合対策というようなことをもう少し飛び越えて、前向きによい教育が国民全体の期待に沿うようにできるような、そういうかっこうを現実に示される時期が来ているのではないか。もし実情がそうであるとするならば、そういうような感じを持っておりますことを申し上げてお答えにかえたいと思います。
  11. 鈴木一

    鈴木(一)委員 それはやはり大臣日教組というふうなものに会わないからだと思うんですね。道がふさがれてしまっておるから、そういうふうな感じを持たれると思うのですが、やはりこれは積極的に——積極的ということばは少し過ぎるかもしれませんが、会っておれば、日教組の中のあるいはまた組合員気持ちというものもわかるでしょうし、また一つ制度というふうなものができ上がれば、そのでき上がった当時はああいう倫理綱領もつくったかもしれませんけれども、それがその後やはり相当の時間も経過しておりますし、人の心もあるいは組織の中もやはり変わっていっていると思うのです。その変わっていっているという状態が、会わないために、私はなかなかつかみにくいのではないかというような感じがするわけでございます。道はもう最初からあるのじゃなくて、お互いが行き来するから道ができていくと思うんですがね。ここ数年お互いが行き来しないがために道があとかたもなくなってしまった。したがって相手は何を考えているのか、どういう変化があったのか、なかなかつかみにくい、そういう実情であると私思うのです。少ししつこいようですけれども、あまりこだわらないで、いま非常にいいことばを言われましたが、小乗的じゃなく大乗的な見地に立って、もしこういう点が、いま大臣指摘されるような点についてどうなんだということが言われてこそ、初めて問題の解決糸口が私は出てくるのではないかと思うのです。ドライヤー調査団の見解は、私は大臣もいま指摘されましたとおり非常に日本労使関係の核心をついていると思っております。非常にいい勧告だと私は思います。政府もまた関係労働組合も、これに全面的に賛成して受け入れるものだということを期待しておったわけでございますが、組合側がこれに対して受け入れられないということの意思表示があったことを、私は非常に遺憾に思っておるわけでございますが、しかし調査団の見解をまとめてみますと、八十七号条約のまず早期批准が望ましいんだ。そのためには公労法とそれから地公労法の抵触する部分をまず削除にすべきだ。そしてまず問題を片づけてもらいたい。しかしこれだけで問題は片づくものではない。結局労使双方の不信感、相互不信感というふうなものが非常に強いので、その障害を除いて相互に信頼し得るような体制をつくらなければならない。そのためには政府のトップクラスが主導権を握って、そうしてその政府労使三者の責任者の代表が会って、そうして定期的な意見の交換を行ないつつ相互の信頼が生まれるようにすべきだ、こういうふうなことを言っておるわけでございますが、この点は私は先ほど申し上げましたように非常にいいところをえぐっていると思うのです。ですからここまで来たら先ほど申し上げましたように、文部省日教組の問題がネックになり、国会ではILO特別委員会ができてもまだ委員会の審査もできない。政府は法案を出してもまだ審議ができないというふうな状態になっておるわけですね。ですから一日も早くこの国会で問題の解決をするためにも、この勧告に沿うて双方の不信感を除去するために、現在不信感があることは事実だし、私ども特に日教組文部省の不信感が最大のものだと思うわけでありますが、ここで一切がっさい何もかも解決するということは私はないと思います。過去のいろいろないきさつがあって文部省にも言い分があるでしょうし、また日教組側にも言い分があるでしょうし、またわれわれの立場から見てもいろいろ批判はし得るわけでございますから、ここでひとつ勧告に沿うて会う。その形はどうであろうとかまいません。それは政府のやることですから政府の良識に待つ以外ないと思いますけれども、まず会うんだ、そういう基本的な態度をここで言明していただけば、非常にデリケートな問題でもありますし、私はこれ以上質問はする必要もないと思いますし、あとはもう大臣の良識に信頼する以外にないと思っておりますが、この勧告に沿うて日教組の代表と会って問題の解決糸口をつくっていくというふうなお考えであるかどうか、それをひとつ重ねてお伺いしたいと思います。
  12. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ドライヤー提案に対しましては御承知のとおり、また私もここではっきり申し上げておりますように、この提案というものは、批評がましくなりますけれども、きわめて賢明なる提案である、ワイズな提案である。したがって、私並びに私どもはと申し上げたほうがいいと思いますが、この意のあるところを忠実に実行していきたいということなんであります。ただ、いまもお触れになりましたように、この提案に対して、主として日教組を中心とする方々が受諾できないという態度を表明されたことは、まずスタートにおいて非常に不幸なことであったと思いますけれども、しかしそれはそうとして、私どもとしてはこのドライヤー委員会のプロポーズルの線に沿うて、そしてあの提案でも言っておりますように、いままたそれもお触れになりましたように、まず批准することが第一だ、公労法、地公労法に重点があるというようなことも言っておりますが、こういったようなことを含めて一つずつスタートから問題を解決していくのも、これまたワイズな、賢明な方法でなかろうか、そういう気持ちで善処いたしたいと思います。
  13. 鈴木一

    鈴木(一)委員 非常にワイズな調査団の見解だとおっしゃいましたが、大臣も非常に賢明な、ワイズな方だということをわれわれ知っておるわけでございますが、これはどっちも道具がそろったわけでございますから、ただ抽象的にワイズだというふうなことでも困りますので、もう一回しつこいようですがお伺いいたします。いわば問題解決糸口をつくるんだ、中央交渉がどうのこうのと私は言っておるのじゃないですよ、ただ名前のつけ方がどうあろうと、会うんだ。会えば私は問題が解決すると思うのです。それをどうも会うのか会わないのかはっきりしないので、ワイズでない私にはぴんとこないのですが、もう一回その点お伺いいたします。
  14. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは文部大臣日教組がいかなる形においても会うか会わぬか、会うといえば問題は解決する、こうおっしゃるわけでございますが、それは日教組寄りの御解釈のように私にはとれるわけでございまして、この点については私としてはドライヤー提案に忠実にこれの解決を求めていく、いま現在どうかとおっしゃられれば、私は日教組文部大臣とが一対一、対等で会うということはその時期でない、こう申し上げざるを得ないわけでございます。
  15. 鈴木一

    鈴木(一)委員 そうしますと、やはりドライヤー調査団の見解に忠実じゃないと思うのです。これは会えということを言っている、私の解釈では……。しかし、会ったからといって、そこで何もかも全部解決するということではないので、解決糸口というものはそこで見つかる。と同時に、日本が不信感を買っているILO八十七号条約批准は、それはそれとしてすべきだ、こういうふうなことだと思うのです。ですからわれわれ最初から便乗改悪反対なんだ、自民党すら最初はそうだった。それからまた、当時われわれは社会党におったわけでありますが、その当時社会党としても批准関連して、国内法の便乗改正になるか改悪になるか知らないが、それはしないのだということを言っておったと思います。しかしそれはいまだにそういう当初からの方針を堅持して——いわば盆と正月が二つあるわけですが、盆は盆でやれ、八十七号条約批准し、そうしていろいろごたごたしておる問題はお正月にあらためてやれ、それは時間がかかってもやむを得ない、われわれは今日までILO八十七号条約批准にそういう態度で望んできているわけでございます。  もう一回大臣にお伺いしますが、大臣としては八十七号条約関連する公労法、地公労法だけ批准して、あとは分離してもっと時間をかけてやってもいいのだ、そういうふうなお考えなのか、あるいは一括して全部やろうとされるのか。一括してやろうとすると、現在の日教組文部省関係では八十七号条約批准はなかなかむずかしいかもしれませんよ。しかしそれによって受ける国民の不利益というものは非常に大きい、また国際的な信用を失うという面が非常に大きいと思う。ですから、その点もう一回大臣のお考えを聞きたいと思います。
  16. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず、ドライヤー提案に対しては、これはあそこに掲げられてありまする文言どおりに処理をしていくというのが政府態度でございます。そしてこれは政府全体の問題でもあります。現在官房長官が中心になりまして総評等の関係の間と下話を進行しているということも御承知のとおりでございますので、その下話のできることを期待し、かつその中で解決糸口にそれがなることが私としても望ましいことである、かように考えておるわけであります。  それから一括審議の問題でございますが、これは私から申し上げることは適当でないかと思いますけれども先ほど私が申しましたのは、やはりドライヤー提案にそういうようなことが書かれてあるということを申したのでありまして、政府の現在の態度といたしましては、すでに閣議決定をいたしました関連法案を一括御提案申し上げておりますから、政府提案は全部一括して御審議願いたい。そして一括してこれが成立することが最も望ましい状態であると政府考えておるという以上に、私から申し上げますことは差しさわりもあろうかと思いますから、あえて私見は申し上げないことにいたしたいと思います。
  17. 鈴木一

    鈴木(一)委員 じゃ、最後に要望しておきますが、何か非常にわかったようなお話を承ったのですが、肝心のところにいくと、はっきりしないところがある。それはやはりいま特に動きつつある非常に緊迫しているこの問題の政治情勢から、大臣も用心されて言われないのだろうと思いますが、とにかく私たちとしては、先ほどからるる申し上げましたような観点から、形はどうでもいいから、双方が極分化して不信感を増大するのじゃなくて——それはお互い腹にはいろいろあると思いますけれども、やはりけんかするにもそばにいなければけんかできないのですね、またけんかしている間に、いろいろ問題のほぐれも私はあると思うのです。あまり遠くにおってお互いが空砲ばかり撃ち合っていたのでは、問題の解決にならないわけでありますから、この勧告案に沿うて、会えといっているわけですから——その会えというのは、中央交渉権だとか、法律にないから会わないとかいうようなことじゃなくて、とにかくまず人と人の関係なんだから会え、こういうふうに私は受け取っておりますから、いろいろ障害もあろうと思いますけれども、この問題の解決のために、前向きに、とにかく会うというふうな立場で、形はどうでもかまいませんから、この問題の解決が本国会でできるようにしていただきたい。そういう方向に対して、大臣の懸命なる御努力をお願いする。それによって、私はまた日教組の中も漸次変わっていくというふうに——われわれは日教組の多くの人たちに接触した感じからして、会わないがためにますます極分化していく、会って問題を解決しようとすることによって日教組の内部が変わっていく、そういうきざしは十分あると思いますし、こういうふうにわれわれも変わってきたのだから会ってくれと言わせなくても、会うことによって私は日教組の中も変わっていくというふうに考えておりますので、とにかく前向きに、少なくとも本国会でこの八十七号条約批准できるように御努力を願いたい、こういうことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  18. 渡海元三郎

    渡海委員長 二宮武夫君。
  19. 二宮武夫

    ○二宮委員 荒木文部大臣から灘尾さんにかわりまして、やや話がわかるという状況になりました後に、非常に賢明な愛知文部大臣が就任なされましたので、私どもとしては非常に明るい将来の展望を持っておるわけなんですけれども、問題は、私はいままで実は文部大臣と会っていないのです。会わない原因というものをここではっきり申し上げますと、文部大臣は就任当初の委員会においてうそをついておる。これはたいへん失礼なことばですけれども、一番初めの委員会で、初めて愛知文部大臣が就任をされるのだからしかるべきごあいさつがあるだろうということで私どもは期待をかけて実は出席した。ところが、本日は閣議でもって出席ができない、したがって、この委員会は一応あいさつすることを省略させてくれという話であった。私は単純に、率直に、そのまますなおに受け入れて、その委員会は散会したわけです。ところが、次の日の公報を見てみますと、閣議によって委員会に出席をしなかったのは椎名外務大臣愛知文部大臣の二人であります。これは昨年のことですから、いまの西田官房長そのほかの方は御存じないと思うのです。したがって、真実というものを中心にして考え文教行政の当初の委員会において、かくのごとき背信行為と言ってはおかしいけれども、私どもにとっては信用のできないような態度をとるという愛知文部大臣が、私はどうも信頼が置けないという気持ちを実は持っております。文部大臣自身は、それは良識もあり、行政手腕もあり、答弁もなかなかいんぎん——無礼とは言いませんけれども、たいへんりっぱな答弁をなさっておりますけれども、やはり一つの行動でそういうものをはっきり出してくるという状態では、なかなか信頼は置けない。同時に、愛知文部大臣を補佐しておる政務次官とはあまり顔見知りではございませんけれども、福田さんのジュネーブのILOの本部におけるいろいろの御説明というものも、実は印刷物で拝見をいたしました。それから今村という財務課長が某雑誌にいろいろ書いた日教組に対する文部省としての態度というものを表明しておるものも、私はよく読んでみました。それから、先ほど来、鈴木委員から申されましたようなことについては、相互に信頼をして、そういういろいろの問題、学校給食であるとか教育予算とかいうものについては進んで会えるのだ、こういう話をしておるけれども、実はそういう補佐をしている方々の中に、ほんとうは愛知文部大臣を前向きのりっぱな教育行政をやるという方向に持っていけないような人々がいるのではないかということを実は私は心配しておるわけです。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)事実があるのです。教育予算の獲得、限度政令の問題等で、定数が減るのでないかと心配して全国から集まった人々が、実は先般私もあっせん役を買って、ひとつお会いしたらどうかということで西田官房長とお会いしたのですが、その日になって聞きますと、文部省の玄関には五十数名の警察官が動員をされておる。そして、それはだれから動員の要請があったのだということを聞いてみたら、これは、当然管理の責任のある会計課長から、その会合の前日の五時三十分に、文書をもって、あすは日教組並びに父兄の連中が文部省に来る、それが中に入っては混乱を来たす、それを寄せつけてはいかぬというので、その出動要請があったということを所轄の警察署のほうでは認めておるわけです。いろいろとことばではきれいなことを言われますけれども、現実にとっておる行動そのものがそれを裏づけるようなものじゃないと、やはり信頼というものは持てるものじゃないと私は思う。先ほど鈴木君からの質問に対して、日教組寄りの質問であるとか、とやかく言いますけれども、私もこれは公正な立場に立って考えるとして、ILO特別委員会なりあるいは自民党の、政府の部内あるいは治安の対策の人々あるいは文教グループの人々、そういう方々がこういうILO等の問題についてはいろいろと検討されておると思うのですが、ただ、私がここで御要望申し上げておきたいことは、やはり愛知文部大臣は、ひとつ勇気を出して、そういう人々の言うなりになるということではなくて、民主教育であり民主政治である以上、たくさんの人々の声を聞くということも大事なことなのですから、そこに一つのワクをつくって、そのとりでの中に立てこもりて、古い頭の感覚を持った人々から守られるという姿では、これは国際信用やそのほかの問題は解決はできぬと思うのです。私はこうしてここで愛知文部大臣に初めて質問をするわけなんですけれども、質問していけば自然私の気持ちもほぐれると思って私は考えておるわけなんですが、やはり当初に一つの先入観というものを持ってしまうと、人間の性格というのは非常に弱いと実は思うのです、したがって、それらを打破していくには相当な勇気が要るというように私自身は反省をしておるわけですが、今後の文教行政の政治の姿勢というものはそういう点からひとつ是正をしていく必要があるのじゃないか。そしてまた、あなたがひとつ中心になって、こういう問題については、ただ単に皆さんの意見に従って行動するというのではなくて、文部大臣自身が中心になって能動的に、積極的に働いていく。こういうかっこうで、ILO批准の以前の問題、法律以前の問題として、そうした一つのものを醸成していく母体というものをつくっていく必要があるのじゃないかというように私は考えるのです。私がいま指摘をしました問題の中で、これは大臣としては自分の威信にかかわる問題だから、この際、この点はひとつ是正をしておく必要があるというような問題があったら、そこでひとつ是正をしてください。私はかように考えておったのですが、私の誤解の面もあろうと思うので、この辺で区切りを一応つけますから、大臣の答弁をひとつ。
  20. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま非常に率直なお話を承りまして、私はほんとうに感謝をいたしておるわけであります。  まず一番最初の、昨年の夏のことにお触れになりましたが、これは弁解になりますからもう弁解は申し上げないことにいたしまして、さようなふうに二宮さんがおとりになられたことに対しまして、たいへん私としても残念に思いますので、遺憾の意を表します。何とぞ、今後、ひとつ過去のそういうことをお忘れいただきまして、仲よくおつき合いをいただきますように、あらためてお願い申し上げます。どうかひとつよろしくお願いいたします。  それから、たいへん率直な御注意をいただいて、ありがたいのでありますけれどもILO問題のような、特に非常に重要な問題につきましては、私の主観的な姿勢といたしましては、これは自分がほんとうに責任を持って、自分が是なりとするところで進んでいかなければならないということは、主観的にはかたく堅持しておるつもりでございます。なお、本日の御注意に従いまして、私自身はもとよりでございますが、外部の方々等に対して不必要な、不愉快な思いをおさせしたり、あるいはえげつないような態度をとらないように、あらためて厳重に留意したいと思います。
  21. 二宮武夫

    ○二宮委員 これは立場が異なりますと、やはり日教組に対する私どもの行き方、運動方針、そのほかについてはいろいろと皆さんの周知を集める必要があろうかと考えております。しかし、それはやはり教職員団体であると、したがって文部省に対してもいろいろ御注文があろうかと思うのです。  具体的に申し上げると、あなたのところにつとめておりました内藤事務次官という人が、いまおやめになって、盛んに選挙運動らしきものをやっておりますけれども、その人が地方に参りますと、あの人は文部省で育ってきた人であって、荒木さんとはコンビでたいへん働いた人でございますけれども、PTAの会合等に参りますと、どうしたことか、文部省教育行政に対する批判というものを非常に鋭くやられるわけです。これは何かのためにしようとする一つの運動であろうと思いまするけれども、あのような同じ畑の中に育ってまいりました、文部省の官僚として相当頂点にまで上がってきたところの人でも、一応ポストを離れて、文教に対する一つ考え方を述べるということになると、やはり批判がましい問題が点々出てくることは、実際問題としてふしぎに思っている。地方の人は、内藤さんという人は文部省におった人じゃないのですか、あの人がわれわれの会合に出て文部省の悪口を言うのは、どういう意味でしょうと言っている。恨み重なって追い出されたのかもしれませんけれども、そういう印象を受けるようなことを地方で言うておるのです。だから、日教組日教組として、文部省に対してあるいは文部大臣に対し、それぞれの局長や課長に対していろいろ言うときには、これはまた愛知さんが日教組委員長になったら言うのと同じように、立場を変えて考えれば、おのおのその立場はあろうと思うのです。  私はそういう問題については法案の問題、審議の問題、それからILOの特別委員会が設置されましたから、これから今後ひとつ周知を集めてやっていかれたらいいと思いますが、ただ先ほどいろいろ具体的に例を引きましたように、せっかく文部省と一緒に大蔵省に向かって、少し教育予算をふやしてもらおうじゃないかという国民の集会にしましても、日教組というのがあると、何か気違いが集まってきたような感じを持って、玄関に警察官をずっと並べるというような、こういう印象というものは、——これはやはりトライヤーさんは賢明な提案をしていると思うのです。ドライヤーさんの言われることを逃げ場のステップにされては困るのです。これはもう少し賢明にくみ取らなければならぬ問題だと私は考えておる。それは私の一つ意見になりますからいいですが、先ほど鈴木さんが申されました意見に添えて、ひとつそういうことを申し上げてみたのです。参考にしなくてもけっこうです。あす文教委員会の分科会を持たれると思いますので、予算に関連のあるような問題については、分科会で触れることが一番適当であろうというように考えます。  したがって、私がお尋ねすることは、非常にまとまりのないことになろうかと思うのですけれども、最初二枚の印刷されました所信表明がございましたが、これにはたくさんの問題があるわけで、たいへんりっぱだと思う点もあるし、どうだろうかと思う点もあるし、それが予算に関連している問題については、当然分科会で予算審議と同時に考えなければならぬ問題だというふうに思っておるわけでありますが、これは先般長谷川委員からも羅列的にたくさんの問題を拾い上げてお尋ねになったそうでございますから、あるいはそれと重複する議論が起こるかもしれません。そこで時間がたくさんございませんから、しごく簡単な問題をごくわずかお尋ねをいたします。全然予算に関係のないことばかりにもいきませんので、予算に関係のあるものは答弁を明日にお残しになってけっこうであります。  私ども地方におりますと、義務教育に対して非常に経費がかかり過ぎるという心配を持っておるわけです。これは初中局長大臣と一緒に御答弁願いたいのですが、あなたのほうにはりっぱな組織があるわけですから、いろいろなトータルが調査されておると思うのですが、いま地方で問題になっておりますのは、義務教育の問題と同時に、高等学校の授業料を値上げしようという動き——いままで非常にがんばって、できるだけ上げないでいこう、教育の機会均等という意味から、高等学校教育というものを国民完成教育としてぜひ義務的に近いくらいまでにさせるという地方の要望に応じて押えておった都道府県が、よそも上げたから、地方財政の苦しいおりから、この際上げようではないかというので、大体百五十円から二百円程度のものを上げるという状況にあるわけです。九州の片いなかでも、こういうことは非常に伝わりやすいので、やはり苦しいので、どこかに財源を求めるということから、そういうことを集中的にやろうとする動きがあるわけです。そこでこれについて二、三お尋ねをしますが、これは基礎的な問題ですから、福田初中局長にお尋ねします。  小学校、中学校の教科書は、今度小学校は六年まで無償でございますが、中学校の一年生も対象にすべきであったものを、大蔵省がこれを切ったということは不届きだと思うのですが、中学校は全然対象になっておらない。したがって、たとえば小学校は来年度六年まで教科書は無償になったとして、義務教育の一年間の父兄負担というもの——これは地域的には非常に差もあろうかと思いますけれども、それはどのようにあなたのほうでは把握されておりますか。小学校に例をとつて、それぞれ平均は、税外として、義務教育に対する父兄負担は、年度別でもいいですが、そういうものがありますか。
  22. 福田繁

    ○福田政府委員 お尋ねになりました義務教育の面におきまして、本来公費をもって支弁すべき経費、たとえば人件費あるいは施設費、教材費、そういうものに対して一部PTA会費あるいは学級費等の名目をもって負担しておりますものは従来あったわけであります。それを教育費の調査報告——文部省調査局で毎年調査いたしておりますが、それによりますと、ここ三年間くらいを見ますと、三十五年度は総額百六十七億円でございます。三十六年度は、十一億ばかり減っておりますが、百五十六億円。三十七年度は、三十五年度と大体同じ程度の百六十七億円という数字になっております。三年間の経過を申し上げますと、大体横ばいというような傾向でございます。
  23. 二宮武夫

    ○二宮委員 りっぱな組織を持っているとほめたんですから、もう少し詳しく、たとえば小学校一人当たり幾らに当たるのだとか、中学校一人当たりどれぐらいに当たるのだというくらいの計数は出ているのでしょう。ないのですか。
  24. 福田繁

    ○福田政府委員 ここに持っております資料で申し上げますと、小学校と中学におきまして父兄が支出した生徒一人当たりの学校教育費の額でございますが、小学のほうから申しますと、昭和三十五年度が一人当たり九千二百三十六円、三十六年度が九千三百六十八円、三十七年度が一万四百七十六円となっております。中学校のほうを見ますと、三十五年が一万一千三百二十八円、三十六年が一万三千五百七十九円、三十七年度が一万三千九百五十九円、こういう額になっております。
  25. 二宮武夫

    ○二宮委員 そこで、これは実は自治省に来てもらうのが一番いいのですけれども教育費に関係のある問題ですから、文部省、大蔵省、自治省の三省の担当の人がおそらく御相談をしておられると思うのですが、地方財政法で、いろいろな公の仕事で都道府県が責任を持たなければならぬものを市町村に持たしてはいかぬ。言いかえると県立高校の負担費については市町村が持ってはいかぬという法律があるわけです。それから市町村の場合には、市町村が間接であるとあるいは直接であるとを問わず、地域住民に負担をかけてはならない。こういう問題があるわけなんですが、実は地方財政法の二十七条の二項、三項、四項というものが、地方では実際のところほごにされている。これは実際は守られておらぬのです。そういう実態にあるのです。  そこで大臣にお聞きしますが、一番悪い例は文部省で、文部省が一番よくない。というのは、高等専門学校というのを各地で誘致をしてつくるという運動が起こりますと、その敷地とかあるいは人件費の一部とかあるいは施設費の一部とかいうようなものについては、熱意のあるところの県がそれを出す。それを出さない県は熱意がないのだからよそに持っていく。これは過当競争になりますもんですからそれに便乗いたしまして、都道府県は市町村にそれを持っていってはならないという規定を持っておりながら、国立の学校についてはそれは当然のように都道府県に負担を持たせておるという傾向があるわけです。これはいまもなお改めておらぬと思うのですが、これから後にできる高等専門学校等については、特にこれらの問題を、従来の例がこうなんだからいまさら改めるわけにはいかぬから、ひとつこれ頼みますというようなことになっている、この慣行といいますか、従来の行き方というものは将来にも引き継がれるおそれがあると思うのですが、文部省がそういう一つの悪い例を示しておいて、そして都道府県に対しては市町村に迷惑をかけるな、市町村に対しては地域住民に迷惑をかけるな。そういうことを言っても法律が空文化され、空洞化されるということは、これはもう明らかですよ。文教行政の府にある中心的な指導をしておる文部省自体が具体的にそういうことをやっておるのです。私は例を幾らでも知っている。これらは将来改めていかなければ、私はこの問題は——たとえば例を教育費にとりますと、これらの問題については私は末端にまで、二重負担の行き方というものは解消しないと思うのです。非常な決断を持ってやらないとできないと思うのです。文部大臣は大蔵省の出身だと聞いておるのですが、ひとつ大蔵省と折衝をうまくやって大蔵省からの資金を取らないと、そのお金は地域住民にかかってくるという結果が出てくるのは当然のことです。学校が発足してやる場合にはやはりある程度の施設をつくらなければいかぬですから、そうなってくるとそういう問題がやはり起こってくるということが従来もあったし、これからもあるのではないかというふうに考えておるのですが、その国立専門学校に対する都道府県の負担というものに対して文部大臣はこれから一体どのように処理されようという考えを持っておるか。これは都道府県、市町村に範を示すという意味をも含めて、ひとついまのお考えを御答弁いただきたいと思うのです。
  26. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは全くごもっとも千万な御発言でございまして、実は過去におきましては高等専門学校の設置につきまして都道府県の土地その他を提供してもらったことがございます。この点については、たとえば昭和三十八年度でございますが、実は決算委員会でも問題に提起されておるところでございまして、これは非常に残念であったと思っております。そこで私は少なくとも、過去はともかくといたしまして、四十年度に開設をいたします国立高等専門学校につきましてはそういうことのないようにいたしたいと考えております。具体的に申しますと、たとえば七つの工業高等専門学校を四十年度に開設させていただきたいわけでありますが、その中で舞鶴と北九州の学校につきましては国有地を提供することにいたしました。それから福井、石川、東京、小山、釧路につきましては、地方公共団体の所有地を使います場合にはそれに相応する国有地を振りかえて交換をいたしますから、間接的な手続にはなりますが、国有地を提供することにいたしまして都道府県にはこの関係では全然負担をかけないで国の責任でやることにいたしたのでございます。
  27. 二宮武夫

    ○二宮委員 間違ったことを改めるのはできるだけ早いほうがいいのですが、法律はそれより以前にあったわけでございます。したがって従来できておるものとの均衡上の問題がやはり問題になろうかと思うのですが、それらは一切問題にはしない。もう過去にはさかのぼって、あるいは施設を今後いろいろ助成をするとかそれと見返るほどの多額のものを私はいまから大蔵省から取ることはとうてい困難ではないかという悲観的な気持ちを持っておるのですけれども法律は厳存しながら従来方針を間違えておって、四十年度から改めていくということになりますと、従来とのバランスがくずれるわけなんですから、従来の既設の学校に対する何とか見返りというものもしてやる必要があるのではないかと思うのですが、それは一向に考えておりませんか。
  28. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これもごもっともな点でございますが、私としてはともかくも四十年度開設のものにつきまして過去にあったあやまちを正すということにとりあえず措置をいたしたわけでございまして、これは一度できますとなかなかそれを補正するということは困難な点もございますが、ただいまお話しの趣旨はひとつ十分考えさせていただきたいと思います。
  29. 二宮武夫

    ○二宮委員 時間がございませんから、簡単に体育局長にお尋ねします。  学校給食会というものが学校給食会法によって中央に主たる事務所を置く。先ほど聞きますと従たる事務所を地方に置くことができることになっておるが、従たる事務所は地方にないそうです。ところがそれにかわるべきものとして、都道府県の責任において財団法人学校給食会というものをつくっておる。ところがこの前私はその状態を見ましたが、この文教委員の皆さん方もごらんになったのですが、学校給食会というものは中央の指導によって、定款は全部文部省からお示しがあったそうです。それによってやっておるのですが、そこにあるところのいろいろの施設、人件費あるいはいろいろな事業運営のための費用というものは何も財源がないわけですね。設立当時はあるいは都道府県でもって多少地方負担をしたかもしれませんが、その後の人件費やあるいは退職金、そのほか福利厚生の施設というふうなものは、これを全部学童のあるいは生徒の給食費の中に割り込んできておる。財団法人の職員の人件費はその事業の運営の費用の中から出てきておる。その事業運営の中の費用というものは、当然必要な経費というものは給食法を実施しておる学校の生徒、児童、必要であれば父兄にまでもそれを及ぼすというような状況で、そういう負担をかけるような仕組みに地方の財団法人学校給食会というものはなっておるわけですけれども、これも私は文部省の指導というものはけしからぬと思うわけです。従たる事務所を持つ、あるいは学校給食法に示されているような中央で持つもので文部大臣の所管下にあるという、こういうものであれば、これは国家公務員として当然人件費を見るであろうと思うのですが、これは見ておるかどうか、まだはっきり調べてみませんが、これに関連を持った地方自治体のこういうような学校給食関連をした調査なりあるいは普及そのほかをやる、物資のあっせん等をやるものの人件費を父兄に持たせあるいは児童の頭割りにするという指導方針というのは、これは私はいま文部大臣が国立専門学校の問題について御反省があったように、これは私はよくないと思うのです。したがってもしやるとすれば、地方公務員の中に入れて基準財政需要額の中に入れてこれは国が見てやるというような方向で人件費を見るべき筋合いのものだと思うのです。そういう方向にいくべきか、あるいは地方の主たる事務所の従たる事務所ですから、主従の関係にあるのですから、それらの問題を一括して人件費をどう考えるかということをひとつ文部省考えなければならぬ問題ではないかと思うのです。いまは地方が非常に負担過重になっているという情勢です。余剰金があります。余剰金がありますけれども、余剰金は全部退職者の退職引き当てのために積み立てている。そういう簿記そのほかの経理は全部あなたのほうで指導しているのだと思うのですが、これはどうですか、何とか改める方向にいく意思はございませんか、体育局長
  30. 前田充明

    前田政府委員 実態はおっしゃるとおりでございまして、日本学校給食会は東京におりますものだけでございまして、これが県の財団法人学校給食会に物資——物資と申しましても現在ミルクでございますが、ミルクを売っておるわけでございます。県学校給食会はこれを買いまして学校にまた売っていく、こういうわけでございますが、そこでそこの人件費という問題でございますが、現状は県学校給食会は財団法人でございまして、県から補助金がない限りは自分の力でやっていく、自分の力でやっていく場合には、自分の収支の中で人件費をまかなっていく、こういうわけでございます。将来それをどうしたらいいかという問題でございますが、これは前からもある程度問題にもなってまいりましたし、今後この問題は日本学校給食会の支部を地方に置いてそれにやらせる、県の物資を扱わせるという方法があるということは確かにございます。そういうほうがいいかどうかという問題について検討はいたさなければならないし、私どもとしても検討いたしつつございますが、現在実は学校給食には物資の問題といい、その他の問題についてもいろいろ問題点もございますので、保健体育審議会に改善方策について諮問をいたしておるわけでございますが、この諮問の答申を待ちまして文部省としては措置をいたしたい。その場合に県の学校給食会をどうするかという問題はそのときに一緒に考えたい、かように考えている次第でございます。
  31. 二宮武夫

    ○二宮委員 それでは主たる事務所の人件費というのは、それは国家公務員として取り扱っておるわけですか、あるいは特殊法人という立場で、国庫が文部省から補助を出して人件費を見る、こういうことにしておるのですか。
  32. 前田充明

    前田政府委員 日本学校給食会は特殊法人でございますので、文部省から補助金として人件費は出しております。
  33. 二宮武夫

    ○二宮委員 それでは、その点についてはひとつ審議会等に早急におかけになって、早く解決の道を見出してもらいたいというふうに私は要望いたしておきます。  施設あるいはその他、文部大臣所信表明の中にもある問題でありますが、教育施設設備の整備ということが重点項目になっているわけですが、なおこれらの問題についてはそれぞれ所管の行政官庁もあるわけですし、直接管理の責任の校長、教頭というものもあるわけですが、そこで初中局長にちょっとお尋ねいたします。私は行政的にも道義的にも疑問に思うのですけれども、実はこれは一昨年くらいだったと思いますが、その後の経過を初中局長にお尋ねいたします。佐賀県の北方中学というところがあるわけです。これは従来から危険校舎として教育委員会から指定をされておる。ところがそれに対する危険校舎の改築のワクというものが与えられない。やむを得ないので学校としてはそれを使用しておる。ところが家庭科の床が落ちて、幸いに子供が死にはしませんでしたけれども、重傷を負ったという事件が突発したわけです。これは起こるべくして起こった問題だと思うのです。ところが所管の大町署というところは、学校管理の責任ありということで校長、教頭を取り調べている。そうしてこれに対していろいろ調書をつくった結果、検察庁に送るという事態が発生したわけです。これは法文上当然そういうことになろうと思うのですけれども、これに対して県の教育長は、任命権者として監督官庁の責任にある立場で、日ごろから要望されながらそれに対する文部省のワクがもらえない、あるいは県独自では予算がつくれない、そういうことでやむを得ず使っておって起こった事故に対して、校長、教頭が送検をされるという刑事上の責任を生じたということになった場合に、県の教育委員会なりあるいはこれに対する危険校舎の改修のために非常に努力をなさっておる文部省としても、行政上、道義上の責任を感じないものかどうか。これは教育委員会でその後どのように措置しておるのか。私はその結果がどうなったかということを調べておりませんが、あなたのほうではわかっておると思う。あなたのほうも全然責任がないとはいえぬと思うのですけれども、それはなかなか送検するわけにもいかぬでしょうけれども、当然このような事故の起こる危険校舎をそのまま放置していた責任というものは、義務教育に関する限り国にも財政負担の責任があるわけですから、これを校長、教頭だけを送検させるということで、行政指導すべて終わりだということにはならぬのではないかというふうに私は考えるのですけれども、これに対する佐賀県の教育委員会あるいはこの町の教育委員会、あるいはかねてからいろいろ危険校舎の改築そのほかで陳情やそのほか報告も受けておるはずですけれども、それらを措置し得なかった文部省としての責任というものは一体どうなるのですか。これは刑法上の責任ですから、刑事罰ですから、これがどうなったかという問題についてはまた当然行政罰の問題も起こってくると思うのでありますが、刑事上の一つの刑罰が決定をするという段階になりますと、これは自然行政的にもいろいろ問題が起こってくるわけでございますが、任命権者に、そのような事故の起こった刑事上の責任を追及されておる校長、教頭に対して、行政上の処罰し得るだけのそれほど自信があるかという問題になると、私ははなはだ疑問がある。これは北九州の一部に起こった小さな例でございますけれども、これに類する問題は至るところに起こっておると思うのです。したがって危険校舎の解消という問題については、これは当然分科会で、どれくらいの坪数があり、どれくらいの予算が本年度盛られておるかという問題でやはり検討されなければならぬ問題だと思いますが、私は筋だけの話、一つの例を引いて、そういうときの管理者の責任あるいは任命権者の責任、それからに対する国庫補助を出すべき文部省の道義上の責任というものは一体どうなるのか。時間がきましたから、これ一つお答えいただいたら、そのほかの問題はまたあとに譲りますが……。
  34. 福田繁

    ○福田政府委員 佐賀県の御指摘になりました学校の話を私は承知いたしておりませんが、そういう問題につきましては、老朽校舎の改築につきまして、文部省も県の教育委員会も、従来から非常に努力をしてまいりましたことは、二宮委員もお認めいただけると思いますが、ただ具体的な問題といたしまして、いま御指摘になりました学校、はなはだ不幸な事態でございますが、一般的に申しますと、こういう場合におきまして、危険度のひどい校舎につきましては当然使用禁止の措置をとっているのが普通でございます。老朽度三千点あるいは三千五百点はある非常に著しいものにつきましては、その所管の教育委員会あるいは県の教育委員会が協議をいたしまして、十分、生徒、児童に危険が起こらないように未然にそういう措置を一般的にとっております。そういう措置をとっておったかどうかは私もわかりませんけれども、しかしいろいろそういう危険校舎の使用あるいはその改築の問題について、ただ学校だけの責任というわけにはいかないだろうと私も考えます。したがいまして、その管理者である町の教育委員会というものも行政的な責任はあり得ると考えております。しかしながら県の教育委員会としてどの程度責任があるかということは、これは具体的にその事件を調査してみないと何とも申し上げかねる次第でございます。また文部省としては、非常に遺憾でございますけれども、その学校の事件について直接責任があるというようには思えませんけれども、しかしそういう事態が起きないように、日ごろから、老朽化校舎の改築その他について適切な指導をするということは、これはやはり行政上の責務でございます。そういった意味で、非常に不幸な事態でございますけれども、それを反省しながら、やはり今後の老朽校舎の改築を進めていくほうがより適切であろうと私は考えるわけでございます。
  35. 二宮武夫

    ○二宮委員 架空の答弁はだめです。私は具体的な例をあげて質問しているのだから。調査した後に、具体的にその後どうなっているのか、それからそれが三千五百点であったのかどうなのか、そういうことを調査して、これは一体ほんとうにこの署が行なったように送検すべきものであったかどうか、その後、町の教育委員会なり町当局なりあるいは県の教育委員会等がどれくらい自粛をしておるのか、そういうようなこと等を全然よそごとのように考えて、校長、教頭が送検されればそれでこと終われりというようなそういう感覚ではだめだと思う。だからこういう問題があるから、文部大臣も、減俸することはないけれども、やはり一応行政上の責任の一端をになわなければならぬということが私はこの中には包含されておると思う。だから具体的に調査の上で——私だって架空のことはわかりますよ、どうなったらどうだというくらいの筋合いはわかります。具体的な事実の場合どうなっているのかということをあなた方は把握をしておらないで、非常に小さな問題だから知らぬ、東京だから、文部省局長だからというようなことでは話は済まされない。非常に大事な問題でありますから、事人命に関する問題——人命尊重の佐藤内閣ですから、十分具体的に調査をして御答弁いただきたいと思います。
  36. 福田繁

    ○福田政府委員 その問題は主として施設の問題からきているわけでございまして、管理局のほうではおそらくわかっていると思いますから、これは担当の局長からまたお答えを願うことにいたします。
  37. 渡海元三郎

    渡海委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。   午後零時五分散会