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1965-04-22 第48回国会 衆議院 農林水産委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十二日(木曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君    理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       池田 清志君    宇野 宗佑君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       吉川 久衛君    小枝 一雄君       笹山茂太郎君    田口長治郎君       高見 三郎君    中川 一郎君       中山 榮一君    丹羽 兵助君       野原 正勝君    藤田 義光君       細田 吉藏君    松田 鐵藏君       亘  四郎君    兒玉 末男君       松井  誠君    松浦 定義君       山田 長司君    小平  忠君       中村 時雄君    林  百郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 愛知 揆一君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         運 輸 大 臣 松浦周太郎君         自 治 大 臣 吉武 恵市君  出席政府委員         文部事務官         (体育局長)  前田 充明君         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (農林経済局         長)      久宗  高君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      佐藤 光夫君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         議     員 東海林 稔君         日本国有鉄道参         事         (営業局配車課         長)      田口 通夫君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 四月二十二日  学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特  別措置法案東海林稔君外二十一名提出衆法  第二九号) は本委員会に付託された。 同日  学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特  別措置法案湯山勇君外二十名提出、第四十六  回国会衆法第三四号) は委員会許可を得て撤回された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特  別措置法案湯山勇君外二十名提出、第四十六  回国会衆法第三四号)撤回許可に関する件  学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特  別措置法案東海林稔君外二十一名提出衆法  第二九号)  農地管理事業団法案内閣提出第九九号)  自作農維持資金融通法の一部を改正する法律案  (芳賀貢君外十一名提出、第四十七回国会衆法  第七号)  酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法  律案内閣提出第一〇四号)  学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特  別措置法案小平忠君外一名提出、第四十六回  国会衆法第五〇号)      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  湯山勇君外二十名提出学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特別措置法案は、提出者から成規の手続をもって撤回の申し出がございました。同案の撤回許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 濱地文平

    濱地委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 濱地文平

    濱地委員長 この際、本日付託になりました東海林稔君外二十一名提出学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特別措置法案議題といたします。     —————————————     —————————————
  5. 濱地文平

    濱地委員長 まず提出者より提案理由の説明を聴取いたします。東海林稔君。
  6. 東海林稔

    東海林議員 ただいま議題となりました学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特別措置法案について提出者を代表して、その提案理由を御説明申し上げます。  昨年の第四十六回国会においてわが日本社会党は、牛乳学校給食について栄養価の高い国内産牛乳による学校給食を行ない、もってわが国酪農発達児童及び生徒心身の健全な発達をはかるため、学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特別措置法案を提案し、以来この案は継続審査の取り扱いを受け、今国会に至ったのであります。  しかしながらわが党は御承知のように今回牛乳法案提出しており、この牛乳法案におきましては、牛乳等長期需給計画及び年度需給計画を策定し、牛乳等基準価格を定め、その水準で価格を安定させる措置、その他乳製品政府買い入れ及び売り渡し等の諸措置を講ずることを規定し、特にその第十七条におきまして、「政府は、牛乳及び乳製品の消費の増進を図ることにより酪農の健全な発達に資するとともに、児童及び生徒心身の健全な発達と国民の食生活の改善に資するため、学校給食の用に供する牛乳義務教育学校設置者無償で給付する措置を講ずる」こととし、その具体的な措置に関しては「別に法律で定める。」こととしております。  そこでこの牛乳法案学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特別措置法案を調整する必要が生じましたので、本日委員会許可を得てこれを撤回し、ここにあらためて本案提出したのであります。したがいまして本案は、撤回したものの趣旨と全く同様でありますが、牛乳法案に対応せしめるため字句の修正あるいは条文の整理等を行なっているのであります。  以下そのおもな内容について申し上げます。  第一に、国は学校給食の実施に伴い、毎年度学校給食の用に供する牛乳買い入れ、公立または私立の義務教育学校設置者無償で給付することとしております。  第二に、このため農林大臣は、毎年度当該年度開始前に文部大臣と協議して、学校給食の用に供する牛乳買い入れ及び給付に関する計画を定めなければならないこととしております。  第三に、学校給食用牛乳の国の買い入れ価格は、毎年度当該年度開始前に、牛乳法の規定に基づき決定された飲用牛乳販売基準価格または指定乳製品販売基準価格基準として農林大臣が定めることとし、また物価その他の経済事情の変動により必要があるときは改定することができることとしております。  第四に、国は学校給食の用に供する牛乳買い入れについては、生乳生産者団体から買い入れを優先的に行なうこととしております。  第五に、国は予算の範囲内において、生乳生産者団体に対し、学校給食の用に供する牛乳供給円滑化をはかるため、牛乳処理施設の新設または改良に要する経費について、その三分の二を補助することとしております。  以上、本法律案提案理由及びその内容の概略を申し述べました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。      ————◇—————
  7. 濱地文平

    濱地委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  農地管理事業団法案について参考人出頭を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 濱地文平

    濱地委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 濱地文平

    濱地委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  なお、参考人よりの意見聴取は、来たる二十六日月曜日の予定ですので、御了承を願います。      ————◇—————
  10. 濱地文平

    濱地委員長 内閣提出農地管理事業団法案及び芳賀貢君外十一名提出自作農維持資金融通法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  前会に引き続き質疑を行ないます。林百郎君。
  11. 林百郎

    林委員 あらかじめ委員長にお断わりしておきますが、大体大臣が来るまで私、質問することになっておりますので、場合によると二、三質問が残りましたら、ことに大臣に対する質問が残りましたら、若干の時間またの機会を与えていただきたい、こう思います。  それでは質問をいたします。まず政府お尋ねしますが、この農地管理事業団法案を今日のこの段階国会提出するに至った理由を御説明願いたい。これは大臣がおりませんので、次官から説明願いたい。
  12. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 農業基本法の中で他産業との格差均衡をはかるということ、農業基本法の大きな任務であるわけでありますので、農業生産力を高めて他産業との格差を縮小するというためには、いろいろの政策をとってまいっているのでございますけれども、何と申しましても日本農地所有というものが零細土地であり、零細経営が行なわれている。かような零細土地所有が行なわれ、零細経営が行なわれている限りは、幾ら農政面におきまして努力をいたしましても、十分に所得均衡をはかることはできないわけでございます。一方、今日農地はずいぶん流動しているわけでございます。きのうも農地局長が御説明いたしたとおりに、一年間に去年の農地移動は七万一千町歩小作地まで合わせると大体八万町歩移動が行なわれている。今後昭和四十三年の中期計画時分になりますと、十一、二万町歩土地流動が行なわれているという見通しでございます。しかし土地が動いているといいながら、それが経営規模拡大に必ずしもマッチしていないというところに、問題があるわけであります。先ほど申し上げましたように経営規模拡大させるということが農業政策中心であり、しかも一面におきましてそれだけの農地流動しているのにかかわりませず、それが経営規模拡大に役立っていない。さような立場から現に林委員お尋ねのように、現時点におきましては七万町歩、八万町歩近い土地流動を、いかに経営規模拡大方向にマッチさせるかというところに、今度の農地管理事業団の大きなねらいがあるわけであります。
  13. 林百郎

    林委員 農業経営規模拡大生産格差の是正ということが、いま次官から本法案の目的として言われているわけです。さらに年間土地移動も激しいので、これを農業規模拡大という方向へ調整していきたいという意味にとりました。そこで、それならばそういう構想に基づいて、政府は現在の農家戸数をどのくらいの農家戸数までにしようとしているのか。その前提としては現在の農家平均耕作反別をどの辺までに高めたいとするのか。まずそれを、これは大きいことですから次官にお聞きしたいと思います。
  14. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 農家戸数につきましては、林委員も御存じと思いますけれども所得倍増計画におきましては現在五百五十万戸のうちで、百万戸程度自立経営農家をつくりたいという方向でございました。しかしその後いろいろ検討の結果、今日の時点におきましては必ずしも農家戸数につきましてはどう減らすとか——もちろんふえるとかいうことはありませんでしょうけれども、意識的に減らすという考えは持っておりません。むしろ協業化方向で、今日七〇%くらいの第一種兼業、第二種兼業がありますが、兼業はやはりそれ自体兼業として協業化方向によって土地生産力を増すという方向でございますので、今日の段階におきましては百万戸をはっきり目標と立てるということは考えておりません。と同時にいま第二の質問といたしまして、平均耕作面積をどうするかということでございますが、これはきのうも農地局長がお答えいたしましたとおりに、農業基本法の制定当時は二町五反ということで一応目安がありましたけれども、今日は必ずしもそれにとらわれておりません。ただとにかく一歩でも経営規模拡大方向に向かいたい。そうして一応の目標としては、面積よりも、農業所得のほうとしては大体六十万円以上の目標経営規模等考える、これが今日の考え方でございます。
  15. 林百郎

    林委員 そうすると政府としては見通しとして、日本農家戸数を将来の目標としてどの辺に置こうとするのか、そうして耕作反別はどの辺に置こうとするのかということは、今日の時点でははっきり言えないということなんですか。もし耕作反別二町五反を目標とするならば、五百五十万戸がそのまま農家経営が維持できるはずはありませんし、また次官の言うように兼業農家協業化方向にいくとしても、これはすべての兼業農家がそのまま農業に従事しながら共同化方向にいくということは不可能だと思いますし、いずれにしても大体耕作反別をどの辺に集約したい、拡大目標をどのくらいにしたいということならば、農家戸数はどのくらいのところに持っていきたいという目標がなければ、計画は立たないのではないでしょうか。もしそのことを自然にまかせるというならば、管理事業団というような国家権力が介入するような土地集約化政策をとる必要もないと思うわけです。その辺どうでしょう。
  16. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 農林省といたしまして将来の農家戸数に対してどう考えるかという御質問でございます。計画的に農家戸数を何戸にするという考えはとっておりませんが、中期経済計画におきましては、三十七年の五百八十七万戸が四十三年には五百六十万戸になると在来の傾向から見て推定せられる。就業人口は三十七年の一千二百六十四万人が一千五十万人くらいに相なるであろう。もう一つ、自立経営農家については、やはりある程度の数ができなければ政策の意義がありませんので、できるだけ早い機会に百万戸になるように施策を総合的に考えるべきである、こういう指針を示されておるわけでございます。そこでそのように農家就業人口の減少を通じ、あるいはそれを媒体にいたしまして農家戸数も弱いテンポではございますが、減少いたしておるわけでございます。そこでそのように考えました場合に、農家経営規模についてどういうように考えるか、こういう問題でございますが、昨日も政府側が御説明いたしましたとおり、日本農業も蔬菜から水田酪農、いろいろありまして、機械的に何町歩という考え方は適当でなかろう。むしろ所得という角度から政策考えて、自立農家経営というものの設計を考えてみたらどうか。こういう立場中期経済計画におきましても、所得八十万円を目標に進めたらどうかということが指摘されておるわけでございますが、現状におきまして六十万円以上の所得というものが、ほぼ在村の勤労者等均衡するという観点に立ちまして分析をいたしますと、その経営規模平均が一・八町歩でございます。ただしこれは先ほど申しましたとおり経営態様によって違いまして、水田中心とする田作では二町三反、果樹では一町五反、酪農では一町四反というような、それぞれの経営態様によりまして農地はいろいろのバリエーションがある。そこで私どもといたしましては、この農地移動に対しまして、少しでも行政を進めることによりまして、現在の規模をそれぞれの態様によって必要とする規模にまでできるだけ近づけてまいるための政策的なおぜん立てをする。そうしてそこに近づいていただくことは、それぞれの農家の御努力に対しまして政府としては御援助する、こういう形で経営規模拡大をはかってまいりたい、こういう立場でございまして、繰り返して申しますが、何年かに何町歩農家を何戸どういう手段でつくっていくのだという考えはとっておらないのでございます。
  17. 林百郎

    林委員 そうすると全然目標がなくて自然にまかせる。しかも農家所得中心とするなら、これは農産物価格安定とか、価格の面の施策がむしろ問題になるべきであって、これは御承知のとおり、農家所得を保障するための農地移動国家事業として管理事業団を設けてやるというのですから、そうするとかりに局長の言うように一家の農家所得を六十万あるいは中期経済計画だと八十万と押えるためには、土地経営規模をどのくらいに拡大しようとするか。それを拡大すれば農家戸数は大体どれくらいになるかという計画が立たなくて、そういう答弁だけでは、われわれは政府答弁としては満足することはできませんし、またそのことは、要するにいま答弁を差し控えているのは、農地管理事業団計画によって土地の取得、土地集約からはずれた農家がどうなるのだと、その対策を聞かれることがいま好ましくないし、またそのほうはあまり具体的に施策がないからといって逃げているとすれば、われわれはそれをまた許すわけにいかないわけです。われわれはその点も十分聞かなければならないわけです。したがって責任ある答弁としては、それでは大体今日、勤労所得と見合う農家所得としての六十万円、中期経済計画としては八十万円として、これを保障するための経営規模土地はどのくらいになるのか。それを事業団で調整をしていく場合は農家戸数はどのくらいになるのかということを、もう少し具体的に計画的な数字を差し示してもらいたい。なお参考までに、今日の農家を北海道と内地に分けまして、平均耕作反別がどのくらいになっているのか、これも専業、第一種兼業、第二種兼業を聞かしてもらって、そしてそれからいまの結論を出していただきたい、こういうように思うわけです。
  18. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 前段お話についてまずお答え申し上げたいのでございますが、先ほど申しましたとおり六十万所得あるいは八十万所得農家を何戸つくる、そうしてその中に水田経営を営むもの、あるいは酪農で営むものを何戸考える、そして水田に対しましては何町歩のたんぼがそれと見合って必要であるか、酪農ではどのような数字に相なるか、したがってそういう形で土地を何町歩移動して水田農家をどういうふうにつくる、そういうような意味合いにおきますところの計画経済的な考え方で、私どもとしては行政を進める考えは持っておらないのでございます。くどいようでございますが、何といたしましても就業人口流出がある。それから就業人口流出媒介にいたしまして農家戸数に変化がある。そうして一方同じ所得も高能率によって、いわゆる高い生産性によりまして上げていただく必要がある。そういう立場考えますならば、たとえば水田では二町をこす姿が一番望ましい。そこでたとえば水田経営を営まれる方々に対しまして、それらの方々ができるだけ二町以上に相なるように、そういう形に土地移動方向づけてまいる。その結果できるだけ多くの自立農家が生まれてまいるように行政を仕向けてまいりたい、これが私どもの基本的な考えでございますので、前段に申しましたようなそういう計画を示せということでございますれば、そのような考えをとっておりませんので、計画はつくっておりません。この点はそのように申し上げたいのでございます。  第二のお尋ね専兼業別平均耕地面積でございますが、一応一九六〇年センサスの都府県の調査によって申し上げますと、専業農家では一町七畝、第一種兼業農家では八反九畝、第二種兼業農家では三反五畝、全平均では七反七畝、こういう実態でございます。
  19. 林百郎

    林委員 大体六十万の年収ということをもくろむとすれば、水田としては約二町歩くらいの土地の確保が必要ではないかという答弁があったわけであります。そこで専業農家ですら一戸当たり一町七畝、それから一種兼業八反、二種兼業が三反、平均七反七畝といいますと、二町歩が必要だ、これは水田も畑作も同じでありますが、大ざっぱに言って平均農家耕作反別の七反七畝が二町になるとすれば、どうしても平均耕作反別を三倍にするということになると、三分の二の農家はいずれにしても土地から離反しなければならない、そういう結果にならないと平均七反七畝の農家を二町に上げることはできないのじゃないか。いわゆる約六百万戸の農家にみんなに二町歩土地を保証することはできないわけでありますから、そうするとそこから農地管理事業団中心としての政府農業構造改善による経営規模拡大ということによって浮かぶ農家と選別して落ちる農家というものの、大体の数字が出てくるはずじゃないですか。それがなくしてそこを避けて通るということはできないのじゃないですか。
  20. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 現在ございます農家をみんな二町歩にするということでございますれば、既墾耕地が非常に足りない。裏から申しまして、限られた農地におきまして、たくさんの農家あるいは農業人口がひしめいておるというのが、日本零細農法の特徴だと存ずるわけでございます。そこでいま考えられます問題といたしましては、確かに先生のおっしゃいますとおり、全部に二町歩を持たせるわけにはいかないから、一部が出ていく、減るという問題は当然ではないか、こういうお話でございますが、まさしくそのとおりでございます。ただ先ほども申しましたとおり、三十七年から四十三年の間でも二百万近い人口戸数としては二十数万戸が減ることが予想されるわけであります。こういう態様はさらに将来においても続く、これは経済の発展に応じてそういう傾向をたどってきているわけであります。したがいまして、そういう形におきまして浮いてまいる土地を漫然とぺんぺん草をはやしたり、あるいは非能率に使うということではなくて、できるだけ大きな自立経営として伸びられる農家につけてまいりたい。一町以上の農家も二割程度はあるわけでありますが、そういう方々のほうにつけていくことを媒介にいたしまして、できるだけ水田で申せば二町近いもの、あるいは二町以上の農家ができ上がるように仕向けてまいりたい、さような考え方で私ども考えております。
  21. 林百郎

    林委員 そうしますと自然に農家戸数が減っており、土地年間約七万町歩ですか移動しておるのだから、何も政府権力をもって強制的にそれを離反させておるわけではないのだというお答えですが、しかしだれも好んで農業を放棄する者はないので、政府のいろいろの施策からやむを得ず農業を放棄しておるわけです。したがってそれは政府政策から、農民の意に反して離農せざるを得ない状態になっておる。それからさらに農地管理事業団というものができて、権力が介入して農地移動についてコントロールするということになれば、これはどう考えましても権力が介入してくるのであるから、そう自由意思にいくはずはないのです。自由意思にまかせるなら、何も管理事業団なんか設ける必要はないのですから、農民にまかせておけばおのずからの落ちつくところでいいじゃないですか。したがってそういう意味でかりにそれでは次官の言うように、ここのところ農家戸数にして約二万戸、人員にして約七、八十万流動化しておる。そういう見通しのもとに中期経済計画では、農家戸数はどのくらいになると見ているのですか。
  22. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 先ほども申しましたとおり中期経済計画では、四十三年には就業人口は一千五十万、農家戸数は五百六十万戸程度になると考えます。
  23. 林百郎

    林委員 そうしますと次にお尋ねしますが、都市の勤労所得との格差を是正するという考えからいく場合に、農家所得年間六十万というところを目標にしておる、水田考えれば約二町歩前後の土地の保証が必要だということはわかりました。そこでそうすると六十万の年間所得を保障するために、ちょっとメモしていただきたいのですが、酪農の場合は牛をどのくらい確保する必要があるのか、それから養豚の場合どのくらい必要なのか、養鶏の場合はどのくらい必要なのか、これは畜産関係でひとつ聞いておきたい。
  24. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 農林省農家経済調査の中から、六十万円以上の所得を得ております経営体経営の諸指標を田作果樹酪農養豚養鶏別分析をいたしておりますが、まことに恐縮でございますが、先ほど申しました経営面積あるいは農業資本、そういうものにつきましては、つまりことばをかえますと、牛や豚を資本額では押えておりますが、頭数でずっと押えた集計をいま持っておりませんので、御了承をいただきたいと思います。
  25. 林百郎

    林委員 中期経済計画農家戸数五百六十万戸と押えている。そうすると先ほど局長が使っているセンサスが、やはり政府提出のセンサスとしてあるわけですけれども、これは四十年三月の農林省のものです。これを見ますと、現在の農家戸数、一兼、二兼を入れて五百八十二万三千戸とあるわけですね。そうするとこの中期経済計画で約二十万戸程度農家の減少だということで、それを平均耕作反別七反七畝のものが約二町前後に集約されるということは不可能じゃないですか。それはどうお考えになるのですか。
  26. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 先生御指摘のとおり三十七年に五百八十七万、四十三年に五百六十万でございますから、五年間に二十何万戸しか減らない。しかもその減った方々が、すべての土地を必ずしも売り出すわけでもない。そういう意味におきまして、中期経済計画は五年間を見ておりますが、五年間に関します限り、先生御指摘のとおりまさしく二町の農家をたくさんつくるというわけにはまいらない。でありますればこそ、逆に申しまして自立経営農家の育成ということはきわめてむずかしいことである。したがってもっと長期的な立場に立って、しかもできるだけ早い機会において自立農家を数多くつくるように、政策考える必要があるということの指針を受けておるわけでございます。五年間でそういうことはできないではないかという点については、全く先生の御指摘のとおりでございます。
  27. 林百郎

    林委員 そうしますと農地管理事業団で調整を受けて土地を取得する農家と、それから土地を手放す農家は、中期経済計画でいいのだけれども、どのくらいと見ているのですか。農地管理事業団が取得する方向へ対象としている農家と、手放すだろうと考えている農家はどのくらいで、何町歩くらいと考えているのですか。それからそれも大体この農地管理事業団で、先ほど一応の時期を五年というところで中期経済計画で押えているわけです。政府はそれをさらに五年以上の計画があるのか、あるいは五年で一応押えているのか、あるいは五年以内に一応押えているのか、この法案の実施についての計画が全然説明されておらないので、その辺のもう少し緻密な計画の説明を願いたい。
  28. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 まず第一点の、中期経済計画は五年間で作業を行ないたい。経済情勢、諸指標の変化が非常に激しいものでございますから、あまり長いのをつくりましてもという問題も一つにはあったように私は聞いておりますが、ともかく五年間の問題を一つ考えよう。しかし農業というものを五年で見るというのは不十分でございまして、もっと長い期間においてものを考える必要があろうという立場において、農林省といたしましても、もっと長い問題をいろいろこれに引き続いて検討中でございます。きまったものとしてはまだございません。  それから管理事業団とこの中期経済計画との関係なり、その他の計画とどうからむのかという御指摘でございますが、一つは先ほど申しましたとおり、土地を終戦後のたとえば開拓のように、全国で何百万町歩国が買収してしまって、それをだれかに売って、何戸の入植農家をつくるというような、いわば計画的な行政日本の現在の農地について進めるということは非常に問題である。軽々にやるとたいへんな問題であるという立場に立ちまして、そういう考えをとりませんで、しかし七万町歩というものが現に動いておる。その七万町歩のうちで経営規模拡大のほうに土地移動したのは、昨日も申しましたとおり三十八年実績では、内地一町歩の線で引けば五%の土地しかそういう移動をいたしておらない。なれば同じ七万町歩土地はもっと経営拡大移動するようなオリエンテーションの仕事をやれば、それに応じて少しずつでも土地拡大する、農業で伸びていこうという方々土地が流れていく、その道が開けるではないかという立場におきまして考えたわけでございます。したがいまして当初の農林省の構想といたしましては、親子が農業で今後ともやっていこうという想定がございますが、そういう農家に対しまして三十万町歩土地を動かせば、これらの方々は五反程度のものがそれぞれふえてまいる。そういう構想を持って当初考えたわけでございます。昨日来の御審議にもいろいろございますように、事柄がきわめてむずかしく、かつ重要でございますので、そういうふうに実行をきめるということには至りませんで、四十年度におきましてはパイロット的に本事業をやってみるということが政府の決定に相なります。したがいまして四十年度におきましては、百カ町村で千町歩、四十年度は半年でございますから千町歩でございます。平年度ベース毎年二千町歩程度のものは、いま私どもが申しました形において移動を行なってみる。そういうものとして管理事業団をつくり、経験を積んで、将来におけるところのより大幅な就業人口移動及び農家戸数の変化に応じます土地問題に対処する布石といたしたい、こういう立場に立ちまして、その管理事業団を設立させるというふうにきめたわけでございます。したがって管理事業団によって、どういう形で土地を何町歩どうしてこうしてという段階ではまだない、パイロット段階ということで御了承を得たいのであります。
  29. 林百郎

    林委員 質問の一つは、あなたの口から、とりあえずは昭和四十年——四十一年も大体その程度だと思いますが、四十年はパイロット的な仕事だけしてみたい、約一千町歩土地移動考えている、しかし将来起きる大幅な土地移動農家の変動、農家人口流動、こういうものに備えてのパイロット的な仕事をしたい、こうあなたは自分でも言っているでしょう。そうしますとそのことはどういう見通しを持っているのか。先ほどから聞くように、中期経済計画では農林省としてはどう考えているのか。わずか二十万戸の移動ということだけでいいのか。自然に二十万戸の農家戸数が減少するのだということだけで、農林省は独自のこういうプランを持っているというのでなければ、第二の質問として、現在ある農地法と農業委員会にまかしておけばいいのじゃないですか。農地法だって、農業生産を維持するために、十分不十分は別として、農地移動についてある程度のチェックができることになっているのですよ。農業委員会もその機能を持っているのです。政府が公団を持ち、直接国家権力を介入し、県から市町村まで巻き込んで大規模土地調整をするということになれば、もっとはっきりした計画がなくして——どうなるかわからないけれども、とりあえずこの程度やってみます。中期経済計画ではどのくらいの農家戸数になるか、まだ考えておりませんなんということなら、こんなことをする必要はないじゃないですか。したがってなぜ現在ある農地法や農業委員会のほかに、管理事業団を設けてもっと強力な国家権力を発動させる必要があるのか。しかも農地管理事業団の適用地域の農民土地移動する場合に、管理事業団に届け出をしなければ罰金まで取るというのでしょう。刑罰まで科して土地移動を規制するというときに、計画はまだはっきりしておりませんなんて、そんな無責任な態度はありますか。もっとはっきり、五百八十万農家はこのくらいになります、その農家にはこのくらいの土地を保証します、そのためにはこれだけの農家が落ちますということを、はっきり言ったらいいじゃないですか。落ちたら落ちたことに対して、あなた方は何か言うでしょう。何もないことはないでしょう。それに対してはわれわれは別の観点で検討しますけれども、しかし落ちるほうのことをおそれて、この計画の目的をあいまいにして、国会を通過させようというのはいかぬですよ。はっきり計画を聞かしてもらいたい。
  30. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 繰り返して申し上げますが、農地は個人にとりましても農家にとりましても、きわめて大事な財産でございまして、計画的に上から強権的にこれを移動させるという性格のものとは毛頭考えておりません。しかし明治の初めからの日本農業の流れで十分御承知のことと存じますが、二次産業の発展によりまして、農家人口は逐次減っておるわけでございます。かつ農家戸数を減っておるわけでございます。この傾向はさらに相当激化するであろうという判断を一つ持ち得るわけでございます。したがいましてそういう流れの中で土地移動を、農業としてりっぱにやっていかれようという方々につけていこうということが、事業団考え方でございます。その際に権力は用いてはならない。それから場所も、この村はやらねばならぬと上からかぶさっていこうとは考えておらないわけでございます。知事が市町村長とよく協議をいたしまして、この村ではそういうことをやりたいとおっしゃる場合に、国がそれを支持して事業団でその村の御計画にしたがって買ってくれというものを買って、こういう人に売りたいという者に御相談づくで売っていこう、あるいは売り買いは要らないがあっせんをして、金がないという買い手に対して、低利長期の延べ払いでそういう方に土地移動するという方途を開こうということでございます。したがいまして先生御指摘のように、土地移動国家権力権力的に介入させようという考えでは決してないのでございます。そういう立場でございますればこそ、下からの御計画、熱意というものを受けて立とうとするものでありますがゆえにこそ、何年間に何方町歩土地をどういう形で移してしまうのだという、上からの計画的な姿勢はとらないという考え方で私どもはおるわけでございます。
  31. 林百郎

    林委員 第二の質問に答えておらないのですが、そのようななまぬるいことをおやりになるならば、自然にまかせて農民の要求するところを適当にかじをとってやる程度だというならば、今日でも農地法があるし、農業委員会もあるから、そのほかになぜこういう事業団というような広範な権限を持ったものをつくるかということなんですよ。現にこれは農業構造改善をさらに推進するために、農業構造改善を推進する地域を特に農地管理事業団のパイロット地域としてやろうとしておる意図は、あなた方の説明の中にも十分あるわけでしょう。農業構造改善がプランの受け付けでも五〇%しか進捗しないし、ましてや事業の遂行の面からいま非常に大きなデッドロックに乗っておるということはなぜか。これは農民の意図と農業構造改善の事業とが全く矛盾して、大きな抵抗を受けているからでしょう。そういういま農民の大きな抵抗を受け、デッドロックに乗っている農業構造改善をさらに強力に推進するために、農地管理事業団を設けるということは、それは局長の言うとおり、農民の欲するところを水が上から下に流れるがごとく調整するためにやるだけだなどと言ったって、そんなことは現実に合いませんよ。もしそうするならば、この農業管理事業団農地法、農業委員会との関係はどうなるのですか。その程度のことをやるとするならば、農業委員会の現在の機能でどこが足りないというのですか。
  32. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 農業委員会農地法の問題につきまして失礼いたしました。農地法では権利の移動に対しまして許可制をとっております。この権利移動に対しまして賃貸借以外は知事が許可権を持っております。農業委員会は経由機関でございます。そこで農地法でそういう農地移動に対します許可権によって運営されておるわけでございますが、その運営による農地移動の現実の形は、先ほど来幾度も申しておりますとおり、土地がより大きなほうに流れる割合は非常に少ないわけでございます。そこで考え方として、今度は農地法なり何なりを改正しまして、あるいは運用を改めまして、法律的にAからBに移るものは許可しない、Bが自立経営農家とも考えられないからそれは許可しないという方法で、問題を処理することも考えたわけでございます。事実検討いたしたわけでございます。しかし私ども考えとしては、それこそが相当の国家権力による土地移動に対する介入ではないか。AからBに土地が移るものを、行政行為としての許可権でそれは不認可にする、それはできないようにするということは相当な問題である。法律的にそれができないようにする。したがいまして私どもはあくまで経済行為として、あっせんなり売買を通じまして土地移動が行なわれる、こういう形をとることが現段階においては穏当なことではないか。法律上の三条の許可でもって、望ましい農地移動を実現しようということは、まさに法権力による土地移動の規制でございますから、そこは特別に農地法によって移動してはならないという最小限度押えられたものは許可でございます。それ以外のものは許可すべきものは許可をする。そのことは法律論。あとは経済的な売買、あっせん、融資を通じまして、農地移動の望ましい方向化を考えていく。そのために事業団をつくる。こういうふうに農林省の内部としての問題の対処のしかたの決定をいたした次第でございます。
  33. 林百郎

    林委員 そうしますともし農地管理事業団で売買あるいは賃貸、そのほかのあっせんをするという場合に、そのあっせんを断わる自由はあるわけなんですか。あっせんを断わって、自分の好むところへ売買をする自由は保証されているわけですね。
  34. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 法律上当然保証されております。
  35. 林百郎

    林委員 そうしますといま土地移動のうちで、一町未満の土地の所有者が土地を譲り渡そうとする土地移動のうちの件数の比率と、それから譲り受けが一町未満の農家で譲り受けている件数が、土地移動の件数のうちでどういう比率になっていますか。私たちが調べたところでは、譲り渡しの希望者は一町未満で六七%、譲り受けは一町未満で五八%だというのです。これはあなたの言うように自由にまかせて、思うような値段で当事者できめていくならば、土地集約なんかほとんどできませんよ。私はその土地集約がいいというわけではないけれども、こんなことでは何も事業団を設ける必要ないじゃないですか、当時者でできるなら。一応管理事業団はあっせんする程度だというなら。
  36. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 わが国におきます農地移動が、相当の偶然的な要素にからんでおりまして、お話があったから、売りたいという人があったから、たまたまだれだれが買おうということで行なわれておるというような実態も相当あるわけでございますので、管理事業団はその事業実施地域におきます情報を全部持つということと、それから御批判はございましたが、その地域では売ろうとする方は御通知をいただいておる。そういうことでその地域におきます全部の農地移動の可能性につきまして掌握いたしまして、そして一方におきまして、大きくなるために土地をほしい方を登録しまして、これを結びつけたい、こういう考え方でございます。  そこで現在の土地移動につきましては、先生御指摘のようにちょっと計を出してみないとわからないのでございますが、譲り渡しの全体数を一〇〇といたしまして、それぞれ譲り渡しと譲り受けを見ますと、三反未満の方は譲り渡しが一四%で譲り受けが七%、三反から五反が一四%に対して一三%、五反から七反が一四・六%に対して一三・六%、七反から一町までが一七・三%に対して一八・五%、譲り渡しの率よりも譲り受けの率のほうが低いことは確かに低いのでございます。大きくなるほど、譲り渡しよりも譲り受けのほうが若干大きくなっている。しかしこの割合が非常に緩慢でございまして、先ほども申したとおり、一町未満層から一町以上層に移るものが全体の五%しかない。こういう実態は緩慢であるという判断の上に立って、先ほど申しました事業団による事業をどうしてもやらせていただきたい、こういう判断に立っております。
  37. 林百郎

    林委員 そうしますと局長答弁でも、いま一町未満のものを各反別ごとに言われたのですが、それを累計してみても、大体一町未満の農民土地を譲り渡したいと希望するのが約六〇%前後、それから一町未満の農民土地を譲り受けたいと希望しておるのが移動数の五〇%以上、約半分はそういう状態ですね。これを局長の言うように自然にまかせておいて、管理事業団は何らの強制的な処置はしないということでできますか。
  38. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 土地移動先ほど申しましたとおり、売り手と買い手と特殊事情によってかちっと結びついておれば問題はありません。いろいろの理由によりまして、売り手と買い手の間に任意売買ができておるというケースが非常に多い。そこで私どもといたしましては、そのすべてをこれを事業団が買ってしまったり、あるいはあっせんで上にくっつけたりすると、やはり問題だろうと思います。これの半数なり六、七割程度のものは事業団のあっせんその他によりまして、上層のほうにさらに向けられないか、また向ける仕事を事業団を通じてやりたい、かような判断をしております。
  39. 林百郎

    林委員 そうしますと大体昭和四十年度の中期経済計画から五年間に——先ほどの一千町歩というのは四十一年ですか、四十年度ですか、何年度の計画ですか。
  40. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 四十年です。
  41. 林百郎

    林委員 そうすると、中期経済計画の五年間にどのくらいの土地移動して、それに要する融資——売買に融資する金がいろいろありますから、それに対する資金関係はどうかということを、四十年から四十五年ですか、中期経済のそれまでをちょっと説明してください。
  42. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 市町村で千町歩というのは初年度でございますから、平年度ですと二千町歩、五年間考えますと、一万町歩のものを百町村で動かすことに相なります。それから百町村のパイロット事業をさらに四十一年以降におきましては、ある程度ふやすということを検討したいと思っておりますが、まだそれはきめておりません。したがいましてこの百の町村で二千町歩ずつ五年間で一万町歩土地を動かす事業に限定いたしますれば、所要資金は田でかりに二十万と押えれば二百億であります。
  43. 林百郎

    林委員 中期経済計画土地移動、それからそれに要する資金、これは全部でどうなりますか。わかったら毎年度とその総計を出してもらいたい。
  44. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 中期経済計画におきまして人口がどう減るか、農家がどう減るかということは、これは先生十分御承知のこの中期経済計画そのものが、非常に数学的に行なわれたものでございますので、過去のトレンドを参酌して、それ自身の問題として推計をいたしておるわけなんです。それとは別に中期経済計画では、土地が幾ら移動するかという問題については、計数化をいたしておりません。したがいましてそれによりましてどのくらいの金を要するかということは、中期経済計画では取り上げておらないのでございます。むしろ中期経済計画に伴いまして、農業近代化の低生産部門の近代化の問題といたしまして、先ほども申したできるだけ自立経営になり得るものを多くつくっていくという方法として、特殊な機関をつくって、国があっせんするなり何なりして、農地移動におきまして、自立経営の数多くできますことに役立つような方途を検討に値する、そういうものを考えたらどうかというサゼスチョンをいただいておるわけであります。それとうらはらになりまして、管理事業団も検討された次第でございまして、数字的に中期経済計画土地が何万町歩動いて、所要額幾らというふうには問題を詰めておりません。
  45. 林百郎

    林委員 そうすると農業管理事業団で事業計画が立っているのは四十一年だけ、こう聞いていいのですか。それとも中期経済計画のうち、どこまでは大体こういう方針でやろうとしておるということが確立されておるのですか。
  46. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 お話を分けまして、中期経済計画におきましては、自立農家をできるだけつくるためのあらゆる方途を講ずべきであるというサゼスチョンが行なわれまして、それ以上こまかく具体的な政策がきまっておるわけではございません。一方、農林省といたしましては、中期経済計画があろうとなかろうと、自立経営の数多くの造成ということは、基本法以来の努力の問題でございます。一昨年以来、いろいろ研究いたしまして、構造政策のうちで、先生の御指摘の現在行なわれております構造改善促進対策事業では、まだ不十分であるから、土地の問題と取っ組もうということの意思をきめまして、管理事業団の問題が研究されたわけでございますが、そこで最後の先生の御質問管理事業団の事業計画はどうなっているのかという点について申し上げますれば、昨年の決定におきまして、パイロット的に行なうことに相なりました結果、確実に決定いたしておりますのは、四十年度におきまして百町村千町歩をやる。ただしこの千町歩は年度の半分だから千町歩、平年ベースは二千であるということがきまっておるだけであります。
  47. 林百郎

    林委員 そうすると管理事業団計画で確定しているのは、四十年度、これは半年度だから一千町歩百市町村、それからあとは四十一年度、こう聞きました。そこで、それではその計画内容ですが、どこの都道府県で、どこの市町村なのか、まず四十年度の計画をここではっきり言っていただきたい。それから四十一年度がきまっているのなら、都道府県市町村ですね。
  48. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 御審議いただいております法律の中にも、どういう地域からこういう仕事を指定していくべきかということは、法律案においても考え方を明らかにされておるわけでございます。私どもといたしましては、したがいまして法律案の御審議をいただいた後におきまして、各県に案を出していただきまして、法律の規定しますところの指定の基準というものに比べ合わせまして、最も適当なところからこれを選んでいくという考えをとっておりまして、現在どこの村で何件で何戸というふうにはまだきめておりません。
  49. 林百郎

    林委員 それでは計画が確定したことにならぬじゃないですか。全然政府の指導性というものはないので、この法案が通ったら、どこかで申し出てくるのを待ってて、農林省はただその窓口でお客さんの来るのを待っていて、そのお客さんがいいお客さんかどうか選びましょう。この国会の審議にはまだどんなお客さんが来るか説明できません。そんなばかなことはないでしょう。だってもう現に農業構造改善事業をやっているのだから、その農業構造改善事業関係市町村の、どこの市町村のどういう農業構造改善をさらに推進したいから、そこは管理事業団の施行地域にしたいということくらいは説明がなかったら、国会の審議にならぬじゃないですか。
  50. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 確定をいたしておりますと申したのは、事業量、事業規模が全国ベースで予算上確定をいたしておるという意味でございます。そういうものがきまりました場合、これは一般の予算もそうでございますが、それがきまりまして、法律が御裁可願いましたあとで、それにかなう地区を選んでいくというのは、普通の一般の行政のルールであると私ども考えております。
  51. 林百郎

    林委員 そうしますと、国会の審議は、農林省の言う四十年度事業は一千町歩、それから関係市町村は百市町村、それをわれわれが審議する場合に、いまどこの府県ではこういう事情であるから、農林省としてはここをさらに推進したいとか——推進することが私たちの党の方針に合う合わないは別として、国会の審議のルールからいいましても、農林省のほうからどこの地域をどうしたいから、それには一千町歩、関係市町村百市町村と言わなければ、どうなるかわかりませんけれども、たぶんお客さんが来るでしょうから、来ることに備えて、まあこのくらいにしておいたらいいでしょう。そんなことではわれわれ審議できぬじゃないですか。そうすると本年度一千町歩、関係市町村は百市町村というのは、どこからその根拠が出たのですか。
  52. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 新しい事業でございますから、予算を確定いたします際に明確にすることはなかなかむずかしいわけでございますが、私ども当初四百と考えておりましたのでございますが、パイロット的になるという形で百にきまったわけでございます。根拠いかんといえばさようなことでございます。四百の町村は、十年間に全国の著しく都市化している地域を除いてやっていくとすればという立場で、四百を考えたわけでございますがそういうことではなく、ともかく事柄の性質上パイロット的にやってみるというふうに決定をいたしましたので、予算面におきましては百町村でございます。私どもといたしましては、この管理事業団の設立につきまして御審議を願いまして、決定いたしましたそのときにおきまして、条件を具体的な地区について御相談をしてきめる、こういう考え方でございます。構造改善事業と申しましても、私ども構造改善促進対策事業という在来のものは名前をつけておりますが、この事業をやっております地区におきまして、土地問題にぶつかっておるところにつきましては、これは優先的に考えていく考えでございます。そうでなくても、まず土地から取り組んでいこうという村もあり得るわけでございます。いま国会の御審議を通りますれば、各県各市町村のいろいろの御計画もありましょうし、これを承りながらこれをきめていく、こういう考え方でございます。
  53. 林百郎

    林委員 そういう説明は全く答弁にならないのじゃないでしょうかね。いまの局長答弁がわからないのだけれども、構造改善事業を四百町村考えておったから、とりあえず市を入れたとして四百市町村、これはどういうところからこういうことになつたのか。それから予算関係からとりあえず考えるならば、予算関係がどうなってこうなったのか。それからどういうところから一千町歩という数字が出たのか。さらに局長答弁によると、土地問題で困難を来たしている構造改善事業に対しては、これは優先的に何とか管理事業団としてこれに介入したいと思うし、そうでなくても政策上必要なところは管理事業団の施行地域にしたい。それは具体的に言えばどういうことなんですか、何か禅問答みたいなことを幾ら聞いていたって話にならぬです。
  54. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 構造改善事業ということばがいろいろに使われております。現に三十何年かから国が予算を組みまして、町村を指定いたしまして一定の要領によりまして実行いたしております事業、あれを構造改善促進対策事業と称しておりますが、この内容は、先生御承知のとおり資本の装備なり土地改良なりをワンセットとして、その村でやっていこうという事業として数年間進んでおるわけでございます。構造改善ということばは、御承知のとおりもっと広義に解釈いたしますと、どうも資本の装備なり……。(「それはいい」と呼ぶ者あり)そこで一応土地から取っ組む構造改善事業というものを新しく起こす必要があるという立場から、全然別個の問題として四十年度におきまして管理事業団をつくって、土地を対象にして構造改善を取っ組もうという事業を起こすことに考えたわけでございます。そしてその地区は、別の立場から何百町村ということに計画を立てたわけでございます。全然別個の問題として立てたわけでございます。それで当初におきましては四百町村程度のものをこの事業として四十年から着手しよう、かように考えた次第でございます。ところが予算の折衝過程におきまして、全国化の問題も問題に相なり、それから規模も問題に相なり、その結果当初としては百町村を四十年度はパイロット的にやるというふうにきめました、しかし管理事業団はつくるというふうにきめたわけでございます。そこで管理事業団法の御審議を願うわけでございますが、この百町村を具体的に選び出す問題は、先ほど来申しておりますとおり具体的な地区によって選ぶという考えでございます。その際に、構造改善促進対策事業で資本と土地改良をやっておる地区が、さらに一歩進めて土地問題と取っ組もうという場合には、これは優先的に考えたいということを先ほど申したわけでございます。しかしそれをやらなければ、そういう事業をやってなければこの事業をやらないのかといえば、そういうことではない。こういうふうな考え方でございます。
  55. 林百郎

    林委員 だからそれはわかりますから、具体的に施行地域として百町村を適用するとして、どういう地域を考えておるのか。この百町村を施行地域として、一施行地域にはどのくらいの費用がかかるのか。こういう構想を持っているからこのくらいの費用がかかるのだ、だから四十年度の予算はこういう予算を要求して、国会の審議を求めているのだと言わなければ、そんな抽象論だけでは、われわれはこの法案の具体的な適用の是非を論ずることができないじゃないですか。そんな局長の言うことだけでは、材料がないじゃないですか。四百と考えたけれども、とりあえずそれを五で割れば百前後になるから百だ。どこかといえば、法案が通ったあとで都道府県が申し出てくるでしょうから、申し出てきたときに考えましょう。そんなことでわれわれ審議できますか。こういうところをこのように指導的にしたいと思う。具体的にはこの地域がいまこのようになっているからこうだと言わなければ、審議の材料が出ないじゃないですか。
  56. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 どういう地域をどういうふうに指定するかという基本的な考え方は、御審議願っております法律の二十二条の三項に書いてあるわけでございます。それから昨日、御参考に供しますために提出いたしました実施要領の骨子というものの中に、実施地区はこういうところからこういう手続によって選ぶのだということは書いてあるわけでございます。それでさらに一歩進めて、何県で、どこの村でという問題でありますれば、これはこの法案が通り、細則をお示ししまして、それならばわが村においてはこれをやろうという御判断をされる村の申し出を待ってやるわけでございますから、いまの段階におきましてどこの村ということをきめることは適当でない、またきめてはおらない、こういう関係で先ほど来るる申し上げておるわけでございます。
  57. 林百郎

    林委員 法案の中で、御承知のとおり二十二条にはそれがあるわけですよ。都道府県知事の申し出で一定の区域を事業団の業務の実施地域とする。それから関係市町村と協議して都道府県の農業会議意見を聞く。さらにその総合的な方針としては、農業構造改善事業をさらに前進させるようにするという大きな筋ができているわけです。それが農林省としては具体的に大体こういう地域で水田なら水田、あるいは酪農なら酪農の造草の地盤整備をしよう、あるいは畜産なら畜産でこういう地域を畜産の重点地域にしたいとか、そういうものが何にもなくて、ただ抽象的な百町村、一千町歩、都道府県の申し出ということだけで、いま農林省考えておりません。そうなれば、予算は何で組んだのですか。予算はこの法案を見て具体的な案が出てきてから、それに必要な予算を要求すればいいじゃないですか。それではどういう根拠から四十年度の事業の予算が組まれたのか、その説明をしていただきたい。
  58. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 先ほど来、全国的に七万町歩土地が動いております、それを百町村に戻しまして、そして百町村におきます土地移動の中での——先ほど申しました全部と言うては問題であるということで、半分程度事業団の対象に考えるということで、二千町歩という数字が出ました。二千町歩に対しまして全国平均十七万円という数字から、二十億程度の予算が全国ベースで計上されておるわけでございます。予算はそういうことでございます。この予算の使い方といたしましては、法律の定めるところ及び要領の定めるところにより、具体的な村の具体的な御計画に即応して実行をするということでございます。
  59. 林百郎

    林委員 年間七万町歩土地移動といっても、これは全国的なものですね。その全国的な土地移動の中から百町村、どこの町村を百町村選ぶかわからないのに、その関係町村の土地移動が幾らだかわからないのに、それを一反歩、しかもどこの地域の土地だかわからないのに、やたらに一反歩十七万と押えて、そうして二十億程度なんと言ったって、それではこの予算も全くつかみ予算じゃないですか。大体この周辺の市町村を選びたい。この周辺の市町村の土地は一反歩地価どのくらいだ。それを一千町歩動かすとすればこのくらいだということにならなければ、どこの地域かわからない、どこの土地をつかむかわからない。それを一方的に一反歩十七万と押える、こういうことでは二十億の予算も全然権威がないし、根拠もないものじゃないですか。
  60. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 ごもっともなお話でございまして、考え方といたしましては、具体的な場所をきめまして、具体的な地価で予算を積み上げるということが適当であろうと思います。ただこれは全く新しい事業でございまして、国会でまず事業団をつくるかつくらぬかについての法案の御審議を得なければならない。その法案の御審議がもし得られますならば、直ちにその仕事を実行するという問題になります。したがいまして当初の年におきましては、見込みで予算を組むという例は相当あるわけでございます。そして一年の単年度事業ではございませんので、翌年にもずっとつながるわけでございますから、三月三十一日から四月一日にまたがったら、すぐどうこうという問題でもございません。明年度予算とのつながりにおいて、具体的な数字の調整ということは十分可能なわけであります。そこでそういう立場考えますときに、全国の百という数字を前提にいたします限り、全国の平均の地価で考えまして、それから全体の村がどう出るかという問題もございますが、全国の平均の割合で出てくるであろうという前提のもとに予算を考えるということは、常にやっておるわけでございます。その執行にあたりましては、具体的な地区を決定いたしまして調整をいたしていく。これは在来ほかの事業におきましても、多くの場合やっておる例でございます。
  61. 林百郎

    林委員 大臣も見えましたし、約束の時間がまいりましたので、きょうの私の質問はこれで終わりますが、委員長もお聞きくださったと思いますが、とにかく法案を通せ、通して、あとの計画はわれわれが考えるからということで、法案の審議をしろという、この農林省——これは大臣次官もおらないので、局長だけを責めるわけにはまいりませんけれども、こういう態度で国会の審議をしろというのは、はなはだ委員会を軽視した考え方だと思うのです。少なくとも一年に七万町歩土地移動がある。それに対して四十年度一千町歩を選んだのは、特にこういう地域に集中したいとか——われわれはもちろんこの法案に反対ですよ。反対だけれども国会の審議を求める態度としては、どの辺に本年度の一千町歩は求める。したがって関係町村、関係都道府県は大体こういうところだと農林省としては考えておる。したがってこの予算はどの程度、二十億ということでなければ、これは審議にならぬですよ。だから私はきょうの質疑は非常に不満でありますので、適当な機会に責任ある大臣に、もっとこの政策の姿勢と、責任ある答弁を求めたいと思いますので、委員長に時間や日はまたいずれ御相談申し上げますけれども、その機会を許していただくことを条件として、きょうは約束の時間がまいりましたので、私の質疑は打ち切りたいと思います。      ————◇—————
  62. 濱地文平

    濱地委員長 内閣提出酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法律案東海林稔君外二十一名提出学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特別措置法案及び小平忠君外一名提出学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特別措置法案、以上三案を一括して議題といたします。  質疑の申し出があります。これを許します。芳賀貢
  63. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣お尋ねしますが、今回の酪振法の改正並びに土地改良法の改正を行なうにあたりまして、酪振法の目的の改正を意図されておるわけでございますが、われわれが検討いたしました結果、これは目的事項を改正する必要はないのじゃないかというふうな判断に立っておるのですけれども、特に先般森林開発公団法の改正の場合には、われわれといたしましては改正を行なう場合に、森林開発公団法の目的をまず改める必要があるということを指摘したわけでございますが、そのときは大臣は目的を改正しないで内容の改正をしたいということでございましたが、今回は無理に目的の改正をする必要はないと思うわけですが、この点についてはどう考えますか。
  64. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 私も厳格には考えておらないのでございますが、この間も御質問がありましたように、現行には「農業経営の安定」ということが書いてあるのでございますけれども、「酪農の健全な発達を促進し、」という中に、もうそれも当然含まれておるという意味におきまして別にこの字句がなくてもいいのではないかというふうに御答弁申し上げたのでございますけれども、しいて固執するわけではございません。その趣旨をまだはっきりして、何も削除しないほうがいいというなら、それでも別に私はそれに抗議を申し込む気持ちは持ちません。
  65. 芳賀貢

    芳賀委員 現行の目的と今度の改正の目的と比較しますと、現行法によりますと目的の中で特に「酪農の合理的な発展の条件を整備するための集約農地域の制度」、もう一つは「生乳等の取引の公正並びに牛乳及び乳製品の消費の増進を図るための措置」、この二点が主要目的になっておるわけですが、今回の政正の場合には第一に「酪農適地を中心として構成される一定の酪農圏における酪農経営の近代化を計画的に推進するための措置」と、第二点は「当該酪農適地に生乳の濃密生産団地を形成するための集約農地域の制度」、第三点が「生乳等の取引の公正」、第四点として「牛乳及び乳製品の消費の増進」、これらの事項が目的の内容にうたわれておるわけでございますが、特に改正の末尾のほうで、「あわせて牛乳及び乳製品の安定的な供給に資することを目的とする。」これらの点は蛇足といえば蛇足のようなもので、無理にここに酪振法の目的として「牛乳及び乳製品の安定的な供給」のためということは、穏当を欠くのではないかと思うわけですが、もう一度大臣の御意見を聞かしてもらいたいと思います。
  66. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 いま提案している法律を、解釈といいますか、しますならば、二つの意味があろうと思います。「酪農の健全な発達を促進し、」というところで、これが農業経営の安定に資する、こういうことが前提でありまして、それに「あわせて牛乳及び乳製品の安定的な」国内的な需給をはかっていく、こういうふうなことだろうと思います。大きな目的は酪農の健全な発達をさせて、農業経営の発展に資するということであって、それにつけ加えて需給を円滑にする、こういうことに私は解釈いたします。
  67. 芳賀貢

    芳賀委員 酪農が振興されて生産の態勢が強化されれば、必然的に生乳生産というものは増加するということになるわけですからして、資源論的に見れば、牛乳の安定的供給というものは酪農振興に伴って行なわれるということは言えますけれども、しかし乳製品の安定的供給ということになると、酪農振興法の線からやや逸脱するような目的になるのではないかと思うのです。特に蛇足としてこういうものを強調する理由が明確でないわけです。
  68. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 今回の改正につきまして、他の部分については農林大臣からのお答えがございましたので、最後の御質問の「牛乳及び乳製品の安定的な供給に資することを目的とする。」ということを新たに加えた意義でございますが、事こまかに申し上げるまでもなく、現在の日本酪農の事情の中で一つの問題点は、消費の増大は非常に顕著でございますけれども、これに対する生乳の生産というものが必ずしも順調に適応しておるとは言えないという問題点がある。そこで今回の改正にあたりまして、たとえば関係条文で申しますと第二条の二の第二項第三号に、国が酪農の基本方針を定めます際に、これに基づいてこの中で「集乳及び乳業の合理化に関する基本的な事項」というものを示すことにいたしておりますし、また牛乳についての需給の地域的な見通しを示すというようなことも、今後の日本の輸入乳製品の需要に対する生乳の安定的な生産ということを考えていくという思想でございます。またそのほかにも都道府県の近代化計画にも同様の規定が新たに掲げられておりますし、また集約農地域の指定の中でも、第三条第四項第二号に「その区域内で生産される生乳についての集乳及び乳業施設への供給の条件」というようなことをあげております。また十条の規定では、酪農事業施設の設置について、これは改正をいたしておりませんが、従来から集乳施設もしくは乳業施設についての規制の規定がございますが、これは生乳の生産の増大とともに牛乳及び乳製品についての処理加工の合理化をはかって、できるだけ国際競争力を持つような牛乳乳製品の提供をはかっていくのだということをあわせてねらっておるわけでございます。それらと関連いたしまして、今回の改正については、消費に対応する国内生産牛乳乳製品の安定的な供給をはかる。大づかみに申せば、今後の酪農の姿勢としては、牛乳乳製品ともに国内自給を極力はかっていくのであるという姿勢を明らかにすることが、この法律の目的の一つであるというふうに考えまして、新たにこの規定を加えたわけでございます。
  69. 芳賀貢

    芳賀委員 われわれの承知している範囲では、農林大臣におかれてもたびたびの機会に、酪農の特に生産された生乳については市乳化を重点にして進めるということを強調されており、また政府の発表した中期計画等においても、国産牛乳については市乳化を重点的な方向として進めるということが強調されておるわけですから、そういうことになれば、酪農振興法というものは、この市乳化の方向に進めるということでなくて、国産牛乳による乳製品の一定量の確保ということを重点に考えておるということになるわけですね。そうすると従来の方針と違うのじゃないですか。市乳化でいくということを言っておきながら、酪振法では乳製品の原料としての供給源を確保するということに目的がなってしまうと、これは非常に問題になると思うのです。政府自身の姿勢も二面性を持つということになるわけですから、この点は大臣の方針とだいぶ違うのじゃないですか。
  70. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 御指摘のように市乳を中心とするということを考えておりますのは、前と変わりはございません。この法案牛乳及び乳製品とこう並列してありますので、重点が乳製品にも相当かかっておるのではないかということだろうと思いますが、いわゆる乳製品につきましても安定的な供給をはかるということは必要でございますが、それだから市乳を中心にして進めていこうということではない——ないというふうに反対解釈をされるのはどうも私も困るのですが、そういう意味ではなく、考え方としては原料乳を中心として進めていく酪振法におきまして乳製品を落とすというわけにいきません。やはり乳製品も相当流通しておりますし、できておりますので、そういう意味で別にいままでの考え方が変わったというふうにおとりにならないようにお願いしたいと思います。そういう考えでございます。
  71. 芳賀貢

    芳賀委員 どうもすなおに了承できないのでありますが、酪農振興において重点的な牛乳生産が行なわれてそれが供給されるということは、飲用牛乳であっても乳製品の原料に供されるものであっても、供給源として振興法に基づいて生乳の生産の増大が期待されるわけでありますから、それは問題はないわけでありますが、さらに加工された乳製品の安定的な供給というものをこの酪振法で強調する必要はないと思います。生乳の消費の必然的な結果として、その用途が飲用に供される、あるいは乳製品の原料に供されるということは、これは生産した以上消費されなければ目的が達せられないのですから、それは問題はないが、この加工品まで酪農振興地域において供給しなければならないということはないのじゃないですか。
  72. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 牛乳及び乳製品の安定的な供給ということは、実は牛乳というものは法律的には生乳と区分した観念でございまして、処理加工された飲用乳及びその他の牛乳を含めて観念的には言っておるわけでございます。乳製品については、生乳を処理加工した製品でありますが、これはやはり生乳からの生産物という形で、牛乳及び乳製品と一気に読んで表現をいたしておるわけでございます。第一条の中でも、さかのぼって旧法以来ございます牛乳及び乳製品の消費の増進をはかるということに対応いたしまして、そういう消費の増進をはかると同時に、国民経済的な立場からは牛乳及び乳製品をその消費に対応するように安定的に供給することが、やはり酪農を振興する方向でもあるということで、これを直接といいますか、酪農振興法の元来のねらいということよりは、やや副次的な目的になるという意味で、「供給に資する」という文字を主にして、その間の法律的目的のニュアンスを出しておるのであります。今回の改正が、先ほど申しました酪農事情、また今後の牛乳乳製品の消費事情ということを考慮いたしました場合に、これは必要かつ適切な規定ではないか。なお、多少申し過ぎになるかとも思いますが、こういう牛乳乳製品ともに市乳中心主義とは言いながら、できるだけ国内自給をはかっていくのだという国としての姿勢は、対外的にも、またこの段階では十分意義のあることであるという意味で、この規定について私どもは整備をいたしたわけでございます。
  73. 芳賀貢

    芳賀委員 とにかく生乳が生産されて、それが用途としては飲用牛乳乳製品の原料にしかならぬのです。資しなくたってどっちかに使うことは間違いないわけですから、そういうことをわざわざ書く必要はないでしょう。いずれかにこれは使うのでしょう。まさか捨てるわけでもないし、牛乳でふろをわかしてそれに入るために生乳の生産が行なわれているわけじゃないのですから、農業を通じての生産物というものは、結局消費にそれを対応して供給することによって、国民経済に当然寄与するわけだから、わざわざ何も飲用牛乳とか乳製品の安定的供給に資するなんということを書かなくても、ひとりでに資するのじゃないですか。
  74. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 その点は純物理的な行程としては、まさに御指摘のとおりです。しかしながらここで特に規定をいたしましたゆえんのものは、牛乳乳製品の安定的な供給に資する。前の消費の増進というものに対応いたしまして、安定的に供給する。安定的というのはいろいろな広い意味があると思います。これは必要な時期に必要な量をできるだけ供給するという意味と、また牛乳及び乳製品を含めまして、できる限り価格の条件についても安定的な供給をするのだというようなことを含めて言っておるわけでございまして、そういう思想が、先ほど申し上げました国の酪農近代化基本方針なり、あるいは県の近代化計画なり、あるいは従来からございます十条の集約農地帯における乳業施設の規制の問題なりにあらわれているわけでございまして、そういう意味で単に生産された生乳が、やがて牛乳及び乳製品になって供給されるのだということを、物理的に申し述べておるだけではないわけでございます。
  75. 芳賀貢

    芳賀委員 ではここにうたわなければ、供給は不安定になるのですか。
  76. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 法律のことでございますので、法律に書いただけで安定供給になるというわけではございませんが、この法律の運営について、目的に合うような方向で運営をしていくということが、この規定の意味であろうというふうに私は思っております。
  77. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、末尾に「あわせて牛乳及び乳製品の安定的な供給に資する」ということをうたわなければ、この制度の運用が不安定になるということなんですか。
  78. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 これをうたわなければ不安定になるという性質のものとも思いませんが、この法律自身の規定というものが、こういう目的で規定をされており、今後こういう目的に沿った運営がさるべきであるという表現をとるためには、ここまで書けばほぼ完全な表現になるというふうに私は考えておるのでございます。
  79. 芳賀貢

    芳賀委員 どうもこれは蛇足だと思いますが、次にお伺いしたいのは、今度の改正で、農林大臣が策定する酪農近代化基本方針というものが出てきますが、この基本方針は、基本計画とどう違いますか。大臣お尋ねします。
  80. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 方針のほうが広いといいますか、計画は具体性をだんだん持ってきますけれども、方針といいますと少し抽象的になることがありますから——そういうふうに解釈いたしております。
  81. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると国の定める長期基本計画的なものとは違うわけですね。
  82. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 もっと広い意味での方針、こういうふうに了解しています。
  83. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなると基本計画というものは国としては持たなくて、国がきめるのは基本方針であって、都道府県、市町村の定めるのは基本計画ということになるわけですか。
  84. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 国が方針を立てて、その方針に基づいて、地方公共団体におきまして近代化計画を立てていく、こういうふうな順序になるかと思います。
  85. 芳賀貢

    芳賀委員 われわれの期待は、むしろ国が長期的な基本計画というものを策定して、それに対応して都道府県あるいは市町村の地域の計画というものが策定されるということで、相当計画性のあるものになると思うわけですが、国の方針は非常に抽象的なものであって、それは計画ではない。たとえば需給関係から見ても、たとえば五カ年計画あるいは十カ年計画の需給計画というものを国が示して、それに応対して地方における計画も策定されるということであれば、一貫性があると思いますが、国自身が長期的な見通し計画性も持たないで、単に幅の広い方針だけ示されても、末端においては非常に迷惑するのじゃないかと思うわけなんですが、この点はどのようにお考えですか。
  86. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 方針は、いま申し上げましたように、幅広いことでございますが、その方針の中には、長期見通しに即した生乳の地域別の需要の長期的見通しとか、あるいは生乳の地域別の生産数量の目標、こういうものも入っていますので、方針は、ばく然とした方針でなくして、長期的な見通し等も含めて方針を立てていく、こういうことに考えております。
  87. 芳賀貢

    芳賀委員 そうしますと、たとえば農業基本法の第八条にある需要と生産の長期見通し、これと近代化基本方針とは、どういうような関連があることになるのですか。
  88. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 農業基本法の八条にありまする需要及び生産の長期見通し、これは全国的に重要な農産物について長期の見通しを立てていくということに相なると思います。これを受けて酪振法の第二条におきましては、生乳の地域別の需要の長期見通しとか、あるいは生乳の地域別の生産数量、こういうふうに地域的に限定されてくる、こういうふうに見ております。
  89. 芳賀貢

    芳賀委員 そうしますと近代化基本方針に取り入れられる計画というものは、農業基本法第八条の牛乳あるいは生乳の生産あるいは飲用牛乳乳製品の需要と生産の長期見通しというものを、第二項の一の生乳の需要の長期見通しというところに、これは取り入れるということになるわけですか。
  90. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 御質問の趣旨はそのとおり私ども考えておるわけでございまして、補足して申し上げますと、農業基本法八条では、重要な農産物について全国的な需要及び生産の長期見通しを立てることを政府に義務づけておるわけでございますが、それに基づきまして昭和三十七年五月に、農産物の需要と生産の長期見通しが公表されたわけでございます。法律的な構成としましては、基本法に全国的な主要農産物についての需要及び生産の長期見通しという規定がございます関係上、基本法を受けて立ちます個別の法律としては、その長期の見通しに基づきまして生乳の地域別の需要の長期見通しや、生乳の地域別の生産数量の目標を定めるということにいたしておるのでございまして、この地域別の問題は農業基本法八条にも規定はあるわけでございますが、生乳の需要というものについては独特の需要圏をなしておりますので、そういう生乳の独特な需要圏というものを地域別に分かちまして、需要の長期見通し及び生産数量の目標をきめてまいりたいというふうにいたしておるわけでございます。
  91. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは今年の一月閣議決定が行なわれました中期経済計画の中における農業見通し、その中の農産物の需給の見通しにおける牛乳、畜産物の品目ごとの生産見込み及び需要見込み等は、今回の近代化方針とどういう関係を持っておりますか。
  92. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 中期経済計画の中でといいますか、計画を立てます前提としての見通じ作業は、法律的にはこの近代化基本方針の中での長期見通しなり生産数量の目標なりとは、直接関係はございません。関係がありますのは、農業基本法八条の規定による長期見通し及び生産数量の目標でございますが、政府として中期経済計画を策定する段階におきまして見通しを行ないました結果は、これは政府として責任ある見通し作業でございますので、このことは実質的には今回御審議を願っております酪振法の酪農近代化基本方針の長期見通しなり生産数量の目標というものに、関連を持ってくるということに相なるわけでございます。   〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕
  93. 芳賀貢

    芳賀委員 どうもいまの説明ではわからぬのですが、それではいまの時点においては、法案としては酪農近代化基本方針なるものを掲げてあるが、内容はどういうものであるかということは、提案者としてはまだわからぬわけですね。
  94. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 酪農近代化基本方針の中で決定すべき生乳の需要の長期見通しという問題につきましては、先ほどお話を申し上げましたように、昭和三十七年に昭和四十六年に至る間の長期見通しがあるわけでございます。したがいまして全国的な見通しがあるわけでございますが、生乳の地域別の需要の長期見通しなり生乳の地域別の生産数量の目標は、今後私どもが生乳の流通圏をいかに把握するか、またその把握に従ってそれぞれの需要の長期見通しというものを、どうブレークダウンするかという作業を終えて初めてきまる問題でありまして、現段階において地域別のこれらの需要ないし生産数量の見通しなり目標というものは、申し上げる段階でないということは御理解をいただきたいと思います。
  95. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは局長答弁でもいいですが、三十七年に発表された長期見通しは、現在の時点でそのまま活用できると思っておるわけですか。
  96. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 三十七年に公表されました農産物の需要と生産の長期見通しに関しましては、これは全体の問題として現段階でどうであるかということは、私から責任を持ってお答え申し上げるのには、私自身が不勉強であり、かつ責任の立場でございませんので、お許し願いたいと思いますが、牛乳に関しましては、三十七年の長期見通しは非常に幅の広い見通しをいたしておるのでありまして、現在までの推移を見ますならば、三十七年の長期見通しの幅の中にその実績は入っている、そういう意味ではほぼこの長期見通しについては適用し得るものであるというふうに考えております。
  97. 芳賀貢

    芳賀委員 それではこの方針は計画でないということになれば、何カ年計画とか何カ年後の見通しというものはわからぬわけですね。
  98. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 先ほども申し上げましたように、この基本方針の中で特に全国的に重要な意義を持ちます需要の長期見通しなり、あるいは生乳の生産数量の目標なりというものは、農業基本法に基づいて策定をされます全農産物のそれを受けてやるわけでありますので、ただいま私ども考えておりますのは、現在公表されております農業基本法八条に基づく需要の長期見通し並びに生産目標というものの周期でございます四十六年と合わすことが、妥当であるというふうに考えております。
  99. 芳賀貢

    芳賀委員 それではことしから四十六年までの大体六カ年計画ということになるのですか。
  100. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 この法案が御審議の上、通過成立いたしました上で、スタート年次をいつにするかということでございますが、現在のところは三十九年をベースにせざるを得ないだろう。基礎資料の問題もございますので、三十九年をベースにいたしまして、四十六年に至る七カ年計画、七カ年の見通し及び生産目標ということになるかと思います。
  101. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは内容は七カ年計画ですね。生乳生産の七カ年計画と、それからたとえば飲用牛乳乳製品の需要の七カ年計画、そういうことになるわけですか。
  102. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 三十九年をベースにいたしまして、四十年度を初年度とします計画ということにいたしますと、満の年度で言いますと六カ年の見通し、スタートから終わりまでの年次を数えますれば七カ年にわたる見通しということになろうかと思いますが、実質の期間は六カ年ということに相なります。
  103. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから三十九年を出発年とすれば、三十九年の数字というものは出せるわけでしょう。
  104. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 この長期見通しなりあるいは生産目標の決定は、おそらく私どもがこの法案の成立をお許し願うといたしましても、本年の後半に相なると思いますので、その時期までには三十九年の数字はほぼ出そろうものと考えております。
  105. 芳賀貢

    芳賀委員 計画を立てる場合、スタートと到達点がなければ計画にならぬですね。ですから三十九年の出発年における必要な需給の数字というものは、明確にされるわけでしょう。しないわけなんですか。
  106. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 当然見通しを行ないますベースの年次における関係のデータは、明確にされねばなりません。
  107. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、これは方針ですから、毎年当該年度の方針は明らかにされるわけでしょう。
  108. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 全国的に非常に流動しつつあります酪農の諸問題について、当該年度だけの方針を定めるということは非常に困難である。いわば期間が短ければ短いほど、誤差率といいますか、そういうものが大きくなるわけでありまして、その持つ意味もそれほど評価し得ないということになりますので、私は毎年度毎年度の見通しということについては、法律上の行政事項としては考えておらないのであります。
  109. 芳賀貢

    芳賀委員 そうではなくて、長期見通しにしても中期見通しにしても、これは出発点と到達点があれば大体中身はごまかしがきくが、基本方針となると、実際に実行する場合に基本になる方針というものは、それぞれの年度において明らかにしなければ——それができないなら、長期見通しだけでいいじゃないですか。名前だけりっぱに近代化基本方針と言ったって、方針はないのでしょう。よりどころは長期見通しだけじゃないですか。
  110. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 一般的に申し上げまして、需要の長期見通しなりあるいは農産物の生産数量の目標なりというものを長期的に決定をいたします場合には、各年次別の見通し数量あるいは目標数量というものは示さないのが、私は通常であると思います。と申しますことは、一つの傾向に立ってものを考えます場合に、短期には若干のフレが生ずるということに相なりますので、各年次ごとの数字は示さないというのが普通だと考えております。ただ各年次の水準を判定されるような指標は、この長期見通しをつくりますときに明らかにいたしまして、中間年次における実績というものとその計画というものとの動向が、いかなる関係にあるかということを知り得るような指標は、明らかにしてまいりたいというふうに思っております。
  111. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは六カ年ないし七カ年の長期見通しは立てる。毎年度の分については立てないのがあたりまえではなくて、できないのでしょう。あなた方の能力では明らかにすることができない。したがってそれにかわるものとして毎年の指標を明らかにする、そういうことですか。つくらぬのがあたりまえなんというのは変ですよ。能力的にできないから、これはやむを得ない。それにかわるべきものとして指標で間に合わせてもらいたいという意味ですか。
  112. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 これは非常にむずかしい問題でございますが、私どもが毎年の長期見通しの中の各年次の見通し数量なりあるいは目標というものを、能力の理由によって避けようということではないのでございますが、事実上はやはり非常に困難なことであるということを申し上げざるを得ないと思います。だんだん技術的になるかと思いますけれども、長期見通しなりあるいは長期の生産数量の目標なりというのは、その長期ということで区切りました期間の最終時点の問題を求める行政的なメルクマールであるわけでございまして、そういう意味で単一の長期期間の中にさらにそれを細分化するということは、私はそもそも長期の見通しなりあるいは長期の生産目標なりを求める作業とは別のものであるというふうに思いましたので、先ほどこの種の作業というのは年次見通しを付さないのが普通であるというふうに申し上げたのでございます。これが別途の観点に出ます計画、たとえば国家的な意図に出る計画というようなものでございますれば、それは年次の計画というものもある程度明らかにする必要もあり、またそれも可能であるかと思いますが、事の性質上私は最終時点における見通しあるいは目標を示すことで、その意義が十分であろうというふうに考えておるのでございます。
  113. 芳賀貢

    芳賀委員 見通しと方針は違うでしょう。方針というのは具体的に示さなければならぬでしょう。ですから長期性を持った計画というものは長期計画とも言うし、あるいは長期見通しとも言うが、それぞれの年度における見通しというものは使わないでしょう。その年度の需給見通しなんというのではなくて、それは需給見込みでしょう。年次の計画とか年次の見込みということは言うが、年次見通しなんというものを使う者はまれにしかいないと思うのです。そうでしょう。見込みじゃないですか。昭和四十年度の見込みということは、長期計画の中で言えるじゃないですか。ただりっぱに近代化基本方針と言ったって、中身は実際はないのでしょう。羊頭だけ掲げて狗肉も何もないじゃないですか。これは農林大臣、一体どう考えておりますか。何かかわるべきものがあればまだうなずけるが、羊頭だけで中身はない。
  114. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 いま話を聞いておったのですが、中身は長期見通しだけれども見通しに意欲を持っておるのが方針だ、見通しの基礎に立って一つの意欲を持っておるということでございますから、中身もあるし、またこの長期見通しばかりではなく、その他の近代化計画も定めていかなくてはならぬということに相なろうと思います。すなわちこういうことをねらっておりますが、適地適産により生乳生産の安定的増大とか、近代的な酪農経営の育成とか、生乳の流通、処理、加工段階におきます経費の節減、こういうねらいをもちましていまも申し上げますような生乳生産の目安とするためその数量の目標を定めていく、あるいは飼養頭数の規模とか、飼料の自給度とか、労働生産性等についての望ましい水準を示す指標を定めていく。さらに市町村段階では具体的な経営目標、あるいは集乳の合理化のため、集乳路線の整備、共同集乳組織の整備等の目標を定める。あるいは乳業の合理化に関して乳業施設の規模、配置の適正化等の基準を定める、こういうようなこともありますので、近代化計画の中身はからだというわけはないと思います。羊頭ばかりではなくて、狗肉よりもっといいものができると思います。
  115. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、今回の改正によって学校給食供給計画というものが出てくるわけでありますが、これは近代化基本方針とどういうような関係を持って策定されるわけですか。
  116. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 今回の改正によりまして、牛乳学校給食計画的な増大をはかるということで、政府の方針を明示するという規定を設けたいと考えておるわけでございますが、この近代化基本方針なりあるいは近代化計画の中では、牛乳学校給食の増大というのは、一般の需要の増大のほかに積極的な飲用乳——加工原料乳の飲用乳化という形で、計画的に総需要の増大として掲げていきたいというふうに考えております。
  117. 芳賀貢

    芳賀委員 近代化基本方針に即して学校給食計画を策定するということになっておるわけですからして、近代化方針には、たとえば昭和四十六年までに学校給食牛乳については完全実施するとかしないとか、そういう点が出てくるわけですね。何かないと即するわけにいかぬでしょう。その間の事情はどうなんですか。
  118. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 ただいま申し上げましたような考え方から、牛乳学校給食の完全実施の時期は、昭和四十五年を目途に計画的に生乳学校給食に切りかえていくということにいたしたいと思います。
  119. 芳賀貢

    芳賀委員 その点は予算委員会等において大臣から直接言明されたわけですが、基本方針には、昭和四十五年度には学校給食牛乳は完全実施する。完全実施する場合の必要の数量はこれこれということは載るわけですね。
  120. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 仰せのとおり学校給食の所要量は明らかにしたいと思います。
  121. 芳賀貢

    芳賀委員 すると方針に載るのは、学校給食の数量だけですか。あとは数字なしですか。
  122. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 基本方針では、地域別に需要の見通しを行ない、また生産目標を掲げることにいたしておりますので、四十五年に原料の学校給食を行なうとするならば、一般需要の増大のほかに、最終年次を四十六年にいたしますれば四十六年における一般需要の総量と、さらに学校給食として供給すべき総量というものをあわせ決定をして、明らかにしたいというふうに考えております。
  123. 芳賀貢

    芳賀委員 この改正案によりますと、給食供給目標とあわせて学校給食供給計画数量は農林大臣が定めて、文部大臣と協議して、いずれも公表しなければならぬということになっておるわけですからして、学校給食供給計画数量というものは、昭和四十五年までに完全実施するということになれば、毎年次の実施数量というものはどうしても出てくるわけですね。
  124. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 改正法案の第二十四条の三の二の「学校給食供給目標」というのは、一定の長期の供給目標を示すという考え方でありますし、それから二十四条の三の三は、毎年度の給食数量というものを計画いたしまして、これを公表するということにいたしておるわけであります。でありますが、この学校給食供給目標は、長期的な供給目標と同時に、やはり政府としての一種の事業の計画でもございますので、年次別の数量については、その概算的なものは私としては明らかにしてまいりたいというふうに思っております。
  125. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは法案審議の関係上、資料として、四十五年完全実施ということで、それに到達する満年次の計画数量については出してもらうことができますね。
  126. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 芳賀先生はいろいろな点で私どもよりもよく万事に通じておられるわけでありまして、申しわけないのでありますが、供給目標にいたしましても年次別数量にいたしましても、この法案通過後に初めて政府として責任のある数量がきまるわけでございますので、その間におきましては、現段階において農林省としてはこういうことになるであろうということで試算したもの、それもある程度の幅を持って試算をしておる、そういう程度でお許しを願えると存じますので、そのような資料でありますれば、御指摘の資料は提出いたしたいと思います。
  127. 芳賀貢

    芳賀委員 当然私のほうからも、審議の用に供するため必要なものを出してくれということを言っているのだから、それは法律が通るか通らぬかわからぬいまの時点において、通った先のことまで何も聞いておるわけじゃないのです。予算分科会等においても、酪振法の改正案を出す場合には必ず学校給食牛乳の関係については四十五年完全実施を目標にして、それに到達する毎年度の計画数量等については、同時的に審議の際に明らかにしますということは、農林大臣がこれは言明されておるわけですからして、この点は特に大臣から責任のある答弁を願いたいと思います。
  128. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 四十五年度の供給量を約三百五十万石、こういうふうに予定しています。それで四十年度の供給予定数量は、かねて申し上げておりますが七十万石、こういうことでございますので、その間も年次別に予定の数量に掲げられるわけでございますから、そういう供給予定の量というものを資料として出したい、こう思っております。
  129. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは資料提出をお願いいたします。  その次にお尋ねしたいのは、今回の改正によりましても特に生乳の集乳及び乳業の合理化に関する点が、現行法よりも非常に簡略にされておるわけです。条文から言うと、第三条の集約農地域の指定の第二項の三になっておるわけですが、現行法によると「生乳の生産者の共同集乳組織の整備及び乳業の合理化に関すること。」と書いてありますが、今度の場合には単に集乳及び乳業の合理化に関することと、非常に略してあるわけですが、これは現行法によると、生産者の共同集乳ということをたてまえにしておるわけですからして、そのことは当然生産者が直接構成員になっておる生産者団体である、いわゆる単位農業協同組合等が基本になって集乳事業を行なうということで理解されるわけですが、今度はそういう点を非常に簡略化して、単に集乳ということにされたのは、どういう意図によるものですか。
  130. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 旧法制定の当時におきましては、たとえば御指摘の集約農地域における酪農振興計画の中で、酪農家による共同集乳の組織、つまり農業協同組合、農民の組織によって共同で集乳をし、共同で販売をするということの重要性を強調いたしたのでございます。今日その問題は、あいかわらず牛乳の販売、流通の問題としては重要である点についてかわりはないのでございますが、そのほかに集乳なりあるいは輸送の合理化ということのためには、それに必要な施設の整備等の問題もございますので、共同集乳組織という問題を集乳合理化の問題の中に含めて、より広い表現をとることが妥当であろうということで、従来の共同集乳組織という部分的なつかまえ方を集乳ということで大きく包括的にとらえ、それを文章の上にも表現をしておるということにいたしたのでございます。
  131. 芳賀貢

    芳賀委員 これは大臣にお伺いしておきますが、今回の改正は、非常に危険な改正になっておると思います。現行法においても生産者の共同組織による集乳事業ということになっておるわけですからして、それはもうだれが解釈しても生産者の構成員になっておる農業協同組合が主体であるということは明らかになりますが、今回は単に集乳とだけしかうたってないわけですからして、この点は集乳を行なう責任の所在というものは生産者にあるか、あるいは乳業者にあるかということは、一そう明確にしておく必要があると思うわけです。これについてはどのようなお考えを持っていますか。
  132. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 いま畜産局長から説明申し上げましたように集乳組織の整備、そのほかに集乳につきましては集乳路線の整備とか、あるいはまた集乳施設の適正配置とか、こういうことをも合理化の中に入れよう、こういう考え方に基づいておりますので、生乳の生産者の共同集乳組織のほかに、いま申し上げたようなことを含めて集乳、こういうふうに表現をいたしたわけでございます。でありますので、当然生産者の共同集乳組織ということは、集乳の中に入っておる、こういう意図でございます。でありますので、生産者の集乳組織ということで私ども考えていこうということであります。
  133. 芳賀貢

    芳賀委員 そうしますと集乳の事業というものは、一般の農産物を農業協同組合が一元集荷するのと同じたてまえに立って、集乳の事業は、生産者が行なうのが当然である、そういうたてまえですね。集乳と送乳と区分しないと、混合すると非常に将来危険を残すことになるわけです。ですからまず生産されたものの集荷はだれがやるか。その場合にはいま農林大臣の説明のありましたとおり、生産者団体が行なうのが当然の任務である。生産者団体である農協が集乳したものを、そこから今度は販売して、販売行為としてどこにそれを送乳するかということは、次の時点で明らかにする問題だと思われる。先ほど局長は、集乳と送乳を一緒にしたほうがいいようなことを言われたが、これは間違いじゃないですか。そこを明確に区分しておかないと、将来また危険がある。
  134. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 大臣からのお答えにもありましたように、集乳と送乳を分けてはっきりいたしますと、まず集乳の段階で、これは当然農民の共同組織によって処理すべきもの、それが本来の筋であると私ども考えております。私が輸送の問題も言いましたのは、少し話が前に進み過ぎたのかと思いますが、私は輸送についても、原則的には農民の共同による輸送が本来の姿であろうというふうに考えております。
  135. 芳賀貢

    芳賀委員 それでよくわかりました。そうしますと、都道府県または市町村が策定するところの酪農近代化計画の中における、その区域内で生産される生乳の販売に関する条件、これは都道府県の計画でありますし、また市町村の近代化計画によると、生乳の生産者の共同集乳組織の整備、その他集乳の合理化のための措置、こういう点が計画策定の必要事項として明らかになっておるわけですから、たてまえはあくまでも生産者による一元集荷、メーカーが幾つかある場合には多元販売、こういうことに理解して差しつかえないわけですね。大臣からお答え願います。
  136. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 一元集荷、多元販売、こういうふうに解釈して差しつかえないと思います。
  137. 芳賀貢

    芳賀委員 これと関連してお尋ねしたいのは、現行法にもありますけれども、生乳の取引の事項の中で、生産者と乳業者の間における文書契約による取引の契約という点が、今回は一部改正されておるようでありますけれども、この点は協同組合が一元集乳をやるということになれば、生産者団体が集乳した生乳を販売するという行為は、個個の生乳生産者が乳業者と行なうということでなくて、むしろ共同的に生産者を代表する協同組合あるいは都道府県単位の連合会が乳業者と契約を締結するということが、販売あるいは取引行為の中では基礎になるというふうに解釈しても差しつかえないと思いますが、その点はいかがでしょう。
  138. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 牛乳の持っております商品としての特殊性からいいまして、牛乳の販売の側は取引の位置としては相対的に弱い位置に立つわけでございます。でございますので、その取引が対等の立場で公正に行なわれるということのためには、できるだけ広い地域において、お話のように一元的に集荷し、多元的に販売のできる体制をとるということが、あるべき姿であるというふうに私は思いますので、少なくとも現在の牛乳取引の単位といたしましては、府県の単位ということが具体的な線でございますので、そういう意味で県単位の農民組織が集乳、送乳、販売等の事業を営むように組織、整備されているということは、私どもとしては好ましい方向であり、また進むべき方向としてこのことを重要に考えていくべきであるというふうに思っております。
  139. 芳賀貢

    芳賀委員 特にこれは明らかにしておきたいわけですが、現行法の第三章、生乳等の取引、第十九条の契約の文書化、これは解釈によっては、個個の生産者が乳業者との間において生乳の取引契約を結ぶということがうたってあるわけですが、特に第十九条の三に、生乳の生産者が直接または間接の構成員となっておる協同組合または協同組合連合会が、乳業者との間において契約を締結する、しかもそのことについては協同組合法の規定に基づいて、農林大臣が協同組合と乳業者の間において取引契約を締結すべきであるという勧告をすることもできるということが規定されておるわけでありますからして、先ほど来の大臣の御説明によっても、生乳の集乳事業は生産者が構成員になっておる協同組合が行なうのが当然である。集乳した生乳を乳業者の製造施設等に送乳する場合の事業も、これは生産者団体が行なうのが当然であるということが明らかになったわけでありますが、残された問題としては、取引行為をする場合においてもこれはやはり共同の行為として、生産者を構成員として持っておる都道府県単位の協同組合連合会が、乳業者との間においてあるいは単数であるいは複数の、つまり一元集荷、多元販売に基づく取引契約を締結してそれを誠実に実行する、こういうやり方が一番正しいというふうな農林大臣の御趣旨であるかどうか、もう一度明らかにしてもらいたいわけです。
  140. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 ただいま御説示のとおりに解釈いたしております。
  141. 芳賀貢

    芳賀委員 この点が明らかにされて非常にいいわけですが、これはきょうの審議の対象にはなっていませんが、後日政府から提案された加工牛乳補給金制度の法律に非常に影響を持つ点ですから、これは記憶に残しておいてもらいたいと思うわけです。  もう一つ、取引の関係で今度は当事者の出頭要求の規定が新たに加えられたことは非常に妥当と思いますが、ここでもう一つ問題になるのは、都道府県知事が生乳等の取引契約にかかる紛争が生じた場合に、その紛争のあっせんまたは調停を行なうということになっていますが、都道府県知事が調停案あるいはあっせん案を作成して当事者に提示しなければならぬということは、現行法でも明確になっておるわけですが、そのあっせん案、調停案を調停の申請が受理された日から何日以内に提示しなければならぬというような規定は、明らかにされていないわけですね。ですから紛争が非常に長期化して、調停案あるいはあっせん案の提示がいつまでも出ないということは、従来もそれによって生産者が非常に実害を受けておることは、大臣も御承知のとおりであります。したがってこの改正を機会にして、あっせんの申請があった場合は、それを都道府県知事が受理した日からおおむね何日以内に、調停案あるいはあっせん案というものを当事者に提示しなければならぬという規定があれば、この関係は非常に生きてくると思いますが、どうお考えですか。
  142. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 あっせんあるいは調停は、申し上げるまでもなく一つの強制力を持っておりません。お互いの話し合い、こういうことについてのあっせん、またそれがきまった場合に調停、こういうことになるのでございますので、これは事の性質上期限を切ってということは適当でない、こういうふうに考えますので、規定の上には期限を切っておりません。実際の行政指導の上におきまして、できるだけ早く調停が成立するように指導するということが適当ではないか、こういうふうに考えます。
  143. 芳賀貢

    芳賀委員 現在の二十一条には「都道府県知事は、前条の調停を行う場合には、その紛争の当事者から意見を聞いて、紛争の解決に必要な調停案を作成しなければならない。」ということがうたってあるわけなんですね。ですから調停案というものは必ず作成しなければならぬのであるが、それを何日以内に作成して当事者に示しなさいということが明確になっていないのです。ですからせっかく調停案をつくるのですから、つくる場合には有効な時期にそれが当事者に示されて、紛争の解決が行なわれるということが法律の趣旨だと思うのです。いつでもかまわぬから、つくるだけでいいですというのはおかしいじゃないですか。これが昨年あるいは一昨年の紛争においてもきめ手にならないのです。そうしてずるずる引き延ばしを関係の知事等が行なって、最後には中央調停委員会に持ち込むというような事例も幾多あるからして、やはり迅速に行なうということになれば、おおよそ妥当な時間というものを農林大臣が計算して、その期限以内において調停案を示しなさいということを、今回の改正の機会に明らかにされたほうがいいと思うのですが、いかがでしょうか。
  144. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 先ほど申し上げましたように、法的に何日以内ということを規定するのは、調停というような事の性質上いかがかと思いますので、法律にはそういう期限を規定いたしません。しかしながらいまのお話のように、じんぜん日を送っておったのではこれは困ります。それで調停案も作成しなければならない、こういうことになっておりますので、これは行政指導において適宜事態を見守って、できるだけ事実に即して、早く調停案を作成するような行政指導を行なっていく、こういうことにいたしたいと思います。
  145. 芳賀貢

    芳賀委員 その趣旨は、たとえば次官通達とか畜産局長通達等によって、あっせんの申請が出た場合においては、大体効果があがるように、一定期間内において調停案を作成して示す、そういうことを行政的におやりになる必要があるということなんですね。
  146. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 そのとおりでございます。行政的に過当にあるいは次官あるいは局長からそういうふうにいたしたいと思います。
  147. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは次に土地改良法の一部改正案があわせて出ておるわけですから、その点に対して数点お尋ねしておきたいと思うわけであります。  まずお伺いしたい点は、昨年の土地改良法の改正の場合に、土地改良法第四条の二に、土地改良の事業に対して、農林大臣が長期計画を作定してこれを公表しなければならぬということになっておるわけですが、この公表はすでに行なわれましたか。どういうことになっていますか。
  148. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 土地改良法の規定によります土地改良長期計画につきましては、現在作成を急いでおる段階でございまして、まだ公表の段階ではございません。
  149. 芳賀貢

    芳賀委員 これは大体もう一年くらいたっているのじゃないですか。特に昨年の法案審議の場合にも、改正を行なう場合には、あらかじめ長期計画等についても、概要の内容というものが示されるべきであるということを、去年も丹羽さんが局長だったですか、こちらから指摘した記憶があるわけですから、あの当時はもう法案が通過すれば、さっそく作業を急いで、七月ごろにこれは公表できますよということをたぶんあなたは答弁しておるのです。それをまた忘れて、まだ公表できませんでは、ちょっとこれは怠慢じゃないですか。
  150. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 土地改良法の改正が審議に相なりました段階から申し上げておったことでございますが、まず基礎資料が要る。したがって在来の土地改良調査というのが三十五、三十六と行なわれて、これだけでは不十分でございますので、三十八年度に総合土地改良調査をやり、三十九年度に補完調査をやりまして、四十年度の初めにおきましてこれを確定して、できれば七月ごろに何とかそこまで持っていきたいということを当初から申しておったのでございます。ようやく三十九年度の補完調査が終わりましたので、いま五月を目途に、それの整理及び方向づけにつきまして鋭意作業中でございます。
  151. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは五月には公表されるわけですね。特にその場合、当委員会においては附帯決議を付しまして、その第一項として、「土地改良長期計画の策定に当っては、国土総合開発計画、各地方開発計画及び特殊立法地域の振興計画等を総合的に調整勘案して概ね十ケ年計画(前期後期各五ケ年)とし、政府は、年次目標を設定してその完全実施がはかられるよう予算その他必要な措置を講ずること。」こういうふうになっておるわけですから、結局公表される内容も、たとえば前期五カ年計画と、それから各年次に実施される計画目標等についても、たとえば四十年度、四十一年度はこういうような目標で行なうということは、同時に明らかにされるわけですね。
  152. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 まず初めに、公表の時期の問題でございますが、法律にも規定してございますように、作成しようとしますときは、関係行政機関の長、都道府県知事の意見を聞かなければならない、このステップが一つ必要でございます。ですから、さらに閣議の決定を得たときは公表しなければならない。私どもといたしましては、関係行政機関の長及び都道府県知事の意見を聞くことを急ぐつもりでございますが、したがいまして内部作業が終わった段階において、直ちに公表できるという形ではないと御了承願いたいと思います。  それから期間の問題でございますが、十年とするという問題につきましては、政令でその後十年と明定をいたしました。それから前期及び後期にそれを分けろという御決議をいただいておるのでございまして、私どもは前期、後期に分けたものを用意をいたす考えでございます。ただその次の、年次目標を設定して完全実施がはかられるよう予算その他必要な措置を講ずることということでございますが、もし御趣旨が、年次別計画を設定公表しろという趣旨でございますれば、私ども考え方といたしましては、毎年この十年計画、さらに前期計画等に基づきまして、目標年次を毎年きめて完全に実施がはかれるようにぜひ努力する、こういうふうに考える次第でございます。
  153. 芳賀貢

    芳賀委員 次に農林大臣にお伺いしておきたいわけですが、この改正によりまして、草地の造成改良が国の国営土地改良事業として行なわれることになるわけですが、その場合、土地改良事業を行なったあとの造成された草地の維持管理方式等については、これは土地改良法においても明らかにしなければならぬことになっておりますが、どういうような方式で国営造成地を維持管理されるのか、その内容について明らかにしてもらいたい。
  154. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 国営草地の改良されたあとの維持管理でございますが、これはそういう場所の性質等からいいまして、個人に維持管理をするようにするということは不適当だろうと思います。そういう関係から地方公共団体等が管理経営する育成牧場または共同採草放牧地として利用するように指導していきたい、こう考えております。
  155. 芳賀貢

    芳賀委員 地方公共団体に維持管理をまかせるということですか。
  156. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 今回の土地改良法の改正によりまして、国営草地改良事業並びに都道府県営草地改良事業の範囲を拡大をして実施をすることになったわけでありますが、今回の改正にかかわります部分は、地方公共団体、農業協同組合、あるいは連合会等が使用収益権を持っております土地について、草地の造成、改良事業ができるということになったわけでございます。そのような土地はただいま農林大臣からお答えいたしましたように、個々の農家の農用地の保有の拡大という形ではなかなか利用できない、あるいは管理できないという特質を持っているわけでございますので、地方公共団体等、等という中には農業協同組合なり農業協同組合連合会を含んで考えておりますが、これらの地方公共団体なり農業団体というものが、造成後の草地の利用について管理運営をしていくということを考えておるわけでございます。具体的にはそれぞれの地域において、いかなる団体が管理運営の主体となることが適当であるかということは、今回の土地改良法の八十五条の二の第二項に、一般の国営土地改良事業の手続に準じまして、予定管理方法等をあらかじめ定めさせるというようなことを考えておりますので、それらの管理運営の方法について事前に採択の段階におきまして十分検討を加え、将来の利用、管理ということに万全を期するようにいたしたいというふうに思っておるわけでございます。
  157. 芳賀貢

    芳賀委員 あと二点くらいでやめておきますが、一点は国営土地改良事業ですから、国が直接直轄で行なうことになるわけですが、これはあくまでも直轄事業として国がおやりになるのか、あるいは必要な場合には都道府県に工事の施行を委任する方式をとるのか、この点はどう考えておるか。もう一点は、国営土地改良事業ですからして、これは事業費の全額を国が負担しておやりになるというふうにわれわれは理解しておるわけですが、それに間違いないですね。
  158. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 私からお答えいたします。今回の土地改良法で、ここにもございますように、地方公共団体等が当該の事業をやろうとする場合に、公共団体から国営でやってほしいと申請のありましたもので、国営でやるということに決定いたしましたものは、国が当然自分でやる。県営でやってほしいという申請が出てきて、県営でやってほしいというものは、県営でやるわけでございます。それから国営でやります場合には、国営事業でございますから一応予算は全額計上して、国の手によって国が行なう。それから負担関係は、国が実質的に負担するものと相手方が負担するもので、その部分は徴収という形で事後において処理されるわけであります。
  159. 芳賀貢

    芳賀委員 その点が明らかにならぬと、法律の中だけに国が草地改良事業をやってやると言っても、一般の理解は国営で、今度は全額国家の負担でこれはやってもらえるという理解をしておるし、そうしなければ、負担が過重になるような方式でやる場合には、だれもやってくださいという申請なんか、これは出てこないのです。こういう土地改良事業をやっても、受益者としては収益性は低いですからね。そういう点をこの際明確にしてもらいたい。申請があった場合には、いま農地局長の言ったとおり国営でやってもらいたいという場合には国営でやるとか、県営でやってもらいたいという場合には希望どおりに行なうとか。しかし現行の土地改良法では、国営土地改良事業であっても、都道府県にその事業を委任して行なわせることができるということになっておるわけです。この場合にはあくまでも国営土地改良事業を都道府県にまかせてやらせるという意味であって通称県営事業とか道営事業というのとこれは性質が違うわけです。そういう場合と、もう一つは国の負担で国営土地改良事業として行なうのであるが、いま農地局長の説明からいうと、相当これは負担をさせるというような意味にもとられるわけですからして、これは酪農振興のためにやるわけですからして、その点を明確にしておいてもらいたい。
  160. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 まず初めに法律関係だけを御説明さしていただきたいと思います。第九十条で、国は政令の定めるところにより、国営土地改良事業に要する費用の一部を負担させることができる、これが法律的には働くわけでございます。
  161. 芳賀貢

    芳賀委員 どう働くか。
  162. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 今回土地改良法を改正いたしまして、地方公共団体等の使用収益する土地についての草地改良が、国営によって行なわれる道を開きたいということで提案をいたしておるわけでございますが、この場合の国営草地改良事業の経費の負担関係は、四十年度予算の編成にあたりまして、政府内で方針として決定しておりますことは、一般のかんがい排水等の土地改良と同様に、国は事業施行に必要な経費をまず国費をもって施行する。そのうち農地局長お話に出ました国の負担部分は内地六五%、北海道七〇%という負担をいたしました上で、その残りの部分がいわゆる地元負担になるわけでございますが、その地元負担につきましては、都道府県を通じて負担金の徴収をするということにいたしておりますが、その際都道府県は残額のうち一定額の実質的な負担をいたしました上で、最終の利用者に対する負担の軽減をはかるという考え方で、この事業経費の分担を行なっていきたいという、そういうことにいたしますれば、確かに草地のことでございますから、その収益性等についても一般の耕地とは異なった点はございますが、今後の酪農等の畜産の飼料基盤の整備ということで、十分貢献し得るものだというふうに考えておる次第でございます。
  163. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは国営土地改良事業であっても、国の行なった事業に対して地元都道府県に対して、内地にあっては三五%、北海道においては三〇%、都道県に負担をさせる、そういう方式なんですね。
  164. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 一定の経済効果、これは理屈っぽくなるわけですが、一定の経済効果を伴う投資でございますので、国の負担いたします六五%なり七〇%の残額の三五%、三〇%というものを、すべて都道府県に負担をさせるという考え方は持っていないのでございますが、その三五%なり三〇%なりのうちの都道県の負担し得る限度において、最終未端の負担者の経済的な負担軽減という意味で、一部を負担させるようにしたいというふうに考えておる次第でございます。
  165. 芳賀貢

    芳賀委員 あと不足分はだれが負担するのですか。
  166. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 この事業は先ほど御説明をいたしましたように、地方公共団体なり農業協同組合なりあるいは農業協同組合連合会がみずから使用収益をするときについての、国営草地改良事業の申請による事業でございますから、したがってその残りの部分は申請者、つまり最終の管理、運営の主体が負担をするということになるわけでございます。
  167. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、土地改良法はそういうことになってないでしょう。国営土地改良事業の場合、国は都道府県に一部負担させることができるということにはなっておるが、末端の国民に負担させることができるということにはなってないですよ、国営土地改良事業ですからね。
  168. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 これは農地局長答弁のほうが正確かと思いますが、便宜お答えしますが、国営土地改良事業の負担金は、九十条で、政令の定めるところによって、事業費の一部を都道府県に負担させることができるとなっておりますが、さらに二項において、「前項の都道府県は、政令の定めるところにより、条例で、国営土地改良事業によって利益を受ける者でその事業の施行に係る地域内にある土地につき第三条に規定する資格を有するものその他省令で定めるものから、その者の受ける利益を限度として、前項の規定による負担金の全部又は一部を徴収することができる。」ということに相なっておりまして、最終受益者からの徴収の規定はあるわけでございます。
  169. 芳賀貢

    芳賀委員 そうするとその負担区分についてはあらかじめ案があるわけですか。
  170. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 現在のところ、地方公共団体及び申請の通過機関といいますか、経由機関である都道府県の意向も最終的に明らかにされておる段階ではございませんので、国の負担以外の部分の負担区分については、明確にお答えできる段階ではございませんが、畜産局としては、国の負担以外の部分のおおむね半額程度を当該都道府県の負担としてかぶってもらいたいという考え方を持っております。
  171. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、たとえば畜産局長の説明によると、北海道の場合に例をとると、国が七〇%負担をする、残り三〇%については、都道府県がその二分の一の一五%、残りの一五%はいわゆる末端の受益者負担という形で処理する、こういう考えの上に立っているわけですか。
  172. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 大体そういう考え方でございます。
  173. 芳賀貢

    芳賀委員 では、これで大体きょうは質問を終わりますが、農林大臣としては、一体どういうお考えでこの国営草地改良事業等をおやりになるのですか。われわれとしては、大臣の信念というのは、これは国内における飼料資源の開発を行なうために、国の責任で未利用地を積極的に開発して、そして全く輸入依存の飼料問題を、国内における供給源の拡大によって解決するという考えの一環として、国の全責任をもって大規模の草地造成等を行なって、十分活用していくというようなふうに期待しておったわけですが、いまの局長の説明によると、相当これは地方団体あるいは利用者に負担をさせるという考えのようであります。これは大臣の御趣旨とは非常に懸隔があるように思いますが、いかがでしょうか。
  174. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 もちろん自給飼料によって酪農等を経営するという方向で、国営で草地改良事業を行なおうということでございます。しかしいま局長からお話し申し上げましたように、受益者があるわけでございます。やはりそれを使いまして、あるいは育成牧場としたり、また酪農経営したりする受益者がございますので、その受益者が、受益の程度によりましては、個人を対象としてはおりませんけれども、ある程度の負担というものはまああってしかるべきだ、こういう考え方から、受益者の負担をいささか予定しておるわけでございます。両面からそういうふうに考えております。
  175. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長代理 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時四十五分休憩      ————◇—————    午後三時三十九分開議
  176. 濱地文平

    濱地委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続いて質疑を続行いたします。芳賀貢君。
  177. 芳賀貢

    芳賀委員 自治大臣お尋ねしますが、ただいま当委員会においては酪農振興法の一部改正について審議を行なっているわけですが、政府提出いたしました法改正の内容の中に、農林大臣酪農近代化基本方針を定め、それに即応して都道府県並びに市町村が酪農近代化計画を策定して、効果的な運営を行なうということになっておるわけですが、国の基本方針についてはさておきまして、都道府県並びに市町村の酪農近代化計画については、これはやはり今後の農業地域における公共団体の行なう産業行政の面においては、相当重要な役割りを果たすことになるわけでありますが、この点について、自治省といたしまして何らかの関心を持っておられるかどうか、まずお尋ねしたいと思います。
  178. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 実は財政局長がまだ参りませんで、私こまかい点をよく存じませんものですから……。ただ、酪農全体についての地方の助成といいますかについて、いま自治省がどうしようという考えはございませんけれども、ミルクについての学校給食の点につきましては、国庫補助の以外に、保健婦等の人件費だとか、あるいは設備だとかいうようなものには基準財政需要で見て、ミルクそのものについての助成等につきましては、いまのところ考えていないという状況でございます。
  179. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 酪農振興関係のものにつきまして、全国的規模において行なわれるものにつきましては、平均的な姿においてある程度基準財政需要額の中に算入をいたしております。
  180. 芳賀貢

    芳賀委員 局長が出席される前に私の尋ねたのは、今回の酪振法の改正に基づきまして、国が酪農振興発展のために酪農近代化基本方針というものを農林大臣の責任において定めるわけでございますが、これに対応して、都道府県酪農近代化計画並びに市町村酪農近代化計画を公共団体が責任を持って策定して、これを基礎にして実施するということになっておるわけです。したがって、都道府県あるいは市町村においても、これらの問題は地域の産業発展のために重要な持続的な役割りを果たすことになるわけでございますので、もちろん所管は農林省でありますけれども、これが計画の策定あるいは完全な運営等については、自治省としても関心を持つ問題だと思うわけです。したがって、今回の改正についての自治省における見解とかあるいは熱意のほどを明らかにしてもらいたい。
  181. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 酪農関係で一番やはり金を食いますのは、御承知のように、草地改良の問題でございます。草地改良事業等につきましては、従来から基準財政需要額の中に算入をしてまいっております。今回の改正に伴いまするお尋ねの基本計画の策定その他の事務費関係につきましても、先般御審議いただきました地方交付税法の改正を通じまして、財源的に措置いたしてあります。
  182. 芳賀貢

    芳賀委員 それで、この基本計画に関係のある問題でありますが、同様に今回の改正によって、義務教育学校児童生徒に対する国産牛乳学校給食供給計画というものを農林大臣文部大臣と協議いたしまして、その目標並びに実施計画を決定して、これを公表して、昭和四十五年までには牛乳給食については全面的に国産牛乳をもって給食する、こういうことが改正とあわせて実行されるわけです。そういたしますと、義務教育学校の場合には学校設置者は主として市町村あるいは都道府県がほとんどでありますので、国産牛乳の給食というものに対して、いわゆる市町村の学校設置者、これは自治体ということになるわけですからして、この設置者が行なう国産牛乳の給食の経費等について、もちろん、国が現在においても本年度は七十万石の供給計画に対して、一合について五円の国庫補助ということが明らかになっておるわけでございますが、御承知のとおり、毎年物価の上昇等に伴って、生産者が生産するなま乳の価格も値上がりすることは当然なことでございます。それを原料にして学校給食用の牛乳供給することになれば、経費の面においても年々これは増高することは当然であります。したがって、現在のように一合について国がわずか五円程度しか負担しないということになると、残り全部を父兄負担ということだけでは、これは十分な消化ができないという難点も生じてくるわけです。したがって、昨年あたりから、教育に熱意のある都道府県あるいは市町村等においては、国産牛乳の給食にあたっては、その一部を公共団体が負担して、できるだけ父兄の負担軽減をはかりながら、国産のなま牛乳というものを子供たちに給与する、こういうことを行なっておるわけです。この法律に基づいて、昭和四十五年といっても、あと五年しかないわけでございますが、五年後の昭和四十五年には、おおよそ石数にして三百五十万石程度学校給食用の牛乳が必要になるわけでございます。これに対応して国の負担あるいは市町村の負担等が伴わないと、せっかくりっぱな供給計画ができましても、これが消化できないということになるわけでありまして、この点について、自治省といたしましては、今後どういうような方針の上に立ってこれが完全に実行されるように促進される御意思か、その点に対して大臣から明らかにしてもらいたいわけです。
  183. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 酪農振興の観点から給食に、ミルクを使うということはけっこうなことでございますが、ミルク代について国が助成する以外に市町村がこれを持つということについては、いまのところ、私どもはまだ踏み切っていないわけでございます。先ほど申しましたように、給食の保健婦の人件費だとか、設備だとか、そういうようなものについては、公共団体の経費として基準財政需要に見ております。もっとも、生活保護者等で自己負担ができぬ者につきましては、国の負担すべきものは国が負担し、地方公共団体の負担分は当然見なければなりませんが、一般の児童についてのミルク代を地方公共団体の負担で見ていくということには、まだ踏み切れない状態でございます。
  184. 芳賀貢

    芳賀委員 それはあなたが踏み切らぬでおっても、すでに一部の都道府県や市町村ではもう踏み切ってやっているのです。ただ、あなたが踏み切っていないから、自治省のほうで基準財政需要額の算定の要素に見ないということで、交付税の対象にはなっていないが、しかし、熱意のある、教育に理解のある都道府県あるいは公共団体は、国がわずか五円しか負担していないですから——諸外国はミルク給食については、ほとんど全額国とかあるいは連邦政府が全面的に負担しておるわけです。日本のいまの自民党政府だけが、ようやくことしは七十万石国産牛乳を使うということになりましたが、従来は全部アメリカのCCCが保管しておる質の非常に粗悪な、あるいは動物飼料用の安い脱脂粉乳をわざわざ輸入して、それを水に溶かして子供に与えるというやり方をやってきたわけです。ところが最近は、アメリカのほうでも、CCCの保管分がほとんど枯渇したと同時に、脱粉を輸出する場合においても、大体昭和四十年あたりからは商業ベースで輸出するというような方針がきまったわけです。そうなると、アメリカの粗悪な脱脂粉乳を輸入して使用する場合の価格と、国産のなま乳を原料にして製造された脱脂粉乳の価格が、大体同額程度になってしまったわけです。したがって、脱脂粉乳を輸入して安上がりの給食をやるということは、今日できない状態になったわけでございますので、そうなると、必然的に国産の新鮮にして良質な牛乳をミルク給食に使うということに当然なるわけです。その場合、国はわずか五円しか負担しないということになると、たとえば一合十二円で給食するということになれば、残り七円を父兄が負担しなければならぬということになるので、これは一年間に大体二百十五日くらい給食を要するということになれば、父兄としても相当負担が重いということは言えるわけです。そういう場合に、公共団体が熱意を持って、国の負担以外にさらにその一部を負担して実施するということについて、これは当然推奨すべき行為であるというふうに考えるわけです。自治省としては、そういうことをするなという指導をするつもりなんですか。
  185. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 こまかい問題でございますので、私からお答え申し上げます。  今日はたてまえといたしまして、そういうことをしちゃいかぬということではなくして、そういうことはたてまえとして地方団体が出すということにはなっていない。したがって、交付税の今日のたてまえから言いますならば、施設費等につきましては、設置市町村の義務費でございますので、これは交付税にちゃんとした形でもって算入をしていく。ただし、いまお話しの点につきましては、交付税のたてまえからは、今日では算入をしていない。しかし、算入していないけれども、それは別にしちゃいかぬということではございません。それぞれ地方団体が独自の施策として自己財源の範囲でもっておやりになることをおとめ立てすることは考えていないわけでございます。  それでは将来どうするかということでございますけれども、将来の問題となってまいりますと、やはりこれは制度の基本に触れる問題でございます。ミルク以外の給食との関連もございましょうし、ミルクだけをどうこうというわけにはなかなかまいらぬのじゃなかろうか。やはりこういう制度全体についての国と地方団体との負担のしかたという問題から考えて検討していかなければならぬのじゃなかろうか。また地方財源の現状から言いましても、一食一円と言われますけれども、一食一円でも、全部を通じて見るということになりますと、やはり三、四十億の金になるだろうと想像されるのでありまして、地方財政にとってはなかなか大きな問題になるわけでございまして、その辺のところは慎重に検討すべき問題であろうかと考える次第でございます。
  186. 芳賀貢

    芳賀委員 しかし、自治省としては、地方競馬までやらして、特定の市町村に対してはそういう財源付与を、直接はやらぬが、認めておるようなこともおやりになっておるわけです。学校給食というのは、現在においては義務教育の一環として教育課程に入っているわけですから、そういうのはやってもやらぬでもどうでもいいというものではないですよ。そういうことになると、これは、義務教育国庫負担の原則からいっても、国が全額負担するのは当然であるが、いまのような熱意のない政府の場合には、全額負担をやれといっても、義務教育費さえ二分の一しか負担していない現況ですから、なかなかやらないと思うのです。そういう場合、地方団体が熱意をもって国の負担以外の部分の、全部とは言わぬが、その一部を負担するということは、これは当然最も好ましいことだと思うわけです。ですから、これに対して、段階的には、交付税の対象にするかしないかはその次の次元で考えるべきものであるが、そういう負担を積極的に地方団体が行なうということについては、自治省としては奨励してもいいのじゃないですか。これは大臣から……。
  187. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 金があれば望ましいことかと思いますけれども、地方団体の今日の財政の状況から見ますれば、なかなかそこまではいかないと思います。義務教育費は全額国庫負担あるいは公費負担でやることが望ましいことはもちろんでありますけれども、給食は一つの生活費の一部でありますから、先ほど申しましたように、生活困窮者につきましては、これは当然国なり公費でもってまかなうということですけれども、一般の人の生活費まで見るということになりますると、なかなかこれは容易なことではございませんので、先ほど申しましたように、そこまでは踏み切っていないということであります。将来、非常に地方財源も余裕が出てまいりますれば、これはけっこうなことに相なると思います。
  188. 芳賀貢

    芳賀委員 余裕のある町村がやる場合には、自主的にやれるからいいわけです。余裕のない町村が熱意を持って行なったときに、初めてそれは交付税の対象になるということですが、金のある町村がやるのは、これは何も国がめんどうを見る必要はないですよ。金はないが、どうしてもこれは優先的にやらなければならぬということで、財政支出した分については、当然これは自治庁として重点的に考えるのが当然じゃないですか。しかもいま大臣の説明によると、給食はこれは生活費だから見る必要がないと言われておるが、それでは国が一合五円国庫負担をするのは、これはどういう意味なんですか。生活費で負担する必要がないとすれば、国が五円負担する必要はないじゃないですか。負担しておるのは、これはやはり義務教育の一環である、そういう原則の上に立って、全額はできないが、国としてとりあえずいまの段階では五円の負担を行なうということをやっておるのですから、これはあなただけ見解が違うというのはおかしいと思うのですよ。
  189. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 ミルクについての国の一部補助は、これは給食という点もございましょうが、一つには酪農振興の点もあろうかと思います。国がそういう助成をしていくということはいいのですけれども、公共団体がそれを負担するということにつきましては、これはまあ相当考えなければならぬ、かように存じまして、先ほど来申し上げておるわけであります。
  190. 芳賀貢

    芳賀委員 国産牛乳の場合は酪農振興の一助ということもできるが、一昨年以来はほとんど全量に近い数量をアメリカの脱脂粉乳を輸入して、これを給食して、わずかであるけれども、その脱脂粉乳の値の大体二分の一程度を国が負担しておったわけですからして、これは酪農振興にならぬでしょう。よその国の余った粗悪な脱脂粉乳を輸入して、そうして学校給食供給する、それはむしろ酪農振興をはばむ要因ということになるわけです。それでも国は負担しておるのですよ。そう考えないですか。
  191. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 でありますから、やはり学校給食について国がめんどうを見ていくというたてまえは、これは私はいいことだと思います。しかし、先ほど申しましたように、地方財政は非常に苦しいときでございますし、地方財源でこれを見るということにつきましては、私どもはまだいまのところ踏み切れない。やるならばそれは国が見ていくべきである、かように存じておる次第でございます。
  192. 芳賀貢

    芳賀委員 それはたとえば七円とか八円とか全額国が見るのがたてまえである、そういうお考えですか。
  193. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 できればそういうふうになっていくことが望ましい、かように存じております。
  194. 芳賀貢

    芳賀委員 自治大臣としてはどう考えておるのですか。できればじゃなくて、あなただって、順位は、何番目かはわからぬが、閣僚の一人なんですから……。
  195. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 国の財政も非常に苦しいわけでございます。いろいろの負担がございます。したがいまして、財政と見合っていかないと、いいからといってすぐ全額これを見るというわけにもいかないのであります。国の財政もだんだんと充実してくれば、先ほど申し上げましたように、義務教育費は全額国庫負担のたてまえをとって、教科書もだんだんと国が持つようになっておると同様に、いいことだからそれじゃ一挙に全部国が持つ、こういうわけにもまいりませんので、国の財政負担の充実と相まってだんだんと進められていく、かように考えております。
  196. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、いまの限界は、一合五円程度しかいまの政府は負担ができない。それに対して、大きな金額ではなくて、一合について一円とかあるいは二円程度、都道府県あるいは市町村が積極的に負担するということについては、これはもう支出面からいえば、非常に価値のあるやり方なんですよ。そういうところに地方財政を投ずるということは効果的なことなんですよ。それが酪振法の改正によって、昭和四十五年には大体三百五十万石を対象にして、これを消費することになるわけです。供給するということになるわけです。現在はまだ二年目で七十万石程度であるが、五年後には今年度の五倍の数量を供給するということになるわけです。そういうふうにもう完全実施ということになった場合において、なおかつ国が二分の一程度しか負担をしない、その時期には、供給する学校牛乳の費用が一合十五円程度はかかるというような場合も予測できるわけです。ですから、国並びに市町村が一部負担するということは、これは当然じゃないですか。いまの学校給食法の規定においても、これの公費による負担ということが明らかになっていますね。公費ということは、これは国費の負担並びに地方団体の負担というものを合してこれを公費というわけです。そういう規定が明らかにあるわけですからね。公費負担ということになれば、その割合はどうであっても、その一部を市町村財政あるいは都道府県が負担するということは、これは当然じゃないですか。
  197. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 先ほど来申し上げますように、地方財政が豊かでございますれば、負担することもけっこうではございますけれども、今日地方財政が非常に苦しい。したがって、交付税等も引き上げて、国の財源の中から地方に回さなければならぬというような状況でございますから、そういう中において基本財政需要に見るということは、結局それだけ交付税で見なければならぬようなことでありますから、したがって、それくらい窮屈な財源の中で見るということには、私どもはいまのところ踏み切れないわけであります。もし国に余裕があれば国で見ていっていただきたい。将来地方財政もだんだん豊かになりますれば、それは給食は地方公費の中からでも見ていくということはいいですけれども、いまできるところはいいじゃないかといってどんどんやられて、できないところはそのままになるというわけにもまいりません。やはり子供の給食の問題でありますから、したがって、いいからといって、またできるところはいいじゃないかといって、簡単にはいかない。やはり見るならば、国がきちっと一合当たり幾ら見る、増加していくというようなたてまえで進むべきだ、地方公共団体がただかってに見るとか見ないとかいうことは、あまり好ましいことではない、そういうことで私は踏み切れないわけです。
  198. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたは逡巡しておるが、地方では踏み切ってやっておるところがあるのですよ。そういうところは必ずしも財政が豊かというわけじゃない。それは、義務教育というものは、財政が豊かであるとか、家庭の事情がいいから子供を義務教育学校に入れるというわけじゃないでしょう。貧困であろうと富裕であろうと、これは義務として義務教育学校に子供を就学させなければならぬということになっておるわけですから、それと比較した場合、財政が困るから見なくてもいいということじゃないでしょう。国が義務を課している場合のそれに付随する支出については、そう思わぬですか。
  199. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 義務教育自体はお話のとおりでありますけれども、給食は一つの食事であります。それを義務教育の給食であるから全部見ていかなければならぬということにはならぬのじゃないか、かように存じておるのであります。したがいまして、たてまえは、給食費は、設備やその他の人件費等はまあ公費で見ますけれども、中身の食費というものは各自が持つというたてまえになっておるわけであります。ミルクはそのうちで一部国が助成をしようということです。したがいまして、義務教育の給食だから当然これは公費で見るべきだというところまではまだちょっといけない、かように存じます。
  200. 芳賀貢

    芳賀委員 それではどうして公費負担ということをうたっているのですか。給食法で公費という字句を使っていますが、公費で見ないのなら、公費というのは直したらいいじゃないですか。
  201. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 これは私条文のところまでは存じませんけれども、当然そうあるべきだと思って申し上げたのでありますが、ここに給食についての「経費の負担」に「学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち政令で定めるものは、義務教育学校設置者の負担とする。」こういうことになっておりまして、限定されております。
  202. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、それは設置者が全部見なければならぬでしょう。設置者というのは、義務教育の場合には主として地方団体でしょう。ここで言っているのは、給食費に対して国あるいは地方団体の設置者がどの程度の負担をするかです。ですから、いまはこれは大体三者負担みたいなことになっているのですよ。国、公共団体、この二つを合わせた場合に、これは公費負担ということは、法律上の明らかな表現になっているわけでしょう。どうもあなたはなかなか回転がおそいが、質問の要旨がわからないですか。
  203. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 御質問の要旨がわからぬのか、私の申し上げていることが徹底しないのか、存じませんけれども、条文にははっきりと書いてございまして、施設及び設備に要する経費その他給食の運営に要する経費のうち、政令で定めるものは設置者の負担である、それ以外のものは学校給食を受ける児童または生徒の、学校教育法二十二条第一項の規定に規定する保護者の負担とすると、はっきり法律にも書いてあるわけであります。一切がっさい全部公費でやるとは書いてないわけです。まだその時代にはなっていない。それで、先ほど申し上げましたように、給食はけっこうなことですから、これに要する人件費だとか、設備だとかいうものはできるだけ公費で持って、そして父兄の負担にしないということはけっこうですが、食事の中身まで全部これを公費で持つということには、まだちょっと日本の現状ではいっていない。(「全部とは言っていない」と呼ぶ者あり)全部とは仰せにならなかったかも存じませんが、たてまえとしてそういうふうになっていないから、したがって、もし見るならば国が見ていくべきである、かように存じて申し上げております。
  204. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、いま国が五円負担している。それでは父兄負担が非常に重い。負担できる者もあるのですが、負担能力がない父兄も、これは義務教育だから、みんな子供を学校にやっているわけですし、しかも学校で給食するわけでしょう。貧乏人の子供は負担ができないから、それをながめているというわけにはいかぬでしょう。そういう実情をわきまえておる市町村は、現在は交付税の対象にはなっておらないけれども、自発的に、積極的に国の五円に対してさらに一円とか二円上置きして、父兄負担を軽減さして、そしてミルク給食の普及をやっているというのが現状じゃないですか。だから、そういう実情というものは、五カ年計画でだんだん拡大されて、四十五年には全面的に国産牛乳による給食を行なうということになるのですよ。そういう方向にあるわけだからして、この際、自治省としても、給食の持つ意義とかその使命感というものを十分頭の中に入れて——ただ金があるとかないとかいう問題じゃないですよ。行政を行なう場合に、これがどの程度有効な国の支出あるいは公共団体の支出かということを十分検討した場合、こういうものはやらぬでもいいとかやるべきでないというものじゃないですよ。したがって、その行なっておる町村においても、財政の富裕なところだけがやっているわけじゃないですよ。教育に対して理解のある、熱意のある町村が積極的にやっているわけですからして、そういう負担した部分については、この際、自治省としても十分その内容というものを認識し、その意義というものを検討して、これを財政需要額の算入に見るかどうかということについては、やはり検討を要すべき時期だとわれわれは考えておるわけです。こういう点については、しばしば衆議院あるいは参議院等においても、特に学校給食の中の牛乳給食に対しては、全額公費をもって負担すべきであるというような決議が、これは国会の意思で行なわれているのですよ。そのくらいのことが自治省でわからぬということはないでしょう。一体検討する気があるかないか。地方に対して、そういうことは進んでやる必要がないとか、そういう態度でこれからも臨むかどうか、この際、明らかにしておいていただきたい。
  205. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 先ほど申しましたように、今日の地方財政の現状からいたしますならば、地方団体がそれについて負担するという時期ではない、かように存じております。将来財政に余裕ができればけっこうなこと、かように存じます。
  206. 芳賀貢

    芳賀委員 それは局長とは答弁が違うじゃないですか。局長先ほど答弁は、市町村が行なう支出については、直ちに交付税の対象にはできないが、それをやるなとか差しとめるということは考えておらない、むしろ、おやりになることに対してはそれは妥当な措置である、こういう意味答弁を——発言しなかったら、あなたは取り消しなさい。大臣と同じ答弁であるならば、それでもいいですよ。自治省がどういう認識を持っておるかということをわれわれは試みておるだけなんです。あなたがいつまでも自治大臣をやっておるわけでもないでしょう。国会が終われば参議院選挙ですからね。そう前に内閣改造があるから、いつまでもあなたの程度の認識の自治大臣がすわっておるとはわれわれは考えていないが、この法案の審議にあわせて、一体自治省としては、地方における酪農振興の問題であるとか、あるいは国産牛乳学校給食の問題等について、それは地方自治に関係のある問題であるからして、どの程度の認識と熱意を持っておるかということをわれわれは試みに質問しているわけなんですから、やらしたくないとかやるべきでないとか、見解を明らかにすれば、それ以上の質問はいたしません。
  207. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 自治体のことでありますから、自治体がしたことについて、けしからぬから取りやめろと言うつもりはございません。しかし、制度としてそういうものは地方団体が負担すべきものであるということには、まだ今日の段階では踏み切れない、私はさように思いまして申し上げております。ですから、将来財源に余裕が出てくれば、それはけっこうなこと、しかし、いまのところでは、それでなくても地方財政は非常に窮屈で困っておるときでありますから、その見通しをつけないで、ただいいからやれるところはやったらいいじゃないかというような指導は、私どもとしてはできないわけであります。しかし、やっているところをけしからぬ、差しとめるというようなつもりはもちろんございません。
  208. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう態度であれば、毎年地方団体が財政計画を当然にこれは自治省に出すわけですが、そういう場合に、あなた方いまのような態度をとるのですか。君のところは何もこんなもの負担する必要はないのにやっておるじゃないか、だからこれは苦しくなるのですというようなことを、いまの大臣局長答弁からすると、そういうことを言いかねないですね。どうですか。
  209. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 先ほど来お答え申し上げておるとおりでありますが、私どもは、地方団体が財源の範囲でもってそういうことを行なわれる、つまり、必要な事務は遂行され、そのほかに、残されたいわゆる自由財源といわれる幅の中でそういうことをおやりになることについて、別にとやかく言っておるわけでは全然ございません。ただ、それを交付税の配分にあたって考慮するかせぬかということになってまいりますと、これは財源の問題であるとともに、制度の問題があるのではないか。制度の問題を考えます場合に、ほかのミルク以外の給食の問題もありますので、これはやはり慎重に検討すべき問題ではないか、かように申し上げておるわけでありまして、決して個々の地方団体がやっておることについてとやかく言った覚えもございませんし、言うつもりもございません。
  210. 芳賀貢

    芳賀委員 運輸大臣お尋ねしますが、質問の第一点は、先日衆議院本会議におきましての社会党の牛乳法案の趣旨説明の中で、今後国内における生乳の供給に対する円滑化をはかるためには、どうしても牛乳生産地から消費地に対しての輸送事業というものが相当積極的に行なわれなければ、一方においては牛乳はどんどん生産されて、ほとんど過半数の牛乳が原料乳に落とされるというような地域もありますし、一方においては消費の需要が相当拡大しておりながら、それに十分こたえるだけの市乳あるいは国産牛乳供給できないという、国内における需給の不円滑が表面にあらわれてくるわけです。そういうことになると、やはりこれは生産者とか乳業者の負担においてのみこの需給問題の解決をはかるということは、これは当然できないわけですね。やはり国の施策として、これらの根本的な問題を解決するにはどうするかということになれば、当然主要な生産地域から主要な消費地域に対して牛乳の積極的な輸送を行なう、こういう施策が国の責任で講ぜられるということになれば、問題が大部分解決すると考えられるわけであります。輸送ということになれば、これは運輸大臣の所管ということになるわけですから、農林大臣がいかにそういうことを考えても、これはあなたのなわ張りだということになると、簡単にはいかないわけです。そこで、この際、この牛乳の輸送方法という問題について、一体運輸省としては、これとどういうように取り組む姿勢を持っておられるか、その点を明確にしてもらいたい。
  211. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 この問題につきましては、先日の本会議答弁いたしましたように、まず一番指摘いたしたいのは、東北、北海道が生産地であって、消費地に遠いという問題で、主として原料乳になっておりますから、価格が、まあ原料乳はそう高く買ったのでは製品にするのに損がいくということで、非常に困るということ、市乳にすれば原料乳の倍には売れるというような状況ですから、その間の距離を縮めるというのは運輸省の責任であろうと思います。  それで、この問題につきましては、北海道の生牛乳について、夏季においては現地において相当過剰状況になるのでありますから、これを本州に移出することについて検討いたしてまいりました。昭和三十九年度、昨年、冷蔵庫による試験輸送を行なってまいったのであります。本年度からは本輸送を実施する段階になっております。この本輸送は、冷蔵車を充当して、毎日二車程度計画しております。その期間は五月から九月までに一応やってみようということで予定されております。貨車は最も性能の高い冷蔵車を使用することにいたしておりますが、当面の計画されておる貨車数から見れば、特に専用運用を行なうようなことでなくても十分円滑な輸送ができると考えられております。なお、本年度はこのほかに国鉄では冷蔵コンテナを作製することにしておりまして、さしあたり旭川−隅田川間にこれを運用する計画であります。これによるなま牛乳の輸送も計画しており、今後の需要のいかんによっては、来年度以降もコンテナ個数の増配を検討いたしたいと思っております。今年は試験輸送の状況で、現地における原料乳がどのくらい余るかということと、また持ってきた東京の消費量の需給関係等も見合う必要があるわけなんですが、一応いま申し上げた程度計画を持っております。
  212. 芳賀貢

    芳賀委員 いま大臣から御説明のあった点は、これは運輸省の計画に基づいて国鉄がこういう新しい試みを行なう、そういうことですか。
  213. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 いま大臣から御説明申し上げましたように、北海道のなま牛乳の輸送につきましては、相当計画的に輸送を考える必要があるということで、三十九年度試験輸送を国鉄が試みたわけであります。今後現地と国鉄と十分にお打ち合わせをして、この計画輸送を達成していきたいと考えております。運輸省がこれについて必要な助言をする、こういう立場にあるわけであります。
  214. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣から毎日冷凍貨車を二車と言われたが、これは列車編成を二本毎日出すということですか。
  215. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 大臣が御説明申し上げましたのは、現在の計画輸送量でございますと、毎日十二トン積める最新型の冷蔵貨車、一二、〇〇〇型式という貨車でございますが、この二両程度の輸送量であるというふうに考えているわけでございます。これはもちろん、将来の輸送量の増に見合って、必要に応じて逐次計画を改定していく必要があるわけでありますが、この新しい型式の貨車が千八百三十三両、ございますので、必要に応じて十分この計画を改定していく貨車としての余力はあるということでございます。それからコンテナにつきましても、大臣から申し上げましたように、逐次状況に応じてこの計画数をふやしていくということを考えているわけであります。
  216. 芳賀貢

    芳賀委員 社会党の牛乳法に基づくと、これらのミルク専用のたとえばタンク車にしても、あるいはコンテナにしても、これは国の負担で建造して、そうして形式としては、生産者団体にこれを無償で貸し付けるわけですね。貸し付けを受けた生産者団体は、今度は日本国有鉄道と契約して、そうして公共的な料金で、いわゆる低廉な料金で長距離輸送をやってもらう、こういう趣旨ですが、これは大体大臣のお考えと、いまのような説明を聞くと、合致するじゃありませんか。どうでしょう。
  217. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それは無償で貸し付けるというのではなくて、国鉄の運賃等級の範囲内における運賃をいただく、同時に、長距離割引の範囲内の割引をするという二点以上の問題はできないのではないかと思っております。
  218. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 ちょっと補足いたしますが、お話しの社会党案の内容と照合いたしまして、現在現実に国鉄が試験輸送の結果計画している輸送の形といたしましては、先ほど大臣がちょっと申しましたように、最新の冷蔵車が千八百両ある、一日の輸送量は二両程度である、こういうような状態におきましては、特に別個に貨車をつくりまして、それを専用運用するということよりも、これらの貨車を荷物を積んで運ぶことができますから、袋も利用するということで、つまり、総合的な運用の中で使うというほうが、輸送経済上はいいのじゃないか、またそういうことが現状においては、可能なんだ、それから現実のなま牛乳の運賃につきましては、二十二級という、貨物の等級からすれば非常に低廉な運賃が計画されておるという状態でございますので、こういうことで、一応われわれとしては、現実のなま牛乳輸送が大体御要請に応じて完遂できるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  219. 芳賀貢

    芳賀委員 少し具体的な点ですが、たとえば二十二級の等級運賃で行なった場合、北海道から東京まで牛乳一トンについてどのくらいの運賃になるのですか。
  220. 田口通夫

    田口説明員 国鉄の配車課長でございますが、私、その方面の担当ではございませんが、概略大ざっぱなところを申し上げますと、大体指数でいいまして、国鉄が普通運んでおりますのが九五ないし六です。それに対しまして、六七程度の指数だと思います。国鉄が現在送っております一キロ当たりの運賃が、平均いたしまして四円五十銭程度でございますが、それがやはり二割半ほど低くなりますので、大体三円七、八十銭になるかと思います。これでキロ数をかけていただきますと、私も正確には言えませんけれども、トン当たり北海道は大体三千五百円から四千円くらいになるんじゃないかというふうに考えます。
  221. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、これは参考まででありますが、たとえば三十トン容量の新鋭の冷凍車を建造する場合に、大体どのくらいかかるか。それからコンテナの場合、これは普通単位は五トンでしょう。五トン容量のコンテナの建造がどのくらいかかるか。たとえば牛乳専用船、いわゆるミルクタンカーで輸送するという場合には、これは一トン当たりどのくらいの建造費がかかるか。直ちに正確な数字は答えづらいかもしれませんが、概算どのくらいかかるか、わからぬですか。
  222. 田口通夫

    田口説明員 概算で申し上げますと、三十トン貨車で大体五百万円ないし六百万円かかると想定されます。それからコンテナ一個の値段は、現在三十万円前後、冷蔵コンテナも大体それくらいだと思います。なお、船のほうの建造費につきましては、ちょっとお答えはできないと思います。
  223. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、それはあとで大体の計算ができたら、資料としていただきたいと思うのです。  そこで、大臣お尋ねしますが、大体北海道から東京あるいは大阪の大消費地にどのくらい供給できるかということになると、毎日おおよそ千トンくらいの牛乳というものは供給できるだけの生産力を持っておるわけです。だから、三十トン車で運ぶということになれば、大体三十両程度です。これはいま青函連絡の関係で、三十トン車三十両で一列車編成は無理かもしれぬが、とにかく千トン程度毎日毎日北海道から大消費地に対して供給ができるということになれば、国内における需給の円滑化ということについては相当大きな寄与ができるのではないかというふうに考えておるわけです。ただ一日十二トン車二台ぐらいを送られても、これは二十四トンしか運べないでしょう。これは試験的な段階だからまだいいとしても、これが実際に実用的に成果があがる、効果的であるということが、政策面から見ても明らかになった場合には、これを相当積極的に行なうという方針を、この際、明らかにできれば披瀝しておいてもらいたいと思います。できなければできないでもいいですから……。
  224. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 いまのは一日千トンですか。
  225. 芳賀貢

    芳賀委員 そうです。
  226. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それで原料乳に影響しませんですか。
  227. 芳賀貢

    芳賀委員 しません。
  228. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 そういうふうに長期的な貨物の供給力があれば、特別列車なり何なりを編成しなければならぬと思っています。今年度は、去年の試験輸送から見て、一日に二車ずつ配給してやってみる。それで乳もいたまないし、市場においても歓迎されるということになれば、初めて大量にやることを組合のほうとも相談してやってみたらという計画は持っておりますが、いまのところはいま申し上げたことでございますが、それももう少しふやせといえば、貨車はたくさんございますから、御相談に応ずることはできると思います。
  229. 芳賀貢

    芳賀委員 大体わかりました。自治大臣よりは、あなたの方が、酪農問題、農業とか国民経済上の認識は、まあ数段上であるというように皆さんが判断しておられるようですから、そういう点十分努力してもらいたいと思いますが、ただ、外国においては、たとえばイギリス等においては、ロンドンを中心として、半径四百キロ以上の地域から牛乳専用のミルク列車というものを編成して、そして生産地から消費地に対して輸送しておる、こういうことがもう事実行なわれておるわけです。ですから、こういう点も、運輸省あるいは国鉄においても、諸外国の実例等を十分研究されて、効果のある措置を即急に実現して、この重要問題に対する解決に一段と努力していただきたいと思いますが、どうですか。
  230. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 国鉄からも運輸省からも、毎年輸送関係に対する問題あるいは後進地域と輸送の問題等の調査のために、技術員を派遣いたしておりまして、その報告は始終とっております。したがいまして、現在のような過密都市ができまして、一方においては生産されたものが余ってくるというような場合は、やはり生産地と過密都市との間の距離を縮めるということが一番大切なことである。それは運輸省、いわゆる輸送担当者に課せられた責任であると思いますから、この距離の短縮について、十分各般の検討を御質問以外のこともやってまいりたいと思います。
  231. 芳賀貢

    芳賀委員 文部大臣お尋ねしますが、現在農林委員会においては酪農振興法の一部改正法案を審議しておるわけでありますが、この改正の中で、特に文部省と関係のある点は、農林大臣文部大臣が協議いたしまして、この法律に基づいて毎年度の国産牛乳による学校給食供給目標を立てて、それに基づいてさらに実施計画を策定して実行するということが、改正点に明らかになっておるわけです。したがって、これはわれわれとしても、以前から期待しておった問題がようやく制度的に前進するわけでございますから、この法律改正が行なわれた場合においては、将来に期待を持つものであります。そこで、この点については農林大臣からも明らかな説明があったわけでございますが、国内の生乳を主体にした義務教育中心とする学校給食牛乳については、目標としては、昭和四十五年度までに完全実施をするということを、この改正案にあるところの酪農近代化の基本方針に定めて、さらにこれに対応して学校給食牛乳供給目標並びに実施計画を立てるということになっておるわけですから、あくまでもこれは文部大臣農林大臣の協議に基づいて計画が策定され、実施されるわけでございますので、法案の改正等についても、事前に十分認識されておると思うわけでございますが、完全実施の昭和四十五年度あるいは年次供給計画の策定等についても、確信を持って農林大臣と協議されてこれを推進されるかどうか、教育担当の文部大臣からこの席で明らかにしてもらいたいと思います。
  232. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 学校給食に国産なま牛乳を全面的に充てたいということは、かねがね私ども考えておりましたところで、今回酪農振興法の一部改正にあたりまして、特に学校給食用の牛乳供給計画について、農林大臣と協議をして、そしてそれを公表するということになりましたことは、私どもとしても文部省の立場からいって、非常に喜ばしいことであると実は考えておるようなわけでございます。ただいまお話しがございましたが、四十五年度を目標にいたしておりますが、四十五年度三百五十万石というのが現在考えられております目標計画でございます。それで、今日まで、もう御承知のことですから、詳しく申し上げる必要もございませんが、たとえば昭和三十六年度から四十年度まで五年間を見てみましても、毎年供給量が相当増額いたしております。実は四十年度では、私は八十万石くらいにしたかったのでございますが、いろいろの事情から七十万石ということになっておりますが、これは今後の年次計画でできるだけすみやかに、少なくとも四十五年度の目標は到達いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  233. 芳賀貢

    芳賀委員 その点は明らかになったわけでございますが、五年間で三百五十万石ということになれば、今年度が七十万石ですから、結局あと四年間に二百八十万石を毎年どういう計画拡大されるか、まだ不明でありますが、相当量急激にふやしていかなければならぬと考えられるわけです。供給については全然心配がないわけですから、この点は文部大臣として顧慮される必要はない。ただ、完全実施をする過程において、国の負担というものは、量的にもこれがふえる場合においては相当の支出になるということは、いまから予測されるわけでございますが、その場合に、文部大臣として、この国の負担する部分というものをどのような考えで継続されていくか、四十五年までにもう全額国が負担してやる御意思であるか、そういう点もこの際明らかにしてもらいたい。
  234. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その点がお示しのとおり非常な問題でございます。たとえば四十年度でも一合五円の補助にいたしました。これは昨年は四円五十銭ですし、従来は三円七十銭でありましたことは御承知のとおりでございますが、この補助額を上げていくということについて、財政上なかなかむずかしい、ここが一つの隘路であったわけでございますから、これから年次計画を進めてまいります上にも、この点について、財政当局とも十分話し合いを進めていきたいと考えております。
  235. 芳賀貢

    芳賀委員 最低限度はどういうお考えですか。たとえば費用の二分の一程度は最低限度としてこれを国が負担するという御意思か。それ以上になることは最も好ましいことでありますが、数量がふえて、国が負担する負担額が相当急激にふえるということも予測されるわけですから、そういう諸般の事情というものを考慮した場合においても、一食一合ずつ給与するとすれば、その費用については、その年次によって給食に要する経費も異なってくると思うわけです。そういう場合においても最低限二分の一を国が確保するとか、それを基礎にして漸次負担額をふやすというのか、その辺の事情を大臣からできるだけ明らかにしてもらいたい。
  236. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 実は細部にわたりまして、まだ四十一年度以降どうするかということについてははっきりした意見を固めておりません。これはやはり関係当局が非常に多いものでありますから、いまにわかに確定的に申し上げるわけにまいりませんけれども、現在学校給食用の牛乳については、畜産振興事業団による補助ということでやっておりますので、教量も今後飛躍的にふやさなければならぬことでございますから、この補助のやり方としては、方式としては現在の方式がいいのではないだろうか、かように考えておるのでございまして、その他こまかい点については、ちょっとまだ十分の用意を持ってお答えするところまでまいっておりません。
  237. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣も御承知と思いますが、昭和三十六年に学校給食制度調査会が答申を行ないました。当時の大臣は荒木さんですが、この答申によると、昭和三十七年を出発点にして、完全給食については、小学校は五カ年計画、中学校は十カ年計画で完全給食を行なうべきである、しかし、牛乳給食については、小学校については三十七年から三カ年計画、中学校については五カ年計画でこれを全面的に実施すべきである、その費用については、答申によりますと、完全給食の部分については、これは公費負担ですね。公費ということになれば、言うまでもなく、国と公共団体の共同負担というようにもとれるわけですが、完全給食の経費については最低二分の一、ただし、国産牛乳については全額公費で負担すべきであるという内容の答申がすでに出されておるわけです。その一部を尊重されてか、たとえば脱脂粉乳の全面ミルク給食のようなことはすでに始められたわけでございますが、しかし、答申の趣旨あるいは国民の期待は、あくまでも国産牛乳による完全実施であり、全額国あるいは公費による負担ということを期待しておるので、この答申の線から見ても、相当積極的な意思表示を文部大臣としても行なわれたほうがいいじゃないかというふうにわれわれは考えるわけですが、重ねてお尋ねします。
  238. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 三十六年の答申は私もよく承知いたしておりますし、それから実は私文部省に参ります前から、私自身といたしましても、ぜひこの学校給食については全面的に国産なま牛乳を充てたいとかねがね主張として持っておったわけでございます。ただ、先ほど来申しておりますように、金の問題になってまいりますと、文部大臣としてはあの答申の線で一刻も早く実現したいということを申し上げたいのですけれども政府全体で公費負担をどういう年次計画でどの程度までふやしていくかということについては、政府立場となりますと、私がただここで、文部省としてはこうやりたいのでありますと言いましても、もう少し具体的な根回しがございませんと、はっきり申し上げるわけにまいりませんので、その辺のところは事情を御了察をお願いしたいと思います。
  239. 芳賀貢

    芳賀委員 それはなかなか答弁はりっぱですが、ただ文部大臣としてこう考えておるだけじゃ済まぬと思うのです。農林大臣は全面的に賛成ですが、それでは、たとえば内閣改造等の機会があって、かりにあなたが大蔵大臣におなりになった場合は、これは実行しますか。いま文部大臣だからやむを得ぬでしょうけれども、そういう地位につかれた場合は、いまのような熱意を持っておられれば、実現至難ではないと思うのです。これは笑いごとではないのですが、熱意のほどを聞かしてもらいたいと思います。
  240. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私は、まず学校給食ということには非常な熱意を持っているつもりでございます。したがって、今後文部省といたしましてはもちろんでございますし、できるだけひとつ努力を新たにしてまいりたいと思います。
  241. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、これは事務的な問題でもありますから、体育局長でもいいのですが、毎年計画的に今後なま乳による牛乳給食がふえるわけでありますが、一方においては脱脂粉乳給食がすでに進められておるわけです。ですから、たとえば現在の時点で、その学校では脱脂粉乳の施設が整って、全面的に脱粉給食とか、あるいは混合方式による給食が行なわれておる。しかし、計画的に今度はなま乳給食がどんどんふえていくわけですからして、量的にはあと一両年たてば、国産牛乳と脱脂粉乳は消費量では五分五分ということになるし、その次には国産牛乳のほうが量的に多いということに、だんだん割合が変わっていくわけですね。そういう場合、いま最も隘路になっておるのは、せっかく文部省が奨励して脱脂粉乳の施設を設けさして、朝令暮改のような形で、今度は一番設備の要らないなま乳給食になった。それは非常にけっこうであるけれども、せっかく施設を見通しや定見がなくてやらした。そういう点に対しては、一体どうしてくれるというような苦情がぽつぽつ出てきているわけです。これは政府をいま責めるわけではないが、だんだんそういう切りかえなければならぬ事情というものは、国産牛乳の給食が進むに従って各地で生じてくると思いますが、それに対してどういうように対処されるか、参考までに聞かしてもらいたい。
  242. 前田充明

    ○前田政府委員 脱脂粉乳の施設として考えられる最も大きい問題は、現在では攪拌機とそれから二重がまなんでございます。  攪拌機というのは、御承知のとおり、小さい機械でございまして、あとで申し上げるとして、二重がまの問題でございますが、二重がまというのは、調理上あって差しつかえない。それは脱脂ミルクのみならず、われわれの家庭におきましても、いまや二重がまも相当使う料理が出てまいっております。給食が現在のところいろいろ不平不満がたくさんございますが、その中の一つには、調理そのもののじょうずへた、そういう問題が一つございます。かような意味から申しまして、二重がまがあるということは、むしろ調理法としてはいいし、それからアメリカの輸入脱脂粉乳はもちろんなくなるわけでございますが、なくなったとしても、まだ日本の脱脂粉乳というのも将来残る可能性がありまして、それはいわゆるミルク料理と申しますか、そういうものにも使う可能性も十分ございます。現在の小中学校において、ミルク一合では本来私どもとしては足りないので、もっと伸ばすべきであるというふうに考えておるのでありますが、そういうことを考えますと、どうしても調理という問題も考えなければならぬということであります。  それから攪拌機でございますが、牛乳の攪拌機というのは、回転回数が非常に大きいのでございます。従来古いのを使っておるような攪拌機でございますれば、これは牛乳以外のものでも、いわゆるジュースをつくる、あの攪拌機と中身は同じなんでございます。そういう意味からいっても、使い道もあるし、それはいままでに古いのを使ったようなところは、もう相当いたんできているわけなんでございます。そういう点からいいましても、現実の問題として、そう事荒立てていくというほどの設備の改変はあまり必要なかろうというようなことでございます。しかし、問題は全般にわたることでございますので、今後とも検討さしていただきたいと思っております。
  243. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、大臣お尋ねしたいのは、昨年の夏場において、市乳、飲用牛乳が一挙に一合二円引き上げになったことは御存じのとおりであります。そのとき、これに関連して、義務教育学校における牛乳給食の施設については、あれは当時の厚生大臣かだれかが発言しまして、簡易殺菌による小規模の施設を国が補助して設備させることによって、相当牛乳給食の問題は前進するのじゃないかという発言が実は行なわれたわけです。あの発言は、その後学校におけるなま乳給食の面等については、どの程度積極的に実施されておるかどうか、わかっておったら、実態についてお知らせ願いたいと思うのです。
  244. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 殺菌の問題については、四十年度で八カ所、テストケースとでも申しましょうか、施設することにいたしております。その詳細は局長からお答えさせます。
  245. 前田充明

    ○前田政府委員 八カ所をどこにやるかということは決定的にまだ考えておりませんが、なるべく山間僻地と申しますか、山地で小人数のところで、生産者から直接なまのものを学校へもらいまして、そうしてそこで殺菌してすぐ飲ませるということでございます。これは衛生上の問題がございますので、一ぺんにやってもし衛生上の問題が起きますと、はなはだ困りますので、一応私どもとしては、今年度八カ所やってみまして、非常に成績がよければ、私ども学校の側だけでやるのみならず、農業協同組合等農林省の管轄のところにもぜひやってもらうようなことをお願いしたいと思っております。しかし、これは学校でやる場合もございますでしょうし、農協でやったほうがいい場合もございますでしょう。これはその地域地域によっていろいろなケースがあると思います。そういう意味で、これは今年度は一応テストケースでございまして、本格的にやるということになれば、来年度以降において考えたいと思っております。
  246. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、これは今年度の問題を取り上げてみると、たとえば七十万石は、これは全国に配分して行なわれるわけですが、その数量は年間のミルク給食量の大体三〇%以内だと思うわけですね。そうすると、年間、通年的にミルク給食をやる場合は、たとえばなま乳分の三割はそれを全面的に行なう、残り七割分の日数は結局継続的にやるということになると、たとえば脱脂粉乳等によって補わなければならぬということになるわけですね。   〔委員長退席、坂田(英)委員長代理着席〕 こういう場合、たとえば国の助成ですね。なま乳の分については五円の助成があるわけですが、残りの分については、これは脱脂粉乳に対する相当額の助成というものを残りの日数分に対しては出すことになる、こういう点は小さいような問題ですが、どういうことになるのですか。いずれかを行なった分にだけしか補助しないということが、地元においては問題になっている点なんですね。
  247. 前田充明

    ○前田政府委員 おっしゃるとおりで、なま乳については、農林省先ほどから申し上げておる補助金がつくわけでございまして、その残りを脱脂粉乳でやれば脱脂粉乳の補助金がつく。それ以外に、この両方のケース以外のなま乳を飲んだ場合には、補助金はつかない、こういう結果になっております。
  248. 芳賀貢

    芳賀委員 もう一度繰り返すと、国から配分されたなま乳の数量の分については、一合五円なら五円の補助はついていく、それ以外の分についてなま乳給食をやった場合には、五円の補助はつかないが、脱脂粉乳に見合う補助はつくということですか。
  249. 前田充明

    ○前田政府委員 脱脂粉乳についてのいわゆる二十六グラム一円四銭という分が、なま乳を飲んでも一円四銭がつくかという御質問かと理解いたしますが、それは現在はつかない方式になっております。
  250. 芳賀貢

    芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。局長の説明は、たとえば三分の一の日数だけは国から、農林省から数量がずっと下へ配分になって、それはついていくわけですね。数量に五円ついていくから、その点は問題がない。そこで、残りの七割なら七割の日数については、これは完全給食をやるということになれば、あとは脱脂粉乳でやらなければならぬということに通常なるわけですね。その場合には、脱粉に対する一定額の補助はつくわけですね。それを地元において市町村やあるいは父兄の熱意によって、残りも全部なま乳を確保してやるという場合は、全然つかぬというのはおかしいじゃないですか。なま乳の五円がつかないことはわかりますが、その場合であっても、脱脂粉乳よりも高価な給食をやっている場合に、それはよくやった、しかし、予算がないから、その分には脱脂粉乳の分しか補助をやれぬが、がまんしてくれということであれば、話はわかるが、かってにやったから、もう一銭も補助をつけぬというのはおかしいじゃないですか。問題はそれなんですよ。
  251. 前田充明

    ○前田政府委員 たいへんむずかしい御質問なので、お答えしにくいことなんでございますが、一年間を通して三割分に相当する日数はなま乳を飲みまして、その後は七割に相当する分は脱脂乳を飲むというケースというものは、本格的には私はないはずだと思うのでございます。と申しますのは、当初各県で学校単位で希望をとるわけでございます。そういたしまして、私の学校は一年間通してなま牛乳でございます、私の学校は一年間通して脱脂粉乳でございます、こういうことで、需給と申しますか、需要をとるわけであります。そういたしますと、現状では実を申しますと、なま牛乳の割り当てよりもある程度多い需要があるのでございます。しかし、農林省の全体の需給計画から七十万石で押えられているわけでございます。したがって、それ以外のものは、これは脱脂粉乳でいくという方式をとっているわけでございまして、同じ人が三割分はなま乳を飲み、七割分は脱脂粉乳を飲むという現状は、実際問題として私は起こってないと思うのでございます。
  252. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣、何か急がれるようですから、あなたに一点だけ……。  先ほどちょっと触れましたが、ことしの六月ころになると、輸入脱脂粉乳の価格と国産脱脂粉乳の値段が、大体国内においては同一価格程度になるわけですね。そういうことになれば、特にアメリカから輸入しても安上がりというわけにはいかぬわけですね。そういうことであれば、むしろ、国内において脱脂粉乳の供給力がある場合には、脱粉使用についても、輸入を打ち切って、国内から供給されるものを優先的に扱うという措置をとられたほうがいいじゃないかと思いますが、いかがですか。
  253. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは価格との見合いの問題でもあるかと思いますけれども、現にもう四十年度では脱脂粉乳は四万五千トンしか輸入計画をしておりませんで、これは一昨年あたりに比べると、一昨年は七万トンくらいだったと記憶いたしますが、ずいぶん大幅に減少させております。今後もそれは引き続き減少させたいと私は考えております。
  254. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、価格上の比較で、従来はアメリカの脱脂粉乳が国内脱粉の二分の一以下であるということで、安上がりということを旗じるしにして輸入されたが、価格上大きな差異がない、大体同一価格に近いということになれば、これは国内に供給力が全然なければやむを得ないわけですが、あればやはり優先的に国産の乳製品を使用するということ、これはもう論議の余地のない点だと思うのですが、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  255. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それはお話のとおりであれば、そのとおりに私やるべきだと思います。ただ、いまちょっと私もそこまで勉強してこなかったのですが、最近の脱脂粉乳の国内価格とそれから輸入の価格とが、はたしてこれでここ数カ月うちに同一くらいになるのかどうか、ちょっとその点わからないと思いますが、やはりある程度価格上の開きがあるんじゃなかろうかと思います。それは確かにいままで輸入の脱脂粉乳でやっておりましたのは、安上がりだからということが主たる原因でございますから、その値段の点がそうでなくなれば、国内のものを優先して使うのが当然のことだろうと思います。
  256. 芳賀貢

    芳賀委員 この点はわれわれの認識からいうと、ことしの六月までの分は、大体従来価格と似たような方式で向こうのCCCが放出するわけです。六月以降になると、商業ベースで出すというような意向が明らかになっているわけです。そうしますと、向こうの売り渡し価格が通常価格ということになれば急激に上がるのと、あるいは船運賃等についても最近は相当高騰しておるという事情もあるし、国内においては、畜産物価格安定法に基づいて、昭和四十年度の乳製品も上限は据え置きということで大体いくわけですから、急激に接近することは事実なんですね。完全に同一になるかならぬかは、私はまだそこまでは見きわめておりませんけれども、そういう事情の変化が到来しておるので、できるだけこの際国産優先ということで、この酪振法改正の趣旨にも合致するように努力すべきであるという点で指摘したわけです。
  257. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 御趣旨は私も十分理解できます。当然のことだろうと思います。ただ、輸入価格のほうはいろいろ御承知のような経緯もございまして、これが今年夏、ころから以降が六セントなのか七セントなのか、その辺のところもまだ不明確でございますので、価格の比較なり見通しなりについて、先ほど申しましたように、ちょっと確たる見通しを私は持ちませんでおりますが、お考えの筋はまさにそのとおりだと思います。
  258. 芳賀貢

    芳賀委員 もう一点だけお尋ねして退席されてもいいですが、先ほど自治大臣の出席を求めて聞いたのですが、今年の事情は、国は一食一合について五円程度の負担しかしない。しかし、一年一年給食用の牛乳価格も値上がりになる、一般の物価の値上がり等もありまして。そうなると、たとえばことしは現地で私たちが農協のプラントで処理して学校へ便送した場合に、大体どうしても実費が十二円くらいかかるのです。そうなると、国が五円負担されても、七円が父兄負担ということになるので、そういう事情もあって、昨年あたりから、都道府県の予算とかあるいは市町村の予算で、まだ一部でありますけれども、一合について一円とかあるいは二円の負担を地方団体が行なう、そういう事例もだんだんふえてきておるわけです。ですから、これは将来の問題にもかかわるわけですが、全面的にミルク給食を国産でやるということになれば、やはり国のいまの程度の負担だけでは完全に消化できない場合も顧慮されるわけです。そういう場合に、地方団体が義務教育に対する当然の責務と熱意を持って一部負担するというようなことも、これは当然あるべき姿です。その場合、これは公費負担ということになれば、当然国が主体的な負担をやるわけであるが、学校設置者である市町村あるいは都道府県も行なうのが当然なわけです。ただ、財政の事情によって国から交付税等の交付を仰がなくてもやれる団体と、なかなか困難な団体がある。そういう事情が地方財政の中で出てくるわけですから、これらが全面的に行なわれる場合においては、将来の問題ですが、これはやはり地方団体の基準財政需要額の対象要素として、いまから検討する必要があるのじゃないかという点を私は指摘したわけでございますが、この点に対しては文部大臣としてはどのようなお考えですか。
  259. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは私としてはたいへんありがたい御意見なのでありまして、文部省の立場からいえば、なま牛乳を全面的に使いたい。そしてその公費の負担をどういう方式でやるかということは、父兄や児童立場からいえば、国に持ってもらっても、あるいは地方に持ってもらいましても、その補助が多いに越したことはない。そこで、地方団体がこれは自治省にお願いしなければならぬし、また大蔵省との話し合いも必要でございましょうが、こういう種類のものを基準財政需要の中に織り込んでもらうとか、あるいは特別交付税の交付金をやってもらうとかいうことで協力していただき、また大蔵省にストレートに国庫からの補助をできるだけふやすように協力してもらえれば、私の立場ではたいへんありがたいわけです。こういう点につきましては、先ほど申しましたように、数量の問題とにらみ合わせて補助を何ぼにどうやるかということが、実はこれをうまく推進する一番根本のむずかしい問題でございます。この点については、ただいまの御意見ども十分考慮に入れながら、うまく善処してまいりたいと思います。
  260. 芳賀貢

    芳賀委員 先ほどのなま乳と脱脂粉乳の補助の関係ですが、どうもわれわれとしてふに落ちないのです。なま乳給食の分は、農林省から都道府県、市町村の設置者に対して数字が示されるわけですから、それはもう当然消化されるが、完全に一年間、二百十五日なら二百十五日やるということでいけば、全量なま乳でくれば問題はないが、いまのところはそれだけの数量がないのですから、普通からいえば、残りはどうしても脱脂粉乳を給源にして実施する以外は方法がないということになるわけです。その分には脱粉の補助というものがくる。そこまではわかるのです。しかし、三分の一であっても、せっかく今度は国が五円の補助をつけてなま乳給食を進めておるのだから、残りの分を脱脂粉乳でやるということは、いかにも子供たちにもかわいそうである。この際、通年的になま乳による給食を行なうという方針が地元において決定された場合に、それに全部五円の補助がくればそれに越したことはないが、そういうことは、予算上からも、文部省としても、農林省としても、なかなかできないと思うのです。その場合であっても、本来であれば、脱脂粉乳で残余を行なう場合には、わずかであるけれども、補助がくるのだから、なま乳を残りやった分についても、脱脂粉乳に支出した補助額というものは、これでがまんしてくれということで出すのが当然じゃないですか。それには出さぬというのはおかしいじゃないですか。そうなれば、あくまでも脱脂粉乳に固執して、文部省としては、ほんとうの気持ちは、なま乳給食はやりたくない、しかし、無理やり毎年毎年ふやされるのであるが、そういうのを制裁の意味で、なま乳給食をしても補助はやらぬ、こういうことに曲解されないとも限らないですよ。国民にわかるようにこの点を解明してもらいたいわけです。
  261. 前田充明

    ○前田政府委員 私どもの気持ちからいうと、先生はいま曲解されるかもしれぬとおっしゃったのですが、もしそういう人があれば、たいへんな曲解であって、私どもとしては、なま乳給食にできるだけいこう。今年度についても、農林省で八十万石御要求いただいたのですが、これは当初から私ども申し上げておりますように、なま乳をふやすことはぜひ必要である。しかし、今月はなま乳だが、来月はやらぬというようなことでは困る。子供は期待しているわけでございますので、これはもらえる以上はずっと続けていただきたい。そういう計画的な配分と申しますか、そういうことで、計画配分のできる最大量を学校給食に回していただいてけっこうだと思います。したがいまして、農林省予算の折衝では、少なくとも石数においては最大量私どもとしてはもらっているつもりでいるのでございます。そこで、余裕が出てくるということは、実は私どもとしては考えてなかったわけでございます。ところが、いまお話しのようにどんどんと余裕は出てくるのだというお話だとすれば、これは初めから計画的になま牛乳を七十万石を百万石なり二百万石なりにするという考え方で進んでいくべきである、かように考えるわけでございます。年度の途中からあれになった、これになったということになりますと、給食費全体がすでに変わってくる。したがって、金を集めるときには、常に学校ではPTAの総会を開いたり、校長先生が一々計画的に本年度は幾ら幾らで給食をやっていくという計画で進んでおるわけでございます。私どもとしては、今度法律を御改正になるように、少なくとも前年度にちゃんと計画を立てて、こういうふうに飲ます、こういうことでやるようにしていただきたいし、将来全部完全なま牛乳になったときにおいても、やはり同じようにきちっと計画を立てた立場でやっていくように——文部省の給食の側から申しますと、売り買いで申せば、買うほうでございます。買うほうとしては、一年じゅうずっと一合ずつくれる牛乳屋から買いたい。たまに二合くれるけれども、たまにくれない牛乳屋からは買いたくないという気持ち、それは例が悪い話かもしれませんが、ただ買うほうの側の立場で申し上げると、そういうような考え方を持つわけでございます。だからといって、私どもは、そんななま牛乳では困るなんということは毛頭考えておりません。大臣もおっしゃいましたし、私ども事務当局としても、常に、最近はちょっとでも牛乳給食をきらうような気配があるといううわさを伺っただけで、現実にその県にも、おまえさんのところはそういうことがあるのかないのかということをかけ合って話をした実例もございます。おっしゃるとおりに、私どもとしては、なま牛乳はぜひ推進するという心がまえですが、何といっても、計画的な配分と申しますか、配給と申しますか、それはお願いしたいと思っておる次第でございます。
  262. 芳賀貢

    芳賀委員 大体わかりました。問題は、農林省が積極的な供給をしないというところにあるわけですが、これは最近の年間生産の伸びからいっても、大体一〇%から一三%ぐらい生産が伸びておるわけです。それは石数で言うと、大体年間百五十万石から百八十万石はふえるわけです。これは政策需要です。国が方針をきめて義務教育児童生徒に国産牛乳を給食するというのは、これは需要関係からいうと、政策需要だから、最優先しなければならぬわけですね。いままで農林省は、そういう数量が余らないから出せないと言ったわけです。おとなが飲んで、残りがないから、子供たちに飲ますわけにいかぬということで、余った牛乳、いわゆる残乳とか余乳処理のために国産牛乳を使ったという弊害は、これは局長の言うとおりです。しかし、今度は法律が改正されれば、計画を明らかにして政策的に供給するわけですから、供給する気であれば、親が飲むのをがまんさせてでも、まず必要な三百五十万石というものは供給するということになるから、心配ないわけです。  そこで、畜産局長お尋ねしますが、体育局長の説明でいくと、なま牛乳だけ一年間やるか、脱脂粉乳だけを通年的にやるかということは、設置者の選択の意思によって、どっちかを選んでもらえばいいというふうな説明であったわけです。そのほうがほんとうはいいわけですね。ことしは一年間なま牛乳でやりたいという希望があった場合には、それに応じてあげる、準備の都合等もあるから、一年脱脂粉乳でやりたいという場合には、それも認める。ですから、選択権というものを学校設置者にまかすという形であれば、途中で種切れになって、あとは脱粉という形にはならぬわけですね。そういう点は農林省としてはどういうような配慮でやっておられるのですか。われわれの理解では、平均的にその七十万石を分配するというふうに承知しておるわけです。
  263. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 私ども農林省としましては、いままでも御説明をしてまいりましたように、なま乳の学校給食を三十九年度以降は全国的なベースで計画的に推進をしていきたい。この配分の考え方としては、やはりなま乳供給の余力の大きい地帯、つまり、加工原料乳の比率の多い地帯を、まず現状においては重点的といいますか、進めていくという考え方をとって配分いたしておりますが、それの県内における各学校別の配分ということについては、県の教育委員会に一任をいたしておるのでございまして、私どもからどのような配分をすべきだというようなことは、全く関与をいたしておりません。
  264. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、二者択一でいく場合は、補助の関係ははっきりしていいわけなんです。ただ、先ほど体育局長の説明のように、なま乳の割り当て分が消化されて、残りをやる場合には脱脂粉乳に依存しなければならぬという場合に、なま乳の助成と脱粉の助成がそれぞれの数量においてつくわけですね。それを地元において、国はわずかしかくれぬが、とにかく子供たちにせっかく飲ませ出したのだから、一年間牛乳を確保して給食するという場合に、国が割り当てたなま乳分の残りの数量に対しては、せめて脱脂粉乳に見合う補助というものは生かして交付してもいいじゃないかというのが、先ほどからの——これは論議なんという問題ではないのです。あたりまえのことを聞いておるが、なかなか体育局長がそれはできないように頭を振っているわけですね。(「そういうことはあるのか」と呼ぶ者あり)あるのですよ、実際。そうやった場合に、これは農林省としてどう考えているのですか。なま乳はあなたのほうで補助を出すわけですからね、事業団からとか。
  265. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 農林省といたしましては、予算の上で定められました数量に予算で定められました単価の補助を出しているということで、私どもとしては、その量の多寡という問題は、結果的にいろいろ御批判もあろうかと思いますけれども、できる限りすみやかに全量学校給食への方向努力をいたしているつもりでございます。考え方によりましては、農林省の補助によります生乳の学校給食量が少ないから、年間の生乳供給の余力があるにかかわらず、補助分が足らぬようになるのだという議論も、私は一つの論理としてはあり得ると思うのです。あり得ると思いますが、全国数千の学校についてどの学校農林省の割り当て量以上には乳は一本も買えないような状態になるように計画的にやれといっても、これは人間わざではとうていできないことだと私は思うのでございます。ですから、地域によりましては、ただいま御指摘がありましたように、農林省の系統のなま乳の助成配分の問題もございましょうが、やはりそういうなま乳供給の余力がある市町村、地域というものは、私はあり得ると思います。その場合に、それなら脱脂粉乳の補助金がその分だけ浮くはずだから、その助成分だけは、畜産振興事業団の助成対象以外のものについて出せばいいじゃないかという芳賀先生の御意見と伺うわけでございますが、これは予算制度等を離れてものを考えますならば、私は一つの発想であると存じます。ただ、体育局長も御説明に及んでおられないようでございますが、私、おそらく予算の制約上、その補助金が出せないという事情にあるのではないだろうかと推測いたします。
  266. 前田充明

    ○前田政府委員 どうもたいへんむずかしくて、私どもすぐ言えないのです。こういう考え方を私ども実はあまり持ったことがなかったものですから、よく考えて、申し上げなかったのですが、一ついまお話を伺っておりまして私が感じましたことですが、なま牛乳で一般的には五円の補助金がついておる、それを今度はなま牛乳を配給分一ぱいに飲んでしまって、なお飲むから一円四銭ずつ一回について出せ、こういうことになるかと思うのでございますが、そうなりますと、今度は一円と五円とのたいへんな不公平になるのでございます。みんなは五円のほうがほしいわけでございます。したがって、これは五円のほうの取り合いみたいなことになって、一円のほうに回された人たちは、四円損すると言うと語弊がございますが、そういう結果になりまして、実際の問題になりますと、畜産局長のおっしゃった予算上のこともそのとおりなのでございますが、現実の問題としてかりにできるとしましても、これは五円のほうを取り合って、一円四銭のほうをなるべく取らぬようにするということの非常な摩擦もございますし、不公平もあるので、私は、それはあたりまえとおっしゃる先生の御趣旨はわからぬわけじゃございませんが、現実に私ども行政的にそれをやるとなったら、相当混乱が起きるという感じがいたします。そういう点でよほど検討の上でなければ、ちょっと私の立場としてお答えはいたしがたい次第でございます。
  267. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ体育局長畜産局長、これは後刻十分打ち合わせてもらって——いまのような答弁ではわれわれちょっと納得できないのですよ。なま牛乳の七十万石と残余は脱脂粉乳による給食の全体計画というのはできておるわけですが、それに基づいて、数量も国が負担する予算も計上されておるわけです。それがたとえばできないとすれば、それではなま牛乳だけは計画どおりやります、脱脂粉乳は当然数量は文部省が確保しておるわけですから、それをくださいという場合、やらぬというわけにいかぬでしょう。残りの分を脱粉でやるから材料をくれという場合に、おまえのところはなま牛乳を三分の一の日数やったんだから、やるわけにいかぬというわけにいかぬでしょう、通年的にやりたいという場合。そうすると、その現物は一定の対価を出して引き取って、その町村はあくまでも子供たちのためになま牛乳を継続的にやるという意思を持っているわけですから、その脱脂粉乳は適正に処分して、そしてその処分した代金も含めてなま牛乳の給食をやる、これは文句の言いようがないでしょう。
  268. 前田充明

    ○前田政府委員 それはもう文句の言いようがないことはなくて、たいへん困るのでございます。と申しますのは、買うときの一つの条件として、実は安く買っておりますことは御承知のとおりだと思うのですが、それは学校給食用でなければ困る、こういうことでやっているわけでございます。したがって、かってに脱粉だけ受けて、そしてそれをどこかへ売ってしまって、その金で牛乳を買って飲むということは、これはもう私のほうとしては困ると思うのです。初めからその学校学校計画的にやっていて、その計画量がございますので、もしその学校が脱粉が余れば、これは使わないで翌年に回すなり、あるいは中央のほうへ返していただけばよろしいわけでございます。ではそのかわりになま牛乳を飲んだら補助をくれるのかというと、これは予算の制約があるわけでございまして、差し上げるわけにいかないという結果ではないかと思うのです。
  269. 芳賀貢

    芳賀委員 現物を引き取って、これは高く売れるのですから、それでよく横流し問題というのが世上から指摘されるわけです。だから、どうしても補助金を一円四銭よこさないというのであれば、現物はこれは買い置けるわけですから、それを高く売ろうが安く売ろうが、それはかまわぬでしょう。そのかわり新鮮ななま牛乳を一年間続けるわけだから、これは文句の言いようがないと思うのですよ。ですから、その問題と補助を出すか出さぬかという問題とについて、両局長で十分研究されて、適当な機会に明らかにしてもらいたいと思います。
  270. 前田充明

    ○前田政府委員 いまのお話でございますが、一点だけ申し上げます。研究は幾らでもいたしますが、脱脂粉乳の配給を受けたら、それを横へ流して売って、それでどうこうするというようなことだけは、私どもとしては、これは禁止をいたしたいと思っております。
  271. 坂田英一

    ○坂田(英)委員長代理 次会は明二十三日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会