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1965-04-08 第48回国会 衆議院 農林水産委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月八日(木曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君    理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       池田 清志君    宇野 宗佑君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       吉川 久衛君    倉成  正君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       田口長治郎君    高見 三郎君       中川 一郎君    丹羽 兵助君       野原 正勝君    藤田 義光君       細田 吉藏君    松田 鐵藏君       卜部 政巳君    栗林 三郎君       兒玉 末男君    千葉 七郎君       松井  誠君    松浦 定義君       森  義視君    山田 長司君       湯山  勇君    小平  忠君       中村 時雄君  出席政府委員         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君         農林事務官         (畜産局長)  檜垣徳太郎君         水産庁長官   松岡  亮君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局統         計調査部経済調         査課長)    藤井孝四郎君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    岡田 覚夫君         農林事務官         (水産庁漁政部         水産課長)   藤本 静香君         農 林 技 官         (水産庁生産部         海洋第二課長) 森沢 基吉君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農地開発機械公団法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六九号)  農林水産業の振興に関する件(てん菜、でん粉  価格及び漁業問題)      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  農地開発機械公団法の一部を改正する法律案議題といたします。  前会に引き続き質疑を行ないます。松浦定義君。
  3. 松浦定義

    松浦(定)委員 いま議題になっております農地開発機械公団法の一部改正は、すでにもう数名の各同僚議員から、それぞれの観点から質疑が続けられておるのでありますが、この機械公団が行なう事業というものについては、今度は従来の方針と変わって、乳牛の飼養あるいは管理、さらにまたそうした施設売り渡しまで行なうといったような、そういう事業をやることになったわけであります。  この機械公団が今日まで開懇あるいは建設等農地造成に主とした基本を置いておやりになったそのことの効果については、それぞれの見方によっては、私は、必ずしも全面的に効果はなかったということは申し上げることはできないと思うのです。しかし、相当高額な金をかけ、そうして地帯においても特殊な地帯開懇等について、必ずしも私はその事業効果が全面的にあがったというふうには考えられない点がたくさんあると思うわけであります。特に私、地元の問題として非常に関心を持っておりましたのは、北海道根釧原野開発、さらにまた新篠津の開発等については、これはまた特別な事業でありますから、必ずしも他のものをもってこれに比較するというようなものではないと思いますが、根釧原野開発等につきましては、現在の機械公団がこの事業をやる場合において、もう少し次の営農といったようなものが完全にそれに沿っていくという行き方をはたしてやっておられるかどうか、こういう点について、当時の進捗状況からいって、私も疑問の点が少なくなかったわけであります。しかし、今日の段階において、これが一応そういう主体的な事業が終わったということで、−たとえば北海道においてはそうした大きな仕事はなくなったのではないかというふうなことで、今度の八郎潟等は別な形でおやりになるということでありますが、依然として、この機械公団性格というものは、先ほど申し上げましたように、どうしても開墾建設といったようなものを中心にした農地造成である。一言にして申し上げますと、農業をやるための基盤整備、したがって、この農地造成というものは、それに従事する農民の力でもってはできないというような状態である日本農業事情からして、国が全面的にこれを行なわなければならぬ。したがって、国が行なうということで、この機械公団というものができたわけでありますけれども、その機械公団開墾建設をやったあとへ入った農業というものは、必ずしも私はその成果と匹敵した成功をすることができないというふうに実は考えておるわけであります。したがって、根釧原野開発等につきましても、なるほど大きな機械を入れますから、開墾はりっぱに、まあ、しろうとが見てもびっくりするような開墾事業は進みますけれども、そのあとへ入った農業経営というものは、従来から個人がやっておる経営よりも、むしろ進んでいないという点が実はあるわけであります。ですから、いま申し上げますことは、機械公団がおやりになることは、なるほどそういう主体的目標中心にしておりますけれども、その目的というものは、次に入植をして営農ができるということであるわけでありますから、こういう点のつながりが、一方的に行き過ぎがあったり、あるいは行き足りないような面があると思うのです。従来からの行き方として、これが順調に進んでおって、しかもそのことがまず第一段が成功した、だから、今度はこういう一部改正をして、乳牛等飼育管理あるいはまたそうした牧場建設売り渡し等を行なうというふうに手を広げられることになったのだと思うのですが、その機械化と今後の見通し等について、ひとつ御説明を願いたいと思います。   〔委員長退席坂田(英)委員長代理着席
  4. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 機械公団は、先生指摘のとおり、篠津の開発上北根釧開発を契機にしてできたものでございます。その際の考え方としては、要するに、在来手開墾機械開墾でスピーディーに単年度に短い期間に上げてしまおう、そして早く営農がスタートできるようにしたい、そういう立場で、根釧パイロットファーム土木部門を受け持ったわけでございます。ここに一定農家を入れて、その営農を当初予期したようにりっぱに指導する、もり立てるということは、機械公団の任務から離れまして、国及び道の責任の問題として、この融資あるいは補助あるいは営農指導という問題を道及び国が担当してやったわけであります。先生十分御承知のとおりです。しかしながら、この上北根釧等におきまして、その後一種の階層分化が起こりまして、営農の適格を欠くものが出てまいりましたとは、私ども非常に遺憾とするところでございますが、機械公団との関係は、いま私が申したような形で整備されておるもの、かように私どもは理解をいたしております。したがいまして、機械公団はその土工面に優秀な機械を持って担当をするという能力を持っておりますので、今般建て売り牧場造成するときに、どこにやらせるかという立場で適格な組織をさがしたわけでございますが、機械公団は現に草地造成も相当やっておりますので、この機械公団能力を拡張して、この仕事機械公団にやらしたらいいではないか、そういうふうに考え方を整理して、機械公団事業をこの範囲において拡張する、こういうふうに考え至った次第でございます。
  5. 松浦定義

    松浦(定)委員 そうしますと、従来おやりになっておった機械公団仕事はそのまま続けていく。たとえば北海道の場合におきましても、やはり大規模草地改良なんかもこれからやるわけですが、そういう場合に必要な機械公団としてやらなければならぬ仕事も実はあるわけでありますが、むしろ現状においては、いまお話のありましたように、必ずしも入植が伴わないといいますか、成果のあがらないような、そういう公団式の大きなものをやるよりも、中規模あるいは小規模といわれるようなものでもこれからやるべきである。したがって、その場合でも、機械を使うことは、台数においては少ないけれども、同じ性格のものを必要とするわけであります。したがって、そういう面についても、現在の機械公団は、中規模、小規模に至っても、この公団機械その他を十二分に活用するというようなお考えは、従来と変わるのか変わらないのか、御説明願いたいと思います。
  6. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 今回おはかりをいたしております牧場関係仕事は、当面那須の一地区でございます。機械公団事業量事業能力からいえば、ごく部分的なものでございます。ことしは受託事業として二十数億の仕事をいたしておる実態でございますから、先般来いろいろ御意見もございましたように、本業と申しますか、全般的な開墾事業あるいは圃場整備事業等は、国営県営も団体営も在来どおり、あるいは在来にまして機械公団仕事を進める、この方針の外に、さらにこの部分をあわせて行なう、かような考えでございます。
  7. 松浦定義

    松浦(定)委員 そうしますと、たとえば今度の那須地区共同利用施設をやってやろうとするこのモデル的なやり方は、ここの資料で見ますと、たとえば農事組合法人等がやる。しかし、一法人が約百頭、三法人でもって三百頭、こういうことになっているのですね。その一法人百頭というものの構成戸数といいますか、人員というものは、十二戸でもってこれを構成する、こういうことですね。十二戸でありますと、一戸当たり八頭ですね。そこで、私は先ほどから申し上げますように、現在の多頭飼育——これは多頭飼育目標としてこういうようなお話ですが、多頭飼育というものは、国が今度初めて機械公団に新しくやらせる場合に、将来のテストとしてこれを行なう場合に、八頭を基準にしたということは、どういう根拠があるのですか。この点をひとつ聞きたいと思います。
  8. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 お話のように、那須の今度の共同利用的な牧場というものの現在の段階におきます企画といたしましては、搾乳経営部門では、三農事組合法人がそれぞれ百頭の搾乳経営をやるということでございますが、その法人構成が十二戸になっておるということでございまして、経営管理としてはやはり百頭の一経営でございます。十二戸程度協業経営というのは、これだけの搾乳経営牧場経営をしていこうという場合の頭数のための負担力の欠乏というような点で、地元意向が大体この程度戸数で一法人形成をしていきたいという希望も出ておるのでございまして、私どもとしては、二戸当たり八頭ということで多頭飼育というものの標準考えたのではないわけでございまして、この場合は、経営としては百頭の経営牧場考える、その場合の法人形成が十二戸程度ということでございまして、この十二戸というのが、実は絶対的な一つ標準であるというふうには考えていないわけでございます。もちろん、この十二戸というのは、純然たる入植の形をとる農家ではないわけでございまして、地元で他の耕種農業を営みつつ、この協業参加をするという形のものでございますので、個別の農家からいえば、協業による牧場経営ということと自己の耕種農業経営をあわせ持っておるというような形のものになるわけでございます。
  9. 松浦定義

    松浦(定)委員 そうしますと、これは百頭でもって一法人で適正だ、こういうことで、今度試験をされるわけでしょう。したがって、一法人として十二戸そういう考え方でやりたいというから、そういう仕組みにするんだ、しかし、決して十二等分の八頭平均というものが適正規模ということではない、こうおっしゃるのですが、そうしますと、この十二戸のうちに、たとえば五戸しか牛に対しては関心がない、法人には入るけれども牛そのもの経営の中へはおれは入りたくない、こういう者があった場合にはどういうふうにするのか。それとも、十二戸というのは絶対的な一つ規模で、法人だから、いやおうにかかわらず、その組織の中へ入ってもらってやらなければならぬというふうに何か規制されるものか、その点はどういうものですか。
  10. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 十二戸をこちらで指定をいたしまして、だれとだれとが十二戸である、こういうことを言うのではありませんで、この搾乳経営牧場参加をして乳牛飼育経営参加したい、当たりたいという農家十二戸で結成するわけでありますから、乳牛飼育をやりたくないという者が入ってくるという場合はあり得ないわけでございます。ただ、考え方としましては、これは法律にも予定をいたしておりますように、那須の場合には、農事組合法人考えておりますが、場合によって、農地法上認められております農業生産法人というものについては、これは認めていくというふうに考えております。その場合の私ども指導方向としては、この経営参加して酪農経営従事をするというような、いわゆる農地法農地の保有の関係でその存立を認められているような構成をとらしていきたいという考え方は持っております。
  11. 松浦定義

    松浦(定)委員 そうしますと、私は、希望者がなくとも、そういう法人組織をつくるために十二戸にするのであって、これがあるいは五人でも八人でも百頭持ってやるのだ、こういうふうに考えたものですから、もしそうだとすれば、八頭でなしに十二頭、十五頭になるわけですよ。ところが、いまのように牛だけ飼育をしようという人が十二戸だとおっしゃれば、これは百頭ということになれば、八頭平均ということになってしまうわけですね。だから、八頭平均というものは、これは那須地区においては、ほかのほうの仕事もあるから、兼業一つとしてやるのだから、八頭でいいとおっしゃって、そういう意向の中でおやりになるかもしれないけれども北海道北海道と申し上げて申しわけありませんが、北海道等になりますと、兼業的に牛をやるのではなくて、専業的にやる人をこういうところのケースでやるべきだと思うのですよ。兼業でやるような人に、日本で初めてやるのだといったようなやり方をやらせるという、そういうモデルは、この際とらなくてもいいんじゃないか。やはり大専業としてやらせなければならぬ。私ども共同と言いますが、これは協業ということになりますけれども、それは字句の上からは共同でも協業でもいいです。いいけれども、実質的に一人を対象としておやりになるには、これは明らかに失敗ということばは語弊がありますけれども成功はおぼつかない。これをケースにして、昨日のお話のように、全国三十ヵ所ですか、都道府県一ヵ所ずつはとてもやる機械がないだろう、あるいはそういう希望がない、だから、三十ヵ所ぐらいでいいだろうとおっしゃるけれども、私は、この程度のものなら四十都道府県にはやりたいし、北海道あたりだったら、こんなものは十五や二十や三十ぐらい持ってきてもらわなければ納得しないのです。だから、協業経営共同経営でこれをおやりになるなら、少なくとも最低十五頭、そのくらいのものが今度の頭数の中へ入った計画でなければ、ほんとうの力の入ったことがやれないのじゃないか。初めてで心配だからこの程度でおやりになるというなら、これはまた別でありますけれども、私はそんなことで出発すべきものではないと思う。少なくとも今日多頭飼育個人がやっておっても、十頭以下ではもう乳牛としては生活できない、こう言っている。少なくとも十頭以上十五頭、それから二十頭、二十五頭以上になりますと、個人経営ではこれはいろいろな問題がありますので、必ずしもだれでもやれるということにはならないけれども、だれでもやれる酪農として立ち上がりたいというものは、十二、三頭から十五頭までくらい、これは乳量の出るあれにもよりますけれども、普通やはりそういうふうにいわれておるのですから、国が初めておやりになるというようなものについて、私は、八頭程度のものでおやりになるということは、将来に対してほんとうに力を入れておやりになる事業とは私は受け取れないのですが、今度の場合はこれだけれども、将来はできればこの審議の過程においてこれを百五十頭なり二百頭なりにするとか、あるいは法人のあれを十二戸というのを、場合によっては五戸、八戸でもやることにして、頭数をふやすというようなお考えなのか、まずこれはこれでやって、来年からひとつふやしたいというお考えなのか、このあたり全国三十ヵ所というものを限度として進める、こういうお考えか、この点をひとつ明らかにしておいていただきたい。
  12. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 松浦先生の仰せになりました、専業的な農家規模はどの程度であるべきかということは、私どもとしてほぼ同感でございます。同じ考えでございます。那須牧場の場合に、現段階でこういうような構想考えておりますということを資料として出しておるわけでありますが、那須牧場につきましても、現在の経営受け入れ事情によりまして、むろんこれは変動することもございます。まだ最終的な計画ではございませんが、そういうことでございます。ただ、つけ加えて御了承をいただきたいと思いますのは、那須地区も現に搾乳経営農家があるわけでございますが、これは専業的な農家というより、混合経営酪農経営が多いわけでございます。ほとんどでございます。そういう酪農家が力を出し合いまして協業体をつくるという場合に、別にこの百頭単位の搾乳経営参加する場合に、みずからの経営方針を持っておるということでございますので、十二戸のものが常時一人の従事者を提供できるかということは、はなはだ疑問があるわけでございます。でございますので、実は百頭を飼育するために、常時十二戸の従事者経営をするということはむしろ考えにくいわけでございます。そこで、年間他耕種部門経営業務とかみ合わせまして、この耕種部門等で労務の提供等を約束を定めていくということになりますので、一戸当たり八頭という形式的な形で直ちに出動というわけにはまいるまいというふうに思っております。  それから、今後他の模範牧場建設します場合の構想としては、私は専業的な酪農家による共同利用法人の結成というような場合には、二戸当たり頭数八頭というようなことで制限する考えは毛頭ございませんで、その地域における経営のために必要な頭数というものを持たせることは、もとより当然のことであるというふうに思います。たとえば北海道等模範牧場をつくります場合には、北海道において模範となるべき規模ないし内容を持ったものにしてまいりたい。これで全国一律にやっていくという考えは持っておりません。
  13. 松浦定義

    松浦(定)委員 局長の御答弁でその点は了承いたします。しかし、これはたとえば三法人でもってこういう経営をやるために売り渡す場合にも、この規模でもってできたものを売り渡すわけですね、その地帯においては。そういう点では、私は、いまお話しになりましたように、やはり全く適正規模のものにおやりにならないと、場所によってはこれが十五頭あるいは二十頭といったものが出てくると思いますから、これはそういう形で実情に即した運営をやるのだ、そういうことであれば、この数字にこだわる必要はありませんから、この点はこれで了承いたします。  そこで、私は、この場合においても同じでありますが、草地造成ということが、何としても第一義的なものだと思うのです。今日のように飼料が非常に高くて困っておるということでありますので、草地改良には非常に酪農家は悩んでおるわけです。ことし政府が行なわれまする国営草地改良、これは北海道で二ヵ所と九州で一ヵ所ですが、三ヵ所あるわけですね。この場合の施設その他の資金利子等が、今度の場合と多少違うところがあるわけですが、私は、少なくともこのテストとしておやりになる場合には、国営で行なう大規模草地改良と同じように、金利あるいはまた据え置き期間返還期間、そういうものについては同じであるべきだと思うのですが、この点が違うようでありますが、この点はどういうことで違うのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  14. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 御指摘のように、国営草地改良に対しましては、前回も松浦先生から御質問がありまして、まだ最終的にはきまっておりません、こういうことを申し上げたわけです。現段階政府部内でおおむねこの方向でいこうという考え方をしておりますのは、国営については利率年五分、三年据え瞬き、十二年償還償還期間は合計十五年でございます。それに対して建て売り牧場、簡単に建て売り牧場と言わせていただきますが、建て売り牧場の場合には金利六分五厘、三年据え置き、十二年ということになっておるのでございますが、これは条件が違うではないかということの御指摘と思われますけれども国営草地改良につきましては、補助残部分、国の負担部分の残りといいますのは、要するに、草地基本施設に対する部分でございまして、いわゆる草地造成及び道路建設用設備施設という範囲対象が限られるわけでありまして、それに対しまして建て売り牧場の場合には、ただいま申し上げました基本施設のほかに、経営施設としての畜舎、サイロ等、あるいはさらに経営手段であります農機具等について助成をいたした残についての売り渡し代金償還条件でございますので、そこで、実質的には、建て売り牧場の六分五厘というのは、国営の場合特に不利な金利というふうには考えていないのでございます。いま一つは、建て売り牧場のための地元負担に相当いたします部分の原資は、資金運用部資金から借入をいたすわけでございますが、資金運用部資金借入条件が年利六分五厘ということと見合っておるわけでございます。
  15. 松浦定義

    松浦(定)委員 むろん、私は国がやろうと、あるいは府県がやろうと、町村がやろうと、いまそれは基本施設とその他のものとをお分けになっているということについては、わからぬわけではないのですが、やはり酪農全体をやろうというこの一大転換期のときに、わずかの予算上のことでそういう区分けをして、しかもそのことによってやれるとかやれないとかいうようなことでなしに、私はやるべきだと思う。したがって、今度の場合、こういう新しい計画をおやりになるのだから、国がもし先頭に立ってこれを指導督励をされるにかかわらず、あるいは市町村なり府県なりの負担が従来のものと何ら変わりのないような負担でやるというのであれば、これは私は、地元熱意といいますか、そういう力の盛り上がりというものも非常に上がってこられぬのではないか、こう思うので、せめて国がおやりになるには、そういう施設なり、そういう資金の融通なりについて、やはり一定の線でやる。すなわち、それが基本施設であろうとなかろうと、やはり全部同じような形でやるといったような、そのくらい国が力を入れるということが酪農家自身にもはっきりわかるようなものでないと、成功をしないのではないかと私は思うのです。確かに、いま決定しておるものをここで変えますということはおやりにならぬと思いますけれども、そういう点についても、いろいろの意味でこれは今後まだ折衝の余地があると思う。いま申し上げましたように、大草地として国がやるものと、この那須に行なわれます第一回のテストとしてやる建て売り牧場についての予算その他については、私は同じような形でやるべきだと思う。こういう点については、ぜひひとつ今後最大の努力をしていただきたい。こういうことをつけ加えておきたいと思いますが、その点についての御熱意のほどを承っておきたいと思います。
  16. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 現在考えております建て売り牧場は、昨日も申し上げましたように、草地造成の面積三百町歩以上、標準的なものとして五百町歩程度ということを考えておりまして、これは改正をされました場合の土地改良法に基づく草地改良事業では、ちょうど県営草地改良事業に相当するわけですが、県営草地改良を行ないます場合に、現行の補助率で考えますと、四五%程度になる場合が多いわけでございます。それを考えまして、この公団による建て売り牧場の場合には、総合補助率をさらに一割程度は高めるという考え方をもって五割補助、残の金については、運用部資金と同条件償還条件にするという考えで、予算上そういう約束に相なっておるわけでございますが、昨日大臣の御答弁にもございましたように、今後酪農の発展のための拠点にしていくという考え方から、さらに地元負担の軽減という観点については、事業の実施の方式なり計画の内容なり、さらに助成金融等の問題について、私どもできる限り地元負担の軽減という方向で努力をいたしてまいりたいと思います。
  17. 松浦定義

    松浦(定)委員 そういう点が明らかになりますと、たとえば将来三十ヵ所、こういうことで、すでにそれぞれの地域で調査を進めておられるわけですが、そういう調査を進めておる場合においても、やはり急速にその地帯意向が実現できる可能性があると思うのです。ただ、いまのようなお話で、これが非常に町村に負担になるということで、町村としては、そういう適地的なところがありながらも、実施段階になると非常にちゅうちょしておる。こういう点が多くあるわけでありますから、そういう助成その他の面についての意思統一といいますか、そういうものもできるだけ早急にして、やはり国が全責任を持ってやるのだというぐらいの、そういう形態を一日も早くとるようにしていただきたい、こういうふうに考えるわけであります。そこで、将来、この三十ヵ所というものについて、もし地帯の整備がある程度早くでき、そういう熱意があるものについては、たとえば来年度においても相当数着手をするような状態にあるかどうか。やはりいまのこの那須地区の結果を見てからでなければ次の段階には手を出さないのだということであるのか、その点はどうなんでございますか。
  18. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 この法案が通過成立をいたしまして、施行されるようになりますれば、那須地区のほかに、北海道一ヵ所、内地一ヵ所の共同利用模範牧場建設のための調査に入るわけでございます。これは四十一年には着工に入りたいという考え方を持っておりまして、なお、模範牧場建設のための調査の前段階としての大規模草地改良基本調査等は引き続き取り進めておりますので、その中から適地を順次地元意向に従って採択をしてまいるというふうにしていきたいと思っております。
  19. 松浦定義

    松浦(定)委員 ここにありますように、いまお話しのように、やはり四十年度に三地区について調査計画を行なう。とりあえず那須地区を行なう。したがって、この続きとして北海道と本州にそれぞれ一ヵ所やれば、これは三ヵ所になるわけですが、私の言うのは、それは一つの最初におけるお考えであって、もしこれがいいということになる場合において、次の三十ヵ所を目標としてお進みになると思うのだが、そうすると、たとえば北海道と本州との二ヵ所、合計三ヵ所にある程度期間を置いて、成功しなければ次の段階には入らないのだ、こういうお考えですかどうかということをお聞きしておるわけです。
  20. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 私ども考えとしましては、現在調査を進めまして、この三ヵ所のものが完成をして、その成果を見て次のことを考えるということではなくて、計画樹立、事業実施という段階を通じまして、さらに大規模草地の調査が終わりましたところで、地元において事業計画を持って模範牧場建設希望するという地点については、順次事業化に移っていきたいということで、その間に三地区成果の模様ながめをして進めるというような考え方は持っておりません。
  21. 松浦定義

    松浦(定)委員 そうしますと、くどいようですけれども、来年度予算に計上要請をしたい、こういうものは何ヵ所か、あるいは四十二年は何ヵ所、四十三年は何ヵ所と、少なくともここ三年くらいの見通しというものを立てないと、現地では——御承知のとおり、大規模草地の調査というものはずいぶんかかっておるわけです。三年も五年も前からそういうのがあるにかかわらず、将来は別としても、いまやりたいというものについて、少なくとも三年間くらいのおよその見通しは私は立てておくべきだと思うのだが、いま局長お話は、この成果を見るのでなくして、そういう熱意のあるところについては順次やりたい、こういうお話ですが、三年間くらいの一応の計画をひとつお示し願いたいと思います。
  22. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 ごもっともなお話でございますが、端的に申し上げまして、いまの段階で、三年間の計画を示すだけの準備がないのでございます。と申しますのは、この事業をかような計画で取り上げてまいりたいと考えましたのは、四十年度予算において初めて構想を具体化したわけでございまして、大規模草地改良事業の調査は進んでおりますけれども共同利用模範牧場の形で将来の草地利用をやるという意思が、地元の県あるいは最終の経営者の間にまだ熟するところまでいってない段階でございますので、現在、各県ともこの構想というものに基づいて地元としての意思固めをしつつある段階でありますために、四十一年以降の調査なりあるいは事業実施ということを申し上げるような具体的なデータを持っておりませんので、お答えをいたしかねるわけでございます。
  23. 松浦定義

    松浦(定)委員 どうもいまお話を聞きますと、私はどうしても不安の念が強くなる一方なんです。やはりこれだけの計画をお立てになるのであり、しかも三十ヵ所くらいは将来やりたいというのであるならば、ことしは那須地区でやるけれども、次の二地区については、おそらく来年度予算北海道と内地でやる。そうしたら、その次の三年目には五ヵ所くらいやる、その次には十ヵ所やる、こういうふうに早期に三十ヵ所くらいやるということでないと、これから二十年たって三十ヵ所をつくるのでは、四、五年後にはまた全然別なものが出てくるわけですから、私は、この計画というものは空文に終わってしまうと思うにかかわらず、いま局長お話は、どうも全然将来の見通しについては何ら具体的なものはないのだ、盛り上がりによってこれは決定していくのだ、こうおっしゃるのですけれども、盛り上がりは、そういう計画を立ててやることによって盛り上がるのであって、おまえら上がってきたらやってやるぞというのではなしに、国の政策としてこうしなければならぬということで、自主的におやりになるのだから、ことしは三ヵ所、来年は五ヵ所、その次は十ヵ所というふうに、個所づけだけでもやって予算要求をされるところに、みんなが一生懸命でそれをやろうとする熱意が盛り上がると思うのだが、そういう点で、いまの局長の御答弁と今度の法案提出のほんとうの将来のテスト地としての目標とどうも合致しないものであると思うのです。いずれも自主的なものであると思うのですが、やはりそれには下からの盛り上がりを要求すると同時に、やはり盛り上がり得るような条件政府につくってもらわなければいかぬ。それにはチャンスとしていま三十ヵ所と言われたのだけれども、おそらくこれは全国に聞いたら五十ヵ所くらいの何が出てくる。三十ヵ所というのに十ヵ所も希望がないというのだったら、これはたいへんだと思うのです。にもかかわらず、来年度は三ヵ所ではあるけれども、二ヵ所はどうなるかわからぬ、その次はどうなるかわからぬということでなしに、私は、計画としてはずばり出してもらって、そうして下からの盛り上がりを待つというのでなければいけないと思うのです。この点は、いまのお説のようにこの一ヵ所やって、次の二ヵ所はやるけれども、その結果を見てでないとやれない、しかも下からの盛り上がりなどを見ておってと言いますけれども、たとえばこれは三百頭でもって一つ形成をやるということですが、国の大牧場は大体千頭から千五百頭でしょう。目標は千頭くらいでしょう。そうしますと、そういう大きなものでなしに、それから見たら、三百頭くらいでしたら中規模でしょう。国の大規模草地の予定から見たら小規模でしょう。全国的にどこまで盛り上がるかわからぬといったような考え方でこれを見ておられるのは、ちょっとどうかと思うし、いま調査をされておる牧野の草地改良の調査は、少なくとも最低三百頭から五百頭、千頭くらい入れ得るような、そういう二千町歩、三千町歩といったようなものを目標にしてやっておるのですから、そういう点でも、この計画はいまこれから考えなければ出せないというものではないと思うのですが、そういう点、もう少し前向きの政策であるということをはっきりしてもらうために、ひとつ御決意を承りたいと思います。
  24. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 私ども、いま先生お話にございましたように、この事業を前向きに進めてまいりたいという熱意に燃えておるつもりでございます。ただ、この事業はどこでもやれるということではございませんで、地域の特定をした上で計画を進める必要があるわけでございますから、その地域特定のための調査が進みませんと、単なる机上の見通しと考え方にすぎないことになるわけでありますので、私どもも四十一年度には少なくとも三ヵ所の調査に入る程度のことは考えたい。そういうことで、府県等にこの具体的な地域の選定の問題について調査を取り進めさせておるわけであります。一方国としましても、国有林野の草地造成適地というものの調査をいたしますために、畜産局と林野庁にそれぞれ四十年度予算を計上いたしまして、具体的な地区の調査に入ろうとしておるわけでありますが、そういう調査の中からも具体的な地点を見出す。そうしてまた、それが地元意向と結びつくように取り進めて、この事業がさらに前向きに発展をしていくということにいたしたいと思っておるわけです。
  25. 松浦定義

    松浦(定)委員 いろいろ各委員からも質問もございましたし、局長の御答弁によりまして、現在の大体の方針はわかっておるわけですが、どうも私は前段申し上げましたように、せっかくおやりになるなら、これはどうしても成功してもらわなければいかぬというところで申しておるのであって、こういう点については、ひとつ十分御検討願いたいと思うわけであります。  そこで、私は、最後に、一番心配だと思いまするのは、いままでは農地造成中心として、開墾建設等によって、機械公団というものの構成ができて、おやりになっておった。今度の場合は、そういう新しい仕事に取り組むわけでありますから、技術の上からいっても、いろいろの面から全然別な人が相当要るわけだと思うのですが、この業務を進める場合に、新しい人員といいますか、そういう飼育管理その他が別でありますから、そういう点についての人員なりあるいは範囲というものは、どういうような構想でおやりになっておりますか、これをお聞きしたいと思います。
  26. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 公団の現在の事業能力なり陣容というようなものにつきましては、私から申し上げるのはいかがかと思いますけれども、この事業について必要とされる能力は、相当の余力があるというふうに私ども考えておるわけでございます。御指摘のように、新しく具体的な地点についての具体的な計画に基づく見本牧場建設をやるということでございますので、将来の経営についての技術的な用意、技術的な検討というような問題も要るわけでございますので、私どものほうの畜産関係から公団に人員の補強をするための協力をいたしたいというふうに考えておりまして、新しく、これはちょっと私からしゃべり過ぎになるかもしれませんが、公団に担当の部長一名を置きまして、その下に畜産関係の専門の技術者を数名、私ども考えでは、四、五人は少なくとも配置をしてやる必要があろう、将来この事業がさらに規模として拡大をいたしてまいりますれば、時期を見まして専門の理事の発令、さらに陣容の拡大ということをはかってまいりたいというふうに考えております。
  27. 松浦定義

    松浦(定)委員 そうしますと、この那須地区一ヵ所だけを考えましても、将来広範囲にやるということになれば相当あれですけれども、たとえば那須地区一ヵ所に関して、今度はどの程度のそういう新しい人員がふえるのかどうかということを私はお聞きしておるのです。そういう場合に、いま局長お話しになりましたように、畜産局のほうから適当な人をこれこれ出すのだ、こういうような考え方でおるという程度でいいのかどうか。ただ、この法律のあれでは、理事を一人ふやすということであるようでありますが、理事一人ふやさなければこれはできないほど事業が非常にむずかしいのかどうか。これはいろいろ検討の余地はあろうと思いますけれども、私は、理事を一人ふやすよりも、むしろ実質的に担当の業務に当たる優秀な人が行かない限り、ただ開墾建設をやるようなそういうものと、こまかい生乳扱いその他の施設管理するということになりますと、全然性格が違うと思うのです。そういう点で、この那須地区について、法案が通れば実施段階に入ると思うのですが、理事一名のほかに、どの程度の人をどこからということではないけれども、お出しになるのか、必要とするのか、こういう点をお伺いしておるのです。
  28. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 一応機械公団の監督の立場にある農地局といたしましては、この仕事は、御指摘のとおり、いままでずいぶんやってきておりますが、新しい分野でございますので、理事一名の増員は、この程度で充員をする必要があるかないかということは、法律の御審議をいただいて、実行面では十分考えなければならぬ問題だと思っておりますが、御指摘のとおり、スタッフが問題だと思います。そこで、公団の定数は、公団予算で大蔵省と協議してきめるわけでございますが、現在私ども考えておりますのは、先ほど畜産局長が言いました部長を含めて五人程度のものをとりあえず明年度はふやしまして、充員の問題といたしましては、極力畜産の専門の方を入れてまいりたい。と同時に、先般も、四月からでございますが、公団監理官室にも畜産局の人間を、兼務でございますが、充員いたしまして、公団では経験も少ないわけでございますので、いま御指摘の点を十分考慮して、人間も充実して遺憾なきを期したい、かように考えております。
  29. 松浦定義

    松浦(定)委員 この程度できょうの私の質問を終わります。
  30. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 次は卜部政巳君。
  31. 卜部政巳

    ○卜部委員 先日来から、諸先輩の委員によりまして、この一部改正法に対しまして、公団の運営のあり方、基本的な問題について触れられておりますので、私は簡単に一、二点を指摘し、また質問をいたしまして、終了いたしたいと思います。  まず、第一点でありますが、今後の問題に関連をいたしますために、意地悪い質問などというふうに解釈をされないようにひとつ御回答願いたいと思いますが、このたびいわゆる公団債券というものの発行がなされますが、公団債券という債券の定義をちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  32. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 お答えいたします。  今回の改正で、二十四条に五項を設けまして、「農林大臣の認可を受けて、農地開発機械公団債券を発行することができる。」という規定を設けました。この債券の定義は何かということでございますが、先般お断わりしましたとおり、当面これを発行する意思はございませんが、それをもし発行するとすれば、発行される債券は、現に多くの公的機関によって発行されております有価証券たる債券であります。
  33. 卜部政巳

    ○卜部委員 でありますから、その有価証券たる債券の定義とは一体どういうものなのかを聞いておるのであります。
  34. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 先生御専門のことで、むしろ私のほうが教えていただきたいところでございますが、要するに、一般の民間の資金を導入するために、たとえば機械公団が発行いたしまして、買っていただいて、その原資に使うためのものでございまして、その債務を証券に化体さしたもの、かように考えます。
  35. 卜部政巳

    ○卜部委員 債券とは、これは申すまでもないことだと思うのですが、あらかじめ約束された利息が一定期間に支払われ、また一定期限が来れば元金が償還される確定利息の利付のものを証券として発行するのが債券の定義だと、こう思うのです。  そこで、私は、その問題から派出をいたしまして、今度のいわゆる公団債券は、現在わが国が発行しておりますところの債券の種類はたくさんありますが、その中のどのような種類になるのでしょうか。
  36. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 特殊法人が発行する債券と私どもは理解をいたしておりますが、勉強が不十分で、それ以上のお誓えができません。
  37. 卜部政巳

    ○卜部委員 今度の公団債券というのは、やはり政府保証債だと思いますが、これは間違いないですね。それに類するものである。それで結果的には、その元金の償還と利息については、もちろん政府がこれを保証する、こういうかっこうのものですね。そういうかっこうでよろしゅうございますね。
  38. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 二十七条の三項に規定がございますように、政府は保証契約をすることができるということに相なっておりまして、保証債であります。
  39. 卜部政巳

    ○卜部委員 これはこういうような二十七条によるものじゃなくて、公団債券などというものはいわゆる政府保証債なんですから、当然保証されなければならないものなんです。これはそういうことであります。  そういうことから私は順次進めていきたいと思うのですが、この債券のいわゆる消化先、これは大体どこら辺を目途にしておられるかをお伺いしたいと思います。
  40. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 昨日も大臣にその御趣旨の御質問があったわけでございますが、その際お断わりいたしましたように、現在のところ、資金運用部法で、債券発行権のないものは資金運用部から金を借りられないために、一つ一つ吟味いたしまして、債券発行権を与えるに足る機関であるという規定を設けたために入れたものでございます。現在これを発行する意思もございませんし、当面考えてもおりませんので、いま御質問の諸条件につきましては、万々一将来発行する段階におきましてきめてまいりたいという趣旨のことを、大臣からも御答弁いたした次第でございます。
  41. 卜部政巳

    ○卜部委員 万々一発行する云々ということでありますが、そうすると、私がこれから展開をしようとする条文の問題も、大幅に変更せざるを得ないうき目にあうと思うのです。しかしながら、その問題はあとに触れることといたしまして、実際問題として、この消化先というものについては、いま農地局長のほうから御答弁があられましたけれども、率直に言って、国債なり、さらに政府保証債などの消化先は、個人の消化というものはごくまれなんですね。率直に言って、三十六年のいわゆる投資信託というか、政保債の投資を目的とするあれが出たのですけれども、結果的には銀行の協調融資というものがかなり濃度を強めておるという、こういう状態等を考えながら、いま農地局長がおっしゃられた問題に論及をしてみたいと思うのですが、ここにある二十四条の6の中に、「債券の債権者及び公団に対して」云々という、全部は読みませんけれども、この点について、「国際復興開発銀行は、公団の財産について他の債権者に先だって自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」という、この問題なんです。実際問題として、先ほど債権の定義から申し上げてまいったわけでありますけれども、少なくとも債券の債権者というような状態を考えてみたときに、何も国際復興開発銀行が権利を有するなどということを入れる必要はごうもないではないか。なぜなら、いま局長指摘をされたように、これをいつの日にか発行するかわからない。万々一、こういうことを言うのでありますが、実際問題として、現在貸借対照表をながめてまいりましても、借入金につきましても、ここに書いてありますが、借入残額が二百八十八万一千ドル、こういうかっこうになっています。二百八十八万一千ドルというものが、いつの日にか償還されるかといえば、これは事業計画の中にも償還計画の中にも明らかなように、明確になっておるじゃありませんか。そういう明確になっておるものについて、そういう条文をなぜ入れなければならないのか、この点ちょっと指摘をしてみたいと思うのです。
  42. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 これは非常に技術的な問題でございまして、実は二十四条の五項で債券発行権を付与しておりまして、この債券は、第七項で「先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐもの」という位置づけを行ったわけであります。そこで、いままでは、そういう一般の先取り特権に次ぐという特定の順位を与える債務は、公団の債務との間では一つもなかった。ところが、新しくそういう優先性を与えます債券を発行する。そこで、その債券の債権者というものが、法律上出てまいるということに相なりましたわけでございますが、世銀との借款契約におきまして、世銀は公団に対して一番有利とみなされるものと同等の地位を有するという契約がございます。そこで、今度新しく発行債券の債権者という、より有利な地位のものが設けられました関係上、世銀との契約に基づいて、そのものと同列の位置づけを行なう必要が生じたわけであります。そういう特定の優先性を持つ債権者がなかったから、この規定は在来は要らなかったのが、今度新しくつくりました関係上、世銀もそれに位置づける、そういう整備をいたしたわけであります。
  43. 卜部政巳

    ○卜部委員 理屈としてはわかるのですが、これは前から施行して現存しております二十五条の中には、これはいま局長の言われたとおりですが、「公団は、その国際復興開発銀行からの外貨資金借入契約に基づき債券を引き渡す必要があるときは、政令で定めるところにより、その借入金額を限り債券を発行することができる。」そういうふうに保護しておるわけですね。覆うならば、優先的なものをここでもって契約に基づいて打ち出しておる。なおかつ、そういうものがあるにかかわらず、さらにそういう問題を、債務については債権の弁済の権利を有するなどといって、まるでこれは世銀の何か約款みたいなことを書いているわけですが、私はその必要はないと思うのですが、この二十五条との関係はどうですか。
  44. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 「債券の債権者」はというのが、「公団の財産について他の債権者に先だって自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」という規定と並列して、世銀は公団の財産について同様の位置にあるという位置づけを行なったわけでございまして、権利を有するというのは、まさに法律的に権利を有するという規定でございまして、特にこれはアクセントを入れて読む性格のものとは私ども考えておらないのでございます。
  45. 卜部政巳

    ○卜部委員 提案した以上は、引っ込める意思は毛頭ないだろうとは思いますが、しかし、私は、それならそれらしく、債券の債権者、こういうものと、さらにその契約に基づくところの債権の弁済を受けるというものについて、法文上のいわゆるテクニックの問題があるのじゃないか、こういうふうに考えるのです。私に言わすならば、すでに二百八十八万一千ドルという借款などというものは、いつかの時点というよりも、むしろ、これは目標からいくならば、当然そういう借款はなくなる、借り入れ金はなくなるという形になるわけですね。それでまたいつ発行するかもしれないというような、そういう農地局長の答弁があるならば、これは、そういうような条文をことさらに重複して、さらに何か世銀から発足をしたところの公団のような印象づけ、さらにそういう世銀がこの公団に対して大きなウエートを持つなどという考え方をこの条文の中に盛り込むというのは、私は絶対反対であるわけです。その点はいかがでしょうか。
  46. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 公団の外側に債権者というものが当然たくさんある。その債権者の中で、今度公団債を発行する規定を設けましたから、もし発行するならば、債券の債権者というものが新しく発生してまいる、いままでになかったケースで、その債権の順位の問題をいかに考えるか。これは先ほど引き受けの問題もございましたが、当然優先順位を与えなければ、債券の消化というものはなかなかむずかしいという状況です。そこで、民法の先取り特権の次に優先性を与えますよ、こういう規定であります。一方、世銀との間に、過去に昭和三十一年に世銀から金を借りる約束をいたしましたときに、あなたから借ります債権債務、つまり、世銀の債権に対しては、公団に対して一番有利な債権を有するものと同格に扱いますという約束があるわけです。したがって、今度新しく有利な地位の債権者をつくったわけでございますから、それと同等の位置に世銀は置きますということを書いたわけでございます。世銀との契約がございますので、それは同列に置くということを法律上明らかにいたしたわけでございまして、他意は全くないのでございます。
  47. 卜部政巳

    ○卜部委員 そうすると、債権者に先立って弁済を受けるものとするという表現でいいじゃありませんか。しかも自己の債権の弁済を受ける権利を有する、そういうような表現のかっこうでなくて、むしろ、この点については、先ほど私が言ったような表現で的確ではないだろうか、こう思うのですが、その点はどうでしょうか。
  48. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 民法上の弁済権でございますから、やはり権利を有するという書き方になるのではないか、当然なる、かように存ずるわけでございます。行政的な規定ではございませんで、民法的な権利の関係でございます。
  49. 卜部政巳

    ○卜部委員 民法的な先取り特権の問題なんかの順位でありますが、そういうような条文になっておりますか。
  50. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 要するに、先取り特権の順位を七項で規定いたしておるわけでございます。六項で、他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有すると書いてあります。その権利の先立ち方が、七項で、一般の民法の先取り特権までを侵すものではないということを明らかにして位置づけておるわけでございます。  なお、念のため申し添えさせていただきますと、愛知用水公団法二十四条六項には、全くこれと同文の規定が入っております。
  51. 卜部政巳

    ○卜部委員 私は、先輩諸氏から展開をされました論議と重複することを避けたために、そういうきらいがあったのでありますが、愛知用水の場合においても、この問題についてはかなり論議をされたところです。しかも、その愛知用水の持っておるところの性格そのものについても、かなり論議があった。同時に、今度のこの公団の発足に伴うところの問題についても、アメリカの押しつけではないかというような議論も展開をされてきたわけなんですね。しかしながら、河野大臣にいたしましてもしかり、さらに農地局長はじめ各政府委員のほうからの答弁においては、そういうような押しつけではない、さらに畜産局長のほうからも、乳牛については種牛以外には輸入しないだろう、また機械については国産品を使うようにしたい、輸入機械というものを逐次排除していく、こういうことのあれが順次述べられてきたところなんですね。そういうことから展開をしている形の中で議論をすればいいかもしれませんが、そういうことは私は省略をいたしました。ただ、そういうことと関連をいたしまして、少なくとも世銀からの借入金というものが、もうすでに、これは貸借対照表にある三十八年と三十九年度のその差を見てください。日ならずしてこんな借入金はなくなりますよ。しかも、そのことについて、いつ発行されるかわからないような債券について、なおそんなようなひもつきと言ったらおかしいが、いわゆる借入契約があるからこんなものを記入しておくんだなどということは、それは商業道徳からあたりまえだといえばあたりまえだけれども、しかし、少なくともそういうものは排除すべきじゃないか。少なくとももう少し条文を整理した形の中で、そういう誤解を排除していくべきではないだろうかというのが私の考え方なんです。その点はいかがでしょう。
  52. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 私ども立場というか、法制局その他とで整理をいたしました関係は、先ほど申したとおりでございます。表現の問題として、「権利を有する。」という書き方は、何か少しふるうなり何なりがあってしかるべきではなかろうかというような御趣旨の点もあったようでございますが、民法三百三条では、「先取特権者ハ本法其他ノ法律ノ規定ニ従ヒ其債務者ノ財産ニ付キ他ノ債権者ニ先チテ自己ノ債権ノ弁償ヲ受クル権利ヲ有ス」こういう規定に相なっております。これとの関係でここに規定されておるわけでございますから、「権利を有する。」というのが、世銀が権利を有するという外交文書のような意味で法律的に整理したものでは全然ないので、あくまで民法の規定なり何なりとの関係づけの問題でございますので、そのように表現をいたしたわけでございます。
  53. 卜部政巳

    ○卜部委員 だから私は、債券の定義から出てきたのですけれども、少なくとも二十五条になる世銀、債券の債権者、これは私は同等だと思うのですよ。同時にまた、民法上によるところのこの順位に従うべきだと私は思うのですね。何もそういう契約に基づいたからといって、特にこういうふうに世銀が弁済の権利を有するなどということは設ける必要はごうもない。民法上によるところのいわゆる先取り特権で、結果的には私は何ら問題ないじゃないかと思う。これは先ほど債券の問題にも触れたわけですが、銀行といっても、いわゆる政府保証債ですから、これは日本銀行が大体やっておるという形になります。それが実際の問題としてあとに来て、世銀のほうが先にくるなどという——これは民族資本の問題の展開もありましょうけれども、私はそういう問題については触れることを避けて、少なくともそういうような観点に立ったときに、なぜこういうものが要るのか。商業道徳云々ということは別にいたしましても、愛知用水公団の問題についても一緒だなどと言いますけれども、愛知用水公団などの問題はたいへんなことですよ。そんなものと一緒にするなんていうことをもって、この条文を正当化しようという農地局長の答弁については納得できないのです。これは訂正する御意思がありますか。
  54. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 御指摘の点は、昭和三十一年に世銀と公団が借款契約をするときに、その債権の位置づけをどう契約すべきであったかということで、一番有利な債権を有する者と同等の地位を有するという契約をしたことが適当でなかったという御批判はあろうかと存じますが、しかし、それはそのように契約をいたしたわけでございますから、したがって、国内法におきまして、その債権に一般的にいままでなかった優先的扱いを受ける債権が発生いたしました以上、これは国際間の約束事でございますから、位置づけるということは、商業道徳といいますか、誠実信義の原則の上からいって当然であろうか。ただ、そういう借款契約を三十一年にするのがだらしかなかった、こういう御批判でございますれば、これは確かにそのように御批判として受けざるを得ないか、こういうふうに考えております。
  55. 卜部政巳

    ○卜部委員 二十五条に債券の発行という条文がございますね。同じく改正前の二十五条におきましても、「政令で定めるところにより、その借入金額を限り債券を発行することができる。」こういうことがありますね。それとこの二十四条との関係の中では、一般の政府保証債というかっこうで発行することができるというこれとは、おのずから性格が別になっておりますから、その点はその点で理解をしながら、次に債券の問題についての二十五条については、同じくその債券を発行することができるのでありますから、その債権の発行については、当然この点の保証、さらに返済については民法上の規定があるけれども、この契約に基づいてかくあればよろしいではないかという、こういうところに入れればいいではありませんか。何も一項を設けてあげる必要はないではないか、こういうふうに私は考えますね。
  56. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 二十五条は、世銀との関係で、借り入れ契約に基づきまして契約をいたしまして、それを年々引き出してまいったわけですが、その際に、債券を発行してもいいという能力を拒否した。これは債券発行を現実にはやっておりません。普通の借款契約でありましたので、世銀に対しては債券が発行されておらないわけです。二十四条のほうは、債券の債権者という立場におきましては、世銀の関係がどうしてもカバーできないわけです。そういう事情があるわけであります。
  57. 卜部政巳

    ○卜部委員 何と言っても、提案者なんですから、つべこべ言って逃げを打つことだけはよくわかっておりますが、それを二十五条の中にでも——それはおのずから性格は二十四条と違うけれども、そういう字句の中にさえ、いま局長の言われた形は押し込むことができるのではないかという私の意見なんです。私はこのことをここでやりとりをするということをやってもならぬと思うのでありますが、少なくとも愛知用水公団の問題にしても、この公団の問題にしても、契約自体においても、さらにこれの発足についても、かなり問題があると思うのです。少なくともこの機械の輸入等につきましても、自主性というものを打ち出してきたという政府の姿であるならば、そういう条文の整理にあたっても、その点の心ある配慮がほしかった、こういうふうに私は考えるわけであります。しかし、これは局長が言われた、万々一発行をせなければならないという、この発行されることが前提ではなくて、こういうことが期待としてあるわけですね。実際問題として、発行する意思はあるけれども、まだその段階にない。こういう段階の中で、いわゆる世銀からの借款というものは、この条文というものは、当然なくなってくるものだと思うのでありますが、そういうときには、少なくとも借入金がなくなった時点において、この条文を削除する、この点について、ここでひとつ確認を願いたいと思いますが、いかがでございましょう。
  58. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 世銀への返済が完了いたしまして、世銀に対する規定が不要の時期がまいりまして、公団改正の機会があれば、即刻はずします。
  59. 卜部政巳

    ○卜部委員 この貸借対照表からいけば、日ならずと私なりに計算していますが、局長、大体いつごろだと思いますか。
  60. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 いまの契約によりますと、世銀の関係の最終償還年次は昭和四十六年になります。
  61. 卜部政巳

    ○卜部委員 このような数字でいきますと、私は、四十六年にならないまでに完全に償還されるというふうに見通しを立てていますが、その点はどうでしょうか。
  62. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 約定によりまして、四十六年までに払えばいいわけですから、そのとおりに払っていく所存でございます。
  63. 卜部政巳

    ○卜部委員 そうすると、四十六年において、これを改正する、削除するということでございますね。
  64. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 私もよく研究して処理をいたしたいと思いますが、先ほど申したとおり、世銀との間に、誠実信義の原則に基づいて、何らの法文を設ける必要もなくなる事態においては、そうなります。
  65. 卜部政巳

    ○卜部委員 では、この問題はその点でおきます。  次に、先ほども松浦委員のほうから指摘をされておりましたけれども理事の問題について、若干質問をいたしたいと思います。  この役員の退職金の問題については、これまた四十回国会の中でずいぶん論議されたところでもありまして、なお、この問題については、検討を約束をされておるものであります。赤字の公団、しかも、そうした一つの運営上の問題を残しておるこの公団の役員の退職金の支払い問題につき、同時にまた、その金額についても問題が出てきておるところでございますが、これまた貸借対照表をながめてみたところによりますと、何ら検討された結果というものがこの中にあらわれてきておりません。しかし、私は、この問題について、ここで詳しく触れていこうという気持ちはございません。少なくとも理事一名の増員という問題について、先ほど農地局長からの答弁がなされておりますけれども、率直に言って、この公団が設立をされると、官僚のいわゆるうば捨て山みたいな形の中でこういうものが誕生をしておる。さらに、これは弊害であろうと私は思うのでありますが、四十六国会から本国会にかけて公団理事が続々とふえておる。こういうような問題等もからめて見たときに、この公団理事一名の増員についてでありますけれども、率直に言って、畜産関係の役員を入れる云々という問題も出ておりますけれども、抜本的に、私は、先輩委員のほうからも指摘されておりました職員の待遇、これはいろいろと問題もあるところでありましょうが、その問題については、各方面からの指摘によって明らかでありますから、省略いたしますが、そうした面こそ充実すべきではないか、こういうふうに私は考えておるところであります。  そこで、具体的にちょっとお伺いしたいのでありますが、だいぶ新聞辞令などというものが出ておりまして、大体公団が発足し、公団理事が一名ふえるというときには、もうちゃんと役員の理事の名前が明らかになっている。皆さんは発表せぬでも、大体新聞辞令なりそういうものによって明らかにされておる点があるわけでありますが、この点については、具体的にどういう人が来るのか、もうおわかりだと思いますので、ひとつ名前をあげて明らかにしていただきたいと思います。
  66. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 機械公団がこの仕事を行ないます際に、私、第一次的な機械公団の監督の立場にあります農地局の立場といたしまして、それが新しい事業でございますから、スタッフの責任体制をぜひ充実したいということの注文をつけたわけです。そこで、いろいろ研究いたしてみまして、この事業が将来伸びてまいります場合においては、どうしても担当理事が要るということを考えまして、法文では一名増。ただ、昨日来お話しになっておりますように、当面那須一ヵ所でございます。那須一ヵ所の段階では理事は要らないのではないかと私どもも思っているわけです。したがって、率直に申しまして、充員は考えておりません。したがって、だれか具体的に名前が出ているかといえば、名前すら出ておりません。考えてもおりません。
  67. 卜部政巳

    ○卜部委員 そうすると、局長のおっしゃるとおり、那須地区だから、これはただ法文上のいわゆる一名の増員であって、本年は理事一名の増加を実質的には行なわない、こういうことでよろしゅうございますね。
  68. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 そのとおりでございます。
  69. 卜部政巳

    ○卜部委員 わかりました。  それで、役員の退職金の問題の検討ですが、これは触れないと約束したわけですから、あまり触れませんが、検討するという約束がなされているわけでありますから、どういう検討がなされたかをちょっと伺っておきたいと思います。
  70. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 昨日大臣からもお答えをいたしたわけでございますが、公団、公庫といいますか、公団事業団の退職金につきましては、全部を通じて同じ規定に相なっております。したがいまして、全部の官庁及び大蔵省との間で総合的に検討してやるべき問題、かように大臣からもお答えをいたしたわけであります。個々の問題としては、私どもは検討といいますか、いじくりがたい関係に相なっておるわけであります。
  71. 卜部政巳

    ○卜部委員 いま農地局長が答弁され、かつ大臣から答弁をされたことは、すでに三十七年の段階において、河野大臣によっても同じことが言われておるのですよ。その結果として、さらに検討をいたしますという約束があるわけです。してみるならば、いまおっしゃったように、各種公団と一緒でございます。その点についてはいじくりがたいものでございます、こういうことについては、四十国会の中でも大臣から言明をされたところであります。しかしながら、将来に向かってそういう問題があるとするならば、やはりそういう検討をいたしたいということが、はっきり残っておるわけであります。いまの局長のことばでは、何もないじゃありませんか。検討なんか全然やってないじゃありませんか。四十国会におけるところの答弁は、自分はそのとき局長でなかったから、大臣でなかったから知りませんというものでは私はないと思う。その点はどうなんですか。
  72. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 私はそういうお話がありましたことを十分承知いたしております。この問題は全部にわたる問題であるから、農林省全体として、あるいは農林省が各省や大蔵省との間で総合的に検討してもらいたいという立場において、私は内部で発言はいたしておるわけでございます。現実問題としてそれ以上進んでおらないのが実態でございます。
  73. 卜部政巳

    ○卜部委員 おそらく、公団は同列なものである、したがって、農林関係のこの機械公団だけ云々するということは、情において忍びないということと、また手をかけたところでどうしようもないのだというあきらめた感情の中で、実際問題としては、ただ内部で話をしたことにしようかという程度のものであって、この問題を真剣に国会における質問をこたえていくための努力をしたとは私は考えられないわけです。しかし、いまさらそのことをどういうふうに追及してもしようがないわけでありますが、少なくともこの問題については、大蔵との関係もあるでありましょうが、公団が即全部同列だというようなものの考え方についても、私は誤りだと思うのです。やはり公団そのものの性格なり、そうしてまたその運営の方向の中で、そこに隘路があるとするならば、その隘路を是正していくということがあったにしても、少なくともそういう役員退職金の問題についても、十分配慮されていく措置が行なわれないと、四十国会の中でも出てきたように、わずか六ヵ月余でやめて、それでずいぶんたくさんの金をもらって退職をする、栄転をするなどというような問題も出てくるし、同時にまた、忌まわしいような、ここで口にすることをまことに残念に思うような事件さえ発生をし七くる。そういう役員に対しても当然これが支払われるなどという規定のあり方では、私は問題があろうと思います。しかし、これは農地局長一人に言ったって、これは大きな力があるわけですから、とても農地局長の力では及ばないと思いますけれども、しかし、この国会の議事録の中にとどめ、そしてこの問題は、将来ひとつ何らかの方向を見出すようにお互いに努力をしていきたい、こういうふうに思います。  そこで、もう一点でありますが、これは一昨日でありましたか、輸入機械の問題について、局長の御答弁は、輸入の機械は二百三十八台というふうにおっしゃっておられましたが、この点は、このたび出てきたところの資料によりまして、二百四台ということになるわけですね。私はことばじりをつかまえるわけではありませんが、少なくとも三十四台という大きな開きがあるわけです。ほぼ二百ばかりでございますという答弁ならば、四台くらいの差でありますけれども、この輸入機械の場合には三十四台という差があるわけです。私は、それは口頭でなされた回答でありますから、たまたまその資料がないために、そういうことになったというふうに善意に解釈はしたいと思いますが、少なくともやはり農地局長であられ、さらにそのうしろに政府委員なり係官がおられるわけでありますから、それがこういう三十四台という差を——これは大きなものですよ。何千万という機械をこういうふうに言われるということについては、若干問題があろうと思うのであります。その点は私は追及はいたしませんが、この二百四台の中で、大体年数といたしまして、何年に外国機械が何台入ったということがわかりますか。
  74. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 まず、台数の問題でございますが、あの際、昭和三十六年がピークでございまして、そのピークの時点では二百三十八台ございますと申し上げたわけでございます。この資料は、会社名その他いろいろのお話がございましたので、冒頭に書いてございますように、三十九年三月三十一日の時点で整理をいたしました。そこで、関係を申しますと、二百三十八台のうちから償却処分いたしたものが五十二台、それから次に買いましたものが十八台で、三十四台がトータルとして減になっておるという点を申し上げておきます。  それから機械の大部分は世銀から買ったものが中心でございますので、三十四年ころに買ったものが大部分でございます。したがいまして、そのうちの一部が四十年ごろからそろそろ部分的に処分を要するものが出てまいる、少量ずつですが、出てまいる、かような関係に相なります。
  75. 卜部政巳

    ○卜部委員 そういたしますと、三十四年ということでございますから、三十七年度以降は輸入機械はないということですね。
  76. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 三十六年からいま申しました三十九年の間に十八台買っております。日本でどうしてもできない特殊な機械を外国から買うのは、例外的にあり得ると存じますが、日本の国内に、この表にもございますように、だいぶりっぱなメーカーができてまいりましたので、不要なものを外国から買う考えはございません。
  77. 卜部政巳

    ○卜部委員 そうすると、この十八台は、やはり世銀のほうから借り入れ金が多くなるということじゃないのですか。
  78. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 この十八台は世銀の金ではございません。
  79. 卜部政巳

    ○卜部委員 一、二点お伺いをするということで、簡単にと申し上げながら、多岐にわたりましたけれども、各先輩委員の質問もございましたので、この機械公団につきましては、十分な御配慮をいただくことをお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  80. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 本会議散会後再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ————◇—————    午後二時四十四分開議
  81. 濱地文平

    濱地委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。  この際、てん菜の最低生産者価格並びにカンショ及びバレイショでん粉の最低価格の問題について、政府当局より説明を聴取いたします。食糧庁岡田業務第二部長。
  82. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 昭和四十年産のてん菜の最低生産者価格の決定の問題についてお話し申し上げます。  甘味資源特別措置法によりまして、てん菜の最低生産者価格は四月十日までにきめることになっておるわけでございますが、一応パリティ価格を基準といたしまして、物価その他の経済事情を参酌してきめるということに相なっておりまして、パリティ価格の計算を待っておったわけでございますが、先般パリティが出ましたので、それで現在計算をいたしております。パリティといたしましては、昭和四十年の二月のパリティが一五五・三一ということに相なっておるわけでございます。それから参酌いたしますものといたしましては、従来から生産費と、それから競合作物の粗収入の関係、その他の経済事情を参酌いたしておるわけでございますが、生産費といたしましては、三十八年、三十九年の平均をパリティでアップをいたしますと、六千三百四十円ということになるわけでございます。それから、競合作物の粗収入につきましては、北海道の競合作物といたしましてはバレイショがあるわけでございます。バレイショにつきまして、昭和三十八年と三十九年を基礎にいたしまして、四十年の二月のパリティで修正をいたしますと、六千二百七十七円という数字が出ます。先ほど申し上げませんでしたが、三十九年の最低生産者価格に四十年の二月のパリティによりまして修正をいたしますと、六千五百八十六円という数字が出てまいります。一応計算といたしましてはそのような数字が出てきたわけでありますが、その他の経済事情といたしまして、現在、市場の糖価が九十三円、四円というふうな状態にあるわけでございます。百円といたしました場合に、てん菜の価格としてどの程度払えるかということを一応試算をいたしてみますと、三千百九十円ないし三千五百六十円という数字になるわけでございます。それから、四十年にてん菜の取引基準価格として、生産者とてん菜糖のメーカーとの間におおむね了解がついたというふうに聞いておりますものが、基礎的に六千八百円、奨励費四百円を加えまして七千二百円というふうに了承をいたしておるわけでございます。  以上申し上げましたように、最低生産者価格につきましての資料が整いましたので、現在、どのようにするか、最終的な決定をいたしたいということで検討をいたしておる段階でございます。
  83. 濱地文平

    濱地委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。兒玉末男君
  84. 兒玉末男

    ○兒玉委員 去る二日に、政府のほうから、今年度の予算に計上されている余剰でん粉の中に四万トンの買い上げの発表がなされたわけであります。御承知のとおり、この点は、去る二月の農林水産委員会におきまして、大臣並びに食糧庁長官にも明確にただしたわけでありますけれども政府の基準価格三十円を基準にして、イモの価格が確定をされてきたわけでございますが、ところが、実際には、ほとんど生産農民の手取りというものは二十円から二十一円ということで、いわゆる砂糖価格の低落によりまして、決定的な打撃が与えられたわけでございます。これによりまして、先般の農林水産委員会における政府の答弁では、基準価格を対象としてでん粉の買い上げをするということを明確に答弁されておるわけですが、今回のさしあたっての四万トンの買い上げにあたりまして、食糧庁としては、どういうふうな指導をしながら、現実に生産農民に基準価格三十円が保証される形の中において指導なさりたいと思っているのか。この点きわめて基本的な問題でございますので、その辺の点について明らかにしていただきたいと思います。
  85. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 でん粉の問題につきましては、四月二日に四万トンの買い上げをいたすということで、準備に取りかかっておるわけでございます。現在のでん粉の価格から見まして、基準のでん粉価格までにでん粉の価格が上がるためには、幾らの量を買えばよろしいかということで計算をいたしました結果、四万トンということになったわけでございます。そこで、一応の見通しといたしましては、四万トンを政府が買い上げをいたしますと、おおむね基準価格に達するのではなかろうかということを考えておるわけでございますが、その場合に、その価格が原料であるイモの価格にどのような形で反映するかということになるわけでございまして、イモの価格を支持いたしますために、でん粉の価格を支持するという形になっております関係から、イモにそれが還元されなければ意味がないということになるわけであります。そこで、今度でん粉を買い上げますにあたりましても、委託販売であるとか、あるいはまた確実に三十円を支払っているというものにつきまして、そのでん粉を政府が買い上げるということにいたしております。そういうふうな立場から万全の指導を従来もしてまいったわけでございますが、今回におきましても、特にその点は明白にして実施をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  86. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ただいま第二部長の答弁を聞きまして、一応それは信頼したいと存じますが、現実に買い上げを行なう場合、でん粉業者等が実際生産農民から現地において買い取りをする場合、その確認というものは実際問題として困難だと存じます。ですから、これの指導あたりましては、相当的確なる資料と同時に、またおそらくどこのでん粉業者においても、正直に三十円で買い取りをしたところはほとんどないと私は断言できるのじゃないかと思うのです。ただ書類の手続なり、あるいは生産農民から貫当たり三十円の領収書は形式的にとっておったとしても、現実の取引というものが実際にはそれ以下でなされておるのが、私はほとんど大多数だと思うのです。そういう点等から判断いたしますと、実際に政府が買い上げの対象とする四万トンのでん粉のうち、系統農協等が委託加工をやっておる部門というのが全体の三割足らずでございます。そういう点等から判断いたしますと、残りの七割というものは、結局一般のでん粉業者から政府が買い上げる結果になるのじゃないか、こういうように判断いたすわけですが、その際、特にでん粉業者に対する現金の決済、同時に、これは生産農民への還元、このきわめて困難な作業が伴うわけでございますが、その辺のきめのこまかい行政指導というものをやっていかないと、結局三十円を基準とするイモの買い上げに対して、でん粉の買い上げによってまたぞろ生産農民だけが泣かなければいけない、こういう結果になりまして、でん粉業者が昨年の高買いによって生じた赤字の補てんだけに役立って、せっかく政府が五万六千トンのイモでんの予算措置をしたその効果というものが、全然生産農民に還元されない、こういう点をわれわれは非常に憂えるものですが、そういうふうな困難な面について、どういうふうな指導をしていかれようとしておるのか。これはきわめて重大な点でございますので、いま少しく御説明をいただきたいと思います。
  87. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 お話のように、イモの時期にたたきまして、それからイモの売買が終わりますと、でん粉の時期になるわけでございます。その時期にでん粉を高く売りまして、それで、原料はたたいて製品を高く売るというふうな形も現実にあるわけでございます。そこで、そういうふうなものに対しましては、買い入れの措置を講ずるということはとうていできないわけでございますから、確実に委託販売をしておるとか、それから三十円を支払っておるとかいうことの明確な証拠が一応必要になってまいるわけでございます。そこで、食糧庁といたしましては、現実に各県にございます食糧事務所を使いまして、その食糧事務所で、先ほど申し上げたような委託販売をしておるとか、それから確実に三十円払っておるということを明らかにした上で売買をするという形で、厳重な調査をさせておるわけでございます。したがいまして、相当確実な資料が出てまいると思いますので、それに基づいて政府の買い上げをいたしたいというふうに考えております。
  88. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は、部長も専門家ですから、十分研究されておると思いますが、現実の問題として、やはり農家に対しては、こういうふうなでん粉の不況ということで、また農協の資金繰り等が非常に困難だということで、委託加工する面等についても、あるいは農協が直営でするでん粉工場においても、大体高くても二十四、五円の内払いでやっておるわけですよ。ですから、おそらく三十円の売買という形の書類はほとんどないと思います。ですから、私が先ほど来繰り返し申し上げることは、そういうような内払いとして、大体概算払いを済ましておる、こういうところについては、当然農民にその差額である六円なり七円なりの貫当たりの格差というものを還元すべきだ、こういう一つの前提に立って指導していかないと、ごまかしの領収書でもって結局政府が買い上げを強要されるということが、当然予測できるわけです。ですから、この点の指導を誤りますと、せっかくの政府の好意ある四万トンのこのでん粉相場安定のための買い上げ措置がほんとうの意味をなさない、こういうことを私たちは非常に懸念をするわけです。でありますので、特に委託加工等についても、あるいは民間のでん粉業者等についても、その辺の調査というものは相当慎重を期さないと、とんでもない方向にいってしまう。この点を非常に懸念をしますので、こういうふうな内払いとして処理をされておるものについて、確実に生産者にこれが還元される指導と、それから措置を明確にしていくと同時に、下部機関におけるそのような行政指導と監視ということが非常に大事だというふうに考えますが、それらの点について、再度部長の見解を承りたいと思います。
  89. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 お話の点につきましては、確実に委託契約を結びまして、最後に精算されるという形がとられてなければ、単に内払いというような形では、これは正式の委託販売ではないと思います。したがいまして、確実に三十円払っているとか、確実に委託契約が整っておりまして、そういう形で行なわれるものを対象にしたいと考えておるわけでございますが、支払います場合には、確実に農民に支払えるというふうなことについては事務につきましても十分に指導してまいりたいと考えております。
  90. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この際、非常に大事な問題でございますので、政務次官にもお伺いしたいと思います。  ただいま第二部長から御答弁がございましたが特に昨年のイモでんの価格については、生産農民は非常に深刻な問題として、政府の処置に非常に大きな期待をかけておるわけでございます。いま部長が答弁されたものについて、特に政務次官に対しても、権威ある行政指導のもとにこの買い上げの目的が十分達せられるということについて、非常に期待をいたすわけですが、政務次官にひとつ責任ある御答弁を要求したいと思います。
  91. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 昨年イモの基準価格を三十円に決定いたしましたし、また四月の二日に余剰でん粉の買い上げを四万トン決定いたしましたのも、一面におきましてはカンでんの価格の安定をはかるということと、イモ生産者、農民の保護ということに大きな重一点を置いたわけでございます。したがいまして、四万トンの買い上げの決定にあたりましても、いま第二部長が答えたとおりでございまして、あくまで正式に農協に委託販売していただいたものと、また加工業者に対しましても三十円で確実に引き取っていただきたいもの、また委託について確実な契約があるもの、かようなものにつきまして適用いたしたいと思っておりまして、そのことにつきましては、実際運用にあたりまして、いまお話のような問題がいろいろあるだろうと思うのです。しかし、農林省といたしましては、県当局並びに食糧事務所等を督励いたしまして、いま第二部長が言いましたように、厳格に委員の御期待に沿うように実行いたしたい、かように考えております。
  92. 兒玉末男

    ○兒玉委員 せっかくの機会でございますので、これに関連いたしまして、第二部長にお伺いしたいのは、先般関税定率法の一部改正案というのが本院で決定されまして、税率については現行どおりでありますが、コーンスターチのいわゆる輸入規制、こういう意味で大体十八万トンということに確定をされておるわけでございます。これの実行を誤りますと、せっかく国会で権威ある決定をなされました十八万トンの規制というものが、全くその効果をあらわすことができない。そこで、特にこのでん粉価格の問題とは密接不可分の関係にあるわけでございますが、コーンスターチの十八万トンの規制量について、現在どういうふうな作業が進められておるか、この点について部長の見解を承りたいと思います。
  93. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 トウモロコシの関税割り当ての問題につきましては、お話のとおりでございますが、四月一日から施行になっておりますので、これに対しまして、直ちにトウモロコシの関税割り当てにつきまして公表いたしておるわけでございます。その公表は、割り当ての数量、それから関税割り当て申請書の提出期間とか、関税割り当て申請者の資格だとか、関税割り当て申請書に添付すべき書類だとか、そういうもの、それから関税の割り当て基準というものを公表いたしまして明らかにいたしたわけでございますが、これによりまして四月の三日から八日までを申請期間と定めておるわけでございます。したがいまして、現在利用者から申請書が出されておる段階でございまして、八日で一応集計いたしまして、それに対する割り当てをいたしたいということで、作業を進めてまいりたいと考えております。
  94. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまお聞きしたとおりでありますが特にこれの実行については、それぞれ業界等からいろいろな圧力なり、またそれぞれの業態別における要請もあろうかと存じますが、せっかく法律改正に伴って決定されたことでございますので、早急に確定をするということが、私は食糧庁の最も大事な任務ではなかろうかと考えますので、慎重な配慮と、これが現実に実行されるように、強く要望を申し上げたいと存じます。同時にまた、先ほど申しましたイモでん等の問題については、単にでん粉対策ということではなくて、一昨年八月に行なわれました砂糖の自由化が、このようなでん粉等の相場の低迷をもたらしておる。こういう点から考えますと同時に、今日茨城、千葉、宮崎、鹿児島、このようなイモでんの産地におきましては、今後の価格安定ということが、特に生産農民なりでん粉業者の強く要望するところでございますが、少なくとも砂糧政策というものを抜きにしてこの問題の根本的な解決はできない。そういう立場から、今後の問題としては、イモに関する政策、でん粉対策並びに砂糖対策、こういう同じ次元においてこれが集約された総合的な政策というものを、この際食糧庁としては考えていかないと、毎年同じ愚を繰り返していくのではなかろうかと存じますが、これらの総合的な対策について、特に担当者である第二部長としては、どういうふうなお考えをお持ちであるか、この際、お聞かせを願いたいと存じます。
  95. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 お話の点でございますが、糖価が著しく下がりましてから、その糖価の低迷の影響がブドウ糖、でん粉等にあらわれておるのは事実でございます。そこで、でん粉、ブドウ糖の価格を維持するということになりますと、農安法のもとにおきまして処理するということも当然でありますけれども、一方におきまして糖価の安定をはかるということが、非常に大事になってくるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、この問題を処理するためには、糖価の安定対策が必要であるということで、先般来糖価安定対策の立法化につきまして、検討してまいっておるわけでございます。糖価安定対策によりまして、砂糖その他甘味資源関係の問題は、総合的に処理され得ることになるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  96. 兒玉末男

    ○兒玉委員 最後に、次官に御要望しまして、私の質問を終わりたいと存じます。  大体今年度の予算の中に計上されているでん粉対策は、イモでんの五万六千トン、バレイショでん粉の一万八千トンでございますが、今回の四万トンの措置だけでは、やはり今後のでん粉価格の安定を維持することはきわめて困難が予想されるわけでございます。先ほど第二部長が答弁されましたとおり、糖価安定法等の提案を通じまして、総体的なでん粉相場の維持をはかっていこうという構想もありますが、残りのイモでんなりバレイショでん粉等の買い上げについても、すでに予算措置並びに予備費等の措置も行なわれておりますので、すでに予算も成立した今日、できるだけ残りのでん粉の買い上げについても、早急にこれが実現されますように、格段の努力を要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  97. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 さしあたり農林省といたしましては、四月二日に四万トンの余剰でん粉を買い上げることに決定いたしましたが、いま委員の御質問のとおりに、予算としては五万六千トンを計上いたしておるわけでございます。その他、食糧庁の予備費といたしまして二十億円計上しておるわけでございます。したがいまして、さしあたり四万トンの買い上げを行なうわけでございますが、四万トンの買い上げによって起こるその後の状況を勘案いたしまして、残余の一万六千トンをいつごろ買い上げるかということにつきましては、いつと確約することはできませんけれども、とにかくねらいはでん粉の市価の安定にあるわけでございますから、一番適切な時期に残余の一万六千トンを買い上げたいと思っております。なお、その後の状況によりましては、いま御説明いたしましたように、予備費の二十億を使いまして、御期待に沿うように考えておるわけでございます。
  98. 赤路友藏

    赤路委員 関連。食糧庁のほうにお尋ねしますが、コーンスターチの歩どまりは何%でございますか。
  99. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 大体六五%程度でございます。
  100. 赤路友藏

    赤路委員 私のほうで聞くところによると七〇%歩どまりがある。六五%というと、五%違いますすから、量にすると一万四千トン違ってくる。十八万トンで押えているわけですから、ここら辺は相当問題が出るのじゃないかと思いますから、その点十分御注意願います。
  101. 濱地文平

    濱地委員長 芳賀貢君。
  102. 芳賀貢

    ○芳賀委員 十日に告示が予定されているてん菜の最低生産者価格の作業の内容についてお尋ねしたいわけですが、最初に統計調査部の担当にお尋ねします。  甘味資源特別措置法に基づくてん菜の生産費調査は、三十八、三十九年と行なわれたわけですが、この際、参考までに昭和三十八年度並びに三十九年度におけるてん菜の生産費の調査の内容について説明願います。
  103. 藤井孝四郎

    ○藤井説明員 御説明申し上げます。  てん菜の生産費調査につきましては、ただいま北海道対象にして行なっております。調査対象農家は約百戸でございます。ただいま結果がまとまっておりますのは三十九年度産まででございますが、三十七年度あたりからトン当たりの生産費の調査結果を御説明いたします。  第二次生産費の調査結果は、三十七年度がトン当たり五千三百六十四円でございます。三十八年度が五千九百十九円でございます。三十九年度が六千二百五十五円というふうになっております。
  104. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ついでに、平均反収と、自家労働の三十七年、三十八年、三十九年の一時間当たりと一日当たりの労働費の内容を、わかればお知らせ願いたい。
  105. 藤井孝四郎

    ○藤井説明員 平均反収でございますが、三十七年度は二千五百二十五キログラム、三十八年度は二千五百七十六キログラム、三十九年度は二千六百六十五キログラム、それから家族労働報酬でございますが、三十七年度は一日当たり七百七十六円、三十八年度は同じく六百六十円、三十九年度は同じく九百二十五円というふうになっております。
  106. 芳賀貢

    ○芳賀委員 第二部長にお尋ねしますが、てん菜の最低生産者価格をきめる場合に、競合作物の生産費あるいは収益の状態というものを勘案することになっておるわけですけれども、先ほどの説明によりますと、競合作物としてバレイショを勘案の対象にしたいという話でありますが、バレイショの三十八年、三十九年における反当の収益並びにバレイショ耕作に投入された自家労働の報酬等について、どういうような結果になっておるか、その点を明らかにしてもらいたい。
  107. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 バレイショの反当粗収入は、三十八年が一万六千七十八円になっております。それから三十九年が一万五千八百五十一円となっております。平均いたしますと、一万五千九百六十五円ということになるわけでございます。  それからバレイショの家族労働報酬について申し上げますと、三十八年家族労働時間は四十・八時間、三十九年が三十一・一時間ということになっておりまして、家族労働報酬といたしましては、三十八年が六千三十四円、それから三十九年が五千六百五円ということになっております。
  108. 芳賀貢

    ○芳賀委員 一日当たりは幾らですか。
  109. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 一時間当たりで申し上げますと、三十八年は百四十七円八十九銭、それから三十九年が百八十円二十銭ということになるわけでございます。
  110. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それを八倍して一日に直して言うてください。
  111. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 三十八年が千百八十三円であります。それから三十九年が千四百四十円でございます。
  112. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、お尋ねしますが、先ほど二部長から、四十年のてん菜の最低生産者価格の作業の内容等についておおよその説明があったわけでございますが、そのうち、特に競合作物であるバレイショを対象にして算定した場合は、六千二百七十七円という計算になるというお話でございましたけれども、てん菜の場合には、バレイショのどの要素を対象にすると最低生産者価格が下がることになるかという点について、もう少し詳しく説明を願いたい。
  113. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 先ほど申し上げました、競合作物でバレイショとの均衡でございますが、これは三十八年、三十九年の平均の反当粗収入を四十年の二月でパリティアップいたしまして、それをてん菜の反収で除した場合に、トン当たり幾らかというふうな額が出てくるわけであります。それが六千二百七十七円と申し上げた数字でございます。
  114. 芳賀貢

    ○芳賀委員 反当の粗収入を比較するというのは、そういうやり方一つはあるかもしれぬが、問題は、てん菜あるいは甘庶を栽培した場合と、競合作物であるバレイショあるいはカンショを栽培した場合と、甘味資源作物との収益上の比較ということになれば、その粗収入の中に含まされておるいわゆる自家労働費、というものが、たとえばてん菜とバレイショを耕作した場合に、いずれが優位にあるかということを当然判断すべきであると思うわけです。そういうことになると、いま説明のありましたとおり、てん菜の場合には、三十八年において自家労働費が一日当たり六百六十円である。バレイショの場合には、一日の自家労働費が三十八年において千百八十三円である。特に前年の三十九年におきましては、てん菜の自家労働費が一日当たり九百二十五円で、バレイショの場合には千四百四十四円ということになると、てん菜を耕作した場合の自家労働費の六〇%くらいバレイショの自家労働費、所得が多いということになるわけです。ですから、競合作物の純益といわれる労働費に対する報酬の対比が、バレイショのほうがはるかに優位であるという場合に、それを対象にしてバレイショに比較した場合に、てん菜の生産者価格が下がるということは間違いだと思うわけです。むしろ、これに対応してプラスアルファの要素に使うのであれば話はわかるが、粗収入だけの対照で下げるということは、絶対にわれわれとしては了承できないわけですが、そう思わぬですか。
  115. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 これは粗収入を均衡するというふうに考えた場合にどういうふうなことになるかということで、一つの参酌要素ということで計算いたしておるわけでございます。
  116. 芳賀貢

    ○芳賀委員 法律に基づいて政令及び省令においては、競合作物との勘案というものを行なわなければいけないということが明確になっておるわけですからして、そのためには、参考までにやってみるというのではなくて、明らかに法律の諸規定に規定された競合作物としてのバレイショを取り上げた場合、実収益と自家労働費に対する報酬というものが非常に差がある。ですから、バレイショにそれを比較した場合には、このてん菜の生産費の中に占める自家労働費というものを、バレイショの労働費に接近させるための修正を行なわなければならぬと思うわけですが、そうなると、バレイショと比較するということは、てん菜の価格算定からいうと、これはプラス要素になるということですから、それをマイナス要素に使うということは間違いであるし、法律の精神にも反すると思うわけです。ですから、この点、毎年毎年バレイショを対象にして最低生産者価格のマイナスの材料に使われるということになると、これは非常に問題があると思うわけです。この点は、政務次官の適正な御判断に基づいた場合には、食糧庁の説明というものが妥当であるか、われわれがこれに疑義を持つことが当然であるか、いかようにお考えですか。
  117. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 十分に勉強しておりませんから、芳賀委員の御質問に的確に答えることができなかった点は、第二部長からまた補足させていただきたいと思います。  てん菜とバレイショの作付につきましては、もちろん、てん菜とバレイショのいろいろな性格上、作付についての所要時間というものは相当違ってくるわけだと思うのです。さような立場から考えまして、直ちにこれを両方を同じレベルで取り扱うということは、私はなかなか困難だと思っております。したがいまして、いま第二部長がお答えいたしましたように、自家労働費等につきましても、相当の違いがありますのはやむを得ないことかと私は思っております。
  118. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いや、私の聞いているのはそういうことではないのです。これは政令の第四条にも、最低生産者価格についてこのようにうたってあるわけです。「最低生産者価格は、附録の算式によって算出される価格を基準とし、当該甘味資源作物の生産費、競合農作物の状況、物価その他の経済事情を参酌し、当該甘味資源作物の再生産を確保することを旨として定めるものとする。」こういうことになっておるわけですから、当然、価格算定の場合には、競合作物であるバレイショの生産費の事情というものを十分対象にして勘案しなければならぬわけで、もちろん勘案要素ですから、バレイショの去年の自家労働費が一日千四百四十四円であるから、それを直ちに全部てん菜の最低生産者価格の自家労働費に置きかえるということにはいかぬわけです。ただ、二部長の説明によりますと、競合作物を勘案して試算した場合においては、これは六千二百七十七円という一番安い価格が出るわけですね。このパリティだけでいく場合には、六千五百八十六円ということに先ほど部長から御説明があったわけでございますが、競合作物を対象にした場合の算定によると、六千二百七十七円ですからして、大体トン当たりについて三百円、バレイショを勘案した場合には価格が下がるということになるので、これは逆じゃないかと私は言っているわけです。下がる理由というのはないわけなんですね。バレイショを耕作したほうが、自家労働の報酬が一日千四百円になる、それからビートをつくった場合は九百三十円にしかならぬということになれば、いずれを選択するかということになれば、やはり収益性の多い、労働報酬の高い、しかも栽培の容易なバレイショを選択するということに当然なるわけです。だから、競合作物との対比ということは、むしろ、政府が期待しておるてん菜あるいは甘庶のサトウキビの栽培が生産者の選択によって増加するという方向にこれを持っていくために、競合作物との比較というものが政令あるいは省令の中でも明らかに出ておるわけです。それをマイナス要素に使えば、ますます自家労働費の格差が出てくるわけですから、どうしてもてん菜やサトウキビはつくるわけにはいかぬということになるわけですね。だから、こういうような誤った算定を行なうということは、これは甘味資源の生産の増加とかあるいは自給度の向上ということから見ると、逆の道を選ばさせるということになるので、こういう点は誤りであったということであれば、率直にお認めになれば、それ以上けしからぬといってこっちが追及するわけではないのですから、この点はすなおにお答えを願いたいと思うわけです。
  119. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 芳賀委員の御指摘になりました第四条の算定の方式でございますが、これはもちろんパリティ計算をもととして、それから競合作物の状況、物価その他の経済事情を参酌するということになっておるわけでありまして、これはこの法律のたてまえから申しますると、政策的な立場は別といたしまして、競合作物の状況というものは、やはりすなおに競合作物であるバレイショそのものの自家労働賃金その他のものを勘案して考えるべきでありまして、政策論としては、また別にこれを値上げしなくてはいけない、あるいはてん菜の増産のために値上げをするということは別問題といたしまして、一応法のたてまえとして、価格を決定するときは、競合作物としてのバレイショを考えるというそれだけのことであると考えております。
  120. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは考えるだけで、プラスにもマイナスにも何も採用しないのですね。全然採用も参酌もしないのであれば、何もこういうものを書く必要はないじゃないですか。むだだと思うのですね。
  121. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 これに書いてございますように、当然競合作物の状況というものは参酌の要素になるわけでございますが、先ほどからお話がございますように、一応粗収入で均衡するということを考えれば、計算をいたしますと六千二百七十七円になるということを申し上げたわけでございます。結局てん菜とバレイショとを比較をいたしてみまして、生産費そのものも違います。それから労働時間というものも違っております。したがいまして、これを比較をいたしまして均衡価格というものを考えます場合には、粗収入で比較するのが一番いいのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。なお、てん菜につきましては、報酬の計算をいたしております基礎には、てん菜の頸葉部が入っておりませんので、この部分を飼料価値として評価額を加えて、一時間当たりの労働報酬を見ますと、てん菜のほうはかなり高くなるということになるわけでございます。
  122. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。てん菜の生産費は、先ほど統計調査部の経済課長から、三ヵ年にわたる説明があったわけですからして、これはやはり一定の約束の上に立って調査をした生産費だから、それに対して食糧庁が自分の都合のいいような解釈をするのは、おかしいんじゃないですか。農林省の中に統計調査部があるわけですからね。それは農林大臣の所管のもとに置かれておるし、統計調査部の場合は部長だし、あなたも部長でしょう。それが統計調査部の専門にやっている調査の結果がおかしいとかどうとか言うのは変じゃないですか。そういうおかしい、真実性のない統計調査部なら、これはなくしたほうがいいと思う。食糧庁でおやりになったほうがいいじゃないですか。
  123. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 いま私の申しました点は、十分連絡がとれておりませんですから、一応頸葉の飼料の価値の評価をしてみますと、その点は高くなるというふうに実は私、考えておるわけでございます。その点は、統計調査部のほうとよく話をしまして申し上げたいと思います。
  124. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いや、どのようにあなたが話をしたって、それは直せぬですよ。統計調査部がほかの局長課長に言われて、さようでございますかと一々直しておったら、調査の結果というのはもう全く不可思議なものになって、これは信頼性がないということになる。農作物のあらゆる生産費調査も、副産物として計上すべきものは計上して、それを控除して、第一次生産費あるいは第二次生産費というものが出ておるわけですからね。それはちょっとあなた詭弁になるですよ。そういうことを一々取り上げて別にあなたをぼろくそに言う考えはないが、私の聞いているのは、競合作物であるバレイショを比較にとった場合に、自家労働においても約六割も自家労働報酬の高いバレイショと比較することが、最低生産者価格を算出する場合のマイナスの材料に使われるということは、これは間違いであるということを私は言っておるわけです。ですから、どこまでもそれがあたりまえだ、粗収入の数字だけでやるのが当然だということは、これはあなただけの独善的な考えであって、それは間違いなんですよ。もし間違いでないというなら、これは専門の統計調査部のほうから明らかにしてもらいたいと思うのです。そういうことであれば、全部世の中を逆にしなければ、あなたの言うような数字にならないわけですよ。
  125. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 お話しの点は、競合農作物の状況でございますから、作物の状況としましてもいろいろな要素がございますから、そういう点で、いろいろな立場からその状況を考えるべきだというふうには考えるわけでございます。一応均衡価格ということで比較をいたします場合に、一つの方法としてバレイショの反当粗収入との均衡価格の比較というものが考えられるわけでございます。従来も、均衡価格というものは、比較としましては、そういうものがまあ一番妥当ではなかろうかということで取り上げられておると思うわけです。そういう意味で、本年も昨年と同じように、そういうことで一応参酌すべきものとして計算をしてみた数字でございます。
  126. 芳賀貢

    ○芳賀委員 去年もそういう誤りの上に立って計算したから、六千四百五十円という、非常に不当な生産者価格が出たわけなんですが、去年をさかのぼって直せといっても、これは実際の取引は七千二百円で行なわれておるから、まあやむを得ぬとしても、今年度、十日にこれは告示されるわけですからして、ことしはまともな計算をぜひやるべきだと思うわけです。ですから、これは使えば、どうしてもプラスの要素として採用しなければならぬわけです。そうなってくると、だいぶ妥当な数字が出てくるんじゃないですか。
  127. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 この点は、参酌いたしますものは、競合農作物の状況なり物価その他の事情がいろいろございますから、その点の要素を勘案して、パリティ価格を基礎にして算定したいということで、いま計算いたしておりますので、私のほうでまだどこでいくかということを明確にきめるという段階にまでなっておらぬものですから、先生お話のような点を十分考慮いたしまして、妥当な価格がきめられるようにいたしたいと考えております。
  128. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これはくどいようだが、今後たとえばでん粉の価格をきめる場合も、バレイショとかあるいはカンショの生産費から積み上げていくわけですからして、これはもういろいろ第二部長の所管の中には、むずかしい農産物の価格の算定を大豆、なたね等についてもやってもらうことになるわけですからして、算定にあたっては、これはあくまでも純理的な立場に立ってやっていただきたいと思うわけです。別に作為があってそういう計算を起こしたとは思いませんが、その間にいささかの誤りがあるとすれば、訂正して作業を進めてもらいたいと思うわけです。ですから、これをかりに三百円の差をマイナスに使うとプラスに使うではだいぶ違いますからね。プラス要素に使えば、六千五百八十六円に三百円を足すと、大体六千九百円くらいのことになるわけです。そういう点は、政務次官も出席なされておるわけですからして、十分注意してやってもらいたいと思うわけです。とにかく対象作物というのは、結局生産者である農家が、それを二つ並べていずれが有利性があるかということを判断する一番の材料になるわけですからして、どうしても、選択ということになれば、有利性のある、しかも耕作しやすい作物を農家としては選択するということになるわけです。それが国の期待と異なるような選択にならぬように、政府としても選択的拡大の施策を進めるとか、あるいは他作物との状態というものを勘案して、政府の期待する作物が選択されて、生産が増大する方向に誘導するというところに、その目的があると思うわけですからして、この点はくどいようですが、次官からも明確にしてもらいたいと思います。
  129. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 てん菜の最低生産者価格を決定するにあたりましては、第四条に規定してあるわけでございまして、問題の競合農作物の状況を参酌するということにつきましては、これを初めから一定の予断をもって引き上げの用に使うとか、引き下げの用に使うということは、私はいかぬと思います。やはりこれは統計調査部の統計に従いまして、参酌するということが一番妥当であると私は考えております。
  130. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その次にお尋ねしたいのは、これは今月の二日の第二回甘味審議会において私から提起した問題でありますが、そのときは、第一回審議会における最低生産者価格算定上、前の年に行なわれたてん菜の取引価格というものを、次年度の最低生産者価格を決定する場合には、経済事情という形でこれを参酌要素に取り入れるという点について、当日は大臣の御出席がなかったわけですからして、次官並びに部長におかれましても、後刻農林大臣の真意を十分聞いて、そうして善処するというような答弁があったわけでございますが、いよいよ作業の大詰めになっておるわけですからして、昨年の取引価格である一トン当たり七千二百円というものを、これをがあ参酌要素ということになるわけでありますが、ことしの算定された基準的な価格に対して十分勘案するというような用意はできておるかどうか、いかがですか。
  131. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 先般の甘味資源審議会におきまして、前年の取引価格をどう見るかということについて、芳賀委員から附帯決議の説明のときにも御意見があったのであります。取引価格につきましては、第四条の「物価その他の経済事情を参酌し、」ということがあるわけでございますが、取引価格、すなわち、前年の取引価格トン当たり七千二百円というものは、経済事情を参酌するということの中に入っていることは当然でございます。ただ問題は、あとはもう抽象的な話になるわけでございますけれども、そうしたら、前年の取引価格七千二百円をどの程度参酌するかということにつきましては、いま研究中でございまして、当然経済事情の中に入るべきものだということははっきり申し上げたいと思います。
  132. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点は明確になったから、次に、これは統計調査部に参考のためにお伺いしますが、生産費調査をやる場合に、自家労働、農業労働の生産性が向上した分に対する評価というものを、従来は農村の雇用労賃というものを根拠にしておやりになったわけでございますが、これは米をはじめいろいろな農産物の生産費の調査あるいは価格決定をやるような場合、一番問題になる点ですが、たとえば反当収量が前年度より増加しておって、しかし、反当の投下労働時間は前年度よりも短縮されておるという例が、最近は農業の労働生産性の向上と相まって、そういう成果というものが随所に見られるわけでございますが、その労働の生産性が質的に向上したということに対する評価というものを、いつまでも従来方式の雇用労賃だけによるということは、そこに大きな矛盾が出てくると思うのです。この点はやはり統計調査部としても、従来方式による調査も一つの方法であるが、もう少し近代化された適応する調査方法というものを当然採用されるべきであるとわれわれは常に考えておるわけですが、この点に対して、調査部としての考え方を明らかにしてもらいたい。
  133. 藤井孝四郎

    ○藤井説明員 ただいま御指摘のありましたような点につきましては、先般開かれました畜産物の価格審議会におきましても、同様な御発言がございましたが、米価審議会におきましても同様な検討が目下なされておるわけでございます。私どもといたしましては、その労働生産性の向上による成果をどのように生産費の調査に反映させていくべきかという点につきまして、目下検討中でございまして、確かに技術の進展であるとか、農業経営のあり方の進歩に応じまして、そういう点も当然生産費調査の中に取り入れていかなければならないと思っておりますが、ただいま先生のおっしゃったようなことを十分検討いたしまして、今後の調査の中にそれをしかるべく入れていきたいと存じております。
  134. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは私が言うまでもなく、労働の生産性が向上をしても、労働の質的な向上部分に対して適正な評価をしないということになれば、労働時間の短縮された分だけは農家の所得として全然回収されないわけですね。農産物の価格の低落とか引き下げという形で、生産者以外の面には貢献することになるかもしれませんが、生産したそれ自身の生産者に対しては全然報酬として回収されないということは、全く不合理だと思うわけです。その向上分全部を農家の所得に帰属させるということについては若干の問題はあるとしても、前年度より向上した分等については、当然その大部分は労働の報酬として確保されなければ、農業と他産業との所得差を是正するということができないと思うのです。どれだけ馬車馬のように働いても、生産性を引き上げても、それは農民の所得にはならぬということになれば、これは政策的にも非常に問題だと思うわけです。従来の統計調査部の調査方法が農村の雇用労賃方式だけに依存しておるものですから、せっかく苦心して作成された調査の結果というものが活用できないのですね。自家労働費以外の部分については、これは非常に貴重な参考になるが、肝心な所得に関する部分というものは、全然これは活用できないというような弊害もあるわけですから、きょうここでどうするということも即答できないかもしれませんが、農林大臣等においてもこの点は速急に明確にしてもらいたいと思いますが、これは当然是正すべきであるということはお考えになっておるわけですね。
  135. 藤井孝四郎

    ○藤井説明員 ただいまの点につきまして、生産費調査の方式そのものといたしましては、ある特定の作物の生産のために給付されました労働をとらえまして、それに要する自家労賃、雇用労賃その他諸材料、賃料金等を算定いたしまして、その結果を公表しているわけでございます。先ほど申しましたように、技術の体系の変化とか経営の内容の発展と申しますか、そういうことに応じまして、労働時間全体が減少していくことに伴いますその農家の手取り分の報酬の増加をどのように考えるかということは、ただいままで統計調査部がやっております生産費調査方式の中では、もう少しよく検討しなければならないのでございまして、ただいままでのところでは、生産に必要な労働時間だけを計上いたしまして、それを集計して公表しておるのでございます。先ほど御指摘のような点につきましては、農産物の価格政策をどういうふうにすべきかというようなことと非常に関連がございますので、統計調査部自体の問題であると同時に、それぞれ主管のほうで取り上げていただく問題だと思っております。
  136. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは政務次官も聞いておいてもらいたいわけですが、たとえば米価をきめる場合には、これは都市近郊労賃方式によるわけですが、その場合には、昨年の計算からいっても、米作農家の自家労働費は一日一千三百円ということになるわけです。それから先般畜産物審議会を通じておきめになった、たとえば原料乳の計算の場合は、最初の政府の試算よりは、一円何十銭だけ一・八七五キロ当たり上回って五十七円ということになりましたが、それにしても、牛乳生産農家の場合には一日の自家労働費が七百六十円ということになっておるわけですね。バレイショの場合には、先ほどお話のあったとおり、一日千四百四十四円。てん菜の場合には九百二十五円。ですから、作物別に自家労働費が全部違うわけですね。この点は、生産者である農民としても、非常に大きな矛盾を感じておるわけなのです。同じ農家がたとえば乳牛飼育しておる、水田もつくっておる、あるいはバレイショもてん菜もつくっておるという場合、同一の農家が同一の労働を行なっておりながら、その作物によっては、労働の成果というものが全部これは異なるというような点は、これはやはり政策的に国が一定方針というものを定めて解決する以外に、農家自身にこの大きな矛盾というものを解決させることはできないわけです。一挙に解決はできないとしても、国の法律や制度に基づいて政府が労働費の計算とかあるいは生産者価格の算定をする場合には、こういう取り残された重大な矛盾であり、欠陥であるものを、だんだんに是正する方向に努力をしてもらわないと、根本的な改革はできないと考えておるわけでございますが、こういう点については、農林省としてどのような意欲を持って今後取り組みされるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  137. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 非常に重大な問題と思っております。労働生産性の向上のメリットをどうするかということにつきましては、価格政策全般としていろいろ問題をはらんでいると思っております。鉱工業生産で大規模機械産業におきましては、労働生産性が向上すればするほど勤労者の賃金は上がる、また生産物の値段は下がってくる。電気関係の生産品のごときはその例だと思っております。しかし、さような鉱工業関係と違いまして、農業につきましては、生産性の向上を直ちに値下げ要因に使うということはできないことなんで、そんな意味で、農作物につきましては、労働生産性のメリットをどこに帰属させるかということにつきましては、農林省としても、政府も、真剣に考えなくてはならない価格政策の重点だと思っております。さような意味におきまして、いまお話のように、米につきましては自家労賃は千三百円、たぶん、ミカンは四千円近かったと思うのです。いろいろ各農作物によって値段が違うということは、やはり農林省の価格政策の立場からいっては、私はいいことではないと思います。選択的拡大という立場から申しましても、果樹、園芸をやるにしても、あるいは酪農をやるにしても、やはり自家労賃というものは大体均衡するということが私は理想だと思っております。さような意味で、農政審議会におきましては、農産物の価格につきましての小委員会を設けて、いま真剣に検討中でございまして、漸次芳賀委員のおっしゃるような方向に進むような方向にありますし、また、そうしなくてはいけないということを私は考えておるわけでございます。
  138. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、四十年の最低生産者価格の問題については、これは明後日告示されるわけですから、告示価格に最大の期待を持つことにして、この問題はこの程度にしておきます。  最後に、次官にお尋ねしたいのは、新しい糖価安定のための法律の作業を先般来進められておるわけでございますが、これが一向に提出の手続がとられておらないわけですね。もう会期といたしましても、残るところ約四十日しかないわけでございますから、練達な政務次官としても、この法案を国会に提出して、しかも重要性のある法律については、提出してから衆参両院を通過するまでにはどのくらいの日子を要するということは、おおよそ計算されておると思うわけです。しかるに、いまだにこの法律政府から提案されないということについては、われわれとしても、その陰に何らかの特別の、国民に知らしてはならぬような理由が伏在しておるのでないかというふうに考えざるを得ないわけでございますが、その間の事情について、これは提案されれば当委員会に付託になる性質の法律ですから、内容を明らかにしてもらいたいと思います。
  139. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 先年行ないました砂糖の自由化のために、いろいろ準備の不足と申しますか、あるいは国際糖価が急速な低落というために、てん菜あるいはカンショ、バレイショ等の価格が非常に低落しておりまして、いまお話のように、いろいろ問題をはらんでいることは事実でございます。いままで当面いろいろやってまいりました政策だけではどうしても足りないのでございまして、どうしても日本の糖価を国際糖価から切り離して安定させるということが、いま一番大事な問題だと思っておりまして、さような糖価安定政策をとらない限りは、いろいろ当面いままでやってまいりました、てん菜糖あるいは甘庶糖その他につきましての政策をとりましたけれども、それは十分に目的を達することはできない。さような意味で、甘味資源の問題については、やはり糖価安定政策をとるという以外には私はないと思っております。農林省といたしましても、非常な決意を持って糖価安定対策をいま立案中でございまして、赤城農林大臣といたしましても、私といたしましても、どうしてもこれを本国会において提出いたしたい。もしもこれが提出ができませんでしたら、来年の通常国会ということになりましょうし、そういたしますと、いままでせっかくやってまいりましたいろいろな糖価に対する安定の政策は、十分に目的を達することができないと私は思っております。そんな意味で、強い熱意を持って現在政府の内部、また党の内部におきましても、意見を調整中でございまして、必ず御期待に沿うように、来週あたりは具体的な案を立てまして、国会に提出することができると私は思っております。
  140. 芳賀貢

    ○芳賀委員 とにかく農林大臣や政務次官はじめ農林省の皆さんが非常な苦労をしておることは、これはわかるわけですよ。その苦労が政府全体に通じない、あるいは与党自民党の中に反映しないというところに、われわれは疑問を持たざるを得ないわけですね。国家、国民のためになると思ってつくった法律が、与党である自民党の内部事情とか佐藤内閣の内部事情によって、やみからやみへ葬られるというようなことになれば、これはたいへんだと思うわけです。その間に特にこういう事情があるので困るとか、この障害を除去しなければならぬということであれば、それを明らかにしていただければ、われわれとしても対処する方法はあると思うのです。どうですか、この際、率直に、打ち明け話でもいいですから……。差しつかえないと思うのですがね。
  141. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 糖価安定対策というのは、糖価をある一定の価格におきまして安定させたいというものでございますから、それにつきましては、日本の九千万の国民がすべて砂糖の消費者でございますから、いろいろの意見があるということは当然だと思います。たとえばお菓子屋さんのごときは当然反対するでしょうし、ますます値段が下がったほうがいいということは当然なことでございます。また砂糖精製業者にいたしましても、安定すると、これから先のいろいろな問題に支障があるという意見があることは、私は民主主義下において当然であると思っております。ただ、政府といたしましては、いままで続けてきました糖価安定の諸政策の最後の終止符を打つつもりでやっておるわけでありまして、先ほど申しましたように、こんな問題につきまして、反対があり、賛成があるのは当然でございますが、しかし、政府としては、いままでのいろいろな糖価安定政策の最後の終止符を打つ意味で、あくまでも提出したいという強い決意を持っておりますから、どうか御協力のほどをお願いいたしたいと思います。
  142. 芳賀貢

    ○芳賀委員 一部の菓子業者とか精製糖業者というのは、これは国民の一人であることは間違いないのですよ。しかし、その連中は国民の意思を総体的に代表した行動であり言動であるかということは、これは言うまでもないでしょう。わずか数社しかない砂糖業者が、政府や自民党に圧力をかけるとか、あるいは菓子業者が暗躍するとか、そういうものはただ自分の利益追求だけにきゅうきゅうとして、国民全体のことも国の繁栄のことも何も考えていないわけです。そういうのを、国民の一人であるからその意見を尊重しなければならぬとか、それに遠慮しなければならぬというものではないと思うのですよ。この辺が、佐藤総理においても、一体けじめがつくのかどうかということがわからぬわけですが、とにかく佐藤内閣の中の政務次官の一人である舘林さんですからして、どうなんですか、総理大臣はこれに対して一体どう考えておるのですか。
  143. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 いろいろものの見方があるだろうと思います。単にお菓子屋さんとかあるいは精製業者の一部が反対するという意味じゃなくして、やはり消費者全体としては、安い砂糖をほしいということは当然だと思うのです。しかし、やはり一面におきましては、政府として、また農林省といたしましては、てん菜糖とか甘庶糖の助長政策をやってまいります。そういう全体の状況のもとにおきまして、農林省としては、どうすべきかという立場から糖価安定対策を出したわけでございます。国民がみんな賛成すると反対すると問題じゃないので、ただ政府として、糖価安定対策としてはかような措置を講じなければいけないという判断でやっているわけでございます。  なお、総理大臣がどうお考えになっておいでになるかということは、私どもにはわかりませんが、しかし、農林省として早くこの案を実施いたしたいということにつきましては、総理大臣も必ず賛成いただけるだろう、私はかように確信しております。
  144. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう一言でやめますが、消費者は全然反対してないのですよ。砂糖の小売り価格は、以前から見るとずっと安くなっているのですからね。最近の卸価格を見ると、大体九十二、三円でしょう。ところが、問題になるのは、小売りの実勢価格は現在においてもキロ当たり百三十円ですからね。そうすると、卸価格と小売り価格の値幅というものは、三十五円ないし三十八円もあるということになるわけです。この値幅というものは、輸入糖から輸入関税の四十一円五十銭を引いたそのものの値段よりも、小売りの場合のマージンの額のほうが上回っておる、こういう内容になっておるわけです。しかも消費者が標準世帯で一年間に消費する直接の砂糖の数量は大体十八キロですから、これは大した問題はないですよ。たとえば十円下げてみたって、家計に響くのは百八十円にしかならないですよ。だから、砂糖の卸価格が下がっても、菓子の値段は全然下がらないわけなんです。反対しておる者は菓子業者がおもでしょう。一般の消費者は何も反対はしてないのですよ。百三十円とか百二十円に消費者価格が安定することは期待しておるが、法律がけしからぬというようなことを唱えておる者は一人もないのですからね。農林委員の皆さんのところにも盛んに反対の電報が来たでしょう。その電報を見ても、差し出し人の不明のような電報が多いのですね。どこの雲助かわからぬような者が反対、反対と言って電報を打ってくるにすぎないわけですから、それは、反対の理由を明らかにできない者が、国会に向けて反対の電報を打ってくるわけです。最近はほとんど九州あるいは北海道のイモでん粉の生産地帯とか、あるいはてん菜とかサトウキビの生産地帯関係団体とか生産者のほうからは、早く新しい法律を出すべきであるというような、切実な陳情書とかあるいは電報等が来ておることは、次官も御承知のとおりです。ですから、逡巡をする余地はないと思うのです。これ以上申しませんが、この際、自信を持って、りっぱな法律であれば早く委員会に出して、われわれとしても十分審議の用意があるわけですから、その間の御意思を明らかにしてもらって、きょうはこの程度でとどめたいと思います。
  145. 濱地文平

    濱地委員長 松田鐵藏君。
  146. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 まず、私は、長官に対して御質問をしたいと思います。実は大臣が多忙だということですから、かわってひとつ政務次官も一緒になって、御答弁を願いたいと思います。  まず第一に、私は、北洋海域に対する水産行政の、これから行なわんとする行政に対する御見解を伺っておくほうが一番適当でないかと思うのですが、この点を承りたいと思います。
  147. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 まあ北洋海域と申しましても、おそらくべーリング海あるいはカムチャッカ付近の水域をさしてのお話と思いますが、現在におきまして、魚種によっても違いますが、北洋の底魚資源につきましては、特に東部べーリング海におきまして、やや憂慮すべき状態にあるかと思うのであります。特にカレイ資源についてそういうことが考えられるのでございます。現在母船式の船団などを出しておりますが、これにつきましても、できるだけその辺の調整をやっておるわけであります。西のほうのカムチャッカ水域におきましては、大体現在のところ安定した操業がやっていける、こういう考えに立ちまして、現在この付近の水域につきまして、一方において漁獲努力をふやすということで、資源の状態をよく考えながら、できるだけ安定した操業を確保するように考えてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  148. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 しからばこの北洋に対する各種の漁業、流れ魚としてのサケ、それから底魚としてのカニ、母船式トロール、いま許可されておりませんが、捕鯨の類、こういう点に対して、ただいま東部においては不安な状態にあり、西部においては安定しておるというお話でありますが、これに対する国内の漁業としての関連性をどのようにお考えになっておられるか、この点を承りたい。
  149. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 サケ、マス、カニ等につきましては、それぞれ日米加漁業条約及び日ソ漁業条約によりまして、国際的な規制をやり、それぞれの漁獲量をきめてやっておる次第でございますが、底魚漁業につきましては、現在そういった条約による規制はございませんけれども、国内的な許可制の運営によりまして、できるだけその安定度を増すようにいたしたい。漁獲努力量が最近におきましてかなりふえてまいっておりますが、現在以上の漁獲努力量を増加するということについては、慎重な態度をとってまいりたい、こう考えております。
  150. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 ただいまの御見解によって行政をされておられる。そこで、さきに沿岸に対しては沿岸振興法、構造改善でもって沿岸をめんどうを見ていこうというお考えがあり、また中小企業に対しても、本年においても北洋の底びきに対して、トロールに対して、ある一定のワクをもって許可する方針をきめられた、こういうことになっておりまして、漁民も非常に喜んでおることだろうと思います。だが、ここに非常な事態が発生しておるのであります。それは昨年度か、今年の春でありますけれども、北洋に対して、三万三千トンのソ連からの魚の輸入によってミールを生産されるその許可を出した。もちろん、これは、一応そういう議論があることに対して、絶対量の足らない日本の、ミールに対する緩和策といいますか、必要なことだろうということから許可されたのでありまして、私ども関係する国会議員としても、やむを得ない事態じゃないかという考え方を持った。それに対するいろいろな疑惑の点も業界はありましたけれども、それはこういう事情でもって一番因るスケソの子というようなものは、絶対に外貨の割り当てはしないのだからということで、一応なだめたのでありまして、またそれを順法しておるようであります。巷間には、やれ従業員の食料のためにとか、わずかのスケソの子を持ってきたとか持ってこないとかという議論がいろいろあり、市場に売られておるというような議論もあり、これは微々たるものでありますが、私は、ここに非常に大事な問題があると思うのであります。それは毎年毎年日ソ漁業協定によって制定されまする独航船は、漁夫のみやげものとして持ってきた、たとえば一匹のサケであっても、これが摘発されるような事態であり、今日、漁夫が水産庁の方針というもの、法というものを守っていかなければならないという非常なりっぱな精神になって、日本漁民のために大いに気を吐いておるし、またこれによって水産庁も非常に指導のよろしきを得ておることであります。ところが、今日外貨の割り当てのないミールに対する副産物である子が、少しでもこれが漁夫の食料である、まかないであるといって持ってくるようなことがかりにあったとしたならば、これは単なる五十トン、八十トンの船を持っておる漁業者でなく、かりにも日本における五大会社の中に含まれておる権威ある会社が、水産庁の指導を無視したようなことの事実があるならば、これは非常に将来の北洋漁業に対して、鮭鱒の独航船に対する、漁夫に対する悪い影響があることでなかろうかと思うのでありまして、こういう点に対しては、いま私がここでとやかく申し上げる必要はございませんが、厳重に御注意あって、御指導あらんことを切に希望するものであります。  次に、たまたま北海道に参りましたところが、北海道の沿岸の漁民、また底びきの漁民、あるいは北洋を漁場としておる、俗にいう転換船の連中らが、大挙して私のところに陳情に参りました。また電報も参っております。それは前段申し上げたように、さきの北洋水産に対しては、こういう理由でミールの絶対量が足らぬというところから、しかたがないじゃないかということで、水産庁も踏み切ったのであるが、それを契機として将来における計画を樹立されておる。これはこの新聞の報道にも、水産庁はなかなか慎重な態度をとっておられるということを掲げておりますが、それは本年から大洋漁業と日本水産と北洋水産、三社が一年に十二万トンずつソ連から買魚をしようという計画のように書かれております。まだ水産庁長官はこれに対して許可されてはいないことだろうと思います。だが、こういうことがかりに実現した場合においてどのようなことになるかということで、漁民は非常に恐怖の念に追われております。  さて、これはこれとして、あとから長官の御答弁をいただきますが、まず、私は非常に憂慮する問題は、さきに日韓会談の当時において、自己の会社の利益でさえあれば、まだ日韓会談が仮調印にもならない前に、大きな商社が、しかもカツオ、マグロの船を三十何そうつくった。そうして外務大臣の韓国に行くときに、これをいい機会として、十一そうの輸出を解除するように要請された。水産庁長官はこれに対して反対であったという議論を聞いた。しかし、日韓会談を仮調印まで持っていくためにはやむを得ないじゃないかというのが当時の私ども考え方であった。そこにあって、この船十一そうが冷蔵船という名目で輸出された。先ほどの芳賀君の議論でないけれども、砂糖の問題で何もかも知っておりながらああいうことばを使うと同様に、もしこの委員会で私がその内容をすっかり言ったら、これはとんでもないことになるから、これは遠慮して言わないことにいたしますが、芳賀君同様でございます。だが、このように自己の会社の利益であったならば、日本の漁民はどうなろうとも、他にどのような迷惑があろうと、役所にどのような迷惑があろうと、あえてこれを行なわんとする悪い考え方日本の商社が持っておると同時に、大きな漁業会社が、水産のことはどのようなことでも自分らのかってになるものだという考え方を持って、とんでもない計画をされておるというような事実があらわれてきたならば、一体どうするか。ここが十二万トンを輸入するとかしないとかいう問題よりも大きな問題じゃなかろうか、政治的にこれを重大視しなければならないんじゃないかと私は思うのです。例をあげるならば、私は、今回この十二万トンの問題で、大洋漁業の重要な位置にある人と話し合いました。私のほうはそういうことはとんでもないことで、やる意思はありません、しかし、一緒に足並みをそろえろと要請されたので、やむを得ずやったのですから、どうかつぶしてくださいと言うのが北海道の責任者です。やはり大きな会社は大きな会社のように仁義があるものだと思うのです。その仁義によって、少しでも自分に利益があるならば、ずるく考えて、まずそれに乗っていけば自分も将来利益があるというように考えられているのじゃないかと思うのです。まだ水産庁へ願書は出ていないから、それはわからない。しかし、この新聞が出て、その責任者と会って、私が、何ということをやるんだと言ったら、いやどうかとめてくれ。これは陳情に来た業者と一緒のところでやったのですから……。  いま一つ北海道の底びき業者が、沿岸と底びきとの相克、摩擦が非常に激しいために、何とかこれを調整しなければならぬと思って、私は四年かかって、北洋転換という制度を設けるように水産庁に要請して、できました。そこで、あの大きな会社が、すべてのいかなる海でも、七つの海を制圧しておる会社が、何のために北海道に底びきをやっていかなければならないかということは、私は何といっても考えられない。私は、日魯漁業に対して、そういうことはいけないじゃないか、先になってやめたらどうかということで、日魯漁業だけは一隻も、自分の傍系の会社のものも全部これを放棄しました。ところが、まじめに話するときは適当にじょうずに話しますが、いまだに残っておる。沿岸の海域をわがもの顔にあの大きな会社の漁船がやっておる。これらに対しては、ときどき長官にもそのお話をしますが、何といっても許可があるのだからやむを得ないということで、現在の取り締まり規則、漁業行政の中はそうなっているから、これはやむを得ない。しかし、これらも、たとえて言えば、先ほどの商社です。日本の商法においても認められている行為なら、日本の役所がいかに苦しい立場にあろうとも、またカツオ・マグロ業者がいかなる苦労をしようとも、自分の会社が利益があれば、それをあえてするというわけで、待機しておって、あの機会をつかんで韓国へ輸出をしたというのと、気持ちにおいて何も変わりないんじゃないか。これがはたしてほんとうに漁民に対するあたたかい水産庁の心やりであるかどうかということを私は疑うのです。もう少し厳重な調整、指導をしてもらいたいと思うのであります。あなたのほうには権力がある。それはあなた、何もかも水産庁のごやっかいになっているのだ。違反がある、そういうときにも、わずかばかりのことでも、大きな会社が違反しようとしたときでも、まずそれを法をもって苦しめるというのではなく、事情をしんしゃくして、適当に将来を戒める、そういう機会において、彼らに対してよく御指導を願うようにしていただかなければならないじゃないかと私は考えるのでありますが、長官、実は私はあなたに対しては、口数も不足であるが、昨年以来、長官になってからやられているその手腕というものは、まことにりっぱだと思っている。かつて私は、いままでの長官のうちで、けんかもしましたが、しかし、一番記憶に残っている人は塩見長官と飯山長官であります。これはだれしも異口同音のことだろうと思う。あのおとなしい顔をしている飯山長官の、その内に燃えている強力なる態度、行動、塩見長官は顔からしていかめしいが、これまたき然たるものであった。水産行政というものは、そうした手腕を持ってやらなかったならば、なかなかなまずるい水産業者を指導するわけにはいかないじゃないかと思っている。どうか飯山長官同様に松岡長官になってもらい、塩見長官同様に松岡長官になってもらっていったならば、その気概を持っていったならば、こんななまずるい業者なんというものは、朝めし前に私は指導できるものであろうと深く長官に期待する点が多いのであります。  さて、この辺まで言っておいて、ひとつこまかい点から申し上げてみたい。  昨年北洋水産が日本の漁船として日の丸の旗を立てて、ソ連から買った魚、これの関税はどうであったか。これの関税は、鮮魚であったならば一〇%とられるのがあたりまえだ。ミールは無税だが、日本の漁船に積まれ、母船に積まれたときは鮮魚であった。この鮮魚、日本国籍の漁船に積まれたときに鮮魚であったならば、当然関税が入らなければいけないと思う。かけられなければならぬと思う。それが加工されて日本に帰って——外国でつくった品物を日本の船舶で輸送しようと、外国の船舶で輸送しようと、これは無税だ。ここらにこういう謀略をもってやる漁業会社に対するきめ手がございませんか。関税はどのようになっておったか。忘れておったらいまからでもかけたらいい。日本の国籍に売買されて入ったときには関税がかけられなければならないのじゃないかと思うが、この点を聞きたい。
  151. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 いろいろ御注意をいただきましたのでございますが、北洋水産の鵬洋丸の輸入につきましては、その許可の条件といたしまして、鮮魚は船上で魚粉、魚油またはフィッシュミールに加工した上でなければ通関してはならない、こういう許可条件でございます。したがいまして、もちろん、先ほどお話のありましたタラコは通関できないわけでございますし、いま問題になりました関税につきましても、製品になった形で通関いたしておりますので、関税はかけてない、こういうことでございます。
  152. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 つまり、そうすると、まあ保税倉庫と同じような役割りをしたということになるわけですね。そう解釈していいわけですね。——わかりました。将来ともにそういうようにやられる考え方でございますか。たとえば、これは水産庁、農林省が許可してないことでありますから、別ですが、新聞の内容を見ますと、相手方の漁業会社は塩蔵にしたり、それから今度はすり身にしたり、スケコを持ってくるということがある。しかし、そういうことは許可しないことだろうと思いますが、もしそういう場合においてはどのようになりますか、この点をお聞きしたい。
  153. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 現在伝わっております各社の計画の内容を私どもはまだ承知しておりませんが、私ども方針といたしましては、北洋水産に対して試験的に許可した形が今後も継続されるといたしますならば、そういう形であるのが妥当ではないか、こういうように考えるのでございます。というのは、先ほど来お話がございましたように、沿岸の漁業者に対する影響を十分考えなければなりません。そのためには、まずタラコが輸入されるということを制限する必要がございますし、また、原料を鮮魚の形あるいはいろいろな形を変えて持ってこられることも沿岸に影響がございます。日本としては、不足しているフィッシュミールなどの輸入にかえて、そういう姿の輸入をやるわけでございますから、製品として通関させるという姿をとるのが望ましい、こういうように考えるのであります。
  154. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 非常に明快な御答弁をいただいて満足します。要は、いままで北洋水産がやりましたミールの原料として、たとえばソ連の貿易であろうとやることに対しては、一つの例を開いたことでもあり、日本に絶対量が足らないミールに対して、それを補うためには、いままでの方法のようなものならば、水産庁は考えなければならないが、沿岸との摩擦のあるような事柄、またはすり身をするような沿岸の加工業者に影響するようなこと、鮮魚として、塩蔵として持ってくるようなことは、かたくこれを禁止しなければならないという意向を持っておられると解釈して差しつかえございませんか。
  155. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 先ほども申し上げましたように、沿岸の漁業に悪影響のない形でなければならない。そういう意味で、先般試験的に実施いたしましたものは、今後のあり方として一つのモデルになるんじゃないか。私どもとしましては、今後といえども、沿岸への影響がございますから、製品として入れる場合におきましても、あまり大規模なことを考えるということは、どういう形になりましても、ミールでペルー等から輸入される場合においても制限いたしておるわけでございますが、そういったこともあわせて十分配慮してまいりたい、こう考えております。
  156. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 ここをはっきりしておいてもらいたい。ミールの場合は事情を考慮してやるが、スケコやすり身や塩蔵や冷凍に対しては、そういう計画に対しては許可しないということであるならば、あるとはっきり答弁していただきたいのです。
  157. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 問題になりましたのは、現在までの段階におきましてはタラコだけの問題でございまして、それと鮮魚の形の輸入に対しての問題が主たる問題でございましたので、現在まではこういう形の輸入許可を与えたわけでございます。すり身その他につきましては、これも現在会社の計画を承知いたしておりませんが、十分沿岸に悪影響のないように、もし悪影響があると明らかでございますならば、これは慎重に考えて制限すべきものは制限しなければならぬ、こう考えておるのであります。
  158. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 すり身の問題が一番大きな問題になろうと思います。いま沿岸の魚を原料としてすり身をやっておる。これらが自主規制をやっておる。そして品質の向上をはかっておる。そこへ多量に輸入されるようなことがあったならば、小さな加工業者が全部倒れてしまいます。さきに韓国するめの問題において水産庁がとられたあの態度、実に加工業者は喜んでおると聞いております。加工業者といえども、水産に関係する、いわば長官の手元にある水産加工業者であります。それを救うためには、基金協会の保証もするようにまで恩典を与えたのです。これらがもしすり身の多量の輸入によって、また生産によって脅かされるようなことがあったならば、小さな加工屋は倒れてしまう。こういう点に対して十分な規制をされんことを私は希望すると同時に、いま一つ、これはまた大きな会社の利益のためだが、北洋において五千トンのすり身を計画しておる某会社がございませんか。
  159. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 私は承知いたしておりませんが、いまお話がございました点は、もちろん、すり身の国における状態など考えまして、十分注意してまいらなければならぬと思うのでございます。一面、以西等でとられまする練り製品の原料になる魚が最近足りないきみであるということも聞いておりますので、そういった事情考えまして、加工業者にも悪影響がないように配慮する必要があると考えるのでございます。
  160. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 そこで、前に戻りますが、今年の三万三千トンの北洋水産は、トン当たり幾らで買ったのですか。
  161. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 トン当たり十六ドル五十セントでございます。
  162. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 このすり身は国内でどのくらいの数量が生産されておりますか。
  163. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 すり身は、生産量はちょっとわかりません。
  164. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員 わからなければいいです。  そこで、これに五千トン北洋から持ってくるという計画を立てている某会社がある。漁価維持のためには、八十トンクラスの兼業船に対してはいいことだと思うのですよ。それは決して私は悪いことではないと思うのです。しかし、それがために、国内の加工屋が総つぶれになるような事態が起きたならば、一体長官はどうするかという考え方を持ってもらわなければならぬ。この点はよくお考えになって、そうしてもって許可される場合においては慎重に取り計らってもらいたいと思うのです。そこで、先ほどの長官の答弁からいきますと、日本に一番足らない、ミールに対しては、ぺルーやその他各国から輸入されるものににらみ合わして、日本でミールは十八万トン要るのですか、これらに対して適正な方法をもってやるということであって、鮮魚や塩魚や、それからスケコなどというものに対しては、ことしの北洋水産のやり方一つのモデルケースとして行なっていきたい、いわば許可をしない方針だがというように考えて、御答弁があったものと私は了承いたします。  そこで、いま世界一の日本の水産業だと言って豪語しておる日本の水産業者が、非常に誤った考え方を持っているのです。どこが世界一だ。日本のいまの水産業界において、それは世界一だということは、漁獲量においてのみなんです。技術において劣る。まあ豪語してもいいぐらいのものは、カツオ・マグロの漁業でしょう。それもいま一年一年苦しみの中へ打ちのめされておるような状態であります。その会長は委員長であります。ところが、いまやアフリカにおけるソ連の勢力というものは膨大なものでございましょう。それに対して日本の許可をせいとかするなとか言うて私はただいま申し上げるのではございませんが、ソ連はあの国の力によって、アフリカに、根室の先にまで、どこへでもあのとおりに機械力を応用しての進出をしております。それだのに、ソ連では、スケソというものはミールにする以外にないのでしょう。あとは何にされておるか知りませんけれども、底魚だけをとっているのです。カレイをとっておる。その合い間にスケソが入る。それを売ろうということなんです。それに対して日本は何でそれを買わなければならないのだ。それは、先ほどの長官の御答弁によって、ミール以外のものはいまのところ許可したくないというお考えをよく承りましたから、私はそれを非常に喜ぶものでありますが、私は、この委員会でやることは、ほんとうはやるべきじゃないのだ。だけれども、やるということは、長官の御答弁が、将来そのような考え方を持つ商社、大きな漁業会社に、水産庁長官として、長官はかわっても、水産庁長官というものの発言がはっきりと速記に残って、国会で論議された、答弁があったということになれば、彼らのこれに対するそういう企てを防ぐことができるであろうという考え方から申し上げていることを御了承願いたい。ところが、前段申し上げたように、もうソ連の漁獲量というものはばく大なものだ。さて水産庁は、何か許可をするかしないかというと、資源量、資源量という。第二課長、きょうはあまり大きなことを言わないが、資源量、資源量ということを言うが、もっと世界にでも広く目を広げて、長官を補佐しなければならないことがたくさんあるのじゃないかと思う。現に、あなた方が考えておる資源量によって規制されておる許可からいって、何ぞうことしは北洋の海で遭難しているか。とうとい人命が、一体何ぞうの船が遭難しておるか。三十九トン九分のカツオ・マグロ漁船が、あの遭難率が多かったために、水産庁は世論に押されて、これは運輸委員会で論議されて、水産庁が割り切ったのですよ。あなたのほうじゃないのですよ。いま八十トンや九十トンの船で北洋に出ておって、何ぞうの船が今年遭難して、日本人の生命を失っておるかということを考えたならば、おまえさん方が死ぬのじゃないのだから、へっちゃらだか知らぬけれども、それは遺族がどうする、企業家はどうする、これをよく考えたならば、ある程度まで割り切った考え方を持って、しかも日本の水産業者の経済というものを第一に考えて、そうしてすべてのことに割り切ってやっていただくことが私は望ましいと思うのであります。これに対しては答弁を必要といたしません、私の議論だけだから。まあこういうようにものを考えていただいて、世界一だと誇っていた日本の水産が、いまや三等国並みになっておる現状をよく考えて、もっともっと——それは資源も大事だ、しかし人命も大事だ、経済も大事だという点から、すべてのことを割り切って考慮されんことを望んで、私の質問を終わります。
  165. 赤路友藏

    赤路委員 関連。いま松田委員から非常に重大な問題が提起されたわけでありますが、私のほうはデータを持たないので、いまの松田委員の質問の中から概算ちょっと計算をしてみたのですが、長官が先ほど答弁の中で、北洋水産の鵬洋丸に許可した条件は、船内においてミール加工をやったもののみを認めて、その他のものは認めない、こういうことだったわけです。とこで、そういうことが、実際営利会社の行為としてあり得るかどうかということに、一つ私は疑問を持つわけです。というのは、何ですか、いまの質問の中で出てきましたのは、当初の許可が三万三千トン、それから十六ドル五十セントだといたしますと、金額にいたしましてざっと二億くらいになると思います。計算が間違っておるかどうかわかりませんが、二億くらいになる。そうすると、この中に含まれておるタラコなんですね。現在キロ当たり大体三百円。これをかりに三分の一の価格と生産者価格をいたしまして、キロ当たり百円ですね。そうしますと、ざっと計算しますと、これは八千二百万円くらいになる。そうすると、全体として二億の価格、その中に含まれておる八千二百五十万といいますか、ざっとその程度のものを捨てるとは考えられないのです。これは営利事業である限りは、そんなばかなことをしないと思うのですよ。こういうところが非常に重要な要素になろうと思う。この点は将来十分考えておいていただかなければなりません。  それから私は注文をつけたいのは、いままでの話を聞いておりまして、ここで一番重要なことは、これはまだ許可いたしておりませんね。私の手元へ入りましたちょっとした情報ですが、現在北海道が沿岸漁業と底びきだけでとっておりますスケソウダラが、大体平年二十五万トン、それより生産されるタラコが一万トンから一万三千トン程度だ、こういっておるわけです。かりにいまここで、先ほど松田委員指摘したような、何か三社によって協議されて十二万トンの輸入というようなことになりますと、それによって出てくるタラコというものは、大体三千トンから四千トンになるのじゃないか。これは膨大なものなんですね。ここに非常に大きな問題がある。もしもこれを強行するというようなことになりますと、それによって受ける沿岸の漁民の打撃というのは大きいのじゃないかと思うのですね。かりにことばを変えて極端な言い分で言いますと、漁業の大手三社、それと関連しておる商社というのが伊藤忠、丸紅、日本糧穀、東京丸一だそうですね。そうすると、大手三社とこういうような関係商社のために、何万かの零細漁民が犠牲にならなければならぬ、こういう結果があらわれてくるおそれがあるわけなんです。それだけにこれらの点については十分慎重に扱われなければならぬ。もちろん、このミールはペルーのほうから輸入いたしております。また、畜産がどんどん伸びてきますから、飼料としてもミールが必要であることは申すまでもないと思います。その点に対しては異論ないと思うのですが、現実に私は、営利会社がそれを持つタラコを捨ててしまうということはどうしても考えられない。これらの点に十分なメスを入れませんと、将来に大きな禍根を残すと思います。私はいま質疑応答の中でちょっと感じただけなんですから、資料を十分整えておりませんが、いずれ資料を十分整えた上で、私の意見を申し上げたいと思いますが、この点はひとつ十分御勘案のほどを願っておきたい、こういうふうに思います。
  166. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 ただいま資料をお持ちにならないでいろいろ御計算を示されましたが、大体そういう近いところではないかと思います。御注意がありました点は、今後十分注意してまいりたいと思いますが、御参考のために、この間行ないました鵬洋丸の試験の場合を申し上げますと、これはもちろんタラコに対しましては輸入の許可をいたしておらないわけでありますが、船内で乗り組み員のために〇・五トン程度のもののタラコが取られておるという報告でございます。タラコ自体は、魚体と一緒に処理しましてミールにしたわけでございますが、二月以降になりますと、あの海域のスケソウは産卵を終わりまして、ミズコになっておる模様でございまして、その点で、先般の試験操業につきましては問題はなかったと私どもは思っておるわけでございます。ただ、今後の問題としては、御指摘のありましたような問題、十分注意を要する問題であろうと私ども考えております。
  167. 濱地文平

    濱地委員長 次会は来たる十三日開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会