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1965-04-06 第48回国会 衆議院 農林水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月六日(火曜日)    午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       吉川 久衛君    倉成  正君       小枝 一雄君    田口長治郎君       高見 三郎君    中川 一郎君       丹羽 兵助君    野原 正勝君       藤田 義光君    卜部 政巳君       兒玉 末男君    千葉 七郎君       楢崎弥之助君    松浦 定義君       森  義視君    山田 長司君       湯山  勇君    中村 時雄君       林  百郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 四月二日  委員山田長司辞任につき、その補欠として勝  間田清一君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員勝間田清一君及び千葉七郎辞任につき、  その補欠として山田長司君及び楢崎弥之助君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員楢崎弥之助辞任につき、その補欠として  千葉七郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月六日  牛乳法案芳賀貢君外十一名提出衆法第一七  号)  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案内閣  提出第一二五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農地開発機械公団法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六九号)      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  農地開発機械公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。東海林稔君。
  3. 東海林稔

    東海林委員 農地開発機械公団をどのように活用するかということについては、これまでもいろいろと問題があったわけでございますが、今回、政府は、地方公共団体農業協同組合が行なう乳牛または肉用牛育成事業牧場、さらに農事組合法人その他のいわゆる農業法人の行なう搾乳経営または肉用牛生産経営牧場建設について、機械公団にこの仕事をやらせる、そのために公団法の一部改正を提案してきたわけでございます。これは従来の公団の経過からして、いろいろと問題があるわけでございまして、多数の同僚質疑を要求しているわけでございます。そこで、私は他の同僚議員質問とダブらないようにするために、特に、今回の農業法人の行なう牧場ということにつきまして、これは一体どういう意義を持つのであるか、そういう点を特に質問してみたいと思うわけでございます。  先般、私は、八郎潟事業団の際にも御質問したのですが、農業基本法で、政府自立農家育成ということを構造改善中心に置きまして、そうして耕種農業については、いまの段階では、平均二町五反程度農家育成することを中心考える、こういうことであったのでありますが、八郎潟の場合は、それが一農家当たり五ヘクタールであり、それを十二戸集めて、六十ヘクタールというものを一つ団地として協業をさせるのだ、こういうことでありまして、その点は、政府基本法考え方との関連において、私は非常に理解しにくいということを指摘して、御質問したのであります。当時の大臣答弁でも私は納得できなかったのでありますが、それと同じような疑問を私はこの点にも感ずるわけでございます。  そこで、まずお伺いいたしますが、一体今度農業法人に行なわせるこの牧場経営というものと、今後政府酪農経営のあるべき姿として考えておられることとの関連は、一体どこにあるのか、このことをまずお伺いいたしたいと思います。
  4. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 今回農地開発機械公団法の一部を改正いたしまして、共同利用模範牧場建設整備事業を行なわせ、その経営主体としては、地方公共団体もしくは農事組合法人等一定の資格を備えた法人に限ってこの経営を認めていく、いわばそういう前提のもとに、共同利用模範牧場建設を進めていきたいということについては、一つは、草地におきます放牧形式による集団的な経営なりあるいは育成事業なりというものは、まだ日本酪農経営発達段階におきましては未習熟の形態でございまして、したがって、そのような新しい形態、大規模酪農経営形態というものをとりますことは、一つの前進的な、モデル的な事業であるという点に着目をいたした点が一つと、さらにそのような経営前提とする牧場整備ということは、これまたわが国草地開発方式としても新しいモデル的な方向であるということから、私どもはこのような形を考えたのであります。その場合、法人あるいは地方公共団体というものが経営主体になる場合を考えましたのは、このような形の開発方式事業方式考えましたのは、そのよって立つ土地基盤というものが、いわゆる公共用地的なものの上に行なわれるものでありまして、別途土地改良法に基づく草地改良事業の場合には、これは個人経営前提にいたしました草地改良方式を行なうわけでありまして、その点と別個の形態のものを考えておりますために、その上で行なわれます酪農経営あるいは乳牛飼育というものは、個人個人経営ということでは牧場そのものの管理とマッチをいたしません点と、また大規模牧場経営それ自身は、家畜の流動性に対応して、一定の集団によってその規模を維持し、経営を安定させていくという観点からも、共同的な利用ということが必要であるという観点に立って考えたものでございます。今後日本酪農のあるべき姿ということになりますと、これはなかなかむずかしい問題でございますが、元来、酪農というものは、私ども考えますところでは、牧草もしくは飼料作物生産をいたしまして、その牧草なり飼料作物を基幹とするところの牛乳生産をいたし、それを販売していくということが、酪農一般的定義であると思われるのでございますが、そういう観点からは、日本の現在の酪農の持っている欠陥でありますところの自給飼料の低さというものを高めていくという方向で、草地あるいは飼料畑というものを経営しつつ、粗飼料給源としてできるだけ高い水準で保持しつつ、かつ経営規模につきましても、酪農らしい酪農、いわば飼料的な酪農なり専業的な酪農なりで発展していく酪農念頭に置いて考える必要があると思うのであります。その場合、その考え方とこの共同利用模範牧場考え方とは、だんだん奥地化していきます草地利用について、共同的な形で行なうことによって、自給飼料給源というものを共同的に確保していく形として、これは今後進むであろうわが国酪農発展方向の端緒といいますか、方向を開いていくものであるというふうに考えておるわけでございます。
  5. 東海林稔

    東海林委員 そうすると、いまの説明ですと、今後の日本酪農というものは、比較的広大な草地利用の可能である、簡単にいえば、山ろく地帯というものを中心として酪農をやっていくのだ、こういうふうに理解されるわけですか。
  6. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 元来、酪農というのは、ただいま申し上げましたように、粗飼料資源というものを持って経営することが本来の酪農の姿であるわけであります。そういう意味では、今後日本酪農発展の余地の大きい地帯山寄り地帯であって、草地資源の沃地に恵まれておるところが、その重点といいますか、最も大きな期待を持たれる地域であろうと思います。しかしながら、申すまでもないことですが、わが国土地条件あるいは市場の条件等はきわめて広範な分布をいたしており、また複雑な形をとっておるわけでございますので、平地におきます酪農については平地としての酪農形態考えていく。またそういう酪農もあってしかるべきである。しかし、その場合には、やはり飼料作物等の粗飼料給源供給余力前提考えていきたいというふうに思っております。
  7. 東海林稔

    東海林委員 そういたしますと、今回のこの法改正の主たる目的は、大体において山ろく酪農等模範的なものをつくっていきたい、こういうふうに理解していいわけですか。
  8. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 東海林先生のおっしゃるとおりでございます。
  9. 東海林稔

    東海林委員 そこで伺いますが、今度のさしあたっての計画を見ますと、四十年度は栃木県那須地区一区、さらに三ヵ所の調査ということになっているのですが、これは今後どの程度続けていくか、年々どの程度のこういう地区考えておられるのか、それをまず伺っておきます。
  10. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 私どもとしましては、このような共同利用としての模範的な牧場全国に今後十年以内くらいの時期に三十ヵ所程度設置したいというふうに考えておるのでございますが、これはいわば牧場自身がモデル的でございますと同時に、行政としても新しい試みでございますので、この事業の実施の過程において、さらにこの事業の効果あるいはこの事業に伴う問題点等を解明をする必要があるわけでございまして、今日の段階では、当面は全国数ヵ所をまずやってみるということを考えておるわけでございます。開発方式等については、こういう形、あるいは別に考えております国営草地改良事業、あるいは他の農業基盤整備の方法による方向等について、この事業の進展の過程においてさらに検討すべき問題もあろうかと思いますので、方向としては、ただいま申し上げましたような全国三十ヵ所程度を十年以内に整備をしていきたいという考え方でございますが、これは一応の目標でございます。
  11. 東海林稔

    東海林委員 次にお伺いいたしますが、そういたしました場合に、一地区の大きさというものを大体どの程度考えているか。さらにその一地区内における育成牧場規模、それと同時に、普通の酪農経営としての規模をどの程度考え計画を進めようとしておられるか。
  12. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 御質問の中の問題は、なお今後検討を要すべき問題もございますが、共同利用模範牧場規模といたしましては、一地区三百町歩以上、おおむね基準的なものとしては五百町歩程度というようなものを考え整備をしていきたいと思っております。そこで、酪農経営あるいは育成事業というものの規模につきましては、面積の大きさなり地区実情によってそれぞれ違うわけでございますが、三百町歩ということになりますと、育成事業としましては、大体五、六百頭程度育成ということになり、搾乳事業については、五百頭程度ということが平均的に言えるのではないかと思います。その場合に、搾乳経営につきましては、五十頭というような一経営考えるのではなくて、地元の経営主体等との関係で一団地三十町歩以上程度団地に分割することを考えるということになりますと、一経営五十頭程度搾乳経営というものが最低の単位として考えられるというふうに思っておる次第でございます。
  13. 東海林稔

    東海林委員 私は、共同利用牧場中心にいろいろとお伺いしたいと思うわけですが、まずその前にお伺いしたいのは、現在の日本酪農は、大ざっぱな分け方として、草地自給飼料源とするいわゆる山ろく酪農平地酪農に分けて、どういうふうな比率になっておりますか。
  14. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 手元に資料がございませんので、大ざっぱに申し上げまして、現在山地酪農のウェートは、頭数でいいまして、一五%ないし一七%程度であって、そのほかは農山村あるいは平地という形になっておりますので、これの区分が必ずしも明確ではありませんが、山地酪農という形ではまだ二〇%に達していないというふうに見られます。
  15. 東海林稔

    東海林委員 そこで、ひとつ大臣にお伺いしますが、たとえば局長答弁のように、山地酪農と見られるものが二〇%以下、それからややそれに準ずるようなものが相当ある、こういうようなことのようですけれども、北海道は別として、私は、むしろ現状においては、いわゆる平地酪農というのが相当大きい部分を占めておると思うのです。先ほど局長からお話がありましたように、酪農経営の安定という点から見て、自給飼料の増大ということは非常に大事だと思うのですけれども、今回農林省が提案された公団法の一部改正案、あるいはまた土地改良法の一部改正等を見ましても、草地造成の点についてある程度施策考えておられるようですけれども平地における自給飼料増産ということにさらに考え方が出ておらぬことが、私は非常に不十分じゃないか、不十分というよりは、酪農全体に対する飼料対策考え方が、何か非常にはっきりしないのじゃないかという疑問を持つわけですが、そういう点、大臣はどのようにお考えになっておりますか。
  16. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに御指摘のようなことがあろうかと思います。大きな面で見まするならば、いま申し上げたように、山地酪農が一五%、二〇%までいっていない。私は、山地のほうというか山岳酪農についての研究も最近相当進んでおりまするし、スイスの例などから見ても、そういうものをもっと積極的に進めるべきじゃないかということには、私も同感で、そのほうへ進めたいと思います。  ところが、いまお話のように、その方面には飼料対策草地造成という裏づけがある、平地においては一こう裏づけらしい裏づけがないじゃないか、こういう御指摘だと思います。平地においては、やはり既耕地につきまして飼料作物増産するといいますか、そういう方向をやらなければいけないと思います。ことに今度の予算や対策などにもありますが、いつも御指摘されておりますが、裏作が非常に減っています。そういう面で、機械を導入して、裏作の麦の共同増産といいますか、そういう方向などを進めていきたい、こういうふうに考えています。しかし、実際に、御指摘のように、これぞという自給飼料対策は、平地において特に目立つものはございませんが、いま考えておるようなことを考えております。
  17. 東海林稔

    東海林委員 いま大臣からも御答弁がありましたように、最近の統計で、百五十九万町歩裏作が放置されているというような点から見ましても、私は、この問題こそ最もほかに先んじて施策を講ずべきだと思うのですが、大臣もその点に関心を持っておられるということでありますから、特にその点の検討を進めて、すみやかな対策をお願いしたいと思います。  もう一点、大臣にお伺いしますが、単に牛乳増産するという立場からいえば、私は、山ろく酪農というものに非常に力を入れるという考え方はわかるわけです。しかし、日本農業構造改善という趣旨から考えた場合に、相当多数の農家酪農を取り入れるという形からいきますと、単に牛乳増産すれば事足りるということでないのでありますから、私は平地酪農ということについて十分考うべきではないかと思うのですが、そういう農業構造改善事業との関連において、一体酪農というものを大臣はどういうふうに考えておられるか。選択的拡大のタイプに分けて、地域実情に応じてということを説明されておりますが、そういうことで、山ろく地帯草地の多いところに酪農をやるのだというふうに重点的に考えておるのか。また私が考えますように、農家経営構造改善という点からいえば、なるべく平地においても酪農が成り立つようなことを相当重点的に考える必要があるのではないか、こう思うわけですが、そういう点についての御意見を承りたい。
  18. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お説ごもっともだと思いますが、先ほど申し上げましたのは、とにかく山地酪農がいま畜産局長お話のように二〇%程度であると、その方面の率が低いといいますか、そういう意味からいたしまして、牛乳増産ということばかりでなく、酪農が相当採算のとれるものでなくてはならないという面から考えましても、草地造成を伴う山地酪農ということは、いまの平地酪農との比較からいいまして、もっと進めるべきじゃないか、こういうふうに思っている次第を申し上げたわけであります。ところが、選択的拡大というような面で、平地農村等におきましても、酪農を相当採算のとれるような形で進めていくべきじゃないか、この点も私もそうだと思います。しかし、何といいましても、酪農頭数を相当保有しなければならぬ。それに対しまして、土地経営面積というものもある程度なくてはならぬということでございますので、どうしてもそういう酪農基盤と申しますか、土地というものが必要だと思います。そういう意味におきまして、三頭平均くらいの酪農飼育頭数でございますけれども、それを増すということにするには、やはり平地における平地林とか、そういうものを充てていかなければ、相当多数の牛を買うということは困難ではないかと考えます。そういう意味におきまして、経営規模が拡大するような方向とにらみ合わせながら、平地における酪農というものを進めていかなければならぬ、こういうふうに考える次第であります。
  19. 東海林稔

    東海林委員 局長に伺いますが、先ほど、共同利用牧場一団地は大体三十町歩、五十頭前後を考えておるということでございましたが、これは一体どういうような基礎によってこういうことを考えられたのか、またこの一団地ではどの程度農家農業法人組織農家として考えておられるか、その点について……。
  20. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 こういう規模の問題は、正直に申しまして、別にこうでなければならぬという線はないと思うのでございますが、一団地三十町歩乳牛飼養頭数五十頭と申しますのは、現在の技術水準考えますと、専業的に従事する従事者一人について、乳牛飼養頭数が大体十頭程度平均的水準であろうというふうに考えますので、共同利用共同飼育というような場合に、五戸程度協業ということが、実際問題として協業最小限といいますか、考えられる線ではないかということから考えまして、三十町歩、五十頭というようなことを一応の目安として考えておるわけであります。
  21. 東海林稔

    東海林委員 いま一人当たり大体十頭を考えて、五戸程度と言うのですが、普通農家稼働人員というのは、地方によって違いますが、大体二・五くらいが普通だと思うのです。そうしますと、酪農専業でなしに、また酪農とほかの農業との兼営ということを考えておられるわけですか。そこらのところをひとつ……。
  22. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 先ほどのお話にもちょっと触れる問題でございますが、酪農経営の形としては、いわゆる専業的な酪農経営というものと、他の耕種経営との結びつきのあります混同経営的なものとがあると思われるのでございますが、現在の日本実情から考えまして、混同経営的なものを考えざるを得ない。専業的なものももちろん考えてまいりますが、混同経営的なものも考え、いわば限度の低いところでものを考えますときには、混同経営というものも念頭に置いて考えることが適当であろう。そういうことにいたしますと、二・五人のうちの労働力一人を共同利用牧場労働提供として考えるというようなことが可能であろう。もちろん、この一団地三十町歩五十頭程度乳牛飼養ということは、それに限るという意味ではございませんで、労働力二人あるいは二人半というものを提供して、専業的な形で協業経営による共同利用牧場経営をやるという場合には、さらに大きな規模であることは何ら抑制する考え方はないのでございます。
  23. 東海林稔

    東海林委員 局長共同利用模範牧場ということをさっきから言われておるわけですが、模範ということになりますと、少なくとも農林省としては、山ろく地帯酪農経営はこうあるのが最も望ましいという一つ目標を持って、それを模範的に展示するのでなければ、私は、模範牧場という意味ではこれは価値がないのではないか、こう思うのですがね。その点、どうもいまの説明では不明瞭なんですが、そこをもう少しはっきりしてもらいたい。
  24. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 私ども、ただいま申し上げました混同経営というものを頭に置いて、最小限といいますか、下の限度規模考えます場合に、労働力一人につき十頭と申し上げたのでございますが、これは通常草地の新たな造成による面積拡大というものがありません場合には、現在の段階では、従来の既耕地に対する飼料作物生産等について、たとえば平均一町ないし一町五反という土地を持っておるといたしましても、混同経営が果たし得ます規模が大体五、六頭程度というふうに考えられるのでございます。でございますので、この模範牧場でその規模をさらに大きくいたしまして、そこに模範的な、モデル的なものを見出そうというような考え方で、ただいま申し上げたようなことを考えておるわけでございます。
  25. 東海林稔

    東海林委員 私は、いまの答弁の中からも、またこれまでのいろいろな答弁の中からも、どうも畜産局長は多頭飼育方向に進むことだけを非常に期待しているような気がするのですけれども、私は、これは鶏の場合にも最近はそういう危険性が出てきていると思うのですが、一面、牛でいえば一頭、鶏でいえば一羽当たり飼育が非常に少なくなったために、しかたなく多頭羽飼育のほうに進んでいるような気がするのです。こういう傾向があまり進んでいきますと、いわゆる一般農民酪農経営なり養鶏経営ということでなしに、特殊な資金を持ち、特殊の条件を持った、ごく一部の限られた人の経営のほうに進んでいくおそれが多分にあるような気がするのです。ただ、これはさっきの議論と同じように、牛をふやして乳をふやす、鶏をふやして卵をふやすという点だけからいえば、それも一つ考え方かもしれませんけれども、やはりなるべく多数の農家経営を安定させるということとあわせて考えた場合に、これは非常に危険な思想ではないかと私は思うわけです。したがって、酪農の場合においてもあるいは養鶏の場合においても、多頭羽飼育といっても、大体ここらが一番望ましい姿なんだという目標を一応はっきりきめまして、そうしてそういう点になるべく多数の酪農家なり養鶏家経営を安定さすということでないと、私は非常に危険を伴うのではないか、こう考えるのです。こういう点、ひとつ大臣のお考えを承りたいのです。単に多頭羽飼育なら喜ばしいのだ——現在、確かに酪農は三頭幾らでありますが、小さ過ぎるということはわかります。ということで、牧場も一応三十町歩、五十頭を考えておるが、もっと大きくなるのが望ましいのだ、こういうようなふうに上のほうにどんどんいけばいいのだという考え方は、非常に危険だと思う。農家経営を離れた経営になる危険が非常にある。そういう危険性が、酪農においても養鶏においても、特に私の地方なんかすでに出始めておると思うのです。そういう点について、この辺が望ましい形なんだという、はっきりした目標がなしに、ただ多頭羽飼育のほうに進めばいいのだという考え方は、非常に危険ではないか、こう思うのです。特に今回の共同利用牧場模範牧場だというような性格を非常に強く出されている点からいいますと、そういう点が明確でないところが私は非常に不満なんですが、大臣の見解を伺いたい。
  26. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 多頭羽飼育を進めておりますけれども考え方としては、採算のとれるというか、経営としてやっていける、こういうところのねらいから、現段階において相当多頭羽でなければなるまい、そういう方向を持っておるわけでございます。しかし、農家選択的拡大一つの大きな方向といたしまして、酪農農業と一緒にやっていきたいということでありますならば、何もそれを切り捨てようという考えは持っていません。そういうものでもやっていけるようなことをまた考えていかなければならぬ、こう思いますが、いまの段階においては、採算がとれるのは相当多頭羽でなければならぬ。これは無制限にただ漫然と多頭羽というのではなくて、採算のとれる限度のものが模範的なティピカルなものになるだろうというようなねらいは持っておるわけでございます。決して、少ないからそのものをやめてくれというような意味で多頭羽を奨励している、こういうわけではございません。
  27. 東海林稔

    東海林委員 最後に、もう一つ大臣にお伺いします。いつも同じようなことを言うような点を自分でも感ずるのですけれども、これはしかしきわめて大事なことですから、大臣にお伺いしたいのですが、この間の八郎潟の場合にも、あれは東北地方の水田地帯における模範的な経営をやるのだというのに、十二戸程度協業というものが出てきておるわけです。またここに、酪農のモデル的な経営というのにも、いまの畜産局長の話のように、共同経営というのが出てきておるわけです。最近農林省が出す模範経営というのは、みんな共同経営なんですね。この点は、私がよく言うように、もう自立農家というような看板を下げて、やはり協業なり共同経営というのを中心に置いて、あわせて自立のことも考えるのだ、こういうふうに基本法考え方は置きかえるべきではないか。その基本法中心考えを置きかえずにおいて、模範的な経営ということになりますと、水稲の場合も共同経営だ、また酪農の場合も共同経営だ、私は、これは非常に大きな矛盾ではないかと思うのですが、大臣にその点を一つお伺いいたします。
  28. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は、矛盾しないで、佐藤総理の考え方で言えば、調和ができている考え方ではないかと思うのです。私の考え方から見れば、やはり自立経営農家というのは、経営規模においてもあるいは収入においても、いずれをとってもいいから、経営規模が小さければ、収入が六十万円以上とかあるいは百万円以上とかいうようなものが得られるような経営、こういう自立経営農家というふうに考えておるわけでございますが、たとえば非常に小さい農家経営規模が非常に小さい兼業農家というようなものは、協業によってやっていくというような形に持っていくというのは、その協業体自体が一つ経営規模の単位だ、こういうふうに考えますならば、やはりある程度協業によって、協業単位としての経営規模が成り立つような農業、こういうふうに考えるわけでございます。だから、その協業体の中の一人一人が必ずしも自立農家というふうには見られないと思います。協業体全体として一つ経営単位としても農業をちゃんとやっていく、こういうような意味におきまして、やはり協業ということも、不可欠とは言いませんが、必要な形態だ、そういう意味におきまして、八郎潟とか、いまの公団による模範牧場、こういうものは両面があるんじゃないでしょうか。個人としても自立経営ができる、しかし、協業体として大きい単位の中でより以上の自立経営の成績があがる、協業体自体の単位として……。こういう二つのねらいがあるというふうに私は考えまして、一つの自立経営育成ということと、それを協業によって行なうということは、矛盾するものじゃなくて、自立経営協業によっても行なっていくということが必要なんだ、矛盾して相排斥し合うものじゃない、一つ経営体として必要なことだ、こういうふうに考えて、八郎潟あるいはまた共同模範牧場というようなことを考えるわけです。
  29. 東海林稔

    東海林委員 私どもはこの共同経営中心として考うべきだということを主張しているのですから、こういう模範を示されることは、まことにけっこうだとは思うのです。しかし、先ほども申しますように、平地稲作を中心とする経営模範を示す場合にも共同経営だ、今度の酪農でまた模範を示す場合にも共同経営だ、こういうことであるならば、大臣はすぐさま自立経営農家育成というものを中心的なところから下げることは簡単に言いにくいかもしれませんけれども、やはりそういう点の基本的な態度をはっきり出さないと、何か模範経営ということと一般との結びつきの間に矛盾を感ぜざるを得ないのです。これはこれ以上お答えを要求いたしませんが、ぜひその点はひとつ真剣に御検討をお願いしたい、こういうことを申し上げまして、他の同僚がたくさんございますので、私の質問を一応終わります。
  30. 濱地文平

  31. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、三十七年の農地開発機械公団法一部改正のときに、いろいろと農林省にお伺いをした責任上、おもに基本的な問題について、大臣にお伺いをしたいと思うのです。  そこで、まず第一番に、三十七年の法改正は、一億五百万に及ぶ赤字を一億五千万の政府出資をもってそれを埋めるという法改正が主であったのです。そこで、三十七年の当時、これは農地開発機械公団法の単なる改正ではなしに、一つの新しい出発を意味するものではないかという論議をやったわけです。そこで、新しい性格のもとに新発足をするという性格でいくべきだということで、いろいろな従来の欠陥も指摘をしたわけです。さらに従来の公団がやっておった、たとえば根釧とか上北等の事業も終えて、農業基本法の施行とともに、構造改善その他そういう問題を中心にして、今後機械公団の活用がはかられるというふうになってきたと思うのですが、特に四十年度以降の公団方向、あるいは公団をどのように活用していくか、そういう点について、大臣はいかなる計画をお持ちか、まず具体的に示していただきたい。
  32. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 せっかく機械公団ができておるのでございますから、その目的に沿うて十分に有効に活動できるような方向に持っていくことは当然だと思います。そういう意味におきましては、やはり農地の造成といいますか、開拓パイロットあるいは八郎潟もそうでございますが、そういう面に積極的に活用する、こういうつもりでございます。
  33. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 積極的に活用していかれるその法的あるいは制度的な根拠はどこにあるのですか。
  34. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 御承知のとおり、機械公団は、法の一条で、高能率の機械を活用して、農業経営の合理化及び生産力の発展に資することを機能といたしておるわけであります。したがいまして、高能率の機械を使うという立場におきまして、これに見合う事業を実施する。それの過程におきまして、その機械という観点から、これを活用するその法的根拠はいかんという御質問でございますが、私どもといたしましては、公団法の業務に関します規定の中に、二十一条、「毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、」「農林大臣の認可を受けなければならない。」この過程におきまして、いま申しました趣旨に沿って活用をはかっていく、かように考えております。
  35. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこが問題であるわけですね。三十七年度に業務計画大臣の認可事項になったのです。しかし、問題は、公団のほうから計画を出し、そして農林省でいろいろ検討しようじゃないかという姿勢なんですね。農林省のほうが一応の内規を持って、つまり、公団に指示をして、そしてその指示の基本計画と申しますか、そういう計画に基づいて、公団一つ業務計画を立てなさいという姿勢じゃなしに、まず公団のほうに計画を出しなさい、それに基づいて、いわゆる財政上農林省として検討してみようじゃないかという姿勢なんですね。その点はどうでしょうか。
  36. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 お答えいたします。  たとえば水公団、これは水系を指定いたしまして、利根川の水系において水の合理的利用をはかる、そういう意味を持ち、愛知用水公団は木曾川からどこどこに水を引っぱる、そういう本質的な成立の目的を持っておるわけであります。ところが、機械公団は、設立の当初からこの一条はそのままでございまして、高能率の機械等を保有して、これを貸し付け、効率的な運用を行なうということを使命といたしておるのであります。したがって、上北、根釧の事業におきましても、この機械公団に国が事業を委託するという形において処理されたものでございます。したがいまして、機械公団事業というものは、事業計画の中で、国の事業につきましては、国の事業の性質が、たとえば大規模な開拓事業であるというようなもので、本公団に委託することを適当とするものは、こちらのほうで委託するたてまえを最初からお話をいたしまして、そして事業計画を積み上げてまいる。それから国の事業以外でございますれば、地方庁の事業その他につきましては、これは本事業機械公団に委託することを適当と思うという立場におきまして、地方庁その他にもあっせんの労をとっておる。機械公団の存立の目的と現行法との関係から考えまして、そういう処理をいたしているわけでございます。それらを取りまとめまして機械公団事業計画として作成して、認可を受ける、こういう仕組みになっておる次第であります。
  37. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 農林大臣にお伺いをしたいのです。三十七年の法改正当時、当時は河野大臣でございましたが、上北、根釧等の仕事も終わって、一体今後公団を殺すのか生かすのか、真剣に——もちろん、これはやはり活用すべきだというような御答弁があった。いま赤城大臣お話を承りましたが、せっかくあるものだから、これを活用するという御答弁なんですね。非常に消極的な感じを受けるわけです。一体、政府関係機関としての機械公団をいま赤城大臣はどう思っていらっしゃるのですか。本気でこれを生かしていこうと思っていらっしゃるのですか、それとも、やっかいだが、あるから、とにかく少しずつでも国からめんどう見ようじゃないかというのか、生かさず殺さずということばもありますけれども、その辺率直な大臣のいまのお考えを聞いておきたいと思います。
  38. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 話がほかへ飛ぶかもしれませんが、いま宅地の造成なんかでも、相当大型の機械でどんどん造成をしていっている、こういうような時代でございます。でございまするから、農地の造成等もやっていかなくちゃならぬ。ことに私は、土地改良などにおきましても、昔の土地改良、手労働みたいでやっていたのと違って、相当起伏のあるところや何かにおきましても、大型機械、土木機械などを入れて土木改良が相当行なわれなくちゃならぬじゃないか、こういうように思っています。しかも大規模に行なわれていかなくちゃならぬ。でありますので、新しくつくらなくても、せっかくこういう目的を持って、そして事業としても、いま農地局長から御答弁申し上げましたように、委託を受けて農地の造成または改良の事業を行なう、あるいはその他業務としてもいろいろあります。こういうこともあるので、公団から事業計画とかそういうものが出てくるのを待っているということでなくて、やはり国としてこういう農地の造成をやりたい、改良をやりたい。八郎潟どもその一つの例でございますが、そういうことがどんどん出てくるはずでございます。でございますので、こういう機械公団を積極的に活用して、農地の改良、造成等を行なっていくということが、こういうときになってはなお必要だ、こういうように考えます。
  39. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 三十七年の膨大な一億五百万という公団赤字の問題について、河野大臣は、結局これは公団が不正をやってこういう赤字が出たのじゃないのだ、仕事が少なかったからこういう赤字が出たのだ、したがって、これは河野農林大臣のおことばですが、「政府が企画しなければその仕事がないということでございます。」とおっしゃっています。赤城農林大臣は、政府が企画しなければその仕事がない、そうお考えになりますか。
  40. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 先に私から……。実は先生御指摘のとおり、三十七年までに相当な赤字を生じております。この赤字の原因につきましては、当時もだいぶ議論されたわけでございますが、一つは、無出資のこういう事業をやる会社といいますか、公社ということが、事業の性格上無理なのではないかという問題がございます。それからもう一つは、農業土木は、御承知のとおり、農閑期にやらなければならないという制約がある。それから非常に先進的な機械をパイオニア的に使うという苦しい事情もある。そこで、三十七年にいろいろ御議論をいただきまして、過去の赤字一億五百万をたたき込んで消しますと同時に、それからは出資の増強をやる。毎年一億なり一億五千万ずつ入れますと同時に、その金は一つには、一部は積んでおきまして、利子でもってその経費の援助をする。それから一つは、無利子の金でございますから、それでもって機械を買うことによって相対的に安い機械コストになる。そういうことは政府が援助をいたしまして、その援助の上で、民間ではあまりやりたがらない仕事をむしろ機械公団機械を使って大々的にやっていただく。そこで、最近におきましては、特に北海道の事業であるとか、あるいは大規模な開墾事業というものは、なかなか民間ではやれないわけです。こういう機関がございますれば、これでやってもらうことが一番適当なわけです。ことに最近におきましては、圃場整備事業というものが飛躍的に伸びておりますから、これ等においてもバケットドーザというような新しい機械を使ってやる新工法も大いに考えていかなければならない。そういう仕事についても、機械公団にお願いする。そうしてそれにいろいろな御無理があるから、政府が出資をしたり、経費を節減するための基金を機械公団に預ける、そういう措置をとりまして、三十七年以来、八年は黒、九年は目下のところ期中でプラス・マイナスとんとんにいく見通しでございます。  そういう意味で、国が仕事を与えなければやれないのではないかという御質問でございますが、私どもといたしましては、いろいろな仕事のうちで、民間にはなかなかやれない仕事で、かつ、大きな機械を使ってやることが適当な仕事を機械公団がやることを任務と心得ていただいて、そういう仕事を機械公団にお願いをし、かつ、機械公団は割りが合わぬ仕事でありますから、政府の出資を三十七年以来毎年やっているわけです。それをもって経費を安くして赤字を生じないようにする、そういうふうに機械公団を位置づけているわけであります。政府の仕事がなければやれないかといえば、まさしくそのとおりでございます。ただ、機械公団を生かすために、政府の仕事を与えているわけではありません。仕事の性質上、機械公団に適するものは機械公団にお願いする、こういう立場でやっておる次第でございます。
  41. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 三十七年当時の答弁といまの局長答弁とはたいへん違うのですが、そういう方向考えておられると、私は根本的にここで議論を蒸し返さなくてはならないということになるわけです。公団が公共性と企業性と二面の性格がある。だからたいへんむずかしいであろうということは、そのとおりなんです。むずかしいから、国が十分指導をしなくちゃならない。したがって、私は、その当時も、国の行政指導の方針と公団の実施計画の間にズレがあるのではなかろうか、そのズレがあるという原因は何か、これはやはり制度的なそういう裏づけがないからだ、法的な裏づけがないからだという指摘をしたわけなんです。さっき、業務計画が農林大臣の認可事項になっておるから、そこで指導する——それは指導じゃありませんよ。先ほど局長説明されましたけれども、それは指導にはなりませんよ。いまの局長の御答弁からいきますと、ある仕事を与えて、そしてそれにふさわしい人的、物的な構成をやっていくというのが普通の公団のあり方だと思うのです。ところが、農地開発機械公団に関しては、いまある施設をどのように収支とんとんにいくようにやるかということが第一義的になっているわけですね。それで、仕事の内容その他は第二義的になっている。ほんとうの目的のためにそれが生かされておるかどうかということは、第二義的になっている、そういう内容ですね。そこで、私はお伺いをしたいのですが、そういう経営資金をどうするか、どのようにめんどう見るかということも大事でしょう。それから新しい機械を買わせるということも大事でしょうが、問題は、公団がかかえておる機械をどう稼働させるかが問題なんです。したがって、事業量の確保ということが、むしろ農林省のめんどうを見る中心点でなくてはならない、私はそういう点を申し上げておるのです。だから、何としても事業量の確保についての国の責任と申しますか、そういうものを私は問題にしておるわけです。その点については、三十七年のときには、こういう御答弁を農林当局はしておられるわけです。たとえば国営のものはもちろんのこと、県あるいは市町村営の開拓事業もできるだけ公団にやらせるようにする、そういうふうに行政指導をする。行政指導ということで片づけられますけれども、それは制度的な裏づけがないから不安定ではないかということをずいぶん言ったのですけれども、いや行政指導でやるんだとおっしゃいました。そこで私は、そのとおりにはたして行政指導がやられたかどうか、その点についてお伺いをしたいのですが、芳賀委員からの資料要求として出されたものの中に、二ページの四項、「農林省公団活用について」、これで見ますと、国が国営のもののうち公団に仕事をやっておられるのは、せいぜい一五%、あとの八五%というのは、公団みずからがいろいろ走り回って仕事を取ってきたというのですね。結局国がめんどう見ておるのは、仕事量の一五%、そういう数字だと思いますが、どうでしょうか。
  42. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 たいへんむずかしいことを御指摘になっておるわけでございますが、前にも申しましたとおり、ある仕事をやるための公団でございますれば、その仕事を完結するための任務がある。機械公団は高能率の機械を保有して、これを活用することを任務とする。そこで一方、その農業土木事業は、申請によりまして、それぞれの地区事業が行なわれるわけでございます。それらの地区は、国の事業といえども申請によって行なっておるわけでございます。そこで、それらの事業に対しまして、国がこの機械公団機械を施工者として使わせる、随意契約で使うという問題につきましては、機械公団の仕事に適した仕事であることが、設立の目的からいいましてどうしても必要なわけです。それからもう一つ、そういう性格の仕事は県にもございます。この資料といたしましては、国が随意契約でやった数字を計上いたしておりますが、県がやる県営事業に対しましても、私どもが間に入って口もききまして、この性格に合うものは、機械公団にやらせるように行政指導をしておる。これは行政指導以上には越せない問題なんです。それからさらに小さいものになってまいりますと、今度は大型な機械をあちらこちらに移動して固着させるということに相なりますと、事業量を与えることが、逆にコストの面で赤字の原因になるのです。相当規模そこに定着いたしまして、まとまった仕事をやれるということが、赤黒の観点から申しますと、非常に大事なことなのです。そこで、赤黒の観点も加味して−機械の性格上、セメント工事をやる公団ではございませんで、農地を中心とする機械公団でございますので、そういう立場から適当と考える仕事を国は随契でやっていく。それから同様の性格の事業は県にもございますから、これは県に対してあっせん指導する。これ以上法律的に強制するということは適当でないと私どもは信じます。それからあまり小さいものは、今度は公団の立場でやってくれたけれども公団が損得の面では赤を生ずる、そういう事情がございまして、いろいろの角度から検討いたしまして、事業量の面ではこれに適する事業量を確保する、それから経営の面では安い金を与える、それからバランスの面から申しますれば、利子でかせげるような措置を講ずる、この三者のかみ合わせによりまして公団を活用しておるわけでございます。その結果、先ほど来くどく申しておりますが、三十六年までは御指摘のとおり毎年八百万円近い純損を出しておりますが、三十七年以来はこの損をなくし得るように相なっておるわけでございます。事業量の確保ということも、以上申しました立場から十分慎重に打ち合わせをしまして、そして打ち合わせの結果のものが事業実施計画として形式上出てまいる、その前には非常な事前的な打ち合わせがあるわけでございます。ただ、それではめんどくさいから、法律的に、自分で仕事をやらねばならぬ相手方は、ここへやらさねばならない、こういうふうに法制化しろという御意見もあるのでございます。   〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕 これは私は相当問題になることである、かように存じておるわけでございます。
  43. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いろいろくどく言われたのですが、そうすると、いまのお話でいきますと、一五%くらいしか国がめんどうを見てやらないということは、公団と話し合いの上こうなったのだとおっしゃいますか。
  44. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 三十七年以来、三十九年も四十年も、事業計画量の確保については、公団地区別に打ち合わせをいたしまして、ここはひとつ公団でやってもらいましょう、やりましょう、あるいはやらせてもらいたい、やらせましょうということで、国営事業についてはやっておるわけです。県営事業については、県が事業主体でございますから、公団を使わなければならぬと強権的に、法制的に強制するわけにはまいりませんで、あくまであっせん、依頼を通じまして、農政局、県庁、それらを通じてその仕事をやる。公団事業量は最近におきましては、お配りした資料にもございますが、三十四、五年の七億程度から、三十九年の計画では二十五億まで伸びておるわけです。
  45. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうもよくわからないのですが、そうしますと、農林省で扱っていらっしゃる事業の全部について、公団と打ち合わせの結果、結論として、その全事業量の一五%しか公団向きでない、それ以上やるとたとえば公団の赤字がふえる、公団とそういう連絡の上、一五%になったわけですか。
  46. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 この資料にもございますが、一五%が三十九年では一八%に相なっております。一八%にするために四億の事業をきめたというわけではございません。農地局のやっております事業の中には、水路をつくるかん排事業その他いろいろございます。かん排事業その他は機械公団事業には適しないわけであります。そこで、機械公団に適する事業というのは、発足のときが御承知のとおり上北、根釧の開墾に始まります。それに要する高能率の機械整備してずっとまいっております。したがって、農林省のやる事業のうちで、開墾の事業のうちで、国営のうちで、地区別に見て、あまり小さいのは機械公団としても迷惑なのです。相当規模がまとまって、何年間かそこに機械を置いておけば、機械をあちこち動かさぬでもいい、そういう適当な仕事のものを機械公団と御相談してきめておるわけであります。そういう性格の仕事は県営にもございます。県営でも、それやれ、これやれと言っても、機械ばかり移動させていたのでは、大きな機械でございますからコストがかかってしようがない。そういうコストの面や収益の面も加味して、事業個所を個々に御相談してきめた数字が四億でございます。全機械公団が受託事業でやっておるものが二十二億でございます。これとの差の中には、県営の開墾事業等が中心になり、さらに最近の問題としましては、県営圃場整備事業というようなものは、明らかに機械を使ってやることを考えまして、機械公団でも、まとまったときはそれを使ったらどうか、そういうような立場で県にも依頼したりしておるわけであります。いずれにしろ、一八%とか一五%にするというものではございませんので、地区別に、機械公団機械の性格、コスト、そういう立場から見まして、御相談をして場所をきめておるわけであります。
  47. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 簡単にはっきり言ってもらえばいいのですがね。  それでは大臣にお伺いしますが、結局いまやりとりの中で、御承知のとおり、結果的には一五%しか国が仕事をやっていない。これが国の行政指導の結果なんですね。あとは公団にまかせっぱなし、こうなりますね。そういう状態で国の責任が果たされておるとお考えでしょうか。
  48. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 国の責任というよりも、公団の機能を発揮させる点においての行政指導として、十分やっているわけであります。もっとやるところがあればもっとやらせる。これはもうその計画等に従って、仕事のあんばいといいますか、これはやっていってしかるべきものだと思いますので、いままでは一五%程度であったのでございますけれども、これはもっと上げてもいいし、あるいはもっと公団自体が委託を受けてやる目的にかなった仕事が相当あれば、その率は減ることもあると思います。ふやすこともあると思います。これで責任が果たせたか果たせないかということにはならぬじゃないかと私は思います。
  49. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 臨調からの公団に対する答申がありますけれども、この中に「公団経営はきわめて不安定で、三十七年度以降の政府出資をもってしても三十九年以降運転資金に多額の不足を生ずることが予想される。」非常に経営が不安定であるという見通しを立てておられる。これは「当該公団の収益力を抜本的に改善するのでなければ問題の根本的解決は望みえない」したがって、以下「国営の開拓パイロット事業のうち公団保有機械によって施行することのできる開墾作業、酸性土壌改良事業は原則として公団に施行せしめることとするほか、」云々とずっと書いてある。「北海道総合開発計画による牧野の造成および八郎潟耕地整備事業についても公団で施行可能なものは極力当該公団に受託し、これらの施策によって農地開発の実施業務に関しては、農地局に代替しうるほどの当該公団の能力と規模を早期に確立する必要がある。そのためには、現行の国営農地開発事業公団への解放を全面的に検討しなければならない。」この臨調の答申に対してどのようにお考えですか。
  50. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 臨調の御指摘のうち、前段の経営の不安定の問題は、私も真剣に考えまして、何が経営を安定させる根源であるかという立場で、ずいぶん研究をいたしました。経営の安定の問題は、やはり出資金を持つということ、かつ、その出資金の中で、経営安定に使える資金を持つということが一つと、それから機械も安い機械を持つということ。当初の赤字の時代におきましては、公団は高いという議論がございまして問題になったわけでございますから、無利子の金をたたき込むことによって利子コストを軽減することによりまして、安くて、したがって、相手方も喜んで使ってもらえる、そういうふうに考える必要があるということで、出資の問題においても非常に努力を数年続けておるわけであります。それから機械の更新の問題につきましても、ことし初めて資金運用部から三億、この一部はきょう御審議願っている牧場関係の一部を含みますが、資金を導入する道を開きまして、これも新しい任務に即応した機械に昔からの機械を転換していくということも考える必要がある。そういう立場で、経営の安定につきましては考えますと同時に、国営のパイロット事業とか大規模な圃場整備事業とか、そういうものは極力公団にやらせるように指導もいたしております。そういう形で事業量を確保して安定をはかる。この路線はここ三年間はうまくいっておると私は思っております。その路線を進めることによって、御指摘のような不安定な結果にならないようにいたしたいと、かように思っております。  ただ、最後の指摘の問題、いまおっしゃいました、実施事業を農地局に代替するように解放しろという趣旨の問題がございますが、これは実は本質的に違う問題なのでございます。と申しますのは、国営事業は、どういう事業をどうやって、どこにどういうものをつくるかということの調査と企画と設計は国がやっておるわけでございます。そういう仕事は水公団も同様にやっておるわけでございます。愛知用水公団もやっておるわけでございます。そうしてできました設計書に従って工事をやるのが機械公団の任務なのでございます。専門用語を使いますと受託公団。設計書を出してだれかにやらせる公団ではないのです。設計書に従って現実にブルドーザーを動かす、現実にオペレーターを使うという公団です。したがって、そういうブルドーザーを動かしたりオペレーターを動かしたりする仕事を、別のいわゆる企画して設計をするだけの公団に返れということでございますれば、これは機械公団を廃止して新しい公団をつくれという御主張であるわけです。したがって、後段のこの問題については、本質的に見解を異にしておりまして、これは機械公団廃止論と私たちは理解しております。
  51. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま経営の不安定の原因について、局長のお答えを述べられたわけです。そこで問題は、ここにも指摘されておりますとおり、「年間を通じて機械類全体の稼動を高めるのでなければ当該公団の粗利益率の向上は望みえない」という指摘、それはそのままだと思うのです。ただ、そのためには、たとえば公団に請け負わせると高いという問題もあるから、安くできるように、そういう手配をしたいということもよくわかります。そこで、いずれにしましても、公団活用の現状は一五%と結果的には示されているわけです。理由はいろいろありますけれども、そうです。結果的にはそうでしょう。
  52. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 私のお願いとしては、結果的に収支をごらん願いたいのであります。結果的には赤でないように事業量の確保——国の事業だけが公団事業ではございません。むしろ、県営の事業その他を通じまして、全体として事業量を確保するということが大事ではないかということで、ここ三年私どもはやってまいったつもりでおります。その結論は収支にあらわれておるのではないでしょうか、かように存ずる次第であります。
  53. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私がいまお伺いしているのは、国がどう活用しているかという観点からお伺いしているのであって、収支がどうかということを聞いているのじゃないですよ。それはまた別に議論しますよ。いまお伺いしている観点と申しますか、その点をはっきりしたいと思うのです。国の活用の点については、結果的には一五%しかないじゃないか。いろいろ理由はあっても、一五%しかないじゃないかということを言っているのです。いかがですか。
  54. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 お答えいたします。  実はいま詳しく申し上げればいいのですが、同じ開拓事業でございましても、国営の開拓事業の分量というのは、県営に比べまして相対的に非常に少ないわけでございます。したがって、事業量を確保するという立場から見ますと、国の事業を直接随意契約でやるよりも、もっとより多い範囲におきまして県営事業公団が受け持つということが、事業量確保の目的に沿うことにもなるわけであります。したがって、これはまさに国が随意契約で公団と契約した量を書いてございます。指導行政の問題といたしましては、県営事業で行なわれるように努力しております。その点は御了解をお願いいたしたいところでございます。しかし、国営で国の直接に委託したものが公団の全受託事業のうちの一八%じゃないかといえば、数字で示しているとおり、まさしくそのとおりでございます。
  55. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、県市町村営についてはまた別にお尋ねいたしますが、少なくとも国営については、三十九年度は一八%になっておりますが、このパーセンテージがずっと向上する見込みがあるのですか。いままでの局長お話を聞いていますと、向上する余地はもうない、一定の限界があるような結論になるでしょう。いまの御説明だと、公団といろいろ相談してやっているけれども、結果はこういうことになるのだということですから……。
  56. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 公団事業に適しますところの事業としての国営開墾事業、これは今後もその事業量としては伸びていく。それから県営。パイロット事業も、事業量としては伸びていくと存じます。そして伸びていった個所で、公団事業に適するものが比例してふえていけば、これはさらにふえていくわけでございます。問題は、それに見合う事業がどうなるか。国営の開墾事業、あるいは県営の開墾事業、あるいは圃場事業、いわゆる土地改良のうちの農用地造成事業が将来にわたってどのように伸びていくかということが、その中で公団がやるシェアを左右する問題でございます。したがって、公団の角度からものを見ても、これだけでは判断できないように思います。国の全体の農用地造成事業の伸びから見まして、公団がやる部面がふえていく。私は、一般論としては、草地造成事業も力を入れております。それから国営開墾といいますか、農用地造成事業にも農林省は毎年力を入れております。ことしは約二二〇%増しになっております。そういう立場から判断いたしますれば、これで頭打ちとは考えておりません。
  57. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは確認をしてもらいたいのですが、では三十九年度までの国営事業では、一五%ないし一八%しか公団にやらせることができない、公団の能力からいって、あるいは性格からいって。それで公団と十分話し合いの結果、こういうことになったということですか。
  58. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 これはたとえば国営事業の一八%を機械公団にやらせたというふうな率ではないのでありまして、公団が全部受託事業としてやった二十二億に対しまして、国が委託したと考えられるものが四億という意味の比率でございます。したがいまして、この四億のほうは、国のパイロット事業がふえますれば、四が五になり、六になり、と同時に、公団の全事業二十五億が三十億、六十億にふえてまいりますれば、その率は変化いたすわけであります。国の事業の一八%しか公団でやらなかったという意味ではございません。
  59. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの私の言い方は間違っております。そういう意味です。公団の全部の仕事のうち、国がめんどうを見たのは一五%ないし一八%、それでいままでの農林省の国営のうち精一ぱい公団に仕事をやらせたのでしょうが、いろいろ公団と話し合った結果、もうこれ以上やれなかったということなんですね。その辺を確認しておきたいのです。
  60. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 三十九年度の事業計画をつくります際に、もちろん、公団のほうでも現地に当たりまして、現地の意向も聞いてまいります。私のほうも私どものほうの立場で、公団にやらせていいんじゃないか、適当と考えるというような立場で判断する。そういう立場で話し合いをいたしまして、国営の部分の四億というのを計画上きめたわけです。その際に、全体の事業量が二十二億ですか、計画としてきめたわけです。実績は若干それぞれ上回っておる、かように考えております。
  61. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは資料要求をしたいのですが、三十九年度でよろしいのでございますが、一八%の内容ですね。それから現在市町村営の事業公団が受託をした金額と申しますか、%といいますか、それを各県別に、各市町村別にもしできましたら出してもらいたい。
  62. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 資料を提出いたすことにいたしますが、地方公共団体等で何地区幾ら、農協その他等で何地区幾らというのはすぐお出しできます。町村別という意味が、何地区というのが名前をあげろという御趣旨でございますれば、すぐ入れば入れますが、場合によりましては若干おくれるかもしれません。その点御了承願いたいと思います。
  63. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 けっこうでございます。できるだけ詳しくお示しいただきたいと思います。  そこで、政府の三十七年度以降の出資についてちょっと御説明いただきたいと思いますが、これはあとにして、大臣がおられますから、大臣にお伺いをしたいのですが、どうも大臣には積極性がないような印象をさっきから受けてしかたがないのですが、臨調の答申に対するお考えを、これは最高責任者ですから、大臣にお尋ねを重ねてしたいのです。要するに、公団を今後とも伸ばしていく、そのためには、局長からいろいろ御説明がありましたが、そういう考えも含めて、若干それは水資源公団あるいは愛知公団と性格は違いますけれども、どうしてそういう農林省の基本的な考え方を法的に公団に示すようになさらないのか。どこに欠陥があるのか。愛知公団あるいは水資源公団では、大臣が基本計画を指示するようになっておる。機械公団については、どうしてそういう指示ができないのか、大臣にお伺いをいたしたい。
  64. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 臨調の答申でございますが、内容が相当充実してきたということは、局長答弁のとおりでございます。  それから第二の点で、積極的に生かすということをしたらどうかということでございますが、国のほうは委託するほうでございます。でございますので、実施計画等ができて、どこでどういう事業をやるという場合に、受託機関である機械公団に受託させるということでございますので、機械公団そのものは、自分の委託を受けたこと、国からの受託あるいは自分で仕事を見つけてやること、そういうことで十分これは活用できておると考えますけれども、国が委託するということにつきましては、なお一そう適当と思うことは機械公団に委託する、機械公団のほうでは受託する、こういうことは進めていきたい、こう思います。
  65. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この基本計画公団に指示を法的にできないというのはなぜかと聞いているのです。愛知公団あるいは水資源公団では、それがあるではないか。この公団の場合は、ただ公団側から業務計画を出して、それを認可事項にし、認可の際にいろいろ指示をするというさっきの局長の御答弁でしたが、それは逆ではないかと私は言っているのです。大臣のほうから指示をして、そうしてその指示によって計画を出すというような形がいわゆるレギュラーではないか。まあ公団のほうお出しなさい、そうすると、それについていろいろ検討して見ましょうじゃ、国の指導は不安定ではないかということを言っているのです。だから、大臣が指示できないその理由は何かと聞いている。
  66. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 その点は、私から先に一言事務的な立場から申し上げますと、水資源開発促進法というのがございまして、水資源を開発するために、利根川に河口ぜきをつくる。これは国の基本方針として定めるわけで、その場合に、水資源公団では、国の示された基本方針、つまり、利根川なら利根川に河口ぜきをつくるという仕事の設計、それから具体的にどういうふうに取り進めるかという具体案をつくって、実施計画として出して承認を受けるわけで、愛知用水は、過ぎ去ったことでございますが、長野県にダムをつくって、それでためて、木曾川に水の余裕をつくって、一定の場所から頭首口をつくって、知多半島に流す、それをやりなさいと示して、愛知用水がそれをやるための具体的な水路の設計、取り入れ口の設計、ダムの設計をつくって、これを業者に請け負わしておるわけでございます。ところで、機械公団につきまして、そういう関係からこれを見直しますときに、機械公団は、いわばそこの例で申しますれば、水公団のつくろうとする河口ぜきの工事を受け持つ会社、あるいは愛知用水の水路をつくる何々組の立場と、法律性格的には同じことになるわけであります。したがって、機械公団一定事業を法律的にやれということをきめます前には、その事業そのものをどういうふうにやれということが、別の法律なり何なりできめることになるわけでございますが、幾らきめても機械公団とはかみ合わない、こういう結果に相なるわけであります。機械公団は優秀な機械を持って、そういう工事の施工を能率的にやり、施工公団として設立され、上北、根釧はどういうふうに開発するか国が方針をきめましたが、それをひとつ工事をやってくださいというふうに委託したわけでございます。したがって、そういうお話が前々からございますので、いろいろ研究をいたしてみたのですが、機械公団に上から、これをやれ、たとえば九州の開発をやれというふうに示すわけにはどうしてもまいらない、こういう関係になるわけでございます。
  67. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 開拓パイロット事業とか、草地改良事業とか、たとえば今度の八郎潟、そういう事業の中で、公団事業としてこれは適当であると思われるものを、あらかじめは政府は基本計画として、それを年度前に示すということがどうしてできないのですか。
  68. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 ですから、基本計画としてでなくて、たとえば国営事業として、地元の御要請によって、九州の彼杵なら彼杵の農地造成事業をやろうということが、土地改良法の手続によって確定する。それはあくまでも新しい事業計画として確定をいたす。その際に、その事業に即応して、現実に山を切り開き、道をつくる仕事は、本来ならば、事業主体である国の事業所が、一般に公開入札をして工事をやらせるのが筋でございます。ただ、機械公団がせっかく優秀な機械を持って、能率的にこれがやれる立場において、国は機械公団と随意契約で、その仕事を機械公団に委託をする。こういうことに相なるわけでございます。その場合に、それをことばを簡単にして、西彼杵における農地造成事業機械公団に指定してやらせるということを事前に相談して、私のほうの内部訓令として事業所に示せば、それで足りるわけでございます。その相談の上に、全体の機械公団事業計画が積み上げられて、承認されて動いていく、こういう形になればいいわけであります。国営事業に関します限りは、内部訓令で済むわけでございます。それを今度は国営事業以外の県営事業に強制しようということに相なりますと、これは根本的な問題でございますということを先ほど来申しているわけでございます。
  69. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、結局国が公団を活用する、あるいは生かしていくという責任は、法的にはないことになりますね。その辺はどういうふうに考えますか。ただ業務計画を認可事項にしておるという点だけで、それでこと足れりとされておるのか伺いたい。
  70. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 国の責任といたしましては、公団法一条にございますように、農用地の造成、改良事業に要する高能率の機械を導入して、これを貸し付け、効率的な運営を行なうことを目的としてつくったわけですから、その本務を果たせるようにする必要があるわけです。したがって、考えようによりましては、その本務を果たすために赤字を生じようとも、赤字は国で埋めておるわけでございます。しかし、赤字を埋めるということでは消極的であるから、赤字を発生しないように合理的にやって、高性能の機械の効率的な運用ができるように、コストを安くさせるために無利子の金を公団にたたき込むなり、あるいは基金を設けるなりして、経費を少しでも節約して、十分にその任務が果たせるようにしておるのは、その責任の立場からここ数カ年やっておるわけでございます。
  71. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまのような御説明であれば、どうして法的、制度的にそれを明確にできないのですか。どうも私はその辺がよくいまの御説明でもわからないのですね。それだけの責任を感じておられれば、それを具体的に裏づけする法的な根拠を与えていいんじゃないでしょうか。一条はあるけれども、あとは行政指導でしょう。そういうことでしょう。
  72. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 法的に明確にする、法的に規制するという意味が、くどいようでございますが、他の事業主体に対して、機械公団を使わなければならないというふうに法的に規制しろということでございますれば、これは問題であります。そうでない限り、国の事業でありまする限り、法に規制しなくても、当然内部訓令でできるわけでございます。その必要はないということであります。
  73. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 しかし、現実には、一八%以外の事業公団が自分でいろいろ努力してやっているんじゃないですか。その点は、私はその資料を見てみないとわからないけれども公団の全事業量のうら、一八%が国がめんどうを見ておる。あとの八二%については、公団が一生懸命独自の活動をやって、苦労して事業量を確保しておるのじゃないですか。それはあとで資料を見て再度質問しなくちゃならぬと思いますけれども……。
  74. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 私は、公団がいい機械を持って高能率で仕事ができれば、公団が苦労しなくても、人さまが頼んでくるはずだという根本的な考えを持っているわけでございます。でございますが、そこで、高いと、なかなか頼みもこないという問題があるから、エコノミカルに問題を進める必要がある。そこで、先ほど、一八%以外は公団が苦労して自分でやったのだろう——確かに御苦労してやっておられますが、くどいようでございますが、私どもも、県と、県営事業に対します公団の活用につきましては、行政指導であっせんを大いに行なっておるわけでございます。  それから立ちましたついででございますが、資本金の出資の内容は、第一回の本委員会の配付資料の一八ページに掲示をいたしております。
  75. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 県営等についてどれだけの指導をしておられるか、これは資料で拝見したいと思いますが、私は、いまの局長の御答弁では、やはり逃げておられるとしか考えられないわけですね。  そこで、私はさらに資料要求をしたいのですが、もしあったら御指摘をいただきたいと思う。年度別の決算の推移については、資料は出ておりますか。
  76. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 第一回に配付いたしました資料の一九ページに掲示しております。
  77. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 以上、私は根本問題についてお伺いをしたのですが、そうすると、たとえば今回提案をされておる共同利用模範牧場の問題ですが、こういうふうに事業を付与していくというような方向は、一応の今後公団に対する農林省考え方と承っていいのですか。こういう形の事業付与の方向……。
  78. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 私どもといたしましては、先般、八郎潟に関しましても附帯決議をいただいております。それから今回の審議も、機械公団事業付与という立場だけではございませんが、一つ事業が新しく開けることも間違いございません。それから国営の開墾事業の国の直接の契約、県の開墾事業に対する公団の推薦あるいは圃場整備事業における新機械利用という立場からの公団の推薦、こういう角度の行政努力は、今後は在来以上に続ける所存でございます。
  79. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは私のきょうの受け持ちの時間は過ぎましたので、また時間がありましたら、先ほど申し上げました資料について質問をしたいと思いますので、一応私の質問は保留をいたします。
  80. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長代理 林百郎君。
  81. 林百郎

    ○林委員 最初に、農地開発機械公団の長期借り入れ金の問題についてお尋ねしたいと思います。国際復興開発銀行からの借り入れ金があるわけでありますが、この借り入れにあたっては、公団との間にどのような取りきめがなされて借り入れがされたか、借り入れについての条件、それから政府の保証、そういうようなものは取りきめられているかどうか。そうしてさらに国際復興開発銀行から借り入れをするようになった事情、それをちょっとお尋ねしたい。
  82. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 お答えいたします。  昭和二十九年ごろと存じますが、朝鮮動乱後、日本の財政事情が非常に窮屈に相なりまして、土地改良事業の予算等が激減をいたしました時期がございました。その時期におきまして、外国の金を使っていろいろの事業をやったらどうかということが非常に問題になりまして、世銀等といろいろの交渉が行なわれまして、世銀から調査団が参り、そしていろいろのプロジェクトを調査いたしました。上北、根釧のあの泥炭地帯をひとつ開発したらどうかということで、上北、根釧にパイロットファームという開墾方式を導入いたしますにあたって、機械でそれを大々的にやったらどうかというお話がございました。そこで、上北、根釧の開発に対しまして、それを行なうために機械公団をつくるということに、むしろ先にきまりまして、そうしてその結果、これに要する大型の機械を世銀からの金で買い入れる、そういうふうにきまりましたのが、機械公団ができました経緯でありますと同時に、世銀の借り入れの発足の経緯でございます。  そこで、御質問の第二点の条件の問題でございますが、お手元に第一回の際に配布いたしました資料の二〇ページに記入添付いたしておきましたが、世銀の関係では金利は年五分、据え置き期間は三十四年の四月三十日まで、償還期限が四十六年の十一月一日までということが条件でございます。それから保証につきましては、政府保証がこの法律で規定されておったわけであります。
  83. 林百郎

    ○林委員 農地の造成——草地造成についても同じでありますが、そういう国の農業基盤整備の上で非常に重要な影響を及ぼすような事業について、最初の考えが、外国の資本、まあいわゆる世銀ですか、そういうものの借り入れが動機となってやるようになったということが、ちょっとわからないわけなんですが、本来、日本農業計画については、まず日本農林省計画を立てて、そうしてその資金をどうするかということから出発するならわかりますけれども、外国の資本でやったらどうかという話があって、それに基づいて農地開発機械公団をつくるようになった。その辺のことがわからないわけなんですが、それはどういう事情だったのでしょうか。もしあなたがなんでしたら、大臣に答えてもらってもいいわけなんです。ということは、このことが、あとからもう一つ原資についても、資金源についてもお聞きしたいのですけれども、この余剰農産物資金融通特別会計からも金が入っておりますので、こういうものは日本の金と違いますので、やはり日本農業経営について重要な影響を与えるように思いますので、聞いているわけです。
  84. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 もちろん、私どもも、日本の農用地の造成なり土地改良は、日本の財政力でやったほうが当然ベターだと考えますが、この根釧及び愛知用水の事業以後はやっておりません。ただ、先ほども申し上げたとおり、当時国の財政が非常に窮屈であったことも事実であります。一方、上北、根釧のあの泥炭地帯開発するということは、北海道等におきましても多年の願望でもございます。農林省としても、これをやれるならばやりたいという立場に当然立っておったわけでございます。何ぶんの大事業で、日本の国力で応じ得るやいなやという点も、いろいろ疑念のあった大事業でございます。そこで、世銀の大型機械を使いましてこれを開墾すればうまくやれるという調査がありまして、それで日本国として、これを世銀の金を使ってやるというふうにきめた次第でございます。
  85. 林百郎

    ○林委員 同じく余剰農産物資金融通特別会計からも金が入っておるわけですけれども、これは御承知のとおりに、余剰農産物資金の借り入れについては、将来アメリカの農産物の市場の拡大だとか、いろいろの条件がついてくるわけなんです。あなたのおっしゃるのは、借り入れ金の借り入れのコマーシャルの条件であって、そういうことのほかに、余剰農産物資金の借り入れについて、政府の間で何かこの資金について条件があったのかなかったのか、この点についてもあわせて聞きたいと思います。
  86. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 機械公団の借り入れ金を分析いたしますと、国際開発銀行からの分と、余剰農産物の分と、運用部資金の分と、そう相なっております。当初は世銀と農産物が中心になっておりまして、逐次それは返しつつあって、現在は運用部オンリーでいく、こういう仕組みに相なっております。  そこで、余剰農産物のほうは、たとえば世銀で、アメリカ本土での機械の購入は世銀の金を使う。それから余剰農産物の金でもってこれを運びまして、上北、根釧にその機械を配置する、そういうような使い方が行なわれたわけでございます。  御質問の、余剰農産物の資金の借り入れについてどういう話し合いがあったかという問題でございますが、これはそこにも書いてございますとおり、余剰農産物特別会計から借り入れております。したがって、余剰農産物交渉を機械公団なり農林省が特にやったというわけではございませんで、余剰農産物交渉によって日本国に借り入れられた金が特別会計として供給力になりまして、その特別会計からこちらは借りておる、こういう関係でございます。したがって、御質問の、その特別会計ができる一歩前段の問題としての余剰農産物交渉において、いかなる交渉があったかという問題につきましては、実は機械公団も、農林省も、その前の段階お話でございますので、よく存じません。ただし、それの際の金利とか条件が根拠になって、今度は特別会計から機械公団に出す条件に反映いたしておることは事実でございます。
  87. 林百郎

    ○林委員 余剰農産物資金を日本政府が使う場合のアメリカ側の条件というのは、私がここでいろいろ言うまでもなく、十分御承知で、これは非常に国際的な大きな問題なのです。それがあなたのおっしゃるように、日本の国の特別会計となっているから、特別会計から借り入れる、要するに、途中にクッションがあるのだから、アメリカの余剰農産物の資金を直接借り入れるときの条件とはおのずから異なるだろう、そこまでは言わないけれども、タッチしておらないということを言っておりますけれども、それはやはり余剰農産物資金が特別会計という日本政府の会計になっても、アメリカ側は、この資金の使い方について、日本政府条件を出しておるのですから、それは断ち切られることはないと私は思います。  そこで、私はここであなたと論争しておれば、非常に重要な問題に展開していきますので、念のためにお聞きしますが、公団がいままで持っておられる機械、これは政府資料の二十一ページにございますけれども、合計五百三十台とありますね。この機械は主としてどこで買い入れておるわけですか。
  88. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 機械は、当初は、先ほど申し上げましたように、外国機械は世銀で買いましたものでございます。その際に、国内機械も一部買いましたが、その機械が三十八年までに逐次更新をいたしておりますが、圧倒的に更新期に入りますのが本年からでございます。三十六年の状態について御参考に申しますと、世銀からの金で買った機械が二百三十八台、それから運用部からの金で買った機械が二十五台、こういう実勢を示しております。
  89. 林百郎

    ○林委員 更新の時期にきておるというのはわかりますけれども、私の聞いておるのは、この機械がどこ製の機械を買ったのかということを聞いておるわけなんです。そうしてもしこの機械が更新されて、新しく買い入れるとすれば、その機械はいまどこに注文しようとしておるのかということを聞いておるわけです。
  90. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 世銀で買いましたものは、当然アメリカ製でございます。
  91. 林百郎

    ○林委員 そうすると、さっき二百三十八台と二十五台と言っておりますね。この表には五百三十台とあるわけです。これとの関係はどうなんですか。
  92. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 お答えいたします。  二十一ページの資料は、ここに書いてありますとおり、三十九年三月三十一日現在で、公団が持っております機械の総台数、これは先ほど申しましたとおり、当初は世銀の機械中心でございます。当時まだ日本にこういう大きな機械がございませんから、世銀からアメリカの機械を買った。その後の状態といたしまして、国内の機械を逐次買っておるわけでございます。それらを全部合わせた三十九年三月三十一日の時点におきます機械は五百三十台、いまの先生の御質問は、五百三十台のうち、世銀の金で買った機械、要するに、アメリカで買った機械、これがまだ幾ら残っておるか、こういう御質問かと存ずるのでございますが、たいしてそう大きな更新をいたしておりません。数十台の話でございますから。結論的に申し上げますと、世銀の機械が二百三十八台、あとは国産の機械と御理解願ってけっこうでございます。
  93. 林百郎

    ○林委員 それは間違いありませんか。そうしますと、五百三十台のうち、二百三十八台がアメリカ、それからさっき二十五台と言ったのは運用部資金ですか。そうすると、これは国内ということになりますか。アメリカ製以外の機械はどこから買っているのですか。日本のどういう機械メーカーですか。ちょっと言ってみてください。
  94. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 国内産の機械をどこから買っておるかという御質問でございますが、これは後刻調べて資料で出させていただきたいと思います。
  95. 林百郎

    ○林委員 あなたの言うことはだいぶ問題があるようで、五百三十台のうちで、二百三十八台がアメリカで、あとは国内産、更新はされておる。それはそれで、資料がなければ時間の関係でいいですが、国内機械メーカーの中に日米の合弁の会社があるかどうか、これはあとでいいですから、それを資料として出してみてください。その中にアメリカ資本が入っているか。  それからこの公団事業として、肉用牛の導入だとか、搾乳用の牛を飼育するというようなことが含まれていますけれども、この牛を導入というのは、どこからどういうように導入するつもりなんですか。
  96. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 共同利用模範牧場に導入をいたします場合の肉用牛もしくは乳牛につきましては、国内産の牛をもって充てるつもりでございます。それの購入先は、相当の頭数に相なりますので、牧場所在の農業協同組合、あるいは主たる子牛の生産地の農業協同組合等の協力を得て、導入をはかりたいというふうに考えております。
  97. 林百郎

    ○林委員 そうすると、外国から、肉用の牛あるいはさっき言った乳をしぼる飼育用の牛、これを入れるようなことは絶対にないのですか。ないならないと言えるなら言っておいてください。
  98. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 農地開発機械公団の手を通して導入をいたします肉牛もしくは乳牛については、外国産のものを入れる考えは全くございません。
  99. 林百郎

    ○林委員 そうすると、将来ともこういう事業には政府としては導入しない、国内産の牛をもってこれに充てるということの保証はできるわけですか。かりに那須地区なら那須地区のとりあえずはそうだ、将来この公団がやる事業で導入する牛については、国内の牛をもってこれに充てる、こういう方針は動かないのですか。
  100. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 現在のところ、外国からの導入は考えておりません。
  101. 林百郎

    ○林委員 だから、目下のところでなく、将来はどうなんですか、言えるのですか、言えないのですか。
  102. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 私ども、現在の段階あるいは将来にわたりましても、外国からの肉牛なり乳牛の導入というのは、品種の改良のための導入は考えておりますが、経営上もしくは一般の増殖用のものとしては、これは民間が独自の考え方で入れる場合は別といたしまして、公的にそのような線で家畜資源の導入をはかろうというような考え方は持っておりません。
  103. 林百郎

    ○林委員 ちょっと大臣にお聞きしたいのですが、これは重要な将来の運営の問題ですが、先ほど私、局長質問しているように、最初の資金としては、世銀やあるいは余剰農産物資金融通特別会計から金が入る、機械もアメリカから入ってきて、漸次更新されている、そう言っていますけれども、更新されている国内の大型の農業用の機械をつくっている会社は、最近はまた日米合弁の会社がだいぶできております。今度は牛の導入はなるべくしないようにする、ただし、品種改良とかそういう場合は別だがと、こういう答弁があるわけですね。今度は飼料の点からいいましても、最近の飼料業界からいって、輸入飼料が圧倒的に支配してきている。こういう状態の中で、アメリカとのこういう関係において、日本酪農について、アメリカがいろいろの点で貿易の自由化にからんで圧迫を加えるような、そういう憂いは、大臣としてはどういうようにお考えになっていますか。あなたの責任ある回答をこの点について締めくくりとして聞いておきたい。  私たちは、最近の酪農あるいは食料加工品、乳製品等について、貿易の自由化に名をかりるアメリカの農産物、原料加工品、あるいはそれを持ってきて行なわれているコンビナートの実情、そういうことから考えて、これは非常に大きな日本農業の圧迫になっておりますので、やはりこの機械公団の問題についても、その点を私たちとしては非常に心配になりますので、大臣から責任ある回答を聞いておきたい、こう思うわけです。
  104. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 機械公団等におきまして、その採算という面からと申しますか、経営の面から、いろいろ考えられる点はあろうと思います。でありますから、アメリカから機械を買うということも、これはあり得ると思います。しかし、それが必ずしもアメリカの圧迫によってどうこうということではないと私は思います。また、圧迫というようなことであるとすれば、その圧迫を排除しなければならぬと思いますが、そうは考えません。  それから牛等を買う場合、これは日本で調達するという畜産局長の話のとおりでございます。種牛とかあるいは品種の改良、これはアメリカばかりではなく、あるいはフランスとかそのほかから買う場合もあろうとは思います。でございますが、いまお話しのように、経済的にいろいろ日本が波にあうといいますか、寄せられるような面は、これはいろいろな面であると思いますし、そういうことのないように国内の対策考えていかなければならないと思いますが、お話のように何か政治的な圧迫というようなことはあり得ないし、あるとするならば、そういうものは排除していかなければならぬ、こう私は考えます。
  105. 林百郎

    ○林委員 今度の改正の第二十四条の六項には、「債券の債権者及び公団に対して資金の貸付けをしている国際復興開発銀行は、公団の財産について他の債権者に先だって自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」こうありますね。この公団の財産とは何ですか。
  106. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 これはかりに公団が破産をするような場合の先取弁済権を規定した規定であります。したがって、財産とは何かといえば、すべての資産でございます。
  107. 林百郎

    ○林委員 そうすると、機械並びに造成された草地、そういうようなものも当然入るのですか。これはこの文から見ると、要するに、そういうものを万一の場合の保証として担保に入れさせる。そういうことになりますれば、経営のやり方、それから料金、売り渡し、そういうことについて、債権者として国際復興開発銀行、いわゆる世銀が、いろいろな発言権を持つということが考えられるのじゃないですか。私は何も政治的な立場からのみ言わなくても、この条項からいっても、金を貸して、その財産について優先弁済を受けるのだ、そうすると、担保もとるだろうし、あるいは金を貸し付けるときにはいろいろな条件があるでしょうから、今後の運営について、いろいろな発言権を持ってくるのじゃないですか。
  108. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 世銀につきましては、先ほど申しましたとおり、過去におきまして借りまして、逐次返しておりますが、まだ返済済みになっておらない。その限りにおきまして、たとえば破産等の場合の先取弁済の規定は、当時の契約をもととして規定されておるわけでございますが、その場合に、先取弁済のことでございますから、その土地にしろ機械にしろ、それを換価する場合もあり得るわけであります。これは、その土地なら土地というものが世銀に入るというふうには考えないで、それを換価して弁済に充てるという考え方考えられております。
  109. 林百郎

    ○林委員 そんな機械的なことはやめにしても、たとえば経理内容がおかしい、早くこれを手放せとか、手放す場合にはこういう価格でやれとか、あるいはそこに働いている者の賃金についてはこういうふうにしろというようなことを、債権者として言ってこないという保証がどこにありますか。だから、直接機械が世銀へ行かないにしても、土地を処分しろとか、幾らの金を返済しろとか、あるいはその事業経営の内容についてこうしろとか、そういうことを言ってこないという保証はないわけですね。
  110. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 契約をいたしておりまして、返済を契約条件どおりやっておるわけでございますので、そういうことは過去においてあったことはございませんし、今後も外国との契約でございますから、返済すべきものはきちんと返済して、御懸念のような事態は発生させない所存でございます。
  111. 林百郎

    ○林委員 それは形式的な答弁はそうですが、御承知のとおり、外資が入った場合のいろいろな経営についての干渉、そういう事例は枚挙にいとまがないわけなので、この開発公団だけがその例外だという保証は私はないと思います。  その点は、時間がありませんので、いずれまた詳しく聞くとして、大臣にちょっとお聞きしたいのですが、今度公団債券を発行するということになっておりますが、その公団債券を発行するに至った事情、そしてこれの見通し、これは買いオペレーションの対象として日銀に売り渡すというような事態も考えられるのですか、どうですか。
  112. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 事務的に先に一言御答弁いたします。  この債券発行規定を入れましたのは、前回愛知用水公団の際にも御説明いたしましたが、資金運用部資金法で、債券発行権を持つものに資金運用部から金を貸すという規定があります。そこで、債券発行権は前からも違った形であったわけでありますが、債券発行権を規定いたしまして、債券発行能力があるがゆえに資金運用部から金も貸せぬという整理をいたしたわけでございます。したがいまして、まず第一点としては、これを現在のところ発動する考えは持っておりません。資金運用部資金を使って本事業はやってまいる考え方でございます。
  113. 林百郎

    ○林委員 将来債券が発行された場合、その債券は日銀に対するオペレーションの対象として運用できるものであるかどうか、これは大臣にちょっと聞いておきたいと思います。いまのところは、具体化してないから、まだそれほど考えておらないというのですか。もし発行された場合は、普通の政府債のようにそういう機能を持つわけですか。
  114. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほど農地局長から御説明申し上げましたように、資金運用部から金を借りるということで、公債の発行権限を付与したということで、現実には公債発行はいたさないわけでございまして、これは御承知のとおりでございます。将来公債を発行するようになった場合に、それが日銀の買いオペの対象になるかどうかということは、その時点においてきめらるべきものだと思います。大体は買いオペの対象になると思いますが、そのときにきめられるべきものだと思います。
  115. 林百郎

    ○林委員 農地開発機械公団が都道府県に売り渡しをし、それから都道府県が市町村農協その他の経営者に払い下げをする、こういう場合の条件、あるいはその評価、その支払いについての諸条件、そういうものはどういうことになるのですか。
  116. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 公団がこの事業の完了をいたしますと、その事業に要する経費のうち、建設利息と家畜の導入費を除きます分については、政府から五割の補助をいたすことになっております。北海道の場合は五五%という補助がございます。したがいまして、補助残額について、都道府県に払い下げをする際のいわば都道府県負担分の償還の条件は、金利六分五厘で三年据え置き、十二年という条件でございます。その都道府県がさらに地元の業者に払い下げます場合の価格は、政府から都道府県に払い下げた価格以下で、地元に有利な条件で売り渡すということにいたしておりますが、現在私ども考えておりますのは、国営土地改良事業における負担の関係等も考慮いたしまして、原則的には、都道府県に売り渡しました価格の中の二分の一程度を都道府県が負担し、その残額は最終経営者の負担にするということで、その償還の条件については、都道府県とほぼ同様にいたしたいというふうに考えております。これは事業の実施の段階において規定をいたすべき問題でありますが、方針としては以上のように考えております。
  117. 林百郎

    ○林委員 時間がございませんので、いずれまたの機会に質問をさせてもらいたいのですが、こまかいことは聞く余地がありませんので、大臣一つお聞きいたしたいのであります。  御承知のとおり、農林省の従来の経営にかかる農場創設事業についても、経営の内容としては、そこの農場の独立採算としては全部赤字になっておるわけです。したがって、この公団草地造成をし、家畜を導入するこの事業全体は、公団と都道府県との関係では、これは公団のほうに赤字をしょい込むことはない。今度都道府県と最終的な経営者との間で、市町村の農協、農協連合会、農事組合法人等経営をした場合に、これが赤字にならないという保証はない。むしろ赤字になる可能性のほうが非常に心配になるわけです。そうすると、結局市町村農協、農協連合会としては、赤字になる経営は早くこれから脱却したい。そしてそれをどこかに適当な経営者があれば早く肩がわりをしたいということが考えられるわけですね。そういう場合に、これだけの規模経営を引き受ける経営者というのは、これは通常の二頭や三頭飼っている畜産農家ではやれないわけですね。そういうような、たとえば三百ヘクタールのものも、最終的には三十ヘクタールくらいに分けてやるにしても——これは分けるかどうかわからぬけれども、分けたとしても、三十町歩くらいの農場をそのまま引き受ける、これは個人の農家としてはあり得ないと思うのです。そうしますと、もしこれが市町村農協あるいは農協連合会がさらに下の最終的な経営者にこれを売り渡すということになりますと、どうしても乳業関係の独占メーカーに払い下げられるということが想像できると思うのですよ。そうしますと、これだけの国家資本を投下したものが、最後には独占メーカーの利潤の保障のためにこれを払い下げる、そして二頭、三頭の牛を飼っている畜産農家には潤いが与えられない、そういうことが見通しとして考えられませんか。要するに、それは経営がうまくいけばいいけれども農林省自体がいままでやっておりました農場経営でも、ここの資料に出ているものを見ましても、全部が赤字になっているわけですから、草地造成経営者としての市町村農協、農協連合会がこれを譲り受けて、経営が黒字にできるという保証はない。そうすると、ことに市町村などは、やはり市町村財政の関係から、さらにその下の経営者にこれを払い下げたい、売り渡したい。しかし、これの売り渡しを受ける者は、相当の資本力を持つ業者しかそれの売り渡しを受ける経済的な能力がないということになると、これはやはり乳製品関係のメーカーが直接やるか、あるいはそれのひものついた経営者が引き受けるということになりはしないか。そうすると、農地開発機械公団がこれだけの社会資本を投下したものの、究極的な受益者はそういう大メーカーのところに行きはしないだろうか。二頭、三頭の畜産農家は一体どういう利益を受けるのだろうか、そういう点について、これは大きな政策の問題ですから、大臣にお聞きしておきたいのですが、どうお考えになりますか。
  118. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 こういう牧場造成した目的に沿うように処分をしてもらわなければなりません。大体、市町村かあるいは農協等でこれを経営してもらうのが適当でありますから、それを売り渡すというような場合におきましても、その目的に違反しないようにやっていかなくちゃならぬと思います。そういう点に十分の指導をいたしたい、こう思います。
  119. 林百郎

    ○林委員 そう言っても、ではどういう行政指導をするのですか。市町村や農協がこの経営をたとえば譲り渡したいという場合に、大きな独占メーカーのところに行かないように、ほんとうに二、三頭の牛を飼っている畜産農家のところに行くようにする行政指導というのは、具体的にどうするのですか。——いや、大臣答えてください、政策の問題ですから。
  120. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 政策は、十分指導いたします。
  121. 林百郎

    ○林委員 だから、どういう指導を具体的にするのですか。
  122. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 具体的にはひとつこっちから……。
  123. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 私からお答えを申し上げますが、まず、この事業を進めますにあたりましては、当初綿密な調査計画のもとに進めるわけでございまして、その際、将来の経営主体となるべき地元の意向を十分反映した形をとってまいりたい。つまり、造成されたあとの牧場経営について、客観的に自信が持てるという条件を備えたものとして出発をしたい。これを造成後地元の経営者に売り渡しをいたします際には、相当期間、たとえば私ども考えでは、数年間は特別な能率指導をするような措置をいたしたい。現在のところ、完了後の予算の問題でございますので、まだ予算的に明確に申し上げるわけにまいりませんが、政府部内としては、この事業の挫折ということを避けなければならないわけでございますので、都道府県を通じて特別指導を加えていくようにいたしたい。  それから、これは必ずしも事業自身の失敗ということのほかにも、当初の目的と違った利用がやむを得ないという場合も起こってくるわけでありますが、その中には、事業当初の経営者が改良、譲渡をしたいという問題も起こってくると思われますので、公団との事業実施に関する契約の中で、もしある一定年限間に本来の目的外の使用をする、もしくは譲渡をするというような場合には、国庫の負担分を返還をするという契約をすることによって、いわゆる用途外使用という問題に対する国庫の投資の回収をはかるというふうに考えております。
  124. 林百郎

    ○林委員 これで終わりますが、大臣が答えることが条件ですから、大臣答えてください。  いま局長の答えているのは、たとえば那須温泉があって、草地造成ができて、それをゴルフ場にするのだ、そういうような場合のことなんで、これが市町村や農協がやってみたけれども、なかなか経営がむずかしい、その後の資本の投下も要るという場合に、大メーカーのところに、あるいは大メーカーのひものついたところに売り渡される、そしてそこでは、二頭、三頭牛を飼っている畜産農家よりは、安い牛乳ができるということになれば、結局この公団のつくる草地造成によって、大メーカーがその利益を受けることになり、二頭、三頭の零細畜産農家はそのためにかえって圧迫を受ける、あるいは自分の農業を放棄しなければならない、そういう事態が起きることが予想されるわけなんですよ。そういうことはないという保証がどこにあるか。ましてや、いまの畜産局長答弁では、一定の年限を過ぎてしまえば、これはどこへ売ってもいいということになるのですから、行政指導は別としても、ゴルフ場にならないとも限らぬ。これは極端な例ですが、その場合はいい。極端な場合は別にして、これは究極的には大メーカーの経営に資する、そうして二、三頭の零細な畜産農家はそのために圧迫を受けて、かえって自分の畜産農業を放棄しなければならないような事態にならぬか、責任ある答弁大臣に求めて、私はこれで質問を終わります。
  125. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは共同飼育牧場でありますので、農民が主たる構成員であるということが一つ条件であると思います。でございますので、こういう条件に違ったような払い下げをするという場合には、それは取り消す、こういう措置もとれるわけでございます。でありますので、目的に沿うたような行政指導をしていく、こういうふうに考えております。
  126. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長代理 次会は明七日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十八分散会