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松浦(定)
委員 関係省の御決意のほどがわかりましたので、これからひとつ
重点的に、先ほど申し上げました
農業移住の現状並びに今後の進め方等について、二、三お伺いをいたしたいと思うわけであります。
いま政務次官は、特に将来の
農業移住の発展のためには、たとえば北海道の冷害等によって相当の希望者があるのではないかという御配慮の御
説明がございました。むろん、これについては、そういう希望があるわけでありますが、しかし、私は、ただ冷害があったから、災害があったからということでなしに、やはり
海外移住というものの
目的を十分ひとつ、行く、なしにかかわらず、農民なり
関係者が常時これを知っておく必要がある。特に先ほど
お話のありましたように、市町村その他
関係のものといろいろ協議をしておるとか、あるいは連絡をしておるとか、検討しておるとかいう
お話でございますけれ
ども、私
ども承知しておる
範囲内では、そういうものはやってはおられるかもしれないけれ
ども、なかなか表面に何らあらわれていないのであります。ただそういう一片の通達が出ているということだけでは、私は先ほど申し上げましたように、これは
予算を消化する程度になってしまうという危険性もあるわけでありますから、こういう点はひとつ十分、これからの浸透のしかたについて御検討願いたいと思います。
たとえば
事業団は、
内外の人員を全部合わせますと四百七十五名くらいあるようであります。しかし、これだけのたくさんの人員を持っておって、そうしていまのように年に千人やあるいは千二百人
移住者がありましたからといって、どこへ行ってこれを
説明しても、それは納得するものじゃないと思うのです。それはいろいろ事情がございますから、これ以上そのについては申し上げませんけれ
ども、そういうことを
事業団にやらしておく
外務省の意向というものも、私は実はわからないわけであります。よく大蔵大臣はこんなところにそんなに
予算をつけたなとさえ疑われる面があるわけでありまして、これはいろいろ事情があろうと思いますが、
移住審議会の答申等の趣旨にも反しておると思うので、そういう点はこれから十分御検討を願うようにしていただきたいと思います。
そこで、
農業の
移住問題について、何が一番原因があるかといえば、これは何としても貿易の自由化であります。貿易の自由化によってこういうような結果を余儀なくされたといっても、私は過言ではないと思うのです。したがって、貿易の自由化によって受ける悪影響によって、
国内において自立しようとしてもできない状態に多くの農民が置かれておる。これは今度問題になりまする酪農
振興の
内容についてもそうであります。あるいは
農地管理事業団の
内容についてもそうであります。たとえば八郎潟の干拓を大いに金をかけてやりますけれ
ども、ここへ入って自立しようとする者がどういう結果になるかということについては、あまり
政府としても自信はなかろうと思うのです。これはやはり
昭和三十年にできました北海道のあの根釧パイロットの審議のときにも、私
ども申し上げたのです。一戸五百万もかけて、これが成功するかしないか、
政府当局は、世銀の金を借りてやるの、だからいいのだ、これをやらなければ世銀の金を使えないからというような極論まで出ておって、この結果が今日どうであるかということについては、十分皆さんも御
承知のとおりであります。そういうような形であるにかかわらず、自由化というものによって、これからの
農業がどうなるかということになりますと、私は、これはたいへんなことになるのではないかと思うのであります。たとえばそういう犠牲者が農民の中には多くあるわけであります。いまここでそれをとやかく申し上げるわけでありませんけれ
ども、そういう非常に困っておる
農家を一番早く救うのは何かといえば、やはり私は、
一つの方法として
海外移住であると思うわけであります。その
海外移住がいま
お話のようなことでありますと、農民は自信を持って行くという気にもならないし、あるいはまたやるにしても、そんな自身のないことで、その勧誘というか、募集はできないと思うわけであります。この際、ひとつ制度その他をだいぶ強化すると
お話しになりますから、もう少し実質的に根をおろした
海外移住ということをやっていただきたい。いま
政府が一番心配しておる、たとえば今度の
農地管理事業団でも、前向きではると言いながらも、離農する人の対策というものは何もない。先般の本
会議の質問におきましても、初めて聞いた議員の人でも、これではいかぬとさえ感じておられるのでないかと私は思うわけであります。たとえばそういう
海外移住に行こうという人に対しては、こういう道が開けておるのだということをここで十分
説明ができる勇気があってもいいんじゃないか。あるいは一例として申し上げますならば、北海道の冷害で昨年は非常に困っておる。今年もまた冷害だと言っておるのです。先般の治山治水の一部
改正のときに、気象庁の係官が来て、今年も冷害ですとはっきり言っておる。国会の中で冷害だと育ったら、
政府はすみやかにその対策をしなければならぬと私は思うのです。しかし、
政府のほうでは、またよもやそんなことにはならぬだろう、なったらなったときだというふうに考えておられたら、私はたいへんだと思うわけでありまして、現にあるわけであります。特に北海道におきましては、これは全国的にそうでありますけれ
ども、開拓者の実情というもは、まことに見るに忍びない。与野党ともにだれもがこの問題の対策については十分検討されておるわけであります。先般私のところに、これは道議会も議決をして、知事がこの採択をしてきた
内容でありますが、北海道では二万三千戸の開拓者があるけれ
ども、その中で離農を希望する者が約六千戸ある。その六千戸のうちの大半がやはり
海外移住をやりたい。せっかく二十何年間体験をした
農業を捨てたくない。
農業を捨てて都市へ行っても、われわれとしては非常に
生活が不安だ、できれば
海外へ行きたいということを、今度道議会を通じて、知事がそれを責任を持って中央に反映せしめようとしておる実情があるわけであります。たとえば
事業団にしても、北海道には六名の
事務員を持っておりますから、そういうことはおわかりになっておると思います。あるいは知事だって、そのことについては、冷害の中で、口では言っているか言っていないかわかりませんけれ
ども、私は、わかるはずだと思いますが、こういうのがあるにかかわらず、そういう対策を取り上げようとしない。離農対策ということをやると、前に池田さんが言っておりました六割削減ということで、首切りに通ずるといったような指摘をされるのでないかという、ただことばの上だけでおびえて、
政府当局、あるいは北海道にいたしましても道知事は、そういう点について前向きの論議を進めない。来年なら、あるいはその次の年ならこいうことでは、非常に困るわけであります。こういう点について、たとえば北海道の実情、これは東北にもありますし、全国各地にありますが、とりあえず何千戸という集団的な離農を希望している者に対して、いまのところでは、
政府にはその対策がない。それは確かに離農対策という
意味で助成成金を出すという制度もございます。しかし、その程度ではどうにもならない現状でありますから、この際、先ほど政務次官も
お話しになりましたように、何とか
海外移住の制度の中で、そういうものを生かしてやるという御決意があるかどうか、政務次官からお答えを願いたいと思います。