○森(義)
委員 その
資料、あとでちょっと調べておいてください。実は大橋労働
大臣は
昭和三十五年の山村の稼働労働力は五十六万人であった、ところが、その後三年の間に三十八万に減ったということを言っておられるわけです。私、本
会議場における労働
大臣の答弁でございましたので、どうも数字が
あまり大き過ぎるので、
大臣にひな壇の下で聞いたわけです。大体そういう答弁をしておりました。それほど急速に労働力が、どういう統計
資料かわかりませんが、もし山村から流出するとするならば、私はいま
大臣が答弁されましたような機械化だとか、
生活環境をよくするとか、そういうことだけでは、とうてい日本の
森林資源の
開発も現有の
森林労働舌の確保もできないと思うのです。これは経済的機能を発揮するなんてもってのほかだと思うわけです。だから、その
状況をもう少し
資料として出してほしいと思うのです。
そこで、実態を実は私申し上げたいわけでございますが、私は、奈良県で
昭和二十一年に山林の
民有林労働者を組織いたしました。出時、半農半山と申しましょうか、炭焼きの労働者を含んで一万二千人の組織をつくったわけです。ところが、労働運動が非常に活発化していく中で、こういう日雇い労働者的な
性格を持っておる労働者は、なかなか組織的に他の労働組合と提携して進めていくというのはたいへん困難な事態が起きて、その後、山林の専業労働者だけが、まあほかに兼業を持っていない――若干それは畑地を奥さんがイモか麦をちょっとつくっておるというのは別といたしまして、とにかく兼業を持っていない純粋な
林業専業労働者だけが約二千名組織して、いま残っておるわけです。そこで、いつも問題になりますのは、要するに、行年労働者が全然住みつかない、従業員の平均年齢が一年一年ふえていくだけです。いま奈良県では四十四歳ですね。ぼくが組織しましたときは、平均年齢は三十ちょっとだったのですが、このごろはずんずん一年ごとに平均年齢がふえていく。それは若い人が
一つも入らない、お互い一年一年年をとっていきますから、そのままで推移していく。これは十津川の村に高等学校が
一つあるわけですが、去年、そこの高等学校の卒業生を十津川村役場にぜひ採用したいというので、村長が一軒一軒戸別訪問して頼んで歩いたところが、やっと女の子一人だけ役場の職員として就職してくれた。それ以外は全部おらなくなった。ああいう吉野の一番奥地に高等学校があるのですが、そこの卒業生が全部出てしまう。こういう人たちに私は実は直接会って話を聞いてみたわけです。こういうことを言うのです。私たちはなるほどこういう山村に生まれた、したがって、親に世話になっている間はやはりここから離れることはできない、ところが、自分で労働し、自分で
生活の基盤ができれば、とうていこういうところにおれない、その最大の原因は何か、
考えてごらんなさい、これほど教育が高度化されていく中で、われわれは単級の学校教育を受けている、一年生から六年生まで一人の先生の学校です、あるいは複式の学校教育を受けている、自分の子供がまたこんな教育を受けなければならないかと思うと、これはもうとうていしんぼうし切れない、こういうことを言うわけなんです。これはたいへんな問題だ。
大臣、先ほどおっしゃったように、重労働で、かなり労働
災害の高い産業なんですが、これはいま建築
関係の
災害が一番大きいのですが、化学
関係の
災害もふえてきましたけれ
ども、従来は山林の労働
災害が統計的には一番多かったわけです。今日もなお上位を占めておるわけですが、そういう
林業災害による労働
災害に対する不安とか、そういう問題よりも、自分たちの将来というものを
見通した場合に、こういうところでは住めない、こういうことを実は言うわけです、私は、実は十津川の村長と話をして、どうしたらいいだろう。
一つの方法としては、結局電源
開発で村もかなりの補償金が入っているのだから、いわゆるスクールバスを買って学校を統合したらどうだろう。そのためにはまず
林道が必要だ、
林道がなければ自動車は走りません。だからいまの
林道をそういう面においてもずいぶん活用できると思うから、
林道のあるところは学校を統合して、スクールバスを走らせて統合教育をやる。そうすれば十名や二十名で先生一人という学校がなくなって、少なくとも一クラス一人の担任の教師が置ける、こういう環境ができるのじゃないか、こういうことを実は話し合ったわけなんですが、これは一面でございますけれ
ども、非常に真剣な問題なんです。
それから、これからの
林業労働力の確保という問題については、確かに今日まで通俗的にいわれますように、日雇い労働者で身分の保障がない。あるいは年老いて働けなくなれば、老後の保障というものが全然ない。あるいは重労働で早く年いくとか、あるいは文化その他から隔絶されておるということで、最近のレジャーブームから
考えて、そういうところに青年は住みつくことを好まない。いろいろなことが通俗的にいわれます。しかし、私は、そういう教育の問題が解決されるということも、青年労働者が残る、将来に希望を持てる
一つの大きな
条件じゃないか、こういうことを
考えるわけです。したがって、こういう問題について、ひとつきめのこまかい施策をぜひ――山村振興は今度
法律案が出されるようです。出されるのか、議員立法で出すのか知りませんが、とにかくきめのこまかい施策を施していかないと、いかに貴重な金を使って
生産基盤の
整備拡充を行なっても、私は日本の
林業の将来性というものに対して非常に暗い気持ちを持つわけです。そういう面で、ぜひ
大臣に、そういう点も十分総合的な、きめのこまかい施策というものについてお
考え願いたいと思うのです。これは、そのことだけを
お話ししておりましても、実はきょう一日御質問しておりましても時間がないほど、医療の問題から、文化施設の問題、教育の問題はもちろんですが、たくさんあるわけなんです。そういう問題についても、ひとつ
林業の経済的機能を発揮さすために最も有効な労働力の確保という問題について、ぜひ
林野庁として、
農林大臣として、きめのこまかい施策をお願いしておくわけであります。
そこで
大臣、その点について、先ほど重労働が山林労働者の流出する
一つの原因、機械化もそのための
一つの方向だというお
考え方もございましたが、
大臣もたくさんお
考えになっておると思うのですが、特に施策の中で、こういうことにひとつ山林労働力確保のために私は今後は
考えていきたいというふうなお
考え方があるならば、この機会にぜひお聞かせおき願いたいと思います。