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1965-02-18 第48回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十八日(木曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君    理事 長谷川四郎君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 東海林 稔君    理事 芳賀  貢君       池田 清志君    亀岡 高夫君       吉川 久衛君    倉成  正君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       田口長治郎君    高見 三郎君       中川 一郎君    丹羽 兵助君       藤田 義光君    細田 吉藏君       松田 鐵藏君    亘  四郎君       兒玉 末男君    松浦 定義君       森  義視君    山田 長司君       湯山  勇君    小平  忠君       中村 時雄君    林  百郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         林野庁長官   田中 重五君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   長岡  実君         自治事務官         (財政局指導課         長)      林  忠雄君        専  門  員 松任谷健太郎君     ――――――――――――― 二月十八日  委員八田貞義君辞任につき、その補欠として金  子岩三君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第五三号)      ――――◇―――――
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  内閣提出森林開発公団法の一部を改正する法律案議題といたし、審議を進めます。  この際、本案の補足説明を聴取いたします。
  3. 田中重五

    田中(重)政府委員 森林開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、補足説明を申し上げます。  まず、第八条の改正規定でありますが、従来監事については、公団業務を監査すると規定しているのみでありますので、今回の改正を機会に、監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長または農林大臣意見提出することができることといたしました。  次に、第十八条第一項の改正規定は、森林開発公団業務範囲に関するものであります。さき提出理由説明でも申し上げましたとおり、年々増大する木材需要に対処して未開発森林資源開発利用を積極的に促進するため、特定の低開発森林地域林道網枢要部分となるべき林道開設または改良事業を急速かつ計画的に推進することとし、この事業施行森林開発公団業務に加えることといたしたわけであります。その林道施行上の要件として、その受益範囲が著しく広いこととあわせて、地域産業振興見地からみても適当と考えられることの二つをあげ、従来行なっています補助林道あるいは熊野剣山周辺地域における公団林道との相違点を明らかにしたのであります。  なお、森林開発公団が、この事業施行するにあたりましては、特に高率の国庫補助資金運用部資金借り入れにより事業を急速かつ計画的に完成して開発効果を高めるとともに、開設改良のうちの地元負担金の徴収につきましては、延べ払い方式を採用して森林所有者負担の軽減をはかることとしております。このため昭和四十年度予算補助金四億円を計上するとともに、財政投融資計画中に資金運用部特別会計からの借り入れ金二億円を計上しております。  この改正に伴い、第十八条の関連規定改正し、森林開発公団にこの新公団林道にかかる災害復旧維持管理等についての事業能力を与えることとしております。  第十九条は、同公団の作成する実施計画についての規定、第二十五条は森林所有者等から徴収する賦課金についての規定、第二十七条は県の費用負担についての規定、第三十六条は国庫補助金についての規定でありますが、それぞれ同公団に新たな業務を追加することに伴い所要の規定整備を行なうことといたしております。  最後に、附則について申し上げます。この改正法施行時期につきましては、準備期間等も考慮いたしまして、公布の日から九十日をこえない範囲内で政令で定めることとしております。  次に、地方財政再建促進特別措置法第二十四条第二項の改正規定についてであります。同項の規定は、地方財政健全化をはかるため、地方公共団体が国、公社、公団等に対して寄付金、法令の規定に基づかない負掛金その他これらに類するものを支出することを禁止したものでありますが、今回の改正により、同公団に新たな業務を追加することに伴い、同公団に対しても地方公共団体行付金等を支出してはならないこととし、あわせて必要な経過措置規定することといたしました。  以上、森林開発公団法の一部を改正する法律案につき補足して御説明申し上げました。
  4. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 議事進行について。  補足説明ですが、これは提案理由説明のときに読んでもらわなかったならば、出さないでもらいたいと思うのだが、これははっきりしておいてもらいたい。貴重な応用をこれだけでひまをとったらたいへんなことなんだ。議事進行にならぬ。議事進行にならぬですから、これは提案理由説明のときに持ってきて読んでもらう。これだけ皆さんの意見を……。
  5. 赤路友藏

    赤路委員 議事進行資料ですが、いろいろ資料をきょう御提出願ったのですが、やはり資料は事前に提出していただくように、この点もあわせてお願いします。
  6. 濱地文平

    濱地委員長 ただいま長谷川さんと赤路さんからそれぞれ御意見が出ましたのですが、まことにごもっともなことと思いますので、さように決しましてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 濱地文平

    濱地委員長 それじゃそのように処理いたします。  これにて補足説明は終わりました。
  8. 濱地文平

    濱地委員長 引き続き質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。吉川久衛君。
  9. 吉川久衛

    吉川(久)委員 私は、ただいま議題となっております森林開発公団法の一部を改正する法律案について、若干のお尋ねをいたします。  わが国経済の発展に伴って、最近木材需要増大の傾向にあるといわれていますが、この需要増大に対処して、林業の総生産増大をはかることが、林業政策推進するにあたっての最も基本的な課題であるということは、昨年林業基本法が出されたときもしばしば論議されたところであります。そこで、木材需給現状がどうなっておりますか、今後の見通しについて伺いたい。これにあわせて、木材需給増大に対処して、木材国内供給力を増強し、外材依存から脱却する必要があると考えますが、大臣のこれに対する御所見はいかがでございますか。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話しのとおり、外材輸入から脱却する方途を一だんと講じていかなくてはならないと思います。現在の自給度は、御承知のとおり八割程度でございます。そういうことで輸入も金高にいたしまして四億六千万ドルというふうに聞いております。そういう状況でありますので、極力自給率向上を期したい、こう考えております。そのためには、いまもお話しがありましたように、林業基本法も昨年成立いたしまして、その趣旨に沿いまして、林道開設による生産基盤整備造林事業推進等によりまして、この増大いたしまする需要に対応する国内生産増大林業生産性向上をはかるということに極力つとめていきたい、こう考えております。
  11. 吉川久衛

    吉川(久)委員 林業基本法においても、林業の総生産増大をはかるため、林道網整備をはかることを規定しておりますが、林道事業計画とその現状はどうなっておりますか。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 林野庁長官から説明いたします。
  13. 田中重五

    田中(重)政府委員 現在のわが国林道の現況は、車道以上を申し上げますと、昨年の三月三十一日現在、国有林林道が二万三千四百五十キロメートル、それから民有林林道が四万一千八百九十八キロメートル、合わせまして六万五千三百四十八キロメートルとなっております。これはヘクタール当たりに直しますと、なお五メートル未満にしかすぎません。そこで、将来は少なくともヘクタール当たり十三メートル強まで拡充するという計画で、十三万二千八百九十二キロメートルの開設予定いたしておりますが、当面の十カ年計画、三十八年ないし四十七年度の計画としましては、五万七十九キロメートルを予定しております。
  14. 吉川久衛

    吉川(久)委員 補助林道としては基幹一号、二号及び三号の各林道がありますが、このうち、最も規模の大きい基幹線林道と新公団林道との相違点はどこにありますか。いま補足説明にも触れられておりましたけれども、「その受益範囲が著しく広いこととあわせて、地域産業振興見地から見ても適当と考えられることの二つ」云々とございますけれども、いままでのものも当然相当受益範囲が広くあったことでもあり、産業振興見地も全然顧慮されていなかったわけではないと思いますので、もう少し具体的に内容を、相違点を明らかにしていただきたい。いわゆるスーパー林道林道網計画における地位はどのように理解してよろしいか、この点をお伺いいたします。
  15. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 一口に言いますならば、スーパー林道産業道路的性格を持つということでございます。具体的に言いますならば、補助林道は、民有林森林資源開発目的としておるのでございます。けれどもスーパー林道におきましては、民有林国有林を問わず、低開発森林地域に対しまして、その資源開発するということでございますので、補助林道は一口に言えば、俗に言って、突っ込み林道といいますか、終点が山の中で切れているということでございます。スーパー林道におきましては、国道あるいは県道との連絡を保ちながら、森林資源開発をするということでございますので、産業道路的な役割りが非常に強い、こういうことに御理解を願いたいと思います。
  16. 吉川久衛

    吉川(久)委員 森林開発公団に新公団林道と申しますか、スーパー林道を行なわせることとしたのは、同公団熊野剣山周辺地域林道開設実績があるからとのことであります。これはまことにそのとおりだと思いますが、同地域における公団林道開設状況といいますか、実績について承りたいのであります。
  17. 赤城宗徳

  18. 田中重五

    田中(重)政府委員 森林開発公団は、熊野川流域、それから剣山周辺地域で、昭和三十一年度から昭和三十五年度までの間に、総事業費といたしましては三十三億七千一百万円をもって三十六路線、延長三百二十二キロの林道開設をしたわけでございます。それによって、面積にいたしますと約九万五千ヘクタール、それから蓄積でまいりますと一千三百万立方メートル、この森林開発をされたことになります。現在までに二百万立方メートルの木材が出産をされたということになっております。
  19. 吉川久衛

    吉川(久)委員 今回法改正をして、スーパー林道森林開発公団に行なわせる理由として、地勢等地理的条件がきわめて悪く、かつ豊富な森林資源開発が十分に行なわれていない特定地域林道網枢要部分となるべき林道開設等事業を行なうことができることにしてありますが、それならば、すでに基幹林道制度もありますし、昭和三十六年に民有林協力事業として国有林関連して始められた関連林道事業があります。今回行なわれようとしております新公団林道を、なぜ関連林道として実施しないのですか、また基幹林道事業として実施できないのか、その点を明らかにしていただきたい。
  20. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 基幹林道あるいは関連林道として実施できないのかということでございますが、一つは、スーパー林道規模関連林道あるいは基幹林道よりも大きくするということと、先ほど申しましたように、連絡関連等が、スーパー林道によりましては国道県道との連絡までもするということで、民有林国有林等関連だけではないということで、別途にやっていこう、こういう考え方一つあります。  基幹林道との違いはそういうことを言いましたが、それから関連林道との関係につきまして、これは当初計画を立てましてから四十路線計画に乗りまして、四十一年度でこれが完了するわけでございます。これは林野特別会計でやっておるのでございますが、いまの特別会計の収支の状況からいいますると、特別会計財源でやっていくということが困難な状況でございます。そういうことでございますので、財源につきましても、スーパー林道は、御承知ガソリン税見合い一般会計財源からやっていく、こういうことにいたしたいと思います。
  21. 吉川久衛

    吉川(久)委員 スーパー林道の今後の見通しと、林業政策上の役割りについて伺いたいのでございますが、伺えば、初年度三カ所しか認められていないようでございます。それからいま大臣お話がありましたように、農林業用ガソリン税見合い資金でございますので、今後これがどういうように推移いたしますか。予算委員会等問題等を顧みますと、これがはたして継続的に期待できるものか、見通しはさだかではございません。そうなった場合に、このガソリン税に相当するものが出てにできないという場合には、これはどういうように変わっていくのでございますか、そのお見通し等についても、あわせて御見解を伺っておきたい。
  22. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今回は地域的にも考え、また法律趣旨にも基づいて、三カ所だけをパイロット的にやることにいたしておりますが、これはやってみてからよければなおふやすというパイロット的なものよりも、やってみなくてもこれの効果はあるという見通しが持てるものでございます。でありますので、パイロット的に試験して、よければやるとか、悪ければやめるとかいうことでなくて、継続してこれはやっていきたいと思います。  それから、財源の問題でございますが、予算委員会等におきまして、免税のほうの問題等もございます。私は、免税免税としてできても、これに見合ったものをスーパー林道としてやっていくというこの方針は、かりに免税でそれに目当てのものが出ないということであっても、これは一般会計の面からこの方針は続けていきたい。かりに見合いのほうが打ち切りということでも、見合いとは別個に、一般会計からそういう支出をしていきたい。見通しといたしましては、私は、いまの見合いのこの財源というものはますますふえていく、ガソリンの消費がふえるに従って、財源としてもふえていく、こういうような見通しを持っていますが、かりにその見合いのものではやらないというようなことになりましても、一般会計のほうから支出いたしまして、これはぜひ続けていきたい、こういう方針を持っております。
  23. 吉川久衛

    吉川(久)委員 私は、林業政策推進上のこの仕事役割りをおもに伺いたかったのでございますが、ただ、ガソリン税見合いの話が出ましたので、これはことによったら一年限りで終わるのではないかという心配が出たので伺ったのでございます。一般会計からでもこの仕事はいいということは明らかなので、これを進めていかれるというその御決意のほどは非常にけっこうだと思いますけれども、その点、大蔵省見えておりますが、大蔵省はどういうようにお考えですか。
  24. 長岡実

    長岡説明員 お答え申し上げます。  ただいまおっしゃいましたように、この仕事林業政策上有効であるということで予算に盛り込んだものでございますので、一年限りでやめてしまうという性格のものではないと思います。ただ、私ども予算をあずかるものといたしましては、ことしはとにかく、この問題はガソリン税財源見合いとしてやる事業として適当であるということで採択した経緯もございます。この点につきましては、農業用ガソリン税減免の問題は、ただいま衆議院予算委員会におきましても議論の対象になっておりまして、政府としての見解も、衆議院予算審議が行なわれている間に予算委員会に御報告することになっておりますので、近日中にお答え申し上げることになると思いますけれども、私といたしましては、今後もこの事業が現在提案申し上げておる財源で進行していくべきものであるとは考えますけれども、しかし、かりにこれが行なわれなくなった場合においても、ことし着手しました事業が、一年で中途はんぱでやめてしまうというわけにはいかないと思います。ただ、私どもいま考えておりますのは、林道体系というものは非常に複雑でございまして、私どもといたしましては、パイロット事業としてこのスーパー林道を四十年度から実施することにいたしておりますけれども林道体系全般の問題として、四十一年度以降検討させていただきたいという気持ちを持っております。
  25. 吉川久衛

    吉川(久)委員 いろいろ問題はあろうと思いますが、しかし、これは大臣が継続をしてやる御決意のほどを伺っておりますので、おことばを信じて、ガソリン税減免の問題があろうとも、この事業は継続して推進をしていただけるものと御期待をいたしておきます。  それから大臣は、このスーパー林道がいままでのものと相違するところは、産業振興見地に比重を置いたところの道路であるというふうに申さまれしたが、そういたしますと、山の中だけではなくて、人の住んでいるところもあろうと思いますし、あるいは耕地等も点在するところもあろうかと思います。そういうところで事業施行してまいりますと、その周辺にいろいろの被害をもたらす問題があろうかと思います。そういったようなその地域の人々の被害というか、損害に対しても、何らか別途に顧慮されなければならないと思いますが、そういう点は、従来どおりこの事業についてもお考えがあろうかと思いますが、これは林野庁長官から伺っておきたいと思います。
  26. 田中重五

    田中(重)政府委員 このスーパー林道は、大臣お話にございましたように、林道網枢要となるような根幹的な林道でございまして、それだけにこの反射的な効果としては、この地域産業等にも資するという効果を持っておる、こう考えております。その利益の対象面積もはなはだしく大きい。そういう林道でございますが、この災害につきましては、やはり熊野剣山、この旧公団林道が、国庫負担でその条件に該当する場合補助を受けておりますが、そのとおりに、この林道におきましても、災害の場合の国庫負担はある、そういうふうに措置をしておるわけでございます。
  27. 吉川久衛

    吉川(久)委員 あまり抽象的なお答えでございますが、措置をしてきたし、今後もするというように理解してよろしゅうございますか。
  28. 田中重五

    田中(重)政府委員 その災害復旧につきましては、熊野剣山取り扱いと同じように考えております。
  29. 吉川久衛

    吉川(久)委員 いまの問題は、その工事施行にあたって生じたところの災害というのであって、いわゆる自然災害とは別であるというような意味のお答えであろうと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  30. 田中重五

    田中(重)政府委員 ただいま申し上げましたのは、いわゆる災害の場合のことを申し上げたのでございますが、工事にあたっての補償等の問題につきましては、熊野剣山取り扱いと同様に扱いたい、こういうふうに考えております。
  31. 吉川久衛

    吉川(久)委員 関連林道が各所に実施されたのでございますが、一つの例をとってみますると、たとえば赤石線について申し上げますと、第一期工事は四十一年に完了する予定でございます。先ほど大臣は、予算関係で、財源が困難でありますから、四十一年度で関連林道は終わるというお話でございました。その理由については、もっとあとで伺いますけれども、この赤石線の場合に見ますれば、上村の下栗地籍を第二期関連林道工事として継続することが妥当と私ども考えているのでございますが、そういたしますと、四十一年度で完了ということになると、今後この先の第二期工事については、林野庁としてはどういうように考えているのでございますか。
  32. 田中重五

    田中(重)政府委員 いまの下栗林道の問題でございますが、この地帯につきましては、いまお話しのとおり、関連林道といたしましては、昭和四十一年度でその全部の予定を完了する、こういうことになっておりますし、一方関連林道採択基準に乗ったものは、これはその程度でおしまい、こういう考え方でございますけれども、いまのお話の線の奥地等には相当国有林もございますし、これを将来国有林林道として扱うか、あるいはその他の方法で開設するか、十分に検討をきせていただきたい、こう考えております。
  33. 吉川久衛

    吉川(久)委員 こういった山奥の非常に恵まれない地方山林所有者、大きな経営をやっている人の多い地方は別といたしまして、ただいま例に出しましたところのように、一人一人の所有がきわめて零細であるというようなところの地元負担の問題を考えますと、これは関連林道で進めていただくことがきわめて適切と考えるのでございますが、それができないということでありますならば、私は基幹林道として開設すべきではないかと考えるのでございますが、農林当局としては、ただいまのお答えにふえんをしてお答えを願いたいと思います。  また、この場合、地元負担が一〇%になるようになっているのでございますが、この部分について、辺地に係る公共的施設総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律という辺地起債措置がとられるように伺っておりますが、この起債対象とならないものでしょうか、どうですか。これを自治省に伺っておきたいと思います。  まず林野庁からさきの問題をお答え願いたい。
  34. 田中重五

    田中(重)政府委員 いまお話林道につきまして、基幹線林道として採択できるかどうか、なお検討を要すると思いますが、また一方国有林林道としてできないものかどうか、この点の検討も必要だ、こういう考え方でいるわけでございます。その点御了承をいただきたいと思います。基幹線林道検討も必要だが、国有林林道としてできないかどうか、その点も検討したい、こういう考えであります。
  35. 林忠雄

    林説明員 ただいまお尋ねの、具体的な林道についてどうなるかということは、少し検討さしていただかないと、はっきりしたことは申し上げられないわけでございます。一般には辺地に係る公共的施設総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律によりまして、特別な辺地債という起債を認めておるのでございますが、これの対象は、産業振興には守備範囲の手が伸びていないわけであります。つまり、飲み水とか、電気とか、通学とか、一般住民生活辺地で非常に恵まれていない者に対して、恵まれている者のレベルに一歩でも近づけようという生活基盤整備するという制度でございますので、廃業振興目的とするものは、これの対象にいたしておりません。したがって、林道そのもの産業振興につながるものでございますので、原則としては対象から除外いたしております。ただ、過去の実績といたしまして、名は林道であっても、もちろん産業振興目的は一部あるとはしましても、生活基盤のほうによりよけい結びつく、実質がそうであるというようなものについて、名は林道であっても、その実質に着目して、辺地債を認めた例もあります。目的そのものはただいま申し上げたようなものでございますから、そういう目的に合うかどうか。また、そういう目的であるがために、規模あまり大きいものは対象にしておりません。せいぜい一事業百万とか三百万というような程度規模のものにしぼっております。あまり大きいものは対象にいたしておりません関係上、規模の問題、目的の問題、その事業の持っている性質というものを検討さしていただかないと、具体的には申し上げられない。制度としてはそういう趣旨制度になっております。
  36. 吉川久衛

    吉川(久)委員 具体的な問題等が出てまいりましたら、またいろいろとお知恵を拝借したいと思いますが、山村は、私ども里に住んでいる者には想像のつかないような格差がありまして、実にみじめな生活をしていることは目に余るものがあります、したがって、そういう地域の人々にも恩恵を与えるためには、思い切った施策を講じなければならないと思います。  私は、この際大臣に申し上げたいのでございますけれども、ただいまの政治の課題は格差是正の問題でございます。したがって、この法改正によりまして、スーパー林道という非常に広い意味の林道開発されるということになりますことは、まことにけっこうなことでございますが、先ほど申しましたように、農林業用のガソリン免税の問題が、もし当てにならないということになった場合に、ただいま長岡主計官お話のように、今後検討するという程度でなくて、もっと政府ははっきりした態度をもってこの事業推進に積極的であってほしいと思います。私は、先ほど大臣が、財政困難のために、関連林道を四十一年度で終えるのであるというおことばでございましたけれどもスーパー林道でも新設していこうというときに、それよりももっと恩恵のある関連林道という制度を打ち切らなければならない。ガソリン免税の問題がもし当てにならなくとも、一般会計でも推し進めていくというほどの御決意でありますならば、私は、関連林道でいけないことはない、継続できないことはないと思うのでございますが、この点について、もう一ぺんお尋ねをいたしておきたいと思います。
  37. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 関連林道は、計画を立てまして、その計画を四十一年度に完了するということが一つでございます。そのためと、もう一つは、特別会計の収支が非常にいま窮屈であるというようなことでもございますが、それとは別として、やはり一般会計からの費用として林道は相当手がけていきたいといいますか、やっていきたいという考えを持っておったのでございます。でございまするから、ガソリン税見合いの金でなくても、そういうことがなくても、いまのスーパー林道等の構想をもってこれを進めていこうという考えを持っておったものでございますから、これは本年度限りということでやっていく。そういう基本的に一般会計からでも林道開設をしていこうということでございまするから、大蔵当局からも話がありましたが、林道全体としても、昨年も補助率などを上げたのでございます。基幹一号、二号、三号というようないろいろな種類がありますが、それとスーパー林道等を総合して、林道開設には一段と力を入れていきたいということでございますから、名前に関せず、林道というものにとらわれないで、そういう趣旨のものも、内容的には同じようなものもやっていくことに相なろうかと思います。そういう意味に御了解いただきまして、林道には一段と力を入れていきたい、こう考えております。
  38. 吉川久衛

    吉川(久)委員 先ほど赤路委員の御発言のように、資料を、審議に入るにあたって配付されたような状態では、細部にわたって質疑はできませんので、これは後日に譲りまして、本日の質問はこれをもって終わります。
  39. 濱地文平

    濱地委員長 森義視君。
  40. 森義視

    ○森(義)委員 先ほど林野庁長官からも補足説明がありました森林開発公団法の一部改正につきまして、具体的な質問に入ります前に、せっかく大臣お見えでございますので、この機会に、わが国林業政策全体について、若干時間をいただいてお尋ねをしたいと思います。  前国会で成立いたしました林業基本法の九条一項によりまして、近く林業の動向に関する年次報告が出されると聞いておりますが、いずれその報告書が出ました段階で、あらためて詳しくお尋ねしたいと思うわけでございますが、大臣も御承知のように、前国会で林業基本法が制定されました趣旨は、先ほどの吉川委員からの質問にもありましたとおり、急速に発展するわが国の経済動向の中で、林業だけが取り残されて、木材の拡大する需要にいまのままでは追いつけない。したがって、従来いわゆる林野の持つ公益的な機能の側面だけを重視してきた林業政策を、全面的に経済的な機能を発動さすという観点から、産業立法的な性格を持った法律として出されてきたと思うわけでございます。その法律を受けて、この森林開発公団法の一部改正案が具体的な施策として出されてきた、こういうふうに私は理解をいたしております。そういう点においては、私どもも、その内容につきましてはいろいろとあとでお尋ねしたいこともございますけれども、基本的には賛成でございまして、前国会におきましても、そういう前向きの林業基本法は、法案として審議にわれわれも協力してきたことは、大臣も御承知のとおりであります。そこで、今回出されました森林開発公団法の一部改正を正しく理解するために、私は、やはりそれに関連する日本の全体の林業政策というものを正しく認識しておかなければ、その法案の持つ意義なり性格なりというものに対する理解が不十分じゃないか、こういう角度から、実は先ほど冒頭に申し上げましたような林業政策全体についてのお尋ねをしたいと思うわけです。  そこで、具体的な内容に入りますが、まず最初に、森林資源の現況について、先ほどの質問で大臣が御答弁をされました。先ほど配付されました資料によりましても、わが国森林資源というものが大体十九億立方メートルあると書いてあります。現在の年間需要が大体五千四百万立方メートル、こういうふうに書かれておるわけですが、わが国の国土の面積の六八%を占めておる林野の中で、それだけの森林蓄積がある。ところが、この需要状況が、第二表を見てみますと、昭和七十七年には年間需要が一億四千百万立方メートルになる。そうすると、現在の需要の約三倍になる。そのような需要の拡大が予測される中で、これに対する供給の計画がどういうふうに具体的にあるのか。この表を見ますと、「木材需給最の見通し」と書いてありますが、これは需要量の見通しであって、供給の見通しじゃないと思うのです。そういうふうに書いてありますね。昭和七十七年には一億四千百万立方メートル。こういうことを考えますと、はたしてこの飛躍的に拡大する木材需要に供給をどう対応さしていくのか、こういうことについて、大臣はどういう見通し計画をお持ちになるのか、まず最初にお尋ねしたい。
  41. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話の点、一々ごもっともでございます。この「木材需給量の見通し」等の表にもありますように、これは需要量を掲記してありますけれども、供給量につきましても、素材生産とか、チップ用廃材とか、輸入とか、こういうような見通しは一応立てておるわけでございます。この見通しに対して、いかにこれを実現していくかということがわれわれの責任だと思いますが、なおこまかく林野庁長官から御説明を申し上げます。
  42. 田中重五

    田中(重)政府委員 ただいま大臣が申されましたように、これからの木材需要増大に対応するために、できるだけ自給率を高めていく必要がある。そこで、林業基本法にも総生産増大ということをうたっておるわけでございまして、そのためには、林業生産基盤整備であるとか、あるいは林業経営基盤の拡充であるとか、総生産向上できるような方向へ、いろいろのおくれた状態を是正するように持ってまいる。それで、この四十年度からもそういうことを目途として、林業構造改善事業の第一年度に入るわけでございます。要するに、できるだけ能率を高めていくことによって、新しい技術で生長量の高い人工林に置きかえていくことによって、需要量の増大に対応していくということでございますが、その態勢が整い、そういう方向で生産が可能となるまでは、補完的に外材の輸入もやむを得ないのではないか、需給の安定あるいは価格の安定は、そういうことでその調整をはかってまいりたい、こういう考え方でございます。
  43. 森義視

    ○森(義)委員 森林資源が無制限にあるというならば、私はあえてこういう質問はしないわけです。この供給のあれを見ますと、七十七年には素材で一億立方メートルの供給ができる。これですと、いまの日本の持っている森林蓄積は十九億立方メートルですから、十九年でなくなるわけですね。ところが、御承知のように、木材というものは、十九年であれだけの生長をしないわけです。三十年ないし四十年かかるわけです。それでどうしてこれだけの日本の森林蓄積でこれだけの供給に対応していけるのか。これからもっと生長率の激しいものに植えかえていくのだと、いま林野庁長官はおっしゃっておりますけれども、いま三十年、四十年かかる木材の生長が、これからの見通しで十年あるいは十九年でそれだけの生長が期待できるのか、私はそれは無理だと思うのです。もちろん、現在の段階では、なるほど日本の天然林というものは、四割も林道がないために搬出できない状態に置かれている、放置されておる。こういうものを当面開発していくということについては、これは非常に大切なことだから、やらなくちゃならぬわけです。しかし、いまの日本の林野面積で一もう少し進歩発展するかもわかりませんが、自然の影響を受けている木材の生長度合いというものは、そう急速に変わらないと思います。そういう状態でいく場合に、将来の需要の拡大に対してはたして供給が可能であるかどうか、これは非常に重要な問題だと思う。単に需要がこれだけある、その供給に見合うためにはこれくらいのものを生産しなければいかぬだろう、それだけではできないはずなんです。そうでしょう。無制限に森林資源があるならば、それを開発していって、そして拡大する需要に総生産量を上げて見合っていくという方法はあると思う。私はこの前の林業基本法のときにも、林野庁長官に同じ趣旨の質問をしたわけでありますが、確たる答弁を得られなかったわけです。林業生産というものは、投資してから資金が回収できるまでには少なくとも三十年ないし四十年かかる。したがって、三十年ないし四十年先の需要と供給というものを見込んで、計画生産をやらなくちゃならない、こういうことについて質問をしたわけです。ところが、林野庁長官の確たる回答を得られなかったわけですが、大臣、どうなんですか、いまの日本の森林蓄積がフルに回転しましても、これは日本の需要に見合うだけのものがないと私は思うのです。  そこで、大臣にお聞きしたいのですが、世界各国の林業の動向と日本の林業と何か特徴的な差異があれば、こういう点において日本の林業が諸外国の林業と違っておるという点があれば、具体的にお聞かせ願いたいわけです。おそらく国土の六八%を林野面積が占めておる、それだけのいわゆる生産可能の沃地を持っておる、土地を持っておる、そういう国が必ずしも世界のどこにもあるということではないと思います。そこにかなりの努力をして、植林を行ない、撫育を行ない、林道をつけて、林業が経済的機能を発揮するような総合的な施策をやりながら、なおかつ将来の需要に見合うだけの供給ができないのが現状なんです。ところが、世界の各国ではどういうふうな林業政策が行なわれておるか、日本ではそういう点とはこういう点において違う、こういう特徴的な相違点があるならば、大臣お聞かせ願いたいというのが第二点目です。  第一点については、いま申し上げたが、繰り返して申しますと、ほんとうに需要に見合うだけの将来の計画なり見通しを持っているのかどうか。私はないと思う。大臣が、いや、いま四十年かかる木材が十年で生長するんだとおっしゃるなら別ですが、そうでなければないと思う。その点についての見通しと、世界各国の林業と日本の林業との特徴的な相違点があるならば、この際お聞かせを願いたい。
  44. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 林業におきまして、世界の林業と日本の林業とそう相違しておる点はないと思います。ただ、いま御指摘のように、日本では林業の基盤といいますか、面積が国土のうちに非常に多いということは、日本の特徴であろうと思います。  その見通しいかんということでございますが、一応の見通しは立てております。しかし、いままで政府といたしましては、国有林に対して相当の計画性は持っておりますが、民有林につきましてはそういう計画性をあまり持っておらなかったのでございます。幸いに林業基本法ができまして、民有林につきましても、相当の見通しを持って林業生産増大をはかっていこうということになりましたので、これからはその見通しの線に沿うて、政策といいますか、行政が進められると私は考えます。そういう意味におきましては、この一応の見通しの線に沿うてもろもろの政策を遂行するということにいたしたいと考えております。
  45. 森義視

    ○森(義)委員 大臣は御答弁なさっておられるけれども、そのことにほんとうに自信をお持ちですか。需要の拡大がこれだけ予想される、それに対して、これだけの供給がこれからのいろいろな施策を遂行する過程で達成されるという自信をお持ちですか。私はないと思うのですよ。しかし、その問題を追及しておったのでは――これから三十五年も先の問題ですから、それ以上お尋ねしようとは思いませんけれども、たとえば外国の林業と比較いたしまして、自然あるいは天候の関係等で、日本の木材の生長が外国と比べて非常におくれているとか、そういう特殊な状態があるのかないのか、あるいは林地の所有形態が外国と比べて違っておるのか。先ほど日本とあまり変わりはないんだとおっしゃっていますね。もし変わりないとするならば、私は、世界のこれから二十年、三十年先の木材需要と供給がどういう形になるのか、こういう問題も非常に大きな問題になってくると思うのです。人間の文化の進展に応じて、建築材としてよりも、他の用途に木材需要が拡大発展してきておりますから、日本においても、おそらくこの資料にありますとおりに、非常に大きな需要の拡大が見通されるわけです。おそらくこれは日本だけじゃなくして、世界の国じゅうの木材に対する需要の拡大が予見されると思うわけです。ところが、六八%も林野面積を持ちながら、そういう需要にほんとうに自信を持ってこたえられない状態であり、日本の林業と外国の林業とはあまり変わりないとするならば、世界のこれからの木材需要に対する供給の見通しというようなものは、おそらく日本は立たないのではないか、こういうように私は思うわけです。その点について、大臣、何か世界の林業木材需要に対する供給が、資源としてどういう状態にあるのかということをお知りでしたらお聞かせ願いたいと思います。もし林野庁長官がそれについてお知りでしたら御説明願いたいと思います。
  46. 田中重五

    田中(重)政府委員 世界の全木材需要と、それから木材供給の状態について、的確な資料につきましては、いま持ち合わせていないわけでございます。ただ、見通し得ることは、やはり世界的にも木材需要は相当に今後増大していくということ、それからその供給力は、やはり木材のことでございますから、その需要になかなか追いつけないという状況がくるのではないか、そういうような見通しはあるようでございます。しかしながら、木材需要については、いまもお話木材にかわる代替材の進出も相当にございます。その点を的確に表現をすることはむずかしいと思いますが、わが国の場合には、お手元に差し上げましたこの資料については、この供給量の素材生産の一億八百万立方メートル、これは見通しではございますけれども、全国森林計画に基づくところの拡大造林計画、そういうものの成長量等を基礎にした供給量をここに掲げているということでございまして、一定の進路をもって成長量の旺盛な人工林に成長量の低い天然林を転換していくという計画に乗って進めているわけでございます。年々、国有林におきましては、これが経営計画、それから民有林につきましては、いまも申し上げました全国森林計画並びに地域森林計画によって、それが進められておる。国の造林計画に基づいて、国庫補助あるいは融資造林の見通し、その上に立った成長量、それを基礎にしてこの供給量は出ておる、こういうことでございます。ただ、いまお話しのとおり、林野の面積が六七%も国土を占めながら、その生産性が低い、あるいはその総生産が低いということについては、木材が長期的な生産物であるということのほかに、やはりこの森林所有者森林の経営のしかたに問題がある。そういう非経済的なといいますか、非生産的な山林の保有のしかた、そういうものを転換して、企業的な生産に持っていくために、先ほども申し上げました、その生産の基盤なり経営の基盤なりを改善していくとか、あるいはその造林の技術の革新をできるだけ早くはかるとか、あるいはまた技術者の養成、訓練、確保、これを考えるとか、またそのための林業労働に従事する者の確保、養成、そういう面について今後できるだけ改善くふうをしていこうというのが、この林業基本法考え方でございます。それに基づいて今後は林業政策を進めていく、いま申し上げました供給量の拡大の見通し、これが地について計画どおりに進むように持ってまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  47. 森義視

    ○森(義)委員 そこで、この点について大臣にひとつ要望しておきたいのですが、どうも冒頭に申し上げましたように、いままでの農林省の林業政策というものは、林野が持つ公益的機能の発揮というものにウエートを置いてきたために、去年から林業基本法を出して、いわゆる経済的機能の発揮に切りかえましたけれども、全体についてまだ通帳行政――私は去年一年間おったのですが、通産行政の面から、日本の産業と他の産業との国際競合の中で勉強している度合いほど、整理がされてないように思う。だから、これから少なくとも林業一つの産業として位置づけをし、これの発展を考えていく以上は、従来の公益国的な機能の面でおちいっておったぬるま湯的な考え方から、もっと国際的な産業としての競争の両に立ち向かう姿勢を確立するための勉強をして、ほしいと思う。去年林業基本法ができて、やっとその方面に目を向けただけであって、正直に言って、まだそこまでいっていないと思います。しかし、それをやってもらわないと、これが林業産業として実況し、総生産を高め、あらゆる産業としての要件を満たすために、いろいろ林業基本法に内容は分かれておりますけれども、肝心かなめの国際的な問題についても十分な把握がない、認識がないという状態では、これは産業立法としての性格としてはまだたいへん心さびしいものを感じますので、ぜひその点についての努力と勉強を続けていただきたい、こう思います。
  48. 濱地文平

    濱地委員長 この際、午さんのため暫時休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ――――◇―――――    午後一時二十八分開議
  49. 濱地文平

    濱地委員長 休憩前に引き続きまして会議を開きます。  森林開発公団法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。森義視君。
  50. 森義視

    ○森(義)委員 午前中の質問で明らかになりました点は、一つは、拡大する木材需要に有効に対応するところの森林資源については、確たる自信がないということ。それからもう一つは、林野庁長官林業基本法の精神に基づいて林業の総生産を上げるための有効な施策を積極的に推進している。いま一つは、これは大臣の発言の中にあったのですが、国有林の管理が民有林よりも非常にすぐれている、こういう発言があったと思うのです。  そこで、私は、これからの需要の拡大に日本の林野が持つ使命をフルに発動していくためには、いろいろと林野庁のほうでも林業基本法の線についてお考えになるだろうと考えるわけなんですが、数字のあれを見ますと、大臣の答弁を裏書きするような資料がございます。それは、現在のわが国の林野面積の二千五百万ヘクタールの国有林民有林の分布を見ますと、大体民有林が三分の二、国有林が三分の一です。ところが、森林蓄積の状況を見てみますと、国有林五〇、民有林五〇、そのようになっております。このことは、大臣が先ほどおっしゃったように、森林資源の蓄積について、国有林の管理が非常に行き渡っておるということを数字で立証しておると思うわけです。そこで、そういうことを一貫して私ども考えてみます場合に、一時下火になっておりました国有林の民間払い下げ問題がありますが、この問題を日本の森林資源の確保という観点から考える場合に、大臣はどのようにお考えになっておりますか。森林資源が十分にあり余っておるのじゃないか。需要に対して確たる供給の見通しが立たない。その中でも、国有林民有林よりも管理がすぐれている。それは計数的にもはっきりしている。さらに加えて、世界の林業の趨勢を見てみますと、このような長期の投資を必要とする林業投資に対しては、回転率の非常に早い今日の資本主義社会のめまぐるしい動向の中では、とうてい民間の経営としてはその進歩性がたいへんむずかしい状態にあるので、国有林の方向へ全体の趨勢は動いておる。こういう国際的に顕著な点もあわせて、ひとつ大臣にこの際はっきりと御所信のほどを承っておきたいわけです。おそらくわが国国有林の民間払い下げ運動は、このまま消えるのでなくして、かなり長期にわたって続くだろうと思いますが、私は、今日の日本の林業所有形態の中に、先ほど大臣に質問いたしましたが、外国と非常に違った面がある。民有林の大山林地主の感覚というものは、私ども郷里におりまして、奈良県は民有林の山林地主の一番多いところでございますが、完全な財産保全的な感覚から一歩も出ておりません。いわゆる林業が持っておるところの経済的、社会的使命というものに対してはきわめて希薄でございます。そういう歴史的に持っておる民有林林業家の感覚というものもあわせて考える場合には、結論は当然そういう国有林の民間払い下げという問題に対しては、大臣は自信を持って反対していただけると思うわけでございます。いろいろな角度から申し上げましたが、ひとつ大臣の所信を聞いて、さらに私の考えと違っている点があれば、資料を提供して、大臣の指針のほどを明らかにしたいと思いますが、ぜひ明確に御答弁を願いたいと思います。
  51. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 森林の持つ意義ということからものを考えていきますと、森林というものは、公共的役割が非常に重いといいますか、多いというふうに私は考えております。そういう意味におきまして、いまの森林の経営面よりも、公共性という面から見て、国有のほうが筋だ、水資源の点におきましても、やはり気候を緩和するという点におきましても、国土の保全というような点から考えて、公共性が非常に強いという点から、国有という方向が筋だというふうに私は考えておるのでございます。それにつけ加えて、森林資源の経済的な生産増強及び維持という点が、最近非常につけ加わってきております。こういう面から見まして、やはり森林生産を増強し、維持するということが、国有の管理よろしきを得れば、そのほうがすぐれておるというふうに私は考えております。でありますので、そういう両面から、私は、森林の国有ということは非常に重んぜられなければならないと思っています。  そこで、いま国有林の払い下げの問題でございますが、しかし、場所により、いま農業の構造改善等をやっておりますので、あるいはまた国有林編入のいきさつ等によって、国有森としての十分な機能を持つべきものでなかったものまで編入しているというきらいもあります。しかし、それだからこれを開放するというふうには私は考えておりませんが、民間の農業構造改善等に寄与して、やはり農業あるいは林業、こういう面が国全体の経済を進めていくという点に寄与できるならば、そういう活用をはかっていったらいいんじゃないか、こういうふうに考えます。でございますので、国有林の払い下げという問題につきましては、払い下げという観点よりも、これを利用という方面で活用ということに重点を変えていったらいいんじゃないか。所有権の問題ではなくて、活用の問題。これは具体的な場所、場合等を勘案して活用をはかるということには、国有林が協力することが必要じゃないか、こう考えますが、原則的に考えますれば、やはり森林の持つ公共内意義、最近における経済的役割り等を大きく演ぜしめるためには、国が管理していくほうがよりよろしい、こういうふうに私は見ております。
  52. 森義視

    ○森(義)委員 荒筋において、いま私ども考えておる考え方と同じ御答弁をいただきまして、たいへんうれしく思うわけでありますが、ただ、いわゆる利用とか活用とかいう隠れみのに隠れて、そのすき間にそういう問題が拡大していかないように、基本的な考え方をひとつはっきりと今後も持続をしていただきたい、こういうことをお願いしておきます。  それでは次に、森林資源開発状況についてお尋ねしたいと思います。奥地の天然林野に経済的な機能を発揮させるための積極的な施策、こういう側面と、もう一つは、植林、撫育による資源の培養、育成、そういう防衛的な側面と、二つ森林資源開発の場合に私は考えられると思うわけであります。そこで、前者の、いわゆるいままで人跡未踏で放置されておった貴重な奥地天然林野の経済的機能を発揮させるためには、何といっても一番重要な問題は、今度提案されております林道開発だと思います。林道開発と同時に、私は、労働力の確保がきわめて重要ではなかろうかと思います。わが国林業は、生産基盤というものを一方において整備しつつ、その整備された生産基盤が経済的機能を有効に発揮するためには、労働力の稼働がなければなりません。したがって、生産基盤のほうに目が向いておるけれども、労働力の確保のほうをないがしろにいたしますと、せっかく貴重な財源を使って森林資源開発に乗り出していっても、それは結局経済的機能や効果を完全に発揮できなくなる。そういう面において非常に重要だと思うわけでありますが、そこで、一つ大臣にお伺いしたいわけであります。林道の問題についてはあとで聞きますが、労働力の確保の問題について、まず最初にお伺いしたいと思います。  先ほど申しましたように、これは林業基本法審議の際にも林野庁長官お尋ねをしたわけでございますが、どうも私、あの答弁では全く満足ができない。それで、きょうあらためて最高責任者である大臣お尋ねするわけでありますが、最近の農業、林業、いわゆる第一次産業の労働者が第二次、第三次産業に流出して、経済的機能を拡大しなくちゃならない第一次産業が衰微の一途をたどっておる。そういうことは大臣もよく御承知でございますが、まず最初に、林業の労働力がなぜ第二次、第三次産業のほうに流出していくのか、このことについて、大臣はどういう見解をお持ちなのか、どういう理解のしかたをしておられるのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  53. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 林業労働者が第二次及び第三次等その他へ非常に出ていく、それをどういうふうに把握しておるかということでございますが、これは常識的に考えてみましても、林業労働者が奥地山林に働くものでございますので、一言でいえば、僻地においての労働であり、しかも労働が重労働であるにかかわらず、収入が、その業体自体の収益というものが非常に長い間の収益でございますので、還元率が少ないというようなことから、国有林もそうでございますが、一般に労賃等も低いというようなことがあると思います。でございますので、対策ということでもございませんが、やはり一般の趨勢と同じように、機械化をしていく。機械を使っての労働ということになりますれば、直労働が相当軽減されるわけだろうと思います。そういう意味におきまして、労働力が不足だから機械を使うということも一つの筋道でありますけれども、やはり林業労働者の重労働を解放するという意味におきましても、やはり機械化という方向へ進めていくことが必要だろうと思います。林業労働者がどうして少なくなっていくかということにつきましては、いろいろな見方もあろうと思いますが、そういう重労働である割合に労働が報いられない、あるいは環境が非常に――何といいますか、いまのこういうレジャーブームみたいになっている現代におきまして、非常に生活環境がひどい、こういう点にあろうかと思います。
  54. 森義視

    ○森(義)委員 林野庁長官にお伺いしますが、最近の山村労働力の他産業への流出動向ですね。実は前国会で大橋労働大臣が答弁された資料と、林野庁の出しておる資料と、若干食い速いがあるので、それを計数的にただしておきたと思います。
  55. 田中重五

    田中(重)政府委員 流出状況を申し上げますと、これは昭和三十七年度の流出率でございますが、大都市で三・七五、それから地方都市で四・四三、平地農村で四・三八、それから農山村で四・九八、山村で五・〇七、こういうことになっております。
  56. 森義視

    ○森(義)委員 その資料、あとでちょっと調べておいてください。実は大橋労働大臣昭和三十五年の山村の稼働労働力は五十六万人であった、ところが、その後三年の間に三十八万に減ったということを言っておられるわけです。私、本会議場における労働大臣の答弁でございましたので、どうも数字があまり大き過ぎるので、大臣にひな壇の下で聞いたわけです。大体そういう答弁をしておりました。それほど急速に労働力が、どういう統計資料かわかりませんが、もし山村から流出するとするならば、私はいま大臣が答弁されましたような機械化だとか、生活環境をよくするとか、そういうことだけでは、とうてい日本の森林資源開発も現有の森林労働舌の確保もできないと思うのです。これは経済的機能を発揮するなんてもってのほかだと思うわけです。だから、その状況をもう少し資料として出してほしいと思うのです。  そこで、実態を実は私申し上げたいわけでございますが、私は、奈良県で昭和二十一年に山林の民有林労働者を組織いたしました。出時、半農半山と申しましょうか、炭焼きの労働者を含んで一万二千人の組織をつくったわけです。ところが、労働運動が非常に活発化していく中で、こういう日雇い労働者的な性格を持っておる労働者は、なかなか組織的に他の労働組合と提携して進めていくというのはたいへん困難な事態が起きて、その後、山林の専業労働者だけが、まあほかに兼業を持っていない――若干それは畑地を奥さんがイモか麦をちょっとつくっておるというのは別といたしまして、とにかく兼業を持っていない純粋な林業専業労働者だけが約二千名組織して、いま残っておるわけです。そこで、いつも問題になりますのは、要するに、行年労働者が全然住みつかない、従業員の平均年齢が一年一年ふえていくだけです。いま奈良県では四十四歳ですね。ぼくが組織しましたときは、平均年齢は三十ちょっとだったのですが、このごろはずんずん一年ごとに平均年齢がふえていく。それは若い人が一つも入らない、お互い一年一年年をとっていきますから、そのままで推移していく。これは十津川の村に高等学校が一つあるわけですが、去年、そこの高等学校の卒業生を十津川村役場にぜひ採用したいというので、村長が一軒一軒戸別訪問して頼んで歩いたところが、やっと女の子一人だけ役場の職員として就職してくれた。それ以外は全部おらなくなった。ああいう吉野の一番奥地に高等学校があるのですが、そこの卒業生が全部出てしまう。こういう人たちに私は実は直接会って話を聞いてみたわけです。こういうことを言うのです。私たちはなるほどこういう山村に生まれた、したがって、親に世話になっている間はやはりここから離れることはできない、ところが、自分で労働し、自分で生活の基盤ができれば、とうていこういうところにおれない、その最大の原因は何か、考えてごらんなさい、これほど教育が高度化されていく中で、われわれは単級の学校教育を受けている、一年生から六年生まで一人の先生の学校です、あるいは複式の学校教育を受けている、自分の子供がまたこんな教育を受けなければならないかと思うと、これはもうとうていしんぼうし切れない、こういうことを言うわけなんです。これはたいへんな問題だ。大臣、先ほどおっしゃったように、重労働で、かなり労働災害の高い産業なんですが、これはいま建築関係災害が一番大きいのですが、化学関係災害もふえてきましたけれども、従来は山林の労働災害が統計的には一番多かったわけです。今日もなお上位を占めておるわけですが、そういう林業災害による労働災害に対する不安とか、そういう問題よりも、自分たちの将来というものを見通した場合に、こういうところでは住めない、こういうことを実は言うわけです、私は、実は十津川の村長と話をして、どうしたらいいだろう。一つの方法としては、結局電源開発で村もかなりの補償金が入っているのだから、いわゆるスクールバスを買って学校を統合したらどうだろう。そのためにはまず林道が必要だ、林道がなければ自動車は走りません。だからいまの林道をそういう面においてもずいぶん活用できると思うから、林道のあるところは学校を統合して、スクールバスを走らせて統合教育をやる。そうすれば十名や二十名で先生一人という学校がなくなって、少なくとも一クラス一人の担任の教師が置ける、こういう環境ができるのじゃないか、こういうことを実は話し合ったわけなんですが、これは一面でございますけれども、非常に真剣な問題なんです。  それから、これからの林業労働力の確保という問題については、確かに今日まで通俗的にいわれますように、日雇い労働者で身分の保障がない。あるいは年老いて働けなくなれば、老後の保障というものが全然ない。あるいは重労働で早く年いくとか、あるいは文化その他から隔絶されておるということで、最近のレジャーブームから考えて、そういうところに青年は住みつくことを好まない。いろいろなことが通俗的にいわれます。しかし、私は、そういう教育の問題が解決されるということも、青年労働者が残る、将来に希望を持てる一つの大きな条件じゃないか、こういうことを考えるわけです。したがって、こういう問題について、ひとつきめのこまかい施策をぜひ――山村振興は今度法律案が出されるようです。出されるのか、議員立法で出すのか知りませんが、とにかくきめのこまかい施策を施していかないと、いかに貴重な金を使って生産基盤整備拡充を行なっても、私は日本の林業の将来性というものに対して非常に暗い気持ちを持つわけです。そういう面で、ぜひ大臣に、そういう点も十分総合的な、きめのこまかい施策というものについてお考え願いたいと思うのです。これは、そのことだけをお話ししておりましても、実はきょう一日御質問しておりましても時間がないほど、医療の問題から、文化施設の問題、教育の問題はもちろんですが、たくさんあるわけなんです。そういう問題についても、ひとつ林業の経済的機能を発揮さすために最も有効な労働力の確保という問題について、ぜひ林野庁として、農林大臣として、きめのこまかい施策をお願いしておくわけであります。  そこで大臣、その点について、先ほど重労働が山林労働者の流出する一つの原因、機械化もそのための一つの方向だというお考え方もございましたが、大臣もたくさんお考えになっておると思うのですが、特に施策の中で、こういうことにひとつ山林労働力確保のために私は今後は考えていきたいというふうなお考え方があるならば、この機会にぜひお聞かせおき願いたいと思います。
  57. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほど申し上げましたように、重労働からの解放ということも大きな問題でございますし、やはり住みよいというか、生活しいいような環境をつくるということだろうと思います。その一つとして、いまお話しの教育の問題、僻地教育として特に一般よりも考えてはおりますけれども、十分ではないと思います。そういうふうな教育の問題、あるいは文化面の問題等で、いまお話しのように、総合的に林業労働者として落ちついてやっていけるような環境をつくっていくということも、非常に大切だ、こういうふうに考えております。
  58. 森義視

    ○森(義)委員 私は、いま森林資源開発の問題で積極的な面の林道開発、それからその面の労働力の確保の問題について、実は大臣の所信を伺ったわけでありますが、なお、これは労働省とも文部省ともお互いに連携し合いながら考えていただきたい問題ですが、特に最近健康保険法の改悪をめぐって、日雇い労働者的な山林労働者がちょっと社会保障の恩恵に浴しかけたかと思うと、また陰をさしておるという実情でございますので、そういう問題についてもぜひ御検討願って、林業基本法の精神の中にも書かれておりますように、都市労働者とのそういう面の格差をなくする、こういう基本的なかまえの上に立って、ひとつ関係各省との連携の中でぜひ考えていただきたい。このことが、森林資源開発のにない手である労働力にとってたいへん大切だと思いますので、特に強く要望しておきたいと思います。  次に、植林あるいは撫育等の資源の育成に関する、いわゆる防衛的な面における施策、これは資源開発の中でもじみなほうでございますが、かなり重要だと思うわけです。そういう面について、大臣、日本の森林資源があれだけの広大な面積を持ちながら、激増する需要に確固たる自信を持って対応できないような現状の中で、この植林、撫育といわれる、いわゆる造林の資源育成という問題についての考え方について、お考えをひとつ御披露願いたいと思うわけです。
  59. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 なお林野庁長官から申し上げたいと思いますが、私はよくたとえて言うことがあるのですが、木切らぬばか、木植えぬばかということがよくいわれておる。やっぱり木は切るべきときに切り、植えるべきときに植えるべきものである。こういう意味におきまして、木切らぬばか、木植えないばかというようなことばをよく子供のころから覚えておりますが、そういう意味におきまして、奥地等におきまして相当自然林的なところなども多いと思います。そういうところをほんとうに人口造林をやっていかなきゃならぬ。そういう意味におきましても、林道というものは非常に大事だ、こう思っています。  それから、木の種類でございます。これは種苗研究等も十分いたしておりますが、場所によっては、やっぱりそれに適したような雑木でも、また早く育つ木も植えるというようなことなど、やはり勘案するといいますか、検討してやっていくというようなことが必要だと思います。  なお、そういう方面には専門的な林野庁長官のほうからひとつ御説明いたさせます。
  60. 田中重五

    田中(重)政府委員 いまお話しのように、森林資源開発を進めていくもう一つの側面としての造林があるということですが、これは林道をつけて、そうして成長量の低い天然林を伐採することとのうらはらの関係で進んでいくわけでございます。いまの計画としましては、お手元の表にございますように、国有林で人造林面積が百五十万ヘクタール、それから民有林で五百五十七万ヘクタール、こうなっておりますが、合わせて七百万程度の人工林、これを、昭和六十年ごろには千三百万ヘクタール程度でございますから、森林の総面積の半分程度を人工林化したい、そういう目標で進めているわけでございます。それで、そのためには、先ほどもお話の出ました機械化をできるだけ推進して、そうして仕事の能率を上げることも必要でございましょうし、また、植栽される樹種についても、成長量が早くて、しかもじょうぶな品種を培養して、それで植えていく、そういう造林技術上のくふうも考える必要がございますし、さらに造林こそ、先ほどの労働者の確保ということが非常に必要なわけでございまして、それには、一つは、林業がそれ自体として持っております季節性というものをできるだけ克服をして、植皮の関連においてできるだけ通年的な仕事へ持っていく。さらには、そういう労働者にもできる限り一般に行なわれる社会保障の制度を均てんするとかいうようなことで確保をはかりまして、そうして、この造林事業をできるだけ計画どおりに進めていく必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。
  61. 森義視

    ○森(義)委員 なるほど、構想は、一応答弁として承っておきたいと思うのですが、実際に造林の計画は、いま林野庁長官から御答弁ありましたようなテンポで進んでおりますか。
  62. 田中重五

    田中(重)政府委員 最近の労働者の山村からの流出というようなこと、あるいはまたそのための賃金の高騰というようなこともございまして、若干造林面積の伸びが停滞しておるという面はございます。しかしながら、一応年々の造林は、国有林におきましてはほぼ計画どおり、それから民有林におきましても、補助造林あるいは融資造林、あるいはその他自力の造林等含めまして、ほぼ計画の線で進んでいると考えております。
  63. 森義視

    ○森(義)委員 最近のピーク時において、大体四十万立方メートルぐらいでしょう。いまおっしゃったように、千三百万、要するに、林野面積の半分を人工造林をやるんだということになれば、最高の四十万ヘクタールの状態を持続していって、大体見通しとして三十年からかかるわけですね。ところが、いまおっしゃるように、確かに労働力の流出等によって、その計画が低下してきておるという実情にあると思うのです。私は、この植林、撫育、造林の問題について、従来労働力の面から見ますと、大体非常に安い賃金なんですね。ところが、一方投資家の面からいうならば、これは直ちに資本の回収ができないあれですから、むずかしい問題なんです。資本の回転率からいうならばむずかしい状態にある。片方、労働者の面からいうならば、安い賃金で、あまり労働を好まない状態にある。こういう両面からの造林そのものに対する非常な抵抗があるわけです。だから、この計画は、私は、国有林において初めてそういう問題がスムーズにいく、こういうふうにかねがね思っているわけですが、先ほど林野庁長官も、国有林の造林はかなり計画性を持って進められておるが、民有林のほうはなかなか乗ってこないというのは、両面の抵抗があるからだと思うわけです。その抵抗を乗り越えて、日本の造林計画というものがほんとうに計画どおりに推進していくためには、ほかに考えるべき何かがなければならないと思うのです。その点について、私も、こういう方法がいいんじゃないかという名案を持っていませんけれども林野庁長官がお考えになっておることがあればお聞かせ願いたい。
  64. 田中重五

    田中(重)政府委員 造林の推進につきましては、やはり長期低利の仕事でもございますし、いまお話しのとおりに、よほど国のほうで助成の手を差し伸べてそれの推進をはかる必要があるというふうに考えております。そこで、まず労働生産性を上げるというような面から、先ほども機械化ということを申し上げたわけでございますけれども、たまたま、本年度から林業構造改善事業が始まりますし、森林組合等協業体を中心にその構造改称を進めるわけでございますが、その場合の労務班を組織して、これに機械を助成しまして、そうしてできるだけ機械化の方向へ進めてまいるというようなことで、生産性の向上という面から進めてまいりたい。  それから、労働者を確保する対策といたしまして、まず民有林につきましては、いろいろいわれておりますけれども、就労の実態、就労の動向、そういうものが、必ずしもいままで明確ではなかったわけでございます。そこで、少なくとも林業生産がその地帯のある程度のウエートを占めるというような十市町村を一県ごとに選びまして、そういうものを対象に、その就労動向あるいは就労実績の調査なり、あるいは林業経営者の側でございますれば、森林組合なり、また営林署、その他山林所有の経営者、そういう雇用をする側の労務需要の動向、そういうものを把握する。そうして、その地帯地帯の需要と供給の実情をよくかみ合わせまして、その地帯における労働力の確保をはかることによって、その労務者の減退あるいはそれによる賃金の上昇、そういうようなことではなはだしい不均衡を生じないような施策をとるために、そういう調査並びにそういう話し合いの場をつくっていくことを助成していくという予算考えたりしておるわけでございます。それで、そういう場合に、やはり山村にとどまって林業労働に従事していくためには、その環境が働きやすい場であることが必要でありましょうし、他の産業に均衡のとれた賃金の支給ということも必要でありましょうし、先ほど申し上げたもろもろの社会保障の均てんということも必要でありましょう。そういう民間林業労働についての諸般にわたる改称、そういう面をくふうをしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  65. 森義視

    ○森(義)委員 いろいろとお考えになっておられると思うのですが、撫育の面で、下刈りとか枝打ちの面で労働力が枯渇しているということで、そういう面の需要はあるのだけれども、供給はない。そのことが、日本の森林資源の発展、拡大にとって、いろいろと生長をとめたり、そういう問題で足かせになっている。そういう植林、造林のために必要な労働力、特にいまの撫育の面に対する労働力等もあわせて、林野庁長官の答弁の中には含まれておったと思うわけでありますが、そういう労働力の一つ資料として要求したいのですが、全国の民有林に働いている労働者の造林関係の就労日数、それの賃金、それが伐木運材夫との賃金の格差の問題、それから造林関係の労働者の労働災害の問題、それから造林関係労働者の平均年齢、それから男女差、性別差、こういう資料を要求いたします。その資料に基づいて、またこの問題でお尋ねしたいことがありますので……。
  66. 田中重五

    田中(重)政府委員 至急に拠出いたしたいと思います。
  67. 森義視

    ○森(義)委員 それでは次に、一番森林資源開発に重要な林道の問題なんです。  先ほど長官の御計画の発表の中にもありましたが、わが国林道がいま一ヘクタール当たり大体五メートル以下、まあ五メートル以下というのは、一メートルも含まれているのですが、林野庁長官、大体国有林で幾ら、民有林で幾らという数字が出ておると思うのですが、要するに三・五メートル、大体三メートル台だと思うのです。こういう状態では、林業がほんとうに経済的なベースに乗るということはとうてい期待できないわけなんですが、そこで、林野庁長官の先ほどの御説明の中にあった十三・七ですか、一ヘクタール当たり林道開発計画、これは何年を目標にしてお考えになるのか。それから林野形態が違うと思うのですが、ドイツやなんかでは一ヘクタール当たり二十一メートルもの林道を持っている。これは山岳地帯ではなくて、平野林業が多いから、そういう数字だろうと思うのですが、ひとつ林道整備の目標とその計画達成の時期ですね、これについてお聞かせを願いたい。
  68. 田中重五

    田中(重)政府委員 現在のわが国林道の密度はヘクタール当たり大体四・七メーターでございます。それで、先ほど午前にお答え申し上げました十九月余キロメートルの林道開発したいというのは、いまの計画としましては、昭和五十七年度、ヘクタール当たりにしまして十三・七メートルの程度まで持っていきたい、そういう計画でございます。それで決して十分ではございませんけれども、まあその程度林道密度になれば、林業生産基盤整備としては、まずこれでいけるのではないかという観測で、目標を立てておるわけでございます。
  69. 森義視

    ○森(義)委員 いまの御答弁の林道というのは、いわゆる輸送林道――県道あるいは国道と林地内における経営林道とを結ぶ輸送林道のあれですか。それとも林地内における経営林道も含んだあれですか。
  70. 田中重五

    田中(重)政府委員 いま申し上げましたのは、木材の搬出あるいは造林のための林道で重道以上、その林道の密度について申し上げておるわけでございます。
  71. 森義視

    ○森(義)委員 生産地から市場へのいわゆる輸送路ですね。輸送路と考えていいわけですね。
  72. 田中重五

    田中(重)政府委員 そういうことでございます。
  73. 森義視

    ○森(義)委員 この計画で、現在の林道の一ヘクタール当たりの四・七ですか、これは民有林ですね。国有林の場合はもう少しふえるのですね。
  74. 田中重五

    田中(重)政府委員 これは国有林民有林を通じて申し上げているわけでございます。
  75. 森義視

    ○森(義)委員 それで、十三・七ということになりますと、大体いまの約三倍の林道ですね。そこで、その生産基盤に対応する一つの目標としての十三・七の林道開発を五十七年にやる。その林道開発が日本の林業生産全体に及ぼす影響、あるいは生産性の向上に与える影響、こういうのはどういうふうに五十七年度の想定としてはお考えになっておりますか。
  76. 田中重五

    田中(重)政府委員 生産基盤整備として林道網整備をそのように考えておるわけでございますが、そこで、そういう林道整備ができるということと、それから先ほど申し上げましたように、それによって、天然林の伐採、林相改良、それが並行して進んでまいるわけでございます。そうしてそのあとが生産力の高い人工造林地に拡大されていく。そうして人工造林面積の、先ほど申し上げましたような目標の達成に持っていきたい、こういう考え方でございます。そういうことの成果として、また木材の供給力の自給度を高めていきたい。それで、先ほどお手元の表にもございました木材生産、年度年度の生産量を期待していく、こういうことでございます。
  77. 森義視

    ○森(義)委員 こういうことを私がお伺いしますのは、これから十八年向こうで、全国でいまの林道の大体三倍になる。それが全体の生産力増強にどういう影響を及ぼすのかということをお聞きしたいのは、実は熊野森林公団林道開発ができて、十津川村の状況を見てみますと、公団開発前に十津川村で一ヘクタール当たり〇・五メートルであった林道が、四・四倍の二・二メートルになった。それによって、林道開発以来この五カ年間の生産の増、これが大体一年間平均――その林道開設前の二十七年から三十一年までの五カ年間の平均が年間十三万立方メートルであった。それが十五万立方メートルにふえているわけです。要するに、林道が四・四倍、それだけ敷かれておるのに、その生産の伸びというものはわずかに一八%しかないわけです。そうしますと、林野庁長官が先ほどおっしゃいました日本の林道全体の三倍になると、それが生産の伸びにどれだけ影響を及ぼすかということを考えずして、林業の総生産需要に見合うような拡大になるのかどうか、この問題を林野庁のほうではっきりと見通しを立てておられるのかどうか。これは十津川の場合におきましては、確かに流送がなくなりました。有名な十津川のいかだ流しがなくなりました。そういうような影響で、ここは林道が四・四倍にもなっておるのに、実際の搬出量がこのくらいの伸びでとどまっておるのであって、他の地域においては林道開設が実際の総生産量にもっと大きな影響を与えておるという資料がありましたら、それも加えてお聞かせ願いたい。
  78. 田中重五

    田中(重)政府委員 私も、熊野剣山公団林道開設前と開設後で、その伐採量について調査をしたわけでございますが、ほぼ先生のお話は、十津川に限定してのお話でございますけれども熊野剣山を通じて伐採量は伸びておりますが、ただ、お話のように、林道網の拡大に比例するほど伸びていないということも確かでございます。だから、そこに林道がついてもすぐ木が出るとは限らないという問題があるわけでございます。つまり、この山林所有者のビヘービアといいますか、いわゆる財産保持的な所有の傾向がございまして、計画生産計画経営というところへまいっていないというところに、この山林所有者の特殊性があるわけでございます。そこで、この林道開設と並行して、そういう山林所有者の財産保持的な山の持ち方を是正をしていくということが必要でございまして、そこで、林業基本法におきましても、特に大山林所有者にそういう傾向があるというような認識の上で、そういう大山林所有者の企業的な山林の経営を推進してまいりたい、そういうような経営形態の改善とあわせて、この林道開設が進められる場合に、非常にその効果はあらわれてまいる、こういうふうに考えておりまして、林業基本法趣旨を徹底させてまいりたい。現にこの山林所有者の中には、これは先生もおそらく御認識があると思いますけれども、この林業経営というのを企業ベースに乗せる、計画生産に持っていくというような萠芽が相当成熟しつつあるということも確かではないか、こういうふうに感じております。
  79. 森義視

    ○森(義)委員 林道開発わが国林業生産増強の大道であることについては、私も否定をいたしませんけれども、それだけが金科玉条で、林道さえつくったら木が出てくるのだという感覚で計画を立てておられたら、いま申しました一連の数字でございますけれども、なかなかむずかしい問題があると思う。問題は、いま長官もおっしゃいましたように、財産保全的な、産業人としての社会的、経済的責任を持たない森林所有者に対する啓蒙といいますか、そういう問題が並行して行なわれていかなければ、将来の激動する日本の木材需要に対応できないというように私は思うわけです。そういう面で、実は文教委員会でも、林業に対する教育の問題を軽視されておるということで、私の同僚も質問しておるわけです。これは私と同じような打ち合わせをしてきたわけですが、池田内閣の経済政策の重化学工業重点主義というのが、いろいろな面でそういう悪い側面をあらわしてきておる。こういうことを考えますので、農業の問題、林業の問題あるいは沿岸漁業の問題、こういう問題を、大臣、総合的に、日本の人口の多数を占めておる問題でございますので、ぜひひとつがんばってほしいと思います。  そこで、実は林道の問題についてですが、私、直接、林道は奥地に入るときよく自動車で通るわけなんですが、林道の補修費は通行税式にとられておるわけです。ところが、その林道によって直接利益を受ける林業家がトラックで通行するのに、二キロについて二百円ということで払っておるわけですが、それは私はいいと思います。ところが、山村の労働者、そこに長く居住している人たちが、その林道が有料になることによって、生活面においていろいろと悪影響を受けておるわけです。   〔委員長退席、木名委員長代理着席〕 たとえば病気になって医者を呼ぶ場合に、医者が乗ってくる乗用車に通行税がかかる。そうすると、医者代が高くつくわけです。それから奥地へ日用品を売りにくる。これは小型トラックでやってくる。そうすると、それには何割かの通行税が取られておるから、物価は高い。こういう問題で、かつては村道があったのですが、その村道を補修し、そのことによって、直接何ら具体的な利益をこうむらないにもかかわらず、そこに通行税がかかって、僻地山村民の生活に非常な圧迫を加えておる。こういう問題は、十津川の一番奥の小山手まで行く場合、平谷から入りましてしばらく行くと関門があるわけです。どこまで行かれるのですか、ついそこまで行くと言って、二百円、三百円しか払わないのですが、普通小山手まで行くと千円取られる。それをごまかしてやっておるわけです。ところが、現地の人たちは非常に純朴ですし、なかなかそういうごまかしもきかない。顔も知っておるし、どこに帰るかということも知っておる。車に乗ったときはわかるわけです。あるいはお医者さんが来ますと、どこに行くかわかる。そうすると、ごまかせないわけです。そういうことで、非常に問題点として現地の人たちから私どもはいつも強く言われるわけです。私は、林道というものは、開発してしまったら、村道にしてしまって、村でそういう費用をまかなうという形に、地元負担をそういう形に切りかえられないものであろうかと思う。長官も聞かれたこともあると思いますが、そういう面で、現地の直接利益を受けない地域住民に対する林道の利用税というか、補修税というか、そういうものに対してどういうふうにお考えになっておりますか。
  80. 田中重五

    田中(重)政府委員 この林道の維持につきましては、やはり小崩壊もございましょうし、雨が降ればいたむ場所もございましょう。そこで保線工を実施する必要もあり、そのための資材も要るということで、何がしかの経費がかかるわけでございますが、その経費は、やはり林道ができたために、その林道を使う人たちが分け合って負担をしていただく。しかしながら、あくまでもこれは必要最小限度にとどめるべきものであろう、こう考えて、熊野剣山のほうも実行いたしておるわけでございます。  ところで、いまお話しのような早急に医者を呼ばなければならないとか、あるいは急患であるとかというような場合、その他公用といいますか、そういう場合には、無賃の切符を発行しておるという制度になっているはずでございまして、それで、森産物の搬出その他それが商売に類するような場合には、それぞれ積載量なり車の大きさの程度に応じて差はつけてあると思いますけれども、そういう、要領でこれを負担をしていただいているのが現状だと、こう考えております。  なお、これを市町村その他にまかせたらいいではないかというお話でございます。現在熊野剣山林道につきましても、なお償還期間内でございますので、それが終了いたしますれば、そういうお考えにつきましても、十分に検討する必要がある、こう思いますけれども、ただ、その場合でも、そういう地方公共団体の事務負担力の問題がございまして、いろいろ地元民の便益になるような方向で検討しなければならない、こう考えております。
  81. 森義視

    ○森(義)委員 急患の場合、そういう場合においては、切符制度にして、通行料を払わぬ、こういうようになっておる、全部そうなんですか。
  82. 田中重五

    田中(重)政府委員 全部そういうふうになっております。
  83. 森義視

    ○森(義)委員 それでは私の認識間違いかもわかりませんが、かりに急患のそういう特別の場合はそうなっておりましても、従来当然村道で車が走っておったわけですね。これは十津川の平谷側の国道から入って、小山手のところまで歩いていきますと、大体四時間かかるわけです。これは一番奥の部落ですが、そこは従来もタクシーが入っておったわけです。ところが、その林道ができたことによって、タクシーの通行税がタクシーの代金と同じくらいかかるということで、使えなくなった。こういう問題もあるわけです。だから、単に医者に来てもらって、医者代が高くつくというだけではなくして、従来歩いて四時間も五時間もかかるところ、これをタクシーで入ると、従来の倍取られる。こういう問題は、現地の村民が希望しておるような村道に切りかえてもらって――あそこの、特に十津川なんかは、電源開発の補償で村の財政はかなり豊かです。そういうわけで、切りかえられないものだろうか。村当局でそういう通行税を住民にかわって支払えるというような財政能力を持っておる、そういうところはそういう措置が講じられないものだろうか。一つそういうことをやると、全体がそうなるので困るということだと、また問題があろうと思いますが、そういう財政負担能力がある市町村においては、切りかえることはどうだろうか、こういうように思うわけです。
  84. 田中重五

    田中(重)政府委員 いまの問題につきましては、利用料の徴収の問題だけを当該市町村に切りかえていくという話でございますれば、その市町村がその事務その他を十分に引き受ける能力があるということになりますれば、それはできないことじゃない、こういうふうに考えております。林道の維持管理そのものについては、その市町村とも具体的な話をしてみたい、こういうふうに思います。
  85. 森義視

    ○森(義)委員 きょういただきました資料の一三ページを見ますと、「旧公団林道利用状況および利用料収入の実績調」として、熊野地区、剣山地区のあれが出ておるわけです。これを見ますと、林業外の特に小型のトラックのあれが非常にふえてきておるわけです。これがずっと年々増加の傾向を示しておるわけですが、たとえば熊野地区で申しますと、林業外の小型のあれが昨年は二万八千五百九十九台、今年の見込みは二万台です。大型は、もうああいうところに林業外のものが入っていくということはほとんどないわけでありますが、要するに、受益者でない人たちがかなりこれを使っておるということがこの中にあらわれておると思う。このことは、今日林道はすでに受益者だけが利益をこうむるのではなくして、地域開発の重要な役割りを果たし、いわゆる交通道路としての任務を持っておる。これはきわめて公共性の高いものだと思うわけです。こういうふうに林道が奥地開発の大きな社会的役割りを果たしておる、そういう場合に、この林道開発について、公団林道の場合においては受益者負担というものが三八%ですか、あるわけです。これは二年据え置きで七分五厘、二十五年割賦返済。こういうようなものはもうぼつぼつはずすべき時期にきておるのではないか。これは関連林道の場合にはないのです。国有林民有林と隣接しておるところではないわけです。片方で、関連林道の場合には受益者負担というものが全然ない。これは通行の場合だけ使用料が取られる、トラックで大体九百円ですか、その数字ははっきりわかりませんが、とにかく関連林道の場合においては全部国庫負担でやられる。ところが、片方、一般民有林林道開発については、こういうふうに公共的な性格が年々拡大していっておるさなかに、受益者だけがこういう三八%の負担をする、こういうことについて、将来の見通しなり、いま現時点の考え方でもけっこうですから、お聞かせを願いたい。
  86. 田中重五

    田中(重)政府委員 関連林道と旧公団林道は、それぞれ経費負担の方式が違います。旧公団林道のほうは、やはり一定の利率による一定の年賦償還ということで、今日その償還の時期に入っておる関係もありますので、これを無償で他に移管するということはちょっと不可能な問題であろう、こう考えます。それから関連林道のほうは、その開発資金につきましては、これは国有林事業として、国有林負担においてこれを開設しておりますけれども、やはりこの分につきましても、その利用者については使用料、その投資の限度において使用料をきめまして、利用者から徴収しておるという状況でございます。
  87. 森義視

    ○森(義)委員 それでは、大臣が何か御用事があるそうでございますので、大臣のほうに質問したいと思います。  今後の日本の林業経営の動向についてお尋ねしたいと思うわけでございますが、昨年度の基本法で、林業がいわゆる産業、企業として成り立つような見地から行政指導が行なわれていく、また、それのために必要な施策が林業基本法の中に盛られて、これが日の目を見たわけです。これについては、山林所有者はかなり好意的な目で、林業基本法に期待を持っております。ところが、今度の予算を見ましても、この農林水産委員会に林道の問題だけがかかってきておりますけれども、具体的にあれに対する関連立法なり、林業の経営の動向として、どういうふうにあの林業基本法に基づいて将来林業家が期待するような方向へ持っていこうとしておるのか、こういうことについて、大臣のお考え方があればお聞かせ願いたい。
  88. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いろいろ手をつけなくちゃならない問題があろうと思いますが、林野の立法にはなっておりませんが、一つは、林野等を相当使わなくちゃならない草地の造成でございます。これは畜産のほうの問題でございますが、酪農の面から見まして、草地を造成するのに、林野関係関連を持って、場所によってそういうものをつくっていきたい。あるいはまた直接そういう関係にも影響がありますので、林野のほうの入り会い林野につきましての権利関係をはっきりさしていきたい。これは草地造成のためにも、いまから人工造林等をしていく上においても、権利関係が従来のまま複雑で不明確であるというようなことを直していかなくちゃならないということから、入り会い林野の問題を去年から手がけておるのでありますが、法律によってきめていきたい、こういうことを考えております。それから、いまの林業経営基盤の拡充という中に相当なウエートを占めておる林道の問題につきましては、従来の林道からさらに一歩出た、いま法案として御審議を願っているスーパー林道というようなもの等を考えております。こういうことでございます。
  89. 森義視

    ○森(義)委員 ちょっと大臣、私の質問と的はずれた御答弁をいただいておるわけなんです。ピントがちょっと質問と食い違っておると思うのですが、実は、これから日本の木材需要の拡大に対応するためには、林業一つの産業としてこれの発展を考えていくというのが、林業基本法の底を流れている精神なんです。そういうことから、従来の森林所有者が持っておった財産保全的な考え方を、この機会に、先ほど林野庁長官にも質問申し上げましたように、頭を切りかえてもらうためには、産業立法として、これから林業を資本の要求する利潤の追求にどう順応さしていくのかということについて、こういうような構想を持っているのだということを具体的に示さなければ、ただ単に林業を産業として見ていくのだというふうなことだけでは納得できない。たとえば租税の問題一つ考えてみましても、これを産業として見ていく場合に、このような特殊な長期投資を必要とする産業の発展のためにどういう租税的な措置を講ずるのか、いろいろあると思うのです。いわゆる産業立法として位置づけした以上、それに対する期待を裏書きするような施策が具体的にあらわれてこなくちゃならない。そうでなければ、従来の森林資源を持っておる林業家というものは、頭の切りかえも何もできない。幸いそういうものに対する期待を持っておるわけです。そういう期待感を裏づけするような考え方大臣のほうから明確に出してもらうことを、実は質問の要点として申し上げたわけです。だからその要点に向かってお答え願いたい。
  90. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 林野の活用面に少し答弁がそれて、直接の答弁になっておらなかったと思います。  財産的所有から経済効果をあげるような形に持っていくということが、林業基本法の新しい方向であったのでございますが、それについていま具体的にどうこうということは、いま法律的にあるいは予算的に出ているものはございません。金融面等におけるあっせんというような点、あるいは民間林業者の組織化の面について力を入れておりますけれども法律として別に何とか、あるいは予算面で、いまの予算との関連でございますが、税金を免除するというような税制の面等についての検討はしておりますが、それが出ておりません。
  91. 森義視

    ○森(義)委員 そこで、いま立法化の段階では具体的なあれがないけれども大臣としてこういうようなことを考えておるという所信をお聞かせ願えればと思うのです。
  92. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私のほうとしては、いま申し上げましたような林業者の組織を通じて、林業者の希望するところ、われわれの考えているところをやっていきたいということでございますが、一番大きな問題は、やはり資金の問題だと思います。融資の問題だと思います。そういう面のあっせん等をするということは考えておりますが、その他こまかい点につきましては、いま私も案といっても特にございません。
  93. 森義視

    ○森(義)委員 大臣は農林水産全般で、まだなかなかそこまで微に入り細にわたった答弁をしにくい情勢にあるようですから、ひとつ長官のほうで――大臣にいずれ進言される問題だし、林業基本法ができたときには、やはり将来の青写真というものを描きながら、あの林業基本法というものを立案されたと思います。したがって、当然林野庁長官はお考えを持っておられると思うのですが、お聞かせ願いたい。
  94. 田中重五

    田中(重)政府委員 いまのお話のとおりに、林業基本法の成立に基づきまして、法案あるいは予算の面で基本法の趣旨の具体化をはかるわけでございますが、そこで、私どもといたしましては、一つ一つその具体化し得るものから取り上げていく、検討の済んだものから取り上げていくということで、林業基本法趣旨全般を生かしていくのにはなお相当の年月を必要とするであろう、こういう考えでございます。  それで、いまお話のございました、産業としての育成という意味で、林産関係の法案等についての御質問の御趣旨のように受け取ったのでございますけれども、流通面の対策については、現在の中小企業等の面からのいろいろな法案、助成の道がありますので、そういうもので林業の流通の面で解決できないのかどうかの検討も十分に必要であろう、こういうふうに考えているわけでございます。  なお、税制、金融等の面における、いわゆる林業の面からいいますと、農林漁業金融公庫の林地取得資金なり、あるいはまた小造林の面なりの資金ワクの拡大等、いろいろくふうをしておるわけでございます。それからまた税制の面におきましては、森林組合の税制の取り扱いについて、従来より軽減をはかりたい。これは積み立て金の程度に応じて減免措置を講ずるというようなことを考えておるのが現在の段階でございます。
  95. 森義視

    ○森(義)委員 素材生産業者の経済活動が活発化せぬと、実際問題としては、林業家の活動というのは経済ルートに乗ってこないわけなんですね。そこで、いまその面について、たとえば金融面についてもいろいろと配慮をしておるというお話なんですが、最近の素材業者の倒産、これはどういうふうにお考えなんですか。林業基本法ができて、新しく産業立法として特別に政府がその発展の体制を考え、あるいは施策についての方向を示そうとするやさきに、日本の流通機構における素材業者はどんどん倒れているわけです。現在一五%で勝負しているわけです。原木が全製品の八五%を占めているわけです。一五%で設備の償却から人件費から金利から税負担からみなやっていかなければならぬ。これじゃとうてい素材業者は成り立たないわけです。素材業行が活発な活動を開始しない限り、林業家はこれはそろってやるんですからね。そういう面における積極的な施策が一つもあらわれてこない。ただ単に一般の産業の中小企業対策と同じように、中小企業金融公庫やあるいは、商工中金、そういうところに特別な融資のあれを考慮してやるとか、こういうことだけで、これでは救われないのですよ。いま素材業者の協同組合、奈良県あたりにはかなりたくさんあります。素材業者が一番参っているのは、原木高による製品安、これは間接的にはアメリカから入ってくる製品の輸入なんです。ソ連材のように原木で入ってきておる場合には、それほど打撃を受けなかったわけです。ところが、製品としてアメリカから入ってきておる。これに日本の林業が対抗していくためには、もっと経済的な面における施策が、あの林業基本法を出した以上は、今国会あたりに出てこぬと間に合わないと思うのです。大体テンポが非常にのろいわけなんです。経済活動というのは、非常にテンポが激しいわけです。この間も、緊張とスピードと変化が現在の社会の特徴だというようなことを言っている人がありましたが、それほどスピード化され、緊張化され、変化が行なわれているわけです。そういうときに、一年たった今日、それの恩恵に当然浴すべき林業経済活動家に対して何ら希望のある政策が出てこない、こういうことでは、あれはしょうがないから出したんや、あの林業基本法はね、こういうことに私は理解せざるを得ないと思うのです。その点どうですか、林野庁長官。これは大臣に詳しいことをお聞きしたいのですが、大臣がそういう方面にあまり明るくないようでございますので、林野庁長官からひとつ……。その流通機構の問題ですね。
  96. 田中重五

    田中(重)政府委員 いま素材生産業者のお話がございましたが、素材生産業者については、林業信用基金の保証の対象にもなっておりまして、その面では、それ以前に比べて、相当に融資の面で救済されているということが言えるかと存じます。ただ、たまたま素材生産業背として独立している業者はわりに少ないのでございまして、あわせて製材業を兼ねておるというような場合が相当多いし、普通でございます。そこで、それは製材業としての企業の内容の悪化その他金融詰まりによる倒産が相当あることは、私も承知をいたしておりますけれども、これは林業経営の特殊な現象というよりも、中小企業一般としての傾向の中の製材業のそのような現象であろうかというふうに考えるわけでございます。だからといって、それを決して放置するわけではございませんけれども、それはたとえば中小企業に対するもろもろの助成の法律、その他ございます。そこで、企業の合同であるとか、あるいは団地化であるとか、そういった面での助成を関係の各省とも話をし合いまして、そして過当な競争を避けていくような形へ持っていきたいということで進めているわけでございます。そういうことで、金融等の面につきましても、商工中金等これを活用のできるような対策を、昨年の暮れも私のほうで農林中金等を通じてとったというようなこともございますが、なお一そうその面の改善には努力をいたしたい、こうろえております。
  97. 森義視

    ○森(義)委員 それは長官違いますよ。長官は中小企業の一般の倒産と同じように思っておられますけれども、私は、昨年商工で倒産対策特別委員会の事務局長をしておった。だから、林業の素材あるいは製材業者の倒産というものと、中小企業一般の倒産とは、本質的に違うわけです。その点をはき違えて、日本の経済的なひずみの一つの欠陥的な構造のあらわれだ、こういうような見方をしておられるが、間違いだ。私は、外材製品の輸入というものが、日本の林業、素材あるいは製品、製材業者を大きく圧迫している、こういうように思うのですが、その点見解が違うならば違う、製材業者の倒産は、中小企業一般の倒産と関連してこういう内容を持っておる、本質的に違わないのだということであれば、長官、ひとつ御答弁願いたい。
  98. 田中重五

    田中(重)政府委員 確かにお話しのように、原木高の製品安という面が製材業にございます。それは内地材につきましてもございますし、あるいは外材を丸太で入れて製材しているものも、製材品としての輸入との競争で、そういう問題が出ているということは確かにあるわけでございますが、一方において、またその原木高の原因をなしているところの過当競争、この面の問題もあるわけでございまして、そこで、先ほども申し上げましたような、業者間の何らかの方法によるところの過当競争の排除、これが原木高を排除していく一番必要な対策であろう。そこで、企業の合同等が考えられてまいったわけでございます。  それから一方、外材との関係につきましては、大体いまのところ、米材等についてそういう問題がございますが、私どものほうといたしましては、成材としての輸入についてよく輸入業者等と話し合いをいたして、丸太との調整をはかってまいるような方法でくふうをしたい、こういう考えでいる次第でございます。
  99. 森義視

    ○森(義)委員 林野庁長官の答弁で私は満足できないのですが、私ども十八年間製材業者や素材業者といろいろつき合いをしてきまして――もっと時間をもらった機会に御質問したいと思います。私ども冒頭に、実は森林開発公団法改正についての質問を最後の段階でしたいということを言っておったのですが、時間の関係で、具体的な法案についての質問に入ることができませんでした。  そこで、最後に、大臣一つ要請申し上げると同時に、御所見をお聞かせ願いたいと思うのですが、いま林野庁長官にも質問しておりますように、林業基本法というものに対する林業家の期待あるいは山村地域における労働者の期待、こういうものはかなり大きいわけなんです。だから私は、この際、林道一つのその施策のあらわれだといえばそれまでなんですが、そういうものよりも、もっと抜本的な施策に対する期待がかなり大きいわけなんです。ひとつその点について、これは要望と同時に、所見があればお聞かせ願いたいわけですが、林業家と林業に従事している労働者、こういう人たちの意見を聞く会合を持って、その中で、そういう人たちの要請を積極的に施策の面にあらわすような形をとってほしいと思いますし、そういう形が、森林審議会とかそういういままでの官製のあれじゃなくして、この基本法が出たあと、期待を裏切らないような、裏づけするような、そういうことを、いまの答弁でははっきり打ち出しておられないわけです。だから、その人たちが期待している問題、意見を聞いて、それを参考にして実現する、こういうような方向で要請したいと思うのです。そういう点について大臣の御所信をひとつ承りたいと思います。
  100. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 言いわけするわけではございませんが、林業基本法ができたから、すぐに林業が発展するというわけにはまいりません。一つの方向であります。そういう方向に従って確実にやっていきたいと思っています。  先ほど申し漏れましたが、一つの方法としては、林業の構造改善というようなことも本年から手をつけるということでございます。  それからいまのお話のように、林業につきましては、特に労働力の問題、労働者の問題、こういう問題が緊要でございます。そういうことで、そういう人の話を聞く機会もとらえるようにということでございます。できるだけなまの要望等を聞く機会はつくりたい、こうは思っています。
  101. 森義視

    ○森(義)委員 それでは森林開発公団法に対する質問を保留いたしまして、これで……。
  102. 本名武

    ○本名委員長代理 次会は来たる二十三日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三分散会