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1965-05-07 第48回国会 衆議院 内閣委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月七日(金曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 荒舩清十郎君 理事 伊能繁次郎君    理事 佐々木義武君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 田口 誠治君    理事 村山 喜一君 理事 山内  広君       井原 岸高君    岩動 道行君       池田 清志君    上林榮吉君       亀岡 高夫君    高瀬  傳君       塚田  徹君    辻  寛一君       綱島 正興君    二階堂 進君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       湊  徹郎君   茜ケ久保重光君       稻村 隆一君    大出  俊君       大原  亨君    中村 高一君       楢崎弥之助君    受田 新吉君  出席国務大臣         建 設 大 臣 小山 長規君  出席政府委員         総理府総務長官 臼井 莊一君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房臨時農地等         被買収者問題調         査室長)    八塚 陽介君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君         建設事務官         (大臣官房長) 鶴海良一郎君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     多治見高雄君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         建設事務官         (都市局長)  鮎川 幸雄君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建 設 技 官         (住宅局長)  尚   明君  委員外出席者         建設事務官         (河川局次長) 国宗 正義君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 五月七日  委員天野公義君、亀岡高夫君野呂恭一君及び  湊徹郎辞任につき、その補欠として上林山榮  吉君、馬場元治君、中垣國男君及び倉石忠雄君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員上林榮吉君、倉石忠雄君、中垣國男君及  び馬場元治辞任につき、その補欠として天野  公義君、湊徹郎君、野呂恭一君及び亀岡高夫君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二二号)  農地買収者等に対する給付金の支給に関する  法律案内閣提出第七七号)      ————◇—————
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。  建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。茜ケ久保重光君。
  3. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 建設省設置法があがります前に、道路行政について若干質問したいと思います。  ただいま日本における一級、二級国道の総延長距離とその舖装実態を、おわかりになればお示しを願いたい。もし資料がなければあとからでもけっこうですが、ありましたらここで。もしなければあとでけっこうです。
  4. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 それでは、資料を御提出申し上げます。
  5. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 最近、だいぶ国内の国道舗装が進行いたしまして、あらゆる面で非常にけっこうと思うのでありますが、私がここで指摘したいのは、国道かなり整備され、舗装も進行する中で、その国道を利用する産業の開発なり、あるいはこれを利用する、特に自動車を利用する諸君のために、すばらしい状態が実現しておりますけれども、その陰に、いわゆる国道が大きくなり、しかも舖装されたという中で、その国道に近接するいわゆる山村なりあるいは村落住民が、国道がりっぱになったために非常な迷惑をこうむっている点も、多々あるのであります。この点を私は常に心配しておったのでありますが、最近の機会に具体的な例が出てきたわけであります。と申しますのは、建設省当局ではかなりそういう点に意を用いてやっていただいていると思うのでありますけれども、たとえば山間僻地を縦走するりっぱなハイウエーができましたために、その付近村落が自分の住届から国道出入りする取りつけ道路と申しますか、こういったものがかなり粗雑であって、国道が鋪装されあるいは整備される以前には、出入りが非常に安易にできたにもかかわらず、そのためにかなり困難な状態が最近できているというのがあるわけであります。これは私、ごく最近に体験した事実でありますが、この事実はおそらく全国的な傾向であると思うのであります。いま私が一級、二級国道延長とその舗装実態をお聞きしたのは、そういうことと関連するためでありまして、道路局長は、そういう面で実態について御承知かどうか。御承知なら、いわゆる舗装されたすばらしい国道と、その陰に山村なりあるいは村落諸君がむしろ不便をこうむっているという実態があるのでありますが、それに対してどういうような御見解をお持ちか、伺いたいと思います。
  6. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 先生承知のように、私ども数次にわたり五カ年計画を立てたのでありますが、最初は、緯線の国道を第一次的に整備する、こういう目標を立てたわけであります。その結果、いま国道は二万七千キロほどございますが、おかげさまでかなり国道につきまして改良舖装整備が進んでまいりました。だんだんそういうふうになってまいりますと、いまお話のように、取りつけの地方道等につきましてそれとバランスがとれない、こういうようなことが、最近顕著になってきたことは事実でございます。そこで、私どもできればこういった地方道につきまして、国道並みとはいきませんけれども、やはり相当整備をしなければならぬというような方針を立てまして、特に最近国道がりっぱになりますと、それに比べまして、地方道があるいは未改良で著しく見劣りがしますので、やはり付近住民にとりまして一番要望されておりますのは、舗装でございます。そのために、国道以外の道路につきましても、舗装化を少しでも進めるということが、地方一般住民要望にこたえるすべであろうということで、この第四次の五カ年計画につきましては、特に地方道における舗装ということにつきまして、相当の重点を置いたわけでございます。そういう方針のもとに、できるだけ現道を利用しまして舗装を延ばす、こういう方針を立てまして、地方道整備をしたいということを考えております。いま御指摘のような国道に関連いたします地方道の取りつけ等につきましては、できるだけそういう方法によりまして、地元住民に対して少しでも要望にこたえることにしたい、こういう考えで進めております。
  7. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 たぶん建設省当局ではそういうようなお考えであろうと思いますし、またある程度府県道とかあるいは市道、いわゆるそういう面については、かなり考慮があるようであります。私がいま指摘しているのは、いわゆる県道とかあるいは地方道といったような正規の道路ではなくて、一つの例でありますが、いま国道十七号線が群馬県からずっと新潟県三国トンネルを越えて、かなりりっぱになりました。私が当面した例は、三国トンネルのすぐ下に永井という部落があるのであります。これは道路からかなり部落は下にあるのでありますが、そこで国会報告をしたのでありますが、そのときに、そこの住民から出た問題が、はからずもその例と関連した。これはいわゆる府県道でもなければ何でもない、いわゆる五、六十戸の部落人たち国道出入りする道だ。したがって、これは村道でもないと思うのであります。それが舗装される以前は、道が低かったので、ゆるい傾斜で舗道に出入りできた。ところが、国道舖装されるに従ってかなり高くなりまして、出入りの道が急になった。舗装する場合に、これは土地の長老の話を聞きますと、建設業者が、道ができた場合には取りつけ道はきれいにしてあげる、心配ないからひとつ了承願いたいということで、村の人たちは素朴でありますから、その話を聞いて安心をしておった。ところが、たまたま国道がきれいに舗装されてしまったら、若干取りつけとともに土を盛っただけで、全然何もあとしてくれない。道は急になるし、道路はよくなったのでトラックや車の交通が非常にはげしい。そこで道は急になり、しかも取りつけの道路付近ガードレールなどもつけるという約束だったのですが、ガードレールもつけない。御承知のように、農村ではメリーティラーといったような小型の耕うん機を持っているのですが、これが出入りしたりして車がたくさん通る。それで急坂であるし、急カーブもできたりして、非常に困難である。たまたま最近では何回か、国道からその道に入ったり、その道から国道へ出るところに、転落した事故がある。私に言われたのは、国は一体道はよくするけれども、われわれ付近住民に対しては何ら恩典がない。恩典がないどころか、そういった非常に困難な状態が起きている。住民が困って、何回も沼田出張所ですか、そういうところの所長さんにお願いに行ったけれども、全然らちがあかぬ、こういう話だった。非常に国の政治に対する不満があるわけです。私はたまたま参りましたので、そういった苦情と申しますか、陳情と申しますか、聞いて私も実はびっくりした。これはただ単にこの一永井部落だけの問題ではない。おそらく全国国道舗装進展道路改修進展に従って、こういった村落は無数にあるのじゃないか。それがたまたまいま一つの例のように、舗装されてからかなりの時間がありますけれども、建設省末端事務所に何回行ってお願いしても全然らちがあかぬ。交渉する場合には、建設業者もおそらくそういったことを住民に言うし、あるいは監督に出た建設省末端方々もそういう気持ちだったかもしれない。しかし、でき上がってしまうと、ほったらかして非常な困難をしておる。いわゆる府県道とかそういったものについては、いまおっしゃったようにかなり舗装もされ、車にとってはいいかもしれませんが、目に見えないところに非常に大きな落ちがある。しかも困っておる。したがって、その住民国道舗装というりっぱな姿の陰で泣いておる。こういう実態、やはりこういう政治を許してはならないと思う。したがって、全国にまたがってこういう実態があるのではなかろうかという心配がありましたので、永井という一部落の小さい問題であるけれども、政治はほっておけないということで、私はわざわざこういった質問をするわけです。こういうことについて、何かはかでも不満があるのではないかと思いますが、あなた方の耳に届いておりませんか。
  8. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいまのお話でありますが、普通、工事をやるときに、舗装改良しますと、上盤が上がります。五十センチ、ところによっては一メートルも上がりますが、その際に、それに従来取りつけておりました道路、それは県道あるいは市町村道でなくて農道でありましても、たいてい取りつけるようにしておるわけであります。少なくとも従来草が出入りしておったのに支障がないように適当な坂路を取りつけ、なおかつある区間だけは舗装するという方法でやっております。というのは、道路の側から行きましても、取りつけておりませんと、さっそく困るわけであります。それから車両が出入りする場合に、その区間上砂等でありますと、舗装されました面に土を持ってまいりますから、ある区間はむしろ舗装しておきませんと、本道としても困るわけであります。ですから、そういうふうに国道改良工事をやらせておるのでありまして、いまお話永井部落でそういう取りつけをしておらなかったというのは、ちょっと現地はどうなっておりますか調べてみないとわかりませんが、普通はそういうふうに指導はしておらないのであります。むしろ円滑に出入りできるように、若干の場所は舗装するということをやらせておりますから、さっそく永井部落を調べまして、どういう事情でそういうふうにならなかったか、必要ならば処置をとっていきたい、かように考えております。
  9. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 いま局長がおっしゃったように、道路工事をする場合に、建設省のお役人か建設業者は、これは一部舗装するんだ、舗装しなければ車のためにどろなり砂利が上がってせっかく舗装した道路をいためるから、これは取りつけ道路を幾分かは舗装もするし、決して心配ないと言ったのだそうです。そこで住民はたいへん喜んで、御協力したらしい。ところが、でき上がったら、いま言ったように全然しない。私が行ったときは雨が降っておりましたが、私の車はあまり大きな車ではありませんが、下りはよかったが、上りはスリップして上れない。これはおそらく原動機づきの農耕機も同じだと思う。それほど急な通なんです。私はその場合に、これはどこの責任か、建設省だけの責任か、あるいは建設業者責任か、このことに対して疑問に思ったのですが、いわゆる建設省方針はいまあなたのおっしゃったようなことでありましょうが、現にそれがしてないというのは、当時の道路の鋪装なり工事を請け負った業者責任か、あるいはあなた方の役所出張先役所責任か、これはいかがでありましょうか。
  10. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 少なくともそういうケースについては、これは業者責任じゃございません。むしろ設計上当然見るべきでございますから、設計がそうなっておることがたてまえだと思います。その設計どおりやっておらなかったら業者責任でありますけれども、やるかやらぬかは業者がきめるのではなくて、設計する建設省側責任を持ってやるわけであります。ただ、御指摘の点がどういう個所であったか、これは調べてみなければわかりませんが、おそらく建設省の出先、地建事務所といたしましても、この程度のものはやる、あるいはこの程度のものはやらないという一つ限界があったかもわかりません。しかし、少なくとも従来出入りしておりました車が出入りできなくなるということは絶対にするはずはございませんから、具体的にひとつ調べさせていただきたいと思います。
  11. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 出入りはできないのではなくて、出入りはできるのですが、非常に危険を伴うのです。先ほど言ったように、道の坂が急になった上にカーブが急でございまして、非常に出入りが不便である。そこの限界は、これは御了承願いませんと困ると思うのです。それから幾回か、あなた方の役所出張所、あるいは三国国道事務所はなくなりましたから、高崎工事事務所出張所沼田にございますが、出張所所長さんにお願いに上がったのですが、あなたのほうの出張所所長さんの手にも負えぬと思うのであります。それが所長さんとして上司のほうに申告されたかどうかわかりませんが、しかし、私は、ここで現場の所長さんの責任じゃなくて、問題はやはり住民の今後の生活に不安がなければいいのでありますから、したがって、おそらく永井部落の現実を見て、この実態永井だけじゃなくて、全国道方々にあるのじゃないかという点を私は感じたわけです。これはひとつぜひ永井部落のことも御調査願って、できれば早急に対策を立ててもらいたいと私は思う。たとえば、がけのふちにはやはり一部ガードレールのようなものをおつけいただいて、不安のないようにしていただきたいと思うのですが、これはいまからでも、調査の結果その必要があれば、これは当然建設省責任でそういう処置はしていただけると思うのですが、いかがですか。
  12. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 必要なところには、いまからでもできます。調査の上、必要な処置をとりたいと思っております。
  13. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 私の心配はそれでございますから、ひとつぜひ——これは永井部落もさることながら、先ほど骨頭にお聞きした、全国に非常にすばらしい道路ができて非常にけっこうなんでございますが、その陰に、そういうふうにいわゆる道はできて、すばらしい車がフルスピードで飛び回るという光景光景として、その陰に、その道路がりっぱになったために、一部でも困ったり、そのために迷惑をこうむる国民があってはならぬと思うのであります。これはやはり政治の妙味だと思うので、ぜひそうでないようにお願いしたいし、これはひとつ建設大臣の御責任と良心で、こういう苦情が出なくとも早急に御調査願って、適当な処置をしていただいて、いわゆる国道ができたことに対して、すべての者がこれを喜び、これを利用するような状態になるような御指導と御配慮をお願いしたいと思うのですが、ひとつ大臣の御所見を伺いたいと思います。
  14. 小山長規

    小山国務大臣 いま道路局長からお答えしましたような趣旨で指導しておるわけですが、ただそれがたまたま目こぼれがあったのであろうと思いますので、今後所長会議などを開くたびにそういう点を注意しまして、いささかでもそういう苦情があれば、直ちに上司のほうに報告して、処置について判断を仰ぐ、こういうふろに指導いたします。
  15. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 道路局長、ぜひいい例でございますから、またいまはかなり現地住民諸君皆さん方処置に対して恨んでおるのですが、また逆にそれを急速に処置をしていただければ、これは今後もありますから、むしろ喜んで今後の処置には協力すると思うのであります。十七号線の三国トンネルのそばでございますから、もし今後そういうことが放置されて感情を害して、何か不慮の事態でも起こったのでは非常に困りますから、ひとつ早急に適当な処置をしていただきまして、住民安心をして生活ができ、しかも国の政治に対して感謝するような状態をつくっていただきたい、こう思うのですが、ひとつよろしくお願いいたします。
  16. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 御期待に沿うように努力いたします。
  17. 河本敏夫

  18. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 ちょうどいい機会建設大臣来ておられるので、この前の運輸委員会で私お尋ねしたのですが、道路局次長が来ておられて、明快なお答えができなかったのですが、その問題は関越自動車道路の問題ですね。あれは議員立法でいま調査中ですが、調査は来年に終わるはずなんですが、ところが道路局次長お話では、着手するのは十年ぐらいあとだというふうな話だったのです。これは地方問題ではなくして、国策上の重大な問題を含んでいると思うのです。それは日本対ソ貿易が年々増大する傾向にあるのです。現に日本対ソ貿易は、対外貿易のうちの第四番目を占めておりますが、ソ連側でも言っておりますけれども、近いうちに十億ドルになるだろう。いまは三億六千万ドルであって四番目ですけれども、十億ドルになれば、アメリカの次、日本対外貿易としては二番目になるわけです。そこで、対ソ貿易の問題ですが、これは一地方問題ではなくして、国全体として考えなければならぬ問題だと思うのです。御存じのように、ソ連はいまシベリア開発とか極東開発というふうなものに乗り出しておりますけれども、極東には三百三十万、シベリアには五百万くらいしかおらない。人口が少ないので、実際上かけ声だけでなかなか進まないのです。ところが、シベリア並び極東は非常に大きな資源を持っているので、ソ連としてはどうしてもこれを開発しなければならぬという考えを持っているのです。そこで極東開発並びシベリア開発のためには、どうしても日本工業力を利用する以外に方法はないわけです。場合によっては日本労働力も利用しなければならぬことになるだろうと私は思うのです。  御存じのように、ソ連工業というものは非常にでこぼこでありまして、進んでいるものは進んでいるけれども、平均して、露骨に言えばかたわというふうな状態なんです。しかもシベリア開発極東開発のいろいろな資材というものは、ヨーロッパから持ってきたらたいへんな費用がかかりますから、資材ヨーロッパから持ってくるよりも、日本から持っていったほうが、運賃その他の関係で採算が合うわけです。そういうわけで、ソ連シベリア開発日本工業力と結ばないでは不可能なので、それで最近非常に対日接近をやってきているわけなのであります。そういう観点から申しますと、いま横浜からナホトカまで船で五十時間から四十時間くらいかかりますが、ナホトカ新潟間は十九時間です。舞鶴でも、あるいは伏木でも、裏日本沿岸の港は幾らでも利用できるわけでありまして、樺太がなくなってから、裏日本の港が、もう小樽からずっと火の消えたようになっているわけなんです。ところが、対ソ貿易がだんだん発展してまいりますと、これはもう裏日本の港が非常に活況を呈してくるわけなのであります。しかも新潟の場合は十九時間で来られるということで、ソ連としても新潟とか、伏木とか、あるいは舞鶴を利用したいのです、特に新潟を利用したいのですけれども、物を持ってきても、それを日本全国に運ぶ方法がない、また新潟等に対して日本全国の物を持っていく方法がいまではない、こういうわけで困っているわけなんですが、そういう観点からいって、この関越道路のごときは、国策として取り上げて、私は早急に完成する必要があると思うのです。これは単に新潟県とか富山県とかいうふうな地方問題ではないだろうと思う。そこで政府としては、これを国策として早急に取り上げる必要があると思うのです。  それで、私の聞いた話で——私はしろうとですから道路のことはわかりませんけれども、どの路線をとるか、これから調査が五年かかるなどということは、ほんとうにまじめにやる気であれば、私はそんなことはないだろうと思う。来年調査が終われば、調査が終わってから三年くらいで、やるつもりならできるだろうと思うのです。特に雪害のひどいところは、こういう道路の完成を急ぐということは、対ソ貿易観点からばかりではなくして、雪害対策としても——あの沿線は、ことしも雪で非常に困っておるような状態でありますが、雪害対策としても私は重要だと思うのです。そういう意味におきまして、もう少し短期間にやる考え建設省では持っていただきたい。この点につきまして、建設大臣の御意見を伺いたいと思うのであります。
  19. 小山長規

    小山国務大臣 いまのお話は、関越高速自動車道路お話でありますが、これは御承知と思いますけれども、高速自動車道路をつくります場合には、予定路線に関する法律というものができまして、それから実行に着手をするわけなのであります。残念ながらまだ関越自動車道路については、予定路線法律はできておりません。いまわれわれが一体どういうことを考えておるのかといいますと、日本の南北に走る縦貫自動車道路をつくり上げることによって日本産業構造は一変するだろうという構想のもとに、何とかして早くこの縦貫高速自動車道路をつくり上げたい、これがわれわれの念願なのであります。むろんこれには相当資金が要ります。その資金を一体どうやって調達するのかという問題が一方においてあるわけでありますが、ただいまのところでは、四十三年に終わります五カ年計画の中では、あと高速自動車道路として予定されておる計画額は七百数十億、これで一体どの程度縦貫道路をつくれるかという点が、一番の頭を悩ましておるところなのであります。私の考えでは、これを用地買収に充てていけば、千キロぐらいの用地買収ができる。そうしてあらためて次の五ヵ年計画のときに千キロ程度高速自動車道路の築造をするための計画を立てていく。こうしていけば、次の五ヵ年間には千キロ程度縦貫、自動も道路ができるであろう。それをさらにもう五ヵ年ぐらいやれば、さらにもう千キロの縦貫自動車道路ができるだろう。こういうふうに思うのでありますが、これはいままで考えられておったおおよその構想であります。  ところが、いま先生のおっしゃいますように、表日本裏日本をつなぐことの重要性というものが、関越のみならず、中国においても叫ばれておるわけであります。これを一体どう取り上げていくのかという問題が新たに加わってくるわけでありますけれども、いずれもまた対ソ貿易の点を考えましても、あるいは裏日本という特殊な気候状態にあるところのことを考えましても、日本の国土開発のために必要であることは、これは間違いないのであります。そこで、一体その資金計画をどう考えたらいいのか。これは私、建設大臣だけで構想を立ててみましても、実現ができるかどうかという点で危ぶまれる問題でありまして、やはり政府・与党一体となって、次の五カ年間には一体どういうものをつくり上げ、その資金はどういう方法で調達するか、その次はどのような計画でどのような資金の裏づけをするか、これをきちっときめてかかりませんと、ただしゃべるだけであって実現できません。ですから、私どもとしましては、私は私なりの一つ資金についての構想を持っておりますけれども、それをいまここで申し上げてみても、私自身の構想にすぎませんから、その点には触れませんけれども、われわれとしましては、いずれ現在やっております五カ年計画は、四十二年ごろには——四十二年といいますと再来年でありますが、再来年あたりには、新しい構想のもとに計画を立て直さなければならぬだろう。四十三年を待たずして、四十二年ごろには構想を立て直さなければならぬだろうということは、政治的な感覚といいますか、われわれの体験からいって、それはそうせざるを得ないだろう。その際に、縦貫道路をどの程度やるか、あるいは横断する道路を一体どの程度のものを考えるかということをしっかりと計画を立て、実行に移す手段を講じていかなければならぬ、こう思っておりますので、ただいま先生のお尋ねにそのまま簡明直截にお答えすることができないのでありますが、そういう考え方のもとに、少なくとも次の五カ年計画の場合には、その一部でもひとつ達成するように努力したい、こう思っているわけなんであります。
  20. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 これはお答えいただかぬでもいいんですが、いずれにせよ、関越自動車道路の問題は、日本の刻下の問題として重要な問題でありますから、なるべく調査その他資金計画を急いで、早急に着手されるようひとつ希望いたします。     —————————————
  21. 河本敏夫

    河本委員長 ただいま委員長の手元に八田貞義君より本案に対する修正案が提出されております。
  22. 河本敏夫

    河本委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。八田貞義君。
  23. 八田貞義

    ○八田委員 ただいま議題となりました建設省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略さしていただき、その要旨を申し上げますと、地方建設局に委譲することとしている事務のうち、補助金等の配分に関する事務を削除することであります。  その理由を簡単に申し上げますと、原案では、現在本省で所掌している一般行政事務及び補助金関係事務にわたってその実施事務の大半を地方建設局に委譲し、地域の特性に応じた建設行政の実施を促進するとともに、所管行政の合理化をはかろうとしているのでありまして、このことはおおむね妥当な措置であると認められるのであります。しかし、委譲事務のうち、補助金等の配分に関する事務については、広い視野からやはり中央において行なうことが適当であると考え、また、臨時行政調査会の答申の趣旨からも、この際これらの事務を本省に留保することにいたそうとするものであります。  何とぞ御賛同あらんことをお願いいたします。
  24. 河本敏夫

    河本委員長 以上で説明は終わりました。  この際、本修正案に関し発言を求められておりますので、これを許します。永山忠則君。
  25. 永山忠則

    ○永山委員 本修正案並びに本案に対しまして、政府の所見を承っておきたいと思うのでございます。  修正案は、一般補助事業の中で、予算の要求と予算の配分を本省に残しておるのでございます。しかし、補助金の交付事務は地方建設局に委譲されることになりますが、補助金の交付の中には、申請書の受理や、審査や、現地調査設計変更等の事務がなお地方に残されまして、本省と接触する部面が相当あると思われるのでございます。それがために、やはり二重行政の弊が全く除去されたとは言いがたいのでございます。また、監督も地方局に委譲されておりますので、二重監督の弊におちいる憂いはないか、また、都道府県の自主性を阻害した権力主義の監督が行なわれるのではないかというようなことも、憂慮されておる向きもあるのでございます。したがいまして、政府は、今後本庁と地方局と都道府県との三者の間の緊密なる連携をとられまして、これら二重行政、二重監督の弊におちいることなく、円満なる行政の運営につとめられるよう配慮をされたいというのが一点でございます。  次は、本案通過にあたりまして、地方建設局は、事務委譲によりまして、河川、道路のみならず、新たに都市計画、住宅関係等の事務をも所掌いたしまして、総合的な地方行政を行なうことになっておりますが、それはどこまでも地域の特性を十分考慮して、地方の実情に即したる科学的基礎の上に立って行政を行なわるべきものであると考えます。ことに新設の計画部は、本省の企画立案のための地方の実情に即したる技術的基礎調査及び技術資料の収集、解析を行ないまして、きめのこまかい科学的裏づけを検討することがおもなる内容と考えられるのであります。それがためには、計画部にはその道の権威、技術専門家を充てるとともに、人員、組織等の整備、充実をはかりまして、建設行政の科学的、合理的運営の実をあげられるよう配慮されたいのであります。建設省が今日までとってきております技術尊重の慣習をどこまでも尊重をされ、いやしくも技術が行政に奉仕したり、あるいは地方ボスの政治的支配に屈従することのないように、特段なる留意をされることをここに要望をいたして、大臣の所信を伺いたいと存ずるものでございます。
  26. 小山長規

    小山国務大臣 補助金の配分の事業に関しましては、われわれの原案におきましては、これは地方の実情に即するようにするためには、本省よりも地方建設局のほうが実情に即した配分ができる、こういうふうに思って原案をつくったわけであります。ところが一方においては、いま修正案その他でお話がありましたように、全国的な視野で本省でもって配分したほうがいいじゃないかという御議論のあることも、また承知いたしておりますし、そういう考え方も決して無理な注文ではない、こう思っておりますから、院議をもって補助金の配分事務は本省に残すべきであるということがきまりますならば、われわれとしては異存はありません。そのようにいたします。  それからもう一つの二重行政のことにつきましては、われわれとしましては、極力二重行政を排除するという考え方でこの原案をつくっておりますので、実施にあたりましても、あらゆる部門を通じまして二軍行政にならないように、さらに細心の注意を払いたいと思います。  さらにまた、計画部には、仰せのとおり、住宅や都市やいろいろな行政事務が今度入ってくるわけでありますが、これはむろん科学的な基礎に立ってこういうものはやるべきものでありますし、地方の実情に即したものでなければなりません。おっしゃるように技術が行政に奉仕するというようなことは万々あるまいと思いますが、そういうことのないようにあらゆる面で配慮を加えていきたいと思っております。     —————————————
  27. 河本敏夫

    河本委員長 本案についての質疑を続けます。大原亨君。
  28. 大原亨

    ○大原委員 第一の質問は、建設省の綱紀粛正ですが、建設者の高級公務員がその地位を利用し、あるいはそういう行政上の権限をもって金を集めたり票を集める、票を割りつける、こういうふうなことは、私は公職選挙法あるいは公務員法の法律に違反をすると思うのです。参議院選挙戦がいよいよ本格化しておるのですが、これにつきまして大臣のお考えをひとつはっきりさしてもらいたい。これは、農林省でも、通産省でも、どこでもあるわけです。最近そういう情報がどんどん出ております。建設省につきましては、これは前科があると言っちゃ何ですけれども、いわく因縁のあるところですから、その点をひとつこの際、機構の改革ということも問題ですけれども、そういう公務員の規律という問題につきまして、特に選挙との関係において大臣考え方を明確にしてもらいたい。
  29. 小山長規

    小山国務大臣 就任以来、綱紀粛正については、部内においてもあるいは部外に対しましても、私の考え方をたびたび申し上げております。そしてその実績はあがっておると確信いたしておりますけれども、特に選挙にあたりましては、いままでとかくそういううわさものぼりがちであった事実もあるわけでありますから、特に気をつけまして、いやしくも選挙にあたって職員が金を集める、こういうことは絶対やらしておりませんし、またそういう事実は全然ありません。ありませんが、なお今後においても、そういうような問題は絶対に起こさせない決心で事に当たっております。そういうことでありますから、この点は、ひとついままでの実績をごらんいただいていると思いますから、御信頼を願いたいと思います。
  30. 大原亨

    ○大原委員 高級公務員あるいは各種公務員が、その地位のいかんを問わず、自分の意見を自由に表明する。どういう政策がよろしいとか、あるいはどの政党の政策を支持するとか、そういうことは、言論の自由ですから、憲法の範囲内です。ただし、職務権限を利用して、あるいは税金を使って金を集めたりあるいは票を集めるということは、結局は回り回って国民の税金をかすめとるということになりますし、あるいは特に票集め等をやりますと、その結果というものは、出てまいりました政治家と業界とのくされ縁ということになりまして、その仲立ちを公務員がするというふうな悪循環になると思うのです。これは建設省自体のみならず、各種の公団、その他各種にわたってこの問題は厳粛に規制をしないと、規律を立てないと、日本政治の信頼というものはあり得ない、こういうふうに思うわけであります。一応の決意は表明されたわけですが、地位や権限を利用して金集めをしない、票集めなんかをしない、こういうことについて言われたのですが、たとえばそういうことで、票集めなどをするというふうなことについてはどうですか。
  31. 小山長規

    小山国務大臣 票集めとおっしゃる意味がよくわかりませんが、いやしくも公務員は選挙運動をしてはいけないわけなんですから、選挙運動は絶対に禁止しております。
  32. 大原亨

    ○大原委員 これは警察官出身の人でしたけれども、平井官房長、あの人が御承知のような問題を起こしたわけです。あれの前官房長のやった手口というのは、どういう手口なんですか。
  33. 小山長規

    小山国務大臣 私の就任前のことで、手口までは知りませんし、またあるいはそういう内容についてはまだ捜査途上にありまして、おそらく検察当局からお聞きになっても、まだ言明できない段階にあると思うのでありますが、いずれにしましても、私は就任以来、前にそういう事件もあったことでありますから、特に二六時中といいますか、そのことだけを考えておるわけではありませんけれども、ともかくその点については非常な細心の注意を払いながら行政の指導をいたしておりますから、私の在任する限りは、絶対にそういうことは起こさせません。
  34. 大原亨

    ○大原委員 数百万円にわたる金を業者に割りつけて、これを持ってこいというようなことは、私は役人としてもやりたくはないと思うのです。それはやはり大臣がその点はきちっとしていなければならぬと思うのです。それは警察官上がりの役人というのは、そういう手口もよく知っているから、そういうことはやられたのかもしれません。そのために、それを選任したのかもしれません。そういうことはいろいろあるでしょうが、しかし、少なくとも大臣は、そういう点については一切きちっとした規律を立てて、そういうことはしてはならないことだという常識を、良識を省内に確立しておかなければいかぬ。私は小山建設大臣についてそういう話は最近聞いておりませんが、しかし、その点については、こういう点は歴代の大臣責任を持って、そういうことは断固として、公務員の職責ではないし、法律に違反をした行為である、こういう点については明確にしておかないと、オリンピック道路その他たくさんやりましたけれども、これからいろいろな天変地異があれば、そういうときになると事態がはっきりするかもしれないが、それはともかくとして、とにかくこの点についてはたくさんの金を使っているわけですから、そういう点については、技術的にも、だれが見ても客観性のある仕事をやる、そういうことと一緒に、そういう疑惑は一掃しなければならぬ。その点につきまして、あなたは留任をしてもらいたいと思うけれども、それを含めて、大臣として、この設置法を審議するにあたって、それについてもう一度、これはくどいようですが、明確にしてもらいたい。
  35. 小山長規

    小山国務大臣 たびたび申しますように、就任以来、私の考え方、態度、それから姿勢というものは、省内全部が知っております。したがって、そういうおっしゃるようなことをかりに私に申し出たりあるいはそういうことを考える余地がないような雰囲気に、すでに建設省はでき上がっておりますから、その点は御安心を願いたいと思います。(発言する者あり)
  36. 大原亨

    ○大原委員 中村先輩から、そのあと事態収拾の経過はどうかというふうな、あとから御指示があったようですが、それはともかくといたしまして、そのことについては、選挙の前ですから、天下公知の事実だが、先輩その他が出ておるわけです。それから現在の議員との関係もあるわけです。だから、その点については、省内の地方建設局その他各種の会議において、私はあらためてその点について大臣の決意をひとつ徹底するような、そういう措置をとってもらいたい。重ねてとってもらいたい。われわれとしては、国会といたし益しては、基本に関する問題といたしまして、この点を強く大臣要望いたしておきたい。もしそういう高級官僚その他権限や地位を利用して金集めや票集めをするような事実があったら、これは小山建設大臣がたとえやめていても、ここに出ていただきましてやりますよ。だから、その点については十分徹底する措置をとってもらいたい、その点を要望いたしますが、この点についてひとつお答えをいただきたい。
  37. 小山長規

    小山国務大臣 何度もお答えいたしますように、ともかくもそういうような御心配のあるような雰囲気では絶対ないようにでき上がっております点を、重ねて申し上げます。
  38. 大原亨

    ○大原委員 第二の問題は、住宅供給公社法案につきまして、先般私は建設委員会に出まして、一両日にわたりまして質問をいろいろいたしました。大臣からやや前進的な前向きの答弁もありました。この設置法によりますと、宅地部を設けまして、宅地行政につきまして一元化をはかっていく、こういう趣旨があります。これについては一部反対も批判もあるようですが、私は宅地行政を一元化していくことは賛成です。ただし、一元化しただけでは何にもならない。宅地行政をぴしっと確立することが大切であります。だから、この土地問題は、私はここでいろいろとまたダブって議論はいたしませんが、今日非常に大きな政治の基本に関する問題であります。つまり貯金した利子よりも土地がべらぼうに上がっておる。それで土地が投機の対象となる。そして物価は上がって、貨幣価値は下落をして、株は下がる、そういうふうなことで、結局は土地とか宝石とかいうような換物的な考え方というものがびまんをしておる。そのことが、日本の経済全体の物価の上昇の悪循環の一つの大きな基礎にもなっておる。そういう意味におきまして、日本政府の土地行政というものは、落第であります、全くなっておらぬわけです。先進諸国で、こういう土地問題のべらぼうなことはない。あとにも農地法の問題でいろいろ議論があるのですが、ほんとうに二束三文で土地を買い上げてべらぼうに上がったという近郊の土地問題があるのですが、これは農地だけの問題ではないのです。そこに問題があるけれども、これは土地を投機の対象にして、しかも、ある場合においては政治家も介在する、こういうふうな事態にもなる。そしてこれは吹原産業だって、土地をずいぶん目当てにして、ばく大な二十億、三十億を回収しようというようなことを彼は意図しておる。国有地の払い下げとかいろいろな問題がある。だから、土地政策を確立するということは、物価その他の日本政治の基本の問題である。社会開発などと口幅ったいことを言っても、ここにも書いてあるけれども、土地政策一つできないようなことでは、これは政治はない。だから、本年度はもちろん来年にかけまして、徹底的にわれわれはこの点を国会の責任において追及をしたいと思うわけです。だから、土地政策に対するいまの段階における大臣の見解をこの際明らかにしてもらいたい。
  39. 小山長規

    小山国務大臣 土地の問題については、もう各種の委員会でたびたび申し上げておりますが、非常にむずかしい問題であることは、与野党を問わずおわかり願っておると思うのであります。しかし、むずかしいままでほうっておくわけにいかない状態でもありますので、内閣では閣僚懇談会をつくりまして、われわれのほうでその原案をいまつくっておるわけでありますけれども、一つには、たとえば住宅団地などを造成する場合に、どうして原価の安い住宅団地をつくることができるか、それには法制上の手続は一体いまのままでいいのかどうかという点で、たとえばいま市街地開発法というような新しい手法を研究しまして、いま何とかこの国会に間に合わせたいということで、法制局や法務省と詰めている段階なんでありますが、新聞の論調や世間の評判を聞きましても、非常にうまい考えだと言われておりながら、実際法制上の問題となってきますと、非常なトラブルあるいは難点が出てきておりまして、それでいま進行しない状況なんでありますが、これも何とか障害を押し破って、あとわずかの残された国会の期間でありますけれども、この間に間に合わせたいというので、いま督励をしている最中であります。そのほか、たとえば土地収用法はこのままでいいかどうか、この点にもひとつメスを入れたいということで、あらゆる角度から検討さしておるわけであります。結局は、自由主義経済のもとにおいて土地の私有を認めておる場合に、その土地の価格として時価でもって買うことがいいのか悪いのかという問題に最後にはぶつかってくるわけであります。時価よりも安く買うことが一体可能なのかどうか、この点が、要するに私有財産、自由なる財産を認めておる憲法と一体抵触するのかしないのか、この問題に最後にぶつかってまいります。そこで私どもとしましては、時価主義というものを放棄することは、おそらく不可能であろう、おそらくむずかしいであろう。そこで時価というものは、一体いつの時価をとるのか。長い間ほったらかして、たとえば収用法で事業認定をしてから緊急裁決をするまでの間に一年も二年もかかって、緊急裁決のときの時価であると、最初に売った人は非常に安い時価で売ってしまう、ねばった人は高い時価で売る、その間の不公平も出てまいります。そこで、これを事業認定のときの時価に直せないかということを、いま研究を命じておるのであります。たのほか、たとえば一つ道路ができたり団地ができたりしますと、非常によく整備された土地、あるいは便利になった土地の周辺が、非常に値上がりするわけであります。その周辺の値上がりを一体ほうっておいていいのかどうか。現在、たとえば固定資産税という制度があります。あるいは土地の譲渡所得税という制度がありまして、値上がりした分あるいは評価が上がった分については税でもって吸収する道がありますけれども、これが十分に動いているかどうかという点も、いろいろ検討しなければなりません。そういう点の税制上の対策考えていかなければなりませんが、同時に、その開発された土地及びその周辺との問のバランスが、一体これでいいのかどうかという点も検討の対象にして、そのバランスをくずさないようなうまい土地の収用方法はないものか、あるいは賢い上げの方法はないものかというような点も検討いたしておるのでありまして、近くこの問題は、われわれの原案を閣僚懇談会に出しまして、ひとつこれでいこうということになりましたならば、政府全体としてそれに邁進していきたい、そういうことでいま準備を進めております。決してほうっておくのではないのでありまして、問題があまりにもむずかしく、かつ広範多岐にわたっておりますので、現行の制度との矛盾を解決しながらやっていかなければなりません。そして着実に、しかも効果のある方法をやっていきたい、こういうことで真剣に検討しておりますことだけは、ひとつ御了承願いたいと思うのであります。
  40. 大原亨

    ○大原委員 これは議論すれば切りがないわけですが、大切な点を一、二申し上げるのですが、その時価とは何かという問題があるわけです。大臣の御答弁を聞きますと、時価というものはだんだん上がってくるものだ、こういうような前提でお話しであります。将来も上がるのだという前提の対策お話であります。現在も上がっているわけですからそれはそうですか、先進諸国では、もうすでに解決しているのです。ほかの国は、この問題を解決しているわけです。そこで問題は、資本主義経済の中で、私有財産との関係で、土地というものに対して公共性という観点からの価格の規制、そういうものができるかできないか。この点をやらないと、税金を払っても、結局は地方自治体その他を含めて、どんどん単価が上がって、公営住宅といったところで、半分くらいしか国は見てくれないということになっている。実際上は地方財政を圧迫している。住宅建設は進めない。こういうことは私はむし返して質問しないけれども、そういうことになっていて、結局は全部国民に返っておるわけですから、土地は公のものであるという、あるいは国のものであるという観点までいくかどうかは別にして、公共性というものについてはっきりした一つの腹がまえをして判断をして諮問機関にはかるなりあるいは諮問機関の答申を実践するなり、そういうふうなことについて、私は政府、特に建設大臣は明確な見解を示さないと、この政策は進まないと思う。その私有財産、資本主義経済下における公共性の問題について、土地政策に対する考え方を大臣は明確にすべきではないか。この点につきまして、ひとつ御質問したい。
  41. 小山長規

    小山国務大臣 その割り切り方が、どの角度からそれを割り切ったらいいかという点に苦心をしておるところなのであります。つまりいまお話のように、土地は需要供給の原則である程度上がってくるわけであります。需要が多ければ、土地は再生産ができないのでありますから上がってきますけれども、上がり方が急激であってはいかぬわけであります。それはあくまでも国民所得の水準に応じた上がり方でなければならぬはずでありますが、どのようにしてそれを抑えることができるか。そこで、いまの鑑定士の制度というものをつくったのでありますけれども、まだこの鑑定士の人数が十分でありません。公共用の土地収用に使うほどの人数も、まだそろっておりません。この鑑定士を急速にもっとたくさん養成することも考えなければなりません。鑑定士の数がそろい、そして権威のある鑑定士がたくさん出てくれば、おのずから働く余地はたくさんあります。そしてその鑑定士の鑑定した評価額でなければ国あるいは地方公共団体は土地を買ってはいかぬ、そういうふうな制度をつくり上げることは可能なんでありますけれども、鑑定士の人数の問題が今度は出てまいります。そういうことで、一方においては優秀な鑑定士を養成し、同時に鑑定士によって評価された土地でなければ買ってはいかぬという制度をつくり上げる、そういうふうなことをひとつ考えてみられないかということで、いま諮問をしておるわけなんであります。土地の問題については、公共性の問題と私有財産の問題との間に非常にむずかしい区分、議論の点が出てまいります。また、あまりにも公共用の土地だけを凍結しますと、今度は周辺の公共用地に関係のない土地とのバランスの問題が出てまいりまして、不公平の問題が出てくる。それがまた当然政治問題になってくる。農地報償の問題が起こっておりますのも、それからくる問題でありますが、それと同時に、不公平の問題がまた政治問題になってくる。一方においては、日本のように零細な地主ばかりでありますところでは、その自分の持っておる全土地あるいは土地の大部分を安い時価で収用されたとなりますと、今度は生産保障の問題が出てくる。そういう特殊な事情もありますので、外国の例をそのまま日本に持ってくるわけにはまいりません。そこで、日本の国情に合った、しかも何人も納得できるような制度はどうやったらつくることができるか、そういう点を目標に置きながら、いま制度審議会の方々にも問題を出しまして、研究を願っておる最中であります。
  42. 大原亨

    ○大原委員 建設大臣の答弁、きわめて不満足ですが、この点は時間の関係で……。この点を明確にして諮問しないと、幾ら諮問しましても、諮問を受けた者はああのこうのいろいろな意見を出すだけで、だめですよ。これはもう少し明確にしてもらわなければならぬ。これはどこでも、各国でやっている。地価がべらぼうにどんどん投機的に上がっていく、それから物価が上がっていくというのは、これは政治じゃないわけですよ。それは強い者勝ちの、いわゆる弱い者いじめの政治だ。日本全体、政治不在ですよ。一方では汚職をやる。吹原産業の二十億円、三十億円という裏には、政治家の暗い陰がある。黒い金も動いておる。そういうことですよ。そういうことは、私は政治じゃないと思うのですよ。土地問題は、きわめてものの価値に関係する問題で、生活安定、住宅政策とも関係が深いので、この点については明確にやってもらいたい。  そこで、私は前に建設委員会におきましても質疑応答いたしましたが、それらの問題も含めて、民間が建てる住宅に対する総合施策も含めて、政府施策住宅その他のいままでの不備な問題等も含めまして、政策をきちっとするという意味で、住宅基本法的なものをつくって、そして宅地の問題と一緒に住宅の問題について総合的な政策を確立すべきではないか、この点については大臣の御答弁がありましたが、ここであらためてこの問題に関連をいたしまして所信を明らかにしてもらいたい。
  43. 小山長規

    小山国務大臣 建設委員会で申し上げましたように、私としましては、住宅政策の基本的な考え方というものをきめまして、そして基本法的なものをぜひつくり上げる必要がある、これは大原さんと同じ意見であります。同時にしかしながら、その問題とからめて今度は土地問題——土地問題は住宅問題だけでなくて、道路に対する土地の問題もありますし、河川に対する土地の問題もありますので、土地の価格が非常な急激な上がり方をすることをどうやってチェックするか、この点に焦点を合わせて研究を進め、できるだけ早くその結論を得たい、こういうふうに苦心惨たんしておる最中なんであります。
  44. 大原亨

    ○大原委員 先般も指摘いたしましたが、最近ますます多くなっておるのですが、不良な不動産業者、つまりインチキ広告、誇大広告をどんどんやります。新聞を見てもそうです。ずいぶんある。行ってみるとまるきり違う。その施設もない。そういうビラがたくさんある。そういうインチキな誇大広告をする不動産業者は、その許可をきちっと取り消すべきではないか。そういうことで零細な、土地がほしい、家がほしいというような人々を迷わせておる。これは正当な商業行為以外の問題ではないか。その点につきまして、私は明快な大臣方針をこの際お聞かせいただきたい。
  45. 小山長規

    小山国務大臣 御承知のように、四月一日から不動産業者は認可制になっておりますから、したがって、いやしくもいまおっしゃったような事実があります場合には、どんどん認可を取り消すことができるわけであります。ですから、一方において、そういう不良な業者を取り締まることも大事であります。公正取引委員会あるいは警察当局と連絡をとりまして、そして不良業者の摘発もやってもらわなければなりませんが、同時に、そういう不良な行為のあった者は、不動産業者として適切でないわけでありますから、どんどん認可を取り消していく、こういう方針をとりたいと思います。
  46. 大原亨

    ○大原委員 その点は特に明確にしてもらいたいと思います。特にこの点は四月一日からそういう制度になったわけですから、いまラジオを聞きましても何を聞きましても、新聞の投書を見ましても、ひっかかった話が一ぱいあります。実際にはそれ以上のたくさんの事実があるわけでありますから、こういうインチキ広告、誇大広告——ぼくは薬の問題をずいぶん議論したけれども、土地その他宅地についてインチキを言って人をごまかしておいて、登記もしてないようなものをやったり、そういうインチキな業者につきましては、厳正に取り締まってもらいたい。  それから第三の問題。これは先般原爆スラム街の問題を社会労働委員会で議論いたしました。建設省からは課長、説明員しか見えておらなかった。これはこまかな質問をすることはできませんが、自民党、民社、社会党が現地に参りまして、原爆スラム街−太田川の流域あるいは長崎等の一部において、生活に刀折れ矢尽きた人がスラム街的なものを形成しておる。そこにいろいろな便乗者も入っておるわけですが、相当のそういうブロックを形成いたしておるわけであります。そういう政策は、住宅だけでは立たぬわけであります。河川法上河川局や、あるいは都市局、計画局その他が総合的な計画を立ててやるべきであるということにつきましては、先般の社会労働委員会におきましても、原爆医療法に関する附帯決議を与野党一致してつけました。総合対策を立ててもらいたい。住宅局、河川局あるいは都市局、計画局その他が総合的にその問題を立ててもらいたい。河川の利用計画、太田川の改修等も相当進んでおるわけですから、そういう中におきまして、この問題を、住宅政策を解決してもらいたい、こういう強い要望があり、与野党一致で附帯決議をつけたのであります。この点につきまして、建設大臣としては早急に関係各局が打ち合わせをしていただきまして、この事態が解決できるように善処願いたい。こまかな質問をいたしませんが、これにつきまして大臣の見解をお伺いしたい。
  47. 小山長規

    小山国務大臣 このスラム街解消につきましては、一方において公営住宅をつくりましてそこに移ってもらうとか、あるいは生活補導の問題もありましょうし、地方の自治体と連絡をとってやらなきゃならぬ面も、たくさんあると思います。十分に連絡をとりまして、御趣旨に沿うような方策を立てたいと思います。
  48. 大原亨

    ○大原委員 それから第四の質問ですが、この設置法で大学校ができるわけですね。この大学校を卒業しました人の資格は、どういうことになるのですか。
  49. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 大学校の講座はいろいろございますが、一定の期間以上やります講座につきまして、それを通った者につきましては、これは人事院の承認が要りますが、特別昇給をやるとか、そういう措置をとっております。
  50. 大原亨

    ○大原委員 たとえば新制大学卒業と同じとか、給与についてもやはりそれに準ずるとか、経験年数を計算しながらそれに加えていくというような、そういう措置をとるのですか。  もう一つ、文部省の学校教育法でいえば、どういうのですか、各種学校ですか。
  51. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 これは学校教育法にいう学校ではございません。部内の職員あるいは地方公共団体、公団等の職員の養成、訓練に当たる機関でございまして、学校教育法によるものではございません。養成機関でございます。したがいまして、どれを卒業いたしました場合に、学校教育法にいうどの学校を出たものとみなすかというふうなことは別に定めておりませんが、一定の課程を通った者につきましては、ただいま言いましたような給与上の措置はいたしております。
  52. 大原亨

    ○大原委員 私もこまかな法案研究をしていないのですが、大学校の校という字をつけるのは、どういうことなんですか。
  53. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 大学といいますのは、これは学校教育法にいう大学でございまして、文部省所管の一般の大学でございます。各省に設けられております職員の教育訓練機関につきましては、それとの区別をするという意味もございまして、大学校という名称を付しております。
  54. 大原亨

    ○大原委員 そうすると、この大学校というのは、特に名前を変えられたのは、名前がいいから変えたのですか。
  55. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 これはある程度整備いたしました教育訓練機関につきましては、これは政府職員等の内部訓練でございますけれども、そういうものにつきましては、各省とも最近におきましては大学校という名前にいたしております。それに従って、建設省の場合も相当整備されましたので、大学校という名称に改めたい、かように考えたわけです。
  56. 大原亨

    ○大原委員 法制局の段階を通じて、いろいろと意見があったと思うのですよ。他の省との関係ですね。他の省も、研修所はすべて大学校にするのですか。
  57. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 各省ともすべて大学校になっておるかどうか、多くの研修機関につきましては、たとえば自治大学校であるとか、消防大学校であるとか、海上保安大学校であるとかいうふうな名称になっております。
  58. 大原亨

    ○大原委員 あなたは法制局といろいろ話をされたと思うが、私もお聞かせ願いたいのですが、各省の研修所、これは大学校という校をつけて、みんな大学校にするのですか。大体そういう政府方針なんですか。
  59. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 大学といいますのは、先ほど申しましたように、学校教育法の大学でございまして、各省に置かれております研修機関は、これは学校教育法の機関でございませんから、校という名前をつけて、区別いたしておるわけであります。
  60. 大原亨

    ○大原委員 ちょっとよくわからぬところがありますが、以上をもちまして……。たくさんございますが、このくらいで……。特に綱紀粛正をずっとやろうと思ったのだけれども、時間もありませんから……。
  61. 河本敏夫

  62. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 入札問題に関連をいたしまして、一言だけお伺いをしておきたい問題があるのです。下筌ダムの、ダム工事の入札は明日と聞いておりますが、そのとおりですか。
  63. 国宗正義

    国宗説明員 下筌ダムにつきましては、昭和四十年度に本体事業にかかる予算を予定いたしております関係上、本年の遠くないうちにその段取りに入りたいと思っております。明日ということには相なっておらないと承知いたしております。
  64. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その指名業者の中に、名神高速道路工事に関連をして不祥事を起こした関係人がその指名業者の中に加わっておると聞きますが、事実ですか。
  65. 国宗正義

    国宗説明員 指名業者につきましては、いまおいおい準備中でございますが、具体の名神とおっしゃるのは、あるいは首都高速公団におきまして建設省から行政処分をかつて受けたことのある業者のことかと存じますが、当該の業者につきましては、すでに行政処分上、あるいは指導監督上の問題を終了いたしたものでございますので、それらにつきましていつまでも差別をするということは、かえって不公正かと考えておるわけでございますが、ダムにつきましては、それらの経験年数その他の実績を客観的にきめまして、一般のルールによってきめられることに相なったと思っております。
  66. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その指名停止をされておったのが七急速解除をされて、この下筌ダムの工事に間に合うように、時期的に考えてそのような疑いを抱かせる措置がある。私は開運ですから、多くをいまは言いません。しかし、これは十分気をつけておってください。何らの疑惑の起こらないように、公正な措置をこの入札問題についてはやっていただきたい。これを、要望して終わります。
  67. 河本敏夫

    河本委員長 大出俊君。
  68. 大出俊

    ○大出委員 もう簡単でけっこうです。いまと同じ内容なんですが、この間認定結果の報告提出をお願いしておいたのですが、これとからみますから、またいまの問題ともからむのですが、横浜のある業者建設省の仕事を請け負ったわけですが、正確に言うと、三千九百三十八万円の仕事を横浜国道工事事務所の湘南国道影取地区拡幅工事、これを請け負った会社が、ことしの二月警察の全国暴力団取り締まりにひっかかって、社長が検挙されておるわけですが、こういうことを御存じでこの会社に仕事を請け負わしたわけですか、念のために承っておきたい。
  69. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 横浜のただいま御指摘工事につきましては、これは地建限りでやっておる工事と思いますが、私どもそういう報告は受けておりませんので、調べまして一緒に報告いたします。
  70. 大出俊

    ○大出委員 それは名前を申し上げたほうがいいと思いますから申しますが、私が持っております資料によりますと、名称は磯組というのですが、この社長さんは、前科があったって、それはいまりっぱにやっておられればそれでいいのだけれども、検挙されたのが本年の二月ですからね。ということになりますと、これはやっぱり穏やかでないということになりますので、御存じなければいたし方がないのですが、あわせて御調定の上連絡をいただきたいわけです。
  71. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 承知いたしました。調査の上御報告いたします。
  72. 河本敏夫

    河本委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  73. 河本敏夫

    河本委員長 これより原案及び修正案を討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。
  74. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 今回提案されました建設省設置法の一部を改正する法律案について、社会党を代表いたしまして、反対の討論を行ないたいと思います。  第一点は、行政事務の分配についての問題でございますが、日本国憲法における地方自治の本旨の要求のもとに、従前の中央集権的官治行政が排除されて、地方分権的自治行政をたてまえとすることになったわけでございますが、公選の知事及び地方公共団体、行財政能力への過度の不信感と、自己の権力を拡張せんとする官僚のセクショナリズムが、各省庁とも競って地方支分部局を乱設し、また、国の事務の委譲は容易に行なわれずに、かえって従前よりも増加する傾向に今日なっております。そこで地方自治法第百五十六条及び国家行政組織法第九条の規定が設けられて、国会の承認、法律によるべきものとして地方支分部局を仰制する措置がとられておるのであります。しかるに、その後におきましても、地方支部局の整理は遅々として進まず、最近におきましては、旧憲法下の制度への復帰を示唆するような傾向さえも見られるという状態であります。臨時行政調査会が行政改革の意見として示しました方向というものは、御承知のように、国と地方公共団体との間の事務配分の原理を確立し、これに基づいて、現在の国の事務とされているもののうち絶対に国に留保をすべきものを除きまして、その他はできるだけ地方公共団体に委譲をし、その結果、地方史部局はできるだけ廃止し、または地方公共団体に統合すべきであることを示すに至っておるのであります。しかるに政府は、この勧告を尊重すると称しながらも、根本的な改革の前に、官僚の攻勢の前に既成事実をつくり上げ、地方支分部局の強化に乗り出し、国の総合的地方官庁化への方向を許容するに至っておるものであります。すなわち、今日まで困難、複雑、高度の技術、一つ地方公共団体以上の地域にわたって国土総合開発上大規模な工事について現業官庁としてその任務を全うしてまいりました地方建設局を行政官庁化して、議会のコントロールが直接に及ばないところにおいて地方公共団体を管理、監督し、規制しようとしているのであります。補助金行政にかかるものが、全国知事会等の要望によりまして、ここに修正をされることになりましたことは、二重行政の弊害を少なくし、誤りを少なくすることにおいて国民の期待に一応沿い得るものであるといたしましても、基本的には、現在の政府が行政事務の再配分等について、ことしの秋を目ざしまして検討が加えられ、国民のための行政にすべく前進を始めているときに、朝令暮改のそしりを招くようなこの種設置法の改正については、慎重に対処すべきであるという立場から、まず反対をせざるを得ないのであります。  第二の問題点は、二重行政の問題であります。地方建設局の業務内容が現在の十一項目から三十二項目にわたって拡張され、省の所掌事務の分担業務の増加がなされましたが、事務委譲に伴う権限と責任が根本的に改正をされておりませんので、行政組織法上の対外的な権限と責任が、国民の前に示されるに至っていないのであります。すなわち、行政組織における内部的な権限が、人民の権利義務に関連をする行政組織の対外的な権限たる性質を持つという行政法上からの問題において、上級機関たる本省と下級機関たる地建とが、今後の規程、訓令、通達等によって基準が設定をされることに相なるわけでありますけれども、内容は今後において検討をされるという形になっておる状態でありまして、第三次的な事務配分がいたずらに現在の法律の上において列挙されているにすぎないで、最終的の権限は本省に属するという職務と権限内容の不明確さを現実においては露呈しておるわけであります。こういう立場から、管理、監督の強化が所管行政に関する監察事務等とともに広範に行なわれ、いたずらに責任を持たない権限の拡大行使がなされるおそれが派生する。しかも本省とだぶついてなされる可能性が生まれる危険性があるわけであります。こういうような意味において、二重行政の弊を十分に阻止していかなければならないというたてまえから、この問題については残念ながら賛成をすることができない現状でございます。  第三の問題点は、事務員と労働量の強化に対応できないという問題であります。第一義的に新規に委譲する事務内容を調査した場合に、補助金事務を除いたとしても、届け出書類関係、登録、試験、計画立案、金額の少ない国の事業の執行、案の作成、付帯工事、簡易な許可、代執行、強制徴収、工事施行命令、軽易な監督、報告、受理、協議、監督、調査、軽易な勧告、計画の承認等、雑多な軽易のものについて、行政の業務量が大幅に増加するとともに、公共事業費の増大、特に建設省関係の予算は、長期計画のもとにおいて、治水をはじめ道路あるいは都市施設、さらに住宅等、予算は本年度一五・二%の増加率を示しておるわけであります。事業量においては五千二百五十四億に増大をしておるのでありますが、それにもかかわらず、定員が一名も増員をされないという形で施行されようとしております。しかも新河川法の施行に伴いまして、一級水系については従来都道府県知事が行なっていた河川管理業務が大幅に地建に移管をされ、新道路法に基づいて旧二級国道の管理権を一般国道として国に取り上げ、意欲的に新たに住宅、宅地対策、下水道整備等を進めるという方向をとりながらも、定員の純増が一名もないという状態であります。直営事業を請負事業に転化し、職員の再配置計画をつくる中で、労働組合の諸君との間において十分な話し合いが行なわれず、そのために職員は不安感と不信感を当局に持ち、当局は管理運営事項の問題として、事務委譲は行政職(二)の諸君の問題とは関係がないという立場を主張するのみで、国会から話し合いを求められて、本省段階では一応の説明がなされましたが、地建や事業所段階では何ら納得する説明等が行なわれていないのであります。労使関係は、他の省庁に見られないような不幸な存在が、今日においても是正されていないという状況にございます。この問題は長い年月の間に蓄積されるものでありますし、当局の労務管理政策には十分の責任があるといわざるを得ないのであります。省内におきます行政職のみが先行して、技官を中心とする内部の心からの支持が得られず、職員団体からは猛烈な反対を受ける法改正の結果は、その実施の段階において困難な問題に直面するであろうということは、十分に予想できるわけでございます。  最後に、過去三回にわたりまして廃案のうき目にあいましたこの法案が、新しい行政への需要に対応いたしまして若干の追加がなされて、他は廃案になったそのままの案が政府案として提出されましたが、この間において与党からさえも一部修正をされるという姿の中で可決をされようといたしております。  以上のような立場から見ましたときに、この建設省設置法につきましては、残念ながら賛成をするわけにはまいりませんので、以上の理由によりまして、日本社会党は反対の立場を明らかにして討論を終わりたいと思います。(拍手)
  75. 河本敏夫

    河本委員長 受田新吉君。
  76. 受田新吉

    ○受田委員 私は、民社党を代表して、本法案に対して希望を付した賛成討論を行ないます。  私は、先般以来の本委員会における討議の内容を通じて、一応建設省のねらっておられる新しい法律体制に対する真意を伺うことができました。当面する建設省の大業は、単に河川、道路、建設業その他の諸般の問題を広範に取り扱うという方式はありましょうが、まず国民の住まいをりっぱに盛り立てて、安住の地を与えるという必要性を強く私宅痛感しております。この点につきまして宅地部を新設して、そこにおいて強力に対策を樹立しようという真意には、共鳴を惜しむものではありません。ただ、問題は近代化される建設行政のさなかにあって、建設省が大量の職員を中央、地方を通じてかかえておるということ、これらの職員にこの建設省が目ざす新しい近代化建設行政にいかに対処させるかということについて、十分の配慮がされるかどうかという点が懸念されるわけであります。それは、地方建設局に勤務する職員、特別会計の対象が一般会計に切りかえられる、ある程度の定員の増加、こういう問題が単に机上のプランであってはならない。実質的に近代化建設行政を推進する立場から、職員個々に希望に応じてできるだけ職務に精進できるような体制にするためには、運用面において強力な施策が必要であると思います。この点、先般来の私の質疑に対する答弁を通じて、かなり具体的に現場に働く公務員たる職員の立場が理解され、それに所を得しめる施策が用意されていることを伺いました。これを実施面においてそごのないように、全建設行政担当職員におのおのその所を得しめて、近代化建設行政の推進にりっぱに貢献できるような行き届いた配慮を十分施策の上になすように希望を付して、討論を終わらしていただきます。
  77. 河本敏夫

    河本委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  建設省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、本案に対する修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  78. 河本敏夫

    河本委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  79. 河本敏夫

    河本委員長 起立多数。よって、修正部分を除いては、原案のとおり可決いたしました。  右の結果、本案は修正議決すべきものと決しました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 河本敏夫

    河本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  81. 河本敏夫

    河本委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ————◇—————    午後四時七分開議
  82. 河本敏夫

    河本委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  農地買収者等に対する給付金の支給に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。田口誠治君。
  83. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 三十日の質問に引き続いて、質問を申し上げたいと思います。  三十日の質問の過程におきまして、二つの問題を提起いたしましたけれども、数字的に調査ができておらぬということから答弁ができず、したがって計数的な問題を主として質問したいという考え方でございましたので、遺憾ながら質問を打ち切ったようなわけでございますが、その後四、五日の余裕がございましたので、政府としても資料を収集され、一つ資料要求に対して資料も出ておるようなわけでございますが、私の先日お伺いをいたしました内容は、昭和二十三年の、月はどの月にとられてあってもよろしいけれども、小作地が総耕作面積の何%に当たっていたのか、こういうことと、それからその後二十二年から二十八年までの自作農の数、それから自作を主として小作をやっておる数、小作を主として自作をやっておる数、並びに完全に小作をやっておる数を質問申し上げたのですが、当時はお答えがなかったので、きょうここに不十分ではありますけれども、一応の資料を出していただきましたので、この内容をまず御説明をいただいて、それからあとの質問に入りたいと思います。
  84. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 最初の小作地率についてでございますが、お手元にお届けいたしました表にもございますように、昭和二十年あるいは二十一年、二十二年というふうにだんだんにいろいろな統計がございますが、二十二年について申し上げますと、この調査は、臨時農業センサスという農林省で各農家に対して申告を求めた調査でございます。二十二年の八月一日現在でやった調査がございます。これは属人調査でございますから、そこにありますように、「農家(世帯員中農業を営むもののある世帯)」をつかまえておりますから、全然農業をやってなくて貸し付け地を持っておるという者が抜けておりますけれども、五百一万二千町歩のうち、小作地は百九十八万一千町歩ということで、約四〇%になっておるわけでございます。その以外の数字がそこにございまして、あるいは総耕地面積等におきましてもいろいろ差がございますが、これはいずれも調査方法の差に基づくのが第一点。  それから当然のことでございますが、農地改革が進行いたしまして小作地の比率が変わり、それから農地改革終了後も、やはり小作の方が小作地を地主の方から買い求めていくとか、あるいは地主の方が現行の農地法の二十条に基づいて小作地として貸し付けておったのを、今度は自作していくとか、いろいろなファクターが入りまして、結局三十年の二月一日現在、これは臨時農業基本調査と申しまして、やはり農林省の総合的な調査でございますが、それによりますと、総耕地面積五百十八万三千町歩、うち四十六万六千町歩、約九%程度に小作地率が減っておるわけであります。その後も、これは農地改革に直接関係はございませんけれども、現行農地法のもとにおきまして、なお小作地が減っておりまして、最近の三十五年の世界農林業センサスでは六・七%というようなことになっておるわけであります。なお、つけ加えて申しますと、四十年の二月一日現在で、現在農林省がやっておるわけでありますが、これはまだ出ておりません。なお、詳しくはそこにいろいろ定義でありますとか、調査方法の相違でありますとか、書いてございますが、一応そういう傾向になっておる次第であります。  それから第二の自小作別農家数でございます。これも調査は、大体この前の小作地率の調査の結果と同じ調査の結果でございますが、ただ前の調査にございます。ちょうど二十五年あるいは二十年からのほうでございますが、農地等開放実績調査、これは結局農地局でやりました各農地委員会からの報告をまとめた調査でございます。これは農地そのものに着目した調査でございますので、面積としては小作地率が出るのでありますが、自作、小作というような農家のそういう面からの分類は出ておりませんので、それは自小作別農家数のほうでございません。自小作別農家数について御説明申し上げますと、二十二年、これはやはり先ほどの臨時農業センサスに基づきます調査でございますが、それのいわゆる自作農であるとか、当作兼小作であるとかという定義につきましては、その備考のところにございますけれども、自作農とは「経営面積のうち自己所有の耕地が九割以上のもの。」、自作兼小作農とは「自己所有の耕地が五割以上九割未満のもの。」等々というふうに定義がございますが、それに基づきます結果といたしまして、農家総数五百九十万九千、その中に自作が三六・五%、それから小作兼自作と純粋の小作、この両方を合わせますと四三・五%というふうな数字に相なるわけであります。その後二十五年の世界農業センサスでは、この数字が小作兼自作プラス小作が一一・七%というふうになっております。その後このような属人的な自小作別農家数についての統計がございませんが、三十年の臨時農業基本調査、これも俗にセンサスと呼んでおりますけれども、これにおきましては、小作兼自作と小作とを合わせますと八・七%、それから三十五年に至りますと、小作兼自作が三・六、小作が二・九、合わせて六・五%というふうになっておるのでございます。  なお、先ほども申し上げましたが、多少約束の違う点がございますので、各数字を非常に厳密に申し上げますと、直接の連続性はないわけでございますが、大体のところ、これで傾向が十分くみ取れるのではないかというふうに考えておる次第であります。
  85. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 一応三十日の資料要求に対しては資料を提出していただき、きょう報告をいまいただいたわけですが、この内容には私の要求いたしました年度が全部入っておりませんけれども、これは私は最終的に私のほうの数字をもってお示しをするときに申し上げたいと思いますので、一応資料要求をいたしましたこの点については質問を保留いたしておきまして、次に移りたいと思います。  そこで、総務長官にお伺いをいたしたいと思います。総理府の責任で今度の法案が提出されたのでございますが、私どもが質問をいたしまするに、法務省にも関係があり、あるいは農林省にも関係があり、そうした方面にも関係があるのですけれども、大体そういう点の質問に対する回答準備というようなものはできておるのかどうか、この点をお伺いをして、もしできないということになりますと、政府委員の出席を求めなければなりませんので、まずこの点の解明をいただきたいと思います。
  86. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 一通りお答えする用意はございますけれども、しかし、ことに専門的ないろいろな部面にわたりましては、場合によりましては御要求によってそれぞれ政府委員を出席いたさせまして御答弁いたしたい、かように考えます。
  87. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで質問を次に移していきたいと思います。  今度の法案の内容からいきますと、一反歩以上のものにつきましては、二万円にその被買収農地の面積反数を乗じた数字を算定いたしておるわけでございまするが、そこで最高が百万円という一つの基準ができておるわけなんです。そうしますると、五十町歩ということになるわけなんですが、そうなりますると、私がここでお聞きをいたしたいと思いますることは、その当時この農地開放をされる場合に、最高に該当する数がどの程度あったかということをお聞きしなければならないと思うわけなんです。したがって、五十町歩以上のものの不在地主が、これは北海道と内地と分けて、どの程度の数字になっておったのか、この数字をお示しいただきたい。
  88. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 いま調べますが、ただ百万円は田だけで換算いたしますと、三十五町歩で百万円になります。ただ、畑はこの法案にありますように、六割をかけますから、畑を持っている方は三十五町歩以上持っておりましても、もう少し少なくなりますけれども、田で換算いたしまして、三十五町歩で百万円になるわけであります。そういたしまして、百万円で頭打ちをされる方の推計といたしましては、約七千名というふうに推定をいたしております。  なお、五十町歩以上の買収された方については、内地、北海道を入れまして、二百二十七戸、そうしまして、そのうち北海道が九十戸ということに、これは農林省の農地開放実績調査によりました数字でございますが、なっております。  なお、全体としまして、私どもは現在今度の農地報償の対象になるという人数は百六十七万人というふうに考えておりますので、パーセンテージとしましては、それほど大きくはならないと思います。
  89. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 いま私の質問申し上げた五十町歩と、それから百万円に対する三十五町歩との関係ですが、これは三十五町歩で百万円と切られたのはどういう趣旨であったか、この点をひとつお答えいただきたい。
  90. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 三十五町歩を先にきめまして、そうして百万円になるからというふうに考えたのではございません。百万円以上は一応御遠慮願おう、あるいは百万円以上は出すのはあまり適当でないだろうということで百万円にきめまして、そうしてそれを田で換算いたしますと三十五町歩になるということでございます。  なお、それではなぜ百万円で頭打ちをしたのかということでございますが、これはやはりこの報償の性質から見まして、なるほど三十五町歩以上買収された方は、補償と考えますならば、これはそういうことでなく、面積に応じて出すというようなことに相なるかと思いますが、これはやはり報償でございまして、百万円も出せば報償の気持ちというものは通じるだろうと思いますし、また百万円であれば、やはりこの法案の提案の趣旨でございますいわゆる心理的な影響、あるいは農地改革に対する貢献というようなものに対して、政府としてはしてくれたというふうにお考えいただけるのではないだろうかというふうに考えて、百万円という数字を妥当と考えたのでございます。
  91. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その百万円という数字は、百万円としてたなへ上げておきまして、それで、最高百万円にすることにおいてこの報償金を出す理由、目的というものが、農地開放をすることによって日本の農村が民主化され、日本の経済の発展に大きく貢献をしたのだ、農村経済の発展の基盤をつくったのだ、このことに協力をしたから報償金を今度出すのだ、これが理由であるわけなんです。そうしますと、五十町歩持っておる者と三十五町歩持っておる人が同じ報償の金額ということになりますと、協力の度合いということから考えますと、それは非常に不公平であると私は思うのです。最高を百万円にするか五十万円にするかということは、それは総金額の上において政治的におきめになろうといたしましても、やはり貢献した度合いに応じて報償金を出すということになりますれば、当然三十五町歩で切られたということが、私はどうもただいまの答弁の範囲内ではわからぬわけなんです。五十町歩も持っておった人も、三十五町歩持っておった人も、同じ金額だということになれば、これは貢献の度合いということになりますれば、五十町歩持っておった人は非常に協力をしたのだということに理屈上なるわけなんで、そういう点、三十五町歩で切られたというこの点が、私はどうも矛盾をしておると思うのです。事のよしあしは別問題として、こういう出し方は矛盾をしておると思うのですが、そういう点についてどういうようにお考えでございますか、もう一度御答弁をいただきたい。
  92. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 おそらく同様の問題は、たとえば一町歩でありますと一〇〇%二万円、あるいは一町歩をこえ二町未満でありますと五〇%一万円というふうな刻みをすること自体にも、あるいは同じ問題があるのかと存じますけれども、そもそもこの報償は、貢献であるとかあるいは心理的影響というふうに申し上げておりますが、本来物的な財産権をどうこうということではなくて、無形の、あるいは無体のと申しますか、無形の気持ちの問題でございますので、そういう意味でその他のことも考えまして、つまり買収された面積に比例するということを考えなかったのであります。また考えることが妥当でないというふうに思うのであります。
  93. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、富豪の万灯よりも貧者の一灯と言いますが、私は五十町歩持っておる人、一町歩持っておる人、五町歩持っておる人、こういう人たち農地開放によってこれを開放したということは、これは逆論から言いますれば、少ない反別を持っておってもそのほとんどが供出しなければならなかったということ、それから五十町歩というような多くの田畑を持っておった地主も開放をしなければならないということになりますと、このことは私はどう考えてみましても、いまの百万円の金額の置きどころは、五十万にしても三十万にしても、それは政治的にやれることですけれども、しかし、この算出の方法は三十五町歩で頭打ちをしておるということと、それから頭打ちをしておることについての説明はただいまあったわけなんですが、ただいまの説明のような論法で行きますれば、これは少ない町歩を持っておる小さい地主は、これは打撃は大きかったであろう、こう考えられまするので、この点はこれ以上質問申し上げても明快な答弁はできないと思うのです。この配分のしかたは矛盾をしておりますから、これはこれ以上名答弁はできないと思いますが、答弁ができれば答弁をしていただくとして、しいて答弁は求めません。だから、そういうような点から、私は、ここに提案されておる配分内容というものは、これは理論的に矛盾した配分である、報償の基準である、こういうようにまず指摘をして、次に移りたいと思います。  そこで、私はやはり問題になりますことは、三十五町歩と五十町歩と同じ報償金を取るということになりますと、一応ここでお聞きをしておきたいと思いますことは、当時五十町歩以上の地主さんというのは何名くらいあったかということです。
  94. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 五十町歩で申し上げますと、これは先ほど申し上げましたように、全国で二百二十七戸、そのうち北海道が九十戸ということになっております。これは先ほども申し上げましたように、昭和二十五年の八月にやりました調査で、農地改革の開始前の状態でそういうことになっておるという数字でございますが、もし田口先生のお持ちの数字とよほど違いますならば、なお検討いたしたいと存じますが……。
  95. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その数字は違っておりますが、あなたのほうの数字でいきますと、町歩としては何町歩になっておりますか。
  96. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 失礼いたしました。確かに違っておりました。訂正をいたします。ただいまのは団体と個人と分かれている団体のほうだけ申し上げたわけでございます。概略九百二十二戸……。
  97. 河本敏夫

    河本委員長 八塚君、数字がわからなければ、あとで報告したらいかがですか。
  98. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますと、ただいまの数字をあとからお示ししていただくときに、いま一千七百名ということでございましたけれども、これは違っておりますから、おそらくあとから修正されると思いますが、そのときに何名で何万町歩であったかという、その何万町歩ということも含めていただいて——これは計算すれば、五十町歩をかければいいということになりますけれども、これは五十町歩以上という私のほうからの質問でございますから、単なる算術だけではいけないと思いますので、それもあわせて報告願いたいと思います。それと同時に、その大地主から小作をしておった戸数というのは、これは分離してあなたのほうに数字がなかったら、あとで数字がないという答弁でもそれはやむを得ませんけれども、いままでの統計をよくお調べになればわかると思いますが、私のほうの数字と合致するかどうかという点を一応引き合わしてみたいと思いますので、その点もあわせてひとつ報告を願いたいと思います。  それでは、その答弁はあとから受けるといたしまして、次にお聞きをいたしたいと思いますることは、地主の中にはいわゆる銀行地主というのがあったのです。これは御承知のとおり、銀行が金を貸すときに不動産の抵当で貸し付けをする。それから回収が不能になったという場合には、それをどこかに売却する、こういうことになりまするけれども、適当な買い手のない場合には、銀行はみずから落札をして、みずからの所有地にしておったのが相当多いわけです。したがって、このいわゆる銀行地主というのは、どの程度あったかということをお聞きしておきたいと思う。このことは、戦後の財閥解体とのかみ合わせもございますので、その点もひとつ数字をもってお示しをいただきたい。
  99. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 銀行地主につきましては、やはりいますぐ手元にございませんので、調べてお答えをいたしたいと思います。
  100. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、手元に数字がなくて、調べるというお話でございまするけれども、これは必ず調べて答弁をしていただけるのか、資料を提出してもらえるのかどうかということなんです。もう質問して答弁の貸しが次から次へとできていきますから、あとで整理が困るくらいになろうと思いますから……。
  101. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 いますぐお答えできないのはまことに申しわけないのでありますが、農林省等とも相談をいたしまして、そういう資料をできるだけ見つけて提出するように努力いたしたいと思います。
  102. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これは総務長官、まあこういう状態ですが、これは農林省のほうの局長に来ていただいたほうがいいか、その点どうでございますか。私のほうの質問もなるべく能率的にやっていきたいと思いますので、こういうような程度ではなかなか能率的に質問をしようと思いましてもできませんので、その点どういうようにこれから進めたらよろしいか、総務長官からお答えをいただきたい。
  103. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 もしなおそういう専門的なことについての数字的な答弁が、はたして来ましてもできるかどうかは別といたしまして、もし御希望であれば、農林省の農地局長でも招致いたそうかと考えております。
  104. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これはあなたのほうで、どの程度資料をそこにお持ちになるかわかりませんけれども、もう数字は出ておるはずなんです。これは農林省が、ただいま私の申しましたような、そして今日まで質問をいたしましたようなことは、途中でちょっと中断をしておりまするけれども、明治時代からやっておる。その統計というものがあるわけなんです。そういう資料をこういう重要な法案の審議のときにお持ちにならずに、政府委員としておいでいただいておっても、まことに私は遺憾に思うわけなんです。私もせっかく三十日の継続を質問させてもらうということで質問台に立ちましたけれども、なかなか進まないわけなんですが、どうしますかね。
  105. 河本敏夫

    河本委員長 田口君に申し上げますが、八塚君のところでわかる数字は至急に調べさせます。それから農林省より関係者を、もし必要ならば呼びます。
  106. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ただいま委員長のほうからも数字のわからぬ面があって、そうして農林省を呼ぶ必要があれば農林省を呼ぶということでございますが、私はこういう問題があるから、私の質問に入る前にあなたと対で笑い話の中で、一切こういう質問をするんだが、あなたのほうで資料はよろしゅうございますか、こう念を押したら、まあ大かたのことは答弁できますというお話でございましたので、それでは三十日の続きが質問できると思ったのですけれども、あなたのところで全く困難だということだったら、いますぐにその手配をしていただきたいと思うわけなんですが、これは委員長のほうからひとつ手配をいただきたいと思います。
  107. 河本敏夫

    河本委員長 田口君、いま呼びます。すぐ来るそうですから、他の質疑を続けられんことを望みます。
  108. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 他の質疑ということでございまするが、まあ大体農地開放をされるときの数字とぴったりでなくとも、それより若干以前のものでも入ってから——入ってからということはこれはもういけませんけれども、少しくらいは前の数字でも私は大体推計できると思いまするので、お示しをいただきたいのですが、それもむずかしゅうございますか。
  109. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 いま田口先生お話になりましたのは、銀行地主についてでございますが、ただいま私どものところには、銀行に着目した資料が見当たりませんし、ございませんので、実は何も申し上げることができないのでございます。
  110. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 慎重審議といっても、どこからどのメモを取って質問に入っても、こういうことになるのですが、これは質問するほうもまことに困るわけなんです。少なくとも一千五百億円に近い金を報償として出し、旧地主の方々農地を開放された、その報償として出されるものであるから、報償の基準等とか、あるいは金額、該当人員というようなものは、ずっと数字を追っていかなくては、いま提案されておるものは事実であるかどうかということについても、これは疑問があるので、そういう点で私のほうから質問を申し上げておるわけなんです。  そこで、せっかくの委員長お話でございまするので、変えて質問を申し上げまするが、これは答弁できょうと思うのです。この法案が成立したということになりますると、二年以内に作業というものは終了する。そうしますると、昭和四十年、四十一年で終了ということになりますると、四十年度の作業をどうやるかということを考えたときに、これは法務局のほうにその当時の資料は盛りだくさんあるわけなんです。こういう資料の整理をしなければならないのですが、今年は、予算の上からいきましても、一銭もこういう方面へかけられた予算というものは見当たらないというように、私の見た範囲ではそう考えられますし、それから人員の関係につきましても、これは定員がこの方面へ当てられておるものはないわけなんですが、全く思いつきの法案の提出のように考えられるわけなんで、この辺のところはどうなっておるのか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  111. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 お話のように、この仕事を進めてまいりますためには、法案に面積が非常に重要なかなめになっておりますから、その面積、いわゆる買収された面積がどれだけか、売り渡しを受けた面積がどれだけかということを請求者個々の人について確定をしなければなりません。そうしてそのためには、当然お話になりましたように、全国にございます法務省の登記所のごやっかいになるということになるのであります。その意味におきまして、一応これは初年度といたしまして百万人程度、先ほど百六十七万人というふうに全体を推計しておると申し上げましたが、初年度百万人くらいというふうに考えておるわけであります。その人たちのための法務省の経費といたしまして、これは総理府のほうに予算が計上をされておりまして、もし法案が通りましたならば、法務省の御要求に応じて、こちらのほうからそれを支出していくということになっておりますが、約一億九千万程度計上をいたしておるのであります。その内訳は、お話のように、やはり人手が要るわけでございますが、その人手のいわば超過勤務というような経費、あるいはまた現在の、これは全国に約千八百登記所がございますが、端的に申しまして、現在の登記所はこれだけの件数を短時日に片づけるということは、なかなか困難でございます。特に物的装備等については困難でございますので、いろいろな器材等について登記所のために経費が計上をされております。なお、その他法務省の中に整備費が若干あるというふうに聞いておるのでありますが、大部分は私どものほうの予算の中に一億九千万計上をいたしておるということでございます。
  112. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 この法案が通過した場合には、総理府のほうで作業をやられるのですか、これは。
  113. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 これは総理府が責任を持った官庁でございますが、これだけの方たちの一番問題は認定でございます。その認定を総理大臣あるいは総理府が直接やるということは困難でございますから、この法案にもありますように、府県に委任するということになっております。このやり方につきましては、やはり資料の中に経路を書いたのがございますが、府県に頼む、あるいは市町村を窓口にするというふうに考えております。そうしてやはり法務省と同様に、これは府県としては全く委任事務でございます。国が委任をした事務でございますから、府県に対して私どものほうから金を差し上げる。この経費が、やはり私どものほうの予算の中で二億三千八百六十万円考えております。大体現在のところでは一府県約百万円、一町村約六万円から七万円程度になるというふうに考えておるのであります。
  114. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 各都道府県なり市町村でこの作業をやるような場合には、定員をふやさなくてはならない。定員をふやす場合の予算は、何かの形で地方自治体のほうへおろされるということになる。しかし、その作業が終わったときには、その職員は結局仕事がなくなるわけなんで、こういうような点をどう考えておられるか。法務省に資料があり、総理府が責任を持って作業をする。しかし、それには総理府の予算として取っておるけれども、各都道府県なり市町村でその作業をやってもらうということですけれども、現在の地方自治体の定員の実態では、こういう方面へ手を伸ばすだけの人員の余裕はどこへいってもないわけなんです。したがって、この作業をやろうとすれば新しく定員をふやさなくてはならないわけなんですが、しかし、これは二年間でこの作業を終わるということになりますので、そうしたことを考えますと、相当私は矛盾だらけなことだろうと思うのです。実際にそういう作業がやれるかどうかということを考えたときに、私は非常に疑問が多いわけなんですが、もう少し系統的に、法務省にはこういう登記書類があるのだが、それは総理府の責任でやる。しかし、現存のところでは本省のほうでは予算は取っておるけれども、定員等の措置を講じていないので、まず地方自治体でやってもらう。地方自治体でやってもらうということになれば、地方自治体の定員をふやしてもらわなくてはならないのだが、その場合の人件費その他のものについては、予算が取ってあるのだから、十分か不十分か計算をしてみなければわかりませんけれども、まあかっこうはつくと思うのですが、そういう点について、どの程度一件についての事務時間を見積もられて、そしてこの予算というものを取っておられるのか。また、そういう関係から各地方自治体へおろす金は、どういうような基礎に基づいておろされるのか、この点もお伺いをいたしたいと思います。
  115. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 それではもう少し詳しく申し上げますが、まず全体の仕事の流れを申し上げますと、これは法案あるいは法律に基づきます政令、省令等で具体化するわけでありますが、御承知のように、これは農地買収者の請求によって行動が起こり、それが起点になるわけであります。そして最終的には総理府でそれを認定するわけでありますが、これはいま申し上げましたように、直接認定はできないので、都道府県知事に法律によってお願いをする、そして認定をいたしますと、その方のどれだけ分の国債が手に渡るかということが確定をするわけでありますから、それを大蔵省のほうへ私どものほうから通知をいたしまして、大蔵省の系統、財務局を通じてお渡しをしていく。そして年々の償還については、これはここの法律にありますように、日銀の代理店もしくは全国にございます郵便局で償還をしていただく。ただいまお話しになりました最も問題になります登記所の問題でございますが、先ほども申し上げましたように、どれだけの面積を買収され、どれだけの面積の売り渡しを受けたか、あるいはどういう理由で——と申しますのは、どういう法律のどの条文で売り渡しを受け、買収をされたかということにつきましては、登記所の登記簿に基づいていわば公認されるわけでございますから、何としても私どものほうで認定をするためには、その登記簿の謄本あるいは抄本を請求書に添付して請求してもらわなければならないのであります。そういう意味におきまして、まず登記所に非常にお仕事を願わなければならないということ、それからそういうふうにして登記簿抄本をもらってこられて、そして請求をされる。そうしますと、窓口たる市町村では一応それを見て、そして都道府県知事が認定をできるように都道府県知事に送付をする。そのためには、当然その窓口、そういう請求書を市町村長が受け付けていただくというためにも、手間がかかるわけであります。当然都道府県もそれなりの人数が要る。その意味におきましては、田口先生の御指摘になりましたように、そのための定員というのは、本来もちろんございません。しかも、これは一応請求は二年間ということになっております。法律によりますと、請求は二年以内にしていただく。したがって、三年目に認定はずれ込むことがあり得るわけでございますが、一応大部分の仕事は二年以内に終わる、請求していただく。したがって、いずれにしましてもこれは臨時でございます。お話のとおり、二年の臨時でございます。そういう意味におきまして、新しくこのために定員をふやすということも、やはりこれはまさに御指摘のとおり適当でございません。そこで、以上のような大体の仕組みにおきまして、私どもはこれは何人ということではなくて、どれくらいの作業日数が要るであろうかということで詳しく計算をいたしたのであります。その計算の中身は、一つ一つ非常にこまかくなっておりますが、私どものほうといたしましても、府県に出向き、あるいは市町村に出向きまして、いわば一種の演習といいますか、実地でほんとうにどれくらいかかるだろうということをやってみたのであります。これはお話にもありましたとおり、もともと本来地方自治体の仕事ではございませんから、私どもとしましても、都道府県あるいは市町村に迷惑はかけたくないという気持ちは当然非常に強く持っておりましたので、時間も相当かけて自分たちでやってみた。そして自分たちはそれなりにある程度専門家でもありますから、そういうことも考慮して、一体どれくらいかかるだろうかというふうなことをかなりやってみまして、私どもの計算では、都道府県では賃金の積算の基礎にいたしております作業日数というのは、一都道府県千百五十九人目というふうに考えております。それから二市町村では九十四人目、ですから、これは賃金の積算の基礎でございますから、ところによっては、人数をふやされればそれだけ日は減るというふうなことでございます。ただ、大体こういう請求が出るのは、ある期間、請求者のほうの都合もあると思いますので、人だけふやせばそれで日は短くしてもいいというものではございませんし、かたがた全然しろうとの方が非常にたくさんおられてもいいというわけでもございませんから、そのあたりはおのずから日と人数というものは限定されますけれども、そういうもとで考えてみる。そのほかいろいろこまかく通信運搬費とか、あるいは本省へ説明を聞きに行く経費であるとか、あるいは市町村の中でやはりはっきりわからないのは実地に調べに行くとかというようなことで、こまかく計算をしたのがございますので、必要があればなおまた御説明を申し上げたいと思います。  それから法務省につきましても、これは先ほど申し上げましたように、法務省といたしましても、平素はこういう仕事をやらなくてもいいのであります。わずかな日数の間に、一時に相当な請求のための登記簿謄本をとってあげなければならない。しかもこれは十五年なり二十年近く前のものでございますから、編綴その他についても、ある程度手術がかかる、そういうことにつきましては、私どものほうも法務省とかなり綿密に打ち合わせをいたしまして、先ほど申し上げましたように、超過勤務であるとか、あるいは庁費であるとか、消耗品その他の計算をいたしておるのであります。あるいは賃金等につきましても、これまたやはり登記所におきましても、このために特に定員をふやせば二年ないし三年足らずして確かに要らなくなるわけでありますから、賃金といたしましては、十七万五千九百五十五人というような賃金の費用等も見込んでおるのでございます。法務省のほうでは、先ほど申し上げましたように一億九千万でございますがもそのうちやはり一番大きいのは、賃金の八千八百万ということでございます。
  116. 河本敏夫

    河本委員長 農林省の丹羽農地局長が参りました。
  117. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでは私がまだ質問をやっておるうちに、ただいま私のほうから質問を申し上げた内容を徹底をしてもらって、そして答弁の準備をしておいてもらいたい。  そうしますると、予算としては、一億九千万円とそれから二億三千八百六十万円というのが獲得はしておられるわけなんですが、それで、これはただいまも答弁のありましたように、これは昭和四十二年の三月三十一日までに申請をした者に限るということになっていますから、これを徹底してごたごたやっておりますると、四十二年の三月三十一日ぎりぎりなところでそうした資料が申請が出るということになりますと、それから作業にかかるということになりますので、各年ごとの計画というものは、いまからちょっと読めないと思う、そういう関係から、この予算というものは、各年ごとのもの、この作業に対する予算は、ただいま申しましたように一億九千万円、それから二億三千八百六十万円ですけれども、これは昭和四十年度に消化するものか、それともただいま申しましたように昭和四十二年の三月三十一日までに申請をした者に限るということになりまするから、ぎりぎりいっぱいのところまで出されると、作業は昭和四十二年の四月一日以降になるわけです。そうなりますると、この予算というものは、当面昭和四十年として必要な予算であるのか、それともこれはただいま質問申しましたもろもろのことを考えて、この作業に対してはこれだけの予算でいいんだという予算なのか、この点ひとつ御説明いただきたい。
  118. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 その点お話をはっきり申し上げなくて申しわけございませんでしたが、これは昭和四十年度予算でございまして、四十年度の作業に必要な経費でございます。そうしまして、大体計画としましては、先ほども申し上げましたように百六十七万人というふうに踏んでおるわけでございますが、初年度はそのうちの百万人程度に対応する経費でございます。したがいまして、残りの人数に対しましては、四十一年度にまた要求をする。それから先ほども申し上げましたように、請求が二年でございまして、たとえば四十二年の二月ごろに出てきたのは、あるいは四十二年の四月、五月というように処理をしなければならないこともあり得るわけでございますから、これはまあ二年目の様子を見まして、三年度どの程度ずり込むかということは見当をつけたいと存じておりますが、これは四十年度の予算でございます。したがいまして、いま申し上げましたように、全体の六割程度を初年度——なお、初年度とそれから次年度あるいは三年度というようなものの比率については、たとえば初年度は啓蒙普及に、あるいは趣旨の徹底に時間がかかるだろう。それにしても六割程度を見るのは、少しその意味で大胆じゃないかというような御懸念もおありになるかと思いますが、ただ初年度につきましては、これは従来かなり長い問題でございます。比較的確定的なものはわりに早く出てくるというようなことも考えまして、初年度をむしろ多くしたのでございます。
  119. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 まあ推定で予算獲得をしておられるわけなんで、これは四十年度の必要経費、こういうことでございまして、四十一年度になりますれば、その時点でまた予算要求というものがあろうと思いますので、その点は確認をいたしておきます。  それから初年度に六割程度のものは申請が出るだろうという、こういう見込みでございまするが、この六割という申請が出るという見込みでただいまの予算というものが組まれておる、こういうように受け取っていてよろしいのですね。
  120. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 予算の点ですから私からも補足いたしますが、必ずしも六割出るかどうかということばかりでございませんで、一つは、初年度は、先刻お話しのように、いろいろPRといいますか、その手続等や何かのために全国的なブロック会議をやったり、それから県内の説明会をやる、さらにまた市町村の中でもそういう打ち合わせ会とか、ブロック会議とか、説明会とか、そういうようなことをいたしまするので、そういう費用、それからまた請求書の用紙とか準備のためのあれを含んでおりますので、六割申請者に対してだけというばかりではないわけでございます。これは実際どれだけ申請があるか、これからの問題ですが、いずれにしても初年度は、最初でありますが、説明のやり方によっては相当出てくるだろうというので、一応腰だめでこういう予算を組んだわけでございます。来年度においては、必要に応じてまた組む、こういうことになるわけであります。
  121. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 全く推定で、幅のある予算獲得ということになっております。  そこで、先ほどの答弁のほうはもう準備できましたですか。
  122. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 御連絡いただきました点は二点あったわけでございますが、五十町歩以上の地主が戦前どの程度あったかということにつきましては、三千四百十ということは総理府のほうから御答弁がございました。  それからもう一つ、銀行地主の数がどの程度あったかということでございますが、現在、農林省にございます統計資料といたしまして、昭和二十一年八月に、農地改革以前におきましてとっておりました資料を全部集大成いたしたものでございますが、昭和二十五年に実績調査いたしたわけでございますが、二十五年の調査におきまして、買収の対象になりました法人数は捕捉いたしておりますが、戦前におきます法人地主の統計は、まことに申しわけないのでございますが、二十一年以来ないのでございまして、その御質問に対してはお答えすべき数字がないわけであります。
  123. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私は、銀行地主の関係は、財閥解体との関連がありまするので、いろいろお聞きしておるわけなんです。それで、私の調べておりまする範囲内におきましては、東京に五十町歩以上の大地主が大半を占めておったと思うのです。こういうことからいきまして、したがって、これは相当私どもは、戦後の産業の民主化に伴う財閥解体との関連もあろうと思いますので、いまお聞きしたのですが、その農地開放当時の数字というものは、農林省のほうではわからないということなんですね。そうなんでしょう。
  124. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 戦前の統計、農地改革以前のいろいろの統計の中に、法人の態様別の土地所有の調査、統計の結論は、遺憾ながら二十一年八月に集大成いたしました統計資料には載っておりません。それから、二十五年の調査で、法人から買収しましたものは十四万二千、そのうち五十町歩以上の法人団体が二百二十七ある。これは二十五年の実績調査にございます。さらに、その法人の中に銀行法人というものどがれだけあったかという御質問の点になりますと、遺憾ながらその内訳がないということを申し上げた次第でございます。
  125. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私は、これをなぜお聞きするのかといいますれば、いわゆる銀行地主というのが年々非常にふえてきておったわけです。したがって、開放当時の数字というものが明確でなければ、この審議をするときに、無常に私どものほうで数字を突き合わせるに支障があるわけなんです。それで、ずっと古いことを申し上げますれば、長野県の場合、一つの県の場合を例にとってみますると、この銀行所有地というものが、日本勧業銀行の所有地だけでも、これは十一年六月調査になっておりまするがその数字が千二百十八町歩というようにふえておるわけなんです。こういうようにふえてきておりまするから、おそらくこの銀行地主といういわゆる法人地主は、その当時に相当あったであろうということが推察できるわけなんです。したがって、今度の法案の内容からいきましても対象になっておりまするので、だから私はこの点の数字を、開放当時、年月日そのままでなくともいいが、私どもが数字の突き合わせのできるなるべく近い時期の数字でもお聞かせをしていただかなければ、突き合わせができないということなんです。長野県だけでも、ただいま申しましたように、千二百十八町歩になっておるということなんです。そういうようにふえておるわけなんです。だから私は、こういう点からいきますると、全国的には非常にこの銀行の所有地、いわゆる銀行地主というものがたくさんあったということが推察できるので、この点について、どれだけの銀行が何町歩持っておったということは、これは数字は農林省のほうに上がってきておると思うのです。そうでなかったらおかしいわけなんで、どうですか、それはわかりませんですか。
  126. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 農地改革の実績調査におきましては、個人、法人別の土地の買収面積及び法人団体の数は、掌握いたしておるわけであります。二十五年八月一日調査で、在村法人団体の小作地が二十一が四百八十町歩、不仁村法人の小作地が二千三百十九町歩という数字は掌握いたしておるわけであります。ただ、先生御質問の、この法人の中で銀行法人が幾ら持っておったか、この点に関しましては、その内訳が判明をいたしません。全体として法人所有の小作地、これは掌握いたしております。その内訳が遺憾ながら集計されておらなかった、こういう実情にあるわけでございます。
  127. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、ないと言われましたので、きょう聞いてもしかたがないのですが、これは日にちをかしましたら、この数字というものは出るものか出ないものか、これをまずお答え願いたいと思います。
  128. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 当時の個票を再集計をずっといたしますれば、あるいは実情はわかるわけでございますが、実際問題としては集計は困難であろう、かように存じております。
  129. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 なお、念のためにちょっと申し上げておきますが、ただいまのような銀行法人のような会社法人でございますね、営利法人には政令の定めるところによって支給しないということになっておりますが、その中に含まれるものである。第三条の二項の二に書いてございます「外国法人、株式会社その他の政令で定める法人その他の団体」、そこでいまのお話のような銀行等の地主には支給しない、こういう中に入るわけであります。
  130. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 農地開放が着手をされました自作農創設特別措置法ができてから九回、法案が改正をされたり、あるいは政令が出たり、農林省令が出たり、施行規則によって指導が変わったりしてできておるわけなんです。そこで、いま長官の言われた内容は、その三条というのは、自作農創設特別措置法の中の三条か、そこのところをちょっとはっきりしてもらいたい。
  131. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 それは、今度提出いたしまして御審議いただいておりまする農地買収者等に対する給付金の支給に関する法律案の三条でございまして、これはまだ通っているわけではございませんから、その範疇には属しません。これから御決定いただければ、そういうことでやる、こういうことであります。
  132. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 この法案にあるそれを抜いた法人というのは、たとえばどういうものをさしているか。
  133. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 法人の中にもいろいろございますが、全体として個人に準ずるような法人は、個人と同じように考えてあげたい。したがって、先ほど来問題になっております銀行等は、当然私どもとしても対象の外に置くというふうに考えております。したがいまして、たとえば株式会社等の中にも、これは営利組織でございますけれども、私ども現在の考え方では、同族的に個人的なものも実態上でございますから、そういうものは対象とする。しかし、銀行とかそういうことになりますと、もちろん問題の外でございますし、あるいはまた、旧財閥が相当大きい牧場等を経営しておったということもございます。こういうのは当然省きたいというふうに考えております。
  134. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、いわゆる株式会社という性格のものは、もう一切除外ということですか。
  135. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 ただいま私が多少舌足らずな御説明を申し上げたので申しわけございませんが、株式会社であるから全部省くというふうには、現在は考えておりません。株式会社は、なるほど営利組織として現在の資本主義の中では一番はっきりした組織、制度上はそういう組織でございますけれども、実際問題としてはかなり個人的色彩の強いものもございますので、そこのところをどう区別するかは法律技術的になかなかむずかしいのでありますけれども、株式会社なるがゆえに全部省くということは、必ずしも考えていない。株式会社のうちでも、個人に準ずるメルクマールがつきますならば、それはやはり対象にしたいというふうに考えております。先ほども例を申し上げましたけれども、最もはっきりした銀行等は当然これはもう省いていく、対象にはしないというふうに考えておるわけであります。
  136. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 もう一度その辺を詳しくお聞きしたいと思いますが、個人に類するような株式会社のほうは、これは該当する、そうでないものは該当しない、これはこの法文の中に基準をどうこれから定めていくのですか。
  137. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 その点は、今後法案が通りましてから政令で定めていきたい、こういう考えでございます。
  138. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 法案が通ってから政令できめるということになりますれば、ここへお示しになっておるような総金額とか対象人員とか、こういうようなものは出てこないと思うのです。だから、その辺のところがどうもずさんであると思うのですが、その点をもう少し明確にしておきたいと思います。
  139. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 もちろん政令で定めるわけでございますから、まだきまっておるわけではございませんけれども、先ほど来から申し上げておりますように、私どもとしましては、この法案の性質が本来そういうショックを受けられたというようなことを一つの問題と申しますか、一つの理由にいたしておりますから、当然全体の考え方として、個人に準ずる、つまりそういう感情のあると言うと少し言い過ぎになりますが、そういう人たちに限定するのは、全体法律のワクの中から出てくるわけでございます。そうしまして、なお申し上げますと、先ほど来から一応この対象を百六十七万人と見ておるというふうに申し上げたのでありますが、そのもとになります、つまりおよそ農地改革でどれだけ買収されたか、法人、個人を問わず、どれだけ買収されたかという数字は、約三百六万人ということになっております。それからただいまのように、いろいろこの法案の中には、たとえば売り渡しを受けて、結局売り渡しを受けた面積のほうが多くなるというような人もございますし、それから一畝歩未満は省くというようなこともございますから、そういうことを当然計算に入れるわけでございます。なお、いまの団体等につきましては、まあたとえば法人については、株式会社等でありますならば五〇%落とす、あるいは有限とか、あるいは合名とか、そういうものはもう少し個人的色彩が強くなるので落とし方を少なくするとか、あるいは宗教法人等がございます。宗教法人も、これは非常に大きな組織もございますれば、村の神主さんあるいはお坊さんが守っておる小さな社寺もあるというようなことで、そういうことを一応いろいろ計算をいたしまして、そうして百六十七万人ということで推定をいたしておるわけでございます。もちろん百六十七万人に推定をいたしましたファクターは、そのほかにもございますが、いまお話しのようなことに関連してそういうふうになっておるわけでございますから、政令をもちろん定めなければ、あるいはもっと端的に言いますならば、一人一人についてこまかく当たるということはできませんので、推定が入り、推計が加えられるのでございますが、そういう推計をかなり綿密にやりましてやっておりますので、やみくもに適当に政令できめるというようなことはできないように詰めておるつもりでございます。
  140. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますと、農地買収等の給付金を受ける対象人員は、ただいま答弁にありました数字は政令で定める云々もありまするから、結局はこの数字は若干の異同があるということ、それから総資金の面においても現在出されておる金額は異同があるということ、これはあり得るのですね。
  141. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 これはやはり推計でございますから、異同があり得るわけでございます。ただ、この過程で私どもかなり詳しくいろいろ計算いたしましたので、あまり大きな異同はないというふうに考えております。  なお、予算に関連いたしましては、たとえばこの百六十七万人に対して必要となる国の経費は、一応推定では千四百五十六億となっておりますが、これの初年度分というのは、かりに今年この法律が通りますとすると、四十一年の予算に載ってくるわけでございます。決して千四百五十六億あるいは百六十七万人の数字が適当であるということではなくて、相当詰めた数字でございますが、なお具体的にことし認定を始めますならば、来年度はより真実に近い数字は出てくるということでございます。
  142. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その点はその程度にしておきます。  そこで、農林省からおいでになっておりますので、先ほど引き続いて御質問をしようと思っておりましたが、御答弁のありました五十町歩以上の不在地主の関係でございますが、これは北海道には一人もなかったということでありますか。
  143. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 北海道を含むと存じます。
  144. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 今度の法案は、北海道、内地含んで給付されるわけなんですが、含むという答弁はまことにじょうずな答弁であって、私の聞いておるのは、北海道には五十町歩以上の不在地主というものは一名もなかったのかどうかということを開いておるのです。
  145. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 昭和十年の統計でございますが、五十町歩の所有者及び耕地面積があるわけでございます。これは必ずしも全部不在地主という意味ではなくて、所有者別に所有耕地別に集計いたしたものでございますから、かつ全国調査でございますから、北海道も含むし、しかし同時に不在でないものも入っておる、かような関係でございます。
  146. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうすると、農林省のほうにある資料では、北海道、内地の仕分けた資料はないということなんですね。そうでしょう。
  147. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 私の手元にございます昭和二十一年八月農林省農政局の統計資料では、北海道、内地別に分けておりません。
  148. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでは聞いても答弁できないと思います。北海道には一人もないということです。  そこで、不在地主というのは、東京都——昔の東京府ですね、ここに多く存在しておって、そしてその持ち町歩が、全くこれは大地主の形態を持っておりましたし、そして東京都に相当そうした人たちが集中しておりましたので、東京都が不在大地主の住所というようなぐあいにいわれておるわけなんですが、この点は全国的にずっとお調べになってみえるでしょうが、東京都の場合を私は特に取り上げたいと思いまするのは、この東京都にいる大地主が、相当多くの田畑の地主になっており、しかもこれは不在地主であったということから、こういう点から考えまして、産業の中心は東京都にあるということから、東京都を中心として財閥解体等もございましたので、そういう数字もここで比較をしてみて、最後の結論として、社会党としては社会党の意思表示を、これは最後の討論のときに使用したいと思いまするのでその点をお聞きをいたしたいと思うわけです。
  149. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 今回の報償の場合には、請求をしていただくことになっておりますが、この場合には、やはり受付は市町村でやっていくというふうに考えております。大体地主さんは、農地のあったところに多く本籍地があるというふうに一般論として考えております。ただお話しのように、北海道に非常に大きな土地を持っておられて、そして東京に住所がある旧華族なんかの場合には、そういうことがあり得るわけでございます。ただ、私どものほうから考えますと、そういう件数は何百万人——何百万人というのは大げさでございますが、比較的少ないのであります。しかも端的に言いますならば、三十五町歩までの証明をお出しになれば百万円でございますから、かりに北海道で百町歩持っておられる方がありましても、件数としては、つまり市町村の手間としては、それほどその面積に比例して、たとえば十町歩持っておられた、あるいは三町歩持っておられた方と、面積に比例して非常に手間がかかるということはあまりない。そういう意味で、もちろん東京都にある程度事務的には御迷惑をかけることがあるかもわかりませんが、特に他の府県に比べて東京都だけが事務が過剰になるというふうには考えられないと存じております。
  150. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私のお聞きしたいと思っておる気持ちは、田畑のない東京都に大不在地主が相当多くおったということなんです。だから、こういう地主が土地を開放されたのだから、したがって、その該当者は百万円はもらわれるでしょうけれども、戦後の産業の民主化をするために財閥解体をいたしましたために、その当時の財閥も、相当にあの占領政策には苦い経験を持っておられるわけです。だから、こういうものを審議するときには、同じような被害を受けた人たちを対照して検討しなくてはならないので、それで私はこの点を聞いておるわけなんです。ただ、東京にいる人が非常に迷惑をかけるとかかけないとかいうことだけでなしに、東京都のような田畑のないところにおる人が、全国的に不在地主として五十町歩以上の田畑を持っておられたということからいきますると、財閥解体等との比較もここに出てくるわけなんで、そういう点で私はどの程度おられたのかどうかということをお聞きしておるわけなんです。
  151. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 あまりお答えにならないかと思いますけれども、私どもといたしましては、たとえば東京にいて北海道に農地を持っておる、それから新潟市内にいて他の町村に農地を持っておられた地主等と区別して、特にその人が、こちらは地方におられる財閥でないいわゆる地方の地主、片方は東京の財閥であるというふうに、いわば個人個人の属性に応じて区分する、あるいは、たまたまいたところが東京であるか、あるいは金沢であるか新潟であるかというふうに、その地域に応じて区別するというのは、非常にとりがたいところでございます。そういう意味で、むしろこの法案の中身が、いわば社会的、心理的な影響というようなことに一つの理由を求めておりますので、そういう点を主とした法人の切り方、区別のしかたということは考えておりますけれども、それ以外の、そういう東京にいたからというようなことについて区分をいたすことは、妥当ではないというふうに考えておるのでございます。
  152. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私の質問しておる気持ちと、あなたのほうで受け取って答弁される内容と食い違っておるのは、こういう農地開放をしたことにおいて農村が民主化され、そうして農村経済発展の基盤をつくった、これに協力をした人に今度最高百万円までの給付金を出すということなのです。だから、そうなりますると、東京都にいた大地主は、中型の財閥のようなものなんです。その中型の財閥のようなものは、これは土地を全部とられて、今度協力したというので百万円はもらわれるけれども、あの占領政策によって解体された財閥の人たちはそういうことは全然触れられておらないから、こういう点の均衡を考えると、私は、この法案が非常に矛盾だらけであるので、反対をしておるわけなのです。それで特にそういうことからいって、その当時東京都にそういう大不在地主は何名ぐらいいたのか、それを聞いておるのです。それを数字的に見ていただければ、他のほうとの均衡を考えて、この法案が非常に矛盾であり、一方的なものであるということが判断ができると思いまするので、そういう考え方から質問を申し上げておるのです。
  153. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 私のお答えのしかた、あるいは質問の受け取り方が適切でないかと存じますが、私どもがこの法案で考えておりますのは、例を申しますと、財閥の方であっても、その方が個人としてかりに農地を持っておられれば、これは対象にしたい、したいというより、なるわけでございます。名前を具体的に言うのは妙でございますが、かりに三井家のどなたかが全く個人として農地を持っておられれば、これは対象になるわけであります。  それからたまたま中小の財閥みたいなものだというふうに先ほど言われましたが、それほど大きくなくても、いわば個人としての気持ちのない法人、会社等の場合には、これはかりに東京にいなくて、まさにいなかにおりましても、今度の場合は対象にしない。それは先ほどから申し上げておりますように、これの提案の理由が、一つはもちろん農地を開放した者に対する感謝、貢献を認めるという点でございますが、もう一つは、そういうことによって気持ちの上で相当なショックを受けたということを理由にいたしておるのであります。そういう意味におきまして先ほど来私はお答えをしておるつもりでございますが、ただ残念なことには、いま東京にどれだけの規模の不在地主があったかという数字を持ち合わせておりませんので、はなはだ遺憾に存じますが、私の申し上げておるのはそういうつもりでございます。
  154. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 数字をお持ちになっていなければこれ以上聞いてもむだですから、これ以上この問題では開きませんが、とにかく田畑のない東京都に、全く大きな地主が相当数おったわけです。これは中型財閥のようなものに該当すると思うのです。それで、土地で財閥のような形になっておる人たちは、今度、その人たちからいえば百万円は少ないでしょうけれども、百万円はいただけるけれども、その他の、財閥解体の場合は、金額的にはいままで何もめんどうは見てもらってないということなのです。だから、それを比較してみると矛盾があるということを、私は指摘しておるのです。この点は、私のほうの指摘ですから、せめて数字でもそちらのほうでおわかりになれば、なおぴんとくる面があろうと思いましたのでお聞きをしたのですけれども、数字がないということなら、私の気持ちは、そういう関係からいままで質問を申し上げておったわけなのです。  次に移ります。そこで、小作農に地主が農地を開放し、小作が開放を受けたわけでございまするが、私は最後的な数字とやや近づけばいいと思いまするので御質問を申し上げたいと思いまするが、当時、五反以上一町未満、一町から三町まで、三町から五町まで、五町から十町まで、十町から五十町まで、五十町以上と、これはおそらく農林省の統計表の中で出てくる数字だろうと思うのです。これは明治の終わりころから、地方自治体のほうからいろいろ報告する、その報告に基づいての農林省統計表というものはできておるわけなんですから、これがどの程度あったかということを、ひとつこれは反別に数字をお示しをいただきたいと思います。これは無理な質問じゃありませんで、これは農林省にはこの統計表はずっと明治の終わりころからあるわけなんですから……。
  155. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 農林省の統計でございますが、耕地所有者戸数累年表というのがございます。これは明治四十一年からございますけれども、自作をしている部分も、貸し付けている部分も、あわせて所有ということで入っておりますから、つまり貸し付け地の区分ではございません。ただ、貸し付け地についてのそういう区分につきましては、先ほど来から申し上げております農林省の二十五年八・一調査というのがございまして、これは買収についての数字でございます。ですから、統計の性質は異なっておりますが、ただ、私どもはそれを基礎にして今度の計算をいたしております。
  156. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 答弁がちょっと横へ振れましたが、私のお聞きしておるのは、いま答弁のありました農地所有者調査です。明治四十一年から農林大臣に行なっておる報告に基づいた農林省の統計表というものはあるわけなんで、だから、それに基づいて、先ほど申しましたように、五反以上一町、あとは申しませんけれども、五十町以上、こういう六つに分けて数字をお示しいただけば、私の調査をしたものと合うか合わないかということを照らし合わしていきたいと思うのです。その中で、今度はどういう形でどう開放され、小作人が自作農になったかということが、数字的にずっと出てくるわけなんです。
  157. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 これは、先ほども申し上げましたように、耕地所有区分による統計でございます。したがいまして、五十町歩程度持っておる方は、もちろんその当時の農業経営からいいますと、自分で五十町歩も経営するというのはごくわずかでございますが、ただ、下のほうになりますと、たとえば一町であるとか、三町であるとか、五町であるとかいうところでは、つまり自作地のウェートが相当ありますと、これでもって貸し付け地の区分に代用はできないわけでございます。つまり三町持っておる人が、自作を一町している、二町を貸し付けておる場合もありますし、二町自作して一町貸し付けておる場合もある。いろいろあるわけでございます。五十町くらいになりますと、戦前の農業経営でございますから、そういう大きな経営は当然ないので、たとえば、五十町はおおむね貸し付け地になっておると見てもあるいは間違いないかと思いますけれども、今度の農地開放は、御承知のように、地主一人当たり約一町余という、平均しますときわめて小さなものになりますから、そういう意味で、一町であるとか、三町であるとか、五町であるとかいうところで、あまり信憑性のない統計を用いて、いわば貸し付け地の性格、貸し付け者の性格というものを議論するのは、やはり妥当ではないのではないかということで、私どもはこの数字をもって議論することは差し控えております。そういう意味におきまして、結局二十五年の八月一日現在で、農林省のほうで各農地委員会を通じた実績調査というのがございますが、その際に、昭和二十年の十一月二十三日現在で大体どういう状況であったということをさかのぼって聞いた数字があるわけであります。それは大体各農地委員会が今後これから農地開放をやっていこうというときの、いわば一つの基準になる数字でございますし、さかのぼってとっておりますから、正確ではない。農林省のほうでも、それをもって直ちに正確な統計として使ってもらっては多少難があるということは言っておりますけれども、そういう数字はあるわけであります。しかし、私どもは、現在の法案の基礎には、結局幾ら面積として買収されたか、あるいはその区分はどういうふうになっておるかというのを調べる必要があるわけであります。それは二十五年八月一日を基礎にいたしまして、その後もやはり法律は存続いたしておりましたから、買収が一部進んでおります。あるいはそれ以前にその計画があったものは、その後進んでおるわけであります。それから施行法等でも多少やっておりますから、そういうものの推計をいたしまして、結局百八十万六千町歩ということで現在は考えておるということでございます。
  158. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 あなたのほうのこの法案をつくる基礎になったその数字、また数字の求めどころ、これはあなたのほうのただいま答弁のあったような内容で出されたということはわかります。わかりますが、審議をする私どもといたしましては、やはりその当時の農地の所有者の調査は、これは耕作地所有の戸数が各府県別に数字が出ておりますから、だから、これは農林省にあるから、その数字を一つの参考として、いまあなたのほうの提案されておるものの真実性の有無を私どもが検討しなければならないわけです。だから、審議をするには、そういうところから審議をしていかなければ、その真実性ということについても私どもが了解することができないわけなんで、そういうことからお聞きをしておるわけだから、せっかくあると言われるのだから、お示しいただければ、この質問は先へ進んでいくと思いますので、ひとつお示しいただきたい。
  159. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 これは先ほどから申し上げておりますように、耕地所有者戸数累年表でございますが、私どもはこの被買収者問題ということで頭が一ぱいになっておったために、せっかくのお尋ねをあるいははすかいに受け取ったので申しわけございませんが、これは明治四十一年から昭和十五年までございます。累年を申し上げてもあれでございますから、最初の年についてまず申し上げますと、明治四十一年では、総数四百九十三万六千七百六十九戸ということで、そのうち五反未満が二百二十七万八千三百十七戸でございます。それから五反以上一町未満が百二十八万七千九百七十七戸、一町以上三町未満が九十二万五千九百三十戸、三町以上五町未満が二十七万九千百戸、五町以上十町未満が十二万三千百二十五戸、十町以上五十町未満が三万九千七百四十六戸、五十町以上は二千五百七十四戸、ということになっております。そうして、各年申し上げてもなんでございますから、昭和十五年がこの統計で最後になっておりますから昭和十五年を申し上げたいと思いますが、総数が五百八万五千二百一戸、以下先ほどの区分によりまして、二百四十二万五千四百四十二戸、百三十四万一千六百十二戸、九十四万三千五百二十二戸、二十二万二千三百四十七戸、十万六千四百九十三戸、四万二千八百四十四戸、二千九百四十一戸ということになっております。なお指数等もございますけれども、一応省略をいたしたいと思います。なお昭和十五年についていいますと、そのうちで北海道は、五十町歩以上の所有者が千百九十九戸という数字がございます。
  160. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ただいまの農林省のその統計表というのは、これはもう十五年でストップですか。
  161. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 ストップでございます。
  162. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 十五年からは、あなたのほうでとられた資料はないということですね。そうなんですね。
  163. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 あなたのほうというお話の中には、政府一般ということでございますならば、私のほうでは、こういういま申し上げましたような区分の性質の統計は、一応農林省はやめたということでございますから、ないわけでございます。
  164. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうすると、農地開放をする当時の被買収者、買収者、こういうものは、それぞれ都道府県から農地委員会の議を経て、そして作業の進められて完了したものが報告されてきたものをもって農地開放終われり、こういうように判断をしておられるのですね。
  165. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 農地改革がどういう形で終わったか、あるいはその後も終わってないかという議論になりますと、これはいろいろ学者等にも議論があるかと思いますけれども、一応農地改革という狭義のものは、旧自創法で終わったというふうに政府としては考えておるわけであります。しかし、その後の農地改革の成果を維持していくというために現行農地法がございまして、その成果の維持というものを含めますと、農地改革もいままでまだ続いておるとも言えますけれども、それはまあ概念として拡張し過ぎでございまして、やはり農地改革というのは一応終わった。逆に実態的な問題としまして、農地改革が終わって、現在のいろいろな問題、農地の問題は、端的に言いますと、たとえば貸し付けをしておる人の立場からいいますと平均二・八反、借り受けているほうの立場からいいますと平均して一・八反というようなことで、きわめて零細な土地の借り貸しというものが行なわれている。かつ全体としても純粋の小作あるいは自作、小作兼自作というような範疇は、全農家中の六・七%というようなことで、いわゆる戦前の寄生地主制というのは実態的にほぼ終わったというふうに考えていいのではないかというふうに、私どもは考えておる次第であります。
  166. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、先ほどの明治四十一年以降の農林大臣に対して行なっている報告に基づいての農林省統計は、昭和十五年でストップして、もうそれからはその数字はない、こういうことですね。そこで、これは四十一年からずっと続けてこられたものが、昭和十五年になってどうしてストップしたのか、これはお聞きになったことはありますか。
  167. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 この統計の方式でございますが、戦前は県の統計課を通じまして農林省で集計をいたしておりました。終戦後、御承知のように、統計調査部というものが整備いたしまして、因みずからが調査をするようになりました。したがいまして、先ほど来の四三年以来のは、統計課を通じます報告でございます。これが十五年にとまりました。それから昭和二十一年からだと存じますが、今度は経営規模別調査、もう農地改革で全部が自作農になりましたという立場におきまして、農家につきまして経営規模別の調査というのを統計調査部を通じて毎年やっております。それから、しからばその経営の態様が自作地であるか小作地であるかという調査は、別に五年ごとのセンサスにおきましてそれをとるということにいたしておりますので、所有関係、賃貸関係の統計は、五年ごとのセンサスで掌握する、毎年の保有状態は経営規模別で、所有関係にかかわらず、何反歩を耕作しておるかという経営規模別の統計として集計をいたしております。なぜ変わったかといいますと、終戦後におきまして、結局統計調査方法が、国の直接調査に変わった、そういう関係からでございます。
  168. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ないものを追って質問してもしかたありませんので、次に移りますが、最も新しい統計に基づいてというのは、これは先ほど来の答弁で、あなたのほうの推定でいろいろ言われておったのですが、農林大臣官房統計調べというのがありますね。これはずっと新しいものがあったんじゃありませんか。これも保有状況調べというのだから、十五年までしかないというあなたのほうの言われたものと比較はできるわけなんです。それはなぜかというと、田が何方町歩あって、畑が何方町歩あって、そうしてその所有者が畑は何万人、田が何万人、こういうように仕分けて農林大臣官房統計調べというのが出ておると思うのですが、それはおそらく新しいものもあろうと思うので、その最も新しい数字をひとつお示しをいただきたい。
  169. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 先生のおっしゃっているのは、昭和十六年四月末現在の農林大臣官房統計課の田畑所有状況調査のことだろうと存じます。これはこの十六年に、特に特別に市町村を通じまして農林省が一回だけ調査いたしたものでございます。
  170. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それは十六年後もやっているでしょう。
  171. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 これは土地台帳から特に集計をいたした特別の調査でございまして、十六年限り一ぺんやりまして、かつ、その限りでございます。
  172. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 十六年限りと言われると、私は月まで聞かないと私のほうのメモと合わないのですが、あなたのほうでは十六年の何月現在ということになっておりますか。
  173. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 昭和十六年四月末現在でございます。
  174. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私は農林省の者でないから、ないと言われればないというように聞くよりしようがありませんけれども、農林大臣の官房統計調べというのは、まだ新しいものはあるというので、私のメモの中には数字は出ております。それであなたのほうの数字とやや合致すれば、大体これで了解していこうと思いますが……。
  175. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 お突き合わせを願いますために一番冒頭の田につきまして、田の公共共有関係居住市町村別総数は、所有者数五百四十二万四千六百十九人、面積は三百九万八千九百六十二町六反、その内訳は自市区町村居住と他市区町村居住に分かれております。それからそれがさらに五反、一町、二町等というふうに内訳が分かれております。  同じく畑につきまして総数を申し上げますと、六百三十三万一千二百三十三人、面積は二百八十五万五百二・八町でございます。
  176. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 いま答弁のあった数字は、政府委員として責任を持って答弁されたんだから、私はその調査の数字を信じたいのですけれども、これは私の調べたのとは違いますし、それからぼくのほうは昭和十六年に打ち切られておらないという数字があるのだが、それは何という資料ですか。   〔丹羽政府委員田口委員に書類を示す〕  これは最後の総仕上げになって、いろいろ打ち合わせをして指摘をしなければならないことがたくさんたまったわけですが、そこであまり数字だけやっておっては頭も痛くなりまするので、少し頭を冷やす意味でほかのほうも中へ入れたいと思いますが、今度の給付金は百万円で制限してありまするけれども、所得制限というのはしてないと思うんですが、これも必要だと思うのですが、この辺のところはどうお考えになっておりますか。
  177. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 すでに御承知のように、今度の報償をするということにつきましては、農地改革が、ひとり農村の民主化ばかりでなく、日本の民主化に非常に貢献した、その功績を多とするという意味と、もう一つは、心理的に非常な影響を開放地主が受けた、そういう点から報償ということをいたしたわけでございますので、別に社会政策的な意味でこれをやる、こういう意味ではございませんので、その点は御了承いただきたいと思います。
  178. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それで私に対する答弁は終わったのですか。どうですか、総務長官の基本的な考え方はいま答弁の中でお話しになりましたけれども、私の質問申し上げた所得制限というものをどうしてやらなかったかということについて、どうも私にはいまの答弁だけではぴんとこないのです。そこまで考えがいかなかったのか、それとも、そういう点も検討したけれども、こういう理由で所得制限をしなかったんだ、こういう答弁がなければいかぬと思いますがどうですか。
  179. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 そういうやり方もあるわけでございますけれども、ただ今度の場合においては、やはり心理的な影響というものは、所得云々にかかわらず、非常に受けたということ、それから功績ということも、別に所得の有無にかかわらず、そこにはっきりあるわけであります。所得が高いから功績が少ないとか、所得が少ないからどうとかいうことも、全然ないとは言えないかもしれませんけれども、一応そういうことでなく、社会政策というようなものは加味しないで、それにいたしましてもやっぱり最高限度百万をきめたいというようなことは、一つは財政上の理由もあるのですけれども、そういう点については田口先生のようなお考えも全然加味しなかったというわけではないということであります。所得ではございませんけれども、所有開放反別、そういう意味においてある程度考え方もいれた、こういうわけであります。
  180. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、総務長官一生懸命に答弁してみえるので、なお追及して聞くのも気の毒だと思いますが、金額で頭打ちをつくったら、所得制限というものも入れておかなきゃならないものだと思いますが、その所得制限をなぜしなかったという理由については、いま二回の答弁で基本的な考え方というものを述べられたのですが、ただそれだけではちょっとおかしいのです。これは大蔵省でないとそういう点の解明がむずかしいかとも思いますが、その他の政府委員方々でいまの私の質問に対してお答えいただける方があれば、この件については質疑を終わったということにしていきたいと思うのですが、まだどうもその点が私了解できないのですから、もう少し具体的に、実はこういうことも話題にのぼったが、しかし検討をした結果、こういう理由から所得制限はしなかったんだ、これがあると思うのです。それとも、そういうことを全然頭の中に入れておられぬのか、どちらかなんです。これはきょうのところは宿題にしておきますか、それとも御答弁いただけますか。
  181. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 私どもは去年の四月から一応この法案の立案過程に参加いたしましたので、あえて申し上げますが、過程においてはそういう議論もあったわけであります。それから、資料としてお出しをいたしておりますが、世論調査等の場合にも、やはりそういう問題を一問設けまして聞いておりますから、私どもとして、そういう問題があるということについて全然眠ったということではございません。ただ、先ほども申し上げましたように——これは総務長官からお答えになりました以上のことを私がつけ加えることはないのでありますが、百万円で頭打ちしましたこと等につきましても、これは無形な、無体な財産に対する補償ではなくて、そういう功績に対する報償でございますから、おのずから条件があるということでございます。そういう意味におきまして、これは農地改革−これ以上は総務長官のお話をもう一ぺん言うだけで、田口先生のおっしゃる答弁にはならないのかとも思いますけれども、やはり総務長官のおっしゃったような意味で、いわば報償の性格をそういうふうに考えるべきだというところで、所得制限というものを設けなかったのであります。ただ、逆に所得制限というものをかりに設けてあったらどうだ。たとえば引き揚げ者給付金、ああいうふうに所得制限があるのがあるのです。厚生省で所管しておる中にはございますし、逆に、もしそういうものがあったら技術的にどうだということになりますと——もちろん所得の判定というものについて技術的な問題がございます。しかし、これは技術的な問題でありますから、時間と人手と金もをかければ、あるいは論理的にはできないというものではございません。私どもとしては、そういうことも議論にはのぼりましたけれども、先ほど来から総務長官が申し上げておられるような判断で、所得制限というものは結局つけないことにしたわけでございます。
  182. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 いまの答弁を聞きますと、やわらかいことばでいいますと、功績があったから今度はほうびをやるということですね。ほうびをやるということになれば、どうせ格差をつけるのなら、私が申し上げたように——基準を幾らに置くかということはたな上げとして、やはり五十町歩までぐらいは格差をつけていくべきである。それで格差をつけぬのなら、ほうびなら、これは一律にしていかなければいかぬ。それは心理的な影響ということは、お金持ちが百万円寄付するのと貧乏人が十円寄付するのとは、心理的にならどちらのほうがえらいかといえば、これはどちらともちょっと言えぬと思う。そういうものだから、功績に対するほうびということなら、これは一律にいかなくちゃならぬし、一律にいかぬとすれば、五十町歩ぐらいまで格差をつけてやるのが、私は一つの筋が通るだろうと思う。いまの提案の内容は、どうもどちらからどうながめてみても、その筋が通らぬわけなんです。無理に筋を通すように、引き合わせをしようと思って、いろいろなものを数字的に押えるためにお聞きしておるけれども、お聞きすればするほど、私はこの法案に対する反対の気持ちが増してくるだけで、これが妥当だというようなことは、質問の過程では全然ないわけなんです。質問すればするほど反対の気持ちがよけい出てくることなんで、報償という、いわゆる功績に対してごほうびをやるということなんだから、どうもその点の検討が粗雑であったと思うのです。これはよく新聞とか雑誌等でも書かれておりますように、本年の佐藤総理の施政演説の中に、一千五百億円近くも要るようなこういう法案を提出するというようなことは、もうここから向こうへ言及されなかったわけなんです。そうして、途中でこの法案が出てきた。それで巷間伝えられるところによりますと、ことしは参議院の選挙であるので、そういうようなことにもやはり何とかかっこうつけなければならないというので、にわかにこれが出されてきました。しかも、現有与党内部においても、この方面に非常に熱心な先生もあれば、反対の先生もあり、そうして医療保障等の問題で相当問題が出ておるのに、あえてここに千五百億円近い金をほうびとしてやるようなことをしなくてもいいじゃないかということが、与党の中からも出ておるくらいなんだから、私はこの問題の審議はほんとうに慎重にやらなければならないと思って、いろいろな数字的な面からもお聞きをいたしましたが、数字の面については、ある程度了解のいくものもございましたけれども、当然農林省になければならない資料が、いま見せてもらいましたけれども、ないということでございますけれども、私どもの調査しておりますものと引き合わせて、最後に反対の意思表示をするときに、こういう程度の審議のやり方では困るわけでございますので、そういう点から、まことに意地悪く、くどいようでございましたけれども、数字をいろいろと御質問を申し上げたようなわけでございます。  そこで、今日の段階において、解散をした法人というのは、どの程度めどをつけておられるか。
  183. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 ただいま調べさせますけれども、いま私の手元では、解散をした法人数というのはちょっとわかりません。
  184. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますと、この法案ずばり言った場合に、何名で、総金額どれだけになるかということを一応めどとして出される場合には、調査というのは審議会等も設けていろいろおやりになったのだから、総理府としても十分に把握されておるものだと私は思っておったわけでございますが、そういう点についての確認はなされておりませんし、これからの政令で出そうとするものも、どの程度のものかということは、まだ態度がきまっておらぬようでございますが、これは政令で出さないだけで、その内容は、総理府としては一応案はおきめになっておられるんですか。
  185. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 団体、法人につきましては、私どものほうである種の案は持っております。ただ、関係者とまだ最終的に了解がついておりませんので、まだ確定は政府としてはいたしていないわけでございます。ただ、全体としての計算をいたします場合等におきましては、これくらいであろうという数字については、関係省とも打ち合わせの上で積算をいたしております。たとえば総理府の実態調査、これは一昨年にやったわけでございますが、これによりますと、全部集計ができなかったのでございます。先ほど来申し上げておりますように、一応被買収者は二百六万人でございます。個人については百九十万人くらいあるわけでございますが、そのうちに実際に調査の対象として出てきたのは九十万人、約百万人近くだけであったので、悉皆調査とはいえないのでありますが、その際の会社等についての数字は、株式会社につきましては千十四、有限、合名、合資等は九百三十五、それから宗教法人、これは神社仏閣等がいわゆる宗教法人でございますが、これが四万八千九百七十、その他地方公共団体等を入れまして六万二千二百八十四ということで、実態調査の結果が出ております。これは先ほど申し上げましたように全部でございません。調査がいわば申告によったのでありますから、全部でございませんが、これを基礎にして全体を推計していくということをやったわけでございます。非常に大ざっぱにいいますと、申告が約半数でございますから、大体この倍程度はあったというふうに言っていいかと思いますが、しかし、宗教法人等は一たん解散しておりますが、大体続いております。法人の性格によりまして単純に倍にするというわけにはまいらないかと思いますが、大体の傾向はそれでつかめるということで計算をいたしております。
  186. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 関係省と相談をしなければ確定したものは出ないということですけれども、まあ百八十万人が対象だということと、それが実際的には百万人くらいしかつかめておらない。そこで、その総資金の面については、これはもうこの法案を出されるときには明確に金額も言われておるのであるから——これは関係省というと大蔵省だと思いまするが、大蔵省のオーケーをとってあるものだし、そうなりますると、もう今日の質疑の段階で、こうするのだという点をやはり明確にしていただいたほうが、審議としては非常にしやすいと思うのです。政令で定める内容はまだこれからであるからわからないのだ。もしこの法案が国会を通過した場合にはこういう基準で政令をもって定めるのだということが、やはり明確に公表されなければならないと思うのですが、その辺のところはむずかしいのですか。
  187. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 まだ最終的には確定いたしておりませんので、多少ことばを濁したわけでありますが、たとえば宗教法人、これは包括宗教法人と通常の宗教法人とございます。包括宗教法人というのは、これは御承知かと思いますが、いわゆる大本山のようなものを包括宗教法人と一般的に——大がつかない本山もございますが、そういうものはやはり対象にしないというようなこと、あるいは株式会社等においても、たとえば法人税法の中で同族会社というような特殊な規定がございます。それから中小企業基本法、ああいうもので、あまり大きくない規模についての規定がございます。そういうものを参考にして大体話を詰めつつあるということでございます。あるいはまた、学校法人とか、医療法人とか、いろいろな法人がございます。そういうものも、そういうことで検討を進める。反面、地方公共団体というのは、これはやはり一つの法人でございますが、これは落とすというようなことを考えております。  それからなおつけ加えますと、先ほど百万人足らずしか捕捉していないというお話がございましたが、それはまだこの給付金支給法案を政府が出す、出さないということが決定する前の調査で、つまり昭和三十八年現在で調査をしたものでございまして、したがって、私どもの推定いたしております人数の約半分しか申告がなかったということであります。それから私どもの予算の基礎といたしておりますのは、百六十七万人、これはある程度の歩どまりを見ておるわけでございまして、百六十七万人が請求をするであろう。この中には、調査の際に申告された人は大部分申告されると思いますけれども、そういう数字の関係になっております。
  188. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 先ほど理事会のときに、たとえどれだけでも、二人くらいは質疑に入ってもらいたいという要望もございましたし、それも質疑に入ってみて、政府側の答弁のいかんでないとわからないということを申し上げて私は質疑に入ったわけですが、きょうの質疑の内容からいきますと、まだまだ明確にしたい点が非常にあるわけでございますので、その点を私は保留して質問を交代したいと思うのです。  それで、特に申し上げておきたいと思いますることは、いままで質問を申し上げました内容からいきますると、まだこの法案を出すまでに準備が完全に至っておらないということなんですね。その準備のされぬような法案を無責任に出されるということは、私の好きな総務長官としては、責任者として非常に遺憾に思うし、実際のところ気の毒だと思うのです。こんな程度の基礎調査なり、そうして質問をしてみると矛盾だらけなものを法案として出して、この国会で上げようということは、非常にこれは無理があると思う。だから、この問題につきましては、なお今後質疑は継続されようと思いまするし、先ほどの強い要望もございましたので、一応私の質問に対する答弁の足りなかった点は、あとでいろいろ検討をしておいていただくなり、また私もことばを抽象的に申し上げて答弁のしやすいように整理もしておきたいと思いますので、一応きょうはそういうことで私の質問はこの辺で保留して、また質問者がかわれば頭を切りかえて答弁ができようかと思います。私の質問は基礎的なところから数字的に突き合わせていって、最終的に百八十万の対象、そうしてほぼ一千五百億円に近いところの金額がどうして要るのかという、そういう数字的な面も検討もしてみたかったし、それからただいま質問しましたように、法人等の取り扱いの問題等も、もう少し明確にしたがったわけなんですが、これは今後もし私が質問しない場合でも、他の質問者からそういう点の質問があると思いますので、政府のほうではもう少しこの問題について資料を収集していただき、そして必要な答弁者を呼んでいただいて、この質疑がスムーズに進行できるように希望申し上げて、ひとまず私の質問を保留して、あとの質問者と交代をいたしたいと思います。
  189. 河本敏夫

    河本委員長 この際暫時休憩いたします。    午後六時四十四分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕