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1965-04-28 第48回国会 衆議院 内閣委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十八日(水曜日)    午前十一時十分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 伊能繁次郎君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 田口 誠治君    理事 村山 喜一君 理事 山内  広君       天野 公義君    井原 岸高君       岩動 道行君    池田 清志君       亀岡 高夫君    高瀬  傳君       塚田  徹君    辻  寛一君       綱島 正興君    二階堂 進君       野呂 恭一君    湊  徹郎君       稻村 隆一君    大出  俊君       大原  亨君    中村 高一君       楢崎弥之助君    受田 新吉君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 神田  博君         建 設 大 臣 小山 長規君  出席政府委員         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長) 松永  勇君         総理府総務長官 臼井 莊一君         総理府事務官         (近畿圏整備本         部次長)    町田  充君         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      若松 栄一君         厚 生 技 官         (医務局長)  尾崎 嘉篤君         厚生事務官         (年金局長)  山本 正淑君         運 輸 技 官         (港湾局長)  佐藤  肇君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      村上 茂利君         労働事務官         (職業安定局         長)      有馬 元治君         建設政務次官  白浜 仁吉君         建設事務官         (大臣官房長) 鶴海良一郎君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     多治見高雄君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         建設事務官         (都市局長)  鮎川 幸雄君         建設技官         (河川局長)  上田  稔君         建設技官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建設技官         (住宅局長)  尚   明君  委員外出席者         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二二号)  厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第七五号)  総理府設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第八四号)      ――――◇―――――
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。  建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。稻村隆一君。
  3. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 実は私、私の県でも経験しているのですが、建設省労働運動に対する妨害と申しますか、弾圧というか、あまりに露骨過ぎるのじゃないか、こういうふうに考えておる。現に私何度も経験しているのです。きょう実は私いろいろ材料をもってお尋ねしたいのですが、これから災害対策委員会質問をしなければならぬので、簡単に最近の事実に対して二点だけお尋ねしたいと思っておるのです。  建設省は、最近訓令十六号というものを乱用して、いろいろな意味において組合運動を弾圧したり、あるいは組合役員個人に対していろいろな圧力を加えている事実があるのであります。それは新潟国道事務所の問題でありますが、所長片山重夫という人であります。三月に、組合役員である前田という人と天城という人が結婚したのです。それで、今度設置法が通れば四月になってから、配転があるというので、三軒残っているのに官舎に入れないわけです。結婚した者は、五組のうち四組は官舎に入っている。しかるに前田天城組合役員だから入れないという事実がある。こういう点本省は知っておりますか。
  4. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 新潟におきますただいま御指摘事例につきましては、本省では聞いておりませんが、事務地建委譲のための職員を入れるべき宿舎を準備しておるということは事実であります。
  5. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 組合役員だからといって入れないというのですね。そういう事実は知りませんか。
  6. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 組合役員であるから入れないというふうな方針はとっておりませんし、そういう事実は聞いておりません。
  7. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 そういうことを言っておりますから、よく調べてください。そういうことは事実ありそうなんです。私は、新潟地建組合運動の非常な抑圧の事実を知っております。古いことはたくさん材料があるけれども、きょうは時間がないから言わぬことにします。これは最近の新しい事実ですから、よく調査して、もしそういうことがあれば、ないようにしていただきたいと思います。
  8. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 ただいま御指摘事例につきましては、よく調査いたしまして、組合役員であるから入れないというふうなことがもしありましたならば、是正いたしたいと思います。
  9. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 これは新津工事事務所の問題でありますが、桜井さんという庶務課長がおります。健康保険制度の問題で、医療協の人が来て、職員が職場で集会をやった。ところが、これは誤解か何かをして、訓令十六号によって集会を許可しない、部屋も貸さない、こういう事実が最近あるのですが、こういうことは、私は不当だと思う。そういう事実は知りませんか。
  10. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 訓令十六号は、御承知のように、建設省管理いたしております庁舎取り締まり上つくっておる訓令でございます。それによりますと、公務外目的庁舎を使用いたします場合には、庁舎管理をいたしております者の許可が要る、こういう規定になっております。その場合におきましても、庁舎利用につきまして秩序の維持あるいは災害の防止に支障のない限り、部屋があいておりますれば貸すたてまえをとっております。ただし、ただいまの御指摘事例につきましては私はまだ承知いたしておりません。
  11. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 休みのとき、しかも部屋があいている、それで健康保険制度の問題でみなが聞こうというのに、それを何かほかの問題と誤解をするというか、曲解をして、そういう集会を許さぬなんて、そんなことは、もし事実とすれば、私は実にけしからぬと思うのです。そういう点、十分御調査になって、もし事実があるとすれば、そういうことが絶対にないようにしていただきたいと思うのです。  いろいろお尋ねしたいことがありますけれども、これから質問者もあることですから、この二点だけ、あなたのほうでよく調査してもらいたい。そして正当な職員集会とか、何でもない休みのときに集まるなんということまで干渉するような封建的なことは、ひとつ厳にやめてもらいたい、慎んでもらいたいと思います。
  12. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 建設省といたしましては、この訓令十六号をもって組合の正常な活動を抑圧しようというふうな考えは、毛頭ございません。ただいまのご指摘事例につきましては、よく調べた上で善処いたしたいと思います。
  13. 村山喜一

    村山(喜)委員 関連。私は、簡単に一つだけ具体的な例を申し上げて当局の見解をただしてまいりたいと思うのですけれども、社団法人九州建設済会は、建設省監督をする所管内容に入っておりましょうか、いかがでございますか。
  14. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 その法人の件は知っておりますが、これは地元の県におきまして認可いたしました法人でございます。
  15. 村山喜一

    村山(喜)委員 その内容につきまして官房長は御承知でございますか、いかがでございますか。
  16. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 詳細につきましては承知しておりませんが、設立趣旨につきましては聞いております。
  17. 村山喜一

    村山(喜)委員 理事長あるいは専務理事、この名前はわかっておりますか。
  18. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 役員の氏名につきましては、聞いておりません。
  19. 村山喜一

    村山(喜)委員 この定款を見ますと、九州地建で働いた経験を持っているOB諸君現役が入っている。そして目的は、「建設事業の円滑な推進を図り、もって国土開発の発展に寄与することを目前とする。」そこで、これは単なる現役退職者懇親会だけではないようでございます。事業内容を見てまいりますと、非常にわれわれとして無視することのできないような事業内容がございます。たとえばかんろく橋のゴルフ場建設あるいは学生寮、食堂の吸収その他行なっているわけでございますが、こういうふうに、退職をしたOB諸君親睦のためにつくるのであれば、私は社団法人として成り立つと思うのですが、これに現役諸君参加をする。そうする中においてわれわれが一番危惧いたしますのは、かつて上司であった者が定年退職をした後に民間会社に入る。民間会社に入って今度は現役諸君と一諸になりまして、こういうような社団法人等をつくることによって、いわゆる民間業者とのなれ合いというものが発生をする。そのような中において、今度は現職公務員河川敷地等ゴルフ場建設事業参加をする形をとる。このようなことがはたして許されてよろしいであろうか。しかもこの前から新聞をにぎわしておりますように、河川敷地ゴルフ場建設をした。それに対する入会金等は、建設省幹部諸君については無償で提供をされる仕組みになっている、こういうようなのが新聞に出されておりますそこで、こういうような形の中で、あなた方の指揮、監督のもとにある九州地建幹部諸君が、あるいは現役公務員諸君が、このような社団法人をつくり、出資金をそれぞれ納めまして、そして一つ事業目的に照らし合わせた事業を行なっていく、その中において好ましからざる空気が生まれてくるとするならば、これはやはり建設行政の筋を通す立場から考えた場合には、こういうようなものに現役現職公務員参加をするということは勢いしまことではないと思うのでありますが、それに対しましては、どういうような御指導をしておられるのか、承りたいのであります。
  20. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 建設省に長くつとめて退職した者と現役でつとめておる者との間の親睦ということはけっこうなことだと思うのでありますが、そのために業界につとめておられる先輩の方と現職建設省職員との間に何らかの特殊な関係ができて、綱紀の取り締まり上遺憾のようなことがありますことは、将来ともあってはならないことでありまして、その点につきましては、厳に戒めてまいりたいと思います。
  21. 村山喜一

    村山(喜)委員 現実に都道府県知事所管をする社団法人であるといたしましても、九州建設済会という社団法人が生まれて――これは発足しているわけでしょう。
  22. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 発足をしておるというふうに聞いております。
  23. 村山喜一

    村山(喜)委員 そして、これにはどういうような人が入会をしておられるか、調査されたことがありますか、現役公務員で。
  24. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 入会者につきまして報告は受けておりません。
  25. 村山喜一

    村山(喜)委員 政務次官にお尋ねいたします。  従来われわれが聞くところによりますと、いろいろな汚職あるいは汚職に近いような談合というようなものが絶え間なく行なわれ、これが建設行政国民に対する信頼を失うことになるとするならば――私たちはそういうふうに考えるわけでありますが、現職公務員がこういうような社団法人等に個人的に加盟をする、しかも九州地建事務所長あるいは庶務課長あるいは出張所長というような管理監督の地位にあるような人たちがこれに入って推進をする、そして会費の、出資金割合等もきめられている、こういうようなものが公然と生まれて、そしてここが親睦じゃなくて、一つ談合場所になる可能性があるのです。しかも内容的に見てみますと、いわゆるゴルフ場の経営というようなものも含まれているわけです。私は、こういうようなものは正しい行政の姿ではない。公務員としてのあり方の上から国民疑惑を与えるようなものになるならば、これはやはり本省のほうで十分な指導をなされるべきであるというふうに考えるわけでありますが、その点についてどういうふうにお考えになるのか、御所見をお伺いをしたい。
  26. 白浜仁吉

    白浜政府委員 先ほどから官房長お答えしましたとおり、現職の役人としての立場も十分考えて、国民疑惑を招くようなことが起こらないようにという指導をやっておるわけでございますが、ただいま御指摘の問題については、なるほど御意見のとおり十分注意していかなければならないと考えておるわけでありまして、この問題につきましても、十分検討の上、指導していきたいと考えておるわけであります。
  27. 村山喜一

    村山(喜)委員 これの設立趣意書の一部を見てみますと、こう書いてあります。今度地建のほうに大幅な事務委譲が行なわれることになる。この「大巾移譲等を迎え、まさに地方建設局開設以来の画期的な一時期を招来しているものと思われます。この時にあたり、永年九州地方建設局に勤続し、退職後もなお建設事業に関与している私達におきましても、永年の経験とその修得した技術を再び活用して、国土建設の第一線で活躍する九州地方建設局職員表裏一体になり、建設事業の円滑な遂行に協力することを考慮するときであると考えます。よって、ここに同志相図り、社団法人九州建設済会」を設立して、建設事業推進を図り、」云々と書いてある。しかも、これを退職をした者だけでつくるのだったら、これは親睦団体でもありましょうから、結社の自由権ですから、憲法上認められている。しかしながら、この中に国家公務員が入っている。しかもそれは幹部クラスが入っている。そしてその会員となった者等一つ事業を行なう。それに公務員関係をする。実質的に利益を求める、報酬を求めるということにはならないでありましょう、社団法人ですから。しかしながら、その中においてゴルフ場等建設をする。ゴルフ場利用権というものが、無体財産権みたいな形で発生する。それを自動的に地建幹部が取得をする。そしてそこではなれ合い業者諸君といつもゴルフをして懇親をする、こういう姿を見せつけられますと、建設行政に対する国民不信感というものがますます増大をすることになるので、少なくとも現職公務員は、こういうような疑わしいものの会に参加すべきではないという行政指導をされるべきだ。善処するということでありますが、そういうようなところまで詰めておかなければならないかと思うのでありますが、現職公務員は、そういうような疑いを持たれるようなものに加盟すべきでないという、そこまで指導はできませんか。お伺いをいたします。
  28. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 ただいま御指摘の問題につきましては、なお十分内容調査しました上で、しかるべき指導をいたしたいと思います。
  29. 村山喜一

    村山(喜)委員 しかるべき指導というのは、どういうのですか。やはり明確にしておかなければ、妙なうわさが立ち始めてからではおそいのです。いま発足したばかりだから、いま直しておかなければ、将来の建設省の威信に関するし、また国民に対する責任が十分全うされませんので、私はしつこく聞いているわけですが、その筋を通してもらいたい。
  30. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 しかるべきと申し上げましたのは、内容を詳細に検討いたしませんと、直ちに公務員が入ってはならぬとか申し上げかねますので申し上げたのでございまして、検討の結果、現職公務員が入るべきものでないというふうに判断いたしました場合には、さように指導いたしたい、かように考えております。
  31. 村山喜一

    村山(喜)委員 私の話をお聞きになっていらっしゃると思うんだが、退職をした公務員、前職のそういうような役職にあった者たちを中心に、この広済会が生まれた。それに現役諸君まで加えて会員というものがきまっている。しかもその現役会員の中には、地建幹部クラスがいる。そういうようなのが、はたして望ましい姿であるとお考えになるのかどうかということです。いま大臣がお見えになりましたので、大臣行政に対する姿勢の問題、これを官房長にお尋ねをしているわけですが、調査の上検討を加えて善処するというようなお答えでございますので、これでは私も納得できませんので、やはり基本的な方向だけを明示願いたいと思う。その理由は、こういうことです。ここに資料を持っておりますが、九州地建のかつての職員であった者、これはおもに幹部クラスです。それが今度地建事務委譲等が大幅になされ、これを機会表裏一体の運営を地建とやらなきゃならない。そうして事業推進に当たりたいということで、現職公務員である九州地建幹部諸君会員といたしまして、退職をしたOB諸君一緒に広済会というものをつくって、そうして事業内容等を見てみますと、かんろく橋の、ゴルフ場建設というような事業内容がある。それはお互いOB諸君現役幹部諸君懇親をする場所として、そういうようなゴルフ場等建設をして、そこでお互いにツーツーになりましょうということ、いま現役幹部諸君と、かつての上司であった者が民間会社に入る、これらがそういうような形で一つ団体として社団法人というようなものが生まれ、その間には有形、無形のつながりがあるわけですから、またきょうはゴルフをして遊んでいなさるというのは、住民から見たらすぐわかる。そしてまた、きょうは所長はどこへ行ったんだ、ゴルフ場に行きました、こういうようなことでは、私は部下に対するところのその監督の任にもたえないだろうと思う。そういうような疑いを持たれる、そんなものに対しては、やはり国民の前にえりをただして行政を行なりというのが、正しい姿じゃないか。こういう考え方から、こういうような疑いを持たれるそんな会員になることは、現役公務員は望ましくない。私は、それを本筋として、そういうような考え方で臨むべきだ、こう言っているわけでありますが、それに対して官房長、なかなか核心に触れる答弁をされないで、調査の上云々ということでのがれる方向でばかり答弁をしておられるわけです。しかし、それではやはりおかしいじゃないか。基本的にこの問題はどうあるべきかという、公務員倫理観の問題にもつながる問題です。だから、これについては、建設省の最高の責任者である大臣から、その具体的な内容問題等については調査をしなくてはならないでしょうが、心がまえとしての問題はかくあるべきだということが、はっきりと国会の前で国民に明示できるのではなかろうかと思いますので、その点を大臣からお答えを願っておきたい。
  32. 小山長規

    小山国務大臣 そのおっしゃった内容をあとで見せていただきますが、いま村山さんがおっしゃったような内容であるとすれば、それは現役の連中がそれに入るのは不穏当であります。第一、私は就任以来、職務中にゴルフをやったりマージャンをやったりしているような執務態度は絶体いかぬとたびたび言っておることでありますし、また現に私の目の届く範囲内ではやっておりません。ですから、そういったような疑いを持たれるようなことをやること自体もよくないのでありまして、その内容が、たとえばお互いの福祉を増進しようというようなことであるならば、まだ怒すべき点もありますが、一緒になってゴルフ場をつくろうなどというようなことであるならば、私は、現役諸君はそういうものに入るべきじゃない、こう思います。
  33. 村山喜一

    村山(喜)委員 終わります。
  34. 河本敏夫

  35. 大出俊

    大出委員 冒頭にひとつ承っておきたいのですが、三十九年六月十二日、つまり昨年の六月十二日でありますが、私この席で河野建設大臣に御質問を申し上げました。勧奨物資と称するものの取り扱い、それをめぐって九州訴訟事件が起こっておりまして、これについて河野大臣は、勧奨物資というものは聞き初めだという答弁をされたわけですが、当時の官房長がたしか平井さんだと思いますが、平井さんに承ろうと思ったところが、御承知ない。それから建設官房の有力な方の名刺に紹介状が書いてありましたが、今度は向こうの地建のほうの側の状態は、数字をあげて二つの帳簿になっておった事実がありますので、名前まであげたところが、河野大臣が立たれて、私が就任をして間もなく厳重な通達を出したので、それ以来そういうことが行なわれていないはずだという御答弁なんであります。そうなると、聞き初めだとおっしゃった大臣が、どうも聞き初めではなくなるので、そこのところを質問をしたところが、お答えにならぬ。ところが、与党の理事皆さんから休憩をしてくれというお話がございまして、私も非常に困りましたが、質問を続けるかたわらで与野党理事皆さんで打ち合わせをいただいて、その結果私にメモが回ってまいりまして、河野大臣からあらためて調査をしてすみやかに内閣委員会の席上で事の次第を報告する、こういう実は約束をするから、ひとつこの辺でというお盾がありましたので、河野さんに御質問を申し上げたところが、河野さんの御答弁では、さっそくこの議事録を読みますが、「先ほど来御指摘になりました点につきましては、十分調査をいたしまして、すみやかに、もし御了解願えるなら、建設委員会において明瞭にいたしたい、こう考えます。」という御答弁がありました。そこで、私は建設委員ではございませんので、「それではいまの点は後ほど――私の気持ちとしては、」建設委員会ということで了解ができないから、内閣委員会のほうでひとつお話をいただきたいと言ったところが、河野さんのほうからは、すみやかに内閣委員会を開いていただいて逐一報告をいたしますということで、「よろしゅうございます。」という答弁をされまして、実は以来今日までただの一度も、内閣委員会を開いてその席上で、河野さんもずっと大臣をおやりになっておりましたが、明瞭にしていただいていない。ナシのつぶてになっておるわけです。私は途中から疑義を感じまして、ある人数を通じて調べてみた。そうしたら、私のところにその方から、直接これは建設省からいただいたのではないのでありますが、「九州地方建設局における勧奨物資購入に関する告発事件の概要について」という文書を非公式に別な方からいただいた。こういうことなので、きょうは本来ならば河野さんにおいでをいただいて、この席でひとつ明瞭にしていただかなければならぬ筋合いに議事録の面からはなるのですが、この取り扱いについて、大臣どういうふうにお考えでございますか。
  36. 小山長規

    小山国務大臣 私も実は、就任の直後であったと思いますが、当時の官房長から、こういう趣旨大出さんの質問がまだ残っておる。そこで、これは適当な機会にそれを私がしなければならぬ、こう思っておったのでありますが、つい忘れるともなく忘れており、いまお話がありまして、これはこの際、当時の引き継ぎ事項お話ししなければいかぬ、こう思う次第であります。それでよければ、私が聞いている範囲内のことを申し上げたいと思います。
  37. 大出俊

    大出委員 ちょっとお待ちください。私実は、これは理事皆さん与野党で御協議をいただいた日程がきまっておりますので、そうでなければ、私はここでひとつねばるところなんですが、せっかく農地の問題等を含めたいろいろむずかしい中で御苦労をいただいた結論が出ておりますので、河野さんこの席へおいでいただくというようなわがままは申しません。  そこで一つお願いがありますのは、あわせてこれは答えていただきたいのでありますが、私のところに、これは建設省が出されたと思いますが、これは建設省からいただいたのではないのでありますから、念のため申し上げます。これによりますと、当局勧奨物資購入抑制措置というのがございまして、いまお手元にある一つ前の文書と思います。勧奨物資購入は従来各地方建設局において行なわれていたがというところから始まりまして、事務次官通達みたいなものが流れております。その最後のほうには、予算の適正な執行についてというところに、庁舎備品及び工事用器具等の購入にあたり、一般市場価格に比し著しく高価に購入している事例については云々、こういうことで次官通達に、まあ念のためつけ加えられている文章がまたある。ところがこの中で、どうもこういうものを流したのだけれども、その後まだ、勧奨物資という名称をつけるつけないは別といたしまして、その種のものがあるんだということで、会計法規等を順守して、不当な価格による物品の購入等ないように留意してもらいたい。さらに予算執行の適正を期するように厳に注意されたい。それから、この種の不当事項が発生した場合においては厳正に処置する方針であるので、貴職管下職員に対して周知徹底し、遺憾のないように取り計らわれたい。その後だいぶこういう注意が出ているようであります。  そこで、ここに一つ、これは新潟国道事務所の例なんでありますが、片山重夫様ということで、これは所長さんだと思います。これによりますと、これはまたまことに疑わしいのでありますが、さて先般二月――ちょっと字が消えておりますが、官界水野様を通じ御下命いただきました丸善携帯用さく岩機一台、こういうことで、ここに見積もり書がついている。この会計法規規定を順守してというこの筋書きからいたしますと、官界の水野様を通じて御下命という命令のしかた、これもこれに直接抵触をする、私はこういうふうに理解をいたします。そういうことになりますと、さあ、価格の問題は市価に比べて云々という問題は後にいたしますけれども、これだけいろいろやっておられるのに、なおかつこういうものが出てくるとなると、これをながめた人は、こういう発注のしかたがあるのですかということになるわけです。したがいまして、この辺のところ、すわり込みでもやってもむ気ならあれですが、そうでない形で質問するわけでありますから、何とか納得のいくように御説明を賜わりたいと思います。
  38. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 ただいまのお話でございますが、だれが官界というものを通じて下命したのかわかりませんが、新潟国道事務所で、そういう物品を官界を通じて御下命のあったものを購入したという字句につきましては聞いておりませんが、もしそういうものを通じて注文をするとか命令をするとかいうことでありますれば、われわれの指示しておりますことに非常に背反しておるわけでありまして、もしそれが事実でありますれば、まことに遺憾であると同時に、今後のことにつきまして、十分対処してまいりたいと思います。
  39. 大出俊

    大出委員 逆に聞きますと、皆さんのほうで答弁できなくなると思って、正面から聞いていきますが、たとえば五十万でも六十万でも工事機械その他を発注するにあたっての正規の取り扱いは、どういうふうにいたされておりますか。
  40. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 ただいまの点につきましては、それぞれ機械の機種によりましてメーカーもおのずから限定されておりますが、その限定されておりますメーカーの範囲内におきまして、通常の場合、指名競争入札を行なっております。
  41. 大出俊

    大出委員 ということになりますと、明らかに公式の文書でこういうことになっておりますと、これは日東商事株式会社ということなんです。そこで官界の水野さんを通じて御下命をいただきましたさく岩機について、こういうことなんで納入をいたしたいのだがという内容ですから、これは明らかに官界の水野氏を通じて発注したことに間違いはありません。だから、納めるということを言っているわけですからね。そうなりますと、いまの御説明からいくと、正規な取り扱いではない、少なくともそういうことになりますね。この辺について大臣に承りたいのですが、あれだけ私心配をして例をあげて申し上げた。これは大臣に御説明を賜わりたいと思うのですが、その結果、最近においてなおかっこういうことになりますと、少しどうも取り扱いが、内閣委員会を開いて明瞭にしていただくということになっておるのに、それも行なわれていない。にもかかわらず、こういうことが行なわれているということになると、これは一体建設当局として、その後どういうお考えで今日まで推移をされたか、実は疑いたくなるわけですが、そこのところを、先ほどの件とあわせて大臣から御説明を賜わりたいわけです。
  42. 小山長規

    小山国務大臣 あとのほうから申し上げますと、物品購入については物品購入の規則があります。ですから、その規則に従ってやらなければならぬことになっておるのでありまして、その規則違反の取り扱いをすれば、それ相当の処分があるわけであります。ですから、いまの問題は、一体物品取り扱い規則に準じてやっておるのか、やっていないのか、その辺のところは調査をしてみます。あとで資料をいただきまして、そうしたいと思います。  それから先ほどの九州地方建設局のことは、すでに内容その他は御存じだと思いますので省略いたしますが、この事件は、昭和三十八年の八月八日に告発された事件でありますが、その後福岡の地方検察庁において調査の結果、昭和三十九年の十二月二十五百にこれを不起訴処分とするということに決定されております。しかし、なお御指摘にかかる勧奨物資購入については、従来各地方建設局において行なわれておったのでありますが、昭和三十四年ごろからこれを抑制するため必要な措置を講じてその漸減につとめ、特に昭和三十六年末におきましては、以後それらの物資購入は一切行なわない方針を定め、各機関に通知をいたしました結果、昭和三十七年度以降においては、勧奨物資購入は行なわれておらない、こういう経過になっております。  なお御指摘をまつまでもなく、この種の物資購入は、先ほど申しました物品管理法にも違反することでありますから、こういう事実が再び発生することがないような十分な処置は、その後も機会あるごとに、通達をしたりあるいは注意をしたりいたしておるわけであります。
  43. 大出俊

    大出委員 その後行なわれておらないとおっしゃるのですが、いま私が例を申し上げたのは、四十年の二月の十日なんですね。そうなると、どうも大臣はそうおっしゃっているけれども、疑わしきものがなおかつ例を申し上げたとおりある。念のために申し上げておきますが、これは大臣お聞きいただきたいのだが、私は、この取り扱った方を処分する云々ということを求めているのじゃないのです。これは建設省の長年の慣行になっていたことだから、なかなか抜けない。そうなると、一番の問題はそういう慣行をつくったところにある。ここを直さなければ、個々の方々をさあ処分するぞと言うてみても、みずからの責任をたなにあげて処分をする結果になるんだから、建設官房のそうそうたる方々が、名刺に肩書きを書いて、お願いをしますということで、それに基づいて物品購入が行なわれていたのですから、正規の手続によらず。そうなると、その責任を末端の、取り扱った諸君に負わせるという筋合いは、これは筋が通らない。そうだとするなら、てっぺんから処分していかなければならない、こういうことになると思います。大臣は知らなかったと言っておられるのだけれども、大臣就任以後、そういう通運をお出しになったということを聞いて初めて言われたのだから、知らぬはずはないということになる。そうなると、責任の所在いずれにありやということになるのですから、したがって私は処分を求めていない。いないが、先ほどの九州地建のこの不起訴の件についても伺いたいのだが、どういう理由で不起訴になったのですか。
  44. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 不起訴になりましたのは、直接に勧奨物資購入に関与したとは認められないという考えで不起訴になったというふうに聞いております。
  45. 大出俊

    大出委員 勧奨物資というものが横行していることを、九州地建は否定をしていない。そうなると、その本人が直接担当をしたかどうかというその意味における責任の所在、これがかりに部下の諸君がやったんだということになると、所長には責任がないということもあり得る。こういうところが一つの抜け道、と言ったら語弊がありますけれども、その文面をも読みましたが、見ると、考えられるとなると、これは私はそのこと自体は、結論ですからここでとやかくは申しませんけれども、この種のことについては、てっぺんのものの考え方を相当はっきりしていただかないと、今回は明澄以来の改革をやろうというわけですから、えらいことになると私は心配を持っている。そこで、これは冒頭に念を押しているのですが、そこのところの大臣のお考えをもう一ぺん承りたい。
  46. 小山長規

    小山国務大臣 いま大出さんがおっしゃる内容は、いわば先輩諸君が何かこれをひとつ頼むというふうに名刺を書いて渡して、それをもとにして物を買う、その慣習がいかぬと、こうおっしゃる意味のことでありますが、そういうものがきても、それが不要不急のものであったりあるいは市価よりも高いものであったりする場合は、これは買ってはいかぬわけなんです。ですから、そういうものがあった場合には、結局断固としてはねつける気概がないといかぬわけでありますが、そういう点をひとつ今後も、公務員諸君がそういう場合にはやはり断固として――不要不急のものであったりあるいは市価よりも不当に高いものであったり品質の悪いものであったりするようなことである場合には、断面としてはねつけるという気概を持ってもらわないと、この問題は容易に解決いたしませんので、そういう面を事あるごとにひとつ強調していきたい、こう思っております。
  47. 大出俊

    大出委員 友人、知人、知り合いというものは世の中にあるのですから、それは頼まれて名刺に裏書きをするということもあるでしょう。それは日本人の慣行ですから、そのことを私はとやかく言っていない。これは前回のときにもはっきり申し上げてある。ただしかし、表面に出ている金額を、市価幾ら幾らなんだけれども幾ら幾らで購入しましたというのがくっついていると、ではその差額二千万円――私が調べただけでも名刺が五十何枚ある、その差額が一体どこに行ったかという問題が起こる。そのどこへ行ったかも明らかでない、こういうことなんですからね。つまりこれは世の中の一般常識をはずれているわけです。そこに意図的なものが感ぜられる。となると、建設行政全般をながめて、末端の管理者の方々がいろんなことをされることがいけないとは言えない状態にある、ここに私は一番大きな問題があると思っている。そこで、その点は今後十分――人を殺すのが能じゃないのですから、その種のことが行なわれなくなることが必要なんですから、そこのところにひとつ重点を置いて御配慮賜わりたいと思います。  ところで次に、これは妙なことを承りたいのですが、ある方が建設政務次官をやっておられて、それからほかの省の大臣になられた。ところがこの省に来たときに、おれの予算のワクは一体幾らなのかという質問がいきなり出てくる。おれがかつて建設政務次官をやっていたときには、三十億から五十億のワクがあった。大臣ともなればワクは一体幾らなんだ、こういう話が出てくる。これは間違いない話です。ところで地方を歩いてみますと、何々道路などという、人の名前がついている道路が幾つもある。そうなってくると、三十億なり五十億の予算のワクを政務次官がいただいたということは何を意味するかということになると、みずからの地域において、勢力の及ぶところにおいて、その金をうまく使って業者に仕事をさせる、りっぱな道路ができる、そういうかっこうになっていくのだろうと私は思う。政務次官でもそうなると、これは小山さんを前に置いて恐縮だが、たいへんなことになっているのじゃないかという気がする。だから、那須の野原のまん中に大きな道路が意外なときにできた。その前はいろんな土地が安く二束三文で買われていて、さあ道路ができたら土地の価格が何十倍かにはね上がった、こういうことになると、その予算のワクの効用たるやたいへんなことになる。だから、世の中にいわれるように、大臣の株が幾らだ、幾ら金を払っても大臣になっての損はないという、そういう世上のうわさが出てくる。これはうわさですから……。そういううわさが出てくるのも無理はないという気がする。だから、私は、実は明治以来の大改革をやろうとする建設省なんですから、その辺のところのうわさが飛ばないように、これはよほど考えておいていただかないと、下のほうになってくると、とんでもないことをやる方が出てくる。こういうふうに思うので、別に私はこのことを取り上げて深く追及する気はありませんが、直接私はそういう話を聞いておりますから、そこらあたりのところは十二分に――これはこういう機会だから申し上げるので、大臣のほうから所感を簡単に承っておきたいと思うのです。
  48. 小山長規

    小山国務大臣 前にどういう事例があったか知りませんけれども、私の大臣になりましてからの配分の方式は、道路に関しても、河川に関しましても従来おくれておったところ、おくれておったところにまず重点配分するという方針のもとに一定の方式をきめまして、そうしてその方式で配分をいたしておるわけであります。
  49. 大出俊

    大出委員 具体的に承りたいのですが、これは九州地方建設局なんですが、建設機械無償貸し付け事務整理について問い合わせという標題で、工事名は佐世保の国道、日宇工区舖装工事、こういうことです。貸し付け機械、つまり貸し付けたわけですね、トラクタージョブルというのですか。ところで、この貸し付け期間というものがきめられております。ところが、貸し付け期間をだいぶ過ぎている、長く貸したわけです。ところが、さて建設所長さん、地建所長さんのほうは、本来ならばオーバーした分についての料金を取らなければならぬ。事務担当の係長、古家さんというのですが、この方が担当ですから、計算をしてはじき出して、金を幾ら幾らと出した。ところが、所長はそんなものはいいんだと言う。いいんだと言っても、通達をもらっているわけですから、自分の担当の責任になりますから、そのことを、いやそう言うてもこれは法に触れますから、いただくものはいただいたほうがいいのじゃないかということで意見具申をしたら、どこでもやっていることをおまえよけいなことを言うなという話になった。彼は、しかたがないので本省のほうに連絡をとった。こういうことについてどう処理をしたらいいか。そうしたら、とんでもないやろうだというのでおどかされたという形になっている。彼はしかたがないので、ここに文書がありますが、会計検査院にお伺いを立てたわけです。ところが、この方は、おまえはもうそろそろわが地建には要らない人間だというので、配置転換を食った。しかもこの人は担当なので、官の畳がえの監督者になっていたわけですが、その監督者として発令されている期間中に、おまえは休めというので休暇承認の届けを出させられた。ずいぶんたいへんないやがらせだと思うのですが、しかし、本人は責任上しかたがないから、畳がえの監督はしたという。しかも、ほかへ配置がえとこういうことになると、発端はどこにあったにしても、どうも私はこのままで捨て置けない気がするのでありますが、こういう事実について、だいぶ本省の、お名前をあげるのは御無礼だからあげないけれども、そういう関係が明確になっているわけですが、公式文書は会計検査院と往復しているのですから、こういう点等について、官房長のほうで御存じがあるのかないのか、承りたいわけです。
  50. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 ただいまお話しの事例につきましては、私は聞いておりません。しかし、お話しのような事例が事実といたしますれば、たとえば休暇をとるべく強制したかというふうなこともお話がありましたが、そういうことが事実であるといたしますれば、これは非常に不適当なことであります。また機械の損料を取るべきものを取るなというふうなことに措置したということにつきましても、そのことを命じた措置は違法でございますので、もしそういうことが事実でございますれば、是正しなければならぬと思っております。
  51. 大出俊

    大出委員 ほかの方で御存じある方はないのですか。これだけの当時のやりとりがあるのですから、御存じないということはないと思うのですがね。このこと自体を言いたいのじゃないのですよ。ですから、おわかりのところは御答弁いただかぬと、あとに続く問題ですから、ございませんか。――四十年の二月八日の月曜日に所長から、あなたとゆっくり話したいと思ったのですが、話し合う機会がなかったので、というので、うしろのほうに来てくれと言って呼ばれたわけですね。それで、会計検査院へ書類が行く、こういうふうなことはいけないんだということをその呼ばれたときに言われたので、所長ちょっと待ってくれ、担当者としてあとで責任を問われてはお互いに困ることだからやったんだ、そういうお話しならば、所長お話ししてもしかたがないんじゃないかというやりとり、そうしたら、きさまの顔を見ただけでおもしろくない、もうそろそろおまえはこの工事事務所に要らない人間だ、こういうやりとりがずっと続いて結論までいっている。これは最近です。それで、上のほうの課長さんともやりとりをされておるのだから、これを公にすれば、最近のことですから、その課長さんにも御迷惑がかかる。前のことなら名前を言いますが……。そういうわけですから、御存じないとおっしゃるけれども、どうも筋道が通っていないことについてはお気づきだろう、私はこう思うので、官房長官を縦に振られましたから、この点についてはそれ以上追及はしませんが、こういうふうな形がなぜ起こったかという原因を承りたい。つまり、皆さんのほうの労務管理というものは、私も、自分みずから経験をしておりますから、見ていると、中には子供のけんかみたいなこともずいぶんあってみたり、中にはどうもえらいいこじな面が出てきてみたり、例をあげれば切りがないほどたくさんあるわけです。したがって、こういうふうなことが次々に行なわれているいまの状態をこのままにしたままでこの機構改革が行なわれると、どういう結果が出てくるかということを私は非常に気にするわけです。そういう点でいまのようなことを例として申し上げたわけですが、これは後ほどまたあげなければならないものもありますから、具体的に解決の方途を見出していただきたいという意味であげますけれども、いまの点については、十二分におわかりのはずですから、賢明なる処理をお願いしたいわけです。  次に、きのうちょっと田口さんが触れておられましたが、これはもう少しはっきり承っておきたいのであります。これは、日にちは四月六日、場所を言いますと、島根県江律市の地内で、東洋舗装アスファルトプラントというのがありまして、東洋舗装がアスファルトプラントの仕事をやるわけですが、そこで波子ともう一つどこかの舗装をやることになっておって、現場の説明が四月十日午前九時から行なわれたわけで、したがって入札その他等の関係からいきますと、四月六日というこの写真が写されている時期は、まだいずこの業者にというふうなことは一切きまっていないわけです。ところが、飯場らしきもの、事務所らしきものが全部できてしまっている。こういうことです。それから、これと関連して、まだたくさん写真があるのでありますが、採石その他一切の必要なものの購入その他の手配が、全部済んでしまっている。こういうかっこうで、準備が完全にできてから入札という手続、こういうことが、これは一カ所じゃない、たくさんあるのですが、片っ端から行なわれているのだということになりますと、さっき私会計検査院の話をいたしましたが、ほかの地建でやっていることをおれの地建だけそうがみがみ言うことはないじゃないか、所長の言うことが聞けないのか、聞けない者はどこかほかに追い出すぞということなら、これは理不尽も理不尽、めちゃめちゃなのです。そうなれば、労働組合だってあることだから、黙っていやしませんよ。でたらめ千万なことは片っ端から洗ってやろう、事の行きがかり上、そうならざるを得ない。そうなってくると、これは一ぱい出てくる。建設省の土地買収のあれを読んでみると、まことに奇怪千万だ。こういう件について、いま私の前段であげました写真が、三枚も四枚もあります。こういうことについて、きのうも話が出たのですが、大臣は何か抽象的な御答弁で、指名からはずすべきだというようなことを言われましたけれども、この辺のところは、皆さんがてっぺんからながめておられて、各地建が一体どんなふうになっておるとお思いですか。
  52. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 入札前に、これに応札しようとする業者がどういう準備をするか、これは自由でございますが、ただいま写真で拝見したような、遠くてよくわかりませんけれども、大がかりな準備を入札前に落札するものと心得てやったような事例は、おそらく非常に異例のことじゃないかと思います。
  53. 大出俊

    大出委員 異例と言ったって、これはまだほかにありますよ。これを見てください、ここに書いてありますから……。  それからもう一つ例をあげますが、用地買収を建設省がおやりになっているわけです。これも会計検査院が来たときと来る前との両方の写真がございますからお見せしますが、あぜ道を境にして左が米のよい収穫のできる水田、右が水たまりで草がぼうぼうとはえている荒れ地です。一九六三年というからおととしです。建設省がこの土地を買収をした。ところが、隣のいい水田のほうの土地の地価が、その当時二千八百円です。ところが、隣の荒れ地のほうは、これは人が手のつけようがないような土地で、したがって町の評価からいってもうんと安い。にもかかわらず、買収をされた価格が何と坪当たり八千八百円です。ここに写真がございますから、あとでお見せいたします。しかもこれは町有地です。この場所は、島根県那賀郡の国府町大宇下府で、これは山陰線の下府駅前の国道九号線前の間取で生じた問題なんですが、どこからどう見ましてもこれは極端なんですね。たくさんありますから、内容は詳しくは申し上げません。それでこれはあとで業者がいろいろからみまして、会計検査院が来る前にというので、地建事務所から町にしきりに要求をして、それでこの荒れ地に土を運びまして、二メートルと称して上積みをして、その代金が支払われている。ところが、実際には一メートルしか積んでいない。こういうかっこうで、検査院が来たときには、この程度になっている土地を買ったのだということで、高いことについては了解を求めて片がついている。これがいろいろあとでもめたというわけですね。もめたのだけれども、一番最後のほうを見ますと、七月の末ごろに総務部長さんが、浜田の用地関係の交換にだいぶつかったが、あれであの問題はケリがついたという話をしておる。これは会計検査院との関係においてです。これは全部ここに内容がありますけれども、名前までありますが、こうなってくると、これは私も、こういうところでしゃべるのですから、不用意なことは申し上げられない。そのつもりでいろいろ聞き合わせたり調べたりしてきたのですが、ところが私が見る限りにおいては間違いがない、事実だろうと思う。町の人たちもみんな知っておることです。町ではそういう通説になっているわけですね。そういうことを建設省の出先の方々がやっておるということでは――似たようなところはもう一カ所あるのですが、これも同じようなケースです。これは九州地建じゃないですよ。いま申しましたのは島根です。全部九州地建というんではおこられますから、島根の話をしておるのですが、そういうことになると、私は全国の建設省傘下の地建というものは、一体何をやっているのかという疑惑を感ずるわけです。ですから、この辺のことをこれまた御存じないとおっしゃるかどうか、念のために聞きたいのです。
  54. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 用地の買収につきましては、中国地建のみならず、ほかの地建におきましても、不当あるいは不正の事実が出ておりますことは、非常に遺憾に思っております。最近北陸地建でも不正事実が出ておりますし、それからただいま事例にあげられました中国地建におきましても、これは検察当局が手を入れます前に建設省内部で発見しておる事件でございますけれども、やはり用地問題で不当な事実が起こっております。この絶滅につきましては、従来とも苦心を重ねておるわけでございますけれども、ただいま御指摘の事実につきましては、まだ地建から報告は受けておりません。後ほど資料をいただきました上で調べてみたいと思います。
  55. 大出俊

    大出委員 これはたくさんあげる気はありませんが、これは島根県の国府町大字唐鐘、ここで先ほど申し上げた入札の二カ月前に、やはり砕石の山をこしらえた。砕石はこの写真にありますが、ものすごい砕石の囲いができております。これでさっきと同じようなケースの事例が出ております。これは実は次から次へとこういう例があるのです。これも私はさっきと同じ筋になるのでありますけれども、地建の大改革と称する今日のこの設置法にからむ問題として、はたしてこういうことで権限委譲を地方に行なって――私は筋がわからないわけじゃない。大臣がきのう答弁されておりましたが、私も、臨時行政調査会の言っておる内容は、全部読んでおります。それから前の文書課長さんだと思いますが、「道路」という雑誌に相当詳細に載せておられます。これは出発の一番最初の解説です。これを全部読んでみましたが、考え方がわからないわけじゃない。ないけれども、でき上がってくるこの機構は、結果として出てくるものを考えるときに、両者のつながりというものは、今度は権限を持つわけですから、今日の比ではない。そうなってくると、いま例にあげたこの種のことがこのままになっておって、勧奨物資の件でさえ、どうも疑わしきものがあれだけ申し上げているにもかかわらずなお出てくるということになると、私はこのまま――大臣がまじめに筋を通した形でおっしゃっておられることはわかるけれども、それだけではたしていいものだろうかという気がするわけです。また、こういうふうなある意味では乱脈的な形、割れてもしかたがないような事実が出てくるということになると、こういう中においては、組合というものがあるのですが、組合運動管理者側の問題というのは、団体交渉といわれると、地域においてはもう団交というのは三十分なんだ。しかもそれは三役だけなんだ。それ以上は一切会わないのだ。会えば、この種のことが次々に指摘される。そうなると、会わないという強権発動なんです。こういう筋というのは、思想や何かの問題じゃないのです。こういうところは皆さんのほうがよほど考えなければならない。だからといって、訓令十六号を流してみたからというのでおさまる筋合いではないと私は思う。ここのところを根本的にお考えをいただきたい、こういうふうにまず思う。この辺のことについて、大臣の所感をひとつお述べおきをいただきたい、こう思うのです。
  56. 小山長規

    小山国務大臣 いまお話にありました問題は、結局は人の問題だと思います。つまり地方委譲をやったからどうなるとか、やらなかったからどうなるという問題ではなくて、そもそも根本的には人間の素質の問題だと思うのであります。  この間、実は用地買収の問題で東北地建で問題が起こりましたことは、御承知のとおりです。そのときにも私特に局長を呼んで注意しましたことは、局長はただ課長のことを知っているだけではだめだ。所長から所長の次くらいのところまで自分の準拠下に置かなければだめだ。それを十分に注意しろということで、局長もその指示に従って、今度は所長を集めまして、所長は係長――係長のみならず、所員全部の家庭の事情というところまで気を配って、この人にはどういう悩みがあるとかいうことまで始終所長、局長が掌握しないと、いろいろな問題が起こるよということで、十分注意してそのような措置をとらせました。やはり人事管理の問題は、人間と人間の関係ですから、したがって、平生からしゃっちょっこ張った公式の議論でなしに、家庭の内部まで上の者は知っておる。この人にはこういう悩みがあるんだというようなことを知っておるというような人事管理が行なわれないと、なかなかうまくいかない。そういう訓練を今後ずっと続けるつもりであります。
  57. 大出俊

    大出委員 後段については賛成で、私も、比較的浪花節的なほうだから、人のつき合いのいいほうだから、確かにそこまでいかなければ人間的に握れない、そのとおりだと思いますよ。ただ、前段の、人の問題だから機構はどうでもいいと言わんばかりのお話は、納得できない。そんなことでは、警察も検察も世の中には要らない、すべて善人ばかりなら。人間の弱さがあるからいろいろなことが起こる。だから、制度的にりっぱなものをつくって、そういうことが行なわれがたいようにしておくことが必要なんでしょう。そこのところをいいかげんにしておくと困る。人なんだから、人の問題だということでいえば、それは官庁につとめている人だって、世の中に悪いことをする人間がいると同じように、ある一定の範囲における社会の縮図なんだから、悪いことをする人だって出てくる。それをそうさせないように、会計規則にしろ、会計検査院にしろ、あるいは各種の官庁機構にしろ、存在するのだと私は思う。だから、そうなると、そこのところはどうも大臣のおっしゃるところの筋が通らない。いま論議している機構というのは、国が国民全体に対して行政を行なう意味で、国民のためによりよかれと思ってお立てになった案でしょう。それが結果的に業者と結託する形がふえていって、国民の利益に相反する方向に進んでいったとすれば、これは失敗なんです。機構というものは、そこに中心が置かれなければうそだと思う。そういう意味で私は申し上げているのですから、前段のほうは御再考願いたいと思う。  そこで、大臣が言われた職員の方々の家庭の事情までも気をつけてあげてということは、まことに賛成なんだけれども、北陸で起こっている事情、つまり工事事務所の統廃合をめぐって――これは一人や二人の人が見るんじゃないんだから、組合がつくろうとどこがつくろうと、その地域、職場であったことを載せ得るから、それにうそがあれば、その地域、職場におった人は、これを編集する人がそこに行っているのだから、てっぺんの機構の木部のほうの連中はうそを書いたということになるのだけれども、そういう意味で私も経験があるのだが、組合が書く内容というのは、組合的な意識で書くけれども、その意識を除けばうそはないのです。とにかくこの前回の内閣委員会で、この問題を念を押しておいた。異動が行なわれるという、異動の距離の問題、時間の問題、金の問題、全都に触れて、そこで宿舎という問題についてはどうなんだ、三畳一間に三人も入れたとか、二人も入れさせては困る。そうすると、労働条件の問題にからんで問題が起こると御指摘を申し上げたところが、これを見ると、移転にあたって、結婚をするために宿舎がほしいという人をつかまえて、何と言っているかというと、結婚は私ごとであって、当局はそんなことで宿舎を与えることはできないと言う。大臣が言った方針からいけば、その方たちの相談に乗ってあげて――その結婚の機会というのは、お互いに結婚しておられるのでしょうけれども、そうたびたびあるのじゃないのだから、そうなると、独身の方もいるんだから、そっちのほうは雑居してもらっても部屋をあけるとかなんとか方法を考えなければ、血の通った労務管理になりませんよ。このことを、名前までこれはわかっておりますが、こういうふうに言われるようでは……。それから同居という問題についてもやりとりがさんざん出ていますが、全部読みましたが、同居というものは限界があるんですよ。そのときにはしかたがないと思ってがまんしても、限界がある。にもかかわらず、本省からえらい人が来れば、おまえさんたちはどいてもらわなければいかぬとか、予算の関係でうちが建たぬのにぜいたく言うなとか、そういうことでは、本人が何も行きたがって、好きこのんでこの工事事務所の統廃合に従って配置転換を命じられて行っておるのではないですよ。そうなると、そこのところは官の皆さんが至れり尽くせりの準備をして、まして事建設省なんだから、そうしてもらわなければならぬ。にもかかわらず、昨年末で私の手元にある資料では、赴任旅費でさえも八カ月もおくれている。昨年末で百六十万円からの赴任旅費の未払いがある。こういうばかなことで、一体個々の事務員が納得しますか。あとでいろいろ政治的な問題になるというので処理はされているようだけれども、私が昨年の議事録について申し上げたけれども、そういうことはないということを皆さんがおっしゃった。おっしゃったが、十二月末で四カ月も八カ月も赴任旅費が払われていない。本人だけは払うけれども、女房にはあとだという、そういう赴任旅費の払い方はないですよ。前の官房長官の平井さんの言われたことだけれども、ちょうどここにおられる伊能先生があのとき横から口を出されて、そういうあいまいな答弁じゃいかぬじゃないか、はっきり答えたらどうかというので、そういうことがないように一切いたしますという話だった。議事録に載っております。にもかかわらず、そういうことになると、皆さんの言われることが私は信用ができない。そういう意味で大臣に承りたいんだけれども、さっき言われたような御指示を賜わることはまことに幸いなんだけれども、そのように末端まで行なわれていないという事実をどういうふうにお考えになりますか。
  58. 小山長規

    小山国務大臣 どういうふうに考えるかという、それはなかなか困るのですが、ともかくいまだんだんお話を聞いておりますと、どうもその掌握が足りないというような気がいたします。建設省としてはこれだけの人間を使っておるわけですから、金の問題とかいろいろな問題だけでなしに、局長会議や部長会議のときは、今度は教わりましたから、そういう趣旨の話を、人間をどうやって働かせるかというところをもっと考えろということを、これからそういう会議の席の一つの議題にしていきたいと思います。
  59. 大出俊

    大出委員 私は他意あって申し上げるのではなくして、くれぐれも要望しておきますが、機構改革が行なわれた結果として出てくるトラブルその他を心配するから言うのです。  そこで、全建労なら全建労という組合はよろしくないという御認識をお持ちかもしれぬが、しかし、さっき私が申し上げた勧奨物資の問題から始まって、入札その他をめぐる問題から、機械工具を貸し付けたオーバー日数に対して正規の処理をしたからといっておこられて飛ばされるということが、これは古家という人ですが、行なわれるということになったときに、それは皆さん皆さん責任をたなに上げて、けしからぬ組合だと言うてみても、これは天に向かってつばをする結果に私はなると思う。だから、そういう労務管理の根本にある問題を真剣にお考えをいただかないと、事建設省というむずかしい官庁であるだけに、皆さんがもし組合の方々の方向が間違っておるとお思いならなおのこと、そういうようにお気をつかわないと、皆さん考えておるようなぐあいに労使関係はうまくいかない。この点を私は御指摘を申し上げたいわけです。  そこで、大臣にこれはお願いをしておきたいんだが、先般非常に純朴な職場の方々にたくさん私はお目にかかった。千葉の船橋に機械関係事務所がございますが、ここの年配の方が何を私に言ったかというと、組合がいろいろなことを言っておるけれども、うしろに立って黙ってじっと聞いておる。前に立って言いたいことがある。前に立って言うと、おまえは山の中におっぽり込まれたくはないんだろうなと言われる。まさに配置転換を大だんびらに使って組合員にものを言わせない、従業員にものを言わせない。こういう末端の管理者の皆さんの扱い方というものは、これを取り除かないと、さっき申し上げたように、業務は正常に運行しないと思う。だから、こういうふうなことは、大臣が御就任中にできるだけなくしていく御努力を賜わりたいもあだ。この点は私のお願いです。そうしていただきたい。労使関係の問題はいまここにたくさんありますが、たとえば机を組合が借りていた。そうしたら文書で――そんなことは文書で判こをついて出せば、だれだっておこりますよ。かどが立つ。何月何日までにその机を引き揚げろ。理由は何だといったら、場所が狭いからだ。狭いからというが、あとに保管箱みたいなものを持ってきて、机のかわりだ。そういうことを一々やったのでは、これはうまくいきっこない。だから、そういう点を含めて、時間の関係もありますから、組合関係のこまかい点をたくさん申し上げたいんだけれども、それをあえて私はできるだけ省略しますが、そういう点はぜひひとついまの問題にあわせて御勘考を賜わりたい。休暇の取り扱い方については、同じことを言うのですよ。ことさらに必要のないところに  訓令十六号というものは悪い通達だ。末端管理者の方々は、出されたてっぺんの気持ちを知らない。だから、さっき稻村さんが言おうとしたのは、局舎管理権、庁舎管理権というものに籍にして、社会党の代議士が行っても追い払う。アメリカ大使館だって、この間ぼくらが行ったら、あなたが国会議員である限りはお入りなさい、資格があるのですから、こう言う。アメリカ大使館よりもまだ悪い。そういうことを言ってはいかぬですよ、悪い気で行ったのじゃないのだから。そういうふうに運営という面で特にお願いがあるのは、大臣が一月に地建の局長さん等を集められた席においでになって、ずいぶん反対の意見も述べられていたようです、聞いてみると。しかし、大臣は旧来からのいろいろな経過を御説明になって、私が大臣をやっておる限りは、法案の内容は変えないけれども、運営の面でそういうことがないようにいたしたいということを力説をされて、説得をされて、その説得は成功しているはずです。   〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕 そうなってくると、そこのところは大臣がやはり考えていただかぬと困るのじゃないかというふうに私は思います。大臣に特にこういうことを御答弁いただきませんが、それからもう二つ多摩川の河川敷地の占用許可その他いろいろな問題をめぐりまして、前々から公共用には云々というようなことがいろいろありますね。これなんかも、プランができ上がったら、前に大臣をやっておられた方のほうに先に相談に行っちまったというようなことが陰で一々行なわれていると、建設省関係新聞記者の中には私の友人がたくさんいるから、よくわかるのだけれども、それをおやりになっていると、大臣は前大臣の何となくそういうにおいのあるところは、小山大臣の色に変えていこうという御努力があるようだけれども、そうでないと、かつて何々案と言われたときに技術関係の方やそうでない方の間に争いが起こったり、われわれがながめてみてもおかしいと思うよりなことがあったり、というようなことが抜けませんから、同じ法案なんだから、そういう点等についてもこれは十分に御勘案を賜わっておきたい、こういうふうにくれぐれも私は申し上げておきたいわけであります。特に労使関係という問題については、ぶつかり合うときには幾らぶつかり合っても、これは権限相反するのですから、しかたがありませんが、その間にやはり通ずるものがあるようなぐあいの皆さん方の――先ほども大臣がちょっと口にされましたが、そういうところがないと、これは建設行政全体がうまく運行ができない、こういうふうに私は思いますから、あわせてこれはひとつ念のために申し上げてわきます。  そこで、この一点だけはどうしても承っておきたいのですが、前建設事務次官の山内一郎さんという方がおいでになりますね。これによりますと、「今までの御厚誼に甘えて私の最もお世話になっております別紙山内先生の講演に知友お誘いあわせの上御尊名だけでも御協力お願い申し上げます。なお御記入済みの上はおついでの節失礼ですが所属長気付渡部あてへお届け願えればまことに幸甚に存じます。渡部武男」こういう文書を添付して、山内さんの略歴を書いたものを勤務時間中に地建の職場に持ち込んで、この渡部さんという地建の前の役職のいいところにおられた方が、ある請負会社のほうに将来は行くのだろうと思うのでありますが、山内一郎さんの選挙の仕事をこれからする。辞任のあいさつのときから始めて、辞任のあいさつのときにこういうあいさつもされて、勤務時間中にこの種のものが回っていくということになると、ここに全部内容がございますが、こういうことが行なわれると、これまた――しかもこの人は、山内一郎さんの選挙をやったあとはどこへ入るかということまできまっている。何々組です。そうなると、これはどうしても不明朗なんですよ。だから、問題点が二つ。どなたも、私ども選挙をやって出てきたのですから、いろいろあの手この手を使うことはいい。いいけれども、勤務時間中に、いままでそこにいた管理者の方ですから、この方が、つまり退任のあいさつのときから始めて、私は山内先生のお世話でこうこういう組にいくことになったんだ。しかし、これから実は先生の選挙の事務を最後まで終わるまでやるのだ。こういう組にお世話をいただいた私の立場で一生懸命やらなければならぬのだというところから始めて、所属長気付が気に食わぬ。それは職場へ行って頼みますよということはあるかもわからぬ。あるかもわからぬけれども、どうも所属長気付まで、本人の手筆だと思うけれども、書いて回すようなことになると、これは私は選挙運動も行き過ぎであろうと思う。この辺のことは、前の事務次官でおられた方のことですから、皆さんのほうにもあるいはきているかもしれぬので、どういうふうにこれは把握されておったり、お考えか、承れぬものかと思うのですが、どうですか。
  60. 小山長規

    小山国務大臣 まことに相すみませんけれども、いまの文書も見たこともありませんし、またその話は聞きますのも初めてであります。
  61. 大出俊

    大出委員 大臣はかくかく下部に徹底するように言うたという話が、先ほどから二、三回出てきておりますが、いま私が申し上げた事実がうそならば申し上げないのですが、ここに実物があるのですから一覧を賜わりたいのだけれども、この種のことがどうもあまりあり過ぎるものですから、それで私は三分の一程度しか申し上げてない。ここなんかにあるのは、奥さんと別居の例です。ぜひ法案を通せ、法案を通せとおっしゃっているさなかに、四月一日に工事事務関係の方の大量な異動ですよ。たいへんな異動です。これはいわゆる行(二)の職員の方々なんというのは、給料が安いでしょう。奥さんが必ず町で働いている。その働いている町から、そういう工場や何かのないところに移されますと、どうしても夫婦一緒に生活ができないのですよ。奥さんが職を失うと子供たちを学校へやれないのですから、そうでしょう、そうすると、山のほうの飯場まがいの事務所に本人だけが行かなければならぬ。泣き別れです。ここにランクがあって、これだけたくさんありますが、まだたくさんあるのですが、いつ幾日何日の異動で、職を失うから御主人だけが離れて行っているという。そうなると、根本的には給与の絶対額の問題にはなるけれども、しかし、皆さんも実情を知らないわけではない。私も、人事院相手にこの席で行(二)を上げろ、行(二)を上げろということを説得にこれつとめているわけなんです。だから、そういう現実を大臣のほうも御理解をいただいて、せめて人の異動については納得づくで、天下の大組合といわれる官庁の組合には、事前協議という協約を結んでいるところもあれば、本人の意思がどうしてもいやだという場合には強制配置転換はしないということをきめているところもあれば、配置転換をする場合には汽車で一時間なら一時間の範囲ときめているところもあれば、たくさんあるのですから、何も建設省だけが例外じゃない。してみると、そこまでやはりこまかく微に入り細にわたる――職員なんですから、そういう配慮がないと、労使関係はもつれますから、だからこの種のことは、組合が子供だとおっしゃるならば、管理監督の地位にある方のほうがまずおとなになっていただかぬと、子供である組合もおとなにならぬのですから、そういう意味で、こまかく申し上げる時間がありませんが、この配置転換等の問題、泣き別れの一件については、やはり十二分に御検討いただいて、どこでどうなっているのだという御指摘があれば、私は後ほど何ぼでも資料を差し上げますから、そういうふうにひとつしていただきたい。どうですか、大臣、この点をはっきりしていただかぬと、本題に入れない。
  62. 小山長規

    小山国務大臣 強制配置転換は、従来といえどもやっていないはずであります。それはむろん、ただかってにおれはいやだからということでは困るのでありますけれども、かくかくの事情があって、そしてどうしてもという客観的な事由がある場合には、そういうものを強制配置転換してないはずであります、またすべきでありません。ただ、それからもう一つ、いまだんだんのお話は、結局は労務管理に当たる人がもう少し気をつければ防げる事例をいろいろお話しになりましたから、この点はやはり管理者としての心がまえといいますか、そういうものにわれわれももっと訓練をする必要があるということをいま感じたわけであります。同時に、いま私が聞いているところでは、多少いわゆる労使の不信感もあるようでありますから、そこで皆さん方の御指導を得て、そうして組合側のほうもやはり建設的に、これでひとつわれわれの建設省をよくしようじゃないかという気持ちをさらに一そう強めてもらう。と同時に、われわれのほうの管理者の側も、一緒になってひとつよくしようじゃないかというふうに共同の意思がないと、なかなかうまくいかないと思いますので、その点もまたひとつ御協力をお願い申し上げたいと思います。
  63. 大出俊

    大出委員 これはILOの条約の論争でおわかりのように、あくまでも労使対等の原則というものはあるのですね。国家公務員に団交権だのストライキ権があるの、ないのという論争だって、これは欧州の例から見れば、フランスなんかは消防にまでストライキ権があるのですよ、ボルドー市なんかに行きますと。ただ、これは火がつけば消さぬわけにはいかぬから、消防車は出るのだけれども、水が入ってなくても、はしごがのぼっていかなくても、途中で故障しても、組合責任はないというストライキ権ですが、それでもストライキ権がある。だということになると、その公務員法が憲法にどうのこうのという前に、やはり皆さんの意思としては対等の原則に立っていただかなければ困ると思うのですね。その上で管理監督の地位にある方々のほうが経営権を持っておられるのだから、そういう面からくるつまり労働条件、賃金にかかわり合いないところについて、よほどこれは懇切丁寧に――強制配置転換と名がつくのだけれども、同じ強制でもいろいろな形があるのですよ。労使双方で、これは交渉云々ではない話し合いなんだが、お気の毒なんだから知恵をしぼってみようということで、額を集めて苦心さんたんして知恵をしぼって、でき得べくんばほかの人に行ってもらって、この人がそこへ行くのは気の毒過ぎるからということで、いろいろのことで相談し合うということまでやって、最終的ににっちもさっちもいかないということで、しかし官の経営の立場からいってやむを得なかったから行ってくれという場合と、おまえさんは四の五の言うことはない、四の五の言うならやめてくれ、もっと悪いところへやるぞ、こういう言い方でおどかすのと、労使関係がどれだけ違うかということは考えていただかなければ困るのです。だから、いま大臣が言われたことだけでなくて、そういうやはり原則を立てていただきたい。これは労使関係の問題です。  それから先ほど申し上げたのは、あまりにも疑惑に満ちた配転の方法だとか、入札の方法だとか、つまり官庁業務の中に疑惑を招くことが多過ぎる。ブルドーザーのさっきの話じゃないけれども、多過ぎる。こういう形が至るところに散見されるとなると、どうしても官の皆さんのほうはびほう策として強く出たがる、押えたがる。そうなると、組合のほうは当然反発する。そうなると話はこじれる。こじれると、自分の車の横にちょっとペンキで闘争中だからということでものを書いて、入ってきたとたんに文書でもって出ていけという。話をやる場も何もない。そういうことになってしまいますから、そういう点を一ぺん十分お考えを賜わりたいと申し上げているわけです。  ところで、本題の設置法の問題なんですが、まず、工事事務所の統廃合その他の問題と、それから四月のような人員の異動、配置転換の問題と、今回の設置法とはどういう関連がございますか。
  64. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 今回の四月の人事異動、これは毎年四月一日に定期的にやっております人事異動でございまして、各地建通じまして九百人ばかりの異動がございましたが、これは設置法の改正とは全然関係ございません。  なお、昨年度計画いたしました事務所の統廃合でございますが、これも四月の異動とは関係ございません。  それから事務所の統廃合でございますが、昨年度三十カ所につきまして行なう予定で進めてまいりましたが、そのうち二十八カ所につきまして統廃合は完了いたしております。その結果、二地区につきましてまだ残っておりますが、これは庁舎建設がおくれておったとか、あるいは新潟地震のためにおくれたとかいう特殊な事情がございまして、これは本年度におきまして実施する予定でございまして、その二カ所を除きましては全部完了いたしております。したがいまして、これも設置法の改正ということとは、直接関係がないわけでございます。  なお、本年度におきましては、昨年度の計画の残りであります二カ所につきましては実施いたしますが、新たに今年度統廃合を行なうという計画は持っておりません。
  65. 大出俊

    大出委員 この「道路」の七月号の川島博さんという方、これを見ますと、私ども建設省内の詳しいことは存じ上げておりませんが、建設省大臣官房文書課長ということで紹介されておりますから、小林文書課長さんの前の方かもしれませんが、この方です。これも念のために申し上げておきますけれども、組合と官が団体交渉――皆さんの場合は単なる交渉でしょうが、そういうことでおやりになっている間に、あるいは話し合いをしている間に、どうしても組合の側は設置法とは関係がないのに関係があるがごとく言って了解しない、こういうお話を耳にするのでありますが、そこで念のために申し上げておくのですけれども、この川島さんの書いております内容は、「地方建設局の機構改革に期待される効果は以上のとおりであるが、期待どおりにその効果をあげるためには事務委譲を受ける側の地方建設局の組織を整備するのみならず、地方建設局とその下部機構である事務所間の事務再配分、さらには全体を通じての事務運営の一層の合理化、簡素化につとめなければならない。」こうなっておるわけですね。そうしますと、工事事務所の統廃合から始めていろいろやっておられることは、少なくともこの案の立案されたころの川島さんの述べておられることによれば、今回設置法を通すにあたっては、その次に言っている「今回の建設省地方建設局機構改革案は内務省土木出張所以来の沿革をもつ直轄事業機関を建設行政の総合的な現地処理を行なわせる「行政機関」に脱皮させようというところに大きな特色がある。」と言っておられる限りは、行政機関たるべき地方建設局にする。そのためには、受け入れ側の建設局のほうで、設置法が通るまでに地方建設局の組織を整備する必要がまずある。建設局の下部機構である事務所間の事務の再配分が必要である。さらにその上に、全体を通じての事務の運営の一そうの合理化、簡素化、これが必要である、こういうわけなんですから、あなたのほうで設置法とは関係がないとわ言れることは、この文書からいえば、私は疑義がある。設置法の提案がなければ、受け入れ態勢としての今回の事務所の統廃合以降の問題は起こってこないはずです。それは小規模には起こっても、大規模には起こらないはずです。そうなると、これについて臨時行政調査会の中でいう合理化をはかっていったら、この人の問題について最終的にはやめてもらわなければならぬという意味のことが書てあいる。そうなると、皆さんの側がいかに口をすっぱくして説得されてみても、この設置法が通過することによって来たる人員の異動、あるいは異動されてつとめられないからやめなければならぬという人、こういうように考えてみると、関係がないどころではなくて、一貫したものであるということになるのですが、どうですか。
  66. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 今回の設置法の改正は、従来本省で行なっておりました仕事の一部を地方建設局に移していくということでございまして、従来地方建設局で行なっておりました直轄事業につきましては、何ら変更がないわけであります。その直轄事業を行なっておりましたのは、第一線といたしましては、工事事務所でございます。工事事務所の機構につきましては、今度の設置法では何らの変更を加えておりません。直轄事業を行なっております地建に、その仕事のほかに行政事務を移していくということでございますので、地建の本局につきましては機構の変更を考えておりますが、直轄事業を行なっております工事事務所そのものについての変革は考えておりません。
  67. 大出俊

    大出委員 いま一部とおっしゃるのだが、一部などというふうな簡単なものですか、この内容は。
  68. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 一部と言いましたのは、本省地建とで仕事を分ける関係になりますので、本省の仕事が全部行くわけではございません。全部行ったのでは本省はなくなるわけですから、本省の仕事の一部を地方建設局に移すというのが、今度の改正の骨子であります。
  69. 大出俊

    大出委員 これを見ますと、地建で全く新たにやらなければならぬ仕事が幾つあるんですかね。これはみんな相当大きな項目ですが、十六ありますね。これは新たにやるものですよ。それから、いまあなたが言われる、本省との関係で一部とおっしゃっているのは、八つありますね。そうなりますと、「建設業者の登録に関すること。」「建設業の発達及び改善の助長並びに建設業者監督に関すること。」このあとがたいへんなんだが、「都市計画及び都市計画事業の決定の案の作成その他当該決定に関する事務に関すること。」「都市計画事業その他都市施設に関する事業の実施、助成及び監督に関すること。」「土地区画整理」云々と、これも六番目ですが、これからずっと拾っていきますと、十四、十五、十六、十七、十八、十九、二十、二十一、これはたいへんなものです。そうなってくると、旧来からあった地建の役目というのは、これは読んだことおありだと思いますが、三角じるしがついているから……。六つしかない。そうでしょう。そうなると、これは官房長、認識がおかしいんじゃないですか。一部どころの騒ぎじゃない。だから、明治以来の大改革だとここに書いておられるんだけれども、そういうことに仕事の分野はなるんじゃないですか。
  70. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 私が一部と申しましたのは、小部分であるという意味で申し上げたのではございません。本省の仕事のある部分が地方建設局に移るという改革でございまして、従来からやっておりました直轄の事業につきましては、何ら今度の改正では手を加えておらぬということを申し上げたわけでございます。
  71. 大出俊

    大出委員 本省のほうに残るもの、これは原則的にいえば、きのう大臣か言われたんだが、大臣が末端の機構がどうなるか、どこまで御研究の上で言われたか疑問なんだが、これは大臣にお聞きするのは無理なような気がするので、こまかく申し上げませんが、下部末端の機構がどうなるか、私、ずっと調べてみた。これは、私の調べてみた限りでは、たいへんなことになる。そこで承りたいことは、本来この案の骨子、考え方というものは、中央でやっていく仕事、企画、統制ということばを使っておられますが、できればその範囲に限る。これに建設行政に伴う一般の行政事務と称するもの、このほとんどは地方におろしてしまいたい。こういう考え方が中心ですね。そうなってくると、二建設局にまたがるものなどというものは本省に残すんだけれども、そうでないものはどんどんおろしてしまいたい。これは根本原則ですね。そうなってくると、あとから政令だとか訓令だとか、いろいろなものできめる範囲があるんだろうけれども、きのうこの件について質問が出ておるわけですから、後ほど資料でお出しいたしますということだが、私はまずその資料をいただきたい。――時間のむだですから、その間御答弁を承りたいのですが、「都市計画事業その他都市施設に関する事業の実施、助成及び監督に関すること。」こうあるのですが、具体的にはどういうことをやるのですか。
  72. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 これは地方におきまして行なっております都市計画事業に対しまして、建設省は従来から補助金を交付する等、その助成を行なっておったわけであります。その仕事をこのたび地方建設局に委譲しようというふうに考えたわけでございます。
  73. 大出俊

    大出委員 ちょっと不明確千万なんです。じゃ順序を追って聞きますが、補助金関係事務で何人いるのですか。これを地方に移しますと、大臣お話ですと、完全に移すというのですから、完全に移した場合――内容を言いましょう。予算要求の審査及び予算配分の調整。二番目、交付決定、変更、取り消し。三番目、事業執行の監督。四番目、額の確定。精算を含みます。ここまででどのくらいかかりますか。
  74. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 その関係につきまして、本省で従来維持しておりましたものの人数は、これは八十五名でございます。
  75. 大出俊

    大出委員 地方に行ったら何名になりますか。各地建に分かれていくのでしょう。どうなりますか。
  76. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 地方に委譲いたしまして、この八十五名に相当するものは地方に持ってまいりますが、そのほかに地方に分けるということによって所要の人数が出てまいりますのと、補助事業員が非常にふえております。それによりまして、さらに三百六十六人という増員を予定いたしているわけであります。
  77. 大出俊

    大出委員 八十五名プラス三百六十六名ですか。いいですか、たいへんなことになりますが……。
  78. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 補助関係事務、これは補助金の配分とそれから適正化、あるいは補助にかかわりますその他の仕事を含めまして、約四百人の人間をこれに当てるということになっております。
  79. 大出俊

    大出委員 正確に聞きたいのですがね。私はだから内容を申し上げたのですが、この設置法の文面は、ずいぶん抽象的にしか書いていない。そこで予算要求の建設省案なりをいろいろ内容を調べてみた。そうすると、補助金関係事務については、地方建設局は原則として次の事務を行なう。内容は、予算要求の審査及び予算配分の調整、交付決定、変更、取り消し、事業執行の監督、額の確定、精算等々、こうあるわけですよ。まだありますけれどもね。だから、そういうことで両名予定をされているのかということを承っておきたいのですよ。
  80. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 今回の地建委譲に伴いまして、おおむね計画部として所要の人数、全部合わせまして――行政事務を含みます。それから河川部、道路部に設置される補助関係のもの、そういうものをひっくるめまして、七百四人の人員が必要である。これは課別にはじきましてやっております。
  81. 大出俊

    大出委員 七百四人というのは、前の話では全部なんじゃないですか。そうでしょう。これは全部なら、大臣が認める補助金をもとに戻したら、人の異動は要らなくなってしまうじゃないですか。
  82. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 ただいま申し上げました人数は、行政事務の委譲も含めましての人数でございまして、その中で四百人程度が補助関係の課に従事するというふうに申し上げておるわけであります。
  83. 大出俊

    大出委員 どうもあいまいきわまるけれども、時間の関係があるから、しかたがありませんから聞きますが、それならば、補助金関係事務を除いては三百四名、こういうことですか。
  84. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 さようでございます。
  85. 大出俊

    大出委員 私が聞いておる趣旨を申し上げておきますが、はたしてやれるかどうかということを考えなければ、審議をした責任上困るのですよ。いいですか。事務をおろして、人をつけたはいいけれども、そこで今度は地建事務をやっていくわけですから、うんとふえているのに、そうしたらそこはオーバー労働になったりなんかして、あるいは事務が渋滞して、いまの陸運局みたいに、山ほど並んで、朝から行ったって何時間かかるかわからぬということでは困るのです。だから、私はくどく聞いておるのです。この中にはこまかく分かれておるわけですよ。だから、あなたのほうもこまかく分かれた資料くらいは――たとえばこの補助金で言えば、建設技術研究補助金、国土総合開発調査費補助金、産業開発青年隊導入費補助金、以上これは計画局所管です。それから街路事業費補助のうち、市街地改進事業に係る補助金、以上都市局所管。路面補修材料生産機械整備費補助金、市街地道路修復機械整備費補助金、以上大臣官房所管というふうに分かれておるわけでしょう。そうすると、皆さんが資料を出して、かくかくしかじかでこうなんだと言うてくれればわかる。そうすると、その範囲内で、はたして起こされた範囲の今日の事業を分散したらどの程度でどうなるかということは、私も官庁育ちだからわかる。そういうふうに説明していただかぬと、はたしてやれるのかやれないのかという問題が起こるのだから……。
  86. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 これにつきましては、地建の標準的な姿を考えまして、新たにでき上がります部といたしましては計画部、そのほかに道路部、河川部にも課を設置いたしまして、標準定数を考えて人数をはじいたわけでございます。これは地建によって、事業量の多いところはそれ以上になりますし、少ないところはそれ以下になりますが、そういうふうに各課別、各係別に計算いたしましてはじいた数字でございます。  なお、それでやっていけるかという問題、これにはいろいろ問題があろうかと思いますけれども、従来本省でやっておりました人数、これは非常にきつい作業であったと思いますけれども、補助関係で八十五人という者でこなしておったわけでございます。これは一カ所に集めてやっておったということもありましょうし、非常にきつい仕事をやっておったということもありますが、それと将来の事業量の増大ということも考えまして、そういう追加をいたしまして、各地建に配分するというふうにいたしたわけであります。
  87. 大出俊

    大出委員 そうしますと、地方建設局への「事務委譲に伴い、全地方建設局を通じて、七百四人の定員を必要とする。このうち二百二十九人は、企画室の廃止等により地方建設局本局(一般会計)内において配置転換を行なうので、地方建設局本局(一般会計)においてあらたに四百七十五人の定員を増加する。」、この件についてお答えをいただきたいの、ですが、具体的には人はどういうふうに動くのですか。
  88. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 今度の委譲に伴いまして、七百四名という人数がそのために配属されるわけでございますけれども、そのうち百九人は本省から持っていくことにいたしております。これは定数を持っていきますと同時に、人もそれだけ行くわけでございます。それから二百二十九人、これは現に地方建設局の本局で企画室につとめておる人でございます。これは企画室が計画部に改組されるに伴いまして、引き続き計画部で働くということに相なるわけでございます。残りが三百六十六人でございます。これは定数上は特別会計からの振りかえをいたしておりますが、実質的には欠員でございます。欠員で新たに三百六十六人というものを充員いたすわけでございますが、そのためには、三百六十六人のうち本省から行く人も出ると思います。本省からは百九人だけが行くというわけではございません。本省からもこのために出ていくということも考えられますし、それから新規採用も考えております。なお、地建のもよりの事務所等からの配置転換ということも考えております。
  89. 大出俊

    大出委員 これは実はあとの人員の異動にうんとからみますので、組合側でうんと心配しておることについては、できれば解いておいてあげたい、こう思うから聞いておるのです。そこで、先ほどのお話の、百九人が本省から行く――過欠員があるのかないのか知りませんが、百九人が本省から定数が行って、人がついていく、こういうわけですね。二百二十九人は企画室関係の方々、これは今度は計画部ということで動くわけですね。それから三百六十六人で、これは欠員なんだ、本省からも行くのだ、本省から行くのは百九人だけじゃないということになると、本省からあと何人行くのですか。
  90. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 本省から持っていく人数は現段階ではきめておりませんが、必ずしも一定員が移っただけが人が移っていくのだという関係でないということを申し上げておきます。
  91. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  92. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長代理 速記を始めて。  建設省設置法の一部を改正する法律案の審議は、後刻にいたします。      ――――◇―――――
  93. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長代理 厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田中誠治君。
  94. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 本来なら、与党の議員さんがおいでになりませんので、質問を始めるべきでないのですけれども、いろいろあとの行事その他も考えて、時間的な制約もございまするので、厚生省設置法の一部を改正する法律案の法案内容に関連のある部分を御質問申し上げたいと思います。  その前に、私一番最初にお聞きをいたしたいと思いますることは、いま国立病院へ行きましても、公立病院へ行っても、個人開業医へ行きましても、看護婦の不足が非常に訴えられておるわけなんです。したがって、これは何といっても解消をしなくてはならないわけなんですが、厚生省としては、こういう実態をどの程度把握され、この看護婦の不足をどうして充足されようとしておられるのか、まずその点からお伺いをいたしたいと思います。   〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕
  95. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 看護婦さんが医療機関において不足をしていろいろ困っておる、そういう実情はわれわれもよく承知しておるわけでございますが、実態的に全国的な数字として申し上げますと、看護婦さんの病院、診療所において働いておられる方は、毎年一万くらいずつ増加しております。ちょっと数字を申し上げますと、看護婦さんで病院、診療所で働いておりますものが、三十二年末で十三万六千だったものが、三十六年末では十七万三千、三十七年末では十八万三千、三十八年末は十九万三千、大体毎年一万くらいずつふえております。これは看護婦、准看護婦を含めての数でございます。したがいまして、三十九年末現在におきましては、二十万五千くらいになっておるのではないかとわれわれは推計をしております。なお病院におきましての状態は、これは病院の数もふえ、病床もふえておりますが、そのふえ方よりも、看護婦さん、准看護婦さんのふえ方のほうが早くて、したがいまして、絶対的にも、相対的にも、看護婦、准看護婦の数は、病院内ではふえております。これは比率で申し上げますと、三十二年末が五・九九、約六ベッドに看護婦一人だったわけでございますが、それが現在、三十八年末では五・三八、まあ五・四といたしましても約一割くらいよくなっておる、こういうふうに、絶対的にも、相対的にも、病院におきまして働いております看護婦さん、准看護婦さんの数はふえております。診療所を見ましても、診療所の数の増加よりも、看護婦、准看護婦のつとめておりますものの増加が同じく多いのでございますが、しかし、こういうふうに全国的の数字といたしましてはふえておりますが、労働条件の改善、たとえば昔は四十八時間制の労働条件でやっておったのを現在四十四時間制に切りかえる。そうしますと、それだけ看護婦さんの数も要る。また基準看護の採用といりふうなところで、看護婦さんを各施設が集める。もちろんその基本に医療技術の進歩、専門化、さらに生活程度の向上によりましての看護に対する要求というようなものがあるのでございますが、現在各施設ごとにおいて看護婦さんの奪い合いが起こり、また地域別に都合へ集中してくるというふうな傾向が起こって、いろいろ各病院、診療所におきましてお困りになっている状態でございますが、われわれはこれに対しまして、できるだけ看護婦さんをまずふやすということに努力をいたしまして、養成施設をもつくって看護婦さんを養成する場所をふやしていく。これに対しましては国もやりますが、補助金も出す、また学校制度を採用する、文部省のほうにお願いをいたしまして看護婦さん、准看護婦さんの学校をつくってもらうというふうなことに努力をしております。さらに、看護婦さん、准看護婦さんの学校、養成所で、定員が、たとえば四十名でございますと、三十名しか採ってないというようなことがございましたが、それはできるだけ定員一ぱいに採るようにお願いをする。また志望者をふやし、途中でやめないよりにするというふうな立場から、奨学金を出さす、こういうふうな手を打っております。なお、この奨学金のほうは、いなかのほうで都合へ出てくるのを防ぐという、多少地域偏在の是正の意味も含めてやっております。こういうふうにいたしまして、看護婦さんの供給と申しますか、養成に努力をしておるのでございますが、この四十年末におきましては、やっと少し成果が実ってきまして、学校の卒業までに二、三年かかりますので、手を打ちましてもすぐ効果があがるわけではなかったのでありますが、毎年大体卒業生が、正看護婦におきましては三千五百から四千くらい、これも漸次上がってきておりまして、四千くらいだったのでございますが、それがことしは入学者といたしましては四千五百くらいになっておりますし、ことしの卒業生にいたしましても四千二百七十名ぐらいの卒業があるのじゃないかと思っておりますが、こういふうに少しずつふえてきておりますし、准看護婦のほうは、一万三、四千だったのがことしは二万卒業しております。それで毎年の増加が大体一万ずつ増加しておりましたのが、ことしは一万六千くらいの増加になるのではないか。やめていく者がございますので、卒業生の数だけふえていくわけではありませんので、こういうふうに増加も少しよくなってきておりますが、しかし、これはまだまだ不足分を十分補うだけにならないので、さらに一そうの努力をいたしたいと思っております。なお、この一番基本には、看護婦さんの待遇の問題、また労働条件の問題等があると思いますので、われわれとしましては、看護婦さんの待遇をできるだけよくしたい。一番基準になりますのは、国家公務員としての国立病院、療養所等の看護婦さんの待遇だと思いまして、この点人事院のほうにも強く働きかけており、大臣も実は人事院に直接お話し願うというふうなところまでやっていただいております。また、労働条件につきましても、できるだけこれを改善していくように努力を続けていきたいと思っております。
  96. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 いまの答弁からいきますると、昭和三十二年以来、病床のふえ方よりも新しく卒業されて准看護婦なりあるいは正看護婦になられる数のほうが比率的には多い、こういう御説明であるわけなんですが、数年前より最近のほうが、より多くお医者さんからも看護婦さんからも定員不足というものが訴えられてきておるわけです。したがって、これは病床数ということよりも、患者の数が相当ふえたのではないか、こういうようにも思っておりますし、それから労働条件の関係が、昭和三十二年と比較いたしますると、どれだけかはよくなっておりまするので、そういう点をカバーするために定員が必要になってきておるわけなんです。したがって、そういうことも考え合わせまして、現存不足数というものは、どの程度に推定されておるかということを伺いたいと思います。
  97. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 お話のとおりに、労働条件の変化、また患者数の増加、ことに外来患者の増加の影響、これがあると思います。さらにそのほかに、患者さんに対しましての診療行為、一人の患者さんに対しまして、いろいろ注射をするとか検査をするとかいう行為が、ずっとふえております。そういうようなことから、やはり医者の補助者としての看護婦さんの手を多く要求している、こういう問題があると思います。それでもう少し申し上げますれば、昭和三十三年ころには、実は看護婦さんが大体需給のバランスがとれたのではないかというふうに考えたことがございまして、その当時、たとえば国立療養所の養成所の卒業生の就職あっせんに多少手がかかるというので文句が出たくらいのことがございまして、その当時お恥ずかしいことでございますが、いまのような状態になると考えないので、養成所の定員を減らしたり何かしたことがあったのでございます。そういうふうな状態で、やはり労働条件の変化、また医療内容の変化がありまして、看護婦さんに対しての需要が増大してきた、こういうふうにわれわれは考えておるものでございますが、将来もますますこの傾向は大きくなっていくだろう。そういう意味から、養成をふやしていかなければいかぬ、こういうふうに思っております。いまどれくらい足らないかという御質問でございますが、これがなかなか算定がむずかしいのでございますが、医療法等に比較いたしまして、医療法の基準、すなわち一般では四ベッドに一人、また結核、精神では六ベッドに一人というようなものから計算いたしますと、現在一万五千くらい不足になっておると思いますが、将来病床の増加等を考えまして、働いております看護婦さん、准看護婦さんを四十五年末ごろまでには二十五、六万にいたしたい、こういう予定をもって努力し、大体その線でいまのところは進んで、経過が計画どおりいっておりますが、しかし、それでも将来また労働条件がさらに変わってまいりますとか、医療内容が向上してくることによって、これで十分であるかどうかということはわれわれは多少心配しておりまして、予定よりも多少オーバーするくらいにつくっていかなければならない、こういうふうに努力しておるところであります。
  98. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 結核関係、それから精神病関係は、病床が相当不足しておるということが訴えられておりますし、事実入院したい人たちが、病床が足りない、施設が足りないということから入院不可能な人たちが多くおるわけなんですが、特に精神病患者の場合は、ベッド数で数えるわけにはいきませんので、その点は病院の施設をふやしてもらうということなんですが、その方面の関係団体から相当強い要求があるわけなんです。したがって、こういう点を解消するには、現時点においては、結核関係ではどのくらいの病床をふやしたらいいか、また精神病患者の場合にはどの程度病院の施設をふやしたらいいかということについて、数字的に出ておりましたら、御説明の中で承りたいと思います。
  99. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 結核関係は、現在二十二、三万床あると思いますが、この利用率が八〇%くらいでありまして、かなり全国的には空床がありまして、重症患者等につきまして特定の施設へ入院ができないということはございましょうが、全体としては大体入院はどこでもできると思います。精神関係は、いまベッドはふえておりますが、三十八年末で十五万四千床で、毎年一万床くらいずつふえておりますが、これの利用率は一〇八プロ、定床以上に入っている。だから、これはなかなか入りにくいという先生の御指摘のとおりであります。これをふやしていきたいと思っておりまして、四十五年末には二十五万床くらいにふやしていきたいという計画を持って進んでおりますが、これは予定でございますけれども、大体それ以上くらいにいくと思います。
  100. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 四十五年末には精神病患者の必要な人を収容するだけの施設はふやす、こういう計画で厚生省はやっておられる。それから結核関係は、この点については入院する、しないという点で、必要な病床数が算出せられるところに数字的にはいろいろ違ってきますけれども、いずれにいたしましても現在不足しておるということなんです。これと相まって、そうした施設を増加することにおいて、看護婦の定員の不足というものも並行して出てくるわけなんです。これも対策は同じようにやっていただかなくてはならないわけです。そこで、現在学校を卒業した人が看護婦になろうとして専門の学校へ入られる数が、希望されておる数字より相当下回っておると思う。そこで私は専門家にお聞きをいたしたいわけなんですが。現在の准看護婦、それから正看護婦の資格を持続するには、現在程度の年限をかけて勉強させなければ十分な資格を与えることができないものか。それとも一説には、まだまだ不十分であるから、もう少し勉強をしてもらわなければ、国家試験を受ける資格を与えるべきでないという二説があるわけなんです。特にあらわれておりまするのは、看護婦協会なんかの場合には、准看護婦に対しましてももう少し資格を与えて、そして給料の引き上げ等も行なって使用したらどうかというような案を出しておりまするし、自治省、特に現地の自治関係あるいはそこにつとめておる職員団体等の意見を聞いてみますると、保健婦と看護婦とのからみあいからいって問題が出ておるように考えられるわけなんですが、こういう点についての把握をどういうようにされておるか、まずそれからお伺いをしておきたいと思います。
  101. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 看護婦、准看護婦の現在試験を受けますその前の資格と申しましては、准看護婦は中学卒業後二年の養成期間を終え、正看護婦のほうは高等学校卒業後三年、こういうふうになっておりますが、これをもう少し正看護婦等につきましては上げろという意見、お話のとおり出ております。また同時に、カリキュラムをもう少し整備して、それを短縮できないかというような考え方もあります。特に保健婦、助産婦になります者は、看護婦になりましてからさらに半年以上、多くは一年でございますが、養成をやっておりますので、そういうような関係一緒にいたしまして、高等学校後の三年間くらいの教育によりまして看護婦、保健婦、助産婦等の資格をとれるようにならぬものかというような考え方もございまして、現在検討中でございます。これは私のほうで専門家の方々にいろいろ集まっていただきまして、検討をいまやっている、こういうことでございまして、三年では無理だという説と、何とかいきそうだという説と、両方ありまして、まだ結論は出ておりません。  なお、准看護婦から正看護婦の試験を通るには、現在は進学コースと申しまして、二年間のコースを経まして国家試験を受けて正看護婦になるという道はありますが、これをもう少し准看護婦の方々、ことに長くお仕事をつとめておる方々について正看護婦になれる道を開いてやる必要もあるのではないかという御意見もありまして、これまたいま検討している次第でございます。
  102. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 いま御答弁の中にもありましたが、中学卒業の人が正看護婦になろうとすれば、二年間専門の教育を受けて准看護婦の国家試験をとり、准看護婦になって三年間専門の勉強をして正看護婦の国家試験をとる、こういうことになっております。それから高校卒業生の人は、三年間専門の教育を受けて、看護婦の国家試験を受ける資格が得られるわけなんです。大体この方式というのは、アメリカの方式をとっておると思うのですが、その点はどうなんですか。
  103. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 アメリカは州によって違いまして、必ずしもそうでございませんで、たとえば准看という制度は、アメリカではこれと同じようなものとしてプラクチカル・ナースというのがありますが、これもちょっと違いまして、アメリカの制度そのものではございません。
  104. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、東大の医学部だけには四年制のコースがあると思うのですが、このコースを出られた方が正看護婦になった場合と、そうでなしに、高校卒後三年間専門学校を出て看護婦の国家試験を受けられる人との給与、待遇その他の取り扱いというものは、どう変わっておるかということもお聞きしたいと思います。
  105. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 東大の衛生看護学科のほかに、聖路加だとか、三つか四つ四年制の大学があると思います。ただ、この方々が卒業した場合の待遇は、おそらく国家公務員でいえば一号くらい一般の人より上になるんじゃないかと思いますが、私のほうではいま国家公務員になる例が少ないものですから、ちょっとここで正確なことを存じておりませんので、あとで調べましてお答えしたいと思います。
  106. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますと、看護婦という人間の生命に関係をする仕事に従事する人たちは、高校を卒業した人は専門的に三カ年は少なくても勉強してもらわなければならない。中学を卒業した者は、二年専用的に勉強してもらって准看護婦になってもらい、それから三カ年専門の教育を受けて正看護婦の国家試験をとってもらうというこの程度のことは、やはり職務内容からいってやってもらわなければならないものかどうかということなんです。それをお聞きしたいというのは、看護婦協会なんかの場合には、いや、それほど教育しなくても、一年くらい短縮してもいいんじゃないか、こういう御意見もあれば、そうでなしに、また地方自治体の職員組合等、特に保健婦等を同時にかかえておるところは、いや、現在でもちょっと不足であるから、もう少し専門教育を受けてもらって、その職務に従事してもらわなければ、人間の生命に関係する仕事をしてもらうのだから、こういうことを言っておるので、厚生省としてはその辺をどういうようにつかんでおられるか、お聞きをいたしたいと思うのです。したがって、そういうことから、現在病床の不足をしておるもろもろの病院の病床の増加と、それからこれに並行して現在も不足しておる看護婦の不足を充足していかなければなりませんので、これは昭和四十五年までに解消したいという一つのお考え方があるのですが、基本的には、この看護婦になるまでの専門教育というものがどれだけ絶対必要であるかということが出てこなければ、こういう問題と取り組むになかなかむずかしいと思うので、その点をひとつ御説明いただきたいと思います。
  107. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 正看護婦になりますのに高校卒業後三年、これは世界のレベルから見ましても絶対必要ではないかと思います。あるいは四年と言う人もあるのであります。  それから准看護婦関係も、仕事の程度にもよりましょうが、やはりある程度責任を持たせた仕事をやるのには、中学卒業後二年は絶対必要ではないかと思っております。  ただ、看護婦、准看護婦、さらに看護助手というふうな方々も一緒になってもらって、できるだけいい看護をやっていく。そうして高度の技術があるほうが、むずかしいこととか指揮をする、こういうようなことで、体系として運営ができる、こういうことが必要になると思っております。  なお、病院の病床数の増加等も考えまして、現在働いております二十万の看護婦、准看護婦を二十五、六万まで昭和四十五年までにふやしていきたい、こういうような考え方でございまして、これは先ほどから申しておりますように、病床数の増加等よりも、看護婦、准看護婦の増加のほうがより早く進んでいく、こういうような計画でやっております。
  108. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それで、准看護婦なり正看護婦になる場合の専門教育を受ける年限をその他の学校と比較をしてみますると、正看護婦になる場合には、短大卒以上の教育を受ける。年限も多いですし、資格もそれだけよけいあるとしなければなりませんが、しかし、実際につとめる場合には、給料の面においては高くない。それから労働条件においては、これは看護婦という特殊な職業であるために、基準法等が除外されておる面もありまするので、そういうことから看護婦になり手がないということが、この辺のところから出てきておるの、ではないか、こう思うわけなんです。その点をどういうように把握されておりますか。
  109. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 人事院の御調査によりますと、高等学校を出まして三年間の大学教育を受けております方の給料は、民間とバランスをとりまして人事院がお定めになっておりますのは三万六千三百円だと思いますが、それに対しまして正看護婦は、公務員関係は一万七千四百円になっております。ほかと比べますと、そういうような面ではよくなっております。民間の初任給は、これよりも少しよくなるような傾向になっております。  ただ、お話のように、夜間勤務がある、また危険がかなりある、患者さんのいろいろいやなことを聞くとかいうふうなことで、人類愛に立って働くたっとい職業ではございますが、かなり労働条件としては悪い面もありますので、そういう面から見ますれば、まだまだ待遇をよくしていきたい、われわれはこういうふうに考えておるわけであります。
  110. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 特殊な職務であるから、労働基準法からもはずされております。しかし、夜間勤務なり超勤をやった場合には、それに相当するところの賃金を支払わなくてはなりませんけれども、現在のところでは、どこの国立の病院に行ってみましても、そして身近な国会の医務室の職員等を見ましても、そのとおり賃金がついておらないように思うのです。こういう点を解消しなければ、看護婦の不足を充足することはなかなか困難である、こういうように考えておるわけなのですが、その点どういうようにお考えになりますか、何か自信ございますかしら。
  111. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 夜勤手当のお話だと思いますが、夜勤手当は、現在百分の二十五が加算になっておるわけであります。この点少な過ぎるとわれわれも思って、人事院のほうにこれをふやしていただきますように去年もお願いしておりますが、ことしもさらに一そう強くお願いしたいと思います。  なお、看護婦さんたちの志望者は、ことしは正看護婦関係は比較的多くなってきているように、われわれのほうではいま推計をしている状況でございます。
  112. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 百分の二十五とか百分の三十五とかいうことは、これは書類の上にあらわれることであって、そういう規定がなされておっても、事実支払われておらないということなのです。これは予算的な関係もあるのかもわかりませんけれども、事実払われておらないというところが多いのです。そういう点は把握されておらないのですか。払われておるというように御認識なのですか。
  113. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 私曲に国立病院課長をやっておりましたときは、現場に入って調べておりまして、看護婦さんのこういう超勤、夜勤手当というものは最優先に払うというようにやって、現場でもいろいろ調べておりましたが、実施できておると私は思っておったのでございます。最近の一、二年調べておりませんので、あるいは先生の御指摘のようなことがあるかもしれませんが、そういうことはないようにいたしたいと思います。
  114. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 この点ばかりやっておっては時間が進むばかりでございますので、この辺で終わりたいと思いますが、いずれにいたしましても現在看護婦は不足しておる。病院の病床は不足をしておる。特に結核とか精神病患者の場合は、これは相当重点的に考えていただかなくてはならないと思います。看護婦になり手のないということは、相当年月をかけて勉強をしてせっかく准看護婦なり正看護婦になってみても、収入が他産業と比較して少ないというところに問題があろうと思いまするし、それからいまの超勤あるいは夜間勤務の場合なんかは、最低といえども、労働基準法に示されたものは完全に支給してもらわなくてはならないと思います。ところが、大体払ってあるという認識でございますけれども、実際的にはそうはなっておらない。これはお調べいただけばわかりまするけれども、こういうところから心を使っていただかなければ、いまの問題は解決しないと思いまするので、その点を私のほうからも強く要望申し上げておきますので、今後この問題に対する善処方をお願いいたしたいと思います。  それから、いま山仕事をやる場合に電気のこぎりを使って仕事をやる労働者は、白ろう病ですか、手がまっ白になる病気がありますね。これは私どもは、一つの職業病というように考えて、職業病としての取り扱いをしてもらわなくてはならないと思うのです。もちろんこの点については、問題は労働省にも関連がございますが、厚生省のほうでこうした病気の位置づけをしていただかなければ、労働省のほうでもこれが職業病であるとかどうかということは、これはなかなかつけにくいと思いまするので、この点について、ひとつ厚生省の御見解を承わりたいと思います。  なお、こうした病人が全国的に最近どの程度出ておるかという数字をつかんでおれば、お示しをいただきたいと思います。
  115. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 このいわゆる白ろう病につきましては、私も先日雑誌でちょっと読みましたくらいで、厚生省としては十分な調査をやっておりませんので、労働省のほうでいろいろお調べを願っておるかという連絡を私どもでとりましたら、調査をやっておられるということを聞いておるわけでございます。したがいまして、患者さんの数とか、その症状、原因というようなことにつきましては、労働省のほうからお聞き願ったほうが正確なことがわかると思いますので、そういうふうにお願いできればと思います。もし必要がございますれば、私が労働省のほうから聞きまして、御連絡いたしてもよろしゅうございます。
  116. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私どもの認識といたしましては、病気に関係をすることは、これは基本的なものは厚生省で結論を出してもらい、そうして結論の出ておるものを参考に、労働省のほうでこれは職業病にするとか、こういう取り扱いがなされると思うのですが、第一義的には厚生省だと思うのですが、その点どうなんですか。
  117. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 従来けい肺、じん肺などにつきましても、労働省のほうでいろいろ御調査を願って、そして職業病として取り上げてまいりました。また、最近キーパンチャーなどでいろいろ問題になっておりますが、そういうふうに、いままでは労働省が大体調査をせられてお考えになるというふうなしきたりになっておりまして、今度の場合にも、実は労働省から私たちお教えを願ったというような状態でございまして、いままではそういうふうな動かし方をやっておりましたが、われわれといたしましても、やはり全体の疾病体系につきまして医務局も主体性を持つという立場考えてみたいと思います。
  118. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 おわかりにならなければ、質問申し上げても答弁ができないと思いまするが、労働省のほうで取り扱う諸病気でありましても、厚生省はそうした病気に対して取り組んで、厚生省なりの結論を出されることは、これは当然だと思うのですが、労働省で取り扱う諸病気に対しては、厚生少側のほうはノータッチ、こういうことなんですか。
  119. 尾崎嘉篤

    ○尾崎政府委員 ノータッチというわけでもございませんが、労働省におもにやってもらい、それに対してこちらが協力をする。たとえばけい肺、じん肺などにつきましては、私たちのほうの療養所などが協力して研究班に参加するというようなことをやっております。また、労働災害、たとえば炭鉱爆発等の場合には、これは所管をつべこべ言っておることではありませんので、われわれのほうで積極的に救急病院に入っていく、こういうようなことをやっておりますが、いろいろ仕事がお互いにありますので、その所管の仕事のほうでおもにやってもらうというような、従来多少消極的ないき方をやっておりましたので、これは私たちもう少し考え直してみたい、こう思います。
  120. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 こういう問題につきましては、当然、労働省で取り扱うということになりましても、厚生省は厚生省の立場で研究をしてもらって、そして専門的な病状の内容をデータとして出しておかなければならないのではないか、こう思いまするので、その点もつけ加えて要望を申し上げておきます。  そういたしますと、今度は年金の関係ですが、今度社労のほうで問題になっておりますあの厚生年金保険法の改正の内容を見ますと、二万円年金といって宣伝しておられるのですが、政府の説明しているとおりでいきますと一万円年金になりますけれども、問題は、標準報酬月額の二十年、二百四十カ月分を二百四十カ月で割った平均が二万五千円になった場合に一万円になるということであって、そうでなかったら、これは二万円にはならない。七千円くらいだろうと思うのです。だから、あの一万円年金といって打ち出されている、また宣伝されている内容からいきますと、現在の被保険者が何年後になれば、あの二万五千円が標準報酬月額の二十カ年分の一カ月の平均になるのか、この点をまずお示しをいただきたいと思います。
  121. 山本正淑

    ○山本(正)政府委員 一万円年金と申しますのは、御指摘のように、標準報酬月額が二万五千円の場合に、定額分と比例分で一万円になるのでございまして、現在出ております年金の受給者につきましては、これは過去の平均が一万五千円くらいでございますので、基本年金が八千円くらいになります。  それでいつ一万円年金が出てくるかということでございますが、炭鉱等におきましては、これから年数加算がございますので、今後出てくる年金の受給者は、一万円が出てくるわけでございます。一般の労務者につきましては、これは大体最高の保険料を納めておったのか、平均を納めておったのか、どこを取るかによって違いますけれども、平均を納めておったものにつきましても、昭和四十二年ごろから受給されるものについては、一万円年金が出てくる、かように考えております。
  122. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 社会党も案を出しておりますけれども、政府案で考えまして、基本金額の二千円を五千円にして、それからあの千分の六というのを千分の十にして計算をしてみますと、現在給付金を持続する権利ができた人は、平均が一万二千円から一万三千円にしかなっておらないのです。それも相当給料の高い大企業に類したところのものがなるのであって、全国平均の中小企業まで含めたら、まだうんと下がるわけです。昭和四十二年あたりに二万五千円になるというような計算は、これは絶対ならない。それはほんとうにそういう計算をなすってみたのですか。
  123. 山本正淑

    ○山本(正)政府委員 今後受給者として出てまいるものにつきまして、一万円年金が出てくるかというふうに理解いたしましたので、一万円年金をもらう人も出てくる、これは中小企業に限ってのことではございませんと、さように申し上げたわけでございます。
  124. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私の申し上げるのは、ただいま言ったところの二千円の基本金類を五千円にして、千分の六を千分の十にして、それで標準報酬月額が最低三千円が七千円になったのを今度二十三等級にして、最高の三万六千円を六万円にして計算をしていった場合に、そんな二年先ぐらいに、二十カ年で――いままで十八年かけておる人がもう二年かければ平均が二万五千円になるというようなことは、絶対にありやしないのです。だから、何年先の人が二万五千円になるかということであります。私は、二万五千円に二年先になるということなら、標準報酬月額の平均のあの計算基礎にする数字の二万五千円というものは、もし二万五千円にならないものは最低は二万五千円で計算するんだというように出されれば、これは一万円年金になると思うのです。二年ぐらいなところなら、これは予算なんかをそんなに多く食うものではございませんし、そうして三万六千円が六万円というぐあいにワクが広まっていくということになりますると、相当増収になるわけなんです。そういうことから考えてみますると、どうもあれはごまかしというか、あまりこまかい計算をされておらない数字の出し方であると思うのです。ただいま二年くらい先ならなると言われるけれども、実際それはなりませんよ。それはどうですか。もしなるとすれば、最低は二万五千円は確保する、保障してやるのだ、こういうような法律案の出し方もあろうと思う。  時間がありませんので、この答弁だけで、あとは保留しておきます。
  125. 山本正淑

    ○山本(正)政府委員 私のいま、二年先くらいに出てくると申し上げましたのは、御承知のように、定額部分にも今回は年数加算を設けまして、二十年五千円、一年ごとに二百五十円という加算を新たに設けておりますので、さような意味におきまして、昭和四十一年ごろ出てくる年金の受給者については、一万円年金がずばり出てくる人がある、かように申し上げた次第でございます。
  126. 河本敏夫

    河本委員長 この際三時まで休憩いたします。    午後二時二分休憩      ――――◇―――――    午後三時二十九分開議
  127. 河本敏夫

    河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  総理府設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。
  128. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 たいへん待たされましたが、ただいまから質問させていただきます。  総理府設置法一部改正審議の機会に、内閣に置いております同和対策審議会の答申について質問をいたしたいと思います。実は、きょう総理府設置法一部改正と関連をして、同和対策の総括的な質問をいたしたいと思っておりましたが、諸般の事情で各省関係に対する質問ができませんので、総理府関係について、質問は一部になりますけれども、その他の点はまた次の機会にいたしますから、時間の関係もありますので、ひとつ御答弁のほうも要領よくお願いいたしたいと思います。  まず、いよいよ同対審答申を出すことになったわけですが、答申の作業が始まっておると思うのですけれども、いつごろ公表になるか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  129. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 同和対策審議会の審議状況の御質問かと存じますが、これは御承知のように四部会に分かれまして、それは調査部会、教育部会、環境改善部会、それから産業職業部会、この四部会でそれぞれの分骨で専門的に調査をいたしまして、答申の作成中であります。そこで中間報告書は総会に提出済みでございますけれども、近く総会の報告書もできるわけでありまして、いま申し上げたような各部会における報告も大体来月、五月末までには一応原案がまとまる。これがまとまりますると、審議会はこれらの部会の原案を総合的に取りまとめまして、七月末ごろまでには内閣総理大臣に答申をする、こういう進行状態でございます。
  130. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 審議会の委員の方々には、会長をはじめたいへん御苦労いただいたと思うのです。それで七月に予定される答申の内容は、岸内閣以来実際に政府が同和対策と真剣に取り組んでこられたと思うのですが、いよいよいままでの作業のまとめをやって、今後の対策の方向なり重要な指標を与えられるわけでございますから、私ども期待をしておるわけです。  そこで私はこの答申の内容について、まだ作業中でございますから、十分なお答は得られないかもしれませんけれども、たとえば大きく分けまして、実態をまず明確にし、そして各部門に分かれてその対策の方向、政策と結びつけた方向を打ち出すというような形で作業が行なわれておるのかどうか、これをお伺いいたします。
  131. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 ただいま申し上げましたように、審議会におきましては、実態調査を実施いたしまして、そしてさらにいま申し上げた四部会でまとめた結果を総合して、これを答申に織り込む、こういうことでございます。同和地区の全国の基礎調査でございます。これは昭和三十八年一月一日現在によりまして、同和地区の戸数、世帯数、人口などにつきましても、関係地区の市町村を通じまして調査を行なったわけでございます。なお調査の結果につきましては、大体中間的な報告は集まっておりますけれども、その構成、それから答申の構想は、おおむねそれぞれの分野から見た部落問題の認識、それから現状、また問題点、それから対策の基礎方針、具体案、こういうようなものにつきまして、一応調査をいたしたわけであります。
  132. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、私は長官がどこまでお答えになれるかどうか知りませんけれども、私どもかねてから国会審議を通じてでも明らかにしておりましたとおり、この問題は、同和問題、いわゆる部落問題は、歴代の政府の責任であろうと私は思います。つまり政治の責任であるという点をまず基本的にとらえる。そして憲法で保障をされております人権、これを国民の国家に対する権利として、あるいはその保障としてこれはとらえられておると思うのですが、そういう基本的な認識からこの問題を扱われておる、そのように確認してよろしゅうございますか。
  133. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 この問題は、お説のとおりでございまして、ことに戦後のあらゆる面において民主化され、また民主化の徹底を期しておるわが国におきまして、いまだにいわゆる部落問題と申しますか、同和問題というものがございまして、そしてところによって非常な差別的な状況にある、これはまことに遺憾千万なことでございまして、私ども常識から考えますると実にむしろ意外に思うのでございますけれども、しかし、そういう地区がある、これは事実でございますので、そこでいま申し上げたように、まず実情を調べて、その実態をよく調査した上において、ひとつこれに対しての十分な対策を講ずるということが、仰せのように政府としての責任でもある、かように考えておる次第でございます。まず、環境におきましても非常に悪い環境の状態にあるように聞いておりますので、そういう環境をよくして、教育の問題についても、一部に非常な誤解というか、そういうものが災いしていまだにこの問題があるということを、できるだけすみやかに解消の方向に努力してまいりたい、かように考えております。
  134. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、きょうはこの部落問題で議論をするつもりはありません。これは別の機会にいたしたいと思っておりますから、それはいたしませんが、いま作業中でございますから、要望をいたしておきたいと思います。  この部落問題解決の基本的な方向といたしましては、いままで行なわれてきた同和事業の欠陥をまず明確にしておかぬといかぬですね。そうしていままでやられてきた同和事業にこだわらずに、審議会で遠慮のない伸び伸びとした方向を出してもらいたい、私はこのように思うわけです。当然それは日本の政治、経済あるいは社会、文化、教育、すべての面から政策と関連をさせて答申が出されるべきであろう。先ほどの長官のお答えを聞いても、そのような方向を言われておりますから、そうだと思うのですが、そこで、これは法的な裏づけあるいは十分なる財政的な裏づけを持つ行政措置ということを通じてやる、そういう点はどうでございますか。
  135. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 この点は、審議会におきましても、いま申し上げましたように実態の綿密な調査等をいたしておりまして、おそらくその答申が七月中には出てまいりまするので、その答申に基づきまして、できるだけその意見を尊重して、行政的にこれが解決の方向に、物的にもいろいろな面でやっていく必要がある、またやるべきであると考えております。
  136. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで基本的な方向といたしましては、この同対審は、総合的に、統一的に、積極的な部落問題解決のための行政を実施するように政府に対して要望する答申を出すであろうと思うのです。そこで、これは当然と思いますけれども、政府がその答申に基づいて忠実にその実行を保障するということを答申の中で言われると私は思いますが、そういう方向でやられておるでしょうか。
  137. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 この同和対策審議会は、やはり独自の見地からそれぞれの学識経験者、専門家というような方がいろいろ研究されての答申が出されるのでございまするし、また、ただいま申し上げましたような精神からできたのでございまするので、そういう点につきましても十分審議を尽くして、りっぱな答申を出していただけるものである。ただし、その内容については、私どもいまからこうであろう、ああであろうということを予測することについては行き過ぎかと思いますので御遠慮いたしまするが、審議会のできました精神から申しましても、りっぱなものが答申として出てくることを期待いたしておる次第であります。
  138. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 りっぱなものが出てきても、そのりっぱな答申に基づいて政府が実行なさらないと、何にもならないのです。そこを私はお伺いしておるのです。答申が出れば政府は忠実にそれを実行に移すというお考えであるかどうか、その点なのです。
  139. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 この点につきましては、先ほども申し上げましたように、政府の考え方も、そういう環境の悪い方面はすみやかに解消したい、従来もいろいろの施策を行なってきたのでございますけれども、この際、より広く深くこの審議会において検討しての答申が出るわけでございますので、政府といたしましても極力これを尊重して、その答申の趣旨に沿って施策を講じていきたい、こう考えております。
  140. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いままで各種の審議会から出された答申がなかなか忠実に守られていないという政府のいままでの態度からして、私は少なくともこの同対審については忠実に、政治の責任でございますから、やるべきである、このように思うわけです。  そこで、ちょっと事務局長にお伺いをしたいのですが、大体の答申の内容方向というものは把握してあると思うのですが、特に今後のこの部落問題解決の方法として、審議会は基本的に何らかの法的な裏づけと申しますか、何か立法を考えておられるのか、あるいは何らかの、部落問題を総合的に解決するための行政機関が必要であるという方向考えられておるのか、その辺もしお聞き及びでしたら、お答えをいただきたいと思います。
  141. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 答申の内容につきましては、先ほど総務長官から申し上げましたように、現在鋭意検討中である。ただ、その方向としては、部落問題の認識、それから現状と問題点、対策の基本方針、具体案、この四つの項目を中心に今後つくろうということで、いま各部会で草案の素案というようなものかと思いますが、それを練りつつある、これが五月の末までにはまとまるであろうという状況でございます。  その論議の中で、先ほど部会が四つございますと申し上げましたが、産業職業部会は、部落における農林水産業、製靴などの部落産業の問題、労働条件の問題というようなことをいま検討いたしておる。それから環境改善部会におきましては、環境改善小委員会、社会福祉小委員会の二つに分けまして問題の掘り下げを行ないます。部落の劣悪な立地条件の現状、戦前から行なわれた地方改善のあり方等について検討いたしております。それから生活保護、社会福祉の行政体系などについても、検討いたしております。それから教育部会では、同和教育の基本方針、学校教育と社会教育の現状と方向、人権擁護行政のあり方等について、審議されている状況でございます。基本的には四つの問題にしぼるというか、まとめて答申になろうかと思っておりますが、その際、先ほど申し上げましたいわゆる基本法と申しますか、法体系をどういうふうにまとめるか、必要があるかどうか、それからこれに関連する行政機構を何らかの組織をつくることがいいのか悪いのかというような点も、一部議論には出ておりますが、今後これがどういう形になって答申案が出るか、まだ現段階ではわからないわけであります。
  142. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは問題点をずっと出して、そしてかくすべきである、かくすべきであるといういろいろな方策がそこに出されると思います。しかし、いかにして行政措置として現実にこれを総合的にやっていくかということが、実は一番最後の問題で重要だと思うのです。そこでこれを総合的に扱う行政機構なりそういうものが当然考えられるであろう、こう私は思うわけです。一番重要な、ここはかなめであろうと思うのです。その辺がまだそう本格的な論議になっていないという、ちょっと私は奇異に感ずるのですが、重ねてその辺の最後の締めくくりと申しますか、行政措置をやっていく際のその窓口と申しますか、そういった機構は、いまお答えくらいの程度でしょうか、その論議というのは。
  143. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 だいぶ前から、この論議はすでに委員の間で論議されております。現在もされておるという状況でございまして、五月の末の草案、七月末の答申までには、審議会としてそれについての結論が出るのであろうというふうに考えております。
  144. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 最後の締めくくりとしてのそういった行政機構なりは、当然考えられるであろう、私はこのように思うわけです。  それで、きょうはおも立ったところだけしか質問できませんけれども、総務長官にちょっと最後にお答えをいただきたい問題があるのです。実はあなたは、当委員会に農地報償法を出されております。これは二、三年前だったと思うのですが、その地主の状態を調べるために、たしか一億九千万でしたか、調査費を出されました。これは二回目で、当初はたしか三千万くらいじゃなかったかと思う。どうしてそういう措置が行なわれたか、これはいわゆる農地解放に伴う政策の犠牲者として、国が補償するというような考え方から出発されて、一億九千万もの調査費を出された。そして今回当委員会に農地報償法、一千五百億に及ぶ予算を伴う、そういう法案を出されておるわけですが、この部落問題というものは、終戦のときの政策の犠牲どころか、これはずっと徳川幕府以来の今日に至る全く政治の責任であるし、政策の犠牲者なのですね。それに対して岸内閣のときからやっと本格的に取り組まれた。しかし、取り組まれはしましたけれども、予算的に見るとお粗末なものです。たとえば本年度直接の同和対策費は、幾らになっておると思われますか。
  145. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 今日までも同和対策に対しましては、各省それぞれの行政分野において対策を講じておりますが、ざっとこれを合計してみますと、四十年度においては約二十億くらい。それでも前年度は十六億でございましたから、増加しておるのでございますが、もちろんこれで決して十分でないことは、私どももよくわかっておるわけでございます。したがって、この答申が出ました暁におきましては、政府としてもこれに対してできるだけの措置もしなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  146. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 お答えのとおりです。四十年度は約二十一億、昨年は十六億。この二、三年来四、五億ずつ上がってきてはおりますけれでも、四十年度は二十一億です。そこで事務局長にお尋ねしますが、同対審のいわゆる調査費ですね。本年度は三百何十万だったかと思うのですが、四十年度は百七十万くらいです。いままで同対審ができてからの調査費の三十九年度までの全部の費用は、幾らになっておりますか。
  147. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 ちょっといま手元で調べております。四百万程度ではないかと思っておりますが、いま調べております。
  148. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 長官、お聞きのとおりです。終戦時のあの農地解放に伴う地主の調査に一億九千万もお金を出して調査をされた。この部落の数は、当然実態として出てきておると思います。この重要な、しかも非常に範囲の広い問題に対して、四百万です。だれが常識で考えても、これは何というおかしな現象です。いかにこれを一生懸命やりますと申されても、現実に政府がとっておる措置は、そういうことなんです。一億九千万と四百万です。この矛盾をどう思われますか。
  149. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 審議会につきましては、もちろんその規模にもよりますが、要するに単に会議をして審議するということであれば、これはもうたいした費用はかからぬのでありますが、しかし、実態調査をするということになりますと、相手の費用もかかる。ただ、私も詳しいことは知らぬですから、あまり大きなことは言えませんけれども、この調査につきましても、各府県の協力を得てやっております。また各府県におきましても、この問題をよく理解されて御協力をいただいておるようでございますから、したがって、審議の費用、調査の費用に事欠くようなことはしてないはずでございます。また、もしその費用が同和対策審議会に足りない、こういうようなことでもありますれば、いろいろ審議会も相当数多くありますので、またその内部の運用において多少の補いもできるはずでございますので、審議に御不自由をかけることはない、かように考えておりますが、確かに必ずしも多いということを申し上げるわけではありません。
  150. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そんなきれいごとをおっしゃったって、数字が示しておるのです。いいですか。あなた方が大蔵省に予算請求をなさった額よりも、ずっと減らされておるのですよ。毎年、これだけあればこれだけの調査ができるとして大蔵省に予算を要求なすって、へずらされておるのに、どうして十分にやっておるということが言えますか。だから、長官、ここだけのそういう御答弁をしたって始まりませんよ。もう少し、やはり実態に基づいて正直な見解を披瀝してもらわぬと、そういううわべだけの答弁じゃ、この問題は把握できませんですよ。それで長官、私が申し上げたいのは、答申が出て、相当何年計画かを立てて、そうしてその専門の行政機構をつくって、法的な裏づけをやる、財政的な裏づけをやって、相当膨大な予算を要する、このように私は思うわけです。それで、これは答申が出ましての後の問題になると思いますから、私は、長官にこの点だけはいろいろ御質問をしましたけれども、答申が出たらそれを忠実に政府はやるんだという決意だけ、きょうは表明をしていただいておけば、今後その表明と違うようなことがあれば、われわれは追及していかざるを得ない。最後に重ねて長官の決意を承って、質問を終わりたいと思います。
  151. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 ただいま調べましたら、二年間で、全国の調査等を含んでございますが、六百二十四万円だそうでございます。これは全国の調査でございますから、実際これで必ずしも多いと言えないかもしれませんけれども、とにかく精密な調査のできるだけには予算を一応組んであるはずでございます。まあ審議会によりましては、産業災害防止対策審議会なども、初年度は六十五万円で、それで実際必要だというので、これはことしは一千万にふやしたのです。もっとも、これは海外に調査団を派遣するということで、そうふやしたのですけれども。でございますから、必要があれば、決してその予算をただむちゃくちゃに減らすということではございませんが、しかし、いまお話しのように、問題は答申が出てきてからの問題でございます。これはもう申し上げるまでもなく、差別感に基づく人権的な問題でございますから、その観点に立って、答申が出ましたならば、当初申し上げましたように、これを十分尊重して、できるだけの努力をしていく覚悟でございます。
  152. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 まああまりおしゃべりになりますと、ぼろが出るのです。これは差別感に基づく問題じゃないのです。そういう簡単な事柄じゃない。いまひょっと出たのだと思いますけれども、しかし、時間がないから、それをここで討論したってしょうがないから、答申が出まして、本格的に私どもはこれと取り組む、そういうことを申し上げまして、きょうのところはこれで終わらしていただきます。
  153. 河本敏夫

    河本委員長 大原亨君。
  154. 大原亨

    ○大原委員 総理府では、各省でやってない行政をやっておるわけですが、人事については、各省にわたる事項については、どのようなことをどのような法律に基づいてやっておられるか、これをひとつ伺います。
  155. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 総理府には、御承知のように公務員制度調査室というのがございまして、一般職の給与に関する法律を所管いたしております。一般職のそれの実施面につきましては人事院というのがございますが、法律そのものにつきましては、この公務員制度調査室でこれを所管するということでやっております。
  156. 大原亨

    ○大原委員 その公務員制度調査室は、給与その他の立法事項をやる。人事院が直接出て法律の説明その他はしないわけですから、公務員制度調査室が公務員についてはやるのですね。それで今度ILO関係の国内法が出てまいりましたら、公務員制度調査室との関係はどうするのですか。これは大体通ることになっているのでしょう。
  157. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 ILOが通りまして、国家公務員法の一部が改正になりますと、総理府に人事局ができまして、その中に公務員制度調査室も吸収される、こういうことになるわけであります。
  158. 大原亨

    ○大原委員 それから公務員制度調査室あるいはそれ以外のところで、一般的に公務員の規律あるいは綱紀粛正などのことはやっているのですか、やってないのですか。総理大臣を補佐する仕事としてやっているのですか。どこでやっているのですか。
  159. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 御承知のように、国家公務員は各省各庁の長、各大臣というものが、それぞれの省の公務員を直接監督、指揮しておるわけでございます。したがいまして、綱紀の粛正ということも、各省各庁の長である各大臣がそれぞれやっておりますが、これを全体として、総理大臣あるいは内閣として、総合調整と申しますか、そういう点では今後人事局がその衝に当たるようになろうかと考えております。
  160. 大原亨

    ○大原委員 全体の連絡、調整というようなことは、現在ではやってないのですか。やっているところがあるのですか。
  161. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 現在では、特にそういう点を特別の任務として持っておる部局はございませんが、内閣としてそういう点を種々調整する必要があるという点につきましては、内閣官房で、内閣の下働き、事実上いろいろな点をやっておる、いわゆる庶務と申しますか、そういう関係でやっておる状況でございます。
  162. 大原亨

    ○大原委員 内閣官房は、総理府の中にあるのですか。
  163. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 内閣官房は総理府ではございませんで、内閣官房長官を長とし、合議体としての内閣に直接結びつく内閣官房でございます。
  164. 大原亨

    ○大原委員 それで今度人事局ができる場合には、大体これはスムーズにいけば――やれ地主補償だ何だといってがたがたすればわからぬですけれども、ILOがスムーズにいけば大体通るでしょう。そういたしますと、まあ臼井総務長官がおなりになるかどうかわからぬが、これは国務大臣になるわけですね。総理府長官は国務大臣になる、そういうことですが、それは大体九十日以内に人事局を設置して――これは政令できめるのでしょうが、設置したら動き出すわけですか。
  165. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 これは法律が公府されてから、政令で進めまして、九十日以内に設置する、こういうことになっております。
  166. 大原亨

    ○大原委員 それからこれは内閣官房長官のもとの官房で取りまとめられるのだろうと思うのですが、私ちょっと総理府長官にこれを聞いてみたいのだが、これは予算委員会で総理大臣その他全部のいるところでやればいいのですが、参議院選挙を前にして、やはり全部の省庁で役所の機構が参議院選挙のために動くということがあるわけです。というのは、いま建設省のことをやれば、元の平井官房長ですか、それからここの私どもの社会党の理事と同じ名前の山内君、そういうことでこれが問題になっていま捜査中ですね。つまり業者から金を集めたり票を割りつけたりするようなことで問題が起きたわけですね。(「けしからぬ」と呼ぶ者あり)けしからぬ話です。そういう全体の各省にわたることは、総理府長官は関係ないわけですね。おたくのほうは恩給局その他については関係あるでしょうけれども、各省庁にわたっては関係ないわけですね。それで、恩給局関係は選挙運動をやられるということはないのですけれども、この問題はその点が明確になりましたら――これはおたくの管轄の中だけについてとにかくいろいろ問題が起きたのですから、その点については、特に吹原事件その他あるときですから、きちっとしてもらいたい。その点については、普通の組合運動その他についても政治活動は限界があるわけですけれども、しかし、上級機関やその他から命令を下してやる場合には、税金を使ってやる、あるいは地位を利用してやるということに直接つながるわけですから、その点については、あなたの関係の省庁においてもきちっとしてもらいたい。各省設置法の審議にあたりまして、私どもはぜひともこの点は部内の規律を立ててもらわないと、吹原産業その他非常に大きな問題になっているわけですから、これは直接選挙には関係ないけれども、やはり黒い影、黒い金が動いておるわけですから、これは総理府においても十分自粛自戒をしてもらいたい。こういうことです。
  167. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 これは公務員につきましては政治的な中立を保つべきことは、人事院の規則においても列挙的に厳重に制限をされております。他省のことは知らず、私のほうのただいまお話しの局等におきましても、そういうことのないように厳重に監督をし、またそういうことは現在ないと信じております。
  168. 大原亨

    ○大原委員 それからもう一つ、いろいろ総理府に設置されるような機関があるわけですが、日本学術会議ですね。これは総務長官の知っておられる範囲でいいのですが、日本学術会議の評価といいますか、位置づけといいますか、これは法律ができました当時は、学者の国会というふうなことでやったわけです。制度同体もいろいろ問題があると思うのですけれども、政府委員でよろしいと思うのですが、予算は年々ふえているのですか、減っているのですか。
  169. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 ちょっと手元に資料がございませんが、学術会議は、これはもう当初から権威あるものとして今日まで引き続いて広い分野で学術的な研究やまた国際的な会議とか、いろいろな活動をしております。いずれ調べて御報告いたしますけれども、予算においても必要なものはつけてあるはずでございます。
  170. 大原亨

    ○大原委員 これは心がまえですけれども、学術会議はやはり民主的なる選挙によって――これは公職選挙法は適用はないそうですけれども、民主的な選挙によって選ばれた学者の意思表示の機関、あるいは自主的な学問研究の自主性を守る機関、こういうことで不当な権力の介入を排除するという意味で学術会議はできて、学問研究の自主的な体制ということで、非常に重きをなしておるのです。ですけれども、最近はこれを軽視する風潮があるわけです。というのは、今日までいろいろな意思表示をしてきたことの中に、政府の気に食わぬことがあった。このあともあるのではないかと思うのですが、しかし、これはあくまでも自主性ある機関として、予算上も行政上も十分重視してもらいたい。いろいろな機関ができておるわけですから、その点につきまして、総務長官の御見解をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  171. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 政府におきましても、学問の自由ということは、憲法に保障されているとおりこれを尊重し、確保することに努力いたしておりますので、したがいまして、学術会議等におきましても、そういう意味において必要な予算もつけ、広くできるだけ自由な活動ができるように配慮いたしておる次第でございます。
  172. 大原亨

    ○大原委員 これは質問通告をしてなかったので詳細にはできないのですが、今度は公取の問題です。やはり政府の機関からいいましたら、相当これは煙たいところなんです。たとえば私は薬務行政のことでいろいろやってきましたけれども、厚生大臣の薬務局の権限というものを、薬事法で、公取の権限となるべき事項を特に専門家であるそういうところに渡してあるわけですが、そういう研究をいたしておりますと、アメリカなどにいたしましても、連邦公正委員会ですか、そういうところを強化して、消費者や第三者を保護する――生活局をつくるという経済設置法の改正案が私ここに来ましたとき通っておりますけれども、公取等につきましても、十分消費者を保護する、国民立場について自主的な発言をするという意味で十分尊重してもらいたい、こういうことです。これは特に要望しておきます。  それから質問通告いたしておりました同和対策審議会ですけれども、これは大体八月の十二日で終わるそうですか、いま質問がありましたから、各四つの分科会にわたる詳細な問題点に対する論議と、それから答申のあり方、尊重のしかた、実施のしかた等については、くどくどここで重ねて申し上げません。別の機会関係各省庁を呼びましてやりたいと思うのですが、私大体聞いておったのですけれども、中座いたしておりますから、ダブっておる点があると思うのだが、問題となる点は、実態調査をする際に、各都道府県、自治体がこの部落問題に対して理解をしないで、協力をしていないところがあったのではないか。最終的にはどのような状況になっておるかという点を、答申案の権威のために、私は今日まで社労や内閣委員会等におきまして促進をいたしてまいりましたから、最終段階にありますけれども、そういう答申の完ぺきを期する意味において、この点につきましてどのような実態であったか、こういう点をひとつお答えをいただきたいと思います。
  173. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 全国的に各府県ともに非常に協力をしていただいております。しかし、東京都につきましては、先般の太平洋戦争の結果、戦災とか人口移動、その他福祉行政の進展、こういうふうなことで、一般住民といわゆる地区住民とが混合して入りまじっておりまして、対象の認識がなかなかむずかしい、こういうような事情もありまして、現在東京都からはまだ報告が出ておりませんが、しかし、この点につきましては、さらに厳重に調査の回答をひとつしてくれということで、なお要請を東京都のほうにいたしております。それからもう一つは神奈川県でございますが、神奈川県は回答がなかったのでありますけれども、これは専門委員が現地へ参りまして調査を要請いたしました結果、近く回答が来ることに話がまとまったように聞いております。
  174. 大原亨

    ○大原委員 ほかには問題のあるところはありませんか。
  175. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 ほかの府県ではそういうあれはございませんで、一応みな回答が参っております。
  176. 大原亨

    ○大原委員 私は、これもいままでしばしば各省庁一緒になりまして部落対策を議論するときに議論したことですが、つまり実態調査ということは、非常に困難な問題もあるわけです。調査自体が差別であるというふうな抵抗を受けるという無理解な点もあるから、むずかしい点もあるのですが、しかし、これはやはり封建的な名残りがなお今日の社会の中においてもある、そういうことは事実でありまするし、特に資本主義制度のもとにおきましても、弱肉強食というようなことがあって、そういう累積として実際にあるわけですから、その実態を科学的に究明をしておきまして、そうしてその上に立って公平な政治をやるということができるのである。そこで質問を進めてまいるわけですが、いままで議論になりましたモデル方式は、これは政治的につまみ金を出すということにも問題があるでしょうが、やはり差別を再生産するということで、実態に即した――しかもモデルがモデルだけに終わって、全部の地域に公平に浸透しないというふうな問題もあったわけであります。そういう問題から言いましてきわめて重要な問題になるのですが、モデル方式を審議会はどのように議論をし、答申の上に反映をさしておるのかという点を、これは審議会のほうでよろしいけれども、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  177. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 モデル地区を選定して調査をするということは、三十四年の閣僚懇談会できめました対策要綱に基づいて現在やっております。このモデル地区に各省の施策を集中して実施していくということは、ある程度の効果をあげているのではないかというふうに思っておりますけれども、しかし、この点につきましても種々の議論があることは、御承知のとおりであります。同和対策審議会でそういうこともあわせて検討いたしております。答申に沿って考えていきたいというふうに考えております。
  178. 大原亨

    ○大原委員 学識経験者を入れました同和対策審議会で、自主的に民主的に十分討議していただくことは異議がないのですが、いままで国会で議論した中で、たとえば農業関係、あるいは漁港の関係、その他厚生省関係でも、部落の実態に即してモデルをつくりながら、これを拡大をしていくということについては全く総合計画がなくて、とかくモデルだけを取り上げて選挙対策やその他にやるというふうなことになると、これは本来人権や人道を尊重する、こういう点から論議をされてきたのでありますから、国会におきましてそういう議論があったという点を十分に念頭に遣いで答申の中に一つの結論が出る、あるいはそのように運営をするという点については、十分留意をしていただきたい。その点につきまして、どなたからでもよろしいから見解をひとつ明らかにしておいてもらいたい。
  179. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 審議会にもそういう議論があるということは、審議会の討議の中で委員の諸公はよく存じておられます。そういうことも含めて十分なる答申があると考えております。
  180. 大原亨

    ○大原委員 同和対策審議会ができました経過その他も、これは超党派的に皆さん方が議論をして、議論の中からできた。問題はきわめて困難な問題でございますが、文化国家といたしましてはまことに恥ずべき問題であるわけであります。したがって、ある意味では、今回は八月十二日を期限として、御答弁になりましたように、六、七月ごろにでき上がってくる答申というものは画期的なものでございますから、これが実施につきましては、いままでの審議会が答申倒れになる、こういうことのないように、ちょうど時間的にも予算の編成期に関係いたしておりますから、八月段階ぐらいでは事務当局等においても来年度予算については審議が間に合う段階でございますから、政府部内において関係各省が十分検討されて、大蔵省に対しても強く正当な要求をされて、せめてこれが具体化に前進をするように強く要望をいたしたいと思います。その点につきまして総務長官の御答弁をいただきまして、私の質問を終わります。
  181. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 この点につきましては、楢崎委員にもお答え申し上げたとおりでございまして、この答申が出ました暁におきましては、その趣旨に沿いまして、極力その答申の結論が実現に移るように努力をする覚悟でございます。
  182. 河本敏夫

  183. 大出俊

    大出委員 これは全然質問をしておりませんので、やはりはっきりしていただくところはしていただかぬと困るというふうに思っておるのですが、提案理由の説明文に「港湾労働の需給調整、港湾運送の近代化、港湾利用の改善等、港湾に関する諸施策を総合的に推進し」と、こうなっておるわけです。これでもう少し端的に言えば、港湾労働という面、それから業という面、三つ目は管理という面、こういう理解でいいのかどうかという点を、つまり港湾調整審議会の仕事の内容として長官からひとつ御答弁を承っておきたいと思います。
  184. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 港湾労働につきましては、いろいろ複雑な面もあるようでございまするが、港湾そのものの施設設備の整備ということばかりでなく、港湾の労働者の需給関係、これにつきましては、各港湾関係事業者とも深い関係がまたあるわけでございますので、これらを総合的に判断いたしまして処理していかなきゃならぬ、こう考えますので、港湾調整審議会も、やはりそういう観点から、事業の運営につきましても、また、労働者の需給の上におきましても、円滑、円満にいくように、こういうあらゆる問題につきまして総合的に御審議をいただくもの、かように考えております。
  185. 大出俊

    大出委員 一点抜けているのですが、そうなりますと、二つになってしまうんですね。そうなると、港湾利用の改善というのはどういう意味ですか。
  186. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 港湾利用の改善というと、荷物を運搬といいますか、港湾を使う海上あるいは陸上運送のことに関することではないか、こう思うのです。   〔「知り過ぎているんだから」と呼ぶ者あり〕
  187. 大出俊

    大出委員 それは確かに、私も前にあれだけ質問をしているから、知り過ぎている一人ですけれども、事これは法律ですからね。後ほど港湾調整審議会がいろいろな議論を続けていく中で、特に港湾労働法の施行は延期をされておりますからね。運輸省で言うところの近代化プログラム的に考えれば、本年は港湾管理であり、来年は港湾の業の面であり、その先に労働という形になってくるわけです。そうなりますと、やはりはっきりしておくところはしておいていただかないと、七名の委員の方々がおり、専門委員が二十名並ぶわけですから、ひとつ間違えば専門委員会はけんか場になるかもしれぬ。したがって、名称のとおり、港湾調整の審議をするわけでございますから、そういう面で仕事の分野をはっきりしておいていただかないと、そういう意味で申し上げておるのですから、ひとつこのところは、もしぐあいが悪いようであれば、私、そのために関係労働省の方々とそれから運輸省の港湾局長とお名ざしをしたのだが、局長さんのお顔も見えませんので――これはたいへん失礼いたしました。そこのところをひとつ長官からでなくてけっこうですから、御無理を申し上げておるわけではございませんので、お答えを承りたいのです。  まず、御回答をいただきやすいように申し上げれば、労働省の側としては安定局長さん、おられますが、主として「需給調整」とだけなっておりますけれども、大づかみとその中心とを述べていただきたいのですが、この調整審議会で一体何を中心におやりになろうとするか。これはもちろん港湾労働法の第三条に言う「労働大臣は、毎年、港湾ごとに、港湾雇用調整計画を定めなければならない。」この調整計画を定めるにあたっては意見を聞かなければなりませんから、そういう関連が法的に出てまいります。したがって、それらとあわせて、一体何をこの港湾調整審議会で調整をしていこうとお考えになっているか、港湾労働法関係の分野でこれをお答えをいただきたい。  それから次に、港湾運送の関係は、御存じのとおり、運送事業法の関係ですから、そうなりますと、その面で運輸省の側としては、片や港湾審議会が運輸省にございますが、それらとの関係で、この中で一体何をお考えになっておるのかという要点をお聞かせをいただきたい。  それから、もう一つあわせて、これは運輸省の関係になりますけれども、「港湾利用の改善等」と、こうなっておるのであります。これも前回局長に微に入り細にわたった御質問を申し上げて、またずいぶん勉強されておるところの御回答をいただきましたからわかっておりますけれども、そこの中心点をひとつお述べ置き願いたいと思います。
  188. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 一つ抜けておるじゃないかということは、おそらく関係行政機関の施策の総合調整ということだと思うのでございます。灯台もと暗しで、まことに申しわけございませんですが、この点につきましては、専門の関係省のほうからひとつお答えをいたします。
  189. 有馬元治

    ○有馬政府委員 一番大きな問題は、二つあると思います。一つは、需給調整計画の策定、これについて審議会の意見を聞く。もう一つは、納付金の徴収、金額等について意見を聞く。この二点が一番大きな点でございますが、やはり事業面、港湾の管理面とこれらの問題は総合的に関連をする問題でございますので、そういう審議会の場で意見を諮問するという形に相なると思います。
  190. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 運輸省といたしましては、港湾運送事業の近代化そのものは私どもの所管でございますが、これを進めていく上におきまして、労働の問題は労働省と関係かございますし、さらに荷主官庁として通産の関係がございますので、そういう点で近代化に関連して関係行政機関との総合調整をやっていくということが一つござざいます。もう一つ、港湾の利用ということがございます。これは、私ども一番大きな問題になっておりまするが、月末、月首における船込み、ピータ時がル常に高過ぎるということであります。それをもり少しならすということが、利用の改善でございますので、ぜひこの問題はこの審議会で御審議いただきたい、かように考えております。
  191. 大出俊

    大出委員 いまお話か出ましたので、そこだけ念のために承っておきたいのですが、月末、月首の集中配船的な形のもの、船込みですね。これについての根本的な原因をどのようにとらえておられるかという点を承りたい。
  192. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 この問題は、要するに商社の金繰りと申しますか、為替決済の問題が一番大きな問題になると思います。もう一つは、そういうことから荷物を集めやすい時期がおのずからきまるものですから、船のほうはある程度待ってもその時期に荷物を集めようとする、それが大きな原因であると思います。
  193. 大出俊

    大出委員 長く論議をする気はございません。ございませんが、出たことをそのままにするわけにまいりませんので、念を押しておきます。たとえばいまのお話しの中の金の問題、あるいは金利の問題、戦前の例から言いますと、金利を政府が持った場合もありますね。FOB方式をとる場合、たとえばBL、船荷証券で入ってくる。これを最近の傾向として、上屋なんかより倉庫をつくれとの意見がございます。おそらく倉庫に入れて、かぎをかけてしまいまして、倉庫証券を発行しますね。有価証券ですから、そうなると、決済はまさにびたりついてしまう。そうなると金利は要らない、そういう問題が出てまいりますね、つまり金利面については相当お考えをいただかなければならぬ、ただ、この場合に考えなければなりませんのは、かといって、上産の性格からいって、三日なら三日を置いて検査するという性格を持っておるわけですから、金の面からいって、船主協会等の意見あるいは荷主、こういうほうからそういう意見が強まるからというだけで倉庫へ倉庫へというかっこうになると、ここにもまた問題が出てまいります。こういうふりなところは、いまの段階でお答えいただくのは無理かもしれぬけれども、いま出ました話としては、そこらあたりはどのように御研究になっておるのか、承っておきたい。
  194. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 この問題は、上屋を倉庫にするということではございませんので、船積みする前に上屋に船主が受け入れた場合に、レシーブのBLが発行できるようにしたい、こういう趣旨でございます。
  195. 大出俊

    大出委員 ところで、利用の改善というものの中に、さっき私が口にしました管理という問題、あるいは経営という問題、こういうふうな、いまいわれた月末、月首の配船の話が中心になっておったよりでしたので念を押すのですが、それらの問題は、港湾調整審議会の仕事として運省輸の側から見てその辺のことも持ち込む、こういうお考えがありますか。
  196. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 先ほど申し落としましたが、港湾管理そのものは、管理者並びに運輸省が責任を持てばいいと思うのでございますが、広い意味におきます港湾行政というものは、非常に複雑多岐でありまして、こういうものの調整ということをはかっていただきたいということは、非常に重要なことだと思います。
  197. 大出俊

    大出委員 たとえば、例をあげますが、さっきお話に出ました、少し船を待っても荷物の集中度合い等を考えてということになるのですが、たとえばいつかも申し上げましたように、一メートル動かしても横持ち料を取られる世の中ですから、そうなると、定期航路あるいは定期船、船主別等を考えて、そういう策定のしかたをすれば、いやでも応でも一カ所に荷物は入れてある、ないしは積んであるはずですね。そうなりますと、さっきいわれた月末月首の集中配船的なものは、計画的にということが出てくる。ただ、この面から推し進めてまいりますと、はしけ回漕等が必要でなくなる面がたくさんあったり、沿岸荷役というものも必要なくなる画もたくさんあるわけですね。そうなると、いやでも応でも業とからみ、労働とからむのですね。つまり有馬さんのほうでいわれている、この港湾労働法第三条にいうところの港湾雇用調整計画の策定、これは労働者の数が中心ですね、港別の。そうなってまいりますと、当然それとからむ。だからこそ二年先と、こういうふうになっておるわけですから、したがって、まず第一年度に経営を考えて、次には業を考える、こういうわけですから、そうなりますと、その辺までを含んだ調整ということになるのかどうか。この辺は一体どういうふうにお考えですか。
  198. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 この港港労働法の施行後二年以内ということと、私どもが考えている近代化対策ということとは、必ずしも結びついた因果関係からきたものではないのでございまして、やはり港湾労働法というような新しい法律を施行するということについて、これは労働省御自身もそうだと思いますが、関係の業界、また利用者としての船主その他からも、端的に申しまして非常な不安があるわけであります。二年以内ということで、できるだけ早く実施するわけでありますが、たとえば定数をきめる問題にいたしましても、この審議会でもって十分議論してもらう、こういう趣旨だろうと思います。私どもといたしましては、それはそれといたしまして、なるべく早く近代化をやっていきたい、こういう気持ちでございます。しからば、近代化ができたならば、二年後には労働者というものは十分になるのではないかということでございますが、私どもは近代化の緒につけるということで、二年たって緒につきましても、これがスムーズに動くということは相当努力を要することであると思いますし、一方、現在想定いたしますところでも、外国貿易の貨物というものは逐年ふえてまいるわけでございますので、どうしてもこういう法律によって労働者を確保する必要と近いうものは、近代化されてもなお残るというように考えるわけでございます。
  199. 大出俊

    大出委員 端から片づけていきますが、この間私は港湾局長さんに質問したときに、市が半分金を持って乙仲の人たちが半分金を持って会社をつくったがどうかというと、乙仲でなくて倉庫業ですということですが、まさに倉庫を持っている乙仲なんですから、倉庫業と言っても倉庫業で間違いでないから反論しませんでした。そういう面から見て、いまここまできている段階で、前改正の時期から見て、業者の登録認可は免許制度になりましたからね、いまの時点でどこまで進んだのですか。
  200. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 三月末におきまして八三%達成されているわけでございます。
  201. 大出俊

    大出委員 三カ月たしか延ばすのですね。六月までですね。そうすると、六月末までにはどういう結果になるとお考えになっているのですか。ここまできて見通しがつかないはずはないと思うのだが……。
  202. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 私どもといたしましては、この見通しといいますよりも、現在三月以内に基準に合致しないものについては却下する、こういう書類を出しているわけでございます。それに基づきまして逐次努力をいたしまして基準に合致するものが出てまいっておりまして、四月は、さらにそのうち、いまちょっと数字を持っておりませんが、免許可能なものが出てまいります。それから五月に至ればその基準に到達するということで、免許を与えることに予定しているものもございます。しかし、最終的にはどうしてもだめだというもの、取り下げざるを得ないものが若干出ることは、やむを得ないと思います。
  203. 大出俊

    大出委員 そういう資格に合致しない業の関係者の統合その他を推進されておりますね。そういうことをやってもなおかつ残るものは残る、こういうお考えですね。
  204. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 却下せざるを得ないものが出てまいります。
  205. 大出俊

    大出委員 大体考え方はわかりましたが、安定局長さんのほうに幾つか確かめておきたいことがあるのですが、四条、五条の関係になると思うのでありますが、港湾雇用調整計画を五条の場合には変更しなければならないところまでうたってあるわけですね。年度当初に立てた港湾雇用計画が途中で変更されるというふうなことをここにうたっているのは、どういう状態をお考えでうたっておられるわけですか。
  206. 有馬元治

    ○有馬政府委員 経済の事情が大きく変動いたしまして、年度当初に立てた計画が大きく狂うということも、ごくまれなケースですけれども、想定せざるを得ないというので、この五条を規定してあるわけでございます。
  207. 大出俊

    大出委員 私の聞いている趣旨をもう少し申し上げますと、つまりこの法律は労働者のためにつくられた法律でなければならない筋合いですね。将来に向かって新しい港ということになった場合に、さっき例をあげて申し上げたように、非常に労働者の需要が少なくなってくる。古い港の場合は別ですよ。新しい神戸の埠頭じゃないけれども、灘ですか、ああいうふうなことになって、ポートランドを前のほうにつくって大きくしようという計画があるのです。そうなると、さっきの港湾局長お話のように、倉庫に入れておこうと、積んでおこうと、野積みしようと、入ってきたらすぐ出ていけるという形ですね。そうなってまいりますと、その面から労働者は要らなくなる。あるいは荷物の積みおろしにしても、いきなり横づけにして接岸をしてトレーラー方式で上に揚げていって、そこで検査その他チェックしていく。向こう側には臨海高速その他が入ってくるから、トラックも横づける。そういう点において労働者が要らない面がある。そうなると、逆に、そちらのほうが進行していく過程で、年度当初はこういう計画を立てたのだが、この辺で荷役労働者が要らなくなるからというので規制をされる。そういう面がこの法律の側面としてあるとすると、非常に困る。いまから考えておかなければならないことになるという点が心配なのです。だから、こういう表現をされたということに勢いひっかかるわけで、それで質問をしているのですが、そこらあたりは、労働省ではどうお考えになりますか。
  208. 有馬元治

    ○有馬政府委員 調整計画は年度当初に港ごとに具体的に立てるわけでございますので、いま御指摘のありましたような設備の整備あるいは事業の近代化、こういった要素は大体年間の見通しは立てて、この辺で狂ってくるということはまずない。荷物の量が国際的ないろいろな景気の変動によって大きく動いてくるという場合が、この五条の事情の変化ということに一番ぴったりするのじゃないかと思っておるわけでございます。
  209. 大出俊

    大出委員 つまり私の心配したような面はないというようなお答えになると思うのでありますが、いまの荷物の状況を把握するという面からも、月末、月百の集中配船等の問題が緩和をされていくということになりますと、労働者の把握、つまり労働者の数の設定、そういうようなものは波動性が少なくなる。今日のような事情でなくなる。そうでしょう。そうなってくると、そういう面からもちょっと心配な面があったのですが、いま局長が言うところによれば、つまり労働者をそういう面から規制をするような意図のものではない、こういうことになると思うのですが、その点はそういう理解でよろしゅうございますね。
  210. 有馬元治

    ○有馬政府委員 そういう理解でよろしゅうございます。
  211. 大出俊

    大出委員 ここで十六条関係になるのでありますが、「公共職業安定所に日雇港湾労働者に係る求人の申込みをしたにもかかわらず適格な求職者がいないためにその紹介を受けることができないとき、その他公共職業安定所の紹介によっては日雇港湾労働者を雇い入れることができないことについて労働省令で定める理由があるときは、この限りでない。」こう書いてあるのですが、この理由というのをあげておいていただきたいのです。
  212. 有馬元治

    ○有馬政府委員 これは通常の状態では想定できないのですが、交通、通信の状況が非常にとだえてくる、あるいは安定所が火災その他の事故で機能を喪失する、こういった場合を一応考えております。
  213. 大出俊

    大出委員 そうすると、省令の内容はそういうことになるというふうに理解していいわけですね。
  214. 有馬元治

    ○有馬政府委員 そうでございます。
  215. 大出俊

    大出委員 それから十九条なんですが、これは簡単でけっこうです。「登録日雇港湾労働者以外の日雇港湾労働者は、登録日雇港湾労働者によってはその求人を充足することができない場合において紹介するものとする。」こりあるのですが、これは今日の状態で通常の何を意味しますか。
  216. 有馬元治

    ○有馬政府委員 現在の港湾以外の民間の一般日雇い登録者をさしておるわけでございます。
  217. 大出俊

    大出委員 もうわずかですからごかんべんいただきたいのですが、二十七条の「事業主は、その雇用する港湾労働者をはしけ内に居住させないように努めなければならない。」これは社労あるいは合間委員公等で一ぺんだけ出ているのでありますけれども、この努力役務だけになっているのであります。法律的にはあるいはこれしか書けないのかもしれませんけれども、これは三・三答中の趣旨からいうと、どうもこれではあまりにも弱過ぎる。予算のつけ方等からいきましても、どうも私は気になるのでありますが、これについての先行きの計画的なものはお持ちではないのですか。
  218. 有馬元治

    ○有馬政府委員 これはいま具体的に計画を用意しておるわけではございませんが、法律が施行になりますと、当然長期計画で住宅の問題、それから船だまりの整備の問題、両面を計画的に、長期的に解決していかなければ、この努力義務は達成できないと思います。そういう意味では、法律が施行になりましたら、長期の計画を立ててこの問題を解決してまいりたい、かように考えております。
  219. 大出俊

    大出委員 くどいようでありますが、これは前の質問ではきわめて抽象的なんで念のために申し上げておるのですが、どのくらいの住宅が、この法律が施行になるころを想定しながら、ないしは今日の時点で必要になるのか。つまり船内居住は三、三答申の趣旨によって廃止ができるのかという想定をされる数字が、この法律を書く以上はなければならぬと思う。したがって、その数字について、何年計画なら何年計画で、地方自治体あるいは事業団等の協力を得ながら、こういうことで船内居住はなくしていくのだというプログラムなりプランをおつくりいただかないと、いま船内で居住をしている人たちの救済ができない、ないしは将来にわたっての展望が出てこない、こう思っておりますので、そこのところを概略申し述べておいていただきたい。長いことは要りません。
  220. 有馬元治

    ○有馬政府委員 現状におきまして、大体二千世帯くらいが船内居住をしておると思いますが、これを陣揚げする要村策数としましては、千五百世帯くらいを一応想定しております。港別によりますと、大阪とか東京というところが中心になるわけでございますが、これはやはり港ごとに具体的な計画を立ててこの問題を解決していかなければなりませんので、いまここで三年計画、五年計画ということで具体的に申し上げる段階ではないことを御了解いただきたいと思います。
  221. 大出俊

    大出委員 これは一番のどん底なんですから、ことしの場合もわずかながらでも予算をつけておられるのですから、将来に向かってなるべく早い時期に、計画的にこういうふうに解決していくというふうな青写真をおつくりいただくことが私は必要だろうと思うので、これは要望にとどめておきます。  三十条の雇用調整手当の支給とからんで、日雇いと常用の関係で多賀谷さんから質問が出ておりますが、どうもあの議事録だけでは、行政措置のようなことでは納得いたしかねるのでありますけれども、その後あれから日にちがたっておりますが、御検討の結果どういうことになっておりますか。
  222. 有馬元治

    ○有馬政府委員 社労で多賀谷委員お答えをした考え方で、具体的にはこの法案の二十六条の「事業主の努力義務」、この条項を最大限に活用いたしまして業界を指導して、その問題の点は解決をしていきたい、かように考えております。
  223. 大出俊

    大出委員 以上の点念を押したわけでありますが、前に論議をいたしておりますこととはほとんどダブっていないつもりでありますので、ごかんべんいただきます。  それから基準局長のほうに承っておきたいのでありますけれども、なるべく論議を少なくする意味で、基準法上の港湾労働に関する問題点をおあげいただきたいということを有馬局長にお願いをしておいたのでありますが、おとといですか、その内容をいただいたわけであります。そこで二、三点質問を申し上げてむきたいことがあるのであります。所定労働時間という形の中で、原則として一日八時間労働制及び個体制をとっているが、業態の特殊性として波動性が大きいこと、停泊時間が制約されていることなどから、実際の労働時間が不規則になりがちであり、また長時間労働にわたることが小なくない、こういうふうに言っておるのでありますけれども、この辺はもうちょっと具体的に言っていただきたいというふうに私は思うのであります。もしそうなった場合に、労働省側としては、それらの極端な長時間労働等をどういうふうに救済していくかというようなことも出てまいりましょうし、どうもあまりひど過ぎる態様が現実にありますので、もう一言先のほうを言っていただきたいと思います。
  224. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 御指摘の長時間労働につきましては、基準法との関係におきまして例外的な措置をとるにいたしましても、御承知のように手六協定によるとか、あるいは就業規則によって明確化するとか、こういう措置が考えられるわけであります。ところが、就業規則等の制定につきましても、御承知のような業態でありますので、なかなか明確にならない。その問題は、基本的には港湾荷役の労務管理の問題とも実は関連いたしております。したがいまして、労務管理の近代化対策をこの面に推し進めると同時に、その中の一つの重要項目として、就業規則等によるそういった問題の明確化という問題が考えられるわけであります。そういう点から、私どもは四十年度の施策といたしましては、港湾荷役における労務管理近代化、基準法の線を守る方策をどういうふうに具体化していくかという点について努力をいたしたいと思います。
  225. 大出俊

    大出委員 これは先ほどの港湾局長さんのお答えとからむのですけれども、つまり業態の指導といいますか、そういう形のことが逐次行なわれているのですが、あわせて労働省の側からも、個々のところについては行政的な手の入れ方ということがどうしてもなければできないと私は思うんですが、そこらあたりをぜひ進めていただきたい。  それから、欠勤した日を休日に充てる場合も見られる、こう書いてあるんですが、それもずいぶんおかしな話でございまして、いまのページの一番最後に、四週四日のワクの中で処理される場合が多く、欠勤した日を休日に充てる場合も見られる。これもずいぶんつじつまの合わないところですから、同様に御配慮をいただきたいと思うわけであります。  それから休業手当の支給にあたって必要額の計算に誤りのある場合があるという、これは一体どういうものを指しておられるのですか。第七表の港海労働者職種別賃金のイのところと関連はあるのですが、時間外労働の割り増し賃金の計算が繁雑であり、法違反となる場合があるとは何かという点が一つ。  それからもう一つ。いま申し上げた休業手当の支給にあたって必要額の計算に誤りがある場合がある。場合があるとお出しいただけると、それは一体何であったか、どうするおつもりか、ここまで言わざるを得ないわけでありますが、そこのところを簡単に一つ
  226. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 特に休業手当の計算につきましては、御承知のように平均賃金方式をとっておりますが、平均賃金の算定をします前提としての給与体系が、ある程度合理化されて簡素化された場合ですと、平均賃金が算定しやすいのですが、御承知のような給与体系でございますので、計算にあたって、計算のミスもございますし、いろいろ問題があるということでございます。この問題も、究極は賃金の支払い形態の問題に関連してまいります。平均賃金の誤り算定とか、あるいはそういった問題を処理する以前の賃金体系の問題もあろうかと思います。この問題は、先ほど申しました労務管理近代化という中におきまして、是正をはかっていかなければならない法以前の問題もあるわけでございます。そういったものと関連して措置してまいりたいということでございます。
  227. 大出俊

    大出委員 顔で動いているという面などがありますから、私が調べている範囲でも、このイの項にあった諸手当が多いため、時間外労働の割り増し賃金の計算が繁雑であり、法違反の場合がある、ということが事実あるんだが、ここでこれを論争する気はありません。ありませんが、明確に見分けがつくものについてこれを持ち込んだ場合に、たとえば行政解釈という面でそれは法違反で、ある、こういうふうな判定がいただけるのかどうか。これらははっきりしていただけませんと、せっかく出していただいても、じゃ、持ち込んだときには、ああのこうのということでも困るんで、むしろこれは積極的に違反の事実をつかまえて――罪人をつくるのが能じゃないんだから、それを直させるという方向指導していかなければなりませんので、それらのところはそう考えておいてよろしゅうございますか。いまは時間がありませんから出しません。  それでは、基準局長さんのほうは時間がかかりますから、そのくらいにいたします。  最後に、総務長官に総括的に承りたいのですが、社会労働委員会で港湾労働法を通しますときに、附帯決議が行なわれております。その附帯決議を簡単に読み上げますが、一つは、可及的速かに、本法の全価的施行をはかること。二つは、本法の通用対象港湾の範囲を拡大すること。三つは、港湾労働者の常用化を促進し、日雇港湾労働者に、依存する割合を出来るかぎり低減させる方途を論ずること。四番目に、本法の施行について労使関係者の意見が充分反映されるよう港湾調整審議会の組織構成について充分配慮すること。こうなっておるのでありますが、ここで念のためにつけ加えておきますけれども、いろいろものごとを前向きでまとめますために、労働大臣あるいは各委員の方々等が苦慮されて相談を進められている側面があります。この中で門前募集というか、門前雇用という形のものが抜けている。この点については、時間がございませんし、ここで論争してもしかたがありませんので、また参議院の段階があるわけでありますから、おそらく労働法関係のほうはそちらでおやりになると思いますけれども、その辺のことが両者の間で論議をされておりますから、念のために申し述べておきまして、この辺に御配慮を賜わっておきたい。これは各関係の省の方々にお願い申し上げておきます。  ところで、これは総務長官のほうに――総務長官が、良くやっておられるかおられないかは別として、これをつくったときの総務長官でございますから申し上げておきたいのでありますけれども、この各項目は、おのおのの委員の方々が、与党、野党、労働大臣、こういうかっこうの中で芳心をし、いろいろなやりとりの表面に一番出しやすいものの集積で、私は努力の結果だと思う。したがって、それらの経緯を十二分に御尊重いただきたいというふうに考えているわけであります。この点長官はどのようにお考えいただいておるか、承っておきたい。
  228. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 四月七日の衆議院社会労働委員会における港湾労働法案に対する附帯決議かと存じますが、各項目につきましては、附帯決議の御趣旨に沿いまして、私どもも十分検討して努力をしてまいりたいと存じます。また、特に四項目の「本法の施行について労使関係者の意見が充分反映されるよう港湾調整審議会の組織構成について充分配慮すること。」につきましても、ただいま申し上げたような考えでひとつ善処をしてまいりたい、かように考えます。
  229. 大出俊

    大出委員 五名ということについては、七名にということが他の委員会の議事録に残っておりますからあえて申しませんが、ということを含めていまの御答弁を、経過を十分御尊重の上で実行に移していただく、そうして港湾労働業、経営その他を含めての将来のいろいろな運営をやってもらいたいと思うわけでございます。  以上でございます。
  230. 河本敏夫

    河本委員長 田口誠治君。
  231. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 総理府設置法の一部を改正する法律案の中で抽象的に提案の説明の内容が書いてありまするし、一応聞いておかなければならないと思う点がございますのでお聞きしたいと思いますが、この第一の家庭生活問題審議会の設置でございます。この設置につきましては、「最近における社会の著しい近代化に伴い、健全な社会生活を営むために家庭のあり方が再確認されつつあるところであります。よって、調和のとれた家庭生活のビジョンを策定し、」、これは結局ビジョンをつくるわけですね。だから、ここでビジョンをつくらなければならないということは、今日までのこの家庭を含めた教育問題についてはビジョンなしでやっておったということが、逆論として出てくるわけであります。そういう関係から、ちょっと内容的にここで御説明いただきたいと思います。
  232. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 最近は、近代的な生活というものが非常に進歩してまいりまして、したがって、その生活の単位としての家庭におきましても、これに沿った、たとえば家庭における生活技術、生活設計、生活構造などについては、他の社会的の進歩にのっとって合理化、能率化をはからなきゃならぬという問題もございまするし、それから、ことに戦後家族制度というものが非常に変化もしてまいっておりまするので、したがって、これに沿った新しいビジョンといいますか、そういうものをひとつここらで考えて、一つには、何といっても国民の家庭は一つのいこいの場でもあるし、翌日さらにエネルギーを回復して再生産に当たるという意味においては、また産業の増産とか成長とか、そういうものに通ずる問題も含んでいますし、非常に重要でございまするので、ひとつそれにあらゆる観点からいろいろ御審議をいただいて、新しいビジョンといいますか、家庭像といいますか、そういうものを御審議していただきたい、こういうことでございます。
  233. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 人間尊重とか、人づくりとか、青少年の不良化防止の対策とか、いろいろ隘路がございまするが、いま佐藤内閣で特に強調しておりまする社会開発との関係は、これにこの内容は直後関連を持っているものかどうか。
  234. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 やはり広い意味においては、家庭を生活においても経済問題においても堅実化する、また人間関係においても堅実化する、こういう意味においては、やはり社会の重要な単位であります。したがいまして、広い意味においては当然社会開発の一環とも考えられる次第であります。
  235. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、現在中央教育審議会というものがございますね。これとの関連もあるように思うのですが、その辺どうでございますか。
  236. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 中火教育審議会は文部省の所管でございまするけれども、やはり広い意味においては、教育はひとり学校教育ばかりじゃございませんで、社会教育、家庭教育、こういう面も含んでおりまするから、したがいまして、中央教育審議会等において、ある部面においては、家庭に関係のある問題も審議する場合があろうかと存じます。しかし、中央教育審議会においては、何といっても中心は学校教育というものがやはり中心になっているように聞いております。
  237. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 もちろんこれは文部省関係ではございまするけれども、これとの関連もこの問題はあるわけです。そこで、いま地方自治体のほうへ参りますと、この社会教育という面から成人学級、婦人学級、青年学級、また両親学級とか、いろいろそうした家庭環境をよくし、近代的な家庭づくりをするための学級があるわけであります。こういう学級があるわけでございまするが、そこで新しく家庭生活問題の審議会を設けて、そうしてビジョンをつくろうとすれば、ただいま質問申し上げました中央教育審議会の関係もございまするし、社会開発の問題もございまするし、人間像の関係もあるわけなんですが、そうしたこと一切を含めてここの審議会で審議されるということになりますると、審議したものはどう消化していくのです。この辺のところがちょっと受け取りにくいのです。
  238. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 家庭生活の問題は、非常に幅の広い問題でございまして、いま御説のように、教育という面につきましては文部省にも関係いたします。それから家庭生活という問題をとらえてみると厚生省、母子の衛生、保健、そういう問題になりますると、厚生省、それから生活の問題につきましては通産省とか、経済企画庁とか、また農林省面にも――ことに農村方面の家庭においては、農林省にも非常な関係を持つわけでございます。それから勤労者の問題、特に婦人勤労瀞、こういうような問題になりますると労働省にも脚係するということで、非常に幅が広いために、総理府でこの審議会を設ける一つの理由でございます。したがいまして、ここで得た結論につきましても、総理府は総合調整、企画、立案ということが一番の役目でございまするので、これらの得た結論を総合調整して、ばらばらにならないようにそれぞれの関係省庁においてひとつ行政をそれぞれうまくやってもらおう、こういうことに考えております。
  239. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうした各省にも関連がございまするし、既設委員会、審議会との関連もあるわけです。それから教育関係にも関連があるわけです。こういうものをここに新しく家庭生活問題審議会というものを設けて検討するということになりますると、二年、まあ大体結論を出すまでに二年間が予定されているわけなんですが、そこでいま申しましたようなもろもろの問題を一つ一つ取り上げてやろうとする場合には、相当幅広い層からメンバーを出して、そうして審議をしなければならないのではないか。そうしてもしこれが人数が少ないような場合には、そういう点についてはこれは相当厳選を行なわなければならないのではないかと思う。もし構想がございますれば、構想をここに出していただきたいと思います。  そこで、私は、特にこういう問題でメンバーの問題を問題にいたしておりますることは、既往のできている審議会のメンバー等に目を向けてみますると、あの日教組が非常に反対をいたしました勤評に大功績を立てた内藤君、これは今度参議院の全国区に立候補するとか言っておりまするが、これが入っておったり、そして天皇制賛成、それから労働組合廃止論者、松下幸之助さん、(「松下さんはりっぱな人だ」と呼ぶ者あり)こういう人が入っている。それから能研テストの関係では森戸さん、教育委員任命制の木下さんとか、国民実践要綱問題の天野さんとか、こういうメンバーが審議会に入っておるわけなんですが、この中にはいま横から意見の出ましたような方があるかもしれませんけれども、相当問題になっておることを推進しようとする人たちが、このメンバーの中に入っておられるわけです。したがって、今度できるところの家庭生活問題審議会には、これはこれから聞くのですけれども、メンバーの構想、そういうものがどの程度であるかということをお聞きして、私のほうからも意見的なことを申し上げて、そしてこの問題の質問を打ち切りたいと思うわけなんですが、まず最初に構想をひとつ承りたい。
  240. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 家庭生活問題審議会の構成とか委員にはどういう人物を予定するのか、こういう御質問でございますが、審議会の委員は二十名という予定でございます。さらに専門委員を数名、また幹事若干名、こういう予定でございますが、委員につきましては、家庭生活の改良とか、いろいろそういうこともありまするけれども、そういう家政学的な専門家という範囲にばかりとどめないで、さっきお話しのように、いまの日本の家庭にふさわしいビジョンを描いていただきたいというような、相当高いというか、そういうことも考えております。したがいまして、それにふさわしい識見を有する民間人をひとつ広く選定してお願いしたい、かように考えております。
  241. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これは、そういう慎重を期しておやりになるということなら信頼をいたしたいと思いまするが、それは、特に家庭生活問題等でいま非常に勉強もし、その方面の近代的なビジョンを推進しておる日本婦人会議長の田中寿美子さんとか、こういうような関係の人に相当に入っていただかなければ、先ほど私も申しましたような、現在の憲法に違反をして天皇制には賛成するのだ、時代に逆行して、労働組合は認めないのだというような思想をお持ちになっておられる方や、勤評の推進の功績を得たという内藤君とか、こういうような人で固めたような審議会というものは、せっかく国会の議を経てつくりましても、期待されるものは出てこないと思うのです。私は、今日の近代的な家庭生活、あるいは望まれる人間像というものをながめたときには、子供がおなかに宿れば、ほんとうに健康で出産できるように、母体保護から、生まれた赤ちゃんの栄養補給というようなことから、そうして働く婦人労働者のために保育園とか幼稚園、こういうようなものが整備され、しかもほんとうに現在の青少年の不良化を防止しようといたしますれば、今日の社会環境では不満足であるということから不良化のほうへ入っていっておるというのが実態である。そうなれば、今日のように義務教育であっても、私学へ通わせなければ役務教育の該当の生徒を消化することのできないような日本の教育の実態では、絶対に私は望まれるところの人間というようなものをつくることはできないと思う。こういうことを一切含めて、こうした審議会で検討されるということになりますれば、いまの二十名ぐらいの委員の方々は、それぞれその方面のりっぱな権威者であって、そして経験者である人を選ばなければならないと思うので、こういう点からいって、私はただいままで質問を申し上げておるわけなんです。したがって、私の期待しておるそういうことであれば、おそらくそうした人選の方法が最もいい人選の方法であろうと思いますので、そうしたことを最後に取りまとめとしてもう一言御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  242. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 ただいま田口委員からいろいろ各段にわたっての御意見も十分伺いましたので、私ども十分検討いたしまして、りっぱな審議会のできるように努力をしてまいりたい、かように考えます。
  243. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでは、これで私は質問を終わりますが、ただいまの最後の答弁を了解することは、こうした審議会を設置するときの人選等には、これは各党の意見もときには聞いていただいて、そしてそれを尊重していただくということを私は要望を申し上げて、この辺で質問を終わりたいと思います。
  244. 河本敏夫

    河本委員長 これにて質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  245. 河本敏夫

    河本委員長 ただいま委員長の手元に八田貞義君、山内広君及び受田新吉君より本案に対する修正案が提出されております。
  246. 河本敏夫

    河本委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。八田貞義君。
  247. 八田貞義

    ○八田委員 ただいま議題となりました総理府設置法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明いたします。  案文は、お手元に配付いたしましたので、朗読は省略さしていただきまして、その要旨を申し上げます。  原案では、「昭和四十年四月一日」となっております施行期日につきましては、すでにその期日を経過しておりますので、これを「公布の日」に改めようとするものであります。  何とぞ御賛同あらんことをお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  248. 河本敏夫

    河本委員長 これより原案及び修正案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  総理府設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、本案に対する修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  249. 河本敏夫

    河本委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  250. 河本敏夫

    河本委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては、原案のとおり可決いたしました。  右の結果、本案は修正議決すべきものと決しました。  なお、本案に対する委員報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  251. 河本敏夫

    河本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  252. 河本敏夫

    河本委員長 建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。大出俊君。
  253. 大出俊

    大出委員 先ほど質問が途中になっておりますので、だいぶどうも時間の関係で、内閣委員会委員部の皆さんのほうも、ストライキだなんということで帰りの乗りものがないということもありますから、なるべく要約をいたしますが、そういう意味でひとつうまくお答えをいただきたいと思います。  定員の問題、先ほどあっちえいったりこっちへいったりになりましたので、この辺でひとつそちら側から、休憩時間もございましたので、そのほうが早いと思いますので、どういうふうになるかということを御説明を先にいただきたいと思います。
  254. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 地方建設局事務委譲に伴います定員関係でございますが、先ほども御説明申し上げましたが、もう一度繰り返して御説明申し上げます。  この事務委譲のために地建において必要といたします定数は、七百四名でございます。この七百四名につきましては、本省からの振りかえが百九名、それから地方建設局の企画室に在籍します者の定員二百二十九名でございます。そのほか、三百六十六名という定員を特別会計から振りかえいたしております。ただし、この振りかえは特別会計の欠員を振りかえておるという関係になっておりまして、合わせまして七百四名でございます。  この七百四名の割り振りでございますけれども、これは一応標準的な姿のものを考えまして、それぞれに課を幾つ設ける、あるいは係を幾つ設けるということで計算をいたしております。これに伴います定員の配属でございますが、一つは、監査官といたしまして、これは工事の適正な執行をいたします意味におきまして、二十四名を考えております。それから総務部でございますが、これは会計課でございます。補助事務等が移りますので、それに伴いまして二十四名を予定いたしております。それから計画部を設けることになっておりますが、計画部の部長といたしまして、八県でありますから八名。それから管理課、これは計画部の庶務課としての課でございますが、これが八十八名。計画課、これが七十二名、都市課九十六名、住宅課八十名、合わせまして計画部は三百四十四名を一応標準の姿としておる。それから河川部でございますが、これは災害検査官といたしまして十六名、河川管理課に二十八名、河川工事第二課、これは河川工事の補助事業を扱う裸でございますが、百二十八名。次に、道路部でございますが、道路管理課に五十二名、道路工事第二課、これも道路の補助事業を扱うために新設する課でありますが、八十八宿、合わせまして七百四名というものを予定いたしております。
  255. 大出俊

    大出委員 そうしますと、先ほどの継続で、補助金関係、補助事業関係の方々は、もしかりに今日のとおりに建設本省に残すということになりますと、その人員の予定されておりましたのは四百名というさっきのお話でありますが、そうすると、三百四名、いま申された補助事務その他に関係のあるところは消えていく、ないしは減っていくというかっこうで、四百名は異動しない、こういうことになりますか。
  256. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 先ほど御説明いたしましたように、七百四名のうち、補助関係事務に直接従事いたします者、先ほど約四百名と申し上げましたが、四百十四名でございます。この四百十四名の職員の仕事は、補助金の配分もやってもらいますし、それから補助金適正化法のいろいろな手続なり設計審査なり、そういうものもやってもらうという人間でございます。したがいまして、補助金の適正化法の関係職員といたしましては、このうち約三分の二強になるのではないか。これは精査してみなければわかりませんけれども、そういうふうに見込んでおります。
  257. 大出俊

    大出委員 ここにいろいろ私の、どうなるかというので建設省が出された資料によって当たっていきました内容から、いろいろ仕事、業務の量その他聞きまして無理がある云々、いろいろ意見があるのでありますが、時間の関係がありますので、いまの点については、大臣のきのうの御答弁でいけば、補助金事務は全部地建へということなんですが、どうもあえて固執いたさない、こういうお話もありますし、そうなりますと、その関係本省に残るということに別途修正案なども回ってきておるようでありますから、そうすると、そういうことになるという前提ですから、これ以上くどくは申しません。  ところで次に、道路工事の責任施工ということについて何かその責任施工の基準というようなもの、これは前々からいろいろ考えられておりますけれども、そこのところをひとつ承っておきたい。
  258. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 道路工事の責任施工についてでありますが、最近工事の事業量がふえてまいりましたことと人目との関係で、責任施工という話が出ておりますが、まだ具体的に基準をもってこういうふうに実施するというところまでいっておりません。目下研究中であると申し上げる段階でございます。
  259. 受田新吉

    ○受田委員 関連して。時間の関係で私、大出委員質問された定員関係にちょっと触れてお尋ねしておきたいと思います。  どうも私、今度の建設省設置法の改正案について納得のいかない点があるのですけれども、これは法律案説明資料の中に、定員のところでこう書いてあるわけです。それは「昭和四十年度における建設省の定員は、外務省定員に計上されるアタッシュの振替減一人を除き、」その次に、「建設行政の円滑な遂行を図るために増員が必要と認められるものも、すべて建設省内の配置転換によりこれを賄うこととし、」こういうことがあるわけですけれども、これは建設行政の円満な遂行をはかるために増員が必要と認められるものを配置転換で補いをつけるということになりますと、増員部分はみんなでがまんして、配置転換等で執務してもらうんだという印象を受ける文章と読むのでございますが、これはいかがでしょう。
  260. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 この資料の表現でございますが、これはことばが足りない点があろうかと思います。ある部門におきましては定員が必要であるという場合に、他の部門におきまして欠員等があります場合に、これを振りかえて使用するという趣旨でございまして、表現にことばの足りない点がありますことは、ここでおわびいたしておきます。
  261. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、これは表現のまずさからきている。この文革をこのまま読むと、いま私が指摘したような印象を受けるわけです。これは文責の書き方が悪いとおっしゃれば、それで一応がまんするとしまして、もう一つ、定員に関係してお尋ねしておきたいのですけれども、今度の定員関係の改正案を見ますと、治水、道路のそれぞれの特別会計から減員したものを、これを地方建設局に切りかえておる。こういうかっこうになっておるわけです。これの切りかえをするときに、行(二)から行(一)にどれくらい転移をするのか。現在行(一)と行(二)はどれくらいの人員の比率が出されておるのか。この点をお開きしたいと思います。
  262. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 特別会計からの振りかえでございますが、これは行(二)職員から全員行(一)に切りかえております。  なお、行(二)の職員がどの程度の比率でおるかというお尋ねでございますが、建設省の全職員は約三万五千名の定員になっておりますが、そのうち、行(二)職員の現在数は約一万二千を若干欠けたところでございます。
  263. 受田新吉

    ○受田委員 その中で、特別会計に行(二)がどれくらい属しておりますか。
  264. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 行(二)職員は主として現場の直轄工事に従事しておりますので、ほとんどが特別会計に属しております。
  265. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、問題は行(二)と行(一)の性格論ですけれども、単純労務というようなことで簡単に行(二)を片づけてもらってはまた問題があるし、行(一)というものが現場にはほとんどなくて、大半が行(二)であるというような制度そのものにも問題がある。これはやはり、われわれがかねてから主張している行(二)制を廃止して行(一)一本にまとめるという方向へ、建設省などが率先してこれを実施に移さしていくべきじゃないかと思うのです。単なる単純労務じゃないですからね。この点ははっきりしていただかないと、今度転移することを考えても、行(二)が行(一)へほとんど転移するとおっしゃるのですから、そうすると、行(二)も行(一)もほとんど区別がないことになる。実態が区別がない形で転移しているのですから、行(二)制度を廃止される方向建設省は努力される御意思があるかどうか。
  266. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 先ほど申し上げました行(二)から行(一)への振りかえと申しますのは、これは人の振りかえではなくて、定員の振りかえでございます。したがいまして、定員を振りかえた場合に欠員がございますれば、人は振りかわらないということに相なります。しかしながら、このほかに、仕事の性質の変化から、毎年行(二)職員、これは人でございますけれども、行(二)職員を行(一)職員に切りかえております。ことしも三百人程度行(二)職員を行(一)職員に職種転換をやりまして、工事の監督等の仕事に当たっていただこうというふうに考えております。
  267. 受田新吉

    ○受田委員 結局、いま御説明のとおり、もちろん定員の振りかえということになっておるけれども、三百名というものはやはり人が振りかえられておるわけです。その点は、定員の振りかえであると同時に、人の振りかえです。その点で、かっこうは定員の振りかえ、中身は人がそのままかわっていくというのが大勢を占めておる。したがって、監督業務などということに振りかえられて行(一)になっていく。そういうときに、行(二)のときと行(一)のときは、どこが違うかということと、その同じ人間が監督という立場に立つような場合に、仕事が急に行(一)の仕事に変わるというような筋合いであれば、その変わったことによって非常に過重負担を感ずることになる、本人自身が苦痛を感ずるというようなことになりますから、その苦痛をなくしてすなおに転移できるために、行(一)と行(二)の制度というものを一本化して行(一)にまとめていくという方向をおとりになることが、賢明だと思います。これはひとつ十分検討していただく、この点は大臣から御答弁を願いたい問題でありますが、特に建設行政の定員というものは、あの定員法の大幅改正以来、常勤職員を大量に定員の中に入れたわけですから、建設省が一番多かった、その歴史を見ても、これから先の建設行政で、やはり定同貝の問題は非常に重要なことになる。そこで、この行(一)に転移した職員、これは行(二)のときの仕事が非常に楽であって、今度は非常にむずかしいという意味で、本人自身は苦痛を感じていると思うが、建設省としては、苦痛のない形で、どういう方法で行(一)に転移しておるか。  それから直営工事が請負にされているのが相当出てきておるが、請負にされると、仕事がだんだん減ってきて、定員ほど要らぬじゃないかというような考え方が、建設省に出る心配はないか。だから、定員の中にある職員が、仕事の量の上で非常に不安を感ずる危険はないか。首切りとかあるいは強制配置転換、こういう事態が起こりやしないかという懸念も起こってくると思います。ここをひとつ、そういう懸念は絶対にない、首切りあるいは強制配置転換、労働の全然心得のないところへ無理やりに押し込められて、仕事の上の苦痛、そういうものをなくするということが自信があるかないかということと、もう一つ、直営工事というものの中に請負ということをやられることは、いいことか悪いことか、問題があると思うのです。やはり建設省がみずから乗り出していかぬと、いいかげんな請負業者がいいかげんな工事をやる。建設省監督立場に立つ人がそこに乗り出してみても、自分が直営でやったときのように、なかなか思うようにいきません。そこで、いいかげんな検査などするから、あとから工事がずさんになって批判を受けるということになるから、建設省としては、なるべく請負制度というものはやめて、直営工事を中心に進めていくという御努力をされる必要はないか。いま申し上げた点をごく簡単に御答弁願いたい。
  268. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 まず第一の点でございますが、行(二)職員を行(一)職員に振りかえる場合に円滑にいくようにどういう配慮をしておるかという御質問だろうと思いますが、これにつきましては、行(二)職員を行(一)職員に切りかえます場合、まず第一に本人の希望によってやっております。強制的に、いやがるものを無理に行(一)に振りかえるということはいたしておりません。それから候補者につきましても、従来から現場の仕事になれて、直ちに監督の仕事、監督の補助の仕事に、従事できる方もないわけではございませんけれども、しかし、一般には、従来やっておった仕事と違った仕事になりますから、それにつきましては、その研修を各地方建設局において行ないまして、新しい業務に習熟し得るような基礎をつくってから切りかえを行なっております。  以上が第一点についてのお答えであります。  それから第二点につきましてお答え申し上げますが、従来直営事業でやっておりました建設省の直轄事業が、次第に請負事業に切りかわっていっておるという御指摘でございますが、これはそのとおりでございます。本年度におきましては、直営事業はおそらく全事業の三%程度になるものと見込んでおりますが、この直営事業が請負事業に切りかわっていくことのために、従来主として直営事業に従事しておりました行(二)職員の職場が次第に減ってくるんじゃないかという御心配があろうかと思います。建設省が現在におきまして試算いたしているところによりますと、昭和四十三年――これは道路五カ年計画の最終年度でございますけれども、昭和四十三年には、昨日もお話し申し上げたのでございますが、道路の直轄管理区間が昭和三十九年には約五千七百キロメーターでございますのが、昭和四十三年度には約一万二千キロメーターにふえる。また河川の直轄区間につきましても、相当にふえていくという見通しでございます。この直轄区間の維持管理、これには相当の行(二)職員が必要なわけでございます。そういう状態におきます行(二)職員の必要数というものを試算いたしてみますと――これは試算でございますけれども、約九千五百名の行(3)職員が昭和四十三年度において要るだろう……。
  269. 河本敏夫

    河本委員長 鶴海君、簡潔に願います。
  270. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 現在一万二百人程度おりますが、そのうち千五百人は行(二)から行(一)に転換し得るものというふうに考えておりまして、また四十三年度までには約九百名程度自然に減少していくというふうに予想されますので、四十三年度におきます状況におきましては、バランスがとれるというふうに考えております。
  271. 受田新吉

    ○受田委員 関連ですから、これで私質問をやめますが、いまのことは実際問題としてはなかなかむずかしい問題が起こると思えるし、建設省は大幅定員化をはかって以来の建設行政に対する見通しが、ある壁に来ておることを実はお悟りになっておると思うのです。こういう点で、定員問題というのは非常に困難な問題が起こってくると私は思うから、行(一)に全部転換して片づけてしまえばこれは一ぺんに片づく問題ですから、大臣、その方法を御検討願いたい。  それからもう一つ建設大臣、この間申し上げたとおり、建設省みずから、政府みずから、閣僚みずからが清貧に甘んじて、庶民の福祉のための住宅建築その他にしっかり力を入れて、あの特別広い地域で豪華な家を持つことを遠慮して、責任者がみずから遠慮する。仁徳天皇がかつて、民のかまどから煙の立たなかったのを見て、みずから三年間民の富むのを待って、その結果民のかまどから煙のどんどんのぼるのを見て朕富めり、こう言われたことがある。民の富めることは朕富めりという気持ちを、大臣持っておられるかどうか。閣僚みずからが範を示して、庶民の福祉を考えて、よく消費に甘んずる、指導者が清貧に甘んずるという道義的責任を閣僚がお持ちになるということを要求申し上げますが、御所見を伺って御質問を終わります。
  272. 小山長規

    小山国務大臣 私生活について清貧を旨としようということは、私もかねがねそういう趣旨でおります。人のことまで申し上げるわけにはいきませんから、私自身のことを申し上げますと、平生からそのつもりでやっておるわけであります。  それから、いまの行(二)を行(一)にという問題は、給与法の問題等がいろいろからむようでありますから、これは御趣旨に沿った方向でひとつ検討を加えさせていただきたいと思います。
  273. 大出俊

    大出委員 いま出た問題は、きのう受田先生から御質問が出たと思いますけれども、せっかく出た問題ですから、私は繰り返して申しますが、電電公社が電通合理化と称する、機械化と称するものに踏み切ってずいぶんになりますが、電通まで含めてやっている時代から。このときにずいぶん定員関係の問題で、自動化するのですから仕事がなくなった。そういう問題があるにもかかわらず、いろいろな協約を公社側から積極的に出してこられて、ずいぶん長い時間をかけて、結果的には個々の働いている方々に実害の及ばないようにということで、詰めて詰めて詰め抜いて何とか処理をして今日に至っているわけです。そのためにも、金の面についても政府にこわ談判をして、相当な資金を用意してやっているわけです。だから、前国会でも問題になったように、駐留軍労働者の方々の米軍の戦略変更に基づく大量解顧が出た場合でも、補給金法という法案をめぐって、ふやすということでいろいろ与党の皆さんにも御配慮を賜わっているのですが、このときにも例が出たのですけれども、電電公社の補給金額と比べると、それでも十分の一、二十分の一以下という、言いかえれば十倍、二十倍です。このくらいにしなければ、実際問題として大きな機構改革というものは実現できない。ところが、いま計画されている内容を見ると、そういうことではない状態があるわけです。さっき幾つも例をあげましたように、何もかも箱の中でやろうということで無理をされるものですから、工事事務所の統廃合一つをめぐって、さっき私が申しましたようなことが至るところに起こる。これでは、私の経験からすれば、少しむちゃくちゃです。だから、私は念のためにくどいようですが、これはきのうもやったのですけれども、やはり働いている方々にしわが寄ることでは、これだけの改革をかりにやり得ても将来うまくいきませんから、そこらのところはくれぐれも大臣の今日の政治力を生かしていただいて、最大限の努力をつぎ込んでおいていただくということをお願いしておきたいところです。  続けますが、先ほどのお話では、何か遠いようなお話しをされているようでありますが、これはずいぶん前から研究をされてきているところですが、いまのようなおざなりの答弁をいただくと、そう長くやらぬつもりでいたのですが、ものを言わざるを得ないのです。一九六三年十二月の「道路」、これに座長岸文雄さんということで、道路工事の責任施行についての座談会報告が載っております。ずいぶん前の話です。この中でこれだけたくさん載っているのでありますけれども、解せないことだらけです。内容を読んでみると、業者の方々と相談をしながら無理やりにここに持っていくというふうに見える。技術者の方にも、私は意見を聞いてみたのですよ。建設省に現におられる方にずいぶん批判がある。極端な方は、いまに地建ができたらどうなるかという想定をして、五メートルの堤防を築かなければいけないものを三メートルにして、長さだけふやしておいて、たくさん工事請負人をつくって、それにやらせようということをしかねない。直接私が聞いてみてそういう意見を吐く方もあるのですよ。これは今度の地建強化という形の中に、そういう危惧が技術屋さんから見ると出てくる。これは出発点で、前の大臣河野さんの時代からなのでありますけれども、河野構想といわれたときに、技術畑の方々とそうでない方々との間に争いがあった。これがいまだに尾を引いているわけです。そういうことで、最終的に遠い地建所長さんよりも、むしろ管理部長などという、当時計画管理部などという草案ができておったのですが、そういう方々に権限がいって、業者とそういう関係ができ上がる。その中で、さあ最後には選挙とからんで票の計算まで末端では握ることになったのでは、えらいことになるという反論まで実は出てきているのです。だから、私は、そういう心配が、責任施工という問題の中にはどうしてもぬぐい切れない。例をあげて申し上げます。御答弁を承りたい。  この内容からいきますと、工事量を現在よりもう少し大きくしてくれ。これは業者の意見。その次には、仕様書に手段、メソッド、方法ですよ、あまり書かないようにしてくれ。それから施工機械の種別、その機械の組み合わせ、品質、管理の方法、頻度、そういうものは工事規模に応じたものであってほしい。それから業者のほうの企業努力の問題が、るる述べられているわけです。こうなると、これは業者と相談をいろいろされて、どうも業者のほうの方々が望む方向にと、こう動いておるように見える。発注者側、つまり建設省側、地建の側ですね。こちらのほうの側からは、つまり責任施工の実施にあたっては、設計や施工の仕様書を合理的にするために、発注者側は受注者側の意見をよく聞いて話し合って、仕様書の中に何々してはならないというようなこと、あるいは係員の指揮、監督に従うべしというようなこと、こういう条項が非常にあり過ぎる。そういうものを減少することによってもだいぶよくなるという点まで話し合われたのであります、という。これじゃ一体建設省というのはどこへ行くんだということになる。こういうふうにちゃんと印刷して書いてある。そこまで業者の意見を聞いた結果、最後に何を言っているかというと、さすがにその結論をずばり出すことははばかるから、まあまとまったところという結論――結論という意味ではなくて、結論という意味は、まあ結論らしきものと書いてあるのですけれども、三つの結論、何かといいますと、「そのうちの一つは、舗装工事の責任施工の必要性を認めるということ、それからもう一つは、建設省が中心となってモデルケースを実行していただく、」これは実行しておられますよ、皆さんは。「その実施の結果によって設計上の問題、仕様書の問題あるいは検査の問題、そういうものを逐次解決していただきたい。それから三番目は建設省以外の都道府県などの問題ですが、そういうところにおきましては現行の設計なりあるいは仕様書なり検査なりあるいは工事の契約というようなことに関して改正できる点は」、以上さっき申し上げたような意見に基づいて責任施工に近づけるという方向に逐次改正していくように、「こういう三つの事柄が結論らしきものとして得られたのであります。以上で報告を終わります。」こうなってくると、建設省側の、私が危惧するようなことについてのチェックしていくところは何もない。まさにこうなると、私は地方の請負をする業者の側の方々の言いなりになってきた報告書というふうにしか受け取れない、これを見ると。そこで、いまの話は、責任施工というのはどうもいつのことかわからぬようなことを言われるのだけれども、これはオリンピック道路をながめてみたって、検査の手抜きだらけなんですね。こちらにもたくさん資料はありますけれども、五輪道路の、例の三宅坂のインターチェンジの問題だって、あとで調べてみると、みな検査の手抜きです。ここにもちゃんと資料があります。そういうことになってくると、公共事業業者の方々の食いものにされているということでは、国民は納得しない。にもかかわらず、責任施工体制はどんどん進んでいる。先ほどの御答弁を私はもう一ぺん再答弁をしていただいて、もし同じならもう少しいたしましょう。
  274. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいまの座談会の内容でございますが、これは主としてアスファルトの舗装についてであろうと思います。アスファルトの舗装は、技術的にかなりむずかしい点がございまして、実は、従来外国の仕様書というものを中心にしまして一つの基準で指導してまいったのでございますけれども、なかなか現在やっております業者の持っております施工能力、あるいは使用機械、あるいはそれを実施する人の素質、そういうものからして十分それを実施するだけの能力がない、そういう点をいろいろ検討いたしまして、やや従来考えておりました、特にアスファルト舖装の基準については、基準そのものを検討しなければならぬ、こういう問題があったわけであります。そこで座談会で行なわれましたものは、たぶんそういうことを中心にした業界側の、なかなかその基準では実施できないという実情であり、また、それを発注しました起業者側におきましても、そういう点をやや認めてきた段階でございます。したがいまして、その結果、最近アスファルトの施工基準については、少し方針を変えたようないきさつ、段階になっております。そういうようなことが中心にして議論されておりまして、責任施工ということにつきましては、すべてそういうものが、やれと言ったところが、できるものでなければ幾ら責任施工といってもできませんので、そういうような基準をはっきりさせる、それが実施できるという業界体制というものができなければ、幾ら責任施工に近づけるといっても、私はむずかしいと思います。そういうようなことで、主としてアスファルトの問題についてただいま御質問はなされておりますが、そのほかの道路工事につきましても、責任施工につきましては、とかくいろいろ問題点がございます。そういうようなことでそういう議論はございますが、まだそこまで踏み切っておらない、こういう段階でございます。
  275. 大出俊

    大出委員 いままたお話が出たから申し上げますが、このアスファルトのやつを、あなたは技術関係の畑の御出身だと思いますので、そこで承りたいのですが、コアという、つまり三点なら三点、五百平方メートルについてとりますね。それで平均値を出していきますね。それで、これはいろいろなやり方が、調べてみるとございます。そこで、たとば厚さについて二十三センチなら三センチという厚さの一つの基準があるといたしました場合に、五ミリから三十ミリのときは、一定の計算式に基づいて罰金をとり合格とする、でき上がった場合に。三十ミリ以上、つまり三センチ以上の場合は不合格で打ち直す。こういうふうな形のものが出てきていますね。いま検討する、こうおっしゃるのだが、例をあげれば、三センチ以内は罰金で済むことになりますね、この基準からいきますと。そうですね。さて三センチをこえた場合も、指名業者からはずすとは書いてない。そうなると、打ち直せば済むわけです。そうでしょう。そうなると、わからなければそれで済んでしまう。まかり間違ってわかったところで、たいしたことはない。そうなりますと、まず二十三センチのコンクリート一平方メートルが、三千何百円から四千円くらいするとする。それを試算すると、一割と見て三、四百円という金が浮く。幅十メートル、延長三キロの舗装工事をした場合に、三万平方メートルが浮いてくる。そうなると、九百万から千二百万円ももうかってしまう。こういう結果です。千二百万円もうかるのだということになれば、これは責任施工であり、でき上がり監査であるとした場合に、その衝に当たる方々と連絡さえついておれば、極端なことを言うようだけれども、われわれがいま推測するところ、千何百万かもうかるのだから、こういう問題が出てくるのではないか。私が午前中に申し上げましたように、これだけ業者の方々といろいろな形のつき合いがあり過ぎる。さらに、先ほど稲村さんでしたかも言っておられましたけれども、そういうふうな形のことが現に行なわれているし、行なわれつつある。そうだとすると、もし、責任施工体制に近づいたとした場合に、こういうことがもし起こったら、責任はどうなさいますか。今回の改革等に伴って、現行の定員のワクの中で操作をされるとおっしゃった、ふやさないのですから。そうなると、どうしても監督云々というのは不行き届きにならざるを得ない。なぜならば、補助金業務まで含めて地建に全部権限を移譲してしまう。地建の仕事は、私は、しろうとなりに行って聞いてみた、そうなると、とてもじゃないけれどもやれない。そうなると、手が回らないにきまっておる。きまっておるならば、責任施工体制にいかざるを得ない。あるいは逆にいえば、そこに持っていこうという考え方が当初からあるからこそ、一九六三年「道路」の十二月号から、ずいぶんこれは思い切った書き方です、それが今日まで続いておる、進んでおる。そうなってくると、これは、私は、そういうことをもし計画的にお考えになっていた方々があるのだとすれば、たいへんなこと、ここまで勘ぐらざるを得ない。だから、さっき申しましたように、建設省の技術畑の方に何人か意見を聞いてみた。聞いてみたが、今日までくれば黙っておるけれども、当初この計画が出てきたときに、相当な反論があったはずです。そういうことになりますと、責任施工への移行という道筋をたどっていることだけは間違いないから、この時点で私は大臣の御見解をいただいておきたい。
  276. 小山長規

    小山国務大臣 責任施工というものの内容を私は知りませんので、もう一度道路局長から御説明いたします。
  277. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 先ほど来のお話は、血としてアスファルト舗装の問題でございますので、これは実は業者と特にこれについていろいろ研究しておるということは――アスファルトについての経験といいますのは、官庁の建設省側もそうでございますが、どちらかというと業者のほうが経験が多いのでございます。したがいまして、これは業者という意味ではなくて、アスファルト施工の専門家という意味におきましていろいろ打ち合わせをし、一つの基準をつくることに努力をしておるわけであります。したがいまして、業者建設省がどうこうというお話でございますが、これはむしろ純粋に技術の問題としてお互いに試験をするもの、実施をするものという立場で打ち合わせをしている、この点をひとつ御了解をいただきたいと思います。  それから責任施工への移行という問題でございますが、この問題につきましても、座談会の記事については私は責任を持ちませんが、そういうような議論がされましたのは、ただいま申しましたと同じような意味におきまして、つまりアスファルトの専門家としての諸君のそういう希望である、こういうふうに考えております。政府側といたしまして、責任施工に持っていくにつきましては、ただいま御指摘ございましたように、各種の問題がございます。私は、そう簡単には移行できるとは考えておりません。それらのことを十分検討した上で移行すべきなら移行すべきである、かように考えておりますので、まだそういう結論が出ておりませんから、先ほど申し上げましたような御答弁を申したわけでございます。
  278. 大出俊

    大出委員 そういう御答弁だから、なおのこと困るわけです。私も皆さんがおられるので、いいかげんで片をつけようと思って尋ねたのですが、そういう責任施工などというふうなことは、これは前大臣河野さんもこのことはいいのだと言って説明しているのですよ。いまの請負業者というのは、戦前と違って機械も技術も進歩してきている。設計から何から全部まかせてもりっぱにやっていけるようになった。だから、直轄工事をやる必要はなくなったのだ、こういう説明をるるしているわけです。いま局長がそう言ってみたって、前大臣があれだけるる説明されて、責任施工の方向にいくのだと言っているのだから、これは何もアスファルトに限らず、いまの一点をとらえてみても、まだ結論が出ていないということのままで、設置法だけは通りました、通ったあとでどうなるかといえば、結論が出るにきまっている。そうすると、いまの段階からはっきりしてれかないといかぬのは、いま皆さん考えている考え方は、今回の機構改革を行なって、そこから先直轄工事はやめようというのでしょう。地建というのは、明治以来の内務省の土木局ではなくて、行政官庁なん、だから、そうなると、当然そういう面で責任施工という形のものがどんどん出てくる。そういうことになると、結局これは将来、業者との間において何となくどうも手抜き云々という形のものが出てくる、つまりいろんなくされ縁がふえてきやせぬかという気がしてしかたがない。だからこれらの問題について、私は今回のものの考え方の根本にどうも少し触れるような気がするので、大臣答弁をいただきたいと申し上げたのです。
  279. 小山長規

    小山国務大臣 直轄事業という意味をどういうふうにおっしゃるか知りませんが、直轄事業をやめるわけじゃありませんで、新しく本省事務を移すわけでございます。おそらくおっしゃるのは、直営をだんだんやめていくのかというふうな御質問だろうと思いますが、これは時代の趨勢からいいましても、また現在の一般民間業者の技術の水準からいいましても、あるいは財政の効用の面からいいましても、これはやはりだんだんと請負でもってやっていくのが時代の趨勢だと私も思います。しかし、それをいかにして監督し、どうしてよい結果を得られるか、この点が大出さんの一番の心配の点だろうと思いますが、その点は、今度の設置法の改正で地建に委譲されたからどうということじゃなしに、やはりこれは質の問題、人間の問題にくるのじゃないか、こう私は理解するわけであります。
  280. 大出俊

    大出委員 ことばの使い方がちょっとまずかったようですから訂正しますが、つまり今回の地建強化というものの考え方の中で、権限が移るということは何を意味するかということになると、だからこそ明治以来の大改革だというわけなんですが、地方の権限が強まってそこで処理できるということは、逆な意味でいえば、地方の業者との間における専決事項であれ、委任事項であれ、権限がそこで明らかになっているわけです。いま申し上げておるのは、機構としてそうなると、その中で極力をふるう方が出てくれば、業者との関係云々ということになってきて、いまの道路工事その他におけるそういう不正に類するような問題が、私どもの見方からすると、よけいふえてきやせぬかという気がする。こういうふうなものを一々処理をして、その上でなければどうもうかつにこの改革には乗れないという――これは一面ですけれども、そういう一面を私は考えておるわけです。
  281. 小山長規

    小山国務大臣 私の理解では、業者関係というものは本省にはないわけなんですから、その本省にないものが設置法の改正によって地建に行くはずはない、こう思うわけです。問題は設計とか――本省で必ずしもやらなくても、地方の建設局、地方自治体その他からいえば、すぐ手ごろなところにある場所にいって、そうして地方の実情に即してよく知っておる地建職員のところで処理をすることが、国民のためになるのだ、こういう考え方でいっておるのでありまして、業者関係というものは、本省自体にないものが、今度の設置法の政正によって地方に行くはずはないと、私は理解するわけです。
  282. 大出俊

    大出委員 いまの大臣の言われることは、私もその意味ではわかりますが、ただ問題は、責任施工ということが出てもう久しくなりますか、こういう形に結局移行するのだろうと思いますけれども、まだ結論を出さない、もう少し方式を考えると言われるから、そうなると、そこのところは、いま道路局長の言われていることは、責任施工体制にいくというのですか、いかないというのですか、まずそこからお開きをいたしましょう。
  283. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 私、自身は、責任施工に持っていくにはまだ早いと考えております。これは建設省にも道路工事がたくさんございますから、建設省の全体の問題として検討すべきであって、道路局だけで移行するという問題でもないと思っております。まず責任施工させられる資格のある信用できる業者というものがどれだけあるかということも、たいへんむずかしい問題だと思います。制度としては、考え方としてはわかりますけれども、現実問題としてはいろいろ問題があるということで、これは個人的な意見になりますが、私自身は非常にむずかしい問題ではなかろうか、こういう、ふうに考えておる次第であります。
  284. 大出俊

    大出委員 そうすると、いま責任施工でない形はどうなっておりますか。
  285. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 現在やっておりますのは、直轄工事でございますと、地建職員が現場で監督する、こういう形であります。さらに責任施工に持っていかないで、この形を事業量がふえたために合理化するということになりますと、監督業務をコンサルタントに委託する方法が、一つあろうかと思います。しかし、これとても現在そういうふうな監督業務を責任を持って実施できるコンサルタントがあるかどうかということになりますと、やはりこれも相当慎重に調べなければならぬと思います。できれば私はそのほうがいいと実際は思っております。しかし、現実にそういうものがなければ、幾らいいと思ってもできませんので、これも別に結論を出しておりませんが、次善の形としてはそういう形があり得るのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  286. 大出俊

    大出委員 だから、ちょっとひっかかるのですが、事を分けてしゃべったほうがいいと思うのですが、いまの御答弁は、直轄工事であれば、地建の方々が現場に行って直接監督されるわけですね。それから直轄工事でなければ、責任施工はまだ早いという立場で、いい方法というのは、コンサルタントか何か見つけて、そういうところにやらせればという、次善の策ですか、そういうのがいまの御答弁だったんじゃないですか。そうですね。そこのところをもう一ぺん言ってみてくれませんか、心配ですから。
  287. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 私、申し上げているのは、いずれも直轄工事のやり方として申し上げておるのです。ですから、直轄工事には変わりございません。ただ、その監督業務をだれがやるかということでございます。これは地建でやるというたてまえでやっておるわけであります。それ以外の方法でやるやり方もあると思います。例をあげましたような方法があると思いますが、それについては、それぞれいろいろな問題がございますので、慎重に考えるべきである、かように判断しております。
  288. 大出俊

    大出委員 いま言われる直轄工事というのは、将来に向かってはどうなっていきますか。
  289. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 地建がやります直轄工事は、将来もあると思います。また、地建職員も、非常に有能なる職員がたくさんおりますし、この技術を保存するためにも必要だと思います。  また、道路工事について申し上げますと、一級国道の二次改修工事というものは、どんどん出てくる。それから二級国道もだんだん直轄化してくるということで、今後相当直轄工事というものは続くだろうと思います。
  290. 大出俊

    大出委員 そうすると、ふえる趨勢にある、こう理解していいのですか。
  291. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 仕事としては十分ある、事業昼としては非常にふえるということは、言ってよろしいと思います。
  292. 大出俊

    大出委員 そうすると、念を押しておきますが、このいまおっしゃられている責任施工というのは、こうだいぶPRめいて書かれておりますが、結局いまの段階ではそこまではいかない、そういう考えですか。
  293. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 私は、道路工事だけの説明て申し上げておるのですが、建設省全体としてどうするかは、慎重に考えるべき問題だと思っております。
  294. 大出俊

    大出委員 それでは、建設省全体の立場で、大臣、どういうことになりますか。
  295. 小山長規

    小山国務大臣 いままで聞いておりました範囲内で私が判断したところでは、まだその時期でない、こういう判断です。
  296. 大出俊

    大出委員 まだその時期ではないと言うのですが、建設省全体としては、道路はともかくとして、そういう方向に動いているということなんですか。それとも――そこのところをもうちょっとはっきりしていただけませんか、気になるものですから。
  297. 小山長規

    小山国務大臣 私もしろうとでよくわかりませんが、要するにいま話を聞いておりますと、そういう責任施工というような基準も、あるいはそれに対する業者といいますか、そういうことができる人も、いまいないじゃないかという話に聞こえますから、おそらく建設省の仕事全部をそういうふうなものに切りかえる時代というものは、なかなか簡単にこないという判断で申し上げておるわけです。
  298. 大出俊

    大出委員 これは私の頭の回転が悪いのかもしれないけれども、もう一ぺん念を押しておきます。いいですか、責任施工ということになると、預けるわけでしょう、まかしちゃうのでしょう。そうすると、その場合、とにかくでき上がるわけだ。そうすると、道路でいえばコアか何かを取ってきて検査するというあれがありますね。どういう検査方式にしろ、いつの場合でも建設省が検査するわけでしょう。ただ、責任施工で預けるのだから、中間に検査していくということはなくなるんですね。そこのところはどうなるのですか、つまり監督のしかたです。
  299. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 責任施工をいたしますにつきましては、やはりそういった各種の基準が要ると思います。たとえば中間検査とか、あるいは途中の材料の配合の試験とか、あるいは最終終の検査、十分そういう方法を基準的にきめてからでないとできないと思います。それが一つのむずかしい点であろうと思います。
  300. 大出俊

    大出委員 そうなりますと、いま直轄でおやりになっている場合は、結局地建の方々が出かけていって直接監督してやっているというかっこうですね。そうすると、責任施工の場合と明らかに違いがあるわけですね。そう理解していいですか。
  301. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 監督形態が変わってまいります。
  302. 大出俊

    大出委員 そうなると、つまり建設省の側が監督をする場所というものは、責任施工の場合には、極端に少なくなるということになりませんか。
  303. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 監督する場所という意味がよくわかりませんけれども、毎日出歩いて見るわけじゃございませんから、監督といいますか、試験といいますか、検査に出る回数というものは、少なくなることは明らかでございます。
  304. 大出俊

    大出委員 極端な例をいえば、その場合はでき上がり検査試験、でき上がって受け取るときに検査をするとかいうようなかっこうさえ考えられませんか。
  305. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ものによっては、そういう場合もあろうかと思います。
  306. 大出俊

    大出委員 ということになると、そういう面で、つまりたとえていえば、三月年度末で工事が延長した場合に、これはたしか罰金を取ることになっているのだけれども、帳簿の上では仕事が終わったことになっておるが、仕事をやっておった。つまり、この地建職員の方に聞いてみると、年末度から出ると何がしかの金を取られるというから、帳簿の上で合わせて終わったことにしておけ、そういうことを言う人がいるわけです。そういうつながりというものも、実際聞いてみると、私はなくはないと思うのです。そうなると、でき上がり監督方代的なものの考え方が出てくると、そこのところで付が起こるかわからぬという心配がある。だから、私はずいぶん回り道をしてくどいことを申しましたけれども、つまり私の言いたい根本は、先ほど来いろいろ申し上げましたが、いろんなことがいま各方面で起こっていると私は考えている。ここのところについて、私はこれ以上時間の関係で申し上げませんけれども、ひとつこれは大臣に御答弁を承っておきたいのです。けさほど来いろいろ申し上げたのですが、たとえば例をあげますと、久留米の機械事務所長の染用豊さんですか、先ほど申しました会計検査院に文書を出した云々という古家さんという方がいる。この人はもう要らないから配置転換だ。そこで今度は、これはもともと期日オーバーしているのに、金を取るべきではない、もみ消せと所長自体が言っているんだから。そうでしょう。そうしてそれが今度はそんなことで配置転換させられるのは気の毒だというので、署名を集めた。署名簿がありますよ。そういうことじゃ困るからここに残しておいてくれという署名を集めた。集めたが、今度何をやったかというと、所長は一人一人所長室に呼びつけているわけですよ、取り消せと言って。取り消させられている人間が、現実にいるのですね。このことの発端というのは、私が心配していまいろいろ質問しているのだが、つまり一番の接点は業者ですよ。契約はいつからいつまでということで機械を貸した。その史約月日が終わっても返ってこない。なお長期に使った。使ったんだから、その分は金を取らなければならぬというので、あれをこしらえた。そうしたら、どこでもやっていることだから、そんなことをごてごて言うなということで押えた。こういうことまで所長さんみずからやるのは、私は、その権限がなお強化されていく、行政官庁的になっていくのであって、片一方では責任施工方式なんというものが出てくるということになってくると、その接点というものはどうしてもしぼられてくる。そういうことになると、いろいろ危惧される面がふえてくる。だから、けさほど来幾つか申しましたが、その種のことについては、次の採決の場所があるわけでありますから、もし私が申し上げたことで舌足らずの面があってまずいとおっしゃるなら、その場にお出かけをいただければ御説明いたしますから、その上でどういうことになっておるのか、皆さんの側で一ぺんお調べをいただいて、こういうことですということだけは私は言っていただきたい。前回の場合に、河野さんはその種のことをおっしゃったのだが、内閣委員会であらためてということもなかったし、冒頭に大臣に申し上げたとおりですから、議事録に残っておることですから、それじゃこれは議事進行に協力しておりますので、今回私が御質問申し上げましたことにつきまして、もう長いことは言いませんけれども、何なら文書にしていただいてもけっこうですが、こういうことでしたということぐらいは言っていただかぬと、私は一々そこで業者のほうをどうしろ、こうしろということを言った覚えはない。したがって、皆さんの側でその辺をどういうふうに判断されるのかということだけを大臣から聞きたい、こういうふうに私は思うのですがね。その際、私自身のほうにも意見がないわけではないのですよ。まあきょうは申し上げませんが、それらのことにつきまして必要であれば、長い時間申しませんから申し上げたいと思っているのですけれども、大臣、この点はどう思っていらっしゃるか。
  307. 小山長規

    小山国務大臣 いま採決までにとおっしゃったのは、機械を貸した問題ですね。
  308. 大出俊

    大出委員 業者で、塗装業者、舗装業者ですか、その他で、入札の前にすでに事務所を建てちゃったり、砕石を山ほど積んじゃったり、もう現場の回の前ですよ、そういうふうなことを私三つぐらい申し上げたのだが、そういうふうな問題だとか、それからきょう御記憶をたどっていただければわかりますけれども、私は記憶があって申し上げているので、時間は短いけれども、おおむね触れているつもりなんです。ただし、それらのことについては耳にとめていただいたはずだから、そのつど、一々結論を求めたつもりはない。なぜかというと、求めていると時間がかかるから、したがって、それらのことについては、将来のこともありますので調べるとおっしゃったのも中にありますから、そういうふうな点については、調べた結果はどうであったのかということについて、やはり私は何らかの形で意思表示がいただきたい、こう申し上げておるのです。
  309. 小山長規

    小山国務大臣 おっしゃった中に、私自身もいかにも解せない点もあります。ですから、これは多少時間をかしていただかないといけないと思いますが、時間をかしていただいて、調査の結果は文書なりあるいは委員会なりでお答えいたします。
  310. 大出俊

    大出委員 これは理事皆さんとの間の話し合いということになるのでしょうが、この次のこの審議を行なう日取りが出てまいりますから、その日にちにもし間に合うものがあれば、それはどういうかっこうでもけっこうですから、御連絡を賜わるなりしていただきたいと思っております。そうしないと、どうもひっかかりのあるままでさあ採決だと言われても、私のほうは迷惑であります。
  311. 小山長規

    小山国務大臣 それは正直申し上げますと、たとえばあさって採決ということになりますと、あさってはちょっと無理だと思います。ただし、これは決してほったらかしておきませんから、必ず調査の結果を文書なりあるいは委員会においてなり申し上げます。
  312. 大出俊

    大出委員 前回はどうもほったらかされた感じ――もっとも、私のほうもそれ以上言わなかったのですが、まさに議事録からまいりますと、それっきりになっていたわけですから、今回の場合は、ぜひひとつそういうことのないようにくれぐれも――これは働いている諸君のほうにしわが寄ることのないように、この点は大臣責任で十二分にやっていただきたいと思っております。
  313. 河本敏夫

    河本委員長 次会は、明後三十日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十二分散会