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1965-04-21 第48回国会 衆議院 内閣委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十一日(水曜日)    午前十一時五十二分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 荒舩清十郎君 理事 伊能繁次郎君    理事 佐々木義武君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 田口 誠治君    理事 村山 喜一君 理事 山内  広君       天野 公義君    井原 岸高君       上林山榮吉君    池田 清志君       亀岡 高夫君    高瀬  傳君       武市 恭信君    塚田  徹君       綱島 正興君    二階堂 進君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       湊  徹郎君   茜ケ久保重光君       稻村 隆一君    大出  俊君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣 高橋  衛君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第三部長)  荒井  勇君         総理府総務長官 臼井 莊一君         宮内庁次長   瓜生 順良君         総理府事務官         (皇室経済主         管)      並木 四郎君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房長)   村上孝太郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  鹿野 義夫君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房企画課         長)      橋本 徳男君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 四月二十一日  委員岩動道行辞任につき、その補欠として上  林山榮吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員上林榮吉辞任につき、その補欠として  岩動道行君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三一号)  皇室経済法及び皇室経済法施行法の一部を改正  する法律案内閣提出第一九号)      ――――◇―――――
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。  経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)委員 経済企画庁役員法の一部を改正する法律案内容を見ますると、特に問題として多くお聞きをいたしたい内容のものは、国民生活局を設置いたしたときに、国民生活局がどういう仕事を具体的に取り組んでいくかということでございます。この点については、提案説明内容にもるる述べられておりまするが、何ぶんにも多岐にわたっておりますので、こういう点が完全に消化できるかどうかということ、それから、他の省との関連もございまするので、そういう点をどう操作されるかという点が、私どもとして疑問が残るわけでございますので、そういう点にしぼって御質問を申し上げたいと思うわけでございます。  そこで、まず第一にお聞きをいたしたいと思いますことは、経済発展社会開発との調和的均衡を失しないように推進をしていき、なお完全雇用を達成していく、こういうことが提案説明の中に述べられております。そこで、よく問題になりますことは、経済発展をするために、近代的な経営構造を貫徹するためには、機械近代化等を行ないまするが、そうした場合にいつも問題になることは、完全雇用の問題でございます。したがって、こういうような問題を国民生活局で取り上げられる場合に、どういうようなお考え方をまず長官としてお持ちになっておられるのか、この点をお伺いをいたしたいと思います。特にこの問題が、いま労働組合が戦っておりまする春闘の中にも盛り込まれておるわけでございまするので、私どもといたしましても、経済発展に伴う機械近代化によるところの生産性向上ということは、近代社会としてこれはやらなければならないと思いますけれども、しかし、その陰には、労働者完全雇用というものを無視してはならないと思いますので、そういう点からお聞きをするわけでございますので、少々具体的にわたって答弁が長くなってもよろしゅうございますけれども長官のお考え方をお示しをいただきたいと思います。
  4. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御承知のとおり、ここ数年間の日本経済は、相当高度な成長を毎年続けてまいった次第でございます。その結果といたしまして、いままで日本経済は、一般的に申しますると、田口先生承知のとおり、過剰労働経済といわれておったのでございますが、今日はむしろ、特に若年労務者を中心といたしまして、労働については需給がきわめて逼迫しているという状態のもとの経済にだんだん型が変わってまいったと、こういうふうに私どもは見ている次第でございます。もちろんお話のとおり、労働生産性向上のためには、設備投資が行なわれる。その設備投資は、結局、労働節約的な方向相当向けられることも、これまた当然のことでございまするが、しかし、現実に起こってきている事実は、それ以上に、つまり完全雇用方向に漸次進んでまいりまして、常用雇用増加率等を調べてみましても、昨年度におきましては毎月、前月比較におきまして、四%以上の増加示しておりました。もっとも、これは最近になりまして、これが三%台になってまいってはおりますが、雇用は漸次着実に伸びを示しておるというのが実情であり、特に若年労務者新卒等におきましては、非常な逼迫の度を加えてきておるというのが、最近の実情でございます。しかしながら、中高年齢層になりますると、その状態はまだ相当に変わっておりまして、必ずしも自分の能力に応じた職場が得られていないという方も相当多数あることは、これは現実として認めなければならない。したがって、労働流動性をできるだけ確保して、そうしてそういうふうな方々に十分な職場を与え、漸次目的とするところの完全雇用状態に持っていくということがぜひとも必要である、こういうふうな考え方のもとに政府経済運営をいたしてまいっておる次第でございます。  しこうして、国民生活局仕事でございますが、これは冒頭に御質問もございましたが、大体この局には課を三課設置することにいたしております。国民生活課消費者行政課物価政策課の三課でございますが、この物価政策課は、今日調整局にある物価政策課をそのままこの新しい局に、つまり国民生活に最も直結する問題という意味で国民生活局の中心的な課になる次第でございますが、国民生活課におきましては、先般経済企画庁から発表いたしました国民生活白書にも相当詳細にその最近の実態を分析いたしておる次第でございますが、また国際的な比較もいたしておりますが、これが国民生活の各要素の間の相互のバランスが十分にとれているかと申しますと、非常に進んでいる部面もあるが、同町に非常におくれている部面もあるということで、国民生活向上状態相当アンバランスになっているという実態は、これを認めざるを得ない、かように考える次第でございます。したがって、これはただいま国民生活向上対策審議会政府として諮問いたしておる問題でございますが、今後日本人の国民生活のあるべき姿、ビジョンというものは一体どういうものであるかというふうな問題についても、ある程度の姿を描きながら、その間のアンバランス調整をいたしていく、こういうことを目標にいたしていきたい、かように考えておる次第でございます。しこうしてまた、消費者行政課におきましては、これは昨日も御答弁申し上げました次第でございますが、各省とも、たとえば通産省におきましても、農林省におきましても、それぞれ生産者保護のための、または助長のためのいろいろな法制を立法しておられますが、その中においては、必ず消費者保護に関する規定、つまり消費者利益を害してはならないという規定を挿入いたしておる次第でございまして、したがって、消費者利益を無視するという法制、たてまえには相なっておらない次第ではございますが、しかし、何と申しましても生産第一と申しますか、年産に重点を置いた行政あり方が実際に行なわれている姿であるということは、これはまた否定し得べからざる事実のように考えられます。そんな観点から、経済企画庁といたしましては、消費者のサイドから、国民生活の面からそれらの行政あり方をながめて、国全体の立場から総合調整という経済企画庁の本来の職責をその面において生かしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  5. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいまの答弁の中にも、中高年齢層職場の確保につとめたいという答弁がありましたが、そういう点に気を使っていただいておるということについては非常に敬意を表わしますが、御案内のとおり、現在国鉄独立採算制ということから五カ年計画を立てまして、特に四十歳ぐらいなところに線を引いて、そして従業員配置転換を行なおうと考えておるわけです。したがって、そうなりますと、四十歳以上の労働者というものは――まだまだ四十歳では働き盛りでございますけれども、そうした考えを進めておられる公社もあるわけでございますので、こういう点につきましても、経済企画庁国民生活局において適正な線を指示されるものかどうか、どの程度までタッチできるものかどうか、この点をひとつお伺いをいたしたいと思います。
  6. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 ただいま御指摘になりました国鉄の問題につきましては、経済企画庁として具体的に何らお話を伺っておりませんので、具体的にどうするかという意見を申し上げることはこの際差し控えたいと存じますが、ただ申し上げたいことは、日本の現在の雇用体系がいわゆる年功序列型賃金体系というものによって行なわれ、しかも定年制というふうなことがある部面においては実行されてきておるのが、実態でございます。こういうふうな雇用体系がはたして理想的な体系かいなかという点については、経済企画庁としても十分に検討いたしたい。ことに田口さんも御承知のとおり、人間平均年齢というものがどんどん延びてまいりまして、今日、男子にあっては六十八歳幾ら、女子については七十二歳近くというところまで平均寿命が延び、また今後も見通しとしてはまだまだ平均寿命が延びるのじゃなかろうかというふうに感じられるのでございます。そういうふうな観点からいたしまして、そういうふうな問題は基本的、根本的に検討を要する問題であろうかと考えます。しかし、いま直ちにこの問題をどうするというような問題については、具体的な結論を持っておる次第ではございません。
  7. 田口誠治

    田口(誠)委員 いま国鉄の問題を例にあげて質問申し上げたのですが、これを具体的に長官から説明をいただくということはむずかしい点があろうと思いますので、そういうことも含めて将来中高年齢層雇用問題について検討されるということでございますので、その辺の答弁で了解はいたしたいと思いますが、ただ、現在定年制をとっておる事業所は、五十五歳あるいは六十歳が大多数であって、したがって、ただいまも答弁にありましたように、戦後人間寿命が長くなりまして、それと同時に、肉体的にも精神的にも若返っておるということから、この中高年齢層雇用の問題が非常に研究もされ、問題化されておるわけであります。したがって、ここでお伺いをいたしたいと思いますことは、定年制等をとる場合に、男子女子定年の年数が違うところが相当あるわけなんです。それで、まあ憲法を見て解釈をいたしてみましても、同一賃金同一労働職業選択自由等から考えてみまして、婦人なるがゆえに定年制年齢を低く置くということ、このことは、私は憲法精神に違反をしておる行為のように考えておるわけなんですが、この点についてはどういうような解釈をお持ちになっておられるか。将来こうした問題と取り組んでいただくわけでございますので、この際お聞きいたしておきたいと思います。
  8. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 ただいまの御質問は、本来の所管労働大臣所管でございます。したがって、私から申し上げることはあるいは僭越に過ぎるかと存じますが、ただ、それに対する直接のお答えとは相ならぬかと存じますけれども先ほども申しましたとおり、現在の日本賃金体系はいわゆる年功序列型賃金体系でございまして、その人の能力があるなしにかかわらず、年齢が進むに従って賃金が上がっていくという状況に相なっておるのでございます。したがって、いわばそこにそういうふうな賃金体系に対するところの硬直化が起こってきておるということは、これはお認めくださるかと思います。したがって、この点は今後根本的に検討を要する点であろうかと存じます。  しこうして、男子女子との問題につきましても、これは同一労働同一賃金、この原則はけっこうでございますが、同一労働内容がどの程度の能率であるかという問題については、多少差が生ずることは、これはまたあってしかるべきことじゃなかろうか、かように考える次第でございます。実は先般フランス経済企画庁が発表いたしました報告の中にも書いてございますが、おそらく二十年後においては、フランスでは八十歳ごろまでその能力に応じた、また軽度の生きがいのあるところの仕事を与えられるような状況になるであろうし、またそうすべきであるというようなことが記載されておりますが、これは非常に示唆に富むところの一つ報告であると私ども見ておるわけでございます。そういう趣旨におきまして、男女を区別するというふうな考え方は持つべきではないと考えますが、同時に現在の硬直化した賃金体系というものについても、根本的に今後検討を必要とするであろう、かように考えておる次第でございます。しかし、本来は労働大臣主管でございますので、労働大臣からお聞き取りのほどをお願い申し上げます。
  9. 田口誠治

    田口(誠)委員 私の質問申し上げることは、労働大臣から答弁していただくような関係のことが多いわけでありますけれども、しかし、この国民生活局というのは完全雇用という項を一つの柱にもしておりまするので、私は質問を申し上げておるわけなんです。そこで、特に私が、男女差別待遇を現在日本経営者が行なっておるという点を指摘して、そうした認識の上に立って将来完全雇用の面について御検討をしていただかなくてはならないと思いますることは、定年制をしく場合に、男子は六十歳、女子は五十五歳という程度のことなら、これは男子女子の人体の構造からいって、あるいはその仕事に無理をさせることがかえってその労働者の将来への不幸をもたらすというようなことを考えて、五歳ぐらいの差はつけることも、これは職場によってはあり得るかと思いまするけれども、そうでなしに、男子女子も同じ能力の発揮できる職場において、女なるがゆえに若くして定年制をしかれておるというところが、非常に多いわけなんであります。だから、こういう点については、今後の問題として憲法精神もよく順守していただいて検討をしていただかなくてはなりませんが、極端な話を申し上げますると、きわめて合法的で悪質な雇用内容があるわけなんです。その例を申し上げますると、これは二年前の話でございまするので、私は今日もそれが引き続いておるかどうかはわかりません、おそらく続いておると思うのですが、証券会社女子従業員の場合は、結婚をすれば会社をやめなければならない、こういう契約内容になっておるわけなんです。そうしますると、御案内のとおり、今日は給与の上昇は毎年ございまするけれども、非常にウナギ登りに上昇しておりまする物価上昇によって、結婚をいたしましても、父親から援助をしてもらえば別でございますけれども、独立しようといたしますれば、夫婦共かせぎをしなければ生活ができていかないというのが、実態であるわけなんです。そういう実態の中で、結婚をすれば会社をやめなければならないというようなことは、認められる時代でないと私は思うのです。しかも、私はそういう点を聞きまして、それは事実であるかどうかということについて、ちょうど私の知っておるのが東京の野村証券につとめておりましたので、事実そういうことがあるのかどうか、それは定年制なのかどうなのか、こういうように聞きましたら、募集をされる場合にはそういう条件は全然なしに、そうして就職の試験を行なってもらって合格をした。いよいよ学校を卒業して川口から働いてもらうのだ、こういう呼び出しの来たときに、これにひとつ判を押してくれ、こういう書類を出されたわけです。その書類にぽんと判を押したら、その書類の中には、結婚をすれば退職をするのだ、こういうことになっておった、こういうことを言っておるのです。学校を卒業する少年は、就職には非常に気をあせって就職の場を見出すのでございますが、そういう場合に、たまたま日本でも大きな会社といわれる四大の一つであるそうした野村証券というところへ入社できるということになれば、ほんとうに小踊りをして喜ぶだろうと思うのです。そうして卒業をするのを待って、それから就職をする通知を待っていて、いよいよあすから、あさってから就職をしてもらうのだという呼び出しの来たときに、この契約書に判を押してくれといわれたときに、中を読んでみて、結婚をしたときにはやめてもらうのだと書いてあったとて、それを拒否することは私はちょっとできないと思うのです。そういう時点においてまたいい職場を見出すということは、非常に困難だろうと思うのです。こういうようなことが、これは二年前私の確認ではあったわけなんですが、これは一つ会社を私が確認をしたのですから名前をあえて申し上げましたけれども、その他のところにおきましても、結婚をしたらという条件だけでなしに、ある程度年齢がくれば、三十歳になれば、三十五歳になれば、もうやめてもらうのだ、これで定年だ、こういうことが堂々と今日の時代に行なわれておるということは、きわめて遺憾に思うのですが、こういう点についても、これは生活局労働者完全雇用という面についても検討をしていただき、そうしてほんとうに全農が納得のいく生活環境をつくり上げるのだというこの提案でございまするから、私はあえてこういう点についても御質問を申し上げるわけなんですが、いかがなものでございますか。
  10. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 ただいま御質問の点は、非常に専用的な、技術的な問題に相なっておりますので、むしろ労働省において十分検討されて、そうしてただいま御指摘のような点は、おそらくは企業の社会的責任と申しますか、そういうふうな面から十分に是正さるべき点ではなかろうか、かように感じられますけれども、そういうふうな問題が法律的にいかにあるべきか、また現在の法律がそういう点について不備であるならばどうすればいいかというような具体的な問題については、主管省である労働省において十分御検討願いたい。経済企画庁といたしましては、経済全体の仕組みを、完全雇用方向に時っていくのに一体どういうふうな経済運営あり方が適当であろうかという点に重点を置いて施策を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。しこうして今日、先ほどお話もございましたとおり、新婚早々の場合におきましては、夫婦共かせぎということをせざるを得ないような状況にあることも、また事実として認めざるを得ないと存じますが、先ほどちょっと申し上げましたフランス経済企画庁報告等を読んでみますと、将来は、結婚して子供ができ、子供がある程度成長するまでの期間、つまり二十歳から四十五歳ごろまでの間は、一応女性は職場を離れる。それからまた再び職場に復帰していくというふうな状況になることが望ましいし、またそういうふうな社会になるであろう。そのために経済成長というものが年々堅実に安定した基調の上に行なわれなければならぬというふうなことが書いてございましたが、こういう報告が、またわれわれの日本経済運営についても一つの重要な示唆になる問題ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  11. 田口誠治

    田口(誠)委員 これも他の省と関係がありますので、お答えの程度がどの程度になるかわかりませんけれども社会保障の充実などにも努力をしていただくということになっておるのでございますが、これはどの程度経済企画庁としてこの社会保障制度の確立、こういう面について結論が出されたり、あるいは各関係省に指示を出したり、相談をされるのかどうかということをお聞きいたしたいと思います。
  12. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 田口さん御承知のとおり、先般中期経済計画閣議決定いたしました。その中で、今後の経済成長見通しを立て、その経済成長の結果として得られたところの付加価値増加額というものをいかに配分するかという問題について、一応の案があの中にでき上がっておる次第でございます。その方向に向かってあの中期経済計画閣議決定をいたしまして、これを基本的な考え方として今後採用していく考えでございますので、その方向でそれぞれの主管竹において御検討願っていく、こういうふうに考えておる次第でございます。
  13. 田口誠治

    田口(誠)委員 具体的に突っ込んで質問すれば問題はありますけれども提案内容内容であるだけに、私は抽象的な質問にとどめておきたいと思いますが、社会保障問題等も、ただいま御答弁のありました中期経済計画の中において、将来のことについての計画もなされておりますので、そうした点についても、将来日本福祉国家として国家を発展さしていくということが前提でございますから、社会保障は厚生省のほうだ、労働省のほうに関係があるのだということでなしに、これは経済企画庁のほうにおいて、幕末的な線をりっぱに出してお示しをいただくことが、経済企画庁として、全般的な日本経済発展に伴う国民生活向上環境整備等になろうと思いますので、その点についての努力に大きく期待をいたしておきたいと思います。  それから次に、消費者物価上昇や新製品の出現、販売競争激化等による商品の選択の困難な点、いずれにいたしましても生産者擁護消費者擁護、それから中間の業者の擁護等も、これは切り離して検討されるべき問題ではないと思うのですが、ただ私は、日本の現在の実情からいきまして、そういう点につきましては、非常にバランスが失せられておるのではないか、こう考えておるわけであります。それというのは、昨年の四十六国会に突然なま牛乳単価引き上げ陳情があったわけであります。そこで昨年の四十六国会には、公共料金引き上げは一時ストップがかけられておったときであって、どんなに理由がありましても、一番消費者関係のある、特に病院とか幼児に直接関係のあるなま牛乳単価引き上げということは、これは公共料金引き上げストップと同様に非常に問題があったと思うのです。ところが、実際的には日本酪農衣が、非常に市価が安いということから赤字を出しておるという点が明確になりまして、二円の引き上げがなされたわけであります。これは御存じだと思いますが、ところが二円の引き上げがなされましたけれども生産者である酪農家は、これは県により土地によって違いますが、五十銭か六十銭しか引き上げられておらないという実情であったわけです。その他は流通関係小売り業メーカー、こういうところに利益が占められておるということです、パーセンテージでいきましても、その二円の引き上げをする前の実態を見まして、日本の場合はメーカーが三九%の利益をとっておる。ところがスウェーデンとかデンマークとかイギリスとか、こういうところのメーカーは、一一%から一五%くらいしか利益をとっておらないで、重点生産者に置かれておる。こういうように、他の国と比べ、日本の場合は、弱きれは非常に冷やめし扱いにされて、そうして資本を持って経営をしておるところのメーカー等が何ら労力を要することなくして多くの利益を得ておるというのが、実態であるわけです。この下火は、おそらく経済企画庁のほうでも御存じだろうと思いますし、昨年の二円の値上げの利益配分の関係も、その結果というものは十分にお知りだろうと思いますが、生産者が非常に赤字を出して、そうして公共料金は一年間ストップをしておるさなかに、なま牛乳代だけは上げてもらいたいという強い要求があって、上げることのできないものを、赤字がいかにも多く気の毒だからといって上げた二円の利益が、わずか五十銭か六十銭しか生産者である農民、酪農家に還元されぬということは、私は、経済企画庁としてもこういう点については多くの心を使っていただかなければならない点だろうと思うのですが、この点についての御認識と、将来こういう問題についての利益、配分の関係をどう考えておられるか、この点を承りたいと思うのです。  重ねて申し上げまするけれども、スウェーデン、デンマーク、イギリス等は、いま数字を持っておりませんけれども、一一%のところと一五%のところがあります。これはメーカーでありますが、日本の場合には、二円の値上げは別として、その前の状態で、三五%という利益メーカーが得ておるということなんです。この点について、ひとつお考え方伺いたいと思います。
  14. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 牛乳の代金は、これは公共料金でございませんので、直接経済企画庁としてこれに対して関与する立場にあるわけではございませんが、しかし、国民生活全般に非常に大きな影響を持つ問題でございますので、もとより無関心でおるわけにはまいらないわけでございます。したがって、牛乳の消費岩価格の引き上げについては十分な関心を持ってまいっておる次第でございますが、内部の分け方については、これはむしろ農林省において専用的に御検討になって御処理題う、こういうたてまえに相なっておる次第でございます。   〔委員長退席、八田委員長代理着席〕 しかしながら、これは私のあるいは私見かもしれませんが、私の知っておる限りにおきましては、これが悪いという趣旨ではございませんが、日本ほど完全な牛乳についての低温殺菌の施設が法律的に強制されておる国はないというふうに考えております。そういうふうなことも、やはりメーカー相当大きなコストをかける一つの原因になっている、こういうふうに伺っている次第でございまして、そういう点は、十分に農林省において御審査になった上で適正に御決定になったもの、かように考えておる次第でございます。
  15. 田口誠治

    田口(誠)委員 これも農林省ということで逃げられましたが、公共料金でないから直接にはということでございますけれども先ほど利益配分云々ということばが答弁の中にございましたので、利益配分といっても、このように内容的には不均等な内容のものがあるのだ。ごく最近の、昨年の牛乳代の単価引き上げ一つ例にとってみても、現在の日本では、ただいま申しましたような大きな資本を持っておるもの、力のあるもの、こういうものが優先的にやられておるということからただいま御指摘を申し上げたのでございまするので、これは単に公共料金とは関連ないと言われましても、提案説明の中にお示しのあるいろいろな内容にこれは関連をしておりまするので、したがって、こういう問題も無関心におってもらってはいけません。  ただ、ここで念を押しておきまするが、この国民生活局というのは、ただいま長官から答弁のありましたように、実際に消費者に対するところの単価とか生産名の単価というようなところは、これは国民生活局のほうで検討されるけれども内容利益配分については、これは担当名ということで、ノータッチということなのか。それとも経済企画庁として、正しいあり方関係省と十分に検討されて将来いかれるものか。この点だけまず伺っておきたいと思います。
  16. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 それぞれの法律におきまして、権限は各省大臣がそれぞれ持っておられる次第でございます。しかしながら、同時に経済企画庁といたしましては、経済総合調整という立場から、消費者利益が害されるというようなことがないように、全般的な見地から個々の問題を取り上げて検討し、そうして各省間の行政あり方に不都合がないように、または不均衡がないようにということで総合調整の役を果たしていく、かようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  17. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで公共料金問題等は、これはもう経済企画庁検討される線でほぼ実施されるものかどうか、これを伺いたいと思います。
  18. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 公共料金等につきましても、それぞれの法律において主管大臣にすべての権限がある次第でございます。問題は、政府部内において、経済企画庁としては、経済運営総合調整の立場から政府としてはこうすべきであるということで、それぞれ主管省と御相談を申し上げ、主管省の御判断が、そうあるべきだという姿でもって行なわれるたてまえと相なっておる次第でございます。
  19. 田口誠治

    田口(誠)委員 この生活局には課が三つできるのですね。そこで、それぞれの職務を通じて成果をあげられるわけでございますが、そこでただいまの答弁に関連をしてお聞きをいたしたいと思いますることは、公共料金等で、昨年のように一年間はストップだ、ストップすることにおいて国民生活の非常に苦しい点を緩和さしていくのだという一つの方針を出され、それを実施されたわけなんです。そういう場合に、公共企業体、あるいは公共性を持つ、すなわち認可を得なければ料金を変えられない、こういう事業体に対しては、これは大きな打撃であるわけです。その事業体の打撃というのは、ひいては労働者にはね返ってくるわけなんです。労働者にはね返ってくるということは、労働者完全雇用を維持していくことが、業者によってはむずかしいわけなんです。そういう点から、この公共料金の問題の取り組み方というのは非常にむずかしいわけなんですが、こういう料金のきめ方というものは、一つの積算基礎、こういうかた苦しい表現で質問してはむずかしいかもわかりませんけれども、いずれにいたしましても、その料金を決定する場合には、何か基準に基づかなくてはならないと思うのです。したがって、将来こういう問題と取り組まれる場合に、どういう基準に基づいてやられるのか。それとも従来の実績から、もうこの辺でこの程度上げてやれ、こういう勘で上げられるのか、理論的な裏づけを持った料金の決定がなされるのかどうかということが、これは将来を通じて問題となろうと想うわけで、この点について、ひとつ将来を含めての考え方を入れて解明を願いたいと思います。
  20. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 公共料金を一年間ストップしました際におきましても、中小企業等については、閣議決定において例外を認めておったわけでございます。すなわち、公共料金を据え置くことによってその企業が倒産に追い込まれるとか、または経営困難になるというような事態が頻発しては、これはどうしても、政治のあり力として妥当でない、こういうふうな観点から、そういうふうな例外規定をつくったわけでございます。しこうして、そういう場合にどういう基準でそれを判断するかという御質問でございますが、これは個々の過去の実績の決算または現実の事態等をよく調べまして、なるほどこの程度はどうしても料金の引き上げを認めて差し上げなければこの企業は成り立たないという、最小限度でがまんしていただいてまいっておるのが、実態でございます。田口さんも御承知のとおり、たとえば通路運送法においては、能率的な経営をやった場合において必要な料金、しかもそれはある程度の利潤を含んだところの料金というものをきめなければならぬという法律のたてまえに相なっておりますが、これもまた、どれが能率的な経営であるか、どの程度が適正な利潤であるかというような問題については、それぞれ見解が分かれるところであろうと存じますが、私どもといたしましては、国民生活が今日物価上昇によって圧迫されてまいってきておるという実態をよく認識いたしまして、最小限度のところでぜひがまんして協力していただきたい、こういう立場で運輸省にお話を申し上げておる次第でございます。
  21. 田口誠治

    田口(誠)委員 三公社、五現業のごとき公共性を持っておる事業場は、政府のてこ入れによって、非常に困難な経営の場合には操作ができまするけれども、民間の場合にはそれができないわけです。したがって、小企業の場合は別といたしましても、その他の場合を考えてみますると、この公共性を持ち、そして認可によって料金のきめられる民間の募集場の労働者賃金というものは、国家公務員とかあるいは公共企業体につとめておる労働行よりはるかに低いわけです。はるかに低いということは、私は利益がないということだろうと思うのです。ここらに問題があるのではないか。したがって、そうした転業場につとめておる労働者は、単に公共的使命を帯びておる事業のもとに働いておるから賃金が低いのであって、そうでない事業場につとめた場合には賃金が高いわけなんで、私は、こういう低い賃金を同じレベルまでに引き上げようとし、また均等な賃金を支払おうとする場合には、この公共料金の決定のしかたというものは、もう少し基本的に積算をどうするのかということを科学的に検討をしてもらわなければならない問題であろうと思うのです。これは事実が賃金が低いわけなんだから、その低い理由というのは、やはり経営が困難ということなんです。この事実の上に立ってこうした問題と取り組んでいただかなくてはなりませんので、その点につきまして、将来を含めての御意見をこれまたお伺いをいたしておきたいと思います。
  22. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御承知のとおり、日本は自由主義、民主主義の国でございまして、そういうふうな公共的な目的を持った事業につきましても、民営にまかしている部分が非常に多いのでございます。しこうして、民営の場合におきましては、賃金の決定のしかたは、もっぱら労使の間でおきめになることでございまして、政府がこれに介入するという考え方は持っておらないのでございます。しこうして、今日、中小企業と、つまり規模別賃金相当な格差が存在しているという事案は、お認めくださるかと存ずるのでございます。これは、もちろん、先ほど来申しておりますとおり、漸次労働需給が逼迫してまいりますと申しますか、完全雇用の望ましい状態にだんだん近づついてきましたことも原因いたしまして、その格差は漸次縮小されてはまいっておりますが、今日なお相当その格差が存在している事実は、これはお認めくださるかと存ずるのでございます。しこうして、政府といたしましては、その格差をどうするという意思をもってこの問題を処置するということじゃなしに、政府としてはそれに介入しないという立場のもとに、労使の間で自主的におきめになるという考え方のもとに公共料金の問題についても検討いたしてまいっておりまするし、また。今後もそういう所存でおる次第でございます。
  23. 田口誠治

    田口(誠)委員 答弁内容でわかるようでもありまするし、不満でもありまするが、将来の問題だけを答弁で申されたのなら、私は将来の問題としていろいろ取り組んでいただくからいいと思いますけれども、今日もその考え方でということになりますると、今日の事態がただいま申しましたような実態であるわけなんで、そこで中小企業と大企業との格差是正というような問題については、これは日本の産業の二重、三重の構造内容にやはりメスを入れていかなくてはなりませんし、法律的に保護してやる法律もつくらなくてはならないと思います。これはまたいまの私の質問とははずれておりまするが、ほんとに公共性を持っておる事業に従事しておる労働者は、特に三公社、五現業の場合と違いまして、民間企業の場合には、労働賃金というものが比較的悪いわけなのです。この悪い原因というのは、会社に利潤がないということなんです。会社に利潤がないということになりますると、とにかく仕事をやって利潤を得ようとするこの額が、政府の認可によって規制をされておるということなんです。ここらのところを私は十分に検討をしてもらわなくてはならないと思うのです。もちろん、こういう間脳は国民生活と非常に関連が深いわけでございまするので、これを大きく引き上げることによって国民生活に影響のあるということも重々知ってはおりまするが、経済企画庁としては、国民生活向上もはかるのだ、それから物価の安定もはかるように努力するのだ、そうしてただいま私から申しておりますような、特に公共料金問題等については、経済企画庁において第一義的に検討していただき、そして関係省と相談をしていただくわけでございますので、今日までもやってきたが、将来もそうしていきたいということになりますると、ここに問題が私はまだまだ消化できぬわけなんで、私の質問内容が十分に徹底したかしなかったかわかりませんけれども、ただいまの答弁では、将来とも今日までのこうだという答弁では、どうも私の質問をしておる内容答弁に納得がいかないので、再答弁をお願いをいたしたいと思います。
  24. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 重ねてお答え申し上げますが、政府といたしましては、料金を規制しておるような業種につきましても、それが私企業である限り、その賃金の決定等の問題について政府がそれに介入するという考え方は持たない次第でございます。どこまでも結果としてどうきまったか、そうしてその会社の業績がどうであるかという実態を見きわめて、それに心づいて判断をしていく、こういう考え方にいたしていきたいと存じます。もちろん、経済成長が漸次進むにつれまして、先進各国がそうでありますように、その間に、大企業と中小企業との間、または各業種の間に、賃金の格差が――生産者の格差がまず挟まり、賃金の格差が縮小していくという姿が望ましい姿であり、そういうふうな方向経済全体の運営はしていくべきものであると考えますけれども、労使の問に政府が介入するという考え方は毛頭持ってないことを、この際はっきり申し上げておきます。
  25. 田口誠治

    田口(誠)委員 もちろん私企業の場合に、経営内容について政府が介入するということは、これはできないと思いますけれども、しかし、そうした認可を要する事業を行なっておる事業所というものは、いろいろな周囲の情勢から比較をして、そうして政府に対して認可の料金の引き上げの要求を行なったり、あるいは税の減免措置の要求を行なったり、いろいろやっておるわけなんです。こういう場合に、私は端的に見ていただきたいと思いますことは、その私企業につとめておるところの労働者というものの賃金というものが、その他のその企業と対等の内容を持つ会社労働者との賃金がどうであるかということを、やはり見ていただかなくてはならないと思うわけです。陳情は、毎年これは圧力的に陳情は来るんだ、その陳情のたびごとに受けておってはたまらないというので、そこで経済企画庁が慎重検討をされるわけだ、これは私はけっこうだと思います。けっこうだが、その慎重検討をされる場合に、十分に検討の中に入れていただかなくてはならないことは、認可を要する事業所の場合の労働省賃金は、その他国家公務員、地方公務員、三公社、五現業、こういう公共性を持ておる事業所、すなわち場合によっては政府がてこ入れしてやれるんだという事業所労働者よりも、はるかに低いわけです。相当に低いわけなんですしこういうものを解決をしてもらわなければ、ここに明記されておるところの完全雇用、そうして日常生活の改善等を消化していくことができないと思いますので、私はその点をお聞きしておるわけなんです。いままでは、そういうことについては――そういうことということは、労働者賃金、そこにつとめておるところの労働者賃金等は、やはり検討の中に入れてあったのかどうかということについて、私は疑問があるわけなんです。十分に検討されておるというなれば、私はそういう点の解消はまだまだできておると思うのです。十分はこれは私は望めないと思いますけれども、まだまだできておると思うのですが、いままでは、そういう点についての検討の中に、その事業所労働行の賃金の水準が十分に取り入れて検討されておるかということについて大きな疑問があるし、検討されておるということなれば、私がいまさら質問申し上げなくても解消されておると思うのでございますが、その点につきまして、これは長官長官におなりになってから何年もたったんじゃございませんから、ずっと先々のこともわかりませんけれども、前の経過から、私はご答弁をいただきたいと思います。必ずしもこの点については長官から御説明をしていただかなくとも、その他いままでの経過を十分に知っておられる政府委員の方でもけっこうでございますけれども、私の納得のいくような答弁をいただきたいと思います。
  26. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 田口委員の御質問は、おそらく公共料金を審査いたします際に、いわゆる公共料金を構成する原価の諸要素をどういうふうに科学的に見ておるか、その際に、労務費のコスト要件について他の類似業種のいわば賃金上昇その他というものをどの程度考慮に入れておるという御質問だと思うのでございます。もちろん、われわれといたしましては、公共料金の審査をいたします場合に、いろいろな方面からこれを検討いたすわけでございますが、公共料金を構成いたしております労務費は、必ずしも一人当たりの賃金が幾らとか、あるいは幾ら上昇するということだけが関係するわけでございません。たとえば一つのバスを動かすについて何人の人間を要するか、その能率がどうであるかによって、一台の車を動かす場合のコストは変わってくるわけでございます。われわれがやっておりまするたとえば標準原価計算方式のような場合には、一般的な能率的な運営をいたした場合に、一体それに要する労務原価費は幾らくらいであって、その一人出たりの賃金が幾らであるから、したがって、一般の料金の中に労務費が幾らの要素を占め、それが公共料金についてどれだけ上げなければならぬとか、据え置きでよろしいとか、こういう検討をいたすわけでございます。そういう場合に、われわれとしては、もちろん類似業種あるいはその業界における一般的な賃金上昇ということは、福祉国家における所得の安定向上という考え方から考慮に入れておりますけれども、その場合におきましても、能率的な人数で運営すれば、一体料金を構成する労務費としてはどれくらいでしかるべきかということを考慮に入れまして、その他原料の原単位あるいはその他の管理費の要素等々を検討いたしまして、一般的な標準能率から申しますと、これだけの公共料金であってしかるべきだ、こういうふうな審査をいたしてきめておるわけでございます。
  27. 田口誠治

    田口(誠)委員 必ずしも勘でやっているのではない、一つの理論に基づいてやっているという一つの例をお示しになりましたが、類似の事業という表現をされましたが、類似ということになりますれば、近鉄バスの料金を上げる場合に名鉄と比較をするということが類似なんです。   〔八田委員長代理退席、 委員長着席〕 それが類似なんですが、私の申し上げていることは、公共料金によって収入を得る事業所労働者は、そうでない、最悪の場合には政府からてこ入れをしてもらえるところの三公社のごときとか、あるいは国家公務員のごときとか、こういうところとの賃金比較してみますると、はるかに低いのだ。だから、こういう点を比較をして、そうして労働賃金というようなものもレベルを同じにして経営のできるような料金の認可がされておるのかどうか、こういうことを聞いておるのです。今日の場合はそうでないと思うのです。もう一度……。
  28. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 必ずしも三公社、五現業がいかなる経理をやっても、それが国の財政援助その他で片がつくというわけではございませんで、三公社、五現業も、それぞれ独立採算のたてまえでやっておりまするから、したがって、その給与ベースとそれから民間の給与ベースとどれだけの差があるか、私としてはここでつまびらかに御説明申すわけにいきませんが、しかし、この両者を比較いたしまして、公共料金を構成する労務費に非常に格差があって、そうしてしかもその格差の内容が、三公社、五現業のほうが人件費の使い方において非常に能率上おくれておるという場合には、むしろそうした標準能率というもののほうへ三公社、五現業の料金システムというものももらと合理化して近づけるべきではないかということを、われわれとしては主張申し上げておるわけでございます。
  29. 田口誠治

    田口(誠)委員 能率が悪くて生産性があがらないという点があれば、私企業でない限りは、これはあなたのほうから、いろいろ陳情等のあったときに直接お話し合いをされて、あなたのほうの考え方を述べられてもけっこうですけれども、それを述べられてみても、労働者が精一ぱいの仕事をやっておりましても、それ以上は能率があがらない――遊んでいて能率があがらぬのなら、これは指摘される面がありますけれども、精一ぱいの労働をしておってもあなた方のお考えのような能事があがっておらぬとした場合には、経済企画庁としては、機械近代化を行なう、それに要するところの予算措置というものはどうするかということはまた横付されるし、そしてまたそういう場合に、そのために労働者完全雇用が守られない場合には、それをどうして完全雇用を守らしていくかということも、あわせて検討をされなければならないわけなんです。今日の場合は、まだまだ能率があがらぬのだ、能率があがっておらぬのだという、そういう指摘をされる点がないわけなんです。もしあったら、例を引いて私にお示しをいただきたい。
  30. 村上孝太郎

    ○村上(孝)政府委員 完全雇用ということをわれわれ使います場合には、経済企画庁としては、経済の規模を拡大して、およそ働きたいという意思と能力を持っておる者にその雇用の機会を与えるような、そういう経済の発展をいたしたい、こういうふうに考えております。その問題とは別でございますが、いま再度質問になりました問題についてお答えいたしますると、たとえばこれは三公社、五現業の直接の例ではございませんけれども、この間バスの料金の問題がございまして、東京都とその他の民間バスの料金の問題をわれわれ審査いたしました場合に、この公共料金、バスの料金を構成いたしまする労務費の要素を考えましたときに、東京都の公営のバスのほうが非常に高いという構成でございます。その場合にわれわれがいろいろ審査をしてみますというと、東京都のバスの従業員というもののいわゆる労務原単位だとかあるいは昇給制度というものが、民間バスに比べて非常に高いというふうな事実を認めまして、これをいわゆるその業種の平均能率からはじきますと一体どの程度になるかということで、民間バスの平均能率というものを基準にした公共料金で東京都のバスのほうにもがまんをしていただくというふうな形で、むしろそういう平均能率のほうに、公営のものであろうと民営のものであろうとそれを問わずして、そちらのほうにできるだけ引っぱっていってがまんをしていただく、こういう形で現在の公共料金の審査をいたしておるということを申し上げたのでございます。
  31. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで、現在の賃金あり方を見ますると、これは加減給というのがあるから、私は、東京都、そうしてまたその他の小さな市の労働者賃金に格差があるということは、 地域給のある限り現段階ではまだ慰めざるを得ないと思いますけれども、これも将来に向かって解消していかなくてはならないと思うのです。それと申しまするのは、終戦後大都市と中都市、小都市あるいは町村、こういうところの生活実態が非常に費用の面において格差があったわけなんです。だから、地域給というものはできておるのであるから、これも徐々に解消していっておるので、これは将来は解消していくものであろうと思いまするが、現段階においてある以上は、ただいまお話しになったようなことも私は考えられまするけれども、私の質問しておることは、そういうわかったことは別に質問をしておるわけでないわけなんです。ただ、そういう料金をきめる場合には、何といっても、日本労働者賃金の柱というのは、国鉄労働者とかあるいは国家公務員の賃金というものが一つの柱になっておるわけなんで、そうしますれば、小企業あるいは中企業でも小さなところは、これは日本の産業鋳造というものに欠陥がありまして、現在のところでは遺憾ながら格差はありまするけれども、大企業の場合には、これは格差のあるべきものではないわけなんです。したがって、国家公務員の賃金をきめる場合には、これは中小企業も含めて民間の給与ベースの平均をとってあの国家公務員の賃金が人事院の勧告としてきめられてきておる経過があるわけなんです。中小企業も含めて民間の平均ベースで国家公務員の賃金が決定されるということになるのであるから、そうであるとするなれば、国家公務員の賃金よりも、認可料金をもって経営しておるところの民間企業、しかも大企業の労働者賃金が悪いということは、認可料金の適正でないということなんです。私は、認可料金を高くせよとか安うせよという、こういう理論を振りまいておるのではなくして、適正な認可料金というものをやはり出すべきでないか。適正な認可料金を出すということになりますれば、ただいま言ったところの労働者賃金内容検討の中に入れてもらわなくてはならない、こう主張をしておるわけなんです。あなたのほうでとられておるのは、同種のものについての比較だけをしておられるのであって、それではいけないわけなんです。そういう関係から私は申し上げておるのであって、これはもう私はこの辺でやめまするが、将来この国民生活局を設けて、そうしてこうした問題と取り組んでいただくんだから、私は、ただいまの答弁内容では不満であるので、少なくともこうした認可料金をきめるような場合には、そこの塩業体の労働者賃金が一番比較のしやすいのは、国家公務員の賃金比較していただけばこれはいいと思うのですが、そういう点と比較してどうして格差があるのか。この格差があるということが、経営が悪いということなら、そこの事業体の経営者がこれは無能であるということであって、そこの経営者が無能でないとするなれば、すなわち適正な料金が認可されておらないということになるのであるから、そういう点について、今後、今日までとってこられたようなとり方でなくして、もう少しきめこまかいところにその検討を加えていただいて、そうしてこうした問題の解決をしてもらわなくてはならないと思うのです。したがって、この国民生活局は、提案説明内容にもありまするように、各省との関係もありまするし、それの調整の役割りもしていただくわけでもございまするし、また経済企画庁として、日本経済の発展と同時に、国民生活向上を目標としてなされるのですから、検討をされる場合には、もう少しきめこまかいところの検討をしていただいて、そうしてせっかくつくられる国民生活局が国民の要請にこたえられるようにしていただきたい、この点を強く要望を申し上げまして、あとの質問者と交代をいたしたいと思います。
  32. 河本敏夫

    河本委員長 村山喜一君。
  33. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 時間の関係もありますので、簡潔に質問をいたしますが、最近政府経済企画庁の週間卸売り物価調査の廃止を決定をされたそうであります。この経済企画庁の調査は、第二次の卸売り段階の価格であるわけでありますが、政策立案の基礎になります統計が、一内閣の便宜的な判断で簡単に改廃をされるということになりますると、これはきわめて影響するところ重大であろうと思うのであります。今回の措置が統計審議会あたりに相談をされて、廃止するということの相談もなされないままに、諮問も全然行なわれないで、そういうようなことをされたというふうに承るのでありますが、一体そういうような行政行為というものがはたして妥当であるのかどうか、まずこの点についてお答えを願っておきたいのであります。
  34. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 従来ずっと経済企画庁において卸売り物価の調査をやってまいったのでございますが、日本銀行も同時に卸売り物価の調査を並行してやってまいっておりました。日本銀行の調査は、かつてはわれわれの観点からいたしますると、相当不完全な点があったと考えておったのでございますが、その後漸次充実されてまいりまして、昭和三十五年ごろからは相当に完備し、その内容も充実してまいった次第でございます。したがって、日本銀行が信頼し得るところのりっぱな調査をしておられるのに、それを経済企画庁が重複して行なうということはいかがであろうか。これはやはり日本銀行の調査を、しかもこれは迅速にできておる統計でございますので、これを信頼申し上げていくことで十分じゃなかろうか。最近の両者の比較等々の点からも勘案いたしまして、むしろ日本銀行の調査に依存することのほうが妥当であるという見解に立ちまして、これを整理いたしました次第でございます。
  35. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 統計審議会に諮問をされましたか。
  36. 橋本徳男

    ○橋本説明員 現在この点につきましては、統計関係を一括所管しております行政管理庁のほうに相談を持ち込んでおります。それをどう手続的にやるかということは、向こうできめていただくことになっております。
  37. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 やはり日銀の調査が第一次卸売り価格についての調査、経済企画庁の場合には第二次の卸売り段階におけるところの価格調査、こういうように承っておるのであります。とするならば、日銀の統計の調査の信憑性というものが最近充実してきたということも、わからぬでもありません。しかしながら、これからの経済政策といいますか、長期政策の立案にあたりましては、経済企画庁が今日までやってまいりました統計の資料というものは、それなりに私は役に立ったればこそ推進をしてこられたものだと思う。それを行政管理庁に相談をされておるということでありますが、行政管理庁はやはり政府機関である。こういうような統計審議会というような民主的な機関というものを設けておる以上は、こういうような事由によって廃止いたしたいと考えますということで相談をされるのがしかるべきではないかと私は思うのでありますが、そういうような措置はおとりになっていないのですか。
  38. 橋本徳男

    ○橋本説明員 現在の調査関係につきましては、御承知のように、いろいろな調査がだんだん整備をされてまいりましたので、企画庁といたしましても、それを使うサイドといたしまして、いろいろ問題がございます。したがいまして、卸売りの関係にとどまらずに、各省でやっておりますいろいろな調査につきまして、今日私たちのほうからこう改善してほしいというようなことを、案をつくりまして、現在行政管理庁にそれを持ち込んでおりまして、行政管理庁は、それをどういう手続で今後この卸売り物価の調査の廃止とあわせまして手続的に進めていくかというふうなことを、今日研究中でございます。おそらくはそういった全般的な問題、こういった卸売り物価の調査の廃止の問題につきましても、行政管理庁としてはしかるべきそういう審議会あたりにお話をするのではないだろうかと思いますが、最終的な決定は、行政管理庁の決定にまちたいと思っております。
  39. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、行政管理庁の最終的な決定にまちたいとおっしゃるわけですが、おやめになったわけじゃないのですか。私なんかは、もうすでに経済企画庁でこれはやらないという方針をおきめになったというふうに聞くのでありますが、そうでなければ幸いでありますが、行政管理庁の意向がわかり、そうして統計審議会等にはかった後にきめるのであるならば、納得をいたします。しかしながら、それがなされないままに行管のほうにすでにそういうようなふうに持ちかけておる。行政管理庁のほうでは、それを審議会等にはかって最終決定をするであろうということですが、その前にあなた方がもう取りやめてしまわれたら、そういうような手続をすること自体が、むだではございませんか。
  40. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御承知のとおり、経済企画庁は非常に広範ないろいろな仕事をやっておりますし、ことに最近の経済情勢は迅速ないろいろな統計資料の収集を必要とするという段階になってまいりましたので、なるべくむだを省いて簡素化をして、そうして重点的に各省でおつくりになるもの、または各機関でお出しになるもので十分信憑性のあるものはそれを利用していって、そうして充実した仕事のやり方をやりたい、こういう趣旨で、経済企画庁としてはそういうような決定をした。しかし、最終的にそれをやめていいかどうかということについては、行政管理庁の権限に属する問題でございますから、行政管理庁にそういう申し入れをしている段階でございまして、ただいまやめてしまったというわけではございません。経済企画庁としては、やめるという方針をきめて、そういうふうな申し入れをいたしておる次第でございます。
  41. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 わかりました。そういたしますと、いずれやはりそういうふうな手続を経て統計審議会等にはかって、これらについてはもうやめる、こういうことになるわけですね。それだけをはっきり確認をしておきたい。
  42. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 この手続については行政管理庁で主管する問題でございますので、統計審議会におはかりになるかどうするかという問題については、行政管理庁からお答えするのが至当であろうかと任じます。
  43. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 きょうは行政管理庁を呼んでおりませんので、その問題については他日確かめてみたいと思うのであります。  今回、設置法の中におきまして、国民経済計算審議会の廃止が出されております。「国民経済計算の改善に関する方策」「国民所得勘定の構成の改善を中心として」という文書を読ましていただきました。内応はいろいろその基礎的な押え方におきましても問題点が多数あるということだけがわかったわけですが、その中におきまして問題点としてこういうような指摘がされて、その実態に即応するような形で統計を整備していくような方針が出されておるわけでありますけれども、そういたしますと、こういうようなところをこのようにしたらどうかという一つ方向性が与えられた。その方向性を与えるだけで任務というものが完成されたものかどうか。この内容を見てまいりますと、「国民経済計算を有機的に体系化するための方策」というものの中身は、これからやはり相当研究をしていかなければならない分野が残されているようであります。そういうような分野は、もう経済企画庁でこの答申を受けたならばこれで十分やっていけるんだという自信がおありになって廃止されるつもりであるのか、その点だけを承っておきたい。
  44. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 国民経済計算審議会は、御承知のとおり、今年の三月三十一日限り廃止になるという期限つきの審議会でございました。しこうして、それまでに答申をいただきました次第でございまして、今後はその答申に基づいて政府として整備をやっていく所存でございます。
  45. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この報告書を見ますと、一応の結論をえた。そうして、国内純生産の実質化は、今後の検討を必要とする問題である。あるいはそのほか生産物接近法の問題等も出されておりますけれども、はたしてこういうような方向づけだけが出されたものを基礎にして、これを具体化していくのか。人数の少ない経済企画庁の中で十分にこなされていくとするならば、これでもけっこうでありましょうけれども、それをさらに深めてこの点についてはもう少しこういうようなところまでいったらどうかという詳細な点まで論議をして、一つ方向性を出してもらうというような方向に持っていく必要性は、はたしてないのだろうかどうか、この点を私はこの報告書を見ながら感じたのでありますが、大臣の御答弁では、とりあえず今度の三月三十一日までで審議会は存続期限が切れるのだ、したがって廃止することになったのだ、こういう御答弁で、あとこれにのっとって、もっと国民が見てよくわかるような統計というものがやっていけるのだという自信のある答弁までお聞きしてないわけですが、その点だいじょうぶですか。
  46. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 この国民経済計算審議会の審議の過程におきましても、国民経済計算については漸次毎年改善をしてまいってきたつもりでございますが、御承知のとおり、経済企画庁は、人数はなるほどそう多くはございません。しかし、相当なりっぱな経験を積んだところの職員を多数擁しておりますので、今後これでもってある程度の、国際的に比較してもそう恥ずかしくない程度のものはでき得るという考え方のもとに、廃止の期限も参りましたことでございますし、一応の御答申も得ましたことでございますので、経済企画庁の責任においてやっていきたい。ことに、御承知のとおり、経済企画庁には審議会が非常にたくさんございまして、その審議会のためにむしろ事務を繁雑にしている面もございますので、そういう点も考え合わせながら、この期限の切れた時点において、経済企画庁の責任において今後の完備をはかっていくということが妥当である、かような判断をいたした次第でございます。
  47. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、今回新設をされます国民生活局の問題でございますが、経済企画庁生活政策というものを立てていく。その中においては当然社会環境の整備の問題に関連があることは言うまでもないのでありますが、その生活政策を立てます場合には、勢い生産対策という問題とうらはらの関係があります。そうなってまいりますと、当然ながら各省が持っております経済政策というものとの調整的な役割りを経済企画庁が果たしていくということになるだろうと思うのです。ところが、今回拝見をいたしました国民生活白書、これを見てまいりますと、きわめて当たりさわりのないといいますか、平板的な分折発表に終っておる。これは私が言うのではなくて、新聞社あたりの社説でもそういうふうに述べられている。それは一体どういうようなことからそのような結果になったのか。経済企画庁としてはきわめて意欲的なものを持って、たとえば消費者物価がなぜ上がるのか、その物価構造というものはどのような形の中に今日あるのか、それを打開をするためにはどういうような方策を講じなければならないのか、あるいは公害対策の問題にしても、公害の発生ずる原因あるいはこれに対する対応策、こういうようなものを出そうという意欲的な姿で臨まれた。ところが、だんだんに話を聞いて、その国民生活白書という形で出していく中において、そういうようなものに対しては、たとえば公害の問題等については厚生省あるいはその他の関係のところが問題がある。あるいは社会環境政策といいますか、そういうようなものを進めていくということになると、大蔵省のほうから、あんまりはでなことをやってもらっちゃ困る。ただ賛成をしたのは、建設省のほうが住宅建設大賛成ということで、そちらのほうは非常に協力的であったけれども、いわゆる各省のなわ張りといいますか、そういうような関係において、それぞれ国民生活白書を提出するにあたってはいろいろな申し入れが経済企画庁になされた。なされた結果は、結局当たりさわりのない平板なものとして国民に訴えるよりほかになかったのだ、こういうようなうがった見方が、すでに解説としてなされている。今日ほど国民生活に対する関心の強いことはなかったということも、一つの付録としてつけ加えられておるようでありますが、そのような形の中で今度国民生店局が生まれようとする場合には、よほどそれらの各省が持っております生産関係におけるところの調整というようなものをしっかりした角度で受けとめてこられなければ、せっかくつくっても、これでは国民の期待にこたえ得ない姿が生まれてくるのではないかという点を、私たちは原案に賛成をする立場から危惧しているわけでありますが、それにつきましては、大臣としてはどういうような基本的な考え方で取り組んでいこうとしておられるか、それについてはお答えをいただきたいのであります。
  48. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 国民生活白書につきましては、私自身原稿をずっと読み通したのでございますが、ただいま綿指導のような新聞等におけるところの批判がありましたことは事実でございます。同時に、その批判の中には、いままでの白書と違って、事実を事実として率直に認めて、しかも海外との比較等についても、相当詳細な記録を添付しておるという点も認めてくださっていることを、ひとつお忘れないようにお願いいたしたいと存じます。同町に、私どもといたしましては、いろいろな問題について、国民生活全般が経済成長と調和のとれた、しかも国民生活内部におきましても、今後国民生活についての連関表を作成するというような作業を始める岬、調和のとれた非常な性欲的な考え方のもとにこの国民生活局をつくる次第ではございますが、この白書というものの性格上、将来の問題につきましては、やはり各省との間において意見の調整をすることはこれまた当然でございまして、まだ確定していない事柄を、ただこうありたいという夢だけを掲げるというのが白書の性質であってはならない、かように存じますので、自然出てきた白書の文章としては、そういうふうな非常な意欲的な面がいかにも足りない感じをお受けになることは、これは政府の文書としてやむを得ぬ点でなかろうか、かように作ずる次第でございます。
  49. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 白書についての大臣の見解はわかりました。私が重点を置いてお尋ねしたのはそうではなくて、国民生活局をおつくりになり、それが国民の期待にこたえるような体制づくりというものを大臣が率先しておやりにならなければ、各省間の非常に激しいなわ張り争いというものが現実にはあるわけでありますし、いわゆる生活政策というものを立てる場合には当然生産関係考えないわけにはいかぬ、そういうような立場から、大臣の強い決意のほどをお伺いしたわけでありますが、それについてお答えを願いたい。
  50. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御承知のとおり、佐藤総理は、就任当初から人間尊重の政治、社会開発ということを強く打ち出してまいっておられる次第でございます。しこうして、社会開発という事柄はもとより経済成長と調和のとれたものでなければならない次第ではございますが、しかし、いままでどちらかと申しますと、分析も不十分でございましたし、またしたがってそれに対する対策も相当におくれておったということを白書においても率直に認めまして、今後これが充実について非常な意欲を持って当たっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  51. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、いわゆる国民生活を守るという立場から、特に消費者行政というものを進めていかれる場合には、当然の問題といたしまして物価対策というものが柱になると思うのです。ところが、今日まで、物価対策について、政府重点的に取り組んでいくのだという姿勢だけは非常にけっこうな姿で示される、あるいは生産物の流通機構の改善策についてという作文だけはりっぱなものができ上がるけれども、それが実行に移される段階になりますと、はたして国民の期待にこたえるような姿で出てくるかといいますと、なかなか出てこない。そして、当たりさわりのないものしか政府としてはおやりにならない。そういう中から物価が日増しに高騰していく。ここで大臣にお尋ねしたい。三十九年度の物価上昇率は、前年度に比べて四・二%だ、こういうような見込みを初め立てられたわけでありますが、三月だけ見てまいりましても、大体一・六%前月比にいたしまして消費者物価が上がっているようであります。といたしますならば、はたして三十九年度の物価上昇率を政府の期待しておりました線の中でおさめることができたかどうかということにつきましては、私は問題があろうと思うのです。と同時に、問題は、昭和四十年度に入りました今日において、四月から学校の授業料をはじめ入学金その他いわゆる公共料金を中心にするものが上がり、あるいは米価の上昇等もありましたし、これらの物価上昇のファクターと相まって、政府のいわゆる経済政策の失敗といいますか、たとえば農産物価の問題についても、タマネギ一つが三十円もする。これなんか、台湾からでも早く手を打てば、そういうような異常な価格にならないものを、手の打ちようがおそかったために、そのようなものを国民が食わされておるという現実、ネギ一本が三十円、キャベツ一つが、小さなものが八十円から百円する、こういう状態現実に出てきているわけです。とするならば、国鉄の運賃の値上げ等は、ことしじゅうはやらないという方針でありましょうが、その点においては、今後の中期経済計画等にも出されておりますように、負担の限界を考えながら料金の値上げを考えていかざるを得ない、こういうようなものがもう目の前にぶら下がってきておる。このような状況の中で、一体どういう政策をおとりになるか。去年は、一年間公共料金ストップ政策という政策をおとりになった。その間に政府のほうできめのこまかい手が打たれていったならば、その非常手段という措置も承認がされたでありましょう。しかしながら、その一年間に一体どれだけ有効な政策をおとりになったのか。それがとられないままに一年間が経過して、いたずらに時を過ごしたにすぎない結果になっているのではないか、こういう批判を私たちは持っておるのでありますが、これに対しまして、公共料金引き上げても悪影響が出ない経済環境つくりといいますか、そういうようなものをつくられる方向ではたして今日まで努力をされたのか。この問題については、そういう点から考えるならば、農業なり中小企業の近代化政策がその柱にならなければならないと私は思うのでありますが、そういうものが十分になされないままに今日に至ったところに最近の物価上昇がとめどもない姿であらわれているのじゃないか、こういうふうに見るのでありますが、国民生活局をおつくりになった段階の中において、物価政策にはどのように取り組んでいかれるつもりであるのか、それをお伺いしたいのであります。
  52. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 昭和三十九年度におきましては、年度初めに見通しとして発表いたしました消費者物価の値上がり率は、ただいま御指摘のとおり四・二%でございました。しかしながら、その後ずっと経過を見てみますと、当初実質七%の経済成長見通しでございましたが、それが実質九・四というふうに改定せざるを得ないような経済成長ぶりを見せてまいったような事情もございます。また同町に、賃金の値上がり等も相当高い水準にございました。そんな関係もございまして、結局昨年の十二月に昭和四十年の見通しを立てます段階になりまして、三十九年度の見通しを改定した次第でございます。しこうして、三十九年度については四・八%におさめるというふうに改定をいたしましたが、この四・八%という水準は、まだ全都市の消費物価の数字が集まっておりませんけれども、私ども見通しでは、これが大体確保できた、かように見ておる次第でございます。しこうして昭和四十年度以降の問題につきましては、ただいま御指摘のとおり、公共料金の一年間ストップという措置も切れたという事情はございます。しかしながら、これは全般的に抑制的な基調をくずしたというわけではございません。したがって、ケースバイケースで最小限度に、ひとつぜひ公共料金の対象になる企業におかれましても物価の問題に協力をしていただきたい、こういう気持ちで行政運営していきたい、かように考えておる次第でございます。  中期経済計画においても示されておる次第でございますが、中期経済計画では、年率二・五%の上界率に押えたい、こういう計画に相なっております。しかし、これは労賃をはじめ各要素のそれぞれ相関関係から出てまいりました結果でございまして、言いかえれば、二・五%にするためには賃金上昇率というものをどういうふうに見ているかと申しますと、名目で年率七・六%というふうに見ておる次第でございます。しかしながら、こういうことは、これが社会主義の国家であり、国が全部コントロールする状態であれば可能でありますけれども、われわれの日本は自由主義の国でございますから、したがって国でコントロールし得る範囲というものはきわめて狭い範囲である。しかも国家公務員につきましても、民間の給与に準じてこれを引き上げていくというたてまえに相なっておりますから、したがって、政府が全然介入する意思のないところの各私企業におけるところの労使の間のお話し合いによる賃金上昇率というものの結果が、国全体の賃金上昇率という結果になって出てくる。その結果として、それが物価に大きく影響を及ぼしてくることは、これは否定し得ざる事実でございます。したがって、そういうふうな面から、国民全部の力に――経済の仕組みというものは、よくあちこちで物価賃金との悪循環ということが言われておりますが、その悪循環を断ち切るように政府としてはあらゆる努力をし、また、ただいま御指摘のございましたとおり、姿勢としては何とかしてこれを安定的な方向に向けていきたい、かように考えておる次第でございますが、それが、政府が責任を回避するという趣旨ではございませんが、しかし、自由主義経済のもとにおきましては、そういうふうな関係から非常に困難な問題が随所に伏在しているということを、特に申し上げておきたいと存じます。しかしながら、物価の問題は何と申しましても重要な問題であり、特に中期経済計画政府は基本的な考え方として閣議決定をいたしました次第でもございますので、その方向にあらゆる努力を傾倒していきたい。ことに物価上昇一つの原因といたしましては、国民総需要がぐんぐん上がっていく場合におきましては、コストの上昇が直ちに物価上昇ということに転化されていく環境ができるわけでございますから、したがって、国民の消費についても政府としては消費の健全化というような方向を呼びかけてまいっておるのでございますが、幸いにして過去三カ年度間、つまり昭和三十六年度から昭和三十八年までの三カ年度間、毎年個人消費の伸び率は一五%をこえたのでございますが、昭和三十九年度の実績は、まだ判明はいたしておりませんが、ただいままでの見当では、大体一三%程度ではなかろうかという推定ができる程度に、ある程度そういう面で安定的な方向に向かってきておる事実もございますので、政府はその他の面につきましても、御承知のとおり、今年の一月、十項目にわたるところの物価対策を決定いたしましたが、それぞれの項目について各省庁においてあらゆる努力を傾倒していきたい、かように考えておる次第でございます。
  53. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 物価論争の問題に、賃金の問題を中心に、かねがね高橋経済企画庁長官は、賃金政策というものを柱にすべきであるという主張を閣議あたりで述べられていることを私はお伺いしているわけでありますが、いまの二・五%の中期経済計画の中における物価上昇というものの算定の基礎の中に、賃金上昇率を七・六%見込んであるという説明がなされましたれけども、しかし、この問題については、私はここで論争をしようとは思いませんが、基本的な考え方としては、大臣の見解には私賛成できない。やはり政府として今日一体どういう経済情勢の中に日本があるのかということをお考えいただいて、こういうような経済構造の中においてなぜ消費者物価が上がるのか。それはやはり需要と供給との関係もありましょう。しかしながら、基本的には、今日の廃業の転換期にあたって、おくれている農業なり中小企業というものが近代化されていないところに原因がある。そういうような問題を十分に突き詰めていきながら、この物価対策の問題には取り組んでいただかなければならないと思うのであります。今日、大臣も御承知のように、三月の企業の倒産件数は五百二十一件、しかも負債金額は戦後最高の九百九十億円という状態にふくれ上がっておる。しかも、これは単なる景気循環的な要因ではなくて、構造的な原因がこの中にはひそんでいる。しかも企業間信用の増大というものは、二十三兆円という膨大なものになっている。そういうような形の中で、国民の消費の問題をお取り上げになりますけれども、やはり消費の健全化ということは必要ではあるといたしましても、いわゆる在庫指数はますますふえていくわ、それにこのような企業間信用は膨大な数にのぼっている。しかも貯蓄率はどうかと見てみれば、これまた世界一というような状態にあるわけですから、やはり全体的な中で、今日このような事態を招いたのははたしてどこに原因があるのか。私たちは、やはり独占資本の過当競争といいますか、民間におけるところの設備投資がこのような事態を引き起こしている、根源はそこにあるのだ、物価上昇の根源はそこから生まれてきている、こういう見方をとっているわけであります。この点についてこれ以上論争をいたすつもりはございませんので省きますが、ここで一言時間内に大臣にお尋ねをしておきたいのは、中期経済計画と地域開発の問題であります。ここにも中期経済計画の中の社会資本分科会の報告書をいただきました。これを見てみますと、次のように述べられています。「地域問題の整理」というところで、「資金の効率を高めるためには」云々というようなことから「地域問題についての正しい理解が必要であるが、遺憾ながらわれわれは、この点について十分検討する余裕がなかった」、今日その縦割りの行政機構というものが、地域問題の解決のための立案実施において特に顕著にその欠陥を露呈をしている。まさしく中期経済計画の中で十七兆八千億という社会資本の充実の計画が立てられました。ところが現実に、私は後進地域の出身でありますが、私の鹿児島のようなところは、だんだんに産業の基幹労働者がいなくなる。そして農村地帯は老齢化し、婦女化しつつあるわけです。そういうようなことで、能率をあげなさいというのももう限界にきました。今日農産物の生産の面においてもすでに大きな隘路が出てまいって、これ以上の期待はできないという段階にまできているようであります。そういうような場合において、廃業構造政策を考えていく場合においても、あるいは地域開発の政策を進めていく場合においても、現在たとえば地域開発の推進の一つの柱になる道路行政一つとらえてみましても、公団方式によります道路開発行政というものと公共事業を中心にする行政というものが――高速自動車道路等は、これは有料道路という形で、なるほど都会を中心にする投資でなければあとあとの収支計算ができないので、そちらのほうに重点が移るということはやむを得ないといたしましても、その他の行政投資といいますか、これはやはり地域格差を是正するという方向から問題をとらえていかなければならないのじゃないか。それをやはり経済政策の合理性という問題から推進をしていくというかまえでまいりますと、大きな壁に突き当たって、ますます格差は拡大をする。年々格差は拡大をしつつある。それを経済合理性だけを中心にいたしますならば、社会開発も格差を拡大した中において進められるということになる。そこで中期経済計画社会資本の充実等についてはまだ十分な検討がされていないということを、すでに報告書の中においても指摘されている。さらにこれは「新生活通信」の記事でございますが、団地はお断わりだ、きらわれる団地という社説が出ております。団地は、昔は市民税、住民税が入るから大いに来てくださいと言っておったものが、今日は東京近辺の府県においては、もうお断わりだ、こういうようなことが言われている。これは総合的な住宅行政についての欠陥というものが露呈されたことになる。だから、これらの社会開発を進めていく場合においては、公共的な施設を充実しなければならないという問題もありましょうし、あるいは輸送その他の生活環境の整備の問題も伴ってまいりましょうし、国民生活局というものをおつくりになる以上は、これらの問題を総合的な立場で十分分析されまして、国民がひとしく期待をしている姿の中で行政が行なわれるような方向にしてもらわなければ、せっかく機構だけはでき上がったけれども、そして二十名くらいのスタッフでやられるということにはなるわけでありますが、しかし、現実に生まれるものは何もなかったというのでは、まことに国民は失望のきわみこれ以上のものはないということになると思いますから、そこら辺を十分に検討されることを要望かたがた、これらの地域開発の問題といま申し上げました総合的な社会開発政策の問題についての御回答をお願いをいたします。
  54. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 御答弁の要求はございませんでしたけれども、前段の面、つまり生産性の格差が存在する中で所得、賃金の平準化が行なわれる。そのために消費者物価を押し上げるという方向にあるという事実を、私ども閑却しているわけではございません。したがって、四十年度の予算におきましても、予算全体の平均の増加率は一二・四%でございましたが、中小企業につきましては三一%、農業基盤整備等につきましては二〇%というふうに、それぞれ重点的にそういうような方面に配慮をいたしておることをこの際特に申し上げておきたいと存じます。もちろんこれで十分だとは存じませんが、その方向努力いたしているという、一とを申し上げておきたいと思います。  それから管理価格の面についても言及がございましたが、今日製品がむしろ過剰生産だという御指摘がございました。日本のような製造工業の機構の場合におきましては、過剰生産の場合においてはむしろ物価の下落が出てくるのが当然でございまして、管理価格によってこれがもしも完全に維持され、またはこれが引き上げられるという方向にあるならば、ああいうふうな倒産等の件数もそれほど多くならずにきたのではないか、私どもはかような分析をしておる次第でございます。  なお、地域問題については、御指摘の点まことにごもっともでございまして、経済審議会におきましても、この点を重大問題として取り上げた次第でございますけれども結論を得る段階に至らずして、結局経済審議会に地域部会を設けてさらにその面の検討を続けていくという考え方をし、地域部会を設置した次第でございます。ところで、社会開発という観点から考えますと、御指摘のとおり、単に都会地の住宅の建設が行なわれ、生活環境がよくなるということだけで社会開発の目的が達成されるのではなしに、むしろ国全体としての立場から調和のある発展がなし遂げられるというのでなければ、社会開発の目的は達成できない、かように存じておる次第でございます。したがって、政府といたしましては、なるほど経済審議会の答申はまだ出ておりませんが、同時にすでに、たとえば低開発地域開発促進法というふうな法律、または新産都市の法律、工特法、その他災害常襲地帯に対するところの法律とか、いわゆる地域立法というものを非常にたくさん立法いたしまして、これに基づいてそれぞれの施策をいたしますと同時に、他方におきましては、過密都市の問題につきましても、これと本格的に取り組むために過密地対策についての閣僚懇談会も政府部内に設けて、これが解決に一歩を踏み出したい、こういうふうな決意をしている次第でございます。
  55. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 時間がまいりましたのでやめますが、地域開発をお進めになる場合において、今日のように所得の格差が拡大をして、そしてこれが産業間はもちろんのこと、地域間においてきわめて大きな格差の拡大が見られる。これをわれわれは座視するわけにはまいらない。そこで、そういうような企業的な投資というものは大都市を中心にせざるを得ないだろうけれども、公共的な行政投資等につきましては、これを現在の格差を是正をするための一つの方途として、僻地に使うべきだという主張をいつもしているわけでございますので、これにつきましては、十分今後この問題について経済企画庁が中心になって努力をお願い申し上げたいと思うのであります。  それと、消費者の四つの権利といいますか、生命財灘が安全だという権利、さらに情報を得る権利、さらに第三点は自由に選択し得る権利、第四は文句をつけ、それを聞いてもらえる権利、この四つの権利が、今度国民生活局を生み出したその中で十分に生かされて、臨時行政調査会等でも指摘いたしておりますような形の中で、審議会等も機能がまだまだ十分ではないと思いますけれども、そういうような方向を向いて努力をされますように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  56. 河本敏夫

    河本委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際休憩いたします。    午後二時二分休憩      ――――◇―――――    午後三時五十七分開議
  57. 河本敏夫

    河本委員長 これより再開いたします。  皇室経済法及び皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。
  58. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 皇室経済法提案の理由説明を先日お伺いをいたしたのでございますが、まず第一に総務長官にお尋ねをいたしたいのは、この提案の理由得の中に掲げてございますように、「宮中行事をはじめ内外御交際、各種行事への御出席等公的な諸行事に参加をされる例となっており、」こういうことでございます。そこで私は、ここで皇族の公的な行事というものは、日本憲法並びに皇室典範の中から、どのようなものが公的な行事であり、そしてまた私的な行事とは一体何ぞや、この問題についての見解をはっきりと承っておかなければならないかと思うのでございます。御承知のように、天皇につきましては、国事行為を行なうという権能が憲法によって定められておるわけでございます。ただし、その国事行為につきましても、憲法で定められたものは、国会指名、内閣の指名、内閣の助言と承認を必要といたします儀礼的な行為としてこれが認められているわけであります。しかしながら、憲法上からも、あるいは皇室典範の上からも、皇族が公的な行事として行ない得るものという内容が明確に示されていないことは、御承知のとおりでございます。しかるに、今回提案をされましたこの皇室経済法及び皇室経済法施行法の一部を改正する法律案提案理由の説明によりますると、この文章をこのとおりの形で読みまするならば、宮中行事もこれは公的な行事であり、あるいは内外御交際も公的な行事であり、各種行事への御出席も公的な行事であるという文章に相なっているわけであります。とするならば、そのいわゆる皇族の公的な行事というものを総務長官はそのような形で御認識になり、また宮内庁としては皇族の行事というものはそのようなものが公的な行事である、こういうふうにとらえておられるのかどうか、この点について御見解をまずお聞かせを願いたいのであります。
  59. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 皇室の公的行為とはどういうものか、そういう御質問かと思うのでございますが、皇族の公的行為とは、皇族の御身分をもって国民のためにつとめられる行為、こう考えるわけであります。これは具体的にたとえて申しますと、憲法規定されております。たとえば天皇の大使、公使に対する接遇という以外に、対外的には外国から公的な賓客がお見えになる、また外国の使臣を接遇されるという外国との交際行為でございまして、従来も国賓、公賓等を皇族が空港において迎えられるとか、あるいは接伴皇族として接伴に当たられる、あるいは宮中の招宴、宴会等に出席される、あるいは外国の大公使を招かれて宴会をされる、あるいはカモ猟等においでになられる、さらにまた外国大公使の催されるパーティとかく会合、あるいはわが国で開かれる国際的な会合に出席する、そうしてまた親善を深められる、またときには国際的親善友好のために外国を御訪問される、ただいま申し上げましたような、こういうことで国民のために国際親善を深められる、これらがいわゆる外的な公的行為と考えられます。これとまた内約な公的行為、これは政治的でない会合、たとえば体育の大会とかあるいは芸術、美術等の会、あるいはまた社会福祉関係の大会等の役員をされたり、あるいは御出席をされて励まされる、さらにまたこれらの公的な団体でございますね、この式典等に出席をせられて一段と光彩を加えるというようなことで国民のためになさる行為、こういうふうに概略的に解釈をいたしております。
  60. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 ただいま臼井長官お話しになったのは、政府の統一的な見解として承って差しつかえございませんか。
  61. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 政府としてはさように考えている次第でございます。
  62. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますならば、天皇の場合には、その国事行為として行なうものについて、内閣の助言と承認、あるいは国会の承認その他の前提の規定というものがあるわけでありますが、皇族の場合には、内閣の指名なりあるいは内閣の助言と承認、あるいは国会指名、こういうようなものは必要性がない、自由にその会合には出席をする。こういうようなことは、その判断を下すものは皇族のその人であり、その基準というものも別に定めがない、こういうふうに受け取って差しつかえないのでありますか。それとも内閣の助言あるいは承認、こういうものの関係が伴うものであるのか、この点についての見解はいかがでありますか。
  63. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 天皇の行なう国民のための国事行為というものは、内閣の助言と承認によって行なうわけでありますが、他の皇族に関しましてはこういう規定は別にございませんけれども、皇族という地位が憲法また皇室典範によってきめられておりますので、したがって、その皇族という立場におかれて、国民のために公的な行為をせられる、こういうわけであります。  そこで、公的か私的かという判断の問題につきましては、内閣の助言と承認という問題でなく、これは宮内庁のほうで判断を下すべきものであろう、こう考えます。
  64. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 宮内庁は、そういうような判断の基準といいますか、判断を下す二とを慣習的におやりになっているその基準というようなものがあるとするならば、公的な行事というものはこういうようなものである、これは私的行為の範疇に入る、こういうような区分の方法について、基準というようなものでもおつくりになっているのであるか、この点について私はただしておかなければならないと思うのであります。というのは、われわれは、国事行為というものにつきましては、憲法上十の行為が天皇の権能として内閣の助言と承認あるいは国会の承認等に基づいて行なわれるたてまえになっている。そこで、国事行為については、これについて拡大をすることは許されないという解釈をいままで立てております。ところが、これに対しまして、政府憲法上十の行為に限定をされているのではなくて、天皇の純然たる私的行為外にも公的な行為というものが存在をするといたしまして、公的な行為は国政権脂を含んではならない、内閣の責任のもとにおいてなす、これが今日まで天皇の公的行為というものに対する内閣としての運用の基準であり、責任の所在を明確にするという意味における政府解釈でございました。これはそういう統一的な解釈を今日までおとりになっていることもわれわれよくわかっているのでありますが、皇族につきましては、その基準等について、いままでそのようなものを国会において承った例がございません。したがいまして、私は、公的な諸行事に参加をするというのは公的な行為である、こういうふうにみなさざるを得ない。公的な行為とは何ぞやということになってまいりますと、天皇が行なう国事行為というもの、あるいは公的な行事というものへの参加という問題と皇族が自分の皇族という立場から行なう行為との間に関連性がなければならないと思うので、ただいま宮内庁のほうにおいてこの問題についての判断は下すことに相なっているということでございますので、それならば、公的な行為というものはどのように基準を設定されておやりになるのか、それを承っておきたいのでございます。
  65. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 皇族の公的行為の基準ということになりまするが、皇族公的行為にはどういうようなことがあるか、総務長官がおっしゃいましたようなことでございまして、その基準は、天皇の公的行為の場合に考えられる国の政治にわたらないという点、これは同じように皇族についても言われます。また、内閣の責任下にあるということも、これも言えると思います。皇族が公の立場で国民のために行為されるその公的行為というものにつきましては、宮内庁のほうでそのお世話をするわけであります。宮内庁の任務は、皇室に関する国家事務、こうなっておりますが、この皇室というのは、天皇陛下以下ずっと各皇族を全部含んだものであります。その皇室に関する国家事務というのが宮内庁の所管する事務になっておりますので、したがって、その公的な面におきましては、やはり宮内庁が所管する事務であります。宮内庁は、これまた内閣総理大臣の管理のもとにあるのでありまして、やはり内閣の責任下にある一つの国の機関であります。したがって、皇族の公的行為に関してお世話をいたします関係は、やはり内閣の責任下にあるということになるのであります。  なお、そのほかに私的行為があります。皇族がいろいろ研究をされておる。あるいはオリエントの研究をされるとか、そういうようなことでやっておられる、これは私的なことであります。また、ゴルフ場にお出かけになるというようなこともあります。これも私的なことであります。また、いろいろお友だちとか親戚とか、そういうものの御交際、これも私的なことでありまして、公的ではありません。その面については関与をいたしません。そういうことに考えております。
  66. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、欽定憲法時代から国民主権の憲法に移り変わって、ここに現在の憲法が施行されている、そのたてまえから考えまして、天皇の権能というものは、国民の象徴としての存在である。と同時に、今日までの日本の歴史の発展過程の中で、天皇制に結びついたいろいろな問題が派生をしてきたところから、今後天皇を象徴として、日本国民の統一的な存在として存続させていくためには、国権の権能以外の地位に置かなければならない。そしてそれは象徴的な国事行為を行なう存在として天皇を認め、今後の存続をはかっていかなければならないという国民の総意に基づいたものが、天皇の地位、天皇の行なう公的行為として憲法七明示されているものだと、私は受け取るのであります。とするならば、それを政府の助言、承認という事項の以外に、政府の責任において行ない得るものというもの、これが拡大をされて、とめどもなく進められていくということになりますると、きわめて重大な問題が将来にわたって派生をする。そこで、こういうふうに憲法上明らかな地位にあります天皇については、いずれも公的行為、私的行為は、もちろん人間として存在をし得るわけでございますから認め得るといたしました場合に、一体今日の皇室を形成をいたしておりまする皇族の方々について、どのような方向でこれを承認をする、公的な行為というものはこれこれである、私的な行為というものはこれこれである、このような一つの基準というものを設定をしなければおかしなことになるのではないか。天皇についてはきわめて明確な規定がある。皇族については、皇族典範にも、その特権というようなものはもちろん明示してあります。しかしながら、この内容について、これを不明確にしたまま、まあ皇族だからというような形でこれが手軽に処理をされていくということになりますると、国民の総点に基づいてつくられておりまする憲法上の問題も派生をするし、地に及ぼす影響というものもあろうかと思うので、いまほど申し上げましたような基準点というものをお伺いをいたしているわけであります。ところが、提案理由の説明の中に出てまいりましたように、宮中行事というものは公的なものであるのかどうか。私は、宮中行事が公的なものと法的なものとに分かれていると思うし、またその宮中行事というものがどのようなものを意味しておられるのか、これについても疑義を感じまするし、たとえば伊勢神宮に参拝をされるというような事態、これは公的な行事としてお考えになるのだ、こういうことになってまいりますると、この問題については宗教上の、憲法上の制約という点もございます。いろいろな問題点がここには派生をすることになります。「官中行事をはじめ内外御交際」、これは私的な交際もあろうかと思う。そういうようなものが、この文章表現からまいりまするならば、すべて公的な諸行事ということに相なる、こういうような文章表現でございますので、お尋ねをしているわけでございますが、これらのここに掲げられている行為は、これは公的な行事に参加するということは公的な行為として認めた場合に、すべてこれは正しいものとして考えることが憲法上はたして妥当であるかどうか、この点については法制局の見解をお尋ねいたします。
  67. 荒井勇

    ○荒井政府委員 ただいま村山先生から御質問のありました、宮中行事といいましても、その中に、公的なもののみということはできず、私的なものも当然あるのではないかという御指摘でございますが、それはまさに御指摘のようでございまして、たとえば内廷において行なわれますような祭祀の挙行でありますとか、村山先生の御指摘になりました伊勢神宮への御参拝というようなことが、公的なことであるというふうには考えておりません。それから季節的な休養をされるための御旅行というものがありましても、それはまあ天皇なりあるいは皇族としての私的な行為である。あるいは学習院で同窓の会をなさるというようなところにお出になるというのも、その学習院の同窓の一員としてお集まりになるということで、それは皇族として、あるいは天皇として、その地位を代表して御行動なさるというものではない。ですから、内外の交際という中にも、皇族として、あるいは天皇として、すなわち日本憲法上の象徴として、あるいはその象徴たる天皇の皇位の継承の古格を時っておる、あるいは憲法第二条の規定によって、皇位が世襲のものであるという、その世襲の皇位の継承者の一員といいますか、そういう可能性を持たれた方という立場で、外は外国との間の交際をなさり、あるいは国内において名和の国民的な意義を持った会合等にお出になる、巡幸なさるといったような面があるとすれば、それは公的であって、その内外の交際あるいはその他宮中諸行事という中のすべてが、公的な行事であるというふうには考えておらないわけでございます。
  68. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 だから、私が提案者である臼井長官にただしておりまするのは、この文章表現からまいりまするならば、「宮中行事をはじめ内外御交際、各種行事への御出席等公的な諸行事」、この文章が私は悪いと言っているのであります。別にこの皇室経済法に反対をする立場からものを申し上げているわけではありませんで、やはり現在の憲法なり皇室典範その他の諸法令、あるいは今日まで政府が言明をしてまいりました解釈、あるいは一つの基準というものがあるわけであります。そのような立場から、一体今日皇族の権能、特権、そして義務、こういうようなものが那辺にあるのかということを調べ上げてまいりますると、特権としては皇位継承の資格、これは皇室典範の一条、二条に明示されているところであります。第二は摂政になる資格、第三は継承を受ける権利、第四は費用の国庫支弁を受ける権利、第五は刑事法上の特権、第六は国事行為の臨時代行の資格、このようなものが持たれていると同時に、義務として、皇族の男子の婚姻は皇室会議の議決を要するし、養子をすることができない、また皇族は財産の授受について国会の議決を要す、このような制限の規定のもとに置かれているわけであります。これらの立場から考えてまいりまするならば、当然に公的な行事とはこういうようなものである、内外の御交際の中にも私的な行事も入る、町中行事の中にも私的な行事が入る、それは皇室の一員として、皇室だけでおやりになる行事というものが宮中行事の主たるものである、私たちはこのように受け取っておりまするがゆえに、この点についての提案理由の説明のところは御訂正になってしかるべきではなかろうかと思いますが、いかがでございましょう。
  69. 臼井莊一

    ○臼井政府委員 これはなるほど御指摘をされると、そういう誤解も確かに生ずるわけでございまして、「宮中行事をはじめ内外御交際、各種行事への御出席等公的な諸行事に参加をされる」と、こうなっておりますので、ただこの文章が不正確と言われればまことにそのとおりかと思うのですが、この意味は、確かに宮中の諸行事の大部分はもちろん公的でございましょうし、それから内外御交際または各種行事のうちの大部分はやはり公的なものが多いというので、それを取り出して「御出席等公的な諸行事」と書いてあるのでございますが、これを確かに正確に言えば、内外御交際等のうち公的行為と、「のうち」というようなことを入れれば、その点が誤解が生じなかったと思うのでございます。要するに私的な行事、御交際等を除いて、大部分を占める公的な行事等についてここにあげてあるわけでございまして、その点はひとつ内外御交際等のうちの公的行為と、こういうふうに御解釈をいただきたいと存ずる次第であります。
  70. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 じゃ、ただいまの点は私が申し上げているような方向解釈をしてくれということでございますので、これ以上触れませんが、宮内庁にこの際申し上げておきたいことは、やはり宮内庁が皇室に関する事項をつかさどることになるわけでありますから……。天皇につきましては、これは国民の象徴として、日本国の象徴としてきわめて重大な地位にお立ちになっているので、そのような立場から内閣の責任においてということで、現在の政府が責任を持って処理するというたてまえになろうと考えるわけでありますが、皇族の場合には、宮内庁に第一義的な専決権といいますか、そういうようなものが与えられているとするならば、当然そこには明確な基準というものをおつくりになって、これは公的行事、これは私的な行為である、こういうようなものについて明確な処理方針を、基準をおつくりになってされることが望ましいと思いますので、この点については要望を申し上げておきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  71. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 公的行為、私的行為のこまかい基準というものはございませんが、先ほど総研長官がおっしゃいましたように、皇族という御身分で国民のためにおつとめになる行為、これは公的の行為というふうに抽象的に考え、個々の問題につきましては、なおその中には政治にわたらないようにするということはもちろんでありますし、それについてなお政府としても責任を負えるような内容のものであるということも加わってまいりますが、そういうような一般的な基準で考えておるわけでございます。  なお、おっしゃいます点につきましては、さらにわれわれも研究いたしてみたいと思っております。
  72. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 と申し上げますのは、だんだん問題がすべて拡大されて解釈されていくということになりますと、憲法等に定めました精神考え方から逸脱するようなことになれば、かえって逆な効果を生ずるということ等も考えられまするので、その点については慎重な配慮をお願いいたしたわけでございます。  そこで、未成年のときに比べて成人に達した皇族の方に、いままでは十分の一の金額ということになっていたものを十分の三にしなければならない、こういうことでございますが、やはり十分の三にするには、そこには何らかの基準というものがあって予算の要求もなされ、そして国会提案をされたものだと思うのであります。といいまするのは、皇室関係の財灘の授受の制限の問題につきまして申し上げるまでもなく、憲法八条あるいは憲法八十八条等によりまして、皇室の経済及び財政についても国民の規制下に置いて徹底的に公明化する措置をとり、新しい天県側というものを民主化する保障とする規定が掲げられているわけであります。そういう立場から考えてまいりまするならば、この財産の点については流動性を持っておりまするので、この原則がくずれるということになるならばきわめて不合理であるという考え方のもとに、理由なく皇室に巨額な財産が流入をするときは、皇室の財閥化を招き、あるいは皇室財政民主化の精神に反するし、また、反対に皇室から財産の流出が続くならば、皇室と特定のものとの好ましくない結びつきが生まれる、こういうようなことを排除する上からも、皇室関係の財産の授受を国会を通じて国民一般に公開をするという原則、しかも国会の議決によって制限を付するという措置が、今日法令上とられているわけでありますし、そうすることによって天皇及び皇族の方々の身辺の公明さを維持するというところにたてまえがあろうかと思うのでありますが、この成人に達せられた皇族の方が受け取られる収入というものと、それから財産の処理、いわゆる包括的な承認といたしまして、さきの国会におきまして、交際のための儀礼上の贈答にかかわる財産等の処分を一人十五万円という金額でございましたが、成人に達した方には贈与あるいは接受ともに六十万円ということに、この前の国会で承認をされております。とするならば、この包括的な承認の事項にかかわります金額、いわゆる条件や価額は、ずっと調べてまいりますると年々拡大をしているわけでございますが、これとの関係があるのかないのかという点が一つ問題でございます。したがいまして、この十分の三に制定をされた理論的な根拠というものと、それから先ほど申し上げました財産の処理権能についての包括的な承認事項であります、その賜与あるいは譲受というものに対する問題のとらえ方との関連性が、どういうふうになっているかという御説明をお聞かせ願います。
  73. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 成年に達せられました方に、従来の規定ですと十分の一、これを十分の三に上げていただきたいというといいますその根拠でありまするが、これは成年に達せられますると、先ほどお話がありましたように、宮中行事、特に儀式関係、それから交際関係のほうへお出ましになります。未成年の方はお出になりません。たとえて申しますると、新年の祝賀の儀に、議員さんもお川ましになりますが、そういうところも、未成年の方は出られませんが、成年に達せられると出られます。あるいは天皇誕生日のときに、外交団を招かれるということがあります。そういうときも、成年に達せられるとお出になります。あるいは外国の国王とか代表団とか、そういう国賓が見えました際の晩さん会あるいは午さん会あるいは茶会等にも、成年に達せられない方は出られませんが、成年に達せられるとお出になります。その他いままでお出にならなかったところへお出になってつとめられるようになります。また、世間的にも成年に達せられた方はいろいろお川まし願いたいというようなことも多く、御交際の場合においても、いままでは子供さんだったのだが、おとなになったのだからという意味での御交際があるわけであります。そういうような関係で、それに伴いまして、御服装の関係ですとか、あるいはその御交際のための経費というものもふえてまいります。そこで、従来の十分の一では低過ぎて実情に沿わないというふうに特に感じたのであります。特にこの際ことしこういうふうにお願いするのは、ちょうど昨年の四月に三笠宮やす子内親王が成年に達せられまして、それまでは成年の方で百家の独立の生計を営まないお子さんの方はいなかったのですけれども、昨年からそういう方がふえまして、その実情を見ますと、やはりだいぶふやしてあげなければ御無理だということが痛感せられたわけです。そこで、現在皇族費の場合に、御当主の宮様に対しては定額、妃殿下に対しては半額、お子さまは十分の一となっておりますが、成年に達せられた方は、妃殿下の場合とそうでないお子さんのちょうどまん中あたりの実際の経費というものが考えられるということで、ちょうどまん中で十分の三というような金額が、一応考えられたようなことでございます。  それから贈答、いろいろなものをお受けになるというようなことの制限を、昨年従来の金額よりもふやしていただいたわけでありますが、これは長く据え置かれてありましたが、一般の物価指数もどんどん上がってまいりますし、世間の生活基準も上がってきましたので、従来の低過ぎたところを直していただいたということでございまして、このこととこの成年に達せられる方に対しての皇族費をふやすということは、関係はございません。
  74. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 ただいま答弁を聞いておりますと、理論的な根拠というものではなしに、まあまあこの程度のものが要るであろう――私なんかは皇族の生活内容をつまびらかに知っているわけじゃありません。宮内庁のほうで実情を拝見をすると、妃殿下と子供の方との間の中間ぐらいがいいだろう、こういう一つの判断の基準を下されたものが、どういうわけで合理的なものなのか、そこら辺がうかがい知ることができないわけでありますから、国民の前に明らかにするというたてまえが憲法上明確になっている以上は、やはりそれの質問に的確に答えることができるようなもっと明快な説明というものがなされなければ、これはやはり宮内庁だけがそういうふうに納得をして、国会のほうでどうもそこら辺のところはおおまかな線にすぎないじゃないかということになりますと、ぐあいがきわめて悪かろうと思うのでありまして、そういう立場から、もう少し説明をつけ加えられることがありそうな気がするのでありますが、その点はいかがでございますか。
  75. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 いま申し上げたようなことで腰だめ的なところがございますのですが、これは三笠宮やす子内親王が御成年に達せられましたその後の実情を拝見しておりますと、やはりこれぐらいお上げしていくのが妥当であるというふうに判断されたわけであります。宮家のほうには、営内庁からは事務官が行っておりまして、いろいろお世話をしておりますが、そういう人からの報告なんかも聞きまして、まあこのあたりというふうに考えた次第であります。なお、三笠宮さまの御長男になられる寛仁親王は、来年の一月成年に達せられます。その方のことも考えまして、まあ実情考えてこれぐらいのところがちょうどよろしいということでございますから、その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  76. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 これ以上は聞かないことにいたしますが、該当者のおられる宮家というのは、三笠宮家だけであります。ほかはないようでありますので、三笠家だけの問題に集中をして質問をするという形になってきそうでございますから、この問題は一般論の問題としては私申し上げて、これ以上はつけ加えないことにいたしますが、やはりもっとそのような腰だめ的な答弁でなくて、国民の前に、皇族ははたしてこれで十分なのか、不十分であるとするならば当然増額をしなければならないだろう。増額をする場合において、いままで十分の一であったものを十分の三にされる場合には、もっとこういうようなのにこれぐらいの金が要るのだという基準を明らかにすることが、私は必要だと思う。その点は、答弁が不十分だという指摘をいたしておきます。今後はやはりそのような問題をお出しになる場合には、十分国民が納得できるような説明をお願い申し上げておきます。  そこで、提案理由の説明に返りますが、最後のところで、「最近における皇族の内外御交際の増加に伴う経費の増大及び一般経済生活上昇並びに宮家職員の給与の引き上げに必要な経費等を考慮し、」こういうことでございますが、皇族の内外御交際の増加という立場から考えてまいりまするならば、たとえば旅行をされる、まあ公的な行為としてされる場合、あるいは私的な行為としてされる場合、いろいろあるでありましょうが、その場合に、旅費その他等について、これは皇族費の中からお出しになるものなのか、この点についてひとつお尋ねをいたします。  それから、この前のだれか別な委員の方の質問に対しまして答弁が出されておりましたが、その答弁を見てみますると、富家職員の給与は国家公務員の給与よりも低い、だからこれを改定しかければなりません、こういう説明を宮内庁の次長のほうでされておったかと思うのであります。そこで、宮家職員とここに掲げてあります職員は、これは宮家で個人的な雇用形態のもとにおいて雇っておられる、まあいろいろな雑務等に携わる人たちであろうと思うのでありますが、宮内庁から宮家に差し出しておる人員は、事務官一人とそれに自動車の運転手、この二人だと記憶をしているのでありますけれども、その他の職員というものが、今日そういうふうに国家公務員よりも低い給与の中で置かれているということは、一体どうしたことなのか、これについての給与の基準なりあるいは労働条件等については、これをどういうふうになさろうとしているのか、この点について、宮家職員の給与の引き上げに必要な経費がこの中に入るということでございますから、説明を願っておきたいと思います。
  77. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 皇族が地方に御旅行になります場合の旅費の関係でございますが、これはやはり必要な場合には皇族費でまかなわれるわけであります。ただし、非常に多額の経費の要る御旅行、たとえば海外にお出になる御旅行というような場合は、これは別途宮廷費のほうから出されるわけであります。そういう場合には、主として予備費をいただいたりして出されている場合があります。しかし、平素の国内の御旅行の場合は皇族費で出すということでございます。  それから人件費の関係でありまするが、これは百家限りでお雇いになっておる国家公務員でない職員の人件費でございまするが、その人たちの待遇状況というものをいろいろ調べてみますると、国家公務員よりも、学校を出て何年たって幾らという場合、幾らか低いというような実情で拝見したわけであります。これは義宮さまが常陸宮家を独立される際に、そのためにいろいろお手伝いをするので、いろいろ他の宮家の実情も、従来よりはもう少し詳しくお聞きした際に、そういうようなことに特に気がつきました。やはりこの職員の給与というものは、公務員より低いということでなくて、同じような基準でいただかれるように計らっていかなければいけないというふうに思いまして、そこで今度の増額は、皇族費で大体二割の増額でありますので、人件費についてもその程度上げていただくようにすれば、公務員とそう劣るということなくていくだろうというふうに私たちは考えておりますので、この法案が通りますれば、そういうように特に宮家にも申し上げて、待遇の改善をはかってもらおうと思っております。
  78. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 現在公務員よりも低い。そうすると、二割引き上げる予定だということで、けっこうなことでございますが、二割引き上げましたときには、今度国家公務員よりも高くなりますね。どうですか。そういうところに給与の基準というものを置かなければならない、こういうふうにお考えになるわけでございましょうか。  それと、ついでにお答えをいただきたいのは、常陸宮家、秩父宮家、高松宮家、三笠宮家、この四宮家があるわけですが、この宮家のそれぞれの職員数というものは、どういうふうになっておりましょう。
  79. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 宮家限りの職員の待遇は、二割方上げました場合、公務員と大体同じくらいになるというふうに計算をいたしております。それによって是正をしたいということでございます。  それから、こういうような宮家限りで雇っておられまする職員は、常陸宮家が五名、秩父宮家が六名、高松宮家が九名、三笠宮家が八名でございます。
  80. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 これらの方々にはそれぞれ公務員並みの労働条件というものはもちろん保障されているものだと思うのでありますが、その点は公務員並みの給与ということに先ほど説明がありました。それと同じだ、こういうように受け取って差しつかえございませんか。
  81. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 今度増額をしてもらいますと、いまおっしゃったように同じくなると思います。
  82. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私の質問はこれで終わりますが、やはりこの際、先ほどから要望を申し上げておりまするように、事が皇室に関する問題でもありまするし、そしてさらにそれは国民の前に明らかにしなければならない皇室財産の内容にも関する問題であります。そうしてまた、きわめて取り扱いが慎重を要する問題でもあります。したがいまして、そういう立場から、これらの問題については、ただいままで説明がなされましたけれども、まだ十分でない点等は先ほど申し上げたとおりでございますので、これらにつきましては、今後やはり国会提案をされます前にそれぞれの準備をしていただいて、国会において国民の前に内容が明らかになるようにされますことを要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  83. 河本敏夫

    河本委員長 次会は、明二十二日、木曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会