○村山(喜)
委員 物価論争の問題に、
賃金の問題を中心に、かねがね
高橋経済企画庁長官は、
賃金政策というものを柱にすべきであるという主張を閣議あたりで述べられていることを私はお
伺いしているわけでありますが、いまの二・五%の
中期経済計画の中における
物価の
上昇というものの算定の基礎の中に、
賃金上昇率を七・六%見込んであるという
説明がなされましたれけ
ども、しかし、この問題については、私はここで論争をしようとは思いませんが、基本的な
考え方としては、大臣の見解には私賛成できない。やはり
政府として今日一体どういう
経済情勢の中に
日本があるのかということをお
考えいただいて、こういうような
経済構造の中においてなぜ
消費者物価が上がるのか。それはやはり需要と供給との
関係もありましょう。しかしながら、基本的には、今日の廃業の転換期にあたって、おくれている農業なり中小企業というものが
近代化されていないところに原因がある。そういうような問題を十分に突き詰めていきながら、この
物価対策の問題には取り組んでいただかなければならないと思うのであります。今日、大臣も御
承知のように、三月の企業の倒産件数は五百二十一件、しかも負債金額は戦後最高の九百九十億円という
状態にふくれ上がっておる。しかも、これは単なる景気循環的な要因ではなくて、
構造的な原因がこの中にはひそんでいる。しかも企業間信用の増大というものは、二十三兆円という膨大なものになっている。そういうような形の中で、国民の消費の問題をお取り上げになりますけれ
ども、やはり消費の健全化ということは必要ではあるといたしましても、いわゆる在庫指数はますますふえていくわ、それにこのような企業間信用は膨大な数にのぼっている。しかも貯蓄率はどうかと見てみれば、これまた世界一というような
状態にあるわけですから、やはり全体的な中で、今日このような事態を招いたのははたしてどこに原因があるのか。私たちは、やはり独占資本の過当競争といいますか、民間におけるところの
設備投資がこのような事態を引き起こしている、根源はそこにあるのだ、
物価の
上昇の根源はそこから生まれてきている、こういう見方をとっているわけであります。この点についてこれ以上論争をいたすつもりはございませんので省きますが、ここで一言時間内に大臣にお尋ねをしておきたいのは、
中期経済計画と地域開発の問題であります。ここにも
中期経済計画の中の
社会資本分科会の
報告書をいただきました。これを見てみますと、次のように述べられています。「地域問題の整理」というところで、「資金の効率を高めるためには」云々というようなことから「地域問題についての正しい理解が必要であるが、遺憾ながらわれわれは、この点について十分
検討する余裕がなかった」、今日その縦割りの
行政機構というものが、地域問題の解決のための立案実施において特に顕著にその欠陥を露呈をしている。まさしく
中期経済計画の中で十七兆八千億という
社会資本の充実の
計画が立てられました。ところが
現実に、私は後進地域の出身でありますが、私の鹿児島のようなところは、だんだんに産業の基幹
労働者がいなくなる。そして農村地帯は老齢化し、婦女化しつつあるわけです。そういうようなことで、能率をあげなさいというのももう限界にきました。今日農産物の
生産の面においてもすでに大きな隘路が出てまいって、これ以上の期待はできないという段階にまできているようであります。そういうような場合において、廃業
構造政策を
考えていく場合においても、あるいは地域開発の政策を進めていく場合においても、現在たとえば地域開発の推進の
一つの柱になる道路
行政を
一つとらえてみましても、公団方式によります道路開発
行政というものと公共事業を中心にする
行政というものが――高速自動車道路等は、これは有料道路という形で、なるほど都会を中心にする投資でなければあとあとの収支計算ができないので、そちらのほうに
重点が移るということはやむを得ないといたしましても、その他の
行政投資といいますか、これはやはり地域格差を是正するという
方向から問題をとらえていかなければならないのじゃないか。それをやはり
経済政策の合理性という問題から推進をしていくというかまえでまいりますと、大きな壁に突き当たって、ますます格差は拡大をする。年々格差は拡大をしつつある。それを
経済合理性だけを中心にいたしますならば、
社会開発も格差を拡大した中において進められるということになる。そこで
中期経済計画の
社会資本の充実等についてはまだ十分な
検討がされていないということを、すでに
報告書の中においても
指摘されている。さらにこれは「新
生活通信」の記事でございますが、団地はお断わりだ、きらわれる団地という社説が出ております。団地は、昔は市民税、住民税が入るから大いに来てくださいと言っておったものが、今日は東京近辺の府県においては、もうお断わりだ、こういうようなことが言われている。これは総合的な住宅
行政についての欠陥というものが露呈されたことになる。だから、これらの
社会開発を進めていく場合においては、公共的な施設を充実しなければならないという問題もありましょうし、あるいは輸送その他の
生活環境の整備の問題も伴ってまいりましょうし、
国民生活局というものをおつくりになる以上は、これらの問題を総合的な立場で十分分析されまして、国民がひとしく期待をしている姿の中で
行政が行なわれるような
方向にしてもらわなければ、せっかく機構だけはでき上がったけれ
ども、そして二十名くらいのスタッフでやられるということにはなるわけでありますが、しかし、
現実に生まれるものは何もなかったというのでは、まことに国民は失望のきわみこれ以上のものはないということになると思いますから、そこら辺を十分に
検討されることを要望かたがた、これらの地域開発の問題といま申し上げました総合的な
社会開発政策の問題についての御回答をお願いをいたします。