○高橋(衛)国務大臣 ただいま物価と賃金に対する悪循環を何とかして断ち切ることが、国民
生活局を設置することの
一つの大きな
目的でなければならぬという御
意見でございますが、もちろんそれも国民
生活局をつくることについての
一つの重要なポイントであると存じます。御
承知のとおり、中期経済計画は消費者物価の安定を
目的としてつくられたところの計画でございますが、この中期経済計画におきましては、名目の賃金上昇率を七・六に押えておるわけでございます。もちろん物価は賃金だけできまる問題ではございません。その他のいろいろな経済諸元の影響を受けて最終的には
決定する問題でございますが、しかし、物価に一番大きな影響を与えるものは、言うまでもなく賃金でございます。しこうして、その賃金を中期経済計画においては年率にして七・六%の上昇率にとどめる、と申しますよりも、七・六という
一つの指標を示しておる次第であります。そういう観点から、物価と賃金との
関係につきましても、今後さらに十分掘り下げた検討をしていきたい、そうしてこの悪循環を断ち切るような方向にぜひ持っていきたいというのが、この国民
生活局をつくる上におきまして非常に重要なポイントであろうかと存じます。
永山先生も御
承知のとおり、英国においては、昨年労働党内閣が政権をとった次第でございますが、昨年の十二月十六日には
政府並びに労使三者間にこれらの問題についての共同声明が発表され、しかも最近新聞の報道したところによりますと、ウィルソン内閣は、賃金の上昇を三ないし三・五%
程度にとどめるべきであるというふうな趣旨のことを
決定いたしておるようでございます。アメリカにおいては、賃金の水準をガイドラインとして
政府が三・二というような数字をやっており、しかも新聞の報道するところによりましても、鉄鋼メーカー側は賃金の上昇を二%ないし二。五%という主張をしておるのに対して、労働組合側は五%の主張をしている。そういうことで、その間の調整がなかなかとりにくい。しかし、その鉄鋼を使うところの製かん、鉄鋼労連に近いところの製かん業の
一つにおきましては、先般三・五%でもって妥結をしたという事例もございますので、そんな
関係から、大体アメリカにおいて鉄鋼ストが起こるか起こらぬかということについては、五分五分というふうな観測が行なわれておるという状況でございます。
そういうふうな外国のいろいろな状況を考えてみましても、
日本の場合におきましては、最近賃金と消費者物価というものがそれぞれ追いつ追われつと申しますか、原因となり結果となりして悪循環を生じてきていることは、事実として認めざるを得ない。したがって、何とかしてこの悪循環を断ち切っていくという方向に向かうのは、これは
日本経済を今後安定的な成長の基調に持っていくという佐藤内閣の方針から申しまして、どうしても必要な、重要なポイントであろうか、かように考えておる次第でございます。