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1965-04-16 第48回国会 衆議院 内閣委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月十六日(金曜日)    午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 荒舩清十郎君 理事 伊能繁次郎君    理事 佐々木義武君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君       井原 岸高君    岩動 道行君       池田 清志君    高瀬  傳君       塚田  徹君    辻  寛一君       綱島 正興君    二階堂 進君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       湊  徹郎君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 高橋  衛君  出席政府委員         総理府総務長官 臼井 莊一君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房臨時農地等         被買収者問題調         査室長)    八塚 陽介君         総理府事務官         (賞勲局長)  岩倉 規夫君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房長)   村上孝太郎君  委員外出席者         議     員 八田 貞義君         議     員 受田 新吉君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 四月十五日  委員湊徹郎辞任につき、その補欠として中野  四郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中野四郎辞任につき、その補欠として湊  徹郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  憲法調査会法廃止及び臨時司法制度調査会設  置法等の失効に伴う関係法律整理に関する法  律案内閣提出第一号)  皇室経済法及び皇室経済法施行法の一部を改正  する法律案内閣提出第一九号)  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二二号)  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二九号)  経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三一号)  厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第七五号)  総理府設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第八四号)  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第一〇一号)  農地買収者等に対する給付金支給に関する  法律案内閣提出第七七号)  駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す  る法律案中村高一君外八名提出衆法第九  号)  行政監理委員会設置法案内閣提出第一三〇  号)  (予)  旧勲章年金受給者に関する特別措置法案(八  田貞義君外十三名提出衆法第二三号)      ————◇—————
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。  先ほどから再三社会党に対し、理事会並びに委員会出席方を要求いたしておりましたが、出席がございません。なおもう一度社会党に対して出席を求めることにいたしますので、しばらくお待ちください。——社会党委員出席をお願いいたしましたが、出席がありません。やむを得ずこのまま議事を進めます。  議事進行について荒舩委員から発言を求められております。これを許します。荒舩君
  3. 荒舩清十郎

    荒舩委員 一言議事進行につきまして発言をいたします。  昨日のILO案件等に関しまして衆議院の各委員会等が紛糾しておるように考えるのでございますが、これは本内閣委員会には関係のないことでございまして、昨日、われわれ自由民主党といたしましては、日本社会党に対しても、あるいは民主社会党に対しましても、理事会を数度にわたりまして開き、明日はいかなる事態が起こっても本委員会は開き得るように主張をしてまいったのでございます。本日は、遺憾ながら日本社会党委員出席がないようでございまして、非常に遺憾でございますが、民主社会党におきましては、民主主義の鉄則並びに議会政治に徹しられまして、ここに本委員会出席されましたことは、私は、非常に民主社会党に対しまして敬意を表するものでございます。(拍手)どうか本日の委員会はきわめて円満のうちに、なお多数の法案提出されておりますから、多数の法案全体につきまして十分審議を尽くされますることを希望いたしますが、委員諸君、御賛成を願いたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり、拍手)  以上申し上げまして、本委員会は、全提出法案について審議を円満のうちに尽くされることを希望いたします。(拍手
  4. 河本敏夫

    河本委員長 憲法調査会法廃止及び臨時司法制度調査会設置法等失効に伴う関係法律整理に関する法律案皇室経済法及び皇室経済法施行法の一部を改正する法律案建設省設置法の一部を改正する法律案大蔵省設置法の一部を改正する法律案経済企画庁設置法の一部を改正する法律案厚生省設置法の一部を改正する法律案総理府設置法の一部を改正する法律案防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案農地買収者等に対する給付金支給に関する法律案駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案行政監理委員会設置法案、旧勲章年金受給者に関する特別措置法案、以上十二法案を一括して、議題とし、質疑を行ないます。永山忠則君。
  5. 永山忠則

    永山委員 旧勲章年金受給者に関する特別措置法案について、質疑提案者にいたしたいと存じます。  旧勲章年金受給者といえば、結局旧金鵄勲章年金受給者と同一の対象であるかどうかという点が一点でございます。  時間の関係がございますから、続けて申し上げますから、どうか記録にとどめてください。  第二は旧勲章の一時賜金受給者にも当然支給すべきものであると考えますが、これに対する所見はいかがでありますか。  第三は、本案憲法十四条一項並びに三項に違反してはいないかという点に対する所見を承りたい。  第四は、軍国主義につながる憂いはないか。民主平和憲法精神に一致しておるかどうか。この点に関してでございます。  第五は、社会保障一環として見るべきであるか、この点でございます。  第六は、金鵄勲章は着用してよろしいかどうか。この点に関しては、提案者答弁後において、賞勲局のほうからも答弁を願いたい。  まず第一に、受田提案者のほうから御説明を求めたいと存じます。
  6. 受田新吉

    受田議員 永山委員の御質問お答えを申し上げます。  私からお答え申し上げる部分は、憲法関係する問題を中心に申し上げ、その他八田議員から重ねて御答弁を申し上げることにいたします。  ただいまの御質問の第一点の旧勲章年金受給者の中には、金鵄勲章以外のものが含まれるかということでございますが、このことにつきましては、旭日章という勲章が、現に年金を伴う勲章として存置されてあります。これは金額にいたしまして、旧制でございますので、戦前と変わらない、高いところで年額約千円程度のものでございますので、現実に存置してありますけれども、新しい経済生活に関連する立場のものとしてははなはだ少額であって、憲法十四条の「いかなる特権も伴わない」という関係とはかけ離れた存在として御了承を願いたい。  ただ、金鵄勲章受勲者支給された年金は、終戦直後の勅令で御存じのとおり廃止されております。その後何ら処遇を受けていない。そこで、今回経済能力を失った特に老齢者に対して、また経済的処遇が失われているそれらのたいへん気の毒な人々に対して、特権的な立場でなくして、その生活を保障するという、いま御指摘の社会保障的性格を帯びた立場法案提出させていただきました。  なお、この金鵄勲章受勲者年金受給者であった人に対する今回の措置は、平和憲法の平和に対する精神に抵触しないかという御質問でございまするが、この問題につきましては、新しい憲法精神の中には、金鵄勲章というものはいま全然ないのでございまするし、昔の制度恩典を受けた人々に対して、そういう特権的なものでなくして、経済的な処遇として、社会保障一環という意味年金にかわる一時金を差し上げようというのでございますから、憲法論から見て、平和の精神に全然抵触する考えはございません。  なお、第十四条の憲法規定の中にあるいかなる特権も付与しないという第三項のこの精神は、これはあくまでも生かすべきであって、現に文化勲章なるものがありますけれども、この文化勲章は、文化功労者に対して、その中で特に文化勲章受勲者をきめるべきであって、この意味においては、文化功労年金というものがすでに支給されておりまするが、これは勲章に対する特権というよりは、文化功労に対する恩典という意味でありまするから、憲法規定に抵触しない。これと同じように、金鵄勲章一時金は、廃止されたかつての勲章受勲者に対する新しい角度からの社会保障という意味でございまするから、第十四条のこの特権という問題には抵触しないということを御答弁申し上げたいのです。  もう一つ憲法二十九条に財産権を侵してはならないという規定がある。この規定は、やはり今度の法案にある程度考慮すべきではないかと思っております。長い間この年金対象生活をしておった人々が一挙にこの年金をもぎ取られるということは、結局既得権を侵害されるということにもなるわけです。その意味では、かつていただいておった年金を基礎に生活をしておった人々に対する既得権剥奪という問題が、一つ一方で考慮されるべきじゃないかと思います。そういう意味で、古い軍国主義思想金鵄勲章受勲者に対する恩典という意味は全然取り入れないで、そのかつていただいておった年金による生活権をこの機会に、特にお年寄りでもあるし、それをお守りして、老後の生活を多少でもお楽にしてあげたいという心づかいから出た法案であるということを御了承いただきたいのであります。
  7. 八田貞義

    八田議員 ただいま永山委員から御質問になりました点を、個条書き的に御答弁いたしたいと思います。  まず第一の質問の点は、旧勲章一時賜金受給者生存者にも一時金を支給してはどうか、こういう御質問であったかと思います。今度の御審議願っています法案は、武功顕彰とかあるいは社会保障とかを目的とするものではございませんで、単にかつて年金を受けておられた既得権地位の保護を目的とするものでございます。したがいまして、一時賜金受給者にも年金受給者と同じ取り扱いをなすべきかどうかにつきましては、賜金の性質上及び他の一時賜金受給者との関連で、これに拡大適用することは適当でない、こういうふうに考えております。  もう一つ、旧金鵄勲章年金受給者のみを対象としまして一時金を支給することは、憲法第十四条に抵触することになりはせぬか、こういう御質問でございますが、第十四条第一項に反するかどうかという点につきましては、われわれはこういう見解を持っております。  旧年金受給者というのは、昭和十六年に金鶏勲章年金令廃止されたあとにおきましても、なお旧令によりまして昭和二十一年まで年金を受けておられたのでございます。いわゆる既得権者と見られるという一点と、次は支給を受けられる方々が満六十歳以上の老齢に達しておられる。したがって、経済的な能力というものを失っておられる人が無常に多いのでございます。こういった実情から考えまして、さらにまた支給額が過大ではないという点を考慮に加えてまいりまするならば、他の戦争犠牲者との比較におきまして、法のもとに平等であるという条項に反するというふうには考えられないのでございます。  もう一つ、一時金支給に関連しまして、十四条の三項の違反とならぬか、こういう御質問でございますが、本法案は旧金鵄勲章年金受給者のかつての既得地位にかんがみまして、これに対しまして特別一時金を支給するものでありまして、旧金鵄勲章栄典として復活しまして、これに一時金を伴わせようとするものではございませんから、憲法第十四条三項の「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない。」という条項に反するものというふうには考えられません。  それからもう一つは、受田委員からも御答弁がございましたが、こういった旧盆鵄勲章授賜者に対しましての処遇改善というものが、いわゆる日本国憲法基本原則であるところの平和主義に抵触しないか、こういう御質問でございますが、このたびの処置は、戦功を立てた方々に対するところの評価を新規に行なうものではございませんで、かつて受給しておられた方々年金を失わさせられた経済的損失に着目いたしまして処遇改善を行うものでございまするから、平和主義に反するものというふうには考えられないのでございます。  そうしてまた、こういった一時金の支給法案に対しまして、むしろ社会保障一環として考えたほうがよかったのではないかというふうな御質問でございまするが、本法案によるところの一時金というものは、老齢者支給されるものでありまするが、これらの処置というものは、先ほどから申しておりまするように、かつて持っておられたところの既得地位に着雪して講ぜられるのでございまするから、社会保障の観念で律し切れるものではないというふうに考えるのでございます。  以上、御質問に対して御答弁いたします。
  8. 岩倉規夫

    岩倉政府委員 金鵄勲章は、昭和二十二年政令四号で廃止になっております。したがって、現行勲章ではございませんが、これを御佩用になることは御自由でございます。
  9. 永山忠則

    永山委員 一時賜金受給者にはこれは必ずやるべきものであるということだけを提案者に一言申し上げまして、あと質問を保留いたします。     —————————————
  10. 河本敏夫

  11. 綱島正興

    綱島委員 農地報償問題についてお尋ねをいたします。  第一点に伺いたいことは、補償とせずに何ゆえ報償という字を使われたか、こういう一点であります。  もう一点は、報償価格があまりに寡少ではないか。  第三点は、もともと農地買収されるときに価格が非常に安きに過ぎておりはせぬか。御承知のとおり、これはちょっと御説明申し上げますが、農地補償するときの価格は、これは実は当時の米価から換算してやられたのでありますが、その米価の設定も、換算に用いられた額と食糧庁が買い受けた額とは、実は食糧庁の受けた半額でやっておられるのであります。もっとも食糧庁は、最初農地補償に用いられた額を実は設定したのでありますが、世論の反対にあうて、とうとう倍額で買い受けておるのでありますから、この点が非常にいかぬのじゃないか。  いま一つは、未開墾地、それから牧野、こういうものについてどうして補償するようにされなかったか。さらに物納を何ゆえに除かれたか、こういうことをお伺いいたします。  なおごく簡単にお答えを願いまして、いずれまた機会を得て十分に御質問申し上げます。
  12. 臼井莊一

    臼井政府委員 本案が、農地補償法案でなくて、報償ということばを使っている理由はどうかというお話でございますが、これはすでに最高裁でも裁判で決定が出ておりまするけれども、当時といたしましては適当と認められる対価政府買収をいたしております。したがいまして、今回の報償といたしました理由も、これが前回の買い上げ値段が足りないからこれに対してあとから追加払いをするという意味でございませんで、結局戦後の非常な混乱期において農地を解放したということによって、農村のいわゆる民主化というものに対して、旧地主が、いわゆる被買収者が非常に貢献をした、その功労というものを多といたしまして、これに対して報償をしようという意味において、したがって報償という文字を使ったわけでございます。  次に、これ値段が低過ぎはしないかということでございます。これは、いまも申し上げましたように、今週の給付金支給は、農地という財産買収されたことによりまして非常に貢献されたということをいま申し上げましたが、さらには農地買収者が心理的にも、また経済的にも非常に影響をされたということは、もう世間で周知の事実でございまするので、そこで支給金額をどの程度にしたならば、いま申し上げたようなことが最終的に解決できるかということを、この問題の緊要性とともに、社会的な公平な立場を総合的に勘案いたしまして、さらには財政的な事情考慮いたしましてきめたものでございまするので、政府といたしましては適当な価格である。また御承知のように最高裁の判例におきましてもこれが適当であるというような判決があるわけでございまするので、その点は御了承いただきたいと存じます。  なお、未開墾地をなぜ加えなかったかということにつきましては、当時これを立案いたしました事務当局のほうが詳しいかと存じますので、その関係者のほうから御答弁申し上げることにいたします。
  13. 八塚陽介

    八塚政府委員 ただいま御質問になりました未墾地等の問題でございますが、これは先生も御承知のように、未墾地買収につきましては、すでに昭和十三年、つまり戦争以前に農地調整法が出ております。その農地調整法の中におきましても、農地の合理的な使用、つまり逆に申しますと地主小作という問題ではなくて、農地が利用されない状態にある場合にはこれを政府が指示をして買うというような制度になっております。それ以後、確かにお話しのように自創法の中にもございます。しかし、なお現在の農地法の中におきましても、農地高度利用、具体的には食糧の増産等の場合にはそれを使用するという目的のために高度利用をするというようなことで、つまりこれは地主小作という関係改善する農地改革とは違った範疇のものでございますので、今回のいわゆる報償法案対象から離したわけでございます。なお、物納につきましても、補足いたしますと、物納も、御承知のように、確かに農地証券をもってかえるというようなこともございましたが、しかし、これはやはり税でございまして、しかも具体的な事情はあるいはお気の毒であるということも私どももわからないわけではないのでございますが、物納というものを農地に限って報償対象にいたしますと、これは当時の財産税物納一般論関係をいたしてまいりますので、私どもといたしましては、やはりこれを切り離すことが至当であるというふうに考慮いたしたわけでございます。
  14. 綱島正興

    綱島委員 御議論を伺いましたが、実は最高裁判決相当額だということが決定しておるし、またあれは非常に違憲でもないというような判決もされておるのであります。御承知のとおり、法は遡及せずということは、これは世界的の法律法則です。法律あとから、つくってどんどん前のやつをこわしていくということなら、法の治安というものはその日からこわれるものであります。ただ、最高裁がとっておるのは、御承知のとおり、刑法については特にあとからできた法律で前の無罪を処罰してはならないという規定から遡及を否定しておるが、民法については、特に憲法規定がないからこれは遡及してもいいんだということだというのでありますが、旧憲法にもそういう規定は何もありません。また世界じゅう、法は遡及せずという規定をしている法律は、ほとんどないと思うんだ、各国の例に。何がゆえ日本だけがこういうことをしたか。しかし、最高裁がした判決だから、私どもはこれをぶちこわすといって乱暴するわけにはいかない。だから、ひとつ考えていただきたいことは、事態の変化によって最高裁判決事態に沿わなくなった場合、あるいは本来おかしい場合、立法府がこれについて新たな立法によってこれを是正することは妥当だと思うのでありますが、立法府において、立案する場合の提案について、実はその点を御加味になったかどうか。それは最高裁のおっしゃることだから、地頭と泣く子には勝てないという思想でやられたかどうか、そういうことをちょっと伺っておきたい。
  15. 八塚陽介

    八塚政府委員 最高裁判決は、自創法に基づきます農地改革、特にその対価について妥当であるということでございまして、これは私どもといたしまして、御承知のように、最高裁判決の過程におきましても、少数意見もあったわけでございます。しかし、最満載の判決が一たん出たわけでございます。そういたしますと、かりに立法をいたしまして、最高裁判決と矛盾する立法をした場合には、再び最高裁がまた同じ判決をするということに——つまり将来に対してではなく、過去の一つの事実に対して矛盾した意見というものは考えられないわけです。過去の事実に対して最高裁はある一つ判決をした、そういう事態がもう一回将来出た、その場合に、再び立法府がある程度最高裁判決とは離れて立法されることは、これは別の問題になると思います。昭和二十年から二十五年までの一つの事実に対して、最高裁がすでに意思を表明した。それに対して、同じ過去の事実に対してもう一ぺん立法をするということになると、立法司法の繰り返しになります。しかしながら、私どもはそういう観点から、最高裁判決というのは、終始一貫前提として考えた。ただ、私どもの今度の法案は、これは非常に高級な政治的な段階でいろいろ議論されたことでございますから、われわれ事務当局があまりとやこう申すのは適当ではないかとも思いますが、やはりそういう最高裁判決とは明らかに関係のない世界において、今度の法案が作成されたのであるというふうに了解いたしております。
  16. 綱島正興

    綱島委員 なるほど、今度の法案立法は、最高裁判決の範囲でやられた、それはわかります。また事務当局でやられるのだからしかたあるまい、これもわかります。しかしながら、最高裁で一ぺん判決が出た以上、事態がいかように変化していこうが、すべてのことは最高裁判決どおりいかなければならぬということは、これは民主主義は、立法府における行為は、男を女にするということはできないが、他のいかなることもなし得るという法則に、これは基本的に反する。それで、こういう点は、今後立案される場合にも、考慮に入れてひとつ御立案を願いたいと思います。ただ、それがゆえにこの法案を否定しようというのじゃございませんが、多少の遺憾をその点において持っておるということでございます。  それから、御承知のとおり、二十年から二十七年までかかって買い上げたわけでありますが、実際は二十二年からでありますけれども価格決定は二十年の秋を現在としてやっておりますから、こういう摩詞不思議なこともやっておるのでありますが、これが大体物価は四百倍にもなっておる。それであるにもかかわらず、この二万円という価格は少し寡少じゃないか。ここにもう一つ伺いたいことは、御承知のとおり、土地には上中下がございます。その上中下というものは、御承知のとおり、秀吉の地検からちゃんときめてある。石高をきめるにそれできめてある。それで、その後は農林省がその事態に即応するように賃貸借価格というものをきめてきておるのであります。これを何ら考慮することなく、一反歩について二十俵もとれる、あるいは十五俵もとれるところも二万円、わずかに三俵か四俵しかとれないところも二万円、これはちょっと考慮が足らぬのじゃないか、あまりにこの立法はその点の考慮が足らなかったのじゃないか。なければしかたがないが、農林省がその点はわりあいに科学的に賃貸借価格というものをきめておりますので、これに順応した価格によってやられるほうが妥当ではないか、こう考えるのでありますが、この点についてはどうでございますか。
  17. 臼井莊一

    臼井政府委員 この給付金支給は、旧賃貸借価格を基準としてやったほうがむしろ公平ではないかというような御意見だと思うのであります。しかし、これは先刻も申し上げましたように、補償ではなくて報償というのでございますので、個々の被買収者農地について、旧賃貸価格で表示されておるようなこまかい財産的な価値の相違を考慮してやるというのではございませんので、そういうやり方でなく、ここに提案されておるような方法のほうが報償という意味からいえば適当である、こう考えて、本案をこのような内容にいたした次第でございます。
  18. 綱島正興

    綱島委員 これは、実は国際戦争で負けますと、敗戦国は必ず土地が一番安くなる。そこで、土地のその後の価格に対するものによって、価格の差によって敗戦国の経済再建も行なわれたということは、これはローマ以来の世界の法則で、最近幾らかこれが薄らいだという事情にございます。そこで、この土地価格というものについては、実は各国慎重にやっておる。日本は国際的戦争で負けたのはこれが初めてだから、唐突としてこういう立法をやっておるので、世界は必ずしもそうじゃないですよ。これはお調べくださればわかるが、ローマからやっておるのですよ。それで、私はこういうふうに簡単にやってこられたことはちょっとばかり理解に苦しむのでありますが、御趣旨はよくわかりましたから、私の質問はこれで一応留保いたします。     —————————————
  19. 荒舩清十郎

    荒舩委員 議事進行。先日来審議をいたしております経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質問を続行されますことを希望いたします。
  20. 河本敏夫

  21. 永山忠則

    永山委員 経済企画庁設置法の一部を改正する法律案について質疑をいたします。  本案は、国民生活局の新設を主体といたしておるようでございますが、その目的は、やはり物価は非常に上昇する、消費水準も上がってくる、したがって国民生活が圧迫を受けておるというような関係におきまして、生活局を新設して国民生活の安定をはかろうという目的であると考えるのであります。そこで問題の焦点は、物価の上昇をいかに安定せしめていくかというにあると思うのでございますが、生活局をつくることによって、中小零細企業者の犠牲において物価安定をはかるという結果になることは好ましくないのであります。したがいまして、ねらいはどこに重点を置かねばならぬかといえば、物価安定の一番もととなる給料を上げる、物価が上がる、給料は上がる、物価が上がるというこの悪循環にメスをおろすということが、物価安定の中心になると思うのでございますが、生活局のねらいは、中小企業、零細企業者、庶民大衆ということだけに目をつけて、一番大きな物価と労働賃金の悪循環にメスを入れるという構想が十分織り込んでないのではないかという不安を持っておるのでございますが、この点に対する意見をお伺いしたいのでございます。
  22. 高橋衛

    ○高橋(衛)国務大臣 ただいま物価と賃金に対する悪循環を何とかして断ち切ることが、国民生活局を設置することの一つの大きな目的でなければならぬという御意見でございますが、もちろんそれも国民生活局をつくることについての一つの重要なポイントであると存じます。御承知のとおり、中期経済計画は消費者物価の安定を目的としてつくられたところの計画でございますが、この中期経済計画におきましては、名目の賃金上昇率を七・六に押えておるわけでございます。もちろん物価は賃金だけできまる問題ではございません。その他のいろいろな経済諸元の影響を受けて最終的には決定する問題でございますが、しかし、物価に一番大きな影響を与えるものは、言うまでもなく賃金でございます。しこうして、その賃金を中期経済計画においては年率にして七・六%の上昇率にとどめる、と申しますよりも、七・六という一つの指標を示しておる次第であります。そういう観点から、物価と賃金との関係につきましても、今後さらに十分掘り下げた検討をしていきたい、そうしてこの悪循環を断ち切るような方向にぜひ持っていきたいというのが、この国民生活局をつくる上におきまして非常に重要なポイントであろうかと存じます。  永山先生も御承知のとおり、英国においては、昨年労働党内閣が政権をとった次第でございますが、昨年の十二月十六日には政府並びに労使三者間にこれらの問題についての共同声明が発表され、しかも最近新聞の報道したところによりますと、ウィルソン内閣は、賃金の上昇を三ないし三・五%程度にとどめるべきであるというふうな趣旨のことを決定いたしておるようでございます。アメリカにおいては、賃金の水準をガイドラインとして政府が三・二というような数字をやっており、しかも新聞の報道するところによりましても、鉄鋼メーカー側は賃金の上昇を二%ないし二。五%という主張をしておるのに対して、労働組合側は五%の主張をしている。そういうことで、その間の調整がなかなかとりにくい。しかし、その鉄鋼を使うところの製かん、鉄鋼労連に近いところの製かん業の一つにおきましては、先般三・五%でもって妥結をしたという事例もございますので、そんな関係から、大体アメリカにおいて鉄鋼ストが起こるか起こらぬかということについては、五分五分というふうな観測が行なわれておるという状況でございます。  そういうふうな外国のいろいろな状況を考えてみましても、日本の場合におきましては、最近賃金と消費者物価というものがそれぞれ追いつ追われつと申しますか、原因となり結果となりして悪循環を生じてきていることは、事実として認めざるを得ない。したがって、何とかしてこの悪循環を断ち切っていくという方向に向かうのは、これは日本経済を今後安定的な成長の基調に持っていくという佐藤内閣の方針から申しまして、どうしても必要な、重要なポイントであろうか、かように考えておる次第でございます。
  23. 荒舩清十郎

    荒舩委員 議事進行永山君の質疑はまだたくさんあると思いますが、ちょうど時間となりまして、お昼の時間でございますので、しばらく休憩していただきたいと思います。
  24. 河本敏夫

    河本委員長 この際、暫時休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕