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1965-04-13 第48回国会 衆議院 内閣委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月十三日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 荒舩清十郎君 理事 伊能繁次郎君    理事 佐々木義武君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 田口 誠治君    理事 村山 喜一君 理事 山内  広君       天野 公義君    岩動 道行君       池田 清志君    亀岡 高夫君       高瀬  傳君    塚田  徹君       辻  寛一君    綱島 正興君       二階堂 進君    野呂 恭一君       藤尾 正行君    湊  徹郎君      茜ケ久保重光君    稻村 隆一君       中村 高一君    受田 新吉君       山下 榮二君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         運 輸 大 臣 松浦周太郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (大臣官房長) 谷村  裕君         大蔵事務官         (関税局長)  佐々木庸一君         運輸事務官         (大臣官房長) 堀  武夫君         運輸技官         (船舶局長)  芥川 輝孝君         運輸事務官         (船員局長)  亀山 信郎君         海上保安庁長官 今井 榮文君         海上保安庁次長 有田  毅君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    向井 正文君         大蔵事務官         (主計官)   嶋崎  均君         国税庁次長   喜田村健三君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 四月十三日  委員湊徹郎君及び伊藤卯四郎辞任につき、そ  の補欠として小金義照君及び山下榮二君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員小金義照君及び山下榮二辞任につき、そ  の補欠として湊徹郎君及び伊藤卯四郎君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月九日  旧金鵄(し)勲章年金受給者に関する特別措置  法案八田貞義君外十一名提出衆法第一三  号) は撤回された。 同月十日  旧勲章年金受給者に関する特別措置法案(八  田貞義君外十三名提出衆法第二三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月十二日  中小企業省設置に関する陳情書外十五件  (第一号)  同外一件  (第九六号)  同(第一六二号)  同(第二〇二号)  在外私有財産補償に関する陳情書外七件  (  第二号)  同外九件(  第九三号)  同外二件  (第一五九号)  同外一件  (第二〇一号)  金鶏勲章年賜金復活に関する陳情書外一件  (第三号)  同  (第九七号)  旧軍人恩給改善に関する陳情書外二件  (第四号)  同  (第一五八号)  戦没者遺族公務扶助料増額に関する陳情書  (第五号)  戦没者遺族公務扶助料増額等に関する陳情書  (第六号)  元南満州鉄道株式会社職員であつた公務員等の  恩給等通算に関する陳情書  (第七号)  沖繩市町村財政援助に関する陳情書  (第八号)  国旗記念日制定に関する陳情書  (第九四号)  退職公務員恩給増額に関する陳情書外一件  (第九五号)  憲法改正等に関する陳情書  (第九八号)  瀬戸内海地域開発局設置に関する陳情書  (第九九号)  教育職員給与体系確立に関する陳情書  (第一二〇号)  紀元節復活に関する陳情書  (第一六〇号)  建国記念日制定に関する陳情書外四件  (第一六一号)  同外四件  (第二〇六号)  陸上自衛隊信太山駐も部隊の差別事件に関する  陳情書  (第一六三号)  金鵄勲章受章者の処遇に関する陳情書  (第二〇三号)  旧沖繩県文官恩給均衡調整措置に関する陳情  書  (第二〇四号)  紀元節復活反対に関する陳情書  (第二  〇五号)  憲法改正に伴う国民投票法制定等に関する陳情  書  (第二〇七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二九号)      ――――◇―――――
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間もそうたくさんありませんので、私簡潔にお尋ねをいたしますので、御答弁を願いたいと思います。  今回、港湾建設局飛行場建設業務を行なわせるということになるわけでありますが、この飛行場建設業務港湾建設局のほうに移さなければならない積極的な理由というものを、いろいろ質疑をしてお伺いをしております中で、もう少し明確に御答弁を願っておきたいと思うのでございます。それからそれに関連いたしまして、現在の飛行場建設体制と今後の飛行場建設体制の問題は、どのように運営をされていくのかという問題がございまするし、本年度の場合には、第二港湾建設局管轄区域内からはずされている、こういうような技術的な問題もございますので、これについての御説明を願っておきたいのであります。  それから第二の問題は、連絡を申し上げておきましたが、去年の六月の二十六日に成立をいたしました内航二法の附帯決議の第三項の小型船満載喫水線制度実施についての問題について、大臣の御所見をお伺いをしたいのであります。この問題につきましては、やはり人命財産保護のために、なくてはならない緊急的な措置が当然必要であろうと考えるものでございますが、海上保安白露によりますると、三十八年度一般海難件数が二千九百三十一隻であって、三十七年度に比べて百十三隻もふえている。しかもその内容を見てまいりますと、これは荷物積み過ぎという事態が、海難の原因の中で一番大きく出ているわけでございますが、そういうような状態であるにもかかわらず、現在の法令の定むるところによりますると、陸岸から二十マイル以内の沿岸交通におきましては、満載喫水制度がなくて、不法状態といわなければならないような状態になっている。こういうような状態になっているところに、結局現実の問題として採算上からその過積みを半強制的に余儀なくされて、しかもその結果は、船員だけが海事審判でさばかれるという事態が出ているといわれているので、こういうような問題を考えてまいりまするならば、これは当然にこの小型船満載喫水制度確立という問題については考えなければならない段階に来ていると私は思うのでありますが、これに対するところの今日まで、附帯決議に対しましてどのような措置を講じてこられたのか。最近は、特に陸上におきましては、交通安全の対策のために総理府にそういうような特別の機関等を設けまして、交通安全国民会議というものが生まれ、陸上におけるところ国民のそういうような交通からもたらされます安全の問題については、非常に大きな問題として取り上げられておるのでございますが、海上のこういうような現実的な問題に対しましては、大きな問題として取り上げられていない。ここにも私は問題があろうかと思うのであります。この問題は、やはり航海安全という立場から問題を取り上げていかなければならないかと思いますので、これに対するところ大臣の御所見をお伺いをしますと同時に、船舶局におきましては、これが所掌業務でございますので、これに対しましてどのような対策を講じておられるかを御説明願っておきたいと思うのであります。
  4. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 まず第一に、空港に対する公団は、政府直接にやる場合にどうして公団をつくるかという考え方についてのお尋ねだと思います。——私は、いま飛行場お話だと聞いたものですから、それではそれは官房長から申し上げます。  それからもう一つ喫水線を越して満載しているじゃないか、これは去年の六月二十六日の船舶安全法及び内航二法案審議の際に附帯決議をつけたじゃないか、それ以後一体どういう方法をやってきたかということでございますが、三十九年度におきましては、四十二万円の予算を計上いたしまして、一に内航船舶運航実態調査解析を行なっております。第二には、航路標識事務所計測による日本沿岸気象海象調査解析を行なってまいりました。本年度におきましては、前記の結果に基づき、造船技術審議会において満載喫水線基準案についての検討を進めており、一方官民協力をもって日本造船研究協会におきまして、総額六百九十万円の経費によって船舶の通報による日本沿岸及び太平洋海域気象海象調査を行なうこととしております。よって、右の結論を得た上に、できる限り早い機会において必要な措置を講じたいと思っております。いまさようなところまでいっておる次第でございます。
  5. 堀武夫

    堀政府委員 第一の御質問の、飛行場建設業務港湾建設局に行なわせることにする積極的な理由はどうかということでございますが、最近の航空需要増大に伴いまして、航空機がだんだん大型化し、また高速化いたしております。さらに運航回数も、だんだん増加いたしてまいります。そのために、既存空港も拡張を必要とする空港がだいぶん出てまいりますし、また、新しい空港をつくるという要請も出てくるわけであります。現在はこのような空港建設事務は、東京国際空港大阪国際空港以外は、直接航空局においてその建設事務を施行しておったのであります。東京大阪につきましては、空港整備事務室というもので処理いたしておりますが、その他の空港においては、航空局用地買収補償調査設計、それから請負契約工事監督支払い等に至るまで直接やっていた。非常にこのやり方では隔靴掻痒の感がありまして、いろいろふぐあいな点もございます。そこで今後はこういう点を手が届くように、かゆいところに手が届くようにやるためにはどうするかということを考えまして、当省の既存地方支分部局等港湾建設局にこれをやらすということが、最も能率的であり、かつ合理的である。そして航空保安事務所運航の安全ということに専念せしめるということにいたすということが、この仕事を移す理由でございます。  それから、今後それでは飛行場建設体制がどういうかっこうになるかという御質問でございますが、今後は、港湾直轄土木事業に準じまして、本省においては工事実施基準作成等企画調整事務だけを行ない、港湾建設局におきましては、実施業務のうち用地買収とか補償調査設計請負契約支払い等を行なうことになります。さらに、その下部機構である工事事務所におきましては、現場における工事監督を行なう、こういう体制になるわけであります。  第三の質問の、北海道を第二港湾建設局管轄区域から削った理由はどういうことであるかということでございますが、昭和二十五年に北海道開発庁が設置されまして、北海道における国の直轄公共事業運輸省、農林省及び建設省の所掌する業務は、北海道開発庁がやることになっております。それと同じ考え方に基づきまして、飛行場建設業務北海道開発庁にやらすということにいたすわけでありますが、従来第二港湾建設局業務の中に北海道管轄区域に入っておりましたのは、こういう工事関係指定生産資材等の割り当て及び検査に関する事務というものが残っておったからでありまして、これらの事務はもうすでになくなっておりますので、この際整理をいたしまして、第二港湾建設局事務から北海道関係管轄区域をはずすということにいたすわけであります。
  6. 芥川輝孝

    芥川政府委員 満載喫水線の点につきまして、補足説明を申し上げます。  国会の御決議で、小型船舶満載喫水線制度実施せよというお話でございます。昨年、三十九年度四十二万円の予算をもちまして、内航船舶運航実態調査解析、すなわちこれは内航船舶が入出港いたします場合に、その喫水実態を調べたわけでございます。それから、航路標識事務所計測による日本沿岸気象海象調査でありますが、これは御承知のとおり、沿岸の二十マイル以内を航行するわけでございますので、陸岸に近いところ海象気象状況を詳細に調べたわけでございます。そこらのデータを解析いたしました結果、事務局としてまあ第一原案と申してよろしいかと存じますが、一案を手元にはまとめる段階にまでまいりました。そこで、造船技術審議会の中に安全部会を設けまして、本年の三月二日に第一回の審議を行なったわけでございます。この安全部会には、いわゆる関係技術的な権威者並びに海運業界のほうからの権威者、それから保険業界その他の各方面権威を集めました。この喫水制限します問題は、見方によりますと利害が相反するわけでございまして、なかなか結論が得にくいというふうに考えましたので、特に安全部会のメンバーは、利害は相反しますけれども、各方面権威であるという方々を集めるように留意したわけでございます。そういたしまして、この安全部会にさらに内航船満載喫水線を扱います小委員会、同時に、漁船の問題の小委員会無線関係の小委員会、この三つの小委員会を置きまして、今後研究を進めてまいりたいと思う次第でございます。従来これを法律をもって制限しておりません理由は、簡単に申し上げますと、国際条約で約束した範囲を法律で励行いたしまして、沿岸につきましては、いろいろの特性がございます——航路も短い、あるいは救助もされやすい、あるいは避難港に逃げ込みやすい、そういうような状況がございましたので、したがいまして、特に制限を設けないで、運航者なりの良識にまちまして、船を運航いたすようにしておったわけでございます。一定の検査基準に合格しておれば、あとはそれ以上の制限をしないようにしておったわけでございます。しかし、国会の御決議の趣旨もあり、また、海難状況も、先生の御指摘のような問題もございましたので、技術的に無理のない制限をするということが、かえって運航の成績も向上し、また、人命の安全も確保できるということになりますと、当然これはやらなければならないと序じまして、第一原案というようなものをまとめて、ただいま申し上げたような審議会審議をいただいておる現状にございます。簡単でございますが、経過の御説明を申し上げました。
  7. 村山喜一

    村山(喜)委員 ただいま小型船満載喫水線の問題について御説明をいただきましたが、現在審議会検討中であるというのが結論のようでございます。これは当局の説明にもございますように、現在日本海難防止協会海上保安大学に依頼をして実情調査をいたしましたが、機帆船の百六十二隻のうちで、乾舷マーク以上に積んだ八十七隻の中で三十四隻が遭難をしているという実情がある。ところが、乾舷マーク以下の積み荷の船は、七十五隻の中でわずか一隻しか損害を受けていない。こういうような問題がございますし、現実一般海難による件数が、昨年の人命損害で二万二千九百四十一人に及んでいる。それから、そのうちの死者が八百三十三人に及んでいるという実情、これらの問題から考えまして、当然この問題については、自分たち生命を守るという立場から、労働組合が結成をされているところでは、その船主との間において、あるいは経営者との間に、労働協約締結等も一部行なわれているようであります。ところが、この小型船に乗り込みまして実際の業務に携わっている業態を調べてみると、きわめて小さなそういうような職場組織でございますので、なかなか労働組合をつくってそういうような自分たち生命を守るための運動をするというわけにもまいらない、それが大部分であるようであります。こういうふうになってまいりますと、私が先ほど申し上げましたように、人命尊重、それに財産尊重という立場から、一日も早くその国会附帯決議の線に沿うて結論をお出しをいただくというのが、運輸行政に携わる皆さん方の当然の方向ではなかろうかと思うのでございますが、先ほどの説明をお伺いいたしますと、三十九年度は四十二万円の予算であった。ことしは造船技術審議会等に六百九十万でしたか、これらの金をもって、安全部会なりあるいは各小委員会に分かれていま論議をしている、こういうことでございますが、そういうような方向で、いつごろその審議会結論を出し、それに対して運輸省としてはどういうふうにするのだという態度をいつごろ御決定を願うという見通しであるのか、その予定が立っているならば、この際明らかにしていただきたいと思います。  それから、今回港湾関係として、港湾建設局飛行場建設業務を行なわせるということになってまいりますと、現在の各港湾建設局事業量との関係が、定員の面においても出てまいるわけであります。直轄事業費が大体ことし六十一億ほどふえておるわけでありますが、定員は八名ほど減っておる。さらに今度港湾建設局のほうに飛行場建設という業務まで付加されるということになってまいりますと、多年今日までやっておりました港湾建設局本来の業務に大きな圧力という材料になりまして、労働過重というような問題が出てくるのではなかろうかと考えられるわけでありますが、そういうような問題に対応するための対策といいますか、所要の増加人員というようなもの等は、十分な措置がこれでとられるだろうかどうだろうかということを懸念をいたしますが、これにつきまして御説明を願っておきたいのであります。
  8. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 局長からお答えいたさせます。
  9. 芥川輝孝

    芥川政府委員 小型船に対します満載喫水線制度を施行する時期はいつかということでございますが、本件につきましては、先ほど申し上げましたように、技術的に造船審議会において審議を進め始めたところでございます。ただ、先生指摘のように、現在運航しております運航状況が、相当荷物を積んでようやく小さな海運会社採算を取っておる。それを技術的に制限するという問題が出てまいると考えるのでございます。そこで安全を重視するのは当然だろうと存じますが、過度に安全度というようなことをいうのは避けなければならないと考えております。また幾らかでも制限をするようなことが起きますと、それまでの商慣習によって採算を取っておった業者のこれに対する経営上の問題等もございまして、これは船舶局の所管ではないわけでございます。そこらの問題の解決をもあわせ考えまして、無理のない技術上の基準を出してまいりたい、そういうふうに考えております。したがいまして、若干期間は長くかかることと考えておりますが、いま私のほうで考えておりますのは、一応一年くらいで大体の結論を得まして、そして指導期間を経まして、その後法律改正をお願いしまして正式に励行してまいりたいというふうに考えております。
  10. 堀武夫

    堀政府委員 港湾事業量がふえておるのにかかわらず、空港建設業務まで引き受けることができるかという御質問でございますが、なるほど港湾事業費は、前年度に比べまして六十一億増加いたしております。それに対して定員は八名の減ということで、さらに空港関係仕事をかかえ込むことになるわけでありますが、港湾仕事は、従来直轄業務請負業務とございますが、今後さらに特別会計直轄業務をできるだけ合理的に考えまして、請負のほうにできるだけ回せるものは回す。それで能力に余裕をつけた上で事務量増加をカバーする。一方、空港関係の要員は港湾建設局に移しかえる、いままで空港関係仕事をやっていたものを航空官署から港湾建設局に移しかえるという方向をとる考えでございます。空港建設関係仕事は、いままで全部直轄ではなしに、請負でやっておりますので、急激な事務量増大とはならないと考えられます。このような方向によって、港湾事業量が若干ふえましても、空港仕事はこなし得るというふうに考えております。
  11. 村山喜一

    村山(喜)委員 先ほど船舶局長から御答弁をいただきましたが、なるほど採算量の問題もありましょう。しかし、現実にわれわれが見ますと、過積みのやつがあるかと思うと、集荷能力の低い業者の場合には、半分くらいしか船腹に満たないような形の中で運航がされておる。こういう状態現実にあるわけですね。だから、そういうような問題を考えてまいりますと、あながちこの問題を強く規制をすることが、業態を弱らせ、経営上の問題が派生をするということにはならないのではないか。それよりも、政策的な立場としては、人命の安全という問題を第一義的に考えて、それらの船腹の過剰という問題等につきましては、別のほうの立場から考えていかなければならない問題があるのではなかろうかと思うのでありますが、この運賃の過当競争状態現実に行なわれて、そこら辺から生命の危機の問題が現実に出てきているわけでありますので、これにつきましては、人命、航海安全という問題を第一に考えていくという立場善処方をお願いしたいのでございますが、運輸大臣いかがでございましょう。
  12. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 おとといですか、神戸から別府まで十四時間あそこを通って、いろいろな情勢を伺ったのですが、いま御指摘になりましたような内航の小船というか、小さな船が二万隻くらい荷物運びをやっている。そのうちの八〇%が瀬戸内海ということでございます。瀬戸内海は比較的海難もありますけれども、太平洋や日本海のような荒波はないわけでございますから、そういうところにおるものまで一斉に一つ安全線を引いて満載喫水線というものを厳守させるということが、経営上から見て一つの問題になるわけでございます。その辺はひとつ行政の妙を発揮して、適当な線を引いて、安全であり、かつ経営もできるというところをねらうよりほかに道はないのではないかと私は思っております。
  13. 村山喜一

    村山(喜)委員 当たりさわりのない答弁をいただいたわけですが、問題は、私はやはり人命尊重という立場を一番強く考えてもらわなければならないと思う。その次に経営の問題、これがやはり社会正義の上に立つ行政ではなかろうかと思うのですが、経営生命をバランスをとって考えるという方向を、大臣はやはり固執されるのですか。これはちょっとおかしいと思います。人命尊重というのは、佐藤内閣の本命じゃないですか。
  14. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 人命尊重はもちろんのことでございます。しかし、人はパンのみによって生きるにあらずという線も考えなければならぬ。いわゆる生活というものが人命尊重と並行していかなければ、これもまたその面から人命を損ずることになります。でございますから、その一方のみに片寄らずに、両方助けられるという線を考えることが必要ではないかということを言っておるのであります。
  15. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういうような説を言われるんだったら、現実にあなた御承知だろうと思いますが、最近内航就船の大部分が、陸岸から二十マイルの沿津区域就航すると称して、重量五千トンくらいの船舶までが近海資格、あるいは外航資格の質を沿岸資格にまで落として、救命具やその他の装備一切を小型船同様にして、満載喫水線マークを消して、そして現実就航をしているものがある。こういう事実等があるということを聞くのであります。あるいは木材のごときは、四割も過積みをして現実就航をしている。そういうような過当競争現実に行なわれている中で、これに従事する船員等生命の不安という問題が出ている。この問題は十分お考えを願いたいと思うのであります。  時間の関係がありますので、私はこれでやめたいと思いますが、この直轄の国の土木工事請負方式港湾建設局の場合には今後推進をしていくということでありますけれども、地方支分部局として港湾建設局等が設けられました最大の理由は、技術的にきわめて複雑高度のものを実施しなければならない。そのためには、地方公共団体ではとても手に負えない、このようなものを国の出先機関である港湾建設局が行なうんだという立場をとり、その高度な技術性あるがゆえに存在が許されていると私は思う。それでなければ、臨時行政調査会の勧告の中にもございますように、当然軽度な技術で、そう高度なものを要しないようなものは、これを地方公共団体に移しかえをしなさいという答申も出されているのでございますから、そういう立場から考えていくならば、これを直轄をやめて請負制度に切りかえていく方向を漸次進めていくということは、私はいかがかと思うのであります。この点につきましては、今後の行政制度のあり方の問題に関連をいたしてまいりますので、また適当な機会もあろうかと思いますが、大臣のほうでもこの点については今後御留意をお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  16. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 ちょっと簡単に。  先ほどのように、この満載量以上の四割も積むというようなことについて、私はこれを許容しているのではありません。これはその喫水線を越すか越さぬかというボーダーラインの線をどうするかというところまでのことを言っているのであって、四割もよけい満載している、それを命を捨ててもやれとは私は言ってないです。その辺はひとつ御了承願いたいというのは、二万隻もある木造船の機帆船そのものに、一々鉄船の外航船のような線を引いて、そしてそれ以上積んではいかぬといわなくても、本人も荒波を切り抜けていくんだから、これ以上積んだら自分もあぶないというような考えを持つわけですから、そういう場合に一々そこのところを役人が介在してやるべきかどうかということは、少し考えるべきじゃないかということを言っておるだけのものであって、何も命を捨ててまでやれということを言っておるのではありませんから、誤解のないようにお願いいたします。  もう一つ請負にして役所の手を省くというのはおかしいじゃないかということでありますが、完全な仕様書に基づいて監査を完全にするならば結局役人が直接にやりましても、下請させるのですから同じことであると思います。要はでき上がった品物の監査が行き届くかどうかという点にあると思っております。
  17. 堀武夫

    堀政府委員 港湾直轄業務を全部請負にいたすという方針ではございません。現在の直轄業務のうち、請負にいたしたほうがよろしいというものを若干整理をするということでございまして、先生のおっしゃいました方針に従って今後もやる考えでございます。
  18. 河本敏夫

    河本委員長 田口誠治君。
  19. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 きょう理事会で時間の打ち合わせをしておりますので、その範囲内で質疑を終わりたいと思いますから、ひとつ答弁のほうも要領よくお願いしたいと思います。政府委員のおいでになっておる順序から質問を申し上げたいと思います。それでは海上保安庁関係について御質問申し上げたいと思います。海上保安庁関係と申しましても、これは昨年の夏、国政調査を行ないましたときに要望のありました点、私どもが気づきました点について質問を申し上げるわけでございますので、限定をしておりますから、そういう点をまずお含みをいただいて御答弁をいただきたいと思います。  佐世保の保安部の管理範囲の関係についてまず第一にお聞きをいたしたいと思いますが、御承知のとおり、韓国とは非常に近距離であるために、密航が非常に多い。したがって、密入国も相当多くあるというので、この近海は海難も多発海域となっております。そのために相当多くの巡視船が必要でありますけれども、現在の巡視船の数からいきますと、非常に不足をいたしておるように考えられるわけでございますし、現地といたしましても増船してもらいたいという強い要望があるわけですが、こうした関係からどういう方針をお立てになっておられるか、まずその点から御答弁をいただきたいと思います。
  20. 有田毅

    ○有田政府委員 ただいま海上保安庁が保有いたしております巡視船艇の現状から申し上げたいと存じますが、三十九年度におきまして、海上保安庁においては巡視船八十八隻、巡視艇二百八隻、合計二百九十六隻を擁しております。しかしながら、ただいま先生お示しのとおり、船艇につきましては逐次代替建造と純粋の増強の必要を認めまして、海上保安庁といたしましては、一応巡視船艇整備十カ年計画というものを持っております。これによりますと、本年度より十カ年の間に逐次代替増強いたしまして、終局におきまする形が、ただいまの巡視船は九十八隻、巡視艇は二百七十三隻、合計三百七十一隻という巡視船艇の勢力に相なる予定でございます。  これをさらに具体的に申しますると、終局の形は、巡視船におきまして純粋の増強が十隻、それから巡視艇におきましては六十五隻純増があるわけでございます。それ以外に、巡視船につきましては老朽船の代替が二十二隻、これに伴いまする廃棄も二十二隻で、数が合うわけでございます。それから巡視艇は、百六十七隻を代替いたす予定でございます。かような計画におきまして十年後の形を一応予定いたしておる次第でございます。本年度予算におきましては、巡視船が五隻とそれから巡視艇が六隻、計十一隻建造でございます。かようにいたしまして、全国十管区におきまする巡視船、巡視艇を逐次増強し、佐世保管内は第七管区でございまするが、そちらのほうの業務量とも見合わせまして、この巡視船及び巡視艇の増強を考えております。
  21. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 十年間に八十三隻増船するということでございますが、今年は予算の面からいきまして、もう出ておると思いますが、金額はよろしいですが、船数は何隻になっておりますか。
  22. 有田毅

    ○有田政府委員 本年は九百トン型二隻と三百五十トン型一隻、百三十トン型二隻、合計五隻でございます。それから巡視艇のほうは二十三メートル型、十五メートル型、それぞれ三隻でございます。
  23. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 計八隻造船するということでございますけれども、それが造船でなしに、廃船になるものがあるわけです。廃船になるものは八隻か九隻あるわけでございますね。そうなりますると、プラスマイナスゼロということになりまするが、その点はどういうことになっておりますか。
  24. 有田毅

    ○有田政府委員 先ほど申しましたように、今年度におきましては九百トン型の新造が二隻でございます。それから三百五十トン型一隻、それから百三十トン型が二隻、以上が巡視船でございますが、次に巡視艇の小さいほうは二十三メートル型が三隻、十五メートル型が三隻、計六隻、合計十一隻ということになりまするが、このうち一隻は前年度からの継続分を計上いたしておりますから、十隻というふうにお考えいただきたいと思います。それで、これに見合います十隻の廃棄船を別途予定いたすわけでございます。
  25. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 いずれにいたしましても、いまお聞きいたしますると、一隻、二隻のいわゆる現有船数よりも増船になるという程度なんですが、先ほど私が申しましたように、非常に韓国との距離が近いということから、密航が多い、密入国者が多い。海難が多い、こういうことから、相当巡視船の増船が必要であるということをいわれてきておるわけなんで、私どももそういう内容を説明を受けますると、全くごもっともというように聞いてまいったわけでございまするが、十年間の八十三隻も、これは十年の一応の計画ですから、その計画にのっとって今年増船するということになりますると、これを十で割ったのとはだいぶ数字的に下回っておるわけです。したがって、私どもは八十三隻の十年間の増船だけでは不足ではないかというように考えておりまするので、十年間の計画は計画といたしましても、初年度、次年度、こういう時期には相当これを、十で割った船数以上に予算獲得をして増船をしてもらわなくてはなりませんし、これがまた十年計画ができておりましても、八年間で計画が完了いたしても何ら差しつかえがないと思うわけでございますので、そういう点については必要性を認めておられるかどうかということをまずお聞きをして、そうしていま申しましたように、今年度の増船隻数が、非常に十年間の増船計画と比較をいたしまして数的に少ないわけでございまするので、それを多くしてもらわなくてはならないという考え方から質問しておるわけなんで、この際次年度の問題もございまするので、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  26. 有田毅

    ○有田政府委員 私どもも十年計画を一応立ててございまするが、通常の何カ年計画といいますのと同様に取り扱いたいと思うのでございますけれども、そのときどきの予算事情によりまして、多少伸縮あることを実は予想いたしておるわけでございます。しかし、他方におきまして、現実に巡視船の非常な必要性、及び高速巡視艇の非常な要望がございまするので、たとえば巡視船について申しますれば、数におきましては従来の老朽船も一隻でございますので、小さな老朽船を一隻配置するということで数としては合わせまして、新しく実質の非常に優秀な大型の巡視船を建造する、かような方針でやっておる次第でございます。なお、巡視艇のほうでございますが、これも考え方はほぼ同様でございまして、廃棄いたしまする老朽船に見合う数、及びそれ以上の純増を計画いたしておりますことは、先ほど申し上げましたとおりでございまするが、たとえば対馬沖でありますとか、要するに九州方面の海域におきましては、艇につきましても高速性を要求しておりますので、先般来二十六ノット、七ノットと申しますような高速艇を逐次建造いたしまして、所要のところに配置いたしておるような状況でございます。  なお、明年以降の時期につきましても、ただいま先生お話しのとおり、全体計画は持っておりまするが、さしあたり緊急性の強いものを数多く建造いたすように極力予算要求なり、計上いたしたいと考えております。
  27. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 スピード化が要望されておるわけなんですが、したがって、現在は非常に小型が多いということから、大型船の必要、強い要望があるわけでございます。したがって、スピード化、大型化、こういう点については、この八十三隻については、大型船はどの程度の船数になっておるかということと、それからスピードの問題についてはどういうようにお考えになって対策を立てられておるか、この点もあわせて答弁をいただきたい。
  28. 有田毅

    ○有田政府委員 現有船腹でございまする巡視船八十八隻のうち、大型船と申しまする二千トン級から七百トン級までは、九隻でございます。それから四百五十トン、三百五十トン、二百七十トン、それから航空機救助艇、これが残余の六十一隻でございます。あと十八隻百三十トン型等々がございます。  それから巡視艇、小型のほうでございますが、これは二十三メートル型と申しておりますのが、現在四十一隻でございます。十五メートル型二十八隻、それから十二メートル型が七十七隻その他でございます。大型船につきましては、ただいす二千トン級は御承知の「宗谷」等がございますが、あとは千トン級でございまして、しかし、ほぼ新船代替が完了いたしておりまして、船質は非常に優秀でございます。二千トン型につきましては、海上保安庁といたしましては、あと二両隻ぜひ遠からざる機会に建造いたしたいという希望を持っております。
  29. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、これは三十九年の八月現在でございますが、大型船というのは、佐世保保安部関係では、第七管区ですが、ここでは「ひらど」「ちくご」の二船になっておるわけなんですが、この船はおもに李ライン方面を巡視し、取り締まりに当たっておるというのが、今日の状態でございます。したがって、いま進められておる日韓会談がもし妥結をするということになりますると、李ラインの巡視、取り締まりは、考え方によってはよけい取り締まらなければならないじゃないかということも考えまするし、そして常識をもって双方の国がやる場合には、その必要がなくなるのじゃないかとも考えられるのですが、こういうような見通しについて御答弁をいただきたいし、それからもし李ラインが廃止になったような場合に、いま当面その衝に当たっておる「ひらど」「ちくご」の巡視船は、どういう方面に振れ当てられるのか。現在どおり李ライン方面を巡視、取り締まりを行なってもらうのかどうかという点について、ちょっと確認をしておきたいと思います。
  30. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 閣議において農林大臣並びに外務大臣の報告を伺いますと、李ラインの内側に専管水域十二海里というものが双方の話し合いで大体話がきまって、しかし、十二海里にいたしますと、両方から十二海里とりますと、済州島と本島の先にある小島との間にちょっとしたすきができるわけなんで、ひょうたんのような形になるのです。そこは、いまの話し合いは日本のほうで譲って、日本の船が入らぬことにしたようでございます。そうすると、専管水域を侵すという場合においては、向こうは従来よりも厳格な取り締まりをするであろう。しかし、李ラインは漁獲量において協定をいたしたようであります。つまり十六万五千トンですか、というようなものでありますから、それはいままでのようなことはないのでございます。ただ、それに対する配船は海上保安庁のほうでお考えになっておられるのですから、どういうふうに配船されるか、私はまだ考えておりませんが、従来よりも李ラインというようなものは全然問題にならないことになりますが、その水域は規模と漁獲量でいきますから、十六万五千トン日本のほうでとるということに大体話をしておるようであります。
  31. 今井榮文

    ○今井政府委員 大臣の御答弁を補足して答弁させていただきますが、いま大臣がおっしゃいましたように、李ラインが廃止になった場合に、今後の漁業監視といいますか、漁業保護をどうするかという面につきましては、新しい体制になりますので、外務省並びに農林省のほうと十分お打ち合わせをした上で今後やっていきたいということでございまして、したがって、先生がおっしゃいましたように、漁業監視のために巡視船がどの程度要るか、あるいは従来よりは少なくて済むのではないかというふうな問題があるわけでございますが、この点は今後十分具体策を検討していきたいと思います。  それからなお、御指摘の巡視船が、かりに漁業保護のための船艇をそれほど必要でないという段階になった場合に、どういう方面に振り当てられるかという問題でございますが、私どもとしては、御承知のように、現在約二十二隻の船を持って、常時六隻程度の巡視船を李ラインに配備しておるのでございますが、これほどの数の船はおそらく要らなくなるのではないかという見通しを持っておるわけでありまして、したがって、そういう任務から解放されてまいりますれば、当然に本来の業務である海難救助その他の任務に復帰する、こういうことに考えておる次第でございます。
  32. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 終わりの時間が約束されておりますので、まだこの問題についていろいろ質問を申し上げたいと思いますが、この程度で要望を申し上げて終わりたいと思います。  先ほども申しましたように、非常に韓国と距離が近いということから、密航、密入国者が多い。それから海難が多い。こういうことから、巡視船のスピード化、大型化、こういう点が強く要望されております。そこでこの密航者の数、海難の数、こういうような点を私どもは数字的に検討いたしましても、この佐世保管轄の保安を完全にするためには、海上保安庁としてももう少し力を入れていただかなくてはならない、こういうように考えますので、質問応答の形はやめまして、それだけ申し上げて、来年度対策を立てていただくように強く要望を申し上げて、海上保安関係質問はこれで終わりたいと思います。  ちょうど大蔵省の主計次長がおいでになっておりますので、ちょっと申し上げたいと思うわけですが、あえて主計のほうからおいでをいただいたのは、大蔵省が非常に定員規制がきびしくて、行政がスムーズに行なわれておらない。スムーズに行なわれておらないどころではない。特にきょう審議をしておりまするこの運輸省関係のそれぞれの部門に対して検討してみますると、非常に定員が不足である。こういうことから先日も質問を申し上げて、大臣のほうからは、その点を了解され、何とか解消に努力するという答弁があったわけでございまするけれども、しかし、ここで大臣とお約束しておくだけでは、また大蔵省のところでひっかかりができまするので、大蔵省のほうの御認識を十分に得ておかなければならないというので、あえてここにおいでをいただいたのですから、そういう点でひとつお聞きをいただいて、答弁よりも御認識を深めていただきたいと思うのです。  それで、運輸省関係の各部門についての定員不足は、それぞれ指摘をいたしますると多くございまするけれども、特に問題になっておりまするのは陸運局管轄である地方の陸運事務所の定員の問題でございます。それで、これは先日の質問のときも申し上げましたが、昭和二十六年から昭和三十九年までの十三年間に、自動車数は十四倍になりましたけれども、定員は五倍しかふえておらない。こういうことから、現地における陸運事務所は、大都市はもちろんのこと、中小都市までも非常に定員不足で困難をきわめておるということが、実態であるわけなんです。ただその内容が単なる労働強化ということだけでなしに、正常な行政が行なわれておらないということなんです。この間も一つの例を引いて申し上げましたが、陸運事務所が車体検査を行なう場合に、従来は一台の車検を行なう場合に二十五分くらい時間を要しておりましたのが、最近はそんな時間を要しておってはとても検査がし切れないというので、まあ現地からは三分ということを言ってきておりまするけれども、おそらく数分間でこの車検を終わるということになるわけなんです。三分や四分で車検を終わるということになりますると、実際に車検が行なえないわけなんです。私どもも日本通運につとめておりまするから、自動車の関係は十分に知っておりまするが、なかなかそんな時間ではできないわけなんです。こういう行政が、事実特に大都市では行なわれておるということなんです。それからもう一つこの間指摘をいたしましたことは、定員が不足のために登録業務その他の業務を各自動車の販売店から事務員を派遣いたしまして、その事務員が窓口に職員のようにすわって、そうして事務処理を行なっておる。大切な登録事務の処理も、そうした人たちにやらしておる。しかもこの数が少なければこれはよろしいですけれども、大阪管内なんかの実情を見ますると、非常に多いわけなんです。これはあとから写真を見ていたがきまするが、先日も三枚の写真を大臣関係局長さんにも見ていただいて驚いていただいたわけでございまするが、ちょうどそういうような時期に写真をとられておってはという、また一つの疑問があってはいけませんので、三月二十九日に一斉にとったわけなんです。きょうそれだけ持ってきておるわけなんです。それで、窓口といって広事務所の配置によってそれぞれ違いまするけれども、この一番上に私が載せておきまするのは、これは大阪マツダ、大阪日産、整備振興会、いすゞ、大阪ダイハツ、自家用車協会、大阪ダイハツ、日産中古車、大阪トヨタというようなことで、ほんとうの職員は三人しかおらない、この職場では。これは写真の上のほうにちょっと絵を入れてありますから、見ていただきたいと思いまするが、こういうようなことでは、正しい行政は絶対にできないと思うのです。だから、大蔵省はそういう実態をよく知っておやりになっておるかどうかということ、これをまずお伺いいたしたいし、一つの総予算の面から公務員の定員規制ということもそれは出てくるであろうけれども、画一的にそれをやられては、これは困るわけなんです。これはだれが考えてみましても、車検を行なう場合には、これはいまの交通事故を防止するに非常に必要があるわけなんでございまして、そういう段階において、従来二十五分くらいかかっておったものが三分や四分で車検を終わらなければならないというような、こういう定員不足では困りますし、ただいまそこにありますように、十名ほどおります中で七名ほどが自動車の販売店から出向させた職員が登録事務を行なっておる。こうしなければ事務処理ができないというのが実態であるわけなんです。だから、わざわざ主計のほうからもおいでを願って、来年度予算要求をされる場合には、十分にそういう点を頭に入れて検討をしてもらわなくてはならないというのでおいでを願ったわけなんです。大阪の場合は、今年も現場からあがってきておる定員は、現在の倍にしてもらいたいという要望がおそらくあったと思うのです。これは当局の出したものがそうなんです。当局はまだ遠慮をして、出した数字が倍ということなんですから、大体推して知るべきでございますが、そういう点の御認識をどう持っておられるか、また、こうした問題を次年度に解決するように努力していただけるかどうかということを、この際答弁の中で明確にしていただきたいと思います。
  33. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 自動車検査登録特別会計法の定員につきましては、従来これが特別会計になったときの経緯から見まして、一般会計である場合には、どうしても一般的な原則から定員に対してとかく渋くなりがちであるというようなこともありまして、検査登録の手数料の値上げともからみまして、今後逐次検査コースの充実、定員の拡充その他いろいろ登録事務関係の能率化、合理化、機械化というようなことを推進していくという考え方予算考えておるわけでございます。四十年度につきましても、いま御指摘大阪につきましては、検査場の第一、第二で三コース新たにふやすことにしまして、その分を含めて、今年は検査施設といたしまして新設一、移設一、拡張八、改修一、計十一カ所、十七コースを整備するということで検査場の設備関係の充実を考えておるわけであります。  これに関連しまして、当然定員の問題が出てくるわけであります。確かに御指摘のように運輸省からの御要求は、二百五十名ですかの増加という御要求がございました。御存じのように、四十年度予算につきましては、一般的に定員不増というような考え方でおったわけでありますけれども、先ほど申しましたような登録事務実情というものを考え合わせまして、登録関係検査関係で人員の増加考えまして、百五名の増加を認めておるわけでございます。これを過去の数字にさかのぼってみますと——四十年度予算については従来よりも定員に辛くというような一般的な雰囲気の中におきまして査定をしたわけでございますが、三十七年度が対前年度五十六人、三十八年度が対前年度五十人、三十九年度が対前年度八十人の増加でありましたのを、今度百五名の増加ということで、われわれといたしましては相当思い切った増員を認めたつもりでございます。なお、この増加した人員の配置等につきましては、都市近郊の非常に検査登録事務の繁忙をきわめた地方との関連というものを実施計画上はさらに運輸省のほうで適切に御判断いただいて、できる限りいま先生が御指摘になりましたような点の解消につとめていきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、私まだ経験が浅いので、事務のこまかい点はよくわかりませんけれども、登録事務関係等につきましては、ことしはひとつ能率協会の人に委託をして、どういうぐあいにしたらお待たせする時間を少なくして能率をあげることができるかというような点を抜本的に考えまして、その委託研究の上に立って、さらに合理的にスピードアップできるような予算を来年度以降考えていきたいというふうに存じておる次第でございます。
  34. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 大蔵省のほうでも努力していただいておる点はわかりますが、毎年努力していただいておっても、三月二十九日の状態が、ただいまの写真の状態なんですから、来年度は思い切った定員増を認めるように、ひとつその方面に協力をしてもらいたい。そうでなかったら、この自動車行政の正常な運営というものは行なえない、こういうことになりますので、時間がございませんので、これ以上質問は諦めませんけれども、その点を強く要望申し上げておきます。よろしいですか。
  35. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 御指摘の点につきましては、十分施設関係等も見せていただいて、御要望の線に沿えるように努力をしていきたい、研究をしていきたいと思います。
  36. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その点要望申し上げておきます。  それから大臣、この問も駅の集約の問題でいろいろ質問申し上げましたが、私あとで考えてみまして、どうしても心配になりますことは、少くとも二千七百ある駅を百七十の基地駅に集約しようといたしましたときに、雪の多いところなんかは、自動車で持ってこれないわけなんです。だから、これは机上ではそういう一つの計画は立てられようと思いますけれども、実際上行なう場合に、冬場なんかはこれはなかなかできないわけであります。そういたしますと、ほんとうにこれを強行するということになりますと、国鉄輸送の公共性の本質を忘れ、独立採算制にのみ走るという、こういう好ましくない状態になるわけなんです。こういう点もやはり十分に大臣はお知りになっておられると思いますが、まだまだこの点については検討していただく余地があろうと思います。どうなんですか。
  37. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 御指摘の問題については、建設省のほうの道路改良工事が二級国道まで全部完成いたしました暁には、あのようなことはややできるであろうと、私が相談を受けた時分に考えました。しかし、おっしゃるように、それならば全部除雪が毎日毎日できるかということになれば、北海道のような、あるいは東北とか特に新潟のような雪の深いところでは、それはできない場合が多いのです。そういうところへは臨機に別個な方法を考えるべきであるということで、まだ決定にしてしまったわけではございません、細部にわたってはさらに検討する考えでございます。しかし、おおむね二級国道まで舗装されてしまって、並行線であるならば、あのほうが国家としては大きな点ではいい方法ではないかと思いますが、まだ細部にわたっては検討を十分いたしておりませんから、御意見のある点は十分検討いたしまして、御期待に沿えるようにしたいと思っております。
  38. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その点は時間がございませんので、質疑の形ではこれ以上申し上げませんが、十分に検討していただかなくては、机上プランだけではなかなか行なえないと思いますので、その点強く要望申し上げておきます。  最後に、官房長に一言。陸運局関係で陸運事務所の関係は、労使関係が非常に正常でないところが多くあるということを私は聞いておるわけです。いま申しましたように、非常に正常な行政が行なわれておらないようなときには、当然労働組合としては、当局に要求をしたり、場合によっては大会を開いて決議をしたり、やるわけです。これは当然やらなければならないわけです。こういうことを行なうのでも、休憩中に職場大会を開いても、ごみが一つ落ちておったということだけで因縁をつけられたり——そう言うと首をかしげてみえますが、わからなければ私はここでは時間がもったいないから言いませんけれども、私の部屋に来ていただければ、その点を詳しく申し上げて善処方をお願いしたいと思うわけでございます。したがって、労使関係の正常でないということは、やはり労使関係を正常な形で運営されることが行政の能率化をはかることになるのですから、この点について、官房長はただいま私の申し上げたようなことを把握されておるのかおらないのかということをお聞きしたいし、おらないとするなれば、ただいま申し上げましたことは事実あるわけでございますから、私はまたこういう正式の場でないときに直接申し上げて強い進言をいたしたいと思いますが、まずその点について御答弁をいただきたい。
  39. 堀武夫

    堀政府委員 陸運局関係の労使関係が正常でないというお話でございますが、その内容はどういうことかよくわかりませんけれども、いま例にあげられましたように、何か集会があったあとにごみが一つ落ちておったので文句を言うというようなことは、もしそういうことがあったとすれば、あまりにもさまつ的なことでございますのでそういうことでもって労使関係がまずくなるということはまことに遺憾なことでございますから、そういうようなことがあるようでございますれば、管理者にも注意をいたしたいと思います。
  40. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これで質問は終わりますが、官房長、いまごみの話も申しましたけれども、労使関係の正常化ということは、労働組合のほうから話し合いを申し込んだときには快く受けて、正しい話し合いを行なってもらうことが一番大切ですし、場合によっては、時間中に職場で組合員みなを寄らせて大会なんかを開く場合には、そういう屋内でやるような場合でも快く認めてやるとかして、そうして対立するような問題があれば両方がそれぞれ意見を出し合えばよろしいのですが、そういう意見を出し合う前にいろいろな問題が起きておるわけですから、私は、きょうは十二時という約束になっておりますので、これ以上申し上げませんけれども、いつかの機会に、おひまなときにおいでいただいて、その点を報告申し上げて善処方をお願いいたしたいと思いますので、その点をいま約束しておいてもらいたいと思いますが、よろしいですね。
  41. 堀武夫

    堀政府委員 きょうは時間がないから、先生の部屋にいずれ参りまして、よく話を聞いて善処いたしたいと思います。
  42. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでは質問を終わります。
  43. 河本敏夫

    河本委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  44. 河本敏夫

    河本委員長 ただいま委員長の手元に、佐々木義武君外二名より本案に対する修正案が提出されておりますので、提出者より趣旨の説明を聴取いたします。佐々木義武君。
  45. 佐々木義武

    ○佐々木(義)委員 ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案に対します修正案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読を省略させていただき、その要旨を申し上げますと、本改正案は、昭和四十年四月一日から施行することといたしておりますが、その日はすでに経過しておりますので、これを公布の日に改め、定員に関する改正規定は、本年四月一日から適用しようとするものであります。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  46. 河本敏夫

    河本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  47. 河本敏夫

    河本委員長 これより本案及びこれに対する修正案について討論に入りますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  運輸省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、佐々木義武君外二名提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  48. 河本敏夫

    河本委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  49. 河本敏夫

    河本委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決いたしました。  右の結果、運輸省設置法の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 河本敏夫

    河本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  51. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 長い間御審議いただきましたことをありがたく存じ上げます。(拍手)      ————◇—————
  52. 河本敏夫

    河本委員長 大蔵省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。山内広君。
  53. 山内広

    ○山内委員 御提案になっております設置法の中身について、具体的に若干お尋ねしておきたいと思います。  最初は、臨時貴金属処理部を廃止するという御提案があるわけです。日本銀行に保管されておりますダイヤは、先般見せていただきました。その前に、大蔵大臣もお見えになりましたので、この問題について少しお尋ねしておきたいと思います。この接収されましたダイヤモンドのいままでの経過については、古い会議録など若干目を通したのでありますが、まだ非常に問題が多い。まだこの処理部を廃止して責任の所在をあいまいにするという段階ではないという考え方を強くいたしておるわけであります。この処理部をどういう考え方で廃止するのか。提案理由の中にも若干書いてはおりますけれども、もう一度大臣の口からお聞きしたいと思います。
  54. 田中角榮

    ○田中国務大臣 貴金属処理部は、臨時行政調査会の答申にもございますし、また法律にございました被接収者よりの返還請求につきましても、六百二十六件について大体一件ごとに認定も終わりに近づいておりますし、あとの処分をどうするか、もう一ぺん慎重に評価をしてもらうのをどうするかという問題がこれからはあるわけでありますが、これは全然課も廃止をしてどうしようということではございませんで、いままでの多少大きかった機構を縮小しまして、一課、二課と二つに分かれておったものを一つにしよう、こういうことでございまして、処理部を残しておかなければならないという気持ちもありませんので、今度は貴金属処理部を等申の線に沿って廃止をして、あとはこれからの業務に対しては慎重に検討してまいりたい、こういう考え方でございます。
  55. 山内広

    ○山内委員 提案理由でも、事務処理は順調に進んでおりますので、この際廃止したい、と簡単に言われておるわけです。実質的な仕事はまだ残しておくのだ、部だけがなくなるといういまの大臣お話ですが、具体的にどういうことを残務としてなされておるのか。いま若干大臣から触れてお話がありましたけれども、どういうことをやるのか、事務当局の責任者からお聞きしたい。
  56. 向井正文

    ○向井説明員 接収貴金属の処理の仕事を始めましてから五年余りたちました。接収貴金属の処理の仕事を大別いたしますと、認定事務と返還事務に相なるわけでございます。認定事務は、御承知のとおり、返還請求が出てまいりましたものにつきまして、請求者の持っておりますいろいろな証拠書類、たとえば占領軍からもらいました受け取り証その他の証拠書類、それからわがほうが占領軍当局から引き継ぎましたいろいろの管理記録、そうしたものをいろいろ検討いたしまして、請求がはたして正当なりやいなやということを判断いたします。これは一々貴金属の審議会にかけましてきめていくわけでございますが、六百数十件——これは同じものにつきまして二人以上から申請のありました場合には、二件ないし三件というふうに数えた数字でございますが、六百数十件ございまして、去る三月まで五十九回でございましたか、審議会をやりまして、いまだに審議会に認定案件としてかけていないのは、わずかに一件ということでございます。その一件も、この四月の審議会審議を願うことになっておりますから、認定事務に関しましては大体終わったというふうに申し上げてよかろうと思います。  認定を終わりますと、あと返還をいたすわけでございますが、返還のほうも、認定いたしました当該貴金属が私どもの保管いたしております貴金属の中ではっきりそれというふうにわかります場合、これを法律上特定物と称しておりますが、これは認定の終わり次第従来からも返還いたしております。したがいまして、すでに金につきましては、概数でございますが、百トンのうち八十トンくらいは返還を終わっておりますし、銀につきましては千七百トンぐらいございますけれども、そのうち千二、三百トンぐらいはすでに返還を終わっているわけでございます。したがいまして、量的には今後残された仕事は少ないわけでございますが、ただ、これからやりますのは、先ほどの特定物に対しまして不特定物でございまして、占領軍の保管の便宜上、貴金属等につきましては溶解してインゴッドにしましたり、あるいは貴石物というようなものにつきましては混合してしまったというようなことから、認定をいたしましてもすぐに返還はできない。法令の定めるととろによりまして一定の方式で案分してお返しする以外にないわけでございます。量的には、先ほど申し上げましたように過半数はすでに返還が終わっておりますし、残りの仕事の量は少ないわけでございますが、ただ件数的には小口のもので相当ございますので、過半数の返還事務は今後の仕事になろうと思います。いまの見通しを申し上げますと、件数は多うございますけれども、大体四十年度一ぱいかけますと、特定物を案分してお返しするという仕事もほぼ終わるだろうという見通しを立てております。  なおそのほかに、先般からもいろいろお尋ねがございますが、ダイヤモンドが近く国庫に帰属いたしますので、その帰属いたしましたダイヤモンドをどういうようにして処分するかという問題が、今後残っております。  事務の進捗状況は、大体いま申し上げたとおりでございます。
  57. 山内広

    ○山内委員 国庫に帰属すると思われる、ダイヤモンドの数量は、どれくらいになりますか。
  58. 向井正文

    ○向井説明員 保管ダイヤモンドが十六万一千カラットでございますが、ただいまの見通しといたしまして、そのうち、純然たる民間の返還請求にかかるものでこちらがお返しするというのはごくわずかでございますから、ほとんどそのまま——千カラット単位で申し上げますと、十六万一千カラットそっくりそのまま国に帰属するというふうに考えております。
  59. 山内広

    ○山内委員 これは大臣に確認しておきたいのですけれども、ああいう戦時の混乱といいますか、国が困ったときに、愛国心に訴えて半強制的に買い上げをやって、これはいまとなっては当時の被害者の一人だと私は思うのです。農地報償ばかりでなく、旧地主ばかりでなく、こういうところにも被害者があるわけで、これの措置を明らかにしておきませんと、あとに問題が残る。そういうやさきに、部をなくしてしまって、最高の責任者の部長がいなくなる。そういうことになりますと、私はどうも解せない点がある。むしろ、もう四十年度で終わるならば、この部長一人ぐらい最後まで、どっちみちどうというわけじゃなし、残しておいて、最終の結末をつけてからどこかに栄転さしても、私はおそくないと思う。どうも保険部を新設するための一つの犠牲として、こういうところに無理があるのではないか、こういうふうに思うわけです。大臣、この点は保険部の犠牲にしたのではないのですか。
  60. 田中角榮

    ○田中国務大臣 保険部の犠牲になったというようなお考えは、これはひとつお間違えでございます。御承知行政調査会からの答申がございまして、貴金属処理部というものは、いまお話し申し上げたように、もう仕事も大体済んだから解消すべし、こういう答申がございます。大蔵省としては、常に機構の増設等に対しては、非常にまじめに考えなければ各省のお手本にもならぬわけでありますから、そういう意味でもこれを廃止をしようということでございまして、保険部と取りかえるというような考え方ではございません。特に、貴金属処理部がなくなりましても、過去五年間に十分調べてもございますし、これからは売り払いとか評価とかいうことになるわけでありますが、これはすぐできるというものでありません。非常に慎重にやらなければならぬ問題でありますので、課として専門に置こう、こういう考えでありますし、また部長がいなくなっても、国有財産局長がおりまして、特にこの問題に対しては慎重を期しておりますので、部が廃止になっても、事態が混乱したり収拾しにくくなる、また慎重度が侵されるというようなことはないという確信でございます。
  61. 山内広

    ○山内委員 戦時中に集めましたダイヤモンドは、記録によりますと、約三十二万五千カラットあったわけです。現在は十六万一千カラットあって、約十三万カラットというものは、略奪してきた国へ返したとか、あるいは国内産業、あるいは接収された人に返したという記録になっておるわけです。この間の約十六万幾らの両者の収支といいますか、出納関係というものは、記録上明らかになっておるものですか。
  62. 向井正文

    ○向井説明員 占領軍の行ないました行為でございますので、自分たちのほうでどれくらい接収した、そのうちどういうことでどこへどれだけ返した、あるいは配給をした、したがって、おまえのほうにはこれだけ渡すぞ、そうした記録はございません。明細についての記録は、公式にはございません。
  63. 山内広

    ○山内委員 そこで、これはやはり問題が将来にこの辺に残っておる。接収したものは三十二万五千カラットであった。ところが現在十六万一千カラットだから、その不足分だけはもう返したことになって帳面も何もないのだ。極端に言えばそういうことだと思うのです。これは行くえ不明になった数字でしょう。
  64. 向井正文

    ○向井説明員 まず、先ほど一々の記録はないと申し上げましたけれども、概数的な数字はもちろんわかっております。先ほど先生申されましたけれども、私どもの記録によりましても、総量が大体五十二万五千カラット、略奪物品としてオランダその他の国へ返還されたものが十二万九千カラット、それから国内産業用その他で解除されたものが三万五千カラット、したがって、その残りが十六万一千カラットと、その概数的なことはもちろんわかっておるわけであります。ただ、われわれが国内物品を管理いたします場合のように返済前についての出入りを書いた記録を一々かどって正確にこれを推計するということはむずかしいかと思いますけれども、概数的には間違いはないのじゃないか。特に、大宗をなすものが、戦争中にダイヤを回収いたしました交易営団、中央物資活用協会等のものが多うございますから、そうした機関の持っております帳簿、それから旧軍関係のものが多いわけでございますが、そういう旧軍関係の記録その他と照合いたしまして、その間にたいした食い違いはないというふうには考えております。
  65. 山内広

    ○山内委員 ああいう混乱のときですから、古い会議録を見ましても、ずいぶん苦労されながら記録がなくなったということも、私はわからないわけじゃないのです。ただしかし、国民から強制的に買い上げたものの半数が、正しい記録によらないでなくなっておる。そしてまた残りの十六万何がしのダイヤも、これからいろんな機関にかけて処置されるのでしょうけれども、こういうときに、何も部を無理に減らす——かりに臨調の答申があったにしても、ここ一、二年待ってくれ、それくらいのことは、実力者の田中大蔵大臣できないわけでもない。これは何といっても保険部新設の犠牲になったというよりぼくは断定できないと思う。  それはそれといたしまして、もう一つお聞きしたいのですが、昭和二十七年十月から約四カ月間かかってダイヤの取り扱いの権威者といいますか、嘱託をしていろいろ御調査されたのです。ところが、その前に占領軍から引き継ぎを受けたこの数字を見ますると、実にぼくは理解に苦しむ点があります。というのは、占領軍から引き継ぎを受けた量は、封筒に入れたものが二千九百五十九個でありまして、政府が前に四人の方ですか、委嘱して調査したときは、二千九百六十八個。その次の個数が問題です。個数が十五万六千三百五個引き継がれた。ところが、政府の鑑定によると、それが百四十九万八千九十三個になっておるわけです。この数字に間違いがないとすれば、約十倍にふくれ上がった。そして、その重量は、先ほど向井さんが言われたとおり、ほとんど大差がない。十六万一千三百三十二カラットに十六万一千二百八十三カラット。そういうことで、むしろ個数が十倍にふえて、重量のほうは四十九カラット減っているわけです。というと、結局大きなダイヤは盗まれてどこへか行って、小さなもので十分の一のものを集めて、重量だけ合わせてここに保管されるという、私はあまり知識がないのですが、それよりほか考えられないのですが、これはどういうふうに解釈すべきですか。
  66. 向井正文

    ○向井説明員 私どもの調べました数字は、非常に正確なものでございます。この間もごらんいただきましたが、あの袋の中にございますものを一々当たった数字でございますので、このほうは正確でございます。占領軍のほうは、大きなものにつきましては一個一個数えておったようでございますけれども、非常に小さいものにつきましては、それを計算していないようでございます。そしてその場合は、袋をもって一個というふうな決算をしておるようでございますから、そうした食い違いがございますが、内容的には実質上の食い違いはないものと私どもは考えております。
  67. 山内広

    ○山内委員 そうしますと、いまの調査官の御答弁を言えば、占領軍のほうは袋でよこした、こっちは一つずつ数えたのだ、この差だということですか。
  68. 向井正文

    ○向井説明員 ただいまお尋ねのとおりでございます。
  69. 山内広

    ○山内委員 そうしますと、これも変な話です。そうすると、占領軍から受けたときは、一々個数を当たらないで、中身を確認しないで袋だけで受理した、こういうことになりますね。そうすれば、なぜ私はそういうことを詳しくお聞きするかと言えば、日本銀行はただ保管の任にあっただけで、あとは委嘱した人が中に入っていって四カ月かかって調査をされたわけですね。これは一つの仮定ですけれども、悪く勘ぐれば、小さなものを持っていってすりかえをやったってわからぬでしょう、袋だけ受理されて、中身を確認されていないのですから。大きなものと小さなものをすりかえても、総量の重さだけを合わせればいいということになるので、これは非常に奇々怪々なことだとぼくは思う。この点、念を押してお聞きしておきます。
  70. 向井正文

    ○向井説明員 ただいまのお話は、鑑定の際のお話かと思いますが、鑑定の際には、私ども大蔵省の職員が立ち会っておりますので、そうした間違いが起こることは万々ない、これはかたく信じております。占領軍から引き継ぎを受けましたときは、引き継ぎを受けますその場で百四十万という数を一々当たったわけではございません。その点は、あとで鑑定の機会にあわせて数をしさいに調べたということでございますが、少なくとも鑑定の際には、私先ほど申し上げましたように、担当者が立ち会って個数も数えましたし、また鑑定もしていただいておりますから、そうした間違いは万々ないとかたく信じております。
  71. 山内広

    ○山内委員 これは信頼の問題ですから、委嘱した人に間違いがない、そういえばそうだろうと思いますけれども、そのうち正確な資料を出していただくことになると思いますけれども、私の持っている程度では非常に疑義が多い。こういう高価なものでありますから、国民の疑惑を招くようなことは、やはり明らかにしたほうがいいと思うのです。そういう意味でも、この問題ではいま一番の責任の地位にある部をなくしてしまう。そしてそれなればどうせ部長さんもいなくなるでしょう。そういうことで責任の所在をあいまいにして、あとから質問しても、資料によっても、わけがわからなくなる、こういうことは、とるべき態度ではないと思う。やはりここまでやってきたのですから、最後まで——残務というものは、聞いてみればあと一、二年のところ、もうそうかからないというのですから、明らかにして、そして疑惑を残さないようにしたほうがいいと思うのです。これは意見でありますから、それくらいにいたします。またこの問題については大蔵委員会との連合審査もあるそうでありますから、その際にもう少し突っ込んでお聞きしておきたいと思います。きょうは、この問題についてはこの程度にとどめます。  それでは次に、保険部の新設についてお伺いしておきます。  この設置法の十二条の二号から九号までいろいろな金融機関の名称があがっておりまして、これは今度検査部の所掌事務以外は、全部保険部において担当することになるわけですね。もう少し具体的に申し上げますと、十二条の二号の「日本銀行を監督する」から始まりまして、あと九号のいろいろな地方にある金融機関までを全部監督することになります。一体監督の範囲と、それからこういう機関の自主的な、自分たちがやれるものとの境界といいますか、これは何の規定によってきまるのか。この監督というものの範囲はどの程度のものか。たとえば信用金庫とか、こういう末端の地方の金融機関に汚職が起こったとか、いろいろな不正が起こった、こういう場合も、この監督の責任ということはこういう明文があると免れないと思うのですが、この点はどうなるのですか。
  72. 田中角榮

    ○田中国務大臣 大蔵省設置法だけではなく、銀行に対しては銀行法がございますし、日本銀行に対しては日銀法がございますし、また信用金庫や相互銀行に対しても法律がございますので、この法律の条文に従って監督権が発動せられるわけであります。銀行法における監督権が非常に実態に合わないじゃないかということで、もっとこまかく監督権を発動すべきだという御議論もございます。でございますので、銀行法や日銀法に対しても、現在改正について検討いたしておるわけでございます。銀行等については、預金者保護ということと、銀行という機関を育成強化していくということに主点が法律は置かれておりますので、この面から監督をしてまいるということでございます。ただ、金融政策その他いろいろなこまかい問題まで、具体的な問題まで監督権とか指導権を発動けるというようなことに対しては、おのずから限界を定めておるわけであります。
  73. 山内広

    ○山内委員 この改正になります十二条、ここに保険部の任務を書いておるわけですが、「前項第一号の事務のうち生命保険業及び損害保険業に係るもの並びに同項第八号の事務——第八号の事務というのは「生命保険業及び損害保険業を免許し、これを営む者を監督すること。」、そうしますと、保険部というものは、監督はしないで事務だけをつかさどるということになるのですか。その点はどういうことになります。
  74. 谷村裕

    ○谷村政府委員 これは設置法の書き方の技術的な問題でございますから私から申し上げますが、第一号というのは、「金融制度調査、企画及び立案すること。」これが現在の十二条の第一項の第一号に書いてございます。一般的に銀行局は金融制度調査、企画及び立案するわけでございますが、その中で、保険部は特に金融制度のうちでも生命保険と損害保険にかかわる金融制度というものを調査、企画、立案する、こういうふうに部制をしきましたために、同じく銀行局の中でも、一号事務の中で保険事務に関する調査、企画、立案だけは保険部にいくのだということを規定しております。  それから、その次に「同項第八号の事務」と書いてあります。その第八号の事務はまさしく「生命保険業及び損害保険業を免許し、これを営む者を監督する」といういわゆる監督事務でございます。したがいまして、ただしカッコでもって検査のほうは検査部が従来どおりやるのだということにしておりますから、保険部の所掌事務といたしましては、ただいま山内委員指摘のとおり、生保及び損害保険についてのいわゆる監督事務というものと、それから調査、企画、立案するという問題と、この二点が残ることになるわけでございます。
  75. 山内広

    ○山内委員 いや、その事務のほうは明文がありますからちゃんと改正されているのですが、この十二条の二項の事務というのは、あなたいま監督事務とおっしゃったけれども、監督はないですよ。事務だけなんですよ。ですから、この検査部と保険部との権限の問題がぼくはちょっとおかしいと思うのですが、もう少しはっきりしてください。
  76. 谷村裕

    ○谷村政府委員 お手元にございますのが、大蔵省設置法の一部を改正する法律案だと思います。法律案のほうでごらんいただきますと、まず十二条の二項としまして「保険部においては、」云々と、こう書いてございます。保険部が何をやるかがここに書いてあるのでございますが、前項と申しますのが、いまおっしゃったように一、二、三、四としてずうっとあがっている仕事でございます。その銀行局の所掌事務のうちで一号というのが「金融制度調査、企画及び立案すること。」でございます。これは新旧対照表のほうを見てくださいますとおわかりになると思いますが、十二条の第一項のほうは「銀行局においては、左の事務をつかさどる。」としておりまして、第一に「金融制度調査、企画及び立案すること。」とございます。それはもし資料としてお手元にあるとすれば、十一ページから十二ページのところでございます。
  77. 山内広

    ○山内委員 私の聞きたいのは、銀行局には保険部と検査部とあるでしょう。そうしますと、今度新しくなった保険部というのは、当然銀行局の中にありますから、いまおっしゃった第一号というのはわかるのです。ところが、この最後の、ずっと書いていったあとの改正の二項に保険部という独立した部を設けながら、「生命保険業及び損害保険業に係るもの並びに同項第八号」——同項第八号というのは、いまの生命保険と損害保険ですね。そして「同項第八号の事務をつかさどる。」とあるから、私はちょっとおかしいのではないかと思うのです。せっかく独立した部がありましたら、先ほどあなたのおっしゃった監督までもおやりになるのが順当じゃないか。事務だけやってあとはやらないのだったら、何も部に昇格する必要はないのではないか。そこを少しはっきりしてください。
  78. 谷村裕

    ○谷村政府委員 これは法律技術的な書き方でございまして、事務と申しますのは「銀行局においては、左の事務をつかさどる。」といいまして、監督することも、あるいは金融制度調査、企画、立案いたしますことも、あるいは金利を調整することも、国民貯蓄計画を樹立することも、そういう監督事務あるいは調査事務、企画事務、すべてこれを含めまして、どこどこにおいては次々の事務をつかさどる、こういう言い方をしておりますので、第八号の生命保険業、損害保険業を免許したりあるいは監督するということも、その保険部の事務として、こういうふうな書き方をしているわけでございます。
  79. 山内広

    ○山内委員 事務にたんのうな方々が額を集めて協議されたのですから、私なんかのしろうとよりも間違いはないと思いますけれども、どうもこの辺が複雑で、検査部のほうを見ましても同じことが言えると思うのですが、こういう設置法の立法技術では、もう少しわかりやすく、あとで疑義のないような方法が研究されていいのではないかと思います。  それはそのくらいにいたしまして、定員の問題を若干お聞きしたいのですが、その前に大蔵大臣に、これはきょうここでもらった行政管理年報の中に、閣議の決定事項として、三十七年の十月、公務員の欠員不補充の要領というものを決定された。この閣議決定を尊重して各省ともずいぶんこの線で努力したあとはわかるのですけれども、その結果が各省まちまちで、非常に行政事務のアンバランスができているということを、今回のこの国会の各省設置法を見て、これはたいへんな問題だ、そういうふうに私は気づいておるのですが、この欠員不補充の要領というものは、大蔵大臣としてはどういうふうに具体的に御理解になっておるのですか。
  80. 田中角榮

    ○田中国務大臣 機構、定員はできるだけこれを抑制する、こういう基本的な考えでございます。しかし、事業量のふえる特別な現業というようなものは、機械化によって能率化するかまたは事務の簡素化を行なうという以外には、どうしても事業量と並行して人員をふやさなければならないものがございます。こういうものは除くということにしてございます。でございますから、特別会計のような郵政とか国鉄とかまたは税務署とか税関とか、こういう事業量のふえるものはこの限りでない、こういうことが閣議で決定をいたされております。とにかく一般会計の中で一般職といわれるような職員は、できるだけこれを抑制しようということでありまして、具体的な問題としては、各省庁の中でまず分けてしまいますと、なかなかどうも仕事のある局と仕事のない局があっても、人事交流はむずかしい。こういうことが現在まで行なわれてまいりましたが、人事の交流は省全体として考える、これがまず一つでございます。もう一つは、各省間においても人事の交流をはかろう。これは言ってもなかなかむずかしい話ではございますが、第二の基本は、各省間でひとつ人事の移動を行なおう。内閣全体で事務配分を考えながら人事の効率的な運用をはかろうということが、基本的にきめられておるわけであります。
  81. 山内広

    ○山内委員 閣議決定という強力な決定がなされる前に、各省とも、独立採算を強要されているところはなおさらのこと、長年にわたってその省自体は欠員不補充の法則は守ってきているわけです。あなたのほうで予算を押えるものですから、どうしたってそうふやすわけにいかぬ。そのためにますますアンバランスになっておる。このことは、この委員会でも、将来、設置法を担当する立場から、ぜひ基本的に定員の問題は徹底的に調査したいと思っているのです。この問題は各省に通ずることでありますから、またそのときに譲りまして、今回三百五人の定員増を要求されております。この一番大きいのは国税の二百名でありますけれども、これは話を聞きますと、税務大学の学生を採るのか、または学生から入った人のあとの補充ということで、この間も堀委員からいろいろと御質問があった点でありますけれども、実働ではない。職員を二百人ふやしても、実際には業務に役に立つのではない。そういうことから、これは給費生の制度でも認めて、学生は定員外にして入れたらどうかという考え方も、私はあると思うのです。定員を食っているのですから、二百名というのは、ふやしてみてもそういう矛盾があると思うのですが、これについてのお考えはどうですか。
  82. 田中角榮

    ○田中国務大臣 これとて、まあ表現のしかたでございます。千六百名の学生が一年間の教育を受ける。実働人員からは千六百名はずれる、こういう考えでございますが、学生というものを、講習期間の者を定員からはずすことが定員と言っていいのか、またこれを含めたものを定員と言ったほうがいいのかという問題、これはただ表現の問題だけでございます。要は、実働定員の問題に対しては、実際の職務に必要なだけ定員が確保されておるかという問題が検討されるわけでございます。定員は、いままでは大蔵省だけではなく、他にも逓信講習所へ入っている者も定員でございますし、鉄道教習所に行っている者も定員でございますし、これは海上保安庁でも何でもみんな定員で、しかもその定員というものは、国会の議決でもってふやさなければならぬ、こういうことになっておりますから、これは定員外の者でも自由にとっていいというわけではなく、やはり法律で規定をしなければならないわけでありますので、この問題は、実際問題としてはそう議論のあるところではないと思います。いまのままでいいんじゃないかという考え方をとっておるわけであります。
  83. 山内広

    ○山内委員 それは大蔵大臣、少し認識を誤っておるのです。これは働くほうの側にすれば、実働の定員ということを考えておる。実際に働く者。ところがあなた方のほうの定員は、予算定員でしょう。ですから、いまのように税務大学校で税務講習をやる専修の者も定員の中に入って、総ワクで予算をとっておるわけです。これはどこでもいま指摘されたとおりです。ですから、私の言うのは、ほんとうに困っているところは、仕事業務量に追いつかないからなんで、予算定員は実働とは違う。予算の組み方としては、本来ならば実働に組むべまである。予算を何ぼもらっても、それがそっちのたとえば大学生にとられるとか、研修にとられるとか、そのほかいろいろなところにとられると思うのです。そういう意味で、この実働でとるのか、予算定員としてとるのか。そうでないと、たとえばこういう問題も出てくるわけです。どうしてもあなたのほうでは定員のワクを押えるものですから、仕事が苦しくなると、今度は人夫賃という形で事業費の中で予算がどんどん組まれておる。そういうのが、もう臨時人夫の形で十年間も働いているという問題が出てくる。こういう人夫賃というのは、いまの臨時雇用はちょっと違いますけれども、いろいろ隠れて定員確保している。きのうは運輸省定員の問題で、こういう現状も出ておる。登録の事務に、大阪でしたか、五十人も、登録申請をする会社や工場の従業員を迎えて仕事をやらしているという問題が出てきておる。そういうことになりますと、もっと公務員の定員というものはすっきりした形でやらないと、いろいろなところに問題が起きてくると思うのです。これについてのお考えはどうですか。
  84. 田中角榮

    ○田中国務大臣 いまのお話はよくわかりますが、国税庁の定員の中でも、学校へ行っている者のほうの予算単価は少ないわけです。実際実働している者は、単価は多いということです。この税務大学校に行っているということが、国税庁の職員としては絶対に必須条件でございます。講習を受けた者が第一線に出て行くわけでございますから、定員という中でもって、国税庁の定員の中では、千六百人程度はいつでも学校でもって研修をしておるのだ、こういう観念でありますから、定員外にしなければならないという理屈は、なかなか起きないんじゃないかと思います。これは同じ郵政省でも、実働定員は幾らという中でもって勉強をしておる者もあるわけであります。ですから、必ずしも学生というものを定員外にしなければならないことはない。定員とは何ぞや、こういうことになりますと、定員とは、法律に基づいてふやす場合には、国会でもって一々議決を願うということでありますから、郵政省の定員の中では、勉強している人は幾ら、それから国税庁の中では千六百人はいつも大学へ行っておる、この大学へ行っておる人も定員の中には入っておりまして、定員の中には実働定員が幾ら、学校へ行っておる者が幾らというふうに分けられておる。こういう事実だけでございまして、定員の中に入れるということが、それ以上にベターな方法も考えられないわけでありますから、私はいまの状態でいいのではないかというふうに考えます。
  85. 山内広

    ○山内委員 これは大蔵大臣とは見解が相違しておるので、そのうちまたゆっくりお話してみたいと思うのですけれども、お話を聞くと、民間に相当ひっこ抜かれる。これは実は統計はこの問官房長に見せてもらいましたけれども、ちょうど大学を出て働き盛りの、十五年の勤続で年齢も三十五、六歳というのが、大量にひっこ抜かれる。結局、こういう大学へ入れて、教育をして一人前になって、そして民間へどんどん取られて、またその補充をしなければならぬ。これは一体大臣どうお考えになりますか。そうしてどこに原因があって、どうすればこういう現象がなくなるのか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  86. 田中角榮

    ○田中国務大臣 まあむずかしい問題でございます。これは自衛隊等におきましては、勉強した者はつとめなければならないとか、また教員養成所を出た者は、その間の費用を負担するということで卒業後何カ年かは就職をしなければならないというようなものがございます。税務講習所を出たり税務大学を出たら、十五年だったら十五年、二十年だったら二十年つとめなければならない、こういうことにすればいいが、どうも一年間ぐらいで縛るということは、これはむずかしいと思います。これがとにかく三年とか五年とか学制上の学校になって、そうして必ず幹部職員にもなるんだ、全部がそうであれば、これは押えられます。卒業してから五年だったら五年は税務署につとめなければならぬくらいのことはできるだろうと思いますが、いまの税務大学の状態では、これはなかなかむずかしい問題であります。給料の問題がございますが、これも民間のほうがいいということでありましょう。昔は給料はよくなくても来た。まあ給料もよかったようでありますが、そういうことと、それからいまは公務員に対して、必要以上に公僕であるということを要求される、何か目のかたきにされている。こういうことから考えると、どうしても民間のほうがいいかなあ、こういうことになる。それと民間でも非常に経済成長が激しいものですから、税務署から人をもらうということは、経理が複雑になっておるだけに、そういうことをやるわけであります。こういう人たちに対して私どもどうすればいいのかというので、専門官の制度をとったり、それからいま国会にお願いしております税理士法の改正、こういうことを早く通していただけば、やはり税務職員も税務署に居つく。これは実際考えてみて、私は非常に深刻な問題だと思います。これだけやりにくい仕事をやって、そのためにこそこういう戦後の発展もあったわけでありますから、税務職員というと目のかたきにする、こういう考え方自体をまず正すということが必要でありますし、だんだんとそうしていけば、民間に早くから出るということより、もっと落ちつくだろう、まあいろいろ考えた末、税理士法の改正をお願いしたり、さまざまなことをいま考究いたしておるわけであります。
  87. 山内広

    ○山内委員 私、いまの大臣答弁から二つのことを考えたのです。それはやはりさっきのにこだわるようですけれども、学校に入れておく間の期間も実働の定員として考えて差しつかえない、この考え方を改めなければいかぬと思うのです。やはり給費生にして、学生だけれども、高校を出た者を一年なら一年、もう給料もくれるんだ、そうしてやっておけば、したがってここでやめさせない法律もできるし、足どめもできる。ところが、大臣の感覚のように、おれは働いているんだ、ちょっちょっと勉強して講習を受けてきた、学校へ行ったら、行っている期間も実働しているんだ、こういう考え方は、やはりよくないと思うのです。思い切って給費生にして、給料もくれる、そうしてそれだけにやはり勤続する義務を負わせるべきだ、これが一点。もう一つは、待遇の問題とか、社会的に何だかんだといろいろな目で見られるというよりも、そういう一番中堅幹部になる働き盛りの者を民間の会社はひっこ抜いていって、高い給料をやっても会社にとってはプラスになるから、そういう人を引き抜くのです。問題はそこにあると思うのです。税務に明るい者をひっこ抜いてきて、極端にいえば脱税の方法を研究させる、そのほうがかえって高い給料をかけても有利だという、これはもう利にさといのは民間の事業ですから、皆さんではないだろうけれども、その点の問題を大臣ははっきり考えないと——だれがやっても、税理士がやろうと、個人がやろうと、しろうとがやろうと、間違ってさえいない申告があったら、税法によって正しくやれば、そこに税金の額が上がったり下がったりということはあり得ないはずなんです。それが裏道をまだ残しておくから、優秀なものをひっこ抜いてきて、そういうものを研究さして、そして給料をやってもなお会社が利益がある。私は、そのことを大臣はやはり一番重視すべきだと思うのです。いかがですか。
  88. 田中角榮

    ○田中国務大臣 定員外にしなければならないという感じが、どうもよく私はわからないのです。いまでも定員という中には、実働しておらないで、身分はちゃんと職員でございますが、学校へ行っている者もあるということは事実でございますから、だからこれはこれでいいのじゃないかと思います。それで、しかも定員にならないというようなことは、法制の体系を変えてこなければいかぬわけです。(「給費生にしたらいい」と呼ぶ者あり)そうすると、その間だけは退職金に算入しないとか、率が少ないとか……。
  89. 山内広

    ○山内委員 それは法律のきめようで、そんなばかなことはない。
  90. 田中角榮

    ○田中国務大臣 だから、いわゆる学校へ行っている人を定員の中に含めておるということには、では一体どういう弊害があるのか。定員外にして、別に法制でもって定めて、定員に入るべき人、やがて定員に組み入れらるべき人、こういう人を法制上明確にする必要がどこにあるかと私は考える。何か国税庁が二百名もふやしても、実働定員じゃないのだから国税庁の職員の仕事はさっぱり軽くならないと国税庁の諸君が思うから、実働定員と学校へ行っている定員を分けろというのかもしれませんが、これはどうも観念論に過ぎて、実際問題として、定員の中に学校に通う人があっても一向差しつかえない。これはどこにもあるのです。学校に行っておる自衛隊の定員定員外にする、これはどうもわからない。  それからもう一つは、脱税幇助のために税務署から民間に行く、そういうことは絶対ありません。脱税というのは大体合わないのです。脱税をやると、必ず会社がひっくり返ってしまう。これは天網恢恢疎にして漏らさず、必ず国税庁はちゃんとつかみますから、脱税というものは絶対合わぬ仕事だ、そういうことで、脱税をする必要がない。そういうことがないとは限りませんが……。しかし、いまの税法は非常にむずかし過ぎるということで、中小企業などでもってどんどん仕事を伸ばしていく過程において、こまかいむずかしい税の処理がなかなかできないということは、お互いにございます。そういう意味で、税務署の職員でもって専門家を会社に迎えて経理を確立させたい、こういう考え方はあると思いますが、とにかく大学にも入れて、何とか一生でも税務署につとめてもらえるように、また税務署から出た場合には常々と生活していけるように、そういう考え方確立したいということで、いまいろいろ検討いたしておるわけであります。
  91. 山内広

    ○山内委員 定員の問題は日をあらためてと思いましたけれども、私の説明がへたか、考え違いなのか、大蔵大臣のさとりが悪いのか、どっちかわかりませんが、たとえばよくあなた方は公務員の数が多い多いとおっしゃる。そして国民何十名について何名と言うが、このうち何%かは学生で、研修をして実務をやっていないのだ。これは事務的に計算するときは、学生の定員と実働の定員は分けて計算しているでしょう。それはわかっています。そういうふうにして郵政省から何から集めたら、全国でずいぶんあると思うのですけれども、そういうものがどんどん民間にひっこ抜かれて欠員が多い。それを補充しなければならない。すると、研修をやらなければ一人前にならないから、二百名が五百名も千名も入れてくる。定員はきまっておりますから、今度は学生だけが膨大にふえるでしょう。そうすると、実働の定員というのは小さくなってくるのはさまっています。これはみな現場で働く人にしわ寄せしているのですよ。だから、やはりできたら分けたほうがいいというのは、そういうことなんです。極端にいったら、大蔵の官吏どんどんひっこ抜かれて半分でもいってごらんなさい。仕事できなくなります。しかし、定員で見れば、予算定員はちゃんと確保しているじゃないか、中身は学生が半分だ、こういうことなんですよ。だから、もう少しここらは研究して、われわれも研究しますけれども、ひとつこの次あらためて各省全部にわたって——自衛隊のようにはいかぬのです。あれは学校に行っていることが即任務なんですから、これと大蔵省の税務職員とは違うと思います。  それでは、一時も過ぎましたから、これくらいにいたします。
  92. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 定員のことで山内委員からお話がありましたが、ちょっと関連して一言申し上げておきます。大臣の、定員をどうこう言われるのはどうも腹へ入らぬということは、これは法律上の定員だから、その点はぼくら納得できるけれども、実際的にはその定員の中に非労働の者と労働の者と分かれるわけなんですね。だから、定員予算要求なんかする場合に、この辺のところはやはり各省とも仕分けをして、必要な実働人員がいまどれだけ不足しておるかという、こういうようなことを仕分けてやはり考えてもらわなければ、いまのような問題が解決しないので、そういう点をやはり各省ともこれはもう少しきめこまかく大蔵省のほうに予算要求のときに説明してもらわなければなりませんし、大蔵省としてもそういう認識の上に立って、定員の問題を取り上げてもらいたいと思う。これは要望申し上げておきます。
  93. 田中角榮

    ○田中国務大臣 大体実際の問題の中では、実働の給与の単価、学校に行っておる者の単価、また休んでおる着の平均、こういうものに対しては十分検討いたしております。
  94. 河本敏夫

  95. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、二点ほどにわたりまして大臣の御所見お尋ねをいたしたい。  まず第一は、臨時行政調査会からこのたび勧告が行なわれているわけですが、特に行政機構の統廃合に関する意見の中で、いろいろと大蔵省関係の機構等について取り上げているわけでございます。中でも行政機構の組織管理部門が不備な例として、本質的に行政管理局が主役で、大蔵省の主計局がわき役でなければならないのに、いまは主客転倒をして主計局が主導権を握っておる、こういうところに問題があるのだという指摘が行なわれているわけであります。それと同時に、現有スタッフ的な機構といたしましての官房の部局が、行政の変革に応じて分化をしなければならないのに、旧態依然たるままで存置をしているために不合理なものとなっている例として、大蔵省の官房組織が例示されておる。そのほかにも、理財局のようなものも時代に即応しない名称だという、名称上のものも指摘をされている。そこで今回の予算会計制度の問題について、きわめて重要な内容であります総理府に予算編成を移するというような、ああいうような大きな問題は刑といたしまして、今次の改正案に関連をする機構の問題としての問題点を私お尋ねをいたしてみたいと思うのでございますが、具体的な事項の勧告の中に、主計局の司計課、各主計官部局及び法規課は、それぞれ事務を大幅に整理、縮小をして、主計監査官を廃止して、その事務を統合するとともに、理財局地方資金課を大幅に縮小をせよ、こういうような問題が指摘をされているのがございます。これにつきまして、内部ではどの程度、どういうような方向づけで検討をしておられるものなのか、その方針についてお伺いをいたしたいと思うのであります。といいまするのは、先ほど大臣のほうからも、臨時行政調査会の答申の問題を取り上げられまして、国有財産局の臨時貴金属処理部の部制を廃止し、課を統廃合せよという答申をいただいておるので、法案には、このたび部を廃止をし、なお二課ある課を一課に編成をするんだという御答弁がなされましたので、これに関連をしてお尋ねをいたしているわけでございます。
  96. 田中角榮

    ○田中国務大臣 臨調の答申につきましては、内閣としましてもこれを尊重してまいるということでございます。大蔵省もそのとおりでございます。しかし、臨調の答申の大蔵省に対する考え方、この面に対しては、まずこのたびこうして法律を出しまして御審議をお願いしている面に対しては、これは賛成でございますから、こうしてすぐ実現をはかっておるわけでございます。ところが、主計局というものや、それから予算編成のやり方、こういうものにつきましては、主客転倒だといいますが、これは明治から長いこと大蔵省が担当してきたわけであります。しかも、私も役人から上がった者ではありませんから、より合理的な方法があるならばもっとうまいことをやろうと考えてみたのですが、どうもこの予算編成というものに対しては、大蔵省の現在の主計局の機構が一番いいんじゃないか、こういう結論に逃したわけであります。これはなぜかといいますと、いま各省の状況を見ましても、これは率直な議論になりますが、金を使うということしか考えない。金をどこから持ってくるかということを考えない。国民食掛をどうして軽減しようか、こういうことを考えないで、金を使うことばかり考えておる。これは私はやはり国民立場に立ったら、国民の税金でありますから、これを非常に合理的に、効率的に使う、こういうことに徹した制度が必要である。それで予算というものは、歳入歳出という両面を見ないで歳出だけをきめれば、膨大になるだけであります。私は今度の四十年度予算編成につきまして、各省に対して、補助金の合理化というものに対して、各省はみずからいまの予算の中でもってこれをやめてこういうふうに重点的にやります。こういうことをお出しなさい、こう言ってやってみたのですが、結局はなかなか削れない。大蔵省で削ってくださいと、こういうことでは——これは大蔵省の主計局で憎まれて予算をぶった切る、こういうことをだれもやりたいものはありませんが、やはりどこかで憎まれる人というものは必要であります。こういうわけで、かくして連綿として憎まれ役を買ってきた大蔵省の歴史というものは、高く評価しなければならぬ、こういう考え方でありまして、どうも主計局の分割とか、主計局を総理府にやる——いま確かに総理府でも仕事をしておりますが、各省で意見のまとまらないものは何でもみな総理府にやる、こんなことは行政の複雑化であって、私はあえて賛成いたしません。こういう考え方から考えてみましても、予算というものをどうして組むのかということを考えると、これはやはりいまの主計局や大蔵省の悪いところは十分直していく、これにかわるべき理想的なものはなかなか見つからない、こういう考えで、いま私はこの面に対してはまじめに検討はしておりますが、いますぐこれを改廃したり、別にいいものをつくるという自信はございません。理財局の名前も、これもどこにあったかというと、慶応の理財科ぐらいが有名でありまして、あとはありません。ありませんから、何とか考えたいというのでいろいろ考えてみて、御承知のとおり、前国会で証券局を分離していただきました。ところが、理財局のやっている仕事というのも、国債の発効から紙幣の図案まできめている、これはなかなかたいへんな仕事でございまして、何とかいい話はないか。この間私も、国民にわかりやすいように財政投融資局というふうに名前を変えられないか、こう思って検討してみましたら、将来は私は財政投融資局というようなものも生まれると思いますが、そのかわりいま理財局がやっている仕事全部が財政投融資局でもないのです。国庫局というものが必要なのか、そこがなかなかむずかしいので、やむを得ず、理財局を連綿として使っておる、こういう状況でございます。いろいろございますが、私自身が、最も大蔵省に批判的である私が行って、いろいろ批判はあるが、やはりこれでしょうがないかなと、こう思っておるわけでございますから、ここでもって私はやめるというのじゃない、これは大いに研究いたしますし、臨調の答申にも沿いたいと思いますが、ただ見るときれいだけれども、いまよりもなお複雑にするというような道は選びたくない、こういう考えでございます。
  97. 村山喜一

    村山(喜)委員 主計局で現在予算編成をやっているわけですが、内閣の調整的な機能の役割りを果たすために、内閣府といいますか、そういうようなものを設けて、その中でやるようにという一つの方針が出されておりますが、この問題についてはきわめて大きな変革の問題でございますので、私、ここで取り上げようとも思いません。ただ、行政機構の統廃合の問題に関連をいたしましては、行政組織はいかにあるべきかという問題から、行管が中心になって機構の改革というものを考えていくというたてまえが、やはり行政制度のあり方としては必要な点だろうと思う。その点が、主計局が主役になって、行政管理局の場合には、歴史が浅いし、またそれだけのスタッフがないということ等もありまして、今日のような状態になっているのだという指摘をされたのだろうと思うのでございますが、私がきょうお尋ねをいたしたいのは、同じくこの臨時行政調査会の意見書の中にございますように、財務局及び財務部の所掌事務のうちで、監査、審査にかかる事務、融資関係事務等の整理、縮小をはかると同時に、予算編成関係、経済、金融等の調査、国有財産の管理等がまだ十分でないので、その充実をはかれ。それと、金融関係については、信用金庫は都道府県に機関委任をしたらどうだ。さらにまた、都市銀行、地方銀行、証券業、保険業等の事務について、銀行局、証券局等から大幅の権限委譲をしたらどうか、というようなものが出されておるのであります。この措置に伴って、財務局及び財務部のあり方を抜本的に改革すべきである、こういうような考え方で、理由を見てみましても、これらの点につきましては妥当なものだと私は思うのであります。したがって、この銀行局なり証券同等の金融政策一般にかかわる企画、立案というものは、そのスタッフ的なものは本省に残して、地方支分部局の場合にはライン的な業務を行なっていくのだ、こういうような立場から考えてまいります場合に、今回保険部を新設するということでありますが、この保険部を部の機構として新設をしなければならないかどうか。臨時行政調査会では、スタッフ的なものは本省に残すとしても、ライン的な業務地方支分部局のほうにおろしていけという考え方をとる場合に、このような部制というものをつくらなければ、ライン的な業務が強化できないのかどうかという問題について、関係がありますので、この点についての考え方をお伺いしておきたい。
  98. 田中角榮

    ○田中国務大臣 私は保険部——まあ申しわけない話でありますが、率直に申し上げますと、保険局をつくりたいという考え方に立っておるわけであります。しかし、局をつくるということよりも、段階的に部でお願いしたい。というのは、保険は戦前の三倍になっております。しかも生保は三十八年でもって十四兆円、それから損保は二十七兆円、こういう大きなものになっておるわけであります。しかも率直にいって、銀行局の中にある。銀行局自体は、どうもやはり都市銀行中心の考え方でございます。ここに金融の総合的な調整ができない、そういう意味で、私は理財局から証券局の独立ということも非常に熱心に推進したわけであります。銀行局長は保険のこともよくわかってはおりますが、銀行局の局議をやると、やはりどうしても都市銀行中心、地方銀行中心ということになるわけであります。ですから、私は、いままででも、そういう意味で、もっともっと保険に対してやらなければならなかった仕事がたくさんあると思います。そういう意味で、大蔵省には証券、銀行、それから保険、こういうものは同一のレベルでもって議論を戦わせる、こうならないと、なかなか合理的な金融政策、総合調整は行なえない、こういう考え方が、基本にございます。ですから、保険部というのも、銀行局の中にある保険部ではございますが、私は、どうしてももっと早くこの保険というものを行政的にも機構を整備する必要があるということを熱心に考えてまいったわけでございます。率直に申し上げますと、銀行局がありましたので、銀行に対する育成行政というものも非常に強く行なわれたわけであります。証券局ができましたから、いろいろ問題になっておった証券取引法も思い切ってやろうという気になったわけであります。いま御審議をいただいておりますあんなものではだめだ、もっともっと、大蔵省の証券局に届けられたものをとにかく受理をして認可をしたならば、一年、二年後に倒産をするというようなことはありませんという保証をするだけ、証券局はしっかりやれということをいまいわれておるわけであります。私は、保険に対しても同じ問題がありますので、将来はひとつ保険局が必要だなあという考えで、せめて保険部はお認めいただくという考え方でお願いできればはなはだ幸甚だと思います。  それから保険に対していま一番の問題は、外国の保険に対して、自動車保険などは、外国保険にどんどん加入する。こんなことでいいわけがないのであります。しかも保険だけはいつまでたっても自由化しないんだ、こんなことでいけるわけはないのであって、保険に対する抜本的行政というものを確立する必要は、今日において非常に急務である、こういう考え方でございます。銀行局の中におったらできないのか、こう反論されればまことに申しわけないわけでございますが、やはり名実ともにという意味で、機構整備もお願いしたいという考えでございます。  財務局に対してひとつ私はここで申し上げますが、確かに財務局に対する臨調の答申も、少し冷ややかなものでございます。いままで財務局は確かにそう言われるような面もあったと思います。財務局の中で一番大きなものは、国有財産を取り扱っておる。これには問題が間々起きる。何か財務局は、東京都などですと都の財務局と、市の財務局と、大蔵省の財務局と、一体どう違うのか、私はそういう意味で、地方大蔵局ということにできないかということをまじめに考えてみたのです。ところが、そんなものは時代逆行だという議論もございましたが、私は、いま国会で議論をされているそのもの、その中では、証券というものの取り扱い、それから社債の発行条件、こういうものとか、それから地方通産局でやるべきである倒産の内容とか、地方金融機関に対する中小企業に対してどう貸し付けておるとか、また倒産した関連企業に対してどうめんどうを見ているのか、こういう問題をもっと大蔵省はなぜ責任を持ってやらぬのか、証券取引法に基づく検査権をなぜ発動しないか、こう言われると一も二もないわけであります。いままでは銀行局という本省の機構でもって一々銀行に検査官を出した。なぜ地方に十もある財務局の機構を活用しなかったか。これが活動せられておれば、地方財務局は拡大こそすれ、これはやめてしまえというような答申はなかったと私は思うのです。そういう意味で、新しい時代の要請、大蔵省は当然法律に基づいて責めを負わなければならない、こういう問題をひとつこれからやらなければなりませんし、国会でもやりなさい、こういうことでありますので、地方財務局に対して、保険部とかまた銀行局とか、証券局とか、こういうものの出先として、第一線業務をまじめにやる、こういう考え方であります。どうもその答申をいただいたときの事態とは多少違うのじゃないかと思いますので、その方々にも、地方財務局の必要性、将来の計画、こういうものに対しても御説明をしてまいりたい、こう考えております
  99. 村山喜一

    村山(喜)委員 臨調の答申の内容にいたしましても、財務局や財務部を廃止しなさいというようなことは言っていないんですね。これは大臣も御承知のように、地方公共団体等に対する監査業務が二重行政になっているというような部面、あるいは審査業務というものがだぶついているというような問題があります。そういうようなものを極力整理統合をして、そして現実にやらなければならないいまのいわゆる銀行行政なりあるいは保険行政というものを、やはり大幅な権限委譲を行なって、地方支分部局でやりなさいと言っているのだから、まあ大臣がお答えになった方向のものだと私は受け取るわけです。  ただ、この際証券行政の問題について大臣が触れられましたので、この前大蔵省に証券局を設置する場合には、まあ証券局さえつくってもらえば、株価の安定の問題にしても、あるいは証券市場の発行市場としての機能を確保することもできるのだ、産業の自己資産比率も向上できるのだ、まあオールマイティの考え方で、田中大蔵大臣得々として説明を承ったわけです。ところが、そういうようにして証券局は生まれた。生まれたけれども、四千億円程度の市場の余剰と称せられる株が、今日においては共同証券なり保有組合によってこれが買い上げられて、——買い上げられておるけれども、株価は一向にさえない。そしてこの買い上げ資金というのは、日本銀行の別ワクから出されているというようなかっこうになっている、そういう状態の中にあって、いま百五十円以上の株価のものについては増資は自由にしなさいというような大手筋の証券業界のムードづくりが始まっている。日銀総裁もこれにこたえているような発言の内容を見ますが、これは一応慎重論というふうに承りますけれども、そういうように、今日確かに証券局はできたけれども、一向に改善のあとがない、国民大衆の立場に立つならば、実効性はあがらないのじゃないかということを私たちは感じとして持つわけです。だから、保険部を新設をしたからといって、はたして大臣が言われるふうに、そのようにうまくいくものであるかどうか。  この点についてさらにお尋ねいたしたいのは、この保険部の新設の必要性の問題を取り上げられておるわけでありますが、先日堀委員質問に対しまして、現在の保有高は、三十九年の九月の日銀調査によりますと、生命保険の預金量が一兆六千億円をこえている、それから損害保険の預金量は三千四百十九億円をこえているというような説明がなされました。現在一・五%程度の公社債の手持ち比率を、大臣は一〇%程度に引き上げたいという考え方をそのときお示しをなされたわけでありますが、私は今回の四十年度の財政投融資計画の中で、現在民間の信託資金が特に生命保険あるいは損害保険の資金から、住宅供給関係に資金が回されているということも聞いているのでございますが、この保険部をつくるということが、勢いそういうような公社債の手持ち比率を上げるために提案をされているような、そういう趣旨にも受け取れるわけでありますが、それがほんとうのねらいであるとするならば、これはたいへんなことだと思いますし、自由化対策という説明もございましたけれども、そういうようなねらいをお持ちの上でこの提案をされておるのではなかろうかと思いますけれども、これについて、現在の取り扱いの状況はどういうふうになっておるのか説明を願って、これの方針というものをお伺いしておきたいと思うのです。
  100. 田中角榮

    ○田中国務大臣 保険部の設置につきましては、これは全く保険行政をやるために必要である、こういう考え方でございまして、保険に公社債を持たせる、その比率を上げるためにやるというようなことは、絶対ございません。そんなことをやるならば、現在のままでも、私が持ち比率を上げなさいと言えばできることでありますから そういうことではございません。堀委員が御質問になったのは、これだけ大きなものがあるにもかかわらず、山陽特殊製鋼の例を見ても、協調融資をしておるし、協調融資をしても、協調融資なるがゆえに生命保険そのものがさっぱり相手方の信用状況も調べておらぬじゃないか、しかもコールに流しておったり、こういうことでなしに、もっと保険の持つ公共性というものを大きくするためには、公社債というものの保有率を考えてはどうかという御質問でございましたので、確かに相互銀行や信用金庫などが一〇%という公社債を持っておるにもかかわらず、日銀から担保にして金を借りる必要もないからというようなことで、また利回りが悪いからというようなことだけでもって、保険会社だけがコールに出しておるということはけしからぬということでございましたので、確かにお説のとおりであります、そういう方向検討いたします、またいたしております。こうお答えしたわけでございますから、保険部とは全然関係がございません。保険部というのは、さっき申し上げたとおり、非常に大きな問題でございますし、いままで銀行局の一課であったというところに問題があったわけであります。ですから、理財、証券、保険、銀行と、こういうものがほんとうに同じレベルで十分検討する必要がある、また十分施策を議論する必要がある、こういう考え方で保険部の設置をお願いしておるわけであります。  例に引かれて、証券局はさっぱりじゃないかというのですが、証券局ができましたので、なかなか大蔵省が手をつけなかった証券取引法の改正をやったわけであります。証券取引法の改正でもやっておらなかったら、相当な非難があったと思います。ですから、そうぶったところがはれるようにさっと効果をあらわすというものではありませんが、われわれの生命は悠久でありますから、将来を展望するときに、やはり大いに効果がある、こういうふうにひとつお聞きを願いたいと思います。
  101. 村山喜一

    村山(喜)委員 保険部の新設の理由はわかりますが、機構的に今回部として独立をされるということになりますと、部長以下課の編成なり、こういうような組織規程の改正はどういうような形になって、どのような機構で準備、対応していこうとしておられるのか、これについての御説明か承っておきたいと思います。  それから、ついでですからお尋ねをいたしますが、保険行政の対象になるのは、民間の生保と損保、この二つだけということになるのか、労働組合なりあるいは中小企業協同組合が行なっております生命共済なりあるいは建物共済、こういうようなもの等に対する行政上の措置とも関連性があると思うのでありますが、どのような方向でおやりになるのか、この点も御説明願いたい。
  102. 谷村裕

    ○谷村政府委員 保険部ができますと、現在所掌しております生命保険それから損害保険、両方の保険第一課それから第二課ということで、大体定員としましては双方合わせて四十名程度のものを考えております。仕事は、おっしゃるような意味で保険業それ自体の問題につきましても先般来お話が出ておりますように、あるいは地震保険、あるいはまたその他の企業年金等の関係でありますとか、今後さらに勉強しなければならない問題が出てくると思いますが、さしあたりはそういうことでまいりたいと思っております。  なお、第二の御質問の、他省所管にかかわるもので内容が保険事業というようなものに当たります、たとえば中小企業協同組合あるいは農業共済といったような問題、これは保険全体としての調整なりあるいはその間における連絡なりというものが、個々の問題について考えてみますと必ず出てくるものでありまして、これについては、今後とも大蔵省においていわば全体としてのそういったものの総合的な調整をはかってまいらなければならない問題であると考えております。
  103. 村山喜一

    村山(喜)委員 最後に一点だけお尋ねいたします。  税関の増員百四名、国税の職員の増員が二百名、これの配置方針はどういうふうになっておりますか。例の、この前文教委員会でありますか、体育の特別委員会の中で取り上げられましたオリンピックセンターとの関係等もあるかと思うのでありますが、これらは東京大阪に重点を置いて、そういうような法人等の税収の確保に当たるというのがねらいであろうと思うのでありますけれども、それの配置方針について御説明を願いたいと思います。
  104. 谷村裕

    ○谷村政府委員 三百五名のうち、おっしゃるとおり二百名が国税庁関係、これは先般来お話が出ております。さしあたりは学生定員増加ということがこれによって許容されるわけでありますが、全体としては国税庁の第一線活動官吏の増加になるわけでありまして、全体としての国税庁第一線の実働人員がどういうふうに、たとえば東京局、大阪局等のほうに集中されてまいりますかというようなことについては、要すれば国税庁の担当官のほうから御説明いたします。  それから税関の関係は、去年もやはり問題になったのでありますが、いろいろ業務がふえてまいりますにつれてそれぞれの配置を考えるわけでございますが、この百四人の内訳は、要すれば税関の関係局長から御説明申し上げます。
  105. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間の関係もありますので、詳細な説明は私のほうで遠慮させてもらいたいと思いますが、一応百四名なりあるいは二百名というものの算出の根拠というものがあろうと思うのであります。これだけの増員をやることによって、どれだけの行政効果をあげるかという一応の基準なりというものが設定をされて定員が出されているのだと思いますので、その基本的な考え方だけでよろしゅうございますから、この際説明を願います。
  106. 谷村裕

    ○谷村政府委員 国税庁関係の二百名につきましては、第一線に現に活動しております者が、年々ある程度退職してまいります。かりに全体として五万人という人間がおるといたしますと、これが二十五年で一回転すると考えますれば、年に約二千人くらいの者が入れかわることになるわけでありますが、さしあたりまだそこまでまいりませんので、当面は千六百人くらいの人数を補充するということにして考えてみますと、さしあたり四十年度は二百名を現在の者に対して付加しておけば、実動人員として確保できる、かような考え方で、もう少し詳しく申せば詳しくなりますけれども、大まかに申せばさようなことでございます。今後ともこういう形で、国税庁の実働人員をいかにして確保していくかという問題は、来年度においてもまた出てくる問題だと思います。  税関のほうにつきましては、これは非常に忙しくなる場所等がよくわかっております。その中で定員等を極力押えてまいるという方針と、一部は例の欠員補充の解除によっていただきます分と、そういうものを合わせましてこれを積み上げて、たとえば東京税関で何人であるとか、神戸税関でどういう面に何人であるとかいうことを積み上げて、計算して出した数字でございます。
  107. 村山喜一

    村山(喜)委員 終わります。
  108. 河本敏夫

    河本委員長 次会は、明十四日、水曜日、午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十二分散会