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1965-04-08 第48回国会 衆議院 内閣委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月八日(木曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 荒舩清十郎君 理事 伊能繁次郎君    理事 佐々木義武君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 田口 誠治君    理事 村山 喜一君 理事 山内  広君       井原 岸高君    岩動 道行君       池田 清志君    亀岡 高夫君       高瀬  傳君    二階堂 進君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       湊  徹郎君   茜ケ久保重光君       中村 高一君    堀  昌雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         運 輸 大 臣 松浦周太郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (大臣官房長) 谷村  裕君         大蔵事務官         (関税局長)  佐々木庸一君         運輸事務官         (大臣官房長) 堀  武夫君         運 輸 技 官         (港湾局長)  佐藤  肇君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  深草 克巳君         運輸事務官         (自動車局長) 坪井 為次君         海上保安庁長官 今井 榮文君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    中嶋 晴雄君         国税庁次長   喜田村健三君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     宮田 康久君         運輸事務官         (航空局監理部         長)      町田  直君         運輸事務官         (気象庁総務部         長)      伊東 道郎君         日本国有鉄道常         務理事     今村 義夫君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 四月八日  委員角屋堅次郎辞任につき、その補欠として  堀昌雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員堀昌雄辞任につき、その補欠として角屋  堅次郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二九号)  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)      ————◇—————
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を附きます。  大蔵省設置法の一部を改正する法術案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。堀昌雄君。
  3. 堀昌雄

    堀委員 大蔵省設置法の一部改正に関しまして、私は、きょう二点ばかり問題点指摘をし、それについての大臣見解を伺っておきたいと思います。  まず最初は、保険部設置についての問題でありますけれども、私ども大蔵委員会で、生命保険損害保険等の問題について、これまでいろいろと議論をしてまいりました。その中で、実は保険審議会委員の構成の問題についてかつて私議論をいたしましたが、その中で、いま生命保険の問題として一番重要なのは、保険審議会でも取り上げていただきましたけれども契約失効の問題であります。この契約失効の問題はどこにあるかというと、保険外務員の問題に関係がございます。そこでこの外務員たちの組合の幹部が、実はこの外務員制度外務員側からの考え方についていろいろと意見もその他持っておるわけでありますので、先般この保険審議会委員の中に、あるいは正規の委員として困難であるならば、専門委員としてでも特にこの保険会社勧誘その他の問題について、あるいは解約失効等の問題について、これらの外務員を代表する者を入れてもらいたいということを私要望いたしておきましたが、その後まだ依然としてこれらについての措置がとられておらないようであります。そこで、これについてのお考え最初にお伺いしておきます。
  4. 田中角榮

    田中国務大臣 御承知のとおり、保険審議会には欠員がいま一名ございまして、外務員から一人入れるかどうかということをいま検討をしております。外務員から入れるという道を開くか、外務員参考人のようにして呼んで、外務員制度というものをより中立的な立場で十分聞くか、どっちがいいかという問題は、考え方によってあるわけであります。でありますから、どっちがいいのか、外務員の代表が入るということだけで必ずしも問題は解決するという問題でもありませんので、しかも生保だけではなく、損保のほうをどうするかという問題もありますので、現在検討しておるという段階でございます。
  5. 堀昌雄

    堀委員 いまの問題は、生保損保関係があるというお話でありまして、損保については、外務員制度というのはやや違う形で、代理店制度になっておるわけでありますから、いま一番私ども保険の中で重要な問題だと考えておりますのは、この解約失効の問題だと思いますので、少なくともこの機関については、私は、外務員を代表する者が単に参考人というような形ではなく、やはり彼らの立場から十分な意見を述べるということが当面非常に、重要ではないか、こう考えておりますので、その点はいま大臣の御答弁はありましたが、その方向でひとつ御検討を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  6. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほど申し上げたように、慎重に検討しておりますが、臨時的に入れるか、恒久的にするか、また現在働いておる人を入れたほうがいいのか、昔からの外務員経験者渡幸吉さんのような人がおりますが、こういう人を入れたほうがいいのか、なかなかむずかしいわけであります。慎重にいま検討しておりますから、あなたの御説よくわかりますし、臨時にひとつ入れてみてはどうかというような意見もありますが、将来のことも考えて、より外務員制度を合理化するにどうしたらいいかということを十分自信をつけてやる、こういうことでいま検討しております。
  7. 堀昌雄

    堀委員 私は、こういう議論をいたしますときには、おおむねの結論の出るめどを伺うのが、私の大体のやり方でございます。したがいまして、おおむねいつごろになるか。どっちにしろ結論が出るのが、おおむねのめどだけ伺って、この質問を終わりたいと思います。
  8. 田中角榮

    田中国務大臣 いつということになると、先ほど申し上げたとおり、いま慎重に検討中だということでございます。あなたも大蔵委員でありますから、そうそういつまでも逃げられるわけでもありませんし、こちらも早く結論を出そうという姿勢でございまして、大蔵省でいま実現するような方向検討しているわけですから、いつということよりも、そういうことで御了解願いたいと思います。
  9. 堀昌雄

    堀委員 大臣は、普通の場合はたいていかなり明快に時期をおっしゃるのですが、私、この間例の監査制度の間遠について触れたときも、ひとつ六カ月をめどとしてというお答えをいただいた。この間新聞で、企業会計審議会かの答申について会長が新聞に書かれておるのに、私の質問に対して大臣が六カ月をめどにというふうに御答弁があったので、普通なら一年かかるけれども、この問題は重要だから、ひとつ急いで六カ月以内に答申をしたい、こういうふうなことで、私はこれは大蔵省内部のことですからいいですが、やはりめどがあれば皆その気になりますので、ちょっとしつこいようですが——私は、別にあなた方の検討の時間を拘束する意味じゃないのです。大体のめど、半年に置かれるのか、どこらで置かれるのかということを伺っておきたいだけです。
  10. 田中角榮

    田中国務大臣 保険の問題の中で、いまの失効の問題、継続率の問題、そういう問題がございますので、二、三カ月くらいの間に継続率問題等検討して審議会に付議したいと与えておりますから、その機会に考えるということで御了解いただきたいと思います。
  11. 堀昌雄

    堀委員 その次に、私ども保険の問題を考えますのに、日本保険は、火災保険はあまり強く勧誘はされておらないようでありますけれども生命保険については、御承知のように、まことに私ども頭が痛いほど勧誘をされるわけです。政治家というものは弱いもので、われわれの強力な支持者が紹介をしてきますと、これは保険会社勧誘員だとわかっておっても、そのまま帰すわけにはいかないので、一応会う。一応会うと、忙しい時間にかかわらず、三十分も一時間も勧誘をやられる、そういう形になっておるわけです。これは私だけでなくて、たくさんの皆さんが御経験があると思うのです。ところが、一般的にわが国の保険は、入れるときには非常に熱心なんですが、事故が起きて払うときの払い方というものが、必ずしも被保険者立場に立っていないような感じがしてならないわけです。最近町を走っておりますと、自動車の横やうしろにまるいカードが張ってある。これはAIUという外国損害保険会社がいま日本進出をしてまいりまして、私も車を持っておりますから、そうすると、さっそくAIUから保険加入についてのすすめがまいります。それを見ておりますと、なかなか合理的な取り計らいがされる仕組みになっておるようでありまして、私の友人の医者に言わせますと、もう自動車関係保険外国保険に限る。日本の場合には、支払いについてああだこうだなかなか簡単にいかないけれども外国保険の場合は、大体このくらいと言ったら、そんなやかましいことを言わずに保険契約に基づいてさっさと払ってくれる。早く払うし、文句はつけられないし、保険はこういう形でなければならない、こういうふうに言われておりますので、私はこういう立場ですから、国内のものに入っておりますけれども、そういうことを聞くにつけて、日本生命保険損害保険を含めて保険会村の姿勢問題——保険会村というのは、やはり保険思想が普及されてこなければ、会社自体発展をしないわけです。その保険思想がいかにして普及をするかということは、保険に入るときよりも、事故が起きて払ってもらうときに、そのときが最も肝心だと私は考えておるわけですが、まず最初に、事務当局でけっこうですが、AIUの実情についてちょっとお答えをいただいて、あと大臣から、いまの私の問題についてお答えいただけばけっこうだと思います。
  12. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 AIUについてお答えを申し上げます。  AIUは、アメリカ系損保会社日本に置いております代理店形態のものであります。御承知のように、損害保険事業全体につきまして、日本会社と対等に同じような事業をやっておるわけでありますが、お話自動車保険につきましても、相当力を入れております。しかもこれは若干料率の建て方、担保範囲につきまして、日本会社のやっておりますものと違います。要点を申し上げますと、仰せのようにかなり支払いが早い。それから担保範囲も、非常にこまかい点につきましてはかなり広い点もございます。そういうことで、お話しのような点が確かにあろうかと思います。最近日本会社におきましてもそういう点を研究いたしまして、これではとてもいけない、少し外国糸会社やり方を勉強しようということで、技術的な問題でございますが、四分の三てん補と申しますのを四分の四てん補にしたり、支払いにつきましても、警察の証明がいままで要るといっておったのを、要らない、簡便に払おうということにしたり、かなり外国系会社に刺激をされて、うまいほうにいっておると思います。私どもも、そういう方向指導いたしておりますので、遠からず同じような方向日本会社もいくのじゃないか、かように考えております。
  13. 田中角榮

    田中国務大臣 生命保険につきましては、大体支払いは順調にいっておるということです。死んだ場合一週間以内、十日以内ということになれば、もう大体九〇%まで払っておるというようなことで、だんだんと支払い促進ははかられております。しかし、損保の問題は、これは特に御指摘自動車の問題、こういう問題に対しては、保険会社自動車の併有行の観念そのものが違っておるわけであります。でありますから、支払い損害の限度というものに対しては、非常に厳密な考え方をして、トラブルも起きておるということは事実でございます。しかし、市を持つものは国民的なものになってくるということ、それから外国のものは、自動車というものに対して非常に身近な国民全体という考えでありますから、そしてまた故障があったり損害があった場合には、定期的に車を取りかえたりということでありますが、どうも日本人は、保険会社からはよけいもらいたい、あとは直してまた自分で使おう、こういうものの考え方自動車に対する観念というものの相違があります。自分がこんなことをしておれば、外国保険会社にみんなとられてしまうということで、もう自動車が特定なものではない、国民的なものだという観念にだんだん切りかわってきたというところで、いま中嶋調査官が述べたように、世界レベルに近づきつつある。これは国民全体がどう使うかという、車の台数がふえれば、当然外国的になるわけであります。損保の問題に対して、こういう問題は、もっとスピーディーに世界的なレベルでひとつ発達するようにという考え指導はいたしております。
  14. 堀昌雄

    堀委員 そこでいま私はAIUという外国保険会社の例をとって、自動車について触れたのですが、ひとつ損害保険支払い所要日数について、現実には火災保険の場合、傷害自動車賠償保険等支払い期間、どのくらいの期間にどのくらい支払われているか、率でけっこうですから、ちょっとお答え願いたい。
  15. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 保険種目別に申しますと、約款所定の原則的な期間は、大体一カ月以内ということになっておりますが、この期間普通火災保険につきましては七九・三%支払われております。それから三カ月以内に一八・二%、六カ月以内に一・八%、六カ月をこえるものが〇・七%ということでございます。このような長くかかりますものは、それぞれ査定その他についてトラブルのある問題、事件だと考えております。それから傷害保険につきましては、一カ月以内に九〇・四%、三カ月以内に八・三%、六カ月以内に一・三%でございます。六カ月以上は、統計上は出てまいりません。それから自動車賠償責任保険につきましては、一カ月以上に四四%、三カ月以内に四八・六%、六カ月以内に五・八%、六カ月以上かかりますものは一・六%、かような数字になっております。
  16. 堀昌雄

    堀委員 いま伺いまして普通の火災保険八〇%くらいが約款どおりでありますから、まああと三カ月以内に一二%くらいで、これもおおむねそれほど取り立てて言うことはないかと思いますし、傷害保険も同じようなことでありますが、やはりいま伺ってみると、非常に問題があるというのが自動車賠償保険だと思います。一カ月以内が四四%で、三カ月以内が四八%、六カ月以内がさらに五・八%もあるということは、やはりこれは日本の今後の自動車賠償保険というものは、大きなウェートを占めることになってくるだろうと思いますから、その点においては、これはやはりいまのAIU等進出をしてきたということによってそれが促進をされるなどということは、私から見ますならばはなはだ残念なことであって、やはり私は大蔵省も事前にこういう調査をして、そういう進出がない前にやるべきではなかったのか。ということは、すでにいま私は国内保険会社がそういう新しい制度に切りかえておるということがわからないのですから、一般自動車を持っておる者の中には、いまのAIUは非常にいいというのが、一般的風潮となって非常に広がっているわけです。ですから、私がいま話をしたのも、何も保険会社が言うのじゃなくて、その加入者が、われわれ医者同士の会合や何かのときに、何か自動車の話が出ると、ああ自動車保険だったらあれはいいぞということになれば、これはもうみな、ああそうか——医者なんというのはほとんど自動車を持っておりますから、それじゃ次からそれにしようということになって、非常に日本損害保険はその意味で立ちおくれておるということを痛感をいたしますので、やはりまず保険というものは支払いのところに一番問題があるということを十分ひとつ指導の上で明らかにしてやっていただきたいということを、特に要望いたしておきます。  その次に、生命保険のほうからちょっと触れていきたいと思うのでありますけれども生命保険会社状態を調べてみますと、総資産は、この大蔵が監修をしていらっしゃる保険年鑑で申しますけれども、ちょっと指数のスタンダードがどこに置いてあるのかよく私もわからないのでありますが、とりあえずここに生命保険会社資産推移表という資料を見ますと、指数の上で総資産は五八二五九という指数になっております。総資産のこの五八二五九というふえ方に対して、不動産は一〇八九七四という数字でありますから、これは非常にざっとの話でありますけれども、総資産が五八%と考えてもよろしい、五八%ふえたというのに対して、不動産は一〇八%になっておる。要するにふえ方が、総資産ふえ方の倍の比率生命保険会社資産のうちの不動産がふえておる、こういうことなんですね。そこでこれについて、もちろん生命保険会社自体が、いま不動産、たとえば日本生命が日生劇場というような大きな不動峠を建てるとか、第一生命が代々木や何か国電から見えるところに豪華なデラックスアパートを建てるとか、こういうものも確かに不動産がふえておる一つ理由にはなっておろうかと思うのですが、もう一つ問題点は、営業用不動産が著しくふえておるのではないのかという感じがいたしてなりません。そこでひとつ、過去の比率でもよろしいし、いまのそういう総資産伸び率に対して、不動産というのは、営業用不動産とそういう運用不動産といいますか、二つに分かれておると思いますが、これを二つに分けて、倍率はどういう形なのか、五八に対して一〇八というふえ方のこの中身をちょっとお答えいただきたいと思います。
  17. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 ただいまお尋ねの倍率でございますが、これは戦前に対します倍率ではない、戦後のある時期に対する倍率ではないかと考えますが、ちょっといま資料が見当たりませんので、あとで調べてお答え申し上げますが、現在の数字で申し上げますと、三十九年三月末で申し上げますと、生命保険会社所有不動産は、総資産の一〇・九%になっております。これは前年度に対しまして、一二・一%の増加に当たります。そこでこの不動産伸びの問題でございますが、法規上は、生命保険会社損害保険会社、ともに総資産の二割まで不動産を持ってよろしいという規定が実はあるわけでございます。しかしながら、二割という数字は、私ども行政を担当しております立場から申しますと、現存の情勢で申しますと、少し大き過ぎるという感じがいたします。いわんや営業用不動注につきましては、確かにこれを二割も、それに近い数字を持ってはいけないという感じがいたしておりますので、昭和三十八年に通達をいたしまして、営業用不動産につきましては、総資産の一割以内に押えること、しかも増加率も一割以内におさめるということにいたしております。そういたしますと、たとえば本社を建築いたしますというようなときには、一時的にふえるわけでございますけれども、その際には、それから数年の間にそのワク内におさめるように、他のほうの不動産の取得を押えるように、そういう指呼をいたしまして、おおむね適切な方針をとってやっておるというふうに、私どもは理解をいたしておる次第でございます。  なお、損害保険のほうにつきましては、若干指導方針が違いまして、これは自己資本に対しまして八割程度の不動産比率を持つようにという指導をいたしておりまして、八割をこえるものにつきましては、ややきつ目の認可をとり、八割以内のものにつきましては、ややゆるやかな指津をいたしておる、かような情勢になっております。  なお、伸び率の比較につきましては、ただいま調べまして申し上げます。
  18. 堀昌雄

    堀委員 そこで、生命保険会社金融機関でありますから、ある程度の店舗等が必要であることは私も認めるにやぶさかではありませんけれども、大体生命保険会社というのは、店舗を持って営業をしておる形態になっていないのです。これは外務員が前線に出て勧誘をしておりまして、生命保険会社店舗に対して被保険者が直接出向いていって、そこで保険加入等の処理をするということには大体なっていないわけでありますから、そこでそういう意味では、他の金融機関とその営業用不動産の性格がやや異なっておるという点を、これはひとつ前段として確認をしていただかなければならないと思います。それでは、どうしてその営業用不動産が他の金融機関に比して著しく多いのかといいますと、これはやはりいまの募集様態関係があるわけです。要するに、何十月という保険外務員が流動的に常に対流をしながら、入ってき出ていきながらその外務員が保有をされておるために、その外務員を実はある一つの場所に集めて、あるいは教育をし、あるいはその報告を聞き、いろんなことをするために、実は必要以上に保険会社営業用不動産を膨大ならしめておる、これが一つの大きな理由だろうと私は思うのです。そうなりますと、本来この不動産自体が、営業用不動産というのは、これは経費のほうには入りますけれども、収益をもたらすものではないわけですから、生命保険会社の問題については、保険加入者に対してよき利回りを約束しようとするならば、まず営業用不動産というものは、極度に切り詰められてしかるべきものではないか、こういうふうに私は考えるわけですね。それを極度にそれでは切り詰めておるかというと、実はあまり切り詰めておられない。いま建っております地方における営業用不動産は、いずれも相当りっぱなものが建てられておるというのが、実は現状なんです。私は、過般来いまの失効解約の問題が異常な状態にあるということにかんがみて、この問題について政府検討を促し、現在保険審議会あるいは保険会社等でも検討が進められておるようでありますが、しかし、この根底にあるのは、私はこの異常な多数の外務員制度というものが改善されない限り、この問題の解決にはならないのではないか。この前も簡易保険状態を調べてみましたところが、簡易保険のほうは、解約失効率が非常に少ないわけです。そしてそれはどこに基因するかといえば、やはり簡易保険は、郵政省の職員が安定した職務で、将来の見通しもあって仕事をしておりますから、無理なことをすれば早晩自分たちにはね返ってくるわけでありますから、その点では非常に健全、確実な方法がとられておるにもかかわらず、生命保険のほうは、まだ依然としてその募集勧誘等については、従前の姿のままが行なわれておる。それがひいては今日のこの営業用不動産の異常な様態発展をしてきている。ですから、この点は、私は解約失効の問題は、保険外務員の問題につながり、これは営業用不動産につながる。これはひいてはあわせて被保険者の不利益をもたらしておる非常に大きな問題点である、こういうふうに考えますが、これらについて、ひとつ今後の指導方針——私はかねてから申し上げておりますように、保険外務員というのは、少なくとも常勤職員として、将来その職場に長く勤務をして、自分仕事を励み、またそれによって正当な報酬も得られ、労働条件あるいはその他の諸条件が完備された状態の中に置かない限り、この問題の解決はあり得ない、こう考えて問題を提起しておるわけでありますが、これについて、ひとつ大蔵省側見解を伺っておきたいと思います。
  19. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 先ほどお話のございました数字でございますが、戦前の九—十一年の平均に対しまして、仰せのように、確かに総資産伸びよりもはるかに不動産伸びのほうが大きい数字になっております。これはほかの数字で申し上げますと、戦前昭和九年に、不動産は総資産の中で五・七%になっておりましたが、昭和三十七年度末でございますが、九・一%になっております。ただし、それはたとえば昭和二十五年に一六・一%であったのに比べますと、その後十数年の間にかなり比率が下がっておりまして、戦後の異常状態をだんだん解消しつつあるというように考えます。なお、営業資産が総資産の一割以内でいいというだけでは、私ども満足いたしておりません。今後数年あるいは十年以内にこれを逐次低下させまして、年々比率を下げてまいりたい、かように考えております。  なお、外務員の点につきましては、先ほど大臣からお答えがありましたように、継続率の問題を今後審議いたしますが、仰せのような線で指導してまいりたい、かように考えます。
  20. 堀昌雄

    堀委員 いま建てたものは、これはつぶすわけにもいきませんから、これを有効に活用していただくことが望ましいわけでありますが、できるだけ今後の新設等については、あまり永久性のものではなくて、将来のそういう外務員の変動等を見越した措置についても、指導を行なわれるように特に希望いたしておきたいと思うのです。  それからもう一つは、本社の建築の問題でありますけれども、建てるとなると、本社というのは実に巨大なるビルが建つわけですね。それも大体都会のどまん中の——いま私、道を走っておりますと、通産省の付近に富国生命がたしかいま本社の建築をしておるのではないかと思うのですが、相当大きな建築が行なわれつつあるわけであります。どうも昨日も、これは私事にわたりますが、いなかからおじとおばが、何かめいの結婚式というので初めて東京に参りましたので、私ちょっと夜銀座周辺を自動車で案内をして歩きました。あの大きな建物は何ですかと聞きますから、よく見ますと、ああ、あれは三菱銀行ですね。こっちは何ですか、ああ、これは協和銀行です。あれは。あれは住友銀行ですというように、銀座の端から端まで走っておりますと、百貨店以外はみんな銀行なんですね。私はあまり銀座というところに出たことがないのですが、昨日京橋から新橋までの間をスローでおじとおばと銀座見学をさせながら見て、これはたいへんなことになっておるものだな、こういう感じがいたしました。これは大蔵委員会ではしばしば議論になるところでありますけれども、いや全くなぜ大銀行があれほど銀座の目抜き通りに集中して店舗をかまえなければならないのか。もう一つは、同じ銀行が千メートルかくらいのところにあるんですね。それはおばが指摘したのですが、ここは何銀行ですといま説明して、向こうへ行きまして、左は何銀行ですか、あれは何銀行です、いまあったじゃないかというわけで、全く距離から見ましても、あんなに近距離にあんなに大きな銀行が必要なのかなと疑問に感ずる点もあるわけであります。これは銀行のことで、生命保険は銀座のどまん中にそんなにたくさんあるわけではありませんが、これはしかし、やはり私は大蔵省指導方針として、生命保険会社についても、損害保険についてもそうでありますけれども、ともかく金融機関というのはもう表通りには原則としてつくらない、できるだけ地価の安い、そういうところに少し入るような指導を、これは大臣、私はしてもいいのではないかと思うのです。現在あるものについても、必要があれば転用をして、ほかの、そういうところにあるほうが望ましい業種もあると思います。そういう業種に転用するなりして、もう少し私はこれらの——店舗行政として広げることはいいですが、場所等の使用等、それからその建物の構造等々については、やや私は過大、そして目抜き中心街という点については、これは多少配慮があっていいのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。
  21. 田中角榮

    田中国務大臣 大体基本的な考え方は、あなたと同じ考え方であります。私も大蔵省へ参りましてから、とにかく目抜き通りの一番地価の高いところが金融機関だということは、その町の発展の上から見ても好ましくない。でありますから、店舗行政等に対しては小型店舗、またビルをつくったならばビルの一階のかどということよりも、何階の何号室でいいじゃないかということをずっと言っておりまして、四十年度の店舗の配分につきましては、非常に小型なものをたくさん許したということでありますから、相当方向としては変わっておるということであります。いままでなぜ目抜き通りに金融機関が蟠踞したかといいますと、結局一番土地の高いところに一番りっぱな建物があるということは、それだけ信用がある、こういう——内容がよければだれでも認めるんですが、どうも日本人の考え方、一番いいところに一番りっぱな建物をつくっておいて、一番大きな銀行をつくっておけば預金者が非常に多い、こういう長い歴史的な事情が今日になっておるわけであります。この間外国へ行く人がありましたから——私はアメリカは知っておる。アメリカはもうさすがに銀行はでかいものをつくっております。ところが、ヨーロッパをよく見てくるようにということで頼みましたら、町かどは銀行とか保険会社だけのものというのは日本だけだと思っておったら、イギリスもやはり、ちょうど四かどを見ると、四かどが三つは銀行だ、銀行が町かどに建つということは世界的風潮ですかな、こういう答弁を私はもらって、そして、まあどこの国でもむだをしておるものだな、こういう感じでありました。いま店舗行政で一番集約的に見えるところは、新宿の西口であります。困っておるんですが、全部あそこへ店舗を設けたい、こういうことになっておるわけです。銀行が建つようなところには新しい町ができるのであって、少しそういう先覚者、パイオニア式の店舗の位置を見つけるように、こういうことを言っております。だんだんとよくなりつつあるということで、ひとつ御了解いただきたいと思います。安田生命も、御承知のとおり新宿へ出ました。第一生命は今度山の中へ行こう、こういう企画もあるようであります。でありますから、だんだんと、特に金融機関などは一階で、二階、三階の空間を使っておらない、夜は電気を消す、いろいろな問題がありますが、そういう意味で、とにかく店舗行政に対しては、相当転換しつつあるということで御了解いただきたいと思います。
  22. 堀昌雄

    堀委員 しかし、いまの店舖行政はもうちょっと私は大蔵省はしっかりやってもらっていいのではないかと思いますから、この点はひとつ特に要望いたしておきます。  その次に、実は先般山陽特殊製鋼が倒産をいたしまして、私ども調査に参りました。そこで調査に参りまして、その借り入れ金の状態を調べておりましたところが、実は保険会社からの借り入れ金が巨大な額にのぼっているということがわかりました。私のほうから申しますよりも、政府のほうからこの山陽特殊製鋼の保険会社からの借り入れ金とその借り入れ先の金額等について、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  23. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 山陽特殊製鋼に対します生命保険会社の貸し付け金を申し上げます。総体で四十三億七千五百万円ばかりでございます。
  24. 堀昌雄

    堀委員 これは大蔵委員会では、銀行、商社等も金額をお答えいただいたのですが、どこの保険会社が一体どのくらいの割合でこれに貸しているのか、ちょっとお答えいただきたい。
  25. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 これは十社ばかりが貸しておりますが、協調融資で貸したものが大部分でございます。その会社の名前は、ここではちょっとごかんべんを願いたいと思います。
  26. 堀昌雄

    堀委員 まあ内閣委員会ですからということで遠慮するわけではございませんけれども大蔵委員会では、銀行、商社の名前、いずれも出して、その金額等についても発表いたしているわけですから、保険だけが何か特別の優遇措置を講ぜられる必要はないのではないかと感じますが、その協調融資というのは、何社が組んだ協調融資で、金額は幾らになっているのか。会社の名前が言えなければ、一社で出しているところはどういう状態になっているのか、ひとつそれを承りたい。
  27. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 協調融資を実行いたしました会社が、八社でございます。金額につきましては二十六億になっております。
  28. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、残りの十七億は二社で出したということになるわけですか。
  29. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 これは協調融資の会社八社で二十六億ということでございまして、ダブった会社もございます。したがいまして、差額が直ちに単独融資であるということにはならないわけでございます。
  30. 堀昌雄

    堀委員 これについては、ひとつ後刻詳しい資料を出していただきたいと思います。  実はこの山陽特殊製鋼に対する生命保険会社の四十三億七千五百万円という貸し付け金は、銀行との関連から見ても、非常に多額な貸し付けになっているわけです。銀行からの貸し付け額の総評は約百二十億でありますから、それの三分の一をこえるものを生命保険会社が実は貸し付けをしている。ということは、私はある一つの企業に対する生命保険会社の貸し付けとしては、いかがなものであろうかという感じがいまいたしているわけです。これは少し詳細に調べて、今後の生命保険会社の貸し付けの問題点として論議を進めてまいらなければならないと思っているわけですが、この点、実は先ほどの保険年鑑で見ますと、やや資料としては私どもよくわからない点があるわけでありますが、貸し付け先が、企業別とかそういうことになっていなくて、保険約款貸し付け、有価証券担保、不動産抵当、財団抵当、公共団体、その他というような組み分けになっておりますが、三十八年分についてその内訳を見ますと、公共団体に対する貸し付けはわずかに〇・一しかない。ところが、その他というのが、五一・八%もあります。そうすると、このその他というのは、ここで表現をされておる不動産抵当、有価証券担保等というものとどういうかっこうでその他になっておるのかもわからないのですが、一体この生命保険会社の貸し付けに対する政府指導のあり方というのは、どういう指導方針で行なわれておるのか、ここらについてお伺いをしたいと思います。
  31. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 生命保険会社の資金は、これはもう御案内のように、非常に長期の安定した資金でございます。いわゆる日銀信用に依存したものでもございませんで、大衆の金を集めたものでございます。したがいまして、いわば貸し付け資金としましては、設備資金に見合うような長期のものにふさわしい資金ではないかというふうに考えております。そういう観点から、しかも生命保険事業の公共性にかんがみまして、従来の電力、鉄鋼等基礎産業に対する融資のウエートをかなり高くしてまいっておるわけでございます。最近は、昭和三十五年ころから住宅公団貸し付けも次第にふえてまいりまして、これも現在の残高で一千億をこえるというところまでまいっております。そのほか、ただいま御指摘のありました地方公共団体の地方債の引き受けでありますとか、金融債、商中債の引き受け等にも金を回しております。ただ、全体の数字の中でかなりの部分は、いわゆるそういう大きな分類に入りません中小企業のものもございます。したがいまして、そういうものが御指摘のその他の運用ということになっておろうかと考えるわけでございますが、資産の運用の方針といたしましては、ただいま申し上げましたようなベーシックなものに貸す、かようなことで指導いたしております。
  32. 堀昌雄

    堀委員 そこで、そういうことでありますれば、特殊鋼も、部門は非常に小さいですが、基幹産業というような部門でありましょうが、この四十三億の貸し付けの時期等は、金額別ではわかりますか。
  33. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 ただいま資料がございませんので、調べましてまたお答え申し上げます。
  34. 堀昌雄

    堀委員 実は私、昨日この山陽特殊製鋼問題を長時間にわたって論議しましたが、ともかく銀行も融資をしておりますけれども、主要なる銀行というのは大体四行程度で、あとはここに融資をしていないわけです。いまの四十三億というのは、さっき申し上げたように、銀行の貸し付け金に比べても非常に高い状態にありますし、私が心配をしますのは、銀行は貸し付けについて、調査等についてもかなり慎重にやっておると思うにもかかわらず、このような事態ですね。そこで、生命保険会社の貸し付けに対する調査機構、審査機構といいますか、これは私に言わせるならば、もう銀行以上に生命保険会社はそういうものがきちんとされていなければならないと思うのです。というのは、これは非常に長期の資金でありますから、みな安心をして加入をしない限り問題は発展をしないわけでありますから、その点で、私はこれを見ながら生命保険会社八社が協調融資をしたということなら、その入社としてははたしてそういう調査機構その他がどういう形になっておるのか。四十三億の焦げつきということは、これはかなり大きな問題だと思います。きょうは資料は御準備ないかもしれませんが、その他の最近の倒産企業、たとえば日本特殊鋼とか、あとは小さいから別でありますが、この日本特殊鋼等についても、生命保険会社は融資をしておったのではないかと思いますが、日本特殊鋼の場合は、一体どのくらいの融資がされておったのか。
  35. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 日本特殊鋼に対します貸し付けは、三億六千二百万程度でございます。  なお、生命保険会社の財務の運用機構についてお尋ねがございましたが、山陽特殊製鋼あるいはいまの日本特殊鋼に対しましても、財団抵当で貸し付けておりまして、銀行保証によりますものはごく限られたものでございます。  それから審査機構が不備ではないかというお尋ねでございますが、生命保険会社のように資産が非常にふえてまいります分野におきましては、今後御指摘の点を大いに拡充いたしまして、十分審査をし、安全な貸し付けができるように指導していきたい、かように考えます。
  36. 堀昌雄

    堀委員 これは昨日銀行についても強く要望いたしましたけれども生保損保にかかわらず、貸し付け金については、ひとつ厳重な審査機構を——それも昨日大臣の御答弁の中にもありましたが、もし一社で不可能ならば、これは何社かがシンジケートのような形で共同の調査機構を持っても、合理化をされていく点で望ましいかと思いますから、その点等については、今後前向きに検討していただくように強く要望いたしておきます。  その次は、生命保険会社及び損害保険会社の有価証券の問題であります。現在の生命保険会社の有価証券が総資産に占めている割合は、たしか二三%くらいだったと思いますが、その二三%の有価証券の中身を調べてみますと、その九〇%は株式になっておりますね。社債はわずかに二・六%こういうことで、私どもは金融の問題を考える場合に、どうも大臣は非常に証券市場の問題については御関心が厚くて、これまでもちょいちょい株価が下がると、少し保険会社に買わせたらどうかというような談話が出ておるようにわれわれも聞くわけでありますが、そういうふうにしてぐあいが悪そうだと買わせ買わせできたためか、現在の生命保険会社が持っております有価証券の価格は、どういう価格になっておるのかちょっとわかりませんが、三千百七十九億一千七百万円というのが三十八年度における生命保険会社が持っておる有価証券の額であります。これは最近の御承知のような市場で、かなり大幅な値下がりを起こしておるのではないか、こういうふうに思うのですが、現在における評価損というものは、生命保険会社全体について三千百七十九億というのは三十八年でありますから、最近よりはさらに株価水準か高かった時期のことでありますから、どういう評価損の状態になっておるのか。
  37. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 三十八年度の株式保有の数字は、仰せのとおりでございます。これは昨年度末株価か低迷いたしておりまして、六十億程度の評価損を出しました。これは実は三十八年度でありまして、三十九年度につきましては、この三日末日で締め切ったわけでございますが、三月末日の株価の平均額があまりよくなかったために、三十九年度につきましても、大体三十八年度末と同じ程度の評価損が出たのじゃないかというふうに考えております。これはしかし、生命保険会社の経理の問題といたしますと、仕入れた金額ははるかに安いものもあるわけでありますから、それを売却して売却益を出して相殺すれば、評価損は埋めることは経理上はできるわけであります。しかし、それは現在の株式市場その他の情勢から申しまして、はたしてそういうことをすることが妥当であるかどうかということもありますので、あえて評価損を出しておるということでありまして、これに見合う金額は、八十六条準備金でありますとか、あるいは一般的にいえば株価の含みがまだ相当ございますので、それで保険会社が不健全だということにはならないだろう、かように考えております。
  38. 堀昌雄

    堀委員 そこで私が指摘をしたいのは、いまのお話しのように、評価損が出ても、売買益を上げればこれは実質的な損ではないだろうと思いますし、また持っておればいつかはまた上がるという時期もありましょうから、この問題を短期的に見る意思はありませんけれども、かなりフラクチュエーションの強いそういう証券に九〇%のウエートがかかって、いま私どもが声を大にしておる公社債市場の育成という面で、その社債はわずかに二・六%という構成比は、生命保険会社金融機関としての姿としてはややいかがなものであろうかという感じがいたしてなりません。片や都市銀行は、巨大な外部負債をかかえておりながら、実は政府保証債その他についても相当強い割り当てをして、これを少し中身をこまかく調べてみますと、都市銀行はいま預貸率は一〇八%くらいになっておるわけでありますが、社債や——金融債は多少異なりますが、政保債等をもし持たないとするならば、実はこの預貸率はやや変わってくるという段階になっておるわけですね。ですから、私は何も都市銀行の肩を持つわけではありませんが、金融機関全体として、これらの公社債の保有のあり方については、もう少し政府は高い立場からの指導が必要なのではないのか、こう考えますが、大臣いかがでございましょうか。
  39. 田中角榮

    田中国務大臣 株式の保有が非常に多い、これは戦後の機関投資家として今日の産業を育ててくるという一つの過程における状態でございます。評価損が六十億程度出ておりますということでありますが、しかし、含みが二千億以上もある、こういうことでありますので、問題はない、こう思います。しかし、公社債の持ち分が非常に少ないということは、これは端的に申し上げますと、保険会社は公社債を担保にして日銀から金を借りるというようなことがなかったので、いままで公社債を持つより株式が有利だ、こういう考え方が主になっておったのです。ところが、これからのことを考えますと、現在のような低比率でよいというのではありません。ありませんから、私は個人的には相互銀行、信用金庫等の公社債の持ち率を上げてきております。現在三%を六%、七%、一〇%、ですからある時期には、生命保険損害保険の剰余金というものに対しても、一〇%程度くらいまでは早急に上げていきたいという考え方を持っておるわけであります。まあ安定的な投資ということで、いままでは機関投資家としての生命保険会社の役割りも大きかったし、いろいろございましたが、公社債市場の育成という意味から考えて、保険会社はそういうものを持つべきであるという考え方でございます。これから株式市場の問題もありますので、十分状況を見ながら、保険会社の公社債の持ち比率というものは、行政指導としてだんだんと上げていくという方向検討してまいりたいと思います。
  40. 堀昌雄

    堀委員 生命保険会社のほうが実は残高が多いから、このほうだけを例にとりましたが、損害保険は、公社債はわずかに一・五%でございますから、この点については、ひとつ——これまでは、どうも金融行政全般を見ておりまして、銀行局の中に銀行課もある、それから中小金融課ですか、それから保険の一課、二課、こう分かれておるためにあるのかもわかりませんが、そういう意味では、総合的な金融政策という点にアンバランスが多少あったのではないかという感じがいたしますから、ひとつその点は、特に金融の問題というのはかなり流動的なものでありますから、その段階、時期に応じて適切な方針を早目に立てていただかなければ、私はこの問題の解決がされにくいのではないか、こういうふうに考えますので、特にひとつ保険会社資産の運用のあり方響についても、私は、新たな段階に応じて考えていただきたいというふうに感じます。  それからいまの問題に関連をいたしまして、保険業法には、被保険者契約者保護に関する規定はありますけれども、この保険業法がやはり非常に古い法律でありますために、資産運用についての社会的責任の問題が、実は全然触れられていないわけです。いまの金融諸立法のいずれも、契約者保護、預金者保護という点ではきわめて厳格になっておりますが、今日これらの金融機関日本経済の中に占める役割りは、やはりそういう社会的責任というものをかなり大きく考えなければならない段階にきておるのではないか。生命保険については、先ほどの中嶋調査官お答えのように、最近住宅公団等に対する融資等もかなり大幅になってまいりましたことは、私も非常にけっこうだと思うのでありますけれども、大体生命保険というものの性格は、世代を越えてつながる性格だと思うわけです。世代を越えてつながるということは、要するに私がかけております生命保険金というものは、私が使うためにかけられるのではなくて、私の次の世代が、私が何か事故が起きたときに受け取っていくわけでありますから、本来的には世代を越えた用途に非常に比重がかかっておる。そうなりますと、私は、このような意味では、さらに公共的な面にこれらの資産が運用される。生命保険というようなものは、損害保険もそうでありますが、公共性の問題とにらみ合わせて、やはり現在、将来的には銀行法その他を含めて金融関係諸立法は当面全部洗いがえをして、新たな角度から書き直す段階にきておると思います。しかし、それは急にはまいりませんから、それまでにはひとつ行政指導方針として、いま申し上げた公共的な面に対する投融資のあり方という点は、さらに一歩前進をさせてしかるべきではないのか、こういうふうに考えますけれども大臣はいかがですか。
  41. 田中角榮

    田中国務大臣 大体そのとおりです。いままで保険にはいろいろな問題がございます。育ててくるという過程でありましたから、なかなか手きびしい行政指導もできなかったという面もあるわけであります。まず、剰余金はできるだけ契約者に還元をする。ところが、一人に還元をするとしても、年間百円とか百五十円とか非常に零細なものでありますが、合わせれば七百億、八百億、千億という金になるわけであります。これをもっと公共的に使えないかという問題がございます。そして契約者の利益を守るというためには、毎年毎年配当していくということよりも、何か最終的に特別なことをするということでもってそういう責任をまかなえないかというような、まだまだ研究すべき問題がたくさんあります。いまの山陽特殊製鋼の問題のようにして、戦後は多少貸し付けをやることによって保険加入してもらう、また同時に金を貸せることによって人もとってもらうというような、ある意味保険会社立場からの妙味もあったでしょう。ところが今日のようになりますと、企業が大きくなり、動かす資金が非常に大きくなるために、金融機関からは代表が行っても、生命保険会社はおつき合いにやる、そのかわりに内容も調べられないで割りつけた額をそのまま負担する、こういう状態。それから株式にウエートを赴いて投資をしておる。それから不動産に対しても、利益が非常にあったので過重な投資を行なう。いろいろ保険の内部には問題があります。私は、必ずしもいまの住宅公団に対する貸し付けも、貸し付けということがいいのか、住宅公団債というものを一括引き受けるということがいいのか、こういう問題ももっと突っ込んで検討しなければならないわけであります。それから先ほどあなたが指摘をされた収益を生まない不動産というものに対しては、もちろん制約をしていくべきでありますが、今度新しく保険会社が住宅をつくる、分譲住宅をやるとか、庶民住宅をやるとか、それから病院、医療施設というものに投資をする。保険に非常に密接な関係があるわけであります。そういう新しいものがたくさん出ておりますので、保険そのものの全体を新しい角度から洗ってみるということは、必要であります。いますぐできるものではありませんが、こういう根本的な考え方保険に対処し、同時に、保険といえども自由化にいつでも対応できるような状態にしなければならないという一つの大きな目標がございます。そういうことを十分考えながら、いまの保険業法でいいんだという考え方ではありません。あらゆる角度から検討してまいりますから、その過程においては、十分の目標を立てながら行政指導をいたしてまいるという考えであります。
  42. 堀昌雄

    堀委員 実は法律のほうがおくれておりますから、これを手がけるとなるとたいへんでありましょうが、新たに保険部ができるというようなことは、皆さんのほうとしては大いに行政を拡張し——人員は拡張しないかもしれませんが、前進をさせようというのかもわかりません。そこで私は、これはいつをめどにといって聞くわけにはいきませんから聞きませんが、まずその法律をつくる前段のいろいろな問題点を整理し、そうして検討を進めることは、これはもう早急にひとつかかっていただいて、私がこれまで委員会で指摘をしてまいりました例の失効解約率の問題から発展するところの募集面の問題も重要でございますが、あわせて資産運用の社会的責任ということも非常に重大な問題でありますので、これらを含めてさらにひとつ検討を進めていただきたいということを要望いたしておきます。  これで一応生命保険損害保険等質問を終わりまして、次は大蔵省の定員が今度増加をするようであります。その増加の様子は、税関職員増加と国税職員増加のようであります。税関職員増加については、税関というものの性格が、月末に非常に事務が集中をするという、これはいろいろと指導をしても、商売の関係でありますから、おそらくやむを得ない実情があると思います。そのために、各税関は非常に人員不足で、税関職員はやや過重な労働条件に置かれておるというふうに感じますから、この点における税関職員がふえることは、労働条件を適正化するということでいいと思うのでありますが、実は私ども税関へ行って視察しまして感じますことは、どうも税関というところは、昔どおりの仕事をしておるのではないかという感じがしてなりません。現在民間の会社はいろいろと事務用機械等を援用し、かなり合理化を進めて、それによって人件費をできるだけ節約しようという方向にあるにもかかわらず、私が視察をいたしますのは横浜とか神戸とか、日本の主要なる税関でありますが、ここらにおいては、そういう意味の合理化というものが、どうもきわめて不十分な状態にあるという感じがしてならないのであります。これについて、関税局長のほうで、はたしてそういう事務の合理化その他について積極的な措置がとられておるかどうか、予算的にはどういう処置をこれまでとっておるのか、ちょっとお伺いしておきたい。
  43. 佐々木庸一

    ○佐々木政府委員 税関の事務が飛躍的にふえますのに対処しまして、合理化をどうやっていくかという問題は、私どもの常に心がくべき第一の問題点だと考える次第でございます。実は、いままでもいろいろな試みがなされております。たとえば計算管理センターでございますとか、文書の進行管理制度の採用でございますとか、いろいろなことをやってまいりました。関税局自体も、御承知の貿易統計、通関統計等をつくりますために、電子計算機を採用しているわけでございます。しかしながら、企業のいろいろと進んだ機械化、合理化の程度と比べますと、私どものやるべきことは非常に多いと思っておるところでございます。ただ一つ、いままでのところ進行いたしませんでしたのは御承知のとおりでございますけれども、これには組合運動の非常な抵抗というものがまたあったわけでございます。堀先生から機械化をなぜやらないかというお話を私ども承りまして、非常に激励されたと思います。若干感想があるわけでございますけれども、私ども確かに人をふやすだけではとても足りません。いまのところ、いろいろ機械化の研究を進めておるところでございますが、何しろ御承知のように機械の進歩は非常に早いものでございます。そしてまた非常に早い上に、日本の企業が非常に背伸びをしてやっておるところでございますので、どの機械を使いますか、いろいろ問題がございますけれども、なお慎重に検討さしていただいておる段階でございます。
  44. 堀昌雄

    堀委員 労働組合が反対をしておるという話ですが、私はその問題について労働組合と話をしたわけではありませんが、私その点得心がいかないのは、実は税関職員というものは非常に労働過重になっておるから、機械で置きかえられれば労働条件が少し改善されるのであって、私はその点どういうことになっておるかわかりませんが、少なくとも文明の進歩につれて考えられるべきことであるし、日本の貿易量がだんだんとふえていくのに、人間だけふやしていこうということ、これはどうも将来なかなか問題があるのではないかと思います。そこらについては、労働組合との話し合いも十分していただけばけっこうでありますが、私に言わせると、どうも管理者側が、十分自信を持って労働組合の人のためになるんだということを説得できるだけの準備や、努力や、誠意に欠けておるのではないかという感じもしますので、本来それは労働者のためでもあるわけですから、そういう意味では、労働条件の改善のためにも、ひとつ十分な話し合いをし、誠意を尽くしてやると同時に、機械化をすることによって、今後飛躍的に増大するであろうところの貿易事務の処理を円滑にしていただきたいと思います。  それから最後に、実はこの三月の上旬に私大蔵委員会から税務署の申告状態の調査のため世田谷税務署に参りました。そこで、世田谷税務署で聞いたところでは、定員があるにもかかわらず、定員が不足をしておるという状態がわかりました。なぜ定員が不足しておるんだということを聞いてみますと、いま税のほうは、税務職員を採ると、すぐそれが税務職員として間に合わないので、一年間か何か税務大学というところに入れて講習を受けさしておる。そこで定員としては、おそらく総ワクで税務職員は一ぱいになっておる。しかし、千二百人余り税務大学に行っておるのは、実際には税務職員ではないわけです。これは研修機関の中に入っておるわけで、税務職員の定員は、そのためにこれまでは千二百人は常に定員減の状態であの三月の確定申告の処理をしてきたという経緯が、実は明らかになったわけであります。そこで世田谷の税務署に行ってみました感じでは、大体確定申告の時期に、あの税務署で、早い時期、十日前後で日に三千人から四千人、少し先になりまして最後の確定申告の日には、一万人の人があの世田谷税務署に申告に来た、こういうことのようであります。ここいらについては、私は、税務行政上もう少し指導方針があろうかと思うのです。ということは、いまの税の申告なり決定の状況に少し問題があって、できるだけたくさん人が込んでおるときに行くと、税務署のほうもまあまあもういいや、はい次、はい次ということで済むけれども、早目に行くと、念入りに調べられて、これはだめですよ、あれはだめですよと言われて、税金が高くなるということが、私はこの問題の中にずいぶん介在をしておると思う。しかし、それにしてもいまの定員がありながら定員がその仕事に従事をしていないというのは、これは私はまことに制度上問題があると思う。このネコの手も借りたい、最も税務署の忙しい三月の確定申告時期に、税務大学の連中というのがまだ千二百人研修中で少しも役に立っておらぬなどということは、これはひとつ問題があろうと思います。そこで、私は、そのときに国税庁の長官にも申しておきましたが、何とかひとつ税務大学の講習生といえども、二月の中旬くらいに一ぺん配置をして、それは自分が直接しなくても、手伝いをすることによってでも、現場の研修をさせて、もう一ぺんあと少し学校でやったほうが、税務職員として有効な措置ができるのではないか、こういり感じがいたしましたので、その問題について提起をいたしましたが、しかし考えてみると、その大蔵省の定員のあり方がやや問題ではないか。大蔵省の国税庁職員としての定員というのは、現場で働いておるものの数が定員になるということでなければ、私は、そういう意味での定員という問題は少し問題があるのではないか。ですから、研修中の者が、今度は何か二百名増員になって、その千二百人のうち二百人はとりあえず定量として見ようということになったようですから、それだけ千人研修しておると同じ効果になるのだろうと思うのでありますが、私は、この問題については、ひとつ納税者の便宜をはかるためにも、それから国税職員が年度末に過重な労働条件で追いまくられることを防ぐためにも、いまの研修中の者を除いて大蔵省の国税庁職員については定員を考えるということが、常識的に考えてもいいことではないのか、こういうふうに思いますが、これについて、ひとつ大臣見解をお聞かせ願いたい。
  45. 田中角榮

    田中国務大臣 話はよくわかりますが、定員とは何ぞや、こういうことをひとつ考えてみますと、実際に働く者を定員としなければならないという議論もございますが、しかし、税に関する定員は何人である、その中で千二百人は、毎年新しい連中が入ってまいっても税務大学にくぎづけになっておるということではありますが、この定員問題は、防衛庁の中でも、学校に入っている者も防衛庁の定員の中に入っている、こういう問題もございます。また、逓信講習所へ行っておっても、やはり定員には入っておる、こういうことですから、私は、必ずしも定員の定義というものから、税務大学に在校する者を除かなければならないというふうには考えません。考えませんが、三月の十五日の確定申告の日に、もう一カ月もすれば——普通の大学だったら、もう一年というときには、二カ月例くらいから休んでいるのだから、もう十分使えるものを確定申告に動員したらいいじゃないかということは、これは運用上の問題でありますから、こういう問題は検討できると思います。ただ、定員はいずれにしましても、税務大学に在校する研修中の一年間を含めた人たちを全部定員と、こういうことにいたしておるわけであります。この三月十五日を三月の二十日に延ばしたらどうかとか、いろいろ検討してみましたが、さっきあなたがいみじくも言われたとおり、三月二十日に延ばしても、二十日の日にどっと来るのです。これは納める者の本能的な考え方でございまして、こういうものは国民にPRして、こういう応問においでになれば、お待ちをしなくとも十分ごめんどうを見ます、こういうことを周知徹底さすべきであります。もう一つは、ひまなときは克明に見る。克明にも限度があるのであって、相手の立場というものを十分考えて、税務行政が円滑に行なわれるという行政面での指導が必要だ。まあ円満にできるように努力をいたします。
  46. 堀昌雄

    堀委員 最後に。いまのお話でいいのですが、定員の問題というのは、私、ちょっと検討を要する問題だと思うのです。だから、国税庁として必要な定員というのは、一体実員として幾ら要るのかということ、それも一つの国税庁の定員なんですね。もう一つは、国税庁という名前の役所がワクとして持つものも、定員だと思います。だから、定員の定義の中には、私は二つの要素を含んでおると思うのです。ですから、やはりこの点は、いまの国税庁の定員から税務大学講習者を除いたものが当面ちょうどいいということであるならば、これは何をか言わんやでありますが、しかし、現場で見ますと、ちょうどいいなんていうことになっていないのですよ、いま世田谷の税務署を一例にとりましたが。あの職員で一万人をどうやってさばくのかと思って、実は私は確定申告の最後の日に行きたかったのですけれども委員会で質疑をしておりましたのでよう行けなかったのですが、まあ問題があるのでありますので、ひとつこの点は、税務職員の労働過重の問題がありますので、少し前向きの検討を進めていただきたいと考えます。大臣どうぞひとつ。
  47. 田中角榮

    田中国務大臣 そういう問題に対しては、十分検討してまいります。そういう考え方で今度少しふやしていただく、こういうことにお願いしたわけであります。これはやむにやまれずという最小限度のことをお願いしたわけです。これはたくさんやっても、非常にむずかしい仕事をするのであって、そうだれでもいいというふうに採れるものでありません。非常に厳密な教育をしなければならないというので、全く限度ぎりぎりということで増員をお願いしておるわけでありますし、その結果は、あなたが言うような前向きな対策でございますので、どうぞひとつ御審議をお願いいたします。
  48. 堀昌雄

    堀委員 それで、ちょっとさっきの大臣答弁の中に、私、納得できないことが一つありましたが、防衛庁の職員を例に出されましたけれども、防衛庁の職員なんていうものは、国民のその日の生活に何ら関係がないのですよ。だから、そんなのは別ワクと一緒になったって全然かまいませんから、その点はひとつはっきりしていただいて、国民生活に直接に関係ある定員については、も一つと前向きに検討するということでお願いをいたしたいと思いますから、ひとつよろしくお願いします。終わります。      ————◇—————
  49. 河本敏夫

    河本委員長 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  50. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 運輸省設置法の改正について、相当多く質問があるのですけれども、いろいろ考えました結果、能率的に質問をし、答弁をいただきたいと思いますから、そういう考え方でひとつ臨んでいただきたいと思います。  それで、まず第一の質問については、自動車行政の関係について質問を申し上げたいと思うのです。それで、この問題につきましては、自動車行政関係の要員が非常に不足をしておるということと、特に大都市の県の陸運事務所の要員が不足で、労働過重になっておる。したがって、行政のサービスができない、質的に低下をしておる、こういう憂いがございまするので、その点について御質問を申し上げたいと思います。  自動車局長は十分御存じだと思いまするが、自動車が最近非常に多くなりまして、ちょうど私の手元にある資料でいきますると、昭和二十六年の三月現在では自動車数が四十一万四千両であったものが、昭和三十九年の三月末では五百九十三万七千二百七十三両という、こういう増大の傾向を示しておるわけなんです。したがって、昭和二十六年三月から三十九年三月までに、自動車の数が十四倍にもふくれ上がっておるということが実態であるわけなんです。したがって、これに伴うところの自動車行政全般にわたる行政の要員が、量的にも質的にも驚くほど少ないということでございます。自動車が多くなれば、当然自動車行政全般にわたるところの需要量、あるいは質的にも相当多く増大しておりますけれども、定員はそんなに多くふえておらないという、こういう結果になっておるわけでございます。数字内に申し上げますれば、昭和二十六年の定員は、これは陸運事務所関係のほうでありますが、千六百十一名でございましたが、三十九年の定員は千六百九十八名、十三年間にわずか八十七名の定員増しか認められておらない。先ほど申しましたように、自動車の台数は十四倍にふくれ上がっている。ところが、それに伴う事務量はばく大に多くなっておるにもかかわらず、わずか八十七名しか定員増がいたしておらないということ、パーセンテージでいきますと、五%くらいの定員増になっておる。したがって、こういうことから、自動車の激増とそれに伴うところの行政全般にわたる事務量が多いということと、定員が増加されないというアンバランスの関係から、非常に支障を来たしておるわけですが、この点につきましては、局長のほうでどのように把握されておられるのか、まずそれからお伺いをいたしたいと思います。
  51. 坪井為次

    ○坪井政府委員 自動車の激増に対しまして、要員関係あるいは施設関係が非常に不足しておるという御指摘でございますが、この点につきましてはわれわれも従来から十分認めておりまして、これの改善につきまして格段の努力を払っておるわけであります。特に要員関係につきましては、毎年最も重点事項として予算要求をしておるわけでございますが、従来は一般会計のワク内で操作いたしましたので、大きな制約がございました。そのために、要員関係が非常に押せ押せになってきているということでございます。昨年から、御承知のように、自動車検査登録特別会計が設置されまして、これは施設の強化、拡充、あるいは行政事務のサービスの改善ということをはかる目的でつくったわけでございますが、その制度によりまして、今後抜本的な対策を講じていきたい、そう思っております。
  52. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、私は時間を節約してことばを短く申し上げますが、ただいまも答弁のありましたように、業務量と要員のアンバランスによって非常に憂うべき事態が各所においてかもし出されておるということ、したがって、特に大都市の陸運事務所の関係なんかを見ますと、これは常識で考えられない状態にある。私実際の証拠をもってお示しをしなければあまりぴんとこないと思いますので申し上げますが、三月の初めに九時ジャストで窓口に並んで、これは大阪の陸運事務所の関係ですが、それぞれ検査の受付をしてもらう人が約百名ほど並んでおる。一つの窓口に百名ほど並んでおった人たちが、その日のうちに仕事がやってもらえなかった、こういう人があるわけなんです。これは重要だから、写真を運輸大臣にも見ていただきたいと思いますが、これは全くその事実を調査をした結果が、ただいま申し上げたようなわけなんです。したがって、そういうような結果から、私は特にこれは憂慮にたえない。こういうような自動車に対するところのもろもろの事務を行なうということになりますと、相当定員を増加さして、そして窓口もふやし、実際に自動車を持っておる人たちのサービスに寄与しなければならないと思うのですが、今日の場合には、全くそれができないということなんです。これはただいまの答弁にも、その点はわかっておるけれども、定員を増加するという点が非常にむずかしいという点を指摘されましたので、この点につきましては、大蔵省の定員規制に対し、あるいは行管等にも私のほうから具申をしまして、そして必要な人数はそろえてもらうようにしておかなければならないと思いますので、その点につきまして強い要望を申し上げておくわけなんでございます。  そこで、これは実際に運輸省として把握しておられるものか、把握しておられないものか、その点はわかりませんけれども、現在のところは、どうしても自動車の登録事務とか、あるいは車検とか、こういう関係が現在の定員ではできないということから、特に大都市の陸運事務所におきましては、あらゆる自動車会社、いすゞとかトヨタとか、こういう自動車会社から事務員を派遣をして、そうしてその窓口にすわって、陸運事務所の職員と同じように仕事をやっておるわけなんです。しかもこの自動車登録事務というような問題は、これは運輸省の職員以外の、臨時雇いでもない、ただ自動車の販売店から出向しておる責任のない者にそういう仕事をさせるというようなことは、これは行政としては絶対に認められないものだと思うのです。そういう点について把握されておるかおらないかということを、まずお伺いいたしたいと思います。
  53. 坪井為次

    ○坪井政府委員 ただいま定員の話が出まして、今年度は二百十二名要求しまして、百五名の査定をいただきました。これにつきましては、特に東名大というような大きな局に重点的に配分をいたしました。しかし、なお御指摘のように非常に手不足であるということについては、われわれも認めますので、今後さらに本年度につきましては、ただいま御指摘のような部外協力の実態等も十分調査しまして、あるべき要員というものをわれわれとしては考えました上で、特別会計を運用しまして万全を期していきたい、そう考えております。
  54. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そういうお考え方ではありまするが、いま私が質問申し上げましたのは、非常に定員不足で事業が消化できないということから、それぞれの自動車の販売店からディーラーですね、これらの人たちが窓口におりまして、そうして自社から購入した自動車の登録事務、また検査証の交付事務をやっておるわけなんです。というものは、これを見せてもらうということになりますると、お金を出さなければ見せてもらえぬということなんですね。そういう重要な仕事を、陸運事務所の職員でない、全然臨時雇いでもない人が窓口を占領して、そうしてそうした事務を行なっておるというようなことは、これは一日も認められないと思うのです。この点につきましても、私がハッパをかけるというようにお思いになるといけませんので、これも三月の初めに現地へ行って、その職場の写真をとってきてあるわけでございまするので、これもひとつ見ておいていただいて、こういうようなことが一日も許されるものか許されぬものかということを、まず答弁で明確にしていただきたい。
  55. 坪井為次

    ○坪井政府委員 部外協力の点につきましては、われわれとしては、たとえば申請書を出す場合に、いろいろ書き込みをしていただくというような意味合いで、ある程度部外者の協力を得ているということで、最後の最終責任はやはり登録官なり検査官なり、そういった責任者が当たっているというふうに信じておるわけでございます。
  56. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それは陸運事務所がそういうことになりますると、必然的にその自動車の販売店との情実にからまれて、厳正なところの事業が行なえないということに人間としてはなろうと思うわけです。そして、特にただいま申しましたように、登録事務の問題なんかは、これは厳正にやっていただかなくてはなりませんけれども、その厳正にやらなければならない事務を——交付する場合に、これを他の自動車販売店からディーラーが来て、そうして事務を行なっておるというようなことは、これは私はゆゆしい問題であろうと思うのです。おそらくこういうことがあることにおいて、私、ちょっと明確に調べは済んでおりませんけれども、トヨタでございましたか、どこかの自動車が五センチ大き過ぎて、これは小型扱いにはできぬ、中型扱いにするんだ、こういう問題で、いろいろと政治的に運動をされて、陸運事務所によってはそれを小型扱いにするように目をつぶっておるという事実もあるわけなんです。これは専門家だから、どこの自動車がどうだというようなことはおそらく十分知っておいでになろうと思いまするが、いまのように、そうした販売店や自動車の製造会社のほうから応援をしてもらう。しかも応援をしてもらう事務が、当然これは責任ある陸運事務所の職員でなければならないものを、他のほうから応援をしてもらって事務処理をしてもらっておるというようなことは、もうあすからでも解消をしてもらわなくてはならないと思うのです。ただいま私が申し上げましたようなことは、全然知っておられなんだ問題ですか。
  57. 坪井為次

    ○坪井政府委員 そういう、ただいま御指摘のような事実はないと、われわれは信じておるわけであります。
  58. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ここで質疑応答をいたしますと、ないと信じていると言われるから、実際に名前まで出せと言われれば出しますが、何月何日にどこの事務所に行ったらこういう仕事をやっている、毎日やっているから、何か証拠がなかったら、ただいまのような答弁で終わるのだから、私は証拠を突きつけてその答弁を求めているのであって、そういうことはないと思うということは、これはそもそも定員の問題等について熱意がないと思うのです。私は別にハッパをかけて言っているのではなしに、事実に基づいて、正常な自動車行政を行なうには、もう少し第一線に働いている地方の陸運事務所の職員の定員をふやしてもらわなければならない、窓口が足らなければ窓口をふやしてもらわなければならない、こういうことから質問を申し上げているのです。だから、ないと思うと言われましたけれども、私は証拠を突きつけて、あるということなんですから、あるとするなれば、将来どうするかということについて、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。これは大臣に伺いたい。
  59. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 先ほど来の質疑応答を聞いておりまして、また写真を見まして、それは府県なり市町村の関係部からでも手伝いに来るのならまあいいといたしまして、利害関係のある自動車会社の者が行って、しかもまだ使えるものを、もういかぬといって廃品にすれば、それはどっかの自動車を買わなければなりませんから、そういう利害関係のある者が登録事務に関係するなんということは、ゆゆしき問題ですから、私は、そういうことがあるならば、直ちにやめさせるべきだと思います。同時に、そういう御質疑がありましてこそ、ことしは二百十二名要求して百五人取ったのです。わりあいに率はよかったのですけれども自動車局におきましても、こういう御質問がある以上は、来年はさらに食い下がって、こういうことのないように、こういう不合理なことがないようにやらせるし、また本人もやるだろうと思いますが、きょうの質問は、その意味において非常に意義があると思います。
  60. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 大臣答弁は満足いたします。  そこで、今度は車検のほうですね。車検のほうも、従来は一日に対して二十分か二十五分はかからなければ車検を終了することができなかった。そこで、先ほど申しましたように、昭和二十六年から三十九年までは十四倍にも自動車が増大をしてきているということから、それに反比例をして定員はわずかに八十七名の定員しかふえておらないということから、車検そのものが非常にルーズになっておるということ、これは計算をしていただけばわかりますが、どこの陸運事務所に車検の担当の職員が何名おって、何両その地域の自動車を検査しなければならないということを、時間的に割っていただけばわかりますが、二十分から二十五分はかからなければならないのが、特に多い大阪とか東京とか、そういう大都市におきましては、三分か四分で終わっておる。三分か四分で車体検査を終わるということは、これはどこをつついてみて、どこをたたいてみて三分か四分で終わるかということは、私どもも運輸業者の職員の一人でございまするから、それはわかりまするが、少しこれは常識はずれですよ。この問題についても定員不足をしておるのです。そういう実情は、本省の東京のほうでは御存じないのですか。
  61. 坪井為次

    ○坪井政府委員 車検の問題につきましては、整備部長がおりますので、整備部長のほうから答弁させます。
  62. 宮田康久

    ○宮田説明員 ただいまのお話でございますが、御承知のとおり、車検場のほうも、検査機械等もいま急送に整備しておりまして、昭和三十八年は検査の施設整備費が一億四千四百万円でございましたが、三十九年度特別会計にいたしまして、二億六千六百万円、四十年度、本年はさらに一億ふえまして三億六千八百万円、全国で検査コースも本年は十七コースふやすことにしております。というようなことでございまして、検査のコース施設が非常にいままで整備がおくれておりまして、そのために非常に混雑していた点がございましたが、先ほど局長から申しましたとおり、増員のほうと見合いまして、たとえば先ほどお話しございました大阪におきましても、本場検査場を本年移しまして、さらに四コース増設いたしますし、和泉支所のほうも二コースふやすことにしております。それで、先ほど三分というお話がございましたけれども、現在やっておりますのは、三分ピッチで検査場に入れるということでありまして、検査個所は約四カ所ございますから、延べにしますと、十二分ということになります。ほぼ十二分から十五分程度の検査はいたしておるわけでございます。一コース一日で約百二十両から百三十両はいたしておるわけでございます。
  63. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 答弁答弁と聞いておきますけれども、これは十二分もかかっちゃおりません。このことも、こういう問題を取り上げるときには、実地調査を行なっての私の質問でありまするから、答弁答弁としてこの場は聞いておきまするが、実際において数分閥で検査を終わらなければ消化ができないということなんです。だから、現在は、自動車事故防止という面につきましても非常にやかましく言われておるやさきでございますので、こうした検査に対しましても、完全に従来やっておりましたような二十五分とか二十六分かからなくとも、数分間で検査を終わるというようなことは、これは全く形式的な検査であって、実際の検査ではないと思うのです。だから、このことは、先ほど大臣からも答弁がありましたが、次から次と出てきますが、こういうように各職務職務において定員が不足をしておるわけなんです。だから、こういう定員を満たすためには、これはもう少しひとつ大蔵省と折衝していただくときには、その現状をなまのままを言うてもらって、そうして定員増を認めてもらわなくてはならないと思うのです。私は数分間というふうに言う、あなたのほうでは十二、三分と言われましたが、これは国会の答弁だから、その辺のところの答弁だと思いまするけれども、実際に調査をされた実情を、折衝するときに大蔵省にも明確にして、そうして少なくともこの程度まではやらなければ、この激増する自動車の行政を行なうことができないのだという点を十分に反映をしてもらって、定員獲得に努力をしてもらわなければならないと思いますので、その点につきましても、本年度はむずかしいでしょうけれども、来年、あるいは途中で予算要求でもできれば、補正予算を行なって定員増を獲得するように努力をしてもらいたいと思うわけなんですが、この点についても、ひとつお約束の答弁をお願いをいたしたいと思います。
  64. 坪井為次

    ○坪井政府委員 ただいまいろいろ御指摘がありました点、特に増員につきましては、今後の特別会計の運用としましては、増加分は収入増となってあらわれますので、その分は増員なり、施設の増加に向けられる。しかし、過去の非常に不足してきたということについての対策については、さらに現場の実態を十分われわれとしては調査しまして、第三年度の来年度につきましては、そういった思慮の上に、収入財源も根本的に考え直して、車検登録特別会計の制度の上で十分総合的な施策を講じたい、そう思っておるわけでございます。
  65. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その点については最大の努力をはかって、正常な自動車行政の運営をしていただきたいと思います。この点は強く要望申し上げておきます。  それから最近白タクの取り締まりとか、いろいろそれに関連をしたような取り締まりをするために、現地調査員が出て、街頭で監査をいたしておるわけなんでございまするが、この点につきましても、定員不足で実除に職員の方は目の回るような努力をされておりまするけれども、これは実効があがっておらないということなんです。この点もお認めになろうと思いまするが、これも定員の問題に関連がありまするので、あえて答弁は求めませんけれども、この点についても十分に配慮をしていただかなくてはならない問題であろうと思いますので、その点について十分配慮していただいて、この定員不足というものを解消していただきたいと思います。  それから次には、そういう事態でございまするから、残業があったり、いろいろ職員の方は私どもの想像以上の労働強化になっておるわけなんです。ところが、この労働強化になっており、また時間外職務を行ないましても、これまた予算に縛られておりまして、そうして基準法で認められておるようなものがそのまま支給されておるということは、全国を通じてないということなんです。あるとするなれば全くまれであるわけなんで、そういう点についても、これは配慮をされる努力をいままでされたのか、きょう初めてお聞きになって、これから努力をしていただくのか、ちょっと経緯を、御答弁の中で承りたいと思います。これは労働問題とも関係がございますので、職員の人たちからの強い要請もございますから、明確にしておきたいと思います。
  66. 坪井為次

    ○坪井政府委員 業務量が著しく増加しまして車検、登録の手数料も増加するという事態がありますれば、予備費の範囲内でできるだけわれわれとしては運用上善処したい、そう考えております。
  67. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 この自動車行政に対しては、一つ一つの問題がただいま申しましたような内容を持っておるわけなんです。したがって、この際、陸運局において自動車の行政を行なう場合には、一番最初に申しましたように、要員不足を充足してもらわなくてはなりません。特に大都市の陸運事務所の要員不足というものは、労働強化ということと相まって、行政サービスが質的に非常に低下をしてきておる。これは職員の方がどんなに努力されても、どんなにまじめに働かれても、業務量が多いのだから、満足をしてもらうような仕事はできないと思う。したがって、この質的な低下というものは、職員の方の責任ではなくして、当局が今日までこの定員増加の問題を放任しておるというところに原因があろうと思うのです。各省の設置法改正を審議する場合に、私どもはいろいろ内容を聞いてみますけれども、ただいま申しましたように、自動車が十三年間に十四倍にもふくれ上がっておって、しかも業務量は言語にあらわすことのできないような増加で、そうして職員が非常に努力をされておるわけなんです。それがわずか定員増を八十七名しか十三年間にしておらないということは、現場の意見を聞かれておるのか、現場からそういうことを中央へ反映しておらないのか、その辺のところが問題だろうと思うのです。役所というところは、現場のほうは相当苦しくても、本省のほうへあまりしつこくそういうような問題を取り上げて要求すると、何だかそこの管理者が能力がないように思われる。そうしてほんとうにのどから手が出るほど言いたいけれども、中央のほうへはそのままのものは反映されておらないきらいがあろうと思う。私はそれを代弁してのきょうの質問でございますから、先ほど大臣から答弁がございましたように、単なる自動車会社からの応援ということだけでなしに、重要な車検の場合にも、二十五分くらいかかるものが数分しかかけることができないのです。それ以上かけておったら、もう仕事を消化していくことができないわけなんです。こういうように、あらゆる部門において定員の不足を来たしておりますから、この定員増加につきましては、行政のサービスということと、当然これは労働組合等からも要請があろうと思うのでございますが、現在のような労働強化は解消してもらわなければならないと思います。おそらく民間の会社でこういうような実態であると、これはこの問題だけで労働組合がストライキを打つ価値のあるものであろうと思うのです。そういう内容のものでございますから、ひとつ十分に検討をしていただきたいと思います。  先ほど答弁がありましたので、これ以上申し上げる必要もないと思いますけれども、信太山検査場の場合に、三月三十一日の朝調査に行ったわけです。そうしたら、第二課長さんが一人出てみえまして、あとは三十名近い人たちがそれぞれ原簿の作成やら、いろいろ仕事をやっておりましたけれども、この人たちは職員でない人が相当にあったわけなんです。これはまだなまなましい調査の内容でございますから、ここまで申し上げれば、今後の自動車行政に対してどうしなければならないということは、賢明な大臣をはじめ、関係の局長さん、課長さん等は、おそらく十分におわかりであろうと思いますので、時間の関係上これ以上こまかいことについての質問は続けたくないので、この辺で終わりたいと思いますが、十分にただいま申しましたことを頭に置いて、ひとつこの行政に対して十分な努力をしていただくことをお願いを申し上げたいと思います。  それから、国鉄の営業局長さん来てみえますね。——鉄の合理化に反対するということから、全交運——全国交通運輸関係の労働組合の協議会が主催で、明日総決起大会を九段の会館で行なうわけなんです。これはどういうことかと申しますれば、今日国鉄で計画をされておる、また運輸省のほうでもそれを認められておる貨物駅の集約の問題です。この貨物駅の集約の問題については、集約された場合に、現在これに従事しておる従業員がどうなるかということで、国鉄の職員も七千名くらい関係をしておりますし、それから通運業者の労働者も一万数千名が従事をしておるわけでありますが、こういう人たちが将来の問題に対して非常に危惧しておるわけでございます。この点につきましては、私はちょっと数字を忘れましたが、現在は貨物駅というのは二千七百ありますが、その貨物の取り扱い駅を基地化して百六十に集約する、こういう案でありますから、そうなりますと、結局国鉄の職員、それから通運業の従業員、それから全逓の逓送関係に従事しておるところの従業員が、非常に心配をしておるわけです。したがって、私はその点についてお聞きをいたしたいと思いまするのは、まず第一に、こういう問題をどうしてお考えになったか。もちろんこれは合理化、赤字解消ということから出てきておると思いまするけれども、あまり思い切ったやり方でございまするので、ひとつその点を御説明をいただいて、それに基づいてなお質問を具体的にしていきたいと思います。
  68. 今村義夫

    ○今村説明員 ただいまお話のございました問題は、小口輸送の改善の問題であろうかと存じますが、小口の現在の輸送方法は、先生も御承知のとおり、国鉄で直接扱っておりまする一般の小口と、それから通運業者がこれを取りまとめて国鉄に車扱いでやりまする混載車扱いの両方があるわけでございますが、一般の小口扱いは、非常に不経済、非能率な輸送方法になっておるわけでございます。したがいまして、この輸送方法をもっと合理的な輸送体系をしくことによりまして輸送の近代化をはかりたい。先ほど合理化というお話がございましたが、もちろんその要素もないとは申しませんけれども、それより以上に、私どもといたしましては、流通問題がこれほどやかましくなった現在におきまして、流通の円滑化と流通経費の低減ということに重きを置いて、もっと近代化された輸送をやりたいというのが、根本の趣旨でございます。  お話しのように、現在二千七百程度の駅で小口を扱っておりますが、これを百六十の基地に集約するというお話でございましたが、これはいわゆる集約ではございませんので、輸送各駅ではそのまま受託はいたします。だから、扱いはいたしますけれども、そこで貨車への積み込みあるいは取りおろしをしないというだけで、これを基地に持ってきて、基地で取り扱いなり、貨車への積み込みなり取りおろしをするということでございます。したがって、荷主さんの立場からすればいままでと同じでございまして、その点において非常な不便をかけるということはあり得ないと思います。  今度の輸送改善のもう一つのねらいといいますか、方法といたしましては、鉄道の機能と自動車の機能を結合するということで、いわば大集配制をとることによって、その両者の機能を結合して流通の円滑化に資したいということが、われわれのねらいでございます。もちろんそういうことでございますので、いまの先生のお話のように、合理化というような問題だけでなくて、そういう流通の問題にからんで私ども合理的な輸送体系をしきたいということでございます。
  69. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、そういう計画を机上で立てられておりまするが、実際にそれを行なう場合に、荷主さんはいままで取り扱っておる駅に持っていく。これはいわゆる基地という表現をしておりますが、基地という駅まで持っていかなければ積めない。そうしますと、従来でありますと、運送屋なり駅に持ってきまして、そしてすぐ駅で積み込む、そういうことになりますから、非常に早く貨物が行きましたし、そして荷物というのは、一回なぶれば一回取り扱うだけで悪くなる、こういう点からいきますると、事実こういう大幅な混載化というものが可能であるかどうかという点について、私は非常に危惧しておるわけなんです。したがって、これから一つ一つ答弁をいただきたいと思いまするが、そうした方法をとられる場合には、これは言うまでもなく国民大衆にとってはきわめて不便を与えるということは、明らかでございます。特に手荷物の場合には、昔は手荷物一個は無料で、いわゆるチッキで預けて、そして着駅に行くと、すぐその荷物を受け取って自分の目的地に行くことができた。ところが、昭和二十一年からでしたか、無料ということではなしに、百三十五円ですか金をもらうということなんです。そういう金は取られても、旅行する者としては、とにかく荷物があっては不愉快なんです。手軽で旅行を楽しみたいというのが、だれしも考えることでありまして、そういうときに大きな荷物があった場合は、これはチッキで預ける。そして着駅に着きますと、その荷物を受け取って目的地に行く、こういうことになっておりましたけれども、今度これも廃止になるわけです。そうなりますと、国民大衆に対してのサービスということについては、非常に低下するのではないか。特に国鉄輸送の場合は、公共性を持つ度合いも非常に多いし、そして国民からも国鉄輸送に対しましては非常に好意的に今日まで協力されてきておるわけなんですが、ただいま計画されておるようなことが今年の十月一日から実施されるということになりますと、そうした大衆の不便というようなことについては、どういうような解釈をされたか、この点をまず承りたいと思います。
  70. 今村義夫

    ○今村説明員 今度の小口改善の問題と手荷物輸送の問題とは、全然関係がございませんので、手荷物輸送の問題は、そのまま現在と変わらないで残るわけであります。
  71. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、あとから私は申し上げようと思いましたけれども、ちょっと中途にはさみまするが、本法案の中に、臨時鉄道法制調査会の廃止、これに伴う関係規定の整備を行なうこと、というのが出ておるわけです。この臨時鉄道法制調査会の仕事は、国鉄業務全般に対して、事故防止も一切含んで、そうした問題を検討してもらう義務づけの調査会であったわけです。ところが、これはいつ、だれが、どういう言い方をしたのかということは私はわかりませんけれども、国鉄のほうから横やりが入ってきて、鉄道営業法を主に検討をして結論を出してもらいたいという要請がありましたので、それでこの調査会というのは、その方面へ検討の重点を置きまして、去る三月三十一日に答申案が出てきておるわけです。この答申案の内容というのは、これは鉄道営業法を改正する内容のものであるから、いま直ちにその駅の集約、それから混載化ということと、そしてただいまの手荷物の将来廃止になるということとは——現時点においてはいまお話しになりましたようなことが事実でございまするけれども、この鉄道営業法を改正する場合には、いま私が指摘を申しましたようなことになるわけなんです。だから、国鉄の合理化案というものは、ただ一つだけでなしに、全般にわたって検討をされ、それぞれ作業を進められておるのであるから、私は、いますぐ手小荷物がなくなるのだ、これが小口混載のほうに移行するのだということでなしに、鉄道営業法の改正によってそうしたことがなされることになりまするから、そういうことを私の胸の中では考えての質問であるわけなんです。この点につきましては、相当国民大衆から反駁が出ようと思うわけなんで、その点をどういうように受け収めてそうした考え方をお持ちになっておられるかどうかということをお伺いをいたしたい。
  72. 今村義夫

    ○今村説明員 法制調査会におきまする手荷物の問題は、これは運輸省の所管でございまして、運輸省から答えていただいたほうがいいかと思いますが、私ども考え方を述べれば、現在はジーゼル化、電車化いたしまして、荷物車が非常に少なくなったということで、同時輸送の原則が守れなくなった。そこで守れなくなったものを規定の中に置くよりも、それをやめていただきたいということだけでございまして、輸送方法はとにかく、荷物列車もありますし、それから少なくなったとは言っても、客車で列車に荷物を載せるものがありますので、その可能な範囲におきまして、できるだけ現行の体制を維持していこうということでございまして、手荷物が全部小口のほうへ入るということは考えておりません。
  73. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これは確認しておきまするが、鉄道営業法を改正される場合には、現在あるチッキというのは継続するというお考え方なんですか。
  74. 今村義夫

    ○今村説明員 そのとおりでございます。
  75. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 料金の関係検討されるのですね。
  76. 今村義夫

    ○今村説明員 もちろん料金の関係は、適正なる料金になるように検討いたします。
  77. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで私は時間を節約して、こまかいことは申し上げませんが、今度の貨物の取り扱い駅を二千七百からあるものを百六十に基地を置いて、そこから発送されるということになりますると、これはいろいろな町について大衆には不便がかさむわけなんです。先ほど申しましたように、荷物を一回取り扱えば取り扱うだけ荷物は悪くなる。料金が高くなる。それからすぐ送ってもらえない。こういうような、国民大衆から言わせると、この点には相当国鉄当局としても、運輸省としても配慮をして最終決定をしてもらわなければならない内容のものだと思うのですが、これはもう固定してしまって、どうもこうも動かすことができないものか、その点どういうものですか。
  78. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 小口貨物の問題につきましては、運輸省は方針については聞いておりますが、方向としては了承しております。まだ細部に対して十分の検討はついておりません。ただ御指摘のあす大会をおやりになるとか、七千名も失業するとかいうような問題については、これをやるならば完全に配置転換をやって、そうして有利に労働の改善をしていくということでなければならないというくぎは打ってあります。
  79. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 大臣だから、大体大まかなことを頭の中に入れておいでになりますけれども、これはこの問題が完全に実施されるということになりますると、国鉄の七千名、それから通運業者のこの方面に従事しておる一万数千名というものは、適正な配置転換と言ってみても、これはむずかしいわけなんです。これは局長のほうがよく御存じですが、これからこの問題の取り扱いについて、どういう取り扱い方をするかという現在までの進んできておる経過から、一応のまとまりかけたような話を聞いてみますれば、別に通運業者が協会というものをつくってそれが運営をするということになりますので、現在通運業者につとめておるその人たちは、そこでは仕事がなくなるから、できるだけ協会のほうへ配置転換をしなければならない。これは全然会社は別のものになる。そうして国鉄につとめておる人も、その方面に配置転換をしなければならない。これは国鉄とは全然関係のないところです。だから、その適正な配置転換ということは、これは非常にむずかしいわけなんです。事実できないわけなんです。そういうことであるから、全国から東京に集まって明日大会を行なう、こういうことになっておるのでございまするから、この点はもう完全に固定されてしまっておるという現在の状態ではないと思います。おおよそ方向というものはさまっておると思いまするが、いま申しましたようなそこに従事しておる者の配置転換の問題、それから料金が高くなる、荷主は不便になる、それから荷物はおくれる、いろいろこういう問題がありまするが、そういう問題は何とか解決してもらわなければ、ただ近代的な輸送方式、すなわち合理化——合理化ということには独立採算制というものがついて回っておるのですが、独立採算制ということだけを頭に置いてこうした公共性を持っておる問題を処理される場合には、十分に大衆の意見を聞いてもらわなくちゃならない。大衆の意見を聞く一つの方途としては、これは審議会を設けて、審議会検討するという方法もありますけれども、先ほど申しましたように、審議会の発足するときには、国鉄全般の問題について検討するというのは、これは国鉄営業法の改正にしぼって検討させたという一つの圧力もいっておりまするし、そういうことでございまするから、この問題はこれ以上いろいろ質問をしてまた回答を求めましても、今日の段階では無理だろうと思うのです。それでほんとうなら、きょう今度の運輸省設置法の問題については、この質問はまだやることは早いのではないかということも考えましたけれども、実際にそこにつとめておるところの国鉄労働組合の従業員や通運業に従事しておる従業員、またそれに関連を持っておるところの全逓の郵送関係の従業員、こうした人たちが真剣になって、この際やはり大会を持って、そうしてこの内容をもう少し緩和してもらわなければならぬのだ。こういう考え方で反対の総決起大会を行なわれるのでございますから、国鉄は国鉄として、国鉄の独立採算側をどう持っていくかということにおいて、その意味でいろいろ計画を立てられることは、それはやむを得ないと思いまするけれども、やはり大衆が一番たよりにしておるところの、また今日まで親しまれてきた国鉄が、大衆と遊離するような方向を打ち出していかれることは、これは問題があろうと思いまするので、まだ完全に固定はされておらないと思いまするので、ただいま申しましたような点を、十分に今後の談合の中で検討をしていただいて、そうしていま隘路とされておるところをどれだけか解消するようにしていかなければ、現在私どもの聞いておる範囲内のものがずばり実施をされるということになりますると、これは問題であろうと思いまするので、そういう点について、十分ひとつ御検討をいただきたい。ただ独立採算制ということだけを頭に入れるのでなくて、全般的な輸送業務ということから、この問題に取り組んでいただきたいと思いますので、その点についても、最後に一言御答弁をいただきたいと思います。
  80. 今村義夫

    ○今村説明員 お話しのように、国鉄は国鉄だけの立場でなくて、全面的な、むしろ国民の皆さんの立場考えて輸送改善にあたるということは、もう当然でございます。労働条件の問題におきましては、国鉄の職員は大部分は国鉄内部での配置転換でやりたいと思いますし、日通の——日通と申しますか、通運業者の関係は、これはむしろいままでよりも普通の小口がふえるということによって、それほど大きな変動はないんじゃないかと思いますが、そういういろんな問題につきましても、今後関係機関はもとより十分打ち合わせをいたしますし、それから運輸省の御指導をいただきまして、万全を期してまいりたい、かように思っております。
  81. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そういう点につきましては、国民を代表するものといってもなかなかむずかしいと思いますので、直接利害関係を持っておる労働組合等が、この問題も研究をして、いろいろと今後意思表示をするだろうと思いますので、それには十分に話し合いの相手になっていただいて、御検討を願いたいと思います。  社会党といたしましては、今日のこの合理化案の内容を見ますると、これはこのままではいけない。何とかこれをもう少しかっこうづけなければならないというので、いま取り上げて、政審の中でこの問題だけの特別対策委員会というようなものを設置するという機運になっておりまするし、大会は明日持たれまするし、非常にそうした動きというものは活発にたろうと思いますので、ただいま局長からお話しのありました、十分にその他の方面の意見を聞いて行ないたいという点は了承いたしますので、その線でひとつやっていただきたいと思います。運輸大臣としても、こうした問題がいま問題になっておるのです。局長の答弁からいきますると、配置転換という問題はあまり問題にならないような答弁ですけれども、実際その時点になりますると、そういうわけにいきませんので、大臣のほうでもこの問題については重要視して示唆を与え、また検討をそれぞれの担当局長のほうにお示しをしていただきたいと思います。その点はよろしいでしょうか。
  82. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 御意思のある点十分にしんしゃくいたしまして、スムーズにこの問題の片づくように努力いたしたいと思います。
  83. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでは、この問題につきましては終わりまして、次に気象庁のほうにひとつ質問をいたしたいと思います。  これは私が全国を調査したり、あるいは十分に勉強をしての質問ではございませんが、たまたま昨年、九州のほうへ国政調査に行きましたときに、気象関係の問題について要望がございましたので、その要望の内容は十分に把握されておるかおらないかという点をお聞きをいたしまして、配慮願いたいと思うのです。  それで問題をしぼって重点的に申し上げますが、気象庁の中で、レーダーですね、このレーダーがどうかと申しますると、レーダーを備えつけただけでありまして、御承知のとおり、九州は台風の銀座といわれておるくらいでございますので、たまたま台風の来たようなときに、そういう故障を防ぐところのおおいというものがないために、一番住民が聞きたいというときに機械を休ませなければならないということもあり得るわけなんでございまして、どうして今日までそうした問題が放任されておるのか、ちょっと疑問なんですが、その点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  84. 伊東道郎

    ○伊東説明員 ただいま気象庁で使用しております気象レーダーにつきましての御質問でございますが、気象レーダーは、御承知のとおり、十一、二年ほど前から設置され始めたものでございます。現在気象庁が持っておりますレーダーは、この三月十日に運用を開始いたしました富士山頂レーダーが第十二番目でございまして、大体一年に一基の割りくらいで全国に気象レーダーのネットを張ってきたわけでございます。何ぶんにも十二年という長い期間におきまして、またレーダー技術の進歩もその間に著しくございましたので、最初のころに施設いたしましたレーダーにつきましては、最近設置いたしますものに比べまして、性雄筆において相当劣るものもあるわけでございます。ただいまおっしゃいました九州にございますレーダー等は、初期のものでございまして、これにつきましては、おっしゃったとおり、レドーム——レーダーのパラボラアンテナが回るまわりにつけてございますおおいというものが、ついてはおりません。当時はまだそういった考え方がなかったような時代でございまして、私どもといたしましては、レーダーネットがまだ完全に全国的に展開し終わったとは、ちょっと考え得ない状況ではございますけれども、この初期のものにつきましては、しかるべく補備修正を行なう必要があるということは感じているような次第でございます。昨年の十四号、二十号台風の際に、おっしゃいましたように、強風下におきましてパラボラアンテナが十分に回りかねて、たまたまその風の方向に流して台風の眼がとらえ得たというような件もございますけれども、おっしゃいましたように、レドームをつけることが、今後の方向といたしまして、私どもとして努力していかなければならたい方向だと思っておりますような次第であります。
  85. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そういうお考え方であるけれども、今日までなされておらぬ。予算要求のときにけられたかどうかそれはわかりませんけれども、自衛隊のレーダーの場合にレドームを設置しておるのがどの程度あるかということがここに出ておりますが、十四基のレーダーの中で二基だけレドームがついておらないということで、あとは全部ついておるわけなんです。ところが、たった三基しかないのに、いまだについておらぬということは、ちょっと私どもとしては怠慢に考えまするし、自衛隊のほうだけは政府が力を入れて、必要な気象台の関係にはあまり力を入れておらないということもうかがわれるので、どうして今日まで放任しておかなければならないむずかしさがあったかということをお聞きをしたいのです。これは、日本にあるそれぞれのレーダーにレドームがついておらないということなら、私はまだまだわかると思いまするけれども、自衛隊の場合には、十四基もレーダーがあって、もうそのうちで十二基レドームがついておるのです。あと二基だけです。あなたのほうは、三基あるのが一つもついてない。だから、これはちょっとおかしいじゃないですか。
  86. 伊東道郎

    ○伊東説明員 防衛庁のほうはともかくといたしまして、気象庁におきまする現在動いておりますレーダーは、十二基でございます。十二基のうち三基だけがついてないわけでございまして、しかもこれはごく初期のものだけでございます。あとは、最近設置いたしておりますものは、続いて開設いたされましたところの福井の東尋坊レーダー、さらに四十年度において設置予定の松江の三坂山レーダー、これらすべてレドームがつけられるということになっております。それで私どもといたしましては、初期につくりましたものにつきまして整備力をいま検討いたしておるわけでございます。もちろんこの初期のものにつきましては、最近設置いたしましたものと違いまして、性能的にも相当おくれをとっているようなものもございますので、その面もあわせて整備いたしていきたいというような考えで、目下計画を練っている最中でございます。
  87. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私のいま質問いたしておりますのは、一番初めに断わりましたように、九州へ国政調査に行ったときの問題でございますから、これは福岡管区気象台の関係を目標に質問いたしておるわけです。先ほども申しましたように、台風の銀座といわれておるところについておらないということが、これはおかしいのではないか。それと、非常に風圧が強くて、いままでも故障を起こす場合があった。そうすると、そういう台風なんかの場合には、気象台からのいろいろの情報というようなものは大衆は非常に当てにしているわけなんで、そういうときにそのレーダーの作用が行なわれぬということになったら、これは何にもならないということであります。一番必要なときに作用のできないようなことではこれはいけませんので、それは今年、いまから流用してでもできませんか。
  88. 伊東道郎

    ○伊東説明員 この関係につきましては、相当の資金を要しますので、流用でできるというようなものではないように思うわけでございますが、これにつきましては、四十一年度以降の予算等において計画を進めてみたいというような考え方を一応待ちている次第でございます。
  89. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 一つの計画がありますれば、いますぐといってもそれは無理でございましょうが、私は、少なくとも台風の銀座といわれるくらい台風の多いところのレーダーにおおいがついておらないということは、これはやはり行政をするあなた方が目を配って、そして手を尽くしてやっていただかなくてはならないと思いますので、そういう点について質問を申し上げたのでございます。辛い来年度考慮するということでございますので、これはひとつ三基とも福岡の場合はつけていただくようにしなければ、私は、一番重要なところですから、その点をお願いしておきたいと思います。気象台の関係は、週刊朝日の一月一日増大号にも「喜びも悲しみも日本列島の最前線で」という見出しで出ておりますが、これはお読みになればわかりますし、富士山頂にはああしたものもでかしてあるのですが、これも必要でございましょうけれども、ただいま質問申しましたことは、私どもが調査をして、これではいかぬ、これは早く何とかしてやらなくてはならないと考えたから、きょうの質問で強い要望を申し上げたわけでございますので、その点を十分に心にとめておいていただいて、来年度の予算要求のときには、完全におおいをつけていただくようにお願いをいたしたいと思います。  それでは次に、航空関係について申し上げたいと思います。  これは、自動車関係の陸運事務所の関係で先ほど来質問をいたしまして、非常に自動車がふえたのにもかかわらず定員がふえない。したがって、業務量がふえておりましても定員がふえないために、非常に粗雑な手を抜いた行政がなされておるという点を指摘して、運輸大臣のほうでもその点は了解をされて、今後努力するというお約束をいただいたわけなんですが、航空関係のほうも、私はそれと同じようなことが言えると思うわけなんです。御承知のとおり、航空関係のダイヤは年々非常にふえてまいりましたし、飛行場も新設され、また今年度の予算等でもなされておりまするが、定員が非常に不足をいたしておりまして、それがために十分なる行政が行なわれておらないということなんです。それで、まず一つの例を申し上げたいと思いまするが、これは定員だけではございませんけれども、おそらく運輸委員会のほうで質問があったと思いまするが、日にちは忘れましたけれども、先般河和から浜松の辺に全日空機が来るときに行くえ不明になったという問題につきましては、問題として、取り上げられたのは、テープレコーダーをとめておったのではないか、こういう質問がありまして、当局のほうとしては——どうでしたかね、そこのところを答弁してください。私は速記録を読んだだけでわかりませんが……。
  90. 町田直

    ○町田説明員 とめておったと申しますよりも、テープレコーダーの運用を中止しておったということでございます。要するに、制度的にその時間は運用していなかった、こういうことだったと思います。
  91. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それで、このテープレコーダーというのは、私は安全性を保つためには非常に大切だと思うのですが、それをとめておったということは、これはときどきとめるのですか。
  92. 町田直

    ○町田説明員 夜間非常にトラフィックが少ないときには、いままではとめることになっておりました。
  93. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 夜間といいましてもいろいろありますが、何時から何時までくらいとめていたのですか。
  94. 町田直

    ○町田説明員 ちょっと私時間的にはっきり記憶ございませんので、後ほど調べましてお答えいたします。
  95. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私の調べた範囲内では、十二時から午前七時まではテープレコーダーは使用しておらない、こういうことなんです。だから、あの運輸委員会での答弁では、そうしたすっきりした答弁ではなかったわけです。何か故障しておったとかどうとかこうとかでこの問題が処理されましたが、それからもいろいろ調べてみましたら、夜の十二時から七時までは使用しておらない、こういうことなんですが、ああした事故がありましてから、この問題についてどういうふうに手配されたのか。まだされておらないとすれば、今後どういうようにされるのか、承っておきたいと思うのです。
  96. 町田直

    ○町田説明員 いまのテープレコーダーの件につきましては、二十四時まで運用をいたすことにいたしております。それからそのほか救難体制につきましても、当時体制そのものはできておりましたけれども、救難体制の組織的な申し合わせが十分でございませんでしたので、その点につきまして、関係官庁と組織体制を確立いたしました。
  97. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 最近非常にダイヤもふえましたし、空港も次から次へと増設していっておるわけなんですが、一つの例を引いてみますと、松本空港の場合は、これはだれがそろばんをはじいてみても赤字路線であるということがはっきりしておるために、この路線免許を申請する航空会社がないということでございますが、これは事実でございますか。
  98. 町田直

    ○町田説明員 現在のところ、まだ申請はいたしておりません。
  99. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その申請のないということは、赤字路線で採算が合わないということで、どの航空会社も申請を出しておらないのであります。これは路面自動車の路線獲得の場合なんかは、そのときは採算が合わなくとも、とにかく自分に路線を獲得しなくてはならぬというので、もう競争で獲得するわけなんです。ところが、この空港の場合はそれがないということは、これは非常にこの赤字路線というものがわかり切ったものであって、どの航空会社も手を出さないということなんです。こういうところまでも——ここだけではない、もう幾つか空港の新設、増設というものが出ておるわけなんですが、こういう点をどういうようにとらえておいでになりますか。こういう問題があれば、将来の問題としてどういうようにされるか、承っておきたいと思います。これは法案にもちょっと関連をしておりますので……。
  100. 町田直

    ○町田説明員 地方空港につきましては、実は現在では大体国内にほとんど完成と申しますか、着手いたしておりますので、これからは新設空港はできる、だけ少なくいたしまして、いままでにつくりました既設空港を拡張するなり現在の空港の事情に適したものに改良していく、こういう方針で人後やっていきたいというふうに考えております。
  101. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 職員の定員不足の関係は、御認識になっておらないかどうかということを承りたいのです。
  102. 町田直

    ○町田説明員 必ずしも十分な定員であるとは思っておりません。
  103. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それは必ずしもくらいではない、非常に定員不足です。超過勤務の時間を調べてみますと、多い人は月に百時間、それから五、六十時間の勤務をするということは、相当多くあるわけです。しかも超勤手当は、実際に基準法で示された超勤手当そのまま支給できないという予算措置になっておるのですが、こういう点はどういうふうに把握されており、またどうされようとしておるのか。
  104. 町田直

    ○町田説明員 ただいま御指摘のありました超過勤務手当につきましては、実際に勤務した時間に相当するだけの原資がないという実情もございましたので、本年度の予算では、大臣以下非常に御努力いただきまして、千六百万円の超勤手当の増額をしていただいたような次第でございます。
  105. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 先ほどの赤字のために路線免許の申請のないという松本空港も、できれば定員を配置しておかなくちゃなりませんからね。これは七、八名くらいは配置すると思うのですが、こういうむだなこともある。だから、こういう点は十分に検討をされてやらなければならないのではないか、私はこういう考えを持っておりましたので、この点については遺憾のないようにしていただきたいと思います。  それから空港に消防車がありますね。消防車はありますけれども、消防車があるというだけで、その消防車についておる定員というのは一人もないというところがあるわけなんですが、これは何のために置いてあるのですか。用をなすかなさぬかということです。
  106. 町田直

    ○町田説明員 空港の消防車につきましては、東京と大阪につきましてはほとんど十分な定員がございますけれども、その他のローカル空港につきましては、消防車に対する定員という形といたしましてはついておりません。それで、私どもも例年この消防車に対する定員を要求いたしておりますが、残念ながらついておりませんので、そこの職員の中で実際にできるように訓練いたしまして、緊急の場合にはその職員をもって消防の業務に当たらせるというように考えております。
  107. 河本敏夫

    河本委員長 田口君、結論をお急ぎ願います。
  108. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 結論といっても、これはまたやらしてもらわなければいかぬのです。途中なんだから……。まあ時間からいっても、やはりきょうは無理ですね。
  109. 河本敏夫

    河本委員長 それじゃやれるだけやってください。
  110. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 この問題にちょっと入っただけです。それはいまの消防車を配置して……。(「法案に関係があるのか」と呼ぶ者あり)これはあるのです。ないのはちっともやっておりません。全然ないということは、これは全くおかしいですよ。だから、その他の人を訓練させて——その人を事実訓練させておるのかさせておらないのか、ぼくらは確認しておらぬし、わからぬですが、その他に業務を持っておる者は、そういう場合にすぐかけつけてその衝に当たれるかどうかということは、常識で考えてみてもわかるのです。それで、こういうむだというか、とにかく定員不足のためにそうした問題がいま問題化しておりまするので、消防車を備えつければ、それにはやはり定員を置くべきである、こういうことを私は考えておりますので、その点はしっかりやってもらわなくてはならないと思うのです。  それから第一種、第二種の空港の場合以外に、第三種の空港の場合の安全性、いわゆる管理の関係が、非常にずさんになっておるわけなんです。その点はおわかりだろうと思いまするが、現存どの程度になっておるかということをちょっとお示しをいただきたいと思います。数字的に言えなければ、これはきょうの問題になりませんので、やむを得ませんが、ひとつ数字をお示しいただけば、具体的にこういう空港についてはこの程度必要だということを私のほうから申し上げたいと思います。
  111. 町田直

    ○町田説明員 管理の定員の問題だと存じますけれども、必ずしも安全性の面でそれほど欠けているとは存じておりません。
  112. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 安全性の問題で欠けておらないと言われますけれども、いまのあなたのほうの機構を見ていただけばわかりますが、機構の面が、調査も管制も三つほど含めて一つの課になっておるのですね。だから、事故の起きたときは、一人の人がこちらをやらなくちゃいかぬ、さあ場合によってはこちらもやらなくちゃいかぬ、こういうようなことでは、その安全性を保つというようなことは、なかなか考えられないわけなんです。これは実際現地へ行ってごらんになっておるのか、机上プランであるのか、その辺のところを承っておかなくては、管制官を置かずに、管制も調査もまたその他も一緒くたに課を新設しておって、そして適宜適切にということになれば、これはまだまだですけれども、そのように人的操作ができないというのが、いまの現状であるわけなんです。こういうような管理のしかた、管制のしかたでは、私は全く困ると思うわけなんですが、ちょうど日航機のあの事故のあったときに、テープレコーダーが回っておれば、大きな爆音がする場合にはおそらくテープレコーダーにそれが入っただろうし、いろいろそういうことがわかるだろうと思いますけれども、先ほどの答弁には十分なかったけれども、私のほうからお示しした午後の十二時から朝の七時までは全然使用しておらぬ、これが事実なんです。それを言うと非常にしかられるから、先般の運輸委員会では、そのときは故障しておったとかどうとかでじょうずに答弁を切り抜けられましたけれども、これはそんなものじゃないですよ、事実はそういうことなんですから。だから、そういうその答弁をしてもらうということでなく、こういう事故のときの問題を取り上げて質問する場合には、やはり正しい答弁をしてもらって、そうしてわれわれとしても協力するところは協力するようにしなければならないのですが、いまの管制官が別につくられておらぬということは、何か意味があるのですか。これも定員に縛られているということなんですか。
  113. 町田直

    ○町田説明員 ただいまの御質問でございますが、ローカル空港の一部につきまして管制官の配置の人数が足りないということだろうと思いますが、その点につきましては、確かに御指摘のとおりでございまして、定員自体も若干不足しておりますし、また管制官の養成の順序もおくれておりますので、そういう点についてまだ不足している部署がございます。それにつきましては、養成をできるだけすみやかにすると同時に、なお来年度も定員の増加に努力いたしたいというふうに考えております。
  114. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 時間もありませんので、もうこれでやめますが、こまかいことを突っ込んでお聞きすれば十分に把握していただけるだろうと思いますが、いずれにしても定員が足りないから、十分なる安全性を管理することができないということなんです。それと、もう内こう先見ずに空港をつくってみても、採算が合わぬということから、どの航空会社もいまだに手を出さない。手を出さないけれども、空港ができておれば、定員はどれだけ配置しておかなければならぬ、こういうむだをやらなければいかぬので、そういう総合的なことをもう少し真剣に考えて、この航空行政を行なってもらわなくてはならないと思います。いつかの時期にあなたのほうのその方面に通じた方に事務所のほうへ来ていただければ、私は、具体的に私がいま質問したい、申し上げたいということを申し上げて、今後の参考にしてもらいたいと思いますので、その点をひとつ約束してもらいたいと思います。大臣、航空関係もこのとおりなんですよ、定員不足で。どうですか、一言最後に。
  115. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 昨年の予算編成の前に、運輸省関係の労組の委員長の人々に約半日いろいろ注文をつけられまして、その結果、閣議では欠員不補充というようなことをいっておりますけれども、それではとてもいけないということで、閣議でそういうことを言わぬことになっているのですが、閣議で発言をいたしまして、欠員不補充ではなくて、臨時雇いを本雇いに直せという問題から、国鉄をはじめといたしまして、運輸省各般の問題についてできるだけがんばったわけなんです。ところが、そのことを言い出したところが、赤城さんも言う。閣議でみながやがや言い出したものだから、それじゃ今年は最小限度認めようということで、いつもよりも多く取ったわけです。その前に、羽田の管制の事務をとっているところ、七階ですか、あの一番上から下まで見せてもらいました。それでいろいろ従業員の話を聞いたのです。今度新しい機械ができて非常によくなったが、その前には少し狂っているので、足でたたいて接触をしたような時代もあったという苦心談を聞きまして、これはあぶないことですから、せめて管制官だけは最小限度充足しなければ、飛行機の衝突の問題になりますから、それでこれだけは十分やらなければいかぬというので、それだけは努力いたしましたが、運輸省全般について考えますと、どの而もいまおっしゃるように人員は不足いたしております。これを国民の安全保障のために定員をできるだけふやしまして、安全輸送ができるようにいたしたいと思います。
  116. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これで質問を終わります。
  117. 河本敏夫

    河本委員長 次会は、明九日、金曜日、午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十一分散会