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1965-04-07 第48回国会 衆議院 内閣委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月七日(水曜日)    午後一時二十三分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐々木義武君    理事 永山 忠則君 理事 田口 誠治君    理事 村山 喜一君 理事 山内  広君       天野 公義君    井原 岸高君       岩動 道行君    池田 清志君       亀岡 高夫君    高瀬  傳君       綱島 正興君    二階堂 進君       藤尾 正行君    湊  徹郎君      茜ケ久保重光君    大出  俊君       中村 高一君    受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         運 輸 大 臣 松浦周太郎君         国 務 大 臣 増原 恵吉君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  井原 敏之君         外務政務次官  永田 亮一君         外務事務官         (大臣官房長) 高野 藤吉君         外務事務官         (大臣官房会計         課長)     谷  盛規君         外務事務官         (アジア局長) 後宮 虎郎君         外務事務官         (アメリカ局         長)      安川  壯君         外務事務官         (欧亜局中近東         アフリカ部長) 力石健次郎君         外務事務官         (条約局長)  藤崎 萬里君         外務事務官         (移住局長心         得)      山下 重明君         運輸事務官         (大臣官房長) 堀  武雄君         運輸事務官         (海運局長)  若狭 得治君         運 輸 技 官         (港湾局長)  佐藤  肇君         労働事務官         (職業安定局         長)      有馬 元治君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   吉瀬 維哉君         運輸事務官         (航空局参事         官)      手塚 良成君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 四月六日  農林省蚕糸局機構縮小反対に関する請願(井  出一太郎君紹介)(第二四九〇号)  同(久保三郎紹介)(第二五四四号)  華北郵政人寿保険金支払いに関する請願今澄  勇君紹介)(第二四九一号)  元南満州鉄道株式会社職員であった公務員等の  恩給等通算に関する請願外二件(受田新吉君紹  介)(第二四九二号)  同外四件(内海安吉紹介)(第二四九三号)  同(保科善四郎紹介)(第二七七三号)  同(久保三郎紹介)(第二七八六号)  同外一件(佐々木義武紹介)(第二七八七  号)  建国記念日制定に関する請願地崎宇三郎君紹  介)(第二四九四号)  同(佐々木義武紹介)(第二七八八号)  国立大学教官待遇改善に関する請願渡辺栄  一君紹介)(第二四九五号)  同(小川半次紹介)(第二五三五号)  同(大野明紹介)(第二五三六号)  同(田中彰治紹介)(第二五三七号)  同(中村幸八君紹介)(第二五三八号)  同(野田卯一紹介)(第二五三九号)  同(横路節雄紹介)(第二五四〇号)  同(藤枝泉介紹介)(第二七七一号)  同(古井喜實紹介)(第二七七二号)  同(地崎宇三郎紹介)(第二七九〇号)  同外四件(坂田道太紹介)(第二八一七号)  同(田口誠治紹介)(第二八一八号)  公務員退職条件改善等に関する請願五島虎  雄君紹介)(第二四九六号)  旧軍人等恩給に関する請願小川平二君紹  介)(第二五四一号)  同(小坂善太郎紹介)(第二五四二号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第二五四三号)  同(小川平二紹介)(第二七六九号)  同外一件(西村英一紹介)(第二七七〇号)  同外一件(小川平二紹介)(第二七八四号)  同外十件(中垣國男紹介)(第二七八五号)  金鵄勲章受章者の処遇に関する請願櫻内義雄  君紹介)(第二七八九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七号)  在外公館名称及び位置を定める法律及び在外  公館に勤務する外務公務員給与に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第一八号)  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)      ————◇—————
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。  外務省設置法の一部を改正する法律案、及び在外公館名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)委員 まだ要請をしておりまする大蔵省から来ておりませんので、若干外務大臣に御意見を率直に述べていただきたいと思います。午前中に外務委員会ベトナムを中心とする国際情勢について相当質問があり、それに種々答えられておるようでございまするが、内閣委員会といたしましても、直接日本の防衛にも関連をいたしておりまするので、大蔵省から政府委員が来るまで、ベトナム問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  これは私が聞くまでもないことと思いまするが、今日のベトナム戦線状況を見ますると、非常に拡大方向にきておると思うのですが、この点については政府も同じようにお考えになっておられると思います。まずそれからひとつ承っておきたい。
  4. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 アメリカは、戦火拡大は決して望んでおらないと言っております。日本といたしましても、あの地域の動乱は日本にとってあらゆる面において直接の影響をこうむっておりますので、一日も早く平和裏収拾することを望んでおるのであります。しかし、アメリカがしばしば言明しておるとおり、北からの侵略をやめればアメリカ軍事行動を直ちに停止する、そして話し合いに臨む、こういう用意をもっておるのであるけれども北越侵略行動がなお今後続くということになれば、やむを得ずこれに対する反撃を加えざるを得ない、こういうことを言っております。北ベトナムは、ベトナム人にまかせろ、アメリカ無条件で撤退すべきである、こういうことを言っておるのでありますから、この両者の歩み寄りがなかなか期待困難である、こういう状況でございます。しかし、あくまで戦火拡大を望んではおらぬ。日本といたしましても、もしアジアの一員としてできることがあれば、平和収拾のためにいかなる努力をも惜しまない、こういう考え方でございます。
  5. 田口誠治

    田口(誠)委員 現在の答弁を聞いておりますると、双方がどちらもなかなか折れる状況にない、こういうことでございまするが、そうなりますると、ますます戦線拡大をしていきまして、全面戦争というようなことまで考えられるわけなんですが、こういう段階において、日本としての立場においてどういう手段をとることが、日本の平和を守り、そして日本人民生命を守るためによろしいかという点について、大臣のお考え方をお示しをいただきたい。
  6. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 いま申し上げたように、片一方無条件撤退片一方南ベトナム独立、自由というものを南ベトナム要請によって守るために軍事介入をしたのだ、ゆえに北越の侵透がやめば決して戦火拡大は望まない、平和裏収拾するように努力する、こう言っておるのであります。いい悪いは別でございます。両者の開きが非常に懸絶しておる。こういう場合に、ただ何とかならぬかと言ってこれに近づいてみたところで、決して適切な方法とは言えないのでありまして、やはりこれらの局面を収拾するためには、十分の用意と、それからタイミングがきわめて必要である、かように考えておるのでありますが、ただいまはさような段階ではない。これは総理大臣もしばしば御質問に対して答弁を申し上げているところでございます。
  7. 田口誠治

    田口(誠)委員 アメリカ基地日本相当現在においてもあるわけなんですが、ただいま御答弁のありましたような方向にこのベトナム問題が戦線拡大していくということになりますと、日本基地からも戦闘機が飛び立つということも考えられるわけなんです。そういうことになりますと、結局日本国土に対しましても相手方が目をつけなければならない、こういうことになりますと、日本国民生命、財産を保持するということが困難になる事態考えてみなくてはならないと思うのです。こういう点から、政府としては、この際そうした不幸な事態に立ち至らないように、日本基地からは絶対にアメリカ戦闘機が飛び立つというようなことはさせないのだ、日本基地を結局今度のベトナム戦争に利用させることはやらないのだという点については、私どもの希望しておりますように、政府としては明確に国民の前にも声明ができると思うのですが、この点についてひとつお伺いをいたしたいと思います。
  8. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 アメリカに対しましても、あらゆる機会において、またあらゆるレベルにおいて戦火不拡大の希望を申し述べておるのでございます。そしていま日本基地を直接作戦のために使うというようなことは、これはすでに条約事前協議対象になっておるのでありますから、補給のために日本の港あるいは航空基地というものが使われる場合はしばらくおくとして、直接作戦行動のために基地を使用するということは、日本としてはこれに対して戦争に巻き込まれることのない十分な用意を持ってこの問題を処理したい。事前協議対象でございますから、かってにそういうことをやるわけにはまいらぬのであります。この点は明確にしておきたいと考えます。
  9. 田口誠治

    田口(誠)委員 日本米軍基地を直接の作戦行動に利用させることはやらないということは、結局この点を明確にしておかなければならないと思いますことは、戦線拡大いたしましたときに、日本は絶対にその紛争の中に巻き込まれる憂いがあるということから、そういう憂いのないようにするためには、日本政府態度というものが明確に立てられておらなければならないと思うのです。したがって、そのことをお聞きしておるのですが、その場合、ことばをかえてもう一度御答弁をいただきたいと思いますのは、日本にあるところの米軍基地は、武力行使に利用することは絶対に認めない、こういうことなんですか。そうなりますれば、これは日本紛争に巻き込まれるということは、絶対にないということになるわけなんです。その点が明確でなければ、これは時によっては紛争に巻き込まれる、こういうことが非常に心配されるわけなんで、この点について明確にひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。
  10. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 いま申し上げたように、これは群前協議対象になるのでありますが、ただいまのところは、日本基地を使って直接作戦行動を起こすということは考えられない。距離的の関係もございまして、そういうことは考える余地がない、こう思いますので、その場合にどうするかというようなことの明確な考え方をただいま申し上げることは、必ずしも適当でないと私は考えておる次第であります。
  11. 田口誠治

    田口(誠)委員 私の申し上げておりますのは、いま外務大臣答弁でいきますと、日本米軍基地作戦行動を行なう基地にするということは絶対に考えられないという考え方から、相当ぼやけた答弁をしておられますが、戦線拡大していく場合には、米軍の第七艦隊の艦上からの戦闘機基地ではなかなかむずかしいと思うので、拡大していくということになりますと、おそらく朝鮮戦争のような状態になろうと思うのです。こういうような場合には、おそらく日本にある一番近い基地をそうした武力行使基地に利用するということが考えられるわけなんでございますので、そういう点からお伺いしておるわけなんです。どんなに戦線拡大していっても、日本基地からアメリカ戦闘機が飛び立つというようなことはあり得ないということを、外務大臣は今日の状態から断言はできないと思うのですが、いま御答弁を聞いておりますと、その断言に近いようなことをお話しになっておられるのですが、これは少し甘過ぎると思うのです。もう一度御答弁をいただきたい。
  12. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 いやもうほとんどそういうことは考えられないことでございまして、考えられもしないようなことを、いまの段階においてそれに触れるということは、かえって人心を混乱させるような結果になるだけでございまして、私は害あって益はない、かように考えております。
  13. 田口誠治

    田口(誠)委員 何回お聞きしても、そういう心配はない、米軍基地を今後のベトナム戦争に使用するということはあり得ない、こういうことは考えられない、絶対にない、こういう答弁が繰り返されておるわけなんです。そこで私ども考え方としては、それはあり得るという分析をしておるのですが、これはあくまでも平行線であれば平行線として、これ以上突っ込んでお聞きしてもやむを得ないと思います。しかし、国民全体が今度のベトナム戦争戦線拡大に非常に気を使っておるということは、日本国土には米軍基地相当時っておる。したがって、あの戦線拡大ということになれば、朝鮮戦争二の舞いということになるから、そうなれば、日本基地から必ず戦闘機が飛び立つ。すなわち、日本米軍基地を利用することになるということから、国民心配しておるわけなんです。だから、絶対にそういう心配がないということの裏づけを、もう少し御答弁を願いたいと思うのです。それで、その裏づけということを御答弁願いたいと思いますことは、先ほど私が申しましたように、現在米軍が戦っておる、また飛行機を飛び立たしておる状態の範囲内では、戦線拡大した場合にはこれは追いつかないということなんです。そうすれば、次に何を考えるかということになれば、やはり基地の利用をどうするのかということを考えなくてはならないと思うのです。事前協議どうこうということをお話しになりまするけれども日本の国が非常に恐怖に追い込まれた場合にどうするかという事態になったときに事前協議のあった場合には、おそらく羽前協議をすると同時に行動を行なうということになるのですから、私は、いまから日本政府としては、どんなにあの紛争拡大していこうとも、日本の国が紛争に巻き込まれることは絶対にないという立場を堅持するために、日本にある米軍基地武力行使に利用させることは絶対に認めないつもりである、この程度のことは、外務大臣としてお答えができると思うのですが、どうなんですか。
  14. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 事態がそういうふうな切迫した、日本作戦基地を直接使わなければならぬというような状況にはるかに遠いところで問題が起こっておるのでありまして、それをあたかも近いところに問題が起こっておって、そうしていまにもまかり間違えばというような不安感脅威感国民に与えるようなことは、やるべきじゃない。そういうことを好んで招来するということは、私のとらないところであります。
  15. 田口誠治

    田口(誠)委員 絶対に心配ないという考え方の上に立っての答弁なのですけれども、実際は日本の国としては非常に危険性をはらんでおるということなんです。したがって、こういう場合に、安保条約一条に基づいての日本行動というものが当然なされなければならないと思うのですが、そういう点についてはどうお考えになりますか。
  16. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御質問の要点がよく理解できませんが……。
  17. 田口誠治

    田口(誠)委員 安保条約一条条項は、お知りなんでしょうね。そうしますると、一条には国際紛争平和的手段によって解決し、武力による威嚇または武力行使を慎むという趣旨が、この中に盛り込まれているわけなんです。したがって、現在のような事態には、日本としての立場から何らかの解決意思表示を出されるのが当然であろうと思う。一条関係はそういう趣旨内容であるから、私から質問申し上げたわけなんですが、この一条と四条との関係内容的にございまするので、あわせてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  18. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 武力によって領土的な野心を遂げようとするとか、あるいは政府を転覆させるという企図をもって武力行使をするというようなことは禁じられておりますが、いまアメリカ及び南ベトナム共同軍事行動は、絶えざる北からの侵略というものを排撃するという意味においての武力行使でございますから、私は、第一条によって禁ぜられておる行動ではない、武力行使ではない、かように考えるのでございます。したがって、日本といたしましては、まずあの地域の紛乱をおさめるのは、やはり北越の浸透、侵略行動というものをまずやめて、これを確かめてアメリカ軍事行動を停止する、こういうことからだんだん事態収拾というものが行なわれていかなければならぬものだと考えておりますから、この一条をたてにとっていま日本が何らかの行動に出るということは、考え段階ではない。  それから第四条は、脅威が起こっておるというような場合には、一方の要請によって日米協議をする、この問題は、絶えずあらゆる機会においてわれわれは不拡大を希望するということを言い、アメリカ戦次拡大を決して望んでおるのではない、他に野心はない、ただ北からの侵略が続いておる間はやむを得ざる行為としてこれをやらざるを得ない、こういうことを言っておるのでございまして、絶えず両国の間に協議が行なわれておるというような状況でございます。
  19. 田口誠治

    田口(誠)委員 大臣、こういうように申し上げるから、よく聞いて答弁をしていただきたいと思いますが、いままでの質疑応答からいきますると、ベトナム戦線拡大方向に向いておるということは、意計一致しております。この拡大方向に向かっていくことが、今日の状態では、外相考え方としては、手がつけられないということなのです。アメリカ北ベトナムが折れてくればとか、あるいは北ベトナムアメリカ行動がなくなればとか、こういう考え方双方がやっておるのだから、だから手がつけられないと言っておられるのです。手がつけられないということになれば、戦線拡大していく。戦線拡大していけば、朝鮮戦争二の舞いということになる。朝鮮戦争二の舞いということになれば、これは極東の平和に全然危惧がないかどうかということが問題であろうと思うのです。私はあるというように考えておるわけなのですが、この点だけひとつ答弁願いたいと思います。
  20. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ただいまは両者の主張が全く平行線でございます。しかし、永久にこれが平行線で、永久戦線拡大していくかと言いますと、必ずしもそうじゃない。国際世論もぼつぼつ出てきております。ただし、いままでのところは、有効適切なる提案はなされておらない状況である。しかしながら、情勢は漸次移りつつある。いずれの機会が必ず平和解決の端緒をつかむことができるのではないかというふうに考えておりますが、ただいまのところは開いておる。しかし、問題は、要するに南ベトナムの政治的な独立、自由、そういうものを守るということが問題の核心をなしておるのであります。私は、ただ無意味な戦争をしているというわけではない、この問題が十分に達成されるならば、問題はおのかずら解決する、こう考えております。
  21. 田口誠治

    田口(誠)委員 大臣お答えになるようなことは、これは期待しておられることであって、この期待、可能性があるかどうかということについて問題があるわけなんです。したがって、現在の状況から言うと、戦線拡大方向にある。そしてこれをいまのところでは平和解決をする方法が見当たらないというのが、いままでの御答弁内容であって、そうであるとするなれば、ますます戦線拡大をするということになりまするので、戦線拡大になれば、先ほど申したように朝鮮戦争二の舞いになる。朝鮮戦争二の舞いになれば、極東の平和に大きな影響を及ぼされるということは明らかであると私は考えておるが、その場合に、外相は、極東の平和には何ら危惧するところなしと考えておられるかどうかということをお聞きしておるのです。この点を御答弁願えばいいわけなんです。
  22. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これが無制限に拡大してついに朝鮮戦争のような状況になるということは、まことにこれはアジアの一国としても寒心にたえないところであります。しかし、さようなことにならないように、事前平和解決を希望しておるものであります。
  23. 田口誠治

    田口(誠)委員 戦線拡大していくということは、これは憂うべきであって、好まないのだ、それで平和的に解決することを心から念願しておるというのが、大臣答弁であります。しかし、これはだれかが仲裁に入るとか、あるいはどちらかの国が大きな襟度を持って臨まなければ、この戦争拡大方向にますます向かっていくということは、最近の状況を見て明らかであるわけなんです。そういう場合を考えてみますると、現在のところでは平和解決ということが困難だという見通しであるから、これは極東の平和に対しても大きな影響を及ぼすことがあり得るということから、答弁を促しておるわけなんです。外務大臣答弁が非常にじょうずで——あなたの答弁じょうずというのは、答弁をぼやかすということがじょうずなんです。だから、ぼやかさないように、ますます戦線拡大をしていって朝鮮戦争のような状態になっても、この極東の平和には何ら危惧するところがないと考えておられるかどうかということを聞いている。このことをお聞きしておるので、その他のことは答弁していただかなくてもいいのです、あとから申し上げますから。
  24. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 その点は申し上げるまでもないことでございまして、ただいまにおいても、日本といたしましては、政治的にも経済的にも、あらゆる部面に関してこれは身近に感じておるところでありますから、これ以上拡大するということになったらたいへんだ、こういう考え方を持っております。
  25. 田口誠治

    田口(誠)委員 これ以上拡大することはたいへんだということは、私ども考えるし、大臣もお考えになっておるのです。だから、私はこの時期に、幸い日本発言権のあるのは、特にアメリカに対しての発言権は、安保条約の四条にのっとっての発言権だろうと思うのです。先ほども内容的に大臣答弁の中でちょっと触れられましたが、極東における国際平和及び安全に対する脅威が生じたときは、いつでもいずれか一方の締結国要請によって協議することができる、こうなっておるから、この条項をこの際適用して、日本態度をきめて、そしてアメリカに強い平和の方向への要請をする必要があろうと思って私は質問をしておるわけなんです。この点については御異議ございませんですか。
  26. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 戦争行動をただやめればよろしいということでは、また再び問題は爆発するのでありますから、やはり筋を通した平和収拾をしなければならぬ。筋を通すということはどういうことかと申しますと、結局南ベトナム政治的独立、平和、自由、そういうものを確保するということが、すなわちこの問題の収拾に筋を通すということになるのであります。そういったような目当てなしに、ただ両方で停戦をしたからといって、政治的な不安というものはあの地域からなくならないと私は考えるわけでございまして、そこに非常にむずかしさがある。それを考えながらこの問題の収拾に努力してまいりたい、かように考えます。
  27. 田口誠治

    田口(誠)委員 現在は両国がそれぞれの立場で筋を通そうとして、その筋の通らぬのが現在の戦争状態であるわけなんです。だから、これをそのまま拡大していくのを見過ごすということは、これは日本政府としてもやるべきでないと思うのです。この際、日本政府として何らかの意思表示をしなければならないと思うので、そういうチャンスが現在きておると思うのです。だから、このチャンスに安保条約一条、四条、こういう精神を生かさなければならないと思うのですが、そういう考え方は全然持っておらないのか。ただ心配をして、拡大していくのは困るのだ、何か平和的に解決することを希望しておるのだ、こういう抽象的なことで、いま死ぬか、生きるか、殺すか、殺されるか、こういう戦いをしておるこの中において、この戦争拡大していくのを日本の国としてただぼう然として見ておるというのは、いけないのではないか。何かこの際手を打つべきであるというのが私の主張であって、そして政府のお考え方を聞いておるのです。当然政府としても、日本国民生命、財産を確保し、そして極東の平和と安全を願うなれば、この際何とか方法をとらなければならないと思うのです。その方法は、安保条約一条、四条に基づいての日本の発言をアメリカに示すべきではないか、こういうことを申し上げておるのですが、そういうことは一向お考えにならないのですか。
  28. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 各国はやはりこの平和収拾については非常に努力をしておりますが、いずれもそれが実らないような状況でありまして、まことに遺憾でございます。日本といたしましても、いかにすれば最も有効にこの問題を収拾し得るかということにつきましては、絶えず考究し、いかなるチャンスをとらえるべきかというふうなことにつきましても、大いに考慮を払っておるような状況でございます。
  29. 田口誠治

    田口(誠)委員 一般論からいきましても、双方がけんかをしておる場合に、そこへ仲裁に入るというのは、チャンスをねらわなくてはならないということ、そのチャンスをねらうということは、現在が一番いいチャンスではないか、この時期を逸して日本がおるならば、ますます収拾のつかない状況にこの戦争拡大されていくのではないか、こういうことを考えますので、私はいま日本の発言をアメリカに示すいいチャンスであるというように考えておるのですが、まだまだ早過ぎるというふうにお考えなんですか。
  30. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これは結局、両名の主張を十分に検討して、そうして一体正しいところはどこにあるかということを考えなければならぬのでありまして、ただ少しこっちのほうが力が強そうだからそっちだけ押えるというようなことでは、この問題は片づかない。どうしてもやはり筋を通した解決をしなければならぬ。ただいまの状況は、私は必ずしも最もいいチャンスだとは考えません。むしろ私は、ただいまの段階では有効なる収拾策は見当たらない、かように思っております。
  31. 田口誠治

    田口(誠)委員 率直にお伺いいたしますが、現在の程度の戦争状態では、まだチャンスといえない、もう少し戦線拡大してこなければチャンスをつかむことはできないということなんですか。私はいまがチャンスであってこれ以上戦線拡大したときには、日本が発言しようと思っても収拾することができない事態に相なるのではないか、こう考えておるから、現在の事態が一番チャンスであるというように考えておるのです。どうも外相答弁からいきますると、まだまだ早いということになりますれば、戦線拡大していくのだから、もう少し戦線拡大したときでないと、なかなか双方が折れ合うということはできない、こういう分析なんですか。
  32. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私は、戦争をもう少し拡大さして、それからチャンスが生まれるのを待て、こういうような意味ではございません。戦線拡大しようがしまいが、とにかくこの両方の主張をいま言いつのっておりますけれども、どっちがいい悪いということは言いませんけれども、とにかく相当な従来の主張に対して反省が起こるというそのチャンスをつかむべきだと思います。もう少し戦争を続けさして、拡大して、そしてくたびれたところで云々と、そういったような外形的なこと——それもあるいはチャンスを待つ一つの方法かもしれませんけれども、私はそういうことを考えておるわけじゃありません。
  33. 田口誠治

    田口(誠)委員 どうも私はその答弁はわからぬのです。もちろん戦線拡大していくことを好んでいたり、もう少し戦線拡大すればそのチャンスがあるのだというような答弁は、外相としてできないと思いまするが、私は、今日のこの現状が一番収拾策のチャンスであるというように考えておるわけなんです。そしてこれ以上線戦が拡大していくということになりますと、これはなかなか収拾することはできません。それと同時に、もう一つは、外相考えておられるように双方が自己批判をし合えばということですが、自己批判をし合って、そしてお互いに手を引くということになりますれば、これは何も日本の国からくちばしを出す必要はないと思うので、現在の状態では、これはだれが見ても戦線拡大方向に向かっておるということです。ますます拡大していくというのが、世論一般の見方であるわけなんです。こういうときに、日本アメリカに対しての発言権を持っているのだから、安保条約一条、四条によってやらなければならない、それには現在が一番チャンスではないか、こういう考え方からお尋ねをしておるわけなんです。チャンスを見て何とかしたいということとか、そうして実際にそういう希望をしても、希望がかなうかかなわぬかわからぬような、双方が自己批判をし合って、そして平和解決方向へ自主的に持っていかれることを望むというようなことは、これは当然望むことであっても、望むことができないのが現在の実情であるわけなんです。だから、私はこういう時期にこそ、日本アメリカに対して、世界の平和、極東の平和を守るために意思表示をすべき時期であるというように考えておるわけなんです。どうしてもまだ早いということなんですか。
  34. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私は、まださような段階ではないと考えております。
  35. 田口誠治

    田口(誠)委員 外務大臣質疑応答をしておりましても、ここまできますと、同じことの繰り返しになりますので、私はもう一度確かめておきたいと思いますが、先ほどからの答弁を聞いておりますと、あの戦線拡大されても、日本米軍某地が作戦基地になったり、日本米軍基地戦争基地に利用されるというようなことはあり得ないという認識に立っておられるわけなんですが、私はそう考えておらないわけです。あくまでも作戦基地に利用されるようなことはないというように信じておられるのか。希望されているということなら答弁は要りませんが、そう信じておられるのかどうかということを念を押しておきたいと思うのです。
  36. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ただいまの段階においては、私は、日本基地を直接作戦行動に利用されることは絶対にあり得ない、かように考えております。
  37. 田口誠治

    田口(誠)委員 外相答弁は、日本基地作戦基地に利用するということは絶対にあり得ない、ことばの表現はいろいろあろうと思いますけれども日本にある米軍基地は絶対に武力行使に利用することはない、こういうように言われたと思うのですが、そういうように確認をしておいてよろしいですか。
  38. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 どうぞそういうふうに御了解を願います。
  39. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしますれば、日本が、もし今後この問題について日米事前協議の形で問題を話し合う場合には、日本にある米軍基地は絶対に武力行使には利用することは認めないという態度、こういうようにまた確認しておいてよろしいですか。
  40. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私は、ただいまのベトナム戦争について申し上げたのでありまして、事前協議の問題がいろいろな形によってあらわれてまいることを予想いたしますと、それに対してすでに固定した考え方で御答弁を申し上げることは、非常に危険でございますので、その問題に対しましては答弁は控えることにいたします。
  41. 田口誠治

    田口(誠)委員 現在のようにうしろのほうからどういううしろだてがあろうとも、形の上においては現在行なっている両国戦争がどんなに拡大をされても、その拡大をされた時期にアメリカのほうから事前協議を申し込まれても、このベトナム戦争については、これは私がただいま確認を求めましたように、米軍基地は絶対に武力行使には利用することを認めないのだ、こういう態度でおいでになるというこのことは、いまの答弁からも聞き取れるわけですが、間違いはございませんか。
  42. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私の申し上げているのは、ただいまのベトナムの戦況から見て、日本米軍基地が直接作戦行動を起こす基地にはなり得ない、こういうことだけを申し上げているわけであります。
  43. 田口誠治

    田口(誠)委員 ことばはいろいろ表現のしかたがありますけれども作戦基地というと大げさに聞こえますし、それから武力行使に使用することはごめんだと言えばあまり大げさでないように聞こえるわけなんですが、これは内容は同じなんです。したがって、日本にある米軍基地からたとえ一機でも二機でも戦闘機が現地戦場へ出動するということになれば、これは作戦行動に利用したということになるわけなんですが、そういうこともあり得ないというようにお考えなのかどうかということです。
  44. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 他の近い基地に移動することは、これは直接作戦行動に使用したことにならないのであります。ここから直接に進発するということはあり得ない、こう申し上げております。
  45. 田口誠治

    田口(誠)委員 ことばはすっきりしておりませんが、南ベトナムの現在の戦場へは、日本基地からはたとえ一機でも二機でも出動するようなことはあり得ないというように、ただいまの答弁は確認しておいてよろしいのかどうか。
  46. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 さようでございます。
  47. 田口誠治

    田口(誠)委員 絶対にあり得ないということになりますれば、そうすれば、事前協議というような事態は、どういう進展の場合にあり得るのですか。
  48. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 どういう場合って、とにかく日本基地から直接作戦行動を起こすというような場合があれば、これは必ず事前協議にかかる、こういうことになっております。
  49. 田口誠治

    田口(誠)委員 今度のベトナム戦争については、事前協議のあったときには、日本にある米軍基地は絶対にそうした行動の地点にしてもらいたくないという、こういう考え方をいまお持ちなんですか。
  50. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そうじゃなくて、ただ冷静に私は申し上げておるのでありまして、ただいまのベトナムの戦況あるいは地理的な関係、あるいは他の米軍基地というものを考えてみますと、絶対にさようなことはあり得ない、かように確信をしております。
  51. 田口誠治

    田口(誠)委員 作戦上の問題ですから、あなたに詰め寄ることはちょっとむずかしいと思いまするけれども、これはやはり大事なことだから聞いておかなければならないと思いまするが、アメリカの現在持っておる基地状況からいって、日本基地を利用するということは考えられないという答弁ですが、私は、現在米軍が持っておる基地状況から見て、この戦争拡大した場合には、日本基地を利用することがあり得ると考えるんだが、外相のお考え方は、アメリカ基地はどことどことどこにあって、どういう場合にどういう作戦がとられるから、そういう心配がないというところまでのお考え方がなかったら、ただいまの答弁はないと思うので、その点を明確にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  52. 安川壯

    ○安川政府委員 私も軍事専門家じゃございませんけれども、常識論といたしまして、日本基地から飛行機が飛び立ちまして、ベトナムなり爆撃して日本基地に帰ってくるというのは、考えられないと思います。
  53. 田口誠治

    田口(誠)委員 専門家でないから答えられないという答弁では、外務大臣としてこういう事態には答弁にならないと思うのです。少なくともそういうような問題を検討する場合には、やはり作戦上のことも勉強をしておってもらわなければなりませんし、そういうような認識を十分に持って日本外務大臣としての仕事をやっていただかなくては、誤りがあり得ると思うのです。この誤りがあり得るということは、この戦争拡大された場合には、極東の平和を非常に脅かして、日本の経済に非常に打撃を与える、そうして日本国民生命、財産にも影響があり得るから、私はこういうことを申し上げておるのであって、作戦上の問題については全然わからぬからということなら、何も作戦上の問題をことばの中に入れて回答する必要はないと思うのです。それを回答されるということになれば、少なくとも作戦上の問題が頭の中にあって答弁されたのだろうと思うので、国会の答弁はいいかげんなものでは困るわけです。
  54. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 さっきも申し上げるとおり、そういうことはあり得ないことだと思います。
  55. 田口誠治

    田口(誠)委員 外務大臣は、とにかく認識不足という表現になりますか、じょうずにぼけて答弁されておる。答弁じょうずと言おうか、非常に不満な答弁であるわけなんです。  それで、私はなおこの点くどいようですけれども外相にもう少し明確にしてもらいたいことは、ただいまの外相と私の質疑の中で確認されたことは、ベトナム戦争拡大方向に向かっておるということ、拡大方向に向かっておるけれども、いまのところでは収拾づける方法がないという外相答弁であるわけなんです。したがって、収拾づけることができないということになれば、朝鮮戦争二の舞いになるのではないか。そういうことになると、日本の国自体に対して大きな影響があるんだから、私は、この際、そういうような事態になった場合でも、日本政府としての態度を明確にしておってもらわなくてはならないということから、答弁を求めておるわけなんです。その答弁を求めておることは、何もむずかしいことはありませんが、ベトナム戦争の場合には、戦線拡大されて、そして日米安保条約に基づいて事前協議のあった場合には、日本の国にある米軍基地は絶対に武力行使には利用させないという考え方政府は現在持っておるのだということならば、私は話はわかると思うのです。ときによっては日本米軍基地をそうした武力行使に利用させることもあり得るのだということになると、これは問題があると思いまするので、お聞きをしておるのですが、それはどちらなんですか。ときによってはあり得るということなんですか。
  56. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ベトナムのただいまの戦局から考えると、さようなことはあり得ない。したがって問題にならない、かように確信しております。
  57. 田口誠治

    田口(誠)委員 問題にならないということは、いつかの時期にこういう方法によってこの戦争が終止符を打つだろうという期待をされておると思うのです。そういう期待のない限りは、ただいまのような答弁ができないと思うので、その点をひとつ伺いたいと思います。
  58. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これは一日も早く収拾することを日本としては熱望をしておる。しかし、希望と実際はしばしば食い違うこともございますけれども、大体においてそう無制限に拡大するものとは考えておりません。
  59. 田口誠治

    田口(誠)委員 無制限に拡大するものとは考えておらないということは、これは質疑応答するのに非常にむずかしい表現ですから、なかなか質問答弁もことばの使い方がむずかしいのですが、あまりむずかしゅう考えずに、現在の北ベトナム状況は、またこのベトナム戦争は非常に拡大方向に向かって、日本の最も中立的な学者、こういう人たちが、この時期に日本政府としても何らかの、を打つべきであろう——この手を打つべきであるという内容は、何といってもアメリカに対しての意思表示が必要であろう。アメリカに対しての意思表示をするには、これは安保条約一条、四条に基づいてやるのがきわめて妥当であり、当然の義務であろう、こういうような声明を出しておられるわけなんで、このことは、日本国民考え方を代表したものであろうと思うのです。日本国民考え方を代表したものであるとするなれば、政府日本国民考えを代表しての行動をしてもらわなくてはなりませんので、そういう見地から考えますると、私は、あくまでもこのチャンスを逸しては非常に重大なことになるのではないか、こう考えておるわけなんです。したがって、何回答弁を求めてもはっきりした答弁をされませんので、私は希望として申し上げておきまするが、現在の戦況は、非常に日本の国としてアメリカ意思表示するにチャンスである。このチャンスを逸すると、これは収拾つかないことができるかもわからないと思うわけなんです。したがって、この際、米国に対して、安保条約一条、四条に基づいて、そうして日本態度を明確に示してもらいたいと思うのです。明確に示してもらいたいということは、共産国でも、アメリカの国でも、りっぱな近代兵器を持って、科学兵器は持っておりまするけれども、軍事力においても、経済力においても、アメリカは何といっても一位だと思うのです。こういう大国が小さな国を相手に戦っておる場合には、ほんとうに忍ぶに忍べないような理屈はあろうけれども、この際、アメリカが忍びざるところを忍んで、そうして平和的解決方向へ踏み切ってもらうことが、世界の平和を維持するに最も大切なことであろう、こういうような見地から日本態度アメリカに示してもらいたい。このことを強く要望しておきます。この点について、何回申し上げましてものらりくらりの答弁でつかみどころがございませんので、非常にその答弁内容では不満でございまするが、ただいま申しましたことを強い要望として申し上げておきます。私がこういうような要望をあえて申し上げたのは、これは現在の日本国民が、ほんとうにそうしたことを望んでおるからです。どの新聞を見られても、どの週刊雑誌を見られても、筆をそろえて、口をそろえて書き立てておりますることは、これはいまこそ日本アメリカに対してりっぱな平和解決方向意思表示すべきである、こういういいチャンスがいまきておるのだ、このチャンスを逃がすことは将来において不覚をとることがあろうというのが、言論界の一致した報道内容であるわけなんです。このことは、すなわち国民全体の要望しておることでございますので、外務大臣考え方からは不本態ではございましょうけれども、これは強い国民の要望として要望を申し上げておきたいと思います。この点につきましてはこの程度でやめまして、次へ移りたいと思います。  そこで、この設置法関係に入りたいと思います。今度の設置法の改正の内容を見ますると、非常にこれは奇型児のような変則的な機構の改正がなされておるわけなんです。それでこの機構改正というものは、これは外務省としても不本意な内容であろうと思うのです。なぜこういうような不本意な内容のものを今日出さざるを得なかったかということにつきましては、これは大蔵省から強い達しのあるところの定員規制の問題がありまするし、それから行管の一つの基本方針があるわけなんです。したがって、まず行管のほうにお伺いをしたいと思いまするが、この機構改正の内容を見られましてオーケーを与えられた理由は那辺にあったかということと、そしてこういう機構改正は、これは変則的な機構改正というように受け取っておられぬかどうかということをお聞きをしたいのです。断わっておきますが、きょう特に行管とそれから大蔵省からおいでをいただきましたことは、この法案に社会党はもちろん反対ですけれども、反対しても、これは採決をすれば負けるわけなんですね。(伊能委員「その通り」と呼ぶ)したがって、そのことは、伊能先生がその通りと言われるくらい、これはもうはっきりしておるわけなんです。ところが、そのはっきりしておるところの自民党さんの内部でも、党内の事情をあまり言ってはいけませんけれども、この機構の改正はすっきりしたものとは考えておられぬわけなんてす。したがって、今度はこれが通るといたしましても、次期国会には、外務省としてほんとうにこういうように機構の改正を行ないたいという改正案が、堂々と出せるようにしておかなければならないと思うのです。それには大蔵省の定員規制の問題、それから行管の機構改正の基本方針の問題等々があるわけなんです。だから、私は、次期の国会に、こうした変則的な機構改正はやめて、外務省としてほんとうにこういう機構にしたいという内容のものを堂々と出されて、そして行管もこれを認め、定員増があれば、それも一つの規制はあっても大蔵省のほうで認めていくという方法を、今度の国会でやはりある程度理解をしてもらっておかなければ、これはなかなかむずかしい問題でありまするから、あえてそういう点から御質問を申し上げておるわけなんです。そういうことを考えていただきまして、ひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。
  60. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 政府としては、四十年度予算を編成しまする場合に、原則として人員の増加はこれを避ける、機構の新設、増加等も原則としてはこれを避けるということを、方針をきめたわけでございます。根本は、原則としてこれを避けることでございますが、しかし、特に必要あるものについては例外を慰めるということも、閣議決定の中に入れてあるわけでございます。そういうことで、この機構改革につきましては、外務省の要望に基づきまして、行政管理庁としてはその適否を慎重に検討をいたしたわけでございます。一つの機構の増は、中南米・移住局の問題であり、一つは中近東アフリカ局の問題でございます。この両者に共通する問題は、中近東アフリカにつきましては、四十七でございましたか、新興国を含めまして非常に大きな数の対象の国があり、これがどんどんふえてまいったという実情でございます。経済的にも、政治的にも、文化的にも、これを扱います質量ともに増加をしてまいったというのが、この両局に共通の失態でございます。そうした国際政局に処するための外務省の機構の拡充として、一つは部の昇格であり、一つは局の変更と申しますか、そういう形のものを慰めることが適当であろうというふうに行管としては考えたわけでございます。  さらに中南米・移住局につきましては、従来の移住局が、移住事業団というものが発足することに伴いまして量的に相当の仕事の減少という問題もございまして、移住局の措置ということが一つあるとともに、中南米二十二カ国でございましたかの国際政局における重要性、したがって日本にとりまして政治経済的な意味で重要性が加わりましたことを加味して、一つの局をつくろうという外務省の計画であるわけでございます。この際、中南米というのは、申すまでもなく地域をあらわすものであり、移住の関係は機能をあらわすものでありますので、機構として中南米と移住とを両者一緒にして局とすることは、なかなか問題があるということで論議があったわけでございます。これは、外務省でもその点は十分考えられた末のことでございます。しかし、局としてこれを考えます場合に、できれば機構の縮小をしていきたいという政府の基本的な方針にかんがみますと、移住の関係をそのまま局とすることも都合が悪いところもありますし、中南米をそのまま局にすることも、いささか機構としては不十分であるという点もあったわけでございます。局としては地域及び機能を合わせたものとして、例外的なものではありますが、両者を合わせて中南米・移住局とすることが適当であるという見地で、行管もこれに同意をいたしたということでございます。
  61. 田口誠治

    田口(誠)委員 次に、大蔵省のほうにお伺いいたしたいと思いますが、国会の質疑の中ではもっともらしくただいまのような答弁がありましたけれども、それはそれといたしまして、今度出されたこの機構改正というものが全く変則的なものであるということは、これはそういう答弁をしたら、そんなものをなぜ出したということになるから、そういう答弁はおそらくされないでしょうけれども、これは全く変則的な機構のいじり方がしてあるわけです。したがって、こういういじり方をせざるを得なかったということは、これは行管と大蔵省の一つの基本方針、また定員規制の問題、こういうところにひっかかりができて、ことばを悪く言えば、役人の方の妥協でこういうふうな法案が出されたということなんです。それが事実なんですから、いまの御答弁は御答弁として私は受けておきますけれども、そういう内容を持つものでありますから、次の通常国会になるかわかりませんけれども、この機構改正はもう少しすっきりした内容のものが将来改正案として出てこようと思うのです。そういう場合には、原則としての泉本方針はありますけれども、それは原則として、必要であればそういう意見も十分に聞いていただいて、このような変則的な機構改正にならないように、行管のほうで十分に御検討の上同窓を与えていただきたい。この点は、私どもが今日まで審議をし、質疑応答をした結果から生まれた内容のことばでありますので、その点を要望申し上げておきます。これについては答弁は要りません。  それから大蔵省に対しましても、これは今日まで質疑応答をしてきました結果から、こうした変則的な機構改正を出さざるを得なかったということについては、定員規制というような問題も出されておって、そういうことに大きく気を使ったということからこういう法案になったようでございますので、一つの指導方針としてありましても、御承知のとおり、先般衆議院を通過いたしました通産省の設置法の改正等では、定員増の問題なんかは、私どもはまだまだ不満でございましたけれども、規制されておる中においては相当思い切ったものが出されて通過したわけでございますので、そういうことからいきまして、一つの指導方針はありましても、こういう機構改正を行なう場合には、十分に内容を検討していただき、担当省の意見も十分に聞いていただいて、定員の問題等の相談をしていただかなくてはならないと思いますので、そうした点についての大蔵省の今後を含めての考え方を承っておきたいと思います。
  62. 吉瀬維哉

    ○吉瀬説明員 ことしの外務省の機構でございますが、大体外務省の御要求の趣旨に沿って、特に新しく一つの局の設置、それから中南米・移住局の新設を認めた次第でございます。いまの御質問趣旨によりますと、相当無理があったというようなお話でございますが、私どもといたしましては、特に外務省の定員につきましては、本省関係の定員の増加はゼロにいたしましたが、在外関係の分については特に意を注ぎまして、六十五名の増加というぐあいに、相当大幅な増加を認めておる次第でございます。こういうような点を御了承願っておきたいと思います。
  63. 河本敏夫

    河本委員長 田口君、結論をお急ぎ願います。
  64. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいま答弁がありましたが、これは外務省のほうからの要請にこたえて、そしてそれを認めていったという答弁でございます。そういう経過はあっただろうと思いますけれども、しかし、その前の問題として、定員規制の指導方針が強く出されておりましたので、そういう点を非常に気づかって、そうしていろいろとひねくったあげくこういう案になったわけなんです。したがって、外務省がおそらく考えておられる案からいきますれば、本省のほうにおいての定員増の問題の要求も、まだまだあっただろうと思うのです。したがって、この問題は今日まで相当審議を始めてから日にちを経過いたしておりますのは、こうした法案はこの際撤回させて、正しいものを出し直させたらどうだというような意見が出されて、そうしてそれぞれ話し合いをした結果、今日まで来ておるわけなんです。こういう内容でありますから、これから外務省のほうから最も理想的な案を出されるような場合には、単なる定員規制というようなことからばかり検討をされずに、十分にそらした面を検討され、相談をされて、そうして機構改正のときには、だれが考えてもこれは正しい機構である、この機構の上に立って外務行政を行なうことが能率的に国民要請にこたえるところの行政が行なえるのだという、こういう機構にしなければならないと思うので、そういう点について一口大蔵関係にもその内容を知っておいていただきたいというので、あえて出席をいただいたわけでございます。その点につきましても、今日までの経過はわりとすっきりしたような答弁でございましたけれども、ここへ至るまでにはあまりすっきりしておりませんので、その点の御認識を十分にひとついただきたいと思うわけでございます。  そこで、次に外務省でございますが、ただいま私のほうから質問を申し上げ、また要望を申しましたように、今度の法案そのものは、全く役人の方の妥協的な一つの機構改正であるというように私は判断をしておるわけなんです。したがって、今度はこの法案によって採決はなされますが、将来の問題として、外務省として外務全般の行政に最もふさわしいところの機構を考えられ、そうしてその案をつくられて、将来私どもが指摘しておるような点の危惧のないような機構にしていただくことを強く要望いたしておきたいと思います。外務大臣は、こういう内容の機構であるということは、およそ御認識でございましょうね。——首を振られるだけでは速記録に残りませんので、答えてください。
  65. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 よく承知しております。
  66. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでは、この辺で質問を終わらせていただきます。
  67. 河本敏夫

    河本委員長 これにて両案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  68. 河本敏夫

    河本委員長 ただいま委員長の手元に佐々木義武君及び受田新吉君より、外務省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。
  69. 河本敏夫

    河本委員長 この際、本修正案について提出者より趣旨の説明を聴取いたします。佐々木義武君。
  70. 佐々木義武

    ○佐々木(義)委員 ただいま議題となりました自民、民社両党共同提案にかかる外務省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読を省略させていただき、その要旨を申し上げますと、本案は昭和四十年四月一日から施行することになっておるのでありますが、すでにその日が経過しておりますので、これを公布の日に改めようとするものであります。  よろしく御賛成をお願いいたします。
  71. 河本敏夫

    河本委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  72. 河本敏夫

    河本委員長 これより外務省設置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。山内広君。
  73. 山内広

    ○山内委員 ただいま議題となっております外務省設置法の一部を改正する法律案に対し、私は日本社会党を代表しまして、本法案に反対の理由を明らかにいたしたいと思います。  長い時間をかけまして質疑応答がありましたので、すでにもうこの法案に反対の理由は明らかになっておりますから、私は、その問題点を要約して、簡潔に申し上げたいと思います。  まず、その第一点であります中南米・移住局につきましては、形式的に見ましてもまことにこっけいなものでありまして、現在各省を通じまして、こういう変則な形を持ったものはありません。過去においても、またこういうものは実に珍しいものであります。これは政府の統一見解を聞きましても、看板にかけたときはポツと書くけれども、読むときはポツをはずして読むのだ、こういうことでありますけれども、この統一見解も徹底しておりませんし、まことにこれも不思議な解釈のしかただと思うのであります。また、これを質的に見ましても、ただいま増原長官も御答弁の中にありましたとおり、機能局と地域局と二つのものを一緒にしたということでございまして、まことにこれは特異な局になりまして、悪例を将来に残すものだと私は思うのであります。  また、前の外務大臣でありました大平さんは、海外移住事業団を設立するときに、現在の移住局のような大きな機構はもう要らなくなるのだ、こういう御説明がしばしばありました。ところが、移住局は現在廃止できない事情にある。これは、前の外務大臣政府の行政と外郭団体である事業団との本質的な相違を十分認識しておらなかったからだと、私は思うのであります。そうでなければ、お役人が自分のなわ張り争いから、この移住局の縮小に怠慢であったからと言わざるを得ないわけであります。だんだん聞いてみますと、この中南米・移住局の設立は、中近東アフリカ部を局にすることに対抗して、お役人さんのそういうなわ張り争い以外の何ものでもない、こういう感をわれわれは抱かざるを得ないのであります。  また、行政管理庁においては、現在臨時行政調査会の答申に基づいて鋭意その集約を急いで、この秋には結論が出て、基本的ないろいろな行政改革の基本方針ができるわけであります。この結論を待って慎重にこれは扱うべきものであって、何もいま急にこれをつくらなければならぬという緊急性は、私は断じて認めるわけにはいきません。  以上の理由によりまして、私どもはこの法案に反対いたします。(拍手)
  74. 河本敏夫

  75. 受田新吉

    ○受田委員 私は、外務省設置法の一部改正法案につきまして、特に希望を付して賛成の意を表明します。  これは当委員会における審議の経過を見ましても、山内委員の御意見の中にあったような寄り合い世帯的な中南米・移住局の新設という問題が起こってきます。役人が寄り合い世帯で仕事をするときに、そこにおのずから職務上のなわ張りというようなものが出てくる。機能性のほうが上にいくか、あるいは地域性のほうが上にいくかというような問題も起こってくる。非常にむずかしい新局がここにできたわけです。しかし同時に、外務省の外交事務を推進するために、特に移住の重点が中南米に置かれているという意味で、これを一方における関連性を持って考えておられるということでございますので、実際の運営の面で実効をあげるという努力をはかられることで、ある程度この寄り合い世帯的な性格をぼかすことができるであろうと期待をしております。そういう意味で、はなはだ理解に苦しむ新局ができたのでございますけれども、これの運営について、特に移住政策を事業団とタイアップして強引に押し進めて、わが国の全面的な移住実績をあげていただくように希望を付しておきます。  もう一つ、在外公館名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案でございますが、これはわれわれとしてたいへん理解に苦しむ点がこの中に定められておる。それは在勤俸の問題でございまするが、在勤俸において、特に大使、公使、一号、二号と三号以下との間のアンバランスという問題が随所にあらわれております。二号と三号の間が非常に接近しているところもあれば、離れているところもある。これはいろいろと地域性の比較という問題もありましょうけれども、何だか基本的な統一性を欠いた法案が出されているということを、私、指摘しなければならないと思うのです。この問題についても、外在公館に勤務する職員に対して、できるだけ現地で安心して勤務していただくような処遇を在勤俸において考うべきことを提唱して、この在勤俸のアンバランスを全面的に改定し、さらに、すでに数年間続いているこの在勤体について、新しい体系でこれらの増額措置等も検討した案を、外務省として十分用意して国会に提出されることの希望を付して、私の希望を付した賛成討論を終わります。
  76. 河本敏夫

    河本委員長 これにて討論は終局いたしました。  外務省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、本案に対する佐々木義武君外一名提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  77. 河本敏夫

    河本委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  78. 河本敏夫

    河本委員長 起立多数。よって、修正部分を除いては、原案のとおり可決いたしました。  これにて外務省設置法の一部を改正する法律案は、修正議決すべきものと決しました。  次に、在外公館名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  79. 河本敏夫

    河本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  80. 河本敏夫

    河本委員長 なお、ただいま議決いたしまし方二法案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 河本敏夫

    河本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  82. 河本敏夫

    河本委員長 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  83. 大出俊

    ○大出委員 設置法改正の中に、港湾審議会に管理部門を設けるという提案が行なわれております。これにつきまして御質問をいたしたいのでありますが、港湾法のできました昭和二十五年ごろ、さらに臨時行政審議会の答申が出ました三十四年のころ、今回の三・三答申と、三回港湾問題が大きくクローズアップされておりますが、ことしになってからようやく各方面で港湾問題が全般に取り上げられているわけでありまして、私は実はこの面では非常にいいことだというふうに考えております。いろいろな意見が錯綜いたしておりますが、何とかその中から大きく前進をする方向をお互いに努力をし合ってとらなければならない時期に来ておる、こういう認識を実はしているわけであります。そういう意味で、この改正点についての幾つかの理由がここに述べられておりますけれども、まず冒頭に承っておきたいと思いますのは、いまここであらためて設置法の改正ということで港湾審議会に管理部会を設けるというのでありますが、昨年来すでに行なわれているわけでありまして、一方に改正案が出ていて、片方で港湾局長答弁に管理部会に諮問をしているんだと言わんばかりの話が至るところ出てくるので、どうもその間の経緯を少し寄異に感ずるわけですが、そこのところをひとつはっきり御答弁を賜っておきたい。
  84. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 港湾審議会は、港湾法によりまして、港湾の開発に関する重要事項を審議するために、運輸大臣の諮問機関として設けられたものであったわけであります。ただいまおっしゃられましたように、本来でありますれば、設置法の改正によって予算もとってから運営すべきだったと思うのでございますが、港湾の貨物量の増大に伴います港湾施設の整備というものは、最近相当多額の資金を投じてやっておるわけでございますが、特に港湾管灘者におきましては、財政負担というものが非常に大きくなってまいりまして、港湾管理者の財政を改善するということが非常に緊急な問題になったものでございますから、実は昨年の八月から、実行として審議会の中に管理部会を設けまして、港湾財政の問題を中心として審議をしていただいておったというのが、現状でございます。
  85. 大出俊

    ○大出委員 最近そういう例が幾つか慣例的にあるわけでありますが、これは厳密に言いますと、やはりどうも感心しないと思うので、したがって極端なことを言えば、実行でやれるならやったらどうだ、それを実行でやれないということならば、設置法改正を先に出すべきではないか。つまり同じ国会、同じ会期の中で、片方に管理部会を設ける設置法が出ているのに、片方の部会のほうはすでにやっていて、そこにすでに重要な問題を答申を求めて提起をしておる、こうなると、法を審議する場面で、事後承認と言えばそうかもしれぬけれども、何となく法的に疑義のある面も出てくる。だから、時間もありませんから、この点については深く触れることはやめますけれども、これは何も運輸省に限ったことではありませんが、将来の問題としてこの辺のところは考えなければならぬところだろうという点の指摘をいたしておきたいと思います。  そこでこの提案理由の中でいきますと、主として港湾管理者の財政基盤の強化、これが一つの中心点であります。それから港湾設備の効率的使用の確保、これが二つ目の問題で、三つ目の広域港湾のあり方など港湾の管理に関する諸問題、こういう提起のしかたになっております。そこで私は冒頭に伺いたいのですが、港湾法は二十五年にできているわけでありまして、総司令部から一次、二次、三次の覚え書きが出されたりして、港湾管理については、ここで戦前、戦後の大きな転換をしているわけですね。そこで港湾法の中では、港務局なるものが存在をすることになっているわけです。したがって、港湾管理者なるものは、港務局あるいはまた三十三条に基づく自治体、こういう法律の規定なんですね。ところが、港務局なるものは、私の知る範囲では北九州の洞海あたりにできておりますが、他にはあまり聞かない。そうなりますと、法律は現存をするのだけれども、実際にはないことになる。したがって、なぜ一体港務局が今日ないのかという点について、当時特に運輸省、大蔵省等に反対の意見があった。こういう点について各方面の当時のものの考え方、なぜ港務局はできなかったかという点を、あとに関連いたしますので、港湾局長のほうからひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  86. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 御指摘のように、港湾法におきましては、港湾管理者のモデル的な形として港務局というものが述べられておるわけでございますが、実情は、港務局というものはいま開かれましたように洞海湾にあったということと、もう一つ新居浜にあるわけでございますが、そのほかは市なり県なりの管理、もしくは県、市の一部事務組合の管理となっております。その理由はどういうところにあるかということでございますが、横浜、神戸また関門といいますか、門司、下関につきましては、国が実際に国営港的な取り扱いをやっているわけでございますが、その他は法律成立以前におきまして、すでに県なり市なりが算理していた実態があるわけでございます。たとえば東京、大阪につきましては、おのおのその都市が、補助も受けないで単独に大部分の仕事をやっておった実例がございます。そういうような歴史的な実績。それから港湾法の中でも、管理者を設置するときにはその港湾に金を投じている管理者が優先するように書いてあるわけですが、そういう歴史的な経緯から、いままで港湾に携わっておった地方公共団体が管理者になった。そういう経緯で港務局ができにくかったということが一つございます。  それからもう一つは、法律に青いてありますことでもございますし、港湾管理の理想的な形態であるということで、わわれれも港務局がつくられるように努力はしたわけでございますが、実際に港務局になった場合に、起債が認められるかどうかということでございます。港務局は公債を発行することはできるわけでございますが、当時の事情としては、やはり地方債にたよらざるを得ない。港務局は地方公共団体ではございません。したがいまして、地方債の対象外になるというようないろいろな不利な点があったということも原因いたしまして、港務局がなかなかできないままに現在に至っているわけでございます。
  87. 大出俊

    ○大出委員 これまたあとで関連がございますから、いまの御答弁について一つだけ聞いておきたいのですが、港湾法の二十八条に「港務局を組織する地方公共団体以外の者は、当該港務局に出資することができない。」こういう条項がございますね。あとから順次聞いていきたいのでありますけれども、いま答弁されているのと、佐藤港湾局長のほかの委員会における答弁を見ますと、どうも何か自治体の管理権と別個に、あるいは離れた形で何かをつくりたいという発言をしている部面があるのです。つまり何となく広域港湾行政という形における一つの港務局的なものの考え方、こういうふうに受け取れる面があるのですが、もし何ならあとから指摘をいたしますが、いま言われたように財源が中心だとするならば、この条項等から見て、港務局であるということになるとすれば、先行きどういう形にするにしても、それが港務局であれば、この港湾法を改正しなければ何にもならない。同じことなんですね。そこのあたりはどうなんですか。
  88. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 法律ができます経緯は、先ほど大出先生がおっしゃられたようなことでございまして、戦前においてもなかなかできなかった法律が、一挙にできたわけでございます。私ども法律ができたあとで先ほど申しましたような管理者の設立に対するいろいろな経緯をたどった結果の現在といたしましては、やはり法律において港務局が理想であるにしても、諸外国の例を見ますと、港務局に至るまでにはいろいろな管理上の相剋といいますか、争いがあった結果として、そういうような公法人が望ましいという形で歴史的にできたものであるわけでございますから、私どもが今後この港湾法をどのように運用していくかということは、改正の問題の前に、日本の港湾が与えられた港湾法の中で管理をしていっていろいろな矛盾がある。それを克服する形として港務局というものに進んでいくべきではないのか、そういうふうに反省しておるわけでございますし、また、その過程において、現在の港務局そのものの法律的な規定が不備であれば改正すべきではないか、かように思っておるわけであります。
  89. 大出俊

    ○大出委員 そこで接収解除されて返ってくる、つまり日本に返される総司令部の一次覚え書き、二次覚え書き、三次覚え書きというものがあるのですが、この間で大蔵省考え方と運輸省の考え方とうんと違いましたね。ここらあたりについての御記憶はございませんか。
  90. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 私、当時の記憶があまりないわけですが、具体的に御指摘願えれば幸いだと思います。
  91. 大出俊

    ○大出委員 つまり、大蔵省が最初第一次覚え書きあたりで言っておるのは、国有施設というのは全部大蔵省に移管してしまうというわけですね。管理生体は税関なんですね。ところが運輸省のほうは、これは旧来からの経緯があるわけですけれども、全面的に港湾運営に協力あるいは監督する港湾管理主体を設置するというたてまえで、国有施設を右管理主体あるいは個人企業者に開放する。そうして監督は海運局なり港湾局なりというように、あくまでも運輸省が中心になっていくのだという考え方ですね。私は、なぜこれを聞くかと言いますと、ここで申し上げておかないと、答弁方向が変わってくると困りますので、私はうしろ向きでものを言うつもりはないわけです。そこで、港湾管理という問題、それはさらに管理の組織の問題、それから財政、さらにあなたのことばをかりれば経営ですね。そういう問題を含めた立場と、それとあわせて、そうなると当然業の問題が出てまいります。この業の一種業者から二種業者、さらに港湾運送事業法の第七条に基づく検数、鑑定、検量の業種、さらに荷役機械等の会社、あるいは最近は公団方式か何かとろうという形のはしけ等の建造、こういうようなものがいろいろ錯綜いたしておりますが、こういうふうなものとの関連がまたそこに出てきます。したがって、管理の面と業の面と、この二つを中心に実は承りたいというように思っておるわけでありまして、それがまた管理部会を設ける趣旨の中に、この議事録の御答弁の中では、ここで提案されておるもののほかに合理化委員会をつくりたいというお気持ちがあるようですが、合理化委員会をつくるまで間に合わなければ、業の問題もこの管理部会に入れて、そこで早目に結論を出させる、こういうお考えが明らかになっておる。そうすると、切り離してまでは考えられない。そういう意味で質問したいわけなんですが、いま申しましたように、日本に接収解除になって返されるところからはっきり食い違いがあったわけですね。  そこで、もう一つここで承っておかなければなりませんのは、以上のような食い違いがこのほかにもありますけれども、時間がありませんから省略をいたしますが、以上のような経緯で争いが行なわれた結果、総司令部が三次覚え書きでものを言っておるのは、管理主体というものは、地方の自治体あるいは自主的なという意味における自治組織、そうして国というものは、国がつくってきた施設、これを国が管理するというのはおかしな話で、成り立たない。だから、国家利益という意味における最小限度の権限を持つとすれば持たされるのだ、そういう裁定めいたことを当時としては出しておるわけですね。その結果、まとめざるを得ないというかっこうでまとまったという経過があります。そういたしますと、この意見の食い違いというのは、さらに三十四年のころに臨時行政審議会ができて、河合良成氏が当時おやりになっておったわけでありますが、ここで港湾管理一元化を主張した形なんですけれども、ずいぶんこれははっきり言っているのです。横浜については、横浜はかつて国営港であった。今度調査をやったが、上屋倉庫など雨漏りがする。こんなところに荷物が置けるか。これは管理を自治体がやり、自治体が財政力が弱いから修繕もできないのである。国が金をかけてやらなければならない。新設投資、これは国がやらなければならないので、国が金をかけるのだから、管理権を国が握るのは当然である。これは実は端的に言って、当時の臨時行政審議会から出された答申の中心点だと思うのですね。したがって、この問題については、運輸省内部でも、かつまた港湾局の出先と、それから運輸省内の港湾局のほうと、いろんな意見の食い違いが出たりしたわけですが、今日こういう考え方、つまり大蔵省は税関を中心に、運輸省はあくまでも海運局なり港湾局を中心に握っていきたいという、つまりそれは国の権力があくまでも管理主体が地方に行っても実際には生きている、それが中心になっていく、こういう考え方が、一歩進んで、財源の大多数を国が持つんだから、管理権は国で取っちまえというのが、三十四年に出てきたわけです。そうすると、この考え方は、今日皆さんが管理部会にはかるにあたって生きているのかいないのかということを、まずもって承っておきたいと思うわけであります。
  92. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 ただいまおっしゃられましたような、税関との間に国有財産の処理についてトラブルがあったことは事実でございます。昭和三十四年の臨時行政審議会の結論として、税関を中心とする港湾、特に外国貿易等についての管理形態というものがコミットされたことも事実でございますが、われわれは、現在あくまでも港湾法に基づいた地方自治体的な港湾管理者であるということを主体にいたしまして、その財政をいかにして強化をして施設を整備していくべきかという方針で審議をしていただいているわけでございます。
  93. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、あまりこまかく申し上げているひまがないのでありますけれども、もし地方自治体の港湾管理という管理主体を認めるとするならば——これは現在は当然ですけれども、認めるとするならば、この港湾法が成立して自治体が管理者になって今日までやってきた中で、うまくいっているのかいないのかという問題ですね。私は、結論としてうまくいっていない、いかなかった。そうすると、いかなかった原因は那辺にあったか、少なくとも港湾局の皆さん方が、管理部会を設けてそこに諮問をしようというならば、答申を求めようというならば、うまくいかなかった原因というふうなものについての指摘は、行政管理者としてしておかなければならないと私は思うのです。そういう意味で、うまくいかなかった原因はどこにあったのだというふうにお考えになりますか。
  94. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 港湾法が施行されまして十五年になんなんとしておるわけでございますが、おっしゃられるように、港湾の管理というものがわれわれの当初考えたようにうまくいっていないということは事実でございますが、しかし、ここに至りますのに、諸外国の例を見ましても、実に諸外国の一流のものは、長い歴史を持って、しかも地方自治的に持っていくということは、相当な民間の意見なり、またお互いに利害関係が相反するもの、トラブルになるのを、結果としてある一つのルールを見つけてやっておるわけでございまして、港湾法ができて、地方自治に移してすぐそれがうまくいくとは考えられない面が、多々あるわけでございます。中で一番この港湾管理者が現在苦痛にしておりますところは、明治以来日本の港湾の政策というものが、国の補助というものにたよってやってまいったわけでございまして、そのあとを受けて、現在の港湾管理者というものがあるわけでございますから、ほかの国の例に見られるような、自分が公債を発行して企業経営的に港をつくっていくということがやり得ない。そこにやはり自分の思うとおりに経営をやり得ないという悩みがあるということが、一点であろうと思います。  もう一つは、われわれの施策が必ずしも当を得なかったんではないかということは、反省しておるわけでございます。
  95. 大出俊

    ○大出委員 それは、うまくいかなかった原因は幾つもあるのでありますが、うまくいかなかったことについては、もう明確にお認めになっているわけですからね。そこでさっきもちょっと触れましたように、管理は自治体にということになったんだけれども、国の権限というものが、個々のセクションについては非常に強い。したがって、自治体が管理権だけはもらったけれども、実際には管理が非常に複雑で手が出ない。つまり自治体のほうが管理権が弱いわけです。実質的には国のほうが握っておる。税関その他を中心にして運輸省と大蔵省が……。実際にはこういうかっこうになっておるわけです。  それからもう一つは、これは地方財政の税源配分の問題なんです。今回の一番局長が強調されている地方財政の強化ということですけれども、つまり財政の強化ということになれば、何も港湾だけをとらえて云々ではなしに、税源配分の問題に一つの問題点が出てくる、そうなりますと、二八・九%の交付税の率を二九・五%に引き上げたんだから強化したということにはならないわけです。本来的に税源配分という問題で、国と自治体、自治体の手を付されない税源だということになるわけですが、そこにも一つ問題があります。そうなると、私の言いたいのはまだ一ぱい理由がありますが、各都市の地域的に、港湾業者等との関係で、そちらのほうに引っぱられてにっちもさっちも港湾管理者が手が出なかったという面もあるのです。ですから、理由としてはまだ幾つもありますが、どうしてもここでひとつ御訂正をいただかなければならぬ局長の発言があるのです。それはどういうことかと言いますと、運輸委員公等のほうで答弁をされている中に、現在まで使用料の安過ぎたというのが実情だ。赤字を出してきた。赤字が赤字を出してまで安い使用料でやっていくということは、やはり管理者自身の自覚も足りなかったんだ。全面的に赤字をカバーすることはむずかしいかもしれませんが、赤字を消すための値上げ、しかもそれを合理的にやろうということで、現在港湾審議会に管理部会を設けて作業をやっているという段階でございます。こういう答弁を局長されているのですが、私は、歴史的経過を御説明しながら質問をしておるので、うまくいかなかったという原因についてもいま幾つか申しましたが、そうなると、これを何か知らぬけれども、地方の管理者の自覚が足りなかったんだ、赤字を出してまでという、そういうことに一体なるのかならぬのかということですね。このところのとらえ方をとらえそこなうと、どうも将来に向かっての港湾管理、組織運営、あるいは経営というものについておかしな方向に行きはせぬかという心配を持つので、そこのところをもう一ぺん、あくまでもこういうふうにお考えだろうかどうか、承っておきたい。
  96. 河本敏夫

    河本委員長 簡潔に願います。
  97. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 ただいまの問題は、港湾管理者の港湾に対する会計というものが、一般の行政と同じような経理のしかたをしておった。したがって、投資したものに対して赤字が出ても、また利益に吸収されておるといいますか、一般会計からの点でまかなっておるというようなことではいけないので、やはり企業会計的に見て赤字を消していくようにしなければ、しまいには支出ができなくなるであろうということを申し上げたのであります。
  98. 大出俊

    ○大出委員 ところで、地方自治体を指導するのは政府なりあるいは自治省なりということなんですが、そこでいまお話しの例からいたしますと、しからば日本で各種の港湾がありますが、指定港湾もありますけれども、全く個々ばらばらにやっていけということになっていたのか、それともこういう方針でというふうにおきめになってやらしていたのか、その辺のところからまず御答弁いただきたい。
  99. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 地方自治のたてまえでございますから、その会計をどうせい、こうせいということは、私ども指示したということはないわけです。
  100. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、いまのお話しのような意図があるとなると、それはまさに地財法なら地財法の財務規定の適用なら適用という、今日の地方公営企業式に、そういうふうなお考えになりますか。
  101. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 収益的事業については公益企業の適用があって、それにそういう会計をやっておるわけでございますが、これについても全部が全部そうでなくてもいいわけでございますが、私ども考えているのは、地方財政法に基づく諸規定ということではなくて、港湾の今後の発展に役立つような会計制度はどういうものかということで、それを対象にして審議を願っておるというわけであります。
  102. 大出俊

    ○大出委員 少し抽象的で、そこがわからないのです。つまり地方の自治体管理者の自覚が足りなかったのだということばが出てくるほどにお考えになっているのだとすれば、その原因は何かという質問をしたところが、いまのお話は、これを要約して言えば、一般官庁会計的にものを考えていた、ないしは経理をしていた、だからこれを企業収益というものを中心にした経理に切りかえろ、こういう趣旨になると思うのです。ところで、それはきわめて抽象的な話で、具体的にはどうせよというのか。たとえば引き船料なんというのができてきまして——これは明らかに独立採算ですよ。そういう特別会計になっておりますね。そういうふうなものはあるわけですから、そうすると、抽象的にそう言われてもちょっとわからない。だから、それをいま言われる収益を上げるのだからそのようにというならば、具体的にはどういうふうにお考えでありますか。
  103. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 港湾管理者の仕事の中でいまおっしゃられました引き船というのは、具体的そのものずばりで、これは収益的に回収できるものだと思いますが、国の補助も入っておりますし、それから地方開発という意味から見て一般会計で投入してもいいものがあるのではないかということで、非常に多面的であって、いまおっしゃられたように一がいに割り切れないので、ああいう審議会にかけて、各方面の方を入れて、どうしたらいいかということをやっておるわけでございまして、具体的にこれがいいということは、なかなか申しかねる段階ではないかと思います。
  104. 大出俊

    ○大出委員 この種の審議会のかつてからの例が幾つもあるのでありますけれども、おおむね所管をする省庁が、大体のところをめどをつけ、見当をつけて、かつまた別な委員会における議事録によれば、局長は、諸外国の例等についてもいろいろと資料を取りそろえて提出をしておる、こういうお話が載っておりますね。そうなると、その辺の見当をつけて、こういうことなんですが、御検討をというふうに持っていかなければ、何かさっぱりわからぬが白紙でやってくれでは、これは審議会のメンバー二十名ですか、この方々は腹が立ちますよ。だから、そうなると、運輸省として何がしかの方式を、諸外国の例その他をあわせて考えられて、こんなようなことでということで出されているに違いないと私は思っておる。そうでなければ、ずいぶん不手ぎわな話ですからね。だから、そうすれば、もうちょっと突っ込んだことが口から出てきていい筋合いだということで聞いているのです。
  105. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 実はそうなっていないのが実情でございまして、赤字があるという実情を御報告申し上げ、その赤字が一体何で出てくるのかということを委員の方がお調べになり、またわれわれのほうに御注文があってさらに資料を出す。しかし、おのおの出た理由が違うというようなこと、これは歴史的な理由もあるわけでございますが、そういうことでこれは見つけにくい。したがって、各港湾管理者に質問状を出しまして、港湾管理軒の実情を、つい二、三日前の審議会では、東京、横浜、神戸について聞いた。さらにそれについて疑問が生じて質問をするというような段階であるわけでございます。
  106. 大出俊

    ○大出委員 私、総理府の設置法のところでもう一つ港湾調整審議会ができておりますから、各委員会等でいろいろやってきておりましてなおかつ不分明なところについては、最終的にそこで総合的に申し上げたいと思っておるのですが、いま両方の理事の皆さんの打ち合わせで時間がおおむねきまってきたようでありますから、実はたくさん資料を持ち合わせておりますけれども、いまの点はこの次の機会にもう一ぺん御質問いたしたいと思います。  ところで、次に財源なんですが、つまりそれを強化しよう、こうおっしゃるわけですから、どこから持ってくれば一番いいというふうにお思いになりますか。
  107. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 これはいま申し上げましたような審議の段階にあるわけでございますが、一つは使用料を適正なものに値上げをするということであると思います。もう一つは、財源というのに当たるかどうか知りませんが、やはり地方債で、起債を受けてやっている仕事が多いわけでございますから、これの償還年限を延ばしてもらう、金利を安くしてもらうとか、こういう措置が必要になってくるのじゃないかと思います。
  108. 大出俊

    ○大出委員 お話が出ましたから、この際申し上げてしまいますが、新五カ年計画といったらいいのですか、港湾整備、五カ年計画ですね。三十六年にお始めになったと記憶いたしますが、そのときにはたしか二千五百億くらいで、それで八割はできるのだ、ということで始められたわけですね。ところが、三年足らずの間にどうもこれはうまくないということで手直しが始まって、それで今回新五カ年計画ということなんですね。その間に中期経済計画等の成長率、これは平均になりましょうが、七%などというものに合わせるということで七千二百億が出てきてみたり、港湾の機能という面についての千二百億が出てきてみたり、いろいろしましたが、結果的に今日まとまったのは、五千五百億プラス一千億ですか、合計六千五百億、こういうことになると思うのです。これが先行きの見通しとして、昭和五十五年まで、さらに六十六年まで、こういうことで、しかもその先行きの見通しについて言っておられるのは、今回の五カ年計画なるものは具体的にきめたものなんだけれども、先行きの二兆六千二百億かかるとか、あるいは六十六年目標ならば三兆二千億かかる、一つ間迷えばこれは五兆八千二百億くらいかかる、これは何だという話になったら、これは将来の構想です、皆さんのおっしゃっておられるのは。そこで、こういう膨大な構想をお立てになるほどに、今日港湾諸施設の整備建築が必要になるということになるのだと思うのです。そうなると、今日のようなつまり中央と地方の起債そのもの、その他のものを含めた財源の比率、これからいきますと、地方自治体というのは港湾問題でつぶれてしまう結果になりかねない。そうなってまいりますと、いま言われる起債のつまり年限の延長であるとか、あるいは起債の種類についての検討だとか、いろいろいま口にされましたが、この辺について、地方自治体の負担をいまの比率のままで規模を増大していったのでは、たいへんなことになってしまうということだけはおわかりだと思うのです。だからこそ、この六十六年なんというのは、それは具体的な実施計画ではなくて、構想なんですと答弁されているはずなんです。将来に向かっていまのような比率で自治体負担を考えて、この六十六年を考えたのではないのかあるのか、そこのところをもう一ぺんはっきり念を押しておきたいのです。
  109. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 六十五年度でございますか、これは構想ということで、鉱工業生産指数とともに港湾の施設投資が伸びなければならない実情からいえば、将来それくらいになるであろうという見通しでありまして、現在の五千五百億円というものを対象にして地方財政をどうしたらいいかということが、現在管理部会にお願いしておる仕事になっておるわけであります。
  110. 大出俊

    ○大出委員 そこで、こまかく五、六点聞きたいのでありますが、六大港——七大港でもいいのですが、六大港、このいまお話しの使用料は、大体似たような額になっておるのかどうか、どういうふうにお考えになっておりますか。
  111. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 六大港が六大港協議会のようなものを持っておりまして、値上げをするときにも協議してやっておるわけでございます。大体同じようになっておると思います。
  112. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、赤字が出るほど安い使用料、これは繰り返すようで恐縮ですが、先ほどああいう答弁をされたので、私は失礼だから深く突っ込まなかったけれども、局長の答弁からいきますと、ここのところはどうもこだわるのです。赤字が出るほどまでに安い使用料でやっていくということは、管理者の自覚が足りない、こう言っておるでしょう。つまり官庁システム的な会計方式をとっておるからというのじゃないのです。赤字が出るまでに安い使用料でやっていくということは、やはり管理者の自覚が足りない、こういうふうにお話しになっておるのだから、そうすると、いまのお話のように、横浜なら横浜、神戸なら神戸がかってに上げられない。そうでしょう。かってに上げられない。上げるとすれば、これはかっこうとしては条例改正か何かでしょう。そこのところは、国が認めないでかってに改正したらどうなりますか。そこのところはできないのじゃないかと私は思う。そうすると、これは自治体に責任を課すのではなくて、私はやはり国の責任ということになりはせぬかと思うのです。ここのところはどうですか。
  113. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 値上げにつきまして、私どもの認可が要るということはないわけでございます。ただ、話し合いによってやっているし、われわれも相談を受ければ、それによって値上げ幅が最小であるほうが望ましいわけでございますから、そういう相談を受けておるということであって、私のほうがこれを認可するとかなんとかいうことではないわけでございます。
  114. 大出俊

    ○大出委員 ただ問題は、世の中の裏側をながめてみますと、港湾使用料が上がったらどういうことになりますか。これは船主の皆さんにしても、荷主の皆さんにしても、間違いなく高くつきますね。それから赤字を全くカバーするところまで上げられるかどうかということはあるけれどもなどということを言っておられますけれども、今日の赤字はわかっているのですから、もしそこまで上げるのだとすれば、それは一体物価に響きませんか。そういう影響も必ず出てくるでしょう。そうなりますと、いま言われるように、自治体が上げましょうと言ったって、実際問題としてそう簡単にいかない今日の政治機構になっているんじゃないですか。そうすると、やはり国が何がしかの音頭を行政的にお取りにならなければ、めったに上げることにはならぬ。へたに上げれば、お前のところは上げたんだから、さあこっちのほうは切りますと言われたんでは、自治体はたまったものではない。そうなりますと、やはり形式的なことではなくて、将来の港湾の管理主体の管理者の財源措置を強化しようとおっしゃるならば、その辺のところまでにやはり触れてお考えをいただかぬと困るわけであります。つまり表面的、形式的に、どうも赤字が出るほどに安い料金でやってきたのは管理者の責任だと言われたって、これは私は無理があると思う。だから、くどいようですが、私はここのところを念を押しておるのです。
  115. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 私の前に申しましたことが、はなはだことばが足らぬと申しますか、言い方が悪かったかもしれませんが、これは管理者自身も同じようなことを申しておるわけでございまして、ことばが足らぬところはわびますが、いずれにしても安過ぎたということは事実でございますので、それを適正に上げたい、こういう趣旨で申したわけでございます。
  116. 大出俊

    ○大出委員 そこでもう一つ問題は、使用料を上げることによって、さて上げたんだから独立採算をとれ、公営企業的ワクをかぶせる、もしこういうことになるんだとするならば、これはいまの地方公営企業の大赤字の二の舞いを踏むような結果になることは、目に見えるようです。なぜかといえば、少なくとも公営企業的な公共埠頭なりという意味の性格を持つ港湾であれば、これは学問的にものをいえば、間接的な一種の社会資本ですよ。そうでしょう。社会資本なるものの学理的な性格というのは、回転率がうんとおそいということです。つまり、その点は公共性が強いということですね。そうなると、これは当然別な方向にものの解決考えなければならぬ。つまり独立採算で縛って、そのために使用料を上げましたといってみても、赤字原因はなお続く。つまり皆さんが言われるように、六十六年までに何と五兆からの金が必要だとお考えになるならば、当然私はそういう結果になると思う。だから、そこらあたり何かお考えがないかどうかですね。単に管理部会にかけると言われても、どうもわれわれはつんぼさじきで見ているわけだから心配なので、そこの考え方をもう少し聞かせていただきたい。
  117. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 収入を上げる使用料でございますが、これはいまおっしゃられましたような公共的投資自体を全部回収する、こういうことではないわけでございまして、たとえば港に入る船の中で、岸壁に着くものは要するに接岸した施設の使用料というものを取られるわけでございますが、沖がかりをすればブイの使用料を取られる。しかし、入っただけで自分でいかりで係留しておれば、使用料の対象になるものは何もないわけでございます。しかし、防波堤のおかげというものはこうむっておるわけでございます。また上屋に入った貨物は使用料を取られるわけでありますが、上屋を通過しない貨物は、岸壁の使用料だけでただ通過する。そういうことでは、全体としていまの赤字が出ている状態ではまずいのではないか。したがって、これはトン当たりの幾らになるか知りませんが、入港料のようなものでひとしく港湾を使用する船に賦課するということも考えられますし、また岸壁を使用するということでなくて、岸壁通過料というような形で、埠頭にかかる諸費用についてそれをカバーしてもらう適正なものをいただきたい。こういうようなことが議論になっているわけでございます。
  118. 大出俊

    ○大出委員 いまのお話を総合すれば、それはつまり総合チャージと言われるような形のもので、たとえば荷物を横に一メートル出せば、横持ち料金を取られるわけでしょう。それを一つ間違えば二重に取られたりするわけですね。上屋にしてから、三日なら三日置いて検査をするのが上屋の目的である。ところが、まさにやみの専有者上屋になっている。ここに税関協議会の意見書が出ておりますが、これなんかを見ても、上屋が全く特定業者の専用になってしまって、ほかの連中が持ってきても、その荷物が出ていくまでは入れられない。そうなると、これは船込みの一つの原因になる。そういう意見が出ております。そうなってくると、いまお話しのように、一つずつチャージを取っていくわけですね。それを込みで取る。その込みという中には——私はここで念を押しておきたいと思うのですが、道路だとか臨海鉄道だとかいうようなものについては、これはまさかそこらのようにボックスを置いて金を取るわけにいかぬでしょう。そうなってまいりますと、それは実際港湾管理者のほうからすれば、今日のように個々に取っていく限りは、取りにくいし、取れない。ところが、総合チャージへの切りかえということを考えれば、かつまたそれを値上げの理由にすれば、込みで取るんだから、あるいはその中に取れるかもしれない。込みで取っておいて、労働者のほうにはどのくらいというパーセントがきまってくる。こういう例も諸外国にはありますよ。そうすると、いま総合チャージというところまで何とか持っていきたいという考え方があるというわけですか。これは明確にお伺いしたい。
  119. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 これは管理者から出てまいった資料には、明らかにそういうふうな形のものを提案してきているわけでございます。
  120. 大出俊

    ○大出委員 そこで、もう一つ私が聞いているのは、使用料の値上げを個別に取っているものを総合チャージに切りかえたから、それで、では財源措置は十分なのかというと、そうではないと思うのです。これは参考までに意見を聞いておきたいのですが、「海運と港湾の新しい発展のために」というので、最近港湾問題が相当論議をされるようになってきたためでしょう、海運港湾新論集刊行会といのが、学者がいろいろな論文を書いておりますのをまとめて発刊をされておる。これは私の友人が持っておったわけですけれども、これによりますと、矢野剛さんという方、大学の先生でしょうけれども、これが「独立採算制とロンドン港庁の港湾財源」という文章を書かれておるのです。これで見ますと、つまり港の債券、港債ですね、これを財源として発行する。地方債みたいなものです。それから特にここで申し上げたいのは、日本の港湾は、地方起債の償還年数は、三十年くらいが最長でしょう。制限年数三年をこえてから払うということになっておりますけれども、そういうことできわめて短いでしょう。種類により違いますけれども、耐用年数の半分くらいで払ってしまったり、三分の一で払うものもありますね。ところが、これをずっと見ていきますと、A港債、B港債というふうに分かれているのですが、主たる港湾施設をつくるための起債、これに対しては、いまここに例があるのですが、つまりロンドン港の基礎法律ができたときの一九〇六年かそこらにきまったところから書いてありますけれども、それでも償還年限というのは七十年、そうして法的には九十年までいいということになっております。最近それがこの木のあとでさらに改正をされて、九十九年となっておる。これはもう永久債です。こうなってくると、早い話が、これはもう返さぬでもいいということです。そういうふうにしなければ、港のほんとうの意味の採算はとれない。そこで、この中でさらにビル、ボンド——ビルこれは何と訳せばいいのかわかりませんが、手形ですか、ボンドは短期債ですね。そういうものの運営がこまかく書いてあるのです。それで財源はどこから求めるかということなんですが、この財源を見ると、書き方として港税、つまり港の税金という意味でしょう。これは何かというと、貨物に対して課すんですね。貨物税の一種だというように書いてあるのです。これを調べてみますと、使用料ではないんですね。貨物にかけているわけです。これは日本に例があるかどうかということでいろいろ調べてみたのですけれども、私もたくさんいろいろの資料を持ってきておりますが、なかなか見当たらない。しいて言えば、関税の一種のような感じがするわけですよ。これが港税といわれる貨物にかける税金に類するものを、独立採算をとっているロンドン・ポートオーソリティがやっている。つまり主たる財源ということになっておるわけです。そうなりますと、ここに使用料があるのですが、いろいろ詳しく書いてあるのを見ますと、結果的にいま言われているチャチな、といったら御無礼だけれども、使用料を上げます、さてその使用料は、個別チャージじゃない、総合チャージに切り変えます、その中に普通ならば取らない公共的な場所、道路あるいは臨海鉄道、そういうふうなところの使用料まである意味では含んで取るところまでいってみても、それで独立採算がとれるということにはならない、こういうふうに思うわけですよ。  もう一つ、これまた英国の例でありますけれども、これによりますと、英国の下院で、運輸大臣が港湾問題についての今日の事情の提起をされて、それに基づいて港湾機能遂行の諸機関の混乱があるということで、調査委員会ができて調査をされております。六つ重要な調査結論が出ておるわけですが、この内容からいきますと、やはり基礎づけられておるものは、あくまでも港の財源、金をどこから持ってくるかということを確立しなければ、国営港であろうと、あるいはそういう協同組合方式の港であろうと、あるいはポートオーソリティの委員会式の港であろうと、どういう灘であろうとやっていけないということを明らかにしているわけです。どれがいいという結論は出ていないわけです。そうなってまいりますと、財源強化ということをたてまえとされるならば、今日の事情の中では、関税の占める部分が最大なのですから、だから大蔵省の権限もあるわけです。しかも本年の場合、二千二百億もあるのでしょう。そうなってまいりますと、どうしても関税というものに手をつけなければ、つまりロンドン港の溝税に類するようなものを日本の税関が関税でとっているならば、その種のものを肩がわりをするということでなければ、根本的に——さっき申し上げました議論に返りますけれども、つまり間接的な社会資本という意味における長期返済が必要なのだということになりますから、地方公営企業的な赤字の累積というものがまた重なる、そういう結果にしか終わらないと私は思うわけなんです。だから、そういう金をどこからどういうふうに持ってくるかということが一つ。  それから地方債についての償還年限というものは、いま申しましたように、ロンドン港の基礎になっておるA港債、B港債は七十何年ですから、そうなりますと、日本の場合、先般さんざん問題になりました地方公営企業制度調査会をめぐるこの委員会での対論もそうなのですけれども、あるいはバス、あるいは電車、あるいは車庫というふうなところの起債に対する償還年限が短過ぎる、全然金がなくて始めているわけですから。だから、そういうところまでメスを加えないと、せっかく答申を求めるということで御努力をされていても、将来またこの国会で大問題として論議しなければならぬことになってくる。急激な、かつ膨大な投資をしようというのですから、そういうふうに私は思うのですが、その償還年限の問題、財源の求め方、これについて御意見を賜わりたいのです。
  121. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 ロンドンの場合と申しますか、イギリスの場合は、すべて商業的精神でいく。したがって、国の助成は受けないということをはっきり言われております。日本の場合は、急激にそういうように変えることは考えておりませんし、技術的にいっても、国が基本的施設の建設には投資をしていくべきだと思います。  もう一つは、いまの港税というものですが、おそらくハーバーデューというような名前で呼ばれているのをこう訳したのだと思われますが、これをとっておっても、なお英国としてはほかに関税をかけているわけでございます。そこで、この関税的なものから財源をとるかどうかということは、私どもも非常に興味があるわけでございますが、いまちょっと申し上げますと、この前の私のところの審議会におきまして、この問題につきまして、神戸の原口市長からいまと同じような提案があったわけでございます。これに対しまして、東京大学の林助教授が委員で出ておりますが、この委員の意見は、関税は港でとるけれども港のものではない、日本全体の立場考えられるべきものであるから、あなたの議論はおかしいのでないかということを原口市長に言っておりました。私は、そうばかりも割り切れないと思います。しかし、そういうものであるわけでございまして、私どもはやはり国が補助金を出すというたてまえで、そのほかに当然受益者が払うべきであるというものをさがして、それを先ほど申しました総合使用料、総合チャージという形で課していく方法考えるべきじゃないかと思っております。
  122. 大出俊

    ○大出委員 少し議論が突っ込んだところへきてたいへんありがたいわけですが、私は、だから先ほど申し上げたように、税源配分の問題だと言うのです。欧州の場合には、都市国家的な性格を長年持ってきた歴史があるわけです。そうなると、都市が中心になって税金をとって、それを国に上納するわけです。だから、ハンブルグあたりの例からいっても、上納が三五%くらいでしょう。そうなると、横浜市長のところへ欧州の人が来て、いつも、おたくの市は上納金は幾らですかという聞き方をする。五五%なんと言うと、それじゃ苦しいでしょうと言う。つまり日本の場合には、地方の財源というのは三割といわれるのですから、そうなってくると、税源配分の問題とからむのですね。関税というのは何も港だけのものではない、理論的にはそうでしょう。しかし、それならば、国が港湾法の四十二条に基づいて輸出等の重要港湾指定をして、その場合の外郭施設等について全額負担をしてもいいという項目まであるわけでしょう。そうなってまいりますと、結局それは何を意味するか。その財源は一体どこから出てくるのだ。税金には間違いない。そうでしょう。そうすると、関税というのは一体何だということになってくる。だから、税源配分の問題だということになる。つまり今日の自治体の置かれている状態というものが、諸外国、ことに欧州と比べてみて非常に苦しい配分を受けている。ここに都市問題が山積をするというわけですね。そうなると、事、港というものを企業的に経営と考えていこうということになれば、この管理部会は、実は管理部会ではなくて、港湾経営改善委員会ですよ、率直のところ。いまのお話を聞いていると、それが中心です。そうなってまいりますと、どうしてもここのところでお考えをいただかなければならぬのは、配分をされていない、地方にはそういう税源しかない、国にみんな入って行ってしまうのですから。これはこの間ほかの委員会でしましたから、時間の関係で申しませんけれども、「都市問題講座」というのが、最近有斐閣から出ております。これは柴田銀次郎さんの共同編集で、いろいろな学者がこの中で非常に苦労をして、神戸、名古屋、横浜三港の比較が出ております。これは申すまでもなく総額が、神戸が七百二十二億、名古屋が百八十二億、横浜が七百七十二億、国の収入が神戸が二百八十七億、名古屋が三十八億、横浜港が五百十三億です。管理者収入が、神戸が七億、名古屋が五億、横浜が四億、船舶関係収入が、神戸が二百三十八億、名古屋が三十六億、横浜が百十九億、船内荷役収入は神戸が四十五億、横浜が十九億、名古屋が二十億、貨物関係の収入が、神戸が百四十七億、名古屋が八十六億、横浜が百十七億、こういうわけです。これは比率を見れば一目瞭然です。そうなると、どのくらい投資をしてどのくらい入ってくるかということははっきりしている。そうなりますと、これは無理なんですね。そこのところをどうしてもやはりいま関税と称されているようなもの——なぜそれを言うかというと、その他のものについても、酒税、法人税あるいは所得税等もありますけれども、これは例の二八・九を二九・五に変えたので、百二十何億がそれでふえるというわけでしょう。こちらのほうもそういうきめ方をしているのだから、してみると、やはり港との関係からするならば、関税という問題で、学者の中には関税から持ってこいと言う人もいるのです。同じ学者グループの中にはそういう意見もあるので、少なくともここのところで十分そこも考えてもらわないと、六十六年までの大構想をお立てになるにあたって、やはり大きな誤りが出てくるのじゃないかと私は思うのです。ここらあたりもう一ぺん御答弁をいただきたい。
  123. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 関税の問題は、おっしゃられるとおりでございます。なお柴田先生の資料もよく承知しておるわけでございますが、これだけで管理者の収入は尽きるとかなんとかということにはならぬわけでございまして、やはりそういう資料を加味いたしまして、税の配分であると同時に受益者が適正な対価を払うということが、使用の効率を高めるということにもなり得るわけでございますから、いろいろな点をこの審議会で検討していただきたいと思うわけであります。
  124. 大出俊

    ○大出委員 そこで次に、いまの受益者がというところなんですが、つまり財源というのは、国、自治体ということになってくると限りがあります、ワクがきまっておるわけですから。そこで出てきておりますのが、これはかつて河野さんが港湾公団ということを言われましたが、もうしばらくになりますが、これは三十九年の予算折衝のときにおける皆さんのほうと大蔵省のほうとの折衝過程もあります。佐藤さんの御答弁の中には、どうも建設だけを考える公団であっては困るというのが大蔵省の理由だったというのですが、ところが私の知っている限りでは、もう一つ当時は非常にこれはやりにくかった。なぜやりにくかったかというと、脇町行政調査会がありまして、この臨調で公団が山ほどあり過ぎる。これはいまの政府関係公団を調べてみると、三十二くらいあります。あり過ぎるということから、これを整理しなければならぬという、そういう論議の最中だったことも、一つの理由になっております。ところが、これが四十年度において、建設だけ云々ではなくて、管理権というものも含めた、ないしは運営というものも含めた、経営というものも含めた形の公団方式ならば、それを検討すべきではなかろうかということになって、皆さんのほうは検討をされるはずです。そうなってまいりますと、さてそこで問題になるのは、民間資金の導入という問題が出てくるわけです。そうなりますと、ここで二つばかり聞きたいのですけれども、この公団についてまず二回にわたって検討をされて予算折衝をされたのだから、してみると、二回にもわたって大蔵省とやりとりをするについて、公団の中身についての案がなくて折衝は私はできないはずだと思う。省の皆さんは、おそらく中身があって、こうこうこういうことで建設公団なんということで大蔵省と話し合いをしたのだろうと思う。そうなりますと、その公団方式なるもののもう少し中身のほうを局長から御説明をいただきたい。時間がありませんから、そう長くなくてもけっこうです。
  125. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 昭和三十九年の予算だと思いましたが、これは要するにそれをつくる公団を大蔵省に要求したわけでございます。この場合に、なぜ公団をつくるかという趣旨でございますが、地方負担が非常に高くなるので、国は出資をして、残りは借り入れ金で公団でやる。しかし、これは建設をするだけであって、あとは管理者に委託をして管理者がそれを運用することによって金を返してやってもらうのだ、こういう趣旨でございました。それがいまおっしゃられたように、公団というものは数が多い。いろいろな理由があったと思いますが、その一つに、ただ単に管理者の資金繰りであるならば、長期低利な金を融資したらいいではないかという意見もあるわけでございます。そこで、それに基づきまして、四十年度予算におきましては、特別会計の中で別ワクとして管理者の負担分につきまして政府資金をあっせんする、財投の金を持ってくる。そこで長期低利の金を管理者の負担分に充てようという提案をしたわけであります。ところが、公共事業負担分について財投の金を充てるというのは例がないので、それは困る。したがって、公団というものは建設だけではなくて、運営をして金を返していくというのが公団ではないか、そういう趣旨のものを考えたらどうかということを現在言われております。こういうことでございます。
  126. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、現在言われている、ないしは検討されている公団というのは、つまり建設だけの公団ではなくて、できる以上は運営、管理を含める、こういうかっこうになりますね。そうすると、その管理は、埠頭である限りは港とのからみ合いが出てまいります。そうすると、港湾管理者との関係がまた出てきます。これは二十八条ですか、さっき私が例にあげましたように、それは法律的にはちょっと疑義が出てくる。そうなりますと、港湾法というものに手をつけなければらない、こういうことになりますね。そこで、港湾協会というのを御存じですか。港湾局の外郭団体です。そこで来年までに港湾法全面改正の案をつくるということでやっておられますけれども、これはどういうわけですか。
  127. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 港湾法を港湾協会が全面的に改正するということの案をつくっておることは、聞いておりません。ただ、港湾協会が港湾管理の問題の改善の意見をまとめているということは聞いておりますが、その一環ではないかと思います。
  128. 大出俊

    ○大出委員 同じことになりますね。港湾管理のこの港湾法の主体は、このとおりなんですね。ポート・マネージメント・ボディーが中心になっているのです。そうなりますと、いまおっしゃることに尽きるのですが、そこで私は、そうなりますと、いまの公団化というものが先行き考えられるとするならば、当然公団法というものは、性格的にも内容的にも変わっていく、こういうふうに理解せざるを得ないと思うのですけれども、これは論争になりますから、これ以上追及いたしません。  そこであわせて承りたいのですが、いま東京の例の築地の晴海埠頭、あれは五階建ての日通のビルが建ちましたね。あれは一階は東京都に寄付してしまいましたね。二階はバナナ小屋みたいなものが一つできておったりして、国内貨物のターミナルというかっこうになっておりますね。これは日通さんがお使いになっているんだろうと思うのですが、つまり専用埠頭というよりは、専有なんですね。一階だけは東京都にというんですが、あとはこれは明らかに専有なんですね。これは私は、将来に向かってのモデルケース的にお認めになってつくらせたのだと思う。おそらくそうでなければ、こういう形がそう簡単に出てくるはずはない。この辺のところについて、将来の埠頭のあり方として、先ほどのお話は埠頭業をお考えのようですね。これは神戸にありますね。だから、ついでにもう二、三申し上げてしまいますけれども、神戸埠頭は御存じのとおりであります。ここでもひとつ実は私は業の関係がどうしても出てくると思うのですが、きょうは時間の関係であまり深く触れられませんが、関係するのですからそこだけは聞いておきますが、つまり神戸埠頭株式会社の金の出所はどこかといいますと、市とそれから乙仲業者の折半負担になっておりますね。そうなりますと、これは私は、実は非常に大きな問題を含むと思うのですよ。というのは、乙仲業には実質的には二つ種類がありますけれども、しかし、乙仲というふうなものは、法律的には、あるいはまた現実的にも、でき得べくんば認めたくない。そうなると、いまの港湾運送事業法の改正などということが一面言われているんだけれども、また改正されると言い切られておるんだけれども、そうなると、いま免許の切りかえでフーフー言っておられるでしょう。業者のいろいろな方々がからんで、この免許の切りかえ一つ決着をつけられないでいる。出ている基準の文章は政令でしょう。そうなりますと、これも片づけられないで、こういうかっこうで乙仲業者が太っていくといわれているものを別なところで考えていくという面が、地方の場合にあるわけですね。だから、これも一つのテストケースなんだろうと私は思う。それからもう一つテストケースを申し上げますと、麻耶埠頭ですね、六甲の下の灘の手前の。あれは高速道路のそばにある関係から、阪神高速道路というふうなものと関連してトラックで入っていってしまう。これはアメリカの太平洋岸の港なんか、みなそうですかね。そういうかっこうになっておって、そこで上屋とバースの関係、これを一緒に運営していこうというわけですから、料金についても上屋とバースを込みで取っていこうという、これは神戸市の言い分です。それからまたここへ入る場合の業者、これはどういう人を入れたかというと、この港海運送事業法関係の業者の中で資力のある方々、金のある方々を入れる、こういう特色がございます。それから格納庫的な大きな倉庫方式をとられているのです。エプロンの例の出ているところがずっと広くて、それから上屋に入れておいて入関手続が——つまりバースから上屋に上がってきて流されてきた荷物が一々チェックできるわけですからね。そうなると、入関手続も簡単にそこで済んでしまうというふうな形のものまで考えておりますから、そこでははしけの回漕が全然要らない。そういうことで幾つかモデルケースが存在しております。専有埠頭の場合だと、日通と直結で船主あるいは荷主ということで動いていってしまいますから、ここでもまた荷役が要らなくなってくる。それからいま言った摩耶埠頭の場合も、はしけ回漕等は一切要らなくなってくる、こういうかっこうが考えられてくるわけですね。それから神戸の場合でいきますと、局長がおっしゃる埠頭株式会社というのは、資本の入れぐあいから見てたいへんな疑義がある、こういう気がいたします。これらについて、将来の公団化と言っているのだけれども、公団化のあり方として、現につくっているこのことは、大きな意味ではその一環として考えられていく筋合いではないか。だからこそ、港湾局長は埠頭業ということを言われているのだろう、こういうふうに理解するのですが、そこのところをひとつ御答弁ください。
  129. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 東京都の晴海埠頭でございますが、これは岸壁を都が単独でつくったもので、国の金が入っていない関係上、私どもは実は承知しておらないわけでございます。  それから神戸埠頭でございますが、これは私どもが聞いているところでは、市が半額持ちまして、残りは倉庫業が出して、上を倉庫にしているようでございます。  それから最後の摩耶埠頭でございますが、これはいまおっしゃられたような運営をしておるわけでございますが、神戸の外国貿易定期船の場合には、ニューヨーク航路が一番多いわけでございますから、それをまず一番優先的に着けさせるようにする。そうすると、ほかのバースについても余裕が出てくると同時に、一番使われる外国貿易については、いま言われたような趣旨から船に直結でき、積み込みができる、こういうことで、上屋つきバースということで貸しておる、このように聞いております。私ども、これを将来どういうふうに考えるかということでございますが、やはり多額の金をかけてつくりました埠頭というものは、なるべくたくさん船を着ける。すなわち、船の回転率をよくすると同時に、船のほうも速発ができるということが、船費の低減になるわけでございますから、そういうような運営がされていくのが望ましいのではないかと思います。すなわち、いまの神戸の摩耶埠頭方式というものがうまくいけば、逐次そういうふうにしていったらいいのじゃないかというふうに考えます。
  130. 大出俊

    ○大出委員 実は逐次そうなっていきますと、そこに実ははしけ回漕などというもので働いている方々、あるいは労の方々の問題が当然出てきますね。それから定期船ということばをお使いになるのだけれども、ライナー・バースということばが最近はやりますけれども、そうなりますと、定期船とは一体何か。新しく埠頭ができる。その埠頭は、上屋にしろ、倉庫にしろ——業者の言っていることを聞いてみると、特に倉庫をよけいにつくれというのですね。そうなりますと、定期船である限りは、貨物がいつ来るかわかっているわけですから、一定の場所に置ける。そうなりますと、横持ち料その他も一切要らないし、はしけ回漕で積んで歩く必要もないし、全くそういう荷役作業的なものは要らなくなってしまう。しかも定期航路というかっこうになって、航路別に、あるいは船主別にということで、ずっときまっていきますね。そうなりますと、五トンクレーン式に、石炭は石炭だというので荷役機械を固定設置ができるというかっこうになってくると、移動式の機械はなくて済む。そういうかっこうになってきますと、そこでまた要らない労の方々がたくさん出てくる。こういうかっこうに全体が変わっていきますね。それが総合してどういうかっこうになるかというと、さっきから言われている公団システムとからんでくるわけです。もう一つは、広域港湾あるいは広域行政と言っているわけですけれども、の答弁には、自治体の管理主体とは別個に、何か別なものをつくるという考え方答弁をされている。ということになってくると、方々にテストケースみたいなものが一ぱい出てきて、片一方に公団という話もあり、一方には管理主体のようなものを別に考えるという話がある。関東港務局をつくるのかどうか、あるいは東京港務局かどうか知らぬけれども、さらに非常に広域な、つまり横浜港じゃないのですから、京浜港なんですからね、非常に長い防波堤をおつくりになろうという計画が、二つばかり新五カ年計画の予算折衝にあった。ところが、それはその地域における臨海工業地帯等との関係で抜いたということなんですね。そうなると、おぼろげながら全体がわかってくるような気がするのだけれども、どうもそこのところの中心点がはっきりしない。だから、これは将来各方面から論議を重ねなければならぬ問題でありますだけに、かつまた港湾労働法が通り、院に回るわけでありますけれども、いま申し上げました例からいっても、要らなくなる面というものが次々に出てくるということになりますと、あの港湾労働法の中には、労働大臣が一応港湾調整審議会の意見を聞いて港別に労働者の人の頭数を策定をするということがあるが、そうなると、どうもそっちの方向にどんどん急いで、頭数は減らせるものはできるだけ減らしておいて、まあ業者がそう困らぬような形の中で頭数をきめられるようにということが含まれているような気がする。つまり近代化プログラムではないけれども、運輸省のお考えは、ことしは港湾管理、運営、経営の面に力を入れる。来年は業のほうについて力を入れる。そうすると、そのあとには二年間という期限が結びついている労働法が発効する。まことにどうも手ぎわよく進んでいきそうに思うわけです。松浦運輸大臣と石田労働大臣の間には、港湾法の取り扱いについてといういわゆる覚え書きが交換してある。これは有馬さんにこの前出してくださるように言ったけれども、出しますということでまだいただいておりませんけれども、これはいろいろやり合った残党だと言ってしまえばそれきりなんですが、そうなると、あまりにみごとにものごとが進行し過ぎるような気がするので、そこのところは前向きで——私はさっきから申し上げておるように、後向きでものを論じません。それから問題の提起をいましておるわけでありまして、そういう意味で、こうでなければならぬということは一言も言っていない。そこで、私の一番心配するのは労の問題なんですね。それから皆さんがいままで軍需貨物の輸送その他に一生懸命で、いいかげんなと言ったらおかしいが、この港湾運送事業法なんというものは、まさにいいかげんな法律ですよ。改正港湾運送事業法、これもいいかげんですよ。政令なんて全く体をなさない。しかし、それが実態なんですね。やむを得ない。なぜかというと、電話一本、机一つでも人が集まれば軍需物資を運びたかったという昭和二十五年当時の事情もある。そうでしょう。しかし、そういう形の保護をしてきた業者の方々について、いま言われた全体の構想の中でしわがみな業者——下のほうは金がないから、削られ、切られていく。さっきの上屋にしたってそうなんです。あるいは倉庫にしてもそうなんです。埠頭にしてもそうなんですけれども、とにかく業者を引き入れるとすれば、金のある業者になる。そうでしょう。そうなってくると、それが今度は労働者の労のほうにしわが寄っていく。しかも労の中心点、金に関する問題は先に延びていく、こういうかっこうになっているところは私は心配がある。したがって、先ほど来幾つかの試作品ができておるわけですが、試作品が個々にできておる限りではこれは黒字にはならぬわけですから、そうなると、それの全体がつながったときにどういう姿になるのかということについての、せっかく諮問をされているいまの段階なんですから、概括的なことでいいのですが、一言伺っておきたいと思うのですが、いかがですか。
  131. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 ただいまおっしゃられたことでございますが、公団ができて埠頭の運営をするといいましても、決してそれは一年にできるわけでもございませんし、摩耶埠頭のようなやり方でいきまして逐次そういうものがふえていく。その中の一つとして、たとえば川崎でございますか、東洋埠頭という埠頭会社がありますが、あの程度のものではないかと思っております。  それからもう一つ、広域港湾の問題もございますが、これは大都市で港が連接しているところは、二軍投資を避けたいということが一つと、船が一つの港から他の港にいくときにまた関税の手続をしなければならぬとか、入港の手続をしなければならぬということがなくなるという利便さもある。こういうことで、過大都市といわれるようなところでは、その都市圏の問題として出てきているわけでございまして、近畿圏整備審議会で原口市長が——これは審議会の委員でありますが、それがそのような阪神ポートオーソリティをつくれというようなことで陳情しておるようで、逐次そういう機運ができておりますが、一ぺんにそうなるとは考えておりません。  それから労働法との関係でございますが、私どもはやはり全部答申の趣旨に基づいて労働省も私ども考えておるわけであります。労働省とお話しいたしましても、今後の港湾労働者を確保するということは、非常にむずかしくなる。したがいまして、われわれはおくればせながら、埠頭にしろ、荷役にしろ、近代化をしていかなければ、今後ふえていく貨物に追いつかないという心配があるわけでございまして、埠頭が近代化していくけれども、貨物量はいまと同じだから、近代化した分だけ、労働者が余るのじゃないかということは考えておらないわけでございます。近代化をしなければ、幾ら法律をつくっていただいても、もう労働者は集まらないし、またその労働者の生活というものはよくならないだろうというように理解しておるわけでございまして、二年の間に云々、非常にうまくいくようでございますが、近代化の緒につくのが二年目ということでございまして、緒について実を終ぶまでにはずいぶん時間がかかる、こういうように理解して努力したいと思っておるわけでございます。
  132. 大出俊

    ○大出委員 私は、先ほど理事相互にお打ち合わせいただいた時間がありますので、五分ほど過ぎまして恐縮ですが、最後のところ、これから先のところはあらためて次の機会に申し上げますが、個条的に何点か申しますので、簡単なお答えをいただきたいのです。きょうは実は二時間くらいのつもりでいたものですから、結果的にそういうことになったわけなんですが、ごかんべんいただきます。  まず一点は、業のほうの問題で、港運協会を中心にして集約しようという動きがあるのでありますが、これは全沿岸であるとか回漕であるとか幾つもありますけれども、つまり寄り合い世帯なんですね。港運協会のおい立ちのゆえんからそうなんです。各関係の業種の方々、荷役業者の方々とかその他いろいろの業者がおりますが、代表が出てやっておられるわけです。ここに統合して集約して云々というのだけれども、はたしてそれができるのか、私はできないと思っております。それで、じゃ集約に応じなかったのは切ってしまうのかという問題が一つあります。それからあわせて乙仲といわれる方々の全く無届けのやみのほう、この方々について皆さん方のほうはいまぎりぎりしぼって九〇%くらいと言ったのでしょうが、そこから先のところが一番問題なんですが、ここのところは中小企業の近代化促進法ですか、あとは助成金法ですか、指定業種、倉庫とそれから港運業と二つおやりになって処理しよう、こうされておるのだけれども、どうも逆にそっちのほうはそっちのほうで太ろうというような動きが出てきた、神戸なんかの状態を見ると。いまそういう状態なんですが、そこのところを皆さんのほうはきっちり決着をつけられるとお思いになっているのか。三月のやつが延びて六月になっていますが、最終的に業のほうをどの見当までおいでになるつもりかという点。  それからもう一つ、検数、検量、鑑定などというのは、港湾運送事業法七条業者です。この方々については、三・三答申の面では、日雇いがないいんだということで抜いた経緯がありますけれども、調べてみるとたくさんいますよ。日検、大検などというのがありますし、それから共和検数などというものもあります。この種の検数業者についてお聞きしたいのは、一方には社団法人という形の法人があって、さてそれはどういうことだと聞いてみると、これは税金を払ってないのですから、そうすると、いや学校があるのだというわけですね。そういう意味の公共性のある団体だというわけです。これもどうもおかしな話で、そうでない党利法人で税金を払って、金を取られているのがたくさんあるのですから、それらのところは一体どういう基準でどういうふうにこれからお考えになろうというのか、その点についてもひとつお聞きしておきたい、こういうふうに業の関係のほうについて思うのです。  それから有馬さんのところに一つお願いしたのは、先般の社労、運輸の合同委員会の席上で、基準法についての何点かの指摘がございました。私は、昨年だと思いましたけれども、港湾労働の基準法上から見た問題点なるものを読ましていただいた記憶があるのですが、労働省の事務当局の皆さんにお願いをしてみたら、今日ないとおっしゃるので、なければないでやむを得ないのですけれども、これはいろいろな意味で問題のあるところなので、一ぺんひとつ労働省の側で整理をしてみていただいて、三十条、二十九条、いろいろありますけれども、取り扱いを含めてこういう見解だからやむを得ないということになるならなるで整理をして、やはり出していただきたいという気がします。そうしないと——時間がないからこういうことを言うのですが、時間があれば、私は一項一項基準法に基づいて質問を、長く続けるつもりなんですが、そういう時間もないようでありますから、その点について労働省の側で一ぺん整理して、せっかく労働法が通ったところですから、将来ひとつ誤りなくこれが行なわれていかなければならないことになりますので、そういう点等を御配慮いただけないかという点をお聞きしたいのです。
  133. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 港運協会を改組したいということは、現在全沿岸であるとか全港振であるとか日本港運協会というように、そういうものがばらばらにたくさんありますから、それを一本化して、われわれが考えている近代化の方向を、その人たち一本の意思で相談したいということでございまして、そのものが集約化ではないわけでございます。  それから次の、いまの免許切りかえの残っている分、百二十数件、だと思いましたが、これはもうぎりぎりのところまでいっておりますし、どうしてもできないというものにつきましては、実は三カ月間の猶予を与えているわけでございます。その期間内に基準に達しない限りにおいては却下する、こういうことをはっきり申し渡してあるはずでございます。  それから次の検数、鑑定に日雇いがいるのではないかということでございますが、検数、鑑定人自身は、これは実は技術者でございまして、免許を持っているものでございますから、そのこと自身は日雇いがやっておらぬわけでございまして、あるいは手伝いその他補助としているのだろうと思います。  それから、これ自身が公益法人というお話でございましたが、実は公益法人化について私どものほうが現在指導しているということで、まだ法人化してはいないはずでございます。——失礼しました。しているのもあるそうでございます。
  134. 有馬元治

    ○有馬政府委員 ただいま大出先生から御指摘のありました基準法上の問題点につきましては、直接私の所管ではございませんけれども、御要望の趣旨に沿って資料をお届けいたしたいと思います。
  135. 大出俊

    ○大出委員 実は業の話を聞いて、時間があれば労働法関係の三点ばかり質問を持っておりまして、安定局長の御出席をお願いしたのですが、時間がなくなりましたので、これはごかんべんいただきたいのですが、ところでいま落ちましたので、二つお願いしたいのですが、一つは、私の質問している中心は、検数については法人になっているのが大検だの、日検だのある。これは二つそうなんです。ところが、共和検数なんていうのはそうではない。こっちは営利会社です。そうなると、私はこれはずいぶん大きな矛盾じゃないかというのです。それで鑑定人というのは、法律に書いてあるからわかるのですが、一人千円を納めているのだから、それは技術者です。おっしゃるまでもない。ないけれども、大きな荷物をあっちへ持って行ったり、こっちへ持って行ったり、チェックしていくのですから、しかも上屋専門にやる人もあれば、倉庫の人もある、これは系統がNY方式だとかOS方式だとかきまっているのだから、そうすると、その受け持ち分担がみな違う。なわ張りが違う。だから、結果的に片一方は税金は払っていないのはおかしいじゃないかという話になれば、学校があって、公益的なんだ、そんなところまで出てきているわけです。そうすると、これはやはり皆さんのほうの側で見て、どうあるべきかというあり方について、三・三答申から抜いているので、これはお調べいただきたいのと、あわせて荷物もいろいろ動かすので、人が要るのです。技術者が一人で一々やるわけではない。そうなりますと、ここに現に相当の日雇いがいる。これはお調べになればわかります。だから、そうなってまいりますと、その辺のところが落ちていますと、これも港湾労働なんですから、運送事業法の七条なんですから、そうなると、そこの日雇いの方々に網の目から漏れたのでは、やはり将来に向かってまずかろうという気がするわけです。  それから、これで終わりですが、もう二つ、先ほど申し上げましたのは、例のはしけ、回漕などの——はしけをつくるのに、個々ではもうこれは金を貸さないのですから、そうなると、これは特定公団みたいなかっこうになるわけですね。ここのところはどういうふうに仕上げられようとするのか。  それからもう一つは、港湾荷役機械の保有会社、たとえば荷役振興株式会社とか、いろいろあります。三井とか三菱なんかの下請をやっている会社もあります。いろいろありますけれども、どうも自治体が半分持って、業者の方が半分持って、人も半々くらい出ておって、貸してもうけておって、その金はどこにいったのかさっぱりわからぬようなかっこうになっているのが、現にあるわけです。ですから、やはりこの辺について皆さんの側で何らか考えてやってしかるべきだろうと思うのですが、どうなんですか。少しこまかくて恐縮ですが……。
  136. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 いまお話しの検数、鑑定の問題でございますが、これはおっしゃいましたように共和というのがございまして、これにつきましては公益法人化をすることはすでに了承しておるわけでありまして、そういうふうに指導いたしたいと思います。  それから次に、特定船舶整備公団のはしけの建造でございますが、このはしけの建造につきましては、昨年に比べまして四十年度はむしろ減らしておりまして、その分を荷役機械の整備のほうに振り向けております。この荷役機械の会社の問題でございますが、私どもは、この特定船舶整備公団との共有方式で、荷役機械につきましては業者に使いやすいようにして、業者でもって一つの会社をつくってそこが保有する、こういうように指導しておるわけでございますが、すでにありましたもの、これはおそらく横浜の会社ではないかと思いますが、こういうものにつきましては、いまの御趣旨に従って指導いたしたいと思います。
  137. 大出俊

    ○大出委員 最後に、一つ大臣にお願いしたい点があるのですが、船舶なんかの例によりますと、利子補給が行なわれておりますね。さらには租税特別措置法などの適用がありますね。それから固定資産税の三年の減免措置などというものがございますね。それから今度はメーカー、大会社になりますと、輸出入銀行などの融資、さらには資金回収までの裏づけ、あるいは租税特別措置法等々の優遇措置がみごとに行なわれているわけですね。おまけに船舶の統合等につきましても、九十五は統合されて四十五残っておる。最近は輸銀、開銀の資金は貸さないとか、また再統合を強引にやっていこうという動きが見えるわけですが、これにもいろいろ矛盾がありますけれども、これは河本先生が委員長ですからあまり触れませんが、とにかく私どもがながめてみますと、ずいぶん片手落ちではないかという気がする。明治政府以来、国鉄が国有化されて、船舶がうんと保護をされて、その船舶のターミナルとして港ができたという、そういう歴史的事実が存在するわけですが、したがって、今日おくれているということは、船舶がどんどん大型化しているので無理もないと思うのです。そういうことから六十六年までの構想を立てざるを得なくなったのだろうと思いますが、そうなると、やはり今日管理主体が自治体に移っておるという事態考えますときに、税源配分の問題にしろ、先ほどの関税の問題にしろ、税制財源というものについては、国は相当程度この際考えておやりになるということでないと、結果的に自治体の金をそちらのほうに使わせることになると、その地域の住民にしわが寄るということになるのですから、そういう点をお考えになって、将来管理、組織、経営等についてはいろいろ意見がございますので申し上げますが、当面格間をされた形になっているわけでありますから、そういう点について十分御配慮いただいて、財源のそういう意味における配慮ということに進んでいただきたい、こういうふうに考えるわけであります。
  138. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 先ほど来の質疑応答をずっと伺っておりまして、公共投資の港に対する手薄い点は十分に承知しております。したがいまして、現在の国際収支は約七十億ドルの輸出をして二十億五千万ドルの黒字になっておるというけれども、貿易外赤字、つまり船が足りないために外国船をいろいろ使う、それが四億八千五百万ドルくらいになると思います。それで、どうしても現在の日本の経済の伸びが七・五%くらい伸びていくということになれば、船をふやす以外に道はないので、四カ年計画をもって約千八百万トンにする、七百四十三万トンふやすという一応の考えを持っておりますが、その七百四十三万トンにつきましても、経済の動きが伸びてまいりますから、やはり赤字は四億前後の赤字になるわけです。でありますから、さらにその後のことを考えれば、先ほど来六十六年の話がありましたが、とにかく一応前途のことも考えていかなければならないということで、トン数のことをあまり言うと刺激しますから言われませんが、とにかく千八百万トンにするということは、近いうちにやらなければならない。現在の港では、それだけのものを呑吐する力はございません。でありますから、六千五百億のもので、上屋及び荷役設備等は、いまお話がありました地方自治体のものが千億ということになっておりますが、これは財政投融資によっていくものですから、十年ないし十五年の短い期限で七分五厘という高金利であります。船のほうは外国に輸出する分でも四分じゃないかという御指摘がありましたが、そのとおりでありまして、金利も高いし、また年賦償還の期限がロンドンの九十九年に比べれば問題になりませんから、せめてこれを年賦償還の期限を延ばし、金利を下げるように極力努力いたしたいと思っております。そうして公共投資が民間投資に追従していかれるように、つまり道なきところを歩んでいけというのは、ひとり日本の港ばかりではなく、陸上の設備も同じでありますが、公共投資が民間投資におくれておるところに日本の経済のびっこの姿があらわれておりますので、これを均衡をとるべく御期待に沿うように努力を傾注していきたい、かように思っております。
  139. 大出俊

    ○大出委員 それでは、時間がありませんから終わります。
  140. 河本敏夫

    河本委員長 高瀬傳君。
  141. 高瀬傳

    ○高瀬委員 私は、最近非常に問題になっております国際航空の問題について、二、三運輸大臣の所見を伺いたいと思います。  まず冒頭に、いろいろ新聞で報道されておりますが、国際航空の予定地というものが霞ケ浦にきまったように報道されておりますが、一体きまっておるのかどうか、それを先に伺いたいと思い議す。
  142. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 この前のこの委員会であったと思いますが御質問がありまして、詳細にお答えいたしましたけれども、せっかくの御質問でありますから、簡単に申し上げます。  これは霞ケ浦にきまったわけではございません。航空審議会が答申をいたしましたのは、官用並びに霞ケ浦であります。そのほかに東京湾内の羽田に隣接したところであるとか、木更津とか、浦安とか、いろいろなところを推薦した人が多くありました。それに対して一々実態を調べまして、どのくらい金がかかって、東京湾にやれば、いまの港の問題とどういう関係が生ずるかというようなことを検討いたしました結果、運輸省といたしましては、やはり答申どおりに富里を第一候補とし、第二候補を霞ケ浦にするという考えでございますが、その途中に、まだ池田内閣の最後の時分でございましたが、空港関係閣僚懇談会というものをつくりました。そうしてその懇談会の座長に河野国務相がなられまして、それでいろいろ何回も審議をいたしました。それで次官会議によってこの審議を続けましたその答申は、やはり霞ケ浦と富里ということが大体答申されたのであります。ここにございますから、ちょっと読んでみますと、「一、東京国際空港の設置については、諸般の情勢から見て、富里のほか埋め立て地の検討も必要と認められる。二、東京湾、霞ケ浦等の候補地についても、関係次官会議において検討の上早急に調査を実施するものとする。三、東京周辺の米軍使用の飛行場の利用等について、外交ルートを通じ早急に打診を行なう。」という決議をいたしまして、現在次官会議のほうにまかしておる状態でございます。
  143. 高瀬傳

    ○高瀬委員 この関係閣僚懇談会というのは、池田内閣のときにつくったのであります。その座長が河野国務大臣。したがって、この関係閣僚懇談会が、次官会議の答申を待って最後に決定する立場にあるわけですか。そういうふうに了解して差しつかえないですか。
  144. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 それはいずれ皆さんに審議を願っております公団法というものができましたならば、公団法の第二条を受けて、それで個所の決定の政令を出し、その個所の決定ができましたならば、それを受けてさらに政令を出しまして公団をつくる、こういう二段がまえになっております。でございますから、政令を出すのには、閣僚間の一致を見なければ政令は出せません。それでございますから、この次官会議の審議を経て、その関係閣僚懇談会の決議というものが政令を公布する中心の素案になる、こういうことでございます。
  145. 高瀬傳

    ○高瀬委員 それではいろいろなその間のいきさつを抜きにいたしまして、私は、国際空港の設置については、運輸大臣が一等責任がある重大なる権威を持った担当大臣であると思うのでございます。したがって、いま問題になっておりますところの国際空港の建設につきまして、運輸大臣は一体いかなる所見を持っておられるか、そのものずばりひとつお聞かせ願いたいと思います。
  146. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 それは、皆さんから与えられておる、国会並びに国民から与えられておる運輸大臣の権限は、他に侵されることなくりっぱに行なっていきたいと思っております。
  147. 高瀬傳

    ○高瀬委員 実は、この間素心会におきまして、河野国務大臣が見えましたときに、私はこの問題に触れて河野国務大臣の所見を伺ったわけであります。ところが、河野国務大臣の言われるのには、どうも運輸省の連中はうそつきだというようなことを言われる。それはどういうことであるかというと、国際空港の設置というものは、私の知る範囲では、栃内航空局長からも昨年予算編成の際にるる説明を聞きました。それで、大体国際空港はいろいろな事情があって、たとえば英仏のコンコード様式の計画がもし成立したといたしましても、昭和四十六年度程度にこれはどうしても日本が完成しておかなければ、日本はローカル線に落ちてしまう、だから、一刻も早くこれを建設する必要があるのだ、こういうことに私は了解しておったわけです。ところが、河野国務大臣の言うのには、それはアメリカでも四十八年でいいのだ、わずか二年の相違なんです。これをもってうそつきだと言うことは、私には了解できない。おそらく事務当局も、そんなことを言われたのでは、とても立つ瀬はないだろうと思う。たった二年ぐらいの相違というものは——この国際空港の建設が、少なくとも本年には早々着手しなければとても間に合わないということは、常識でございます。中共などでも、日本なんかできるものか。そうすれば、おれのほうは上海かどこかでつくれば、日本なんかもうローカルラインに落ちちゃうというようなことすら放送しておるようにも聞いておるわけです。だから、たとえアメリカがどう言おうと、やはり日本としては、ある程度のアローアンスをもって、昭和四十六年ぐらいに完成する意気込みをもってこの国際空港の設立に着手しなければいかぬと思うのです。アメリカが何といったって、二年ぐらいの相違をもって、運輸省のいうことは、おれの知った範囲では、昭和四十六年がぎりぎりの線だといっても、アメリカは四十八年と言っておる、だから、うそつきだなんということを閣僚懇談会の責任者が言うに至っては、私はちょっとふに落ちない。それから大体面積の問題についても、私が栃内君から聞いたあれでは、少なくともニューヨークあたりでは千二百万坪、普通の小さいところで七百五十万坪、これはおそらく国際空港のインターナショナルスタンダードだと私は思うわけです。したがって、面積が広いの狭いのというようなことを関係閣僚懇談会の座長が言うことはかってでございますけれども、おそらく事務担当局あるいは国際航空という観点から、国際空港の問題あるいはスーパーソニックが飛ぶというようなことをもっていえば、滑走路が二千メートルあるいはその倍の四千メートル要るということは当然でございまして、将来の国際航空の見地からいって、私は、運輸省の考えている七百五十万坪というのは、非常に合理的な線だと思うのです。河野さんはこれにも反対しておる。それから非常に財政逼迫の今日、非常な金額の金を投じて何もそう急いでやる必要はないじゃないかというようなことを言われました。結局、河野さんの意見は、まあ四十八年までにつくればいいのだからあわてることはない、それから面積についても異論がある、それから財政的見地からいっても、この際そう多額の金のかかることを急速にきめる必要はない、こういうような愚見であったのです。私は、実は河野さんと議論するために聞いたのではありませんので、責任者としていかなる考えをもってこれを指導しておるかを私は聞いたわけなんですが、非常に私はそれがふに落ちないので、実は松浦運輸大臣に直接端的に伺うわけなんでございます。  それでは伺いますが、この前の運輸省の栃内君の説明では、非常に詳細に私は了解しました。それで決して私は富里に固執するわけではないし、霞ケ浦がいかぬというわけではございませんが、運輸省の考えは、私が見るところでは、この国際空港をつくることについて、いわゆる空港の立地条件、こういうものを主として事務的に考え、また国際的にも考えて、計画を立てておるようなのでございます。それから河野さんの言うのは、やはり国土計画の観点、こういうようなものが、非常にあの人の頭を支配しておると思うのです。だから、先ほど大臣の言われた、アメリカ基地その他を利用してもよろしいし、東京湾を埋め立ててもいい、あるいは霞ケ浦を埋め立ててもいい、いろいろな考えが頭の中に錯綜しておって、これは慎重にきめるべきものだ、これは私は異論がないのです。しかし、東京湾の埋め立てなんというものは、どう考えたって、羽田空港との関係からこれは不可能であることは確かです。先ほどちょっと大臣の言われましたいわゆるアメリカの点在するところの基地ですね。これは将来安保条約の観点からいって、あんなものはたいして価値がないんだみたいなお話なんです。私は全然意見が違う。したがって、それらの問題について、少なくとも航空懇談会で、一体アメリカ基地が一つでも撤廃する可能性があるかどうか、こういう点をお確めになっておるかどうか、これをひとつ伺いたい。
  148. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 ブルー14の西側の四つの飛行場を一つ利用さしてもらえないかということは、いま交渉中でございます。でありますから、それの一つを返えしてもらっても、そこに民間飛行機を持っていくことは困難だ。それに一日に二千回も超スピードのものが回っておるわけですから、それで現在のブルー14を越して富士山のほうにまっすぐに行けば近いのですが、一万五千フィートのところを飛んでいるのを一日に一回だけ通ってもいいというのですが、そこは通れないものですから、どうしても木更津の沖を通って、大島を通って、富士山ろくを通って行くのですから、三十分か二十五分ぐらいよけいにかかる状況なんです。そこにいまかりに一つ利用さしてもらっても、そこの中に民間飛行機は入れない。しかし、軍の飛行機ならどうかなるだろうというような見通しを持っております。  それから、ついででございますから申し上げますが、栃内君はうそを言ったのでも何でもないのです。それは向こうがつくるものですから、向こうがつくるもので、一年延びるか、二年延びるか、それはわかりません。けれども、現在の羽田の状況は、捨てておけないのです。いま百万坪なんです。百万坪で三百五十万人乗りおりしているのです。ヨーロッパで三百五十万人乗りおりしているのは、大体狭くて三百五十万坪から四百万坪、広いところだと五百八十万坪ぐらい。それはイタリア及びフランス、ドイツ等の例を見ましても、いずれもそうなっているのです。でございますから、かりにSSTの超音速の飛行機ができてくるのが二年ぐらいおくれるといたしましても、羽田はもう五年も六年もほっておけないのです。だから、どうしても早く着工しまして、羽田の副港を先につくって、それから、おくれるとするならば、そのおくれる状況に見合って四千メートルの滑走路をつくる。とにかく羽田の二千五百メートルの副港のやつを先につくらなければいかぬ。あるいはまた考え方によっては、四千メートルのやつを先につくって、そこへ羽田の国際的な路線を持ってくる。いずれにしても、羽田の利用というものが満度にいっているのです。でございますから、これはもう一日も早く着工して、羽田を助けるとともに、国際空港の完成を早からしめなければならない、かように思っております。
  149. 高瀬傳

    ○高瀬委員 実は平山さんが会長で答申された航空審議会の答申ですね。あれは平山さんは事務系統の方ですから、おそらく運輸省が非常に急いで、おととしですか、わずか四カ月ぐらいの審議期間で、そのうちの専門家、いわゆるエキスパートを動員してつくった案であろうと思うのでございます。それは政府は事ほどさように急いでおったから、おととしわずか四カ月でやった。ところが、いまだに四の五の言って政府はこれをきめない。もしきめないで国際航空のいわゆるスーパーソニックなどの就航を受け入れられないような状態になると、これは明らかに政府の重大責任だと思うのですよ。だから、いまごろ四の五の言っているときではなくて、われわれの常識から言うと、現在すでに候補地がきまって、そうしてその公団も発足して、一刻も早く着工して、ある程度のアローアンスをもって飛行場を完成して、国際的な受け入れ態勢を整えるというのは、政府の重大な責任だと思うのです。それをいまだに次官会議の答申を待ってなんといっているときではない。率直に申し上げて、私は運輸大臣と前から御懇意に願っている議員の一人として、きょうは歯に衣を着せずに申し上げますが、非常に重大である。政府の重大責任である。そうして、いわゆる航空審議会なるものは、河野さんの言によると、運輸省だけでかってにつくったので、われわれはあまり知らぬというようなことを言っておりますが、そうですか。
  150. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 法律に基づいているから、そういうおれは知らないということは言わせません。
  151. 高瀬傳

    ○高瀬委員 河野さんの言では、運輸省がごそごそとやって、そうしてあんなことをきめてきたって、おれは何も相談を受けておらぬよというようなことを言っていますけれども、一々関係外の大臣に相談しなければけちをつけるというような政府では、これは信用できないと思うのです。だから、私に言わせれば、これからおそらく羽田は、いま六万回ぐらい飛行機が発着している。この国際空港ができれば、昭和五十年には四十五万回から六十万回飛行機が発着する。したがって、オーバーラップした航空路では、東京から向こうの一連のいわゆるアメリカ基地なんかを利用するということは、これは全然不可能だと私は思います。これはそういうことを考えるだけでこっけいだと思う。それから、東京湾の埋め立てなんということ自体も、私は非常にこっけいだと思う。だから、源田君が言っておりますように——ここに新聞の切り抜きを私は持ってきました。「飛行の安全確保貫け」ここに四つばかりの条項をあげておりますが、こんなものを読み上げてもしかたがありません。皆さん、大臣も御存じだから読み上げませんが、結局、源田君なんかの意見では、東京湾から東、関東の東の中部、すなわち霞ケ浦か富里なんかがよかろうというのが、暗にこの源田君の論文の骨子のように思うのです。そこで問題になるのは、もうすでにそんなアメリカ基地を返してもらうなんといったって、いつ返してくれるかわからない。交渉中といっても、たとえば一つぐらい返してもらったって、飛行機の飛ぶ経路が同じなんですから、これは危険でだめだ。それから東京湾埋め立てはだめだ。そういうことになれば、せんじ詰めて霞ケ浦か富里ということになるわけでございます。これは私も常識としてこの二つを考える。先ほど大臣は富里が第一順位だというのですから、その点は私は非常に合理的な御結論だと思って、敬意を表しておりますが、とにかくこれからのスーパーソニックの重量ですね、これはおそらく百五十トンから二百四十トン。そうすると、それのウエートというものは、着陸の場合相当ショックがひどいと思うのです。だから、埋め立て方式がはたしてその安全性を確保するかどうかということについては、私は非常に疑問があると思うわけでございます。したがって、霞ケ浦がかりにいいといたしましても、これは膨大なる埋め立てをやらなければならない。しかも、飛行機の重さからいっても、その埋め立てがよほど完全でないと、国際的に安全性を日本が誇示するわけにはいかないのじゃないか、かように考えておるわけでございます。したがって、霞ケ浦も、漁業の補償問題、埋め立ての問題、あるいは洪水の場合の対策の問題、いろいろございましょう。あるいは工費の問題、いろいろありましょうから、これは研究するにいたしましても、富里のほうにも、やはり立ちのきの問題がある。千五百戸の民家がある。しかし、その中で納屋みたいなのが七百戸ぐらいあるという話も、私は聞いておるのです。だから、立ちのきが相当問題になるにしましても、おまえたちあっちに行け、とにかくおれらは国策上やるのだから、あさってのほうに引っ越せ、これではやはり問題は解決しないように思いますが、ほんとうにその点を政府が温情を持って立ちのきを了解を得てやれば、工費も非常に少なくいくし、それから道路建設を含めましても、膨大な埋め立てをやって危険性を包蔵した飛行場をつくるよりは、私は富里がいいのじゃないかというようなしろうと考えで、栃内君の説明を私は了として今日に至っておるわけなんです。だから、そういうような点についていろいろ考えてみますと、飛行の安全性、あるいは事故の場合、東に飛んでいくのですから、おそらく事故があったって、海の上で事故が起これば、人畜にもたいした被害はございませんが、それこそ東京湾の向こうの一連のアメリカ航空基地などであれば、これだけの大きなガソリンを積んだ飛行機が事故でもあれば、たいへんな騒ぎになると思うのです。そういう点もいろいろ考えて、問題は霞ケ浦と富里にいたしましても、政府の行政的処置、考慮、配慮というものが慎重に行なわれれば、富里がいいんじゃないか。それから霞ケ浦のほうには、百里飛行場という自衛隊のがあります。それとオーバーラップしておりますから、この百里飛行場が将来重要な基地になるかどうか知りませんが、とにかく自衛隊としては、東京湾のいろいろな防衛、東京の防衛その他について相当かたい決心と考慮を払っているんじゃないかと思うのです。だから、百里飛行場の飛行を制限すればいいんじゃないか、そんなものは、どっかあっちへ、アメリカにひとつどいてもらって移せばいいんじゃないか、そんな簡単なことで問題は解決しない。ですから、いろいろな要素を考えてみますると、建設費だって安い——埋め立ては三百億以上かかるということも聞いております。しかし、富里なら、補償をまじえてもそんな金はかからないように、私は思うのです。専用道路をつくりましても、これは埋め立て方式をとって、あるいは百里飛行場とのトラブルを起こすよりは、おそらく政府の処置がよければ、富里がいいんじゃないか、こういうふうに考えておりますので、私は、この際、運輸大臣が重大なる決意を持って、この事務当局の意見をちゃんと把握して、閣僚懇談会においても何においても御善処方を願いたいと思って、私はこの質問をいたしておるわけでございます。この間も河野さんに聞いたら、君、そんなこと言ったって、富里なんかきまるような様子はないよ、こう言いましたけれども、これはどうなんですか。非常に私はびっくりしたんです。それでこれを聞いておる。君、そんなこと言ったって、富里なんかきまるはずはないんだ。そういうようなことすら、あの人はぼくにこっそりと言った。だけれども、これは非常に問題だと私は思う。こういう点を明らかにして、ほんとうにまじめに考えた事務当局の意見というものを、政治的に運輸大臣が——私は指図を申し上げるんじゃない。政治的に考慮をされて御善処あらんことを熱望しておるがゆえに、これを申し上げておるわけでございます。その点いかがですか。
  152. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 非常に御同情のある、また御鞭撻を受けまして、感謝いたします。私どもは、お説のように、第一候補は富里、富里がどうしてもいかぬ、時分には霞ケ浦と考えておりますが、しかし、東京湾説も出てきたものですから、事務的にもう少し検討してみたほうがいいんじゃないかというのですが、お説のように非常に急ぐものですから、私どもはこの国会を通ったら、なるだけすぐ個所決定をしなくちゃいけないんじゃないかというふうに考えております。それで、結局個所をきめれば、すぐ土地の買収にかからなければいけない。土地買収の場合においては、御説のように、次に転職するなりあるいは次の農地を求めるなりすることのできるだけの相当な補償はやはりしなければならぬ、かように考えております。
  153. 高瀬傳

    ○高瀬委員 全く大臣のおっしゃるとおりでございまして、われわれも多少運輸交通に関係している一人として、人ごとではない、こう考えております。特に私が重大に思いますのは、この段階で、運輸審議会の答申を早くやれやれといってやらして、そして閣僚懇談会の一番トップレベルの河野さんが、あんなものは四十八年にできるのだから急ぐ必要はないという。それはおそらく道路だってそうだと思うのですよ。たとえば河野さんがよく行って道路を視察する。たとえばこの四月の末にできるというものを、一週間くらい早くやれといえばできるでしょう、技術者というのは、それだけのアローアンスを持ってすべての計画をやっておるわけですから。昭和四十八年だから急ぐ必要はないなんて言ったら、それこそ四十六年にスーパーソニックの国際航空が始まったとすれば、日本はお手上げですね。だから、そういう点を指導者たる者はよく考えてやっていただかぬと迷惑するのは国民だけだと思う。だから、この航空審議会の答申を早くやれやれといって、わずか四カ月で答申させて、おれはそんなものは知らぬなんて言っておったのでは、迷惑するのはまじめにものを考え、まじめに国際航空の発展を考えている事務当局ではないかと思う。これは運輸大臣、運輸省を預かる担当大臣として、ぜひ慎重に考えて御善処あらんことを希望するわけであります。承直な意見ではなはだ恐縮でございますが、これの決定というものは、私は非常に重大な関心を持って見守っておるわけでございますから、ひとつここに松浦運輸大臣ありということを、この際国際空港の候補地の決定について——ぼくは河野さんが何と言おうと、あの人は単なる無任所大臣なんだ。池田内閣以来の引き継ぎでこの問題にタッチしておるだけで、自分の思うようにいかぬからこんなものぶっこわしてしまえというのでは、これでは日本の政治なんていうものは、自由民主党なんていうものは、国民の信頼をつなぐに足りぬと思うのです。私は、そういう政治的観点も含めて、この問題について松浦運輸大臣の深甚なる考慮と配慮の上に御決定あらんことを希望するがゆえに、この質問を申し上げた次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  154. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 非常に友情のある御忠告を受けまして、感謝にたえないのであります。自分の力の及ぶ範囲で国民の信頼にこたえたい、かように考えております。
  155. 高瀬傳

    ○高瀬委員 私の質問はこれで終わります。運輸大臣の御答弁で満足いたしました。
  156. 河本敏夫

    河本委員長 次会は、明八日、木曜日、午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十七分散会