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1965-04-01 第48回国会 衆議院 内閣委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月一日(木曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 荒舩清十郎君 理事 伊能繁次郎君    理事 佐々木義武君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 田口 誠治君    理事 村山 喜一君 理事 山内  広君       岩動 道行君    井原 岸高君       塚田  徹君    高瀬  傳君       綱島 正興君    辻  寛一君       野呂 恭一君    二階堂 進君       稻村 隆一君    藤尾 正行君      茜ケ久保重光君    足鹿  覺君       楢崎弥之助君    大出  俊君       受田 新吉君    中村 高一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         総理府総務長官 臼井 莊一君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (農政局長)  昌谷  孝君         農林事務官         (園芸局長)  林田悠紀夫君         食糧庁長官   齋藤  誠君         水産庁長官   松岡  亮君         通商産業事務官         (通商局次長) 今村  曻君  委員外出席者         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局取引部         取引課長)   後藤 英輔君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部食品経済課         長)      二瓶  博君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 四月一日  委員茜ケ久保重光辞任につき、その補欠とし  て足鹿覺君が議長指名委員に選任された。 同日  委員足鹿覺辞任につき、その補欠として茜ケ  久保重光君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二五号)      ――――◇―――――
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。足鹿覺君。
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 農林省設置法の一部を改正する法律案の審議にあたりまして、私は南西諸島及び沖繩方面における経済開発農業振興の問題について、農林大臣総務長官通産当局等に、若干の御質問を申し上げたいと存じます。  日本社会党は、昨年十月、沖繩調査団派遣をいたしまして、現地実情調査し、沖繩祖国復帰の促進を中心に、国会の内外を通じて政府及び国民に訴えてきましたが、引き続き本年二月十六日から第二次派遣団を編成し、現地実情についてつぶさに調査をし、各界各層をはじめ現地住民の声をなまに聞きまして、私もその一員として現地滞在をし、特に農業問題を中心見聞をいたしました。これを要約いたしまして、先日総理大臣に会見をして手交の上、意見の交換を行ない、早急に善処されんことを要望したのであります。したがいまして、今日はできるだけ重複を避け、一般的な問題を省略いたしまして、法案と関係しつつ、私の乏しい見聞に基づきつつ、沖繩経済開発農業振興、なかんずく沖繩基幹産業である糖業問題について、政府所見具体的対策をお伺いいたしたいと考えますので、農林大臣総務長官通産当局が虚心に、党派を越えた誠意のある、かつ具体的な答弁をお願いいたしたいと存ずるのであります。  沖繩現状についてでありますが、羽田からジェット機で二時間余りで那覇空港に着きます。紺碧の美しい海に囲まれて、ぽっかりと浮かんでおります沖繩本島及び周囲の島々は、おもにテラロッサという風化サンゴ礁からなっておりまして、目にしみるような赤い土壌が本島の南部に細長く連なっております。この沖繩が第二次大戦の最後の決戦場となり、三カ月の戦いの末、沖繩の同胞は軍と運命を共にし、そしてほとんどそのすべての民家まで焼き払われ、山容は改まり、原形をとどめぬまでに荒れ果てておったのであります。あれから二十年、沖繩は完全なアメリカ軍軍政下に置かれ、沖繩の全土は極東最大基地と化しております。アメリカはこの基地建設のために百億ドルの巨費を投じたといわれ、ここに駐留する五ないし十万のアメリカ軍沖繩経済を左右しているといわれております。私は、五日間の滞在中、農業中心視察をいたしましたが、沖繩のどこへ行っても、本土開拓地よりもさらにみすぼらしい農家が見受けられ、大きなひずみのあることがうかがわれました。すなわち、沖繩人口九十三万人の半数以上を占める農民所得は、沖繩において農家所得が二十三万五千四百九十四円、本上が四十一万円、その内訳として、うち農業所得が、沖繩では十万五千四百九十四円、本土は二十二万円、農外所得が、沖繩で十三万円、本土で十九万円となっておるのであります。このように、その所得本土の半分以下でありまして、特に注目すべきことは、アメリカ軍からの地代収入の多いはずの農外所得がわずか十三万円と、本土に比べて著しく少ないことは、問題があろうかと思います。沖繩輸出品は、砂糖パイナップルなどで年間約四千万ドル、邦貨換算して百四十四億円、これに対して輸入品は、建設資材から、ちり紙、みそ、しょうゆなど一億四千万ドル、邦貨換算五百四億円でございまして、約一億ドルの輸入超過でござい家して、この一億ドルの赤字を基地から落ちる金でまかなっているという、こうした点から、戦争の恐怖につながる基地の存在が、沖繩住民の生活をささえる主要な財源を生むものとして正当化されようとしておることは、大きな問題といえると考えるのであります。  そこで、われわれの沖繩農業振興対策については、あと質疑で順次申し上げ、政府所見を承りたいのでありますが、最初臼井総務長官に伺いたいと思いましたが、臼井総務長官おいでにならないようでありますから、農林大臣から先にお尋ねを申し上げます。  それは沖繩農業とその振興対策とでも申しますか、食糧自給度向上対策中心に伺いたいと思います。沖繩では、残念ながら第二次産業発展に多くの期待を持つことはむずかしいように思いますが、農林省はどういうふうにごらんになっておりますか、その点をまずお伺いしておきたいと思います。
  4. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 沖繩に対しまして、特に内地と差別しているような考えはございません。ただ、行政権を持っておりませんので、十分に対策が講ぜられない遺憾の点がございますので、そういう点は幾ぶん違っておるという点もあるかと思いますが、内地と同様に援助をしていくという方針で、土地改良事業とか、農業研究などの助成、助長、農業融資資金供給等には特に力を入れておるということ、あるいはまた模範農場を設けまして、農業技術者をここに派遣して、本土の進んだ農業技術を導入、展示して、それを農民普及して、その成果をあげておるような状況であります。また、沖繩技術援助計画一環といたしまして、農業経営農業土木等に関する専門家現地派遣しまして、農業技術の改善、向上のため指導を行なっておるという実情でございます。また、ごく最近は、沖繩農業振興の一助に資する目的で農業調査班沖繩派遣して、耕種畜産経営等の各部門にわたる調査を実施しているところでございまして、今後とも沖繩農業発展のためにはできるだけの努力を払っていく、こういう考えでございます。
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 総務長官おいでになったようでありますから、続いてお伺いをいたします。  私の聞かんとしておるのは、現地実情を見た者として感じましたことは、第二次産業としては、セメント工業パイナップルあるいは砂糖工業程度のものでありまして、一応成果をあげておるものは、農産物を原料とする、いわゆる第二次産業発展が大きいのであります。したがって、農業中心とし、これに配するに観光等が加味されました政策が、強力に進められていかなければならぬと存ずるのであります。そういう意味で、私は最初農林大臣の大まかな御所見を伺ったわけでありますが、農業中心とする沖繩開発、また生産性向上、豊富な労働力の効率的な燃焼の問題が、差し迫っておると考えられるのであります。沖繩農業中心をなすものは、申し上げるまでもなくサトウキビパイナップル畜産、それに水稲であろうかと思います。ほかに農林省として農業振興の上に特に奨励をしていこうというもののない限りは、この四つにしぼって、この振興と安定をはかるべきだと思いますが、基本方針をこの際農林大臣に明確にしていただきたいと思います。  先ほど模範農場その他の例を引用されましたが、模範農場の問題についてはあとで触れますが、職員は専門技術家がたった五人、そのうち一名は欠員中で、しかもそれはアメリカキャラウェイ高等弁務官当時に発想されたものであって、日本政府の発想ではない。日本政府が協力をし、沖繩政府米軍政府者共同で今日まで行なわれたと聞いております。でありますから、農林省が、このたびの農林省設置法の一部改正法律案のごとき、サトウキビの原原種圃育成のために七千万程度の金を出すというようなことではなしに、もっと本格的な、沖繩中心とする南西諸島亜熱帯地における農業振興基本方針を定めて予算措置を行ない、これを取り上げるべきではないか、こういうことを私は申し上げて所見を求めておるのでありまして、模範農場などということは、事務当局が少々資料を出しましても、大臣がそれでこと足りておるというふうな判断に立たれることは誤りであろう、私はこの点を御注意申し上げておきます。御所見を承っておきたい。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまのお話のように、北海道における寒冷地農業というようなことに対応いたしましても、亜熱帯地方における農業をいかにするかということは重要な問題だと思います。そういう意味におきましては、いまの技術研究というようなことは、かりにキャラウェイ弁務官の構想によったといたしましても、こういう技術の面において研究を続けていくということは必要だと思います。単に事務的な問題ではないと思います。しかし、先ほど申し上げたことは、どちらかといえば現実にやっておる事務的な問題であります。沖繩農業をどういうふうに持っていくかということを考えますならば、基本的には、やはり適地適作といいますか、その土地に適した作物を、企業的にもやっていけるような指導助成をすることが必要だと思います。そういう意味におきまして、沖繩におきましては、内地の稲にかわるようなものはサトウキビあるいはパイン等であろうと思います。ことにサトウキビは、内地の米に匹敵するような重要作物だと思います。でありますので、そういうサトウキビ、いまお話のありましたパイン、こういうものが適地適作として栽培されることが必要であり、また現にその方向で進んでおります。しかし、水稲を全然無視することも――これは熱帯の作物でございますし、ことに食糧が不足しているようでございますので、水稲栽培等につきましても、これを基幹作物の中に入れて栽培していくことが必要かと思います。一言で言えば、亜熱帯といいますか、そういうところに適したサトウキビパイン水稲、こういうものを中心作物として農業振興させていく。それに何といたしましても、内地と同じように現金収入ということも特に必要でございますので、また土地事情からいいまして、畜産というものもやっていかなくちゃならぬことは当然と考えます。いまお話のような政策中心とした農業体系によって、農業の面を振興させていくことが必要だと考えます。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 大体私の申し上げたことと同感の意を表されたのですが、しからば問題はそれをいかにして具体的に政策的に裏づけてその振興をはかるということになろうかと思います。そのためには、まず第一に農業経営規模拡大が必要であろうと思います。政府は、その対策をどのようにとり、どのように今後進めようとしておるか、伺いたい。たとえば沖繩の一戸当たり平均耕作面積は、戦前六〇・五アールの規模であったのが、戦後は全部の六万ヘクタールの二五%をアメリカ軍用地に接収されたために、一戸平均五十アールとさらに経営規模が零細化し、過剰人口にあえぎながらその耕地から年間三千七百万ドル程度生産をあげているにすぎないのであります。その所得の低さは先ほど申し上げたとおりであります。このような事情でありますから、経営規模をまず拡大する、これが基本的な問題であろうかと思います。私は全島を一回りいたしましたが、沖繩海岸線はきわめて屈曲に富んでおりまして、遠浅の地帯が多いように見受けました。すなわち、干拓適地が相当あると思うのであります。これを干拓あるいは埋め立て等の工事を行ない、積極的に農地造成開発を行なう必要があろうかと思います。そういう調査をなさっているのか。やろうとしておるならば、どういう方針でやろうとしておるのか。大臣同感の意を表されまして、こういった条件を一つ一つ満たされなかったならば、沖繩産業開発農業振興は、私はできないと思うのであります。この点もひとつ伺いたいのであります。
  8. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 経営規模拡大、私は必要だろうと思います。内地でも経営規模拡大は必要だと考えまして、農地管理事業団等法案を出しておるわけであります。あるいは従来から行なっている干拓あるいは土地改良によって土地造成を行なっておることは、経営規模拡大を目ざしての施策でございます。でございますから、施政権を持ってはおりませんけれども、管理事業団等のことが内地において御賛成を得ますならば、そういうことを実行するように奨励することも、一つの方法だと思います。また、いまお話のように、農業土木によって干拓あるいは不耕作地耕作地に転換していく、こういうことが必要でございます。そういう意味におきましては、農業土木等に関する専門家現地派遣して調査をいたさせております。そのほかの農業調査班派遣しておりますので、そういう調査班の、あるいは専門家現地実情等を十分取り入れて、経営規模拡大ということを進めていくことにいたしたいと思います。これは両面からあろうと思います。先ほど申し上げましたように、農地理事業団的な考え方から耕地経営規模拡大していく面、及び土地改良等によりまして土地造成をして経営規模拡大に資する、こういう方向考えて、土木専門家あるいは調査班を出しておるのでございます。現実にいま経営規模拡大にどういうことをやっているかということにつきましては、いま特に手を加えているといいますか、手をつけておるということは、私はよく聞いておりません。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 本土におきましては、開拓干拓政策は後退しておるのであります。でありますから、本土のような態度では、沖繩農地造成あるいは基盤の整備ということは間に合わない。だから、思い切った調査団派遣をして、アメリカ軍用地に接収をされたに幾倍かする条件のあるところに造成改良を行なう、そういう対策が画期的にとられることを農林大臣に申し上げておるのでありまして、ただ調査しておるからやるのだということではなしに、本土における状態と比べて、さらに大きくその施策を伸べる必要があるということをこの際申し上げておきます。特にこの沖繩農業考える場合に、台風との関係を無視することはできないのであります。台風に強いことや、あるいは砂糖ブームに乗ってサトウキビ栽培が激増し、反面水稲の作付が激減しております。その結果、食糧自給度は低下して、わずか三〇%にすぎません、サトウキビ収入によって外米を買って食うという状態であります。沖繩で消費されておりますいわゆる水晶米といわれております米は、アメリカのカリフォルニアの産でありまして、せっかくサトウキビパインで得た、しかも本土政府が、相国政府関税特恵措置によって保護育成をしたその貴重な金が、アメリカ米にほとんど使われるという立場になっておるのであります、本土のように食管制度もありません。現在は、大部分沖繩地場産の特選米水晶米その地の外米によってまかなわれておる。一番需要の多いのは水晶米、つまりカルフォルニア米でございます。アメリカの米に日本のせっかくの関税特恵掛買による沖繩収入が取りかえられるというような政策は、私は沖繩のためによろしくないと思うのであります。これは改められるべきだろうと思います。しかも沖繩の一人当たりの米の消費量は九十四キログラム、本土の六九%にすぎません。これをもっと消費率を引き上げ、しかも沖繩で米をまかなっていく必要があろうと思います。沖繩人々は、お気の毒ながら栄養が十分だと私は見受けません。男も女も、相当の地位にある人々といえども、私は十分な栄養を摂取しておられるとは見受けることができません。この米の消費量の面からいっても、私はこれはうなずけると思います。したがって、国際収支を改善する上からも、どうしても米の自給度向上していくための水稲作ということが必要になる。ところが、先ほども述べましたように、最もいい太平洋岸の米の産地は、米軍基地に奪われております。本島北部方面で若干現在栽培されており、その他でも点だと栽培されておるのが実情でありまして、しかも現地を見て私は驚いたのでありますが、かんがい設備が全くありません。自然のままに放任をされまして、田越しの水がかかってくる、こういう用水状態であります。したがって、一区画ごとに水田の管理ができないために、追肥だとか管理ができない。しかも目ぼしい水資源アメリカ軍が奪取しておるというために、用水問題が非常に原始的に放任されておる。河川の状態もよくないししたがって、この際思い切った水源の確保、そして開発――ダムを建設したり、かんがい排水の水路をつくったりといったような生産基盤に関連する水資源開発と、かんがい施設ということに重点を置かない限り、米を奨励するんだといっても、それは絵にかいた結果にすぎないと思いますが、そういった実情をすみやかに調査されて、今日すでに二十年にわたる――たとえ施政権日本政府にないといたしましても、憲法の外にある沖繩県民といえども、日本国民であることには間違いないのであります。本土法律によっては、沖繩にも、たとえば戦死、戦病者に対する賜金の法律のごときは適用されております。ですから、政府がほんとうに努力をなさいますならば、沖繩県民が非常に苦しんでおることに対して、もっとあたたかい手が早く差し伸べられておったならば、このような食糧事情、またその生産事情が今日のような状態ではなかったはずだと思うのであります。それはアメリカ施政権において不十分さがあると同時に、日本政府もかゆいところに手が届かないというところから、こういった事態が起きておると思います、したがって、この食糧自給対策一環として水資源確保開発かんがい排水等による食糧自給度向上を早急に実施される必要があろうと思いますが、これは南方連絡事務所を所管されております総務長官といえども、私は反対なさらぬと思います。当然だろうと思いますが、どちらからでもけっこうでありますから、政府の思い切った施策を講ずる用意があるかどうか。特に私が指摘した食糧自給度向上して、せっかくの日本関税特恵措置による沖繩収入アメリカ米にすりかえるような、おろかなことを早急に解消すべきである、私はこのことを主張したいのでありますが、御所見があったら、長官なり大臣から明らかにしていただきたいと思います。
  10. 臼井莊一

    臼井政府委員 いろいろ農林大臣からも御答弁があったと思いますが、ただいま足鹿先生お話のように沖繩における米の生産が、徐々に減ってきております。それにかわってサトウキビの植えつけが非常に多い。結局サトウキビのほうが農業耕作者にとっては現金収入が多いということからきていることと思うのであります。したがいまして、その点について食糧自給度を高むべきではないか、加州米輸入にたよるのがどうかという問題がありますが、この点につきましては、見のような点もあろうかとは存じますが、やはり現地において農民がどうしても有利と見た作物のほうに転換をしていく、また砂糖におきましても、日本がたくさん輸入をいたしておりますから、したがって、砂糖が増産になって日本内地でそれを買うことになれば、日本内地としてはやはり外貨の節約にもなる。こういうことになりまして、したがって、現地作物に一番何が適しているかということが問題かと思うのであります。いわゆる適地適作主義といいますか、そういう点が問題と思います。それからこれはパインにしても、サトウキビにしても、米にしても、確かにかんがいという問題がございますけれども、これらについては、琉球政府アメリカ側においても、いろいろ検討しておりましょうし、日本側といたしましても、ごく近く農林省のほうから四名ずつ二班の調査員も、あちらと話し合いの上で出かけるような手はずになりつつ進んでおります。あちらの同意が得られ次第に、近く出かけることになっております。あちらの現状をよく視察調査をして、本土政府ばかりでなく、琉球政府側へもひとつその資料を提供して、あちら側の農政上の対策十分利用をしていただく。日本としては、農業技術援助、たとえば農事普及員が新しく就任した際には、日本へお呼びして、こちらで教育する、あるいはこちらから技術者が出ていって指導をする、こういうことにもつとめておりますし、それから援助額におきましても、御承知のように三十七年度においては十億、三十八年度においては十九億、三十九年度においては二十億の財政援助のうちで、産業開発のためにはそれぞれ三十七年度が五億、三十八年度が十二億、三十九年度が十一億となっておりますが、四十年度におきましては、これが五割増しの財政援助が三十債になっているうち、産業開発のためには十五億を計上いたしております。その中におきましては、農業試験研究とか農事改良農業融資等には約五億近く充しておりますので、財政援助技術援助、こういう方面日本政府としては一そう努力をして、現地の方方のためにひとつやっていきたい、こう考えております。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、長官おいでになられる前に、私の前置きといいますか、現地へ行った者として、特に農村を専門に見てきた者として所見を申し上げておったのですが、お聞きを願えなかったことは残念です。あとでまた関連して申し上げますが、自給度向上賛成であるが、適地適産、サトウキビパインでいくことも悪くないという御意見でありますけれども、御承知のように、サトウキビ作は、糖価国際的暴落の直接的な打撃を受けまして、非常に困難な状態に置かれております。具体的にあとで触れますが、昭和三十四年に政府が策定をいたしました、甘味資源国内自給総合対策に基づきまして、南西諸島沖繩方面にも自給度向上施策が講ぜられ、特にこれは民間で導入したという話でありますが、サトウキビのNCO三一〇号の新品種の普及などもありまして、サトウキビ作は急激に増加いたしました。しかし、沖繩砂糖トン当たり三十九年二八五・七二ドルに比べまして、台湾ものは一七九・三七ドル、キューバ糖が一五八・六六ドル、沖繩産を除く平均価格は、一四八・八一ドルでありまして、日本本上に近いほど高くつくという現状が、根本的に横たわっておるのであります。これはサトウキビそのものからくる品質の問題ではなくて、関税その他によって沖繩産糖保護政策がとられており、外糖関税分沖繩産糖に保護されるという形になって、かろうじて均衡を保っておるのでありますし御承知のように、国際糖価が百八十円も二百円もするようなときと、現在のように百円を刷るようなときと、時点によってはおのずから農民の気持ちも、糖業者の気持ちも変わってくると思います。もし政府がこの際適切な措置を講じなかったとするならば、砂糖作はパイン作に転換をし、水稲作に転換せざるを得ない現状だろうと思います。でありますから、国際糖価が高いときの時点において、保護政策というものは別に大した問題はなかったのでありますが、いまのように九十八円といったような、一時の半額程度糖価であります場合には、これは問題が出てくるのであります。キビ作ブームにわき上がっておりました沖繩だけに、沖繩サトウキビがまた基幹産業であるだけに、糖価暴落の衝撃はきわめて大きいわけであります。これはいままで沖繩の代表、また流球政府立法院、民間、その他の人々が、この問題について政府にしばしば要請も行なっておりますし、私どもも現地の声を聞き、じかに見るべく先般沖繩派遣をされまして、長官よりも一足先に現地を見て来ました。その乏しい、ささやかな見聞に基づくものではございますが、この際政府がすみやかに適切な手を打たない限り、サトウキビ作というものは私は減退をすると思う。そして国内自給力が、その結果によって著しく減退をする結果になろうと思います。と同時に、沖繩の糖業自体が壊滅をして、第二次産業の中で最大を誇っておるものが、重大な支障を受けることになるのでありまして、これはゆゆしい問題だと思うのであります。そこで臼井総務長官が、去る三月十六日から三日間にわたって、沖繩を訪問され、伝えられるところによると、十六日、十八日と二回にわたってワトソンアメリカ政府最高弁務官と会談をし、日米協議委員会の機能拡充について意見の交換をしたと伝えられておりますが、それらの問題と関連をして、この砂糖対策というものが、今度の沖繩へ行かれた目的の主たるものであったと思いますが、一体今回の長官の御調査の結果、暴落した沖繩糖業問題の解決のために、どういう対策をとることが必要であるか。調査の結果、農林省食糧方面とも具体的にどのような協議をされまして、この時点において早急に糖業問題の当面の安定対策を講じられんとしておりますか、その点を、農林省との統一見解を具体的に明らかにしていただきたい。
  12. 臼井莊一

    臼井政府委員 御承知のように、沖繩における産業は、農業、その中でも砂糖産業が一番基幹産業でございます。したがって、砂糖産業の動向というものが非常に重大であるという見地から、私が十六日から三日間あちらに参りましたのも、やはり主として砂糖の問題について実地を見てくる、こういうことで、農林省と大蔵省の係官も一緒に参りまして、行って見てきたのでありますが、結局、いまもお話のございましたように、国際価格が非常に暴落してきたというところに一番大きな問題があるわけであります。それには、やはり国際競争力に勝つために、糖業の合理化、第一には、いまお話のような土地改良等によって原料の生産価格を合理化するということが必要ですが、ところが、畑地かんがいと一口に言っても、なかなかこれがむずかしいのは、御承知のように、あそこはサンゴ礁の島でありますから、したがって、飲料水にも非常に不自由するというくらい水が足りない。アメリカとしても、水資源開発のためには、十数億円を飲料水の確保に投じているというような状況でございまして、これがだんだんに農業用水にも利用されるようにはなると思いますけれども、そういうわけで、従来ともになかなかこの点が、コストを下げるということはむずかしい。しかし先般すでに御審議をいただいてできました沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法によりまして、農業者に対しては、今度はブリックス十八度で十四ドル十七セント、日本の金にして約五千百円ですが、それによって保障されている形です。でございますから、農民側にはその点は保障されていて、コストについては御心配はないはずですが、ただ問題は、こういうふうに砂糖の市価が下がってくると、これが非常に工場の方面の損失をさらに重ねるということになります。ところが、これが重なってきますと、ひいては原料のほうにも将来響いていくし、また、内渡し金しか渡していないところが相当あるので、農民側としても、はたしてあとの残金がもらえるかどうか、こういう不安もあるということで、そこでこれはできるだけすみやかに何とかせなければならぬ、こういうことで、そこで何とかするということになりますと、最初この価格をきめましたときの沖繩の分みつ糖が二十一万七千トンということで、それのいろいろの点を考慮して十万三千トン買い上げるということになったのですが、その後非常に生産が上がりまして、二十四万三千トン、あるいは私が今度行きましたときは、それより上回って二十五万トンをこえて、ことによると二十六万トンにもなるかもしれぬ。そういうふうに非常にふえてきてけっこうなんですが、ところが、それを買い上げる工場のほうの側にすると、原料の価格は十四ドル十七セントで、五千百円で押えられている、売るほうの市価が下がってしまった、これじゃ工場がまいってしまうということで、これを何とか対策を講ずるにはどうすればよろしいかという御質問でございますが、それをするには、やはり買い上げを少し増すよりしかたがないじゃないかという結論で、しからばどれだけ買い上げを増すかという問題についてば、これは内地の産糖、南西諸島との関係もありますし、ただいま農林省側と私のほうとあちらへ行ってまいりました者で、農林省の方が一人先島のほうまで視察をしてまいりましたので、帰りがおくれましたので、この方が最近お着きになったので、先般その方をまじえて第二回の打ち合わせ会をしまして、この対策をどうすればいいかということを目下検討中で、できるだけすみやかにこの結論を得て対策を講じたい、こう考えております。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 いまの長官の御答弁の中で、十四ドル十七セント、五千数百円で一応生産者は安定しているということは、とんでもない御発言なんです。これはこの沖繩の立法院の決議にもありますように、これはあなた方の自民党系の民主党、それから革新系の社大党、社会党、人民党、それぞれの形態をとった立法院の二十九名の満場一致で採択をした案が、本年の一月八日、生産費八千八十九円、これでいきますと、二十二ドル四十セントになるわけであります。でありますから、この程度のものは補償してあげなければいけない。そのためには、買い上げ量を増すという御言明がありましたが、けっこうです。その増し方と買い上げ価格に問題がある。ですから、買い上げ価格を現在のように八十円で、大島よりも下げる。また、北海道てん菜糖が百十円で政府が買い上げておりますが、それに比べますと三十円も低い。それ並みにせよと私はすぐには申し上げませんが、奄美大島並みの対価。それから、いまおっしゃったように二十五万トン以上の生産がある。私が聞いたところでは、二十七万七千トンくらいだろうと言っておりました。地場消費を四万トンと見ましても、なお思い切った大副の買い上げをして、全量買い上げをおやりにならないというと、私は、糖業そのものも行き詰まりますし、その糖業が行き詰まれば、そのしわが農民に寄ってきます、したがって、基幹産業がつぶれるということになるのであります。先般、長官がお帰りになりまして、佐藤総理に報告をして、大蔵省当局と協議をせよと総理は指示をされたと聞いておりますが、なぜ今日までこのようにもたもたするのでありますか。ただ一技官、政府の役人が帰りがおそかったからきまらぬのだということでなしに、これは政治問題であります。私は技術問題でないと思う。少なくとも大蔵省に隘路があるならば、この隘路を打開しなければならぬ。食糧庁がこれに対して難色を示すならば、その理由を追及して明らかにし、対策をしていかなければ、時期を失すれば失するほどマイナスは大きい。すでに自由集荷制度は一定の系統的集荷制度に改められ、チケット制によって集荷が行なわれておる。したがって、私どもが行ったときも、もう集荷の最盛期でなければならないのに、現地ではサトウキビの収穫は行なわれておりません。取ってきたところで搬出ができないのであります。そういう状態にありますし、新聞紙が私どもが帰ってから報ずるところによりますと、すでに二工場は工場閉鎖を余儀なくされたと報道しております。長官も御存じであろうと思います。そういう状態にある中に、いまだに買い上げ価格についても新しい対価の決定もなし、増量はするけれども、その数量もまだ明確でない、いつからやるということでもないということでは、私は少し政府対策が手ぬるい、手おくれておる、怠慢というときつ過ぎますが、それに近いことではないか。現地住民あるいは関係者の悲痛な実情に比べて、沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法による法的根拠もありますし、国際糖価が著しく低落したときには買い上げを行なうという原法の規定もありますし、今日まで逡巡されること自体がおかしいと私は思うのです。いつごろ対価をどういうふうに改めて、全量を買い上げるのか、その辺をもう少し長官が責任を持って進めていただきたい。どこに隘路があるのでありますか。いま技官が帰りがおくれたからということは、私は長官の御答弁とは思われません。もっとほかに隘路があるのじゃないか。あるならば、その理由を明らかにしてもらいたい。食糧庁長官もそこへ来て天井を見ておられますが、あなたのほうに難色があるならば、どこに難色があるかということを明らかにしてもらいたい。なぜ同じ国内自給力の強化のために増産をして最も貢献した沖繩農民に、そのしわを寄せなければならないのか。同じ南西諸島日本本土、大島並みの対価と買い上げ率を要求しておる沖繩人々の要求が無理でありますか。私は、そういう差別待遇はおかしいと思うのです。どこに隘路があるか、なぜおくれておるか、いまの長官の、事務官が帰りがおくれておるということでは、納得できません。明らかにしてもらいたい。
  14. 臼井莊一

    臼井政府委員 この価格が安いではないかという、これは農民側から見ればいろいろ御注文もあるし、またそれを受けて立つ沖繩の政界方面にしても、業界にしても、いろいろ御希望はありますが、しかし、食糧庁が中心となりまして、政府でただいま申し上げたように一キログラム八十円ときめましたのも、やはり南西諸島の奄美大島の価格から算出して、そうしていろいろの歩率といいますか、そういう点だとか、それから工場の能率とか、そういうものをいろいろ算定した結果、七十九円ということで最初事務的には出たのです。それでは少なくともというのでこれが七十九円、八十円というところできめました。したがいまして、この算定については、当時二十一万七千トン、分みつ糖としてのあれはきまったのであります。したがいまして、こう生産が二十五万トン以上もふえるというなら、むしろその価格が今日においては下がっても農村の増収になるとも言えるわけなんですが、しかし、すでにきまっていますから、価格についてはそれを云々ということではなく、そのしわ寄せといいますか、国際相場が一番下がったところに今度問題点がある。これはだれの責任というより、やはりキューバなんぞは、砂糖の増産をして、何でも十四ドル十七セントというのが向こうじゃ五ドルくらいだというような話も、沖繩にちょっと知っている人もありましたけれども、非常に原料のコストが違う。これは労賃の問題とかいろいろの問題もありますし、それから沖繩は何といっても耕作反別が少ないために、またあるいはいまお話のような水が少ない、あるいは道路もうまくできていない、耕地整理が十分できてないとか、いろいろ問題があって、これはこれから改良してコストを下げていくように努力をしますが、現在においては、どうも国際的に原料に対する競争でかなわない。しかし、そう言っておられませんから、大体が農民生産費を補償するということでこういう法律もできているたてまえから、いま申し上げたように一応こういうことできまりました。したがいまして、政府といたしましては、この価格を、少なくとも今度の価格においてはこれを変更しようという意思はございませんが、ただいま申し上げておるように、二十一万七千トンというのが二十五万トンにふえてしまったということになりますので、しかもそこに持ってきて市価がえらい暴落した、こういうことで、百十円、百十五円というのが九十円、ようやく九十円台でとどまっているというような状況であります。そこで増産分に対して何か対策考えなければいかぬのだろう。ただ、あらちでは十五万トンを買ってくれ、こういうのです。十万三千トンだが、十五万トン買ってくれ、こういうお話があるのです。しかし、その点については、こちらとしても事務的に一応至急結論を出すようにということで、ただいまあちらへ行ってまいりました者や何かが、事務的に、どれだけ買い増せばいいかというようなことも、一応計算をしているという現在の段階でございます。この結論が出まして、さらに政治的な考慮もございます――政治的考慮ばかりでやるわけにもいきませんが、そういう検討をして、これと内地の産糖との関係、それらを検討した上で結論を出したい、こう考えております。
  15. 足鹿覺

    足鹿委員 対価は変える意思はないというその根拠に、ブリックス、つまり糖度との関係を長官申されましたが、長官砂糖問題は専門家ではないと思います。私も専門家でありません。しかし、ブリックスが高いものが単価を下げられるという、いまの算定方式自体に問題があるのです。それは長官南方連絡事務所の統括者でありますから、その基本の是正くらいはお考えにならないと、事務当局が、言うことをそのままおのみ込みになって、対価はいまのものでいいのだという考え方で断定されることは、少し私は早計ではないかと思います。よく御考慮願っておきたい。そういうお考え方では、前向きの、今度あなたがおいでになった目的は達成できません。その辺は少し御勘考あってしかるべきだと思う。私をして言わしむるならば、大島産糖並みに対価と買い上げ率を九〇%にしますというと、食管会計に響く点を心配しておるのではないか。また、大蔵省方面がその関係上渋っておるという辺に問題があるのではないかというように思います。食糧庁長官に御意見がありそうですか、ではどこに原因があって、そのような対価と買い上げ率を六〇%に押えなければならなかったのか。また、現在長官が十五万トンの現地の要請ということをおっしゃいましたが、私どもの聞いたのは全量買い上げでありますよ。そんなことを言ってはいませんよ。全量買い上げを言っておるのです。十五万トンでいいなどということは、私どもは聞きませんでした。立法院の各派の人々とも面会をし、その他関係方面農民や業界の人々意見も聞きましたが、十万三千トンを十五万トンでいいなどということを私聞きませんでした。どこから長官はお聞きになったのですか。もう少し食糧庁長官長官を補佐されて、少し前向きの御答弁を願わないと、この問題はきわめて重要な問題でありますので、残念ながらこの問題でもっと追及質問をせざるを得ないと思います。もっと善処されるならば、前向きで対価と大島並みの買い上げ率ができない理由を明らかにしてもらいたい。その上でお話ししましょう。
  16. 臼井莊一

    臼井政府委員 さっき歩合いと申しましたのは、ブルックスというより、原料から砂糖を工場で精製する歩どまりが、沖繩のほうがよろしい。これは食糧庁のほうから、計数的には専門家が出したのですから答弁願うのが適当だと思いますけれども、沖繩の価格決定については、そういういろいろな奄美大島との比例を考えてやったのであります。ただ、われわれもしろうとで、一生懸命勉強はしているのですけれども、なかなかむずかしいところがあるので、しろうとの考えだと、奄美大島は九割買い上げるのに沖繩は六割しか買い上げない、どうもおかしいじゃないか、こう単純に考えるのです。しかし、北海道においてばてん菜糖は七割買い上げ、こういうことで、ただ外面にあらわれたそれだけではいけないことは、もうすでに御承知だと思うのです。そこで、向こうで言うのは、六割買い上げと言っていても、実際には四割二分くらいにしか当たらぬというので、これをもっとふやしてもらいたい。それから一口に全量買い上げと簡単に言うのですが、全量買い上げとしたら一体どのくらいになるのかということで、この価格の決定や買い上げ量の決定につきましては、琉球政府のほうとも相談の上でこれは決定したわけです。したがいまして、今度さらにかりに増量買い上げをするとしても、やはり琉政と話し合いもしなければならぬ、こう考える点もあるわけですが、その際に、一体実際にどれだけということでいろいろ話し合った結果が――私現地へ行ってまいりました際も、十五万トン以上とは言っておりましたけれども、十五万トン以上ということではたしてそれが適当であるかどうかということで目下検討中である、こういうわけでございます。  それから価格につきましては、ただいまも申し上げましたように、これは農民側としてはできるだけよけいということでありますが、生産費を補償するというたてまえから、いま申し上げたようないろいろな状況を勘案いたしまして、奄美大島等の価格もにらみ合わせてこれを決定したわけでございます。その後生産がそんなにふえるということは、一体見込み違いじゃないか。当時二十一万七千トンだといったのが、二十五万トン以上、いまのお話しだと二十六万トンも七万トンもと、こう言うですが、そんなにふえるということであれば、価格だって多少はまた違ってくるのじゃないか。私はしろうとですからわかりませんが、やはり生産がふえればそれだけコストが下がるわけです。しかも生産がふえたという以上は、この際逆に価格を直して、しげるというようなことは、政府としては考えておらないということを申し上げたわけであります。ただ、ほかの問題についてしわ寄せで工場が参ってしまえば、ひいては農民のほうにも及ぶことでございますので、その問の対策をいろいろ検討中である、こういうことでございます。
  17. 足鹿覺

    足鹿委員 沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法には、「政府は、当分の問、砂糖の価格が著しく低落した場合において、必要があるときは、」云々とありますし、本法の二十三条の一を受けて、三項において、「政府の買入れの価格及び沖繩におけるさとうきびの生産事情沖繩産糖の製造事情その他の経済事情を参酌して、農林大臣が定める。」となっておるのです。ですから、先ほど来論議をし、長官現地をごらんになり、随員も連れておいでになった結果から見て、この条項にはずれる状態ではないと思うのです。全面的にこれを適用していい段階だと私は思うのです。それを、最初は十五万トンとあり、対価はいまのままでいいという断言をされましたが、今度は琉政と話し合うというふうに答弁を改められました。どういうふうに話し合いをなさる御所存でございますか。生産事情の見通しが甘かったではないかというようなことをよそごとのようにおっしゃいますが、昭和三十四年に政府が策定した甘味資源自給力強化総合対策によりますと、三十九年度においては、北海道てん菜糖が十六万トン、府県てん菜糖が一万三千トン、甘蔗糖では、大島産が七万七千トン、沖繩産が二十五万七千トン、ブトウ糖が九万九千トン、計六十万六千トンとなっておりまして、これを昭和四十三年には七十五万トンに引き上げる。総需要量を百五十二万トンと見て、その半分を国内で自給するという政府の大方針を定め、イタリアにも数回にわたって現地調査団派遣したではありませんか。ですから、この沖繩現状というものは、政府のこの政策に協力をして増産成果があがっておるのです。見通しが甘いも辛いもないのであります。政府が指示した方針をそのまま実行しておる。それがたまたま糖価の暴落という事態になって、そこで困った事態が起きておるのであります。ですから、むしろ北海道においては、この自給力の目標は達成できておりません。国内でもできておりません。できておるのは、大島と沖繩とブトウ糖だけであります。その政府施策に協力した人たちに苦しみを与えて、一体面目がどこにありましょうか。あえて私ば農林大臣にお伺いをいたしたい。この甘味資源特別措置法と沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法が、昭和三十八年度の国会に出まして、私どもは農林水産委員としてその審議に当たったのですが、その当時は、とてもいまのような暴落事態ではなくして糖価が百七十円も百八十円もしておるときであって、著しく糖価が低落する場合などということは、政府も、そう先生方心配なさらなくてもよろしいという考え方になっておった。しかし、経済事情というものはそう簡単にいかぬのではないかというので審議を進めて、そして昭和三十九年に法実施にこぎつけたわけです。しかも、大幅に修正をし、野党、与党の一致した意見に基づいて再生産確保することを旨として政府の買い上げ対価をきめ、また自給度向上の条項を法の第一条に新しく修正挿入いたしまして、国内の甘味資源法としての沖繩を含む体系を整備したではありませんか。それが、現実において糖価が暴落し、この法律の適用上最も条件が合致したような事態が来ておるのに、政府がその発動を渋る。しかも三十四年に策定した増産目的に協力をした沖繩島民や南西諸島人々に苦しみを与えるような法の運営でよろしいのでありますか。これは農林大臣にしかと御勘案を願いたいと思います。こういう法運営や行政のあり方で、一体甘味資源の国内自給というものが成り立ちますか。成り立たぬなら成り立たぬで、はっきりこの三十四年策定のものはもう消えた、新しく糖価事情も変わったし、需要状況も変わってきまして、消費総需要量も百五十四万トンは現に百七十五万トンになり、やがて二百万トンにも達しようとしておる情勢であるから、これを機会に糖業二法とうらはらの甘味の自給の体制と一体的に進むなら進むだと御言明願いたい。少なくとも政府が三十四年に策定をし、四十三年まで長期計画を立て、イタリアにまで二回も調査団派遣して、大がかりで宣伝普及をした。そしてその一番成果のあがった南西諸島沖繩現実に苦しめるような結果になることは、法の目的にもかなわないし、法運用上がらも納得できません。この点、農林大臣の御勇断を私はこの機会に求めたいと思います。総務長官総務長官のいろいろな御意見がございました。しかし、問題は日本国民沖繩県民の大多数を占める基幹産業に従事しておる糖業者、キビ作農民の死活の問題でありますから、この際はっきりとした政治的な判断をも加味するという、いま長官お話しでありました。それと同時に、この法の適用もあやまちなくやってもらいたいと思いますが、この点しかとした御答弁を願いたいと思います。
  18. 臼井莊一

    臼井政府委員 足鹿先生のおことばでございますが、私のほうでも、政府としても、この法の適用を誤っておるとは考えておらないわけでございまして、この沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法によりまして、沖繩のほうも――内地がやはり買い上げをした。そこで内地とバランスのとれた、内地と同様な考え方また計算に基づいてこれを買い上げるべきだという結論に達しまして、たしか二月でありましたか、内地より少しおくれたのでありますが、これをいま申し上げたように当時が二十一万七千トンの産出高である、こういう琉政との話し合いで、大体それくらいの産額であろう。もとよりこれは工場へ搬入してからでないと、推定でありますから正確にはなかなかわからぬそうですか、しかし、増産になりましたことは、先ほども申し上げましたように、まことにけっこうなわけなのでありまして、これは非に常けっこうなことでありますが、逆にいまお話しのように、当時の国際市価から見てもえらく下がってしまった、しかも生産がふえているから、それに対しての買い増しをぜひしてもらいたい。あちらの現地としては、できれば値段もこれで十分満足だとはあるいはお考えになっていないかもしれませんが、しかし、いま申し上げたように、内地との比例の計算において、当時きめた場合においても、大体これで至当だろうという政府考えで決定をいたしたわけでございます。したがいまして、この特別措置法ができておりましたからこそ、そういう買い上げも急速に、内地よりちょっとおくれましたけれども、できたわけであります。しかし、そのままで政府がよろしいというふうに考えているわけではありません。そこで国際的な市価もえらく下がっちゃった、また増産もあったそうだ、だから、現地をひとつ見た上で政府としてもこれに対して対処をしなければならぬという考えで、私もしろうとですから、私ばかり行ってもあれですから、農林省のほうからも係官に行ってもらって、最後には大蔵省のほうの金の問題ですから、大蔵省からもひとつ実際に現地を見てもらう、こういうことで行ってまいりました。この間、私どもは日がないから本島だけでしたが、先高のほうも見てもらいたいということで見てまいりました、さっきおことばにありましたように、当時は、実際に久米島とか伊江島とか、そういう三つばかりの離島の工場は閉鎖するよりしようがないだろうというような話もあったのですが、これはその割り当てを六割のうちでも、そういう難局に対しては八〇%とか、場合によってはそれ以上の割り当て率をして、そして大きな工場で経済力に耐える工場に対しては、買い上げの割り当てが三割とかいうように向こうでバランスを考えて割り当てをした、こういうわけでございますから、どの工場でもみな六割に買い上げ率を決定した、こういうことではなくて、現地でそういうことはいろいろ勘案して、沖繩のようにやはり弱い工場がある離島などについては、それは平均の六割であるからということで――しかし、これが今日においては適当であるとは必ずしも言えないという向きがあるので、これは至急結論を得て対処したい、こういう考えでおります。
  19. 足鹿覺

    足鹿委員 政府内部の結論を得る時期、それから琉政と協議をしてその結論を得る見通し、そういったようなことは、どのような目標で作業を進めておいでになりますか。これは事務的なようでありますが、少し手おくれておりますので、急いでやっていただきたいと思います。私は、その内容についても先ほど来申し上げたとおりでありますが、事務的な面から御答弁願いたい。いつごろになりますか。
  20. 臼井莊一

    臼井政府委員 私のほうではできるだけすみやかにということで検討さしておりますので、現在の段階では極力急いでということを申し上げるより、いつまでということにはちょっとまいらぬと思います。
  21. 足鹿覺

    足鹿委員 もうすでに昭和三十九年度は過ぎたわけですね、したがって、第二次補正の時期はもうありませんね。したがって、現在の買い上げは代行買い上げ制度によってやっておられるわけです。予算措置がないわけですから。ですから、いわゆる四十年度の予算で足りなければ補正を行なう、そして現地の声を聞く、こういう一般的な方針のもとに対処される用意がありますか。
  22. 臼井莊一

    臼井政府委員 大体四十年度の予算のほうに、買い上げはたしか予備費か何かに組んであるはずでございます。大体三十九年度の点につきましては、特に沖繩のことにつきましては、かりに増量買い上げするとしてもそれで足りる、こう考えております。
  23. 足鹿覺

    足鹿委員 食糧庁長官から少し答弁を願います。
  24. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 事務的なことですから、私から御答弁申し上げます。  先生御承知のように、また先ほど総務長官からお話がありましたように、沖繩産糖におきましては、当初予算当時におきまして、琉球政府からの生産見込みが約二十一万六千トン、こういう生産の見込みの報告を受けたわけでございます。そこでそれから直消糖を除きまして、政府の買い入れ見込み量としまして約六割に相当する十万三千トンを買い上げしよう、それから買い上げする事態に備えて予備費を計上しようということで、四十年度に予備費として約二百億砂糖類勘定に計上しておるわけでございます。その十万三千トンのうち、五万七千トン分が三月までに出てくるであろう。予算編成当時におきましては、沖繩のコスト価格と市価の状況を比べてみますと、必ずしも絶対的に買うというふうな事情になかったわけで、その後において糖価が低落するという事態になったものですから、そこで三十九年度につきましては、いまお話しにもありましたように、予備費で余りました七千トン分は買い上げ、残り五万トンは仮払いという形で業者に委託させまして、代行の措置をとったわけでございます。これを、四月になりましたから予算も成立いたしましたので、予備費の中から早急に政府買い上げに切りかえるという措置をとりたいと思っております。それから十万三千トンと五万七千トンのまだ残りの分がございます。これについても買い上げの措置をとる必要があろう、こう考えておるわけでございます。いま論点になっておりますのは、要するに当初十万三千トンという計画で出発いたしました計画が、二十一万六千トンという琉球政府生産見込み数量に基づいて計画を立てたわけでございます。ところが、その後におきまして生産量が二十四万九千トンにふえた。同時にまた、糖価が非常に低落した。そこで増量分についてのその後の状態を勘案して、買い上げ量の増加をしてもらいたい、こういうふうなことだろうと思うわけでございます。実はこの問題は琉球ばかりでございませんで、南西諸島におきましても、当初予算当時におきましては約六万トンの生産と見込んでおりましたが、それが八万二千トンぐらいに生産がふえてまいりまして、これらの問題も同じような問題があるわけでございます。そこで増加数量につきまして、さらに十万三千トンのワクを拡大して追加買い上げの措置を講ずる必要があろうということで、先ほど来から総務長官が申し上げられているように、これの追加買い上げの増ワクにつきまして、いま大蔵省と協議をいたしておるわけでございます。さしあたりは、まだまだ十万三千トンの残りがありますから、それの買い上げを進ある。これは一時にどんどん来ておるわけではありませんで、逐次内地に出荷されるということにたるわけでございますから、順を追って残りのものもやる。さらにまた生産量の増加分に見合うものについての追加買い上げをどの程度にするか、これもきめなければいけないということで、いま両方あわせまして大蔵当局と協議をいたしております。こういう段階でございます。できるだけ早くやりたい、こう思っております。
  25. 足鹿覺

    足鹿委員 やや内容が具体的にわかってきましたが、そうしますと、大島等の南西諸島のものについても、予定数量を上回ったから、情勢が変わったから、追加買い上げをやらねばならぬ。沖繩はもちろんである。その目標は大蔵省当局と打ち合わせをしておるところであるという御答弁と承っていいですね。  そこで、これは事務的な問題でなくして、農林大臣お聞きのような情勢のようですが、沖繩がキロ当たり八十円、大島が九十円、北海道が百十円、これにはいろいろな等差をつけられた理屈はあろうと思います。しかし、実際において南西諸島砂糖の本場は沖繩なんですね、量から見ても、質から見ても。ですから、今度法律を出して、あなた方が原原種圃をつくって、優良種苗、矮化病に抵抗力のある品種の育成頒布をするのだということをおやりになっております。その対象には沖繩も含まれておると思います。また含むべきだと思うのですが、そういう意味から、もっと一体的にものを考えることはできぬですか。何か沖繩産糖の買い上げ特別措置法というものもあるし、甘味資源の本法もあるわけですから、あわせていけば、これは施設権の問題とは別に、沖繩産糖によって直接に法が発動しているわけでありますから、もっと本土と同じ一体の国民として取り扱っていくことはできないはずはないと私は思うのですが、その点いかがですか、
  26. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 対価の問題が出ましたので、多少事務的になりますが、御答弁いたしたいと思います。  奄美大島の甘蔗の取り扱いと沖繩における甘蔗の取り扱いは、われわれとしては全く同一の水準で、同一の考え方に基づいて扱いたい、こういう考え方を持っております。実は甘蔗糖の買い上げ価格につきましては、農民に対する支払い価格はトン五千七百五十円ということできめたわけでございます、沖繩と奄美大島と比べますならば、反収は沖繩のほうが高いし、またブリックスも高い。そういう意味から見ると、甘蔗糖農家にとっては、むしろ沖繩のほうが生産条件がいい。しかし、これは奄美と沖繩と同一な考え方で農家生産を保障すべきである、こういう考え方で、原料価格については、琉球も奄美大島も全く同じ価格ベースにおいて計算いたしたものでございます。したがって、農民の手取りについては私は同じだと思います。違う点は、御承知のように、奄美大島は平均規模が一日約四百トン、年間の処理量が約四万トン、琉球におきましては、平均規模が一日千二百トン、年間の処理量が十四万トン、今後増産されましたらおそらく十五万トン近いものになるのではないかと思います。そこで足鹿光出御承知のように、精糖施設の操業度の規模がどのように違うかによって、うんと限定費が違ってくるわけです。比例費も違っております。そこで農民に対する原料の支払い価格は、琉球も西南諸島も大体同じ水準でありますが、精糖企業におけるコストはうんと違うわけです。そこで原料について計算いたしますと、製造企業の段階における企業の規模が違うという大きな理由と、それからいま一つ、先ほどちょっと申し上げましたが、奄美の場合は歩どまりが大体一一から一一・五なんです。琉球になりますと一二以上になります。そういうことで企業の段階における製造経費というものにうんと格差がついてくる。そこで原料が同じでありましても、製品の段階になりますと、九十三円と八十円ということになるわけであります。この点は琉球政府とも相談して、事務的には納得を得ておるものでございます。初めから格差を設けてやったわけではございませんので、その点については全く同一の考え方をとっておる。沖繩農民の側から見れば、むしろ同一であれば有利である、こう私は思っております。
  27. 足鹿覺

    足鹿委員 この点は、全く私どもの考え方といまの長官考え方と違うのです。先ほども言いましたように、ブリックスが高ければ農民の手取りが漸次低くなるというような現在の考え方は、間違いだと思うのです。それから総合対策に協力をして増産をしておるのでありますから、買い上げ量を渋る理由は一つもない。政府が予算的措置を誤っておった、あるいはその運営上よろしきを得なかったということは言えても、農民には罪はありませんよ、糖業者には私は罪はないと思う。ですから、これはすみやかに一体的な立場から――買い上げ率においても、買い上げ価格においても差別はしておらぬ、生産費の面では五千七百五十円で奄美大島も沖繩も一緒だから、農民を差別してはおらぬ、国民を差別してはおらぬとおっしゃいますが、事実上においては企業規模が違う。沖繩規模の小さい企業が多くてコストが高くなるから、それだけ農民にしわが寄るのだということになるのです。ですから、キビのトン当たり生産費が一千七百五十円だから同等だとおっしゃいますけれども、いわゆるメーカーの規模が奄美は大きくて沖繩は小さい。(「それは逆だ」と呼ぶ者あり)うそですよ。沖繩にはいろいろなのがあるのです。だから、規模の大きいものはたくさんもうける。そして近代設備のないところの農民が出したものが損をするということでは、私は困ると思うのです。ですから、そういうところに、いまの長官答弁をされたところで私は納得がいかないわけなんです。ですから、実質的に買い上げ数量の追加の点についても、対価についても、再検討をして早急に対処されることを私はこの質問の主たる中心に置いておるわけでありまして、そういったいままでの答弁の集約として農林大臣に伺いたい。  いわゆる国際糖価を現在じかに受けるようないまの糖業政策糖価政策というものは、私はきわめてまずいと思うのです。政府が今度砂糖法案を検討しておるということを伝え聞いておりますが、国会に出されるかどうか知りませんが、おそらく標準糖価の問題は大きな問題になろうと思う。その思想は、結局百三十円でいくか、百五十円でいくか、消費者には三百円近いものはなめさせない、生産者もまたべらぼうに高きを求めない、お互いに生産者も消費者も大体納得のいく線というものは、百三十円から百五十円の間だろうと私は思う。政府は百十円から百十五円くらいだという考え方のように先ほど臼井さんはおっしゃいました、現在の考え方が。しかし、実際において、いまの買い上げ価格の問題にいたしましても、いわゆる標準糖価の問題について、二法制定のときに論議が足らなかった、政府も検討が足らなかった、そこに私は問題があると思うのです。これが関税と消費税制度をなくして、全面的な国家管理ならうまくいくのです。うまくいくのですが、なかなかそうはいかない。そこに問題があると思うのです。ですから、今後も糖価政策の立て方について、農林大臣砂糖政策砂糖事業団に求められておるようであります。私どもはその必要は認めないと思います。現在末端にまで機構を持つ食糧庁がじかにやって私は差しつかえないと思うのでありますけれども、それはそれとしまして、問題はいわゆる外糖相場をじかに影響を受けない国内における標準糖価というものをどこに置いて、今後砂糖政策を進めていくのか、これがいわゆる沖繩南西諸島、北海道内地のてん菜糖の国内甘味資源の自給政策との関連においても重要であり、また当面しておる沖繩及び南西諸島のキビ問題にもつながる問題だと思います。論議の集約として、ひとつ農林大臣のこの際御所見を、ありましたならば承りたいと思いますが、いかがですか。
  28. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話を聞いておりましたから、その方面から一応私の意見を申し述べたいと思います。  沖繩産糖の価格を訂正するかどうか、こういうことでございます。これは食糧庁長官あるいは総務長官からもお話しがありましたように、南西諸島を区別しているわけではございませんし、また沖繩農民を痛めつけるというようなことではございません。むしろ農民を主として、精糖業者を主としたものではございませんことは、御承知のとおりであります。でありますから、精糖の価格が下がったということは、逆にいえば痛めつけているよりも、この法律があったために農民をカバーしているという結果にもなろうと思います。南西諸島と粗糖の基準価格は同じで、それに生産事情とか精糖事情とか、その他経済事情もしんしゃくして定めたのでございまして、この価格は、私は変更しないのでこのままで適正だ、こういうふうに考えております。  それから、量はどうするかということでございますが、これは初めの予定より相当生産量がふえたわけでございますので、これは目下至急検討して、買い上げ量は増すということで検討を進めておる、こういうことでございます。しからばこういうものを含めて、全体としての糖価の安定、消費者に対しましても、生産者に対しても、糖価を安定する法案をいま検討いたしておりますが、その基準の価格をどの程度にするかということでございます。時価に左右されないような一つの対策を講じていかなければならぬと思いますので、せっかく各方面の御意見等も聞きまして、またいまのお話しの御意見等もしんしゃくして検討を進めていきたい、かように思っております。
  29. 足鹿覺

    足鹿委員 私の見たところでは、政府案でいままでどおりで価格が改定されないということになりますと、大体従来のもの、従来の価格よりもキビ一トン当たり十ドルくらい下がると思う。これは現地農民の集約した意見です、もっと強い意見は、十五ドルくらい下がるだろうという意見もございました。そのいずれをとるかということは別としまして、沖繩全体で百七十万トンのキビの生廃が大体予想される。そうすると、大体千七百万ドル、五十五億八千万円くらいの、農民の損失を受ける額がその程度になるのではないかと思われます、そういった点も十分考えられて、この価格の問題について、くどいようでありますけれども、再考を求めておきたいと思います。その買い上げ追加最についても、私は先ほどの話のように、臼井長官にも申し上げておきますが、昭和三十四年に策定された甘味資源自給力総合対策というものがあるのです。これによってきちんと大体沖繩は順調に増産されておるわけですから、その政府施策に協力した現時点で国際糖価の下落という事態にぶつかって困難をきわめているわけでありますから、この際は少なくともこの策定された案が生きておるという見地から考えましても、砂糖二法の立場からも、価格については十分検討をされて御存処を願いたいということを申し上げておきます。  それから、甘味資源に関係しましていま一点だけ申し上げておきますが、やはり自給力総合対策の中にブドウ糖の問題が三十九年には九万八千トン、四十三年には十五万トンの増量が見込まれておりますが、ところが最近の状態は、非常にでん粉問題がむずかしい状態になっておるところに持ってきて、コーンスターチの輸入の問題がさらに起きておる。別にまた少量のコーンスターチの輸入の問題は別途にございますが、現に関税定率法で、第一次定率を一〇%として、十八万トンの輸入が見込まれておるそうであります。一方においては砂糖問題がにっちもさっちもならぬ状態になっており、また同時に政府が自給力総合対策一環としてブドウ糖の増産と見込んでおきながら、これと競合するコーンスターチの輸入を、関税定率法によって十八万トンを考えるとはいうものの、行なっておる。一体政府の甘味資源の自給総合対策というものは何をやろうとしておるのか、私どもにはわかりません。国内でほんとうに七キロないし十キロは、最悪の場合に国内産糖で間に合わせる。あの戦争中にイモ飴をなめたような苦しい目にあわさないというための考え方であったと思うが、一方にいわゆる北海道、内地のてん菜糖、南西諸島沖繩の甘蔗糖、カンショ、バレイショを原料にするでん粉及びブドウ糖の問題、この三本の総合的な甘味資源対策というものが、私はめちゃめちゃになっておると思います。少なくともこの際に再検討をされなければならぬと思いますが、コーンスターチの生産規制は、第一次税率を一〇%に押え、第二次からは二五%にするということを聞いておりますが、そういうことは別として、現実事情がきわめて困難な実情でありますので、生産調整の措置を一方においてとりながら、この三本の柱の国内における健全な育成対策を講ずる御用意がありますかどうか。これは農林省から御答弁をわずらわしておきたいと思います。
  30. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 お話しのように、甘味資源につきましては、現在国内のビート、甘蔗糖のほかに、いま一つの資源としましてはブドウ糖があるわけでございます。ブドウ糖の原料としてはでん粉があるわけでございますが、このでん粉につきましては、直接的なでん粉の輸入については規制いたしておりますけれども、実はコーンが自由化されております関係上、コーンを原料とするコーンスターチが、最近におきましては非常に生産の伸びを示してまいりまして、その結果、でん粉の用途まで実はコーンスターチの販売先、市場が拡大してきて、でん粉全体の需給関係に非常な過当競争の状態が出てきたということでございます。  そこで、これらに対しまして、いまお話しになりましたように、コーンスターチについての規制を行なうという意味関税定率法の改正を見たわけでございます。これによりまして、でん粉関係の需給調整というものがある程度軌道に乗る、あるいは土俵ができたというふうに考えておりますのでこの面におきまして、今後におけるブドウ糖なりあるいはでん粉の生産の安定をはかることができるのではないか、こういうふうに考えております。  それから甘蔗糖、ビートにつきましては、御承知のように、甘味資源特別措置法がございまして、これに基づきまして一応の長期の方針を立て、それに従って年々の生産計画を立てることになっておりますので、甘味資源全体の方向といたしましては、一応いまの体制は整っておる、また方向も明らかになっておる、こう考えております。
  31. 足鹿覺

    足鹿委員 長官の御答弁では、対策は整っておるということですけれども、私の指摘しておるのは、具体的なことには時間がありませんからあまり触れたくなかったのでありますが、カンでんの市価にしましても、鹿児島におきまして千五百三十円、政府価格は千六百八十円であります。こういうふうに非常に問題があるのです。ですから、政府の早期買い上げとでん粉市況の立て直しをはかっていくということは、即カンショ作の安定につながる問題であります。もしそれをゆるがせにいたしますと、南西諸島及び九州その他におけるカンショ作にこれはまたじかに響いてくるという点から、私はこの問題を提起しておるのでありまして、もっと甘味資源の自給力総合対策というものを――国際糖価がこういう情勢にあり、五百万トンから七百万トンにまで供給水準が上がろうという状態であります。ヨーロッパにおいてはイタリアをはじめドイツ、ソビエトにおいても自給して余裕があるという状態で、うまくいってないのは日本だけでございます。ですから、そういう点は十分検討されて、ただ単に糖価政策のみならず、国内自給力の強化という見地から、今後対策を確立されんことを強く要請しておきます。  最後に、沖繩パイン産業振興と当面の問題について一点お尋ねを申し上げて、私の質問を終わりたいと思いますが、これは農林当局と通産当局並びに総務長官から、それぞれの立場で御答弁願いたいと思います。  沖繩で第二次産業が発達するといたしますならば、糖業に続いてパインかん詰め工業であろうと思います。現在小さな工場が相当乱立しておるようでありますが、技術の改良等によりまして品質もよくなり、日本本土輸入されておるのでありますが、これには二つの系統があると聞いております。日本パインかんの輸入協会、これは主としてグローバルのものを取り扱っておる。それから琉球輸入協会、これは沖繩産一本でやっておるということを聞いております。そこで、沖繩では最近の砂糖の暴落によるキビ作の困難性から、現地へ行ってみまして一目にしてわかることは、いままでパイン適地だと思われるところまでキビが進出しておった。そういうところはおそらく今後パインに復帰するであろう、あるいはパインが新植されるであろうと思われるのであります。特に北部の強度の酸性土壌地帯に向いておるというような点から、技術の改良とまたキビ作の現況からして、パインが増産必至の実情にあるように見受けました。統計によりますと、パイン生産は一九六〇年から二カ年間に二二%も増産をしておる。現在本土へのパイかんの輸入は、沖繩産は大体百万ケースまでは割り当てを保証されておる。ところが現地ではすでに百十五万ケース、続いて百五十万ケースにも及ぼうとしておる。そうして戦後入ったこのパイン作は、沖繩の北部を中心とし、あるいは離島を中心として、農家とは切り離すことのできない、台風に対する抵抗力のある農作物として歓迎されております。そこで現地の声は、増産を見込んで百五十万ケースぐらいは、まず日本本土の優先消費を割り当てもらいたい、そういう方針でやってもらいたいという強い要望がございます。実際においてグローバルのものと琉球産のものとは、若干品質に差があるというようなことを言う人もありますが、私の見たところでは、別にそう大きな品質の差は、試食等をしてみましても、ないように見受けます。いずれにしましても、沖繩日本の領土であり、同じ同胞であります以上は、通産省は国産品愛用運動を起こしておられますが、国産品愛用の見地からも、沖繩産パイン、それを原料とするパイかんの日本における完全消化をはかり、パイン生産農家及びパイン産業の経営安定につとめるべきであろうと思います、そういう国産品愛用の見地から、これを保護育成するために、グローバルのものについては五五%の関税が、昭和三十七年ですか、関税定率法によってかけられるようになり、沖繩産については免税措置がとられておる。これも砂糖と同じ条件において成り立っておる産業だと思います。そこで、沖繩立法院が三月二十三日に沖繩産パイン産業保護育成に関する要請決議を採択しておりますが、それに基づく陳情書等も送達してきておりますが、少なくとも百十万ケース、将来百五十万ケースを目途として消化対策を確立してまいりたい、また、自由化をせぬ保障のために、五五%の関税率の延長をこの際明確にしてもらいたい。また第四点は、沖繩産パインの優先的取り扱い、その完全消化のための措置、つまりグローバルの増ワクについては、沖繩側に事前協議制をしいてもらいたい、こういう現地の声が強いようであります、私は、戦後入ったこの沖繩パイン産業というものが、伸びるも伸びないも、いま言ったような問題を具体的に着実に実施するかしないかによる、それによってこの産業は成長、またはキビと同じような状態になりかねないと思います。もし、パインが自由化されました場合におきましては、とても台湾産や他国のものとは競争はできません。いまの状況ではできません。今後時間をかけ、資本を投じ、近代化を通じて競争力を高めていくことは可能でありましょうが、これには相当の年月を要すると思います。そのためにも、保護育成が国産品を伸ばすという意味から私は必要であろうと思うのでありますが、現に四十二万ケースの滞貨がある。これは今後どう処理するかということについては、すでに処理方式も検討されておると聞いておりますが、今後滞貨の出ないようにするためには、やはりグローバルを優先しないで、沖繩産をまず生産見込み数量に応じた消化対策というものを考え、そしてその残余をグローバルによってまかなうという基本方針が、私は必要だろうと思います。自由化の問題、具体的には関税の問題等、滞貨を出さないための優先消化対策の、問題また滞貨した場合の何らかのその救済措置の問題等について、通産当局からまず具体的にひとつ対策をお聞かせを願いたいと思います。
  32. 今村曻

    ○今村(曻)政府委員 沖繩パインかん詰めは、砂糖と並びまして沖繩の産出する二大商品でございまして、しかもそのほとんど全部が日本本土で消費されるという関係になっておりますので、特にそういう点を頭に置きまして、沖繩の産出するパインかん詰めの全部を引き取るということが可能になるような状況を目標にいたしまして、ただいままでやってまいっておるわけでございます。御承知のように、沖繩パインかん詰めは、南西諸島物資という名前のもとにすでに自動承認によって輸入されておりますが、これに対しまして、グローバルのものは御承知のとおりまだ数量割り当てでございます。沖繩産のものは、相当品質が最近改良されてまいったように見受けられますけれども、まだ価格等の面におきまして相当な格差がございますので、いまこれを自由化いたしますと、非常な打撃を与えるということが必至でございますから、そういう点を考えまして、私どもは当面もう少し品質の改良、改善をお願い申し上げるかたわら、自由化につきましては、当面のところその計画は全く持っておりません。  それから関税につきましては、四十一年度におきましても、従来の暫定税率五五%がそのまま延長されまして実施されることになっております。  最後に、輸入割り当ての問題でございますが、昨年、昭和三十九年度はオリンピック等の関係もございまして、若干割り当てがふえております。しかしながら、私どもといたしましては、グローバルを優先するというようなことでは全然なく、先ほど申し上げましたように、沖繩産の引き取りということをむしろ本旨として、それを優先して考えたいというふうに存じておりますので、四十年度の輸入割り当てにつきましては、ただいま農林省とも相談いたしまして、沖繩の在庫状況その他を勘案いたしまして、割り当ての数量ないしは割り当ての時期等につきまして、慎重に対処いたしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  33. 河本敏夫

    河本委員長 足鹿君に申し上げますが、時間もだいぶ経過しておりますので、結論をお急ぎ願います。
  34. 足鹿覺

    足鹿委員 結論として申し上げて私の質問をこれで終わりたいと思いますが、ただいまパイン産業振興対策について通産当局からも御答弁がありました。滞貨の実情について申しましても、製造高が六四年から六五年に九十一万一千四百八十八ケース、輸出高が五十五万四千三百七十ケースということになっております。その後一月から三月の製造が四万七千ケースということになりますと、実質的に差し引きして四十二万ケースくらいは滞貨をしておる。こういう実情、これをまたむやみに処理をいたしますと、市況に影響をする、こういうことで戦後ようやくにして目立ってきたこのパイン産業というものを、ほんとうに通産、農林、総理府が一体となって、砂糖が今日のような現状であります以上は、さらにこれが生産が増大され、そして日本への輸出のワクが拡大されることが必至という、こういう見込みの上に立っても、十分対処されんことを強く要望いたしておきたいと思います。  要するに、沖繩の今後における農業問題については、畜産振興につきましても、カンショ作との関係においてもっと考えていかなければならぬ。また、最近の沖繩本島及び離島の農業労働力が、婦人と老人に依存しておるという傾向から見ましても、本土と同様青壮年の出かせぎが激増しておる実情からも、現状に即した施策がすみやかにとられなければならぬと思うのであります。そのためには、いわゆる南西諸島における営農類型の策定ということを中心に、沖繩農民南西諸島農民によるべき明確な指導の指針を与える。その裏づけとなる技術的な指導にも当たる。現在模範農場のごときものもありまして成果をあげておりますが、行ってみて驚いたことは、たった五人です。一体こういうことではたして今後の沖繩農業振興ができるかどうか。今度の原種圃にいたしましてもわずか五人、その規模たるや、南西諸島における今後の農業振興の一つの拠点にはなると思いますが、総合的な農業技術研究機関としては、私は体をなしておらぬと思います。少なくとも権威ある農業研究指導機関をつくり、また九州農政局が所管をしておる南西諸島は、本土とは著しく条件を異にしておりますので、沖繩農政局あるいは南西諸島農政局といったような、ほんとうに農政局を必要とされるならば、本土と著しく海を隔てて遠隔の地にあるこれらの特殊な営農類型を持つ諸島に対して、指導力を発揮する強力な機関の設定が必要であろうと思います。憲法はもちろん、本上法律の適用もなく、農地法もなく、農耕地やその他がどんどん外国資本やその他に買収をされておる実情を見てきました。農地法の制定も必要でありましょう。台風の常襲地帯であるにもかかわらず、天災融資法もありません。災害対策要綱なるものがあっても、年間わずか三万ドルの救助費用が計上されておるにすぎません。社会保障も不徹底である。本土といずれの面を比べても劣っておるのでありまして、これこそ憲法はじめ各種の本土法律を完全に適用されることが急務であると考えます。そのためには、祖国復帰という沖繩人々の切実な悲願を実らせなければならない。特に政府は、北海道開発に見るごとく、特別の立法措置等を検討されまして、みずから開発の任に乗り出していく、こういう構想を、協議委員会の内容とは別個に、あるいはその拡大等と関連を持たせながら、必要な立法、予算の裏づけを行なう必要があろうと思います。かくして沖繩経済開発農業振興が行なわれることにおいて、基地がなくなったならば沖繩経済的に成り立たないという基地依存の経済から脱却し、沖繩を自力で平和的に発展せしめることは、私は決して不可能でないと考えた次第であります。私どもが真摯、率直に沖繩現地を見、現地の住民の悲痛な声を聞いてきましたことを、この国会を通じて政府に直言を申し上げ、十分今後政府が最善の措置を、根本的に、当面の問題すべてについてとられることを強く要求をいたしまして、時間もありませんので、私の質疑をこれで終わることといたします。たいへん失礼いたしました。
  35. 河本敏夫

    河本委員長 稻村隆一君。
  36. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 日本農業の進歩発展に対応して、農林宙の機構もだんだん完備して、そのためにわが国の農業は、農業技術も世界的な最高水準に達したと思うのです。従来の農林省の行政が、その意味でわが国の農業に非常に大きな貢献をした、こういうことは、これは賛辞を呈してもいいと思うのです。しかし、一面において、この高い技術的水準も、必ずしも農業生産力の発展農民生活の向上になっておらない。もっと極言すれば、役所のための農政になっておる。それだから、農民農業に熱意を失ってどんどん離農している状態であります。この意味で、私はいま政府農政は一つの壁にぶつかっておる、一大転換期に立っておると思います。こういう観点におきまして、私は、いまの農林行政に対し、疑問の点を数点農林大臣にお尋ねしたい、こう思っております、たとえば今度御提案になった設置法の中で、農林研修所についても私は賛成です。いまの機構では、こういう統括機関が必要だと思うのです。しかし、賛成しながら幾多の疑問が浮かんでくるわけです、それをいろいろ詳しくお尋ねをしたいのですけれども、時間がありませんし、きょう設置法がしがるということでありますし、私のほかにまだ質問される方もあるので、私は簡単に申し上げたいと思います。たとえばいろんな研修がありますが、このいろんな研修を項目別に分類すると、約六十種くらいになる。それから施設費、運営費、旅費、管理費、補助金等で八億くらいになっておる。これはむろんこういうふうにこまかく分けたということは、相当の理由があると思います。しかし、私は、やはりこういうものは統合しても差しつかえないのじゃないか。われわれしろうとの目から見ますと、たとえば農業協同組合検査職員研修、農業協同組合講習所専任教師研修、こういうふうな同じようなものがある。それからたくさんありますけれども、たとえば産業改良指導員経営研修、産業改良指導員新任者研修、産業改良指導員新技術研究、それから産業改良普及職員研修、園芸試験場養成研修、園芸試験場技術者研修、農業土木者研修、建設機械技術者研修、こういうふうに同じような名前で分かれております。私はしろうとですが、これを分けるのには十分な理由があると思います。しかし、こういうものは整理統合できないのですか。これはみんな補助金からこういうことをやっておるのですから、私はあと農林省の予算に触れますが、いま行政機構の改革がいわれておるときに、これの整理統合ができないのか、この点を私はお尋ねしたいのです。
  37. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 行政機構の問題でございますので、官房長から御答弁申し上げたいと思いますが、いましろうとということをおっしゃいましたけれども、稻村さんは、こういう問題につきましては深い知識、経験をお持ちでございます。私どもも、こういう研修機関などが非常に多いことや何かについて疑問といいますか、そういう点は感じておるわけでございます。ただ、いろいろ調べてみますと、多岐にわたっておるとか、専門化しておるとか、特殊の施設とか補助があるとか、農林省の者に聞きますと、いろいろな理由づけをしております。しかし、全体を一本化するということ、画一的に統合するということは、いまの事情ではむずかしいと思います。何といたしましても、いろいろ専門化しており、あるいは補助金等も設けておるところもありますが、しかし、できるだけ同じような研修をやっておるものは、同じところでといいますか、統合整理していくといいますか、そういうことは必要だと思います。それぞれの立場がありますので、よく検討いたした上でないと簡単には手をつけかねるわけでありますが、ただ一つにするということはできないと思います。しかし、これを整理統合するといいますか、ある程度整理していくことは可能であり、また必要ではないか、こういうふうに考えております。
  38. 中西一郎

    ○中西政府委員 先ほど御例示の各種研修についての御指摘がございました。大体県庁の職員あるいは協同組合の職員に対する技術あるいは専門的知識の研修を内容とするものが多うございます。今回の農林省の研修所といいますのは、これは農林省の内部職員の研修でございます。大きく分けますと、そのように部外の人のための研修、部内の人のための研修というように分けられます。特に大臣からお話がございましたが、部外の人のための研修、これは各県、各地方、それぞれその特殊性に応じてやっております。これを統合するのは技術的にも非常にむずかしい点があろうかと思いますが、しかし、補助金統合問題も、御指摘のようにございます。そういう意味も含めて、大きな課題と思います。農林省の省内の研修のほう、これは逐次統合の線に沿いまして整理を進めてまいりたい、かように考えております。
  39. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 これは一つの事実を申し上げたのですが、そのほかにもいろいろ農林省には外郭団体のような、私どもとしては必要でないと思うようなものが、たんさんだんだん出てくるのですね。この点も私は申し上げたいのですが、日本の農林予算を見ますと、たとえば今年度の予算でありますが、三千三百億のうち、補助金が千五百八十七億、食管会計が千九十六億。これはむろん補助金を全部廃せというのじゃないのですが、補助金も必要ですけれども、私はいろいろなヨーロッパの農業を二度見たこともあり、研究しにわざわざ行ったこともあります。それからソ連や東欧の農業を見たことがありますが、いろいろ先進諸国や、あるいは共産圏は、むしろ日本より農業では後進国になっておりますが、そういうものを見て、いろいろ欠点や長所を見たのですが、補助金制度というものをなるべく漸次転換をして、長期低利の金融制度に日本農政を変えていかなければならぬと思うのです。これはだんだん実例をあげまして私が申し上げますが、その点大臣はどうお考えになるでしょうか。
  40. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は、この農政といいますか、農業者の立場が、他の産業と比較いたしまして非常に格差がある。これはもう経済的、自然的状況でやむを得ない面が相当ございます。でございますから、根本といたしましては、保護政策というものを取り除くことはできない、こう考えております。しかし、保護政策というもので政府が負担するという関係のものを私は考えておりますが、そうではなくて、何か仕事をして、それに対して補助金を出す、こういうことは、だんだん整理していかなくちゃならぬと私考えておるのです。ことに、零細であるような補助金などは、末端へいきますれば補助金の効果を達成しておりませんし、それからほんとうに農業者が自分からやっていこうということでなければ、ほんとうはいけない。金をもらうからやるんだ、こういう考え方ではなくて、やっぱり自分で自分の資金か何かでやっていくんだ、資金が足らなければ融資を受けてやっていくんだ、こういう体制に切りかえたほうがいい、私はそういうふうに考えております。そういう意味におきまして、零細な補助金とか、あるいは補助の目的を達したものとか、極力整理をしていく。それでなくても、補助を金融に切りかえていく。そうして自分で借りた金は自分の金ですから、この金で自分の農業を進めていこう。しかし、金利が高かったりあるいは償還の期限が短くては、とてもやっていけません。そういう意味におきまして、補助をやっぱり金融に切りかえる、その金融も低利長期の金融に切りかえていくのが筋だ、そういう方向に進めておるのでございますが、たとえば補助金を整理したときに、農業改良資金、無利子の改良資金ができましたが、そういう資金に振りかえていったというような例もございますが、逐次そういう方向へ持っていくのが筋だ、私はこう考えております。
  41. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それで、いまのような補助金制度が中心でありますと、私はだんだん――むろんこれは必要でなくていろいろな農林省の外郭団体のようなものができるわけじゃないと思うのです。実は私の親友もずいぶんそうした団体に入っておるから、あまり露骨に言うのはその人にも気の毒なんで言いにくいのですけれども、たとえば農業機械化研究所というのがありますね。一つの例ですが、これもやはり補助金の問題なんですが、農業技研術究所というのがちゃんとあるのですよ、農林省の直属機関として。ここでやれば、どうしてこういうものが必要か。それは必要だからできたのでしょうが、金には限度がありますから、農業機械化研究所、これは私の親友もここの役員をやっておりますから、どうもこれはなかなか言いにくいのですけれども、これは三十七年十月一日に、農事試験場農機具部と振興局農機具検査室とが中心になってできたわけですね。予算措置を見ると、これは出資と補助金と両方になっておるわけです。三十七年度に二千五百万円の運営費の補助金があった。三十八年度が五千八百万円、三十九年度が六千二百万円、それから四十年度が六千二百五十六万円の補助金が出て、出資が大体二億円程度、ずっと三十七年度から四十年度まで出資して、両方出ているわけですね。この事業の内容については、いろいろ聞きたいのですけれども、これはむろん農機具の鑑定機関になっているから、私は農機具の鑑定機関は、これは実際上必要と思います。いまのように農機具をつくるところがたくさんあって、しかもそれがどんどん別なものをつくって、農民が機械貧乏しているわけですから、耕うん機なんというのは、三十万台も入っておるということなんです。しかもこれは、外国ではどこへ行っても、先進国もそうだし、共産国もそうだが、耕うん機のような機械を農民個人に負担させておるところはないですよ。それでこれはどうしてもやはりほんとうにやるなら、農機具サービスセンターを設けなければならぬということだ。そういうところで補助金を使うというのならまだいいと思うのだが、農業機械化、研究所なんかつくってみても、私はたいした――むろんこれは役に立たぬとは言わぬけれども、根本的な農業生産力の発展農民のために貢献していると思わない。しかも技術研究所があるのです。技術研究所があるのに、これをこういうふうに分ける。だから、私はこの点は、もしどうしても農林省技術研究のために必要な人があるならば、顧問でも嘱託でも、高給を払ってもいいから、雇えばいいと思う。これは一つの例ですけれども、補助金制度を無限に拡大していけば、だんだんこういうものが出てきて、そうして同じようなものが出てからに、何だかわけのわからないことになってしまうのですが、この点はどうなんですか。技術研究所があるのだが、それなのにどうしてこういうものをつくらなければならぬか、その理由が私にはのみ込めないのです。その点ひとつお尋ねしたいと思っております。
  42. 昌谷孝

    昌谷政府委員 ただいま例示としてお話のございました農業機械化研究所、これは、御承知のように、在来農事試験場でやっておりました農機具の検査、鑑定の事務、それから農業機械の新しい開発、改良、あるいは機械化農業発展といったようなことの必要が、ちょうど昭和三十七年ごろ非常に強まってまいりました。その際に、特にこういった仕事は国だけで負担をしてやっておるよりも、広く関係業界あるいは農業団体その他政府と民間とが一体となってお互いに出し合ってやっていったほうが、単に国の予算だけで試験場の部門の一環としてやっていくよりも、効果もあがろうし、また御協力も得やすいし、研究のスピードも上がろうではないか、そういう趣旨で特に民間関係機関の御協力を、経済的な御協力も含めまして、仰ぐために、機械の研究の促進という趣旨で産まれたのでございます。  研究の内容としては、それまではもちろん国の試験研究機関が担当しておったことでございますけれども、そういう趣旨で広く民間からの出捐、出資等を得まして、施設の整備、研究の促進、特にそういう点を目ざすところに、特別の政府関係機関としてつくったねらいの趣旨がございます。
  43. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 そういう理由はよくわかます。しかし、いろいろ理由はあるでしょうけれども、これはやはり農林省の直属機関に統一するということは必要じゃないか。それから機械の鑑定などは農協にやらせればできるのですから、農協にやらしたらいいのです。その点はこまかい追及はいたしませんけれども、こういう点もよほど農林大臣考えていただいて、そうでないと、これはもうだんだん機構が複雑になって、屋上屋を架して、実際上いまの農林行政というものは、農民のためには重圧になっちゃっているのです、これは実際大臣も、学校を出られてから、村長をやられたり、農協の組合長をやられた。私も学校を出てずっと農民運動をやってきたものですから、理屈はわかりませんけれども、いまの農林行政というものは、さっき言ったとおり、農業のためには実に偉大な貢献をしているけれども、しかし、これがこのままだんだんふくれ上がると、農民のために重圧となってしまって、これはにっちもさっちも動けない。だから、いまの日本農政は同じところを行ったり来たりして、全く最高の技術を持ちながら、それが実際上農業発展のためになっていない。むしろ阻害しているような場合が往々にしてあるわけです。こういう点は、ひとつ十分農政の衝に当たる人には考えてもらわなければならぬと思うのです。
  44. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 全くお話の点同感でございます。農林行政や機構が足かせ手かせになって、せっかく農民の伸びる気持ち、伸びる仕事を阻害するというようなことはないように、十分注意していきたいと思います。
  45. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 大臣は時間が一時半までだそうですから、私簡単にしますが、農業構造改善事業にいたしましても、これは構想は非常によろしい。構想はいいけれども、それじゃ実現の問題になってくると、これは一つの机上理論、空論に終わってしまって、実際上実現できない。この前の参議院予算委員会における農林大臣の羽生議員に対する御答弁を見ましても、二町五反の農家を再五十万戸、二十年間ですかにつくるという構想は、すでに失敗だ、こう言っている。これは失敗するのはあたりまえなんですよ。実際上実現し得ない。構想というものはいいけれども、具体的な問題というものはさっぱり実行できないようなことに着手して、同じところを行ったり来たりしているというふうな状態なんです。それだから、もしも農業構造改善事業が、大臣が言われるようにうまくいかないというなら、農業構造改善事業々根本的に検討する必要がある。これなんかも、農業構造改善対策として、農業団体農業構造改善事業指導調査費補助金というものがある。それから農業構造政策研究会費補助金、全国農業構造改善協会費補助金、こういうふうに分かれているのですが、これは一緒にしてしまってやり直す必要があるのじゃないか。それから農業構造政策研究会というのがある。これも私はどういう目的で設立されたのか、いろいろ事情はあろうけれども、これはよくわからない。それから補助金団体の中に、農政調査委員会とか、これはむろん調査をいろいろやるのでしょうが、有能な人、東畑さんのような非常に農政学者として識見を持っておる人が事務局長になって外国の文献など翻訳されているのですが、これは人件費が大半ですね。運営費や事務費よりも人件費が非常に多いわけです。こういうふうなものも、やはり農林省農業総合研究所というものがあるのですから、これに東畑さんの知識が必要だというなら、それは私は前に申し上げたとおり、高給を出してもいいから、顧問とかなんとかという名目で、そういう有能な学者をそこに置いて、そうしてやるのがいいので、何もここに別なものをつくって、そこで調査研究する必要もないし翻訳をやらなくても、農業総合研究所に一つにしてやったほうがいいのじゃないか。こういう点につきまして、やはりこの点考えるべきではないか。構造改善事業費等なんかも一つに統合して、そうして費用のかからないようにする。あるいは農政調査委員会などというものは一つにまとめたらどうか、こう思うのですが、その点農林大臣、どうお考えになりますか。
  46. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 実情調査して、検討してみたいと思います。
  47. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 時間もありませんし、大出委員もおられますから、簡単にしてやめますけれども、これは日本農政が行き詰まっている一つの証拠なんですが、すべてそうなんです。もう行き詰まっている。これだけの進歩した技術を持ちながら、それを実践することができないように行き詰まっている。たとえば開拓問題でありますが、初め終戦後、これは私本会議で問題にしたことがありますけれども、相当な、三十九万ヘクタールというものが開拓された。ところがいま離農資金を出しているのです。これなど極端なことばで言えば、最もばかげた政策じゃないかと私は思っております。こういうつまり一貫した一つの農政を持っていないのです。そういうところで日本農政がどうにもならないものになってしまったのじゃないか、こう私は思うのです。  それで私、結論として申し上げますが、機会がありましたら、私、農林大臣にもこういう点についてゆっくり話したいと思っておったのですが、たとえば私はデンマークの農業を二度見ました。これは何といっても世界農業の模範で、かつてユーゴがスターリンから破門された原因について、ユーゴの当局者は言っておりました。それはつまりソホーズとかコルホーズ一点ばりでは、ユーゴのような小国の農業形態の小さい、耕地の少ないところでは、農業生産力はどうしても落ちるというのです。そこでユーゴでは北欧に使節団をやった。ところがデンマーク農業というものは非常によかった、そこでそれを模範にしてユーゴの農業の再編をやった。ところが、それがスターリンのげきりんに触れて、修正主義としてつまり破門された、ほかにもありますけれども、これがその一つの大きな原因だった。ところがユーゴの農業は、農業だけはよくなっているのです。私はソ連を見て、それからデンマークに行って、それからユーゴに行ったのですが、ソ連の豚などは――決して農業政策はうまくいっていない。私は、社会主義者だからなるべく社会主義国をほめたいけれども、うまくいっていない。豚なんか非常に小さい。犬みたいに小さい。われわれにいいところを見せるのだろうけれども……。ところがデンマークに行くと、豚が――いろいろな理由はありますが、つまり油を取った、バター、チーズを取ったあとのやつをそのまま豚に飲ませるわけです。そのようなことから豚がどんどん太って、ああいう牛のような大きな豚になる。ユーゴに行ったらやっぱり大きい。デンマークに負けないような大きな豚です。それを見ただけでも、私は一貫した農業政策日本では必要じゃないかと思う。私がデンマークに行ったときに、北海道の酪農を指導したエミール・フェンガーという人が生きていて、日本農業技術は、戦後日本に来たらびっくりしちゃって、酪農の技術的水準はデンマークとほとんど変わらない。ただ肺菌のいる牛が少しまだあるから、これだけは違うけれども、そういう酪農技術も最高水準に達していると言っている。結局は日本に一貫せる農政がない、行き当たりばったりな、そのとき限りの農政をやっている。役所のための農政をやっている。そこで私は御参考までに申し上げますけれども、デンマークの農業教育というのは、非常にいいのです。農学校の教育は非常に完備しておりまして、農業者でなければ入れない。農業の経験者でなければ入れない。農閑期だけに開校する。そしてそこで寄宿舎生活をして、年齢に制限ありませんが、いろいろな教育をやるわけです。ですから、デンマークの農民は、ある点まで、農民のいわゆる戸主というような人は、みんな農業技術者です。それだから、たくさん役人を集めて、それに何も一々講習会なんかしなくてもよろしい。これは農業教育が非常によろしい。それからまず第一に、政府模範農場というのを方々につくった。そこではどの程度農業が一番適しているか、そしてどういう機械を使ったらいいか、どうしたら一体赤字にならないか、こういう経営の研究をやっている。それが方々にあるわけです。だから、その模範農場をほかの農民がみんなまねするのです。それだから、デンマークのどこへ行っても、ジャージーの牛二十頭、鶏が百羽、豚が五十頭というのは、判を押したように同じです。あるいは五十頭、百頭も牛を持っている者がありますけれども、みんな模範農場をまねするのです。そういうふうなことで、管理事業団というものは、むろん低利の金、三分の金で――このごろはようやく三分とか三分五厘の金が出てきたのですが、これでも日本農業金融というものは、世界の文明国家の中で一番高利短期なものです。これは調査された方はわかるだろうと思うのですが、日本農業は、そういう高利短期な金融でやっているのです。これが向こうに行ったら、三十年以上百年、しかもそれがみんな三分くらい、そういうふうな金融をやっているわけです。そこから金を借りて、模範農場を経営すると同じような経営をやるわけです。むろん日本農業は、非常に複雑です、ヨーロッパのようなそういう単純な農業じゃないわけですから、そう簡単には金はできないという点はあるかもしれぬけれども、農業理事業団は、模範農場にして、そこで、日本農業経営はどれだけの金でもって問に合うか、こうしたらどれだけの利益があるか、どうしたら返還できるかという一つのモデルをつくらなければならない。そういう農業でないと、幾ら管理事業団をつくっても、何をやったって、どうにもならない。私はそういうふうなことが必要じゃないかと思う。  次に、私はさっきの問題に戻りますが、農機具サービスセンターはどうしてもってくる必要がある。世界の文明国で、農機具サービスセンターのない国はない。三十万台も耕うん機が入っておる。そして、これは農民に言わせると、不幸運機だと言っている。幸運機じゃない、機械を買ったら貧乏して、そして耕地面積がだんだん小さくなる。機械を買った金を払うから、いままで一町、二町持っていたのが、しまいに五反売った、三反売ったということになる。だから、これはどうしても農機具サービスセンターを設ける必要がある、こういうふうに考えます、そういうふうな点に対して、一貫せる農政を確立されることが一番急務じゃないか。この日本の世界で一番進んだ――五反百姓が何とか食えるというような国は、世界どこに行ってもありませんよ。その点にいけば、日本は果物でも、酪農でも、一切の農業技術はさすがに進歩しているけれども、その農業技術をみんな殺して使っている。だから、農民がみんな熱情を失って都会に行ってしまっている。農政というものは、役所のための農政であって――そういうつもりではないけれども、実際はそうなっている。農民のための農政になっていない。こういう点に対して、農林省ば一貫した方針を立てて、それこそ真の意味農業構造改善事業をやるべきではないか、こう私は思うのですが、その点につきまして農林大臣の御意見を承りたい。これをもちまして私の質問を終わりたいと思います。
  48. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 たいへん貴重な御意見を承ったわけでございます。ソ連あるいはデンマーク等のことなども比較されまして、非常に有益なお話だと思います。私も、そういうふうに考えます。たとえばいま御指摘の農機具センターを設けろ、こういうことでございますが、確かに耕作面積の非常に狭い日本の経営体で、個人個人で農機具を持つということが、いわれているように農機具貧乏というような声も出るわけであります。ことに大きな機械になりますと、個人個人で持つというようなことは、マイナスの面が非常に大きいと思います。そういう面で、ことしなども考えておりますことは、農機具センターではございませんが、農協等に大型機械を備えつけて、それでもって共同耕作というような方向へ持っていこうということも考えて、予算なども計上しておるのでございますけれども、いまの考え方の方向に持っていきたいと私も考えております。  それから、いろいろデンマークの例などをお引きになりました。確かにああいうところで、農業経営というものはこういうふうにやっていけばいいんだというある程度のモデルをつくっておるということは、うらやまいと思います。日本では、確かに平均一町歩の程度で、これで相当農業が成り立っているということは、日本農業技術、経営その他すぐれたものだと私も思っています。しかし、だんだんそれだけではやっていけないのでございまして、日本農業としてもこういうふうなやり方であってほしいというモデルといいますか、型をつくっていくことが必要だと思います。そういう意味におきまして、考え方はいいが、やったことはあまり成功していないじゃないかという構造改善の仕事などにおきましても、実はパイロット的に初めやりまして、それを普及していこう、こういうことで進めておるのでございますが、こういうことなども、考え方におきましては、稻村さんのお話考え方と一致しているわけでございます。しかし、その成績が所期の目的のようなことにあがっていないことは、私も遺憾に存じておりますけれども、なおそういう面を改善いたしまして、いまお話しのような方向づけを一そうやっていきたいと思います。要は一貫した農政の大方針がないからだ。開拓の例を承りましたが、開拓につきましては、言いわけするわけではございませんが、戦後の食糧不足の際に、とにかく食を与える、そういう意味におきまして、人も土地も適当でないような場合もあったと思います。政府施策も十分でなかった点もあると思います。特にそういう点にいろいろ反省を加えたり、まずいところを改善しまして、いまのお話しのような方向にぜひ進んでいきたい、こう思っております。
  49. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 農薬の問題でいろいろ質問したいと思っておったのです。これは重大問題ですが、きょうは時間がありませんから、この次に保留したいと思います。
  50. 河本敏夫

    河本委員長 大出俊君。
  51. 大出俊

    ○大出委員 きょうは農林省設置法をどうしてもあげるということで話が進んだようでありますので、瞬間が非常になくなりましたが、しかし、そういう方針に御協力を申し上げたいというつもりでおりますので、大臣の時間が一時半というお話だそうでありますが、冒頭承ったところ、二時まではいいんだというお話だったので、ひとつその点は多少の御無理はいただきたいと思います。さらにできるだけ詰めて設置法から入りたいと思ったのでありますが、時間の関係がございますので、要点のみひとつ申し上げていきたいと思うのであります。  最初に、九三%の自由化行なわれて、日本の食品工業という面で、私がおります横浜には、明治、森永、不二家等をはじめといたしまして、あるいは日清製粉、あるいは油脂関係等、たくさんの会社が存在するのであります。そこで、第一次産業部門、つまり農業、畜産業、水産業等の面での国際競争力が非常に弱いということは、従来から指摘をされているところでありますけれども、それ以上に重要な問題という意味では、原料の問題と並んで、あるいはそれ以上に食品工業という面で非常に大きな立ちおくれが現に在存をするわけでありまして、一例をあとの関係がありますから申し上げますと、少し数字が古いわけでありますけれども、チョコレートの三十五年の数字を当たってみましたところが、二十グラム当たりで国内生産者価格が十五円二十銭、ところが輸入品は、CIF価格を調べてみますと八円九十銭で、たいへんな開きがあります。チューインガムについては、十六グラムで国内生産者価格が十五円、ところが同様にCIF価格でいきますと八円二十銭、光年問題になりましたココアパウダー等を見ますと、キログラム当たりで国内で七百円、同様にCIF価格のほうは三百五十八円ということでありますから、まさにコストからいきますと比較にならない。この原因は明らかでありまして、ユニレバー、であるとか、スイフト、アーマー、ナショナル・ゼリー・プロダクト、あるいはネッスル等々たくさんありますが、国際的にながめてみまして、大洋漁業なんというのは日本ではたいへんな企業でありますけれども、おとなと子供以上に違う、こういうところに問題があるわけであります。したがって、この辺は、関税の一括引き下げなどということも叫ばれている今日の事情の中で、よほど考えてまいりませんと、国内のこの種の企業をつぶしてしまう結果になる。こういう点で冒頭に、農林大臣のほうで、四月自由化品目などというものも目の先にあるわけでありますが、基本的にどういうふうにお考えになっているかという点を、簡単でけっこうですから、お答えをいただきたい。
  52. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 生産者の立場との関係、食品工業の立場との関係、そういうことに分けて申し上げたいと思います。  生産者の立場から申し上げまするならば、何といたしましても、非常に困難でありますが、生産性を上げる、コストを下げていくことに努力をしていかなければならないと思います。しかしながら、短期的にはやはり価格政策というものを無視するわけにはいきません。でございますので、関税の問題もあります。それから価格の支持という問題もあります。そういうものとの見合いにおいて貿易の自由化を慎重に進めていく、こういう態度をとっております。  それから食品工業等の企業との関係でございますが、お話のように企業の進出も非常に激しいようでございます。日本と合弁でやっていこうというようなことから資本が入ってくる、こういう状況が、非常に強い趨勢であります。そういう例につきましても、一々私どもも検討いたしましたが、それと競争の立場にある中小企業者が相当あるのでございます。そこで中小企業者等に、企業の合理化といいますか、合同をすすめたり、資金を融通して合理化の方法を考えたり、そういうのをにらみ合わせながら資金の入ってくるのを許可するといいますか、認める、こういうような態度でいままでもやってきたのであります。そういう態度は私これからもとっていきたいと思いますが、いずれにいたしましても、非常に慎重にやりませんと、被害者といいますか、痛手をこうむるものが相当ありますので、そういうふうに考えてやっていきたいと思います。
  53. 大出俊

    ○大出委員 基本的なお考えはわかったのでありますが、もう一点だけ念を押しておきまして本論に入ります。  いまお話しに出ましたが、合弁方式をとる。これは特に食品関係では新製品が多いわけです。この面で日魯ハインツなどというのができて、これは当時相当大きな反対があったわけでありますが、これも一面では、カゴメ等のトマト製品等と比べてそれほど伸びていないと言われていますが、現実にはそうでない。かと思いますと、べビーフード関係ではカルバックなどが入ってきて、三井物産と日本カルバックができ、あるいはコーン・プロダクトと味の素が日本食品工業をつくっている。あるいはアメリカン・チクルというのが明糖産業と明糖アダムスをつくる。これはずいぶんたくさんあるので、あげてもしようがありませんが、こういう状態がどんどん各所にあらわれる。この中には、むしろ日本側が新技術というものとの関係で合弁会社を求めたという痕跡も、たくさんあるわけであります。こういう形のものは、単に製造の分野にとどまりませんで、流通経路から販売のところ、小売り商店のところまで影響が出てまいっておりますが、担当の当局は、これはまあやむを得ぬということにお考えになっているのか、このままで放任をしておくというのか、この辺のところは一体どういうふうにお考えになっておりますか。
  54. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 なお担当の者からお答えしたいと思いますが、合弁として資本を導入する場合に、そういうものを認めていくという場合は、日本の農産物の販売といいますか、販路といいますか、それを原料とする、こういうことを主とするというような観点に立つのが一つでございます。それから急速に日本の農産物、食品工業との価格競争に入られては困る、こういう点も考えていかなければいかぬと思います。そういう点から、一々申請のあった場合には検討しておるのでございますが、なおそういういままでのやってきましたことにつきまして、事務当局から御説明させます。
  55. 大出俊

    ○大出委員 時間がありませんから、もう一点つけ加えてあわせて御答弁いただきたいのですが、いま大臣の御答弁に出ました農業に対する影響という面で、日魯ハインツが実施している原料農産物の契約栽培という形がありますね。いま大臣から、入ってこられては困るという意味の発言がちょっとあったのですが、この辺のところの関係を含めて、簡単でいいから御答弁いただきたい。
  56. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 先生から日魯ハインツのお話がございましたので、その件について申し上げますと、日魯ハインツは、日魯漁業とアメリカのハインツ・カンパニーとが合弁でやっておる会社でありまして、トマトケチャップ等の野菜加工品が主たる製品であったのでございますが、先ほどお話がございましたように、カゴメの製品のほうがむしろよくなっておるのでありまして、現在はこの会社は、ベビーフードであるとか、あるいはスープというようなものに重点を移しておるわけでございます。それでこういう会社が合弁でやるという場合におきましては、大臣から御答弁がありましたように、国内の関連業界との協調を十分はかるという誓約書を出さしておりまして、その誓約に基づきまして、常時行政指導をいたしながらやってまいっておる。したがって、関連業界がむしろ新しい技術を導入したいとか、あるいは農業のほうにつきましては、契約栽培でそういうところへ原料を売りたいとか、そういう日本側の要望も十分あるというような場合に、初めて認めておるというような次第でございます。
  57. 大出俊

    ○大出委員 その行政指導をかくかくしかじかやれ、でないと、こういう結果になるということを実は申し上げたいわけなのです。時間の関係でここでひとつ大臣に承っておきたいのでありますが、ココアパウダー、菓子、チョコレートの製品等の問題なのでございます。この自由化は、昭和三十七年の十月から二千二百六十グラム入りの大かんを中心に自由化をされたわけでありますが、小さいかんのほうは国内産業への影響ということで認めていないはずでありますけれども、ところが結果的にこれがどうなったかといいますと、おそらく担当の方は御存じだろうと思うのでありますけれども、当初から生産者が反対をしておりましたが、にもかかわらず、自由化した。詰めかえを行なって、国内では小かんをどんどん販売したという結果から、こまかい数字を全部持っておりますけれども、省略をいたしますが、この関係の最大の業者という三田食品等が、この結果によって倒産をした。さらに中小のココアパウダー生産業者のほうの側は、業種転換を幾つも行なっている。まさに総くずれであります。まさにその影をとどめないというところにいってしまう段階であります。これは明らかに国内産業を保護しながら、かつ自由化というものを行政指導の慎重さを期して指導をしなければならない筋合いのものが、どうもその辺を私どもが考えますと、大臣答弁にそのようにありますけれども、うまくいってないのではないかというふうに考えるわけであります。先ほどの契約栽培等についても、いろいろ意見があるのでありますけれども、いまの一例をあげても、そのようなたいへんな被害が国内産業に及んでいる。したがって、この辺のところ、長い答弁もちろん要りませんけれども、あった実例でありますから、将来にわたってはどういうふうに考えるかということで、まず聞きたいのは、チョコレートの外国の製品の輸入につきまして、一定のワク、さらに関税、こういうかっこうがあると思うのでありますが、これについてどの程度のワクを将来考え、かつ一括関税引き下げ等との関係でどう考えておるか。おそらくいま三五%くらいの関税だろうと思うのでありますけれども、そこの関連をひとつ説明していただきたい。
  58. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ココアのパウダーの輸入の問題でございますが、この自由化の面につきましては、一応大かんのものにつきましては自由化をいたしております。なお現在、小かんのものにつきましては、まだ自由化いたしておりませんが、この面につきましても、今後の自由化という問題については慎重に検討しておる、こういう状況でございます。
  59. 大出俊

    ○大出委員 いまの御答弁なんですが、これは私の質問に対する答弁にはなっていないような気がするのであります。つまり小かんに詰めかえて国内でどんどん販売しているところが倒産の一つの原因にもなっているわけです。ただ、それは時間がありませんから再答弁を求めません。  そこで、承りたいのでありますが、東光ストアに参りますと、これは二、三日前からの例でありますが、いまテレビ等でどんどん宣伝をしているチョコレートの森永のハイクラウンだとか、あるいは明治のエリートだとか、これは七十円販売の商品でありますが、これがなんと五十五円で売られているのであります。これは公正取引委員会の方もお見えになっているのじゃないかと思いますが、そこでこれは一体一般の町、私の住んでおる横浜には七百軒からのお菓子屋さんがあるのでありますが、ここの方々が卸ということで、それはこまかく割ってまいりますと、仕入れ値段がなんと五十七円五十銭、これ以下では仕入れられない。ところが仕入れ値段の原価の五十七円五十銭にもかかわらず、売っている価格は五十五円、安いことは一向差しつかえないので、安くあってほしい。しかし、そうだとすると、小売り業者の方々は一体どうすればいいか、こういう結果が出てくる。この間に何かがなければならぬ筋合いだということの関連から、これは、大臣にもぜひ聞いておいていただきたのですが、二月十日に公正競争規約、つまり公正取引委員会が告示されておるわけですね。不当景品類及び不出表示防止法、三十七年の法律ですね。この告示が行なわれているのですけれども、この告示と相からんで、七十あるチョコレートメーカーの中で五つが大企業であって、あと残り全部が、中がなく、小企業です。私の持っております資料によりますと、こういう状態になっておる中で、建て値というものが存在する。たとえば二十円売りのチョコレートであると、六十個入っていて一ボール九百九十円、この一個当たりの値段が十六円五十銭、三円五十銭の利幅、こういうことになる。比率にしていきますと、一割七分五厘の利幅になる、ところが、これは大蔵省関係がいないから残念でありますが、一昨年より先の各税務署が持っておる徴税とらの巻というものがある。この一昨年以前のものは私どもが入手して持っておりますが、昨年からだいぶやかましくなって手に入らないわけでありますが、これによりますと、二割三分から二割五分ということで査定をして税金を取っておる。そうなりますと、九百九十円という建て値で二十円のチョコレート一個を商店の方が売りますと、十六円五十銭ですから、利幅三円五十銭です。比率にして一割七分五厘の利幅しかないしにもかかわらず、一方で税務署は二割三分から二割五分の査定をする。そうなると、商店の皆さんは売り上げをごまかすか、さもなければほかのほうの利幅にかけるかしないと、生きていけません。つまりそういう状態が今日行なわれておる。そこで一方、さっき申し上げた東光ストアになってくると、こんなばかなことが存在する。ところが、建て値というものは、どこのチョコレートメーカーでも全部同じ九百九十円、しかも全部十年間続いておる。こんなばかな話はない。公正取引委員会が出されておる、新聞に発表されたこの内容からいきましても、チョコレートは戦前の二十倍の消費量を持っておる。そうなってくると、生産も匹敵して伸びておる。にもかかわらず、建て値はさっぱり変わらない。こういうことになると、その間に何かなければならぬ。何で調節するか、つまりリベートです。五分から一割二分にわたるリベートが至るところに動いておる。調べてみると、このリベートというのは、きわめてけしからぬ内容なんです。こういう形のものを御存じで二月十日に告示をされたんだとすると、山ほど異議があるわけです。このことは、ひとつ農林行政という面から見て、つまり食品類を担当される行政官庁なんですから、そういう面からの行政指導等の問題が一つあり、一面からは公正取引委員会の規制の問題があり、しわのすべてが零細な小売り企業に寄ってくるということを黙って捨ておくわけにいかない。そのところを公正取引委員会なり担当の農林大臣にと申し上げても、内容がこまかいので御無礼ですから、食糧庁の関係の方でけっこうですから、まずもってどういうふうにお考えであるかということを承りたい。
  60. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ただいまお話しのございました不当景品類及び不当表示防止法の公正取引委員会の告示でありますが、この面につきましては、お菓子の業界では、いわゆるマージンに相当するものが、一般的にリベートの形で実際はメーカーのほうから支払われておりますのが実態です。その際に、このたび公正取引委員会のほうから出ました告示につきましては、これはその一般的なリベートを制限しょうという趣旨のものではございません。要するに景品類等をメーカーのほうで提供するというようなことが、一般的な慣例的なものより以上で、海外旅行をさせるとか、そういうような事例の起きそうな状態であったので、そういう一般的な景品類の提供を一定限度以上のものはチェックしようということで、公正取引委員会のほうで二月十日に告示を出された。このようになっているわけでございます。
  61. 大出俊

    ○大出委員 時間がありませんから、もう一点質問しますので、あわせて答弁いただきたいのです。  公正取引委員会に中村銀次郎さんという方がおられますか。
  62. 後藤英輔

    ○後藤説明員 公正取引委員会の取引課に中村という者がおりましたが、現在は審査部のほうに移っております。
  63. 大出俊

    ○大出委員 実はいまの御答弁でリベートの問題は含まないということをはっきり言われたのですが、事実私もここに持っておりますが、含んでおりません。ところが、業者の皆さんが公正取引委員会へおたずねして――いま私はたくさんあるやつを時間がありませんから詰めて言っていますので、おわかりにくい方もおありと思うけれども、しかし、いま私が申し上げた点についてお尋ねをしたときに、原案なるものを見せられておるわけですね。その原案の中には、リベート三%というふうに押えると書いてあった。説明は、この三%を五%に上げて告示いたしますというふうに説明をされたと、何人もの方が聞いて帰ってきているわけです。ところが、出た告示にはリベート規制は何もない。こういう結果なんです。そうなりますと、いまあなたのほうは、リベートは含まないんだ、こういうお話なんだが、原案で三%と書いておって、五%で出しますからというお話まであって、そういうリベート規制をする。そうなりますと、一方でリベートを規制しておきながら、建て値という形の九百九十円を維持することはおかしいという結果が出てくる。ところが、リベート規制のほうは取ってしまった。そうなると、皆さんのねらいというのは、中間卸売業者等の上位三十社くらいを外国旅行に連れていくからなんていうようなたいへんな競争になって、自殺する人まで出てきて、したがって公正告示をということになってきた理由は知っている。知っているけれども、その辺に私は、大メーカーの側に立つということで建て値を維持する、不当景品や何かを全部押えてしまった結果として、どこに利益が生ずるかといえば、メーカーの側に残る。それで質や量をよくするという話だった。キャラメルというのはみんなが食べるんだけれども、これが十年前に再販価格を指定された。そのときには箱の中に十八入っておった。そのときにも質、量をよくするんだということだった。今日になって皆さん見ればわかるとおり、粒は二つ減っていて小さくなっている。こういうことになると、理屈としては通らない。そうなると、外国の食糧品の導入というものとあわ起て、経費を節減し、コストの面で多少なり体制を整備して、何とかひとつ太刀打ちをという考え方が一つあるのか。さもなければ、いま申し上げたように、建て値というものを維持する限りは、その陰に隠れて、リベートは規制をさるべきであったが、規制をしないとなると、大メーカーという形のほうにより重点が置かれておって、さっき説明をいたしましたような中小の小売店の方々が、東光ストアの例ではございませんけれども、そこに行けば五十五円で売っているのに自分の仕入れは五十七円五十銭だなんていうばかなことになる。それと同じ例をチョコレート一切についてやっている。しかも税務署のほうは、査定の段階で二割三分だの五分だのという査定をする。生きてはいけません。ここのところをどういうふうに考えているか。さっき申しましたように、リベート規制はしないんだというん、だが、原案にあったのをなぜ切ったのかという問題と、私が言っている焦点である小売店の方々の立場というものを皆さん方がどう考えるか、ここのところをはっきりしておいていただきたい。
  64. 後藤英輔

    ○後藤説明員 本年二月の十日付でもって公正取引委員会がチョコレートの販売にあたって、メーカーないし販売業者が、一般消費者並びに販売業者に対して不当に利益を与えてチョコレートの販売を促進する、つまり景品とか、懸賞とか、供応だとか、そういう不当なものをつけてチョコレートを買わせる、こういうようなことは、独禁法で言っている不公正な取引方法に該当するおそれがあるからということで、この二月十日付で公正取引委員会のほうでチョコレートの業界について特に過大な景品を提供をしないようにということで、懸賞販売する場合は公正取引委員会がきめております告示の範囲内においてする、それから景品をつける場合は過大でない額、見本の場合についても、見本ということを特にうたったようなものをつけるというような形でもって告示を出しております。それを受けまして、業界のほうで、このような過大な景品規制を業界として守る場合、たとえば僅少な額の景品はいいということであるけれども、それはどの程度の額のものをつけたらいいのかということを業界で自主的に定めまして、たとえば一般消費者向けの場合には小売り価格の三%まで、それから問屋向けの場合には二%までというようなことを自主的にきめまして、公正競争規約をつくりまして、それを公正取引委員会が認定し、その際にリベートの問題が当初の案にはございましたが……。
  65. 河本敏夫

    河本委員長 簡単に願います。
  66. 後藤英輔

    ○後藤説明員 リベートは、これは景品とは公取では考えておらないで、値引きと考えておるということで、不当廉売に当たる場合には、これを不当廉売の問題として規制するということで、これは景品類の制限には入らない。したがって、もしもこれがダンピングというような点に当たれば、そちらの法律のほうで規制するという趣旨でこれをはずしております。
  67. 河本敏夫

    河本委員長 大出君に申し上げますが、あと受田君の質問がありますから、結論を……。
  68. 大出俊

    ○大出委員 あと五分足らず。中心だけ質問をしまずから、中心を答えていただきたい。なぜリべートが原案にあったものを切ったかということを聞いておる。あなたがいま読み上げた内容は、よくわかっております。もう一点、時間がありませんからあわせて聞きますが、第四条に、観劇その他の招待旅行を含めまして、これが実質的に同一になるというふうなものについては、割り戻し金を提供してはならないという一項があるが、リベート規制がないというと、リベートの問題がどうなっておるかわからないのに、割り戻し金などといっても、これはしり抜けでわからない。したがって、あわせて聞いておくが、なぜ原案にあったものを切ったのかということを承りたい。
  69. 後藤英輔

    ○後藤説明員 景品類の中にリベートが入るか入らないかという点は、公取でも議論があった点であります、これは法律の定義の中でも、正常な商慣習と認められる値引きと書いてあります。リベートも、そういうことで景品ではない、それが値引きに該当するんだということで、その委員会できまりましたもので、そこで当初の案からその点を除いたということになっております。
  70. 大出俊

    ○大出委員 大臣に承りたいのですが、私はもっと順序立てて申し上げないといけないのだが、時間がないのでまん中を省略して申し上げます。いま私が公正取引委員会とやりとりしておるのをお聞きになっておられて、建て値というものがあって、これは九百九十円で十年間変わらない。四大メーカーとは森永、明治、不二家、グリコですが、ナガサキヤ以下全部で七十ある。大は五つで、あとは全部小である。こういう状態の中で何が行なわれておるかというと、小売り業者に全部しわが寄っておる、スーパーマーケット東光ストア――東光ストアというのは、正札をつけて売っておる店です。こういうところで五十五円で売られておるものが、小売り業者には五十七円五十銭でなければおろしてくれないというようなことがあるわけです。そうなってくると、税務署の査定も、さっきお話しのとおり、こういう矛盾を放任しておいて、リベート規制をしない。したがって、四条以下しり抜けだ。それで公正取引委員会が公正だというならば、私はこれは不公正取引委員会と言わざるを得ない。私は、ものごとをぶっこわす意味で言うのではない。前向きで販売ルート、販売業者、小売り店の方々のことを考えていただかないと、将来外国製品が入ってきたとき、それと対抗して日本の商品を売るのは、零細な販売業者の方々なんです。そうだとすると、そこのところをやはり公正取引委員会はもっと考えてしかるべきだ。さらに国の税制でいえば、税務署の査定なんかも、わざわざ法の下をくぐらなければならないような人をつくるべきではない。こういう点で、これは農林省の所管の品物なんだから、しかも外国企業との関係を見れば、競争力が弱すぎるから、こういう点を総合的に考えて、外国のスーパー資本が入るときに、通産省が中に入って、住友を説得して入れなかった例もある。池袋の例の野沢スーパーじゃないけれども、そういう措置を担当の行政官庁がおとりになる。あるいは公正取引委員会がおやりになる。こういうかっこうが、私は必要ではないかと思う。そのことが、消費者のほうも安心して物が買える、こういう結果になる。そこのところを承りたいわけなんです。そういう意味で、取引云々ということになると、担当は公正取引委員会ですが、大臣がたまたまおられるので、所見を承りたい。
  71. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私も、まだ研究が足らないと思います。そういう意味においく食品行政をあずかっておる農林省といたしまして、十分いろいろな面から検討いたします。
  72. 大出俊

    ○大出委員 それでは、大臣は検討いたしますという御答弁でございますから、あと私は公正取引委員会と面接、あるいはまた農林省当局と直接話す場所を別につくっていただきたい。十分御研究願いたいと思います。
  73. 河本敏夫

    河本委員長 受田新吉君
  74. 受田新吉

    ○受田委員 五分間以内で解決します。追い詰められた質問でございますから、党をを代表して、最後に三つの問題点を同時に質問して、同時にお答え願うという形をとります。  第一は、この法案に直接関係する事項でございますが、農林研修所をおつくりになるにあたっては、単に農林省職員だけを研修の任に当たらせるのでなくして、農業従事者の中で、優秀な人材を発掘して、事務及び技術の研修をさせるという方途を講ずべきじゃないか。もう一つは、中央にたった一カ所置くだけでなくして、願わくば、各ブロック別に国立農業試験場及び県農業試験場のような形をもって、できればそこに一年のうち何日か合宿訓練をして、技術的な、あるいは友愛を深めるような研修をさせる。こういうところへ持っていって、不況の農村に活路を見出すべきじゃないかと思います。  第二は、農村の農業従事者が離農していく。農村は三ちゃん存在になっている際に、願わくば、離農していく農民たちに、特に農業経営は、生産性が非常に低くて、製造業者の場合に比べて三分の一というような現状になっているときに、その生産性を高める上からも、専業農家を強めるために、兼業農家土地に愛着心を持って他に離職し得ないような人には、やはり年金制度をここに採用し、あるいは離職年金のような形で、生涯あるいは十年間を保障するというような方法をとって、老後を安心して離農できるような態勢をとるべきではないか。また、農村の青年に嫁さんがこないという問題も起こるのでございますから、二十歳代から農家農業従事者及びその嫁さんに対して、年間三万円ないし二万円でもけっこうですから、それを積み立てて、六十歳ごろからこれを退職手当のような方法で支給するとかいうように、農村に非常に冷遇されている社会福祉関係を思い切って採用して、農村の青年男女、若い者が農業に従事し、嫁さんがくるようにすべきではないか。  第三は、水産庁の付属機関として、水産大学が下関にある。これは、教育系統から、学校教育法による水産大学として移行さして、水産の学理、技術研究させる。同時に、農林省におきましては、水産の研究所があるから、これを拡大強化して、学校系統をはっきり分離して、たとえば自治大学校が自治省にあるごとく、警察大学校が警察庁にあるごとくに、そういうところで研修をさせるために、研修農林大学校というようなものを置くべきじゃないか、かように思います。農林省だけが、水産大学校を文部省の系列の中に入れるべきものを、入れないでがんばっている理由に苦しむということを最後に指摘して、答弁がよろしければ、質問を終わります。
  75. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 本研修所に農業従事者も入れて研修したほうがいいじゃないか、これは一つの御意見だと思います。農業従事者につきましては、それぞれの機関におきまして研修をやっております。本省の研修所でございますので、当分は本省の職員の研修に充てたいと思います。  それから、ブロック別ということは、国立試験場等におきまして小規模には研修をやっておりますが、御趣旨のような点は、なお拡充していくような気持ちで進めていきたいと思います。  第二の、離農者に対して、嫁さんに対して、社会保障制度の年金とかそういうものを設けたらどうか。これは実は検討はしたのでございます。たとえば今度の経営規模拡大の事業団等につきましても、離農者に年金を出したらどうかという検討はいたしてみました。フランスあたりではやっておるようでございます。これは厚生省の一般の、たとえば国民年金の運営に乗せてやっていくかというようなことも一つでありまするし、あるいは農業だけに別個にとるかというような問題もあろうと思います。そういう面で国民年金的なものを離農年金として考えてみたらどうか、検討いたしました。嫁さんの退職手当というようなことは、まだ検討いたしておりませんが、とにかく農業面におきまして、労働政策としての農業、あるいは社会保障制度としての農業面が、非常に多くなってきていると思います。そういう面におきまして、これはいまやるとは申しませんが、検討は続けていきたいと思っております。  水産大学ということでございますが、文部省から離れて水産大学がある。農林省所管でございますから、私は、こういうものは農業としては必要だと思います。文部省的な画一的なものでなく、やはり農業農業として、伝習農場的なものとか、水産大学というようなものが必要だと思いまして、その発展考えておるのでございますが、そこで研修をしたらどうか、学生ばかりでなく、ほかの人も入れて研修したらいいじゃないか、こういうことでございます。こういう研修は、私は機会を見て進めていくのが適当だろうと思いますので、いま現実には検討しておりませんけれども、考えてみます。
  76. 受田新吉

    ○受田委員 まだ質問したいけれども、時間がありませんので、これでやめておきます。
  77. 河本敏夫

    河本委員長 これにて本案についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  78. 河本敏夫

    河本委員長 ただいま委員長の手元に佐々木義武君、山内広君、受田新吉君より本案に対する修正案が提出されております。
  79. 河本敏夫

    河本委員長 この際、本修正案について提出者より遡行の説明を聴取いたします。佐々木義武君。
  80. 佐々木義武

    ○佐々木(義)委員 ただいま議題となりました自民、社会、民社三派共同提案にかかる農林省設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略さしていただきます。  その要旨を申し上げますと、本改正案中、農林研修所の設置及び定員の改正につきましては、昭和四十年四月一日から施行することになっておるのでありますが、すでにその日が到来しておりますので、これを「公布の日」に改めようとするものであります。ただし、定員に関する改正につきましては、本年四月一日から適用しようとするものであります。  よろしく御賛成をお願いいたします。
  81. 河本敏夫

    河本委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  82. 河本敏夫

    河本委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  農林省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、本案に対する佐々木義武君外二名提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  83. 河本敏夫

    河本委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  84. 河本敏夫

    河本委員長 起立総員。よって、修正部分を除  いては、原案のとおり可決いたしました。  これにて農林省設置法の一部を改正する法律案ば、修正議決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 河本敏夫

    河本委員長 御異議なしと認め、そのように決しましたした。   〔報告書は附録に掲載〕
  86. 河本敏夫

    河本委員長 次会は、明二日、金曜日、午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時散会