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1965-03-18 第48回国会 衆議院 内閣委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十八日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 八田 貞義君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐々木義武君    理事 辻  寛一君 理事 永山 忠則君    理事 田口 誠治君 理事 村山 喜一君    理事 山内  広君       井原 岸高君    大橋 武夫君       高瀬  傳君    塚田  徹君       綱島 正興君    野呂 恭一君       藤尾 正行君    湊  徹郎君      茜ケ久保重光君    稻村 隆一君       大出  俊君    角屋堅次郎君       中村 高一君    楢崎弥之助君       伊藤卯四郎君    受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         通商産業大臣  櫻内 義雄君         国 務 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第三部長)  荒井  勇君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  井原 敏之君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房会計課         長)      木戸 四夫君         総理府技官         (科学技術計画         局長)     梅澤 邦臣君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  高橋 正春君         総理府事務官         (科学技術庁振         興局長)    江上 龍彦君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局長)   村田  浩君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    橘  恭一君         外務事務官         (大臣官房長) 高野 藤吉君         外務事務官         (大臣官房会計         課長)     谷  盛規君         外務事務官         (アジア局長) 後宮 虎郎君         外務事務官         (アメリカ局         長)      安川  壯君         外務事務官         (条約局長)  藤崎 萬里君         通商産業事務官         (大臣官房長) 熊谷 典文君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君         通商産業事務官         (企業局産業立         地部長)    馬郡  厳君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      宮本  惇君         工業技術院長  馬場 有政君         特許庁長官   倉八  正君         中小企業庁長官 中野 正一君  委員外出席者         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 三月十八日  委員湊徹郎辞任につき、その補欠として福永  健司君が議長指名委員に選任された。 同日  委員福永健司辞任につき、その補欠として湊  徹郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七号)  在外公館名称及び位置を定める法律及び在外  公館に勤務する外務公務員給与に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第一八号)  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一六号)  通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四号)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長代理 これより会議を開きます。  外務省設置法の一部を改正する法律案及び在外公館名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。稻村隆一君。
  3. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 実は私、設置法につきまして外務大臣に一二点お尋ねしたいと思っておるのですが、ちょうどいまベトナム問題が非常に重大化しておりますので、その前にベトナム問題について外務大臣に御意見を承りたい、こう思っておるわけであります。  私は、ベトナムに戦前数回参りまして、あすこに長くおったこともあります。戦後も二回参りまして、ちょうど辻政信氏が行くえ不明になる少し前に、私は向こうに行っておりました。ベトナム、ラオスに行っておりました。そういう事情で、いまのベトナムの問題を注意深く新聞、雑誌で見ているわけでありますから、私は非常に重大だと思うのです。日本の安全のためにゆゆしい大事ではないか、こう思っておるわけであります。決して私はこれが第三次大戦に発展するとは断言しないけれども発展する危険性すら私は内包していると思うのです。こういうときに、私は日本政府並びに外務大臣は、積極的な行動をとることが必要じゃないかと思う。はるかベトナムから離れているソ連とかイギリスとかあるいはフランスは、この問題ではすでに動いているというか、動きつつあるのです。ところが、日本外務大臣だけは、政府だけは、何にもやらない。一番日本に重大な関係があるのに、ただアメリカの言うとおりついて行っているような状態でありまして、まことに私は遺憾にたえないと思うのです。日本国際的地位というものは、私はしばしば外国旅行をいたしまして、そんなに低いものじゃない。特にアジアの問題につきましては、非常にある方面から期待されている。そういう重要な立場にあるにかかわらず、日本外務大臣は何にも動いておらない。ですから、ベトナム問題が重大化している今日、日本外務大臣として、政府の代表として外交をやる外務大臣として、この問題の平和的解決に何らかの手を打つ、動くという御意思はないのですか。その点を第一にお尋ねしたいと思います。
  4. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ベトナムの問題については、日本は決して対岸の火災視しているのではないのでありまして、政治的に経済的に、いろいろな面において非常に密接な関係があるのでありますから、この地方の政治的安定というものは、日本の平和と安全に至大の関係を持っております。でありますから、一日も早くあの地方が静穏に復することを希望するものでありますが、いまあの問題を直ちに日本として解決すべきであるというお気持ちはよくわかりますけれども、北越のほうは、とにかくベトナムのことはベトナム人解決するんだ、無条件に米軍が徹退すべし、こういうことを言っておりますけれども、しかし、徹退した後における南越の自由と独立はどういうふうにして保障されるか、その問題については何ら約束しておらない。結局北越の支配にただ服する、こういうことになりまして、南越の希望というものとは反対の結果になることが、当然目に見えておる。アメリカはこれに対して、北越からの侵略というものがはっきりとまったならば、われわれも反撃行動に出るという理由も根拠もないから、軍事行動をやめる。そして南越の自由と独立を守る意味において話し合いにいつでも応ずるということを言っておるのでありまして、この両者の意見が全く対立しておる。こういう状況でございますので、少なくともこの段階においてある種の調停行動をとるということは、ほとんど不可能な状況であり、もし日本がこの問題に対して、単独かあるいは他と協力してかこれに力をかすということになるにしても、私はその時期を選ぶべきである、かように考えております。
  5. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 見解の相違でしょうが、私はいまが時期だと思われるのです。これはますます解決ができなくなるのです。これはベトナム側アメリカ側と根本的に立場が違うことば、わかり切った話ですから。私はそれが一致するということは、なかなか実質上不可能だと思うし、かつまた、私はアメリカベトナム政策というものは、日本軍部の何倍も間違ったことをやっておると思うのです。あとで私は申し上げますが、アジアとかベトナムに対する認識が全然ない。日本軍部のほうは、まだ少しは気のきいたことをやっておりますよ。全く中国とかアジアに対する認識が間違っておる。そのもとに非常に間違った政策を毒であると思ってやっておるのですから、これはもう自由のためだなんと言って、そうしてじゅうたん爆撃を繰り返して無辜の民衆を虐殺しているのです。これは人道上許すべからざることなのです。アメリカとしてはこれは自由のためにやっておるかもしれぬけれども、実際は善意において最も間違ったことをやっている。これくらい手のつけられないことはないだろうと私は思うのです。  そこで私はお尋ねしたいのですが、私は決してあなたのあげ足をとろうとか、そんなことは全然いたしません。私は法律はあまり知らないですから、いろいろな問題で沖繩から爆撃したとか、いや日本の基地から行ったという議論、これは私はやったところで水かけ論に終わりますからやりませんけれども、実際上あなたが予算委員会岡田春夫委員の質問に対して答弁しておりますが、アメリカと同じことを言っておる。これは全然間違っておるのですよ。衆議院の予算委員会二月十日の議事録ですが、「アメリカ側報告によりますと、きわめて近接した北ベトナムの地域において人員の訓練が行なわれておる、そして、これらの人員並びに軍事物資浸透が……。」「こういう事実から考えて、これは正当な自衛の措置である、かように考えております。」あなたは、いまでもそうお考えでございますか。
  6. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 アメリカが発表した白書等によりましても、ただ南ベトナムの国民による人民解放戦線というものでなしに、これは強力な北方からの支援と浸透によってささえられておる。そうしてこれらの事実についていろいろな調査が発表されておりますが、かような事実を事実とする限りにおいては、私はこれはアメリカ及び南ベトナム政府反撃行為はやむを得ざることである、かように考えております。
  7. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 私もアメリカ白書を見たが、あれは全然間違っていると私は思うのです。私は、日本外務大臣であれば、もう少し日本外務大臣調査をすべきだと思うのです。松本俊一さんを調査に送られたようですが、非常にけっこうなことです。私はこれからいろいろ申し上げますが、おそらく松本さんも私と同じ結論を持って帰ってくると思うのです。これはだれが見たって同じです。ベトナム問題は、そんなに変わるものじゃないのですから。私は、決して色めがねでもって言っておるるのではないのです。第一、北ベトナムから武器を送るとか人員補給するとかといいますけれども、現状においては、そんなことは不可能なんです。それは、私は決して向こう側の言うとおりに宣伝するわけじゃないけれども、三月七日にインドシナ人民会議というのがプノンペンであったのです。そのときにその指導者の一人のホアン・クォクベトというのが、日本新聞に出ておりますが、海からの補給は全然できないと言っておるのですよ。あの強力な第七艦隊が、トンキン湾を厳重に封鎖しておる。そうしてジャングルでやったとかなんとか、そんなものは、何丁も鉄砲は持ってこれません。そんなものは戦力になりませんよ。これは実際上、北から海から持っていけるわけがないのです。あなた、そう思いませんか。
  8. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私も現地を見たわけではありませんが、諸般報告を書きものについて見ておるのでございますけれども、必ずしも不可能ではない、かように考えております。
  9. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 そんな戦力になるものは、あの第七艦隊が封鎖しているので、常識上持っていけるわけがないのです。ある一定の目的をもって戦争を拡大させようとするアメリカの言うことだけを、そのまま日本外務大臣が信用しておったら、それはとんでもないことになる。アメリカの属国じゃあるまいし、アメリカの行うとおりの情報をそのまま信用するなんてばかなことはない。これは海からはとうてい補給できないのです。それから陸からも補給できないのです。私、知っているけれども、どうして陸から補給します。たとえばベトコンの連中がカンボジアに行くのに、ようやく山道から逃げてカンボジアに入るくらいなんで、あそこば軍事的に見たって——これはここで説明する必要もありませんよ。陸からの輸送などは、北からは絶対にできません。これもあなた認めるでしょう。それは鉄砲の一丁や二丁や三丁くらいは、多少のものは入るでしょう、拳銃の何丁くらいは。しかし、戦力になるようなものは、陸からも運ぶことができないのですよ。そんなことは、地図を見れば常識上わかりますよ。外務省の人だってみんな知っています。これはそう思いませんか。そういう情報はきておりませんか。
  10. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういう情報に接したことはありません。海からも陸からも戦略物資浸透させるということは絶対に不可能であるというような情報には、接したことはありません。
  11. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 もしそうだとすれば、それは全く外務省外務大臣の不勉強にあきれかえってしまう。これはだれだって知っていますよ。それから空からも輸送できない。少しくらいは輸送できますけれども、そんなものは戦力にならぬ。空からも輸送できないのです。それは認めるでしょう。輸送機も何もないのだから、飛行機の輸送もできない。それは認めましょう、どうですか。
  12. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私は、現地に対する知識がないものですから、いまそういうことを問い詰められても、そうだとか、そうでないとかということは、申し上げられません。
  13. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 ベトナム問題は日本の運命に関しても実に重大な問題があるのに、そういうことも知らぬなんて、とんでもない無責任な外務大臣だと私は思うのです。そう育っては悪いですけれども、そんな無責任なことでは、私は日本外交は絶対にやれないと思う。そんなことはみな知っていますよ。新聞記者も知っているし、それを知らないとかなんとかいうふうなばかな話はない。とにかく北ベトナムから南ベトナムに対して、海からも、陸からも、空からも、ほとんど輸送ができないのです。だから、北ベトナムからいろいろ人員武器輸送するから北ベトナム爆撃するというようなことは、アメリカの口実ですよ。そんなことはないです。幾ら言ったって、あなたはよくわからぬとかなんとか言っているのだから、実に困ったものだ。これは日本の安全に対しては実に重大な問題なんだ。  そこで、あなたはそのくらいな認識を持っておられると思うが、アメリカ爆撃をやっておる。それは那辺にあるかということは大体私は想像されるが、アメリカ北ベトナム中共に対して大規模な上陸作戦はできないですね。それはあなたもおわかりだと思うのです。それから北ベトナム中共南ベトナム軍隊浸透することができるかといえば、これもできないのです、補給のいろいろな関係で。そののくらいのことは、あなた、よくおわかりでしょうね。どうです。
  14. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 北ベトナムから南ベトナムに対する軍隊輸送ができないと、こうおっしゃるのですか。
  15. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 ええ、歩いて、北から南に向かって地上部隊のあれは、なかなかできない、補給関係でむずかしい。
  16. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 むずかしいが、不可能ではないという報告を受けております。
  17. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 いや、実際上できないのです。それから中ソが連合しても、あそこではアメリカの制海権と制空権に挑戦できないのです。そればそうですね、それはあなたおわかりでしょう。
  18. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういう軍事上の問題につきましては、ちょっと私としてはお答えできません。
  19. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 これは軍事上の問題じゃない。常識の問題なんですよ。私も、軍事科学なんて何にも知りません、これは常識の問題だから。これは地上戦の大戦争にはなかなかならないですよ。それで、全くアメリカ爆撃というものは、何らの効果はないです。だからして、そこで私は、妥結すべき条件は、根本的にたくさんあると思う。見てごらんなさい、アメリカは必ず失敗しますから。それに対して、もっと日本外務大臣は研究をして——あなたはまだ調停平和解決に乗り出すのは早いと育っているけれども、ソ連フランスイギリスまで動こうとしているのだ。イギリス労働党政府は、よくベトナム情勢がわからない。それだから、一応アメリカ爆撃を支持しているが、しかし動こうとしている。いまグロムイコが行っている。必ず話し合いをしているに違いない。だからして私は、日本政府及び外務大臣として、いまアメリカと話をして平和的解決の方向にいくことが、一番賢明な方法じゃないか、こう思うのですが、あなた、そう思いませんか。二度繰り返しますけれども。
  20. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 別に特別の意図を持っておるわけじゃありませんけれども、とにかく日本といたしましては、やはり直接現地認識をもう少し持ちたいというような気持ちをもって、松本俊一君をわずらわしたような次第でございますが、その報告をまってどういう行動に出るというような、まだ意図を持っておるわけじゃありませんけれども、とにもかくにも、現地に対する直接の認識を、他の情報によってではなくて、日本みずからの認識を持ちたいというような気持ちをもってただいま派遣しておるような状況でございますので、そういうこともあわせて、諸般情報のほかにそういう問題も整えて、現地に対する認識を一そう深めたいと、かように考えております。
  21. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 私は、松本さんが帰ってきたら、必ず私と同じ意見になって帰ってくるだろうと思うのです。そこで、外務省だっておそらく情報機関を持っていらっしゃるのだから、知らないとあなたは言っているけれども、ベトナム問題をもう少し御勉強になって、平和的解決のために適当な機会に乗り出されるよう、私は切に外務大臣に希望するわけであります。  そこで、私は重ねて申し上げますが、北ベトナムは、南ベトナムベトコンゲリラ戦にはほとんど関係ないのです。精神的な関係しかないのです。これははっきりしています。応援するとか人員をやるというような関係はあるだろうけれども、武器だとか、そういう物質的な戦力になるものはほとんどありません。これは南ベトナム独特の情勢によってベトコンがどんどん広がっていっているのです。それはあとで私は申し上げますが、幾ら北ベトナム爆撃しても、きょうテーラー大使の言っているような、北ベトナム爆撃ベトコンとの戦争の勝利にもならなければ、平和的解決にも絶対ならないのです。ただ盲目的な爆撃をして無事の民衆を殺戮する以外の何ものでもない。私はその点はっきり言いますが、大体アメリカは、いま一日百万ドルの金を使っているのですよ。三十五億も使っている。それでいろいろやっている。南ベトナム発電所をやっている久保田豊さんという人がおりますが、あの人は私と何十年来の友人ですけれども、この間あそこから帰ってきた人から、きのうも向こうの実情を私は聞いているのです。どうしてベトコンがふえるかというと、これは私もよくわかるのですよ。アメリカが来てから三十五億ドルも金を使って、毎日戦費を百万ドル使っておって民生安定には何にもならない。ますます南ベトナム住民生活は苦しくなっているのです。フランスのときよりも、日本のときよりも。とにかくフランスのときには、徹底的な弾圧政策を過去とっていたから、非常に恨みに思っておった。日本軍が来たときは、これを歓迎したのです。あとで大東亜戦争の終局のときには、徴発なんかして日本軍の評判が非常に悪くなったけれども、日本に対しては好感を持っておる。そういう状態なんです。ところがアメリカは、決して悪意ではないと思うが、とにかく善意かもしれぬけれども、全く間違ったことをやっている。そうして三十九億ドルも金を使って、何の民生安定にもならない。徴兵でどんどん青年が兵隊にとられる。いやいやながらやられる。それをみんな南ベトナム軍隊に狩ってくる。そうすると、いやなものだから逃げる。農村生活はますます苦しくなってくる。ちっとも民生安定にならない。農地改革はいいかげんでやめちゃっている。そうして大地主がばっこしている。それから税金は高くなる。生活はできなくなる。その上、無理に兵隊にとられる。それがみんな逃げる。南ベトナム軍隊の逃げている数はおびただしいですよ。調べてごらんなさい。松本さんがお帰りになったら、おそらくそれを御報告になると思うのです。それがみんな武器を持ってベトコンに逃げるのです。だから、戦争あとベトコンの遺棄した武器というものは、ほとんどアメリカ武器じゃないですか。どこにソ連北ベトナムや中岡の武器がございますか。一丁や二丁はあるかもしれぬけれども、ベトコンが置いて逃げた武器は、ほとんどアメリカ武器でしょう。新聞にも出ているじゃないですか。そういうばかなことに金を使って、そうして非常に恨み憎まれて、農村へ行けない。私はこの前ベトナムに行ったとき、あなた方は農村をもう少しよくしなさい、そうすればベトコンがなくなると育ったら、われわれは農村に行ったら殺されちゃうので行けないと言う。日本人ベトコン地帯に行ったって、危険があまりない。現に日本工営の人たちは、ベトコン地区、夜はベトコンになり昼は政府軍になるというようなところもある危険地帯に入って工事をやっている。しかし、全然危害を加えない。間違って撃たれたのがたった一つある。それで、標識をしっかりしてくれ、こう言っているそうです。そして、襲うときには、あらかじめ予報してくるというのです。ここを襲うかもしれないから、そのときはいないでくれと言って予報してくる。それだけ日本人に対して、アジア人に対して好感を持っている。ところが、アメリカだったら、どんな者でも同じ、入ったら殺されるのです。そういうふうに憎まれている。そうしてしかもじゅうたん爆撃をやっている。ここにベトコンが入ったということになると、不確かな情報でもってみんなその部落をじゅうたん爆撃をやっている。親米主義者が反米になっている。そういうばかなことをやっているのです。しかも、それを自由の名においてやっている。自由の名において人を虐殺する権利が、どこにあるかというのです。週間朝日の三月十二日号に、開高健という人、私は知らない人ですが、これが南ベトナム政府軍に従軍して、何かだいぶひどい目にあったのですが、その人が書いている「ベトナム日本に期待する、サイゴンから帰って」というのを見ますと——私も前からそういうことははっきりわかっておった。それによりますと、何かベトコンが入ったという情報がくると、もうめくらめっぽうに爆撃をやる。そこで農民がおこって、二千人の農民がデモをやった。そうすると、政府軍がこれの指導者を捕えて公開銃殺をやった。こういうことをやっている。証拠もないのに砲弾をたたき込む。そして水田を荒す。戦車で荒す。あるいはナパーム弾をたたき込む。それから化学薬をまいて木を枯らしてしまう。TNTを振りまいて、ほとんど全生物をなくしてしまうようなことをやっている。だから、現に開高健氏に政府軍の大尉が、いや私どもの砲弾ベトコンがつくりつつあるのです、こう言っているのです。これを日本に帰ったらそのまま書いてください、こう言った。これは週刊朝日に載っているのです。そういうふうなばかなことをやって、そしてベトコンを製造しているのです。人間は生きなければならぬから、自由とかなんとかいう抽象的なことばよりも、生きなければならぬから、そこでみんなベトコンに追いやられてしまう。そういうふうな間違ったことをやりながら、幾ら北を爆撃したって、ベトコンの征伐がどうしてできますか。ベトコン北ベトナムの扇動であるなどと考えたら、とんでもない間違いです。当然扇動もありましょう、激励もありましょう。しかし、それによってベトコンがどんどんふえたのではなくて、すでに南ベトナムの三分の二はベトコンになっているというじゃないですか。そういう乱暴なことをやっているアメリカ外交政策、間違ったやり方、そういうものに日本がどうしてついていかなければならぬか。そんなものを当然であるとか、北ベトナム浸透してくるから、これは自衛の措置だ、そんなばかなことを、日本外務大臣は言うべきじゃないですよ。日本に期待しているのだから。一般民衆は、むしろ日本がまた何とかしてくれるだろうと思っている。政治家はそういうことを言わないけれども、日本工営の人がこの間農村に入っていったところが、とても日本に感謝している。日本軍が来たときに——私は日本軍をほめるわけでも何でもないですよ。ホウレンソウをまくことを教えたり、いろいろな農業技術をやってくれた、全く日本はありがたかったと言っている農村すらあったと言っている。だから、一般国民は、日本が入ってこの問題を平和的に解決してくれることを非常に希望しているのです。だから、こういう金を使って、世界歴史上こんなあほうなことはない。金を一日百万ドルも使って、そして何十億も使って、ますます敵をつくって、そして南ベトナムのみならず、全ベトナムをみんな敵にしてしまって、ベトコンとかあるいは共産党のほうに追いやってしまう、こういうばかな政策——アメリカが友邦であるとするならば、特にアメリカと安全保障条約を結んで、いざというときにはアメリカと運命をともにしなければならぬようなことに実際自動的になっている、そういうときに、この際日本政府やあなたは、積極的にこういうアメリカのやり方に忠告をしてやめさせる。そうして平和的な解決に持っていくことは当然なんだ、政治家の良心からいっても、日本の使命からいっても。あなたは、そうお考えにならぬですか、そういう時期であると思わないですか。時期でないとしても、そういうチャンスがきたら、あなたはやりますか、積極的に。それをお尋ねしたい。
  22. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 その前提である事実の認識について、だいぶあなたと私との間には隔たりがあるように思います。松本君の報告だけをたよりにしているわけじゃないけれども、まあ従来われわれが知り得た情報がはたして信頼すべきものであるかどうか、そういったようなことも、松本君の報告によって幾ぶんわかると期待しておる次第でございまして、いま伺ったようなことは、だいぶ私どもの得た情報とは隔たりがございますので、まず、もっと前提である事実の認識について、私は勉強してみたいと考えておるようなわけでございます。
  23. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 これ以上あなたと幾ら議論しても、これは議論にならない。お尋ねしても、あなたの言うことは全く古いのがれだけである。私は無益だと思うので、もうやめます。ばかばかしいから。ただ、これだけは私は言っておきたい。  アメリカが、ベトコンなど、北ベトナムなどを相手にして、そうしてあんなことをやって、アメリカの威信は絶対増さないのです。平和的解決をやれば、アメリカの威信はかえって高まるのです。ドゴール大統領がアルジェリア問題を片づけたときは、ドゴール大統領の威信はちっとも低下しないで、かえって上がったじゃないですか。これは絶対に成功しないのですから、どうか松本さんがお帰りになったら、あなたはもう少し事実を正確に調べられて、そうしてどうかそんなことがないように、ああいうふうなあぶない、場合によってはソ連でも出てこざるを得ないような情勢になったならば——私は、ソ連にこの間行って帰ってきたばかりですけれども、おそらくベトナム問題で重大化してくれば、そういうことはうっかり蓄えないかもしれないけれども、ソ連の政治的な変動はまだ私はあると思う。非常に強硬な、対米的には対米強硬政策をとる政権ができないとも限らないと思うのです。平和共存路線というものは、全くだめになってしまう。そうなったら、私はたいへんなことになるだろうと思うのです。そういう重大な認識を含んでいるのでありますから、どうかあなたは、松本さんがお帰りになったら事実をお調べになって、そうしてこの平和的な解決に努力してもらいたい。  最後にお尋ねしたいのは、アメリカ意図でありますけれども、アメリカ軍事戦略上、実際上考えて、おそらく政治的には、非常に事実に基づかないおろかなことをやっているので成功しない。けれども、軍事的に見れば、アメリカだって戦略家がそろっているのだから、軍事科学も進んでいるのだから、何かの意図があって北ベトナム爆撃していると思うのです。おそらく私は、はっきり申しますと、最近ジョンソン政権の内部には、中国に対する強硬政策をこの機会にとるべきであるという、そういうブレーントラストがジョンソン政権の周囲をだんだん支配してきたということを、あなたは御存じでしょうか。
  24. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 きわめて信頼すべからざる方面の一つの情報としては私聞いておりますが、あまり信頼すべき根拠はないように思います。
  25. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 たとえば、毎日新聞にも出ておりましたが、ロストウ政策企画委員長のごとき、中国がいま核兵器工場を持って核兵器をつくりつつあるのだから、この際中国を徹底的に爆撃する。中国がもし乗ってきたならば徹底的に爆撃して、いまのうちにやっておかなければならぬ、こういうふうなことを言っているのは確かですよ。これは確かです。四、五日前の新聞に載っておりましたが、そういう危険な、つまり一部の者がジョンソン政権の内部を支配しつつあるという危険な事実があるから、この問題は、私は場合によってはたいへんな問題に発展すると思うのです。絶対にそうなるとは言わないけれども、そういう危険性が十分あると私は思うのですが、あなたはそうお思いにならぬですか。
  26. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 よほどそれは現実離れのした議論だと私は思うのでございまして、決してこれは信憑すべき根拠がないと私は考えます。
  27. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 それではこの問題はこれでやめておきますけれども、最後に、設置法の問題について一、二点お尋ねしたいと思います。  私は、最近外務省は非常に無気力になっているではないかと思う。それは、歴代の外務大臣はほとんど外務省出身から出ないではないか。そう言っては失礼ですが、あなたのようなしろうとばかりが外務大臣になっている。私は外交のことはよく知らぬけれども、外部から見聞していますと、非常に——私はやはりくろうとが外務大臣になるべきだと思うのですが、これは日本外務省の制度も悪いのです。これは私しばしば外務委員会でも言ったのですけれども、たとえばイギリス外交は同じところに五年おると、一年有給休暇で帰すのです。月給をくれて有給休暇で帰して、またそこに送る。だから、みんなその地方の問題にはくろうとである。ところが、日本外務省は、三年おったらみんなどこかへ飛ばしてしまう。全部しろうとです。それからイギリスでは、領事なんかどんどん月給を上げて、同じところに何十年もおる。これはイギリスだけではなく、西欧の外交官はみな大体そうですけれども、そこの事情は精知している。領事であって位は低いけれども、長いのは大使くらいの月給をくれているのもある。地位は低くとも、一カ所に上長期滞在させないと、外交上のくろうとになれない。三年くらい置いたらすぐどこかへ転勤させる。これは非常に間違いではないか。こういうことはおやめになったらどうか。これは私、日本外務省のために言うのです、日本外交を憂えているのですから。そういうふうに日本もしたらどうですか。一つの例をあげて言えば、ソ連の大使でロシア語のできる大使は、一回もなったことがないでしよう。それだから、私は、もう少し外務省の制度を変えたほうがよいと思う。やはりイギリスとかああいう西欧諸国の長期滞在制度を学んだほうがよいと思いますが、その点はどうお考えになりますか。この前大平外務大臣にもそう言ったら、大いにけっこうだ、そういうふうにしますと言ったが、何にもやっていない。
  28. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 たいへん外務省のためを思っていただきまして、ありがたいしあわせでございます。お説のとおり、とにかくその土地、国あるいは人に十分習熟をして、そうして初めてりっぱな外交行動ができるわけでございますから、お説のような趣旨はまことにけっこうだと思うのでありますが、よくその点は検討いたしまして、実際的に効果のあがるような方向に努力したいと考えております。  なお、その問題につきまして、ただいま日本外務省はどういう状況にあるかということを官房長から申し上げたいと思います。
  29. 高野藤吉

    ○高野政府委員 御質問の要点は、二つあったかと思うのであります。一つは、できるだけ現地に長くおって外交的になれるように、それから第二は、それに関連いたしますが、有給休暇を与えてやるという点だと思います。  第一点の外国の例で、八年とか十年おった例はございます。が、これはやはりイギリスでも例外でございまして、大体三、四年くらいで一応かわっておるようでございます。日本も、現地の事情でやはり三年、四年おりまして、また日本に帰って日本のほうにおって、また同じ場所に帰るなりほかの場所に行って、できるだけ広く経験を積むという趣旨でやっておりまして、これは各国とも現在大体そういう状況でございます。しかし、特殊な人は一つの国に長くおるということは、もちろんあります。  それから有給休暇であります。か、これは現在人員の不足とか予算の関係等であまり活発に利用されておりませんが、逐次改善して、暑いところには二年おったら帰るというふうに、逐次やっていきたいと考えております。
  30. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 イギリスのことは、戦前にシンガポールの外交から聞いた話なんで、戦後のことはよく知らない。あなたの言うとおりかもしれぬけれども、しかしいまでもそういう長期滞在制度をできるだけとっているはずですよ。ほんとうは日本などはそうしなければだめですよ。  それからもう一つお尋ねしたいのは、大使と公使を見ますと、ほとんど東大か商大出ばかりです。外語とか私学を出たもので大使、公使はないですよ。例外はあるかもしれないけれども、ほとんどない。こういう外務省の人事は、非常に外交官の素質を、そう言っちゃ悪いけれども、無能力にするんじゃないかと思うのです。この点、私学や外語出でもどんどん大使、公使にするようにしなければいかぬですよ。戦前はたまにあったのですけれども、戦後は私学出、外語出なんというのはほとんどないのです。東大か商大ばかりですよ。
  31. 高野藤吉

    ○高野政府委員 外務省は、いわゆるキャリアと申しますか、試験でと申しますか、上級試験が通れば、外務省でみな採用するわけであります。ほかの一般の各省は、人事院の上級試験があって、それから採用する。しかし、外務省だけは、特別の外務省の試験が通れば採用する。試験に通った方は、どこの大学を出られておるかということで差別待遇はいたしておりません。東大とか商大が多いと言われますが、各省に比べますと、外語とか私大を出ている人もおります。その点は非常に自由に、かつ成績によって採用しておるわけであります。
  32. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 それがほとんどないのです。私学を出、外語を出た人で外交官試験に及第している人はあるのですが、大使、公使はないのです。だから、そういう、区別をしてはいけない。外務省のために言うのです。一体外務省出身の外務大臣が、終戦後一人もおらぬ。みんなしろうとばかりです。このごろ外務大臣もだいぶくろうとになられつつあるようですけれども、まったくしろうとばかりがやっている。だから、外交交渉に無関心です。しろうとがやったって、外交交渉だけはだめなんです。外交交渉には、くろうと的な技術やいろいろな習慣や何かがあるのです。そういう点は、幾らほらを吹いたっていくものでない。あなたは通産省から回ってきて、大いに貿易を伸展されるという意味でなったというの、だからけっこうですけれども、私は、外務省のこういう変な貴族主義というか、区別というか、こういうことが外務省を無気力にして、くろうとの外務大臣が終戦後一人も出ないなんということは、一本の外交のために非常に遺憾だと思いまして、こういうことを申し上げたのであります。私の質問はこれで終わりますが、そういうことをあまり弁明しないで、実力さえあればだれでも大公使にする、そういうふうにいってもらいたいと思うのです。外交官試験を受けても合格者が少ないとか何とか言わないで、私大出だって外語出だって現に合格している者があるの、だから、そういう者は区別しないでどんどん大公使にする、こういうようにいってもらいたいと思います。
  33. 高野藤吉

    ○高野政府委員 外務大臣云々については、私が御返事申し上げる筋合いでないと思います。現在、私大や外語を出られて大臣になられた方もおります。その点は、先生がおっしゃるように、学校によって区別するというようなことはありません。能力だけでやっております。この点は御了承いただきたいと思います。      ————◇—————
  34. 八田貞義

    八田委員長代理 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。
  35. 受田新吉

    ○受田委員 この前の委員会でお尋ね申し上げておった事項について、当局の御答弁をお願いしたい点があります。  国家行政組織法等の一部改正の法律に伴いまして、定員の関係が一応この国家行政組織法等という文句の中で片づけられております。これは昭和三十六年のことでございますが、これに関係をして先委員会でお尋ねをした科学技術庁設置法の附則の定員関係の措置についてのいわゆる定員外の職員ということにこれはなると思うのでありまするが、取り扱い方についてお尋ねをしたのです。特に指摘した未帰還職員というこの規定は、科学技術庁というお役所が戦後できたお役所であり、そして未帰還職員というものは、戦後特殊の事情で戦前に勤務した人が引き続き抑留等でその職にあるわけでございまするから、科学技術庁には未帰還職員というものはないはずだと私は思ったわけなんです。そのことでお尋ねしたら、いまのところおりません、こういうことですが、これまで、この法律ができるときはおったのかどうか。その間の事情をお答え願いたいと思います。
  36. 小林貞雄

    ○小林(貞)政府委員 御指摘の国家行政組織法等の一部を改正する法律は、三十六年の六月に公布になっておるわけでございますが、その当時の、庁の御指摘の常勤職員の関係の実情を申し上げますと、一名附則第三項の常勤職員の条項の適用を受ける者がございます。それから未帰還職員に関しましては、当庁は三十一年に発足いたしました役所でございまして、非常に新しい官庁でございますので、当時未帰還職員の規定に該当する者はございませんでした。それが実情でございます。
  37. 受田新吉

    ○受田委員 長官、これはあなたで御回答のできない問題かと思いますが、あなたが、長官をやっておる科学技術庁のお役所に、附則で未帰還職員が従前の例による定員外の措置としてその存在を認められるというかっこうのものが、厳として残っているわけです。新しく生まれたお役所で、未帰還職員は発足当時も現存も全然いないし、またおるべき筋合いのものでない役所にこの規定があることについて、いかなる御見解をお持ちであるか。
  38. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 実は率直に申しまして、前回の当委員会で受田委員からのお尋ねがございまして、私もその点を実はおかしいと思ったわけでございますけれども、いろいろと経過のある問題でもございますようですから、これはひとつ行管なり法制局のほうから、お答えあるいは御説明をいたすほうが適当かと存じます。
  39. 荒井勇

    ○荒井政府委員 昭和三十六年の法律百十一号の国家行政組織法等の一部を改正する法律は、定員管理についての国家行政組織法あるいは従来の行政機関職員定員法というようなものによる規制のしかたを改めたわけでございますが、その法律の中には第三十六条までございまして、各種の行政機関についてのその設置法なりその他の根拠法規を改正いたしておるわけでございます。そしていま受田委員のほうから御指摘になりました規定は、附則の第十一項でございますけれども、その十一項で書かれております「未帰還職員に関する取扱いについては、なお従前の例による。」という点は、この三十六カ条改正しておりますその全体についての附則でございまして、その中の第三十三条で科学技術庁設置法の一部改正が行なわれておりますが、特定して、どこそこの行政官庁という意味でございませんで、当たるものがあるとすれば、その「なお従前の例による」ものであるという趣旨でございます。したがいまして、この規定が特定の第三十三条だけの経過規定であるかと言いますと、そうではなく、あるいはそういう意味でその該当が倫理的にあり得ないというような行政庁は、当然除く趣旨で当時の三十六年の立法がされたものであるというふうに理解をいたしております。
  40. 受田新吉

    ○受田委員 当然除くものであるという理解のもとにやったという根拠は、どこにあるわけですか。
  41. 荒井勇

    ○荒井政府委員 「なお従前の例による」ということは、従前ありました場合には、それと同じ扱いがされますという趣旨の法令用語でございます。でございますから、その従前なかったというものについて、ここに新規に創設するという趣旨はございませんで、従前たとえば外務省にそういう未帰還職員がおったという場合に、その外務省の定員外であっても、帰還後一年間は従前どおり置けるのだといった趣旨、あるいは昔内務省の定員でかりにおったというような者がありとし、あるいは商工省の定員でおったという者は、その同一性を持って存続するような行政庁の定員上の取り扱いについて従前されたと同じ扱いをするのだという趣旨が、この「なお従前の例による」ということばの意味でございまして、従前なかった行政庁というものについて、ここに第十一項の規定によって新規にそういうことを可能にするというような意味はなかったのだと思います。  それから受田先生がいまおっしゃいました御趣旨は、もっとこの十一項の規定を的確に、じゃあどの行政官庁と、どの行政官庁とについてはその「なお従前の例による」の、だということをいったらより明確になったではないかという御指摘もあろうかと思いますが、その点非常に多くの行政官庁、三十六カ条にもわたって改正しておりますし、その一々について取り上げて書くということまで当時の案としてなされていなかったのだと思います。それで今後こういう職員が一人もいなくなったという、そういう状態になりますれば、こういう「なお従前の例による」といったような趣旨の規定は、できるだけ早くなくされるべきであるというふうに考えますが、現状においては、そういう職員がまだ依然として何十人かいるという現状では、いまさかのぼってこの三十六年の改正法の附則の規定をぜひとも直さなければならないというふうにまですることについては、問題があろうかというふうに存じております。
  42. 受田新吉

    ○受田委員 行管の局長ひとつ。
  43. 井原敏之

    井原政府委員 三十六年の国家行政組織法等の一部を改正する法律というのは、いま問題になっております事項についての共通の附則でございます。したがって、該当のないところにも一応形としてはかぶるので、それぞれの設置法に書かれたという経緯になっておるのじゃないかというふうに考えます。したがって、現在未帰還者をかかえておらないというような役所には、この附則は空文になるわけでありまして、当然落ちておるのが実情に即すると思うわけでありますけれども、この法律が、三十六年の国家行政組織法等の一部を改正する法律が通則的に書いておりますから、形式としては全文かぶった表現が出ておると思いますが、現在実態のないところにはこれは当然働いておらぬものというふうに理解をいたします。
  44. 受田新吉

    ○受田委員 これは法律技術上の問題として、実態の全然ないところにその規定が朗記されているというところに問題があるのです。形式の問題からいって間違いです。いまあなたが形式的な問題だとおっしゃったが、形式的に見まして、科学技術庁設置法の中にきちんと条文として、全然新設の官庁であって、初めから未帰還職員があり得ないところにこの規定が厳として残っておるじゃないですか。この問題は国家行政組織法等という等の字で書かれておる。この法律の改正によって三十三条の科学技術庁の中にも未帰還者が残るようなことになっておったわけでございますから、これを実態にあり得ないところの分は除くような法律改正にすべきではなかったか、こう私は思うのです。これは法制局の御答弁を伺っても、適当な機会に何かすべきだという御意見もいまあったわけです。実態のないところにきちんと残っておるのですから、これは未帰還職員は、愛知先生の現在指揮監督を受ける全然あり得ない職員がおるわけです。法律の上に残っておるのです。こういうことを法律技術上やっていいか、どうか、いかがですか。
  45. 荒井勇

    ○荒井政府委員 科学技術庁設置法は、昭和三十一年法律第四十九号という形で設定されておりますが、この未帰還職員についての扱いというものが、その各省設置法の、たとえば制定当初の附則の規定に一々入れて規定するというような形をとりますと、それはまさに科学技術庁設置法自体の中の規定であるということになるわけでございますが、そういう改正の技術もあり得たわけでございますが、しかしながら、この科学技術庁についてはそういうものはありませんし、三十六条にもわたるたくさんの改正で、それぞれの設置法の制定当初の附則の中に入れるというような繁雑な取り扱いをしなくても、ともかく三十六カ条全体の改正の共通の経過規定ということで書いて、該当のあるところについては適用がある。該当のないものについては、それは規定の対象そのものでないという意味で、事実上通用がないという状態になるわけでございまして、こういう措置は、たくさんの法律の改正をするような際に適用があるものについては適用があるという遡行で規定されるということは往々にしてあるわけでございまして、各省設置法の附則全部を一カ条一カ条直すということまでの措置をとるほどの問題でなくて、この附則の第十一項で共通に附則で書いておけば、十分関係者にとっては理解し得るではないかという意味で当時このような規定が設けられたものだというふうに理解いたしております。
  46. 受田新吉

    ○受田委員 もうこれ以上私は聞きませんけれども、これはいずれにしても、形式の問題で片づけたとおっしゃるけれども、私のほうは逆に言えば形式の問題で片づいていない。現実に科学技術庁に職員がおるじゃないですか。未帰還職員という架空の職員がおるのです。そういう法律技術というものが文明国家のわが国にあるという行き方が、該当者があれば適用する、なければ適用しないというような規定が、各省設置法の中にあるというのは、おかしいじゃないですか。こういう問題をつい法制局などでいいかげんな扱いをされないで、現実にない部分はきちんと、あり得ないのでございますから、科学技術庁設置法の分についてはこの規定は削除するという意向を当然うとうべきだったと思うのです。おもしろい立法措置がされている。変な立法措置ですよ。科学技術庁の職員だって、幹部の方だっていままでお気づきにならなかったほど、これはおもしろい規定が残っているのです。法制局としては、また行管としても、今後十分心して、当然削除すべきものは削除するという措置をとるべきである。今までも往々にしてあるとおっしゃるけれども、こういう措置が往々にしてあってはいけません。これは御注意しておきます。
  47. 荒井勇

    ○荒井政府委員 科学技術庁につきまして削除するのがいいのではないかという御趣旨でございますけれども、これは共通の附則でございますので、科学技術庁だけについて削除するということは、昭和三十六年の経過措置等の規定といたしましては、これはまずできない。というのは、この第十一項の規定が現に適用を受けております六十何人かの職員がいるという状況のもとで、この共通の経過規定を、科学技術庁設置法だけのために第十一項を削除するというようなことをすると、かえって問題を生ずるのではないかというふうに考えますので、共通の附則であるという点につきまして御理解をいただきたいと思うわけであります。
  48. 受田新吉

    ○受田委員 その法律を制定する手続として、共通のものをまず掲げて、該当する者があればそれを生かす、該当する者がなければ捨てるというような各省設置法で考えさせるような行き方というものは、これは法律のたてまえからいって個々に即した立法の措置でないと思います。この点は立法技術上の問題として、はなはだ変な規定、幽霊の規定がここに出ておるわけですからね。これは何か立法技術を研究されて、全体におおいかぶさる規定が個々においてはそれが適当に処理されるような形の立法技術を御検討願いたい。よろしゅうございますか。  では、これは質問をそれでおきますが、もう一つここに定員法関係がここへまとめられてきているわけですけれども、今度出されたこれに関連してお尋ねするのですが、法律案の中に、自治省のように一人減らすところもある。たった一人減らすために法律改正をされておる。ふやすところもある。他の省にこれを書いておる措置がされているところもある。こういうときに、ひとつお尋ねしてみたいが、一人減った自治省設置法が、かりに通過しなかったために、この法律の実効の上に影響があるかないか。
  49. 井原敏之

    井原政府委員 それは前回の内閣委員会で御指摘がありまして、そういうのはふていさいであるし、まずいということで検討するということを申し上げまして、実は行管でそういう場合の扱いをいま検討しておる最中であります。ただいまの後段でお示しのあった点が、ちょっとわかりません。
  50. 受田新吉

    ○受田委員 自治省の設置法で定員が一人減る。一人減った場合に、減るという法律が通らなかった場合に、一人減るということが、結局いまの欠員がそのままに補充しないでおけば、一人減らすような問題は法律の効力の上には全然変化がないことになるのではないか。結局補充しないでおけば、一人減らすだけというのは——ふやす場合はもちろん充実した場合のことを考えなければいけませんが、一人減らすという場合の措置は、欠員補充をしなければ減の分は十分それで流用されることになるんですからね。法律の案が通らなくても、自治省の場合は実際的には影響かない、そういうことになるのではないかということをいまお尋ねしておる。
  51. 井原敏之

    井原政府委員 御指摘のとおり、実効として直接の影響は出てこないと思います。
  52. 受田新吉

    ○受田委員 そういう法律案が、この内閣委員会には出ておるんですからね。法律の実行効果の上には影響がないような法案が出ておる。おもしろいことなんですよ、これは。行管、これはどうですか、われわれが審議してもしなくてもいいような法律が出るというのはおかしいことです。ひとつお考えにならなければならぬと思います。定員の関係は、大所高所から再検討するよう御注意しておきます。  それで今度は、山内先生もお尋ねになるので、私、ちょっと科学技術庁長官にずばり前回の質問に続いたお尋ねをいたします。科学技術庁が、昨年の十月十九日に、庁として特に技術輸出に関する調査結果を発表されておるようです。わが国の技術輸出は、低開発国に対しては非常に工場施設関係等で輸出をやっておるけれども、先進国に対しては特許に関するもの以外にはたいした実効があがっておらぬという報告がされておるわけです。これは科学技術庁としては、文明国家として大国意識を持つ日本としては、これは非常にさびしい話なんで、特に原子力の問題などにいたしましても、外国からいろいろな知恵をかりる、技術をかりるというほうばかりに力を入れて、外国に原子力の技術的な輸出をするということはなし得ていない国である。文明国家の名に恥ずる実績をいま持っているわけです。長官、この実態は一体科学技術庁として——文明国家に厳としてそびえている科学技術庁の役割りとして、技術をどんどん進んで先進国にも輸出する、原子力研究も、むしろこちらで開発したものを向こうへ逆に輸出するというようなたてまえに、政策を勇敢に推進されてはいかがですかね。
  53. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 全く私も御同感でございます。これは、ちょうど通産大臣もお見えですけれども、私が考えますところでは、終戦後急速に日本の経済の科学技術化と申しますか、合理化の推進と申しますか、というような点から、どうしてもやはりいままでのところは海外の技術その他を導入しなければならなかった、こういう関係がいろいろの数字の上にも反映しておるのであると私は理解しておりますが、これからは、ただいま御発言のように、何とかひとつ、特に原子力等におきましても、平和利用という面においては独特の自主的な研究開発を行なって、海外にも協力をいたしたい、発想としてはまさにそういう考え方でまいりたいと思っておるわけでございます。実は、今回御提案申し上げております予算等におきましても、たとえば新技術開発事業団を中心にする国産の新技術の開発研究、あるいはその他の部面におきましてもいろいろのくふうをいたしておるわけでありますが、まだまだとてもそういったような雄大な構想には及びもつかない点が多々あると思いますが、これは今後の問題といたしまして、御趣旨のように、大いに大きな構想を勇気を持って展開しなければならない、かように考えておるわけでございます。
  54. 受田新吉

    ○受田委員 通産大臣にもひとつお尋ね申し上げたいのですが、これは科学技術に関係する通産行政の一翼でございますので、いま愛知大臣から御答弁になったことに関連して、通産省としても、原子力発電というもの、これは科学技術の点からいうならば、科学技術庁の原子力局が御担当されておることでございまするが、一方、通産行政の大事な電源開発という意味からいうならば、通産大臣の御所管である。ソ連のように、いまから十年前にわずかに五千キロの原子力発電しかなかったものが、今日千倍の五百万キロの、原子力発電所を持っておる。五年後にはさらにそれが五倍になる。こういうふうなすばらしい実情を見たときに、ひとつ日本の電源開発のエネルギー源としての原子力の平和利用のトップをいく原子力発電所を、民間の企業等にも十分激励をし、協力させて、科学技術庁を中心とした技術動員をさせて、思い切った原子力発電所——将来エネルギー源としてはこの原子力発電所が中心になるような時代を止むために、どのような構想を持っておられるか。一応簡単でいいですから……。
  55. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 現在、御承知だと思いますが、日本原子力発電株式会社で十六万六千キロワットの原子力発電の建設中でございます。次いで三十万キロワットの計画がございまして、さらに東京、中部、関西の三電力会社が、昭和四十五年ごろまでにそれぞれ約三十万キロワットの原子力発電所を建設する計画でございます。少し遠い将来を申し上げて恐縮でございますが、昭和五十五年度までには七百万ないし九百五十万キロワットの原子力発電所を持つ、こういうような見通しになっております。私といたしましては、御指摘のように、原子力発電が世界の各国に比較いたしまして多少おくれておるということを遺憾に思っておりますが、いま申し上げたように、積極的にこの原子力発電所の開発には取り組んでいく考えでございます。
  56. 受田新吉

    ○受田委員 長官のほうで、昭和三十六年だったと思うのですが、原子力開発長期計画というものが一応立てられております。この計画は、もう四年たった今日大幅に改定して、前向きの勇敢な計画に切りかえる必要があると思うのですが、いまの通産省の発電計画など含めて、ひとつ基本方策をお示し願いたいのです。
  57. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この問題につきましては、ただいま通産大臣からも御説明がありましたとおりでございまして、長期計画においては前期十年計画というのが御承知のようにございますが、これは昭和四十五年までに国内の原子力発電施設百三十万キロワット程度のものを開発する。そして後期計画を合わせて、終局の目標は六百万ないし八百五十万以上にしたいというのが当時からの既定計画でございますが、先般当委員会でもちょっと触れた点でございますけれども、先般来原子力委員の構成等についてもその点を十分考慮いたしまして、原子力発電計画それ自体についても必要に応じて改定をする必要がある、同時にまた、その基礎としてのいわゆる再処理問題等につきましても、基本線をはっきり政府として一本化して、これの具体的な推進をはからなければならない、かように考えまして、大いに積極的な意欲を燃やしておるところでございます。
  58. 受田新吉

    ○受田委員 時間の進行を助けるために、ずばりもう一、二問簡単に御答弁願いたい。非常な意欲を持っておられるので、一応納得しますが、私、もう一つこの機会に宇宙開発のことでお尋ねしておきたいのです。  宇宙開発推進本部を中心に大型ロケットの打ち上げなどいろいろの御計画があるようでございますが、大体ソ連のウォスホードなどのような人間を搭乗させる人間衛星の打ち上げというようなものは、一体いつごろの目標をもって長期計画をやっておられるか。これはやはり科学技術国日本として、こういう科学技術の平和利用面における思い切った計画を、大臣も一応胸の中に描いておられると思うのです。人間衛星船の——これはほかの衛星の問題を私、言いません。人間を搭乗させる計画は、一体いつごろを目標にしておられるか。
  59. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 実は率直に申しまして、人間衛星のところまでまだ具体的な計画は持っておりません。将来のビジョンといたしまして、私としては、平和利用ということである限りにおいて、宇宙開発についても、世界の先進国に伍していきたい、できればそれを越えていきたいという意欲は持っているわけでございますが、具体的には、先般の委員会でも申し上げましたように、実験的な平和利用の人工衛星を四十五年度に打ち下げるということを目標にいたしまして、そこまでに至る間におきまして実験衛星の打ち上げに成功いたしたい、こういう計画で、宇宙開発審議会、そのもとにおける宇宙開発推進本部、それから東大の既成の計画というようなことを総合、体的に推進していきたいと考えております。
  60. 受田新吉

    ○受田委員 これをもっと前向きで、もっと遠大な理想を持って私はやってもらいたいのです。そのためには、宇宙開発推進本部のような三十人ばかりの、今度改正して三十一人というような、こんなわずかな機構では、とてもこの問題の処理はできません。アメリカにはNASAという、これは軍事利用の面が大きく動いておりますけれども、そういうことを別にしても、ひとつ宇宙局を新設してそこで処理させるくらいのことに前進させておかなければ、宇宙開発推進本部というようなところではろくなことにならぬと私は思うのですが、いかがでしょう。
  61. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私も、理想としてはそういうことであると思います。しかし、現実の課題といたしましては、実は先般もざっくばらんに申し上げたわけでございますが、東大の固体燃料を使用するところの計画というのが、すでに相当進んでおる。これと科学技術庁側の平和利用の液燃を中心とするところの計画というものと、相互の研究を一体的に推進するということがまずもって当面第一にやらなければならぬことである、かような認識のもとに、その線を推進したわけでございます。四十年度の予想におきましても、現在の財政事情からすれば相当の予算を盛り込んでもらって、これをひとつ第一歩にして進めてまいりますと同町に、いまお話もございましたような将来に対する大きなビジョンを描きながら、実際に即した推進方法を講じていきたいと考えておるわけであります。
  62. 受田新吉

    ○受田委員 これでおしまいにしますが、いま総合研究、あらゆる者の知能を動員する計画を持っておられますかどうでしょうか。科学技術庁の所管の中に、国立、公立、私立の大学個々の研究というものは、大学の研究を除くということで、科学技術庁設置の内部の規定によって除かれてあるわけです。これはやはり問題があると思うのです。大学の研究というのは科学技術振興にたいへんな貢献をするわけでございますから、研究そのものは自由であったとしても、研究機関を設置するというような問題は、当然これは科学技術庁がしっかりスクリューになって促進しなければならぬ問題だと思うのです。そして国立、公立、私立等の有力な科学者を動員して、そういう設立の主体がどこにあるかを問わず、その知能を動員するために、国公私立の大学の先生たちの専門家による連絡機関、研究機関というものを相互に持って、科学技術庁の大事な科学技術開発の一翼を承らせるというような形の、研究機関のほうは、あなたのほうでおやりになっていいと思うのですが、あなたが文部大臣を兼ねておられる間にこの問題を処理していただきたいと私は思うのですが、大臣どうでしょう。
  63. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 考え方としては、まさにそういうことであると思います。ただ、大学の研究の自由、いわゆる学の独立ということ、これにやはり相当の配慮をしなければならない。やはり学術の研究には、グルンドの研究というものが非常に必要なわけでございますから、その間をどういうように調整していこうかということで、臨調の答申につきましても私は原則的に全面的に賛成なんでありますけれども、ただ大学の基礎研究との間の調整をどうしていったらいいかということを最大の焦点にして、ただいま鋭意研究しているわけでございます。しかし、先ほど申しましたように、できることから実際上進めていきたいというのが、この宇宙開発推進本部の人的の統合ということに一つあらわれている、こういうかっこうを実際上も進めていきたい。相互の連絡協調を実際上まず進めることがプラクティカルな行き方であろうか、かように考えておるわけでございます。
  64. 受田新吉

    ○受田委員 終わります。
  65. 八田貞義

    八田委員長代理 山内広君。
  66. 山内広

    ○山内委員 科学技術特別委員会でまた発言の機会も待てると思いますので、ごく簡単にお伺いしておきたいと思います。  今度御提案になっております案の第一は、航空宇宙技術研究所の支所を角田に置くということで、旧海軍の火薬支廠あと三十万坪という広大な土地に支所が設けられるわけであります。そこで、将来計画はこの支所をどの程度まで規模を拡大し、そして研究の目的は何であるか。予算を見ましても、今年度は初めてこれに着手するということで、たった人員も四人、予算も三億、整地程度より提案されていないわけでありますが、将来計画をひとつお示しいただきたいと思います。
  67. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この角田の支所につきましては、科学技術庁としての液体燃料を使うところの宇宙開発に関係があるわけでございますが、四十年度におきましてはVTOL、いわゆる垂直離着陸機の地上研究ということでスタートする。それから将来におきましても、いま申しましたような方向で地上の試験センターといたしたいと考えておるわけでございまして、いわゆるロケットの打ち上げ自体をこの土地においてやるということは考えておらないわけでございます。  将来計画につきましては、政府委員から御答弁申し上げます。
  68. 江上龍彦

    ○江上政府委員 角田支所の計画につきまして、現在考えておりますことをお答え申し上げます。  まず四十年度につきましては、御提案申し上げておりますとおり、三十万坪の土地を整備することが第一。第二として、そこにVTOL関係の大型の試験施設、すなわち具体的にはジェットエンジンの高度制御試験装置、それからフライングテストベッド、これは飛行機そのものをつり下げていろいろな飛行特性とか高度制御の試験をするわけでございますが、そういった二つの設備を四十年度は予定しております。これを引き続き進めまして、約二十億くらいの金で四十四年度くらいまでにVTOL関係の施設の整備を終わりたいと思います。  なお、四十一年度からは、それとあわせまして、ロケットの液体燃料関係のいろいろな施設を逐次整備してまいりたいと思います。おもな施設としては、液体ロケットのテストスタンド、その付帯設備、あるいは推進薬の供給系統の試験設備、あるいはデータの処理装置、多分力テストスタンド、ロケットエンジンの構造試験設備、あるいは環境試験設備、こういったものを逐次整備してまいりたいと思います。これはただいまのところの案でございますが、そういった両方を含めまして、四十四年度までの五カ年計画で大体四十七億円程度の規模を予定しておるわけでございます。
  69. 山内広

    ○山内委員 わかりました。VTOLについてはまた意見もちょっと申し上げたいと思うのですけれども、日進月歩、非常に早いテンポで移っている科学技術に、またなぜ四十四年という計画を出したのか、その点はちょっと私は不満があるのです。というのは、実はけさ科学技術関係の予算書を見たのです。これは予算委員会の分科会あたりで詳しくお伺いすればいいのですが、時期を失してしまいました。航空宇宙技術研究所関係の予算をずっと見ましたが、非常に心細い予算になっておるわけです。昨年が十九億八千三百四十万だったのが、ことしは十六億三千八百万何ぼ、三億五千万ばかり減額になっている。これはいろいろな大きな整備がなくなったということだとは思うのですけれども、それにしても、こういうときに前年度くらいの予算をそのまま大蔵省に交渉して、そしてたった四人で整地くらいのものを三十万坪に四十年度一年かかってやるというのは、非常にテンポののろい、技術の進歩に伴わない予算だと思う。この点は愛知大臣、がんばれば、計画さえ持っていってやれば、昨年の予算ぐらいは取って、施設がもっと二年や三年は短縮できると思う。この点についての御見解はいかがですか。
  70. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それはごもっともでございまして、この点については御説明の機会がございませんでしたので、少し詳しく申し上げたいと思いますが、航空宇宙技術研究所の予算につきましては、先ほど申しましたように、この際東大その他とのいわゆるジョインストスタディを進めてまいりたいということで、文部省所管の予算の上におきまして、これは相当ふえておるはずでございます。それが一点と、それから端的に、航空宇宙技術研究所はただいまお示しのとおりでございまして、四十年度は十六億三千八百万円ほどになりましたから、昨年度の当初予算に比べますと、約四億円ばかり減額になっております。これは一見はなはだおかしいのでございますが、その主たる原因は、航空宇術技術研究所でかねがねやっておりました大型低速風洞、極超音速風洞、それらが国庫債務負担行為でやっていましたが、現金化が三十九年度で約九億円でございまして、これは使用済みになりました。それから四十年度残りが約一億五千万でございまして、この関係におきましては、昨年度に比べまして、事業が進みました関係で、七億五千万円の当然減が起こってまいったわけでございます。したがいまして、約二十億から七億五千万程度を引きますと、十二億九千万円ほどになるべかりしものでありましたものを、実質的には三億四千万円を増額いたしまして、その結果が十六億三千八百万余円という、こういうことになったわけでございまして、実質的には、これは弁解がましくなりますが、三億四千万円の増額になっておるわけでございます。しかし、それにいたしましても、もっとこういう際にこれをふやすべきであったということにつきましては、私も御趣旨においては御同感でございまして、なお今後大いに努力はいたしてまいりたい、かように任じておる次第であります。
  71. 山内広

    ○山内委員 行管の監察月報を見ましても、国立大学とかそのほか、いまちょっとお話しの出ました文部、通産、運輸、郵政といった各省でやっているものを、総合調整をはかれという勧告がなされておるわけです。その中で、今度の支所をここに設けるということとの関係は、一体どうなるのか。どういう検討をされて新たにこういう——私どもにすれば不便なところだと思うのですが、そういう遠いところに支所を設けるのか。総合調整との関連で御見解を聞かしていただきたい。
  72. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 総合調整につきましては、予算の編成等におきましても、現に科学技術庁といたしましては、科学技術の研究開発等については、各省庁と十分連結、協議をいたしておるわけでございます。  それから、非常に不便なところで、総合調整の対象としてどうであるかというお尋ねでございますが、これも実は適地を全国的にわたって調査をいたしました結果でございますが、いま申しましたような本年度の計画から始まりまして、相当長期にわたってかなり大規模な地上の実験でございます。たとえば常識的にいいますと、ものすごい音がする試験になるわけでございますが、そういう点から申しまして、人里離れたところで、この場所は、もとの海軍の火薬支廠あとで、周囲は山に囲まれており、荒廃しているところでありますだけに、住民にも影響がなく、こうした実験が将来ともに行なわれるであろうというふうに考えまして、ほかの適地ともいろいろ彼此勘考いたしまして、総合調整の結果、この地域を最適と考えたわけでございます。なお、先ほども申し上げましたように、ロケットを将来ここの場所から打ち上げるのかどうかという点は、これは打ち上げには適しないところだと考えております。
  73. 山内広

    ○山内委員 ここに支所ができまして、VTOLを最初に研究されるそうでありますが、私はこれはしろうとでよくわからないのですが、いま航空技術の問題というのは、むしろ飛行機のほうは非常に速力が早くなって、二マッハとか三マッハとかいうように非常にスピードと大型化を、要求されておる。それで飛行場をあっちに移せ、こっちに移せという問題が出たり、飛行場の滑走路の拡張とかいう問題等、いろいろ問題が出てきておるわけです。そういう点から見れば、このVTOLというのは、考えによっては短距離の離着陸の研究だそうでありますから、そういうのを防ぐと言えばそうかもしれませんけれども、何かいまの現実に飛んでおる飛行機からいうと、ちょっとヘリコプターのようなものを研究するということについて、私どうも共鳴するところが出ないのですが、これはどういうことになりますか。
  74. 江上龍彦

    ○江上政府委員 VTOLと申しますのは、垂直離着陸機でございますので、これは決してヘリコプターのようなスピードののろいものを考えておるわけではございませんので、宇宙研の目的としては、マッハ以上で飛ぶ——ジェット機が大型になり高速になりますと、現在存じのように二千メートルの離着陸のための滑走距離が要るわけでありますが、この距離を縮めていく、この究極の姿がジェットエンジンで垂直に上がれる飛行機、こういうことでございまして、現在の高速大型化時代と決して矛盾するものではございません。その中間段階としまして、VTOLと申しますのは、垂直まではいかなくとも、その距離をできるだけ縮める。たとえばジェット機の大型で二千メートル要るところを千メートルくらいでおさまるということになれば、これこそまさにわが国のような土地が狭く入口綱密なところには適した研究であるというので、この研究を取り上げておるわけでございます。
  75. 山内広

    ○山内委員 まことにけっこうな研究だと思うのですが、ただ、そうなりますと、さっき申しました四十年度わずかに四人くらいで整地程度という計画は、あまりに時代におくれる。四十四年でようやく設備が完成して、それからその問題が実用化されるのに何年かかるかわかりませんけれども、もっと計画をスピーディにして、もう一年か二年でそういうものを完成してすぐ研究に入る。それくらいの必要があるのではないか。こう思うのですが……。
  76. 江上龍彦

    ○江上政府委員 ただいま四十四年度までと申しましたのは、液体燃料、ロケット関係も含めましての計画でございまして、VTOL関係の施設としては、おおむね四十一年度中に主要施設はできることになっております。したがって、四十年度も単なる整地ではございませんで、最も中心的な施設でありますジェットエンジンの高度制御装置とフライングテストベッド二つ、そのための必要なジェットエンジン三台は注文ができることになっておりますから、もう仕事としてはすぐにかかれて、四十一年度にはできてくる、こういう計画になっております。
  77. 山内広

    ○山内委員 そういたしますと、予算書の中で債務負担行為として二億二千五百万というのが組んでありますが、これは何が必要なんですか。
  78. 江上龍彦

    ○江上政府委員 そのおもな内容は、試験用のジェットエンジンを二台買うわけでございますが、そのうち一台は現金、二台はまる債で注文はできる。だから、三台は注文できる。それからフライングテストベッドが全体で一億かかるわけでありますが、その一割を現金化しまして、残りの金額をまる債で組んでおる。したがって、三台について注文ができるということで、仕事としては予定したとおりのテンポでできる予算になっております。したがって、事業量としては四億できる、こういうように考えております。
  79. 山内広

    ○山内委員 予解しました。そこで定員四十六名増なんですが、この中で、さっきもちょっと申しましたこの支所は四人きりですが、これは技術屋さんを入れるわけですか。
  80. 江上龍彦

    ○江上政府委員 当面は四人といいますのは、整地のために管理要員が要りますので、そのための人員を四人、そのほかに、現実に大蔵省が管理しております守衛がおります。これは定員外で賃金職員として別にするわけでございます。そのほかに、航空技術研究所の職員を兼務させまして、これはVTOL関係の研究をできた段階に応じてやっていく、こういう形で四十年度は発足いたしたい、かように考えております。
  81. 山内広

    ○山内委員 科学技術庁関係の職員ばかりじゃないんですが、最近外国やよその民間にとられる、五年間で百四十三名も引っこ抜かれたということで大きな問題になっておるわけですが、これは待遇がよくないということ、労働環境がよくないということ、そのほか将来に希望がない、いろいろ条件が重なっていますから、単一な解決方法はないのではないかと思いますけれども、長官はせっかくの技術屋を、勉強してもらっても、こんなことでは日本の科学技術の進歩に非常に支障を来たすと思うのですが、そこで四十六名の採用については自信があるのかどうか。それからいま申し上げたよそへ流出するこういう技術屋さんをどうして押えるのか、その点についての長官の御見解をお聞きしたい。
  82. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まことにごもっともな御質問と思いますが、まず四十六名につきましては、この法律案御審議をいただいている最中でいかがかと思いますが、大体見込みがつきました。法律が制定せられましたら、直ちに充足できるだけの用意はいたしておるわけでございます。  それから海外渡航の問題は、先般来いろいろお話しが出まして、私も非常にこの点心配になりますので、あらためて文部省と科学技術庁が協力して、海外渡航といいますか、海外流出の状況を調べてみました。その結果を先般発表いたしたわけでございますが、率直にいえば、もう少し多くあったのではないかと私も懸念しておりましたが、ただいま御指摘のように四年以上帰ってこないという人が百四十三名あったという実情がはっきりわかりました。しかし、いずれにいたしましても、先ほど受田委員のお話にもございましたように、優秀な頭脳が流出されて、新技術その他が日本に輸入の形で入ってくるというようなことは、これは国全体としてもたいへんおかしなことでございますので、まずもってやり得ることとして、科学者、科学技術官あるいは大学の教授という人たちの結局は待遇改善の問題であると思います。昨年もちょうど夏以来、人事院が勧告をつくられる際にも、いろいろ私どもも積極的にお願いや意見を申しまして、相当程度考え方を了とされたわけでございます。一部はすでに俸給表等においても改正ができておるわけでございますが、これをさらに一段と機会あるごとに進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  83. 山内広

    ○山内委員 この採用のときは、人事院の試験によって採用するのですか。それとも、あなた方が技術のほうを十分テストされて任意に採用できるのか、その辺の関係はどうなっておりますか。
  84. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 こまかい点は別といたしまして、筋といたしましては、人事院の手を通しまして、そしてたとえば研究職の何に適するという人のリストができます。そのリストの中から、科学技術庁あるいは研究所独自の立場で、十分人物、適性を考査した上で採用をすることになっております。先ほど申しましたように、こういう時世でございますから、こういった政府機関に優秀な人がきてくれるであろうかどうかということを実は非常に心配したのでありますけれども、幸いにしてこちらの希望しております人員よりも相当多くの人が希望してくれまして、十分適性な者を新規の採用の場合においても採用ができ得る見通しがつきまして、ほっとしておるというのが実情でございます。
  85. 山内広

    ○山内委員 科学技術のような特別な知識を必要とする人は、人事院の試験だけにたよって採るということになれば、年齢がこうだとか経歴がこうだとかいろいろな制限があるので、むしろあなた方のほうで、たとえば教育公務員にも特例があるはずですが、そういうことによって、民間から優秀な人なら、経験の十分な四十過ぎた人でも採ってきて、適当なところを与えて指導してもらう。これくらいの思い切った施策が必要じゃないかと思うのですが、この辺どうでしょうか。
  86. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 少数ではございますが、民間からこれはという人に来てもらっておるものもございます。もう一つは、たとえばいわゆる産学共同というような面を大いに推進していきたい。そういう点では、民間と共通しましたような、相互の連絡協調のムードをつくる。具体的には先般も当委員会で申し上げたと思いますが、たとえば大阪とか名古屋とか、そういうようなところでは、相当産学共同の実があがりつつありまして、非常に幸いと考えております。それからなお、適当な人物の政府側への採用の方針をどうしたらいいかということにつきましては、実は御承知の科学技術会議でも、一つの基本的なテーマとして取り上げておるようなわけでございまして、科学技術会議でも意見が早急にまとまりましたならば、行政の面にこれを実施に当てはめていこう、こういう段取りを考えております。
  87. 山内広

    ○山内委員 最後ですが一つだけ。これは提案とは直接関係はありませんけれども、当面の問題としてどうしても一点だけお伺いしておかなければならぬのは、いま建造にかかっております原子力船の入札の問題であります。これは取り上げて経緯をいろいろお聞きすれば長くもなりますから、この中でこっちが問題を出してお聞きしたい。大臣も御承知のとおり、原子力船は、動力炉を国産品を使うということが、参議院でも衆議院でも決議になっておるわけです。そこで今度の入札がまだできないでお困りのようですけれども、この原子炉についてどういう入札の方法をやろうとしておるのか。はたして国会が附帯決議をつけたように、国産品というものを使えるのかどうか、その辺のことだけでけっこうですから、明らかにしてもらいたい。
  88. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 実はこの問題については、私もいまたいへん苦慮しておるところでございますが、原子炉につきましては、衆参両院の御趣旨に沿いまして、国産でやるということに考えております。
  89. 山内広

    ○山内委員 長官はそうは言われますけれども、国産で現在入札して、ここ、一、二年で国産の設備ができるのですか。
  90. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 現在まで考えておりますところは、舶用機と船体と合わせて一体として発注をいたしたいと考えております。そして船舶機につきましては、国産で日本のメーカーに発注をしたい。もちろんその裏といいますか、陰には、外国の技術協力ということもあると思いますけれども、それは受注される会社におきまして、外国側の協力を必要なものについては受けるということになると思います。
  91. 山内広

    ○山内委員 私は、そういう御答弁が出るのではないかと実は恐れて、いまお伺いしておるのです。国会がああいう附帯条件をつけるときにも、いろいろ意見が出た。しかし、科学技術を振興させるいろいろな研究を日本に取り入れる、そういうことで、日本人自身がつくれるものを要求しておる。それだけの高い水準にまで発達したときに発注していいのです。ところが、いま言うようにメーカーだけにやらせる。長官、これは全部外国のものが入ってきますよ。舶用炉の研究には一つも役に立たない。これは私は言明しておきます。みんな外国から買ってきて入れますよ。入札だけは日本の業者に、一括か分割かはわかりませんけれども、やるけれども、この技術は、いまの舶用炉の研究段階では、日本のなんか絶対に入りません。そこをはっきりしていただきたい。
  92. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 絶対に入らないという非常に断定的なお話でございますが、これは先ほど申しましたように、衆参両院が御決議になりましたような趣旨が生きるようにというところで、いまこの契約の問題等につきましても非常に難渋いたしておるわけでありますが、御趣旨はもう十分に私もよくわかるつもりでございます。
  93. 山内広

    ○山内委員 それじゃ局長にお伺いしますが、メーカーに発注する場合、その中に日本の科学技術としてパテントが何%とっておるのか、外国のパテントは何%入ってきておるのか、この辺の契約上のことはどうなるのですか。
  94. 村田浩

    ○村田政府委員 まだ契約ができ上がっておりませんので、具体的内容について特許の彼我がどのようになるかがお答えできる段階ではございませんが、御承知のとおり、現在舶用の原子炉としまして世界的に見て実績もあり、その機能についても十分証明されておりますのは、軽水型原子炉でございます。それで原子力委員会のほうで原子力船開発事業団に与えました基本計画にも、軽水型原子炉でやるようにということが明示されております。したがいまして、原子力船開発事業団は、メーカーに対しまして発注いたしますに際して、軽水型原子炉ということで発注いたすわけであります。軽水型原子炉になりますと、基本的なファクターにつきましては、ただいま山内先生御指摘のように、アメリカのメーカーが特許を持っております。したがいまして、その点につきましては、いわば技術導入をいたします。技術提携をいたします。そうしてその特許を購入して使うということに相なるわけであります。しかしながら、原子力船そのものの設計は、わが国で造船メーカーと原子炉メーカーでやるわけでございますので、それにつきます炉も、日本のメーカーが設計いたしまして、そうして製造していくわけであります。ただ、製造していくためのテクニカル・ノーハウにつきましては、特許に触れるものにつきましてはただいまの技術導入で使えるようにしてやる、こういうことであります。
  95. 山内広

    ○山内委員 長官、繰り返して言うようですが、将来だんだん原子力船というものも、これは平和利用ですから、時代の流れで、日本も建造していく、将来何隻か出ていくと思うのです。そういうときのためにも、日本人自身に研究もさせ、それらの知識が入ったものを使わせたいというのが、国会の意思なんです。ですから、いま局長は軽水型のものをアメリカから技術提携というけれども、事実いま買ってくれば、そのまま入ってきますよ。その点をあまりここで申し上げると、せっかく一日も早くこの法案を通して、四十六名の採用にも支障のないように御協力申し上げたいと思っているのが、反対せざるを得なくなりますから、きょうはこの程度でとどめますけれども、ひとつその点を十分お考えになっていただきたいと思います。
  96. 八田貞義

    八田委員長代理 これにて本案についての質疑は終了いたしました。
  97. 八田貞義

    八田委員長代理 次に、本案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  98. 八田貞義

    八田委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 八田貞義

    八田委員長代理 御異議なしと認め、に決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  100. 八田貞義

    八田委員長代理 この際、連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。  日韓問題について外務委員会に連合審査会の申し入れをいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 八田貞義

    八田委員長代理 御異議なしと認め、さように決しました。  なお、連合審査会の開会につきましては、関係委員会と協議する必要がありますので、その上で、開会日時につきましては追ってお知らせいたします。      ————◇—————
  102. 八田貞義

    八田委員長代理 通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  103. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 特許庁の関係について、まず最初にお聞きをいたしたいと思います。  先日同僚の村山委員のほうから、現在の特許出願件数が非常に停滞しておる、この事務処理の問題についていろいろとお聞きをいたしたわけなのですが、なおその点について明確に将来の見通しも確約をしてもらわなければならないという点が考えられますので、関連をして質問を申し上げたいと思います。  村山委員の質問によって明確になりましたことは、現在出願積滞件数というのが五十万件ということと、それからこの停滞しておる事務処理を解消するために、定員増をしたりあるいは機械化をしたりして推進しておるのであるが、年々能率はあがっておって、昨年は十六万件、今年は十九万件、来年になれば三十万件近く処理ができるのではないかという答弁があったのであります。   〔八田委員長代理退席、辻委員長代理着席〕 しかし、年々出願件数というのが申びておりまするので、なおその伸び率も見て、そうした出願件数の停滞しておる事務処理の積滞件数をなくするにはどうしたらいいかという点について、もう少し突っ込んでお聞きをいたしたいと思うわけでございます。したがって、五十万件の現在の積滞件数の中には、今年度新しく出願される件数が入ってまいりますし、そうして今年そうして今年のおよその見通しというのは十九万件でございまするので、いずれにいたしましても七十万件近い件数を持って今年度の十九万件というのを処理していく、あとのものをどうして解消していくかということが問題の焦点になろうかと思いまするので、こういう点について、将来の見通しを含めて、もう少し明確に自信のあるところを披瀝していただきたいと思います。
  104. 倉八正

    ○倉八政府委員 現在、御指摘のように五十八万件ぐらいの滞貨をかかえておりまして、将来この根本対策をどうするかというお尋ねでございますが、毎年特許、実用新案が大体七%増のぺース、それから意匠、商標が年に五%増の出願件数を見るであろうということをまず第一の前提にしておりまして、それに応ずる対策としまして、まず第一に人の充実ということが中心でございまして、さらには機械化であり、それからまた制度自体の根本的な改正という、いろいろのコンバインした施策をやっていってこの対策に充てたいということでございますが、しからばどういう状態になるかというお尋ねでございますが、今年度三月に約五十八万件の滞貨が出ますし、来年ではこの前も村山先生にお答えしましたように、来年はさらにこれが六十三万件くらいになるだろう。しかしながら、四十年を境としましてどんどん、下り坂になるということでございますが、その場合に制度の根本的な改正をまず抜きにして考えますと、毎年、審査官の充実というのが、百名ないし百二十名程度は必要である。それから事務職員がさらに十名程度はどうしても必要ではないか、こういうふうにわれわれは考えております。したがいまして、いい審査官をできるだけ充実しまして、この対策に充てるというのがまず一番の問題でありますし、それから次の制度の問題としましては、特に実用新案が非常な大きいスピードで伸びておりますから、これを制度的にどう解決していくかということで、この二つが両々相まってやっていくわけでございますが、まず来年はことしよりも滞貨が累積して、その後は充実とともに下がっていくというのが現状ではなかろうかと思っております。
  105. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 およそ先日村山委員に回答になりました内容のことを幾ぶん数字的にもニュアンスを変えまして回答があったわけですが、来年からは徐々にこの滞貨件数は減っていくということなんですが、先般も村山委員から非常に指摘をいたしましたように、最近、三年、四年と待っておりましては、いかに新案特許であっても、それはもう新案にならない、こういう急テンポな進歩をいたしておりますので、したがって、請願を出せば少なくともこの年度末くらいには結論が出されるというような体制をつくらなければならないと思うのです。それで来年から減じていくというこの数字を、いまの幾械化と人員補充の面でいつごろになればこれがいわゆるゼロになるかという、このことをお聞きをしておるわけなんです。
  106. 倉八正

    ○倉八政府委員 いま特許処理五カ年計画というのを今年度からやりまして、四十三年には特許ないし実用新案の非常なる滞貨が普通の状態になるというのが、最終の目標でございます。その場合、特許、実用新案につきましては、現在三年六カ月かかっているのを二年にする。それから意匠、商標につきましては現在二年三カ月かかっておりますのを、意匠については半年、商標については一年でこれを終えるというのが、この五カ年計画である四十三年の最終目標であります。それで、その二年ないし一年ということは、これは普通の状態というのは大体そうでございまして、これをもっと早くしろという御議論もあろうかと思いますが、早くするのに越したことはないのでございますが、たとえば外国特許もあり、日本の特許もますます複雑になったということで、まあ二年ないし一年というのは、各国の状態から見ましても大体理想図に近いのではないか、こういうのが、われわれの最近の目標でございます。
  107. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 今日までは、普通二年くらいかかっても、これは出願者の要望に沿うのではないかという考え方の上に立って、今日まで行政を進められてきたわけなんです。そこで問題が今日のような行き詰まった状態になっておるわけであります。外国の例からいって二年云々ということは、一つの目標ではありましょうけれども、二年という一つの気楽な考え方があるために、今日のような状態をかもし出したのではないか、こういうように判断をするわけなんです。したがって、五カ年計画を立て、四十三年度にはいわゆる普通の状態に戻すという計画でございますけれども、それには審査官の指導なり、あるいは新しく補充をするなり、機械化をするなりしなければ、この五カ年計画をもって特許庁が計画しております計画を達成することはできない。そこで、大まかな見方で見まして、現在の特許庁の庁舎の状態を見ますと、非常にどの職場ももう定員以上に入っておるわけなんです。機械化をしようと思いまして、どこに機械化をするのか、私どもとしてはするところがないように思えるわけなんです。しろうと目で見まして、もう一館現在の特許庁くらいのビルディングがなければ、ただいまの五カ年計画を立て、そうして国民の要求に沿うところの事務処理をする、普通の状態に持っていくことができないのではないか、こう考えられるわけなんです。これは相当大きい問題であろうと思うのですが、こういう点についての計画はされておるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。この計画がなかったら、これは毎年毎年質疑応答で終わるだけで、私は、実際に問題が解決することはできない、こういうように考えておりますが、その点につきまして、通産省としての計画、また庁特許としての計画をここで述べていただきたいと思います。
  108. 倉八正

    ○倉八政府委員 全くごもっともな御指摘でございまして、いま狭隘に過ぎている。しかも、書類の倉庫というものも完備してないということでございます。それで、さしあたりの緊急対策としまして、ことし五百坪の簡易庁舎をつくるということに予算をつけまして、いよいよ四月の初めから着手するわけでございますが、それでも毎年百名ないし百五十名ふえていけば、それも限度があります。根本的には、いま通産本省のほうで大きい庁舎を計画しておりまして、将来は本名と一体になりまして、そこでりっぱな環境のもとで事務の能率をあげていきたいという計画はございます。
  109. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これは大臣、通産省としての全般的な計画の上に立って、ただいま答弁のあったような構想を持っておられるのですが、大体いつごろこうした問題が完全に処理できるのか、完成できるかどうか、この点について、大臣のほうから御答弁いただきたいと思います。
  110. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 本省の新館につきましては、ことしから計画にかかって、完成まで三年ぐらいの予定でございます。
  111. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますと、ただいま特許庁長官のほうから御答弁のありました問題は、三年後になれば、機械化も完備をし、そして必要な人員の補充もでき、そして四十三年に普通の状態に持っていける、こういうように確認をしておいてよろしゅうございますか。
  112. 倉八正

    ○倉八政府委員 それは建物ばかりの問題でなくて、いまのように拡充の問題、機械化の問題とあわせての問題でございますが、そう御理解いただいてもけっこうだと思います。
  113. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 庁舎の増設の問題は、決定をすれば、予算要求というのは大体のめどというものはつくわけなんですが、機械化というのと定員増というのは、なかなかもって予算、要求しただけ確保というのはむずかしいわけなんです。どちらかといえば、要求の半分くらいしか確保できないというのが、今日までの実態であるわけなんです。そういうことにつきましても、やはり自信あっての御答弁であったかどうか、この点を私もう一度確認をしておきたいと思います。
  114. 倉八正

    ○倉八政府委員 私は、自信を持って言っているつもりでございます。と申しますのは、なるほど御指摘のように審査官を百何名採るといっても、現にそう言いながらできないじゃないかという御指摘かとも思いますが、確かにこれをたとえば二百名も三百名も一度に採るということはできませんが、大体審査官の百名程度ならばどうにかできるだろう。もちろんそのかわり待遇改善も要りますが、そういうことができるだろうということのほかに、もう一つ考えられますのは、根本的な工業所有権の改正でなくても、たとえば先般も大臣から答弁しましたように、早期公開あるいは防衛出願の新しい制度を設ける、これは別にいたした大きい改正でもないのでございますが、そういう改正を法に織り込めば、非常に早くなるわけでございますし、それから出願もそれに応じて伸びがだいぶ縮まってくるのじゃないか、こういうことも考慮に入れまして、私はお答えしておる次第でございます。
  115. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 長官のほうから相当自信を持ってお答えになっておりますし、通産省としても三カ年計画で庁舎の増設の問題も考えておられるようでございますので、この問題につきましては、そうしたことが完全に実現できるように期待をし、強く要請をして、次に移りたいと思います。  次の問題は、今度の設置法の改正で、貿易振興局の新設等の問題に関してでございますが、この問題を取り上げてみますと、やはり低開発国の経済協力の関係とか、あるいはそうした諸国との貿易の見通し、それに国内産業の振興との関係が、問題になってくるわけなんです。したがって、まず第一にお聞きをいたしたいのは、東南アジアの貿易の今後の見通しと、それに関連をしている国内産業の振興という問題との関連をどういうようにとらえて今後進めていかれようとするのか、この点をひとつ御説明をいただきたいと思います。   〔辻委員長代理退席、永山委員長代理着席〕
  116. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 昭和三十九年における東南アジアに対する輸出は十七億八千二百万ドル、対前年比一一%の増でございました。また輸入のほうは十二億九千三百万ドルで、対前年比六・八%の増であったわけでございますが、わが国の全体の貿易の中で、輸出では二九%、輸入では一八%を占めているわけでございます。ただいま申し上げた数字でおわかりのように、輸出のほうが非常に多うございまして、東南アジア諸国から、この点からいたしまして片貿易是正が強く望まれているわけでございますが、通産省としては、国内産業に影響のあまり起きないように考慮しながら一次産品の買い付けをさらに促進するとか、あるいは開発輸入をしていくとか、また経済協力の施策を通じまして貿易の拡大をはかっていく、こういうような考え方に立っていろいろと施策を講じてまいっているようなわけでございます。一番問題になりますのは、何といっても、一次産品の中で農水産物の輸入、これが国内産業に対して圧迫になる問題だと思います。この点は、細心の考慮を払いながらやっていかなければならないかと、かように考えております。
  117. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ただいま末尾に御答弁のありました農産物関係の輸入につきましては、もういま問題になっているわけなんですが、そこでこの問題について何か新しい考え方を持っておられるかどうか。持っておられればおるとか、その内容があれば、内容も説明していただきたいと思います。
  118. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 特に新しい施策ではございませんが、国内物価の高騰の状況から考えますと、それがもし国内産品が数量的に不足している、こういうようなことでありますれば、その辺を考えながら、一次産品といえども、また影響がある農産物といえども、輸入を促進するほうがいい面があろうかと思います。物価対策上。そういう点は相当考えながらやっているわけでございます。それから、これは国内産品の関係というよりも、むしろ片貿易是正の上から考えなければならない問題があろうと思うのであります。割り高なものでも、これを買ってやらないと貿易がとだえる、相手国が貿易を断わってくるようなおそれがある、こういうような場合に、コンペ制度をとっているというのも、施策の一つであろうかと思います。
  119. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ちょっとあとの質問にも関連いたしますので、一応お聞きをしておきたいと思いますのは、いま輸出しておるパーセンテージの関係ですが、先進国へ対してのパーセンテージと、それから低開発地域に対するパーセンテージ、並びに共産国の場合にはおそらくデータが別に出てくると思いますけれども、共産圏に対するパーセンテージをそこで数字がおわかりになりますれば、ひとつ発表していただいて、次に移りたいと思います。
  120. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 輸出先別の構成を申し上げますと、昨年、昭和三十九年の総輸出を一〇〇といたしまして、その中で東南アジア向けの輸出が二九・五%、西アジア向けが三・四%、西欧向けが一三・一%、北米向けが二九・九%、ラテンアメリカ向けが六・六%、アフリカ向けが八・七%、大洋州向けが四・一%、共産圏向けが四・六%、こういうふうになっております。
  121. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ちょっと聞き取ろうといたしましたこととははずれておりますけれども、一応資料としてはその程度のものだと思いますので、それ以上突っ込んでお聞きしても時間のむだになろうと思いますので、あとからなお補足する点があれば中途で補足していただいてもけっこうです。  そこで、後進国に対しての輸出の関係は、後進国の経済協力という面も含めて考えられておるわけなんです。したがって、そういう面を考えて貿易関係を処理していかなくてはならないわけなんですが、そのためにはたとえばどこの国へ対してはこういう考え方でこうした種目のものを輸出をし、輸入をして、そうしてその収支がこうなっておるのだから、だからこの貿易の問題を通じて後進国の経済協力という面もともに貫徹をしていっておるのだ、こういうことについて、ひとつ具体的な例をあげてお示しをいただきたいと思います。
  122. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいまお話しのように、低開発国に輸出を伸ばしていきます場合には、ともすれば日本側の輸出超過で片貿易になりますので、先方も外貨事情その他がありまして、日本に対していろいろ買い付けの要請をしてまいっております。例をタイの場合にとってみますと、御存じのように、タイはおもな輸出品が米、すず、コプラ、木材というような一次産品でございまして、日本は過去におきましてはほとんど百万トンに近いような米の買い付けをいたしておりましたので、日タイ間の貿易はおおむねバランスをしておったのでございますが、日本の米作の改修によりまして、ほとんど米を買う必要がなくなってまいりました。そのために、タイのほうからは、片貿易について非常に強い苦情が出るようになりました。そこで、当方といたしましては、米のかわりに何か買うものがないかというので、いろいろ検討いたしまして、タイ側とも協議をしました結果、日本の国内の畜産、特に養鶏の関係等から、えさの需要が非常に大きくなりますので、トウモロコシの栽培をしたらどうかということを先方に申し入れをしました。先方も、相当に片貿易で困っておりましたので、さっそくそれに乗り出して、日本向けのトウモロコシにつきまして、栽培の量もふやし、また、品種の改良等もいたしました。その過程においては、日本からも技術者が何回か参りまして、先方と協力して、現在では相当数量のトウモロコシを輸入するようになってまいっております。それから、同じように、タイから塩の買い付けの要請がございます。ところが、タイの塩は、品資が必ずしも日本で買うのに十分な要件を備えておりませんので、その点に問題がありますのと、国内の運搬費用が相当高くなりますので、それを改良する必要があるというので、これまた、日本から専売公社等の専門家が参りまして、いろいろ経済協力の面で協力いたしまして、わずかですが、だんだんに塩も買うようになってきておる、こういうような実情でございます。国々によって対象になります品目その他は変わっておりますけれども、タイの場合等は、一つの典型的な例であろうかと応じます。
  123. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 日本の農家の養豚奨励の問題等にも関連をしておるのですが、豚の肉ですね、これは現在はどの程度の貿易状況になっておるか、ちょっとお示しをいただきたいと思います。
  124. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいま手元に的確な資料がございませんが、肉類の全体の輸入が、三十九年におきまして、合計で五千二百万ドルになっております。そのうち羊肉が二千二百万ドルでございまして、その他が二千九百万ドルでございますので、このうちの相当部分が豚であろうかと思います。
  125. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これは大臣、佐藤内閣の政策の一部分として、こうした問題も考えていかなくちゃならないと思うわけですが、現在日本の農家は都市と非常にアンバランスになっておりますし、ひずみ是正ということも強調されておりますが、なかなか具体的な問題として、こうすればこうなるのだという、ぴんときたものが、私どもは見当たらないわけです。したがって、その一部分ではありますけれども、ただいまの肉の問題につきましても、これは今後日本の農家へ養豚等を奨励する場合に、一つの数字的な資料にもなるわけなんですから、こうした面を考えて、やはり閣僚の一員として、この問題の今後の展望をどういうようにお持ちになっておられるか、大臣の御所見を承りたいと思います。
  126. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 日本農村の実情からいたしまして、政府が近年酪農を奨励してまいったことは、言うまでもございません。したがいまして、海外からこれらの関係の品物を輸入する問題、先ほども申したような物価の関係から考えるという場合におきましても、農村に対する影響というものをまず先に考えて、その次に考えるべきではないかと思うのであります。   〔永山委員長代理退席、八田委員長代理着席〕  先ほどもお答えしたとおりに、農産物関係の輸入については、、細心の注意を払いながら考慮していくべきではないか。日本が貿易の自由化ということを国際的に約束はしておりますが、農産物関係につきましては、ただいま言うような見地から、自由化は控えておる、こういうわけでございます。
  127. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私の質問を申し上げておりまする気持ちといたしましては、貿易の自由化ということから、自由貿易がなされるということになりますると、この貿易の関係で、特に低開発国に対しましては、経済援助という面も含めて貿易がなされるということは事実でありまするし、そうかといって、日本には日本のいろいろ産業上の関係から、そう手放しにできない、政治的に配慮をしなければならない問題が相当あるわけです。一つの例としていま申し上げました肉類の輸入の問題等は、農民に酪農を奨励しておる一つの政策から考えてみましても、相矛盾するようなものもできてきまするので、今後貿易振興局を設置して貿易の振興に当たろうとされる場合に、こうした隘路に何ら関心を持たずにやっていてはたいへんであろうと思います。こういう問題につきまして、一つ一つパキスタンとかフィリピンとかタイとかいろいろ国をあげて輸入、輸出の関係を論議しますと、なかなか時間的にそうした余裕がありませんので打ち切りますが、いずれにいたしましても、ただいま申しましたような重要な隘路があるわけでございまするから、その点は十分に配慮をしていただいて、そしてこの貿易振興局としての仕事をやっていただかなければならないと思いますので、この点、私の意見を申し添えておきたいと思います。  それから、時間がありませんので、次に移りたいと思います。御承知のとおり、今日、日本の中小企業は非常に苦境に立っておりまして、破産していく中小企業の規模も、資本金等の内容を見ましても、小というより中になり、中でも大のほうへ近づいておる会社が、相当倒産をしていくという現状に相なっておるわけであります。したがって、今年度の予算の面から見ましても、設備投資の金融の面は、一口に数字でここではあげられませんけれども、毎年実態を見ますると、大企業本位の金融がなされておりまして、中小企業に対しましての対策というものが、非常に置き去りに相なっておるというのが事実でございまするので、今日の段階において、中小企業の育成強化の隘路がますます大きく出ておるわけであります。そういう点についてどう解決をしていかれようとするのか、まず大まかな御意見を大臣から承って、そしてそれぞれ局長さんのほうからも、内容にわたっての説明を具体的にお伺いをいたしたいと思います。
  128. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 通産省として中小企業関係の施策を重視しておりますことば、今回の予算をごらん願ってもおわかり願えると思うのであります。しばしば御指摘を受けました全体の予算に対して中小企業の予算は少ないではないか、こういうことでございますが、それはそれで認めるのでございますけれども、今度の予算の伸び率をごらんいただきますと、通産省自体の予算も平均よりもずっと多く確保いたしましたし、また中小企業関係の予算、これは三二%の伸びになっておると思います。さらに、ただ単に財政面だけでなく、政府三機関を通じての投融資の関係につきましても、総額二千四十五億円、これは三十九年度の当初計画に比較いたしますと、二六・五%の伸びということになっておるわけでございます。また、税制の上におきましても、所得三百万円以下の法人税の減税を特にいたしたとか、あるいは事業主の控除、専従名の控除も考慮を払ったというように、税制血でも棟々施策を講じておるわけでございます。これらを総合いたしまして、中小企業施策は相当進んでおる、かように申し上げて差しつかえないと思います。
  129. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 大臣の答弁からいきますと、中小企業に対する国民の要望も、ここ数年間非常に強い要望もあって、政府としても努力をしておるのだ、現在の実情としても相当力を入れておるのだという大まかな御説明があったわけなんですが、実際的には、そうした政策を仕組んでおると思っておられても、中小企業の倒産というのは非常に多く出てきておる。この実態からいって、通産省としては具体的に手を打っていかなければならない段階に立ち至っておると思います。これをどういうように処理をされていこうとするのか、ちょっと大臣の抽象的な決意表明のような答弁ではわかりにくいので、これは政府委員のどなたからでもけっこうでございまするけれども、もう少し具体的に説明をしていただいて、これなれば一歩前進、三歩前進の施策が講ぜられておるのだ、こういう裏づけを明確にしてもらわなければならないと思います。
  130. 中野正一

    ○中野政府委員 それでは私から……。現在の中小企業の置かれておる非常にむずかしい情勢、これは御承知のように、昨年の末に衆議院、参議院におきまして、中小企業の危機打開決議というものがございままして、これに従って政府としては措置せよという御指示がございましたので、現在までそれに従って当面の問題処理については処置しております。  それから今後の問題につきましては、先ほど大臣から大きな方針をお述べになりました。その方針に従って一般会計予算、財政投融資、税制の改正、そのほか法制的措置等につきまして、現在衆議院の商工委員会に四つの法案を提案をいたしておるわけでございます。  危機打開の問題といたしましては、やはり何といっても金融対策が一つ大きな柱になるわけでありまして、これにつきましては、何といいましても政府関係の中小企業三機関、商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫、三つございますが、ここに財政資金を十分出しまして、政策的融資を特にやらせるということが大事じゃないかということで、これも御承知かと思いますが、昨年の末以来約八百億の資金ワクの追加をやりました。それから同時に、民間の金融機関の中小企業向けの貸し出しワクをできるだけ——これは御承知のように、一般の銀行等につきましては、逐次中小企業向けの比率が低下ぎみでございます。これをできるだけ低下しないようにという行政指導を従来からやっておりますが、特に年末等に際しましては、五百億程度の買いオペをやりまして、これは日銀の買いオペでなくて、財政資金による買いオペでございまして、そして一般の金融機関によりまして、資金を一種のひもつきでもって中小企業に流す、こういうような手を打ってきておるわけでございます。また歩積み、両建ての自粛の問題も非常にむずかしい問題でございますが、これにつきましても、国会の決議もございまして、昨年の六月以来、一般の銀行につきましては一年以内、相互銀行、信金等につきましては二年以内に過当な歩積み、両建てをなくすということで、まことに具体的な自粛基準というものをつくりまして、現在着々実行に当たっておるわけでございます。  それからなお、最近の問題として、信金であるとか相互銀行、こういうところの預金がコールに出て、結局都市銀行等でこれをコールにとるというようなことで、中小企業に金が流れないじゃないかということがございますので、この点につきましても、これを行政指導によって中小企業のほうに流れるように、これは大蔵省のほうからやかましく指導いたしておるわけであります。  それから次に下請の問題でございますが、これも今度の山陽特殊製鋼が倒産をしたことに関連して、関連の下請企業が七十四社ございます。それ以外に関連の中小企業というのが、約三百四十社ばかりあるわけであります。要するに山特と取引のある中小企業ですね。これらがいろいろ手形をもらっておって、これが不渡りになったというようなことで、いわゆる山特の倒産で関連倒産をするということがないようにということで、金融機関につなぎ融資を現在やらしております。これは現地の大阪の通産局、また大阪にあります財務局、この両者が協力をいたしまして、姫路あるいは兵庫県当局とも協力をいたしまして、関連倒産のないようにいま現地において処置をいたしておりますが、何といいましても下請企業は非常に弱い立場にございますので、これの下請関係の取引の適正化につきましては、公正取引委員会がこれを主管をしておりますが、これと私のほうと緊密な連絡をとりまして、下請法の厳正な運用につとめてまいっております。昨年来私のほうで四問に分けて全国で親企業約八千の書面調査をいたしまして、主としてこれは支払い条件を中心に調査をいたしまして、そのうちで法律違反の疑いが濃いものにつきましては、それを呼び出して事情を聴取し、あるいは必要によっては地方にあります通産局の係官が出向いていって立ち入り検査をする。そうしてそのうちでどうしても行政指導によって改善の見込みのないものにつきましては、公正取引委員会に審査請求をするということで、先般十三件の審査請求を公正取引委員会に出したわけであります。別途公取といたしましても、約二千の親企業につきまして厳重な審査をやっておるわけであります。なお、この下請関係につきましては、そのような消極的な、どちらかというと取り締まりの強化ということだけではなくて、積極的な政策——たとえば山陽特殊製鋼の場合も、われわれが非常に困っておりますのは、下請関係の共同組合がないわけです。そのために、商工中金あたりから金融的なめんどうを見ようとしても、なかなか見にくいというようなこともございますので、積極的に下請関係の共同組合をつくらせて、共同事業をやると同時に、やはり金融面のめんどうもそういう組織化を通じて見ようという動きが、いま現に山特関係でもございまして、そういうこともいまやっております。  同町にまた、下請関係につきましては、何といいましても、親企業のほうの業界と下請のほうの業界とが業種別に話し合いによって、下請関係の、たとえば手形サイトをこの程度にする、支払いの条件をこういうふうにするというようなことで、これは役所が中に入りまして両者の話し合いをさせまして、そして下請関係が悪くならない、取引関係が悪くならないように、むしろよくなるように行政指導を今後も強化していきたい。  なお、来年度の予算におきまして——これはいま申し上げました衆参両院の危機打開決議の中にもありますので申し上げますが、来年度におきまして、大阪、名古屋の二カ所に、地方公共団体の出資によりまして下請企業振興協会というようなものをつくりまして、下請のいろいろなあっせん業務をやらせたいというふうに考えております。  いま申し上げましたのが、生として金融関係、あるいは下請倒産防止等についての具体的なわれわれのとってまいりました措置でございます。
  131. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 倒産防止ということではございませんが、最近の山特倒産によって三十二の下請企業が非常に窮地に追い込まれておるという面から、これの打開策として一つの考え方、指導方計というようなものが述べられたわけでございますが、倒産をしてからではおそいのでありまして、やはり倒産する前に、現在の中小企業が非常に悪条件のもとに経営がされておるという実態をよくにらんで、それぞれ法律的な処置をしなければならない点があろうと思いますので、こういう点につきましては、こまかい点は私の意見としては省かしていただきますけれども、十分にそういう点を考えていただいて、この中小企業対策に乗り出していただかなくてはならないと思います。  そこで、法律的には労働省の労働基準法の関係やら、あるいは大蔵省のやみ金融取り締まりの法律に抵触する問題ですけれども、御承知のとおり、このたびの倒産をいたしました山特の内容を見ますると、労働者が預金をしておる社内預金が一億五千万円からどうしても払うことができない、労働者にそういう損害をかけておるというのが実態であるわけですが、この取り扱いにつきましては、当然大蔵省のやみ金融の取り締まり法の解釈の問題、あるいは労働基準法の手続の問題、そして労働省がこういう預金の面に対してまでその責任を持つようなことができない状態の中でああした法律をつくっておること自体が問題であろうと思うので、これはそのほうへ問題を移しますが、当面通商産業省として、これは対岸の火災視しておるわけにはいかないので、こうした問題を今後どういうように解決していかれようとするのか。問題になっておるだけに、相当対策も立てられておると思いますので、この際明確にしていただきたい。
  132. 中野正一

    ○中野政府委員 山特の社内預金につきましては、約一億五千万円ございまして、この支払いは、現在のところ行なわれておりません。これは更生計画の開始決定がまだございませんで、いま管財人の選任の途中でございますので、通産省としては一日も早く管財人を選んでもらって、そして正式にこの操業に入ってくるという状態になれば、当然これは金融もついてくるわけでございますので、その金融がついてくれば、これは共益債権——御承知のように社内預金は賃金なんかと同じように共益債権になっておりますから、これは凍結からはずして、当然最優先的に支払うという性質のものでございますので、通産省としても、そういう立場から山陽特殊製鋼について指導するというか、そういう方向で問題を処理してもらうように要望いたしたいというふうに考えております。
  133. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 昨年倒産をした会社の中で十六社、社内預金を支払うことのできない会社ができておる。したがって、これは先ほども申しましたように、大蔵省なり労働省の所轄の法律の問題もございまするが、通産省としてこうした問題をやはり放任していただいては困るわけであります。ただいまの答弁でございますれば、何とかいま手を打っておる問題に成功をさして優先的に支払いをさせるのだという、こういう答弁でございますけれども、私どもが聞いておりまする範囲内においては、一億五千万円の金を労働者に優先的に支払い完了するということはなかなか困難性があるようでございます。したがって、この問題については、単なる大蔵省、労働省の問題だけでなしに、通産省も一口、これは責任を持って問題を解決してもらわなくてはならないと思います。したがって、今日の労働基準法で認められておる手続方法、それから年限は忘れましたけれども、保全経済会でしたかが非常に失敗をいたして国Nに迷惑をかけましたときに、やみ金融の取り締まりの法律ができておるのでありますが、こういう法律を適用すれば、私は社内貯金等はできないという解釈もいたしておるので、そういう点についてどの程度まで研究がなされて、この問題にどう具申をされようとするのか、また大蔵、労働、係のある省に対してどう協力されようとするのか、その点もこの際明確にしておいていただきたい。
  134. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 通産省といたしましても、社内預金の問題は、その影響するところが大きいのでございますので、重要視いたしております。大蔵省、また労働省との間で緊密な連絡をとりまして、会社更生法の適用を受けました後に最優先して支払わるべきものである、かように考えますし、また、そのように会社に対し、また関係者に申していきたい、かように考える次第でございます。
  135. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 この問題につきましては、ここで深い質疑応答は、あなたのほうの答弁準備からしてちょっとむずかしいと思うので、これ以上突っ込んで質問はいたしませんが、いずれにいたしましても、いま大臣からお話しがありましたように、会社更生法の内容を検討し、その法律によって倒産する会社をよみがえらして、そうして優先的に労働者の社内預金をまず支払うという、こういうお考えのようでございまするけれども、これは理想的な考え方であって、そこまでいくには相当むずかしいと思う。問題というのは、あの保全経済会が問題を起こしまして全国的に大きく国民に損害をかけたときに、いかなるものといえども、その他の法律に明記されておらないものは、金を預かったり貸したりすることのできない法律ができておるわけなんで、その法律からいきますると、社内預金というものは、その法律ができた当時からもうできないはずなんです。それを、今日までこの社内預金は、会社を経営するに一つの金融策として非常に重宝なものとしてとってきておるというのが実態であって、これに完全なメスを入れることができなかったというのは通産省の実態でもあろうと思うので、したがって、私は、そのやみ金融の取り締まり法のできた当時から、労働基準法の手続だけで大きな金を預かるということは、将来非常に問題ができるのではないか、こういうことで、いままでにも、大蔵省に対しても、労働省に対しても、二、三回質問で追及をした覚えがございまするが、ちょうど私の心配しておった問題が実現したのでございまするから、その担当省の委員会のときに私の意見も出して、そうして十分に検討をしてもらわなくてはならないと思うのです。ただ、大臣の御答弁とズレのありますることは、会社更生法によって会社をよみがえらして、そうして払わせるということだけでは、また次にそうした問題が出てくるのだから、私は根本から、銀行がわりのように会社が社内貯金を労働者からしてもらって、そしてその金によって会社の資金融通をするという、こういう不健全なやり方ではいけないという考え方でおるわけなんです。したがって、そういう問題を通産省としても十分に考えていただいて、直接関係のある会社更生法だけの問題でなしに、これはほかに問題があるのだから、こういう問題についてもやはり協力をしてもらわなくてはならないと思います。  代議士会も始まっておりますし、この程度で質問を終わりたいと思います。
  136. 八田貞義

    八田委員長代理 次会は、明十九日、金曜日、午前十時理事会、理事会散会後委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十八分散会