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○
内藤委員長 これより会議を開きます。
この際、
理事辞任の件についておはかりいたします。
理事安宅常彦君より
理事を
辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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○
内藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
次に、
理事補欠選任の件についておはかりいたします。
安宅常彦君の
理事辞任に伴い、
理事が一名欠員となりましたので、その
補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によりまして
委員長において
指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
内藤委員長 御異議なしと広めます。
それでは畑利君を
理事に
指名いたします。
――――◇―――――
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○
金丸(徳)
委員 私は、実は逓信
委員会のほうはごぶさたになっておりまするので、会期末ではありますが、ちょっとの時間をちょうだいしまして、常々気になっておりまする一、二の点について大臣の御所感を承ったり、また御要望も申し上げておきたいということで、いま時間をちょうだいしたのでございます。
実は二、三の事例をあげてお尋ね申す機会を得たいと思っておったのでありますが、きょうはほかにたくさんの議題がありまするようで、制約された時間の中でありますから、それらのことにつきましては、また後日時間をちょうだいいたすことにいたします。ただ一点だけ郵務につきまして、また一点だけ保険、貯金の事業につきましてお尋ねをさしていただきます。
その一つは、今度伝えられるところによりますれば、大臣は日曜配達を廃止されるというような決意の中でその試行に入られたということが伝えられております。私は、これは郵便事業の歴史的英断だと実は思っておるのでありますが、最近郵政事業の近代化、特に郵便事業を近代化させなければならないという要求の中でいろいろ施策をなさっておられるのでありますけれども、その中におきましても、新しい時代に即応する一つの踏み出しとしまして、日曜配達を廃し、その力を他の週日に集中されるということは、郵便事業の近代化の大きなあらわれだと思うのでありまして、ひそかに敬意を表しております。
そこで、私は、それと同時に、近代化のねらいをいままで都市に集中されておったやに思われます。もちろんこれは、いまの時代のどの部門におきましても要求されておることでありますから、都市からまず手をつけるということでありましょうが、しかし、郵便事業の近代化――まあ近代化という中にはいろいろあるでありましょうが、特に機械化し、機動化するというような意味における近代化のねらいは、都市のみでなく、地方においても大いに要求されることであろうかと思う。ことに地方においては、機械化の効果がよけいに功を奏するように思われるのであります。そこで早くより、たとえば地方における集配事務のために、あるいは逓送事務のために、機動化、機械を導入するというようなことの計画が進められておるのでありますが、これがどの程度、どういう進度をもって目的にばく進されておられまするか、お漏らしを願いたい。
-
○
徳安国務大臣 ただいまの
金丸委員の御説に私も同感でございます。この近代化は、ひとり都市ばかりではございませんで、もちろん地方にも及ぼさなければならぬことは申すまでもないことでありますが、その進め方並びに進捗状況等につきましては、政府
委員から御答弁をさしていただきたいと思います。
-
○長田政府
委員 郵便の外務の機械化は、ほとんど機動車を使うということに尽きるわけでございまして、むしろ外勤作業をよくしていくという面につきましては、たとえば表札をしっかり出していただくとか、あるいは郵便受け箱を各戸で備えていただく、そういう面と、それから住居表示制度のように、世界でほとんど唯一とも言えます配達環境の非常に悪い面を改善するとかというような制度の面がおもに立ちまして、機械化という画は、外勤作業ではほとんど機動化ということに尽きるかと思うのでございます。
その機械化の面につきましても、数年前から相当力を入れて進めているところでございます。たとえば、ごく最近、取り集め並びに小包の配達につきまして四輪車を採用してまいるとか、あるいは速達地域を拡張するために機動車を、広く、数多く備えてまいりますとか、あるいは市内につきましても、相当携帯の重量が増してまいりますために、スクーター等を大量に使ってまいりますとか、あるいは直営機関につきまして、郵袋の数の少ないところはリヤカー等を使っておりましたが、これを四輪車、三輪車、あるいは特に量の少ないところは機動車にかえてまいりますことなどにつきまして、経理、資材その他の面とも連絡しまして、精力的にただいま進めておるところでございます。
-
○
金丸(徳)
委員 そういういろいろな施策を進めておられることは私も聞いてもおりますし、また、地方でも若干見ておりますが、それが現実の面では、遅々として進まぬやのうらみがあるのです。いま逓送をリヤカーから四輪機動車に改良したというお話もございます。私も確かにそういうことも見ておりますが、しかしそれはごく一部のように私には思われる。依然として速達便を自転車で持ち歩いているとか、自転車ならいいけれども、まだ歩いて持ち歩いているというようなきらいさえもある。リヤカーで駅まで行っておる。これなどは近代化される郵便という標榜からしますると、あまりに情なさ過ぎて、何とかならぬかということは、郵便事業に携わる者はもちろんであります。また郵政関係に縁故を持つ者はもちろんでありますが、一般の人といえども、見るに忍びないという感を持っておるのです。いまは、魚屋さんでも、八百屋さんでも、ほとんど機動車でもってやっておる際に、依然として古い型の赤自転車を引っぱり回しておる。あるいはもう前時代的なリヤカーを引っぱったり押したりしている。こういうことは、逓信
委員会ではたびたび問題になっておりまするので、私はそういうことをくだくだしく申し上げませんが、お伺いしたいのは、そういうことがどういう年度計画で進められておるかということなんであります。
実は郵政事業の機械化、合理化、近代化については、たとえば貯金、保険の計算事務の機械化などにつきましては、ばく大な金もかけ、精力もつぎ込んでやっておられるようでありますが、そういうことに比較しまして、最も近代化することを急がなければならないと思われる郵便の外務事務について、これが及んでいないような気がするのであります。そこでこのほうを相当スピードを出していかなければいけないのではないか。せっかく大臣が思い切って日曜
配達廃止とまで踏み切られた、この気持ちに沿うためにも、一番おくれておると思う、そして一番効果的と思われる外務事務、逓送事務における機動化がおくれておったのでは困るから、私はこういうことを申し上げたわけであります。どの程度進んでおる、いつごろになったら理想的なものになるのかということをお伺いしたい。
-
○長田政府
委員 ただいまのお話にもございましたように、一般的な風俗の変遷と申しますか、農家などもオートバイを飛ばしているというようなのと比較いたしまして、まだ赤自転車を使っているというあれも仰せのようにございます。実は経済的な面から申しますと、オートバイ等を使わないでも、あるいはスクーター等を使わないでも、十分役目を果たせるというようなところもあるわけでございます。しかし世間では相当機動車を駆使しておるが、直営の郵便事業は自転車が走っておるという点もございます。特にリヤカーなどにつきましては、仰せのような一般的な風潮との乖離といいますか、そういう点もあるわけでありまして、直営機関の運送等につきましては、リヤカーなどの廃止を目標に進んでおるわけでありますが、他面、自転車等の使用につきましては、経済的でしかも十分機能も果たせるというようなところにつきましては、やはりある程度自転車なども使っていかなければならないのではないかということも考えられるわけであります。かたがた土地の状況としまして、ああいうスクーターのようなものは、都市内はわりあい使いやすいようでありますが、郊外とかぬかるみのあるようなところは使いにくい。あるいは外務員の職員構成からいたしまして、機動車を郵政局から配置しましても、なかなかそれを駆使するのに得意でない職員がわりあい多いというようなところにつきましては、そこらも考えてまいらなければならないような状態でございますので、部内の車両からたとえば自転車を一掃するとかいうようなことはまだ考える段階にまで立ち至っておりません。地況、職員構成等ともからみ合わせまして、逐次機動化を進めてまいる、そういうことにしている次第でございます。
-
○
金丸(徳)
委員 もちろん、私も、郵政事業から赤自転車を全部除くべきであるということを言っているわけではありません。いかにしたらば速達されるか、いかにしたらば外務事務員の労力をもう少し楽にできるかというようなことをかみ合わせての計画でなければならないと思う。
今般、私、ちょうだいいたしました「目で見る郵便」、私どもしろうとにはたいへんわかりやすくできているのでありますが、この中に、副題としまして「現状と近代化」ということをあげておる。私は、これは郵政大臣が近代化にいかに熱を入れておられるかの一つのあらわれと思いまして、大いに敬意を表して拝見したのでありますが、この中にもやはり外勤用の機動の整備についてはグラフで見せてくれているのでありますが、私がお伺いするのは、くだくだしくていけませんけれども、いつごろになったらいまのが理想の域に達するのか、現状をもって満足されておるとは私には思われない。といいますのは、なるほど人によりますれば、スクーターに乗れないという――そういう人は私はいないと思いますけれども、あるいは何万人のうちに一人や二人あるかもしれません。それどころか、私の知る限りにおきましては、私物の単車ですか、スクーターその他のものを使っておる。聞いてみますと、とても自転車ではえらくもあるし、みっともなくていかぬのだということを言っております。そういうのが多いように思われるのです。自分の金を出してすら機動化した中で仕事をしたいという熱意を持っておるわけでありますから、私はもう官が支給していけば喜んでこれを駆使し、喜んでそれに応ずるサービスの向上をはかってまいると思うのです。
問題は、いかにして、いつごろまでにそうした要望に沿い得る計画であるかどうかをこの際承っておきたい。いま、何年ぐらいしますれば、ほんとうに山の中で汗水たらして自転車を引っぱり回さなくてもいい、よそさんと同じような近代化された気分の中で仕事ができるのか、こういうことを心配しておりますから、計画をお示し願い、なお足らざるは、また大臣にお骨折りを願って、 スピードアップしなければいけないと思うものですから、お伺いをいたしておるのです。
-
○長田政府
委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、直営機関の運送についてリヤカーなどを使うということにつきましては、これは方針としまして、廃止して他のものに振りかえていこうとしておりますが、自転車などどの程度将来残しておくかということにつきましては、実はその効用の面と経費の面とのかね合わせからしまして、いつごろにこれをやめてしまう、いつになったらどの程度度だけしか使わぬというところについての方針をまだ十分確定しておりません。ただいまの段階では、お話のように、逐次やっておりまして、職員の構成とか地況等とからみ合わせまして、あるいは
郵便物の量とからみ合わせまして、逐次年々相当数をふやしている程度でございまして、一方では、たとえば機動車の操縦の免許等がだんだんやかましくなるような立法も進められておるわけでございまして、免許を取りやすく――こちらがほしい局の適当な職員に免許を取ってもらうということについての措置も、経費その他の面で進めているわけでございます。全体といたしましては、実は財源の問題などもございますので、もう少し財、源のめどなどが立ちましてから、それにつきまして、今後の問題として、自転車はどの程度まで使うとかいうことをはっきりと方針を立ててまいりたいと思っております。ただいまのところ、そこまで十分詰め切っておりませんので、現在の状況でまだ年々数千台ずつ機動化していくということで、最後のあるべき姿というものまでをはっきり詰め切ってはおらないのでございます。財源等の見通しも立ちました上でそれらの問題について方向を定めてまいりたいと思います。
-
○
金丸(徳)
委員 大臣、いまお聞き取りのように、なかなか事務当局としましては、いろいろなことに気を使って、免許を取る心配までされていろいろやっておられるのですが、いまはもう免許を取るなどという心配はなさらぬでもよろしい時代だと思います。中学時分からけっこう自動自転車といいますかをやっておりますし、高等学校時代に自動車の運転免許など取っておる時代ですから、そういうことは御心配なさらぬで、問題は財源だと思うのです。財源をどう重点的にお使いになるかということであろうと思いますが、私は、近代化を目ざす以上は、外務業務の機動化ということは、再重点的にやらなければいけないように思われます。むしろ、都会地のように家が櫛比しておるようなところにつきましては、あるいは自転車で間に合う場合もあろうかとも思いますが、地方の、あちらに一軒、こちらに三軒というようなところにおいてこそ、私はスクーターみたいなスピードの出るやつを必要とするように思われます。そしていま、私は、これも世間のうわさですから間違っておるといけませんけれども、郵政事業は人事入手難といいますかにおちいっておる。その入手難も、内務事務ではなくて外務事務において非常に顕著にあらわれておるように聞いております。どうもいまの何からしますと、そういうことはあろうと思われます。地方におきましても、ややそういうふうな都会における外務員の入手難の影響を受けまして、やがて一両年後におきましては、いまでこそ剛に合っておる外務人事も足りなくなりはしないかという心配があるのであります。それに処するために、いまから相当の用意をしておかなければならないように思われるものですから、そういう意味におきましては、とかく近代化のねらいが都市と内務事務への――これを見ましてもそうですけれども、たとえば区分機械をどうするとか、押印機をどうするとか、計算機械を入れようとかいうことに追われておるようでありますが、今度はそれから外務事務へ集中して近代化をねらっていかなければならないように思われる。大臣、ひとつその辺につきましては万難を排して計画を立てられ、それを強力にお進めになる段取りを願わなければならないと思うのであります。四十一年度予算ということになりますと、大臣は、ほかにまた、あるいはより重要なポストに御栄転になられるかもわかりませんけれども、もし郵政大臣として四十一年度予算などをおつくりになる場合におきましては、これはぜひひとつ大臣の、近代化への大理想を達成するという意味におきまして、力を入れておいていただきたいと思うのであります。私は、これは地方におきまする従業員の声を代弁するということと、地方における郵便事業の利用者の声を代弁する意味においてお願い申しておりますが、大臣の御決意をひとつ承りたいと思います。
-
○
徳安国務大臣 職員を確保いたしますためにも、近代化、合理化が必要であることは申し上げるまでもございません。ただいま組合側でも、こうした問題については、深い理解を持って協力体制にございます。非常にいい情勢になっておると思います。問題は財政処置の問題でありますが、御承知のように、毎年毎年職員の待遇改善等におきまして、部内の節約をいたしましたり、あるいは予備費を持っておりましても、それでようやくかつかつに間に合わしておるというような状態で、余裕金が生まれてくるような状態でないわけでございます。独立会計でもございますし、特別会計でもございますから、そう借金をしていくということも、なかなか財政上予算が立ちませんので、したがって、近代化を叫びながら、そのほうに使用される金が制約を受けるということでまことにこれは遺憾だと思います。しかし、しばしば申し上げておりますように、また、御意見がございますように、もうすでに現在収入源につきましては限界にきておると考えますので、今国会でも終了いたしましたら、適当な時期に、来年度の予算編成とにらみ合わせまして、はたして現在の財政的ないき方でいいのか悪いのか、慎重に検討する必要がすでに目の前に来ておると思います。それを契機といたしまして、そうした近代化への財政処置等も考慮しながら、収入財源等に対する再検討を行なうという時期になっておると思いますので、お説のとおり、私ももう長くはないと思います、したがってそれを手がけることは困難と思いますが、御趣旨等はよく後任者にも伝えまして、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
-
○
金丸(徳)
委員 郵便のことにつきましては、さらにお伺いし、お願いしたい点もあるのでありますが、時間がありませんから、簡易保険、郵便年金事業につきましてお伺いをいたします。
両三日前、衆議院を通過しました厚生年金法の
改正によりますと、本年度以降厚生年金の積立金がかなり大きくなります。その大きくなった金の二五%が還元融資といいますか、契約者、加入者の直接の福利施設のほうに使われることに、これは従来もそうであったのですが、今度の
改正によって、より大きな原資の中でそうした事業が進められることになりました。それにつきまして思い出しますことは、簡保年金の積立金の運用であります。私があらためて申し上げるまでもないのでありますが、積立金の運用は、事業防衛といいますか、事業を伸展させる根幹という意味におきまして、自主的になるべく契約者の利益において運用さるべきであるにもかかわりませず、国策の必要上必ずしも自主的に運営されておりません。しかし、もっと国策に寄与すべき立場の厚生年金積立金すらも、二五%のワクをもって契約者の直接利益をはかっておるとしまするならば、簡保年金の積立金などは、一そうそのワクを広げ、また自主的に運営されるようなことに
改正されなければならないと思うのでありますが、大臣は、あの厚生年金
改正案など閣議でお取り扱いになっている場合において、そういうふうなことについて、何か簡保年金積立金においても、もう一歩進めるべきであるというようなお感じをお持ちになっておられて、それでその方面に強力に努力なさるような決意を新たになさっておられたかどうか、ひとつお聞かせをいただきたいのであります。
-
○
徳安国務大臣 私のほうで取り扱っております資金のうち、まあ郵便貯金は御承知のように大蔵省の財投の原資になりまして、それがほかのものも入りまして分けておりますから、どの部にどれだけの金がいっているかということは明細にはわかりませんが、おおよそこういう方面にどのくらいのパーセンテージが融資されておるということはうかがえるわけであります。
簡保年金につきましては、これはほとんど郵政省が独自の立場から還元融資に努力いたしておりまして、これはそう別にえらく大蔵省からの干渉もあるわけではございませんので、ただ加入者に還元して、加入者の借り入れがございますれば、それは適法の処置によって何ぼでもお貸しすることはできるのでありますが、そういう方法は案外御利用がなくて、県でありますとか、市町村であるとか、ああいう公共機関、地方自治団体、こういうものに、ほとんど全国各市町村に至るまでお貸ししていないところはないくらいお貸ししているようであります。
ただ、それが公正に行なわれているかと申しますと、必ずしもそうではないと思いますので、今後やはり簡保や年金等を多額に取り扱われる県あるいは市町村に対しましては、この還元の精神にかんがみまして、なるべく御要望に応じるようにいたしたい、かように考えております。
特にこの短期資金等につきましては、三ヵ月返済でございますが、各町村の要望が相当たくさんございまして、期末には決済がつくような形におきまして相当各町村にお貸しをいたしておる。これは別に大蔵省と相談しなくても、私のほうでやっておるわけであります。
ただ財源が多ければ多いだけそういう処置もとれるわけであります。私は、できれば郵便貯金も、そこまではいかなくても、私どもにもう少し発言権が持てるようにいたしたいものと、大蔵省にいま強く話はいたしておりますが、何しろ全部を集めてあそこで原資としておられるものですから、郵便貯金の場合におきましては、まことに隔靴掻痒の感がございます。しかし簡保の件につきましては、おおよそ私どもの手で長期融資、短期融資をいたしております。その詳細、もし必要でございましたら、政府
委員から御答弁をいたしたいと思います。
-
○
金丸(徳)
委員 郵便貯金も簡保年金の積立金も、むろん私は不公正に使われておるなどとは毛頭考えておりません。国の施策に寄与するためにできるだけ効率的に使われておると思うのです。
ただ、厚生年金の積立金の場合におきましては、たとえば病院をつくるという場合におきましても、厚生年金病院という名を掲げてやっておる。したがって、加入者は、あれはおれたちの積立金でできておるのだということがはっきりするのですね。それから住宅の場合におきましても、炭住住宅にしましても、労働者住宅にいたしましても、その他の住宅にいたしましても、厚生年金住宅というような名前をあげておるのですね。大きな看板を掲げるかどうかは別といたしまして、その金でつくっておる。そしてその厚生年金事業団といいますか、そういうものがほんとうに自主的にやっておるから、いかにもぴんとくるわけです。
大臣がお持ちになっている郵便貯金の金、それから保険年金の積立金は、一たん国庫資金のほうに入りまして、それから流れていくものですから、ぴんとこないのですね。橋の金も、学校の金も、水道の金も、あるいは下水、病院というようなものも、いずれも間を置いていっておるような気がするのですね。郵政大臣が直接何かつくってやるというのは、先般、事業団をつくられて、たとえば老人ホームだとか、あるいは休養施設、ああいうものは、なるほど保険年金の事業としてやっておる。これははっきりしておるのですけれども、その他のものはどうもぴんとこない。これを私は言いたい。
厚生年金積立金のほうにおきましては、二五%はそういうふうな使い方ができるようになっておる。保険年金のほうは、もう全部が国教資金のような形で、なるほどそれは地方のほうへ短期融資としてはいっておりますけれども、それも地方のほうで計画されますから、そのほかの金と一緒にごちゃまぜにして使っておるというような形で、どうもぴんとこない。したがって、保険の契約者、年金の加入者といえども、これが自分たちの汗水流した中から積み立てた金でできておるということには思えない。それがまた郵政従業員の勤労意欲の上に影響してまいります。あるいは加入を勧める上におきまして、あるいは失効、解約を防止する上におきましても、どうも話がしにくいということを言っております。せめて二五%とか、できますれば五〇%ぐらいは、自主的に、これこそ加入者の金でできました学校でございますとか、これこそ加入者の金で、皆さん方の金でできた住宅でございますとかいうようなことになっておりますといいのじゃないか、こう思うのです。厚生年金の運用のしかたとだいぶ違うものですから、この点についてどういうお感じを持っておられるかということを伺いたい。
-
○
徳安国務大臣 郵政省は宣伝が非常にへたなものですから、そういう感じが抱かれておると思います。私も実は、なりましてから同じような感じを持ちました。しかし、だんだん見ておりますと、そうでもございませんで、学校のごときも、やはり相当数簡保の金で建てました学校がございまして、この学校は簡保の金で建てたのでございますという大きな表を門に立ててある学校もあるわけでございます。
ですから、もう少しそういう点について宣伝をすればいいのですが、案外金をお貸ししただけで、それをそこの町民や県民に浸透する方途というものはとっていない。むしろ私は、二割五分とおっしゃいますが、うちのほうは、そういう金を二割五分どころじゃなくて、そういう金にどんどん出し得る制度になっておるわけでありますから、といって金額に制約がございますから、そうむやみには出せませんけれども、やはり予算範囲におきまして、集まった金は独立で、特別会計でございますから、それを各方面に融資をするということは、みずから県にも貸し、市町村にも長期、短期お貸しするわけであります。
これは水道もありますし、下水道もありますし、あるいはまた学校もありまするし、いろんなものに貸していますが、これは簡保から借りた金なんですよということの宣伝があまり徹底してないということでございます。やっぱり勤労意欲も増さない、国民からもありがたがられないということでありまして、私が郵政省に参りましてから非常に感じておりますことは、建設関係におりました当時には、たとえ橋一本めんどう見ましても、道路一本めんどう見ましても、そちらのほうの地方に参りますれば、お礼を言われるし、
委員の時代でも、お礼も言われれば感謝もされたものです。東京に来れば市町村長とか県知事が見えて、おかげで橋ができました、おかげで舗装がよくなりましたといってみな非常に喜ばれたものであります。郵政省のほうは、ずいぶん各町村に金を貸しておりますし、事業も助けているのですが、だれ一人として町村長が来て、大臣や政務次官にありがとうございましたというようなことはないのであります。ですから、非常に遺憾で、そういうところには、言い過ぎかもしれませんが、ありがたがらないところよりありがたがるところのほうに多く貸していいというぐらいにまで感じるわけであります。
どうか
委員各位におかれましても、いろいろ私どものほうにお口聞きもございますが、そういうときには、私どももできるだけ努力いたしておりますが、どうかそういうぐあいで、金を貸したときには、郵政省から借りたんだということを、ひとつ声高らかに各方面に御吹聴願いまして、郵政省の真価を高くするように御協力をいただきたい。私どもも努力はいたします。
-
○
金丸(徳)
委員 確かに郵政省は宣伝もへたなんでありますが、しかし私は、宣伝しなければわからぬということでなくて、宣伝しなくてもわかるんだという方法があるならば、そのほうが賢明じゃないかと思うのであります。
そこで、大臣は建政行政についてはベテランでありますが、先般衆議院を通過しました法案の中に地方住宅供給公社法案というのがあるのです。御承知のように、金を積み立てた人たちに国からも金を出し、地方の行政機関も金を出して、そうして持ち家を持つことの便利を与える。あるいは貸し家をたくさんつくって、できるだけ安い料金で貸してやろうというようなことでありまして、私はこれを審議する間に、建設大臣にもお願いもし、お尋ねもいたしておいたんでございますが、実は大臣、この金もほとんど全部といっていいくらい、大臣がお集めになっている金を当てにしておる。住宅金融公庫のほうから回る金にいたしましても、あるいは公団のほうから回る金にいたしましても、もとはと言いますと、財政投融資のほうの金、その財投の金のもとは、大臣が部下と一緒になって集めておられる金なんです。これが供給公社という形になっていきますと、郵政事業ということからはえらく縁遠いものになってしまうものですから、私非常に遺憾に思います。
実は、郵政省では、かつて簡保年金事業においては、震災後の東京周辺における住宅難の場合において、簡保の加入者のみに住宅組合をつくってもらいまして、それに相当の金をつぎ込んで住宅建設を促進したという例も持っております。それから、御承知のように自作農創設制度につきましては、ずいぶん簡保事業が寄与した。低利に金を貸した。これは、住宅組合にいたしましても、あるいは自作農創設資金にいたしましても、そういう金を貸すことによって、またあらためて保険年金への加入意欲を増進をするという、言ってみますれば持ちつ持たれつという形をとって、私は非常に賢明な策であったと思う。
今度の場合におきましても、せっかく住宅供給公社をつくって、これも聞いてみまするというと、ことしあたり二万戸だそうです。もし七百何十万戸を七年間につくらなければ、一世帯一住宅という
佐藤内閣の最重点に取り上げた政策の完遂はできないということでありますれば、年に二万戸などというみみっちい案ではいけないのでありますが、いま建設省で出しております案はそういうことであります。そのときに私は建設大臣にも要望いたしたのでありますが、あなたは郵政大臣に協力をお求めになったか。協力をお求めになって、郵政事業が持っておるところの積立金をフルに動員して住宅政策に寄与してもらうということは、建設大臣としてはとらなければならぬ一番大切なことのように思われるが、どうであるか、という話をいたしたのであります。建設大臣としては、住宅行政の一元化という意味におきまして、なるべく自分のところで全部握っておきたいということでもありましょうが、しかし、それじゃ、とうてい一世帯一住宅、七百何十万戸を七年間につくり上げようなんという大事業はできないと思う。あらゆる面を動員して――簡保の金だけではありません、民間事業、民間保険事業におきましても、ある金はこの際は住宅へつぎ込んでくれというくらいの要望をする覚悟がなければ、建設大臣の責任は果たせぬのじゃないかと思っております。
そこで大臣にお伺いするのでありますが、建設大臣のほうから要望があるなしにかかわらず、この際、
佐藤内閣としては特にそうでありますが、住宅政策を最前線に押し出して、強力に一世帯一住宅主義を遂行しようとかかっておるこの際において、簡保年金の積立金をこのほうに振り向けるということも、国策にも沿うし、また同時に、事業防衛、事業推進の一つのチャンスでもあろう、一つの動因にもなろうかと思うのであります。
幸いにしまして、先般、郵政大臣は、福祉事業団というものをお立てになっております。福祉事業団は老人ホームをつくったり休養施設をつくったりしておりますが、私はあれは貸し家業みたいなものだろうと思うのであります。老人に対して部屋を貸しておるわけです。うちを貸しておるわけです。もう貸し家業については手をつけた。これは加入者のうちの老人という限定されたグループではありますけれども、加入者に対して貸し家をいたしますという一つの例ができた。これをもう少し広げますと、加入者に対してうちをつくって貸してやるということもできる、もっと言いますならば、今度の地方住宅供給公社の構想を取り入れるならば、新しく保険に加入する、加入したら、何年かたったならば、うちを建てる金も貸しましょうというような方法を考えることも、こんな機会には必要にも思われるのでありますが、いかがでありますか。
-
○
徳安国務大臣 お説私もまことにけっこうだと思います。私も、来ましてからそういうことにつきましては、常に口やかましく言い、法の欠陥等もございますから、改めるべきものは今後改めていったらいいと思いますが、住宅問題にいたしましても、地方公共団体を通じましたり、住宅金融公庫を通じましたり、あるいは住宅公団を通じましたり、そういう公の機関のみを通じて現在どれくらい出ているかと申しますと、地方公共団体に三百五十億、住宅金融公庫に六百二十三億円、住宅公団に五百六億円、現在でもそういうふうに金を出しておるようであります。これはそういう団体を通じていっておるわけでございますが、いま御趣旨のように、これに加入するものが、団体でそういう住宅を建てるとかなんとかいうようなときには、還元融資としてそういう方に融資をして、そうしてそれが五年とか十年に掛け金によって完済できるというような形の制度も必要ではないか。いまでは、住宅等に対しては、ここにそういうような還元融資の道がないようでありますので、これは今後の課題として考えるべきだ。やっぱり私もそういう社会政策的な面にもこうしたものを転用すべきではないか、かように考えておりますから、今後十分研究いたしたいと思います。
-
○
金丸(徳)
委員 与えられた時間はもう過ぎておりますからこれで終わりますけれども、大臣がそういうお考えを持っておられることについて、私は非常な敬意を表します。ぜひひとつ御推進願いたいと思うのです。
先ほど大臣は宣伝がへただからということを言われておりました。私どもとしては、宣伝ということは好きこのんでやることではないと思いますが、問題は、宣伝なんかしなくてもいいような制度をつくっておくことが必要であろうと思うのであります。いまおあげになりましたように、相当の金が、たとえば住宅問題についてだけ取り上げましても、住宅金融公庫あるいは住宅公団にいたしましても、その他地方の金にいたしましても、相当つぎ込まれておるのにかかわらず、それがぴんとこない。今度の住宅公社ができましても、このままでいきますと、私は、おそらくそういううらみの中で、やはり郵政省は宣伝がへただからぴんとこない、それから、現地で苦労しておられる人たちに、いたずらに、われわれはむだな苦労をしているのだというふうななげきを与えたままでいかなければならないと思います。このなげきを与えないような方法を、大臣のほうでもひとつお考えをいただいて、できますれば――まあ住宅公社は金がないから年に二万戸などというみみっちいものなのでありましょうが、もしこれが簡保年金――まあ郵便貯金まで広げれば別ですけれども、簡保年金積立金のみについてここで限定して申し上げるのでありますが、厚生年金の二五%と同じワクをとるにいたしましても、おそらく私はどれぐらいになりますか、年々五百億円ぐらいの金は出てくるのではないかと思うのです。簡保年金住宅事業団というようなものができるかどうかわかりませんけれども、考え方といたしましては、そういうものをつくって、この住宅は加入者の積立金においてできたんだ、保険に入ればこのようないい住宅がこのような安い金で安易に手に入るんだということによって、事業の推進にも役立たせる、そしてあわせて現地における苦労の上に花も咲かせるということを考えていただきたい。
これは急速に考えておいていただく必要があるんじゃないかと思うのです。と言いますのは、昨年来最高制限を百万円に引き上げたことによって、積立金は急速にふえてまいります。片や住宅政策を強力に推進しなければならないという条件も整っておりまするし、またもう一つには、これも私は簡保年金事業の一つのエポックになろうと思うのですが、福祉事業団というのができた、福祉事業団は、対象はこうした老人ホームであるとか、あるいはレクリエーションの部屋であるとか、施設であるとかいう小さいものでありますけれども、あれは突破口なんです。それを土台にして、ほんとうに加入者への大きな福祉をねらっておると私は解釈しておる。したがってあれに大きな価値を認めるのでありますが、その福祉事業の一番当面のねらいとして大きく考えるのがやっぱり住宅政策、これは国策にも寄与することでありまするし、加入者にもぴんとくることであります。これは何ら宣伝も用いずして目の前に見せてやることでありますから、私は両々相まって一番いい方法のように思われる。大臣もそういうことについて非常に関心を強めておられるようでありますから、この際ひとつ強力にお進めが願いたい。閣議あたりで強力に御発言が願えて一歩前進していただければありがたいことだ、私は加入者の立場からお願いを申しておるのであります。いかがでありましょう。
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○
徳安国務大臣 お説ごもっともでありまして、わが意を得たりと私も考えます。今後大いに検討いたしまして、事務的にも進めるように努力いたしたいと思います。
-
○
金丸(徳)
委員 ありがとうございました。終わります。
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-
○
森本委員 最初に、この間出ました仲裁裁定の問題についてでありますが、郵政省と電電公社の仲裁裁定の金額を明らかにしていただきたいと思います。
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○
徳安国務大臣 各政府
委員のほうから御答弁させます。
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○北脇政府
委員 昭和四十年四月一日現在における基準内賃金を六・二五%引き上げるということになりますと、郵政事業特別会計において必要とする経費は約百二十億円でございます。
-
○
中山説明員 電電公社の場合は、公社職員に対するものは九十二億円、郵政委託職員に対するものは二十二億円、合計いたしまして百十四億円でございます。
-
○
森本委員 この仲裁裁定は当然完全に実施しなければならぬわけでありますが、郵政事業特別会計のこの間審議したばかりの予算では、約五十六億円の赤字予算を組んだわけであります。この百二十億円の財源については、おそらく臨時国会あたりで補正予算を組まなければならないのではないかというふうに考えるわけでありますが、大臣、その辺はどうですか。
-
○
徳安国務大臣 ただいま大蔵省といろいろ折衝して計算をしておるようでありますが、いままでのところの、予想で申しますと、百二十億円のうち、受託業務で六十五億円くらいの収入になるという予想のようであります。そのほかに郵政固有会計で五十五億円出さねばならぬが、この五十五億円のうち、予備費が二十億円ただいまとってございますから、これを全部充当いたしまして、あとは三十五億円ばかり不足するわけであります。これに対しまして、事務当局の案でありますが、収入増を十六億円くらいと見込んでいいのではなかろうか、あるいは節約が約二十億円くらいはできるのではなかろうかというような目安でいま案を立てて研究しておるようでございます。
これは具体的なはっきりした数字ではございませんので、いずれまたそうした点を今後十分煮詰めまして、そうして収支のバランスが合わぬ、いかに節約してもどうしても方法がないということになりますれば、これはもう適法な措置によって、臨時国会もございますから、処理しなければならぬと思いますが、いまのところはそういうような目安で大蔵省と何か折衝しておる最中のようであります。
ほかの詳しいことは政府
委員から御答弁させます。
-
○
森本委員 政府
委員から聞いておったら時間がないので大臣に聞いたわけですが、いま言ったようなこそくな手段をとれば、今年度の郵政事業の発展という見地から見た場合に、相当支障を来たす面が出てくるということは明らかであります。だから、本来ならば、百二十億円というこの仲裁裁定については、やはり補正予算を組むことが至当であると考えるわけでありますが、郵便貯金特別会計からの郵政事業特別会計に対する繰り入れは法律上できないのですか。これは事務的な回答でいいです。
-
○北脇政府
委員 いまおっしゃいました仲裁裁定につきましては、分担額は、郵貯会計から予定として約二十億円繰り入れることになっておりますが、それ以外といたしますと、予算総則にありますところの弾力条項の規定によりまして、たとえば郵便貯金事業が非常にふえた、そのために募集手当が増加する、こういう場合には、予算総則の弾力条項の規定によりまして、それに見合うだけのものを郵政会計に入れる、こういう規定はございます。
-
○
森本委員 その場合、たとえば郵便貯金特別会計のいわゆる剰余金の中から、この中に補正予算として組んだ場合に出すということは、法的にできるかどうか、こういうことを聞いておるわけです。
-
○北脇政府
委員 先ほども大臣から御答弁申し上げましたように、一応今回の仲裁裁定は予備費と節減とそれから増収によってまかなう、こういう予定にしておりますが、いま御質問のように、たとえば補正予算を組んだ場合はどうか、こういう御質問と思いますが、その場合は、郵政会計固有の分はもちろん、郵便収入その他でまかないまして、郵便貯金会計の負担に相当する部分は郵貯の会計から、当然歳入がふえまして、それを財源として歳出の補正予算を組む、こういうかっこうになろうかと思います。
-
○
森本委員 いや、私が聞いておるのは、貯金事業の特別会計からは、従来その特別会計に見合うところの郵便貯金事業そのものに対するところの経費のみを繰り入れておるというのが、いまの郵政事業特別会計のあり方なんです。ところが、現実には郵便貯金特別会計においては百四十何億という黒字になってきておる。これが年々にいくと、この前に法律
改正をして、大蔵省の六百億円というものをわれわれは差っ引いてもらった。ところが、差っ引いてもらったのが、結局は、貯金事業が続いていく限りにおいては、もう一回今度は差っ引いてもらったくらいの金額に今後なりそうな気がするわけであります。そういう場合、郵便貯金特別会計でそういうふうな余裕金がある場合において、補正予算という形において組む場合には、その剰余金の中から、郵政事業特別会計に繰り入れをすることは法律上できないのかどうか、こういうことを聞いておるわけです。あとはこれは政治問題でありますから、要するに事務的に法律上そういうものが繰り入れをすることができるかできぬか、こういうことです。
-
○北脇政府
委員 先ほどから申し上げておりますように、郵貯会計の分担分については、これは当然繰り入れできると思いますが、ただ郵貯会計が剰余金があるから、郵政会計が本来分担すべきものまでもそこから持ってくる、こういうことになりますと、これは郵貯会計も特別会計でございますし、郵政会計も特別会計であって、収支の経理を明確にするという本来の趣旨からちょっとはずれるのじゃないか、かように考えます。
-
○
森本委員 私が聞いているのは、そんな理屈を聞いているのじゃないのです。政治家がやろうと思えば、法律上それができるのかできぬのかということを聞いているわけです。というのは、御承知のとおり、いわゆる郵便貯金の金利が、預金部の金利が低かったわけです。だから郵便貯金特別会計というものは、逆に赤字が約四百五十億円くらいになっておったわけです。それを法律
改正に基づいてこの四百五十億円の赤字というものを差っ引いたわけです。だから現在においては郵政省はその赤字が大蔵省に対してないわけです。しかしそのときの大蔵省の言い分というものが、公式の言い分ではないにしても、将来郵便貯金事業がだんだん黒字になってきた場合には、ある程度戻してもらうというふうな言い分もあるやに、これは仄聞をしておるわけであります、要するに、私がこの前の
委員会においても、こういうような剰余金がどんどん積み重なっていくよりは、できれば郵便貯金福祉事業団というようなものをつくって、それによって郵便貯金の預入者の福祉向上をはかる、そういうことも考えてみたらどうか、こういうことを発言したことがあるわけでありますが、それはそれとして、こういうふうに郵政事業特別会計が仲裁裁定の百二十億円足らないというふうな場合に、郵便貯金特別会計から郵政事業特別会計に、補正予算を組んでそれに繰り入れることが、現行の法律上でき得るかどうかということを事務的に聞いておるわけであります。
-
○北脇政府
委員 ただいまの御質問でございますが、郵便貯金特別会計法の第四条に、「郵便貯金事業の業務取扱費等の経理」というのがございまして、「郵便貯金の事業の業務の取扱に関する諸費及び同事業の業務に必要な営繕費は、郵政事業特別会計の歳出として支出するものとし、これに要する財源は、第二項に規定する収入及び予算の定めるところによりこの会計から郵政事業特別会計へ繰り入れる金額をもって充てるものとする。」この規定によりまして、郵便貯金事業の運営に要する経費は繰り入れられますが、郵便貯金事業の運営以外の、つまり、たとえば郵便事業の運営に要する経費を、郵便貯金会計から繰り入れるということは、法律上はできないのではないか、かように考えます。
-
○
森本委員 そうすると、郵便貯金特別会計が幾ら黒字になっても、郵政省はそれを使えないということですね、郵便貯金事業本来の業務以外には。
-
-
○
森本委員 そうすると、その金は毎年毎年余っていくわけだね、この調子でいくと。
-
○北脇政府
委員 御承知のように、
昭和三十六年度から特利をもらいまして、六分五厘の金利をもらっております。それからいま郵便貯金の伸びが非常によろしいのでございますが、経済情勢の変化というものもございますし、多少の剰余金の積み立てというようなものも、健全なる企業経営としましては内部保留というものも必要か、かように考えております。
-
○
森本委員 あなたの理屈は要らぬわけだ、私は質問しているわけだから。要するに、この調子でいまの経済状態がそのまま続いていったとするならば、要するに郵便貯金特別会計の剰余金というものはだんだんふえていくという結論になるであろう、こう言っておるのです。
-
○淺野政府
委員 まだ貯金事業におきましては、使わなければならない面が非常にたくさんあると思います。事業経営の窓口、それから国民の皆さんに対しますサービス面におきまして、相当経費を投じなければならない、こういった公共投資に今後相当お金が要ると思っております。したがって、黒字が出てまいりましたら、極力そういった面にサービスとしての還元を考えるべきである、かように考えております。
-
○
森本委員 それはそのとおりですが、官房長は、前に貯金
局長をやっておったから、そのことはよく知っておるし、そのとおりいけばいいけれども、それは大蔵省が、ある一定の繰り入れ金以上はとても許可しない、だから現実にはこの剰余金というものはふえていく、こういうことになってくると、これは郵政省としては相当研究してみる価値があるのではないか、この郵便貯金特別会計と保険事業特別会計のあり方については。そうでないと、たとえば郵便貯金事業が六百億円も赤字であった時分は、貯金
局長なり各郵政局の貯金部長、各
局長は一体どういうことを言って説明したかといえば、いま郵便貯金事業というものは六百億円の赤字だから、とてもじゃないが給与改善その他何もできない、しかし一兆億円以上に郵便貯金がなり、二兆億円になり、そして郵便貯金事業が黒字になれば、諸君の被服もよくなるし、待遇もよくなる、手当もどんどんよくなるから、うんと働け働けと言ったわけです。ところが、うんと働いて、実際に郵便貯金特別会計が百四十何億という黒字になってきてもこれはある一定の大蔵省との折衝できまった以上の、いわゆる貯金事業の経費としては金が出せない、これが今日の現状になっているわけです。
そうなってくると、これは事業じゃない。事業をやっていく会社というものは、収入と支出と見合って、そしてその事業の拡張に努力していく、それが郵政事業の中における一番大きな役割りを占める郵便貯金事業、保険事業が、そういううま味のある運用ができないということになるとするならば、これは今後郵政省としては検討してみなければならないのではないか。場合によっては、郵便貯金特別会計法の修正なり、あるいはそこまで考えていかなければ、六百億の金がたまってしまったら、もう一回大蔵省に戻せと必ず大蔵省は言いますよ。そのときに、大蔵省に六百億戻して、何のかんばせあって従業員にものが言えるかということになるわけであります。
これは仲裁裁定にからんでの話でありますけれども、いずれにいたしましても、私は大臣に特にお願いしておきたいと思いますことは、こういう仲裁裁定が出ると、何とか省内でやりくりをしてやろうということを考える。ところが、予算を審議するときには、これも足らぬ、あれも足らぬという答弁をしておきながら、いまごろになって百二十億の仲裁裁定が出たら、こっちを節約し、そっちを節約し、そうしてどうにかつじつまが合うような答弁をしておる。全くこれは、予算審議のときと、いまの仲裁裁定のときの答弁とが、考えてみると非常におかしい。だから私は、元来郵政省が予算を国会に提案をして、そうしてあの説明をしたときの理由を考えてみた場合、速記録をよく読んでみた場合においては、やはり百二十億円というものは、補正予算を組んでもらわなくては何ともなりません、こうはっきり言い切るのが郵政省の言い分ではなかろうかと思うのです。その辺のことを大臣は慎重に考えてもらいたい。そうしないと、あと郵便事業の十六億円の増収とかなんとかいうことを言っておるわけでありますけれども、そう簡単にあの予算以上の増収というものは、私は本来は出てこないのじゃないかという気もするわけでありまして、これは軽々に省内だけで片をつけようということでなしに、やはり私は、郵政省は郵政省として、郵政大臣は大蔵大臣と折衝して、できる限り別途の金をここに計上することに全力を大臣はふるってもらいたい、私の言いたいことは、こういうことなんです。
-
○
徳安国務大臣 ただいまのお説はよくわかりますが、従来の行き方といたしましても、経費がふえてきた、できるだけ節約をし、勤労意欲を高揚させて得た金でつじつまを合わせようというような形で従来ずっときておるわけなんでありますから、本年もこの特別な処置は、大体異なった処置はございませんで、やはりいままでのような考え方で案を立てて、いま大蔵省と話し合いをしておるというのが現状であります。
しかし、先ほどもお話がございましたように、この郵便貯金等に対する剰余金百四十幾億ございますが、従来は赤字、赤字で長い間貧乏神に取りつかれまして、六百億円近いような赤字が出て、結局これは棒引きしてもらった。やれやれと思って、ようやく百四十何億ですか、いま剰余金ができたということでございますので、こうしたものを一体今後どういうぐあいに処置するか、また赤字が出る時代がくるのじゃないか、そういうときの用意も必要だから、これはむやみやたらに処分するようなこともよくないという考え方もありますし、もう今後はそういうことはなかろう、ですから余っていくものは一般の、先ほど官房長が言いましたように、サービス関係でありますとか、近代化とかいうようなものにどんどん使ってしまって、そうしてもうそういう余分がなくったって困りゃしないじゃないかという説もございますし、そういう点に対する見通しが今後必要だと思います。
そういう、これまで金が余った例が少なかったものですから、その余ったものに対する処置等につきましては、あまり深い考え方を用いていなかった。ようやく最近余りかけましたので、こんなに余るのならば、今後はこの処置についてはどうするかということを再検討してみて、大蔵省とも折衝しなくてはならぬなんというような時代にようやく入りかけてきておるということでございます。
そういう金が、はたしてそちらに流用できるかどうかというようなことは、法律上、現在ではだめだということを事務当局は説明しておりますが、しかし補正予算等を組む場合において、同じ一つの郵政省という大きな建物の一つの組織の中でありますから、一方のほうの特別会計に余っている金がございましたら、補正のときにはそちらに持っていってやるとかなんとかいうような融通の道も法的処置を講じまして、できることでしたらこれからその考え方も立つのじゃないかと思いますし、かたがた、長い間借金借金で苦しんでおったのが、いまちょっとほっとした形でございますので、その余ったものをいかに今後流用するか。ほっとしたものは長く続くものか、続かないものか、今後、先ほどからしばしば申し上げますように、料金等の問題、収支等の問題につきまして、来年度はどうするかということも、これは国会が済みましたら慎重に検討を要すべき問題だと思いますから、そういうものもあわせ考えまして、今後の処置を検討してみたいと思います。
-
○
森本委員 これは大臣は一年か二年でやめられるけれども、郵政省というものは長く続いていかなければならぬ事業であります。だから私は、特に言いたいのは、こういう相当大幅な金額の仲裁裁定が出たときは、まず何といっても補正予算を組むような処置を政治政策としてはとるべきである。それがどうしても何らかの形においてできないということになって、いまあなたのおしっしゃったような、省内でいろいろ差し繰りとかいうものを考えてみる、こういう政治姿勢をとってもらいたい、こういうことなんです。はっきり言うと、私の言いたいのは。
ここで、そういう問題を、時間もありませんので、論議しようとは思いませんが、そういう方針を郵政省も電電公社もとってもらいたい。おそらく電電公社は、建設予算なりあるいは予備費なり、その他のものをひとつ差し繰って、この百十四億というものをまかなっていきたいと考えておりますという回答になろうと思いますが、どうですか、電電公社のほうは。
-
○米沢説明員 お答えいたします。
先ほど職員
局長が数字を申し上げましたが、いま考えておりますのは、仲裁実施のための所要額百十四億のうち、予備費を二十億充当し、そのほか残りの九十四億につきましては、既定予算の流用と資産充当によってまかなっていきたいということで、大蔵省と打ち合わせしながら考えております。
-
○
森本委員 大蔵省と打ち合わせをやっておるのですか。
-
○米沢説明員 三十九年度につきましては、まだ決算がまとまっておりませんので、その内容につきましては、さらに慎重に考えていきたいと思います。
-
○
森本委員 三十九年度の決算では、いまのところどの程度の剰余金になる予定ですか。
-
○
遠藤説明員 まだ取りまとめ中でございますので、はっきりした数字はわかりませんが、大体八十億程度のものが出るものと考えております。
-
○
森本委員 三十九年度の決算において大体八十億程度ということになるとするならば、電電公社の場合には、これはいま総裁が言ったように、この八十億というものの決算上における収入というものは、四十年度の予算には見込んでないのでしょう。
-
-
○
森本委員 そうすると、既定予算の流用その他について、あまり考えなくてもいい、こういうことになるわけですか、総裁。
-
○米沢説明員 この仲裁裁定を処理する方法といたしまして、補正予算の方法もありますし、あるいはまた、昨年、一昨年やりましたように、資産充当、弾力を発動してやる方法もあると思います。したがって、数字的に申し上げますと、九十四億の中で、既定予算の流用でやる部分、それから資産充当による部分、両方あると思います。補正予算問題につきましては、私、ちょっと申し上げるのはいかがと思いまして差し控えますが、しかし、いずれにいたしましても、関係各省と打ち合わせながら進めていきたいと思っております。
-
○
森本委員 既定予算の一時流用なら私はけっこうだと思います。それは年間予算のうちの既定予算の事業予算の一時流用ということならけっこうだと思うけれども、それを永久的に削ってしまうということであるとするならば、これは疑問があるわけです。これはやはり当
委員会において予算審議の際に、私たちはこういう予算を計上しました、これに対していろいろな質問があって、これは余っておりますという答弁があったところはどこもないわけでありますから、そうすると、既定予算を一時借用しておいて、あとできちんとした補正予算なり何なりで組み直すということであるとするならばけっこうでありますけれども、実際問題としての既定予算を一時流用する、こういうことですか、言わんとするところは。
-
○米沢説明員 これは
昭和三十八年並びに九年にやりましたようなことを考えて、一時流用ではございません。三十八年、三十九年は、たしか資産充当の形で、結局最終的に処理されております。そういうような方法を考えております。
-
○
森本委員 だから、これはやはり既定予算の流用という形を最終的には考えておるわけですか。
-
○
遠藤説明員 ただいま九十四億の部分につきましては、そのうち幾らの額を資産充当してやるか、大体八十億程度だと思います。そういたしますと、あと十億程度は三十九年度の仲裁を実施いたしましたときと同じように節約ということになるわけであります。
-
○
森本委員 私は、これはやはり既定予算というものは動かさずに、それ以外に別個に一つの金額をここに出して、そして仲裁裁定を実施するというたえまえをとるべきではないか。それは総裁とすれば、郵政関係その他の諸君とのいろいろないきさつがあるので、それはなかなかむずかしいと思いますけれども、私はこういう仲裁裁定の場合においては、極力そういう措置をとってもらいたい。だから、郵政大臣としても、いま大臣が答弁したように、できる限りひとつそういう方向に考えてみよう、それがどうしてもできなければ、いま言ったような内部流用ということも考えてみる、こういうことでありますから、やはりこれは、電電公社としても、大蔵省と折衝するよりは先に郵政大臣と私は相談してしかるべきだ、こう思うわけであります。
今日まで私が横から見ておりますと、電電公社あたりでも、その筋道が若干間違っておるんじゃないか。予算折衝その他においても、あるいはその他の行政部門においても、監督官庁であるところは何といたしましてもこれは郵政省であります。だから、そういう問題については、まず郵政省に相談をし、そしてそれから後に大蔵省との折衝に入るというのが筋道である。さらにまた、労働問題その他においても、すべて郵政大臣のいわゆる権限下に公社としては置かれておるわけでありますから、そういうものについても、すべて私は郵政大臣というものを通ってやるべきが至当ではないかというふうに考えるわけです。
その点、私は、いまの総裁は総裁になったばかりでありますので、どうこう言うわけじゃありませんが、今後の電電公社の行き方というものを、現行法律上においてはやはりそういうふうにしていくべきではないか。その問題のよしあしについては、いろいろ意見があります。しかし、現行の法律上においては、そういう問題についても、私は大蔵省と折衝する前に郵政大臣と話をする必要があるのではないか、そういうふうなルールというものをやはりつくる必要があるのではないかということを、側面的に見て感じるわけでありますが、それについては総裁はどうお考えですか。
-
○米沢説明員 先ほど大蔵省と申し上げましたが、郵政省を通じて大蔵省と折衝いたしておる、こういうふうに訂正いたします。
-
○
森本委員 それでけっこうでありまして、たとえば仲裁裁定に限らず、その他のいろいろな問題についても、やはり――現行のこれに対するよい悪いという批判は別です。ただし、現行の法律上においてはそういうたてまえになっておるわけでありますから、すべて問題はやはり私は郵政省を通して外部への働きかけを行なうという一つの習慣、あるいはまた慣習というものを、今後はひとつ厳重に持っていただきたいということを総裁に重ねて申し上げておきたいと思います。それに対する最後の総裁からの回答を伺っておきたい、こう思うわけです。
-
○米沢説明員 ただいまの御意見、ごもっともだと思いまして、そのようにいたすつもりであります。
-
○
森本委員 それでは、電電公社のほうはけっこうです。
それではもう一点。郵政省でありますが、非常に残念な事件であります。私はこの間大臣に質問をいたしまして、そうして大体もう済んだとこう思っておったわけでありますが、それは例の、長野県の戸倉町の戸倉郵便局の簡易生命保険の不正融資の事件であります。当時八百万円の詐取ということで終わったというふうに答弁があって、大体それで何とかけりがつくと、こう聞いておったわけでありますけれども、その後の新聞の報道によりますと、二億円ないし三億円にのぼっておる、こういうことが報道されておるわけであります。これが二億円ないし三億円にのぼるということになりますと、これは郵政省始まって以来の不祥事件であり、郵政省始まって以来の大きな不正事件になるわけであります。この間の
委員会の答弁以降、その後これがどういうふうに変わってきておるのか、その概略をひとつ、これは事務当局からでもけっこうでありますが、御説明を願いたいと思う。
-
○
徳安国務大臣 こまかい数字のことはまた事務当局から御説明いたすことにいたしまして、先回の御質問の引き継ぎでもございますから、大筋だけひとつ申し上げたいと思います。
三十九年度におきます貸借、つまりこちらのほうから金を貸しましたものに対します計算は全部完了をいたしております。三十九年度分につきましては実損は一つもございません。今度は四十年度でございますが、四月からでございますけれども、四月からこの上山田町に短期融資いたしておりますものが現在四千五百万円ございます。そのうち三千万円という一口が、これは役場のほうに収入になっておりますので、当然これは正規の手続、書類等も完備いたしておりますから、適法の処置でございます。その次に千五百万円というものでございますが、これは五月の十日に貸せることになっておりました。事件が起きるほんのまぎわの問題でございます。これが書類等は全部正規のものでございまして、いささかも疑う余地がないそうであります。ただ、こちらのほうから入りました千五百万円が役場の帳簿には載ってないということが一つございます。役場の帳簿には載っていない、収入にはなっていないわけでございます。しかし、こちらのほうの手続なり書類等は、従来と同様に全部ちゃんと正規の手続で、印鑑もあり、また借用証書もあり、一つも疑う余地はございません。ただ、役場の帳簿に記入がないそうであります。これが役場関係であります。
それから、そのほか戸倉、上山田上水道組合、こういう組合に貸している金がございます。これが千六百万円と五百万円とございまして、その二つとも組合の帳簿に記入してないそうであります。その帳簿を調べたのでありますが、その帳簿に記入してない。ですから、組合に入っていないということであります。しかし、これもこちらからされております正規の書類なり印鑑証明なり領収証なり借用証書なり、これは全部正規のとおりに完備いたしておりますので、その金がどうして記入されていないか、ただいまそれが問題になりまして取り調べ中でございます。不日これははっきりすると思いますが、それ以前のものは、いま申し上げましたように、これだけでございまして、三十九年度、三月三十一日以前のものは全部、組合にもございましたが、組合のほうからも完全に金が入っております。それから役場のほうからも全部金が入っております。いま問題になっておりますのは、この総計で申しますと三千六百万円、これが両方の帳簿に載っていない、こういうことでございます。
そのほかのことは政府
委員から答弁いたさせます。
-
○
森本委員 そうすると、四十年度の不正貸し出しというものは、いま大臣の御説明もあったように、三千六百万円、こういうことになるわけですね。
-
-
○
森本委員 そういたしますと、この上山田町に簡保の短期融資を始めたのは何年から始めたわけですか。
-
○泉説明員 ただいま、何年度から始めたか、ちょっとその資料がございませんが、私の手元の資料では三十六年度から貸しております。それ以前はちょっといま……。
-
○
森本委員 三十六年度から、その年度ごとに幾らずつ貸していますか。
-
○泉説明員 上山田町に対しまして三十六年度に三百万円、それから三十七年度に五百万円、三十八年度に五百万円と八百万円、それから三十九年度は一千万円、それから五百万円と二千万円、それから四十年度につきましては、いま大臣が申されました三千万円と千五百万円でございます。
-
○
森本委員 これは上山田町だけでありますか。それとも、先ほど大臣が言われたように、上水道組合とか何とかいうのはこれから別ですか。
-
○泉説明員 これは上山田町の分でございます。
-
○
森本委員 この戸倉の郵便局を経由して短期融資で貸した金額は、三十六年度以降これだけですか。
-
○泉説明員 そのほか戸倉町と上山田上水道組合、それから戸倉、上山田中学校組合という団体もございます。
-
-
○泉説明員 戸倉町は三十六年に千五百万円、それから三十七年度が五百万円、三十八年度が千五百万円、三十九年度が千五百万円と、もう一つ千五百万円、この二口でございます。四十年度はございません。
-
○
森本委員 これは、そうすると、三十六年から以前のことは、いま資料はない、こういうことだね。
-
○泉説明員 いま手元に資料を持っておりません。
-
○
森本委員 それで三十六年、三十七年、三十八年、三十九年と、これだけ合わせますと、これは約一億近い金になる。これは全部支払いは完了しておるわけですね。
-
○泉説明員 先ほど大臣が説明されましたように、正規の書類で貸しまして正規に返っております。四十年度を除きまして返っております。
-
○
森本委員 それで、この三十六年から三十九年までの約一億円近い金額というものは、実際問題としてそのいわゆる帳簿に載っておる人に金が渡っておるかどうかということを調査しましたか。
-
○泉説明員 こちらの書類はございますが、向こうは現在この関連で捜査中でございますので、向こうの帳簿がどうなっているかにつきまして確認は現在しておりません。
-
○
森本委員 監察局長に聞きますが、こういう場合に、監察官は監察官独自の場合においてこの帳簿を閲覧することはできぬのですか。
-
○稲増政府
委員 通常の場合、警察が先に手を入れました場合には、共同捜査を申し入れるのでありますが、警察のほうからわれわれのほうに事件を引き渡すか、あるいは捜査の応援を頼まれない限りは、われわれのほうは、警察の捜査に対しまして手をつけないというふうな慣例で現在までまいっております。
-
○
森本委員 しかし、やはり監察官もいわゆるこういう司法権を握っておるわけでありますので、こういう場合には、警察は警察なりに私は取り調べはずっとやっていくと思う。しかし事業監督官庁の監察官としては、やはりこれはまた別個の角度から調査をしていくということは、私はやっていいのじゃないかと思うのですが、現行法律でこれをやっちゃいかぬというような法律が何かあるのですか。
-
○稲増政府
委員 特別、法律上どうこうということはございませんが、ただ今回のこの事件は、警察等でわが方に協力を要請しないのは、郵政犯罪のみでないというふうな観点から捜査をされているのじゃないかと推測いたしております。
-
○
森本委員 郵政犯罪のみでないというのは向こうの考え方であって――それはどういう犯罪を捜査するにも、向こうがやるということはけっこうです。ただ郵政省としては、こういうふうな不祥事件というものについては、これはやはり私は業務上調査をする権限はあると思う。だから、この三十六年から三十九年までに貸し出したものが、いわゆる正規に貸し出しをされておるものかどうかということの認定が監察局においてできないということは、どうしてもこれはふに落ちぬわけでありますが、どうですか、その辺は。
-
○稲増政府
委員 二十九年八月十一日に、郵政省と警察庁との郵政業務に対する犯罪捜査に関する協定におきまして、ただいま申し上げたようなことが協定に相なっております。
-
○
森本委員 そうすると、もうこれは一切警察に頼んで、その全貌も郵政省はわからぬ、とこういうことになるわけかな。
-
○稲増政府
委員 一応われわれの立場から、われわれの現在持っております保険局にある書類によりまして推定はできますが、犯罪の確定的なことはできないのでございます。
-
○
森本委員 たとえば三十六年、三十七年、三十八年、三十九年のこの約一億円に近い金は、だれが借りて、それからだれが何日に納めたということは、郵政省はちゃんとわかっておるわけだね。わかっておるはずなんだ。だから、だれに貸してだれがこれをまた返納したかということも、ちゃんと書類上はわかっておるわけだね。そこで問題は、その借りた人がほんとうに借りた人であるかどうかということを確認さえすればいいわけなんだ、郵政省としては。それは私は、捜査の逸脱でも捜査に対する妨害でも何でもないというのだがね。郵政省が調べるのは、そこまでなんだから、郵政省が正規に貸し出した金が正規な人に波っておるかどうかということを、監察局が調べてはならぬということに私はならぬと思う。
-
○稲増政府
委員 ただいま検察庁のほうにすでに勾留されて調べておりますが、郵政
局長、収入役、
局長代理が逮捕され、また所要の書類は全部検察庁のほうに参っておるのでわからないわけであります。
-
○
森本委員 そうすると、三十六年、三十七年、三十八年、三十九年と、この場合に、その戸倉の郵便局に対する監察は一体何回やっておりますか。
-
○稲増政府
委員 三十七年の十月に年次考査をやりまして、成績は良と申しますか、まあまあというところでございます。年次考査はそれ一回でございます。
-
○
森本委員 それから風評その他における聞き込みその他についても、この当該局についてはいろいろの評判というものはなかったわけですか。
-
○稲増政府
委員 残念ながら、今日のような問題になるような風評はつかみ得ませんでございました。
-
○
森本委員 それから、こういうもののこの三十七年の十月に監査をした場合に、この実際の五百万円と五百万円、三十七年には一千万円出ておるわけでありますが、これについての監査をやったことはありますか。これは監査というよりも、書類はちゃんとでき上がっておるから、そのときに、相手方に一言聞きさえすればいいわけだ。そういうやり方をやっておりますか。
-
○稲増政府
委員 相手方の町役場のほうの帳簿を調べる等の考査はいたしておりません。
-
○
森本委員 いままで全国どこの貸し付けの場合でも、そういうことはやっておりませんか、監察局は。
-
-
-
○泉説明員 保険の貸し付けには長期と短期とございます。長期の場合は監査をしておりますが、短期の場合は、長期にいきました場合には見ておりますが、短期だけの場合は見ていないのでございまして、長期のないところへ短期がいっておるものにつきましては、実地監査はやっておりません。
-
○
森本委員 これは短期は一切やってないというわけだね。
-
○泉説明員 長期を貸しております団体に対しましては、長期の監査をします場合に同時に短期も見ております。それで長期の貸し付けのない団体に対します短期の場合には、実地監査はせず書類監査だけでございます。
-
○
森本委員 そうすると、監察局も保険局も、これに対する監査は短期の貸し付けの場合は現在までは一切やってない、こういうことですね。
-
○泉説明員 上山田町に対しましては、長期の貸し付けが三十五年以降ないものでございまして、三十六年以降につきましては実地監査はやっておりません。
-
-
○泉説明員 全国的に、先ほど申し上げましたように、長期を中心に監査をいたしまして、短期はそのときにやっておりますけれども、短期だけの団体に対しましては、実地監査はやっていないわけでございます。
-
○
森本委員 これは実地監査といっても、その使い道については、やはりその市町村の公共団体が使うわけであるから、その内容についてまでわれわれが監査をする必要はない。また、そういう権限も私はないと思う。
ただ、この監査の場合、実際には書類についてちゃんとできておっても、その書類どおりに金が向こうに入っておるかどうかということさえ確認すればいいのだ。これはきわめて簡単な監査だ。これをやらなかったために、今回こういう事故が起きた。そういうふうな簡単な監査でありまするから、これは人がおりさえずれば、五分か十分あれば済む監査だ。村長か収入役に聞けばはっきりわかるわけであります。上水道の組合長なり、あるいは副組合長に聞けばはっきりわかるわけだ。これをひとつ契機にして、この問題については、やはり私はやり方を考究しなければならぬのではないか、こう思うのですが、この点について監察局と保険局はどうお考えになりますか。
-
○泉説明員 短期に対しましては、先ほど御説明申し上げましたように、長期をやる場合にのみやっておりましたが、短期だけの貸し付けの団体はごく少ないのでございまして、大部分が長期も短期もいっておるという事例でございますが、たまたま公共団体等を信用しまして、正規の書類という形でやっておりまして、こういう事態が起きましたので、今後は短期に対します融資の監査につきまして、従来の通達等を厳重にやるとか、書面監査を厳重にやると同時に、先ほど申されましたように、相手方との連絡を密にいたしまして、こういう事犯が起きないようにいたしますと同時に、短期だけの融資のところも、できれば実地監査もし、あるいは借り入れします場合にも、地方公共団体では、議会で予算書で議決することになっておりますので、そういうものまで確認いたしまして、今後こういう事犯が絶対起きないように監査を強化するように現在通達を出すことにしております。
-
○
森本委員 それは専決処分でもやれるんでしょう。地方議会の承認がなくても専決処分でやれるはずだ。
-
○泉説明員 その点、三十八年度の地方自治法関係の
改正によりまして、予算書で限度額をきめまして、地方自治団体の長が、そのワク内でできるということになっております。
-
○
森本委員 その議会の承諾書、あるいはそのワク内において、その市町村においてきめたワク内においては、町村長の専決処分でできるわけだ。ですから、これは監察局と保険局が十分に協議をして、何とかこれが事前に防げるような方法を、しかも相手の気分を損じないようにやる方法が私はあると思う。やっぱりこれは保険部のほうから実際の借り主に対して照会をするなり、あるいは係長クラスが行ったときにちょっと役場へ寄って調べてみるなり、あるいは監察局としては、当該局の監察をする場合に、その当該郵便局を通じてかなりの高額な金額が、短期、長期で出ておった場合には、その相手方のところへ行ってちょっと聞いてみる、調べてみる、こういうことが私は絶対今後はやる必要があると思う。
おそらく三十六年から三十九年のこの一億円の金額の中において、私は、それはもう支払いは済んでおるけれども、現実に若干は不正融資があるのではないかという気がするわけです。これを見ると、だんだん金額が大きくなってきておるわけだね。三十六年、三十七年、三十八年、三十九年になるに従って。そうして四十年度には最高になっている。だから、これをだんだんやっているうちに――これはやっておっても絶対にわからぬ、戻しさえすれば、これは絶対わからぬという気になってきたのじゃないかということが、この金額で想像されるわけだ。
だから、これはもう繰り言になりますけれども、私がいま言ったような、要するに敏感な保険部長なり、あなたらのずっと下の部下の貸し付けの課長というものが、この書類を初めからしまいまでずっと目を通したら、大体頭のりこうな人なら、ちょっとおかしいということが気がつくはずだ。その辺を、めくら判をぽんぽこぽんぽこ押しておったのではさっぱりわからないけれども、この辺に一つのかぎもあろうと思う。それはだました者が一番悪いわけであって、一番悪いのは、この
郵便局長と村の収入役、とにかく共謀してやった連中が一番悪い。しかし、だまされるほうも、はっきり言ってどうかしている。いまあなたの答弁の金額を私は並べてみて、私がその当該の保険部長だったら、これはちょっとおかしいぞ、ひとつだれか行って調べてみないかというくらいの頭の働きは私でもできますよ。こういう短期貸し付けの問題については、郵政省の信用にもかかわりますから、今後ひとつ省内においても省議を行ないまして、今後のやり方については、はっきりと方策を立ててもらいたい。その方策を立てたならば、その方策をこの
委員会を通じていつか明らかにしていただきたいということを、私は特に大臣に要望しておきたいと思いますが、大臣の所見を最後に聞いておきたいと思います。
-
○
徳安国務大臣 今回の案件は、全く異例と申しますか、初めてのケースでございますので、私どももあ然としたわけでありますが、何しろ
局長と印鑑証明を出しておりまする収入役と組んでやったことでありますために、発見がおくれたということでありまして、ただいま申すように、過去の三十九年度以前のものにも不正融資があったが、あるいは完済されておりますのでそのままになっておるものもあるかとも思うのであります。これはいずれ近いうちに私のほうでも十分調査いたしまして、そういうように、済んだから過去の不正融資もそれでいいのだというのではなしに、そういう点についても十分検討を加えたいと思いますが、ただいまお話しのように、お貸しいたしますその金の書類等は、たとえ完備いたしておりましても、あるいは印鑑証明等がついておりまして、その印鑑証明を持ってきた者に金を払ったということがあるにいたしましても、やはり私のほうでは、先ほど説明したようでありますが、これを決議いたしましたもとである議会側にも一応は聞くことは必要でもありましょうし、あるいはこういう書類が参りましてお届けいたしましたが、というくらいのことは、町長にもやはりお知らせして、もしそこに行き違いがあったり、不正なことがありましたら、すぐ発見できるような処置だけは今後講ずべきだと思いまして、いまそういう方法を立案いたしております。近日、そういうものにつきましては伝達を出したいと思っております。今後はそういうことを防ぐように極力万全の策を講じたいと思っております。
-
○畑
委員 それにちょっと関連して御質問いたしたいと思いますが、いま、貸し付けに必要な書類、それは予算の議決書を添付する、こういうことでしたね。それはどんな書類になっておりますか。判などはどんな判ですか。町長の判を押すことになっているのですか。形式をちょっと言ってください。
-
○泉説明員 いまちょっと資料を持っておりませんけれども、町長の印だと思います。
-
○畑
委員 そういたしますと、その町長の印鑑が盗用せられたということになりますか。
-
○泉説明員 関係します書類には、借り入れの申し込み書、あるいは見返り財源の証明書類、それからいまの議決書、あるいは一時借り入れ金現在額の調査とか、あるいは金繰り予定表とかございますが、それぞれの書類に町長あるいは収入役という責任者の判をもらうことになっておりまして、かりに町長が知らなくて町長印が関係書類に押されておる。特に借用証書は町長の借用証書になりますので、町長印が押されておりますわけでございますので、したがいまして、それがどういう形で町長印が押されたかにつきましては、私どもではちょっとわからないのでございますが、町長印が押されております。
-
○畑
委員 そうすると、印鑑盗用による公文書偽造、それによっての詐欺、こういうことになりますか。
-
○稲増政府
委員 最初三名逮捕されました逮捕理由は、さように相なっております。
――――◇―――――
-
-
○
森本委員 だんだん時間も迫ってまいりましたので、きわめて簡単に要点を申し上げたいと存じます。
これは協会に先に言っておきたいと思いますが、「
昭和三十八年度における監事の活動状況」というのがけさ配付になったわけであって、いつも要求する資料は前日くらいにその
委員に手渡るように協会等においてもよく考えておいてもらいたい、こう思うのですが、まずそのことをだれか担当者から御答弁願いたいと思います。いつでも私が要求した資料というものがその日になってくるわけです。その日になってあわてて読まないと、その質問をまた次にやらなければならぬということになってくるわけであって、私はこれは前から野村総務あたりにもやかましく言っておることですが、だれかこれに対して、今後はそういうことはないと、はっきりやりますということを言っておいてもらいたいと思います。
-
○
赤城参考人 たいへんおそくなりまして申しわけございませんでした。今後は、資料要求に対して、なるべく早く
委員会のほうに提出したい、かように考えております。
-
○
森本委員 そこで、この「三十八年度における監事の活動状況」の中の一ページの第一項に、「長期計画の進捗状況と今後の見通し」、「建設関係業務の遂行状況」など協会重要業務について監査結果を経営
委員会に報告し、ということがあるわけですが、これは文書で報告しておるわけですか。それとも口頭で報告しておるわけですか。
-
-
-
○
赤城参考人 速記録はございませんが、議事録はございます。
-
○
森本委員 そうしますと、この「長期計画の進捗状況と今後の見通し」と「建設関係業務の遂行状況」ということについてのこの報告の内容というものは、一つの文書にできますか。
-
○
赤城参考人 大体経営
委員会に出席してそういう問題がありましたときに、毎回そういう問題についていろいろと申し述べておりますので、特にそのことだけに集約しての意見というものをまとめてはございません。
-
○
森本委員 それでは項を追いますが、その次の二ページにも、「必要な意見を述べた。」こうあるわけです。それから三番目の項にも「これを検討し、必要な意見を述べた。」、四番目にも「聴取し、必要な意見を述べた。」、こうあるわけですが、その意見が一体どんなものであるかということは、一つもわれわれにはわからぬわけでありますが、これは何かわかる方法はないのですか。
-
○
赤城参考人 この資料に意見を述べたというふうに掲示してありますが、大体これは非常によろしいというようなことの意見というふうに承知しております。
-
○
森本委員 そんなあほなことはないですよ。全部が全部よろしいという報告をしておるような監事では、これは監事の役が立たぬわけであって、いいことはいい、悪いことは悪い、こういうようにはっきり言うのが監事の任務であって、私が知りたいのは、一体監事というものは何をやっているのだということを知りたいわけです。
そこで、この要求をしたところが、監事の活動況状というものがここに出てきた。出てきたところが、この内容を読んでみると、「必要な意見を述べた。」、「必要な意見を述べた。」と、こういうことを書いてあるので、その「必要な意見」とは一体どういうことか、こういう質問をしたら、
赤城軍務の答えでは、よろしいという意見ばかりですよ、これでは漫画ですよ。全くこれは一片の漫画にひとしいのであって、私が真剣に考えておるのは、監事という仕事が、このごろ、前に自民党の川島副総裁も言われておったが、公団、公社、各関係の監事のあり方については、相当考えなければならぬ、監事のあり方が非常に重要であるということを言われておるわけであります。特にNHKのような相当膨大になってきた一つの公共機関の監事というものは、執行機関から離れて経営
委員会の直属ということにしてあるわけでありますから、この監事というものは、ほんとうは遠慮なくものを言わなければならぬわけであります。それがために
会長が、おそらく今度部外から一人優秀な人を、これは非常勤でありますけれども、入れたとこう私は考えておるわけであります。そこで、実質的に三十八年度における監事の活動状況について、一体どういうふうな意見を言われたかということを、これはこの
委員会が済んだあとでもけっこうでありますが、もう少し何か詳細な資料が出せないものですか。いまの質疑応答のようなことではほんとうに漫画ですよ。
-
○前田参考人 ごもっともな御質問でございまして、私どもといたしましては、経営
委員会と執行機関との間には、法律上も実際上もはっきりした区別がございますので、私どもといたしましては、この御提出申し上げた資料の中にもございますように、月二回私と副
会長が出席しまして、監事との話し合いの機会をつくっております。
この話し合いの機会で、経営
委員会が基礎的な方針として決定された事項の執行の全貌につきまして、きわめて細目的に話し合っております。それからまた、将来の執行の方針についても、かなり具体的に話し合っております。同時に、経営
委員会は、定期的会合のほか、御承知のように、前回の放送法
改正によりまして、在京、いわゆる地区的な母体を持たない経営
委員がかなりふえておりますので、私どもこれを俗に在京経営
委員と申しておりますが、この在京経営
委員は毎週一回監事をまじえて会合を開いております。と同時に、毎週一回監事の要望によりまして、執行機関がこれと協力いたしまして、NHKの各部門にわたる執行の責任者にそれぞれ報告を求め、意見の交換をいたしております。そういう二様の仕組みをとっておりまして、定期的に経営
委員会においても当然監事が出席いたしておりますので、その間の監事の活動はかなりひんぱんであり、実質的だと考えております。
ただ、監事がどのような報告書をつくっているか、これについては、執行機関としては詳細にはわからないわけでございます。ただ私のいままでの経験と監事との接触、それから経営
委員会との接触から考えますと、必要なときにはやはり書類によって経営
委員会に提出する場合もあるやに想像いたしております。大体において、話し合いで資料を中心としてその当否を検討するという形をとってきております。
-
○
森本委員 現行法律における監事の立場と、それから監事がどういうふうに活躍をしておるかということについては、いまの
会長の答弁でよくわかりました。ただ、私がお聞きしたいのは、監事が一体どういう意見を出しておるのかということを実は調べたいわけであります。本来ならば、会計検査院、それから監事には、この決算のときには来ていただいて、われわれのほうが質問をするという場面があってしかるべきだ、この考えておるわけであります。しかし、今回はそういうやり方が間に合いませんので、そこで私は特にお願いしておきたいと思いますことは、これはこの審議が終わったあとからでもけっこうでありますけれども、「
昭和三十八年度における監事の活動状況」という文書の中にある、いわゆる「重要業務について監査結果を経営
委員会に報告し、」とあるわけです。これをひとつ文書にして、あとで資料として御提出を願いたい。そのことによって、われわれは、十分に監事の動向というものが、いま
会長が言われたような動きとマッチしておるか、また、どういう意見を持っておるかということが、執行部と違った意見がわかるわけでありますので、できればこの資料の中にある、監事が述べたという意見がどういう意見であったかということを、資料として御提出を願いたい、こう思うわけであります。
-
○前田参考人 先ほど申し上げましたように、監事の地位は、私どもを監督するという立場にあるわけでございますが、極力御趣旨に沿うように、監事とも話し合って資料を調製いたしたいと考えます。
-
○
森本委員 これは一応現在の
会長以下いわゆる経営者に要求した形になっておりますけれども、国会が監事に要求したということになるわけでありまして、それを事務的にあなたのほうが取り次ぐということになるわけでありますから、これはちっとも遠慮は要らぬ、こう思います。これは今後のNHKの経営のあり方についてのポイントになろうと思いますから、ぜひお願いを申し上げておきたい、こう思うわけであります。
それから会計検査院の方、来ておられますか。――小峰会計検査院長の三十八年度の報告については、特にこれという不当事項あるいはその他の事項はない、こういうことになっておるわけでありまして、まことにけっこうでありますが、大体三十八年度は、検査をどこどこやりましたか。
-
○宇ノ沢会計検査院説明員 どこどこ検査をしたかということにつきましては、最初に私が、先週でございますか、この
委員会に出席いたしまして、検査の概況を説明いたしました際に、ちょっと申し上げたのですが、本部、大阪、名古屋、広島の各中央放送局、それからその管内の四放送局につきまして百十六人日にわたって行ないました。
-
○
森本委員 本部はいいとして、大阪、名古屋、広島、その管内のいわゆる小さな放送局というのはどういう局ですか。
-
○宇ノ沢会計検査院説明員 大阪の管内では京都放送局、それから名古屋管内では金沢と福井、それから広島の管内では岡山放送局、こういうことになっております。
-
○
森本委員 それで、ほとんど良好であるということでまことにけっこうでありますが、ただ、毎年いわれておりますように、口頭注意事項はなかったわけですか。
-
○宇ノ沢会計検査院説明員 口頭注意事項は、各実地検査に出張した際の主任官が、検査が終わりましたあとで受検庁の幹部の方と打ち合わせという形でいろいろその際御意見などを申し上げておると思います。詳細について、私いま具体的な報告書を持っておりませんので申し上げかねます。
-
○
森本委員 私も長い間決算
委員をやっておりますので、会計検査院が、たとえ口頭注意事項であっても、口頭注意ということをやられると、それはもうそのところにとってはきわめて重大になってきて、今後ずっとそのとおりにやっていかなければならぬということに大体とるわけであります。
そこで、本来ならばその口頭注意事項というものが、大体どんなものであったかということを、私は知りたいわけでありますけれども、今日、いまさらどうこう言ったところで問に合いませんが、その口頭注意事項で将来ずっと長く続いていかなければならぬというふうな口頭注意事項は、たとえば前にこういう例があった。これは郵政省の問題でありますが、郵政省の簡易保険の関係で、契約雑費というものがあるわけであります。これは従業員に分けてもいいし、あるいはまた、従業員の士気高揚のために、春、行楽に出てもいいという趣旨の金を省が出しておったわけであります。ところが、それに対して会計検査院のほうから口頭注意事項として、これは一切飲み食いに使ってはならぬという注意事項があって、それ以後保険募集についてはきわめて士気が阻喪したという事項があった。そこで私は、決算
委員会で、口頭注意事項でなぜやったか、郵政省の内部の実態を知らぬ者がそんなことをやって、一体どうするのかということで、いわゆる注意事項というものを撤回したことがあります。
それほど、会計検査員のほうとしては、何げなく考えた口頭注意事項であっても、長い間にわたる口頭注意事項であるということになりますと、やはりNHKのほうとしてはそれを守っていかなければならぬ慣例になるわけであります。だから、単に文書の上でなくとも、その場限りの口頭注意事項であれば、受検庁と話し合いによって十分話がついていくわけでありますが、これが三年、四年に、将来にわたるような口頭注意事項であるとするならば、やはり影響が大きいわけでありますので、そのことまでの口頭注意事項であったのかどうかということを聞いているわけであります。
-
○宇ノ沢会計検査院説明員 ただいまの
森本先生の御意見、まことにごもっともで、私たちも、検査にあたりましては、かりに口頭注意事項でありましても、打ち合わせの際には非常に慎重を期して、もしどうしても将来に向かってそういうことを長く注意してやっていただかなければならぬという懸念があります場合には、文書をもって照会しておりますけれども、幸いに、NHKにつきましては、昨年度は文書による照会は一件もなかったということでございます。ひとつ御了承願います。
-
○
森本委員 いまの答弁でまことにけっこうでありまして、ひとつ会計検査院もそういう習慣をつけていただきたい。特に長い将来にわたってどうしても注意してもらわなければならぬというものならば、やはり文書によって出す。そうでないものは、その場限りの口頭注意事項によって済んでいく、こういうあり方が一番妥当なあり方だと考えるわけでありまして、ひとつ今後そのようにしていただきたい、こう思うわけであります。
それからこの三十八年度の
財産目録、貸借対
照表、
損益計算書に関する説明書の中の一七ページのいわゆる資産でありますが、この評価額の基本は何を基本にして評価をしておるわけですか。
-
○
志賀参考人 お答えいたします。
取得価格、購入いたしました価格をもとにいたしまして計上いたしております。
-
○
森本委員 取得価格をもとにして、そうして減価償却をしていって、それが価格になっておる、こういうことですか。
-
-
○
森本委員 そうすると、これは時価に換算をしておるというわけではないのですね。
-
○
志賀参考人
昭和二十五年以来、当時の固定資産の再評価の法律に準拠いたしまして、両度にわたりまして再評価をいたしましたが、その後は時価に換算をいたしておりませんので、その年度の取得価格で計上いたしております。
-
○
森本委員 これは私のほうとしてもいろいろ意見がありますが、きょうはもう時間があまりありませんので、最後に会計検査院に聞いておきたいと思います。
それはこの前の当
委員会におきましても問題になっておりますし、当
委員会の附帯決議においても、政府並びにNHK当局は、この措置に全力をそそぐべきであるというふうな意味の附帯決議をつけたことがあります。それは例の竜土町の土地の問題でありますが、これは三十八年のときには関係なかったわけですか、私もはっきりした記憶はありませんが、星条旗紙の建物のあるところの例の竜士町の土地です。
-
○宇ノ沢会計検査院説明員 三十八年度ではございませんで、三十九年度の決算に関係いたしますので、その際御質問があればお答えすることになろうかと思いますが、これについては、今後検査を進めていきたいと思っております。
-
○
森本委員 わかりました。これは三十九年度の決算に出てくるということでありますので、ひとつ会計検査院に対して言っておきたいと思いますが、これは実はNHKも郵政省も非常に困っておる問題であって、この際、会計検査院あたりが、一つの見解というか、見識を出したほうが、今後政府部内における問題としても非常に扱いやすくなりはしないかという気がするわけでありまして、この問題について、三十九年度の決算のときには会計検査院としても、竜土町の土地の問題については、一つの会計検査院らしき結論というか、答案というか、そういうものを大いに期待をしておきたい、こう私は思うわけでありますが、その点について会計検査院からもう一回聞いておきたい。
-
○宇ノ沢会計検査院説明員 ちょっと先生の問題点の内容がわかりかねるので、もし何でしたら、私たち検査をやっていきます上に、どういう点にただいま先生御疑問を持っておられるのか、その点ひとつ明らかにしていただければ非常に幸いだと思います。
-
○
森本委員 これは当
委員会の速記録を全部読んでもらったらわかるわけでありますが、不正とか疑惑とかいう問題ではありません。現実に不正があったとか疑惑があったとかいう問題ではなしに、要するにあれは時価七億円ぐらいの土地だったと思いますが、その上にアメリカの星条旗紙の建物が立っておるわけであります。それが結局アメリカ軍に使用せられており、時価にいたしますと土地建物合わせて約七億から八億ぐらいになると思います。それを現在NHKが全然使用できない立場になっておるわけであります。
そこで、問題は、NHKとしては、いまの放送センターの場所がほしいためにその土地と交換をしたわけであります。そこで、本来ならば、政府がアメリカ側に貸さなければならぬ建物であります。ところが、いまの放送センターの土地がほしいために、そういう悪条件をも顧みずNHKは交換をしたわけであります。そのことを一札入れておるかどうか知りませんが、大蔵省側としては、NHKがそういうようにあくまでもほしいと言ったからわれわれのほうはかえてやったのだ。いまさらその借料を政府に払えと言ったところで、政府のほうとしては払う必要がない、こういうことになっておるわけであります。
そこで、NHK自体としても、これの処置には非常に困っておる。本来ならば政府がこの借料というものを払うべきである。そうして入ってきた借料がNHKの収人として入ってくるならば、それが一番違いのないやり方である、こういうことでありますけれども、そこは政治問題で、なかなか片がつかない。そこでそういう政治問題は抜きにして、会計検査院は会計検査院らしく、これに対する一つの結論をつけるべきではないか、こういうことであります。
なお、詳しいことは、NHK当局に聞いてもらっても、郵政省当局に聞いてもらっても、だれでもよく知っておる問題でありますので、要するにこういう問題についてこそ、私は会計検査院が何ものにも拘束されずに、一つのはっきりした見識と見解を示すのにはいい場所ではないか、こう考えておるわけであります。どうせ一度、私も院長にも会って、会計検査院長としての態度もいずれは聞きたいと思っておるわけであります。そういうような重大な問題でありまして、私はこれが疑惑があるとか不正があるとかいうことではなしに、そういう一つの政治的な問題であげもおろしもならぬようになっておる。これに対して、事務的に会計検査院が結論を出すほうが最も妥当ではないか、こういう気がしておるから、そのことを言ったわけであります。これは三十九年度の決算を会計検査員がやられる際に特に要望しておきたい。このことは、ぜひ院長にも私からこういう話があったということをお伝え願いたい、こういうことであります。
-
○宇ノ沢会計検査院説明員 ただいまの点、帰りまして院長にもお伝えすることにいたします。
-
-
○
栗山委員 明日で本国会の会期も終わろうという段階を迎えまして、きょうの一時までにNHKの
財産目録、貸借対
照表、
損益計算書に対しまする放送法第四十条第三項に基づきまして御提出のありました問題についても審議を終わる、こういう
理事会の申し合わせによりまして、私はその範囲内において六点にわたりまして質疑をいたしたいと考えておるものであります。
もとより短い時間で六点について要を尽くすことは困難でありますが、要を尽くす努力をいたしまして、簡潔に御質問を申し上げたいと思うのであります。したがいまして、御答弁も簡潔に要を尽くした御答弁をいただきたい。もし政治的な配慮によりまして、だらだら御答弁に時間をかさねばならぬようなことに相なりますと、それは私の責めではございません。皆さんの責任そこにある、こういう立場において簡潔に要を尽くす御答弁をいただきますよう、まずお願いを申し上げておきたいと思います。
質問の第一点は、申し上げるまでもなく、NHKの事業のほとんどすべてが、国民から徴収いたします財源が骨格になっておることは私も承知いたしております。ただ、放送債券等というような借り入れ金の問題もありますが、これが経営のあり方というものについては、国民から徴収する聴視料を基盤として行なわれておることは言うまでもないことでありますが、三十八年度の決算で、乙の、いわゆるラジオの受信料はどの程度の金額になっておるか、その数字をお示しいただきたい、これが一点であります。
-
○
志賀参考人 お答え申し上げます。
三十八年度の乙の受信料収入は十九億五千六百万でございました。
-
○
栗山委員 第二点の質問を申し上げます。
過般決定いたしました四十年度の予算において、乙受信料は十億円に少し切れる金額であったかと思うのであります。乙の受信料の問題につきましては、久しきにわたりまして、国民の世論もございますし、また放送協会側におきましても、この問題を検討いたしまして、そうして全廃する方向で検討するという意見が出されたことも、過去の歴史上の問題であろうと思うのでありますが、わずか十億円足らずの予算内容でございますので、従来の検討がどのようになされ、また私は、この問題については、乙受信料はこれを廃止するという勇断を持って臨むということが、方向づけとしては望ましいのじゃないか、こういう考え方を持っておりますが、率直にひとつお答えをいただきたいと考えます。
-
○小野参考人 この問題は久しきにわたる懸案になっておりますが、乙の受信料といたしましては、将来に漸減の傾向をたどることが見通されます。ただ、現段階におきましては、NHKといたしましては、これを全免すべきでないという見解を持しております。
これには二つの理由がございますが、まず第一点は、現行放送法制下におきましては、乙のみについて料金を徴さないということは、法律上疑義がある、これは法制局の見解でございます。いま一点は、受信料体系といたしまして、乙を免除することは当然に甲に波及するであろう、こういうことが懸念されます。甲の三百三十円に影響いたしましては、NHKの現在持っております計画遂行に非常な支障を来たしますので、この点は慎重に検討をいたさなければならない問題と考えて、現段階においては全廃すべきでない、こういう見解に立っております。
-
○
栗山委員 これも私意見を持っておるのでありますが、方向としては漸減方向をたどらざるを得ないという方向を持っておりますことは、これは否定できない、こういうことでございましょう。その形において、なお頑迷にこの問題を堅持するというお考えでありますから、私の御質問申し上げております意見と相当大幅な開きがあるのでありますが、これは長い懸案でございますから、ひとつ十分に検討よろしきを得るように御期待申し上げまして、この問題を終わってまいりたい、かように考えております。
それから第三点の問題につきましては、いわゆるNHKの受信料の免除基準に基づきます免除額というものについて示されてないのでありますが、この金額をお示しを願いたい。
-
○
志賀参考人 受信料免除によりますところの免除額は十一億四千万円でございます。
-
○
栗山委員 第四点の問題でありますが、これもこの
委員会で論議をされておる問題でありますが、特に基地周辺の騒音によります難視聴と申しますか、これの免除につきまして、現在の規定で二キロと一キロというような距離制限等の問題等がなされておる、こういうように承知をいたしておるわけなんですが、どうもこの程度では問題の合理性を欠くのでないか。こういう観点から、もう少し実情に合った免除基準に改めるという方向を持つべきじゃないか。こういう意見を率直に持っておるわけでありますが、端的にお答えを願いたい。
-
○小野参考人 御説ごもっともなふしもございますが、これも非常に長い懸案でございます。NHKといたしましては、電波にきずのあるものは発射いたしておりません。完全電波を出しておるわけでございます。それが他の事情によりまして、また、しかもそれが技術的な改善によって排除し得ないような状況において障害を起こしておりますことは事実でございます。そういった面につきまして、NHK限りでなく、郵政省並びに防衛庁、さらに地元の方も参加をいただきまして調査をいたしました結果に基づきまして、現在の一キロ、二キロの基準をもちまして減額をいたしておるわけでございますけれども、本来この問題は、NHKの責任に属する問題ではないと思うのであります。したがって、そういう面につきましては、政府におかれましても、はっきりした御方針のもとに、これをあるいはNHKが措置するかどうか問題があるべきだと思いますが、現在のところは、まだこの問題は閣議等によって決定されたものでもございませんし、ただ関係官庁の事務当局がいろいろ検討されまして、NHKの言い分であります、NHKに責任がないということは十分わかっていただきながら、何とか措置せざるを得ないということで、できる限りのことをお願いしたいということを、NHKは自主的に現在措置しておる段階でございます。
-
○
栗山委員 私、その見解を全面的に御支持をいたしたいと思います。
そこで、
徳安郵政大臣に伺うのでありますが、あなたのほうで、こういう特殊な状態が生まれた場合における、そういう地域における問題をどう郵政行政として方向づけるか。騒音とか、あるいは私の口から申し上げますといわゆる公害的条件ということになってまいると思うのでありますが、こういう問題は、あなたのほうとしての政治の方向として打ち立てるべき問題だ、私こういうきめつけるような考え方に立っておるかと思いますけれども、ひとつあなたの御見解と、これをどう方向づけることが望ましいものであるかということを、ひとつ大臣から御答弁を簡潔に願いたいと思います。
-
○
徳安国務大臣 この問題は、ひとり郵政省だけの問題でありません。政府全体のいろいろなところに関係する問題でありますから、事あるごとに、関係各省と連絡をとりながら話し合いをし、またNHKにもいろいろな話し合いをしながら、免除等の点も考慮させておるわけでありますが、しかし、いずれにいたしましても、これは一回、二回で片づく問題じゃありませんので、また各所にその問題もございますから、根本的に解決する必要がある、そう考えておりますので、これはいずれ適当なときに、皆さんが納得いかれる線で解決されるべきもので、これは私ども積極的に働きたいと思っております。
-
○
栗山委員 徳安さんの舌足らずということで御意見申し上げるということは、礼を失すると思うのでありますけれども、これは一に郵政省の問題ではない。国の政治の方向としてこれをどう扱うか、これは当然なことであります。しかしこの所管はやはり郵政行政のあり方でございまして、その中から国の政治方向としてどう取り扱うか、こういう論点でなければ筋が変わってまいりますから、あなたのほうが、これを国の政治の方向としてどう進めてまいるかということの推進をされるということが、当然郵政行政をあずかっておられる
徳安大臣の責任なりという立場において御答弁を願わなければ、ちょっとあなたの答弁はすりかえであって、国の責任でございまして、私としてはこれに大いに努力をいたしてまいります、こういうことでは、ちょっと大臣の御答弁としては――人格は認めますけれども、私は政治的な立場においては了承しにくいということであります。重ねて……。
-
○
徳安国務大臣 いままでのやり方、いままでの段階の程度におきましては、もちろん私どもだけで話し合いもし、またNHKとも相談してきめることもできると思いますが、いま懸案になっております問題等は、むしろ私どもだけでは解決のつかぬ問題が包蔵されると思います。でありますから、発展的にもっと大きな高い視野から解決しなければならぬような問題があると思うのです。そうしなければ解決がつかぬと思います。ですから、政府全体の立場におきまして、基地周辺の大きな問題として、一貫性のある問題として取り扱って解決すべきだということで、しばしば基地問題に対する
委員会等でも論議されておりまして、私のほうでもしばしは意見を聞いたり、また申し上げておるわけでございますが、これは先ほども申し上げましたように、私どもだけでにわかにこうだといって割り切ることのできないようないろいろな問題もございますので、今後各役所、あるいは防衛庁もございましょうし、あるいはそのほか自治省の関係もございましょうし、基地周辺の一貫した大きな問題として解決するように努力するということで御了承いただきたいと思います。
-
○
栗山委員 けっこうでございます。ただ、所管行政の立場における積極的な方向づけを閣内内部においてしなくてはならぬということを、私はさらに内閣改造において、
徳安大臣のようなりっぱな方が再任されることを望んでおりますけれども、もしそうでない場合においては、やはり十分これを引き継いで対処されるという方向づけをお願い申し上げたい、かように考えております。
第四点の問題でありますが、これはちょっと仮定の問題になると思うのでありますけれども、いま申し上げております基地周辺における現在のラジオ受信料の免除地区、この地区におけるテレビ受信料をかりに免除したと仮定した場合には、どの程度の金額、――これは仮定でありますからおおよその金額でありますが、これをNHKのほうから御回答願います。
-
○
志賀参考人 基地周辺のテレビにつきましては、現在半額免除をいたしております。現在金額にいたしまして一億八千万円程度になっておりますので、全額免除をいたしますとすれば、この倍額の減収になるものと思われます。
-
○
栗山委員 そういたしますと、かりにラジオ、テレビをひっくるめて考えた場合において、一億八千万円でありますから、これに二をかけたらいいわけですが、三億六千万円、こういうふうに推定をしたらいい、こういう御答弁でございますね。
-
○
志賀参考人 現状におきましては、そのような数字が出ておりますが、受信者もどんどんふえておりますので増加するとは思いますが、現状はそのとおりでございます。
-
○
栗山委員 お説のような金額でございましたら、財政規模から申し上げましてほんのちょっぴりした金額だ、こういうことになろうかと思うのですが、どうですか。これについて一ぺん大胆に実施するという勇断が当局者にございますか。その御意見を承り、なおまた、郵政大臣は長く話を引っぱられますから、電波
局長、ひとつどのように考えておられるのか、両方から伺いたいのです。
-
○小野参考人 NHKのほうからお答え申し上げますが、ただいまのところ、この問題を金額的にその限りにおいて見れば、そう大きな金額ではございません。ただ、この問題は非常に波及する面を持っておりまして、全免の区域があればその隣接したところは半免にしろ、そういういろんな要望が出ております。そういう面でまことに悩みの多い問題でございます。そのために、現在よりも一歩進みまして、現在の半免の地域を全免にする、こういうことは私ども現在考え得ないわけでございます。
-
○宮川政府
委員 基地川辺の騒音のテレビ、ラジオに対します妨害は、現在のところにおきましては、視覚に訴えるものでなく聴覚に訴えるものであるというように結論が相なっておりますので、したがいまして、ラジオは全免、テレビにおきましては半額という形で、この国会におきましてもいろいろ御審議の結果、そういうような考えのもとにNHKの予算を組むことに御承認いただいたかと思っておりますので、現在直ちに全額免除ということは考えておらない次第でございます。
-
○
栗山委員 両方の御意見を承りまして、私も若干これに討論を申し上げるといいますか、意見があるわけであります。それなりの御答弁をいただいたのでありますが、半額という理解をどのようにとらえて半額という基準を設けられたか、ここにもう一つの問題点もひそんでおる。それから、あなたのように、この波及するところ大だというとらえ方も、私は客観的に理解できるのでありますが、しかし、こういう公共機関として、そういうような消極的あるいはひとつの八方美人的な方向じゃなくて、やはり公共的本来の立場からいうて、是は是とし、非は非とするという勇断と内容を持たなければならぬ。これが公共企業における本来的使命の性格じゃなかろうか。これは討論いたしますと切りがございませんから、そういうこともひとつ御検討の中に入れまして、いい結論をお出しを願いますことを要望申し上げておきます。
それから、これは郵政大臣に六点の最後の問題でございまして、これで少し時間を借りてと思ったのでございますが、ちょうど時間になってまいるというようなことで要を尽くせないのでございますが、昨年の四十六国会におきまして、NHKの決算の審議の中で、私のほうの受田議員が、当時の古池郵政大臣に質問をいたしまして、私ここに会議録を持っておるのでございますが、その要旨は、放送法四十条三項に基づいて、内閣は会計検査院の検査を経て国会にこれを提出しなくちゃならぬ。こういう法の命ずるところによりまして出しておる、これを中心にして性格論争と、それから、これは意味するものは礼儀的なものか、あるいは出しっぱなしで、そうして文句があろうがなかろうが、これは法にきめられておるから出しておるんだ、こういうものなのかどうか、こういうことについて、いわゆる性格論争と申しますか、あるいは法解釈を正しくどう取り上げて運んでまいるべきか、こういう議論を展開いたしたと承知をいたしておるのであります。その当時、結論から申し上げますと、いろいろやりとりされたのでありますけれども、最後に古池郵政大臣はこのように言われております。「ただいまの御意見も私まことにごもっともなことだと存じます。ただ、現在の法律の明文によりますと、それ以上のことは何ら規定されておりません。そこで、御承知のように近く放送法の大
改正も予想されておるわけでございまするから、今後の放送法
改正の際にはさような点も十分に検討をいたしまして、いわゆる俗に申すしり抜けにならないようにしていく必要はある、かように私は考えます。」こういう御答弁をされておるのであります。四十八国会に電波法、放送法の答申に基づきます大きな問題をここに提示をされるということで、私ども待望久しかったのでありますけれども、ついに
徳安大臣は、諸般の情勢からということでウナギのようにお逃げになった、こういうふうな一幕があったのでありますが、大体この放送法四十条三項に基づきますこの種の取り扱いの意味、性格は、
徳安郵政大臣としてはどのように御理解を願っておるか、これもきわめて簡単にひとつ御答弁を願いたいと思います。
-
○
徳安国務大臣 ただいまの御意見、私も速記を拝見いたしました。また質疑等につきましても、承知をいたしておりますが、先ほどお話がございましたように、放送法の
改正に伴いまして、こういう問題も課題として取り上げておりますから、いずれ法が出ますときには、こういう問題を明解に解消して御答弁申し上げ、あるいはまた、成文化するものがあれば成文化すると思います。
-
○
栗山委員 これで終わりたいのでありますが、これは放送法の
改正自体において検討するということでなくて、臨時国会で出てまいるか、あるいはこの次の通常国会に出てまいるかをまだ予測されない状態のもとにおいて、これをどう理解するかということも大前提にならなければならない。こういうことも含めまして、懇切なあなたの御意見、御答弁があるものと期待をいたしておったのでありますが、何かございましたら、そのことについてもう一言あれば、なかるべからずということで、御答弁願いたい。
-
○
徳安国務大臣 法律の解釈につきましての議論がいろいろあるようでございますが、私は法律家じゃないものでございますから、そこで定義的なはっきりした法律上の問題をここで翻り切れと言われましても、まことに困るわけであります。しかし、たとえ公社の性格等に多少異なるところがございましょうとも、現在国の決算等の立場から考えましても、憲法が定めておりまするものから考えまして、公社などの決算についてそれぞれの法律が定まっておるのでありますから、ただNHKの決算のみについて、何か特別に考慮するということは、私どもの立場からでは困難ではないかと考えておりますが、御意見がございますから、放送法
改正のときに、これらをひとつ一緒に研究したい、こう考えておるわけでございます。
-
-
-
○
内藤委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
日本放送協会昭和三十八年度
財産目録、貸借対
照表及び
損益計算書について採決いたします。
本件について異議なきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
-
○
内藤委員長 起立総員。よって、本件は異議なきものと決しました。
なお、本件に関する
委員会報告書の作成等につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
内藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
-
-
○前田参考人
日本放送協会昭和三十八年度
財産目録、貸借対
照表及び
損益計算書を含む三十八年度決算の全体につきまして、御親切な御審議をいただき、また全員一致でお認めいただきましたことについて、深く感謝を申し上げます。
御審議中の幾多の御意見につきましては、私どももこれをあくまで尊重し、今後の協会運営に取り入れてまいりたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。(拍手)
――――◇―――――
-
○
内藤委員長 これより
請願の審査に入ります。
今国会におきまして、当
委員会に付託されました
請願は全部で百七十七件であります。
これより日程第一より第一七七までの
請願を一括して議題といたします。
まず、審査の方法についておはかりいたします。
各
請願の内容につきましては、文書表等によりすでに御承知のことでありますし、さらに、先刻の
理事会におきまして、慎重に御検討を願いましたので、この際、
紹介議員よりの説明聴取等はこれを省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
内藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
それでは採決いたします。
請願日程中第五ないし第八、第一二、第一三一、第一三二、及び第一六六ないし第一七七の各
請願は、その趣行妥当なものとし、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
内藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
次に、日程第一及び第二の両
請願につきましては、すでにその趣旨が達成されておりますので、議決を要しないものと決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
内藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
なお、ただいま議決いたしました各
請願に関する
委員会報告書の作成につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
-
○
内藤委員長 なお、御参考のために御報告申し上げます。
本
委員会に参考送付されました
陳情書は、お手元に配付いたしましたとおり、全部で六件でございます。
――――◇―――――
-
○
内藤委員長 次に、閉会中審査に関する件についておはかりいたします。
すなわち、いずれも本院議員提出にかかる
郵便局舎等整備促進法案
公衆電気通信法の一部を
改正する法律案
日本電信電話公社法の一部を
改正する法律案
並びに
逓信行政に関する件
郵政事業に関する件
郵政監察に関する件
電気通信に関する件
電波監理及び放送に関する件
以上の各件につき、
議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
内藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
なお、閉会中審査案件が付託された場合に、その審査または調査のため
委員派遣を行なう必要が生じた際の手続等につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
内藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時七分散会