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1965-04-22 第48回国会 衆議院 逓信委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十二日(木曜日)    午前十時十九分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 加藤常太郎君 理事 上林山榮吉君    理事 佐藤洋之助君 理事 志賀健次郎君    理事 安宅 常彦君 理事 森本  靖君       小渕 恵三君    金丸  信君       佐藤 孝行君    椎熊 三郎君       中村 寅太君    中山 榮一君       羽田武嗣郎君    本名  武君       南  好雄君    大柴 滋夫君       片島  港君    畑   和君       栗山 礼行君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 徳安 實藏君  出席政府委員         郵政政務次官  服部 安司君         郵政事務官         (大臣官房長) 淺野 賢澄君         郵政事務官         (電波監理局         長)      宮川 岸雄君  委員外出席者         郵政事務官         (電波監理局法         規課長)    高田 希一君         郵政技官         (電波監理局無         線通信部長)  藤木  栄君         日本電信電話公         社総裁     米沢  滋君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君     ————————————— 四月十五日  委員大柴滋夫辞任につき、その補欠として松 平忠久君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松平忠久辞任につき、その補欠として大  柴滋夫君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員綾部健太郎辞任につき、その補欠として  羽田武嗣郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第一  二一号)      ————◇—————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ち、日本電信電話公社総裁及び副総裁より発言を求められておりますので、これを許します。総裁
  3. 米沢滋

    米沢説明員 私、米沢でございます。昨日内閣より日本電信電話公社総裁に任命されました。もとより浅学非才、きわめて未熟でございます。また、公社といたしましていろいろ多くの問題をかかえておりますが、決意を新たにいたしまして、重責に、こたえたいと思います。何とぞ倍旧の御指導と御援助をお願いいたしたいと思います。  これをもってごあいさつといたします。(拍手
  4. 内藤隆

  5. 秋草篤二

    秋草説明員 秋草でございます。昨日、大臣から日本電信電話公社総裁の辞令を拝受いたしました。まことに身に余る光栄であり、感激のきわみでございますが、省みまして、責任のまことに大きいことを痛感しておる次第であります。御案内のように、まことに若輩、浅学微力な者でございますが、全力をあげて総裁を補佐し、また、委員長をはじめ、先生方皆さまの御指導、御鞭撻、御叱正のもとに、責任を全うしていきたいと思っております。  ごあいさつ申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  6. 内藤隆

    内藤委員長 これより電波法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。森本靖君。
  7. 森本靖

    森本委員 それでは、今度の電波法改正について質問をいたしたいと思いますが、今回の電波法改正は、ほとんど技術的な問題のみに集中をされておりますので、大臣からの答弁よりも、これはほとんど事務的な答弁が多いと思いますので、そのつもりでひとつ答弁を願いたいと思います。  この間、電波天文業務という問題について、参考人にいろいろお聞きしたわけでありますけれども、今回のこの改正によりまして、電波天文業務保護するために、今回の法律改正で第五十六条によって「無線局は、他の無線局」、ここから先が改正でありますが、「又は電波天文業務」云々と、こうなっておるわけでありますが、この場合、この電波天文業務に対して、いわゆる混信その他の妨害を与えるというふうなものについては、どういうものがあるわけですか。
  8. 宮川岸雄

    宮川政府委員 電波天文業務が非常に受信電波が弱いものでございますから、ほかから妨害を受けやすいものでございますが、ただいま御質問の、どういうものから受けるかということにつきましては、電波天文業務周波数帯を共用しているような業務、これは現在の規則等によりましてまだそういう周波数帯が相当ございます。それから隣接周波数等におきましても、受信機の性能その他によりまして、ある程度の混信を受けるというふうに考えております。
  9. 森本靖

    森本委員 具体的にちょっと説明願いたいと思うのです。たとえばどこかの、天文台——この間東京天文台台長ですか、ここに来られておったが、あそこで学術的にやっておられるということを言っておったわけですが、その場合に、その付近のどういうものが混信状態、あるいは妨害になるか、そういう点について、抽象的な問題でなしに、具体的にひとつ例をあげて御説明願いたい、こう思うわけです。
  10. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  先日、天文台長からお答えがありました点は、三鷹地帯につきましては、主としていわゆる人工雑音妨害するということのお答えでございました。しかし、実際、混信ということになりますと、現在の三鷹付近では、いわゆるほかの無線局からの混信というのはそうないと思います。しかし、具体的に混信があるとすれば、電波天文業務と同じような周波数を使っております、たとえば放送の中継であるとか、あるいはマイクロの固定回線といったものが対象になるかと思います。
  11. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、この第五十六条の改正の三項、これはどういうものを郵政省令で公示することになるわけですか。
  12. 宮川岸雄

    宮川政府委員 ただいまの御質問は、指定に関する問題等の御質問かと思いまするが、受信設備保護いたさなければならないわけでございますので、この設備設置場所、それからそれ自体が持っております雑音、あるいは感度、あるいは選択度、あるいは空中線型式というようなものにつきましては、やはり厳重な基準を設けまして、たとえば内部の雑音が非常に高いのにそれを保護するということになりますと、これは保護ということは非常にむずかしくなりますし、また感度等におきましても、特にこれに非常に弱い電波を受けるための高感度のものを持っていなければ、保護を与えるべき基準には合格しないというふうにしていかなければならないかと思います。それから選択度等におきましても、これが非常に広範囲な、つまり選択特性があまりよくないようなものを持っておりますと、保護する場合におきましても、非常に不必要な保護というようなことにもなりますので、そういうような点につきまして、指定をしまして、基準をつくって、そして保護していきたい、こういうふうに考えております。
  13. 森本靖

    森本委員 これは非常に技術的な問題でありますので、最初に私が言っておるように、抽象的な答弁でなしに、実例を示しながらひとつ答弁を願いたい、こう思をわけであります。  そこで、本法が施行された場合、直ちに指定を受けるという受信設備というものは、これは大体どういうところにあるわけですか。
  14. 宮川岸雄

    宮川政府委員 電波天文業務は現在——この前御質問によりましてお答えいたしておりますが、それらのうちから、全部がこれを指定がされるというわけではございませんで、たとえば三鷹東京大学天文台、あるいは国立博物館というようなところのものは、周辺がもうすでに都市雑音が相当高いところでございますし、そういうようなところを保護いたしますと、先ほど申しました基準というようなものになかなか合致してこなくなるかと思いますので、一応京都大学新潟大学、平磯の電波観測所、名古屋大学というようなものの設備というものが一応保護する基準に合致するかと思います。  これらのものにつきましては、それぞれの設置場所が非常にへんぴといいますか、電波的にへんぴなところにございまして、これらのものにつきましては、それを指定いたしまして守ることによりまして、ほかの無線設備というようなものとの均衡上、それほど大きな影響もないし、また電波天文業務としても守ってやらなければならない、こういうふうに考えまして、その四ヵ所ぐらいを考えております。
  15. 森本靖

    森本委員 そうすると、三鷹天文台とか、あるいは国立博物館というふうなところのいわゆる電波天文業務についての保護のしようはないというわけですか。
  16. 宮川岸雄

    宮川政府委員 これは行政的には、たとえば今後その周辺に出てまいりますところの無線局に対しまして、やはりそういう業務があるならば、ある程度のことを考えまして、非常に妨害を及ぼしそうな無線局をそのそばに置くというような場合におきまして、いろいろわれわれが行政指導によって保護するということはできるかと思いますが、その指定基準に合致しておりませんと、この法律に基づくところの保護はできないことになる、そういうような次第でございます。
  17. 森本靖

    森本委員 この法律による保護は、やはり「無線局は、他の無線局又は電波天文業務の用に供する受信設備その他の郵政省令で定める受信設備郵政大臣指定するものにその運用を阻害するような混信その他の妨害を与えないように運用しなければならない。」こういうようになっておるわけですから、たとえば三鷹天文台においても、国立博物館のものにおいても、その付近にそういう無線局があるとするならば、それはどっちかを除去するなり、あるいは混信がないようにということを、この条文ではうたっておるわけじゃないのですか。
  18. 宮川岸雄

    宮川政府委員 先ほど申しましたような諸条件を一定の指定基準といたしまして、その指定基準に合致しているものだけを保護するという形になりますので、それからはずれているものは保護できないという形になるわけでございます。
  19. 森本靖

    森本委員 それではもう一ぺんその指定というのを言ってくれませんか。
  20. 宮川岸雄

    宮川政府委員 私のほうで一応考えております指定基準というようなものは、大体その受信業務自体が非常に公共福祉のため必要不可欠なものである、電波天文業務というものをほんとうにそこでやっているということがまず必要でございますが、その受信設備設置場所というものが、そこを保護することによりまして、その周辺におきますところの一般無線の利用というものに対しまして、非常に大きな制限を与えるというようなことになりますと、やはりその点につきましては、公共福祉ということを考えて、その設置場所に対する基準をつくっていかなければならないと考えております。つまり周辺におきまして非常に無線設備がたくさん使われていかなければならないというような、町のまん中等におきまして、電波天文業務をやるのだという場合に、それがどうしてもその場所でなければならないという理由があれば別でございますけれども、それがほかの土地に移してやれるというような場合におきましては、やはり両方考えましてその設置場所というものをきめていかなければならないと思いますし、また、その周波数が、当然電波天文業務というもの、あるいはそのほか宇宙業務であるとか、通信衛星受信設備であるとか、そういうような周波数を確実にそこで受信するものであるということも当然な条件になってまいりますし、それから感度が非常にいいという受信機でなければ保護しない、あるいは選択度等におきましても、この電波天文業務電波だけを確実に選択することのできるような受信設備を持っているということをまず基準としてきめておいて、それだけを保護するということにいたさなければならないと思いますし、また空中線型式その他におきましても、やはり保護してもらうからには、当然空中線型式その他も指向性あるいはマッチングというようなものに最大限に努力しているということを前提の上におきまして、それを保護している、こういうふうに考えておりますし、場合によりますと、そのアンテナ角度というようなものにつきましても、全然アンテナ角度を横に向けてしまったというような場合においても、なおかつ保護するかどうかということにつきましても、やはり電波天文として必要な角度アンテナが向いているという場合にそれを保護するというようなこと、それなどを一応の基準として先生の御質問お答えできるかと思います。
  21. 森本靖

    森本委員 わかりまし。そういたしますと、この保護規定というのは、あまり保護をする必要がないところを保護するのであって、実際には保護しなければならぬところは何ともならぬ、こういうことになるんじゃないですか。たとえば町のまん中天文台においてやっておる、それを実際には保護しなければならぬ。ところが、それを実際に保護するということになった場合には、その他の放送局あるいは固定局、そういうものについての制限を加えなければならぬ。しかしそういうところは実際はできない。だから、たとえば新潟とかあるいは京都とか言いましたが、そういうところの電波天文業務というのは、おそらくそういう隣接無線局にあまり関係がない山の中とかなんとかにあろうと思います。そういうところは、そう保護しなくとも実際にはやれるのではないか。実際は保護しなければならぬところは、しかし現実には保護はできないということになるんじゃないですか。
  22. 宮川岸雄

    宮川政府委員 先生の御質問の御趣旨もよくわかるわけでございまして、われわれといたしましても、この電波天文業務保護するという場合におきまして、そのためにいま先生の御質問になったようなことが起こるということにつきまして、いろいろ考えたのでございますが、先ほど申しましたように、一般無線ということも当然考えた上で、それとの公共福祉上の判断というものは、やはりある程度必要かと思っております。ただ、へんぴなところにあるから、絶対にこれはほっておいてもいいというわけではございませんで、やはり共用周波数というものが遠くのほうから飛び込んでくるという場合におきまして、それを守ってやらなければなりませんし、また、先ほど申しましたように、当然無線局根本基準によりまして、われわれ今後新しい無線局をその周辺に置きますときにおきましても、こういう法律精神に沿ったような考え方において新しい無線局設置ということを考えていく。いま申しましたようないろいろなことを考えながら、電波天文業務が、どうしてもその場所でもって、ほかに動かせないで、しかもそこでもって守らなければならないという場合におきましては、この法律精神によって、先生の御指摘のような場合につきましても守っていくようにしたいと思っております。
  23. 森本靖

    森本委員 まあ、これはないよりあったほうがましだということは、五十六条が今回改正があったほうがましだということはよくわかりますけれども、しかしこの五十六条によって完全に電波天文業務というものが保護されるということではないということが、今の答弁で大体わかるわけであります。ただ、現在全然妨害がないというところの電波天文業務、そういうところに新しく隣接して固定局とかあるいは無線局ができるという場合には、この法律条項が適用されるという概念が大体わかってきたわけでありますけれども、実際はこの間来られた天文台長の方も言っておられましたように、相当あそこでも人工雑音が多い。だからああいうところこそ保護するなり、あるいはまた、三鷹天文台というものが必要であるとするならば、もっと雑音のないところに国費でもって移転をするなら移転をする、こういうことを考えていかないと、電波天文業務の実際の保護にはならないと考えるわけであって、そういう点は、これは電波監理局長仕事でなくして、そこから先は国務大臣である郵政大臣仕事になるわけですが、いまの質疑応答を聞いておって、大臣、私、この間も言ったように、こういう点については、文部省あるいは郵政省というものがよく協議して、もっと実際に——電波天文業務というものを電波法によって保護するという立法精神であるならば、そしてどうしてもそういうところはしかたがないというところには、移転をするなり何なりしていかなければ、実際の電波天文業務保護にはならぬ、こういうことになるわけであって、この間大臣も、そういう点については十分善処しますという回答があっておりますが、この問題については、本格的に検討して、日本の科学技術進歩発達のためでありますから、そういう点については、ひとつ大臣は、今後政治的な手腕を発揮していただきたい、こう思うわけでございますが、重ねてこの点についての大臣答弁を求めておきたいと思います。
  24. 徳安實藏

    徳安国務大臣 先般お答えいたしました趣旨は、今日も変わっておりません。御趣旨によりまして、できるだけ努力を払いたいと思います。  なお、先般お話しになりました、各関係役所話し合いをして、統一のある電波に対する研究等もしたらどうかというお話でございまするが、さっそく文部大臣とも話をいたしまして、近いうちに主管大臣、各関係大臣が寄りまして、そして話し合いをつけて、下のほうにおろそうという話し合いをいたしております。そうした面について、可能な面から着々話し合いをして、役所同士でも、なわ張り争いをいたしましたり、あるいはまた重複した研究をしないように、協力し合うような体制を早く確立いたしたいと思っております。
  25. 森本靖

    森本委員 それから、事務的な問題でありますが、この保護措置によって、固定局の開設とか町免許移動局運用地域というようなものについての制限は、当然出てくると思うのですが、これは当てはまりますか。
  26. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  実際に受信設備の届け出がございまして、それが条件に当てはまるということであれば、それをこちらで認めるわけでございますが、そうした暁におきまして、ほかの無線局が出てきた場合、それに妨害するということがあれば、それは当然許可いたさないという形になると思います。
  27. 森本靖

    森本委員 具体的に聞きたいと思いますが、本法がもし施行された場合に、直ちにそういう問題が起こってくるようなところはありますか。
  28. 宮川岸雄

    宮川政府委員 現在までに免許されておりますものにつきましては、経過規定等を置きまして、一応、直ちにそれを変えるというようなことなく、実際に起こりました混信その他の問題でも起こりましたならば、何とか解決できる手段があるかどうかをよく研究いたしまして、そういうような行政指導を行ないまして、なおかつ、どうしてもその無線局そばにあった場合においてはぐあいが悪いというようなことになりましたとき、それがもしこの基準に該当していて、当然これはその受信設備保護しなければならぬ、それはこういうようなためにこういうものが妨害しているんだという場合には、再免許のときに処置をいたします。
  29. 森本靖

    森本委員 もっと質問に具体的に回答を願いたい。それはいまあなたが言ったように、附則の二項に一つの経過期間があるわけです。経過期間があるけれども、実際にこの法律が施行された場合に、この保護規定に当てはまる設備があるかどうか。あなたがこういう法律改正案を出すならば、すでに新潟とか京都とかというところについては、どういう状態であって、その付近にどういう無線局があってどういうことであるかということは、すでに調査済みのはずなんです。本法が確かに当てはまるなら——この附則の二項には経過措置があるわけです。経過措置があるわけですけれども、現実の問題として、この電波法が施行された場合に、この保護措置に当てはまり、規制をせられるような受信設備というものが現にあるのかどうかということを聞いておるわけです。
  30. 藤木栄

    藤木説明員 現在あります無線局制限するということは、直ちにはございません。ただ、今後同一周波数帯を使用いたします無線局、あるいは周波数帯に非常に近いところで運用される無線局が申請された場合は、具体的に検討いたしまして、たとえば電力を制限するとか、あるいは、その場所は不適当だから、それをほかに移せという勧告をするとか、そういう場合はあると思います。
  31. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、重ねて聞いておきますが、現在、いま直ちにはこの保護措置を行なわなければならぬ無線局はない、しかし、将来は出てくるかもわからぬ、そのときのためにこの保護規定というものを設けた、こういうことですか。
  32. 藤木栄

    藤木説明員 そのとおりでございます。
  33. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、次の条項に進んでまいりたいと思いますが、次は、六十四条のいわゆる沈黙時間の問題でありますが、これはどういうわけでこの第六十四条がこういう形に変わったわけですか。
  34. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  六十四条は、今回「安全通信を送信する場合は、この限りでない。」という条項があるわけでございますが、この安全通信というところにカッコを設けまして、「(通報部分を除く。)」というカッコをつけたわけでございます。これが変わったわけでございますが、第一沈黙時間の最後の二十秒間に安全通信をする場合はこの限りではないということになっているわけでございますが、この第一沈黙時間と申しますと、いわゆる安全通信のための五〇〇KCという周波数発射でございます。これは、御承知のように、遭難通信、あるいは緊急通信といったもののために五百KC電波発射をなるべくあけまして、そういった通信が十分にできるようにこういう沈黙時間ということを制限してきたわけでございますが、実際の国際無線通信規則というものにおきましても、沈黙時間の最後のところに呼び出し事項といった点も送信できるようになっておりますので、従来ありまする第一沈黙時間に、通報以外の部分、たとえば緊急信号であるとか、安全呼び出しあるいは準備信号といったものもやってもよろしい、しかもこれは非常に短時間でありますので、最後の二十秒間にそういったものを送信していいというふうに改正しようというわけでございまして、それによりまして実際の通信が合理的かつ能率的にできるという点がねらいであるわけでございます。
  35. 森本靖

    森本委員 この安全信号というのと安全通信というのはどういう違いがあるのですか。
  36. 高田希一

    高田説明員 お答えいたします。  安全信号と申しますのは、安全通信を行なう際に前置する信号でございまして、TTTというものでございます。安全通信と申しますのは、安全信号を前置いたしまして、安全通報を送りますものすべてを含めまして安全通信と申しております。
  37. 森本靖

    森本委員 もう一ぺん言ってくれませんか。
  38. 高田希一

    高田説明員 安全通信と申しますのは、法律五十二条に定義がございますが、船舶とか航空機の航行に対する重大な危険を予防するために行なうものでございます。その中で、前置するつまり安全通信の初めのほうに置かれます信号安全信号であります。それは電信の場合はTTTであります。電話の場合はセキュリテとか警報ということばを前置するわけでありまして、これが安全信号であります。  以上であります。
  39. 森本靖

    森本委員 そうしますと、五〇〇KC発射というと、呼び出し事項まで新しく認めることになっているわけでありますが、これはどういうことになるわけですか。
  40. 高田希一

    高田説明員 呼び出し安全通信の一部であります。
  41. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、その次の条項でありますが、航空局及び航空機局に対して、海岸局、あるいはまた船舶局の第一沈黙時間に関する規定を準用するということになっているわけでありますが、この理由はどういう理由ですか。
  42. 高田希一

    高田説明員 このたび、従来、第二沈黙時間に関する規定は、海岸局及び船舶局に第二沈黙時間に関する規定が設けられておりましたが、これが航空局航空機局つまり航空移動業務についても準用することといたそうとするわけでございますが、この第二沈黙時間と申しますのは、いわゆる国際避難周波数であります電話の二一八二KC、それから電信の二〇九一KC、こういうものの発射制限されている時間でありますが、航空局航空機局におきましても、二一八二キロサイクルといった海上移動業務用の遭難周波数をつけているものが、最近、ここ十年間にだんだんふえてまいりましたので、これについても準用いたしまして、遭難の場合に備える必要を認めたわけでございます。
  43. 森本靖

    森本委員 それから次の第七十四条の二の「非常の場合の通信体制の整備」という項が新しく出ておるわけでありますが、この非常の場合の通信のいわゆる実施体制というのは、現在はどうなっておるのですか。
  44. 宮川岸雄

    宮川政府委員 現在の場合におきましては、郵政大臣行政指導をいたしまして、非常無線通信協議会というものを結成しております。その結成しております協議会のメンバーといたしましては、無線局免許人、特に官公庁等でございますが、建設省、運輸省、警察庁、海上保安庁、気象庁、そのほか国鉄、電電、NHK、重力会社、それからさらにアマチュア無線関係も入っておりますが、それらの無線局免許人のほかに、非常災害におきますところの災害の対策機関、いわゆる都道府県であるとか、日本赤十字であるとか、中央防災会議の事務局であるとかいうようなもので、そういう協議会を結成いたしまして、ふだんから非常通信の体制を協議いたしております。こういう場合にはこう、こういう場合にはこうと、いわゆる運用計画の作成であるとか、できれば通信訓練というようなものまで実施しておりまして、それを実際のときにそのまま実行に移すというような形で現在運用をはかりつつやっております。
  45. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、現行の非常の場合の無線通信の第七十四条の一項を発動したことがいままでありますか。
  46. 宮川岸雄

    宮川政府委員 いままでは発動したことはございません。
  47. 森本靖

    森本委員 これは一回もありませんか。
  48. 宮川岸雄

    宮川政府委員 一回もございません。
  49. 森本靖

    森本委員 「地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他」——暴動はありませんが、地震、台風、洪水なんというのはいままで相当あったわけですが、そういう場合に発動したことはないわけですか。
  50. 宮川岸雄

    宮川政府委員 非常の場合には、免許自体が自主的な形でもって行なうことができるように、五十二条の四号に非常通信という規定がございまして、ただいま御説明いたしましたような計画がございますと、それに基づいて自主的にやっておりまして、また、郵政省のほうから命令をしなければならないような事態に立ち至ったことはないわけでございます。
  51. 森本靖

    森本委員 これは立ち至ったことはないことはないですよ。はっきり言うと、去年の二十号台風のときなんかも、通信が全く途絶してしまって、電電公社通信もだめだということで、一般のアマチュア無線が非常に協力をして、そして通信体制ができ上がったという経験があるわけであって、そういう場合に、郵政大臣がある一定の地域に対して、この第七十四条というものを発動すれば、総合的に通信ができたということを私は考えておるわけです。たとえば新潟の震災のときにしても、やはりこういう条項がある以上は、発動してもいいのではないか、私はこう思うのですが、これは大臣どうですか。
  52. 徳安實藏

    徳安国務大臣 お説のとおりです。ただ、従来の考え方が、なるべくそれを発動しなくて、先ほど局長が申しましたように、自主的に協力するという体制が一方の法律でできておりまして、それを運用しておるという形で従来経過しておったようでございます。しかし、今後におきましては、いまお話しのように、そういうものとあわせ考えて運用すべきだと考えております。
  53. 森本靖

    森本委員 幸い今度の改正において、要するに「郵政大臣は、前条第一項に規定する通信の円滑な実施を確保するため必要な体制を整備するため、非常の場合における通信計画の作成、通信訓練の実施その他の必要な措置を講じておかなければならない。」こういうことになっておるわけです。この改正は非常によろしいと思うわけでありますが、ただ、ここで特に私が言っておきたいと思いますことは、たとえば日本全土に非常問題が起こるとかいう場合は、むろんこれを発動しなければなりませんけれども、局地的に起こった場合でもこのものをどういうふうに取り扱うか。たとえば九州地方の鹿児島、宮崎なら鹿児島、宮崎方面に台風関係で非常措置が起きた。そういう場合にはどういう非常通信訓練を行なっておかなければならぬか。あるいはまた、四国地方に局部的に起こった場合はどうとか、あるいは北海道に局部的に起こった場合はどうとか、あらゆる事態を想定した通信訓練というものを、この第七十四条の今回設けられた項でやっておいたほうが、この法律条項がより効果的になる。そういう訓練の方法あるいは計画というものを、今後平生からぜひやっておいてもらいたい、こう思うわけでありますが、その点ひとつ局長から御答弁願いたい。
  54. 宮川岸雄

    宮川政府委員 確かに先生の御指摘のように、今後、この条項等がございますと、よりいままでよりも広範囲な地域、または重大な場合等におきますところの通信計画の作成ということも、円滑に行なわれるかと思いますので、御趣旨のような場合を想定いたしましたところの通信計画の作成、通信訓練の実施というようなことも、今後はぜひやっていかなければならないと思いますし、またそういう場合におきまして、どうしても単に自主的な形でやっていたのでは間に合わないという場合におきましては、この第七十四条の発動ということも考えていかなければならないかという考え方をしております。
  55. 森本靖

    森本委員 ちょっとお聞きしますが、第七十四条の二項の新設にあたって、これに対する予算措置は講じておりますか。
  56. 宮川岸雄

    宮川政府委員 いままで、十分ではございませんが、非常無線通信協議会というものの会議の開催その他に対する予算措置は講じてございます。ただ、この発動いたしました場合における実費弁償のほうの予算措置は講じてございませんが、確かに先生のおっしゃるように、今後こういうものの通信訓練の実施というようなことを考えていくとすれば、当然、そういうものの費用につきましても、省として考えていかなければならないかと考えます。
  57. 森本靖

    森本委員 この非常無線通信というのは、いままでの第七十四条によって、その協議会というものの経費は組まれておると思うが、経常予算で組まれておるその経費は大体どの程度ですか。
  58. 藤木栄

    藤木説明員 大体四、五百万でございます。
  59. 森本靖

    森本委員 この法律がずっとあとになってそそくさと出てきたから、これに対する予算措置ができていないと思うのですが、本来ならば、第七十四条の二項というのは非常に重要な項であって、これはできれば月一回ぐらいこの主要な者を集めて想定訓練というもの——三矢計画じゃないからこれは大丈夫ですが、いわゆる人命安全という点の非常通信ということの想定訓練をやっておかなければならぬと思うのです。それをやるためには、ある程度の予算措置の裏づけがなくてはなかなか困難です。だからこれは、人を集めて、そうして想定したところの非常無線通信計画というものをやらなければならぬわけでありますので、せっかくこの法律が通る予定でありますから、通った暁においては、これは予備費からでも出して、そしてこの非常通信の体制の整備ということについては、平常から郵政省は、それぞれの関係に呼びかけて万全を期していただきたい、こう思うわけであって、この点については大臣から特に聞いておきたいと思います。
  60. 徳安實藏

    徳安国務大臣 お説のとおりでごごいますから、そう処置を講じます。
  61. 森本靖

    森本委員 大臣回答が非常にいいので、これは大臣の人がらで私は信用いたしますけれども、言うたことは、大臣、必ず実行するように——これは、あとから予算措置についてはなかなかむずかしいわけでありますので、予備費からでもけっこうでありますから、ぜひこれだけは実行していただきたいということを私は重ねて申し上げておきたいと思います。  それから、これは何でもないことでありますけれども、一応参考までに聞いておきたいと思いますが、今回の改正によって——電波の範囲が下限を一〇KOにいたしまして一番上を三〇〇万メガサイクルにしておるわけでありますけれども、この下限を削った理由はどういうところにありますか。
  62. 宮川岸雄

    宮川政府委員 国際電気通信条約に付属する無線通信規則で、この電波法の上限、下限はここに根拠があるわけでございますけれども、一九五九年に付属規則の改正が行なわれまして、下限が削られたということによりまして、国内法のほうも・これに合わせるということが今回の改正の面接の動機でございます。
  63. 森本靖

    森本委員 要するに国際的に一〇KC以下を削ったから削った、こういうことですか。
  64. 宮川岸雄

    宮川政府委員 そのとおりでございます。
  65. 森本靖

    森本委員 国際的に一〇KC以下を削ったというのはどういうわけでしょう、技術的に。
  66. 高田希一

    高田説明員 これは一九五九年の無線通信主管庁会議におきましてアルゼンチンから——いきさつでございますが、いきさつは、アルゼンチンから提案がございまして、技術の進歩に伴う変化に応じ得るようにするために下限の一〇KCは削るべきであるという説明が会議でございまして、そのまま異議なく採択されたものでございます。
  67. 森本靖

    森本委員 それはそれだけ読んでもわからぬですが、どういう意味で一〇KC以下を削るということですか、技術的に。
  68. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  電波としましては、一〇キロサイクル以下でも電波として使えるわけでございます。しかし、実際、いままではそういった必要がなかったものですから、国際規則におきましても、電波というものを一〇キロサイクル以上に制限していたものでございますが、最近水中あるいは地中通信といったものがいろいろ検討されてまいりまして、そういったものには一〇キロサイクル以下の電波を使ったほうがいいということになってまいりましたものですから、先ほど法規課長から説明がございましたように、一〇キロサイクルという制限を削りまして、もっと下まで電波として自由に使えるようにしたというわけでございます。
  69. 森本靖

    森本委員 それでは今度は改正の本題の無線従事者の免許について聞いてみたいと思いますが、現在の無線従事者の国家試験の現状といいますか、一級、二級、三級、この本年度の受験者数と合格率をひとつ御説明願いたいと思います。
  70. 宮川岸雄

    宮川政府委員 昭和三十八年度の例につきまして御説明いたしたいと思います。無線通信士、無線技術士、アマチュア、特殊無線技士というふうに四段階ございますのをそれぞれ御説明いたしたいと思います。  三十八年度におきまして、無線通信士第一級に千五百三十九名受験しておりますが、合格者が三百三十一名で、これが二一・五%という数字を示しております。第二級は同じく二千六百七十名受験いたしまして二百三十五名合格いたしまして八・八%。第三級が五千七百五十二名受験いたしまして六百六人合格いたしておりまして、合格率といたしましては一〇・五%でございます。以下数字をあげまして全部御説明申し上げたほうがよろしゅうございましょうか。
  71. 森本靖

    森本委員 全部いうてください。
  72. 宮川岸雄

    宮川政府委員 同じく無線通信士の航空級は、千百六十五名受験いたしまして四百四十四名合格いたしておりまして、これは三八・二%合格いたしております。電話級は四千五百三十一名受験いたしまして七百五十名、一六・五%の合格率でございます。  それから無線技術士でございますが、無線技術士には一級と二級とございます。一級のほうは二千百二十六名受験いたしまして二百二名、九・五%。第二級のほうは、受験者数が六千五百四十五名で三百三十名、五・〇%の合格率を示しております。  それからアマチュアのほうでございますが、これに上級と初級とがございます。上級のほうに第一級と第二級とございまして、第一級のほうは四百九十八名の受験者数に対しまして五十五名合格いたしておりまして、一二・四%でございます。同じく上級の第二級が三千七百二十名に対しまして九百九十八名、二六・八%というふうな合格率を示しております。それからアマチュアの初級と申しますのは、このたびの試験の改定の対象になるものでございまするが、初級に電信級と電話級とございますが、電信級のほうは千五百三十六名の受験者数に対しまして合格者数が千六名、六五・四%・相当高度な合格率を示しております。電話級のほうは一万七千四百四人という受験者数に対して九千五百六名、五四・六%、これも高度の合格率を示しております。  それから特殊無線技士には、これは特殊なものでございます。レーダーであるとか、あるいは無線電話甲、乙、多重国内無線通信とございますが、全部合わせまして特殊無線技士は一万七千百八十一人の受験者数に対しまして一万四千人という合格者数を示しておりまして、八一・四%。以上が無線通信士、無線技術士、アマチュア、特殊無線技士の受験者数及び合格者数、合格率でございますが、全体はあまり意味がないかと思いまするけれども、全体で六万四千六百六十七名の受験者数に対して二万八千四百六十三名、四四%というのが三十八年度におきますところの無線従事者国家試験の概況でございます。
  73. 森本靖

    森本委員 それから無線通信士の一級と二級と三級ですが、これは無線通信士の一級の資格を得たならば、いわゆる技術の方面の二級の資格があるわけですか。
  74. 藤木栄

    藤木説明員 そのとおりでございます。
  75. 森本靖

    森本委員 そうすると、一級の者は二級の資格があって、二級の者は三級の資格ということで、三級の者は技術の資格がないのですか。
  76. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  無線技術士のほうは一級と二級しかございませんので、第一級の無線通信士のほうは無線技術士の二級の資格がとれますけれども、二級のほうはそれに相当する技術士がございませんので、ないわけでございます。
  77. 森本靖

    森本委員 そうすると、今回の国家試験を免除しようというのは、この特殊無線技士と電信級アマチュア無線技士または電話級アマチュア無線技士、要するにこの四つですか。
  78. 宮川岸雄

    宮川政府委員 そのとおりでございます。
  79. 森本靖

    森本委員 そこで、この特殊無線技士、電信級アマチュア無線技士、電話級アマチュア無線技士のいわゆる仕事の内容をひとつ説明してくれませんか。
  80. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  特殊無線技士のほうは、中に五種類ございまして、レーダー級と無線電話甲というのと無線電話乙、それから多重無線設備、それから国内無線電信と、五種類ございます。  レーダーのほうは、御存じのように、いわゆるレーダーの操作をする仕事をやっておる者です。  それから特殊無線技士の無線電話甲と申しますのは、これは主として船のほうの、大体電力は十ワット以下で、周波数としますと、一、五〇〇キロサイクルから四、〇〇〇キロサイクルまで、いわゆる中短波と申しまするか、そういった周波数の範囲の操作をする人たちが大部分でございます。  なお、特殊無線技士の無線電話乙と申しますのは、陸上移動の関係が主体でございまして、たとえば警察のパトロールカーであるとか、そういったものを操作する人たちに必要な資格でございます。  なお、多重無線設備のほうは、電電公社でありますとか、あるいは警察あるいは電力会社等におきまするいわゆるマイクロの多重通信を行なう人たちの資格でございます。  それから国内無線電信のほうは、いわゆる陸上に開設する無線局、国内の固定通信が主体であると思いますが、これも電電公社であるとか、警察であるとか、その他国内の無線電信、まあ主として短波を使うわけでございますが、そういった操作をする人たちのための資格でございます。以上がいわゆる特殊無線技士でございます。  それから、初級のアマチュアは電信級と電話級がございますが、これはいずれも電力が十ワット以下の非常に低い電力でございまして、しかもまた周波数は、二一メガサイクル以上あるいは八メガサイクル以下という範囲でございますので、主として国内しか通信ができない程度の資格でございます。  以上でございます。
  81. 森本靖

    森本委員 そこで、今度のこの新しい法律にありますところの、「無線従事者の養成課程で郵政大臣郵政省令で定める基準に適合するものであることの認定をしたものを修了した者が郵政省令で定めるところにより当該養成課程に係る資格の免許を受ける場合は、この限りでない。」これで免除しておるわけでありますが、この内容をひとつ説明願いたいと思います。
  82. 宮川岸雄

    宮川政府委員 養成課程を、やはり一定の基準を設けてこれを認定いたししまして、その養成課程の終了者に対しまして、試験によるものの代行をしようということでございます。したがいまして、この養成課程におきまする基準というものは、相当厳正にしていかなければならないと思っておりますが、それにつきまして大体いま考えておりますことを申し上げますと、まず養成課程の実施主体が一番大きな問題だと思います。実施主体につきましては、営利を目的としないような団体にやらしていくことがこの法律趣旨ではなかろうか。現在でも、こういうようないま対象になっております下級と申しますか、その従事者の実際の講習というものが、営利を目的としない団体によって行なわれている実情もございますが、養成がなるべく広い範囲でもって、しかも現地でできるというようなことがいいことかと思いますので、そういうような点なども勘案しまして、実施主体に対しましての基準を設けていきたい、これが一つでございます。  それから次には、その養成の場合の講師でございますが、これも当然に無線従事者の資格を持つとか、あるいは経歴があるとかいうことで、講師としての資格というものを十分定めていかなければならないと思います。  それから教程でございますが、その教材であるとか設備であるとか、そういうようなものに対しましては、当然その内容に対しまして——まあ現在の資格を得るに必要な知識、技能を修得するに必要で十分だというものでなければならないと考えますので、当然その科目であるとか、あるいは授業時間というようなものにつきまして、基準を設けていかなければならないと思います。  それから修了の証明というものにつきましても、その養成課程に対しまして、確実に所定の技能、知識を修得したということ、養成課程に対しまして完全にそれを履修したということの証明がされていなければならないかと思いますが、以上のようなことにつきまして、その養成課程に対します基準を設けていきたい、なんなふうに考えております。
  83. 森本靖

    森本委員 抽象的なことはそれでよくわかりますが、具体的にこれのいわゆる郵政省令というものは、大体原案ができていますか。たとえば、どういうふうに講習を受けさすか、そしてその講習科目がどの程度であって、それから、いま局長は期間を言わなかったけれども、期間はどの程度で、何時間単位で、そしていわゆる資格ができるか。これはこまかいことになるわけですが、しかしこれを受ける者にとっては非常に重要なことでありますので、この法律を審議して、この法律が通った場合には、そういうことは全部省令できめるわけでありますので、その省令の内容というものは、一応構想ができておるならば明らかにしておいてもらいたい、こういうことです。
  84. 宮川岸雄

    宮川政府委員 科目、援業時間というようなものにつきましても、一応の原案はできておりまするが、なお、いま少し検討の上最後の形を固めたいと思っております。たとえば電信級のアマチュア無線技士でありますならば、当然電信に関する電気通信術、国内法規、無線工学、こういったようなことが科目ということになりますし、授業時間等におきましても、それぞれ少なくとも二十時間前後のものは受けるというようなことにしてございます。そういうようなものにつきまして、原案はできておりますが、検討を重ねていきたいというふうに考えております。  なお、主体につきましては、現在もそれぞれこの特殊無線技士等におきましては、地方の公共団体あるいは漁業協会というようなところでやっておりますので、そういうようなところがやっておりますものにつきましては、これはいま申しました基準に合ってくるものも当然あるので、そういうようなことも考えたいと思っておりますし、またアマチュアにつきましては、現在、アマチュア無線連盟といようなものもございますので、そういうようなものなども一応考えの中に入れているような次第でございます。
  85. 森本靖

    森本委員 どうも答弁がちょっと抽象的でわかりにくいのですが、実際はこの法律改正によってそういう点は全部郵政省に白紙委任になるわけです、はっきり言うと。だから、本来ならば、そういう省令の内容というものは、一通りここで説明ができるという形になっておいてもらいたいわけです。しかし、いま局長が、まだ検討中であるということでありますので、あえてそれは追及いたしませんけれども、これは、後ほどこの案ができ上がりましたならば、事前に委員会なり委員には、ひとつ先に見せていただきたい。そうして、それに対して、やはりこの法律条項に合っているかどうかということについては、われわれとしても意見を申し上げたい、こう思っておりますので、きょうこの場でこの問題をさらに追及はいたしませんけれども、実際問題としてこれは白紙委任になってしまいますので、そういう点の省令については、後ほど検討されて、そうして実施に移す段階の前にひとつ御提示を願いたい、こう思うわけですが、どうですか。
  86. 宮川岸雄

    宮川政府委員 機会とか手続とかということは別といたしまして、御趣旨に沿うよう、できる限りこの実際の基準等ができました場合には御説明いたしたいと存じます。
  87. 森本靖

    森本委員 この法律改正にありますところの問題はこれで一応質問を終わるわけですが、残されたところは、結局この一級、二級、三級の無線通信士の問題であります。これは先ほど局長も答弁されましたように、一級、二級、三級については非常に合格率が悪い。これは極端に悪いというふうになっておるわけでありまして、これは郵政省の六級職試験あたりとあまり変わらぬくらいな合格率になっておるわけであります。そうすると、たとえば官庁であるとするならば、将来本省の局長クラスくらいになれる人でなければ、とても一級、二級、三級の試験は通らない。合格率から言うとそうなるわけでありまして、非常にむずかしいわけでありますが、一体この合格率の低いということの理由はどこにあると考えられておられるのですか。
  88. 宮川岸雄

    宮川政府委員 合格率が高いか低いかということの判断の問題もございまするけれども、確かに御指摘のように一級、二級は航空級と比較しましてもある程度低うございますし、先ほど申しましたアマチュアなどからも低いわけでございますが、合格率の問題は、当然受験者の学歴と業務程度と問題との関連かと思います。問題等につきましては、やはり、それが直ちに事務についた場合におきまして、人命の安全等に関係のあることでございますし、やはり業務遂行上必要なものでなければならないという観点に立っての問題の出題をいたしておりますが、不必要にむずかしい問題を出しておるつもりはございません。そういう点で、問題自身は、一級、二級ともなれば相当高度の問題になるということは考えられますが、ただ、それを受けます者が、学歴、年齢、そういったものに制限を加えていない、だれでも受験ができるということが、この場合におきますところの一つの合格率が低くなっている理由かと思います。  それから、これは多少現状における理由かとも思いまするけれども、学校等におきまして、当然その卒業生が受ければ受かるような、そういう卒業生が、この資格を受けないでもってほかの関連産業その他に行ってしまうということのために、優秀な人が受験しないというようなことも、合格率を低くしている理由の一つにもなっているんじゃなかろうかというふうなことを考えております。
  89. 森本靖

    森本委員 いろいろ局長が申されましたけれども、これはやっぱり試験があまりむずかし過ぎることも一つの大きな原因であろうというふうに考えておるわけです。私は電波監理局長が一級の試験を受けて合格するかどうかあやしいと思う、はっきり言って、実際問題として。だから、非常にいまの試験がむずかしい試験制度になっておる。せっかく正規の無線の学校を出ておっても、なかなかむずかしいということになっておるわけでありますが、私が前から言っておりまするように、実際問題として、要するに三級の資格を持っておる者は、当然二級、一級の実際の仕事はできるわけであります。だから、この三級の者をある程度選考試験をよって二級に、二級の者をある程度選考試験によって一級にという道を開かなければ、なかなか一級無線通信士の今後の需要にこたえていけないのじゃないかということが非常に懸念をせられるわけでありますが、そういう意味で、いままででもある程度そういう場合には、試験の科目を免除してきておったという形もあると思いますが、それをひとつ具体的に説明を願いたいと思います。
  90. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  現在まで免除の方法といたしまして、いわゆる学校認定による免除と実務経歴による免除と二通りあるわけであります。たとえば、一級無線通信士を例にとりますと、特定の資格を持った学校を卒業した者に対しましては予備試験を免除するとか、あるいは電気通信術を免除するとか、あるいは英語を免除するとか、そういったことをやっております。  なお、実務経歴に対する免除につきましては、たとえば、現在二級の無線通信士の資格を持ちまして一定の経歴を持っておる人に対しましては、一級の無線通信士の試験を受けるときには、予備試験、すなわち一般常識と無線工学の基礎を免除し、さらに本試験におきます電気通信術を免除し、さらに国際航路に従事しておる人に対しましては地理も免除する。したがいまして、二級の人が一級の試験を受ける場合は、試験の科目としましては、国内と国際の法規と英語といわゆる技術関係無線機器であるとか空中線、測定、そういったものを受験するということになっておるわけでございます。
  91. 森本靖

    森本委員 三級の者が二級を受ける場合にそういう特典はないのですか。
  92. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  現在三級の通信士の資格を持っている人が二級を受ける場合には、いわゆる予備試験をやはり免除いたします。すなわち一般常識と無線工学の基礎は免除いたします。それからさらに電気通信術を免除する。したがいまして、三級の人が二級通信士を受ける場合、実際に試験を受けなければならない科目は地理と国内、国際の法規と、それから無線機器とか電波伝搬等の技術的な問題だけでございます。
  93. 森本靖

    森本委員 最後に、私は大臣に要望しておきたいと思いますが、いま通信部長が答弁せられておりますように、三級あるいは二級の者が、それぞれ上級のものを受ける場合には、ある程度の免除をしておるということはわかりますけれども、本来ならば、これは戦前にもありましたように、選考試験というふうな簡単な試験によってこれを上級に近づけるということをやってもいいと私は思っておるわけです。しかし、現在の国際的な条約その他において、その他の国家試験という点から考えましても、国家試験を全部排除することはなかなか法律上むずかしいらしいのですが、しかし、いま無線通信部長が言いましたように、ある程度の科目を免除していって、そうして実際には選考試験と同じような形に持っていくことは技術的に可能性が出てくるわけであります。そういう点を十分考慮しながら、実際の三級なり二級の実務経験者というものをかなり優遇をして、そして上級の試験に合格ができていくような措置を、いま少し大臣のほうでも検討願いたい。そういう方向に前進ができていくことを全国の無線従事者は望んでおるわけであります。実際問題として三級の資格をとって漁船に乗り込んでおって、そして二級をとろうといたしましても、現実に勉強する機会がなかなかないわけであります。ところが、無線の実務を持っておる人は、一級の仕事をやらせましても完全にできるわけであります。ところが、肝心の試験を受けると、勉強する機会がないのでなかなか通らない。こういうことがいま実情としてあるわけであります。  そこで、一級、二級について、いま言ったようにある程度の試験科目を免除しているということを聞きましたが、それをさらに前進をさせまして——国家試験そのものを全部なくすることは、現行法律上非常にむずかしい。しかし、それが何らかの形において、そういう試験が合理化せられていって、実際には選考試験と同じような形になるようにぜひ御努力を願いたい。こう思うわけでありまして、その点を最後大臣に聞いておきたいと思います。
  94. 徳安實藏

    徳安国務大臣 お説のような点につきましては、過去においてもずいぶん研究しているようであります。お説を承って、なるべくそうした線に近づけるように努力をいたしておるようでありますが、先ほど部長から説明いたしましたように、国際的な問題もありまするし、また、一定の基準より低下するようなものをどんどんつくりましてもどうかという危険なようなものもございますので、いろいろ勘案して、可能な限り今日では省略しているものもあるようであります。しかし、実際問題として、そうしても一向差しつかえないのだという結論が出ますれば、なるべくそれに近づけるような努力は、今後も続けてまいりたいと思います。これは研究をさせていただきます。
  95. 森本靖

    森本委員 これは研究でなくして、理由がわかっておるわけでありますので、ひとつ十分にその実施段階に移すように大臣のほうで御検討を願いたい、こう思うわけであります。  それから、さらにもう一つ大臣に要望しておきたいと思いますことは、これは大体電波監理局だけの仕事ではないわけであります。養成機関についてはやはり文部省の所管事項であります。それから船員としての所管事項はやはり運輸省の海運局にある。そういうところも、郵政省、文部省等のこういう方面における連絡が案外スムーズにいっていないところがあるやに私は側面的に見るわけでありまして、無線通信士の今後の養成については、文部省あるいは運輸省、こういう方面とも郵政省が主導権をとって十分に連絡をとられまして、この合格率が多くなって、無線通信士が大量に需要にこたえることができるように、ぜひとも大臣という立場においてお願いをしたいということを重ねて申し上げておきますので、それに対する大臣の御回答を願っておきたいと思います。
  96. 徳安實藏

    徳安国務大臣 文部大臣あるいは運輸大臣等、これに関連する主管大臣ともう一ぺん会議を開きまして、そうしたところにつきましては御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
  97. 森本靖

    森本委員 これで終わります。
  98. 内藤隆

    内藤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  99. 内藤隆

    内藤委員長 これより討論に入るのでございますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  電波部の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  100. 内藤隆

    内藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  101. 内藤隆

    内藤委員長 この際、佐藤洋之助君外二名より、本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  趣旨弁明を許します。佐藤洋之助君。
  102. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 私は、ただいま議決されました電波法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議を提出し、あわせてその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   今回の改正措置によつて、一部の無線従事者資格については、無試験免許の道が開かれることとなるが、無線従事者国家試験のあり方については、なお検討の余地があると認められるので、政府が全資格にわたつて試験の合理化につき考究するよう要望する。   右決議する。  以上でございます。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党、民主社会党三党共同提案にかかるものでありまして、その趣旨は、今回の改正案によって、一部の無線従事者資格につき無試験免許の道が開かれることとなるのに関連して、政府当局に対し、無線従事者国家試験のあり方について考慮を促そうというのであります。  申すまでもなく、無線従事者国家試験は、無線局業務運行を確保するため、各資格別に定められた範囲の無線設備の操作に必要な知識、技能の証明を求めようとするものでありまして、そのあり方としては、当然無線局業務の実態に即することをもって第一義とすべきであります。かかる意味合いよりして、国家試験の現状は、最近における無線設備の進歩や無線局の実務の変化等に照らし、その内容、方法等においてなお検討の余地を残していると見られるのでありまして、当局が法案審査の動向等をも勘案して、従事者資格のすべてにわたり試験の合理化につき考究するよう要望しようというわけであります。  簡単でございますが、これをもって説明を終わります。何とぞ全会一致をもって御賛成くださいますようお願いいたします。
  103. 内藤隆

    内藤委員長 これにて趣旨弁明は終わりました。  採決いたします。  佐藤洋之助君外二名提出の動議のとおり、本案に附帯決議を付するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 内藤隆

    内藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  この際、徳安郵政大臣より、ただいまの附帯決議に対する所見を求めます。徳安郵政大臣
  105. 徳安實藏

    徳安国務大臣 ただいまの附帯決議に対しましては、本案審議の過程におきまして、政府の所信はしばしば表明いたしておりますが、なお附帯決議もございますので、この決議の御趣旨に沿いまして十分善処いたしたいと考えております。     —————————————
  106. 内藤隆

    内藤委員長 なお、本案に関する委員会報告書の作成等については、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 内藤隆

    内藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  108. 内藤隆

    内藤委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十九分散会