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1965-03-05 第48回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月五日(金曜日)    午前十一時三十七分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君    理事 佐藤洋之助君 理事 安宅 常彦君    理事 栗原 俊夫君 理事 森本  靖君       小渕 恵三君    大野  明君       金丸  信君    木部 佳昭君       中村 寅太君    本名  武君       南  好雄君    大柴 滋夫君       片島  港君    畑   和君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 徳安 實藏君  出席政府委員         郵政政務次官  服部 安司君         郵政事務官         (大臣官房長) 淺野 賢澄君         郵政事務官         (貯金局長)  武田  功君  委員外出席者         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第四六号)  郵便振替貯金法の一部を改正する法律案内閣  提出第四七号)      ————◇—————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  郵便貯金法の一部を改正する法律案及び郵便振替貯金法の一部を改正する法律案、これを一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の申し込みがありますので、これを許します。森本靖君。
  3. 森本靖

    森本委員 まず郵便貯金法の一部を改正する法律案についてお聞きいたす前に、当国会で、この前の貯金法の一部を改正する法律案審議の際に、衆議院としては附帯決議をつけたわけでありますが、その附帯決議に対して、郵政大臣として、この附帯決議を十分尊重してやりたい、こういうことを言っておりますので、それを尊重してやってきた経緯をひとつ御説明願いたい、こう思うわけです。
  4. 徳安實藏

    徳安国務大臣 院議を尊重することは、もちろん当然のことでございますが、ただいまその経過について申し上げます。  第一に、御決定になりましたこの三十八年六月二十五日の衆議院決議でございますが、第一項につきましては、万全とは申されませんけれども、一歩一歩前進するような施策を考えまして、今度の貯金法の中に前向きで進んでおるわけでございます。  二点の、審議会構成につきましては、これも十分御趣旨が、反映するように、御趣旨に沿うようにいたしました。  それから三項の、預金者が不時の金融を必要とする場合に処するための制度をすみやかに検討し、預金者の利便をはかれということでございますが、この問題につきましても、省といたしましては、御趣旨ごもっともと考えますので、鋭意関係方面と折衝いたしておりますが、この問題は、まだ今日の段階におきましては、御趣旨に沿うてかようなことにいたしましたという御答弁のできない状態でございます。しかし、今後も引き続いてこの問題につきましては努力いたしたいと思います。  それから四の点につきましては、今回御審議願っておりますように、大幅に制限を緩和せよという御趣旨でございますので、これにつきましては、今度の改正によりまして大幅に制限をゆるめたわけでございます。一歩一歩前進はしておりますが、全部が全部御期待に沿えないことは残念でございますけれども、残っておりますものや、また不完全なものにつきましては、今後も引き続きまして努力いたしまして、御趣旨に沿う考えでございます。
  5. 森本靖

    森本委員 四は、これはいま大臣がおっしゃったとおりそれでけっこうでありますが、第一項は、着々と整備しておるということを具体的に局長からでも説明を願いたい。
  6. 武田功

    武田(功)政府委員 第一項の一番おもな点は、やはり預金者保護ということにつきまして、この貯金の大宗でありますところの利率関係であろうと思います。その点の改正経過のときでございますが、その御趣旨を受けまして、私どものほうも利率関係については十分な配慮をしておるつもりでございますけれども、その他今回の改正の中にも非常にこまかいことでございますが、たとえば十年の権利消滅中断事由を拡張するとか、あるいは小切手その他の証書の受け入れの範囲を拡大するとか、些少でございますが、そういう施策をした次第でございます。
  7. 森本靖

    森本委員 それは些少でございますがと言うとおり些少であって、実際に「郵便貯金預金者保護については万全の措置を講ずること。」というこの中には、もっともっと郵便貯金預金者保護については考えていけということを、当時佐藤洋之助さんが動議として出して説明をしたはずでありまして、この附帯決議はほとんど満場一致で通っておるわけでありますので、その点もあわせてひとつ、この附帯決議というものはおざなりにしておるわけではありませんので、些少のことではどうもならぬわけであって、もっともっとひとつ十分に考えていってもらいたい、こう思うわけであります。  それから二項の郵政審議会構成については、そのとおりやりましたという大臣答弁でありますが、具体的にひとつ説明を願いたい。
  8. 武田功

    武田(功)政府委員 郵政審議会増員分補充でございますが、これは三十九年の五月に行なわれております。なお、当時たまたまほかの委員の方の改選期でもございましたし、また郵政審議会近代化特別委員会をつくるという関係がございましたのと重なりまして、かなりの方の補充が行なわれております。五名の補充と同時に、その際に審議会の中に貯金部会を新たにつくられました。この貯金部会におきまして今後はかられるということでございます。貯金部会構成は、大体十三名でございます。
  9. 森本靖

    森本委員 これはその当時の委員会速記録、それから本会議における私の答弁、こういうものをよく見てもらったらわかると思うのですが、これはそのときに私のほうとしては少数意見というものを出して、それで本会議で討論されて、その少数意見に対して質問があって、私か答弁をして、そのあとでこれは通ったわけでありますが、要するにそのときに私が言ったのは、この郵便貯金利率というものが、当時法律において施行されておったものが政令に移管された。その政令に移管される場合に、郵政審議会の諮問を十分経て行なうこういうことになったわけであります。  ところが、郵政審議会構成というものが、要するに郵便貯金、零細な五万円、十万円というものを預け得るようなそういう人たち代表郵政審議会に入ってないんじゃないかということを当時私が言ったわけであります。これに対しましては、確かにそのとおりということで、与党もそういう意見には賛成であるということを当時言っておったわけでありますので、そこで、そのときには、三十九年にその改選をする場合に、そういうことについても十分に含んで委員を選びます、こういうことになっておるわけでありますので、頭のりこうな貯金局長であったならば、十三名の委員改選のときには、御趣旨に沿うような委員メンバーはこれこれでございます、こういう答弁でなければ合ってこないわけだ。だから、大衆の零細な代表として新しく三十九年に入ったという人はどういう人々か、こういうことです。
  10. 武田功

    武田(功)政府委員 三十九年の際にはたとえば辻元八重さん、これは地域婦人団体連合会の副会長でございます。これは婦人団体が非常に貯蓄関係関係がございますので入りました。それから村山伊之助さん、この方は全国小学校校長会長をしておられまして、私ども最近子供郵便局奨励につとめておりますが、そういう関係で入っております。それから、その他、今度は評論家として波多尚さん、同じく評論家戸塚文子さん、あともう一人は、五月七日の分は藤井崇治さん、こうなっております。
  11. 森本靖

    森本委員 大臣にひとつ聞きますが、いま答弁がありまして質問をいたしましたように、このときの、三十八年の第四十三国会における郵便貯金法の一部改正というものは、貯金利率がその当時までは法律においてなされておった、これが政令に移管せられた。大臣、よく聞いておいてください。このときの改正というのは、貯金の利子を当時法律でやっておったものが政令に移管されたわけであります。そこで政令に移管する際に、そのときの大臣答弁では、その政令については郵政審議会貯金関係の御意見を十分に聞いてやりますので、省独自のいわゆる独断にはなりませんということであったわけです。  そこで、私どもとしては、それでは一体郵政審議会メンバーというものは、いまの審議会委員メンバーが五万円、十万円預けたところのほんとうの郵便貯金預入者大衆代表といえるかどうかということに対しまして、そういう点については十分に考えていきます、こういうことでこの附帯決議の二項が入ったわけであります。いま貯金局長答弁を聞いてみますと、少しばかり、五万円あるいは一万円ぐらい預けた郵便貯金代表者であろうかというふうな感じがするのは、この辻元八重さんと村山伊之助さん、これは校長会長さんですか、しかしこういう人もおそらくもっともっと金のある人ではないかと思いますが、要するに零細な大衆郵便貯金預入者代表者というものを入れる必要があるということで、この附帯決議がつけられたわけであります。その附帯決議を生かすについては、郵政審議会委員構成について生きてこなければならぬ。いま聞いたところによりますと、一体零細な郵便貯金預入者代表者というものは、その審議会貯金部会の中でだれぐらいに考えておるのか、これは大臣にひとつ聞いておきたいと思います。
  12. 徳安實藏

    徳安国務大臣 附帯決議のありましたことは私も承知いたしておりましたが、この五月のときには私はいなかったわけでございます。いま説明いたしましたように、辻元八重さんというような婦人層関係の方も入れたとか、あるいは小学校校長さんも入れたということで、一応のその当時の考え方であったようでございますけれども、いま名簿を見ましても、お話のような趣旨にかなった人はそうたくさんないように思います、理屈つけましても。これは、私はあまり深い事情を知らなかったものでございますし、同時にまた、私のいなかった時代の問題ございますので、ことしの四月には任期のくる方もございますから、いまのお話を十分参酌いたしまして、そうして人選には十分気をつけて御趣旨に沿うように努力いたします。
  13. 森本靖

    森本委員 大臣、そういうようにお願いしたいと思います。  それで、貯金局長にちょっとお伺いしたいと思いますが、現在は最高額が五十万円ですが、この預金者個人当たり単価をどの程度に分けられるか、統計的に見て。たとえば、通常郵便貯金あるいは定額預金積立貯金、この三つに合わして大体五十万円台がどの程度あり、四十万円台がどの程度あり、三十万円台がどの程度あるといったような統計資料がありますか。
  14. 武田功

    武田(功)政府委員 いまお話しのようなこまかい資料は、現在のところつくっておりません。
  15. 森本靖

    森本委員 大体のラインはわかりませんか。
  16. 武田功

    武田(功)政府委員 抽出調査でございますけれども、一応私ども、たとえば三十万から五十万程度までのいわゆる私どもで頭打ちといっておりますが、そういうような範囲抽出で調べました大体の推定でございますけれども通常が二六%少しと、それから定額が二五%、積立が九%、それを平均いたしますと約一八、九%くらいかと思っております。
  17. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、現在の全口座数は幾らですか。
  18. 武田功

    武田(功)政府委員 現在の口座数通常一億二百三万九千口座でございます。
  19. 森本靖

    森本委員 一億何ぼということでありますが、その総額で平均を割りますと、平均口座当たり何ぼになりますか、現在の睡眠口座をのけまして。
  20. 武田功

    武田(功)政府委員 簡単な算術平均いたしますというと、二万五百二十四円であります。
  21. 森本靖

    森本委員 そうでしょう。 〔「わかっておるところは聞かぬことにしような」と呼ぶ者あり〕 いや、わかっておることを聞かぬということでなしに、こういうことを局長大臣にちっとも説明しないんだ。いま平均単価が出てきたように、二万円平均ということになるとこれは口座によっては——いろいろ口座の持ち方があります。前の分のずっと古いやつで、そのまま睡眠しておるやつもあるわけです。これで大体郵便貯金利用者が那辺にあるかということが想像がつくと思います。要するに、郵便貯金というものは、銀行とか信用組合と違って、非常に零細な預入者であるということであって、先ほど来私が言っておりますし、それから当衆議院においてもこういう附帯決議がついたということは、そういう零細者であるにもかかわらず、それを審議する国民の中から選ばれるという郵政審議会委員のほとんどが二万、三万の郵便貯金関係のないような人が選ばれておる。ここに一つ郵便貯金としての矛盾があるわけでありますので、この審議会の問題については、先ほど大臣から答弁がありましたことを実行に移すようにくれぐれもお願いしたい、こう思うわけであります。  それから第三項の問題については、ある程度緩和しようという方向に動いたことはないですか。どうですか、貯金局長
  22. 武田功

    武田(功)政府委員 当委員会におきましても再度附帯決議をいただいておりますし、私どももこの点をいろいろと検討して考えてはおります。ただこのやり方につきましても、たとえば貸し付けというようなことを考えました場合でも、その方法とか限度、いろいろむずかしい問題がございます。そういうことで、いろいろ内部的には検討しております。
  23. 森本靖

    森本委員 そこで、きのうちょっと意見か出ておりましたが、どこの局でも五万円ぐらい引ける。いまこれを十万円程度にするという声もあるようでありますが、確かにそれも一つの理屈でありますけれども、この附帯決議の中にうたっております預金者保護という点についても、盗難予防その他の点についても考えなければならないわけであって、要するにそれを五万円というように制限してあるということは、郵政省側の便不便ということによって制限してあるという、ことよりも、預金者盗難があった場合のいわゆる盗難予防、そういう問題について郵政省としてはあの規定を設けてあるわけであって、これは銀行とかあるいは信用組合とかいう場合には、全国銀行あるいは信用組合、どこへ行っても引けるわけではありません。郵便貯金の場合には、盗難にかかったときには全国の一万五千ないし一万七千のどこの局でも引けることになってまいりますと、通帳と印鑑を盗まれた場合には、それを直ちに一万七千の局に手配いたしましても、なかなか窓口においてこれを監視することは不可能に近いわけであります。そういう点からあの一つの項目があるわけでありまして、だからもしそのことを緩和してもっと預金者に便利なようにということであるならば、そういう金額をどうこうするということよりも現在の貯金局における現在高確認あるいは本人票簡易化というような点においてやっていかなければ、いわゆる預金者に対するサービスだと考えてやったものが、逆に今度は盗難防止に役に立たなかったということになるわけでありますので、その辺は微妙なところでありますから、大臣、単にだれでも質問があったら、その質問にすぐ応じて、はいよろしゅうございますというだけが能じゃないわけです。そういう点を大臣もよく考えながらひとつ検討して答弁を願いたい。  これはそういう意味もあるわけであります。あながち郵政省制限をしているということでなしに、郵政省として要するに預金者盗難予防というような点も考えている、こういうこともあるわけでありますから、必ずしもこれを上げるということが能ではない。上げなくても、現在高確認とか、あるいは本人票とかいうことを、もっともっと郵便局PRすればよろしい。その点のPRは、きのうの貯金局長答弁のようにはいっておりません。特に現在高確認をしているとすれば、どこの局でも引けるということは専門家以外にはほとんど知らない。そういう点でPRをもっと郵政省がやるようにしたほうがいいのではないかというように考えますので、大臣、こういう点は、もし質問があったら、省にお帰りになれば貯金局長を呼んで、十分に内容を聞いて、それで答弁を願いたいと思うわけであります。これは老婆心ながら大臣に言っておきたいと思うわけですが、大臣の所見をちょっと聞いておきたいと思います。
  24. 徳安實藏

    徳安国務大臣 私は専門家でないものですから、常識的にお話しになりますればあるいはもっともなものもあるわけでありますが、しかし調査検討をいたします過程におきましては、もちろんいまお話しのとおりでございます。私は昨日そういう質問を受けましてからすぐに、いまお話しの点を緩和いたしまして、これによって従来起きている犯罪等の数等をいま精細に調査もさしておりまして、そういう点についてあまり大きな弊害もないというような点が出ましたり、一般の要望がそういうことでありますならば、考える余地もあるのではないかとも考えております。しかし、そういうことに大きな弊害がございましたり、非常に手数がかかりまして実情が困難だということになりますれば、もちろん技術的にもできないことでありますから、了解を得てしばらくお待ち願わなければならぬと思いますが、ただいまそういう問題につきまして数字的に根拠を持ちたいと思って調査をいたしております。今後も十分気をつけて答弁するようにはいたします。
  25. 森本靖

    森本委員 それから、きのう問題になりました郵便貯金特別会計か一応黒字になってきた、それで剰余金が出たというお話でありまして、まことにけっこうでありますが、もともとこれは初めから黒字に出てくるのがあたりまえであって、あの例の四百億ないし五百億の赤字を帳消しにしたということは当然であって、あの預金部資金の金利というものを初めから現在のような形にしておけば、郵便貯金特別会計というものは決して赤字ではない、要するにこれは大蔵省が搾取しておったから郵便貯金特別会計赤字であったということになるわけであって、こういうふうになるのが当然であります。そこでこの三十九年度年度末における郵政事業の中における貯金特別会計剰余金というものは、大体どの程度になる見込みですか。
  26. 武田功

    武田(功)政府委員 大体三十九年度年度末といたしましては、現在のところ百四十九億五百万円程度を予定として考えております。
  27. 森本靖

    森本委員 それで毎年毎年こういう形の剰余金が出ていくとするならば、これは最終的にどうなるわけですか。
  28. 武田功

    武田(功)政府委員 まだ出まして三年程度でございますので、いまお尋ねの最終的にということはどういうふうになりますか、たてまえとしては、これは事業のために積んでおくものでございますから、使用ということを考えなければならぬ時期がくると思います。
  29. 森本靖

    森本委員 これは毎年積み立てていって、それで最後になって、これをぽんと国家資金のほうにとられてしまうということになったら、全くこれは郵便貯金預金者に対して申しわけないわけであって、できればこういう金は郵便貯金預入者のいわゆる福利増進その他に使っていかなければならぬことでありますが、あるいはまた、きのう卜部君が言っておりましたように、募集手当とか奨励手当とか、そういう方面にも十分考えていかなければならぬと思いますが、しかし事業会計予算の組み方からして、この剰余金をそのまま貯金特別会計で使うわけにはまいらぬわけでありまして、一度郵政事業特別会計繰り入れるということになりますと、郵政事業特別会計繰り入れた場合には、これは一つどんぶり勘定になるわけでありますから、貯金がどうの、郵便がどうの、保険がどうのというわけにはまいらぬわけであります。そこでこの剰余金は、将来貯金事業特別会計で一体どういうふうに使っていくつもりですか。
  30. 武田功

    武田(功)政府委員 現在の貯金事業はやっとこういうふうな好転の状況になってきておりますが、いまいろいろと事業内容を検討いたしますと、たとえばそのやり方につきまして、まだ近代化されていない面が多いとか、いろいろございます。それで、これは私どもだけの現在考えておりますことでございますが、もっと事業近代化をはかり、また作業環境をよくし、そして仕事がスムーズにいくようにということで、そういう方面に何とか振り向けたい、こういうことでいまいろいろと調査中でございます。
  31. 森本靖

    森本委員 そういうのは具体的に予算的にはどういうふうになるのですか。私は不思議でしょうがないのは、そういうことを言っても、そういうことをやるのには、一ぺん郵政事業特別会計繰り入れをしなければならぬ、郵政事業特別会計繰り入れた場合には、郵政事業特別会計として一つどんぶり勘定になる、どんぶり勘定になった場合にはそれがはっきりしない。だから施設改善あるいは預金者の云々ということを言っても、この剰余金郵政事業特別会計繰り入れて、そうして郵政事業特別会計のワク内において使うということになれば、はっきりした数字は出てこないんじゃないですか。
  32. 武田功

    武田(功)政府委員 確かに御説のように一応どんぶり勘定のような形にはなりますけれども郵便貯金特別会計のほうからの繰り入れでございますので、たとえば奨励手当とかそういうもののごとく、貯金事業プロパーのものでございましたら、それに振り向けていくことは可能であろう、こういうことから、私どもちょっとさっき申しましたような事業近代化のためとか、作業環境改善というようなことにも、直接貯金事業の経営上のものとしてできるだけ比重を大きくする、そういう程度でございます。
  33. 森本靖

    森本委員 何といっても貯金事業で一番大きな問題は建物であり、それからその施設である。だから銀行を見ても、相互銀行を見ても、あるいは信用組合を見ても、農協にしても、金融機関というものは建物による信用感というものは相当なものである。したがってどこの銀行でも、ボロの建物であるというようなものはほとんどない。内部は火の車であっても、外から見ると堂々たるビルディングであるというのがいまの金融機関建物であります。ところが、郵便局は、内部はしっかりした国家機関であっても、外から見た場合は、ボロボロの郵便局であるというのが非常に多い。そういう点、金融機関として考えてみたときには、局舎の営繕あるいは施設サービス、こういうものをもっともっとやっていかなければならぬと思いますけれども、その場合には、この郵政事業特別会計繰り入れをいたしますから、単に貯金だけにこれを使うというわけにはまいらぬわけであります。そうなってまいりますと、他の保険事業特別会計その他から見た場合に、予算編成の際に、この貯金特例会計の中から郵政事業特例会計繰り入れるものはおのずから限度が出てくるのではないか。そうなってきた場合に、この郵便貯金特別会計における余剰金というものが、他の簡保あるいは年金の特別会計からの繰り入れ、あるいは郵便事業の場合から繰り入れる場合との均衡を考えながら繰り入れをしていかなければならぬ。単なる郵便貯金特別会計だけを、余ったからといってどんどん繰り入れていくというわけにはいかぬと思う。その場合に、この貯金事業特別会計がこういう剰余金を持っていたとする場合に、これを一体郵政省としてはどういうふうに使用していったならばよろしいか。これは貯金局長から——いやこの答弁は、政治的な問題になるわけですから、貯金局長だけの問題ではないので、大臣から御答弁を願いたい。
  34. 徳安實藏

    徳安国務大臣 もちろんこれは全体の中に入るわけでありますから、大きな目から見れば、全体の中の一部としてすべてが配分されるわけでありますけれども、持ってくるところは郵便貯金のほうの剰余金ということになりますれば、おそらくはこの配分につきましても、中身において重点的に、先ほど局長が申し上げましたように、環境関係でありますとか、あるいはその他の特別な取り扱いの待遇改善等がございますれば、そういう方面にも意を用いて、そうしてその労に報い、その成績が生み出された親もとのほうに、あらゆる面において厚くなるような予算措置が講ぜられる。これはもちろんその当時の大臣が十分配意をすることだと思いますが、貯金局におきましても、そういう旨を体してやはり予算措置のときに十分自分らの意見も主張して、そうして入りました金がそちらのほうに重点的に配分されるような措置がとられるだろうと思います。
  35. 森本靖

    森本委員 大臣、そうは申しましても、郵政事業特別会計の場合は、簡保の特別会計あるいはその他の特別会計からの繰り入れ金もあるわけであって、それによって郵政事業特別会計というものが成り立っておるわけであります。だから貯金事業特別会計が相当の黒字が出てきたといっても、他の特別会計との均衡をにらみながら、やはりこれの繰り入れというものをやっていかなければ、貯金事業特別会計のほうからだけ繰り入れをしていくわけにはまいらぬわけであります。  そうなってきますと、この剰余金というものは、今年度予算を見てもわかりますように、たとえば今年度予算の組み方が、この間予算委員会で私が言ったように五十六億円の赤字を見越した予算編成をしておるわけであります。ところが、この貯金事業特別会計から、それならそれだけのものを繰り入れをしておけばそういう赤字予算を組む必要はないわけであります。ところが、この繰り入れはおそらくできないということになりますと、これは他の会計ともにらみ合わせながら、それぞれの業務量に応じて繰り入れをしておる、こうなってきておるわけでありますから、そうでしょうが。そうでないとちぐはぐでしょうが。郵政事業特別会計全体が五十六億円の赤字予算を組みながら、貯金事業特別会計のほうは百四十九億の剰余金が出るという予算になっておる。それなら五十六億というものを貯金事業特別会計から繰り入れておけばいいわけでしょう。大臣どうですか、その辺は。
  36. 徳安實藏

    徳安国務大臣 足らざるところは余ったところから持ち込んでくるということにおいて、しっぽがちょうちょうになるという考え方はそのとおりです。しかし、いまお話しのように、各簡保のほうも貯金のほうも特別会計になっておりますから、ですから、出ました剰余金を無条件で、一方は赤字だからしようがない、一方は余ったものを全部どんどん入れろというような処置もとれないままに、やはり貯金貯金として、もとのほうは赤字になりましても頼み立てをしておるわけでございますから、それを本予算のほうに組み入れるというときには、やはり当時の責任者は十二分にこの点を勘案して、ほかとの均衡も考えながら大蔵省とも折衝をして、どの程度までしようとか——しかしその入りました金は、おもにどういう方面に配分して作業をさせるとかいうようなことについて十二分の配慮が行なわれるものと、かように考えておりますので、ただ残っておるから、すっぱりそれをもう来年度はそれに入れちまえ、そういうようなばかなことは、これはおそらく郵政省もしないでしょうし、大蔵省もそういうことを求めることはないと思います。  ただ、いつの時限においてどの程度にどうするかという問題が、当然だんだん累積して黒字が出てくれば考えられることになりますが、まあ末年はそういう時期でないと思って積み立てたままでいくわけですけれども、あるいは来年、再来年度になりまして、もっと剰余金が多くなってまいりますれば、そういうことを勘案して予算を編成されるようなことになることもあるいは考えられると思いますが、それは常識で当時の、そのときにおける大臣なり大蔵省との折衝等におきまして、矛盾のないように勘案して処置されるものと私は考えております。
  37. 森本靖

    森本委員 大臣答弁はわかったようで、ただ説明しただけのことで、肝心の、剰余金がずっと積もってきた場合にどうするか、それはそのときに相談するということでしょう、いまの大臣答弁は。そのときに相談しておったら、へたしたら取られるのですよ、はっきり言って。だから、やはり貯金事業特別会計としてこれだけの剰余金があるとするならば、これは先ほど貯金局長が言ったように、貯金事業サービス改善とか何とかいう方面に使わなければならぬということで、郵政事業特別会計の中にこれをふくらまさなければならぬのですけれども、そのことは貯金事業郵政事業特別会計において使うのだ、こういう約束のもとに、あるいは貯金奨励であるとか、そういうものは若干そういう形で大蔵省との間で折衝されたのじゃないかと思いますが、そういう形で持っていって郵政事業特別会計の中に突っ込んでいかなければ、これはやはり最終的には預金部資金のほうの金利の、はうがいいんだからもとへ戻せ、こういうことになりかねないのですよ。郵政省はそういうことを言ってさっきも帳消しにしたわけですから、はっきり言うと。あれは四百億ないし五百億あって、私がこの委員会でやかましく何年もやってようやくあれは帳消しにしたわけであります。だから今度は逆に、こっちの会計で黒字になってきたから、それをまたもとへ戻す、こういうことになりかねないのです。しかしそれでは、きのう卜部君も言っておるように、貯金事業特別会計黒字になってくれば、もっと預金者に対してのサービスもできるし、あるいは従業員の待遇その他についても改善ができるといって宣伝をしてきたことがふいになるのではないか、こういうことになっておるわけでありますので、いずれにいたしましてもこの貯金事業特別会計のあり方について、さらに剰余金の使い方等については、相当郵政省は慎重に真剣に考慮していかなければならぬ時期に来ておるのではないか。これは前の赤字のときもやかましく私が言って、ようやくあれは大蔵省と折衝してあの赤字を解消する、こういうことになったわけであります。  そこで、ちょっと事務的に聞いてみたいと思いますことは、この貯金事業特別会計——私もちょっと勉強が足りませんが、特別会計の中から郵政事業特別会計繰り入れをすることでなしに、たとえば簡保福祉事業団というもの、あるいは貯金福祉事業団というものができて、その貯金福祉事業団のほうにこの貯金君業特別会計の中から交付金というような形は会計法上とれるものですか。
  38. 武田功

    武田(功)政府委員 現在の郵便貯金特別会計法ではできません。
  39. 森本靖

    森本委員 そうすると、やはりその場合も一応郵政事業特別会計にその剰余金の中から繰り入れて、そして郵政事業特別会計から交付金という形でおろしていかなければできぬわけですか、会計法上。
  40. 武田功

    武田(功)政府委員 現在のままでしたら、やはりそういう方法をとらなければならぬかと思います。
  41. 森本靖

    森本委員 そうすると、これはやはり法律改正しなければ、それはできないわけだね。
  42. 武田功

    武田(功)政府委員 さようでございます。
  43. 森本靖

    森本委員 現状においては、要するに問題が、たとえば郵政事業特別会計が三千億円、その三千億円の歳入と歳出に全然関係なしに、三十億歳入をいわゆる貯金事業特別会計から入れる、それから歳出のほうではその事業に対していわゆる交付金である、こういうことにした場合には、三十億なら三十億直接ふくらますということを、要するに問題は大蔵省が承認さえすればできるわけだね。
  44. 武田功

    武田(功)政府委員 事柄の次第で違いますけれども、理屈から申しますと、いま先生のおっしゃるようなことでございます。
  45. 森本靖

    森本委員 事柄の次第でということはどういう意味かね。私の言うのは、法律上でできるのかできないのかということを聞いて、法律上できるものであるとするならば、あとは郵政大臣とあるいは大蔵大臣との政治折衝になるのか、そのときのいわゆる内閣の方針によって変わってくるわけであります、これは政治問題でありますから。ただ、法律上、会計法上、技術的にはそれができるだろう。できるということであるとするならば、次には大臣に聞くわけです。
  46. 武田功

    武田(功)政府委員 会計法関係主管でございませんので、責任ある答弁を申し上げかねますけれども、この法律上の解釈から申しますと、先生の御指摘のようなことになると思いますけれども、ただ特別会計法の第一条にもありますように、たとえば「郵便貯金事業の健全な経営に資し、その経理を明確にするため、」こういうことがございますし、したがいまして、郵政会計に入れます場合も、貯金事業プロパーのものと、あるいはまた間接的に貯金事業のものと、こういうような形でやっておりますので、先生いま御指摘の、今度は郵政会計から出しますかりに三十億というものの使用目的というものが問題になるんじゃないか、こういう意味で私が先ほど申し上げた次第でございます。
  47. 森本靖

    森本委員 それじゃいまの簡保の問題はどうなっておるのかね、具体的に。これは代用として官房長だ。何でも知っておかなければならぬのだから……。
  48. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 簡保のほうはこれはよくわかりませんが、貯金のほうで特別会計法を見てみますと、貯金事業の業務の取り扱いに関する諸費、それから同事業の業務に必要な営繕費を特別会計の歳出として支出する、これを郵政事業特例会計へ持ってくるのであります。それから積立金、利益金のほうは、やはり貯金特別会計法でこれは積立金として整理するだけになっております。そういたしますと、これはやはり業務上必要なものは全部歳入に入れてしまう、こうなりますと、どうしても特別会計法を変えない限りできないと思います。同じように保険のほうは、事業団法においてつくりますときに、そこは修正になっておるものと思われます。ですからこちらのほうでやります場合は、やはり貯金特別会計法を変える等必要になると思います。同様に、保険のほうを見てみましても、申し上げましたようにやはり変わっております。事業団云々と書いてございますから、やはり貯金特別会計法を変えない限りできないんじゃないか、かように考えます。
  49. 森本靖

    森本委員 そうすると、事業団法の場合は、事業団法の法律のいわゆる附則でその会計法を修正しておるわけですか。
  50. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 事業団法のほうは事業団だけの仕事を書きまして、特別会計法のほうは、簡易生命保険郵便年金特別会計法の三条で、そちらで出すように書いてございますから、同じように、かりに貯金関係事業団をつくったといたしますと、その事業団法とそれからこちらの貯金特別会計法と、両方を変えないとできないと思います。
  51. 森本靖

    森本委員 そうすると、かりに貯金事業団というようなものを法律によってつくるとするならば、事業団法というものをつくって、その附則で一応会計法を修正するという形をとってもいいわけだね、法律上は。
  52. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 法律上はできるのでありますが、その場合には大蔵省との合議が要るのであります。そうしますと、こういう会計関係の分は、提出権が大蔵省ということに一応政府間でなっておりますので、やはりこちらのほうにからんでくるのではないかと思います。
  53. 森本靖

    森本委員 わかりました。大臣、大体いまお聞きのとおりでございまして、かりに、私が前からやかましく言っております郵便貯金預金者に対するサービスというふうなことで——これはどういうことになるか知りませんが、郵便貯金加入者事業団になるかならぬか知りませんが、とにかくそういうものをつくろうというふうなことになるとするならば、いま申し上げましたような形の手続をとりさえすれば一応できる。百四十九億の剰余金があるという段階において、年間二十億円や三十億円程度は出せないことはない。これが手軽に海の家、山の家というふうな、いまの簡保事業団とまた違った意味の一般国民大衆を対象にするサービスを開始するというようなことでやろうと思えば私はできると思う。だから問題は、あとは郵政大臣、大蔵大臣との政治折衝、あるいは閣内におけるまとまり、こういうことになるわけでありますが、徳安郵政大臣も、まあり何にもやらぬで郵政大臣をやめたということでは権威にもかかわることでありますし、これは前から逓信委員会でもやっておりますし、いいことであります。しかも、剰余金が百四十九億もあるということでございますから、いまが絶好の機会でございます。この国会でかりに間に合わないということでありましても、前に郵政大臣をやった経験もある田中氏が大蔵大臣のいまの閣内の状況でありますから——金融機関側を受けて、大蔵省の中には相当な反対があるわけであります。しかし、郵政省郵政省として、この間うちから言っておりますように、集めるだけは集めさしていただいて、貸し付けするほうのうまみは郵政省にちっともないという、全く片手落ちの金融機関になっておりますのが郵便局であります。せめて郵便局自体で預金者に対するサービスを展開し、あれは郵便貯金でできている海の家、山の家であるということの宣伝によって、百万言を費やすところのPRの費用よりもそのほうがいいのではないか。そのことによって大衆も喜ぶ。私は、ぜひそういうことを、大臣がいまから閣内において話し合いをしてもらって、できれば次の通常国会あたりにはそれが成案を見て提案できるという形にしてもらいたい。これが貯金事業特別会計赤字のときでしたら別でありますが、毎年毎年こういう剰余金が出ておる形になりますと、これをこのままほっておいたら必ず——いままで六百億の赤字郵政省は帳消しにしてもらっておりますから、今度黒字になったら、その中から戻してもらうというふうな含みをある程度政治的には持っておるわけでございます。だから、そういう方面に取られるよりか、大衆に還元をするということで、いま私が言ったような方向に使うということは非常に有益なことであります。どうかそういう点で、大臣がひとつその決意のほどを示しておいてもらいたい、こう思います。
  54. 徳安實藏

    徳安国務大臣 長い間赤字で苦しんでおりましたのがようやく黒字になった、そこで今度、その黒字をあまり早く言い出すと、またおかしなことになったら悪いというようなこともありますし、多少そっとしておくというような形でございますけれども、いまお話しのような点につきましては、私も共感する点もござまいすから、さっそく検討いたしまして、大蔵大臣とも——会談の機会はしばしばあるのですから、御相談の上すみやかに結論を得て御答弁申し上げたいと思います。
  55. 森本靖

    森本委員 これは事業団とかなんとかということでなしに、預金者に対するサービスを開始することができるという形のものを考えておいてもらえばいいわけでありますので、ひとつ広範囲ながら考えていってもらいたい、こう思うわけであります。  その次にお聞きしたいと思いますことは、沖繩の郵便貯金でありますが、あのけりが大体ついたと思いますけれども、この状況をひとつ説明願いたいと思います。
  56. 武田功

    武田(功)政府委員 琉球住民の終戦前に持っておりました郵便貯金の処理でございますが、簡単に経過を申し上げますと、戦後いろいろと折衝しておりまして、大体三十五年の五月に、日米間におきましてはある程度の合意ができたようでございますけれども、その支払い方法につきまして、ただいまのところ琉球側の言うところは、貨幣価値の変動を考慮して一円対一ドルで換算して支払ってくれというのが第一点。それから第二点は、これに伴ういろいろな事務費を琉球政府に払ってくれ、こういうような点がございまして、特にこの第一点の問題は、単に郵便貯金だけじゃございませんで、いろいろな点で問題がございます。この点で、私どものほうの主張と合いません。現在なお沖繩の方たちの合意と同意を得るに至っておりませんものですから、ただいまのところまだ未払いということになっております。
  57. 森本靖

    森本委員 沖繩の郵便貯金は、金額にしてどの程度ありますか。
  58. 武田功

    武田(功)委員 郵便貯金を申し上げますと、三十八年度末で、口数が十七万四千八百七十二口、金額は七千七百二十二万百四十一円というのがその現在高でございます。
  59. 森本靖

    森本委員 あと、沖繩関係の簡保、振替というようなものは、数字はわかってないですか。
  60. 武田功

    武田(功)政府委員 私の持っております資料によりますと、為替は四百三十二口、三十一万百十四円、それから郵便振替貯金、七十二口、十万二千九十円、それから保険関係は、保険歳出金が、口数が十七万九百四十五口、九百九万九千七百一円、年金の歳出金としまして、千八百三口、百六十二万四千三百四十八円となっております。
  61. 森本靖

    森本委員 これの預金者の氏名は全部わかっておりますか。
  62. 武田功

    武田(功)政府委員 わかっております。
  63. 森本靖

    森本委員 そうすると、これは話し合いがつけばすぐ支払いができる、こういうことですね。
  64. 武田功

    武田(功)政府委員 仰せのごとく、話し合いさえつけば支払いができますので、私どもいろいろと努力しております。
  65. 森本靖

    森本委員 これは大臣、どうやって片をつけるつもりですか。
  66. 徳安實藏

    徳安国務大臣 実は私が総理府におりましたときにもこれは問題でございましたし、こちらから参りましても、向こうの主席が参りましたときも、また関係の人が東京に参りましたときにも、何べんもこの話をするのですけれども、乗ってこない——乗ってこないと言うと語弊かありますけれども、乗ってこないのであります。つまり、話を聞きますと、預金者の会合をしようと思って通知しても、現地では何しろ零細で汽車費にもならぬそうです。そこでほっておく。向こうでも捨てたわけではないけれども、権利は主張するけれども、もう全然に話にならぬ。それじゃ、ひとつ委任状を集めて、してくれぬかということを言うのですけれども、団体があるそうですが、その団体も、完全な委任状をもらっておる団体でもなさそうでありますし、それが全部がこれに関連しておるわけでもなさそうでございますし、一体だれを相手にすればいいかということを、ここに手紙を出しても、これはいまの話のようなぐあいで、貨幣価値においてこうだからというようなことで、そういうことだけは一致して主張するということでございますので、これは何とかして解決したいと思いまして、いろんな方面に機会あるたびに話しているのですけれども、向こうでも手をあげておるという状態です。  そこで、あんまりほっておけば、日本の郵便貯金のように時効にかかるというような処置はどうかということで調べてみましたが、沖繩では時効にかからぬそうでございます。十年たっても、二十年たっても、いまのままでは、ちょっとこれじゃ無効だということは言えないそうであります。ほんとにこれは困った問題だと思って知恵をしぼっておりますが、いい知恵が出ません。そういうままに推移しておるわけでございまして、何かいい足がかりができまして、そして向こうの諸君から、じゃあまあ一円は一円でもいいとか、あるいは、それではこちらのほうである程度の見舞い金と申しますか、そういうものを出す道も、政府でも過去においてもほかのほうにございますから、そういうことで解決したらどうかと、何か適当な金を沖繩の政府にやって、そしてそういうもので沖繩自身で何か解決するようにと思って話をしましたけれども、これもどうも乗ってきません。非常に困った状態でございます。まあ引き続きやりますけれども、非常に困った状態だということでございます。
  67. 森本靖

    森本委員 これは最後に大臣が言ったように、私の考えでは、実際に郵便貯金としてかりに一円対一ドルで支払っても三百六十円で、私はたいした金額ではないと思うのです。個人個人がもらったら、かりに三百六十倍になったところで、そうたいした金額ではないのじゃないかという気がしておるわけです。そこで、これは立法技術上問題があると思いますけれども、七千七百二十一万円を、これを一円対一ドルというようなことでは、内地の郵便貯金と比較をした場合に、とてもじゃないがこれはできません。それをやった場合には、これはもう当然国内の郵便貯金にはね返ってくるわけでありますので、そういうことでなしに、何かこれは政治的に、七千七百二十一万円なら七千七百二十一万円に対して、さらに金利をある程度みて、そうしてこれを特別に一つの単独立法において、琉球政府なら琉球政府に対して、日本政府からこの郵便貯金その他の為替、その他のいわゆる債務としてこれを支払うというふうな形のものがとれないものか。そうでもして解決を早くつけなければ、こんなのをいつまでもほっておいたのでは、もう終戦後二十年ですから、これは私は、とてもじゃないがかなわぬ、こういうふうに思うのですが、そういうふうな単独立法をつくってやるというような方法はないものですか。
  68. 徳安實藏

    徳安国務大臣 私のほうでもいろいろ研究もしておるわけなんです。それで、何しろ事柄が事柄でございますから、弱い者いじめもいけぬということで、こららのほうで見舞い金というものをつけて、これでどうかという話しもしたんですが、これも乗ってまいりません。と同時に、いま申し上げたとおりに、全島におられる諸君の預金でございますから、通知が行って、一人一人話をして歩けばどうかと思いますけれども、そうでない限りは、沖繩の政府でもとてもそういうお世話はできないと言うし、お話のように、沖繩の政府と日本の政府と話し合いで、そういう立法でもできまして、人権じゅうりんじゃないのだ、個人の権利をむやみに剥奪するのではないのだというようなことが理解できて立法できればしあわせだと思います。何しろ台湾の関係もあれば朝鮮との関係もございまして、個人の請求権というものはどの程度にそういう政府と政府との話し合いによって制約をできるかというような法律問題も残りまして、ほんとうに困った問題でありますが、引き続きこれは研究いたすことにいたします。
  69. 森本靖

    森本委員 これは、やがて日韓会談が妥結した場合には、韓国の貯金問題がこの問題ともやはり関連をしてくると思います。だから私は、いま言った単独——これは琉球政府が納得しなければ別ですよ。琉球政府が一応納得しさえすれば、単独立法ででき得るものと私は解釈しておるわけであります。しかし、向こうが納得しなければそれはできませんが、その辺のことは、これは困った、困ったと言って頭をかかえてほうっておくだけでなしに、もう相当の年数がたっているわけでありますから、これは具体的に解決をつけることを考えてもらいたいと思う。貯金局長あたりも、ない知恵をもっとしぼって、こういうことは十分に検討して、ひとつ早く成案を得るというふうにしてもらいたい。これをやれば貯金局長の手柄になる。要するに、こういう問題を十何年もほうっておくということでなしに また、幸い大臣は前に総務長官をやっておったので、この間のいきさつについては大臣がよく知っておられるようでありますから、ひとつこういう機会に、この問題については解決をつけるようにぜひお願いしたい、こう思うわけであります。  それから、これは前に一度私がこの委員会で出したわけでありますけれども、どうにもならぬということでやまったわけでありますが、終戦前のモンゴル政府の郵便貯金であります。このモンゴル政府の郵便貯金については——これは徳王だったか、とにかくそういうモンゴル政府と日本政府とのいわゆる郵便貯金の協定によって、日本の内地の郵便貯金と同じように取り扱っておったわけであります。ところが、蒙古の貯金であるということによって、終戦後これが無効になっておるわけでありますして、ほかのところの外地貯金なんかと比べて非常に不公平な取り扱いになっているわけでありますが、これは何かひとつ復活してやる方法はないものか。これは貯金局長からでもけっこうでありますから答弁を願いたい、こう思うわけであります。
  70. 武田功

    武田(功)政府委員 確かに、前にも当委員会でいろいろと御指摘がありまして、その後いろいろと郵政省といたしましても検討いたしましたが、なかなかむずかしい問題でございます。あるいは、これは私の想像で恐縮でございますが、在外財産処理の委員会もできておりますので、そういう方面であるいは御検討いただけるのじゃないかと思います。
  71. 森本靖

    森本委員 満州国の郵便貯金はどうなっているのですか。
  72. 武田功

    武田(功)政府委員 満州国の分は、やはり終戦後その法的根拠が失われておりますので、終戦後は払い戻しはやっておりません。
  73. 森本靖

    森本委員 満州国の郵便貯金にいっては、これはモンゴルの郵便貯金とも同じように全然払い出しをやっていないのですか。
  74. 武田功

    武田(功)政府委員 戦前は協定に基づいてやっておったようでございますけれども、終戦と同時にその協定は消滅いたしましたので、やっておりません。
  75. 森本靖

    森本委員 そうすると、これはモンゴルも、それから満州も同一ですね。
  76. 武田功

    武田(功)政府委員 同じでございます。
  77. 森本靖

    森本委員 この問題についてはもう少し研究をしていただきたい。次の委員会あたりでひとつ聞きたい、こう思います。それから、この法律案関係をいたしますが、現在の睡眠貯金というのはどの程度ありますか。
  78. 武田功

    武田(功)政府委員 六千八百八万口座で、全額にいたしまして、一千四百万円で、大体口座数の割合を申し上げますと、通常貯金の四九%となっております。
  79. 森本靖

    森本委員 この睡眠口座というのは大体何年以上を睡眠口座というのですか。
  80. 武田功

    武田(功)政府委員 私どもの取り扱いの上からいきまして、一年経過後預払いのないものを一応睡眠口座として別経理をしております。
  81. 森本靖

    森本委員 それからこの十年の無効の件でありますが、これは催告を発するということでございますが、催告を発して受け取り人が受け取ってこの効力を発するわけですか。
  82. 武田功

    武田(功)政府委員 現行法の解釈からまいりまして、催告を出してから、こうなっておりますので、こちらが催告書を出しました日をもってする発信主義をとっております。
  83. 森本靖

    森本委員 これは発信主義をとることはどうかと思うのですがね。受け取り人が行くえ不明の場合でも、郵政省は出しさえすればよろしいということは、ちょっと不親切じゃないか。だから、催告を発して、その預金者が受け取って、それからこの問題が発する。受け取り人の所在不明でそれが返ってきた場合、やはりこれは国民側の立場に立った場合、その権利があるものと私は主張してやりたいと思うのですが、その辺どうですか。
  84. 武田功

    武田(功)政府委員 御説のとおり、発した日からすぐ計算いたしますことは、そういうような気の毒な場合も起こり得ると思います。ただ、やはりいまの二十九条の法律から申しますと、はっきりとその催告を発した日からとなっておりますことと、それからもう一点は、十年間というかなり長期の期間がございます。そういうこととも関係いたしまして、本法は発信主義をとっておるわけでございますが、ただこの原簿の保管基間がかなりまだその後長くございます。したがいまして、催告を発しましたらその分は別整理いたしまして、そして一応保管期間の間にかりに申し出がありますれば、いろいろ事情を聞きまして、たとえば最近のように住民表示の関係で変わって着かなかったとかいうことはございますので、そういう逆戻りの分につきましては、便宜見てあげる、また復活をするなり、さらに新しく通帳をつくるなりというような一応の便宜措置は考えております。
  85. 森本靖

    森本委員 これはやっぱり催告を発して受け取り人が所在不明でその催告が返ってきた場合は、その口座だけは別個に置いておくという形をとるべきじゃないか。あと十年なら十年は置いておくというふうにとるべきじゃないかと思うのですがね。
  86. 武田功

    武田(功)政府委員 先ほど申し上げましたように、全部十年間置いております。これは保存期間の関係でございます。ただ、いま先生御指摘のように、特に住居表示が変わります今日、これからよく調べてみようと思いますけれども、その中には住居が変わったために着かなかったということもあるかもしれませんので、この点はそういう御指摘のようなやり方がとれるかどうか、何ぶん多くの原簿でございますので、よく検討いたしまして配意をしたいと思います。
  87. 森本靖

    森本委員 それはできるんですよ。そういうことはできると思うわけですが、私はそれがためにいろいろあっちこっち貯金支局へも行ってみたわけですが、これはやろうと思えばできるわけであって、ただやり得るけれどもめんどうくさいからやらぬということだけのことで、やろうと思えばできるわけであります。とにかく受け取り人の所在不明で返ってきた場合は、私はもっと親切な方法をとるべきじゃないかということを強く言っておきたいと思うわけです。  それから関東大震災のときの貯金が残っておるわけでありますが、これはどういう理由で残っておるわけですか。
  88. 武田功

    武田(功)政府委員 関東大震災関係貯金が現在まだ残っておることは、確かに先生御指摘のとおりでございます。未復旧高は金額で申し上げまして十四万……(森本委員「どういう理由で残っておるか聞いておる」と呼ぶ)これはやはり現在の法のたてまえからいきまして、こういう事変が、一つは二十九条の中断事由にならないということと、もう一つは、現実に催告ができないということで残してあるわけでございます。
  89. 森本靖

    森本委員 催告ができないというのは、住所が全然わからぬということですか。
  90. 武田功

    武田(功)政府委員 なくなったりあるいは亡失したりして、住所もわからなければ人もわからないということでございます。
  91. 森本靖

    森本委員 それでは、そんなものはいつまでも置いておいてどうするのですか。
  92. 武田功

    武田(功)政府委員 私どもも、先般も御指摘がありまして、何とかこれは処理しなければならないということで処理していいのではないかと考えていろいろやっておりますが、どうもたいへんかたいことを申して恐縮でありますけれども法律の解釈上なかなか簡単にいきません。その他に一つひっかかっております戦災貯金関係もございますが、これもあわせてできるだけ早い機会に促進したい。特に震災関係は、先生のおっしゃるように、私ども気持ちの上では早く処理したい。ただし手間はかかっておりませんので、原簿上残っておるというだけでございます。
  93. 森本靖

    森本委員 これは原簿上残っておっても、原簿上に残っておるものの金が剰余金に入るか、預金として入ってくるかということで会計法上は変わってくるわけであります。だから、こんなものを何とかして処理できるという見込みがあれば、それは親切に置いてやってけっこうでありますが、住所もわからぬし、金額もわからぬ、何ともしようがないということでそのまま置いてあるというのは無為無策というもので、めんどうくさいことはなるべく手をつけないでほっておこうということになるわけであって、これはやはり何とかして処理をすべきである。これは前に貯金審議をしたとき私が質問したら、これは研究いたしまして早急に処理するようにいたしたいと思いますと言って時の大臣答弁をしたが、それから幾らたってもこれはやらぬ。これはやはり何らかの事務的な処理をするように心がなければならぬと思う。ただ単なる質疑応答で委員会での質問にだけ答えられたらそれで終わりということであるとするならぱ、もう委員会で論議する必要はないわけであります。いいことならどんどん取り入れていって、施策にどんどん反映させていって、初めて委員会質問をする価値があるわけであります。この戦災貯金と震災貯金の処理方法については、すみやかに検討して成案を得て処理するようにひとつお願いしたいと思うわけですが、大臣の回答を得ておきたいと思います。
  94. 徳安實藏

    徳安国務大臣 お話しのとおりでございます。私もこうし大問題を残しておくことはいかぬと思いますから、さっそく大蔵大臣とも相談いたしましてできるだけ近いうちに御返事ができるようにいたします。
  95. 森本靖

    森本委員 今度は貯金局の機構についてちょっと聞いておきたいのでありますか、現在貯金支局という原簿所管庁は全国で幾らありますか。
  96. 武田功

    武田(功)政府委員 二十八でございます。
  97. 森本靖

    森本委員 この二十八の貯金支局に対するところの指揮命令系統というものは、本省の貯金局から直接いくわけですか。
  98. 武田功

    武田(功)政府委員 組織の上では地方支分部局でありますけれども、業務面では仰せのとおり本省の貯金局に直属しております。
  99. 森本靖

    森本委員 人事面でもそうじゃないですか。
  100. 武田功

    武田(功)政府委員 人事面も、その役職によりまして、本省人事局長の持っておるものと、貯金局長の持っておるものとございます。
  101. 森本靖

    森本委員 この貯金支局の指揮命令系統というものの管轄は、地方郵政局に移管をしたほうが、実際問題としてよくはないか。大臣、よく聞いておいてもらいたいのでありますが、たとえば中国地方をとって言うとはっきりわかると思いますが、中国地方では、貯金支局はどことどこと幾つありますか。
  102. 武田功

    武田(功)政府委員 岡山、広島、松江、下関です。
  103. 森本靖

    森本委員 この岡山、広島、松江、下関という貯金支局は、人数にして大体七百人から八百人くらいのものが、それぞれの貯金支局に私の想像ではおると思います。ところが、この中国地方の郵政関係は、監察局については監察局長が統括をしておる。それから郵便局については全部広島の郵政局長が人事、業務その他を全部統括をしておる。ところが、この岡山、広島、松江、下関の四つの貯金支局はその郵便局長の管轄にはないわけであります。本省の貯金局長の管轄下にあるわけであります。だから、人事の問題についても、相談をするというようなことを言っておるけれども、具体的に郵政局長の意向が貯金支局の人事に反映をすることはないわけであります。だから、たとえば岡山の貯金局長あるいは広島の貯金局長というものは、ほとんど現業の統括郵便局長に出るということはない。だからこの人事の面においてもかなり行き詰まった面も出てきますし、それから業務の面においても、実際はこれは各統括局に一類証拠書類、いわゆる為替、郵便貯金その他を検査する調査課というものがあって、それから貯金局にいくものはいくと、こういう形になるわけでありますが、その貯金局の指揮命令というものは郵政局にはありません。そこで私はやはり本省の貯金局なりあるいは簡易保険局というものが、郵務局あるいは経理局というようなものと同じように、これは郵政局の上にそれがある。こういう形に私はこの指揮命令系統というものを改めるべきではないか。貯金保険だけが治外法権的にそれぞれ別個にあるということは、どうも郵政省の指揮命令系統からいった場合にはおかしいのじゃないか。特に課長クラスの人事異動をやる場合に、貯金支局の課長クラスから郵便局の課長クラスに来ることはほとんどない。こういうようなことでは、一方の人事も行き詰まるし、一方の人事も行き詰まる、こういうことでありまして、これは二十八の貯金支局というものを、本来ならばもっと合理的にこの配置を考えるべきでありますけれども、そうなりますと、これは従業員の配置転換ということで非常に大きな問題になるわけでありますので、これはすっとはできません。できませんけれども、指揮命令系統を一貫をするということは、いわゆる現在の機構でもできるわけであります。絶えずこの点についてわれわれが見ておりましても、どうもちぐはぐな点がある、こう思うわけでありますが、大臣、ひとつこの辺は十分に簡易保険局、貯金局とも研究さしてみたらどうか、そして郵政局の権限に一手に引き受けるという形をとらなければ、大臣が郵政場長会議、監察局長会議、電波監理局長会議、三局長合同会議をやるわけであります。ところが、その三局の合同会議をやっても、この全国にありますところの二十八の貯金支局というものと、それからさらにそれと同じ数くらいの簡易保険の支局というものの意向は、郵政局長を伝わっては全然こないわけであります。これは全部本省の貯金局長と簡保局長を通じてくるわけであります。だから、業務の指導面その他の面については、貯金局長としては郵政局長に指示命令をする。ところが、原簿所管庁に関する問題については、貯金局長が支局長に直接指示をするという二重人格的なものを持っておるわけであります。この辺は、指措命令系統というものを統一するという意味において、郵政局長の権限下にこの貯金支局というものを置いたらどうかということを前から考えておるわけでありますが、大臣はこの点をどうお考えですか。
  104. 徳安實藏

    徳安国務大臣 なるほどお説のような点も私は多少現実に即して考えておりますが、過去の経過、またいろいろな歴史、あるいは伝統、あるいはその他の関係によりまして、容易にそれが実現をしないままに今日になっておるようでございますが、しかし、事務当局も真剣に検討しておるようでございますから、いましばらくひとつ検討をさしていただきたいと思います。
  105. 森本靖

    森本委員 まあ一番無難な回答でありますけれども貯金局保険局は妙なセクト的なところがあるのです。このことを言うと、貝がらがつぶったように貯金局は団結するという可能性が強いわけでありまして、いままで何回もこのことをやっても、なかなかこの省内における空気からしてできない。たとえはこの前の定額郵便貯金の例の金額を明示した貯金証書を私が出せとこの委員会で言ったところが、いまの官房長が貯金局長のときで、とてもそれはできません、どうしてできないのか、こう言えば、それは省内においてなかなかむずかしいということで、聞いてみると、そんなしちめんどうくさいことはできるかというのが貯金局の局内の空気だというので、けしからぬといことでやかましく言って、結局その後犯罪がどんどん出てきておるものだから、私の言った金額を刷ったものを出すということに今回なったわけであります。なって出したところが、一つも問題がない。私が言うたとおりそれほどの問題がない。だから、こういうことを例にとって非常に悪いけれども、今後このいわゆる機構改革についても、これはいま私が言ったように、大臣さらに本省の各局長、その下に郵政局長、その下に現業がある、こういう一貫をした指揮命令系統というものが、きわめてこれは指導監督するのにはやりやすいわけであります。ところが、そういうふうにやられると、貯金支局あるいは貯金局の治外法権的なものがなくなるものだからさっと団結する。これは絶対に反対ということになるわけです。これは強力な政治指導によって、思い切ってこの簡保と貯金局の問題については改革をすべきだ、こういう意見を持っておるわけでありますので、ひとつ大臣は単なるおざなりの答弁でなしに、任期のある間は、これは厳重に命令をして、検討さしていただきたいというふうに考えるわけであります。  それからこの貯金関係で、きのうも卜部君から質問がありましたが、現在国民大衆に対して、郵便貯金のあり方、あるいは郵便貯金の問題、そういう内容について一体PRはどういうふうに、どの程度やっておるのか。たとえば、具体的に宣伝文等を印刷する経費は年間どの程度、それから、さらにまた、一般の大衆に対するところの映画とか漫才とかいうものをやっておるとすれば、それはどの程度、あるいはラジオ、テレビを使うこの宣伝費かどの程度、大体総額におけるそういうところのPR費用というものは幾らであって、どういうようなものを重点的にやっておるかということをひとつ説明を願いたいと思うわけであります。
  106. 武田功

    武田(功)政府委員 予算的に申し上げまして、PRと申しますか、周知奨励費という意味におきまして、三十九年度は四億一千万円ございます。また、その他奨励のために使います金といたしまして、募集雑費というものも若干ございます。約一億円程度ございます。それでこれは大体すべて先年のおっしゃるように、PRということになりますか、多少はっきりいたしませんけれども、たとえばマスコミを使うとか奨励物品を買う、あるいはチラシをつくるというふうにやっておるわけであります。
  107. 森本靖

    森本委員 終わりのほうの説明が全くたよりない説明で、ふにゃふにゃとなったような説明ですが、この四億一千万というのは三十九年度ですか。
  108. 武田功

    武田(功)政府委員 さようでございます。
  109. 森本靖

    森本委員 三十九年度郵便貯金の純増目標は幾らですか。
  110. 武田功

    武田(功)政府委員 三十九年度の純増目標は二千七百億でございます。
  111. 森本靖

    森本委員 四十年度の純増目標と、それからそのPRの四億一千万円に匹敵する金額は幾らですか。
  112. 武田功

    武田(功)政府委員 四十年度は、純増目標を三千八百億と立てまして、予算といたしましては、周知奨励費は五億五千八百四十八万円でございます。
  113. 森本靖

    森本委員 これは普通の銀行、その他いわゆる金融機関におけるこういうPR費用というものを研究したことがありますか。
  114. 武田功

    武田(功)政府委員 ちょっと手元に資料を持ち合わせてございませんけれども、いろいろと奨励関係者において調べさせております。
  115. 森本靖

    森本委員 三千八百億円の純増目標に対して、五億五千万円のPR費用というのは、一般の市中銀行その他と比べて非常に見劣りがするPR費用じゃないですか。一般市中銀行その他については、どの程度使っていますか。
  116. 武田功

    武田(功)政府委員 民間銀行はいろいろとはでにやって、たくさん使っていらっしゃるように思いますけれども、各社ともこれは公開しておりませんので、なかなか正確なものは出てまいりませんが、確かに郵貯とは比較にならないと思います。
  117. 森本靖

    森本委員 私はこの郵便貯金というのは、国家がやっておるということの上にあぐらをかいてはならぬと思うのです。ややもすると国家がやっておるという一つの信用だけで郵便貯金を持っていこうとするから非常に無理がいく。これはやはり一般の銀行預金あるいはその他の債券等とも比べても、定額郵便貯金あたりは絶対に損にならぬのだ、確実だ、いまのいわゆるオープン投資なんというものと比べても、元利が保証されておるという面からいったならば、決してこれは損にならぬのだというふうなPRというものが、郵便貯金についてはほとんどなされておらぬ。これは三千八百億円の純増目標に対しては、もっともっとPR費用を使うべきではないか。先ほど来問題になっておりました貯金会計が、赤字赤字のときは別として、百四十九億も剰余金が出るという段階において、いまのようなPR費用で一体何をするか、私は郵便貯金の宣伝というものをいまだかつて見たことがない。新聞の折り込み一つ見たわけじゃなし、あるいはテレビ、ラジオで聞いたこともめったにない。たまに大相撲のときに一つぐらいやるだろうが、その程度であって、郵便貯金というもののPRというものをほとんど見たことがない。こそこそ、こそこそと、何かPRをやっておるのじゃないか。もっと大々的に、国家がやっておるものでありますから、もっと明るいやり方があるのではないか。それがためには、この三千八百億円のうち五億五千万円のPR費用じゃとてもじゃないけれども足らぬでしょう。もっともっとこの宣伝というものを考えていくべきではないかというふうに考えるのです。貯金局長もひとつこの際はち巻きを締めて、こういう問題については一生懸命やるようにやってもらいたい、こう思うのですが、どうですか。
  118. 武田功

    武田(功)政府委員 確かに御指摘のように奨励費としては決して十分でございません。ただ、私どもも国の機関でございますので、あまり誇大広告等にならないようにつとめておりますが、いろいろとチラシその他も非常に大きなポスターにいたしまして、局前に掲示をしておるとかやっておりますので、先生のお目にとまることもきっとあるかと思いますけれども、今後とも特にマスコミを動員するとか、あるいは地域団体的な方面に強く働きかけるとかということにつとめたいと考えております。
  119. 森本靖

    森本委員 これはやはり郵政省がテレビとかラジオとかそういうものを使わぬというのはふしぎでならぬ。いまスポンサーの時代ですよ。大蔵大臣でさえスポンサーをつけて盛んにやっておるわけであって、あれはけしからぬと思うのですが、これはまた別の機会にやりますが、とにかく郵政省としても、もっともっと私はテレビドラマあたりを使ってもいいと思うのです。これは一回何かおじいさんが死ぬドラマで、死ぬときに、郵便貯金の通帳を出したというので、それはたしか十万円か二十万円ドラマに出して宣伝をしてもらったということを私はたしか聞いております。そういうことも非常に大きな効果があがっておるわけです。そういう面における宣伝というものがほとんどなされておらぬ。やはり局前にポスターを張るのも大きな宣伝でありますけれども、あのぼろぼろのいなかの特定局の前にポンと大きなポスターを張ったら、全くちぐはぐですよ。ポスターだけよくて、局舎はぼろぼろで。もっともこれは国がやっておるということですから、貯金はいたしますけれども、私は郵便貯金のRRというものをほんとうに真剣に考えてもらいたい。奨励というものは、単なる従業員のけつをたたくだけが奨励ではない。やはり、特に郵政省として、ああいう方面のマスコミのテレビとかラジオというものをもっともっと使っていいんじゃないかというふうに私は考えるわけでありますので、その点をひとつ今後貯金局としても十分に考えてもらいたいと思うわけであります。  そこで三千八百億円という純増目標でありますが、この純増目標の三千八百億円というものを大体各郵政局に割り当てる場合には、その方面の人口あるいは経済、あるいは前年度のもの、こういうものを見て各郵政局に割り業てるわけでありますが、この郵政局まで割り当てるのはいいのですが、今度郵政局から冬郵便局に割り当てる場合に、集配局はある程度純増目標を持つことは私はやむを得ない、これは何だかんだと言っても、目標というものがなければ成り立ちませんので、集配特定局以上には私はある程度目標を課することはやむを得ないと思う。しかし無集配特定郵便局にこの貯金の純増目標の設定をして、その目標額に足らないところは成績が悪い、こういうことのランクをつけることは私はどうかと思う。要するに、郵便貯金の性格から、積立郵便貯金については、確かに外務員が宣伝をしたPRの腕によってその成績が大きく違ってくるわけでありますから、その面における目標額に対して成績が悪いものは悪いということは言えると思いますけれども、あとの通常郵便貯金あるいは定額郵便貯金については、これは無集配郵便局においては窓口で持ってくる人を持つよりほかに方法がないわけであります。勤務時間中その他のところへ取りにいったところでどうにもできないわけであります。そういう点になると、先ほど来私が言っておるように、郵政省PRがうんとかかってくるわけでありますから、これを私は、無集配特定郵便局のいわゆる純増目標設定ということはやめてもらいたい、こう思うのですが、どうですか。
  120. 武田功

    武田(功)政府委員 無集配特定局におきましては、やはり窓口預入、特にいま御指摘のように定額の窓口預入は非常に大きなウエートを占めております。これは出ていって勧奨するということもあるいはあるかとは思いますが、たとえば窓口に恩給を取りにきたとかいう方に一声声をかけて、それを振りかえてまた預入してもらう、あるいは定額を買ってもらうということが非常に大きな役割りを占めておるのでございます。したがいまして、私どものほうも、目標額を設定すべきかどうかとは多年議論がございまして、いろいろやりました結果でございますが、やはり一つの働く目標額というものを立ててやっていくことがいいし、また、そのことをもって、一声声をかけるところをかけずに済ませればそのままになってしまう、そこを一声声をかけると、気持ちよく定額を買っていただくだろうということになりますものですから、目標額もやはり設定をしていきたい、こう考えております。  なお、目標額につきましては、ただいまのところ、昨日現在でも三千八百億をこえておるようなことでございまして、大体来年の目標もそう無理な目標額ではない、こう私は思いますので、御指摘もございますけれども、私どもとしては、一応目標額は設定していきたいと思っております。
  121. 森本靖

    森本委員 いまあなたのおっしゃったことを一一反駁するわけじゃありませんけれども、それじゃいま定額郵便貯金募集手当は幾らですか。
  122. 武田功

    武田(功)政府委員 千分の六でございます。
  123. 森本靖

    森本委員 千分の六の定額貯金の手当があって、窓口にすわっておって、この人は定額貯金に入ってくれそうか入ってくれそうでないかということは、窓口の当務者はよくわかりますよ。入ってくれそうな人に声をかけないということはありませんよ。一声かけたら、すわっておってそれだけの手当が入るのだから、あなたは大体郵便局の窓口にすわったことがないものだから、そういう答弁をする。無集配局の窓口において、この人だったらもう一声かけたら入ってくれるという人は、必ずみんな声をかけていますよ。そうしないと、あそこの窓口の為替貯金の当務者は現金出納手当しか手当がないのだから、定額郵便貯金手当というものは大きな一つの収入なんです。だから、言わなくてもみんな声をかけていますよ、現実に自分の得になるのだから。それをあなたのほうは、あまりやらぬというようなことを、考えておるかどうか知らぬけれども、無集配特定局に目標額というものを課して、その目標額を一体どういうふうに無集配特定局がこれをかせいだらいいのかということになりますと、無集配特定局の場合は、集配局と違って募集に行くわけにはいかぬのですよ。だから純増目標ということを無集配局にやかましく言うものだから、中には無集配局へ貯金を引きに行ったら苦い顔をする、貯金を引かすことは引かしてくれるけれども、何だかんだ言ってなかなか引いてくれぬ、同じ引くくらいなら本局へ行って引いてくる、こういうことになりかねぬ。だから、しょうがないものだから、無集配局で引いたらきげんが悪いものだから、ちょっと本局の大きな普通局へ行って引いてこようかということで、わざわざ引きに行かなければならない。そういうことになると、今度は逆にもう預けぬ、こういう現象も出てきておる。だから無集配特定局に対して集配局以上と同じように純増目標というものを与えるということはどうもおかしい。いま貯金局長が言ったように、一声も二声もかけるということは、自分が得になること、だから、みんな声をかけていますよ。それは無集配特定局の窓口ですわっておったらよくわかります。だから、そういう純増目標を立てて無集配特定局に対してやかましく言うということは、かえって、ややもすると貯金の払い出しについて非常にきげんが悪い、引けぬようなら預けまいということになるわけであります。だから、その点は十分に考えて行政指導をやっていかないと、逆効果になっておる。たとえば高知市内なら高知市内の無集配特定局が二十幾つあるわけでありますが、定額貯金を預けるときはそこへ預けても、引き出すときは本局へ行くということになりかねぬ。そういう現象か無集配局には非常に多い。だから、預けに来た人にはサービスよく預け入れを受けるけれども、引き出しにきた人にはサービスが悪いということが、これは冗談でなしに非常にあるわけであります。というのは、自分の局の成績が下がるものだから自然そういうサービスになる。このことは、単なる、いま貯金局長が言ったように机上の問題ではなしに、現実の問題としてそういうことがあり得るわけでありますので、一応純増目標というものは、去年の目標額がこの程度であったからまあこの程度だということは、これはやってもしかたがないけれども、その目標額に達しないものは、おまえのところの成績は乙だとか丙だとかいうふうにランクをつけるということになると、これは局長以下従業員頭にきてしまって、入るやつは極力入れようとするけれども、出すやつは極力押えようとする。そうすると、貯金を引きに行ったらきげんか悪い——これは無集配特定局へ行っておかみさん連中に聞いてごらんなさい。引きに行ったらきげんが悪いぞ、こういうのがいまの声なんです。だから郵便貯金というものは、われわれがいつでも預け入れができると同時に、いつでも簡易に引き出しができるというところに大きな意味があるわけであって、そういう点を十分に考えた場合に、この無集配特定局を集配特定局以上と一律に扱うといういまのやり方については、貯金奨励上一考を要するのではないか、この点でありますので、もう一度貯金局長からはっきりした答弁を聞いておきたいと思うわけです。
  124. 武田功

    武田(功)政府委員 お示しのような、あるいは弊害もあってはいけないと思いますので、私も今度現場の人たち意見をよく聞きまして、それも参考にしてやっていきたいと思います。  なお、ちょっとおことばを返すようでございますが、ただいま御指摘の他局預入の分でございますが、そういったような弊害があってはいけないと思いまして、指導上は、募集成績と申しますか、その算定上他局預入の分をはずさせて報告させるというようなことをしております。
  125. 森本靖

    森本委員 他局預入をはずすというのはどういう意味ですか。
  126. 武田功

    武田(功)政府委員 先ほど御指摘になりましたように、たとえば定額の場合でございますが、Aの局で入れた貯金を本局に行って引くというお示しがありましたが、そういう場合は、その本局で落ちる分は他局預入、こういうような注をつけまして月報のときに出させております。たとえば東京管内でも、二、三特定局を見て回りましたところが、旬間報告のところにカッコ書きいたしまして出させてておりまして、そういうことは無理があってはいけないと思いまして郵政局も配意いたしております。
  127. 森本靖

    森本委員 しかし、それは他局預入ということであっても、そのAという無集配局の純増目標というものは決して落ちないということになるのでしょう。普通局のほうのいわゆる引かれたものの成績は下がらないけれども、無集配特定局のほうはよそで引いてもらったほうがいいでしょう。純増目標が下がらぬでしょう。
  128. 武田功

    武田(功)政府委員 そういう意味では仰せのおりでございます。
  129. 森本靖

    森本委員 結局それは普通局のほうの成績云々であって、無集配特定局のほうは、自分のところで引かれたら純増目標が上がってこないということになるわけでありますので、そういう点をいろいろ勘案して、とにかく無集配局と集配局をなべて一律に目標を課するということは、私は貯金奨励上十分に考えていかなければならぬというふうに考えるわけでありますし、それから、いまの人口動態というものをよく考えてもらいたい。たとえば私の選挙区の高知県あたりでは、年々人口が減っておるわけでありまして、人口のふえておりますのは高知市だけで、あとの市町村は全部人口は年々減っていっておる。ひどいところになりますと、年に五千人、六千人と人口が減っておるような山村の地域があるわけでありますが、そういうところもそのままの目標が課せられていっておる。だから、これは非常にちぐはぐになっておる。そういう点、いまの経済状態に合うような形の目標の設定額をやっていかないと、結局はけつたたきになるおそれがあるということをひとつ十分に考えていってもらいたいということを特に要望しておきたいと思います。  それから郵便振替貯金の問題でありますが、この郵便振替貯金PRの費用というものは三十九年と四十年でどの程度使っておりますか。
  130. 武田功

    武田(功)政府委員 それは大体貯金全体としてやっておりますので、振替でどのくらいとか為替でどのくらいということは、ちょっと申し上げかねますけれども、確かに振替のほうは、たとえば本省でつくっておりますパンフレット類にいたしましても、非常に少ない額でやらざるを得ないという事情でございます。
  131. 森本靖

    森本委員 その答弁でみんなわかるのかね、聞いておって。郵便振替貯金PR費用が——先ほどの為替貯金のやつは三十九年は四億円あって、それから四十年度に五億ある。だから振替貯金については幾ら程度あるか、こういうことです。
  132. 武田功

    武田(功)政府委員 貯金奨励施設費、こういう名目ではございますが、実際やります場合は貯金振替も為替も全部込みにしておりますから、その中に入っております。
  133. 森本靖

    森本委員 この中に入っておる中で、それじゃ振替についてのPRはどの程度になっておるか。
  134. 武田功

    武田(功)政府委員 私のほうは為替で幾ら、振替で幾らというふうに分けた使い方をしておりません関係で、数字を申し上げかねます。
  135. 森本靖

    森本委員 それなら、その振替貯金についてのPRをした実績を説明願いたい。振替貯金については、これだけ便利な制度を一般の国民に宣伝するということを私は一つも見たことがない。
  136. 武田功

    武田(功)政府委員 ポスターなどにはやっております。たとえばこういうような振替貯金の利用案内というような案内書を配りましてやっておりますが、これは非常に少のうございますので、先生のお目にとまらなかったかもしれません。
  137. 森本靖

    森本委員 それは三十九年度でしたか、いまのパンフレットは。
  138. 武田功

    武田(功)政府委員 私が持っておりますのは三十八年度の分でございますが、大体毎年これをつくっております。
  139. 森本靖

    森本委員 それでは、三十九年度はどの程度ですか。
  140. 武田功

    武田(功)政府委員 枚数で申しますと約五万くらいかと思います。
  141. 森本靖

    森本委員 五万といいますと、大体郵政局管内にいくのが何でも二十分の一ですから、その五万の二十分の一のその四分の一では何ぼになりますか。
  142. 武田功

    武田(功)政府委員 六百くらいかと思います。
  143. 森本靖

    森本委員 それは年にその程度ですか。一県にその六百程度の振替のパンフレットがいく。高知県内に郵便局か二百十何局あります。そういたしますと、一局当たりそのパンフレットが一枚か一枚半、二枚くらいになります。その程度PR費用になるわけですか。それ以外にはやってないのですか、振替貯金PRは。私は、こういうことを別に意地悪く言っておるわけじゃないのであって、実は振替貯金ほど便利で、安全で、確実なものはない。にもかかわらず、郵便振替貯金におけるPRというものはほとんどなされておらぬ。これは実際に送金する場合でも、業者はみなよく知っておるから、その振替口座に入って宣伝をする。ところが、実際に送金する場合に、そういう制度を知らない人もあるので、この郵便振替貯金というものをもっと宣伝すべきじゃないか。金利その他の点についても、その他の送金方法と比べたならば、振替貯金は決して損にならぬ。これだけ便利で確実なものはない。私に言わせますと、そのPRが全くされておらぬ。この郵便振替貯金は、今回の法律改正に基づいてさらに便利にもなりますし、あるいはまたサービスもするわけでありますから、これを機会に、郵便振替貯金というものはこういうものでございますということを、ひとつ大々的に宣伝をしてもらいたい、こう思って聞いておるわけでありまして、こまかい質問は、まま子いじめみたいなことはやめますが、今後この振替貯金PRということについては積極的に乗り出してもらいたいと思うわけですが、どうですか。
  144. 武田功

    武田(功)政府委員 御説のとおり、いままでPRがたいへん十分でございまして、今度提案申し上げておりますように、定期継続振替制度ができますと、これはいろいろな方にお入り願わなければならない。そのためにも振替振興策の一助としてこれを考えた次第でございますので、お示しのように、簡単にしてわかりやすいパンフレットを配るとかポスターをつくるとかできるだけやっていきたいと思います。
  145. 森本靖

    森本委員 特に今回、あなたのおっしゃったように、定期継続の振替というものは、かなりPRしていけば、業者にも喜ばれるし、一般の国民大衆にも喜ばれるということでありますので、十分にそういう点についてはPRをお願いしたい。  それから、今回の改正によりますところの天災等による被害者に対する寄付金の料金は免除する。金額は総計で百万円にも足らない金額でありますけれども、やはり郵政省としてこういうことをやっているということを、一般の人にもよくPRをしていくべきである、こういうように考えるわけであります。ただ私は、大臣に申し上げておきたいと思いますことは、こういうふうな料金を免除するということはまことにけっこうなことでありますけれども貯金事業特別会計として先ほど言ったように約百四十何億という剰余金が出ております。しかし郵政事業特別会計として五十六億円の赤字であるという形になっているわけでありまして、こういう趣旨は、私は非常に賛成でありますけれども、本来ならばこういうものの金額は、一般会計から貯金事業特別会計繰り入れをすべき問題だろうと思います。そうしておいて貯金事業特別会計における収支決算において剰余金が出てくれば、この剰余金をどうするということは、それは別であるといたしまして、金額が五十万か百万でありますから大した問題ではないといたしましても、これがその他に出てくる可能性がある。たとえば郵便事業における問題、そういうことに出てきますと、国鉄の運賃の問題と関連があるわけでありますので、一応こういう問題については、積もり積もって重なってきた場合には、金額が大きいことになりますから、本来ならば、原則としてはこういうものは一般会計から繰り入れをすべきである。しかし金額が些少であるし、大したことはないのでこれは貯金事業特別会計においてまかなえるけれども、本来ならば一般会計から繰り入れをしてやるべきであるということを確認した上でこういう措置がとられることを大臣から答弁をしておいてもらいたい、こう思うわけです。
  146. 徳安實藏

    徳安国務大臣 郵政事業に対しまして非常に理解のあるお話を承わり、私どもPRの費用が多過ぎるのではないかといってしかられるのではないかと思っておりましたが、少ないからもっと出せという野党の諸君のそういうお気持ちはよくわかります。私は大蔵省で締められて、国営事業のものですからじみにじみにとやって、少しじみ過ぎたと思いますが、そういう理解のある御協力がありましたから、今後はサービスの点につきましても、もっと積極的に乗り出すように努力したいと思います。  それから、ただいまの無料で年間百万円あるいは九十万円程度のもの、筋から言いますれば一般会計からまかなうべきだというお説、私どもも実はさように思うわけでございます。ただ、現状におきまして、金額もあまり多くないものでございますから、サービスというたてまえ、そして国家事業であるというたてまえ、並びにこういう場合には、私どもも少しは犠牲を払って協力すべきだというような精神からこういう処置が出ておるわけでありまして、筋としましては、お話のとおりだと思いますけれども、一応今回の改正にあたりましては、私どもサービスである、国家機関として協力すべきだという観点から一応こういうぐあいにしたということをひとつ御了承いただきたいと思います。
  147. 森本靖

    森本委員 これは三時間も四時間も質疑がありますけれども、一応予定の時間がきましたので、私の質疑はこれで終わりといたしますが、この郵便貯金法の一部改正、それから郵便振替貯金法の一部改正については、今回はほとんど事務的な改正にとどめているわけであります。ただ、政治的な改正としてこの百万円の問題だけに立ってくるわけでありますが、しかし、事務的な問題でありましても、非常に重要な内容を含んでいることでありますので、これを今後実行、施行していくときには、当委員会における質疑応答というものをなおざりにせず、これを忠実に答弁の方向において実行していくということをお願いしたい。同時に、あくまでもこの郵便貯金と振替貯金というものは国民のものであるということを念頭に置いて、サービス改善をより積極的にせられることを要望いたしまして、私の質疑は終わります。
  148. 内藤隆

    内藤委員長 次会は来たる十一日午前十時から理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十分散会