運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-04-13 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月十三日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 亀山 孝一君 理事 久保田円次君    理事 田川 誠一君 理事 藤田 義光君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    奥野 誠亮君       亀岡 高夫君    島村 一郎君       武市 恭信君    登坂重次郎君       村山 達雄君    森下 元晴君       森田重次郎君    山崎  巖君       秋山 徳雄君    井岡 大治君       華山 親義君    細谷 治嘉君       門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 吉武 恵市君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  鹿野 義夫君         通商産業事務官         (企業局産業立         地部長)    馬郡  巖君         自治政務次官  高橋 禎一君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         消防庁長官   松村 清之君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   平井 廸郎君         建設事務官         (計画局地域計         画課長)    秀島 敏彦君         建設事務官         (道路局道路総         務課長)    朝日 邦夫君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 四月十三日  委員武市恭信辞任につき、その補欠として福  永健司君が議長指名委員に選任された。 同日  委員福永健司辞任につき、その補欠として武  市恭信君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月九日  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇九号)(参議院送付)  は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月十二日  交通安全対策確立に関する陳情書  (第九号)  町村職員処遇改善のための財源措置に関する  陳情書(第一〇  号)  退職市町村職員年金増額に関する陳情書  (第一一号)  特別区の自治権確立に関する陳情書  (第一二号)  地方自治法施行令別表改正に関する陳情書  (第一三号)  消防職団員処遇改善等に関する陳情書  (第一四号)  地方交付税税率引き上げに関する陳情書外十  件(第一五  号)  地方財政窮乏打開に関する陳情書  (第一〇一号)  地方交付税の繰入率引き上げに関する陳情書  (第一〇二号)  地方公営交通事業経営改善に関する陳情書  (第一〇三号)  府県財政充実強化に関する陳情書  (第一〇四号)  地方交付税増額に関する陳情書  (第一〇五号)  交通事業赤字棚上げ等に関する陳情書  (第一〇六号)  地方道路譲与税交付等に関する陳情書  (第一〇七号)  地方自治確立等に関する陳情書  (第一六四号)  同外一件  (第  二一四号)  消防法の一部改正に関する陳情書外一件  (第一六五号)  信用保証協会に対する出捐金普通地方交付税  の基準財政需要額に算入に関する陳情書  (第一六六号)  道路交通法の一部を改正する法律案反対に関す  る陳情書  (第一  六七号)  自動車税引き上げ反対に関する陳情書  (第一六八号)  地方税滞納処分のできる使用料範囲明確化に  関する陳情書  (第二〇八号)  地方公営企業健全化に関する陳情書  (第二  〇九号)  地方財政健全化等に関する陳情書  (第二一〇号)  地方議会議員退職一時金制度法制化に関する  陳情書外二件  (第二一一号)  町村自主財源強化に関する陳情書  (第二一二号)  町村自主財源拡充強化等に関する陳情書外一  件  (第二一三  号)  交通安全対策補助金増額に関する陳情書  (第二一五号)  警察官増員に関する陳情書  (第二一六号)  高等学校施設整備事業に対する地方債増額補正  に関する陳情書  (第二一七  号)  交通安全運動民間協力者交通災害に対する補  償の法制化に関する陳情書  (  第二一八号)  交通事故防止対策確立等に関する陳情書  (第二一九号)  地方自治法の一部改正に関する陳情書  (第二二〇号)  法令外負担金寄附金規制に関する陳情書  (第二二一号)  後進地域に対する国の特別措置に関する陳情書  (第二二二号)  後進地域開発に関する公共事業に係る国の負  担割合の増加に関する陳情書  (第二二三号)  国と地方との事務再配分に関する陳情書外一件  (第二二四号)  大型ハイヤー自動車税増税反対に関する陳情  書外三件  (第  二二五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇九号)(参議院送付)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出第一一三号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案安井吉典君外九名提出衆法第五号)  新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のた  めの国の財政上の特別措置に関する法律案(内  閣提出第四五号)      ――――◇―――――
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  去る九日参議院から送付されました内閣提出にかかる消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案議題とし、政府から提案理由説明を聴取いたします。吉武自治大臣。      ————◇—————
  3. 吉武恵市

    吉武国務大臣 今回提案いたしました消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容概要を御説明申し上げます。  火災をはじめ各種災害は、依然増加の一途をたどり、しかも昨年来相次いで起こった危険物施設の大事故の例が示すように、その態様はきわめて複雑かつ大規模の様相を呈しております。  そのため、多くの痛ましい犠牲者を出し、ばく大な国富が灰じんに帰しており、国民に大きな不安を与えておりますることは、まことに遺憾であります。  よって、消防法及び消防組織法について、これを最近の事態に即応さすべく必要な改正案提出した次第であります。  以下この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。  まず、消防法についてでありますが、第一は、危険物規制を強化すべく各種措置を講ずることといたしたことであります。  言うまでもなく、石油類に代表されるいわゆる危険物は、それ自体引火性発火性を具有しているものであり、一たび火災に見舞われました場合、延焼速度が早いためその消火方法が著しく困難で、多大の損害を生ずる危険なものであります。  この取り締まりは、早くから消防法令に基づき消防機関によって行なわれてまいったのでありますが、なお一そう適正かつ効果的な取り締まり行政の遂行を期するため、次のような改正を行なうことといたしました。  すなわち、一定危険物施設には、施設保安員を置かせ、施設に対する保安業務をさせること、また、一定危険物施設には火災の危険を排除すべく予防規程の作成を義務づけること、一定規模以上の危険物施設所有者等には公設消防機関消火活動を始めるまでの間のいわゆる初期消火に当たるため、自衛消防組織を置かせること、きわめて火災危険度の大きい違法な貯蔵施設または取り扱い施設に対して、市町村長等危険排除命令を出すことができるものとすること、その他、危険物の製造、貯蔵及び取り扱い等基準及び取り締まり合理化をはかるための規定整備を行なうことといたしたことであります。  第二に、初期消火安全避難等に多大な効果を有しているいわゆる消防用設備等の設置の工事及び整備業務の多くが、きわめて粗雑あるいは不適切に行なわれております現状にかんがみ、新たに一定の知識及び技能を有する者をして担当させるべく消防設備士制度を設けたことであります。  これにより、消防用設備等の本来の効果の発揮がより確実に期待できるものと考えられます。  第三に、消防法違反に対する罰金刑でありますが、本法は、その制定以来すでに十七年の年月を経過し、罰金の額が他の類似の法令のそれに比較して低額でありますので、このふつり合いを是正し、現状に相応した額に引き上げることといたしております。  その他、屋外の火遊び等に対する消防長等命令制度拡充消防庁長官火災原因調査権法定等、一連の規定整備をはかることといたしております。  次に、消防組織法改正についてであります。  第一は、地震、台風、水火災等非常事態の場合に、これらの災害の発生した都道府県内の消防力をもってしてはこれに対処できない等の特別の事情がある場合においては、当該都道府県知事の要請により、消防庁長官は、他の都道府県知事に対し、災害発生市町村消防応援のため必要な措置を講ずることを求め得るものとし、応援のため出動した市町村消防機関職員に対する指揮系列を明確にすることにより、消防応援体制確立を期することといたしました。  第二に、いわゆる広域消防推進の一環として、市町村相互間の広域にわたる相互応援の合理的な促進をはかり、並びに、最近重要性を加えつつある救急業務、特に今後増加を予想される高速道路における救急業務の円滑なる推進をはかるため、都道府県所掌事務に所要の改正を加えることといたしました。  その他、消防職員及び団員の資質の向上のための教育訓練に関する規定を加える等規定整備を行なうことといたしました。  以上が、この法律案提出いたしました理由内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 中馬辰猪

    中馬委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  なお、本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  5. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に、内閣提出にかかる地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案、及び安井吉典君外九名の提出にかかる地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし質疑を行ないます。  質疑通告がありますのでこれを許します。奥野誠亮君。
  6. 奥野誠亮

    奥野委員 地方議会共済会制度の問題に関連いたしまして全国都道府県議会議長会全国市議会議長会全国町村議会議長会の三団体から退職一時金制度法制化についての要望がなされているわけでございますけれども政府においてこれを御存じであるかどうかお伺いしておきたいと思います。
  7. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ただいま奥野先生から御指摘になりました点は、前々から三団体よりしばしば陳情を受けておりまして、私どももその必要を実は感じておるところでございます。
  8. 奥野誠亮

    奥野委員 三団体からのお話を伺っておりますと、六割以上の議員の方々は掛け金の掛け捨てと言いましょうか、結局受給年限の十二年以上在職という姿にはなっていないように承知しているわけでございます。半数以上がこの法律規定されております共済会の対象にならない結果になっている。もしそれが事実であるとしますならば、やはり制度上問題がある、こう言わざるを得ないと考えるわけでございます。事務当局は見えていないようですが、六割以上のものが掛け捨てになっていることが事実であるかどうか、もし大臣承知でありましたならばお教えいただきたいと思います。
  9. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、はっきりした数字は覚えておりませんけれども半数程度の者が掛け捨てになっておる。これはいかにも不合理であるから何とかしてくれという陳情をしばしば受けておって、実はもっともなことだ、かように存じておる次第でございます。
  10. 奥野誠亮

    奥野委員 三団体要望を伺っておりますと、一時金制度をとってもらいたい。そのかわり自分たち掛け金を二%引き上げてもらってけっこうだ。同時に受給年限に達しないで退職する場合の一時金の内容も、在職年数に応じてかけた金額の七割から九割を支給してもらえばよろしいのだ。こういうような要望になっているようでございます。その範囲に関します限りは、掛け金を引き上げることによってこれらの退職一時金を支給しても、長期的にはむしろ若干のおつりが出るのだという保険数理計算になっていると伺っているわけです。  さらに言いかえれば、このような内容退職一時金制度を採用した場合に、地方公共団体財政負担がいささかなりとも加重されることはないのだというようなことのようであります。これも事実であるかどうかお伺いいたしたいと思います。
  11. 吉武恵市

    吉武国務大臣 しばしば陳情を受けましたときに私どもも感じましたことは、現在の制度の中に食い込んで一時金を出すということになりますと、いわゆる共済基金としての財政上困りはしないかという点を一つ考えておったわけでありますが、御指摘のように、陳情しております三団体も、その中に食い込むということは、それはおっしゃるとおりである。だから自分たちはそれ以外に若干の掛け金をして、それによって一時金の制度をつけ加えれば非常に合理的にいくのではないだろうかというお話でございまして、私はごもっともだ、それがどの程度掛け金にして、そうしてどの程度の一時金にしていいかという具体的なところまでは実はまだ私ども検討は進んでおりませんけれども構想としてはそうあるべきじゃないか、かように存じております。
  12. 奥野誠亮

    奥野委員 大蔵省平井主計官がおられるようでございますが、大蔵省のほうでも、この部分について保険数理に基づいた計算をしておられるように伺っておるわけでございます。大蔵省側で、私が申し上げましたような結果が得られているかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  13. 平井廸郎

    平井説明員 実は保険数理のほうは給与課でやっておりますので、私ども、率直に申しまして保険数理はどの程度の答えが出ておるか存じておりません。ただ基本的な考え方といたしまして、ただいま御指摘のございました一時金の支給財源掛け金によってまかなわれる、いわゆる国の負担増高を伴わないというものであるならば、制度的に見て大蔵省としても特に反対考えはないということは省内での一致した考え方でございまいます。
  14. 奥野誠亮

    奥野委員 大蔵省の側でも、そのような三団体要望を実現することについては、特段の反対はないというようにお伺いをいたしたわけでございます。いろいろ自治省事務当局などに伺っておりますと、現在の議員退職する場合に、記念品が支給される。この記念品が単なる記念品にとどまらないで、給与の代替のようなものがあったりしていろいろと紛議を招いている。もし退職一時金制度ができるならば、それによっていままでのようなごたごたした問題が解消していくんじゃないだろうか、そういうような副次的な効果も生まれてくるんじゃないだろうかということも伺っておるのでございますけれども、この点についてそのようなお考えがあるかどうか確かめておきたいと思います。
  15. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ただいま御指摘のとおりでございまして、そういうことになりますといろいろの点が解消していくんじゃないか。実はまだ私ども具体的の内容まで入っておりませんけれども考え方としては御指摘のとおりでございます。
  16. 奥野誠亮

    奥野委員 いろいろお尋ねしてまいっておりますと、三団体要望をむしろ政府案として提案をしてきてもよかったのではなかろうか、かように考えられるわけでございます。しかしながら、おそらく政府案として提案しようとするならば、国会議員互助年金制度との関係があって、なかなか提案しにくいという立場もおありではなかっただろうか、かように推測するわけでございます。しかしながら、現在地方議会議員共済会掛け金が五%であるのに対して、国会議員互助年金のほうは四%であったり、地方議会議員の場合には五十五歳未満でありますならば全額支給されないのに対して、国会議員の場合には五十歳をこえていれば一部が支給されることになっているとか、かなり制度内容に食い違いがあるわけでございますので、必ずしも常に同一歩調で進まなければならないという性格の問題ではないんじゃなかろうか、かように考えるわけでございますけれども、この点について政府側のお考えを一応伺っておきたいと思います。
  17. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私ども実は国会との関係でもたもたしているわけではございませんで、制度として設ける以上はいろいろ内容的に慎重の上にも慎重の検討を要するということで慎重審議をしておるということでございまして、おくれておるわけでございます。三団体からも非常に熱心な陳情もございまするし、聞いてみますとごもっともな点もございまするので、要望に沿うということは民主主義の政治のやり方ではないかという感じをしておるわけでございます。
  18. 奥野誠亮

    奥野委員 先ほど、自治省事務当局が来ておられなかったものですから、政府側のお答えが少しはっきりしない点がありましたので、重ねてその点について伺っておきたいと思います。  地方議会議員につきまして、退職一時金制度を三団体要望の線に沿って制定をした場合に、もし掛け金を二%引き上げるならば、三団体の言います七割から九割の一時金を支給することにしても、地方公共団体財政負担にはね返ることは全然ない、長期的に見た場合にはむしろ若干おつりが出るくらいであるというような保険数理に基づいた計算になっておるように聞いておるのでございますが、そのとおり了解してよろしいかどうか。
  19. 佐久間彊

    佐久間政府委員 そのとおりでございます。
  20. 奥野誠亮

    奥野委員 いろいろと質疑をかわしているうちに、大体自治省におかれても、あるいは大蔵省におかれても、地方議会議員退職一時金制度法制化することについてもっともな事由があるようだ、したがってまた、そういう内容について政府としても反対はないというように伺えたのでありますが、このことを重ねてお尋ねをして、私の質問を終わらしいただきたいと思います。
  21. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この問題につきましては、かねがね関係議長会のほうからの要望もございましたので、私ども事務的にも検討をいたしてまいったのでございます。本国会政府提案の形で御審議をいただくという運びまでにはまいりませんでしたけれども事務的に検討をいたしましたところでは、ただいま先生のおっしゃいますようにもっともな点もございまするし、計算的にも先ほど御答弁申し上げましたように、成り立ち得るものであるという見通しを持つに至った次第でございます。
  22. 秋山徳雄

    秋山委員 せっかくただいま御丁寧な御質問が行なわれ、最も望ましい御答弁をいただいているわけですが、それに関連いたしまして一言だけお尋ね申し上げてみたいと思います。  目下市町村議会、あるいは府県議会の中で、かなり大きな声として浮んでおることの一つに、たまたま市町村議員から府県会議員にかわってくる場合、あるいはまたその他の、同じ部門ではないところに転進をする人たちかなり多いわけでございます。これらに対する通算制度というものを考えてほしい、こういうふうなことが多く言われておるわけでございますが、これらについて当局者はどういうようにお考えになっておりますか、この点をお尋ね申し上げたいと思います。
  23. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御指摘の点につきましては、一般職員の場合の共済組合制度制度のたてまえが違っておりまするので、現行法のもとにおきましては、現在ございまする年金につきましても、それらの団体相互の間の通算は認められていないのでございます。したがいまして、かりにただいま問題となって御質問ございました一時金を制度化するという場合におきましても、一時金につきまして相互通算をするということは、現行制度のたてまえの上に立って考えます場合にはむずかしい、かように考えておるところでございます。
  24. 秋山徳雄

    秋山委員 職員議員との関係もさることながら、同時にまた考えなければならぬことは、同じ議会でありましょうけれども財政の違う府県市町村というものがある。特にこれが合併市町村なんかになりますと、かつて町村議員だった者が今度は市議会議員になるという例もあるわけでございます。これらの区分が違うために、これらがそれぞれの形で打ち切られていくということになりますと、その人たちの特典というものが消えていくのではないかということも考えられるわけでございます。いまお話しの中にありましたように、各団体がそれぞれ裕福にしてお金が余っていくということであれば、当然そういうことも考慮に入れて配慮すべきではないかという心持ちもいたしてまいります。そういうことについてどういうお考えを持っておるか、再度御答弁をいただきたいと思います。
  25. 佐久間彊

    佐久間政府委員 現在のたてまえのもとにおきましては通算ということは考えておりませんけれども、御指摘のような御要望がございますことも承知をいたしておりますし、先生の御意見もございましたので、将来の問題として検討をしてみたいと思います。
  26. 秋山徳雄

    秋山委員 あとは私たちもより以上勉強さしていただいて、内容ども検討し、それからより以上の希望を申し上げたいと思います。したがって、各団体ごとにおけるいままでの経緯並びに財政の状態、こうしたものについて資料提出いただければ幸いだと思いますので、この際資料を要求しておきたいと思います。      ————◇—————
  27. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑通告がありますので、順次これを許します。佐野憲治君。
  28. 佐野憲治

    佐野委員 ただいま上程になっております新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案質疑に入ります前に、この財政上の特別措置に関する前提となってまいります新産業都市法並びに工特法につきまして、その母法であるこれらの法律がどのような背景、どのような経緯のもとに制定されてまいりましたか、この点につきまして経済企画庁のほうから一応御説明願いたいと存じます。
  29. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 新産業都市建設促進法ができました背景について御説明いたしますが、所得倍増計画の際に、国民所得が大体二倍というふうになりますと、工業生産高は約三倍をこえるものになります。そうしますと、現在の京浜地帯あるいは阪神地帯工業地帯ではなかなか収容し切れない面があり、必然的にかなり地方分散が必要ではないかというふうに考えられてまいりました。また一方では、国民経済発展とともに、中央と地方格差かなり大きく開いてきた。そういう意味で国全体として均衡のある発展をさしていく必要があるというようなことで、地方開発問題がかなり強く叫ばれてまいりました。当時自治省では地方基幹都市構想考えられたり、運輸省では重要港湾地帯整備計画を練られたり、あるいは建設省では広域都市という観念でいろいろ各地方開発計画されたりしたわけですが、いままでそういう各省それぞれの計画では、地方もまちまちの指導を受けてなかなかやりにくいという面もございますので、これを一本化した考え方にまとめて、地方開発を進めて、地域格差の是正をはかり、できるだけ人口分散をはかって、均衡のある発展を遂げていきたい、いういう観念で新産都市という法律ができたわけでございます。東京とかあるいは大阪の持つ大都市中枢管理機能としての役割りが非常に大きいものですから、どうしてもこれらの引力というものがかなり強くて、産業とか人口大都市に集中する傾向があるわけですが、そういう傾向に対抗して地方にある程度の力を持った産業都市を形成していかないと、産業及び人口地方分散をはかりながら、均衡ある発展がなかなかできにくいということから、かなり重点を置いたまとまった産業都市をつくっていこう、そういう観点から新産業都市が生まれてきたというふうに私ども考えております。
  30. 佐野憲治

    佐野委員 ただいまの御説明によりますと、産業人口の過度の集中を排除する、地域格差の是正をはかる、それと雇用の安定、こういう三つの柱をもってこの法律はできておるわけですけれども、そこでお尋ねいたしたいのは、そうした中にあって、所得倍増計画に基づく地域開発政策としてそういう当時の考え方があるといたしますならば、その中においてやはり重点となっておりますのは、工場の地方分散、過度集中の排除、このことが主たる目的になっているのか、あるいはまた地域格差の是正、ここに重点を置かれたのか、その点に対しまして、その二つの調和ある経済の発展均衡ある発展、こういうぐあいに法にはうたわれておりますけれども、そうした法案のできてまいりました背景というものは一体どちらに重点を置かれておったのかということも念のために伺っておきたいと思います。
  31. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 地域格差を分析して考えますと、ある面では、それは一次産業と二次産業格差のあらわれが地方ということであらわれてきていると思いますが、工業、農業の格差というものが地域的にあらわれてきて、それが一つ地域格差を形成しているというふうにもとれるわけでございまして、地域格差を是正するという愈味では、地方の所得水準を高めていくという面ではどうしても地方かなりの二次産業を興していく必要が出てまいるわけでございます。工業の分散あるいは地方開発というものは即地域格差ということであって、いわば一つのものを両面からとらえたような形になっておりますから、どちらがどうということではなく、両方一緒に考えて、いわゆる地域開発地方開発ということが考えられてきたというふうに申し上げたほうがよいかと思います。
  32. 佐野憲治

    佐野委員 そこでお尋ねしておきたいと思いますのは、昭和二十五年に国土総合開発法が制定されまして、その中で、国内資源の活用あるいは開発、国土の保全、それに対する具体的な目的がしるされていて、しかも昭和二十五年からこの法案が提案されました昭和二十七年ですか、この間に至りまして国土総合開発法に示しておる全国計画ができ得なかったのは一体どこに原因があったわけですか。
  33. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 国土総合開発法は、おっしゃいますように昭和二十五年に制定されまして、その後たしか昭和二十七年かに全国計画という事項を法律改正で織り込んだと思いますが、実際に現在全国総合開発計画ができましたのは、昭和三十七年の十月になってようやくでき上がったわけでございます。それまでは、国土総合開発法に基づきまして特定地域というものを指定して、主として全国の主要なる地域につきまして、いわば資源開発的なといいますか、電力とか、あるいは土地改良、開拓とかいったようなものを中心とした総合開発計画ができ、それによって各地方開発を進めてまいったわけでございますが、倍増計画の際に、一つの工業立地の構想としまして太平洋ベルト地帯といいますか、東京と阪神を結ぶ線を中心として工業が主として今後立地されるだろうというような考え方がいろいろ議論されまして、倍増計画の中にもそういう工業立地に対する考え方が織り込まれたような形になっておったわけでございますが、倍増計画を正式に決定いたす際に倍増計画に対する基本的な構想ということで、前文に、もっと全国の均衡ある発展をいたすためには、至急全国総合開発計画を樹立して、それに基づいて地方開発を進めるようにということが示されたわけでございます。そういう経緯を経まして、全国総合開発計画を至急つくることになり、ただいま申し上げましたように、三十七年十月に全国総合開発計画ができ上がったわけでございます。たいへん長い時間、全国総合開発計画ができないままにきたわけでございます。全国全体の構想計画として立てるには、ある意味では国民経済全体の長期的な計画がなければつくり得ないという面がありまして、全体として全国総合開発計画の作成がおくれてまいったというような事情でございます。
  34. 佐野憲治

    佐野委員 念のためさらにお尋ねをしておきたいと思いますのは、国土総合開発計画によりますと、やはり四つの計画を立てる。府県総合開発計画地方総合開発計画、特定地域総合開発計画、全国計画、こういうぐあいに法に規定されているもにかかわらず、特定地域の開発だけが先行してまいった。一体これはどこに原因があったかというと、当時における民主的なたてまえとして、いわゆる地方における資源の活用、開発、あるいはまた治山治水なり国土の保全、こういう本来の地域開発をうたっている、そういう中で一体府県総合計画なり、二府県にまたがる地方総合開発計画なんというのは、どういう形で進められておったか、この点に対しまして自治省のほうからもお聞きしておきたいと思います。
  35. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 おっしゃいますとおり、総合開発法には府県計画地方計画、特定地域計画と全国計画と四つの計画をつくるようにうたわれているわけでございますが、当時の事情といたしましては、やはり河川等を中心とする一つの水の総合的な利用ということが非常に強く叫ばれておりまして、電力も不足しておりましたし、また土地改良、開拓等のために水も非常に重要視されておりましたし、また災害等がかなり激しくありました時代でございますので、そういった意味で主として河川総合開発を中心としたような特定地域が最初に指定されまして、それによってまず地方の資源開発的な観点から、重点的に効率的に地方開発を進めようということで特定地域開発が先行したわけでございます。  その間府県計画につきましても、各府県でいろいろ御計画になってつくられてきておりますが、やはり府県計画を正式に国土総合開発法に基づく計画というふうにいたしますには、その母体になる全国的な計画がやはり必要ではないかというようなことから、全国的な視野から見る手段が欠けておったために、府県計画は各府県でそれぞれかなりのテンポでつくられておりましたが、正式な計画という、国土法に基づく計画というふうにはなってまいらなかった次第でございます。  地方計画につきましては、むしろ地方計画の代表的なものが、ある意味では特定地域開発計画という形で取り上げられてきたわけでございますが、地方の二県あるいは三県にまたがる計画というものは、事実上正式な手続を経てつくられてまいっておりませんでした。府県計画その他を正式な計画として国土法に基づいた手続を経て決定していくのは、やはり全国計画ができ上がりましたこれからの問題になろうかと思います。
  36. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 開発に関しまする立法の経過等につきましては、先ほど来鹿野局長からお答え申し上げましたとおりだと思います。私どもはこの計画的な開発という問題につきましては、ちょうど昭和三十年を前後とする地方財政の窮乏時を経過いたしました後において、全国的に地域格差の是正という問題が大きく取り上げられてまいりましたし、地方財政もいささか安定の兆を見せてまいっておりました際でもありますので、この際にやはりこれを大きく推進をする必要があるだろうというふうに感じておったわけであります。ちょうど政府全体といたしましても、先ほど話されました河水統制と申しますか、河川の資源の開発を中心とするものから、より大きな総合的なものを、個所を調べておったのであります。地方におきましては地方財政の窮乏を転機として、むしろ繁栄を求める道というのはやはり税源の涵養だ。それは即地域開発推進だということから、岡山の水島地区をはじめとしまして、あっちこっちで独自の計画が立てられて実際に推進せられておったのであります。それを私どもといたしましては、やはり盛り立ててやる必要があるだろうということで、先ほど来お話がありましたように確かに百万都市ということばで言われておりますが、その点で開発を進めていこうという考え方を持っておったのですが、たまたま関係各省におきましてはそれぞれの立場から、それぞれ総合的な開発計画というものをお持ちになり、これが政府部内でいろいろ総合調整されて、新産都市並びに工場整備特別地域という関係の立法に落ち着いた、こういうふうな経緯であろうというふうに承知いたしております。
  37. 佐野憲治

    佐野委員 私がはなはだ遺憾と思いますことは、昭和二十五年に国土総合開発法が生まれまして、戦争によって荒廃した国土をいかに開発するか、そのためにいい知恵をしぼり、住民も参加する。その中から府県計画が生まれてくる。あるいはまた二県にまたがる地方総合開発計画が生まれてまいる。あるいはまた特定地域を中心とするそうした開発計画、こう中から民主的な日本のいわゆる復興というものが考えられておったにもかかわらず、誘導する全国計画ができておらなかった。そのさなかで朝鮮動乱を迎えて特定地域総合開発計画が先行してしまった。しかしいま自治省指摘されるように、当時におけるところの財政その他の事情もあったのでしょうが、ともかく法のたてまえとすれば地方住民が積極的に参加する。そのもとで地域開発の具体的な計画を立てる。このことが一番肝心とされておったにかかわらず、その誘導計画ができてまいらない中で半身不随のような状態になってしまった。しかも全国計画は、昭和三十七年十月にようやく閣議決定がなされたという、こういうところに私、疑問を感ずるわけです。と申しますのは、新産都市法が国会提案されてまいったときに、全国計画もできてない。そういう中で新産都市法が国会提出されてまいりましたのはもっと大きな背景なり要請なり、こういうものがあったのではないか、こういうことを感ずるわけです。  そこで通産省の方もおいでになりますので一応お尋ねしておきたいと思いますが、通産省では昭和三十一年ごろから実地調査に対する予算を持たれて、全国的に調査を進めておられたわけですが、ちょうど国会提案されている前後だったと思いますが、通産省から工業立地の現況という書類が出されておるわけですが、こういう中で指摘されておりますことは、やはり日本の企業が、あるいは日本の工業が、国際競争に打ち勝って、今後進めていかなくちゃならないこの現況を、詳しくそこに述べて、特にやはり強調しておられるのは、この太平洋ベルト地帯、通産省が調査の結果明らかにされておるそういう地帯に、いわゆる工業立地、企業立地を求めなくちゃならない。そのために外国で言われているような社会福祉政策だとか、雇用政策、国防政策、こういうことにかまっちゃおれないのだ、それほどいま緊急した事態に直面いたして、日本の企業が国際競争に打ち勝つために、内部充実をはかってまいらねばならないんだ、こういうことが具体的に述べられておるわけですけれども、そういう考え方と、この新産業都市法、特に全国総合開発計画経済企画庁が立てられた計画と、一体通産省はそういう中で、新産業都市に対する構想に対しまして、どういう意見を当時持っておられ、今日も持っておられるか。この点に対してお聞きしておきたいと思います。
  38. 馬郡巖

    ○馬郡政府委員 御承知のように、だんだん自由化になってまいりまして、国際競争力の保持というのが非常に大きな命題でございます。これなくしては、今後日本の経済を進めることはできないということは御承知のとおりだと存じます。が、当時におきましては、御指摘になりました太平洋ベルト地帯において、工業を集中的に育てていこうという考え方かなりございましたわけでございますが、その後だんだん日本の工業が急速に発展してまいりまして、既存の工業地帯におきます過密状態というものが非常に激しくなってまいり、こういう異常な過密状態にあります都市におきまして工業を続けていくということは、いろんな面におきまして、かえって工業の生産能率自体を阻害してくるということでございまして、これを適正に、日本の適地適産というような考え方で適正配置をやっていこうという考え方をその後持ってまいりました。昭和三十五年だったと記憶しておりますが、通産省におきまして、工業適正配置構想というものを出したわけでございます。この工業適正配置構想によります各地域の生産額というものが、現在の国土総合開発計画の大体柱になっているかと思っておりますが、現在もそういう意味におきまして、新産都市なり、工業整備特別地域に対して、重点的に工業の配置を考えていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  39. 佐野憲治

    佐野委員 同じおたくの、通産省の企業局ですが、やはり三十五年版ですね。わが国の工業立地の現況、三十五年版。これには都道府県の設備投資実績というのが、構成比をもって示されておるわけですが、それと同時に三十六年かに出されました将来の企業立地の見通しですか、この調査をなされておられるわけで、その詳細も発表になっておるわけですが、そういう中で考えられますことは、都道府県における設備投資の実績、昭和二十九年から三十四年度まで、詳細に各府県別に、あるいは地域別に述べられておるわけですが、それと将来に対する企業立地の希望その他を調査された一覧表も出ておるわけですが、それらのことと関連して三十七年には、いわゆる地域開発は疑問だ、やはり国際競争に勝つために、資本の蓄積を充実するために、過大な四大工業地帯における過度の集中なり、集積の利益よりも、集積の害悪が企業そのものを脅かしておる。だから新しい工場適正配置、このことを考えざるを得ない。そのためには先ほども申し上げましたような太平洋ベルト地帯、通産省が調査した結査として、そこに集中的に建設すべきではないか、だから地方開発なんということは疑問を感ずる、こういうことが述べられておるわけですが、こういう点に対しては一体どうですか。今日の進められておる新産業都市構想と、皆さんの考え方との違いというものに疑問を感じておられるならば、それは解決される状況になっておるわけですか。
  40. 馬郡巖

    ○馬郡政府委員 従来私たちがとっております考え方は、やはり現在新産都市法なり工業整備特別地域に関係いたします法律、これらのとっております精神、考え方どおり、日本の工業の正常な発展を遂げるというためには、工業の適正な配置が行なわれなければいけない。そのためには地域開発というものがどうしても必要であるというふうな考え方で各業界も指導いたしておりますし、われわれの行政の重点もさようなところに置いておる、こういうような考え方でおります。
  41. 佐野憲治

    佐野委員 建設省の方も来ておいでになりますのでお聞きいたします。  当時、建設省も広域都市のための調査、こういうのを昭和三十三年でしたか、始めておられるわけですが、こういう中で取り上げておるのは、都市の再開発と新しい地方における広域都市の建設、そのための調査だということが述べられておるわけですが、そういう調査の結果、一体この新産業都市構想というものと相当食い違いがあるのではないか、調査の中におけるいろいろな記録を読んでみますと。こういう点は一体どうですか。
  42. 秀島敏彦

    ○秀島説明員 建設者でやっておりましたのは、昭和三十五年に広域都市建設構想というのを打ち出しております。これは従来都市計画を担当しておりましたのですが、逐次広域的な都市の整備が要請されるようになってまいりましたので、広域都市建設構想というものを発表いたしまして、全国に適正な都市が配置されるような構想を持ったわけでございます。  続きまして、昭和三十六年から広域都市調査といたしまして、全国で五十八地域を選定いたしまして、調査にとりかかっております。大体の考え方といたしましては、大都市圏と地方広域都市、こういう二つのグループに分けまして、地方広域都市としては地方開発拠点とし、それから工業開発の拠点になる都市、その他の拠点になる都市、こういうふうに考えまして、一応都市を性格別に分類いたし、将来の発展策をいろいろ考えておったわけであります。この五十八地域のうち十三地点は新産業都市、それから工業整備特別地域等としてほかの各省の御構想とも逐次調整を経られまして、新産都市あるいは工業特別地域という形で発展していったのだろうと思います。この点でいろいろ法律の手続に伴いまして、地方公共団体あるいは関係各省と十分協議が進み、その過程において逐次統一された将来の都市像が形成されていく、こういうふうに考えておるわけであります。
  43. 佐野憲治

    佐野委員 建設省の調査その他の資料を見せられたわけですけれども、やはり都市における再開発というところに一番主眼点が置かれておったのではないか。いろいろ調査をなされておりますから、あるいは非常な幅の広い単位でなされておりますけれども、やはり重点はすでに設備投資がなされておって、しかも都市計画が不十分であり、やはりここで一つ広域都市を建設しなくてはならぬではないか、都市計画的な見地からそういう意味における地方広域都市の建設というところに重点があったのじゃないか、こういうぐあいに考えるわけですけれども、その点と、いまの新産業都市構想の中には調査の地域に入っておりますけれども、そういう中でやはり建設省としては、いわゆる四大工業地帯における都市の再開発、同時に、周辺における広域都市の建設ということを目ざしておられたのではないですか。その点はどうでしょう。
  44. 秀島敏彦

    ○秀島説明員 既成大都市におきましては、やはり再開発が必要であろうという考え方を持っておるわけであります。ただし大都市がこれ以上膨張し、集積が進むということは極力避けていきたい、このためにも地方の拠点都市を育成強化していきたい、こういう形で考え方をまとめておるわけでございます。
  45. 佐野憲治

    佐野委員 自治省としては地方基幹都市建設構想という形で調査も進められておったわけだし、そういう考え方を具体的にも発表になっておられたわけですが、そういう考え方と、いま進められておる新産都なり工特法による建設との関連においてどうであるかという点について一応説明を願いたいと思います。
  46. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 私ども考えておりました基幹都市構想というのは、地方開発拠点をつくって、そこに自動的に過密地域からの人口並びに産業の誘因をつくる、同時にまたその拠点を中心にして周辺の開発をはかる、こういう考え方であったわけでございます。どちらかといいますと地域開発地方開発というものを中心にものを考えておったのであります。したがって、そこで考えられておりますことは、必ずしも工業都市の育成というものに限っておりません。もう少し広い範囲でものを考えておったわけでございますが、現在法律にまとまり、あるいは推進されております新産業都市なり、あるいは工業整備特別地域なりというものは、大体私ども考えておったものに近うございます。しかし、どちらかといいますと、その当時考えられておりました基幹都市構想からいいますと、もっと範囲をしぼられた、つまり基幹になる拠点というものの考え方について、あの当時の基幹都市の構想から比べますればもっと色彩が明確になって、産業というものがむしろ工業的なものを中心に考えられておる。そういう意味では、あの当時の考え方からいいますならば、あの当時の考え方のほうがもっと幅が広かったかと思いますけれども、結果的には大体当時考えられておりました構想に近いというように考えております。
  47. 佐野憲治

    佐野委員 もう一度経済企画庁のほうにお尋ねしたいのですが、そうした全国計画を打ち立てる諸条件というのは、昭和二十五年にあった。いわゆる新産業都市法が生まれてこなくてはならなかった、しかしその中で全国計画を急いで立案しなくてはならなかった、しかもその立案しなくてはならなかった要請なり背景というものは、所得倍増計画の中で行なわれてきたのではないか、かようにも考えるわけですけれども、全国開発計画を立てる、しかも新産都なり工特法というのは、全国計画の中における拠点開発方式をとられておるわけですけれども、これらの全国計画を立てるにあたりまして、いま各省から一応の当時における考え方を伺ったわけですけれども、そういうのと関連しまして、全国計画というものは一体どこに重点を置かれておったか。たとえばいまお話を伺っておりましても、通産省としてはやはり企業の国際競争あるいはそのための立地条件の適正な配置、ここに主眼点を持っておられますし、建設省の場合でも現に高度経済成長政策の結果として都市の混乱、あるいはそのことを解決するための再開発計画なり、あるいは現に設備投資が行なわれておる周辺において新しい開発をやっていきたいというような考え方なり、いろいろ入りまじっている中で、経済企画庁が意見の調整をはかられてできたのだろうと思いますけれども、その拠点開発方式をとるに至った理由なり、そのことの将来に対してどういう確信を持っておられたか、これらの点について、全国計画にもいま少しは触れておりますけれども、具体的にどういう構想を持っておられたかということもお尋ねしておきたいと思います。
  48. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 先ほど申し上げたことに若干重複いたしますけれども所得倍増計画国民所得が倍になっていくということは、同時に鉱工業生産が非常な勢いで伸びていくということでございまして、それを受け入れる器を考えていかなければならぬのですが、すでに阪神とかあるいは京浜地域というものは過密状態になってきつつあります。ここにすべてのものを集中するということは、それ自体に問題があるばかりでなく、国の全体の均衡のとれた発展という観点からいいますと、かなりいびつになってまいります。それでこれを地方分散していくといいましても、ただ漫然とこまかく分散するということは事実上非常に非能率になるばかりでなく、また大都市の持つ吸引力というものが非常に強うございますから、それに吸収されて、どうしても自然の勢いとして太平洋ベルト地帯なり、あるいはそれらの中心地である東京とか大阪周辺に集中してくる傾向を生まざるを得ません。そういうものと対抗いたしまして地方に工業を分散させ、しかもある程度といいますか、十分能率のいい工業地帯をつくっていくということでございますと、やはりまとまったものでなければいけないし、また単に工場を集中するだけじゃなくて、その背後といいますか、それと同時に一つの都市形成をやっていかないと、十分な工業を誘引する力がございませんし、またそこで育っていく力も生じませんので、新産業都市ということで一つの都市形成を同時に考えながら、つまりいまのことばでいいますと、社会開発的な観念も取り入れて、地方開発をやっていこうということでまとめあげたわけでございまして、全体として工業の生産基盤としての能率もできるだけ失わないように、かつまた地方開発促進して、その結果地方と中央との格差をできるだけ縮めて、均衡のある発展をとっていくように、しかもそれがその態勢として将来ともくずれないように、地方にしっかり根をおろしていくような産業都市をつくっていきたいというふうに、各省と御相談した結果そういう形にまとまったものが新産業都市だというふうに私ども観念いたしております。
  49. 佐野憲治

    佐野委員 ただいまのお話を伺っておりましてやはり感じますことは、全国計画にいたしましても、いわゆる工業開発を中心として地域開発考えておられる。本来の地域開発という立場における考え方は、非常に後退してきておりまして、従来の所得倍増計画なり、あるいは高度経済成長政策がもたらしたひずみの是正と申しますか、そういうことに重点が置かれて工業開発となっているわけですけれども、そういう中で、経済企画庁考えておられるそういう形の工業開発を中心とする地域開発、これによる地域格差の是正なり、あるいは過度に集中している産業人口分散をはかるのだ、こういうことになってまいりますと、やはり当時国会提案されたときも論議し、藤山企画庁大臣も、過度に集中する産業分散させるためには、やはり法的な措置が必要ではないか、新産都法の中にこれを挿入すべきじゃないかという意見に対しましても、新産都法においてはそういう規定を設けないけれども、別の法律でもって考えていきたい、こう言っておられたわけですが、それと同時に企業の活動の自由も尊重する、このたてまえはくずさないのだ。資本主義自由競争、自由経済のもとにおいては、企業の自由な立地活動を尊重していくのだ、こういうことも述べておられて、その中に不安も感じたわけですけれども、現在そういう新産都なり工特法に誘致する企業を規制する何かの立法が用意されておるのか、あるいはまた過度に集中している産業分散させるための特別の何かの用意がなされておるのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  50. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 確かにおっしゃいますように、工業がその好適地を求めて大都市に集中するという傾向はなかなか強いものがございますので、これをある程度制限していかないと、地方のほうに工業が分散していくということが困難であるということも確かであります。その点につきましては既成市街地における工業等の制限に関する法律というのがございまして、最近首都圏につきましてもその区域を広げておりますし、近畿圏につきましてはごく最近そういう法律制定されまして、近畿圏、首都圏に対する企業の集中に対して、それを少しでも抑制しようという方針で進んでおります。  地方に引きつけていくといいますか、地方のほうに配分していく意味での法的な措置というものは現在ございませんが、ある意味では地方開発の融資というものが、開銀あるいは北東公庫にかなりの金額が計上されかつ年々多額に増額されつつありますので、その融資の資金の活用等によって、かなり誘導し得るものだというふうに考えております。また地方産業の基盤である道路、港湾の整備が進められますことによって、地方に工業を引きつける力が生じてまいるというふうに考えておる次第であります。
  51. 佐野憲治

    佐野委員 念のためにお伺いしておきますが、国民総支出の中で、政府の財貨サービス購入費というものはどういう割合になっておりますか。
  52. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 四十年度の見通しでは二一・四%でございます。三十九年度の実績見通しでは二一・六%でございます。
  53. 佐野憲治

    佐野委員 では政府財政投融資計画と民間の設備投資額、これとの割合はどのくらいですか。
  54. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 民間の設備投資と財政投資計画の総資金量との対比した比率で申し上げますと、三十九年度で民間の設備投資額に対しまして財政投融資計画額は三〇・九%でございます。四十年度の見通しにおいては三三・一%と若干の増加を示しております。
  55. 佐野憲治

    佐野委員 この表を見てみましても、たとえば昭和三十五年では政府の財貨サービス購入が一六・七%、財政投融資と民間設備投資の割合は二〇%、現在も諸外国に見れない、いわゆる日本の企業が国家の庇護の中で企業活動をやっておるということに対して、世界のある学者は驚いたという表現で述べておるのですけれども、しかし今日に至ってみましても、なおも前者が二一・四%、後者が三三%、非常に高い国の庇護のもとにあるわけです。こうした企業に対しまして企業の立地活動の自由を尊重する、こういう考え方は改められねばならないし、企業の立地活動に対して、もっと国が制約するという、こういう考え方に立つことが必要ではないかと思うのですけれども、そういう点に対して何か規制する——たとえばイギリスの工場配置法なんかの場合におきましては非常に厳しい条件をつくっておりますし、そのために成果もあげておるわけです。しかしながら、日本のいまの新産、工特法の場合においても企業の立地活動に対する規制というものがほとんどなされていない。こういうようなものは別の単独法でつくるのだという当時の藤山さんの御意見でもあったわけですが、こういう点に対しては現在どうお考えになっていますか。
  56. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 財政投融資計画額が即企業に対する援助、助成というふうには言えないと思いますが、かなり手厚い助成といいますか、援助が企業に対してなされておることも事実だと思います。ただ企業の配置に対して、直接政府のほうで法的な規制をもってこの配置を定めていくということは、現在の段階ではなかなかできがたいものではないかと考えられますので、私どもといたしましては、やはり融資なりあるいは税法上の恩恵というようなものによって、あるいはさっき申し上げましたような基盤整備の条件を整えてやるということによって、企業のそれらの条件のものにおける自由意思、判断によって、企業が地方に張りついていくように、できるだけの条件を整えていくという方向で今後も進めていきたいというふうに考えまして、特に開銀等の地方開発融資については年々、そのワクの増大に努力してまいっておるつもりでございます。
  57. 佐野憲治

    佐野委員 企業の経済活動が社会的利益のために制約を受ける、これは当然世界の傾向じゃないかと思うのです。そのために企業の自由な活動を制約する、これは当然だろうと思うのです。現在の公害の例を見てまいりましても、企業の社会的責任が追及されておる。そういうときに単なる融資なり、あるいは国の税制なり、いろいろな形でやるというのはおかしいじゃないか、かようにも指摘されるわけですけれども、この点に対して通産省は一体どういう考え方をとっておられるか。
  58. 馬郡巖

    ○馬郡政府委員 新産都市なり工業整備特別地域の一番基幹的な産業考えられますのは、臨海性の装置産業であろうかと考えられます。この臨海性の装置産業は御承知のようにある程度規模の港湾、それから相当量の用水というようなものを必要といたすわけでございますが、これらの港湾なり用水という七のが整備されてまいりますと、自然にそこに工場が張りついていくというような形になろうかと思います。また現在新産都市なり工業整備特別地域につきましては、これらの公共投資というものが重点的にこれらの地方に配分されているという現状を見てまいりますと、これらの工業が地方に張りついていくような条件が漸次できつつあるものというふうに考えております。また、ただいま御指摘がございましたように、そういう公共投資の具体的な年度的なテンポの問題、あるいはただいま御指摘がございましたような公害の問題というものを考えますと、企業の自主的判断ということは尊重はいたしますものの、その立地決定につきましては、できるだけ通産省のほうにも御相談いただくようにというふうに各企業にお話し申し上げておりまして、現在大部分の企業がそういうふうな状態になっております。立地の決定につきましては、できるだけの御相談に応じ、またできるだけの行政指導をやっていくというような状態でございます。
  59. 佐野憲治

    佐野委員 諸外国の立法を見てまいりましても、特に日本のようにこれほど国からの手厚い保護なり、財政投融資なり、あるいはまた政府の財貨サービスの購入、こういう形で守られており、しかも企業の利益のためにやはり経済行為を制約する、こういう考え方に立たなければならぬじゃないかと私は考えますし、そういう意味からも、経済企画庁考えておられる全国計画を、工業開発を中心にしたものを進めていく上におきましても、企業の自由意思を尊重するのだ、そのためには立地条件を整えるのだ、これはおもに地方公共団体の責任になっておるわけですね。そういう負担と責任を地方団体に与えて、しかもその中で立地条件をつくり上げていく。  ところがそこに企業がくるだろうということで先行投資その他が行なわれるとすれば、これは非常に危険な前提を持っておるのじゃないかと考えるわけであります。そのためにもやはり規制をする。いわゆる工場配置法なり、諸外国における地域開発がこういう方向に進んでおるときに、日本は諸外国に見られない手厚い保護を受けておる。あるいは立地条件を整えるために規制をする、国家が財政的に責任を持って立地条件を整える、こういう形をとっておると思いますが、この点に対して一体どうお考えになっておりますか。通産省、経済企画庁からもう一度伺っておきたい。
  60. 馬郡巖

    ○馬郡政府委員 新産都市なり工業整備特別地域の今後の整備の上において、相当の公共投資を必要とすることはもちろんでございますが、私たちもこのテンポにつきましては十分な配慮をする必要があるのではないか。したがって、先ほど申しました各企業からいろいろな御相談を受けておりますが、そういう公共投資の今後のテンポの問題なり、あるいは公害に対する諸施策ということを考慮いたしまして、そういう御相談を受けるというような形をとって実際上の行政を進めておるというような状態でございます。
  61. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 お答えが繰り返しのようになりますけれども地方の新産都市等の産業の基盤を整備するための先行投資ということは、どうしても必要になってこようかと思いますが、いま馬郡部長が言われましたように、先行投資のテンポというものは、ある程度常に先行はしていくべきでありますが、同時にやはりあまり行き過ぎて、投資の結果が寝てしまうということでありますと、地方に対しても非常に大きな長い負担になりますので、その点は情勢を常に見ながら、国のほうも地方と常に連絡をとり、各省ともまた御相談をしながら先行投資のテンポを、なるべくロスのあまり生じないように、しかも企業に対してある魅力を持たせるような意味での先行投資を続けていきたいというふうに考えておりまして、その点はたいへんむずかしいコントロールだと思いますが、できるだけそういう面で各省あるいは地元とも十分に御連絡をとりながら進めていきたいというふうに考えております。
  62. 佐野憲治

    佐野委員 企業の自由な活動、あるいは私企業の利益のために、社会的な利益が優先されるという考え方に立たなければならないし、そのためにこそ手厚い保護をしておるわけでありますから、もっと企業の立地活動を規制することが前提になってこなければならぬ、もしこの前提をあやまってしまいますと、とんでもない大きな問題を逆に引き起こしてくるんじゃないかということを心配するわけです。いずれまた具体的な問題で質疑を続けさせていただくことといたします。  次は、通産省の、先ほど申し上げました都道府県の設備投資の推移というのを見てまいりましても、戦争前あるいは戦争中、戦後というぐあいに分けておられるわけですけれども、そういう中で感じますことは、戦前なり、あるいは戦時中に比べまして、非常な設備投資の伸びがありました地域が、逆に昭和二十九年以降停滞を続けておる、こういう特異な地域も実はその中に出ておるわけです。これは私は貿易構造の結果として生まれてきたのではないか、かように考えるわけですけれども、そういう地域が新産都の中に指定されてきておるという場合に、実はその立地条件というものが非常によかったのが、貿易政策の変換によって停滞を続けておる、こういうふうな地域の中に新産都も指定されておるわけですけれども、そういう場合においては一体どういう考え方を持って臨んでおられますか。
  63. 馬郡巖

    ○馬郡政府委員 御指摘のとおり、各府県におきます設備投資の量、あるいは工業生産の伸び自体が、非常に大きな変動を来たしておりますし、また過密都市への集中をできるだけ押えたいというふうに考えながらも、私たちの予想外に過密都市における工業生産の増大も出ているというのは事実であろうかと思います。ただこの原因というものは非常にいろいろございます。ただいま御指摘のような貿易政策の問題もあろうと思いますし、また従来非常に電力料金が安くて、そこで電気化学工業を中心にしたような非常に大きな伸びが示されたものが、電力料金が従来の水力中心から火力に移ってきたというようなことで、豊富低廉な電力というものが、そういう特色を持った地方がその特色を失ってきたという事情もございます。  ただ、一方におきましては、たとえば名神高速道路の開通によりまして、たとえば滋賀県近傍におきましては、非常に大幅な工場の立地が行なわれておるというようないろいろな諸条件の変化がございます。私どもとしましては、地方開発におきます一番の問題点と申しますのは、やはり原料的にも製品的にも、消費市場とどういうふうに輸送コストを安く結びつけるかというところに、地方開発の一番大きな重点があろうというふうに考えております。このためには道路の整備なり、あるいは港湾の整備というものが、一番必要であろうというふうに考えておりまして、そういう観点から関係の方面にもいろいろお願いいたしておるというような次第でございます。
  64. 佐野憲治

    佐野委員 経済企画庁では、いろいろな基本計画を立てられるにあたりまして、その地域が、いま指摘いたしましたような国の貿易政策の結果として開発がおくれておる、こういう地帯における新しい開発という場合におきましては、やはり貿易政策と拠点開発方式との関係に対しまして、どういう配慮をなされたかという点につきましてお聞きしておきたいと思います。
  65. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 基本計画を立てますときは、その地方の将来の人口及び工業出荷額の想定をいたしまして、それに基づいて基本計画をつくり上げていったわけでございますが、人口なり出荷額の想定におきまして、将来どういうふうな産業がそこに興るかということにつきましては、既往の地場産業等の伸び等も考えておきますが、同時に、新しく大きな企業がどの程度に入り込んでいくか、具体的な目安のあるものについては個々の企業の計画を勘案しまして、一つの大体の工業規模を想定いたして、工業出荷額という数字を大体想定いたすわけです。いま、おっしゃいました貿易の問題につきましても、貿易の要素が直ちに判断に入り得るものでありますれば十分勘案するわけでございます。たとえて言いますと、裏日本の地帯の海岸貿易等につきまして、どの程度これを織り込むかということは、いまの段階ではなかなか未知数の問題でございますから、具体的な計画の数字の中には入り込んでいるとは考えられません。ただそういうふうら裏日本の発展の将来ということを考えてみますと、当然基本的な構想一つ背景として十分その点も考えながら、それぞれの地域について、たとえば新潟についても、富山についても、そういった掘り込み港湾の大きさとか、そういうものの考え方にはそういう背景というものがあろうかというふうに考えます。
  66. 佐野憲治

    佐野委員 そうした諸条件もやはり大きな問題となって出てくるのではないかと思いますけれども、もう一つお伺いしておきたいのは、日本の経済の二重構速とよく指摘される、いわゆる大企業と下請の関係、特に機械工業などというのはほとんど大企業に隷属している。ですからあるいは機械工業を分散する、こういうことを口では言いますけれども、実際的に諸外国のような、いわゆる機械工業が独立した中小企業として存在をしておるのではなくて、大企業の下請として育成保護される中で発展をしてきておる、こういう点にやはりメスを入れなければ、なかなか工業開発という一つの目標に進むことができないのではないか、こういう点に対しまして、一体どういうような理解をしておられるか、その点を通産省のほうからお聞きしたいと思います。
  67. 馬郡巖

    ○馬郡政府委員 機械工業の地方分散と申します場合は、先生いま御指摘のとおり、非常に大きなむずかしい問題があろうかと思います。大企業と中小企業の関係が非常に大きな問題でございますが、それと同時に機械工業が発展してまいります場合には、これに付随いたしますいろいろな部品なり、あるいはメッキ工業というものが、機械工業の生産の中にはどうしても入ってまいりますが、本体の生産のまわりになるような工業というものがやはり配置されるということが条件になってくるのでございます。ただ、現在機械工業全体として非常に悩みの種は、労務的な充足というものが非常に困難になったということでございまして、これにつきましては機械工業界内部におきましても、いろいろな見方もございますし、いろいろな議論も行なわれておりますが、比較的大きな企業におきましても、率先して地方分散されつつある工場もございますし、あるいは従来どおりの経営を持っておられるところもございますが、私どもとしては機械工業に対しては労務問題の関係もございますし、また運賃要素というものが比較的少ない工業でございますので、これはできるだけ地方分散しやすい形態の企業ではなかろうか、業種ではなかろうかという考え方で、機械業界とはいろいろ御相談を申し上げているということでございます。
  68. 佐野憲治

    佐野委員 現実的には大企業の構成を見てまいりましても、いわゆる下請とのつながりというものが根強く存在しておるわけで、そういうものを切断するということはなかなか困難なんです。その問題の解決は困難ですけれども、やはり解決しなければならない問題でもあろうし、特に臨海地帯に機械工業が日本のように存在しておる——諸外国の場合におきましては内陸地帯に機械工業が存在しておる、こういうびっこな状態も出てきておるわけです。そういうような日本の置かれている経済の現状ということを考えてまいりますと、経済企画庁が全国計画として昭和三十六年の七月に試案を発表して、三十七年の十月に閣議決定をなされておるわけですけれども、あの全国計画に対しましては、いま経済企画庁としては新しい日本の経済の現状を勘案をして、マクロ方式による近代経済学の分析を利用して改定を考えておられる、こういうお話も聞くわけですけれども、それに対しましては一体どういう作業が進められておるか。あるいはまた全国計画の中において、拠点開発方式、特に工業開発が波及効果を与えて地域格差が解消する、こういう考え方で進められたのが、現実にいま置かれている各地の状況を見てまいりましても、逆に工業開発格差拡大の原因ともなってまいっておるということに対しましても、やはり一つの批判しなければならない問題点も含んでおるだろうと思います。そういうことを含めて御検討のようにも聞いておるわけですが、一体どういう作業を進めておられるかということに対しまして、あるいは全国計画に対する一つ検討点と申しますか、これらに対しましてもどういう形でいま討議が進められておるか、こういう点を御参考までにお聞かせ願いたいと思います。
  69. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 全国計画は三十七年十月にできまして、それからすでに二年以上年月を経ております。もとより全国計画というのは十年先を考えかなり長期の計画でございますから、一年、二年たったからといってすぐ改定を考えておるわけではございません。改定すべきものであるとも考えておるわけではございませんが、ただ全国計画ができ上がった以降、やはり経済は刻々変動しておりますし、また計画自体の内容についてももっときめのこまかい掘り下げた計画に育てていきたいという気持ちもございまして、私ども事務当局としては内々むしろ検討というよりも研究という段階で勉強をいたしている次第でございます。ただ数量経済学を利用したような新しい方式による地方開発の想定といいますか、見通しというものは、研究の価値もあり、今後いろいろな意味でそういう方法論が実を結んでいくかと思いますが、現段階ではなかなか容易なことではないと思います。またできても、実際にそれを計画に当てはめていくことについては、なかなかいろいろの問題があろうかと思いますが、そういう面につきましてはいまから研究の努力を続けてまいりたいと考えております。  それから中期計画の際に、地域開発問題については別途自主計画をつくることを検討すべきであるということを地域計画の中にもうたってございます関係もありまして、経済審議会の中に地域経済部会というものを設けまして、各事業の地域的な面からの検討を続け、将来の総合開発計画の基礎固めをするということで検討を開始いたそうという段階に現在はございます。  大体そんなような状況でございまして、内容的にどうのということにつきましては、まだいまここで申し上げる段階にはとうてい至っておりませんので、お許し願いたいと思います。
  70. 佐野憲治

    佐野委員 特に私が一言触れました拠点開発方式による工業開発がいわゆる波及効果を上げ得ない、こういう事例も出てきておるわけだし、また学者に言わせますなら、花に水をやっても根元にはちっとも栄養にならないという場合もあるのと同じようなことがいま起こってきておるのではないか、こういうような指摘もなされておるわけですが、こういう点に対してはどうですか。皆さんの言うように、この経済効果が波及していく、そして地域格差を解消するんだ、逆にそのことが地域格差の拡大になって出てまいっておるという点に対する反省点はないんですか。
  71. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 一番最初に申し上げましたように、地域格差ということを分析して考えますと、やはり一次産業、二次産業、三次産業、それぞれの格差、それが地域的にあらわれて、ある意味では地域格差を形成しているというふうにも考えられます。何といいましても一次産業と二次産業に従事する人々の所得水準というものには差がございます。そういった差はできるだけまた縦割りの考え方で、農業の近代化とかいうこと、あるいは農林業全般の近代化を通じあるいは高度化を通じまして解決すべき問題ではございますが、それをやはり地域ということでとらえますと、地域の発展考える場合に、その核となり拠点となるものは二次産業地方に適地があれば興していくということが、同時に一次産業との結びつきにおきましても、今後農業が近代化され高度化されるにつきましても、それらのところから出てくる労働力を地方に生かしていくという点におきましても、地方かなりの二次産業を興していくということはどうしても地方開発、中央と地方との格差を縮めていくというためには必要な措置ではないかというふうに考えます。もちろん工業の中には確かにあまり雇用力がなくて、工業がきたけれども地方の人々に潤いが十分に行き渡らないというような問題、公害ばかりあって地元は決して潤わないというような問題も、個々のケース・バイ・ケースにとらえてみればあろうかと思いますが、総体的な議論といたしましては、やはり地方産業の工業化といいますか、機械工業その他の重化学工業を、地方にもただばらばらにでなく、ある程度まとまった形で興して、それから波及的に地方に影響を及ぼしていくという形でやっていかざるを得ないんではないかというふうに現在では私ども考えております。
  72. 佐野憲治

    佐野委員 建設省の方が退席しなければならないそうなので、一言だけお尋ねしておきたいと思います。  道路整備五カ年計画と新産法なり工特法との結びつきはどのように計画されておるか、この点をひとつお聞きしておきたいと思います。
  73. 朝日邦夫

    ○朝日説明員 五カ年計画は、御承知のとおり、三十九年度を初年度といたしまして四十三年までの五カ年の道路整備に対する投資額、投資規模を決定いたしておるわけでございますが、これの考え方には幾つかの柱がございまして、たとえば高速自動車国道の整備とかあるいは一般の道路の整備、さらには都市周辺の街路といったようなものがございますが、それらの中で特に地域的にやはり配慮をいたしまして、ただいま問題の新産業都市等につきましても特に配意していくという考え方に立っております。
  74. 佐野憲治

    佐野委員 具体的にどういう配慮がなされておるかということと、もう一つは新産業都市の基本計画の中に自動車道が除外になっておるのは一体どういうわけか。  第二の点として、単独事業の五カ年計画で八千億円ですか見込まれておる。最初の原案が六千億円であったのに、最初の原案よりも全体が縮小されておるのに、逆に八千億円にふくれ上がった。この単独事業の場合にいたしましても、やはり補助事業として当然あらねばならなかったものが、財源その他の問題で単独事業に落とされておる、こういうことも現に起こっておるのではないかと思うのです。ですから、この国道なりあるいは主要県道、これと関連いたしまして単独事業というものはどうしても補助事業なり、あるいはまたそうした直轄事業なりに結ばなくちゃならない。補助事業を補完する、こういう形で——単独事業というものは本来地方自治団体が独自の立場で単独事業として道路費を施行するのではなくて、やはり国道整備なり、あるいはまた主要地方道の整備と関連して、どうしても単独事業というものをそこに向けなければならない、こういう形に補完的な立場をとらざるを得ないと思うのですけれども、こういう点についても、単独事業というものは地方自治団体独自で行なう道路整備、こういうぐあいに解釈できないのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  75. 朝日邦夫

    ○朝日説明員 最初の五カ年計画で具体的にどれくらいに考えておるかという点でございますが、御承知のとおり新産業都市の基本計画、あるいは工業整備特別地域の計画背景にございます道路関係の事業費といたしましては、三十九年から五十年までの投資額といたしまして、前者につきましては約六千五百億、それから後者につきましては三千百億円程度になっておろうかと思いますが、このうちでいまの五カ年計画の終期でございます四十三年までにどれくらい投資をするかということにつきましては、目下作業中でございまして確定的な数字は出ておりませんけれども、おおよそのめどといたしましては、前者の新産業都市につきましては、約千九百億円程度、あるいは工業整備特別地域につきましては四百六十億円程度になろうかと思いますが、これはまだ私どもの部内だけの作業の数字でございまして、これから関係省庁その他とも十分協議を進めなければならぬことではございますけれども、そういった数字に相なっております。それから五カ年計画の四兆一千億の中で、仰せのとおり地方単独事業につきましては八千億を見込んでおるわけでございます。これの決定いたしますまでにもちろん自治省関係省庁とも十分協議をいたしまして、過去の実績等からその程度は見込めるのじゃなかろうかという結論でかように相なっておるわけでありまして、必ずしも補助事業等を差っ引いて、残りを単独事業に押しつけたというものではございません。なおまた、単独事業は、補助事業等に当然くっついて考えるような考え方になっておるのではなかろうかというお話もございますが、これは必ずしもさようなことではございませんで、補助事業の中にも、道路の管理者が地方団体の長でございまして、知事なり市町村長の管理いたしております道路につきましても補助いたしておるわけでございます。決して国の計画地方の実情と離れて立てられ、地方はそれのあとを追っかけていくという形のものではなかろうと思います。  なおまた、縦貫道がこの新産都市計画からはずされておるということでございますが、縦貫道につきましては地域開発的な要素ももちろんございますけれども、特に新産都市のような限られた地域の道路の整備という観点からいたしますと、全国的な幹線自動車道路網でありますのでややなじめないのじゃないかということで、これは除いておるわけであります。
  76. 佐野憲治

    佐野委員 単独事業は、たてまえとすればやはりいまおっしゃったとおりであろうと思います。しかし補助事業は、主要県道以上のものは道路整備五カ年計画の場合におきましても地方と協力するという法律のたてまえからいって、大臣がこれを決定するという形になっておりますし、あるいはまた補助事業そのものが財源的に縮小になってまいりますと、単独事業がどうしてもそこに補完的な役割りを果たさなければならないというのが地方の実情ではないか、かようにも考えるわけでありますけれども、それらの点はまた別の財政援助の問題にも関連いたしますので、一応お聞きしておいたわけです。  そこで、時間も相当たっておるので急ぎますけれども経済企画庁の方にお尋ねしておきたいと思いますのは、今度の財政援助法、特別措置ですか、これを見てまいりましても感じますことは、基本計画に対して、概算として皆さんの指標がありますが、どうして事業主体別の計算がなされておらないのか、この点に対してお聞きしておきたいと思います。
  77. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 基本計画は建設の大綱を示したものでありますので、個々の事業の主体がどうなるかということになりますと、たとえば住宅でも、住宅公団があり住宅公庫があり地方公共団体の住宅建設公社がありというようなことで、主体が幾つかに分かれますし、道路も、道路としていまお話しのように単独でやる場合も、あるいは補助事業としてやる場合、あるいは国が直轄でやる場合等、それぞれ最初から一種の基本大綱を示すマスタープランにおいて直ちにきめることが困難でございます。また無理にきめてしまうと、かえって実情に沿わない面も出てこようかと思いますので、やはり実施段階の実施計画において、次々と工事を、どこが主体でやるかということをきめて、同時にそれに参加していくという形をとったほうがすなおではないかというふうに考えまして、そこまでこまかくきめることをいたさなかったわけであります。
  78. 佐野憲治

    佐野委員 新産都のほうのたてまえも、やはり地方自治団体負担の責任を持っておるわけですが、そういう中から財政的に計画を立案する場合におきましても、いわゆる事業主体別の計算が出てまいらないと、計画も実は立てにくい、どうしてもそういう問題に当面すると思うわけですが、もう一つ関連いたしまして、年次計画がどうして立てられていないのか、その点……。
  79. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 先ほど申し上げましたように、計画の大綱を定めたわけでございますが、年次計画を立てるということになりますと、毎年の年次計画を当初からきちっと定めるといいますことは、全体の建設計画は、今後長期にわたって国の経済情勢、あるいは財政の状況、あるいは地方財政の状況、あるいは、その地方地方の特殊な経済情勢等も織り込んで一つのマスタープランとしてはこれでいこうということであっても、それをやっていく段階といたしましては、かなり弾力的に運営いたしていきませんと、先ほどから申し上げたような投資のロスあるいは投資が不足するというふうなことになりかねませんので、むしろそこは弾力的に運営していって、年々の実施計画、予算において、経済情勢も見ながら措置していくというほうがよろしいのではないかというふうに考えた次第でございます。
  80. 佐野憲治

    佐野委員 事業主体別計画もできない、概算だ、しかも年次計画も実は立ってないのだ、こういう中で、地方自治団体が、いわゆる大きな財源を持ってやっていけるか。地方の現在の財政、いま御指摘になりましたような新産都の各市町村にとってみましても、非常に赤字が最近ふえてまいってきておる。こういう中で、しかも前段に、通産省の方も経済企画庁のあなた方も述べられるように、企業が来やすいように、企業を強制的に配置するのではなくて、企業が来やすいように、しかもその企業が太平洋ベルト地帯に、希望調査その他を見ても、集中しておる。通産省の調査にそうなっておるわけです。そういう中で、強制はしないのだ。しかも来やすい立地条件を整備するのだ。そのかわりばく大な費用が概算としてなされておる。そういうものをやっていかなければ来ないのだ。いわゆる工場配置法というか、イギリスのように、このように工場を配置するのだと、国の法律によって規制する、こういうことはとらない。自由経済のもとにおいてはとらない。そこで、来やすいようにしていくのだ。そのかわり、地方自治体が負担をしていかなければならない。そこへ来るかこないかという問題も、一つ大きな問題としてあるわけですけれども、来るか来ないかわからない、その保証はない、通産省では相談をしていくのだ、——最近よく相談にお見えになるから、私たち考え方もよく通じていくのだ。こう言われますけれども、現実に調査のついておりますのは、太平洋ベルト地帯なり、そういう方面に希望が集中しておるという中で、そういう立地条件を整えていく。これにはたくさんの先行投資が必要になってきますし、また一体化した開発も進めていかなければならない。だれが一体事業主体になっていくのか、こういうこともわからない。と同時に、財政的にはどうなるのだ、年次計画もできていないということでは、実際上の問題として、地方団体の立場にとってみますと、全く無責任な態度だ。かように考えられるわけですけれども、なぜ年次計画を立てることができないのか。そういう点に対しましては、単なる事業の目標なり事業量を定めるというだけじゃなくて、現実に町村財政負担をやっていかなければならない。しかも財政的には、赤字が激増しようとしておる地方財政の現実の中で、当然年次計画は示されるべきだと思うのですけれども、そういう点は一体どうお考えになっておるのですか。もう一度。
  81. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 繰り返して申し上げますが、地方開発というものは非常にむずかしい問題だと思います。これは一つのマスタープランを各省、地元と御相談の上、個々につくり上げ、地元側がおつくりになったのを政府が承認するという形式はとりましたが、むしろ御一緒になってつくり上げて、一つの基本的な計画を立てたわけでございます。その計画はあくまで大綱を示したものでございますから、これをいまおっしゃいますように、事業主体をきめ、あるいは年次計画をきめるということは、こまかい実施計画的なものになるわけでございますが、そこまで国としてこまかく定めることがはたしていいか悪いか。やはり経済の動きは年々かなり大きく変動いたしますし、その情勢に応じて実際の投資というものは考えていかないと、一たん投資したものは撤去するわけにもいきませんし、やはりそのときの経済情勢を勘案しながら年々の実施計画を十分に地元はおつくりになって、もちろんそれに対して国のほうとも御相談になって、これでいこうじゃないかという形で進めていくのが一番ロスの少ないほんとうの方法じゃないか。あまりきちんとしたこまかいことまできめましても、国全体の動きなり国際、経済情勢の動きというもののあおりが全部企業にまいりますし、そういう面では、弾力性を失ってしまうようなことになっては、かえってまずかろうというふうに考えまして、あくまで基本的な国のプランを皆さんと御相談してきめて、この方法でいくんだということで進めていただきたいというふうに考えております。
  82. 佐野憲治

    佐野委員 米国総合開発計画で拠点開発方針を打ち出して、しかも実質的に経済効果を発揮させることによって地域格差も解消する、こういう立場を明らかにしておられるわけです。しかもその中で基本計画が国の協力のもとに立てられる、国は許可権限を持っておる。地方はそれによって協議の上に立てた。さて、いざ実行という段になってまいりますと、国際情勢の変化がある、経済情勢のいろいろな波動が出てまいった。  そこで、お尋ねいたしますが、こういうことで皆さんのほうが相談をしてきめられた、国も中に立ってされた、各省もこれに参加した。そういうことでマスタープランができ上がって、五十年度までには、これだけ生産額も高まってまいった、経費の概算も大体出てまいっておる。これは十年間でやり通せる確信があるんだ。そのもとにこの計画に基づいてやっていかなければならぬという場合に、そういう経済情勢の波動なり国際情勢の変化なり、あるいはいろいろな諸条件が出てまいった。そういう場合に、一体どれから手をつけていくのか。年次計画もないという場合に、だれがこの推進役になるんですか。経済企画庁が総合的に調整をとって、各新産都なら新産都の計画実施にあたって、各省のバランスをとって、いや、これは先行投資をしてはあぶないからやめておけ、これはやれ、こういう形のことを企画庁はおやりになるお考えを持っておるわけですか。
  83. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 この計画の大綱に基づきまして、各地元の府県が御中心になって、毎年の実施計画というものをおつくりになる。それに対する中央、地方を通じての予算的な手が打たれて、必ずしもその計画政府関係だけでなく、公社、公団等の部分も入っておりますが、主体をなすものは国と地方の事業になろうかと思います。そういう年々の予算の計画が大体できますから、それにつきましては、各省も道路は道路として目を通され、港湾は港湾として運輸省が目を通されて、一つの縦割りの行政の中でそれぞれの事業の計画の可否が論ぜられて、修正せられたり、あるいは訂正せられたりして、一つの案としてまとまっていくわけでございますが、その各庁の御事業の間のバランスなりあるいはテンポに問題が出てくるようでございますれば、企画庁といたしましては、今後常に一つ事務連絡会議といったようなものをつくりまして、連絡調整をしながらやっていこうということになっておりますので、その会議の席上でいろいろ問題点をお互いに議論しながら各省の横割りの連絡をとって、全体としてバランスのとれた計画推進をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  84. 佐野憲治

    佐野委員 そういうことが現実的に、府県に建設協議会というのがあるわけですが、その建設協議会にはかっていろいろやっていくわけですけれども、そういう場合に、各省からいろいろやはり出てくるでしょうし、それからそういう中で、たとえば工業用地の取得の問題も出たり、造成の問題も出たり、いろいろな問題のバランスをとっていくのは、この建設協議会ではこれはでき得ない、国際情勢や国内経済のいろいろな変動というものも勘案してやる。経済企画庁はそういう形で各省との間に調整をとって、実施のバランスをとって、責任を持ってやっていけるかどうかということです。そういう場合に、たとえば倉敷なんかの場合でも、十億円からのやみ起債をやっている。四日市の場合は、年収二十三億円しかないのに、これもやはり十何億円のやみ起債が行なわれておる。しかも地方財政は赤字の現況の中にあって、やはりそういう事業を進めていく。しかも皆さんが前提としておられる企業が来やすい諸条件を整備しなくちゃ来ないのだ、これが前提になっておるわけです。そのことが地域開発という国策、あるいはまた産業人口の集中を排除する、こういう国の責任上からも、そういう立地条件を整えようとするわけでしょう。そういう場合に、行き過ぎであるか、あるいはまたむちゃであるか、あるいは危険であるか、こういうことを一体だれがバランスをとっていくのか、この点はどうですか。経済企画庁が責任を持っておやりになる考えなんですか。
  85. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 先ほど申し上げましたように、事務的には各省と御相談する事務連絡会議というようなものをもって、すでに連絡をとりつつあるわけでございますが、こういうところで各省と御相談をしながら、そういった地元の計画の上でのアンバランスなり無理があるとすれば、それをチェックしていきたいというふうに考えております。もちろん企画庁も自治省も通産省も、全部参加してやっていただきたいというふうに考えておるわけであります。
  86. 佐野憲治

    佐野委員 四十年度予算の編成にあたりまして、具体的にどういう措置をとっておられますか。
  87. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 いま申し上げました事務連絡会議をつくりましたのはごく最近でございまして、その会議の席上で、これからの連絡の方針その他をいろいろはかったわけでございますが、四十年度の予算の配分が現在各省で各地域別になされておると思いますので、これらの資料を出していただいて、いろいろ検討をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。新産の個々の事業につきましての配分というのは、現在進行中あるいはこれからなされるという段階だろうと思います。
  88. 佐野憲治

    佐野委員 もう三十九年度から出発してきているのでしょう。現にそのために先行投資と思われるいろいろなものが行なわれて、地方財政に大きな圧迫となって出てまいっておる。特にいわゆる工業用地の造成あるいは土地の取得、こういうものが先行投資として、交付公債として現になされておるわけでしょう。そのことが財政面においても大きな問題となっていま各新産都市指定地の中で出てきておるわけですね。現実に出発してきているのですよ。しかるにこれに対してコントロールする、いわゆる均衡あるバランスをもって進めていく、これを一体だれがやるのか。県知事の責任において、おまえがやったから責任を持て、こうしか言えない、そこがいまの実情じゃないかと思うのですが、そういう場合に、経済企画庁としてやはり年次計画なりそういうものを立てることにおいてこそ、そのあなたの言われる責任を明らかにしていくわけじゃないのですか。それは前半なら前半の、昭和四十五年なら昭和四十五年において、大体どういう目標、事業量、これに対する年次計画というものがある程度まで立たなければならないわけじゃないですか。そこにコントロールもできるということになるわけでしょう。もしそういうのでしたら、たとえば離島振興法の第六条ですか、法律を見ればいろいろありますが、雪寒道路確保法のような、その他新産業都市法律の中にいわゆる国の負担割合というものを明確に規定すべきだったのじゃないか。あの国会の論議を通じても、そういう意見に対して大臣あるいは経済企画庁の皆さんは、やはり年次計画を立てるのだというそういう中で、ある程度財政的な問題もこれから考えていきたいということだったのですが、私たちはやはり法の中に明確に財政援助の規定を置くべきじゃないか、こういうぐあいに考えておったわけですけれども、ああいう抽象的な規定だけにとどまってしまっておる。だからこそいま援助法が出てまいったのでしょうけれども、いまのような皆さんの考え方ですと、法の中に明確にして、そこで地方自治体とすれば、そういう財政援助の中で、しかも各省の意見もあるでしょうけれども、その置かれておるところの地域の開発計画の実施計画も立てていく、こういうことならまだしも理解できると思うのです。財政援助に対するものは法の中から抜けてしまって、しかも基本計画を立てろ、各省と協議したのだ。しかもそういう中で、事業別もわからなければ年次計画もないという形で、進んでいくとお考えになるのかどうかすら疑わしいと思うのですけれども、時間がありませんので、また別の委員から別の機会にいろいろ質問されると思いますので、この点に対しましては一応やめさせていただきます。  大蔵省の方がおいでになっておりますので、一応時間もおそいのですけれども、簡単にお聞きしておきたいと思うのですが、やはり大蔵省としても、そうしたいま申し上げましたようなことに対しまして、地方財政なり地方資金のワクなり、こういうことを考えてまいりますと、しかも財政援助法の中でいろいろ論議されたのだろうと思いますけれども、新産業都市のこれからのことを考えてまいりますと、そういう実施計画の中でだれが一体責任者となって、国の長期計画なりいろいろなものをバランスをとって、しかも示されている基本計画にのっとっていけるか、こういう点に対して大蔵省としてはどういうお考えを持っておられますか。
  89. 平井廸郎

    平井説明員 先ほど企画庁の鹿野合開発局長からお答え申しましたとおりでありまして、それぞれの地域におきましては、新産業都市建設議会におきまして、当該地域の財政事情なりあるいは企業の立地の見込みなりその他の点を総合勘案いたしましてそれぞれの計画を立てていくことになろうかと思います。この場合におきましては、当然当該地域に所在しております政府の出先機関とか、あるいは関係市町村の長とか、あるいは学識経験者等が、総合的な観点に立って実施計画を具体的にそれぞれの段階できめていただくことになろうと考えておるわけでございます。  また、これらの各地域における総合開発計画の全体的な調整の問題につきましては、先ほど総合開発局長から御答弁申し上げましたように、中央におきましても、各省の連絡調整会議的なものをつくりまして、それぞれの地域の全体的な調整なり、全体のバランスのとれた開発が行なわれるように配意をいたしていきたい、こういうふうに考えておられるものと了解いたしておるわけでございます。
  90. 佐野憲治

    佐野委員 そうしますと、この十カ年計画、三十九年から五十年度で十二年計画ですか、これは相当ずれるということも考えられる。あるいはまた、こういう基本計画の中で盛られておるけれども、これをやらないこともあり得るのだということに結局なってくるわけですね。と同時に、地方出先機関がやるのだといって、出先機関が地方開発建設協議会ですかに参加をして助言をするのだ。そういう中で実施されて、もしこれが先行投資になったり、逆に国際経済なりあるいは国内景気の波動なりによって、実はこれは行き過ぎだった、こういう場合に対する責任というのは、一体だれがかぶることになるわけですか。
  91. 平井廸郎

    平井説明員 各地域における新産業都市建設議会の運営の問題、あるいは中央における各省の連絡協議会の運営の問題、これは今後の問題として、先生指摘のように、その運営のいかんによってはいろいろの問題をはらんでくるであろうということは、私ども感じておるところでございます。ただ、少なくとも現在までの、たとえば中期五カ年計画とのバランス等から見まするならば、全国的に見た場合におきまして、この昭和五十年度に至る長期的な計画は、日本経済の全体的な力としては十分消化できるであろうかということを考えでおるわけでございます。また、こういった運営の結果がうまくいくかどうかということは、これはもちろん将来の問題でございますから、いま直ちにどうこう言うことも困難でございますが、先生指摘のように、いわば先行投資が結果的にマイナスにならないように、少なくとも運営にあたっては慎重に対処する必要があろうというふうに私ども考えておるわけでございます。
  92. 佐野憲治

    佐野委員 基本計画を立てるにあたられて、各地方団体からの申請に対しまして、いろいろの査定、各省の協議が行なわれた、そういう中で一応四十五年度の工業生産の目標が六兆六千三百六十七億円であったのを五兆四百三十億円、二四%を削減しておられるわけですね。ですから問題は、四十五年度という時期を置いて、しかも中期経済計画というものとにらみ合わされて、その上で二四%削減の五兆というものを国が許可になった。こういうことから考えてまいりますと、四十五年度の見通しとして、これだけの事業はやり得るのだ、工業生産の目標額を達成するために、その前提条件としていろいろな整備しなくちゃならない諸条件が出てくるわけですね。そういう場合に、四十五年度の、それほど厳密に二四%も削減をされて、可能性があるのだ、こう言われるならば、その前提となる立地条件の整備その他に対する年次計画というものは、やはりこれは出てこなくてはならないわけじゃないですか。そういう、先ほど何回もしつこく繰り返しておりますところの事業主体別が明確になってこないと、二四%も削減されたという、しかもこれは可能なんだという、この根拠を皆さんのほうでお持ちになっておるのではないか。しかもこれが、そこでこのことをもし実施していくとすると、地方財政にどういう影響をもたらすか。財政力——町村財政力、あるいは県の財政力の中で、一体どういうことになってまいるか、こういう点も全然検討されてないわけですか。せめて前半の四十五年度なら四十五年度の目標に対して、一体事業主体別なり年次計画の中で、地方団体とすれば、地方財政力に基づいてこれを消化していこうとする、このとおり建設の実施にあたろうとする。そういう場合に、一体幾らくらいの財源が必要になってくるのか、こういうことに対するところの見込みなどは立っておるわけでしょうか、どうですか。その点自治省からも……。
  93. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 四十五年度の工業出荷額等の検討につきましては、当初の地元の御計画の中には、鉄鋼のコンビナート、石油のコンビナートを地方それぞれに持つというような計画が多分にございまして、その点通産省ともよく御相談して将来の見通しを立てました結果、それは無理ではなかろうかということで、だいぶそういう点の訂正をお願いした結果が、かなり出荷額の削減というふうな点になったかと思うのであります。また四十五年度の問題につきましては、五十年度の中間点でございますが、中間のところで大体どのくらいの計画地方としてもお考えになっているかということを、私らのほうといたしましても地方に基本計画をつくっていただき、続いて出していただきまして、大体四兆三千億のうち五四%から五五%くらいの間の投資を四十五年度までにいたしたい。総額大体二兆三千億程度のものが各地方の大体の計画で出てきておるわけでございますが、前半の四十五年までといいますと、いまの二兆三千億くらいの数字にいたしますと、三十九年度をベースに考えますと、年率二割くらいの程度で先行投資をやっていく、そういうテンポで増額投資をやっていきたい。先ほどからの基本計画の四兆三千億というのは、三十九年度をベースにしますと、年率で大体一二%前後のものでございます。中期計画の場合も、今後の公共投資、政府投資の伸びを大体一〇%前後に考えておりますから、一二%くらいのテンポというのは、長期に考えてみた場合にはそれほど無理なテンポではないというふうに考えます。  さらに、その中で前期としてやはり先行投資的に産業基盤を整備するという地方の御希望は、大体年率二割くらい増でやっていきたいということを一応実施計画一つのよりどころとしておつくりになっておる。その内容についても、私はいろいろ御説明を聞いておる次第でございますが、さらに年々の実施計画において、先ほどおっしゃられましたように、事業主体とか、あるいは財政負担等につきましても、具体的に御相談に応じていきたい。それは各省ともそれぞれ御相談の上、地元と御相談申し上げたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  94. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 先ほど来るるお話がございましたように、年次計画的なものが新産業都市建設計画についてできていないのであります。したがって、私どもといたしましては、これが財政的にどういう影響を及ぼすかということは、実は非常に心配をして見守っておるわけでございますが、お尋ねの点につきましては、一応、三十九年度の実績等を基礎にして計算をしたものがございます。先ほど開発局長からお話がありました昭和四十五年度までに事業費として二兆三千億程度のものを考えておる、——この前提のもとに計算をいたしますと、三十九年度の実績等を基礎にして計算をしてまいりますと、県の事業としまして四千五百億くらい、市町村で四千億程度、これに対して従来の地方債の充当率、従来の地方債を充ててまいっておりました割合でもって推計をいたしますと、一般財源で支弁しなければならぬということで残ってまいりますのが県で二千億、市町村が千九百億、約二千億でありますが、両方あわせて四千億程度のものが一般財源という形になると思われるのであります。これは二兆三千億くらいの事業費を昭和三十九年から四十五年度までの間にやる、こういうことで昭和三十九年度の実績を基礎にして五年間を一つのカーブで描いて、それについて各年次計画というものを推計をして、過去の実績に基づいて地方負担をはじき出した、こういうものでございます。具体的には毎年毎年予算その他の関係で動いてまいりましょうから、その間に調整をしてまいらねばなりません。これにつきましても、先ほど来るるお話がありましたように、結局は市町村府県あわせまして、その地区ごとの中心府県というものが中心になって、協議会その他を活用いたしまして、あるいはまたところによりましては行政連絡協議会等も活用することになろうと思いますが、そして進度の調整をしていくというふうなことになっていかざるを得ないかと思うのでございます。  ただ事業主体の中には、御指摘がありましたように単に府県市町村だけの事業ではございません。ほかの公共的団体の事業もございますれば、あるいは公社、公団の事業もございますし、また直轄事業もあるわけでございます。したがって、そういうものの最終的な調整というものは結局その地区ごとの調整、具体化した計画というものを持って、上げて、私どものところでその計画をまとめて経済企画庁にお願いをして、関係各省間の調整をはかってもらう、こういう段取りになっていくのじゃないか。そういたしませんと、財政的な問題からの始末というものを非常に心配するわけでございますので、私どもは現在そういう方向でこれを矛盾なく推進していくという方法を考えていかざるを得ないのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  95. 佐野憲治

    佐野委員 時間も何ですから恐縮ですけれども、せっかく大蔵省が来ておられるので、念のためにお聞きしておきたいと思いますが、この財政措置法の中でいわゆる国鉄の新幹線あるいは高速自動車道路あるいは地方公営企業、こういうのは対象外になっているのはどういう考え方に基づくわけですか。
  96. 平井廸郎

    平井説明員 今回の特別措置に関する法律内容をごらんいただきますとおわかりと存じますが、この法律のねらっておりますところは、都道府県の行ないます事業の中の基幹的な公共事業についての補助金の規定でございます。したがいまして、この法難におきまして、そういった公社であるとかその他の機関についての援助措置に関する考え方が出ておらないのは、この法律自体の目的からして当然であるわけでございます。それでは逆にそういった国鉄等の事業についての国の援助措置が必要であるかどうかという問題でございますが、これは基本的な考え方といたしましては、国鉄のたとえば新線建設五カ年計画とか、そういった五カ年計画の中で、これらの地域における基幹的な幹線とか、そういったものの実施が十分できるというふうに伺っておるわけでございまして、その意味におきまして特に国の財政援助等を考えているわけではございません。
  97. 佐野憲治

    佐野委員 公営企業は。
  98. 平井廸郎

    平井説明員 公営企業につきましては、基本的な考え方といたしまして、独立採算のたてまえに立つというのが地方財政法の基本的な考え方であり、また公営企業法の基本的な考え方でございまして、その限りにおきまして、やはり新産都市建設のための財政上の特別措置に関する法律の適用除外をするわけでございます。
  99. 佐野憲治

    佐野委員 もう一度大蔵省のほうに……。たとえば鉄道の特別利用債、こういうようなものは、地方団体で相当大きな引き受け額となると思いますが、こういう点に対してどういう見通しを持っておられますか。
  100. 平井廸郎

    平井説明員 鉄道の敷設に伴いまして、いわゆる縁故債の問題が起こっていることは事実でございます。ただ現在の状況におきまして、その縁故債自体によって、個々の地方公共団体にとっては必ずしも負担が少ないものではないという事態はあるかもしれませんが、全体的に見るならば、地方財政現状においてこれを消化していくことは十分可能であると考えております。
  101. 佐野憲治

    佐野委員 時間も何でありますが、去年は鉄道利用債は地方で幾らくらい負担をして、今度はどのくらいの見込みを持っておられますか。
  102. 平井廸郎

    平井説明員 ちょっと手元に資料がございませんので、後刻御報告申し上げます。
  103. 佐野憲治

    佐野委員 自治省のほうは持っておられるのではないかと思いますが、それはそれとして、私が財政措置法の中に国鉄——これは勘違いをいたしましたが、基本計画の中で国鉄あるいは縦貫高速自動車道ですか、こういうのが抜けているわけですね。これは経済企画庁に伺うのですが、一体どういう理由でそうなっているのですか。
  104. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 新産都市に対して縦貫道とかあるいは新幹線のようなものは非常に大きな影響を持つかと思いますが、同時に新幹線とか高速道の考え方は、全国的な考え方でできておりますので、新産のところの部分的な問題として計画的にそれを規定するのもどうかと思います。考え方背景には、たとえば高速道がどの点を大体通るであろう、予定路線を、大体どういうところであろうということを想定してもちろん基本計画はできているわけでございますけれども、その高速道のどこからどこまでを新産の計画の中に入れるか入れないかという範囲の問題もございますし、またそこだけの問題として、高速道の計画を設置するのもどうかというふうに考えて、一応一つ背景として考えるにとどめた次第でございます。
  105. 佐野憲治

    佐野委員 しかしながら、地域格差の解消なり、あるいはまた立地条件を整備する、こういう形から考えてみますと、やはり輸送網なり、これに対するところの問題というものは非常に大きな地位を占めてきておりますし、これらとの関連性を抜きにした基本計画というものはちょっと納得ができないわけですけれども、時間もありませんので、また別の機会にゆっくりやりたいと思いますが、ただ一言、先ほど公営企業の場合は、独立採算制のたてまえだから、財政援助の措置の対象としないのだ、こういうお話なんですけれども、現実にはどうですか。公営企業の水道なり、バスなり、あるいは住宅なり、いろいろなことになってまいりますし、将来は何十万という新都市をそこに建設する、人口増加してくるのだ、こういう場合に、水道の配水管なり何なりというものは相当なものだと思うのです。それを人口によってかえなければならないし、それはやはり先行投資としてやっていく。しかも現在まだ人口が集まっていない、しかしやらなければならない、こういう場合がこの計画から見ましてもたくさんあるだろうと思うのです。そういう場合に、一般の独立採算制というたてまえから、公共性を持っておるものにそういう先行投資をやるのに、対象にならないというのはおかしいのじゃないかということです。  もう一つ、水行政の中で、普通の場合でも痛感するのですが、同じ水行政の中にあって、特定の工業用水道だけに輸出入競争にたえ得るために一定の補助を出しておる。ところが、生活に密接な関係のある上水道に対しましては補助をしない。いわゆる財政援助の対象にもしない。こういう考え方考え直す必要があると思うのですけれども、その点はどうですか。
  106. 平井廸郎

    平井説明員 最初に、先ほど御質問の中にございました国鉄の利用債、縁故債の問題でございますが、三十九年度は二百五十億、四十年度が二百三十億でございます。ただ、この中には地方団体以外の利用債も若干入っておりますので、そのこまかな点が必要でございますれば追って御報告申し上げます。  次に、地方公営企業が独立採算であるという理由だけで援助をしないのは適当ではないというお考えのようでございますが、しかし、最近における地方公営企業の運営の状況からいたしまして、公営企業自体がいわば非常に経営難におちいっていることは事実でございます。ただ御承知のように、この公営企業の経営の問題につきましては、昨年来設けられました公営企業制度調査会の中間答申等が出まして、とりあえず料率の引き上げと企業の合理化、並びにつなぎ資金の融通という形で措置されているわけでございまして、今秋に予定されております最終答申によりまして、どのような答申がされるかわかりませんが、そういった答申の結果を待って必要な措置考えるというたてまえに立っているわけでございます。
  107. 佐野憲治

    佐野委員 いま公営企業制度調査会の段階で審議をされておる。これは普通の場合における水道行政に対する——水道だけではなく一般公営企業に対する根本的な調査が進められ、衆議院のこの地方行政委員会でもやられているわけであります。私はそういう問題は別にして、新産業都市の中においては、こういう先行投資をしなければならないという場合に、当然補助ないしは財政援助の対象にすべきではないか。現実的に新しい住宅地をつくろう、そういう環境の整備をやっていこうとしておるときに、そこへ水道を布設するという場合に、相当大規模人口を予想したものを考えた上で計画を進めなければならないのじゃないか。そういう場合に、人口がふえたからまたかえていくということは、投資効率から考えても非常にむだなことだし、そのためには補助なりを与えていいのじゃないか。工業用水には、企業が国際競争にうちかつために、ある種の補助制度がとられておるのに、いわゆる国民生活に密接な関係のある水、しかもそれが将来、ここの基本計画に載っておりますように、相当の人口を収容する住宅地帯を建設するのだという建設計画になっておるわけでありますが、そういう計画にのっとって水道を進めようとする場合に、同じ水を必要とするためにやはり河川総合開発という形でダムをつくる。片方におきましては洪水防止並びに発電をやる。片方ではその水を利用しまして工業用水なり農業用水等に使う。片方は補助があるからやれる。片方の場合は、そこにダムをつくるのですから、当然ここでは上水道と同じ負担金を払わなければならないことになる。工業用水の場合には補助をいただく。上水道の場合は、将来ここに住宅団地をつくって環境整備をする先行投資をやっていくのに、そこに水道の布設をする場合には補助はないということになって、それらの償還その他に追われてくる、こういう大きな問題が将来引き起こされてくるのじゃないか。当然この際一般の水道事業と切り離して、新産業都市の場合における水道の問題に対しては、やはり特別の措置をなさるべきじゃないか、一般と同じように取り扱っておることは不合理ではないか、かように考えるわけでありますが、その点はどうですか。
  108. 平井廸郎

    平井説明員 私、直接の所管ではございませんので、伺っておる範囲内でお答えをいたしたいと思いますが、上水道事業につきましては、基本的には急激な人口増に伴う建設経費、こういうものを全部起債という形でまかなうことが適切であるかどうかという問題に帰着するのではないかと考えております。ただ現在の考え方といたしましては、たとえば東京都の場合におきましても、いわば新産的な急激な人口増に件う建設費の増大という問題は、同じように起こっておるわけでありまして、新産都市だけを取り上げて特殊の問題として処理することは、必ずしも適当ではないと考えておるわけであります。また上水道事業の実態からいたしまして、先般決定いたしました上水道事業に対する起債の償還期限の延長と申しますか、そういう形によって十分こういう建設費をもまかなっていけるという考え方を持っておるわけであります。その限りにおいて必ずしも補助金等の必要はないというふうに考えております。
  109. 佐野憲治

    佐野委員 いろいろまた各委員から別の機会に質疑されると思いますのでやめますけれども、しかしながら、他の場合におきましてはそれぞれ財政援助の対象になって、水の場合に、しかも先行投資として五年後にはこうだ、十年後にはこうなんだという皆さんが承認を与えられた計画の中でそのことをやっていく場合において、しかも財政的に非常に大きな影響を地方財政にもたらす問題を、工業用水の場合にはそういう措置がとられていくという不均衡がある。同じ水でありながら、特定行政にだけそういう措置をとっておるけれども人口の集中を排除して分散させ、適地の立地条件を整備し、しかも地域格差の解消をはかるという大きな任務を持つ国家的な仕事であるだけに、当然そういう点が考慮されるべきじゃないか。私はこういう意味からイギリスの工場適正配置法をまねるわけではないのでありますが、もっと国は環境整備なり立地条件の整備に対して全面的に財政的な投資をすべきじゃないか、こういう地方自治体に責任を転嫁するような考え方に対してはやはり考慮されなければならない、かようにも考えるわけです。しかも逼迫した地方財政の中において、これだけの事業をやっていこうとする場合に、一体どうなってくるか。そこで経済企画庁なり大蔵省の方に、実際問題として特例的な財政措置は出ておりますが、具体的に一つの地区なら地区で試算をやってみたら一体どういうことになってくるか、こういうことを計算されたことがありますか。大体十年か、あるいは十五年で終わるかもわからない、あるいは二十年で終わるかもわからない、あるいは途中でやめるかもわからない。これは地方自治体のある程度の意思だ。皆さんの希望によって私たちはやるのだ。だから、希望によってやられる分については、いろいろの御忠告もし、助言もしますけれどもというようなことがさつきから出てくるわけですけれども、しかし国会提案されたときにおいては、国としていわゆる現在における過度集中による混乱を防ぎ、分散並びに適地に工場配置をする、しかも地域格差の解消、それは所得倍増計画の中でできたひずみ、この欠陥を是正をするのだという国の責任、このことも加わって、謙虚な形で国会提案されてまいったわけでありますけれども、実際やっているのを見ますと、国は許可権限、あるいはまた助言をするので、実際皆さんがお好みによって、希望によってやられるというような考え方は改めなければならないのじゃないか。もし試みに経済企画庁なりあるいは大蔵省において試算をやってまいられたら、これだけの事業を実際にやっていくために、四十五年度あるいは五十年度、この中で一体どういう影響が出てくるか、どういう実態が出てくるか、試算をしてみられるならば、たとえばいま提案になっておるところの財政援助法というものは、全く焼け石に水で、ある程度の力、誘い水にはなりますけれども地方財政に及ぼす深刻な影響というものは——ちっとも解決になってこないじゃないかということが数字的に明らかになってくるのじゃないか。こういう点は、いずれ各委員の方からも質問がされるだろうと思いますけれども、そういう点で、ひとつ皆さんのほうでも一度試算をやってもらいたい。具体的に一つの地区を取り上げて、ここで一体これだけの計画を実施していく中で、地方財政にどういう影響がやってくるかということ、それから特例法によってどの程度のものが一体救済されてくるか。驚くべき数字がここに出てくるのではないか。だから、年次計画も立てない、事業主体別も立てない、皆さんの希望によってやっていくのだからこれから調整していきますということを言われるわけなんだろうと思いますけれども、具体的にこれを当てはめていきますと、とんでもないことになってくるのじゃないか。そういう意味において、もう少し立法の最初の趣旨にのっとって、所得倍増計画の欠陥として起こってきた地域の荒廃、これをやはり地域開発という形において大きな主任務を持つ、同時に、今日の集中されておる中からくる弊害を救済して分散させるのだという国家目的、その国家目的を遂行することが、地方の希望によってやるのだという形に今日すりかえられてしまいますと、これは大きな問題を将来に残すのじゃないか。いま皆さんの言う、この工業開発によって波及効果考える、あるいは工業開発と農業の近代化を一体化する、そこに社会開発を含めていくのだ、本来の地域開発の方向を持とうというようなことがいわれているときに、もしこのままこのような形で財政援助、国がもっと財政的に投資する、こういうことを避けて、地方自治団体の責任と能力においてこれを解決していこうとするならば、これはたいへんなことになって、逆に地方財政の逼迫の結果として、農業の荒廃、あるいは工業開発の基盤は整備されたけれども実は工場がやってこないとか、あるいは工場はできたけれども付近の農業その他は荒廃して、ますます格差を拡大するという姿をあらわしてまいる。公害の問題にしましても、企業そのものに規制するという考え方がとられなくて、単なる財政投融資による援助なりその他のような形をもってくるならば、私はここにやはり公害問題も大きな問題として出てきて、皆さんの考えられる地域開発というものは、単なる工業開発のための道具、所得倍増計画一つのしりぬぐいとしてやったけれども客観情勢の変化によってやむを得なかったのだという形において、地方住民に対する大きな問題が出てくるのじゃないか。これだけのものをやっていくために、地方財政の中から、無理をして、一般の行政水準を引き下げて、引き下げる中でやっていかなくちゃならないという危険のあることも、試算をやってみますと、出てくるだろうと思います。そういう点も十分ひとつ御検討していただくことにいたしまして、具体的な問題にあたりましては、大臣もきょう出ておられませんし、もっと突っ込んで財政上の特別措置に対する具体的な点について、後日質問いたすことにいたしまして、一応きょうは終わらしていただきたいと思います。
  110. 華山親義

    ○華山委員 資料といたしまして、経済企画庁の先ほどからお話のありました新産都市建設基本計画、新産都市の区域及び基本方針、これを委員会提出していただきたいと思います。
  111. 中馬辰猪

    中馬委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十六分散