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1965-03-18 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十八日(木曜日)    午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 亀山 孝一君 理事 久保田円次君    理事 田川 誠一君 理事 藤田 義光君    理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君    理事 安井 吉典君       小沢 辰男君    亀岡 高夫君       久野 忠治君    島村 一郎君       瀬戸山三男君    竹内 黎一君       武市 恭信君    登坂重次郎君       西岡 武夫君    湊  徹郎君       村山 達雄君    森下 元晴君       森田重次郎君    山崎  巖君       秋山 徳雄君    井岡 大治君       久保 三郎君    阪上安太郎君       泊谷 裕夫君    細谷 治嘉君       門司  亮君    吉田 賢一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 吉武 恵市君  出席政府委員         運輸政務次官  大久保武雄君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      佐藤 光夫君         運輸事務官         (自動車局長) 坪井 為次君         自治政務次官  高橋 禎一君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      宮澤  弘君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         自治事務官         (税務局長)  細郷 道一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   平井 迪郎君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月十八日  委員大石八治君、奥野誠亮君、周東英雄君、登  坂重次郎君、和爾俊二郎君、阪上安太郎君及び  重盛寿治辞任につき、その補欠として西岡武  夫君、久野忠治君、小沢辰男君、竹内黎一君、  湊徹郎君、久保三郎君及び泊谷裕夫君が議長の  指名で委員に選任された。 同日  委員小沢辰男君、久野忠治君、竹内黎一君、西  岡武夫君、湊徹郎君、久保三郎君及び泊谷裕夫  君辞任につき、その補欠として周東英雄君、奥  野誠亮登坂重次郎君、大石八治君、和爾俊二  郎君、阪上安太郎君及び重盛寿治君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 三月十七日  市町村の合併の特例に関する法律案内閣提出  第四一号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  八七号)  石油ガス譲与税法案内閣提出第八二号)      ————◇—————
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案及び石油ガス譲与税法案の両案を一括議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 まず第一に、委員長お尋ね一つしたいのであります。  地方税法の一部を改正する法律案審議にあたりまして、運輸委員会から地方行政委員会合同審査の申し入れがあったと思うのでありますが、聞くところによりますれば、これを拒否されたというのでありますが、その理由は何でしょうか。
  4. 中馬辰猪

    中馬委員長 運輸委員会理事会の決議としておはかりがあったわけです。その後、三月一ぱいで本法律案を可決するという必要上、時間がないということで、了承を求めた結果、委員の差しかえということでごかんべんを願ったわけです。
  5. 久保三郎

    久保委員 委員の差しかえというのは、これはもちろん国会法に許されており、国会議員審議を充実させるための趣旨から差しかえができております。この差しかえの問題と、連合審査の問題は、おのずからこれは違うのであります。これは委員長承知のとおりであります。しかも、いまの御説明では、本法案は三月一ぱいにあげねばならぬ、こういうことでありますが、御承知のように国会は独自の立場審議をせねばならぬと思うのであります。もちろんこれは国民全体に影響のあることでありますから、政府の意図は、四月一日から施行ということも頭の中に入れて審議を進めなければならぬことは当然であります。しかしながら、一方時間がないからといって、当然国会法に認められている連合審査合同審査というか、それを拒否される理由は、はなはだこれは理由としては成り立たぬと思うのです。しかも連合審査という場合は、先ほど申し上げた差しかえとは性格が違いまして、いわゆる税法によって影響があると認められるというか、関係のある運輸委員会から申し出があれば、本委員会として合同審査の十全を期するということが、国会立場上当然だと思うのです。だから、その拒否された理由は、私はどうも不可解でならぬ。ともすれば国会法を便宜上扱うきらいが最近多いのであります。たとえば定数問題にしても、一ぺんその議席にすわれば出席と認めるようなこと、これも一つであります。それからいまの連合審査合同審査にしてもそのとおりであります。私はいまの委員長の御説明では、少しくどうも国会審議を狭めやしないかという危惧の念を持つわけであります。もちろんそういう御決定をなさったそうでありますが、これは理事会にはかって拒否されたのでありましょうか。
  6. 中馬辰猪

    中馬委員長 これは拒否というよりも、当委員会理事会において、与野党協議した結果、そういうふうにきめたわけです。
  7. 久保三郎

    久保委員 運輸委員会では、拒否されたことについていまだ協議はございません。拒否されたことについて非公式な連絡はございましたが、しかし理年会においては、はかられておりませんから、これは運輸委員会の問題でありますからいずれ運輸委員会でやりますが、私は別に審議を引き延ばすとかなんとかじゃなくて、やはり正当に筋を通して審議を促進することが一番いいと思うのですね。まあわれわれからいえば、きょうのこの時間があれば、連合審査は当然できたと思うのです。その点は十分委員長並びに理事の方にも御勘案いただいて——今後、地方行政運輸などは、密接不可分関係にある問題がかなり多いのであります。でありますから、十分御考慮をいただきたい、こう思います。いまのお話では、運輸委員会に、当委員会理事会としてお断わりというか、御遠慮を願うということを申し出たそうでありますから、運輸委員会でこの問題は再び取り上げますが、一言だけ申し上げておきます。  それでは質問に入りますが、まず第一に、運輸省来ておりますか。
  8. 中馬辰猪

    中馬委員長 すぐ来るそうですから……。
  9. 久保三郎

    久保委員 それでは時間も何でありますから自治大臣にまずお伺いしたいのでありますが、地方税法改正政府部内の協議の際、運輸大臣、というよりは運輸省に対して、もちろん合議があったと思うのでありますが、その際運輸省意向はどういうものでございましたか。
  10. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私、別に伺っておりません。
  11. 久保三郎

    久保委員 合議はなされたのでしょう。
  12. 細郷道一

    細郷政府委員 政府税制調査会答申が出まして、その線で自治省として立案をいたしまして、関係のある省に改正法案あるいは要綱の形でそれぞれおはかりをいたしました。この自動車税の問題につきましては、運輸省事務当局といたしましては、税金が上がること自体はないほうが望ましいことであるけれども政府税制調査会答申もあることであるし、かたがた地方財政その他の状況もわかるのでやむを得ない、こういうお考えで最終的には合意に達したわけであります。
  13. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、運輸省意向としてはいま御答弁があったように、やむを得ないということでありますか、確認しておきます。
  14. 細郷道一

    細郷政府委員 最終的には閣議を通って合意に達したわけであります。
  15. 久保三郎

    久保委員 それでは、運輸省が来てからその点は聞きましょう。鉄監局長だけでありますから、運輸省あと回しにします。  一つ自動車税の問題でありますが、自動車税を大幅に上げるわけですね、五〇%上げるわけですね。この自動車というものに対する自治省考え方は、言うならば負担の公平という点からいって、自動車を持つような者は税金はこの際やむを得ないじゃないか、こういう考えでお上げになったのでしょうか。
  16. 細郷道一

    細郷政府委員 自動車税につきましては、御承知のように昭和二十九年、現在の税負担になりまして以来、実はそのまま据え置きになっております。かたがた自動車は御承知のように、道路を使うことによってその機能をますます発揮する特殊な財産でございます。しかるところ、最近におきます道路の整備の状況、あるいは道路交通状況等を見てまいりますと、自動車税負担について考えていいのではないか、こういうような基本的な見解に立っておるのでございます。しかしながら自動車と申しましても、いろいろその事業の用途等にまちまちなものがございます。今回は御提案申し上げておりますような車種につきましての引き上げをお願いいたしておる次第であります。
  17. 久保三郎

    久保委員 提案理由説明の中で、「交通取り締まり等自動車増加に原因する行政経費が著しく増加していることなど、現行の自動車税率が定められた後における諸事情を勘案」して値上げする、こういうことを言っておられます。こうなりますと、いまのお話とは少しく違うと思うのです。いわゆる自動車道路関係は、御案内のとおりガソリン税というような問題が出てまいります。この提案理由は、言うならば交通取り締まり等、いわゆるそれが大体理由の大半を占めておるわけですね。ところが罰金等を見ますと、御案内のとおり罰金の収納というか、そういうものは年間おおよそ交通関係だけで百二十億くらいになるのですね。ところがこの経費はどうか、いわゆるパトロールカーあるいは交通関係警察官の配置あるいは信号機の問題を含めて五億七千万ほどしか実は出していないのです。そうでしょう。これは警察庁の四十年度の予算からです。警察庁はおいでになっているかどうかわかりませんが、これは自治省でそういうものを比較されておるかどうか、いかがですか。
  18. 細郷道一

    細郷政府委員 提案理由に申し上げておりますのは、単に道路経費のみならず、道路交通関係の諸行政費が非常にふえてきておる、しかもそういう仕事自体は府県の行なうべき仕事と現在されておりますので、そういう事情の変化を勘案しておる、こういう意味で申し上げておるものでございます。  なお、交通取り締まりに伴います罰金につきましては、年々非常に増加をいたしております。御承知のように、交通取り締まり自体につきましては、都道府県警察当局が主としてこれに当たっておりますが、それによります罰金収入は国に入っておるという点におきまして、警察庁当局におきましても、これが何らかの還元方策について検討中というふうに伺っております。
  19. 久保三郎

    久保委員 あなたの答弁は筋違いというか——なんでありまして、私がさっき読み上げたのは、これは警察庁予算から調べたのでありますが、交通局関係で先ほど言ったように約五億七千万ほどですね。そのうち都道府県に対する補助金が約一億なんです。たった一億。それから国費でまかなう分として一億七千万、約一億八千万ほどですね。そういうことで実はできておるわけです。ところが罰金で推定されるものはおおよそ百億ないし、さっき申し上げたように百二十億収納しておるんですね、罰金を取り上げたんです。だからもちろんここの提案理由でいう——それだけじゃないと思うのでありますが、「交通取り締まり等」と言うから交通取り締まりに一番大きな比重があって税金をかけるというふうになっておる。説明が不十分かどうかは別にして、ことばじりをとらえる意味ではありませんが、この交通取り締まり一つを見てももっと国の罰金から——罰金仕事をやるなんというのはあまりほめた話ではございませんが、少なくとも罰金が取られないような施策を行ならことが罰金一つ趣旨だとも思うんです。そうだとするならば、百二十億とっているなら、百二十億吐き出しても、何ら国の財政上は問題ないですね。いわゆる税金罰金同じ込みにして国政をやるなんというのは、不届き千万だと私は思うのです。だからこれは、なるほど取り締まりで百二十億取っているのでありますから、取り締まりだけの費用に都道府県に還元せよとは私はあえて言わぬ。そのために道路のほうにも入れたらいいが、少なくとも都道府県にたった一億、こういうものをもう少し増していくなら別だが、それをやらぬままに今度は五割上げるということは、この面から見ても納得しがたい、こう思う。これは自治大臣お尋ねしたほうがいいと思いますが、罰金とこの警察庁交通局との支出というか、予算関係はどうなのですか。
  20. 吉武恵市

    吉武国務大臣 お話の点は、ごもっともな点もあるかと思いますが、よくその議論が出るわけでございます。私どももそれをただ聞いただけではございませんで、大蔵大臣とも、しばしばその話を持ち出して話したことがございますけれども、御承知のように、罰金とその経費仕事をするということは、これは性質が違うことは御承知のとおりでございます。したがいまして、罰金でこれだけ入ったから、それだけを行政費に使うという性質のものではなくて、罰金罰金、そうして必要なものは必要なもの、こういうことであるべきだ、これは大蔵大臣理屈を言っているわけじゃない、私もなるほどそう言われればそうだなという感じがいたしまして、私は必要な経費罰金と別個に、必要なものは必要として今後やはり計上していくべきものではないか、かように存じておるわけでございます。議論はよく出る議論でございまして、先だって交通安全国民会議というのを総理が議長となって提唱されて、つい先日行なわれましたが、そのときにも同じような議論が実は出たわけでございますけれども、いま申し上げましたように、事の性質上そういうわけにもまいりませんので、御了承いただきたいと思います。
  21. 久保三郎

    久保委員 大臣お話も一理がございます。それも一つです。しかし、いまのようなこの財政行政関係からいけば、当然これにつながるものを考えざるを得ない。だから、提案理由にそうあなたがおっしゃっているのですよ。いま読み上げたのは何も別に私がつくってきたのではなくて、あなたがお読みになった提案理由を私が読んでいるのです。なおここに書いてある交通取り締まり経費増加したから税金を上げる、——ところが取り締まり経費は十分に出しているかというと出していないんです。出していて足りないからというわけです。あなたのおっしゃる理屈から言えば。なるほど税金税金取り締まり罰金罰金、別だ、こういう理屈もありますが、しかし罰金をとる趣旨はそういう事故をなくすことが趣旨でしょう。そうだとするならばもう少しこの面から考えたらいいだろう、こういうふうに理屈は出るわけです。
  22. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ちょっと私の答弁が少し足りませんでしたから、補足をさしていただきます。  先ほど仰せになりました、罰金が相当入るからその罰金を回せばいいじゃないかというお尋ねでございましたので、その議論はよくある議論で、私も努力をしてきたけれども罰金というものは罰金であって、経費支出は別個であるからということで実は御了承をいただきたいということであります。しかし、交通取り締まり、あるいは安全施設等、相当経費も要することでございますので、その財源として、やはり今回のように自動車税引き上げは、それのみではございませんが、必要だ、かように存じておるわけでございます。
  23. 久保三郎

    久保委員 それでは、税金を離れて、罰金交通取り締まりだけでお尋ねをしたいのでありますが、少なくとも罰金取り締まりと直接関係がございますね。だから、少なくともいまの罰金を取る限りは、この取り締まりのほうをもっと強化するなり、あるいは罰金を取らぬで済むような施設をつくるなりというところに力点があるなら、これは了解しますよ。ところが、いまの予算では、あなたの所管する警察庁予算は、ただいま私が読み上げたとおりなんですね。都道府県に対して一億、国費で一億八千万ほどですね。これは警察庁からもらった予算の内容です。こういうことで、はたしていいのかどうだろうか。たとえば交通取り締まり警察官がさらに増備されれば、そこでいまの信号機よりは機動性を帯びた交通整理ができる交差点もあるわけですね。そうでしょう。ところが信号機に依存しなければならぬというところに問題があるわけです。信号機だけが万全じゃないですね。流れというのは機械的な流れじゃない。時々刻々変わっていく。変わっていく認定は——残念ながらいま機械はオールマイティーじゃない。人間のほうがいい。そうだとするならば、警察官をもっと配置するということも考えてしかるべきだと思うのですね。これはどういうふうにお考えですか。
  24. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私もお話のとおりだと思いまして、現在の予算というものが十分でないということは、私も率直に認めざるを得ないと思います。御指摘になりました資料が、どこか存じませんが、私どもの調べによりますと、交通安全の施設としては、四十年度におきましては、三億九千七百九十万円ぐらいに考えております。約四億でございます。そのほかに起債を五億程度考えておりまして、これで施設に当らせるつもりでございます。警察行政費としては、総額四十億程度にのぼっておるわけでございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 もちろんこれには人件費は入っておりません、私が読み上げたのは。人件費が入っておらぬけれども人件費を入れても少し足りないのじゃないか、こう思うのですよ。だから、そういう点でお尋ねしているわけです。いずれにしても、あなたがお読みになった、取り締まり等経費増加してきているから、だから税金を上げるというのには、どうもおかしいじゃないかという気持ちがするわけです。  そこで、次の問題としては、自動車税が上がれば運賃の問題にも関係してまいります。それはいかように考えておりますか。今日、佐藤内閣になりましても、いわゆる公共料金を主体とするストップというか抑制策によって、物価安定を期そうというささやかな柱が一本立っているだけなんでありますが、最近少しゆらいでおります。そのささやかな柱も、この税法からひとつ突きくずしていこうというようなことにならざるを得ないと思うのですが、この見通しはどうでありますか。
  26. 吉武恵市

    吉武国務大臣 実はその点をも考慮いたしまして、税制調査会におかれましてもいろいろと御審議の結果、トラック及び路線バスにつきましては、これを除外をしておるのでございます。本来からいえば、同じ自動車であり、同じ自動車道路を使い、また取り締まりを要するという点からいえば、同じに課税すべきであろうかと思いますけれども、いま御指摘になりました点をも配慮いたしまして、今回は、路線バストラックを除外したわけでございます。その点を御了承いただきたいと思います。
  27. 久保三郎

    久保委員 なるほどバス路線トラックについては除外されております。しかし、それだけが全部じゃないのでございまして、たとえば東京都の例をとれば、ハイヤータクシーというものもございますね。これはどういうふうになりますか。上がりませんか。
  28. 細郷道一

    細郷政府委員 今回、御承知のように、営業用につきましては、小型を除外いたしております。東京でいいますれば、営業用小型車タクシーの大部分でございまして、大型の車についてだけ引き上げをいたしておりますが、これは御承知のように俗にわれわれハイヤーと申しておるものでございまして、台数もわずかではございますが、その大部分外車でもございますし、小型車への代替性という問題も十分考えられますので、そういう意味で、大型についてのみ引き上げをいたしました。
  29. 久保三郎

    久保委員 大型台数も少ないし外車であるから引き上げた、こういうことでありますが、運賃というものは、一つだけを押えるわけにはまいらぬのであります。片方が上がれば、まあ右へならえということでありまして、結局ハイヤー運賃が上がっていくということになりますれば、次にはタクシー、こういう連鎖反応が当然——これは急速には出ないと思うのですよ。これは税金が上がったから直ちに云々というわけにいかぬ。ところが、そうじゃなくて、徐々にであるが、連鎖反応で上がってくるということは、これはお考えにならなかったのですか。
  30. 細郷道一

    細郷政府委員 運賃というものは、いろいろな諸要素がございますので、一つだけで運賃の上下を云々するわけにいかないのでありますが、今回のこの程度引き上げでございますれば、コスト全体に占めます比率は非常に低いものと考えますので、昨年暮れ料金が上がったことでもございますし、この程度のことは吸収できるものと考えて、したものでございます。
  31. 久保三郎

    久保委員 吸収できるということも、一つ理屈はあるかもしれません。しかし、御案内のとおり、油も上がってきているというような現況からすれば、そういう観点からすれば、当然のごとく、問題は、料金運賃というか、そういうものに響いてくるということを、われわれは懸念するわけです。税制調査会では、そういう問題についてはどういうふうに言っておられますか。
  32. 細郷道一

    細郷政府委員 税制調査会におきましては、実は最初は自動車に対する税負担の増を、もっと全般的に求めてもいいのではないかというような見解も、一部強くございました。しかし、御指摘のような運賃でありますとか、あるいは国民の物価に及ぼす影響でありますとか、あるいは生活、経済に及ぼす影響といったようなことを考慮いたしまして、今回こういう車種に限定をいたしたものでございます。
  33. 久保三郎

    久保委員 そこで、今度は五割上がるわけですが、五割という計算はどこから出ましたか。
  34. 細郷道一

    細郷政府委員 自動車税は、従来定額課税でございまして、したがいまして、他の種類の税率のようにスライドして動いていくというよりは、何年かを置いてときどき何割かの上がり方をするというのが、従来の例でもございました。そういった従来の例を考慮に入れたことが一つ。それから、引き上げにつきましては、一般に二十九年以来この十年間におきます国民所得実質の増はどれぐらいあるかというようなことが、大きな参考になったわけでございますが、御承知のように、この十年間におきます国民実質所得の増は、二・七倍ぐらいになっておりまして、異常な上がり方を実はいたしております。したがいまして、一部の方には思い切って倍くらいに上げてもというような議論も実は純粋な税理論としては出たわけでございますが、私どもといたしましてはやはり激変をすることによる影響ということを強く考えまして、五割程度ということにいたしたわけであります。反面、自動車道路を非常に使う一種の財産でございまして、固定資産税とは別個に、特殊な固定資産税ということで固定資産税課税客体からはずれておるわけでありますが、同じ固定資産の中におきまして、道路に非常に影響されております宅地におきます平均税負担をこの十年間見てまいりますと、昭和二十九年に比しまして約五割強の増になっておるのでございまして、そういった点を勘案いたしたものでございます。
  35. 久保三郎

    久保委員 あまり理論的根拠はなくて、目の子勘定でこれは倍にしたほうがいいという議論があるから、中をとって半分にしようということのようでありまして、税はもっと科学的に検討しておやりになるべきが一番いいのではないかと思います。私は税のことはよくわかりません。  それからもう一つ、今度のこの自動車税引き上げについて、中小企業に対する影響はどういうふうに考えましたか。
  36. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほどお話もございました小型タクシーも、企業体はいろいろございますが、かなりの中小企業者が占めておるわけでございます。またトラックも最近非常な激増をいたしておりますが、これもおおむね小型のほうが非常にふえておるのでございまして、その多くは中小企業者によって使われておるというようなことを考慮いたしまして、先ほど申し上げたいろいろな経済上の影響もございますが、そういう点も加味いたしましてこの車種の選択をいたしたわけでございます。反面、今回引き上げの対象になっております自家用の乗用車、これにつきましても全国的な調査ではございませんが、私たちがサンプル的に見てまいりますと、二割くらいは中小企業と申しますか、一千万円以下の法人の所有ということにサンプル調査の結果出ておるのでございます。それに中小企業の使用する乗用車ではでございまするけれども、何と申しましても、国民の現在の生活の一般的な感触から申しますると、やはり乗用車を持てるということについてはそれなりの考え方も出てまいる、こう考えておりますので、先ほど申し上げました車種の選択にあたりましても、中小企業への影響ということを考慮いたしておるものでございます。
  37. 久保三郎

    久保委員 あなたの御説明だと中小企業者に対しては当たりはないようにした、こういうふうに了解してよろしいでしょうか。
  38. 細郷道一

    細郷政府委員 いま申し上げましたように、そういう考慮も払って車種の選択をいたしたわけでございます。
  39. 久保三郎

    久保委員 そこで自動車局長見えたようだから聞きますが、自動車局長は専門じゃないと思うが、観光と国民との関係はどういうふうに——国民生活上観光というか、レジャーというか、そういうものはどういうふうに見ておられるのですか。
  40. 坪井為次

    ○坪井政府委員 観光と国民生活、たいへんむずかしい問題でございますが、バスは、観光事業といたしましては、最近は非常に大衆化されまして、健全な国民のレクリエーション、われわれとしてはそういった意味でこの事業について公共性といいますか、そういった面を強く考えておりまして、運賃その他の面につきましても公共料金として抑制されておる。いわゆる大衆化してきたということなんであります。
  41. 久保三郎

    久保委員 そこで自治大臣お尋ねするわけですが、観光と一口に言うとまだわれわれの頭の中には何かよけいなことだ、遊びというか、遊びというと悪のほうに何か少し近いような考えをまだ持っていますね。観光、レクリエーションというと、何か、あってもなくてもよさそうだし、もっと古い頭でいくと、いま申し上げたように、そんなのは何かこう悪い方面に解釈しがちだと思うのでありますが、実際に最近の国民生活の中におけるレジャーをどうやって持っていくかということは、国民生活上非常に大きな問題になってきたと思うのです。でありますから、先年でありますか観光基本法も実はできておるわけです。これは国会のほうからの提案でできたわけでありますが、もちろんいまの観光行政全体を見て十分だとはだれも思っていません。しかし、これを健全な方向に持っていかなければならぬということは、だれしも考えておるわけです。だから今度の税法改正で見ると、やっぱりいま私が申し上げたように、観光というと何か国民生活ではぜいたくというようなことに置きかえられているようであります。これが税金を上げるから云々じゃなくて、観光に対する認識というものをこの際われわれは改める必要があると思うのです。国民生活の大半の分野に、観光というか、レジャーというか、レクリエーションというか、そういうものがしみわたってきている現実、これを度外視して、いろいろな政策は私はないと思うのです。この料金の値上げというか、税金の値上げも、一がいにいえばたいしたことはないですね。しかしこれがやはり企業そのものの運賃値上げという方向のてこになるわけです。だからそういうてこをはずして、健全な方向へ持っていくというのが前向きの姿勢だと思うのです。ところがこれだけ見ると、やはり観光はぜいたくという部類にいまだ入っている。こういうことでいいんだろうかと思うのですが、どうでしょうか。
  42. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は今日観光がぜいたくだとは思っておりません。これは国民生活のレクリエーションとしてやっぱり必要なものだと思っておるわけでございます。ただ今回の自動車税引き上げにつきましては、御承知のように、本来ならば全体引き上げるべきものであると思うのであります。しかし税制調査会等で相当御検討になりまして、除外するものは、先ほど来局長から申しましたように、タクシーでありますとか、あるいは小型のいわゆる中小企業に直接関係のあるトラック等は、これはまあひとつ除外したらどうだろうかということで、それを除外したわけでございまして、特に観光はぜいたくだから税金を課するということではございません。原則は全部に税金をかけるべきものであるけれども、そのうち特にやむを得ぬものだけを除外をした、このようにお考えをいただきたいと思います。
  43. 久保三郎

    久保委員 やっぱりその区別をするところに私は問題があると思うのです。別に論争するつもりはございませんが。やっぱり観光はぜいたくに近いものだ、バスというかそういうものに比較すればウエートは違う、それはそのとおりです。やっぱり観光のいまのあり方についての批判がここで税金値上げと、こう出たと思うのです。なるほどいまの観光のあり方には、健全にあらざるものもたくさんございます。これを健全なものに直していくというのが前向きの観光政策だと思うのです。だからその政策が悪いから、税金はちょっと上げてもいいじゃないかというような思想がもしあるとするなら、これはおかしいと思うのです。それはどうですか。やはり多少あるでしょうな。
  44. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は先ほど申しましたように、もう今日の段階におきましては、観光は国民生活の上において必要なものである、かように考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、同じことを申し上げるようでございますけれども、実は本来は全部に課すべきものである。予算委員会その他の段階におきましても、全部にどうして課さないかという議論も相当あったわけでございます。しかし税制調査会でも御議論になり、私ども考えまして、タクシーに課するとか、あるいは一定の路線バスなんかに課すれば、直接庶民に関係をするというところで除外をされたのであろうし、私どももそうあるべきじゃなかろうかということで、そのままを踏襲して今回も改正したわけでございます。観光はぜいたくだから税金を課せよという考えは毛頭ございません。
  45. 久保三郎

    久保委員 これは局長に参考のために伺いますが、ライトバンは税金の上がる対象になっていませんね。私、専門家じゃないので、排気量といってもわからない。
  46. 細郷道一

    細郷政府委員 ライトバンはトラックの部類に属するものでございますので、今回は改正をいたしておりません。
  47. 久保三郎

    久保委員 そこで運輸政務次官お尋ねしますが、この地方税法改正に際して、いま自動車の問題だけ御質問しているわけですが、自動車のみならず全体の問題として、運輸省は、先ほど自治省からの答弁では、まあやむを得ないということで御回答があったそうでありますが、やむを得ないということでこれはよろしいかどうか。いろいろお考えになってこれに同意されたのか。いかがですか。
  48. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 先ほど久保委員から、観光の国民経済の面における重要性につきまして御発言があったのでありますが、私は久保委員に全く同感でございます。貿易外収支の改善は、中期経済計画におきましても、きわめて重要な課題となっております今日、観光における日本の貿易外収支の赤は約一千五百万ドルであります。海運の収支が四億ドル、航空の貿易外収支が四千五百万ドル、こういったような貿易外収支の赤字を解消していきますことこそ、日本の中期経済計画をレベルアップしていく原因でなければならないわけでございまして、イタリアが九億ドルの観光収入をあげて、そのネットの黒字が七億ドルである。こういうことから考えますならば、日本の国際収支の改善の上における観光の地位を高めていくということは、まさしく御指摘のとおりであろうと私は考えておる次第でございます。そこで今回の地方税改正の上において、貸し切りバス等についてどういうふうに運輸省考えておるか、かようなことでございますが、私もさような観点からいたしまして、観光の国民経済における地位ということから考えますならば、観光に関する諸掛かりというものの引き上げは好ましいとは考えていなかったわけでございますけれども、地方財政全般の問題もございまして、結論的にこれに同意した、かような形でございます。
  49. 久保三郎

    久保委員 いまの運輸政務次官の御答弁では、趣旨には賛成だが最後には同意したということであるわけでございますね。ところで、この運賃との問題でさっき間違って答弁があったと思うのだが、路線トラックは税を引き上げない、こう言ったが、営業トラックは全部でしょう。それから運賃の問題に観光などが出てくるのだが、こういう問題はあまり運賃には関係ございませんか。簡単にお聞きしますが、今度の自動車税引き上げ運賃に直ちに当たってくるような懸念はないかどうか。
  50. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 やはりこれはある程度影響は起こってこようか、かように考えております。
  51. 久保三郎

    久保委員 物品税もこの間衆議院を通ったのだが、ああいう関係も十分考えてあれに同意したのですか。
  52. 川村継義

    ○川村委員 ちょっと関連して。運輸政務次官、いまのところ、ひとつはっきり答弁しておいてください。今度の自動車税引き上げは、業界においては担税能力がある、だからこれは運賃引き上げには影響はない、こういう答弁をしておりますよ。そこであなたのいまの答弁とは相当考え方が違っているようですから、久保委員のいまの質疑はひとつ十分検討されて明らかに答弁してください。
  53. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 税の引き上げにつきまして、諸掛かりを含めましての企業の合理化によりまして吸収できるものは、極力合理化につとめていくつもりでございますけれども、若干の関係は今後いたしてくるか、かように考えております。
  54. 久保三郎

    久保委員 若干の値上がりは予想されるでしょう。若干というのだから、若干ではわかりませんが、少なくとも値上がりを予想されるようなことで税率引き上げるというのは、これはいまの物価政策からいって相反することではないかと思うのですね。だから物価政策をささえている公共料金に多少でもひびが来るようなことでは、これは考え直したほうがいいんじゃないか。それとも、税率引き上げその他いろいろな税金が引き上がりますが、引き上がりに応じてやむを得ないから今度は運賃を上げようかというなら、これは政治ではございません。片方を上げたらまたやむを得ず上げようか、これはだれにでもできるのです。ほうっておけばそうなるのです。ところが、公共料金を押えるということを最後の柱として一本残しておくわけですね。多少最近徐々に上がってきいるのだが、こういうのも政府の声明とだいぶて違っているのですね。こういうことが口実になって、いわゆる運賃料金引き上げのてこになってくることは必然でしょう、いまの運輸政務次官の御答弁では。自治大臣、国務大臣としていかがお考えですか。
  55. 吉武恵市

    吉武国務大臣 先ほど私申し上げましたように、その点を配慮いたしまして、本来ならば一律にどの自動車にも課税をすべきであるにもかかわらず、大衆に関係のあるものにつきましては除外をした。若干こまかく拾いますとあるかもしれませんが、それは先ほど税務局長からも御答弁いたしましたように、その影響はきわめて少ない、こういうことでございます。
  56. 久保三郎

    久保委員 きわめて少ないという表現を自治大臣はされたが、運輸政務次官は若干と言った。若干というと、これは大幅というか、広い範囲で若干上がるということですよね。だからあなたの考えもせんじ詰めればそういうことも予想される。しかし、万やむを得ず地方財政のためにはやるほかない。これはやはり政治じゃないですね。だから、ここで政府の方針がやむを得ないならやむを得ない。運賃料金が上がることも当然しかたがないんだ。こういうふうに言い切れるなら、これはもちろんいい悪いは別にして、筋は通るのですよ。この辺のことをどう調整するかが、いわゆる政治なんであります。もちろんこの自動車税などは地方財政にとってそんなに大きなファクターではないでしょう。私にはよくわかりませんが、どうでしょう。いかがですか。
  57. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、道路整備五カ年計画が昨年改定されました。全体として飛躍的な増加がはかられたわけでありますが、それに伴います地方の財政負担は一兆四千億余にのぼっておるのでございます。それに対しまして、地方で持っております道路の特定財源、いわゆる地方道路譲与税とか、あるいは軽油引取税、こういったようなものは、五割に足らないのでございます。したがいまして、地方におきましては、道路を整備するだけでも非常な財政上の大きな負担を今後しょっていかなければならぬ。特定財源以外の部分につきましては、一般財源を出さなければならないという状態にあるわけでございます。その際、さらに先ほども指摘のございましたような道路関係のいろいろな行政経費も非常にふえてきておりますので、自動車税負担をこの際求める、こういうことにいたしたものでございます。
  58. 久保三郎

    久保委員 いまのあなたの答弁は、税体系と仕事をやる行政との間に非常に新しく混乱が出てきたわけですね。そうでしょう。いままで大体道路の改良費とかいうものは、目的税として油の税金があるのですね。自動車税そのものについてはそんな対象になっていないんじゃないですか。自動車税というのは目的税ですか。
  59. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど申し上げましたように、国は道路の財源といたしまして、八割ないし九割の目的税、ガソリン税を使っておるわけであります。地方の場合には、その配分が非常に不十分でございまして、現在新五カ年計画によりますと、先ほど申し上げましたように、地方の負担額のうち、目的税によってまかなわれる部分は四八%くらいにしかならないのでございます。したがいまして、半面五二、三%のものは、地方はそれぞれ一般財源をもってこれに充てておるわけでございます。したがいまして、財政的な面から申しますと、それだけの一般財源というものを、今後いろいろな地方の持っております独立財源のうちから出さなければならないわけでございます。そういうような事情にあるということは、やはり将来の道路整備の計画を達成するために、一つの問題点であろうと私ども考えておるわけでございますが、半面、先ほど申し上げましたように、税制上の問題としての考え方に立ちまして、今回の自動車税の増税をお願いしておるようなわけでございます。
  60. 久保三郎

    久保委員 どうも混乱しているようですね。地方の目的税の取り分は四八%くらい、あとの五二%は一般財源から道路としては負担しなければならぬ。だから自動車でまかなうんだ。大体道路関係は、さっき言ったように、目的税は油の問題でしょう。油の税金でしょう。それがたてまえになっているでしょう。いままで、税体系と道路関係が、そうでしょう。それはどうなんです。
  61. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、地方におきます道路の目的財源としましては、地方道路譲与税、それから軽油引取税、こういったものがございます。
  62. 久保三郎

    久保委員 だから聞いているのですよ。目的税が足りないというなら、目的税の配分の問題をまず第一に考えなければならぬ、そうでしょう。第二番目には、目的税と一般財源との割合はどの程度が妥当か、これを考えるのがほんとうでしょう。それを無原則に、目的税が足りないから、自動車税で取ろうというのは、税体系上からもおかしいというのです。いかがですか。
  63. 細郷道一

    細郷政府委員 道路の整備に要します財源の状況というのを、実は御説明申し上げたつもりでございますが、そういう事情で、地方の場合には道路のみならず、一般的に財源の問題で非常に窮乏を告げているという状況にあるわけであります。かたがた自動車税については、先ほどお答え申し上げたような考え方に立ちまして引き上げをお願いしたい、こういうことでございます。
  64. 久保三郎

    久保委員 だからまず筋道を立てた検討の結果としてあげてきたのかどうか、いわゆる自動車税というのは目的税というふうに今度は考えているのか、そういうふうにいつなったのか、目的税の国と地方との配分が、地方は四八%しか割り当たらぬ。一般財源を五二%投入する。それがどうも不合理だというか、困るというので、それならばその配分の率について、国と地方の分け前というものについて検討をしたのかどうか、検討した結果として、さらに足りないから、自動車税は目的税として、今度は規定してやるということになったのかどうかと聞いているのです。
  65. 細郷道一

    細郷政府委員 国、地方の道路財源の配分についても、ずいぶん検討もいたしました。年々検討を続けておるわけでございます。今回自動車税引き上げましても、これは別に目的税にする意図でいたしておるものではございません。自動車税自体について、先ほど来申し上げておりますような事情からこれを引き上げる、こういうわけでございます。
  66. 久保三郎

    久保委員 目的税になったわけではないというが、そういうところを戦線整理をして、きちっとしなければはっきりしないと言っているのですよ。自治大臣、どうですか。大体税体系の問題にしても、行政の問題にしても、目的税というものが片方にあるのですから、あるなら、それでまかなわなければ、その配分をどうするか、結論としてもう一つ目的税をつくるならつくる。そういうふうに規定をしてくるのが当然ではないか、税金を取られる側から見れば、何か二重にあいまいに取られて、ちっともわからぬ。いわゆる税金を納めるほうとしては、納得しないままに納めるわけです。それは民主的じゃないと思うのですよ。私は自動車から税金を取らぬというようなことは考えておりません。しかし取るなら、ちゃんと筋道を立てた取り方をしなさい。こういうことですよ。
  67. 吉武恵市

    吉武国務大臣 道路につきましては、いわゆる目的税としてガソリン税があることは御指摘のとおりでございます。しかし道路は目的税だけでやるということではないと思います。目的税だけでやるということも一つ考え方ではございましょうけれどもガソリン税が目的税であるということは御指摘のとおりでございますけれども、目的税だけでは足りぬ部分も相当あるし、またそのほかにもいろいろ交通施設その他の点でも所要の経費が要るから、地方財源として今回自動車税を取ることにした、これも税制調査会で検討されました上で、こういう結論になったのでございまして、私どもはそれをそのまま尊重して取り上げたような次第でございます。
  68. 久保三郎

    久保委員 大臣、あなたのおっしゃること、そのとおり言っているのですよ。目的税で全部やれるはずはないし、やる意図で目的税をつくったわけではないですね。だからいまの局長の答弁だと、地方の分が目的税では大体四八%しか入らぬ。だから取るんだ。それは理屈に合わぬじゃないかということは、大体目的税でまかなうのは何パーセントが妥当で、一般財源は何パーセントが大体妥当だ、まず目的税をつくったときの趣旨は何ですか。どの程度を一般財源で、どの程度を目的税でまかなうという方針があったのでしょう。それをお聞かせ願いたい。
  69. 細郷道一

    細郷政府委員 特定の事業に充てる財源として取れる税を目的税と一般的には理解をしておるわけでありますが、ある事業をいたします場合に、それを全部目的税でまかなわなければならないかどうか。これは一方では財政上の問題がございます。一方では税負担の問題があるわけでございます。財政上の問題は全般に一般財源とのかね合いという問題でございますのでさておくといたしまして、税制上の問題といたしましては、いかに目的税といえども、その税負担の限度というものをやはり考えなければならないというようなことで、先般税制調査会でもいろいろその点議論になりましたが、税制調査会は、答申にも書いてございますように、本来目的税というのはあまり好ましい制度ではない、したがって、今後目的税をふやすことにはどちらかといえば賛成しがたい、現在ある道路に充てる油の目的税については、日本の特殊事情からしてやむを得ないと思うけれども、その負担も現在は相当の程度にきているのではないかというような意味答申が出ておるのでございます。
  70. 久保三郎

    久保委員 答申はわかった。答申はわかったが、私の言うのは、それじゃ将来にわたってだんだん減らしていく。減らしていく計画は何だ。目的税の占める比率、これを減らしていくというかっこうですね。減らすというか、ふやさぬで、一般の道路の改良費は多くなっていくということでございますね。そういう計画はどうなっておるのですか。私が聞きたいのは、端的に、しろうとだからむずかしいことを頭に置いていま聞いておるのじゃないのです。私がしろうととして聞いておるのは、目的税というのはきまっている。それと、それの目的税でまかなう分は大体何%が妥当であるということでいまの目的税が当初できておるのだろうと私は思うのです。何でもただ当てずっぽうに目的税を少し取ろうじゃないかというような、いいかげんなことで税金ができておるわけじゃないでしょう。そうでしょう。それは負担の限界もありますから、それも考慮しなければならぬ。いずれにしてもそういうものが基礎になって目的税ができておる。そうなれば、当然一般財源として大体パーセンテージは、どのくらいまかなうのが妥当かということで目的税が出発したのです。おそらく、みんなそうでしょう。そうだとすれば、いまの御説明では、地方道路としては道路の改良に四八%しか投入できない、一般財源が五二%だ、これじゃ少し軽いから自動車からもいただこう、こういうふうな御説明ですね。そうですね。だから、それが妥当だという説明があればいいですよ。こういうわけでこういうふうにやることが当然だ、将来にわたってこういうふうにするのだ、それなら納得がいくのだが、ただどうも少し取り前が少ないから、一般財源の投入が多くなってくるから、この辺で自動車税を上げてもらおうじゃないか、こういうことなんです。それじゃこの自動車税からどの程度あげるのですか。それで地方の道路なら道路に関し、道路交通取り締まりも一緒になっておるのですが、これは大きなファクターになるのですか。
  71. 細郷道一

    細郷政府委員 目的税の限界といいますのは、先ほどもちょっと申し上げましたように、一方ではどういう事業に投資する目的で税を求めるかというその結びつきの問題が一つあるわけでありますが、財政上は、道路なら道路を大いにやりたいというときに、それをすべて何でも目的税でまかなえばよろしいのだということには、税負担の面で問題がある。したがいまして、先ほど申し上げたようなことで現在きめられております道路目的税については、もうそろそろこの辺が限界でなかろうかというような答申がなされ、われわれもそうであろうというふうに理解をいたしておるのであります。  自動車税の問題につきましては、先ほど申し上げましたような二十九年以来の国民所得の伸びの状況、それから自動車の持っております機能の状況、そういったようなことを勘案して今回の引き上げをいたしておるわけでありまして、この額が今回引き上げになりますと、平年度で約九十億になるわけであります。したがいましてこの額は目的税でございませんから、これが全部道路事業に充てられるという保証は別にないわけであります。自動車税自体自動車税としての負担の度合いから、先ほど申し上げたように今回増税を求めておる、こういうことであります。
  72. 久保三郎

    久保委員 さっきのお話が、あなたが、道路に何か一般財源投入が多くなるからこれでもいただこう、こういう御説明があったから、そこでひっかかっているのですよ。目的税ではないですな。そうでしょう。目的税みたいな話をあなたがされるから、そこでひっかかっているわけです。
  73. 細郷道一

    細郷政府委員 よく御質問の意味がわかりました。私の申し上げましたのは、非常に地方には道路その他いろいろな財政需要があるのだということで実は申し上げたつもりでございましたが、多少不十分な点があったと思います。自動車税は、いま申し上げましたように目的税ではございません。
  74. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても道路関係交通取り締まり関係もいろいろ入りましょうから、税金を取ることを否定はしませんけれども、いまのような御説明ではちょっと混乱するので、もうちょっと整理して御提案いただいたほうがいいのではなかろうかと私は思うのです。提案理由説明によると、何か交通取り締まりの費用等を一番大きな柱にして、費用が増加するから自動車からもいただこう、こういう説明をしているし、いまの説明では、ひっかかって訂正しましたが、何か道路関係だという。  それでは、地方の一般財源の税収の中に占める自動車税の割合というものはどういうウエートなんですか。何%くらいありますか。
  75. 細郷道一

    細郷政府委員 府県税の中で約七%でございます。
  76. 久保三郎

    久保委員 七%でありまして、たいしたウエートではない。そうなりますと、やはり負担の公平ということにこれは比重があって提案されましたか。
  77. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど申し上げましたように、税はそれぞれの税の置かれております地位によりまして、その負担の増減を求めておるのでありまして、自動車税の最近におきます担税力という点を考慮いたしまして提案したわけであります。
  78. 久保三郎

    久保委員 七%は、大体三十八年度で七%ですね。そうですな。
  79. 細郷道一

    細郷政府委員 四十年度の見込みで七%であります。
  80. 久保三郎

    久保委員 三十八年度のこのあなたのほうで出した資料でも七%ですな。そうでしょう。そこで、結局この表を見ますと、昭和二十五年から自動車税の統計が載っていますが、その当時は三%でございました。それで三十八年度でこれが五%、値上げすると七%ということでありますが、まあ伸びからいってどうなんです。順調ですか。
  81. 細郷道一

    細郷政府委員 自動車税の伸び自体は、いわば地方税の中では伸び方は他の税に比して多いほうでございます。と申しますことは、御承知のように自動車台数の伸びが非常にあるということであります。
  82. 久保三郎

    久保委員 その点のいわゆる自動車台数増加という傾向ですね、これも勘案してやはり税金というのは考えるべきじゃないだろうか、こう思うのです。いまの伸びの順調というのは、あなたの御説明のとおりだ。台数が多くなってきたから一つには伸びがよかったですね。そこへもってきて、単にいままでの御説明だけではちょっと事足りない。だから、台数がふえてくるのだから、たとえば税額をそのまま置いても自然に増加していくというものもあるわけです。これは自動車はそうですね。そういうものも片方で勘案しながら、いわゆる五割を上げるのが妥当かどうか、こういうのをきめるべきだと思うのですが、どうですか。そういうことは考えないでよろしいと思いますか。
  83. 細郷道一

    細郷政府委員 税の種類によっていろいろあると思います。国民の所得水準の向上に応じてたとえば免税点を引き上げていくといったような、所得課税式のものの税についてはそういった考え方も妥当すると思います。しかし、自動車税につきましては、先ほど申し上げましたように、昭和二十九年以来の国民所得の伸び等に比して、かつは固定資産の宅地に対します平均的な税負担の伸びそういうものを勘案いたしまして五割、こういうふうにいたしたのでございます。
  84. 久保三郎

    久保委員 あなたと論争しても、こっちはしろうとだからよくわかりませんけれども、そういう点を疑問に思うわけです。たとえばいろいろな所得に対する課税にしても、自然に国民所得が上がっていけば上がっていくのに応じて、やはり下のほうは軽減していくという方法をとるわけですね。そういうことも考えれば、やはり単純にいままでの御説明のようなことで税金を上げるべきではない。なるほど税制調査会というようなものから答申が出て、自動車税はこうあるべきだということも一つ理屈ではありますが、やはり理屈だけで税金をとるのは簡単でありますからね。そういうことを十分考えなければいかぬということです。  そこで私の時間はあまりありませんから次に聞くのでありますが、最後にこの問題で政務次官に言っておきますが、あなたのほうの立場からすれば、先ほど言うように若干当たりがくるだろうという御説明であるが、そういうことも忍んで実はこれに同意したということでありましょう。それは政府部内として提案になっているからそうだと思うのですが、少なくとも税金に対してはあまり運輸省は関心がないのじゃないですか。料金値上げのほうには関心があるようだけれども、どうなんですか、政務次官。
  85. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 税金につきましても、やはり原価に影響してくる問題でございますから、私どものほうとして申すべきことは十分開陳しつつ、また地方財政の現状等を勘案いたしまして、御提案いたしましたような趣旨で決定いたしました次第でございます。
  86. 久保三郎

    久保委員 そこで政務次官に資料の提出をお願いしたいのでございますが、運輸省は陸海空にまたがっておりますが、陸海空全体の税金に対するあなたのほうの御見解を資料として、あとでけっこうですから出していただきたい。そういっては失礼だが、税金は大蔵省と自治省へまかせておいて、あとはまあやむを得ないときは運賃値上げを許可すればいいのだというような、安易な、と言ってはたいへん失礼だが、そこまで追い込まれてやるという手もあるという多少の安心感があって、まあ言うならば税金がどうなってもやむを得ませんからしかたがないというので、運輸行政全体の面から国民生活の問題に関して直接関係がある運輸省として、税金に対してはあまりに鈍感、と言ってはどうかと思うのですが、にぶいのではなかろうかと私は思うのであらためて論文を提出してもらいたい。  次に、この税法の改正で今度は地下鉄あるいは高架、これは多少減額というか、そういうことで範囲を拡大されたのでありますが、これはこれなりにけっこうだと思うのでありますが、ただここで言いたいことは、今日ただいまの地方公営企業もそうでありますが、都市におけるいわゆる都市交通の問題は、いまさら私が説明するまでもないのでありますが、これが公私ともに非常な経営難に陥っている。自治大臣を中心にして特に公営企業の問題は、今日いろいろ施策をめぐらしておるようでありますが、思うような政策がなかなか出てこない。ところが片方は、毎日の通勤ラッシュをどうさばくか、いわゆる殺人的な輸送をしておるわけです。かたがた地下鉄の建設にしても建設費の利子を払うだけでさえ精一ぱいどころか、それが赤字の大半を占めておるということでありますが、ここで問題は違いますが、差しかえてきたので、一言自治大臣にお聞きしたいのだが、特にわれわれ運輸関係あるものとして、都市交通における——いわゆる公私を問わず——企業に対する自治省としての考え方はどうなんでしょう、大まかに見て。
  87. 吉武恵市

    吉武国務大臣 この問題は実はたいへん大きな問題でございまして、私どもも非常に悩んでおる問題の一つでございます。  そこで、実は昨年の七月に、交通のみではございませんが、交通と水道と病院等、いわゆる公営企業につきまして公営企業制度調査会というものを設けまして、その道の権威の方々に御審議願っておるのでございます。まだその御審議の最中でございますけれども、昨年の十一月に中間の答申がなされまして、その中間の答申は、大まかにいってどういうことであるかというと、一つ料金をストップするという措置をとるべきでない、適切なる料金の改定はこれをやるべきであるということが一つでございます。と同時にそのことは、合理化を同時に強力に推進すべきである、つまり経費が赤字であるからといって、それを料金にすぐはね返すということではなくて、企業自体の経営合理化も思い切っておやりなさいというのが第二でございます。しこうして第三には、政府もまたそれに対する資金については、長期かつ低利の資金をあっせんすべきである。この三つが大まかにいってこの調査会の答申でございます。私どもこれを受けまして検討いたしまして、もっともである、こういう感じがいたしまして、いまその線に沿うて進めておる次第でございます。  したがいましてことしの一月に従来料金ストップをしておりましたけれども、ただストップするということだけではいかぬということで、必要やむを得ない限度における料金の改定というものを認めた次第でございます。  なお合理化も同時にひとつ推し進めていただきたいということで、東京都の都市交通等におきましては、合理化にある程度の努力をされていたように私は存じておるわけでございます。資金の面につきましては、私どももできるだけ長期の政府資金を多くするように、こういうふうな配慮をいたしておる次第でございます。
  88. 久保三郎

    久保委員 いまお話がありました中で、特に適正な運賃という問題であります。これは適正とはどんなものかということになると、長い論争になりますが、少なくともいまの都市交通の実態からいって、適正な運賃とはいままでのようなやり方、これは大体全部の交通機関そうでありますが、運賃収入によって資産をつくっていくわけですね、ほとんどがそうです。運賃収入によってつくっていくのだから、当然資産をふやしていけば運賃は上がるということなんですね。これは政治ではないと私は思っているのですよ。だからこれについては、われわれのほうの地方行政の皆さんからいままでいろいろ御意見があったと思うのです。この際やはり抜本的に見直す必要が一つあると私は思うのです。  そこで、この税法に帰りますが、今度のもので大体多少軽減されるというのでありますが、当面東京都の問題一つとります。そうなると、東京都と営団と二つ地下鉄を経営しております。二つの企業があります。営団のほうは大臣案内のとおり三十八年度の営業収支を見ていくとこれはとんとんになっております。いわゆる決算時には当期損益はゼロ、これはゼロに大体計算をしているのではなかろうかと私は見ているのです。というのは、減価償却は一定率の七〇%程度、こういうことではたしていいのかどうか。東京都は役所でありますから、決算期には率直にマイナス十八億ほど出しております。その大半が支払い利息です。これはやはり東京都ばかりではなくて営団も中身を洗えば同様なのです。私はそうだろうと思うのです。どういうことかというと、大体営業収益が百八億で、これの営業費用が六十九億、差し引き営業損益は三十九億の黒字なんです。ところが営業外のほうでどうかというと、営業外の費用としては約四十四億です。その他入れまして四十八億、そのうちのいわゆる利払いが四十一億ほどあるのです。同じ東京都の中で経営をしなければならぬ地下鉄の実態から見れば、いまの公営企業を含めて問題は大きくあるのだが、この軽減措置だけでは必ずしも公正な競争をやらせるという政府交通政策からも相反するのではなかろうか、こういうふうに思うわけです。これについてはなるほど前進ではあるが、まだまだどうも片手落ちではないか、こう思うのです。これはどうお考えですか。
  89. 吉武恵市

    吉武国務大臣 交通につきましては、東京都は御指摘のとおり利子が相当額にのぼりまして、一つの赤字の原因になっていると思います。しかしこのバス一つ例にとってみましても、それでは東京都内に走っている都営であるバスは民営でやっているバスと違っていいかというと、住民の側から見れば同じことなんです。ですから私、民営のバスが今日それでいいとは考えておりません。これも昨年ストップを食ったために民営のバスも非常に苦境におちいりまして、ことしの一月改定をせざるを得なくなった。これは先ほどの公営企業制度調査会の答申のように、民営のものにつきましても私はそうあるべきだと思うのでありますが、実は東京都営のバスと、それから東京都内を走っているバス状況がどうかというと、私はやはり公営の企業というものには多少の特殊性はあるかもしれぬけれども、これは同じにあるべき姿ではないか、そこにやはり合理化の余地があるのではないか、これは過去の赤字というものの累積に対する負担というものがございますから、過去を私は責めようとは思いませんけれども、やはりそこへ観点が向きませんと——どもいろいろ東京都その他の公営企業のバス状況を調べてみますと、いわゆる人件費等につきましても、民間ベースとは相当開きがあるように私どもは聞いておるのであります。これは年齢が相当高いとかどうとかいう点もあろうかと思いますが、これらを含めまして、やはり企業の健全化という点に立って考えていくべきではないかという点を私は考えております。
  90. 久保三郎

    久保委員 私が質問したこととちょっと違うのでありますけれども、幸い大臣からお話がありましたので、いまの比較の問題について一言申し上げたいと思います。  いまの都営交通の赤字の構造的な原因は何かというと、構造的な原因はあなたのおっしゃる一つ理屈もこれは否定はしません。あるかもしれません。しかしそれが労働者の賃金として妥当であるなら、これはやむを得ないのです。それからあなたがおあげになったように年齢的な相違がございます。ところが年齢的なものを、これをならしにできるかというと、できない。私鉄のほうはいわゆる平均年齢が非常に若いし、都営のほうは高いので、これを一緒にしようとしてもむずかしい。それ以前の問題を解決しなければならぬ。  それからもう一つ、構造的な赤字は、もうからぬようにできておるのです。これは直接自治大臣の所管ではないと思うのでありますが、たとえば近距離ということで中心だけ走って外縁に出ていかない。運賃経費関係は私から申し上げるよりもあなたのほうが御存じだと思うのでありますが、外縁的に出ていったほうがかせぎが多いわけです。そうでしょう。ところが残念ながらいまの運輸行政では、まん中をぐるぐる回っておるわけで走りが鈍い、しかも運賃が安いというか、あまりペイしないようなところだけ走って、よいところは私鉄のほうが出てきておる。これは乗り入れというかこれが一番効率がよい。そういう問題を解決せずして、ただ運賃の問題だけとらえて合理化を云々されることは、構造的な赤字を解消する道ではないと私は思います。これは運輸政務次官にお聞きしたい。あなたのほうはどう見ておりますか。これはお話自治大臣から出たから、税法からちょっとはずれますがお尋ねしておきます。
  91. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 ただいま久保委員から御指摘のとおり、民営は外縁から都心に乗り入れております。都営は都の中心部を運行いたしておりますので、交通のふくそう等におきまして、若干自動車の運行回転等におきまして、民営よりも苦労の点があろうと思います。
  92. 久保三郎

    久保委員 そういう構造的な要因をどう解決するかということが、最大の解決の方法であって、それを避けて問題の本質的な解決はほかにないと私は思います。これを考えないで、単に自治省自治省運輸省運輸省という形でやっておる限りは私はうまくないと思います。この際問題がはずれておりますからこの程度にしますが、十分お考えをいただきたい、こう思います。  それから東京都営の地下鉄と営団の地下鉄では同じではないか、同じ東京都内を走っておる。だから今度の改正案は前進ではあるが、これは少し考え直してもらわなければいけないのじゃないかと思うのですが、これに対して運輸省はどうですか。今度の改正案では、多少地下鉄というか、あるいは高架の問題について税を軽減しようというのが提案の趣旨でございます。それはけっこうだと思います。決してこれは反対はいたしませんけれども東京都内の地下鉄の問題をひとつ取り上げると、片方は都営であり片方は営団が経営しておる。ところが営団のほうは、今度のあれでこれからやれば、なるほど多少税の軽減にはなるけれども、経営実態としてはあまり差はない。だから、せめて都市交通の問題はいま大きな問題になっているのだから、もっと前進させて考えるべきではないかということが一つ、それから運輸省というか政府交通政策の基本は、公正な競争をさせるというのだから、税法上も公正な競争をさせるベースに置くべきだ、こういうことなんです。ところがこれは多少軽減するということであって、まだ格差があるわけですね。そういうことについてどうお考えか、こう聞いているのです。
  93. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 ちょっと、その前に私から説明させていただきたいと存じます。  御指摘のように、税金の面におきましては、経費で支払っておる諸税の決算におきまして、三十八年度、営団は二億五千四百万という税金を払っております。都営にはもちろん諸税の支払いはないわけでございます。われわれといたしましては、地下鉄事業が非常にその経費が高いという点から、これの税負担の軽減については、従来自治省とも折衝いたしまして、相当配慮をしていただいておるわけでございますが、今後とも、地下鉄経営の面からいたしますと、御指摘のように、できるだけ税の軽減が望ましいわけでございます。ただ税制上のいろいろな問題があるかと思いまして、そのつど自治省と御連絡をとりまして配慮していただいて、若干の部分ずつ固定資産税等においても改正をしていただいておるわけでございます。
  94. 久保三郎

    久保委員 いまお話がありましたから、幾らか軽減されるから、これを何とか非課税にしてほしいという気持ちはあるが、この際は了承した、——了承したことはそれでよろしいと思うけれども、ものの考え方として、やはり考えるべきだと私は思うのです。自治大臣、どうですか。先ほど私は、質問がへたなんで同じことを質問したのですが、大臣バスの話としてその話をしましたから、それでまたよけいなことを質問したのですが、いまの問題はいかがですか。
  95. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は聞き取り違えまして公営企業と交通と、こうおっしゃいましたから含めて申し上げたのでありますが、地下鉄につきましてはいまの御指摘のとおりでございますが、運輸省から御答弁がございましたように、地下鉄も一般の大衆に関係するところがございまするので、税はできるだけ軽減をしたいというところで、固定資産税につきまして特に処置をとったわけでございます。
  96. 久保三郎

    久保委員 そこで固定資産税関係で、全般的な話になりますが、交通運輸の機関に対する固定資産税というか、——国鉄は形を変えたものがございましたが、そういうもので一言触れておきたいのでありますが、御承知のように、最近たとえば地方の中小私鉄、こういうものがかなり経営が困難である面もあります。これはもちろん固定資産税だけの問題ではないのでございます。国鉄にしてもそのとおりのものがございます。そういうものに対して固定資産税を取りながら地方文化、産業のためにはその私鉄なりを運営していかなければならぬ、ただちにそれをやめてもらっちゃ困るというものもあるわけなんですね。これは別な政策もございますが、そこでなおかつその地域で固定資産税を取らなければいかぬというのは、これは悲しい現実だけれども、矛盾だと思うんですね。税金を取りながら、苦しくしておいて、まあ残ってくれというようなことで、理論的にも合わぬものがたくさん出てまいりまして、これらに対しても検討を加えていくべきだと思うのでありまするが、その用意はございますか。
  97. 吉武恵市

    吉武国務大臣 これは公営企業のあり方についての根本の問題で、議論のあるところだと思いますけれども、私どもは公営企業はやはりそれを利用するものがこれを負担すべきものである、すなわち独立採算のたてまえに立っていくべきだということを考えておりまするので、したがいまして、そういう私鉄でありまするから、その他のいわゆる固定資産税等につきましても、やはり必要なものは納めていただき、その処置につきましては料金というものでこれを償却していくというたてまえをとっていくべきだ、かように存じておるわけでございます。
  98. 久保三郎

    久保委員 いまの御答弁ではちょっとどうかと思うのであります。独立採算というのは当然企業としてあるべきであって、他からの援助というのはそれは異常な場合であります。ところがあなたがおっしゃった独立採算は、いわゆる運賃だ、運賃を単純にそれじゃ固定資産税を取られるからその分だけ乗っけて運賃が上がるかというと、実際は上がりません。なぜ上がらないかというと、たとえば私鉄なら私鉄の一つの小さい鉄道があります。それに並行して、たとえばバスがありますね。この場合バス運賃とその鉄道の運賃というものを比較検討というか、そういうことをした上でなければ上げられないんです。たとえばあなたがおっしゃるように無原則に上げていくとしたならば、お客は乗りませんよ。乗らなければ少なくなるからそれじゃ軌道を、鉄道を撤去しようかということになると、地方産業のためには貨物があるからそれはやめてくれ、こういうのが間々出てきているわけです。そういった問題も含めてやはり検討されることが一番いいのじゃないかと思うのです。それは地域格差を直す一つの方法だと私は思うのです。それにはもちろん地方財政にそれだけ当たりが参りますから、これに対しては国として何らかの方法をとる、あるいは他に財源を求める、こういうくふうがあってしかるべきだと思うんですね。そういうものを整備して地方税法の改正などおやりになるほうが妥当ではないか、こういうふうに思うのです。税制調査会から出た今度の提案は一部でお直しになるでしょう、そうでしょう。この辺でひとつ抜本的にいろいろな問題を勘案しておやりになることが一番いいと思うので、われわれはこの税法は、まだ時間もありますから出し直しをしていただいたらどうか、こういうような気持ちもあるんですよ。いかがでしょうか。
  99. 吉武恵市

    吉武国務大臣 いろいろと御指摘になりましたような問題は、将来税制調査会等におきましても御論議になることだと思いまするので、将来の問題としてひとつ検討してみたいと思っております。
  100. 久保三郎

    久保委員 終わります。
  101. 中馬辰猪

    中馬委員長 本会議終了後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時八分休憩      ————◇—————
  102. 中馬辰猪

    中馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案及び石油ガス譲与税法案の両案を一括議題とし、質疑を続行いたします。泊谷裕夫君。
  103. 泊谷裕夫

    泊谷委員 質問に先立って、けさほど中馬委員長からお話のありました、連合審査が諸般の都合で持たれなくなりました。しかしながら、運輸関係の私のほうとして、きょう当委員会で差しかえとして話をさせていただくことになりましたので、従前の地方行政委員会における法案審議といささかその領域の幅の異なる質問をするかもしれませんので、あらかじめその点をひとつ御了解をいただきたいと思うのであります。  二つ目の点は、吉武自治大臣に対するお尋ねの私の姿勢でありますが、本来運輸委員会に所属するものとしては、交通全体の問題、当面当委員会で問題になっております地方税法一部改正に伴う税負担者としての立場からのお尋ねをするということになりますと、関係する行政機関が数多くありまして、数多い大臣出席を求めなければならぬのでありますが、そこらの問題に勢い言及することになりますので、一つは国務大臣吉武さんとして、一つは担当の自治大臣吉武さんとしてのお答えをいただくことになりますので、これもあらかじめ御了解をいただきたいと思います。  まず最初にお尋ねをしたいと思うのでありますが、今回の地方税法の一部改正を審議するに先立ちまして、私として特に問題として感じておりますものを申し上げて、国務大臣としてのお答えをいただきたいと思います。  私の手元で調査をいたしました昭和三十七年の政府統計によりますと、国民総生産は十九兆円を示し、その支出内訳では五三%が消費に回りまして、三七%が資本形成、すなわち投資に向けられております。その他が俗にいう政府の経常支出などとなっている計算でありますが、この年は引き締めの影響で、前年より一兆円近く民間の資本形成が減少したのでございますが、それでもこのような高い投資が行なわれておるというのは、もちろん戦後の通常的な姿であろうと思うのであります。これを交通産業からとらえてみますと、特に国道一号線、東京、大阪を結ぶ線、さらには太平洋ベルト地帯という地域において、この投資の約五割が国道一号筋に集中されております。このことが日清、日露の戦い以上の交通事故による死傷者を出し、交通戦争と呼称されておるゆえんのものでありますが、政府の経済高度成長政策に伴って、産業の発展は著しいものがあるといたしましても、この重要な基幹産業であります交通産業に、具体的に考えてみますと、国鉄あるいは内航海運、路面交通バストラック、これについて政府のとられた具体的な助成措置というものが見当たりません。これらについて、まず国務大臣吉武さんとしていかがお考えであるか、まず最初にこの点を明らかにしていただきたいと思います。
  104. 吉武恵市

    吉武国務大臣 これはたいへんむずかしい問題でございまして、私の所管でございませんから何とも申し上げようございませんが、しかし産業の発展は必要なことであり、その基礎となる運輸というものはまたきわめて重要な問題でございまするので、これに対する投資というものも必要かと思います。ただ、御承知のように、投資があまりに過度に行き過ぎまして、御承知のように国際収支の関係も悪くなってき、またひずみも相当大きくなってきましたような関係で、今度の予算におきましては健全均衡財政という立場をとらざるを得なくなったわけでございます。したがいまして、それが運輸関係のほうにも影響しておるかと思いますが、こまかい点につきましては、私所管でございませんので申し上げかねますけれども、現在の政府の方針といたしましては、そのような健全均衡財政の線に向かわざるを得なかったということだけはひとつ御了承を賜わりたいと思います。
  105. 泊谷裕夫

    泊谷委員 国務大臣吉武さんとしてお尋ねしたのは、私の考えで申し上げるのではなくして、池田総理から、いま政府として最も大きな政治的課題の一つは物価抑制策であり、一つ交通の基本政策についてであると指摘をしております。この池田総理から交通基本問題調査会に諮問をいたしまして、昨年三月二十七日にこの膨大な答申書が出されておるわけであります。この答申書の「原則」の中で指摘されておりますことばに「在来交通産業の犠牲において他の諸産業が栄えてきた傾向にあったわが国の弊習を是正するためにも」、こういうことばを使われておるのであります。このことはいま指摘しました交通産業ばかりではありません。地方行政機関におけるこれらに対する助成策についても何ら具体的な措置がなされていないというのが私の判断であります。今回の税制改正も重要な関連を持っておると思います。特に貨物輸送量の五割が東海道線に集中されたり、あるいは東北、北海道の人口移動が急激に伸びて、先日予算委員会における田中大蔵大臣答弁にありますように今後日本の人口は、すべて太平洋ベルト地帯に集中してしまうのではないかという問題については、担当の省がいずれであろうとも、この交通産業体系政策、具体的な助成、地方行政に対する方策というものが明らかにされなければならぬと思うのでありますが、この点について大臣のお答えをいただきたいと思うのです。
  106. 吉武恵市

    吉武国務大臣 この問題も総合経済計画の立場に立っての考え方でございますので、私からお答えを申し上げるということもいかがかと思いますけれども、御指摘のように高度経済成長の関係でどういうことになったかということと、ただいま御指摘のように、都市としては東京、大阪、名古屋に集中いたしまして、またいまの交通面ではおっしゃったようなところに集中してくるという各種のひずみと申しますか、いわゆる構造の変化というものが出てきたことは事実でございます。こういうことは私決して健全な姿ではないと思っております。池田内閣のときからもすでに過密都市対策というものも取り上げられまして、やはり全地域にわたって産業は開発せらるべきものであるというところから、新産業都市あるいは工特地区というような政策もとられておるようなわけでございます。交通の面においてどのような政策をとるべきであるかという点は、先ほど御指摘になりました基本問題調査会等において御審議になったことと思いますが、私は勉強が足りませんで、その政策の勉強はいたしておりませんので、満足な御答申を申し上げることのできぬことをはなはだ遺憾に存じます。
  107. 泊谷裕夫

    泊谷委員 本来交通関係の主管省として運輸省というのは通俗的な見方でありますけれども交通問題でむしろ交通整理しなければならぬのは、閣内のどなたに相談をしたらすきっとした話を聞けるかという問題なわけでございまして、冒頭お断わりいたしましたように、私がきょうお尋ねする基本的な姿勢は、地方財政の擁護と、それから税負担をします皆さんの立場に立ってお話を聞きたいと考えまして、根本的ないまの政府考え方について大臣お尋ねしたのですが、勉強不十分だと言われればこれはどうにもなりませんけれども、ただ運輸白書でもきちっと今回指摘をしておりますのは、投資が急激にふえたことによって産業が急激に伸びを見せた。その輸送を、つじつまを合わせるために稼働資本の投下、言いかえると車両とか車両の大型化、こういうものについて企業の意欲的なものは見られても、基本的な路盤強化、それから道路の新設、幅員の拡張、さらにそれに関連する地方行政の確立というものについて弱い点を指摘をしておりますので、私はこの地方財政を確立する根源として、この問題についてどうしてもいまの内閣の基本的な姿勢というものについてお聞かせをいただきたいと思ったのであります。いま大臣が個々の政策ということになれば困るという話でありますので、ここは私のほうで少し一方的な話になるかもしれませんが、少しその事情を聞いていただこうと思うのでありますが、バスにしても乗用車にしてもトラックにいたしましても、鉄道、内航海運も同じでありますが、この場合路面交通だけに限定して申し上げてみたいと思いますが、産業を育成するということで日本の車両の生産高は運輸白書から見ますと保有台数昭和三十年度の末約百五十万台になりました。これが三十八年は約五百九十四万台に達まして、八年間で約四倍の倍率を示しておるのです。さらに過去五カ年の伸び率はおおよそ二〇%前後に対しまして生産高だけあるいは保有量はイギリス、フランスと同じ両数を持つに至ったわけであります。特に自動車生産は昭和三十八年は軽四輪車以上、これが約百五十万台に達しまして、なかんずくトラック大型バスがふえてきておるわけであります。課説の対象になります貸し切りバスの問題もこれの範疇に入るわけでありますが、一面道路率、これを諸外国と比べてみますと日本は東京で一一・六です。大阪で九・三、名古屋で一八・二、横浜で一三・四、神戸で一〇・八です。ほかの国ではワシントンで四三、ニューヨークで三五、パリが二六、ベルリンが二六、ロンドンが二三という数字を示して、道路幅の違いがこの数字によって明らかになってくるのですが、さらに問題点は舗装率であります。河野大臣時代に四兆一千億をかけまして道路整備五カ年計画をおやにりなるという方針を打ち出されましたが、現在舗装されておりますものは日本は一三%にすぎません。四兆一千億が計画どおり実施されましても二〇%であります。イギリスは一〇〇%という舗装率です。狭い道路に、一方産業を育成いたしまして、自動車はイギリス、フランスと同じになって、しかもイギリス、フランスは半数を国外に輸出をしておるのです。日本の場合、ココム、チンコムの制限があって車両は思うように輸出ができない悩みがあります。狭い道路で車両はイギリス、フランスの車両数をもって、この交通要請にこたえなければならぬ。さらに道路拡張の目的税として八割も税負担をさせているということについて政府は本質的にどうお考えになるのでございましょう。
  108. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ただいま数字をあげての詳しい御調査でございます。私ども大いに敬服をいたしておるところでございますが、何ぶんにも日本は急激な発展を遂げつつあると申しますか、いままでが非常におくれておったのでございまして、道路もようやくここ五、六年の間に整備ができつつあるような状況でございますから、何十年昔、ロンドンあるいはパリ等において発展したところと比べますと、御指摘のようなとおりだと思います。しかしこれはもうやむを得ぬことでございまして、今後の日本の経済の発展に伴いまして道路もよくなっていき、幅員も広がっていくと思いますけれども、先進国のそれらの都市とお比べになりますれば御指摘のとおりだろうと私は思っております。これはしかしいままでの日本の状況というものがやむを得なかったということでございまして、これは今後とも努力を続けるべきものであろうと思います。
  109. 泊谷裕夫

    泊谷委員 吉武さんと私と話をしていると、どうも同じになってくるのですね。いままではこうであったからしかたがない、今度は道路を積極的にやるという部分までは同じです。しかしそれでは私も野党ということで切れ味がありませんから、税金を納めるという立場に立って、これでいきましょう。交通基本問題調査会で答申されておるものを読みますと、「現行道路整備五箇年計画」、これは去年の三月ですから古く、ちょっと額が違います。「(総額二兆一千億円)の財源構成をみるに、一般財源の支出は約二〇%に止まりその他は自動車負担に依存している。新規道路整備五箇年計画にあっても大同小異であろう。政府は一般財源の投入を強化することによってさらに道路費の拡充を図るべきであろう。」と指摘をしておるのです。これは四兆一千億になりました。政府も努力をいただきました。しかしこの中に占める一般財源の投入は二五%でしょう。これ自体私は問題がありはしないかというのです。言いかえると、この答申でも指摘をしておりますように、目的税として利用者あるいは受益名、いろいろと言い方がありますけれども負担させる限界というものは、諸外国の例を見ましても五〇%が限界であって、本来一般財源として出されるものを出しておいて、しかして足りないからこの税を負担してくれというならわかるけれども、産業にだけ力を入れて、その産業を交通産業の犠牲で育てようという考え方は誤りじゃないかということを尋ねておるのです。
  110. 吉武恵市

    吉武国務大臣 そのようになりますかどうかは私存じませんけれども、御承知のようにいままで非常に道路がおくれておりまして、産業の一つの大きな障害になっていたということはおそらくお認めのところだろうと思います。それが最近は経済の発展に伴いましてあのように道路がよくなり——よくなったといっても、先進国に比べればまだまだ非常なおくれではございますけれども、とにかく全国的に見まして一級国道はほとんど舗装が完成しつつあるというような状況でございまするし、でありまするから、その負担を一般財源でできればけっこうでございます。しかし日本の今日の財政状況というものは、国民の福祉に関する仕事も相当大幅に伸びてきておるわけでございまして、いろいろとなすべき仕事がたくさんある。その中でいま言った道路網を拡張し整備しなければならぬということでございまするから、それが勢い自動車その他の点においても負担をかけておることだろうと思います。そこはどれくらいにかけたらいいか、どれくらいに減らすべきであるかという点は、財政全般から見ての勘案の結果であろうと思います。これは日本の現在置かれておりまする財政の現状から見ましてやむを得ないところでございまして、私どもはまだまだもっと道路は拡張をしたい、どっかに財源はないかというふうに実は苦心をしているときでございまするので、ひとつその点はあしからずお許しといいますか御了承を賜わりたいと思います。
  111. 泊谷裕夫

    泊谷委員 あしからずと言われるとちょっと困るのですがね。産業のほうには思い切った保護をされておるのですよ。これを私はとめてくれとは言わないのです。自動車産業に関連する数多い人々の問題もありますから、自動車生産をとめるわけにいかぬでしょう。これはやはり伸ばしていかなければならぬし、出たものは国外に売ってもらいたいのだけれども、これはむずかしい。ココム制限、チンコム制限で出してはいけないのですよ。通産省は五割伸びると言うけれども、十年間で中共に自動車五台しかやっていないものを、五割ですよ。ですから車がどんどんふえて、道路が狭い、そのひしめき合っている際に、自動車企業に道路を伸ばすことをしょわせるという政治のあり方について、私はどうも釈然としないわけですよ。同じ貧乏国でどうもならぬならならぬでいいから、同じ条件で保護策をとってしかるべきだと思うのですが、この点について自治大臣としてでなしに、国務大臣としてどうお考えになるかということを、くどいようですが、もう一度お尋ねしたいわけです。
  112. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私、国務大臣といたしましても、道路はもっともっと大いに整備拡充したいというつもりでございます。それを一般財源でやったらどうかという御趣旨だろうと思いますが、一般財源も、片一方では減税もいたさなければなりません、また片一方では社会保障も大いにやらなければなりません。そういう中で道路整備もやらなければなりませんので、交通関係にのみ負担をかけているわけではございませんが、それに負担のかかることもやむを得ないかと思いますので御了承を賜わりたい、かように存じておるわけでございます。
  113. 泊谷裕夫

    泊谷委員 何せ委員会を通して国民の前に明らかにされていることばですから、ちょっとことばじりをとらえるようで恐縮ですけれども、一般減税ということばがありました。確かに勤労所得税は今回八百億減税してくださいました。これは認めるのです。だが反面国民医療費負担の重加というやつは九百五十億ですから、大臣、差し引きしてまだ百五十億余分に納めるのですよ。ですから、道路なら道路と限定して、ほかとの均衡上の問題について私はお答えいただきたいと思ったのですが、それはそれにして少し前に進んでみようと思います。  そこで、それほど財政等の窮乏を訴えられるとするならば、これまた私の意見ではないですが、この答申に出ておりますことばの中に次のようなことがありますね。「さらにまた、今日必要とする道路費の八〇%以上は道路の建設・改良に充てられているが、有料道路を除き公共道路の建設・改良費は、ほとんど税収とりわけ自動車燃料税の収入に依存している。道路の建設・改良費は経常費ではなくて設備投資であることにかんがみ、税収の一部を利払いあるいは元金償還財源として道路債を募集することは合理的であると思われる。」こういうふうに指摘しているのですが、この点についてはいかがですか。
  114. 吉武恵市

    吉武国務大臣 それはよく公債論として述べられるところでございますが、現在の財政のたてまえは健全財政でいこうというたてまえでございますので、道路公債を発行してやろうということには、現在の政府としてはそういう点を考えておりませんということを申し上げておきます。
  115. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大蔵省見えておりますね。
  116. 中馬辰猪

    中馬委員長 主計官来ておられますか。——ちょっとおりませんので、すぐ呼びます。
  117. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いま大臣のほうからお答えがありましたけれども、これは有料道路事業でありますが、八千四百億程度考慮されておるはずでありますから、大蔵省が見えましたら、この点は明らかにしていただこうと思います。委員長のほうで、大蔵省が見えましたら、ここの部分について回答していただくように御手配をいただきたいと思います。  そこで、今度は自治大臣としての吉武さんにお尋ねしたいのでありますが、これは実は先日運輸委員会運輸政務次官の大久保さんに話を聞きました。大久保さんは海運関係に長くおつとめでありますからそれだけ事情を御了察いただいてお答えをいただきたいと思いますが、税の構成のしかたで私はどうも理不尽でならないものがあります。私は路面交通を取り上げましたが、今度は地方の財政確立との関連において、港湾の国の求める税収入を指摘してみたいと思うのです。そこで港の関係は、昭和三十七年度港湾収入金額の問題でありますけれども、港は、調べた範囲は神戸と名古屋と横浜の三港だけであります。ですから全港に該当するかどうかわかりませんけれども、大体これで趨勢が出ると思うのであります。この実績を見ますと、神戸は港湾全収入が七百二十二億であります。この中から国に直接入る金は二百七十七億です。そのうち関税収入は二百八十五億であって、自治体の収入として求められるものはわずか七億です。船舶収入が二百三十八億で、荷役は四十五億、貨物百四十七億となっておるのであります。他の二つの港のことでありますけれども、時間の関係で数字を羅列するのはやめましょう。この数字を見ましても、港湾整備の関係で苦悩する地方自治体が、さらにこの財源を確保するために悩み続けなければならぬという理由が一体どこにあるのだろうか。関税のほとんどを吸い上げておる。単位が二けたも違う。マルが二つも違う。七億しか入っていない。地方財政について、当然関税収入というものについても、地方財源確立の趣旨に基づいてしかるべく還元されてよいのではないか。自治大臣としては、この点は閣内でも強く主張していただかなければならぬと思うのでありますが、それについてのお考えはいかがなものでしょう。
  118. 細郷道一

    細郷政府委員 現在港湾は、御承知のように、港湾の規格と申しますか、階級別が定められておるわけであります。国が持つ港湾、あるいは地方が持つ港湾、あるいは国と地方との間で補助関係によって行なわれる港湾、いろいろあるわけでございます。港湾自体におきます収入といたしましては地方団体の場合でありますと、開港地所在の市町村におきまして特別とん税の収入があるわけでございますが、これは御承知のように額としては大きな額になっておりません。したがいまして港湾の整備全般につきましては単に地方のみならず、国との間の財政的な配分という問題によって将来解決をしていくべきものであろうと考えます。
  119. 泊谷裕夫

    泊谷委員 吉武大臣、ただいま尋ねたのは、地方財政のことについてこん身の努力をしておる吉武さんとして、先ほど前段で申し上げました産業を育成するという佐藤内閣の至上命令、これはいいのです。それはそれとして地方財政を確立すべき自治大臣として、とにかく関税収入が、いま申し上げましたように二百八十五億ですか、地方には七億しかやらない。これじゃあまりひどいじゃないか。もう少し、国の関税収入に入る分のせめて一割でも、一割五分でも——地方財政は用意でない、やろうということがあって、初めて産業とその支えになっておる交通産業、海運も含めてでありますが、その手当てがなされ、地方財政が確立されるという筋道になると思うのですが、それに大臣として閣内で努力をしてくれる気魄があるのかないのか聞いているのです。
  120. 吉武恵市

    吉武国務大臣 地方財政も非常に困っておるときでございますから、関税の相当部分を地方にいただければけっこうではございます。しかし、従来関税は、主として国税としてとっておった。その一部がとん税として地方に入っているわけでございますし、また特に港湾は、国の施設としていろいろの港湾によっては種類はございますけれども、関税として主として入ってくる、港は国の施設として国が投資しているものが大部分でございますので、まあこの点は将来の問題として私どもも検討する余地といいますか、点ではあろうかと思います。御指摘の点につきましては、十分また今後勉強いたすつもりでございます。
  121. 泊谷裕夫

    泊谷委員 私のほらがまずいようですね。吉武さん昭和二十五、六年のときには労働大臣をおやりになっておりまして、そのときにお世話になったときには、至って筋を大事にするお方であったものですから、この点はやはり三つの柱の一つが、大きくゆがんでおるところはこう直すべきだという主張が聞かされるものと思っておったのでありますが、港湾のことをとらえたというのは、ただ港湾行政をとらえたのでないのです。地方財政との関係においての問題でありますから、私の前提は、一般にいまの日本の産業が伸びておるのは、交通産業が、答申指摘されておるように、その犠牲においてなされておるという考えに立っておるのです。これは私の意見でなくて答申の意見に立って。これに対する抜本的な施策があってしかるべきだと思っておりますが、これは当然国の責任において基本法律を出しなさいと書いてありますが、これは運輸委員会のほうで運輸大臣のほう、政務次官のほうで御努力いただいておりますから、きょうは触れていないのです。しかし自治大臣として、その点についてはやはり特段の考慮をいただかなければならぬと考えて申し上げたのでありますけれども自治大臣のかまえ方として——ごらんのとおり私は今期初めて出てきた議員です。どうもわからない問題がありますので、ひとつお尋ねをしたいと思うのですが、いま港湾の、市行政に還元される問題としてぼくは関税をとらえましたけれども、これで考えてみますと、きょう審議されております税改正で収入増になるのはおおよそ九十四億ないし五億程度だろうと先輩議員から聞かされておりますけれども、こういうことでありますならば——けさ久保委員指摘をいたしました罰金が百二十億、それを出すまでもなく、工業用水には八十億の助成をして、逆に地方財政では五十億の赤字が出ておるのに始末がつかない、あるいは今度の税制改正で、租税特別措置法の一部改正で特別措置として百七十億、それから利子分離課税百三十億、もう一つは地方税、これは吉武さん自身が答弁されておる五十億、これによって利益を受ける人はわずか三十万世帯だ。しかも百五十八万まで配当だけでやっておる人は税金を納めなくてもいいという三十万世帯がありまして、逆に地方財政として五十億の負担をしょい込まなければならぬ。何で三十万世帯の人を生かすために地方財政をこう痛めつけなければならないものだろうか。さらにこれは国保、医療費の関係もありますね、百三十二億の赤字、この税法との関連はむずかしい問題があるかもしれませんけれども、ともあれことしやられております税の組み立てというものは、わずかな人に特定の優遇をして、数多い地域住民が負担増をしなければならぬという仕組みについて、自治大臣として腹を立てられないのですか、この点をお聞きしたいのです。
  122. 吉武恵市

    吉武国務大臣 地方財政の面の重要な部分を御指摘になっての御意見でございまして、私はそれぞれ一応ごもっともな御意見と思います。ただしかし、税制につきましては、それぞれいろいろの観点から考えなければならない点でございまして、罰金の百二十億につきましては、これは先ほど申し上げたとおりで、罰金というものと、それからそれを財源にして交通なり道路をやるという問題とは別個でございまして、必要なものは必要で、財源を見出すべきものでございまして、罰金をそのまま地方財政の財源にするというわけには性質上いかないかと思います。  なお、御指摘になりました工業用水に約二割五分の助成をして、しかも飲料水に助成がないじゃないかということは、これは私は一応ごもっともなことだと思います。しかしながら、工業用水の起こりましたゆえんのものは、地下水をくみ上げるためにいろいろの障害を起こす。そこで、地下水をくみ上げることを防止して工業用水というものを設けまするために、いわゆる補助制度を設けたわけでございまして、これはこれなりに必要に応じてやっていることでございまするから、これだけの財源が地方財政にすぐ入るというわけにもまいらないと同時に、一般の飲料水に一般の財源から繰り入れたからどうかという議論も、これはいわゆる独立採算制のたてまえから申しまして、いなかの簡易水道その他は別といたしまして、都市における水道は現在のところできないものと私ども考えておる次第でございます。  なお、特別措置についていろいろ御指摘になった点はございます。特に配当課税等につきましての御指摘の点もごもっともの点だとは思いますけれども、これも国の資本蓄積のたてまえからやむを得ずとった処置でございます。今回の配当課税につきましても、五万円以下は、従来三万円以下の配当課税につきましては、これは支払い調書等もございませんので免除しておりましたので、今回それが五万円に引き上げられましたからといって、これまた初めから取るというわけにもまいりませんので、五万円以下はこれを従来通り地方税としては申告をしないでもいいということにした次第でございます。しかしながら、そうかといって、このたび国で配当選択課税をいたしましたものにつきましては、やはり地方税のたてまえを貫きまして、地方税としてはこれを課することにいたしておる事情も御了承賜わりたいと思います。  なお、国保は赤字が百三十二億ほどございます。これはしかし国保全体の制度の上において検討すべきものはあろうかと思いまするけれども、現在置かれておりまする国保の制度におきましては、医療費はやはりだんだんと高まってくる。しかも受診率もふえてくる。また給付率も五割給付から七割給付になるということになりますれば、医療費は勢い増加してくることは、これはやむを得ない処置かと思います。その際におけるこの医療費をどうして負担するかという問題は、医療制度の中において現在、国は二五%を負担し、さらに一〇%は調整交付金として負担をしておりまするから、その分についての負担は当然国が負うべきでございまするけれども、自己負担として課せられておる三割、あるいはまた五割給付のところにおいては、やはり自己負担でそれを負担されるということは、これまたやむを得ないところであろうかと思います。残る二〇%についての保険料につきましては、やはりその保険料の中においてこれを負担していただかなければならぬのじゃないか。赤字はどういうふうにして出てきたかといいますると、そういうふうに医療費がだんだんとかさんでくるにかかわらず、いま申しましたように保険料というものがそれに相応して上げにくいという点等もございまして、赤字が百三十二億残っておるという状況でございます。これは私どもといたしましては、地方財政の健全化というたてまえから申しますれば、それぞれの負担区分において健全化していきたいという考えでございます。
  123. 泊谷裕夫

    泊谷委員 吉武大臣、租税特別措置法が変わったからという経緯については、おぼろげながら知っておるのですよ。ただ、地方行政をお世話する大臣として、諸般の施策から地方行政として影響を受けたものについての具体的な保護策を、私は、やはり交通産業に強く求めている。言いかえると、これが利用者負担ということで、料金問題に発展せざるを得ないだろうということを危倶して尋ねておるのです。税金のことだけ議論するのは一体にこの委員会は適切でないと思うのですけれども一つだけ、やはり記録に残りますから明らかにしておきたいのですが、いかに大臣答弁しようとも、今回、先日も資料が出ていましたけれども、私ども俸給生活者は、家内と子供で、そして年間わずか三十万円の所得のものとしてみても、税金は、所得税一万二千八十六円、住民税一万一千五百円。それから農業をおやりになっている人、それから商売をやっている人は、所得税三万六百七十四円、それから住民税一万八千六百八十円、事業税一万八千円、合わせて、農業所得のほうは四万九千三百五十四円ですし、それから商売をおやりになっておる人は、六万七千三百五十四円も納めるのですね。配当所得の人は、所得税も事業税も全然かからぬで、住民税で千百四十八円なんですよ。これだけ比べても私は、たいへん議論がある。こういう政治の姿勢について議論を起こそうとするならば別でありますが、ともあれ、それは各担当のところで多くの議員から主張されておるところでございまして、地方財政を確立する自治大臣として——産業を育成することについては私はいいと言っているのですよ。それと同時に、地方財政を確立する、交通産業を体系も政策も整理をしてということであれば、産業を育成することだけばかりに目を向けて、この一つの点をどうしてくれるのか。それについて私が自治大臣だったらほんとうは腹を立てて——この間お会いしたときのように、二割五分だったら正月越してもがんばるという気魄がどうして聞けないのですか。役所におじゃましたときは、そういう演説を聞かされて、きょうになりましたら、二割五分になりましたが、交付税の問題、それをこの点はやはり思い切って手当てをしなければならぬと担当大臣考えるということを公然とおっしゃっていただけないのですか。
  124. 吉武恵市

    吉武国務大臣 たいへん地方財政に御理解のある御支援を賜わりますることは、私としては力強い感じをいたすのでございます。私といたしましても、今日の地方財政の窮状を知っておりまするがゆえに、昨年来の予算措置におきましても、最後まで相当がんばったわけでございます。しかしやはりものごとというものは、全体を見て処理せざるを得ないのでありまして、御承知のように、今回の国の予算といたしましては、自然増収として四千五百億ほどしかございません。しかもその中では、もうきまった既定経費というものが三千五百億もありまして、残る金といっては一千億にも足らない。そういう中で地方財政が困っておるから交付税はひとつ要求どおりまるまるくれろ——承知のように、私とも要求いたしましたのは三〇・四%、すなわち三百四十二億というものを要求したのではございますけれども、一千億しか自由に新しい仕事ができない中で、地方が困っているから交付税だけぜがひでも三百四十億よこせということは、これは言うべくしてやはりなかなか実現のできぬ問題でございまして、折衝の結果百四十五億。しかしあの中で百四十五億の予算を獲得するということは、実はこれはなかなか至難なことであったのでございまして、私としては、大蔵大臣もよく勉強してくれたと、実は内心は考えておるところでございます。決して私はこれで満足しているわけではございませんで、今後といえども地方財政のためには、もっともっとその財源獲得に努力するつもりでございます。
  125. 泊谷裕夫

    泊谷委員 吉武さん、いまのお話、田中さんの演説聞いているような、大蔵大臣から訓辞を賜わっておるような感じがいたします。大臣が努力をされたことは承知をしております。それはそれとして認めるのです。認めるのだが、現実に政治というものはいろんな施策をして、部分的に穴のあいたものについてどう始末するかということを完結してやらなければならぬものだと私は思うのです。特殊なところだけが伸びて、数多いものが苦悩するということは、私は政治と言っていいのかどうかということに私自身は疑問を持っておるのです。  そこで先ほどからお断わりしております本題に入りたいのですけれども、しかりとすれば道路の問題が出ます。それと国民の代表として私どもが集まって国会できめる行為、議決なり附帯決議というものは、ぼくは絶対的に大事にされなければならぬと思うのですが、大臣としてはどうお考えですか。
  126. 吉武恵市

    吉武国務大臣 もちろん予算国会で御審議を願うことでございますので、私どもは皆さん方の御審議なり御意見のことはできるだけこれに耳を傾けていきたい、かように存じております。
  127. 泊谷裕夫

    泊谷委員 できるだけ、相変わらず前の労働大臣時代の吉武さんと変わらないですね。私はこれから附帯決議のことを申し上げようと思ったのですが、早くも逃げを打たれてしまいましたけれども、大蔵省が来てから道路関係のことについてはお尋ねをしたいと思います。  政務次官の大久保さん見えておりますけれども自動車局長おいでですね。事務的にわたりますので、自動車局長一つお尋ねします。  けさほど先輩の久保さんのバス事業の質問に対して、この程度税負担はさしたる支障がなかろう、大筋こういう答弁をされておったように思われるのです。聞き違いですか。
  128. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 けさお答えしましたのは、どういう影響があるかというお尋ねでございましたから、やはりこれは原価計算の上において影響がなしとは申されません、しかしできるだけ事業の合理化等によってこれを吸収することにはつとめますけれども、若干の影響はございますと、かような御答弁をいたしました。
  129. 泊谷裕夫

    泊谷委員 けさお尋ねしたのは、運輸省側の答弁はそういうことでありましたが、自治省側の答弁はいささかニュアンスを変えておったように思うのですが、いかがですか。
  130. 細郷道一

    細郷政府委員 貸し切り観光事業につきましては、今回の自動車負担の増のコスト中に占めまする比率が非常にわずかでございますので、私どもとしてはこれは吸収し得る見込みでございます。
  131. 泊谷裕夫

    泊谷委員 私の手元にある資料は必ずしも適切だとは申し上げません。なぜかならばこれは日本自動車協会の発行したものでありますから、政府発行の統計資料ではないので適切でないかもしれぬが、しかし少なくともバス事業の企業者の皆さんが試算したことには間違いないわけでありまして、この貸し切りバス事業の昭和三十五年度の収支調査表というものを読み上げてみますから、事実と近いのか相違しておるのか、自治省並びに運輸省関係担当者のほうからお答えをいただきたいと思います。貸し切りバス事業の収支調査表というものが送られてきておりますが、それによりますと、全国でバス事業業者数は五百十八、調査の報告をくれた会社が三百七十九、その中で黒字会社が百七十一、赤字会社が二百八、パーセンテージはいずれも四五%の黒字、五五%の赤字という数字を示しておりまして、トータルにおいては、関係三百七十九社の支出合計は三千九百七十八万四千四百八十三円、収入合計三千九百二十九万二千百六十円、収支差赤として四十九万二千三百二十三円、こういうのが計上されております。そのうち専業者数は百八十七、報告を出しました会社百三十四、黒字会社六十五、赤字会社六十九、パーセンテージは四九対五一、こういうことになっておりまして、この支出は九百三十六万二千百二十五円、収入八百八十九万九千五百六十九円、収入差赤字四十六万二千五百五十六円という資料が出ておるのですが、運輸省並びに自治省としてこの企業の実態をおおよそ間違いないと認められるかどうか、この点について明らかにしていただきたいと思います。
  132. 坪井為次

    ○坪井政府委員 ただいまの数字、私内容をよく存じませんので、いまここでお答えできませんけれども、貸し切り事業につきましては昨年実は値上げをいたしておりますので、われわれとしましては企業努力その他も加えまして、あの程度吸収できるというふうに考えております。
  133. 細郷道一

    細郷政府委員 今回の観光貨し切りバス税率引き上げに伴う影響でございますが、これはいろいろ会社によって、会社の規模あるいは路線バスを経営している会社、あるいは観光だけをやっている会社、いろいろ規模の大小、事業内容等によりまして一率にはなかなかあらわれてはまいらないのじゃないかと考えております。いまお示しになりましたような資料は、私どももまだちょっと見ておりませんので、その資料についてどうこうということは申し上げかねますが、私のほうで別途に中規模の会社につきまして調べたところによりますと、確かに三十八年度におきましては多少の赤字が出ておりますが、その後昨年九月でございますか、料金が改定になっております。したがいまして、その改定になりました増収分をその資料につけ加えてこれを見てまいりますと、そのうちに占めます今回の増税負担分は非常にわずかなものとなりまして、改定によって増収される増加収入額のうちのわずか二・三%程度というような計算が出てまいるのでございまして、これをもってあらゆる会社すべてを律することはいろいろ困難かと思いますが、こういった資料にもよりまして、ひとつの判断と見通しをつけておるような次第でございます。
  134. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大蔵省の方にお尋ねをいたしますが、先ほども自治大臣に申し上げましたけれども、昨年池田総理から交通基本問題調査会に諮問をされまして、回答がおありになったことは御承知のことと思うのですけれども、その中で、特に先ほども指摘をいたしましたが、日本の産業は交通産業の犠牲において育てられておるという指摘をしまして、特に問題としてとらえておるのに、道路財源を自動車の諸税に求めておる、いま大まか拾ってみましても、昭和二十八年に創設されましたガソリン税、それから昭和三十一年の軽油引取税、これはもう一年置きに上がっています。当時の倍以上になってしまって、油の原価と税金の割合は一対二で、税金のほうが原価の二倍となり、そのほかに自動車に対する物品税の引き上げ、あるいは自動車税率引き上げ自動車取得税の一般化、あるいは自動車LPガスの創設、これは一年見送りになったやに聞いていますけれども、ともあれ、自動車重量税の創設が考えられているとか、あるいはタイヤ、チューブ税の問題、さらには自動車損害賠償責任保険料が従前の三倍に上がった、こういうことで、交通産業が税負担をしておることは、ものすごい数字と率を示しておると思うのですけれども、この調査会でも指摘をしておりますように、さらに昭和三十年六月二十九日の衆議院本会議における附帯決議もありまして、いまの率は適切であるとお考えであるかどうか、道路財源に求めております一般財源の投入、この率と自動車関係税負担との率を適切であると考えておるかどうか、この点をまだ明らかにしていただきたいと思います。
  135. 平井迪郎

    ○平井説明員 率直に申しますと、私公共事業関係を担当いたしておりませんので、道路財源問題について現在のような自動車の受益負担制度というものが、現行のままで適切であるかどうかという点については、私どもがお答えできる立場にはございません。ただ基本的な考え方といたしましては、確かに道路の改良、整備によりまして、自動車の耐用年数とかあるいは機器内容の改善という点においてプラスのあることは事実でございまして、その限りにおいて現在の体系自体としては、ある程度当然のことであろうというふうに考えざるを得ないと思います。ただその場合に、一般的な道路財源と、特定目的のためのガソリン税その他の目的税とのバランスがどうあるべきかということは、御議論がいろいろあるところでございますけれども政府としては、現在のやり方で妥当であるという考え方のもとに仕事を行なっていかざるを得ないと思います。
  136. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは、基本問題調査会の島田孝一さんが出された答申は適当でないというふうにお考えなんですか。
  137. 平井迪郎

    ○平井説明員 確かにいろいろな御意見があることも存じております。ただ現在の段階において国の一般財源のあり方、道路の実際の改良状況その他等を総合的に勘案いたしますならば、現段階においてはいまのような負担割合がやむを得ないのではないかというふうに考えているわけでございます。
  138. 泊谷裕夫

    泊谷委員 お宅さんには気の毒なお話かもしれませんが、けさからここの委員会にきょう初めて参加している者から見れば、片や税制調査会答申をたてにとり、片や——これは私が言うのではないんですよ。池田総理が諮問をして交通体系の問題で答申を受けたものが逃げ場を求めて、都合の悪いところは伏せるというのは理屈に合わないじゃないですか、その点はどうですか。
  139. 平井迪郎

    ○平井説明員 非常に政治的な問題でございますから、私どもがいずれを是とし、いずれを非とするというかとはなかなか言いにくいところでございますが、率直に申し上げまして、現在の国、地方を通ずる財政状況と、一方における道路に対する需要というような点を考えますならば、現在の段階においては、そういった割合によることはやむを得ないのではなかろうかということ申し上げているわけでございます。
  140. 泊谷裕夫

    泊谷委員 私の聞いているところでは、大蔵省の主計官というのは、どうしてどうして予算配分には大臣どころの騒ぎではないと聞かされておりましたが、いまの話を聞くとだいぶ実態と違うようであります。これはまた、それはそれなりに閣僚の位置にあります大臣お尋ねしなければなりませんが、ここは、先ほどやりましたので、具体的な問題として、それほど財政操作に困難があるとするならば、この税徴収を見合にして道路公債を発行しなさいと主張しておるのでありますが、吉武大臣は公債論はもう重要な問題であって、それを実施するということはないだろう、要約してこういう答弁をなされたのですが、先日有料道路事業を実施するため道路公団、首都高速道路公団、これらの関連において八千四百億の道路債券の発行を予定しているということが出ているのですが、それについてはいかがですか。
  141. 平井迪郎

    ○平井説明員 私どもはその問題についてはつまびらかにいたしておりませんが、基本的な政府考え方といたしましては、過日佐藤総理から予算委員会等で御答弁がございましたように、今後中期五カ年計画の遂行過程において公債を出していく考えはないというふうに伺っている次第でございます。
  142. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大蔵省に長岡さんとおっしゃる主計官がおいでですね。
  143. 平井迪郎

    ○平井説明員 はい。
  144. 泊谷裕夫

    泊谷委員 お帰りになりましたら、昭和四十年三月十二日の運輸委員会会議録をごらんいただきたいと思うのです。これは運輸委員会で私がお尋ねしたのですが、本来これは運輸省答弁できる範疇でないと考えまして——私が聞いております実力者であると言われている主計官に尋ねたところ、「有料道路事業を実施いたします道路公団、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団の財源調達の方法といたしまして約八千四百億円に及ぶ道路債券の発行を予定いたしております。」こういうことを明らかにしているのですが、これはきょうここでお聞きするのと全然話が違うのですが、このことについてはどうですか。いまの時点でおわかりになりませんか。
  145. 平井迪郎

    ○平井説明員 先生の先ほどのお尋ねが、道路財源のために公債を発行する考え方はないかという前提での御質問でございましたので、その点につきましてはございませんということを申し上げた次第でございます。
  146. 泊谷裕夫

    泊谷委員 わかりました。厳格な意味における公債論ではないということを言いたいんですね。そういうことですか。
  147. 平井迪郎

    ○平井説明員 これは政府関係機関におきまして、政府保証債を出している例は他にもいろいろございますわけでございます。その限りにおきまして、少なくとも国が債務者となって公債を発行する考え方はないということを申し上げた次第でございます。
  148. 泊谷裕夫

    泊谷委員 先ほど申し上げましたけれども答申指摘をされまして、それに基づいてお尋ねをしているんですね。債券発行の財源調達ということの事実は間違いないでしょう。
  149. 平井迪郎

    ○平井説明員 先ほど御指摘がありましたような公団債という点については、否定しているわけではございません。
  150. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは重ねてお尋ねをしますが、この答申に見られるように、自動車産業、あるいはこの運送に携わるものの税負担は限界に来ている、道路は一般財源を強く投入しなければならぬ、財源難というならば道路債を募集しなさいと主張しておるんですが、これはやる意思ないということですか。
  151. 平井迪郎

    ○平井説明員 先ほど私、御答弁申し上げましたように、国の一般財源あるいは財政投融資についての引き受けの状態あるいは道路事業、そういったものも総合的に勘案いたしませんと、抽象的に道路財源に当然公団債を発行すべしと、引き受けの可能性があるかないかということなしに議論するということは、問題としてはやや無理があろうかというふうに考えている次第でございまして、現在の段階では、最近の財政事情あるいは金融市場の状況、その他から勘案して現状の程度でやることはやむを得ないんではないかと言わざるを得ないのでございます。
  152. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これでおしまいにしますけれども、抽象的ということばがありましたから、これは私の意見を入れないで、答申そのものを読んでみますからそれに答えていただきたいと思います。「道路費は元来一般財源で賄われてきたものであるが、自動車の利用が普及するに及んで、道路費の少からぬ部分自動車負担させるようになった。自動車負担は、燃料税その他特別税の形で賦課されるが、この場合道路費総額のうちどれだけを自動車負担させるべきかという問題がある。  思うに自動車負担の割合は、自動車利用の普及に従って増大すると考えるのが適切であろう。日本の自動車利用は急速に普及したけれども、欧米諸国に較べるならば未だ数分の一の低位にある。欧米諸国においても今日なお道路費の一部に自動車負担以外の一般財源を充てている事にかんがみ、自動車利用率の低い日本では道路費中かなり大きな割合を一般財源で支弁することが妥当と思われる。  現行道路整備五箇年計画(総額二兆一、〇〇〇億円)の財源構成をみるに、一般財源の支出は約二〇%に止まりその他は自動車負担に依存している。新規道路整備五箇年計画にあっても大同小異であろう。政府は一般財源の投入を強化することによってさらに道路費の拡充を図るべきであろう。  さらにまた、今日必要とする道路費の八〇%以上は道路の建設・改良に充てられているが、有料道路を除き公共道路の建設・改良費は、ほとんど税収とりわけ自動車燃料税の収入に依存している。道路の建設・改良費は経常費ではなくて設備投資であることにかんがみ、税収の一部を利払いあるいは元金償還財源として道路債を募集することは合理的であると思われる。政府は、従来有料道路の建設資金のほかは、公共道路資金のために公債を発行しないという方針を採ってきたが、設備投資の性質並びに公共道路整備の緊急性にかんがみ、経済情勢その他の条件の整備をまって道路公債の発行に踏み切ることによって、道路整備計画の規模の拡充を図るべきであろう。」こういうふうに指摘しておるものについてどうお考えですか。
  153. 平井迪郎

    ○平井説明員 その御答申につきましては、確かに一つ考え方であることは私どもも認めているわけでございます。ただ公債を発行するという問題は、単に道路財源の適否というだけではなしに、全体の公債政策に関連する問題でございまして、現在の政府の姿勢といたしまして、そういった公債を発行するということは、今後といえども当分の間は行なわない、将来、非常に先のことはわかりませんけれども、少なくも中期五カ年計画の間は行なわないという基本的な姿勢をとっているわけでありまして、その限りにおきまして、答申そのままに実行するということは、事実問題として困難であろうということを申し上げている次第であります。
  154. 泊谷裕夫

    泊谷委員 公債関係の話は以上でおしまいにしますが、自家用乗用車、貸し切りバス自動車税引き上げの問題に戻ってお尋ねをしたいと思います。  これは昭和二十五年に制定されて、今回五〇%増額しようということが骨格でありますけれども、一体貸し切りバスといいますと、通常学生生徒の修学旅行あるいはこれらの体育、保健の向上、あるいは宗教団体の宗教行事、PTAの社会見学、あるいは町内会、会社の団体などの観光旅行その他というのがおもだと思うのです。時期的なとらえ方をしますと、年の瀬に帰省するというのに利用されるものが数多くありますけれどもバス事業は運審の認可制であり、条件としては学割りその他の制限がある。先ほど私の得ました資料と、自治省側、運輸省側では違いがあり、両省では昨年幾らか値上げをしたからというので、一般的な見方に差があるようでありますけれども、昨年もことしも、内閣は公共料金を一般的に押えたいという姿勢をとっております中に、この取得税だけ引き上げるということは相矛盾するのではないかと思うのですが、これについての考え方を明らかにしていただきたいと思います。
  155. 細郷道一

    細郷政府委員 今回自動車税のうち特定の車種のものについて税率引き上げをお願いしておりますのは、けさほど御説明申し上げましたように、自動車は御承知のように固定資産税のかからない助産でございまして、固定資産税の中から特別に抜き出して自動車税という税目を立てているものでございます。その意図は、やはり自動車という財産自体道路と非常に結びついてその機能を発揮するという特殊な財産であるということに着目して、こういう措置がとられているのでございます。しかるところ、昭和二十九年現行税率になりまして以来、十年間そのまま据え置きになっておりますが、その間国民の所得の額も上がってまいりましたし、あるいは道路整備の状況もよくなりまして、自動車の機能はますますその価値を発揮してまいっております。そこへもってまいりまして固定資産税のうち宅地の平均税負担というものがこの十年間で約五割ふえているという、こういったような諸事情考えまして、今回特定の車種につきまして税負担引き上げをお願いしているわけでございます。
  156. 泊谷裕夫

    泊谷委員 自動車関係税金の問題で、固定資産税との対比点で話が出ましたが、先ほど指摘したような相当数多い——納税者側から見ると数多いものが並んでいるのですが、特に自動車を用するものとして見ました場合に、有料道路なんか、道路使用料金を支払うほかに、有料道路の走行のためには燃料代の形で道路目的税を払って、ここだけとらえてみますと、これは二重負担だということも言えると思うのですね。  それからもう一つ、これはこの問題と関連してお尋ねしておきたいのですが、LPガスの課税ということが暮れの新聞をずいぶんにぎわせましたが、これは大蔵省側として考えられているかどうか、これを明らかにしていただきたいと思います。
  157. 細郷道一

    細郷政府委員 石油ガスに対する課税につきましては、他の自動車燃料との均衡問題から、自動車用の石油ガスについて課税をすべきであるという考えによりまして、石油ガス税を今回創設いたすことにいたしました。その税は国税といたしまして、ただいま国会のほうで税法の御審議をいただいておるわけであります。
  158. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは最後になりますが、大蔵委員会のほうに回っておるものもありまして、LPGの問題もあるわけでありますが、何はともあれ野党の泊谷が言うのではなくて答申に出ておりますように、日本の産業は交通産業によってささえられておる。確かに私もそうだと思うのでありまして、国鉄だって百年の歴史を持ちながら、政府出資はわずか四十億でありますし、海運の利子補給という話がずいぶん造船などで出ましたけれども、これとても、海運の統合にしてもわずか千三百七十五億円の統合に対する助成をした。路面交通に至っては何らの助成もないと言っていいと思います。日本の産業の伸びることは私としても歓迎するところでありますけれども、一般的に自動車産業が伸びて生産高が高まった、その車両は、狭い道路にひしめき合っている。車両の運用効率も悪く、警察庁の調べによりますと、三サイクルとめられますと交通渋滞というのです。一サイクルとは八十秒です。これが二十サイクルとめられたことが昭和三十七年には二十四回あるのです。二十サイクルとめられますと、一つの信号を越えるのに二十八分ないし三十分かかりますが、三十分もかかってハイヤーがかりに信号を越えたとして、わずか料金が九十円または百十円です。このように企業経営も困難であります。しかも道路財源に引き当てる目的税が八割の負担、いま正確に言うと七割五分程度です。また新しい取得税の増額などによって、これらの企業あるいは交通体系というものを整備する方策というものが企業間では見当たらなくなってきておるわけであります。でありますから、自治大臣として、地方財政の確立の趣旨があることは承知いたしますけれども、閣僚のお一人として、抜本的に交通産業に対して、日本の産業の伸びと合わせた均衡ということを考えて、すべての政策に対処していただかなければならないということを最後に強く要望しておきまして、質問を終わらせていただきます。どうも失礼いたしました。
  159. 中馬辰猪

    中馬委員長 暫時休憩いたします。    午後五時二分休憩      ————◇—————    午後五時二十五分開会
  160. 中馬辰猪

    中馬委員長 再開いたします。  質疑を続行いたします。佐野憲治君。
  161. 佐野憲治

    ○佐野委員 地方税法の一部を改正する法律案が本委員会に付託されましてから、連日熱心な質疑が続けられてまいっておりますし、特に改正法案の内容のみでなく、地方税の実態に対しましても、あるいはまたその運営の内容につきましても、あらゆる角度から熱心な質疑が行なわれたわけでありますが、いま、最終段階を迎えまして、私は、同僚諸君が質疑を重ねました点について、できるだけ重複を避けたいと思いますが、やはり重要な点につきまして一応確認を求め、かつまた、自治大臣の所見をただしておきたい、こういう点につきまして、これから質問さしていただきたいと思います。  まず第一に私は、地方税の収入見積もりにあたりまして、その前提となる日本経済の動向、それに対する正しい把握がやはり必要であろう、かようにも考えますし、現に直面いたしておる地方財政の現況、地方税に対する収入見積もりの問題に対しましても、いろいろな点が提起されておりますので、その前提となる日本経済の見通しに対して、地方税との関連において簡単に御説明願いたいと思います。
  162. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は、日本経済の前途につきましては明るい気持ちを持っておるのでございますが、しかし過去数年間に見られましたような高度経済成長は、一方においては産業の非常な発展を来たしまするが、同時にひずみというものもあらわれてまいりましたので、今回の佐藤内閣は、健全均衡財政をとりまして、経済の成長率もある程度で押えておる次第でございます。したがいまして、従来に見られまするような自然増収というものは、すぐには私は期待できないと思います。したがいまして、今度の地方財政の規模におきましても、前年度は一九・一%の伸びがございましたけれども、今回は一五・二%にとどめておる次第でございます。このことは、国の財政におきましても、昨年一五・四%でございましたものが一二・二に圧縮されているような状況でございまするので、私は、健全財政をとる限りにおきましては従前のような自然増収は期待できない、しかしながら日本経済の実勢と申しまするか、それはございますので、漸次経済が回復するに至りましてその増収は増していくものだ、かように存じております。
  163. 佐野憲治

    ○佐野委員 私の質問が抽象的だったという点で、あるいは大臣が勘違いされたのかもしれませんけども、私の知りたいのは、経済成長率が前年度と比較して一体どういう方針をとっておるか、あるいはまた総生産について見てまいりますと、前年度と比べてどういう点に特徴があらわれてまいっておるかということ、たとえば設備投資の面において、あるいは輸出の面において、やはり前年度と特異な変わりを示しておるんじゃないか、そういう点が地方税の面においてどういう影響をもたらすものだと判断をせられるか、この点が聞きたかったわけです。
  164. 吉武恵市

    吉武国務大臣 御承知のように、経済成長率も四十年度はたしか七・五に押えておると思います。前年度が九・四でございましたものが、四十年度は七・五に押えておりますから、その点がいわゆる引き締め基調に入ってきた、かように存じていいかと思います。
  165. 佐野憲治

    ○佐野委員 国民総生産に対して、前年度と比較して特徴的な変化を示している点はどういう点ですか。
  166. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、国民生産の伸びを対前年度と比較いたしますと、国民総生産におきましては、前年度は伸びが指数で申しますと、一一二・九に対しまして今回は一一一・一で、その中で民間の資本形成に充てられております分につきましては、前年の一〇五・三に対して一〇七・三、生産者の耐久施設に対しましては一一二・一に対して一〇五・四、在庫の増加につきましては、前年度はその対前年に比べて下がっておりますが、七三・四に対して今回は横ばい、個人住宅につきましては、前年の伸び同様一二五・八と一二四・七、個人消費支出につきましては、やや物価を押えて、支出も押えるという意味合いにおきまして、一一三・六が一一二・七と、こういったふうな指数的な関係にあるのでございまして、明年度の地方税収入につきましても、この三十九対四十の経済成長の影響いたします税目につきましては、それぞれこの指数をもとにいたしまして積算をいたしておる次第でございます。
  167. 佐野憲治

    ○佐野委員 私がやはり心配いたしますのは、経済成長率が七・五%に押えられておる、かつまた総支出の面を見てまいりましても、民間設備投資に対してきびしくなってきておる、あるいは輸出の面をとりましても非常に鈍化してまいっておるという中で、明年度の財政は非常に苦しい状態に直面するのじゃないか、そういう点を心配するわけですが、それと同時に、消費者物価の見通しは一体どうなのか、この点もお尋ねしておきたいと思います。
  168. 細郷道一

    細郷政府委員 経済見通しの上におきましては、御承知のように、対前年に比し四・五%というところに押えるべく見通しを立てておる次第でございます。
  169. 佐野憲治

    ○佐野委員 前年度におきまして四・二%の見積もりであったのが、昨年の暮れにおいて四・六%に変更せざるを得なかった。明年度は四・五%で押えるのだ、しかしながら民間七銀行の調査によりましても、大体六%程度にまで伸びるのじゃないか。富士銀行は七%だという見通しも発表いたしておるわけでございます。しかも政府は本年度四・八%と言いますけれども、最近における状況から見てまいりまして、実質上五%をこえておるのじゃないか。その点に対して一体どういう見通し、どういう把握をしておられますか、一応伺っておきたいと思います。
  170. 吉武恵市

    吉武国務大臣 この点につきましては、予算委員会においてもしばしば論議されたところでございますが、政府といたしましては、四・五%に押えていきたいというあらゆる努力を尽くしておる次第でございます。しかし御指摘のように、なかなか容易ならざることでございます。容易ならざることではございますけれども、何とかしてひとつこの線で押えていこうというあらゆる努力を払っておるところでございます。
  171. 佐野憲治

    ○佐野委員 私は、やはり地方税を包んでおるそれらの諸情勢を見てまいりましても、非常に困難に満ちてまいっておるというこは政府の経済見通しの中でも理解できるのですが、と同時に、物価に対するところの政府のいままでの施策から見てまいりましても、本年度、明年度を通じまして相当大幅な値上がりを示すのじゃないかという点を危惧するわけですけれども、この点はまた後ほどの問題に関連してお聞きいたすことといたします。  第二の点として、私、大臣に率直に伺っておきたい点は、本委員会におきましても、税例調査会の答申に対しましては尊重して努力いたしてまいっておる、重要な未解決の点に対しましては、今後も解決のために努力をする、こういうことを言明しておられるわけですが、その点はどうですか。
  172. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私ども税制調査会の御意見はできるだけひとつこれを尊重していきたい。今回の税制改正も、それを実は非常に尊重してまいったことでございますが、今後といえども同じく尊重してまいるつもりでございます。
  173. 佐野憲治

    ○佐野委員 その意味から一応お聞きしておきたいと思いますことは、明年度における目無増収、国の場合、地方の場合、その総額、これに対する減税額は一体どうなっておるか、この点をひとつ簡単に説明願いたいと思います。
  174. 細郷道一

    細郷政府委員 地方税につきましは、現行の制度のもとにおきます明年度の対前年当初見込みとしてのいわゆる自然増は千九百六十五億であります。国税につきましては、自然増収は対前年当初見込みに対しまして四千七百十九億というようなことでございます。
  175. 佐野憲治

    ○佐野委員 減税額が出ていないですね。
  176. 細郷道一

    細郷政府委員 国税につきましては、四千七百十九億のうち、減税額が初年度で八百二十億でございます。それから地方税につきましては、初年度におきまして一般減税分が二十五億、それに国税改正の分あるいはその他の増税分あるいは法人税割の調整はね返し等を入れて通計いたしますと、全部で八十億の増となるのでございます。ただ御承知のように、明年度におきましては、地方税における住民税あるいは固定資産税におきまして、実質的に住民負担の軽減になるものが、たえば課税方式の統一といったようなものがございますので、その分が別途に二百六十億の減となって四十年度にあらわれてまいりますので、ただいま申し上げました本改正案によります八十億の増と差し引きをいたしますと、差し引き百八十億の減、ここういうとになるわけでございます。
  177. 佐野憲治

    ○佐野委員 そこでお尋ねしておきたいと思いますことは、昭和三十八年の税制調査会答申では、最近の経済情勢にかんがみまして、負担の軽減という見地から、物価騰貴の著しい今日の情勢において、物価騰貴分を調整しなくちゃならない、そしてその基準並びにいろいろな点に触れておるわけですが、そういう意味から考えてまいりますと、いまの減税に対しまして物価調整分、三十八年度に発表されておる基準に基づいて物価調整分を行なうとするならば、一体幾らになるか、この点を所得税と住民税についてだけでもけっこうですけれども、一応御説明願いたいと思います。
  178. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、物価調整必要額は、毎年におきます物価の伸びと、所得の伸びによって名目的な所得がふえてまいるわけであります。さらに税の面におきましては、所得税や住民税におきましてはその累進構造の関係で弾性値が作用して税収を構成してまいるわけであります。したがいまして、そういったもののなかで、一体物価によって伸びます部分に対応する税額は、実質的な減税額にならないのではないかというような意見がございまして、前の税制調査会におきましてそういう部分の計算はどういうふうにすべきであるかという議論がございました。その答申の中に、一定の算式が示されておるわけであります。その算式は、いま申し上げましたように、自然増収額、所得税あるいは住民税のような所得に対しまして、累進構造的な課税をいたしております。税目につきましての自然増収額は、その要素を分けてみると、消費者物価の伸びによる部分に対応する税額、あるいは名目所得自体の伸びに対応する税額、さらに所得税あるいは住民税におきます弾性値の伸び、こういったような諸要素が加わっておりますので、名目的な自然増収額のうちで消費者物価の伸びに対応する部分の税額はどれくらいであるかという算式が示されておりますので、それにそれぞれ実際の数値を当てはめてみますと、かりに所得税について申しますれば、昨年から本年にかけての二千六百十億の自然増収額のうち、いま申し上げました物価調整を必要とするものの割合は、それに対して二三・三%、したがいまして二千六百十億に二三・三%をかけました六百八億が物価調整必要額である、前回の税制調査会答申いたしておる算式によりますとそういう計算になるわけでございます。  なお、住民税につきましても同様な問題があるわけでございますが、御承知のように住民税につきまして、四十年度についてその算式を当てはめてみます際には、住民税の課税の基礎となるべき所得は前年の所得ということになりますので、四十年度の住民税は三十九年度の所得に対して課税をされる。したがいまして、その前年所得ということにいまのベースを合わせようといたしますと、三十八年対三十九年の間におきます物価の伸びあるいは名目所得の伸び、住民税所得割の弾性値というようなものを当てはめて計算をいたしますと、自然増収額のうち一八・一%部分が物価調整必要額ということになるのでございます。その場合に、住民税につきましては、昨年の実績見込み税額と、今年度の見込み税額との間の自然増収額を数字を調整いたしますと七百八十六億ということになります。したがいまして、七百八十六億にただいま申し上げました物価調整必要額の率一八・一%をかけました百四十二億がいわゆる物価調整必要税額こう、いうことになるのでございます。
  179. 佐野憲治

    ○佐野委員 もう少し具体的に実はお示し願いたかったのですけれども、たとえば国税の場合ですと、いろいろな消費物価の値上がり分なり、あるいは所得のアップたとえば申告所得の前年度に対して一三%とか、あるいは経済成長率あるいは税収の弾力性二%あるいはそういう中から物価調整率が二三・三%、そういたしますと、八百二億の所得税の減税、これから二三・三%を差し引きます六百八億円、残ります百九十四億円が減税ということになってまいる。地方税の場合におきましても、一年おくれてまいりますから、三十八年、三十九年の中で、いま申されたように一八・一の物価調整が必要だということから七百八十六億円に対して一八・一%、百四十二億円だということになってまいりますので、減税の二百三十億に対して物価調整分の百四十二億円引くと八十八億円の減税だ、こういうぐあいに大蔵省のほうから出ておる数字に載っておるわけですが、そういう意味から考えてまいりますと、実質減税というのは、三十八年の税制調査会において、やはり実質減税というのを大きく指摘いたしておると思います。だから物価調整分は当然差し引くべきだ、こういうことになってまいりますと、いわゆる減税と実質減税と、こんな大きな違いがあるわけなんです。  そこで、税制調査会答申を尊重する、せっかく三十八年度の答申においてこのような物価調整という方法が答申されてまいって、国税におきましては、その点に対して努力をいたしておったということは認めてもいいと思います。財政事情その他で答申どおりいかなかったけれども、しかしながら地方税の場合におきまして、どうして物価調整というのをやらないのか、この点に対して税制調査会がそういう答申をしておるのに、地方税の場合におきましては、そういうことを全然考慮してない、そういう答申を全然といってもいいくらいに無視、ということは強いかもしれませんけれども、そうしたことに触れずにおられるというのは一体どこに根拠があるのか、その理由をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  180. 細郷道一

    細郷政府委員 住民税につきましては、先ほど申し上げましたように、三十九年度に対します四十年度の住民税の自然増収額七百八十六億円のうちの一八・一%に当たる百四十二億円がいわゆる税調の算定方式による調整必要額、こういうことになるわけでございます。しかして先ほども申し上げましたように、住民税の四十年度におきます実質負担減は、課税方式の統一分でありますとか、給与所得控除の引き上げ分とかいったようなもので二百三十億ございますので、二百三十億の実質的な減税が行なわれている中で、いまの算式によります百四十二億円が物価調整必要額である、こう見ますれば、残りの八十八億が実質的な税負担の軽減に当たる、こういうことになるわけでございます。その意味で多少実質減税額、実質的な負担の軽減の額が少ないのではないかというような御意見があろうかと思いますが、二百三十億の減収額のうちの八十八億ということになりますと、三八%ということでございまして、単に数字の上の比較で申しますと、国税、所得税の場合よりは、その割合は高くなっておるのでございます。さらにこの問題につきましては、住民税の場合には、前年所得に対して翌年かかってくるというまた別個の要素が一つあるわけでございまして、現在は、いま申し上げました物価調整必要額の計算率は、三十八年対三十九年の経済情勢に対しての数字を基礎に計算したわけでありますが、現実に税金を納めますのは四十年度になるわけでございますので、三十八年度と四十年度の間にさらにもし所得等が伸びておるというようなことがございますと、納税者の負担感というものは一そうそれよりは軽くなるといったような要素も実はあるのでございます。その辺のところも比較勘案して御判断をいただきたいと思います。
  181. 佐野憲治

    ○佐野委員 私が言っていますのは、いま局長の言われました点、私も十分理解しておるのですが、そうじゃなくて、国税の場合にはそれに対処するために、基礎控除その他、たとえば配偶者控除を新設するなり、いろいろな措置がとられてまいっておると思うのです。しかしながら、住民税の場合における所得割におきまして、昭和三十六年以来ほとんど引き上げをやっていない。最低生活に課税をしない、このことが基礎控除制を設けた一つの大きな理由だろうと思うのです。そういたしますと、そういう物価調整分が当然基礎控除その他の中で打ち出されていくべきじゃないか。昭和三十六年以来国税におきましては、いろいろと引き上げが行なわれておる。ところが地方税においてはこれが行なわれていない。これはどういう理由に基づくわけですか。
  182. 細郷道一

    細郷政府委員 国民税負担を軽減いたします場合に、個々の人の税負担を軽減する方向から近づいていくか、あるいは全体でこれだけの減税をするか、どういうところから減税を実施していくかという問題は、非常にむずかしい問題であるわけでありますが、住民税の場合は、ただいまの数字はおっしゃるとおりマクロ的な数字でございます。したがいまして、個々の納税者に必ずしもこのとおりの率による軽減が行なわれるということではないわけであります。そのことは反面国民のあるいは住民の税負担を減少する場合に、どういうところからやるかという問題にからんでいるわけでございまして、御承知のように、住民税については課税方式の二本立てによります税負担の非常な不合理さがあるというようなところから、現在地域的な負担の不均衡を是正する措置をとっておりますので、その点は、御指摘のように個々の納税者についての問題としては、なお将来検討すべきものが残っていると思います。
  183. 佐野憲治

    ○佐野委員 この問題は、あまりやっていますと時間がかかりますけれども、国税の場合におきましては、最低課税限度を設けまして、たとえば夫婦、子供三人の場合五十四万四千二百五十九円、こういう数字が出ておるわけです。これに対する生計費が五十三万五千六百九十六円、差額は八千五百六十三円ありますけれども、これには物価の値上がり分が入っていないということになってまいりますと、夫婦、子供三人、しかも生計費の中における食料費が一日百八十円という非常に実態から離れた生計費の中で計算いたしましてもこういう数字が出てくるわけです。しかし、そういう中で、やはり住民税の所得割におきましても、基礎控除その他の措置によって、たとえば妻に対する配偶者控除というようなものを新しく設ける必要があるのではないか。少なくとも基礎控除は国税並みに引き上げることが必要ではないか。こういう点を考えるわけですけれども、各委員からもその点の主張があったと思うのですが、大臣、率直に言ってそういう考え方に対してはどう判断しておられますか。
  184. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ただいま御指摘になりました点は、実にごもっともな点だと思います。税制調査会におきましても、概括的にはそういう御趣旨のようでもございましたし、私どもも検討をしないわけではございませんけれども一つは、先ほど局長からも申し上げましたように、住民税につきましては、昨年から本文方式に統一をいたしまして、本年度も百五十億減税をいたしておるわけでございます。したがって、今回はその点には触れられなかったということでございます。  それからもう一つは、所得税は、御承知のように最低限度を引き上げていくのでございますが、地方税の性質といたしましては、国税とはやや違った趣もございます。応益主義といいますか何といいますか、地方税自体の性格という点もございましたし、なおかつ、住民税を本文方式に統一するという点で、相当多額な減税を実施しつつあるときでございますので、その点に触れなかった。したがいまして、御指摘の点は考慮すべき点であろうと思いますので、将来におきましては私どももさらに検討を加えていきたい、かように考えております。
  185. 佐野憲治

    ○佐野委員 私は、基礎控除というものは最低生活に課税をしないという考え方から設けられておるのだ、かように考えるわけです。いま大臣から、将来においてこれに対して検討を加えるというお話がございましたが、三十六年以来据え置かれていることは、やはり考えようによれば非常に不合理な点もありますから、これらの点に対して、たとえば妻の配偶者控除というものを含めて検討する、こういう意味に理解しておいていいですか。
  186. 吉武恵市

    吉武国務大臣 いまどの点をどういうふうにというわけにまいりませんけれども、御趣旨の点はごもっともの点でございますので、将来検討をしていきたい、かように存じます。
  187. 佐野憲治

    ○佐野委員 そこで、冒頭に申し上げましたように、政府は消費者物価を四・五%に押えようといたしておりますけれども、現実的には押え切れないのではないか。先ほど申し上げましたように、民間の七つの有力銀行は、六%の値上がりはやむを得ないだろうと見ておるし、富士銀行は七%だと見ておる。しかも減税の中において物価調整分が顧みられていない——顧みられていないということばは強過ぎるかもしれませんけれども、やはりほとんど考慮されていないんじゃないかということを考えますときに、地方税におけるところの住民の負担軽減ということを、地方財政計画の冒頭におきましても、あるいはまた木地方税の改正案にあたりましても、大臣は強調しておられる。その悲壮な御決意はわかるといたしましても、現実的には非常に負担が過重になってくるのじゃないかということを私は考えるわけです。すでに医療費の九・五%のアップが職権告示されておる、あるいは消費者米価が一四・何%かの値上がりが始まってまいっておるということになりますと、私、公共料金が及ぼす影響ということも非常に考えなくてはならないと思います。そこで大臣に率直にお伺いしておきたいと思いますことは、一体公共料金を抑制する。物価政策を政府は四・五%に押えたい。民間の予測は、そうではないと言って楽観説を戒めておるけれども政府の決意としては四・五%に押えたい。とするならば、公共料金が及ぼす影響——先般における日銀の政策委員会におきましても、経済企画庁長官は、やはり公共料金がこう軒並みに引き上げられる情勢にあるということは、物価政策の面に対しましても重大な影響を及ぼすものであるということを指摘しておられるわけですが、そういうことと関連いたしまして、公共料金に対して一体政府はどういう態度をもって臨もうとしておるのか。特に地方議会がいま一斉に開かれていて、しかも公共料金をめぐる値上げが論議され、あるいは上程されようとしておるという状態に立って、大臣としてはどのような政府としての統一見解を持ってこれに対処しておられるか、この点をお聞きしておきたいと思います。
  188. 吉武恵市

    吉武国務大臣 政府といたしましても、物価はできるだけ抑制をしたいという基本的な考え方は変わりはございません。一月の初頭におきましても、物価の総合対策としてその趣旨の方針を決定しているわけでございます。  そこで、それならば現在公共料金が上がりつつあるのだが、これに対してはどうするかということになるのでございますが、御承知のように、昨年は一年間公共料金はストップされたのでございます。そこで相当赤字が、交通におきましても、また水道におきましても、病院におきましても、出てまいります。そこで政府としては、昨年の七月に地方公営企業制度調査会を設けまして、その道の権威者にお集まりいただいて検討しておるわけでございます。目下検討中でございますけれども、その中間答申が十一月に行なわれました際に、三つの方針が答申されておることは御承知のとおりでございます。その一つが、公共料金はストップしてはいけない、ストップすべきものではない、適当な時期に適切なる改定はすべきであるという点が一つでございまして、同時に、ただ、それを料金の改定だけに押しつけないで、合理化や節約を極力やって、それをできるだけ少なくするようにということと、同時に、政府はその資金の面において低利、長期の資金をあっせんすべきであると、こういう三つの趣旨答申がございましたので、目下その趣旨において行なっておるわけでございます。しかし、いままでに相当赤字がございまして、水道に例をとってみますると、東京でも大阪でも実は五年間据え置きになっていたわけであります。上げなければならないなと思っているところへ一年間ストップを食ったわけでありまするから、そこに赤字がよけい出てきた。こういうような状況でございます。ですから、私どもはできるだけ押えたい、しかし、昨年とったようにストップというような形においてこれを押えるということじゃなくて、それは適切な改定をしながらできるだけ押える、こういう方針で進んでおります。
  189. 佐野憲治

    ○佐野委員 そこで、具体的にひとつお伺いしておきたいと思うのですけれども、まず第一に、国民健康保険税も、前年度におきましても大体二七%から三〇%の値上がりをし、本年度は四〇%から五〇%の値上がりをしなければならない、こういう状態でありますし、昭和三十九年度におけるこの不足分は百三十一億円だ、こういう状態になっておる。これに対する措置は一体どうするのかという点が予算委員会審議においても論議されました結果として、やはり自民、社会、両党における了解事項といたしまして、特に国民健康保険財政については別途特別措置をとる、こういう約束がなされておることを大臣御存じだろうと思いますが、それと同時に、もう一つ、先般、国民健康保険中央会と自民党との間に、官房長官も出席した中で、昭和三十九年度の赤字である百三十一億円に対しましては責任を持って財政措置を講ずる、こういう確約がなされた、こういうことが伝えられておるわけですけれども、この点に対して、大臣政府における統一的な見解としてそういうことを御了承しておられますかどうか。
  190. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私が承っているのは、実はそのような趣旨ではございませんで、現在国が負担すべきものであって未納金、未精算分が百三十一億あるのであります。これを早く補正で計上して交付すべきではないかという御意見がございまして、これに対する政府答弁は、できるだけ早くやりたいのだけれども、いまのところ財源に苦慮しているから、できるだけすみやかな機会にこれをいたします。こういうように私は聞いておるのでございます。これは当然国が払うべきものでございまするから確実に入るものだと思いますが、しかしそれにしてもいつまでもこれを延期されることは困るので、できるだけ早く支払うようにということを厚生大臣にも大蔵大臣にも申し入れておる次第でございます。
  191. 佐野憲治

    ○佐野委員 機関紙等を通じまして、調整交付金の三十二億円、新年度何らかの措置をする意向を約束した、医療費値上げに伴う保険税のはね返り四十四億円と事務補助金の不足分三十六億円については、四十年度の政府予算が成立した後に政府財源と見合わせて考慮する方針だという、抽象的な約束であるけれども、内容においては大体百二十一億円の財政措置を確約した、このように機関紙は伝えておるわけですけれども、こういう点はどうですか。
  192. 吉武恵市

    吉武国務大臣 そういう話は私実は承っておりません。
  193. 佐野憲治

    ○佐野委員 としますと、自民、社会、両党における国会対策委員長会談において了解が取りかわされておる——自民党の三木幹事長もこれに参画しておられると聞いておるわけですけれども、一体これに対しまして、国保の点だけに限りまして、どういうぐあいに現段階においてなされておるのか。あるいは、地方財政の面から考えてまいりましても、いわゆる繰り入れを過年度においても行なってきておりますし、あるいは繰り上げ流用その他いろいろな形で地方財政に重圧をかけておるわけですが、これらの点に対して自治大臣としてはそういう相談に乗っておらないわけですか。
  194. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は承っておりませんが、私が聞いておりまする範囲のことは、御承知のように現在国保におきましては国保自体の赤字が三十七億ございまして、そのほかに市町村の繰り入れが九十五億、合計百三十二億というものが実質赤字、と私どもは言っておるわけでございます。厚生省は、繰り入れたのはこれは町村の都合で繰り入れたのであるから赤字ではない、こう言っておりまするけれども、赤字で困っているから市町村が繰り入れたのでございますので、私どもは、それを含めまして百三十二億が赤字だ、かように存じておるわけでございます。  そこで、今度の医療費の値上げにつきまして、これをどうするか、赤字を含めましてでございますが、どうするかということになりますと、これは私は保険制度によってきめられた区分によって処置する以外にいまのところ方法はないのじゃないか、かように存ずるわけでございます。そこで、今度の九・五%の値上がりについては国の負担すべき二割五分、そうしてまた調整交付金としての一割分、これらにつきましては当然国が負担すべきでございましょう。また自己負担として三割の自己負担、または五割の自己負担につきましては、それは自己負担として御処理願わざるを得ないのじゃないか。残り二割の保険料をどうするかという問題でございますので、政府は一月から三月までの分、約十三億、十二億でございましたかは、補正でもって処理し、四十年度分の四月から六月までの三カ月分は十五億国が処理したわけでございますが、その後の分はやはり保険料で処理せざるを得ないのじゃないか、こういうふうに私どもは承っておるわけでございます。それをどうするかという点につきましては、まだ相談に乗っておりません。
  195. 佐野憲治

    ○佐野委員 国のほうの責任と見られるべき面に対しまして、ある程度の具体的な数字を推して国民健康保険の中央会と自民党の政府の官房長官並びに大臣とが会談をせられ、了解事項が取りかわされた、こうなっておるのに、その結果として、委託事業である、たとえば町村にとりまして、いま取りかわされた内容の中におけるところの事務費に対する全額国庫負担に対して、わずか一億円しか補償していない。ことしは二百円に値上げした。昨年は一人百五十円、実質上は二百五、六十円から三百円近くかかっておる。これに対するところの国庫負担における赤字分として一億円だということも、この内容の中で考えられるわけですけれども、この点はいいといたしまして、私は率直に大臣見解をお聞きいたしたいと思いますことは、大臣の言う、国で責任を持つべきものは国が責任を持つといたしましても、町村にとりまして健康保険税というものは、もはや一つの目的税と同じような性格を持っており、住民は接触しておるわけであります。そういう意味において、いま四十万あるいは五十万以下が九〇%を占めるという低所得者の中にあって、しかも実質的には昨年は三〇%、ことしは四〇%から五〇%の値上げをしなくちゃならない。ある県で聞いてみますと、七割給付を実施しなくてもこの程度の値上げをしなくちゃやっていけないのだということを言っておられるわけであります。しかもこれを住民税と比較してまいりますと、これを住民税の一世帯当たりの額を見てまいりますと、保険税がほとんど住民税の二倍にも達しておる。昭和三十八年度が五千幾ら、約六千、昭和三十九年度におきましては一万円、こういうような状態になっておる。町村にとりましては、もはや町村の規模においてもう限界がきてしまっておるのじゃないか。こういう点に対しまして、それは健康保険だから、加入者がこれに対して支払うのは当然じゃないかと言われますけれども、現実的に国民生活の実態の中において、住民税がいま高くて、いわゆる本文方式に統一をしなくちゃならない、こういう努力をされておるときに、同じ税金だと見ておる住民にとりまして、しかも物価の抑制、公共料金の抑制ということを政府としては重大な柱として考えておるときに、いま申し上げましたような健康保険税の現在の状態でいいのかどうか。両党がこれほど真剣に国保の問題を取り上げても、その中にあって一体自治省は、どういう立場で健康保険の今日における地方住民に及ぼしておる影響に対して積極的な解決策というものを政府内部において提起して、一体どういう状態の中にいまあるか、こういう点もやはり予算審議の終わるまでには、少なくとも両党の公約として、しかも政府内においてもその問題に対する解決策が示さるべきじゃないか、かように考えるわけですが、どういう過程になっておるかを率直にお聞かせ願いたいと思います。
  196. 吉武恵市

    吉武国務大臣 過程につきましては、私の知り得る限りは先ほど申したとおりでございますが、御指摘になりますように、健康保険の保険料あるいは保険税というものが相当に増額をされつつある、されなければならないということは私どもも知っておりますし、これはむずかしい問題だということも存じております。しかしながら、この国民健康保険は一体どういう性質のものかという点につきまして、これは税でもっていわゆる一般財源的に処理していくべきものか、それともこれは社会保険であって、お互いが相互扶助的に保険でもってやっていくものか、私はこういうたてまえの問題にも入っていく問題であろうかと思います。したがいまして、そういうふうに考えますれば一人一人が医者にかかるということではいざというときに困るから、お互いが社会保険で、病気になる人もならない人も一緒になって、保険によってこれをまかなっていく。しかしそれでは、単なる社会保険で、共済保険だけであるかというと、御承知のようにやはりこれは所得の差によって多少といいますか、相当の差額を設くべきであるということで、今日保険料は半分が均等割ではございますけれども、そのあとの半分については所得割によって差が生じているわけでございます。ですから、これをどういうふうにするかという点は、私は確かに検討の余地のある問題だと思います。しかし、それは根本的に一体今日のような農村または漁村というような、そういうところだけの相互扶助的な社会保険でもってこれをまかなっていくことができるのかどうかという基本の問題にも触れる問題ではないか。しかし、それは厚生当局なり、社会保障制度審議会等においても、すでに論議されているところでございますから私は触れませんが、少なくとも今日の制度下においてはどうすればいいかということになれば、それぞれの区分に応じてこれを解決していくというよりほかに道がないんじゃないか。ただ考えられることは、均等割が半分、所得割が半分と申しましても、ほんとうに低所得者でお困りの方につきましては同じような均等割もとりにくいということで、減免の処置が今日とられ、その処置につきましては交付税等においてまた見るという処置も講じられておりますが、その範囲において考える以外には、根本的には制度そのものを考え直すという以外に方法はないんじゃないか、かように私どもは見ておるわけでございます。
  197. 佐野憲治

    ○佐野委員 繰り返してもしかたがないのですが、もうこういう委託事業として、地方団体の市町村の力の限界を越えておる状態になってきておるというのが、三十六年の皆保険以来の今日の置かれている姿ではないか。三十八年には百三十二億円の赤字を出しておる、引き続き起こってきておるわけです。町村財政の中でやはり繰り出しもやらなければならない。町村にとっても全くたいへんな仕事になってきてしまっておる。しかも保険税の内容が、いま大臣はそう言われますけれども、さきに私が指摘いたしましたように、一世帯六千円が三十九年度一万円になってまいってきておる。住民税と比較すると二倍にもなってしまっておる。こういう状態が続けられて、しかも本年度は四割から五割の値上げをしなければやっていけないのだという。しかもこれを見てまいりましても、問題となりますのは、四十万円、五十万円以下の、いわゆる政府のいう最低生活の限度までに来ておる人たちが九割も占めておる。その中で、しかも住民税の場合におきましては本文方式に統一をしておるときに、片方におきまして、同じ地方自治体において保険税という名のもとに、こういう過重な負担を住民にしいておる。地方財政も混乱さしておる。住民負担も著しいという点において、せっかく当面の財源措置において、政府政府の分として責任を持たせるということを確約され、現にその努力が政府内部で続けられておるときに、自治大臣として、どうしてもこの国保の問題に対する抜本的な解決というものを迫るのが当然じゃないか。大臣のように、これは社会保障じゃなくて保険なんだから、加入者の相互扶助だ。だから、住民税の倍の金額になろうともやむを得ないじゃないか。これが現在のたてまえだ。——しかもこれは委託事業なんです。そういうことに町村が苦悩しておるという点に対して、大臣、もっと、市町村の立場に立って、き然たる態度で、国会で問題になり、政府においても解決が迫られておるときに、標準税率の採用なり、その他自治省内部においても検討されている問題を提起して解決するだけの勇断を持っていただきたい。この問題だけに触れておりますと時間が長くなりますので、一言希望を申し上げておきたいと思います。  次に、公共料金の、水道料金の問題でありまするが、この点につきましても、先ほど大臣が述べられましたように、三十八年度において法適用団体が三百七十六億円、非適用団体が百三十億円、合わせますと五百六億円の累積赤字を出してまいっておる。しかも三十九年度におきましては、予算委員会において明らかにされておりますように、これはまだ概括でありますけれども、見込みでありますけれども、適用団体において六十四億円、非適用団体におきまして二十四億円、合わせますと八十八億円の赤字が見込まれるんではないか、こういう点が指摘されておるわけですが、それだけに今回における両党の国会対策委員長会談におきましての申し合わせ事項にも、この点をやはり規定いたしておるわけですが、今日までこれらの点につきまして、しかもその後における予算審議の中において、厚生大臣が明らかにしておる点が一体どうなっておるかという事情と経過をお伺いしておきたいと思いますのは、大蔵大臣も、厚生大臣も、予算委員会におきましては、いわゆる水道料金に対しまして、東京あるいは大阪その他の都会における具体的な措置に対しまして、大幅な値上げは好ましくないんだ、何とかしてこれを抑制したいということが第一点、第二点は、そのためには資金の供給を大幅に行ないたい、第三の点としては、利率の低下に対しましても検討を加えてまいりたい、こういう点につきまして、各省、特に自治省等は現在協議中である。利率の引き下げに対しましても、耐用年数をめぐるところの償還年限の問題につきましても、あるいは起債の償還年限の延長等に対しましても、自治大臣大蔵大臣と折衝中である。こういう点を具体的に答弁をいたしておるわけです。といたしますと、一体今日までそうした国会の中における答弁、しかも公共料金が物価の騰貴に対して大きな影響をもたらすものとして、独立採算制のたてまえから考えれば、大臣が先ほどの答弁で述べられておるような、ある意味においてやむを得ないんじゃないかというのではなくて、物価政策の立場からも抑制しなくてはならない、小幅に抑制したいんだ、そのためにとるべき政府としての現に協議しておる事項を、予算委員会において明らかにしておるわけですけれども、所管の大臣として、一体厚生省なり大蔵省と具体的にどのような話し合いが積まれておるか。率直に申しまして、予算委員会において、いま申し上げましたように起債の償還年限の延長、長期低利資金の融資、借りかえ債並びに利率の引き下げ、これらの点について、すでに答弁しておられ、しかも、厚生大臣としては、この点に対しまして自治大臣と折衝中である、このように明確に答弁いたしておるわけであります。一体どういう経過をいまたどって、現段階においては一体どうなっておるか、こういう点に対しても一応お聞きしておきたいと思います。
  198. 吉武恵市

    吉武国務大臣 先ほど申しましたように、水道料金につきましては、私どもはできるだけ大きい値上げというものは好ましくないという点は同感でございまするし、また努力をしているところでございます。そこで、資金の供給を大幅にということでございますが、実はこの問題は、私ども、先ほど申しましたように地方公営企業制度調査会の答申がございましたものですから、すでに四十年度の予算を昨年末編成いたしまする際に相当努力をしたわけでございます。その努力をいたしました結果、水道につきましては政府資金を五百億実はワクを取ったのであります。前年度の当初予算計画はたしか三百七十八億程度だったかと思いますが、それを五百億に政府資金を取ったわけです。御承知のように、政府資金は年利六分五厘でございます。そこで、いままでは水道を拡張するけれども政府資金のワクが小さいために勢い民間の公募資金を求めざるを得ないので、七年間の期間で、八分の金利を払っているわけであります。そこに非常に金利負担が増額しておりまするので、今回は資金を五百億にふやしまして、そうすればそれだけ金利が少なくて済むということで、努力をすでにいたしておるところでございます。しかしながら、答申趣旨にもございましたように、水道は五十年も持てるんだから、期限を何も二十五年にしなくても、もう少し延ばしたらどうかという意見もございまして、それを折衝しておる、こういうところでございます。
  199. 佐野憲治

    ○佐野委員 この問題につきまして、後ほど安井委員からも関連して率直な政府見解を求める、こういうお話でもありますので、私は深く触れませんで次の問題に急ぎたいと思いますが、ただ、ここで考えられるのは、大臣は非常に公営企業調査会の中間答申というのを強くお話ししておられるわけですけれども、私はここで遺憾だと思いますことは、藤田委員がおいでになるわけですけれども、やはり本委員会の中におきましても、先国会以来小委員会が設けられておるわけであります。しかも委員長である藤田さんのお努力によって、中間答申に対しましても国会としての意思表示をやっておるわけであります。そうしてまた、根本的な問題に対しましては、やはり国会としても独自の調査、審議を進めてまいるということをも確認いたしておりますし、と同時に、当面の措置としまして、やはり五つの項目をあげて、しかも小委員会だけの決定ではなくて、本委員会における決議として採択になっておるわけであります。そうした中における内容に対しましても、国会の決議に対して大臣は善処するといって答弁しておられたわけでありますし、それ以来今日まで、国会の重大問題となり、両党の国会対策委員長会談ともなりして、しかも、それと別個に予算審議におきましては、私たちが指摘したような、利率の引き下げ、このことすらも考慮しておるということを厚生大臣がすでに明言しておるのに——速記録を持ってきてもいいですけれども、そういうことを自治大臣協議しておるんだと言われたとき、自治大臣は本委員会における決議をたてにしてでも、せっかく厚生大臣からそういう国会における発言をなして、しかも、皆さん方と協議をしておられるということになれば、もっと話が具体的に前進さるべきじゃないか、こう思うわけでありますが、現段階においてなお努力中であるそうですから、私、それ以上深くお聞きはいたしません。  非常に時間もおそくなってまいりまして恐縮でございますけれども、次の問題として、税収見積もりが非常に過大ではないか。先ほど申しました日本経済における動向、明年度における政府の方針ともにらみ合わせて、地方税における全体としての税収の見積もりが非常に過大ではないか、こういう点を考えるわけですが、そういう意味から、ひとつ明らかに数字で示していただきたいと思いますのは、租税の弾性値は、一体昨年度、本年度並びに明年度はどういうぐあいになっているか、租税限界負担率が一体どういうふうになっておるか、この点を国税並びに地方税、できましたならば県税において、あるいは市町村税においてどういう状態になっておるか、その見込みをお聞かせ願いたいと思います。
  200. 細郷道一

    細郷政府委員 地方税の弾性値は、これは年々とりますと、それぞれの年の所得と税収の間で年率が違ってまいりますが、その使いました三十八年までの年率で計算をいたしますと、府県税につきましては一・四七、それから市町村税につきましては一・〇二でございます。  なお、明年度におきます租税収入の見通しがだいじょうぶかというような御趣旨のお尋でございますが、地方税、府県税並びに市町村税を通じまして、そのウエートの大きい税目は、御承知のように府県にあっては府県民税、そのうちでも所得割と法人税割、それから事業税の法人事業税、こういったところが非常に大きなウエートを占めております。それから、市町村税につきましても、御承知のように、市町村民税中の個人の所得割と法人税割、それに固定資産税といったようなものが税収の大部分を占めておるわけでございまして、これらのものにつきましてその見通しが確実であるかどうかというところに税収の確保がかかっておると、こう思われるのでございます。その場合に、明年度の、改正前の現行制度におきます対前年の比を見てまいりますと、府県の所得割において一三六、それから市町村の所得割において一三三、それから法人関係につきましては、税制、並びに事業税を通じまして一〇六、こういうことになっております。これらにつきましては、法人税割、及び法人事業税につきましては、先ほど、当初に出ておりました明年度の実質所得の伸び、物価の伸び、そういったものを基礎に、法人税におきますと同様にして計算をいたしております。個人の所得割につきましては、御承知のような前年度の所得に対する課税でございますので、三十九年度におきます所得税の所得額の実績見込みを採用して、基礎といたしまして計算をいたしておるのでございます。固定資産税につきましては大きな変動がございませんで、家屋の新設分、償却資産の増分というもので、大きな変動はございませんが、そういったそれぞれのデータに基づいて計算をいたしておりますので、私どもといたしましては、この収入は十分確保できるものと、かように見通しをいたしております。
  201. 佐野憲治

    ○佐野委員 もう少しお尋ねしておきたいのは、租税の弾性値は一体幾らくらいが標準と見られておるか、こういう点に対しまして一体どういう見解を持っておられるかという点が第一点。第二の点として、いま過大な見積もりではないのだ、たとえば住民税の場合におきましても、三十九年度だと言われるわけですけれども、前年度ですからけっこうだと思います。しかしながら、現在政府においても、三十九年度の一般所得税をめぐる歳入に対しまして非常な危倶を持っておるということも、事実であるでありましょうし、と同時にもう一つ考えられます点は、政府が四・二%だと消費者物価の値上がりを見ていたのを四・八%に変更する——私は実質五%をこえておるだろうと思うのです。そういう名目的な伸びによって、物価騰貴にささえられて逆に名目的な収入を確保する、それすらも精一ぱいだというのが、月々における歳入状況を見ても国税の場合は感ずるのですけれども、そうした場合に、いまとられている皆さんの見積もりというものも、私らが非常に心配いたすことは、そういう点が含まれていないのではなかろうか、ないしは国税における確定申告が十五日で終わったばかりで、まだ明確なものは出てまいりませんが、やはり歳入欠陥にひとしい状態におちいる場合におきまして、皆さんの見積もりを確保するということになってまいりますと、ここに徴税の強化というものが行なわれなくちゃならないということをも実は心配するわけですけれども、そういう点に対しましてはどらですか。
  202. 細郷道一

    細郷政府委員 第一点の、弾性値はどのくらいがいいかということは、これは所得並びに累進構造の相関関係にございますので、一がいにどの程度がよろしいかということはむずかしい問題だろうと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、地方税全体として見ましても、ここ十年間くらいをとってみますと、大体一・二から一・二五くらいの間の平均値になるのでございまして、現行の税体系がもしこれでいいとするならば、この程度の弾性値は当然に期待さるべきものではなかろうかというふうに考えるのでございます。国税につきましても弾性値が一・五から二くらいの間にあるわけでございまして、これらの問題については、結局税体系あるいは累進構造の議論になろと思うのであります。少なくとも先般におきます税制調査会においては、現行税体系をおおむね是認するというような立場に立っておるのでございまして、そういう意味合いにおいては、いままで出ておりました程度の弾性値は将来も期待されていいのではなかろうか、かように思うのであります。  それから第二の、明年度の税収が不安ではなかろうかという点でございますが、先ほども申し上げましたように、明年度の当年度課税のものは経済見通しによってやっておりますので、経済見通しの線が確保される限りにおいては、われわれとしても十分これは確保できるものと考えるわけであります。物価などによって名目的に所得がふえてまいりますれば、むしろ税収自体も名目的にふえてくるということはあると思います。  それからいま一つ、所得税について、なお本年度の実績が確実ではないではないかというお尋ねでございますが、所得税はなるほどまだ三月の全部がわかっておりません。しかし、御承知のように、住民税の対象となります所得につきましては、その八五%が給与所得者によるものでございまして、この部分につきましては、すでにわれわれとしては実績をつかんでおるのでございます。その点等を考えますと、あと正確な見通しは三月末に至らぬとわからないと思いますが、いままでの動きでは、三十九年度につきましても、見通しどおりの収入が所得税についてあげられるのではなかろうか、かように考えております。
  203. 佐野憲治

    ○佐野委員 時間もおそいですし、いずれまた財政計画の中でいろいろ具体的に討議させていただきたいと思いますが、そこでもう一つ、これは各委員からも指摘されておるのですけれども、私、諸外国の税制を見てまいって、一体、標準となるいろいろなデータが出ておるわけです。けれども、そういう中から主張されておることは、この租税、地方税の総額に占める自主財源の割合は六〇%、それから国、地方の歳出の中に占める割合が二〇ないし二九%、まあこれが標準だといわれておるわけですけれども、そういう考え方から見てまいりますと、現在におけるこの日本の地方税のあり方に対しまして、諸外国のある財政学者では、これは日本的ひずみの代表的なものだというくらいに指摘をしておる方もあるわけでございますけれども、この点に対して一体どのように考えておられるか。
  204. 吉武恵市

    吉武国務大臣 御指摘のように、日本の今日の地方財政における地方税の占める構成比は、御指摘のように、まあ三割自治といわれておりまするように、三分の一程度でございます。したがって、何かいい独立財源はないかということは、特に私どもも昨年夏以来苦心をしておったところでございますが、なかなかいい独立財源というものも見当たらないのであります。それで、その一つは、御承知のように今日の一つの地方財政の悩みは、格差が多いので、その格差をどうして是正するかという問題が一つと、それから御指摘になりましたように、地方財源を何とかして独立に与えなければならぬ、この二つの悩みがあるわけであります。したがいまして、独立財源をいろいろ考えましても、その独立財源は、地方も中央も同じように、独立財源につきましては格差の是正に一向ならない。したがって、現在ではやむを得ず三税の二九・五%を交付税として取りまして、それによって格差の是正に資しておるというわけでございます。したがいまして、このままの姿が、私、いいとは思いませんけれども、御承知のように、国の三兆六千五百八十一億の予算の中で、実はいま申しました交付税が七千三百億ありまするほかに、国庫負担金、国庫支出金というものは九千八百億程度までありまして、それがほとんど地方の財政を潤おしておるわけであります。これにつきましては、この国庫支出金を整理して、つまり補助を整理して、そうして独立財源にして地方に与えたらという意見はたしかにございます。これは検討する余地はございますけれども、さて、いざとなって中身を見ますというと、やはり国民生活保護の問題でありまするとか、あるいは義務教育の問題でありまするとか、そういうような義務的な支出が相当多いのであります。したがいまして、これを切るといっても切りにくいという事情もございまして、まあ行き悩みになっておりますが、御指摘の点は今後といえどもどもは十分検討をしていくつもりでございます。
  205. 佐野憲治

    ○佐野委員 各委員から繰り返されていることですから、いま私があえてお聞きいたしましたことも、結局、国、地方を通ずる租税体系を見てまいりまして、たとえば国民所得に対する割合が、国が一五・六、地方が六・五だ、合わせまして二二・一だ。非常に高い率を示しているわけですけれども、私は、この中における地方税がどうの、国税がどうのということではなくて、税財源そのものが、たとえば国税が一五%占めている。これは有力な財源はほとんど国が掌握している。残された六・五%というものの内容というものは、ほとんど人頭税的な、あるいは大衆課税的な性格を持っている。残りかすしか与えられていない。こういう点が非常に問題とさるべきではないか。というのは、そういうために、たとえば地方における税源の確保なり、あるいは増大する行政需要にこたえようとするならば、これは非常に弾力性の乏しい、しかも大衆課税としてしか価値のないものを地方税として拾ってきている。ですから、これを少しいじろうとしますと、すぐさま問題が出てくるのではないか、私はこういうことを心配するわけで、午前中も問題となっておりました自動車税、並びに委員の中からも問題として提起されておりましたところの不動産取得税、こういうこと一つにいたしましても、もしこれをいじくるということになってまいりますと、やはり大きな影響があらゆる面に出てくるわけです。そこでお伺いしておきたいのは、この不動産取得税なり自動車税、こういうものの税の意義というものは一体どこにあって、どういう沿革で創設されてまいったのか、こういう点もやはり考えなければ、いまの情勢に応じて地方財源が不足するのだ。だから、これをやり繰りするために自動車税をいじくる、あるいはまた不動産取得税をいじくるということでは済まされない段階にきているのではないか。と同時に、この税がどういう沿革を持って生まれてまいったか、その意義はどこにあったのかという点を、もう一回吟味しなければいけない時期に直面しているのではないか、こういうことも考えるのです。残りかすであるけれども、だからこそ負担分任、あるいは応益原則という明治時代の租税理論を持ってこなければ説明することのでき得ない雑種税、こういう雑種税の中から地方のいまの財源の確保をはかろうとすることは、これは非常に危険じゃないか、かように思いますので、一応、自動車税と不動産取得税の場合におきましては、一体どういう沿革と意義を持ってまいったかということを簡単にお聞かせ願いたい。
  206. 細郷道一

    細郷政府委員 不動産取得税は、不動産の取引の際に表現されます担税力を捕捉して課する税でございますので、一種の流通税というもので、歴史も戦前に長いのでございます。戦後、一時中断をしておりましたが、昭和二十九年にまた設けられて今日まで参ったのであります。自動車税は、明治の当初から車税といったような名前で、もっぱら当時は奢侈的な観点からの課税であったようでございますが、その後、だんだんと固定資産税との関係等も考えられまして、現在では特殊な固定資産に対する課税、かように考えております。
  207. 佐野憲治

    ○佐野委員 大臣、いまお聞きになりましたように、この二つの税金とも、考えてみれば長い沿革を持っているわけです。しかし、これはやはりあくまでも雑種税として取り扱われてまいったわけです。しかも、流通税である。この意味から考えてまいりましても、たとえば固定資産税が発足した。しかし、これに対しましてもなかなか完備することができ得ないという当時の情勢であった。しかし、シャープ勧告で、不動産取得税のほうは、一時は流通税として廃止になったのを再び復活した。この復活したときにおける理由を、同じ当時の自治庁ですか、財務委員会ですか、発表しておるのを見てまいりましても、いわゆる固定資産税が正確に把握されないという面と、府県間、町村間におけるところのある種の統一的な基準を出す、こういう役割りのために不動産取得税というものは復活してまいったのだ、こういう意義を強調しておるわけです。ですから固定資産税におけるところの補完的な役割りをもって出発してきておるのではないか。このことは自動車税の場合だって言えるのではないか。長い間、雑種税として、あるいは明治、大正におきましては、自動車は奢侈的な性格を持ったでしょう。しかし、最近においてこれが府県税として明確にされましたのは、やはり固定資産税の中に自動車が入っていないということ、固定資産税を補完するという立場の主たる意義があったのではないか。といたしますと、いま固定資産税に対しましては、長い歴史の中からある程度の基準が明確になってまいっておるし、町村間における不統一も解決されてまいっておるとすれば、こういう雑種税、流通税というものは廃止するということが本来のたてまえではないか、こういうことを考えるわけであります。こういう点に対しまして、しかも逆にこれをいまの窮迫した地方財政の中において、新しい装いをもって新しい忠義づけをすることによってこの税を生かそうというのは私は不合理ではないか、かようにも考えるのですけれども、その点はいかがですか。
  208. 細郷道一

    細郷政府委員 日勤車税につきましては、先ほど申し上げたような特殊な資産に対する課税ということでございまして、明治以来ずっとございますが、最近のように台数がふえてまいりますと、大衆化したのだからやめてもいいじゃないかという御意見かと思いますが、固定資産税から離れて特殊な固定資産に対する課税として、いわば独立の地位を確保しておるというのが現状ではないかと私どもは税制上見ております。諸外国の例を見ましても、自動車に対する課税は、独自の課税をいたしておるというのが現状でございます。なお、不動産取得税につきましては、御承知のように不動産に対してその取得行為が行なわれるときには、やはりそれなりの担税力のある取引行為が行なわれるという意味におきまして、この課税につきましては、現在の日本の諸情勢からすれば十分存在価値があるのではなかろうか、かように考えております。
  209. 佐野憲治

    ○佐野委員 まあ、いろいろ見解の相違もありますけれども、私はやはりこういう税種は廃止するのが原則ではないか。しかも、先ほど来の論議を蒸し返してもしようがないのですけれども、性格論争にいたしましても、自動車税の場合にいたしましても、はっきりしていないわけですね。固定資産税的な性格、道路損傷的な性格、奢侈的な性格、一体どうなるのです。しかも自動車に対する具体的な課税の内容をめぐりまして討議を進めていくと、また方向を失ってしまって、それが現在の情勢の中にあってそのことが一つの新しい財源になるのだ、財政需要にこたえる税種であるのだ、こういうことになってしまい、全く最初の目的、沿革から離れてしまった存在になってきておるのではないか、こういう点は、固定資産税の補完的な役割りとして生まれてきたということはやはり私ども考えなくちゃいけないし、それから不動産取得税の場合におきましても、またいろいろと財政計画の中においてお尋ねしたいと思いますけれども、大都市における今日の財政事情は非常に悪化いたしておるわけであります。しかも、いま見てまいりますと、たとえば不動産取得税の場合は、年々政策的な意味におけるところの特例が加わってまいっておるわけです。昨年度におきましては二百平方メートル、約七十坪にも相当する新築の場合の土地の取得に対しては免税する、こういうことになってまいりますと、坪二十万、三十万もするといわれる今日の東京におきまして、六十から七十坪になってまいりますと、何千万円の不動産取得をいたしましても、これが免税になってくる。こういうことがある反面に、坪わずか五万円の土地の取得に対しましても不動産取得税をかけるのだ、新築の場合にいたしましても、百五十万円までは政策的に取り入れる、ところがそうでない建築の場合に対しましては、十五万円から不動産取得税を取るんだ、こういうことになっておるわけです。しかも二千万円、三千万円という不動産を取得した者に税金を免除する、しかもその結果として、府県税としてこれが返るわけです。ところが実際上において、そういう不動産を取得したために、一方財政需要がふえてまいる。環境衛生にしろ学校にしろ、あるいは下水道にしろ、上水道にしろ、あらゆる意味において財政需要がそのためにもたらされておるのが大都市であり、市町村であろうと考えるわけです。その間において、大都市のそういう取得したがゆえに起こってくるところの具体的ないろいろな財政需要があるにもかかわらず、これを府県税として持ってくる。内容におきまして、いま申し上げたような非常に不均衡な、当面する政府の政策的意図のもとに免税点があやつられ控除がなされてくる。片方においては、大衆にとってはもっと苛烈な免税点しか設けてないというところに、その税そのものが持っている不明確性、雑種税として、しかも固定資産税を補完する役割りを持っていたがゆえにこそ、これだけの財源は、府県なんかちっとやそっとでは手に入らぬから大事にしなければならないという気持ちでおられるところに問題が出てくるのではないか、こういうことも考えるわけです。その点に対しましても一応その見解をお聞きしておきたいと思います。   〔委員長退席、藤田(義)委員長代理着席〕
  210. 細郷道一

    細郷政府委員 不動産取得税におきましては、先ほど申し上げました土地家屋の取得時における担税力に対して課税するという税でありますが、現在のわが国の状況から住宅を一戸でもふやしたいというような考えから、新築住宅につきましては百五十万円の控除を、新築の住宅を建てますための土地につきましては、その住宅の二倍の面積に相当する金額について控除するという政策的配慮をいたしておるのでございます。そういった住宅政策を加味していますだけに、不動産全体の取引行為も全部否定するというのにはわが国の社会経済事情としては行き過ぎではないか、かように考えております。
  211. 佐野憲治

    ○佐野委員 だから私は、そういうことのために非常な不均衡が出ておることをいま指摘しておるわけです。二千万、三千万の土地の取得は無税だ、ところがわずか五万円の土地を増築のために買おうとする場合におきましては税金を取る、こういうところに問題があるだろうと思います。しかも一・四%という標準税率はずっと変わらずにあるわけでしょう。雑種税として動かすと必ず問題が他に波及してくる。こういうことの内容になっておるのではないかと思う。  最後に、固定資産税の問題につきましていろいろと論議されておったのですけれども、この点につきましても、税制調査会において柴田教授が資料として提出しましたメモの中で、いろいろな点を触れているわけです。評価基準の問題につきましてもあるいはまた売買実例という点につきましても、それからもう一つ課税に対しましても特例を設けるべきではないか。同じ土地であっても、生活用の土地と営業用の土地と区別しなければならぬのではないかというような点なんかも指摘されておるわけですけれども、現在この点に対しましてどういう調査、どういう段階にあるかという点に対しましても、三年間据え置きでありますから、お尋ねいたします。
  212. 細郷道一

    細郷政府委員 固定資産税は、土地、家屋、償却資産という資産に対して財産価格をもとに課税をするという税であるわけでありますが、その財産を持っておること自体に担税力ありと見て課税をするものであります。したがいまして、これにつきまして事業用あるいは非事業用といったような用途による考慮を払うことは税の性格から見ていかがであろうというので、税制調査会でも議論になりましたが、いま申し上げたような性格に照らし、かつ実務上も毎年用途が動く公算がある土地、家屋等について、その用途を追及して税負担を調整していくことは非常にむずかしいのではなかろうかというような考えに現在なっておる次第であります。
  213. 佐野憲治

    ○佐野委員 時間がありませんので、十分この検討——あとはもう一、二年しかないわけですから検討していただきたいということと、私は町村の決算の統計を見ておりましても、やはり考えられますことは、一人当たりと全国平均を自治省あたりも出しておられるのを見てまいると感ずるのですが、国税においては、その県の町村が八〇%程度だ。ところが、市町村税の割合を見てまいりますと、百十何%、一一二%というこういう高い数字が逆に出てきておるわけですが、こういう点も、この固定資産税との関連性においても考慮すべき点もあるんではないか、売買実例だけで進められる場合におきましては、もっとこの点が大きくなってくるんではないか、こういう点も考えられますので、いずれ地方財政計画の中で具体的に裏づけをしていただきたいと思います。  それと同時に、要望として二点だけ最後に申しておきたいと思いますのは、国有財産等に対する公社の納付金の問題なんですけれども、たとえば専売公社なりあるいは鉄道公社なりの納付金、この点につきましても、この価格は固定資産税によっておるわけですけれども、そうした場合におきまして、いま問題がずいぶん起こってきておるんではないか。自治省がこの価格によってあるいは納付金を配分する、こういうことになっておるわけですけれども、その結果として、たとえば国鉄新幹線ができた。そのために神奈川県その他におきまして昨年度の納付金をもらったけれども、実はあれは間迷いだったんだ、ことしはその分は減らすんだ、こういうふうに自治省を通じて通知される。一体国鉄新幹線の結果として、納付金が昨年度は間違えてよけい来たから、ことしは減らすんだ、その理由説明もなく、町村に去年はこうだったがことしはこうだ、こういうような配分をしておられるわけですね。それからまた実際的にある市町村において問題になっておりますのは、自治省の配分だ、こう思ってやってまいりましたけれども、実際上を見てまいりますと、遊休施設がある。遊休施設といたしましては、普通の固定資産税をかけるんだ、こういうことになってまいりますと、自治省が町村に通知をするという中身を一体町村が検討できるかどうか。しかも、何らの一片の事由も付せずして、昨年度はこうだから今年度はこうであろうといって予算を組んでおるのに、突然自治省からそういう形をもってやってくるという点と、もう一つ、納付金と同じ問題といたしましてやはり出てきますことは、そうした遊休施設固定資産税をかける。この固定資産税は評価によってなされるわけですけれども、そうした場合におきましても、たとえば国有財産、公社の財産につきましては、やはり二分の一しかにならない。ところが、同じ公社がそうした遊休施設を町村に貸せる場合においては、時価をもって実は貸し付けをする。それに対する非常に苛酷な条件を出してきておるわけですね。片方において、遊休施設において固定資産税を取ろうとする場合におきましては、評価の価格の半分に押えてしまっておる。こういう点から来る矛盾に対しましても、一体なぜ公社の場合に対して二分の一に押えておるのか。しかもその公社が逆に町村に対して貸し付けをやっておるじゃないか。それに対しましては現在の時価をもって要求をしてくる、こういう点に対しましてもやはり検討していただきたいと思います。  最後に要望といたしまして、租税特別措置法による地方税の減収見込み額が五百七十七億円だ。地方税における非課税措置による減収見込みが六百九十七億円だ。合わせますと一千二百七十四億円の減税を行なっているわけです。こういう点につきましても、先ほどの理事会においてもいろいろ論議になりまして、たとえば水道の場合におきまして、電気ガス税が非課税になっていない。ところが電気ガス税におきましては二百十四億も本年度は非課税にする。こういう点につきましてもやはり十分検討していただかなくてはならないし、こうした特別措置法によるところの国の政策上からきている中で、ある程度まで政策的に必要とするものもあることも事実だ。私はそれらの点も具体的にお聞きしたがったのですが、時間がございませんでしたから……。しかし大部分のものは、大企業に対する資本の蓄積、輸出力増強という名のもとにおいて、国税において約二千億円の租税特別措置による減税を行なっておる。照り返しとして地方も五百七十七億円を減収をやむなくされる。こういう場合にこの遮断をすべき問題を含んでいるのではないかという点に対しましても、本委員会におきまして他の委員がそういう点を指摘しておりましたので私は触れませんけれども、もう少し大臣、この点に対しましては明確な態度で大蔵省と折衝していただきたい。自動車税だとか、不動産取得税の五万円の措置をしたから、増築したからといって税金をとるという、こういう苛烈なやり方をしておる反面におきまして、五百七十七億円という、余裕ある大企業から、しかもそういうものを免税しておるという租税の不均衡、不公平というものがあまりにもまざまざと見せつけられる一つの側面ではないか。非課税措置にいたしましても六百九十七億円、合わせまして一千二百七十四億円という膨大な金が——もちろん中には必要なものもあることは私も承知いたしておりますけれども、もう少し大胆に非課税にいたしましてもやはり整理されるべきではないか、こういう点こそが苦しくなっている地方財政、そういう中において、しかも取ろうとする税源というものはほとんど国が持っていってしまって、残りかすの収益的あるいは人頭税的な、物税的な大衆課税しか残していない。しかもその反面において、国自身がこのような措置をとることによって起こってくるこの減収に対しまして、自治大臣、もっと強い態度で臨んでもらいたい、このことを私は最後に希望いたしまして、時間もありませんでしたけれども、非常に長く、同僚議員にも御迷惑をかけて恐縮ですけれども、一応社会党を代表して、いままで論議されました点に対する大臣の所見をお伺いいたしたわけで、以上をもって私の質疑を終わります。
  214. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ただいま御指摘になりました点は、考えさせられる点もございますので、今後ともひとつ検討をいたしていくつもりでございます。
  215. 藤田義光

    ○藤田(義)委員長代理 以上で佐野委員質疑は終わりました。次に安井吉典君。
  216. 安井吉典

    ○安井委員 佐野委員の質問に関連してお尋ねいたします。過般衆議院予算委員会昭和四十年度予算案の審議終結の段階において、水道問題の処理に関し、社会、自民両党間で合意に達し、大蔵大臣をはじめ政府側は、その合意事項を誠意をもって実行する旨答弁を行なっていますが、いまなおその具体的な実行段階に至っていないことは遺憾であります。この際、現在の時点における政府のお考えを、自治大臣よりお答え願いたいと思います。
  217. 吉武恵市

    吉武国務大臣 既往の水道事業債の累積が水道財政を困難にしておるのにかんがみまして、これに対する借りかえ債の発行につきましては、今週に予定される公営企業制度調査会の最終答申とあわせ、十分検討するつもりでありますが、現段階におきましても、ケース・バイ・ケースで極力努力をいたす所存でございます。もし年度内に水道資金のワクが増加する場合におきましては、その資金構成について、政府資金の投入割合を増加し、資金内容を改善することに努力いたすつもりでございます。  なお、償還期限の延長につきましては、すでに述べましたように、大蔵省と目下折衝中でございますが、私といたしましては、少なくとも政府資金については五年程度延長していきたい所存でございます。
  218. 安井吉典

    ○安井委員 ただいま自治大臣の御答弁によりますと、従来の政府の態度よりある程度前進していることは認めますが、しかし、われわれの期待にはほど遠く、私は不満であります。今後、党と党の間の話し合いがなお行なわれ、またこの委員会でもさらに進んだ論議をいたしたいと思いますので、その際はもっと有効適切で、かつ具体的な施策をお示しになることを要望いたします。
  219. 藤田義光

    ○藤田(義)委員長代理 以上で、安井君の質疑は終わりました。次は、吉田賢一君
  220. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は現在及び将来の地方財政の状態に深い憂慮を持っておる一人でございまするので、かかる観点からいたしまして、自治大臣はどんな対策をお持ちであるか、どのような認識を前提として地方財政をお考えになっておるのか、こういう点を大臣に伺ってみたいと思うのであります。  昨年の九月でありましたか、自治省において発表せられました三十八年度決算あるいはその前年の三十七年度地方財政の決算の概況等から、問題点を拾ってみますると、第一に指摘したいことは、都道府県並びに市町村全体を見まするときに、三十七年に比べまして、地方団体の全般にわたり、歳入の伸びが非常に鈍化しておることが看取されます。一面また、人件費やあるいは普通建設事業費などを中心といたしまして、歳出の面が総体的にずっとふえております。こういうようなことで、財政の弾力性が相当低下して、いわゆる下部硬直性というものが増しておるのではないだろうか、三十七年に比べて、一そうきびしくなっておるような感がいたされるのであります。そこで、このような情勢は三十六年をピークといたしまして、漸次悪化の傾向が深まっているのではないだろうか、改善をされるべき何ら要因を見つけることができない、こういうふうに考えるのですが、根本的に御所見はいかがでございますか。
  221. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ただいま御指摘になりましたとおり、いま地方財政はそのような状況にあるのであります。御承知のように、歳入も鈍化をしてまいりまするし、しかも支出におきましては、人件費増加をしておるわけでございます。したがいまして、その傾向に対しましては、私ども、地方団体に対して、さようであるから、この予算の執行、編成にあたりましては、できるだけ効率的にひとつ使うようにという点を強く主張しておるところでございます。
  222. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこでいわゆる赤字団体なるものを拾ってみますると、たとえば都道府県におきましても、東京、埼玉、三重、福岡が赤字団体になり、また市町村におきましても、四百八十八団体が赤字団体となっております。これは前年度で計算いたしますると、二百二十億円の赤字累計に上っております。特に注目すべきは大都市でありまして、大阪、名古屋、神戸、北九州などが同様に大きな赤字都市になっております。  この総計は七十一億円になるようであります。こういうふうに見ますると、一般的な問題の観察、扱い方のほかに、具体的な地方団体が赤字に転落し、また赤字に行き悩んでいるその実態を把握していくということが、これが対策を立てる重要な原因をつかみ得るのではないだろうか。なぜそうなっておるのであろうか。何が最も大きな原因であろうか。特にこれらの赤字団体の一つ一つについて検討するということが一番忠実な方法ではないだろうかと考えるのでありますが、いかがでありますか。
  223. 吉武恵市

    吉武国務大臣 今日地方財政の赤字の原因は、一つは、地方の仕事がだんだんふえてきたということでございます。このことは、私は、住民の福祉に関する仕事増加することでございまするから、そのこと自体は決して悪いことではございません。しかしながら、これも財政の均衡のとれたことでなければならぬのでありますが、従来ややもすると、高度経済成長のために、自然増収が多かったために、地方はそれに乗りまして、支出がだんだんふえてまいる。ところが最近において、いわゆる収入の鈍化を来たしましたために、急に財政の困難が度を加えてきたということが一つでございます。  それからもう一つは、人件費増加であります。このことは、人事院の勧告というものを尊重せざるを得ませんので、それによってベースアップが行なわれること自体は、私はこれをとやかく言うわけではございませんが、何といっても、人数が多い。地方財政の四十年度をごらんになりましても、三兆六千百二十一億の中で、人件費だけで一兆二千数百億に上るという状況でございまするので、この中は検討を加えなければならぬかとは思いまするけれども、なおかつ節約に節約を重ねていくということが必要ではなかろうかという点が第二点でございます。  第三点は、国が負担すべき事項を国が負担をしないでおきますと、その点が赤字になってくるわけであります。これがいわゆる超過負担として指摘されているところであります。この超過負担につきましては、大蔵当局の標準単価の査定というものがきついという点もございますが、同時に、地方庁における予算の執行の上においても考慮すべきものがあるのではないかと思いますが、これらを健全化していくということが私は必要であろう。  おもな点を申し上げますると、大体そこにあるかと思います。
  224. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 よくわかるです。しかしながら、人件費の増といい、また公共事業費などの増額といい、ことに公共事業費につきましては、地域開発であるとか、あるいは社会資本が多く投下されておらなかった面が、時代の趨勢に応じまして、民衆の要望等に沿わねばならぬ、こういう面もありますので、これは避けることのできない国の要請から来るのであろう、こう考えるのであります。そういったときに、たとえばいま御指摘になりましたその一つの対策でありまするが、この超過負担の問題にいたしましても、きょうはこれは多く議論する時間もございませんが、予算単価の問題をとってみましても、法律の規定と全く相いれないような事実が行なわれております。文部省あたりの教育公共施設における国の負担率というようなものについてみましても、あるいは地方財政法、あるいは予算適正化法などの規定によってみましても、これに沿うような実がないというところに、やはり予算単価が何かこう空文に、あるいは予算単価と称する一つのことばがあって、実が伴っておらぬということになりますので、だんだんいろいろな角度からこれらの点が指摘され、論議されてきたのでありますが、予算単価、補助単価等をとってみましても、これだけ取り組んでいくというだけでも、これは大臣、たいへんな作業でございます。私どもは大蔵省を中心に各省に向かって、これらの点は今後も論議を重ねていくつもりでありますけれども、その単価問題一つとってみましても、これは容易ならぬことであります。だから、予算単価、補助単価、積算の単価、そういうようなことばによって、どれだけ地方財政が災いを受けておるかわからぬ、こう思うのであります。でありまするので、これはたいへんな勇気の要る仕事でありまするので、むしろ自治省立場ということよりも、閣僚の一人として、国務大臣立場で、閣議でこういった問題に根本的に取り組むという姿勢がなければ、この問題は解決いたしません。やはり百を求める地方の補てん財源に対しまして、実は七十しか財源がない。それを割らねばならぬ。あるいは地方によりまして、それぞれ格差のあることはもちろんでございまするので、こういう点から見ましても、単価問題一つをとってみましても、これはたいへんなことでございまするが、これはひとつ格段の御努力のあらんことを希望を申し上げておきたいのであります。そうして、この点につきましては、各省とも少し渡り合ってみなければならぬと思っておりますので、後日に譲っておきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  225. 吉武恵市

    吉武国務大臣 御指摘のとおりでございまして、私はこの点にかんがみ、昨年末の予算折衝の際におきましても、各省に対し、極力これを要請したのでございます。健康保険の事務費につきましても、百五十円の単価が二百円に引き上げられましたのも、同僚諸君の御努力の結果ではございましたけれども、これはぜひということでそういう処置をとったようなのも一例でございます。今後といえども努力をする所存でございます。
  226. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点につきましては、例の補助金合理化審議会もございまして、すでに答申も出されておりまするが、これは同時に、その問題の解決は、半面におきまして、行政事務の再配分等が伴ってまいっておりますので、これはそれのみではいきますまいから、うらはらの関係で事務再配分等の関連もありましょうから、やはり高度な一つの政策として取り上げていって、そうして審議会の答申等もあることですから、その線に沿って進まれんことを御希望申し上げておきたいのであります。  それからさらに、次に一般に投資的な経費がだんだんふえてまいりますし、特に普通建設事業費というものが御報告によりますると、かなり大きな数額にのぼっております。これはやはり次第に膨張拡大することは、これはいなむことはできないのでございますが、そこでやはり根本的には税制にひっかかってくるのでございまして、現在の地方交付税制度にもひっかかってきますし、地方交付税制度が景気の増減によりまして、かなり影響を受けることは、これは申し上げるまでもないことでありまして、最近の景気後退によりまして、収入が鈍化するという一つの原因にもなっているだろうと思うのであります。でありますと、これはやはり税制の根本的な問題といたしまして、景気のいかんによって動揺しない一つの財源を確保するということが、地方をして不安なからしむる最大の点になるのではないだろうか、そこへ問題を持っていくということをしなければ、これまた解決もできないのではないか、こう思うのでありますが、その点はいかがでございましょう。
  227. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ごもっともだと思いますが、なかなかむずかしい問題でございまして、地方財政の窮状にかんがみ、昨年末、交付税といたしましては二九・五%、百四十五億というものの増額を見たわけでございますが、景気のいい悪いによって変動のないようにということは、これは確かに望ましいことでございます。またその一端として交付税中に、一部よけい入りましたときには積み立ての制度もございまするけれども、その調整をするということはなかなか困難でございまして、先般の人事院勧告等が中央で出ました際には、勢い先食いというような制度で調整したようなことでございますが、いい制度が見つかればけっこうではございますけれども、いまのところやむを得ぬかと思っております。
  228. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点につきましては、追ってまた私のほうから一つの御提案を申し上げますから、そのときに論議をしていただくことにしたいと思います。  それから問題の一つは、最近地方の単独事業が次第に萎縮しつつあるような傾向が数字にあらわれてくるのであります。これはやはり一つの傾向としまして憂慮すべきではないであろうかと思われますることと、それから国の直轄事業やら補助事業などが都市に相当大きくおっかぶさってまいります。勢いこれが大都市もしくは都市の財政を今日のように次第に赤字に追い込んでいく大きな原因になっているのではないだろうか、こう思いますのですが、これらの点につきましても、やはり国策の一環として行なうような事業であるならば、財政につきましては、国が負担するという前提に立つというふうな財源手当てをあらかじめ用意するということによって政策を打ち出していくのでないと、うまくいくまい。これはやはり根本につながりまするので、各種の問題がございますから、これまた同時に行政事務の再配分というのにつながってまいりまするが、これらの点につきまして、やはりいま少し欠くるところがあるのではないだろうか、言いかえますると、中央であおり立てられまして、地方にこれがおっかぶさってしまう。その結果は赤字財政に転落していく、無理が重なっていくというふうに悪循環になるのではないか、こういうふうにさえ思うのですが、この点はいかがでございましょう。
  229. 吉武恵市

    吉武国務大臣 確かに国の直轄事業または補助事業がふえまして、単独事業が圧縮されがちでありますることは、御指摘のとおりでございます。従来は自然増収が非常に多かったために、単独事業も何とかまかなっていけたのでございますけれども、健全財政になりますると、御指摘のおそれがあるのでございます。したがいまして、今度の四十年度の財政計画におきましては起債を相当認めまして、そういうことのないようにという配慮をいたしておるわけでございます。
  230. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 詳細なる論議は別の機会にいたしますが、たとえば倉敷やら四日市あたりの実例をつぶさに聞いてみましたり、政府の資料等によってみましても、よほどそういう面につきましては、大中ともにこれらの事業の引き受けもしくは意欲的に計画するというときには、財政の配慮というものを広い見地からしていくのでないと、憂いをあとに残すということは、これはもう必然だろうと考えております。ことに新産都市やら工特地域あたりに、五十年までの計画によりますると、六兆三千億要るという御説明もございましたが、こういった財源でも起債によってする、若干政府で補てんしようということでありまするので、何か知らぬけれども、非常に全体として財政よりも計画が先行するという印象を受けてならぬのであります。これが累積するというところに、私は日本の地方行政が再び三十年前後のように転落しつつあるというような最大の原因があるのでないかというふうに憂えられてならぬのであります。  これだけ伺っておきまして、また詳細に別の機会にひとつお尋ねしたいと思います。
  231. 吉武恵市

    吉武国務大臣 御指摘のとおりでございまして、国の計画がどんどん始まっていきますと、いま言ったようにそれに地方が追われがちでございますが、しかし国といたしましても、相当の計画性を持って進めざるを得ないわけでございます。その分につきまする地方負担につきましては、地方交付税等におきまして十分見ていくつもりでございます。
  232. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 きょうはこれで終わります。あとは保留いたします。
  233. 藤田義光

    ○藤田(義)委員長代理 他に質疑はございませんか。——なければ、両案についての質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  234. 藤田義光

    ○藤田(義)委員長代理 この際、地方税法の一部を改正する法律案等審査小委員長から小委員会の経過について報告いたしたいとの申し出がありますので、これを許します。地方税法の一部を改正する法律案等審査小委員長亀山孝一君。
  235. 亀山孝一

    ○亀山委員 ただいま報告を求められました地方税法の一部を改正する法律案等審査小委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。  本小委員会は、地方税法の一部を改正する法律案及び石油ガス譲与税法案につきまして、その住民負担及び地方財政に及ぼす影響の重大なことにかんがみ、去る三月十一日設置せられ、小委員十名が選任せられました。同日、第一回の小委員会を開き、十七日まで四回にわたって開会し、小委員各位の御精進により、熱心に審査を進めてまいったのであります。  審査は、主として懇談的に進められましたが、まず、改正案について税目別に政府当局から説明を聴取した後、地方税制の運営の現状、住民負担の実態、税制調査会における審議の経過、改正案の経緯及びこの改正案を施行した場合における影響など、広範多岐にわたる論議を行なったのであります。  審査におけるおもな論点を申し上げます。  第一に、住民税について申し上げます。  その一は、課税最低限の問題であります。すなわち、所得税と住民税との間には相当の開きが生じておるが、住民税においても低所得者の負担の軽減という観点から、基礎控除等の各種控除額を引き上げることによって課税最低限の引き上げをはかるべきではないかということに議論が集中したのであります。これに対し、政府当局は、現在課税方式の統一等による減税が進行中であるので、これに伴う市町村の課税状況や地方財政の推移を勘案して四十一年度以降において検討したいということでありました。  その二は、府県民税の所得割についてであります。  現行の所得割の税率は、いわゆる二段階の比例税率となっているが、低所得階層に負担が過重となっているので、旧に復して超過累進税率に改めるべきではないかという意見がありましたが、政府当局は、住民税の負担分任という性格から、税制調査会答申もむしろ逆の方向であるとして消極的意見が述べられました。  その三は、退職所得課税の問題でありますが、住民税は、前年度課税のたてまえをとっているため、退職した場合には、所得のない年度に納税を求められる結果となるので、納税者の税負担の便宜をはかるという趣旨から、その救済方法を講ずべきではないかという意見があり、これに対し、政府当局は、退職所得課税については、現年度課税の措置を検討したいということでありました。  その四は、国の配当所得の特例に関連する問題であります。すなわち、いわゆる源泉選択制度の適用分については、本法附則においてその住民税に対する影響を庶断ずる措置が講ぜられていることは、きわめて適切であるとする一方、一銘柄につき年五万円以下の株式配当金については、住民税における捕捉が不可能であるため、政令においてこれを課税標準から排除することとなる点に関しましては、本税の課税最低限がかなり低いことと対比するとはなはだ均衡を失しており、また、これによる地方税の減収が多額にのぼることから、国税におけるこの特例措置に対して強い不満が表明されました。  第二に、事業税について申し上げます。今回の改正案による事業主控除額の引き上げが、個人事業者の負担の軽減という趣旨であるとすれば、もっと大幅に、たとえば三十万円くらいに引き上げるべきではないか。納税義務者中に占める所得税失格者の割合が、給与所得者の住民税所得割の場合より大きいのは均衡を失していないか。青色または白色申告の専従者控除も、国税における控除と見合って引き上げるべきではないか等の意見が述べられました。   〔藤田(義)委員長代理退席、委員長着席〕  これに対し、政府当局は、事業主控除を三十万円に引き上げるとすれば、約五十億円の減収を生ずることとなり、地方財政への影響が大であること、また、専従者控除の引き上げについては、将来検討すべき問題であるということでございました。  第三に、娯楽施設利用税についてであります。  すなわち、ボーリングに対しては、従来から府県の条例によって課税しており、その際、外形標準による例が多く見られるが、今回の改正は、近時ボーリングの著しい普及に伴い、府県がそのつど条例を制定して課税する煩を避けるためになされたものであり、この改正を機として、利用料金課税に切りかえさせることを趣旨とするものでないと思うがどうかとの質疑があり、政府当局からは、本税は料金課税が原則であるが、利用の状況、利用手続の実態、特別徴収義務者の便宜等によって、外形課税方式によることができるものであり、ボーリングについても、さしあたって外形課税によることも差しつかえない点を指導したい旨の答弁がありました。  第四に、自動車税及び軽自動車について申し上げます。  本税については、まず観光貸し切り用バス税率引き上げられており、これは大多数の観光バス会社の赤字経営の現状から見て、料金引き上げを誘発するおそれがあるが、観光バスは、その大部分が学校生徒の修学旅行や低所得階層の慰安旅行に利用されている実態にかんがみ、税率引き上げを見合わせる考えはないか、また、自家用バス税率据え置きに比べて、片手落ちではないか等の議論がありました。  これに対しし、政府当局は、貸し切りバス料金は昨年末に引き上げられており、貸し切りバス会社の経営の実態上、コスト中に占める税率引き上げのウエートがきわめて軽微であることから、これ以上に料金値上げの誘因となりがたいこと、万一、料金が上げられても、利用者側としては、利用回数が少ないことにより、その影響が軽微であることをあげ、また、自家用バスについてはその用途がきわめて多岐にわたることから、実態に応じて、府県の条例において税率を用途別に適宜増減するよう指導する方針である旨の答弁がありました。  次に、自動車税自動車に対する固定資産税、奢侈税及び道路損傷負担金の性格をあわせ持つこと並びに税制調査会答申道路財源の確保と負担の均衡とをはかるための改正措置を求めていることに関連して、今回の改正の趣旨がそのいずれに重点を置いているものであるか等について疑問が出され、特に道路損傷度の著しいトラックについての税率が据え置かれていることについての矛盾が強く指摘されました。また、乗用の軽自動車についてまで税率引き上げる必要はないのではないかという議論がありました。  政府当局は、これに対して、今回の改正が、自動車道路を運行するという特殊な固定資産であり、道路の改良によってその機能または資産価値が高まること、現行の税率昭和二十九年以降据え置かれている一方、国民所得が向上し、かつ自動車が大幅に普及運行されていることにかんがみ、税率引き上げを行なったものであること、ただその際、国民生活に与える影響の度合いを考慮して、税率引き上げ車種を選定した旨の答弁がありました。  第五に、固定資産税について申し上げます。  新評価による税負担については、次の基準年度まで暫定措置が講ぜられているが、市町村によっては、新評価方法の技術的な困難性等から新評価がなされないまま、暫定措置を講じている事例も多々見られ、税負担の不均衡がそのまま持ち越されている現状にかんがみ、新評価による恒久的な負担のあり方については、早急に具体的な結論を出すべきではないかという意見がありました。また土地、家屋の免税点は実情に沿うよう大幅に引き上げるべきではないか、さらに農業者の税負担を軽減するという見地から、農機具等の償却資産の免税点は引き上げるべきではないか、また、産業公害の防止という見地から、公害防止のためのすべての施設については本税を免除すべきではないかという意見がありました。  これに対して政府当局は、免税点の引き上げについては税負担の恒久的な措置を講ずる際にあわせて検討したいこと、公害防止施設については、現在免税措置が講ぜられているばい煙防止規制法の対象になっている施設、汚水処理施設等以外のものにさらに拡大する場合には、公害防止施設の範囲及び種類を明確にした上で検討したいということでありました。  第六に、電気ガス税について申し上げます。  産業用電気に対する非課税品目は依然として増加しており、地方税収に相当の減収を与えているので、非課税品目は整理、合理化すべきではないか、また、その他の用途免税として、運輸事業用、公衆街路灯用等の特殊用途に使用されている電気については、政策的に非課税措置が講ぜられているが、水道事業に使用する電気についても最近の公営企業財政の悪化、ひいては水道料金引き上げを招いている現状に照らしても非課税とすべきではないか、さらに、本税の免税点制度を基礎控除制度に切りかえるべきではないか等の議論が行われたのであります。  これに対して、政府当局は、産業用電気に対する非課税措置については、非課税指定基準の適正な執行につとめるものとし、水道事業用の電気を非課税とした場合に、同一市町村の一般会計に減収を生ずる結果となり、結局その減収に対する部分については、どこかの面で住民に負担を求めることとなるので実効がない、また、免税点制度は零細負担の排除という趣旨に基づくものであるので、基礎控除制度を採用すれば、高額所得者にまで恩典を与える結果となり適当でないという答弁でありました。  第七に、石油ガス譲与税法案について申し上げます。  石油ガス自動車の保有状況と本譲与税の配分はどのような関係になるか、石油ガス税についてその捕捉については問題は生じないか、またあまり将来の伸びは期待できないのではないか、石油ガスは大気汚染の度合いが少なく、廃物資源を活用するものである等の利点を生かすよう石油ガス税の税率についてくふうをすべきではないか等の諸点をめぐって熱心に質疑応答がかわされたのであります。  以上のほか、大都市の財政状況がきわめて悪化していることにかんがみ、独立税その他の財源充実の方法をすみやかに講ずべきではないかという強い意見があり、また木材引取税についてその課税客体の捕捉がきわめて困難で、結果的には負担の不均衡を生じているから、むしろ木材引取税を廃止して、立木課税にすべきではないかなど、各税目にわたって有意義な論議がかわされたのでありますが、政府当局は、政府原案の趣旨とするところを税制調査会答申等を援用して説明し、今日の場合、住民の負担の均衡と地方財政の現状に照らし、この程度の改正にとどめざるを得なかった実情等につき説明を行なったのであります。  かくて、本小委員会としては、地方税法の一部を改正する法律案及び石油ガス譲与税法案につきまして、賛否の結論をつけることは適当でないということに意見の一致を見たのであります。  なお、本委員会において、一、非課税規定の整理と住民負担の軽減合理化、二、指定都市等の財源の充実強化、三、自動車税の増税についての慎重な考慮及び公営水道事業に対する電気ガス税の免除の検討、四、自動車税率決定における輸出振興及び観光施策への配慮の諸点について、附帯決議を付すべきであるという意見の一致を見たのであります。  以上、御報告申し上げます。
  236. 中馬辰猪

    中馬委員長 以上で小委員長からの報告は終わりました。     —————————————
  237. 中馬辰猪

    中馬委員長 この際、委員長の手元に地方税法の一部を改正する法律案に対し、安井吉典君外二名からなる修正案が提出されております。     —————————————
  238. 中馬辰猪

    中馬委員長 提出者から趣旨説明を聴取いたします。安井吉典君。
  239. 安井吉典

    ○安井委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題とされている地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由とその内容の大要を御説明いたします。  地方財政は、戦後の混乱期から一時好転したかに見えたのでありますが、昭和三十六年度を峠に、加速度的に悪化の方向へ進行いたしております。三十八年度決算について見ると、一般会計予算の赤字団体数は四百九十二、赤字額は二百七十二億円、これに公営企業の赤字三百七十六億円、国民健康保険の赤字百三十二億円を加えると、赤字額は約八百億円にも達しているのであります。しかも、この傾向は、さきの財政再建のときと異なり、特に大都市及び都市において著しくなってきているのが特徴であります。  こうした、地方財政悪化の原因は、物価上昇に伴う給与費、社会保障費等の義務的経費増加に加え、政府の高度経済成長政策のもとで国家的公共事業に伴う膨大な公共投資支出をしいられ、財政需要は急増している反面、地方税収の伸びが鈍化しているからであります。その上、大都市においては産業と人口の集中によって生ずる過密化の当面の対策に追われて財政支出の膨張をもたらし、一方、農山漁村部においては、人口の流出、農業、中小企業等の衰退によって収入の減退を来たし、乏しい財政のやりくりに四苦八苦している状況であります。四十年度は、地方交付税交付金も、交付税率が二九・五%に、〇・六%引き上げられたにもかかわらず、前年度比一二・三%の伸びにとどまっております。  政府は、こうした地方の財政事情の窮屈さを顧みず、大型予算を編成し、地方に対し直轄事業や補助事業を不当に低い単価で押しつけ、一千億円に及ぶ超過負担を行なわせています。また、地方財政の赤字拡大とともに、最近の地方債増額のテンポには著しいものがあり、地方債残高は一兆数千億円にも達しているのであります。このしわ寄せは、増税、料金値上げ、元利償還金の増大等によって、住民に負担が転嫁されてきているのであります。  政府提案の地方税法の一部改正法案では、以上のような地方財政の窮乏とひずみを根本的に是正し、地方財政を強化発展させるにはほど遠いものであり、かつ、物価高に悩む国民の生活を守るためには、所得の名目的な上昇に見合う分ぐらいは当然減税措置を行なうべきにもかかわらず、見るべき減税はほとんどなく、三十九年度改正の四十年度実施分を別とすれば、初年度八十億円の増税になります。さらに、国税における租税特別措置の拡大のため地方税へのはね返り減収を増大し、国民税負担の不均衡と地方財政への独占の圧迫という両面で、問題を一そう大きくしているといえるのであります。  この際、憲法に保障する地方自治と住民福祉を守る立場から、大衆負担の軽減並びに地方財政の強化の立場に立って、地方税財政の改革を行なうことは緊急の要事であります。わが党は、この見地から地方自主財源充実のため国税の大幅地方移譲を骨子とする財源の再配分、国と地方との間の行政秩序の確立、国の予算編成についての地方財政との関連等につき根本的な検討を政府に要求いたしたいのであります。ここに、今次の改正法案に対しても、当面この程度は当然実施すべきであると考えられる諸点につき修正案を提出するものであります。  第一に、住民税についてであります。まず、道府県民税課税方式は、三十七年度比例税率制に改められましたが、この際、低所得者の負担軽減のため、所得割の比例税率制、すなわち課税所得百五十万円以下二%、百五十万円超四%を廃止し、課税所得を十三段階に区分する超過累進税率制に復元することといたしました。  市町村民税所得割の課税方式統一は、第二年度の四十年度で完成され、本文方式一本になり、準拠税率も標準税率に改められるのでありますが、制限税率が一・五倍となっていることは幅が大き過ぎ、かつ減収補てんは制限税率で課税したこととして行なわれるため当然制限税率一ぱいまで徴収する傾向となるので、制限税率は標準税率の一・二倍に押えることといたしました。  また、道府県民税及び市町村民税におけるその他の減免措置として、所得割の基礎控除を九万円から十二万円に、配偶者の場合、現行は扶養控除七万円とされているのを配偶者控除を新設し、その額を十二万円とし、扶養控除も一人三万円から五万円に引き上げることとしました。また農協、生協その他に対する非課税や課税標準の特例の復元、障害者、未成年者、老齢者または寡婦についての非課税の範囲を改正案二十二万円を二十四万円に引き上げることにいたしております。これらの措置は、従来から本文方式及び準拠税率を採用してきた市町村には、昨年の改正による減税がないこと、所得税に比し、住民税の課税最低限が著しく低いこと等を考えると当然の措置であると考えます。  第二に、事業税についてであります。事業税は本来二兎課税的な性格を持つものであり、個人事業税は将来撤廃することを目途に、当面の措置として事業主控除を改正案二十四万円を三十万円に引き上げ、専従者控除を青色申告の場合現行八万円を十二万円に、白色申告の場合現行五万円を七万円に引き上げることにしています。なお、住民税の場合と同様に農協、生協その他に対する非課税や課税標準の特例措置を復元いたすことにしております。  第三は、自動車税についてであります。改正案によりますと、営業用小型自動車、観光貸切用バス以外のバストラックを除き、自動車税税率を五〇%と大幅に引き上げておりますが、わが党は、物価安定策として公共料金の抑制方針を堅持している現在、小型自動車及び観光貸し切り用バスについてはすべて税率を据え置くことといたしております。なお、同趣旨により、軽自動車税引き上げは行なわないことにしています。  第四は、固定資産税についてであります。  わが党は、今後とも現在の水準より税額を上げない、特に農地、農機具等の農業用固定資産税は全廃を目途とし、大幅に軽減すべきと考え、政令で定める田畑、牧野、果樹園、作業場、農機具その他農業用固定資産についてはすべて課税標準を評価額の三分の二とすることといたしております。これらの措置は、立ちおくれている農業の基盤整備や経営の近代化が国民経済全体の上からも強い要請となっており、諸外国でも農業用固定資産について軽減措置を行なっている例があることからも当然の配慮であろうと考えるものであります。また、零細な大衆負担軽減のため、免税点を土地現行二万四千円を五万円に、家屋現行三万円を十万円に、償却資産現行十五万円を二十万円に引き上げるとともに、大企業に対する特権的な課税標準の特例を廃止することにしております。  第五は、電気ガス税であります。大衆負担軽減に力点を置き、税率を現行七%から五%に引き下げるとともに、免税点を改正案電気について月額四百円、ガス五百円をいずれも七百円に引き上げるようにしております。また、公営水道事業に対しては住民福祉の立場から非課税にするとともに、大企業に対する非課税の特例を廃止いたしております。  第六は、料理飲食等消費税についてであります。旅館の宿泊及び飲食について控除を現行八百円から一千円に、免税点を現行一千円から一千三百円に引き上げるとともに、飲食店、喫茶店等における免税点を現行五百円から八百円に引き上げ大衆負担の軽減をはかる措置を講じたのであります。  第七は、消防施設税であります。これは、消防施設をより拡充整備するための目的税として創設するもので、都道府県は、市町村に対し消防に要する費用に充てる財源を交付するため、火災保険会社の火災保険料収入の三%を消防施設税として課することにいたしております。  第八は、たばこ消費税でありますが、地方自主財源強化と減税補てんのため、道府県たばこ消費税の税率を現行九%から一二%に、市町村の場合は現行一五%から一八%にそれぞれ引き上げるよう修正いたしております。  なお、そのほか国民健康保険税については、従来の通り、所得割の計算につき市町村民税ただし書き方式による計算が存置されておりますが、せっかくただし書き方式が廃止された際でもあり、市町村民税所得割の課税方式によることとするよう修正いたしております。  わが党は、別途地方交付税法の一部を改正する法律案に対する修正案を用意し、地方交付税率を改正案二九・五%から三二%に引き上げることとしており、さらに国税における租税特別措置の改廃により当然、地方税の大幅増収があるので、本修正案による地方税減税額は千八百五十四億円にのぼるのに対し、増収額は、千八百八十五億円に及び、地方税収は差引三十一億円増加することとなるのであります。  以上が本修正案を提出する理由並びにその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  240. 中馬辰猪

    中馬委員長 以上で修正案の趣旨説明は終わりました。  この際、安井吉典君外二名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定によりまして、本修正案に対する内閣の意見を聴取いたします。吉武自治大臣
  241. 吉武恵市

    吉武国務大臣 安井委員御提案の修正案の各事項は、いずれも慎重に検討を要するもので、にわかに政府として賛成いたしかねる次第でございます。     —————————————
  242. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより地方税法の一部を改正する法律案及び同法律案に対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。久保田円次君。
  243. 久保田円次

    久保田(円)委員 私は、自由民主党を代表して、政府原案に賛成、日本社会党提出の修正案に反対の討論を行ないたいと思います。  御承知のように、昭和四十年度の地方財政状況は、国庫予算増加に伴う公共施設の充実、社会保障の拡充等のための負担増加、国家公務員に準じて行なわれる地方公務員の給与改定に伴う給与費の増大等による財政需要が増加しており、地方税及び地方交付税の自然増収をもってしては、これをまかなうのに十分でなく、そのため別途地方交付税率引き上げを講ずる等の措置を必要とする状況であります。  地方税につきましては、最近の数次にわたる改正により、住民負担の軽減合理化がはかられてまいっており、ことに今年度において市町村民税、電気ガス税等について大幅な税制の改正がなされたのでありまして、住民税につきましては四十年度も引き続き課税方式の統一等によって負担の不均衡是正が進められるところであります。  本法案は、昨年十二月の税制調査会答申趣旨に沿うて立案されたものであり、現在の地方財政の実情と、引き続き行なわれる住民税等負担の軽減を考慮しつつ、地方税負担の現状にかんがみまして、個人事業者の事業主控除額の引き上げ、電気ガス税の免税点の引き上げ等、主として中小所得者等の負担の軽減をはかるとともに、あわせて自動車税負担の合理化をはかることを骨子としているものであります。  社会党の修正案は、住民税をはじめ各税目について大幅な減税を行なうことを骨子とするものであります。もとより減税を行なうこと自体は反対すべきことではありませんが、地方財政の現況からすれば、そのような大幅な減税を行なら余地はないと考えられるのであります。  以上の理由によって、私は政府原案を適当なものと認めてこれに賛成し、社会党の修正案に反対するものであります。
  244. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に秋山徳雄君。
  245. 秋山徳雄

    ○秋山委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております地方税法の一部を改正する法律案に対し、政府原案に反対いたしまして、社会党の修正案であります安井委員外二名提案の案件に対しまして賛成の意を述べながら、逐次、時間もありませんので非常に簡単とは思いますが、一言ずつ申し上げながら討論をいたしてまいりたいと思います。  ただいま安井委員から個々につきまして詳細にわたっての御説明がありましたので、大半を省略させていただきますが、かりにも昭和三十八年度の決算上において、一般会計やあるいは公営企業あるいはまた国民健康保険等の合算額に対しましての赤字は八百億円にも達しております。しかもその大半が大都市または都市において著しくなっておることは申すまでもありません。これらの赤字の状態などを見てまいりますと、おそらく昭和三十九年度においてもさらに拡大されているということは明白なことであります。  これらの原因等については、安井委員からたくさんの状況を述べながら説明をしてありますので、これらにつきましても省略をさせていただきたいと思いますが、先般来の質疑の中にも出ておりまするように、毎年の税制改正におきまして国税は減税された。しかしながら、地方税におきましては増税というがごとき政策がとられてきつつあったのであります。この重税に対しましても国民の不満は中央政府のほうから地方庁に対しましてのものに転嫁をされつつあるのでありまして、これらを考えてみますと、最も悪い仕組みと言わないわけにはまいりません。  地方における総収入の中に占めますところの地方税の大きさは、地方自治のウエートをはかる目安とさえいわれております。国際的にこれを見てまいりましても、地方税の占める比重が六十%以下の国々は標準以下とさえいわれておりますし、他面、国と地方の歳出の中におきましても、地方歳出規模はわが国では二〇%から三〇%でありまして、これまた標準をはるかにこえておるのであります。他方、政府の委任によって担当されております事務の範囲になりますと、きわめて大きいものといわれ、そしてまたわが国の地方財政は、行政のきわめて多くの部分を担当しておるにもかかわりませず、自主財源は非常に少ないという独得な構造を持っておると言わざるを得ません。これがまた地方財政にあらわれた日本的ひずみと言うことができると存じます。  なお、個々の問題等をあげてまいりますと、際限がないほどに問題点が数多くあるのでありますが、時間の関係もありますし、安井委員の御説明の中にも詳細に触れられておりますので、省略させていただきますが、地方税あるいは財政の改革を行なうべきことは緊急の要事であり、国と地方との間の税財政の再配分、住民福祉を基本にした税の適正な運用方を私は強調しながら、非常に簡単ではございますが、遺憾ながら政府原案には賛成することができないのでございまして、したがって社会党の提案しております修正案に賛成の意を表しながら討論を終わりたいと思います。
  246. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に門司亮君。
  247. 門司亮

    ○門司委員 私は民主社会党を代表いたしまして、いま提案されております地方税法の改正案に反対し、社会党の修正案について賛成の意を表するものでございます。  その要旨をごく簡単に申し上げておきたいと思いますが、いろいろいままでの質問、さらに社会党の提案理由の中にもございましたように、今度の地方税の改正は、一言にして言えば何ら見るべきものはないということになろうかと存じます。  その一つの大きな理由は、御承知のように国税において所得税の改正により株式配当に対する一銘柄五万円までの所得の申告はほとんど不可能である、といたしますとこれの減収分が五十四億と言われておる。これは政府はこの税法改正の中で減収と考えていないらしい。これはおかしいのでありまして、国と地方との税の負担均衡、国民相互間における税の負担均衡から申しますときわめて不合理であり、不親切であるということがまず第一点でございます。  その次に問題になってまいりますのは、自動車税金を上げております。しかもこのことは大臣のこの税法に関する説明書の中を読んでみますると、きわめて不可解なことが書いてある。これはどうしても私どもに納得がいかない。こう書いてあります。「第五は、自動車税についてであります。近年、自動車台数増加は著しく、これに伴って、道路の新設改良等直接道路に関する経費のほか」、これは一体自動車がふえたから道路をふやすのですか。産業経済の伸展に伴って道路が必要になり、さらにこの改修が必要になってきているのであって、自動車がふえたから道路の新設をしなければならないという理屈は私は大臣理屈としては少しおかしいと思う。こういう理由ガソリン税をふやすなんということはもってのほかである。むしろこの道路の新設あるいは舗装というようなことは、国の産業経済の中で当然計画的にこれが行なわるべきであって、これらの国の当然負担すべきものが自動車税として、あるいは軽油税としてかけられてくるということは、結局それだけ物価を高くし、国民生活にそのすべてがしわ寄せされるという事実でありまして、この点については私は本案の提出の理由にある大臣説明に対してきわめて大きな不満を申し上げておきたいと思うのでございます。  こういう形でこの税法が改正されておりますることについては、その他の問題もいろいろございますが、きょうは時間もございませんし、いろいろ長く討論されたあとでありますので、きわめて簡単に申し上げて御了解を得ますが、社会党の修正案の中には、私はやはり新しい一つの機軸があると思います。今日、地方財政を論ずる場合に、地方税制と相関連して考えてまいりますと、一体地方の財政をどうするかということについては、きわめて慎重でなければなりません。単に今回のこの税制改正のような小手先だけで今日の地方の財政がまかなわれ、これが充実されるとは考えられません。したがって、政府が本気で地方税法を改正しようとするならば、当然国税に手をつけるなり、あるいは新しい税目を見つけるというような方向に進んでいかなければ、今日のワクの中で、どんなにこれをいじってまいりましても、結局地方財政の充実は期しがたいのである。このことは借金が毎年ふえていって、そうしてその元利払いに地方がどうにもならない現状を来たしておる最大の原因である。ところがこの税法は、そこに何ら触れておらない。ただ単に、税目の余地に多少の取捨選択をしただけであります。ことにわれわれが遺憾に考えておりますのは、先ほど提案理由説明の中にも、新設される例として考えられておりますものの中に、消防施設税がちょっといわれたのでありますが、私は消防施設税のごときは、何も日本だけではございませんで、西ドイツにもございまするし、ギリシアにもございまするし、カナダにもございまするし、外国でもこの税金はちゃんと取っておるのである。しかも保険会社は——これはよけいなことを言うようでありますが、日本における保険会社の創設当時、これは明治二十一年十月十日付になっておりますが、そのときの現在の東京火災保険会社が東京都知事に出してまいりました御保護金貸し出し願い、金一万五千円と書いた書類が今日残っておる。この書類の内容を見てみますると、将来消防施設に金がかかるから、この金を貸してもらいたいということが、ちゃんと書いてある。私は消防の施設それ自体というものは、昔はやはり保険会社自身が持っておって、そうして自分の営業を保護しておったということしか考えられない。ところがこれが今日では、ほとんど全部といっていいほど地方の自治体の過重な負担になっている。私はこういう実態を見てまいりまするときに、長い間唱えられております自治省は、ひとつこの辺で踏み切って、大蔵省やあるいは銀行局等にあまり負けないで、こういう新しい税制を何か見つけ出すというようなことが考えられはしないか、こういう点についても、今回のこの政府が出してまいりました地方税法の改正については、きわめて不満なものがあり、私からして言わせますれば、もう少し真剣に地方税制というものを考えてもらいたい。国の税制が改正されるに従って、これをどう改正していくかということ、もう一つの問題は、御承知のように、いいか悪いかは別にいたしまして、国の法人税が下がったということで、住民税の法人税割の税率が上げられておるということである。これは法人が納める税金であるから、個人とは違うといえばいえるのでありますが、しかし国が下げたから、地方が上げたんだということになってまいりますと、結局国のとっておりまする減税方策というものがごまかしであるということがいわれても私はしかたがないことだと考える。こういう首尾一貫しないものがこの税法の中には入っておる。私はこういう理由によりまして、政府原案に反対をし——少なくとも社会党の提案になっておりまするものの中には、私はまだたばこ消費税のごときは、思い切ってもっと取ったほうがいい、地方の自治体に回したほうがよろしいと考えておるのでありますが、きわめてつつましい提案であると私は考えられる。それにいたしましても、政府のいまの御答弁では、どうもこれににわかに賛成しがたいというような大臣の御答弁でございましたが、ひとつ大臣はそういうことでなくして、真剣に考えていただきたいと思うのでございます。  以上、きわめて簡単であり、粗雑でございましたが、政府提案に反対をし、社会党の修正案に賛成する意思表示をしたものであります。
  248. 中馬辰猪

    中馬委員長 以上で討論は終わりました。  これより採決に入ります。  まず地方税法の一部を改正する法律案に対する安井吉典君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  249. 中馬辰猪

    中馬委員長 起立少数。よって、安井吉典君外二名提出の修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  250. 中馬辰猪

    中馬委員長 起立多数。よって、地方税法の一部を改正する法律案は、原案のとおり可決すべきものと決定しました。     —————————————
  251. 中馬辰猪

    中馬委員長 この際、田川誠一君、安井吉典君及び門司亮君から、三派共同提出をもちまして、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、本動議を議題とし、その趣旨説明を求めます。田川誠一君。
  252. 田川誠一

    ○田川委員 このたびの本委員会及び小委員会の審査を通じ、有意義な論議がかわされたのでありますが、今後一そう地方財源の充実をはかるとともに、住民負担の軽減合理化を推進する意味におきまして、小委員会の結論に基づき、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の共同提案により、次のような附帯決議を付したいと思います。  ただいまから附帯決議の案文を朗読いたします。     地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、左記事項について必要な措置を講ずべきである。  一、地方財政の窮状と住民負担の現況とにかんがみ、非課税規定の整理と住民税等の軽減を行ない、地方財源の充実と地方税負担の均衡化合理化を前進させるべきである。  二、最近における都市、特に指定都市の財政負担が、著しく加重されていることにかんがみ、その税制及び財政制度について再検討を行ない、その財源の充実強化を図るべきである。  三、物価安定策の一環として公共料金の抑制方針を堅持して居る現在、自動車関係諸税の増税は慎重を期するとともに、水道料金における電気ガス税の負担を非課税とすることを検討して善処すべきである。  四、将来、自動車税税率決定に当っては、輸出振興や観光施策上の見地等から慎重に考慮すべきである。   右決議する。 以上が附帯決議の案文であります。何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
  253. 中馬辰猪

    中馬委員長 本動議について採決いたします。  本動議のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 中馬辰猪

    中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は、田川誠一君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、吉武自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。吉武自治大臣
  255. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ただいま決定になりました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重していくつもりでございます。
  256. 中馬辰猪

    中馬委員長 おはかりいたします。ただいま議決されました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 中馬辰猪

    中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時十八分散会