運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-03-04 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月四日(木曜日)    午後一時四十八分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 亀山 孝一君 理事 久保田円次君    理事 田川 誠一君 理事 中島 茂喜君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    奥野 誠亮君       亀岡 高夫君    武市 恭信君       登坂重次郎君    村山 達雄君       森下 元晴君    森田重次郎君       山崎  巖君    秋山 徳雄君       井岡 大治君    華山 親義君       細谷 治嘉君    吉田 賢一君  出席政府委員         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   岡田 勝二君         自治政務次官  高橋 禎一君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁調         整局調整課長) 長橋  尚君         大蔵事務官         (主計官)   平井 廸郎君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方財政に関する件(昭和四十年度地方財政計  画)      ————◇—————
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  地方財政に関する件について調査を進めます。  昭和四十年度地方財政計画、特に地方公務員給与に関する問題について質疑の通告がありますので、順次これを許します。秋山徳雄君。
  3. 秋山徳雄

    秋山委員 私は、地方公務員給与の問題について一、二お尋ねを申し上げたいと思うわけであります。地方公務員給与を考える際に、いろいろな条件やあるいはいろいろな法令その他があると存じますが、いままでいろいろ質疑の過程において出てきたと思いますけれども、その中で私が、なかなかわかったようでわかり切れない点が多々ありますので、これらについてお尋ねを申し上げてみたいと思います。  いま中央においては人事院というものがございまして、年々民間給与との関係などを調べて、そしてそれに追いつくために、人事院は毎年政府勧告をなされております。ところが地方におきましては、各府県にはそれぞれの人事委員会というものがあるわけであります。市町村にはありませんけれども公平委員会というものがあるわけであります。国で国家公務員給与を算定いたしますにつきましては、人事院勧告に基づいて、これが一〇〇%実施はされないまでも、それを基調としていろいろ算定がなされ、そして給与がきまっていくものと考えます。府県におきましては、同じように人事委員会がございまして、それに向かって当局側から意見を述べたり、あるいはまた人事委員会が自発的に調査をいたしまして、国の例にならって、それぞれの形において勧告や報告がなされておると思います。それらの関係法令の上で、あるいは慣習上において、人事院府県におきます人事委員会との何か関連があるのかどうかということでございます。それらについて、法律のたてまえからいきまして、人事院地方人事委員会に対しまして指導をしたり、あるいはまた何か示すことによって、国家公務員の利益になるようなことを行なうことができるのかどうか、あるいはまたそういうことについてやった経験があるやいなやということにつきまして、まず人事院瀧本給与局長さんからお答えをいただければ幸いだと思います。
  4. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまお話に出ました人事院地方人事委員会との関係がどうなっておるのかということでありますが、これは御承知のように地方公務員法あるいは自治省設置法によりまして、地方機関でありまする各府県人事委員会というものは、地方公務員制度の原則に沿って運営されるように自治省が協力され、また技術的援助をされるということが法律上のたてまえになっております。ただ実際問題といたしまして、人事委員会府県に設置されておりまするし、人事院は国に設置されておるのでございますけれども、その職務といたしまするところは非常によく似た点がございます。したがいまして、これは法律上の問題ではなしに、実際上の問題といたしまして、たとえば人事院が毎年官民の給与比較いたしまする基礎資料を得ますための調査民間給与実態調査、これは実は府県人事委員会と共同いたしまして調査をいたしておるというようなことで、実際問題といたしましては、国の人事院地方人事委員会、これはわれわれだけが御援助申し上げるというのじゃなしに、われわれも助けていただくという意味におきまして、共同でやっておるということがございます。  それからまたいろいろわれわれ出先のお話等を承るほうが、人事行政上非常にけっこうだというような問題につきまして、地方人事委員会方々からお話を承ったり、また国ではどうやっておるのであるかというようなことを、時々会合等の場合に出てきて説明をしろというようなことがございますので、そういう場合には出てまいって、国ではこうやっておりますということを申して、事実上御協力申しておる次第でございます。
  5. 秋山徳雄

    秋山委員 法律的には何か特別なこれらに対する規定がないように見受けられますが、そこで国家公務員給与体系をつくるにあたりまして、人事院が、いま御説明がありましたような形においてやっておると聞きますが、それでは地方における人事委員会が、国と同じような歩調を合わせて、たとえば東京都のごとく、大阪府のごとく、あるいは神奈川県のような、国家体系と比べて経済成長率が非常に高くなっておるところもあるわけであります。そうかと思うと農村地帯のように、非常に低いところがあるわけであります。これらがおのおのの立場を持って、それぞれの形を持って勧告をなされるわけでありますが、これについて自治省人たち意見を聞きますと、必ず、地方公務員国家公務員給与は準じていくのだという説明が常時なされております。そういうことになってまいりますと、何か府県特殊性というものを確実に織り込むことができるかどうか、これも非常に疑問になってくると思います。あるところは当然国家公務員よりも高くてしかるべきところもある。あるいはまた当然の問題として、国家公務員より低くなりがちのところもあるかもわかりません。これらをどういう形でか調節をするのだということになりますと、これも地方自主性というものが認められていながら、実質的にはこれが認められない、こういう形になってくるのではないかという考え方が出てくるわけであります。そういうことごとを考えたときは、やはりどこかでこれらを調節するなり、あるいはまたどこかでこれを指導していくなりするところがあってしかるべきではないかという気がするわけですが、これに対して内閣総理大臣官房からもお見えになっておるそうでありますが、そちらの高度に立ったお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  6. 岡田勝二

    岡田政府委員 このところ毎年のように人事院給与勧告がございまして、それに基づきまして、政府におきましては国家公務員給与につきまして、その勧告を尊重いたしまして、これを実施するというのが、このところずっとそういうたてまえで行なわれておるわけでございます。それでその際に、一般職国家公務員のみならず、特別職国家公務員につきましても給与改定をいたしておりますが、同時に地方公務員給与改定されるということもあわせ考慮に入れて、人事院給与勧告の取り扱いをきめる決定がなされておるわけでございます。しかしその地方公務員給与改定具体的内容をどのようにするかということにつきましては、私どもとしては直接タッチしておるわけではございませんので、これはむしろ自治省のほうでタッチしておられるといたしますれば自治省のほうの所掌でございますので、その辺のところは自治省のほうからお聞き取り願いたいと思います。
  7. 秋山徳雄

    秋山委員 これらの問題は基本的な考え方でございますので、あまり四角ばらないで、話し合いの中で、そういう形で御説明いただいたほうがよろしいのではないかと思います。私はどこを責めるとか、どこがどうだということでなくして、とりもなおさず国家公務員なり、あるいはまた私たちが担当しております地方公務員が、少しでもその恩恵に浴すことができて、少しでも生活が豊かになるように、みんなこぞって努力すべきではないか、かように考えるわけであります。そういう観点に立って御質疑を続けてまいりたいと思いますので、おいでの皆さん方は、そういうことに重点を置いて、やわらかい気持ちで答えていただけば幸いだと考えるわけであります。  そこで、大蔵省の主計官お尋ねしたいわけですけれども給与という問題はむずかしく考えれば非常にむずかしいでありましょうし、そうでなく考えればそうでないようなふうにも受け取れる面がたくさんあろうかと思います。よく先般来は地方議会議員給与が高いとか少ないとか、あるいはまたこれに対しての世間批判というものもかなり高まってきたようであります。同時にまた、われわれの給与につきましても同じことが言えると思います。これらを考えるときに、私は府県におったときにもいろいろそういう意見も出したことがありますが、たとえば会社重役と名がつきますと、おそらく四、五十万以下の給与のところは、ほとんど一流会社では見受けることができません。それだけではなくして、ややもすると自家用車を、しかも国産品ではなくして、普通一般人たちが予想もつかないようなりっぱな自動車を専用しております。これが、あまりいいことばではありませんけれども私用にまでも常時使用しておる。そしてまた、みずからの交際費というものになってまいりますと、これはまた膨大なお金を使っているとも聞いております。これが個人で消費しているのか、あるいはほんとう会社のために使っているのかわからないようなものもないとは言い切れないと思います。これらの大半がほとんど会社経理の中から支出することによって、税とのからみ合わせが出てくるわけだと思いますが、同時にまた自動車の使用なんかになりますと、これもやはり必要経費としてどんどん落とされていく。これは大企業、小企業を含めて言い得ることだろうと思います。これを極言してまいりますと、私はいつも言うのですが、その辺を走っておる白ナンバーの車で、ほんとう個人のふところですべてを経理をしておる、こういう車が一体何台あるかということであります。これらも私は税法上の問題として考える必要があることではないかと思うわけであります。これらを全部総合してその人の給与というものを計算しなければならないと思います。しかしながら、なかなかそうではなくして、目に見えたいわゆる月給なりあるいはまた年俸なり、そういったもので計算せしめられたもの、それだけが給与体系のごとくに考えられる向きが間々あるわけでありますが、これらについて、税法上の問題とあわせて、給与考え方というものについて主計局方々がどういうお考えを持っておるのか、これらについてもお答えを願いたいと思います。
  8. 平井廸郎

    平井説明員 あまりかた苦しくならないようにというお話でございましたので、私、実は前職は給与課長でございまして、若干そういう問題に触れていろいろ経験いたしておりますが、ざっくばらんにお話し申し上げます。  先生指摘のように、民間企業の場合、これは大小を問わず、会社経理個人経理というものとの関係が、必ずしも明確に細分されないという点はございます。したがいまして、私ども、あるいは議員方々を含めて、歳費なりあるいは俸給というような形で月々のかてをいただいておる者にとりましては、すべての収入課税対象になりまして、その点非常にはっきりいたしておりますし、その限りにおいて、実質上課税の面においてかなり差があるのではないか、こういうことは私どももかねがね問題としては意識しているところでございます。ただ、御承知のように、給与所得控除というような制度もございまして、通常ならば、個人事業者であればそれぞれ経費として見るべきものを、総括的に算入すると申しますか、そういうような制度もございまして、そういった点も考えますると、そう明確に、ではどれだけの差があるかということも出てまいらないわけでございます。したがって、私ども国税庁ではございませんから、課税の公平についてはできるだけ配慮してもらいたいとも考えておりますし、また給与所得控除その他についても、営業者なりあるいはそういった企業関係に従事しておられる方々との実質的なバランスがとれるように、その点については十分配慮していただきたいということは同感でございます。
  9. 秋山徳雄

    秋山委員 私はいつも考えておるのですが、たとえば国会議員給与体系を考える場合におきましても、あるいはまた大臣給与を考えるにいたしましても、一体何と比較したならば正しく行なわれるのか、こういうことも考える必要があろうと思います。   〔委員長退席亀山委員長代理着席〕 たとえば、先ほど申し上げましたように、一流会社であれば月給はおそらく五、六十万はもらっているでしょう。同時にまた先ほど申し上げましたように、自動車は使いほうだい、悪いことばを使えば、ゴルフに行くときでもこれを使っている。これなどは一体幾ばくとして給与としてみなしていくのか、こういうことも考えなければなりませんし、すべてそういったものを全部明るみに出して、しからば国務大臣たる者日本における一流会社社長さんくらいに置くべきものか、あるいはそれ以上のところに標準を置くべきか、そういうことも考えないわけにいきませんし、同時に、国会議員の場合にも同じようなことが言えるのではないかと思います。一流会社の専務あるいは常務、こうしたところに標準を置いて計算をしていく、こういうことも一つ考え方でありましょう。特に期末手当——今日では期末手当と言っておりますが、こういったものにつきましても、一流会社重役さんと名がつけばおそらく百万円以下の人はありません。小さい会社といっても、昔ならあきんどと言った人たちでも、今日では何々株式会社あるいは何々有限会社といった名称のもとに、会社組織になっている。そういうところではどういう実態になっているかということになりますと、御主人はそこで給与をいただくでしょう。奥さんはそこの常務や何かになるでしょう。あるいは年齢に達すれば子供たちもそれぞれ監査役や何かになっているはずであります。それぞれが幾ばくかずつの給与をいただいておるわけであります。それに加えて、先ほど申し上げましたように、自動車は、ほんとうに製品を運んだりあるいは原材料を運搬したり、そうしたものだけではなくして、自分の私用にもかなり使っている。そういうことになってまいりますと、これらをどの程度見込んでいったらば——一つ収入として計算する場合に、給与体系の中に置かれる人たちとの差がかなり大きいものだと思います。これらを一体どこをどうつかまえて計数を出し、そして給与所得者のどのところにぶつけていったらば、やや正確に近いものに置きかえることができるか、こういうことが非常に大事なところでありながら何か忘れられている。こういうことじゃないかという考え方が持てるわけですが、これらについて、もう少し進んでと申しましょうか、もう少し打ち明けてお話を承ることができれば幸いだと思います。
  10. 平井廸郎

    平井説明員 まあ非常な難問でございまして、率直に申し上げて、そういった点が完全に把握できて、私用部分公用部分というふうなものが分けられるならば、おそらく課税方法につきましてももう少し適切な方法がとれるであろうと思います。ただ、現実の税務の運用の状況から申しますと、これは私どもが申し上げるのはいささかどうかと思いますけれども、伺っているところでは、非常にこまかなところまで突っ込んだ調査というのは、ことに個人営業に近いような会社等の場合でございますと、非常に困難であるというよな実態でございます。したがいまして、そういったところを、認定という形でどこまでやっていけるかということが問題になるわけでございますが、これまた、現実の問題としては、少なくとも課税については疑わしきものをとるというわけにもまいりませんでございましょうし、なかなかむずかしいことである。したがって、どれくらいどう見込むかという数字的な話になりますと、現実の問題としては不可能に近いのではないかという感じを持っております。  それから、前段のお話でございました、たとえば国務大臣なりあるいは国会議員立場というものを、どの程度会社基準にして考えていくかということも、実は昨年でございましたか、一般公務員給与改定と同じ時期に特別職給与法改正等を行ないました際にもずいぶん論議されたわけでございますが、これは諸外国例等を見ましても、率直に申しまして種々まちまちでございまして、国の成り立ちなり、あるいは議会政府との関係なり、あるいは議会国民に対する関係なりによって非常に差があるようでございます。イギリス等の場合でございますと、国会議員等の場合は、いずれかと申しますと、名誉職的な観念が強く、比較的安い。逆にアメリカ等の場合ですと、かなり高い。それから大統領という制度をとっている場合には、大統領立場も、総理大統領という関係いかんによって、かなり違うようでございまして、一番高いのは、私どもの記憶ではたしかアメリカ大統領は百万程度の報酬をとっておる。そのほかに課税交際費というものがあるということでございます。率直に申し上げて、諸外国の例を申し上げましても、そういうような状況でございます。  それからまた、日本の国内の例をとりましても、たとえば富士、八幡クラス社長会長クラスをとりますと、当時の調査でも月額百万円程度というものもございました。逆にまた、法人会社でも非常に社長の給料が高くて、ただしその中から交際費等をまかなっているという例もございます。それから一流都市銀行等を例にとって考えますと、大体頭取クラスで五、六十万程度ということでございまして、これらも銀行によって区々でございますし、また重役クラスということになりますと、一昨年でございましたか、人事院調査がございまして、調べたところでは常勤役員平均給与というものが二十数万くらいであったと私ども記憶しております。そういった程度でございまして、目に見えて出てこないものはなかなかつかみがたいので、表に出ている金額はそれほど大きなものではございません。したがいまして、目に見えないものを加算して比較するということになるわけでございますけれども、こういった点は先ほど私申し上げましたように、現実の運営の実態としては、捕捉は事実問題として不可能である。こういうような状況でございまして、それを数字にあらわして、どの程度比較しろという御注文がございましても、現実の問題としては、率直に申し上げて、皆さんの御納得のいくような数字は得られないだろうと考えております。
  11. 秋山徳雄

    秋山委員 だから、これは先ほども言っているようにむずかしいといえばむずかしいのです。しかし、いま御説明がありました中にもあるように、中小企業の場合には二十万とか二十五万とか、これは店の主人公とそれから奥さんなり、あるいは子供なり、この人たちがもらっておる関係、あるいはまた大会社になれば、いまお話がありましたように、百万もとっておるところもあるでしょうし、いろいろありましょう。これに自動車一台つけてみたということになりますと、これはガソリン代運転手さんと、それから償却資産というものが出てきますから、これらを最小限度に計算しても、私たち大会社人たちとはかなりの差があると思うのです。これは私たちだけではなくして、地方議会特別職人たちにもこれは多く言えると思います。ところが、いま世間で言われていることはどうなのかということになってまいりますと、世間一般の通念として、いきなり二〇%上がったから、あるいは三〇%上がったからということで批判対象になっております。特に最近言われていることの声の中には、自治省あたりがいつも言っているようにこれらが率直に新聞を通じて国民の中に流れている。こういうことになってまいることの中に、国家公務員よりも地方公務員のほうが非常に給与ベースが高いのだということ、そういうことだけ言われますと、地方公務員人たちほんとう給与がよ過ぎるのか、こういう声になってまいります。それでは地方公務員の人も非常な迷惑をするでありましょうし、議会に席を置く人たちは、国会議員というのは、ばかにいいんだな、あるいはまた県会議員というものは、非常に待遇がよろしいんだ。それでふだんは一体何をしているんだとか、地方議会でいえば、年に四回ぐらいの定例会があって、あと臨時会を加えてもせいぜい年間五、六回じゃないか。長いときが一ヵ月くらいの会期であり、そうなってくると、民間人と比べてあまりにも差があるじゃないか。こういうふうな声も自然に生まれてくるわけです。そういうふうになってくると、迷惑をこうむるのは、いわゆる被害者たるものはわれわれであり、いずれかの議会に席を置く人であり、同時にまた地方公務員であるということが言えると思います。しかもその反面、自治省ではいろいろの形で指導ということばに名をかりながら、いろいろな抑制をしておる。こういうことになってくると、ますますその度合いが深まってくるのじゃないか、こういうふうな考え方も持てますので、ざっくばらんにひとつ考えてほしい、こういうことを申し上げているのであります。したがって、いまあなたの御答弁の中にもありましたように、最小限度に見積もってこの程度はということがあるわけでございまして、それ以上は今度それぞれの立場によって計数をはじき出していく、こういうことではなかろうかと思うわけでありますが、これらについてもう一言御答弁を賜われば幸いだと思います。
  12. 平井廸郎

    平井説明員 私の答弁で、少し明確でない点がございますので、補足させていただきたいと思うわけでございますが、役員の場合と、それから職員の場合とでは若干ケースを異にしておる面があろうかと思います。役員につきましては、確かに先生指摘のような問題がございまして、役員給与を一体公務員のトップクラスなり、あるいは国会議員なりあるいは地方議会議員方々比較する場合に、どういう基準でいいかということはなかなかむずかしい。私どももいろいろ勉強いたしましたけれども、これならば絶対に正しいというような結論を得られなかったわけでございます。ただ、職員の場合について申しますならば、給与所得者というグループは御承知のように現在非常に多くなっているわけでございます。したがいまして、国家公務員なりあるいは地方公務員につきましては、そういった民間給与所得者の中のいわば職員クラスというものとの比較は当然行なわれるべきでございますし、またこれについては人事院なりあるいは各県の人事委員会において、それぞれ比較調査をやっておられるわけでございまして、これらのグループに関する限りは、先ほど先生の御指摘になったような問題は、そうはっきりした形で差があるということはないのではなかろうかと、私どもとしてはこれも推察でございますが、一般的に見てそうではなかろうかと思っておるわけでございます。もちろん企業大小によりまして、たとえば厚生施設に若干の差があるとかいう点はございましょうけれども一般的に申しますならば、それほど給与の表面にあらわれたものと実態との差があって、公務員との間の比較が困難であるという事態は役員の場合ほどは大きくはない。したがって、私ども人事院の御調査を通じて、そういった諸方面を勘案しながら検討しておられるものと考えておりますし、その限りにおいて、それほど一般給与所得者と差があるというふうにはまだ認識をいたしておらない次第でございます。
  13. 秋山徳雄

    秋山委員 いま御答弁をいただいたわけでございますが、人事院の方にお尋ね申し上げたいと思います。  いままで人事院勧告がなされる場合において、たぶん四月一日現在ということになっておろうかと思いますが、その調査対象となっているものは民間給与が中心になっておりまして、それをまず算定をし、それに見合うように国家公務員給与が算定されてくるというふうに私どもは理解をいたしておるわけでございますが、これらを計算するにあたりまして、たとえば行政職でいえば、次官であるとかあるいは局長、部長、課長、こうしたものがあるわけですけれども、これらの人たちが、それでは民間会社であればどの程度に位するものか、そしてまたいまいろいろ御答弁がありましたが、その中における自動車の使用でありますとか、あるいは期末手当ははっきり出ておるかもしれませんけれども会社によりましては、現金給与じゃなくしてそのほかに株券か何かで出しておるところもあるように思います。そうしたものも漏らさず調査をして計算をなさっているものと私ども考えますけれども、その調査のしかたにいろいろむずかしさや何かがあると思いますので、それらの実態関係と、あわせて、考え方が古いと言われるかもわかりませんけれども、昔は民間人たちといわゆる官吏の皆さん方とは、かなり違った給与体系に対しましての考え方があったように思います。たとえば勤務時間にいたしましても、そのことがあったでありましょうし、端的にいえば、夏は半日の時期もあったわけだし、それらのいわゆる官吏の特典というものがいつの間にかなくなってしまった。これはあったほうがいいのかなくなったほうがいいのかは別として、一応そうした考え方も持てるわけですけれども、これらについて人事院皆さん方計数を出すに当たりまして、もう少しつぶさにお知らせをいただければ幸いだと思います。
  14. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 まず人事院がどういうふうにして民間給与調査をやっておるかということを簡単に御説明申し上げまして、以下順次御質問にお答え申し上げます。  まず、われわれが民間給与調査をやっておりますのは、これはやはり民間の雇用されております職員、あるいは労務者と申しますか、重役でない方の賃金を調査しておるということでございます。その調査をいたしまする際に、いろいろ御指摘がございましたが、たとえば、いろいろな給与以外の便益というようなものが相当あるのではなかろうか、そういうことをつぶさに調べておるかどうかということでございまするが、実際は、たとえば住宅問題等につきまして、どういうふうに民間では行きわたっておるか、実際に住宅が供与されておる場合には、千円や二千円給与が高いよりもずっとそのほうが利益があるではないか、あるいは消費関係につきまして、会社がかりに補助をいたして、そして日常の消費物資等を供給するというようなことをやっておる場合には、そういう利益は一体どういうふうに評価したらいいか、公務員の場合にそういうものがあるのかないのか、いろいろな問題があるわけであります。しかし、実際問題としましては、われわれ相当大規模の調査をやっておりまする関係上、そういう詳しいことまではやり切れないのでございます。そこでわれわれが現在やっておりまするのは、これは労働基準法によってきめられております民間会社における賃金台帳というものがございます。これにはある程度の実物給与がある場合には、それはもちろん金銭に見積もって書かれるような仕組みになっておるものでございまするが、その賃金台帳に書かれております範囲の賃金を調べるということをやっております。ただいま先生のお示しのような、そこだけでは手落ちじゃないか、話をあまり広げないまでも、ごく狭い範囲の福利厚生施設というようなものとか、あるいは勤務時間の関係、それくらいのことは考えぬといかぬではないか。さらに言うならば、退職給与等についても、そういう問題も含めてバランスをとらなければいけないんじゃないかというお話はございます。しかしながら実際問題としては、そういうことまで総合してやるということは、やり切れないというのが現在の実情でございます。しいていうならば、退職給与は退職給与として民間とバランスするように、また現にこれを所管しておる部局も違いまするので、そのほうが手っとり早い話でございます。また厚生施設関係につきましても、それはそれとして見ていく、労働基準法でいわゆる職員給与される賃金ということで押えております範囲内の問題は、一応問題にする、こういうたてまえでいまわれわれ給与を調べておるということであります。  そこで先ほどからお話が出ておりますが、民間におきます重役の報酬と申しますか給与と申しますか、これは雇用されております一般職員と違うわけでございます。経営側でございます。現在は実際問題としてはいわゆる三等重役、経営はしておるけれども資本家ではないというような重役があるわけですけれども、少なくとも株を持った経営者側としての重役でございますので、その給与の仕組み等が雇用されております者と非常に違っております。また現に多くの会社におきまして、重役の個々の給与あるいは報酬等を言うのを非常にきらう場合が多いのであります。われわれもそういうことを調べたいと過去何回か思ったのでありますけれども、これはもう拒否される。そういうことは非公開である、こういうことに相なるのであります。したがいまして、まともな方法ではなかなか聞き切れないという問題がございます。  それから公務の場合におきまして、現在局長あるいは部長あるいは次官、外局の長官、こういう者は一体民間では何と対比して考えるべきか。たとえばこれは八幡製鉄の専務級であるか、あるいは日本鋼管の社長級であるかというように比較するわけにまいりません。職務内容が非常に違います。社会常織として、そういう方々はほぼどれくらいの収入があったらいいかということをばく然と考えることはできますけれども、端的に職務内容から比較するということはできるものではございません。それからまた民間の方は、これは利潤追求ということが第一主眼でございますし、またやっておられても調子のいい場合と悪い場合、いろいろあるわけでございます。公務の場合には、これは利潤追求ではないのでありまして、公務に専心して、公務をりっぱにやる。それに対してそれ相当の、国民全体が納得する処遇が行なわれる、こういう関係に相なるわけでございますので、これはわれわれの所管でない特別職大臣あるいはそういう方々でございます。そういう方々給与を考えれば、端的にそういうことが言えると思います。そこで一般職の範囲におきまして、各省次官あるいは外局の長官というようなところ、あるいは局長というようなものを考えてみますと、これはぼんやりした感じでいえば、やはり民間の相当大会社常務なり専務なりと比肩して考えていいではなかろうか。そういうようなばく然とした気持はなきにしもあらずであります。しかしながら具体的に根拠を言えというようなことになってまいりますと、これは何とも言いようがない。したがいまして、われわれは一般職の範囲におきまして、次官、外局の長官というようなところの給与というものは、民間との対比できめることは非常にむずかしいわけでありますから、むしろこれは特別職給与、たとえば次官の給与を考えます際には、大臣給与のどれくらいの割合であったら大体妥当しておるものであるか。そういう感じで一般職の範囲内におきましても、次官、外局の長官というところ、または大学の学長というものも一般職の範囲でございますが、そういう給与は、民間との直接の比較ということよりも、むしろ特別職のそういう方々との均衡、バランス関係というようなことできめるというやり方をやっておる。そこでわれわれが民間給与調査をやって、大体きめます範囲は、現在の状態で申しますと行政職の一等級以下、この一等級というところは局長以下のところでございます。そういうところは民間との対比の関係できめていく。しかし、これもやはり次官との関係等もございますから、多少そういう関係も見るという関係で現在きめておるということでございます。きめておるというより、人事院勧告いたします場合には、そういうふうに考えてやっておる。したがいまして、局長が自動車の使用を許されておるというような問題までは、これは一応給与とは考えません。役所のそういう地位にあります者は、やはり職務に付加してそういうことになっておるという関係で、そのことは一応給与と切り離して考える、そういうことでございます。  それから戦前は、公務員公務員自体の給与体系があったではないか、おっしゃるとおりでございます。公務員自体の給与体系があったということは、制定されましたごく初期の話をいたしますれば、民間より非常にかけ離れた給与であったわけでございます。時が下るにしたがいまして、民間との直接比較が行なわれたわけではございませんけれども、戦前も、昭和十四、五年当時になってまいりますると、公務員給与というものが民間に比べて隔絶して高かったというような状況ではございません。その当時においては、公務員給与というものは下賜されるものであるというようなことで、労働の対価というようなつかまえ方をどちらかと言えばいたしていないわけでございます。そういう場合には、公務員独自でものを考えていくということもありましょうし、また法律できめるというのでなしに、お上できめておる。陛下の——陛下がきめるわけではありませんけれども、仕組みとしては、国民全体が関与しないところできめておるというようなことがあったわけでございます。しかし、戦後におきましては、御承知のように国家公務員法が制定されまして、そうして公務員給与というものは、法律でこれをきめなければならぬ。国会で御審議願っておきめ願う。国民の代表がここで審議して、これならよかろうということできめる、こういうことになるわけであります。そうなりますると、これは現在におきましても、職務の遂行のしかたが民間とは違うんだから、これを比較するのはおかしいのじゃないかというお話がありますけれども、しかし、それではよりどころなしに、一体どういうふうにしてきめられるかということになってくると、なかなかこれははっきりしたよりどころがございません。たとえば局長が五万がいいのか、八万がいいのか、あるいは十五万がいいのか、よりどころがございません。したがいまして、まあこれは全体的にやはり民間の大きい会社重役級の給与というようなものを一応目安に置いて、特別職のほうがおきまりになるというようなことになりますれば、それとのバランスで一般職の上位等級の給与はきめてまいるし、またそうでないところ、大体課長級以下というようなところになってまいりますと、職務もだいぶ類似してまいりまするので、民間との比較が可能になりますが、そういうところでは民間給与がどうなっておるかということで対比してきめて、それで勧告をいたす、こういうやり方をやるよりしようがないということでございます。これが絶対にいい方法とは思っておりませんけれども、一番説明がしやすい、こういうことでございます。ちなみに、諸外国におきましても、やはり公務員給与の問題はいろいろ問題になってまいりまして、どうやってきめるのがいいだろうというようなことがしばしば問題になるようでございまするが、イギリスにおきましても、アメリカにおきましても、やはり一応民間給与がどうなっておるかということを調べまして、そういうものをよりどころにして考えていくというのが、最近一般の風潮になっておるように心得ております。
  15. 秋山徳雄

    秋山委員 いまのお話を承っておりますと、大体において人事院勧告というものが、最小限度の資料に基づいてきめておるんだということで結論づけられると思います。そしてまた、それでは民間給与の場合を考えてみますと、一般社員でありましても、先般も大蔵委員会なんかで議論がなされたようですけれども、社内預金というものがあります。これもいつか、どういう形でか、戦後においても残っていることでしょうけれども、これらが強制的に積み立てをさせられているところもないとは言えません。そうなってまいりますと、一部貯蓄しなければならぬという多少の無理があるかもわかりませんけれども、この利子、利息というものは、一般の郵便局や銀行やなんかに積み立てておる預金利子なんかと比べてみますと、全く大きな違いがあるわけであります。そうしたものも、やはり給与や賃金ではないかもしれないけれども収入ということになれば、これは生活と直結したものの中に数えられなければならぬかと思いますけれども、これらはどういう計算で加味されているのかどうか、こういうこともちょっとお聞きしてみたいと思います。
  16. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 社内預金の問題につきましては、先生指摘のような問題、いろいろあろうかと思いますけれども現実の問題といたしましては、われわれ直接そのことを問題にいたしておりません。
  17. 秋山徳雄

    秋山委員 これはいま非常に金銭というものが優先されておりますものですから、民間の中でも少しこまかい人になりますと、銀行から月末に金を下げて、ぎりぎりのところで郵便局に持っていき、十五日を過ぎると、十六日にはそれをおろして銀行へ持っていく、こういうような人すらあるわけですね。そういうときに社内預金の利息の高低というものも一応考えてみる必要があるのではないか、こういうふうにも考えれば考えられないことはないと思います。すべて賃金とか給料とかいうことばになってくると、いろいろな議論が出ましょうけれども、いま国家体系の中できめられている報酬とか、あるいは給料とかいうものになりますと、ほとんどが生活費で一ぱいのような形に置かれておると思います。昔はかなり長くつとめれば、長屋の一軒も持ち、それに自分の恩給でも加えれば、どうやら夫婦が食っていかれるという時期もあったようですけれども、いまはそんななまやさしいことでは老後のある程度のことは考えられない、そういうふうなことも考えていったときに、もっともっと人事院方々が勇敢にして、そして多少の資料不足であっても、ここらが相当ではないか、こういうふうなことをきめていただかないと、国家公務員の人もなかなか楽ができない。それに見合っての地方公務員も同じようなことが言えるのではないか、こういうふうな気持ちがしてまいります。したがって、答弁にむずかしいからといって、これはいままで長い慣例に基づいて公務員人たちがよく考え、よく言われることの一つではありましょうけれども、もう少し突き進んだ考え方を持って——公務員人たちというものは、すべての自分たちの権力までも奪われて、そのためにかわって人事院というものが設置され、また人事委員会というものがつくられておるんだと思います。したがって、もう少し勇敢にこの問題に取り組んでいただかなければならないことではないか、かようにも考えるわけであります。そしていま主計局方々からも御説明がありましたように、最小限度見積もってこのくらいにはなるだろう、しかしながら、そうなったならばあと何パーセントくらいは当然上回っているであろう、最大においてはこのくらいが予想されるであろう、最小限度にはこのくらいが予想されるんだ、しからばこれの六割を採用したとか、あるいは五〇%を採用したとかということであっても、これは説明になる、そういうふうなことも考慮に入れて、人事院勧告というものがなされるべきではないか、かようにも考えますが、あなたの御意見をもう一たび承りたいと思います。
  18. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 おことばを返すようではなはだ恐縮でございますが、われわれの立場から言わしていただきますれば、社内預金という問題は、これは社内預金をいたしました場合の利率が一般利率よりも高いので、その預金します職員の利益になるという面もございますけれども、むしろ別の面で問題になるのではなかろうか、本質的な問題はむしろ別の面にあるのではなかろうかと考えます。したがいまして、これはやはりそういう面からの規制が先行すべき問題ではなかろうか、ただわれわれが給与問題として考えます場合に、それを全部かけていくということは、なかなか至難なことでございますので、むしろそちらのほうに期待をしたいという気持ちでございます。  それからいまいろいろお話がございましたが、われわれが最小限度に見積もっておるのではなかろうかということですが、いろいろな観点から、そういう印象を受けるようなことを申し上げたようなきらいがあったかとも思います。また、たとえば勤務の態様等がよく問題になるのでございます。そういう面におきまして、むしろシビアな線すら、批判の話があるということでございます。われわれといたしましては、やはりその中で現在の時点において、公務員に有利になり、しかしながら全体的に理屈の通るように十分親切に考えてまいりたい。御指摘の点につきまして、十分心得ましてやってまいりたい、このように考えます。   〔亀山委員長代理退席、久保田(円)委員長代   理着席〕
  19. 秋山徳雄

    秋山委員 次に、経済企画庁の方にお尋ねしたいわけですけれども、いま人事院調査やあるいはまた勧告に基づいていろいろ御説明を賜わったわけですけれども、予算の説明を聞きましても、政府では経済成長率というものをかなり発表されております。実質経済成長率が何%であるとかいろいろいわれておりますが、これらについて経済企画庁で御調査を毎年していると思いますので、たとえば今年度の予算の上においても、経済成長率が何%であり、実質成長率が何%であるということがいわれるようでありますが、これらについて、しからば経済成長率関係とあわせて、給与経済成長率に基づいておよそどのくらいのぼっていくのが正しいのか。これは理論的にも、あるいは実際の上にもあらわれてくるのじゃないかと思いますが、これらについておわかりでしたら御説明賜わりたいと思います。
  20. 長橋尚

    ○長橋説明員 ただいまの御質問でございますが、御指摘のように、十二月の末に予算編成の前提といたしまして政府として出しました経済成長率で申しますれば、四十年度は七・五%の実質成長を想定いたしているわけでございます。それに対しまして三十九年度の実績見込みが九・四%というふうなぐあいに、四十年度においてはかなり国際収支とか物価の面の制約条件を勘案いたしまして、経済が安定的に成長することを期待しているわけでございます。  そこで、賃金ないし給与の面でどのように考えているかということでございますが、経済企画庁としてこういった経済見通し、ごくマクロ的な観点からの国民経済全体の成長の望ましい姿を描きます際において、もとより給与につきましては労使間の自主的な交渉に基づきまして決定せらるべきものでございますので、そういったたてまえのもので具体的に民間給与がある程度上がるとかいうふうな形での想定はいたしておらないわけでございます。そして経済全体の成長と見合いまして、民間給与ないし勤労所得全体が適正な伸びにおさまることを期待して、この見通し全体の姿を描いているわけでございます。
  21. 秋山徳雄

    秋山委員 そうしますと、あくまでも労使の話し合いあるいは力の関係などによってきめることが望ましいということになりますと、年々歳々行なわれております春闘でありますとか、秋闘でありますとか、そうした問題がますます苛烈になってくるわけですね。それを望んでいいのかどうかということになりますと、これはそういうことがなるべく少なくなってくるほうがいいんじゃないかと私は思うわけです。おそらくあなた方もそういうふうに望んでいるのじゃないかと思うわけです。それはそれとして、理論的な計数というものは必然的に生まれてくるのではないかと思いますが、しかしながら、理論的計数がどうであっても実際はどうだということもあるでしょう。それらについてのお考えをもう一たびお聞かせいただきたいと思います。
  22. 長橋尚

    ○長橋説明員 経済見通しは、国民経済全体の均衡ある成長のために望ましい姿として想定いたしたものでございますが、その場合賃金等の給与につきましては、民間給与の場合、労使間の交渉に基づいて決定されるべき筋道というものを前提といたしまして、その上で、そういう労使間の交渉の場におかれても、一つ政府で出した経済全体の翌年度についての情勢判断として、国民経済の均衡ある成長をはかるために望ましい姿というふうなもの、そういった政府としての情勢判断も十分認識されまして、そして安定成長をはかっていくために、賃金についてどのような決定が望ましいかというふうな御判断をいただくことを期待していることはございますけれども、具体的にこの見通しの裏づけといたしまして、賃金がどれだけの伸びにとどまらなければならない、またそのために政府としても考えていかなければならない、そういうふうな関連は全然考えていないわけでございます。
  23. 秋山徳雄

    秋山委員 これは全然考えていないわけではなくて、こういうところで答弁しにくいというように受け取ることもできるわけですが、もしそうだといたしますならば、過去の実績というものがあるはずであります。これを過去十年ないし十五年ぐらいにわたって、いま言われた目標の成長率と、実質上昇率、これは実績であらわれていると思いますので、これとあわせて、その中におけるところの賃金の上昇率、こうしたものを資料で出していただけませんか。
  24. 長橋尚

    ○長橋説明員 労働省で調査をいたしております毎月勤労統計調査というものにつきまして、昭和二十六年から三十九年上期までの対象事業といたしましては、三十人以上の事業所について、常用労務者の現金給与月額がどのように年々伸びてきたかという資料の持ち合わせはただいまございますが、それを申し上げることでよろしゅうございますか。——それでは申し上げさしていただきますと、昭和二十六年には常用労務者の現金給与月額は一万二千二百円であったわけでございます。それが三十八年には三万二千七百二十七円まで上昇しております。その間におきます年々の対前年上昇率といたしましては、二十七年が一五・五%、二十八年が一五・八%、二十九年が七・一%、三十年が四・八%、三十一年が八・九%、三十二年が六・六%、三十三年は九九・二%ということで〇・八%減になっております。三十四年は六・八%の増。以下増で申し上げます。三十五年は七・八%、三十六年は九・二%、三十七年は一〇・六%、三十八年一一・〇%、三十九年上期、昨年の上期はやはり一一・〇%、さような対前年ないし対前年同期の上昇率になっております。
  25. 秋山徳雄

    秋山委員 これは経済成長率がこれですか。
  26. 長橋尚

    ○長橋説明員 労働省の毎月勤労統計調査におきます従業員三十人以上の事業所を対象といたしました常用労務者の現金給与月額の上昇率でございます。
  27. 秋山徳雄

    秋山委員 これに合わせて、同じ年度における経済成長率はおのおの幾らですか。
  28. 長橋尚

    ○長橋説明員 恐縮でございますが、ただいまの持ち合わせば三十年度以降の成長率でございますので、それについて申し上げたいと思います。実質成長率で申し上げまして、昭和三十年度——ただいま申し上げました労働省の毎勤調査は暦年で申し上げたわけでございますが、今度は見通しでございまして、会計年度になりますが、その点御了承を願いたいと思います。昭和三十年度の実績は、実質成長率は一〇・九%の上昇でございます。三十一年度が八・七%、三十二年度が七・〇%、三十三年度三・四%、三十四年度一七・四%、三十五年度一四・〇%、三十六年度一五・四%、三十七年度五・一%、三十八年度丁一%、それから三十九年度は先般四十年度の見通しとあわせて十二月末に政府として発表いたしました実績見込みが九・四%ということでございます。
  29. 秋山徳雄

    秋山委員 まことに恐縮ですが、それでは過去十五年間くらいにわたって、それらの計数を資料として御提出いただければ幸いだと思います。  そこで、人事院の人にもう一点お尋ねいたしたいと思いますが、いまお聞きのような状態でございます。したがって人事院としては、やはり毎年度の経済成長率あるいはまた実質の経済成長率、これに見合っての賃金の改定、こうしたものがあると思いますが、これらについて、いま質疑が行なわれましたような形において数字をお示しいただければ幸いですが、同時にまた勧告をする場合に、こうしたものをしんしゃくの中に入れておるのかいないのか、その点についてもあわせてお答えをいただきたいと思います。
  30. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま経済企画庁のほうからいろいろお話がございましたが、われわれが公務員給与の水準をどのようにしたらよいかということを考えます際には、まず現在の状況におきましては、同様の職務内応を持っておりますものの民間給与水準と合わせるということでやっておる次第であります。これは先ほどのお話もございましたように、独自の公務員給与体系というものを考えてもいいのではなかろうかというお話がございましたが、現在はそのようになっております。したがいまして、経済成長率とそれから民間給与の、毎月勤労統計で見ました場合の平均の伸び率と申しますか、これをいま経済企画庁からお話になりましたが、これは年度と暦年とのずれもございまするし、直ちにの対比は非常に困難であろうと思いますけれども経済成長率と賃金の伸びの間には、どうしてもタイムラグがあるということが実際の状況のようでございます。したがいましてわれわれが勧告をいたします場合に、心がまえとしていろいろな——たとえばいま抽象的に経済成長率というお話でございましたけれども、たとえば物価の動向がどうなっておるのか、あるいは生計費の動向がどうなっておるのかというようなことは、やはり念頭に置きまして従来も十分考えてまいったのでありますが、今後もそういう注意はもちろん必要だと思います。しかし端的には、やはり民間給与がどういうふうに動いておるかということを、一応問題にせざるを得ません。今後もそのようにやっていくよりいたしかたがない、このように考えます。
  31. 秋山徳雄

    秋山委員 大体概略教えていただいたわけでございますが、これらは主として国家公務員関係お尋ねをいたしたのでありますが、そういうことになってまいりますと、先般来給与改定勧告及び実施状況概要というものを一応調べていただいたわけですけれども、その一覧表を見てまいりますと、これはおのおのまちまちでありまして、あるときは勧告どおり実施はしたけれども、あるときは時期もあるいは水準もそれぞれ下回っている、こういうことが実際問題として多くあるわけであります。実施面においてもあるいは内容においても、勧告通り同じだったということはほとんど見受けられない、こういうことではないかと思います。特に今年度のように、政府かなり力を入れたとは言いながらも、実施時期もずらさなければ追いついてこない、こういうことが毎年繰り返されておるわけであります。したがって、これらはとりもなおさず地方公務員の上にも降りかかってくる。それについて世間では何と言うかというと、公務員の人はよろしいな、こういう声が出てくるということになると、被害を受ける人はあくまでも国家公務員であり、地方公務員であるということになってくるのではないかとも思います。少なくも、大蔵省の人も考えてほしいことでありましょうけれども、かりに予算の編成にかなり骨が折れるといたしましても、いままでの実績というものがあるわけでありますので、いま質疑を重ねた多くの点において十分考えて、それだけの補正に必要なお金というものは、どこかに置いておく必要があるのではないか、こういうふうな考え方も持てるわけであります。したがって予算を編成するにあたっても、そういう心組みがあれば、当然人事院勧告どおりにすべてを実施していく、こういうこともできてくるのではないかという考え方も持てるわけであります。そういうことがかりにできまするならば、したがって地方公務員給与をきめる場合においても、同じような考え方に立って大蔵省のほうでも、少しずつ、かりにも人件費であり生計費であれば、かなりその辺を考慮して予算の編成に当たるべきではないか、こう思うわけであります。ただ、いままでの十年なり十五年なりの実績がこうだからといって、人件費の中に何%は必要なものとして、何月からおそらく勧告に基づいてこれだけ上がるであろうということを想定して、この説明をしていくということになりますと、いろいろ不便の点もないわけではないと思いますので、これらはいわゆる政治的考慮でもして、予備費や何かの中に置いておくべきものではないか、こういう気がするわけですが、これらについて関係のどこか、たとえば内閣総理大臣官房ですか、そこらあたりでおわかりでしたら、今後の予算を編成する上においての心組みというものについて、そちらのほうと、あるいはまた大蔵省のほうと両方から御答弁願えれば幸いと思います。
  32. 岡田勝二

    岡田政府委員 人事院勧告の実施につきましては、従来からこれを尊重するたてまえで措置してまいってきたわけでございますが、実際問題といたしまして、過去数年間勧告の内容そのものはそのまま実施いたしておりますが、人事院の要望するところの時期そのままを実施することができなかったわけでございます。ことに昨年におきまして、いろいろな情勢から、従来十月一日実施でありましたのを、諸般の情勢より九月一日から実施ということにいたしましたが、いろいろの面でいへん苦労があったわけでございます。で、その人事院勧告の取り扱いをきめますところの閣議決定におきまして、九月一日から実施するということをきめると同時に、その閣議決定の途中におきまして、人事院勧告勧告時期というものを人事院に検討してもらうかどうかを政府で検討するいうことが、いわば宿題として出されたわけであります。これにつきましては、この閣議決定は十月十六日の閣議決定でございましたが、その後給与関係関係閣僚会議、いわゆる当時六人委員会といわれておりましたが、その関係閣僚会議、あるいは関係次官会議等におきまして、その問題を現在検討しておるわけでございます。いまお話のございました、あらかじめ勧告というものを考えて財源を考えておいたらどうかというお話でございましたが、この問題は、この給与法の改正案を御審議いただきました昨年の暮れの国会におきましても、いろいろの方面で取り上げられたわけでございます。その際におきまして、大蔵大臣のほうの御答弁によりますと、この勧告を待たないで、単なる予測に基づいて予算を計上するということは、財政法と申しますか財政制度と申しますか、そういったものの見地から適当ではないということ、それからまた一方、予備費に計上したらどうかという問題につきましても、これは予備費の性格といたしまして非常に問題であるばかりでなく、現実に予備費を組むことにつきましては、国会で非常にいろいろやかましい綿密な条件と申しますか、制約というものがいつも要求されておるというふうな状況からして、非常にむずかしいというふうな実は御答弁もありました。いずれにいたしましても、この勧告時期の問題は今後とも非常に大事な問題でございますので、先ほど申しましたように、現在関係次官会議等で鋭意検討中である、こういう状況でございます。
  33. 平井廸郎

    平井説明員 ただいま公務員制度調査室長から御答弁ございましたように、給与勧告を予想して、一定の金額を予備費に計上するなりあるいはその他の方途で計上するという問題につきましては、昨年暮れの臨時国会の際にすでに論議されたとおりでございまして、ただいま公務員制度調査室長が申し上げましたことと同じようなことを大蔵大臣からお話し申し上げて、現在の予算のたてまえとしては、そういう形の経費を計上することは困難であるということを申し上げておる次第でございます。
  34. 秋山徳雄

    秋山委員 そういう答弁を聞きますと、何かものを言いたくなるわけです。とにかく権利もとってしまって、そうしてかわって人事院というものがつくられて、そこで勧告をされたものは忠実に行なうのだといいながら、忠実に行なっていないわけですよ。これが一年や二年ならばいいのだけれども、そうではなくて、年々歳々そういうことだったらば、一体どういう考え方の上に立っているのかわからなくなるわけですね。だから私は初めから、こういう形の中で話を進めていくということになりますと、えてして四角四面になりがちだから、懇談のようなつもりで御答弁をいただきたい、こういうことを言っているのであって、願わしいのだけれどもできないのだということは、これは限度があると思うのですね。幾ら譲っても数年間だと思うのですよ。私はここに資料をもらっておりますけれども、これを見ましたって回を重ねること十数回です。その間一ぺんも人事院勧告がそのまま実施されたということはないわけですよ。そうすると、一体政府人たち考え方、あるいは事務当局の人たち考え方は、何を考えているのかわからないという結論になってしまうわけですね。そうではなくて、事務当局の人たちももっとそれに勇敢に取り組んでいただいて、それだけの財源は何をさておいても捻出するのだという考えがあれば、いかにわけのわからない人たちが上にいようとも、これは解決できると思うのですがね。一体閣議決定だとか、六人委員会だとかいったって、こんなものは何の価値があるのですか、そう言わざるを得なくなりますよ。実績がそうなんだから、そういったってしかたがないことでしょう。そういうことではなくて、昨年の臨時国会でも希望意見を付していることであり、もう少し忠実に自分たちの仲間であり、後輩の人たちのために努力をしていただく、こういう心組みがまず大切なことだと思いますが、そういうことを加味してもう一ぺん御答弁いただきたいと思います。
  35. 平井廸郎

    平井説明員 確かに先生仰せのとおり、過去数年間にわたって実施時期等の点について非常に問題があったと存じております。また私どもとしても、できるだけ人事院勧告が完全に尊重されることが望ましいということは同感でございます。したがいまして、先ほど公務員制度調査室長から御答弁ございましたように、現在のような人事院勧告制度、つまり四月調査を前提として八月になって勧告が出るというような形を続けていく限りにおいては、やはり同じような問題が残ってこざるを得ない、一方では予算制度上の問題ともぶつからざるを得ないというようなことになるわけです。したがって勧告の時期、方法等について御検討いただきたい、このことは人事院にもお願いをし、政府部内においても検討するという立場におきまして、現在鋭意検討いたしているわけでございます。したがいまして、こういう事態をいつまでも続けていくということは、先生指摘のように、私どもとしても決していいこととは思っておりません。できるだけすみやかに解決していきたいというふうに考えます。
  36. 秋山徳雄

    秋山委員 それではあなたの現在においてのお考えの上に立って、四月調査、八月勧告ということが悪いとすれば、いつごろがいいと思いますか。
  37. 平井廸郎

    平井説明員 私、給与課長をやっておりました経験、あるいはかつて人事院にもごやっかいになっておりました経験からいたしまして、現在のように、いわば春闘の時点をつかまえて、その時点において比較をする、そういうやり方を前提とするならば、四月調査以外にいい方法があるかということは、私どもも非常にむずかしい問題であろうとは思います。ただ、同時にまた、それがいまのような予算制度のたてまえとぶつかってくる問題もあるわけでございまして、それはそれとして、将来に向かっていわば概数勧告という形、概算勧告というような形を考えられたらどうかとか、いろいろな点は今後検討していただく余地があろうかと考えているわけでございまして、そういった意味を含めて今後の検討をお願いしたいということでございます。
  38. 秋山徳雄

    秋山委員 これはいろいろな考え方がございますことは間違いないでしょう。しかし、現在やっていることでも調査が済んだ時点において春闘が行なわれるわけですね。そうすると、一番早い時期に考えたときでも六月の期末手当には間に合わぬことは間違いないでしょう。どんなに急いだって十二月の期末手当にようやく間に合うんだな。そうすると、少なく計算しても半年だけのずれがあるわけです。春闘が終わってからということになると、それが今度またずれなければならぬ。人事院勧告どおりかりに実施したとしても、それだけのずれが出てくるわけです。そうすると、調査の時期や時点というものは、いつまでいっても追いつくときがないはずです。そうじゃありませんか。そうなってくると、いまの時期が悪いということも言い切れないんじゃないかという気もしますが、その点はどうですか。   〔久保田(円)委員長代理退席、委員長着席〕
  39. 平井廸郎

    平井説明員 確かに長い間の経験によって人事院は現在の勧告方法をとっておられるわけでございますから、いま直ちにその方法が悪いということは、私どももちろん申し上げているわけではございません。ただ同時に現在のようなやり方で予算制度とぶつかったままでいくというやり方も、いまの段階では再検討の余地があることも事実でございます。したがいまして、そういった点の両方を考えあわせまして、いわば今後新しい方法として何か考えられないかということで検討をお願いしているわけでございまして、現在の段階といたしましては、私ども人事院からこれにかわるべき方法があるというような御連絡を受けておりませんし、鋭意人事院なりあるいは政府部内において検討しておる段階でございまして、率直に申し上げて、いまこれならばというような方法は私どもは何も思いついておりません。
  40. 秋山徳雄

    秋山委員 だから、そういうことになりますと、その結論が出るまではやはり現段階においての立場に立ってものを考えなければならぬことだ、こう思います。それを完全に実施をしていくにはどうしたらいいかということをまず考えるべきだと思うのです。いまあなたが百万だらものを言ったところで、過去十五年もやってきたものを、それでも結論が出ないものを、また百年たっても結論が出ません。そうでしょう。だから、あくまでも現段階において一番忠実に行ない得る方法としたらば何がいいか、これをまず考えてみる必要があると思うのです。私はそうだと思う。だから、そういうことの上に立って、現段階において行なっているものを完全に実施をし、完全に人さまに迷惑のかからないように行なうにはどういった手だてが必要か、これが当面行なわれている問題だろうと思います。したがって、あなただけではなくして皆さん方がこぞってそれに衆知を集めていく、こういうことによってあるいは解決ができるかもしれない、そういうことではなかろうかと思います。そういうつもりで一日も早く解決の道をはかるべきだ、私はこう思います。それらについてもう一たび御答弁いただきたいと思います。
  41. 平井廸郎

    平井説明員 実はこの実施時期の問題がはっきりと出てまいりましたのは、過去十五年というお話しでございましたけれども、三十五年の人事院勧告以来でございます。それ以前の人事院勧告におきましては、実施時期は明示をいたしておりません。なるべくすみやかにという形で行なわれておりましたが、いまのような予算補正との関係という問題は、その当時としては一応起こらなかったわけでございます。  そこで三十五年以来の問題としてこの問題が出てまいったわけでございますが、率直に申し上げて、過去の例から言いますと、そう毎年いわゆるベースアップというものが行なわれるような事態でもないというふうに考えられておりましたので、そういう意味において検討の時点がおくれてきたということは事実でございます。ただ高度成長に伴いまして毎年のように春闘によるベースアップが行なわれ、それに平仄を合わせて公務員のベースアップが行なわれていくということが、今後といえども相当続くであろうということがはっきりいたしてまいりました。そういった点におきまして、昨年の暮れ以来、政府としてもこのままでは決していいと申せないことをはっきり認識いたしまして、鋭意検討いたしておるわけでございます。まだ結論を得ないということは非常に残念でございますが、なるべく早く結論を得るように努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  42. 秋山徳雄

    秋山委員 実態はそうかもしれないけれども、私たち立場からいけば、ずいぶん政府のお役人というものはのんびりしているもんだ、こういわざるを得なくなる。そういうレッテルを張らざるを得なくなるわけですよ。それでは困るので、いま最後のおことばにありましたように、一日も早くこの問題が解決するように御努力をいただきたいと思います。これはひとり国家公務員だけではなくして、地方公務員にも大きな迷惑がかかることでもありますし、いま現実の問題として、せっかく国会できめてもまだまだ地方においてはその給与改定ができないところもあるわけですね。そういう実態の中にある以上は、より以上こういうものに専念をしていただいて、一日も早く解決ができるようにしていただきたいと思います。  そこで、先ほど来お話がありましたように、国のほうは曲りなりにもそこまでいっておりますが、府県人事委員会というものがあるわけですけれども、どこの府県でもベースアップが行なわれる、あるいは期末手当が支給される直前になりますと、県議会なり市議会が開かれてまいります。それにはやはり人事委員会が国と同じような形で勧告がなされる、報告がなされるわけですけれども、この行なった時点において、今度は自治省からきついお達しがあったりなどして、国家公務員に準じなければいけない、こういうことが出てまいります。そうすると、もし法律に基づいて国家公務員に準じていくのだというたてまえを強く押されますと、県の人事委員会なんかというものは、ちょうどカエルのへそみたいなもので、あってもなくても同じものだということになってくるわけですね。それならば高いお金を使って人事委員会というものを置く必要がなくなってくる、そういうふうに考えないわけにまいりません。これらについてどこかでこれを考えているところがなくちゃならぬわけですけれども、現在までの段階においては、これを自治省指導しているということになりますと、従来いろいろこの席でも議論がありましたように、ほかのことでは押しつけるわけにいかないから、何か府県にやるもの、市町村にやるものでコントロールをしていく、そういうことによって府県などではもうちんとしてしまって、何もものを言うことができない、こういうことになってくると、府県人事委員会不要論が出てきやしないか、こう思われますが、それらについて政府としての立場からどういうお考えが持てるか、将来の問題としてどうしたらこれらが解決できるか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  43. 岡田勝二

    岡田政府委員 府県人事委員会給与勧告をなされ、それを府県においてどのように実施されるか、これにつきましては、地方公務員法に基づきまして行なわれるわけでございまして、私ども総理府の公務員制度調査室といたしましては、特段に何らそれに関与しておりません。現実府県人事委員会方々にお目にかかる機会は年間皆無といってもよろしいくらいで、全然接触がございませんので、私は何ともお答えいたしかねます。
  44. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 地方公務員給与決定の基準につきましては、御承知のとおりに、地方公務員法二十四条の第三項に規定がございます。「職員給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」 こういうふうなことをいうておるわけでございます。私ども従来本委員会におきましても御答弁申し上げておりますが、この中で生計費あるいは民間事業の従事者の給与等の事情につきましては、全国的に申しますと、人事院が周到な、周密な御調査をなさって人事院勧告が出ておるわけでございまするから、人事院勧告の中には、一般的に申しますとそれらのものが織り込んである。そこで地方公共団体におきましては、国及び他の地方公共団体との均衡を考慮してという場合に、実際問題といたしますれば、人事院勧告を参考にいたしまして、これに準じて考えるということがこの条文の趣旨にも合致するものと考えておるわけでございます。しかしながら、特定の地方公共団体につきましては、一般の行政と若干違った御事情のあるところもございましょうし、それらにつきましては人事委員会がこれまた地方公務員法の規定によりまして給与額を増減することが適当であると認めるときは適当な勧告をすることができる、かような制度になっておりまして、そういうことで運用がなされておるわけでございます。  人事委員会は、そういうことで、国の人事院勧告に準じて勧告するなら不要ではないか、こういう御趣旨の御質問であったかと思いますが、原則的にはやはりそういう人事院勧告に準じた内容になるかと思いますが、やはり個々の事情について若干違う点もあろうかと思いまするし、それからまた、それじゃ人事委員会は不要じゃないかとおっしゃいますけれども人事委員会といたしましては、勤務条件に関する措置の要求並びに不利益処分の審査等の公平機能を持っておりまするし、さらに人事行政全般につきまして、いろいろとその他の権限もあるわけでございまするので、私ども人事委員会の機能は、今後さらに発揮をしてもらいたいというふうに期待をいたしており、決して無用というふうには考えていないわけでございます。
  45. 秋山徳雄

    秋山委員 もっともらしい御説明とも思える節もないわけじゃないのですが、いまのあなたお読みになった条文を、ほんとうに理解するには一体どうしたらいいか。各府県では必ずそのつど人事委員会の報告が議会に出されているのですよ。それに基づいてきめているものに対して、自治省がとやかくいうのはおかしいじゃないですか。それを現実にいっているでしょう。そしたら、それは自治省の越権行為だったというふうに理解していいのですか。
  46. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 人事委員会から勧告のありましたことにつきまして、その勧告がいいとか悪いとかいうことを自治省のほうからいうというようなことは、いたしたことはございません。人事委員会がいろいろと協議会等を持って、そこでお互いに研究をされておるわけでございますが、そういう席にこちらの担当官が呼ばれまして、自治省考え方がどうかというようなことを聞かれ、そこで自治省の見解を参考にお話をするということは、これはございまするけれども人事委員会勧告が出ましたものについて、そのものについてそれはいい、いかぬというようなことを指示をすることはございません。
  47. 秋山徳雄

    秋山委員 あなた、そんなことを言うけれども、市町村は別として、府県にはみんな人事委員会があるんですよ。人事委員会意見を聞かないで、給与ベースの問題にしても期末手当の問題にしても支給しているところは一県もありませんよ。あなた、それ知らないのですか。もし知らないならば、よほどおかしいですよ。そうじゃありませんか。
  48. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 都道府県におきまして、人事委員会の報告なり勧告なりを参考にいたしまして、給与の決定をいたしておるということは承知をいたしております。
  49. 秋山徳雄

    秋山委員 それならば人事委員会勧告したものを、県議会なり何なりがこれを受けて立って議決をし、そうして期末手当なりあるいはまたそれに何ぶんかのお金を足して支給している、それがいままでの通例なんですね。それにもかかわらず国家公務員基準を上回ってはいけない、そういう通達を出したのはだれですか。
  50. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 給与の決定の基準につきましては地方公務員法の二十四条第三項に規定がございまして、この中にうたっております国及び他の地方公共団体の職員との均衡を考えろという趣旨を、こう簡単に国家公務員に準ずるということで表現をいたしておるわけでございまして、やはりこの原則を守って人事委員会におきましても給与勧告をなされるべきであると考えまするし、地方公共団体の長におきましても給与の決定がなされるべきものと考えておるわけでございます。かような考え方に立ちまして、国家公務員のその給与決定の方法に準じない場合につきましては、自治省から適当な助言をするということは従来もいたしておったわけでございます。
  51. 秋山徳雄

    秋山委員 あなたも先ほどからここで、いろいろ各省庁の人と質疑をしているのを聞いていたんでしょう。まさか居眠りしていたはずでもないだろうし、あなたがつんぼとも私は受け取れませんよ。そうなってくると、人事委員会を設置したという精神ですね、これはどこにあるかということになるわけです。これはやはり国の例にならい、そして民間給与関係や、その他各府県実態調査して、それに見合っての地方公務員の、その府県給与の問題などを考えるということになっていますね。そうすると、先ほども私が申し上げたように、府県によっては非常に民間給与の低いところもあるでしょうし、あるいは東京、大阪、神奈川というふうに非常に高いところもあるわけです。しかし国の場合には成長率が云々ということもあるでしょう。しかし各府県においても、やはりその県内における成長率というものは、必ずしも国の成長率と一致しないし、国で見ている民間給与とも一致しない点があるわけです。これを、自主性に基ついて人事委員会勧告というものをしているわけです。それならば当然許されてしかるべき問題だな。それにもかかわらず、自治省がそれに対してどうのこうのということは、これは越権行為といわないわけにはいかない。これはあなたも理解できますね、そうだろうと思いますが、自治省からその点を伺いたいと思います。
  52. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 人事委員会が当該地方公共団体の区域における民間事業の従事者の給与等も調査をし、また国の人事院勧告も参考にいたしまして勧告をするということは、先生の仰せのとおりでございます。ただその場合におきましても、人事委員会勧告をいたします内容は、やはり地方公務員法の二十四条三項の規定に従って給与については考慮していかなければならない。したがいまして、私どもはこの二十四条三項の規定の趣旨の範囲内におきまして、人事委員会がそれぞれの団体の事情を考慮しながら勧告すべきものだ、かような考え方をいたしておるわけでございます。  なお、先般のプラスアルファについての自治省指導についてお尋ねがあったわけでございますが、このプラスアルファにつきましても、国家公務員に準ずる範囲内におきまして多少のでこぼこがありますことは、これは差しつかえないし、私どもはそれもいかぬと言っておるわけではないわけでございます。ただ先般の財政課長の内簡による指導というものは、今日における財政状況の特殊な事情のもとにおきまして、財政運営上の指導的な意味を持って出されたわけでございまして、もちろん地方公務員法上、若干上回っていたからといって、そのことが違法とかなんとかいうことは私ども申していないわけでございます。
  53. 秋山徳雄

    秋山委員 あなたのお話を聞いていると、ふところ勘定が悪かったら食わずにいなさいということに聞こえるのだ。お宅の特殊事情は二の次、三の次なんだということのようなんです。そういうことであれば、人事委員会の任務は大半とられてしまうわけですよ。一自治省がそれほどの権限があるのかないのか、その点をもう一ぺん聞かしてください。
  54. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 人事委員会の機能につきましては、先ほど先生のおっしゃられましたとおりに私どもも考えておるわけでございます。しかしその勧告を受けまして、地方公共団体の長が現実給与の決定をいたします際には、むろん当該地方公共団体の財政の事情も当然考慮されるべきであろうというふうに考えておるわけでございます。
  55. 秋山徳雄

    秋山委員 それをせんじ詰めていくと、ふところぐあいが悪ければ食わずにいなさいということと同じなんですよ。そうでしょう。それじゃ身もふたもないのですよ。たまたまふところを握っているからといって、そんなことを強硬に振り回されたのでは、ちょうど気違いに刃物だ。それじゃ迷惑こうむる人がたくさんいるわけです。そういうことでなくして、もっと府県なり市町村なりの自主性を尊重しなければならない立場に置かれているあなた方だと思うのだ。それを、指導するのが自治省の役目であって、自主性はどうでもいいのだから、国に右へならえしなさいということではいけないと思うのだが、その点ちょっとお間違いじゃございませんか。
  56. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 地方公共団体の給与決定にあたりまして、人事委員会勧告を尊重して長が決定をされるということは、当然のことでございまするし、そのことにつきまして私どもがとやかく言っておるわけではございません。ただ、それを実施いたしますにつきまして、必要な財源措置といたしましては、これは地方公共団体が財源が足らない場合には国が責任を持ってするわけでございますが、国が財源措置をいたします場合には、国家公務員に準じて給与改定ができますようにという趣旨で計算をいたしまして財源措置をいたしておるわけでございまして、財源措置の問題と、実際の給与決定の問題とはおのずから別であろう。しかも自治省といたしましては、弱体の地上公共団体が国家公務員に準じて給与改定ができないということでは困るので、国家公務員に準じて給与改定ができるようにということで財源措置をいたしておるわけでございます。その辺の事情は御了承を賜わりたいと思います。
  57. 秋山徳雄

    秋山委員 はからずもこれは地方財政の大きな問題にまで発展しないわけにいかなくなってきますけれども、あなた、財政の問題といいますが、それじゃ府県市町村に対してそれだけの手当をしていますか。たとえば公営住宅を建てる場合においても、道路をつくる、あるいは道路の補修についても、財政計画を見たって納得のいく点は一つもないですよ。義務経費を押しつけて、それだけの手当をしないでいて、そして財政的な問題をたてにとって府県を痛めつけようというのは、強盗よりかもつとひどい、詐欺漢よりもっと悪い。そうじゃありませんか。あなたがそこまでごりっぱなことをおっしゃるならば、地方財政計画、一項一項説明してください。
  58. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 恐縮でございますが、給与につきましては、国家公務員に準じて給与改定ができるように従来とも指導いたしておりますし、財政上もそのような措置をいたしてきているわけでございます。
  59. 秋山徳雄

    秋山委員 私もいま言ったとおり、これはそこまでいくと給与問題だけじゃおさまらない。だからこの財政計画書の中で一々全部説明してくださいよ。たとえば道路の面についても、道路の幅員、延長だけではわかりません。どれほどの面積があって、砂利道の補修については平米幾らかかるか、コンクリート舗装道路については平米どれだけかかるか。アスファルト道路については幾らかかるか、そういった事柄を全部説明してください。
  60. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 秋山委員のただいまのお話の以前に、私から御答弁申し上げたほうがいい機会があったように思うので、若干時期を失しましたけれども、お許しを願いまして、この地方公務員給与に関しての自治省の考えというものを、この際簡単に申し上げたいと思うのであります。  大体気持ちの上では、これはざっくばらんというお話でしたからそのつもりで申しますが、地方公務員給与に関する問題、国家公務員一般職給与に関する問題についての心配と申しましょうか、悩みと申しましょうか、問題点というものは、秋山委員のお考えになっておるところとわれわれの考えとほとんど一致しておる、こう思っておるのであります。国家公務員一般職給与の問題について、先ほど来質疑応答がございましたが、やはり大きな問題が私は残っておると思います。したがいまして、それは説明にありましたように、政府といたしましても人事院との関連において、その勧告の時期なりあるいはその実施の時期なり等々について、十分検討して善処しなければならないという考えで、いま努力をしておるという実情であります。そして地方公務員給与につきましては、その給与に関する条例をつくります場合に、お説のように人事委員会意見を参考にいたすことは当然でありまして、人事委員会はやはりその所属地方公務員給与についての、いわば正しい線を打ち出すためにある機関でありますから、そこの意見を尊重していくということは当然で、そこにその面に関しましても大きな存立の理由があると私は思うのであります。そこで具体的に給与の額を決定いたします場合には、国家公務員給与というものを参考にし、それから地方の他の公共団体の給与というものも参考にし、あるいは民間企業の従業者の方々給与というものも参考にして、そうしてそこで適当な線を出していくべきである、こういうたてまえになっておることは御承知のとおりであります。  そこで、自治省といたしまして一般的な指導ということになりますと、国家公務員給与に準じて、こういう線が一番一般論としては正しい、こう考えるのであります。なぜならば、ここのところは率直に申し上げるわけでありますが、国家公務員給与についての調査をいたしますための人事院の機構なりその活動状況を見ますと、これは非常に充実いたしておりまして、ほんとう公務員の生計費なりその他諸般の事情について科学的に調査をし、しかもそれは中立、中正の機関として調査をして結論を出されるわけでありますから、やはり国の公務員給与に関しての調査として、最も権威あるものとして尊重せらるべきものだと私は思うのであります。そこで、それぞれの公共団体にも国家公務員が職務をとっておられるというような場合が多いわけでありまして、そういうことになりますと、国家公務員給与に関しての厳密な調査をされた人事院の結論をお手本といいますか、それを大きな参考として、それをそのまま踏襲するという意味ではありませんが、それに準じて、そこに大きなゆとりを持たせて、先ほど申し上げましたように、他の地方公共団体とか、あるいはまたその地方地方民間企業の従業者の方であるとかいうようなもの等々を参考にして人事委員会が結論を出す、そして地方公共団体がそれを尊重していこう、こういうことになるわけでありまして、やはり筋といたしまして、そのきめ方は法律にもちゃんとあるわけでありますから、行政指導といたしまして、国家公務員給与を決定する人事院勧告というものを尊重すべきであるという線は間違っていない、こう私は思っておるわけであります。  ところが、先ほど来お話のありましたように、国家公務員給与を決定する人事院勧告そのものを尊重するという態度を政府はとっておりますけれども、その実施の時期等につきまして、お話がございましたように、これまで全面的にそれを実施するということに至っていないということも事実なんでありまして、そこで問題が残るわけであります。その点はやはり地方公務員につきましても問題が残るわけでございまして、自治省といたしましては、いまやっておることで、これが十全的なものであるといって、大いばりでおるわけじゃないということをひとつ御了承願いたいのであります。したがいまして、政府としては、先ほども申しましたように、人事院勧告の時期、調査の時期等についてもいろいろとくふうをし、また予算編成の面についてもどこかいい線があるべきだというたてまえのもとに検討しておるわけでありますから、やはり地方公務員給与について考えてまいります自治省といたしましても、それらによってりっぱな結論が生まれるように最善の努力をしていこう、そうして地方公務員給与の問題について、一般が理解をしていけるという線を打ち出していくよう努力いたさなければならぬと考えておるのが実情であることを御了承願いたいと思うであります。
  61. 秋山徳雄

    秋山委員 ちょっとお尋ねしますが、あなたきょうそこにおすわりになっているのは、どういう資格ですか。
  62. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 政府委員としておるわけであります。
  63. 秋山徳雄

    秋山委員 政府委員のうちのどういう資格でおいでになりますか。
  64. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 自治省の政務次官であって、そうして政府委員を仰せつかっておる、そしてこの会議には、ちょうど大臣も出席いたしませんので、やはり出るべきものだと心得まして出席をいたしておるわけであります。
  65. 秋山徳雄

    秋山委員 自治省の政務次官としての御出席であり、自治省の政務次官としての御答弁でございますね。それに間違いありませんか。
  66. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 さようでございます。
  67. 秋山徳雄

    秋山委員 それならば、私は別の観点から聞きたいことがありますが、自治省の任務というものはどういうところにありますか。
  68. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 自治省の果たさなければならぬ職責、任務というものは、これは法律にもその根本は規定してあることは秋山委員承知のとおりでございます。ただ、はなはだ俗な言い方になりますけれども、やはり私自身、自治省に職を仰せつかっておる者の心がまえといたしましては、地方公共団体のいわゆる地方自治というものをどこまでも確立して、その発展伸長をはかってまいりまして、さらに申しますと、地域住民に対する行政というものは、国の行政、地方の行政、これが総合的に作用いたすわけでございますから、そこで、その両者の行政というものが真に地域住民に対して最も福祉を増進する意味においての民主的な、そしてきわめて能率的な、そういう行政が行なわれるようにやってまいらなければならぬ、こういう考えで日々仕事をいたしておるわけでございます。
  69. 秋山徳雄

    秋山委員 秋山委員の御存じのとおりという御発言がありましたが、私はまだ新米でわかりませんのでお尋ねしているわけでして、したがって、間違いがあってはいけませんので、自治省が設置されたときの設置法と、あわせて当時の国会の説明を読んでいただきたいと思います。
  70. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 これは法律に出ておるとろをそのまま読むということは、はなはだ味のないようなことだと思いますけれども自治省設置法なりその当時の議会の模様というようなことについては、私自身まだ資料をここに持っておらないわけでして、法律だけはここにありますけれども自治省を設置する当時のいきさつ等については、できればそういうほうを担当しておる行政局長あたりから説明さしていただきたいと思います。
  71. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 私も当時直接の責任者として参画をいたしたわけではございませんが、中央の各省庁の中におきまして、地方公共団体の立場をよく理解をいたした役所が、俗なことばで申しますと、もっと発言力を強くして、そして地方自治の強化をはかってまいりたい。地方自治と国政との調和をよくはかってまいりたい。そのようにいたしますためには、一外局である自治庁よりも、専任の大臣を持つ自治省という形のほうがよろしいということで自治省が設置されたものと理解をいたしております。
  72. 秋山徳雄

    秋山委員 再度恐縮ですが、もしそこに資料を持っていなければやむを得ないことですが、おもなる目的をもう一度おっしゃってください。
  73. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 おもなる目的は、自治省設置法の「自治省の任務」というところに表現されておるのでございます。御承知かと思いますが、読ませていただきますと、「自治省は、民主政治の基盤をなす地方自治及び公職選挙等に関する各種の制度の企画及び立案並びにその運営の指導に当るとともに、国と地方公共団体との連絡及び地方公共団体相互間の連絡協調を図り、もって、地方自治の本旨の実現と民主政治の確立に資すること並びに消防に関する事務を処理し、もって、水火災等による災害の防除に資することを任務とする。」ということでございます。
  74. 秋山徳雄

    秋山委員 そこでいう民主的行政ということはどういうことでございますか。
  75. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 ここで「民主政治の基盤をなす地方自治」と申しておりますのは、地方自治が民主政治の基盤をなすものでございまするので、この地方自治を強化充実することが民主政治の発展に寄与する、かような考え方から成り立っておるものと考えております。
  76. 秋山徳雄

    秋山委員 そこまであなたにお読みになっていただいて恐縮に思いますが、そういうことになりますと、国の方針を押しつけていくということと、地方における民主政治との関係は、どうなってまいりますか。
  77. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 国といたしましては、地方公共団体の自主性、自立性というものをできるだけ尊重してまいらなければならないということは、言うまでもないわけでございます。しかしながら、全国的な見地から言いまして、国として一定の計画あるいは基準というものを持ちました場合に、そういう見地から地方公共団体に必要な助言あるいは指導と申しますか、こういうことを行なわなければならない場合のあることは、これはまた当然のことでございます。しかしそれが地方公共団体の自主性、自立性を侵害するということのないように十分配慮していかなければならぬ、かように心得ております。
  78. 秋山徳雄

    秋山委員 あなたはいろいろのことをおっしゃいますが、とりもなおさず、地方の民主化とかあるいは民主政治とかいうことを考えてみたときには、府県実態というものを完全に把握して、そしてその中における経済の状態あるいは民間給与の問題などを多く取り入れて、人事委員会勧告あるいは報告というものが出されるものだと私は思うわけです。ところが先ほど政務次官からのお話もありましたように、何かそれが薄らいでいる、そういうことでもしあるとするならば、私ははなはだ遺憾に思わなければならない。だから、いやな質問だと思ったかもしれないけれども、あなたはどういう資格でおいでになって、どういう資格で御答弁なさっているかということを聞いたわけです。政府考え方答弁というものは、それでも了承できます。しかし地方自治体を中心とした、地方政治というものを基盤にした、そういう上に立っての答弁としたならば、私ははなはだ不快に思います。少なくともこの場合におきましては、私たちの気持ちとすれば、政府の考えはこういうことだけれども、それはさておいて、地方自治体のあり方というものについてこう考えるのだということでなければならぬかと思うわけです。政府の一翼の、一人として答弁なさることばと、自治省の責任者として答弁なさることとは、おのずと違ってあたりまえだと思う。また違わなければふしぎだと思う。だからこそ私は、いやな質問かもしれないけれども、そういうことでお尋ねをしたわけです。だからもし私の言うことがおわかりでしたならば、そういうことの上に立って御答弁いただければ幸いだと思いますが、政務次官、どうですか。
  79. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 秋山委員の御質問を通じて、秋山委員はこの問題をこう考えていらっしゃるだろうと、こう思うその判断と、私の考えとは、ほとんど一致しておると私は思っておるのです。と申しますのは、自治省といたしましては、地方公共団体のすべての自主性を尊重し、地方自治行政がほんとうに地域住民のために民主的、能率的に行なわれていくように、できるだけ努力していこう、こういう考えでありますから、地方自治の尊重、地方自治の発展のための努力、こういうことについて大いに考えておるわけなのです。これはもう秋山委員とそこのところは少しも変わらぬのじゃないかと思うのであります。ただ、やはり自治省といたしましても、その職責の中にあるというふうに考えておりますが、国の行政というものと地方自治の行政というものとがうまく調和をとりつつ、地方公共団体の自主性、発展性というものが尊重されていく。その辺に私の地方自治に対する自治省としての助言なり、答弁がなければならぬ、こういうふうに考えておるわけで、秋山委員のお考えになっておるのと少しも変わらぬように思って実は先ほども給与に関する問題についてはお答えをいたしたわけでありまして、そのようにひとつお受け取りを願いたいと思うのであります。
  80. 秋山徳雄

    秋山委員 だから私は、自治省皆さん方は、ほんとう府県、市町村を育成し、地方自治体を確立していくのだということであるならば、どこかにその片りんがあらわれてほしいと思うのですね。だから私初めから言っているように、四角ばらないで、公式ばらないで、ほんとうに懇談のような形で御答弁いただきたいというのは、そこにあるわけです。しかし、意見ほんとうに一致したからといって、大蔵省のさいふのひもがかたいかやわらかいか、あるいはまた政府考え方がかたくななのか、あるいはどこかに厚い壁があるのか、薄い壁があるのか、それは知りませんけれども、どこに打開の道が開けてくるか、そういうことを私は率直に聞かしていただきたい。そういうことの上に立ってあなた方の考え方も私の考え方も一致した点においては、地方行政委員全員の力として、それぞれの省に、あるいはそれぞれの機関に向かって努力を進めていく、私はこういうことでなければならないのじゃないかと思うわけですよ。だからこそ、私どもはそういう立場に立って質疑を重ねていきたい、こういうふうに考えているのですから、そういう点も十分御理解くださって、率直にものを言ってもらいたい。これから先は言っちゃいけないのだとかなんとかでなくして、ざっくばらんにものを申していただいて、そうして、あなた方の力が足りないところはわれわれも一丸となって応援をしながら、地方自治の確立に努力をしていきたい、こういうことになろうかと思うのであります。  そこで、地方公務員というものは、国家公務員と性格の差というものがあるわけです。だからそういうことを考えながら給与問題は取り組んでいかなければならないのではないかと思うわけです。そこにやはり国と完全に一致しないものも出てくるでしょう。これはある程度やむを得ないことだと思うのですね。そういう基本線を確認し合って、それから、しからばこの点においてはどうだ、あの点においてはどうだということが発展していかなければならないことだと思うのです。そういうことで私は考えておりますので、あなたの考えをもう一たび聞かしていただきたいと思う。
  81. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 秋山委員から御好意のある非常に鞭撻的なおことばをいただきまして、非常にありがたく存じます。私、先ほど来申し上げましたのは、秋山委員の冒頭におっしゃいましたように、ほんとうに歯に衣を着せたなんという考えじゃなく、もう考えておることをそっくりそのまま申しました。たとえば、国家公務員に準ずるといっても、国家公務員給与の問題についても、まだまだいろいろの難点を残しておるじゃないか。それはひいて地方公務員関係においても検討さるべき問題だから、それらについてもひとつ解決に努力いたしましょうと、こういうことを申し上げたわけであります。  さらに、御発言にいかにも甘えるようでありますけれども自治省の仕事というものは実際のところむずかしい面がありますから、それらについても今後御鞭撻なり御協力なりを切にお願いを申し上げる次第でございます。  給与の問題について、いろいろありますが、法律制度は私どもどこまでも尊重をしてまいるわけでありまして、いまの給与に関する諸制度が間違っておる、こういうのではないわけでざごいまして、自治省といたしましては、これは皆さん方も同様でございますが、やはり現行制度を尊重はするけれども、しかしまだ足らざるところは大いに検討して改めていこうという意欲はお互いに持つべきだというくらいな気持ちを持って臨んでおるわけでありまして、それらの点について、私自身の考えておりますところをひとつ御了承願いたいと思います。
  82. 秋山徳雄

    秋山委員 いまのお答えで大体わかってもきましたし、あなた方の心のうちもわかったような気もいたします。したがって、こういうことは自治大臣にもよろしくお伝えをいただいて、そういう精神にのっとってこれからのいろいろの質疑を重ねてまいりたいと思うわけです。私はこれからほんとうに自分の考えておることやあなた方の御苦心の点などを聞かしていただきながら、こまかい点に触れていきたいと思ったのでございますけれども、きょうは四時も過ぎましたし、私のほうの理事さんからもお話がありますので、きょうは基本線だけで質疑を重ねたのでございますが、そういう意味合いで私の質問はそっくりそのまま後日の機会に譲らしていただいて、きょうのところはこの辺で質疑を終わらしていただきいたと思います。
  83. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 急いで資料を御提出願いたいと思うのです。  地方財政につきまして、第一は昭和三十六、七、八年度各都道府県市町村の決算状況、その歳入歳出の伸びとその比率。それから次は赤字団体の数と団体名。次は右各年度の地財計画と決算の各比較及び歳出につきまして、消費的経費と投資的経費比較とその内密。第二は、新産都市と工特地域の四十年度ないし五十年度間における施設整備事業の経費の地区内訳。第三は、同地域における国の財政的な投資計画の内容。昭和四十年度における国の予算に計上されたものの内容。さらに同地域における住宅建設についての予算単価の大体の推定。それから地価趨勢についてのここ数年来のその実情。学校、病院その他公共施設についての建設単価の実情。少し繁雑になりましたけれども、そのような各事項につきまして、ひとつ資料をお願いいたします。
  84. 柴田護

    ○柴田政府委員 資料をお出しいたします立場からお尋ねいたしたいと思います。最初に言われました決算状況につきましては、都道府県市町村とおっしゃいましたが、各都道府県と市町村、一括してでございますか。
  85. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 一括でけっこうです。
  86. 柴田護

    ○柴田政府委員 それから第三番目におっしゃいました新産地域におきます国の財政的な計画でございますけれども、これは実は明確になっておりませんので、むずかしいかとも思います。したがいまして、第三番目におっしゃいました件につきましては、私どもでできるだけのことをして資料を提出いたしたいと考えます。期限のところは御了承をいただきたいと思います。
  87. 細谷治嘉

    ○細谷委員 資料をお願いしたいのです。きょうは「地方公務員給与実態調査、結果の概要」というたいへんすばらしい紙で印刷したものをいただいたのですけれども、内容を見ますと、概要の概要というようなかっこうになっておるんです。たとえば八ページを見ますと、町村とか特別区とか、組合とか書いてある。それには職員数、構成比、平均給料月額と、こう書いてありますね。国家公務員のところになったら、紙が足りなくなったせいかどうか知りませんけれども、大切なところを書いていないわけですね。  それからまたあけてみますと、たとえば一〇ページの第七表、これまた国家公務員のやつを欠いているわけですね。どうも国家公務員のやつ、都合悪いから消したのかどうかわからぬのですが、せっかくいい紙を使っていただいて、紙価を落としておるのじゃないかと思うのです。ひとつ紙に負けないような資料を出していただきたいと思うのですけれども、よろしゅうございましょうか。
  88. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 御指摘のございました国家公務員数字でございますが、国家公務員のものといたしまして、人事院から公表されましたものを使わしていただいておりますので、このほかにどういうものが御必要か伺わしていただきまして、それを人事院に尋ねまして、ございますれば追加をさしていただくということにさしていただきたいと思います。
  89. 華山親義

    ○華山委員 私も資料をひとつお願いいたしたいのでございます。  過日私が地方制度調査会の第二小委員会で、「地方財政状況と問題点」という資料を御配付いただいたのでございますが、たいへん参考になる資料でございます。その中で特に超過負担の調査がございます。承りますと、相当詳細に各地方町村につきましてお調べになった結果だということを聞いております。私はいただいておりますけれども地方行政常任委員会の委員としても配付していただきたいとお願いいたします。
  90. 中馬辰猪

    中馬委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十七分散会