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1965-02-25 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十五日(木曜日)    午後一時五十三分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 亀山 孝一君 理事 久保田円次君    理事 田川 誠一君 理事 藤田 義光君    理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君    理事 安井 吉典君       大石 八治君    奥野 誠亮君       亀岡 高夫君    武市 恭信君       登坂重次郎君    森下 元晴君       和爾俊二郎君    秋山 徳雄君       華山 親義君    細谷 治嘉君       吉田 賢一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 吉武 恵市君  出席政府委員         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         自治事務官         (財政局指導課         長)      林  忠雄君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 二月二十四日  委員華山親義辞任につき、その補欠として岡  田春夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員岡田春夫辞任につき、その補欠として華  山親義君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十三日  石油ガス譲与税法案内閣提出第八二号)  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇〇号)(予) 同月二十四日  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案安井吉典君外九名提出衆法第五号)は 本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のた  めの国の財政上の特別措置に関する法律案(内  閣提出第四五号)  地方財政に関する件(昭和四十年度地方財政計  画)      ————◇—————
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  地方財政に関する件について調査を進めます。  昭和四十年度地方財政計画について吉武自治大臣から説明を求めます。吉武自治大臣
  3. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ただいま配付いたしました昭和四十年度地方財政計画につきましてその概要を御説明申し上げます。  昭和四十年度の地方財政計画策定にあたりましては、国と同一の基調に立脚し経費重点化効率化をはかることにより健全均衡財政を堅持しつつ、社会開発を推進し、地方行政水準の一そうの向上をはかることを目標といたしました。  すなわち、計画策定具体的方針といたしましては、第一に、地方税負担軽減合理化を推進しつつ地方財源充実して地方財政健全化地方行政水準引き上げをはかるため、(1)地方交付税を〇・六%引き上げて、二九・五%とし、(2)前年度に引き続き、住民税負担軽減を行なうこととし、これによる減収については、市町村民税臨時減税補てん債により補てんし、(3)新たに、石油ガス譲与税を創設し、自動車税及び軽自動車税税率改定するとともに、法人税税率引き下げによる減収を回避するため、住民税法人税割税率について、所要調整を行なうことといたしました。  第二に、経済高度成長に伴って生じたひずみを是正し、社会開発を推進して、調和のとれた社会の発展を期するため、(1)地域開発を促進して地域格差是正をはかるため、新産業都市建設等事業に対する国の財政援助措置を確立するとともに、(2)住宅上下水道等生活基盤施設整備を促進するため必要な地方債を確保し、(3)過密化した大都市の開発を促進するため必要な地方債資金増額をはかり、さらに(4)地方交付税制度改正し、前年度に引き続き財政力の貧弱な地方団体財源充実することといたしました。  第三に、地方公営企業等健全化に資するため、地方債充実等所要措置を講ずることといたしました。  以上の方針のもとに、昭和四十年度地方財政計画策定いたしました結果、歳入歳出規模は、三兆六千百二十一億円となり、昭和三十九年度に比較して、四千七百四十億円の増加となります。  次に、歳入及び歳出のおもな内容について、御説明申し上げます。  第一に、歳入について申し上げます。  その一は、地方税収入であります。ただいま申し上げましたとおり、地方税負担軽減合理化をはかるため、前年度に引き続き市町村民税課税方式本文方式に統一するとともに、準拠税率制度標準税率制度に改めることとし、昭和四十年度において、さらに百五十億円程度減税を行なうことといたしました。また、個人事業税事業主控除現行二十二万円から二十四万円に引き上げるとともに、電気ガス税免税点現行月額三百円を電気について四百円、ガスについて五百円にそれぞれ引き上げ中小所得者等負担軽減をはかることといたしました。  さらに、道路交通の現状にかんがみ、自家用乗用車営業用普通乗用車及び主として観光貸し切り用のバスにかかる自動車税税率並びに四輪以上の乗用軽自動車にかかる軽自動車税税率引き上げ負担合理化をはかることといたしました。  なお、法人税税率引き下げに伴う住民税法人税割減収を回避するため、所要調整措置を講じることといたしました。  この結果、自然増収額を含めて地方税収入は前年度に比し二千四十五億円の増加となり、総額は一兆四千九百四十八億円と見込まれるのであります。  その二は、地方譲与税であります。  昭和四十年度から自動車用石油液化ガスに対して、国税として石油ガス税が課されることとなりましたが、その性格にかんがみ収入額の二分の一を石油ガス譲与税として地方団体に譲与することといたしました。  この結果、自然増収額を含めて地方譲与税は前年度に比し、七十六億円増加し、総額は五百二十八億円となります。  その三は、地方交付税であります。  明年度地方財政は、経済の動向から地方税をはじめとして、地方歳入伸びが鈍化する反面、給与費公債費社会保障費等義務的経費が増高するため、地方交付税率を〇・六%引き上げて二九・五%とすることにより、地方財源充実に資することといたしました。  この結果、明年度地方交付税総額は、七千百三十二億円となり、前年に比較して七百八十一億円の増となります。  その四は、国庫支出金であります。  国庫支出金は、義務教育職員給与費国庫負担金二百九十七億円の増、その他の普通補助負担金四百四十五億円、公共事業費補助負担金五百六十億円の増、失業対策事業費補助負担金の増十四億円、国有提供施設等所在市町村助成交付金の増五千万円、合計千三百十六億円増加し、総額九千九百十億円となっております。なお、新産業都市建設事業等のうち市町村が実施するものにつきましては、一定の基準により国庫補助負担金かさ上げ措置昭和四十年度から実施することといたしました。  その五は、地方債であります。  地方債につきましては、すでに申し述べました方針に基づき地方債計画策定いたしました。昭和四十年度における地方債発行予定額は、四千八百四十九億円となり、前年度と比較して八百六十五億円の増となります。このうち地方財政計画に算入いたしますのは、一般会計債の千三百九十八億円、特別地方債のうちの一般会計分二百三十二億円、合計千六百三十億円であり、昭和三十九年度に比較して三百二十六億円の増加となっております。この中には、市町村民税臨時減税補てん債の増百十二億円及び道府県が行なう新産業都市建設事業等に対する特別債四十億円を含んでおります。  その六は、使用料手数料・及び雑収入であります。  使用料手数料及び雑収入につきましては、経済成長率等を勘案して、総額を千九百七十三億円と前年度に比較して百九十六億円の増加を見込んでおります。  第二は、歳出であります。  その一は、給与関係費であります。  給与費につきましては、(1)給与改定の平年度化に伴う経費、(2)高等学校の教職員及び警察官増員並びに制度改正等に伴う職員増加に要する経費等を見込み、総額一兆三千七十二億円、前年度に比し、千八百四十七億円の増加となっております。  その二は、一般行政経費であります。  この一般行政経費のうち(1)国庫補助負担金を伴う経費は、総額四千百三十五億円と見込まれ、前年度に比し、六百十六億円増加いたしましたが、これは生活保護費結核医療費児童保護費精神衛生費農業構造改善事業費中小企業近代化促進費等国庫予算増加に伴い増加を見たものであります。(2)国庫補助負担金を伴わない経費は、一般行政事務増加等事情を勘案して算定いたしました結果、前年度に比し三百六十億円増加し、総額三千二百八十六億円となっております。  その三は、公債費であります。  公債費につきましては、既発行地方債昭和三十九年度末現債額及び昭和四十年度新規発行予定額を基礎として算定した結果、前年度に比し百九十二億円増加し、総額千三百三十五億円となっております。  その四は、維持補修費であります。  道路、橋梁、校舎その他公用公共用施設維持補修費につきましては、単価の上昇、施設増加等事情を考慮して算定いたしました結果、前年度に比し百十億円増加し、その総額は九百二億円となっております。  その五は、投資的経費についてであります。  (1)まず、国の直轄事業に伴う地方公共団体負担金は、前年度に比し三十三億円増加し、五百三十九億円を計上いたしました。(2)次に、国庫補助負担金を伴うものにつきましては、道路整備事業費治山治水事業費港湾整備事業費住宅対策費公立文教施設等増加により、前年度に比し八百九十八億円の増加となり、総額は七千五百九十四億円と見込まれます。(3)国庫補助負担金を伴わない地方単独事業費につきましては、産業経済の発達と国民生活水準向上に即応することができるよう道路、その他の産業基盤施設高等学校等文教施設住宅等整備に要する経費中心として増額をはかりました結果、前年度に比し、六百六十五億円の増加となり、その規模は、四千八百四十四億円となったのであります。なお、道路整備五ヵ年計画をはじめとして、治山治水五ヵ年計画港湾整備五ヵ年計画生活環境施設整備五ヵ年計画において、地方単独事業は重要な役割をになうことになっておりますので、これらも勘案の上、地方財政計画上の単独事業行政目的別に示すことにより、地方団体における財政運営の指針とすることといたしました。  これを要するに、昭和四十年度の地方財政は、その環境のきびしさをも反映して、特に慎重な運営が必要であると考えられます。政府といたしましては、地方団体においても、極力財源を確保し、経費重点化効率化を通じてその財政健全化をはかりつつ、必要行政水準向上社会開発の推進に努力することを期待するとともに、その指導に遺憾のないよういたしてまいる所存であります。
  4. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に補足説明を求めます。柴田財政局長
  5. 柴田護

    柴田政府委員 お手元にございます「昭和四十年度地方財政計画説明」という刷りものによりまして、簡単に補足説明をいたします。  最初財政計画全体につきましては、そこにございますように、四十年度の財政規模は三兆六千百二十一億円となり、全体の伸びは前年度に比べまして一五・一%でございます。三十九年度の地方財政計画を三十八年度と比較いたしますと一九・二%でございましたので、伸び率は相当落ちております。そのおもなる原因は、国庫支出金並びに地方一般財源伸びの鈍化でございまして、地方税につきましては前年度三十八年度対三十九年度の伸び率は二一・九%でございましたが、四十年度におきましては、別途用意いたしておりまする地方税制改正等によりまして相当額財源の確保をはかっておりますけれども、なおかつ一五・八%の伸び率にとどまっております。  地方譲与税につきましては前年度二六・四%の伸びが、一六・八%の伸びにとどまったのであります。  地方交付税につきましては、前年度一五・四%の伸びでございましたが、交付税率引き上げましてなおかつ一二・三%の伸び率にとどまります。これは昭和三十九年度の地方交付税につきましては前年度よりの繰り越しが百三十六億円ございましたが、それがなくなりましたことが大きな原因でございます。  国庫支出金は、前年度一九・〇%の伸び率が一五・三%の伸び率にとどまりました。その結果全体としての伸びが非常に落ち、どちらかといいますと、財政規模を引き締め基調運営するという形の財政計画と相なったわけでございます。  歳出のほうは、これに反しまして給与関係経費伸びが大幅に増加いたしました。これが大きい圧力となりまして、投資的経費等につきまして圧縮をするという形になったわけであります。  給与関係経費伸びは、前年度一四・三%のものが一六・五%になりました。これは若干の規模是正を含んでおりますけれども、主としては前年行なわれました給与改定の平年度化によるものでございます。  また一般行政経費につきましては、前年度二一・三%の伸び率が一五・一%の伸び率にとどまっております。この原因国庫補助負担金を伴うもの並びに国庫補助負担金を伴わないもの、総体といたしまして規模がやや圧縮調になっておることに基因いたします。  公債費につきましては、前年度九・五%の伸び率が一六・八%になっておりますが、これは公債費につきまして従来の計算を変えまして、従来地方債計画の外に置かれておりました公債にかかる公債費につきましても、今回はこの中に吸収することにいたしました。その結果公債費伸びが大きくなっております。いわば規模是正に伴うものでございます。  投資的経費につきましては、前年度の伸び率は二四・四%でございますが、これが一四%にとどまっております。その大きな原因は、公共事業費直轄事業負担金ともに非常に圧縮されておりますが、これとの関連において、単独事業につきましてもその規模圧縮いたしましたことに基因するものでございます。  第四ベージをごらん願いますと、歳入歳出構成比が出ております。  歳入におきましては、地方債が一%伸びまして、昭和三十九年度に比しますと、地方債伸びが若干上がっておるということが特色でございますが、歳出におきましては投資的経費伸びが減っておることが特色でございます。歳入地方税がふえました原因は、主として市町村民税減税補てん債増額に基因するものでございます。歳出関係投資的経費の比率の減は、先ほど来申し上げた理由に基づくものでございます。  歳入状況は、税につきましては五、六、七ページの三ページにわたりましてその細目があげられております。現行法によりますところの地方税自然増収総計は千九百六十四億七千八百万円でございますが、これに対して地方税改正によりまして八十五億税収入増加いたします。逆に、国税改正によりまして、総計五億七千万円ばかりが減収になりました。差し引き七十九億の増収になるわけでございます。その結果、改正法によります見込み額は一兆四千九百四十八億円でございまして、前年度の当初に対しまして二千四十四億円の増額となるわけでございます。  税の改正のおもなるものにつきましては、五ページのところの法人税割、それから自動車税、それから六ページの市町村償却資産軽自動車税が主たる増の原因でございます。法人税割につきましては、国税法人税減税に伴います税率調整の結果でございます。自動車税及び軽自動車税につきましては、税制改正による税率引き上げの結果でございます。また償却資産税につきましては、償却資産府県への吸収割合税制改正によりまして落としました結果ふえるものでございます。  減収のおもなるものは、個人事業税の十三億、これは事業主控除改正に基づくものでございます。それから府県固定資産税の九億七百万、これは先ほど申し上げました償却資産の七億八千四百万円増に見合うものでございます。市町村民税所得割改正によりますものが八千万円の減、大体以上が税制改正に伴います増減でございます。  地方譲与税につきましては八ページでございますが、五百二十八億円の見込み額のうちで、道路譲与税が四百八十五億、新設を予定いたしております石油ガス譲与税が四億でございます。特別とん譲与税が三十九億となっております。  地方交付税につきましては、その八ページの表にございますように、国税三税が二兆四千百三十八億円、これに税率を乗じまして精算分を加算いたしますと七千百六十一億八千七百万円に相なるわけでございますが、昨年の補正予算で借りました百五十億円のうち五分の一の額三十億円を本年度返済いたしますので、それを差し引きいたしますと七千百三十一億円になります。しかしながら、三十九年度の当初予算には前年度からの繰り越し金が百三十六億円ございましたので、これとの差し引きをいたしますと、財政計画上の増として考えられますのは七百八十一億円に相なるわけでございます。  国庫支出金につきましては九ページ以下に詳しい内訳が出てまいっております。普通補助負担金におきましては一六・七%の伸びでございますが、そのうちで、義務教育職員給与費が一四・六%、社会保障関係補助金が大きく伸びておりまして、生活保護費以下精神衛生費負担金までが主として社会保障関係のものでございますが、これが大きく伸びております。その他のものにつきましては、農業構造改善事業補助金中小企業近代化促進補助金等がおもなるものでございます。  それから公共事業費補助金につきましては五百六十億円の伸びでございますけれども、前年度に比べまして先ほど申し上げましたように伸びは非常に縮まっております。  それから地方債でございますが、十ページをごらん願いますと地方債の大ざっぱな内訳が出ております。これは地方財政計画上に計上されます地方債でございます。全体の地方債計画のうちから、準公営企業公営企業に属しまする地方債額を除きまして、一般会計に計上さるべきものをここに掲げております。昨年と比べまして非常に大きく伸びておりますのは市町村民税臨時減税補てん債でございます。昨年百五十億円発行いたしましたものが三十億減りまして、それに新たに本年度分が加わりまして、差し引き百十二億円の増となるわけでございます。また新産業都市建設事業債といたしまして四十億円を用意いたしました。辺地対策事業につきましては、昨年と同額を計上いたしました。従来五ヵ年計画でもって処理を予定しておりました辺地対策事業の既存の計画を一年早めまして三十九年度で終了することにいたしております。また従来一般会計債に入れておりました清掃事業につきましては、清掃事業画期的進展をはかりますために、これを特別地方債にワクを移しまして、四十四億の増加をはかったわけでございます。  歳出のおもなる増減要因につきましては十三ページに細目を掲げております。簡単に御説明を申し上げます。  給与関係経費で千八百四十七億円の増でございまして、これの一般財源に属する部分の増加が千五百五十億円であります。そのうちで給与費は千五百二十二億円、そのうちで人事院勧告に基づく給与改定の増が九百四十三億円であります。それから昇給財源といたしまして三百三十三億円を用意いたしております。昇給率等につきましては在来の計算をいたしております。それから高等学校職員及び警察官等増員に伴いますものが、八十八億円でございます。高校職員は五千七百五十人、警察官は三千五百人でございます。その職員増減状況は十五ページの第九表に詳しく掲げられております。  第九表の一番最後に地方公務員給与実態調査による職員是正というのがございます。これは過般実施いたしました給与実態調査の結果に基づきまして、地方財政計画上補整すべき人員でありまして、十一万八千五百人でございます。  それから共済組合負担金短期長期追加費用及び事務費)の引き上げによる増が四十七億、消防吏員待遇改善につきましては、休日給と夜勤手当制度を設けることにいたしておりますが、これを合わせまして七億二千万、そのうち休日給が約四億であります。社会福祉主事等待遇改善、これは従来五%の手当が出ておりましたが、これを二千五百円に引き上げました額であります。補助金廃止に伴う一般財源振りかえ二十四億八千六百万円、この振りかえの中で職員関係のものは三千五百七十七人、教育庁の補助金がなくなりましたので、これを一般財源振りかえております。その他が七十七億、これは各種の是正中心にしたものでございます。  恩給費が二十七億、恩給費につきましては、これは文官恩給単価引き上げとも見合いまして、地方公務員につきましても、同じ歩幅で単価引き上げを考慮いたしております。大体四十年の十月から五%程度の増を予定いたしております。一般行政費五百四十八億円のうちで、国庫補助負担金を伴うものが一般財源で百八十八億円、補助を伴わないものが三百六十億でございます。  公債費が百七十億円、これは先ほど申し上げましたとおりでございます。  維持補修費百十億円。これは砂利単価引き上げと、一般維持補修費単価引き上げでございます。その中身は砂利単価を従来九百円で算定いたしましたものを千円に引き上げております。この関係で四十五億円、残りは統一単価、すなわち坪単価改定によりますもので、従来の六百五十円を七百円にかえております。これは国の国庫予算単価と合わしておるわけでございますが、この両者で合計百十億円になるわけでございます。  投資的経費総額で千六百十五億増でありまして、一般財源で一千四十一億円の増であります。そのうち直轄事業関係が三十二億、普通建設事業が三百十三億、単独事業が六百八十四億円でございます。国庫補助を伴います事業、いわゆる普通建設事業公共事業といわれるものにつきましては、二十一ページの十二表以下に細目が出ております。十二表をごらん願いますと、直轄事業につきましては、治水関係では改正河川法関係等もございまして、地方団体負担金は減っております。道路港湾が非常に大きくふえておりまして、直轄事業負担金では道路港湾農業基盤整備、この三つの事業が非常に大きく伸びております。  また公共事業につきましては二十二ページに詳しく掲げてありますが、その伸びの大きなものは治山治水の三十三億、道路整備、それから漁港、港湾、空港、それから文教施設厚生施設公営住宅がおもなものでございます。  災害復旧はたいしたことはございませんが、中で文教施設が一番大きいのでございます。  それから補助負担金を伴わないものにつきましては、いわゆる単独事業でございますが、道路整備につきましては、道路整備五ヵ年計画に基づきまして所要額を計上いたしました。  その他のものにつきましては、二十三ページの第十五表をごらん願いますと、その内訳を書いておりますが、単独事業内訳事業別種目別に分割いたしまして、地方団体計画的な財政運営に資することといたしました。これは地方団体でそれぞれ予定いたしております事業を精査いたしまして、それの約八〇%の額を掲げたのでございます。  以上、地方財政計画内容概要でございます。
  6. 中馬辰猪

    中馬委員長 以上で説明は終わりました。      ————◇—————
  7. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。奥野誠亮君。
  8. 奥野誠亮

    奥野委員 ただいまの議題につきまして、数点簡単に御質問を申し上げたいと思います。御答弁も端的にお答えいただいてけっこうでございます。  最初に、新産、工特に関します特別立法に対しまして、財政援助の方途が確立しておりませんために、画竜点睛を欠くうらみがあったわけでありましたが、諸種の困難を排して財政援助立法をつくり上げていただきました御努力に対しまして、深く感謝を申し上げるものでございます。  日本の市町村の発展を眺めてまいりました場合、全く発展の間に間に無計画にできてきておる。その結果はみにくい姿になっておるんだというような指摘が、先進諸国から批判されてまいったわけでございまして、私はやはり地域に即した総合開発計画的に進めていくということが、住民の将来にわたる福祉を確保していくためにきわめて必要なことだと、かように考えておるわけでございます。そういう意味において、新産、工特の立法だけじゃなしに、いろいろな地域立法が進められてまいってきておるわけでございます。たとえば首都圏整備法でありますとか近畿圏整備法とかいったような法律もできておるわけでございまして、あるいは近郊整備区域について整備計画を立てていくとか、あるいは都市開発区域について開発計画を立てていくとかいうようなことが、法律にうたわれておるわけでございます。したがいまして、そういうような計画の進むに従いまして、やはりこれらの地域につきましても、その計画を容易ならしめるための財政援助立法が必要ではなかろうか、かように考えておるわけでございますけれども、これらの点につきましての御所見をお伺いしておきたいと思います。
  9. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ただいま奥野さんの御質問の点、ごもっともでございまして、私どもも、いままでの市町村と申しまするか、地方の姿というものが、ただありのままであったのでありますが、これを計画的に進める必要があろうと存じます。  その一つの点として、新産都市及び工特地域の促進の法律が制定され、財政援助の道も講ずるべくただいま御審議を願っておるところでございます。私どもとしてはできるだけそうした計画的な開発に今後とも努力を続けていくつもりでございます。
  10. 奥野誠亮

    奥野委員 従来わが国の施策が、産業あるいは経済中心に進められてきたということは、いなめない事実だと思うのであります。たとえば地域開発の問題にしましても、このほかに低開発地域工業促進法でありますとか、あるいは産炭地域の振興法でありますとか、もろもろのそういう立法が行なわれ、またそれなりにいろいろの援助措置もとられてきておるわけでございます。幸いにして経済が非常に発展してきた結果もあるわけでございますけれども、それらの施策について一つの反省の時期を迎えてきている。それがいわゆる社会開発ということばで呼ばれてきていると思うのでございます。経済開発経済発展の効果を社会生活に反映させていくということ、むしろこれが究極の目的でなければならないのじゃないか、かように考えるわけでございます。こういう意味におきましては、戦後間もなしに、国際観光文化都市建設法というような法律がたしか八都市でございましたでしょうか、奈良でありますとか、鎌倉とか松江とか京都とかそういう地域について行なわれておるわけでございます。私はやはりこういう地域の建設もすみやかならしめなければならない、かように考えるものでございます。いつか亀山委員が、日本の都市を歩くと——外国の都市を歩いた場合には非常にきれいでさっぱりしておるけれども、日本に帰ってきて日本の町を歩いてみると、アジアの体臭がぷんぷんと鼻につく、こういう表現をされておりまして、私は言い得て妙なりという感じを抱いたことがあるわけでございます。これらの国際観光文化都市につきましては、下水道の問題にいたしましてもあるいは街路の問題にいたしましても、他の地域に先がけて整備を要するのじゃないか、かように考えるわけであります。こういう法律がつくられたまま、多年にわたって放置されておるということは、穏当を欠くように思うわけでございます。せっかく反省が今日行なわれておる際に、社会開発というような面からも、重点的に財政援助措置が確立されるべきである、かように考えておるわけでございますけれども、これについての御所見をお伺いしたいと思います。
  11. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は実は勉強が足りませんで、よく存じませんでしたが、ただいま御指摘になりましたように国際観光都市の整備に関する法律ができておるそうでございますが、聞いてみますると、これに対する財政援助的なものは、まだないそうでございまするけれども、御承知のように経済開発ももちろん必要なことではございまするけれども、経済開発に伴って社会開発の必要なことは特に現内閣も強調しているところでございますし、また観光都市としての優秀性を持っておる日本のことでございますから、そういう点に対しましても私は財政援助的な措置を講ぜらるべきものである、かように存じておる次第でございます。
  12. 奥野誠亮

    奥野委員 第三点として、新産都市の建設計画についてはすでに内閣総理大臣の承認が行なわれているというように承知いたしております。工特地域については、まだこれから行なわれるのだということのようでございます。昭和五十年度までの総体計画が承認されただけで、はたしてそれがそのときになって完全に実現できるかどうか保証がない、私は心配するものでございます。奄美の開発計画につきましては、総体計画のほかに年次計画もつくられておるわけでございますので、その計画を確実ならしめる意味において、私は年次計画をつくり、そして年度計画との反省がそこに行なわれていかなければ、計画が達成されるという保証がないのじゃなかろうか、かように考えているものでございます。自治大臣には財政援助立法について非常に骨を折っていただいたわけでございますけれども、さらにその建設計画を実効あるものにいたしますために、いま申し上げましたような年次計画をつくり、年度ごとの反省をそこに繰り返しながら、全体計画が達成される見通しを確実にしていくという面についてお骨折りをわずらわしたいものだ、かように考えるわけでございます。もとよりそのためには特定の地域に相当事業分量を傾斜的に集中していかなければならないというようなことになると考えるわけでございますけれども、私は実効をあげる意味においては特定期間、特定の地域に事業分量が集中されることは、国民全体あるいは国民経済全体から考えました場合には必要なことではなかろうか、かようにも考えているわけでございますので、この問題についての御決意のほどを承らせていただきたいと思います。
  13. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ごもっともでございまして、一応先般の本会議でも企画庁長官からも御答弁申し上げましたように、全体の計画として新産都市は四兆三千億で工特地域については二兆円、こういうことでございまするけれども、まだ年次計画は実はできていないようでございます。その際の質疑の間ではございましたが、三十九年度から四十五年度にわたっては、新産としては二兆三千億余りの何か考え方もあったようでございまするけれども、しかし年次計画につきましてはまだはっきりしたものがございません。これは企画庁におきましてそれぞれ各地域についての計画はいずれ速急に立てられると思います。また立てられませんというと、地方財政の面から見ましても相当の負担もあることでございます。これらにつきましては、私どもとしては財政援助の道を講じて地方財源の中でまかない得るようには考えておりますけれども、とかくこれがおくれますと水島のように先行投資が、先へいきましてあとで非常に困るということもございまするから、御指摘のとおりこれは速急に年次計画を立てるべきだ、かように存じておる次第でございます。
  14. 奥野誠亮

    奥野委員 第四点といたしまして、市町村事業に対しましては補助率かさ上げの制度がとられながら、府県につきましては単に起債の充当率を高め、利子補給をするということだけにとどまっているようでございます。おそらく府県につきましては後進地域開発のための公共事業費の国庫負担特例に関する法律に基づきまして、最高二割五分までのかさ上げが行なわれるからそれにゆだねるというお考えだと思うのでございます。しかしながら新産あるいは工特関係財政援助立法というものは、財政力の低い団体について援助をするということじゃなしに、事業が集中する地域について援助するということが眼目だ、かように考えているわけでございます。そうしますと後進地域かさ上げの法律が府県についてあるのだから、かさ上げ補助は要らないのだというわけにはいかないのじゃないか。やはりその法律を使う場合であっても、むしろそこに事業分量がふえてくればかさ上げの程度を上げるのだというような考え方が加えられなければならないのじゃないだろうか、かように考えるものでございますが、この点についての御所見を承っておきたいと思います。
  15. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ごもっともでございまして、奥野さんも御承知のように、大蔵省との予算の折衝の過程におきましては、私どもも府県市町村におきましては、そうした集中的な計画でありまするから、これに対する国の援助をしよう、こういうことでやりましたが、まあ正直にいいまして国の財政にも限度があるということでございますので、いま御指摘になりましたように、後進地域の援助の法律もあることだから、そのほうである程度の補いはつくじゃないかということで、それじゃまあ府県のほうはしようがない、しかし市町村のほうも起債その他についてただ利子を見るというだけではこれはとうていいけないからということで、これは皆さんの御援助もいただきまして、市町村については私どもの意見が通って、こういうふうになったわけでございます。まあこれが今後完成していきまする間においてはいろいろの問題もあろうかと思いますけれども、目下のところは府県においては起債の上積み、同時に利子補給、市町村補助ということで、これがどのくらいになりますか、初年度は四十億の起債と、それから市町村は精算補助で四十一年度に掲げるわけでありますけれども、私は、これらの各地域の事業が軌道に乗っていきますると、これは相当大きなものになるのではないか、かように考えております。
  16. 亀山孝一

    ○亀山委員 途中ではなはだ恐縮でありますけれども、先ほど奥野委員の述べられたことに関連して、ちょっと質問申し上げたいと思います。  観光都市、現在八ヵ所の問題についての財政の裏づけがないということ、これはまことにごもっともの御質問だと思いますし、それに関連して奥野委員も述べられ、また一昨日の本会議において田川委員が質問されましたいわゆる史跡、名勝、天然記念物、こういうものに対する保護に関しての財政的援助というものが非常に弱いというか、現在文部省の持っております文化財保護の関係経費ではとてもまかなえないことは、いまさら申し上げるまでもないことだと思います。先般鎌倉あるいは奈良、京都その他においてこういうような問題が大きく取り上げられたことは、もう大臣御承知のとおりです。  そこで、これに特別の補助という問題もありますけれども、こういう史跡、名勝、天然記念物というものを保護するために、府県市町村がこれをやるという場合も、地方債というものを認めてやることがいいのではないか。私の郷里等につきましても、最近新幹線あるいは中部縦貫道路というもので、せっかくの保存すべき文化財がむざんにも破壊されていくということをまことに遺憾に考えていたところでありますが、ことに田川委員なり奥野委員が指摘されました日光、鎌倉あるいは京都、奈良あるいは長崎、こういうところの文化財、史跡、名勝ひいては天然記念物というものに関しての保存、保護のための財政的援助の問題は、大臣は考慮されると言われましたけれども、財政局長にひとつお伺いしたいのですが、こういうものに対する地方債というものを特別に考えてやるという御意思がありますかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  17. 柴田護

    柴田政府委員 いままでの例で、たしかごく例外的に扱っていたものがあるように記憶いたします。しかしお話しのように、現在ではあまり積極的には扱っておりません。なお将来の問題といたしまして、よく検討いたしたいと思います。
  18. 亀山孝一

    ○亀山委員 先ほど来吉武大臣は、奥野委員の御質問にはごもっとも、ごもっともの連発でありましたが、ただいまの財政局長の御答弁は、ごもっともというにはちょっともの足らぬ気がするのですが、大臣からもう一度はっきりと、やる意思があるというようなごもっとも説をひとつ出していただきたい。
  19. 吉武恵市

    吉武国務大臣 実は先週の閣議におきましてもこの話が出まして、今日史跡、名勝あるいは天然記念物等の保護に関するたくさんな法律がある。しかし法律はあるけれども、法律が実際はあまり実効をあげていないということではございませんでしたけれども、欠くるところがある。鎌倉等の事例も指摘されまして、やはりこれらにつきましては法律のいろいろな制限だけでは保存ができない、やはり国の財政力をもって買い上げるなり何かして保存するという道を講ずべきじゃないかということで、閣議におきましても皆さんごもっともだなということにもなっておるようなわけでございます。いま奥野さんからも御指摘がございましたときに私が申しましたのは、そういう点もございまして、これはやはり考えるべきものじゃないか、ただ一片の法律だけで制限しては保存できませんから、財政的な裏づけが必要じゃないか、今度の予算にはございませんけれども、これは私将来必要な問題だと思います。  それから地方債の件でございますが、これは私もあまりいままでの例を存じませんけれども、もし可能であれば何も窮屈にする必要は一向ないのじゃないか。どうせ必要なものでございまするから、今後の問題といたしまして私といたしましても検討していきたい、かように存じます。
  20. 亀山孝一

    ○亀山委員 ありがとうございました。  そこで、先ほど柴田財政局長は、いままでも例外的に認めたことがある、こういうお話でしたが、現在ではあるいは例外的かもしれませんけれども、こういう場合には例外的に今後も認めておいきになる御意思がありますかどうか、最後にこれを伺って私の質疑を終わります。
  21. 柴田護

    柴田政府委員 私が歯切れのいい答弁をいたしませんのは、実はその史跡、名勝、天然記念物の保護の事業内容が問題になりますので、事業によっては地方債をつけようにもつけることが適当でないものがありますし、事業によってはつけることが適当なものもある、こういう意味で申し上げたのであります。ただ答弁が若干舌足らずで適当でございませんでしたけれども、適当なものであれば別に拒否するつもりはございません。
  22. 奥野誠亮

    奥野委員 第五点としてお尋ねしたいのでございますが、今度の法律の援助対象から公営企業を除外しているわけでございます。おそらく公営企業は独立採算のたてまえだからという意味ではずしておられるのではなかろうか、かように推測をいたすものでございます。しかしながらこれから新産都市を建設していくのだ、工特地域を整備していくのだという場合の地域におけるこれらの仕事は、一般公営企業とは私は性格を異にすると考えるものでございます。ある意味においては、荒野に都市をつくっていくというような見地で、それぞれの公営企業的なものも検討していかなければならないのじゃなかろうか、かように考えるものでございまして、水道の布設されないような地域に住宅を建てて人が住まうのだろうか、バスの通わないようなところへ学校を建てて不満を誘発しないのだろうか、かように私は指摘をいたしたいのであります。これからの人間の生活というものは、ただそこで命を長らえられればいいんだというわけのものではなくて、私は文化的なもろもろの施設整備して、初めてそこに人が住まい、事業が発展をしていくというようなことになっていくものだ、かように考えておるものでございます。したがいまして、一般公営企業と、これから新産都市として整備し、工特地域として整備していく地域における水道事業なりバス事業というものは、私は性格を異にするものだ、かように考えているものでございます。もともと採算のとれる水道やバス事業についてまで援助すべきだとは申し上げません。しかしながら、先ほども申し上げましたように、荒野に新しい都市をつくっていくのだという覚悟でやるべき地域につきましては、バス事業でありましょうと水道事業でありましょうと、積極的に援助の対象にしていかなければならないのじゃないか、そういう覚悟で初めて理想的な新産都市、あるいは工特地域の整備というものができるのではなかろうか、かような考え方を持っておるものでございます。したがいまして、一般公営企業とは全然別個な考え方にお立ちになりませんとこの問題の解決はできないのじゃないか、かような考え方を持っておるものでございまして、御所見を伺いたいと思います。
  23. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ごもっともな御意見でございますが、実は水道は確かに新産都市としては欠くることのできない問題でございまして、あわせ考えなければなりませんが、ただ今度の財政援助の中に織り込んでおりませんのは、御承知のように水道はとにかく住民の飲料水としてもきわめて重要な問題でございまして、ただいま東京都の値上げ問題等に関連いたしましても、これを何とか政府でひとつ財政援助をしたらどうだという意見もあるところでございますけれども、私どもとしては水を利用をする者が負担をするという独立採算のたてまえをとってきておりますので、新産都市であるからといって、新産都市だけにこれを援助するということはちょっとこれはやはりむずかしいんじゃないか。水道布設についての起債についてのめんどうを見るとか、あわせ政府としては考慮してまいりますけれども、財政援助はやはり独立採算のたてまえでこれを償還をしていく。ただ従来のように短期の地方債で、そして高い利子でということになりますと、地方財政負担がかさんでまいりますので、やはりこれは都市の水道とあわせ考えなければならぬ問題でございますが、今後はやはり水道につきましては、長期の安い金利を政府があっせんすることによって、それがいわゆる援助になるというような方向をとるべきじゃないか。目下公営企業制度調査会におきましても、この問題は検討中でございますので、これらの御意見をも聞いた上で考えていきたいと思います。
  24. 奥野誠亮

    奥野委員 再質問はしないつもりでおったのですけれども、どうもこの点について自治大臣と私とは所見を異にしておるようでございますので、重ねてお尋ねをさしていただきます。  一般公営企業制度調査会の検討問題とは全然別個の性格のものだ、かような認識に私は立っているのです。さらに申し上げたいことは新産都市工業用水道を布設する。その場合に、その工業用水が採算に乗らない場合には私は設備に対して国庫補助が多額になされる、かように考えておるわけでございます。工業用水について積極的に国が援助をしなければならない。ところが上水道についてはその必要がない。これが私はわからないのでございます。同時にまたこれから都市をつくっていこうというんじゃないか、たとえば五万の人口が住んでおる。それをいろいろな工場を設けたりする結果、十万になり二十万になる。十一万になり二十万になる都市を予定して上水道も私は布設されるべきであると思う。現在のところは五万を基礎にして細い管を布設しておくのだ。人口がだんだん十万になり十五万になるたびにパイプを変えていくのだ。そんな不経済なことが許されようか、私はこういう考え方を持つわけでございまして、国も計画を承認するのでございます。当該自治体だけの計画にゆだねるわけじゃございませんし、私は新産都市の建設なりあるいは工特地域なりの設備というものは、当該地域住民のことだけで事をかまえていくのではなくて、ある意味においては国土の再編成であります。国と当該自治体とが一緒になって計画を進めていく場合におきましては、ある場合においては五万の人口の都市が十万になり二十万になることを想定をして、いろいろな施設をしていかなければならないのであります。当然不採算を承知の上で水道の計画を行ない、あるいは交通事業計画を行なっていくべきでありまして、そうであるならば、一定期間はそれが可能なようなことにしませんと工場もできませんし、学校も建ちません。住宅も建たない。したがってまた内閣総理大臣が承認した計画というものは、画餅に帰してしまうということになるんじゃなかろうか、かように考えるわけでございまして、私はなぜ工業用水道に積極的な援助が行なわれるのに、上水道について、こういう性格の上水道についてまで独立採算だから援助する必要はないのだ、こうおっしゃるのか、私には理解できないので、もう一ぺんお尋ねを申し上げたいのでございます。
  25. 吉武恵市

    吉武国務大臣 お聞きしますればごもっともな点でございまして、新産業都市というのは将来を見込んで急激に発展するであろうために計画的に建設をするのでありますから、御指摘のように将来に向かって大きいパイプを通しませんとすぐまたやり変える、そういうむだなことはできませんので、その点はこれは何とかすべきではなかろうかという感じがいたしますけれども、水道の問題はなかなか関係するところが大きい問題でありまして、いまここで直ちにどうというわけにはまいりませんが、将来の問題といたしまして検討することにいたします。
  26. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に細谷委員、お願いいたします。
  27. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まず、冒頭お尋ねしたい点は、地方財政計画についてせんだって与党の田川委員から本会議で質問があったのでありますが、私は田川委員の本会議における質問の趣旨については非常に共鳴する点が多々ございました。そういうことでありますから、ひとつ私の質問に対しても、大体同じ立場の意見になると思いますので、ひとつ明瞭にお答えをいただきたい、こう思うのです。  まず第一にお尋ねいたしたい点は、自治省では今度特例の新産業都市に対する起債の引き上げなりあるいは補助率の引き上げをやるわけでありますが、もともと事業課のない自治省で事業に対するかさ上げ的な補助金、そういうものは、どういうものに対して自治省所管でやっておるのか、これをお尋ねします。たとえば事業を主管している課のない自治省で、どういう事業に対して補助金を握っているか。これをまずお尋ねします。
  28. 柴田護

    柴田政府委員 自治省といたしましては、行政局及び消防庁系統の仕事に若干補助金を出している例がございます。新産業都市関係の、今回補助金のかさ上げを可能といたすものにつきましては、補助金を出しておりません。
  29. 細谷治嘉

    ○細谷委員 たとえば昨年から始められた奄美群島の振興計画、これも一種の補助的な性格を持っていると思うのですが、あるいはまあ今回のこの問題とはずいぶん違いますけれども、基地交付金あるいは低開発関係について持っておると思うのですけれども、今回の事業に対する補助金引き上げというものとはずいぶん性格が違っておるように思うので、今回のやつは自治省自体が事業に対する補助金を持つ、こういう性格を非常に濃くしているのですが、この点はいかがですか。
  30. 柴田護

    柴田政府委員 新荒業都市の今度の補助金のかさ上げの問題につきましては、後進地域と同じようなやり方をする。したがって私どものほうでは幾ら地方負担が出てまいって幾ら補助率をかさ上げをするようになるかという計算をするわけでございますけれども、現実の補助金関係各省から出るわけであります。
  31. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いわゆる事業に対する補助的なものではないんだということでありますが、さらにお尋ねしたい点は、全く同じ内容法律案が今度石炭特別委員会に産炭地振興という形で出ておる。内容は全く同じなんです。これもそういうことになりますと、片や通産省片や自治省というのは、これは官庁の縄張り行政のティピカルなものだと思うのですが、この辺はどうお考えになりますか。
  32. 柴田護

    柴田政府委員 産炭地域の問題につきましては、一般の産炭地域振興行政と密接にかかり合っており、地域も非常に局限されておりますし、その中からさらに局限されるということに同じくなるだろうと思います。したがって法律では、この法律を準用するという形になっているだろうと私は記憶いたしております。この法律につきましては、全国十九地域にわたっておりますし、現模といたしましては全国的なものでございます。それからかさ上げ方式といたしましては、この種のものにつきましては一般的なものだと考えるわけでございます。そのものにつきましては、私のほうで法案を準備しておるわけでございます。趣旨からいいますならば、産炭地域の問題も一般財政援助の一環なのであるから、これと性格は同じものでございます。ただ地域が非常に限定されておりますし、また一方産炭地域振興事業というものと密接に結びついておる関係もございますし、これにつきましては通産省でやる、こういうような形になっておる次第でございます。
  33. 細谷治嘉

    ○細谷委員 どうも納得できないのです。この法律を準用するということは、この法律にも書いてありません。全く同じ内容が産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案という形で出ておるわけであって、準用なんということばは一つも使ってないのです。法律の内容は全く同様なんです。まあずばり申し上げれば、自治省が方式も教えてやって、これは何もかもつくってやって通産省が出してやると考えてもいいような内容なんですよ。一分一厘違わない。しかも産炭地振興計画というものは、確かに北海道と常磐とそれから山口地区と九州の北部地区ですから、これは三百五十くらいの市町村にわたる十九地域とは違います。違いますけれども、その事業たるややはり各省にあるのです。建設省の道路もあります。水道の問題もあります。工業用水の問題もあります。そういうものに対して標準負担額をこえたものについては、ひとつ補助率を引き上げましょう、府県に対しては、ある限度をこした部分についてはひとつ起債の充当率を引き上げましょう、その利子補給については八分を限度として三分五厘をこえたものについては補給してあげましょうといっているのですよ。あとでまたお尋ねしますけれども、予算措置も全く同じなんです。ですから準用とかなんとかではなくて、そういうことであるならば、私は先ほど財政局長がおっしゃったような内容とするならば、これまで財政上の問題点については自治省がこの法律を主管するのであるということならば、産炭地の問題についても内容を教えてやったでしょう。原案をつくってやったでしょう。なぜ自治省がまとめて——この地域開発の問題と産炭地振興の問題とは性格が違います。これは有沢調査団がきちんと答申に書いてあるように、性格は違います。違いますけれども、なぜこれをまとめて自治省が扱ってやらなかったのか、私は、ふしぎでならない。準用ではないですよ。別の法律なんです。お尋ねします。
  34. 柴田護

    柴田政府委員 私が準用と申し上げましたのは、最初の原案と思っておりまして、間違っておりましたので訂正いたします。これは法制局のほうで全部この法律と同じ条文を入れてしまったようでございます。経緯からいいますと、新産都市の建設法が、この財政援助に関しまする促進法の話がついてでき上がりましたところに、それじゃ産炭地もという話になったのでございます。私どもも相談を受けましたが、法律的な問題といたしましては、産炭地振興事業というものの一環として取り上げるという形で法案をまとめたわけでございます。ただ、おっしゃるように実務上の問題といたしましては、標準負担額にいたしましても、起債の問題にしても、どちらにいたしましても、私どもはここでいろいろ作業をしてまいらなければならない。法案はあっちを向いてもこっちを向いても、実体は、結局計算の実務その他につきましては、私のほうで統一的に見ていくことになるわけでございますから、政府全体といたしましては、産炭地の振興に関します財政援助につきましても、この法律による財政援助についても、同じところで総合的に見ていくということになろうかと思います。
  35. 細谷治嘉

    ○細谷委員 実質的にはそうなるだろうと思いますが、あとでひょろひょろと産炭地が出てきた、こういうことのようです。もっと内容を言うと、ここには大蔵省はおりませんから、自治省だから申し上げますが、大蔵折衝の戦術的な問題として、おれのほうは先頭で攻撃するからついてこいとか、おまえのほうが先にやれ、おれがあとからついていくとか、手をつなぎ合って、ふところは同じで回転しておるような気がする。ですから資料も自治省から出たものでなければいけないと思います。そこで私は、たとえば三分の二の補助というものを、この地域のこの事業については重点的にやらなければいけないから五分の四にしよう、こういう補助率の特例の問題ならばともかくとして、局長のおっしゃるような性格の問題であって、いや自治省は補助事業を握って、自分の力を強めて市町村を支配しようという考えではないのだ、財政面から何とか事業がスムーズにいくようにしてやろうということだから、性格が違うということならば、産炭地も同様ですから、どうして自治省はこの問題を一本にまとめて産炭地振興の問題もやれなかったのか。産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案という形ではなくてこれはやれたはずだと思います。これは私はやはり官庁のなわ張りが代表的に出た例だと思うのでありますが、この問題については、この前大臣に質問しそこねましたから、どうなんですか大臣。
  36. 吉武恵市

    吉武国務大臣 産炭地振興に関して財政援助の方法が講ぜられたのは、私どもも最初事情を存じませんでした。私どもが苦心をして、やっとこういう財政援助の道をつくりましたところが、たまたまそれと同じような構想で、産炭地の財政援助の方法が講ぜられておるわけでありますが、実を申しますと、御承知のように石炭合理化が行なわれ、その結果として合理化された地域がさびれていくので、これを何とか振興しなければならないということで通産省が産炭地振興法をつくり、それぞれ事業が進められておるわけであります。これに関連してなおかつ財政援助の方法をとろうということで、あのような方法が講ぜられたのでありますから、発展の経路といいますか、仕事の進め方から言うと、やはりもとは石炭合理化から発生しておる問題でございますから、その主管庁が責任を持っていくということのほうがいいのじゃないかというふうに考えます。構想は、いまのお話によると全く同じような構想でありますけれども、それはやり方が似ておるのでありまして、やることはやはり石炭に関連しての問題でございますから、通産省石炭局がこの問題を責任を持って遂行されることが望ましいのじゃないか、私は私のほうでこれを引き取ってやるということもよいのじゃないかという感じがいたしております。
  37. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまの大臣のおことばでも私は納得できないのです。引き取るとかそういうお考えであれば、当然自治省がこの問題もまとめて、この法律を主管すべきではなかったかと思うのです。ところが新産都市の問題にしても、基本計画を決定する場合、工特法はまだ閣議決定になっておりませんけれども、これもやはりまとめ役は経済企画庁だった。しかし地方財政の問題として、自治省が熱意をもってこれに取り組もうとしておる。そういうことでありますから、産炭地の問題等もやはりもっと親切味を持って、しかもそういう性格であるならば、基本的に自治省が地方財政の問題としてこれに取り組むべきじゃなかったか。遺憾ながら、あったかもしれませんけれども、それができなかったのは、やはり中央官庁のなわ張りが根本的な原因じゃないかと思っているのです。これはなわ張り争いのことじゃなくて、そういうものだと私は思うので、あえて申し上げたいのです。  次にお尋ねしたい点は、先ほどもちょっと御質問があったのですが、法律は出ましたけれども県に対する起債のかさ上げの利子補給の問題については、八千万の予算がつけられているのです。産炭地の場合は一千万円です。はしたがありますけれどもこれは事務費です。そして聞いてみますと、半年分でございますと言うのです。なぜ半年分の予算を組んだかというと、大体起債の認証を得て支払う時期になると年度後半になるから半年分でいいのだ、こういうことであります。しかし、一体そういう予算の組み方というものが、不法だとは申しませんけれども、正常な姿だろうかと私は思うのです。   〔委員長退席、藤田(義)委員長代理着席〕  もう一つ、今度は市町村のほうにいきますと、産炭地の場合も同様でありまして、今度の場合も、いやそれは精算補助でありますから、今年は一文も組まぬで来年度にその精算分を計上いたしますときているわけです。ところで、私もこの点まだ研究していないのですけれども、地方財政法の十九条を見ますと、「国の支出金は、その支出金を財源とする経費の支出時期に遅れないように、これを支出しなければならない。」と書いてあるのです。ところが今度の予算案を見ますと、支出時期は四十年度でございます、精算をいたしますから、一文も払いませんで来年度精算いたします——精算というのは、これはいろんなことにございます。たとえば国民健康保険にいたしましても、精算金というのは翌年度に入ってきますけれども、大部分の金は概算払いとし払われてくるわけです。それは精算はしなければいけませんが、しかし十九条の精神にのっとって、支出時期におくれないようにという形で概算支出がここからなされております。こういう地方財政法十九条の原則を踏みにじっているのじゃないか。踏みにじるということばがおかしいとするなら、少なくともこれが正姿勢なのに正しい姿勢ではない、こういうことが言えるのじゃないかと私は思うのです。  もう一つ、自治省はすぐ何かというと地方自治法のたてまえからいってということをおっしゃるわけですが、その地方自治法というのを聞いてみますと、地方に対してはこういうことを指導しているわけです。指導どころじゃなくて、これはがんじがらめに縛りつけてあります。二百二十二条に「予算を伴う条例、規則等についての制限)」という条項がありまして、「普通地方公共団体の長は、条例その他議会の議決を要すべき案件があらたに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられる見込みが得られるまでの間は、これを議会に提出してはならない。」そして行政実例としては「予算上の措置が適確に講ぜられる見込み」というのはどういうことかというと、「「予算上の措置が適確に講ぜられる見込」とは、関係予算案が議会に提出されたときをいう。」というので、がんじがらめなんです。この次の議会で出しますということは許されないのです。こういうことを地方自治体に押しつけておいて、きわめて厳格に指導しておる自治省が、精算払いでございます、ことしは一文も払いません、来年度に予算を計上します、そういう精算払いが日本語としてあるのか。特に自治体に、地方財政健全化ということから強烈に指導しておる自治省が、こういう予算案を大蔵に押しつけられてのんできたということは、けしからぬことだと思うのですが、いかがですか。
  38. 柴田護

    柴田政府委員 産炭地との関係でなわ張りなりあるいは作戦なりというお話がございましたが、これはもう細谷先生おわかりだと思いますが、さようなことは全然ございません。先後からいいますならば、私どもの法律ができて、そしてどっちかといえばそのひさしに入ってきたというようなかっこうであります。したがって産炭地の問題は、私どもといたしましては産炭地の振興については一つの考え方を持っておるわけでございますけれども、しかし産炭地の中で新産業都市と同じような扱いを財政的にしてよろしいというものがあることも否定するものではないわけでございます。その部分について借用したいという話がありまして、借用はけっこうだ、私どももそのものにつきましては必要を認めておるわけでございますから、実務上の援助はともかくといたしまして、形の上で振興事業の一環として取り上げることにつきましてはいいだろう、こういうような経緯でございます。  それから精算払いの問題でございますけれども、これは現在後進地域の問題でも精算払いがとられております。この新産業都市建設についての特別措置をとろうといたしましたときの主たるねらいというものは、どちらかといいますと、市町村というものを私どは頭に置いておるわけであります。県につきましては、どうせ後進地域のかさ上げ立法その他の問題がありますので、これで差し引き勘定——かりにこれによって特別の援助措置を講じましても、後進地域による増加分というものは差し引き計算になるわけでございますので、県につきましては実際の援助額としてはたいした額にならぬ、その分はむしろ長期融資に切りかえたということになるわけでございます。  精算払いの問題につきまして、財政法の規定を踏みにじったというおしかりでございますけれども、これは後進地域振興のかさ上げ立法以来一つの形になっておりまして、いわば地方財政法の特別規定というふうな読み方を実はいたしてまいっております。したがいまして、その部分につきまして特別法律的に問題があるとも私どもは考えませんし、それでやっていけるのではなかろうかと思っている次第でございます。
  39. 細谷治嘉

    ○細谷委員 もう触れたくなかったのですけれども、局長わざわざおっしゃいますから、またちょっと申し上げておかなければならないのですが、産炭地は、法律の形はそうでしょう。ひさしを貸しておいたらそこに入り込んだんだという局長の表現ですけれども、法律の規定はそうでしょう。そうですけれども、そういう考えで自治省があられるのはたいへんなことだと思うのです。産炭地というのは第二次答申に書いてあるとおりに、政府の石炭政策という形から出た社会的な陥没なんです。新産都市は前向きなんです。大地に足を踏まえてこれから飛躍しようという姿勢なんです。産炭地は奈落の底に落ちようとしているのです。そういうことが有沢調査団の第二次答申の中にもきちんと書いてある。したがって、これはおもや、ひさしということばは適切ではありませんが、これはやはりそういう内容は違ったものだというお考えをきちんと自治省は持っていただきませんと、産炭地の実情は浮かばれないものがあるのではないか、私はこう思うのです。この予算措置の問題については、その特例というのは地方財政法のどこに書いてあるのですか。
  40. 柴田護

    柴田政府委員 特例であるということを別に書いてあるわけではございません。つまり、一般法として地方財政法があって、そして個々の法律で精算払いの規定を書いているわけでございますので、その部分が一般法に対する特別規定になっている、こういうことでございます。
  41. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私も法律案をよく読んでおりませんので、この地方財政法の一般に対する特例の精算補助だということなんで、これ以上この問題については申しませんけれども、少なくとも、大臣、今年度はいろいろな経過があったにいたしましても、精算補助でございますという形で、それでなくてもどうにもならぬ、後ほどそういう問題についてもさらに突っ込んで質問をしたいのですけれども、税金の一年分以上の赤字をかかえている、そしてその基本計画にのっとって計画を進めようという団体に、前の年の事業に対して精算補助でございますと言って、年度の違ったものを、おそらく過年度収入みたいになるのでしょう、そういう形で国がやるというのは、模範を示すべき国の態度としては、あるいは自治省の態度としては、私はあまり正しい姿勢ではないのではないか、こういう気がいたします。これはぜひ補正段階なり、あるいは来年度等には、やはりその年に出すべきものは概算として予算に組んでいただいて処置していただかなければ、これはもう利子がつくのですから、たいへんなことなんです。やりくりの一時借入金等の利子というものはばく大なものになるわけですから、またたてまえもやはりそうあるべきではないかと私は思うのです。これはひとつぜひお願いしたいのですが、大臣、いかがでしょうか。
  42. 吉武恵市

    吉武国務大臣 お話はごもっともでございますが、地方財政法を御引用になりましたが、確かにそれは原則でございますけれども、国も当てにならぬことを言っているわけではなくて、先ほど財政局長からも一言いましたように、特別法で精算払いで国が払うぞ、こういうことを言っておりまするから、的確なる予算的な措置というところまではいきませんが、適格なものでありまするから、私はその精神にはそう反していないと思います。まあ新産都市の問題にしましても、工特法の問題にしましても、あらかじめきちっと事業計画できまっておって、それを年次的にやっていくということであれば、最初から補助をつけるということはこれはまああたりまえのことだと思いますけれども、御承知のようにまだ新産都市でも年次計画もできていない、工特法でもまだ事業承認ができていないような状況でございまするから、毎年どの程度のどういう仕事が出てくるか、まだ最初はあんまりはっきりいたしませんので、それで実際やった仕事に対して精算払いをしよう、こういう形になっておるのでございまするから、いまの産炭地のほうはどういうふうか、私通産省のほうのことでございまするから存じませんけれども、おそらく同様のような考え方で、あとで国が必ず精算で補助をいたします、こういうことになっておるので、多少収入の時期がおくれまするけれども、そう不確定で仕事をするわけではございませんのでやむを得ないのではないか、かように存じております。
  43. 柴田護

    柴田政府委員 ちょっと補足して申し上げますけれども、その年の標準負担額を出して、その年の事業量を算出して、そうして計算するということになりますと、ちゃんとしたかさ上げをやりますためには一年かかる。事実上なかなかむずかしいのであります。それで後進地域のかさ上げ立法のときには技術的な問題もございまして精算払いにせざるを得なかったわけでございますが、県でもそうでございます。市町村になりますと、なおむずかしくなります。しかし、おっしゃるとおり概算払いができるじゃないかというお気持ちはよくわかるのでありまして、実は私どもも最初考えたときには概算払いの規定を持っておったわけでございます。ところが、それじゃなぜそれをあっさりとおりたのかというこれはおしかりになるだろうと思いますけれども、これは、その年度の国家財政の問題、事業の中身の問題、現在どのくらいの事業量があるのかかいもくわからぬわけでございます。そういうような問題がございますので、一応はこの際は精算払いに最初から踏み切って、概算払いの規定はあきらめたのであります。具体的に事業を進めてまいりますと、毎年だんだんと進んでまいりますので、最初の年は資金繰りに多少苦しい。しかし翌年からは一年ずれの形になる。そういうものもあるわけですが 市町村によりましてはそうはいかぬ場合があるかもしれません。したがいまして、それは、もう少し事業を実際にやってみまして、その結果非常にふぐあいがあるということであれば、お説のような問題も十分検討してまいりたい。この際は、そういうような交渉の経緯を経まして実はこういう形でまとまったわけでございますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  44. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自治省のほんとうの腹はやはり概算払いにあったのだということをお聞きしたので、私は冒頭、田川委員の本会議における趣旨に賛成だから、ひとつずばり自治省の考えを言うてくれというのは、そういうことから言っているのですから、あんまり表立ったこと、きれいごとばかり言っていただくと困りますから……。引き続いて御質問します。  この問題に関して、自治省はかねてから、端的に申し上げますと第四十六国会ごろから、やはり何らかの財政措置を講じてやらなければならぬ、こういう熱意で努力されておったのですが、頑強な大蔵の反対にあって日の目を見なかったということを仄聞いたしております。  そこで私がお尋ねいたしたい点は、今度はまあ、やいのやいの言って、八千万円というものだけが予算面にあらわれたとにかく数字なんですが、自治省は、基本計画は当時まだきまっておらなかったのでありますけれども、予想される基本計画を国と地方団体とが一丸となって推進していくためには、どの程度財政措置を国のほうで見てやらなければいかぬというものがあったと思うのです。大蔵との折衝の結果こうなったのだということは、それはもう結果が出ておりますからお尋ねしません。自治省のいわゆる当初案ですね。ある雑誌にこの問題が出ておりました。うそかほんとか知りませんけれども、こう書いてあるのです。自治省の当初案による国の財政援助額は、昭和三十九年度において六十億円、四十年度以降は百億ないし百五十億円程度財政措置をせぬと、新産都市——当時まだ工特法はできておらなかったのですから、新産都市の建設は市町村としてはできないのだ、こういうようなお見込みを立ててやったのでありますが、それが今度あらわれた結果でございます。それに対して、雑誌はこう書いております。空中分解せずに——この基本計画の実施がですよ。空中分解せずに前進できる見通しが完全にくずれた、こうある経済雑誌に書いてあります。   〔藤田(義)委員長代理退席、委員長着席〕  そこでお尋ねしたいのは、自治省の当初計画はこの雑誌に書いておるような内容であったかどうか、ずばりひとつお聞かせいただきたい。
  45. 柴田護

    柴田政府委員 確かにそういう時代がございました。なぜそういう時代があったかといいますと、私ども実は七年計画で全部新産都市基本計画を達成をする、もう一つは、そのときには実際問題として国の補助事業だと申しましても、補助事業にもいろいろございますが、それに関連する事業というのがたくさんあるだろう、つまり、補助関連の単独事業と申しますか、補助事業に誘発される単独事業というものがあるだろう。このものも市町村に参りますと相当な額になるだろう。ここには継ぎ足し単独の問題も起こってまいりましょうし、いろいろ問題があるだろうから、そういうものも一応心の中に入れてまいらなければ市町村が困るだろうということで、単独事業も含めて実は計算をしております。ところが折衝の過程におきまして、単独事業の問題は、かさ上げということになりますと、単独事業の問題にはずれてくるわけでございますので、あとの部分が落ちてしまう。一番最初単独事業も全部何もかも一切がっさい入れまして総合的な補助金、総合的な財政援助金を出す、こういう構想でありましたので、途中で構想が変わってきた。変わってきて補助率のかさ上げということになりますと、単独事業というものがそもそも補助金がないんですから、落ちざるを得ない、こういうことになって、だいぶしぼんだというのが姿でございます。
  46. 細谷治嘉

    ○細谷委員 話を進める前提でありますから、洗いざらいお聞きしたいのですが、他の公共事業との関係で、いまのおことばですと、いかにも合理的にしぼられた、こういうお話に誤解される向きがあるわけです。新産都地区の計画に対して、自治省は三十九年から四十五年までの前半において、おおむね公共投資が二兆六千五百七十三億円程度になるだろう。その場合の県と市町村負担額というのは一兆七百十六億円ぐらいになって、したがって地方団体負担額が四〇・四%になるというのが当初見込みなんです。ところが、あとで詳しくまたこの辺をお聞きしたいんですけれども、経済企画庁の三十九年度の事業実績というものを見てみますと、これが今後の基本計画負担の基礎になっているわけです。その場合の県の負担は二〇%です。市町村負担は一九%、合計して三九%であります。四〇・四%と三九%とあまり変わりません。ですから自治省が当初考えられた案というものは、具体的の基本計画内容に変更なしに、ただ単に大蔵との折衝で圧縮された、いまの数字から考えますと、こういうこと以外にないと思うのです。ですから、それはもう折衝の結果こうなったんだ、当初計画とは大きく違っているんだ、これは現実にあり得るんですから、私も認めて言っているんです。自治省のこの問題推進に対する基本的態度というものに関連するからお尋ねしているわけです。仕事の種類が変わったとか、構造が違ったとか、圧縮したとかいう問題ではなくて、基本計画と同じ構造で議論されておって、百ないし百五十億円程度の助成をしなければできないと自治省が見積もっておったのが十分の一程度になった。これはあとでお聞きしますけれども、この法律の措置は大体十五億円程度だろう、そういうふうに言われておりますから、十分の一になったということですね。たいへんな狂いがあるわけですから、その辺の経緯をお聞きしているわけです。
  47. 柴田護

    柴田政府委員 お話しの私どもの計算いたしました最初の案のときは、公共投資が七年間で二兆九千億であったと思います。二兆九千億の七分の一、つまり均等にやられるということで、七分の一の計算をして、そして経費概算を出して、負担の概算を出した、こういう経緯がございます。その後基本計画策定の段階において、経済企画庁の手元で調整されました結果、七年計画が五十年まで延びた、昭和四十五年までの七年間の目標が二兆三千億に減った、こういうことが一つ。  もう一つは、先ほど申し上げましたように、単独事業が落ちてしまっておる。これは私どもの持っておりました構想と大蔵省が持っておりました構想と、いろいろ話し合いをして、結局妥協したのでございますけれども、私どもは当初の構想を一応捨てたわけであります。したがって後進地域方式に切りかえた。大蔵省も起債だけのものを利子補給に切りかえた。そして妥協の産物として、お手元で御審議願っておりますような法案にまとめた、詳細な経緯はそのようであります。十五億と申しますのは、幾ら少なくても十五億だ、と申しますのは事業がどれだけつくかわからない。事業のつき方と、つく団体の財政力とによって左右されるわけであります。そこでほんとうからいいますならば、先に事業計画がきまって負担額が出て、それに対する財政力計算があって、それから援助方式というものが出てくるというのが本筋でございます。しかしこの場合は、これだけの事業をやるのに、地方団体負担が持たぬということはわかり切っておるのじゃないか、とにかく計画を立てるのにも、どういうことになるのかわけのわからぬようなことでは計画が立ちようがない。そこで先にそういった援助ルートというものをしがなければ、計画の立てようがないのじゃないかということで、先に援助ルートをしこうとしたものですから、具体的に幾ら補助率がかさ上げになるか、幾ら補助金がふえるかという計算があとになってしまった。現在のところでは、全く市町村のかさ上げ額というものは見当がつかない。しかし過去の実績等から推算をすれば、幾ら少なくても十五億くらいだ、事業費がもっとつけばもっとふえる、こういうことになるわけでございます。はなはだ不安定な話でございますけれども、そういう経緯から出たのでありますので、現在のところの積算ではそういうことにならざるを得ない、こういうことでございます。
  48. 細谷治嘉

    ○細谷委員 十五億云々の問題については、また後ほどさらに御質問しなければならぬわけです。  次に御質問いたしたい点は、先ほど申し上げたのですが、四兆三千億という十三の地区の新産都市計画、それから六つの工特地域の基本計画二兆円、合計六兆三千億という基本計画でございます。昭和五十年まででございます。ところが計画は三十九年から五十年までの十二年間だといまだに言っておりますけれども、現実は三十九年というものは済んでもう四十年、十一ヵ年ということになると思うのですが、そういたしますと事実上は十年と見ていいと思うのです。それではその六兆三千億の負担区分というものはどうなるかということについて、自治省はどう見ていらっしゃるのか。先ほど四〇・四%ということを私引き合いに出したのでありますが、計画全体を突っ込んで、どういう負担区分になるとお見越しになっておるか、お尋ねいたします。
  49. 柴田護

    柴田政府委員 全体として幾ら地方負担になるかという問題は、実は経済企画庁の計算からはわかりません。ただ私どもは、各地元でそれぞれこの基本計画に基づいて事業を予定しておりますものから推算をしたものがございます。それでまいりますと、三十九年度から四十五年度までの事業でいいますならば、新産業都市の建設事業費が二兆三千四百十六億、そのうちで国庫負担金が五千八百三十億、それを除きました地方負担総額が九千五十億ということになります。これを地方債一般財源とでやるわけであります。県と市町村事業の比率は大体半々ぐらいじゃないかというように推定いたしております。また、工業整備特別地域の整備事業につきましては、まだこの辺のところは固まっておりませんので推算がついておりません。
  50. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まだ基本計画に対する負担区分はわからないということでありますけれども、実は委員長にお願いしたいのですが、次会にはこの基本計画等についてさらに突っ込んだ質問もいたしたいと思いますので、ひとつ経済企画庁の責任ある人にもおいでいただきたい、こう思っております。  これは実は経済企画庁からいただいた資料でございますが、経済企画庁はこう言うんです。この六兆三千億というものは、おおむね三十九年度の負担区分というベースでいくだろう、そういうふうに想定をいたしております。こういうことであります。それによりますと、三十九年度の事業実績の経費負担別はこういう形になっております。国庫負担が二一%、県負担が二〇%、それから市町村負担が一九%、地方公共団体関係公社、事業負担が二%、国鉄、電電公社その他の負担が三八%、こういう数字になっております。そこで、県と市町村負担は、二〇%と一九%でありますから先ほど申し上げましたように三九%という数字になるわけでございます。そのうち、この計画の中で県と市町村に対しましては大体地方債が許可されますから、その地方債が約五一%を占めております。市町村負担が三千三百八十二億円、これは新産都関係だけでありますが、それに対して五一%の起債が認められております。私は全部について計算したわけでありませんけれども、個々の地域について二、三試算をしてみますと、一九%というのはやはりこれでは足らないで、最低二五%くらいになるというのが私の計算であります。これに、せんだって田川委員が本会議で主張されました超過負担——現実に建設省がこの基本計画にのっとって道路整備計画というものを出しております。その道路整備計画の中に、一割ないし一割五分は単独事業ですとこう書いてあるのですから、建設省の意図は全部が公共事業ではありませんぞともうはっきり言っているのです。一割ないし一割五分はこれは単独事業でございますと言っておる。これは一〇〇%手持ちの資金です。そうなってまいりますと、私がいま申し上げたように、やはり一九%ということはこれは経済企画庁のデスク上の数字にすぎないのであって、実質はやはり最低二五%になるのではないかと見通しております。この点自治省はどういうお見通しに立っているのか。この経済企画庁の数字を是認されるか。私の見通しというのが誤りでなと言いえるのか。さらにもう一つ、五〇%程度、半分程度地方債ということになっておるわけでありますが、この地方債というのに対しては今度提案されておる法律、いわゆる通常の負担額というワク内なのかワク外なのか。この辺は予備知識として伺っておきたい。
  51. 柴田護

    柴田政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、経済企画庁のおっしゃる数字とは、若干私どもは上回った推算を立てておるわけでございます。それがお話しのように二五%になるものやら二三%にとまりますものやら、それはちょっといまのところ、初年度を経過してみませんと傾向線がつかめませんので何とも言えませんけれども、いまおっしゃいました経済企画庁の推算よりはおそらくふえるだうろというように、私ども過去の経験から見ましてさように考えます。  それから起債の問題につきましては、この四十億の別ワクを用意しておりますけれども、これもこの計画地方債の中には含まれておるわけでございます。通常の地方債の充当率だけをやっておったのでは地方財政がもたぬだろう。そこで、事業を促進するという意味の事業が多いわけでございますから、いわゆる先行投資的な事業が多いわけでございますから、その分につきましてはその意味も含めまして地方債の割り増しをする、それが四十億近いものが出る、こういうことでございます。しかしこの四十億で足るか足りませんかは実際に計画がきまってまいりませんと、具体的な事業が個々の府県市町村ごとざにきまってまいりませんと見当がつかないわけでございます。四十億で足りません場合におきましては別の措置を考えてまいらなければなりません。四十億で余ります場合はそれでいいですが、足らぬ場合は足らぬ場合で措置をしてまいらなければならぬということになってくるかと考えます。
  52. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ちょっとこまかいことでありますが、具体的にお聞きしたいのですが、新産都市債として四十億という予算措置がございます。経済企画庁の数字によりますと、三十九年度の実績としては、三百七十三億円というのが県の負担で、そのうち二百四億円というのが地方債として許可されておる、こういう形になっております。私がお聞きしたいのは、先ほど奥野委員からもあったのですけれども、なぜ県と市の区別をしたのか、差別待遇をしたのかという問題が議論としてあるわけですけれども、市町村負担というものは標準負担額というのがありますね。その標準負担額というのをきめる際に、三百三十八億円の地方負担分、三十九年はこのうち百七十二億円という約半分に相当する起債が認承されている。この起債は、具体的にいうと起債も含めた地方負担分三百三十八億というのが標準負担額の計算になるのか、起債を引いたものが標準負担額の分子になるのかということをお聞きしているのです。
  53. 柴田護

    柴田政府委員 その場合は三百三十八億が分子になるわけでございます。
  54. 細谷治嘉

    ○細谷委員 起債も含めて、要するに地方負担額総ワクというのが、起債があろうとなかろうとそれは分子であるということで、市町村の分についてはわかりました。  そこで、これは話をわかりやすくするために、六兆三千億のうちかりに二〇%——企画庁は一九%、私は最低二五%と言っているのですけれども、かりに二〇%といたしましても、年間千二百億円程度市町村負担が基本計画を実施するためには起こってまいります。ところが私が三十八年度について関係市町村の税収総額を調べてみますと、千二百七十億円しかありません。税を全部つぎ込むと、ようやく基本計画の二割ということになり、関係市町村は全部の職員の首を切っちゃって、一切の事務はやらぬ、一切の修繕もやらぬ、入ってきたものは全部この六兆三千億円の基本計画につぎ込むと事業ができるという、ごく荒っぱい計算になりますが、そういうことに確認されますか。
  55. 柴田護

    柴田政府委員 いまの計算は、千二百億という計算、確かにそういうふうになるわけでございますが、これは事業がどういうテンポで行なわれていくか、四十年以降十一年間でございますか、その間どういうテンポで事業が行なわれていくか。ものごとは一挙に飛躍するわけにもいかないわけでございますから、おそらくはある程度のカーブを描いていくだろう。そこで、この千二百億とおっしゃいました地方負担額というものも、カーブを持って、最初はゆるやかに最後は非常にきつく、あるいは最初はゆるやかに中途に非常にきつく最後はゆるやかになるかもしれませんけれども、一つの波は描いていくであろう。同じように税収入のほうもこれはやはり波を打っていくわけでございます。したがって、その間、長期のものでございますから、相互の進捗度合いというものを考えてまいらなければならぬのはないかというように思うわけでございます。またしかし、それにいたしましても、相当の負担がくることはこれは間違いない。それだから補助率のかさ上げもやる、地方債引き上げもやる、こういうことを考えたわけでございます。
  56. 細谷治嘉

    ○細谷委員 放物線ということで、きょう私は資料をいただいたのですが、四日市、倉敷、いずれも税収入は放物線で上がっていくだろう、指数函数的に上がっていくだろう。こういう予想で、開発会社みたいなものをつくって、そしてやみ起債をやって、そして十億以上の予算に載らない借金をつくったのが倉敷市の例ですよ。四日市もそうです。やみ起債です。開発会社ということばは使いませんが、学校を建てるには全部PTAに、そうして最後に負担は全部市で保証するという形でできた借金が、税収二十三億の市に十七、八億のやみ起債が起こっておる。報告があって、自治省もお調べになったのでしょう。放物線に狂いがあったら、放物線のペースにちょっと狂いがあったら、これはたいへんなことになる。ですから私は、この間総理にも質問したのですけれども、五十年までということでこの基本計画をやれるのだ、やるのだ、可能なんだ、私は不可能じゃないかと言ったのですが、可能なんだとおっしゃっておるのです。不可能だということがもうはっきりしておりますよ。五十年までに六兆三千億というこの事業を消化することは、今日の国の財政においても不可能だろう、市町村財政においても不可能でしょう。ちょっとした何億という仕事ですらも十ヵ年計画を立てて そしてもうことし四十年度から九年目を迎えるのにまだ五〇%にいっておらぬという計画、きょうもいろいろ予算委員会分科会で議論されたが、中期経済計画とその前の計画とは一体違うのか違わないのかというと、同じものです。数字は違っております。そういうことになってまいりますと、これはできない。もっと大きな放物線のペースが先行するというならば別にしても、進行しそうもないようなそういう中において、この計画は現実にやりおおせないのじゃないか、不可能ではないか。端的に申し上げますと、この法律に書かれている指定された事業以外のものは、補助率の引き上げも、起債の引き上げも行なわれないのです。そうしますと、市町村でやめるのはまず単独事業をやめる、その次に補助率の引き上げが起こらないような補助事業はやめて、基本計画にのっとったような仕事をやっていく。そういうことになると、どうもこの結果は、一切の単独事業をストップして、この法律に書いてないような仕事は全部ストップして、そして全部の職員を首切って、税収の一切を投げ出さなければできないのが基本計画の実態なんだ。二割と見積もっての話ですよ、そう私は思います。たいへん重要な問題で、もっと掘り下げて質問をしたいのですが、これについてひとつ自治大臣の率直な御意見をお聞かせいただくと同時に、この問題については委員長、やはり経済企画庁等にも掘り下げて質問をいたさなければ全貌がわかりかねますので、次会にはそういうお取り計らいをいただきたいと思います。
  57. 吉武恵市

    吉武国務大臣 細谷先生の御心配の点ごもっともで 私も実は内心心配もしておるわけでございます。それは水島等々を考えましも、従来の計画から見て、ほっておくと無計画に大きく先行投資が行なわれていって、財政に欠陥が出てくるということで、したがいまして、これは十年間のいわゆる四兆三千億の計画をまずつくり、その年次計画をつくり、その年次計画をこまかく掘り下げて、一つ一つについて検討しながら実行を進めていかないと、ただばく然たる事業量でやりますると、細谷先生の心配のようなことになりがちだと私も思います。これは基本的には企画庁が考えておることでございまするけれども、企画庁の年次計画がきまりますれば、私のほうといたしましてもそれにのっとりまして、具体的な指導といいますか、財政的な措置を考えていかなければならぬと思っております。この点は十分注意をしながら遺憾なきを期したい所存でございます。
  58. 中馬辰猪

    中馬委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十七分散会