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武井参考人 ただいま御指名になりました
武井でございます。私が当
委員会に
参考人として御指名いただきましたのは、主として中小の
証券業者の
立場から
参考意見を申し述べよということだと承っておりますので、主としてその
立場で、私なりに感じておりますことを申し上げる次第でございますので、そのお含みでお聞き取りを願いたいと存じます。
これまで私
どもが支配されてまいりました古いただいまの
証券取引法に対します私
どもの経験からいたしまして、今回御提案になりました新
法案に対しまして、特に中小
証券業者といたしまして、どういう感じ方をいたしておりますかということを率直に申し上げて、御
審議の御
参考に供したいと存じます。
〔
藤井委員長代理退席、
委員長着席〕
本来このような重大な
改正は、
証券市場のあり方ということについて、お役所が持っておられるところの総合的なビジョンと申しますか、あるいは青写真と申しますか、これから私
どもが目ざしいかなければならぬところの
構造的な目標をまずお示し願ってその一環として決定されることが、実は私
どもとしては望ましいところでございますが、ただいまの
参考人もおっしゃいましたように、公共的な
証券業の職責にかんがみまして、とりあえずこのような
改正がなされるということ自体につきましては、必ずしも反対をいたすわけではございませんし、賛成をいたしておるわけでございます。しかし
免許制がもっぱら
条件や
規制の強化に集約されるということであれば、私
ども中小
証券業者といたしましてはますまま萎縮いたしましてついていけないという感じにもなろうかと存ずるのでございます。
御承知のように
証券界は遺憾ながらその基盤が弱く、私
どもといたしましてはあたたかい育成強化という
方向で、
免許制のもとにおきましても、できる限り
取引所あるいは
証券業協会等の自主
規制におまかせを願いながら、
実情に即した無理のない
証券行政を
期待いたしておる次第でございます。
しかし先般私
どもは
証券局の担当の課長さんから、この新
法案につきまして御説明を伺いました。その御説明によりますと、たいへんあたたかい思いやりのある御説明でございましたので、私
ども中小
証券業者もみな安心をいたしておりますわけでございますが、考えてみますと現在のそういう担当の
方々が、ただいまの地位に御在任中は心配ははないといたしましても、担当官がかわられましたときに、あるいは不安があるのではないかというのが私
どもの率直な感じでございます。と申しますのは、
改正法案を拝見いたしますと、重要な点に関します条文が抽象的と申しますか、非常に幅広い解釈ができる条文が多いように見受けますので、実際には政令なり省令なりあるいは日常の
運用のしかたによりまして、非常に違ったものになってくるように感ずるのでございます。
そこでぜひともお願い申し上げたいことは、何とぞ御
審議の過程におきまして
法律案の条文につきましては、その条文の解釈または
関係政令あるいは省令の
内容、あるいはまたその他
運用上の限界等につきまして、できる限り明らかにしていただきまして、そして記録にとどめていただきたいと希望いたす次第でございます。私
ども中小
証券業者といたしましては、その辺のところを十分見きわめまして、私
ども自身の今後あり方等について勘考いたしたいと存じております。と申しますのは、実のところ私
ども中小
証券業者は単に
業界が不況というばかりではございません。進退の岐路に立たされておるような気がいたしまして、はたしてこのまま
証券業を中小業者として続けていけるのかどうか、続けていけるといたしますればどうすればいいかというようなことで日夜苦心しておるわけでございます。一昨日のダイヤモンド日報によりますと、東京
証券業協会の百四十社中少なくともこの
免許制が実施になりますと三割近くが廃業か、あるいは他社と合併によって整理されるだろうということが書いてございます。私
ども中小
証券業者特に小
証券業者はみなこういう不安のうちにこの
改正案の御
審議を見守っておる次第でございます。
以上申し上げました私
どもの感じ方からいたしまして、御提案になりました
改正案のうち二つの点について簡単に私の考えを述べさしていただきたいと思います。
第一は、第三十一条及び第三十二条に
証券会社の
資本金の
規定がございますが、その中でたとえば元引き受け業者の
資本金は相当大幅の引き上げをお考えになっているように伺っておりますが、この点につきましては、私
どもといたしましては、現在のまま、すなわち昭和三十八年六月二十五日付の政令第二百十九号による
資本金をもって
免許の
条件としていただきたいのでございます。私
どもといたしましては、その政令に従いまして正会員は昨年の十二月末までに所要の増資を完了したばかりでございます。また非会員——非会員と申しましても
取引所会員でない業者でございますが、これは同政令の定めによりますと、その増資の期限が本年末でございます。つまりまだその政令の期限内でございます。どうかそういう点もお考えいただきまして、私
どもの小さい
証券業者にとりましては
資本金の問題はそのきめ方によって致命的な問題でもございますので、その辺の事情をおくみ取りの上十分あたたかい御指導をお願いする次第でございます。
それから第六十四条に
外務員の権限に関する
規定がございますが、これは顧客に悪意があった場合を除いて、
外務員はあたかも代表取締役と同様の権限を有するもののようにみなされておりますが、実際問題といたしまして、悪意の立証ということはきわめて困難な場合が多いばかりでなく、どういう場合を悪意というのか必ずしも明らかでございません。そのために
証券業者が不当な
責任を負わされる結果となることを懸念しているわけでございます。また顧客の故意とかあるいは過失を認める場合というのはどういう場合を申すのか、その他
証券会社の免責
条項をできますならば具体的にお示しいただきたい、かように考える次第でございます。しかしながら、そう申しましても、私
ども証券会社といたしまして負うべき
責任を回避する考えは毛頭ございません。また事実従来とも負うべき
責任は負ってきたというふうに考えておるわけでございますので、その辺のところを十分おくみ取り願いたいと存じます。
いずれにいたしましても、事故防止と申しますことは、私
ども証券会社といたしましても、顧客の保護及び自己防衛のためにもいろいろと
努力はいたしておりますが、なかなか事故がなくなりませんということはまことに申しわけないと存じておりますが、一方事故防止は私
どもの経験によりますと顧客の御協力がある程度ございませんと、なかなかうまくまいらぬのでございます。そこで、できますならば、
規定の上からも、顧客に対して、ある程度御協力をお願いできるようなことにしていただきまして、正常な
証券取引の慣行の確立ということに官民の御協力が必要ではないかと痛感する次第でございます。
最後に、
証券界の
現状では、先ほ
ども申しましたように、遺憾ながらまだ新法に対しまして受け入れ態勢が十分に整っておるとは言えない状態であることをまことに遺憾に存ずる次第でございますが、当面
証券業者の育成強化についてこの上とも御配慮くださいますようにお願い申し上げまして、私の陳述を終わります。
ありがとうございました。