○渡邊(喜)
政府委員 山陽特殊製鋼の問題でございますが、この
会社につきましては三十八年ころから私
どもとして
相当注目をしておりました。
私のほうの仕事のやり方をちょっと申し上げさせていただきますと、年間約二千程度の親事業者を対象としまして——もっともこの親事業者の数は本社でありませんで、事業所ごとに計算されておりますが、定期的に年四回に分けまして、支払い状況の照会を出しております。その照会を中心にし、同時に
下請企業者のほうから名前を出して、あるいは匿名でもってこの
会社の支払い状況が非常に悪いという申し出がよくあります。ただこれは、なかなか
下請業者としては苦しいところでございまして、名前を出すときには、大体
下請関係はこれでおしまいだというときの話のようであります。相変わらず
下請関係を続けたいというときは、匿名の場合におきましても、できるだけこういったことが
下請業者から出たということを親
会社に知らせてほしくないという希望があるようでございます。私のほうではそういう点も考えまして、匿名の場合においては定期
調査の中に入れまして、そして書面で
調査し、それでもって出てきました
関係で、いまの法律に違反していると思われるもの、そうした匿名である場合におきましては、特にそれを中に入れまして、そうして年間約二百ちょっとの件数について
実地調査を行なっております。その場合におきましては、親
会社のほうを
調査しますとともに、不請業者のほうも
調査をする、こういうやり方をとっております。
ところで、この
山陽特殊製鋼の問題でございますが、三十八年の当初におきまして、いわゆる滞留月数とわれわれは呼んでおりますが、これは品物を受け取りましてから、検収の期間は別に考慮しませんで、手形または現金——これは原則として現金で払うことになっておりますが、現金で払う場合における状況というものを調べてみますと、調べてみましたときの
報告では、滞留月数が三・一六カ月、それから
手形サイトが二百四十六日、きわめてひどい状況にありました。そこでわれわれのほうとしては、さらに書面の往復をしまして、同時に多少触れましたが、三十八年の十二月に立ち入り
検査をいたしました。そうして
昭和三十九年の五月の
実態を見ますとかなり改善されておりまして、滞留月数は一・〇三それから現金と手形の割合は、現金が二割九分、手形は七割一分、手形のサイトは通常が百三十三日、最高が百六十四日、こういうような状態にありました。私のほうの現在の法案の解釈としましては、六十日以内に現金で払うのが原則だ、手形を支払う場合においてもそれが六十日以内に現金化される手形でなければいかぬ、こういうふうな解釈、それも通常の
金融機関でございます。したがいまして、それから見ますと、まだこれではいかぬということで、そこで問題に取り上げたわけでございますが、当初に比べますとかなり改善されていたというので、主として行政指導によってこれの改善方をということでやってきたわけであります。
ただ、私のほうで
調査対象にしております
下請業者と申しますのは、これはすでに御承知だと思いますが、
下請代金の法律にありますように、
下請業者としても資本金五千万円以下とか、あるいは三百人以下とかといったような、いわゆる中小
企業に属するもの、したがってそういうワクをはみ出ている
下請業者というものは、現在の段階では、私のほうとしてはちょっと手が届かないということで、それからまた製造委託なり、修理委託というものを中心にしているわけで、材料業者の
資金も一応これのワクの中に入っている、あるいは
建設関係の
下請もこれに入っている、限られた範囲であるというところが、いわゆる
下請業者という範疇とちょっと違う点があることも御了承願いたいと思います。
そういうふうになってまいりましたところ、今度の事案が発生した結果を見てみますと、これは通産局の調べを私のほうでは現在のところいただいていますが、私のほうのそうした範疇に入っている
下請業者の数が三十七社、同時に推定債務額は三億五百万円、それでこの
会社は、いろいろ聞いてみますと、やはり
下請業者が
相当出たり入ったりといいますか、出入りが
相当激しかったようであります。私のほうでもってつかまえて、少しわれわれのほうのやり方も手ぬるかったと思いますが、特に目をつけていた
下請会社というもの以外の新規の
下請会社が十九社ございまして、これの
関係が三千百万円、これから支店の扱いのものが六社ありまして、これは五千五百万円、これは東京とか名古屋、大阪に支店がありまして、需要者の希望するサイズに特殊鋼を切るということの
下請をやらせておるわけですか、私のほうの
調査が本社のほうに集中していたものですから、これは私のほうの
調査の中には入っておりませんで、この六社が五千五百万円、それから私のほうで問題にしておりましたものが六社、これが九千八、百万円、それからこれも私のほうの立ち入り
検査のちょっと行き届かなかった点でありますが、もう少し立ち入り
検査が行き届いておりましたら、つかまえられていたと思われるものが実はもう六社あるわけであります。これが一億一千九百万円、そういうわけでありまして、私のほうでやかましく言った
会社については、少なくとも地方事務所のほうの
報告によりますと
相当改善されている。ところが私のほうでやかましく言わなかった分については、これは全部なおざりにしていたというので、おっしゃったような事態もあったのじゃないか。実は昨日も
決算委員会でいろいろお話がございまして、私
どもも
一つの機会ですから、この機会にわれわれのほうの仕事のやり方も大いに反省してみたいという気持ちもございますので、近く
委員の人と
相当の事務局のスタッフをつけまして、そしてわれわれのほうの仕事のやり方についてもトレースしていく。それから
山陽特殊製鋼の
下請関係について
下請法の
関係の分はもちろんのこと、もう少し広い範囲にわたってのこの
関係を調べてみよう。あるいは手形のサイトの問題についてもどんなふうな状況であるか、それがどんなふうに改善されていくべきか、あるいはわれわれのほうとして、独禁法の立場としてどういうふうな取り締まりをなし得るか、実は多少時間的におくれたことは遺憾でありますが、いままでは出先の書類を中心に、あるいは通産局などの御
報告を中心にわれわれのほうとしては内部的な
調査をしておりましたが、どうもそれではやはり十分じゃないということを痛感いたしましたので、早々
委員の一人とそれから事務局をつけまして現場へ行って、私のほうの角度から過去における私のほうの仕事のやり方、あるいはそれの不十分さ、あるいは将来の改善策、こういうものを全部徹底的に反省し直してみようじゃないか、かように考えております。いずれ
決算委員会のほうでも御要求がございましたし、そうした
現地についての
調査の結果が出ましたらば、要すればこの
委員会においても御
報告申し上げることにいたしたい、かように考えております。