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1965-03-25 第48回国会 衆議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十五日(木曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 吉田 重延君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 藤井 勝志君 理事 坊  秀男君    理事 山中 貞則君 理事 有馬 輝武君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       天野 公義君    岩動 道行君       鴨田 宗一君    木村 剛輔君       木村武千代君    小山 省二君       齋藤 邦吉君    砂田 重民君       田澤 吉郎君    谷川 和穗君       地崎宇三郎君    西岡 武夫君       濱田 幸雄君    福田 繁芳君       毛利 松平君    渡辺 栄一君       渡辺美智雄君    佐藤觀次郎君       只松 祐治君    平岡忠次郎君       平林  剛君    藤田 高敏君       横山 利秋君    春日 一幸君       竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         大蔵政務次官  鍛冶 良作君         大蔵事務官         (主税局長)  泉 美之松君  委員外出席者         国税庁次長   喜田村健三君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  所得税法案内閣提出第八八号)  法人税法案内閣提出第四九号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第七八号)  所得税法及び法人税法施行に伴う関係法令の  整備等に関する法律案内閣提出第一一二号)      ————◇—————
  2. 吉田重延

    吉田委員長 これより会議を開きます。  所得税法案法人税法案租税特別措置法の一部を改正する法律案及び所得税法及び法人税法施行に伴う関係法令整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。平岡忠次郎君。
  3. 平岡忠次郎

    平岡委員 私の本日の質問は、一、税法通達との関係、二、税法で認めらるべき会計方法、三、非課税所得としての旅費実態、四、法人税法案の第三十七条第六項における時価の概念、この四点にしぼり、質問を申し上げたいと存じます。時間の制約がありますから、答弁は簡潔に質問焦点に対応するようにお願いいたします。  まず第一の課題である税法通達との関係についてお伺いいたします。私たちは大蔵委員でありますがゆえに、しばしば苦情とか相談とかを納税者から持ちかけられているわけでありますが、納税者のこぼす話のうちに、税務署に行って相談したら、国会議員先生方によってつくられた法律だから、われわれにはどうすることもできない、文句があるなら国会議員先生方に言ってくれと、無情にも突き放されてしまいましたという事例がはなはだ多いのであります。同僚委員の各位もこの点ではしばしば覚えのあることであると考えます。国税庁長官はまだ見えてないですか。では主税局長に。税法における通達は現在国会コントロールによらないのだから、かかる逃げ口上を使ってはならぬという、そうした通達をこそ国会議員の名誉のために出すのが至当だと思うが、これをどう考えますか。国税庁長官答弁を求めるべきでしょうが、泉主税局長からかわってお答えを願いたい。
  4. 泉美之松

    泉政府委員 通達法律的な性格につきましては、もうすでに御承知のとおり国家行政組織法第十四条第二項に基づく上級官庁から下級官、庁に対する訓示、命令でございますので、その拘束力下級官庁にだけ及ぶのでありまして、それが国民拘束することはないということでございます。したがいましてもし税務職員がその通達に従ってこうなるのであって、もしそれに文句があるなら国会議員さんにというようなことを申すとすれば、それはそのようなことを申すべきではありません。したがって国税庁のほうにおきまして税務職員に、そのようなことを申して言いのがれをするというようなことは、してはならないということを訓示すべきものだと考えます。
  5. 平岡忠次郎

    平岡委員 泉さんから明快な答弁をいただきました。私のいささか皮肉った通達方要請内容をもう少しふえんして申し上げますと、現在は基本法律国会の手によって成るが、通達国会コントロールによらないのであるから、逃げ口上はいけない。しかし遠からず国会コントロールのもとに法律行政通達もすべて包括せらるべき法体制を樹立するから、その暁は、問題があるなら堂々と先生に向かって言ってくれと言ってもよろしい。くれぐれも念押しをするが、いまはいかぬぞよという、そういうあなたの部下に対しての通達があってしかるべきと思うが、どうであるか。
  6. 泉美之松

    泉政府委員 私がお答えするのが適当かどうかわかりませんけれども、いま申し上げましたように通達性格からは、そういうことが言えるわけであります。将来それがどういうふうに国会コントロールのもとになるのか、その辺のことはまだ私よくわかりませんけれども、現段階におきましては御趣旨のとおり、通達に書いてあることによって言いのがれをするということは、適当でないと思います。ただ通達事項の中におきましては、税法で明らかにされていることを念のために通達しているものもございます。したがってその通達が、税法規定されている事柄を明らかにしているにすぎないという場合におきましては、これは税法そのものでそうなっている場合もございますので、そこは通達内容によって判断しなければならないと思います。
  7. 平岡忠次郎

    平岡委員 泉さんの答弁答弁といたしまして、要するに事実はいま問答のあったとおり、現在税務通達に対して国会コントロールが及んでおらずに、国民長官制定した通達によって直接拘束されて、税金を払わされておる。通達下部機関及び部下管理だけを拘束すると言われるが、実態下部機関を越えてほとんど一〇〇%納税者拘束しているのが現状であります。国民大衆はまことに希有な例外として裁判所に仲裁を求めたときにのみ通達拘束から解き放たれるにすぎないのであります。しかしながらこのような税法通達との関係、言いかえれば議会通達との関係は異常きわまるものでありまして、民主的近代国家にあってはその例を見ないものであります。一昨日来、本委員会質疑応答の中で、日本通達に相当するアメリカのレベニュー・ルーリングは、国会における公式解釈用語もそのままに的確に反映し、国会通達に対するコントロールは、米国においては完ぺきであることが理解されたのでありますが、ただに米国にとどまらず、英国においては、国税庁通達税法上に正当な位置を与えられ、かつ年に一度国会に上程して正式にその承認を求めなければならないことが明定されておるわけであります。必要とおぼしめす方は、英国所得税法第六十六条を御照覧願いたいのであります。また西ドイツにおいては、所得税及び法人税は、各州政府の管轄するところでありまして、西ドイツ連邦財務長官制定する通達、これはドイツ語でリヒトリニエン、翻訳して解釈指示ともいうべきもの、つまり通達は、連邦基本法の第八十四条二項、第八十五条の二項及び第百八条六項によって、各州議会承認を得なければ施行できないことになっており、ともに国会によるコントロールはこれまた完ぺきであります。ひとりわが国のみは、異常にも税法通達との間に法律構造的な連携がなく、通達国会コントロールを離れて、独善的に官僚の恣意のままに制定されているのが現状であり、民主的税制からほど遠い封建性後進性の中にとどまっているわけであります。今日の税務当局者は、洋服は身につけ、そして六法全書を小わきにかかえ込んで、モダンスタイリストではございますけれども、その法的構造から見た実態というものは、前時代的なものがありまして、佐倉宗五郎を奮起せしめた時代の代官様と、さしたる違いはないときめつけられてもいたしかたがないのであります。事ここに至らしめたことにつきましては、国会側にもその責任がないわけではないと思います。したがいましてここで質問はただ一つでございます。  まず大蔵省当局は、この封建性後進性を脱却する改正点が今回の税法案に皆無であることを認め、再改正をすぐにも手がけ、この法律構造上のギャップを埋める熱意があるのかどうか。主税局長及び国税庁長官代理喜田村さんから、あわせ御答弁をいただきたいと思うのであります。主税局長が一昨日、当委員会ですでに答えておりまするがごとき、通達制定後に単に資料として大蔵委員にそれを配付することをもって能事足れりとするがごときは、問題のすりかえにほかなりませんのでありまして、通達税法上の地位を与えることと、通達をして国会コントロールに服さしめることを、法的構造として確立する考え方の有無を聞いておるのでありまするから、これに焦点を合わせて明確な答弁をお願いしたいのであります。
  8. 泉美之松

    泉政府委員 先般お答えいたしたように、外国通達についての法的構造がどういうふうになっておるか、私、あまり詳しくは存じておりませんけれども、ただいまお話のような各国の例の中で、イギリスなんかがそうでございますけれども、税法の中に規定されているというおことばでございますが、イギリス所得税法の中においては、まず第一に税務官庁組織権限についての規定日本でいえば行政組織法に関する規定所得税法の最初のほうにございます。ちょうどイギリス所得税法の六十六条の規定というのは、わが国行政組織法第十四条第二項の規定税務官庁について特別に規定したものでございまして、そういう意味ではわが国では法体系が違っておりまして、税法の中にそういう行政組織法を入れておらない、そういったことのための差が出ております。ただそういう通達制定権限規定はそういうことでございますが、それではそういうふうにしてでき上がった通達が、国会との関係でいかに国会コントロールのもとにあるかにつきましては、私まだそれほどつまびらかにいたしておりません。これらの点につきましては、なお諸外国の例なども研究いたしまして、今後のわが国のあり方について検討いたしたい、このように考えておるのでございます。
  9. 平岡忠次郎

    平岡委員 熱意があるかどうか。
  10. 泉美之松

    泉政府委員 いま申し上げたとおりでございまして、各国事例もよく研究いたしまして、検討いたしたいという熱意を持っておるわけでございます。
  11. 喜田村健三

    喜田説明員 いまの法体系の位置づけにつきましては、いま主税局長から答弁申し上げたとおりでございます。それでわれわれ実務担当者として見て、はたして現在のやり方で非常に弊害があるかどうか、実害が生じてきておるかどうかという問題、それをなくするためにどういうような保障があるかという問題が、われわれとして答弁すべき範囲になると思うのでございますが、いま御質問の中に、事後に出しているということは全然意味がないから、事前に出せというお話がございましたが、現在われわれといたしまして事後委員会提出いたしまして、もし御意見があればいつでもすぐ直すという態勢を整えております。もしそれが立法者の御意思と違うということになりますれば、すぐこれはいつでも直すということで、ほとんど実質上事前に御意見と御審議をいただいたとあまり差のないような方法を保障しようといたしております。またそれではどうして事前では悪いかという問題があるだろうと思います。一つ事柄性格からいって、先ほどおっしゃいましたように内部の職員拘束する訓令であるというような事柄性格もございます。もう一つ法令がいろいろ変わりますと、すぐ通達を出さなければならないし、納税者は早くそれで申告しなければならないということで、一日も早く出ることを待っているわけであります。もちろんわれわれとしても即刻出すように努力をいたしておるわけでありますが、なかなかその審議あるいは納税者意見を聞く、あるいは業者団体意見を聞く、そういうように通達を出すまでの間にいろいろの民間の意見を取り入れる段階を経たりいたしますので、通達が出るのが非常におくれるということがございますので、なるべく早く出したいということのために、一応こちらで通達として出さしていただいて、あとの御審議で御批判いただくというようなやり方をやっていきたいと思います。  それからそれでは納税者は保護されないではないか、裁判所に出るまでは通達がたとえば法律に違反していても、裁判所という非常に例外的な場合しか保護されないではないかという御意見がございます。この点につきましては、現在御承知のように協議団審査事案審査いたします。協議官ももちろん税務官吏でございますから、国税庁長官訓令拘束されるわけでございます。しかし第三者的な立場で審査をするという協議団性格からしておかしいということで、現在国税庁協議団が協議決定する場合に、この通達法律に違反しているじゃないかということがあれば、すぐ国税庁長官に上申しろ、必ずしも通達に書いてあればすべてそれに従えというようなやり方ではなくて、通達法律に違反しているというような場合には、その意見を申し出て、それまで審査決定を待つというような取り扱いをいたしておりますので、そうした段階でも通達法律違反という場合には、拘束されるという実務上の運用もいたしております。そういったいろいろな方法を通じまして、通達法律範囲を逸脱するということのないような運用をはかっておるところでございます。そうしたやり方でもって今後とも通達に対する国会意思を反映するということにつきましては、こういったようなやり方を依然として踏襲さしていただきたい、こう存じております。
  12. 平岡忠次郎

    平岡委員 御答弁現状に拘泥し過ぎていると思う。そうではなしに、諸外国の例をいま私が申し上げたのですけれども、国会通達関係法的構造の上で非常に密着している。完ぺきに近いものになっている。それから比べると、わが国通達国会との間の関係が非常に粗略にしかなっておらぬということ、それについて猛省を促すという意味で私は申し上げているのですが、喜田村さんは遅刻されてきましたので、私が前段申し上げたようなことを速記録をよく見ていただきまして、私の言わんとするところを味読の上、今後の対策、方針を謙虚に立てていただきたい。このことを強く要請いたしておきます。  次の質問に移ります。等二の課題は、税法で認められるべき会計方法についてでございます。金融引き締めの昨年からことしにかけまして、中小企業に多大な犠牲を生じ、毎月四百ないし五百の割合で倒産が相次いでおります。しかもそのうちの多くの部分が黒字倒産に属するものと聞いております。私は倒産要因一つとして、税制が伏在していると考えるものであります。すなわちわが国税法における発生主義会計方法、換言すれば権利義務確定主義会計方法が危殆に瀕した中小企業に追い打ちをかけ、この惨状をもたらしていると考えるからであります。御承知のとおり国税、地方税を合わせて、わが国法人は概算五一%の税金を払っているものでありますが、一方において親企業下請企業に対する支払いは極度に遅延をいたしているために、結果としてこの高率の税金が実資上は前取りされている形となっているのであります。その理由は、わが国欧米諸国と異なり、原則として現金主義会計方法を認めておらずに、発生主義会計方法によっておりますので、いかに支払いが遅延していても売買確定の時点で収益に計上せざるを得ず、売り上げ代金が入金せざるまま、税金だけは容赦なく前払いさせられているからであります。そこで質問でございますが、会計方法に関する欧米諸国税制はどうなっているか、泉主税局長からまずお答えを願いたい。
  13. 泉美之松

    泉政府委員 会計につきましては、御承知のとおり税務会計企業会計とございますが、最近における企業会計の状況は、おことばではございますけれども、それぞれ発生主義会計というのが会計の基準になっております。従来のごとき資本主義の発達の初めの段階におきましては、現金主義会計というようなこともございましたけれども、最近は発生主義会計会計学自身においてもとられておるところでございます。したがって欧米諸国税法におきましても、原則として発生主義会計に基づいて、所得及び費用を計算するということになっておるのでございまして、収入支出とも発生主義で計算いたしますれば、いまお話しでございましたけれども、そこに収入支払いとそれぞれ発生主義でやっていくわけでありますから、別段差しつかえはないように考えておるのであります。
  14. 平岡忠次郎

    平岡委員 泉さん、そのあなたのお答え、間違いはございませんか。
  15. 泉美之松

    泉政府委員 欧米各国税法では発生主義原則になっております。ただ特定の場合に現金主義を選ぶ場合には、現金主義を認めるというような事例はございます。
  16. 平岡忠次郎

    平岡委員 あなたのいまの所論に承服できません。あなたに用意がないようでありますから、時間節約のために私のほうからかいつまんで申し上げたいと思います。  まず米国税制におきましては、内国歳入法第四百四十六条C項現金主義を認めています。それから英国税法では、一九三二年租税判例第三百二十五号国税庁モリソン事件現金主義を認めて今日に至っております。それから三番目にドイツ税法におきましても、地方所税法施行規則第四十一条第二項でこれを認めております。オーストラリア税法では、特定会計方法の表示なく現金主義を認めております。またインドの税法におきましては、所得税法第十三条で恒常的採用を条件として現金主義発生主義との選択をともに認めております。メキシコ税法に至りましては、税法明文なきも、大所得者発生主義、小所得者現金主義の慣行が行なわれておるわけであります。そういうわけでありますから——もっとも泉さん、逃げ道が一つある。原則的には発生主義をとっていると強調されましたが、現実各国とも納税者のオプションを認めている。これが現状なんです。  さて、今回の改正にあたっては、政府はむしろ発生主義会計方法に徹するがごとき方法をとっております。たとえば所得税法改正案第三十六条の一項のごとき、中小零細企業経理事務能力やりくり能力とを全く無視した発生主義会計方法採用してはばからないわけであります。時代的感覚日本中小企業者の置かれた窮状、こうした問題に一片の同情だに持ち合わせないものと私は糾弾せざるを得ないのであります。私はこの改正案の中に、少なくとも納税者会計方法に関する選択権を認める条文を用意すべきであったと考えるものであります。現金主義会計方法をあえて不採用とした理由は何であるか、重ねてお尋ねをいたします。
  17. 泉美之松

    泉政府委員 先ほど申し上げましたように、収入支出とも発生主義でやっていきますれば、結果的には収入支出現金主義でやっていく場合と、さして変わりは出てこないわけでございまして、要するにもし収入のほうだけ現金主義費用のほうだけ発生主義でやるというやり方でやれば、ずいぶん違ってまいりますけれども、収入支出とも発生主義なりあるいは現金主義でやっていく限りは、両者の間にさして違いは出てこないというのが会計考え方でございます。したがって今回の所得税法改正につきましては、収入支出につきましては事業所得を主として念頭に置いて規定を設けました。従来事業所得につきましては権利確定主義と申しますか、発生主義原則といたしておりましたので、このようになっておるわけでございます。なお、そういう発生主義をとった結果一番心配になりますのは、収入権利確定発生はいたしておりますけれども、現実にキャッシュとして収入に入ってきておらないという場合、納税が困難になるではないかという点でございます。この点につきましては、御承知のとおりそういうことで納税が困難になれば徴収猶予の制度がございますし、それによって納税者が困るということを救うようにできておりますので、その点は御心配はないことと存じております。
  18. 平岡忠次郎

    平岡委員 全官僚的答弁ですよ。中小企業現状はそういう事態ではないということ、私は強くこのことを訴えたいと思います。ただいまの答弁は、中小企業者に対する冷酷な血の通わないあなた方の石頭を、露骨にあらわしておると思う。私はいまのような答弁は返上し、将来に向かってこの点の改善を要求します。  次の質問に移ります。第三の課題非課税所得としての旅費実態について質問をいたします。国税庁のほうにお尋ねしたい。  所得税法第九条は非課税所得規定していますけれども、その第一項第四号の旅費条項が大幅に改正されようとしているので、質問をするわけであります。まずこの改正案は、わが国で初めて所得税法明文に「旅行について通常必要であると認められるもの」との文言採用したが、この文言は、先進国税法中、米国内国歳入法第百六十二条A項にしかない文言でありまして、英国ドイツスウェーデン等税法には全くない文言であります。政府は、米国税法と同一の用語を用いることによって、米国と同様に、わが国にも旅費の厳格な実費精算主義採用する考えであるのかどうか、お尋ねします。
  19. 泉美之松

    泉政府委員 この点は、アメリカは御承知のとおり、必要であるというものに限っておりますために、たとえば給与所得者につきましても、旅費精算を要求いたしております。しかしわが国におきましては、そこまで徹するつもりはございません。ただ先般来、いろいろ課税上問題になりましたときに、旅費は、現行法では非課税所得になっているから、旅費という名目を使って、通常要するより非常に多額な金を旅費という名目で支給することによって、これが非課税所得なんだというこうで、課税を免れようとする傾向がございますので、そこで旅費というのは、旅行をすることに伴って、通常必要な範囲のものに限られるのであって、通常必要でない範囲を越えて著しく多額の旅費を支給して、旅費という名月であるために、非課税になるということにはなりませんということを明らかにしているだけでございます。アメリカのように、厳格な旅費精算主義をとるつもりでは、もちろんございません。
  20. 平岡忠次郎

    平岡委員 次にお伺いしますが、米国内国歳入法では、旅費実費でさえあれば、幾らかかってもよいかという疑問を封ずる等の目的のために、いま泉さんのおっしゃったような対策が織り込まれておるわけであります。すなわちその第一としては第二百七十四条で、宿泊料日当との合計額是認限度額として一日当たり二十五ドル、邦貨で九千円、これは大会社の社長も小使さんも同じでありますが、そういう規定を設けておる。また一マイル当たり十五セントという金額を通常の必要な経費としての旅費限度だとして、法の明文で定めておるわけでありますが、今回の改正法案で、かかる是認限度額をあえてきめなかった趣旨は何でありますか。重役小使とでは日当宿泊料等階級的区分を設けるべきだという考え方であるのかどうか、お尋ねします。
  21. 泉美之松

    泉政府委員 旅行する場合、どれだけの旅費通常必要であるかということは、その旅行するルート、どういう交通機関を利用するかということ、宿泊をするかどうかということ等に関連をしてまいるわけでございます。したがって「通常必要である」というのは、そういう旅行をする場合、普通各会社では旅費規程がでざいますので、それに基づいて出すということでございます。その旅費規程には、重役の場合はどう、部長級の場合はどう、一般職員の場合はどうといったような区別が設けられているのが通常でございます。しかし税法是認限度というか、そこまで規定するのははたしてどうかということで、今回は初めて「通常必要である」という限度規定を設けますので、この規定を設けることによって、旅費の支給がどういうふうになっていくか、しばらくその様子を見た上で、もし必要があれば、是認限度というものを設けなければならぬかと思いますけれども、さしあたりはこの「通常必要であると認められるもの」という規定によって、どのように旅費についての規定が各会社で行なわれるか、その様子を見た上でいたしたい、このような考え方のもとに、税法是認限度を設けることは、この際はいたさなかったのであります。
  22. 平岡忠次郎

    平岡委員 それはわかりました。次にこの第九条第一項第四号の文言は「若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合」との表現がございますが、これは明らかに従来の国家公務員等の旅費に関する法律の第三条第二項第二号、第四十条等で認めていた死亡手当をさすものと思われますが、どうですか。イエス、ノーでお答え願います。
  23. 泉美之松

    泉政府委員 この点は、従来法律規定が明確でありませんために、国家公務員の場合と一般会社の場合とで違いがあるかのごとき印象を与えておりますが、そうでなく、死亡による退職した者の遺族が、これに伴う転居のために旅行するということのために、会社から支給されるものについては、旅費非課税にするということを明らにしたものでございます。
  24. 平岡忠次郎

    平岡委員 だとしますと、この条項は、遺族が旅行をした場合と限定した表現をとっているのであるから、旅行の事実がなくて支給される場合、すなわち遺族が死亡地に旅行するかどうかの事実は問わないで、支給される旅費は、この改正案が通った暁は、課税の対象となることになるが、それでよろしいのですか。
  25. 泉美之松

    泉政府委員 これは転居のために限って非課税とするといたしておりますので、もし転居をしないで、旅行をしないということでありまするならば、課税になるわけであります。
  26. 平岡忠次郎

    平岡委員 それでいいですか。
  27. 泉美之松

    泉政府委員 なお死亡退職金につきましては、この旅費という項目でなしに、別の規定の死亡退職金という形でいくことになりますので、その点は誤解のないようにお願いいたします。
  28. 平岡忠次郎

    平岡委員 ですから、私は国家公務員等の旅費に関する法律の第三条第二項第二号、第四十条等で認めた死亡手当をさすものと思われるが、それに間違いないかということを聞きましたね。
  29. 泉美之松

    泉政府委員 ここの旅費の条項に基づく分は、必ずしも死亡手当全部を含んでおるわけではございません。
  30. 平岡忠次郎

    平岡委員 念のためお伺いたしますが、私が後段で聞きますしたのは、この条項は「遺族」が旅行をした場合と限定した表現をとっているのであるから、旅行の事実がなくして支給される場合、すなわち遺族が死亡地に旅行するかどうかの事実は問わないで、支給される旅費は、この改正案が通った暁は、課税の対象となるがよろしいかと聞いているわけです。あくまでも単に「遺族」です。
  31. 泉美之松

    泉政府委員 遺族が旅行しない場合は、それは死亡退職金という名目のものになると思います。したがって死亡退職金として課税になるわけで、ございます。
  32. 平岡忠次郎

    平岡委員 では次にお尋ねします。この条文は「その旅行について通常必要であると認められるもの」と言っていますが、旅行に直接必要ではない外国における品位保持のための一種の被服手当ともいうべき支度料は、通常必要の費用という概念に入るのかどうかを答えていただきたい。さらに、旅費に支度料まで含めて経費支出を認める立法例はどの国にあるか。以上二つの点についてお答えを願いたい。
  33. 泉美之松

    泉政府委員 先ほど私はちょっと間違えましたのでお答えしておきますが、死亡退職金は相続税の課移対象になるのでありまして、所得税課税対象ではございません。
  34. 平岡忠次郎

    平岡委員 結局は死亡退職手当と認めるのかということを聞いている。
  35. 泉美之松

    泉政府委員 さようでございます。
  36. 平岡忠次郎

    平岡委員 だから、結局課税されないということでしょう。
  37. 泉美之松

    泉政府委員 所得税課税されませんが、相続税の課税対象になるわけであります。  それからいまのお話の支度料につきましては、もちろんこれは旅行するために、特に海外旅行するためには支度料が支給されるのが普通でありまして、これは通常必要であると認められるものの中に入るわけでございます。  なお、外国の立法例でございますが、いまちょっと手元に資料を持っておりません。
  38. 平岡忠次郎

    平岡委員 以上のあなたの答弁内容を総合いたしますと、まず第一に、通常必要という米国税法と同一の用語を用いていますけれども、米国のごとく厳格な実費精算主美はとらない。いいですね。それから第二に、大会社の社長も小使も同一額の日当宿泊料とする米国の例にはならわない。また費用として認められる限度金額を法定することもしない。いいですね。それから第三番目に、死亡手当は退職金の一種であって、遺族が実際に死亡地に旅行するかどうかは問わずに従来は支給されてきたものだが、所得税としては取らぬけれども、これまた従来のとおり遺族旅費の中に入れておく。つまり非課税となる、そういう意味ですね、最後にあなたがおっしゃったのは。
  39. 泉美之松

    泉政府委員 いや、旅費の中に入れるのではございませんで、遺族が転居するために旅行した場合に、旅費として支給された部分については非課税にいたします。しかし旅行しない場合に支給されたものは普通の死亡退職金として相続税の課税対象になる、こういうことでございます。
  40. 平岡忠次郎

    平岡委員 要するに内容的には同じです。それから第四番目に、支度料は外国における品位保持のための一種の被服手当であるが、これも従来どおりで、旅費として非課税所得に入れておく。以上の四点、よろしいですか。言うてください。
  41. 泉美之松

    泉政府委員 お話のとおりでございます。
  42. 平岡忠次郎

    平岡委員 そういたしますと、その限りでは旅費実費弁償という羊頭を掲げて、多分にその実質は給与の補完的機能を果たさせるという、いわば狗肉を売っているのではないかという感じがいたしますが、どうでしょう。
  43. 泉美之松

    泉政府委員 いや、別に、旅費が本来非課税になるのは、旅費の支給を受けてもそれは旅行するために費消されるものであるという性格からいたしまして、非課税にいたしておるのでありまして、この規定を乱用いたしまして旅費という名目で出せば、その分が全部非課税になってしまうのだという考えでやっているわけではございません。したがって通常必要であると認められるものの範囲を越えてまで支給した旅費につきましては、非課税にならないということでございます。
  44. 平岡忠次郎

    平岡委員 その判定はむずかしいと思うのですね。ですから、むしろ給与所得者旅費実費弁償だということであれば、なぜドイツ税法のような規程のしかたをしないのかという疑問が起こります。西ドイツ所得税法第三条第十六項には、「私企業に勤務する給与所得者旅行または移転の費用非課税とする」との明文がありますが、これには次のただし書きがついております。すなわち「ただし旅行または移転によってかかった実費をこえない場合に限る」、こういうふうに書かれておるわけです。わが国所得税法旅費を純粋に実費弁償の角度からとらえるならば、納税者の誤解を一掃するために、この西ドイツ所得税法にならって、実費をこえない場合に限るとのただし書きをなぜつけないのか、説明せられたいのであります。
  45. 泉美之松

    泉政府委員 おことばでございますが、旅行について通常必要であると認められるものという趣旨は、いまお話のようにドイツの規程の実費範囲内に限るのだという趣旨と、同じ趣旨をあらわしておるものと私どもは解しております。
  46. 平岡忠次郎

    平岡委員 そう解釈しているとおっしゃりたいことはよくわかります。しかし実際にはただし書きがつけられないのだというのが実態ではないかと思うのです。言いかえますと、羊頭狗肉はお気にさわるかもしれませんが、それがむしろ実態だ。なお言いかえると、定額主義というものであまりすね。定額主義が厳としてあるからです。その定額主義の対象は、旅費規程を設けておる大企業、それから特別職を含む国家公務員、この場合にのみは定額主義となりますが、あなたのおっしゃりたいのは、法のたてまえとしては実費弁償主義をとっているのだということ。そのたてまえというのが、どうしてもいま申し上げたような大企業とか特別職を含む国家公務員というところはよけて通って、たてまえがたてまえでなくなっているのだ。たてまえが強要されるのは中小企業者関係ですね。だからその点にわれわれは問題があると考えておるわけなんです。ですからむしろこの際は、ドイツのただし書きのように明定さるべきだと思っている、そのことを申し上げたいのであります。法のもとに万民平等の原則に私はもとると考えておりますので、かく主張いたしておるわけであります。したがいまして現段階では、中小企業者実費弁償のたてまえを貫こうとすることは、むしろ公平を著しく欠くところの税務の偏向措置だと言わざるを得ないとすら思っております。こういう問題があるところですから、明定するなら明定をさるべきでありまして、あたかも羊頭狗肉と私は申しましたが、実費弁償主義をとるのだと言いながら、たてまえとしてはこれをとると言いながら、定額主義というものを温存している、この点は私はまずいと思うのだ。泉さんから最後の御所見を承って、この問題のケリをつけたいと思うのです。
  47. 泉美之松

    泉政府委員 お話のとおり旅費の支給をする場合に、各会社、これは中小企業も含めてでありますが、それぞれ旅費規程というのを設けております。この旅費規程というのは、大体沿革的に国家公務員の旅費規程というものに準じて、それぞれ会社がつくられております。そこでお話のとおり、定額支給されている部分につきまして、一等でこういう宿泊料のところへ泊まるという前提で定額が出ているわけでありますが、一等で行かなくて二等で行った場合にはその間浮くではないか、それはいろいろございます。しかし税法でそこまで実費精算主義をやかましく言うのは、執行上非常に困難でございます。一応定額主義でやっていく。しかしその定額でも、その旅行通常必要な範囲をこえて著しく多額の定額を支給して、そして旅費という名目であるから非課税規定に該当するというような主張をされるのを防ぐ意味におきまして、旅行について通常必要であると認められるものという範囲に限られるのだという趣旨を明らかにしておるのでありまして、定額で支給してあれば、どんなに多額でもいいという意味ではございません。そういう意味では実費弁償主義というたてまえをとっておる。ただお話のように実費を厳格に実行して、実費をこえる部分については精算的に課税すべきだという、これは一つの御意見だと思いますけれども、税務の執行でそこまでやることはあまり適当でないという考えであるわけであります。したがって繰り返して申し上げますが、定額の部分が通常必要であると認められるものの範囲をこえて著しく多額にきめられておりますものにつきましては、たとえ定額でありましても、それは否認するということになるわけであります。
  48. 平岡忠次郎

    平岡委員 抽象的議論でおわかりにくい点があろうかと思うので、一つだけ具体的に申し上げます。たとえばY火災の外国旅費規程というものを見ましたが、重役さんが妻を帯同する場合の支度料は六十万円、帯同せざる場合の単独の場合は四十万円、こういう規程があり、そのとおり支給され、課税対象になっておらぬ。ですからこのくらいの基準があるのだということで、上限の基準かもしれぬけれども、こういうふうにわれわれ理解してよろしいかどうか。
  49. 泉美之松

    泉政府委員 普通支度料という場合は、外国へ行く期間というものによって支度料というのがきめられるのが普通でございます。したがって私まだ寡聞にして、そのお話の火災保険会社の支度料の規程を見ておりませんが、その規程が制定されましたあと、それが通常必要な範囲のものであるかどうかということは、十分慎重に検討しなければならぬ問題だと思います。
  50. 平岡忠次郎

    平岡委員 まあ身分的な考慮は算定上当然入らなければならぬと思いまするけれども、いま泉さんのおっしゃったのは、旅行の期間等によってそれは左右される。そうしますとどっちかと言えば、旅行の期間等にウエートがあるので、たとえばこれは大会社の社長であろうとも中小企業のおやじであろうとも、その辺にあまり径庭はないというふうに理解してよろしいわけですね。
  51. 泉美之松

    泉政府委員 支度料それ自身が、外国旅行する場合、被服その他服装のためのものでございますので、別段その地位がどうこうということで、それほど差があるとは思いません。まあ若干の差はあり得ると思いますけれども、それほど大きな差はない。むしろその期間において大きな差があり得る、こう考えております。
  52. 平林剛

    ○平林委員 最後に、第四の課題、すなわち法人税法案中の第三十七条第六項における時価の概念について質問いたします。  所得税法の旧法第五条の二、すなわち「時価による譲渡とみなす場合」の規定は、新所得税法の第五十九条第一項第二号にそのまま生かされており、内容を見ますと、「著しく低い価額の対価で」「資産の譲渡があった場合においては、その譲渡の時における価額により、当該資産の譲渡があったものとみなして、この法律を適用する。」こととしております。この限りでは問題はございません。ところで法人税法改正案を見ますと、その第三十七条の第六項に、今回初めて譲渡のときにおける価額に比して低いときは否認する旨をうたっているわけであります。立法論として所得税法法人税法とは同一事項について相対応すベきであるのに、片や所得税法では否認の基準として時価に対して著しく低い価額を要件といたしておるのに、他方法人税法では単に特価に対して低い価額をもって要件といたしております。御承知のように所得税法基本通達におきましては、著しく低い価額とはおおむね時価の二分の一以下の価額であるという旨の定まりがありますが、今回なぜ法人税法における否認の基準を、単に時価に比して低い価額となしたのであるか、疑問なきを得ません。私は明らかに事務的ミスと思うのでありますけれども、「著しく」という文字が印刷の途中で脱落したのではないか、お尋ねをいたす次第であります。
  53. 泉美之松

    泉政府委員 所得税の場合におきましては、みなす譲渡の課税をする場合に、贈与したということになれば、当然無償譲渡でありますから贈与税の対象にもなるし、それから無償譲渡として譲渡所得課税の対象になる。そこでそれを免れるためにやや低い価額であるけれども、一応対価を受け取ったというようなことにして、譲渡所得課税を免れようとする傾向が出ておりますために、そういう時価に比べましてその半分以下で譲渡した場合には、それはやはりみなす譲渡所得課税の対象にはなるのだということを明らかにしておるものであります。ところで今般法人税法のほうでこの三十七条六項の規定を設けましたのは、寄付金ということを今度新しく定義を設けたわけであります。第五項に寄付金の定義があるわけでありますが、そこで法人がその持っておる資産あるいは経済的利益を他の者に供与したという場合におきまして、その譲渡あるいは供与の対価を受け取ったとかりにいたしましても、実際の価額よりも低い価額の対価しか受け取っておらなければ、時価とその対価との差額は寄付金になるのだということをあらわしたわけであります。所得税の場合と違いまして、別段著しく低いことを要しないのであります。時価と受け取った対価との差額は寄付金でありますということをあらわしておるにすぎないのでありまして、したがいまして別段事務的ミスで著しく低いということが落ちたというものではございません。
  54. 平岡忠次郎

    平岡委員 一般論としては、シャウプなんかのキャピタルゲインの問題に対する日本に対する勧告、そのときでもどっちかというと所得税のキャピタルゲインを特に軽課して、そうして法人税のキャピタルゲインを重課するということは、シャウプの勧告にもないわけであります。シャウプを持ち出さなくてもいいのですが、ですからこれは少なくとも同一でなければならぬと思います。所得税のほうでしたら二分の一以下に申告しなければそれが通るのですよ。今度は法人税のほうの場合には、ちょっとでも時価より低ければ否認されて、課税されるというのですから、おかしいじゃないですか。
  55. 泉美之松

    泉政府委員 これは考えようかもしれませんけれども、法人というのは個人と違いまして、企業体として明確な企業計算をするというたてまえのもとにできておるわけであります。したがって個人の場合には時価の半額以上の対価を受け取れば、そこまで追及してみなす譲渡があったのだということまでして、譲渡所得課税をする必要はないだろう。ほんとうに安い値段で売るということにつきましては、いろいろな個人的な事情があるわけでありますから、そこまで追及して時価の半額以上の対価を受け取っておるときまで、安い価額で売ったのだから譲渡所得課税をしなければいかぬのだという必要はない。ところが法人企業体計算を正確に行なうべきものでありますから、その資産を譲渡したりあるいは経済的な利益を与えました場合に、その時価との差額がありますれば、それは寄付金の中に含まれる。もっともその場合におきましては、その対価の額と当該時価との差額のうちに実質的に贈与または無償の供与をしたと認められる金額という限定がもう一つ入っておりますから、資産の譲渡あるいは経済的な供与をいたしました場合の状況によりまして、実質的に贈与あるいは無償の供与であると認められる範囲がどのようになるかは、これはそのときの状況等によりまして、いろいろ事情によって変わってくることと思っております。
  56. 平岡忠次郎

    平岡委員 脱落でないという答弁である限り、私はあなたの所説を必ずしも容認するわけにはいきません。これはもっと謙虚にやはり再検討しなければならぬことだと思うのです。  そこで委員長にお伺いしますけれども、法案通過の前に時価の問題につき、理事会におきまして所得税法法人税法の一様性を保つために、協議をされたいことを要望いたします。
  57. 吉田重延

    吉田委員長 もう一回ちょっと……。
  58. 平岡忠次郎

    平岡委員 法案の通過の前にもう一回理事会で、当局者を含めて協議をしていただきたいと思うのです。法人税法所得税法はともに日本税法でありまするから、その一様性を保つためにも、私はこの二様性のあることに対して承服しかねます。したがいまして理事会におきまして、この法案通過の前に協議せられることを要望いたします。
  59. 吉田重延

    吉田委員長 お答えいたします。理事会で御相談ができるかどうか。できれば質疑の過程において、その点を御究明いただくようにお願いを申し上げておきます。
  60. 平岡忠次郎

    平岡委員 法案通過をじゃまするつもりは私はないのです。それで、ただ物理的にどうもそのことが不可能だとあえて委員長が判断されるならば百歩譲りまして、税制委員会等に、将来開かれましょうから、そこに付託しまして、それでなるほどということになりましたら、次の早い機会にそうした点は一様性を貫く意味において改正をしていただきたい、そういう要求の権利を保留しまして、委員長の御裁断に服したいと思っております。
  61. 吉田重延

    吉田委員長 わかりました。お答えいたします。それでは機会を見て、理事会で相談いたしまして、善処いたすことにいたします。
  62. 平岡忠次郎

    平岡委員 では次の質問に移ります。一体時価とは何かという概念規定についてであります。時価とは具体的に何であるかをまずお答えを願いたい。私が言うのは、世間話の時価という取りとめのないものではない。税法で言う、法律の世界での時価とは何かをお聞きするわけであります。たとえば裁判官が被告をさばく場合には、なまの事実からは裁判をしない。調書等の法律事実の世界からその判定を下すわけですから、税における時価の概念は当然世間話の、あそこの土地は幾らする、あそこの土地はえらい上がったというような、そうした取りとめのないものではないはずでありまして、法律の世界での、税法の世界での時価は何かということについて、ひとつ概念規定をしていただきたい。
  63. 泉美之松

    泉政府委員 時価はいわゆるフェアマーケットプライス、公正なる市場価格というものが時価でございます。したがって取りとめのないような世間話でなくて、実際市場において売買が行なわれる場合の当該価格ということでございます。
  64. 平岡忠次郎

    平岡委員 あなたの御答弁では全く満足できません。では、もっと具体的にお尋ねいたします。あなたの言われる時価は、固定資産税にかかわる土地課税台帳価額、また家屋については家屋課税台帳に載せられている台帳価額そのものといかなる関係に立つか、御答弁を願いたい。また相続税法における時価は一体何であるか。国税庁はその時価算定の通達を出しているはずであります。秘密に出しているはずであります。あわせ御答弁を願いたい。
  65. 泉美之松

    泉政府委員 固定資産税の課税標準である時価、これは固定資産税の目的のために設けられておる一定の評価額でありまして、これは必ずしも市場価格と同一ではございません。したがって普通にいう時価、税法でいう、時価ということばは使われておりますけれども、税の目的がそれぞれ違いますために、評価額として出ておるものが必ずしもいわゆる公正なる市場価格でないという場合がございます。相続税の評価額も同様でございまして、これは相続税という課税をする場合の課税標準といたしましてやっておる関係上、実際の市場の取引価格とはやや低目になっているのが通常でございます。
  66. 平岡忠次郎

    平岡委員 あなたは現状を説明しただけなんだ。それならゾルレンとして税法においてはどういう概念規定をすべきか、御意見があったらおしゃっていただきたい。
  67. 泉美之松

    泉政府委員 税法においてそれぞれの税の目的が達います関係上、同じ時価ということばを使う場合におきましても、それぞれ内容が違ってくるのは、これは税法性格上やむを得ない場合がございます。ここでは譲渡のときにおける価格という表現を使っております。やはり実際譲渡される場合の価格ということになりますと、固定資産税なりあるいは相続税なりの課税標準である時価というものとは違ってこざるを得ない場合があるわけでございます。税法で同じ表現を使うのなら、すべての税法を通じて同じ概念でやるべきではないかという御意見かもしれませんけれども、しかしその課税の目的が違いますと、同じような用語を使っている場合におきましても、その時価という概念が違ってこざるを得ない場合がある。これはその課税性格から出てくるわけでございます。
  68. 平岡忠次郎

    平岡委員 私の考えでは、同じ概念からは同一の内包がなければならぬと思うのです。それで徴税の目的のために、相続税は相続税としての立場がある、これはあまりひどいことはやってはいかぬという考え方があるならば、その時価というものを固定して、概念的に統一して、その時価の、分の一をかけるものとするとか規定すれば足りる。大体ものさしのほうを動かしてはいかぬですよ。ものさしはそのままに置いて、その何倍にするとか、何分の一にするとかいう規定ならわかりますけれども、相続税法は相続税法地方税法は地方税法、それからいま言うた所得税法法人税法、これはまるで初めから二分の一以下にするか——二分の一というのは基本通達にあることなのですが、著しき低い価格、片や低い価格、まるで時価概念が混迷錯乱といいましょうか、収拾がつかなくなっております。私はこれでいいのかと非常に疑うものであります。時価の概念がほんとうに混乱し切っているということは、私はあなたのほうの努力が足りぬと思うのです。日本税法が統一的である限りにおきましては、その用語所得税法であれ、法人税法であれ、相続税法であれ、はたまた地方税法であれ、同一の意義を持つべきであります。たとえば時価という場合にはその概念の内包は、すべての日本税法に共通であるべきであります。これが基礎的な法律常識であります。ところで日本税法で明確に時価を規定している条文が、ただ一カ条存在する。むろん御承知のことでございましょうが、それは地方税法第三百四十一条第一項第五号であります。明確に時価の概念規定をここでしているわけであります。すなわち土地については土地課税台帳価額、家屋については家屋課税台帳価額を、適正な時価と規定いたしているわけであります。これはもって法人税法に及ぶべき、また同時に所得税法及び相続税法に及ぶべきものであると私は考えます。わが国の法の一義性は守らなければならぬと思います。ここに改正法案法体系がスタートするにあたりまして、法律用語の一義性を貫く意味で、明確に時価概念の内包を重ねてお示しを願いたい。あるいは将来かくあるべきだという御意見があるなら、あわせてお示し願いたいのであります。
  69. 泉美之松

    泉政府委員 おことばではございますが、地方税法の固定資産税の課税標準である場合の土地の価額あるいは家屋の価額というのは、これは台帳課税でございまして、三年間は動かさないという前提のもとにできているものでございますから、これがすべての税法の基準になる時価であるべきだという御見解には、承服いたしかねます。時価ということばを使います場合に、これはことばの意義としていろいろあることは御承知のとおりだと思いますが、実現可能価格であるとか、あるいは再取得価格であるとかいう考え方もあります。あるいは正味実現可能価格であるといったようなのでありまして、実現可能価格という場合は、物を売る場合、これもその物を売ることによって実現する価格、これが時価であるという解釈もあります。それから正味実現可能価格というのは、売る場合の価格から販売費を控除したものが正味実現可能価格である。それが時価であるというような概念の場合もあります。それから再取得価格でありますと、物を仕入れる場合の仕入れ価格のほうから見た時価である。そういったように時価の概念にはいろいろございます。  そこで税を課税する場合、売る場合の価格が基準になる場合がございます。あるいは資産を買った場合に、その帳簿に記帳する場合の仕入れ価格が問題になるときは、これは再取得価格というようなこと。したがって時価の概念について、やはり売る場合、仕入れる場合、売った場合に所得を計算するというようなことで、いろいろ概念が違ってこざるを得ない。お話のように税のほうで同じことばを使っておるなら、その内包は同じであるべきだ。これは望ましいことだとは存じますけれども、先ほど申し上げましたように、課税の目的が違いますと、同じことばを使っておりましても、片一方は据え置いておく、三年間は動かさないというような場合と、そうでなくて、そのときの時勢に応じて時価の内容が変わったものにならざるを得ない課税の場合、これはやはり違わざるを得ないのであります。経済状態なども落ちついて、三年たってもその時価が変わらないというような事態になりますれば、これは別でございますけれども、そうでない限りは、時価の内容が違っておるということはやむを得ないことと思います。しかしながら将来、そういう安定した経済状態になって、税法に使っておる時価ということばの内包が違わないような状態になることは、望ましいことであると考えております。
  70. 平岡忠次郎

    平岡委員 泉さんのいまおっしゃられたいろいろな例のうち、商品の時価とか、それは論外なんですよ。流動的な商品ですね。そういうものは論外としてください。ぼくが言うておるのは、大体固定資産、そのことについて申し上げておるつもりです。そうなると地方税法において三年ごとにこれを更正するということが、かえって非常に望ましいことなんです。そのことが正確に行なわれるならば、この地方税法できめている時価というものは、非常にいい尺度となると思うのです。  あなた方は家を建てた場合に、査定に来ますね。竣工届を出すと、区役所かどこか知りませんが、やって来ます。そのときに電灯が幾つついている、ソケットがどうなっておる、プラスタイルが張ってあるとか張ってないとか、家屋等について厳密な計算をするわけです。ですからあなた方の出先機関がかってに判定するよりは、私はよほど正確だと思うのです。ただその尺度でやっているのでは、どうもちょっと税の徴収上ぐあいが悪い。たとえば相続税のほうはそれでは少し酷過ぎるからというのなら、相続税法は、固定尺度の台帳価格の何分の一にするとか、あるいは片方譲渡所得税の場合には、家屋はまあまあそれでよろしい。土地の場合においては、この行政地区においてという分け方をすればなお親切ですが、それを尺度の二倍にするとか、そういうふうにすればいいわけです。だから尺度それ自身は固定すべきだと思うのです。固定といっても、いま言った三年間ごとに流動していって一つもかまわないのですけれども、その基準尺度はどこかに置くべきだと私は思います。日本税法の概念規定において多様性があるというのはうまくないと思うのです。ですから御答弁は御答弁として、いまこの場で間に合うことではありませんけれども、時価についてそういう取り組みをぜひしていただきたいのであります。  私は、こういうことを申し上げるのは、結局相続税法においては基準通達、これは秘密通達ですね。相続税の基準が国税庁から示されておる。議会は知らぬことですよ。それと同様に、所得税における時価の概念もめちゃくちゃである。そういうことになると、あなた方が神さまであるという前提に立って、国民の財産自身が評価される、こういうことは私はけしからぬことだと思うのです。そういうことですから、あなたの陳弁は陳弁といたしまして、この点につきましては徹底的な検討をさらに加えていただきたいのであります。問題が明確にされないまま、従来どおり通達に逃げ込まれたのでは、議員の職責がつとまりません。私は理事会の場におきまして、法案通過の前に、さきと同様な決着をつけて当委員会に報告をし、承認を求める処置をお願いしたいわけですが、しかし先ほどと同じようなことですから、これまた委員長におかれて、税の小委員会等において、きわめて積極的にこの問題を取り上げていただく、こういう御処置をぜひお願いしたいと思います。
  71. 吉田重延

    吉田委員長 お答えいたします。ただいまの平岡委員の御要求は、理事会でさらに機会を見て御相談申し上げ、小委員会で研究していただくということにいたします。
  72. 平岡忠次郎

    平岡委員 結論として、以上わずか四点の問題についてすら、新改正税法案議会の要求を必ずしも満たさず、納税者の願望にこたえず、学界の批判に必ずしも耐え得るものではございません。この法案の通過については、国民に対する議会人としての責務を果たし得たとの確信を私は持ち得ません。したがって税四法案が多数決によって通過するとしても、通過は改正への出発点であり、決してゴールではないとの認識のもとに、大蔵委員会の伝統的良識に立って、与野党を問わず、同僚諸君とともに今後どしどし改正を加え、国家の歳入を全からしむるとともに、国民大衆の財産権防衛の実をあげていく姿勢をとるべきだと信ずるものであります。同僚諸君及び大蔵省の当局者にこのことを強く要請いたしまして、私の本日の質問を終わりたいと存じます。
  73. 吉田重延

    吉田委員長 横山利秋君。
  74. 横山利秋

    ○横山委員 同僚諸君から繰り返し言われておりますように、いま審議をいたしておりますこれら法律は、きわめて膨大かつきわめて細目にわたり、とうていこの短い時間の間に、われわれ国会議員としての職員を尽くし得るまでの時間がないのであります。ずいぶん問題を残しながら、われわれは審議を進めざるを得ないという点について、まことに残念なことであります。私が限られた時間で質問いたします問題もきわめて多岐でありますが、ぜひひとつ核心をついた御答弁をいただきたいと思います。  まず政務次官からお伺いをいたします。法人税法案第一条、趣旨であります。「この法律は、法人税について、納税義務者、課税所得等の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。」とあります。あらためて考えるまでもないのですが、税法の歴史というものは、私が言うまでもなく、人民が血潮によってかちえた法律であります。その意味においては、税法はこれ以上取ってはいけないという法律でなければならぬ。収税官吏並びに政府が取れるという立場ではなくて、これ以上取ってはならないという立場において、その目的並びに趣旨が貫かれなければ、租税法定主義の原理というものは生まれてこないと思うのであります。私は、この趣旨並びに目的が、いわゆるこれ以上取ってはならないという立場でなくして、政府の便宜、収税官吏の便宜によって書かれておるという疑いを禁じざるを得ないのであります。根本原則とこの第一条は反しておると私思いますが、政務次官の御意見を承りたい。
  75. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 この条文の趣旨は、いま横山委員が言われたとおりだと思います。ただここに義務と書いてあるから、義務の履行をしいるものとお考えになったかもしれませんが、義務というのは憲法上書いてあります国民の義務でございまして、国民の義務を適正に行なう——適正に行なうということは、無理な取り方をしない、このことと同一であると私は信じますが、どうぞそのつもりでお願いいたします。
  76. 横山利秋

    ○横山委員 「その納税義務」の「その」とは、しからば何ですか。
  77. 泉美之松

    泉政府委員 「この法律は、法人税について、」と上に書いてありますから、「その」というのは法人税納税義務のこと、こう読むわけであります。
  78. 横山利秋

    ○横山委員 いま政務次官のおっしゃったのは、あたかも国民納税義務というふうに私には聞こえたからであります。私が言わんとすることについては、政務次官も同感でございますか。つまり税法はこれ以上取ってはならないという立場が貫かれなければならないという意味においては、同感でございますか。
  79. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 もちろんそうでなければならぬと心得ます。
  80. 横山利秋

    ○横山委員 それにしてはこの第一条は、その主張、その原理というものに、矛盾をしておるといいますか、別な立場をとっておる。国の徴税をする便宜、収税官吏の行政上の便宜という考え方があふれ過ぎていはしないか。どう思いますか。
  81. 泉美之松

    泉政府委員 この第一条の趣旨は、所得税法法人税法も同じでございますが、この法律規定いたしておりまする事柄範囲をあらわしておるものでございます。昨日どなたかに申し上げましたが、この法律法人税についてどういうことを規定しておるかと申しますと、納税義務者はどういう法人であり、課税所得範囲はどうであり、税額の計算の方法はどうであり、申告、納付及び還付の手続はどうなっているか。同時に、法人税納税義務の適正な履行を確保するための各種無申告加算税であるとか、過少申告加算税であるとか、あるいは重加算税であるとかいった事柄、さらにその納税義務の適正な履行を確保するための罰則の規定であるとか、そういった事柄規定する、こういうことを言っておるわけでございまして、横山委員のおっしゃるように税法国民に対してこれ以上課税すべきでないということの限界を示すものであるという、これはもう税法の本来的性格からそう出てくるのでありまして、そういった思想的なものは別にここにあらわしておるのではないのであります。そのことはもう憲法に、国民法律の定めるところによって納税義務を負うということになっておりまして、法律範囲を逸脱して納税義務を負うことはないのでありますから、そこで税法はそういう憲法の趣旨を受けてできておる。この法人税法規定しておるのは、法人税についてのこういう事柄でありますということだけをあらわしておるのであります。もし思想的な内容国民税法が定めるところ以上のものを負担すべきものでないし、またそれを免れてもいけないのだというような趣旨をあらわすとすれば、それは国税通則法の問題であろうかと存じます。
  82. 横山利秋

    ○横山委員 あくまで鍛冶さんに御返答を求めたいのでありますが、泉さんの言うその必要がかりにありとすれば国税通則法だという国税通則法のウェートについて、私は評価が違うのであります。憲法のもとに税法がある。その税法は、所得税法法人税法、国税通則法等々とそれぞれ分野がある。それぞれの分野と憲法の間にもう一つあるべきだという考えを私は持っているわけです。それはいわゆる思想的なということばの表現に多少抵抗を感ずるわけでありますが、憲法の示す租税法定主義の原則、その考え、その原則に基づく条項というものが直接この税法の中に貫かれずに、税法になると国並びに収税官吏の都合のいいように書かれやすい。どうしてもそうなる。現に全文改正をする必要は何であったか。全文改正をする必要はいろいろあるけれども、もう少し納税者にわかりやすくということであって、これは決して悪いことではない。そのことは、国民納税をするのは憲法に基づく、憲法はこれ以上取ってはいけないという歴史的淵源があるという意味において、私は税法一つ一つそれが具体的に条文ないしは文言をもって貫かるべきであると思うけれども、もしかりに泉主税局長の言うようなことであるならば、それは国税通則法にゆだねらるべき問題ではない。全般を貫く問題であるから、たとえば租税基本法のようなものにおいてその考えなり、泉さんの言うような思想をあらわすべきだ、根本原則をうたうべきだという意味において、租税基本法を制定すべき段階である、こう私どもは考えておるのですが、政務次官、いかがでございますか。
  83. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 基本法の内容にもよりまするから、あながち基本法をこしらえて悪いとは言えませんが、いま主税局長が申しましたように、国民納税の義務ということは憲法上定められておることでありまするから、これはもうだれも否認するものはないと思います。しこうして法律によって定めるところによって納税の義務を負う、こういうことは、法律に適正なる課税方法を定めて、これに従って納税するものだ、こういうことでございまするから、その精神に基づいてここに適正なる課税方法を本法によって定めたのだ、こういう趣旨でありまするので、ここで基本法がなかったら納税義務を明確にすることができないとは申されぬと考えます。
  84. 横山利秋

    ○横山委員 私の言っているのは、鍛冶さんもう一回ひとつ第一条を通読してもらえば、私の言う租税法定主義、その根幹を貫く歴史的淵源であるこれ以上取ってはいけないという立場、国民のために権益を守る、義務を履行しながら逸脱行為を戒めるという、その歴史的な立場というものが第一条の中には人っていない。第一条の中に入らない。これは法人税法だから、所得税法だからといって泉さんは、それは通則法にうたうべきだ。ここまでは泉さんにぼくは同感なんだ。ぼくはこれは通則法の問題でない。租税の基本的問題を定めるには、租税基本法の立場である、こう言っているわけです。あなたは内容いかんだと言うけれども、泉さんは通則法ならうたえると言う。そうでしょう。
  85. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 これは人おのおのの考えでありますが、私はこの法律によってそのあなたのおっしゃる気持ちは出ておると思います。ただここへ義務の履行と書いてあるのだから、何でも国民に義務を履行させるのを目的にしておるように思われるけれども、これは適正なる履行ですから、義務といえば履行は当然ですから、適正に税金を納めてもらうようにここで定めたものだ、こう読んでいただきたいと思うのです。義務の履行というのならば、国民にしいるのでないか、こういう考えから出てきておるように聞こえますが、決してさようなものではないと思います。それは憲法に定められたる義務でございますから、義務を適正に行なってもらう。いわゆる履行ということばがそこに出たのでありまして、義務と履行というからといって、国民からこれを取るだけを目的にしておるものだという考えではない。適正に行なわれる。その基本観念はこの中には十分あらわれておると私は確信いたします。
  86. 横山利秋

    ○横山委員 あらわれておらないと思う。あなたは法曹関係の専門家で、弁護士さんで、国民の権利を守る立場に生涯を尽くしてこられた方と思うのです。いまたまたま政務次官になって、自分の反骨精神といいますか、国民の権利を守ってきた人生を、そこにすわっておるがために、この場のがれとは失礼ではありますが、この場を過ごすためにおっしゃるわけではないとは思うが、いま徴税上における国民の不満なり、苦情処理機関の問題なり、あるいは税理士制度に関する論争なり等から考えますと、やはり税法の中を貫くものの考え方として、民主的、合理的な徴税行政、国民の権利を守ってやる、取るべきものは取るのだけれども、逸脱行為は戒める。こういう立場というものが徐々にこの税法の中に通っていきませんと、徴税行政自身もよくならないと考える。少しずつ戦後の混乱期からノーマルな状況になったのですから、権力を持っておる機構の逸脱行為を少しずつ戒めていくというものの考え方、それは歴史的にわれわれの先祖が体験してきた問題ですから、この思想というものを入れていかなければいけませんぞ。特にあなたはそういうことを主張する絶好の立場であり、経験者である。それを泉さんよりもっとひどいことを答弁しておったのでは困る。これは意見であります。十分にひとつ心得てもらいたい。
  87. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 本法の精神はあなたの言われるとおりです。またそうあらねばならぬし、そうあると思います。もしそうでなかったとすれば、それは法律が悪いのでありまして、大いにこれは慎まなければなりません。書き方にもよりましょうけれども、義務の履行ということがあるからといって、国民にしいるものだというものではないと思います。憲法上定められたる義務を適正に行なうように本法で定めたのだ、こう書いてあるのでありますから、それで差しつかえないと思います。私は弁護士ではございますが、現在は弁護士の商売はやれませんが、大蔵政務次官をやめれば弁護士に戻りますし、ことにいま申しましたことは速記録に残る話でございますから、在野にあるときと本職にあるときと二弁を使う考えはいささかもございませんから、どうぞひとつ御了承のほどをお願いいたします。
  88. 横山利秋

    ○横山委員 この税法の中で、本委員会で同僚諸君からしばしばいろいろな条項を題材にして政府にただしておりますことは、いわゆる税務署長に対する自由裁量の問題であります。あるいは政府に対する政令で定めるという自由裁量の問題であります。この裁量が、納税者に端的に言わせますと、税務署のさじかげんということに表現せられる諸問題でもあります。われわれは本委員会においてこの法案を審議するに際しては、政令を出さなければわれわれの審議の責任が尽くせぬということについては、政府側も趣旨同感であるが、事務的にはなかなか困難である。したがって結果的にはわれわれの主張がある程度入れられたにしても、政令をもってしてもやはり税務署長の裁量、あるいは末端の税務職員の判断にゆだねられるところが非常に多いのであります。この点については厳に戒めなければならぬし、あとう限り法規裁量的な分野を拡大しなければならぬ。そしてさじかげんとかおみやげ論とか、そういうことの介在の余地なからしめるようにしなければならぬ、こう考えていますけれども、いかがでございましょう。
  89. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 これは先日からしばしば論議されたところでございまして、政令にいたしましても通達にいたしましても、法律の精神を逸脱したものが出てはたいへんでございます。もちろん法律を忠実に履行することのためにでなければならぬものだと確信いたしております。したがいまして本日もずいぶん議論いたしましたが、政令にいたしましても通達にいたしましても、立法者のあなた方に、できるだけひとつ試案をよくお目にかけて批判をしていただく。でき得るものならば、事前にお目にかけるほうがいいと思いますが、事務上できないこともあると言いますから、しかし精神はさようでなければならぬと思います。ただ通達を受ける者も、先ほど来言われた税務署の下の者ですから、もし人間ができておらなかったり、正当な知識がなかったりすると、少々乱暴に通達を取り扱ったりすることがなきにしもあらずと思いますが、この点は上におる者は謙虚にこれを考えて、そして常にこれを訓育し、しこうして間違いのないように指導していく。この精神を持っていかなければならぬことは、もう御説のとおりだと深く私は考えております。
  90. 横山利秋

    ○横山委員 その意味において、三十四条の(過大な役員報酬の損金不算入)、「内国法人がその役員に対して支給する報酬の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額」、政令はどういうような内容を立案をしていますか。
  91. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 突然言われてもよくわかりませんから、事務の者から……。
  92. 泉美之松

    泉政府委員 私、ちょっとおりませんで、たいへん失礼いたしましたが、過大な役員報酬というのは、現在法人税法施行規則の第十条の三に規定されておりまして、「役員に対して支給した報酬の額が、当該役員の職務の内容、当該法人の収益及びその使用人に対する給料の支給の状況、当該法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する報酬の支給の状況等に照らし、当該役員の職務に対する対価として不相当に高額であると認められる場合においては、その不相当と認められる部分の金額は、当該事業年度の所得の計算上、これを損金に算入しない。」という規定がございますが、それと同趣旨規定を設けるつもりでございます。
  93. 横山利秋

    ○横山委員 いまの規定の中には、その会社の収益の状況、特殊な状況というのは入っていませんね。
  94. 泉美之松

    泉政府委員 いま読み上げましたように、当該法人の収益状況など特殊な状況を考えて、収益があまりないにもかかわらず、役員に対して過大な報酬を払っておれば、それは不相当なものと認める趣旨規定いたしておるのであります。
  95. 横山利秋

    ○横山委員 私の記憶するところによれば、これはかつて同族法人だけじゃなかったですか。今度は一般法人にこの問題を広げるわけですか。
  96. 泉美之松

    泉政府委員 いや、現行法でも一般法人にそういう規定が設けられておるのでありまして、同族法人だけではございません。
  97. 横山利秋

    ○横山委員 この「不相当に」ということが、いま読み上げられました規定によっても、これは判断のつきかねることで、前線にいる税務職員の判断、あるいは税務署長の判断にゆだねられておることがほとんどでございますね。その規定以外にどういうふうなものさしがあるか。ほとんどこれは前線にゆだねられて、税務職員が不相当だと思えば不相当だ。一方的な判断にゆだねられるということになっているではありませんか。
  98. 泉美之松

    泉政府委員 それはそうではないのでありまして、いま読み上げましたように判断の基準は、一つはその「当該役員の職務の内容、当該法人の収益及びその使用人に対する給料の支給の状況、」これに照らして「当該役員の職務に対する対価として不相当に高額である」かどうかという判断をするわけでありまして、使用人にはほとんど給料を払わぬで、役員だけが報酬を取っておる、そういうことは「不相当」であります。それから先ほど申しましたように、収益がないのに役員が報酬を取っておるとかという基準もあります。それからいま一つは、当該法人と同じ程類の事業を営む他の法人で、その事業規模が類似するものについて役員に対して報酬を支給している状況がどうか。そういうほかの法人でどの程度の役員報酬が支給されているか。同じ事業を営む同じ規模のもの、それと比較して不相当に高いかどうかという、こういう判断の基準があるわけでございます。決して税務署長なりあるいは職員がかってに不相当に高いという判断をするものではございません。基準に照らして判断するわけであります。
  99. 横山利秋

    ○横山委員 実際問題としては争いはすでにあるわけですね。あなたの言うような職務内容の評価を税務職員が合理的にやれるはずがない。いまの給料を下へ払わないで、自分だけもらっておるというようなばかげたお話はあり得ない。他の法人との比較論といっても、他の法人も、どの同質の法人をものさしにとるかということについて議論がある。そうでしょう。だから、あなたはもっともらしく言うが、実際この問題が税務署と納税者との間に常に争いがある。その争いについてはもう税務署の一方的な見解が横行するのです。横行しているのです。どうですか、鍛冶さん、それを実際問題に当てはめてみなさい。私が十万円もらう。十万じゃ高い。何で高い。某株式会社の専務は五万円じゃないか。そういう比較を、坊さんをとるか、鈴木さんをとるかによっても、もう違う。それから従業員との給料の比較論というものも、それは一体何だということです。従業員にまあやらぬということはない。払っておる。払っておるが、自分がどのくらい持つのが正しいか。それはある意味においては、その人の能力にも関係するので、まるきり全力をあげて商売をやって、その社長によって運営されているというのと、社長は名義だけで遊んでおるという人がある。それを一体、評価はするのだろうが、職務の評価はどうして行なうか。税務職員がどのようにして職務の評価がうまくいくか。この「不相当」ということばは、きわめて抽象的なことばではあるけれども、きわめて乱用されておる。抽象的なるがゆえに乱用されておるということなんです。どうですか。
  100. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 これはおっしゃるとおり、なかなかこの認定は容易なものではございません。先ほど来平岡委員が言われた地価ですか、地価を定めるということも同様でございまするが、そうおろそかに決定できるものではございませんので、これはやはり先ほど私が申しましたように、この認定に当たる者は、非常な社会的の経験を持った者、しこうしていろいろの方面の知識を持った者でなければならぬと思うのであります。さらにその上に、上におる者が謙虚にこれを指導するということ以外にはなかなか、すぐこれでぴしゃっときめるものではないと思いまするので、この点はよほど上におる人々が謙虚にこれを指導して、間違いのないようにするという以外にはないものだと考えております。
  101. 横山利秋

    ○横山委員 上におる人というのは税務職員ですか。
  102. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 いや、税務職員を指導する者であります。
  103. 横山利秋

    ○横山委員 その点について泉さん、よろしいですか。乱用を特に戒めよ、こう鍛冶さんは言っていらっしゃるのですが、そういうふうに指導していただけますか。
  104. 喜田村健三

    ○喜多村説明員 現在の運用といたしましても、いますでに政務次官がおっしゃったような方針で運用しております。今後ともそうした方針で進めたいと思います。
  105. 横山利秋

    ○横山委員 現在はだめだから言っているのであって、現在うまくいっているならそんなことは言いません。  五十四条、(賞与引当金(「青色申告書を提出する内国法人が、その使用人及び第三十五条第五項(役員賞与等の損金不算入)に規定する使用人としての職務を有する役員に対して支給する同条第四項に規定する賞与(以下この項において「賞与」という。)に充てるため、各事業年度において損金経理により賞与引当金勘定に繰り入れた金額については、当該金額のうち、これらの者につき当該事業年度終了の日の属する年の前年において支給された賞与の額及び同日の属する年において同日までに支給された賞与の額を基礎として」と、ここであります。この前年のものを基礎にするという根拠は一体何であるか。ことしの問題はその業績に応ずべきものであって、前年を税務署が基礎にするというのはかって過ぎやせぬか。どうですか。
  106. 泉美之松

    泉政府委員 賞与引き当て金につきましては、おっしゃるとおり当期の業績いかんによって、賞与を支給する額は違ってくるわけでございます。そこで会社としては、合理的計算に基づいて、当期はどの程度賞与を支給したい。ついては、たとえば九月末決算のときに——賞与を支払うのは十一月あるいは十二月であります。しかしその場合に、九月決算で賞与引き当て金をとっておらないと、実際十一月あるいは十二月に支払うときに、その九月期の業績によって払うわけでありますから、引き当て金をとっておらないと将来、企業経営上困っていく。そこで引き当て金を設けるわけであります。そこでその引き当て金を設ける場合に、その基準をどの程度にするか。それはもちろん当期の業績を基準にして会社としては引き当て金をとろうと思うのでありますけれども、税法上どういうふうにするかということになりますと、当期の業績を基礎にしますと、ぐるぐる回りになりまして、なかなかきまらない。そこで、やむを得ず前年の支給実績を基礎にしまして、前年はそこの従業員に対して一人当り幾ら支給しておったということを基礎にいたしまして、当期末には従業員がこれだけふえておる。そうすると前年一人当たりこれだけ支給したのだから、それを基礎にしてどの程度まで引き当て金をとっておきたいというのであれば、その前年を基礎にして設けました引き当て金を一応損金に算入しておく、こういうことになるわけであります。
  107. 横山利秋

    ○横山委員 「基礎として」ということば意味を聞きます。「基礎として」というのは、もちろんそれ以上動かないということではないけれども、この法律の企図するところは、本来ならば基礎としてということではなくて、一つのよりどころというか、どうも法律の文章としての基礎というのは、アローアンスがあまりにも少ないような感じがする。本来業績賞与というのは、業績に応ずるものであるから、この期が非常にうまくいっている、あるいはうまくいっていないという賞与ですから、幅があるはずです。この「基礎として」ということばが、そういう幅がないように考えられる。基礎としてということばに少し問題があるのではないか、こういう意味で言っておるのです。
  108. 泉美之松

    泉政府委員 賞与はその期の業績を基礎に出す、これはお話のとおりでございます。したがって前年実績の基準だけでやっていくのは、実情から言うと合わない点がありはしないか、そういう心配はございます。しかしながらそれでは賞与引き当て金をとる場合の基準をどこに求めるべきかということになりますと、先ほど申し上げましたように、当期の業績を基礎にしてということになりますと、ぐるぐる回りになってきまらない。やむを得ず前年の賞与を支給した一人当たりの実績である。人がふえれば当然金額としてはたくさんにならざるを得ない。したがって前年支給しました従業員一人当たりの支給額を基準にして、この引き当て金を定めたい、こう考えておるのであります。お話のように当期の業績を基礎にするような基準をつくれば、一番妥当な姿になるかと思いますけれども、それはぐるぐる回りになってきまらぬということで、やむを得ずこういう基準をとっておるのであります。   〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕
  109. 横山利秋

    ○横山委員 私の言う意味がわかりますね。基礎としてというのを、幅が少な過ぎるように解釈をしてはならないという点については同感ですか。
  110. 泉美之松

    泉政府委員 幅がなさ過ぎるというのはお説のとおりであります。あまり幅を設けるわけにまいりかねるのであります。これはもういま申し上げたことでありますから繰り返して申し上げませんが、したがって賞与引き当て金として設けるのは、いま申し上げました前年に支給された賞与の額を基礎として限度額をきめられる。その範囲限度しか認め得ないということになるわけであります。
  111. 横山利秋

    ○横山委員 次に、更正及び決定の点について通則法にわたって聞きたいのですが、通則法の十九条では修正申告をうたっておる。つまり私の言いたいのは、十九条で修正申告、納税者がおれが申告したのは間違っておった、もう少し税金がふえてよかったという修正申告においてはいつでも出せる。けれどもおれは間違っておった、もう少し税金が少なくていいはずだ、こういう点については二十三条の更正の請求、減額でありますが、これは一カ月以内でなければいかぬ、こうなっていますね。私はどう考えてもこの理論については、どうもいまの税法では首肯できない。おれが間違っておったからもう少し出さなければならぬというのなら、二年たっても三年たってもいい、言ってこい。けれどもおれが間違っておったから税金を減らしてもらわなければ困るという意味の更正請求については、一カ月以内でなければそういうことを言う権利がない。あとは税務署長が自由裁量で誤謬訂正でやる余地は残す。この論理は一体どういうところから出てくるのでありますか。
  112. 泉美之松

    泉政府委員 納税というものは、税法にきめられた額どおり納めればいいので、それをこえて納める必要はないし、またそれより低く納めるのは困る、これは横山委員御承知のとおりだと思うのであります。そこで納税者が申告納税いたしましたところが、あとで計算し直してみると、先に申告した計算が誤りであったということになりますと、更正の請求が認められるわけでありますが、しかしそれをいつまでも更正の請求ができるのだということにしておきましては、申告をするときに適切な申告をしないでやるということになります。本来申告書を出すということは、自分はこれだけの納税義務があると確信して出すわけでありますから、それを自分の計算が間違っておりましたから、あれは減らしてくださいというのは、一定の期限に限らざるを得ない。あるいは一月というのが短か過ぎるという御意見かもしれませんけれども、一定の期限を限らざるを得ないと思います。しかしながら自分が計算したのが間違っておったから、もっとたくさん納めたいということでございますれば、それはいつでもよろしい。これはいわば税務署のほうで更正のために調査に行く前であれば、あやまちを改めるにはばかることなかれということでございますから、修正申告をして納めたいとおっしゃればそれは認めます。そうして同時に過少申告加算税につきましては減額をいたします。こういうことでございます。
  113. 横山利秋

    ○横山委員 委員長の顔を見ていると、これはまずい答弁をしておるなというような顔が見える。もう一ぺん言いますがね。これはきわめて通俗的、常識的な問題です。自分が申告をする。間違っておったと気づく。これは純粋な意味の数字の間違い、いろいろな間違いを純粋な意味に限定しましょう。間違っておった、もう少し税金を出さなければならぬというなら、いつでも来い、一年たとうが二年たとうが三年たとうが、税金をぎょうさんくれるならばいつでも直してやろう。間違っておった、もう少し税金が安くてもよかったという問題は一カ月以内に言ってこないと、おまえの権利はない。こんなかってな理屈がどこにありますか。かって過ぎると私は思う。これは理屈抜きですよ。理屈抜きで、一カ月過ぎて私の計算が間違っておった、ないしはこういう点がうっかりしておりましたから、だから税金をまけていただくことになりますからよろしくお願いしますと言うと、一カ月過ぎたからおまえの権利はない。どういう手があるか。税務署長に拝んで頼んで、税務署長が誤謬訂正、おれが間違っておった、こういう手を使ってもらわなければならぬ。税務署長なり担当者なりが誤謬訂正をやるときの顔、自分が間違えたという立場をとらねばならぬ。したがって恩に着せるということになる。これはいけませんよ。どうですか、鍛冶さん。これはあなたも答弁できますまい。
  114. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 私は税法の実際を知らぬから、あまりはっきりしたことは答えられませんが、私の常識で答えます。これは実際取り扱いの関係からではないですか。まず不服のある者は言うてこい。それで一カ月以内に言うて出てくれ。そしてそれをきめる。それからおれは間違っていましたと言って自分から進んで出ていく者は、おそらくなかろうと思うのです。税務署で調べた結果、これはおまえ、間違いではないか。それならというて間違いでございましたと言うて出すのが多いのですから、まず向こうの不服のある者から片づける。それからこっちで調べてみて間違いがあれば、間違いがあるからというておいおいにひとつ徐々にやろうという事務的の実際問題から起こってきていると私は心得えます。これは私はそうだと思います。
  115. 横山利秋

    ○横山委員 そこで鍛冶さん、最初にあなたに念を押したじゃないですか。納税者の権利を守れ、これ以上取ってはいけないということを貫け、趣旨には同感だとおっしゃる。明らかにその人は自分の計算で、計算が間違っておったのですよ。間違っておったから税法からいうならば取らるべきでない税金を取られることになった。これは直してくれという要求ができるのは一カ月以内ということなんです。けれども間違っておった。もう少し税金を納めてもいいのだというやつはいつでも言ってこい。こんなかってなことがありますか。私が第一条であなたによく因果を含めておいたのはそういうことなんです。
  116. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 それはいずれもいかぬのでありまして、納めなければならぬものを間違って出したのもいかぬ、納めるべきものを少なく書いて出したのも間違いならば、納めぬでもいいものを書いて出したのも間違いなんです。税法の上からいえばいずれも間違いでございますから、訂正すべきものなんです。そこでどっちを先にやるか、こういうことになるのです。どうも私は事務の取り扱いの問題だと思うのです。あなたのおっしゃるように、申告するのは、それは私は少なくやっておりましたからもっとふやして出しますと言って、自分から進んで行く者はおそらくなかろうと思います。これはやはり税務署のほうで調べてみて、おまえ間違いがあるぞと言ったら、そうでございますかと言って出すのです。それはあとにして、まずおまえのほうで不服だと思うものを、間違っておると思ったら早く出してこいよ。いつまでもやられておっては困るから、まずこれから片づけていこう、こういう理屈なしの事務の取り扱いでないかと私は思います。これはここにおられるから、私が間違っておったらこっちで訂正してもらいましょう。   〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕
  117. 横山利秋

    ○横山委員 鍛冶さん、あなたはまだ誤解してみえるのです。納税者が申告してから、間違っておったと自分が気がついた場合ですよ。それが税金を多く出すべき方向と、税金が減るほうと、二通りあるわけですね。自分が間違いに気づいて、多く出す方向であったと気がついた場合には、一年先であろうと二年先であろうと、言ってくれば直してやるというのです。国民の権利である、税法の定める以上に出さなくてもいいということが第一であると、泉さんはさっき言った。そちらのほうの間違いについては、一カ月以内に言ってこなければ直してやらない、これは明らかに税金の取り過ぎになるわけです。取り過ぎになることについて、不服の申し立ての権利を一カ月しか認めないというのです。これがおかしくなくて何がおかしいですか。あなたは誤解してみえて、税務署から言ってくるやつだと言うが、そうでない、納税者側の権利を一カ月以内で請求してもらう。こちらも一カ月ならまだいいです。両方とも一カ月ならばまだ恕すべき点がある。こちらはいつまでたってもよろしい、言ってこい。こちらは一カ月以内に言ってこなければ、おまえの権利は知らぬ。そうして税法以上に税金を取ってしまう、そういうことになる。ただその場合に陳情すれば、苦情申し立てとして税務署長が誤謬訂正で直すという手がある。しかし誤謬訂正というのは、お互いよう知っておるように、税務署長なり担当者が、おれのやり方の間違いだったという立場において処理されるものだ。おれの間違いとは何だ。本来納税者の間違いではないか。それをおれの間違いと言う以上はおまえさんと、こういうことになる。よくないことになる。恩に着せることになる。雰囲気がよろしくない。納税者は権利が剥奪されて、哀訴嘆願という状況に一カ月過ぎたら一変する、こういうことはいけないと私は言っておるので。
  118. 泉美之松

    泉政府委員 おことばではございますが、減額更正の請求でございますので、減額更正の請求は、税務官庁の事務処理の関係上、権利として認めるのは一カ月以内に限るということにしておるのでございます。横山委員の一カ月が短いかどうかという点については、いろいろ御意見はあろうかと思います。しかしながらこれは実情を申し上げますと、過去にいろいろな実例があったのでございますが、具体的なお名前は省略さしていただきますが、法人税の申告をするときに過大に申告しておきまして、会社の業績、決算のほうは低い決算をしておるわけであります。そうして税務署のほうだけは過大に報告しておいて、従業員には、決算にあるとおりこの会社はもうかっていないのだから、賞与もやれませんというようなことで、渋いことを言っておいて、実際は税務署には納める。しかしそれには過大計上がしてありますから、そうするとあとになって、あれは架空売り上げを計上してあるのだから返してください、こう言ってこられるのであります。しかしそれは会社の本来の決算と税務署の申告との間には、関連が十分になければならぬのでありまして、それを無視したような、申告の際だけ当然否認すべきような架空売り上げを計上して一応申告しており、そして従業員には賞与をやらぬということをしておいて、あとになって返してください。いつまでたってもそれは返すのだということでは困るのであります。やはり納税者は自分の責任において正当な税額の計算をして申告をしていただく、これがたてまえであります。本来自分が計算して金額が多過ぎるということは、何らかの意図的なことがない限り、そういうことはあまりないのであります。そこでそういうことで減額更正の請求をするのは一カ月以内に限ります。しかし世の中にはいろいろな事態がございますから、一たん契約が成立してやっておったものが、あとになって裁判上問題になって、それが契約が成立しなかったというようなことがございます。そういうふうになりますれば、あとになって、一カ月を過ぎたけれども、あのときの売り上げに計上したのは、あれは入らないことになった。したがってあれを減額してもらいたいという場合がございます。横山委員は一カ月を過ぎると税務署に対して哀訴嘆願しなければならぬというようなおことばでございますが、それは税務職員をあくまでも昔の悪代官的な考えをしておられるからそうでありまして、現在の税務官吏は決してそのようなものではございません。御心配は要らないと存じます。
  119. 横山利秋

    ○横山委員 泉さんがそうおっしゃるなら、私もこう言いますがね。いまでも税務署は納税者を犯罪者扱いにしておる。納税者というものは脱税すべきものだとしておる。その考えでやらぬといかぬのだという考え方があると私は言い返しますよ、そういうことをおっしゃるなら。泉さんはいま具体的に悪質な例をあげて私に答弁をされた。よくないことです。あなたもお認めになるように、善意の誤謬というのがないと言えないでしょう。実際あるのです。善意の誤謬というものについて、一カ月以上たったらあなたの申し立て権利はない、出す方はいつでも言ってこい。税金がまかることについては一カ月しかいかぬということは、どう考えても論理に合わぬ。私はいま、大臣もおらぬのに、政務次官も困ったような顔をしておられるから、ここで決着をつけようとは思わないが、ただ政務次官に言うてほしいことは、ほんとうにこれは論理の矛盾ですよ。権利の侵害ですよ。ですから将来これを検討してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  120. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 論理の間違いであるかどうか、これは相当議論があると思います。それから一カ月が少ないからもっと延ばせという議論も出てくるかもしれません。それらのことについては、もちろん税法は日に日にこれを改善していくべきものですから、おことばを十分研究はせなければならぬと思っております。  それから先ほど税務署で悪代官のような者ばかりおるように言われましたが、そうではございません。だいぶ変わっています。何万人おる中に、それはそういう者がおるに違いございませんから、そういう者がおったら、これはひとつよく上官に言うて、しかるべく教育をしてもらうことが一番大事だと思いまして、われわれも注意いたしますが、どうぞひとつ横山委員においても、そういう者があったらどしどし言って、改善させてくださることをお願いいたします。
  121. 横山利秋

    ○横山委員 この問題は、まあここで質疑応答いたしますと、どうしても立場というものがありまして、あなたのほうとしても一応は現行法の立場に立って御答弁をなさるわけですけれども、私はこの問題については御判断を改めていただく価値十分ありと思いますから、いま政務次官のおっしゃったように、ぜひ将来検討をもう一度やっていただきたい。  その次はきのうの問題、百五十一条、代表者等の自署押印、これは申告書には判こを押せ。しかし第四項で、判こがあろうがあるまいが、申告書による申告の効力に影響を及ぼさない。次、百六十一条では、判こを押さない者は一年以下の懲役または二十万円以下の罰金に処する、この問題、私はきのうもう一度よく考えてみた。私の言うのは野党であるから、政府の言っておることについても一理はないかと考えてみた。しかし考えた結果、私はこういう結論です。それは税法でこういうことを書くべきではない。税法は何のために申告書を提出させるか。これは申告が適正であることを望んでおる。しかしながら自署及び押印を求めたのは、これはある意味では訓示規定である。精神規定である。もしそうでないとするならば、申告書の効力に影響を及ぼさないと断ずるのがおかしい。そうでしょう。自署押印しろ、けれども自署押印したとて申告書が間違っているか、あるいはそれを法的に尊重するかしないかは関係ない。関係ないけれども、自署押印しなかったならば、一年以下の懲役または二十万円以下の罰金だ、こういうことを税法の中で一緒に並べておく論理はない。かりに自署押印でないとすれば、私文書偽造だとか公文書偽造だとかいって別の法律によって律すべき問題であって、税法の中で、税法の必要がない——必要がないと言ってはちょっと言い過ぎでありますが、申告の効力に影響を及ぼさないと断じておりながら、自署押印をしなかったからといって一年以下の懲役、二十万円以下の罰金というのはところが違う。罰則のところが違う、私はこういう結論に到達した。だから、必要であるならばよそのところでやるべきであって、よその法律で私文書偽造とかなんとかいうことにするべきであって、税法の中でこれを法規すべきではないと、こういう結論です。御意見いかがですか。
  122. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 昨日来、あなたの主張ですから、私も非常に重く考えてみたのでありまするが、どうしてわれわれと考え方が違うのだろうと思って考えました結果、この「影響を及ぼすものと解してはならない。」というこのことばのとり方の違いではないか、こう思うのです。どうも横山委員の言われるところを聞いておると、「影響を及ぼすものと解してはならない。」ということはあってもなくてもいい、こんなものはどうでもいいのだ、こう書いておるではないか、どうでもいいのだと言っていながら、罰則のところでこれを罰するとは何事だ、こういう議論のようですが、そうではないのです。それは署名捺印はなくてはいけないのです。署名捺印がなくてはほんとうの申告書ではないのです。ほんとうの申告書ではないのだが、署名捺印をおれはいやだと言うてやらなかったら、それに引っぱられて納税をきめずにおったらたいへんだから、そこで不完全なものではあるけれどもこれできめられるのだぞ、署名捺印をしなくてもその納税をきめるということに影響を及ぼすものではないのだぞ、こう言うておるだけだ。申告書そのものは要らぬことになったのではないのです。不完全ではあるが、それをもって申告したものとして納税の決定をするぞ、こういうことなんです。この規定はそれだけでございます。それから罰則のところへいけば、不完全なものを完全なものにせいというのに聞かないとすれば、それは税法の要求するものを拒むのだから、それに対しては制裁を加えなければならぬ、こういう考え方でやっておるので、両方区別して考えていただけばおわかりいただけると、きのうから考えたのです。
  123. 横山利秋

    ○横山委員 一年以下の懲役、二十万円以下の罰金は重罪ですね。あなたも御納得のとおり、われわれ法務委員としては重罪ですよ。それほどの罰則をつけるのにかかわらず、所得税法には罰則がない。税理士法も自署押印を求めているが罰則がない。それほどまで法人税法の申告と所得税法の申告とは違うのか。申告書の価値というものは法人税所得税の申告とで、一年以下の懲役、二十万円以下の罰金、オール・オア・ナッシングほど違うのか、この点はどうです。
  124. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 罰則が重過ぎるかどうかということは、これは別の問題でございまして、それは考えなければなりませんけれども、私のいま言わんとすることは、申告書には署名捺印すべきものだというにもかかわらず、おれはいやだ、そんな署名捺印はせない、こういうものをほっておいていいかということになりますると、やはり何かの制裁を加えなければならぬということです。  それから法人と個人と違うというのはどうだとおっしゃいますが、法人というものは、それぞれ機関がいわゆるシステマティックにやることが法人の一番の目的なんですから、それにもかかわらず、それぞれの機関があるにもかかわらず、ことさらにそういうことを拒むということは、どうも個人の場合よりか罪重しというほかはない。そういうことでやったものと心得ます。
  125. 横山利秋

    ○横山委員 泉さん、どうですか。こういう問題は従来からある法律ですから、あなたのほうとしてもことさらにこの際に検討をなさったわけではないと思う。たまたま全文改正でもう一度全文を見直しておるときに、この矛盾に気がついたわけなんです。ですから先ほどの問題でも同じことです。この問題でも同じことですけれども、私は罰則をつけるなら、法人税法所得税法との均衡論というものがある。これはオール・オア・ナッシングですから、どういう機縁でこの罰則がついたか知りませんが、罰則をどうしてもつけるというなら、これはほかの法律にゆだねるべき事項ではないか、私はこう思うわけです。ですからこれは今回特につけた法律ではないにしても、この機会に将来の検討事項として出すべきところが多々あるではないか、こう私は思うのです。どうです。
  126. 泉美之松

    泉政府委員 この規定につきましては、先ほど・政務次官からお答えになったとおりでございますが、所得税法のほうに自署押印の規定がなくて、したがってその罰則の規定もない。これは所得税の場合にはいろいろな人がおられますので、その点を考慮したものであることは、昨日お答えしたとおりであります。ただ法人の場合におきましては、法人は確定決算に基づいて申告書を提出しなければならないわけであります。したがって代表者が、昨日も申し上げましたように、会社運営の執行機関といたしまして、本来善良なる管理者の注意を持って業務の執行をやっていただかなければならない。にもかかわらず、その代表者が自署押印をしないで、自分のところの法人税の申告はどうなっているのかわからないというような状態では、困るわけでありますので、業務執行の代表者に確定決算に基づいて計算してできている申告書に必ず自署押印をしていただいて、そして適正な義務の履行をしていただきたい、こういう趣旨規定が設けられているわけであります。したがって、その違反に対して罰則の適用がある。その罰則が重いか軽いかということにつきましては、いろいろ御判断があろうと思います。秩序罰としてこういう罰につきましては、みな一律に規定ができているわけであります。  それから税理士さんの場合に、税理士さんも申告書に署名押印をすることになっていますが、その場合に税理士さんの場合にはなぜ罰則規定がないか、これは税理士さんの場合に罰則規定を設けるということも一つ考え方であろうかと思いますけれども、本来会社の申告書であります。本来は税理士さんはその会社の申告書作成に関与したということで、自分がそこに関与したということで署名押印を求めるものであります。本来の申告書そのものとの関係がないわけであります。そこで罰則まで強制するのは適当でない。しかし業務執行の代表者はそうでないというのであります。  それから「申告の効力に影響を及ぼすものと解してはならない。」というのは、これは念のための規定でありまして、不完全な自署押印のない申告書が出されましても、しかしそれによって無申告である。完全な申告書が出ていないのだから無申告なんだという扱いをすることは、納税者に罰則を適用云々は別としても、一そう酷な扱いをすることになりますので、それは適当でない。したがって不完全な申告ではあるけれども、出された申告については、申告書としての効力は認めます、期限内に出したものであれば、期限内申告書として扱います、こういうことを言っておるにすぎないのであります。  この点についてはお話のとおり、従来からある規定でありまして、シャウプ勧告によって自署押印の規定が入った後、すでに十数年にわたって平穏無事に今日までまいっておりまして、別段私ども疑念を持ったことがないのであります。そういう意味では、この点について横山委員が疑問を持たれるのが、どうも私にはよくわかりかねるのでございます。しかし秩序罰としての罰則について、先ほど私文書偽造でしたらいいではないかというおことばですが、しかしこれは私文書偽造でない。自署押印せよということに対して、自署押印しなかったということは、別に偽造ではないわけです。したがって税法上自署押印すべしと言っておるのでありますから、この罰則を税法に設けること、これは差しつかえないことと思います。ただその罰則の、一年以下の懲役または二十万円以下の罰金が、ほかの罰則規定との関連において重いかどうか、これについてはなお検討の余地があろうかと存じております。
  127. 横山利秋

    ○横山委員 念のために言うておきますが、過去十年間、本件について百五十一条の違反行為がなかったということは、要するに死文化しているということなんですよ。この違反が全然なかったか。私はあると思う。それから自分が判こを押さないで人が判こを押した場合、この行為をした者というものはあるのですから、先ほど私に反論なさいましたけれども、それは少し誤りではなかろうかと思うわけです。私はいまこの全文改正の中で、現実的に矛盾のあるもの、それから法理的に矛盾のあるもの、それぞれ言っているわけです。現実的には矛盾がないといっても死文化している。しかもこれは法理的に問題がある。こういうふうに指摘しているわけです。したがってこの問題につきましても、私はどうしてもいまの御答弁に納得できません。これは論理的に法人税法の数々の矛盾として強く指摘して、将来の検討をお願いしたい、こう考えておるわけです。  次は百五十三条並びに百五十四条、この質問検査権については百五十五、六もそうでありますが、従来のそれと文言については一切変わりありませんか。
  128. 泉美之松

    泉政府委員 変わりないはずであります。
  129. 横山利秋

    ○横山委員 念のためにお伺いしておきますが、百五十三条の「法人質問し、又はその帳簿書類その他の物件を検査することができる。」こうなっておりますが、「その他の物件」とは一体どの範囲をさすものですか。
  130. 泉美之松

    泉政府委員 これは現行法でもそうなっておるわけでありますが、帳簿書類以外に取引に使われた商品であるとか、そういった種類の物件をあらわすわけでございます。
  131. 横山利秋

    ○横山委員 この法人はその該当法人であることはわかっておる。「又はその帳簿書類」「その」ですから、その法人の帳簿書類であることはわかっておる。「その他の物件」というのは、その法人の所有する物件のことでありますか。
  132. 泉美之松

    泉政府委員 「その他の物件」は、当該法人が所有しているものは当然でありますけれども、当該法人が占有しているものも入ると解釈いたします。
  133. 横山利秋

    ○横山委員 そこで問題になりますのは、その法人はこれは特定個人であるから認識の間違いはない。その帳簿書類もまた認識の相違はない。「その他の物件」は、その法人の占有し、その法人のものである物件と認定のしようがない。これはよく調べなければ認定のしようがない。そこでここに税務官吏の裁量というものが働くのです。ここで言う「その他の物件」とは、法人の占有し法人のものになっておる物件、こう考えてよろしいわけですね。
  134. 泉美之松

    泉政府委員 いま申し上げましたように、その法人が所有している物件は当然入ります。しかしその法人の所有にはまだ帰属しておらないけれども、当該法人が占有しておる物件も入るということになるわけでございます。調査に来ますと、そこにある物件でございますから……。
  135. 横山利秋

    ○横山委員 この問題についてはいまのお答えでいいとは思うのですが、現場におきましては、その法人の、いまおっしゃったような占有しないしは使用しておる物件と必ずしも税務官吏が判断ができないから、とにかく自分がそうだと思って検査をするおそれが非常に多いのです。特にその点は遺憾のないようにされたいと思う。  それからその次に質問検査権につきましては、先般私が強く本委員会でも取り上げたところでありますが、税務職員納税者のところへ行って、自分で引き出しをあけて、自分でその書類を持ち返り、あるいは自分で裏のほうへ行って見る。あるいは主人が来るまで待ってくださいと言うのですが、どうしてもその金庫をあけろというふうに強要をする。これらはすべて質問検査権の逸脱行為だと私は考えていますが、主税局長の御意見法律上伺います。
  136. 泉美之松

    泉政府委員 おことばの中にありました金庫を自分であけるというのではなくて、実務をやっておりますのは、その調査の必要がありますから金庫をあけてくださいとお願いしてあけてもらうわけであります。またそのときに、都合であけますがよろしゅうございますかと承諾を得てあける場合もあろうかと思います。実際の執行の場合におきましては、いろいろことばのやりとりがあることでございますので、そのときの雰囲気などにおきまして、この法律規定しておる事柄と、実際行なわれている事柄との間におきましては、いろいろ問題がないとは私は存じません。いろいろあることと存じております。しかしながら税務職員がその職務を執行するにあたりましては、この質問検査権に定められておる範囲内において事を行なうべきものであります。その質問検査権の範囲を逸脱したことをやるべきものではないと考えております。それで具体的の場合に、それではどれが質問検査権の範囲内であり、どれが質問検査権の範囲を越えているか、これについて従来から横山委員がいろいろお話しになっておられまして、税の執行の少委員会におきましても、いろいろ論議が今日まで重ねられてきておることでございます。私どももそれらの趣旨を体してやっていかなければならぬというふうに思っておるのでございます。
  137. 横山利秋

    ○横山委員 私の言うことにまともに答えてもらえないのです。もう一ぺん言いますが、税務職員納税者のうちへ行って、自分で引き出しをあけ、そうしてその辺にある書類を自分でとり、自分で裏のほうへかってに行く、そういうことはいけないと言っているのです。その場合に泉さんの言うように、本人の許諾があるならば認められる場合がある。けれども本人の許諾がない場合においては、かってにそういうことをするのは、質問検査権の法律上の逸脱行為である、こう私は言っているのです。ずばりと答えてください。
  138. 喜田村健三

    喜田説明員 現実運用におきましては、先ほど主税局長答弁いたしましたように、本人の承諾を得ております。しからば本人の承諾がなければ、すべて法律的に質問検査権として検査できないかということになりますと、たとえば一番はっきりした例で申しますと、裏に倉庫がある。この中にたなおろし商品が入っていることは大体はっきりしている。そういう場合に、税務官吏がそれをあけてくれと言って、本人があくまでもあけなかったというような場合、あるいは金庫の中に帳簿が入っておるのがはっきりわかっている場合、金庫をあけてその帳簿を見せてくれと言って、本人があけなかったという場合には、これは質問検査権を拒否したということになって、法律的に突き詰めれば、そういう極端な場合には質問検査権として罰則の裏づけのある検査ができる。ただし、もちろん実力行使をしてこちらは検査するわけではございませんが、本人がこれを拒否した場合には、検査を拒否したのだと認定し得る、こういうふうにわれわれとしては考えております。
  139. 横山利秋

    ○横山委員 これはおそるべき判断だと私は思いますね。質問については黙否権はないのですから——これは私は論争をやったことかあるのですが、黙否権がないという判断を持っておられるのを、私は百歩譲って一応了承したとしましょう。けれども検査するところの権利は、あなたの言うところによると立ち入り権ですね。これは捜査令状を持っていった場合に、検査を拒否したということで罰則が働く。あなたの言うのは、令状をもってする立ち入り権と普通の質問検査権の検査とをごっちゃにしておられる。質問検査権によるところの検査と、令状を持ってやる場合の検査と、一体どこが違いますか。どういう判断をしておられますか。
  140. 喜田村健三

    喜田説明員 令状を持って納税者宅へ行くという場合には、これは実力をもって捜索するといった行為で、もしそれを妨害した場合には公務執行妨害になります。一方いま申しましたたとえばはっきりたなおろし商品が入っている倉庫をあけなかったという場合に、こちらがそれを実力を持ってあけるということは、もちろん法律的にはできません。ただこちらがそのたなおろし商品を検査したいからあけてくれと言ったのに、納税者があけなかったという場合には、納税者が明らかにこちらのたなおろし商品を検査する権限の行使を妨げたということで、法律的には突き詰めた場合には検査拒否犯が成立する場合がある、こういうふうに申しておるわけであります。
  141. 横山利秋

    ○横山委員 ない。そんなべらぼうなことがあるか。あなたの話は、この倉庫の中にはたなおろし商品が入っているという前提がある。入っておるか入っていないか、神ならぬ身の知るよしもない。あけてみなければわからぬ。そうでしょう。あなたは入っておると前提をしておる。税務職員はみんなそうなんです。脱税があると判断しておる。たなおろし商品が入っておるときめてかかっておる。そこに間違いがある。質問検査権によるところの検査というものは、少なくとも納税者のところへ行って質問をする。書類を出してくださいと言って、その任意に出してもらったものを検査するという権利です。かってに入っていって、ここにたなおろし商品があるはずだ、あけろという命令権を持った検査権は、そこに断じて含まれていない。鍛冶さん、どうですか、これはとんでもない解釈です。そんなばかなことがあるか。
  142. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 この間から何べんも私、答えていますが、第一何でもかんでもやるということが間違いなのでございまして、必要欠くべからざることをやるというだけであります。そうであらなければならぬと思う。そこでそういう考えを持って税務職員に行かせるということが、指導者の一番の任務だろうと思う。そこでいま言う実力を持ってこっちでやるわけにいきません。これはわかっておる。わかっておりますが、検査を拒否した者に対する制裁があるわけです。だから、そこをあけてもらわなければならぬ、もしあけられないとすれば、拒否したということであなたは罰せられますよ、こういうことで、そこでしかたなしにあけるというのが多いのではないか。ほんとうに拒否したら——調べぬでもいいものを無理にあけろと言ったらこっちが悪いのですから、さようなことはできるものではありません。それ以上は裁判所の捜査令状をもらっていく以外にないと思います。   〔「時間だぞ」と呼ぶ者あり〕
  143. 横山利秋

    ○横山委員 しかしこれは与党の諸君、あなた方も実際に体験をなさることが多いのですから、時間がないと言いましても、こういう答弁を許しておいて、国税庁が言っていますように、たなおろし商品が倉庫の中に入っておるはずだからあけろ、あけなければ刑罰だ、こういう言い方が事実上許されたら、これはたいへんなことですよ。私は、その場合において、あけてください、きょうはどうしても困るとか、ここにたなおろし商品が入ってないというふうに言われたならば、許諾がなかったものとして帰って、必要があるならば、令状を持っていくべきであって、そこに検査を拒否したということで、質問検査権の制裁が直ちに動くという判断は間違っておる。この判断を許したならば、税務職員があらゆるところで、それじゃ引き出しをおれがあけます、これをもらっていきます、裏へのこのこかってに出かけるという自由な裁量が許されることになる。
  144. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 私も法律家ですから、そんなことは申しません。みずから強制をして税務署員が検査をする権限はありませんと申し上げておる。ありません。ただし実際においては、それはあけられないとあなたは拒否したことになって制裁がありますよ、これは私は言うておるだろうと思う。当然だと思うのです。その次には、それでも聞かなんだら、それは制裁をするだけで、それでなおかつ強制の必要があるとすれば、これは裁判所の命令をもらって令状を持っていく以外にない、その考えでいくべきものである、かように考えております。
  145. 横山利秋

    ○横山委員 鍛冶さんのところと接近してきたのだが、そのあけない場合には制裁がありますぞということは、質問検査権による制裁ではないのです。そのあとに令状を持ってきましたときに、令状でやるという制裁がありますぞ、こういう立場である。当然ですよ。
  146. 喜田村健三

    喜田説明員 先ほど申しましたのは、ちょっと誤解があるようでございますが、税務官吏が行った場合には、すべて何ものでも立ち入りができる、あるいは検査ができる、こういうふうにおとりになったかもしれませんが、そうではなくて、必要な極端な場合を一つ例として申し上げたのでございます。あらゆる場合に本人の承諾がなければ検査はできない、こういうふうにもしおとりになるとぐあいが悪いと思いまして、一番はっきりした場合を申し上げただけでございます。たとえば先ほど申しましたように、たなおろし商品があることがはっきりわかっておる。しかし本人がこれは絶対にあけられないと言った場合に、こちらは何の打つ手もないかと申しますと、その本人が拒否したためにたなおろし商品の検査ができなかったという極端な場合には、検査拒否犯の成立があり得る、こういうことを申し上げたのであります。
  147. 横山利秋

    ○横山委員 あえて申しますが、その場合に、ここの中にたなおろし商品があるという判断が、あなたのほうで先に働くことに問題がある。その判断を許したならば、この金庫の中には何かあるはずだ、この引き出しの中には何かあるはずだ、裏へ行けば何かがあるはずだ、こういう判断というものが税務職員の独断である場合があり得る。たなおろし商品があの中に入っておるという明確な客観的な証拠を出すならば、これは私はやむを得ないと思う。ある程度譲ってもいい。けれども、ここに入っておる、この引き出しに入っておる、この金庫にあるという判断というものは、税務職員の全くの独断ではないか。独断でないという証拠が何かあるか。
  148. 喜田村健三

    喜田説明員 金庫の中に何が入っているかわからない、そういった場合にまで、これをぜひあけろと言ってあけなかった場合に、検査拒否犯の成立がある、こういうことを申しているわけではありません。一番極端な例を先ほど申し上げました。それについては検査拒否犯の成立があるということを御了解をいただいたわけでございます。
  149. 横山利秋

    ○横山委員 了解しない。
  150. 喜田村健三

    喜田説明員 あとそれ以外に、たとえばどういう場合があるかというと、いろいろな具体的な実例がございます。しかしほとんどの場合は、全部本人の承諾ということで片づいております。ただ極端な場合に、突き詰めていけば、そういう検査拒否犯の成立する場合も法律上あり得る、こう申し上げたわけであります。
  151. 横山利秋

    ○横山委員 大臣、おわかりですね。これは具体的なことであるけれども、全国のあらゆる納税者とあらゆる税務職員との間に日常、常に存在する問題ですね。そして一方では税務職員、税務行政、税務国家権力の発動する前線なのですね。この前線は常に背景に国家権力を持っているわけですね。納税者はその意味において必ずしも対等ではない。したがって私の申し上げているのは、質問検査権というものは常に乱用してはいかぬという立場に立って、もし拒否があるならば、これは令状でやるべきであって、質問検査権の段階で直ちに刑罰、こういうふうに発動をするのはいかがかと思う。特に私が言うのは、検査の問題です。質問については、法律上とにかく黙秘権が一応ないことになっているから、これは答えなければだめだ。これはいい、常識です。検査権というものについては、非常にあいまいである。かつて泉さんは私との座談会において、いまとはちょっと話が違うのですけれども、明白に言われたことがある。私の立場にほとんど同意されたことがある。この次に議事録を持ってきてもよろしい。これは法務省の検事も同席の座談会です。いまそんなことを言うつもはないけれども、少なくとも検査については非常にあいまいであって、いま国税庁もおっしゃるように、検査権に直ちに刑罰が働くというのは、厳に戒めなければいかぬ。極端な例だとおっしゃるけれども、日常茶飯事、その極端な例が横行する可能性がいまの理論の中にある。なぜならば、ここにあるはずだ、この金庫の中にあるはずだ、その引き出しの中にあるはずだというのが、その極端な例なのですから、あるはずというのは、何をもって立証するかと考えますと、検査権の運用については、厳重にこれは戒心をしなければならぬと思いますが、大臣の御判断をいただきたい。
  152. 田中角榮

    ○田中国務大臣 最終的には強制捜査ができることでございますから、実際問題としては、拒否されたということで、その条文を発動するというようなことはないと思います。しかし現実的にあり得ないということ、また逆にいえば極端な場合は、この条文の発動がありますよという国税庁次長の理論にもなるわけでありますが、現実問題としては、強制捜査権を最終的には持っておりますから、ただ検査の場合、この罰則が適用されるというようなことはあり得ないし、またそのような条文を絶えずちらっかせながら、調査をすべきものではないという考えには同調できます。しかしそういう常識的な、また現実的な問題と、強制捜査権を持たない前の調査をいたす過程において拒否をされた場合、罰則の発動がないのだということとは別であります。でありますから、法律論からいえば、調査の場合も拒否に対しては罰則の適用はある、こういうことでありますが、現実的にはそうすべきではない、こういう意味に解しております。
  153. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 税務官吏に権限があるからといって、何でもかんでも引き出しをあけたり、これをあけろ、金庫をあけろ、戸だなをあけろということはいけません。これはもうあなたのおっしゃるとおり、これはいけません。いけませんけれども、現実疑いがあるにもかかわらず拒否されたとしたら、それでもそういうことをしてはいかぬかと言われれば、それはやり得るのだと、こう答えざるを得ないのです。これはもう百六十二条の第二号にございますから、それはやれるわけです。だけれども、そんなことはめったに振り回すべきでないということだけは、あなたのお説のとおり、私も肯定いたします。絶対にやってはいかぬというものではない。法律に書いてあるのだから、これはひとつ御了承願いたい。
  154. 横山利秋

    ○横山委員 百六十二条に「質問に対して」とありまして、そのあとに「これらの規定による検査を拒み、妨げ若しくは忌避した者」とありますが、しかし私の言うのは、この検査というものの定義をいま論争をしておるわけです。検査の定義は何か。検査というのは自由にうちの中をかけ回って、何でもあけてやるという意味の検査ではないぞ、こう言っておるのです。いいですね。その点は大臣も政務次官も御了承を願いました。  最後に大臣に、もう時間がありませんから一つだけ聞いておきます。簡単な問題ですが、あなたは社内預金は禁止をしたいという立場をおとりになっておる。この法律の中に、少額貯蓄非課税限度を百万円に引き上げる。その中に社内預金が入っておるわけです。社内預金は禁止をしたいけれども、社内預金の非課税限度を百万円に引き上げる。これはもう時間的な問題もありましょうけれども、本質としては政府の提案に矛盾がある。私はこの矛盾をどうお考えですかということと、社内預金をあなたが禁止をされるという方向は、どういうふうに具体化されますか。
  155. 田中角榮

    ○田中国務大臣 社内預金を廃止をしたいというのが基本的な考え方でありますが、しかし社内預金に対しては歴史的な沿革的な問題がありますし、現実的に考えるときには、現に存在するわけであります。この存在するものは労働基準法十八条に基づいて存在するわけです。ですから、少額貯蓄非課税の制度を適用しておりますが、私はこの問題をなるべく廃止の方向で検討したいという考えでありますから、これ以上は社内預金を温存せしむる方向になるような恩典は与えたくない考えでございます。
  156. 横山利秋

    ○横山委員 いま出ておるのです。五十万円を百万円にするという法律案が現にあるのです。
  157. 田中角榮

    ○田中国務大臣 それは廃止したいという基本的な姿勢と、現実的に社内預金の制度があるわけでありますから、これに対して恩典を与えないというわけにはまいりませんので、少額貯蓄非課税の制度を適用するということとは——もう廃止をしたいからといっていま審議会に提案しておる。労働大臣から提案をして、社内預金の将来はどうあるべきかという、まだ結論が出ておらないわけでありますし、これを廃止するにしても一年や二年で廃止できるものではないと思います。やはりある程度の経過規定、ある程度の経過期間が必要であると思います。私はやれるとしても、五年くらいの経過規定は必要だという考えを基本的に持っておりますから、社内預金を将来廃止したいという考え方と、現にある、労働基準法十八条に基づく社内預金に対して、少額貯蓄非課税の制度を適用するということの矛盾はないと思います。
  158. 横山利秋

    ○横山委員 時間がありませんからもうこれで終わりますけれども、それは矛盾はないとおっしゃっておりながら、時間的にこうなったとおっしゃるならわかるけれども、いま廃止をするというあなたのあれはおかしい。五十万を現状どおりにとどめるというならとにかくとして、いま百万に上げる、社内預金を廃止をするという矛盾については、政府側として御反省をなさるべき問題である、こう考えます。私の質問を終わります。
  159. 吉田重延

    吉田委員長 平林剛君。
  160. 平林剛

    ○平林委員 簡単にちょっと関連してお尋ねをします。むしろ委員長に対する要望と言ったほうが適当かもしれません。  今日まで私どもとしては租税法定主義を貫くために、いろいろな角度から政府に対して質問を続けてまいりました。今度提案されてある法律案の中に、たとえば所得税法では政令委任事項が二百六十六カ所、法人税法でも百二十三カ所ある。租税特別措置法並びに整備法を含めたら、これは勘定しておりませんけれども、もっとたくさんある。これらはわれわれ一切知らないで採決に付せられようとしておるわけであります。これは私ども租税法定主義の原則を貫くという意味では適当でございませんので、昨日、せめて現在までに用意されておる政令については、一応われわれが目を通したい、そして議員としての職責を果たしたいということを要望いたしました。しかるにまだ提出がございません。そこで私はこの問題につきましてけさ方委員長理事お話し合いがあったと思うのでございますから、私の要望に対してけじめをつけて採決に入ってもらいたい、これが一つであります。  もう一つは、通達行政について、われわれはいろいろな批判をしてまいりました。そして少なくともこの通達行政によって、国民のいろいろな利害が侵害されるという実情から考えまして、せめてこの通達について、あるいは政令において数額をきめる、あるいは変更するというときには、これは必ず国会コントロール下に服せしめよう、そのためには政令の数額をきめる、変えるというときには、大蔵委員会の了承を得てやる、こういう原則を立ててもらいたいということを要望したわけでございます。具体的なそれはこまかい問題でございますから、一々委員会審議というわけにはまいりませんでしょう。そこで、私は具体的には税制委員会のような機関があるのですから、これを活用することによって、今後運営をしてもらいたいという要望をしたわけであります。これにつきましては、委員長はじめおそらく国会議員としての職責を持つ委員は、同感だろうと思うのでございまして、これについて今後どうするかということについても具体的措置を明らかにして、採決に入ってもらいたい。この二つを委員長に要望しお答えをいただいて、私の意見を終わりたいと思います。
  161. 吉田重延

    吉田委員長 お答えいたします。ただいまの御意見につきましては、理事会でも御相談申し上げました。第二点については、通達と政令ともに小委員会で、その取り扱いその他についても検討していただくということにいたしまして、政令でできているものは政府のほうで提出ができると思います。   〔発言する者あり〕
  162. 吉田重延

    吉田委員長 お答えいたしますが、先ほどお答え申し上げましたように、通達、政令等については、小委員会でさらに御研究を願う。できました政令については政府から提出をいたしますということを御返事申し上げたわけでございますので、大体それで御了解願えるものと思います。     —————————————
  163. 吉田重延

    吉田委員長 ただいま議題となっております各案中、所得税法案に対して金子一平君外二十五名より自由民主党、民主社会党共同提案にかかる修正案が、また租税特別措置法の一部を改正する法律案に対しましては有馬輝武君外十二名より修正案が、それぞれ提出されております。     —————————————
  164. 吉田重延

    吉田委員長 この際順次提出者の趣旨説明を求めます。  金子一平君。
  165. 金子一平

    ○金子(一)委員 ただいま議題となりました所得税法案に対する修正案につきまして、修正の趣旨を御説明いたします。  この修正案は、自由民主党並びに民主社会党の共同提案にかかるものであります。案文はお手元に配付いたしておりますので、それをごらんいただくことにして、便宜朗読を省略させていただき、以下修正案の内容及び理由につきまして簡単に御説明いたします。  御承知のとおり昨年の所得税法改正によりまして、不動産業者が不動産等の売買のあっせんをした場合には、不動産業者にそのあっせをした不動産等の売買調書の提出を義務づける制度が設けられたのでありますが、売買取引の当事者でない、第三者たる不動産業者にこのような提出義務を課することは適当でないのみならず、宅地、建物の公正な取引を阻害するおそれもありますので、業界の実情にもかんがみ、今回これを廃止することといたしたものであります。なお、修正案の第二百二十八条の規定は、政府原案の第二百二十七条第二項の規定をそのまま移してきたものであります。  以上が修正案の趣旨でありますが、何とぞ御賛成あらんことを希望いたします。
  166. 吉田重延

    吉田委員長 有馬輝武君。
  167. 有馬輝武

    ○有馬委員 日本社会党を代表いたしまして、租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案の案文を読み上げ、なおその趣旨の説明をいたしたいと存じます。    租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案   租税特別措置法の一部を改正する法律案の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   目次の改正に関する部分中「目次中」の下に『(第八条の二−第九条)」を「(第九条)」に、』を加える。   第三条の改正に関する部分の前に次のように加える。   第二条第一項第三号中「、貸付信託、証券投資信託又は公社債投資信託」を「又は貸付信託」に改め、同項第四号中「、利子所得」を削る。   第三条の改正に関する部分を次のように改める。   第三条及び第四条を次のように改める。  第三条及び第四条削除   第七条の二の改正に関する部分の次に次のように加える。   第八条第一項各号列記以外の部分中「社債」の下に只特別の法令により設立される法人の発行する債券を含む。以下同じ。)」を加える。   第八条の三を第八条の五とする改正、第八条の二の改正及び同条の次に二条を加える改正に係る部分並びに第九条の改正に関する部分を次のように改める。   第八条の二を削る。   第九条を削り、第八条の三を第九条とする。   第三十九条の改正に関する部分の次に次のように加える。   第四十条第一項中「事業を営む法人」の下に「(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この章において同じ。)」を加える。   第六十一条の改正に関する部分中「を加える」を『を、「並びに」の下に「消費生活協同組合、消費生活協同組合連合会、」を加える』に改める。   本則に次のように加える。   附則第四条第三項を削り、同条第四項を同条第三項とし、同条第五項を同条第四項とする。   附則第五条第一項中「、新法第八条の四第一項又は第三項の規定の適用に係る場合を除きを削る。  私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されております租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げたいと存じます。  これまで資本蓄積、貯蓄奨励の美名に隠れて、大企業、資産所得者本位の偏向減税である租税特別措置が実施されてきたことは、すでに御承知のとおりであります。特に利子、及び配当所得に対する優遇措はその典型的なものであります。これらの租税特別措置による減収額は、昭和四十年度平年度ベースで二千百十七億円にも達しているのであります。これらは租税負担の公平を著しく阻害するばかりでなく、負担応能の原則に立った税の総合累進構造を弱め、税体系を混乱させるものであることは申すまでもないところであります。そこで、税制調査会におきましても、これが整理、改廃を指摘しているのであります。  しかるに政府は、これを廃止しないばかりか、かえって配当源泉選択制度をはじめ、その拡充強化をはかろうとしているのであります。その結果、租税特別措置による弊害はますます拡大し、その影響は無視し得ないものがあります。このような観点から、大企業ないし資産所得者本位に設けられた租税特別措置は原則としてこれを廃止するとの基本方針にのっとり、弊害の特に顕著なものは廃止するとともに、既存の制度につき所要の合理化をはかるため、この際次のような修正を行なおうとするものであります。  修正の内容といたしましては、第一に、利子所得の分離課税及び税率の軽減の措置を廃止し、源泉徴収税率二〇%による総合合算課税を行なうこと。第二に、配当所得の源泉徴収税率の軽減の措置は、これを廃止すること。第三に、証券投資信託収益分配金の分離課税制度は廃止すること。第四に、昭和四十年度において新設しようとしている租税特別措置のうち、配当所得の確定申告不要制度及び配当源泉選択制度の創設は、これを削除すること。第五に、消費生活協同組合とその連合会については、消費生活の合理化を助成し、かつ、他の組合との税負担の均衡をはかるため、留保所得の二分の一特別控除制度を設けることといたしております。これによって生ずる増収額につきましては、平年度ベースで約六百二十八億円、初年度約八百二十五億円と見込まれております。  以上、簡単ではございますが、本修正案の趣旨説明を申し上げます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。
  168. 吉田重延

    吉田委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。  ただいま議題となっております各案並びに両修正案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  169. 吉田重延

    吉田委員長 これより各案並びに両修正案について討論に入ります。  通告がありますので、順次これを許します。武藤山治君。
  170. 武藤山治

    ○武藤委員 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となりました日本社会党提出租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成し、政府四案に批判を加え、政府並びに与党自民党に猛省を促し、反対の意見を表明し、討論をいたすものであります。  反対理由の第一は、政府は今回減税幅を非常に縮小いたし、佐藤総理が過般十月に公表した三千億減税の公約を踏みにじり、国民の期待を裏切ったという点で、政府」案に賛成ができないのであります。  第二の理由は、税制調査会の答申を無視し、答申を逆にねじ曲げ、いまだかつて歴代の大蔵大臣が慎んできた総合累進課税原則を、今回はまさにずたずたに踏みにじろうとする実質分離課税の体制をしいたということであります。この大蔵大臣並びに総理大臣のとった政治的判断は、将来の歴史に大きな汚点を残すという点からも、私たちは断じて承服するわけにまいりません。  第三の理由は、所得税法基本的大原則である総合累進課税原則を配当所得についてはずし、実質分離課税にしたことであります。これはまさに暴挙でありまして、詳細は本会議上において指摘をいたしたいと思いますが、かかる所得税法の体系を紊乱する政府の態度には、全く納得できない点が多いのであります。  第四の理由は、所得税の減税がまことに少な過ぎ、税調答申すら八十八億円初年度において削られ、その財源をもって高額所得者を優遇するという筋の通らない、低所得者に対しては過酷な課税最低限度を放置しておるという、政府の怠慢を責めなければならぬという点であります。  第五に、大蔵大臣は配当優遇措置の理由として預貯金を増強し、自己資本比率を高めるためと陳弁これつとめてまいりましたが、過去の政府発行の統計資料をもってしても、これらの分離課税によって自己資本比率を高めたり、あるいは資本市場の改善がなされるという数字は、いかなる統計数字をもってしても明らかにすることはできないのであります。まさにこじつけの理由といわなければなりません。  かかる政府案の意図する今回の措置に対しては、断じて承服することができないというのが日本社会党の態度であります。したがって私どもはただいま有馬委員より提案された租税特別措置法の修正によって、預金金利あるいは配当所得に対する特別措置を直ちに廃止して、八百二十五億円の財源をさらに公平なる減税配分に使用して国民の期待にこたえんとするのが、社会党の修正案でありますので、私は日本社会党提案の修正案に賛成の意を表明し、政府案に反対の態度を明らかにするものであります。(拍手)
  171. 吉田重延

    吉田委員長 砂田重民君。
  172. 砂田重民

    ○砂田委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました税制関係四法案につきまして、所得税法案に対する修正案並びにこの修正部分を除く各原案に賛成、租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案に反対の意を表するものでございます。  まず第一に、今回の減税計画はわが国現下の財政状況などに照らして、きわめて適切妥当なる規模を持ったものであると考えます。昭和四十年度の国税の自然増収率は前年度比ほぼ一五%、今回の改正案による自然増に対する初年度の減税額の割合は一九%に達しており、平年度一千百五十八億円に及ぶ大減税を行なうこととしているのであります。さらに国税、地方税を通じて大幅減税といわれました三十九年度の所得税一般減税が平年度七百三十七億円、今回の所得税の一般減税規模は平年度九百三十二億円に達しており、三十九年度の減税規模をはるかに上回るものでありまして、その規模は決して小さいとは言えず、かつまた税制調査会の答申にも基本的に合致したものと私は認めるものであります。  第二に、今回の所得税減税は特に中小所得者に重点が置かれているということであります。今回の各種控除の引き上げによって年間所得五十万円の階層では、前年度比所得税の負担一〇〇%減、七十万円の階層で四〇%減となり、一千万円の高額階層ではわずかに〇・八%の軽減にとどまり、下に厚く上に薄い適切なものであると考えられるのであります。ただ今回見送られたいわゆる中堅所得階層の税負担の軽減につきましては、政府はできるだけ近い将来において税率緩和等によってその軽減をはかられるよう強く要望をいたしておきます。  第三に、所得税に次いで法人税の一般的減税に重点が置かれておりますが、これもまた中小法人の負担軽減をはかることを中心としております。今回の改正では、同族会社の留保所得課税を行なう場合の控除額を引き上げ、特に中小法人に適用される税率を一段と引き下げることとしているのは、財政並びに金融上の施策と相まって中小企業の体質改善に資するものであり、まことに時宜を得た措置であります。  第四は、特別措置法の改正案に盛られている諸問題であります。まず利子所得の分離課税特例を二年延長いたしております。これは過度の消費を抑制し、貯蓄を増強することが、わが国経済安定の至上命令である今日、時宜を得た措置といわねばなりません。  次に配当所得に対する各種の特例につきましては、本委員会においても最も熱心に論議され、負担の公平を害し、高額所得者を優遇するものであるなどの意見がありました。しかし高額の配当を受ける株主はその適用対象から除外し、いわゆる大衆投資家の有する株式の配当に対してのみその適用を認めることとする配慮がなされておるのでありまして、この意見当たりません。開放経済体制のもと、企業が長期安定資金を確保し、わが国企業の最弱点ともいえる資本構成の是正をはかるため、現時点においては資本市場の健全な育成が必要欠くべからざる政策要請であるからには、考えられるあらゆる諸施策を勇敢に集中して、これが育成を期すべきであり、税制もまたこれに参加せしめるべきであります。木措置は現時点においてはきわめて妥当であると考えるのであります。ただこの措置は緊急臨時的な措置であり、したがって二年の時限が付されておりますが、これによってできるだけ短期間に所期の目的を達した上、本措置が終着することを期待いたします。その他の改正は、中小企業対策あるいは輸出振興等を目的とした特別控除等であり、いずれもきわめて適切な改正措置であります。  最後に、一連の本改正案論議中の野党の皆さんの御意見の中にも、まことに傾聴するべき御議論のありましたことに心からなる敬意を表し、税制上の国民負担の軽減措置には終着点はない。より高い免税線、より低い税率、より少ない課税対象人口の実現に、今後も政府がより一そうの努力をされることを希望し、期待しつつ、所得税法案に対する修正案並びにこの修正案を除く各原案に賛意を表し、租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案に反対の意を表して、私の討論を終わります。(拍手)
  173. 吉田重延

    吉田委員長 竹本孫一君。
  174. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は民主社会党を代表して、ただいま議題となりました税法関係法律案並びに二つの修正案につきまして、前者に対しましては反対、後者に対しましては賛成の意見を表明するものであります。  まず反対の理由を順次申し上げます。  第一に、今回の税制改正による減税の程度では、とうてい諸物価の高騰に追いつくことはできず、一般勤労者、中小所得者並びに中小企業者の負担は一向に軽減されないことであります。政府は、今回の所得税法改正によって平年度九百二十二億円、初年度八百二億円の減税を行ない、また諸控除の引き上げによって、たとえば標準世帯である夫婦及び子供三人の給与所得者の場合、課税最低限度は四十八万五千円から五十六万五千円となり、中小所得者の負担は大幅に軽減されると強調しております。しかし最近における国民生活の実態を織り込んだ基準的生計費と課税最低限度とを比較してみますと、すでに昭和三十九年の数字において、一人世帯で六千余円、五人家族の標準世帯では五万円余の赤字が出ておるのであります。昭和九−十一年当時の課税最低限を物価指数でインフレートすると、昨日も議論になりましたように、当時は少なくとも七十四万円になる点から見ましても、少なくとも今日七十二万円までは免税とすることが必要であろうと思うのであります。また税の累進構造の再検討、税率の改正も当然に行なうべきことでありまして、これを来年に見送ったことははなはだ遺憾であります。  第二に、事業所得者については専従者控除の引き上げが行なわれ、青色申告者の場合、二十歳以上の者は十八万円、未満の者は十五万円、白色申告者の場合は十二万円となっておりますが、この程度では中小企業者の負担の軽減とはならないのであります。われわれが多年唱えております小規模事業者に対する特別勤労控除制度を新設して、所得百五十万円以下の個人事業者に対しては、その所得の下積みの七十二万円までを事業主自身の勤労所得部分として、その二五%相当額を給与所得に準じ、特別勤労控除として収入金額から控除するならば、小規模事業者の税負担は著しく軽減せられ、かつ法人企業との税負担の不均衡も是正されるものと思うのであります。  第三に、法人の留保分に対する法人税の税率を引き下げるほか、同族会社の留保所得課税の控除額の引き上げを行なうことといたしておりますが、われわれは担税力の低い中小法人に対しましては別に税率を設け、所得百万円以下や中小企業団体等の特別法人に対しましては二三%程度の軽減税率を適用すべきであって、また企業組合についてもこれを特別法人として課税することが適当であろうと思うのであります。また同族会社の留保所得課税の制度は廃止するのが至当と考えます。  第四に、租税特別措置として利子所得及び配当所得に対し優遇措置を講ずることとしておりますけれども、これは最も批判の多いところでありまして、海外においてもシャウプ教授などは痛烈にこれを批判し、また国内大学の教授の中にも、配当源泉選択制度は税負担の公平を害すると強く指摘しておるのであります。配当所得を利子所得と同様に取り扱う必要があるならば、むしろ利子所得の優遇をやめるべきでありまして、一千万円以上の所得のある者はわずかに七千名、分離課税で得をする者は十五万人程度でありますが、これらの一部の富裕者にだけ利益を与えて、所得税全体の体系を根本的に破壊するような今回の措置は、すみやかに撤回すべきであろうと思うのであります。  以上申し述べました理由によって、政府提案の税法関係の四法律案に対しましは、われわれは強く反対するものであります。  なお本案に対しましては、先ほど二つの修正案が提案されましたが、自民、民社共同提案の不合理な不動産業者のあっせん調書提出の制度を廃止しようとするこの案に対しましては、私どももかねがね強く要望してきたところでありまして、賛意を表すものであります。また社会党提出の修正案は、悪評高き利子及び配当所得の優遇措置を撤回するとともに、消費生活協同組合に対しましても森林組合等と同様に、留保所得の二分の一特別控除制度を設けようとするもので、政府の原案に対しまして数歩を進めたものとして賛意を表するものであります。  以上をもって私の討論を終わります。(拍手)
  175. 吉田重延

    吉田委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより順次採決に入ります。  まず、所得税法案及び同案に対する修正案について採決いたします。  まず、金子一平君外二十五名提出の修正案について採決いたします。  本修正案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  176. 吉田重延

    吉田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これを可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  177. 吉田重延

    吉田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決いたしました。  次に、法人税法案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  178. 吉田重延

    吉田委員長 起立多数。よって、本案のとおり可決いたしました。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案について採決いたします。  まず、有馬輝武君外十二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  179. 吉田重延

    吉田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  180. 吉田重延

    吉田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、所得税法及び法人税法施行に伴う関係法令整備等に関する法律案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  181. 吉田重延

    吉田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 吉田重延

    吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に換載〕
  183. 吉田重延

    吉田委員長 次会は、明二十六日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時散会