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1965-03-04 第48回国会 衆議院 体育振興に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月四日(木曜日)    午後一時三十八分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 島村 一郎君 理事 田中 榮一君    理事 田中 正巳君 理事 田邉 國男君    理事 川崎 寛治君 理事 泊谷 裕夫君    理事 前田榮之助君       伊能繁次郎君    上村千一郎君       小川 半次君    海部 俊樹君       川崎 秀二君    砂田 重民君       橋本龍太郎君    古井 喜實君       高橋 重信君    只松 祐治君       山中 吾郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (国有財産局         長)      江守堅太郎君         文部政務次官  押谷 富三君         文部事務官         (体育局長)  前田 充明君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      堀口 定義君         文部事務官         (調査局宗務課         長)      中城 堅吉君         参  考  人         (明治神宮権宮         司)      伊達  巽君         参  考  人         (明治神宮外苑         苑長代理)   伊丹 安廣君         参  考  人         (明治神宮外苑         経理部長)   湯本 四郎君         参  考  人         (日本学生野球         協会会長)  外岡茂十郎君         参  考  人         (東京大学野         球連盟理事)  片桐 勝司君         参  考  人         (東京大学野         球連盟理事)  島岡 吉郎君         参  考  人         (東都大学野球         連盟理事)   金子 文六君     ————————————— 三月一日  委員小坂善太郎君辞任につき、その補欠として  上村千一郎君が議長の指名で委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  体育振興に関する件(明治神宮野球場に関する  問題)      ————◇—————
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  本日は体育振興に関する件について調査を行なうわけでございますが、先ほど理事会におきまして、皆さまの御了承をいただきましたので、その件についておはかりいたします。  御承知のように、いま東京都その他の都会の子供たちあるいは住民にしましても、なかなか運動に親しみ、いそしむようないい設備、場所のないのが一番の難点でございます。ところが、幸い、御承知のように日本の大きな河川治水事業がだんだん進んでまいりまして、その広い河川敷が十分に運動場に利用できるような状態になっております。したがいまして、われわれは、この河川敷をできるだけ高度に利用いたしまして、都民あるいは日本青少年のよい運動場にいたしたいと考えます。こういう意味におきまして、ことに河川法が改正になりまして、中川、江戸川、荒川のような大きな河川が一級河川となりますから、これは国の管轄になります。こういう面から考えましても、この際、これらの河川敷をぜひとも日本青少年のために、あるいは都民のために、よい運動場をつくることに利用したいと考えますので、とりあえずこの委員会としましては、これらの仕事をする前に、班を分けまして適当な時期にこれらの河川敷を十分に視察いたしまして、どのような利用状況になっておるか、どのような利用面積があるかということを十分に検討いたしたいと思います。  つきましては、来週か再来週、適当な時期にお互いに班を分けてひとつ視察に参りたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大石武一

    大石委員長 皆さまに御異議がございませんようですから、こちらのほうで計画を作成いたします。      ————◇—————
  4. 大石武一

    大石委員長 これより体育振興に関する件について調査を行ないます。  本日は、理事会の協議に基づき明治神宮野球場に関する問題について、前回に引き続き政府並びに明治神宮学生野球協会側からそれぞれ御意見を承り、質疑に入ることにいたします。  本日はまた押谷文部政務次官前田体育局長、大蔵省から江守国有財産局長吉岡国税庁長官出席を求めております。なお、愛知文部大臣は、参議院の予算委員会との関係上、後刻御出席を願うことにいたしたいと存じます。  この際、参考人出席要求の件についておはかりをいたします。  明治神宮権宮司伊達巽君、同外苑苑長代理伊丹安廣君、同外苑経理部長湯本四郎君並びに日本学生野球協会会長外岡茂十郎君、東京大学野球連盟理事片桐勝司君、同島岡吉郎君、東都大学野球連盟理事金子文六君、以上七名の方々参考人として御意見を承りたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたします。  これより参考人から御意見を承ることにいたしますが、この際委員長から参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  この神宮外苑野球場問題につきましては、たびたび御足労をわずらわしまして、この委員会において御意見を承りますことは、まことに恐縮でございます。これは一外苑野球場の問題だけのように見えますけれども、実際には日本スポーツ振興上重大なる問題を持っていると思うのであります。つまり日本スポーツアマチュアリズムを確立するかしないかという重大問題の土台がここにあると考えます。このような意味におきまして、われわれ委員会においてはぜひともこの問題を究明して、日本スポーツが正しい方向に進むように持っていきたい、こう念願しますので、たびたび御足労をわずらわしておるわけでございます。それらの意味で忌憚のない率直な御意見を御開陳いただきまして、ぜひともアマ・スポーツが確立されるように、そのような方向において審議を進めたいと思いますので、どうか御協力をお願いする次第であります。なお、これはほんとう参考人としておいでいただいているのでありまして、別に詰問でも何でもございませんから、御自由に御発言願いたいと思います。また、委員のほうからもときには語気荒くなることもあるかもしれませんが、それは決して詰問でも何でもございませんから、あまり気になさらないで、ごゆっくり願いたいと存じます。きょうはまことにありがとうございます。  これより質疑に入ります。  発言の通告がありますので、順次これを許可いたします。泊谷裕夫君。
  6. 泊谷裕夫

    泊谷委員 神宮皆さんお尋ねをしたいと思います。  平たく言って、高校野球であれば甲子園で精魂を傾けて戦い終わったあと、その子供たちがわずかばかりの土を握って帰るということがいつもテレビでクランクされております。これと同じように、神宮球場についても二月十九日の当委員会小川議員から切々と訴えられたように、この球場は六千人の若人、ことに中学生勤労奉仕によって育て上げられた球場だというお話がございまして、神宮側としても本来これらの若人の次の世代をになう爆発的な快挙を求める位置に置きたい、こういうお話でありまして、ただしかし諸般の事情、ことに財政上の問題があって苦悩しているというお話がありました。私ども国民の声を代弁する立場に立って、一面国会議員という立場で考えてみますと、皆さんの苦悩しておる実態に目を向けなければなりませんし、いままでのように見る野球から数多い人々がその戦いを通じて新しい行き方を求めようとするためには、国で責任を持つ球場を数多く持たなければならぬものと考えております。当面のこの国民の声を何とか打開したいということで、十九日の委員会では川崎議員からこれまた詳細に、何とか打開する方策はないかということで、許される限界において財政上の問題についても触れられたと思いますし、当委員会大石委員長も鋭意努力をされておったことは御承知のところと思うのであります。  結果的に皆さん専門委員会決定新聞で拝見いたしますと、朝日も毎日も読売も、各委員の名前は避けますけれども神宮側財政難のために不本意ながらこれに同意せざるを得ないという談話が載っておりますが、いまお尋ねをする前にひとつ神宮側にお伺いをしておきたいのは、もしこの苦悩というものが、特に財政上の問題が打開されたとするならば、先日神宮側からお話のありましたこの学生野球のメッカとしての神宮位置を通していただけるか、歴史的な伝統を守っていただけるかどうか、まず最初にこの考え方をお聞かせいただきたいと思うのであります。
  7. 伊達巽

    伊達参考人 お答えいたします。  明治神宮外苑を多くの青少年勤労奉仕をいたしましてつくりましたことであることもよく存じておりますし、また外苑設立の精神もただいまもって堅持いたしておるつもりでございまして、これが使用についてはたびたび申しておりまするように、主として学生野球使用いたしまするように、スケジュールをごらんくださいましても明らかなようにいたしておるつもりでございます。  また財政の問題でございまするが、ただ財政が苦しいというばかりでなく、外苑はあらゆると申しますか、種々なるスポーツ施設もございますし、また苑地といたしまして、国民のいこい、散策の場所にも提供いたすことになっておりますので、かような機能が十分営まれまするように管理運営をいたしていきたいと存じておるのであります。したがいまして、一例を申しますると、第一球場のごときは大正十五年にできまして以来……。
  8. 大石武一

    大石委員長 伊達参考人にお断わりしますが、できるだけ要点だけお答え願います。
  9. 伊達巽

    伊達参考人 どうもあまり私こういうことになれませんものですから相すみませんけれども、少しがまんしていただきたいと思うのでありますが、長く年月がたっておりまして修復等もいたさなければなりませんし、すべてのスポーツが盛んに行なわれまして体育のほうに貢献できまするようにいたしたいと存じまするためには、相当の経費を要するのであります。したがって収支のバランスを考えてまいらなければなりません。ただプロ野球だけの利益ではございませんけれども、その利益をもってすべての施設補修、修繕、整備に当充いたすのでございますから、あそこであげました黒字というものはすべてそういう施設に充当いたすのでありますから、私はやはり学生あるいはアマチュアスポーツには相当量貢献いたしておることを自信を持っております。それから学生体育の問題につきましても、いまの状態で将来も十分に貢献をするようにいたしたいと考えております。
  10. 泊谷裕夫

    泊谷委員 伊達さん、私がお尋ねしたいのは神宮外苑というものが、私どもの先代がこの宗教法人法をつくったときのいきさつなどについてどうあるべきかという問題は後ほど先輩議員から話をしてもらおうと思うのですが、いま当面苦悩しております問題を何とか解決したいという立場お尋ねする。最大の原因は、専門委員皆さんのおっしゃっているように財政上の問題でしょう。財政上の問題に国会皆さん英知を傾けて打開されたとするならば、歴史的な伝統ある学生野球の誇りを続けさせていただけますかということを尋ねているのです。この部分についてお答えをいただきたいのです。
  11. 伊達巽

    伊達参考人 御厚意に対しましてはつつしんで傾聴いたすつもりでおります。
  12. 泊谷裕夫

    泊谷委員 ともあれ、いま新聞なりテレビなりラジオを通して神宮外苑の問題が大きく浮かび上がっておるのは、神宮経営が苦しくてこうせざるを得ないだろうという理解をされておる人が私は数多いと思います。したがってやはりその立場神宮側もこの際経理内容というものを国民の前に、特に明治神宮であるだけに、ほかの企業とは違って明らかにしておく必要があるのではないかと思います。そういう立場で二、三お尋ねをしますのでお答えをいただきたいと思います。  この前も神宮球場使用についていろいろと議論がありまして、数多い方々が寄っておきめいただきました写しをいただきました。それは「明治神宮外苑野球場に関する第二次陳情書」という、学生野球協会から私ども文教常任委員長に出されました書面でありますが、これを見ますと、「もし神宮外苑運営についてフランクにうちあけられて、民主的な運営がはかられるならば、当協会は、その達成に心から協力する。神宮経費が多額で経営困難の由であるが、その経費の内択を具体的に示していただくことが、当協会が協力する基盤になる。」こういうことを答申されております。でありますから今回の最終決定を願う専門委員会皆さんにも財政上のことについて御相談があったものと思われますが、そこで伊達さん、先日私どもがいただきました資料がありますね、これと専門委員会に提示されました資料とは同一のものでありますか。
  13. 伊達巽

    伊達参考人 文教委員会提出いたしましたものと今度出しました計算書等同一のものでありますが、ただこの点に誤差がございましたことにつきましては、ただいま湯木参考人から説明をさせます。
  14. 泊谷裕夫

    泊谷委員 ちょっと待ってください。伊達さん、私の尋ねておるのに答えてください。声が大きいなら落とします。専門委員皆さん財政が苦しいということで相談されたでしょう、そのとき出された資料は私ども体育振興委員会でいただいた資料と同じものですかと聞いているのです。
  15. 伊達巽

    伊達参考人 ちょっとよくわからないのでございますが……。
  16. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは、逆ですが、別な聞き方をいたしますが、運営委員会なり専門委員会明治神宮財政上の問題で相談をされたときに資料を出されましょう。収支計算書なり決算書なり貸借対照表をお出しになりましょう。それは皆さんにお渡しした資料と私どもがちょうだいした資料とは同一のものでありますかとお尋ねしているのです。
  17. 伊達巽

    伊達参考人 専門委員会には出しておりませんが運営委員会には出しておりまして、それは同一のものでございます。ただし今回出しました計算書運営委員会には出しておりません。
  18. 泊谷裕夫

    泊谷委員 新聞を通して見る限り、専門委員皆さんは異口同音に財政が苦しいということを指摘いたしまして、本来好ましい姿ではないけれども現状においてはやむを得ないという談話が数多く載っております。そこにその基礎になります資料が提示されていないということは私は解せないのですが、どうしてお出しになれないものでしょうか。
  19. 伊達巽

    伊達参考人 専門委員会町球場の現場のスケジュールをよくお話し合いをしていただき、編成をし決定をしていただくことに任務がございます。そこで私どもでは、予算決算に関しまする書類提出いたして、そこで審議をしていただくようにはなっておらないのでございます。
  20. 泊谷裕夫

    泊谷委員 ここに明治神宮外苑運営委員会規約はいただいております。その問題は、運営委員会で取り扱うべきものである、専門委員会スケジュール決定ということは承知しております。だが、そうだとすれば、伊達さん少し無理じゃないでしょうか。先日の委員会であれだけ財政上の話もし、スケジュールの話もして、もう一ぺん考えてみましょうということであれば、当然運営委員会が開催されて、あなたのおっしゃられるようであれば、運営委員会に全貌を明らかにして御検討いただき、その結果を待って専門委員会皆さん英知をいただくということが筋ではありませんか。
  21. 伊達巽

    伊達参考人 この問題につきましては、責任役員にかけまして御相談をいたしました。さらに運営委員にはそれぞれ説明いたしまして御意見を徴しております。
  22. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは学生連盟の代表として専門委員会に出ておる方どなたか——ちょっと待ってください。具体的に二十四日の新聞——島田さん見えておりますか、
  23. 大石武一

    大石委員長 見えておりません。
  24. 泊谷裕夫

    泊谷委員 島田さんの談話でも、やはり神宮側の赤字補てんのためにということを新聞を通しておっしゃられておるのですね。こうなってまいりますと、専門委員会皆さんは、やはりこれをきめるのは神宮側経理内容がたいへんだからということが前提になっておるのは、どうしてそういうことなんでしょうか。全然それは関係なしに、伊達さんのおっしゃる筋でいくならば、スケジュールをきめていくのが専門委員会仕事でしょう。一切の報道関係財政が苦しいということで塗りつぶしておるのは、これは少々問題があるのじゃないですか。
  25. 伊達巽

    伊達参考人 財政の苦しいのはもう申すまでもないのでありまして、専門委員皆さん外苑実情については大体御了承をくださっておることと思うのでありますから、あらためてそのことについて説明をいたしておりませんけれども、御承知のことでございましょうと思います。
  26. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それじゃ逆にお尋ねします。宗教法人法二十五条にきめられております条件の資料と、当該どもがいただきました資料とは同じものでありますか。
  27. 伊達巽

    伊達参考人 宗教法人法の保証しておりまする範囲内ですべてを運営しておるつもりでございますが、ちょっといま二十五条の……。
  28. 泊谷裕夫

    泊谷委員 どうも私の話がわからぬようですが、宗教法人法二十五条の二項の三号には「財産目録及び貸借対照表又は収支計算書を作成している場合には、これらの書類」というものを必ず備えつけなければならぬということになっておるのです。その写しを私どもがちょうだいしたと理解していいのですか、こう聞いておるのです。
  29. 伊達巽

    伊達参考人 財産目録決算その他につきましては正規の書類を作成しております。ただ、十九日に提出いたしましたのは、外苑経営状態を知るに足る資料と考えまして作成をいたしたものでありまして、これは決算書とはぴたっと合っておるのであります。ただ、表向きの数字が少し誤差のございます点については、あります。
  30. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いま、一つ明らかになったのは、神宮自身にある台帳と私どもいただきました資料とは違うということですね。
  31. 伊達巽

    伊達参考人 いや、違いません。
  32. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それはあとお尋ねします。  いま、うちにありますもの、神宮側にありますものとほとんど同じものを私どもがちょうだいしたと理解していいですね。
  33. 伊達巽

    伊達参考人 よろしゅうございます。
  34. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは次に文部省お尋ねをいたしますが、ただいま配付されました三十六年、三十七年及び三十八年の計算書、これについては神宮側から提示された決算書として見て間違いありませんね。
  35. 中城堅吉

    中城説明員 文部省には正式の書類というものが提出になっておりません。前回文教委員懇談会提出された書類がそのものでございます。
  36. 泊谷裕夫

    泊谷委員 文教委員懇談会に提示されました神宮側決算書と、先日ちょうだいいたしました神宮側計算書について具体的にこれからお尋ねをしたいと思いますので、お答えをいただきたいと思います。  まず最初昭和三十六年を対照してみますと、本部経費一千三百三十四万七千八百七十五円、これが文教委員懇談会に出ておりますものは一千二百四万七千八百七十五円、およそここに百三十万円の開きがございますが、これは計算のしかたの違いで、項目を一緒にしたところに違いがあると思うのでありますが、文教委員懇談会に提示されました収支決算書で見のがすことのできないのは、当期利益金が計上されておりますが、なぜこれが私どものちょうだいした資料には当期損失金に変わっておるのでありましょう。この点まず最初に明らかにしていただきたいと思います。
  37. 伊達巽

    伊達参考人 経理部長から……。
  38. 湯本四郎

    湯本参考人 前回文教委員懇談会提出いたしました書類と今回提出いたしました書類との数字差異について御説明申し上げます。  その差額は一千八百十二万七千八百十九円でありますが、これは公益事業用固定資産減価償却費にほかなりません。御承知のごとく、宗教法人の営みます事業は本来公益事業となるのでありますけれども、営む事業の性質によりまして、一部の事業法人税対象となるものがございます。当外苑絵画館庭苑などは法人税対象とならない事業であります。ところが、テニスコート水泳場スケート場などは法人税対象となる事業でございます。その税金対象にならない事業減価償却費前回においては算入されておらない、今回においては算入されているということが、この差異を生じました原因でございます。  しからば、前回はなぜそれが算入されていないか、今回はそれをなぜ算入しているかということは、当然の御疑問であると存じます。  まず、前回書類について御説明申し上げます。前回書類は、その表題に示しましたごとく、決算書でございます。そしてその実態は何かと申しますと、税の対象にならない事業収支決算書と税の対象になりますほうの収支決算書の合体したものでございます。ともに決算書でありますが、後者の税の対象となる事業収支決算書は、税法の規定に従いまして、そのまま税務申告書添付書類となるところのものでございます。しかるに、前にも触れましたごとく、税法の関連いたしますものは税の対象となる事業のみでありまして、したがいまして、税の対象となる事業収支決算書には、当然その事業用固定資産減価償却費が計上されているわけでございます。しかしながら、税金対象にならないほうの事業に関しましては、官庁簿記的に処理されておりましたために、そこには減価償却という考え方は導入されていなかったのであります。そのような二つの確定決算書の総合が、前回三十八年六月十一日に文教委員懇談会提出いたしました決算書でございます。  しからば、今回提出いたしました分についてはどうか。去る二月九日の本委員会の席上におきまして資料提出の御要求を察しまするに、それは外苑全体の経理状況、さらにいうならば、全体的観察をした場合の外苑運営はどういう経済的実情にあるかという点にほんとうの御趣旨があったように考えられました。したがいまして、その全体的運営実情説明するためには、税金対象になっていない事業用固定資産減価償却費というものをぜひ考察に入れることが必要であると考えて算入したわけでございます。税金のかからない事業、すなわち公益事業なるものは、採算を度外視して真の公益実現のために強力に遂行することが必要でございますが、たとえ公益といいましても、そこに使用されている固定資産は年々風雨にさらされ、消耗され、減価することには変わりがございませんで、やがては補修、更新の必要を見ることは明らかでございます。このことは、それが公益目的でありますがゆえになお一そう真剣に考慮する事柄なのでございます。この観点に立ちまして、今回はその税金対象にならない事業分減価償却費を算入いたしまして、全体的運営活動の実質的結果を計算説明いたそうとしたものであります。今回の書類表題計算書といたしましたゆえんのものはそこにございます。なお、三十七年度、三十八年度におきましても、同様な趣旨計算出してございます。
  39. 泊谷裕夫

    泊谷委員 宗教法人の得た利潤は、当該使用目的の制限のあることは承知しております。だが、そういう言い回しをされますと、予算外収入、純利益見込みと計上せずに全部減価償却費に繰り入れるという措置をとるならば、当然また旬日を出ずして文教委員懇談会に提示された資料もそうなっておらなければならぬはずであります。ところが、いかに決算書計算書との書き方を変えたとおっしゃられても、だれが見ても、三十六年の決算書で、文教委員懇談会に提示されたものについて一千万の収益をあげておるのに、庁や当期損失金七百三十万を計上するということについては、どうしても理解のできないところであります。むしろ一般的に、私ども経営は苦しいという印象を与えるために減価償却費に繰り入れたといわざるを得ないと思うのであります。しかりとするならば、収支全体の中に減価償却費を二割五分も計上するのはいかがなものでしょう。
  40. 湯本四郎

    湯本参考人 ただいま申し上げました追加しました千八百万円の公益事業に関する減価償却費は、ここに付言いたしますが、これは一般に公正妥当と考えられます税法上の償却費を準用いたしましたので、かってな計算をしたものではございませんから、御了承願います。
  41. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは、あなた方の減価償却費として計上しておる金額は、通常商社における利潤というものがこの中に含まれて数字をあげられておるというふうに理解してよろしいですね。
  42. 湯本四郎

    湯本参考人 通常商社でいう利潤というのは、減価償却費を引いた残りを利益と申しております。
  43. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いいですか。当初はもうけがあったと書いたのを、今度損があると書いた。そのお金は全部減価償却費の中に入れた、とこう言うのです、あなたの説明では。私どものほうの減価償却費のながめ方は、本来宗教法人で得たお金だから、それは宗教法人の許容される限界において庭苑を直したり、あるいは絵画館経費を操作して使ってもかまわないわけです。減価償却費に持ってきてもいいわけですね。ですから、この減価償却というものは固定された固有の建物に対する減価償却という意味ではなくて、残余のものが含まれた減価償却費としてながめてよいかということを尋ねておるのです。
  44. 湯本四郎

    湯本参考人 御質問の意味がよくわかりませんけれども、もう一度ちょっと……。
  45. 泊谷裕夫

    泊谷委員 文教委員懇談会出したのは一千万の利益金があったと書いてありましょう。あなたの説明を聞いたら、これは税の関係もありまして、うちのほうは金を使うのに制限がありまして減価償却に落としました、こういう話ですね、要約して言うと。だから減価償却費が二割二分も、あるいはあとで出てきますが、二割九分にもなるのは、そういうものが含まれた金と見ていいのですか、こういうことを聞いておるのです。
  46. 湯本四郎

    湯本参考人 減価償却費が加算されていましょうとも、いませんとも、とにかく外苑の収入金額——これはごらんになればおわかりと思いますが、収入金額と、減価償却費を除いた経費というものは、前回出したものも今回のも一銭も違っておりません。ですから、現実に収入から経費を除いた残りの剰余金、つまり償却前の剰余金については一円の違いもございません。
  47. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは、あなたそう力まれるけれども、ちょうだいした資料では、計算上においては従前と違う。一千八十一万二千三百七十九円という利益金は消えまして、逆に損失金七百三十一万五千四百四十円が計上されて、そうして減価償却費は九百十五万八千八百二十三円と計上されておるのが、今度私どものいただきました資料は驚くなかれ二千七百二十八万六千六百四十二円、とこうなっておるのです。一千五百万の違いなのです。一銭も違いがないと言ったって、現実にこれだけの数字が違っているのです。しかも、あなたは力まれますけれども決算書計算書のトータルも違うのですよ。この点はやはり明快にわれわれにきちっと説明をしてもらわなければならぬと思うのです。
  48. 湯本四郎

    湯本参考人 先ほど一番最初に御説明したのでおわかりいただけると思うのでございますけれども、それ以上に私としては……。いまのお話では、何か減価償却費が少ないことによって利益が出たというようにおっしゃいましたが、もちろん、これは会計処理上、減価償却をいたしますれば利益がよけいになりますが、これは現実に現金というものがよけいになったり減ったりするものではございませんで、先ほど申し上げました収入と実際に出た経費の差額については一銭も変わりませんで、減価償却費というものは普通一般の経費と違いますことを御了承願います。ただ会計上の処理によってこうなったのであります。
  49. 泊谷裕夫

    泊谷委員 会計上の処理によって違うとするならば、昭和三十六年は一千万円の利益があった、こういうふうに見ていいのですね。
  50. 湯本四郎

    湯本参考人 さようでございます、この決算では。決算のとおりでございます。
  51. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それを当期損失金として計上した資料を私どもにいただいて、本来は利潤があるのだけれども赤字があるという印象を与えようとされることは、いま言われたような内部的な事情だけですか。
  52. 湯本四郎

    湯本参考人 三十八年六月十一日の文教委員懇談会決算書として、そのときは決算書を出せというお話でありましたから、私は決算書出しました。ところがいまのように、なぜこんなに利益があるのだというお話がありましたから、その節私は口頭でそのことを御説明申し上げまして、決算書でこうなっておりますけれども、実際は公益関係減価償却がこれだけありまして、計算上はこれだけの損になりますということを御説明申し上げましたが、今回はまたそういう説明をつけ加えるのはわずらわしいことと、先ほど申し上げましたように、二月九日の御要求で、これは決算書数字の問題でなくて、神宮全体の経理の状態ほんとうの姿を知りたいというように私は受け取りましたので、いわゆる説明書の形にしましてこれを出したのでありますから、御了承願います。
  53. 泊谷裕夫

    泊谷委員 なぜここを執拗にお尋ねするかというと、いまここでいただきました資料でも、あなた方の経理について釈然としないものがあるからお尋ねをするのです。  それで、いま配付されました資料で、これをお持ちですか。「明治神宮社務所歳入一覧表」と「明治記念館歳入歳出一覧表」です。唐突で恐縮でありますが、もし回答いただけなければあと説明を聞いてもよいのですが、これを見ますと、昭和三十七年度決算額から昭和三十八年度予算額と対照しておりまして、結婚式場収入が逐年増加の傾向をたどっているのに、昭和三十八年度は逆に一千四百九十万円の減収を見込んでおります。結婚式の取り扱いが少なくなると見るならば、なぜ歳出における経費を逆に一千六百万円、全体がひまになってくるというならば経費は削減されてしかるべきでありますが、それが逆に歳入見込みのところで大きく減額をしながら、歳出で多く取るというこのしかけはどういうことなのでしょう。
  54. 伊達巽

    伊達参考人 この表がどこから出ましたか、ちょっと私まだよくわからないのでございますが……。数字の問題よりも、これはどこから出しましたものですか。私のほうから出したのでございましょうか。
  55. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これはこの前文教委員懇談会にあなたのほうから出されました決算書とあわせて出ているものです、おたくさんの手元から。
  56. 伊達巽

    伊達参考人 わかりました。それならば、私は頭が少し悪いものですからそのことを忘れました。私のほうから出たものでございますれば、責任を持って御返事をいたします。  ただいまの御質問を具体的にもう一ぺんひとつお願いしたいのでございますが……。
  57. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これ、伊達さんお持ちでしょう。上のほうから見まして、神宮社務所に入ってくる金は昭和三十七年と三十八年で見込みとして百万多くなっているでしょう。下の明治神宮だけ見ますよ。神宮予算は結婚式収入などは約千五百かも減るようになっているでしょう。二億一千二百四十万二千九百八十円のが翌年には一億九千七百五十万で一千四百九十万減収になる見込みを立てているでしょう。利用する人が減るとなれば、その出ていくほうも制御しなければならぬでしょう。人を減らすなりあるいは合理化をするなりして減らさなければならぬでしょう ところが逆にここは千六百万多く計上している。歳出の明治記念館経費、冒頭のところを正確に並べてみますと、歳入のほうの雑収入が減っていますでしょう。結婚式収入と雑収入が減っているでしょう。合計において一千七百万減ることになっているのです。それなのに明治神宮経費は逆に千六百万円多くかかることになっているわけです。しかも神宮の社務所のほうには前年度より繰り入れ金を多く見ているわけです。これは一体どういうことです。常識では考えられないでしょう。
  58. 伊達巽

    伊達参考人 ちょっと私ここでこの数字に対して即答しかねますが、お尋ねは、記念館について申しますと、見込みが減っておるのに支出のほうの見込みはふえている、それは矛盾じゃないかとおっしゃるわけですね。これは私のほうの見込みはどうも予算が確実に編成できない事情にある。ということは、私のほうから計画的に社務所なり記念館の経費を、収入をはかることは困難でございますから、見込みはなるべく消極的に小さく見まして、しかしながらそれじゃあぶないからといって人員を減らしたり施設を縮小するようなわけにはまいらないのでございます。それですからかような結果になったものと私はいまの場合考えますが、なおこまかい数字について御説明せなければ納得いくまいと思います。
  59. 泊谷裕夫

    泊谷委員 時間の関係で読み上げないのですが、あなたのほうの資料では、昭和三十六年から三十七年は、神宮収入は不確定だということを承知しながらも歳入を逐年上げていっているのです。そして歳出もふえていっているのです。そして前年の昭和三十七年までは、大体あなた方の考えるバランスを合わせていっているのに、昭和三十八年度になったら神宮収入が急激に一千七百万も減る計算をして神宮に持ち出す金が逆に千六百万多いというのだから、あなたの説明とは違うのですよ。なぜ三十八年になってこういう——予算書ですよ、これは。決算書じゃないのです。結果がこう出たというのならばわかるのですが、あなた方のものの考え方がここにあるような気がするのです。収入が減っているのに支出が急激にふえるということについては、やはり釈然とした説明をしてもらわなければ困るのだ。
  60. 伊達巽

    伊達参考人 ただいま申しましたように、年々参拝者もふえてまいりまするとやはり私のほうはそれだけの人件費とそれから管理費がかさんでまいりますので、人間が参るから収入がふえるというわけには必ずしもまいらないのでございます。ですから収入は減るかもしれないけれども、支出をにわかに減らすわけにはいきませんのでございまして、やはりそのときの見込みを立てておりまして、私のほうは決していいかげんな予算を計上したものではないのでございます。
  61. 泊谷裕夫

    泊谷委員 伊達さん、あなたのおっしゃるのを肯定したといたします。じゃ、なぜ、上にあります明治神宮の三十六年、三十七年はどうだという意見もありますし、だとするならば明治記念館からの繰り入れ金を前年より多く見るのですか。来るお客さんが少なくて経費が節減できなければ、明治記念館から神宮に吸い上げる金も少なくなるはずです。ここは多く計上してあるのです。あなた方の予算書は、何と説明されても数多くの人を説得する予算の編成のしかたではないです。昭和三十七年度までは大体バランスを保ってきた。三十八年から急激にあなた方の予算書の組み方に特徴的なしかけということばは使いませんけれども、意図が働いておると思うのですが、あなたはこれを否定されますか。否定されるなら、ぼくらを説得するだけの具体的な資料説明をしてください。
  62. 伊達巽

    伊達参考人 何らいいかげんなからくりも偽りもございませんことをここにはっきり申し上げます。
  63. 泊谷裕夫

    泊谷委員 具体的に聞いておきたい。こんな平凡な理屈はわかるでしょう。結婚の度合いが何の変化か知りません、それは水爆かなんかで殺されるのか知りませんが、減ると言う。それはわかる。しかし、記念館として一千七百万も収入が減っても、現状の体制は維持しなければならないから、そのために千六百万多くかかるというのはわかる。その苦しい記念館から前年まで社務所で多く取っておったものをさらに多く取るというのはどういうわけですかと言うのです。この予算書はそうなっておるでしょう。
  64. 伊達巽

    伊達参考人 これは概括的に申しますと、社務所のほうは、いつも経費が赤字でございますので、記念館からこれをカバーしております。社務所のほうのカバーする経費は、やはり記念館に求めるよりほかございませんので、一応予算としてはそういうふうになっておりますが、この予算書は三十八年の六月でございますから、まだ当初予算で、ほんとうにこの予算をここで論議していただく実質的な経理の材料としては不完全でございます。ですから、もしほんとうのはっきりした答えをいたしますためには、三十八年度の決算書をもってその内容を明らかにして御説明申し上げたいと思います。
  65. 泊谷裕夫

    泊谷委員 最後に貸借対照表から決算書を全部いただこうと思いますが、ぼくは神宮側考え方を聞いているのです。この予算書では、社務所に金を余分に記念館から二百万持ってこいという考え方に立っていると思うのです。ところが、収入が一千七百万減り、支出のほうは減らないという理論です。そのために記念館から二百万引き出せると考えて予算をつくることは、だれが見ても肯定される論拠でないでしょうと言うのです。だからあなた方の予算の編成は三十八年に、六年、七年と比べて急激な変化が出ているのでが、何でこういう変化が出てくるのか、その事実を知っておるなら聞かしてほしいし、何か今後に対する営業政策として必要があるならばそれを述べてほしい、こういうことです。
  66. 伊達巽

    伊達参考人 別に何らの意図はないのでございますが、御指摘になりましたことについて、私の説明が御納得いかなければ、あらためまして資料を提出して、説明さしていただきたい。
  67. 泊谷裕夫

    泊谷委員 その資料とは、宗教法人法二十五条にきめられております資料そのものをお出しいただけますね。
  68. 伊達巽

    伊達参考人 さようでございます。
  69. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは、予算の問題については、あらためてもう一度この収支決算についてはやらしていただこうと思います。  ただ、いまから断わっておくのは恐縮なんでありますが、明治神宮という名前がついておるだけに、この経理の内容は国民の前にことさら明らかにして、苦しいならば苦しいと訴えるべきでありますし、かりにゆとりがあるとするならば、ゆとりがあるという立場で検討さるべきであると思うのです。  特に専門委員皆さんが、財政難がきめ手になって、今度のプロ導入を了解したという現実の問題をながめてみて、特に神宮側に強く要請をしておきたいと思うのでありますが、文部省皆さんには気の毒でありますけれども、この資料、いま説明がありましたが、私はどうしても理解できません。利潤と減価償却費と損失の振りかえの問題もありますけれども、それよりも、この規定を見ますと、文部省皆さん専門委員会なり運営委員会なりに入っていなければならないことになっていますね。二つの違った資料をいただきました。文部省としてこれについてどういうお考えをお持ちになったのですか。
  70. 前田充明

    前田政府委員 私もこの神宮運営委員でございましたので、こまかく見ておりませんでしたことは恐縮でございますが、いままで私どもが伺っておった感じといたしましては、ことさらに何か特別な意図で水増ししたとかというようには私どもも考えておりませんでしたし、今度の外苑の問題は、いまの記念館並びに社務所の関係は、実は体育局の関係としては一応関係がございませんものですから、私はよく見ておりませんでした。  ただいまお話にございました減価償却費が、三十六年度二千七百万円というふうにふえましたことについては、ただいまの御説明によりますと、いわゆる税対象でないものの減価償却費を繰り入れたんだということでございますが、それが一体妥当かどうかという問題については、私もまだ検討いたしておりませんので、これがいいかどうか、ちょっと判定できないのでございますが、国会資料をお出しして、前と違った資料が出たということは、かえって第三者からどうであろうというような感じを受ける場合があり得るということは、私も十分わかる次第でございます。
  71. 泊谷裕夫

    泊谷委員 文部省皆さん専門委員運営委員に入っておられるのでしょう。
  72. 前田充明

    前田政府委員 私は運営委員に入っておりまして、体育課長が専門委員になるような考え方が前の文教委員会の節にはございまして、私は間もなく神宮からの御委嘱がございまして、私は運営委員になったのでございます。体育課長が専門委員になるということを考えておったのでありますが、その当時体育課長は神宮に、局長だけ運営委員の委嘱がきたので、どういうわけかということを聞いたそうでございますが、そのときの御返事は、ちょうどいまはスケジュールを組むときでないので、また組むときになったらお願いを申し上げますということでございましたので、その場はそのまま済みまして、その後オリンピックに入ってまいったので、そのままでまいったというような現状でございます。
  73. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それじゃ私はこれで質問をとめますけれども神宮側に特にこの際要請をしておきたいと思うのです。  私の受けた印象として、先ほどから申し上げましたように、二つの資料をちょうだいしてながめてみる限り、昭和三十六年度の問題点は、減価償却費が二二%も計上されておるということが一つ。二つ目の問題は、支出合計が六百三十一万五千四百四十円水増しされておるということです。先ほど指摘いたしました当期損出金、これが消されて、減価償却費が大きく計上されておるということです。これは先ほど議論があったから避けます。昭和三十七年は減価償却費二六%、約四分の一に達する減価償却というのはどうしても解せない数字であります。この点特に鮮明にしていただきたいし、これまた当期欠損金を水増しをして数字は載っております。その事情はどういうものか。これもあわせて明らかにしていただきたいと思いますし、さらに三十八年の予算決算書を比べてみると、全然お話になりません。予算というものは一年間でしょう。二十年間のものでないでしょう。ところが水泳場予算とこの収入見込みの数字の開きは、私がここで読み上げたらあなた方にあまりにも気の毒だと思いますから避けますけれども、こんなばかげた大きな違いがあってなるものか、そんなずさんな予算の編成のしかたがあるものか、こういうふうに考えるわけです。その他社務所、あるいはいま申し上げました記念館、それら神宮一円の金の動きもいま鮮明にすることはできませんけれども、そのほかの問題について重要な問題は二つ三つありますが、これは他の委員に譲りたいと思います。  そこで、先ほど約束いたしました宗教法人法二十五条にあります備えつけの写し貸借対照表計算書。これは六法全書を見てもらえばわかる。みなあなたのところでちゃんと備えられていなければならぬはずですから、その写しを当委員会に提出して、今度は私どもにもわかるように適切な説明をしてもらうということ。特に問題点は、昭和三十六年、七年まではおおよそ同じ考え方予算が組まれてきておるけれども、三十八年から急激にその予算編成方針を変更した事情は何か。その点を明らかにしていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。   〔湯本参考人「ただいま三十八年の数字が、予算と今度出ました決算書とが一億近く違うという、そのことについて申し上げます」と呼ぶ〕
  74. 大石武一

    大石委員長 委員の質問に対してだけ発言してください。
  75. 泊谷裕夫

    泊谷委員 きょうは数多くの委員が質問することになっておりますから、お願いした資料出していただけるかどうか。これを明らかにしてもらって、そのとき釈明する必要があれば、私が特に取り上げた点についてあわせて説明していただくことにいたしましょう。
  76. 大石武一

    大石委員長 ただいま要求のとおり、神宮では資料をお出しになりますか。
  77. 伊達巽

    伊達参考人 出せると思います。三十八年のですか。
  78. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いま申し上げたのは、大体三十六年からスタートしておりますから、三十六年から最近の期間におけるあなた方の備えつけたもの。三十九年度の決算も概算しなければならぬ時期ですし、運営委員会規約から見ますと、二月中に予算をしなければならぬことになっておるのですから、四十年度の予算の最重点をあわせて提示をいただきたいと思います。
  79. 大石武一

    大石委員長 砂田重民君。
  80. 砂田重民

    ○砂田委員 私は前回伊丹さんにいろいろお尋ねしたのですが、きょう御質問をいたします前に、よけいなことかもしれませんが、私が御質問いたします私の立場をまず御理解いただいておこうと思います。  私は中学生のころに野球の選手をやっておりました。甲子園の上を踏むことがやはりわれわれの夢でありました、その前にまず東京の予選に勝たなければ甲子園へ行けない。ところがなかなかこれは島岡さんも、いまも同じような状態でございますが、われわれの時代もやはり明治神宮で中学生——いまの高校生ですが、中学生野球をやらしてもらえるようなことはめったにその機会がございませんでした。ただ私が暁星中学のキャプテンをやっておりましたときに、昭和八年でございますか、早稲田実業と甲子園へ行く決勝戦をやりまして、初めて明治神宮の土を踏ましてもらいました。そのときの感激は、三十数年たちました今日、いまだ私の胸を去らないものがございます。そういう意味からいまの学生さんたちにも私が体験したような感激を、あの情熱を、できるだけたくさん機会を与えてあげたい、こういう立場から私は質問を進めてまいりたい。  さらに私は大学へ参りましてから、伊丹さんや片桐さんと同じように、われわれの時分は予科三年、学部三年でございますが、その六年間をやはり実はあまり勉強もしないでスポーツマンとしての学生生活を送ってまいりました、そういう体験を持っております私でございますので、アマチュアスポーツの振興の問題、あるいはアマチュアリズムの確立、高揚ということについては私はどなたにも負けない実は熱意を持っておりますので、そういう立場から質問を進めさしていただきたい、かように思っております。  まず最初に、一昨日私は私の自宅のほうへ神社本庁からのお手紙と陳情書というものをちょうだいいたしました。このお手紙によりますと、信教自由の原則に反したり、宗教団体を不当に圧迫することはやめてもらいたい、ということが書いてございました。私は決して信教の自由を圧迫しようとか、また宗教団体である明治神宮を不当に圧迫しようとする気持ちは毛頭ありません。前もってこれはお断わりをしておきますが、同時に送られてまいりました陳情書には、今回のプロ野球明治神宮を使うについては非常に慎重な手続きを経てこれが決定されたものだから、他人の仲介、干渉はやめてもらいたい、ということが書いてございます。私が御質問するのは、はたして慎重な手続が進められたかどうかという点を今日お伺いしたい。さらに宗教法人の権益を阻害せざるようにということが書いてございます。私がきょう質問します中にも、宗教法人であります明治神宮の権益を私が阻害するのではなくて、宗教法人でありますところの明治神宮御自身の手で御自分の持たれておる権益をむしろ阻害されたことは過去になかっただろうかという点をお尋ねを進めてまいりたい、かように考えます。少々過去にさかのぼりまして、今日に至りますまでの間の経過についてお尋ねをしたいと思います。  まず、伊達さんにお伺いをいたしますが、伊達さんの御答弁はたいへんいつも長いものですから、私のほうから申し上げて、そうであったかどうかという点だけをお答えいただきたいと思います。  明治神宮のあのいまの第一球場というものは、大正十四年の秋に起工をなさいまして、大正十五年の秋にこれが完成いたしました。この建設にあたりましては、もう故人でございます当時の東京帝大の芦田公平氏でありますとか、明治大学の内海さんあるいは法政の武満さん、早稲田の伊丹さんの先輩であります飛田穂洲さんなどがたいへん骨を折られまして、当時の内務省を動かして、明治神宮の奉賛会の副会長をやっておられました、これもなくなった方かと思いますが、阪谷芳郎さんの御理解と英断によって現在地に建設されたと私たちは承知をいたしておりますが、伊達さん、間違いございませんか。
  81. 伊達巽

    伊達参考人 間違いはございません。なお湯澤三千男さんあたりも阪谷さんとともに御努力なさいました。
  82. 砂田重民

    ○砂田委員 その大正十五年の秋に神宮球場が完成をいたしましたときに、明治神宮の奉賛会の副会長でありました阪谷さんがどういうあいさつをなさったか、これはもう私のほうから申し上げます。阪谷さんはその開場式のあいさつで、この球場は六大学野球の関係者の手によって完成されたのだ。だから、この球場の優先使用はまず六大学に与うべきである。次いで球場建設に非常に熱心に協力をした京濱地区の中等学校の野球の人たちにもこれは便宜を与えるべきだ、こういうことを言明しておられたということを伺っております。当時は東都連盟はまだございませんでしたが、そういうふうに六大学にまず与うべきだ。次いではやはり同じように勤労奉仕等をいたしました中等野球方々に便宜を与えるべきだ。これは今日の高校野球が中等野球でございましょう。当時たしか大村先生が中等野球の代表をしておられたと思いますが、こういう開場式での阪谷さんのごあいさつがあったことは、伊達さんは御記憶でございましょうか、御存じでございましょうか。
  83. 伊達巽

    伊達参考人 私はそのごあいさつの文句を存じませんけれども、その御趣旨につきましてはそのとおりでございます。したがって、今日も将来もその精神をひとつ守っていきたいと存じております。
  84. 砂田重民

    ○砂田委員 その後神宮球場は、六大学の専用球場といたしまして、また六大学のシーズン外には中等野球がこれを使って、学生野球の黄金時代を経て終戦を迎えた。そういうことでございますが、戦後接収されましたね、これはいつ接収解除になりましたですか、伊丹さん。
  85. 伊丹安廣

    伊丹参考人 昭和二十七年三月十日前後かと思います。二十七年から六大学のほうに返ってまいりまして、六大学の試合を始めております。
  86. 砂田重民

    ○砂田委員 神宮外苑運営委員会というのは、その当時に返還されてすぐできたものでございますか、伊丹さん。
  87. 伊丹安廣

    伊丹参考人 はい、返還されると同時にできました。
  88. 砂田重民

    ○砂田委員 その運営委員会の下部機構としての野球場専門委員会球場使用日程の決定権を持ったのは、これはいつでございます。
  89. 伊丹安廣

    伊丹参考人 運営委員会の規約ができましたときにその下部組織である専門委員会の規定ができまして、それがつくられたわけであります。
  90. 砂田重民

    ○砂田委員 当時はまだ東都リーグは誕生しておられなかったと思うのですが、東都リーグに六大学側からの御好意で木曜、金曜の使用をお許し願ったのは、いつごろからそういうことになったのでしょうか、伊丹さん。
  91. 伊丹安廣

    伊丹参考人 これは終戦の前——年度ははっきりわかりませんが、東都の使用をいたしておりましたのは戦争のずっと前でございます。私がまだ六大学の審判員をしておるときですから、昭和九印か、十年ごろでないかと私は思うのでございます。私は土曜日、日曜日の審判をやりまして、東都がまだその済んだあとでやっておったので、練習にもなりますし、私よく参って審判をしたことを記憶しております。
  92. 砂田重民

    ○砂田委員 明治神宮外苑の土地を払い下げをお受けになった、これは伊達さんに伺いますが、外苑全部を一括払い下げをお受けになったのですか、それとも何回かに分けて払い下げを受けられましたか。
  93. 伊達巽

    伊達参考人 一回に払い下げを受けました。
  94. 砂田重民

    ○砂田委員 いつでございましょうか。それとお支払いはどういうふうにお支払いになりましたか。いまの点は大蔵省の国有財難局長見えておりますので、大蔵省の江守さんからひとつお答え願います。
  95. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 譲与をいたしましたものと、半額で売り払いましたものと二つございますが、これは外苑と内苑の昔国が持っておりました国有境内地の全部ではございません。その大半でありますが、譲与と半額の売り払いをいたしました。譲与をいたしましたのが二十七年の十二月、それから半額でお売りいたしましたのが三十一年の十一月でございます。金額は五億四千九百万円余りでございますが、そのうちの一部分を代物弁済あるいは国が逆にお払いをする金もございましたものですから、それを相殺いたしまして、残りました金額につきましては七年間の延納ということで、四十二年の三月に完納することになっております。
  96. 砂田重民

    ○砂田委員 四十二年に支払いを終わるわけですね。
  97. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 先ほど申し上げましたように、延納でございますので、最初即金でお払いになりました分、それから代物弁済、相殺をいたしました分、その後年々入りました分を除きますと、いま残っておりますのは三年分くらいでございますから、これは正確でございませんが、あと三千万から四千万くらいの金じゃないかと思います。そのくらいの金が四十二年の三月になりますと全部済むということでございます。
  98. 砂田重民

    ○砂田委員 これは伊達さんに伺ったらいいか、伊丹さんに伺ったらいいか、ちょっと私見当がつかないのですが、この払い下げを受けられた土地の代金を国にお払いになりますのに神宮当局が財政的にたいへん苦しい、そういうことで球場分の土地の買収費といいますか、そういうものを六大学連盟から三千万円神宮に寄付されたそうですが、そういう事実がございましたか。その時期はいつごろでございました。
  99. 伊達巽

    伊達参考人 これは六大学のほうから昭和三十二年から三十五年までにわたりまして二千九百万円を御寄贈いただきました。
  100. 砂田重民

    ○砂田委員 伊丹さんはその当時はどういうお立場でございました。
  101. 伊丹安廣

    伊丹参考人 私は明治神宮外苑運営委員と六大学連盟の理事をいたしておりました。
  102. 砂田重民

    ○砂田委員 まだ伊丹さんはそのころは外苑部長をおやりになっておらなかった。大学の連盟側といいますか協会側の立場でおられたわけでございますね。
  103. 伊丹安廣

    伊丹参考人 そのとおりでございます。
  104. 砂田重民

    ○砂田委員 この三千万円の六大学から神宮への寄付というものは、神宮側から六大学当局へ、こうしてくれないかという話を持ち込まれたのですか、それとも六大学側で神宮がたいへんお困りになっている様子を察して、積極的に六大学側から御寄付のあったものでございますか。
  105. 伊丹安廣

    伊丹参考人 これは神宮側から苦衷を申し上げまして、六大学のほうにお話ししたように記憶しております。それでそのときに入場料を七十円でしたのを三十円上げてもらいまして、その中で十円だけを春秋のシーズンを通していただきました。そして四年間先刻権宮司から話がありましたように二千九百万円を御寄付いただいたのであります。
  106. 砂田重民

    ○砂田委員 その当時六大学側の伊丹さんが神宮側から苦衷をお話し申し上げたという御答弁は、私はおかしいと思うのです。その当時は六大学側ですから、そういう話を六大学側としてお受けになったわけですね。六大学側として伊丹さんは……。
  107. 伊丹安廣

    伊丹参考人 そういうことでございます。
  108. 砂田重民

    ○砂田委員 伊丹さんが神宮側からその話を六大学側としてお聞きになりましたのですか。
  109. 伊丹安廣

    伊丹参考人 その当時外苑部長であった兒玉さんとはしばしば私お会いしておりました。それで土地の買収の件でその財源に非常に苦しんでおられました。それで私たちも神宮野球場と六大学というような関係から考えましても、これはお助けしなければならないということを六大学連盟の理事会にはかりまして、御賛同を得て、それが実現したわけでございます。
  110. 砂田重民

    ○砂田委員 この寄付を伊丹さんが兒玉さんにお話を聞かれて、六大学の理事会伊丹さんがおはかりになったわけだと思うのですが、六大学の理事会は満場一致これを御賛成になったわけですね。
  111. 伊丹安廣

    伊丹参考人 それを申し上げます前に、いま横にいらしている外岡先生と慶応の石丸先生に初めお話しいたしまして、そして先生からしていただいたと思います。私はただ六大学の理事会でこちらの補助的の役割りをしておったと思います。
  112. 砂田重民

    ○砂田委員 いま兒玉さんというお話が出ましたが、当時の外苑部長の兒玉さんだと思いますが、当時の兒玉外苑部長は伊丹さんとは御姻戚の関係がございましたね。
  113. 伊丹安廣

    伊丹参考人 私とは親戚関係であります。
  114. 砂田重民

    ○砂田委員 伊丹さんはいつ明治神宮外苑部へお入りになりましたか。
  115. 伊達巽

    伊達参考人 ちょっと年月をはっきり申し上げかねますけれども外苑野球場明治神宮に接収解除になりまして返ってまいりまして、そのときに兒玉さんを外苑の部長にお願いしたわけでございます。
  116. 砂田重民

    ○砂田委員 いや、伊丹さんはいつ明治神宮外苑部へお入りになったかお伺いをいたしました。
  117. 伊丹安廣

    伊丹参考人 三十三年の二月でないかと思います。
  118. 砂田重民

    ○砂田委員 三千万円の——二千九百万円の六大学連盟側からの御寄付が終わったあとで、外苑部へ伊丹さんはお入りになったわけですね。
  119. 伊丹安廣

    伊丹参考人 四年間はいただいたのでありますが、しまいには私はもう六大学の理事をやめておりました。
  120. 砂田重民

    ○砂田委員 伊丹さんが外苑部へお入りになったときは、どういう資格でお入りになりました。
  121. 伊丹安廣

    伊丹参考人 あのときは外苑部と言っておりまして、部長代理ということになっておりました。
  122. 砂田重民

    ○砂田委員 そうするとその御姻戚の児玉部長さんのもとで部長代理をしておられたわけだと思いますが、外苑部長にはいつおなりになりました。
  123. 伊丹安廣

    伊丹参考人 私はいまも部長ではありません。いま外苑と変わっておりますが、外苑の苑長は伊達さんでありまして、私は外苑苑長代理であります。
  124. 砂田重民

    ○砂田委員 そのときのことは伊丹さんが御承知だと思いますので、伊丹さんにお尋ねをいたしますが、東芝から照明灯の寄進の話が明治神宮球場にございました、あれはいつですか。それからその当時の伊丹さんのお立場はどういう立場でございましたか。
  125. 伊丹安廣

    伊丹参考人 東芝から寄進の申し出を受けましたのは昭和三十四年の十二月であります。そして私が東芝に話しましたのは三十四年の七月だったと思います。このときの私のあれは東芝の監督をしておりました。
  126. 砂田重民

    ○砂田委員 東芝の監督をおやりになっていて外苑部にも籍はおありになったわけですね。そしてその間のあっせんをなさったということだと思いますが、東芝からの明治神宮球場へのその照明設備の寄進というものは、伊丹さん、これはたいへん好ましいことだとお考えになりましたか。
  127. 伊丹安廣

    伊丹参考人 私は非常に好ましいことだと信じておりました。
  128. 砂田重民

    ○砂田委員 私たちも当時の新聞伊丹さんが東芝の照明灯の寄進について、これが実現するようにたいへんな御努力を払われたことをよく承知をいたしております。ただそのときにその話はできなかったと私は記憶するのですが、球場専門委員会——六大学側の非常な反対があって実現しなかったというふうに当時の新聞で私は記憶をいたしておりますが、そういうことですか。
  129. 伊丹安廣

    伊丹参考人 御説のとおりでありまして、最初専門委員会では満場一致ではなかったのですが大体きまりまして、それから三時間くらい後の六大学の理事会で強い反対を受けまして、その後次第に反対が強くなりまして、三十五年の一月、翌年の一月でありますが、東芝が、そんなに反対が多いのなら寄付はしないほうがいい、というので東芝が白紙還元を申し入れられましてなくなりました。
  130. 砂田重民

    ○砂田委員 東芝は神宮球場へその照明灯を寄進されますのに、何か照明灯の広告でも東芝はお考えになっていたのですか。
  131. 伊丹安廣

    伊丹参考人 それは非常な誤解でありまして、東芝としまして、私が初め話しました理由は、私東芝の監督をしておりましたときに、選手の採用の方針をきめる重役あるいは部長と数名の方たちで東芝のほうに伺ったことがあります。ちょうどそのとき、たまたま日劇の上に東芝が東芝というマークをつけたかさマークをやったので、それがちょうどきょう社長がボタンを押す、スイッチを押す日だというお話を伺ったのです。それからこれはたいへんな金がかかるでしょう。私はそういうものは一つの宣伝にはなるかもしれないけれども、それよりももっと違った意味の、非常にみなが喜ぶもので宣伝をねらうほうがほんとうはいいんではないだろうか。歌舞伎座のどんちょうを東芝とか松下とか日立とかなんかがやりますが、ああいうものよりもかえってみなが喜んで、そして知らないうちに宣伝になるのが新しい宣伝のような気がすると言ったのです。それで、私はもし神宮野球場にナイター施設をしてくれるならばこれは非常にみなが喜ぶ。その喜ぶということは私も自分で感じておったのでありますが、その前の、何カ月前か知りませんが、とにかく六大学が非常に観衆が少なくなってきたので、六大学出身者の新聞記者の方に集まっていただいて、ちょうど私が六大学の当番校だったと思うのです、早稲田の理事で、そのときに六大学の出身者に集まってもらって、そしていろいろ意見を交換したのです。そのときに第一に出たのは、ナイター設備が一番いいだろう。しかしナイター設備はとてもできないことで、これは夢のような話だが、ほかは背番号をつけるとか、あるいは新聞社にお願いして選手の名前を覚えてもらうようにチラシを入口でみなに配るとか、いろいろそのとき五カ条か六カ条ありましたが、そのときにナイター施設、しかしこれはできないものだという意見が出たのです。それが私の頭にありましたものですから、幸いに東芝の監督をしておるので、書類出したわけでも何でもありません、ただ私はその席で雑談のような気持ちでお話ししたのです。それが知らないうちにずっと進んでいって十二月のときに、社長の決裁に行く前の日の専務が判をつかれるときに私は初めて伺ったので非常にびっくりしたのであります。そういう次第であります。
  132. 砂田重民

    ○砂田委員 伊丹さんはそれが実現しなかったことをたいへん残念にお思いになったけれども、六大学側が反対してその話がつぶれたことを、六大学側としては喜んでおられたわけですね。  その後相撲場を第二球場につくり直されて、これはたしか三十六年四月ごろに完成をされたと思うのですが、その第二球場の設立の目的というものは、第二球場高校野球、東都リーグ第二部、社会人野球、こういうところに使用させよう、そういう目的であの相撲場というものを第二球場につくり直されたと聞いておりますが、間違いありませんか。
  133. 伊丹安廣

    伊丹参考人 これは私は神宮球場を見まして、あそこでは非常に不足しておる、もう一つグラウンドがほしい、何とかしてグラウンドをつくりたいという希望を持ちましてあそこを見回っておりました。そうして、たまたま相撲場ももう相撲はやっておりませんし、バレーも非常に少なくなって、室内ができてきたので非常に利用の度合いも少なくなっておったので、あそこを野球場にしたらどうだろう、一応専門家に測量を頼んでみましたら、大体距離としてはとれる、三百フィート、外野が三百七、八十はとれるからという理由のもとに権宮司さんにお願いし、それから運営委員会にお願いし、総代理、責任役員の方にも了解を得まして、所定の手続を経て第二球場の第一期の建設にかかったわけであります。そのときの対象は、学生、社会人、あるいは軟式野球というようなものが目的でございました。
  134. 砂田重民

    ○砂田委員 そうやって三十六年の四月に第二球場が完成したのですが、同じ年の十一月に今度は総工費二億三千万円で第一球場の改装と第一球場の照明灯の設置を神宮側が発表されて、伊達さんなり伊丹さんの思うように運営委員会は了解されたそうでございますが、専門委員会も直ちに第一球場の照明灯の設置には賛成をなさったのですか。
  135. 伊丹安廣

    伊丹参考人 そのときは専門委員の方はナイター事件のことで責任を負われまして全員辞任しておられまして、専門委員はおられませんでした。それで、運営委員と総代理、責任役員によって決定したわけであります。
  136. 砂田重民

    ○砂田委員 野球に非常にお詳しい方で構成をされておられるその専門委員会というものはいま伊丹さんはナイター事件、他の事件で総辞職されたと言われましたが、ナイター事件というのはそれは何ですか。
  137. 伊丹安廣

    伊丹参考人 先刻申し上げました東芝のナイターの事件であります。いまは第一球場、第二球場ともに専門委員会の権限の範囲でありますが、そのときの第二球場専門委員のあれはここにはなかったのでございます。
  138. 砂田重民

    ○砂田委員 第二球場のことを伺っておるのではなくて、第二球場のことはさっき伺ってわかりました。第一球場の照明灯の話をいま伺っておりますが、それじゃ、第一球場の照明灯の設備というものは実際上は専門委員皆さんおやめになっておいでにならなかったので専門委員会にはおはかりにならなかったという御答弁がございました。専門委員会のその辞任された委員方々の交代要員といいますか、そういったものを協会側が欠員補充を神宮側に申請なさったのだが、それを受けつけられずに、専門委員会、すなわち野球のことに一番詳しい方々で構成しておられる専門委員会にははかられずに、照明灯の設置というものは決定してしまわれたわけでございますか。
  139. 伊達巽

    伊達参考人 その当時の実情は非常に遺憾ながら紛糾いたしておりまして、専門委員の方はその当時補充ができませんで、しばらく冷却期間を置くということで延び延びになっておりましたが、運営委員のほうで大体外苑の工事等は決定することに従来なっておりますものですからスケジュール等の関係とは直接、関連はありますけれども、その当時の建設については関係がありませんものでしたから、運営委員会にかけまして、そこで決定をいたしたわけであります。
  140. 砂田重民

    ○砂田委員 東芝のナイター施設をやることに反対をされて、専門委員会皆さんは辞任をなさった。それで専門委員会というものは現実の問題として存在しなかったわけですね。ですから、専門委員会がどうしてなかったかというと、東芝の照明灯をそこへ寄進するナイター設備には大学側としては反対だという方が専門委員会の中にはたくさんおられて、その方々がおやめになったから専門委員会というものはなかった、そういうことでしょう。ですから同じような学生側の委員の方を任命されて専門委員会をつくられたならば、神宮側でお考えになった、東芝の照明灯じゃなくて明治神宮自体でおつくりになろうとされた第一球場の照明灯の設置の問題を、もしもそのときに専門委員会があって御相談になったら、当然専門委員会は反対されたでしょうね。私はそう想像しますが、伊丹さんはそういうふうにお考えになりませんか。
  141. 伊丹安廣

    伊丹参考人 おそらくあのときの空気ですと反対されたと思います。それで、私たちは無断でやったわけではございません。三十六年の十月二十八日に六大学連盟の責任者の方にお会いし——そのときは初め武田先生と片桐さんと藤田さんにお会いしたと思うのです。それで御説明した。それからその翌日には高等学校、東都大学連盟、学生野球協会の方にお集まりいただいて、それで御報告したと思います。その報告をしましたときに、第二回目のときには非常に話がもつれまして、私たち途中から退場いたしました。
  142. 砂田重民

    ○砂田委員 そこまで学生側に反対意見が強かったことは御承知の上で照明灯の設置に着手をされて、三十七年六月九日にこの工事が完成したわけですね。
  143. 伊丹安廣

    伊丹参考人 そうでございます。増築ナイターの完成したのは三十七年四月九日でございます。
  144. 砂田重民

    ○砂田委員 いま伊丹さんからお答えをいただきましたように、第一球場のナイター設備はそこまで強い——二度目の懇談のときには話が紛糾してわれわれは退場したと伊丹さんがおっしゃった、そこまで学生側が反対されたにもかかわらず、これは明治神宮側でナイター設備をやるべきだ、照明設備をしたほうがいいんだ、いわば明治神宮側の責任で着工されて完成をされたものだ、こう私はいま伊丹さんの御答弁を伺いながら判断したわけです。  そこで私は、明治神宮球場へのプロ野球の進出の機運は、何もこのごろになって始まったことじゃない、この第二球場の建設と第一球場の照明灯の設置、このときに始まったという気がしてならない。いいですか。それは伊達さんや伊丹さんがその当時からプロ野球明治神宮に導入してくるのだとそんな計画的な、いわば悪いことばで歯に衣を着せずに言えばそういう策謀をしたというような色めがねで私は見たくないのです。そういう色めがねでは見たくありませんが、第二球場の建設と第一球場の夜間照明という一連のあなた方が推進してこられたその事態が、あとになってプロ野球受け入れの基盤と現実にはなっている。だれもこの事実はいなめないと思う。現に三十八年七月一日に学生野球協会会長の大浜さんから衆議院の文教委員会の床次委員長あてに陳情書が出ております。「明治神宮外苑野球場に関する第二次陳情書」というのが出ている。この陳情書の中にどういうことが書いてあるかといいますと、「第一球場はすでにナイター設備をしてしまったので、その維持のために、学生野球に支障のない限り、プロに使用させることはやむをえないと思う」、そう大浜さんは衆議院の文教委員長に陳情書出しておられるのです。これは大浜さん個人じゃありません、財団法人日本学生野球協会会長としてそういう陳情書出しておられる。「維持のために、」ですよ。この維持していくのはあげて神宮側責任であって、学生側は何の責任もない。したがって、専門委員会あるいは六大学側のそういった非常に強い反対を押し切って伊丹さんが実行された照明灯を維持するためにプロ野球使用させなければならないという今日の事態をあなたが招いている。外苑経営の困難さだとか、今日の財政外苑経営が非常にむずかしいとか、そういった事態についてのあなたの責任は、伊丹さん、このときに始まっているのです。  さらにこのときに、同じ時期に、大洋ホエールズのスカウトだった源川さんという人を神宮球場球場長にこれは伊丹さんの意向で迎えておられる。プロ野球神宮球場というものの結びつきがこのときに初めて起こっている。  伊丹さんに伺いますが、三十六年十一月末に、東京都の東知事から、三十七年プロ野球の開幕のときに東映球団に神宮球場を使わせてくれないか、こういう申し入れを受けられましたか。
  145. 伊丹安廣

    伊丹参考人 東さん、わざわざ神宮にお見えになりまして、権宮司さんに、私どもも同席したのでありますが、会われまして、駒沢球場はオリンッピクのために設備をしなくちゃならないから東映はグラウンドを失うからぜひ使わせてほしいという東さんからの御要求がありましたので、権宮司さんはお許しになりました。  それから、いま申されました源川君が大洋のスカウトであったからおそらくプロとの関係をつけるためにだ、そうおっしゃられますと、これは私は全く違うわけであります。源川君は、戦争の前には満洲のほうでいろいろ苦労しており、相当の位置も保って、天津とか上海なんかのほうにおったのでありますが、帰りまして、胸を悪くして生活に困っておりました。それで私は、おまえは大洋球団なんてああいうところでそういうことをするよりも神宮に来てちゃんと働いたらいいじゃないか、おまえも頭の悪い男でもなし、自分たちと一緒に野球をしていた男であるからという理由のもとに、源川君を権宮司さんにお願いして採用していただいたのであって、私がプロ球団を入れるために源川君を採用したなんてお考えになりますと、これはあまりにはなはだしいあれで、非常に私はそれを残念に思います。
  146. 砂田重民

    ○砂田委員 源川さんのことについては私は了承します。これはそんなにプロ野球とどうこうなんという気持ちで源川さんを迎えられたのじゃないと思う。それは伊丹さんの御答弁のとおりだと思う。そのとおりお聞きします。ただ、私が申し上げたのは、プロ球団の人間と明治神宮というものが初めてそのときに接触されたということを申し上げたのです。何もその裏にどういうことが隠されているなんということは、私は伊丹さんにお尋ねもしていなければ何も申し上げていない。ですから、伊丹さんの御答弁のとおりだと私も考える。  ただ東映のフランチャイズでありました駒沢球場というのは、あれは都有地であって、オリンピック施設があそこにできるのだなんということは、もう数年も前からわかっていたことであります。三十七年の開幕のときのことを三十六年の末になって——これは三十六年の末ということは、おそらく東都知事から神宮側お話があったのは末の十二月ごろじゃなかったかと思うのですが、三十七年の開幕のほうは、これは三月か四月、そういうせっぱ詰まったところで、駒沢球場をオリンピック施設にするということはもう何年も前にわかっているのですが、三十六年の年末になって東さんが突然そういう仲介に出てこられたというのは、何かその間の事情を御存じでございますか。それとも東さんがそういった仲介に行った、それ以前から、神宮側と東映側とで何か下打ち合わせのようなことがございましたか。
  147. 伊達巽

    伊達参考人 前の事情は何にも存じません。ただ、三十六年の十二月の大かたもう大みそかに近いころでございましたが、おいでになってお話がございました。その他の一切の事情は私は存じません。  それから、ちょっと申し添えさしていただきます。よろしゅうございますか。さっきのお話のおことばに対して、ちょっと私弁明を申し上げておかなければなりませんので。
  148. 大石武一

    大石委員長 簡潔に願います。
  149. 伊達巽

    伊達参考人 プロを導入することについて、あるいはナイターの施設について、伊丹君の責任というふうにちょっとおことばがあったように存じますが、これは伊丹君の責任ではございません。私、苑長でございますし、また神宮立場からも、権宮司としての、事務当局としての責任がございますので、伊丹君には責任はございませんことをちょっと御答弁申し上げます。
  150. 砂田重民

    ○砂田委員 責任とおっしゃられるとたいへん困るのです。私はそんなことについて触れるつもりはなかったのですが、部長さんには責任があって代理の方には責任がないとおっしゃっても、世間の受け方はそうは受け取りません。これは明治神宮外苑部の責任でありますから、部長さんにもまた部長代理さんにも責任があった。これは世間だれでもそう解釈すると思います。
  151. 伊達巽

    伊達参考人 わかりました。
  152. 砂田重民

    ○砂田委員 この年に、たしか昭和三十七年、東映は三十四試合明治神宮で試合をやったと思いますが、間違いございませんか。
  153. 伊丹安廣

    伊丹参考人 たしかそれぐらいだと思います。ちょっとお待ちください、調べますから。
  154. 砂田重民

    ○砂田委員 いやけっこうです。この東映が三十四試合やることにつきまして、東映の神宮進出という問題で、初めて神宮へのプロ野球の問題がそのとき起こったわけですね。そのときには、運営委員会もまた専門委員会も、これを皆さんで賛成をなさったわけでございますか。
  155. 伊丹安廣

    伊丹参考人 皆さんの賛成でございます。
  156. 砂田重民

    ○砂田委員 伊丹さん、このときに神宮は東映に三千万円で五年間の契約をなさったというふうに私たちは聞かされているのですが、その三千万円の球場使用料で五年間の契約というものは、運営委員会あるいは専門委員会に事前におはかりになって、それぞれの委員会の賛成を得られたその上で、三千万円の五年間という契約をなさったのでございますか。
  157. 伊丹安廣

    伊丹参考人 これは運営委員の方にはお話ししてあります。その三千万円というのは、使用料は二割なんです。普通プロは二割七分もしくは八分なんでございますが、その五分を、そのつど二割五分いただくのがいいか、あるいは二割にして五分だけを一ぺんに払われるのがいいか、払われるのでしたら三千万ということでしたので、三千万というのは五分の五年間のあれであります。
  158. 砂田重民

    ○砂田委員 きょう御出席をいただいております中に、専門委員の方もたくさんおられるのですが、片桐さんも島岡さんも当時やはり専門委員をしておられたと思うのですが、片桐さん、何か伊丹さんのいまの——私にお答えいただきましたことを疑うわけじゃなくて、念を入れたいと思いますから、専門委員の方からも、その三千万円で五年間の契約というものを前もってお話があって、専門委員会のほうでも御承認になったのか、その後に契約が行なわれたのか、片桐さんからひとつ……。
  159. 片桐勝司

    片桐参考人 われわれが専門委員になったのは、三十七年の十一月だと思っております。したがいまして、東映の神宮進出の当時は、学生側の専門委員はおりません。
  160. 砂田重民

    ○砂田委員 学生側から専門委員になった方は、どなたもその当時にはおられなかったわけげすね。
  161. 片桐勝司

    片桐参考人 はい。
  162. 砂田重民

    ○砂田委員 わかりました。  それじゃ伊丹さんに次にお伺いいたしますが、三十八年の五月に、神宮側は第二球場を国鉄のフランチャイズの球場に改築するということを発表になったと記憶しますが、間違いございませんか
  163. 伊丹安廣

    伊丹参考人 そのとおりであります。期日は私ちょっといま記憶がございませんが、時間をかしていただければわかります。
  164. 砂田重民

    ○砂田委員 期日はけっこうでございます。  その国鉄のフランチャイズにしようという神宮の御計画——もちろん国鉄のほうの計画でもありましたでしょうが、その第二球場を三万五千人収容できる球場としての計画は、神宮側で御計画なさった計画でございますか。
  165. 伊丹安廣

    伊丹参考人 これは第二球場をなぜプロ野球球場にするかプロ野球の優先球場にするかということを考えましたのは、私は、第一球場は六大学のホームグラウンドのようなものであり、むしろあそこにするよりも、すぐ近くに第二球場があり、それはいまちょっと砂田先生がお話しになったときに抜けておりますが、あそこは二回増築しておるのでございます。第一回目にして、それから第二回目は、見物人や応援団なんかのためにブロックのスタンドをつくったのが第二回目であります。プロを持ってこようとしたときのは、第三回目であります。そのときに考えましたのは、あそこで国鉄の試合もする、それから東映がシーズン——東映が第一球場を使っておるのはシーズンオフの試合であります。シーズン中に試合をしたのは、三十七年の十月に、六大学のほうにお願いしまして、ちょうど東映が優勝しましたとき、選手権を争うときの二回だけをあそこのグラウンドを使って、それ以外は六大学のシーズン中には東映は使っておりません。それで、第一球場でなくて第二球場をプロの専用球場にしまして、そこを国鉄は主に使い、それから第一球場でできないプロの試合を第二球場に入れて、ここをプロの優先にして、昼は学生に使わせるというのがわれわれの目的だったのであります。これがそのときの方針であります。そして、いまおっしゃいました三万五千という数字は、これは非常にむずかしい数字で、実際は三万人入るのはちょっと容易でなくて、二万七、八千ぐらいだと思います。
  166. 砂田重民

    ○砂田委員 しかし、それが三万五千は無理であって、二万七、八千ぐらいじゃないかといういまの伊丹さんのお話でございましたが、いずれにいたしましても、プロ球団が使える球場は、やはりある程度の観衆の収容能力がなければ、プロ野球は使えない。やはりプロ野球が使えるだけの収容能力を持った、三万五千人なり、それが二万五千人なり二万六千人なり、何人でありましても、プロ野球球団が使用できるだけの観衆の収容能力を持った球場という計画であったわけですね。その計画をなさったのは、神宮の計画でございますか。
  167. 伊丹安廣

    伊丹参考人 神宮の計画でございます。
  168. 砂田重民

    ○砂田委員 その計画の責任者というのはどなたでございますか。
  169. 伊丹安廣

    伊丹参考人 計画の責任者は私であります。
  170. 砂田重民

    ○砂田委員 その改築の資金計画を、大ざっぱなものでけっこうですからお聞かせいただけますか。
  171. 伊丹安廣

    伊丹参考人 最初産経のお話しになりましたのは、あのとき大体十億だったと思います。
  172. 砂田重民

    ○砂田委員 産経から最初お話のありましたのは、とおっしゃったのですが、それは神宮の計画でしょう。
  173. 伊丹安廣

    伊丹参考人 これは私たちの計画しているところに、産経の方が来られてお話しになったのであって、十億という金額は産経のほうから出されました。それは産経のほうで専門家に当たられたんだと思います。
  174. 砂田重民

    ○砂田委員 何か、産経側で計画をなさったのか、神宮側で計画をなさったのか、ちょっといま伊丹さんのお話で、さっきまで非常に明確に進んでおったのですが、焦点がぼけたような気がするのです。私が先ほど念を押しましたこの計画の責任者はどなたか、こう伺ったら、伊丹さんは私ですとおっしゃった。それはそのまま生きておると解釈いたします。  それで、初め十億だったそうですが、その十億を産経から神宮が借り入れて第二球場をおつくりになる、そういった御計画だったわけですか。
  175. 伊丹安廣

    伊丹参考人 それは産経が肩がわりしてくれる。神宮にはその金はありませんし、肩がわりをしてくれる。それを何年間かで償還をする、そして使用契約を結ぶわけであります。それで元本は償還する。利息は全然なしでやるという……。
  176. 田邉國男

    ○田邉委員 ちょっと関連して。ただいま伊丹さんからのお話で、先ほど砂田委員からの質問には、第二球場をつくった趣旨というものは、学生野球及び社会人野球使用するために第二球場をつくる計画をしたのだ、こういうお話がございました。ところが、いまお話を聞いておりますと、いいえ、当初からプロ野球のためにこの球場をつくったんだ、こういうお話がございましたが、では、どちらがあなたのほんとうの計画を最初になさった考え方であるかを伺っておきます。
  177. 伊丹安廣

    伊丹参考人 私、第一回目のときに、これは広さのことが私わからないので、実際第一回目に第二球場がまだでき上がらないときに見ましたときに、これがはたして硬式野球ができるだろうかというくらいな疑問を持ったのであります。これは偽らざる事実であります。そして第一回目にやってみて、ほんとうにこれは小さいものでありましたが、やってみて、しかも高等学校がやり、社会人がやってみて、そしてその次に増築をしたときに、これだったらプロができる、広さにおいてはできないことはない、これは文教委員会から来られた方が私にも、これは狭くてできないのじゃないでしょうかというお話があった方があります。私は、これは狭いように見えて実際は距離としてはかってみると広いのですということを申し上げたのでありますが、第二回目の建設をいたしましたときに、これだったらプロができるということを私は考えました。
  178. 田邉國男

    ○田邉委員 私が伺っておりますのは、第二球場をつくるときの最初の計画、そのときには一体プロ野球が使うためにこれを計画なさったのか、先ほどおっしゃったように社会人、学生野球に使わせるためにこれを計画なさったのか、その点が非常にあいまいとしております。いまのお話ですと二回目の拡張のときに初めて、これはプロ野球に使えるんだ。だからそのときにプロ野球にするということを考えた。最初の答弁とそれからいまの答弁とは少し食い違いがあるように思います。
  179. 伊丹安廣

    伊丹参考人 第一回のときには学生、社会人、そかれら軟式くらいに私は思っておりました。そして実際につくってみますと、社会人にも十分使えるし、高等学校にも使える。それで第二回目のときには、もうすでにスタンドとしてもりっぱでありましたし、このときにはイースタンリーグはすでに使いました。
  180. 田邉國男

    ○田邉委員 それでは伊達参考人に伺いますが、二月の九日に伊達参考人の答弁の中に、こういうことを言っております。「そこで外苑のほうにおきましても、いろいろと苦慮いたしまして考えましたけれども、いまの施設を利用いたしますこと、第二球場は実は初めはプロ野球に使うつもりで始めたのでありますけれども、ああいったいきさつもございまして、今日はあの第二球場プロ野球場には使いません」こう書いてあります。そうしますと、いまおっしゃった伊丹さんのお話伊達さんの先般二月九日の答弁とは根本的に食い違っておるように思いますが、その点はいかがですか。
  181. 伊達巽

    伊達参考人 結論的に申して食い違っていないのであります。これは変遷がございまして、ただいま伊丹君の説明いたしましたのは、一番当初は草野球程度の、ごく簡単なものであった。それをさらに拡充整備して、そうして学生ないしは社会人野球に使わせるということになっておりましたけれども、第三回目にはプロに使用させる計画で、そうしてこの第二球場の本計画を立てた。それが御承知のようにいろいろな事情がありまして、プロには使えないことになりましたから、(「それはおかしいな」と呼ぶ者あり)おかしいといっても事実がそうなんです。そういうわけであります。
  182. 田邉國男

    ○田邉委員 この速記録を持ち帰ってよく読んでいただきたいと思うのです。これは私ども伺っておりますと、質問者の答弁に対しまして、そのときそのときにおいて答弁の趣旨が変わっております。先般から伺っております私どもの推察では、最初からこれをプロ野球にやろうと計画をしておったのだ、ところが最初から出すと都合が悪いので、最初学生野球、それから社会人野球といって、そうして第二期工事、第三期工事といって既成事実をつくっていって、これならば大量の観衆が入るので、これはペイするからいよいよ本来のプロ野球球場にしようという計画のもとにこれを始めた。それがはしなくも前回の答弁の中に、実は初めはこれをプロ野球球場使用しようとして始めたのですということを答弁なさっておる。そうしますと、あなたのいまの答弁とは根本的に食い違っておる。その点はいかがですか。
  183. 伊達巽

    伊達参考人 どうも説明の要領がはなはだまずいものですから、徹底したことが言えませんけれども、ただいま伊丹君が申しましたように、初めは相撲場であったところを草野球場にした。ところがその次に今度はそれをやや整備して使った。ところが今度三回目になりますか、そのときにプロ野球場にナイターとしてやろうということにきめたのでございます。
  184. 田邉國男

    ○田邉委員 それではちょっと伺いますが、先ほど二月九日の速記録の中で答弁なさった、「第二球場は実は初めはプロ野球に使うつもりで始めたのであります」というのは、これはいつの時点を言っておられるのですか。
  185. 伊達巽

    伊達参考人 三十八年でございます。そのときにそういうふうに初めから考えをきめたのです。
  186. 砂田重民

    ○砂田委員 いまのお話、私は実は大体わかるのです。そこで、私が先ほど伊丹さんにお尋ねいたしましたら、産経は当初十億用意をしてくれる、そういう話であった。実際には四億五千万だったわけですね。それでその四億五千万を神宮側が産経に肩がわりをしてもらうということは、産経がそれだけの金をひとつ引き受けようというのは、やはりプロ野球のやれる球場プロ野球をやれるだけの観衆の収容能力を持った球場ということを前提条件として産経はそれだけの金を用意をする、そういうことだったわけですね。
  187. 伊丹安廣

    伊丹参考人 もちろんそうだと思います。プロ野球のことは私は詳しくはわかりませんが、プロ野球の収容は、学生野球とは違って外野のほうは非常に少ないので、大体内野ですべてペイする。それからボックスシートを売りますから、三万も四万も入らなくても、プロ野球としては内野の収容さえしっかりつかんでおけばそれでいけるように私聞いております。それで三万五千という数字は、これはあそこのグラウンドでは私はとうてい無理だと思います。せいぜい二万七、八千、無理して三万、いまの土地でしたら三万ぐらいしかできないと思います。
  188. 砂田重民

    ○砂田委員 さっき私伊丹さんに伺ったら、この計画の責任者は私ですとおっしゃった。この計画の責任者の伊丹さんが、プロ野球のことはよくわからないというのはどういうことですか。しかも四億五千万という金の問題が関連していることなんです。そういう重大な問題で、しかも御自分でみずからこの計画の責任者はおれだとおっしゃった伊丹さんが、三万は無理だと思いますとか、二万何千ぐらいでないかと思いますとか、そういうはっきりしない御答弁はどういうことですか。御自分で責任者はおれなんだということをおっしゃったからには、もう少し責任のある、はっきりした答弁をしていただきたい。
  189. 伊丹安廣

    伊丹参考人 この計画の責任者といいますと、外苑ではいまは野球人もおりますが、その当時は野球人は私一人でありまして、結局野球のことになりますと、私が御相談にも乗らなくちゃならない、外苑長代理としても私はこれは責任を持ってやらなくてはならない。決して私は盲信でやったのではなくて、十億が四億五千万になったというのは、御存じのように両翼が全部なくなっております。いわばかたわの球場、二階まではありますが、手と足がないようなものであって、それが学生野球の専用球場だったら、いま一万ちょっとだと思いますが、これだったら学生野球球場としてはりっぱなものであるというので、産経も途中で工事をやめられて私たちもそれを了承したわけであります。
  190. 砂田重民

    ○砂田委員 どうもはっきりしないので伺っているはうも困るのですが、私が初め伺ったのは、この計画は神宮の計画だからその責任者は私です——そういう責任を持たれる方があるから産経は四億五千万もの金を出した、そう私たちは解釈するわけなんです。そうすると、産経がそれだけのものを出されたというのは、やはりプロ野球の球団の使用にたえるだけの収容能力を持った球場という計画を、伊丹さんがおっしゃるように明治神宮側の計画としてお持ちになって、それの責任者が伊丹さんであった、こう解釈してよろしゅうございますね。
  191. 伊丹安廣

    伊丹参考人 この収容人員の問題でありますが、私、すぐはお答えできませんが、大体内野の収容がボックスシートを一万持っておれば一つの球団はやっていけるのではないかという計画のもとに考えたわけであって、これは私が計画の責任者と申しましても、産経側との相談の結果であって、私自身がここにどうしてということを計画したわけではありません。その点は訂正していただかなくてはならないと思います。私が計画して産経に話を持っていく、国鉄球団が来るとか、そういうものではないのであります。
  192. 砂田重民

    ○砂田委員 それでは、産経と明治神宮と双方で御相談の上で計画を進められた、明治神宮側の責任者は伊丹さんであった、こういうことのように承りましたが、そういうことで、ここでプロ野球専門球場をつくるということについては、これまた運営委員会専門委員会では了承のもとで行なわれたわけでございますか。
  193. 伊達巽

    伊達参考人 専門委員会のほうにはこのことについて積極的に相談いたしておりませんが、運営委員会にかけて決定をいたしまして、さらにその上部の責任役員会にかけて決定いたしたわけであります。
  194. 砂田重民

    ○砂田委員 どうももう一つはっきりしないのですが、時間がかかりますから先へ進めたと思います。  結局プロ野球使用にたえない球場ができてしまったということは事実だろうと思うのです。したがってプロ野球にはいま使わしていない、そういうことであろうと思う。そうすると当初御計画をなさったプロ野球球団の使用にたえるだけの球場という計画が非常にずさんなものであった、プロ野球球団の使用にたえるという計画がたいへんずさんであって一万数千人しか収容能力がない球場ができてしまった、そういうことになるのですが、産経と明治神宮との当初の御相談では、これはプロ野球も使うという計画が出てきた。それが途中であったかもしれないけれども、当初の計画と違う答えを出さざるを得なくなってしまった。こういうことについては、明治神宮側の責任者の伊丹さんは、金のくめんまでさせた産経なり国鉄球団に対して責任を感じられましたか。
  195. 伊丹安廣

    伊丹参考人 初め三万近い数字の収容能力のあるグラウンドをつくってプロ野球をやろうとしておったのが、途中で御存じのように各方面からの反対がありましてこれができなくて、わずか一万の球場になった。スタンドもまだ両翼はできないということで、途中で変更になったのは、第二球場学生専用の球場にするということできまったのであって、これはいたし方ないことであります。
  196. 砂田重民

    ○砂田委員 初めはプロ野球に使わせるつもりで計画をなさって、途中でプロ野球は使えないからというので学生野球に使わせようということに変更なさったわけでしょう。当初の計画はあくまでプロ野球に使わせるつもりが変更せざるを得なくなったわけですね。そこでやはり金のことも心配された産経さんなり国鉄なりに対して神宮側責任者としての伊丹さんは何の責任もお感じにならないまま用途変更をなさったわけですか、
  197. 伊丹安廣

    伊丹参考人 それは使用契約でありまして、四億五千万円の第二球場、これは神宮の財産になるものであります。幸い六大学のシーズン中にも第一球場のプロの使用を承認してくれることになりましたので、使用契約の中に、入局料の何割をお返しするとか、そういう償還計画を立てまして、大体十年くらいの計画で返したいのでありますが、第一球場の収入は、契約によって国鉄の試合のパーセントできめておるわけでありまして、それによって第二球場の建設費を次々お返ししていくことになっております。
  198. 砂田重民

    ○砂田委員 そうすると、当初の工事計画が間違っていたので、途中で学生野球に変更しなければならなくなった。そのために産経、国鉄に気持ちの上で伊丹さんは借りができた。いま伊丹さんのお話の中にも、第一球場を国鉄に使わしてという話が突然出てまいりましたね。そういたしますと、私はやはり第二球場改築計画というものの失敗が第一球場へ国鉄というプロ球団を進出させた一つの大きな原因になっていると思う。伊丹さんは御自分で非常に重い責任を感じておられると思うのですが、この国鉄に対する責任は、第一球場へ国鉄の進出を許せばそれであなたは国鉄に対する責任をおとりになれたかもしれません。しかし一方、明治神宮外苑造成の趣旨というものに対して同じようにあなたたちを一番優先してやるのだという学生協会への責任、こっちのほうの責任伊丹さんは一向お感じにならないのですか。   〔「計画的に話をしている」と呼ぶ者あり〕
  199. 伊丹安廣

    伊丹参考人 私は別に計画的にお話をしているのではないのですが、ちょっと頭が混乱して……。
  200. 砂田重民

    ○砂田委員 伊丹さん答えてください。
  201. 伊達巽

    伊達参考人 伊丹君非常に疲れたようでございますから、私かわらしていただいてよろしゅうございましょうか。——お説のとおりに、明治神宮外苑といたしましては責任を感じておるのでございます。
  202. 大石武一

    大石委員長 お話は簡潔に願います。
  203. 伊達巽

    伊達参考人 しかし、この責任を果たしまするためには、学生野球のほうの許せる範囲においてプロ野球のほうを消化していただけば、学生野球のほうの面目もあまり損しないで、これは外苑全体としてはこの処理が円滑にいくというふうに期待をいたしております。
  204. 砂田重民

    ○砂田委員 どうも伊達さんの話は、お話は長いのですが、御答弁の核心が私にはつかみにくいので困るのです。要するに、国鉄球団に使わせるべく計画をされた第二球場の計画が、途中で変えなくてはならなくなってしまった。国鉄球団には使わすことのできない、そういう非常に少ない収容能力しかない球場になってしまった。初めの産経と相談されたことと事志と違ってこられたわけです。したがって、それについての伊丹さんなり伊達さんなりの国鉄、産経への責任というものは、第一球場へ国鉄を導入してくれば、それは責任はお果たしになれるかもしれない。私は、やはり神宮側としての責任というものは、プロ野球だけへの責任ではない。あの神宮外苑というものを造成された趣旨というものに対する責任は、私は一番重要な責任をお持ちであるはずだと思う。しかも、その趣旨の中には、私が一番初めにお伺いをいたしました当時の明治神宮球場の開場式のときの阪谷さんの学生野球に優先させるのだというごあいさつ、その趣旨は今日なお生きている。その優先しなければならない学生野球、口ではもう何度も学生野球を優先させるのだとおっしゃるのですが、その学生協会に対しての責任外苑造成の当初の趣旨、こういうものに対する責任を一向お考えになっていないように私には受け取れてならないのです。さらに、この第二球場を国鉄フランチャイズとして改築されるという神宮の計画は、神宮のプロ進出の問題と同時に、スケジュールの点で、六大学リーグと東都リーグと高校連盟と、この三つのリーグ、連盟、協会の間にさえみぞをつくられ、とうとう衆議院の文教委員会に、このときに問題が持ち込まれたと思うのです。そのときの文教委員会は、懇談会の名前で、床次先生の名前で勧告を出されたはずなんです。その勧告の中には、「歴史的に由緒ある明治神宮外苑施設が、収益を主目的とする私企業にみだりに利用されることは、国民感情としても許し得ないところであります。」ということを三十八年七月六日付で勧告をしておられるのです。この勧告をすら神宮側は無視されたのです。全くじゅうりんされたのですよ。あなた方の第二球場の改築計画というものは、計画が間違っていたためにプロ野球球場として使えない。そういうことで今度は学生野球のほうにその事情を訴えられて、第一球場を国鉄に使用さしてくれということで学生協会に協力を求められたのは三十八年十一月の九日です。三十八年七月六日には、文教委員会懇談会は、「私企業にみだりに利用されることは、国民感情としても許し得ない」そういう勧告をしている。その四カ月あとの十一月の二十九日に文書をもって神宮側は第一球場を国鉄に使わしてくれということを学生野球協会に協力を求めておられる。七月六日の文教委員会の勧告を承知しておられながら、十一月の二十九日には学生協会にこの申し入れをなさった伊丹さんは、あなた自身の御計画——あなた自身の御計画と言えば行き過ぎかもしれませんが、神宮側の御計画の失敗を取りつくろうために、第二球場建設の資金源と国鉄というプロ球団側に対してのみ責任をりっぱにおとりになられた。責任も義理も果たされたわけです。しかしながら、学生野球側の要望も、外苑設立趣旨も、世論を背景にした文教委員会の意向も、全くじゅうりんされているじゅありませんか。そうお思いになりませんか。
  205. 伊丹安廣

    伊丹参考人 私のいま申し上げた計画がくずれたのは、私のほうがくずしたのじゃなくて、建築の許可が出なくて、世間が非常にやかましくて、各方面からの取りやめたほうがいいという強い要望のために計画をやめたのであって、私は自分の計画がそこで間違っていたとは少しも考えていません。第一球場と第二球場立場は違うと思うのです。
  206. 砂田重民

    ○砂田委員 建築の許可がおりなかったというのは、計画された方々責任じゃないですか。建築の許可は、どういう構造であってどういう建築物であれば許可になるか、許可にならないか、どういう場合は許可する、どういう場合は許可されないということは、ちゃんと建設省でも消防庁でも明白なはずですから、それをお調べになった上の計画であってしかるべきじゃないですか。
  207. 大石武一

    大石委員長 これは伊丹参考人御当人が答えてください。
  208. 伊丹安廣

    伊丹参考人 建築許可のことは、公園法とかいろいろな法律がありましてあれするので、非常にむずかしい。外苑のほうにはそういうものをつくっちゃいかないというようなことは言われませんでしたが、東京都庁の公園緑地課とか整備局の建築課というほうからのお許しが出なかった。またいろいろ審議会とかむずかしい手続がありまして、それが延び延びになりまして期間も非常におくれてしまった。そして結局あそこで思いとどまらざるを得なくなったので、非常に残念だと私は思っております。
  209. 砂田重民

    ○砂田委員 それはたいへん残念だと思われたと思うのですが、しかし、私が伺っているのは、建築許可がおりなかった、あるいは東京都の公園緑地課が許可してくれなかった。大体ものを建てるときにそういうところを前もってお調べになって計画をされるべき筋合いのものじゃないですか。そういう前もっての調査とか、どういう官庁への許可願いなりそういうものが必要かということを御存じなしに、お調べになることなしに御計画になったとすれば、やはりこれを計画された神宮側のほうに責任がないとは言えない、こう私は考える。しかもその責任は、第二球場にかわって第一球場への国鉄の導入ということをもって国鉄への責任をあなたはお果たしになった。それを私は申し上げている。ですから、国鉄側への責任は、第一球場へ導入されることによって確かにお済みになったと思う。ところが、一方、神宮責任というものは国鉄との間にだけあるべき筋合いのものではない。神宮がやはり一番大きな責任をお感じにならなければならないのは、外苑造成の当初の趣旨学生野球優先、これに対する責任を看過されて考えられずに、国鉄との間の責任だけを第一球場へ国鉄を導入するということで済まそうというお考えは、どうしてもわれわれは納得ができない。それをどうお考えになるかということを、伊達さんじゃないのです、伺丹さんに私は伺いたい。
  210. 伊丹安廣

    伊丹参考人 第二球場学生専用球場とすることによって、私は学生にも幾らかの責任は軽くなったような気がします。とにかく一年に約二百八十日第二球場学生専用に使えるということ、これも私学生野球に対しては非常に大きな貢献をできるグラウンドが新しくできたと思っております。その兄貴である東京大学野球連盟はいろいろ理事会を開いたり、それから専門委員会方々が、第一球場にプロが入っても学生野球の優先の線がくずれないのであったら、許される範囲において入ってもいいということを御了解になったものだったら、私は国鉄のあそこでの使用は、これはやむを得ないと思うのです。
  211. 砂田重民

    ○砂田委員 いつもいつも最後の場合、やむを得ないということばが出てまいるのですが、私はやむを得るかやむを得ないかということを伺っているのじゃなくて、あなたの責任をとっていかなければならない立場伊丹さんの立場というものは、国鉄に対してもそういう計画があって、そういう計画が失敗したのだから、当然その責任はやはり伊丹さん何かお考えにならなければいかぬ。しかし、それよりも前に、伊丹さん、伊達さんがお感じにならなければならない責任というものは、外苑造成の趣旨ということです。私はこれを伊丹さんにどうお考えになるかということを伺っているのです。伊達さんは伊丹さんがお疲れだと言うけれども伊丹さんはりっぱなスポーツマンですからそう簡単にお疲れにはならないと思う。
  212. 伊丹安廣

    伊丹参考人 また経済的な問題が出てくるのでありますが、あそこの外苑責任者といたしましても、経済的な裏づけというものが非常にほしいと思うのです。それをしなければ、結局あれが荒廃した場合には、これは学生野球にも非常に不愉快な、悪い荒れたグラウンドでするということは、これは学生野球としても私は本旨ではないと思います。その点日程に学生野球の優先がくずれない限りにおいて、私はプロにやらせてもいいと思います。私はこの信念は変わりません。
  213. 砂田重民

    ○砂田委員 いま第一球場財政的な裏づけがなければ学生野球もやっていけないというお話がございました。私もそうであろうと思います。ただ、その経済的な裏づけというものは、やはりあそこにナイター設備をしてしまったので、そのナイター設備を維持するための費用というものも必要だ。学生野球が反対されたのに、あそこで学生野球の反対しておられる中でナイター設備を強行されたのも、やはり神宮側じゃありませんか。御自分でまいた種ですよ。私はそう判断します。おそらく世論もそういう判断をするだろうと思う。御自分で種をまかれた。学生野球側の反対を押し切ってナイター設備をなさって、そのナイター設備をやはり維持していかなければならない、そのための財政的な裏づけがなければ学生野球も成り立たないのだ、こう言う。私は先ほどの話とずいぶん話が変わってきてしまっているような気がするのです。私はそうとしか受け取れません。これはもう質問ではありません、私はそういうふうに判定をいたします。  そこで伊丹さん、その次に伺いたいと思いますが、二月の二十三日に、伊丹さんはスポーツ委員懇談会会長川崎議員とお会いになったと思うのですが、その御懇談の内容は川崎議員からどういうお話伊丹さんにございましたか。
  214. 伊丹安廣

    伊丹参考人 これは二月の二十二日に川崎議員さんの秘書の方からお電話をいただきまして、二十三日に会いたいというお話でありました。私、これは何かと思って伺って、十一時過ぎでしたかお会いしましてお話しし合ったのでありますが、そのときに川崎さんは私に、きょうはスポーツ議員連盟の会長として自分はお話しをするのだと言われました。一つは、春、秋の試合の夜間、プロが使う試合をここから除いてほしい。次は、年々プロ野球は第一球場から減少するようにしてほしい。三番目は本年度の減額、神宮側の損害、それに対する収入のあれについては国とも相談——これは文部省ということをちょっとおっしゃったかと思います。それから他の団体からそれを補償するというようにしよう。そういう三つのことを仰せられました。それで、そのとき私もう一ぺん川崎さんにお尋ねしたのです。きょうの川崎さんの御資格は、衆議院の委員というのではなくてスポーツ議員連盟の会長としてお話があったのですねということを私は念を押してお話ししたつもりであります。そしてそのときのお話は、これは私個人として考えましても非常にむずかしいことでありますということを申し上げている。ほかにもいろいろお話はし合いましたが、とにかくこれについてはたいへんむずかしいことであるということについてお話しして帰りました。これはお話しになっておるのを普通に私が書いたのであって、これが明らかであるかどうかは川崎さんに確かめていただいて……。たしかこの三つだったと思います。
  215. 砂田重民

    ○砂田委員 三つの話が川崎議員からあったそうですが、神宮財政的なたいへんないまの御苦心に対しまして何らかのお手伝いをしようという話もその三つの中にあったはずですが、その川崎議員の申し出に対して伊丹さんはこれをどういうふうにお受け取りになりましたか。
  216. 伊丹安廣

    伊丹参考人 第三番目のことになりますが、明治神宮宗教法人として国家から補助をいただくということはできないのであります。また、クッションをしてほかの形でいただくということは、これは外苑として受けられない。それはいろいろひもつきにもなりますし、外苑としてはそういうのは趣旨ではございませんから受けられませんということを私は考えております。
  217. 砂田重民

    ○砂田委員 この前の委員会のときに、スポーツ振興財団からそういう場合にはお手伝いができるというふうな文部省の見解があったのですが、それは伊丹さん、あの委員会にお出になったのでお聞きになっておるはずです。その点を川崎議員に確かめられませんでしたか。
  218. 伊丹安廣

    伊丹参考人 私はその点に対しては全然お尋ねもしませんし、確かめもいたしておりません。
  219. 砂田重民

    ○砂田委員 確かめてみられる気もなかったわけですね。
  220. 伊丹安廣

    伊丹参考人 はい、気もございませんでした。
  221. 砂田重民

    ○砂田委員 専門委員会をお開きになったのは川崎議員と会われたその日の晩だと思いますが、川崎議員のあなたに対する三つの提案、特に神宮が置かれておる財政的な苦しさについては何らかのお手伝いをしようということを専門委員会皆さんお話しになりましたか。
  222. 伊丹安廣

    伊丹参考人 これは順を追って申し上げますが、二月二十三日に帰りまして、六時に皆さんとお会いしたのでありますが、そのとき島田先生が先にいらっしゃったので、川崎さんからのさっきの三つの要望をお話しいたしました。それから委員会は六時から始まりまして、そのときにまず一番初めに、さきに未決定でありました六大学と東都との——ワクはきまっておったのでありますが、週間の取り分、たとえば土、日、月、火はどこまでやるという週間の取りきめが東都と六大学との間に十分できておらなかった。これをまず第一にきめました。そしてこれを決定したのであります。その次に、スポーツ議員連盟の三つの要望、川崎さんがお話しくださいました三つの要望を皆さんにお伝えしました。それから三番目には、その前の二月三日にきまっております国鉄球団の使用を再確認いたしました。この三つが当日の姿でございます。
  223. 砂田重民

    ○砂田委員 実は、その専門委員会で国鉄の七十試合を全部受け入れるという決定がなされたあとで、伊丹さんから、川崎さんからこんな話があったということが座談的に出たといって、それならば初めから話をしてくれればいいのにと言ってたいへん憤慨しておられる委員があったということを伺ったのですが、これはまた聞きでございますから、重ねて追及いたしません。あなたが川崎さんの御提案を説明されたあとで、専門委員会島田委員長の御発表のとおりに、なごやかな空気のうちに満場一致で国鉄七十試合全部を受け入れることを決定をなさったのですか。
  224. 伊丹安廣

    伊丹参考人 国鉄の決定を見ておるのは二十三日でなくて、すでに二月の三日に国鉄の使用のワクを全部決定しております。(「それは全然違う」と呼ぶ者あり)中間報告です。ですから、これは初めから申し上げます。一月の二十二日、これは第一回の専門委員会です。そのときには−…(「いや、それは全然違う」と呼ぶ者あり)これを聞いていただかないとわからないから聞いていただきたいのです。三回専門委員会をやっておるのです。一月の二十二日に、六大学連盟、東都大学及び国鉄球団の使用全部のスケジュールにつきまして専門委員会決定して、日程の大ワクはほぼ見通しがついたのであります。二月の三日、六大学と東都とのワクが決定した。これは週間の日取りの取り方は未決定に終わっております。それから国鉄球団の使用のワクは、この二月三日に、夜間はシングルのゲームであるという理由のもとに、これは全部きまりました。そのときに私は中間報告として、ワクは決定したんだということで新聞社の方に中間報告いたしました。それから二月二十三日に、さきに未決定でありました六大学と東都との週間使用の日程を決定いたしました。それからスポーツ議員連盟からの三つの要請が出された。それから国鉄球団の使用を再確認する、これも発表したのです。そして、その前までは私と二、三の事務局の者だけで新聞記者に発表しておったのでありますが、非常に誤解を招く。言った、言わぬという問題が起こったのでは非常にまずいというので、二月二十三日に全員残りまして、新聞社の方に来ていただき、向こうから質問していただいて、こちらも発表した。いろいろ質疑応答があったのであります。これは全員専門委員が残りまして、そこで話をして発表したわけであります。
  225. 砂田重民

    ○砂田委員 二月の三日に、もう先にきめてあったのだと言われるが、片桐さんに伺いますが、前回委員会で、専門委員としてまだ聞いてないというふうにあなたはお答えになったのですが、そうじゃありませんか。
  226. 片桐勝司

    片桐参考人 第二回、二月の三日開いたときには春の分で、六大学のほうには八週のうち五週入る。これは六大学の理事会を開いてはかって、それでもって承認したものですから、そのことを言いました。したがって、日程消化が困難になるから、いままでは水曜日だったのを木曜日まで使わしてくれということを言いました、第二回目には日程表が全部は出ておりません。日程表は例年ずっと長く色分けしまして出てくるのですが、出ておりません。ですから、私は三日の日には決定していないと解釈しています。
  227. 砂田重民

    ○砂田委員 伊丹さんは三日にきめたと言われるけれども片桐さんはさまっていないとおっしゃる。お二人とも専門委員で、一つの委員会に出ておられていろいろお話しになったと思うのですが、どちらの方が言われることがほんとうなんですか。伊丹さんから先に……。
  228. 伊丹安廣

    伊丹参考人 片桐さんは東都大学連盟のあれであって、東都大学は春、秋というようにお考えになっておるのでそういうふうにお考えになったのだと私は思います。しかし、私は全試合これは全部ワクはきめられたものと解釈しております。
  229. 砂田重民

    ○砂田委員 片桐さんは御存じないんだったら、伊丹さんは一方的に、決定されたというふうにかってに解釈されたわけですね。現に同じ席におられた片桐さんは御存じない。二月の三日には決定していないとおっしゃる。表になったスケジュールにも載っていないとおっしゃるのですが……。
  230. 伊丹安廣

    伊丹参考人 そういう不徹底なところがあったので、私は全員の公開の席で新聞記者に発表をするということに……。そうしないと、言った言わぬということがあるので、私はそれを非常に懸念したために、したわけであります。それで再確認ということばを使って、第三回目には国鉄球団の再確認をしたと申し上げたのであります。
  231. 砂田重民

    ○砂田委員 再確認ということばを使われようが、どういうことばを使われようが、きまったと言われる伊丹さんと、きまってなかったと言う片桐さんと——確認も確認しないも、そんなことは問題にならない。もう御答弁はいいですよ。伊丹さんも片桐さんも同じ専門委員会で、別に専門委員会をあっちの部屋とこっちの部屋と二つの部屋でやっておったわけでないでしょう。一つの部屋でやられた専門委員会のことでしょう。また、場所が遠くて聞こえなかったということもなかったと思います。専門委員の人数も私は承知をいたしております。そういうことで、ある専門員の方はきまってなかったと言い、伊丹さんは確かにきめたんだと言われる。そういうふうに伊丹さんが解釈をなさっているとすれば、伊丹さんの使われることばで言うならば、再確認をなさった二月二十三日の夕方の専門委員会は、新聞によると、これは各紙みな同じように書いておりますが、ここに私が持っておりますのは朝日新聞ですが、島田会長のおっしゃった「アマ、プロ互いに譲り合うという精神からなごやかな空気」——アマ、プロ譲り合うといってもプロは専門委員会に入っていないでしょう。専門委員会にはアマしかいないはずです。アマしかいない専門委員会でアマ、プロ譲り合うというのはおかしい。お互いじゃなく、譲りっぱなしです。しかも二月三日にきめたんだ、それを再確認したんだ、そう伊丹さんがおっしゃるが、二月三日に同じ席におられる片桐さんに伺ってみれば、きまってなかったと言う。そうすれば二十三日の専門委員会決定は、ほんとうに正しく運営されて決定されたかどうか疑わしく思います。ですから少なくとも満場一致とか和気あいあいのもとにとか、そんな空気で運営された専門委員会でなかったと私は想像さしていただきます。
  232. 田邉國男

    ○田邉委員 ちょっと関連。  ただいま伊丹さんのお話を伺いますと、二月の三日にスケジュール決定しておられるということをいまおっしゃった。ところが二月十九日の本委員会におきまする伊丹さんの答弁では、まだ決定をいたしておりません、これから近く専門委員会を開いて、そして皆さん意見を十分伺って、その上できめてまいりたいと思います、こういう答弁がございました。これは砂田委員の質問にお答えしております。私が関連質問いたしまして、それでは伺うけれども、今度のスケジュールの編成については六大学のスケジュールを圧迫しないような考え方でこれをやっていただきたい、こういうお話をいたしましたところが、伊丹さんは、皆さん趣旨を十分尊重して専門委員会にはかります、こういう答弁がございました。ところが、いまお話を伺っておりますと、二月三日にすでに決定している。しかし二月十九日のこの委員会に参りまして答弁したときのお答えは、この委員会で非常にいろいろと追及されてくるので、このほこをかわすと申しますか、何か答弁の趣旨が実際と合っておらない。しかも、伊丹さんは委員会で、責任を持って私がそれをやりますと、こう言っているわけでございます。その点が非常に私には不可解なお答えに思いますが、一体どちらの日にほんとう決定をなさっておったのか。二月三日にもう決定をして動かざるものとしてこれが載っているのか。それとも二十三日でございますか。専門委員会のときにいろいろの意見を申し上げて、そうして相談をした結果きまった、どちらがほんとうなのかをちょっと伺いたい。
  233. 伊丹安廣

    伊丹参考人 二月三日には、先刻も申し上げましたように、六大学と東都についての週間使用日がまだ未決定でございました。それで、私は責任を持って、こういたしますと申し上げたことはないと思います。私はそんな詭弁を使わないつもりであります。責任を持ってなんということばは、これは専門委員会を無視するものであって、私は一専門委員であって、それは申し上げられないことであります。
  234. 田邉國男

    ○田邉委員 私の問いに対してこういうお話をしております。伊丹さんは、「いまの問題は、専門委員会できまることでありますが、いまおっしゃったように、私のほうもそういうように御趣旨をよく体して進んでいきたいと思います。あくまで学生優先という線はくずさないつもりです。」そういう答弁です。
  235. 伊丹安廣

    伊丹参考人 私はそれをはっきり申し上げたつもりです。学生野球優先をくずさないように、皆さん方の御趣旨もそのときによく相談するということを申し上げたのであって、そこで優先をするとか、責任を持ってどうするということは、私は申し上げておりません。
  236. 砂田重民

    ○砂田委員 もう時間がありませんから、私もひとつあとを急いでやりますが、専門委員片桐さんに伺いたいと思います。  それは、専門委員皆さん神宮の言われるところの、神宮財政的な事情のみを根拠としたプロの第一球場進出、国鉄のフランチャイズ化、しかもそれが、国鉄が第一球場でやるということが、皆さん御自身好ましくないことと考えておられる。学生の学業放棄にも大きな関連をしてくるということも御承知の上で、さらに前回委員会で、神宮財政的な苦しみについては、スポーツ振興財団の援助も考えられるのだという文部省の見解も、またこれも御承知の上で、さらにその上に、川崎議員の提案もあったこともお聞きになって、それだけのことを御承知の上で、二十三日に神宮の提案の七十試合を簡単に受け入れてしまわれたのか、あなた方のほうは。この点について、私は非常にふしぎに思えてならないのは、専門委員方々ほとんどが学生時代の一流の学生スポーツマンの方々ばかり。これは皆さん方は相当な根性を学年時代の選手生活において十分体得をしておられたわけです。目に見えるような、はでな試合だけでなくて、むしろ人目につかない苦しい練習のほうが思い出としては多い。そういう苦しい練習に耐え抜いて、相当の根性を持って今日まできておられる方々だと私は専門委員方々を考えております。ニチボー貝塚の練習が希少価値的な存在であるこのごろとは違いまして、専門委員をやっておられる皆さん方の選手生活時代というものは、だれでもあのくらいの練習というものはやってきた。ニチボー貝塚の練習が、マスコミが伝えるように、別に驚異的だとか偉いとか、そんなふうな受け取り方はなさらない。むしろ、おれたちが学生時分にやったようなことをやっているなというなつかしい親近感で、ニチボー貝塚の練習を見ておられる。そういった根性を持っておられる皆さん方が、先ほど申し上げたように、そういう事情を全部御承知の上で、きわめて簡単に、島田委員長のおことばによりますと、きわめて簡単に、なごやかな空気のうちに、国鉄七十試合を皆さん方全員が満場一致でおきめになった。そのことはどういうことなのか私は理解できない。その点を片桐さんから答弁をいただきたいと思います。
  237. 片桐勝司

    片桐参考人 私は六大学代表で専門委員になっております。それでちょっといまそのことをお答えする前に、神宮側の答弁のうち違っておることを二、三指摘しないと、六大学側のどういう考えになったかということがおわかりにならないと思いますので、ちょっと御説明したいと思います。よろしゅうございますか。——先ほど九千万円の支払いのうち、七千万円を六大学に寄付を求めたということの神宮側の答弁のときに、相談してやったと言いますが、これは神宮が大蔵省に申請した事後であります。そのときに、寄付する人間の意向を無視して払い下げの申請をするものがあるかというような、六大学のうちから一部そういう意見がありましたけれども、何しろ自分のグラウンドと考えている神宮球場のことですから、事後でもこれを承諾します。  それからもう一つ、東芝照明問題のときに、伊丹さんのお答えの中に——これは六大学は理事会は各校五人であります。マネージャー、キャプテンが入っております。そこで、これは専門委員会運営委員会が全部賛成したことを、七千万円を寄付する六大学の意向を聞かなければならないだろうということで突如上程されたのでありますが、これに対しては反対でありました。そのときの意見は、これが考え方として重要だと思って申し上げるのですが、プロに貸すのではないか、学生野球にはナイターの設備が要らないということ、それから神宮球場には、いな神宮には広告はないと思っておりました。そのときに東芝が一億でもって寄付するのだから広告は当然であるということで、これもそれが六大学にげたを預けられるということは、神宮外苑はわれわれは国民のものだと思っておる。したがって六大学の理事会がオーケーすれば東芝の広告がなるということは、六大学はそれほど越権的な行為は考えておりませんので、広告をするということで反対です。  それからまた、東芝が八十周年記念ということでありましたけれども、そのときの反対意見は、ちょうど日立が五十周年記念だそうであります、それで六大学は、一社に独占するというようなことはいけないというのです。新聞社の場合でも何でも大体そういうことをしていないのであります。それがさつき神宮側の答弁で私がちょっと気づいたことであります。  それから三十八年に、神宮と産経側の国鉄専用球場をつくるという契約が五月十一日か十二日かに発表になったんですが、それに対してどういう態度をとるべきかということも六大学では実は問題になったのであります。われわれは第一球場だけ優先のお墨付けをもらって、われ関せずえんで第一球場にとどまっておればいいんじゃないかという意見もありました。しかしながら神宮に対して文句を言えるのは、おそらく九千万円のうち七千万円引き受けて、実際には二千九百万円しか払わなかったのですが、われわれしかないのじゃないか。しかし六大学でものをいうよりも、これは神宮外苑のいきさつからいって、広告もこれは建設に協力しておるということでもって学生野球協会がその反対の急先鋒に立ったのであります。協会は当時は一銭も金がなくて、おそらく協会はその寄付はしていなかったと思いますが、六大学は全部引き受けたと思います。  そうしているうちに、きょうの神宮側の答弁で訂正されたんですが、われわれは文教委のところに要請に行ってもなかなか運営委員になれなかったのですが、そうわからずも言わずにということで学生側の委員が四名、公益代表といいますか、東京都の副知事、前田局長が運営委員になったんです。それでその八月の第一回の運営委員会に十三対四で、これは建設、例の十億の計画で国鉄専用球場をつくるということが運営委員会で可決され、すぐ東京都のほうに申請が出されたのであります。体育局長と副知事は棄権されました。それで、われわれはだんだん消防庁あるいは建設局に反対運動をしたわけです。いろいろ陳情してやった結果、東京都の建築局の公聴会も開かれました。ところが反対する意見の方よりも、しゃべる人のほうに賛成する意見も非常に多かったのであります。それで結局、一万七千人と覚えておりますが、一万七千人の国鉄専用球場ならばできる。結局われわれの反対運動は負けたんだというような事態に立ち至ったのであります。そのときに神宮のほうから、さっき砂田先生が言われたように、第二球場のプロ専用球場学生専用にする。そのかわり、国鉄が第一球場でやることを認めてくれないか、こういう話がありました。これは協会から六大学に要請されたのですが、六大学の理事会としましては、全部が協会の役員になっておるわけではありませんし、一体どうすべきか。われわれはそんなことにかかわりなく、あのお黒付きでもって第一球場でやっておれば、プロとのあれもなくてできるんじゃないかという意見もありました。しかしながら、第二球場に国鉄専用球場ができた場合、これは六大学が、さっき申しましたように、一社と独占的な契約を結ぶということは、六大学自体もしないし、神宮外苑国民全体のものだと思っておるだけに、国鉄側と神宮が独占契約というものを結ぶことは、国民感情として許せないということで反対したわけであります。それがいよいよ小さいながらもでき上がるといったときに、これを学生専用にしてくれる。そのかわり国鉄が第一球場でやることを認めてくれないかという申し出があったわけです。それで第二球場学生専用になるということになれば、非常に東京の大学、高校は潤うわけです。そこで、六大学としてはそんなお墨付きということよりも、やはりあのグラウンド自体が、われわれが優先使用ができるということだけで、独占ではないんだ。したがって、少しくらいのがまんをすることでもって、国鉄専用球場がとりやめになるならば、これはもう国民的見地から考えても、けっこうなことじゃないかということで、六大学は神宮の申し出に賛成したのでございます。これは第二次要請書にも書いてありますように、もう夜間照明しちゃって、学生には要らない夜間照明をしてあるんだから、ということなのであります。それが国鉄をシーズン中にやることを認めた一番大きな原因なんです。したがいまして、われわれに全然相談なしにやった東映は、絶対にわれわれのシーズン中にはやることを認めません。シーズン外に神宮がどこに貸そうが、これは六大学の知ったことではないというのが、六大学の態度であります。  それから、さっきちょっと申し忘れましたが、われわれが反対するときに、神宮が三億ぐらいのことでナイター設備をしたのです。その後スケート場をやはり三億ぐらいかけてつくったのであります。われわれが反対する一つの言い分としては、神宮は今後十年間に五億の外苑整備費が要る。したがって、年々五千万円の利益があがらなくちゃいけないということを言って、国鉄と契約をしたわけであります、ところが、七億のオリンピック道路の補償費が入っているわけなんです。七億の金が入ったために、ナイター照明もしたのですが、七億あれば利付債券を買っても、七分三厘に回るんじゃないか。そうすれば五千万円は浮くということを盛んに言って主張したのですが、すでに国鉄と契約したあとなんです。ですから、まあ結論は神宮が既成事実をつくって、それを認めざるを得なかったという節はあると思うのですが、ただわれわれが自分たちの利益だけを主張して、第一球場に安住するということは、はたして国民全体から見て許されることかどうかということを考えまして、ナイター一試合ならば認めようということになったのであります。  実は、昨年そのときの国鉄の第一球場進出に対して、なくなった球場長の源川さんから、私が専門委員でありますから、こういう相談を受けたのです。当時セントラル・リーグは土曜日一試合、日曜日二試合です。それを使わしてくれないかという話が私のところにあったのであります。しかしながら学生優先の線をわれわれは守るんだ、日曜日二試合ということになりますと、われわれは八時ごろからやらなくちゃならない。そんなことは全然六大学の理事会には上程できないということで、昨年の春、これは三週だったと思いますが、一試合ナイターに限り、これは認めたのであります。それで本年度は八週の申し込みのうち、五週それがある。これはシングル・ゲームでありますから、まあ圧迫されることは圧迫されるのですが、要するに何といいますか、六大学とすれば、いままでも二つ試合をするときには、第一ゲームは九回でもってさらに延長しないで、そこで引き分けをやったのであります。そうすると、それを認めるとなると、第二試合の延長もおそらくできないと思うのです。九回でもって打ち切る。九回までは絶対にやるけれども、要するに延長戦をいままでプロさえ来なければできたものができなくなる。第二試合に限って、そこで打ち切るというだけの犠牲でもって第二球場のプロ専用だいう問題、これはおそらく全国でそういうものはないと思うのですが、そういう問題をたたきつぶしたという犠牲は、六大学でもって背負わなくちゃならないだろうということできめたその瞬間に、もうある人は弱腰と言われるかもしれないが、われわれは六大学の犠牲において、あの天下をわかした問題を解決したんだ、ある程度はやむを得ないんだというふうに考えております。  それで今回の場合には、そういう申し入れがありまして、六大学の理事会は、五週シングルならば認めよう。ただし、日程表が苦しくなりますから、いままで六大学の理事会の決議としましては、土曜日の前の二日は試合をしない。これはもう土曜日に一番いいコンディションに持っていくんだから、そういう決議をしておるのですが、たくさん入ってきたために、土曜日の前の一日だけ試合をしないということに訂正したのであります。それが木曜日まで使わしてくれという専門委員会に対する六大学側の要望となったわけであります。  そういうことでもって、だんだん考えてきたのですが、いま砂田先生のおっしゃったのは、ちょっと前のことを言ったので少しあいまいになりましたが、そういう意味で私は六大学の代表として専門委員会に出てまいりまして、そうして五週は認められた。これは私の権限なんであります。六大学は常にシーズン中のことは問題にしますが、シーズン外のことは一応問題外なんです。ですからそれを問題にするなら、東映のときに反対ののろしを上げなくてはいけないのですが、一応独占とは考えておりませんし、使用時のシーズン中の優先ということを考えておるので、したがって何といいますか、試合数は比較的問題にならなかったのであります。  また砂田先生の御質問があればお答えいたします。
  238. 砂田重民

    ○砂田委員 いろいろお話をだんだん承ってまいりましたが、片桐さんから承ったおことばの中にも、自分らが反対しようと思ったら、すでに契約ができていた、契約のできたものを押しつけられたので、それもやむを得ないということばは、そういう意味にあるというふうに私は承りました。また先ほどから伊丹さんからいろいろお話を承りました。大体それを要約いたしますと、今日の明治神宮外苑財政上の困難というものは、明治神宮自身の手で求めて財政困難を来たしておられる、そう判定せざるを得ない。第二球場建設の計画の失敗、六大学側の反対にもかかわらず強行された照明設備、こういうものを維持するために今日皆さん方は財政的に苦しい目にあっておられる、そう判定せざるを得ない。私はきょうのお話を承ってそういう感じを持ちました。これはもうあげて神宮側責任があるのじゃないか。一番神宮責任対象としなければならない外苑の造成の趣旨ということをまず忘れておられる。どうしてもこれはもう一ぺん伊丹さんに考え直してもらわなければならないという感じがいたします。  そこで最後に、私は伊丹さんに提案をしたいことがある。これは実は先輩や同僚の委員に了解を得ておることではございません。私の個人的な提案であります。国鉄が神宮で七十試合全部を消化するといわれますが、ロードゲームもあることですから、七十試合全部は国鉄はやらないのじゃないかという気がする。それをシーズン中からまずはずすこと。それから、国鉄の対巨人戦、対大洋戦、対阪神戦、これは相当な入場人員が考えられていいのじゃないか。ですからこれは第一球場をシーズン外に使わせるといたしましても、対広島戦、対中日戦、これは一万人の人は入っていないはずです。せいぜい五千人から七千人くらいまでの間しか人は入っていない。そうであるならば、何も無理に第一球場を使う必要はない。第二球場でもずいぶんこれは使用ができる。ただしこれも学生野球のシーズン外。そういうことを一度考え直してみられて、これを伊丹さんがひとつ責任を持って国鉄と強く交渉されたらいかがかと思うのです。先ほどから申し上げたように、われわれはやはり何といってもプロ野球神宮球場には出てきていただきたくない。明治神宮球場は第一も第二も学生野球だけでやってもらいたい。もちろんこれを前提にいたしております。しかし当面の現実の問題として、学生野球に支障のないようにということばがたびたび出てまいっております。いまのスケジュールでは学生野球に多分の支障があると私は思うのです。もしも第二球場も一部学生野球のシーズン外にプロ野球に使わせることができるのであるならば、学生野球の支障等もいまよりは薄らいでくるのではないか。こういうことをもう一ぺん伊丹さんが罪滅ぼしの意味で、その程度のことはあなたが全力を尽くして国鉄にかけ合ってごらんになったらいかがか。先ほどから申し上げましたように、私たちは来年はプロ球団には神宮は一回も使わせない、それで済むように皆さん方と御一緒に財政的な画も一緒に努力してまいりたい、こういうことを前提にした上の私の提案でございますが、これくらいなことは伊丹さん、ひとつこん身の勇をふるって国鉄側と再交渉をなさるくらいの——もしも伊丹さんにそういう努力がないとするならば飛田先生のお墓参りにもあなたは行けないでしょう。そういう気持ちがするのですが、この提案に対してあなたはどういうふうにお考えになるか。
  239. 伊丹安廣

    伊丹参考人 いま伺いますと、国鉄の七十試合のシーズン中のを外に持っていけ、特に巨人とか阪神、大洋というお話でありますが、これは私責任を持ってここで——そのことは私はよく考えておきますが、私が責任を持ってあるいは罪滅ぼしのためにそういうことをしろと言われても、私にはその力がございません。責任を持ってお返事を申し上げることは、私はできません。これはただ承っておきます。
  240. 砂田重民

    ○砂田委員 これで終わりますが、伊丹さん力がないと言われますけれども運営委員会あるいは専門委員会伊丹さんのペースでまかり通っておられる、実力者の伊丹さん、片桐さんの御答弁の中からもありありとそういう委員会運営のあり方が私たちには感じられる。民主的な運営をしておられるというふうに私はきょうは承りませんでした。伊丹さんペースで運営委員会専門委員会もまかり通っておられる。それだけの力のある伊丹さんでございますから、まあひとつ再考慮をお願いをいたしまして、私の質問をこれで終わらせていただきます。
  241. 大石武一

    大石委員長 委員長からちょっと御注意申し上げますが、時間もだいぶ過ぎておりますので、御質問あるいは御答弁はできるだけ簡潔にお願いいたします。  只松君。
  242. 只松祐治

    ○只松委員 きょうは皆さんから繰り返しお話がありましたように、主として神宮外苑財政事情によってこういう問題が生起いたしました。したがって本委員会でも非常に熱心に討議が行なわれておるわけでございます。したがって私はほかの委員の方と違いまして主として財政問題についてひとつお尋ねをしたい、こういうことで、実はいろいろな角度から勉強をしてきておったわけでございますが、いま委員長からもお話がありましたように時間もおそくなっております、あるいは参考人各位もたいへんお疲れのようでございますし、問題のポイントだけをお尋ねいたしまして、もしまた時間があればいずれ日を改めまして、財政問題等も少しお聞きをいたしたい。ただまあ多少お聞きいたしますので、先ほどの委員とあるいはダブる点は御了承をいただきたいと思います。  まず最初に、いろいろ問題になっておる本質は、プロ野球神宮外苑に持ってくる、このことが財政の次に問題になっておるわけです。伊達さんですか、プロ野球とは一体どういうものか、プロ野球に対してどういうお考えを持っておられるか、あるいは国民一般がこのプロ野球に対してどういう態度をとっておるか、あるいはプロ野球というのは法律上どういう立場にあるのか、そういう点についてひとつ簡潔にお答えを願いたい。
  243. 伊達巽

    伊達参考人 私は法律上のことはよくわからないのでございますが、簡単に申しまして、プロ野球もアマ野球もいずれも健全なスポーツであると考えているのでございます。明治神宮外苑におきまして学生野球の試合を優先させましてその一郎分をプロに使うということは、財政上から申しますと外苑のすべての野球場その他の施設をよくすることに、結果がなりまするし、また多くのファンたちもあの環境のいいところでこれを楽しむことのできることはたいへんけっこうということじゃないかというように考えております。
  244. 只松祐治

    ○只松委員 いまのお答えからいたしますと、プロ野球もアマ野球も本質的に変わりがない、こういうふうにお考えのようでございますが、そういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  245. 伊達巽

    伊達参考人 一応さように御了解くださってけっこうです。
  246. 只松祐治

    ○只松委員 プロ野球というのは完全な娯楽——まあ学生野球も娯楽でございますけれども、特に法律上からいえば商法上の営利会社なんですね。いわゆる商法上の営利会社というのは、これはあとで今度宗教法人、公園その他と関連してお聞きしてまいりたいと思いますが、学生の、このいわゆる学校法人というものと全然同質のものですか、異質ですか。いまお答えになりましたように別に異質的なものじゃございませんか。それをあなたと、それから、文部省から体育局長がお見えになっておりますので、お考えを伺いたいと思います。
  247. 伊達巽

    伊達参考人 多少の、ただいまお話ございましたように、商法上とかあるいは職業といったような方面で、学生野球とは同一ではございません。同一でもございませんが、外苑野球場で取り扱う上におきまして、学生野球の一部分を差しつかえない限りにおいてこれに充当いたしますことは、差しつかえないことじゃないかと思っております。
  248. 前田充明

    前田政府委員 学生野球学生のいわゆる課外活動でございまして、その学生のおります学校とプロ野球をおやりになる経営の主体はこれはもう全く違いまして、営利会社でございますので、株式会社組織になっておりますので、この点は全く違うわけでございます。やっていること自体はこれはスポーツだと言えます。しかし、スポーツでも、そういう主体が違うものは、いわゆる私どもが所管しておりますアマチュア野球とは全然関係はないわけでございます。
  249. 只松祐治

    ○只松委員 じゃ、ひとつお尋ねをいたしますが、プロレスもこれは広義の意味スポーツです。あるいは、もっと落ちるというか、広義の意味のそういうものはあるわけですが、これも営利会社として成り立っているわけです。こういうものと、さっき言っておる学生のやっておるスポーツ、こういうものは同じで、異質的なものじゃない、こういうふうにお考えですか。
  250. 伊達巽

    伊達参考人 プロということばは同一でございますけれども、その行なっておる形態は、これは外苑でプロレスリングなどやりますことは適当でないと考えております。
  251. 只松祐治

    ○只松委員 プロ野球、プロレスリング、あるいは相撲もプロですが、あるいはそのほかたくさんそういう類似のものがあります。あるいは、子供遊園地もここにありますけれども、子供遊園地の中でもまた、このごろはきわめて冒険的な娯楽的なものもあります。こういうものとプロ野球というものはあれですか、いま言われたように違うとおっしゃいますが、やはり一つ一つ違いますか。どうですか。
  252. 伊達巽

    伊達参考人 これは具体的に常識をもって考えて処理いたします考えでございまして、プロ野球以外のものをいまのところあそこへ導入しようというような考えは毛頭ございません。
  253. 只松祐治

    ○只松委員 これはあなたの考えが違っているのですよ。これは文部大臣がお見えになれば大臣に私は多少聞こうと思っていたのですが、いわゆる学生野球そのものが昼間から野球をやったり、あるいはプロへの一過程、こういうふうに学生野球というものがある意味で堕落しているわけです。いわゆる学生本来の体育を振興する、あるいは学問をするためにからだを鍛えていく、そのためじゃなくて、学問を放てきして、いわゆるプロへの道を歩むような形態になっている面もなきにしもあらず。それで、あとで、午前中から野球ができるかどうか文部大臣にお聞きしたいと思うが、学業を放棄して野球なんかやっているところに、あなたがたまたまかどうか知りませんが、いわゆるレスリングと野球は違うけれども野球ならば学生野球プロ野球も同じである、こういう非常に誤った認識が出てくる。根本的に学生野球と営利法人の商法上に基づいて行なわれておるこの野球というのは全然違うのです。このことをお認めになりませんか。
  254. 伊達巽

    伊達参考人 私は、従来の慣例その他一般的な情勢によりまして判断をいたすのでありますが、プロ野球も、これは非常に広く観賞されて喜ばれておりますから、これをいささかそこへ導入することは、決して外苑の本来のあれに抵触するものとは考えませんし、それから、そこからあがりました利益は全部そこの外苑施設の充実に充当いたしますから、学生もアマもその他のスポーツというものが非常な利益をこうむるというような実質的な点も考えています。
  255. 只松祐治

    ○只松委員 体育局長、いま神宮側からああいう答弁がありましたけれども、全くたいへん、失礼ですが、お粗末といいますか、誤った考え方だと思うのです。いわゆる学業の、学徒の体育振興のために行なっているスポーツと、商法上営利事業として行なっておるこの野球とが全く同質とお考えになりますか。
  256. 前田充明

    前田政府委員 運営上ももう全く違ったものだと思います。
  257. 只松祐治

    ○只松委員 運営上じゃありません、本質的に。
  258. 前田充明

    前田政府委員 私どもプロ野球、いわゆるプロスポーツと申しますものについては私どもの所管外でございまして、もっぱら学生とか社会人とかそういう人たちのアマチュアスポーツのみを扱っているわけでございますが、そういうものといまのプロとは、もう所管が全然していないぐらいでございますから、もちろん違うというふうに考えております。
  259. 只松祐治

    ○只松委員 所管が違うということは別な面から見れば本質的に違うということですよ。しかしぼくはそういうことばのあげ足をとって言うわけじゃないけれども、少なくとも日本の若い青少年体育を振興しようというあなたが、そんなあいまいな答弁じゃだめですよ。営利を目的として、ショーをやっている。あれはショーですよ。これはレスリングも野球もすべてショーですよ、金を取って。それと、青少年体育振興を目的としておるこのアマスポーツとが同じである、こういうことがわからぬようじゃ、これは体育局長はつとまりませんよ。
  260. 前田充明

    前田政府委員 私は、同じだというふうに申しているつもりは毛頭ございませんで、もしそういうふうにお聞き取りでしたら私の言い方が悪いと思いますが、プロスポーツアマチュアスポーツというものはもちろん違うもの、そういうふうに考えております。
  261. 只松祐治

    ○只松委員 私が繰り返し言っております本質的に違う、こういうふうにお考えですか。
  262. 押谷富三

    押谷政府委員 学生野球はあくまでも体育の向上を中心として、その目的のために行なわれているものであります。また、プロ野球は、営利を目的としているものであります。目的は本質をあらわすものでありますから、似ているが、二者は全然異なるものである、かように考えております。
  263. 只松祐治

    ○只松委員 私は、さすがに次官だと思います。そのとおりだと思います。  それでは、次にお尋ねをいたしますが、明治神宮は一体何ですか。宗教法人だと聞いておりますが、そのとおりですか。
  264. 伊達巽

    伊達参考人 そのとおりです。
  265. 只松祐治

    ○只松委員 宗教法人の中でも、一般のというか、いわゆる宗教法人にはいろいろの型がございますが、俗にいう神社仏閣と異なる特質的なものを持っているわけでありますけれども、どういう点に一般の神社仏閣と違う特徴を明治神宮は持っているか、ひとつ宮司さんのほうからお答え願いたい。
  266. 伊達巽

    伊達参考人 法律的には同一に取り扱われておるのでありますが、形態の点から申しますと規模がかなり大きいようでございます。それから、ごらんのように外苑というスポーツとそれから庭苑とを合しましてここで演ずるところの学生及び社会人の教化ということを目的として行なっておりまするところは、他の神社にも外苑を持っておるところもございますけれども、まあ私のほうが一番大きいという点がたいへん異なっておるようであります。
  267. 只松祐治

    ○只松委員 ここに明治神宮払い下げの譲与申請者がございます。この内容について御存じでしょう。
  268. 伊達巽

    伊達参考人 私はその文章を、もうずっと以前のことでございますから覚えておりませんけれども趣旨は、明治神宮外苑明治神宮の目的とする宗教活動に必要な場所であるからどうかひとつお払い下げ願いたい、こういうふうに申請していると思います。
  269. 只松祐治

    ○只松委員 宮司さんならば、特にきょう、たび重なってこういうふうに審議委員会であるわけですから、できるならこの神社の譲与申請をしたときの主要な趣旨ぐらいひとつ持ってきていただきたいし、覚えておいていただきたい。手元にあるわけでしょう。これを見たって明らかなように、一般の神社とは相当異なっておるのですね、この内容というのは。わかりますか。一般の神社と異なっておる。こういうところに、先ほどから財政の問題やら野球場使用の問題、具体的な問題を委員からお聞きになりましたけれども、こういう本質問題をあなたたちがわかっていないんですよ。さっきの野球のアマとプロとのこともお考えになっておらないし、あるいは明治神宮が一般の神社と異なりまして無償と半額有償で払い下げられた、その払い下げの経過、払い下げの内容、こういうものがわからないで、現実のあなたたちが何か普通のお宮とかお寺より少し規模が大きいとかなんとか、そういうことで明治神宮運営されたり外苑運営されるということは不見識もはなはだしいものだと思うのです。もう少しこの内容を——なんだったらお読みいただいてもけっこうでございますが、ひとつ本質問題について、明治神宮というものはどういうものであるか、本質問題をお答えいただきたい。
  270. 伊達巽

    伊達参考人 明治神宮の本質は、明治天皇並びにその皇后の昭憲皇太后を祭祀いたしまして、そうして多くの人々の参拝の用に供するのが内苑の本質でございます。外苑は、内苑が静的な祭祀の中心でありまするに対して、あの絵画館に掲げておりまするところの明治天皇並びに皇后さまの御一代の御事績をバックといたしまして、青少年並びに一般国民体育並びにレクリエーションの場として、その間に神宮としての固有の教化の活動をなす、こういうのがその本質でございます。
  271. 只松祐治

    ○只松委員 いま抽象的なお答えがございましたが、この譲与申請書の中からはどこに娯楽設備、営利設備を行なっていいという内容がございますか。この譲与申請書のどこから出てきますか。
  272. 伊達巽

    伊達参考人 それは譲与申請書にはうたっておりませんけれども、前からそういうふうに運用しておりますものですから、これを継続して今日に至っております。
  273. 只松祐治

    ○只松委員 次官、こうやって譲与するときにはひとつお願いしますと払い下げを受けておいて、それで目的がこういうように大きく異なってくる、こういう場合には取り消しもできるし、あるいは取り消す前にいろいろな注意勧告ができるわけでございますが、そういう点について、いままでそういうことをされたことがあるかどうか、あるいはまたそういう意思があるかどうか、ひとつお聞きしておきます。
  274. 押谷富三

    押谷政府委員 この神宮球場なりあるいは球場を中心とする外苑その他の施設につきまして、二十七年の接収解除の直後に一部有償、大きく無償で神宮に譲与されたことは御承知のとおりであり、その当時の申請の趣旨もただいま御発言のとおりでありますから、したがって、これの利用、使用につきましては、この趣旨を尊重せなければならぬことは常識上明らかでありますが、しかしその譲渡関係についてその後の処置については、実は文部省でなくて大蔵省所管ではないかと考えます。私どもは、好もしい姿としては、プロ野球がそこに本拠を打つとか、あるいは七十回とかあるいは他の球団を加えて八十回等それを使用するということは、好もしい姿ではない。当初の目的からはどうか、こういうふうな考えはいたしております。
  275. 只松祐治

    ○只松委員 いま次官のほうから大蔵省管轄ということですが、大蔵省の国有財産局長がお見えだと思いますが、大蔵省のほう、どうです。こういうふうに大きく目的が異なった場合にはどういたします。先ほどたとえば東海地方の財務局の問題で、払い下げのときに過小に低い値段で払い下げましたあとで、過小な分を取り上げたことがございます。いろいろそういうことがあると思いますが、こういうふうに大きく目的が異なってくる、こういう場合には、そのままで放置していい。たとえば極端に言って、学生なら学年の寄宿舎をつくる、こういうことで払い下げておって、初めそれをつくったようにしておいて、後にこれを映画館にする、あるいは純然たるアパートにしてしまう、こういうふうな場合、そのままに監督官庁放置しておきますか、どうですか。
  276. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 用途指定の問題でございます。この明治神宮への払い下げは、社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律で払い下げたのでございますが、その際問題になっておりますところの外苑球場の辺、あれは公益事業に供するということで売り払ったものでございます。したがいまして、公益事業に供されることを国は予期いたしまして売ったのでございます。現在までずっと行なってまいりました学生野球のようなものは、まさにそれに該当するものと思います。  いま問題になっておりますところのプロ野球に使うということがそれに当たるかどうかということは、私非常に困難な問題であり、私どもの常識をもってすれば、ややはずれた使用方法であると思います。でございいますけれども、本件の売り払いには用途指定をつけておりません。用途指定をつけておりません理由は、先ほど申しました社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律、これは昭和二十二年にできた法律でございます。そしてこの法律に基づきまして明治神宮のみならず全国各地の神社仏閣に無償で払い下げたのでございまして、この法律は、それまで国と社寺との間にございましたところの特別の関係をこの際清算をする、そうして神社仏閣が自主的にそれらのものを経営なさる、運営なさるということを目的としてつくった法律でございます。また、この法律ができましたときに衆議院の附帯決議でも、この法律によって譲与あるいは半額の売り渡しをした財産は、この法律の趣旨にのっとって神社あるいはお寺において自主的に運営するようにという御趣旨がございました。こういったことからいって、われわれとしては、契約の際にあえて用途指定をつけるまでもなく当然神社、お寺のほうでこの御趣旨に沿って運営をなさるということを信じて売り払いをしたのであります。そういう意味におきまして用途指定をつけなかったのであります。  それからまた、たとえ用途指定をつけたといたしましても、用途指定をつけますことは私有財産に対しまして相当の制限をすることになります。未来永劫いつまでも用途指定をつけるということは私ども行政のやり方として適当でないと思います。そういう意味で現在のやり方は、譲与につきましては十年間、それから半額売り払いの場合は七年間の用途指定をつけております。したがいましてその譲与いたしましたときにたとえ用途指定をつけておりますとしても、その十年の期限はもう過ぎております。また半額の売り払いをいたしました際に七年の用途指定をつけたといたしましても、もうすでにその期限は過ぎております。したがいまして政府として法律的にあるいは行政的に、もしもこの球場の使い方が不適当であったとしても阻止する方法はございません。そういう状況でございます。
  277. 只松祐治

    ○只松委員 まあ法律上はそうだと思いますが、行政官庁の立場として、いま言われるように一定年限は確かにありますが、極度に違った譲渡の目的に向かって使用されておる、あるいは使用されるおそれがあるというようなこと、あるいは現に使用されておるとするならば、そういうものに対して何らかの勧告をしたりあるいは法の不備があるならばそういうように法を準備し、改正をしていく、こういう意思がありますか。
  278. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律は、境内地の処分がすでにほぼ完了して実質的にその使命を終えている現在、この法律を改正いたしまして何とかするということは、適当でないと考えます。それから一般的な問題といたしましては、国有財産法を昨年度改正いたしまして、政府の売り払いにはすべて用途指定をつける。政令で、明らかに用途指定をつけなくてもいいことが明白であると思われるものを除きましては全部用途指定をつけておりますので、今後の問題につきましては、こういうような事態は絶対に起こらないというようなことがあり得ると思います。もちろん用途指定をつけましても、先ほど申しましたように一定の期限を過ぎますとその用途指定ははずれますので、それからあとどうするかということは別問題でございます。本件はその別問題の問題をどう処置するのかという問題でございます。私どもといたしましては、いままで神宮に対してそういったプロ野球に使うことは不適当ではないかというようなことを申したことはございません。申したことがございませんのは、これはなかなか微妙で重要な問題であって、用途指定期限をつけたとしても過ぎたであろうと思われるようなときにおいてそういうようなことを言うのは大蔵省としてはいささか言い過ぎではないかということを少し心配をいたしました。そういう意味で申しませんでした。それではいまどうするのかと言われましたときに、これは用途指定であるから返せということは法律的には申せません。それからまた、はなはだけしからぬ使い方をしたから何か金をよこせというようなこともなかなか申しにくい立場でございます。はなはだ残念でございますが、今後この球場をどのようにお使いになるのかという事態を待っていて、その後さらに検討させていただくということであろうかと思います。
  279. 只松祐治

    ○只松委員 これはほんとうは建設省かと思いますが、これは神社であるとともに、明治神宮外苑は公園ですね。そういたしますと公園には通常一%の建蔽率で、ある場合には二%程度、どんなにしても大体七%が建物の建蔽率である、こういうふうに指導されておるわけです。ところがいますでに相当の建物が明治神宮に建っておるわけなんですが、こういう公園の中に無制限に建物を建てていいのかどうか。建設省でなければ文部省のほう等でおわかりになればひとつ建蔽率について——神宮当局、いま公園の中に何%くらい建物が建っておるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  280. 伊達巽

    伊達参考人 ただいま何%ということは即答いたしかねますが、建蔽率は十分に厳守いたしておりますことを確言いたしておきます。
  281. 只松祐治

    ○只松委員 文部省かどこかおわかりになりませんか。すでにこれはオリンピック前、三十八年当時で神宮は九%建蔽率がある、こういうふうに文教委員会で御指摘があっておるわけでございますが、それからオリンピック施設その他いろいろなものが建っておるわけですから、何%ですか。
  282. 前田充明

    前田政府委員 これは神宮の土地でございますので、私どももそれを調査したことはございませんので、ちょっとただいますぐはお答えいたしかねます。
  283. 只松祐治

    ○只松委員 これはきょうはわからなければけっこうでございますが、いずれ委員会のほうで、建設省になりますか、どこか神宮の建蔽率をひとつお調べになっていただきたい。それから文部省のほうでも宗教法人かどこかでひとつお調べになっていただきたい、こういうふうに思います。  以上、二、三問題点をお聞きいたしますと、関係各官庁は、決定的に悪いとかあるいは決定的に違法行為だからこうする、こういう答弁はなかなか容易ではございません。そこいらが神宮側のつけどころと申しますか、こういうことを強行して事態を引き起こしておる原因があると思う。しかし大方の意見は、これは譲与の趣旨にも反しておる、あるいは一般の神社の目的にも反しておる。特に明治神宮として一木一草に至るまで国民が御寄進をした、こういう立場からするならば、これは一般の神社と非常に違うわけです。こういう面からするならば、これは先ほどからいろいろお答えが出ておりますように、皆さん方が今日プロ野球をあそこに招き入れて興行化して、そこでテラ銭と申しますか、金をかせごう、こういうことをお考えになっておるのはきわめて穏当を欠く、こういうことが大体結論的に出ておると思いますが、神宮側はそういうふうにお考えになりませんか。いやそういうことは一方的な当局側や何かの判断で、そういうものではない、こういうふうにお考えになりますか。どうですか。
  284. 伊達巽

    伊達参考人 私どもの現在の立場で申しますと、違法に使っておらぬと考えておるのであります。しかし御指導の役所のほうからこれはこうだとおっしゃればまたその御指示に従って考える用意はございますけれども、いまの私どもの使っております範囲は決して違法でもなければ約束違反でもないと考えております。
  285. 只松祐治

    ○只松委員 いまそういう約束違反や何かでない、こういうことだからプロ野球を招じ入れておる、こういうようにお答えになるのは当然だと思いますけれども、しかし私が言っておるように、ちょこちょこっと関係各位に御判断をお伺いいたしましても——これはあとで建蔽率等がわかればなんですが、明治神宮は相当オーバーになっているのです。どこを見ましても、明治神宮が今日いわゆるショー化しておる野球というものをあそこで行なうということは適当ではない、こういうことはよほど牽強付会な解釈をしない限りは、これは御判断いただけると思う。ひとつその点を強く要望申し上げておくとともに、ひとつ御確認をしておいていただきたいと思います。  それから若干財政の問題についてお伺いをいたします。たとえば後楽園の野球場では大体最低何か十万円を取って、その上に二七%の売り上げの使用料を取る、東京球場では入場料金の二五%を球団負担として取る、こういうふうになっておりますが、明治神宮は一試合にどういう形で幾ら野球場使用料をお取りになっておりますか。
  286. 湯本四郎

    湯本参考人 お答え申し上げます。  神宮の場合、プロに貸します場合は、いまの後楽園のお話は、十万というのは何かわかりませんけれども、こういうものはいただいておりません。この二七%に該当するのを二五%いただいております。  以上でございます。
  287. 只松祐治

    ○只松委員 それはおよそ一回幾らになって、総額幾らになりますか。
  288. 湯本四郎

    湯本参考人 これは一回幾らと申しましても、入るカードもございますし、入らないカードもございますので、一がいに申し上げられませんけれども、大体使用料としては一回でまあ一万人ぐらい入ると仮定すれば、大体いろいろな放送収入や何か合わせまして、八十万ぐらいは入ると思います。正確な数字はちょっとわかりませんけれども、大体八十万か九十万ぐらいです。
  289. 只松祐治

    ○只松委員 たとえば後楽園は非常に入りがいいわけですが、平均三万程度入場をしているのです。これは四十年度の予算が出ていますから、関係してきますけれども、ナイターやなんかやっていいカードをしたりすると、一万人ではないだろうと思うのです。たとえば三万人平均にいたしまして、平均して百八十円の入場料というようなことにして、ばらばらっとこう計算しましても、大体一回百四、五十万円のものが入れば、七十回やると年間一億円以上の収入になる、こういう概算が出てまいります。これを半分にしましても五千万円以上入る、こういう形になるわけでございますが、多少見積もりが少なくはないかと思いますが、どうですか。
  290. 湯本四郎

    湯本参考人 後楽園のは私もわかりません。たしか三万人くらい入るだろうと思いますけれども、私のほうは、国鉄・巨人戦でもやれば三万人近くは入るだろうと思いますが、これも三万人入ったことはありませんけれども、平均しますと昨年あたりは国鉄のは九千人でございます。
  291. 只松祐治

    ○只松委員 税務署にもしお出しになっておる——いろいろたくさんあるでしょうが、この中の野球場の収入額があれば、この二、三年来のものがあれば、ひとつお示しをいただきたいと思います。
  292. 湯本四郎

    湯本参考人 いまそちらにお手元にあります三十六、七、八、九年、これの野球場収入、これは税務署へ出したのと同じでございます。
  293. 只松祐治

    ○只松委員 税務署のほうは私はまだ聞いておりませんが、まあいろいろなところで伝え聞いたところによると、六千万円前後のような話に聞いております。ここいらはあとで税務報告その他と照合してみなければ、本委員会でもう少し問題を掘り下げるという場合には照合していかなければなりません。ただ先ほど油谷委員もいろいろ御質問をいたしておりましたように、文教委員会にお出しになりましたものと、それから本委員会にお出しになりましたものとが、いろいろ対比してみますと違ってきておる部面がございます。たとえばさっき言われましたが、三十六年度の本部費用なんか見ますと、これは支出も収入も異なってきております。それから総体も違ってきております。あるいは三十七年度では庭苑費でも異なってきております。こういう総体が異なるのも問題だと思いますし、あるいはこれはもし私の照合に誤りがあればあれですが、二、三回ずつ違ったところの照合をいたしたわけでございますが、お出しになっておるのも違うようなあれでございますが、間違いはございませんか、どうですか。
  294. 湯本四郎

    湯本参考人 三十六年、三十七年は先ほど申し上げましたように減価償却費を除いては収入も経費も一銭の狂いもございませんので、もう一度御照合いただきます。何かいま費目に違うのがあれば、費目は改廃統合したのがありますから、あるいはたとえば本部費等とか何かありますけれども、全体としてはちっとも変わっておりませんから。
  295. 只松祐治

    ○只松委員 たとえば三十七年度の庭苑収入を見ますと、本委員会に出されたのは一千百二十六万六千四百五十六円ですか、しかし文教委員会に出されたのは一千百二十一万六千四百五十六円ですか、ここで五万か違っていますね。こういう点、ミスプリントか何かありますか、こういうのがぼくが見てみますと何カ所かあるのですが、ミスプリントですか。
  296. 湯本四郎

    湯本参考人 お手元のは何か私のほうのと違うと思いますが、何かミスプリントじゃございませんかしら……。紙の色が違いますが、御照合いただきたいと思います。
  297. 只松祐治

    ○只松委員 この内容は、私も全部そろばんを入れたわけではございませんので、内容に若干違いがあるのと、トータルが違ってきておりますので、これは文教委員会にお出しになっておるものと、それから本委員会にお出しになっているものとが、さっきお話を聞きますと、税金や何かの払った、払わないとかのそういういろいろな問題で違う、こういうふうに御説明になっております。しかしこの点ももう一度私たちのほうでもよく調査をいたしますから、ひとつこういうふうにあまり違わないように、委員会によって計算のしかたを——少なくとも計算のしかたは違って出してきておられるわけでございますから、委員会によって計算のしかたが違う、それを出す、それで私たちも一生懸命苦労して勉強しなければならない、こういう出し方をしないで、少なくとも来年度あたりなら別ですよ、しかし過去の年度のやつをこうやって計算のしかたまで違って出してくる、こういうことでなくて、これはどこの委員会へ出そうと、あるいはどういう方面に出そうと、一本のもので出してくる、こういうふうにお願いをいたしたいと思います。
  298. 湯本四郎

    湯本参考人 承知いたしました。今後そういうふうにいたします。
  299. 只松祐治

    ○只松委員 これは、国税庁当局もせっかくきょうお見えいただきましたけれども、時間がないようですから、お聞きするのはやめて、あと資料としてお出しいただきたいと思いますが、一番大事な財政の問題でこういうふうに問題が発展してきておるわけでありますから、神宮当局でも、納税されたものがありましたら、過去二、三年来の納税実績というものを、これだけでなくて納税実績というものをあわせてお出しいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  300. 大石武一

    大石委員長 湯本参考人よろしゅうございますか。
  301. 湯本四郎

    湯本参考人 それは別に差しつかえございません。
  302. 只松祐治

    ○只松委員 それじゃ何か議事進行のほうでお話し合いがあったそうでございます。もう少し財政問題についてお尋ねをいたしたいと思っておりますが、橋本委員もまだきょう予定があとに残っておりますので、一応本日はこれで私は終わりまして、日を改めましてまた財政の問題をお聞きいたしたいと思います。
  303. 大石武一

  304. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員 本日いままで質疑を拝聴しておりまして、私は参考人方々、特に神宮を代表して出てこられた伊達権宮司、また外苑苑長代理として御出席伊丹参考人、このお二人の本日まで三回の審議において発言せられました内容があまりたびたび変わりますので、はなはだ不愉快な気分を味わっております。このような状態が今後もなお続きますならば、幾らこの議論を続けましたところでウナギとけんかをしているようなものでありまして、一回手に握ったものが次には抜け出しておりますし、その前と今回とはまた答えが違う。こうした不愉快な状態が続くのでは、一日にまとめて私は審議をする以外にはないと思います。何か本日はこれでもう質疑を打ち切られるというお話でありますので、私はもう質問は取りやめます。  ただ先ほど砂山委員が追及をせられました伊丹参考人片桐参考人の御証言に大きな食い違いがございます。そして、砂田委員に対して伊丹参考人お答えになりました御答弁のほとんどが片桐参考人から訂正されております。私はこの点だけは本日最後に明確にしておきたいと思いますので、他の専門委員方々から、先ほど砂田委員の質問に対して伊丹参考人片桐参考人がそれぞれお答えになりましたことについて、もう一度御証言を願いたいと思います。  ただその前に、私は、砂田委員が先ほど御提案になりました、代案として伊丹参考人に御努力を願われた第二球場に観客動員数の少ない国鉄の試合を移すという御提案に対しては、反対でございます。第二球場は、現在東都大学の二部、三部、社会人あるいは高野連等がすでに一ぱい使用中であります。そのことはいままでのこの審議の過程にも参考人側からも御証言があったようでございます。長い間一定した球場を持たなかったこれらアマチュア野球の各団体がようやく常時試合が行なえる球場を持ちましたのに、これが神宮球場の第一球場の国鉄の試合をたとえ移すにいたしましても、その結果として、現在使用しておる各アマチュア団体がそのあおりを食ってまた球場さがしに出かけなければならないようなはめになることは、私は断じて反対であります。  この点をまず申し上げ、次に、先ほど砂田委員から御質問のありました点について伊丹参考人片桐参考人からそれぞれお答えのありましたその諸点に対して、東都大学を代表して専門委員会におられる金子参考人、また高野連の代表としてやはり専門委員会に参加してこられた島岡参考人、また、専門委員会委員でおられるかどうかは私は存じませんが、学生野球協会を代表してお見えになっておられる外岡参考人、このお三方から、先ほど砂田委員の質問いたしました点に関してのみ御発言を願いたいと思います。
  305. 大石武一

    大石委員長 それじゃお三方から、どなたからでもけっこうですが、御発言願います。
  306. 外岡茂十郎

    ○外岡参考人 私、学生野球協会の副会長をいたしております外岡であります。再門委員のほうは私いま兼ねておらないのであります。ですから審議の内容も知らないのです。知らないということは、この問題について学生野球協会は無関心でおるということとはまた別問題であります。いまの事情につきましては、私は出席しておりません。委員でないものですから、御了承願います。
  307. 金子文六

    金子参考人 私はことしの今度の専門委員会に三回出席したものでございまして、その以前のことはわかりませんが、この専門委員会での話し合いの内容の理解のしかた、この点はどうかという御質問であろうかと思います。  大体専門委員会が開かれました議事の進め方、この経過を申し上げますとおわかりいただけるのではないかと思います。  節一回の専門委員会の際に実は委嘱状を渡されまして、そこで専門委員ということに正式になったわけでございますが、これは日付を見ますと昨年九月の日付になっておりました。通常でございますと、新しく専門委員が選ばれたのでございますから、専門委員会のなすべき職務権限等については規約を配付さるべきであると思いますが、その際には規約の配付はございませんでした。なおその後の二回も規約の配付というところまでは至っておりません。  それからもう一つ、先ほど伊丹さんからお話がございまして、第一回に日程表を配ったかのように私は伺ったのでございますが、第一回の際にはそういうものは出てまいりませんでした。  ただ私は、実はこの点で少しあとでこの規約を神宮のほうからもらいまして検討いたしました私の規約解釈でございますが、その規約をあとで見て、したがって前後いたしますが、第三回目の専門委員会の冒頭で質問をいたしたのでございます。専門委員会の職務権限は使用日程の審議決定とございます。スケジュール審議決定でございます。専門委員会の構成メンバーは当該競技についての専門的な知識経験を有する者とございます。したがってこの関係からのみ見ましても、使用すべきチームの日程の決定というふうに理解できる、かように思いまして、この点の質問をいたしたのでございますが、その点私の解釈とほかの委員の解釈は違っておりました。  なお、この点をもう少し具体的に申し上げますと、運営委員会規約の中に専門委員会が設けられておりまして、専門委員会の職務権限の規定もございます。運営委員は非常に広くなっておりまして、神宮関係者、それから専門的な競技、体育関係の者、関係官公庁の職員、学識経験のある者、こういう広い構成メンバーになっておりまして、全体で十九名になっております。一方、運営委員会規約の目的事項には、運営委員会の権限として、外苑施設使用計画に関すること、それから外苑施設管理運営に関することというのが、運営委員会の規約の上に出ております。これらの規定を総合して考えますと、球場使用に関する基本的な使用計画、これは運営委員会の権限に属することであって専門委員会の権限に属することではなく、もし専門委員会に示された場合におきましても、運営委員会がすでに使用計画を立てておる。それを具体的に申しますと、国鉄が使うという問題は運営委員会により決定すべきであり、この使用すべきことが運営委員会決定とされておりまして、使用者相互の間の試合消化に衝突、重複等を来たしまして試合の消化に支障を来たすことのないようにというので、その競技についての専門的な知識経験のある者が話し合ってこれをきめる。これが専門委員会の権限であろう、かように私は解釈上は思っておるのでございます。  そういう関係でございまして、これが当初に規約が出ておりますと、当初からそういうつもりで審議に参加いたしたのでございますが、私がこのことを知りましたのは、第三回目の専門委員会出席した際に規約を見てまいりまして、さように解釈いたしたのでございます。そこで少しよけいなことを申したのでございますが、第一回の専門委員会の際には、名大学、高校あるいは国鉄からの使用の希望日程の表は出ておりません。その間はよくわかりませんで、ことに国鉄との問題ということにしぼられておりまして、私は専門委員会の権限はただいま申しますようなことであると思いましたので、それでよかったのではないかと思いますが、この国鉄の使用がどういう関係になっているのかわからなかったものですから、これを神宮側に御提示を願いたいということでお願いいたしました際に、三浦総務部長から国鉄の使用申し入れの日程が読み上げられました。その日程が全部読み上げられまして、国鉄はこういうふうに使うのだ。主としてこの専門委員会で論議されましたのは、東京六大学と東都大学とがいわゆる神宮第一球場というものをどう使うか、六大学側では東都は第二球場へ行けということを言われるのでありますが、それでは私どものほうは試合消化ができませんので、この点が一回、二回、三回とも論議になったのでございます。第一回の際にはその話がございまして、私としては東都に持って帰って話さないと結論は出せぬということで延ばしていただいたのが二月の三日でございます。それが第二回目でございますが、二月の三日が済んだときに、そのあとでほとんど済んだ終わりに、伊丹さんから国鉄が試合をするということについてはどうでしょうかというふうな御発言があったと、私はそう記憶しておるのでございますが、その際もっぱら問題になりましたのは前回の当委員会において私が読み上げましたように、東都の理事会では従来火曜から日程を組みまして、そして第一球場で試合の消化をしてまいりました。この際できるならば時間の繰り上げ等による不便不都合はがまんしよう、こういうのが東都の理事会趣旨でございましたので、その点はぜひお考えをいただきたい。しかし、それは話し合った際にはまとまりませんでした。しかしこれは一応は国鉄が球場を使われるということが前提になっての話でございますので、それが許されるならば、私はその点の発言を覚えておりますが、東都としては異議は申しませんというふうに申したのでございます。異議は申しませんと言った際には私だけがこれを申したのでございまして、他の委員からは特別な発言はございませんでした。そのことを伊丹さんは全試合を了承されたというふうに御理解になったのであろうと思います。あとで当委員会伊丹さんが言われておりますことも、私は、本来からいえば、第一回の委員会の際に大学チームから日程はこうしてほしいというものを全部配りまして、それを机の前に置いておいて論議をしたとすれば、さような誤解はなかったと思います。実は伊丹さんに電話の際にそのこと申し上げまして、そういう関係で第三回目になったのでありまして、確認ということもございましたが、私もどうも伊丹さんの理解でいけば、全試合の了承を得たと第二回の専門委員会でそういうふうに考えられるのもあるいは無理がなかったのではないか。ただいま申しますような、出すべきものを出さないでおかれたという点に、誤解を生じたことがあったのではないか、かように思うのでありまして、一応その点の問題点にはお答えができたと思います。
  308. 大石武一

    大石委員長 最後に恐縮ですが島岡さん。
  309. 島岡吉郎

    島岡参考人 私は高校野球連盟を代表いたします関係上、学生野球で六大学と東都大学は第一球場を根拠地にいたしております、第二球場が完成いたしましたときから、高校連盟は根拠地を第二球場に完全に移しました。これははっきり申し上げておきます。これは何回か東京に高校連盟ではっきりと会合を持ちました。したがって大きなゲームと申しますれば決勝戦でございます。これは全部第二球場で現在行なっております。したがいまして第一球場のことには、前専門委員でありました乗東京高校野球連盟会長から、君の立場は特に微妙だ、六大学の現場の監督が高校連盟の専門委員として出ているんだから、六大学と東都大学を追い出すと誤解を受けるから、第二球場のことにあまり口を出さぬでくれ、こういうあれがありましたが、質問されたいろいろな話の中で全然出さぬということはありませんでしたが、私どもの日程は全部第二球場に重点を置いておりますので、第一球場のほうの東都と六大学のあれにつきましては、聞いておるという程度だったのであります。しかし、いま申されました伊丹さんと片桐さんの食い違いは、私は六大学でありますが片桐さんの肩を持つということではなくて、確かに六大学ではそれを全部認めるということは、シーズンの前に、リーグ戦の日程表をあれしない前に、秋の分まで認めてしまうということは、常識的にできないことなのであります。したがいまして、ただいま申し上げましたところをよく御了解いただきたいのであります。これは片桐さんが一応マネージャーに対しても御了解を得られなければ、それはとてもその場で、春のシーズンのスケジュールをきめておる際に、秋のシーズンの全部まで認めてしまうということは、ちょっと常識的にできないのではないか。したがって幾日かたっておりますことですから多少あれはあると思いますが、この点私は片桐さんの言われたことはおかしいんじゃないと思っております。
  310. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員 私にちょうだいできます時間は何時までですか。
  311. 大石武一

    大石委員長 きょうはだいぶ時間がおそくなりましたし、参考人の方もずいぶん長時間にわたりましてたいへんお疲れでありますから、きょうはこの辺で打ち切りたいと思います。その点で只松さんやあなたからいろいろと事情を承りましたことを感謝いたします。この問題は今後再三再四繰り返してやりまして究明いたします。
  312. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員 ではもう少々時間をちょうだいいたしたいと思います。  私は、いま一言だけつけ加えさしていただきます。ただいま両参考人からお話を伺いましたけれども、この体育振興特別委員会が開かれまして本日までに前後三回この明治神宮球場の問題で会議を催しております。今日まで伊丹参考人のお口から私どもがちょうだいをしておりました答弁は、ただいま片桐参考人島岡参考人金子参考人、三参考人からちょうだいをいたしましたお答えと完全に食い違っておる。私はこの三人の参考人の方の証言を信じます。伊丹参考人の御証言は、本日までたびたび食い違いを生じておるのです。私どもは本日までできるだけそうした攻撃的なことばを用いずにこの問題を解決いたしたいと考えまして、一々その食い違いを追及することはいたしませんでした。しかし、本日この場で各参考人の御意見伊丹参考人が本日までにわれわれに与えられた答弁とはっきり食い違いを生じました以上、これはこのままにいたしておくわけにはまいりません。今後、この追及を続けさしていただくことを御了承いただきたいと思います。  なお、神社本庁より大石特別委員長あての陳情書が参っておるはずであります。各委員にもこうした陳情書写しが送られてまいりました。その中に「右プロ球団の球場使用については去る昭和三十七年から実行されており、同球場使用日程については、例年日程等の審議決定機関である明治神宮外苑野球場専門委員会が十分審議し議決せられたものであるとのことであります。」という一節があり、その後に「「明治神宮外苑野球場の問題に付ては、憲法に定められた政教分離の精神に抵触せず、且宗教法人法に基く宗教法人の権益を阻害せざる方法により円満に解決されることを希望す」とある如く宗教法人の自由と自主性を拘束する結果となることを極力さけたいと思うのであります。そしてこの方針については、宗教界は重大な関心をもつものであります。」という陳情書が参っております。私どもは、この体育振興特別委員会の席上において、各宗教の尊厳をおかし、特にわが国古来から先祖代々伝わってまいりました神道、仏教、そうしてその神道の中でも近代日本を築き上げらましたその開祖ともいうべき明治天皇を、当時の国民がこぞって敬い、その結果として国民の心によってつくり上げられました明治神宮のその尊厳をおかそうという意思は毛頭ございません。その点だけは私は伊達参考人また伊丹参考人にも銘記を願いたいと思います。そうして、願わくば次回催されますこの特別委員会の席において、本日まで三回行なわれました際にたびたび出てまいりましたような答弁の食い違いあるいは理由はいろいろと述べられたりいたしまして、本日湯本参考人からお答えをちょうだいいたし——われわれはまだ納得をいたしておりませんけれどもお答えをちょうだいいたし、さきに文教委員会提出され、今回体育振興特別委員会提出をいたされた二通の経理書類に関する食い違いのような事実は、今後あらためて明確に追及をさしていただきます。
  313. 大石武一

    大石委員長 ほかに質疑はございませんか。
  314. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 質疑ではありません。私は本日は質問の用意もありませんから、同僚の諸君、特に委員の若手諸君が熱心にこの問題を追及されたので、委員長に対して、議事進行の名において、今後の取り扱い方法を要望いたし、また文部当局には、特に本日大臣がお見えになりませんでしたので要望いたしておきたいことがございます。  委員長には、この問題を取り上げられまして今日まで委員会を開くこと三回であります。委員会における論議は種々出ましたけれども、大体において学生野球の本拠地を失いつつある、また宗教法人たる神宮が国から譲渡を受けたときの精神と相反しておる。それから第三には、今度決定したる最終決定と称するものが学業に支障ありという非常な疑いを持たれておる、こういう点にかんがみて世論の帰趨は次第に決しつつあるものだと私は思っておるのであります。しかし、ものにはやはりタイミングがありますから、われわれは、予算委員会が昨日まで開かれておって、第一院の衆議院の予算審議に影響ありというので、この委員会の開会を延ばしておったこともありますが、今後は連続開いて、そうしてわれわれも無責任ではなしに、ひとつ解決方法を示唆するということに御邁進をいただきたい、これは委員長に対する希望でございます。  それから一方神宮当局に対しては、実は私はこれは個人ではなくスポーツ議員連盟の会長として粋部諸君並びに当委員会委員方々とも御相談申し上げて、まずスポーツ議員連盟のような、法的根拠はないけれども影響力を持つものが勧告をしたほうがよかろうというので、個人として勧告をし、その席上には田中榮一理事並びにスポーツ議員連盟の小林進理事に立ち会ってもらって、超党派的な形で申し入れをしました。しかるに、先ほど砂田委員の質問においても明らかなように、伊丹苑長代理はその日に専門委員会においてこれを決定したる後に発表したというような、これはまた聞きの情報ですが、というようなこともあって、私ははなはだ不審だと思っております。その後体育協会で東都知事その他の有力な今日のアマチュアスポーツ界の指導者に会ったときに、あれはあなたが勧告をされたその日に決定したそうじゃないですかと言って笑われました。私は多くの同僚諸君から、川崎さん、あなたはぞうきんで逆に顔をなでられたようなもんですな、とたいへんひやかされました。私個人としては差しつかえございませんが、この際に特に申し上げたいのは、このごろアマチュアスポーツ界の指導者はあらゆる経験を経て非常に練達たんのうになり、社会の常識もある。あなた方は、われわれが申し入れたことに対して決定をしておきながら、今日までわれわれに対して電話ですら、はなはだ、あなた方の申し入れはごもっともな点もあるけれども、過去のいきさつからかんがみてできなかったんだという一片の通告もされておらぬ。伊達さん、とぼけちゃいけない。そういう非礼な、非常識な態度というものは、今日のスポーツ界あるいは社会の第一線に立つ者のすべきことではございません。当然こういうようないきさつになったからというあいさつくらいはあっていいものだと思うけども、そういう非常識さが今日露呈をしてきて橋本委員の質問のような結果になってきておるので、これから何回もこの委員会は開かれましょうが、その間において御反省があるならば反省をされるような措置をとっていろいろと御連絡を賜わるのがあなた方の行くべき道じゃないかというふうに感じます。今日金子委員からお話があって私も質問しようと思ったが、専門委員の権限また運営委員の権限というものが明らかにされておらぬ。これを巧みに使い分けてごまかしておるのが今日の外苑の苑長と苑長代理の態度ではないかと私は思うが、これはこの次の機会において申し上げるが、とにかく非常識なやり方だけはぜひとも今後改めていただきたいということが私どもの希望であります。  さらに文部省は衆議院文教委員懇談会の三十八年七月六日の決定に反して、専門委員の中に委員を送ることを怠っている。監督不行き届きです。監督怠慢である。そのことについても今後、非常に問題が起こっておるので——幸いきょう押谷政務次官は実に政治家らしくアマチュアリズムプロ野球の問題について明快な所見を持たれた。私は思う、前の文教委員会審議のときに荒木文部大臣の発言の中には、今日の神宮のやり方については軌道をはずれる傾きがあるのであるいは政府は決心を持ってこれを公共のものに返さなければならぬ、決意の要る段階がくるかとも思うという発言をしている。非常に重要な発言です。これは非常に重要な発言なんだ。あの当時よりもっと後退している、もっとプロ野球の進出を許しておる。この姿を十分に見られて今後誤りなき監督をし、よい結論が出るように官公署としても御指導あらんことをお願いをして、私の緊急の発言を終わる次第であります。  この問題は、あるいは今日はスポーツの問題かもしれぬけれども、明日は社会問題、明後日は政治問題に発展する可能性がある。われわれも幹部からむしろ激励を受けておる。与野党一致してこれだけ追及しておるものはいまだかつて国会史上未曽有です。そのことをよく記憶して今後の委員会運営、並びに出てこられたならばそういう対処のしかたをしていただきたいことを要望して、緊急の発言を終わります。
  315. 大石武一

    大石委員長 川崎委員の発言は了承いたします。今後はできるだけ精励いたしましてこの問題が究明されて、ほんとう神宮並びに神宮外苑が内実ともに国民の手に返るまでは、断じてこの委員会を継続する方針でございます。  他に御発言もなければ質疑は終了したことにいたします。     —————————————
  316. 大石武一

    大石委員長 いま島岡さんから発言を求められておりますので、発言を許します。島岡参考人
  317. 島岡吉郎

    島岡参考人 私はこの委員会に三回参りましてちょっと不思議に思うことが一つあるのですが、どういうわけで、運営委員であり、かつ専門委員長であられます島田考一前早大総長をお呼びいただけないのでしょうか。これは専門委員会における一番のポイントだと思うのです。一度もまだお呼びになっておりません。どうかひとつ専門委員会のことは、私ども個々の者が発言できることと、できないことがございます、どうかひとつこの次には専門委員長を必ずお呼びいただきたい。  それから特にお願い申し上げたい。個人のことではなはだ申しわけありませんが、現場の監督でありまして、しょっちゅう野球をしなければなりませんので、ここに午後呼び出されて何回もすることは、私は非常に困りますから、私に関する御質問はきょうここでいただいて、高校野球連盟のことは何でも申し上げますから、どうかこの次はごかんべん願います。
  318. 大石武一

    大石委員長 島岡君の御発言は、よく御忠告ありがとう。     —————————————
  319. 大石武一

    大石委員長 この際、おはかりいたします。  体育振興に関する件の調査を進める上におきまして、先ほどの理事会の協議に基づき次回の委員会においてアマ・スポーツ振興立場から学識経験者等より参考人として意見を聴取したいと存じますが、その日時、人選等に関しては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  320. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  321. 大石武一

    大石委員長 次に、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  きょうは、ほんとうに長い時間、こうやって貴重な時間をさいていだだきまして恐縮に存じます。われわれは日本の大事なアマチュアスポーツを確立するためにこのような委員会を開いたのでございまして、このような点において御協力賜わりましたことを感謝いたします。  しかし先ほど島岡参考人からも御発言がありまして、まことに貴重な時間をさいていだだいて恐縮に存じます。しかし日本学生野球連盟とか野球協会とかいうものは、日本学生野球アマチュアリズムを確立する重大な機関だと思う、舞台だと思うのです。ですからこの機関がしっかりして、この機関の意見が十分に反映されなければ、将来日本学生スポーツというものはプロのほうに傾くおそれがあると思います。そういう意味であなた方の確固たる信念をお聞きしたい、覚悟をお聞きしたいというのが委員全体の意見でございますので、このような御迷惑をおかけしたわけであります。  しかもいままでのあり方からいきますと、多くの学生並びに委員の希望に反しまして、残念ながらこれらの方々のいままでの表にあらわれました行動はむしろ逆のほうを歩いておるのではないか。学生スポーツアマチュアスポーツに売り渡しておるのではないかというような非難も出ておることを聞いております。だからまことに恐縮でありますが、あまり御迷惑をおかけいたしませんが、今後ともひとつこの委員会には、もしわれわれが要望しました場合には出ていただいて、確固たる信念を御披瀝いただきたいと思うのでございます。  何と申しましても一神宮野球球場の問題というものはたいした問題ではない。ほんとうをいえば、表からいえばなぜわれわれがそれを取り上げるかということは、いま一番大事なことは日本スポーツというものがプロ化しておることに対して、われわれはここに大きな心配をしておるわけでございます。御承知のように学生スポーツ学生時代のすべてのスポーツというものは、純真な、ほんとうスポーツを愛好する精神だと思うのです。それがお金もうけ、営利を目的とするプロスポーツに混同されることはたいへんなことになると思います。そういう意味でわれわれは学生であるという信念からやっておるのでございまして、決して明治神宮を単にいじめるとかなんとかいう問題ではございません。残念ながらこの学生スポーツの一番の中心である文部省の方の中には、プロ野球とアマ野球の区別さえはっきりわからないようなお返事をなさることはまことに残念でございます。幸いに政務次官の明快な御答弁がありましたからわれわれは救われたと思いますが、一番の大もとの、学生野球の監督機関である文部省がもう少ししっかりした信念を持たなければ、われわれは非常に心配なんです。しかも日本で一番大事なことは精神のことだと思います。神さまがあるのも私はそこにあると思うのです。その神さまが金もうけか純真なスポーツか区別がつかないで、プロにアマを売り渡すような行動があることはまことに歎かわしいと思います。こういうことをわれわれはもっと究明したいというみんなの念願ですから、今後ともこの委員会をしばらく続けてまいります。どうかその意味でおいて日本の精神界を作興するためにもぜひとも御出席を願いたいと存じます。(拍手)  以上をもちましてこの委員会を終わります。    午後六時九分散会