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1965-02-19 第48回国会 衆議院 体育振興に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十九日(金曜日)    午後三時二十六分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 田中 榮一君 理事 田中 正巳君    理事 田邉 國男君 理事 八田 貞義君    理事 泊谷 裕夫君 理事 前田榮之助君       小川 半次君    海部 俊樹君       川崎 秀二君    砂田 重民君       園田  直君    橋本龍太郎君       古井 喜實君    高橋 重信君  出席政府委員         文部事務官         (体育局長)  前田 充明君  委員外出席者         参  考  人         (明治神宮権宮         司)      伊達  巽君         参  考  人         (明治神宮外苑         苑長代理)   伊丹 安廣君         参  考  人         (明治神宮外苑         経理部長)   湯本 四郎君         参  考  人         (日本学生野球         協会会長)  藤田 信男君         参  考  人         (東京大学野         球連盟理事)  片桐 勝司君         参  考  人         (東京大学野         球連盟理事)  島岡 吉郎君         参  考  人         (東都大学野球         連盟理事)   金子 文六君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  体育振興に関する件(明治神宮野球場に関する  問題)      ————◇—————
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  体育振興に関する件について調査を行ないます。  本日は、理事諸君の協議に基づき、明治神宮外苑野球場に関する問題について、前回に引き続き明治神宮並びに学生野球協会側からそれぞれ御意見を承ることにいたします。  この際、参考人出席要求の件についておはかりいたします。  明治神宮権宮司伊達巽君、同外苑苑長代理伊丹安廣君、同外苑経理部長湯本四郎君、並びに日本学生野球協会会長藤田信男君、東京大学野球連盟理事片桐勝司君、同島岡吉郎君、東都大学野球連盟理事金子文六君、以上七名の方々参考人として御意見を承りたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたします。  これより参考人から御意見を承ることにいたしますが、この際委員長より参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は御多用中のところ、本委員会調査のためまげて御出席を得まして、心から恐縮に存じます。ことに二時半の開会予定が一時間もおくれましたことをおわび申し上げます。これはたまたま本会議にぶつかりまして、本会議予定以上時間が延びましたのでこのような始末になったわけでございまして、この点は心からおわび申し上げます。  湯本さんと島岡さん以外の方々前回おいでいただきまして様子がよくおわかりと思いますけれども湯本さんと島岡さんは初めてのことでございます。この委員会は別にそうむずかしいことではございませんで、皆さまから率直に御意見を拝聴して、日本プロ野球が正しくりっぱに発展でき、日本アマチュアリズムプロによって汚されないような体制をつくりたいという考えから、この委員会を開いたわけでございます。そのような意味で、ひとつ十分忌憚のない御意見を御発表願いたいと思います。ただこの委員会は、御承知のように国会でございますので、いろいろと突っ込んだ質問なり、あるいはたまには語気の荒い質問もあると思いますが、それは別に他意がございませんから、あまり気になさらないで、ひとつおおらかな気持ちでゆっくり御意見を伺いたいと思います。  委員諸君にもこの前お願い申し上げましたが、この委員会査問会でも詰問会でもございません。ことにおなれにならない方に参考人としておいでいただいておりますので、そういう意味でなるべく穏やかな調子でお聞き取りを願いたいと思います。  この前皆さまから御要求のありました資料はお手元に配付いたしてございますので、それをひとつ……。
  4. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 ちょっと議事進行について発言があります。  先般の第一回のときには委員長から何か十二時過ぎには第一回のことだから打ち切りたいというような節もあって、そして最後に委員の間で意見がそごした関係もあって、私が打ち切っていただくように委員長にお願いしたわけなんですが、もう何回もこの委員会を開くわけにはいかないので、本日はなるべく徹底的に審議をして、そのあとで本委員会懇談会を開くなり、あるいは時期をあらためるにしても、本日は相当長時間にわたってもやって、この問題に対する一応の締めくくりだけはつけておかなければいかぬ、そういう意味でひとつ議事をお願いしたいと思います。
  5. 大石武一

    大石委員長 川崎君の御発言には別に文句はございません。どうぞごゆっくり時間をかけて、内容をはっきりしていただきたいと思います。  なお、念のために申し上げますが、来週はちょうど予算委員会分科会に入りまして、ほかの国政審議はなかなかできませんので、何ならこの問題は来週でもけっこうでございますから、十分におやりになっていただきたいと存じます。  これより質疑に入ります。  通告の順序によりまして、発言を許可いたします。小川半次君。
  6. 小川半次

    小川(半)委員 私は、最近問題になっておりまする明治神宮野球場プロ野球使用のことにつきまして、お尋ねしたいのでございます。  このことにつきましては、すでに前回委員会で御質問があったかとも思いまするが、私のところに最近五、六通の手紙が参りまして、このことについて純粋な意味結論を願っておるというような意味手紙が来ているのでございます。と申しますのは、その手紙の送り主はいずれもみなひとしく、あれはあくまでも純然たるアマチュア野球振興のために、その殿堂として創設されたものである、それが最近に至って営利目的とするプロ野球使用されるということははなはだ残念であるというような趣旨のものでございます。  私はこの際、明治神宮宮司さんですか、当局者にお尋ねしたいのでございまするが、あの明治神宮野球場が創設されましたその趣旨、その精神はどこにあるか、まず最初にそのことから伺っておきたいのでございます。
  7. 伊達巽

    伊達参考人 お答えいたします。  外苑野球場の創設せられました当時は、学生野球がまだこれから盛んになろうとする途上でございました。その当時はプロ野球日本にはなかった時代でございます。その後学生野球アメリカに行って、プロ野球にコーチを受けたこともございまするし、またアメリカからプロ野球が参りまして、日本で、その当時は学生野球ですか、試合をいたしまして、あそこを使用いたしたこともございます。その後日本プロがだんだんと発達いたしまして、それから今日までしばしばこれを使用いたしておるのであります。かようなわけで、当初の使用目的は、日本では学生が全体でございますから、プロということについての予想はいたしておりませんでした。しかし御承知のように、学生野球界から優秀な選手プロ入りをいたしまして、あそこでプロ野球選手たち野球を演じますことも、あるいは自分たちの故郷に来てやるような思いがいたしておる由であります。かようなわけで、私どもは、プロ野球が必ずしもアマと相いれざる性格のものであるということは考えておりません。むしろアマチュア野球の花であると言うとしかられるかもわかりませんけれどもプロアマとの関係は兄たりがたし弟たりがたし、とにかく兄弟仲間でありまして、相排斥し合うような性格ではないと考えております。  それから、学生野球のメッカといいますか、学生野球を主として使用させるということにつきましては、当初から今日まで、さらに将来まで一貫いたす方針でありまして、ことしも学生野球の春秋のシーズンは一〇〇%にそのワクをとっております。したがって学生野球試合には支障を来たさないように十分の考慮をいたしておる点を御了承願いたいと思うのであります。  さらに外苑といたしましては、あそこを一ついこい場所として市民諸君が楽しみますことは、選手たちのためにもはからなければなりませんが、市民いこい場所としても便宜をはかることは、外苑の創設当初からの趣旨でございまして、御承知のように公園のようなところはそういう方向に提供しておりますし、その他の催しもの等もそういうような広い意味使用いたしております。したがって野球場につきましても、これを楽しむ人々の便宜をはかるということも一つ外苑のつとめであろうと存じますので、そういうような観点から、学生のほうをそでにしてプロをもっぱらこれに使用させるということは決して考えておりません。ただ一部分これを利用して、そして学生野球その他のアマチュアのほうには便宜をはかりたい。たとえば入場料にいたしましても、格安にいたしまして使用できるようにいたしたい。設備にいたしましても、やはり充実した行き届いた施設で学生野球にも楽しんでもらいたいし、これを観賞するファンの諸君にも快く楽しんでいただきたい、こういうふうに考えております。  大体そういう要点でございます。
  8. 小川半次

    小川(半)委員 いま参考人は、当時プロ野球がなかった時代だとおっしゃいましたが、すでにあったのです。記憶違いかと思いまするが、私の記憶では当時プロ野球はすでに日本には存在しておりました。神宮球場ができましたのは、大正十五年十月二十三日に竣工式を行なったのであります。あの当時の各種の文献を見ていただきたいと思うのです。たしかあの当時の宮司は一戸さんと申しただろうと思います。若槻禮次郎氏が当時の総理大臣でございました。非常に賛辞をおくっております。これは日本アマチュア野球を振興さすところの、今日のことばで言えばシンボルと申しますか、そういう趣旨のものであって非常に喜びにたえない、これによって全国青少年アマチュア野球というものに非常に期待を持ち、またみずから進んでスポーツマン精神を養うであろう、こういう趣旨のことが、あなたの大先輩であられる一戸宮司さん、時の総理大臣をはじめ担当の大臣たちも、このようにとにかくアマチュア精神アマチュア精神、この神宮球場ができたことによって日本アマチュア野球が振興するであろう、アマチュア野球が振興されることは即アマチュア精神の養われることであると賛辞をおくっておるのです。  ですから、実はこの球場ができましたのは日本のとうとい青少年の汗によってできたことを御記憶であろうと思うのであります。延べ六千人以上の青年たち、なかんずく中学生たちが汗してあのグラウンド建設に努力したのです。それは、このグラウンド純然たるアマチュア使用するんだ、あるいは大学生、中学生使用するんだ、そこから日本アマチュア精神が生まれていくんだ、そういう純真な、しかもとうとい考え方をこの青少年が持っておったなればこそあの建設労力奉仕をしたのです。労力奉仕はとうといことなんです。この精神を私は見殺しにしてはならぬと思うのです。ですから、私はあの明治神宮野球場にはアマチュア精神が生きていると思います。あのグラウンドの土には、この青少年が流したところのアマチュア精神のその汗が、いまでも私はにじみ込んでおると思うのです。もし、あの当時、いつの日にかこのグラウンドプロにも利用されるのであるということを想像でもしたら——これは想像だにしなかったのですけれども想像でもしたならば、この純真なる全国青少年たちはこの建設作業労力奉仕をしなかったでしょう。この間、お一人ですが、やはり私のほうに手紙をくれている年配の方がありました。自分労力奉仕をした一人である、はなはだ遺憾である、何とかして国会においてこのことを明らかにして、そうしてプロに利用されないようなもとのグラウンドにしてくれ、こういう趣旨手紙ども来ておるのでございます。  私はあなたに重ねてお尋ねいたしますのは、このとうとい純真な青少年気持ちをあなたはどうお考えになられますか、このことをお聞きしたいと思います。
  9. 伊達巽

    伊達参考人 お答えいたします。  プロがその当時なかったと申し上げたのは私の知識の足らないところでございましたから、この点は取り消します。  ただいま仰せの、青少年があそこに勤労奉仕をいたしましたこともよく存じております。さらに、その精神のとうとさもいまもって忘れてはおりません。ですから、この点はあくまで学生野球に優先的に使用させますことにつきましては、十分便宜をはかる予定でございます。それが大体要点だろうかと思います。それから、プロ使用させますことにつきましては、これは学生野球支障のない限りにおいて使用させることの方針は、その後の事情の変遷もございますから、出発当時のそのままの精神は貫きまするけれども、運用の点につきましては多少の、それだけの幅は私どもはやはり御了解を得なければならぬと考えております。
  10. 小川半次

    小川(半)委員 神宮野球場としてもう一つ新しく第二球場建設されたわけでありますから、神宮当局におかれましては、あくまでもこの建設当時の精神を生かさなければならぬ、アマチュアの立場をよく尊重する、また、しておる、そういうお答えでございますので、そうであればこれはやはり最初からの目的どおり精神を生かすということで、あくまでもアマチュアに使わす。第二球場のほうは、これはわれわれの関知するところではありませんから、これはプロに利用させられることはいいでしょう。私たちの言うのは、つくったところの精神を傷つけてはならぬと思うのです。結局あなたがそうおっしゃいますのは、何か経済的なお事情がおありになるのですか。率直におっしゃってください。こういう場合はわれわれは率直に聞かなければ結論が出ませんから、どうぞ。
  11. 伊達巽

    伊達参考人 経済的な関係が大いにございます。したがってこれはぜひ使わしていただかなければならぬと思います。  第二のほうは、初めプロ使用するようにと考えておりましたけれども、いろいろな事情がございまして、これがどうも満足な子供に生まれませんで、学生野球あたりに使われるようなことになりまして、その点はどうも……。
  12. 小川半次

    小川(半)委員 神宮ともあろうものが、物質のために走り過ぎて、とうとい精神を傷つけるというようなことがあってはならぬ。国民全体みんなが注目しているのですから。初めのお考えは第二球場のほうはプロで使ってもらおうというような御方針であったようですから、その方針のとおりおやりになっておったならば、今日のようなこうした紛糾が起こらなかったのです。そして国民が妙なながめ方で神宮を見るということも私はなかっただろうと思うのです。しかし、いまからでも私はおそくないと思う。国民はいま私が申し上げたようなそういう考え方を持っておりますので、いかがですか、やはりあくまでも第一球場をどうしてもプロに利用さすという、そういう御方針は変わりませんか。どうですか。
  13. 伊達巽

    伊達参考人 すでは運営委員あるいは専門委員皆さんにも御相談いたしまして、大体御了承を得ておることでもありますし、いま新たに始まった問題でなく、もう数年来そういうことにいたしてまいりまして、ときにはいろいろ御議論もございますけれども、大体一般に喜ばれております。私どもは御趣旨に一〇〇%沿いがたいところはまことに遺憾千万に存じますけれども、いままできまっておりますようにひとつ御了解をいただきたいと思います。
  14. 小川半次

    小川(半)委員 藤田さんにお尋ねしますが、あなたも学生野球連盟指導者としていろいろ御苦心されておられるのでございますが、同一グラウンドアマプロが、時間は異なるとはいえ、同日に使うということは世界のどこかにありますか。
  15. 藤田信男

    藤田参考人 お答えします。  ございます。アメリカの場合は日本の場合とは反対で、大体プロが大きな専用球場をたくさん持っているわけです。それがあいているときには、必要に応じてはアマチュアにも開放しております。
  16. 小川半次

    小川(半)委員 私は初めて伺ったのですが、私たちの調べたところでは、大体アマチュア専用球場プロが同日に利用するということはあり得ない。しかし、あなたの場合は、プロ専用球場において、時間が異なるとはいえ、当日アマチュア野球をやる場合もある。これは私初めて知ったので、調査しておきます。  そこで、特にこういう問題が起こってきたので私としても考えるようになったのでございますが、六大学野球その他神宮球場で午前十一時からダブルヘッダーでやるように近年はなっておりますね。十一時からと申しましても、これはいろいろシートノックをしたりトレーニングをやったり、それぞれの時間がありますので、おそくても十時にグラウンドに入りませんとできない、こういうことでございますが、じゃ十時にグラウンドに入るといたしましても、結局下宿とか学校を出るのは九時ということになるのでしょう。そうすると、その日はもう授業をやっていないことになりますね。一体これでよろしいのですか。どうでしょう。
  17. 藤田信男

    藤田参考人 原則的には私はいけないと思います。しかし、現在の状態では球場使用の上にいろいろ制限がありますものですから、そういう事態が一部起こっていると思う。特に今年度のスケジュール決定で、発表の都合で決定されたかのように新聞に出ましたけれども、実はまだ完全な決定には至っていないわけでございます。と申しますのは、主として春のシーズンにおきまして、六大学東都大学がほぼ八週間神宮球場使用するわけですが、八週間使います初めのほうに、一両日プロ試合が入ってくるために、その試合がもし延びたりいろいろしますと、完了しない。完了しない場合は、その試合次週に持っていかなければならない。次週へ持っていきます場合に、六大学としては、週間の試合はできる限り午後にやりたい。いま御質問がありましたが、教育上の趣旨によりまして午後にやりたい。というのは、これはもうどの学校もそういう本旨だろうと思います。そういうことのために、従来よりも六大学の場合には試合日程が、もしそこで引き分けがありますとかその他がありますと延びるものですから、どうしても次週のうち何日か確保しなければならない、これが非常にむずかしい問題でありまして、一応の予知することのできない天候を相手にして、万一こういうことが起こった場合にどう処理するかというようなたてまえでありますものですから、それで従来は水曜日まで、翌週に延びます場合には水曜日まで大体六大学が使っておりましたのですけれども、土、日をもしプロに使われますと、翌週のウイークデーの夜にも何がしか夜間試合なんかあるものですから、六大学としてはできれば木曜まで使い、いまあなたが御指摘になりましたような教育上の目的からも、それから現実に競技を運営していく面の上からも考えまして、そこまで借してほしいということを東都大学側目下折衝中で、それがきまっておりませんので、実は全スケジュールがまだ決定していないと申し上げたのであります。
  18. 小川半次

    小川(半)委員 私の聞くところによりますと、神宮球場プロ使用させない、従来どおり大学東都大学等が利用するという場合は、従来のように午後一時から、授業に差しつかえないような野球試合ができる、こういうことを聞いているのですが、大体そのとおりでございますね。
  19. 藤田信男

    藤田参考人 大体そのとおりでございます。
  20. 小川半次

    小川(半)委員 ここに問題があるのです。神宮球場プロ野球が使うことによって、日本の代表的な各大学野球選手のみならず、応援団までがいわば授業に出ずして、そうして神宮球場に集まるというようなことが起こってくる。学生の本分は勉強することなんです。わずか少数のプロ野球のためにこの何方という学生たち授業にも出ずして、そうしてグラウンドに集まらなければならぬということは、日本教育の上においても私は重大なことだと思う。いま良識ある人たちは、一体あれは何事だ——まあ皆さんのお耳に達しておられるかどうかわかりませんが、もし日本学生野球がこういう状態でいくならば野球連盟から脱退するということを協議しておる学校もすでにあるわけです。藤田さん、あなたはお聞きかどうか。そういう空気も、あるいはそういう動きもあるということを御存じですか。いかがですか。
  21. 藤田信男

    藤田参考人 まだそういうことは私どもは聞いておりません。
  22. 小川半次

    小川(半)委員 体育局長、いま私が申し上げかように、このような要するに神宮球場プロ野球使用しなかった場合は、授業を捨ててまでもグラウンドに集まるということはない。プロ野球神宮球場使用することによって、残念ながら東京の数万の学生たち授業に出ずしてグラウンドに集まらなければならぬという、こういう残念なことが事実として起こってくるわけなんです。この重大なる教育の問題を文部省当局はいかにお考えですか。
  23. 前田充明

    前田政府委員 私どもとして、野球試合のために学校がつぶれるというようなことはもちろん好ましいことだとは考えておりません。もし学校授業を捨てなければ野球はどうしてもできないということであれば、これはそれについての問題は検討しなければならない、かように思います。
  24. 小川半次

    小川(半)委員 私は大体この程度まで承って驚けばよろしいのです。あと同僚皆さんからも御質問があると思いますから、一応私の御質問はこで終わります。
  25. 大石武一

  26. 園田直

    園田委員 いま小川委員質問しました、球場プロ野球に一部提供して学生のために迷惑がかからぬということなんですが、その御好意がかえってあだになって、プロ野球が七時から始まるとすれば、五時にはもうあけ渡さなければならぬ。あけ渡すとなると、入っておった観衆が出ていくのにはまた時間がかかる。そう考えると、朝早くからやらなければならぬということになってきます。そうしますと、選手団応援団数千名は学業を放棄する、これを文部省は黙って見ておられる。これは重大な問題ですから、体育局のほうでは十分検討して善後措置を講ずるように要求しておきます。  次に、神宮のほうにお伺いしたいのですが、実は私は毎年夜の一時に明治神宮参拝をいたしております。ことしは参拝者が少なかった。そこで、これはどういう国民方々の心の動きか、天気のせいか、警視庁の指導のせいか、ふしぎとおいなりさんとか大黒さんとか、そういうところはうんとふえている。こういうことを心配している一人で、国民から尊敬されるべき明治神宮が、各新聞にあたかも営利会社のごとく書かれるのは非常に残念です。それで、宮司の方にお考えいただきたいことは、明治神宮のほうで財政上つらいからプロ野球野球場を貸すのだということをおやりになっても、あるいはもっと極端にいえば、夏場になってあの庭苑をキャバレーとかバーとかあるいはダンスホールというようなものに金を取ってお貸しになっても、国民が黙ってなるほどと見ておるようなときには、そのときは明治神宮というものを特別とうといものだと国民が思わなくなったときであって、財政上つらいからプロに貸して金を取るのだ。それはそのとおりです。もっと極端にいえば、戦前は、国家の保護で援助をして、のほほんと浮き世を離れて神に奉仕しておったらよかったが、戦後は時代がつらくなって明治神宮もお金のことは宮司がそろばんをおはじきにならなければおやりになれなくなった。これはそのとおりです。ところが国民の心の中には依然として神さまに奉仕する方はそういう金銭を離れたかっこうでやっていただきたい気持ちがある。そこからこれは各新聞に出てきた問題だと私は思う。  こういうことから私は少しお伺いしたいと思いますが、小川委員が聞いたとおりに、この明治神宮野球場というものは、全国から集まってきて、そうして全国学生勤労奉仕してつくったものです。そうして、貸し与えたとおっしゃるけれども、かっこうは変わったでしょう。国家からあなた方が半分でおもらいになって、そうしてあなた方が組織をつくっておやりになった。しかし、明治神宮にお祭りしてある明治天皇さんと、あの明治神宮の姿は、管理の責任者こそかわっておるが、国民のものであることに変わりありません。国民のものなんです。こういうことを私はお考え願いたいと思う。国民のものであって、決して一部の人のものではない。第一に、終戦直後、国家は財政的援助をしてはならぬ、土地を貸してはならぬというので、政経分離のたてまえから、宗教と政治がつながってはならぬ、国家と縁を切れということであって、ほんとうをいうならば、あのとき国会の中にもいろいろ意見があって、神社仏閣に貸してある土地とか財産は全部接収して、国家が取るのがあたりまえだ、こういう意見もあった。全国の神社仏閣に無料で国家が贈り、あるいは半分売った。その総額はどれくらいの額になるか御存じですか。各所の山林から土地からすると、一年分の国民の税金を上回るだけの額でございますよ。私はこの際、神宮側の方に考えていただきたいことは、何もあなた方だけがどうということではありませんけれども、やはり日本国民の中には神さまという考え方があり、戦争に負けて弱った。弱ったけれども、一方では創価学会なんというものは何十億という建物を建てておるのですよ。何十億という建物をどんどん建てておるからといって、収支が償わぬかといって、何か営利事業をやっておるということは聞かぬ。金が足らぬ場合には、彼らみずから出て、そうして宗教の布道をやっておる。そうして宗教の力によって、みずからの力によって、国民多数の人々から集まってくる金で何十億のたいした工事をやっておるのです。こういうことからお考えになると、私は、どうも御返答なさることばの中に、何か貸してやっているのだ、学生も決してはねのけておるのではない。そういうおつもりはないかもわからぬが、そういう意味にとれるおことばがあった。こういうことは神宮側としても決して適切でないと私は思うので、そういう観点から、神宮側は、この野球場というものが国民の手でつくられて、自分たちが扱ってはおるが、やはり国民のものだ、そこで国民の人々がなるほど神さまのお庭だというつもりで使ってもらいたい、こういうお気持ちがありますかどうか。
  27. 伊達巽

    伊達参考人 神宮管理につきましては、制度は変わりました。急変いたしましたけれども、その本質は変わらないと確信をいたしております。したがって私どもは、制度が変わりまして、宗教法人法によりまして、組織を持ちまして運営いたしておりますけれども、決して私どもの個人のためにこれを運営しておる点は一つもございません。広く国民のしあわせのために使用いたしておるのでありまして、プロアマとの関係は、非常にプロというものが国民体育といいますか、アマチュアスポーツに悪影響を及ぼすようにお考えでございますけれども、これはただいまお話のございましたようなキャバレーであるとかダンスホールであるとかいうようなものとは性格が変わっております。それはプロ野球を観賞いたしますファンというものは青少年がたくさんおりまして、これは私はそんなに汚らわしいものであると思っていないのであります。  それから次に、創価学会のような経営のしかたは、私のほうではできないのであります。ですから、これはひとつ私のほうは全力をあげて、できるだけ仰せのようにその精神に、あなたの御趣旨に沿うように、もっぱら努力しておりますることを御了解を願いたい。
  28. 園田直

    園田委員 簡単に申し上げます。  世間が心配しておるのは、アマチュア野球はよくて、プロ野球は悪いからといっているのではありませんよ。野球のそういう本質に対する論議ではなくて、世間は神さまは特別だと思っている。神宮が、学生野球に貸すよりもプロ野球に貸したほうがいいか悪いか知らぬが、プロの取り分の多いところに問題があるのです。学生野球のように、ただでお貸しになるなら、その行為をさほどやかましく言わぬでしょう。なぜもっと多く学生に貸してやらぬかという議論で済む。お金を多く取れるところに問題がある。世間の人は、神宮は別個に考えている。それをあなた方が悪く考えてはいけませんよ。あなた方に対する尊敬が残っているから言うのです。明治神宮も官司も商売だと思ったら、だれも文句は言いません。  そこで、次に私の言うことは——とは言うものの、確かにあの膨大な外苑を持ち、あの財産を守っていくのには、経理上そろばんをはじけばいろいろな問題が出てくるでしょう。そこでその問題をほかの別個の方法で、たとえばいなかの地方のお寺では、ただお葬式の世話だけをしておってはいかぬので、みずから大衆の生活に飛び込んで、宗教と大衆とが結ぼうというので、若い僧侶の人がいろいな運動をやっている。そこで託児所や保育所なんかをつくっております。ところが、いなかのお寺は貧乏ですから、保育所がうまくいかぬ。そこでこれを公立の保育所にして補助金がもらえるような方法を、育児所と別に切り離してやっているところもあるのですから、また神宮としても、学生便宜をはかっていくようにする。ほんとうにわれわれから見たら、浮き世離れた、そろばんを忘れた行為をなさっている。そのために神宮が食えぬというようなことになれば、別途幾らでもお金を出す方法はあると思います。またそれをやって初めて日本の神社、神道というものは、新たな観点から若い世代の人々に、神宮がながめられるのであって、時代が変わったからといって時代からおくれないように、おつらい点もありましょうが「そのままやっていかれることは、神宮というものの将来のためにもよくないと思います。やはり神宮にも若い人が参詣をして、おさい銭をあげて、それでいくという気持ちになるようにやるのには、ほかにいろいろな方法があると思う。そういうことを研究して、そうして学生野球学生野球で自由にできるし、神宮のほうの経理もうまくいくように何か方法はないか、それを研究するのが私はこの委員会だと思う。そのためにわれわれは質問を続けておるのです。プロ野球が悪いから学生野球がどうだとか、そんな野球の論議を宮司から聞こうとは思わぬ。そんなものを聞くのなら、藤田さんや野球の専門家から聞く。あなたはのりとを知っていればいい。野球のことなんか言うことはない。
  29. 伊達巽

    伊達参考人 御説は伺いましたが、いまの段階で、私のところでは一番いい方法をそこに見出しておりますのでありまして、ほかにいい方法はございません。しかも、重ねて申しておきますが、学年の野球には、一〇〇%のワクをとりまして、それは多少の関係はございましても、これは互譲の精神をもって広く国民のみんながあそこで仲よくスポーツを進めていくということを私どもは望むものであります。
  30. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 本日は小川委員並びに園田委員から非常に熱心な、しかも神宮の将来を思い、学生野球の本質論について小川君が話をし、また園田さんからは神宮のあり方のことについて、ことにその主宰者としての伊達さんの心がまえについてお問い合わせがあって、非常に格調の高い御議論でありました。全然われわれは打ち合わせもしないのに、こういう格調の高いかつ今回の神宮球場問題を通じての学生野球のあり方などにつきましてお説を拝聴することができたことは、私、両君に非常に敬意を払うものであります。少し言い方はどうかと思いますが、次期政局における有力なる閣僚候補の両君からかような話を聞いたことは、愉快千万であります。  そこで、私は、この前の続きですから、まず第一に、伊丹さん、専門委員会はその後開きましたか。
  31. 伊丹安廣

    伊丹参考人 開いておりません。
  32. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 この間の委員会におけるわれわれの発言並びに世論にかんがみて、ことにいま小川園田両君の意見はもっと強い御議論であったわけですが、そういうことを反省して何らかの対策を立てようというような考えはあるのですか。
  33. 伊丹安廣

    伊丹参考人 専門委員会の構成メンバーを見られましても、学生関係は八名、神宮関係が三名、社会人野球が二名、これすべてアマチュアでありますが、学生から出ておられる委員は全部各連盟の代表者であります。その方と協議し合って万遺漏なきを期したいと思っております。
  34. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 片桐参考人に伺いますが、先般あなたが私の質問に対しましてお答えになったことは、実は私は非常に意外に感じたのです。意外に感じたけれども、それから何か出てくるだろうということで、この間は打ち切ったわけです。つまりあなたの御発言によるならば、「新聞記事を見て、われわれはちょっと伊丹さんの勇み足じゃないかと思いました。」そして「プロの七十試合ないし八十試合というのは、専門委員会では決定しておりません。」こういう発言をされております。これは間違いありませんか。この機会にあらためて御質問を申し上げます。
  35. 片桐勝司

    片桐参考人 間違いありません。先ほど協会藤田さんが申し上げたように、春のだけきまりまして、あとのはきまっておりません。
  36. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 たいへん心強く思います。そこでわれわれとしても質問を続けていきたいと思うのです。  今度は金子参考人に伺いますが、先般あなたは、「この点につきましては、東都大学としては不満であるということはいなめない事実でございます。」と答弁されております。しかし、その後われわれが新聞の見出しだけで読み、中身もむろん読みましたが、見出しだけでは東都大学についてては、専門委員会では、片桐さんによればまだ決定しておらない、伊丹さんによれば、それは満場一致できめたけれども、しかしなお最終スケジュールについては話をするということでございまして、多少ニュアンスに違いがあります。あのことについて東都大学では何かその後会合を開いておきめになったように伺っておりますが、その詳細をこの席上で伺っておきたいと思うのです。
  37. 金子文六

    金子参考人 先般のこの委員会で申し上げましたように、東都大学連盟といたしましてもプロが入ってくることについては決して双手をあげて賛成するという態度ではないのであります。少し長くなるかと思いますが、東都大学理事会においてきめられましたことを文書にして持ってまいりましたので、ここで朗読させていただきます。   神宮外苑国民いこいの場であることは衆知の事実であります。そして、この外苑内にある神宮球場学生野球のメッカとして、この球場試合をすることこそ、全学生のあこがれの的であります。そしてまた、このことは、神宮の森に対する国民感情に一致するところでありまして、時代がいかに移り変わりましても変わることはないと確信いたしております。   東都大学野球連盟の一部六校は、幸いにも、長年にわたり、東京大学とともに、この神宮球場で春秋二シーズンのリーグ戦を行なってまいりました。ところが、昭和四十年度は、国鉄がこの球場で全試合を行ないたいと神宮側に申し入れ、神宮側は、国鉄の要望をいれ、全試合神宮球場で消化することを認めてほしいというのであります。神宮側の説明によりますと、野球場をはじめとする外苑の維持管理に多額の資金を要し、このため、国鉄に使わせて収益をはからないと外苑の経営が成り立たないばかりでなく、神宮第二球場建設費四億五千万円の借り入れ金を返すことができないというのであります。地主の神宮側からかかる窮状にあることを訴えられますと、決して好ましいことではありませんが、むげにこれを退けることはいかがと考え神宮側に協力しよう、そのために東都の試合運営が、試合時間を繰り上げる等大きな犠牲を払わざるを得ないことになり、まことに遺憾のきわみではありますが事情やむを得ないであろうということで、東都側は神宮の御要望をいれることにしたのであります。   なお、これにつきましては、去る九日の当委員会におきましては、伊丹外苑苑長代理の御説明にありましたように、学生側の使用日数は百二十九日で、そのうち東都の使用日数四十五日間はすでに確保してあるということであります。当委員会の公の席上においてこのことがはっきり確認されたのであります。   これを要するに、東都側としましては、こまかいことは別として、不便、不都合はあるが、従来どおり試合ができるなら、神宮の窮状打開に協力し、その御要望をいれざるを得まいということになったのであります。決して東都側がプロの入ってくることを無条件に認めたとか双手をあげて賛成したとかいうのではありませんし、このたびの真にやむを得ないとする神宮の御要望にも喜んで応ずるというのでもありません。以上でございます。
  38. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 ただいまの全文はしっかり全部私は頭に入れたわけではございませんけれども、大体はわかりました。  そこで金子さんに、続いて御質問しますが、神宮財政の窮状からして、したがって、そのやることに協力をしなければならぬということであって、それは東都大学野球試合が従来どおり確保されるということの条件を出しておるわけですね。東都大学野球は従来のように確保されるかもしれぬけれども、あるいは時間の繰り上げというようなことが行なわれる。これは小川さんが先ほど明快に指摘したように、学生の本分である学業に影響するというふうにあなたは思われますか。
  39. 金子文六

    金子参考人 ただいまの点は、学生野球として時間を繰り上げて行なわなければならない、かようなことは、学生野球の本旨に反することは言うまでもないところであります。したがって東都大学連盟といたしましても、プロの入ってくることに決して賛成はしたくないのでありますけれども、ただ現在東都大学試合の消化をいたします上に、今日球場の少ない現状では、さようなことも事実上やむを得ないのではないか、現実に即してものを考えざるを得ないのではないか。まことに遺憾千万でございますが、涙をのんでこれを行なわなければならないのではないだろうかということなのであります。決して学生たるの本分を忘れたとかいうような意味では絶対にございません。
  40. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 たいへん衷情を披瀝されて、現実論とそれから理想論を言われましたが、私はそこがやはり小川議員のついた今度の問題の焦点の一つだというふうに思っております。したがって、あなたにもう一度申し上げますが、そういう現実論は、やむを得ざる今日の実情から妥協せざるを得ないのであって、でき得べくんば、また当然学生野球がこれを学業に支障のない時間において使用することが適切である、それが本筋であるというふうに考えていられることには相違はございませんね。
  41. 金子文六

    金子参考人 ただいまの御意見に対しましては、全く同感でございます。ただここで、ここまでこの理想の実現について御心配をいただいております当委員会の議員諸公に対して衷心からお願いを申し上げたいのは、学生が土曜、日曜に試合をするということが本旨で、たてまえでございます。それができないのが現状でございます。これを何とか議員諸公のお力によりまして、実現できるように、お骨折りを願いたいのであります。
  42. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 非常に明快にお話しをいただきましてありがとうございました。  私は、この問題が提起をされたのは一つの根拠があると思うのです。それは衆議院の文教委員会が、三十八年七月六日に、第一球場と第二球場の問題が起こったときに勧告文を出しておる。それはあまり詳しくは読み上げませんが、「明治神宮外苑は、全国民の心からなる奉賛により造設されたもので、国民体育の発祥地であり、特にアマチュアスポーツの中心地として永い歴史と伝統を持っています。このような歴史的に由緒ある明治神宮外苑施設が、収益を主目的とする私企業にみだりに利用されることは、国民感情としても許し得ないところであります。」これは文教委員会全員の賛成を得て、懇談会の形で床次徳二君が代表となり起草したものであります。  そこで私は立場を明らかにしておきます。将来五年の先、あるいは十年の後には完全にプロ野球というものをあの神宮外苑からむしろ締め出す、ということばは言ったらいかぬかもしれぬけれども学生野球のメッカとして、学生野球があらゆる方法を講じて、六大学とか東都大学だけに限らず、全日本学生野球選手権なども総当たり制でやるようなくふうをして、ほんとうにそのメッカにしてもらいたい。だから、プロ野球使用というものは五年後にはなくなることを前提にして、ものを考えているのですけれども、しかし今日の現実からして、夏場に学生野球が全然使用しないときに、プロ野球もやっている、夕涼みがてらわれわれも見に行きたいということならば、これは決して悪いことではないと思っておるのです。けれども現在の問題の核心は、この三十八年七月六日の衆議院の文教委員会の勧告が出て、それ以上にプロ野球が侵入してくるということは考えていないのです。だんだん逓減させるつもりなんです。七月六日の事態以上に学生野球の神聖が確保されるべきものだというのが、これは参議院が入っていませんから、日本国民全体の意思とはいえないけれども、少なくとも国会の勧告を軽視しておるということになるので、私は結論から申し上げると、プロ野球使用しようとしておるところのシーズン中の十四試合というものは論外である。夏場でもだんだん逓減していって、三年後、五年後にはなにしなければならぬと思っておりますが、財団法人日本学生野球協会会長であった大浜信泉氏にあてて、この勧告はなされておる。学生野球協会は、きょうは藤田さんが代表で来ておられるが、あなたはどう思いますか。東都大学と全然同じお考えですか。
  43. 藤田信男

    藤田参考人 全く同じ考えでございます。野球としましても、現在のような形になっておりますのは、一応そのときの文教委員会のお説に従いまして、従来の行きがかりを水に流して、そうして双方でよく話し合ってやっていけというようなおことばがあったと思うのです。その線に沿ってやっているつもりでございます。
  44. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 そこで、少し財政の問題もこの際浮き彫りにして御質問申し上げて、その解決策にもわれわれは協力しなければならぬというふうに私は思っておるのです。  神宮外苑から出された資料によると——あなた、これを見て答えてください。私、さっきから勉強してきた。三十九年度、つまり去年の収支見込み計算、三月三十一日じゃないとまだ全部終わらないわけですが、これを見ると、非常にふしぎなのは、野球場、テニスコート、水泳場、スケート場、軟式野球場及びテニスコート、児童遊園、売店及び食堂、これは収入と支出では、収入が全部上回っておる。それで絵画館の経費、庭苑、それから第二球場が収入よりも支出のほうが多い。本部の経費、これは人件費でしょうから問題外ですが、三千百万円は要るでしょう。そこで問題は、いろいろ聞いてみますけれども、絵画館の経費というのは、いままでは、ずっと見てみると、収入のほうが多かったですね。ことしはどうして少なくなってきたのですか。そして支出が非常に多い。それから庭苑も千八百万円とふえましたね。私いまここへ来るまでに皇居前の広場のことについても厚生省から資料を取り寄せて、その検討をあとでしてみますけれども、千八百万円とふえている。それから減価償却費の七千九百十万円というのはおもに何ですか。この三つ。
  45. 湯本四郎

    湯本参考人 お答えいたします。  三十九年度はここに書いてありますとおり見込みでございまして、まだ決算をしてございませんけれども、これは大体十一月末現在の計算をそのままあれしてありまして、これはまだ決算をしてございませんので、この支出のほうには多少資本的支出になるものも入っております。純粋の経費ばかりでございません。これは決算で振りかえますから、振りかえますと三十八年度のように姿が変わると思います。
  46. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 まだ二月の十九日ですから、それはわかっていますけれども、絵画館の経費などはいままで収入のほうが多かったのに、何で支出のほうが多くなったか。私が見ておるところでは、オリンピックで相当外人も来、この間絵画館に入ってみたけれども、展覧しているものも多いように思う。何で支出が多くなったかということを私は聞いておる。庭苑は千八百万と、うんとはね上がったのは何か。それから減価償却費というのは何か。これは支出の部ですね。
  47. 湯本四郎

    湯本参考人 絵画館の収入は、オリンピックがあったにかかわらず上がらないのはどういうわけかという御質問でございますけれども、オリンピックにおいでになりました十一月末までの実績をここに書きましたものでございます。支出のほうはいま申しましたように、この中にはまだ資本的な経費、純粋な経費でない資本的支出になるようなものがまだ入っております。これは決算のときにこれから振りかえまして、純粋な経費だけを出すことになります。
  48. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 たとえば三十八年度では、絵画館の収入は八百七万二千二百八十円で、支出はわずか五百十一万で、三百万オーバーしておったのが、ことしは少なくなったのはどういうわけか。見込みにしても、支出が多くなったのはどういうわけか。
  49. 湯本四郎

    湯本参考人 この支出は、純粋の経費は大体去年と同じぐらいになる予定でございます。いま一千万となっておりますけれども、この中には経理計算上振りかえなければならない資産もまだ含まれております。もちろん絵画館の経費の中で、オリンピックのためにふえておりますものはたくさんございます。
  50. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 私は三十九年度の収支見込み計算と、前の三年度のとが、どうも違うように思うのです。結局これは野球で相当収入をあげなければカバーできないのだというので、支出見込みを水増しして出してきたのじゃないかという疑いを、未だ言わなかったのですけれども持っておるのです。
  51. 湯本四郎

    湯本参考人 三十九年度の見込みの中には、じゅうたんを取りかえたとかあるいは壁を塗りかえたとか、そういう大きなものが入っております。オリンピックのためにじゅうたんを全部とりかえまして、内部の壁も全部塗りかえたのです。
  52. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 それから庭苑はどうしてこんなに……。
  53. 湯本四郎

    湯本参考人 庭園は、噴水をつくりましたり、それからあの前のさくのまわりに植え込みを全部いたしました。オリンピックのために相当費用がかかっております。
  54. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 これは官司に伺いますが、オリンピックのための経費というものは、あれだけ資金財団でも余ったわけですね、そのときに、臨時の支出として組織委員会とかあるいは資金財団に要求しましたか。
  55. 伊達巽

    伊達参考人 十分に折衝、要求いたしましたけれども、なかなか辛いのです。なかなか思うようにはいただけません。詳しい数字を私記憶いたしませんけれども、なんならば申し上げてもよろしいが、あの周囲に植木を植えるのに相当たいへんな金もかかりましたけれども、これはくだらないのです。あそこに緑地をつくりますので、オリンピックに直接使いますから、ようやくあれはもらったのです。けれども周辺をあまり乱雑にしておくわけには私のほうとしては体面上できませんから、噴水を修理して盛んに水をふき出させるというようなことには、相当の経費がかかっております。ですからもしお疑いになるならば、もっとこまかい御説明をしてもよろしいけれども、あまりこまかい話になりますから。そういう次第で、収入は、たとえば絵画館にはいろいろ事務所ができましてお貸ししたのです。ですから、あまりお客さんをたくさん招致するわけにもいかないし、御想像以上に入館者の収入は少ないのでございます。
  56. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 そこで私が疑いを持ったというのは、本質的な疑いというよりも、質問をするにあたっての一つの疑問ですね。そういうことならば、また逆にオリンピック期間中において、あなた方がとにかくオリンピックのような大事業をやるんだし、それには神宮外苑は国立競技場があり、国立競技場がなければ、オリンピックなんかできやしない。あれが中心です。あとは付帯施設だったのですから、そういうものと密着しておる神宮外苑の保持について、もっと世論を盛り上げる方策を講ずべきであったと私は思うのです。それを野球場にぶっかけてきて、しまいにはプロ野球の金をもらわなければとても運営できない、そういうことになってくると、よほど頭のないやり方だと思う。  それで非常に明らかになってきたのは、絵画館経費、庭苑経費、これらは三十八年度までは収入のほうが多かった。しかるにこれが、とにかく両方合わしてで、千万ほど食い込んできた。それから減価償却費の問題から、どうしても野球で本年は三千九百万ほどもうけなければならず、そうして来年はさらにもっと収益をあげなければならぬというはめにあなた方は追い込まれたと思うのです。そういう意味で、いまから言うと、死児の齢を数えるようですが、問題の投げ方いかんによっては、当然オリンピックの費用の中で十分盛り込めるし、またオリンピック資金財団が十億二千万円という金を余した際に、外苑は荒れていてはいかぬというので、あれだけの支出をしたのだから、何とかしてくれと言ったならば、当然国民世論となって、スポーツ振興資金財団の金などは、前田君にもっとねじ込めば、だいぶ余っておるんじゃないですか。日本武道館なんかに二億やることはないのだ。これは半分でもよかった。——これは訂正するが、武道館に二億やってもいいけれども、もう少しそっちに回してもいいくふうもつくわけだから、そこに問題点があると私は思う。  もう一つ伺いますが、神宮外苑の周辺はかなり荒れていますね。高速道路が通っておる付近は非常に照明も暗いし、あるいはアベックさんたちには非常に有利な場所を提供しておることに結果的にはなっておるかもしれぬけれども、やはりもっと明るくする必要があると思う。厚生省に、いま皇居の広場にどのくらいかけておるかと聞いたらば、管理費に千三百万円。施設費に二千六百万円。これは、外苑と違って、収入は一つもない。しかし一たび国が、あれは重要なものだときめれば、場合によれば、神宮外苑の並木道あるいは庭苑は政府自身でやるという決断もつくわけです。そこで、経営の苦しいのを全部野球場でやろうというところに、この問題の苦労の種があるんじゃないか。こういう点でどうですか。
  57. 伊達巽

    伊達参考人 たいへん明るくしておるつもりなのに、暗いとおっしゃるのですが、ごらんのとおりに荒れております。まことにこれは申しわけないと思います。  それからオリンピックの余剰をくれてもいいというお話もございました。まことに御配慮のほどを感謝いたす次第でありますが、ここにあげました数は、これはオリンピックがございましたから、年々このとおりにはまいらぬと思います。ですから、オリンピックのございましたことしだけをこうして他から補給していただきましてもこれは簡単にいかないのです。やはり恒久的に安定した管理資金というものを確保することが重要なのでございます。そういうようなわけであります。
  58. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 あまり満足な答弁ではありませんけれども、問題をもう少し掘り下げて、そしてわれわれの考えておるところにだんだんと近づけようと思います。  伊丹さんに伺いますが、たぶんあなたが一番よく知っているでしょう。国鉄が使う夜間試合シーズン中の夜間試合です。これによってあがる収益、そしてそれは寄付されるわけでしょうが、大体どのくらいに見込んでおりますか。
  59. 伊丹安廣

    伊丹参考人 大体五千九百万ぐらいであります。
  60. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 全体としては、この前お話がありましたか一億幾ら、つまり夏場のデーゲームあるいは夜間試合学生等のやっておらぬときに、五十六試合ですかね。
  61. 伊丹安廣

    伊丹参考人 いや、私、申し上げておりません。
  62. 湯本四郎

    湯本参考人 この前のことについて、私からお話し申し上げます。  この前私は、総費用はどうかというふうに聞き違いをいたしまして、メモに書きまして伊丹参考人に渡しました。あとであれを読みましたら、費用でなくて使用とか使用料という感じなので、私は聞き違いをして伊丹参考人に一億九千万円という数字を渡したので、それは使用料でございましたら、一億九千万円と渡しましたが、二億五千万円でございました。間違ってすみません。
  63. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 入る収入は幾らです。
  64. 湯本四郎

    湯本参考人 総収入が二億五千万円であります。これは年間でございます。
  65. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 来年度の外苑全体の予算としては大体どのくらいに考えられておりますか。去年の三十九年度はここにあるように三億八百十万ちょうどですね。三億八百万とそれに今度二億五千万などという金が入るということになると、収入は相当なものだな。
  66. 湯本四郎

    湯本参考人 いま二億五千万円と申しましたのは、大体三十七年、三十八年の平均で、総収入は二億五千万円であります。これはお手元へ提出してあります資料の三十七年、三十八年の収入を合計して半分に割っていただきますと二億五千万円になります。それをいま私は申し上げたのですが、間違っていましたら……。
  67. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 いやいや、それは全然違うので、問題になっておるのは、昭和四十年度から国鉄が使用して、そしてそのことによってあなた方が得られる収益は、つまり寄付金になりますか、それは何になりますか。
  68. 湯本四郎

    湯本参考人 野球だけでございますか、それは四十年度もことしと大体同じくらいではないかと思っております。
  69. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 そんなことはないだろう、五十何試合が七十試合になるのですから……。混乱しているな、あなたは。
  70. 湯本四郎

    湯本参考人 少し多くなりますが、ここには、三十九年度にも書いてございます、野球場収入は七千三百万円となっております。これはもちろん学生からアマから全部入れましたものでございますけれども、このうちの五千九百万円がプロでございます。
  71. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 いままで三十九年度は七千三百万、ところが今度は十四試合、つまり学生野球シーズン中に使う十四試合が一番問題になっておる。もちろん夏場もわれわれはなるべく逓減したいけれども、その十四試合が解決のめどなんですから、その十四試合は幾らだと言ったら五千九百万と言った。
  72. 湯本四郎

    湯本参考人 それは、ちょっと御説明申し上げます。  三十九年度においては、五十九試合のものがこの三十九年度の収入に入っております。それは東映も入って、三十九年度においては五十九試合入っております。それで日数におきましては、三十九年は五十二日でございます。
  73. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 何かどうも、経理は詳しいのでしょうけれども質問者もまずいのかもしれぬな。けれども、ふえる。つまりいままで夜間試合シーズン中にはやらない。それが入り込んできて、七十試合のうち十四試合というものになった。国鉄の全日程が神宮球場で消化されるということが問題になっているわけですから、それを聞いておるわけですけれども、とにかくもう少し整理をして、国鉄が使う分で本年はどれだけ、その予算書を見せてもらわなければいかぬですな、いままでの経過だけじゃなしに。そうするとわれわれの立論も非常にはっきりしてくると思うのです。
  74. 大石武一

    大石委員長 いまの川崎さんの資料要求に対して、どうですか。
  75. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 本年度の神宮外苑の予算です。そして国鉄に……。
  76. 大石武一

    大石委員長 きょうでなくてけっこうですから。
  77. 湯本四郎

    湯本参考人 四十年度のはまだ立ててございません。
  78. 大石武一

    大石委員長 それでは、いま川崎さんの御要求どおりあとで御提出できますか。
  79. 伊達巽

    伊達参考人 四十年度ですね、よろしゅうございます。
  80. 大石武一

    大石委員長 あとで出すそうでございますから……。
  81. 伊達巽

    伊達参考人 ちょっともうぺんあなたの御質問の要旨を——ひとつよくメモしておいてください。
  82. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 いや、簡単です。神宮外苑の四十年度予算というものを出してくれというのです。
  83. 伊達巽

    伊達参考人 これはまだ編成中でございまして、早急に確答申し上げるわけにいきませんが、編成いたしましたらまた提出いたしましょう。
  84. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 ぜひ出していただきたいと思うのです。いま二月十九日ですよ。やはり四月一日から実施する予算ですから、どこの団体でも早いところは昨年中、政府の予算でも審議しているだけで、予算ができたのは十二月二十八日です。ですから、できているころではないか。少なくとも予算の大綱ぐらいでもいいですから、大綱ぐらいは次の機会までに出していただいて、それで審議すればさらにわかる、こう思うのです。  いろいろ伺いましたが、しかし最後に、せっかく御出席いただいておるわけですから、島岡さんにもぜひ一問お伺いし、さらに伊丹さんに最後にお伺いして私の質問を終わりたいと思います。  島岡さんは、先ほど以来の小川委員発言園田さんの発言、つまり学生野球のメッカとしてこれはあくまでも保存しなければならぬ。そして、私が言うておりまするように、少なくとも学生野球シーズンの最中にその日程に支障のあるようなことではいけない。望むらくはシーズン中はプロ野球には貸さぬ、春秋のシーズン中には貸さぬという方針に賛成であるかどうか。それは賛成であるかどうかということだけでいいですけれども、あなたが見ておられる神宮球場観というものと学生野球のあり方についてぜひ御高見を承れれば幸いであります。
  85. 島岡吉郎

    島岡参考人 いまの川崎先生からの御質問に対してお答え申し上げます。  もちろん私どもは、シーズン中であるとないとにかかわらず、あそこがプロ使用されるということについて望ましいと思っておる者は、おそらく学校関係者に一人もないと思います。  ただ、ここで皆さまに特に、逆にこちらのほうから御質問するようなかっこうになって失礼かもしれませんが、この前の文教委員会懇談会のほうからいろいろ御勧告がございました際には、私どものほうではそうさせていただきたいということを強くお願いした次第であります。特に私は東京都の高等学校野球連盟の副会長をいたしております関係上、大学試合が午前十一時とかいうようなときに行なわれますことは、高等学校野球の運営上重大な支障を来たす。ということは、私どもは、高等学校野球におきましては平日試合をいたしましたといたしましても、両校の校長の許可と、放課後であることを絶対のたてまえといたしておるものでございます。したがって、やりまする試合は、高等学校は六大学なり東都大学と違いまして夏季休暇に多く行なわれますので、神宮球場の現在立てておられますスケジュールからはみ出される、そういう憂いは絶対ないのでございます。これはどういうことかと申しますと、もちろんこれは休暇中に行ないますのでプロ野球とかち合うということはございません。この点ははっきり申し上げておきますが、ただ、大学試合が十一時ごろに行なわれるというようなことになりますと、同じ日本学生野球協会の傘下におきまして行なっておりまする高等学校大学、この二つのことにつきまして、ときたま高校生から質問を受けるわけでございます。それも強い質問を受けるのです。どうして大学は十一時ごろからやっているのか、特に六大学のような先進連盟が十一時ごろからベースボールをやるということは最もけしからぬじゃないかというようなことを、特に都内の野球部長から質問を受けるのでありますが、私はそのたびに苦しい言いわけをしなければならぬ。東京球場が少ないためにどうしてもこうなるのだということを申してお茶を濁しておるような次第でございます。この機会にどうか、大きな東都大学であるとかあるいは六大学であるとかいうような連盟の試合というものは、社会人の納得のいくある一定の時間にやるべきが当然のことであると思うのでありまして、この点を特にさような野球のできるような方法に皆さまのお力を得てひとつやっていただきたい。  なお、この問題が起きましたときに、議員さんの中からこういうおことばも私どもにあったのであります。この球場は六大学の優先——大学ということばは書類の上において特に使われておりませんが、六大学の優先ではあるけれども独占ではない、したがって六大学東都大学も使っていないようなときにプロにも貸してやらない、何にも貸してやらないというようなことを言うと、あまりにも六大学の専制のように見られるから、こういうことは特に注意をしてほしい。つまり、あいておるときは十分貸してやりなさいということばなんです。それを私どもは共存共栄というふうなことばに受け取りまして、過去の対立は水に流してというようなことなので、十分こういうスケジュールについてもいろいろとあれして、ただし先ほど片桐さんからも申されましたように、もちろん神宮側の何か発表の間違いではないかと思うのですが、とても七十試合をあそこで認めたというような段階には至っておりません。特に六大学の内部におきましても、相当強い意見で、平日授業のある日には当然社会人の納得のいく時間に試合を開始すべきであるという議論が相当強かったのです。この点をはっきり申し上げましてお答えといたします。
  86. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 この際片桐さんからも、この前のような私の誘導的な質問でなしに、あなたの信念をひとつ聞かしていただきたい。そうしたらば、大体この問題の行くえというものは方向がきまってくるのではないかと思いますから、ぜひ御所見を承りたい。
  87. 片桐勝司

    片桐参考人 これは先生御存じですけれども、一昨年の文教委員会の例の問題ですでに神宮側が調印した第二球場プロ専用球場にするというのを、これは学生専用球場ということになりまして、それでそのために一部国鉄がやることを協会としては認めたわけです。したがってそのためにこれがお互いに譲り合って共存共栄の道をはかるということで、六大学もある程度の犠牲を払うのはやむを得ないということでやってきました。ただ私思いますのに、先ほどからの御発言の中に、園田先年がおっしゃったように、これはあくまでも国民のものだということがわれわれの信念でありまして、したがって文教委懇談会からも、いままでの独善的な運営はやめて、各方面からの者で専門委員会を開いて、事日程に関しては専門委員会が審議決定しろという御勧告を受けているのであります。これはその前も専門委員会がありましたけれども、単なる諮問機関で、東映が入り込んでも何らの文句を言うことがなかったのです。そんなことでこの勧告を受けまして、神宮スケジュールは、たまたまこの間は春の六大学シーズンの問題だったのですが、専門委員会である以上は、当然三月から十一月までの全部の日程に対して皆さんに負託された責任を持って決定をしなくちゃいけないと思います。したがって神宮の立場も考え、それから学生野球の立場をも考えて最もいいスケジュールをつくろうというのがわれわれ専門委員としての役目だと思っておりますので、したがってこういうふうにきめてしまうとかということは、これはちょっと事が行き過ぎているんじゃないかと思います。そういう方針専門委員としての役目を果たしたいと思っております。
  88. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 それぞれ御意見を承りまして、だんだん問題の中心点も浮き彫りにされ、解決の方法もわれわれとしても考えております。専門委員会がまだその後開かれておらぬ。この前伊丹さんの言われたようにあれは中間決定であったということでありますので、最終のスケジュールがきまるまでには衆知を集められて、世論にも聞いて処理をされたらいいと私は思います。しかしそれまでには、わが体育振興委員会でも与野党を問わずいろいろこの問題について突っ込んだ相談をしまして、一つのまとまった線が出るならば、ぜひ先般の文教委員会のまたあと始末として収拾に努力をしたい、こういうふうに思っておるのです。  ただ私は伊丹さんに、あなたが一番苦しい立場にあられることは同情しています。けれども、あれが最後のもので全然ひるがえすわけにはいかぬのだ——これは現在医療費の問題で立たされている神田厚生大臣とほぼ同じような立場だけれども、あれは予算がきまったので党はやむを得ないけれども、法律の執行に当たってはまた世論にも聞かなければならぬのですから、あなたのようなかたくなな考え方でこの問題を処理してもらっては私は困ると思うのです。  そこで、ただ一つ申し上げたいことがある。やはり学生野球とかアマチュアリズムというものの擁護のためには、その中心的立場に立った者はからだを張ってやはり擁護しなければならぬ。あなたの立場はラグビー協会会長の香山蕃君の立場とほぼ同じです。それは日本学生野球協会会長は違う人でしょう。しかし、神宮野球との関係からいって、伊丹安廣というものは断じて抜くべからざる存在でもあるし、実力者だ。そういう意味でぜひ考えてもらいたいのは、あのオリンピック大会の選手村と、それから室外競技場の決定のとき、一時室内水泳場並びにバスケット場をラグビー場に振りかえよう、あの秩父宮ラグビー場をつぶして、そうしてあそこへなにを持ってこよう、そして選手村は朝霞に決定しようとしたのです。あれはその当時体育界あげての非常な問題であった。私は当時議席がなかったので、十分に表面立って問題解決の衝に当たれなかったけれども、しかし香山君にも助言をし、また関係者にも助言をして、朝霞みたいな遠いところへ選手村を持っていったら必ずオリンピック大会は失敗する、その往復だけでもたいへんなものだ、そうして最後に秩父宮競技場などを買い上げる、取り上げるということになれば、これは非常な大問題になるのじゃないかということを裏から警告したのです。幸いわが党のなくなった故大野伴睦氏なんかは、やはり政治とスポーツの微妙な関係もわかられて、われわれの忠告を聞いて、何も選手さまのお通りのために甲州街道を遮断するようなことはもってのほかだ、オリンピックも大切だけれども、都民の足も大切だ、オリンピックを十分に運営するためには、代々木に選手村を置いて、そしてラグビー場を買い上げるなんということはやめようじゃないかということで、選手村は代々木にきまり、そして選手村に隣接をして、今日丹下健三君が国際オリンピック委員から表彰されるような建物をつくって、オリンピックは有終の美を飾ることができたと思うのです。しかしその間における香山君のがんばり方は、たとえ大蔵大臣が来ようとも、当時水田君だったと思う。一時はあれを買い上げるというので、水田君や荒木君がいっても、絶対に——秩父宮ラクビー場はラガーの血と汗で築き上げた競技場だ、代々木に選手村を持ってくることがもう目の前に明らかになっておるのに、なぜそういうびほうの策を講ずるか、彼は断固としてきかなかった。そのために一転して選手村の問題も片づいたという先例もあるわけです。あなたはやはり香山蕃君のように、アマチュアリズムに徹底して、ここは学生野球の本場であり、メッカであり、シンボルであるということでがんばるならば、私は決然として道は開けてくると思う。財政上の窮局は、これは国会関係者その他が多くいることですから、これほど問題になれば、解決の方法は、あとで香山君なども国民野球場なんというものを提案するかもしれぬ。そういう最後の道もある。しかしまだそれまでにはほかの方法でも解決する方法があると思うのですから、どうか世論というものをよく聞いて、そしてもう一度専門委員会を開いて、そして最終決定に持っていくように努力されることを私は望みたいし、その気持ちはありますか。
  89. 伊丹安廣

    伊丹参考人 いま川崎さんから、いろいろ学生野球擁護で、香山さんのようにがんばれということを言われました。私はそれでやっていくつもりです。ただ私は、外苑の一人の責任者として、理想は非常にあっても、経済的にこれが実現できない場合が多いのです。その点遺憾に思いますし、私の無力を非常に情けなく思います。  それから専門委員会のことですが、先刻も申し上げたように、専門委員はほとんど学生の各連盟から出ておられる代表でありますから、よく協議しまして、りっぱなスケジュールを組みたいと思います。
  90. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 たいへん力強い発言がありました。  最後に、前田局長にだけ伺っておきます。オリンピック資金財団が変わって、スポーツ振興財団ですね。あの金は一応四億か何か分けて、あと何億か積み立てておりますね。それと、本年からまたスポーツ一般の振興のために募金をすることになったわけですね。それで私申し上げたいのだが、今後のスポーツ振興というものは、体育協会の外郭団体をスポーツ振興財団がつくると思ったらそれは大間違いで、それは設立の趣旨にも明らかなように、スポーツの大本山である体育協会をはじめ、その他のスポーツに努力をする団体にも、これから集める金は振り向けるということであろうかと私は思うのです。そういうような場合に、学生野球というものは十分対象になりますね。学生野球が窮乏しておるということには——本年の何月からか始まるスポーツ振興財団の募金活動、そしてその目的は体協だけではなしに、たとえば労働組合も場合によっては対象にもなるし、青少年団体のスポーツ活動あるいは国をあげての遠征というものも対象になるし、学生野球が当然対象になると私は思うのだが、それだけ伺って私の質問を終わりたいと思います。
  91. 前田充明

    前田政府委員 スポーツ振興財団ができまして、その規程を実はきょう持ってまいっておりませんので、規程をお読みするわけにいきませんが、方針といたしましては、日本体育協会その他の法人で、スポーツ振興をしようとするような事業に補助をする、そういう相当広い意味方針になっておりますので、御了承いただきたいと思います。
  92. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 そういうこともやれる、当然そういう範囲に入ると解釈していいのですね。
  93. 前田充明

    前田政府委員 ただし、法人格を持つものの行なうスポーツ振興の事業に補助をするという考え方でございます。
  94. 大石武一

    大石委員長 海部君。
  95. 海部俊樹

    ○海部委員 先輩議員の御質問でいろいろ問題点も浮き彫りになってきたように思いますので、私は、問題がやや飛躍するかもしれませんが、私個人の考えておりますことを率直に申し上げて、関係者の皆さんの御意見を承りたいと思うのです。この前の委員会でも、きょうの委員会でも、伊達さんのおっしゃいましたことは、もう学生野球を最優先でやってやる、春秋のシーズンは一〇〇%ワクをとったから絶対心配はない、保証されておる、こういうことで貫かれておるわけでありますが、学生野球の代表の方々の御意見を聞いておりますと、どうもそうばかりでないような気が私にはしたわけであります。現に、きょう初めておいでになっておりますが、島岡さんのおっしゃったことばの中にも、六大学スケジュールにも相当しわ寄せがこようが、特に東都は苦しいだろうという御意見を私新聞でも読んでおりますし、そうなってきますと、たとえ今回百歩譲ったとしても、プロ野球の開始時間を非常におくらせるとか、あるいは金曜日は球場整備のために絶対使わせないと言っておられた、これを使うようにして今回だけはこれで話がついたとしても、私はこの問題の根本的な解決にはならぬと思います。同時に、学生野球のメッカでありますけれども、大切なことは現在これは学生のものでもございませんし、国家のものでもない、そういうことになりますと、借りるほうと貸すほうの立場でいろいろ覚え書きを取りかわしておきましても、そういった覚え書きというものは、そのできたときの精神から離れまして、フランケンシュタインの復活のように、だんだんだんだん強くなって、じりじりと、今度はまたこういう事態が起きた、また経営が苦しくなった、こういう新しい問題が起きたということで、だんだんプロのほうに力が入っていくんじゃないかという懸念を私どもは持つわけであります。現に去年からことしにかけてのプロ野球使用料なんかを見ておりましても、将来はそうなっていくんじゃないかというような疑いすら持つわけであります。しかし何といっても、学生野球のメッカとして自他ともに認めておるものは、これは私たちは守っていかなければならぬと思うのです。同時に、小川議員や園田議員の御質問にもありましたように、学生授業を放棄しながら野球をやらなければならぬ、また見にいかなければならぬというこの現状は解決しなければならぬし、大学野球連盟は、われわれの学生であった数年前と違って、今日では連盟加盟も全部で十四にふえたと聞いております。やはり親しまれ、参加しやすいスポーツとしてこれから発展していくだろうと思うのです。そういうときには、次元が低いと言うとたいへん失礼でありますけれども、次元が低いところで議論をしておるよりも、もっと思い切って根本的にこの学生野球を育て、この環境を守っていってやる責任が私どもにはあると思うし、私はそうしたいと思うのです。  そこで、この間、スポーツ議員連盟が超党派で集まりまして理事会をやりましたときも、二、三の議員の方から、この際こういう問題を根本的に解決するためには、国立野球場といいますか、あるいは国民球場といいますか、そういったようなものに神宮球場をひとつお返しをいただいて、国がこれを管理していって、そして十分学生支障のないように野球をやらせたらどうかという御意見が当初出ておりました。また、われわれ若い議員の仲間で昭和会というのがございますが、その会でこの問題を話し合ったときも、みんなが、できればそうしたほうがいいということを言っております。私は、できればそのようなことに従って——たとえば国立競技場の敷地を二万五千坪国にお返しした、道路敷地を二万五千坪国に返したというような御発言がこの前の委員会でもございましたが、そういう例に従って、ほかのアマチュアスポーツにはやはり国がバックアップしておる問題が相当あるわけでございますから、アマチュア野球にも国がバックアップするということは筋が通らない話でもございませんし、学業の本分を貫かせるためにこういうことをするのだということは、私は非常にいいことだと思いますので、われわれはそうしたいと思うのですが、将来の現実として、そうなる場合皆さん方は御協力いただけるかどうか、その御意見を承っておきたいと思います。
  96. 伊達巽

    伊達参考人 お説は伺っておきますが、ここで私はどうこうするということの明言を申し上げかねます。
  97. 大石武一

    大石委員長 砂田君。
  98. 砂田重民

    ○砂田委員 だいぶ時間もおそくなりましたが、私が最後の質問者のようでありますし、私は簡単な質問でございますから、もうしばらくおつき合いを願います。  まず伊丹さんに伺いたいのですが、プロ野球の開始時間というのが、私たちはナイターは大体七時か七時半ころかと思っておるのですが、そのための球場の開場時間というのは何時ですか。
  99. 伊丹安廣

    伊丹参考人 大体五時だと思います。
  100. 砂田重民

    ○砂田委員 それでは、次に藤田さんに伺いますが、学生野球のリーグ戦で二試合を行なうと、どうしても最初の第一試合の時間は十一時でなければならない。というのは、いまのプロ野球の開場時間が五時だということから逆算して、学生野球は十一時から第一試合を始めなければならぬ、そういうふうなスケジュールをお立てになったのですか。
  101. 藤田信男

    藤田参考人 いま砂田議員が仰せになりましたそのとおりでございます。学生野球が先にやりまして、あとプロがやります場合には、入場者の入れかえ等もございますので、かなりな時間をそこに用意をいたしませんと、開始時間だけではきめかねる問題かと思います。
  102. 砂田重民

    ○砂田委員 私は、小川委員が先ほど御質問をいたしましたことに関連をしまして、実はその点をもう少し詰めて伺っておきたいと思って質問しているのですが、前田局長に伺います。  いま伊丹さんと藤田さんからお答えいただきましたように、そういう事情で十一時から大学野球の第一試合は始めなければならない。先ほど小川委員の御質問前田さんは、学業時間と重なる時間に学生野球をやらなければならぬというのは、それは検討してみなければならぬ、そういうお答えがあったのですが、文部省へ帰って検討なさらなければならないことですか。賛成とか反対とかはこの場ではっきりおっしゃれる事態だと思います。あるいは好ましいとか好ましくないとか、少なくともその程度のことはお答えいただけると思いますが、いかがですか。
  103. 前田充明

    前田政府委員 私、検討と申し上げましたのは、野球場の数の問題もございますし、それから大体神宮だけでやらなければいけない問題なのかどうか、その辺の問題もあるかと思いまして、それで私は検討ということばを申し上げたのでございます。それで、その辺のことになりますと、東都大学にいたしましても、野球場は各大学お持ちになっているのかどうか、そういう問題ともからんで検討をいたしたほうがいいんじゃないか。  いずれにしましても、授業をやっている最中に、どうしても授業を休んで学生が行かなければならないというようなことは、これはもうもちろん、好ましいことではございませんことは申し上げるまでもないと考えておるわけでございます。
  104. 砂田重民

    ○砂田委員 前田さん、私が聞いているのは、ほかの球場を使ってみたらどうかというようなことを伺っているのではなくて、現にプロ野球は七時から始まるのに五時に開場しなければならないので、それから逆境してまいりますと、神宮大学野球をやるのは、第一試合は十一時に始めなければならないというその事態に根拠を置いて、神宮で十一時から学生野球をやることが好ましいか好ましくないかということを伺っているのです。
  105. 前田充明

    前田政府委員 もちろん神宮あるいはどこということでなしに、ともかく授業中に試合をしていかなければならぬということは好ましいことではございません。
  106. 砂田重民

    ○砂田委員 伊丹さん、いま学生野球が十一時から第一試合を始めなければならない、こういうスケジュールを立てざるを得ないということは、プロ野球を七時なり七時半から始める、それには五時に開場しなければならないということから逆算してやっているのですね。それで十一時から始めなければならぬということなんですね。しかも、文部省体育局は、学業時間と重なる同じような瞬間に学業を放棄して野球をやることは好ましくないとはっきり答えておられるのですね。  そうすると、伊丹さんと伊達さんに先般お越しをいただいたわれわれのこの委員会の席上で、神宮側としては学生野球を優先するのだ、尊重していくのだという明確なお話があったんですが、いま伺ってみますと、学生野球スケジュールのきめ方というのは、プロ野球のために五時に開場しなければならないというので、そっちを先にきめて、そっちから逆算していって大学野球の時間をきめておられますね。そういうスケジュールのきめ方——一年中に学生野球か何百試合あって、プロ野球はわずか何十試合しかないのだというような、一年中のスケジュールのきめ方ではなくて、その日その日のスケジュールの立て方について、プロ野球のほうを優先してきめておられる。まずプロ野球の開場時間をきめて、そうしてそれから逆算して学生野球の時間をきめている。こういうやり方で一日一日の開場時間をきめてやっておられても、それでも学生野球を尊重しているのだと伊丹さんは考えておられますか。
  107. 伊丹安廣

    伊丹参考人 先刻申し上げたのは、いままでのプロ野球の例でございます。今度は学生とダブる場合が出てくるわけでございますが、それで球場と球団、それから球場と連盟は、球場使用要領というものを取りかわして支障のないようにしております。五時というのは、いままでの例でありまして、だからこれが今度の専門委員会できっと議題にもなるのではないかと思うのですが、学生優先という線をくずさないために、試合時間をおくらすとか、あるいはプロの練習時間を短くするとか、あるいは五時の開門を五時半にするとか六時にするということが行なわれるのではないか。やはり神宮としてはあくまでも学生試合を優先、学生試合支障を来たさないようにする方針であります。これは専門委員会で審議されることだと思います。  それから、学生でも、秋のシーズンになりますと、やはり日が短くなりますと、プロがないときでも十一時とか十一時半に行なわれております。これは球場が非常に少ないためにそういうことが起こってくるので、やむを得ないのではないかと思います。
  108. 田邉國男

    ○田邉(國)委員 関連して伺いたいのです。  ただいま伊丹さんのお話を伺いますと、学生優先のスケジュールを組む、そしてそれをできるだけ尊重していく、しかも、今度の専門委員会においてその問題が議論されるでしょう、こういうお話がございましたけれども、私は、神宮側がみずから進んでそういう態度でやるんだ、こういうような明確な御返事を願いたい。  と申しますのは、委員会を開いたら、実はいろいろ議論した結果は、神宮側の経営上の問題、そういう問題を強く出されて、また委員会結論は非常に譲歩したものになる。ですから、ただいま砂田委員から御質問がありましたように、伊丹さんが非常に尊重をされていくという、こういうようなお話でございますので、みずから進んでプロ野球の時間というものを、学生優先の時間に合わせるような形でやるということは、みずからイニシアチブをとって、そして委員会発言をしていただきたい。私はそういうふうにお願いをする。
  109. 伊丹安廣

    伊丹参考人 いまの問題は、専門委員会できまることでありますが、いまおっしゃったように、私のほうもそういうように御趣旨をよく体して進んでいきたいと思います。あくまで学生優先という線はくずさないつもりです。
  110. 砂田重民

    ○砂田委員 そういたしますと、私は、伊丹さんたいへんつらい立場に立っておられるので、その意味では同情するのです。  ただ、いま伊丹さんから私にお答えいただきました、専門委員会で支障のないようにこれをきめていかれるでしょうということでしたが、学業時間に学業を放棄して十一時から始めなければならぬということは、学生野球支障を来たしておる、あるいは支障を来たしてないとお考えですか。
  111. 伊丹安廣

    伊丹参考人 これは秋のシーズンなんかは、六大学でも十一時からやりますし、これはグラウンドが少ないのでしかたがないと思いますし、幾らかそこには互譲の精神がなくちゃならないと思うのです。
  112. 砂田重民

    ○砂田委員 互譲の精神とかそういうことを伺っているのじゃなくて、十一時から学生野球を始めなければならないということは、学生野球支障を来たしていると考えられるか。十一時から大学野球の第一次の試合をやらなければならぬということは、それ自体が学生野球支障を来たしていると考えられるか、支障を来たしてないという確信を伊丹さんが持っておられるか、それを伺ったのです。秋のシーズンがどうだったかということでなく。
  113. 伊丹安廣

    伊丹参考人 それは学生野球のためには支障がないとは言われないと思います。
  114. 砂田重民

    ○砂田委員 それじゃ、いまの伊丹さんのお話でございましたが、前の委員会も、またきょうの委員会も、学生野球を優先するんだ、何としても神宮側は学生野球というものを尊重して優先していくんだという御答弁であったのですが、ひとつ島岡さんと片桐さん、神宮側の御発言のように、自分たち学生野球側は神宮側から今度の問題について優先されているというふうにお感じになっておられますかどうか。長い御答弁は要りません。優先されていると感じているか感じてないか、その点をひとに片桐さんと島岡さんと金子さんから伺っておきたいと思います。
  115. 島岡吉郎

    島岡参考人 ただいまのことにお答えしたいのですが、これは非常に簡単なようでございますが、なかなかむずかしい問題であります。ということは、どだい先ほど申し上げましたように、学生野球が平日に二試合あるということ自体がもう無理なことなんです。このことを申し上げたら、大体私の趣旨はおわかりと思います。
  116. 片桐勝司

    片桐参考人 やむを得ないと考えております。
  117. 大石武一

    大石委員長 ちょっと答弁の内容が違いませんか。
  118. 砂田重民

    ○砂田委員 やむを得ないじゃなくて、優先されているというふうに感じておられるかどうかということを伺っておるのです。
  119. 片桐勝司

    片桐参考人 不十分だけれども、優先の線だけは守っていると思います。
  120. 金子文六

    金子参考人 理論的に考えますと、決して学生が優先しているとは思えません。ただ、現実が、先ほど申しましたように、やむを得ないというだけでございます。
  121. 砂田重民

    ○砂田委員 最後に、国鉄球団は神宮球場自分たちのフランチャイズだということを言っておることは、もうスポーツ新聞なんかに書かれている。伊丹さんは、何もそんなことを漏らした覚えもないし、そんな感情を国鉄に持たせた覚えはないと、きっとそう思っておられると思うのです。しかし、今度の神宮側のプロ野球にこれだけの試合をやらしてもいいじゃないかというお考えは、国鉄球団にはそういう印象をもうすでに与えておる。フランチャイズということはホームグラウンドということですよ。皆さん方は、これはどこまでも学生野球の殿堂なんだ、メッカなんだ、そうおっしゃるけれども、やろうとしておられることが、国鉄側に反映しているのは、神宮球場は何も学生野球のメッカじゃない、神町球場学生野球の殿堂じゃない、あれはおれたち球団のホームグラウンドなんだ、そういう印象を持たしてしまっているということを、ひとつもう一ぺん伊丹さんにお考えをいただいて、専門委員会にもそのおつもりでひとつおはかりをいただきたいということを希望いたしておきます。  それから、最後に、もう一問だけ。前田さんと、どなたか大学側の方からお答えをいただくとけっこうなんです。  先ほど海部委員から、神宮球場を国立球場にしたらどうだという質問があったのですが、これを前田局長、藤田さん、どうお考えになりますか。
  122. 前田充明

    前田政府委員 これはたいへんむずかしい問題でありますが、国立の野球場があるということは、これはもう私どもけっこうなことだと思います。  ただ、具体的な問題といたしまして、神宮球場の問題といたしますと、これはもう相手さんのあることでもございまして、いまここですぐお答えするのは、いささかまだ私には早いかと思います。
  123. 藤田信男

    藤田参考人 趣旨としましては、私は国立にしていただければけっこうだと思います。しかし、明治神宮自体のお立場その他いろいろな面での問題があると思います。これは主として手続上その他にあると思いますから、そういう点については、何とも申し上げられないと思います。
  124. 大石武一

    大石委員長 前田榮之助君。
  125. 前田榮之助

    前田(榮)委員 たいへん時間がたっておりますから、具体的なお話は私は後日に譲りたいと思うのであります。  この問題は、結局学生側を優先した、しかも一〇〇%優先した、ただ形だけでなしに、内容も充実した優先でなければならぬということが、もう結論だと思うのです。そういうことをここで言えとか言わぬとか、あなたどう思うとかいうようなことを聞くよりも、むしろどうするかという具体的な話に進まなければいかぬと思うのです。  それで、きょうは質問はやめますが、前の文教委員会結論を出した場合においては、私も加わったのですが、いま直ちに紛争の中へ国会が入ることは、当時の事情として一番最初であるから不適当だろう、したがって、両者の良識に基づいて円満な、しかも国民の期待に沿うような結果になってほしいという意味を加えての勧告であったわけであります。  今回は私はそうはいかないと思うのです、もう二度目でありますから……。そういう点では、われわれはすっきりとした結論を、神宮の所有地であっても、砂田君がおっしゃったように、国民の立場に立ってこの問題は解決をつけなければならぬ問題であるという立場で、学生側のほうでも、こういう希望はあるけれども、いまの事情はこういう事情だからこの辺で折り合わなければというような中途はんぱな答弁は、私は希望しないのです。したがって、私はまだいろいろな質問を残しておりますが、これは後日に譲ることといたしまして、本日は質問はやめます。
  126. 大石武一

    大石委員長 田中榮一君。
  127. 田中榮一

    田中(榮)委員 だいぶ時間がたちましたので、私は簡単に最後に質問したいと思うのです。伊達宮司さんにちょっとお伺いしたいと思います。  先般オリンピックが外苑を中心にして行なわれましたけれども、資金財団または組織委員会と申しますか、そういうところから、いろいろの建物が損壊したとか入り口が損壊したとか、そういうようなことで、補償金といいますか、そうしたものは総額において大体どの程度神社収入として交付されたのでありますか、それをちょっとお伺いしたい。
  128. 伊達巽

    伊達参考人 湯本参考人から……。
  129. 湯本四郎

    湯本参考人 総額で約千六百万使用料としてちょうだいいたしました。
  130. 田中榮一

    田中(榮)委員 そのほかに、何か別に受け取ったようなものはございませんね。それが総額ですね。
  131. 湯本四郎

    湯本参考人 ございません。
  132. 田中榮一

    田中(榮)委員 その千六百万の使途は、どういう方面に主としてお使いになったのでしょうか。
  133. 湯本四郎

    湯本参考人 あそこをお貸しすることによって、従来御承知のあの広場でやっておりました軟式野球が全然やれなくなりました。また、あそこに小さなスポーツマンクラブという食堂がございますが、そこらだけでも年間千三百万円ほどの収入がありましたが、それが全部とだえてしまった。そのほかに児童遊園地とかあるいは水泳場とか、方々を全部お借り上げになったわけですが、それの使用料としていただきました。
  134. 田中榮一

    田中(榮)委員 それから、伊達宮司にお伺いしたいのでありますが、明治神宮という一つの宗教法人は、監督はどこから受けることになるのでございますか。いわゆる監督官庁というものはないと思いますが、大体においていろいろな財政的管理その他一切の監督はどういうところから受けることになるのでございましょうか。
  135. 伊達巽

    伊達参考人 私どもの宗教法人の上にさらに神社本庁という、全国の多くの神社がもう一つ宗教法人を組織しておりますし、その中に私どもは入っておりますので、そのほうから監督と指導を受けます。  それから、政府のほうといたしましては、直接の監督といいますか、それは東京都の中に宗教関係の総務部でございましたか、それから文部省のほうには御承知のように宗教課がございまして、そのほかに宗教法人に関する一般の事項をまあ監督という今度の制度ではございませんけれども、監督を受けておるといわれましょうか。
  136. 田中榮一

    田中(榮)委員 そこで、今度、プロ野球といろいろ契約をなさるわけですが、従来よりも多数の試合をさせるべく、回数をふやして試合をさせる。そうすると、神社収入がふえるわけですが、そういうような場合においては、別に神社本庁とかそういう方面に対する届け出とか認可とか、そういうものは全然必要なしで、明治神宮自体として任意にこれはできることになるのでしょうか。その辺いかがでありましょう。
  137. 伊達巽

    伊達参考人 そのとおりでございます。明治神宮の役員会にかけまして、そこで決定いたします。
  138. 田中榮一

    田中(榮)委員 私は、先ほど来同僚委員意見をいろいろ聞いておるのでございますが、やはり明治神宮の設置せられた御趣旨から申しますると、やはりスポーツとしてはアマチュアスポーツを優先的に——アマチュアスポーツ優先というよりもむしろアマチュアスポーツを専門にあの場所でやらせるのが、明治大帝の御神徳に沿うゆえんではないかと私自身は考えておるわけでございます。  そこで、実は私は、東京都内に一千有余の神社がございます、その総代会が大体一万数千ございますが、その一万数千の総代会の連合会長をやっておりますので、私はいわゆる総代という、諸千生とは違った立場におきまして、ひとついろいろお話ししてみたいと思うのです。  過般総代会の連中が集まったときに、やはり明治神宮プロ野球化、営業化というものが総代会の中でも非常に問題になりまして、実は、名前は申し上げませんが、最近神社の造営がだんだん始まってきたわけです、非常にいたんできたものですから。そこで、ある神社は、しかたがありませんものですから、その神社の御造営の財源を得るために、その神社の地下を地下街か何かにして、少し神社収入をあげたらどうかというので、東京都神社庁のほうへ申し出たわけです。ところが神社庁のほうでは、それはおかしいじゃないか、そういう営利的な目的のために神社の地下を使うことはおもしろくない、こういうことではねられたわけです。そこで付近の中小企業の方々が、実はわれわれは車を置くところに困っておるのです、だからどうでしょうか、ひとつ車を置く駐車場だけを設けさせてくれぬか、こういうことで神社庁に申し出たわけです。ところが、神社側としましては、駐車場ではもうからぬわけです。駐車場では全然収入にならぬ。商店街でもつくれば金になるのですが、駐車場ではどうにもならぬ。しかし、神社庁としてはそういう営利的な目的ではおもしろくないというので、駐車場ということでやむを得ません、ひとつ駐車場で申請しましょうというので、駐車場を設けたわけですが、たいした収入ではないです。それで、私どもは、小さな神社でもそのように神社庁に一々伺いを立てまして、そうして地下に商店街をつくったらどうだろうか、それはちょっとまずいだろう、あまりに営利に走るじゃないか、駐車場ならばその地方の中小企業のためにもなるし、ある程度公共的にもためになるからいいじゃないかということで承認してもらったわけであります。そういうことで、小さな神社でもそこまである程度公共的なことを考えて、乏しい財政を歯を食いしばって、どうやらこうやらやっていこうじゃないかということで、非常に財政的にも苦しんでおるわけです。  ところが、全国にずいぶんたくさんの神社がございますが、いやしくも伊勢大神宮と、それから明治神宮というのは、われわれのところにある神社とは違いまして、これは神社の中で大本山でありまして、尊敬の的になっておるところです。そして、崇敬の的になっておる神社におかれまして、明治神宮プロ化した、営業化したということは、下々の神社に対しましてもあまりいい影響を与えないのじゃないかということで、実は総代会の連中も寄り寄り本問題につきまして非常に頭を痛めておるわけであります。私どもも総代の一人としまして、今回明治神宮プロ野球に対して球場を公開したということにつきましては、少なくとも明治大帝の御神徳に少しそむくのじゃないだろうかという総代会の人々の意見があるということを宮司さんにお伝えをいたしまして、そしてこれにつきましては十分お考えを願っておきたい、かように考えまして、それだけ私は申し上げたいと思います。
  139. 伊達巽

    伊達参考人 伺いました。
  140. 大石武一

    大石委員長 他に御発言もなければ、本日はこれにて質疑を終了いたしたいと思います。
  141. 島岡吉郎

    島岡参考人 まことに申しわけないのですが、実は私、この会議出席させていただきまして、非常に感じたことなんでございますが、この前の文教委員の懇話会とおっしゃいますか懇談会ですか、あのとき私どもがいろいろお願いをいたしました際に、ただいまの国立競技場にするというようなことも一番先に学生野球協会からお願いしたわけであります。これは再三にわたって文書でも、文教委員懇話会というのに、ぜひ国立競技場にお買い上げを願いたいということで、協会会長も何回か足を運んだはずであります。と、私ははっきり記憶いたしております。そのときに、特に文教委員会のほうからの強い御発言というか、御意思というか、それはよく存じませんが、この野球場学生野球の優先は認めるけれども、独占ではないのだということを盛んに言われたことを私は記憶しておるのであります。そこで最後に、また世の中が変わって、そして従来は国家が補助しておったけれども、今回は法律が変わって、もう国家が神宮に対して一銭の補助もしておらないのだ、したがって、今後は過去の対立は水に流して、共存共栄の線で行けというようなおことばがあったわけであります。そこで、われわれのほうでは、ダブルヘッダーもやらなければならない、何もやらなければならないというようなわけで、したがって、これをはっきりしたおことばであれしたならば、特に六大学野球連盟のような全国青少年からいろいろ注目されておる団体におきまして、十一時とか十二時とかいう時間において始めようと思っていることは一切ありません。放課後にやりたいということで、平日の授業のある日は一試合ということをたてまえにしているのでありますが、そういうようなあれも確かにあったとは私は記憶いたすのであります。  ところが、私は二度ここに、前は参考人ではなくて付添人として参ったのですが、全く皆さまのお考えが変わって、学生野球協会にとっては、私どもが初めお願いしたところに戻ってきたように考えるのですが、ちょっとあまりにも委員会の御態度においても相違があるわけでございます。初めのお話は、過去の対立は水に流して、共存共栄の線でというようなおことばを文書によってちょうだいしたやにはっきり——私そのときは神宮伊達さん、伊丹さんともはからずも立場を異にしたので、非常に激突いたしましてあれしたのですが、現在は私は、高等学校を代表いたします専門委員として今度就任いたしたわけであります。この場合、高等学校は、ただいま申しましたように一切そういうあれは受けておりません。この点御報告申し上げておきます。こういう点も、委員さんの中ではっきりとそういう点をあれしていただかないと、実際私どもも先日来この席に参りまして、前と非常にニュアンスが違うのであります。こういう点も感じたことでありますから、参考人からあれいたしましてまことに申しわけない次第でありますが、この点も特に皆さんにひとつ前の事情も御賢察いただきたい。さようであるがゆえに、学業も犠牲にしてダブルヘッダーをいたすというようなこともいたしたのでありますから、ひとつこういう点も……。
  142. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 いまのお話は、ごもっともです。文教委員会諸君は非常に熱心に御討議になっておる。私は当時おりませんでしたが、経過報告を全部私はここに持っておるのです。一通しかないというので、これを全部読んでみました。が、文教委員会というのは、御承知のように文教全般のことをやっておるので、日教組の問題から、中には自民党、社会党の鋭角的に対立するような問題も含んだ大きな問題をやっておるような関係で、ずっとフォローアップが足りなかったかと思うのです。  これは私個人の見解ですが、今度はこの委員会は、国民の体力を振興するという意味で専門の委員会です。それで、委員会ですから、行政機関ではないから、そう細部にわたって指導することは困難でしょう。ですけれども、こういう問題を取り上げた以上は、やはり何らかの結論を出さなければならぬ。  それから、御承知のように、私が会長をしておるスポーツ議員連盟というのは、非常に熱心な連中が多くて、そこにもいろいろな陳情があるが、私が陸上競技の関係者であるからかもしれないが、それも大体は陸上の連中が多い。実際はこれだけ野球が盛んで、プロ野球のごときはもう日本国中を圧倒しておる。そういう中でアマチュア野球が、しかもその大本山である六大学野球あるいは東都大学学生野球というものが非常に苦悩しておられるならば、どうしてもそういう組織に働きかけられるとともに、われわれも今度は体制が違いますから、必ず最後の結論を出したいと、きっと委員長は御努力になるだろうと思うし、われわれ議員連盟としてもやるような決意を持っております。  しかし、それについては、まず第一に専門委員会のもう一度の再考をしてもらって、そして一つの線が出て今年はそれでいいけれども、それは永久的な解決にならぬじゃないかというので、来年はどういう——あるいは海部君のような国立競技場までいくような機運になるかもしれない。しかし、これはやるにしても、来年度予算でなければ、もういま予算は出てしまっておるのですから、できないということになりますから、それらのことも勘案して、常時御連絡を願っておけば、われわれとしても対処し得るものがあるということだけを申し上げておきたいと思うのです。御衷情はたいへんよくわかりました。
  143. 大石武一

    大石委員長 それでは、参考人の方、きょうはまことにありがとうございました。長時間いろいろ御意見を吐露していただきまして、この審議を進めるにあたりまして感謝申し上げます。  なお、この委員会は、今後もこの問題を取り上げてまいります。そういうわけで、今後も御足労をわずらわすかと思いますが、いろいろ御協力をお願いいたします。ありがとうございました。  それから、神宮側におきましては、先ほど川崎君から要求された資料をひとつ早い機会にお出しいただきたいと思います。それを検討して、おそらく委員会発言があると思います。  なお、前田委員にはこの次の機会に発言してもらいます。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。    午後五時五十分散会