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伊達参考人 お答えいたします。
明治神宮と
外苑との御
説明を申し上げるわけでございますが、戦後におきまするオール
明治神宮の
立場と申しましょうか、性格と申しましょうか、このことをまず直接
外苑との
関係を御
説明申し上げまする前提といたしまして御
説明申し上げたほうがよかろうか、はなはだ失礼でありますけれ
ども、すでに御
承知でございましょうけれ
ども、まだ御
承知ない方もお顔ぶれが多くの
皆さんの中にはあるやに存じますのでお聞き取りを願いたいと存じます。
御
承知のごとく敗戦の結果、
一般神社界に対しましては
アメリカの
神道指令が公示せられまして、従来国家との
関係、政治との
関係をさい然と分離せられることに相なりましたことはっとに御
承知でございます。そこで
昭和二十年の十二月二十八日に
宗教法人令なるものが公示せられまして、この十二月十五日の
神道指令の
精神に基づきまして
法人令が公示せられたわけでございます。さらにその後
昭和二十六年の四月三日にこの
法人令が
宗教法人法にかわりまして、
法律によってこれが公布されたわけであります。
その際に従来の
神社の
境内、これは
宗教一般にわたることでございますけれ
ども、この際は
神社、ことに
明治神宮と申しておきますから、その辺を御了承願いたいと思うのでありますが、
神社の
境内地は
明治以前の
所有にかかりますものは
無償でその
神社に国から譲渡する、
明治以後に
国費もしくは公費をもって支弁せられました
境内地につきましては
時価の
半額で
譲渡優先を認める、こういうあらましのおきてでございました。
明治神宮は御
承知のごとく大正四年から九年までかかりましてでき上がりました最近の
神社でございます。そこで
明治神宮の
境内地は
法律五十二号によりまして処分せられることでありますので、
外苑につきましては、いまの
内苑のほうの
境内地もそうでありますが、
時価の
半額で譲渡するということになりましたが、
内苑のほうは
明治天皇御在世中にあそこは宮内庁の御料地でありまして、
明治天皇の
御内帯金でまかなわれておるものでありまして、永久に
明治神宮に貸与するというお
約束になっておりましたから、これは大
部分、一部はそうでありませんが、二十二万坪の大
部分をば
無償で譲渡する、それから
境内の一部と
外苑は
時価の
半額で
明治神宮に譲渡する、こういうことに相なりまして、これが決定をいたしましたのは
昭和二十七年の十二月十六日でございます。そこで私のほうといたしましては約五億五千万円、これは
半額に相当いたすのでございますが、これで
明治神宮に買い取ることにいたしまして、これはそれぞれの、御
承知の
陸上競技場は国にお返しいたしましたし、その地上の建物は補償をいただきましたしいろいろいたしましたから
差し引き操作はございましたけれ
ども、ともかくも五億五千万円をもって
明治神宮に買い取ることにいたしたのであります。しこうして十年賦でもってこれを支払うことにいたしまして、本年で六年、あと四年ございますが、これで完了いたすことに相なっておるのでございます。かような次第でございます。しかしこれが今度
明治神宮の直接の
管理になりまして、国の
管理からは離れてまいりました。国もしくは
公共団体から一文も御
援助をいただくわけにはまいらない
立場になりまして、すべて
明治神宮の自力でもって
運営管理してまいらなければならない事態に立ち至ったのであります。しかし御
承知のように、
明治神宮を
設立いたしまする当時の
事情は、
明治天皇の偉大なる御
聖徳に対しまして、
国民はひとしく
尊敬敬慕の念を持って
設立いたしまして、
内苑と
外苑はいずれも
一つの
境内である、
内苑は静かにおしずまりになる静的な
境内、
外苑はあの
絵画館を中心といたしまして、
明治天皇の御
聖徳を仰ぎつつ、運動ないしは
市民いこいの場所、同時に
精神、
宗教的情操涵養の場として
運営することに当初からなっておりますから、いかに
明治神宮という
宗教法人の
所有地、
境内地となりまして
自足自給のたてまえで
管理いたしますにいたしましても、この
精神をあくまで守り通していくというのが根本の
精神でございます。
そこで
外苑の
管理につきましては、非常に苦しいのでございましたけれ
ども、ともかくもこれを守り抜くことがわれわれ当局の責務でございます。したがいまして、なるべく当初の
精神を貫いてまいりたいと考えてまいっておるのでありますが、御
承知のように、戦時中は非常に荒らされておりまするし、戦後は
アメリカ軍の接収するところとなっておりまして、非常に荒廃をいたしてまいったのであります。そこでこれが
改修あるいは破損のところを修理いたしますには非常に
多額の
経費を要するのであります。そこで
外苑といたしましては、これが収支のバランスに苦心をいたしてまいりました。なおまた
学生野球協会のほうからもこの難局に対しまして同情せられまして協力を惜しまれなかったのでありまするが、ともかくも、今日までかようにまいっておりまして、オリンピックの際も全面的にこれに協力することができたのであります。その他
アマチュア野球にいたしましても、相当の度数を提供いたしておりまするし、その他の
スポーツ関係におきましても、私のほうはできるだけ
社会公共のために
寄与貢献をいたしておるのでありまして、一
宗教法人といたしまして、
スポーツ界に
貢献をいたしておりまするのは、はなはだ
潜越なことばでありまするけれ
ども、一番大きな
寄与をしておるのではなかろうかと自信を持っておるような次第であります。はなはだ僭越なことでありますけれ
ども、この点は
十分社会からもまた認められていただくべきでありまして、先般いろいろな点に
誤解を生じまして、
巷間明治神宮がいかにも不都合を働いているやに考えられ、あるいは商魂たくましく利益を追求して、おるような
誤解を招きましたことは、まことに遺憾千万に存じておる次第であります。しかしながら詳しくは
数字で……。