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1965-06-02 第48回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年六月二日(水曜日)    午前十一時四十九分開議  出席委員    委員長 加藤 高藏君    理事 有田 喜一君 理事 壽原 正一君    理事 中川 俊思君 理事 中村 寅太君    理事 滝井 義高君 理事 細谷 治嘉君       小笠 公韶君    上林山榮吉君       久野 忠治君    倉成  正君       佐々木秀世君    田中 六助君       中村 幸八君    西岡 武夫君       野見山清造君    福井  勇君       三原 朝雄君    井手 以誠君       阪上安太郎君    中村 重光君       松井 政吉君    八木  昇君       伊藤卯四郎君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君  委員外出席者         内閣官房長官 竹下  登君         通商産業政務次         官       岡崎 英城君         通商産業事務官         (大臣官房審議         官)      川原 英之君     ————————————— 六月二日  委員倉成正君、澁谷直藏君、廣瀬正雄君、岡田  春夫君及び伊藤卯四郎辞任につき、その補欠  として久野忠治君、佐々木秀世君、福井勇君、  阪上安太郎君及び受田新吉君が議長指名で委  員に選任された。 同日  委員久野忠治君、佐々木秀世君、福井勇君及び  阪上安太郎辞任につき、その補欠として倉成  正君、澁谷直藏君、廣瀬正雄君及び岡田春夫君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月一日  一、石炭対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件(山野炭鉱爆発事故)      ————◇—————
  2. 加藤高藏

    加藤委員長 これより会議を開きます。  昨六月一日、福岡山野炭鉱爆発事故が発生、二百数十名の痛ましい犠牲者が出ましたことは、まことに痛哭のきわみであります。  この際、議事に先立ちまして、犠牲者の御冥福を祈り、一分間の黙祷をささげたいと存じます。各位の御起立をお願いいたします。   〔総員起立黙祷
  3. 加藤高藏

    加藤委員長 御着席願います。      ————◇—————
  4. 加藤高藏

    加藤委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。  昨六月一日、福岡山野炭鉱において発生いたしました爆発事故について、まず政府報告を聴取いたします。岡崎通商産業政務次官
  5. 岡崎英城

    岡崎説明員 このたび九州の山野炭鉱爆発災害が起こりましたことは、引き続きのことでございまして、実に申しわけない次第でございます。ここにつつしんで陳謝の意を表する次第でございます。  また、なくなられました方に対して哀悼の意を表し、負傷された方々に対しまして深甚のお見舞いを申し上げる次第でございます。  新聞その他で報道等もございましたが、本日八時現在の災害実情につきましては、先生方にお配りいたしました書類に詳細記載しておりますが、五百五十二名の入坑者のうち、八時現在におきましては二百二十一名死亡いたしました。その中には収容されておらない方が三十名ございます。また重軽傷者は三十八名、十五名の行くえ不明者がございます。  災害が起こりますと同時に直ちに救援対策を講じまして、現地において二十二名の者をもって三班を組織いたしまして救援に当たり、また引き続いて五十九名、七班を出しまして救援に当たって今日に至っておる状態でございます。  政府といたしましては、直ちに災害対策本部を設けまして、総務副長官本部長といたしまして、現地において応急対策をとるよう組織いたしまして、いま現地に向かっておるわけでございます。通産省といたしましては、昨夕、鉱山保安局長現地に派遣いたしまして現地の指揮に当たらしておる次第でございます。  また、いろいろこの鉱山実情と申しまするのは、昭和三十八年の十月一日より新たに三井鉱山から別れまして操業いたしまして、ただいまのところ千九百名の労働者、月間四万トンの生産をあげております相当に成績をあげている炭鉱でございます。  事前の保安上の調査等については、四月の末に地方監督局のほうで調査をいたしまして、若干の注意をいたしましたが、大体においては支障のないようなふうにしておるという報告を受けております。  ただ原因その他につきましては、ただいまのところ詳細な、的確な原因をまだ発見いたしておりません。その点につきましても鋭意調査いたしまして応急対策を立てると同時に、省といたしましては、将来かかることが再々起こらないようにいたすことにつきましては、一段と心をいたしていきたいと存じておる次第であります。  御存じのように、通産省といたしましては、最近二回にわたっての事故がございましたので、非常に精励恪勤これつとめておりましたけれども責任を明らかにいたす必要上保安局長を更迭させまして、新たな局長のもとに新たな方策を立てて鋭意努力してまいり、また全国的視野においても各山々の総点検を実施いたしておりまする最中にかかることが起こりましたので、非常に申しわけなく存ずる次第でございます。御存じのように、櫻内通産大臣におきましては、この責任を感じまして、ただいま辞表を提出いたした次第でございます。  非常に重ね重ねで申しわけない次第でございますが、以上をもって一応報告を終わりたいと思います。
  6. 加藤高藏

    加藤委員長 引き続いて質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。野見山清造君。
  7. 野見山清造

    野見山委員 総理たいへん御多忙なところ御出席いただきまして、たいへん恐縮しておりますけれども、たまたま私の郷里に思わざる大災害が起こりました。全く夢のようなことでございますけれども、意外にこの災害が非常に大きいので私びっくりしたのでございます。  まず第一に総理お尋ねしたいことは、むろん総理政策基本というものを人命尊重に置いておられます。何にも優先して人間生命が大事だ、これは総理が事あるごとに述べられておるところで、私たち非常に感銘を受けておるのでございます。しかしながら、石炭政策炭鉱事故に対しては、先月の十八日でございますか、本会議においてこの保安に対する決議案をやったのでございますが、これは満場一致で決議案が承認せられましたが、実際においてこういう決議案に従って政府予算あるいは政府政策が具体的に立てられつつあるのかどうか。と同時に、これは少しどうかと思いますが、この二月に北炭夕張炭鉱災害がございまして、これも大災害でございますが、それから二カ月おいて四月にも伊王島災害がございました。この災害のありましたつど、本会議におきまして関係大臣総理も壇上に立たれまして、十分この災害に対する対策決意を述べられておりますが、この前二回における災害に対して政府がどういうふうな具体的な方法をやられましたか、まずこの点を総理お尋ねしたいと思います。
  8. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま、その後の対策はどうかというお尋ねでございましたが、それは事務当局から詳しく説明させます。  今回山野鉱業所におきまして不測の大災害を引き起こしたことは、まことに申しわけない次第であります。私、心から罹災者方々に対してお悔やみ申し上げると同時に、関係者に対しましても御慰問申し上げたい気持ちで一ぱいでございます。  御承知のように、ただいまお話がありましたが、夕張伊王島、またそれに引き続いて今回の山野鉱業所、そのつど私ども絶対にこの種の災害を二度と引き起こさないように最善を尽くす、そういうことを申し上げ、また対策としても私は万全を期しておると思います。思いますが、しかしながら現実にとにかくこれだけの死傷者を出した。ほんとうに惨たんたる状況を呈して、私どもこれは何とも申し上げようがないというように思っております。もともと、私が申しますこともいかがかと思いますが、経済を発展さすとか、あるいは生産をあげるとか、かように申しましても、お互い生活を楽にする、そのことは同時に人間としての生命、それが十分満足のいくような、享受できるような生活状態にすることが目的であります。そのために努力をしておるその勤労者、労務者が、自分たち生活をよりよくしようというその努力をするその際にかようなる災害を受ける、どうもこれはほんとうに割り切れない気持ちである。私は、かようなことにつきまして、特に人間尊重というか、あるいは人命尊重というか、また経済開発といいながらも、その経済開発経済開発だけじゃないんだ、お互い生活を向上さす、経済開発がそこと結びついて初めて意義があるのだ、かような意味から社会開発の理念も説いておるような次第でございます。いずれにいたしましても、百万べんの弁解をいたしましても、ただいまのような災害が起きてくる、これは罹災者方々を慰めることばにもならない。ほんとうに悲痛ないまの気持ちでございます。したがいまして、この災害が起こりますと同時に対策本部を設ける、あるいは緊急医療措置を講ずる、あるいは現地にそれぞれの関係官を派遣していく、あるいは労災保険金等の支払いに万全を期する、こういうことの処置は、まずいま考えられる処置はとった、かように私は思いますが、しかし、いずれにいたしましても、このことは罹災者方々の労苦、あるいは悲嘆、そういうものを幾分かでも軽くするという意味のただいまのような手当てにほかならないのであります。私はまことに残念に思います。この点を重ねて申し上げて、最近の保安、それに対しての監督官仕事ぶり等は、係のほうから説明さしたいと思います。  私は、昨日この報を聞きまして、いま通産大臣も、もう二度も引き続き、今度で三度こういう事柄を引き起こしてほんとうに申しわけないと言って、強くその責任を痛感しての進退なども決せられたのでございます。私は、これらの事柄も、ただ罹災者幾分かでも慰める、あるいは慰安申し上げる、そういうことに役立つということの効果があればしあわせである、かように思っておりますが、いずれにいたしましても、たいへん取り返しのつかないできごとでございまして、ほんとうにお気の毒に思います。
  9. 野見山清造

    野見山委員 総理は非常に時間がございませんので、あとで係官から承ることにいたしまして、一つ二つ簡単にお尋ねしたいと思います。  今度の災害の特色と申しますか、われわれが最も意外に思いますことは、五百五十二名の入坑者のうち、二百三十六名死亡されまして、三十八名の重軽傷者、もうほとんど坑内の作業現場におられた方は全部一人も残らずなくなられた、非常なこれは特異な現象なんですが、こういう現象の起こった最大の原因というのは、いわゆる第二会社というものの存在ではないかと思うのです。第二会社というのはいまどういうふうになっておるか、総理御存じないと思いますが、第二会社というのは、いわゆる第一会社大手でもそうなんですが、第一会社合理化によって整理をした後に、その残存炭量を採取するというのが第二会社目的なんです。いま鉱員が全然いない、ほとんどいない。それをカバーするために鉱員争奪戦をやっておる。各中小炭鉱がいま合理化をやっておるというのは、大手の第二会社に全部鉱員が吸収されてしまうからです。たとえば三万円、五万円を出し、多いところは一人に十万円を出して鉱員募集しておる。その募集というものは、第二会社組夫がしらに命じてそういう募集をして争奪戦をやっておる。しかもその争奪をしてきた第二会社の組員なるものは、中小炭鉱の、たとえば百五十メートルから二百メートル、深くて三百メートルくらいの採掘には経験があるでしょう。これはほとんどガスも水も危険がない。そういうところの採掘経験はございますけれども、一千メートル以上入った深部での実際の採掘経験がない者が大部分と思うのです。今度の災害で二百名以上も第二会社従業員が死亡された。どういうふうな原因であるかということは、これは私は非常に重大な問題ではないかと思う。ぜひとも第二会社性格については、法的に通産省においてもさらに検討してもらい。人命尊重立場から、保安確保立場から、ひとつ重大な細心のお話し合いをしていただきまして、この対策を講じていただきたい。でなければ、また第三、第四の災害が起こる。その原因が、第二会社組夫募集という、そういう非常手段から派生したいわゆる鉱員募集による原因が私は多大であると思う。  同時に、第二会社性格を申しますと、第一会社が、たとえ三菱でも三井でも同じなんですが、これを第二会社に移す場合、鉱害とかいろいろな無害があとに残りますので、ほとんど筑豊地方に驚いては、土建会社のような土木請負師が第二会計になり、さらにその土木請負師が今度は第三の土木請負師炭鉱を売って、第三の会社ができている。そういう第二、第三の、地方において何らの信用のないような人がいま炭鉱をどんどん経営している。これが実態なんです。これはたまたま浅いところを採掘をしておりますので、災害はございませんが、しかしそれが鉱害とか、あるいは住民に大きな売り掛け金をつくって倒産している。大体そういうことです。そういうことで、ぜひともひとつ第二会社性格というものについては、通産省で抜本的な検討を加えてもらいたい。これが災害防止における一つ方法であると思う。  同時にまた、十八日に国会で議決いたしましたいわゆる災害防止に対する決議を、ぜひひとつ予算面において実行していただきたい。ただ口先だけでなしに、具体的に予算をつけてやってもらいたい。これをぜひ要望します。  もう一つ同時に、これは石炭政策基本的な問題でございますが、簡単にお願いしたいと思います。石炭政策というのは、昭和三十五年から三十八年までに千二百円のいわゆるコストダウンをやっている。同時にコストダウンをやったその五年間のその時点においては、重油も八千四百円ぐらいになって、そうして石炭とあれとのバランスをとるということがございましたが、実際にはそれが何もできておりません。スポットなんか約六千円ぐらいなんですが、そこに石炭政策といわゆる油の政策というものが非常にギャップがある。こういう石炭政策の根本的な確立ができていないことが、災害の一番大きな要素になっている。石炭政策が安定して、魅力のある成長産業であったならば、こういうふうなことは起こらないと思う。  そこで総理にお願いしたいことは、石炭政策総合エネルギー対策の中でりっぱにひとつ位置づけしていただきたい。電力とかあるいは油、石炭、この三者の間で石炭の位置を完全に位置づけしていただいて、石炭対策石炭産業というものが魅力のある成長産業であるということを政策的にも打ち立てていただきたい、こういう点を御要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  10. 加藤高藏

  11. 滝井義高

    滝井委員 総理にお願いをいたしたいのですが、どういう御要件があるか知らないけれども、やはりこういう重大問題はあなたの政治姿勢人間尊重である限りにおいては、やはりこういうときには内閣責任者として、担当閣僚辞表を提出しているときですから、他のいかなるものにも優先して、この委員会で誠意をもってこういう災害に対する内閣基本方針というものを国民の前に明らかにするのは当然だと思います。そこでまず質問に入る前に、いろいろ御用件があるかもしれないけれども、しばらくひとつおっていただきたいと思います。どんな用件があるか知らないけれども人命は……。
  12. 加藤高藏

    加藤委員長 滝井君に申し上げますが、質問に入っていただきます。
  13. 滝井義高

    滝井委員 そこで、まず第一点にお尋ねをいたしたいのは、御存じのとおり国会で何回か決議をいたしました。そのたびごと総理をはじめ通産大臣は、えりを正して、絶対今後災害が起こらないようにいたしますということを言明をいたした。同時に炭鉱側は、昨日検査を受けたばかりであるとか、保安は万全を期しておったのだ、こうおっしゃる。しかし、それにもかかわらずガス爆発が、総理御存じのとおり戦後、今回で十二回目です。しかも昭和二十八、九年のころから、石炭合理化が激しくなってから実に十回目でございます。昭和二十九年から今回で十回目です。したがって戦後二十年になるけれども、ここ十年間に十回起こった。一年に平均一回ずつ起こってきているわけです。一回災害が起こるたびごとにだれが責任をとったかというと、保安局長がそのたびごと辞表を出してやめていったり、あるいは左遷をされていったのです。今度は、櫻内通産大臣は非常な決意をもって辞表を出しておるわけです。そこで、あなたの今度の新しい第二次佐藤内閣の発足にあたって、これはいわばほんとう人間尊重政治を打ち立ててくれという天の声だと思うのです。そこで私は、この事態になって今後の石炭における人命尊重政策というものを、あなたが先頭に立って身をもって実践をしていくということをここに言明できるかどうか。
  14. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私先ほど来答弁をいたして、政府考え方を明確にいたしたつもりであります。ただいま滝井君から、政府としてなまぬるいじゃないかというおしかりを受けておりますが、私が就任いたしましてからもうすでに今度で三回目のガス爆発であります。私はそういう意味でたいへんお気の毒に思っております。これは私どもがあらゆる努力をして、そうして重ねてこのような事故を起こさぬように万全を期さなければならないものと、かように私は痛感しておりますことを申し上げます。
  15. 滝井義高

    滝井委員 あなたがみずから御指摘になったように、昨年十一月に池田さんから政権を譲り受けて以来すでに三回目です。池田さんの四年三カ月の間に三回起こりました。しかしあなたはわずか半年足らずの間に三回起こしておるわけです。私はむしろ起こしておると言ったほうがいいと思うのです。そういう意味で、なぜ一体これが起こったか、私たち幾度決議をしました。幾度保安局長の更迭があった。そして私たちは、まず保安技術を前進せしめるために予算をつけなさい、こういうことを要求しました。あるいは保安予算が足らぬからこれをおつけなさい、こういう要求をしてきた。ところが政府はそういう人命尊重を口に言い、あるいは労働組合その他ともいろいろ話し合うけれども、それを実行しない。たとえば保安技術をやるために、工業技術院に五億円くらいの金を出したらいろいろ設備ができるのだということを、学識経験者が声をそろえて言っておるのです。われわれはそれを大蔵省にも言い、通産大臣にも言うけれども、ちっともこれは前進しない。あるいはこういう事態伊王島なり夕張に起こったときにおいても、予算をすみやかに追加しなければならぬと言ったのです。それでも言を左右にしてやらない。そこでこれは選挙の終わった後の臨時国会においては、何よりもイの一番にあなたが責任を持って、少なくとも人命尊重をおやりになるならば、まず隗より実践せよで、この石炭保安政策についてイの一番に補正予算を組んで、そして万全の対策をとり得るかどうかということです。
  16. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 保安につきまして万全を期するということは、ただいま申したとおりであります。これの万全を期することは、ただいまの状況のもとにおきまして、いま補正予算をつけよとかいろいろな御注文が出ておりますが、そういうことをも含めて万全を期する努力をいたします。
  17. 滝井義高

    滝井委員 予算そのものについても、すでに国会で議決いたしております。ひとつ十分新大蔵大臣に、あなたの責任においてその旨を伝えてやっていただきたいと思います。  第三点の問題は、御存じのとおり、今度の第二会社の問題をいま指摘いたしました。第二会社については非常に問題があることを指摘した。しかしその地域の経済状況によって、あるいは雇用上やむを得ないときには第二会社もやむを得ないということを、私たちはあの石炭政策転換の闘争の中で認めた。しかしその場合といえども組夫というものは断じて入れてはいけないということで、当時の池用総理もぜひそうやりたいということを約束した。ところが今度の状態を見ると、この山野炭鉱は千九百名の鉱員の中でほんとう鉱員が千二百名、組夫が七百名、しかもいま野見山さんも御指摘になったように、五百五十二名の中で職員が六十二名、鉱員が二百九十名、そして組夫が二百名、五百五十二名の中で四割近くというものは組夫なんです。しかもいままでの災害統計から見れば組夫が一番災害が多いということは、通産省が口がすっぱくなるほどここで説明しておるわけです。ところがこれを政府はとめない。夕張炭鉱もそうでしょう。組夫の諸君は、自分虫けらになりたいと言っておるのです。御主人をなくした奥さんが泣いて言った。自分主人虫けらになりたいと言っておる。どうしてかというと、われわれ組夫虫けら以下に扱われておる。虫けらになれば一人前だ、こういうことを泣いて言っておるのです。こういうところに政治姿勢人間尊重政治が行き渡っていない。口先だけで中央だけで幾ら人間尊重政治を唱えても、末端の行政にそれが実践できなければその政治は死んでおる。そこには政治が不在です。この点もひとつあなたの政治力で新しい通産大臣に指示をしてぜひ実践をしていただきたい。どうですか。
  18. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまいろいろこれから先にやるべき事柄について御指摘がございました。十分お話を伺い、また実情等調査し、そうしてそれの対策の一環としていたしたいと思います。  ただいま組夫の問題が出ておりますが、私自身も組夫というものについていままでも問題があったと思っております。どうしてこういうものが依然として使われるか、そうして第二会社の場合においても、しばしばこういうものが使われるか、第二会社ばかりではなくて第一会社の場合だって、こういうものが炭鉱の場合に、その他にもあるかと思いますが、こういうことは問題であるということを指摘しておりました。今回もそういうことでございますから、実情を十分に検討して、しかる上で対策を立てたい、かように思います。
  19. 加藤高藏

  20. 中村重光

    中村(重)委員 関連して質問いたしますが、いま総理は、人命尊重という立場から災害を再び起こさないように万全の措置を講ずるとはっきり言われた。ところが、重大災害が発生するたびにいつもそうした意見を発表され、また答弁をされるのです。夕張においてもそうでした。伊王島のときもそうであった。ところがそれでは具体的にどういうことをやったかということになってくると、総理はいまいろいろおっしゃったが、特別な措置が講ぜられたという事実はない。今度の山野災害にいたしましても、これは端的に申し上げると、きわめて不都合なやり方をやっておる。保安というものを重視していこうという考え方の上に全然立っていないと私は申し上げたい。いまいろいろと指摘がありましたが、大体五百五十二名の当日入坑した者の中に組夫を半分以上入れている。掘進も採炭もどんどん組夫にやらしておる。ほんとう保安を重視していく、災害を起こさないというならば、なぜ監督局はそういうことをやらせないようにしなかったのかということです。それを平気でやらしているということは、あなたの答弁にもかかわらず、言明にもかかわらず、全然そういうことが徹底をしていないということです。だからして災害が起こる。しかも二カ月おきに起こっておるが、それがいつも優良炭鉱といわれている山なんです。そういう山でこういう災害が起こったということは、結局は保安を軽視している、不注意をやっておるからこういう災害が起こってきたということです。だからして、いま総理組夫の問題についてもいろいろ検討すると言われた、実情に即してやりたいと言われたが、そういう採炭等には組夫は全然従事させていけないことになっているのだから、これをやらせないということをはっきり言明されるべきであるし、またそういう措置を直ちにおとりになる、これが当然でなければならぬ。こういう指摘に対して、あいまいな答弁をされる必要はない。はっきりあなたが一責任を持って、ほんとう人命尊重ということをお考えになるならば、災害を全然起こさない、これからはもう起こさないように万全を期していくのだと言われるならば、当然そういう明らかな問題は、もう再びそういうことはやらせない、これを是正するとはっきり言明されることが私はしかるべきだと思う。そういう点に対してどう措置されるか、ここで明らかにしてもらいたい。
  21. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま中村さんの言われるとおり、組夫は断固もう一切使わさない、こういう命令を出せ、こういうふうに言われますが、いまの実情は必ずしもそうはなっていないということでございます。いろいろ組夫を使うことについては許可制をとっているようでございますが、そういう意味においては事務当局というか許可をしておるほうにも責任があるのでございますから、問題はやはり理論的によくその実情を検討して、そうして対策を立てることが、感情論でなくて望ましいのじゃないか、私かように思いますから、いましばらくひとつ検討さしていただきたいと思います。
  22. 中村重光

    中村(重)委員 感情論じゃないのですよ。組夫を従事させていけない作業に従事さしているのだから。これはどういう報告があなたのほうへ出たか知らないけれども、現場で報道機関が夜十二時過ぎまでずっと報道を続けておった。私はずっとそれを聞いておった。だからして間違いであるということは考えないのです。それからいまの組夫の問題にしても、三井のときは一人の出炭能率三十トン程度であった。それが第二会社になったところが、別に機械化、近代化というものをやっているという事実はないにもかかわらず、四十トンから四十八トン、そういうふうに生産能率が上がってきた。どうしてそう上がったのか。これは、組夫というものはノルマでやらせる。ノルマを達成しなければ賃金というものはもらえない。だからして無理な労働をする。時間外も働かなければならぬ。しかも組夫ということになってまいりますと、中高年層、年齢がどうしても高くなる。そういうこと等々から、どうしても事故の発生率が高くなる。さらにまた、昨夜も報道機関が放送しておりましたが、ともかく組夫に対しては直接鉱業権者がこれを雇用しているのではない、そういう責任がないといったような考え方の上に立つのか、保安教育というものが徹底していないのです。そういうことも重大災害を発生する原因になっているのですよ。だから、問題は明らかなんだから、原因をいろいろお調べになることは適当であるし、これはおやりにならなければいけません。しかし、私は決して感情論で言っているのではないのです。もう次から次に重大災害が起こってきているのだから、もっと現実をしっかり踏まえて、その現実の上に立って問題を処理する。ほんとう人命を尊重していく。単なるうたい文句であってはならぬと私は思いますから、もう一度はっきりしたあなたの言明を聞かしていただきたいと思います。
  23. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま中村さんの言われるとおりで、私もその説のとおりをするつもりでございますが、いま聞いてみますと、採炭組夫には許してないということでございますから、厳重にその採炭はやらさない。現実にやっているものは、これは許可と違うのでありますから、これは厳重にとめていくということをはっきり申し上げます。
  24. 加藤高藏

    加藤委員長 伊藤卯四郎君。伊藤君、おそれ入りますが、総理は非常にせいておりますから……。
  25. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 一点だけ。私は、常平生、炭じんとガス爆発は、その対策を万全に立ててあれば絶対防止ができるという持論を持っております。これについて、過般から、政府から委嘱された有沢調査団その他関係調査団やら、また先般本委員会炭鉱の社長の人々を多数呼びましたときも、いずれも、私のこの炭じんとガス爆発はその万全の対策を立てておくならば防止ができるということについては、全員私の意見に替成でございました。しかるになぜ爆発をするのかということになれば、やはりその万全の対策が施されてない。それは、私企業なるがゆえに、やはり経営を度外視して考えられないというところに、おのずからそうした対策が十分立てられてないということは、これも議論の余地はないと思う。  そういう点から、先日本委員会で、今後再びどのような災害を起こさしてはならないという決議案を、全会一致でつくりました。しかもそれは、との行政に当たる保安局などの意見も十分聞き、あげて、行政の府もまたわれわれも、この委員会も、あるいは調査団も、炭鉱会社の社長の諸君も同音でございます。そういうようにしてつくられた本委員会における対策決議案というものを、自民党の総務会で、あまりに具体的過ぎるというので、これに難くせをつけて幾日も幾日もそれを引っ張って、とうとう本委員会では決議をさせませんでした。佐藤総理は自民党の総裁です。しかも、だんだんおっしゃっておられるように、その対策を十分お立てになるのなら、そういうようにあげてのこの保安対策の万全のを期する本委員会における決議を、それを具体的過ぎるといって難くせをつけてこれをやらせないというがごときは、いかに自民党あるいはまた佐藤内閣というものが、保安対策に対して、いかに万全を期してやるとおっしゃっても、私はそういう点においてやはり十分でないと思う。なるほどそれは本会議委員長報告の形でどうやらお茶を濁したが、やっぱり権威あるものなら、この委員会でつくったのですから、堂々と本委員会決議をさせ、また、本会議でも委員長にその決議案を堂々とやらして、そうして衆議院はあげて、委員会も本会議も、これに対して、今後は必ずこれを実施するということ等をやられることが、これは百万べんお互いに議論をすることより、佐藤内閣がいかに保安対策責任を持ってやろうとしておられるかということを証明する一つでもあるし、また与党でもそういう点について、もっとこういう点も落ちておるじゃないか、だからこういう点も加えてやったらどうだというような、むしろ万全を期するために足らざるところをつけ加えてやるというくらいのことをおやりになるということが私は熱心であると思うが、そういう点に対して、私は自民党の総務会にも非常に遺憾を感じておる。また総裁としての佐藤総理大臣も、これは御存じないかもしらぬけれども、そういう現実があるんだから、したがってひとつそういうことを十分頭にお入れになって、ほんとうにそういうことを再び起こさせないためには、政府みずから予算措置においても、あるいは保安監督官の動員においても、あるいは管理監督の上においても、あるいは同時に、それを実施させる上においても、むしろ今後は指導的立場に立ってやるということについて、私はそういう経過をあなたのお耳に入れて、あなたのほんとうに真剣な決意をひとつお聞かせ願いたい。
  26. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま山野災害について、各党それぞれ代表して質問がございました。いずれもそれぞれの方々が、直接あるいは間接に炭鉱に非常に関心のある方々ばかりでありまして、私は、その選挙の関係におきましても、また過去において従事されたその仕事の面からもたいへんな権威であられる、かように思って先ほど来の話を謙虚に実は伺ったのでございます。ただいま石炭対策特別委員会においていろいろ審議されておる問額については、いま伊藤君の説明されたとおりの経緯があったようでありますが、しかしこれはまあ、本会議決議されたのでございますから、その委員会でなかったとかいうようなことでとやかく言われないで、とにかく問題を関係方々が非常に真剣に取り扱っておられる、政府をしてこれをやらしてやろう、そうしてそのことが国家社会のためになるのだ、こういう熱情からお話しになっておられますので、私もたいへんそれに打たれた次第でございます。また私自身が最高の責任を帯びておりますその立場から見ましても、また私の持論から申しましても、できるだけのことは最善を尽くさなければならない、かように私は思うのでございます。  先ほど来私が答弁をいたしましたことは、あるいは根本的な対策でないという意味で非常に御不満であったかとも思いますが、ただいま災害の起きたその直後になすべき事柄、それは何といっても罹災者やまたその遺族あるいは家族に対して最善の手当てをすること、これが私どものやるべき事柄だ、かように思って私は答弁をいたしたのであります。  しかしもちろん、そのことと根本的対策を立てること、これは実は、私もはっきり分けております。こういう意味で今後私ども基本的になすべき事柄、これは大にいたしましては石炭政策、エネルギー政策の今後のあり方から、また同時に具体的な各職場における指導等、組夫の問題等、それぞれのこまかな具体的な問題にまでも十分注意をして、そして万全を期していきたい、かように私は思います。したがいまして、先ほど来御指摘のありました対策としての、いわゆる決議その他の指示事項について、その趣旨を十分理解し、また尊重し、そうして私どもが今後この問題と取り組んでいく、その方向は皆様方のお指図もあるし、経験からもこういうお話も出ておるし、それを尊重してまいりたい、かように私は思っております。失礼いたしました。
  27. 加藤高藏

    加藤委員長 ただいま政府報告もございましたが、この際、今回の事故について、本委員会から現地委員を派遣し、その実情調査したいと存じますので、議長に対して委員派遣承認申請をいたします。  なお、委員派遣承認申請の手続等はすでに委員長に御一任願っておきましたが人選等につきましては先ほどの理事会で協議いたし、往路は航空機を使用することといたしたいと存じます。  以上、御報告いたしておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十六分散会