○伊藤(卯)
委員 鉱害の問題については、政府
委員はもちろん
大臣ももう耳の穴にたこのできるほど聞かされておられるので、十分御
承知だと思うのです。しかし、一
地域の問題じゃないかという
考え方が役所の中でも、また国会の中でもあるわけでございます。そこで、なるほど一
地域の問題ですけれども、問題自体が国策的に
考えて非常に重要であるという点もございますので、私は、この法案を成立させるにあたって、最後に具体的に四、五点を
質問いたしまして、
被害者並びに
地域住民の
人たちに安心感を与えなければならぬ、こういう意味において
質問いたすつもりでございます。
たとえば、
筑豊炭田だけでも
鉱害被害地が大体一万町歩以上ある。これは
復旧に力を入れておられますけれども、新たに新たに起こってくるので、一向
鉱害被害地が少なくならないというのが現実です。それから、この
鉱害のために米麦の年収何十万石というものがとれない状況にある。一
福岡県の
筑豊地域だけでそういう計算が出ておるわけでございます。でございますから、これを全
炭鉱地域について見るならば、相当国家的に大きな損失をそのままに放任しておるのではないかという点から、これは真剣に国策として
考える必要があるということは申すまでもないと思うのです。したがいまして、これは農民の問題あるいは
地域住民の問題のみならず、国の食糧問題を大きく解決する上においても、また最近、
炭鉱にとってかわる工業地帯を造成しなければならぬというところから
工場団地、
住宅団地が盛んにつくられつつあるわけですけれども、これも
鉱害が安定しなければなかなかつくるわけにもいかぬし、そこら辺の道路をつくるということもなかなかできないという問題等もありますから、そういう点から、いかに
鉱害の
復旧ということが大きな問題であるかという点は、もう私が申し上げなくても
大臣も政府
委員も百も御
承知のところであります。したがって、以下私は、五、六点大事なことだと思う点だけを
質問をいたします。
合理化法によって、これもだいぶん議論されてきた問題ですけれども、新
方式による
買い上げ方式がとられ、その結果無
資力鉱害が非常に増大してきておるということでございます。
被害者は年々の減収、収穫が少なくなっていくことに対する補償は、買い上げ後三年間は
合理化事業団がこれを補償していたわけでございます。ところが、今後はこれがもう補償をしてもらえなくなったということで、
鉱害復旧をしてもらうことが非常におくれる。もう補償はないという点から非常な不安を持っているということは申すまでもありません。そういう点から、最近は特に、こういう
被害者に対してあまりに過酷ではないか。だんだんこれを安心感のいくように、あるいは
鉱害復旧を早くするとか、あるいはそれまでの間の減収補償をしてやるとかいうことは当然とられなければならぬのに、逆な結果があらわれておる。こういう点に対して、かなり
被害者の間においては問題があるわけでございます。そこで政府のほうはあまりに、現地を知っておりながらこれらに対する処置というものが無責任じゃないかということで、相当強く地元
被害者が政府に対して攻撃しているというか、反感を持っておるということは、これも私は十分御
承知だと思うが、この問題について、どうしていままで補償しておったものを補償しなくてもいいのか、その論拠はどこにあるのですか。これをひとつはっきりしておいていただきたいと思います。