運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-03-18 第48回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十八日(木曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 加藤 高藏君    理事 有田 喜一君 理事 壽原 正一君    理事 中川 俊思君 理事 多賀谷真稔君    理事 滝井 義高君 理事 細谷 治嘉君       小笠 公韶君    澁谷 直藏君       田中 六助君    中村 幸八君       西岡 武夫君    野見山清造君       三原 朝雄君    井手 以誠君       中村 重光君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君  出席政府委員         通商産業事務官         (石炭局長)  井上  亮君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      宮本  惇君  委員外出席者         議     員 細谷 治嘉君         通商産業事務官         (石炭局調整課         長)      進   淳君         通商産業事務官         (公益事業局次         長)      金井多喜男君         参  考  人         (石炭鉱業合理         化事業団理事) 町田 幹夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  産炭地域における特定公共事業等に要する経  費に対する国の負担又は補助臨時特例に関す  る法律案細谷治嘉君外七名提出衆法第一〇  号)  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第七〇号)  電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出第九二号)      ————◇—————
  2. 加藤高藏

    加藤委員長 これより会議を開きます。  去る十三日付託になりました細谷治嘉君外七名提出産炭地域における特定公共事業等に要する経費に対する国の負担又は補助臨時特例に関する法律案議題とし、まず提出者提案理由説明を求めます。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷議員 私は提出者を代表し、ただいま議題となりました産炭地域における特定公共事業等に要する経費に対する国の負担又は補助臨時特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  エネルギー消費形態の変革に伴う石炭鉱業構造的不況は、石炭鉱業の急速な合理化ないし整理を余儀なくし、多数の炭鉱休廃山、関連産業倒産炭鉱離職者の大量の発生等を招来したのでありまして、これが産炭地経済及び住民に与えた打撃はきわめて大きく、重大な社会問題を惹起していることは、御承知のとおりであります。  このため、従来から石炭企業合理化対策離職者対策産炭地振興対策等の各般の対策が講せられてきたのでありますが、産炭地経済は全面的に石炭鉱業に依存している場合が多いため、石炭鉱業不況は、他産業不況を招き、離職者の同地区産業への雇用吸収を困難にするばかりでなく、離職者の過去の生活環境年齢構成技能程度等の諸条件から、他地区への労働移動もおのずからきびしい限界が生ずる結果となっているのであります。  したがって、産炭地域根本的振興策を講ずるためには、何よりも石炭産業にかわる新たなる産業を誘致、育成することが急務となっているのでありますが、そのためには、まず、立地条件不利等による隘路を打開するため、道路港湾、用水、その他産業基盤施設の急速な整備が要請されているのであります。このような観点に立って、一昨年十月産炭地域振興基本計画が樹立され、同十一月には全国九地区振興実施計画が策定されているのであり、この計画の完全な実施により、初めて産炭地発電セメント工場その他多角的な新産業地帯の造成と地域社会全体の均衡ある発展が期せられるのであります。  しかしながら、この計画を進めて行く上で非常に大きな問題点があるのであります。それは産炭地方公共団体の財政問題であります。もとより、産炭地振興事業は、国、地方公共団体公団公社その他関係機関がそれぞれその実施を分担するものでありますが、何と申しましてもその中核となる機関は地元の地方公共団体であります。しかしその産炭地地方公共団体が現在財政的に非常に苦境に立っているのであります。すなわち、第一に、産炭地経済が全面的に石炭鉱業に依存しているため、石炭不況の浸透によって鉱産税固定資産税住民税等石炭関係諸税が激減する一方、地方税一般徴収状況も著しく低下してきたことであります。第二は、離職者大量発生と滞留により失業対策事業費及び生活保護費教育費が激増したことであります。第三は、鉱業権者の無資力等により地方公団体が支弁する鉱害復旧事業費が増加したことであります。そのほか炭鉱施設移管等の一時的経費も増加しております。  この結果、関係市町村財政力指数は、年々悪化の傾向をたどり、たとえば産炭地域全体では昭和三十五年度の七六・六%が昭和三十七年度には六七・二%となり、特に石炭産出市町村のみでは、昭和三十五年度の六八・六%が昭和三十七年度の五五・三%と低下しているのであります。  以上申し述べましたように、現状のままでは、産炭地地方公共団体は、失業対策生活保護、準要保護児童対策等の当面の対策に追われ、産業基盤整備等の新たなる財政負担は不可能に近く、産炭地体質改善を目ざす産炭地域振興実施計画も絵にかいたもちとなる危険性が強いのであります。  公共事業についての国庫負担特例制度としては、現に後進地域開発に関する公共事業にかかる国の負担割合特例に関する法律がありますが、この制度は、市町村適用がないのみならず、一般的な後進地域開発促進を目的とし、産炭地域振興事業のごとく緊急かつ集中的に行なわれる事業には不十分な財政措置しか期待されず、実情に即さないことは、さきの第二次石炭調査団答申が強く指摘しているところであります。  また失業対策費等については、通常地方交付税制度により所要の財源措置が講ぜられるのでありますが、これまた産炭地のごとく、地域内世帯数のうち相当数失業対策ないし生活保護対象となるような異常な事態となってまいりますと、地方交付税制度のワク内で財政措置を講ずることは著しく困難となるのであります。  したがいまして、この際、国は、産炭地域経済基盤の強化と住民福祉向上をはかるため、産炭地域振興上必要な公共事業中心災害復旧事業並びに当面財政需要の旺盛な失業対策生活保護事僕等について岡の負担割合を高め、産炭地地方公共団体負担を軽減せしめるとともに、これら事業の円滑な実施を推進する制度を創設することが緊急不可欠のことと存ずる次第であります。  以上が本法律案提案理由であります。  次に、本法律案内容要旨につきまして御説明申し上げます。  第一に、適用団体についてであります。すでに産炭地域振興臨時措置法において、石炭鉱業不況による疲弊の著しい地域及びこれに隣接し、当該不況による影響の著しい地域を指定しておりますので、この法律案においては、これらの地域所在市町村及びそれを包括する道府県適用しようとするものであります。  第二に、一般産炭地域として産炭地域振興臨時措置法第二条により指定される産炭地市町村及びこれら市町村を包括する道府県に対する特別の財政措置についてであります。  その一は、公共事業費についてであります。産炭地域振興実施計画に基づく各種事業中において、特に、根幹となる道路河川砂防港湾土地改良林業施設土地区画整理工業用水道及び簡易水道等については、国が負担し、または補助すべき割合を、おおむね現在奄美群島振興事業において採用している特例措置程度まで引き上げようとするものであります。この結果、道路工事は十分の八から十分の九までの国庫補助率となり、その他河川砂防は十分の九、港湾は全額、土地改良は十分の四・五から十分の七・五まで、林業施設は十分の三から十分の六・五まで、土地区画整理は、三分の二、工業用水道は十分の五から十分の七まで、簡易水道は十分の八のそれぞれ高率の補助負担率となるのであります。  なお、この特例対象となる具体的事業は、通商産業大臣主務大臣と協議して指定することとしております。  その二は、災害復旧事業費についてであります。公共土木施設等災害復旧事業費については、通常公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法により、災害復旧事業費標準税収入に対する割合に応じ、国の負担率が定まることとされているのでありますが、この算定された率が五分の四に満たない場合であっても五分の四まで引き上げようとするものであります。  第三は、産炭地域のうちでも特に石炭鉱業不況による疲弊の著しい地域として産炭地域振興臨時措置法第六条により指定された市町村に対する特別の財政措置についてであります。なお、この市町村には、第二の特例措置もあわせ講ぜられるものであります。  その一は、失業対策事業費についてであります。失業世事業に要する経費については、労力費三分の二、資材費二分の一、事務費三分の二の国庫補助が行なわれておりますが、これを五分の四まで引き上げようとするものであります。  その二は、生活保護費についてであります。生活保護事業については、各種国庫補助が行なわれているのでありますが、このうち、いわゆる保護費については十分の八の負担行政事務費については二分の一の予算補助が行なわれているのであります。これを十分の九の国庫負担としようとするものであります。  その三は、国民健康保険事業についてであります。国民健康保険事業については、国は結核等を除いて疾病にかかる療養の給付及び療養費の支給に要する費用について百分の二十五の負担を行なうこととされておりますが、これを百分の四十の負担引き上げようとするものであります。  第四は他の国庫負担特例措置との関係であります。  この法律案により産炭地域振興事業にかかる国の補助負担割合は相当程度引き上げられることになりますので、この法律対象となる事業費については、後進地域にかかる国庫負担かさ上げ制度適用しないこととするものであります。  第五は、この法律存続期間であります。この法律案は、本年度予算から適用産炭地域振興事業が一段落し、産炭地域振興臨時措置法が失効する年の昭和四十一年度分の予算まで適用することとしようとするものであります。  以上がこの法律案提案理由及び内容の概略であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御協賛くださるようお願い申し上げます。
  4. 加藤高藏

    加藤委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 加藤高藏

    加藤委員長 次に、内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び電力用炭代金精算株式会社法の一部を改正する法律案議題として、前会に引き続き質疑を行ないます。  本日も、参考人として、石炭鉱業合理化事業団理事町田幹夫君に御出席をいただいております。  それでは、質疑の通告がありますのでこれを許します。多賀谷真稔君。
  6. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 朝鮮戦争による石炭のブームが終わって、昭和二十七年ころから炭界は非常な不況になったわけですが、最初不況の訪れたのは昭和二十八年から九年にかけて、いわば九州における西部地区といいますか、佐賀炭田中心として、日満鉱業あるいは高倉鉱業等が閉山をし倒産をした。こういう事態が起こりました。そのときに私は、この倒産はまさに流通機構におけるしわ寄せが中小炭鉱にあらわれたんだ、こういうように把握をしたわけです。それは結局中小における流通機構の確立がなく、そうして戦争から戦後にかけて炭鉱が非常によかった時代に、いわば契約に違反をしながら高いところにどんどん売ったということの反撃があらわれて、そういう中小炭鉱がばたばた倒れた、こういう事実に接したわけです。そのときに、当時社会党は左右両派ありましたけれども、左右両派共同提案として、石炭鉱業安定法をつくって、少なくとも販売はやはり一本化する必要がある。販売で競争するというのは、およそ石炭においてはあまり意味がない。石炭は、大臣御存じのように、下にある、地下の資源を地上に出す作業ですから、そこには製品の品質の向上とか、そういうものが比較的ない。ですから販売で競争しても、そこに非常に技術が進歩するとか、そういう点が決して見られぬ。ですから販売の競争は、自由主義経済における石炭についてはあまり意味がない。むしろいろいろなところで弊害が出る、こういうことを当時話したわけです。  御存じのようにいまイギリス、フランスは国有、公社形態をとっておりますけれども、西ドイツも、これは私企業ではありますけれども、販売は一本化しておるわけです。三つカルテルがありますけれども、実際は一つカルテルでやっておる。ですから自由企業における西ドイツにおいても販売は一社です。そこで私たちは当時、少なくとも電力用炭だけでも一社で扱ったらどうか、こういう話をしたのであります。政府にも質問をしました。ところがやっと十年たって、電力用炭代金精算株式会社法という法律が出た。やはりわれわれが言ったことが間違いでなかった、こういう感じもありますけれども、あまりにおそきに失したのですね。この前も電力用炭代金精算株式会社法ができたときに、なぜ代金の支払いだけを扱うというような会社をつくるのか、一歩進めて販売会社をつくったらいいじゃないか、こういう話をしたわけですけれども、残念ながら当時は代金精算株式会社ということで、一歩を進めたという感じでわれわれも賛成したわけですけれども、かように石炭行政というのは非常におくれておるわけです。またあとからおくれている面を私は指摘をいたしますけれども、もう少し手当てが早ければ今日の事態は起こってないということ、個人的に識者に聞いてみても皆そのほうがいいというけれども、それが実行できないのです。ですから、その点はやっぱり政府として勇断をもって先を見ながら、前向きに政策を前進させていかなければ、あと大混乱になって、収拾策として法律が出てきたのでは意味が薄いのではないか、私はこういうように感ずるわけです。そこで、第一次有沢答申が出ましたとき、流通機構についていろいろ答申が出されておりますが、一体それが現実にはどういうように処置をされたかお聞かせ願いたい。
  7. 井上亮

    井上政府委員 流通機構合理化、またその必要性の重大さにつきましては、ただいま多賀谷先生から御指摘のとおりであります。石炭産業を健全な姿へ育成いたしていきますためには、やはり何と申しましても、企業の健全なあり方とか、あるいは経営の改善とかということも必要でございますけれども、それと同時に、やはり絶えず安定した需要部門との信頼関係、特にこれに対する供給面におきまして、安定供給の実をあげるような政策が伴わなければならないというふうに考えているわけでございますが、特に石炭産業はマイニングという、自然条件に左右される企業形態でございますので、特に流通面の問題が大きな問題になってまいります。特に日本の工業は西独、イギリス等と違いまして、産炭地の上に企業があり需要部門があるというような構成になっておりません。わが国の産炭地域九州北海道というような、いわば本州の工業地帯から離れたところにありますので、どうしても販売価格といいますか、需要部門に渡りますときの価格が、西欧に比べましてわりあいに不利な条件に置かれている。御承知のように北海道から東京までは、数年前は千八百円くらいの運賃がかかっておったわけでございます。したがいまして、千八百円の運賃がかかるということは、西欧工業立地条件から見ますと、それだけ非常に不利な要件になっているというような意味から、合理化の面におきましては、単に山元の合理化だけでなしに、流通面合理化が特に必要だというようなことから、先生指摘の第一次調査団におきましては、流通面合理化を相当大きな課題として取り上げたわけでございます。  その第一次調査団におきましては、そういった観点からまず第一に海上輸送合理化海上運賃が非常に高かったものですから、そういう意味で、まず海上運賃低廉化、そのために石炭専用船政策を進めてまいりました。石炭専用船政策は、第一次答申後今日まで、九州はまだ二隻程度しかございませんが、北海道におきましては大体五千トン級の専用船を二十一隻程度つくり、かつ、つくる計画に相なっております。四十年度におきましては二十八隻になります。今日まで大体二十一隻くらい。これによりまして北海道から関東地方に至る運賃の低減は、少なくとも二百円からそれ以上の効果を生んでおります。現在専用船政策を、そういった意味合いで鋭意続けておるわけでございます。なお、九州から阪神地区に輸送します専用船の問題につきましては、これはもちろんやらなければいけないと思っておるわけでございますが、御承知のように若松地区中心とする機帆船業者の、零細企業の問題があるわけでございますので、私どもといたしましては、九州から阪神に抜ける専用船につきましては、できるだけ零細な機帆船業者影響を与えないような方法によりまして、つまり若松地区から積み出す炭でない炭とか、あるいはかりに若松から積み出す場合にでも、さらに中部地区とか関東地方に輸送されるというような炭を主体に、専用船政策を進めておるわけでございます。これは第一次答申一つの大きな柱であったわけでございます。  それから第一次答申におきましては、この専用船政策だけではありませんで、さらに銘柄整理という問題をたしか強調しておると思います。これにつきましては、従来銘柄整理はその必要性が非常に叫ばれておったわけでございますが、必ずしも実行されてきたというほどには改善されていなかったわけであります。しかしこの二年間にこの銘柄整理は相当の前進を見せております。ただ、なお私まだ自慢できるほどではないというふうに考えております。そこで今回提案しておりますこの電力用炭精算会社を変えまして販売会社にすることによりまして、電力用炭輸送等につきましては、さらに配船調整とか共同荷役というような問題がしやすい環境になるわけでございますので、こういった機関を通じましてさらに需要部門とも話し合いを進め、銘柄の統一とか整理の問題に精力的に努力してまいりたいというふうに考えております。  なお、第三点になろうかと思いますが、第一次答申の際には港湾荷役施設合理化という問題を取り上げまして、、これは多賀谷先生承知のように、合理化事業団からの近代化資金融資をもって、この荷役施設近代化のための融資を行ない、指導ないしは援助をする体制をとってまいりました。それによりまして、海上輸送の前の段階の荷役関係合理化も相当進んだと私は思います。しかしごく最近におきましては、特に若松地区のような点におきましては、炭があまり集まらないで、せっかく合理化事業団から金を借りて設備をやったけれども、なかなか効率が高まらないというような問題が一、二起こっておりますけれども、しかし依然として石炭の大きな集散地における近代化施設は、私は効果を発揮しておるというふうに考えておるわけであります。その他流通合理化面につきましては、例の暖厨房用炭につきまして、揚げ地に基地をつくる提案が第一次答申でたしかなされておると思いますが、これにつきましては、同じく財政資金をもって援助するというような方針で進めております。これはすでに常磐炭鉱とか太平洋炭鉱というような、関東地方暖厨房用炭を多く出しておる企業におきましては、県下一円打って一丸とする共同荷おろし施設とか、いわゆる基地と称しておりますが、配給基地、これは販売業者共同機関というようなものをつくりまして、そういった意味から消費者にサービスするような体制をつくっておるわけでございます。  言い残した点も多々あると思いますが、要点だけを簡潔に申し上げますと、以上のようなことでございます。
  8. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それにつきましては逐次質問をいたしていきたいと思いますが、大臣出席でありますので、この電力用炭販売株式会社設立改正案について、その前提条件たる有沢第二次答申の柱である電力用炭値段が、まだきまらぬわけですね。これが今度の第二次有沢答申一つの大きな柱ですよ。要するに、第二次有沢調査団で一番議論になったのは、値段を上げるか重油消費税をかけるかというのが、最後まで御存じのように論議になった。いずれの方向を選ぶかというので、結局値段を上げようということで一般炭三百円、原料炭二百円という答申が出た。ところが、いまだにその値段決定ができていないやに聞く。昨年の十二月に答申が出まして、翌日われわれは有沢団長に来ていただいて、趣旨の説明を聞き、翌々日、休会中ではありましたが、総理出席を願いまして、その決意を聞いたわけです。ところがいまだに解決をしていない。しかも政府並びに与党の諸君は、電力用炭代金精算株式会社法の一部改正案を早くあげてくれと、こう言うけれども、肝心な前提がきまらぬという状態ではなかなかあげるわけにいかないんですよ。そこで、一体いつまでに決定をなされるか、これをお聞かせ願いたい。
  9. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 通産省の立場から申しますと、すでに答申のとおりに、一般炭三百円の値上げということを四月一日実施ということにはっきりとしておるのであります。ただ御承知のように、なお今回御審議を願っておる共販会社との関係などかございまして、電力界として実施が事実上若干ずれるのでないかというような推定もして、炭価引き上げの多少の延期を希望して、昨日あたり要望書がまいっております。われわれといたしましては、四月一日に炭価引き上げをする、こういう方針で現在説得につとめておるわけでございます。でありますから、言いかえますならば、方針ははっきりしておると申し上げて言い過ぎではないと思います。
  10. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 方針ははっきりしておると言いますけれども、決定してないでしょう。ですから、われわれの法案前提がきまらないんですよ。今度の答申の大きな柱ですからね。一般炭三百円並びに原料炭二百円というのがきまらなければ、われわれは別の方式をやらざるを得ない。そうすると、法律の立て方も変わるわけです。ですから、その前提をいつまでにおきめになるんですか。今週中にきまるんですか。
  11. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いま現実の動きを申し上げておるのですが、もう通産省方針をきめておるのです。ですからかりに、いまの電力業界あるいは鉄鋼、ガス業界要望の中で、こまかく考えられる点もあります。ありますが、その考えられる点というのは、基本方針にはもとらない、こういうふりに思います。ですからここで、すでに炭価引き上げを四月一日から実施することにきめておる、こう申し上げていいと思います。
  12. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それは総理も含んで、政府として決定しておるわけですか。
  13. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これはそのとおりでございます。
  14. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると新しい法律の十五条に、「通商産業大臣は、毎年、電力用炭の品位に応じ、石炭鉱業合理化臨時措置法第五十八条第一項の規定による石炭販売価格基準額に準拠して、会社電力用炭購入価格及び販売価格を定めなければならない。」この十五条の点については、政府決定しておると見ていいのですか。
  15. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは申し上げるまでもなく、現在この法案の御審議を願っておるのでありますから、この法案が成立後にはそのような措置をとる、したがって法律に基づいてきまる、こういうことでございます。
  16. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると政府は、その額においてはもう三百円アップをこの法案さえ通せば必ずきめる、こう考えていいのですか。
  17. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 そのとおりでございます。
  18. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 電力会社のほうで異議があっても、もう政府は十五条できめるのですね、法案さえ通せば。
  19. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 そのとおりでございます。
  20. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 電力会社のほうの協力がなくともきめる、こうおっしゃるのですから、それを信じて審議を進めていきたい。  そこで、いまの炭価の値上げに関連をして聞きたいのですが、北海道それから各電力会社のカロリー当たりの炭価はどのくらいになっておりますか。できれば流通経費を除いて、山元原価はカロリー当たり各社別どのくらいになっておるか、これはきわめてむずかしい質問をしておるわけですけれども、東京、関西、中部等にかなり流通経費がかかっておるわけです。それを控除した場合に、山元原価は各社別どのくらいになっておるか、これをお聞かせ願いたい。
  21. 井上亮

    井上政府委員 非常に詳細な御質問でございまして、詳細には後刻資料で提出したいと思いますけれども、概要を申し上げてみたいと思います。  三十九年度の電力会社向けのカロリー当たりの単価でございますが、北海道から申し上げますと、北海道は御承知のように石炭のほうが重油より安いわけでございまして、カロリー当たり石炭は四十六銭になっております。東北が六十七銭、東京は七十七銭、中部が同じく七十七銭、関西は六十八銭、中国が六十五銭、四国が六十六銭、九州は、北海道ほどではありませんが、やはり石炭のほうが重油より安くて、カロリー当たりの単価は五十四銭でございます。  輸送費の話が出ましたが、これはお説のぴしゃりとした回答ではありませんが、大体の傾向でございます。北海道から京浜に送ります場合の輸送費でございますが、大体陸送関係北海道では三十八年度で五百四十円、それから積み込みが百九十円、それから海送費が、これは先ほど私が答弁いたしましたように、二百四十円ほど三十三年に比べまして安くなりまして、七百八十一円ということでございます。合計しまして大体北海道から京浜には千五百十一円というのが三十八年度の実績でございます。なお、三十九年度には専用船政策の威力が出ておりますので、もう少し下がっておると思います。  それから九州から阪神に対しましては、陸送関係北海道の五百四十円に対しまして二百二円、それから積み込みが北海道は百九十円ですが、九州は百三十六円、海送は、北海道は近年非常に安くなりまして、三十三年には千円だったのですが、最近は先ほど申しましたように七百八十一円、これに対して九州は、阪神まででございますが五百三十六円、合計しまして八百七十四円、北海道の東京向け千五百十一円に対しまして九州阪神向けは八百七十四円というような実情でございます。  多賀谷先生の直接的なお答えでなくて、ややマクロ的な答弁になりましたが、こまかい点は資料で即刻、本日中に提出させていただきたいと思います。
  22. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そこで、山公益事業局長いらっしゃいますが、電力会社の燃料費は、一体電力単価をきめるときカロリー当たり石炭はどのくらい各社計算しているのですか。当然電力料金を設定するときには燃料費をはじき、その燃料費の中で石炭価格はこのくらいだとはじいておるはずです。それはいわば各社の電力料金を決定した時期にもよると思いますが、千二百円引きが行なわれた時期の場合、あるいはまたそれ以前に決定した場合、これはもちろん会社経理というものはほかの償却の問題、施設の問題のほうがかなりウエートを占めておりますから、それによって私は経理状態そのものを判断しようとは思いません。ほかのファクターのほうが非常に大きな経理状態を左右する要因がありますから。しかし石炭価格についてはどのくらいカロリー別で考えられておるか。先ほど石炭局長がカロリー別で石炭の単価を申しましたから、その線に沿うて、一体どのくらい見込まれておるか、お聞かせ願いたい。
  23. 宮本惇

    ○宮本政府委員 ちょっといま直接的にお答えする資料が手元にございません。ただ先ほど石炭局長が言われましたカロリー別の単価と申しますのは、電力会社が三十八年度あるいは三十九年度上期において現、実に買った炭のカロリーを平均いたしますと、先ほど石炭局長の申し上げたような数字になるということでございます。確かに電力原価をはじく場合にカロリーをどう見込んでいるかということは、御承知のように最近値上げのあった各社、そういうものを個別に当たらないと、その当時幾ら見込んでおったかということは、ちょっといまここでお答えできませんので、これは後ほど資料で御提出申し上げたいと思います。  ただ、昨日の中川委員の御質問にもございましたけれども、要するに石炭価格がダイレクトにすぐ電力料金に響くかどうかといった点は、たとえば今度の中部の場合でも、約九百六十二億円の総括原価に対し燃料費百八十六億、この燃料費は石炭代と重油代と全部含めたものでございます。したがいまして燃料代自体は約一九%でございますが、そのうち石炭が幾らかということは、それよりは少ないわけでありまして、ちょっとお答えになるかどうか別として、かりに三百円アップしたからそれがすぐ電力原価にどれだけ響くかということは、そうたいしたことはございません。ただ、先生の御質問の資料は至急調べましてお答えいたします。
  24. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 次に先ほど局長が第一次答申後の政府施策について説明がありましたが、その答申に先立って、昭和三十五年八月に、石炭流通の合理化に関する答申というのが石炭鉱業審議会で出ておる。それによると、北海道で京浜地区までで昭和三十三年から昭和三十八年度までに二百十円、それから九州阪神地区には百円、これだけ下げるということを答申をしておるわけですね。その後有沢答申が一次、二次とあったわけですが、これは実行を見ておりますか。
  25. 井上亮

    井上政府委員 ただいま御指摘の当初の合理化目標は、先生ただいまおっしゃいましたように、昭和三十三年度に対しまして昭和三十八年度には、流通合理化のコスト効果は二百七円ということを想定いたしておったわけであります。これは北海道、京浜間でございます。それからなお九州阪神間は百十二円というのが、三十三年度に対しまして三十八年度までの合理化目標ということに相なっておったわけでございます。これに対しまして、その後の推移、特に三十七、八年以降専用船政策を進めてきたというようなことのために、特に北海道、京浜間の合理化が相当顕著でございまして、北海道、京浜間の合理化は先ほど申しましたように、三十八年度までには二百七円という目標でありましたが、目標をこえまして、二百六十六円の合理化ができております。これは陸送、積み込み、海送、それから販売費の引き下げというような点まで全部入れまして、二百七円の目標に対して二百六十六円というのが実績であります。しかし、これに対しまして九州阪神間の流通合理化は、率直に言いまして、若干の効果はあげましたけれども、所期の目的は達しておりません。当初の百十二円の目標に対しまして、その後の出入り等入れまして三十八年度の実績は、合理化効果が二十八円ということになっています。この大きな原因は陸送費の値上がり、これが非常に大きかったわけであります。北海道は、もちろん陸送費の値上がりはあるわけですが、その陸送費の値上がりをむしろ、先ほど言いましたような専用船政策効果で打ち消して、なお当初目標よりもはるかに高い合理化目標を達成した。九州専用船政策も、例の機帆船政策等との関連もありまして、急速に伸ばすわけにまいらなかった等の事情から、二十八円程度合理化効果にとどまっております。
  26. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 九州炭鉱は老朽であるし、非常に経営が困難です。流通面においても十分な効果をあげていないということは非常に遺憾です。  そこで、逐次質問をしていきたいと思うのですが、先ほど暖厨房用炭については、財政資金等を通じて県下の共同販売をつくると、こういうお話がありましたけれども、暖厨房なんて、政策が忘れられておるんじゃないかという感じがするんです。この第一次答申では「暖厨房用炭については、流通機構の徹底した近代化合理化、それによる消費者価格の引下げ、官公庁需要の優先確保、石炭を消費するセントラルヒーティングの推進等の措置を講じ、」と、これはかなり前進をした形でとらえられておるのですが、これがさっぱり進みません。そこで、私は、世界的にもう、暖厨房なんかに使うということ自体が古い、こういう感じであるのかどうかというので調べてみました。ところが、最近、海外エネルギー事情調査団有沢団長から、櫻内通産大臣昭和三十九年の八月二十五日に報告書が出ておる。その報告書によると、イギリスでは、「ガロン当り二ペンスの石油消費税を賦課して、二億トン生産目標維持の環境整備している。この環境のなかで、石炭産業は、炭鉱関係者だけでなく、輸送関係者、燃焼装置製造業者、ヒーティング・エンジニア、建築家などまで網羅した石炭オペレーション・パートナーシップと呼ばれる結集体制をとって市場獲得の努力を行なっている。」こう言っておるわけですよ。そこで、進んだイギリスでむこういう政策がとられておる。これは最近の報告書ですよ。ところが日本では、炭鉱のほうでも最近は炭鉱街にプロパンガスを使うようになっておることは現実ですよ。そこで政府は、もうこれを忘れてしまったのかどうか。こういう暖房用炭についての政策というものはもう必要ないのだ、こういうように考えておるのか。こういう事情になったからこれはやらない、こういうようにお考えであるのか。少なくとも三十七年の有沢答申の出たときには、まだ石炭が余っておるという事情ですね。これについてどういう政策がとられたか、これをお聞かせ願いたい。
  27. 井上亮

    井上政府委員 率直に申しまして、御指摘のように、暖厨房用炭についての合理化政策、特にセントラルヒーティング等の検討もやるというような答申に相なっておったわけでございますが、その後検討を進め、あるいは実施についてのいろいろの関係者との打ち合わせ等もしておりますが、結論的に申し上げれば、まだセントラルヒーティングというようなものも実現しておりませんので、そういった意味では、確かに御指摘のように、政策がおくれていると言われましても、返すことばがないわけであります。しかし私どもの考え方といたしましては、やはり第一次有沢調査団答申にもありますように、石炭の安定した需要を確保していく、同時に、消費者に対してサービスしていくということは、今後の石炭政策を進めていく上に、依然としてやはり大事なことであるというふうに私ども考えておりまして、政策は非常にブアだとおしかりは受けるかもしれませんが、しかしそれにもかかわらず、先ほど申しましたように、特に産炭地における暖厨房用炭、これにつきましては、御承知のように、そうむずかしい問題はないと思いますが、揚げ地におきまして、暖厨房用炭の需要が減っていく、それから消費者に対するサービスも必ずしも十分でないというようなことに対しまして、揚げ地における暖厨房用炭対策を進めていくというような政策方向をとっておるわけであります。特に揚げ地におきましては、御承知のように、わりあいに高いという非難もございます。それをどうしたら安くできるかというような問題、そういうような問題の一環としまして、先ほどもちょっとお話ししましたように、たとえば特に東京に暖厨房用炭がきております常磐とか太平洋の炭とか、あるいは宇部の炭とかいうようなものにつきましては、それぞれの会社が県下の販売業者の共同荷受け所をつくるというような形をとりまして、そこに一括貨車輸送をして、そこを基地とする、そして共同荷さばきをするというような制度を勧奨いたしておるわけでございます。そういうことによりまして、いままでの実績では、予想外の需要の増大といいますか、減退防止といいますかの効果をあげております。御承知のように、暖厨房用炭全体の需要は、実績から見まして、全国的に見ましてもあまり減っておりません。減っておりませんのは、やはりそういった販売面、流通面についての、私どもの努力というよりも、むしろ業界の努力といったほうがよろしいかもしれませんが、そういう努力がある程度成功している結果ではないかというふうに考えております。
  28. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 石炭は千二百円下がったといいますけれども、暖厨房では下がっていないですよ。ことしの冬なんか石炭はとても高かったです。しかもそれは産炭地でですよ。実に石炭の管理が悪いですね。一体カロリーが幾らあるのかちっともわからぬ。そうして大体何トンくらい持ってきておるのか、それもよくわからぬですよ。同じ一トン注文しても、多いときがあるかど思えば、少ないときがある。全く小売りに対する管理というのが実に悪いですね。最近は袋詰めができたり、あるいはホームライトという形で売られたりしておりますが、それも一企業としてですね。要するに、企業が若干努力しておるという形。ですから、いまのような日進月歩のときに、ストーブの研究もしてやらない、何もしてやらない。ただ石炭を凍る。その石炭も千二百円引きというのは、電力甲炭や国鉄用炭が千二百円引きであって、一般の大衆用石炭は何も値段は下がっていないんですよ。むしろことしの冬は上がったくらいです。ですから、こういったところにも石炭に対する不信の念があるわけです。産炭地のまん中で、石炭が足らぬで非常に困っておるという実情です。これはもう北海道でも同じだ。ですから、これらはいわゆるストーブ等の暖房器具の製造業者とも連携をとって器具からやはり改善をしていくという政策石炭業界全体としてとられぬ以上、私は進まないと思う。これはひとつぜひ努力していただきたい。いまのお話しのように、暖厨房用についてはまだ需要が減じていないというんですから、この固定した需要をぜひ確保する必要がある、こういうように考えるわけです。もう一度御所見を承りたい。
  29. 井上亮

    井上政府委員 ただいま、産炭地におきましてもなお暖厨房用炭流通面に困難があったり、あるいは炭価も依然として下がらないというような御指摘があったわけでございますが、価格関係といたしましては、御承知のように、現在暖厨房用炭は、産炭地におきましては重油の値段等と、つまり競合価格と比べましてそう割高でないというような見地から、いわゆる千二百円引きというような強制的なコストに無関係な引き下げはいたしておりませんけれども、ただそういう意味で千二百円引きに比べれば割高だというようなお考えになられるかと思いますけれども、しかし競合価格と、油と比較してみますれば、私は、現在の産炭地におきます暖厨房用炭は決して割り高でないというふうに考えておるわけでございます。だからといいまして、産炭地につきましてもできるだけ消費者にサービスしていくということは必要だと思いますので、私ども業界指導にあたりまして、そういった努力をいたしております。たとえば御指摘もありましたが、燃焼器具の改善等につきましても、それぞれ各社そろいまして研究グループをつくりましていろいろ研究している、あるいは新作品の展示会を開くというようなこともいたしまして、できるだけ需要の確保に、あるいは消費者のサービスになるような努力をいたしておるわけでございまして、今後とも御趣旨に沿ってさらに暖厨房用炭対策につきまして、私ども鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えます。
  30. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 次に国鉄の輸送の問題、運賃問題です。延納の半額というのをどうしてやめたわけですか。
  31. 井上亮

    井上政府委員 延納制をやめましたのは、これは御趣旨にちょっと反するかもしれませんが、当初の約束が、延納制度をつくりましたときに、たしか三年間ということになっておったと思います。したがいまして、それ以上続けるわけにはまいらなくなったというのが端的な理由であります。ただ、私ども率直に言いまして、石炭産業の現状、特に中小炭鉱等の現状から見ますれば、やはり何らかの配慮が必要だということも考えるわけでございますが、しかし一応三年間延納の恩典を受けた、当初における約束もあり、まあやむを得ない措置ではなかったかというふうに考えております。
  32. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 結局有沢答申が出て後に運賃は実質的には上がった、こういう形になる。これも政策がそごを来たした一つ理由であります。  次に、九州における流通機構合理化ができていない一つ理由として、機帆船のお話がありました。この機帆船も非常に困っているわけです。そこで少なくとも石炭関連でありますから、石炭のように買い上げ方式をとってもらいたい、そうしてできれば共同で新しいものをつくりたい、こういう動きがあったわけです。新しいものをつくるということについては、これは財政資金が出たわけですけれども、問題は買い上げというものが制度としてできなかった。結局倒れていく以外にない、こういう状態で合理化がおくれているわけです。この方法についてどういうふうにお考えであるか、これはちょっと石炭局長では無理ですが、あなたの知っておられる範囲で御答弁願いたい。
  33. 井上亮

    井上政府委員 ただいま非常に参考になる御意見を聞かしていただいたわけでございますが、率直に言いまして、石炭専用船を建造して輸送費の大幅な合理化をはかろうという決意を有沢調査団答申以来いたしまして実施してまいったわけでございますが、その効果も先ほど来申し上げましたように非常に上がっております。ただ九州の機帆船問題につきましては、これは当時から運輸省と絶えず打ち合わせをいたしまして、やはり機帆船については両方政策面で両立できるような政策が必要ではないかというような話し合いを私ども運輸省といたしまして、つまり言いかえますと、九州から阪神間の石炭輸送については専用船をやっていく。しかし機帆船業界については、機帆船対策としてこれは運輸省が——先生は、たとえば石炭で申し上げれば老朽炭鉱の買い上げというような制度を運輸省が採用したらどうかというようなお説ではないかと思いますけれども、そういった点につきましても運輸省とも私ども率直に言いまして話し合ってまいったわけでございます。運輸省では現在そういう意味で——たとえば九州石炭専用船が全然ないわけではありません。二隻くらい専用船があるわけでございますが、そういう場合に、石炭専用船をつくるときに、老朽機帆船を石炭業者が解撤して、就航させるというような仕組みを現在取り入れているわけでございます。これは今年度から取り入れておりますけれども、そういう制度をいまやっております。つまり、もう少し具体的に申し上げますと、石炭専用船をつくりますときには、私どもの合理化事業団から三割の財政資金を出しまして、それから運輸省の管轄下に船舶整備公団というのがあるわけですか、船舶整備公団から——私とものほうは無利子の近代化資金ですが、船舶整備公団からは六分五厘の財投の資金から四割程度融資する、合わせまして政府資金が七割になるわけですが、その七割の資金、あとは自己資金ということで、私どものほうの合理化事業団と船舶整備公団とが共同の形をとりまして石炭専用船をつくるという制度をいまやっておるわけでございます。その際、船舶整備公団が船をつくりますときに、一応一定の割合で機帆船の解撤を行政指導でやらしておる。そういう政策を通じまして機帆船業者も利益を受け、かつ専用船もできるだけ就航できるようにというような配慮をいま進めておるわけでございます。
  34. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この解撤をする場合には、やはり老朽山のような買い上げ措置を講ずべきではないか、こう主張しているわけです。そうしませまと、いまお話しのようになるほど専用船はありますけれども、それは特定の離島の鉱山における専用船であって、若松のような、かなり奥の炭鉱が使用している場合の専用船ではない。ですから、そういう意味においては、ほんとうに海上の合理化をやろうとするなら、その措置が必要ではないか、こういうふうに考えております。  続いてもう一つの問題は、どうも政策がばらばらだ、こういう感じを受けるわけです。これは大きな問題もありますけれども、こまかい問題としても、たとえば先ほど荷役設備という話がありました。荷役の機械化をやった、そして近代化資金合理化事業団から貸したけれども、肝心な港湾運送事業法の免状がとれぬ、こういうことです。何のために貸したかわからない。一体こういうばらばらな行政がありますか。これはどういうようにお考えですか。
  35. 井上亮

    井上政府委員 ただいま多賀谷先生が御指摘されました、せっかく荷役設備は融資を受けたけれども、荷役業者としての免許がとれないという問題、これは若松にその事例が一つあるわけでございますが、この点につきましては、確かに御指摘のように、私どもいま頭を痛めておる問題の一つでございます。しかし、これはばらばらという問題ではありませんで、当初荷役会社をつくるというときにはもちろん免許を受けたほうがさらにいいわけでしょうけれども、荷役機械をつくりましてそれを業者に貸与するというような会社でスタートしたわけでございまして、それ自体で十分に採算はとれるし、合理化効果もあがることは事実でございます。ただしかし、多賀谷先生指摘若松の例は、最近若松積み出しの石炭の量が非常に激減してまいりましたので、そういった意味から採算が非常に苦しくなってきている。したがって、先生おっしゃったような運輸省の免許も受けてやりたいというような希望でございまして、この点につきましては私どもできるだけそういった業者の希望に沿うように努力したいということで、私ども運輸省に前々から要請を続けてきた問題でございます。
  36. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 産炭地関係北海道九州が主要な石炭の搬出地でありますが、最近の産炭構造の変化によって関西市場を一体どういうふうにするのか。私が聞きたいのは、北海道石炭を関西に送らないとバランスがとれなくなる。そうすると、いま各電力会社の購入炭価のカロリー別のお話がありましたが、東京はカロリー当たり七十七銭であるのに、関西は六十八銭ということになる。北海道石炭は、汽車ではなく、海上輸送で東京を通って関西に行くわけです。関西に行くと、現状の価格では、安くなることになる。ところが需給のバランスからいくと、北海道石炭を関西まで持っていかざるを得ない。そうするとここに、遠くへ持っていけば値段が下がるという問題、あるいは逆に値段を上げるかという大きな問題も起こるので、一体将来における関西市場をどうお考えになるか、これをお聞かせ願いたい。
  37. 井上亮

    井上政府委員 石炭の生産の全国的な分布が変わりつつあるという点につきましては、御指摘のとおりでございます。昭和四十年度になりますと、従来は九州のほうが北海道よりも石炭の産出量が多かったわけでございますが、やや北海道がふえて、さらに四十一年度、四十二年度になるにつれまして北海道に重点が移行されていくという見通しでございます。したがいまして、先生指摘のような問題が起ころうかと思います。しかしながら、私ども現実石炭販売流通の姿を見てみますと、九州の炭は現在でも東京とか、場合によると東北くらいまで行っておる、名古屋はもちろんという実情でございまして、いわゆる交錯輸送の問題があるわけでございます。九州の炭が東京に来て、北海道の炭が関西に行っておるというような交錯輸送の実態があるわけでございまして、したがいまして、九州の炭は御指摘のようにやや漸減していくかと思いますけれども、しかし少なくともこの一、二年の間は、私は交錯輸送を解消することによって、北海道の炭を九州まで持っていくという無理な——関西まではあるいはあるかと思いますけれども、極端な交錯輸送の姿は行政指導によって解消できるのではないか。今回提案いたしております電力用炭精算会社法の一部改正法案、今度販売会社になるわけですが、その販売会社が、交錯輸送の解消に一役を買いたいというようなことがこの立法の趣旨にあるわけでございまして、そういったことで対処していきたい。しかしもっと遠い将来を考えますと、北海道の炭が関西へ行くという場合があろうと思います。これは専用船政策の強化等によりまして、海上運賃を低減していくという根本的な対策を講じていく以外にないと考えております。
  38. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 現在、御指摘のように、東京電力に北海道炭が八二%、常磐炭が一二%、九州炭が六%あるわけです。中部が、九州炭が五三%、常磐が三%、北海道が四四%になっておる。関西電力は九州炭が九五%、山口が一路、北海道炭が四%、現実にあるわけです。しかし長い展望に立って見ると、将来、関西の市場の半分は北海道でまかなわざるを得ない状態になるのじゃないかと思うのです。それに対して対策があるのか。たとえば松島炭鉱であるとか三池炭鉱のように全然陸送がない地点は、全然汽車に乗せないで海からそのまま船に積めるのですから、北海道炭に比べてもかなり行くわけです。競争力は仙台までくらいある。ですから特殊な、炭鉱の山元からすぐ海上輸送のできるところは、九州といえどもかなり競争力があるわけです。ところが全体的にいいますと、そういうのはごく少ないのであって、将来における関西市場をどうするかという問題をどうしても考えていかなければならぬ、こういうように思うわけです。そこで幸い電力用炭についてはここに販売株式会社ができて、価格の調整をやるというのだから、これは運賃の調整ということが将来政策として考えられないこともない。私は全部プールせよとは言いませんけれども、関西市場と中部、東京の市場というものを、電力についてはこういう機関を設けて考えることが必要ではないか、こういうように思います。しかし原料炭その他の石炭については一体どういうようにするのか、これをお聞かせ願いたい。そして政策全体としては、一体運賃というものをどういうようにもっていくか。ことに東京、中部、関西と見るときに、少なくとも将来関西の市場の半分は北海道炭でまかなわなければならぬ、こういう状態の中でどういう方向で進もうとされるか、これをお聞かせ願いたい。
  39. 井上亮

    井上政府委員 石炭の供給構造が変化していくということは御指摘のとおりでございまして、関西市場につきましてやはり特別な配慮をする必要があるというふうに考えるわけでございますが、この点につきましては、先ほどもお答え申しましたように、当面は交錯輸送の解消ということで善処してまいりたい。ただ交錯輸送の解消を考えます場合にでも、やはり根本になりますのは、炭価体系を是正してかからないと、交錯輸送の解消がうまくいかない面もございます。つまりなぜ九州の炭が東京へくるか、九州へいかないかといえば、九州電力よりは東電に売るほうがもうかるというような事情もあるわけです。したがいまして、炭価体系を合理的に是正するということが交錯輸送の大きな問題点だというふうに考えております。そういったことも配慮して、当面は交錯輸送の解消をやりたいと、こう思っております。  それからさらに、運賃面等につきましての配慮でございますが、これはさしあたってはまだ具体的には考えておりませんけれども、近い将来のそういった供給構造といいますか、需給構造といいますか、そういう問題が変化しまして、特に九州の炭が減っていくことに伴いまして関西市場の炭の確保をどうするかというようなことにつきましては、関西にもやはり炭が経済的に見て集まるようなことも考えていかなければならない。これは単に関西の値段を高くするということではありません。あまりそれをやりますと、今度は重油に置きかわるとかいうような問題を派生いたしますので、そういうときには、要すれば、これはある程度計画経済的なやり方になろうかと思いますが、やはりプール制度の活用とか、そういうことも織りまぜて考えざるを得ないのじゃないか。特にこのプール制度については、運賃についてもこの機関で可能だと私は思います。たとえば私どもそういう交錯輸送の解消等を考えましたときに、やはり交錯輸送の解消といいましても、東京へ売りたい人に東京へ売らさないで関西へ売らすためには、何らかの措置が必要になってまいります。そういった場合に、やはりこの会社を活用してそこを合理的に解決していくという道があると思っておりますので、この会社ができますれば、先生指摘のような問題も可能になってまいると思います。  それから同時に、電力についてはそういうこともできるわけですが、ほかのものについてどうかという御質問でございますが、一般炭原料炭では事情が違うと思いますけれども、原料炭につきましては、今後製鉄所の立地の関係から、やはり関西のウエートが相当高くなる。東京も高いですけれども、関西のウエートも相当高くなってくる。しかし製鉄関係については、まだ専用船政策を大きく進展さしておりません。いま電力用炭が大体大宗をなしておるわけでございまして、鉄鋼向け等につきましてもそういった対策を今後強力に進めていく必要があるのじゃないかというふうに考えております。一般炭につきましては、これは長期的に見れば、関西市場の一般炭というのは減少の傾向でございますので、私は九州の炭が減少傾向にあるからといって特別の混乱はないのじゃないかというふうに考えております。
  40. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そこで問題点が二つ出たのですが、一つは錯綜輸送をこの会社を通じて合理的に解決する、こういう問題です。それからもう一つの点は、錯綜輸送を合理的に解決することに関連して、従来の販売権の問題。率直に申しますと、各企業間で、いろいろ見ると、ある企業は非常に増産態勢に入っている、ある企業は縮小態勢に入っている。ところが、ことに電力会社等の大口の販売権というものは、縮小傾向に入っている炭鉱が依然として持っている。この販売権と今度できる販売株式会社の契約とは一体どうなるか、これを聞きたい。
  41. 井上亮

    井上政府委員 販売権を持っている会社とこの会社との契約につきまして、この法律によりますと石炭販売業者という用語を使っておりますが、販売業者とは、生産者それから配給業者全部含めまして石炭販売業者という名称を使っておるわけであります。この電力用炭代金精算会社、今度販売会社になりますが、電力用炭販売会社はこの石炭販売業者と購入契約を結ぶということになるわけであって、その場合には販売権を持っておられる方と契約をする。ですから生産者が販売権を持って、生産者が需要者に直接契約をし輸送しておられるものは、生産者とこの販売会社が契約をする。販売権を持っておる人がおられます場合には、その方と契約を結ぶ、こういうことに相なります。
  42. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私の質問が若干納得いかなかったと思うのですが、私の言うのは、従来生産会社でかなり大きな規模の出炭をしておった。その範囲において電力会社との契約が進められている。いわば商取引における慣行上の販売権を持っておった。ところが、地山は減産をして非常に少ない。そこで地山で供給することができない。そこに大手における購入炭の問題があるわけです。大手炭鉱中小から購入をして、自分の銘柄で出すかどうかは別として、とにかくいままで電力会社と契約をしておった。そこで大手における購入炭の量が、現実にだんだんふえつつある。こういったことが販売会社という政府機関ができた後にも許されていいかどうかということが一つある。これは率直に言ってピンはねです。ですから、あとから質問をしたいと思いますけれども、いまかなりの炭鉱において、地山では採算がとれないけれども、購入炭によって息を吹き返しているのがある、あるいは損失を減少しておるという会社は相当ある。これは結局中小炭鉱が犠牲になっておる。こういう形があらわれている。ことに電力のような非常にいいお得意さんの場合には、それを放そうとしない。そこでそのことが、また後に出ますけれども、大手と中小炭鉱の値差となってあらわれている。ですから少なくとも正式の契約を新しくできる政府の特殊法人がやる以上、そういう中小炭鉱から購入をした石炭まで大手炭鉱石炭として取り扱う必要はないのではないか、直接中小に売らせたらどうか、こういう気持ちを持っておるわけです。少なくとも、販売株式会社というのは各山の出炭がわかるわけです。その会社の出炭はみなわかっているわけです。その出炭規模以上に実際は電力会社に納めているという例があるのですが、それはどこかから購入しているのです。この段階へくれば、そういうことを許すべきではないのじゃないか、こういうように考えるのですが、それはどういうようにお考えですか。
  43. 井上亮

    井上政府委員 特に中小炭鉱等につきまして、また租鉱炭鉱等におきまして、自分で直接電力会社に売らないで、商社を通じたり、あるいは大手企業の購入炭の形で電力会社に売られるというケースが相当あることは、御指摘のとおりでございますが、この法律の考え方といたしましては、もし、従来商社を通じて電力会社に売っていた、しかし直接売りたいという場合には、直接売ることが当然できるわけでございまして、ただ、商社を通じたほうが便利だ、あとのクレームの処理だとか、あるいは契約上のいろいろトラブルを商社が全部しょってくれる。生産者としましては、もう生産だけに専念しているほうが楽である。特に中小炭鉱等におきましては、やはり人材面等の関係もありまして、おそらくそういうことを希望する面もあって、商社を通じて売るのじゃないかと思いますが、そういう場合には、生産者の希望によってそういう形をとるわけですから、それはそれで差しつかえないのじゃないか。しかし、中間マージンをいたずらに取られてはばからしいという場合には、私は、こういう機会に、やはり直接売買をおやりになってもいいのじゃないかというふうに考えます。  それからもう一つ、購入炭の形式の中には、租鉱の山あたりが、あるいは大手の策二会社、そういう山が前の親企業といいますか、これを通じまして売るケースが非常に多いわけですが、これとても全く同じでございまして、やはり直接売買ということであれば、それでもよろしいのじゃないか。親企業に何ももうけさしてやる必要はない、租鉱料を払っているのですから、義務は果たしているわけです。あるいは第二会社になるときに、いろいろの契約もありましょう。その契約の中で、販売は親企業にまかせるというような契約でもあれば、そう簡単にはまとまらぬかもしれませんけれども、方針としては、何もそういう形態をとる必要がないのじゃないかというふうに考えております。要は、どちらのほうが関係者としてより有利かというような観点だろうと思います。そういうことで判断していかれたらいいのではないかというふうに考えます。
  44. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 その関係者は、どちらが有利かということは出ないです。それは大きな企業のほうが有利だ、中小は不利です。両方ともいいということはないんです。どちらか一方が有利であれば、一方はそれだけ損しているわけです。それはことばじりですからいいですが、そういう事態は起こらぬわけです。  そこで、この機会に、直接売買を政対としては奨励をする、行政指導で直接売買のほうに持っていく、こう考えてよろしいですか。
  45. 井上亮

    井上政府委員 一言で奨励すると言いますと、いろいろな語弊が出るかと思いますが、私はやはり生産者第一主義の立場で考えてまいりたいと考えております。
  46. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この法律では、そういうことができますか。そういう余地はないでしょう。
  47. 井上亮

    井上政府委員 この法律でその余地がないわけではございません。余地はあるわけでございます。ただ、この法律の仕組みでは、電力用炭精算会社は、要するに、石炭販売権を持っている方と、販売をする方と契約を結ぶということでございまして、その販売をする方というのが生産者である場合もあるし、あるいは商社である場合もあるということでございまして、中小炭鉱の方々がもし商社を通ずるとか、大手の大企業を通ずることなしにやりたいということであれば、その道が閉ざされているわけではございません。道はあるわけでございます。要は、私が先ほど答弁申しましたように、この会社をつくりました趣旨からいたしましても、今後の方針からしましても、できるだけ生産者に一番有利なようにという行政指導をしてまいりたいというふうに考えております。ですから、そういった購入炭をしておられるようなその関係中小企業者の方々の自覚にもよることだと思います。私どもはそういう場合には進んであっせんの労をとるということにやぶさかでないわけでございます。
  48. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これは本法第一四条の改正に関連をしておりますから、その際に条文に従って質問をしていきたいと思います。  いま中小の出炭量の何%が大手の手によって販売されているか、これがわかりましたらお聞かせいただきたい。それから、そのうち北海道はどういう状態になっておるか。
  49. 進淳

    ○進説明員 三十九年の一月から六月までの実績が精算会社から報告がまいっておりますが、北海道電力について申し上げますと、大手につきましては、全体は三十七万トンでございます。そのうち自産炭が二十五万四千トン、購入炭が十一万六千トンでございます。なお、中小につきましては十三万一千トンでございまして、これは直納されております。商社経由でやっておるものが別に四万八千トンございますが、このうち大手炭が七千トン、中小炭分が四万一千トンということになっております。
  50. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 商社関係は商社としての独立性があるから、これは別の角度から論議しなければならないと思いますが、中小であるために、大手の手を通じて、しかも特殊法人である販売会社と契約をするということは、どうも私はふに落ちぬわけです。いまお話にありましたように、北海道でも三千七万トンのうち十一万六千トンは実は大手の購入炭です。中小から買って、自分の名前で納めている。そうして大手は二十五万トンという形ですからどうも私はこういう点の改革が必要ではないかと考えるわけです。必ず大手にはここの問に差益が入っているわけです。ですからこの状態は、政府が介入をする場合には少なくともチェックをしてもいいのではないかという気持ちを持つわけです。これは先ほど生産者第一主義でいくと言われましたから、私はもう少し具体的に条文に入って質問をしたいと思います。  本法について、まず電力用炭販売株式会社の目的が五つ列挙されておりますが、この目的に従って順次聞いていきたい、かように思います。  そこで、購入及び販売をする契約の責任者はこの特殊法人である会社になるわけでしょうけれども、一体もし事故があった場合、だれが責任を持つのか。たとえばこういう銘柄こういうカロリー、いろいろな条件によってその電力会社に納められるのでしょうが、カロリーが違っておる、銘柄が違っておる、数量も違う、こういうクレームがきた場合には、だれが責任を負うわけですか。
  51. 井上亮

    井上政府委員 電力用炭販売会社は、石炭販売業者と購入契約を結びまして、電力会社販売契約を結ぶということになるわけでございますので、その限りにおいては、電力用炭販売会社が責任を一応負うわけでございます。ただし、御承知のように、何といいますか、クレームの処理をするとかいうようなことがこの電力用炭販売会社の主目的ではございません。あくまでもこの販売会社は、この目的にありますように、炭価の維持安定という一つの大きなねらいと、それからもう一つは供給の円滑化とか、あるいは付帯業務としての、先ほど来問題になりました流通合理化の問題とかいうことに裨益するような趣旨でございます。したがって、むしろクレームの処理までこの販売会社が扱うようになりますと、この販売会社としては相当な危険負担も負うことでございますし、本来の業務に力点が必ずしも置かれないといううらみがございますので、形は一応そういう形になりますが、実際問題としては、購入契約を結び、かつ販売契約を結びますときに、やはりクレームの責任は供給者側の責任というようなことを契約上明らかにしたいというふうに考えております。
  52. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 供給者側の責任ということは、法律論争になったら一体だれが責任を負うのですか。
  53. 井上亮

    井上政府委員 特約を結びますので、その特約に従って処理されるということになると思います。つまりこの販売会社と供給業者との間にそういった特約を結びますから、その特約によって処理されるというふうに法律問題としては解釈しております。
  54. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 具体的にいいますと、電力会社、要するに九電力なら九電力、それからここにいう当機関ですね、特殊法人たる会社、それから販売会社と、こうあるわけですね。そういたしますと、販売会社が予定された契約どおり行なわないということになりますと、電力会社は一体だれに対して責任の追及をするのですか。
  55. 井上亮

    井上政府委員 数量であれ何であれ、クレームにつきましては、先ほど申しましたような販売会社と供給業者、電力業者間で特約を結びますから、その特約によって供給者の責任ということで特約いたしますので、この販売会社はクレームについては免責されるというような契約を結びたいというふうに考えております。
  56. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると、電力用炭販売会社というのは——数量、品質等のクレームについては、電力会社から直接供給会社に責任の追及がいくわけですね。
  57. 井上亮

    井上政府委員 そのとおりでございます、
  58. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると、一応この販売会社電力会社に対して責任を負い、そのいわば求償権として供給会社に責任を転嫁するという仕組みじゃないわけですね。
  59. 井上亮

    井上政府委員 そうではございません。
  60. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それは要するに、価格以外の責任は負わないということですね。価格以外の責任はこの販売会社は負わぬわけですね。では、この会社は電力業者に対して一体何の責任を負うのですか。
  61. 井上亮

    井上政府委員 責任は結局クレームにつきましては負わないような特約をしたい。もちろん法律的には一番冒頭に御説明申し上げましたように、購入し販売するわけですから、一次的には当然負う形になりますが、それは同時に特約で免責されるような契約をする、こういう形になるわけです。したがいまして、クレームにつきましては責任を負いません。ただこの会社がやりますことは何かといいますと、まず第一には価格の支持政策として、要するに販売価格、これは通産大臣がきめるわけですが、そのきめられた購入価格で買い、きめられた販売価格で売るという業務、これが第一のねらいでございます。  それから第二の問題としては、供給の円滑化のために、もし電力業者がどうしても石炭業者が炭を売ってくれないというような場合には、この販売会社が円滑な供給のために必要な措置をとるというのが、第二の業務になろうかと思います。第三の業務は付帯業務、先ほど来申しましたいろいろなものであります。こういうことになろうかと思います。
  62. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 一次的にはこの販売会社が責任を負うというのはおかしいですよ。その取引条件その他のクレームについては、一次的には責任を負うというのがおかしいですよ。一次的にも負わぬのでしょう。ストレートに電力会社は供給会社について責任の追及ができるのですか、その点はどうなんですか。
  63. 井上亮

    井上政府委員 この法律の立て方からいたしますと、やはり一次的には負うことになります。一次的ということばがあまり適切でありませんけれども、とにかく購入し、販売するわけですから、一応負う形になるわけです。しかし実際、購入します場合には当然購入契約をし、販売しますときは販売契約を結ぶわけですから、その場合にやはり特約を結んで免責条項を設けるという運用で責任を免れるようにする方針でございます。
  64. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 責任を免れるという方式に二つある、ぼくはこう言っている。あなたのおっしゃるように一次的に責任を負うというならば、まず電力会社販売会社に責任を追及するでしょう。販売会社は実はかくかくしかじかで供給業者とこういう特約があります、それはひとつ供給会社に言ってください、こう言うか、自分のほうでクレームの処理をして供給会社に追及をするか、金額の問題になれば求償権を発動するか、一体どっちなんですかと、こう聞いておるのですよ。
  65. 井上亮

    井上政府委員 一次的にこの会社が責任を負うけれどもという話をいたしましたが、結局電力会社といたしましては、したがいましてこの会社に一応責任の追及はできるわけです。できますけれども、この販売会社は、石炭会社との特約で、それは石炭会社が負うという形、これが一つのルートであります。特約の内容によりますけれども、その特約でそれは一つできるわけです。もう一つは、電力会社が直接供給業者に責任を追及することができる、こういう特約を結びたい、こういう趣旨でございます。
  66. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 しかし、それはどっちかにはっきり踏み切っておかぬと困りますよ。どうも何か責任の所在がはっきりしない。一次的にこの販売会社が責任を負うというのは結局、責任はどこにあるかといえば、この機関でなければならぬわけです。この機関は、自分の責任において供給業者に求償権を発動して責任を追及しなけれならぬ。電力会社関係については、要するにこの会社が責任を持つということだ。いま後段お話しになった場合には、これは初めからこの会社には、そういう問題については責任はないのですから、こういう特約があることを条件に、さらにその特約を電力会社とこの販売会社が結ぶ、こういうことになるわけですね。これはどちらかはっきりしておかないと混乱しますよ。
  67. 井上亮

    井上政府委員 決して私は混乱するとは思わないわけでして、ただ、そういうクレーム処理についての責任の追及のしかたに二つある。しかし帰するところは、いずれにしましても、——形式的には一応電力業者は販売会社に責任の追及はできますけれども、実際には特約で、販売会社はすべて免責されるような特約を結ぶわけですから、結局は、電力業者は供給業者に責任を追及する、そういう形になるわけです。ただ、これは形式論でございますが、一応一次的には負うという意味で、この法体系上一応責任の追及はできる、しかし免責される、こういう系列と、それから、直接やっていいということ。この二つあったからといって、責任の所在が不明確になるわけではありませんで、責任の所在は最終的には、やはり供給業者が特約によって負うという形になりますが、ただ、この法律系上どちらでもいい、どちらもとれる。しかしそれによって最終の責任が混迷するわけではありませんで、やはり最終責任は供給業者が負うというような形に特約をつくりたいというふうに考えておるわけであります。
  68. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 いわゆる供給業者が不在あるいは破産、倒産、そういうことを考えなければいかぬですよ。私はそういう概念で聞いておるのですよ。実質的には最終責任は供給業者にあるといっても、供給業者は、炭は納めて金はもらったが、電力会社が使うようになったら、カロリーが違う、数量が違う、こう言う。それで責任の持っていきどころがないわけです、そういうふうに供給業者に負わしていれば。それは結局、その場合には一体だれが負うか。ですから、法律論としては、まず、この販売会社が対電力会社との関係において負うという場合には、結局販売会社の責任でやるわけでしょう。あとから求償権を発動するなり何かするわけでしょう。これをもう少し明確にされておかぬと困りますよ、実際は必ずしもおらなかったり、倒産したりするのだから。
  69. 井上亮

    井上政府委員 石炭会社倒産した場合に電力業者に迷惑をかける場合を一つ描いておられるではないかと思いますが、先ほど御答弁申し上げました線と違わないわけでございますが、一応一次的に会社が責任を負うという立場から、そういったクレームの場合に倒産して代金の回収ができない、あるいは品物を納めなかったという場合——品物を納めなかったというか、要するにクレームの追及ですね。クレームの追及に際しまして、電力会社がまず会社に請求する。会社は特約によりまして石炭会社に回すのだが、そのときに、たとえば五百万円の追及があった場合に、現実には石炭会社は三百万円しか支払い余力がなかったという場合には、三百万円だけです。会社で三百万円ということが明らかになります。そうするとそれだけです。あとの二百万円はどうなるかといえば、これはもう直接電力会社から石炭会社に不足分の追及をしてもらう、こういうような立て方をとりたい。実際にはないものは払えないということであります。
  70. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 責任は負わぬというのですね。
  71. 井上亮

    井上政府委員 いずれにしても責任は全然負いません。
  72. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 わかりましたが、一次的に責任を負うということはないのでしょう。この会社は初めから一次的にも責任を負わぬわけでしょう。一次的に責任を負うとおっしゃるから、何か電力会社との関係において責任を負って、その責任は自分で処理をするのだけれども、今度は求償権を発動して供給会社からとるのだ、こういうようにも考えられるのですが、いまのお話でありますと、初めから全然取引については責任はないわけですよ。そうでしょう。
  73. 井上亮

    井上政府委員 やはり答弁は変わらないわけでございまして、この法律の十四条の立法趣旨からいたしましても、やはりあくまでも電力用炭の購入販売の契約はこの会社がするというたてまえにおいて、最終責任の問題は、これは実際問題として特約等によりまして先ほど来の仕組みになりますけれども、一応負う体制はあるわけでありますので、一次的にという表現は必ずしも適切ではないかと思いますけれども、この法律の体系では一応責任はある。あるけれども、それを特約ではずす、こういうように御了解いただきたいと思います。
  74. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 その特約は電力会社との関係でなくて、供給会社とこの販買会社との関係ではありませんかと、こう私は言っておるのです。電力会社には対抗できないのではないですか。
  75. 進淳

    ○進説明員 法律的にはただいま局長から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、これは同様な契約を電力会社と、それから石炭販売会社、両者と結んでおきまして、契約面でスムーズにそれが取り行なわれるようにいたしたいということを考えております。この点につきましては、この法案を作成の際に法制局とも打ち合わせいたしておりますが、この十四条にございますように、いわばこの会社は昔の配炭公団とは異なりまして、電力会社販売業者とがお互いに事前に協議いたしまして、両方から申し込みがございまして、それが合致した場合にそれに従わなければならない。いわばこの会社自体の自主性というものはない形をとっております。したがいまして、この会社にそういう自主性がございますならば責任能力を追及すべきであろうかと存じますけれども、そういう自主性がたいために、納入その他につきましては、当事者の販売業者に最終責任を転嫁せざるを得ないということは、この立法の際に認められておるわけでございます。
  76. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうしますと、初めから責任ないのだと私は思う。一次的に責任があるとおっしゃるから問題があるが、初めから責任ないのですよ。というのは、この会社と供給会社との間に購入契約をして、この会社電力会社との間に販売契約をする。そのときにも、初めからクレーム等の責任については供給会社が持つということが、今度はこの販売会社電力会社の契約の内容になっている、両方示しているのですから。ですから、これは初めから責任がないのだ、こうはっきりおっしゃったほうがいいですよ。これに第一次責任があるということをおっしゃると、先ほどの例の三百万円供給業者が払って、あとの二百万円はこの販売会社が追及されますよ。
  77. 進淳

    ○進説明員 ただいま私から申し上げましたのは、実際上はこの十四条からそういうふうにせざるを得ないという趣旨でございまして、やはり当事者の申し込みが合致した場合に初めてそれに従って契約するわけでございますが、契約の面では、契約し購入し販売するという形になっておりますので、その面では売買契約という形においては売り手が直接の責任があるというたてまえでございまして、そういう趣旨を御説明申し上げたわけでございます。
  78. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 純然たる法律論を聞いておるので、政策のことはよくわかっているのです。私はそれが悪いとかいいとか言っているのじゃないのです。事実問題が起こった場合にどう処理されますかということを聞いておるので、これはひとつ次のときでもいいから法制局を呼んでもう一度はっきりさせておきたい。といいますのは、これは事件が起きたときにその点を立法者としてはっきりしておかないと、いろいろ混乱があるかと思うのです。ですからはっきりしたいと思います。  続いて、いまの進課長の答弁にちょっとひっかかるのです。というのは、この会社販売については自主性がないのです。介入の余地がないのです。錯綜輸送の場合にこうしますとか、あるいは生産者第一主義で直接生産会社から電力会社に納入をさすようにしますとか、こう言えないでしょう、この会社は。
  79. 井上亮

    井上政府委員 自主性がないということでごさいますけれどもこの十四条の仕組みは、まだ現在の段階では配炭公団的な運用をすることは必ずしも適切でないというような立場から、需給適合を、フリーチョイスをできるだけ認めるという制度にしたわけでございまして、先ほど解釈がはっきりしてないとおっしゃいましたけれども、法制局をまたずともはっきりしておるのでございまして、あくまでもこの会社が売買契約を結ぶ当事者になるわけですから、その立場からいったわけでございます。ただ、第一次的とかなんとかいうことばは適切でないかと思いますけれども、要は特約で免責されるというような仕組みにするわけでございます。だから、実際問題としての御質問をされましたが、実際問題としては、取引の実態面としては、先生おっしゃるようにここはもう責任がない、こういうふうに御了解いただいてけっこうです。ただ法律論的に、あくまでも、いかにフリーチョイスを認めた形をとっておっても、やはり購入契約を結び、販売契約を結ぶという立場をとっておりますから、一応その面から先ほどのようなちょっと形式論的な議論になったわけでございますが、実際面では責任を負わぬ体制になる、クレームの責任はあくまでも供給業者がすべて負うという体制にいたしたい、こういう趣旨でございます。  それからもう一つ、ただいま御質問の交錯輸送の解消等につきましては、先ほど申し上げました供給の円滑化、つまり炭が足らぬところに回すというふうな点につきましては、この十七条で、電力用炭の供給の円滑化のために、通産大臣がこの会社に対してそういう指示をする。この会社は、先ほど進課長が説明しましたように、話がなくても買う権能はあります。つまり何でもかんでも、話が合わなければ買えないということではないわけです。買う権能はあるわけです。したがいまして、そういう立場からこういった供給の円滑化もできますし、交錯輸送等につきましては先ほどの仕組みを通して行政指導でやっていく、販売契約を結び、あるいは購入契約を結ぶに際して、行政指導で交錯輸送の解消をはかる、こういう趣旨でございます。
  80. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると、率直に言いますと、供給業者と電力会社の話がつかなければ買えないのじゃないのですか。この十四条はどういうように読むのでしょうか。こういうように考えてよろしいですか。何々電力会社に売りたいとずっと各供給会社から申し込みが来る、電力会社のほうはかくかくの銘柄をこういうところから買いたいとざっと来る、それがばっとカードが合う分はいいけれども、合わない分はどうするのですか。あるいは最初から供給会社電力会社とカードを合わせて来るのですか。後者の場合以外には買わないのですか。その点がよくわからない。
  81. 井上亮

    井上政府委員 この十四条の書き方がちょっと誤解を生むのでございますが、まあ法律的に書きますとこういうことになるわけでございますけれども、実際問題としてお話ししますと、要するに石炭の供給業者はこの会社関係を結びます前に、事前の商談があるわけでございます。たとえば、九州電力がどこの会社の炭を幾ら買いたいとかいうような商談がございまして、そのいわば下話が成立をいたしますと、双方からこの会社に対して、片方は販売の申し込み、片方は購入の申し込みということになるわけでございまして、そういう申し込みがあった場合には、この販売会社販売業者と購入の契約をし、また電力会社販売契約をしなければならないということをいっているだけでございます。そういうものが合致して来た場合には、販売契約を結び購入契約を結ばなければいかぬということを規定しているだけでございます。したがいまして、それ以外の場合買えないということではございません。この会社は、仕組みといたしまして買えるわけでございます。こういうふうに御了解いただきたい。
  82. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると、いわば下話のない石炭についてもこの会社は独自に購入できる、こう考えていいのですか。
  83. 井上亮

    井上政府委員 実際問題を離れて、法律的には可能でございます。つまり、そういうふうに合わなくても買えるわけです。ただ、合って来たときには片方と購入契約を結び片方と販売契約を結ばなければならない、こういうことでございます。
  84. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 法律的には可能でありますと、こうおっしゃるけれども、私の聞いているもとは、生産業者が直接電力会社とそういった下相談ができるような方式をとる余地がありますかというところから発展しているのですよ。法律的にはできるけれども、実際問題としてはございませんとこうおっしゃたのでは、私が質問をしている趣旨が生かされぬことになるのです。そこで、直接中小炭鉱から大手を通じないで電力会社に納めるというような方式が望ましい、こうおっしゃたですから、そういうようなことが電力販売会社を通じてできますかと、こう言っている。
  85. 井上亮

    井上政府委員 たてまえはあくまでも十四条に書かれておりますように、やはり電力並びに石炭両当事者が下話をいたしまして、それぞれ合意をいたしまして、それぞれ申し込んで、それが合致したときに契約するというのがたてまえでございます。しかし、先ほど来私申しておりましたのは、たとえば電力業者のほうのなかなか売ってくれないという悩み、これが二面にある場合もあります。その反面、石炭販売業者のほうも買い手がないという悩みがございます。そういう場合には、これは合致しませんけれども、この会社が岡に立って需給の結合につきましてのあっせん等はできるわけであります。
  86. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それはあっせんでしょう。
  87. 井上亮

    井上政府委員 あっせんですね。それであくまでも合意主義をとりますけれども、しかし一応買うことはできるし、それから売ることもできるということですから、あるいはあっせんでなくても、もう非常に売れなくて困っておる、片方は足りなくて困っておる、しかしなかなか適合はしないという場合に、これは法律論で申し上げておるのですが、ここは買うことができる、売ることもできるわけですから、この炭を買うといえば、買うと言わないものを売るわけにはいきませんが、買うといえば売ることもできる。こういうことは可能でございます。  それからもう一つ、ただいま御質問の、中小炭鉱の先ほど来の購入炭問題にからむ、中小企業が直接やりたいという問題、これはただいま私申しましたようなのは、これは相当例外的なケースだと思いますが、しかしこの例外といいましても、何といいますか、あまり評判のよくない電力会社には炭は集まらないという場合もありますから、あまり例外でない場合もあろうかと思いますけれども、ただ多賀谷先生の本旨である購入炭にからむ問題としましては、単に親企業との従来の慣習とか因縁とかによってそうせざるを得ないような場合には、これは行政指導で私は直接こういうルートに乗せてあげたほうが、石炭政策上はプラスではないかというふうに考えております。ただしかし、購入炭をしております場合すべてそうであるとは私思いません。やはり販売機構その他持っていない、そういうようなケースもありますから、そういう場合は、やはりその業者の自主的な気持も尊重したいというふうにも考えます。
  88. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 大体アウトラインがつかめたわけですが、この会社は、十四条のいわば相談のできたものを契約に乗せるというものと、そうでなくて、独自でも購入し、販売をすることができる、こういうことであります。  そこで私は、それに関連をして十五条の二項について、結局その購入を、会社のその年における電力用炭の予定販売をこえないように配慮しなければならぬ、こういうことで一応購入限度というものを定めておるようですが、この点は、このことによってこの会社が弾力的に運用ができない条文になっておるんじゃないかと私は思うのですね。もう少しこの会社に、さらにその目的に沿うような任務を持っていただきたいと思うのは、ある一時的な状態において、貯炭が相当増大した。たとえばその年は非常に豊水であったということで貯炭が増大をしたけれども、電力会社との契約がうまくいかない。その場合には電力用炭の予定ということがあるじゃないか、こういうこともありますが、しかしたとえば豊水が二年続きという場合には非常に困難な事態が起こるわけですが、販売会社としては予定販売額というもの以上には買えない。そうすると、一体どこへそれを持ってやるか。従来でありますと、これはその石炭会社がしょっておったわけです。ここにせっかくこういう機構ができたのですから、もう少し弾力性を持たして、その年度年度で考える方式を少し緩和したらどうか、こういうように思うわけです。その面においてはむしろ十五条の二項というのはちょっと弾力を失っているんじゃないか、こういうように考えるのですが、どうですか。
  89. 井上亮

    井上政府委員 第十五条の二項の規定は、ただいま貯炭との問題にからみまして御質問がありましたけれども、これは、お説のような点も確かに考えられるわけでございますが、むしろ二項の趣旨はプール制度の思想が主体でございまして、つま十五条の第一項ではまず電力用炭購入価格販売価格を通産大臣はきめなければいかぬということなのでございますが、その価格をきめるにあたりまして、要するにマクロで電力用炭の予定購入額とその経費、この合計額が電力用炭予定販売額をこえないようにということで、つまりいま問題になっております北海道電力会社とか、あるいは九州電力会社につきましては、やはり同じ炭価の値上げをします場合にでも、そういった点を配慮して値上げ額をきめる。しかしそれでは石炭業者としての必要な値上げ額の確保ができませんので、その反面今度は揚げ地では、たとえば東京電力、関西電力等におきましては、平均三百円値上げになるようにするために、三百何十円上げというようなきめ方をしなければいかぬわけでして、そういった全体のマクロの計算が合うようにという思想もこの中に入っているわけでございまして、そういう意味でございます。ただ、ちょっとぎこちないように見えることも事実でございます。しかし、そういう趣旨でございます。
  90. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 その趣旨ですか。この文章は私は、マクロのトータルをきめておるのだと思ったのです。しかしそのねらいはそうではなくて、前項の購入価格及び販売価格というのは、各社別の販売価格購入価格のことを、いわばプール的な思想を入れたんだ、こういうふうにお話しですが、それにしては、ちょっとこの条文は適当じゃないんじゃないですか。あまりできがよくないのじゃないですか。
  91. 井上亮

    井上政府委員 この一項だけではやはり、何といいますか、全体としてブール思想を出すことの必ずしも十分な表現になっておらないという立法技術上の配慮もこの中に入っておるわけでございまして、そういった意味合いでこういう条文が入っております。
  92. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 いまこの電力用炭価格調整という面についてお話がありました。これは一つの非常な前進だ、こういうふうに思います。これに関連をして、炭価の値上げ額の三百円というのは、ものの考え方としては、一体あらゆるカロリーのものについて三百円アップをするという当局の考え方であるかどうか、石炭局としてはどうお考えになるか、これをお聞かせ願いたい。
  93. 井上亮

    井上政府委員 考え方といたしましては当然にそのように考えておるわけですが、現在のところ私どもカロリー別の展開作業を急いでおる段階でございまして、そういう意味で的確にはいま御答弁できないわけですが、いずれにいたしましても、御承知のように従来基準炭価というものをきめております。基準炭価は御承知のように、九州電力であれば五千カロリー、これが一つの基準カロリーになりまして、それについて炭価がきまり、東京電力であれば六千カロリーというものが基準カロリーになって炭価がきめられておる。これにについては当然三百円上げる、そういうことになります。あと展開はこれに準拠してきめられていくというふうに、基準はあくまでも変えない、三百円値上げだ、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
  94. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 その展開の方針を開いているのです。その展開の方針はどうですか。
  95. 進淳

    ○進説明員 展開の方法につきましては従来からいろいろ考え方がございましたが、現在の考え方といたしましては、やはり三百円ずつ上げる。六千カロリー以上のものもございますし、六千カロリー以下のものも東京電力にはございますけれども、それぞれ三百円上げるというようなことが妥当ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。これをきれいにならしていくという考え方も一部にないことはございませんが、実際問題といたしましては非常にそれはむずかしい問題もございますので、一応機械的に上げるというのが穏当ではなかろうかというふうに考えております。
  96. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 電力会社はどういうように考えているのでしょうか。
  97. 金井多喜男

    ○金井説明員 電力会社のほうといたしましては、昨日から本日にかけまして大臣はじめわれわれ事務当局のほうにいろいろとこの石炭の値上げ問題につきまして陳情があるわけでございますが、その一つに、ただいま先生指摘の点につきましても、カロリー別に考えてほしいというような考え方を基本的な考え方として申し入れがあるわけでございます。
  98. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これはひとつ、大臣に考え方をお聞かせを願いたいと思うわけです。  続いて、なぜ電力用炭だけに限られたか。最初国鉄という話もあったわけですが、なぜ限られだか、お聞かせ願いたい。
  99. 井上亮

    井上政府委員 ただいま提案いたしておりますのは、電力用炭代金精算株式会社法の一部政正という形でお願いいたしておるわけでございます。先生承知のように、第二次調査団答申におきまして、石炭の配給体制、供給体制の問題につきましていろいろの討論がございました。この討論の趣旨は、何といいましても基本的には炭価を維持していく。御承知のように石炭産業の立場は、今日需要部門と比較しまして力関係が非常に弱くなってきておる、つまり需要確保についても政府政策によって需要を確保しているという面が増大してまいっておるわけでございますので、しがたいましてその反面、そういう力関係の弱体化が見られるわけでございます。そういった情勢の中でやはり石炭産業のあるべき姿を守っていくというためには、炭価の安定対策といいますか、維持対策ということが大きな問題になったわけでございまして、そういった趣旨から、従来の制度よりも何か前進した政策はないかということで種々討論が行なわれたわけでございます。その討論の過程で、電力用炭につきましてはすでに精算会社があるわけですが、この点は多賀谷先生先ほど御指摘のように、精算会社というような中途はんぱな形よりも一歩前進すべきだというような意見が調査団の中で非常に強くなりまして、まず最初に電力を対象にすべきじゃないかという意見が強くなったわけでございます。今後の一般炭の需要の動向を見ますと、一般産業向けの需要がやはり、これは国が政策で推持するといいましても、いまの自由経済の体制のもとにおいてこれをそう統制するわけにまいりません。電力につきましては、電力業界の公共性といいますか、そういうような立場もあって理解ある立場をとっていただいて、長期引き取り契約等も進んで協力していただいておるわけでございます。しかし一般産業について電力と同様に長期引き取りを要請するということは、いまの体制では必ずしも適切ではないし、無理であるというような見解で、まず電力が問題になったわけでございます。  次に問題になりましたのは、鉄鋼関係と国鉄関係でございます。鉄鋼関係につきましては、入れたらどうかというような意見も調査団の中には一部ございました。しかし大勢としては、鉄はむしろ技術的に問題があって、そういう技術的な面の検討をもう少ししてみる必要があるのではないかというような点が指摘され、かつはまた鉄鋼業界は、御承知のように買い手が高炉メーカーでございますので、数が六、七社程度に限定されております。それから同時に供給側といたしましても、中小炭鉱はほとんどございません。大手炭鉱はやはり五、六社が主力で、それ以外のも二、三社あるという程度でございますので、この鉄鋼関係の売買につきましては、従来のそういった形で相当——しかもこれは需給の関係につきましても、一般炭と違いまして、鉄鋼はかねがね、これは第一次答申以後でございますが、国内で生産されます原料炭につきましては、国内炭優先使用原則のもとに必ず買うという強い約束になっておりますし、単に約束だけでなしに、鉄鋼業界にとりましては、国内炭だけでは需要をまかなえないわけでございまして、相当多量の輸入を現在もいたしておりますし、将来も輸入が必要でございます。輸入のウエートはいよいよ増大してまいります。そういうような傾向でございますので、いわば買い手独占的な立場ではない、売り手が相当強いというような立場もあって、鉄はこの際見合わせたわけでございます。  次に国鉄でございますが、国鉄は率直に申しまして、私個人といたしましては入れたい希望を持っておりました。これは率直に申しまして事実でございます。しかしいろいろ国鉄当局とも検討いたしましたが、国鉄はやはり電力と違いまして買い手が一本でございます。しかもこれは国の機関でございます。そういうような立場から国の政策には全幅的に協力する、従うという方針を明らかにされておりまして、そういった立場からその必要は全くないんではないかという議論になりまして、特に、電力のようにプールする必要性というものは全くございませんし、そういうような意味合いから結局最終的には電力用炭だけに現在なったわけでございます。
  100. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 実は国鉄の諸君からの、販売株式会社を通じて購入するというのは困るという陳情の最も大きな趣旨は、戦争から戦後にかけて、いわば炭鉱が非常に強気のときに、契約をしておった内容銘柄とかあるいはカロリーとか、そういうものを必ずしも売ってくれなかった。汽車が坂を登るのに、品質が悪くて登れなくなる。こういうようなうき目を見ておるので、どうも不安であるというのが、いろいろ聞いてみると、反対した一番大きな原因のようです。私たちのところに見えたのは、それです。しかし、本来供給業者の責任というのが、電力会社に対しても、あるいはもし国鉄が入るならば国鉄に対してもきわめてはっきりしておるのだということになれば、そういう危惧は全く杞憂にすぎないということになると思うのです。そういう点のPRも足らなかったのじゃないか。こういうように思うわけです。しかし、それはとにかくといたしまして、この販売株式会社というのは、運用を誤ると、石炭産業政策の前進に非常に阻害になるし、運用よろしきを得れば、さらに流通機構の面の合理化に非常に貢献する、私はこういうように考えるわけです。そこでこの趣旨に従ってやっていただきたいことを希望して、この販売会社に対する質問は、法制局の見解を除いて、終わりたいと思います。  次に、資料を要求しておきます。  三十三年度からの諸経費の値上がりをひとつ出していただきたい。と申しますのは、千二百円引きを行なうに際してどういう障害があったのか、この点を知りたいために、その資料を要求しておきます。  次に、三十三年度以降の各社の経理状態の推移を見たいと思います。ことに最近閉山ムードが再燃するのではないかということをいわれておりますので、その資料をお願いいたしたい。  次に、戦後の新鉱開発の状態とその成果。かなりの開発資金の投入がなされたけれども、残念ながら必ずしも十分な成果を得ていない。それは一体どこに欠陥があったのか、こういうことを知りたいために、各山の新鉱開発計画——新鉱開発といいましても、いままでのを合理化する開発もありましょうが、少なくとも立て坑、ちょっと例をあげますと、伊賀利立て坑あるいは山野の立て坑、昭嘉の開発、香焼の開発、上山田の開発、それから大正新中鶴の開発、こういう開発計画ができておる。私がいま指摘したものは全部失敗に終わっているわけです。ですから、そういう開発計画とその投入した資金、さらに北海道は庶路をはじめとして、やはり同じ問題が起こっておる。ですから、それはどこに欠陥があったのか、この際私たちは調べてみたい。こういう意味においてお出しを願いたい、かように思います。  それから第四として新鉱開発地域、今後どういうものを考えられておるのか、今後の炭鉱の新鉱開発は、どのくらいの金利でなければできないか、これをひとつモデルでけっこうですから、どこかティピカルなものをとっていただいて、そしてそれがどのくらいになればボーリングをして後に開発が進み、そしてどの程度期間が経過すれば、年産百万トンなら百万トンのべースに乗る、そういった際にそれらの償却がいつごろになったらできるのか、こういう点も知りたいと思いますから、一つの例でけっこうですから、お示しを願いたい。  次に第五の資料として、これは労働省ですから、あとで労働省に請求していただきたいと思いますが、炭鉱離職者と就職の状態、これをお示し願いたいと思います。  次に、第二会社設立の状態、その生産コスト並びに労働条件、さらに請負夫の労働条件について。  以上、合理化法に基づいての資料でありますから、次の機会までに出していただきたいと思います。
  101. 加藤高藏

    加藤委員長 滝井義高君。
  102. 滝井義高

    ○滝井委員 この前私の資料要求に基づいて出された「衆議院石炭対策特別委員会提出資料、昭和四十年二月、通商産業石炭局」と書いた資料がありますね。この資料を大臣が来るまで簡単に説明してくれませんか。特に三表の「関税還付額実績および見通し」というところと四表の「石炭鉱業借入金残高および金利負担」、この内容をちょっと説明してくれませんか。特にこの四表については、開発銀行、合理化事業団等の借り入れ残高が、この前御説明になったのと違うわけですね。これをわれわれは今後の討議の資料になりますから、ほかのはわかりますから、いまの三表と四表とをちょっと説明してください。
  103. 井上亮

    井上政府委員 前回石炭対策特別委員会に提出しました資料の御説明を申し上げます。  まず第一は、二ページの「昭和三十九年度および四十年度の石炭需給対比表」でございます。これは、三十九年度におきましては、供給欄でごらん願いますと、原料炭が千百九十七万トン、一般炭が三千七百四十四万トン、これに無煙・せん石等を加えまして五千百六十八万トンという実績見通しでございますが、四十年度は五千二百三十五万トン程度の見通しでございまして、微増でございます。それからさらに、この一表で御注目いただきたいと思いますのは、四十年度の計画におきましては、年度末貯炭をふやしたいという意向がこの中に入っております。年度末貯炭といたしまして、ここにありますように、計といたしまして六百八十九万トンが三十九年度末、つまり四十年三月末の見通しでございますが、四十年度の見通しとしましては約百六十万トン程度をふやしたいという計画的希望意思をこの中に織り込んでおります。  次は三ページの資料でございますが、ただいま申しました石炭の需給の見通しに対しまして、産業別需給の動向でございます。これはすぐおわかりになりますように、まず一般炭につきましては、九電力でことしは千八百五十七万トン程度でございますが、来年度は千九百五十万トンとなっております。この点は有沢調査団当時の資料を出しておりますので、現在では少し修正になるようであります。九電力で今日の見通しでは大体千九百万トン程度ではないかというふうに考えております。その意味でちょっと御訂正いただきたいと思います。しかし、まだこれは正確にきまったわけではございません。いまのところ、私どもの気持ちではかように考えております。それから三ページの右側に、原料炭需要がございます。原料炭につきましては、これは出炭もふえております。また今後もふえる見通しでございますので、本年度八百二十万トン程度のものでございますが、来年は八百七十五万トンないし八百八十万トン程度になるのではないかというふうに考えております。  それから次に四ページの、これは滝井先生から特にこの前御質問があった点でございますが、原料炭の輸入の見通しでございます。これは鉄綱、ガス、コークス部門についてでございますが、強粘、弱粘合わせて書いております。輸入といたしましては、本年度の見通しは、鉄鋼、ガス全部入れまして千三百万トン程度の輸入でございます。千三百万トンのうち、強粘が千百六十八万トン、弱粘は百三十三万トン程度の見通しでございます。来年も同程度の見通しで現在おるわけでございます。  それから次は五ページの関税還付額実績及び見通しでございますが、還付制度は、電力、鉄鋼等につきまして三十七年度、八年度、九年度とやってまいったわけでございますが、三十九年度で見ていただきます。これは産炭地、揚げ地電力を全部一応入れておりますが、まず三十九年度の一番上のC欄に書いてありますのが、千キロリットルを単位とする各電力会社の重油の消費量でございます。関税を還付いたしますときに、還付額はこの重油消費量に百三十円かけということに相なっておりますので、それをかけた百万円単位の全額をその欄に書いてございます。合計しますと十一億で、これは一二%の関税のうち四%分の、いわゆる一般還付と称しておるもの、これが十一億という意味でございます。それから下が特別還付でございます。特別還付のときの一つの計算の基礎をここに書いてあります。計算の基礎は石炭引き取り量、基準量、増加引き取り量とありますが、この増加引き取り量に対しまして還付する、こういう制度でございまして、還付額はまだ本年度は見通しが立っておりません。なぜ立たぬかといいますと、この表でごらんになりますように、三十九年度では基準引き取り量が比較的高いために、実際問題としてほとんど還付されないのが現状でございます。しかし今回の特別措置で三十九年度も若干返るようにいたしたいというふうに考えておりますので、特にこれは未定といたしたわけでございます。現在の基準量の立て方では三十九年度は通常では返らない、こういうことでございます。来年度からは、先生承知のように基準量を引き下げますから、還付がふえてくる、こういう形になります。  それから六ページは、石炭鉱業借り入れ金残高及び金利負担の表でございます。これは左側に大手十七社、右側に中小炭鉱について触れております。大手のほうから御説明申し上げますと、まず政府関係金融機関に対する借り入れ残高は、ここにございますように、開発銀行、合理化事業団その他全部入れまして九百三億でございます。平均金利は五分九厘ですが、これは無利子のものもありますので、そういうことでございます。それから負担金利といたしましては、ここにございますように五十三億でございます。それからその下に一般金融機関からの借り入れ残高が出ております。借り入れの総合計が千六三十一億、このうち九百億が政府関係ですから、約七百億余りが局間金融機関からの借り入れ残高で、政府のほうのウエートが高くなっております。それから中小炭鉱は開銀、合理化事業団中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、鉱害賠償基金とありますが、借り入れ残高は三十九年九月末で百二十八億あります。負担金利といたしましては八億四千六百万円というようなことで、全国銀行の借り入れ残高は百五億で、中小炭鉱におきましてもやはり政府関係金融機関のウエートが高くなっております。そういう表でございます。  次は七ページの、交付金の交付申請を撤回した炭鉱の状況調査表でございますが、これも御質問にあった点でございます。これはまずA、B、C、D欄がございますが、注にも書いてございますように、交付金の交付申請の撤回は三十七年度からの累計として出しております。まずA欄では、撤回後再申請し整理されたもの、または整理が確実なものが十七炭鉱で、生産量としては約九十万トン程度ある。これは撤回後再申請したというものであります。B欄の、撤回後保安整理または自然消滅したものが二十二炭鉱ございます。それからC欄の、撤回後再申請しているが、当分整理の見込みがないもの、もう一ぺん申請だけはしているというのが三炭鉱、二十二万トン程度あります。それから交付申請を撤回して依然としてそのまま操業を継続しているものが十八炭鉱百四十八万トン程度ございます。  以上簡単でございますが、表についての御説明を終わります。
  104. 加藤高藏

  105. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 時間の関係等もございますから、二点ばかりにしぼってぜひお伺いをしておきたい、こう思います。  先にちょっと、多賀谷委員石炭局長との論争を伺っておりまして、これは私の考え方を申し上げておくだけですけれども、この販売会社法律的に責任がないというようなことを言っておられたようでしたが、大臣価格を指示し、それから違反を罰するという、しかも国策的な法律石炭の問題でおつくりになって、それが供給者にも需要者にも責任を持たないというなら法律をつくる必要はないと思います。この点は、もし責任がないのだとお考えになるならば、これは私はちょっと問題だと思います。しかしきょうは、それはここでは申しません。  私が大臣に二点ほど伺っておきたいと思いますのは、法律の十五条によって、通産大臣販売価格電力会社に示す、それに応じ得るもろもろの問題を、はたして応じさせ得るように解決ができるかどうかという点を危惧しておるからであります。というのは、たとえば産炭地電力会社と、それ以外の地方にある電力会社との石炭購入価格の格差の問題等もございます。それから、産炭地電力会社石炭を多く使うが、その他の電力会社は重油をたくさん使う、こういう問題等があります。こういう問題を、一体電力会社のそれぞれの話し合いを抜きにして、この販売会社だけではたして調整解決をするだけの力があるのかという点に疑問を持ちます。やはり電力会社の自主的な調整というものを認めてやろうというところに、私はこの法律の、ルーズな点、さっきから言われておった責任を持たないという問題などがあるのだろうと思うのですが、そういたしますと、これは官僚の圧力調整ということが言われるようになってきやしないかという点を憂慮するわけでございます。大臣の定めた指示価格電力会社が応じなかった場合に、一体どういう処置をするのか。なるほど電力料金については許可権、認可権等がありますから、これをたてにとって電力会社をおどかせば、生殺与奪の権を通産大臣が握っておるわけでありますから、これは御無理ごもっともということになりましょうが、しかしこのルーズは法律でそういう権力をきかしてやるということは、私はとるべき処置ではなかろう、こう思っておるわけでございます。販売会社という以上は電力用炭は一手に買い取る、ある場合には貯炭をしておいて電力会社の需要に応じ得るだけの販売会社の責任と使命というものが、私はあるのではなかろうかと思っております。ところがこれには、そういう買い取って売るその間の貯炭をどうするかという問題などについては、全然考えられてないようです。たとえば雨がたくさん降れば水力が非常に豊富になる、そうすれば当然火力のほうを落として水力のほうに依存するというのが今日までやられてきたことで、そういう点から、多いときは渇水準備金が三百億も四百億もできておったという過去の事実もあるわけでございます。そういう点から、やはり販売会社である以上は、以上申し上げたような貯炭というものについて責任を持ち、それで需要供給の調整を合理的にはかっていくという処置がとられなければ、この会社をつくって、しかも国費を出してやるという意味がないのではないか、こういうように思いますが、こういう点においてこの法律は、実際にこれを実施していくということになれば——二、三年前に石油業法をつくりました。あれをあげるときには、政府側もたいへん権威のあるようなことを言ってやりました。ところが業者が言うことを聞かない。聞かないものだから、どうすることもできない。全く死物に類したような法律になった。ところが政務次官が商工委員会で、実は石油業法は、あれはざる法でございまして、という答弁をやったことがある。政府みずから法律をわれわれに審議させて制定してこれで完全にやっていこうと言っておいて、今度はうまくいかなかったところが、あれはざる法でございましてという答弁をするということは、まことにこれは許されないことでありますが、どうも今度のこの法律案を見ても石炭局長はなかなか強いことを言っておられるが、大いに自信と勇気のほどは多とするが、さてやってみたところが石油業法に類するような結果を招くのじゃないかという点が心配をされるので、以上の点等をどういうようにお考えになっておるか、その点をまず先に一点伺っておきたい。
  106. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 最初の基準価格の問題でございますが、これは御説明するまでもないかと思いますが、基準価格をきめる際、石炭審議会にはかって会社別にきめるようにこの法律はしておると思います。そうしますと、石炭審議会には需要者のほうも委員に参加をしておるのでございますから、当然その需要者側の意見も反映して、そして、この基準というものがきめられる、かようになってまいりますから、ただ単に供給側と申しましょうか、会社側と申しましょうか、そのほうで一方的にこの価格をきめて、そうして需要者に押しつける、こういうことではないと思います。  それから、貯炭のことでございますが、これは法律上、必要があれば貯炭のできるようになっております。しかし現状では、需給の関係はどちらかというと、石炭生産のほうが追っつかないという状況に、今後どうしても趨勢はなると思いますので、さっそくに貯炭問題をわれわれとして検討をしなければならないかというと、実情はそうでないのではないかと思います。
  107. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 時間が指示されてきておりますから、それにこと欠かぬようにいたしたいと思います。  いま大臣石炭審議会にはかってということをおっしゃっておりましたが、これはまさにそうなっております。ところが、石炭審議会というのは、何もこの問題だけをやるのでなくて、石炭全体の広範にわたる問題をあそこでやるようになっておるのです。あそこで、それこそ八百屋みたいなところでやるということになるのですから。したがって、この問題はこの問題だけで、やはり先ほど私が申し上げたような電力関係のそれぞれの立場の異なるものと政府側のほうが中に入って、そしてやはり調整をしていくということが、この問題解決のために一番妥当ではないか。それからやっぱり貯炭の問題は、これはあらかじめ貯炭の責任をこの販売会社が持つということを明確にしておかないと、後日問題が起こってまいります。これらも時間の関係がありますから、この二つの点を十分お考えになるようにということを申し上げておきます。  最後にいま一点伺っておきたいのは、総合エネルギーの問題であります。この調整の機関通産省のほうで一つの付属機関として何か設けようとしておられるということを伺っておりますが、実はこれは私が三、四年前から、池田内閣当時、池田総理に二回にわたってこの委員会で答弁を求めたことがあります。というのは、石炭だけの問題ではこれは解決できぬ。したがって総合エネルギーの計画の中で、その中の一つとして、石炭の数量を幾らにするか、価格を幾らにするかということ等をやはり調整しなければ、いつまでたっても、この石炭はだんだん油なりその他に追い詰められていってしまって、この問題は毎年同じことを繰り返すということになるから、国に強力な総合エネルギーの調整機関をつくって、そこで油をどうするか、あるいは水力をどうするか、火力をどうするか。そういう上に立ってこの石炭の数量、価格というものの位置づけをしていかなければ解決ができない。それをつくられる必要があるということを強く要請しましたところが、当時池田総理も、自分もそれはひとついたしましょう、こういう答弁でした。それからそのまま過ぎて翌年の通常国会のときに、池田総理はああいうように言われておったが、いまだにつくられない、どうするつもりですか、いや、近くつくって出します、こういうことを答弁されたが、その後御病気でおやめになってしまったというようなことで、どうもこれもずいぶん論じられておる問題でありますが、一向その計画性が権威あるものとして具体的になってまいりません。でありますから、せっかくこの販売会社をおつくりになるにしましても、やはりそれをおつくりになって、その中においてこれを解決されるということでなければ、根本的な解決にはならない、こう信じきっておりますが、大臣、この点はいかがですか。
  108. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほどの基準価格の問題で御疑念があったようでございますが、石炭審議会の中に需給部会というのが特に設けられております。そしてここで価格問題についての検討を行ないますので、私としては需要者の意見がその部会で反映をする、こういうふうに思うのであります。  それから、ただいまの調整機関必要性についての伊藤委員の非常に御熱心な御主張は、私も承知しておるわけでございますが、これは逃げ口上で言うわけではございませんが、ただいま国会に総合上エネルギー調査会法案の御審議を願っております。この調査会で優先的にこういう問題を御討議願って、そしてその結論を受けて私ども善処いたしたい、こう思います。
  109. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 時間がないようですから、本日はこれをもって終わります。
  110. 加藤高藏

    加藤委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十八分散会