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1965-05-11 第48回国会 衆議院 商工委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十一日(火曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 田中 龍夫君    理事 中川 俊思君 理事 板川 正吾君    理事 加賀田 進君 理事 中村 重光君       小笠 公韶君    海部 俊樹君       黒金 泰美君   小宮山重四郎君       田中 榮一君    田中 正巳君       田中 六助君    中村 幸八君       二階堂 進君    三原 朝雄君     早稻田柳右エ門君    桜井 茂尚君       沢田 政治君    島口重次郎君       田中 武夫君    麻生 良方君       山下 榮二君  出席政府委員         内閣法制次長  吉國 一郎君         公正取引委員会         委員長     渡邊喜久造君         文部事務官         (社会教育局         長)      蒲生 芳郎君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         厚生事務官         (薬務局長)  熊崎 正夫君         農林事務官         (農林経済局         長)      久宗  高君         通商産業政務次         官       岡崎 英城君         通商産業事務官         (企業局長事務         代理)     乙竹 虔三君         中小企業庁次長 影山 衛司君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    加治木俊道君         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 五月八日  委員佐々木秀世辞任につき、その補欠として  山手滿男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山手滿男辞任につき、その補欠として  佐々木秀世君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十二日  滋賀県に中小企業金融公庫支店開設に関する請  願(宇野宗佑紹介)(第三三五六号) 五月七日  公共料金値上げ反対等に関する請願佐野憲  治君紹介)(第三五〇九号)  物価引き上げ反対等に関する請願加藤進君紹  介)(第三五六〇号)  同外一件(川上貫一紹介)(第三五六一号)  同(林百郎君紹介)(第三五六二号)  同外三件(谷口善太郎紹介)(第三五六三  号)  公共料金引き上げ反対等に関する請願谷口  善太郎紹介)(第三五六四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案内閣提出第一二七号)  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案板川正吾君外十四名提出衆法第三二  号)  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案麻生良方君外一名提出衆法第三号)      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案板川正吾君外十四名提出下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案並び麻生良方君外一名提出下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案、右三案を議題として、質疑の通告がありますので、これを許可いたします。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 下請代金支払遅延等防止法について御質問いたすわけですが、その前に、独禁法一般について若干の質問をいたします。実は、独禁法改正法案の際に行なう予定でありましたのが、先週の金曜日急遽採決になったわけでございますので、独禁法の基本的な問題からお伺いいたしたいと思います。  まず最初に公取委員長にお伺いいたしますが、ことしの二月の二十六日に、東京都のさくらデパートに対して、不当景品類不当表示防止法の初の排除命令を出されたわけですが、そのときの状況、それから今後の方針、こういうことについてお伺いいたします。なお、これと同様なことがほかにもたくさんあると思うのですが、なぜさくらデパートが初の排除命令となってあらわれたのか。同時に、いわゆる為替の自由化といいますか、そういうことが契機になったと思うのですが、盛んにこのごろ、何々を買えば抽せん海外旅行さす、こういうのをやっておりますが、そういうのと不当景品類不当表示防止法との関係はどうですか。
  4. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 さくらデパートの件でございますが、御承知のように不当景品類防止法規定及びそれを受けました公取規則がございまして、抽せんによる場合におきましては、商品最高額に対しまして一応の限度がきめられてございます。二十倍または一万円。しかし、商品の値段がそれより高い場合においては、一万円をある程度延ばし得るという限度です。さくらデパートの件につきましては、調布と所沢の両方におきましてそうした最高限を無視した抽せんによる懸賞を発表し、かつ、これを行ないました。したがいまして、われわれのほうとしましてはその間の事情を調べまして、過去においてもうすでに済んだ問題ではありましたが、今後はこういうことをやってはいけないということを排除命令で出しまして、デパートのほうでもそれに応じまして、われわれのほうで命令を出したその線に沿いましての広告をし、今後はやらないということを言っているわけでございます。同種の問題が他にあるとしますれば、われわれのほうもこの種の問題は目につき次第同様の措置を講ずるつもりでおります。  それから、最近におきまして、お話しのように、海外旅行その他を商品販売と結びつけて行なっている事例が幾つか目につきます。ただ現在の公取の告示でございますと、抽せんあるいは抽せんに準ずるようなやり方によってやる場合だけが取り締まり対象になっております。そこで最近においての事例を見てみますと、必ずしも抽せんによっておりません。標語を募集しますとか、あるいはその商品を取り入れた写真を募集するといったようなことをいたしまして、そこでそれぞれしかるべき審査員を頼みまして、それについての優劣をきめるということで、相当大きな懸賞をかけております。法律のほうでは別に抽せんによるものだけを限定しているわけではございませんで、そういったものについても公取規則がそれをとめるということになっておればとめられるわけですが、現行の規則自身抽せんによるものだけしか規定しておりませんので、これをとめようとしますれば、公取規則改正ということがまず必要になってくるわけでございます。われわれのほうとしまして、最近見てまいりますと、結局公取規則抽せんによるということだけを取り締まっていることのゆえに、いわばそれの裏をかくような意味におきましてきわめて簡単なものを募集しまして優劣をつけるということで、法文のまっ正面にはぶつかることのないようなことをやっております。これをそのまま放置することは法律の趣旨にも反するものと思っておりますので、近くそうしたものも一応の限度の中に入れる。商品取引先というものに応募者を限定する場合におきましては、これは法律取り締まり対象になっているわけです。最近特にそれが目立ってまいりましたので、これをも取り締まり範囲に入れるというために、委員会規則改正をしたい。大体原案もできましたので、近く公聴会を開きまして、その結果を待ちまして、これも取り締まり対象範囲に入れる、こういうつもりで仕事を進めてきております。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 この不当景品類不当表示防止法九条の排除命令効果というものはどんなものですか。と申しますのは、歳末売り出し一等乗用車等々のやつがあった、事が終わってから排除命令が出た。事が済んでから排除命令を出して、どういう効果がありますか。勧告と変わらぬ効果ですね。排除命令というものは、その事態排除するのではないですか。効果はどうなんです。遡及するのかしないのか。
  6. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 排除命令自身は、それの命令が出された時期以後に効果があるわけでございますが、さくらデパートのような場合におきましては、すでに行なわれたことの事実ですから、その事実そのものを遡及してこれを排除するという効果はありません。しかし、排除命令において、過去においてのそうしたことが違法であるということをはっきりさせると同時に、今後同種行為によって過大な懸賞をやってはいかぬということが排除命令に出されております。したがって、今後同じようなことをさくらデパートが繰り返しますれば、その排除命令違反という問題になりまして処罰の問題が起きてくる。そういう意味において、排除命令は今後における予防的な効果を持つという意味においての効果があると思います。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 排除命令はあくまで排除ですよ。事が終わってから出して、どれだけの効果があるのか。それでは勧告と変わりないじゃないか、こういう解釈が一つなんです。それからこの法律違反した行為ですね。これは公法です。公規定でしょう。それが民法上の効果に影響を与えるんじゃないですか。そもそも、あなたに聞くのが正当か、あるいは政府委員の、ほかの方に聞くのがいいかわかりませんが、押せんで物を与えるというのは民法上どういう行為になりますか。どういう契約になるのですか。
  8. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 民法上の効果としましては、いわゆる懸賞広告というものに該当するものと思っております。したがいまして民法上の効果としましては、懸賞広告について民法にそれぞれの規定がありまして、これは田中委員十分御承知のことと思いますが、懸賞広告というあの条文が一連働くことになっております。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 民法懸賞広告は、一方が意思表示することによって成立するのですね。しかし、それはあくまでも民法行為ですね。そうすると、強行規定であるところのこの不当景品不当表示防止法に反したということなら、民法九十条による公の秩序、善良の風俗に反する契約となりませんか。さかのぼって契約は無効になりませんか。
  10. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 私もあなたと法律論を繰り返すこと自身がどうかと思いますが、われわれのほうの解釈だけを一応申し上げておきたいと思います。われわれのほうの公取法解釈は、われわれは相当権威を持っておりますが、民法解釈自身は、どうも私のほうとしてオーソリティを持っているとは言いかねます。一応われわれのほうとして、どう解釈しておるかということから言えば、それが公序良俗に反するものであれば、やはり無効という問題は起きると思いますが、すでに行なわれてしまった行為について、あとから排除命令が出るわけですから、排除命令によって前のそうした懸賞の事実、懸賞のそうした法的効果そのものを遡及してこれを排除するということまでは及ばないじゃないか、こういう解釈をしています。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 いまの渡邊さんの答弁は、不当景品類及び不当表示防止法九条の排除命令効果についてだと思うのです。そこで、このことについては公取じゃ答弁できません。委員長、いわゆる不当景品類及び不当表示防止法は、これは公法的性格を持っておる。したがって、これに反する民法上の懸賞広告、これは民法九十条によって無効である。したがって、その契約が無効ということは、先に遡及して、なかったということになるわけです。このことについて政府として有効答弁ができる人を呼んでください。
  12. 内田常雄

    内田委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  13. 内田常雄

    内田委員長 速記を始めてください。
  14. 田中武夫

    田中(武)委員 委員長に協力をする意味質問を続けます。  そこで、この土地売り出しですね。いろいろとこの不当景品類及び不当表示防止法関連して問題になって、何か調査に行かれたんじゃないですか。調査団が行ったのは公取じゃなかったですか。それに対してどういう方針、今後どういうようにするつもりなのか。
  15. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 土地売り出し広告につきましては、私が委員長になりましてからだけを考えてみましても、かなりいかがわしい広告あるいは新聞への折り込みというものが行なわれております。それで私のほうでは、目につき次第これの実施調査しまして、そしてそこに虚偽の事実を広告しております場合におきましては、これの是正の広告を出させる、及び将来について同種行為をしてはいかぬという意味の差しとめの命令を出すということで、ずっとやってきております。いま話題に取り上げられました件につきましては、東京都が主体といいますか、イニシアチブをとりまして、私のほうもこれに二名参加させました。結局不動産の売買につきまして、そうしたかなり事実と違った広告をして、いわば客寄せをするという行為が相当行なわれているようであります。あの業者取り締まりにつきましては、私のほうのほかに建設省あるいは東京都というものがそれぞれ違った立場において権限を持っておりますので、ひとり広告を取り消させるというだけではなかなか十分目的を達し得ないということもありますので、もちろんわれわれのほうの仕事仕事でやりますが、さらにそれとあわせてどういう手を打つべきかという問題もございますので、それぞれの役所が一応共同して調査してみようということが先日の行為であります。
  16. 田中武夫

    田中(武)委員 それに対して、九条の排除命令を出す用意がありますか。
  17. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 私のほうとしましては、そうした広告、それが実地について調べてみまして虚偽といいますか、偽りの事実がありとしますれば排除命令を出す。過去において相当件数これをやっておりますし、今後もできるだけ、まあわりあい簡単に事実はつかまりますから、どんどんやっていくつもりという方針を持っております。
  18. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、いわゆる広告の問題をいまやっておるのですが、それに関連して厚生省にお伺いするのです。  薬事法六十六条に誇大広告禁止規定がありますね。今日まで厚生省がこの条文を使って行政指導なり何らかの方法をとったことがありますか。
  19. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 御指摘のように薬事法の六十六条に、虚偽または誇大の広告につきましての規定がございまして、医薬品その他化粧品等広告の規制につきましては、この六十六条によって私ども行政指導なりその他をやっておるわけでございます。原則として、この条項に基づきまして行政指導をやっておりますのは、薬務局長名をもちまして医薬品等広告適正基準という基準をつくりまして、この基準の運用によって指導をやっておるわけでございます。過去におきまして違反件数といたしましては、虚偽誇大広告等違反で処置をいたしましたのが、三十八年におきましては大体千三百件、三十九年においても大体同様の件数で、千件前後、虚偽誇大広告等によりましての違反件数としてこれを処置いたしておるわけでございます。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 毎年千件以上ですね。この六十六条によって措置をしたというが、どういう措置をしたのですか。
  21. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 広告違反というふうに認めた場合に、これは実際に実施官庁としてやりますのは各都道府県におきましてやるわけでございますが、業者を呼びつけまして始末書その他をとりまして、直接的に業務停止なり行政処分のところまでいくことはございませんけれども、しかし最近に至りまして、誇大広告の極端な面が目立った場合につきましては、業務停止までいく、行政処分もやるということを、今年に入りまして各業界のほうには指示をいたしておるわけでございまして、今後とも、これが二回ないし三回にわたった場合には行政処分をやるということを業界に徹底いたしております。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 業務停止等政行処分をやるということで、まだやっていないのですね。  そこで、ちょっと時期はずれになりましたが、一時いわゆるアンプル殺人事件というのがやかましく言われましたね。あのときにいろいろと厚生省のとった態度、あるいは学識経験者の意見を求めるとか、いろいろやられましたが、その後あれはどうなっていますか。さらにこのアンプルによって死んだという人に対して、民法上の賠償責任の問題はどうなんですか。製薬会社が自分のつくった薬で人を殺した、その場合は業務上過失の犯罪は成立しないかどうか、そういうことについて検討しましたか。
  23. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 アンプルかぜ薬によります事故対策につきましては、中央薬事審議会にかねてから厚生大臣より可否につきましての諮問をいたしておりまして、その答申が先週正式に参りまして、製造販売を禁止すべきであるという答申をいただいたわけでございます。それによりまして、厚生省といたしましては、アンプル入りかぜ薬につきましては今後製造許可を認めないという方針で、本日、薬務局長通牒をもちまして各都道府県並びに関係団体のほうに通知をいたしてございます。  このアンプルかぜ薬によりまして不幸な事態を招きました遺族の方々につきましての賠償その他の関係でございますが、これにつきましては、私どもとしては、今度のアンプルかぜ薬基因します死亡事故ということにつきまして、中央薬事審議会におきまして、学者の先生方を入れましていろいろと原因究明につとめたのでございますが、直接に関連があるというふうなことは必ずしも断定ができてないような状態でございます。アンプルかぜ薬を飲んだから死んだということは考えられるにしても、それが直接の原因であったかどうかということにつきましては、非常に学問的に究明をいたしてもまだ十分解明のできない段階でございまして、関連性は確かにあるだろう、しかし、それが基因であるかどうかもはっきりしない。しかし、いずれにしてもああいうアンプルという剤型でもって、かぜをひいた人がこれを服用した場合に非常に危険な状態になったということは十分考えられますので、その危険を防ぐという意味で、製造販売禁止措置をとるのが適当であるというふうに考えたわけでございます。したがいまして、アンプルを飲んだ患者と会社との関係につきましても、そのような見解を私どもいただいておりますので、直接的にこれが民事関係によります賠償云々というところまではいかないのではないかというふうな考え方を持っておるわけでございます。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 そこにいわゆる直接因果関係がない、こういうことであろうと思うんですが、不幸にして死んだ人は、特殊体質だとかなんとかということで葬られておるのです。いわば切り捨てごめんだ。実は私は兵庫県なんだが、私の近くにもおとなの人でアンプルで死んだのが一人、子供がやっぱりアンプルがあぶないということで粉末を飲んで死んでおります。これも特殊体質だということで葬られておるのです。大体厚生省医薬製造認可を与えるときにどういうところまで検査をし、どういうことをつけ加える、あるいは注意する、条件とするというようなことでやっておるのか。たとえば、これは一日に二本以上飲んではいけないというようなことになっても、そういうようなことが書かれていない。あるいはかりに書いたとしても小さく書いておる。これは特に故意で小さく書いたとするならば故意犯です。厚生省としては医薬製造認可にはどの程度検査をし、どの程度の慎重さを持ってやるかお伺いします。
  25. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 お答えいたします。医薬品製造許可品目の承認にあたりましては、メーカーのほうから資料提出をさせるわけでございますが、御承知のように、例のサリドマイドベビー問題で世間を騒がせました、ああいうふうな不幸な事件がありましてから、新しい薬を製造許可する場合には、まず動物によります胎児実験をやって、その安全性が確立された後に初めて臨床実験に移す。それで臨床実験相当数治験例二つ以上の研究機関で収集したものにつきましてこの胎児実験、これを学問的には催奇性の実験といっておりますが、この二つ資料として提出させまして、その上で、中央薬事審議会におきまして議を重ねた上で、初めて厚生大臣許可をするという手続をとっておるわけでございます。ただ、いわば人体に非常に有効であるという薬につきましては、胎児実験で奇形の問題につきましては動物実験をやらせることにいたしておりますけれども、ただその他のいろいろな症状につきまして副作用があるということは、薬が有効であればあるだけに副作用を伴うということは常に考えなければならない点でございまして、その点につきましては、私どもは薬の販売にあたりましてこれをはっきり表示をするということで指導をいたしておるわけでございます。今回のアンプルかぜ薬の場合におきましても、たまたまなくなった方々異常体質であったといった場合には、これはピリン系体質を持っておる方は御遠慮くださいということを従来とも書かしておったわけでございますが、先生指摘のように非常に字が小さい、あるいは読みにくいというふうな点も確かにございまして、今回の不幸な事件を機会に、私どもは、外包とかあるいはびんに書くのではなしに、一枚別個に、ピリン系体質とはこのようなものであるというふうなことを、わかりやすく、平易に読めるような形で文章も考えまして、これを積極的に販売にあたって文書にして刷り込んで販売するというふうな措置をとらせるようにいたしておるわけでございます。従来とも非常に見にくかったというふうな点の御非難は、私ども確かにそのとおりだと思いまして、これをすみやかに改めるという措置をとっておるわけでございます。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 これからこうしますというけれども、いままでそれが行なわれていないために生じた不幸な事件については、それで切り捨てごめんなんですか。あなたは異常体質だったからということでしまいなんですか。どうなんですか。たとえば、そういうことは言いたくないんだが、製薬会社はもうけておるんだよ。ことしの長者番付に、時代の寵児電機メーカを追い越して製薬会社の社長さんが、差しつかえあるから言いませんが、長者番付の一番に出たのです。それだけもうけて乱売しておる。その乱売は安売りの意味じゃなく乱売しておる。それでもうけておる。そうして不幸にして死んだ人は、あなたは異常体質である、学問的に直接因果関係は認められません、それでしまいですか。それでいいのですか。
  27. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 先生指摘のような点は、私どもとしましても、結果的にはそういうふうなことにならざるを得ないということで、何とも救済の方法がないじゃないかということにならざるを得ないということで非常に苦慮いたしておるわけでございますが、ただ、本質的にやはり薬の使用にあたりましては、原則的には医者の診断のもとに調剤行為が行なわれるということが理想の形でございまして、いわば大衆薬として薬局あるいは薬種商店頭販売が行なわれるものにつきましては、なるべく安全性の高い、危険度の少ないものを販売するということをたてまえにすべきであるという考え方でございまして、しかもその安全性が高くても、たとえば今度のようなアミノピリン、スルピリン系の中毒につきましては、その薬自体が非常に劇性の強いものでございますので、なるべく安全性の高いものを考えまして、今後も配合基準の再検討をいたしておるわけでございますが、念には念を入れてやはり表示をはっきりさせるということ以外にはないわけでございまして、私どもも努力は足りませんでしたけれども、どうしてもやはり薬を使用するにあたりまして、消費者である国民の方々がこういう薬についてはこういうふうな副作用があるというようなことを十分御認識いただけるようなPRも今後私どもは積極的にやっていかなければならないと思っております。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 今後はこういたしますということは聞いておるんですが、過去に起こった事態についてはどうなのか。ただ、おっしゃるように、書かすようにしておったが、小さい字で書いておったとか、あるいは書いていなかったとか、それだけで済むのですか。民法七百九条におきましては、過失により他人に損害を与えた者は賠償の責任を負わなければならぬ。刑法の二百十一条は、業務上必要な注意を怠り、人を殺傷した場合は云々ですよ。業務上必要な注意というのはどういうことですか。
  29. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 御質問のように、やはり医薬品の場合には、使用書その他につきまして所定の中身を書くということは業務上必要な注意だろうと思います。従来ともピリン系の型につきましては、こういうかぜ薬については注意してくださいということで書かしておりましたが、これは業務上必要な注意をやっておったということになると私どもは考えておりますが、過去に起こりましたこの事件につきまして民事上の責任がどういうふうになるかということにつきましては、私どものいまの見解はそういうふうな見解を持っておりますけれども、究極的にはやはりこれは裁判所できめる問題ではなかろうかと思いますし、その点は、行政府解釈としましては、私どもは、現在のところ、やはりそれだけの業務上の注意は業者はやっておったというふうに解釈をいたしておるわけでございます。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 たとえば小さな字で注意を書いておった、これは故意にやっておった場合はどうですか、故意犯にならぬですか。
  31. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 故意かどうかということにつきましては非常にむずかしい問題だと思います。私ども考え方は、従来やられましたことについて故意だというふうには考えておらないわけでございます。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 あのとき問題になりましたのは、私、新聞を見て、数字は忘れましたが、アンプルかぜ剤がこんなにもあったのかと思いました。この説明書は全部見ましたか。ひとつ全部私に見せてくれませんか。
  33. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 問題になりましたいわゆるアンプルの剤型によりますかぜ薬は大体七百種類以上だと思いますが、非常に大量なものでございまして、代表的なものをもし御必要とあれば私どもお見せいたす用意をいたします。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 七百種類あるんでしょう。全部出してください。業務上の注意を怠ったかどうかということを一ぺん検討いたします。
  35. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 できるだけ早く集めたいと思っております。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 いま答弁のあったように、ピリン系の製薬全部について、貼付してあった注意書き全部にわたって見せていただきます。そうしてその上において、いわゆる民法上の故意または過失があったかどうか、あるいは刑法上の業務上必要な注意を怠っておるかどうかを検討いたします。  それではここで一たん中断して、吉國次長が見えましたので、私の質問はどういうことか聞かれましたか、渡邊さんとよく相談して答弁してください。   〔委員長退席、小川(平)委員長代理着席〕
  37. 吉國一郎

    吉國政府委員 私、おくれてまいりまして、御質疑を直接承っておりませんので、あるいは御趣旨を誤解してお答え申し上げるかもしれませんが、その場合はあらためておただしいただいてお答えしたいと思います。  公正取引委員会が定めました懸賞最高限度というものにはずれて、いわばその最高限度を越えたような広告をした場合に、それに対して公正取引委員会排除命令をすることができますが、その場合に、懸賞広告という性格を持った契約自体はどうなるのかという御質疑だと承っておりますが、この点につきましては、御指摘のように、民法第九十条に、「公ノ秩序又ハ善良ノ風俗二反スル事項ヲ目的トスル法律行為ハ無効トス」という規定がございますが、公正取引委員会の定めました懸賞金の最高限度というような規律が「公ノ秩序」というものに当たるかどうかということにつきましては、非常にむずかしい問題があると思います。これについて、直接その問題ではございませんが、戦争中なりあるいは戦後の経済統制を行ないました場合に、たとえば現在の物価統制令あるいは戦前の価格等統制令に違反したようなものの売買契約の効力いかんということが裁判所でもいろいろ問題になっております。たとえば卵一個十円と定められた場合に十五円という契約をした場合に、それが全部無効であるか、あるいは十円をこえる五円の部分が無効であるか、あるいは契約をしたということ、あるいは卵を売買したということが、公法上の規律に反して罰則はこうむるけれども契約それ自体は有効であるかどうかということにつきましては、学説、判例もいろいろ分かれておりまして、下級審の判決といたしましては、当時の国が経済統制を遂行することによって国民経済を整斉と維持することができるという趣旨からいたしまして、これを完遂しなければ国民経済に重大な影響を及ぼすという趣旨から考えれば、十五円という契約をすること自体を無効としなければ、十円をこえて契約してはならないという規律を維持することができないという判決もございましたけれども、これに対しまして、これは単に公の経済秩序を維持するという目的のためのものであるから、私契約としては有効であるというような判例もございましたし、学説もございました。そのような経緯がございまして、経済統制法令に対する違反が、契約が無効になるか、あるいは無効とまでいかないで、私契約としては存続するかということについては、ついに学説も分かれたままで今日に至っております。それを頭に置いて今度の問題を考えてみますと、これは将来裁判所に参りまして、あるいは公序良俗に反するという判決もまた出るかもしれませんけれども、ただいま私ども考えてみますと、経済統制についてさえもそのように学説が分かれているということを前提にして考えます場合に、公正取引委員会が定めました懸賞金の最高限度というものが、契約それ自体の効力まで失わしめるほど非常に絶対的に強いものであるかどうかということについてはやや疑問の念を持たざるを得ないということが結論ではないかと思いますが、民事法と経済法との交錯についての非常にむずかしい問題でございますので、ただいまの段階ではその程度にお答え申しげ上ることでお許しをいただきたいと思います。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 吉国さん、公正取引委員会がきめた規定だけじゃないのです。現に法九条による排除命令が出ているのです。この排除命令というのは強行規定でしょう。この排除命令というもの、あるいは公正取引委員会の存在それ自体が、国民経済の上において公的機関でなかったら何になるのです。そうでしょう。その定めたことあるいはそれの出した命令、これは明らかに民法九十条でいう公の秩序ですよ。違いますか。ここで公正取引委員会規則なりやったことが公の秩序じゃないということなら、公正取引委員会みずからの自殺行為ですよ。そう思いませんか。公の秩序を保っておるというところにこそ公正取引委員会の存在価値があるのじゃないですか、独禁法の価値があるのじゃないですか、あるいはその付属法規の価値があるのじゃないですか。それが公の秩序でないというなら、独禁法あるいは公取の性格それ自体に関係があると思うのですよ。公の秩序じゃありませんか。もしそうだとするなら、下請代金支払遅延等防止法なんて、こんな法律は審議せぬでいいですよ、公の秩序にならないんだから。
  39. 吉國一郎

    吉國政府委員 ただいまの不当景品類及び不当表示防止法の九条に基づきます排除命令が出たら、それで一つの秩序が形成されるだろうという御趣旨だと思いますが、もちろん排除命令は、これは公正取引委員会の有します権限に基づきましてこれが発出せられますならば、私的独占禁止法の確定審決と同じような効力を持つものでございまして、行政法上の法定力なり確定力を持った強い処分でございます。ただそれは今後についてその確定審決というものと同じ効力を持って一つの経済秩序の上に臨んでいく効力を持っておるわけでございますので、その点から直ちにさかのぼって過去に行なわれました一種の懸賞広告というような契約の効力それ自体に影響を及ぼすかどうかということにつきましては、先ほどお答え申し上げましたようないろんな問題がございますので、直ちにここで私、最終的な結論を出すことは非常にむずかしいことではないかということを申し上げたいと思います。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 私が伺っておるのは、公取委員会これ自体の存在、独禁法及びこれの付属というか補完法たる不当景品類及び不当表示防止法下請代金支払遅延等防止法、こういうようなのは公の秩序を定めたのと違うのですか。民法の九十条の公の秩序でないなら、何のためにこの法律を審議するのですか。私は懸賞広告が無効であるかどうかという問題を聞いておるのだが、本質はそこではない、公の秩序になるのかならないのか。たとえば親企業にああせい、こうせいと幾らきめても、公の秩序にならなければどうにもならない。そのこと自体は公正取引委員会の存在にまで影響を与える問題です。もしそれを公認するなら公正取引委員会の自殺行為ですよ。いいですか。公の秩序であるのかないのか、それだけを答えてください。
  41. 吉國一郎

    吉國政府委員 民法九十条の「公ノ秩序又ハ善良ノ風俗」というものにつきましては、先ほども申し上げましたけれども民法の学説なり判例なりについてもいろいろ問題のあるところでございます。端的に公の秩序に反するものというものはどういうものがあるかということでございますが、たとえば刑法で律せられますような殺人なり傷害なりを内容とするような契約、これは法律行為としては無効であるということははっきりいたしておると思いますが、そのように公の秩序と申しましても、刑法犯と申しますか自然犯のように非常にはっきりしておりますものと、経済法令によって定められております規律のように、これはもちろん行政犯なりあるいは法定犯なりに属すると思うのでございますが、そういうものが自然犯にひとしくなるほど公共の利益というものから見て重要であるかどうかということによって変わってくるものであろうと思います。田中委員のおっしゃいますように公正取引委員会を中核としてでき上がっておりますこの私的独占禁止法による規律は、これは経済憲法として重要であることは、私ども昔この立案にも参画いたしました者といたしまして、心から賛成申し上げるわけでございますけれども、それが直ちに民法九十条の公の秩序になるかどうかということにつきましては、自然犯と法定犯あるいは刑法犯と行政犯というものにつきまして、もう少し深く考えてみなければ結論が出ない問題だと思います。先ほど経済法令違反契約の問題について申し上げましたような議論をもう少し深くきわめなければ、九十条の公の秩序に当たるということを直ちに申し上げるわけにはいかないのではないかということでございます。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 犯罪に自然犯と法定犯といいますか行政犯のあることは知っております。しかし公の秩序というものは自然犯のみに限るのだ、法定犯のみに限るのだ、こういうことですか。独禁法があり公正取引委員会があるということは、いわゆる経済全体の秩序を維持しておるのではないのですか、これは公の秩序じゃないのですか。それはあなたのおっしゃるように自然犯と行政犯に分けた場合に、自然犯ははっきりしておる、しかし行政犯には疑問があるということはわからないことはない。あなたが設例としてあげられました物価統制令違反事態は、甲乙の当事者二者間の関係ですよ。このような一般に対しての懸賞広告というものは不特定多数に対してですよ。これを同じにあなたは律せられますか。甲乙当事者間のみに存在した契約関係と不特定多数に対して行なわれたところの契約、及ぼすところは大きいですよ。同じように律せられるならそれでけっこうです。
  43. 吉國一郎

    吉國政府委員 私が先ほど来申し上げておりますことは、民法九十条の公の秩序というものについて、たとえば刑法にございますようないわゆる刑法犯なり自然犯というものについては公の秩序に反するということが非常にはっきりするだろうということを申し上げたわけでございまして、そのほかでも行政犯なりあるいはいわゆる法定犯と申すものにつきましても、自然犯なり刑法犯なりと同じような性格のものがあるではないかということが学者の議論でも非常にたくさんございます。先ほどの物価統制令なり戦前の価格等統制令について申し上げましたのも、経済行政を行なうことによりまして経済の秩序を維持しようという非常に重大な国家目的がございまして、もちろん個々の契約を律するわけでございますけれども、たとえば繊維製品の個々の取引が積み重なりまして繊維製品の流通形態に重大な影響を及ぼすという意味で、その及ぼす影響が重大であるから、これは刑法犯と同視して契約自体を無効と考えるべきであるというような行政法学者なり刑法学者の議論もございますし、現に下級審の判例も、これは終戦前からそういう判例もございました。私的独占禁止法によって形成されている秩序が、民法九十条のいわゆる公の秩序に当たるかどうかということにつきましては、相当当たりそうな考え方もできると思いますけれども、その点については今後の学説なり判例なりの推移を見きわめてまいりたいということでございます。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 いま政府を代表しての吉國次長さんの答弁はお聞きのとおりですよ。そこで公正取引委員会がきめたこと、あるいは独禁法及びこれの補完法によってきめられたこと、このことが公の秩序にならないということであるならば、下請代金支払遅延等防止法なんかの法律は無意味なのです、公の秩序にならないのなら。だから公の秩序であるかどうかということをはっきりしてください。公の秩序でなかったら無意味ですよ。そうでないと言っているが、そうじゃないのだ。現にこの法律によってどんなことが行なわれているか、何もやっていない。これは公正取引委員会自体の問題なのです。公の秩序がなければどうなるのか。その答弁いかんによってはこの審議を拒否します。基本的な問題ですよ。公の秩序でないと言うなら、こんな法律なんてきめたって何にもならないですよ。
  45. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 いまの公の秩序に属するか属しないかの法制局の意見は、吉國次長からあらためて別途御答弁しますが、ちょっと私の過去における答弁を補足さしていただきたいと思います。さくらデパート排除命令の場合におきまして、私のほうで出した排除命令は、こういう内容になっていたと記憶しております。一つは過去において……。(田中(武)委員「そんなことはいいよ。」と呼ぶ)いや、それに関係があるんです。過去において法令違反懸賞広告をした。したがって、その法令違反のことをしたという事実を、広告によって、関係する地域における一般消費者にこれを周知させろというのが排除命令の内容の一つです。それから、今後においてこの種の行為をしてはいかぬというのが排除命令の内容の第二であります。したがいまして、私のほうの排除命令自体が過去における行為効果を云々という内容にはなっておらぬということを先ほどの答弁で申し忘れておりましたので、それだけを補足さしていただきます。
  46. 吉國一郎

    吉國政府委員 この私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、たとえばその三条で、私的独占あるいは不当な取引制限の禁止の規定がございますが、この第三条に違反するような行為が、これは過去にさかのぼってと申しますか、原始的に有効であるか無効であるかということにつきましては、これは強行規定に反する契約の効力として無効であるというのがおそらく経済法学者についても通説であろうと思いますが、たとえば第十九条の不公正な取引方法の禁止の規定違反した行為が無効とまで言えるかどうか、つまり田中委員の仰せられる民法九十条の公の秩序に反する契約であるかどうかということにつきましては、まだ判例もございませんし、学者の議論としてもそこまで、無効であるというところまではいっていないと思います。したがいまして、私的独占禁止法によって、あるいは私的独占禁止法に基づきまする下請代金支払遅延等防止法であるとかあるいは不当景品類及び不当表示防止法に基づきまする秩序が、これは広い意味におきまする公の秩序であることは私ども異論はないところでございますが、民法九十条によりまして、契約として原始的に無効であるというところまでいくかどうかということにつきましては、その規定の態様によりましてそれぞれ違ってまいりますので、今回の当初に問題になりました不当景品類及び不当表示防止法の第三条の景品類の制限及び禁止につきまして公正取引委員会が一定の処分をいたしますが、その処分に違反したような契約が当初から無効というところまで議論がいくかどうかということについては、これは、どうもそこまで断定することはむずかしいのではないかということでございます。
  47. 田中武夫

    田中(武)委員 公正取引委員長吉國次長との答弁は食い違っていますね。公正取引委員長のいまの答弁によると、九条による排除命令効果はその排除命令の中に含まっておる。たとえば、いまあなたがおっしゃったのは、遡及をして取り消せ、こういうことを言ってないし、それから以後だけだ、こういうように解釈になっておる。吉國さんの言ったことと違いますね。そこで、こういうことばかりやっておってもしようがないのだが、こう言われると言わざるを得ないと思う。あなたが言われた第九条による排除命令の法令違反云々という法令は何を意味しておるのですか。その法令と、いわゆる法令違反という公の秩序の問題とはどうなりますか。その法令は何を意味しますか。公の秩序でいうところの法令とは違うのですか。
  48. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 私の申しました法令というのは、結局、過大懸賞の防止に関する法律です。及びそれの委任命令の形において出されました公正取引委員会規則というものが一つの法令である。それに違反しておるがゆえに、そうした行為について排除命令を出した、こういうふうに理解していただきたいと思います。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 不当景品類不当表示防止法ですか、これも、いま審議しておりますところの下請代金支払遅延等防止法も、ともに独禁法の補完法であって、同じ性格ですね。そうすると、あなたがおっしゃるように、その法令とは、不当景品類云々及びそれに基づく公正取引委員会規定、これがいわゆる公の秩序にならないということであるならば、下請代金支払遅延等防止法、及びこれに基づく公正取引委員会の告示なり規定はどういうことになりますか。
  50. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 われわれのほうは、公の秩序であるということは、そういう解釈でもって一応当たっております。ただ、従来排除命令の出し方などにしましても、もし民法の九十条にいう公の秩序に違反した行為は無効であるという見解がそのまま世間一般に通用するならば、排除命令を出す場合におきましても、その事実を確認さえすれば、もうそれでもって当然法律効果でもって無効だということになるという解釈もでき得るわけですが、すぐ民法の九十条に関係することで無効になるということも必ずしもはっきりしておりませんので、一応そういう行為を前提としまして、その行為をあるいは取り消せとか、あるいは今後やってはいかぬとかいうふうな形で排除命令を従来出しておりますので、九十条にいう公の秩序というもの、無効原因になる公の秩序の侵害であるということに統一して解釈していいかどうかということについては、必ずしも私自信を持っておりませんので、公正取引委員会としては、その行為の無効であるというところまでの前提に立たないで、一応その行為はある、しかし、それは法令の秩序に違反するがゆえに、その行為は今後やめろとかあるいはやってはいかぬ、あるいはそうした申し合わせば取り消せ、解消しろ、こういうふうな前提で従来公正取引委員会としてはカルテルの場合その他をはじめとしまして排除命令を出しておるというのが従来の経緯と思っております。
  51. 田中武夫

    田中(武)委員 そこでちょっと整理しますが、公正取引委員会の行なう行為、これは独禁法及びその補完法等によって行なう行為で、独禁法及びその補完法、これは公の秩序を定めておる。いいですか。したがって、公正取引委員会は公の秩序を維持するためにあるんだ。ただし、不当景品類不当表示防止法の九条の排除命令は、排除命令の内容によって、遡及する場合と、事後に効力を発生する場合とあるんだ、こう解釈していいですか。それならば私は次に移ります。そうでないというならばまだまだこれを続けます。
  52. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 大体いまの田中委員のおっしゃったことで私はいいんじゃないかというふうに思っております。したがいまして、公取委員会として排除命令を出す場合において、遡及した排除命令が全然出せないというふうなこともないと思いますが、事柄の性質から見まして、遡及させることによってどちらかといえばむしろ法秩序が——別の面における法秩序が非常に撹乱されるということになる場合においては、われわれは排除命令を出すときにおきまして、それを遡及させる効果排除命令は、これはむしろあまりとるべきでないというので、今後における問題だけを取り扱う、しかし、内容によりまして、遡及させるようなものを、必要がある場合において全然遡及させてはいかぬというほどのものではない、こういうふうに思っております。先ほどの説明、私の一番初めの説明が不十分だったものですから、いたずらに議論を少し混乱させたように思いますが、さくらデパートの場合におきましては、遡及させて、もう懸賞関係をゼロにしてしまうということは、かえって私的な法秩序を乱すことではないかというふうに考えたものですから、それ自体を要するに無効にするとか何とかというふうな意味排除命令でなくて、一応先ほど申したような内容の排除命令にした、こういうわけでございます。御了承願いたいと思います。
  53. 田中武夫

    田中(武)委員 初めからそう言ってくださいよ。そんならそう議論にならない。それじゃ、この点については、公正取引委員会はやはり公の秩序を守るために存在しておるんだ、厳として存在しておるんだ、胸を張って今後公の秩序を守るためにやるんだ、そういう決意でしょう。
  54. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 先ほどもちょっと遺憾の意を表しておいたのですが、当初の私の答弁が多少内容的に誤解を招くような答弁をしたために、いたずらに議論を紛糾させたことをおわびします。同時に、いまの最後のお話の、公正取引委員会は公の秩序を守るために、独禁法の番人であるということは、われわれかたくその信念で動いておりますので、今後ともその信念のもとに行動してまいりたい、かように思っております。
  55. 田中武夫

    田中(武)委員 こういう答弁を初めからしておけば問題はなかったのだよ。  そこで質問をもとに戻します。厚生省薬務局長さん、薬事法の六十六条は一項、二項、三項に分かれておりまして、その一項は、効果または性能に関し誇大なものを広告したという場合ですね。ここについては先ほどちょっと論議が出ておりました。二項は、医師その他の者が保証したと誤解されるもの、これはたくさんありますね。現に私のところへも来ておるのですよ。前に何とか長官をやった某代議士の写真入りで名前が書いてあり、この薬を飲んだら元気になりました、そういうのが現にあるんだな。医師その他の者が効果を証明したと誤認せられるもの、現にありますよ。それについてはどうです。
  56. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 御指摘のものがどういうものか、私後ほど御指摘いただきたいと思いますけれども、私どもいま多少問題になるというふうに思っておりますのは、たとえばテレビあたりで著名人が中に入りまして、それでいかにも長生きするとかいうふうな表現を使っておるような広告を見るわけでございますが、これにつきましては、御指摘のように誤認までいくかどうかということにつきまして多少問題がありますので、現に私どものほうで検討いたしておるわけであります。
  57. 田中武夫

    田中(武)委員 六十六条の一項二項ともについて十分検討し、指導していく、それでひどいのに対しては断固処分する、そういうことで態度は間違いありませんね。はっきりと確認しておきます。
  58. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 今国会におきましても、広告のことにつきましては当委員会でずいぶんいろいろと御指摘を受けまして、私どもとしましても強い態度で臨みたいということで、行政処分まで踏み切るということをしばしば言明いたしておりまして、そのとおりにいたしたいと思います。
  59. 田中武夫

    田中(武)委員 今度はいじめるのではなしに少し前向きのことを言いますが、外国の立法令、たとえばフランス等では、薬の広告を技術的広告と公衆向け広告と分けておりますね。そして、この技術的広告とは、医師あるいは薬剤師、産婆、こういうのには制限をせずにどんな広告をしてもいい。それから公衆向け一般向けの広告には一定の制限を加えていますね。こういうような行き方はどうです。いまの日本の薬の広告はむちゃくちゃですね。だから、こういうように一般向けのものと技術向けのものと分けて考えることはどうですか。
  60. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 外国でそのような例をやっておりますことは、私どもも十分承知いたしております。ただ、わが国におきましては外国のように医薬分業というものがはっきり行なわれておりませんで、結局、薬というものは薬局におきまして店頭販売される場合が非常に多いわけであります。考え方としましては、確かに大衆薬とそれから治療薬というものをはっきり分けて、それで治療薬につきましては一般の大衆向けの広告はやめさせる。それから大衆薬については現在の広告取り締まりをよりシビアーにしていくという考え方があると思います。ただ、そういうふうなわが国の特殊な医療制度のもとにおきまして発展してまいりました医薬品工業でございまして、一つの薬が大衆薬であると同時にまた治療薬であるという場合がきわめて多いわけでございます。したがいまして、そのグレンツゲビートをどこに引くか、大衆薬と治療薬との境目をどこに引くかということにつきましは非常にむずかしい問題がございまして、ただこれは考え方としては、たとえば保険制度で治療薬として採用されておるものにつきましては、これは広告した場合には保険のほうの薬価基準に登載しないというふうな方法も考えられるわけでございますけれども、そういうことをやりますと、同一種類の薬につきまして名前を変えてまた大衆薬として使用するとかいうふうな事態も出てくるわけでございまして、非常にむずかしい問題だとは考えておりますが、御指摘のような点は、私ども今後の薬務行政を進める上には十分検討して解決していかなければならない問題だというふうに思っておりますので、解決のために若干時日をかしていただくということをお願いをいたしたいと思います。
  61. 田中武夫

    田中(武)委員 その広告の点について、いま言ったように技術向けと一般向けとに分ける。それから一種、二種、三種ですね、これの扱う薬の種類ですか、これをもう一度検討し直す必要があるのじゃないですか。こういうアンプル殺人事件というようなものが起きた機会こそ、そういう根本的な検討をやる必要があると思う。そのことが一つ。  もう一つは、これも外国の立法ですが、疾病の徴候をあらかじめ表示してはいかぬというふうに禁じておるのがありますね。ところが、日本のはひどいですね。肩がこりませんか、耳鳴りしませんか、のどはかわきませんか、疲れやすくありませんか、何だかんだ五つ六つあげるのです。五つ六つあげられてごらんなさい。たいてい何かに当たるのです。私は健康には自信を持っています。しかしこう並べられると、のどがかわく、それは糖尿じゃないか、こう思うのですよ。そういうようなやり方はどうです。外国は禁止していますね。これについてどう思いますか。
  62. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 第一の御質問は、現在の薬局それから薬種商、特例販売業というふうに分かれております考え方を再検討する必要はないかというふうな御質問だと思いますが、薬事法改正の際にもいつでもこの点は、問題になるわけでございまして、たとえば配置売薬等につきましては、明治以前から長い間いわゆる家庭薬として国民に親しまれております業態でもございますし、それから薬種商といいますものも、非常に身分的には一応縛られておりますけれども、従来とも薬剤師の免許を持たずに、やはり薬種商として長い間仕事をしておるというふうな関係もございまして、これを法令上認めていくという形になっておるわけでございます。ただそういう業態のものにつきまして、どの程度のものを販売させるべきかどうかという点が問題でございます。これは私どもとしましては、やはり薬局があくまでも主体であると同時に、薬種商なりあるいは配置販売業でやっておりますものにつきましては、安全性のきわめて高いものをそこで販売するということを認めていくという形で現在規制をいたしておりまして、もしいろいろの問題が出た場合には、そういう規制をさらにきびしくしていくという方向で進んでまいりたいと思います。  それから第二点の、いろいろと薬の広告に効能効果が多過ぎるということでございますが、これは製薬の許可をいたす場合に、効能効果につきましてそれぞれメーカーのほうから出してきましたものを審査をいたしておりまして、現在その効能効果にはずれておるものが広告されておるということはないわけでございます。これはもう明らかにそういう効能効果許可のないものについてまで広告をするということは認められておりませんので、一応やはり現在テレビ新聞等で出されております効能効果につきましては、許可の際にこれを認めておるという形になっておるわけでございます。
  63. 田中武夫

    田中(武)委員 それを実際ひとつ検討してみたらどうです。たいていきくようなことを言っていますよ。だから、私はこういう徴候の場合はこういう病気だというようなことを禁じたらどうかというのです。いたずらに人心を惑わしめますよ。たいてい、あの広告を読んでごらん。肩がこるとか耳鳴りがするとか、いろいろあげたらみんなそうでしょう。一つぐらい思い当たることがあるのですよ。あれは検討する必要があると思うのです。  それから広告の問題に関連してですが、一体製薬会社はどのくらい広告費を使っていますか。私ここに調べたものを持っていますが、そのことが薬価に多くの影響を与えておると思うのです。そのことをどう考えますか。大体売り上げ高の二〇ないし三〇%に近いものを使っていますね、会社によって違いますが。そういうことを規制することによって薬価の引き下げができるのじゃないですか。そういうことについての指導はどうやられていますか。
  64. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 大体広告費で製薬業界で使われておりますのは三十九年度で三百四十億前後、全体の生産額大体四千億をオーバーいたしておりまして、平均的に広告に使用されております額は一一%前後というふうに私どもは考えております。会社によって多少差はありますが、平均は大体一一%程度。それで薬の広告の費用が非常に多過ぎるのではないかという御意見は、私どもたびたび聞いておるわけでございますけれども、この広告をやめることによって薬価が下がるのか上がるのかという点は非常にむずかしい問題でございまして、もし広告をやめるということになった場合には、メーカーのほうは自己の販売を拡張するためにテレビ、新聞等の広告をやめて、直接宣伝員を雇いまして、いわばプロパーと称する宣伝員を雇いまして、これを各病院、診療所のほうに回す。それからまた新しく開発された医薬品につきましては、ダイレクトメールということで直接病院、診療所のほうに郵送をするというようなことを考えるわけでございまして、外国ではそういうことをやっておる例がずいぶん多いわけでございますが、そういうことによりましてかえって広告費の費用がかかる、直接人件費その他の費用によってかえってかかるということで、はたして薬価が下がるかどうかということにつきましては非常にむずかしい問題が出てくると思います。そしてこれだけ広告を使っておりますがゆえに、またかえって非常に消費もふえていくということで、皮肉な言い方をすれば、逆に薬の値段がそれによって安くなっておるという点もなきにしもあらずというように考えられるわけでございます。全体的にいいますと、確かに広告の費用は目立ちます。しかし過去三十三年以降の統計を見ますると、電通調べによりますと、わが国の全体の広告費の各業界に占める率は、全体で過去五、六年間に五倍以上にふえております。五倍以上の広告費がふえております。業種別にいいますと、たとえば電機業界等におきましては十倍くらいにふえておりますが、薬の広告は、電通調べによりますとずっと毎年三倍程度でふえてきておりまして、全体の業界のふえ方に比べますと薬のほうはむしろ少ないというふうな統計も出ております。ただ薬の広告が、特定の品目につきまして非常に強くテレビ、新聞等で行なわれるということがいろいろと問題になるわけでございますが、これは私ども業界のほうに厳重に注意をいたしまして、少なくとも薬の品位を失墜するようなことがないように、広告等につきましては適正基準の運用と同時に業界にも自主基準をつくらせまして、今後極端な表現を使った広告は自粛し、また行政処分に付するぞというふうなことをいいまして、強く指導いたしておるわけでございます。
  65. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど私、広告と言ったが、広告宣伝費です。宣伝も含めてです。多過ぎるということです。それからいまあなたが言われた電気器具は実に多い。薬、繊維、そういうようなところだと思うのですね、広告の大手は。しかしまあアンプルの場合は特殊な場合かもしれませんが、危険を伴うものですよ。それをこうみだりに広告を野放ししておっていいかといえば、そうじゃない。したがって薬事法六十六条にそういう規定がある。ところがそれが十分守られていないように思うわけです。  それから、先ほど広告をやめることによって薬価がどうかということは、私は広告宣伝両方とも言っているわけです。だから特定の薬については相当なものだと思うのです。あなた方は全生産に対して何%と言われた。ところがその中には純然たる医者用といいますか、あんまり一般に宣伝しなくていいものが含まれておる。あるいは工業用も含まれておるわけです。そうすると、一般向けのものについてはもっと率は上がるわけですよ。そこで社会保障との関係においてイギリス、西ドイツ等は薬価指定主義をとっていますね。日本は放任主義ですね。この点どうですか。薬価指定主義をとる気持ちはないですか。
  66. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 現在保険制度で採用されております薬価は、これは実勢価格といいますか、現在の相場で売られております相場品目については相場の価格、それからB価品目につきましてはB価の価格ということで、実勢価格の九〇%バルクラインということで、これを薬価基準に登載をいたしておるわけでございます。御指摘のように指定をするというふうなことは、自由企業をたてまえにいたしております現行の製薬企業のもとにおきましては、指定制度までいくということにつきましては非常に問題があると思います。せいぜい私どもがとっております実勢価格に合わせるという形で薬価というものをきめていく以外に方法はないのじゃないかというのが私どもの考えでございます。
  67. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたのいまおっしゃったのは、自主的にきめていくということですね。
  68. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 自主的ということじゃなしに、保険制度で治療薬として使われます薬の値段は厚生大臣が告示をいたします。これが薬価基準の告示ということになるわけでございます。その薬価基準をどういう方法できめるかといった場合に、実勢価格できめていくという考え方をとっておるわけでございます。
  69. 田中武夫

    田中(武)委員 実勢価格をもうちょっと説明してください。
  70. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 実勢価格といいますのは、たとえば三社以上で製造しております品目につきましては大体相場の価格があるわけでございます。それぞれ会社によって多少製造原価が違ったにしましても、相場価格というものが一般に公に取引の際に行なわれる。それから一社だけでやっております製品につきましては、これは仕切り価格にプラス何%しました卸値を各社できめておるわけでございます。このB価価格と相場の価格を実勢価格と言っておりまして、この実勢価格の建て値といいますのは各病院、診療所、によって必ずしも同一ではございません。非常に安く買うところと高く買うところがあるわけでございます。それを大体全体の九〇%の数量が買える値段ということで——九〇%バルクラインとこれを言っておりますが、九〇%の数量を買える値段をきめて、毎年毎年これを改定していくという態度でやっておりますが、ただ残念なことに、過去五年間におきまして薬価基準の改定が行なわれておらないために、現在の薬価基準の価格と、いま申し上げました実勢価格との差というものは非常に大きく開いておるというのが現状でございます。
  71. 田中武夫

    田中(武)委員 その実勢価格、いわゆるそれぞれの相場というもの、そこに暗黙の協定、カルテルは存在しないですか。
  72. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 カルテルといったものは存在いたしておりませんが、しかし新薬製造メーカーといいますものは、小さな会社は別としまして、大体大きな会社が多うございますので、とっぴな値段というものは考えられませんので、大体標準的な値段というものはそこにおのずからきまってくる、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  73. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは薬務局長に対する質問はこの程度にしますが、広告のあり方それから薬の価格のきめ方、これについては先ほど来私の言っているような外国の例もあるわけです。いまだいぶん問題になっておりますので、これをひとつ前向きにほんとうに検討してもらいたい、あなたに対してはこれだけお伺いして終わります。
  74. 熊崎正夫

    熊崎政府委員 御指摘のとおりでございまして、私どももこの問題につきましては真剣に前向きで検討してまいる所存でございます。特に治療薬の広告等につきましては、現在メーカーのほうに、これはテレビその他で広告しないようにということを強く言っておりまして、広告問題につきましても一挙に解決することはなかなかむずかしゅうございますが、次第に改善していくという形で、御指摘のとおりに努力してまいりたいと思います。
  75. 田中武夫

    田中(武)委員 厚生省環境衛生局長に、クリーニングについて若干伺います。  クリーニング業法の第三条のクリーニング所というのはどういうものですか。
  76. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 クリーニング所は、従来はクリーニングの作業をする場所を主体に考えておったわけでございますが、先般の通常国会におきましてこの部分の法律改正が行なわれまして、クリーニングの対象となります洗たく汚物を取り扱う場所もクリーニング所とすることにいたしたわけでございます。
  77. 田中武夫

    田中(武)委員 こういう商売がはやっているそうですか、コイン・オペレーション・クリーニングとかいって、かっこうは洗たく機械を貸すというかっこうでやっておるが、実際は洗たくしておるわけですね。これはクリーニング所に当たりますか、当たりませんか。
  78. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 お尋ねの事態は、公衆のために自動機械でお金を入れれば自動的に機械が回転いたしましてクリーニングが行なわれ、家庭の主婦が自分でそこへ洗たく物を入れ、洗たくが終われば自分で取り出して帰っていくという、そのような機械を据えつけた場所がはたしてクリーニング所であるか、こういうことかと思います。多くのそのような場所は、今日においては、クリーニングをやっておりますいわゆるクリーニング所の盾先といいますか、クリーニング所内に設置しておる事例が多うございますので、当然それはクリーニング所の施設の一部と解釈できますが、最近、自動車にこれを積み込んで各所を回るというようなものがあるやに聞いておるわけでございます。そのようなものが、はたして従来から考えておりますクリーニング所であるかどうかは簡単には即断できませんけれども、通常これはやはりクリーニング所と考えることが妥当ではなかろうか、かように考えます。
  79. 田中武夫

    田中(武)委員 移動クリーニングについてはあとで伺うつもりであったのです。いま伺っておるのは、いわゆるコイン・オペレーション・クリーニングというものです。これはクリーニング屋の前に置いておる。そうして金を入れて自動的に洗たくして持って帰る、そこに人の行為が入らない場合と入った場合は違いますか。また、これをクリーニング機械の貸し業であって、クリーニング業とは違うのだという解釈厚生省はやっておるのじゃないですか。私がかりに第一議員会館の前にそれを据えて、みなのワイシャツを洗いますとやったら、これはクリーニング所ですか、どうです。
  80. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 他のこれに近い事例を申し上げますと、コインを入れましてジュース等を販売する事例がございます。これも人がおりませんで、自動的にそういうものを販売いたしておるわけでありますが、やはりそういうものも食品衛生上の許可を受けておるわけでございますので、いまのような場合も、通常の場合はクリーニング所と考えることが妥当であろうかと思います。
  81. 田中武夫

    田中(武)委員 クリーニング所と考えるのが妥当だということですね。したがってこれについては、このクリーニング業法に定めるところの届け出あるいはクリーニング師の設置等々は必要なんですね。
  82. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 もちろん各種のクリーニング所に必要な施設基準というのがございまして、申請に基づいてこれを許可をする場合には、その基準に合っていなければ許可をいたさないわけでございますが、ただこれらの基準は一般的な基準でございまして、特別の事例で、クリーニング業法の上から場合によってはある程度その基準に合わないものも個々に審査をして許可をする場合がございますので、すべてが規定基準に合わなければならないというわけではございませんが、お尋ねのような扱いをすることが妥当かと考えます。
  83. 田中武夫

    田中(武)委員 私が言っているのは、そういう機械を貸し機械というかっこうでやっておる、これがクリーニング所かどうかを伺っているのです。あなたは先ほど、クリーニング所に該当する、こういうことですよ。そうするとクリーニング業法に基づくいろいろな届け出だとか、あるいは少なくとも一カ所に一人のクリーニング師を置かなければならぬとか、そういう法律の適用はありますね、こう言うておるのです。
  84. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 本来クリーニング業法は公衆衛生立法でございまして、公衆衛生上施設を必要な基準によって許可をいたし取り締まりをいたしておるわけであります。したがいまして、ただいまお尋ねの対象となる施設が公衆衛生上考慮する必要がある事態であって、しかもクリーニング業とする事態であれば、当然対象となるわけであります。機械を単に貸すと申しましても、それはクリーニングということが行なわれる業でございますので、ある程度自動的に行なわれても対象となり得るものと思いますが、ただ、そのような場合にクリーニング師がそこに必要かどうかは、また事態によって考慮すべき点もあるかと思います。というのは、個々の機械に必ずいなければならないのか、全般的に管理的にそういう者がいなければならないのかは、その場合によりますけれども、機械の一カ所一カ所に一々絶えずおるということでなくて、全般的な管理の役をクリーニング師たる者が行なうということでも差しつかえない場合もあり得ると思います。
  85. 田中武夫

    田中(武)委員 業法四条に例外規定はありますか、例外の規定はないでしょう。
  86. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 クリーニング師の勤務形態の問題として取り扱える場合は、必ずしも常時そこに立っておらなければならないというわけでもございませんので、ただいまそのように申し上げたわけでございます。
  87. 田中武夫

    田中(武)委員 第四条は「営業者は、クリーニング所(洗たく物の受取及び引渡のみを行うものを除く。)ごとに、一人以上のクリーニング師を置かなければならない。」となっておるのです。したがってそういう機械が数台一ところにあった場合は、これが一連でクリーニング所、あるいは一台が離れてあった場合は、この一個一個がクリーニング所になるのじゃないですか。たとえば同じ場所じゃなくて、相当離れたところに点在しておって、一人がこれを回るということでも四条からいっていいのですか。
  88. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 昨年の通常国会で改正されましたクリーニング所の中に、クリーニングに出します洗たく物を収集、あるいは洗たくしたものを受け渡すような場所もクリーニング所といたしたわけでございます。それらの個々の場所にそれぞれ常時クリーニング師が常駐することを必ずしも要求するわけではございませんので、それよ同じように、ただいま先生のお話のございました自動洗たく機を散在してある程度据えましても、それらを全般的に管理できる形でクリーニング師があれば差しつかえないかと思います。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 それはちょっとあれじゃないですか。そのクリーニング所というのは、それじゃどんなものかということを最初聞いたわけです。だから機械が幾らか並んで一つところにある、これは一つのクリーニング所でしょう。しかし機械を点在して置いた場合は数個のクリーニング所じゃないですか。これが一個ですか。一個のクリーニング所であると解釈して一人でいいとあなたはおっしゃっているのでしょう。自動洗たく機械を数カ所に遣いおる。これらを含めて一つのクリーニング所と言えますか。クリーニング所の定義はどうです。
  90. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 確かにお尋ねのように、先ほどの集配所のようなところは、それだけをもってクリーニング所といわないで、洗たく機械が据えられておる場所と含めて、それの一部分が集配所の形をとっておるにすぎないという解釈はできますが、お尋ねのように自動洗たく機が一個離れておった場合に、それを支店といいますか、本部のものの一部分にすぎないという解釈はやや無理かとも思います。思いますが、実際上、本来この法律の衛生立法の主目的からして、クリニング師が、法に要求せられておる管理運営に十分注意をするという形がそのクリーニング師でとれる場合であって、しかも本部に該当するクリーニング所、中央のクリーニング所がある場合に、それを支所というような扱いで考えられないこともないように存じます。ただそのような本部に該当するような場所がなくて、単に一個だけを出しておる店が、そういう個人があったとすれば、当然そこにはクリーニング師を置く必要があるかと存じます。
  91. 田中武夫

    田中(武)委員 この四条の「クリーニング所ごとに、一人以上の」ということはどうです。「ごとに、」したがって一つところに何台あってもいいのです。これは一カ所、しかし数カ所に点在しているのは、これは一個のクリーニング所と見なすのか。その械械がある場所一つ一つを一個に見なすのかという問題だと思うんですよ。私は後者だと思うんですが、それはどうです。しかもそれがこの法律の目的たる公衆衛生の管理上必要だ、こう思うのです。
  92. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 御意見のとおり、自動的に一個の機械でクリーニングの処理ができる、それだけで独立して事業が行なわれれば、それはお尋ねのように一個のクリーニング所であろうかと思います。ただ法の本来の趣旨からいって、クリーニングが衛生的に行なわれるということを十分管理するためにクリーニング師を設けるという趣旨からすれば、たった一個の自動クリーニングの場所に一人ずつクリーニング師を立たせておかなくても、かなりひんぱんに巡回してそれらの管理ができる状態がクリーニング師のもとででき得る状態であれば、この法律で目的とするところはある程度達せられるかと思います。ただ、そのようにこの法律解釈していいかどうかという問題はあり得ると思いますが、何分にもお尋ねのような事態はごく最近できてきた事態でございまして、いま一つは、最近できます自動洗たく機の設置はおおむね多数配置してございますので、一個のものが孤立して散在するという事態は、私どもとしては実はあまり勉強してございませんので、一応公衆衛生上の見地からお答え申し上げたわけでございますが、十分これは私どもとしても検討して、法律的にも実態的にも研究してまいらなければならないと思います。
  93. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど来、話題も出ておりますから、大体そのとおりだと思うのですが、移動クリーニングですね、これはあくまでクリーニング所であり、その自動車は、クリーニング設備ですか。
  94. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 当然にそのようなものと思います。
  95. 田中武夫

    田中(武)委員 そういたしますと、それはこの業法でいう届け出及びクリーニング師が一人いなくちゃいけない、こういうことは全部適用を受けますね。  それからついでにもう一つは、この所ということ、この観念には、移動性を含んでおりますか。
  96. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 当然に移動する自動車はクリーニング所でございまして、所という解釈は、通常の場合は固定したものでございますが、移動するものであっても、所の取り扱いは、他の食品の屋台の場合あるいは移動販売車のような場合でも同じでございます。
  97. 田中武夫

    田中(武)委員 まだこういう事態が起こって間もない、こういうことだけれども、クリーニング業者には相当大きな問題となりつつあります。したがって、コイン・オペレーション・クリーニングあるいは移動クリーニング、これらについてもっと的確な、業法の上に立った有権解釈及び指導、これが必要だと思います。これは、またあらためてこのことについて議論をするときもあろうかと思いますが、きょうはこの程度にします。  次に文部省にお伺いしますが、いまお聞きのように、広告という問題を取り上げておるわけです。文部省の立場をひとつお伺いしたいのですが、テレビその他の広告、こういうものが青少年あるいは幼児に与える影響について検討したことがありますか。
  98. 蒲生芳郎

    ○蒲生政府委員 テレビのコマーシャルソングでございますとか、あるいはメッセージでございますとか、こういうものが特に子供たちに与える影響はかなり大きいものがあると思っております。文部省といたしましてもその点にかんがみまして、先年来子供に与える影響につきまして調査をいたしまして、その結果を新聞発表もいたしますし、また放送事業者にもその結果を配付いたしまして、その影響についての注意を喚起いたしております。  なお、御参考までに申し上げますと、最近、放送事業者側におきましても、コマーシャルを含めて、番組内容が子供たちに与える影響につきまして注意を払ってまいりまして、民放連におきましてもコマーシャルが子供たちに与える影響調査をただいまやっておる、また自主規制機関でございます番組向上委員会におきましても、このコマーシャル等について検討をし、その向上に努力しておるというふうに聞いております。
  99. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、放送局へ申し入れたとか、調査結果を配付したということでなく、文部省みずから広告主に、ああいうことはちょっと困るというようなことをやったことはありますか。
  100. 蒲生芳郎

    ○蒲生政府委員 文部省が直接広告主に対してそういう注文をつけたことはございませんが、番組向上委員会でございますとか、あるいは各民放の関係者に対して、コマーシャルの及ぼす影響について十分注意をされたいということは申し入れてございます。
  101. 田中武夫

    田中(武)委員 直接、ああいうのは児童心理に与える影響が大きいからという注意をしなければならぬような広告がたくさんあるでしょう。あるいは映画館あたりの看板というか、広告を見ても、青少年に与える影響がどうかと思うわいせつなものがたくさんありますよ。そういうものを見て、ただ調査をしたとか、あるいは番組編成何とか会へものを言ったとかぐらいでいいですか。
  102. 蒲生芳郎

    ○蒲生政府委員 おっしゃいますように、非常に悪影響を及ぼすと思われるような広告あるいはコマーシャル等につきましては、大きい関心を持っておりますが、個々のそうした広告主でございますとか、あるいは映画館でございますとか、そういうところに文部省から直接にはいたしておりません。ただ、そうした自主規制機関を通じましてそれぞれ注意を喚起しております。
  103. 田中武夫

    田中(武)委員 今後もそういう間接的なことだけを考えていますか。直接にはやる気持ちはありませんか。
  104. 蒲生芳郎

    ○蒲生政府委員 現在のところでは、やはりそうした業界の自主規制機関を通じて行なってまいりたいというふうに考えております。
  105. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、第一段階はそれでいいと思うのですが、一向に改まっていないでしょう。たとえば子供の間に流行をつくるというようなのは、みんなこういうコマーシャルから出ておるのですよ。何々を買ったら切手をやるとか、あるいはワッペンをやるとかということが、どんどんと子供の一つの流行をつくっておるわけです。中には射幸心をあおり立てるようなものもありますね。そういうものをあなた方文部省の立場から放任しておいていいのですか。射幸心をあおるようなものがたくさんありますよ。
  106. 蒲生芳郎

    ○蒲生政府委員 先ほども申し上げましたように、これに対する非常な関心は持っておりますが、たとえば一例をあげますと、御承知のようにある薬のコマーシャルでございましたか、カエルのへそがねえじゃねえかというようなコマーシャルがありまして、それが子供の間で、友だち間あるいは家庭において日常の会話に使われておるというふうな事例も耳にしておりましたが、これらも実はこの放送番組向上委員会とか、あるいは民放連の会議等に私どもも出席いたしまして、そういうあまりひどいものについては注意をいたしまして、その結果、いまのは一例でございますけれども、へそがねえじゃねえかというようなコマーシャルも消えていったという一つの実例でございますが、そういうことで、できるだけそういう機関を通じて強力に指導し、注意をしてまいりたいというふうに考えております。
  107. 田中武夫

    田中(武)委員 児童用の雑誌なんか見ても、雑誌の本体は少ないのですよ。付録が五つも六つもつくのですね。ああいうような行き方はどうですか。そのことについて公正取引委員会委員長の見解も伺います。そういう販売方法ですね、雑誌の本体はあまりほしくないのだけれども、付録がほしい、しかも子供がほしがるような飛行機の模型だとかいうようなものがつくのですね。そういうのは独禁法では禁止していないけれども、抱き合わせ販売とでもいうか、そういう販売方法は好ましくないと思うのですが、こういう児童雑誌のあり方について、文部省それから公正取引委員長、どう思いますか。
  108. 蒲生芳郎

    ○蒲生政府委員 児童雑誌についての御質問でございますが、やはり教育的な立場から考えれば、児童雑誌本来の内容を充実するということがもちろん望ましいことでございます。ただそれを売らんがために、くだらないと申しますか、そういう付録でつるというふうな販売方法は、教育の立場から考えて好ましくないというふうに私考えます。
  109. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 抱き合わせ販売ということばにそのまま当たるかどうか、必ずしもすぐ当たるとも言いかねると思いますが、そういった形態における商品販売というものが好ましくない姿であるということは私も同感でありますが、それが独禁法ですぐどの条文違反するといったようなものとも考えておりません。
  110. 田中武夫

    田中(武)委員 独禁法どんぴしゃりじゃないですが、物価統制令ですが、抱き合わせ販売の問題がありますけれども、あの物価統制令の所管を聞いたら、どこかよくわからないというほど忘れられておる法律なんです。しかし物の販売とか何かで不公正なというか、どうかと思われるのは、やっぱり公取委員会も気をつけなければいかぬ。いま文部省としては、そういうことは好ましくないということだから、そういうものに対しては勇敢に警告を出していいんじゃないか。変な広告だとか、あるいは内容を充実せずに付録でつるというような販売方法、児童に射幸心を植えつけるような広告、こういうものに対しては警告を出していいんじゃないですか、どうですか。
  111. 蒲生芳郎

    ○蒲生政府委員 どういう方法で警告を出したらいいか、実はその点もございますので、検討さしていただきたいと思います。
  112. 田中武夫

    田中(武)委員 ついでですからお伺いしますが、最近テレビドラマ等で子供を使っていますね。子供を使う場合に一定の制限があることは御存じですね。それば労働基準法の問題だとは言わせませんよ。一定の制限があります。御存じですか。
  113. 蒲生芳郎

    ○蒲生政府委員 ちょっと私もよく勉強しておりませんのでお答えしかねますが、文部省関係では、文部省のほうでそれを制限する関係法規と申しますか、そういうものはないのじゃなかろうかというふうに思いますけれども……。
  114. 田中武夫

    田中(武)委員 それがいけないというんだよ。労働基準法では、十四歳未満の者を使うときには、就学時間を込めて七時間をこえてはならぬ。だからこれは労働基準監督署が監督したらいいんだということじゃなしに、児童の教育あるいは体位、こういう方面から見てあまりに酷使しておるというようなことの有無については文部省も検討する必要があると思うのですよ。いま言ったように、そういう制限すらあなたは知らぬのでしょう。これは役人のいいところか悪いところか知らぬが、自分のなわ張りならあくまで守るが、そうでないものは、基準法はあちらだ、私のほうは知りませんでは済まされませんよ。児童を教育していく上において、そういった事態についてどう考え、今後どうしていこうと考えるか、お伺いします。
  115. 蒲生芳郎

    ○蒲生政府委員 先生のおっしゃる点は全く同感でございます。学校教育、社会教育を通じまして、そういう点については十分今後いまのような行き過ぎのないように持っていくよういたしたいと考えます。
  116. 田中武夫

    田中(武)委員 これで文部省に対しましてはおきますが、そういう制限が労働基準法にあることを文部省のあなたが知らなんだということは、児童労働に対する関心が薄いということを明白に物語っておると思うのですよ。そういうことじゃいかぬのです。いままで知らなかったのならしかたがないけれども、七時間をこえてはいかぬ。しかもそれは就学時間を含めてですよ。それは労働基準監督署がひとつやるということじゃなく、文部省の立場から、児童の教育上あるいは体育上問題があるならばどんどん改善しなければいかぬと思うのですよ。そういう点を要望しておきます。  次に農林省、前へ出てください。お聞きのように、いま広告一般をやっているのです。商品取引所法第八十八条の八号、これには商品取引に関して虚偽表示をしてはいかぬということが書いてあります。穀物取引所に関してはあなたのほうが所管ですね。そういう点について、いままでどういう監督と指導をしてきたか。現にこの八十八条の八号違反の事実は絶対にないと言い切れますか。
  117. 久宗高

    ○久宗政府委員 商品取引所の運営につきまして、特に小豆を中心といたしまして非常に問題が起こったわけでございますが、率直に申しまして私ども指導監督が必ずしも十分でございませんで、その点非常に遺憾に思うわけでございます。御承知と思いますが、昨年の二月に、その前からの事態を考えまして、本来取引所がああいう組織でございますので、自粛態勢を強化するような一連の指導をいたしたわけでございます。その際に特に問題になりましたのは、いま御指摘がございました誇大宣伝の問題でございまして、私どもこれを法規上どういうふうに扱うべきか、また具体的な指導上どう扱うべきかをいろいろ検討いたしたわけでございますが、一応いま私どもの耐えておりますのは、あの御指摘規定はメンバー同士を規制する法律のように考えられるわけでございますので、特に一般の大衆が参加された場合におきます措置といたしましては、さらに別途な措置が必要であろうというふうに考えます。業務規程の中にさような規定があるわけでございますが、従来その辺の誇大宣伝その他に対します自粛内容が非常に不徹底でございましたので、昨年二月以来その検討を命じまして、業界自体で措置をするように指導いたしたわけであります。これが不徹底なうちにさらに問題が大きくなりましたので、昨年の九月でございましたか、会長、理事長にお集まりいただきまして、この点について、特に一般大衆が御参加なさいました段階においては非常に問題だから早急に対策を立てるようにということで、さらに督促したわけでございます。十二月になりまして、私どもといたしましてこの点が重要であろうかと思う点を列挙いたしました通達を出しますと同時に、穀物取引所側におきましても、誇大宣伝の防止につきましての具体的な案をつくりまして、ただいま実施中でございます。
  118. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、指導して自粛することになったからこのごろはそういうことはない。だけれども、たとえば赤いダイヤという表現ですね。いま証券取引が御承知のように停滞している。今度は穀物だ、あるいは株式よりか有利な穀物取引、こういうことを一般に不特定多数の人に広告をする。これはどうなんですか。いま絶対にありませんか。しかも、そのメンバー同士のあれだというふうにおっしゃるけれども、その仲買い人が一般からたくさん金を集めて——私は兵庫県ですが、神戸にあった事実ですから御承知と思いますが、預託を受けておる、委託されておるというのですか、有価証券をかってに使って担保に入れてしまって、そして多くの人に損害を与えたという事実がありますね。何なら名前を言ってもいいのですが、そういうことについてどう思いますか。それから、いまこのままにほうっておいたら、この穀物取引所の仲買い人というのですか、メンバー、これの大半はぶつ倒れるんじゃないですか。これがぶっ倒れるということは、結局大衆に大きな損害を与えるのですよ。そういうことについてどう考えていますか。
  119. 久宗高

    ○久宗政府委員 ここ数年の経済成長によりまして状況が非常に変わってきているわけでございまして、取引所におきます取引も、常識のうちを非常に越えまして過熱を見せました。特に一般の大衆が参加してまいりましたので、私どもといたしましても、これの指導監督につきましてよほど思い切った措置が必要ではないかということで対処してまいったわけでございます。いま御指摘のございました誇大宣伝につきましては、私どもの規制のスタートがおくれまして、昨年の二月ごろから、農林省のみならず通産省とも御相談の上で、業界とお話を進めてまいったわけでありますが、何ぶんにも惰性がございまして、非常に徹底を欠いたわけでございます。その間にいろいろ第三者からも御批判が出、たまたまお話の出ましたような、たとえば赤いダイヤといったような表現でございますとか、絶対にもうかるというような感じの表現でございますとか、そういうものが横行いたしまして、それによりまして大衆の参加が非常に拡大されたわけでございます。そこで私どもといたしましては、まず第一にこの誇大広告につきまして、これは度合いの問題はございますけれども、ごく常識的に申しまして、やはりメンバー同士でも、ある会社が特殊な宣伝方法をとれば、もちろん相手の会社は相対的な被害をこうむるわけでございますので、やはりメンバー同士が、これがリミットであるという点をはっきりさせて、それを順守させるのがいいだろう。役所のほうで、これはいけない、あれはいけないというふうに言いました場合には、やはりすれすれの限度が問題になりますので、現在やっております制度は、業者の中で、たとえばテレビ広告でございますとか、あるいは新聞に出しますものについて共同の審査体制をとりまして、そこをパスしないと実施できないようにいたしておるわけでございます。ただ、今日まで出ておりますもので、その後の措置といたしましては、一応これを非常にきびしくやりましたので、またその時期から、従来多少怠っておりました監査の事後措置につきましても、相当思い切った措置をとりましたので、一応徹低していると思いますが、まだ惰性がございまして、一般に、第三者の方が、あるいは大衆の方が取引所の内容をよく知悉して取引に参加なさるというところまでいっていないのは非常に遺憾に思っておるわけでございます。
  120. 田中武夫

    田中(武)委員 遺憾に思っておりますじゃ事が済まないのです。たくさんの被害者を出している。大体この種のこと、商品取引というのは一般に、不特定多数に広告する必要があるのですか。企業局の次長さん、商品取引所法はあなたのほうの管轄だから、同じことを伺っているのですが、そういうものについては広告する必要があるのかないのかということ、そのこと自体に私は疑問を持つのですが、どうですか。通産省と農林省、両方とも見解を伺いたい。
  121. 久宗高

    ○久宗政府委員 二つに分かれると思うのでございますが、取引所としましてはやはり取引の内容につきまして、これを一般は、関係者に知らせるのが一つの機能だと思います。それから個々のメンバーの方は、これはもちろん商売でございますので、自分の会社の宣伝をやっていけないとは言えないと思うのでございますが、ただその宣伝の中身がらちを越えました場合に、当然これはメンバー同士といたしましても、それを放置いたしますことは穀物取引そのものに対する誤解を生み、あるいは取引所そのものについての問題にもなりますので、メンバー同士がみずから自粛して、しかも取引所自身もそのラインに沿って、一般に取引の中身を正確にこういうものであるということを説明する必要があるだろうというふうに考えております。
  122. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 お答え申し上げます。ただいま田中委員の御質問は、現在の取引所の機構、取引所法、これは大衆がそこに多数参加するというふうなことはあまり考えていないのではなかろうかという御質問だと思います。これは私は仰せのとおりだと思います。大体、法律には明記してございませんけれども法律を読んでみますと、定款で自主的自律的に取引所の運営ができるというようになっておりまして、また監督なども証券取引所等に対するものと別だというふうなことで、当業者主義と申しますか、大体仲買い人が中心で運営していくというふうに、法律はそういうものを前提にしてできているというふうに考えております。ただ最近、大衆、しろうとと申しますか、その中に相当くろうとじみたしろうとの方もおられまして、そういう方が若干お入りになりまして、それからさらにほんとうのしろうとの方も入られておるというような事例もあるやに見受けられまして、農林省のほうとも相談いたしまして、商品取引所の審議会にも、大衆の保護と申しますか、委託者保護と申しますか、これにつきましていろいろ相談して検討しておる、こういう段階でございます。
  123. 田中武夫

    田中(武)委員 さすがに通産省は私の質問になれているから先手を打ってきたと思うが、私はそれを聞きたかった。証券取引所法と商品取引所法を見た場合に違うのです。商品取引所というのは仲買い人、メンバーだけが取引するようなかっこうになっているのです。それに対して一般に、不特定多数に広告の必要があるのか。言いかえるならば、そういうのにしろうとというか一般大衆を動員するということは、これは一つの射幸というか、ギャンブルにすぎないのです。商品取引の本来のあり方というもの、果たす役割りというものはどんなものですか。それは証券取引の場合は大衆からのいわゆる資本動員というような意味があると思うのです。ところが商品取引の場合には、大衆からの資金の動員が必要ですか。私はその意味において、一般に広告などすべきものでない。あくまであれは当事者間ということで、メンバーだけで取引するようになっているのです。そのことを言わんとしておったわけです。それを乙竹さんのほうは前もって答えられたのです。そうすると、あなたの答弁からいくならば、この種のものは不特定多数の者に対する広告はすべきでない、こういう結論に、いまのあなたの法解釈からいけばなると思いますが、いかがですか。
  124. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 一般大衆に対する広告、これがすべきであるかすべきでないか、当か不当かという問題は、してはならないか、していいかという問題とは違うと思うのでございます。それはともかくといたしまして、私のさっきの説明に若干つけ加えさせていただきたいと思いますのは、いわゆる当業者主義、確かに商品取引所はそうだと思います。ただ当業者と申しますのは、これはいわゆる仲買い人だけではございませんので、これは釈迦に説法でございますけれども、繊維でありますと、いわゆる紡績屋さんでありますとか、糸屋さんでありますとか、機屋さんでありますとか、こういうふうな実需筋の関係者、これは当業者の中に含めておるわけであります。したがいまして、そういう意味におきまして商品取引所の当業者というのは、相当数は多いということであろうと思います。
  125. 田中武夫

    田中(武)委員 その点はいいです。それにしても、数が多いか少ないかは別としても、これは不特定多数ではないのです。対象は限定されておるのです。それに対して不特定多数に行なうところの広告は必要ではないではないかと言うのです。してはいけないということと、妥当でないということとは違うというような三百代言的な概念法学論の字句を弄したあなたの答弁だけれども、それはだめです。だから先ほどの農林省の答弁にあるように、二つ行為がある。まず第一の取引の内容等を知らしめる必要がある、だから関係者に知らせる、これはよいのです。あとの不特定多数に対する広告、しかも虚偽あるいは過大と思われるような広告をすることはいけない。本来商品取引というようなものは、不特定多数にそういうことをやるものではない。ここで大蔵省が必要になってくるのだが、そういうことはなるほど一般から売買委託というかっこうをとって金を集めておるけれども、これは一つの出資におけるものと同じですよ。集めた金で自分たちが売ったり買ったりしておるんですよ。この商品取引所のあり方及び法の精神、これについてはどうですか。きょう答弁ができなければ、もう一ぺん商品取引所法というものと証券取引法との違いをひとつ検討してみる必要はないですか。
  126. 久宗高

    ○久宗政府委員 あるべき形の取引所と現実の取引所との間には相当のギャップがございますので、問題があるかと思いますが、商品取引所におきましては、私が講義を申し上げるまでもなく、ヘッジその他の機能が問題になるわけであります。公正な価格の形成等、さような点から見まして、発生的にはメンバー同士の問題であったかもしれないのでありますが、現段階におきましては、それにメンバー以外の者が参加していけないという体制にはなっていないと思うのであります。ただ、おそれられますことは、あくまでも取引所の機能に即した取り扱いが必要でございます。それが一般経済の過熱の中において非常にらちを越えまして、誇大な宣伝に走ったという点ははなはだまずいと思いますので、これは厳重に規制をする必要があると思いますけれども、いまのメンバーだけでというふうに割り切れるかどうかについては、私どもとしてはやはり若干疑問を持っておりまして、メンバーだけに割り切れないのではないだろうかというふうに考えております。
  127. 田中武夫

    田中(武)委員 法律のたてまえは、メンバー同士で売り買いをする、それに第三者が入ることは禁止していない。これはいいですよ。しかし禁止していないから、どんなに広告をして人を集めてもいいとは解釈できない。そういう点において、いま直ちに、あなたが、それは広告はしてはいけないとここでは言えないと思うのですよ。しかし私はそういう性格じゃないかと思うのですよ。そうじゃないんですか。私の言っておることが間違っておったら間違いだと言ってください。したがって、これは直ちにできなくても、そういう方向で指導し、このために起こってくるところの、いろいろな大衆に対する悪い影響といいますか、そういうものを是正していく。法律が禁止してなかったら、何でもできるんだという解釈も誤っていますよ。その点については姿勢を正していくということで、所管は企業局ですから、ひとつよく相談してやってもらうということで、この程度にしておきます。  次に、証券投資信託とはどういうものですか。法律の説明を求めるのではありません。一口に言って、証券投資信託とはどういうことです。
  128. 加治木俊道

    ○加治木説明員 有価証券に対する投資を内容として、一般投資家から資金を預かって運用をする。これが証券投資信託でございます。
  129. 田中武夫

    田中(武)委員 委託を受けてやるということで、預金じゃないんですね。したがって、元金は法律的に保証してありませんね。そのときの相場によって変わりますね。いかがです。
  130. 加治木俊道

    ○加治木説明員 おっしゃるとおりでございます。
  131. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、証券信託について元本保証だとか、あるいは安全だということばを使うことはどうです。
  132. 加治木俊道

    ○加治木説明員 そういうことは許されておりません。
  133. 田中武夫

    田中(武)委員 許されていない。ところが、現に行なわれていますね、若干自粛したようだけれども。言うまでもなく証券取引法五十八条第二号に、虚偽または誤解を生ぜしめるような事実の表示をしてはならないというようなことがありますね。真正面これに当たりますね。元本保証だとか、あるいは元本安全だとかいうことに対して、大蔵省はどうしますか。
  134. 加治木俊道

    ○加治木説明員 お答えいたします。許されておりませんと申し上げましたけれども、若干言い過ぎかもしれませんが、広告等によって、不特定多数を相手にしてそういう広告をすることは、百九十一条の三でございますかで、明らかにこれは禁止されております。五十八条に該当するかどうかは、いわば詐欺的、欺瞞的行為はいけないということになっておるのです。したがって、元本を保証しますといって、ほんとうに保証する場合に、これを詐欺的、欺瞞的行為と見れるかというところに法律解釈としては疑問の余地がありますけれども、いずれにしても、好ましい行為ではないということで、われわれの通達では、そういうことをしてはいけないということをいっております。実際の広告にあらわれた例はたぶんないと思います。(田中(武)委員「テレビでやっておったよ。」と呼ぶ)テレビですか、もしあれば、これは明らかに百九十一条のほうで法に触れることになります。一番問題になりますのはセールスでございますが、勧誘の際に、そういう勧誘をやっているという事例を現実にわれわれが押えたことがあります。そういう場合には、それぞれ法による処置にはならないで、行政上のしかるべき処置をとっております。
  135. 田中武夫

    田中(武)委員 このことをあなたも御承知と思うが、いままでは元本保証ということで広告したのですよ。それをテレビで言うておった。ところがある週刊誌が取り上げたのです。それから安全ということに変わったんですよ。元本安全ということに、保証が安全に変わったんですよ。いずれにしろこれは誤解を生ぜしめる表示ですな。だから、これについてあなたがその事実を知らぬというなら仕方がない。しかしこれは厳重に一応調査をして、その結果を知らしてください。
  136. 加治木俊道

    ○加治木説明員 仰せのように、もしテレビ等を使って元本保証をするというような広告を行なっている事例がわれわれのほうで明らかになりましたならば、法によってしかるべき処置をとるべきだと思います。安全という表現は、実際に前後を聞いてみなければわかりませんが、できるだけ投資家の利益に沿うように運用いたします、運用の場合に、対象として、たとえば株式投資等は六〇%に押えます、あとはできるだけ社債あるいはコール等に運用します、こういう表現ですと、それは事実を言っておるわけでございますから、必ずしもひっかかりません。ただしその安全の言い方、前後の表現を伺ってみないと、ちょっとここで即答いたしかねます。
  137. 田中武夫

    田中(武)委員 要は、いま言われたように何割までどうだとかいうことの注釈のある場合とない場合があるのです。キャッチフレーズのようにして、初めは元本保証ということを言っておった。ところが週刊誌で先ほど言ったように取り上げられて、必ずしもこれは法律で保証はないのだ、そういうことになってから、元本安全ということばを使っておるのですよ。最近はあまり見ませんがね。それを大蔵省の証券局が、そんな広告があったのを知らぬというのはどうかしておるな。
  138. 加治木俊道

    ○加治木説明員 もし現実にその元本保証というテレビ広告があって、われわれ知らなかったということであれば、われわれたいへん粗漏であるということをおわび申し上げますが、もしありましたならば当然しかるべき処置をとらなければならないと思います。それから単純に絶対安全であるというような広告でありますれば、常識的にはほとんど同様の内容に解釈されるわけで、一般投資家大衆がどう判断するかという問題でありますので、それも決して好ましいことではありませんので、そういうことも厳重に取り締まっております。
  139. 田中武夫

    田中(武)委員 きょうは広告オンパレードをやっておったので、投資信託の広告の問題だけを伺いました。  きょうは大蔵省はこの程度にして、もっとほかの聞きたいことはあとまわしにします。  たいへんお待たせしましたが、いまから本番に入ります。  今度の下請代金支払遅延等防止法改正の実効というか、効果はどこにありますか。
  140. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 下請代金支払遅延等防止法につきまして、とかくざる法という批判もあるわけでございます。私も十分反省しているわけですが、一つは法解釈の上でどうもはっきりしない面が多分にあるという点が、われわれのほうでも、この法文はこういう解釈なんだぞということをずいぶん宣伝しているつもりでございますが、必ずしもはっきりしてない点がある。この点はやはりより明確にさせるべきじゃないか。同時に一つは、そういう法律がありましても、執行の手が必ずしも十分じゃない、取り締まりの手が必ずしも十分じゃない、この二つが下請代金の支払い遅延防止法について十分の効果があがっていないという意味の問題だと思います。あとの問題につきましては、われわれのほうも人員についてずいぶん要求しておりますが、なかなか思うような手が得られません。したがいまして、通産省の中小企業庁とさらに緊密に連絡をとり、同時に、できるだけ外部団体等の援助を得ましてこの効果をあげたい。これはまあ別の問題でございますが、同時に、最初の法解釈の問題につきまして、疑問のある点はもっとはっきりしたほうがいいのじゃないかという点が一つ大きくあります。その一点は、いわゆる受領の日というものが検収の日ではなくて、品物の給付を受けたというときが受領の日だと、こういうふうに考えておるわけでありますが、それが必ずしも徹底しておりませんので、それを徹底さすというのが一つ。それから、代金の支払いについては原則としては現金払い、手形である場合におきましても六十日以内に現金化できるということでなければならぬということを言っておりますが、これがなかなか実効が十分あがっていないという点を直したい。それからもう一つ、遅延利息の規定がございます。これは一応下請業者としましては、そうした条項に該当すれば遅延利息を請求できるということにはなっておりますし、請求すれば一応法的な裏づけはあるはずでありますが、しかし、下請業者としましては取引の地位あるいは今後の取引ということを考えまして、これに対してなかなかこれを請求しない。したがってこれがいたずらな空文に帰しているのではないかというふうな批判があるわけでありまして、したがいまして、第三者としての公取委員会で進んでいわゆる遅延利息を払えということの勧告をなし得ることによりまして、この規定の一応空文でないということをはっきりさせたい。  主とした点はその点であります。
  141. 田中武夫

    田中(武)委員 大体今度の改正は五点ですね。ところが、ほとんどはいまあなたがおっしゃったように、当然そうあるべきものを明確にしたというだけのことでしょう。内容的な進歩は一つもないわけなのだ。そうでしょう。
  142. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 いま申しましたように、解釈の内容を明確化すると同時に、裏づけのないものについて裏づけをする。もちろんこれ以外に問題がいろいろあることはわれわれも認識しております。それから中小企業の政策審議会でも、特に下請問題を取り上げまして、幾つかの問題があることは、これはいろいろ議論の対象になっております。ただそういったような問題につきまして、現状においてまだすぐ結論といいますか、問題のあることはわかっておりますが、明確な対策というものについてまだ結論を得ておりませんので、まず今回の場合は第一段階としてこの程度改正をしたい。その後の問題につきましては、これはわれわれとしましても検討を重ねまして、審議会の意見等も聞きまして、引き続いて次の通常国会なり何なりに、そうした現在議論になっております点についての問題を検討の上で、さらにそれを補完していきたい、こういったような考え方で今回の提案をしたわけであります。
  143. 田中武夫

    田中(武)委員 今回の改正は、勧告という点は裏づけをつくったと言えると思うのですが、それ以外は、当然法律解釈上そうあるべきことを明確にしたにすぎない、内容は何も進歩はない、こう思います。
  144. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 大体におきまして田中委員のおっしゃるとおりだと思っております。ただその内容を明確化させることが、要するに従来行なわれていたことをほんとうにその実効をあらしめるというところに大きな意味があるのじゃないか、こういうふうに思っております。
  145. 田中武夫

    田中(武)委員 それは意味がないとは言っていない。しかし大きく下請代金支払遅延等防止法を改善いたしますということにはならない。御承知のように、いま一番問題は、昨年来記録を続けている企業倒産ですよ。その企業倒産に関連する下請代金の問題であります。それに対して、これでは一つも解決にならぬですね。いま政府改正を出すとするならば、なぜいま一番社会的な問題として起こっておる当面の問題の解決の答えを出さないのか。これではならぬですね。昨年の二月以来、御承知のように、記録を更新しながらばく大な倒産をしているのです。衆議院においては昨年末、この倒産に直面する中小企業の危機打開というものについての特別の決議をやっております。それにこたえて出てくるものとしては、はなはだ不十分です。いま社会問題化していることに対して一つも解決にならぬじゃないですか。どうかなりますか。
  146. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 倒産の問題と結びつきますと、支払遅延防止法だけで守り得る法域で全部だとは私は思っておりません。したがいまして、下請代金の遅延防止法でもって守るべき法域の問題、それ以外の問題と、これは二つに分けて考えるべきだと思っております。支払遅延防止法でもって守るべき法域につきましては、私は先ほど言ったように、これが法解釈が十分はっきり徹底し、同時にその執行が十分行なわれていくならば、かなりの下請業者の利益というものは守り得たのじゃないか。それが現実問題として守り得なかったということは、私も非常に遺憾に思っておりますが、それはやはり中心的な問題は、一応過去の法律においても相当取り上げられております。したがって、これを十分守るということがまず第一段になすべきことじゃないか。同時に、さらにそれにつけ加えてどういうことをしたらいいかという問題が私はないとは思いません。ないとは思いませんが、それは先ほど申したように、われわれのほうとしてももう少し検討の時間をかしていただく必要があるのじゃないか、こういうふうに考えます。したがいまして、まずこの際になすべきこととして、過去のそうしたいわば不足の部分を補うという点に第一段の努力をすべきじゃないか、これがわれわれの考え方であります。
  147. 田中武夫

    田中(武)委員 企業倒産並びにこれに関連する関連倒産、これを下請代金支払遅延等防止法改正だけで救えるとは思っておりません。しかし中小企業の問題としては、いま一番問題はそれですよ。その際に出てくる下請代金支払遅延等防止法改正なら、幾らかでもこたえたものでなければならぬが、これはこたえられていない。  そこでお尋ねしますが、山陽特殊製鋼の場合、私調査に行ったのですが、納入してから三カ月の据え置き、そして十カ月の手形を出しておる、こういう事実を公取もあるいは中小企業庁も知らなかったのですか。
  148. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 山陽特殊製鋼の問題につきましては、私のほうからも特別に人を、問題が起きた後に派遣しまして、そして過去にわれわれのほうでやったこと、それが現在のああした実態が露呈された後において調べた場合どういうことになっていたかということについて検討し、近くその報告はまとめてこちらにも提出したいと思っております。  概括的に申しますと、下請という名前で通常論議されているものの中に、遅延防止法でまずわれわれがつかまえようとしている製造委託、修理委託というものとそれ以外のものと、かなり広範にわたっていわば下請ということばで世間では呼んでいるようでありますが、私のほうとしては、まず遅延防止法の施行ということを第一段の問題として施行に移しているわけですが、大阪の支所で一応調べましたところが、いわば相当の支払い遅延がある、この事実をつかみまして、そしてそれに対して改善方を行政勧告した。どういう事案を行政指導にし、どういう事案を勧告にするかというのは、私のほうで一応の目安を持って、それによって大阪の地方事務所がやったわけですが、この点については、もう少しこの際見直しまして、もう少しやかましく厳重にする必要があるということは別途考えておりますが、これは別にします。そういった行政指導によって、山陽特殊製鋼のほうに、こちらの指導に沿うようにいろいろ書類の提出を命じていたわけですが、それになかなか協力しないでもって、ずるずる延びている間にいまのような結果になってしまった。私のほうの及び得るところの足りなかったこと——しかしこれは言いわけになりますから言いません。十分行き届いていなかったことは遺憾に思っております。ただそういったような一つの事例を見まして、今後われわれとしては大いに執行について反省すべきものを持っているのではないか、かように考えております。大部分は、法の問題というよりもやはり執行の手が十分行き届いていなかったということに大きな原因を持っているのではないか、かように考えております。
  149. 田中武夫

    田中(武)委員 中小企業庁のほうはどうですか。
  150. 影山衛司

    ○影山政府委員 このたびの山陽特殊製鋼の問題につきましては、いろいろと問題点も浮き彫りにされたわけでありますが、山陽特殊製鋼の支払いましたところの支払い条件が非常に悪化しておったということにつきまして、いろいろ私どものほうも、正直に申し上げまして、事前に実態把握が不十分であったということを明らかに認めるわけでございます。当初山陽特殊製鋼のほうの立ち入り——親事業者そのものにつきましては、先ほど公正取引委員会委員長のお話のように公正取引委員会のほうで立ち入り検査等お願いしたわけでありますが、私どもは大阪の通産局を通じまして、下請のほうの調査をいたしたことがあるわけでございますけれども、残念ながらいい手形を出されまして、それを見て、多少指導も不徹底であったというような点もございます。また調査も不十分であったという点もございます。これを契機といたしまして、もう少しよくそういう点の調査を徹底していきたいというふうに考えております。
  151. 田中武夫

    田中(武)委員 この法律の九条二項に、中小企業庁長官は云々というのがあるね。それが全然空文になっておったということだな。
  152. 影山衛司

    ○影山政府委員 中小企業庁長官は、もちろん親事業者に対しても下請事業者に対しても、立ち入り検査ができるわけでございますが、重複するという点もございますので、公正取引委員会と手分けをしながら立ち入り検査等もやっていくということになっておるわけでございます。
  153. 田中武夫

    田中(武)委員 過去を責めてもしかたがないから、前向きに質問を変えます。  そこで内容に入りたいと思うのですが、まず親事業者の定義ですね、これでいいと思いますか。
  154. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 われわれは、現在の執行の能力とかいうものとも考え合わせますと、やはりこういったような程度のところで一応の線を引いて、そしてまずその実効を期するということがわれわれのなすべきことじゃないか、かように考えております。
  155. 田中武夫

    田中(武)委員 本会議も開かれるようですし、私の質問はまだまだありますが……。
  156. 小川平二

    ○小川(平)委員長代理 次会は、明五月十二日水曜日午前十時十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十二分散会