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1965-03-05 第48回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月五日(金曜日)    午前十一時五分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 加賀田 進君      稻村左近四郎君    浦野 幸男君       小沢 辰男君    海部 俊樹君       黒金 泰美君    佐々木秀世君       田中 正巳君    中村 幸八君       長谷川四郎君    三原 朝雄君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       田中 武夫君    島口重次郎君       山崎 始男君    山下 榮二君  出席政府委員         通商産業政務次         官       岡崎 英城君         通商産業事務官         (軽工業局長) 伊藤 三郎君  委員外出席者         専  門  員 渡邊 一俊君     ――――――――――――― 三月五日  委員村上勇辞任につき、その補欠として稻村  左近四郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員稻村左四郎辞任につき、その補欠とし  て村上勇君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二日  小規模企業共済法案内閣提出第七六号)  高圧ガス取締法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一〇号) 同月三日  総合エネルギー調査会設置法案内閣提出第一  一一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  高圧ガス取締法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一〇号)      ――――◇―――――
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  去る三月二日付託となりました内閣提出高圧ガス取締法の一部を改正する法律案議題とし、岡崎通産政務次官より趣旨の説明を聴取することといたします。岡崎通産政務次官
  3. 岡崎英城

    岡崎政府委員 高圧ガス取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  従来、高圧ガスによる災害加圧による高圧状態発生、あるいは容器に対する充てん等過程において多く、したがって高圧ガス取締法による規制も、加圧充てん等製造行為に対して最もきびしかった反面、加圧よりもむしろ減圧を伴う消費に対しては、液化酸素を除いてきわめてゆるやかなものでありました。  しかるに、最近では、高圧ガス需要の増大とタンクローリー等輸送手段の発達とにより高圧ガスを他から受け入れて消費する事業所が急増し、富山における塩素漏洩にみるような大規模事故発生するなど、特定高圧ガスについては製造のみならず消費についても規制強化する必要が痛感されてまいったのであります。  このような状況に照らしますと、現行法保安体制では高圧ガスによる災害の万全な防止をはかるためには不十分であることが認識されてまいったのであります。よって政府といたしましてもその改正について鋭意検討を加えてまいりましたが、ここに成案を得て、本改正案提出いたす次第であります。  この改正案の主要点を要約いたしますと次のとおりであります。  第一は、高圧ガスを大量に消費する特定事業所に対する規制強化であります。すなわち、圧縮水素圧縮天然ガス液化アンモニア液化石油ガス及び液化塩素液化酸素に追加して、これらの高圧ガス一定量以上貯蔵し、または導管により受け入れて消費している者に対して、消費開始等について届け出させること、消費方法に加えて消費施設についても技術上の基準を定めこれを順守せしめるとともに、必要ある場合には基準適合命令を出し得るものとすること、消費専業所ごと取り扱い主任者を選任せしめてこれを届け出せしめること等であります。  第二は、第一と関連しまして、このような高圧ガス消費者に対して、消費設備について定期自主検査を行なうことを義務づけ、自主保安によって取り締まりを補完せしめ、もって消費先における保安に、万全を期せんとする点であります。  第三は、最近の大型容器普及により現行法容器に対する規制が不十分になってきた点を是正しようとするものであります。すなわち、従来、容器本体については十分な規格が定められており保安の実をあげておりますが、その付属品については、安全弁等のバルブに規格があるのみで、大型容器に必要な液面計配管等に関しては規定が定められておりません。今回の改正は、このような付属品につきましても、容器性質に応じて装着義務及び規格を定めてこれを順守せしめ、もって容器関係事故純減をはからうとするものであります。  以上が改正の主要な点であります。政府といたしましては、この改正によって、高圧ガス関係産業における保安体制を一そう充実させることにより、公共の安全を維持するとともに関係産業の健全な発展に寄与したいと念願いたしている次第であります。  何とぞ慎重御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 内田常雄

    内田委員長 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 内田常雄

    内田委員長 次に、本案に対する質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。三原朝雄君。
  6. 三原朝雄

    三原委員 ただいま議題となりました高圧ガス取締法の一部改正に対します法律については賛成するものでございますが、何しろ需要がとみに拡大し、その使用されております地域もきわめて広範なものになってまいりました。その反面、爆発あるいはガス漏洩等によります災害事故が、昨年におきましては、富山大阪広島等、また、昨今におきましても名古屋等におきまして起こったわけでございますが、こういう結果から見て公共の安全に重大な影響が及んでまいりまして、住民不安が起こり、社会問題になってまいりましたので、私は保安対策の点から、二、三の質問をいたしたいと思うわけでございます。  まず、こうした災害事故が次々に起こっておりますが、その実態がどういうものであるか、なお、この実態に対します政府措置がいかになされたかというような点について、なお、昨年ああした富山化学災害が起こりまして、その後に省令改正等がなされたわけでございます。その実態がどうであるか、なおまたそうした省令改正と、今回法律の一部改正がなされるわけでございますが、そうした点の関連等について、まずこれは局長からお答えを願いたいと思います。
  7. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 第一の最近における高圧ガス災害事故発生状況についてお答えいたしますと、昭和三十八年が六十三件の事故発生いたしておりまして、死者が七名、傷者が百四十三名となっております。昭和三十九年におきましては、事故が四十九件、死者が十人、傷者が二百五十人となっております。このうち液化石油ガス関係の件数を申し上げますと、昭和三十八年に四十七件でございましたが、昨年は三十一件と減少をいたしております。しかしながら、最近の高圧ガスによる災害は、災害規模が大きくなっておりまして、お話のありました富山化学塩素漏洩事故では四十六名が入院をし、一時的な気管障害というようなものを含めますと五百人以上が被害をこうむっておる状況でございます。この事故に対しましては、さっそく学識経験者に依頼いたしまして、十分調査検討いたしましてその対策を考えた次第でございます。その調査結果等に基づきまして、昨年十一月に省令の一部改正を行ないまして、事故防止対策を行なった次第でございますが、今回の法律改正によりまして、さらに万全な保安体制をとりたいということを考えておる次第でございます。  第二の、昨年改正いたしました省令内容でございますが、この富山化学事故の原因が消費施設修理方法の欠陥にあったという点から、消費方法について規制強化したわけでございます。その内容としましては、消費施設修理工事の前あるいはあとにおきまして、危険予防耐圧及び気密の確認をする等の措置について規制をいたしたわけでございます。ただし、これは消費方法についての税制でございまして、消費施設自体については法律根拠規定がございませんので、今回の法律改正措置いたしたいというふうにお願いをしておる次第でございます。  次に、今回の法律改正と昨年の省令改正とはどういう関係かということのお尋ねでございますが、昨年の省令改正は、富山化学における塩素ガス噴出事故及び大阪府下におけるプロパン爆発事故に対する措置でございます。先ほど申しましたように、省令だけでは不十分な点がございます。富山化学事故に対しましては、先ほど申しましたように消費施設についての基準の維持、あるいは取り扱い主任者の選任、定期自主検査実施というものを義務づけるようにいたしたいと考えておるわけでございます。また、大阪府下事故につきましては、タンクローリー等につきまして液面計とか、導管とか、そういう付属品につきましても基準を設けまして、大阪でありましたような事故防止いたしたい、そういう考え方で御審議お願いいたしておる次第であります。
  8. 三原朝雄

    三原委員 いま局長説明を聞いておりますると、事故発生をして、その実態に基づいて法律改正なり省令改正をなすというような、結局、後手後手で済まさざるを得ぬというほど、ガスの特性と申しますか、そういうものが個々によっても違っておりまするし、またその開発等が次々に新しくなされていく。しかも、それが次々に需要化されるというような結果になっているようでございます。一口に高圧ガスといっておりまするけれども、有機あり無機あり、その種類もずいぶん多かろうと思います。その性能もおのおの違っておると思うわけでございます。現在、法律なり省令によって一応の種類等があがっておるわけでございます。適用除外のものもあるようでございますが、現在そうした法律なり省令規制をいたしておりまする種類あるいは数量等で、実際に保安上、指導監督ができるものかどうかというような点で心配をいたしておりますが、その点につきましての御意見を伺いたいと思います。
  9. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 現在高圧ガス取締法規制をいたしておりますのは、常用温度において圧力十キログラム以上の圧縮ガス、それから液化ガスにつきましては常用温度において二キログラム以上のもの、そのほか液化酸素について規定があるわけでございます。今回さらに五種の液化ガスについて消費規制をいたしたいと考えておるわけでございます。さらに省令におきまして、ガス種類によりまして個々ガス性質に応じた省令基準を設けて、こういう省令でこまかく技術上の基準をいろいろきめておりますので、高圧ガスにつきましては今回の改正によりまして、消費についても範囲を広げることをお願いをいたしております。そういう措置によりまして、高圧ガスについては十分なる規制はできると考えております。ただプロパンガス充てん所等につきまして、最近事故がいろいろ起きておりますが、こういうものにつきましてもさらに検討いたしまして、省令による基準の、必要なものは改正をいたしたい。いま三原委員から御指摘のとおり、最近の技術進歩によりましていろいろ高圧ガス使用状況も変わっておりますし、また新しい需要面もふえてまいっておる、そういう科学技術進歩に即応しました規制体制を確立するという必要性については御意見のとおりだろうと思います。私どももそういうものに応じまして必要なる対策検討して逐次実施をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  10. 三原朝雄

    三原委員 ぜひそういう体制を整備してもらいたい。実は、私ども、きわめて科学性を持ち、専門的な技術を要するものでございますので、多少なりともと思って市販の書店等資料をあさってみましたが、アンモニアガスに対します資料が一冊程度ありましたけれども、これも保安上の問題等につきましてはほとんど解明されていないという状態であります。その他、ここにあげてありますような個々ガスについての研究されました資料というものがきわめて少ない。書店等に尋ねましてもないといいます。それから専門的な大学の教授等にも当たって御意見を聞きますが、やはり個々ガスについての性能自身きわめて高度な内容を持つものであるし、したがってそれの対策もいろいろ具体的に考えねばならぬというような研究過程にあるんだというようなことで、これに対します明確な保安上の御意見等も聞けないというような現況であるわけでございますので、特にいまの局長の御意見のように万全を期していただきたい、こう考える次第であります。  次に私は、多少具体的な保安上の施策についてお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  第一には、保安上の施設に対します技術上の基準でございます。省令等によりますると、先ほど局長のことばにありましたが、高圧設備なり危険施設等に対しましては、耐圧性なり気密性というような立場から、理論的な安全度というようなものが検討されて、それに対しての対策が練ってあるようでございますけれども、実際問題として各地に起こっております実態を見てまいりますと、たとえば周辺火災があった、あるいは雷が落ちた、そうしたものからの問題が生じておるようであります。それにガス自体の問題というよりも、外部のそうした事故によります影響がそうした爆発なり災害を招来したというような実情もあるようでございますので、私は省令等できめておられます基準に対しましても検討が必要ではないか、基準強化について検討される必要がありはしまいかと思いましたが、この点についての御意見を拝聴いたしたい。
  11. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、昨年の十一月の省令改正におきまして、高圧ガスガスだめにつきまして散水冷却装置をつけること、あるいはその高圧ガスガスだめの支柱を不燃性断熱材で被覆する等により耐熱性の構造を有すること、そういう点をつけ加えましたのは、一つにはそういう点も考慮いたしまして、高圧ガスガスだめが火災等によって急速に熱せられ爆発破裂等を起こさないように、そういう場合には散水装置によりまして冷却をして、その事故防止するということを考えまして、実は十一月の省令改正をいたしたわけでございますが、御指摘のとおり、これだけではもちろん十分ではないと思いますので、さらに技術上の基準につきましてわれわれも検討いたしておりますし、高圧ガス保安協会に対しましても検討するように指示をいたしておるわけであります。その結論を得まして必要なものは実施をしてまいりたいと考えております。
  12. 三原朝雄

    三原委員 次には、私は保安対策について、主として、これはいま問題になりますプロパン等に対する問題が多かろうと思いますが、この施設距離の問題がいろいろ問題になってきておるようでございます。距離制限が短過ぎはしないかというような問題があるようです。それはガス充てんに対します非常な騒音がありましたり、悪臭を放ったりいたしますし、また先ほど申しましたような周辺火災等によります爆発というようなおそれがあるというようなところから、そういう点について、現在取り締まられております距離では短きに失しはしないか、施設に対しますそういう点が一点であります。  次は、やはり保安上の対象物件でございますが、対象物件については、家屋保安施設というような点があげられておるようでございますが、家屋につきましても、農村あり過密都市があるというような問題がございますし、こうした問題についても検討を要しはしないかと思うわけであります。  なお、保安施設につきましては、発火性施設とかあるいは火器の取り扱い所とか、あるいは交通量が非常にひんぱんであるとかというような条件等を考慮されて、省令なり法律改正をなさる場合に研究をする必要がありはしないかというような点を考えるわけでございますが、これに対します御意見をいただきたいと思います。
  13. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 主としてプロパンガスについてでございますが、保安距離についてどう考えるかというお尋ねでございますが、実は現在の保安距離は、この省令できめますにつきましては、昭和三十六年度からいろいろ実験をいたしまして、その結果プロパンガスプラントそれ自体の安全と保安距離との関係につきまして、総合的にいろいろ検討を加えたわけでございます。各種の安全装置がどうなっておるか、障壁、防火壁散水装置等がどうなっておるか、それに応じて保安距離はどういうふうに考えるかということを総合勘案しまして、現在の省令規定のようになっております。でありますが、はたしてこのままでいいのかどうかという点は、御指摘のとおり問題があると考えております。したがいまして、先ほど申しましたように、私どものほうとしましても案を検討し、また保安協会に対しても、改正の件について諮問をしておるわけでございます。それから、対象物件につきましても、御指摘のとおり市街地と農村等におきましては事情が違うと考えますので、こういうものを画一的な距離で律しております現在の基準が適正であるかどうかという点につきまして、私どもも疑問があるのではないかと考えております。そういう立地上の条件によりまして、それに応じた必要な限度規制を加えるべきではないかというふうに考えておりますので、そういう点もあわせまして検討を加え、また高圧ガス保安協会諮問をしておる次第でございます。
  14. 三原朝雄

    三原委員 次は保安検査でございますが、現在の検査回数が、これも地方の県等でそういうことをよく言っておりますが、少なきに失するのじゃないか、また検査内容具体性を欠き、内容的に不十分だという声を聞くわけでございます。どうもこの点につきましては、われわれ産炭地等で、石炭産業等においてもいろいろ保安の問題が問題になるわけでございますが、そういう回数の問題なり検査内容等についてどういうぐあいであるか、御意見を伺いたいと思います。
  15. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 これは省令規定によりまして、都道府県知事に計器の検査を行なわしておるわけであります府県の担当者の人員も限度がありまして、逐次増加はしておりますが、目下のところ、これでは必ずしも十分な状況ではございません。その範囲で、極力広範囲検査を行なうように措置をいたしておりますが、現在のところ、定期検査は年一工場一回程度の状況でございます。そういう状況でございますが、このほか工場消費者等自主検査強化してまいりたいということで、高圧ガス保安協会を一昨年の法律改正によりまして設立をいたしておりまして、この保安協会中心といたしまして自主検査強化するように、協会の者は、中小企業等につきましてはできるだけ巡回して指導するように、あるいは取り扱い者教育をやるようにということでつとめておるわけでございまして、官民一体となって保安の万全を期したいということを現在推進いたしておるわけでございます。
  16. 三原朝雄

    三原委員 今日までのガスに対する検査実態というのは、ほとんど完全な実施がなされていないという事情のようでございます。しかし問題は、劈頭申し上げましたように、次々に、需要の拡大とともに、これに正比例して事故発生するというようなきわめて憂うべき現況でございますので、特にひとつ検査につきましてはもっと積極的に、しかも回数等も増し、その内容等も御検討を願って、検査の励行を指導願いたいと思うわけでございますが、特に問題点があった場合は、それを確認するとともに、その帯後処理が完全になされたかどうかという点まで指導監督をする必要がありはしないか、こう思うわけであります。しかし、現在の各県の事情を聴取いたしてみますと、劈頭申し上げましたように、ガス内容自体がきわめて化学的であり、高度の技術を要するというような点から、実際の監督指導をする陣容が不足しておるというのが一点であります。なお、これに要します経費がほとんどないというような状態。現在福岡県等におきましても、そうした監督指導なり保安上の対策を確立するための費用をどうして捻出するかというようなことについて、やはり問題があるようでございます。なお、いま局長が申された保安協会等におきましても、そうした研究指導経費等につきましても問題があるようでございますので、この点は特にひとつ留意を願って、強力な指導を願いたいと思う次第でございます。  そこで局長お尋ねいたしたいのは、現在技術者養成講習というようなものをどうなさっておるかということでございます。どうしてもまずそうした技術者を養成してやらなければなりませんし、これらを中心にして業者等講習がなされて、一般住民ガスに対します知識なり技術普及徹底がなされると思うわけでございます。そういう点についてのお考えを承りたいと思います。  なおまた、それと関連をいたしまして、先ほども申し上げましたように、これに対します研究が緒についたというようなところでもあるし、なお保安上の指針というようなものも完全なものが出ていないようであります。一部、第一次のものが出たようでございまするけれども、もっとこれは積極的に急速に、現在の需要状況から見まして、あるいは事故発生現況にかんがみまして、整備をされる必要がある、そうした技術者養成講習なり、あるいはこれに必要でございます指針というようなものについて、どういう準備がなされておるか、お伺いをいたしたいと思います。
  17. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 この保安関係者に対する教育の点でございますが、現在までのところ、保安協会講習会あるいは研修会というのを実施をいたしております。そのほかに、昭和四十年度では、プロパンのスタンドの従業員に対しまして保安教育講習というものを、これは県で実施をするように、その予算も現在御審議願っております予算案に計上をされておるわけでございます。ただ、保安協会経費は、会員の拠出する会費でございますので、なかなか十分とは申しかねるわけでございます。こういうものの保安協会強化につきましても、かねてから努力してまいっておるわけでございますが、さらに努力をいたしたいと思っております。  それから教育指針の点でございますが、最近保安協会で作成いたしました教育基準というのができております。何ぶんにも新しい分野でございますので、今後もさらにそういうものを掘り下げ、あるいは新しい分野に対するものもつけ加えて、そういう教育計画の基本になる指針、要領というものは整備してまいりたいと考えておるわけでございます。
  18. 三原朝雄

    三原委員 先般起こりました昭和電工、三井石油化学川崎製鉄等事故でございますが、どうもこれは実際の状況を見ますと、工事下請業者がもっぱら被害を受けたという状態でございますが、これは工場施設の建設とかあるいは修理とかいうようなものにつきましての工事方法等について、こうした事故の起こらぬような厳重な規制を加えるというか、指導をする必要があると思いますが、こういう点についてはどうでございますか。
  19. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 これは、工事につきましては、下請に限りませんので、下請を含めまして、とにかく工事をやる場合の作業基準というものは、必要なものは省令規定をしてあるわけでございますが、その方法等につきまして、さらに必要なものは改正をいたしたい。昨年の十一月の省令で、修理に関しまして、事前事後措置について規定いたしましたのも、そういう事故例にかんがみまして規定をいたしたわけでございます。ことに今後の問題としましては、工事者自身に対して、そういう修理を、やります場合の保安についてどう配意すべきかということを教育をする必要があるわけでございます。これは、各企業に対しまして、保安教育計画を作成する場合、十分これらの点に留意をしまして、下請業者等を含めて関係者に十分その教育内容か徹底するように指導してまいりたいと考えております。
  20. 三原朝雄

    三原委員 次々に事故があって、これに対して非常な犠牲者を出してまいるわけでございます。各事故事後の処置をすべて承ったわけでもございませんけれども、これも聞くところによりますと、その被害者の補償というようなものがきわめて微々たるものであって、まことに気の毒である、石炭産業等につきましては、初期においてはそういう問題がございましたが、次々に整備されてまいったようでございます。どうもこうした高圧ガスに、よりまして事故を受けた被害者の補償というようなもの、特に死亡した者に対しまする補償等が制度的にはっきりしていないというようなことを聞くわけでございますが、こうした保険制度というか、そういう点についての御意見を伺いたいと思います。
  21. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 事故の場合、被害を受けました労務者につきましては、労災保険のほうで処理をされておる次第でございますが、一般の第三者の被害につきましては、御指摘のとおり十分なる措置を講ずべきはもちろんのことでございますが、私聞いておるところでは、富山化学の場合、相当被害者が広範にわたったのでありますが、工場のほうで十分な補償をしたというふうに聞いております。また、新しい例でございますが、プロパンのスタンドを建設する場合に、もし周囲の民家等第三者に被害が起きた場合には、その補償を保険会社でやってもらうという損害保険を付しておる例もございます。こういうような措置もあわせ実行することによりまして、第三者の受けた災害については万全の補償がなされるように、御指摘のとおり措置いたしたいと考えておるわけでございます。
  22. 三原朝雄

    三原委員 以上数点お伺いしたわけでございますが、これは石炭峠柴の場合にもこうした保安対策で問題になるわけでございますが、保安上、その安全性を確保するための施設、手段等は、いろいろ考えなければならぬわけでございます。しかしこれは実際に使用、消費をいたします者とか、あるいは工場側に立ちますると、経済性の問題を考えた、要するに安全性と経済性の問題等が常に問題になるわけであります。しかし昨今のように次々にこうした大きな災害事故が起こってまいりますれば、この点については、安全性の問題と経済性の問題等についてよほど具体的に検討を進める必要があると思いますが、こういう点についての意見を伺いたいと思います。
  23. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 御指摘のとおり、保安とその生産の経済性との関係というのは適切に調整される必要があるわけでございます。先ほど申し上げましたように、高圧ガス製造施設保安距離につきましては、三十八年の春、相当大規模爆発実験等も行ないまして、その結果、保安距離をきめたわけでございます。でありますが、その後の状況によりまして、さらにそういう距離につきまして検討を加える必要性かあることは先ほど申し上げたとおり、現在実施をしておる次第でございます。ただ無用に高度の規制をいたしますと、それがかえって消費者のほうへはね返ってくるという点もあるわけでございまして、安全を確保する、保安の確保ということはあくまで実行いたさなければならないわけでございますが、その限度を越えて事業者に負担をかけるということは、これはまた消費者に対して高いものを買わせるということにも相なりますので、そういう点につきましては、必要なる保安措置というものは確保させなければならないわけでございますが、経済性との調整も考えまして必要なる措置を講ずべきであるというふうに考えております。
  24. 三原朝雄

    三原委員 非常にむずかしい問題だと思いますけれども、石炭施業等におきまするああした事故の実績にかんがみまして、保安上特にひとつ強い監督指導を願いたいと思うわけでございます。  最後に一つお伺いいたしたいのは、先ほどからいろいろ局長の御意見等もあったわけでございますが、需要が非常に拡大をしてまいり、しかも全国的に広範囲にそうした大勢が出てまいるわけでございますが、しかし高圧ガス自身がきわめて科学的な知識なり専門的な知識を要しますので、省令なり法律というようなものが保安上制定されてまいるのが後手後手になるというのが今日までの状況のようであります。この法律ができましたのが昭和二十六年、その後次々に改正はなされておるようでありますけれども、全般的に法律なり省令自体を再検討する段階にきてはいないかというような声も聞くわけでございます。この点に対します考えを伺いたいと思います。
  25. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 爆発等の災害防止という点、これは工場の側としましても非常に重要な問題でございまして、保安技術の向上ということについては非常に努力しておるわけでございます。新しく工場を建設する場合に、もし爆発をやりますと、これはもうたいへんなことになりますので、そういう点については十分念には念を入れて工場の設計をし建設をやっておるのが実情でございます。そのために、外国から技術導入をしたり、あるいは国産技術を実行するにつきましても、試験プラント等をつくりまして十分研究した上で生産の段階に入っておるわけでございます。遺憾ながら、それでも事故が起きる。不注意から起きるものもありますけれども、予測しないような化学反応、そういうもので事故発生するということもあるわけでございます。そういう保安技術、これは生産に密着しまして、化学製品、原料の製造工程における、オートメーションによるコントロールというものをいかに十分にやるか、そのための計測装置等をいかに考えるべきか、安全装置をどう配置すべきか、非常にむずかしい問題があるわけでございます。これは各工場としても研究に大いに力を注いでおりますし、また通産省としましても、例年、そういう化学装置の制御装置につきましては、工業技術院の研究補助金に特掲して、新しい安全な技術の確立ということにつとめておる次第でございます。  そういうことで技術的に、いろいろ新しい事態、日進月歩の科学技術に即応した保安技術というものを研究はいたしておるわけでございます。これを法制的にどうつかまえていくかということにつきましてはいろいろむずかしい点もございますので、新しい化学工業に対応する法的規制ということにつきましては、私ども検討を重ね、各省とも協議をいたしておるわけでございます。現在のところ、そういう面につきましてはまだ結論を得ておりません。したがいまして、この高圧ガス取締法を全面的に改正するかどうかということにつきましてもまだ結論を持っておらないわけでございます。高正ガスということだけではなくて、最近の化学工業特に石油化学工業等を対象にして考えました場合に、高圧ガス取締法、消防法、労働基準法等の規制がございますが、いろいろ事故が出てまいりますのは、高圧ガスでない部門から出ておる事故もあるわけでございます。そういう点を技術的、法制的に検討いたしておる次第でございます。したがって高圧ガス取締法だけを全面改正するかどうかという点についてはまだ結論を持っておらない段階でございます。
  26. 三原朝雄

    三原委員 以上で終わります。
  27. 内田常雄

    内田委員長 次会は、来週火曜日午前十時から理事会、十時十五分から委員会を開くこととして、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会