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1965-02-24 第48回国会 衆議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十四日(水曜日)    午後一時五十分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君  理事 小川 平二君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 板川 正吾君 理事 加賀田 進君       浦野 幸男君    遠藤 三郎君       小沢 辰男君    海部 俊樹君       黒金 泰美君    佐々木秀世君       田中 正巳君    田中 六助君       中村 幸八君    長谷川四郎君       三原 朝雄君    石野 久男君       大村 邦夫君    五島 虎雄君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       島口重次郎君    田中 武夫君       山下 榮二君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君  出席政府委員         通商産業事務官         (重工業局長) 川出 千速君  委員外出席者         通商産業技官         (重工業局航空         機武器課長)  広野 信衛君         運輸事務官         (航空局監理部         長)      町田  直君         運輸事務官         (航空局監理部         監督課長)   内村 信行君         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 二月二十四日  委員南好雄君辞任につき、その補欠として大高  康君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月二十三日  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案麻生良方君外一名提出衆法第三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  航空機工業振興法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二一号)      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出航空機工業振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  理事の間で先般御協議を願いましたとおり、本案の審査のために参考人から意見を聴取することとし、人選、日時、手続等に関しましては委員長に御一任願うことに御異議こざいませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  4. 内田常雄

    内田委員長 速記を始めてください。     —————————————
  5. 内田常雄

    内田委員長 次に、本案に対する質疑の通告がありますので、これを許可いたします。海部俊樹君。
  6. 海部俊樹

    海部委員 航空機工業振興法の一部を改正する法律案につきまして、私はまず全般的に航空機工業の現況について政府のお考えをお聞きしたいと思うのですが、大臣がまだおいでになりませんようですので、この問題、大臣おいでになってからに譲りまして、局長おいでになっておりますので、直接局長にお聞きしたいと思います。  今回改正になっておる二十三条の改正案について、この資本金等の二倍までの社債発行限度というのも、商法規定のすでに二倍であるわけですが、それを今度は一挙に十倍に改める、こういうことのようでありますが、その理由を御説明いただきたいと思います。
  7. 川出千速

    川出政府委員 現行規定資本金等の二倍を社債発行限度にしておるわけでございますが、現行法が制定されましたのは昭和三十四年でございまして、当時まだ設計の段階でございまして、その価格がどうなるか、あるいは販売条件がどうなるかという未定の要素が非常に多かったものですから、他の国策会社の例にならいまして、商法規定の倍、つまり二倍ということできめたわけでございます。なお三十六年に法律の一部改正がございまして政府保証規定ができたわけでございますが、その当時も外国販売条件等から考えまして、二倍ではちょっと無理であろうという予測はされたのでございますけれども、それを何倍にしたらいいかという確定的な見通しがつかなかったものですから、その見通しがつくまで現在に延ばしてきたような次第でございます。
  8. 海部俊樹

    海部委員 YS11がいよいよ量産の時代に入るわけでありますけれども、いつごろまでに、どれくらいの機数をつくるという計画、同時にそれが販売価格が幾らになるかということ、それをお答え願いたいと思います。
  9. 川出千速

    川出政府委員 日本航空機製造株式会社製造いたしますYS11の製造計画長期見通しといたしましては、昭和四十六年ごろまでの間に百五十機を製造、駅売いたしたいという計画で現在おるわけでございます。その百五十機の内訳は、これも見通しでございますけれども、約九十機程度国内民間航空機会社、それから官需と申しますか政府各機関で購入するものが二十機ないし三十機程度あとの三十機ないし四十機程度輸出に期待したいというのが一応の見通しになっておるわけでございます。そして飛行機価格の問題でございますが、これは百五十機年産販売ができるということを前提にしまして、なおかつ投下した開発費を回収するということを前提にいたしまして、現在一機当たり四億五千六百万円を標準価格としておるわけでございます。これにいろいろ艤装の点でさらにプラスして売らなければならぬ場合、あるいはそれよりも若干安くなる場合もあると思います。
  10. 海部俊樹

    海部委員 そうしますと、百五十機を消化する販路見通しというものは大体ついておる、こういうお考えのようでありますけれども、たとえば国内ローカル線に使わせるということでありましたが、国内にはローカル線のみならず幹線もあるわけでありますし、それから飛行会社も非常にたくさんあるわけでありますが、その内訳がわかったら、さらにもう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  11. 川出千速

    川出政府委員 国内民間航空機会社に対します一応のめどの九十機と申しますのは、これは運輸省見通しでございますけれども、四十五年くらいまでの間に大体七十機ちょっとくらいはいけそうである、これは現状航空機に乗る人員の増加を基礎とした推定でございます。したがって四十六年には九十機くらいいけるであろうという推定をいたしておるわけでございまして、航空機会社別に四十六年ごろまでの間にどの会社が何機というところまできまっておるわけではありません。
  12. 海部俊樹

    海部委員 運輸省の方おいでになっておりますか。——お尋ねしますが、YS11に型式証明が出るのが約一年近くおくれたということであります。そのおくれた理由と、それからこれは通産省になると思いますが、型式証明のおくれたことによって販売計画その他に狂いは生じなかったか、この点についてお答え願いたいと思います。
  13. 町田直

    町田説明員 お答えいたします。  型式証明がおくれた理由につきましては、実は私監理部長技術部長ではございませんので、はっきりした理由を申し上げることはできませんけれども、新しい航空機でございますので、に審査いたしまして型式証明を出したという結果おくれたのだろうと思います。それによって販売計画そのものがおくれたというふうには私は考えておりません。
  14. 川出千速

    川出政府委員 三十七年の夏でございましたか、試験機による試験飛行を開始したわけでございますが、その結果直さなければならない点、たとえば胴体を少し太くするとか、あるいは安定性確保のために尾翼の一部を改修するということで、予定よりも一年近くおくれたことは事実でございます。これはきわめて遺憾なことでございますけれども、非常に安定性をたっとぶ航空機のことでございますから、万全を期した次第でございます。  そのために販売計画がそごしたことがあるかないかという御指摘でございますけれども、これはずれたという点はございます。今後はYS11と競合する機種につきましては、国産愛用というたてまえでYS11を優先的に使うことになっておりますので、時期のズレはございますけれども、そのために販売ができなくなるということはないと私は思います。
  15. 海部俊樹

    海部委員 私が聞きましたことによると、中型輸送機ができまして、同一機種が百機以上売れたというのはきわめてまれな例である。逆に言いますと、きわめて優秀な飛行機でなければ百機以上は売れないものだという通念があるんだそうでございますが、たとえば英国開発して二年ほど前から実用になっておるアブロ748という機種があるはずでありますが、これなんかも販売計画が相当狂ってきておるということも聞いておりますし、そういうようなことからいくと、やはり百五十機売れるんだというこの見通しはどうも甘いんではないかという懸念を私は持つわけであります。たとえて申しますと、私が調査した資料によりますと、国内ローカル線に使うそうでありますが、日本の代表的な日本航空なんかは一機も買う予定になっておらぬ。これはやはり日本のような狭いところでも幹線航路に使いますと、ジェット機に比べて運航費が一機当たり大体四倍かかるそうでありますから、そういうようなことで経済的にペイしないから使えないんだ、こうなってくる。同じような理由全日空あたりなんかも幹線航路に使えないとなってくると、はたしてその九十機という計画計画どおりいくであろうかという問題が一つ出てまいります。  それからもう一つ、観点を変えて見ますと、一機四億五千六百万ということでありますが、いまわれわれが非常に親しんでおるフレンドシップという同じような飛行機は一機三億三千万円である。値段の開きが一億二千六百万からある。片方はすでに歴史もあるし、いろいろとなじまれた飛行機である。片方開発されたばかりである。しかも値段が一億二千六百万から違うということになりますと、価格の点からも問題が起こるのではないか、こういう懸念を抱くわけでありますが、その点についての判断見通しにお聞かせ願いたいと思います。
  16. 川出千速

    川出政府委員 大体新しく開発されました飛行機の売り上げの台数でございますが、百五十機程度標準であろうかと思います。それよりも多く売れれば多々ますます弁ずでございまして、たとえば先生の御指摘になりましたフレンドシップ27型でございますか、これはYS11と競合する機種といわれておるわけでございますが、YS11よりも若干早く開発されてスタートをしたという点もございますけれども、すでに二百機以上売っておるわけでございます。もちろん売れるかどうかということは、国際競争力がなければ売れないわけでございまして、英国のいま言われた型については、おそらく対抗機種との競争販売が思うほど伸びなかったということではないかと思います。YS11は非常な特色を有しておりまして、値段は四億五千六百万、フレンドシップの三億三千万に比べますと商いわけでございますけれども、たとえば乗員の数から申しますと、フレンドシップのほうは四十名ないし四十四名くらいでございます。それに対しましてYSのほうは六十名ないし六十名を若干オーバーした座席があるわけでございます。それから離陸時の滑走距離、これはYSの一番の特徴でございますけれども、非常に短い滑走路で離着陸ができる。千メートル以下でできる。フレンドシップのほうはそれより若干長いわけでございまして、それぞれ性能の違いがございますので、値段だけで一率に比較はできないのではないかと考えております。私どもは、YS11は総合的に判断をして非常に性能もいいし、それに相応した値段などから、これは国内でも十分販売できるし、将来は国内の実績を見た上で輸出のほうも伸びていくのではないかということを期待しておるのでございます。
  17. 海部俊樹

    海部委員 いまフレンドシップの話が出たわけでありますが、いわゆるローカル線に使われている世界のおもな機種を二、三でよろしいからお聞かせいただきたいと思うのであります。フレンドシップYS11の性能上の問題とか、いろいろな点で一億二千六百万円ぐらいの値段の差は十分カバーできるという御答弁でありましたので、フレンドシップとの性能の対比をもう少し具体的にお話しいただきたい。
  18. 川出千速

    川出政府委員 日本に入っております機種で申し上げますと、フレンドシップバイカウントとあるわけでございまして、フレンドシップ27型、バイカウント洲型を比較してみますと、フレンドシップ値段は三億三千万、バイカウント値段は六億でございます。それから座席の数は先ほど申し上げましたがYS11は六十名、フレンドシップは四十名ないし四十四名、バイカウントは六十七名ということになっております。エンジンはいずれも三機ともロールス・ロイスのエンジンを使っております。それからプロペラは三機とも同じくイギリスのロートル社プロペラを使用しております。巡航速度YS11、フレンドシップはほぼ同じでございまして、バイカウントが若干早くなっておる次第でございます。航続距離のほうはYS11が一番三機の中では長くなっております。それから滑走距離は逆にYS11がフレンドシップバイカウントよりも短くなっておるわけでございまして、バイカウントば四発でございます。YS11とフレンドシップは双発でございます。おのおのそれぞれ特色がございますけれども、それを総合判断して、YS11がフレンドシップなりバイカウントに劣っているということにはならないと思います。
  19. 海部俊樹

    海部委員 飛行機開発というものは非常に高額の金が出るわけであります。特にYS11については、政府開発資金の五五%を負担しておる、こういうことになっているわけでありますから、やはり量産計画機数は必ず生産されなければならぬし、またできたものはできるだけ多く、できれば全部市場に提供することがきわめて大切な要素になってくると私は思うのです。そういう意味からいきますと、値段の差があるという点はわかるのですが、今度はそれを販売方法の面に追い込んだ場合に、たとえば現行法解釈でいきますと、この飛行機というものはただ単に売るのか、あるいはそれ以外の方法で、リースさせるようなことを考えておられるのかどうか、その点をお答え願いたい。
  20. 川出千速

    川出政府委員 まず、リースによる販売航空機工業振興法上可能かどうかということでございますが、これは本法の第十九条に「事業の範囲」の規定がございますが、一号に「輸送用航空機設計、試作及び試験」二号に「輸送用航空機及びその機体構造部品製造及び販売」三号に「前二号に掲げるもののほか、会社目的を達成するため必要な事業」こういうことになっておりますが、電子計算機等レンタル販売として所有権を留保して賃貸しをしているやり方だろうと思いますが、そういう売り込み方法は、この条文に照らしますと一号、二号、三号の目的を達成するために必要な事業ということになるのではないかと思われますので、リース販売法律上も可能であろうと思います。前項第三号に掲げる事業を開始するためには通商度業大臣認可を必要とすることになっておりますが、現にリース販売についての認可を今年になりましてからとっている次第でございます。  それではリースによる販売を相当大規模にやるかどうかということになりますと、これは相当問題があるわけでございまして、電子計算機のように、リースによる販売というのはまだ慣行的に行なわれているわけではございません。輸出につきましては、各国は一部リース販売をやっておるわけでございます。ことばをかえていいますと、チャーターでやるというのがおそらく一種リースではなかろうかと思うわけでございます。したがって将来輸出YS11を伸ばしていく場合に、輸出入銀行等を活用いたしましてリース販売をやる必要が出てくるのではないかと考えておる次第でございます。なお、国内につきましては、開発銀行国内航空会社頭金融資をすることにしておりますし、さらに五年間の延べ払いも認めておるわけでございますので、必ずしもリース販売によらなくても現在売り込みはできるのではないかと考えておる次第でございます。
  21. 海部俊樹

    海部委員 十九条の条文解釈からいくと、リース販売法律上は可能である、現に前例もあるのだという御答弁でしたから、それを前提に申し上げますけれども、そういたしますとYS11の、まず国内航空会社に売り渡すときの契約条件というものを、ありましたらお聞かせ願います。
  22. 川出千速

    川出政府委員 航空機販売につきましては、大体国際的に行なわれている販売条件参考といたしまして、現在契約時五%の支払い、それから引き渡し時に一五%の支払い、つまり発注して引き渡しまでの間に代価の二割の支払いをいたしまして、あとの八割は五年間の均等払いという条件均等払い対にする金利は七・五%ということで現在考えておるわけでございます。
  23. 海部俊樹

    海部委員 そうなりますと、たとえばいま外国から同じような飛行機日本航空会社が買う場合は、これは頭金の二〇%というのはお考えになっておる条件と全く同じでありますが、残る八〇%が、日本の場合は五年間の延べ払いで七分五厘の金利だ、こういうことだとおっしゃいました。ところが、たとえばダグラスの例なんかとりましても、アメリカ輸出入銀行というものが窓口になって、残りの八〇%は七年間でよろしい、しかもその金利は五分五厘でよろしい、こういうことをいってくるわけであります。そうしますと、ここで二年間の差と金利の二%の差というものが出てきますと、その意味でも非常に販路の伸長には妨げになるんじゃないかもう少し有利な販売方法をお考えにならぬと行き詰まるのじゃないかという懸念を持つわけでございますが、どうでしょうか。
  24. 川出千速

    川出政府委員 ただいま申し上げました、外国飛行機競争条件参考としてと申し上げましたのは、YS11と一番競合すると思われるフレンドシップ販売条件参考にしたわけでございまして、ただいま先生の御指摘のあれは、おそらく国際線の相当大型ジェット機販売条件ではなかろうかと思うわけでございます。しかしこれは現在、先ほど申し上げましたような販売条件考えておるわけでございまして、将来さらに販売競争が激しくなれば、その点は若干検討しなければならない問題も出てくるかもしれませんが、少なくとも現状ではいまの販売条件をくずさずに、かつ開発銀行融資を、国内航空会社に対する融資を活用することによって、十分外国には対抗できるのではないかと考えておる次第でございます。
  25. 海部俊樹

    海部委員 私はたまたまダグラスの例を引いて大型ジェット機だけの印象を与えたようですが、実はこれは英国の、最初申しましたアブロ748、これは五十の客席で値段は三億の飛行機でありますから、YS11と非常に似ておるわけであります。それからさらにハンドレページのヘラルド、これはやはり同じような性能飛行機英国のものでありますが、これはやはり販売条件は同じであります。アメリカ輸出入銀行と同じ契約条件で売るから買わないかという申し出であります。しかし、そんなことよりも、さらにコンベアなんかは、最近日本国内航空を相手にして、リースしてやるからこれに乗ってこないかという申し入れをしてきております。さらにボーイングのほうも、リースをするから応じてこないか——販路拡張のために外国航空会社は盛んにリースリースといって日本市場へ入ってきておる。そういうときに、法律的には可能であるけれども、まあやるような考えはないんだということになりますと、どうもそこのところが納得できませんので、いままでにリース許可をしたことがあったんだとおっしゃいましたが、具体的にどこへどういう理由許可されたのか、それは例外で許可されたのか、それを延長することはできないのか、このお考えを聞いておきたいと思います。
  26. 川出千速

    川出政府委員 許可しましたのは、リースによる販売をすることができるということで一般的に許可をしたわけであります。  なお、具体的には現在試験機を二機つくって飛ばしておるわけでございますが、この試験機日本国内航空に一時貸して、そして将来注文しているYS11ができるときまでのつなぎにしようという考えがございますものですから、そのために一種リースという形になろうかと思っておる次第でございます。
  27. 海部俊樹

    海部委員 普通の契約ですと頭金が要りますが、簡単に言うと、リースの場合は頭金が要らぬという利益があるわけです。そこで、いま開発銀行頭金融資するということになっておると局長はおっしゃるのですが、開発銀行というものは、どうも赤字会社には絶対融資しない、こういう開発銀行憲法があるということでございまして、いま日本ローカル航空会社はほとんど赤字でございます。そういうところへは、開発銀行頭金融資というものは、そういう道はあいておってもなかなか借りられないのではないかという気もいたしますので、これはできれば外国航空会社との対決上も、船とか自動車とかいろいろリースをどんどんやって便益を与えておるわけですから、YS11についても国内航空会社にはリース方式で渡せないか。これはもしただいま御即答できなければ、将来の問題としてもけっこうでありますから、御検討願いたいと思います。  それからもう一つ、関連して言っておきますが、外国からどんどんリースが入ってくるものに対して、これは野放しでほうっておくわけですか。何か手を打っておられるわけですか。
  28. 川出千速

    川出政府委員 航空機輸入は、これは自由化していない品目でございますので、全部許可が要るわけでございまして、運輸省ともよく連絡をとりまして、ケースバイケースで処理をしておりますから、野放しに認めておるわけではないのであります。
  29. 海部俊樹

    海部委員 やはり政府としては、市場の測定とかあるいは長期予想を持って航空機量産計画というものはお立てにならなければならない。たとえばアメリカアイゼンハワー調査なんというものは、一九六四年度に立脚して、そして一九七五年までの国家的な長期見通しを立ててやっておるようであります。それからフランスのごときは、毎年毎年在外公館から各国航空機工業航空機利用率、そういうものを取り寄せて、国家の航空機に対する長期見通しというものを立ててやっておるようでありますけれども、政府としてただいまそういう長期見通しを持っておられるかどうか。あるいはどういう方法でそれを立てておられるか。お答えできたらお答え願いたいと思います。
  30. 川出千速

    川出政府委員 長期生産計画につきましては今後の問題でございまして、航空機工業振興法航空機工業審議会がございまして、そこで検討することになっておるわけでございます。YS11のいろいろな製造に関する検討もその審議会で行ない、現在V・STOLと申しますか、技術的に非常にむずかしい航空機のようでございますが、この検討当該審議会でやっておるわけでございます。なお、今後の民間航空機をいかに開発していくかというような点について、なかなかむずかしい点もございますので、この審議会を活用し、衆知を集めて検討したいと思っている次第であります。
  31. 海部俊樹

    海部委員 航空機工業というのは非常に高度な精密工業でありますし、いろいろな気象の変化だとか気圧の変化、そういうところに長時間、しかも正確に耐えなければならないという、そのものの性質上、他産業に対する影響も直接間接に非常に大きいものがあるわけでありますし、そういった意味においても、これは長期計画をしっかりお立てていただいて御検討願いたいということ、これを希望いたします。  それから先日商工委員会の視察で、私は直接YS11をつくっております航空機工場へ見に行きましたときに、非常にふしぎに思いましたことは、エンジンはロールスロイス、プロペラは何とか、非常に方々から寄せ集めて、ただ日本で組み立てておるだけではなかろうか、こういう印象を受けたわけであります。エンジンとかプロペラのほかに、入れておる輸入品は何であって、大体どれくらい集めておるか、純粋の国産のものはどの程度になるのかということがわかったらお知らせ願いたいと思います。
  32. 川出千速

    川出政府委員 これは外国航空機の場合も、エンジンプロペラ等については輸入しておる場合が多いわけでございますが、YS11につきまして輸入している額は一億五千万弱程度でございます。そのうち一番おもなのがエンジンプロペラで、あとは電子装置でございます。
  33. 海部俊樹

    海部委員 そうしますと、もしこれを将来日本の力で全部開発をして、ほんとうの意味国産飛行機をつくるために、エンジンからプロペラから全部日本のものでやるのだというような見通しは立たないものでしょうか、あるいはそういうような検討をされたことがあるかどうか。
  34. 川出千速

    川出政府委員 YS11の設計をしました際には当然そういうことを考えたわけでございますけれども、日本航空機工業の実力からしますと、遺憾ながらエンジン等につきましては開発費が高いので、輸入するのに比べますと、むしろ価格が高くつく。YS11の設計された機体に合うエンジン外国に注文をいたしまして、外国としましてはロールスロイス等が注文を受けて、それに合うエンジンを新たに開発してつくったということでございまして、いまの航空機工業現状からいたしますと、やはり外国から輸入するほうが経済的であると考えておる次第であります。
  35. 海部俊樹

    海部委員 この法律の第一条の終わりのほうに「産業の技術の向上及び国際収支の改善に寄与することを目的とする。」と明確に書いてあるわけでありますから、なるべく国際収支の改善に寄与するように、できる限り多くの部品を国産でやっていけるように御研究いただくことがきわめて大切ではないか、こう考えますので、意見として申し述べておきます。  それから今度海外に行く場合のことに問題を移したいと思いますが、輸出する場合に、相手方との契約条件はどのようなことをお考えになっておりますか。
  36. 川出千速

    川出政府委員 国内の場合のようにまだ具体的にきめておるわけではございませんが、輸出の場合になりますと、非常に競争が激しいわけですから、競争機の販売条件参考にした上で、それに負けないような条件販売していこうと思っておりますが、それではどういう販売条件かということは、まだ具体的にきまっていないわけでございます。
  37. 海部俊樹

    海部委員 競争機の販売条件に負けないようにということになりますと、おそらく期間も七年くらいを見なければならぬだろうし、金利も五分五厘以下でいかなければならぬということになると思うのです。そういたしますと、そこまで下げることがいまの国内契約その他を考えてできないというようなことにもしなってきますと、私は輸出計画にも狂いが出てくるのではないか、こんな気がするのです。現に輸出計画として三十機を見込んでいらっしゃるということでございますが、これはただばく然と三十機売れるのだというだけでなくて、具体的にもう話が始まっておるところがあるならば、どこがどういう目的でどれだけ受けるのだというようなことまでおわかりになっておりましたら、御説明いただきたいと思います。
  38. 川出千速

    川出政府委員 残念ながら現在のところ具体的なオファーというものに接しておる段階には至っていないわけでございます。ただサウジアラビアとか中南米の国から飛行機を見に来日をしまして、自分のところでは数機くらい需要があるのだがという、その程度の、国別にいいますと、数カ国から数機ずつのばく然たる引き合いはあるのですが、それが具体的に固まってきてファーム・オーダーという形にはなかなかなっていないわけであります。ただ全世界を見ますと、相当YS11のような新しいものに代替しなければならないような、たとえばDC3のような飛行機が二千機をこえていると聞いておりますので、まあ三十機程度は大いに今後販売面で努力すれば期待できるのではないかというのが、私どもの考えでございます。これは相当の努力をしなければならないと思っております。
  39. 海部俊樹

    海部委員 それでは基本的な大きな問題を、後刻大臣おいでになったら、大臣にお尋ねすることにしまして、一応私の局長に対する質問はこれで終わりにいたします。
  40. 内田常雄

    内田委員長 板川正吾君。
  41. 板川正吾

    ○板川委員 私も二、三質問をいたしたいと思いますが、YS11が試作の段階が終わって量産体制に入る。したがって、これからの問題は、量産化されたYS11をいかにして販売するかということが第一点。第二は、この航空機製造会社YS11が成功したとすれば、次はいかなる機種開発しようとするのか、これが当面重要な問題であろうと思うのです。そういう二点を念頭に置きながら、海部委員の質問となるべくダブらないように質問いたしたいと思います。多少ダブりますが、御了承願います。  まず法律の問題ですが、今度の法改正は、販売を強化するために、資金繰りの関係があって、政府の保証債のワクを従来の二倍から十倍にする、これはただいまの質問に答えられたとおりです。ところがこの法律十二条からいうと、「資金の確保」という中に、「政府は、航空機等の国産化のための設備の設置に必要な資金の確保に努めるものとする。」これは十二条であります。したがって、この十二条の精神からいうと、設備の設置に必要な資金は政府は確保するが、販売のための資金の確保には政府は協力する法的な根拠がない、この通産六法からいうとそういう趣旨になるのでありますが、その点はどうお考えになりますか。
  42. 川出千速

    川出政府委員 航空機工業振興法の十二条の「資金の確保」と申しますのは、これは日本航空機工業全般の設備資金、航空機工業会社の設備資金の確保の一般的な規定でございまして、現に経済援助特別会計から過去四十億以上の設備資金の融資開発銀行を通してやっておるわけでございます。  それからあとの問題は、日本航空機製造株式会社販売資金独自の問題でございまして、これは社債の発行限度商法規定の例外にすると同時に、発行に対する危険につきましては政府が保証をするという規定が、三十六年の改正で附則の三条の二に入った次第でございます。
  43. 板川正吾

    ○板川委員 この通産六法には附則が全然印刷されておらない。その附則はどういうことがあるか。これを見たらないものだから、これは法律上おかしいじゃないか、こう思ったわけですが、これはあとで文書課ですか、官房のほうへ話してもらいたいのは、改正されたのが附則の条項が抜けておるんであります。これを見ておると、この法律改正しないで資金のワクをふやすのはどうかなという疑問が起きたわけです。しかし、調べてみた結果、三十六年に改正しておりますから、それでわかるのですが、そうすると、新しくつくった通産六法なるものが一つ抜けておった。その点をあとで話しておいてもらいたい。  それから、その附則だが、これは「政府の出資」、「債務保証」という条項は、法律の形としてちょっとおかしいように思うのですが、これはわれわれも審議したことになっているから自問自答という形になるかもしれないが、附則第三条で、「政府は、会社が最初に行う輸送用航空機設計、試作及び試験が完了した年度の翌年度以降は、会社に対して新たな出資を行わないものとする。」。三条の二ですが、「政府は、当分の間、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、会社の債務について、保証契約をすることができる。」、これはなぜこの法律の附則で改正したのかな。これは第三章の「航空機工業の助成」というところへ本来持ってきたらよかったんじゃないかと思うのだが、附則で改正をし、しかも通産六法にはその附則が載ってないということで、審議に寄り道を食ったようなかっこうになったわけなんですが、その点はどうなのか。
  44. 川出千速

    川出政府委員 当時の改正あるいは制定のときの経緯は、私、存じていない次第でございますが、想像してみまするに、附則だから軽いという意味ではないのではないかと思うわけでございますけれども、三条二の規定は「政府は、当分の間」という意向を入れておりまして、「当分の間」というのは何年ということを限ったわけじゃないのですが、少なくとも恒久的ではないという意味を表現していると思うのですが、そういう暫定的なものであるという意味で、おそらく本文のほうに入れないで附則に回したのではないかと想像しておる次第でございます。
  45. 板川正吾

    ○板川委員 しからば三条は、当分の間なんだ。ただ新たな出資は完成した後はしないということをいっているので、これは改正するのが、どうも法律の形態としては一考を要する形態だろうと思う。  たいした問題じゃないから、それでは次に移りますが、二十三条を改正して、政府保証債のワクを二倍から十倍にする、こういうことに改正することになるのですが、従来の社債発行、これは前に、十二条ですか、それで社債を募集することができる。社債を発行した中でどれだけが政府保証債になっておるのですか。また今後も社債発行をしたうちに、どういう割合で政府保証債が——その政府保証債と社債発行の割合といいますか、これをどういうふうに考えておりますか。
  46. 川出千速

    川出政府委員 三十九年度までの社債発行額は五十九億円でございますが、これは全額政府の保証による社債でございます。今後、非常に発行額もふえてまいりますので、政府保証の分と民間が責任を持つものと分担をすることになってくると思いますけれども、これは長期的に見た場合に、政府側が八五%、民間側が一五%程度の割合ということで計画を立てつつあります。
  47. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、従来は、社債はほとんど政府発行債のワク内であった。しかし、将来は社債のうちに政府発行債のワクは八五%程度、こういうふうに考えておるということですね。
  48. 川出千速

    川出政府委員 多少私の表現が間違いましたので訂正さしていただきますが、社債については、政府が全部保証する社債でございます。あと販売資金は、民間会社の責任における借り入れ金によるわけであります。その比率が八五対一五ということになっております。
  49. 板川正吾

    ○板川委員 社債を発行した場合は全部保証債と見てよろしい。あとは金繰りの面から民間が一五%くらい出すということですね。
  50. 川出千速

    川出政府委員 さようでございます。
  51. 板川正吾

    ○板川委員 二十三条では、「資本及び準備金の総額又は最終の貸借対照表により会社に現存する純資産額のいずれか少ない額の二倍をこえてはならない。」こうあったのでありますが、その二倍から十倍になるのですが、年度的に見ると、計画上十倍までなる年があるのですか。たとえば、的な計画によると、発行の倍率というのかな、どの程度まで計画しておりますか。
  52. 川出千速

    川出政府委員 一応の長期生産計画前提といたしますと、昭和四十三年に九倍というのが最高限で、あと順次下がってきます。
  53. 板川正吾

    ○板川委員 法律関係はそれで終わりますが、量産化が軌道にことしから乗る。大体月一・五機、年間約二十機ということになる、まあうまく販売ができた場合ですね。注文が殺到して——おそらくそういうことはないと思うが、注文が殺到した場合にはフル生産で何機くらい年間できますか。
  54. 川出千速

    川出政府委員 現在の設備ですと、フル生産で月産二機、年で二十四機でございます。
  55. 板川正吾

    ○板川委員 先ほどの海部委員の質問に対する答弁ですね。三十九年−四十六年の間に百五十機を生産し販売する予定、そうして国内ローカル線というのが九十機、官需三十機、輸出三十機というような割合で販売体制を組もう、こういうことのようですが、私は飛行機の路線はわからぬが、国内ローカル線というのはどういうのか。いわゆる国内幹線というのはどういうのですか。たとえば、札幌から福岡までが幹線で、それから分かれたところはローカルというのですか。
  56. 町田直

    町田説明員 私どもが幹線と称しておりますのは、札幌−東京−大阪−福岡という路線をいっております。それから分かれたもの、あるいはそれ以外のものをローカル線といっております。
  57. 板川正吾

    ○板川委員 重工業局長YS11というのは国内幹線には初めから使わない予定ですか。使えない程度のものですか。どうなんですか。
  58. 川出千速

    川出政府委員 YS性能から考えますと、国内幹線に使用できるわけでございます。設計当時はそれも含めて考えていたわけでございますが、その後ジェット機等の進歩もございまして現在はジェット機が中心に使われておるということでございます。
  59. 板川正吾

    ○板川委員 運輸省に聞きますが、先ほど海部委員の質問にあったように、旅客を輸送するコストですね。YS11とこのジェット機じゃ四対一もコストの差があるのですが、条件は同じだろうと思うのですが、このコストの差というのは、輸送コストの差といいますか、これはそんなに違いますか。
  60. 町田直

    町田説明員 ちょっと私数字的にはっきりつかんでおりませんので、四対一ということははっきり申し上げかねます。
  61. 板川正吾

    ○板川委員 では通産省、売るほうの立場から調べたらどうでしょう。
  62. 広野信衛

    ○広野説明員 海部先生がおっしゃいました四対一の点は検討しないとわかりませんが、私の知っております範囲で申し上げますと、ジェット機は収容乗客数が二倍あり、スピードが二倍あるという点からいいまして、運搬能力が四倍あるということは従来言われております。運航コストの面でそれほど差があるということは聞いておりません。
  63. 板川正吾

    ○板川委員 スピードはジェット機にあるから、スピードの点は言いません。たとえば東京−札幌間が、私は乗ったことがないから知りませんが、一座席三千円なら三千円とする。一座席三千円ということで計算すると、それに対する座席数を、百二十と六十があるが、たとえばかけていろいろ費用を計算してみたら、あるいはそのほかの金利等を計算してみたら、このジェット機のほうが四分の一くらい安く上がるのじゃ、これは百五十機売ろうといったって、国内線のうち九十機売ろうといったってなかなか容易じゃないのじゃないかなと、こう思うから、一体そんなに違うものかどうか。私全くしろうとなものだから、どうなんでしょうか。
  64. 川出千速

    川出政府委員 運航距離当たり価格、料金ということになりますと、私計算したわけではございませんけれども、そんな差はないわけでございます。幹線用に使うジェット機値段も非常に高いわけでございまして、その償却等を考えますと、四対一というようなことは絶対にありません。
  65. 板川正吾

    ○板川委員 それでは、これはひとつ運輸省と両方調べて、あとで出してください。やっぱり商売で、通産省はこれから売るほうの立場に立ち、運輸省は買うほうの立場でしょう。そこいらで意見が一致していないと、片一方で百五十機売るったって、片一方が買う意思が全くなければ、全然売れない。これはひとつあとで資料を出してもらいたい。これが百五十機予想どおり売れましたら、この会社はもうかるとまでいかなくても、とんとんになりますか。
  66. 川出千速

    川出政府委員 若干の利益を上げる計画になっております。
  67. 板川正吾

    ○板川委員 このYS11をこれから売ろうとすれば、まず第一は性能がよくなくちゃならぬということ、それから第二は、まあ値段が安ければなおいい、第三は販売条件、こういうことになると思いますね。性能価格販売条件、これが他よりすぐれれば、これは売れるということになって、いま言うように百五十機売れて若干もうかる。さらに二百機も売れればたくさんもうかるということになる。そこで、販売条件については先ほど海部委員から話もありましたが、性能価格の点、これは、通産省側は、先ほどの答弁のように、ほかと比較してそう高くはない、性能も優秀だ、四億五千六百万の値段というものは決して高いものじゃない、こう言っておる。しかし、これは売るほうが幾ら宣伝しても、買うほうがそれは高いということになれば買えないのだから、この商談は成立しないのです。運輸省のほうでは、この性能価格とについてどういう評価をしておりますか。
  68. 町田直

    町田説明員 御承知のように航空機は、その使用する路線その他によりまして、性能によって非常に差がございます。先ほど通産省からも御説明がございましたように、日本ローカル線に使用する場合には、現在使っておりますフレンドシップ、あるいはバイカウントというものに大体匹敵する性能を持っているというふうにわれわれは考えております。価格の点も、まあ大体それほどの差はございませんので、私どもといたしましては今後、ローカル路線の中でもYSが必ずしも適当でないという路線も若干はあるだろうと思いますけれども、大体ローカル線YSでやっていきたいというふうに考えております。
  69. 板川正吾

    ○板川委員 ローカル線というのは全国で何路線ぐらいあるのですか。そうしてそれに使っている飛行機の台数はどのくらいですか。
  70. 町田直

    町田説明員 路線は約九十五です。おおむね六十機でございます。
  71. 板川正吾

    ○板川委員 約九十何がしの路線で六十機。一機平均一・五の路線、二機で三路線を運転している、こういうことになるのですね。いま六十機で、将来、五年後、ローカル線の旅客機の需要状況、伸びぐあい、それに見合う飛行機の必要な機数というような見通しはどうお考えになっておりますか。
  72. 町田直

    町田説明員 先ほど通産省の局長から御説明がございましたが、昭和四十五年ぐらいで七十機前後必要であろう、こういうふうな算定をいたしました根拠を申し上げますと、昭和三十九年に比べまして、四十年以降の大体の人キロの伸びが二五%、したがって毎年二五%ずつ伸びる。これは私どもとしては比較的内輪に見た数字でございます。そういうような考え方をいたしておりまして、現在、先ほどお話の出ましたフレンドシップ及びバイカウントというのが三十三機ぐらいございます。これはおそらく五年後にもこのまま残るだろうというふうに考えまして、その、四十五年の二五%前後伸びるということで人キロを想定いたしました。そうして、三十九年の人キロを入れまして、残ったものをYSの稼働率で割ったものでございます。そうして大体七十機ぐらい、こういう数字でございます。
  73. 板川正吾

    ○板川委員 大体お客の乗る量は二五%ぐらいずつ伸びるだろう、そうして七十機ぐらい、四十五年まで、ここ五年間必要量となろうということですね。増加する量ですね。これは、鉄道新幹線、東京−大阪間ができて、その影響というのはローカル線の中には勘定に入りませんか。入ってないですね。
  74. 町田直

    町田説明員 入っておりません。
  75. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、新幹線ができてもローカル線にはさして影響がない、こういうことですね。新幹線がいわゆる国内幹線に与えた影響というものはどんな程度ですか。
  76. 町田直

    町田説明員 新幹線ができましたのは昨年の十月でございました。その後の統計と申しますと、大体十月、十一月、十二月と、三カ月くらいの資料が出ておるわけでございます。対前年同月比で見ますと、十月が東京−大阪間で大体七五%くらいになっております。それから十一月が九二%くらい、それから十二月が七九%くらい。したがいまして、東京−大阪間につきましては、新幹線の影響はあるということが言えるわけでございます。ただ十月の七五%と申しますのは、その他の路線、たとえば東京−札幌、東京−福岡というような路線につきましても、同じようにと申しますか、若干減っておりますので、十月の七五%というのが全部新幹線の影響であるかどうかということは非常に疑問があるわけでございます。したがいまして十一月、十二月の結果だけを見まして、大体一〇%から二〇%くらいの影響があったのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  77. 板川正吾

    ○板川委員 一〇%から二〇%だとすると、ローカル線は大体三五%くらいずつ伸びている。だから一年間は多少影響があっても、一年たてばその痛手も普通になる、こう見ていいですか、予想として。
  78. 町田直

    町田説明員 ただいま申し上げましたのは、東京−大阪間の影響でございまして、幹線でも東京−札幌あるいは東京−福岡というものはやはり若干ずつは伸びておりますので、幹線におきましても全体を総合いたしますと、今後ある程度は伸びるというふうに考えるわけでございます。そういうような観点から、ローカル線は一応二五%というふうに考えておるわけでございます。
  79. 板川正吾

    ○板川委員 YS11を幹線で使えないものですか。年産二十五機くらいフル生産すればできるというのですね。確かに六十人乗りと百二十人乗りという程度ですと違うでしょうが、しかし一面、これで国内のパイロットを養成したり、あるいはそういう航空機製造国内水準を高める、長い将来から見ると非常に必要だと思うので、幹線でこれを使えないのですか。この百五十機売る中で九十機をローカル線と言うが、実はこの内容を検討してみると、日航がほとんど買わないということですか、あまり使わないですな。このYS11は、日航が使えばもっと需要がふえると思うのですが、日航がこれを使わないのはどういうのですか。考えてみると、日航に対する政府出資は六割ですね。六割政府が出資している半官半民の会社です。それからYS11は政府出資が五五%ですから、約六割。それで、いま言ったように社債は政府が一〇〇%買う。使うほうも、つくるほうも、どっちも六〇%以上の国の資金が入り、それで使うほうがそれを使わないというのじゃ——民間の会社は、傍系の会社で、片方がつくれば片方は必ず使うわけです。国の場合にはそれができないものかな。
  80. 町田直

    町田説明員 日航が使うか使わないかということにつきましては、YS11を幹線に使うかどうかという問題にかかってくるわけであります。日本航空は、国内幹線と国際線をやるというたてまえになっている会社でございまして、ローカル線はその他の会社がやる、こういうようなたてまえになっております。したがいましてYS11を幹線に使うか使わないかという問題によりまして、日航が使うか使わないかということになるというふうに考えます。  そこでYS11を幹線に使うか使わないかという問題でございますけれども、先ほど通産省のほうから御答弁がございましたように、現在の段階では、YS11はローカル線、それから幹線は別の機種というふうに私ども考えておる次第でございます。別の機種と申しますのは、現在日航、全日空ともにボーイング727、そういうふうに考えております。そういうことで現在のところ日航としては、YS11については使わないということになっておると思います。
  81. 板川正吾

    ○板川委員 「運輸経済年次報告」という三十九年度のものによると、国内線の運営体制として、日本航空、全日本空輸が協定を結んで、国内幹線ではジェット機のボーイング727型を採用することを決定した。両者とも統一機種としてこれを決定した。こういうのです。それは確かに四倍もコストがかかるのじゃ、これをもって運賃値上げをして国産化というわけにはなかなかいきません。いたし方がない。しかし日本航空というのは、国際線でもうけておるのだし、政府の資金も入っておることだし、この際YS11も、ある時期の便としては六十人乗りというのがあってもいいのじゃないかな。特急があり、あるいは準急があり、普通急行があるというような意味で、非常に需要の多い時間は大型機に乗る、需要の少ない時間には小さいやつでもいい、こういうことでもいいのじゃないかと思うのだが、しかしこういう協定を結んで、こういう方式でやっていこうということになると、これじゃどうも国内九十機というのがなかなか売れぬじゃないかな。そんな心配をするものですから、お互いに日の丸会社で、支配権を持っておるのだから、ひとつYS11の購入について特段の便宜をはかってもらいたい、こう思うのです。  それから新聞等によると、日航は国際線だけやって、国内線は全日空と国内航空、二社にまかせたらどうだろうか、そうすれば、全日空なり国内航空なりがYS11も使い——国際線ばかりじゃないのですから、そういう意味じゃ、ジェット機を使いながらも、込みでこのYS11も使えるのじゃないか、そんな考えがしておったところへ、新聞によると、日航はこの際国際空路だけをやって、岡内は国内二社にまかせたらどうか、こういう意見もあるのです。それから、最近幾らか整理をされてきましたが、やはりこういう鉄道とか、こういう国内の空路とかいうのは、あまり零細な企業体で、もし落ちたらそれで会社がつぶれてしまうような程度の企業体じゃ旅客輸送としては不向きじゃないかなと思うのです。将来これは一社にすると独占という弊害もありますから、二社程度にしぼっていくことのほうが望ましいのじゃないかと考える。ということも、われわれ通産側としてはYS11を売り込みたいという希望からそんな考えを持つのですが、そういう国内航空の体制というのは運輸省としてはどういうお考えですか。
  82. 町田直

    町田説明員 ただいまお話のありました国内航空体制につきましては、お話のように、かなり小さな、しかも非常に成績のよくない会社がございましたので、昨年度からこれを統合いたしまして、大体国内関係の航空会社は三社くらいにしたいという方針を決定したわけでございます。それで昨年の四月に国内航空という会社ができましたが、これは三社が一緒になったわけでございます。それからなお、全日空に、その残っております他の二社をできるだけ統合されるように私も考えておりまして、将来の形としては、日航、全日空、国内航空という三社で日本国内航空をやっていきたいというふうに考えている次第でございます。その場合に日航は幹線、全日空と国内航空幹線並びにローカル線という形でやっていきたいというふうに考えている次第でございます。
  83. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、こういう矛盾がありますね。日航は六割から国の資本が入っておる。しかも需要の多い幹線だけを運航する。そして全日空と国内航空は、これは民間会社政府の金が入っておらない。それも同じく幹線も運航する、またローカル線も運航する。そうすると、日航のほうは政府資金が入っておったり、幹線だけをやっておって、ローカル線をやりませんから、大体枠線がもうかってローカル線赤字だというのでしょう。そうすると、日航は国際路線を持って相当な収益をあげる、国内ではいいところの幹線だけを持つ、しかもそれは政府の出資が六割を占めておる、いろいろな援助を受けておる。片や民間航空会社ではそういう援助はない。これは同じ幹線で、もうかるところで競争をしたら、民間三社は競争にならないのじゃないですか。そうしてそのほかに、民間二社はローカルの採算の合わないところを運航しなくちゃならない。こういうことになると、このローカル三社というものの将来は経営上あまりおもしろくなくなる、したがってYS11を買う勇気もなくなってくる、こういうことになりませんか。
  84. 町田直

    町田説明員 日本航空は国際線と国内幹線をやるというたてまえになっておるわけでございますが、国際線と申しますのは、御承知のように、外国エアラインと非常に競争が激しゅうございます。それから、まだ始めまして日が浅いものですから、新規路線を開発などいたしますと、開発期においては非常に赤字が出ることが多いわけでございます。したがいまして、いままでの航空政策といたしましては、幹線日本航空だけ、そして国際線で赤が出るものを幹線の黒字で埋めていこう、こういう方針できたわけでございます。しかしながら、今回ローカル会社が合併いたしまして、そして採算性の悪いローカル線ばかりやっていてはこれまた非常に苦しいものですから、そこでこれも幹線にも入れまして、幹線の利益を三社で均分していこう、こういうことを考えたわけでございます。たまたま年次によりましては国際線も黒が出ることもございますけれども、また新規路線など開発いたしますと、当初数年間は非常に赤字が出る率が多いということでございますので、こういう点で、必ずしも日本航空が非常にいいところばかりやっているということではございません。
  85. 内田常雄

    内田委員長 板川君に申し上げますが、大臣が見えましたから……。
  86. 板川正吾

    ○板川委員 わかりました。  国際線も赤字だけれども、何とか黒字になってきた、それはけっこうですね。またこれからの国内航空路線といいますか、その体制からいうと、いま言ったように、国の資金的な援助を受けている会社と受けていない民間と一緒に同じ路線を競合させるというのは、片手落ちになるのではないのですか。そうすると、どうしても日航にお客が集中して、全日空、国内航空、民間二社にお客が乗らない、こういうことになるのではないのですかね。そういう意味では、さらに民間二社がローカル線を担当するのですから、条件が悪い。いっそのこと国際路線がもうかってくるようになったら、国際線は日航が専門におやりになって、今度は中共に行ったりハワイに行ったりする路線等どんどん開発して、そういう方面をまかして、それで国内線は全日空、国内航空の民間二社なりにまかしてやったほうが、ある意味では航空行政としてはいいのではないか、こう思う。その点どうですか。
  87. 町田直

    町田説明員 考え方といたしましては、もうだいぶ前から国際線は日航、国内線はその他の会社という考え方がございますけれども、現在の国際線の現状におきましては、私どもといたしましては、国際並びに国内幹線を日航にやらせるというたてまえでいかざるを得ないということでございます。
  88. 板川正吾

    ○板川委員 これもひとつYS11を国内線のほうで大いに使ってもらいたい、こういうことを注文する意味でそうした議論をしたのですが、もう一つ、今度通産省に伺いますが、この飛行機は、もし中国で注文があったならば、これは売りますか。
  89. 川出千速

    川出政府委員 航空機はココムの関係がありますので、その辺問題があろうかと思いますが。また部品に、電子装置だと思いますけれども、アメリカの製品を輸入して使っておりますので、その辺、中国向けの輸出については問題があろうかと考えております。
  90. 板川正吾

    ○板川委員 これは戦闘機じゃなくて輸送機、旅客機ですね。それからイギリスでも、中国に旅客機を十何機か、これは延べ払いで売り込んでおります。だからこれは仮定の問題ですが、非常に性能が優秀で安いということになって、中国から注文がございましたら、売りますかどうか。しかしそれは販売条件延べ払いということになる。延べ払いということになると、吉田書簡にひっかかるかどうか。吉田書簡はビニロンプラントについては言っておるけれども、飛行機については触れていない。だからいいのではないかと思いますがね。
  91. 川出千速

    川出政府委員 私お話し申し上げましたのは、アメリカの部品を使っていない場合は中国の輸出は可能かと思っております。と申しますのは、アメリカの部品を輸入して使います場合には条件がついておりまして、アメリカ輸出統制法によりまして、アメリカ産のものは中国に輸出してはいけないという関係があります。その関係で問題があるということを私は申し上げたのであります。
  92. 板川正吾

    ○板川委員 アメリカの部品なりパテントなどは、どういう部分を使っておりますか。
  93. 川出千速

    川出政府委員 電子関係であります。エンジンなりプロペラ英国製でありますから、その点は問題がないのであります。
  94. 板川正吾

    ○板川委員 電子関係を国産化すれば、できないことはないですね。
  95. 川出千速

    川出政府委員 そのとおりでございます。
  96. 板川正吾

    ○板川委員 じゃ、私は質疑を一時中止し、大臣に対する質疑を海部君に譲ります。
  97. 内田常雄

    内田委員長 海部委員通商産業大臣に対する質問の再開を許可いたします。海部君。
  98. 海部俊樹

    海部委員 大臣にお尋ねいたしますが、我後二十年たって、翼を全く失っておった日本で初めて国産YS11が量産計画に入っていくわけでありますから、これは日本航空機工業にとっては非常に画期的な年である、こう言いたいわけであります。そこで、航空機工業の現況について御説明をいただきたいと同時に、航空機工業の振興というものについてどのような措置を講じていかれ、将来どんな見通しを持っていらっしゃるか、お尋ねいたしたいと思います。
  99. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 お話のごとくに戦後七年間の空白を経て、昭和二十七年から生産を開始いたしたのでございますから、西欧諸国の中で航空機製造業というものが製造を開始したばかりのような地位にあろうと思います。御存じであろうと思いますが、たしかアメリカ、イギリス、フランス、オランダそれに日本が旅客機の製造をしておる五番目にランクされていたと思うのでありますが、現状につきましては、他の先進諸国に比較いたしましてまだ競争の立場にはなかろうかと思います。しかしながら四十六年までのYS11の百五十機の製造というものが順調に進み、さらに現在三菱重工業が独自開発に成功いたしましたMU2の今後の販売いかんによっては相当刮目すべき新しい重工業であろう、こう思います。MU2の状況は、今後アメリカ大陸あるいは豪州大陸に売り込みをしたり、当面アメリカに対して二百機くらいを目標にして開発を進めておるような状況でございます。  なお、これらの航空機に対する政府の助成策は、ただいま御審議いただいております航空機工業振興法の一部改正でおわかりのように、政府保証債を発行するについて特段の配慮を講じておるとか、あるいはその他の機械類につきまして振興策を講ずる、機械工業の一部門としての振興をする、あるいは金融的なめんどうを見るというようなことでございますが、私は今後におきまして、もっと積極的な航空機工業の振興をはかる必要があるんではないか。でき得るならば、日本の造船工業が世界の優位に立っておるわけでございますが、今後の日本の工業の中で何が将来性があるかということを考えていきますときに、航空機工業に対してさらに力を入れていきたい、かように存ずる次第でございます。
  100. 海部俊樹

    海部委員 大臣の力強い御信念を承りまして非常にうれしい気はするのでありますが、やはり外国との競争場裏に入っていくとなりますと、できた飛行機がやはり売れなければいけない。ここに、きわめて次元の低い問題かもしれませんが、売れなければならぬいう大命題が課せられてまいりますと、とりあえず具体的の問題になっておりますYS11を百五十機生産した場合、百五十機全部の販売というものの見通がついておるかどうかということを先ほど来局長さんといろいろ議論をしたのでありますけれども、輸出のほうに予想していらっしゃる三十機については、これは相手のあることではあるし、販売条件などについても検討中であるし、日本国内で使ってみて実績があがらなければだめなのだ、それがまず最初だというように私は理解したのでありますが、国内に対する販売ができるかどうか、私はこの点に少し疑問を抱きますので、重ねて大臣考え方をお尋ねするわけであります。  国内航空会社YS11を売り渡されるときの契約条件を、外国の同じような型の飛行機を買うときの契約条件と比べますと、非常に不利になっているというふうに判断しなければならないわけであります。たとえて申しますと、YSを売るときに頭金を二〇%、残りの八〇%は五年間十回均等分割払いで金利は七・五%、こういうお考のようでありますけれども、現在日本航空会社ローカル線に使っておりますこれに対比するような飛行機、たとえばフレンドシップバイカウントといったようなものを外国航空会社から買うときの条件は、頭金二〇%というのは同じでありますけれども、期間は七年間、二年間伸びておりますし、金利は五・五%、二%安くなっております。こうなってきますと、お金の払いぐあいの点でYSのほうが非常に不利ではなかろうかという気がいたしますし、同時にまた、いろいろ議論があるところでございますが、YS販売価格は四億五千六百万である。フレンドシップは三億三千万、アブロ748は三億円であります。こうなりますと、いろいろそこに問題が起きてくると思います。そこで大臣が、これは発達させなければならぬというお考えであるならば、このときに何らかの形で、現在の法律では設備の設置に必要な資金の確保につとめるだけのように書いてありますけれども、販売の助成のためにもお金を出して買いやすくしてやろう、そうして坂路をふやしてやろうというようなことまでお考えであるかどうか、まずそれをお尋ねいたしたいと思います。
  101. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 YS11の国内での販売を助長する上におきましては、たとえばこれを買い上げようという民間航空会社に対しましては低利の融資などを開銀からさせるようにいたしております。また、いまYS11に匹敵する輸入航空機価格の関係を御指摘になりました。確かにそういう点がございます。もし航空機が、貿易の自由化がされておるといたしますと、これは競争にならないのであります。しかし、このYS11を現在育成しておる段階でございまして、いまのところ航空機の自由化をする考えはございません。保護政策をとっていくつもりでございます。なお、海外に対する販売の上におきまして何か助成施策をするかしないかということにつきましては、今後市場調査の場合などにつきましてはジェトロを通じての助成策を講じたい、かように思います。なおYS11につきましては本年下期に東南アジア方面に巡航線が出ますので、そういう機会にYS11の宣伝を兼ねて飛んでみたらばどうかというようなことを、現に会社のほうへ慫慂しておるようなわけでございます。
  102. 海部俊樹

    海部委員 国内航空会社YS11をどの程度使うかということについては、大体幹線路線では、これはいろいろな経済上の問題から使えない、だからローカル路線に使うんだ、こういうようなことであります。そうなってきますと、いま大臣は、頭金のほうは開銀融資で何とかとおっしゃるのですが、ローカル路線を担当しておる航空会社赤字でありますので、開銀の融資はあまり期待できない、赤字会社には貸さないと思うのです。そうなりますと、販売を容易にするために、たとえば船とか自動車なんかがやっておりますにようなリースという形が残るわけです。この法律の第十三条でありますか「会社目的」、第十九条、目的を達成するための「事業の範囲」、ここのところで第三号に「会社目的を達成するため必要な事業」というのがございます。この「必要な事業」として掲げてある範囲の事業を営もうとするものは通産大臣認可を受けなければならないと、こう書いてあります。ところが、いまの飛行機リースというのは、第十九条の三号に法律的には含めることが可能である、こういう御答弁局長さんからいただいておるのであります。ただ、理論的に可能なだけなのかどうか聞きましたら、大臣認可をされた前例があるということを承ったのでありますけれども、日本国内航空会社にどういう理由でいつリース認可をお与えになったのか、それと同じような考え方を推し進めて、そういうことを希望する赤字に苦しむローカル路線の会社にはリース方法考えてやっていただくお気持ちが大臣にあるかどうかをお尋ねいたしたいと思います。
  103. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 現在までにリース許可を与えた事実はございません。リースの業務が行なえるように日本航空機製造会社がなっておるが、まだ国内においてリース許可を与えた事実はないのであります。そこでお尋ねの、今後そういう考えがあるかないか、こういうことにつきましては、できれば普通の販売をしていきたいと思いますが、必要があれば検討してみたいと思います。なお、外国への場合につきましてはリース考えてみたいと思います。
  104. 海部俊樹

    海部委員 私は、試作機二機のうち一機を国内航空リースする通産大臣認可が出たというふうに聞いたものですから、そう申し上げましたけれども、もし私の聞き違いでございましたら、これはけっこうでございます。  さらに問題になりますのは、飛行機は自由化によって絶対防壁をつくってあるからいいんだというようなことでありますが、それはそれとして、それの議論はいたしませんが、たとえば最近、外国航空会社日本のローカル路線に対してまで飛行機リースで使わないか、こういって盛んに売り込みをかけてきておるという事実があります。そうなりますと、何か世界的な傾向として、販路拡張のためにリース方式がとられて、頭金なしで済むんだと、簡単に言えばそういうことです。その頭金なしで済むというような方法が世界の航空機会社からどんどんと誘いかけが来るという現状でありますと、これは相当深刻な問題になると思いますので、御研究をお願いしたいと思います。
  105. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 外国機のリースの場合でも、これは許可するかしないかという問題がからんでまいりますので、現在許可をする考えはございません。なお、局長から補足説明をいたしますので、お聞きを願いたい。
  106. 川出千速

    川出政府委員 先ほどの大胆の御答弁を多少補足して御答弁したいと思います。  付帯事業としまして、十九条の三号によりましてリース事業は、今年になりまして大臣の一般的な許可をしたわけでございます。なお、具体的に外国輸出する場合にやるかどうかという計画は、まだきまっていないということを申し上げたわけでございます。一般的にはリース事業がやれるように許可をしたわけでございます。
  107. 海部俊樹

    海部委員 でき得る限り、このリース方法が行ない得るように大臣におかれても御研究をお願いしたいと思います。  最後に、これは大臣のお考えだけでけっこうでありますが、YS11型は日本最初の国産機だということで、はなばなしくスタートするわけであります。私たちはその前途に光栄あれと心から祈っておるのでありますが、この間、私が見てきました製造工場では、エンジンとかプロペラとかブレーキとか、いろいろな部品を外国から入れておりまして、三分の一をこえる額が外国からの輸入部品でできておる。そうなりますと、この航空機工業振興法の第一条の目的の中で「技術の向上及び国際収支の改善に寄与することを目的とする。」とこう書いてあります以上、でき得る限り一切のものを国産開発をして一貫作業に持っていきたい。大臣のおっしゃるように、世界に冠たる造船というように、世界に冠たる日本航空機工業というためには、借りものをなるべく少なくしていって、一貫作業をやったらいいのじゃないかという気持ちを強くするのでありますけれども、この点に対する大臣の御決意だけを承りたいと思います。
  108. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 先ほども申し上げたように、航空機製造開発がまだ過渡的な段階であろうと思います。そういうようなことから、YS11の部品の相当部分の輸入品があることは事実でございますが、今後日本の軍工業の、あるいは電子工業の技術をもっていたしますれば、輸入品をでき得る限り少なくする、また将来にわたっては輸入品をほとんど使わないで済むというような段階まで行き得るものと私は推察をしておりまして、御趣旨の線に沿いまして、でき得る限りそういう方向に振興していきたいと思います。
  109. 内田常雄

    内田委員長 板川正吾君の追加質疑を許します。
  110. 板川正吾

    ○板川委員 大臣の都合で中断しておりましたが、このYS11が予定どおり売れて、予定の年限を過ぎた場合、一体日本航空機製造株式会社なるものは解散するのですか、それとも次にその組織の上で新しい飛行機開発しようとするものですか、その点、大臣でも、あるいは局長でもいいです。
  111. 川出千速

    川出政府委員 YS11機の生産は、今後数年続くわけでございますけれども、次の機種開発につきまして、現在検討中でございます。何にしましても、開発費に相当の金額を要します。わが国航空機工業の技術水準等も考え、あるいは需要の面も考えませんと、つくったけれども売れないということになりますとたいへんでございますので、どういう機種をそれに選定するかということは、よほど慎重にしなければいけないかと思っております。航空機工業審議会にも諮問をいたしまして、適当なときに結論を得て、その準備にとりかかるつもりでございます。
  112. 板川正吾

    ○板川委員 いまのYS11の製造方式は各社で部品を部分的に組み立てて、それを一カ所で最終的に飛行機に組み立てる、こういう方式をとられておりますね。こういう方式で次を考えていくのか、それとも一貫作業をやり得る飛行機としての部品組み立て、同じ地域の工場内で全部やるとか、こういう製造方式をとるのか、どっちが日本の場合には有利ですか。
  113. 川出千速

    川出政府委員 長い歴史を持っております民間航空機工業がございますので、その設備を活用してやるほうが、設備重複にもなりませんし、能率的でございます。そういうような趣旨で航空機製造会社の現在の生産方式が行なわれておるわけでございまして、これを変えるよりも、現在の方式を継続するのがいいのではないかと私は考えております。
  114. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、次期の飛行機開発するについても、いまの日本航空機製造株式会社ですか、こういったもので、直接設備を持たずに各社の設備を生かしつつ、部分を集めて最終的にそれを組み立てて販売する、こういう方式のほうが将来日本としてはいいということですね。
  115. 川出千速

    川出政府委員 現状においては、そのほうが経済的であろうかと考えております。
  116. 板川正吾

    ○板川委員 それから次の機種ということになりますが、これは順調に販売された場合には、次は何をつくるかということになります。その場合、欧米諸国のように飛行機が軍需に相当比重がかかっておる、また国の面からも、国防の見地から相当資金的な援助、技術的な援助があるのですね。軍需があるために、民間航空の上に軍需が乗っかって大量生産という方式がとられておる。日本の場合には憲法で禁止されておりますから、軍需を拡大するというわけにはいかない。そういう点はないという形になると、飛行機外国競争するためには、そういう大量生産式な、あるいは軍用飛行機と共通したようなものと競争したのでは、開発しても競争にならぬじゃないかという感じがしますね。ですから、これからの日本飛行機製造工業というものを発展させようというならば、何といっても輸出するためには国内の需要がなければだめなんです。国内の需要がなくて輸出だけに依存するというようなわけにはいかないです。国内の需要を想定し、これを満たすような条件で、しかも将来の輸出先というのは欧米諸国とかいうのじゃなくて、やはり中国なりこの近隣の東南アジア諸国、こういう国が大部分を占めると思うのです。だからそういう国で使えるようなもの、しかも日本で民需が相当あるもの、こういうものに焦点をしぼってこざるを得ないのじゃないか、こう思うのですね。そうすると特殊な小型機とか、あるいはヘリコプターというようなもの、こういうところに次の機種開発する方向というものはあるんじゃないかなと、こんな感じがしますが、いかがでしょうか。
  117. 川出千速

    川出政府委員 次の開発機種をどういうふうにするか、非常にむずかしい問題でありまして、いま考えられますのは、たとえば中型のジェット輸送機でございますとか、あるいは民間用のヘリコプターもあるかもしれません。そのほか、一つ航空機企業でできるものは、特に多額の国家資金の援助の必要がございませんので、相当開発費用を要する特殊の新しい型のものがどういうものがあるかというようなことで今後検討をしたいと思っておるわけであります。
  118. 板川正吾

    ○板川委員 この種の飛行機だけは日本にまかしたほうがいいというふうなものがあればいいと思うのですね。最近はイギリスなんかでも、イギリス軍用機ですら採算上からいって国産機を使わないで、必要な部分はアメリカから買ったほうが安い、こういうようなことで外国から買おうという時代だそうであります。ですから、ある種の飛行機だけは日本独特だ。軍用機を売るわけにはいきませんし、ああいう大型輸送機というわけにもいかないでしょう。ジェット機というわけにもいかないでしょう、いや、ジェット機ジェット機かもしれませんけれども、とにかく軍用機に似た飛行機ではとても競争にならぬから、この種のものだけはやはり日本に注文したほうが安い、こういうような性質のものを総知を集めて検討して、次の機種開発の場合にはひとつそういう方向にいってもらいたいということを要望いたします。終わります。
  119. 内田常雄

    内田委員長 関連して五島虎雄君の質疑を許します。通産大臣が予算委員会の分科会から出席を要求されておりますから、簡単にお願いいたします。
  120. 五島虎雄

    ○五島委員 通産大臣はけっこうです。  海部委員や板川委員の質問に関連いたしまして、いよいよ空の交通というものが国産機で飛べるようになる、こういうことは私たちも喜ばしい限りだと思います。ところが月に一・五機の生産能力であって、そして昭和四十五年までに百五十機ですか。そうすると航空産業が見合い上引き合う、そして、現在のままの状況では少々ばかり黒字になる予定である、こういうようなことです。ただいま板川君が言われましたが、外国輸出するというようなことになると、外国産業と太刀打ちをしなければなりませんから、政府はずいぶんこれを補助し、支援しなければならない。そうすると、まずもって国産品が製造されるわけですから、そしていまわが国の国民は外国飛行機だけ乗っているのですから、しかも航空機を利用するということは国民大衆のものになっていないのですから、したがっていよいよ国産機を量産するにあたって、将来国民のものに飛行機の輸送というものを持っていかなければならぬ。そうすると運賃対策というものも必要じゃないかと思うのです。いまのような料金で国民大衆のものになるかどうか。これは一部の人の利用にしかすぎない。それに多くの金をかけて国内で生産をし、需要を満たしていっても、国民大衆のものにならない限り、一部の人の交通機関になってしまう。そうすると、これからどんどん料金を安くしていくということになると、量産というものに阻害を与えることになりはせぬか、こういうことです。阻害するということは振興の度合いを弱めるということになります。しかし、私たちは空にも海にも陸にも交通機関というものは発展し、振興せしめなければならない、こういうように思うわけです。そうすると、さっき答弁されましたように、いまのところでは若干の黒字がある予定でございますということについては、運賃料金というものはそのままの形に据え置いた、その航空機会社の黒字、こういうようなことになるわけです。そうすると、運輸省関係では、これは実際使い、そして料金を取らなければならぬのです、料金によってその企業が成り立つわけでありますから。そうすると、その料金によって毎年二五%の需要量がふえていく、こういうことでありますけれども、陸上の輸送のサービスが発展すれば、空のサービスも発展増大していかなければならないわけになりまして、常に流動的であろうと思うのです。そうして月産一・五機の生産量で数年かからなければ需要を満たすことができないということになると、今度は技術面で、その数年の間に外国はどんどん技術が進歩していく、それに太刀打ちしていかなければならない、こういうようなことになりますと、国内の需要というものが根本にならなければなりませんから、なかなか見合いがとれないのではないか。こういうようなことに対して、運輸関係のほうでは料金政策と量産という関係においてどういうように見ておられますか。あるいは通産関係としてそういうようなものを見通した上の量産体制かどうかということについて、ただ一点質問をいたします。
  121. 町田直

    町田説明員 ただいまの御質問の運賃の問題でございますが、まず今後五年間くらい二五%ずつ伸びるという予想は、先ほど御説明を若干省略いたしましたが、いままでの伸び方は実はもっと多うございまして、三〇%ないしは多いときは四〇%くらい伸びた年もあったかと思います。しかし航空の利用率もだいぶ落ちついてまいりましたし、それから、先ほど御質問のあった新幹線インパクトというようなものもございますので、今後の伸びを一応二五%というふうに組んだわけでございます。これは将来のことでございますからわかりませんけれども、場合によるともっと大きな伸びがあるかもしれないというふうに考えられるわけでございます。  そこで運賃の問題でございますが、これはやはり企業といたしましては、ペイする運賃でございませんと事業が成り立っていかないわけでございます。一般的なことを申し上げますと、ローカル線では運賃がかなり安過ぎて経営が苦しいという状況でございます。これは利用率の関係その他いろいろな条件がございますけれども、そういう状況でございますので、いまさしあたって運賃を下げるとか、そういうふうなことを考えてはおらないわけでございます。むしろローカル線等につきましては、飛行場の整備とかあるいは飛行の定期化とかサービスの向上とか、そういうことによって今後できるだけ集客を多くするというふうな考え方でおるというふうにお考え願いたいと思います。
  122. 内田常雄

    内田委員長 次会は、明後二十六日金曜日午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十三分散会