○河野(正)委員
法案の適正を期するという
意味におきましては、やはりそれぞれ各界、各方面の衆知というものを集めて、そして
法案の完ぺきを期していかなければならない。そういう
意味では、私はやはり、この
審議会というものはそれぞれ権威者を集めて
意見を聞くわけでございますので、過去の事例については十分反省をせられて、今後こういった
社会保障の問題についていろいろな異論が出てこぬように、この点は十分御注意を願うべきだと思います。
いろいろございましたけれ
ども、大臣からも率直な御見解を承りましたので、ひとつぜひ将来はそういう方向で善処せられんことを望みます。
特に私はきのうも申し上げたのでございますけれ
ども、この
精神衛生については、欧米先進国は非常に進歩いたしておるわけであります。しかるにかかわらず、一九六三年におきましては、ケネディが
精神障害者及び
精神薄弱者に関する教書というケネディ教書を議会に提案をして、そうしてもう減税は一応中止しても
精神衛生対策に抜本的な方策というものを立てなければならぬ、こういうようなケネディ教書の問題もあったわけでございます。そういう点から考え合わせましても、このそれぞれの
関係機関あるいはまた
審議会、そういう方面の
意見を一そう重視しなければならぬということは、欧米先進国の例を見てまいりましても考えなければならぬ問題だ、私はこういうように考えまするがゆえに、反省を求めたということを御理解をいただきたい、かように考えます。
本論に若干入って、重要な点については、ひとつ明確にいたしておきたいと思います。
その第一は、この
精神衛生法の骨格というものは第一条と第三条にあると思うのです。そこで、この第一条の定義、これとこの対策というものが、やはり非常に関連をいたしてまいるというふうに私は理解をいたします。たとえば昨年のライシャワー刺傷事件、あるいはそのほかいろいろな社会的な事件が起こってまいりましたが、そういう問題を解決するにつきましては、やはりこの定義の問題を解決する必要がある。たとえば実際に
精神病患者、あるいはまた極端な
精神変質者、こういう
患者については比較的保護もしやすいし、
医療の対象になりやすい。そういうようにきちんと黒色という範囲は捕捉もしやすいし、保護なり民族というものもしやすいのですけれ
ども、灰色の部分、学問的には異常心理という部分もございまして、これは東京工大の宮城教授等によりますと、異常心理についての
日本の対策というものが欠けておる、それが今日のいろいろな社会的な事件となってあらわれているのだ、こういう識者の
意見もあるわけです。そこで、どうしても中岡層と申しますか、ボーダーライン層と申しますか、いわゆる灰色の部分を何とかしてきちんと捕捉せぬ限りは、チェックせぬ限りは、いまいろいろ世間を騒がしているような問題を解決することはなかなか困難だ、こういう理解に立ちます。そういう
意味でいろいろ議論のあったところではございましょうが、やはりこの定義をどこに求めるかということがきわめて重大な問題になってくると思うのです。そういう
意味で、
厚生省がこの
精神衛生審議会の
意見を尊重されなかったということにつきましては、私
どもも非常に遺憾に感ずるわけでございます。いま
局長が
人権問題と言っておりますけれ
ども、これは
人権問題でも考えようがあるわけです。本人の
人権も必要ですけれ
ども、社会の
人権というものも非常に重大です。ですから、その間の調整をどうするかということが非常に大きな問題になってくると思うのです。
患者の
人権だ、
人権だ、もちろん
人権は侵してはいけない。いかぬけれ
ども、その
人権ばかりを唱えることによって、今度はまわりのほうが社会的に被害をこうむってくる。そうすると、一体社会のほうの
人権というものはどうなってくるのだ、こういう問題があるわけですから、そういう
意味で中間層と申しますか、異常心理の範囲と申しますか、いわゆる灰色の部分と申しますか、そういう点の解決というものが当然はかられなければならぬ、そういう
意味で
学会なり
審議会の定義に対します
意見というものは傾聴に値する、こういうふうに私は考えるわけでございますが、その点はいかがでありましょう。