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1965-04-28 第48回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十八日(水曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 楯 兼次郎君    理事 稻葉  修君 理事 小沢 辰男君    理事 田中 正巳君 理事 稻村 隆一君    理事 大村 邦夫君 理事 山口丈太郎君       井村 重雄君    大竹 太郎君       笹山茂太郎君    志賀健次郎君       田澤 吉郎君    八田 貞義君       細田 吉藏君    湊  徹郎君       渡辺 栄一君    井谷 正吉君       川俣 清音君    中村 重光君       華山 親義君    西宮  弘君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  鹿野 義夫君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  高橋 正春君         厚生事務官         (社会局長)  牛丸 義留君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君  委員外出席者         防衛庁書記官         (防衛局第一課         長)      有吉 久雄君         文 部 技 官         (管理局教育施         設部長)    中尾 龍彦君         厚生事務官         (医務局総務課         長)      渥美 節夫君         農林事務官         (大臣官房参事         官)      尾中  悟君         農林事務官         (農政局参事         官)      玉置 康雄君         農林事務官         (畜産局参事         官)      吉岡  茂君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    田中  勉君         通商産業事務官         (中小企業庁計         画部長)    荒玉 義人君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  岡田 良一君         運 輸 技 官         (気象庁予報部         長)      今里  能君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      重兼 暢夫君         建 設 技 官         (道路局企画課         長)      豊田 栄一君         自治事務官         (行政局給与課         長)      胡子 英幸君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君     ————————————— 四月二十八日  委員田村良平君、藤井勝志君、森下元晴君、落  合寛茂君及び泊谷裕夫君辞任につき、その補欠  として志賀健次郎君、笹山茂太郎君、八田貞義  君、華山親義君及び川俣清音君が議長の指名で  委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  東北地方及び新潟県における降雪による災害対  策      ————◇—————
  2. 楯兼次郎

    ○楯委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、東北地方及び新潟県下における降雪による災害対策について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笹山茂太郎君。
  3. 笹山茂太郎

    笹山委員 私は、豪雪による災害救済に関しまして、政府並びに関係当局質問をいたすものでございますが、ことしは全国的に非常に異常な天候でございまして、特に北海道東北地方におきまして、また新潟地方におきましても、例年ならば三月、四月というころは雪解けの時期に入るのでございますけれども、ことしは非常に異常でございまして、かえってこうした融雪どきにおきまして反対に降雪が非常にありまして、しかもまた、一方におきまして寒さが相当きびしく、四月に入ってもときどき降雪があるというような状態で、近来例を見ないところ積雪量でございます。東京におきましても四月十日に雪が降った、こういったことはいまだかつてないような事例でございます。その他、関西方面で奈良県、和歌山県あるいは兵庫県、こうした方面にもことしは雪が相当降って非常に災害を発生しておる、こういうふうな状況でございます。  そこで、特に東北地方におきましては、ところによりましては、明治二年以来の降雪量であったという地帯もあり、また、岩手県西部のようなところは、これまた大正四年以来の積雪量であったというようなことでございまして、秋田県に例をとるならば、例年積雪量に対しまして五割以上も多くの降雪量があったというところ市町村は、全体の市町村の約二一%強を占めているような状態になっておるのでございます。しかもなかなかこの雪は簡単には解けませんで、寒波を伴うところ雪降りは四月中旬まで実は続いておったのでございます。このために交通運輸は全く混乱しまして、十四名に及ぶ死傷者も出まして、その他、建造物倒壊、あるいはまた果樹道路など、全く予想外被害を受けておるのでございます。東北地方におきまして、こうした——ことに農繁期を目前に控えまして農家の方は一日も早く苗しろをつくろうということでやっておりますが、例年ならば大体四月の十日あるいは二十日ごろにおきましては種まきが終わるのでございますが、ことしは依然としてかような状況でございますので、この分でまいりますと、二週間ないし三週間以上こうした種まきがおくれることは必至の状況であるわけでございます。そういうような関係でございまして、被害例年にないほど深刻なものがある。ことに、ここまでくる間におきまして、あの積雪量の多い地帯におきましては、交通関係道路確保するためにたびたびの除雪を行ない、あるいはまた果樹園除雪等が行なわれましたが、そういった点については、ことしは農山村民に対しましてはほんとうに苦労の多い年であったわけでございます。  そこで、この災害に関しまして、政府は、全国的にどういうふうな被害状況になっておるかというについてはたぶん把握されておると思うのでございますが、このことしの豪雪は、昭和二十八年の一月の新潟県その他北陸地方被害にも匹敵するような被害ではないかというふうにも思うのでございまして、こうした点について、全国的な異常な天候によるところ豪雪被害、この被害額はどの程度に達しておるか、この点について明らかにしていただきたいと思うのでございます。
  4. 尾中悟

    尾中説明員 本年は、全般的に見まして雪そのものが全国的に多いということではないわけでございますが、いま御指摘がございましたように、東北新潟等におきましては、例年でございますと一月ないし二月ごろ相当な雪が降るということで、三月以降は融雪時期に入ってくるわけでございます。ところが、時期が非常にずれておりまして、二月の下旬ごろから三月、それから四月に入りましてもなお積雪を見るというようなことで、融雪時期が十日ないし二十日間、地帯によりましておくれておるということでございます。特に地帯によりましては、山形県の一部、秋田県の横手、大曲等地区、福島県の南会津地区新潟県の魚沼三郡、それから岩手県の奥羽山脈寄り地帯等におきましては、いま申し上げましたように、現在におきましても相当な雪がまだ残っておって、融雪時期が非常に遅延しておるということでございます。その他の地区におきましては、三月の中旬に関西にぼた雪の被害があったわけでございますが、山陰、北陸等におきましては、むしろ地帯によっては例年より雪が少ないというような状況でございます。いま申し上げましたように、東北新潟あるいは北海道の一部におきましては非常に積雪期間が長い、融雪時期が非常に遅延しておるということで、被害といたしましては、まだ雪がございますので、はっきりしたことはわかりませんけれども、雪の下にある冬作物麦等被害が相当あるのではないかということ、それから果樹等の枝折れだとか、あるいは野鼠等による被害も相当あるのではないかということが東北等につきましては予想されております。一番問題なのは、融雪時期の遅延に伴う稲作への影響でございまして、この点につきましては、鋭意、委託苗しろあるいは共同苗しろなどと、関係の県なりあるいは市町村においては、時期を失しないように早く苗しろづくりをするように現在努力を重ねておる最中でございます。なお、融雪時期になりますと、出水等による被害なり、あるいは果樹の枝折れ、その後天候不順になりますと病虫害の発生等が予想されるわけでありますが、これらはいずれも今後の問題でございますし、現在の被害状況につきましても、なお雪が相当あるというような状況でございますので、的確なる資料はつかんでいないわけでございますが、今後、時期を失しないように実態を把握いたしまして対策を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  5. 笹山茂太郎

    笹山委員 ただいまのお話によりますと、雪消えが遅延しておるから、それに伴うところのいろいろな方面被害があるというふうな点を中心に考えられておるようでございますが、現に降雪のために、たとえば麦あるいは牧草その他裏作の関係については、これはほとんど全滅に近いところも少なくないのでございます。ことにまた、雪が深いために、山に滞貨しておるところの木材とか木炭の運搬も思うにまかせず、これまた相当滞貨して眠っておるような状態、ことにことしは、気象庁予報でも、将来におきまして相当心配されるような天候——まあこのくらいおくれましても、実はその後におけるところ天候高温多照が続きますればあるいは作柄も平年くらいにいくのじゃないかというふうに思うのでございますが、何ぶんにもこれから早く秋冷えがくるとか、あるいはまた雨が多いとか、こういった長期予報でございまして、このため農民前途暗たんたる気持ちでもって一生懸命苗しろ作業除雪に実は努力をしておるようなありさまでございまして、そういった不安感は、この前の三十八年も豪雪でございましたが、ことしは特にこうした将来の作柄不安という点については、きわめて深刻な心理状況に実は農民としてはなっておるのでございます。そこで、これらの関係について、全国の各県からそれぞれおおよその被害額の見積もりというものは、たぶん農林省その他におきましても得ておると思うのでございます。それを計算した場合におきまして、一体どのくらいの被害額になっておるかという点はおわかりになっておると思うのでございますが、まだ集計しておりませんか。
  6. 尾中悟

    尾中説明員 ただいま各県から出ておりますものの中には、実は稲作の苗しろづくり等遅延に伴いまして今後稲作そのものに相当な被害があるのじゃないかという見込みの減収が入っておりまして、現実の、いまの麦等冬作物被害でありますとか、あるいは果樹等被害につきましても、おおよそのものは出ておりますけれども、いずれも雪がありまして、まだ的確な数字としてはわれわれのほうもつかんでいないというのが実情でございます。県の数字がないわけではございませんけれども、いまちょっと集計したものは持っておりませんので……。
  7. 笹山茂太郎

    笹山委員 その点については、この前の三十八年の一月の場合だと、どのくらいの死傷者が出たとか、あるいは倒壊した建造物がどれだけあったといったような報告が実は早く本省のほうに伝達されておったわけでございますが、ことしはそうした事情はございませんですか。やはりなだれ等によって相当死傷者が出たはずでございますが、そうしたことはございませんですか。
  8. 尾中悟

    尾中説明員 先ほど来申し上げましたように、雪の量自体は、例年一、二月になりますと、いま申し上げましたような地帯では相当あるわけでございますが、今回の特徴は、その時期が非常にずれて、融雪が現在なお今後に期待されておるというような状況でございますので、農林省のほうに、特に建造物倒壊であるとか、あるいは人命に対するいろんな被害があったというようなことについては、ただいま報告を受けていない状況でございます。
  9. 笹山茂太郎

    笹山委員 その点、今度の豪雪に対する考え方がこの前のときと非常に違って、どうも楽観しているような調子があるのじゃないかと思っておるのでございます。三十八年の場合においては、それぞれ、北陸地方豪雪災害非常対策本部というものが中央に設けられまして、また各県にはそれに対応するところ対策本部が設けられておったのでございまして、そういった各省の連絡、情報あるいはまた対策の打ち合わせ、こういったものは相当活発に動いておったようでございますが、まだ死傷者もわからないというふうな状態、あるいは倒壊した建造物状態もまだわからないというようなことであっては、今度の豪雪に対する関係は、単に雪解け遅延したというふうなことだけではなくして、豪雪そのものによって非常に除雪に苦労したとか、あるいはまた建物がこわれたとか、そういった面も相当あるのでございますから、この豪雪対策については、単に雪解け遅延というふうな面ばかり考えないで、豪雪そのものから受ける直接の被害も相当あったはずでございますから、こういう点についてはひとつ十分今後調査をしまして、適切な対策を立てていただきたいと思うのでございます。  それでは、各省にわたりましてお尋ねしたいのでございますが、まず経済企画庁に対しまして質問を申し上げます。  現在、豪雪地帯対策特別措置法という法律があるのでございます。これは三十七年の四月に成立したものでございますが、この運用はいまどうなっておるかということをお聞きしたいのでございます。この法律によりますと、積雪が特にはなはだしいため、産業の発展が停滞的で、かつ、住民生活水準の向上が阻害されている地域について、雪害防除その他産業等基礎条件の改善に関する総合的な対策を樹立すると書いておるのでございます。しこうして、この豪雪地帯ということを政府のほうで指定して公示することになっておるのでございます。また、いろいろこれに対する基本計画もつくることになっておるのでございますが、こういうことについては、この法律運用についてどういった程度まで現在進んでおるのか、あるいはまた、その計画に基づいて今度の豪雪についてどういうふうな対策を講じておったか、この点をまずお聞きしたいのでございます。せっかくいい法律ができておるのでございますが、その運用がよくないとただ単に眠っておるのでございまして、これははなはだけしからぬことでございます。また、この基本計画がもしできておるならば、これを実行に移す場合においてその予算もあるはずでございますが、その予算が一体どういうふうな状況になっておるか、まずこの点をお聞きしたいと思います。
  10. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 笹山先生のおっしゃるように、豪雪地帯対策特別措置法昭和三十七年の四月に成立いたしまして、以来どううふうな法に基づく対策をとってきたかということを簡単に御説明申し上げます。  第一は、法に基づきまして審議会が設けられ、審議会の御意見に従って豪雪地帯の指定が行なわれたわけでございますが、全部の地域を指定した府県といたしましては、一道九府県にわたり、また、その県の一部を指定いたしましたところは一府十三県にわたり、全体の面積でいいますと、国全体の五二%くらいに当たる広い地域が、豪雪地帯として審議会等の御審議を得た基準に従って指定されたわけでございます。  なお、法に基づきまして、先ほどおっしゃられましたように、基本計画をつくるということになっております。この基本計画につきましては、昭和三十九年の二月に基本計画が決定されまして、基本計画内容は、大体法において基本的な線は定められておりますが、交通通信確保のための交通通信施設整備、あるいは農林業における雪害防除及び生産条件整備、あるいは豪雪地帯特殊事情に即応する教育施設生活環境等整備、さらに、豪雪害防除するために必要な国土保全施設整備、また、雪に関する総合的な調査研究体制及び気象業務整備強化といった、非常に広範囲にわたるものでございまして、計画は、審議会の議を経て、先ほど申し上げましたように三十九年の二月二十五日に決定されたわけでございます。  計画に基づきまして各省施策がなされるわけでございます。それは毎年度予算においてそれらの施策の実現をはかるための措置がとられてきているわけでございまして、予算的な措置については、経済企画庁のほうにも、経過といいますか、報告がなされ、その全体の調整にまた経済企画庁としては努力いたしておるわけでございます。  なお、具体的には、経済企画庁には調整費という予算がございまして、本年度でいいますと四十五億の予算になっておりますが、三十九年度では三十六億円の予算がございまして、豪雪地帯に対しましても調整費の配分がなされ、特に豪雪の純粋な対策として約二億円のものが三十九年度は計上といいますか、支出されておる次第であります。  また、全体の豪雪地帯の基本的な調査研究という面では、経済企画庁から三十八年度以降毎年調査委託費が出されまして、豪雪地帯豪雪による一次産業、二次産業あるいは三次産業に対する影響とか、豪雪地帯住民生活に対する豪雪影響、あるいは運輸通信事業に対する影響等についての調査を続けてまいっておりまして、かなり内容のある、今後の施策の基本的に参考になる報告が出てまいっております。本年度におきましてもさらに基本的な調査を続けていきたいと思っている次第でございます。  なお、豪雪地帯基本計画を策定いたしましたときに、審議会の御意見によりまして、豪雪地帯における税の合理化についての問題を研究いたして、それを審議会意見として関係省に伝えるということで、かなり長期にわたって審議を願いまして要望書をまとめて、大蔵省自治省等にその要望書をお伝えして、私どもも直接主税局、自治省にまいりまして、要望書に盛られた税の合理化についての推進方を要請いたしておる次第でございます。  概略申し上げますと、そういったような経過を経てまいっておりますが、なお、私ども今後毎年の予算措置において、各省豪雪基本計面に従って対策を進めていただくように、企画庁としても努力いたしてまいりたいし、また、企画庁独自に計上されております調整費活用も大いにはかってまいりたい、そういうふうに考えております。
  11. 笹山茂太郎

    笹山委員 ただいまの御説明でよくわかった気がするのでございますが、どうもこうしたりっぱな法律があるのに、ことしのような場面におきましては、あまり採用といいますか、活用がぴんと実は地元のほうにきておらないというふうな状況でございます。基本計画を立てておるというけれども、この指示された市町村におきましては、はたしてその地方その地方の独自の、また特色を持ったところの具体的な計画が立てられておるのかどうか、また、この実行する場合の予算は、これは企画庁のほうに確保しておるのであるか、あるいは各省それぞれ実行関係予算を持っておるのであるか、その点だけひとつ承ってみたいと思います。
  12. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 基本計画には具体的な数字等はあがっておりませんが、基本計画の裏づけとなるものとして、各地方府県において今後の豪雪対策事業をどういうふうに進めるかという長期的な計画といいますか、要望といいますか、いわば今後の予算要求等についての基礎となる計数をまとめております。それは総合的な計画になっておりますので、それに従って地元の道府県につきましても今後の対策要求をなされており、全体といたしましてはかなりぼう大なものでございまして、一兆をこえる数字になっております。各府県においてかなり詳細な計画内容を固めております。  なお、予算の扱いでございますが、基本計画を具体的に遂行していく予算というのは各省に計上しておりまして、企画庁には、先ほど申し上げましたような調整費予算が計上されているだけでございます。調整費活用によって各省予算を総合的な効果あらしめるような措置をわれわれとしてはできるだけとっていきたい。また、各省予算の立て方につきましても、企画庁として、できるだけ豪雪の基本的な計画に沿ってまた総合的に効果あるように御相談申し上げて調整をとっていきたいというふうに考えております。
  13. 笹山茂太郎

    笹山委員 こうした豪雪に対しまして、従来のような対策本部というものが設けられないような場面におきましては、どうしても経済企画庁中心になって各省対策について総合調整をする必要があるだろうと思います。また、被害情報等についても、経済企画庁中心になられて適切な対策を講ずるということが、この法律のたてまえからも非常に重要ではないかというふうに思うのでございます。ことに、この前この審議会において出されましたところの、豪雪地帯の国税、地方税にまたがる税の合理化の問題でございますが、これが実は一向進展しておらない。この点については、せっかくこうした税制の合理化に関するところの具体的な意見が開陳されたのですから、各省にもっと——自治省大蔵省でございましょうか、この点については早く具体化するように、今後とも積極的に十分お働きかけ方を私は要望したいと思うのでございます。  次には防衛庁の問題でございますが、今回の東北地方豪雪については、道路交通確保のため、市町村除雪ができないで非常に困っておったときにおきまして、自衛隊救援出動してくれまして、地元住民から非常に感謝されております。三十八年の豪雪の場合におきましてもたしか非常な活動をされまして、国民から感謝されたと思うのでございますが、自衛隊法の第八十三条には、災害に対するところ救援規定が設けられておるのでございまして、この規定活用によりまして、豪雪被害の場合につきましては救援をする状況になっておるのでございますが、この部隊活動について、除雪その他の器具機械整備状況は一体どういうふうになっておるのであるか、まだ十分ではないというふうな状況であるのか。また、こうした雪のように、きょう降ってすぐ除雪をする、そうすると一晩のうちにまた一尺も二尺も積もる、こういったような性質のものでございますから、どうしても、こうした自衛隊出動場面におきましては、こうした豪雪地帯に対しましては特別な装備を持った自衛隊が必要ではなかろうかというふうに思っておるのでございます。ことに、現在の自衛隊出動については、要請によるところ出動緊急出動の両方があるようでございますが、こうした交通確保とか、あるいはまた救難といったような場面につきましては、もっと簡単といいますか、手軽に出動ができるような制度に改めたほうがいいんじゃないかというふうな説があるのでございますが、この点については、どういうふうにお考えになっておるか、その点を承りたいと思います。
  14. 有吉久雄

    有吉説明員 自衛隊が持っております除雪関係資機材整備の問題でございますけれども、現在、御案内のとおり、陸上自衛隊におきましては、施設関係の師団に直属します施設大隊というものがございまして、そこに、ブルドーザーあるいはグレーダー、あるいはローダー、そのような土木関係資機材相当数ございまして、これを除雪作業にも転用しておるという現状でございまして、一般の部隊には除雪専用資機材というものは、残念ながらいまのところはございません。ただ、除雪車は現在三自衛隊について約七十台ございますが、これは三自衛隊航空基地滑走路除雪をするという目的のために購入されたものでございます。したがいまして、現段階におきましては、いま申し上げましたような土木関係資機材除雪作業に転用しておるということに相なっておる次第でございます。今後の問題といたしましては、豪雪地帯におきます部隊、特に施設大隊でございますが、かような土木専門の部隊除雪専用の車両を配置するということについて目下検討中でございます。  次に、自衛隊が、八十二条との関連におきましてもっと手軽に災害派遣はできないかという趣旨の御賛同でございますが、これにつきましては、緊急出動規定自衛隊法第八十三条第二項にあります。都道府県知事等の要請を待ついとまがないほど事態が急迫した場合には、長官の指定する部隊の長が自己の判断によって現場に災害派遣をすることができるというふうな規定がございます。この規定に基づきまして、防衛庁長官の訓令並びにそれに基づきます各幕僚長の通達によりまして、昭和三十七年以降、できる限りタイムリーに時宜を失しないで現場に災害派遣をするということについて、極力現地の地方公共団体その他と緊密な連絡をとりながらやってほしいという趣旨の指示が中央から出されております。これに基づきまして、たとえて申しますと、あらかじめ災害の発生が予想されるような場合におきましては、事前に地方公共団体、警察、消防等に自衛隊員をあらかじめ派遣いたしまして、そこで情報を収集する、そのことによって法に基づきます行政権者の要請をタイムリーにお受けする、あるいはまた、部隊長の独自の判断によりまして、あらかじめ、災害が発生すると思われる場合におきましては、自衛隊部隊を現地へ派遣いたしまして、いわゆる自衛隊用語で申します事前の偵察を行なうわけでございますが、そのような措置、あるいはまた、災害が突発いたしまして、行政権者と打ち合わせるひまがないというふうな場合におきましては、その地元におきます第一次的な防災関係の責任者であり、かつまた適正な判断を下すであろうところの警察署長あるいは市町村長、こういった方々の通報を受けまして、直ちに部隊長の判断によって現地へ部隊を出すというふうな仕組みに相なっております。したがいまして、現行法令の範囲内におきましても、特に地元公共団体との連絡を常時緊密にすることによりまして十分タイムリーな災害派遣はできる、このように第一線の部隊を指導してまいっておるわけでございます。
  15. 笹山茂太郎

    笹山委員 ただいまのお話でよくわかりましたが、どうも災害という概念の中に、雪害というふうな、どっちかというと慢性的な状況災害は、災害救援という場面におきましては、現地の部隊におきまして、よく認識しておる部隊もあるでございましょうが、全般的に見まして、なかなか災害という観念にはあまり入りかねるという状況になっておるのじゃないかというふうにも思うのでございます。したがって、お願いしたいことは、現地部隊緊急出動につきまして、災害という場面におきましては、雪害等によるところ交通の途絶、こうした点が相当大きな意味を持っておるのだという点について、重ねて現地部隊に対しまして御指導願いたい、こういうふうに考えておるのでございます。  以上をもちまして防衛庁は終わりにします。  次には、自治省関係についてお尋ねします。  自治省としまして、今回の豪雪対策につきましてどういうふうな救済の手段をおとりになろうとしておるのであるか、お尋ねしたいと思うのであります。  普通交付税の繰り上げ交付、これはこの前も前例があるのでございますが、これは今回の豪雪についてやるのかやらないのか、あるいは考慮中であるか。あるいはまた、特別交付税を早目に交付するといったような関係、これは救済の一つの手段としてあると思うのでございますが、この特別交付税の関係をどういうふうにお取り扱いになる方針であるか。また、地方の自治体が災害対策費の調達のために新たに地方債を申請してきたというような場合におきましては、すぐ許可をするのであるかどうかというふうな点、すなわち、地方債の許可について、従来からこうした災害の場合においては緩和した態度をもって臨むかどうかという点についてお尋ねするのでございます。  次には、被害者の救済のために地方自治体が住民税、固定資産税について減免する、こういったような場合におきましては、その財政的な補てんを自治省としましては考慮するのであるかどうか。また大蔵省では、こうした災害の場合におきましては、所得税、法人税については災害減免法というものを適用しておるのでございますが、あるいはまた、納税期限の延長ということも取り計らった事例があると思うのでございますが、地方税全般に関しましてこの罹災者に対するところ措置は、自治省としてはどういうふうな方針をもってこの被害地域地方自治体に対しまして指導しているかという点をお尋ねしてみたいと思うのでございます。
  16. 岡田純夫

    岡田(純)説明員 雪害につきましては、さきに、三十八年度当初に新潟方面その他の豪雪がございまして、その後各方面にそういった例がございますので、漸次これをルール化して、できるだけの手厚いと申しますか、措置をする方向で固めてきております。今回の豪雪につきましても、いま少しく災害被害の計数的な実態を見きわめました上でできるだけの措置をいたしたい。もちろん、起債等につきましては、かりに公共施設につきましての災害でございますならば、従来どおりその地方負担につきましては完全に確保いたし失して、かつまた、その償還につきましても、九割五分まで交付税に算入するという方針は変わりございません。特別交付税につきましては、毎年翌年の年度末の二月に交付することになっておりますが、具体的な数字等はなるべく早く固めながら適当にひとついたしてまいりたい。特に雪害関係につきましては、除雪、それから公共施設関係の建物からの雪おろし計画、その他いろいろ対策等もございますので、それらも含めまして措置いたしてまいる、本年度も従来と同様、あるいは、場合によりましてはそれ以上にひとつ考えてまいるというふうな気持ちを持っております。交付税の繰り上げ交付につきましては、もう少し計数等を見きわめました上で検討いたしたい、かように考えております。
  17. 笹山茂太郎

    笹山委員 豪雪に際して地方公共団体が行なう公共の施設の除雪事業に要する費用の補助に関する特別措置法、こういう法律があるのでございますが、この法律の所管官庁は各省にまたがっておるのでありますが、あるいはまた自治省のほうでこの法律の主体になっておるのでございますか、どうでございましょう。
  18. 岡田純夫

    岡田(純)説明員 それは一応大蔵省と、私どものほうでは心得ております。
  19. 笹山茂太郎

    笹山委員 そうすると、こうした場合におきましては、学校その他道路、こういった公共施設に地方自治体が除雪作業のために相当出費をしたという場合におきましては、この法律に基づいて今回は申請をすれば、政府のほうから補助金が出るのでございますか。
  20. 岡田純夫

    岡田(純)説明員 それらの点につきまして、また、対象物件をどうするかということにつきまして、具体的には関係法令のきめ方によって具体化する、したがいまして、その政令につきまして従来から協議中でございます。自治省といたしましては、極力、必要な対象物件の範囲、あるいはまた、それに対する措置等の内容について、地方団体が大きな負担にならないようにという立場から、意見を申しておるところでございます。
  21. 笹山茂太郎

    笹山委員 せっかく、こうした豪雪災害に関する——普通の災害と違って、豪雪というふうに銘を打った特別の雪害対策の立法なんです。まだ政令が出ないから、こうした補助をするという法律のたてまえが実行されておらないというようなことでは、非常に困るというふうに思うのですが、どうして具体化についての政令が出ないのであるか、あるいはまた、政府の財政関係等についてその点が見きわめがつかないから政令が出せないのであるかという点でございます。もしこの法律に伴うところの政令が出ておるということになれば、こうした地方からの陳情というものは、簡単に、みんなが安心して帰れるという状態になっておるというふうに思うのでございますが、なぜ政令をいまだに出しておらないのであるかという点は、われわれとしてはまことにふに落ちないところでございます。どういうふうなわけであるか、いつごろ具体化ができるかという点について、重ねて御意見をちょうだいしたいと思います。
  22. 岡田純夫

    岡田(純)説明員 私ども、前からこの問題につきましては熱意をもって対処しておるつもりでございます。最近の、何といいますか、主務官庁のそれに対する最終的な見解がどういうふうになっておるかということにつきましては、まだ連絡を受けておりません。
  23. 笹山茂太郎

    笹山委員 どうもそこが——法律制度は、先ほどの経済企画庁関係においてもいろいろあるのでございますが、この豪雪に関する法律は特別立法がたくさんあるわけです。それが一向こういう場面においては政令化されておらない。法律をつくったたてまえからいうと、全く開店休業のようはありさまでございまして、こういう点については、十分ひとつ、今後こういうことを繰り返さないように、早く住民が安心するような具体的な対策をはっきりしていただきたい、こういうふうに思うのでございます。   次は厚生省でございます。  厚生省の法律は、雪害対策の場合におきまして、この前はたしか罹災者のうちで低所得者に対しましては雪おろしの補助をした事例があったわけでございます。今回においても、これを調べてやる意思があるかどうかというような点。  それから、今回の災害は、範囲は、なるほどこの前よりもあるいは狭いかもしれませんけれども、その被害の深さについては、先例にまさるとも劣らないというふうに考えるであります。したがいまして、個人的な立場から申し上げますと、個人の被害の救済という点は、範囲が広かろうが狭かろうが、この被害の深さが大きいのでございますから三十八年のときのような対策をやはりこうした低所得階級につきましてはとるのが当然と思うのでございますが、その点についてはどういうふうに考えておるのでございますか。  また、もう一つ、それは世帯更生資金及び母子福祉資金の追加補助をこの前被害者にやった事例があるのでありますが、今回こうした被害者に対しましてはやらないのであるかどうか、あるいはまた、生活保護法によるところの手当中に除雪費を見るということも前はやった例があるのでございますが、今度こうした点はどういうふうに考えておるか、この点を伺いたいと思います。
  24. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 御質問の第一の点でございますが、雪おろしの費用につきましては、私ども被害地の県の報告をまだ詳細に受けておりませんので、さっそくいま照会をしているところでございます。その実情に応じまして、前回にとった措置と同じような措置を講じていきたい、かように考えるのであります。  それから、一般的に豪雪被害による個人の生活に及ぼす影響というものは非常に大きいことだと思いますので、世帯更生資金の貸し付け並びに母子福祉資金の貸し付けにつきましては、これも低所得者対策として前回と同様な措置を講じていきたい。そのためには、ちょうどいま年度初めでもございますし、災害のための世帯更生資金の貸し付けは、一般の割り当て以外に特別資金の割り当てを従来やっている実情でございますので、県ともよく連絡いたしまして、需要量に応じた適切な資金額の交付を実施していきたい、かように考えるわけでございます。  それから第三点の、生活保護における除雪費の問題でございますが、これも私どもとしては前回同様に考えております。実際の被害状況を見まして、県の要望があれば交付していく、こういう考えでございます。
  25. 笹山茂太郎

    笹山委員 こうした低所得階級につきましては、個人的な災害でございますから、非常に困っておるのでございます。特に範囲が狭いから広いからというような問題ではなくして、非常に深刻な困窮の状態でございますから、ぜひ親心をもって、前例に従って御処置をされることを要望しておく次第でございます。  次に文部省でございますが、文部省は、災害家庭の児童とか生徒に対しまして、学用品あるいは教科書、また修学旅行の費用までこの前はめんどうを見ておったという事例を聞いておるのでございますが、こういうようなことは今回の災害についてはどういうふうにお考えになっておるか、その点を伺いたいと思います。
  26. 中尾龍彦

    ○中尾説明員 文部省におきましては、在来の例にならって十分措置を講じていきたいと考えております。
  27. 笹山茂太郎

    笹山委員 もう一つ文部省にお尋ねしたいことは、さっきの法律運用の問題でございます。地方自治体が公共の建物の除雪について要した経費について補助するという関係でございますが、公立学校等におきましては、今回の豪雪によりまして例年に倍する雪おろしの費用を使っておるのでございます。そういう場合におきまして、政令が出ないというからこの法律の直接の適用はできないかもしれませんが、この法律の趣旨から考えて、こうした公立学校の除雪費用について文部省としては何か対策を考えておるのかどうか、その点をひとつお尋ねしたいと思います。
  28. 中尾龍彦

    ○中尾説明員 豪雪に際しましての特別措置という法律がございます。これに該当するものであれば、私ども十分除雪の補助を考えていきたいと考えております。  なお、先ほどお話がありました政令の作成がたいへんおくれておるというお話で、まことに恐縮でございます。私どものほうでいろいろな資料を集めまして、そうして目下その実態についてその結果を分析中でございます。近くその作業が完了する予定でございまして、さっそく関係方面と協議して、その政令のできることを努力したいと考えております。
  29. 笹山茂太郎

    笹山委員 この政令が出ないために、せっかくりっぱな法律各省で眠っておるわけです。だから、この政令さえ出れば、この法律に基づいててきぱきと運用ができると思うのです。法律ができたから、これによって運用ができるだろう、こういうふうな期待を実は国民がみんな持っておる。ところが、内部に入ってみると、政令が出ないから、法律はできたけれども、その法律活用がどうも行なわれないというふうな関係でございます。しかしながら、政令が何かの事情でもってできないとしても、この法律は国会の承認を得たもので、国民の前にはっきり約束していることでございますから、政令が出ないでも、何か便宜的な手段として、法律の趣旨に該当するような対策をひとつ考えてもらいたいというのが私の要望でございます。  文部省はそれで終わります。  次に建設省でございます。  今回の被害地域市町村は、道路除雪についてばく大な出費が要ったと思うのでありますが、この町村の除雪作業によるところの負担軽減についてどういうふうに考えておるのであるか。また、今後雪解けによりまして路面が相当破損すると思うのでございますが、この場合の路面の破損の修理という点は急を要する問題であるのでございますが、これについて建設省はどういうふうに考えておるのであるか、こういう点についてまずお聞きしたいと思うのでございます。
  30. 豊田栄一

    ○豊田説明員 お答えいたします。  ただいま先生のお話の除雪の問題についてでございますが、除雪は、私どもといたしましては、雪寒法に基づきます道路交通確保の五カ年計画によりまして、現在第二年目を迎えてやっておる最中でございます。お話は市町村道の除雪の問題かと思いますが、この点に関しましては、除雪の中で一番経費のかかりますのが機械でございまして、機械の補助が三十八年から市町村のほうに行なわれるようになって、現在逐次台数をふやしておるところでございます。一般分としましての市町村道の除雪そのものにつきましては、現在は地方単独事業で行なわれるたてまえでございます。
  31. 笹山茂太郎

    笹山委員 雪寒道路と申しましても、これは御承知のように一つの規格がありまして、全部の市町村道路がこれに該当するわけじゃないのです。しかしながら、こうした降雪量の多いときは、住民交通確保の安全を守るというふうな関係から、自治体が相当無理をしましてこの関係については昼夜を分かたず努力しておったわけでございます。そのために費用が相当大きい。そういうふうな点から見ると、この雪寒道路関係の従来の指定基準というものを若干変えてこれは拡張する考えはないかどうか。あるいはまた、昭和三十七年度におきまして雪寒道路を相当延長されたですね、その後におけるその基準の緩和等によりましてもっと延長が追加してされたかどうかという点について承りたいと思います。
  32. 豊田栄一

    ○豊田説明員 全体の規模で申しますと、今度の第四次の五カ年では、除雪の総延長は十一万一千キロという数字にいま大体閣議決定されております。したがいまして、年率の延びは相当多うございます。そういう点で指定延長という延びは相当になるかと思いますが、その実体、中身につきましては、各道路種別によって若干の差があることは事実でございます。
  33. 笹山茂太郎

    笹山委員 でき得る限り、こうした降雪地帯除雪の費用負担軽減のために、この雪寒道路の指定についてさらにまた延長をひとつ考えてもらいたいと思います。  これはあるいはあなたの係でないかもしれませんが、住宅その他建造物等が倒壊したという場面におきまして、その災害復旧のために住宅金融公庫のほうから災害融資というふうなものがことしも行なわれる方針であるかどうか、その点をお聞きしたいのです。
  34. 楯兼次郎

    ○楯委員長 住宅関係の人は来ておりませんが、呼びますか。
  35. 笹山茂太郎

    笹山委員 では、ぜひやってくださいと、あなたからお伝えください。  建設省はそれで終わり、あとは通産省に入ります。  通産省にお尋ねすることは、今回の豪雪被害によりまして中小企業者の店舗あるいは事業所が倒壊したものがあるのでございますが、この復旧について何か融資その他の助成の方法を考えておるのであるかどうか。あるいはまた、中小企業者が豪雪によって非常に困難をしたという場合におきまして、従来ならば、中小企業金融公庫とか、あるいは商工組合中央金庫、こういった方面から豪雪災害融資というふうな融資として特別のワクを設けられたような事例もあったのでございますが、今回はそういう点についてどういうふうな対策をお考えになっておるか。この二点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  36. 荒玉義人

    荒玉説明員 御承知のように、普通の場合ですと、直接災害によって影響を受けたという場合に、激甚災害の場合は特別な措置をとっておりまして、金利も六分五厘、通常の金利より安い金利で大幅に他の条件を緩和しております。現在のような場合におきましては、大体秋田県につきましては、各政府三機関のいろいろ現地の事情を聞いて、ただいま現在のところですと、特別のワクをつくらなくてもやっていけるという見通しでございます。個別的に申しますと、国民金融公庫が主としてこれに当たる場合が多いかと思います。大体一千万程度あれば対処できるという報告を受けておりますので、特別のワクをつくらなくても十分やれる。商工中金その他中小企業金融公庫は、いまのところそう該当者がございません。これも逐次状況が判明していけばあるいはもっと多くなるかもしれません。いずれにいたしましても、現在各支店が持っておる資金量その他でもってやっていけると思います。そういう意味で、特別ワクをつくらなくても十分やれる。金利の点は、さっき言いましたように、激甚災害以外は普通金利並みであります。償還難問その他につきましては、個別の事情に応じて弾力的措置をやるというふうなことを現在のところ考えております。
  37. 笹山茂太郎

    笹山委員 さっきお尋ねしたのは、店舗とかあるいは営業所が雪で倒壊したような場合に、復旧資金が要るわけですね。その復旧資金を一体どこからお世話願うのであるかということをお伺いしたいのです。
  38. 荒玉義人

    荒玉説明員 住宅は、さっきの住宅公団の話でございますが、われわれのほうは、そういう店舗その他の場合にはやはり金をめんどうを見ております。したがいまして、いまのところ、県の調査によりますと、大体二千六百万円程度金が要るということでありますが、当然政府関係三機関の対象になると思います。そういうルートでめんどうを見さしていただきたいと思います。
  39. 笹山茂太郎

    笹山委員 通産省は終わりとしまして、次は農林省に入ります。  今回の災害は、先ほど説明がありましたように、雪解けが非常におそいということが非常に心配されておるのでございます。そのために、早く除雪をして苗しろをつくろうというようなことに全力をあげておるような状況でございますし、また、雪が解けてみると、果樹園等に行ってみると、枝折れがあり、花芽が欠けておったり、そうしてまた、根元のほうではネズミが食ってもう幹がすっかり破られておるという関係で、植えかえをしなければならぬじゃないかという状態果樹園も相当あるのでございます。今度これから開花期を迎えますと、例のモニリアがすぐやってくるというふうなことで、果樹園を営んでおる農家が、この豪雪についてはほとんど参ったというふうな惨たんたる状況でございますが、これらの関係については、さっき御説明があったように、委託苗しろとか、あるいはまた、果樹園防除対策とか、いろいろやっておるようでございますが、その点については、これらの救済策、手段を現在県なりあるいは地方の自治体がとっておるわけでございます。これについて政府のほうで将来どういうふうな助成をするのだというめどがまだはっきりしておらないようでございます。もちろん、大蔵省との関係がありますので、いま直ちに具体化して申し上げることは困難であろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、ことしは、このままの状態にしておきますと、食糧事情にも非常に大きい影響を来たしますし、天候が悪いけれども、とにかくことしは例年以上の作柄をとってもらいたいというふうな配慮をもって、積極的に農家を奮起させるようなやり方が最も必要ではないかと思っております。したがって、具体的な金額がきまらぬでも、いずれあとから助成するのだから、これこれのことは大体この見当でやってくれ、そうしてがんばってくれという点についての御指示なりあるいは通達が十分まだ到達しておらないように考えるのでございます。その点について、ある種の通牒なりあるいは御指示が地方庁あるいは地方自治体に対しまして行なわれたかどうかという点についてお尋ねしたいと思うのでございます。
  40. 中西一郎

    ○中西政府委員 先ほど来のお話でだんだん全体の模様もはっきりしてくるわけでございますが、現段階では、特に苗しろの関係につきまして三十八災のときの措置と同様に補助するという方向で大蔵省当局と折衝を始めております。ただ、数学がまだ十分に固まっておらない点がございます。概要でいいますと、新潟、福井、島根等で、苗しろの所要面積が、三十八年の被害のときには八百町歩ばかりでございました。今度岩手秋田、山形、福島等で現在集計しておるところによりますと、三千四百町歩というふうに非常に大きな数字になって実は出てきております。なお関係県当局と数字を詰めまして助成の方向に持ってまいりたいと思っております。  それから、三月の上旬以降いろいろな気象の変化がございました。その間、凍霜害対策あるいは雪害対策、今後の稲作の問題、桑の関係果樹関係、それぞれ担当官を現地に派遣し、さらに県当局とも連絡をとりながら、必要な予防についての通達を出すというふうなことについては、それぞれやってきております。特に稲作の今後の問題については、お話のように非常に重要な問題をはらんでおるとも考えられますので、万全を期してまいるということでそれぞれ措置をしております。  なお、農林省といたしましては、長期予報との関係もあり、事態が深刻になったあとで対策を講ずるというよりも、現段階からいろいろ手当てをしていって、積極的に現地地方公共団体とも連絡をとっていくということの必要性を感じまして、まだ事務的な段階ですけれども、できれば大臣の御了承を得て災害対策本部のようなものを至急に設置して、地方にも農政局がございますが、地方農政局にも同様の体制をとりまして、それぞれ現地との連絡を密接にとってまいるという用意を現在進めておるところでございます。
  41. 笹山茂太郎

    笹山委員 そこで、被害農家の立ち直りをこの際助けまして、そしてこれから大いにやってもらいたいというふうな関係、鼓舞激励といいますか、こういうような勧点からすると、いろいろ自作農資金の貸し付けの場合とか、あるいはまた天災融資法の発動、こういった点についても、従来以上にひとつ至急にやっていただきたいと思うのでございます。特に天災融資法については、この前の国会で相当程度改善をしたのでございますが、何としましても、こうした災害場面におきましては、営農を継続するという点から考えると、最も大事な制度、法律であるのでございますから、この国会におきましても至急に天災融資法の改正を行ないまして、融資ワク、貸し付け限度の拡張とか、あるいは金利の関係、償還年限等について思い切った改善を加えて、ひとつ国会に早く出していただきたい、こういうふうに考えておるのでございます。  次に、森林の被害でございますが、これは雪が深いために非常に枝折れがある、それを補うためになわを張ったり何かしていろいろ苦労しておるのでありますが、この森林被害については、森林保険特別会計というものから気象災害保険金というものを支払った前例があるのでございますが、ことしもこうした森林災害についてはこの保険特別会計から気象災害保険金というような名目で援助ができるのかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  42. 尾中悟

    尾中説明員 いまお話のように、森林保険の場合には、気象の災害、気象等の原因、いわゆる天災に基づきまして被害がありました場合にも保険金の支払いはできるということでございます。
  43. 笹山茂太郎

    笹山委員 これは土地改良に関する問題でございますが、ことしは雪がなかなか解けない、しかもまた量が多いというふうな関係で、土地改良の事業については、途中における除雪作業の経費が相当増高するのでございます。したがって、農家の負担から考えると、土地改良事業費の農家負担が、今回の豪雪によって経費が相当増加するのでございますが、これがすなわち事業費の増加というものに実質的にはなっておるのでございますが、これらをも考えながら国庫負担の点については今後実施するのであるかどうか、あるいはまた、従来既定の地方費単価があるから、それによって何割の補助をする、こういった簡単なことでやるのかどうか。実際かかった経費に基づいてその何割というふうになりますと、今回のような場合におきましては除雪費が非常にかかっておるのでございまして、そういう点を考慮に入れた補助金の交付をするのかどうか、これはひとつ聞きたいというのでございます。
  44. 中西一郎

    ○中西政府委員 過去の例におきましても、除雪費で特に予定の単価よりもたくさんかかった場合に、その経費を織り込んで事業費の算定をいたしまして補助した例もあるようでございます。それぞれ実態に応じまして、現地の実情に応じた措置をしてまいりたい、かように存じます。
  45. 笹山茂太郎

    笹山委員 何ぶんにも、今度の東北地方豪雪関係は、この地区の多くは農山村でございますので、その被害者も多くは農山村の人であると思うのでございます。したがって、今回の雪害対策の重点の省は、何としましても農林省であると思うのでございますので、その農林省におきまして、いろいろまだ情報あるいは報告等が未整理な点があろうかと思いますが、至急ひとつ地方の農政局を動員されまして現地調査をすみやかにやられまして、そうして一日も早く田植えに取りかかれるような状態をつくってほしい。これは要望でございます。ことに、今回の災害について地方の実情について現地視察をしてもらう、そしてまた農家の実態を直接聞いてもらうということだけでも、非常に政府農民との結びつきがよくなると思いますので、どうかそういう点は、ひまがかかるというふうな関係もあろうかと思いますが、できる限り時間をさいてこうした農山村の実態についてよく目で見て、そしてまた地方要望に合ったところのそれぞれの具体的な適切な対策を講じてもらいたいと思うのでございます。  なお、これらの関係につきましては、東北六県の知事会がありまして、その相談の結果まとめた中央に対する要望書が出ておるのでございます。その要望書説明秋田県知事が本日参りまして実は皆さまにいろいろお願いする予定になっておるのでございますが、今回は所用のため来られませんです。この要望書はいずれお手元に届くと思いますので、詳細は私からは省略さしていただきたいと思うのでございます。どうぞくれぐれも、この農山村の救済と、ことにまた、今後の稲作の安定という点については万般の対策を講じて、農民が安心して今後の生産に取りかかれるような状態をつくっていただきたい、こう思うのでございます。  次には、運輸省に若干の御質問を申し上げたいと思うのでございます。  この前の豪雪場面におきましては、地方の私鉄軌道といいますか、私鉄関係につきまして、交通確保をするために除雪を相当無理してやったといったような場合におきましては、運輸省のほうからそれらの私鉄に対しまして除雪費の補助が出たような例を承っておるのでございますが、今回そうしたことを適用なさるのであるかどうか。私鉄がいま非常に経済が困難でございますので、そういう点についてでき得るならばひとつこういった前例を今回も適用していただきたい、こういうふうに考えるのでございますが、いかがでございましょう。
  46. 岡田良一

    岡田(良)説明員 今回の豪雪につきましては、現在私のほうで調査いたしましたところでは、雪のために長期間運行停止をしたのは、二月の六日に新潟交通の軌道線が半日、二月四日に福島交通が半日、その程度でございます。まあ除雪のために相当努力をしたということも考えられますが、まだその辺について詳細な数字が入っておりませんので、いずれ実態を調べました上で、その実情によりまして対策を考えたいと思っております。  なお、今後雪が降りました場合に、その除雪に至る前に、事前に雪のために交通が途絶することを防止するために、本年度より防雪施設に対する補助金というものを予算折衝によりましていただくことになりましたので、今後はそれを活用して、除雪するに至らない前に雪を防ぐ、そういうことを考えたいということで、現在補助金の支給方法その他について研究中でございます。
  47. 笹山茂太郎

    笹山委員 運輸省のその関係でございますが、これは運転休止をしないということは、反面におきまして、一生懸命除雪したから運転休止をしないで済んだということで、そういう除雪費の関係については相当負担が多かろうと思うのでございます。その点については、ひとつ実態をよく調べまして、救済の要がありましたら、さっそく手を打っていただきたい。特に現在の雪の状態ですが、ことしなんかは、国鉄の汽車がしょっちゅうおくれたり運転休止をする。何かもっといい方法はないかというふうに思うのでございますが、何かもう少し新鋭なラッセルなんかないのですか。どうもちょこっと雪が降るとすぐ運転休止、二時間、三時間おくれるのが普通だということでは、通勤者その他に非常に迷惑をかけておるわけですね。だから、こうした地帯におきましては、あらかじめそうした除雪列車のようなものをふだん整備、増強しておいて、そうしてみんなに迷惑にならぬ、士にという点は十分ふだんから心がけておかなくちゃならぬところの問題であろうと思います。その点については、いまのところ、奥羽本線あるいは東北本線、羽越線、そうした方面に対するところの手当てが不十分だと思いますが、どうなんですか。
  48. 岡田良一

    岡田(良)説明員 私、私鉄のほうを担当しておりまして、国鉄のほうのことについてはちょっとお答えできませんが、御趣旨の点はよく国鉄のほうに伝えたいと思います。  なお、私鉄につきましては、先ほど申し上げましたように、今後事前に防止をするということで対策を進めたいと思います。
  49. 笹山茂太郎

    笹山委員 以上をもちまして私の質問は終わるのでございますが、現在の応急対策のほかに、いろいろ恒久対策としまして従来から考究されておった問題がたくさんあろうかと思います。そういう点については、科学技術庁あるいはその他におきまして相当の研究費を使いながら、まだ具体化がそれほど効果的なものはないというふうな状況でございますが、たとえば農林省におきましては、ヘリコプターでもって雪を解かす薬をまくというふうな研究もされておったようでございますが、まだそうしたものは具体化されておらない。いろいろ豪雪対策については今後なすべきことがたくさんあると思うのでございますが、せっかくのいい法律、制度がありましても、それが運用ができないというふうなことであっては困るのでございますので、どうか今後ともこうした問題については十分ひとつ御研究をお願いしたい。また、今回の応急的な問題については、すみやかに地元住民が安心するような体制を一日も早くつくっていただきたい、こういうことを要望しまして、私の質問を終わる次第でございます。
  50. 楯兼次郎

    ○楯委員長 これにて午前中の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分より再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後零時九分休憩      ————◇—————    午後一時四十二分開議
  51. 楯兼次郎

    ○楯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  稻村隆一君。
  52. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 二十二日の災害対策委員会におきまして、小沢委員、それから八田委員、私から一応政府の見解をただしたと思います。先ほど笹山委員からいろいろお尋ねがあったのでありますが、ちょうど私そのとき内閣委員会に出ておりましたので、全部聞いておりませんでしたから、あるいは重複するのがあるかもしれませんが、なるべく重複する点は避けましてお尋ねしたいと思っております。  実は、私あれから新潟県の北魚沼郡、南魚沼郡に調査に参ったのでありますが、被害の甚大なのに全く驚くほかはなかったのであります。むろん、これは三十八年のような広範なものではないけれども、深刻な点におきましては、先ほど笹山委員も申しましたように、これはもう農民の生存に関する重大な問題にまで発展しているわけであります。しかも三十八年の豪雪のときにおきましては、与野党一致して衆議院の災害対策委員会におきまして十六の特別立法の制定を満場一致決議したのでありますけれども予算等の関係政府が反対いたしまして、わずか三つの法案が通ったと思うのです。きわめて不十分な法律でありまして、とても、従来の雪害並びに災害に対する法案というものは、これは根本的な対策にならない、いつでもびほう策をやっているから、同じことを繰り返しているにすぎない、こういうふうな実情であります。しかも、せっかく法律ができたのに、まだ政令を出さぬ、これは全く政府各省とも災害に対してはほとんど関心がない、怠慢である、こういうことを言っても、私は決して過言ではないと思うのです。それで二十二日にお尋ねしたのでありますけれども、さらに具体的にお尋ねしたいのですが、先ほど申しましたとおり、今度の災害は非常に深刻でありますから、おそらく、場所によっては、沢とか山に面したほうでは作付不能のところがかなりあります。昭和九年にあの大凶作がありました。農村がほとんど危機に瀕した大凶作がありましたけれども、これはあのときと同じような、それよりか部分的にはもっとひどい実情であると私は思うのです。この際、現行法を活用してできるだけひとつ根本的な救済策をしていただかないと、現に私はこの間二十四日現地に行きましたときに、もうどんどん農村を捨てまして、長男でも何でも、東京に働きによこすと、就職口を見つけて帰ってこない、農村では老人だけ残っている、労働力が全くなくなっている、こういうふうなことで、特に日本のごときは食糧自給自足体制を確立しなければならない段階に立っておるし、世界の食糧もだんだん足りなくなって、もう二十年もたったならば世界的な食糧の危機が来るのじゃないかといわれているときに、こういうふうなびほう策によって、いいかげんなことによって農村の人口をどんどん都市に流してしまって、そうして日本の農業を危機におとしいれるというようなことは、まことに私は心配にたえない。そういう立場から、政府におきましてもほんとうに今度はまじめに根本対策を講じていただきたい、こういう見解からお尋ねしたいと思うのです。  最初に農林省にお尋ねいたしますが、農林省はあとでもまたお尋ねいたしますので、初めのほうの農林省質問が終わっても、お帰りにならぬようにお願いしたいと思います。  この前の二十二日も私申し上げましたとおり、消雪と除雪が何といっても第一の問題だと思うので、その点につきまして再度お尋ねしたいと思っております。山沿いの農村地帯の消雪促進のため消雪剤の空中散布をいますぐやってもらいたい。いま農村航空協会なんというものがありますが、どの程度に充実をしているかわかりませんけれども、消雪を促進して農産物の減産を防止するために、散土消雪を行なう共同上取り場の設置と、この散土をするための費用を全額補助金として交付されたい、こういうのが現地の希望であります。例年の補助額はきわあて少ない。たとえば新潟県の例でありますが、県として苦しい財政の中から、三十六年度豪雪のときには四百万円、三十八年度には四百四十万円をかけて、消雪の促進のために土とかあるいはカーボン散布をやっておる。ところが、これに対して国庫補助は、三十八年には三百八十万円くらいあったけれども、三十六年のあの豪雪のときにはわずか四十三万円、こういうふうな状態になっておりまして、国庫の負担があまりに少ない。だから、今度はどうしても予算を何とかしてもらう、もし金がなければ予備費から支出してもらうというようなことをぜひやってもらいたい。この点につきまして農林当局の御意見を聞きたいと思います。
  53. 玉置康雄

    ○玉置説明員 お話しの第一点の、ヘリコプターによる空中散布でございますが、これがもしも県、町村等におかれまして非常な御希望があれば、不可能ではないと思うのでございますけれども、実は三十八年の豪雪の際にこの試験を北陸農業試験場でやったのでございます。現在、その際の効果にいろいろ問題がありまして、まきますものが、カーボンブラックのような微粉のものと、それから炭の粉のような大きいものと、いろいろ使ったのでございますが、非常にこまかいものをまきますと、うまくまこうと思ったところに落ちない。つまり風で飛ばされる量が非常に多いのであります。少し粒の大きいものをまきますと、ヘリコプターに一度にあまり積めませんために、非常に経費が高くかかる、あるいは吐き出し口からうまく落ちないという問題等がございまして、この前の試験成績では、ぜひこうやったらいいという方法が確実に出ないわけでございます。また、カーボンブラックにつきまして、小面積の上に手でまいたりいたしますと確かに効果があるのでございますが、非常に大面積の上にまいた例といたしましては、関西電力でございましたか、御母衣ダムをつくりますときに、ダム地点一帯にまいたことがあるそうでございますが、その大面積にまきましたものについてもあまり効果がはっきりしないという結果が出ておりまして、私どものほうで県からお話がございますときにいろいろお話し合いをしておりますと、県のほうにおかれても、ぜひやってみようというところまで、まだそういう意欲がわかないという状況でございます。また、経費の点から申しましても、かりに普通の農薬散布と同じような補助金といたしますと、カーボンブラックの場合には、農薬の場合よりも二倍以上——もっとになりますか、少なくとも反当たり十キロくらいまかなければなりません。そうしますと、どうしても反当経費が五、六百円にはついてしまうわけでございまして、それとの見合いで、どうやったらいいかということがはっきりしないわけでございます。  それから共同土取り場及び土をまきます事業に対しましての補助でございますが、これにつきましては非常に困難かと思っております。実は一昨年以来、農薬、肥料等につきましても、事業量の確定が非常にむずかしいということで、それまで補助金が出ておりましたのを打ち切られたわけでございますが、土をまくということになりますと、事業量の確定がますますむずかしくなりますので、それらのことにつきましては、特別交付税で見ていただくように農薬、肥料ともなっておるわけでございまして、それと同じように扱っていただくべきかと思っております。
  54. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 特別交付税と言っても、これでは足りないのですから、やはりこういうような深刻なものには別の支出を大蔵省に交渉してもらわなければならないと思います。その点農林省は準備しておりますか。
  55. 玉置康雄

    ○玉置説明員 土取り場につきましては、ただいま申し上げましたように、やはり農薬、肥料と同じ部類に入るかと思うのであります。非常に必要なことはわかっておりますけれども事業量の確定が非常にむずかしいということで、補助の対象にしがたいと思っております。
  56. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 次に、水稲の適期植えを可能にし、かつ健苗を育成して減産防止をはかるために、共同苗しろ及び委託苗しろを設置するための費用に対して補助をしてほしいということが罹災地の痛切な要求でありますが、この点はどうなっておりますか。
  57. 玉置康雄

    ○玉置説明員 共同苗しろ、委託苗しろにつきましては、三十八年に補助した例もありまして、ことしもたぶん補助されるようになろうと思っております。大蔵省にも一応話はつないでおりますが、現地の方がお見えになりました際、またこちらから参りました際にも、たぶんそれらについては補助金が出るから、しっかりやっていただきたいということを申し上げております。
  58. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 消雪遅延によって病虫害の発生が予測されます。種子、苗しろの消毒、本田植え込み後の消毒を実施するための薬剤費及び消毒費に対して補助をしてもらいたい。これは予算のワクが非常に少ないのですから、これはどうしても増額をしてもらわなければならぬと思いますが、この点についてお尋ねしたいと思います。
  59. 玉置康雄

    ○玉置説明員 農薬の補助につきましては、毎年いろいろな御要望があるのでありまして、先生もたぶん経過は御存じだと思いますが、昔補助をしておったのでありますけれども、どうしてもそれが的確にまいりませんで毎年毎年会計検査院の問題になりまして、ことしはだいじょうぶ的確にやる、ことしはだいじょうぶ的確にやるということでまいったのでありますが、どうしてもうまくまいりませんので、ついに、三十六年からでありましたか、補助を打ち切られまして、特別交付税で見ていただこうということになったわけであります。今年につきましても多額の補助は困難であると思っております。
  60. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 これはやはりもう一度再考してもらいたいですね。そういう弊害と申しますか、いろいろな点がありますけれども、これはやはり監督を厳重にして、どうしても再考してもらわなければならぬと思っておりますが、こういうことに対して将来も補助をするつもりは農林省には全然ないのですか。
  61. 玉置康雄

    ○玉置説明員 去年も農機具、防除器具の補助は行ないましたが、これはつまりあとにはっきり物が残っておってわかるようなものにつきまして行なわれましたので、本年度につきましても防除器具の締切については考え得るかと思うのでありますが、あとに残らない農薬につきましては非常に困難であると思っております。
  62. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それから繭の問題でありますが、蚕繭の減産防止のため、水稲苗しろに準ずる散土消雪を実施するために要する費用をぜひ国庫補助をしてもらいたい。場所によってはもう春蚕をあきらめているところもありますけれども、これはぜひひとつ考慮していただきたい。  それから桑の木の損傷が非常にひどいのですから、根本的な補植を要するものについては、その所要桑苗の確保について助成してもらいたい。この点につきまして農林省の考えをお聞きしたいと思っております。
  63. 尾中悟

    尾中説明員 桑畑の消雪の問題につきましては、先ほど農政局のほうから話がございましたように、効果の問題もございますし、いろいろな点がございまして、今回の場合もなかなか実施することについては困難が多いのじゃないかと思っております。ただ、桑園の被害が非常にひどくて、しかも相当な面積にわたっておるというような場合には、改植あるいは補植等につきまして、桑苗を確保するための補助を実は二年前の豪雪の際にもやっておりますので、現地の被害状況をさらにつまびらかに調査いたしまして、そういう前例もございますので、十分検討してみたいというふうに考えております。
  64. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 次に、建設省の除雪の補助につきましてお尋ねしたいのですが、先ほど笹山委員がお尋ねになったと思いますから、これは略します。  それから、交付税の問題につきましてやはり笹山委員がお尋ねになったようですから、これも省略します。  科学技術庁にお尋ねしたいのですが、先ほど申しましたように、消雪ということは一番重要な問題なんです。ところが、いろいろ科学的に欠陥があるというので、これはいろいろやってもうまくない、こういうふうな話であります。しかし、これは何といっても、どうしても雪を消す方法を技術的に研究してもらわなければならぬし、また私は、いまの進歩した科学によって、雪を消す方法がないなんということは絶対ないだろうと思うのです。そういう意味におきまして、人畜、草木、魚類に無害である消雪薬剤を国の機関において研究し、製造してもらわなければならぬと思うのですが、そういう点はどの程度進んでおるか、お尋ねしたいと思っております。
  65. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 御質問に答えまして、一般的に消雪の方法につきましての研究の現状並びに見通しというようなものを申し上げたいと思います。  研究の面からいたしまして消雪の方法を考えます場合に、まず第一に目標といたしますのは、どういうものから熱源をとるかということでありますが、お知りおきのとおり、たとえば雪一グラムを解かしますのに八十カロリーの熱量が要る。非常に膨大な熱量が要るわけでございます。それで、研究を開始いたします場合に、まずそういう熱源をどこからとるかという問題が出てくるわけでございますが、現在行なわれておりますものを幾つか申し上げますると、最初には、化学反応を利用いたしましたもの、あるいは結晶水を利用いたしまして雪の融解点を下げるということがございます。お知りおきのとおり、雪は塩をかけますと解けますし、食塩水というものは零度で凍らないわけでございまして、雪は自分より低い温度で凍りますものにあいますと解けてしまうわけでございます。そこで、たとえば食塩水のようなものでございますとか、あるいは最近はアルコールでございますとか尿素でございますとか、いろいろな化学薬品等を使いましてそういう方法をやっておることは、実験的にはかなり可能ということが出ておりますけれども、これはやはり経費の問題がございます。したがいまして、局部的の使用しかいまのところではできないのではないかと思っております。  第二番目には、石炭でございますとか、あるいは重油、軽油というような燃料を燃焼させまして、それによりまして熱源を得るものでございます。これは申し上げるまでもないと思いますけれども、これもやはり経費的な面が問題になっております。  それから三番目は、電流を通じまして、いわゆるジュール熱というものを利用いたしまして雪を解かす方法でございます。これはお知りおきのとおり、現在は飛行場で滑走路の消雪に使っております。これはかなり効果があると思いますけれども、先生の御指摘の農地のような問題になりますと、結局経費的な問題で適用できないことになるわけであります。  それから四番目には、地下水を利用する方法でございますが、これにつきましてはあとで少し詳しく申し上げます。  五番目におきましては、いろいろな消雪の促進剤と申しますか、こういうものを使うという方法。  大体この五つであると思いますけれども、いずれも経済的な問題もございますが、私どもが従来特に研究をいたしましたものは、最後にあげました、地下水利用によりますところの市街地の消雪の研究と、それから消雪促進剤を用いますところの農耕地におきます消雪の研究でございます。この両者につきましては、三十八年の一月の北陸地方豪雪の際に、豪雪全般の災害に対します総合研究を、私のほうは研究の総合官庁という立場から、各省庁の研究機関等を動員いたしましていろいろな研究をいたしました際に、この二つの研究を行なったわけでございますが、そのうちで一番先生の御質問の点だと思います消雪促進剤によりますところの農耕地の融雪につきましては、先ほど農林省のほうからお答えになりましたが、これは私のほうの研究促進特別調整費農林省に移しがえいたしまして御研究を願ったものでございます。これにつきましては、多少問題点等を申し上げますると、研究報告書を一覧いたしましたところ、この研究は、まず、御承知おきのとおり、カーボンブラック、すすを雪の上に散布いたしまして、自然の雪面におきますところの日射量の受熱量と申しますか、熱がたくさん受け得る量をふやすわけでございます。自然の雪面でございますと、この研究によりますると、せっかく太陽の熱が加わりましても、たとえば一月では一五%、二月は三四%、三月には四〇%というように、雪自体が太陽のカロリーを吸収いたしまして利用する率が非常に低い。そこで、すすを雪面にまきまして、申し上げるまでもなく黒いものでございますので、太陽の吸収熱を多くするということ。この研究を見ますると、これは大体二月の中旬にこのときは散布いたしておりますので、このカーボンブラックの有効期限が大体三十日と考えておりますが、この結果を言ますると、三十日の期間といたしまして、カロリーで申しますると三千二百四十カロリー、一平方メートル当たりでございますが、これだけ雪面が太陽のエネルギーを吸収する量がふえておる。これに基づきまして、時間がございませんのでこまかくは申し上げませんけれども、いろいろな仮定が多少加わっておりますが、計算上、雪の深さにいたしまして、一般の雪に比べまして百十六センチの雪をより多く解かすことができる。自然のまま放置いたしておきましたところの、いわゆるコントラストのものが、減雪日数、日々に雪が減っていきますところの量が、雪の深さで申しまして五。六センチメートルということになっておりますので、この研究結果そのものにつきましては、雪解けを促進いたしますところの日数は二十一日早くなったという結果が出ております。ただ、先ほど農林省のほうから御説明がございましたように、いまのような技術的には一応実用化し得る可能性はあるけれども、なお実用方法につきましてはいろいろな問題があるということも述べております。先ほど農林省から御説明になりましたことと重複するかと思いますけれども、たとえばこの場合、ヘリコプターのダスターを、いわゆる農薬散布用のものを用いましたために、非常にカーボンブラックの散布の効率が悪かった、そのような点を改良しなければならないとか、あるいはカーボンブラック自体が非常に比重の軽いものであります場合には、散布がちょうど必要な農耕地にうまく当たらない。これにいろいろな材質のものを加えましたり、あるいはコーティングと申しまして、丸薬のようなものでございますけれども、まわりにほかのものをつけてやるという方法もございますけれども、これをいたしますと、逆に、融雪能力と申しましょうか、解ける能力が、比重を多くするとうまく目的地には振りまけるけれども、十日から十五日くらいは延びてしまうというような結果になる。そのほか、散布の時期の問題等もあるようです。  それから、先ほどお話ございました経済的な問題ということがございますが、この資料の研究結果を見ますと、当時のいわゆるヘリコプターの作業料、それから材料費等を合わせまして九千円から一万円というようなことが書いてございます。ただ、ダスター等を改良いたしますれば、このときはたしか十ヘクタールまくのに八分くらい時間を要しておるのでありますが、ダスターの改良で時間的には半減できるということも書いてございます。それから、規格外カーボンを使えば材料も多少安くなる。ただ、規格外カーボンにつきましては、当時の研究によりましては、薬害があるかないかという検討はまだなされておりません、その点が仮定になりますけれども、大体その辺が、いま申し上げました融雪促進剤を用いる方法でございます。  それから、あとの地下水の利用方法につきましては、これは申し上げるまでもないと思いますけれども、大体一グラムを解かしますに必要なカロリー、八十カロリーと申しましたけれども、したがいまして、雪が一グラムを解かしますには八グラムくらい水が要る。道路におきまして、たとえば一メートルくらい雪が降り続くといたしましたときには、新雪と仮定いたしまして、一平方メートル当たり〇・八トンくらいの水を十三度から十五度くらい、これを一晩中散水しておりますれば、一メートルくらい日に積もります雪が、全然積もらないということになっております。ただ、いま申し上げましたとおり、非常にこれも大きなカロリーが要ります。火炎放射器のようなものを用いるということも出ますけれども、雪というものは、御存じのように空気が大部分で比重が少ないもので、非常に断熱的にできておりまして、瞬間的に非常に強い熱をもって与えましても、火災放射器は千度くらいになるかもしれませんが、こういうものを井水のようなもので長い間時間をかけてやる。  先生御指摘のように、そのものずばりというものはできませんで残念と思っておりますけれども、私のほうといたしましても、国会の御援助等によりまして、昨年末に国立防災センターの支所といたしまして雪害実験所を新潟のほうにおつくりいただいたわけでございます。現在、所員まだ十一名というような、きわめて貧弱な施設でございます。今後そういうところを拡充いたしまして、ことしから雪害の応用研究室というものを新設いたしまして所員を増加いたしましたが、今後とも努力を続けたいと思います。現状はそういうことでございます。
  66. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 時間の関係上私は一度に質問いたしますが、自治省、もし大蔵省も来られておれば一緒にお答え願いたいのですが、豪雪地帯対策特別措置法並びに積寒法等、雪に関する法律運用について、降雪積雪量に対する格づけ並びに級地を制定して、豪雪地帯の特別救済の措置をはかっていただきたい。   〔委員長退席、山口(丈)委員長代理着席〕 これが現地の要望であります。豪雪地帯対策審議会の答申に基づいて早急に財政措置を講ずべきであると思うのです。この点について自治省にお尋ねしたい。  次に、これは自治省大蔵省、両方でありますが、豪雪地の住民の固定資産税の減額措置、これはこの前の災害対策委員会でももちろん問題になった。ところが、大蔵省が強硬に反対してこれはだめだったわけです。それなら、その減額相当分を地方交付税において補てんするのが私は当然だと思うのですが、実際上、雪の場合は、雪害地あたりの固定資産税のほうがかえって高くなっておる現状ですから、こういう不合理なものは直すのが理論上あたりまえですが、どういうわけか大蔵省が強硬に反対して、われわれの主張は少しもいれなかった。それならほかに方法を考えてもらいたい。その部分を地方交付税においてこれを補てんしてもらう、そういう点に対してどう考えておるか。  この二点につきまして自治省並びに大蔵省の御見解を聞きたいと思います。
  67. 岡田純夫

    岡田(純)説明員 最初、豪雪に際しての公共施設等に関する問題につきましては、先生御承知のように、現に特別措置法が制定されております。しかしながら、どの程度災害の場合にどのような施設を対象にすべきかということにつきましては、午前中の委員会におきましても、私から知っております範囲内においてお答えを申し上げましたように、現在検討中でございます。その際、私、所管は大蔵省であろうと心得て申し上げましたが、調査しましたところ法律ないし基準の段階までは大蔵省で、その後は文部省というふうに聞いております。と申しますのは、文部省の方がここにおいでになるかどうか存じませんが、学校関係がおもであり、その細目についての検討はなされておるというふうに聞いております。私ども自治省としての見解は、すでに関係のほうに出しておりますし、一日も早く結論を得られるように私どもとしても努力いたしますし、希望いたしておるところでございます。  税の問題につきましては、これまた御承知のとおり、激甚災害の指定がありました災害の場合には、税の減免等をいたしました場合には特別の地方債が許可されます。特別の地方債に対しましては、その元利償還金は交付税をもって完全に補てんすることになっておりますので、激甚災害の場合には十分な手当てができることになるわけでございます。激甚災害でない場合につきましても、地方税法上、その実情に応じまして地方団体の判断において減免の道がございます。ただし、その場合には、財源上の補てんというところまではまいりませんけれども、そういうことも勘案いたしまして、特別交付税を算定する際、災害対策費という姿で一定のワクを設けまして対処しておりますし、今後もそう考えてまいりたいと思っております。
  68. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 これは文部省の所管ということですが、文部省どうですか。
  69. 中尾龍彦

    ○中尾説明員 豪雪除雪の補助基準についてお話がございましたが、公共施設に対する補助ということになっておりまして、この公共施設の大部分が学校であるということで、学校について除雪関係を十分調査して早急に補助基準を考えるということになっております。私どもやはり所管は大蔵省と考えております。ただ、対象となる問題が学校ということで、補助金の中でも大きな部分を占めるということで、文部省を中心にやれというようなお話になっておりまして、それでいまいろいろな資料に基づいて作業をやっておる次第であります。
  70. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 建設省にお尋ねいたします。  国県道を早急に改良舗装工事をやって、冬季間の諸車通行確保をはかっていただきたい。これに対してどうなっているか、お尋ねしたいと思います。
  71. 豊田栄一

    ○豊田説明員 お答えいたします。  今度の第四次の五カ年計画で、特に、在来ですと、道路の工事の進め方は、改良を終わりましてから舗装するというのが手法でございましたが、これからは、先生御案内のように、現道舗装という工法を入れまして、ある程度の幅員がございます場合には、舗装を先にやって、そのサービスを上げて、後ほど改良をやるというような手法も取り入れまして、この五カ年の中では、むしろ舗装の伸び率のほうが改良より高うございます。そういう点で、お説の雪寒地帯あたりでは、特にそういう点で除雪によってのあとの維持やなんかもしやすいように改良いたしておる次第であります。
  72. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 豪雪地帯の改良舗装工事は、現行が四分の一の補助金ですね。除雪費は除雪機械のみの助成であるわけです。改良舗装工事及び除雪に要する費用に対しては、少なくとも四分の三以上の助成措置をしていただきたい、こういうのが現地の要望でありますが、これに対して建設省のお考えを聞きたいのです。
  73. 豊田栄一

    ○豊田説明員 いまの御質問ですが、雪寒事業でやっております。たとえば除雪、防雪あるいは凍雪害、それから除雪機械の補助につきましては、雪寒法に基づきまして現在三分の二の補助でございます。いま先生のお話のは一般のあれかと思いますが、これは別のいまの道路法による補助体系でございますので、三分の二あるいは二分の一等、いろいろございます。雪寒事業そのものにつきましては、通して三分の二ということに現在なっております。それが現状でございます。
  74. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 国、県、市町村道を問わず、新設、改良工事を施行する場合、必ず流雪溝を設けてもらいたい。現在改良工事に該当していない旧国、県、村道に流雪溝を重点とした改良工事費を計上していただきたい。流雪溝というものは、あるところと、ないところと、現実を見れば、すぐ雪の消え方がわかるのです。この点に対しては建設省はどういうふうにやっておられるか。
  75. 豊田栄一

    ○豊田説明員 流雪溝につきましては、現在の雪寒五カ年計画のうち、凍雪害防止という項目の中で、これは凍雪害の路床の改良でございますが、そういう項目の中で見られております。これは全体として五カ年間に全国で約三十七キロぐらいを見込んでおります。そういう点で、いままでの事例から見ますと、ずいぶん増加しておると思っております。
  76. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 地方公共団体に対しても、国費によって除雪機械の完全配置をはかってもらいたい。これに対してどうですか。
  77. 豊田栄一

    ○豊田説明員 除雪機械につきましては、何しろ除雪の中で一番お金のかかるのは除雪機械でございます。したがって、この機械に対する補助というものも、先ほど御説明いたしました五カ年の中で大きいワクを占めております。その雪寒用の機械としては、全体として価格決定されましたものは百二十億というのが五カ年の数字でございますが、その中でただいま先生の御指摘の点の機械台数を充実していきたいと考えております。
  78. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それから、現行制度上では、土木工事等に除雪費が設計単価に算定されていない。これは私は非常に不合理だと思うのですが、積雪量に応じた除雪費を設計単価に算入するのが当然ではないかと思うのですが、その点について建設省はどうお考えになっておりますか。
  79. 豊田栄一

    ○豊田説明員 私は道路関係だけでございますが、一般的に言いまして、除雪費の計上ということは、これは個々の実績というような問題でございまして、その工事の細目になるわけでございます。そういう点で、初めからまだ雪の降ることがわかっておらぬ状態のときに、設計の細目要領等が、途中において天然現象でそういうことが起こりました場合には、われわれといたしましては、設計変更ということがございますので、そういう点で実態に即したあれで臨んでおるというのが現状でございます。したがいまして、そういう点は設計の内容につきまして考慮できるものと考えております。
  80. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それから、なだれ及び積雪による住民交通不安を一掃するためスノーセットを施工してもらいたい。  それから、豪雪地帯は、積雪融雪による地すべりの被害が大きいので、特別の財政援助をしていただきたい。  この二点について建設省のお考えを聞きたいと思います。
  81. 豊田栄一

    ○豊田説明員 私からは、前段のスノーセットのことだけお答えいたします。  これは、先ほど説明いたしました雪寒事業の中で、防雪の中で認められております。五カ年間で事業量は約百キロ全国で考えております。これで現地的な意味のスノーセットはかなり措置されるものと考えております。
  82. 重兼暢夫

    ○重兼説明員 融雪につきましては、御存じのように、今年は融雪は非常におくれまして、まだ二、三の県から、正式にではありませんが、電話で連絡を受けている程度でございます。先生の言われるように、融雪期におきましては、地すべり、山地の崩壊というものが起こるだろうと思うわけでございますが、その場合に、公共土木施設として災害を受ければ、これは災害復旧として処理いたしたいと思っております。それからなお、その他いわゆる一般地すべりとなりましたら、地すべり対策事業というもので考えていきたい、こう思っております。これは災害状況によりまして現地の工法協議その他の面で早急に処置いたしたい、こう思っております。
  83. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 農林省にお尋ねしたいのですが、積雲度に対し、農業生産減産防止対策事業に要する費用に対して特別措置を適用されたいと思うのです。  それから法第四条に掲げる基本計画の具体的実施を早急に実現してもらいたいと思うのですが、その点に関して農林省のお考えを聞きたいと思います。
  84. 尾中悟

    尾中説明員 研究いたしまして、いずれ御答弁いたします。
  85. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それから積寒法の存続改正の問題はこの間問題になりましたね。
  86. 尾中悟

    尾中説明員 問題になりました。
  87. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 積寒法がやはり昭和四十一年限り無効になるのですが、これはあす衆議院で与野党の有志が集まってこれを相談いたしますが、現行法の欠陥を検討改正して存続すべきであると考えるのです。これは政府のほうでも考えておりますか。
  88. 玉置康雄

    ○玉置説明員 積寒法が来年三月三十一日で期限が切れるわけでございますが、それと同じような法律が実は私のほうの関係で五つございまして、湿田単作地域、畑地、急傾斜地帯、海岸砂地という法律がございまして、いずれも同じ期限でございます。その法律政府としてどう考えたらいいかということで、まず、各法律に全部審議会がございますので、審議会の御意向を伺おうということで、先月各審議会の会長さん方の懇談会を開いていただいたのでございますが、そのときに、別に決議をとられたわけではございませんけれども、そのときの空気といたしましては、現在の法律にはいろいろ問題もございますので、検討を要する、しかし、いますぐ結論も出ないので、とりあえず法律を一年延長して、その一年の間に根本的な対策を立てよう、こういう空気でございました。私どもも、もし各審議会がそのような御意向でありましたならば、それに従ってやっていくべきであろうと考えております。
  89. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 豪雪地帯は山間地ですから、農業基盤整備事業の対象は、現行積寒法では二十ヘクタール以上であるので、実施が困難なんです。これを縮小して、最小地域の適用とともに、高率助成をすることをひとつ考えていただきたいのですが、その点に関して農林省の考えを聞きたいのです。
  90. 玉置康雄

    ○玉置説明員 その基準につきまして、また今後審議会の御意向を承りまして、もし必要ならば変更を検討してまいりたいと思っております。
  91. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 時期別格差の問題はいま問題になっておりますが、植えつけ期の遅延が収穫に及ぼすため、米穀売り渡しの時期別格差制度の存続とその延長が絶対われわれのほうで必要なんですが、この点につきまして農林省はどう考えておられますか。
  92. 尾中悟

    尾中説明員 時期別格差の問題につきましては、前に閣議でもって、漸減してまいるという方向で現在おるわけでございます。本年度天候その他稲作状況によりまして、従来におきましても、秋になりまして雨その他の事情によって刈り取りあるいは脱穀調製の時期が著しくずれるというような場合には、実情に応じまして期限の延長はそのつどやっておるわけでございます。本年度の問題につきましては、これからの問題でございますので、今後の状況等を十分見きわめまして、実態に合った措置を考えていくようにいたしたいというふうに思っております。
  93. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 これはいずれ大臣と食糧庁長官にお尋ねしなければならぬと思いますから……。あなたとしてはそれ以上のお答えはできないと思います。  次に文部省にお尋ねしたいのです。  学校建物の除雪費及び通学道確保に要する費用を全額地方交付税の対象としてもらいたいのです。この費用は実にばく大ですから、地方では困っておるわけなんですが、公共施設除雪法もできておるのに、まだ政令ができていないのですね。これはどうしたことか、この点につきまして文部省に聞きたいと思います。
  94. 中尾龍彦

    ○中尾説明員 第一点の通学費の補助でございますが、補助につきましては、何ぶん今年度から実施されるものございまして、実施の結果について当然いろいろな問題点が出ると思いますが、それによってさらに改善をはかっていきたいと考えております。  それから第二点の、豪雪に際して地方公共団体が行なう公共施設の除雪事業に対する費用の補助という問題でございまして、先ほど申し上げましたとおり、この対象となる学校というものの量が非常に多いのでありまして、昨年の秋に三十三の該当道府県につきまして調査をいたしまして資料を集めたわけであります。ところが、この資料が、いろいろな地理的条件その他、賃金、やり方等が区々としておりまして、不確定な部分がたくさんございまして、そのために、さらにそういう疑義のある点について三月に実地調査を現地についてやったわけでありますが、ようやくその是正もできまして、目下それをまとめ上げまして分析中でございます。近くこの作業も完了いたしますので、その補助基準案なるものを早急に作成いたしまして、そして関係方面と討議を開始したいと考えております。
  95. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 これはやはり文部省ですが、学校給食に要する冬季間の物資運搬特別支出、及び食品、野菜並びに燃料の貯蔵施設の設置に要する経費を全額国庫負担としてもらいたい、これが第一点。  それから第二点は、冬季通学不可能のため児音生徒の寄宿を必要とし、この寄宿舎に要する豊田を国庫負担とされたい。  豪雪地の学校は二重窓とすることが必要であるから、建設にあたっての費用単価には、必ず二重窓設計を認めて国庫補助の対象とせられたい。  この三点についてお尋ねしたいと思います。
  96. 中尾龍彦

    ○中尾説明員 豪雪地帯の給食施設につきしまて、なるほど御指摘のとおり、冬季間に相当な食糧あるいは燃料というものを平地の場合より余分に貯蔵いたさなければなりません。この点につきましては、私ども目下のところその措置は十分講じておりませんけれども、今後そういう点十分勘案して実施してまいりたいと思います。  それから第二点の、冬季間の宿舎の問題でありますが、これは三十九年度に五カ年計画というものを立てましてその整備をはかっております。四十年度におきましては大体四億というものを用意いたしてこれに充てたいと考えております。  第三点の、二重窓の問題でありますが、特に豪雪地帯につきましては、建物の構造上、たとえば雪の荷重で相当強固な構造を必要とする、あるいはその他いろいろな問題がございますので、一般地域の単価よりも二、三%の単価増を見まして、この中でそういう寒冷に対する対策をとってもらっております。なお、二重窓をとっておるような学校も若干見受けられますが、これを網羅的に積寒地帯にやるという点につきましては、なおその点について十分検討さしていただきたいと考えます。   〔山口(丈)委員長代理退席、委員長着席〕
  97. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 最後に、厚生省の問題がありますから、厚生省にお尋ねしたいのです。  豪雪地のため、医療技術員、特に医師が不足しているために非常に困っておるのです。それで、国において、こういうところは特別の援助をもって医師の確保をされるように措置してもらわなければ実にかわいそうだと思うのですが、その点について厚生省はどういうふうな努力をしておられますか、考えを持っておられるか、お尋ねしたい。
  98. 渥美節夫

    ○渥美説明員 雪害地等におきましていろいろと医療の面におきまして問題がある、特に医師の確保が不十分であるということが往々あるわけでございます。厚生省におきましては、公的医療機関と申しまして、都道府県とか市町村とか、それから日赤とか済生会という開設者が病院をつくる、こういった場合におきまして補助金を持っておりますとともに、国民健康保険の直営診療所等を開設するといった場合にも、補助金によりましてそれを援助しているわけでございます。そういう方法で無医地区等におきまして病院なり診療所の設置を促進するとともに、先ほども申しましたような公的医療機関におきまして医師を特に必要な場合には派遣して医療の確保につとめるというふうに考えております。
  99. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 積雪のために運営費——医師の旅費その他人件費、燃料費が非常に増加している。そのために、運営に対する補助として高率交付の制度が必要だと思うのです。この点について厚生省はどういうお考えでやっておられるか、お伺いしたいと思います。
  100. 渥美節夫

    ○渥美説明員 僻地医療対策の一環といたしましては、特に新潟県あるいは北海道等におきましては、雪上車によりましてその診療に当たるという方途を講じておりますが、いま先生の御指摘いただきましたような運営費につきましては、現在運営費の赤字につきまして二分の一の補助をいたしておるわけでございますから、非常に財政等の困難な地域でございますので、その補助率の二分の一を何とかしてさらに高率な補助に持っていきたいというふうな努力はいたしておりますが、現在のところなかなか困難である、来年度予算等におきましてもそういう点につきまして検討していきたい、かように思っております。
  101. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それから、豪雪地帯の町村職員は、冬季間下宿もしくは寄宿を必要とするため、冬季における下宿手当、寄宿手当または短距離についても豪雪通勤手当の制度を確立する必要があると思うのですが、この点につきましてお尋ねしたいと思います。
  102. 胡子英幸

    胡子説明員 ただいまのお尋ねは、豪雪等の際に特別の手当が出せるように法的な措置を講ずべきではないか、こういう御趣旨だと思います。現在地方自治法の規定によりますと、法律もしくはこれに基づく条例によらずしてはいかなる給与も支給できないというたてまえになっておりまして、地方公務員に対する手当の種類も地方自治法にそれぞれ明記されておるわけであります。その意味で、現行法のもとにおきましてはそういう手当等を支給することは違法となるわけでありますが、なお、そういった御趣旨もございますので、今後検討させていただきたいと存じます。
  103. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 冬季間僻地に職員の駐在制をとって、住民サービスの維持をはかるための支所、出張所制度を確立するために要する費用の助成をぜひはかってもらいたい。
  104. 岡田純夫

    岡田(純)説明員 ただいまの御質問のような点につきましては、交付税の算定上、寒冷地補正といたしまして、あるいは手当の問題あるいは積雪度等によりまして、一般の算定以上に補正で増加いたしております。したがって、そういうふうな補正の範囲内におきまして、三十九年度は、その範囲内でまいりますと、府県市町村を通じてこれによって約二百億円ばかり普通の団体よりもよけいに流れている結果になっております。その範囲内でもって措置されるもの、かように考えております。なお今後とも充実するように努力いたしてまいりたいと思っております。
  105. 楯兼次郎

    ○楯委員長 華山親義君。
  106. 華山親義

    華山委員 ただいままで同僚委員から御質問もございましたので、今度の雪害につきましてお尋ねのあった部分は一応省きましてお尋ねをいたしたいと思っております。  一つは、このようなときでございますので、県では技術指導員を派遣いたしまして、非常に濃密な指導を行なっております。農民はこういう場合に処する道をあまりよく存じませんものでございますから、手をとって教えなければいけない、指導しなければいけないのでございますけれども、この経費は人件費といたしまして相当の額に相なる様子でございますが、その助成を講じていただきたい。農業指導員は国で人件費を負担する性格のものでもございますので、そうあってしかるべきだと思いますが、お考えを伺いたいと思います。
  107. 玉置康雄

    ○玉置説明員 今回の豪雪に対しまして県が技術指導に要しました事務費、特に旅費でございますけれども、それらにつきましては、どの程度になるかわかりませんけれども、国のほうで補助金の増額を検討いたしたいと思っております。
  108. 華山親義

    華山委員 その次に、国からのいろいろな助成等もございますけれども、やはり県単独でやらなければできないようなことが多いわけでございます。先ほどのお答えの中にも、交付税ということが言われております。それで、県の単独事業につきましても特別交付税の算定基礎に取り入れられるように措置されたいのでございますが、自治省の今後の方針を承りたいと思います。
  109. 岡田純夫

    岡田(純)説明員 災害等に際しましての単独事業等は当然予想されます。おおむね公共施設災害と比例して単独事業をやらなければならないというふうに考えまして、公共施設災害被害額というものを一つのめどに置きながら、それに比例した単独事業のための災害対策事業というものを特別交付税に組んでおります。それ以外にも、たとえば農業災害、凍霜害のような場合に対する対策費でございますとか、あるいは雪害豪雪等の場合の豪雪対策費、あるいは除雪費、それぞれの項目におきまして、単独で地方公共団体が実施するものを予想いたしまして極力計上するようにいたしております。今後ともそのように努力いたしたいと思っております。
  110. 華山親義

    華山委員 融雪遅延等によりまして、畜産の関係でございますが、例年計画して貯蔵しておりますところの乾草等が品切れになりまして、濃厚飼料に依存するよりしかたがないという事態が生ずるだろうと思います。農民は非常に心配しておるのでございますが、この端境期を乗り切るために、政府所管の増専管ふすま、牧草の収量減に対処するためのふすまを緊急に特配してもらいたいという要望がございます。これは非常に緊急に講じなければいけないことだと思うのでございますが、農林省のほうではそういうことをお考えになっておりますか。ぜひ考えていただきたいと思います。
  111. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 今度の雪害につきまして、えさの問題で二つの問題があろうかと考えております。一つは、はえておる牧草が枯れた、そういう問題で再播用の種子をどうするかという問題と、それから濃厚飼料をどうするかという問題と、二つあると思います。  再播用の種子の点につきましては、これは従来もその例がございますが、調査の確定次第、いままでの例に準じまして助成措置を講じてまいりたい、そういう方向でいま検討いたしておるわけでございます。  それから濃厚飼料の確保の問題につきましては、政府の持っております輸入ふすま、大麦等につきまして、よく都道府県と話し合いをいたしまして、売却等適切な措置をいたしてまいりたい、そういう方向で考えてまいりたいと思っております。
  112. 華山親義

    華山委員 こういうふうな特別の濃厚飼料につきましては、農家の負担が重くなることがございますが、特に安くというわけにはまいりませんか。
  113. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 実は政府としては、たとえばふすまにつきましても三十キロ六百三十四円でありますが、これは時価に比べまして相当安いわけでございます。一トンで比べまして二千五百円ないし三千円ぐらい時価より安いわけでございます。いままでの災害の場合、たとえば昨年の北海道の冷害の場合につきましてもそういうような安い売却価格でやったわけでありますので、その点は御了承願いたいと思っております。
  114. 華山親義

    華山委員 今度の災害対策費につきましては、前からお二人の委員が御質問になりまして、足りない部分を私が補完して質問をいたしたわけでございますが、この際お聞きをいたしたいのは、今年度天候は、きょうあたりの様子を見ましても、稲作につきましては、あるいはほかの農作物についても言えることかもしれませんが、非常に不安な感じがいたします。もしも凶作、そこまでいかなくとも減収ということに相なりますると、今後の景気の動向に対しましても、私は、心理的に、また実際上大きな影響があると思います。これは農家はもちろんでありますが、農村に囲まれる中小都市、また零細企業等につきましても非常に影響が大きいと思うのであります。それからまた、これがために米の輸入あるいは食糧の輸入ということが多く相なりますと、日本の貿易収支にも影響するのでございまして、政府はこの際決意を持ってこの考えられる悪天候を切り抜けていくというふうなお考えがあるべきではないか、こんなふうにも考えるのでございます。この意味からお聞きするのでございますが、過般発表に相なりましたけれども、その後のいろいろな研究資料等もあるかと思いますが、今年度天候長期のお見込みはどんなふうでありますか、気象庁の方にお伺いいたします。
  115. 今里能

    ○今里説明員 長期天候の見通しにつきまして御説明申し上げたいと思います。  お話のように、気象現象に非常に影響を及ぼします要素の一つは太陽の黒点でありますが、太陽の黒点は昨年の十月が最少になっておりまして、太陽の黒点が少ないころには、えてして気象の非常に急激な変化、異常な変化があるのでございます。それを如実に示しまして今年は非常に天候も不順でございまして、二月の中旬から三月の下旬にかけましてこれが今年の真冬に相当いたします。それで、四月の初めごろの状態から申しますと、天候は今年は約一カ月おくれております。現在でも東北地方の山間部には相当の残雪がございまして、今月今日の二十八日のデータで申し上げますと、現に山形県の中村あたりではまだ百六十二センチも積雪がございます。ではございますが、やはり天候は次第に春から夏の方向へ向かっておりまして、現在のところ大体二十日くらい例年よりは気候がおくれておるようでございます。それで、この気候のおくれはいつごろになると取り戻せるかと申すことは、重要なことでございますけれども、現在私どものいろいろ調査研究しております範囲では、確定的なことは申し上げられませんけれども、やはり夏ごろにならなければノーマルな状態に復しないのじゃないかという見通しもございます。それで、大体ことしのつゆのころの見通しでございますが、それより前に五月につきまして申し上げますと、五月の初旬はやはり例年より低目じゃないか、中旬に入りまして例年よりやや高めの期間がございますけれども、下旬に入りますとまた例年より低目じゃないか、こういうふうに考えております。それから六月に入りますと、梅雨は例年よりやはり低温ぎみに経過いたしまして、梅雨の期間も例年より若干長いのじゃないか、こういう見通しでございます。大体長期予報のことでございますから、その的中の確率というものは一〇〇%とはもちろんまいりません。まあ六〇%前後の確率でもってただいま申し上げたようなことが言えるのでございます。  以上、簡単でございますけれども……。
  116. 華山親義

    華山委員 夏はどんなふうでございますか。
  117. 今里能

    ○今里説明員 ことしの夏はやはり例年よりは幾らか低目じゃないかという見通しでございます。それからなお、台風につきましても、若干発生の個数が多いのじゃないかといわれておりますけれども、これが直接影響いたしますところは大体西のほうでございまして、台風に関しましては東北地方はことし特にどうこうという特別な影響はないのじゃないかと思われます。普通の年程度のことじゃないかと思われますが、要するに、夏の気温は例年より若干低いのじゃないかということが考えられます。
  118. 華山親義

    華山委員 科学的根拠があるのかどうか知りませんけれども、私どもの体験、経験によりましても、冷害というものは、大体一年で済まないで、二年続くとか、一年あって中の年をおいてその次の年にあるとか、そういうのがわれわれの経験でございますし、ただいまのお話にもございましたとおり、私はことしはそういう面で非常に警戒を要する年でないかと思うのでございます。ことに、ただいまの話によりますと、気候が二十日おくれている、それから夏まではやや寒いであろうというふうなことでございますが、現在の日本の稲というものは、とにかく早くまいて、早く植えて、早く刈り取るというふうなやり方で長年やってきておりますし、また植えつけ時期もだんだん早くなっております。そういうふうな稲の品種、そういうことを考えまして、これは農林省の技術者の方にお聞きしたいのでございますけれども、ことしの稲作というものは私は相当心配すべき状態ではないかと思いますが、農林省のお立場からはどんなふうにお考えになりますか、伺っておきたいと思います。
  119. 玉置康雄

    ○玉置説明員 ことしの稲作につきましては、気象庁から前々からいろいろ話を伺いまして、私どもも非常に心配しておるところでございます。それで、気象庁の先般発表されました長期予報を受けまして、私どものほうでは地方農政局を通じまして県にことしの稲作の一般的な指導要領を出しまして、ただいま気象庁から御説明がありましたような気象条件に対応いたしまして、できるだけそれに合った稲作をやるように、つまり、品種で申しますならば、なるべく耐冷性の早中生のものをつくるように、また苗しろの管理をよくするように、また肥料を少な目にやれ、そういうことにつきまして、地方農政局から県を通じ農家の方々に指導が参りますようにやっているところでございます。すでに各県の普及員におきましても十分承知いたしまして、各農家の方々とお打ち合わせしておるところだと思っております。
  120. 華山親義

    華山委員 おっしゃりたくなければ、言いたくないとおっしゃってもいいと思いますが、そういうふうにして、大体そういう品種は、収量といたしましては少ない品種、それから肥料をやるな、これはもちろん私もわかりますけれども、そういうことになれば、これも収量に影響するわけです。そういうふうな、全般から考えますと、ことに低温でもありますので、ことしは稲の収穫は少ない、こういうふうな見込みは立ちませんでございますか。
  121. 玉置康雄

    ○玉置説明員 非常に気象条件が悪うございますから、もし、ほかの条件を抜きまして、ただ気象条件だけ考えましたならば、やはり収量は少な目だと思っております。ただし、ここに気象庁の人もおられますけれども長期予報が、ただいまお話もございましたとおり、一〇〇%確率があるものでもございませんので、ただいま多いとか少ないとかいうことをちょっと申し上げかねるかと思っております。
  122. 華山親義

    華山委員 議論するわけじゃございません。それはもう予報でございますから、予報が当たらないといって予報を責めるのが悪いのですから、これはもうそうだと思いますけれども、肥料は少な目にやれ、品種はできるだけわせのものをつくれ、これだけでも減収ということにならないのですか。
  123. 玉置康雄

    ○玉置説明員 戦後の傾向といたしまして、非常にわせ、中生が増してまいりまして、それのみによりましてすぐ減収になるということもないかと思っております。つまり、最近のわせは昔のおくてよりも増収になっておりますから、それのみで直ちに減収になるというわけでもございませんけれども、ともかく非常に気象条件が悪うございますから、やはり減収になりがちな傾向だと思っております。
  124. 華山親義

    華山委員 わせということで奨励しておるとおっしゃいましたが、そういう種もみは各地区にあるのでございますか。農林省で特にこれを御心配になっていらっしゃいますか。
  125. 玉置康雄

    ○玉置説明員 一般的に前々から寒冷地におきましては早中生の奨励をいたしておりますから、かなり各地区に準備してあることと思います。ただ、どうしてもこういうものが不足する場合には、従来ほかの県から持ってまいりましたり、あるいは政府手持ちのものを出したりした例もございますけれども、ことしはいまのところまだそういう御要求は県から聞いておりません。
  126. 華山親義

    華山委員 県からお聞きになっておらないというのは、県のほうであまり熱心にやっていないのかもしれません。あるいは県のほうが熱心になっても、農家がそれに乗ってこないのかもしれませんけれども、その点、決して議論をするわけじゃございませんから、御了承願いたいのですが、平坦地におきまして実情を見ますと、農家は非常に減収をおそれております。一つには、水が冷たいであろう、それから、話によりますと、山形の方面では、私、農業の専門のことをよく存じませんが、一ぺん苗しろを干して、そして水をたたえてやるというのが、普通の毎年のやり方だそうでございますが、ことしはそういうことができなかった、そういう時間がなかった、したがって、そういうことから苗の育ちが悪いのではないかというふうなことも言っております。私は好きこのんでことしの米は少ないであろうなどということを言っていただくつもりはございません。ただしかし、そういうふうなことでございますから、ここで農林省、それからその他の機関というものが、一致結束して、ことしの悪天候にうちかって、米の減収を来たさないような総合的な強力な施策をしていただきたい、こういうことを望むわけでございます。それにつきまして一つの考え方をお聞きしたいのでございますが、気象庁農林省とはどんなふうな機構を持って常に連携し、かつ研究していらっしゃいますか。
  127. 尾中悟

    尾中説明員 御承知のように、農作物につきましては天候等の気象条件が非常に重大な影響がございます。特にことしのように、気象庁長期予報によりましても、必ずしも順調でないというようなことがいわれておりますので、実は三月から、気象庁のほうでは、毎月十日に向こう一カ月の予報、それから毎月二十日に向こう三カ月の予報を出しておられるわけでございます。そこで、三月の下旬、それから四月の二十日過ぎに気象庁の専門家の方に来ていただきまして、長期予報なりその他全体の状況につきまして、農林省関係の各課長あるいは係官、特に技術関係の担当者が一堂に会しまして、いろいろ気象庁の御意見を聞きながら技術対策意見交換をやり、各局におきましてはこの資料に基づきまして直ちに地方農政局あるいは府県その他団体等々と連絡を緊密にとりながらやってまいるということで、今後こういった体制で毎月定期的に気象庁説明会を開きながら、この夏ごろまで同じようなやり方で遺憾のないように努力してまいりたい、こういうふうに思っております。
  128. 華山親義

    華山委員 それから特に必要なのが現地の気象庁と県庁との関係でございますが、これは晩霜等の場合におきましてあとからいろいろなことを言われ、私は気象庁はお気の毒だと思うのです。そういうようなこともございまして、気象庁も心がけるべきことは心がけなければいけないし、県庁も心がけなければいけないことは心がけなければいけないと思うのでありますが、実態を見ますと、県によりましては非常に密接にこれと関係を持ってやっているところもございますけれども、まだその点がばらばらのところが見受けられます。それで、県庁、気象庁、そういう方面につきましてどういう関連を持つか、そういうことにつきまして自治省農林省気象庁等でどういう関係を持てば最も有効に地方気象庁が役に立つか、県庁は気象庁の考えを最も有効に使えるか、また晩霜等の場合にはこれを伝達するのにどういう方法が一番いいのか、そういう点を地方ごとに、特にことし等につきましては密接な関連を持つような機構をひとつ研究していただきたい、こう思います。これはどこが主になってやるのでございますか。自治省いかがでございますか、ひとつ研究していただけませんか。
  129. 岡田純夫

    岡田(純)説明員 先生おっしゃいますように、非常に先進的と申しますか、気象庁に対しまして積極的に連絡をとっておる県もございますし、あるいは気象庁のほうからはよく連絡してもらっておるというふうに聞いておりますが、ただそれを受け入れておる県、いろいろあると思います。今度の国会で成立さしていただきました地方行政連絡会議も発足いたしますので、そこら辺の情報なり考え方等を交換しながら、それにはまた気象庁関係からも入ってもらうことになっておりますので、緊密に連絡をとるような方向で考えてまいりたい、関係のほうにもそのように連絡いたしたいと思っております。
  130. 華山親義

    華山委員 それは、あなた、連絡会議でやらなくたってできるじゃないですか。そして、気象庁はこういうことがいいと思う、自治省はこういうことがいいだろうと思う、農林省はこういうことが一番役に立つだろうと思う、相談して、こういうふうにしたらどうかということを言えばいいのであって、連絡会議まで持ち出して相談しなければきまらないという性質のものじゃないと私は思うのです。晩霜なんか、あさってくるかもしれないのですからね。もう八十八夜を過ぎたのですから、これからは晩霜になりますけれども、十日過ぎにはくるかもしれない。そういう、連絡会議なんて言っていてはだめですよ。早くやりなさい。
  131. 岡田純夫

    岡田(純)説明員 私申し上げましたのは、自治省なり中央においての連絡をとることは当然のこと、それの前提においてさらに申し上げたのでございまして、努力いたしたいと思います。
  132. 華山親義

    華山委員 地方におきまして、あとになってから、気象庁が悪いから、報告がおくれたから、おれのほうが悪いんじゃないとか県庁で言ってみたり、それから気象庁のほうでは、県庁のほうに言ったのだけれども、県庁の通告がおくれたからああなったのだと言ってみたり、迷惑するのは一般農民なんですから、その点十分な関連を持って敏速に農民に知らせるということでひとつお考えを願いたいと思うのです。  それから各県のあり方でございますけれども、集権的になりまして県庁一本になっていて、各地方に農業のわかる人がおらないという傾向がある。これは私は簡素化簡素化といわれる一つの弊害じゃないかと思う。それですから、晩霜等の場合に、気象庁のほうでは非常にこまかな農業気象のための機関をつくっておられるが、その報告を受けたときに、これを適当に判断して通達するところの県庁の機関がない、こういうこともあります。そういうことにつきまして、ことし等につきましては特別な配慮をして、できるだけ悪い予報、悪い災害のときを切り抜けるような機構上の御努力をお願いいたしたいと思います。いまのは希望でございます。  晩霜について伺いますけれども、晩霜につきましてはどういう手段が果樹、桑等には一番いいのでございますか。どういう指導をなすっていらっしゃいますか、ひとつ農林省からお伺いしたい。
  133. 尾中悟

    尾中説明員 晩霜対策につきましては、私、実はそのほらの専門でございませんので、なにでございますけれども、ことしも天候不順でございまして、関東あるいは中部地方から北のほらにかけまして晩霜のおそれもあるという予報気象庁から出ております。したがって、蚕糸局のほうでそのつど緊密な連絡をとり、かつまた、県におきましては、明朝はどうもこの天候では霜がおりそうだというような各県の気象庁等の連絡を受けますと、すぐ末端までその予報が徹底するような措置を具体的にとるように指導をしておるわけでございます。その予報に基づきまして、地形などによってあるいはいろいろ違うかと思いますが、たとえば重油等を燃焼させましてそういう被害を防止するというようなこともやっておるようでございますし、何と申しましても、先ほど来御指摘がございましたように、気象庁予報が末端まで迅速かつ的確に伝達されて、それに対する措置が時宜を失しないようにとれるということが一番大切だというふうにわれわれも考えておりまして、その点抜かりのないように県庁あるいは関係団体とも前々から準備を進めておるような次第でございます。
  134. 華山親義

    華山委員 これは農林省のお仕事でなくて県庁の仕事かもしれません。サイレンを鳴らすのもいいだろうと思いますし、場合によっては半鐘を鳴らすのもしかたがないと思いますけれども、その際にたくものがございますか。大体農村にはありそうでございますか。そこまで農林省は心配してやらなくても、県庁で心配すればいいというお考えでございますか。
  135. 尾中悟

    尾中説明員 重油等の措置につきましては、必要に応じてやれるように蚕糸局のほうでは指導しております。
  136. 華山親義

    華山委員 蚕糸局といったって、果樹もありますよ。園芸局もあります。蚕糸局がやっておって、園芸局がやっていないということだから、困るというのですよ。それで、たくもので指導しているというけれども、そういうものを貯蔵さすだけの補助金を出せませんか。使うか使わないかわからないものをとにかく持っていなければいかぬ、これはたいへんなものですよ。お考えはございませんか。
  137. 尾中悟

    尾中説明員 ちょっと私、いまその辺の関係を詳しく何しておりませんけれども、現在はたしか補助金の準備はないんじゃないかというふうに思うのでございます。
  138. 華山親義

    華山委員 私、山形県の者でございますが、山形県庁ではタイヤを焼くということを指導しているようであります。ところが、農村にはあまりタイヤがないのです。都会にはたくさんのタイヤがあると思うのでありますけれども、タイヤをたくのがいいんだということであれば、東京から、タイヤでも送る。土くさい仕事ですけれども、それぐらいのことをやっていただかないと、情が移りませんよ。農林省のほうでタイヤでも集めて、そして要るならばそれを送ってやるというふうなこと、それを、県庁は相当親身になってやりますが、農林省も親身になってひとつ百姓になったつもりでやっていただきたいと思うのです。そういうことは地方から言ってこなければおやりになりにくいかもしれませんけれども地方のほうにタイヤがなければ、東京に余っているのだから、こちらで世話しようかぐらいのことを呼びかけてみてください。  それから、私は米の需給ということを非常に心配しておるのでございます。先般予算委員会で外米の輸入ということについてお聞きしたのでございますが、その当時話がなかったのでございますけれども、最近の新聞等によりますと、中共からの輸入ということが出ております。このことにつきまして、どういう経過か、どういう事情か、ういう変化があったのか、御説明願いたいと思います。
  139. 楯兼次郎

    ○楯委員長 いま食糧庁のほうから参りますが、そのときにまたやってもらうことにしていただきます。  川俣清音君。
  140. 川俣清音

    川俣委員 雪害対策について、緊急対策と並びに今後の対策についてお尋ねをしようと思うのでございます。  いま農林省のほうの答弁を聞いておりますると、自信のある対策が立てられておるとは理解しがたいのでお尋ねしたいと思うのでありますが、ことしは例年になく天候が不順であるということで気象庁から予報を出されておる、こういうことですが、天候が不順だという中に、説明によりますと、低温だという説明のように聞き取りますが、農林省気象庁から本もう少し確実な資料をお求になっているのじゃないかと思うのですが、天候不順の中には低温ももちろんございましょうけれども農林省として関係の深い農作物の作況には日照もかなり重大なことは、私は説明を要しないと思います。したがって、低温だけが問題になっているのですが、日照時間も不足だという理解の上に立ってのいままでの説明であったか、この点が明確でないので、御説明願いたいのであります。
  141. 尾中悟

    尾中説明員 ただいま気象庁のほうから聞いておりますのは、四月二十日現在で向こう三カ月の天気の長期予報が出ているわけでございます。それによりますと、五月には内陸でおそ霜があるということ、五月の中下旬は西日本のほうはわりに高温であって、北日本が並み程度だというふうに聞いております。それから下旬になりますと西日本は梅雨のはしりに入るということでありますので、日照関係も西日本では少ないのではないかというふうに思います。北日本のほうは、全体といたしましては、六月の後半から七月の上旬にかけましてやはりつゆに入るわけであります。したがって、このつゆの時期は例年とはそう変わらないと思いますけれども、やはり後半に大雨のおそれもあるというような予報も出ておりますし、つゆ明けの時期も、西日本はわりに天気がよくて高温である、しかし、北日本は平年並みか、気温も低いということでございますので、日照の関係は必ずしも明確に出ておりませんけれども、以上のようなことから見てまいりますと、平年並みか、やや減るというような予想も立てられているのではないかというように推測しております。
  142. 川俣清音

    川俣委員 いまの説明を聞きましても、何か人ごとのように聞こえるわけです。あるいは茶の間の話題みたいに聞こえるわけです。農林省は農業気象を十分検討しなければならない役割りを持っておると私は理解をする。したがって、気象庁が発表しただけをただ捧読みにするのならば、別にあなたにお聞きする必要はない。気象庁にお聞きすればいい。それをさらに詰めて、一体日照はどのくらいであろうかという検討をするのがあなた方の任務だ。気象庁の足りないところをさらに検討してもらう、日照はどうであろうか、こういう検討をしてもらわなければならぬのではないですか。あなたの話は、茶の間の話でしょう。農林行政をやっている人の話でないのです。そんなことであるなら、気象庁の発表そのままでいいのです。われわれは、気象庁の話だけではもの足りなく思うことを農林省はどう理解しているか、どう詰めて研究しているかということを聞きたいのです。ただ気象庁の話だけなら、気象庁の人に聞けばいいので、私があえて要らないと言ったのは、農林省は、常識的にいって、これを検討しておられるはずだ、農林行政をやっている者が、検討していないなんと言えるはずがないと思うからです。何のために農林省があるのですか。  そこで、さらに今後の対策についてお尋ねしますけれども対策として、なるべく肥料を使わぬようにということですけれども、この問題でも、肥料を使わないようにという中には、日照が多いか少ないかということが検討されなければ肥料の問題は出てこないはずです。気温は低くても、日照が多ければ肥料の分解がいいことは、これはもうあなた方の試験場の研究で出ているはずでしょう。なぜ試験場の研究をお使いにならないのですか。試験場の研究というのはあなたはむだにしておるのですか。研究があるじゃないですか。あるのを使わないで、人の発表だけを見てそれで対策を立ててるというようなことでは、これは怠慢ですよ。  それからさらに、これはどこで検討されたのですか。その肥料を少なくすることが必要だという研究は、農林省のどこで一体検討されたのですか。こういう検討をされるならば、今日の品種がどういう品種であるかということを当然検討した上でのものでなければならぬ。いま農林省の奨励品種あるいは奨励はどういう方向へ向いているのですか。うまい米を食わせるというふうに向いているんじゃないですか。農林省の指導はそうだ。大臣がたびたび答弁するように、これからうまい米を食わせるのだ。そのうまい米というのは何か。等級の高いものかというと、そうじゃない、味のいいものだ。味のいいものを食わせるんだという大臣の声明に対して、肥料をやらなくてもいいような品種ということになると、これはまずい品種ですよ。このくらい明瞭なことはないじゃないですか。ことしはうまい米は食わせられない、そういう決定があって、そうして肥料は使わない品種をつくれというのならわかるけれども、依然として、うまい米をつくれということを変えていないで、肥料は使わぬほうがいいんだ、これはどっちが一体ほんとうなんです。変えていないのですよ。だから、たびたび私どもが疑問に思って尋ねると、等級の高いものということならこれはまた別ですけれども、うまい品種を食わせるんだ、こういう形でしょう。うまい品種で肥料の要らない品種なんてありますか。あればお聞きしたいものです。いままで試験場のあれでは、うまい品種というのは肥料の多くかかる品種、比較的多肥性のもの、こうなっておるでしょう。肥料も要らないような品種でそういうものができればけっこうですよ。私どもはそういうものが望ましいのですが、農林省は研究していないですね。肥料が要らなくてうまい品種というのは研究されていないじゃないですか。それじゃ対策にならないじゃないですか。それはごまかしですよ。これについて御答弁願います。あなたは専門でないことはわかるけれども、このくらいは農民の常識ですよ。われわれが知っておるのだから、農林省が知らないなんて言ったらだめですよ。私らが知っていることを知らないなんて、答弁にならないですよ。
  143. 玉置康雄

    ○玉置説明員 先ほどのまず日照時間との関係でございますが、気象庁の発表には、日照時間そのものは書いておりません。
  144. 川俣清音

    川俣委員 そのことは知っているんですよ。だから、農林省はどう研究しているかを聞いている。
  145. 玉置康雄

    ○玉置説明員 私どもは、一般的な傾向としまして、気温低目というときには日照時間も大体少ないだろうということを前提として、先ほど申しました対策を立てたわけであります。対策の立て方といたしましては、私どものほうで中心となりまして、農林省の中の技術会議、試験場等も集まってもらいまして、先ほど申しました、ごく一般的な対策でありますが、立てたわけであります。その中に、先ほど肥料と申しましたが、実は窒素質肥料を控え目ということが書いてあるわけでございます。そこで、先生お話のとおり、味をよくするということと矛盾する点もあるかと思いますけれども、何と申しましても、低温の夏にも稲が軟弱になることを非常におそれまして、さように指導しているわけでございます。
  146. 川俣清音

    川俣委員 いや、その対策自体は必ずしも——それは緊急の処置としてそうあるべきだと思いますけれども、しかし、農林大臣は国会で、これからはうまい米を食わせるんだということを言っているじゃないですか。そうすると、農林行政と農林大臣と全く遊離していることになるじゃないですか。だれが聞いてもそう見えませんか。したがって、十分な研究をされていないのじゃないですか。単に食糧庁の問題じゃなしに、農林省全体の問題です。大臣があえて、うまい米を食わせるんだということを強調しているのだから、それはお聞きになっているでしょう。これはただ一等米とか二等米を出すんだというなら別ですよ、どっちなんだと聞くと、うまい米を食わせるんだ、こう言うんですね。そうすると、この方策と合わないじゃないですか。どっちかを変えなければならない。ことしは天候がこういうわけだからしてうまい米は望めない、食糧全体の確保のためにはこういうこともやむを得ないのだということが知らされなければならないじゃないですか。ことに、農民の人は別にして、一般の消費者は依然として、うまい米が食われるんだという理解をしているとすれば、たいへんな誤解を生ずることになるのじゃないかと思う。こういうことばかりじゃなく、いま産米改良とか、いろいろな形においても、試食会をやったにしても、うまい品種を奨励しているじゃないですか。そうしてうまい品種の種を奨励しておりますから、しかも多肥性の品種を奨励しておりますから、多肥性の品種に肥料をやらなかったら、これは問題になりませんよ。わざわざ多肥性の品種を奨励しておられる。これはいま種をつくるんじゃないですよ。秋のうちに用意しなければならぬものです。多肥性の品種を奨励しておいて、いや、肥料は使ってはならない、何のために一体多肥性の品種を奨励したのです。ことしの天気予報がわからなかった、こう弁解するかもしれませんけれども農民などは、こういうあなた方の宣伝といいますか、あれに順応する者はばかを見るということにまたなるんじゃないですか。農林省の指導に従って多肥性のうまい米をつくった者はばかを見る、こういう結果になるんじゃないですか。責任上どっちかに変えてもらわなければならぬ。指導をするというからには、責任の所在を明らかにしなければならぬ。多肥性の品種に少量の肥料では、これは成立しない。成立しないことをやらせるということは、これは指導なんですか、妨害なんですか。農林省は農業について農民の生産に妨害をしておるということになりはしませんか。古老は、何年に一回くらい低温なことがある、あるいは日照の少ないこともあるということで、これに対応するような品種をいままでずっとつくってきておるのです。それを農林省がことさらに、うまい米でなければならない、産米改良はこういう方針でなければならない、あるいは、そういう方針でつくった米でなければ検査は不合格にする、こういう指導をしてきているんじゃないですか。そうしておいて、いま緊急対策として——これはいいですよ。緊急対策として、肥料を使わないように、特に窒素肥料は軟弱になる危険性があるから、低温であるし——これは日照が少ないばかりじゃなく、低温でもあるし、窒素肥料を使うと軟弱になるから、それはやめろという指導はいいですよ。これは人ごとみたいな指導なんですね。農林省というのは、長期展望に立って長期指導をしなければならぬ。それを長期指導をしないために、畜産関係でも、今度は豚がいいというのでやるとまた安くなる、そういうことをやるから、農林省全体が農民から信頼々失ってきている。農民の信頼を失った農政なんというものはゼロですよ。そう思いませんか。それくらいの検討はされていなければならぬはずだと思うのです。あなた方、専門でないと言うかもしれないが、これは専門でないでは許されない。いま災害対策の答弁にお立ちになるからには、おそらく検討されていなければならぬ。いま検討していないというなら別ですよ。とにかくこれは当然検討の対象になっておるはずです。それに参画しておるはずですよ。私はそういう意味でお尋ねしておる。そんな検討に参画していないなら参画していないと、はっきり言ってください。私どもは信頼をして、参画しておるものと理解をしてお尋ねをしている。農林省というのはこういうだらしのないところで、そういうことは知りませんというなら、率直にそう言ってください。それほど情けなくはないと私は理解をしてお尋ねをしておるのです。最も善意な立場に立ってお尋ねをしておるのです。別にあなた方をけなすつもりは何もない。それくらいの理解はあるだろうという前提に立っているのです。
  147. 玉置康雄

    ○玉置説明員 大臣の言われましたことは一般的な方向でございまして、今後品種改良等を進める場合にも、従来のようにただ増産一本でなくて、味のよい米、そういうものに向かって品種改良をし、また奨励をするという御趣旨だろうと思います。だからと申しまして、その品種でなければ検査の等級を落とすということはないのだと思いますけれども、これは一般的な奨励の方向だと思うわけでございます。こういう方向に対しまして、ことし非常に異常な気象が予報され、また現在まで続いております状態でございまして、一般的な方向からことしの指導方針が少しそれるということは、また特に地域によりましてはそれるということはやむを得ないと思っておるわけでございます。
  148. 川俣清音

    川俣委員 あなたのやむを得ないというのは、そのとおりです。それならば、ことしはうまい品種などというのは望まないのだ、それよりもとにかく収量を確保することに重点を置くのだ、そのために、災害対策の上からいって窒素肥料は使わないでほしい、こういかなければならぬはずでしょう。それならわかりますよ。そをれ、一方を取り消さないでおいて、こっちのときはあっちに逃げよう、あっちのときはこっちに逃げようという、こういう態度は、農業施策上とるべきでない、こういうお尋ねをしておるのです。むしろ意見を述べておるのです。これはあなたでわからなければ大臣です。大臣はなおわからない。あなた方がみな大臣にそういうふうに教えてきたのだ。農林省は大臣がこういう答弁をするようにみな教えておるのだから、大臣の責任じゃないですよ。あなた方が大臣にこういうふうに教えたけれども、これは訂正しなければならないということにならなければ、大臣に対して忠実じゃないですよ。農林省に対して忠実じゃないですよ。どこの役所かわからない。気象庁ならかまいませんよ。農林省はそれをどう理解をして農政の上に役立たせるかということが農林省の任務だ。それを、いや、天気予報はこういうふうに出ておるから、たぶん日照は少ないでしょう——でしょうというのは何です。たぶんこうなるでしょう、そんな指導のしかたがありますか。やった者がばかを見るというような指導のしかたがありますか。そういうことのないようにしようというのが指導でしょう。私はそう理解する。あってはならない、損害をかけてはならないというのが指導でしょう。たぶんそうでしょうなんという指導はどこにありますか。これは農業の問題というのはむずかしいから急に答弁できないということは、私はわかります。わかるけれども、ここへ出ておるからには、検討をしたものを持ってきてもらわなければならぬ。検討していないなら、していないと正直に言ってください。これから検討させなければならぬと思いますから。大臣を呼んで責任を追及しなければならぬ。気の毒だけれども、責任を追及しなければならぬ。ここで答弁できないなら、また近く予算委員会が開かれますから、大臣に追及をします。それじゃ少し気の毒だと思う。あなた方が教えておいて、それを直させないでおいて、検討したのを直させないでおいて、大臣の答弁が悪いのだなんと言ったって、これは済まされないと思う。これは重大なあなた方の責任ですよ。どう答弁なさいますか。
  149. 玉置康雄

    ○玉置説明員 長期予報によりまして指導いたします場合には、先ほど気象庁の御答弁の中にも、私、ちょっと聞いたので、もう少し商いのかと思っていたら、六〇%の確実度ということがちょっとあったと思います。それを受けまして私どものほうが指導いたしますのですが、さらにそれを私どものほうで検討いたしましても、気象そのものについて気象庁以上の検討ができるはずがございませんから、それを受けまして指導いたします場合には、ある程度、たぶんこうなるだろうぐらいのことしか言えないと思うのであります。こうすれば絶対だいじょうぶだからこうしなさいという自信は持ち得ないと思っております。そこで、自然、先ほど申しましたような方向になってしまうのでございますけれども、各県を通しまして農家の方々にもそういう御理解をいただいておると思っておるわけであります。
  150. 川俣清音

    川俣委員 これは私、農林省は実に怠慢だと思うのです。私自身、気象庁予報課長がこの前予算委員会に来られたときに、低温のことはわかりますが、日照について検討しておられますかと聞いたら、実は検討しておりません、これから帰って検討する、こう約束しているのです。農林省から当然この問題を検討してくれということが出ているはずだ。いえ、農林省から何も出ておりませんので、いままでやっておりません、こういう答弁なんです。あなた方が検討をしてくれと頼んでいないじゃないですか。だから、あなた方にわかるとは思わないですよ。農林省の立場からこういう点について検討してほしいということさえ頼んでおらないのですから。私が頼んでいるけれども、あなた方は頼まないじゃないですか。これはあなた、怠慢ですよ。低温だということは、気象庁は頼まれなしにお調べになっていることで、これは明らかですよ。そこで、日照についてほどうなりましょうかと聞いたら、実はそれは検討しておりません、そういうデータをあれしてはおりません。いや、これは当然農林省のほうから、あなたのほうから、検討するように出ているはずだと言ったら、いえ、農林省から全然聞いておりません。先生からあらためてあったからこれは検討します、こう約束している。きょうは私はその検討の結果を聞いてもいいけれども、先に農林省から聞かないで、いや、農林省から検討なんて言われておりませんと言われたら、農林省、あなたのほうの恥でしょう。そう言われたらどうですか。そういうことの検討は何にも農林省から依頼されておりませんと言われたら、あなた方はどうするのです。それじゃあまりあなた方が気の毒だと思って、あえて、気象庁の人がここにとどまることを必要なし、こう言った。それじゃあまり農林省がみじめですよ。農林行政の上から聞いたのだけれども、まだ十分検討ができておりません、こういう気象庁の答弁なら、これはあなた方はいいのです。そういう検討について何もお話がありません、こうなったら、どうなんです。これはほんとうにあなた方の怠慢ですよ。よくもそんなことで災害対策をやりますなんて言えるものだ。やらないなら別ですよ。やりますなんというのはみなうそだということになるじゃないですか。いままでのことは別にして、将来の対策をどう立てるか。私、わざわざ、現在の対策についてはむずかしいだろうと思って避けて、将来の積極的な対策だけでもお聞きすれば、それで幾ぶん農民が安心するのではないか、こういうことでお尋ねしている。いまの対策もできていないくらいだから、将来の見通しなどについての対策は無理だといえば無理かもしらぬけれども、私としては非常に好意ある質問をしているつもりなんですよ。あなた方、全く顔色ないじゃないですか。こんなことを聞かれなければならぬ、こんなことを答弁しなければならないというようなことは情けないと思いませんか。私、農林省にとってこんな残念なことはないと思うのです。もう一度答弁してください。
  151. 玉置康雄

    ○玉置説明員 私どものほうでは、短期間をとりますと日照時間と温度と一致しないことはございますけれども、現在気象庁が発表しておりますのも、ただ五月上旬とか中旬とか下旬とか、つゆが長いとかいう程度のことでございまして、そういう長期間をとりましたならば、大体気温と日照時間とは比例するだろうという前提でいままできておったわけでございますけれども、必ずしもそうまいりませんときもあるかと思いますので、今後気象庁とも打ち合わせまして検討いたしたいと思っております。
  152. 川俣清音

    川俣委員 それでけっこうです。そうやるのが普通なんですね。私らですらそういうことを気になって尋ねているときに、農林省が尋ねていないということが私ふしぎでしょうがない、こう申し上げているのです。私らですら気象庁にそういう質問をして検討を願っておるときに、低温である、しかし湿度から見て——日照時間というのは、湿度あるいは台風とか、そういうものは検討されておるのだから、その結果、日照というものがどういう形になってあらわれるでしょうかと尋ねたときに、実は低温のことははっきりしたデータを用意しているけれども、日照についてはそこまでデータをまとめておりません、こういう答弁です。それだから、それでは過去の気象あるいは推定をされたそれらの資料に基づいて日照はどうなるであろう、湿度、乾度はどうなるでしょう、これを調べてほしいということを依頼してある。今度の予算委員会までに出てくると思いますけれども、これは私からいう農林省から出してもらいたいのです。農業気象ですからね。そうじゃないですか。私の言うことは無理ですか。これはもう一ぺん御答弁願いたいですね。私は農林省のためにもそうあるべきだということなんです。あなた方が地方農政局に指導を依頼するときに、こういうデータなしに、ただ気象はこうだというようなことでは、地方の農政局だって指導の方法がないじゃないかと思うのです。それであえてお尋ねします。
  153. 玉置康雄

    ○玉置説明員 確かに先生おっしゃるとおり、日照、湿度等が十分わかるほうが非常に望ましいわけでございます。ただ、気象庁長期予報自体が最近発達してきたものでございますし、私どもも最近そういうことに関心を持ち始めたものでございますから、まだそこまで考えの至らなかった点があるかと思います。今後そういうことにつきまして打ち合わせまして、行政の指針を立てたいと思っております。
  154. 川俣清音

    川俣委員 それでいいのですよ。いまないものを無理に出せというわけではないですが、そうあってしかるべきじゃないか。気象庁に、これは見通しが立てないものですかと言ったら、いや、絶対にできないというものじゃないけれども、そういう資料についての検討はしておりません。こう言う。絶対できないものなら、これはできないと言ってほしい。いや、できないわけではないけれども、そういう検討はしておりません、こういうことなんですね。だから、そういう過去のデータ及びこれからの見通しを立てられたものに基づいてできませんかと言ったら、できないことはありません、しかし資料はまとめておりません、こういうことなんですよ。私どもが検討して、農林省が検討してないということになると、ちょっと世間に対してていさいが悪いじゃないか。ていさいじゃなくて、農林省が怠慢をつかれるようなことになるので、私はあえてここで問題にしているのですよ。まあこれだけ警告しておけば、あなた方も検討されるでしょうから……。ここであなた方を無理に苦しめるという意味じゃない。実際検討してほしいと衷心願うからなんです。  そこで、将来の対策としてもそうですか、おそらくそういう指導をされる。比較的窒素肥料を使わない品種ということになると、いまそういう品種がこの蔵しろ種おろしまでに間に合うことになるかどうか、非常にこれは疑問だと思います。これは、ことしの植えつけなら、去年決定して準備しているわけですから……。種もみは、御承知のとおりそんなに市場性はない。新しく奨励品種にしたようなものは、これはわりあい市場性を持った売買もされるような性格を持っておりますけれども、市場性の薄いのが種もみの本質です。したがって、急にそういうものがあるかないか。こういう指導をしたのだから農林省は責任がないのだというための方策としては役に立つかもしれませんけれども、ほんとうに親切な指導ではないのではないか。こういう種もみを一体どうして見つけるか。そういうものが市場にないのです。市場というか、農村にないのです。ない品種をどこから見つけるか。どこかにあれば問題ない。買い集める、あるいは農協が買い集める、あるいは農業委員会が買い集める、こういうことはできますよ。市場にない、あるいはすでに脱穀されているということになる。種もみとしては存在しないということになる。そういうものを奨励するといったって、根拠がない。ないものを奨励するということになる。確かに窒素過多になって弱い苗ができると、これは病虫害が発生するばかりではなくて、非常に弱いということになると、収穫も減ずるであろうから、そういう対策を講ぜられるということは、一応机上論としては意味があると私は思う。絶対ないものじゃない。しかし、さてそういう品種はあるか。しろうとが言うならいいですよ。しろうとが、あまり肥料をやると、ことしは低温型だからあぶないぞということを言うなら別です。農林省が言う場合は、種もみについてはこういう対策をとるのだという裏づけがなければ、無責任だというそしりを免れないと思うのです。ここで私があえてお尋ねした理由もわかるでしょう。この点について検討されたのですか。種もみはなかなか入手難だというようなことを検討されたのですか。この点をひとりお尋ねしたい。
  155. 玉置康雄

    ○玉置説明員 確かにお話のとおり、種もみについて市場がございませんから、いますぐ取りかえるということは非常に困難だと思っております。ただ、いま農家の中で融通がつく範囲内においては、できるだけ早中生のものをおつくりいただきたいということを申しましたのと、それから、それだけで農林省が全然手を打っていないわけではございませんので、従来町村岡の種もみの売り買いにつきましてもあっせんしたことがございますし、そういう手を打つ必要がある場合には打ちたいと思っているわけでございます。しかし、非常に困難なことはもちろん存じているつもりでございます。
  156. 川俣清音

    川俣委員 特定の種もみをさがさないで、秋に作況が非常に悪くて、ある地域はそれほど収量が少ないわけではなかったというときに種もみを貯蔵しているところから、種もみとしては不十分かもしれないけれども、とにかくもみの形態であるものを買い集めたということはありますよ。しかし、特定の種もみを集めたのだということは、農林省でかつてやったことはない。それは総体に種もみがなくなった、北海道が冷害で種もみがとれなかった、そういう場合に、比較的、秋田県とか青森県のような低温地帯の早場性のものを集めていって北海道の種もみを補給したことはありますよ。こういう品種でなければならないなんていうものは集まりませんよ。北海道には北海道の品種がある、青森には青森の品種がある、これを北海道向きの品種を集めるといっても、とうてい集まらないはずです。そうではなしに、応急措置として、何もないよりはましだということで種もみを集めたことは農林省にはかつてある。これはありますよ。過去にあるといっても、そういう例だけですよ。多肥性のものでなく、肥料も比較的要らない品種を集めよう、そういう品種を指定したら、これはおそらく集まりっこない。種もみとして用意されているんじゃないですから……。その地方にあってまだ脱穀されていないものを集めてくるという方策はないわけじゃない。しかし、最近はもみ貯蔵というものは非常に減ってきているから、それもむずかしい。昔はもみ貯蔵があったから比較的よかった。もみ貯蔵が比較的なくなってきたから、今日そういうもみを集めるということすら困難じゃないか。これは農村の実情ですよ。このくらいのことは前からのことで、農林省が理解されていないわけはない。私はそういう前提に立つのですよ。  さらに推し進めて言うならば、そういう用意なしに、だた上から声をかけるというようなことがいままでの農政の失敗であったということ、私が特に指摘したいのはそこなんです。実態に沿わない、声だけで、あるいは文書だけで責任を済まそうとするところに農政の大きな欠陥があったと思うから、あえてこの点を指摘しているのです。文書やそういうものだけで責任をのがれようとするようなことでは、農民に対して親切な指導になっていない。この点をあえて指摘したかったのです。また再びおやりになるというから、私はここで農林省に反省を求めたい、こういうことになっただけです。この点どうお考えになりますか。私の指摘が無理だというなら、私も反省してもいいですよ。私は、この程度のことは、農林省として農政をやっている以上、常識的にお考えになっているという理解に立っておるのです。御答弁願いたい。
  157. 玉置康雄

    ○玉置説明員 種もみにつきまして、いまから取引をするということは非常に困難だということはよく存じておるわけでございます。ただ、実際農家でつくられる場合に、できるだけ晩生にいかないようにということを申し上げているわけでございます。  なお、実際にもし種もみの売買ということになりますと、非常に困難だということは、よく存じておりますけれども、御希望があれば、県の種子協会である程度はやりますし、また食糧庁で多少のものを持っておりまして、その払い下げも可能でございますから、全然手が打てないことはないと思うのでございますけれども、何ぶん気象庁長期予報が出ますのもそう早く出るわけでございませんで、時期もおくれておりまして、非常に困難なことはよく存じております。
  158. 川俣清音

    川俣委員 食糧庁で持っている種もみをお調べになってごらんなさい。あなたの期待する品種のようなものは一つもありませんよ。大体想定のつくものを持っていますよ。種もみで持っているのでなくて、もみを持っておることは事実ですが、しかし、それがあなた方がいま指導しようとする種もみに合致するかというと、そういうものはお持ちになっていないということは明瞭に言えると思うのです。そういうものをもみとして持っていない。そういうものはむしろ排撃しておるのです。それを持っているわけがない。簡単にいえばそうですよ。もみはありますよ。だから、北海道の冷害のときのように全くもみがない、早生であれば何品種でもいい、こういう場合にも、もみはあるいはあると思いまするし、そういうものであれば東北の農村にも持っていないわけじゃないから、集めることは必ずしも困難じゃない、私はこうは言えると思うのですよ。しかし、あなた方がいま指導するような、うまい品種は別にしても、肥料の比較的かからなくてもいいような品種、こういうものをはたして持っておるかというと、そういう品種はいま用いられていない。現に育成していないようなものの種はあるわけがないじゃないですか。いま試験場にありますのは、これは自分のところの奨励品種、こういうものを奨励したいという品種はわりあいに用意をして、いつでも不足なときには分け与えようという用意は幾らかあると思うのです。試験場にあると思います。しかし、いまあなた方の期待されるような品種があるかというと、試験場にはないのですよ。そういう品種はだめだと指定しておるのに、あるわけがないじゃないですか。こういう品種でなければならない品種ならおそらくあるだろうと思います。集められないことはないと思います。しかし、あなたの指摘するような品種はもはや世間から放逐しようとして、奨励品種をつくっておる。もっと極端なことを言うと、そういう品種が残っていると、交配して退化するおそれがあるからといって、なるべくそういうもみのないように指導しているじゃないですか。かつて農民の古老は、こういう災害が何年に一回起こるか知れないということで、そういう予防のための品種というものを常に用意しておった。そういう農民は近代感覚がないのだ、農林省の奨励に沿わないのだということで、それをけなしていたというか、むしろそれをやめさせてきたじゃないか。農林省の指導もっともだということで農林省の指導品種に忠実に従った者がばかを見るという指導じゃないですか。そういうことでいいのですか。農林省の指導に従えば農民はしあわせになるということならわかりますけれども、常に農林省の言うとおり指導を受けるとばかを見るという結果になる、これは私は許しがたいと思う。正直者がばかを見なければならぬ。農民は一ぺんばかを見ると、これはなかなかなおりがたい。農民の恨みというものはなかなかきついですよ。それを、いま検討されたというのですけれども、私は検討が十分じゃないと思う。確かに窒素肥料を多くやり過ぎると脆弱な稲になって、東北等災害の起こるおそれがあるから、肥料をあまり使うなということはけっこうです。しかし、いままでうまい品種なりあるいは収穫量の多いものを比較的奨励してきた。その責任はちっとも負わないで、そういうものを肥料を使うとだめなんだということは、これは私はおそろしい指導だと思う。首をかしげておるけれども、そういううまい品種は肥料を食う品種で、肥料を食う品種に肥料をやらなかったら、これは作柄にならないですよ。非常に肥料を多く要する品種、または水を非常に多く要する品種は、花であってもある。水を非常に多く要する花に対して、水をやらなければ、これは生育しないのです。このくらいのことは、植物常識上御存じでしょう。たとえ事務官といえども、このくらいな常識があってもいいはずだと思う。私なんかもこのくらいの常識は持っていますよ。あなた方はもう少しあっていいはずだと思います。植物に対する理解、農作物についての理解がもう少しあったっていいはずじゃないかと思う。しかも、検討された、その検討の中には、相当の専門家がおって検討されたはずだと私は思う。それをあなたは受け売りするのでしょうからいいでしょう。自分の専門以外のことですから、聞くことはいいですよ。しかし、それもやってないじゃないかという懸念を、いまの説明では持つのです。非常にあぶないことをあえて実に大胆だと私は思う。私から言うと、農林省というところはずいぶん大胆なところだと思う。わかりもしないでずいぶん大胆なことをやるものだと思って、大胆さに寒心しているのです。これまで言ったらもうおわかり願えると思うのですが、どうですか、もう一ぺん。
  159. 玉置康雄

    ○玉置説明員 最近、品種改良の方向といたしまして、味のいい米をつくろうということが一般的な方向でございます。ただ、ことしの方針といたしまして、ただいまのお話の中で、肥料の要らない品種というお話がございましたけれども、私が先ほど申しましたのは、ことしの指導方針として出しましたのは、わせ、中生の植つけ歩合を多くしろということを言っただけでございます。それからその肥料のやり方といたしましては、窒素肥料を控え目にしたほうがよかろうということを言っただけでございまして、肥料が少なくていい品種ということを言っているわけでないのでございます。
  160. 川俣清音

    川俣委員 私もこの程度にとどめておきたいと思いますが、あなたの答弁はなお疑問を生じてくる。多肥性の品種であれば、肥料が少しでは効果が少ないのです。そういうことでしょう。したがって、肥料をやるなということを言うと、多肥性でない品種を植えろというふうに農民はとるおそれがある、こういうことなんです。また、多肥性の品種であれば、肥料が少なければ収穫になりませんよ。それだけ必要とする品種は、長い期間かかってそういうふうに育成されてきた品種ですから、したがって、肥料を多く要する品種というのは、肥料の過多性に耐え得る品種でしょう。それは肥料が少なければ生育に非常な障害となるのです。このくらいなことはあなたは理解されていると思うが、あなたの答弁を聞くと、まだ理解がない。決してけなしている意味じゃないが、そう思わざるを得ないじゃないですか。だから私はさっきから例を引いて、草花でも、水を非常に多く要する草花に水をやらなければすぐ枯れる、水の比較的要らない草花であれば、水が不足であっても生育する、こんなことは草花だとわかるだろう、農産物だとなかなかおわかりにならないと思って、わざわざ草花の例を引いたじゃないですか。これならわかるじゃないですか。ここに来ておられる人たちはみなわかると思うのです。私らのように専門家でなくてもこのくらいのことはわかるのですから、あなた方が答弁できてないのはおかしいじゃないですか。だから、これは聞いてよく検討しますというよりほか答弁ができないようですから、それならそれでがまんしますよ。へたに答弁するとどうもおかしくなって——おかしいと言っては失礼だけれども、ほんとうに情けないような感じがしますから、帰って十分検討するという答弁でがまんしようと思いますから、御答弁願いたいと思います。
  161. 玉置康雄

    ○玉置説明員 お話のとおり十分検討いたします。
  162. 川俣清音

    川俣委員 食糧庁が来ているから幸いですが、いまの話はわかると思うのです。わかるかわからぬか、わからぬけれども、少しはわかると思ってお尋ねしておるのです。いま農林省の答弁として、ことしは冷害のおそれがあるので、窒素肥料をなるべくやらないようにという指導をして災害防止につとめておる、こういうことです。それは私は必ずしも悪いとは思いませんけれども、しかし、そういう品種がいまありますかと聞いた。そういう品種はほとんど残されていない。肥料を多く要するような品種を比較的奨励されている。奨励品種、これは農林統計の中に出てくる。どこでどういう品種を使っているかということは、農林統計に出てきているのですよ。農林省、聞いておいてほしいのですが、これは私の統計ではない、農林省の統計にあるのです。そこで比較的うまい品種をいま奨励している。うまい品種というのは、比較的肥料を多く要する品種だ。肥料を多く要する品種に対して、肥料を比較的避けるということになると、これは生育にも影響するんじゃないかということで、どうも食糧のことになると農林省はおわかりにならないんですね。そこで私は草花の例を出して、水を非常に多く要する草花に水をやらなければ枯れます、水をやらなくても比較的生存する草花もある、水をあまりやるとかえって、枯れる品種もある、そのように、肥料を多く要する品種に肥料をやらなければ枯らしてしまう、そのぐらいのことは食糧庁御存じでしょう、こういうのです。どうですか。
  163. 田中勉

    田中説明員 いろいろ先生から非常に詳細なお話を承ったわけでございます。確かに、いま普及されている優良品種というものは、どちらかと申しますと、一般的に多肥性に耐えるというようなこと、それから耐病性に非常に富んでおるというようなことで普及されてきたわけであります。そこで、今後の天候の異常な事態等に対処して、とかく従来等において、肥料を過度に投じたために災害程度を非常に増大するというような事例も実はあるわけでございます。その辺のところはやはり程度の問題のように私ども考えておる次第でございまして、実際の生産自身に直接携わっておるわけでございませんので、この程度でひとつ……。
  164. 川俣清音

    川俣委員 まあ無難に切り抜けたというかっこうでしょうけれども、いま問題になっておるのは、種もみが問題になっておる。そういうように対応できるような種もみがありますかと言ったら、食糧庁にもありましょうし、各府県にもありましょう、こういう農林省の御答弁であったわけです。私は、いま食糧庁にあるもみというものは、そういうふうなもみは用意がないはずだと思う。しかしながら、全くもみがどこにも存在しないというような場合には、それに対応できるような種もみじゃないけれども、もみとして育成できるようなものは持っておられるはずだ。試験場もまた、奨励品種の種子でありまするならば幾らか分ける余裕を持っておられるでしょう。また農家も、奨励品種に近い品種であれば、従来成績のいい品種であれば、まだもみとして持っておる余地があるかもしれないけれども、いまもうすでに脱穀も終わっておる時期です。昔ならばもみ貯蔵ということもあったのですけれども、最近はもみ貯蔵も非常に少なくなってきておるときであるから、種子は別として、そういうもみがあるかというと、なかなか手に入りがたいのではないか。そうしたならば、従来の種もみは用意しておるけれども、こういう災害に対応できるようなもみというものは、さがしてもないじゃないか。かつての古老は、農村の古い人は、災害が起きれば困るということで、常にこういう種もみは用意しておった。農民の自然に対する対抗手段として持っておったことがあるのですが、いま奨励品種奨励品種といって、そういう品種があると奨励品種が後退をするおそれがあるということで、みな植えつけさせないのです。そうしておいて、いまになってそういう対応品種を見つけるなんということ無責任きわまる、こう私は言うのです。だから、もう一度お聞きするけれども、奨励品種でないような品種をたとえば供出しましても、その検査は一級落とされているのです。こういうことを食糧庁がやっておられるのですから、あるわけがない。価格を安くしなければならぬような品種を持っているわけがないじゃないですか。食糧庁にはあるというのですが、おありになりますか。ないでしょう。私はないと指摘したのですけれども、あるとおっしゃるのだから、あなたは責任者でもありますから、おっしゃてごらんなさい。
  165. 田中勉

    田中説明員 災害対策用の種子の管理につきましては、農政局のほうで年々御計画された、大体地域的に、また数量的にも申し入れがございまして、それに基づき食糧庁は検査の上これを買い上げいたしましてそして保管をしているのが現状でございまして、災害のあった場合にそれを放出していくというたてまえになっておるわけであります。そこで、現在こういう計画に乗っかって食糧庁が管理しております種もみが、いま言った災害のためにほんとうに十分それにたえられるような品種のもみであるかどうかという御質問のように承ったわけですが、大体いま農政局で計画されておられるものが、現在の奨励品種を中心としたものが一応災害対策用の種もみとして政府の手にあるということに考えてよろしいのじゃないかと私は考えております。ただその場合に、災害対策用でございますので、いろいろ東北地方とか、非常に酷烈な気象条件下に対処し得るようなそういうもみが十分吟味されて入ってきているかどうかということにつきましては、これはちょっと私もいまお答えできかねる問題があるわけであります。たとえて申しますと、現在、米の中でも、北陸の新潟あたりでございます品種「四越」というようなものがあるわけでございます。これが非常に広範に、たとえば鹿児島あたりまで分布するというような状態になっておりまして、かりにこういうものを取り上げたときに、たとえば東北の酷烈な気象条件下にいいかどうかというような問題については、必ずしもそういうことになっていないというぐあいにも考えられるわけです。
  166. 川俣清音

    川俣委員 あなた、お聞きのとおりです。ですから、特殊な大水害があったためにもみが全然ないという場合に対応できるものがないわけじゃないでしょう。しかし、あなた方の期待するような冷害用の品種というようなことでとっていない。しかも奨励品種を主体にして、今後ともそれを継続して種もみとしておこうというようなものについては特別買い入れをしてあるということは私も十分承知して、そういう意味であなた方にお尋ねしたのですよ。そういう特別な品種はどこにもないはずだ。大体農民がつくってないものを食糧庁が時っているはずがないのですよ。つくっていないようなものを持っているわけがない。奨励品種以外の品種はできるだけ撲滅しようとすら考えておるときに、そういう品種を買い上げるわけがかい。そこで、何でもいい——ということは語弊があるかもしれませんが、東北の、いま言われたように比較的普遍しているような品種は、食糖庁はある程度持っているということは言えると思いますよ。私それを指摘しているのです。それであれば各農家でも幾らか余分に持っているでしょうから、これは集めようもあるでしょう、こう申し上げたのです。そう説明したはずです。あなたの期待しているようなものがどこにもある、いや、食糧庁は持っているでしょうなんということは間違いです、こう指摘しただけです。一般に奨励されているような品種ならば、水害で全然皆無になったときに種もみもないというための用意という形のものはあるし、あるいは、この地方では少し無理なんだけれども、まあ間に合うだろうというような品種は、ないわけじゃないでしょう。しかし、ことしもまた冷害である、あるいは低温であるという場合に対応するような品種は用意されていない。昔の農民であれば、災害がいつ起こるかもしれないということで、幾らかそういうものを用意しておったことは確かにあるのです。その時代はもみ倉を持って、もみで貯蔵しておった。もみの貯蔵ということになりますと一俵や二俵じゃないのですから、脱穀しないで、作柄を見てから脱穀するというような慣習すらあった。非常に天候に対して鋭敏であるから、作柄を見ない限りは脱穀しないという保存のしかたでやっておった。いまそういうことがなくなってきたときに、いや、どこかさがせばあるでしょう、見つければあるでしょうというようなわけにいかない時代になってきておる。それが農林省の奨励の形であったわけです。だれが悪いのでもない。農林省がそういう奨励をしてきたのです。一方にそういう奨励をして、いや、今度は冷害だからこういう品種をやれといっても、無理じゃないですか。こういうことで対策を立てなさい、こういうことなんですよ。おわかりでしょう。不十分だからもっと検討しますというならば、それでよろしいわけです。明確に答弁してください。
  167. 玉置康雄

    ○玉置説明員 私のほうも、現在ない品種、つまり奨励品種以外のものがあるとお答えしたわけではございませんので、現在農家の手持ちのもの、またその村にあるもの、または食糧庁手持ちのものの中で、できるだけわせ、中生のもの、つまり晩生に片寄らないようにしてもらいたいということを申し上げただけであります。ただ、将来の品種の決定等につきましては、今度の冷害を契機といたしましてなお一そう検討しなければならぬと思っておる次第でございます。
  168. 川俣清音

    川俣委員 まだ不十分だけれども、これは幾ら教えてもなかなかわからないから、基礎から勉強し直さないと答弁にならないので、この程度にしておきます。  食糧庁から見えたからかわります。
  169. 楯兼次郎

    ○楯委員長 華山君。
  170. 華山親義

    華山委員 ことしはそうでなければ非常に幸いでございますけれども、冷害があるのではないかというようなことも、気象の関係等から考えるわけでありますが、それについて米の需給関係がどうなるのかということも重大な問題だと思うわけでございます。予算委員会で私がお聞きしたときには、中共から米が入るということはなかったのでございますが、最近中共から米が入るというようなことも新聞で見ますが、何か国際的な米の在庫の問題とか、そういうふうなことから出てきたのでございますか、その点ちょっと伺いたい。
  171. 田中勉

    田中説明員 需給問題につきましては、先般華山先生が予算委員会で御質問がございましてお答え申し上げておいたわけでありますが、このときの輸入計画は、準内地米といたしまして三十三万トンを計画しております。この手当てにつきましては、大体順調に手当てをいたしておるわけでありますが、この計画を立てました上におきまして、内地米の政府買い入れがそのときには七百万トン見ておったわけであります。しかし、その後実際の買い入れの状況はこれを約十万トン以上下回る、こういう事態が出てきておるわけであります。同時にまた、ことしの端境期等に対してもう少しゆとりのある万全の対策を講じておく必要があるというようなことで、既定計画の三十三万トンにつきましては、これをさらに増加買い付けをするという方向を大体決定いたしまして、そしてその一つの地域といたしまして中共米の買い上げが登場してきた次第でございます。この問題につきましては、どこまでも需給上の観点から、十分端境期対策等も兼ねまして、また国内の米の政府買い入れの減少等という事態にも対処いたしまして、既定の輸入計画を増加買い付けをするというたてまえで、その第一着手といたしまして中共米の買い付けに踏み切った次第でございます。
  172. 華山親義

    華山委員 中共米の買い付け量はどのくらいでございますか。
  173. 田中勉

    田中説明員 中共米の買い付けは十二万トンになっております。
  174. 華山親義

    華山委員 ほかは三十三万トンですか。
  175. 田中勉

    田中説明員 三十二万トンの計画のほかに中共米を十二万トン買いつけるということでございます。
  176. 華山親義

    華山委員 ことしの状況から見ますと、先ほどから話のありましたとおり、減産ということも考えられるのでございまして、かりにこれが五%減りましても、あるいは一〇%減るというようなことになりましても、ぎちぎちの需給計画でございますから、相当問題が起きるだろうと思うのでございますけれども、これは準内地米等によって補なわなければいけない、そういうふうな事態も考えられるわけでございますが、それに対しまして、今日外米の輸入ということは可能性がございますか。
  177. 田中勉

    田中説明員 外米の輸入は、大体いま輸入いたしております地域は北半球でございまして、北半球ということになりますと、実際に米のとれたのが日本と大体同じ時期、ほとんど十二月前に収穫されておるということでございます。したがいまして、これが世界市場に売り出されるという時期は、大体その山場をなすのは五月から六月ごろまでというのが出回りの実態であるわけでございます。そこで、こういうことでいま急に特に緊急増加というようなことを考えます場合には、そういう意味において出回りの時期を過ぎているという問題が一つございますけれども、同時に、私、先ほど触れませんでしたが、中共米の十二万トンのほかに、台湾米の既定輸入計画が十五万トンあるわけでございます。これはいま輸入しつつあるわけでございますが、この台湾米につきましてはさらに増加買い付けの可能性があるわけでございますので、この辺につきましては今後買い付け交渉を推し進めていくということも実は考えております。
  178. 華山親義

    華山委員 お話はもうこれ以上つっ込んで申しませんけれども、将来のことでございますから、幸いにしてそういう事態がこなければいいわけでございますが、これについて、米の関係は非常に国民生活にも不安をもたらしますので、日本の辛の減収にならないこと、また、減収になった場合の対策につきましては万全の用意と指導をお願いしたいと思います。  それから、ちょっと伺いますが、中生とおっしゃったのは、なかてでございましょう。なかてで窒素肥料をやり過ぎるなというのは原則なのであって、これは特別なことではないのでございますが、やり過ぎるなというのですか、あるいはやるなというのですか、どういうことなのでございますか。やり過ぎることがいけないということは前からわかっておるのでございますが、それならば何も別に寒いときの対策にならないと思いますが……。
  179. 玉置康雄

    ○玉置説明員 私どもの指導方針に書いてございますのは、平年より多少控え目にしてくれということを書いておるのでございます。
  180. 華山親義

    華山委員 どうも私のふに落ちない点が多うございますが、川俣先生もおっしゃったこともありますので、この程度でやめますが、万全の措置をお願いいたします。      ————◇—————
  181. 楯兼次郎

    ○楯委員長 この際、おはかりいたします。  先ほどの理事会で協議いたしました結果、東北地方及び新潟県における降雪による被害状況等の調査のため、現地に委員を派遣し、実情を調査いたすことに決定したのでありますが、理事会の決定のとおり委員派遣承認申請を行なうに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 楯兼次郎

    ○楯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  つきましては、派遣地、派遣期間、期日、派遣委員の員数及びその人選並びに議長に対する承認申請手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 楯兼次郎

    ○楯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、航空機利用の必要があります場合にも、委員長においてしかるべく取り計らいたいと思いますので、御了承を願います。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後四時三十七分散会