○
辻原委員 いまあげられたような条件そのものが、
かなり山林労働の実働の
実態に沿わない点があるわけなんです。それをやはり改善する必要がある。そのいま述べられたもののほかに、実際上
一つの大きな
ネックというのは、先ほど私が申し上げた
安定業務なんです。これが
一つの
ネックであります。
そこで、逐次私は具体的に伺ってみたいと思うのですが、まず
事業主の認定という場合に、
山林労働者というのは、自分が小さな山を請け負ってそうして自分が切って出す、こういう、
事業主と
労働者というものが重複し同一人であるという
一つの形態もある。それから雇の
関係でいえば、最近は
賃金による支払いというものが多くなってきておる。これは国の
指導なり社会の趨勢からそうなってきたと私は思うが、依然として昔ながらの材木の石数に応じた請負制度によるそういう
一つの
雇用関係というものもある。だから、これを
一般の
労働者と同じように律していこうというところに非常に無理がある。しかし、このことはすでに、
労災保険の
適用、あるいは最低
賃金等の
賃金をきめる場合に、
かなりくふうをこらされて改善されていると私は思います。それはどういう形によって改善をされたかというと、それは
地域における
協定賃金、これは
地方によって違うでありましょうが、要するに、
労働者側が
山林労働組合をつくって、そうして
労働条件等について
経営者、
雇用主の側と話し合う、そうして経営主のほうは、経営主によるそれぞれの
林業の組合をつくって、それに応じて
地域賃金を
基準にして
労災が
適用されている、こういうケースがだんだん多くなってきているわけですね。そこで私も、この
雇用の
関係というものについてはそういう特殊
事情を認め、
事業主の問で何がしかそういうような組合はほとんどあると思うから、そういう
一つの団体を中心にして、そうしてこの
地域賃金を基礎にして
保険料を納める、その
保険料に対して
給付をしていくというようなくふうができないものだろうか、
労災と同じような形に持っていくことができないものだろうか、これが
一つの問題であると思います。
それから、季節
労働者とおっしゃるけれ
ども、必ずしも
一般にいわれる季節
労働者ではない。季節によって仕事の増減があるという
意味であって、季節によってその職場が移動するという職種ではない。だから、非常に稼働率の高い時期と、そうでない時期があるということであって、しかも、その
地域を離れてよそに出かせぎにいくという性格もありますけれ
ども、それは本来的じゃない。ですから、普通
一般の
雇用関係からいうと、ある山で三カ月切って、その次に今度は五カ月また別の山で切るというけれ
ども、しかし、
労働者にしてみればその仕事の性質は同じだ。しかも
地域から見ると、その
地域で働いているいわゆる
山林労働者であることは変わりはない。だから、そういう観点をとらえてやはり考えてもらわぬと、いままでの
失業保険適用の観念ではなかなか問題は進まぬということです。これをひとつ考えてもらいたい。それから、年間を通ずる離職率を五〇%、こういうふうにやっておりますが、このスタンダードも私は少し問題だと思います。何か最近聞くところによると、さらに、
保険給付を節約する
意味かどうか、この離職率に対するスタンダードをもう少し上げようなんという
考え方があると思いますが、これをもって律することもできないと思います。なぜかというと、今度起きているような
火災の場合に、あらかじめこれは想定することはできないわけです。そういう天災にあってそこで初めて、
失業者が、ある時期六〇%、七〇%、もっと上に上がる
失業率を出すわけだ。これは年間を通ずる実績で論ずることはできません。また、昨年であったと思いますが、山間部に非常に大雪が長期間降った、そういたしますと、その降っている時期、年末から二、三月ごろにかけてほとんど
失業状況になっている。そういうことも前年度の実績によって考えることはできない。こういう特殊な
事情があるので、年間を通ずる離職率なんというものをこれまたスタンダードにすることも非常に困難であります。だから私は、この
山林労働者に
適用する
労働問題というのは、言うなれば、もう少し、いまの社会趨勢から見て、ほんとうに日の当たらない業種であり、ほんとうに国家的に見て必要な業種であるという高い観点から、単なるいままでの
労働慣行あるいは
労災補償という問題よりも、一歩新しいファクターを加えて考えていかないと、とうてい解決することはむずかしいと思います。だから、私の個人的希望を言うなれば、
日雇い労働保険の
特例の中にさらに
一つの
特例の形で百万になんなんとするこの
山林労働者を救わなければ、一方においては、同じ
労働者でありながら、職場がたまたま
官業労働、すなわち
国有林に働くということにおいて、一方はいかなる山間地といえ
どもかなり進んだ保障が受けられておるという、そういう
取り扱い上の不均衡も来たしておるわけですから、それらもにらんで解決をしてもらわないとこれは困ると思います。したがって、いま申し上げたような条件をもう少し
実態に合うようにいかにして
適用させるかという、そのことを中心に考えられて問題の解決を進めてもらいたいと思うのですが、その点について御用意があるかどうか、これをお尋ねしておきたいと思います。