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1965-03-17 第48回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十七日(水曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 楯 兼次郎君    理事 池田 清志君 理事 小沢 辰男君    理事 田中 正巳君 理事 中山 榮一君    理事 稻村 隆一君 理事 大村 邦夫君    理事 岡本 隆一君 理事 山口丈太郎君       天野 光晴君    大竹 太郎君       田村 良平君    武市 恭信君       谷垣 專一君    西岡 武夫君       細田 吉藏君    湊  徹郎君       森下 元晴君    渡辺 栄一君       井谷 正吉君    兒玉 末男君       泊谷 裕夫君    西宮  弘君       武藤 山治君    稲富 稜人君       吉田 賢一君  出席政府委員         防衛施設庁長官 小野  裕君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      久宗  高君         水産庁長官   松岡  亮君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         消防庁次長   川合  武君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  北川 博正君         警  視  長         (警察庁保安局         外勤課長)   川井 昌吉君         農 林 技 官         (農地局参事         官)      永田 正董君         建設事務官         (都市局参事         官)      井上 義光君         建 設 技 官         (住宅局住宅建         設課長)    後藤 典夫君         自治事務官         (消防庁総務課         長)      齋藤 正夫君     ————————————— 三月十七日  委員落合寛茂辞任につき、その補欠として兒  玉末男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員兒玉末男辞任につき、その補欠として落  合寛茂君が議長指名委員に選任された。 同日  理事岡本隆一君同日理事辞任につき、その補欠  として大村邦夫君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任災害対策に関する件(  冬期風浪及び鹿児島市の大火による災害対策)      ————◇—————
  2. 楯兼次郎

    楯委員長 これより会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  理事岡本隆一君から理事辞任いたしたい旨の申し出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 楯兼次郎

    楯委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、これは、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 楯兼次郎

    楯委員長 御異議なしと認めます。よって、大村邦夫君を理事指名いたします。      ————◇—————
  5. 楯兼次郎

    楯委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、去る二月二十五日鹿児島市に発生いたしました大火及び最近各地に発生している火災の災害対策実施状況、並びに現年度及び過年度災害復旧事業進歩状況等につきまして、調査を進めてまいりたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。泊谷裕夫君。
  6. 泊谷裕夫

    泊谷委員 農林省中西官房長にお尋ねしたいのですけれども、昨年の北海道冷害にはたいへんお骨折りいただきまして、北海道出身議員として、当時の労苦に心からお礼を申し上げなければならぬと思うのでありますが、しかしまた、農林省官房長というお立場での中西さんに、重要な問題でこの際どうしても関係農民が明らかにしていただきたい問題がありますので、お答えをいただこうと思います。  いま私の手元に持ってまいりましたのは、五日前の北海道新聞切り抜きでありますけれども、この切り抜きは、またまた、この春耕期を間近に控えまして、冷害による借金を苦にいたしまして、働き盛りというか、農村では得がたい三十四歳の方が自殺をしたという記事であります。このことは、数多い冷災害の中で、昨年九月中旬には、十勝で悲惨にも親子一家四人が糠平湖に入水自殺をする。あるいは十月に、これまた後志管内の大江村で、相当の年配の方でありますが、首つり自殺をする、岩見沢の五十嵐さんがなくなる、これらを考えてみますと、かれこれ八人近くの方がみずから命を断っておることが報道されておるわけであります。しかも皮肉なことには、この記事の出る三日前には、地元の北海道新聞としても北海タイムスとしても、この新しい年の営農についてできるだけ農民に激励を与えようということで、農村問題を中心一大キャンペーンを張っておったところでありますが、その記事の大きな見出しは、次のようなタイトルを打ってあります。北海道農民実態を「生活保障でやっと」というタイトルをつけたり、「借金で食いつなぎ」あるいは「農協にも見放さる」、こういうことで特集が出されておるのでありますけれども、その中の一節をこの際読み上げて特に御理解をいただこうと思うのでありますが、その一節に、地方における民生委員談話でありますが、「保護を適用したあと、担当民生委員は、すぐ自立・更生の指導に取りかかる。だが、すべての仕組み農協にがんじがらめにしばられている農民の場合は、農協から見放されてしまっては、もうおしまい。保護費のおかげで命をつなぐことはできても、一人前の農民として再出発する道は遠い。どうにか保護から脱け出せたとしても、おそらく食うや食わず、借金に追いかけられる暮らしが続く。」これからがこの民生委員談話でありますが、「いっそ離農転職をすすめようとも考えますが、あなたは農業者にむかないと転職の指示をするのは、憲法で保障されている職業選択の自由がひっかかってなかなかむずかしい。農協経営自衛のため力のない農民に金を貸さない気持ちはわかるが、それと同時に離農転職対策にも目を向ける愛情がなければ——」こういうふうに民生委員は訴えております。  そこで、北海道タイムスで発表されました北海道農民のことしの三月の借財は、八百二十五億になりそうだと伝えられておりまして、一年間にちょうど二百億円、前年対比三一・八%ふえた形になっております。このことは昭和三十六年までの同じ借金四百十七億に対比いたしまして、わずか四年で倍増になった趨勢を示しておるのでありますが、これに関連いたしまして、実は北海道冷害の際に、災害対策特別委員会農林水産委員会連合審査の際に、先輩の中澤茂一議員から赤城農林大臣に次のような質問をしております。農民を救う根本的な問題として、農民負債整理についてこれに対する解決策を、よし臨時国会に間に合わないとしても、通常国会には必ず出してもらわなければ困るということを切々と訴えました。これに答えて赤城農林大臣は、「いまお話がありました、ちょうど私は構造改善事業として農地管理事業団ということを考えて、経営拡大あるいは協同化というものを進めるつもりでございます。それと並行して、お話のように、やはり金融面措置をしていくということについては、いままでの負債整理していくということでないと前へ進みません。」なお、「具体的にまだ考えを持っておりませんが、お考えの点は私も同感でございますので、お答えしておきます。」という答弁がなされておるのであります。確かに、今回の農地管理事業団、あるいは牛乳価格の補てんの問題など、農林省としては従来にない農民のための意欲的な姿勢を示してくれた点は認めるといたしましても、それと同時に、本質的なこれら農民負債整理について、通常国会にまで何とか間に合わして提案をしていただけるという赤城農林大臣約束がどうなったものか、まず最初にこれをお尋ねしたいと思うのであります。
  7. 中西一郎

    中西政府委員 負債整理の問題ですが、これは特にその問題が深刻化してここ数年検討を進めておりました開拓者中心といたします負債整理について申し上げてみたいと思います。  昨年すでに一前向きに農業をやっていく可能性のある第二類農家営農資金を貸します場合に、その融資を受けるにあたって旧債がじゃまになるというようなケースがございます。その場合の旧債自作農創設資金のほうに乗りかえて前向きの借り入れ金ができるようにしていこうということで措置いたしたのが昨年でございます。その後、検討を進めまして、農業を前向きに持っていくのは非常に困難であるというようなグループの第三類の農家につきまして、一つは、かねてからやっております一戸当たり四十五万円の離農援助資金ワクを、昨年の冷害のときに拡大し、さらに四十年の予算でも戸数をふやすという配慮をいたしておるわけであります。さらに第二は、第三類農家の過去の負債相当多額に及んでおる、それぞれの農家実態に応じて、非常に困窮しておる実情をそのままにしておくわけにはまいりませんので、国の債権管理等に関する法律の運用にあたりまして履行延期するという措置を講じ、さらに十年もたってなおうまくいかないというようなときには、それをいわば棒引きするというような体制を固めまして、最近それを決定いたすことになったような段取りでございます。そこで開拓者につきましては大筋としては旧債整理についての筋としての筋道がついてきた、かように考えております。  一般農家負債につきましては、なお検討すべきことがだいぶ残っておりますので、具体的な新しい政策はございませんが、従来やっておりましたような公庫関係負債償還期限延期あるいは貸し付け条件の変更あるいは近代化資金その他の一般貸し付けについても同様の配慮をするように公庫その他を指導してまいるという方針は今後も継続してまいり、別途、負債状況調査ももっとしっかりやっていくということで、基礎固めをいまいたしておるような状況であります。
  8. 泊谷裕夫

    泊谷委員 官房長、いまお話のありました自創資金に骨を折ってもらう、これはまた借金でありますね。開拓農民の場合は棒引きをするということが煮詰まったという話でありますが、それをもう少し掘り下げて具体的に御説明いただけませんか。特に、先ほども指摘いたしました昨年十月二十七日の連合審査における赤城農林大臣は、胸を張ってこういうことを言っておるのです。「私も昭和六、七年ごろ負債整理組合などをつくって負債整理をして、あの当時の借金というものは膨大なものでございました。」こういう姿勢で話をされておるので、当然今度の国会には負債の処理について具体的に提案が試みられるものと思っておりまたので、いま内部で検討されておるようでありますが、その棒引きの処置について詳細お聞かせをいただきたいと思います。
  9. 中西一郎

    中西政府委員 最近通達は出しておりますが、その具体的な内容について農地局参事官から説明をいたします。
  10. 永田正董

    永田説明員 開拓農家に対する負債対策といたしまして、ただいま官房長から申しましたいわゆる三類農家に対する負債対策といたしましては、政府資金につきましては、国の債権管理等に関する法律に基づきまして、十年間の範囲内で履行延期の特約を行なう、その後一定期間——といいますのは、大体十年ぐらいを考えておりますけれども、それだけたちましてもなお無資力状態償還ができないというようなことになる場合には、債務を免除するという通達を出しております。  そこで、その対象になる農家ですけれども生活保護法に基づいて生活保護を受けておる者、それから、受けておらなくても、大ざっぱにいいまして収入で生活を営むことができないというような者を大体対象にする、こういうことを考えております。  それから、公庫資金系統資金等につきましては、それぞれ条件緩和をはかって、系統資金につきましては都道府県の損失補償も行なう、こういうことも講じておるわけでございます。一般銀行等に対しましては、それぞれ条件緩和措置をとりたい、こういうことで進めておるわけでございます。
  11. 泊谷裕夫

    泊谷委員 後ほどその資料は提示いただけますね。  いま開拓三類について一応の前向きの姿勢をとられた。内容的には、十年後というので、不安定な感じもしますけれども、それはまた資料をちょうだいしてからお尋ねすることにします。  そこで中西官房長、先ほど申し上げました離農する者、あるいは残って営農反別を広げてさらに営農を続ける者にとっても、この負債というものが重大な問題であることは、御承知のところでありますが、赤城農林大臣約束をされました通常国会は、ことしの五月十九日で終わるわけでありますが、通常国会開会中に具体的にこの打開策について提案をされる用意があるのかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
  12. 中西一郎

    中西政府委員 ただいま申し上げました新しい通達が、その解決の大きな柱の一つであると考えております。そのほかの点につきましては、先ほど申し上げましたように、農家全体の経済情勢負債実態の把握、このことは、公庫あるいは近代化資金その他の融資全般を通じまして、貸し付け条件等についてどういう改善をはかるべきかという基礎資料になるわけですが、それは相当な積み上げの調査基礎固めを必要とするわけです。そういう意味で、それは別途行なうことにしております。この通常国会で別段の法律的な措置を出すかという意味合いにおりましては、現在のところ、天災融資法のその後の検討の結果で法案を提出する準備をいたしております。ほかのものにつきましては法律的措置は別段に考えておりません。
  13. 泊谷裕夫

    泊谷委員 とにかく国民の四分の一を占めておりました農民営農についての抜本的な施策でありますから、事重大であります。ことに、委員会で答弁されたことが場当たり的に始末をされるということであれば、国会権威上も好ましくないと思いますが、ことに広範囲な問題でありますだけに、日を改めてもう一度じっくりと話し合いをさしていただこう、こう考えます。  それで次に移りますが、いま官房長のほうから触れられましたが、十二月十八日の農林委員会、さらには衆議院の本会議できまりました天災融資法附帯決議ですね。「次期通常国会において」と、これこそきっちりと規制しておりますが、「貸付金利償還期限等貸付条件改善を含む制度抜本改正を行なうとともに、この場合において改正規定が本年七月一日以降の天災及びこれによる災害に対しても遡及適用できるよう併せ考慮すること。」こういうように附帯決議がついておるわけでありまして、いまのお話によりますと、相談が進められておる模様でありますが、その具体的な内容と、それからこの通常国会にいつごろ提案の運びとなるのか、それをあわせお答えいただきたいと思います。
  14. 中西一郎

    中西政府委員 お話天災融資法改正でございますが、実は農林省はこの国会に提出する法律相当数ございます。この月の末に間に合わなければ四月の初めごろには出したい、こういうことで鋭意検討いたしております。なお、現段階では関係各省との話し合いが十分に煮詰まってない状況でございますが、御必要がございますれば、担当経済局長が見えておりますから、若干補足していただきたいと思います。
  15. 久宗高

    久宗政府委員 ただいま官房長から申し上げましたような経緯でございまして、昨年の改正で、限度額中心といたしまして改正をいたしたわけでございます。その際約束しております金利並びに償還期限につきまして、いま財政当局と突っ込んだ御相談をしておるわけでございます。だいぶ広範に影響のある問題でございますので、まだ煮詰まりません。私どもといたしましても急いでおるわけでございますが、まだ御報告するまでに至っておりません。鋭意話をまとめまして、できるだけ早い機会に提案をいたしたいと考えております。
  16. 泊谷裕夫

    泊谷委員 具体的な金利、それから償還期限がいつということについて触れられないということはわかりましたが、附帯決議にあります貸し付け条件が含まれておるかどうか。それから私ども社会党としては、天災融資法と、現状農民を救済する道として直接手が染められる自作農資金、これの改正提案したわけでありますが、その部分も考慮されておるものかどうか、これもあわせお答えいただきたいと思います。
  17. 中西一郎

    中西政府委員 自作農創設資金改正につきましては、現在のところ考えておりません。といいますのは、自創資金の現在の貸し付けの要件が、必ずしも災害だけにしぼった制度になっておりません。災害、疾病その他いろいろ含んでおります。そういう意味で、金融制度をもっと幅広にとらえて考えませんと結論が出しにくい。さらに今後二十年という条件現状ではほぼ御満足願えるのではないかということで、当面の改正対象には入れてないわけでございます。
  18. 泊谷裕夫

    泊谷委員 条件はどうですか。
  19. 中西一郎

    中西政府委員 天災融資法につきましての貸し付け条件償還期限金利等を含めまして、事務的な結論を出したいということで鋭意努力をいたしております。
  20. 泊谷裕夫

    泊谷委員 自作農資金筋論議には、官房長がおっしゃられたようなことがあると思いますが、実態的に考えてみますと、天災融資法配慮されるものは、農協資金を回転し、政府はその利子補給をするのみで、そうして農民そのものは前の借金を書きかえるというだけであって、収穫物のない農民が冬を越す場合に、ことしの北海道に例をとりましても、一人当たり農民に割ってみますと、一年間にわずか一万一千七百円程度救農土木工事、ことに畑作関係農民などはこれだけがどうやら現金として握れるものであります。現実子供に食事を与える、月に一回ぐらいのお八つをやる——そこまでは求められないのでありますが、それにしても、借金のあることは承知しておるけれども現実に金を握らなければ子供とともに生活ができない、この救済は何とか考えなければならぬところだと思うのです。そういうところに、私どもは特に農民実態に触れて自創資金改善をもあわせ提案したのでありますけれども、これらの問題については、かりに官房長の言われる筋で規制をされるとすれば、どう打開されると考えられるのか、その点をお聞かせいただきたい。
  21. 中西一郎

    中西政府委員 お話の点につきましては、冷害のときも自創資金ワクを四十五億円と一応算定したのでございます。その後、冷害実態を勘案しまして、だんだんそれをふやそうということになって、最終的には御承知のように五十五億円ということで、相当大きなワクを貸し出すことに相なったわけです。そのほか、微細な点でございますけれども文部省当局努力によって学校給食拡大等も行なわれ、さらに、供出といいますか、政府に売り渡す米の代金の概算払い二千円を返還するにあたっての無利息の延納措置その他のことを講じまして、できるだけ農家現金支出が少なくなるようにという配慮はそれぞれいたしてきているわけです。ただ、お話のように、天災融資法自身は、特に北海道の場合には農協勘定というような特殊な取り扱いになって、それが昔の債務の書きかえに終わるというようなケースも聞き及んでおります。しかし、新しい営農を控えての肥料をその借り入れ金の中から落として現物の引き渡しを受け得る、あるいは、えさについてもそうである、種子についてもそうであるということで、現金が渡らなくても物はくるというような仕組みになっておるわけです。そういう意味で、全体のワクも百十三億でございましたか、相当大きなワクでございますし、自創資金を含めて、対策としては相当な効果を発揮しておるのではないか、かように存じております。
  22. 泊谷裕夫

    泊谷委員 この問題はまた後ほどやらしてもらいますけれども官房長が理解されております実態現状はだいぶ違いを見せておるということを御承知おきいただきたいと思うのです。  先ほど新聞切り抜きを読み上げましたが、新聞だから権威がないとはいえ、しかし、農協も金を貸さないし、その他の助成もとめたということで、十人近い仲間が自殺をするという悲惨な事態が出ているわけでありますから、この現状に立ってまたひとつあらためて、中西さん本来の持つ人間性に立って、この問題の打開にお骨折りをいただきたいと思うのです。  次の問題に移りますけれども、私は、なくなった十人の方々、この悲惨な問題ばかり取り上げて考えようとは思いません。もう春まきの時期を迎えて、何とかことしは昨年のようなことのないように、歯を食いしばって農民ががんばってくれればいい、自殺するほど思い詰めるならば、何とか相談を持ちかけてほしいという気持ちを持つのでありますけれども、それに関連して、十二月十七日の連合審査の際に、赤城さんは、北海道寒地農業ということばは好きでない、少なくともこの北海道程度気象現象のところで営農がやられておるじゃないか、したがって、北海道農業は、いまの甘味資源需給度と関連して、酪農などりっぱに確立できる、こういうことを意欲的に話をされておったのですが、さてこれの具体的な構想というものがまとまり、関係農民にどういう指導がなされておるのか、概要でいいですから聞かしていただきたいと思います。
  23. 中西一郎

    中西政府委員 北海道営農全体についていかにあるべきかという問題は、正直なところ、年を追って固まっていくと思うのです。現段階で将来長期見通し北海道営農対策の理想的な設計を一挙に仕上げるということは、とてもこれは困難でございます。昨年も冷害予報等もございまして、肥培管理全体についての各作物を通じます指導体制をとりまして、市町村段階においても相当活発に活動をしたわけでございます。ただ残念なことに、その指導体制と逆の営農方針をとられた農家では、非常に被害が大きかったというような例も所々方々に見られます。ことしもおそらく冷害のおそれがあるというような長期予報もあるようです。現段階から、ことしの営農全体についての、特にそれぞれの作物についての農民配慮すべき事項というようなものを整理しまして早急に周知徹底をさせたい、かように思っております。  お話の中の、さらに長期的な見通しとしてどうかというような点につきましては、現段階農林省としては、農業幕本法選択的拡大構造改善というような大きな線のもとで大きなブロック別に将来の農業の姿を描いてみるという作業を実はいたしております。この作業はおそらく暦年でことし一ぱいはかかるのではないかと思います。そういう大きな見通し自身を土台にして、さらに北海道農業をどうするということを考える時期も、そう遠くはない。ただ、そういうものができましても、これはおそらく毎年反省を加え、積み上げ、改変していくべきものであると思いますが、地方農政局ができましてほぼ満二年でございますけれども、いままでの蓄積をもとにしてそういう作業に取りかかろうとしております。酪農あるいは甘味資源というお話がございましたが、さらにそういうような前向きの営農をより基盤の強固なものにしていくという努力につきましては、これは来年の予算でもそれぞれ配慮はいたしております。いたしておりますが、農林省、道庁あるいは北海道開発庁一体になってやらなければならない大きな仕事であろうと思います。特に北海道庁では、昨年の冷害についての反省も含めまして、最近協議会というようなものをつくられまして、いま申し上げたような諸点にわたって研究を進められております。農林省としても、去年の反省基礎にしまして、ことしの営農をさらによりよいものにしていく、そういう意味作業を続けておるわけであります。
  24. 泊谷裕夫

    泊谷委員 農林省自体が、人工気象室予算の増加など、北海道農業の確立に意欲的な姿勢を示してくれておる部分的なことはとらえることができる。だが、昨年の冷害は、おしなべて冷害という言い方になっておりますけれども、じみちに精査をしてみると、隣同士の農家でも違いを見せておる。同じユーカラを扱いながら、肥料の扱いなどで大きな違いを見せておる。こういうきめこまかい指導というものは、具体的に北海道農民——全国的にそうでありますが、どれもこれも経営規模の小さいものであって、みずから新しい技術開拓をするということは不可能に近い態勢でありまして、それだけに農林省の任務というものが強く要請されて、指導担当官の増派というものも考えられなければならぬと思うのです。道のこの会議とあわせて、報道関係の諸君の一斉の協力を求めるなどして、雪解けを待って一斉に意欲的に取りかかれる姿勢をきめこまかく確立してもらうように、この際特にお願いをしておきたいと思う。もうすでに官房長は御心配になっておるようでありますけれども、札幌管区気象台の三月十日発表の長期予報は、これまた好ましくないのですね。六月から八月は気温は低目だ、それから日照りも不足気味、また雨多しということであって、昨年の長期予報とほぼ一致しておるということ、それだけに昨年の二の舞いを再び踏ますということになれば、日本の世の中に政治というものがほんとうに存在するのかという批判を受けることになる。ですから、特にこの具体的指導というものについには、予算の問題にとらわれるなといっても問題はありましょうけれども、意欲的にこの農民営農指導ということについて積極的な姿勢を示さなければならぬと思うのでありますが、これについて官房長のほうで特にこの際思い切って道あるいは報道関係一斉にこの体制を確立するようなお考えがあるのかどうか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  25. 中西一郎

    中西政府委員 昨年の冷害の前の段階でございますが、いろいろやったつもりではおったわけです。それにもかかわらず、うまく末端に浸透してないという点が多々見受けられまして、非常に残念に思っております。末端の北海道庁の職員ですが、改良普及員等の話を聞きましても、あとで、非常に残念だというような声も聞かれたわけです。そういうことのないように、いま御指摘の報道関係を活用するということも、これは農林省に報道関係予算相当持っています。有線放送等についにも、放送内容についての指導権もございますので、そういう面も大いに活用しまして遺憾のないように措置したい、かように思っています。
  26. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは中西さんのほうは以上で、次に水産庁のほうにお尋ねをしたいのですけれども、二月十六日の当委員会で、一月八日、九日の高波被害の問題で、漁業被害について激甚災法の適用をできるように努力をしてみましょうということを松岡水産庁長官がお答えになっておるのですが、約一カ月たちました。結論が出たのではないかと思うのですが、その間の事情をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  27. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 先般のこの委員会におきまして、北海道、三陸の高潮被害、特に小型漁船の被害につきまして激甚災法を適用するように努力するということをお答えいたしましたのは、ただいまお話がありましたとおりでございます。私どもとしましては、その被害の実態調査し、かなりむずかしいとは存じましたけれども、できるだけ適用するようにという考え方で検討し、折衝したのでございます。しかしながら、どうも被害全体の規模が、道路や港湾を含めましても六十五億円程度でございまして、これは過去の同様の事例におきましては規模が百億以上になっておりまして、激甚災法を適用するにはどうも規模が少し小さいということで、なかなか適用をするということについての結論を得がたかったのでございます。そこで、こういう事例は今後もたびたび起こることが予想されますので、私どもとしましては、むしろこの際、激甚災法の発動ということではなくて、新たな補助の制度考えたらどうかということからしまして、同様の災害を受けましたときにやはり同じように適用できるという要綱をつくりまして、補助できるような体制をつくりたいということで、別な方式の補助の交渉を現在やっておる段階でございます。これは激甚災法の場合と近い補助要件で、しかも小さな規模の災害にも適用できるという新しい方式をただいま折衝中でございます。これはすみやかに結論を得たいと考えております。
  28. 泊谷裕夫

    泊谷委員 松岡長官、この前も問題を提起しておきましたけれども農業災害と漁業災害と並起した場合に、漁業災害の被害総額は少なくても数多い法規の保護を受ける。単独沿岸漁業災害だけであれば、被害総額が少ないということで、同じ法治国家の国民でありながら保護を受けないということは、どうしても解せないという問題を提起しておきましたが、それについては結論がまだ出てないようですから、きょうさらにそこを掘り下げようとは考えません。この問題については、水産庁のほうからも、鋭意努力をいただいておることを数回連絡をいただいておりますので、私としてしゃにむに長官から返事をいただこうとは思いませんけれども、実は現地のほうでは出漁を前にして全く困っておるという事実だけは御承知いただいておると思うのです。ですから、漁民の気持ちにすれば、理屈はあと回しにして、何とか救ってほしいということがすべてだと思うのです。いまお話のありました、かりに法の適用が現行上不能としても、それに近いというお話は、また具体的に考えてみますと、国で出す助成は従来とは率が違って下がるものだろうと思うのですが、その場合は当該北海道なら北海道という県単位でそれに上積みをして、従前の激甚災適用と同じような保護をさせようとお考えになっておるのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思うのです。  なお、このことについて関係地方行政機関との間の折衝もなされておると思うのでありますが、あわせお答えをいただきたいと思います。
  29. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 私どもとしましては、大体激甚災法の条件と近い補助をするように交渉中でございます。おそらくこういう線で話をつけられるのではないかというように考えております。  それから関係の道県等につきましても、打ち合わせをやりながら対策を講じつつありまするが、大体こういった線で納得してもらえるのではないか、こういうように考えております。
  30. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大体国が配慮しようとしておりますものは、激甚法の三分の二とは違うが、およそ三割程度のものではないかと推察をしているのですが、大きな違いかありますか。
  31. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 あまり差はございません。まだ最終結論に達しておりませんので明快に申し上げることもできかねまするが、大体そういうようにお考えいただいていいと思います。
  32. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは高波関係は以上で、次は、後刻東北関係の陳情もあるように承っておりますが、北海道道央部を中心とする雪害関係でお尋ねをしたいと思うのです。  十九年あるいは二十年来の大雪ということでたいへんな騒ぎになっておりますが、あらためて道から正式に要請があると思いますけれども、ただ新聞を通して見る限り、あまりにも今度の雪害が、雪になれ過ぎたのか、私どもとして、いまどきということで驚きの目をみはる問題がありますので、これについて二、三お尋ねをしておきたいと思います。  当別からわずか三十キロくらいのところの三番川地区で、一月の末にすでに交通不能となっておって、町の理事者も道のこれら関係者も、ほとんど三百五十人近くいる部落に一歩も足を踏み入れてくれなかったようであります。というのは、この山でやけどをして骨まで出るようなひどい患者がいたり、高血圧のためにもう余命幾ばくもないという重病人があることを発見したのは、五十を過ぎた保健婦の方がスキーでこれを発見してそして村に持ち込んでいるわけでありますが、すでに先ほど農業問題で中西官房長のほうからお話のありました、道ではいろいろと協議をしてくださって、今度の雪害についても協議をしてこんなりっぱな本が出ておるのでありますけれども、この中で、当該の村はすでに災害が予想されるところで、冬期間の米として三月分を補てんしておかなければならぬのに、三月分の米もない、こういうことで、ついに自衛隊を出動せしめてこの患者を運んだということでありますが、一体自治省のほらとして、地方行政機関で雪害対策要領だ何だと会議を開かれておりますけれども、それが完全に実施されておらないという実態は、この計画というものは、ただ時間つぶしにみんなが集まって好きかってな議論をするための計画なのか。実際にき当該不祥事態が起きた場合に迅速にこれを救済するための手段なのか、その抜本的な姿勢についてまずお聞かせをいただきたいと思うのです。
  33. 齋藤正夫

    ○齋藤説明員 お答えいたします。  災害の地域の防災計画につきましては、現在それぞれ指導しておりますが、府県の段階は一通りできまして、いま末端の市町村の段階整理をはかっておりますが、全国平均で、パーセントで申しますと二割から三割という程度でございます。昨年から鋭意その地域の市町村を全部計画を立てようということで、四十年度を目標に市町村は全部済ませようというかっこうでいま進んでおります。来年度になりますれば、一応具体的な地域地域のケースに応じました防災計画というものを早急に立てたい、そういう指導でいきたい、かように考えております。
  34. 楯兼次郎

    楯委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  35. 楯兼次郎

    楯委員長 速記を始めて。
  36. 泊谷裕夫

    泊谷委員 豪雪関係の問題は、委員長のおっしゃられるように、適当な時期にやらしていただくことにいたしまして、それでは次の問題に入りたいと思います。  防衛施設庁は、この十二日に千歳市の第一清和寮が全焼いたしまして、五十二世帯の百五十八名が焼け出された事実を御承知と思うのでありますが、この問題を聞く前に、ここには第一清和寮、第二清和寮があって、第二清和寮のほうは六十世帯が入っておりますけれども、この建物について、千歳の消防から、十月の二十三日、さらには本年の二月二十日に、二度にもわたって書面で警告を受けておるはずでありますが、その事実をお認めになるかどうか、まずこれから明らかにしていただきたい。
  37. 小野裕

    ○小野政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の、消防署のほうから注意を受けておったということにつきましては、私ども実は聞いていないのでございますが、現場の仕事といたしまして、あるいは私どもの仕事の第一線をお願いしております道庁のほうへは参っておるかと思うのでありますが、そのほうからの報告は受けておりません。
  38. 泊谷裕夫

    泊谷委員 私の調べたところでは、これは書面で道と国に出しておるというふうに聞かされておるのです。庁舎内をもう一度お調べをいただきたいと思います。  ともあれ、これは、一部権限は知事に委譲されておることは承知しておりますけれども昭和十七年の建物で、火災ばかりじゃなくて、通常の、人が住むことさえ問題があると指摘されております問題に、施設庁としてどんな手をいままで打っておったのか、その点について明らかにしていただきたいと思います。
  39. 小野裕

    ○小野政府委員 お話のように、昭和十七年、まあ戦争中の建物でありますが、なお使用にたえるものと考えまして、必要な個所につきましては破損修理等はもちろんいたしますが、特別にこれをどうするということについてはいままで考えてまいりませんでした。
  40. 泊谷裕夫

    泊谷委員 どうも施設庁とか防衛庁というと、それでなくても議論がありますけれども予算が多いということで、ほかからは羨望の声さえ出るのでありますけれども、両方合わせて百二十世帯も入れておるところへ、消防から二度にわたって書面で警告を出されておって、それ自体の建て直しもしないということについては、私は激しい憤りを感ずるのですよ。施設庁の長官として、この問題についてはただわずかばかりの改修ということだけを考えておったということはどうなんです。私としては、この古い建物、百二十世帯も入っておるところは、すみやかに改善する予算措置なんかとれるはずだと思うのですが、いかがですか。
  41. 小野裕

    ○小野政府委員 再度にわたって警告、注意を受けたということでございますが、国のほうへもその通知があったというお話でございますので、これはさっそく戻りまして調査をいたしますが、私ども考えといいますか、形式、といたしましては、局部的に問題はありましても、全面的にこれが居住にたえないとか、改築を必要とするというような認識はなかったのであります。ただ、ただいま先生からお話がございますように、もう一度検討はいたしたいと思いますけれども、ただいまのところはそういう程度でございます。
  42. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これは出身地の関係もあってやむを得ないかとも思うのですが、私は二度ばかり建物を訪れているのですけれども、それは施設庁長官の言われるようなものではありませんよ。これはここまで話を発展させようと思いませんけれども、ここに住む人々は駐留軍の用務に従事し、その雇用関係も不鮮明であって、一体どこにお願いすればものごとが解決するかということで、それでなくても神経がいらだつ仲間が多いわけです。それなのに、バラック建てのところに百二十世帯も入れておいて——特にそういう人々には逆に施設について配慮されなければならぬのが施設庁の立場だと思うのですが、そういう考えは全然ないのですか。
  43. 小野裕

    ○小野政府委員 現在、駐留軍用務に従事しております従業員が、全国で五万ないし六万おるわけでございますが、そのための宿舎として十分なものを持っていないということは、まことに残念でございますが、こうしたものについての予算というものは、実を申しますとほとんどないのでございまして、従来から持っておるものを維持しておるというのが精一ぱいでございます。ただいま予算がたっぷりあってとおっしゃいましたけれども、そういう予算は全然ないわけでございまして、こうした点についていろいろ苦慮しておるところでございますが、実情をよく調査の上で、必要あるものならば必要な措置考えなければならない、こういうふうに考えます。
  44. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これは現実に焼けてしまったのですから、しかたありません。だが、施設庁長官のかまえとしては、いまの答弁は私はたいへん不満であります。数多い書物を読んでも、防衛庁自体の資材購入についてどうだこうだということがたくさん書かれておって、それを整理するだけでも、従業員の病舎くらいは世間並みのものをきちっとやってしかるべきだと思うのであります。そういう姿勢で長官は努力してもらわなければ困るということを申し上げておこうと思います。  当面の問題として、焼け出された五十二世帯、百五十八名ですが、この方々の応急対策はどういう手を打たれましたか。
  45. 小野裕

    ○小野政府委員 罹災されました方のうちで、とりあえず縁故先にたよられた方がございますが、その他の方につきましては、従業員宿舎の他の宿舎でございますが、そのほうへ応急に入っていただく、あるいは保育所、老人ホームというようなところへ応急に入っていただくという方もあったわけでございますが、さらにその後道及び市と御相談をいたしまして、応急仮設住宅の建設というような形でそちらのほうへも入っていただくというような手配をしておるわけであります。
  46. 泊谷裕夫

    泊谷委員 詳細は調査しておりませんからよく存じませんけれども、時期が時期であっただけに、子供の教科書その他のものはちょうど学期末で救われたような気もしますけれども、衣類、子供たちのものなどを含めまして、罹災者に対する見舞いなどは当然考えられてしかるべきだと思うのですが、その具体的な方策がありますか。
  47. 小野裕

    ○小野政府委員 御承知のように、駐留軍関係の従業員のいろいろな給与とかあるいは援護というようなことにつきましては、これは主として米軍の予算でございますので、米軍との間に基本労務契約というものを結びまして、その契約に基づいて処置をしておるわけでございます。そういうような点から、私どものほうでは、いわゆる災害見舞い金というようなことにつきましては、規定のところに従いまして、これはたいした額ではございませんけれども、即時支給できるようにいま手配をしたところでございます。そのほかには、市あるいは日赤等からの御援助、お見舞いがあったようでございますが、こうした災害につきましては、やはりこれは一般の民生の問題として道あるいは市に御援助、御配慮をいただくというのが筋でございまして、私どもとしては、公務員に準ずるいろいろな措置ということはございますけれども一般的に全面的にお世話申し上げるという体制にはなっていないのでございまして、この点御不満かも存じませんけれども、ただいまのところいたし方ないかと考えております。
  48. 泊谷裕夫

    泊谷委員 ぼくの潜在意識があるのか、施設庁長官の言われるアメリカとの雇用関係でという話は、実態としてわかりますけれども、同じ日本人で、どこで働こうと、どういう仕事をしようと、それを世話する役所というものは、ほか以上に、しかも困難な仕事をしている者には、意欲的にこういうときにあたたかい手を差し伸べるのが至当だと思うのです。そういう立場に立って、従来の事務的なことにこだわらずに、この辺こそ人間らしい姿勢をとっていただきたいと私は思います。  第一清和寮の復旧は、焼けたのですから、もちろんだと思いますが、これに関連して第二清和寮の取り扱いはどういたしますか。
  49. 小野裕

    ○小野政府委員 第二清和寮の現状につきまして、私どもはまだあのままで使用にたえるというふうに考えておったのでありますが、先ほどからのお話で、さらによく調査をいたします。しかしながら、私どもの認識といたしましては、今回の第一清和寮の火災も、どういう状況でどういう原因で起こったか、まだはっきりしていないのでございます。そういった点がはっきりいたしましたときに、それとにらみ合わせまして、もし必要であるならば所要の改善措置は必要だろうと思うのでありますが、ただいまのところ、これを改築するとか、あるいは他へ移すとかということは考えておりません。
  50. 泊谷裕夫

    泊谷委員 火災の原因がどうかこうかということについて、だれかが火を燃やしたか、放火したか、それがあったから燃えたわけで、しかし六十世帯も入れておけば、通常やはり防火とびらの設置その他の条件が消防法でもきちっときめられております。なければならぬはずであります。当然、第二清和寮も、これに基づいて二度も注意を受けておるのでありますから、改善をしなければならぬ。抜本的に建て直しというところまでいかないにしても、手を加えなければならぬはずでありますから、すみやかに調査をして、第二の第一清和寮を生むことのないように措置をしていただくことを強く要求しておきたいと思います。  当面の措置としては、千歳市がほとんど応急措置をしましたね。詳細をきわめた報告ではありませんからわかりませんが、約百二十万この応急復旧で市が財源を持ち出したというふうに聞いておるのですが、これに対する財源補てんについての考えがありますか。
  51. 小野裕

    ○小野政府委員 常時と申しますか、通常の予算その他の体系におきましては、そうしたものについて私どものほうでお手伝いする準備はございません。しかしながら、いろいろとお世話になっておることでもございますので、何らかの措置考えなければならぬかとも思うのでありますが、その点についてはまだ確答申しあげる段階ではございません。
  52. 泊谷裕夫

    泊谷委員 どうも防衛施設庁というのは私どもと別なところに住んでいるようでありまして、建物の管理は知事に一部まかせて、そこに自分のところに雇用の義務のある者を住まわしておいて、火災が起きまして、市のほうではほおっておけないから、どんな事情があろうとも応急措置をする、そのお金さえすっきりと考えられないということでは、私は釈然としないのです。この点は部内の事情があるという話をいま聞かされましたけれども、特に私の提起した問題を中心にひとつ御検討いただきまして、適切なる時期にもう一度お答えをいただきたいと思います。  それで、いっそのことこの第一、第二清和寮を市に払い下げてはどうかと思うのですが、いかがですか。
  53. 小野裕

    ○小野政府委員 この財産は御承知のように最後は大蔵省の財産でございまして、私どもだけで決定するわけにまいりませんけれども、そうした従業員の住宅対策という点から有効な解決ができるということであるならば、そういうようなことにつきましてもごあっせんをする、あるいは御相談をするということもあり得るかと思うのでありますが、何と申しましても、現在そうして居住されておる家でございまして、いまかわりを建ててどうこうということができません。その点については協議の余地はあると思いますけれども、そういうふうにすぐ腹をきめるというわけにはまいらないと思います。
  54. 楯兼次郎

    楯委員長 兒玉末男君。
  55. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、去る二月二十五日鹿児島市において発生しました火災を中心としまして、その前の、たとえば大島における火災、新潟火災等、現在の消防機構における問題なり、またはこれに関連するところの建設省関係のいわゆる都市計画、または防災建築街区、いわゆる災害対策基本法に明示されました防災計画というものが十分に徹底されておらない、こういうところで、今次の鹿児島における火災はじめ全国各地に発生する火災の被害というものが予想以上に大きな損害を国民大衆に与えているのじゃないか、このような立場から、消防庁はじめ総理府並びに建設省の関係担当者に御質問をしたいと存じます。  質問にあたりまして、先ほどいただきました、警察庁と消防庁から提出されました資料によりますと、建物の被害数あるいは世帯数あるいは罹災者数においてもかなりの相違がございますが、これは一体どちらが正しいのか、特に担当庁の消防庁のほうからひとつその相違点について明らかにしていただきたいと存じます。
  56. 川井昌吉

    ○川井説明員 数字の食い違いについてお答えいたします。  私、警察庁でございますけれども、お手元にございます資料は、二十六日の午前九時五十分現在そいうことでとりあえずまとめました数字を提出してございます。後ほど正確に調査をいたしました結果と若干食い違っておるわけでございます。私のほうで最終的にまとめ上げた数字は、住宅関係で全焼が九十五棟、半焼が四棟、一部焼失が十棟、罹災面積が約三千三百九平米、羅災世帯が百二十三世帯、羅災者四百四十九人、これが警察庁といたしまして最終的にまとめた数字でございます。その点御了承いただきます。
  57. 兒玉末男

    兒玉委員 数字にこだわるわけではございませんけれども、早目に出した警察庁の資料の数が多くて、消防庁のほうが少ないというところに、私は、多少調査上の関係なり——どうしてこういうミスが生じたのか、その辺がちょっと理解に苦しむわけですが、いかがでございますか。
  58. 川井昌吉

    ○川井説明員 いまの御質問のとおりでございまして、早急に調べる際には、たとえば警察でありますと、外勤警察官が一応羅災地に行きまして、目勘定と申しますか、そういうことで数を当たりますので、やや正確でなかっという点があると思います。
  59. 齋藤正夫

    ○齋藤説明員 お答えいたします。  私のほうでとりました資料は県の消防防災課を通じまして、消防防災課は鹿児島市を通じましてとった報告でございまして、一応私のほうとしましては、報告申し上げました数字は最終的な数字ということで提出してございます。
  60. 兒玉末男

    兒玉委員 それでは、消防庁から出されました数字を基礎にしましていろいろと御質問したいと思います。  まず第一点、これは単に鹿児島市に発生した火災ということに限定しないで御質問したいと思いますが、まず鹿児島市の場合を振り返ってみますと、昭和二十八年三月、さらに昭和三十五年が一月、四月、八月と三回、さらに昭和三十六年十月、大体七百六十数世帯、それから今回また、いま御報告のありましたとおり、百二十三世帯という非常に膨大な罹災者とたくさんの被害を受けておるわけでございますが、こういうふうな市街地における火災が、今回の場合は、昼間であったにもかかわらず、こういうような結果を招いたのは、一体どこにその原因があるのか、この点について消防庁の御見解を承りたいと思います。
  61. 齋藤正夫

    ○齋藤説明員 鹿児島の場合におきましては、一つの特異条件としましては、非常に風速が強かったということがございます。それからもう一つ悪いことは、あそこの住宅地区は非常に密集しております。普通常識で考えられないほどの密集地帯でございます。消防自動車も満足に入り得ないというふうな状況でございまして、過去二回の大火もございましたし、できれば、私のほうの希望としますれば、あそこに不燃の建築計画でもあって、そこに収容していってほしいというのが当方の希望でございます。このたびの火事を契機にしまして、そういう新しい高層のアパート計画を立てるというふうなことも聞いております。そうならない限り、あそこの場合には消防車の進入も不如意でございますので、なお、その以前の予防策を徹底しない限り、現状におきますと、過去の事例にありますように、また今後同じような大火考えられるのではないかというふうに考えます。
  62. 兒玉末男

    兒玉委員 昭和三十六年十月の災害が発生しましてからすでに四年近く経過をいたしておるわけであります。それにもかかわらず、再度こういうふうな災害を招いたことについて、消防庁としては関係の当局にどういうふうな要望をされ、あるいは処置をされてきておるのか。また、特に監督行政にある警察庁としても、当然何らかの措置はとってしかるべきではなかったかと存じますが、過去四年の間に、これは大島等の例もあるわけでありますが、どういうような措置をとってきたのか、その点明らかにしていただきたいと存じます。
  63. 齋藤正夫

    ○齋藤説明員 大島の場合、それから鹿児島の場合もそうですが、それ以外の場合におきましても、たとえばここが火災の場合に非常に危険地帯である、危険区域であるいうとふうに想定できる場合がございます。消防関係者として一番問題になりますのは、たとえばそれに対して改造をしたらどうか、あるいは改築をしたらどうだろう、あるいは不燃建築にしたらどうかというようなことが一応できるわけでございますが、困りますことは、全般的に各地で共通の問題でございますが、できました場合に、たとえば生業を営んでおります場合に、補償をどうしてくれる、その間のことをどうしてくれるんだという問題がそれぞれ提起されております。これにつきましては、各府県におきましては、信用保証協会などを通じましてそれに対して融資方法をとるとか、いろいろな方途を考えておりますが、それ以外に、零細で融資対象にならないような場合にはどうするかというと、現行の消防のたてまえでは、それに対してそれ以上のことが言えないというふうなかっこうになっております。
  64. 兒玉末男

    兒玉委員 確かにいま消防庁のほうから御答弁がありましたとおり、やはり消防庁が指導できる限界というものがあることは私も認めるわけでございますが、何しろ、昭和二十八年を契機として六回に及ぶ火災でありますから、これはある程度強力な行政措置というもので指導していかなければ、また同じことを繰り返す危険性が絶対ないという断定はできないと私は思うのです。これについて、幸いに総理府からお見えになっていますが、これは災害基本法の第一条、あるいは第三条の国の責務というところにおいて明確に規定をされております。「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」これは、明確な義務規定であります。しかもまた、これに関連をいたしまして、同法の第三十五条には「防災基本計画は、次の各号に掲げる事項について定めるものとする。」こういうふうに明確な規定づけがなされておるわけでございますが、特に先ほど来申し上げておりますとおり、過去のこのような各地域に発生する災害について、実際今日までどういうふうな計画を具体的に指導してきたのか。特に鹿児島市等の場合においては、先ほども申し上げましたとおり、過去六回にわたって火災が発生しておりますし、この点は消防庁だけを追及すべき問題でないということにかんがみまして、特に災害基本計画を樹立する所管庁の中心をなす総理府としてはどういうふうなお考えをお持ちであるか、承りたいと思います。
  65. 北川博正

    ○北川説明員 ただいまお話がございましたように、中央防災会議といたしましては、すでに防災基本計画というものを策定してございます。そうしてこの防災基本計画に基づきまして、関係省庁はこの基本計画にもとらざるような業務計画をつくれと法律上に義務づけられております。それに従いまして、あるいは消防庁、建設省、農林省、そういった各省がすでに業務計画をつくってございます。ただいまの火災に関します事項につきましては、たとえば消防につきましては、火災報知器等の通報器を設備しろとか、あるいは消防自動車、消防ポンプ車、化学車、その他そういったいろいろな施設の整備を早急にしないというような基本計画がつくってございます。また住宅につきましても、不燃堅牢化をやりなさい、あるいは防災建築街区の整備をやりなさい、こういった一つの防災あるいは火災に関します計画をつくり、この計画にのっとって各省はそれぞれ具体的に業務計画をつくり、それが予算化されるという段階になっております。たとえて申しますと、こういった消防の設備につきましては、消防庁において毎年予算を提出しておりまして、今度の四十年度におきましては相当予算額を計上し、またそれが大体政府案として決定されております。前年度に比べ約三割以上伸びておる、あるいは防災建築街区も数十億という予算が組まれておるというように、この基本計画に基づきまして、各省は、じみちではございますが、逐次防災についての実施を強力に推進しておる、わわれれはそういうふうに見ております。
  66. 兒玉末男

    兒玉委員 表現は確かにむずかしいことを言っておられますが、現実鹿児島なり大島等の場合においても、消防車がほとんど入れない。先ほど消防庁の担当者が言われましたが、では一体昭和三十六年から四年の間に——消防庁としては、もうすでに消防自動車が入ることができないということは十分察知をされて、それぞれ関係の向きにも連絡があったと思うのです。その辺の問題は、特にこれは建設省の都市局の関係になろうかと思うのですが、下部の機関に対しまして、四年前の災害発生にかんがみて当然そういうことは処置すべきだと思うのです。都市計画に対する処置は、どういうふうな指導と計画を立ててきたのか、その点明らかにしていただきたいと思います。
  67. 井上義光

    ○井上説明員 最近大島あるいは鹿児島に火災が発生いたしまして多大の被害を出しましたが、都市につきましては、現在都市計画法あるいは土地区画整理法あるいは建築基準法といったものによりまして土地の利用計画を定めております。用途地域と申しまして、ここは住居地域にする、ここは工業地域にする、あるいは商業地域にするといったような用途をきめますと、あともし防火を要する場合には、防火地域あるいは準防火地域といったような地域規制を設けますとともに、本来わが国の市街地が道路あるいは広場等が非常に少なく、家屋が密集している、宅地につきましても一宅地の面積の規模が非常に過小であるといった関係から、非常に災害を招きやすいのでございまして、現在この市街地を合理的な構造に改良するというために土地区画整理を行なう、あるいはその上ものにつきましては、建築基準法によりますところの規模、構造、用途に関する規制のほかに、助成措置としまして、融資をする、あるいは補助をする、あるいは収入の少ない人々に対しましては不燃性の公営住宅を建設していくという措置を講じてはおりますけれども、必ずしも十分ではございませんので、先ほど先生から御指摘のありましたような災害がしばしば発生をしているという現状でございます。  なお、お話のございました鹿児島地区につきましては、戦災あと地の復興という意味で、数十万坪の土地区画整理鹿児島市において行ないましたが、先般の火災の郡元町地区は、その中の四万三千坪の地区でございまして、これにつきましては区画整理を施行中でございまして、二十五メートルあるいは十五メートルの道路もほぼ整備がされつつある。しかしながら、この区画整理と申しますのは、実は土地の区画、形質を変更しまして宅地の利用増進をはかるといった見地でございますが、個々の宅地につきましては、従前の宅地の位置、規模、面積、用途等を考慮いたしまして換地を与えるというたてまえになっております。そうしますと、従前から一宅地の規模が過小でありますと、換地を与えましても、地区全体としますと道路等も整備されますけれども、一宅地一宅地は非常に規模が小さい。その上に、そこに一般の住居地域等で防火地区という制限がかかりません場合には、木造のものが建ってしまう。一般に、建蔽率と申しまして、宅地に建築物をつくります場合には、住居地域の場合、その宅地の面積から、三十平方メートル、約十坪引きまして、残った面積の六割となっております。したがいまして、三十坪くらいの宅地ですと、十坪を引きまして、二十坪の六割で十二坪まではいける。ところが、この火災にあいました地区は、四万三千坪ばかりの郡元町地区の中で、先ほど先生からお話のありました三十六年には一万二千坪ばかり、今回は約一割の千二百坪くらいが焼失いたした次第でございますが、これらの宅地はいずれも非常に過小でございまして、十坪前後が多い。建物も六坪ないし七坪といったようなものでございまして、しかも居住されている方々は、戦後奄美大島に帰れなくなりまして一応公有地等に居住しておられましたのを、市のほうで国有地あるいは市有地をあっせんされて一応暫定的に使用しておられるというような状況であったわけであります。これらの地区につきましては、三十六年のときに、四万三千坪ばかりの郡元町地区を非常な過密状況から改善するために、地区の改造計画を地元公共団体において立てられまして地区の方々話し合いを進められましたが、結局、一宅地が過小であるといったようなことから、もし合理的に市街地を整備いたしますと、相当部分の方は他の地区に移っていただかなくてはならないといったようなことから、一部分につきましては不燃性の公営住宅が建設されましたが、他の部分につきましては、地区の方々話し合いがつかずに、火災前のような過密な状況になった。この点につきましては、その指導なりあるいは助成の方策に不備があったと申しますか、現在の制度では救い得なかった面があったのであります。今回の焼失地区につきましては、私どものほうの住宅局におきまして、現地を十分調査いたしまして、全面的に耐火構造の不燃住宅で建てかえていく、そして従前の方々にそこに居住していただくという措置をとっております。  全般にわが国の都市は基本的に土地の利用形態が非常に小さい。画地を大きくしまして、空地も十分とれたような共同建築方式というものができれば問題はないわけでありますが、先ほど内閣のほうの参事官からもお話がありましたように、財政的な見地、あるいは現在の融資、補助といったような助成を受けられる方々の資力の関係から、必ずしも十分にはいっておりませんけれども、今後、こういったような密集地区につきましては、積極的にその地区の改造、あるいは防火地域、準防火地域といったような地域・地区制の整備を進めていきたい、このように存じております。
  68. 兒玉末男

    兒玉委員 それはすでに過去のことを繰り返しておるわけですが、特に今回の経験にかんがみまして、先ほど消防庁のほうから言われましたが、消防庁としての——この鹿児島郡元地区におけるような地域は全国的に相当あると私は思うのですが、これらの点について、特に消防庁と都市局との間において大体どういうふうな話し合いが進められておるのか、特に消防庁は災害発生の場合における都市計画の理想的な最小限の形態というものはどういうような形が望ましいのか、これらの点について、特に鹿児島市の場合の経験にかんがみて消防庁としては大体どういうふうなお考えを持っておるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  69. 齋藤正夫

    ○齋藤説明員 鹿児島の場合に、特にあの地区で問題になりますのは、水槽の問題があると思います。特に、中へ入って行けないというふうな場合に、やはり水槽の整備をするということ、それからもう一つは、そういう地域につきまして、いま各地の消防が、ポンプといえばすぐ大型を買うという傾向がわりあいに多いわけでございますが、そういうことでなくて、能力といいますか出力といいますか、そういう小型でも非常に大型に匹敵する能力を持っておりますので、そういう意味におきまして、そういう地区におきましても、都市の常設消防であっても可搬のポンプを当然備えるべきである、そういう点でああいう地区に対する対策というものを考えていきたい、かように考えております。
  70. 兒玉末男

    兒玉委員 あとで住宅局関係はお伺いしますが、特にいまの消防庁の答弁ですが、去る三十六年の大火があってから今日まで、大体消防設備等についてもいわゆる可能な限度の消防施設の拡充ということは当然排置されてきたのではないかと私は思うのですが、その点については具体的にどういうふうな消防施設等の強化を指導してきたのか、その点お聞かせいただきたいと思います。
  71. 齋藤正夫

    ○齋藤説明員 過去、消防施設の国庫補助金としまして、ここ二、三年大体七億、来年度四十年度において九億五千万という数字でございます。ただ、私たちの消防庁の立場としまして、全国的には各市町村こういうふうな消防整備が望ましいのだという見地で、私たちのことばで消防力の基準というものを一応作成してございます。これは理想だといえば理想かもしれませんが、その消防力の基準から見ました場合に、全国の各市町村の現在の充当率といいますと、大体五五%ちょっとこえた程度というかっこうになっております。これに対しまして、昭和三十六年度からですが、十カ年計画で一応消防力の基準に見合う一〇〇%に持っていこうという計画でやっておりますが、いまの九億五千万程度でいきますと、今後なお十数年かかるというふうなかっこうでございます。
  72. 兒玉末男

    兒玉委員 これは総理府にお聞きしたいのですが、いま消防庁からの御答弁のありましたとおり、いま理想とするということを言われましたが、いずれにいたしましても、特に国民の財産を守るという立場から考えるならば、当然消防関係予算は早急に充実をはかるべきだが、いまの御答弁では、十数年を要する、こういうふうな、まことに情けない状況にあるわけですが、この点、特に災害基本法に基づく防災計画を立てる担当庁として、もう少し大蔵等に対しましても積極的な働きかけを共同してなすべきだと思うのですが、このような消防関係の整備について総理府としてはどういうふうなお考えをお持ちか、お聞かせいただきたい。
  73. 北川博正

    ○北川説明員 ただいまお話がございましたように、消防関係の設備、そういった点について、消防庁から御発言のありましたような、まだ至らないところがあるという点につきましては、われわれもいろいろお話を伺っております。そういう点で大いにこれを伸ばすべきであるということではございますが、災害に関しまして、火災あるいは水災、各種の災害がございます。いま災害において最も大きなウエートを占めておりますのは、国土の保全でございます。いわば予防という立場でこれが相当予算を占めておる。従来のあれから申しますと、非常にマクロ的な言い方でございますが、本年度も全体の十数%の増額になっております。先ほども申しましたように、すべてこれに予算をつぎ込んでいきたいのはわれわれの希望でございますが、ある意味で他のあれといわば無関係に逐次災害予算というものは年々増大しているというのが現在の状況でございます。そういう意味で、特に火災につきましても、われわれは先生のおっしゃられましたごとく、今後とも十分推進するということはいたしたいと思っております。
  74. 兒玉末男

    兒玉委員 これは中身の問題ですが、私たちがキャッチしました情報によりますと、今回鹿児島の場合は、貯水槽なりあるいは消火栓等がかなり強化されたけれども、水圧低下のために十分な消火活動ができなかった。大体午後の三時という時間帯ですが、こういう点は、やはり消防関係の自動車等の改善によってある程度改善できるのではないか、こういうように感ずるし、また、水槽の設備等もかなりあったやに聞いておるわけですが、この辺の関係は大体どういうふうな報告をなされておるのか、これに対する改善はどうなければいけないのか、これらの設備上の点についてお聞かせをいただきたいのです。
  75. 齋藤正夫

    ○齋藤説明員 いまの先生の御質問のこまかい点について実は私まだ十分知っておりませんので、ここでこまかく御説明申し上げることはできませんが、最初に先生の御指摘のありました消火栓の水圧が低い場合に困るという問題は、いま私たち消防関係者にとって、鹿児島市だけでなくて、共通的な問題でございます。たとえば東京都の場合におきまして、諸外国と違いまして、普通の一般水道から消火栓を配管しておる。少し火事が大きくなった場合に、一つの車がついておりますと、次の消火栓等から取ろうと思っても全然水が上がらないというふうな事態がわりあいに多いわけでございます。これにつきまして基本線なり何なりでも火事オンリーの配管があればいいのですけれども、これは非常に金がばく大にかかります。そういう意味におきまして、この消火栓につきまして何らか水圧低下に対して今後手を打たなければならぬではないかというのは、全国共通な問題でございます。たまたま、私たちの中でいま検討しております問題を先に指摘されたかっこうになっておりますが、いま中で、これに対してどうしたらいいかという当面検討中の問題なんでございます。
  76. 兒玉末男

    兒玉委員 それから、私は専門的なことはよくわからないのですが、この消防庁からの資料によりますと、二十三日の十時、これは午前か午後かわかりませんが、異常乾燥注意報が出されて、火災発生時もかなり乾燥状況であり、しかも風速も相当な風速にあるわけであり、湿度その他からいっても、当然これは火災発生の危険性というものは十分予想されておったと判断されるわけですが、これについて何ら警報が発令されてなかったわけでありますが、この辺の、住民に対する、あるいは消防庁自体としての、こういう異常事態に対する警報の発令がなされてないようにこの概要に載っておりますが、この辺はどういうふうな報告を受けておりますか、お聞かせをいただきたいと思います。
  77. 齋藤正夫

    ○齋藤説明員 異常警報の発令を出しておったということは、私現地から聞いております。ただ、いま御指摘のありましたように、それが徹底しておるかどうかという問題につきましては、いろいろ問題があると思います。  それから、警報の周知がたまたま話題になりましたので申し上げますが、私どもの内部におきましても、この警報につきまして全国的に何か一つの基準を設けたらいいのではないか。たとえば東京の場合に、火災と救急の区別はちょっとつきません。たまたま一つのサイレンが鳴っておれば救急だ、二つ、三つ鳴っておれば、あれは火事だなというので判断する以外にないわけです。それから救急の場合では、いまのサイレンがいいのか、それから警報時につきましても、いま御指摘がありました、非常に強風であるとか、あるいは異常乾燥であるとか、それにつきまして、たとえば昔、農村におりますれば、近火かあるいは遠い火事であるかということは、半鐘を聞けば地元の人は大体わかったわけであります。しかし、いまそのようなことはあまり徹底しておりません。こういうことにつきまして、警報機を統一いたしまして何らか住民にわかるようにしたい、それは中でいま検討中ということで先ほど申し上げておりますが、これも近々、防災計画等の中で、一応そういうふうなものを何か区別して、もっと身近なものにしたいというふうに考えております。
  78. 兒玉末男

    兒玉委員 今度は住宅局のほうにお伺いをしたいのでありますが、今回の災害の発生にかんがみまして、先ほど都市局の参事官からの御答弁にありましたが、いわゆる特殊な状況にある市街地でありまして、特に戦争の犠牲といいますか、戦争によって集団的に移動してきた大島からの住民が大半であります。しかも、先ほど都市計画事業を通じての問題点におきましても、建蔽率その他もこれは建築基準法に違反していることは明確であります。そういうことが明らかにされておる以上、また当事者の財政負担能力から判断しましても、これは単に鹿児島の例だけじゃなくて、全国各地にこういう特殊密集地帯というものはあろうと思うのですが、少なくともそこの地域に発生した災害というものが他の広範な地域に拡大されるという危険性が多分に予想されるわけであります。そういう点から判断をいたしますならば、今回の鹿児島火災につきましては、当然、住宅局としましても、防災建築街区等の規定もあるわけですから、強力な指導と、さらにこれに対する財政上の補助政策等についても十分配慮をしていく必要があるんじゃないかと思いますが、これらの点について住宅局担当者の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  79. 後藤典夫

    ○後藤説明員 お答えいたします。  特に今回の鹿児島の郡元地区の火災につきましては、先年、三十六年の火災のあとも努力いたしたわけでございますが、地区改良をやりたいと考えまして、たとえば公営住宅等でも、一部、不然性の中層あるいは二階建てのものをそこに建てる、そうして漸次その地区を改善していきたいというふうに考えたわけでございますが、先ほど都市局参事官から申し上げましたような事情でその事業が完全に行なうことができずに終わっておるわけでございます。そこで、このたびの対策といたしましては、この地区に鹿児島市の市営住宅として市が百戸の公営住宅を建設することにいたしておりますが、現在これを設計中でございまして、その建設のしかたも、道路拡張を行なった後の被災現地に、中層耐火構造の、いわゆる四、五階建ての耐火構造の公営住宅を百戸建設いたします。しかも、全部で五むねになりますが、そのうち一むねは特に一、二階を作業場、店舗等といたしまして、その地区の人たちの従来の生業、特に聞いておりますのは、大島つむぎのつむぎを家内工業的にやっておられたという点もありますが、そういった作業場というふうなものにも利用できるように、この地区については今後そういった災害のないように建設計画を行なうよう十分指導いたしております。
  80. 兒玉末男

    兒玉委員 大体それぞれの担当部門の見解を聞きましたが、私はやはり今後の災害発生の予想に立ちまして、特に都市局と住宅局におかれましては、防災という見地に立つということと同時に、特殊地域における都市区画整理等につきましては、今度の例にかんがみまして、ひとつ十分な配慮と積極的な指導をお願いしたい。特に、今回の鹿児島の場合においても、行政指導の面においてある程度優柔不断な面があったのではないか、こういう点も特に指摘せざるを得ないし、また消防庁関係におかれましても、やはりもう少し、そういうふうな災害を未然に防止する、こういう立場から積極的な努力をする必要があるんじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。  これは最後に、総理府と都市局の参事官にお願いしたいのでありますが、そういうような計画の中から、ひとつ早急に、今後の災害防止の見地に立ちまして、全国的な、特に防災上必要のある地区についての今後の計画なり、またこれに対処する予算措置等についても、ただいまからさっそくこれらの作業に取りかかっていただきたい、このことを強く御要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  81. 楯兼次郎

    楯委員長 吉田賢一君。
  82. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと北川参事官に伺います。非常に素朴な質問でございますが、お許し願いたいと思います。一般問題でございまして、私には少し基本的な問題でないかと思われますが、伺っておきたいのであります。  去年の二十号台風、これは兵庫県の農村地帯には稲作被害がきわめて甚大でございました。ところで、御承知のとおりに、日本の農村には、古来の習慣といたしまして、たとえば道路あるいは河川などの災害時における復旧とかあるいは防災、そのようなためにかなりの人数が奉仕的に動員されております。これは一つの美風であろうと私らも考えておりまして、町村の財政能力から考えてみましても、このような美風がなくなるということは黙視できませんので、私どもはできるだけ助長するように進めていかねばならぬことだろうと思います。ところが、昨年の二十号台風によりまして、兵庫県の多可郡の加美町というところは、これは丹波につながる全くの山村でございますが、この地方におきまして、荒れてしまった道路を、村人が出まして奉仕的に復旧作業をやっておりましたところが、土砂を運ぶときあやまってがけくずれにあいいまして、三名即死、数名が重傷を負うというような事件が起こりました。ところが、被害の影響というものは、即死しました農家の家庭は、生活中心を失った、こういうことになりまして、どうしたものだろう、何かこれらの被害者、死亡者並びに負傷者に対する手はないだろうか、こういうふうにいろいろと考えられたそうでありますけれども、労災法の適用はございませんし、ずばっといく補償規定が見つからないということで、たいへん困りました。ところが、そういうことのために、河川愛護運動とか道路愛護運動など、労力奉仕というような気風に大きな影響を与えるということになりまして、あちらこちらの部落で集会を持ちまして、今後われわれは一体どうしたらいいだろうという事態が起こったのであります。  そこで伺いたいことは、第一、そのような復旧工事に従事いたしました場合は、災害基本法によりましての災害時における出動した労務、こういうものに認定すべきかどうか、この点をまず明らかにしておきたい、こう思うのであります。
  83. 北川博正

    ○北川説明員 そのような災害時におきましていろいろと労力奉仕をされる、いわば災害のために国あるいは地方公共団体のためにいろいろと努力されるということは、災害対策基本法上から申しますと、いわば義務づけられたものではございません。ただ、一般的な法則といたしまして、地域住民も当然災害の予防については努力すべし、十分寄与するようにしなさい、また防災基本計画におきましても、自力救済、自分の力で自分の村なり町なりを守りなさいという規定はございます。そういう意味で、一般的な努力義務、あるいは一般的な地域住民の責務といっておりますが、そういった道義的責任をやはり住民の方々も持っておられるということは言えるかと思うのでありますが、当然市町村でやられるようなことをおやりになった場合に、何らかのあれがあってしかるべきではないかということも基本法は予想しておりまして、市町村長から命令があり、あるいはそういった上のほうから命令があった場合には、それに対しては補償しなさいという規定はございます。ただ、積極的にお働きになって、いわばだれからも言われずに自動的にみずからの発意によりましておやりになった場合に、特段の補償等の規定はございません。
  84. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこが地方の習慣としまして、いわゆる官庁組織の上下命令のような形ではございませんけれども、場所を指定し、出動を要請する、こういうような順序はやはり経ておるのであります。そしてそれぞれ機関を通じまして出動の人員もきめるというふうにして出しておるのが実情でございます。でありますから、ひまのある人はかってに出なさい、かってに出ていくということではないのです。ただ、たとえば町長が町の職員に命令するという、そういう形はとっておりませんけれども、やはり区長その他の役員に指示いたしまして、どこそこへあなたのほうは出動してください、こういう要請をしておるのは事実でございます。そういたしますと、その場合は、基本法の八十四条の、住民に対する応急措置として業務に従事させた場合に該当するのではないか、こういうふうに思われますけれども、ここはなるべく、特に拡張する必要はありませんけれども、そのような趣旨は生かしてしかるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  85. 北川博正

    ○北川説明員 それはおそらく、基本法のたとえば六十五条にございますように、市町村長が、災害が発生したときに、区域内の住民に応急措置を実施する、近くにいる人に対して応急措置を実施する場合に、その業務に従事させることができると、御承知のとおり、書いてございます。ただいま吉田先生のおっしゃったごとく、何らか組織的に市町村長がやらせるという感じを持たせる場合には、おそらくそれも適用できるのではないか、こう判断されます。ただ、事実上のいろいろな認定がございまして、それを詳細に調べませんと、ただいまここで、それは可能でございますということは申し上げられないと思います。
  86. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはやはり当該負担といたしまして、住民が経済的あるいは労力的な負担をさせられておるのが日本の現実でございまして、これを失ってしまうということは、やはり地方のほんとうの自治行政を行ない得ない結果を招来します。できるだけ助長すべきものであろうと考えます。それで、仰せのとおりに、具体的事実とそれに対する判断をどうすべきかということが残っておりますが、やはり厳格な服従関係にある上下の命令ということでなくて、習慣によりまして指示をしそうして機関が動いて、また、動いた機関が伝達して出動させるということになっておりますので、私は、やはりそこに該当すべきものとしてしかるべき方法をとることが、この自然に生まれてまいりました純風美俗がいつまでも一そう効果をあげ得るゆえんではないだろうか、こういうように思われますので、伺った次第でございます。  そこで、もしそのような場合にはいまの法条に該当するものという認定が正しいとした場合には、これは市町村長におきましてどういうような措置でこの補償をするというのが条例になっておるのでしょうか。
  87. 北川博正

    ○北川説明員 これは確かに「条例で定めるところにより」ということになっておりますが、私不敏にしてその条例を存じ上げません。そういう条例が市町村でできておるかどうかということもわかりませんが、法律上こうなっております以上は、市町村長あるいはものによっては都道府県知事から出さなければならない、これは義務であります。ただ、先生が言われました慣習ということもおそらく考えられると思いますが、先ほど申したように、その辺の事実関係はやはり相当深刻だろう。市町村にしても、相当のお金でありますから、財政状態等もありますので、そう軽々に承知するかどうか判断できないと思います。
  88. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 災害基本法第八十四条第二項によりますと、「政令で定める基準に従い、条例で定めるところにより、その者又はその者の遺族若しくは被扶養者がこれらの原因によって受ける損害を補償しなければならない。」これが大体の趣旨らしいのであります。そういたしますと、市町村長においてしかるべき補償がなされたような場合は、同時にまた地方交付税法の第十五条の特別交付税の算定の一つの基準になって、特別に生じた財政需要、これに該当するものとして自治省においてしかるべく算定をすべきものではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  89. 北川博正

    ○北川説明員 自治省がおりませんので詳細はわかりませんが、一般的には特別交付税の対象になり得る、そういうふうに判断されております。
  90. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この問題は具体的になお精査いたしましてしかるべき解決をしたいと考えておりますが、一般的に、劈頭申しましたとおり、日本の地方住民の法律概念の負担として相当重要な負担量でもあり、またこれなくしては農村は成り立ちません。都会ならば、道路に穴が掘れておっても、こわれておっても、それぞれしかるべく補修をする人もおりますが、農村におきましてはそれがございませんし、ましてや、災害時における非常動員体制というものは、もう日本の農村の最も大きな強いものであろうと考えますので、したがって、いま申しましたようなこの種問題に対処するために、これらの条文でなお明確を欠くということであるならば、御検討いただきまして、この純風美俗を助長するという趣旨も兼ねて、それを補完する方法に出られることが必要ではないだろうか。防災会議におきましてもしかるべく御検討方を御希望申し上げておきたいと思いますが、何か答弁をしてください。
  91. 北川博正

    ○北川説明員 十分検討いたしたいと思います。  なお、実はこれについては消防庁のほうから何か条例準則というものを市町村に流しまして、こういうことでおつくりなさいということは指導しているようでございます。
  92. 楯兼次郎

    楯委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十一分散会