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1965-05-12 第48回国会 衆議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十二日(水曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 正示啓次郎君 理事 廣瀬 正雄君    理事 福永 一臣君 理事 井谷 正吉君    理事 岡本 隆一君 理事 西宮  弘君       逢澤  寛君   稻村左近四郎君       大倉 三郎君    大野  明君       木部 佳昭君    砂原  格君       丹羽喬四郎君    堀内 一雄君       山本 幸雄君    金丸 徳重君       久保田鶴松君    中嶋 英夫君       原   茂君    稲富 稜人君  出席国務大臣         建 設 大 臣 小山 長規君  出席政府委員         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         建設事務官         (都市局長)  鮎川 幸雄君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君  委員外出席者         議     員 馬場 元治君         農 林 技 官         (農地局参事         官)      永田 正董君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 五月七日  委員天野光晴辞任につき、その補欠として内  海安吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員内海安吉辞任につき、その補欠として天  野光晴君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として中  村時雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中村時雄辞任につき、その補欠として稻  富稜人君議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月三十日  住宅協同組合法案田中一君外六名提出参法  第一五号)(予) 五月十一日  九州横断自動車道建設法案馬場元治君外六十  一名提出衆法第三八号) 同月七日  都市地下駐車場建設促進に関する請願(澁谷直  藏君紹介)(第三七九九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  九州横断自動車道建設法案馬場元治君外六十  一名提出衆法第三八号)  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について、調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。岡本隆一君。
  3. 岡本隆一

    岡本委員 きょうは木津川用水対策の問題と、大阪並び京都土地区画整理の問題と、二点お尋ねいたしたいと思うのでありますが、農林省からお越し願っておりますので、用水対策の問題を最初にお尋ねいたしたいと思います。  最近、木津川で、木津川沿岸土地改良事業で、南山城一帯統合用水計画がだいぶ進展いたしてまいっております。この問題につきましては、前にも一度参事官に来ていただきまして、お尋ねしたことがございますが、その後の進展状況、大体いつころから始めて、どのくらいの期間完了するのか。それからまた、それに伴うところの費用負担区分というのはどうなっておるのか、その辺のところを、もう一度御説明願いたいと思います。
  4. 永田正董

    永田説明員 木津川地区計画は、調査費としましては、三十九年度からつけておりまして、四十年度、本年度で調査完了する予定で取り進めております。その前に、三十八年度におきまして、調整費等が少しついております。それを含めて、四十年度で計画完了するように努力中でございます。したがいまして、ただいまのところ計画中でございますので、決定的とは申し上げられませんけれども、ただいまの目安といたしましては、四千二百ヘクタール程度の田畑に対しまして、総事業費で申し上げますと、大体四十五億程度と押えております。四十五億と申しますのは、国営府営団体営、それから圃場整備というようなもののトータルで四十五億程度というぐあいに考えておりまして、そのうち国営でやる分につきましては、大体二十九億程度、そういうぐあいに現在のところ目安をつけております。  そこで、予定のとおり四十年度で調査完了いたしますと、四十一年度で採択をするかどうかという地区になると思います。全体設計地区採択されますと、国営地区の普通のペースとして、二年ほど全体設計にかかると存じます。その後着工になるわけでございますが、これを特別会計でやるといたしますと、大体公約といたしまして七年間で完了する、こういうぐあいに考えております。国営事業完了を待たないで、府営団体営あるいは圃場整備というものをある程度すだれ式にダブらして並行的にやっていく、効果が一〇〇%になるべく早く持ってくる、こういう仕組みを考えているわけでございます。
  5. 岡本隆一

    岡本委員 非常に大きな規模事業でございますが、こういうふうな事業を必要とするに至った事情農林省ではどのように把握されておりましょうか。
  6. 永田正董

    永田説明員 これは、土地改良事業は、地元の申請によって、知事の副申によってこちらが採択をするということになっておりますので、最初出発点のことまでつまびらかだとは申しませんけれども、いま私らの感じておるところでは、取り入れ口幾つかに分かれてとっている。既存の水利権は、大体まとめまして二十トン程度水利権を、幾つかに分かれて持っておったけれども、実際に川の水の渇水の場合には二十トンはなかった。そこに多少の河床低下というような現象もあって、用水の非常に危惧を感ずるような事情から、これをひとつ根本的に直したい、もう一つは新しい農業に切りかえるために、いわゆる近代化と申しますか、圃場の区画等を整然と直したい、こういうようなこと、あわせまして畑地に対する畑地かんがいもやっていきたいというようなことが、一体となって要望されてきたものかと存じます。  なお、当初は県営でこれをやりたいということで進んでおったようでありますけれども、だんだん検討していきますと、幾つかに分けて用水をとるということは、河床が不安定だということも一つありましょうが、川の水が伏流になって逃げる。伏流になって逃げるようなところでは、非常にばく大な金をかけないと、それを全部とることがむずかしい。上のほうでまとめてとるほうがいいのではないかということで、一本の計画に統一しまして、計画全体を、面積的にも少し拡大して、国営でやるということに踏み切ったものと考えております。
  7. 岡本隆一

    岡本委員 地元の要望に基づくものだということでございますが、地元のほうでこういうふうなこともあえてしなければならなくなった原因の一番大きなものは、木津川河床低下なんです。それで、昭和二十八年に南山城に大水害がありまして、うんと土砂が持ち込まれてまいりましたが、その後、京阪神の経済成長に伴う建築ブームのために、どんどん砂利採取が進められまして、そのために非常に河床低下を来たしておるわけであります。その河床低下というものは、今日では異常なまでになりまして、国鉄の鉄橋の橋脚まであぶなくなってきておる。あるいはいままで出ておらなかった川の中のいろいろな昔の古い使わなくなってしまった橋脚なんかの埋まっていたもの、そんなものがだんだん出てくるというくらいの、近年かつてないくらいの状態まで河床低下しておるわけです。したがって、取水が困難だから、こういう土地改良をやって、それでもって農家取水ができるようにしてもらいたいという要求が出てくるという裏には、そういう河川管理のまずさというものを非常に——川というものは、これは洪水の面からいえば、なるほど低いほどいいかもしれない、しかし河床というものは、ある程度の高さに維持をしないと、その河床に応じて、取水揚水であるとか、用水取水口であるとか、いろいろな施設がつくられておるわけなんです。そのつくられておる施設が、河床が上がり下がりするたびに、それをいろいろ上げたり下げたりするということをやらなければならぬ。だから、建設省としても、河川管理については、そういう河床というものをどの程度維持するかということについての一つ方針というものがなければならぬと思うのでありますが、それにもかかわらず、だんだん河床が下がってまいりまして、どの取水口も全部水面よりはるかに上になってしまって、取水口ポンプ揚水して流し込んでおるというのが、今日この木津川沿岸農業取水状況です。だから、こういう点について、建設省一体木津川河床をどの程度維持していこうという考えを持っておられるのかという点ですね。それにはまたどういうふうな方法をおとりになるかという、その二点を伺いたいと思います。
  8. 上田稔

    上田政府委員 お答え申し上げます。  木津川の問題でございますが、木津川という川は、これは非常に荒れまして、土砂が出てまいりまして、治めるのに非常にむずかしい川でございまして、その河床変動というものも、土砂変動に応じて非常に大きく変動をいたしておる川でございます。特に先生がいまおっしゃいます昭和二十八年の南山城の場合におきましても、非常に土砂流出をいたしまして、そして河床を上げたわけでありますが、幸い最近は非常に災害が少なくなりまして、土砂流出も少なくなり、そして河状がだんだんと治まってまいりまして、以前のときには堤防から堤防といいますか、両岸の間はほとんど平らになっておりまして、低水路ができておらないような状態で水が流れておりました。しかしながら最近は、だんだんとその低水路が固定するような形になってきつつあるわけでございます。それで土砂のたくさん出ておりました以前におきましては、昔の護岸根固めのようなものがすっかり埋まってしまっておりまして、全体が土砂の平らな川というような状態になっておったわけでございます。それでその状態におきまして、私どもが川の改修に当たってまいっていたわけでございますが、そのときにおきましては、いま申しましたように、非常に上流からの砂利砂というもので河床全体が成り立っておるものでございますから、しかも出てまいりました土砂が非常に多いので、堤内地の田面の高さよりもあるいは高いところ、いわゆる天井川的な状態を呈しておりまして、そして堤防をつくりましても、洪水のときに水位が上がってまいりますと、その下から水をふきまして、特に枇杷庄といいますが、寺田のところでございますが、あの付近におきましては、非常な湧水があって、洪水、つまりはんらんがなくても、農家は非常な被害を受けておったのが前の状況でございます。左岸におきましても、同じような状態があったわけでございます。そういうことで河川改修を始めたのでございますが、どうもその水位が高いのではどうにも手のつけようがないということで、なるべく漏水防止の工法を施してきたのでございますけれども、その水位が高いと困るので、なるべくおろしたいという考えでおるわけでございます。それでいままで相当護岸にいたしましても、深く入れて施工をしてまいりました。しかしながら現在におきましては、それが先生がいまおっしゃったように、いろいろな原因があろうとも思いますけれども、最近は土砂流出が非常に少のうございます。幸いにして川としては治まってまいりまして、だんだんと下がりつつある現状でございます。それでいま先生のおっしゃいましたように、国鉄の橋梁の根がだいぶあらわれてまいりまして、また護岸の根もだんだんと余裕がなくなってまいりました。したがいまして、ここらで川を治めていきたいということで、現在調査をいたしまして、そしていままでの変動状況、それから根入れ河床の高さの関係、そういったようなものを現在全部洗い出しまして、そして安定河床計画を立てようということで、いま検討をいたしております。
  9. 岡本隆一

    岡本委員 なるほど仰せのとおり、木津川という川は、非常に上から土砂が流れてまいります。したがって、絶えず一定にするような努力をしていただかないと、施設をつくっても、その施設を上げたり下げたりしなければならぬということ、ところが、いまなお年々下がっていく傾向がある。いまのお話でございますと、この程度で治めたいということでございますが、もうこの程度で治めていただかないと、農家は非常に困ってきております。ところが、そういうようなお考えに従って、現在は木津川上流中流と申しますか、そういう部分では、砂利採取が禁止されてまいっております。非常に強い制限が加えられてまいっております。ところが、下流の、河口に近いところで、どんどんいま大規模砂利採取が行なわれているように聞くのです。それは、私どものほうに農民が言ってくるのです。ああしてわれわれの近くのほうで砂利採取がとめられても、下のほうで、しかもその砂利採取方式たるや、いわゆるサンドポンプで吸い上げてどんどん送っておる。そうすると、川のことでございますから、ちょっと水が出れば、どっと低いところへみんな上のほうのが持っていかれますから、上流で幾らとめても、下流であんな大規模砂利採取が行なわれたのでは何にもならぬ。だからあれを禁止してもらわぬことには、われわれのほうの河床は下がる一方だが、どういうことなんであろうということを、われわれのほうへ言ってまいっておりますが、そういうような砂利採取業者にすれば、大阪に近いところで、最も輸送費のかからないところでそのような大規模砂利採取ということで、利潤は高いだろうと思う。しかしながら、建設省がいまこの程度で治めたいというお考えであるなれば、河口部あるいは下流におけるところの砂利採取を全面的に禁止していただかなければならぬと思うのでありますが、いかがでございますか。   〔委員長退席、正示委員長代理着席
  10. 上田稔

    上田政府委員 次は、淀川の問題の御質問かと思うわけでございますが、木津川に直接関係があります部分といいますと、淀川の一番上流といいますか、木津川との合流点三川合流地点でございますが、この付近におきましては、現在桂川から、また木津川の一部分からでございますが、来ております砂がたまっておるわけでございまして、これは三川の合流維持なんかの関係も見つつ、その一番いい状態になるまでの間の部分については、手掘り土砂採取は、いままでは大阪京都府とでございますが、京都府のほうで許しておったようでございます。それでその程度で、私どものほうは、大体明治の初めから淀川の低水維持ということを考えておりまして、その低水路の高さが計画よりも下がらないように常に維持をしてきて、船の就航に差しつかえないように、伏見港のほうに船が入れるように、維持してきておったわけであります。それで、現在まで許しておりましたのは、大部分はいまの三川合流地点でございまして、それから以下ずっと毛馬までの間というものはほとんど禁止しておりました。ところが、最近四、五年の間になりまして、ちょうど鳥飼大橋という橋がございますが、その付近におきまして、維持をしておりました河床よりも少し上がってまいりました。その辺が低水路で非常に浅くなってまいりました。その部分につきましては、機械掘りでございますが、グラブ式というのでございますか、つかむやつでありますが、プリストマンというものを一部たしか入れて、そういうものを取り除いて、採取を許可したという例はございます。しかし、たしかサンドポンプは使っておらなかったというふうに私記憶しております。  御質問の最後は、河口部分、つまり長柄の可動ぜきよりも下の、海との間の部分でございますが、その部分についてサンドポンプを使いました例はあります。ただ、これは、いま申しましたように、長柄のところにせきをつくっておりますので、その高さで下のほうは押えられておるわけでございます。そういうことで、この淀川堤防防潮堤として高潮に対して保ち得るようにするために、そこの砂をポンプ船で上げて工事をやったことはございます。最近はその工事も終わりましたので、川の中におきましてはやっておりません。ただ河口港湾部分で、一部港湾の航路とかいうようなものをお考えになってポンプ船をお使いになっておる、つまり、河川堤防のゼロよりもまだ先の部分でございますが、ちょうど川のみおに当たるところも一部お掘りになっておるかもわかりませんが、これは港湾のほうでおやりになっておるようでございますが、この部分のそういうポンプ船のしゅんせつというものは、いま申しましたように、長柄せきによって押えられますので、その部分はあまり関係がないというふうに考えております。
  11. 岡本隆一

    岡本委員 いずれにいたしましても、下流部相当大じかけな河床低下があれば、水が出れば、どっとそこへ中流砂利が持っていかれるのは当然考えられるところでございます。そこで、現在では、そういうふうにして年々下がっていくものでありますから、現地の農民用水対策協議会というものをつくりまして、それでもって砂利業者と折衝いたしまして、取水がだんだん困難になる、したがって揚水施設をつくるとかあるいは井戸を掘ってポンプ揚水するというふうなことを、団体交渉をやりまして、いまでは河床を下げた者に取り水にかかる費用を全部負担さしておるわけなんです。だから、そういうふうなことで、どうにかいまは一応揚水の道を講じておるのでありますが、政府方針が、河床をできるだけ下げていきたいということで、河床をどんどん下げる方針をとられるとするなれば、その河川管理の結果として出てきたいわゆる農家にとってのかんがいですね、これはやはり政府のほうで、河川のほうで本来ならめんどう見ていただかなければならぬものであって、河床が上がったり下がったりするのは自然現象である、だからしょうがない、それは農家のほうで全部手前持ちでやれということであると、これは農民にとっては、ある程度河床維持ということを政府のほうに期待しているわけなんですから、そういう意味においては、農民側からそういう要求が出てくるのも無理からぬ面が私はあると思うのです。そこで現在では一応原因者負担という形で、砂利業者揚水費用を持たしておりますが、今度は統合用水をつくるということになりますと、その費用負担は、今度は、国もそれを相当負担してもらっておりますが、しかしながら農家相当負担がかかってくる。だから、その点、農家の反当たり負担はどのくらいになるというふうに農林省では計算をしておられますか。さらにまた、現在あそこのところは自然排水が困難でありますから、土地改良事業として排水事業をすでにやっております。それに反当たり二千円ぐらいかかるということを聞いておるのですが、今度そうすると統合用水ができますと、またその統合用水維持管理費というふうなのをずっと将来長く負担していかなければならぬことになりますが、それは一体どのくらいかかることになるのでしょうか。その辺のところを、ひとつ見通しを承りたい。
  12. 永田正董

    永田説明員 お答えいたします。先ほど申し上げました、ただいま押えております事業費四十五億でございますが、それに対しまして、国と県と地元でそれを分担するわけであります。そこで四十五億という仮定に立って申し上げますと、農民の反当の平均負担というものは、大体元本で二万七千円程度になると存じます。これを年々均等償還してまいりますので、その金額は年の償還金を大体三千三百円と押えております。もっともこれは、補助率等が今後変わりますればまた変わってくるかと存じますが、現在のところ国営府営圃場整備というようなことで、償還条件がある程度違っておりますが、それらをまとめて申し上げますと、その程度になろうかと存じます。こそで、投資効率一体これだけ四十五億の金をかけてどれくらい効果が出てくるものかという問題でございますが、これはだいふむずかしいことになるのでございますけれども維持管理費節減とか、それから営農労力節減とか、いわゆる省力化というもの、それから作物の増収というようなことで、金額で換算いたしまして、それと年々の償還額とを比較いたしますと、大体三七%程度、もうかった中から払っていけばいい、計算上はそういう数字でございます。われわれのほうで投資効率というものをはじいておりますけれども、大体一に近い〇・九ということで、大体一ならば一番いいのでございますが、現在行なわれておる土地改良事業でいいますと、そう悪くない、いいほうである、こういうぐあいに考えておるわけでございます。なお、排水のほうのことについて、現在二千円ぐらいかかるが、それはどうなるかということでございますけれども、このほうの調査はいまちょっと手持ちいたしておりませんので、後刻調べて御報告申し上げたいと存じます。
  13. 岡本隆一

    岡本委員 いま維持管理費程度は、数字はお示し願えませんでしたが、大体反当三千三百円という償還金額、これは何年間払っていくのでしょうか。
  14. 永田正董

    永田説明員 お答えを申し上げます。これは国営府営団体営条件がみな違うわけです。国営でございますと、これをたとえば特別会計でやるといたしますと、十年間で六分五厘の利息、こういうことになっております。これは事業完了の翌年から払う、したがって据え置き期間というものは考えておらない。県営団体営になりますと、これは公庫から融資を受けるわけです。地元負担分につきましては、国が補助金をその年にたとえば五割を出しますと、県営かん排はいま五割でやっているわけですが、二割五分は県が持つ、地元は二割五分出す、こういうことになっておるわけですが、その二割五分の八割以内で、公庫融資するということになっております。公庫の借金がすだれ式に、五年間かかれば五年間ずっと重なっていくわけです。それの償還でございますが、県営でございますと据え置きが十年以内、償還期限据え置き期間を含めまして二十五年以内ということになっておりますし、同じく団体営の場合には、利率はやはり六分五厘でございまして、据え置きは五年以内で、据え置きを含めまして償還期間はやはり二十五年である、こういうことになっております。据え置き期間と申しますのは、大体の観念的には、事業が終わってから払う、こういう趣旨で、年限を以内という条件をつけて、県営のほうが長くかかっておるということで、据え置き期間を長くしたわけでございます。
  15. 岡本隆一

    岡本委員 そういたしますと、国営の十年、六分五厘というのは、国営事業完了してから払い始めるわけですね。
  16. 永田正董

    永田説明員 そのとおりでございます。完了の翌年から払います。
  17. 岡本隆一

    岡本委員 県営団体営、いずれも五年ないし十年の据え置き期間があって、そして二十五年という償還期間でございますが、そういたしますと、県営の場合も十年の据え置きということは、事業完了するのに十年かかる、そうすると、それから完了後十五年間に払うということになるのですか。
  18. 永田正董

    永田説明員 仕事が十年かかるものでございますれば、そうすればあと十五年で払うということになります。
  19. 岡本隆一

    岡本委員 農業というような非常に収益率の低い事業に対して、六分五厘という利率はいかさま高いんじゃないか。住宅投資に対するところの利率というものが今日この程度で、しかもたとえていえばいわゆる勤労住宅ですね、産労住宅というようなものが六分程度利率で、しかも二十年くらいの償還期限、長いものは三十年、そうすると、住宅に対する融資条件と、それから農業のような非常に収益率の低い、労働力をたくさんつぎ込まなければならぬ、全く筋肉労働のような事業に対する融資と比較していきますと、これはかなり融資条件というものが、ことに国営の場合十年、六分五厘というのは高過ぎやしないかというふうに私どもには思われます。それともう一つは、この統合用水を行なわざるを得なくなったところの原因というものは、一つには河川管理政府方針の結果、河床が下った、それに伴うところの水飢謹を補うための事業であるということになってまいりますと、国のほうで、もっとこの事業に対するところの配慮を行なっていただくべきではないか。したがって、国で金をもっと負担してやることがかりに困難であるとするなれば、せめて貸し付け期間並びに利率の面ででも、特別の配慮が行なわれるべきでないか、こういうふうに思うのでございますが、農林省ではいままでただ投資効率がよくなる、そしてそのために労力であるとかいろいろな耕地の管理費が節減できる、だから増収もあるんじゃないか、だからそのうちから払えばいいんじゃないか、こういうような御意向のようでございますが、しかしながらやらざるを得なくなった、やらなければ農業経営がだんだん困難になっていくというふうな現状が河川側にあるわけなんです。だから、河川側にそういう原因がある場合に、やはり他の地域の土地改良事業とこの山城方面の土地改良事業というものは、そこにおのずから考え方に違いがあっていいのではないか、政府のこれに対する助成にある程度のプラスアルファがあってもいいのではないかと思われますが、農林省ではいかがお考えになりますか。
  20. 永田正董

    永田説明員 最初の御質問で、国営償還期間十年は少し短過ぎるんじゃないか、それから県営団体営の六分五厘という利率はちょっと高いんじゃないか、こういうことだと拝聴いたしたのでありますが、金利なり償還条件につきましては、金融全般のバランスもございまして、一がいにこれだけで論ずるわけにもまいりません、むずかしい問題だと思いますが、最近数年間で農林省融資全体は条件を非常によくしてきているのでございます。そういう過程にあって、圃場負担分、地元負担分に対する償還というものは、大体据え置きになっておるわけでございます。一般の声といたしましては、御意見のとおり少しひどいんじゃないかという声を耳にいたしております。これを少し緩和する方向で今後考えていきたいと、努力していきたい、このように考えておるわけであります。あとの質問のほうの、取水が不安定であるから、それに対しては別の角度から何か農民に有利な方向で考えられるんではないか、こういう仰せでございますが、農林省といたしましては、農民の意思に基づいてこれをやってくれということで受けて、それではやろうということで考えております。いわゆる取水の安定化、それから水を非常に経済的、合理的に使う、農業を、圃場整備等をやって合理化するというプラスの面に対して、私のほうは考えておりますので、河床が不安定なものに対する補償ということばは悪いかもしれませんけれども、それを何か補ってやるということにつきましては、農林省といたしましては、ただいまのところ考えておりません。
  21. 岡本隆一

    岡本委員 この問題について、最後に大臣のお考えを承りたいのですが、いま申しましたように、河床が安定しないために、その対策として一部の農民は、砂利採取をやった業者に、河床を下げた原因者として負担さしておる。ところが、この地域全体の農民というようなことになりますと、そういうふうな運動もしておらない人たちも相当おるために、こういう統合用水計画が出てまいっておるわけであります。しかしながらこの統合用水ができますと、全地域の農民統合用水についてそれだけの相当な、いま参事官から御説明があったように、反当三万円ほどの負担をしなければならぬ、そしてそれをしかも相当期間に返済していかなければならない。そうしますと、従来ここは水はけが悪いものですから、反当二千円ぐらいの排水事業費を払い、そこへ年三千三百円のいまお示しになった数字ですが、負債を払っていく。さらにまた、この用水維持管理費がやはり二千円ぐらいかかるんじゃないかと思うのであります。そうしますと、七千円程度の反当たりの耕地の維持費を負担していかなければ農業経営ができないというふうなことになって、非常に収益率の低い農民にとっては、かなり大きな負担になってくると思うのです。しかもこれがもう一年では、高山ダムとの関係も無関係ではございません。   〔正示委員長代理退席、委員長着席〕 統合用水ができるのは、これから十年ほど先でございますが、高山ダムは三年ほどたつとできます。高山ダムができますと、上から一そう砂利はおりてきません。そうしますと、河床低下というものがより強くこの地域に起こってくるという心配があるわけですね。だから、それに対するところの国のほうの対策というものも考えてもらわなければならぬ。だからそういう意味において、あるいは高山ダムのダム建設に伴うところの下流かんがい対策、さらにまた河川管理上の低水位対策というふうな観点からこの木津川統合用水工事が行なわれるとするならば、いま参事官も、農業としては十年六分五厘というふうな融資条件というものは少し過酷のようにも思えるというふうな話もございましたが、一応国の河川管理に対応して、こういうふうな事業が行なわれなければならなくなったとするなれば、それもやむを得ないことかもしれませんが、しかしながらそれに協力していくのには、農民に対して何らかの河川管理者側からの配慮というものが私は行なわれるべきではないか、こういうふうに思うのでございますが、建設大臣、いかがお考えになりますか。
  22. 小山長規

    ○小山国務大臣 現実に河床低下して取水ができなくなっているという、その事実を主としてお話しでありますけれども、この河床が下がったこと自体が、その原因を与えたのは一体だれであるのか、故意にやったのか、故意にやったものであれば当然何とかしなければなりませんが、自然に下がった場合に、すべてこれを河川管理者が、その関係取水口までやっていくということは、筋道としてはどうかと思うのであります。しかし具体的な場合には、また河川維持管理の立場からいっても、そういう取水口とあわせてものを考えなければならぬ場合もあろうかと思います。これはやっぱり具体的な問題として考えなければならぬことであって、一般的な問題として、いまおっしゃったようなことで、すべて河床が下がった場合には河川管理者が負担しなければならない、という原則は立てるわけにいかないと思います。しかしいまも申し上げましたように、河川の管理上必要なものをあわせてつくるという場合には、河川管理者としてもその応分の負担をすべきである。ですから、そこのところは、一本一本の川、一本一本の問題について調査をして、そして河川管理上も必要であるという場所に、たとえば取水せきをつくるという場合にはその負担をする、こういうふうに具体的な問題として考えるべきではなかろうか、こう思うわけであります。
  23. 岡本隆一

    岡本委員 私が申していますのは、現在、たとえば砂利採取業者などから補償を取って、一応取水をうまくやっている地域も相当あるわけですね。ところがこういう統合用水ができますと、そういうところにもみんなこういうなにがかぶさってくるわけです。現在県がいわゆる水利権を持ち、そして砂利業者砂利採取建設省は許可しておった、管理者は許可しておった、そのために河床低下しておる。しかし管理者からは補償を求めずに、砂利採取している者からは補償を求めて、一応運営を、農業経営をやっているわけですね。ところが今度統合用水ができますと、やはりその地域の農家として、いやそんなものは負担できない、こういうわけにはいかないので、やっぱり全部農家の頭にかぶさってくるわけですね。そういうところに私は不満があると思うのです。だからそういう点について、河川管理のほうに、いろいろ河床が上がったり下がったり、まあ安定さす努力はしていただけるでしょうが、しかしながら、下流でもいまなおどんどん砂利採取が続けられておって、しかもそれはやはり経済成長に伴う建築用に使われる骨材であって、そのために河床がどんどん下がってきておるというふうな場合に、農民のほうでそういう考え方を持つのも無理はないと思う。  それともう一つは、高山ダムができれば、一そう上から砂利がおりてこなくなる。そうすると、農民の側は、高山ダムができて、そのために将来起こってくる河床低下に対応するために、この統合用水計画というものがある程度役立っていくのではないか。そうすると、その高山ダム建設に伴うところの河床低下に対する補償も、当然配慮の中にあるべきではないか。だからそういう点で、もう少しこの統合用水計画の中へ政府資金の導入を増額するか、あるいは融資条件を緩和するか、何らかの形をもって、管理者のほうでもう少し責任を持ってもらいたい、こういう考え方を持っておるわけでありますが、それについて、大臣は、多少そういうような要望にこたえようとする意思ありやいなや、こういうことを聞いておるわけであります。
  24. 小山長規

    ○小山国務大臣 河川管理者の立場からいえば、河川管理上必要のないものに費用をつぎ込むということは、これは政治的にも、それから財政法上もいかぬことだと思います。よろしくないことだと思うのであります。そこでその費用をつぎ込むことが合理的であるかどうかという点が明らかでないと、これはかえって、今度は議会側から、どうしてそんなものに金を出したか、こう言われるおそれがあるわけであります。ですから、これはやはり具体的な問題として調査をして、農林省建設省との間で十分な打ち合わせをして、そうして河川管理者としても、合理的であるという根拠がつかめないと、やはりこれは無理であろうかと思いますので、あと具体的な問題をどうするかは、河川局長から説明をさせます。
  25. 上田稔

    上田政府委員 高山ダムとの関係でございますが、いままでの河床変動につきましては、高山ダムはまだ何もできておらないわけでございまして、影響はなかったわけでございます。今後は影響があるのではなかろうかというお話が出ておるわけでございますが、現在の河床状況におきまして、すでに先ほど先生のおっしゃいましたように、鉄道の橋脚相当あらわれてきておる。それから先ほど申しましたように、平らな河床から低水護岸が形成されるような状態に変化してきておるということ、それから批杷庄その他の漏水という問題もだいぶおさまってきた、それから私どもがつくっております、相当深く入れたのですが、その護岸の根が余裕がなくなってきておる、こういうことから見まして、河床の安定ということは、河川工事上どうしてもやらなければいけないときにもう来ておるのではなかろうか、こういうふうにも現在考えておるわけでございますが、そういうことでいまどの高さが一番いいかということで、その根入れ状態であるとか、あるいは河床状態であるとか、そういうものの調査をいたしておるわけであります。それで、高山ダムができるできないにかかわらず、そういうことを考えて、木津川河床というものをそろそろ押えたい、こういうふうに考えております。
  26. 岡本隆一

    岡本委員 大臣、いま河川管理上必要ないものには金を出せぬ、こういうふうなおことばでございましたが、これはあげ足をとるわけじゃないのですが、しかしこれはダムができるということ、その結果として起こってくる事態に対してある程度の補償をするということは、管理上——それは何ぼ下がっても、災害防止という意味からは、それはそれでいいです。しかし河川管理というものの中には、やはり利水というものが含まれているのですから、しかも農業利水というものが古くからの水資源として、新河川法でもきちんと保障されているのです。ですから、そういう農業利水を保全してやるということも河川管理一つの目的なんですよ。だから、これはそういう意味においては、治水と利水と両面のことがうまくいけるようにやっていくのが河川管理でございます。だからそういう点、利水が困難になれば、その利水ができるようにしてやるということも管理者の責任であると私は思いますから、その点ひとつ農民の立場等を御理解していただきまして、もうくどく議論してみてもきりがございませんから、この程度でこの問題は打ち切りたいと思いますが、もう一度よく御検討願って、この問題に対処していただくようにお願いしておきたいと思います。
  27. 小山長規

    ○小山国務大臣 むろん取水ぜきをとる場合には、河川管理上もそれに非常に役立つということであれば当然考えなければならぬことでありますから、いまおっしゃったような趣旨で十分調査をして、そして合理的な基礎があれば当然払っていいわけですから、合理的な基礎がありやなしやという点は調査をしていたしますと、こう申し上げているわけです。
  28. 森山欽司

    森山委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  29. 森山欽司

    森山委員長 では速記を始めて。      ————◇—————
  30. 森山欽司

    森山委員長 昨十一日本委員会に付託になりました、九州横断自動車道建設法案を議題といたします。     —————————————
  31. 森山欽司

    森山委員長 まず、提案者から趣旨の説明を求めます。馬場元治君。
  32. 馬場元治

    馬場議員 ただいま議題となりました九州横断自動車道建設法案につきましては、私は自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、その提案の理由並びに要旨を御説明申し上げます。  わが国の当面する産業経済施策の基本的命題は、うちにおいては、広域的かつ長期的展望に立ってそれぞれの地域の総合一体的開発を促進し、地域間相互の交流を円滑にして、いわゆる地域格差の是正をはかり、国土の全域にわたる均衡ある建設を期するとともに、外においては、海外との交易を増進し、もって産業基盤の培養強化、経済立国の基礎を確立することにあることは申すまでもありません。  これがためには、まず地域内外における交通の円滑、迅速化、特に今後発展的趨向にある高速自動車道路網の整備拡充が前提的な必須の要諦であります。ひるがえって、本地方を見まするに、北九州の一部地区を除いては、その開発が著しく立ちおくれておりまして、わが国経済伸長の全国水準に比べまして相対的停滞の傾向を示し、依然として低位後進性を脱却し得ない実情であります。しかもその決定的阻害要因となっておりますものは、南北、東西の間に距離的時間的断層が存しておることでありまして、すみやかにこれを打開することが、本地方開発上きわめて緊急な課題であります。  すなわちこれがため、本年度を契機として着工の緒につくこととなりました九州縦貫自動車道と交錯する肋骨的横断自動車道を建設し、両々相まって開発道路の基幹を形成することが、本地方産業経済の進展と、これに伴う輸送需要の増勢に対応するゆえんであります。さらにまた、広域的見地に立って見れば、これより阪神、瀬戸内等と直結して、いわゆる西日本経済圏の一翼をになうとともに、他方、大陸、東南アジア交易の拠点としての本地方の地位的優位性を十分に注用し得ると思うのであります。  叙上の観点に立って地元関係住民の間にも本自動車道の建設要望がほうはいとして高まってまいりました。  われわれは、このような地域的要請と事態の進展に対処して、本道路の早急な実現を期することがきわめて緊要であると考え、特に本法案を提出することといたしたのであります。  すなわちこの法律は、大陸、東南アジア貿易の門口として、歴史的伝統と発展的将来性を有する長崎を起点として、近時急速な発展を遂げつつある佐賀、鳥栖、久留米等内陸工業地域を通じ、さらに新産業都市として将来の産業拠点を構成する大分、鶴崎に達する高速自動車道を建設せんとするものでありまして、同時に、これら沿線には多くの観光資源を包蔵する等の実情にかんがみるとき、本道路の建設によりまして、地域産業、観光の開発、本地方の後進性の打破、西日本経済圏の確立のみならず、海外交易の増進等、あらゆる分野に一エポックを画すべき大きな役割りを果たし得ると確信いたすのであります。  これが、本法案提出の趣旨でありますが、次に本法案の要旨について、若干の御説明を申し上げてみたいと存じます。  第一は、本法案の目的についてでありますが、国土開発縦貫自動車道たる九州自動車道と相まって、九州地方の総合的な開発をさらに強力に推進し、あわせて域外との産業経済等の関係を一そう緊密にするため、全国的な自動車交通網の枢要部分を構成するものとして、緊急に、九州を横断する自動車の高速交通の用に供する幹線たる自動車道を建設し、もって産業基盤の強化に資するとともに、国民経済の発展に寄与せんとするものであります。  第二は、本自動車道の予定路線についてでありますが、本路線は、起点を長崎市、終点を大分市として、主たる経過地を佐賀市付近、鳥栖、久留米市付近、甘木市付近及び日田市付近とするものでありまして、この基準に基づき、政府は別に法律を作成し、すみやかに国会に提出しなければならないことといたしております。  なお、本路線の指定については、国土開発縦貫道の方式に準じてこれを行なうことといたしまして、内閣総理大臣は、国土開発縦貫自動車道審議会の議を経て、予定路線を決定することと相なっております。  第三は、本路線の建設に関する基本計画についてでありますが、これが決定にあたっても、内閣総理大臣は、前述の予定路線同様の手続を経て、これを行なうことといたして、さらに、この基本計画立案等のための基礎調査についても、所要の規定を設けております。  第四は、現行高速自動車道法の一部改正を行ないまして、同法に準拠する本自動車道の整備計画を作成する等、所要の規定を設けることといたしております。  以上が、本法案の提案理由並びにその要旨でありますが、ねがわくば慎重御審議の上、すみやかに御議決賜わらんことを切にお願い申し上げます。     —————————————
  33. 森山欽司

    森山委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。逢澤寛君。
  34. 逢澤寛

    ○逢澤委員 私は、ただいま議題になっております九州横断自動車道の建設に対しましては、ただいまその趣旨の説明を拝承いたしまして、全面的に賛成するものであります。しかしながら、この際、小山建設大臣もおいでになっておることでありますから、ひとつ横断道の今後の問題についてお尋ねをしておきたいと存ずることがあります。  ただいま九州横断自動車道の説明がありましたが、全国各地におきましても、この種の横断道の必要性は、私どもは非常に痛感しておるのでありますが、政府はどういうようなお考え方でおられますか。その点、政府の御所見をこの際ただしておきたいと思います。
  35. 小山長規

    ○小山国務大臣 政府としましても、この横断道路というものは将来必要である、こう考えておるわけであります。ただ順序としてはどうかというふうにおっしゃるならば、それは、まず縦貫道路を完成しまして、それにつながる国道、地方道を整備して、縦貫道路を生かしていきたい。そしてなお、これにつながる国道、地方道で十分でないという時期が来ましたときには、当然横断道路をさらに加えまして、地域開発を進めていきたい、いま、こういう考え方で進めていきたいと考えておるわけであります。
  36. 逢澤寛

    ○逢澤委員 実は中国五県におきましても、この種の横断道の必要性を痛感しておるわけであります。中国地区は、御承知のように、大山脈が縦断しておりまして、南と北とは、九州横断道について御説明がありましたように、地域格差が非常なものがあります。したがいまして、縦貫道はすでに法律で制定されておりますが、縦貫道を促進するということは、法が考えております地域格差の是正ということにはあまり役に立たぬ。むしろ横断道の急速な完成によって、政府考えておるようなことが達成されるのであります。この趣旨は、先ほど九州開発の御趣旨について説明があった、そのとおりであります。したがいまして、中国五県といたしましても、できればこの九州横断道と同時に提案をしたいという強い考えがあったのでありますが、その路線の設定にあたりまして、若干の手おくれをいたしております。したがいまして、やがてごく近いうちに、できれば本会期中にも、これを提案したいというような考え方であるのであります。これは議員立法でできておることでありますが、きょうは建設大臣おいでのことでありますから、これに対してちょっとだけお尋ねしておきたいと思いますが、もしこういうような提案がありました場合には、政府はどういうようなお考えをとられるでありましょうか、ちょっとお尋ねしたい。
  37. 小山長規

    ○小山国務大臣 これは国会がおきめになることでありますから、国会のおきめのとおりに従います。むろん、この法律案にもありますように、予定路線は、調査しました上で、あらためて政府が通過地点をきめた法律を出すわけでありますけれども、いまおっしゃったお話は、国会側がお出しになってから、われわれとしては考えたい、こう思っております。
  38. 逢澤寛

    ○逢澤委員 話はよくわかりました。  そこで、これは提案者にちょっとお願いでありますが、いま申し上げたような趣旨でありまして、重ねて申し上げますと、中国五県におきましても、この種のものをきわめて近々のうちに提案したい、こういう気持ちでおりますので、その際は、九州地区の諸君もよろしくお願いいたします。
  39. 森山欽司

    森山委員長 井谷正吉君。
  40. 井谷正吉

    ○井谷委員 私は、提案者のほうに意見と希望を申し述べたいと思います。  この九州横断自動車道建設法は、もちろん私どもは満腔の賛意を表するわけであります。がしかし、ここに私の希望を申し上げますならば、この説明書にもございますように、広域的見地に立ってみれば、これより阪神、瀬戸内と直結して、いわゆる西日本経済圏の一翼をになうということをうたってあります。それで、もちろんこれはわれわれのこいねがうところであり、しばしばこの委員会でも、これを含んだ発言もいたしておるわけでありますが、そういたしますと、その法案提出の趣旨の第二にあります、「本路線は、起点を長崎市、終点を大分市、」こうなっておりますが、私はこの場合に、終点の大分市というのを、やはりそういう構想を含んで、佐賀関までなぜ延ばされなかったかということを伺いたいと思うわけであります。
  41. 馬場元治

    馬場議員 先ほど中国からの御希望がございました。私ども本法案を出すに関しまして、中国と時を同じゅうしてという考えを持っておったのでありますが、取り急ぎました関係で、九州だけを提案するのやむなきに至りました。もし中国の提案があります場合には、私どもも十分の御協力を申し上げたい、かように考えております。  いま四国側からのお尋ねでありますが、この計画は、お話しのとおりに、九州を横断いたしました暁には、四国と直結をいたしたい。四国と直結することによって、阪神地方、さらに伸びて中央との連絡、瀬戸内との関係の緊密化、こういうことを考慮に入れまして計画をいたしたのであります。さような見地からいたしまして、最初計画は、実は長崎を起点といたし、さらに佐賀関を終点とする考えをもって進めてまいったのでありますが、本省の意見等もしんしゃくをいたしまして、ひとまず大分までということにいたしました。なお、大分から佐賀関は、御承知のように、その距離は僅々六キロを出ないと聞いておりますので、なるべく早い機会に、九州並びに四国を連結いたしまする措置をとると同時に、大分から佐賀関までの九州の道路も延長整備をいたしまして、願わくは佐賀関から四国の佐多岬に至るあの海峡をヘリポートで連結いたしまして、松山のほうに向かいます道路、これを利用して、四国の道路と直結する、かような構想なのであります。ただ、問題は、四国のほうの道路の整備が非常におくれておりまして、これを急ぐことが、九州並びに四国を結びまする、いわば先決問題ではなかろうか、かように考えております。どこまでも、目的とするところは、九州並びに四国を結ぶという点にあるということを御了承願いたいと思います。これに向かって努力をいたしまして、本省のほうにもお願いをいたし、お互いに相協力いたしまして、この目的を達成いたしたいものと、かように考えております。
  42. 井谷正吉

    ○井谷委員 ただいまのお話で、佐多岬から松山へ参ります百九十七号線、それから大分−大洲線と申しておりますが、お話しのように、これは非常に悪い道路であります。これは前の二級国道ということになっておりまして、目下県でも鋭意改修をしておりますけれども、これが完全に改修できましても、とうてい現在構想されておりまするこの道路に接続するだけの力を持っていない道路であります。でありますから、私はこの法案に賛成をいたしまするとともに、この三崎から松山、そして阪神に通ずる四国の横断高速道というものは、当然これは考えねばならぬ問題だと思うのであります。現在やっておりますのは、これはあの地域の地域開発の道路としては大切な道路でありまして、迅速にこれを完成させねばなりませんが、この道路ではとうていこの路線に接続するだけの資格を持っていないという意味において、私はさらに一本この四国横断高速道をつけたい、こういう考えを持っております。その場合にはぜひとも御協力を願いたいということを前提として、私はこれに賛成をいたしたい、こういうつもりでおるわけであります。
  43. 森山欽司

    森山委員長 他に質疑はこざいませんか。——質疑はないものと認めます。よって、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  44. 森山欽司

    森山委員長 この際、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三派におきまして、先刻の理事会でも種々御協議を重ねました結果、お手元に配付いたしましたとおりの修正案がまとまりましたので、便宜、私が三派を代表して、提出いたします。     —————————————
  45. 森山欽司

    森山委員長 まず、修正案を朗読いたします。    九州横断自動車道建設法案に対する修正案   九州横断自動車道建設法案の一部を次のよう  に修正する。   第二条第二項中「、甘木市附近」を削る。以上であります。  本修正案の趣旨につきまして、この種の法案の趣旨より見て、あまり詳細に経過地点を定めることは適当でないと思われますので、修正案を提出旧いたした次第であります。  本修正案につきましては、別に発言の申し出もありません。     —————————————
  46. 森山欽司

    森山委員長 これより、修正案及び原案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  47. 森山欽司

    森山委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  48. 森山欽司

    森山委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては、原案のとおり可決いたしました。  これにて、本案は修正議決いたしました。  おはかりいたします。ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 森山欽司

    森山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  50. 森山欽司

    森山委員長 この際、連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。  電気工事業を営む者の営業所の登録等に関する法律案が、目下商工委員会において審査中でありますが、同法律案につきましては、本委員会の所管事項とも関係のある法律案でありますので、商工委員会に連合審査会の開会を申し入れたいと存じます。これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 森山欽司

    森山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、開会の日時等につきましては、商工委員長と協議の上、決定いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  次会は、来たる五月十四日金曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十一分散会